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山崎(道)
委員 私は全國
國立療養所に病を養
つております一萬一千いくらの
結核患者たちが、非常に今動搖いたしておりまするので、御
當局のはつきりしたお
考え方が各
療養所に
徹底するように、そうしてそこに病を養
つておりまする人
たちが安心して
療養のできるように早速お手配を願いたいと存じます。私が申し上げるまでもなく、この人
たちは自己が好んで病に
なつたものではないのでございます。このごろ戰爭犠牲者に對しまして、ややもいたしますれば無差別平等という
言葉によ
つて、輕く片づけようするきらいが各方面にみなぎ
つておりますることは非常に私は殘念だと思います。無差別平等、なるほど私は無差別平等でなければならぬと存じまするけれ
ども、戰爭のために手足を失い、そうして胸の病を得た、あるいは脊髓をやられた、こういう人
たちがからだが治りまして
社會へ出ることができるように
なつてから後は、私は無差別平等でよろしいと思いますけれ
ども、その間私
たちと違いまして、國内にいる者と違いまして、ほんとうに苛烈なる戰局のもとにさらされて自分の
肉體を投げ出して働いてきて、その病が進行中に、まだ傷が治らないうちに無差別平等に扱わねばならない、この
言葉はあまりにも、
間違つておる。これを
當局でもよくお
考え願いまして御善處願わなければ、私はあまりにそうした人がかわいそうだと思います。それからこれは傷痍軍人、手足を失い、あるいは盲目になりました人
たちのことでございますが、やはりこれらの人が傷も治らないのにいろいろな苦勞をいたしております。そうしてこの頃私
どもへ投書がまいりますのは、ほとんど傷痍軍人と未復員家族であります。これらの人がどれだけ辛い思いをしておるか、
入院患者が驛頭に立
つて基金募集をしたり、あるいは樂團を組織して
地方に出かけておる。私も先日熱海でその樂團の演奏にアトラクシヨンで一緒に出まして、
患者さんの立場を、そうして
國立療養所の立場を
一般に理解してもらうよう努めてまいりましたけれ
ども、私には涙なしにはおられないところの數々がございます。それで傷がようやく癒えただけで、同じ國のために傷ついた人でありながら、前には義手をつけ義足をつけまして、演練期間というものがたしか半年くらいあ
つたと思います。ところが今日では演練期間どころか、傷が治るのを待ちかねて追出されておるとい
つても過言でないのでございます。こうしたことはもつともつと親心をも
つてお
考え願わなければ、これらの人の
氣持がどう落つくか、結局
政府を恨むというようなことになりましたならば、これはゆゆしき問題になりましよう。そういう傾向が多々ございますのでその點もお
考えを願いたい。
それからこれは長野縣へ行
つた時の例でございますけれ
ども、傷ついた人
たちが温泉
治療をするためにありまする温泉地
療養所が、ほとんど病院の
職員によ
つて占められておる。そこの温泉には六十名からの
職員が住んでいて、
患者はわずかに十五、六名、こんなばかげたことが各所の
療養所にもあるということもお
考え願いまして、もつともつと温かい御理解と御
指導をいただかなければ私
たちは安心しておられません。
それからさつき
局長さんが
國家政の許す限りという
言葉をお使いになりましたけれ
ども、こうした傷ついた人、病む人をほんとうに
國家の責任において
療養させるんだということになりますならば、私は
豫算はいくら使
つてもいいと存じます。そうしてまた
國民もそのために使う
豫算でございましたならば、文句を言人は私一人もないと思います。今まで厚生省關係のものはほんとに弱か
つたと思います。國の方針がいつも弱いものを犠牲にして、弱いものを下積みにして、すべての政策が立てられてきたというところに、不幸な人が多く出るという原因があ
つたと思います。これらからはさいわい厚生
委員長に名
委員長を得ておりますから、私
どももほんとうに皆様方と協力いたしまして、弱い人が安心して生きていけるようにしたいと存じますが、今申し上げたことにつきましての
局長さんの御
意見を伺いたい。