○
三浦説明員 ただいま
委員長から、
要旨につきましては、御
説明のありました
通りでありますが、なお要點につきまして、私から二、三附け加えて申し上げます。
先ほど話がありましたように、
活版に刷
つてありますもののほかに、謄寫版に刷りました
裁判官彈劾法案修正というものを併せましたものを一應
原案といたしましてごらんを願いたいと思います。
第
二條についてでありますが、第
二條は
運營委員會におきましても非常な問題になりまして、いろいろ論議を盡されたのであります。
最初活版に刷
つてありますように、
罷免の
事由を四號にわけて一應認定いたしたのでありますが、その後
關係方面との
折衝等によりまして、これを
修正案の
通り二號にまとめることにいたしたのであります。
趣旨におきましてはもう
最初の案と變りはないのでありますが、多少の點において相違いたしておるのであります。
涜職の
行爲等がありました場合につきましては、いやしくも
裁判官が
涜職行爲があればその罪、あるいは程度のいかんを問わず、
訴追事由たるものといたしまして特筆いたしたのでありますが、これは廣く
職務上の
義務違反ということの中に包括され得る
事項でもありますので、それらの
意見も參酌いたしまして、これを一、二、三號を
修正案に書いてありまする一號にまとめ上げました次第であります。
なお四號につきましては、その他包括いたしまして、
裁判官として
罷免に値するような
事由がありました場合を
規定いたしたのでありますが、この場合に、特に
裁判官といたしまして
非行がありました場合に、それが
司法の
尊嚴に影響を及ぼすような
行爲であ
つた場合を特にあげまする方が、
事由といたしまして明瞭であるというような
意見がありましたものですから、お
手もとに
修正案としてあげてあります二號の「その他
職務の
内外を問わず、
裁判官としての
威信を著しく失うべき
非行があ
つたとき。」ということにいたしたのであります。
次に第三條でありますが、これは新しく三條の所に
訴追委員會、それから
彈劾裁判所をどこに置くかということを
規定いたしたのでありますが、これは
國會が
東京に置かれておりますことからいたしまして、また
裁判所竝びに委員會の
構成員が
國會の
方々であるということからいたしまして、
當然東京に置くことを前提といたしてお
つたのでありますが、この點なお明かにした方がいいと考えまして、さような
意見も斟酌いたしまして、第三條の
修正案の
通りにいたしたいと考えておるのであります。
次に第四條でありまするが、四條につきましては、
訴追委員の
員數、
豫備員の
員數等を
規定いたしてありまして、その
選擧の
方法を書いてあります。なおこれに關連いたしまして、
訴追委員といたしまして
手當を受けます點に關しまして、いろいろの
意見もありまして、この
仕事を
國會の
議員としての本來の
職務以上に特に加重せられるものであるし、また
閉會中もこの
職務を行うという
事柄に鑑みまして、
手當を出す
規定をおいてあ
つたのでありますけれ
ども、この點も
閉會中に限るというように、その點を限定することにいたしたのであります。
第
五條は
委員長の
職務でありますが、第六條は
書記長、
書記でありまして、これは
員數を示してありませんが、できるだけ最少の人員をも
つて運營していくつもりに考えておるのであります。
第七條の
職權の
獨立でありますが、これは特にこの
委員會の性質に鑑みまして、この
規定をおいてあるのでありますが、なお
括弧書の中に書いてありますことは、これは第四條によりまして、すでに
訴追委員の
職務を行う
權限が
規定してありまして、
當然豫備員が
訴追委員に代
つて仕事を行う場合におきましては、本
委員と同樣の
職權を行うことになりますので、この
規定は不要であると考えまして削除してあるのであります。
それから
八條は招集の
方法、第九條は議事でありまして、この點は二十人の
訴追委員の
員數のうちから十五人以上の
出席ということに定
足數をいたしてあるのであります。さらに二項の
但書におきまして、
訴追委員の
罷免をいたします場合におきましては、事、重要に鑑みまして、
過半數でなくして
出席訴追委員の三分の二以上、つまり十人以上ということに
規定いたしたのであります。
第十條は
調査に關する
事柄でありますが、これは
訴追委員會がいろいろ
訴追をいたすといたしましても、
