○徳田
委員 今の
質問の關連してでありますが、どだい農林省の價格政策は全然
間違つている。というのは大體魚でも、しけのときは高いにきま
つている、豐漁のときには安いにきま
つている。それは自然だ、人間の力ではどうにもなりはしないのだ。そういうものを消費者價格、生産者價格というようにこれを全部一律にしてプールにするという、そんなばかな話はないじやないか。木炭だ
つてそうだ。木炭だ
つて地
方々々によ
つてみな違うことは
あたりまえのことで、
あたりまえのことをむりに君ら
自身机の上だけでプールだの一律だのと言う。そなんばかなことはあるものじやない。ここに根本的な
間違いがある。野菜だ
つてそうだ。野菜だ
つて出ばなは高いにきま
つている。盛りなときには安いにきま
つている。それが今のように皆斤量式ならば、すべてほうれん木にな
つてしまう、ほうれん草は草である。草である場合には食えるが、木にな
つては食えぬ。薹が立
つてになれば食えぬ。ところが今の統制規則ではそうなさざるを得ない。監獄は皆そうだ。われわれは長年監獄にいたが、監獄では皆ほうれん木を食わしている。すべて野菜類は斤量で收量をきめるものだからそういうことにな
つてしまう。そんなことでは何にもならない。だから大體こういうものをやるためには實際の生産者價格でみな買うべし。いくら差等があ
つてもよろしい。そのときどきの時價でどんどん買わなければ、これはだめである。そうして消費者に渡す場合には一律でやる。すなわちこういう波のあるものを全體に計算することはできるのだ。それをすることができないようでは事務當局ではない。もし損をするならば、それを租税で補えばよい。大やみ業者からと
つて租税で補えばよい。そういうためにこそ租税を取立てる權利は國家にあるのだ。ほかの人が租税をとれば、これは強盗だ。そういう強制をしていることを許すのが國民のためであればこそ許される。それを
政府自身が損をしないようにというような、
政府自身が商人的根性にな
つているからだめだ。獨占價格でやるから中に立つ者がうまい
仕事をすることになり、いろいろな弊害がある。御馳走をも
つていかなければならぬというのは、結局そういう獨占商賣人的な根性があるからだ。そういう根性を生ぜしめるように統制價格ができているからだ。それを直さない限り、全然いかなる方法をも
つてしてもできぬ。根本的にここを衝くべきである。
それから輸送の
關係でありますが、輸送の
關係では今青森などで非常に大爭議が起
つている。全逓にしましても、國鐵にしましても、青森は非常に模範的な大爭議をしている。これは偉大なる英雄的な行為だ。そういう所において調べたところによりますと、こんな事實がある。電報でもやみ行為の取引と認められるものが六〇%ある。これは皆隱語を使いますから非常に長く、普通の人が讀んでもわからぬが、それはやみにきま
つている。だれが見た
つて、ちやんと事務をと
つている官僚にはやみだということがわかる。こういうものはどんどん沒收するか、このやみを目當に檢擧すればよい、どんどん檢擧できる。こういうものに何も國家の機關が使われる必要はない。これは賃車でもそうです。特別の進駐軍
關係のものを除きますれば、七〇%以上はやみが賃車を使
つている。これだ
つて明らかだ。これは勞働者諸君が皆言うている。やみに違いない。しかし鐵道の役人としては、これはお客樣のものだからというので扱うようにできているというのです。こういうものはやみだということがわかれば、何で押えないか。押える方法はいくらでもある。結局これは
政府がすべて獨占事業に對して商賣人的な根性で、そういう獨占的な利益があるから、ここでいろいろの賄賂も生じ、いろいろのものも生ずるのである。これを打破する決意がありさえすれば、今の輸錯
關係でもすつかりよくなる。やみを全部押えてしまえば…。そういうのが根本的ではないですか。
それから
政府の諸君は千八千圓ベース云々で、これで押しつけようとしている。これは食えないに違いない。あなた
自身千八千圓ベースで食ついてるのではないのに違いない。だれでもそうだ。それを千八百圓で貫こうという、そんな姑息なことをするから、二分の一以下の
生活しかできない。そんなうそつことをするから、結局賄賂をとらざるを得ない。だれだ
つて賄賂をとらなければ生きていけないことにな
つている。何かしらないがほかのやみ
仕事をしなければ生きられない。そういう根本的な缺陷があるから、結局薪炭林にしても、食糧にしても、ありとあらゆるものがすべてこういう故障が起ると私は信ずる。また勞働者諸君はそれを言うている。實際ばかばかしくて話にならぬ。貨車た
つて何だ
つて、あなた見て
ごらんなさい。機關車だ
つて、今の機關車の三分の二以上はみな規格はずれで、いつ爆發するかわからぬ。青森のあの大闘爭が起
つているのは、要するに機關車も何も爆發するからで、すでに二度爆發して、死んでしま
つたり重傷を負うたりしている。そういうものをなぜ直さぬのか。直さぬのは結局することろ工機部の者が食えないからだ。工機部が伏魔殿なり、みなやみをしなければならぬ。やみの方が忙しくて本職はや
つていない。こういう状態が發生するような、そういう千八百圓ベースを押しつけるということそれ自體がすでに
間違いである。だからあなたではそれはうまくいかぬかもしれなぬけれ
ども、價格問題その他に對して、あなた方はもつと根本的に考うべきである。そういうただ上すべりだけのブール計算だの、やあ何だかんだ言
つても、そういうこまかい問題では
解決できない。根本的な問題で衝けば一擧に
解決できる。その點を私は
委員としまして
政府に猛省を促したいと思うのであります。