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東谷説明員 先ほど二十
年度は端的に申しますれば
檢査が思うに任せなか
つたと申したのでありますが、そうすれば二十一
年度あるいは現在は十分にできるのかということになるわけでありますが、實は
會計檢査院は御
承知のごとく五月三日をもちまして大改正になりまして、いわば舊憲法が變
つて日本國憲法となると同時に新しい
檢査院にな
つたのであります。從來の
檢査院も
檢査院法によ
つて天皇に直隷し内閣に對して獨立の地位を有するという獨立官廳ではあ
つたのでありますが、それは法律の一箇條文があ
つただけであ
つて、實際上の獨上はなか
つたと同じなのであります。現在の
會計檢査院法において、第一條におきまして、内閣に對して獨立の地位を有するという一箇條文がありますが、これを支援するというか、ほんとうの獨立を保障するために、財政法におきまして、
會計檢査院の豫算は
政府豫算より獨立しておる。國會竝びに最高裁判所の豫算し同じように、
會計檢査院の所管をも
つて獨立しておるというので、まず
會計檢査院の獨立の面が豫算において確保されたのであります。さらに從來は豫算を
大藏省へ行
つてせつかく認められましても、今度は定員をつくるという段になりますと、勅令、今でいえば政令を定める面においてなかなか思うに任せなか
つた。三すくみも四すくみもしてお
つたのですが、現在は
會計檢査院法において自分で定員をつくることになりましたので、定員をつくる官制の面が獨立したわけであります。さらに官吏の任命についても、形式だけは内閣に任命してもら
つておりますが、内閣は
會計檢査院の指名する
通りに任命することに
なつておりまして、人事權も獨立したわけであります。かようなわけで、從來は
會計檢査院はそれだけの小さい陳容、一口に言いますと三百名足らずの陳容で一
般會計一千億、
特別會計二、三千億というような
會計、その上に特殊銀行
會社、あるいは補助團體が多數あるのでありますが、それらを
檢査することは、ほんとうはそれで十分
檢査ができるのかと仰せになりますと、できないと言
つてお答えする以外ないと思う。それならばなぜ豫算をとらなか
つたかというと、豫算はなかなか思うに任せない。今度豫算が獨立したということで、大體今までの三百名い言いましたが、雇員まで入れると四百名ですが、それが今度の五月三日發足いたしました
會計檢査院においては大體三倍にするというので千二百名という陳容を整えることに相な
つたのでありますが、これらはやはり豫算の獨立、定員官制の獨立ということが支援してくれた賜ものだと思います。それでは千二百名が充員されておるかというと、實は充員の途中でありまして、千二百名、これは雇員も全部入るわけでありますが、それをも
つて今の財政の監督が十分できるかというと、これは十分とは申されないのですが、この程度の充員をしていただくならば、
相當に責任をも
つて檢査に當ることができると確信しておるような次第であります。先ほど書面
檢査と申しましたが、これは民法のことを申し上げてはなはだ恐縮でございますが、從來とは違はまして、
會計檢査院法がどういうふうに
檢査するかということを明らかにしておるのでありまして、これは常時
——常時という言葉を使
つておりますが、常時書面の
檢査をするということが一面において掲げてあります。これは從來も常時しいう言葉まなか
つたのでかが、そのようにや
つておりましたが、それが強く掲げられております。さらに各官廳はどうであるかというと、
檢査を受ける各官廳は常時に
會計檢査院に
證據書類を提出しなければならぬいとうこともまた
會計檢査院法に掲げてあるのであります。しかしてもう一つ常時という言葉が使
つてあります。それは
實地檢査をすることもまた常時に
實地檢査しなければならぬということに
なつておるのでありまして、從來は
實地檢査は補足的であ
つたのですが、今は先ほど申しましたように、常時に書面
檢査というものが一本と、常時
實地檢査をするという一本と、こに二本建に
なつておるのであります。
この二本建にしなければならぬ理由は、翌月限り
會計檢査院に
證據書類を提出しなければならぬしいうことに
なつておりましても、いろいろな
事情によ
つてとても翌月には入
つてこないのであります。また翌々月、四箇月、六箇月、あるいは七箇月、八箇月も遅れて出るというようなこともあるのであります。でありますから
證據書類の出てくるのを手を拱いて持
つておるというようなことでは、ただいまの
委員長の御懸念になりましたような監督の萬全は期せられないのであります。そこで
書類の來ておるものはむろん見るのですが、
書類が來ておらなければ、どういうわけで
書類が來ないかということを尋ねると同時に、まず先方のふところに飛びこんで、先方にある
書類によ
つて、
實地の
檢査によ
つて、書面
檢査の遅くなることを補足しておるような
状態でありまして、この大きな
歳入、殊に
租税歳入の面に對しましてもさようなわけで常時に各
税務署に参
つておるような次第であります。私が
説明するまでもなく、
税務署も非常に増置されまして、收税の萬全を期せられるのでありますが、
會計檢査院もまた税の
關係では人を殖やしまして、收税の監督、
檢査に十全を期しております。
なおつけ加えておきますが、たとえば戰時補償特税というのがございますが、これらの點につきましてただいま一番
書類の整
つておるのはどこかというと、實際は
會計檢査院なのであります。と申しますのは臨時軍事費
關係の支出
支拂の面の
證據書類が
會計檢査院に入
つておるのでありまして、
會計檢査院は戰補税の
關係は、
税務署で
決定する以前に
會計檢査院において、これとこれは戰補税をかけなければならないというリスト、抜書ができておるわけでありまして、それらの點は同じものを税務當局あるいは財務當局が書抜きをなさるという煩を避けまして、財務當局と協力いたしまして、
會計檢査院にある資料、あるいは
會計檢査院でつくり上げました資料は、お貸しし、お見せして
調定の萬全を期し、その促進を期するというようなことをや
つておるわけでございまして、御心配はごもつともでありますが、人員も
相當に殖やしまして十分なる努力をも
つてや
つております
状態を御了承願いたいと思います。