實際いろいろ具體的事情を
調査いたします等につきましては、
官公署等にいろいろ
調査の囑託をすることも必要でありますし、また
證人の出頭を
要求することも必要であろうと考えまして、特にこの
規定をおいてある次第であります。さらに十條の第三項の、
議院の
要求により
證人が出頭した場合の例により、
旅費日當を支給するということに、出頭した
證人に對して、そういう
規定がおいてありますが、これは
彈劾裁判所の場合におきましては、
刑事訴訟法を準用いたしまして、その
規定に準じまして
旅費日當等も支給することにいたしてありますので、
修正案の所に第十條第三項と書いてありますように、その點は直しておきたいと考えておるのであります。
十
一條は
訴追期間についてでありまして、これも長くそのままにしておくこともどうかと考えられますので、
一定期間を經過した後においては、すでに
訴追せられないという、いわめる時效に當るべき
規定をおいてある次第でございます。
それから第十
二條でありまするが、この十
二條の
規定は
二條の
規定と關連いたしまして、いろいろの
意味をも
つているのでありまするが、實は
檢事の
起訴猶豫というようなことに當る
事項でありまして、第
二條に該當する
事項で一旦これを
訴追いたしました爾後におきまして、いろいろの
事情によりまして、たとえば
收賄の
事件が起
つた場合におきまして、それが爾後の調べによりまして情状によ
つて宥恕してもしかるべきである、あるいはまだ
訴追委員會の方で
訴追いたしましたけれ
ども、
判事懲戒等の
懲戒處分によりまして、
罷免、
免職はできませんが、減俸なり何なりの
處分を受けましたような場合におきまして、そこに斟酌の餘裕を殘しておくという、
從來の日本的な氣持に合いました
檢事の
起訴猶豫と、それからまた
訴追委員會の機能が十分に發揮できないで、
最初はいいと考えたが、その後においていろいろ
調査した結果、その必要もないというような場合をも含めまして、この
規定を置いておる次第であります。しかしながらこの
規定に關しましては、
關係方面におきまして強い反對の
意見がありまして、
二條に「著しく」あるいは「甚だしく」というような
規定があるのでありまして、すでに著しい
事項であり、はなはだしく
職務を怠
つたような
事項に該當する場合においては、
當然罷免の
訴追をなすべきであ
つて、それを猶豫する猶豫しないということは起らないではないか。初めから猶豫するというようなことが起るならば、それは初めから「著しい」にはいらないのであ
つて、いずれが第
二條に該當する
事項として認定された以上は、十
二條の問題は起きないのではないか、こういうような
意見もあるわけであります。この點に關しましては
運營委員會におきましてもいろいろな
意見がありまして、一
應十二條を
原案として存置することにいたしてあるのでありますが、この點はなお
研究を要する問題だと考えております。
次に十三條に
訴追状の
提出の問題、それから十四條は
訴追の
取消しの問題であります。これも
檢事の
控訴の
取消しに當る
事項でありまするが、この點に關しましては、
最初檢事の
控訴取消しに當る
意味におきまして、やはりこの
規定の意義を認めておくことにいたしてお
つたのでありまするけれ
ども、十四條を削除することにいたしたのであります。その
理由といたしましては、すでに
訴追委員會が
罷免を
訴追いたしました以後において、それを取消すということは、もうできないのであ
つて、その
權限は
彈劾裁判所において行うべきである。ただ
訴追委員會がなし得る權能としては、
彈劾裁判所に對して
訴追取消しの希望の
要求を申し述べるにすぎないというような、これはまた
一つの法律的な見方だと考えるのでありまするが、さような
意味合におきまして十四條を削除することにいたしたのであります。
次は十
五條の
規定であります。これはこの
裁判官彈劾法が廣く
裁判官に對しまして
國民彈劾の
精神に立脚いたしまする點に鑑みまして、何人でも
裁判官に
彈劾事由ありと考える場合においては、
訴追委員會に
訴追の
請求を求めることができるという
規定でありまして、これは
憲法に新しく認められましたところの
公務員を
罷免するのは
國民の
基本的權利であるという
條項に即應して置きました
規定であります。
次に第十六條でありまするが、これは
訴追委員及びその
豫備員について申し上げたと同樣であります。ただ
