運営者
Bitlet
姉妹サービス
kokalog - 国会
yonalog - 47都道府県議会
nisalog - 東京23区議会
serelog - 政令指定都市議会
hokkaidolog - 北海道内市区町村議会
aomorilog - 青森県内市区町村議会
iwatelog - 岩手県内市区町村議会
miyagilog - 宮城県内市区町村議会
akitalog - 秋田県内市区町村議会
yamagatalog - 山形県内市区町村議会
fukushimalog - 福島県内市区町村議会
ibarakilog - 茨城県内市区町村議会
tochigilog - 栃木県内市区町村議会
gunmalog - 群馬県内市区町村議会
saitamalog - 埼玉県内市区町村議会
chibalog - 千葉県内市区町村議会
tokyolog - 東京都内市区町村議会
kanagawalog - 神奈川県内市区町村議会
nigatalog - 新潟県内市区町村議会
toyamalog - 富山県内市区町村議会
ishikawalog - 石川県内市区町村議会
fukuilog - 福井県内市区町村議会
yamanashilog - 山梨県内市区町村議会
naganolog - 長野県内市区町村議会
gifulog - 岐阜県内市区町村議会
sizuokalog - 静岡県内市区町村議会
aichilog - 愛知県内市区町村議会
mielog - 三重県内市区町村議会
shigalog - 滋賀県内市区町村議会
kyotolog - 京都府内市区町村議会
osakalog - 大阪府内市区町村議会
hyogolog - 兵庫県内市区町村議会
naralog - 奈良県内市区町村議会
wakayamalog - 和歌山県内市区町村議会
tottorilog - 鳥取県内市区町村議会
shimanelog - 島根県内市区町村議会
okayamalog - 岡山県内市区町村議会
hiroshimalog - 広島県内市区町村議会
yamaguchilog - 山口県内市区町村議会
tokushimalog - 徳島県内市区町村議会
kagawalog - 香川県内市区町村議会
ehimelog - 愛媛県内市区町村議会
kochilog - 高知県内市区町村議会
fukuokalog - 福岡県内市区町村議会
sagalog - 佐賀県内市区町村議会
nagasakilog - 長崎県内市区町村議会
kumamotolog - 熊本県内市区町村議会
oitalog - 大分県内市区町村議会
miyazakilog - 宮崎県内市区町村議会
kagoshimalog - 鹿児島県内市区町村議会
okinawalog - 沖縄県内市区町村議会
使い方
FAQ
このサイトについて
|
login
×
kokalog - 国会議事録検索
1947-10-16 第1回国会 衆議院 外務委員会 第14号
公式Web版
会議録情報
0
昭和二十二年十月十六日(木曜日) 午前十時三十七分
開議
出席委員
委員長
安東 義良君
理事
加藤シヅエ
君
理事
栗山長次郎
君
理事
堀江
實藏
君 猪俣 浩三君 高瀬 傳君 竹内 克巳君
戸叶
里子君 馬場 秀夫君 和田 敏明君 中山 マサ君 長野重
右ヱ門
君
植原悦二郎
君 竹尾 弌君
佐々木盛雄
君 仲内 憲治君 若松 虎雄君 多賀 安郎君
出席國務大臣
内閣總理大臣
片山 哲君
出席政府委員
内閣官房次長
曾禰 益君
外務事務官
法華津孝太
君
委員外
の
出席者
外務事務官
曾野 明君 ――
―――――――――――
十月十四日
北鮮
に殘留中の
邦人釋放
に關する
請願
(
川合彰武
君
紹介
)(第九〇七號) 朝鮮における
日本人會借入
の同胞救濟資金返濟の
請願
(
川合彰武
君
紹介
)(第九一三號) の審査を本
委員會
に付託された。 十月十一日 在外同
胞引揚促進
に關する
陳情書
(第三九九號) を本
委員會
に送付された。 ――
―――――――――――
本日の
會議
に付した事件
コミンテルン復活
の問題に關し、當局より
説明聽取
の件
講和會議
にのぞむ
國内態勢
に關し
内閣總理大臣
より
説明聽取
の件 ――
―――――――――――
加藤シヅエ
1
○
加藤委員長代理
お待たせいたしました。ただいまから
會議
を開きます。 ただいま
委員長
は自動車の都合で少少遲れますので、
委員長
がお見えになりますまで、私が
代理
をさせていただきます。 本日は
コミンテルン
の
復活
問題につきまして、
外務省調査局長法華津孝太
さんから
説明
を聽取いたします。
法華津孝太
2
○
法華津政府委員
それでは私から大體今度の
共産黨情報局
が
歐州
にできるに至りました
情勢
につきまして、概説を申し上げます。その後のこまかいことにつきましては、
ソ連專門
の
調査局
第三
課長
から御
説明
をいたさせます。 大
體米ソ關係
が最近とみに尖鋭化したように思われるのでありますが、大體の
經過
を簡單に申し上げますと、大
體ソ連
と
アメリカ
とが
戰爭
後の惰性的な
協力關係
から次第に離れ出した
傾向
は、一昨年の十二月の
外相會議あたり
から見え出してまい
つた
のであります。ところがそれから昨年の前半期まではこの
對立
が必ずしも明白でございませんでした。ところが昨年九月の
ウォーレス
の辭職、それから
ウォーレス
のシユットがルトにおける
演説
、このころから大
體アメリカ
と
ソ連
との
政策
の
對立關係
が
はつ
きりいたしてまいりました。續いて昨年の暮の
米國
の
中間選擧
によりまして、
共和黨
が勝利を得ましてから、
アメリカ
の
對ソ政策
といぅものはほぼ
はつ
きりいたしてまい
つた
と申すことができるのであります。續いて
マーシャル
が
國務長官
に任命せられる、それからバンデンバーグのクリーブランドの
演説
、こういうような
經過
をとりまして本年の三月の
トルーマン聲明
、ここで初めて
はつ
きりと
ソ連
を平和の敵といたしまして、これと
對抗關係
にあることが表に出されてまい
つた
のであります。そうして續きまして本年の六月に、いわゆる
マーシヤル・プラン
というものが發表せられまして、これによりまして
西歐
の諸國を反ソ的な
一つ
の
團體
にまとめ上げていくという
努力
の方向が示されたのであります。今囘發表せられましたところのユーゴースラヴイアの首府の
ベルグラード
におきまする
共産黨情報局
の
設立
ということは、形は非常に積極的なものに見えますが、實は
マーシャル
・
プラン
に對するための
一つ
の防衞的な措置とも言えると思うのであります。つまり
マーシャル
・
プラン
によりまして
アメリカ
は鐵の
カーテン
の
西側
でありますところの諸國を組合いたしまして、これに
經濟的援助
を與えることによりまして、
一つ
の
西歐ブロック
を形成せんとする。ただそればかりでなく、さらにその境にありますチエコとか
ハンガリー
とか、その他の國々に對しましても場合によ
つた
らここにはい
つて
こい、はい
つて
くれば
經濟援助
を與えてやるぞという、かつこうを見せております。今のボーダーラインにありまするところの國々も、おそらくはこれに加わりまして、そうして
アメリカ
の
經濟援助
が實は欲しいのだと思います。で多少
動搖
の調子がある。そこで
ソ連側
といたしましてほ、
自分
の方もこれに對抗する
一つ
の
組織
をつくる必要がある、こういうことから今度の
ポーランド
におきまする
共産黨
の
會議
におきまして、いわゆる九
箇國
を組合いたしまして、これの
中心
となる
情報局
を
ベルグラード
につくるという發表をいたしたわけであります。これにつきまして注目すべきことは、フインランドがはい
つて
おらない。いわゆる鐵の
カーテン
の
東側
の中には
フィンランド
がはい
つて
おるわけであります。ところがこの
フィンランド
がこの九
箇國
の中にはい
つて
おらない。その代りに今度は
西歐諸國
のうちと見られておる
イタリア
と
フランス
がはい
つて
おるのであります。大
體ソ連
の
自分
の
勢力下
にありまする國に對しましては、
占領期間
中を通じ、ないしは
占領期間
の後におきましても、
實力
のある間を通じまして、
實力
的な威嚇によりまして反
對黨
を抑えまして、
共産黨
が主とな
つた
ところの
政府
をつく
つて
おるのでありまするが、
フィンランド
ばかりは
自分
の
實力下
にあ
つた
