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田中(不)
政府委員 ただいま
檢査院の
事務總長さんから一應のお話がございましたが、
鐵道の事業を擔當しておる部面から、一應ただいまの
會計制度について、
簡單に私どもの考えていることを申し述べさせていただきたいと思います。
先ほども
事務總長さんからお話のあ
つたように、事務
會計と一
般會計とがおのずから扱うところ、扱い者の心持、それぞれ違
つているという御指摘がございましたが、仰せの通りわれわれ事業を扱う者としては、介業と事業を合理的に經營していくという方面に、非常な重大な關心をも
つての仕事振りをいたしております。從
つて一
般會計におけるように、限られた
支出、
豫算、これに制約されての仕事振り等いささか考え方としては違
つております。もとより
豫算でありまするから、その範圍内においての仕事しかできませんが、氣持としては、事業の經營という方面に大きな關心をも
つていたしております。從
つてただいまの
豫算制度が事業
會計に一應
適當しているかどうかと申しますると、私どもの考え方としては、今の事業
會計に對する
豫算制度では、いささか不
適當ではないかと考えます。もとより
會計方式というか、記帳方式というか、その他のそういうふうな面においては——
會計方式の點においては
先ほどもお話のあ
つた通りに、今年當初から新しい考え方をも
つて現金に重點をおかずに、いわゆる債權債務の發生、すなわち發生主義に基いてすべての記帳等をすることになり、
決算等もそれに基いてすることになりまして、從
つて形だけはやや企業
會計式にな
つたのでありまするが、それはただ表面だけと申してもよいのではないかと思います。もとより今まではその表面形式上のことすらも十分に行われていなか
つた。一
般會計と同じような
官廳會計式の取扱いをいたした次第でありました、それが今度の事業
會計的な形に變りましたのは、一つの大きな進歩であるかとは存じます。しかしそれは形だけのことであ
つて、その内容はどうかと申しますと、ただいまの
一般官廳と同樣の
豫算でまず計畫を立てなければならぬというところに、しかもその
豫算に計上された
金額に、特別の
事由による追加
豫算が行われない限りは制約されていくということでありまするので、事業的に考えての
豫算超過の
支出等ができないことに相なります。御承知のように、鐡道の事業についても、事業の消長がそのときどきに起
つてまいります。從
つてその事業の消長に應ずる、臨機に應じ得る
豫算の立て方でなくてはならないのであります。
簡單に申せば、お客さんが殖える、貨物が殖える、業務量が増大するということになれば、從
つてこれに要する
經費はそれに比例してではないが、増加するのでありまするが、その場合に
豫算はすでに
確定されて縛られておるということになるのであります。またその
豫算のきめられたものも、ただいまの制度で參りますれば、すでに半年あるいはそれ以上前の諸條件によ
つて、
豫算の
金額なり、その他の生産の基礎ができているということになれば、實際に運營していくときには、現實とかけ離れた
豫算ができ上
つているということに相なります。從
つて實際に
豫算を實行する時期になると、實情にそぐわないものが出ているという點があります。これらも實際に事業をする點から申しますと、はなはだ不便が多いといわれなければならぬ。また
豫算編成のときにしても、そういうふうに相當前から
豫算を編成する關係上、おのずから
支出する
豫算の制限を受けるという點から、
豫算の編成に當
つても、ある見込みをそこに附け加えなくてはならない。これは事業
會計においては、まことにむだな
費額を
豫算面に計上するということになります。むしろそういうことのないように、できるだけ
將來を見透して、ごく必要なものについてそれを計上しなければならぬのでありますが、おのずからいろいろ、と
將來の豫想されない諸種のことを頭に描きながら編成していく。從
つてときには
決算上から見れば、むだなものも計上されるようなこともある。從
つてそれを他に流用するということが起るわけでありますが、今まではほぼ經驗上から申しまして、ある項目については
豫算面より少くて濟み、他の項目については多く要
つた。この中で一應のバランスはとり得たのでありますが、しかしこれはま
つたく形の上で、總額の中で
豫算の收支をとり得たということが言えますけれども、企業實體そのものから見たならば、あまり芳しくないやり方ではなないかと考えます。從
つて私どもの考えとしては、いわゆる一
般會計と同樣な
豫算編成という方式を改めて、收支の帳じり、收支の差額というものについての
國會の事前の御協贊というふうなことで仕事を進めていく。その
收入の増、あるいは
支出の増、その
年度内における
收入が見込みよりも多か
つた、あるいは見込みよりも
支出が多か
つたというふうな點につきましては、その間事業經營者にお任せを願い、なおかつこれをただ事
業者のみの考えでするのではありませんで、
適當な管理機關というか、管理
委員會というか、さような
適當なものを何らかの形で議會の一翼として設置していただいて、それが常に
收入、
支出についての日常の實績を監督していただき、議會は總額としての今の帳じりだけの御審議を事前に願
つておくというふうにいたしたならば、事業の上の
豫算の運營もよろしきを得るのではないかというふうに考えるのであります。ただいまのは
豫算編成のことでありますが、また一方
資金の面について考えますと、鐡道でいえば鐡道
收入、これが現金としてあがりました場合に、これはやや一
般會計の扱い方と違いますけれども、やはり預託金として國庫金の取扱いを受けております。從
つてこの
收入を
一般會社がいたしますように、
資金運用を圓滑にする。活溌にするという點が事缺けておるのでございます。極端に申しますれば鐡道の
收入は、やはり型にはめられた預金に
なつて、そのままに殘
つておる。そうして要る時にだけ引出されるという状態でありまして、
資金の運用にやはり不十分の點があるのではないか、かく考えておる次第であります。この點もいわゆる
一般官廳と同じような國庫金制度というものから除外していただいて、
一般事業會社と同樣の
資金運用というものをいたしたならば、もつと能率のよい現金の動き方をするのではないかとううふうに考えておる次第であります。從いまして以上申し上げましたような觀點から申しますと、
豫算とかあるいは
資金とかこの點でもつい相當改むべき點がありますとともに、それを實行いたしますと、ここに
決算の面、ちようど
一般事業會社と同樣に
決算の面から十分にこの御
審査を願
つて、過去一年間なりあるいは半期の業績について、
收入あるいは
支出の點において、どういうふうな運營のまずい點があ
つたかという點を御指摘願
つて、
決算面からの御監査を受ける。こういうのがほんとうの事業
會計として望ましいことではないかというふうに考えておる次第でございます。