裁判員及びその
豫備員に關しましては、
衆議院からだけでなくして、
參議院からも七名選任することにな
つているのでありまして、合せて十四名ということになるのであります。
次に十六條の末項の「相當額の
手當を受ける。」という
規定でありますが、この點は、先ほど申し上げたと同樣の
趣旨によりまして、
閉會中ということに
修正案の方に改めおいたのであります。
次に十七條は
裁判長の
職務であります。
十
八條は、
書記長及び
書記の
規定であります。
十九條は、
裁判員の
職權の
獨立でありまして、これは特に重要な
規定であります。
訴追委員會についても置いてあるのでありますが、
裁判員について、なおこの點は重要な
意味をもつと考えております。但し、先ほど申しましたような
意味合におきまして、括
孤書の中を削除することにいたしたのであります。これは
修正案に書いてあります。
次に第二十條でありまして、これは
裁判所の
合議制を明らかにしたのでありまして、七名ずつ十四名の
裁判員が選出されるのでありますが、各五人以上の
出席、結局十人以上
出席しなければ、
審理及び
裁判をすることができないということにいたしてあるのであります。大體三分の二ということになるわけであります。
それから二十
一條は
訴追状の
送達であります。
二十
二條は辯護人の選任であります。
二十三條は
口頭辯論であります。
二十四條は
訴追委員の
立會でありますが、これは現在行われております
裁判と同樣に、
彈劾裁判所におきましても、
刑事訴訟の
規定の準用によりまして、
裁判が行われることになるのでありまして、
訴追委員會の
委員長あるいはその指定する
訴追委員というものは、いわゆる
檢事の
職務を行うような立場になるのであります。いわゆる
國家公益を
代表して
彈劾裁判所に
立會いまして、そうして
訴追事由等を述べ、これを論告をする、こういうことになるわけであります。
次に二十
五條でありますが、これは、
法廷は
彈劾裁判所でこれを開くということでありまして、さきほど
東京都に置くと申しましたが、これは
法廷とは別問題で、特に別個に
規定をおいたのであります。
二十六條の
規定でありますが、この點が非常に問題でありまして、二十六條の
規定は
憲法違反ではないかという
意見があ
つたのであります、と申しますのは、
但書の方におきまして、公序良俗を害するおそれがある場合におきましては、
彈劾裁判所の
裁判を
公開しないで行うことができるということにな
つておるのでありますが、この點が
憲法七十
八條、八十
二條に照らしてどうかという
意見なのであります。一
應運營委員會においても、この
點いろいろ審議をいたされて、この
原案のままに
但書をつけてあるのでありますが、その問題の點を申し上げますと、七十
八條においては、「
裁判官は、
裁判により、
心身の
故障のために
職務を執ることができないと決定された場合を除いては、公の
彈劾によらなければ
罷免されない。」こういう
規定があるのであります。この公の
彈劾という
意味の中に、
公開という問題も含まれるかどうかということになるのであります。私
どもといたしましては、この
規定の
解釋は、かように考えておるのであります。第一の
意味におきましては、「公の
彈劾」とは、廣く
一般の人の
代表の名において、つまり言葉をかえて申し上げまするならば、
國民の名において
彈劾する。さらにこれを詳しく申し上げますれば、
國會議員であられる
方々は、
國民の
代表として選ばれておられる
方々なのでありますので、その
方々が
彈劾裁判所の
裁判員を構成することによりまして、
國民の名において公の
彈劾を行うことになるのであるということが
一つと、次には、「公の
彈劾」という
意味は、公の
機關による
彈劾である。つまり
彈劾裁判所等を設けまして、その
機關によ
つて裁判を行うという
意味であるのであ
つて、この
規定からだだちに常に
彈劾裁判はこれを
公開しなければならないという
意味は含んではおらないのではないか、かように解しておる次第であります。なお、七十
八條の問題と關連いたしましては、八十
二條におきましては、第二項に「
裁判所が、
裁判官の
全員一致で、公の
秩序又は善良の風俗を害する虞があると決した場合には、
對審は、
公開しないでこれを行ふことができる。但し、
政治犯罪、出版に關する
犯罪又はこの
憲法第三章で保障する
國民の