にかかわらず、ここには
共産黨
の
政府
ができておらないのであります。今のところ反
對黨
をいろいろな
手段
で抑えてはおりますが、なお
共産黨
の
勢力
が伸びておらない。そういう
關係
もございまして、
フィンランド
がはい
つて
おらないのだと思われるのであります。そこで一方
マーシャル
・
プラン
、一方は
共産黨情報局
の
設立
、こういう二つの
關係
でも
つて
ヨーロッパ
にだんだん
對立
の氣配が見えてきた。この結果はどうであろうかということが問題とな
つて
まいるのであります。 これにつきまして
一つ相當考慮
に入れなければならないことは、
アメリカ
の方の
手段
はどこまでも
經濟的
であるということと、そうして
マーシャル
・
プラン
と申しますものは、
來年三月
から始めまして向う四箇年間の計畫なのであります。御
承知
のように
アメリカ
はその前にいわゆる鐵の
カーテン
の
東側
にありまするところの
ハンガリー
、それからブルガリア、トルコ、
ギリシヤ
、こういうような國々に對しまして
經濟的援助
を與えることによりまして、これを
ソ連側
の手から離そうと試みたのでありまするが、これはいずれも
ソ連
の
實力
的な
對抗手段
によりまして失敗に終
つて
おります。
ギリシヤ
におきましては御
衆知
のように非常な
對抗状況
が今起
つて
おります。つまり
經濟手段
によるところの
誘引策
と申しますか、あるいは
援助策
と申しますものは、
實力
的な對抗策に
遇つて
はあまり
效果
がないということが、少くとも鐵の
カーテン
の
東側
においては實證されておるのであります。 これが鐵の
カーテン
の
西側
今問題となりますのは
イタリア
とか
フランス
とかいう國であれますが、これらの國においてどういうことになるかという問題が、
一つ
、いま
一つ
は
マーシヤル・プラン
が四年かかるということ、これは實際に
效果
を現わしますのは、どうしても二年とか三年とか
經つて
からでなければ
效果
が現われてこない、その時間的餘裕がある。その間に
ソ連側
の手が伸びてくるのではなかろうか。その場合に
アメリカ
としては、ただいま申し上げましたように、單なる
經濟的手段
をも
つて
これに對抗しておるのでは手ぬるいということが、わか
つて
まいるにちがいないのであります。それから今のような、時間がかか
つた
のでは間に合わないということがわか
つて
くるに違いないと思うのであります。その場合に今の
マーシャル
・
プラン
による
援助手段
よりさらに一歩を進めて、何らか政治的ないしは
實力
的な
對抗手段
をとることがかりにあるとすれば、そこにいろいろな衝突の危險がなきにしもあらずということは、一應
判斷
せられるわけであります。一番問題になりますのは
イタリア
でありまするが、ここには今度の條約によりまして約三萬ほどの
正規軍
しかないわけであります。これに對しまして、
イタリア
の北部には武裝いたしましたところの
共産軍
が、その約倍、五六萬はあるといわれておるのでありまして、ここで
相當
な資力的な
對立關係
、つまりギリシャにおきまして今行われておりますようなものが起
つて
くる
可能性
があるのでありまして、これらの成行きというものは今後
相當
に注目せらるべき問題だと思
つて
おります。 それでは
ヨーロッパ
における
對抗關係
がただちに
東亞方面
においても現われてくるかどうか、こういう問題が次に考慮せらるべきであります。理論的にはそういう状態にな
つて
くる。もし今度の
共産黨情報局
の
設立
ということが前のコミシテルンの
復活
ということと同じ意味をもちまするならば、これは東洋におきましても同じことが起
つて
くるわけでありまするが、にもかかわらず、それは理論的ではございまするが、實際的には私は急には
東亞
では起
つて
こないというふうに一應の
判斷
をいたしておるものであります。その
理由
は、先ほど申し上げましたように、
マーシャル
・
プラン
というものに對抗して今度の
コミンテルン
の
組織
ができた。ところが
東亞
の方には
マーシャル
・
プラン
というような
一つ
の
團體的
な
對抗手段
は目下のところはないのであります。
從つてソ連側
といたしましても、今の
情報局
の
設立
のごとき
一つ
の
團體的
な
對抗手段
をも
つて
これに對するという必要が今のところそうないわけであります。
從つて
ただちに
ヨーロッパ
におけると同じような
状況
が、
東亞
において起
つて
くるとは私は
判斷
いたしておりません。
從つて
ただいま申し上げましたように、
ヨーロッパ
の方で今の
兩方
の
對立關係
がだんだんと政治的ないし
實力
的な爭いにな
つて
いくという
可能性
はなきにあらずでありまして、またそれがさらに進みまして
ソ連
と
アメリカ
との
相當
尖鋭化した
關係
に、ますますな
つて
いくという
可能性
はなきにあらずとは思いまするが、しかもそれが全面的な、
世界
全體を通じてのはなはだしい
對抗關係
になりただちに
戰爭
にいくというようなことを私は必ずしも
判斷
いたしておらないわけであります。それでは今度の
ベルグラード
における
情報局
の
設立
及びこれの
内容
の細かい問題につきまして、これから
曽根調査局
第三
課長
から御
説明
申し上げることにいたしたいと思います。
加藤シヅエ
3
○
加藤委員長代理
それでは第三
課長曾野明
さんの御
説明
を願います。
曾野明
4
○
曾野説明員
ただいま
局長
からお話し申し上げました九
箇國
共産黨
のワルソーにおける
協議會
の點につきまして、少しく詳しい御
説明
を申し上げたいと存じます。 この九
箇國
共産黨協議會
のコンミユニケというものは
日本
の
新聞
にも出ておりませんので、本日はそれを
中心
にして御
説明
申し上げようと思います。
皆さん方
の御
參考
のために少しく
コミンテルン
のできたときの
情勢
と
解散
したときの
理由
というものを御
參考
までに申し上げておきたいと思います。
皆さん
御
衆知
のように、第一次
大戰
が始ま
つて
、いわゆる各國の
社會民主主義者
が集ま
つて
つく
つた
第二
インター
は
事實
上崩壞したのであります。
レーニン
はそれより先に第二
インター
の中には非常に日和見的な分子が殖えてきたので、こういうもの
はつ
ぶさなければならぬということをかねがね主張していて、第一次
戰爭
が始ま
つて
、一九一五年にスイスに各國の
社會民主主義者
が集ま
つて
、第二
インター
の
復活
の相談をいたしましたときに、
レーニン
も出てまいりまして、今申しましたような
自己
の見解を述べたのでありますが、採擇されなか
つた
のであります。翌一九一六年にもう一度そういう
會合
が開かれて、
レーニン
は第二
インター
との絶縁ということを提議したのでありますが、これも採擇されなか
つた
のであります。
從つて
そのときにおいては
レーニン
の考えているところの
インター
ナショナルというようなもの
はつ
くり得ない
状況
にあ
つた
わけであります。しかるに一九一七年にな
つてロシヤ
に
革命
が起り、
ロシヤ
は四月にレニングラードに歸
つて
まいりました。そして
皆さん
の御
衆知
の四月テーゼというものを發表し、
當時ロシヤ
に起
つて
いたいわゆる
ブルジョア民主主義革命
をただちに
社會主義革命
へ推進しなければならねということと、
革命
的なインーターナショナルをつくる必要があるということを發表したのであります。そういうふうにして一九一七年の五月に、
當時
の
ロシヤ社會民主主義勞働黨
、これは現在の
共産黨
の前身でありますが、
勞働黨
は
コミンテルン
を含むという
自己
の
任務
を決定したのであります。そして教箇月
經つて
十月
革命
が起き、今申しました
ロシヤ社會民主主義勞働黨
が
政權
をと
つた
わけであります。これが現在の
ソ連政府
としてでき
上つた最初
の
政權
であります。
從つて
その
ロシヤ社會民主主義勞働黨ボルシヴイキー
が
政權
をと
つた
ので、
レーニン
がかねがね申していた
コミンテルン
の創立というものが具體化する
段階
にはい
つた
わけであります。十月
革命
の後二箇月經ちまして十八年の一月、
當時
の
ソビエツト政權
の今
日本
で申しますと
國會
の常設
機關
というような形にな
つて
いる、全
ロシヤ中央執行委員會
というものが、各國の
左翼社會民主主義者
の
國際會議
