○松本(一)
委員 先ほども
お話がありましたが、
畫期的なるわが國の
官吏制度の改革に關する
法案を、はなはだ短期間に
審議しなければならぬということは遺憾に思うのであります。しかしともかくこの案の
内容の三、四の點についてお伺いしたいと思うのであります。
まずその
一つは、第
七條に「
人事官の任期は、六年とする。」とありますが、この六年というのはどういうところからお
考えなされたのかということであります。それから第五條に、
人事官は「兩議院の同意を經て、
内閣が、これを
任命する。」とありますが、これと
關連いたしまして、兩議院と言
つても、參議院はともかくも、衆議院は時たま解散されるのであります。これから政黨政治も確立されてまいります。
先ほども政治と
行政とを分離しておるということを言われておりますが、私どもは政治と
行政は渾然として一體となるベきものであると確信しているのであります。これまでのような墮落せる政黨政治の時代はともかくも、新憲法のもとに新しく發足せんとするこれからの政黨政治は、政治と
行政とは必ず一體とな
つていかなければ、
政府が何を
考えても
行政の衝に當る
公務員がこれと離反するごとき行動があ
つては、また
考え方があ
つては、わが國の政治は末端まで國民の利福に副うごとく行えないのであります。この點を
考えてこの
人事官に任期、
竝びにこの推薦ということについて一度お伺いがしたい、かように思います。
その次は、第三十三條の試驗
制度でありますが、
先ほど中曽根君から
お話がありました。これは
もつとも、この法には學力試驗のみとは書いてありません。經驗だとか、いろいろなことを斟酌してということが書かれておりますが、私ども心配いたしますのは、これまでのわが國の試驗
制度は、もう學力、すなわち知力一方に偏してお
つたことは御
承知の
通りであります。おそらくこれからの試驗も結局歸するところは知力にまた重點がおかれて、
從つて學校教育も徳育、人格
教育というよりも、依然として知育に偏するような過去の誤りたる
教育方針がとられていくのじやないか、かように
考えるものです。文化
國家、平和
國家の將來の
日本は決して知育にのみ重點がおかれるベきものではないということは御
承知の
通りですが、これが
人事院規則によ
つてその
内容をきめるということであり、
先ほど法制局長官から一應の
お話お承りましたが、いま一度、どういうふうに
具體的に試驗はやるのか、さらに
人事院規則はどういうふうにつくる
考えであるかということの御方針を承
つておきたい、かように思うのです。
それからその次は、「退職後二年間は」という百
二條でありますか、いわゆる
公務員であ
つた前の職務には歸職ができない、これであります。これは
根本の御方針がどこか間違
つておりわせぬか、とこう思うのであります。すなわちこれからは商工業
關係の
仕事ならば努めて商工業
關係の
エキスパートを
公務員に採用しなければなりません。また農林
關係の
仕事であれば、すなわち農林
關係に
仕事の
實務に明るい、そうして相當な人格と識見がある人を採用しなければ
行政の完璧は期し得られぬと思いますが、そのときにこういう
制度が一面ありますと、そういう
エキスパートが得られるかどうかということは
實際問題としてこれは疑問だ、こう私は思うのであります。たとえ退職してもまたもとの
仕事につけるというのでなければならぬのじやないか。すなわちこの法の
精神はこれまでのいわゆる
官職在任中に、將來を見越して、あるいは個人の利益を得さしめるごとき供與を與えるがごとき行動のあることを慮られて、おそらくこの法ができた、
考え出されたものであると思うのでありますけれども、しかしこれはこれから先の
日本人の人格、いろいろなことから忖度して、少しく人格を無視しておりわせぬか、また
實際問題として眞にその道の
エキスパートが得られないのじやないか、かように私は
考えるのです。
それから最後は、
先ほどこちらから御質問になりました恩給
制度であります。今度の
公務員制度は
畫期的な
法案であり、新
日本建設のために、恩給
制度というものは過去の
官僚制度のこれは非常に悪い反面があ
つたのでありますから、思い切
つてなくされるのが當然じやないか、こう思うのです。こういう
制度があることが、すなわちせつかく恩給年限に達してきたんだから、恩給だけとらしてやらなければ氣の毒だというような、能力のあがらぬ人を三年、五年しんぼうしなければならぬというような
實際問題もできてきます。また日さえ經てばそれでよい、無事に事なかれに上役の御機嫌取りに盡していけばよいというような、くだらぬ事なかれ主義の
考え方をもたしむるのはこの恩給
制度だ
つた、こう思うのです。ですからこれから眞に國民のためになる、公僕としての
仕事をや
つていこうという
精神であるならば、こういう
制度はなくしてしま
つて、
先ほども
お話の、退職金とか、あるいはそういう一時的の
方法で將來その人の安定を得さす。しかもその人の過去の能力に應じて、輕重をも
つてその人を待遇したらよいのではないか。その方が
能率向上という、この法をつくられる
根本精神に副うものじやないか。依然として恩給
制度を殘されるということならば、この法をつくられる
根本精神というものが沒却されるものではないか、こう私は思うのであります。御
意見がお伺いしたいと思います。