權利が問題とな
つてゐる
事件の
對審は、常にこれを
公開しなければならない。」という
規定がありまして、
憲法第三章で保證する
國民の
權利というのがあるのでありまして、これは
憲法第十
五條に「
公務員を選定し、及びこれを
罷免することは、
國民固有の
權利である。」という
條文もあるのであります。これらの點に鑑みまして、少くとも
彈劾については常に
公開しなければならないのではないか、こういう例外的に
規定を置くことは違法ではないかという問題なのであります。これに對しましては、私
どもといたしましては、第八十
二條の
規定は
司法權の
公開の
原則に關する
規定であ
つて、
彈劾裁判所に關する
事項は、
憲法中特筆されているのでありまして、その
原則を八十
二條によ
つて規案するものではない。八十
二條は
司法權の
公開原則のみの
規定である。かように解しておるのであります。しかしながら、ただその
趣旨をくんでどう取扱うかということは、おのおのその
立案の
趣旨に鑑みまして、
適當に考慮を加えればいいことであろうかと考えておりますが、八十
二條の
解釋といたしましては、さように考えておるのであります。さような
意味から、二十六條の
規定は八十
二條にも違反するものではないと考えておるのであります。しかしながらこの點につきましては、なお皆樣方の御
意見を承りたいと考えておる次第であります。
第二十七條は
法廷の
秩序維持であります。
第二十
八條は
訊問に關する
規定でありまして、この場合におきましても、
訊問をいたしますけれ
ども、
裁判官自體が自分に不利益な供述を強要されないという、
憲法上に
規定されておりまする
原則は、當然ここにも適用されるのでありまして、この點は明らかなことでありますので、特に
規定を置かなか
つたのであります。
第二十九條は
證據に關する
規定であります。この
證據に關しましては、一、二、三號にあげてありますように、
證據調べが十分でありませんと、はたして
訴追事由が妥當であるかどうかということの正確な
判斷が決定できないのであります。從いまして特にこの
證據の
規定を、今申し上げましたように三號にあげまして、これが
證據物の
提出を命じたり、あるいは
必要場所に
行つて檢査を行
つたり、あるいは
官公署に對して
報告資料の
提出を求めるというようなことにするような
規定をおいたのであります。
第三十條に關しましては、これは、
裁判員、
書記長及び
書記の
除斥、
忌避及び
囘避、
法廷における
審理、調書の
作成竝びに手續の費用については、
刑事訴訟に關する法令の
規定を準用するという
規定があるのでありまして、この
規定によりまして大
體彈劾裁判所におけるところの
審理、
手續等に關しましては、
刑事訴訟法によ
つてこれを
運營していく、かように考えておるのであります。
三十
一條は
裁判の評議でありまして、これは特に
罷免の
裁判におきましては、第二項
但書におきまして、
審理に關與した
裁判員の三分の二以上ということにしてあるのでありまして、少くとも十名以上ということになるわけであります。
それから第三十
二條は、
一般刑事訴訟の
原則一事不再理の
規定を置いたのであります。
第三十三條は
裁判の
理由、これもまた
一般裁判と同樣であります。
三十四條の
裁判書につきましても、大體同樣であります。三十
五條の
裁判書の
送達、三十六條の
裁判の
公示——三十
五條については同樣であります。三十六條は特にこの點を官報に掲載して、その
裁判の
終局裁判を明らかにすることにしたのであります。
それから三十七條は、
罷免の
裁判の
宣告によ
つて裁判官は
罷免されることになるのでありまして、この
罷免の效果に伴いまして、
裁判官が
從來も
つてお
つたところの
恩給の問題をどうするか。なおまた他の
公務員等に就職することができるかどうかという問題があるのであります。この點に關しましては、まず第一に
恩給の問題に關しましては、
從來は
判事懲戒法の中に
懲戒免職になります場合におきましては
恩給權を喪失するという
規定があ
つたのでありまするが、その
規定はすでになくな
つたのでありますけれ
ども、その
趣旨はやはりこの
彈劾されましたところの
裁判官に對しても、同樣に取扱いたいと考えておるのでありまして、これは
恩給法の改正にまつことにいたしたいと存ずるのであります。次に他の
公務員等への就職の問題でありますが、