を招集しようとして、
自分
の
代表
を
外國
へ派遣しようとしたのでありますが、その
代表
は
外國
から入國を拒絶されたのであります。そういうわけでその計畫はだめになり、一月の末にペトログラードにおいて各國の
左翼社會民主主義者
の
會合
が行われたわけであります。
そういぅふうな會合
が行われました結果といたしまして、翌年の一九一九年一月に
レーニン
はさらに各國の
左翼社會主義者
を集めまして、そして
コミンテルン
をただちにつくるということを決定したわけであります。このようにしまして
コミンテルン
は
レーニン
の
努力
によ
つて
でき
上つた
わけであります。同年一九一九年の三月にコミルテルンの第一
囘大會
が開かれて、しかも一九三五年の第七
囘大會
まで七囘にわた
つて
大會が開かれてお
つた
わけなのであります。今申しましたように、
ソ連
は、
レーニン
の率います
ロシヤ社會民主主義勞働黨
というものが
政權
をと
つて
、つくり上げられた國であります。一方
コミンテルン
というものは、
レーニン
が非常な
努力
をもちましてつくり上げた國際的な
組織
であります。從いまして、この兩者とも
レーニン
が非常な
努力
をも
つて
つくり上げた
國家
ないしは
國際團體
であるという點は注目する必要があるのじやないかと思
つて
おります。この點につきまして
日本
でも飜譯が出ておりますが、
金連邦共産黨小史
の中にはこういうふうに書いておりますが、
スターリン
は、一九二四年の一月に
レーニン
が死にまして、それに對する
追悼演説
をや
つた
そうであります。その中にこういうことを申しております「
レーニン
はわれわれのもとから去るに臨んで
コミンテルン
の原則に
忠實
であるべきことをわれわれに遺言した。
レーニン
よ、われわれは全
世界
の
勤勞者
の同盟、すなわち
コミンテルン
の
強化
及び擴大のために、
自分
の命を惜しまぬことを誓う。」というふうに
スターリン
は
レーニン
に誓
つて
おるそうであります。今申しましたように、理論的に申しましても、こういうふうなボルシェヴイキーとしまして、
スターリン
の
レーニン
に對する
誓い
の言葉からいたしましても、
コミンテルン
は容易に
解散
されるものとは實は思われていなか
つた
のであります。 しかるに
コミンテルン
は一九四三年五月に
解散
したことは、
皆さん
御
承知
の
通り
であります。そのときの
解散
の
理由
といたしまして、
當時
の
コミンテルン
の
執行委員會
の
幹部會
が
決議
を發表いたしておりますが、要するにそのときの
解散
の
理由
と考えられますものは、
一つ
には
情勢
の
變化
であります。一九四一年の六月に
獨ソ戰爭
が始まりまして、
ソ連
といたしましては、
英米
の
援助
を非常に必要とする
情勢
にな
つて
、きたわけであります。
解散
の
理由
にも
はつ
きりと
情勢
の
變化
ということを書いておりまして、今申し上げました
決議
によりますと、こういうことを言
つて
おります。各國の
國内情勢
及び
國際情勢
が
複雜
となるに
伴つて
、國際的な
中心
が各國の
勞働運動
の動きを決定することは困難にな
つた
ということを書いておるわけであります。はたしてこの點からいたしまして、
コミンテルン
はその
任務
の終了したから
解散
したのじやございませんで、
任務
の遂行が困難にな
つた
から
解散
したというふうにとれるのであります。その次は、各民族各
國家
の
特殊事情
に
從つて勞働運動
をや
つて
いかなければならぬという
理由
が聲明されております。詳しいことは時間がございませんので省略いたしますが、要するに各國の
左翼勞働運動
の
活動方針
は、各國の
共産黨
に任せるという
傾向
にな
つて
きてお
つた
わけであります。從いまして
コミンテルン
が
解散
いたしましたが、それによりまして各國の
左翼運動
に對しまして混亂を生ずるおそれはないというふうに、
コミンテルン
の
執行委員會
が認定したということが、これからわかるのであります。それからもう
一つ
重要な
理由
といたしまして、
コミンテルン
の
解散決議
が出ました後で、
スターリン
が
英國
の通信員のピンクという人に向いまして、こういうことを言
つて
おるのであります。
コミンテルン
の
解散
というものは、モスコーが、つまり
ソ連邦
が他の國に干渉し、これを赤化しようとしておるかのように宣傳する
ヒットラー一味
の虚構をあばくものであるというふうに、
スターリン
氏は言
つて
おります。またこういうことはほかにも
スターリン
氏は言
つて
おるのでありますがつまり今申しましたように、
コミンテルン
の
解散
というものは、
國際情勢
が
變化
してきて、そうして
活動
が困難にな
つた
ことと、それから各國の
共産黨
も非常に有力にな
つて
きて、もはやこういうふうな
中心組織
が不必要にな
つて
きた。しかもそういうものがあることによ
つて
、
ソ連
が各國の内部の問題に干渉しておるような印象を與えることは困る。こういうふうないろいろの
理由
によりまして
解散
したわけであります。 そうしてこれ以來數箇年經ちまして、だんだんと
米ソ關係
は、先ほど
局長
が申されましたように、尖鋭化してまい
つた
わけであります。
米英
の方では、この
解散
を認めないで、
コミンテルン
はあるんだという
情報
が非常に盛んに行われ來出したわけであります。
事實
はどうかわかりませんでございましたが、とにかくこの九月の末に
ポーランド
におきまして、九
箇國
の
共産黨
が
協議會
を催しまして、
ベルグラード
に常設の
情報局
をおくということは、發表された
通り
であります。 この
情報局
の
任務
はどういうものかと申しますと、この今のコンミニユケによりますと、
コミンテルン
の
解散
後の
經驗
は、各國の
共産黨
の間が
ばらばら
にな
つて
おることが正しくない。しかも有害であるということを教えたのである。つまり
コミンテルン
の
解散
、は、そういうふうな國際的な
機關
をつく
つて
おることは非常に不都合であることがわか
つた
ので
解散
はしたけれども、その後の
經驗
は、各國の
共産黨
が
ばらばら
にな
つて
いることが正しくないし、有害であるということがわか
つた
から、こういう
機關
をつくるのだということであります。この
目標
は何であるかと申しますと、各國の
共産黨
の
經驗
の
交換
、
自分
らが
經驗
したところを
交換
するのだということが第一の
目標
にな
つて
おります。十月十一日の
ソ連
の
共産黨機關紙
の
プラウダ
によりますと、このことの
説明
をいたしまして、
ソ連
及び
東ヨーロッパ
においては、いわゆる
民主主義體制
が確立した。この確立した各國の
共産黨
の
經驗
を、目下
アメリカ
に壓迫されている
フランス
及びイタリヤの
共産黨
の
參考
に資する必要があるということを、十月十一日附の
プラウダ紙
は言
つて
おります。つまり
經驗
の
交換
と申すのは、
東ヨーロッパ
で成功した
經驗
を
西ヨーロッパ
に教えるということにあるようにとれるのであります。 それからもう
一つ
のこの
情報局
の
任務
といたしまして書かれておりますところは、各國の
共産黨
の
活動
を自發的に調整する。つまり先般來
日本
の
新聞
にも出ておりましたが、たとえば
フランス
の
共産黨
と
ドイツ
の
共産黨
はルールの問題で
意見
が合わない。こういうような問題が若干起
つて
きておるのであります。こういう矛盾ないしは今後の
活動方針
につきまして、この九
箇國
の
共産黨
の
活動
を調整するという
任務
をも
つて
おるようであります。今申し上げましたような、今度の九
箇國
の
共産黨
の
情報局
の設置に述べられておるような
理由
は、あるいはほかの國においても妥當するのじやないかと思われるのであります。現在までに現われたところにおきましては、
英國
の
共産黨
が十九日にこの
宣言
を支持する旨を發表しておるわけなのであります。 次に、この
國際情勢
に關する
宣言
というものをこの
協議會
は採擇をいたしたのでありますが、それほどういうふうにして採擇されたかと申しますと、この九
箇國
の
共産黨協議會
に對しまして、
ソ連邦共産黨
からは、
ジダーノフ
氏、
マーレンコフ
氏の二人が
代表
として出ておるわけであります。この
ジダーノフ
、
マーレンコフ兩氏
