○
佐藤(達)
政府委員 先ほどのお尋ねのしつぽを引いて恐縮でありますけれども、この
法案で言う
恩給法と目下御
審議を仰いでおる失業保險法との
關係は、先ほど觸れましたように、時間のずれがありますので、できますならば、この
法案の
恩給法というのはこの後に立案されるものでありますから、失業保險法とは今日のところでは一應切り離した問題としてお考え願
つてよろしいと思うのであります。そのことをちよつと添えて申し上げておきます。
それから先ほど來出ております
人事官の問題であります。普通の
役所式、官廳式でなしにということは、まさにその
通りでありまして、先ほどもちよつと觸れましたが、普通でいけば一人の
總裁とか一人の長官ということになるのであるが、というのは實はその意味でありまして、普通のお
役所式、官廳式であ
つてはいけない。そこで三人にしたのでありますが、前田委員のおつしやつたのは、三人か七人くらいの
委員會でなければいけないのではないかというお話でありますが、こういうじみな實務的なことを取扱う
仕事の組織というものを考えてみますと、人數は少ければ少いほど
責任は集中いたしますし、その機能が活溌に動くということは、われわれの
實際の經驗が證明しているのであります。五人になり七人になりますと、だんだん
責任が分散いたしまして、毎日でも會合してもらわなければならぬ
會議が、やれ定足數を缺いたとか何とかいうことで流れやすくなり、また一々集まるよりも害面
審議で囘覽にでもして決をとるようにしたらどうかということになり、なかなかこれはむずかしいのであります。それは人選が悪いということになるでしようが、人選の方から申しましても、大體この
法案の
趣旨から申しまして、よほどこれは立派な人を探していかなければならぬという制約がありますので、五人ないし七人というような數は、二人か三人の違いのようでありますけれども、これはよほど違うのではないかと考えます。そうな
つてくると、先ほどもちよつと御懸念がありましたような、
事務局の專斷と申しますか、
人事官の方が浮いてしまうというような心配もないか。五人とか七人とかいうような案も立案の際にわれわれは十分取入れておつたのでありますけれども、先ほど申しましたように、一人ではお
役所式に過ぎる。そうかとい
つて五人、七人ということでも少しどうだろうということで、中間でこの三人というふうに
なつたと申し上げてよいだろうと思います。先ほど申しましたように、
會計檢査院の檢査官の組織も三人にな
つておるという先例もありますので、この邊でよくはないかということに
なつた次第であります。
それから官廳の非
能率の問題はわれわれ官廳におります者として、實に耳の痛いほど身にしみて各方面の非難を感じておるわけでありますが、これはもう今日ただいまの問題でありまして、
國家公務員法が
施行になるとかならぬとかいう問題では實はないのであります。
國家公務員法そのものにおきましても、御指摘のように
能率増進の途を設けておりますけれども、そこまでいかぬ今日の問題として
政府はこれを深刻に考えまして、御承知のように行政監察
委員會というものを中央にも置き、またた各省にも置きまして、この方面の遺憾なき改善というものに手をつけておるのであります。私もときどきその活動を見ておりますが、非常に熱心にや
つておりますから、出發したばかりでありますけれども、その成果は相當なものがあるというふうに考えております。
賞罰を明確にせよという問題もまさにこれに關連しての問題であります。この
法案におきましても、よい
官吏は賞め、悪い
官吏は矯正し、あるいは徴戒するという
建前で、特に七十二條でしたか、あの
條文にもうた
つておるのであります。信賞必罰ということはいつの世においても重要なことである。必罰の方の問題としては、先ほど
懲戒の問題にも觸れましたけれども、信賞の賞の方の問題、人を賞めるやり方は現實の問題としてはむずかしいのでありまして、ほんとうに賞めたいというような人間がかりにありますと、それを賞めるという特別な目立つたことをすると、その
本人はかえ
つて非常に嫌う。むしろ賞められて嫌うという人がほとんうは賞めらるべき者でありますが、賞めることは罰するということよりもむずかしい問題であります。その點われわれとしても賞める
方法で何かうまいことはないかと考えておつたのでありますが、ただいま前田委員が二、三例をおあげになりましたようなことも、確かに
一つ思いつき――と
言つても、悪い意味の思いつきではありません。
一つの示唆をわれわれに與えてくださるのではないかと思
つて、ありがたく拜廳したのであります。この點は十分われわれも
研究しなければならぬと思
つております。