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榊原(亨)
委員 逐条的に少しく御質問いたしたいと思うのであります。第一条にもありますところの
保健所は、さしあたり全国的に何箇所ぐらいをおつくりになるおつもりでありますか。あるいは将来もその数でご満足にな
つていらつしやるおつもりでありますか。並びにその支所は大体何箇所ぐらいおつくりになるおつもりでありますか。また将来の見透しとして何箇所ぐらいを御希望にな
つておいでになるのかということをまず承りたいと思うのであります。
それから第二条の
指導及びこれに必要なる
事業を行うとございますが、その
指導の対象はだれであるか。どういう種類のものであるかということを承りたいと思うのであります。それから第二条の第三号、栄養の改善及び飲食物の
衛生に関する事項とございますが、第一番目に承りたいことは、この前も申し上げましたように、現在は限定せられて、きわめて数がきま
つております。食品の栄養学上の見地から現実の利用
方法の
研究、あるいはこれが配給方式に対して強力なる連繁を保つ機構をお
考えにな
つておいでになりますかどうかを承ります。たとえば現在、この間まで
日本医師会においでになりました外国の牧師でございますが、この牧師が豆の輸入を特別の
方法によ
つてされて、その豆をそのまま配給されたことによ
つて、非常な下痢を起したというふうな事実がございますので、これはその豆をどういうふうに処理して食べたらよいかというような、現実の問題に即した栄養学上の御
研究を願うことができるのでありますか。現に今回
提出されておりますところの食料品配給公団
法案を見ましても、何らそこにこの
衛生学上から見ました連繁がないのであ
つて、食糧営団あるいは公団は、ただそこにありましたものを何らの見識なしに配給するというふうなことに終
つておるのであります。この点は早急に現在の機構におきまして実現していただきたいと思うのでございますが、それはこの
保健所法の中においてお
考えにな
つておられるかどうかという問題であります。
第二番目はやはりこの三号のことでございますが、牛乳並びに食肉の
衛生上の
検査あるいは取締は、当然
保健所においてなすべきであると私
どもは思
つておるのであります。昨日も一昨日も厚生省からの御紹介によ
つて、私
どもは牛乳の乳児に対するいろいろな
施策について拝見にまいりましたが、あれを拝見いたしましても、乳児の栄養は牛乳だけだ。その牛乳をどうして入手するか、あるいは公平に配給するかということは、農林省のごとき素人に任しておいてはできないのだ。
従つてこの牛乳あるいは食肉の
衛生上の
検査あるいは取締りその他に関するものは、よろしく今度できましたところの
保健所においていたすべきものであろうと私は思います。ところが現在におきまして
地方の
衛生課に属しております獣医室、これを農林省の方、あるいは農林課の方に移そう。現に農林課に移しておるものが全国に、四、五箇所あると聞いております。これがいわゆる官僚のセクシヨナリズムによりましてその所管がはつきりしていない
現状にあるのであります。この点においてはこれを
保健所の所管といたすべく、
厚生大臣は農林
大臣と
お話の上、速やかに御決定をいただきたいのであります。これが両省の
意見の不一致、セクシヨナリズムによ
つて宙に迷うということにな
つて、
厚生大臣の御
意見が実現されないということになりましては、私
どもは非常に遺憾に思うのでありまして、ぜひこれは
厚生大臣の御盡力によ
つて、
保健所の所管に移していただきたいと思うのであります。その点についてのお
考えはいかがでございましよう。
その次は第五番目の保健婦に関する事項でございますが、七月三日に公布にな
つております保健婦助産婦看護婦という政令の、第四十九条に「保健婦は、傷病者の療養上の
指導を行うに当
つて、主治の医師又は歯科医師があるときは、その指示を受けなければならない」とあり、第五十条に「保健婦は、その業務に関して就業地を管轄する
保健所の長の指示があつたときには、これに従わなければならない。但し、前条の規定を妨げない。」とございます。
従つてこれによりますと、主治医と
保健所長との
意見が相違いたしました場合には、傷病者の療養上の
指導については、主治医の
意見に従うと私
どもは解釈しておるのであります。ところが
保健所の機構から申しますと、むしろ
保健所そのものが開業医その他の医師を
指導すべきものであると承
つております。この点に矛盾はございませんかどうかということを承りたいと思います。
次は
国民健康保険組合に所属いたしております保健婦の
実情は、実に寒心にたえざるものがあるのであります。
国民健康保険組合に属している保健婦は、ただ単に組合の役員あるいは組合の事務ほ