は、皆
樣御承知
のように、
スターリン
氏と三人だけが
ソ連邦共産黨
の
中央委員會
の
政治局
と
組織局
と
書記局
の三局を通じての
委員
であります。
從つて
非常な
有力者
であろことはおわかりであると思うのでありますが、
協議會
は
ジダーノフ
氏が
國際情勢
に關する
判斷
をまず
説明
いたしました。そしてそれに基きまして各國の
共産黨
の
代表
が
意見
を
交換
いたしまして、
宣言
をつくりあげたのであります。
從つて
この場合、この
宣言
にはやはり
ソ連邦
の
情勢判斷
というものがある程度
はつ
きり出ておるのではないかと思うのであります。それからあとの
コミンテルン
の
決議
とか指令とか、あるいは
ソ連邦
の要人のいろいろの
演説
を見ておりますと、その後の
國際情勢
は、そこに言われておるように動いておることが非常に多いのであります。
從つて
この
宣言
の
内容
をくみと
つて
まいりますことは、今後の
國際情勢
をごらんになる上に非常に御
參考
になるのではないかと思います。
宣言
は相
當長いも
のでありますが、
事項別
に要點だけを御
説明
したいと思います。この
宣言
に申しております第一の點は、
米國
の
世界政策
と
對ソ政策
を
判斷
しております第一の點は、そもそも今次の
大戰
において
アメリカ
の
戰爭
目的と
ソ連
の
戰爭
目的とは
違つて
お
つた
んだということを、
最初
に書いております。どう違
つた
かと申しますと、
ソ連
及び
東ヨーロッパ
のいわゆる
民主主義
諸國は、まず歐洲において
民主主義體制
をつくりあげて、それを強くするということを
戰爭
目的の
一つ
にしていた。それからファッシズムを撲滅すること、それから
ドイツ
からの新しい侵略の
可能性
を除去すること、それから
歐州
の諸
國民
の全面的の長期の
協力
ということを、
ソ連
の方では
戰爭
目的にしてお
つた
。これに對しまして
アメリカ
の方では何を
戰爭
目的にしていたかと申しますと、
日獨
という
競爭者
を相手として
自分
の
支配的地位
をつくりあげることを、
アメリカ
の
戰爭
目的にしてお
つた
。こういうふうに申しておるのであります。今申しましたように、今次
大戰
におきまして、
戰爭
目的が
米ソ
の間に
違つて
お
つた
というわけであります。この
宣言
には、次に
從つて戰後
において
米ソ
の
政治的方針
は
對立
しておるのだという
判斷
を申しております。どう
對立
しておるか。
ソ連
の方は
帝國主義
の打倒と
民主主義
の
強化
ということを
目標
にしておるのだ。ところが
英米
の方では、
帝國主義
の
強化
と
民主主義
の壓殺ということを
目標
にしておるのだ。こういうふうに
戰後
においては
兩方
の政治的な
方針
が
違つて
おるという
判斷
を書いております。
從つて
その次の
段階
としまして、
宣言
は、
ソ連
と
東ヨーロッパ
諸國とは、
米英
の
帝國主義
的な計畫を實現する上において非常にじやまにな
つて
おる。こういうふうに
判斷
しております。つまり
自分
らの
やり方
は
米國
の
帝國主義
の
やり方
のじやまにな
つて
くる、こういうふうに
判斷
しておるのであります。さらに
宣言
は、そのことからしまして次のように
判斷
しております。かように
ソ連
の
やり方
というものは
米英
のじやまにな
つて
きたんだから、そこで
米英
は
ソ連
と
東ヨーロッパ
諸國に對して
攻勢
を
宣言
した。こういうふうに
判斷
しております。その際に
米英
の最も偽善的な
帝國主義
的な
政治家
は、新しい
戰爭
をやるぞやるぞという脅迫をも
つて
その
攻勢
を
援助
しておるのだ、こういうふうに書いておるわけであります。
米英
は
戰爭
をやるぞやるぞと言いながら、いつも
ソ連
及び
東ヨーロッパ
に對する
攻勢
を
援助
しておる、こういうふうな
判斷
を書いておるわけであります。結論としましてこの
宣言
は、このようにして
世界
は完全に二つの陣營にわかれてしま
つた
。こういう
判斷
を書いておるわけであります。今申しましたのが
戰後
の
アメリカ
の
世界政策
及び
ソ連
に對する
政策
につきましてのこのコンミユニケの
判斷
であります。しかしその結論といたしましては、
世界
は完全に二つの陣營にわかれたという
判斷
を出しておるわけであります。 その次の
宣言
は先ほど
局長
の申されましたマーシヤル計畫の意義というものを
判斷
しております。その第一點は、今申しましたように、
世界
は完全に二つの陣營にわかれた
状況
のもとにおいて、資本主義の一般的危機は一層激化して、資本主義
勢力
は弱まりつつあるのであります。一方において
ソ連
及び
東ヨーロッパ
の
勢力
は強くなりつつあるという
情勢
を
判斷
しております。このことを十月十一日附の
プラウダ
は、もう少し
はつ
きり申しております。すなわち、第一次
大戰
は
帝國主義
に大きなくさびを打込み、龜裂を與えたけれども、それに對する第二次の今度の
戰爭
は、資本主義陣營に大敗北を與えてしま
つた
。つまりこの第二次
世界
戰爭
の結果、資本主義陣營というものは非常に弱まりつつある、大きな敗北を受けたのだ、敗けたのだという
判斷
を
プラウダ紙
はしております。このようにしまして、資本主義的な
勢力
は弱まりつつある、社會主義的な
勢力
は強まりつつある、こういう
情勢判斷
の結果として、
米國
を親玉とする
帝國主義
陣營は侵略的積極性を示しておる。こういう
判斷
をしておるわけであります。ここで注意していただかなければなりませんことは、後にも二箇所出てまいりますが、侵略者という言葉を使
つて
いることであります。つまり今の
ソ連
の
宣言
から見ますと、
アメリカ
は侵略者であるという
情勢判斷
が出ておるのであります。從來
コミンテルン
ないしは各國の
共産黨
が侵略者という言葉を使うことは非常に重要な問題でありまして、
戰爭
の前においては、
日本
、
ドイツ
侵略者という判を押されてお
つた
わけでありますが、今度は
米國
が
はつ
きりと侵略者と言われておる點を御留意願いたいのであります。 次に、この
宣言
はこういうことを申しております。しかもこの侵略的な積極性は單に
經濟的
なものばかりでなくて、軍事的にも、思想的にもその方向をも
つて
おる。つまり
アメリカ
の侵略的積極性というものは、
目標
を軍事的、
經濟的
、思想的の三方面から押してきているのだという
判斷
をしております。さらにその
宣言
はこういうふうな
判斷
をしております。
從つて
トルーマン、
マーシャル
の計畫というものは、全
世界
に對する
アメリカ
の膨張
政策
が
歐州
に適用された部分にすぎないのだ。要するに
マーシャル
案は、先ほど
局長
が申されたように、
歐州
を
目標
としておりますが、この
宣言
によりますと、これは
アメリカ
の全
世界
に對する膨脹
政策
の
一つ
の適用にすぎないのだ。いわば
ヨーロッパ
編にすぎないと言
つて
おります。それと同時に、
アメリカ
はどこをねら
つて
おるかということを書いておりますが、それは中國とインドネシヤと南米に對する奴隸化
政策
を
アメリカ
はや
つて
いるのだ、こういう
判斷
をしております。
從つて
ここで御留意願いたいことは、この
宣言
による
判斷
に基きますと、
アメリカ
は全
世界
に膨脹
政策
をと
つて
おると申しておりますから、當然
ソ連
に對しても、
自分
を奴隸化しようとしているという獨斷をしているものと思われます。このように、この
宣言
は
マーシャル
計畫をきめつけておるわけであります。 さらに
宣言
はこういうことを言
つて
おります。その際に
日獨
の大資本家は、
米國
帝國主義
の道具として利用されつつあるということが附け加えられております。
日本
ドイツ
の資本家は、
アメリカ
の
帝國主義
的な
政策
の道具として利用されておる、こういうことを言
つて
おります。今申したのが
マーシャル
の計萱に對するこの
宣言
の
判斷
であります。 次に
アメリカ
の戰術はどう出てくるかということを、この
宣言
は
判斷
しております。その第一點は、
アメリカ
の戰術は非常にいろいろの
やり方
をと
つて
くると、いろいろ例をあげています。
一つ
は、
實力
による直接的な脅迫とか、恐喝とか、ゆすり、それから政治的、
經濟的
な壓迫、買收、國内の
對立