裁判官への就職はすでに
裁判所法に
規定してあ
つて、これは明らかなものでありまするけれ
ども、他の
公務員についてはどうするかという問題は、今後の問題であります。現在文官懲戒令によりますると、文官が懲戒免官になりました場合におきましては、他の官職に二年間つけないというような
規定があるのでありますが、やはりこの
趣旨をくみまして、
裁判官につきましても
裁判官以外の官職に同樣の制限を設けることが
適當であろうと考えておるのであります。しかし、これは
公務員法が近く
制定せらるる見込みのようでもありまするので、その
規定にまちたいと考えておるのであります。以上の
恩給の問題、他の文官等への就職の問題に對しましては、さような
意味合におきまして、法制局に一應連絡いたしてあるのであります。
第三十
八條は
資格囘復の
裁判の問題であります。一旦
彈劾によ
つて罷免されました者は、永久に
裁判官につき得ないということも、
一つの考え方であろうかと思いまするけれ
ども、一定の年限を經過しました場合におきましては、本人が
資格囘復の
請求をした場合において、その
事情を參酌して、さらに
裁判によ
つてこれを認めるという途を開くことが、實際の實情に即するゆえんであると考えまして、かような
規定を三十
八條第一項第一號に置いてあるのであります。さらにまた第二號におきましては、一旦
罷免の
事由ありとして
訴追されましたけれ
ども、その後それらの
證據がなく、もうそれらの
罷免されるに値しないという明らかな別の
證據が新しく發見せられた場合におきまして、その
裁判官に
資格囘復の
請求を認めることにいたしたのでありまして、これも先ほどの實情に即す
意味におきまして、特にかような
規定を置いた次第であります。
次に三十九條の
規定でありまするが、これは
罷免の
訴追を受けました場合におきまして、
罷免される者が、十分
職務を行うことができないと考える場合においての、停止の
規定であります。これもまた實情に即した
規定であろうと考えております。
第四十條は、
刑事訴訟法との
關係でありまして、大體
彈劾裁判と
一般刑事訴訟との
關係は、並行主義でいくという建前をと
つておるのでありまして、
刑事訴訟は
刑事訴訟として、かりに
犯罪に當る事實がありました場合におきましては、一方において
刑事訴訟の進行があり、一方においてまた
彈劾裁判の進行がある、かように考えておるのであります。しかしながら、もしそれが
刑事訴訟の問題にな
つております場合におきましては、
彈劾裁判の方を一時
手續を中止することも必要な場合もあり得ると考えまして、かような
規定を置いた次第であります。
四十
一條は以上に申し述べた以外に、必要な
審理裁判の
手續規則を定めたものであります。
第四十
二條、四十三條の罰則でありまするが、まず四十
二條の罰則は、現在刑法におきまして誣告罪の
規定があるのでありますが、その誣告罪の
規定によりますると、他人に
裁判を受けさせる目的で
虚僞の申告をしたというような場合、この誣告罪の
規定があるのであります。その
規定は刑事の
裁判を受けさせる目的でや
つた場合、また懲戒の
處分を受けさせる目的でや
つた場合ということに限られておるのであります。
彈劾裁判を受けさせる目的でや
つた規定はないのであります。從いまして特に四十
二條にさような
彈劾裁判を受けさせる目的で
虚僞の申告をした者の罰則を置くことにいたしたのであります。一方において何人も自由に、
彈劾の
事由があるとすれば、
罷免の
訴追の
請求をすることができるということを認めますとともに、またこれが濫用を警戒いたしまして、適正なる
罷免訴追の
請求ができるということにいたしますために、この
規定を置いたのであります。この
規定は刑法の改正の中に置きましてもよいのでありますけれ
ども、特に
彈劾裁判に關する件でありますので、この
彈劾裁判所法に置いた次第であります。
次に第四十三條でありまするが、これはいろいろ
證人を召喚いたしましても、出てこなか
つたりすることがありますと、實際の
裁判というものが十分に行われません
關係上、特にこの
規定を置いたのでありまして、一、二、三號に書いてありまするような
事由の場合におきましては三千圓の過料、それから
訴追委員會の場合におきましては多少その限度を低めまして千圓以下の過料、かようなことにいたしたのであります。以上が
裁判官彈劾法の
要旨でございます。