補助をいたしますとか、あるいはせいぜいお茶汲みをする程度でございまして、
国民健康保険組合において、いわゆる
保健所あるいは保健婦の業務を完全に遂行しているということは、ほとんど認められないのであります。この点は、
国民建国保健組合それ自身が保健婦を雇入れて、
国民健康保険組合から俸給を出しているというところに、保健婦として
自分の職責を勇敢に果し得ないという欠陥があるのでありまして、この点におきましては、ぜひとも
保健所が
国民健康保険組合、その他にあります保健婦に対して、その任命権並びにその報酬等につきましても、一貫したる系統立ちました命令系統、あるいは直接
保健所に所属することにされて、初めてこれが合理的に運営されると思うのでありますが、その点についてどういうお
考えをも
つておいでになりますか。
次は第二条の第六号に「
公共医療事業の
向上及び
増進」ということがございますが、
公共医療事業とはどういうことを指すのでございますか。おそらく総司令部
公衆衛生福祉部からの四月七日の覚え書きにございますメデイカル・ソシアル・サービスということを直訳なすつたのではないかと思うのでございますが、私が申すまでもなく、このメデイカルという
言葉は医療と訳すべきものではございません。メデイカルは「医学の」、あるいは「医学上の」と訳すべき筋合いのものである。メデイカル・トリートメントではないのであります。もしそれ治療だけを
意味するものでございますれば、これは「内科的の」と訳すべきものと心得ております。あるいはまたメデイシナルとでも言うべきものである。これは医学的社会
事業と訳すべきものであり、またここにお載せに
なつた
意味は医学的社会
事業と載すべきであると解釈いたしますが、その点の御見解はいかがでありますか。
さて医学的社会
事業といたしますれば、この
意味において次に承りたいことは、社会保健との
関係であります。厚生省には保険局がございまして、いろいろな社会保険の事務を扱
つておいでになると存じておりますが、はたしてしからば、この医学的公共
事業の
向上増進に関する事項ということと、保険局の業務との間にはどういう関連性がございますか。あるいは重複しておりませんかどうか。私
どもの見解をも
つてすれば、
保健所は
在来のごとき素人にこの保険事務を任しておくべきではなくして、すべからく保険局はこの
保健所法によ
つて公衆衛生局に属すべきであり、また属してこそ初めて社会保険の実をあげ得るものと私は思
つているのでありますが、その点に関して
厚生大臣はどういうお
考えをも
つておいでになりますか、承りたいと存ずるのであります。
次に第八号の「歯科
衛生に関する事項」でございますが、ここに「歯科
衛生に関する事項」ということを特別に一項目を設けてお書きに
なつた
理由はどういうわけでありますか。第十号にございます。「
結核、性病、
伝染病その他の
疾病の
予防」という、
結核、性病、
伝染病よりも歯科
衛生というものがこの際重要であるとお認めにな
つて、この一項目を特別にお書きに
なつたのであるか。私
どもにいたしますれば、これは第十号に歯科
衛生、
結核、性病、
伝染病と一緒にして書くべきものであると思うのであります。あるいはまた、これが連合軍の福祉部から特にこの歯科
衛生に対して一項目を設けたために、ここに特別にお書きに
なつたのいうならば、連合軍から来ておる指令書によれば、明らかに
結核性病、
伝染病は格別項目のものとして覚書が来ておるわけでありますから、そういう
意味であるならば、この十号は大体三つの部類にわけてお書きを願わなければならぬのじやないか。この歯科
衛生をここに特記された
理由はどういうわけであるかということを承りたいのであります。
その次は第四条であります。「
公衆衛生の
向上及び
増進を図るため必要があるときは云々」とございますが、この「必要」という範囲はどういう範囲をも
つて必要とお認めにな
つておるか。先ほど三木局長から大体の
お話がございましたが、なおこれは特別にわが国の医療制度とも重大なる
関係がございますので、はつきりした御答弁を願いたいと思うのであります。
また「その他
厚生大臣の指定する
疾病の治療」とございますが、一体どういうものを指定しようという御意思があるのか。この点はつきりした
お話を願いたいのであります。と申しますのは、この
意味が広くな
つてまいりますれば、結局医療国営ということになるのであります。医療国営がいいか悪いかという問題になるのでありますが、これは大体別の所で論議すべきものであ
つて、もしも医療国営の前提としてこういうことをおやりになるというならば、これはわが国の医療制度を根本的に討議すべきであり、根本的に調査し、根本的に立案をきめてからでなければ、この
法案をきめることはできないと思うのでありますが、その点はどういうお
考えをも
つていらつしやいますか。