及びその相剋の利用、こういうふうな戰術を使
つて
、いろいろな手で
アメリカ
はや
つて
くるぞという
判斷
をしております。 それから第二點は、これらの戰術はすべて自由主義とか、平和主義というようなマスクをつけてや
つて
くるぞという
判斷
をいたしております。それから三番目に、これは非常に
世界
史に
關係
あることでありますが、右翼の社會主義者は、
アメリカ
に特別に利用されておるということをあげておりまして、名前があが
つて
おります。
フランス
のブルーム、イギリスのアトリー及びベヴイン、
ドイツ
のシェーマッヘル、オーストリアのルンネレル及びシエルフ、イタリーのサラガット等の社會黨の右派の人々の名前をあげて、これらは
アメリカ
に利用されておるという
判斷
を書いております。しかしてこれらの右翼社會主義者について、彼らは
民主主義
と社會主義という言葉のマスクをかぶりながら、實際においては勞働階級の隊列の崩壞とその自覺を毒する
帝國主義
者の
忠實
なる幇助者にな
つて
おるというふうに言
つて
、徹底的に攻撃しておるのであります。そこでかような攻撃がどうして出てくるかと申しますと、
最初
に申し上げましたように、レニンは初め第二
インター
を絶縁しなければならぬということを主張してお
つた
のであります。今次の
戰爭
が終るころから、か
つて
第二
インター
をつく
つて
おりました各國の社會主義者の間には、第二
インター
を
復活
しようという動きが見えておりまして、現に……。
加藤シヅエ
5
○
加藤委員長代理
ちよつと
皆さん
にお諮りいたしますが、今日佐々木
委員
から、
講和會議
に臨む現内閣と
國内態勢
に關連いたしまして、總理大臣に對し發現を求めておられるのでありますが、ただいま總理大臣がお見えになりましたので、ただいまの
コミンテルン
の
復活
の問題に關する
説明聽取
を一時中止いたしまして、この際佐々木
委員
の發言を許可したいと存じますが、御異議はございませんでしようか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
加藤シヅエ
6
○
加藤委員長代理
それでは佐々木
委員
。
佐々木盛雄
7
○佐々木(盛)
委員
來るべき
講和會議
というものが、わが
國家
の興亡と八千萬民族の運命を決定すべきものでもることは、言うまでもありません。
從つて
われわれ
國民
は一人殘らず、この
講和會議
の裁きの日を息詰る思いで待ち構えておるのでありますが、それゆえに私は
日本
自由黨の一員ではありますが、この際私は政黨政派の恩響を超えた譽國的な觀點から、眞劍なる
國民
大衆の聲を
代表
して、
講和會議
に臨むべき
國内態勢
に關する數箇の點につきまして、この難局擔當に當ろうとしておられる片山總理大臣の、虚心坦懷なる御
意見
を求めたいと思うのであります。 〔
加藤委員長代理
退席、
委員長
着席〕 對日
講和會議
に關する各種の報道は、すでにこれが預備交渉の段暗にはい
つた
ことを轉えておりまして、來春あるいは櫻咲くころには待望の本
會議
が開かれるのではなかろうかという
情報
も、われわれの耳もとを激しくゆさぶ
つて
響いてくるのであります。ところで今囘の
講和會議
というものが、わが
日本
興亡の運命を決定するものであることは、今申した
通り
であります。しかしながら一般
國民
大衆の認識におきまして、何となく淡いながらも、一種の希望的樂觀論が支配しておる實情ではなかろうかと考えるのであります。
從つて
われわれは、この際
講和會議
に臨む
國民
に對し、今囘の講和條件なるものが、いかに冷嚴かつ深酷なるものであるかを、十分認識せしめておくことを怠るべきではないと思うのであります。申すまでもないことでありますが、第一次
世界
大戰
後のベルサイユ條約の締結にあたりまして、連合國側の差出した條約案に封して、
ドイツ
は、本條約はウイルソンの十四箇條の終戰條件とは相反するものであるという見地に立
つて
、厖大なる
意見
書を連合國側に提出したのでありますが、これに對して連合國側は憤然色をなしまして、今日の
ドイツ
の態度というものは、
ドイツ
が今日いかなる地位におかれておるかということを理解せぬからである。正義に對して犯罪を犯したものが、正しく處罰されることであるというわけで、
ドイツ
の差出しました代案を一蹴して、さらに連合國側は
ドイツ
に對して、五日以内にイエス、ノウを囘答せよ、しからずんば停戰協定は無數とみなすであろうとの、きわめて強硬なる態度を表明したのであります。そこで
ドイツ
内閣はたちまち瓦解いたしまして、後繼内閣は周章狼狽のうちに、遂に七日目に、連合國案を血涙をすす
つて
調印をいたしましたことは、歴史の示すところであります。さらにまた今次の第二次
世界
大戰
後における
イタリア
の場合におきましては、
日本
の場合とはその終戰の條件を著しく異にしておりまして、
戰爭
の後半におきましては、
イタリア
は樞軸を離脱いたしまして、連合國陣營に參加し、對獨
戰爭
を
宣言
したという特殊なる事情もありましたが、これとても去る二月十日、バリーにおいて行われた
イタリア
以下舊樞軸五
箇國
との講和條約調印に際しまして、
イタリア
代表
の發表いたしました聲明の中におきましても、
イタリア
政府
は今囘の講和條約作成に何らの役割を與えられなか
つた
。しかしわれわれは今この條約にやむなく從わねばならぬ、
自分
が調印したこの條的は眞の條約ではなく
イタリア
に一方的に課する條件を規定たしものである。かように述べて、さらに本日こそは
イタリア
にと
つて
悲しみの日であると呼び、全
イタリア
國民
は滂沱たる涙と深き沈欺のうちに歴史の一日を記録いたしましたことも、われわれ記憶に新らしいところであります。 かくのごとく、前
大戰
後の
ドイツ
の場合を想起いたしまして、さらに今また今次
大戰
後の
イタリア
の場合をまのあたりながめまして、今またわれわれは、ポツダム
宣言
に對する無條件降伏を
誓い
ましたわれわれの身邊に、刻々として迫
つて
まいる對日講和條件を考えましたときに、
講和會議
に臨む
日本
側
代表
が連合國側と對等の立場に立
つて
樽俎折衝するというような外交交渉が許されないことはもとよりでありまするし、
從つて
またその裁きのむちというものが、いかに苛烈なものであるかということは、われわれのあらかじめ覺悟しなければならないところであります。 かくのごとく
日本
というものが今や有史未曾有の國難に際會しておりまして、
從つて
この國難突破のために、
國民
的支持の上に立つところの強力なる政治態勢の確立ということが、刻下緊急事であると思うのであります。この點におきまして先般の片山内閣の
組織
にあたりまして、社會黨、民主黨、
國民
協同黨を網羅するところの三黨連立内閣を樹立されましたのは、次上述べましたごとき、擧國的強力なる政治態勢を確立したいという片山首相の御意思であ
つた
と考えまして、この件に關する限りその
努力
に對して、私は政黨政派を超越して深く敬意を表する次第であります。しかしながら政黨のもつ性格、主義、
政策
におきまして、ま
つた
く相異なる寄合世帶であります連立内閣が、なるほどその形式におきまして、あるいはその名目におきまして擧園的かつ強力であるかに見受けられましても、その實これに強力なる政治力を期待し得ないことは、理論的にも、かつまた現連立内閣の成立以來今日に至るまでの現實の事態におきましても、きわめて明白でありますることは、御出席にな
つて
いる片山首相初め各閣僚のひとしく身をも
つて
痛感されたことと思うのであります。
從つて
強力なる政治力を發插するためには單獨
政權
の出現ということが、より望ましいと考えるのでありますか、片山首相は現内閣成立以來今日までの間を、謙虚なる境地において靜かに振りかえりまして、かつはまた政局に對する
國民
の政治的動向の推移ということをも十分考慮されまして、
講和會議
に臨む國内政治態勢を確立し、強力なる内外の政治力を發揮するために、
政府
は
講和會議
に臨むにあた
つて
、
國民
の現内閣に對する信頼を問うべきが望ましいと私は考えるわけでありまするが、片山首相はこの點をどういうふうにお考えになるか、内閣は現状をも
つて
講和會議
を押切らんとするのであるか、あるいは
講和會議
全權はいかなる構成によらんとするか、いかなる政治態勢をも
つて
この難局に處せんとするのか、これは
國民
の深く憂慮しておるところでありますがゆえに、明確にしてかつ誠意あるお答えをお願いLたいと思うのであります。これがまず私の質問の第一點であります。
片山哲
8
○片山國務大臣 ただいま佐々木君から熱心に
講和會議
に臨む心構えにつきまして御
意見
を述べられましたことにつきましては、ごもつともなる點がありまするが、私の考えはすでに
新聞
でも發表いたしてお
つた
ことでありまするが、御質問の點に應じまして、重ねてその點を明らかにいたしたいと思います。 今日は國内政治態勢を確立いたしまして、擧國一致の實を現わすことが必要であると考えまして、組閣黨初四黨連立内閣を構想いたしまして
努力
いたしたのでありまするが、御
承知
の
通り
自由黨は野にあ
つて
協力
するという建前をもちまして、入閣されなか
つた
結果、三黨連立内閣ができまして、今日まで進んでおることは御了承の
通り
であります。三黨連立内閣は、連立の建前から弱い、こういうような御
意見
でありまするが、しかしながら今日三黨連立内閣は、最も閣内を統一いたしまして、現下最も大きな問題でありまする國内經濟態勢の確立に邁進しなければならない、こういう
目標
を立てて一致結束進んでおるのであります。その意味におきまして、經濟緊急對策を立てましたり、あるいは經濟の實情を
國民
に報告いたしまして、
國民
の心からなる
協力
を求めて、あるいは物價新體制を確立し、やみの撲滅によ
つて
インフレの防止に進んでいかなければならないというスタートを切
つて
、その進み方は、われわれの考えといたしましては、この閣内の非常時を乘切り得るという自信をも
つて
おるのであります。こういうスタートを切
つて
、そうしてその
強化
及び閣内結束、お互いに乘切
つて
いかなくてはならないという決意を固めて進んでおる今日におきましては、その態勢をさらに進めまして、國内國外に向
つて
國民
の
協力
を求めつつ進んでいかなければならないという決心をさらに深めておるような次第であります。つきましては、
講和會議
に臨む心棒えといたしましては、佐々木君自身もお述べになりました
通り
、ポツダム
宣言
によ
つて
無條件降伏をいたしておりまするわが國といたしましては、まず何をなすべきかと申しまするならば、ポツダム
宣言
と極東
委員會
の示されたる
方針
によりまして、わが國の非武裝化と政治經濟の民主化を確立していかなければならないということは、すでに
國民
の十分に認めておるところであります。
講和會議
に臨む準備といたしましての基本は、わが國の政治經濟の民主化及び非武裝化による態勢でありまして、その線に沿いまして新憲法の制定、各般の法律案の制定、經濟集中排除及び獨占禁止法の制定警察制度の改革、地方制度の確立等々によりまして、政治經濟の民主化態勢は大體その基本が確立されつつあると信じておるのであります。さらに一段とこの線に沿いまして
努力
しなければならないのはもちろんでありまするが、こういうふうな民主化態勢ができておりますること、またさらに
努力
いたしましてこの民主化を促進し、その實現をはか
つて
いかなければならないという
政府
の
努力
しておりますること、及び
國民
の
協力
を仰いでおりますることが、
講和會議
に臨む基本的對策であると考えておるのであります。連合軍司令部におかれましても、
國民
の心からなる
協力
と、
日本
國が誠意を披瀝いたしまして民主化態勢を確立して、みずからの生活はみずからの
努力
で、勤勉と奮鬪とによ
つて
自國の生活體制を確立しつつあるということが認められますならば、必ずこれに報いられるところがあると私は信じておるのであります。こういう意味で進んでおりまする現状でありますから、
講和會議
に臨む民主化體制は三黨連立の現内閣が十分これを澹當し得るものであると信じておるのであります。 但し
講和會議
において
日本
代表
團あるいは全權團が、いかなる心構えでその處理に當るべきかということは、別個の問題でありまして、この
代表
團、全權團はできるだけ擧國體制の實をあげていかなければならないと考えておるのであります。すなわちこの場合におきましては野黨の
代表
者にも御參加を願いまして、眞に
國民
代表
の實をあげ、擧國體制の形體を具えて臨んでいかなければならないものであると考えておるのでありまして、民主化準備は現内閣において十分擔當し、
講和會議
に臨む處理は擧國體制といたしまして、全
國民
の
代表
團、こういう構成で臨むことが最もふさわしい體制であると考えておるような次第であります。以上のように考えを二つにわけまして進んでい
つて
、そうして
日本
は將來において
日本
國民
の政治的及び
經濟的
にも十分に立ち得るような體制を希いたい、かように私は考えておる次第であります。
佐々木盛雄
9
○佐々木(盛)
委員
いろいろ突き進んでもう少し承りたいのでありますが、次に行きます。 次に、今囘の對日講和條件というものが連合國側によ
つて
一方的に課せられるものであることは、先刻來私の喋喋したところでありますが、さりとてかるがゆえに講和外交の餘地なしとして事態の推移を漫然と見送らんとするものがあ
つた
とするならば、私はこれは外交ということの實體を理解せざるもはなはだしき限りではなかろうかと考えるのであります。なるほど講和全權というものが一堂に相會しまして、樽俎折衝するというような舊來の形式における講和外交というものが許されないことは申すまでもありません。しかしこれとはその形をかえた講和外交なるものがあると私は考える。しからばその形をかえた講和外交とは一體何とか申しましたならば、それは今總理の申されましたことく、一昨年八月十五日にスタートを切りましたポツダム
宣言
履行に伴うところの渉外折衝でありまして、この渉外折衝ということこそは、來るべき講和會談に直結するところの、ただ
一つ
の實質上の講和外交ではなかろうかと私は考えるわけであります。しかりとするならばまさに對日講和がすでに豫備
會議
の
段階
に突入しましたこのときこそは、この渉外事務の遺憾なき發揮に萬全を期さなければならぬきわめて重大なるときであることを、われわれは痛感する次第であります。しかるにもかかわらず蘆田外務大臣は、終連の總裁といたしまして、就任以來すでに數箇月を閲せんとしておりますが、みずからまだ一度も總司令部と渉外折衝をおやりにな
つた
こともないと私たちに承
つて
おります。もししかりとするならば一體これはいかなる事情によるのか。總理大臣として片山さんの御
意見
を承りたいと考えます。 さらにまたもう
一つ
この終連の問題に關連いたしまして、
政府
は今回終連の機構というものを改組しての政治的な部面を内閣に移讓せんといたしますることも、その看想におきましては一應了承いたしまするが、これを西尾官房長のもとに移さんとするがごときことは、さなきだに芦田總裁の不的確が無能のために暴露しておりますところの、貧困なる渉外外交というものが、外交に對するま
つた
くの門外漢でありますところの西尾官房長のもとにおいて、いよいよこれが弱體化されることは火を見るよりも明らかではなかろうかと私どもは考えるわけであります。具體的な
事實
がありますが、省略します。片山首相はこの點をいかにお考えであるか、またいかなる具體案を用意されておるか、これらの點についての御所見を承りたい。これが私の第二の質問でございます。
片山哲
10
○片山國務大臣 連合軍と
政府
との間の問題はきわめて順調に進んでおるのでありまして、占領
政策
遂行上
政府
として考えていかなければならない點は十分に愼重を期しまして、占領
政策
の
效果
を現わすように考えておる次第であります。從いまして芦田外務大臣は、終戰連絡の總裁といたしまして、常に折衝を重ねられておるのであります。これを一々公表したり、あるいはその
經過
についてどうであるかというようなことは適當でない場合が多いものでありますから、自然外部にも現われなか
つた
ことだと思いますが、必要なる事項は總裁として十分や
つて
おる次第であります。 なお終連事務をどうするかというような點につきましても、最も政果的にして、司令部と
政府
との間を圓滑に、かつまた十分にその意思の連絡をよくするために、それぞれ對策を講じつつあるのでありまして、まだ結果は發表するまでには至
つて
おりませんが、有數な、また簡潔な方法でその
關係
を處理いたしたいと考えておる次第であります。
佐々木盛雄
11
○佐々木(盛)
委員
次の質問は
世界
の急激なる新
情勢
に對處する
政府
の所信についてであります。二次
世界
大戰
終了後の今日に繰りひろげられつつありますところの新しい歴史のページというものは、
アメリカ
的秩序とソヴイト的秩序の二つの
世界
の深刻なる
對立
相剋の姿でありますことは、先ほど
政府
委員
の方から承
つた
通り
であります。
ヨーロッパ
におきまして、先ほど御
説明
を承りましたように、
マーシャル
・
プラン
の傘下に集まりました
國家
群と、鐵の
カーテン
に包まれました
國家
群との露骨なる反目
對立
がありますし、またアジアにおきましても、中國、滿州におけるところの血みどろの國共の紛爭がある。朝鮮におきましても、三十八度の一線を盡して、そこには
米ソ
兩
勢力
團の深刻な
對立
が行われております。さらにこの
米ソ
ニつの
世界
の
對立
ということは、今囘の
コミンテルン
の
復活
ということを契機といたしまして、一段と露骨になり、遠く海を距てて南米大陸までこの
對立
の渦中に投ぜんとしておる現状でありまして、われわれは現在地球上どの一點を取上げてみましてもそこに
米ソ
ニつの
世界
の激しい爭いの姿を發見するわけであります。しからば新憲法によ
つて
身に寸鐵を帶びざるところの非武裝の
國家
となりました
日本
というものは、この二つの
世界
の激しい
對立
の間に處しまして、いかにして
國家
民族の安全を確保し、國權の囘復をはかるべきかという問題は、われわれのほんとうに峻嚴に考えなければならぬところであります。なるほど戰争はわれわれにと
つて
もうこりごりでありますし、また軍備の
復活
ということが許されようはずもありません。さりとてもしかりに永久中立の
可能性
というようなことを、現實に信ずる者があるといたしましたならば、それは歴史の現實を考えざるもはなはだしきものといわなければならぬと思うのであります。永久中立というごとき思想が、いかに
世界
情勢
の現實面において、はなはだ無にすぎぬということは、第二次
大戰
發生と同時に改められねばならなか
つた
ベルギー・オランダの運命、あるいはバルカン諸小國に遺されました足跡をながめましたときに、そうしてまた現に二つの
世界
のいずれか
一つ
に投ずることを餘儀なくされましたヨーロツパ諸國の姿をながめましたときに、きわめて明らかであります。しかりとするならば、われわれはもとより
アメリカ
的
世界
の陣營に投ずることによ
つて
のみ、初めてわれわれの平和安全の確保と、國權伸長の通が開かれるものと信ずるわけでありますが、片山首相はそのいずれの道を指向せんとされるのか。この點は今後の
日本
の進路を決定すべき分岐點でありますがゆえに、明確なる進路、御決意のほどを承りたいと考えるわけであります。
片山哲
12
○片山國務大臣 佐々木君がすでに御指摘になりました
通り
、ただいままでの歴史にあります永世中立國か、中立として、平和實現のための作用をなす
國家
として、そのカがなか
つた
ということはその
通り
であると思います。
日本
を永世中立國という古い型に入れないで、われわれは積極的に
世界
平和のために貢獻をし、
世界
平和の拍車をかける
國家
といたしたいと考えているのであります。その意味において、進んで國際連合に參加し、文化のために、文明のために、大いな貢獻をいたしたいという心持を、十分に
日本
國民
はも
つて
いると思うのであります。その意味において將來
努力
しなければならないのでありまして、今日われわれが
講和會議
に臨んでいくというゆえんも、一日も早く
日本
を民主々義
國家
とするのみならず、文化
國家
、平和
國家
としての實をあげていかなければならない、こういう意味に對して非常な熱望をも
つて
いることを、
世界
各國に示したいと考えているのであります。その意味から申しまして、非武裝化は少しもおそるるところはないのであります。眞に非武裝化たるわが國の特色を、
世界
平和の上に十分現わさなければならない好櫻會であると考えている次第であります。その意味におきまして、今日二つの思想が
世界
的に
對立
いたしまして、いろいろの問題を起しているのでありますが私の考えといたしましては
世界
第二次
戰爭
の慘禍の跡まだ絶えざる今日、再びかくのごとき愚をくり返すことは、おそらくは避けるであろうと考えているのであります。われわれ
日本
國とし、
日本
國民
としては、どこまでも憲法に示されておりまする
民主主義
の國として、平和主義に徹するの國として、閣内態勢を固めるとともに、
世界
各國の信用を得られるような動き方をしなければならないと思います。すなわち平和のうちに民主
革命
を行
つて
いくべく
努力
してまい
つて
おりますわが國といたしましては、眞實の平和的
民主主義
の覿念に、基本
方針
をおいていることはいうまでもないのであります。從いまして、共産主義によるところの政治的原理を、
日本
國民
及び
日本
國家
はと
つて
いないことは言うまでもないのであります。しかし現下の實際上の動き方といたしましては、連合國の占領下にあり、かつまた
日本
占領
政策
で示された極東
委員會
の具體的
方針
に
從つて
いかなければならないことは、佐々木君の御指摘になりました
通り
であり、また一般に是認せられている政治原理であり、
國民
の向うべき道はこれらによ
つて
具體的に示されていることもまた言うをまたないところであると考えている次第であります。
佐々木盛雄
13
○佐々木(盛)
委員
最後にもう一點だけお尋ねをしておきます。それは片山首相を黨首といたしまする
日本
社會黨は。イギリス
勞働黨
を兄貴とする、これを手本として進んでいくのだということを常々強調されておりますが、イギリス
勞働黨
にはマルクス共産主義を信奉いたしまするいわゆる左派のありますことは、今日
世界
周知のところであります。ところで、今日のイギリスは
アメリカ
よりの
經濟的援助
なくしてはその再建がきわめて至難であるということは、たれしもこれを認めているところでありますが、目下
アメリカ
のイギリスに對する借款供與等の問題が、イギリス側よりの熱烈なる嬰望にもかかわらず、行き惱んでおりますことは、
アメリカ
は、イギリスの政局を擔當する
勞働黨
の性格、その
政策
を歡迎しないからであるということは、
世界
の多くの
新聞
、電報がこのことを報道しまたこの言辭が廣く信ぜられているように思うのであります。翻
つて
日本
の現状をながめましたときに、
日本
の社會黨にもまたいわゆる左派なるものが存在しておりますことは、今日何人とても疑う者はありません。しかも先般の連立内閣
組織
の申出がありましたときに、わが自由黨吉田總裁は、われわれの意向を反映しまして、西尾書記長に向
つて
、左派の實體は一體何だということを質しましたに對し、西尾書記長は、みずから彼らが容共派であるということを明らかにされたのでありますが、このことを私たちは代議士會の席上承
つた
わけでありまするが、しかりとするならば、われわれはその事態がイギリスの場合、
日本
の場合との間におきまして、相通ずみ幾多の相似點、
從つて
多くの示唆をわれわれは發見するものでありますが、
日本
もまたイギリス同樣、
アメリカ
よりの
援助
なくしてその再建復興のほとんど不可能に近い現状を率直にながめ、そしてまた最近の
コミンテルン
の
復活
を契機といたしまして、特にその反共的態度を明確にいたしました
アメリカ
の外交
政策
を想起いたしまするときは、容共分子である多數の左派を抱きこんだ
日本
社會黨が、
日本
の政局擔當の立役者として、この
日本
興亡の運命を決する
講和會議
に臨むということが、はたして
日本
にと
つて
有利であるとお考えになるか。私はあるいは不測の不利なる事態が起きはせぬかと考えますが、これに對する首相の考えはどうか。またもしこれが非常に不利であるとするならば、片山首相は
世界
情勢
の急轉囘と社會黨の容共的なこの態度との矛盾をいかに解決されんとするのか、これらの諸點について腹藏なき眞摯なる御答辯を煩わしたいと考えるのであります。
片山哲
14
○片山國務大臣 佐々木君の御
意見
の中には多分に誤解があり、
事實
間
違つて
いる點もありますから御訂正願いたいと思います。社會黨は決して共産主義を容れておりません。容共分子はおりません。社會
民主主義
の政黨であることに徹しているのであります。私は社會黨の
委員長
といたしまして、
英國
勞働黨
の
やり方
を十分に考えて、その長所をと
つて
いきたいということを申したのは
事實
であります。それは長い間
民主主義
のために戰いまた健全なる社會主義
政策
を實際政治の上に現わしていきたいということを考えておる政黨である。しかも勞働組合と
勞働黨
との間にきわめて、緊密なる
關係
が結ばれて議會政治としてまことによき動き方をいたしておることは、われわれの大いに學ぶべき點であると考えたものでありまするから、前申し上げたようなことを言
つた
次第であります。しかし
勞働黨
の中に容共分子があるとか、
勞働黨
自體が容共派であるとか、そんなことは考えておりません。いくらかさような分子があるといたしましても、黨全體として、また黨を大部分支持しておる勞働組合としては、健全なる勞働組合であり、かつまた
勞働黨
は健全なる社會
民主主義
の政黨であり、議會主義を奉じておる政黨であるということを、今日もなお十分に信じておる次第であります。社會黨は、前にも申したように、綱領に明らかにいたしておりまする
通り
、
民主主義
の徹底ということと、社會主義を實現いたしたいということと、
世界
平和のために全力をあげて戰いたい。この三つを綱領にしておりまして、社會
民主主義
すなわち社會主義を
民主主義
の方法によ
つて
實現したいと考えるし、かつまた社會主義を
民主主義
と竝べて、漸を逐い、段を踏んで、順序を立てて進行したいと考えておる社會
民主主義
の政黨であります。この社會黨の
政策
を現内閣は十分に取入れたいと考えておるのありまするが、組閣
當時
においても、私の
意見
として發表した
通り
、現在の社會
情勢
及び經濟
情勢
は、
戰後
の疲弊が極度に達して、まさに破局寸前におかれておる。この危險を突破するためには、まず經濟危機突破
政策
というところに集中していかなければならない。この意味において三黨連立が一致團結をして邁進しよう。こういう
方針
で進めておるのでありまするから幾多の社會主義
政策
のうち、とるべきものもたくさんありまするけれども、現在の事情に即應せるもの、最も妥當と考えられる事項を漸次取入れておる程度でありまして、全部そのままも
つて
こようとか、あるいはまた黨で掲げておる
政策
をことごとく一ときに行おう、そぅいう考えを發表したことは今日まで一度もない。かようにして現
政府
といたしましては、あらゆる
情勢
を考え、現在の事情に即應して、最も必要と考える
政策
を民主的に行いたいと考えておる次第であります。
從つて
私はこれを表現として、高度
民主主義
の徹底をはかりたいということで現わしたような次第であります。高度
民主主義
は言葉が少し變でありましたから、一般の御了解を十分に得られなか
つた
かと思いまするが、
民主主義
の徹底を各方面にはかりたい。政治、經濟、産業、社會、日常生活各般に、
民主主義
の徹底をはかることによ
つて
、
國民
生活の向上も、産業の發展も、經濟の秩序囘復もはか
つて
、そうして民主化態勢を確立いたしたい。かように考えて、これを達成する
手段
は一に講曽によりたい。議會主義による
やり方
を徹底さしたいと考えておる次第であります。決して容共的であるとか、あるいは共産分子がはい
つて
おるというようなことはないことを、この機會に重ねて明白にしたいと存じます。
佐々木盛雄
15
○佐々木(盛)
委員
もう少しつつこんでお聽きしたいと思うことがあるのでありますが、他の
委員
の方からもこの際質問をしたいとのことでありますから、私はただいま片山首相が申されました、社會黨は共産主義とは一線を盡しておるということを、私が信じまするためには、西尾書記長の言明されました、左派の實體は容共派であるということを言われましたことがうそ偽りであ
つた
か、あるいは去る四月の總選擧以來、左派は早くも轉向したと了解する以外に途がないと考えまして、その意味で片山さんの話を承りまして、私の質問を打切りたいと思います。
安東義良
16
○安東
委員長
仲内君。
仲内憲治
17
○仲内
委員
大體私の聽かんとするところは、ただいま佐々木
委員
から各般にわた
つて
お尋ねがあ
つた
ようでありますが、私はこの際一、ニ希望を申し述べたいと思います。總理の御
説明
によりますと……。
猪俣浩三
18
○猪俣
委員
委員長
、議事進行に關して……。
安東義良
19
○安東
委員長
それでは猪股君。
猪俣浩三
20
○猪俣
委員
佐々木
委員
の發言をお許しした際、われわれも贊成いたしましたが、社會黨右派、左派という問題を、この外務
委員會
でおやりなさろうとは考えていなか
つた
。もう一遍採決を求めたい。われわれはそういう發言は希望しないところであり、かつ今の佐々木君の發言などに對しては、總理大臣の答辯の要はないのではないかと思います。さような意味で私ども許可したのではないのであります。
安東義良
21
○安東
委員長
ただいまの佐々木君の質問に對しましては、すでに總理大臣より明快なる御答辯があ
つた
と存じますから、佐々木君の質問はこれをも
つて
打切りまして、さらに他の
委員
の御質問に移りたいと思いますが……。
加藤シヅエ
22
○加藤(シ)
委員
今日は
政府
委員
の方がおいでになりまして、
コミンテルン
の
復活
に關する事情を聽取するということがそもそも初めでありまして、たまたま佐々木
委員
から御發言の御通告がございましたのに對して、總理大臣がその間にここに來られましたから、總理大臣のお忙しいことをお察ししまして、途中で今までの事情聽取を一旦止めまして、佐々木
委員
の發言を
皆さん
が異講なくお許しにな
つた
。こういう
經過
でございますから、佐々木
委員
の發言が終りました以上は、もとの
説明聽取
にお返り願いたいと思いますので、そのことを
皆さん
に諮
つて
いただきたいと思います。
安東義良
23
○安東
委員長
ただいまの仲内君の御質問は關連した質問だそうでありますが、この關連質問を許すことはいかがですか、仲内君に簡明なる質問をしていただいてやることはいかがですか。 〔「異讀なし」と呼ぶ者あり〕
安東義良
24
○安東
委員長
それでは仲内君。
仲内憲治
25
○仲内
委員
それでは簡明に質問をいたします。總理は終戰ないしは
講和會議
に備える
政府
の
方針
といたしまして、主としてポツダム
宣言
の
忠實
なる履行という、つまり民主化の方面に重點をおかれておるようでありますが、
日本
の現實の問題、殊に外交面から見まして、これは外からの要求、すなわちポツダム
宣言
受諾に伴う義務の履行と同時に、
日本
が敗
戰後
いかに生きるかという
日本
國民
自身の強き要望というこの兩面が、
日本
の外交ないしは將來
活動
の
中心
にならなければならないと思うのであります。すなわち民主化と同時に、
日本
國民
の生きる道を強く考えて、
政府
がこの實行に當るというところに、
國民
の強い要望があると存ずるのであります。しかも佐々木君の話のありました
通り
、今日、渉外事務は即實質的な外交であるということも私は全然同感であるのでありまして、しかも今日の終戰事務なるものは、
日本
國務のほとんど全般である。ことごとくがこれ渉外事務ならざるはなしという實請にあるのでありまして、渉外事務がいかに重要であるかということはいまさら申し上げるまでもありませんし、また
講和會議
と申しましても、
講和會議
そのものは十分間許されるか、三十分許されるかの機會にすぎないのではないかという憂いさえあるのでありまして、今日において備うることこそ眞の講和外交であると確信するものであります。殊にこの意味におきまして、ひとり外務大臣の行う渉外事務ばかりでなく、あるいは産業各大臣あるいは大藏大臣、各省の行われる事務、殊に經濟の企盡にあたられる經濟安定本部の仕事、これらの仕事はすべて關連性をもつものである。その首班として總理は國務を處理せられておるのでありますが、しかもこれはことごとく渉外事務である殊に今日の終戰の事務が最後的
段階
にまいりますると、
相當
指令の數も多くな
つて
きておるようでありますし、向うの指令もいろいろな部面から出ておるのでありましよう。
從つて
その間には大局的に見ますときに、多少矛盾なりあるいは不統一というものを感じられない點もないというようなこともあるのでありまして、それを調整して大局から
日本
と連合國との全體の大
方針
にこれを間違いなく指導していくという大きな
任務
が總理にあると存ずるのであります。すなわちこの意味におきまして、總理は外務大臣以上の外交家として、外交の責任者として、總司令部に對し、マツカーサー元帥を初め連合國の大物に常に折衝せられ、そうして
日本
の根本的な大きな問題を十分に連絡せられると同時に、
國民
の盛り上る要望、
國民
はあくまでも
忠實
にポツダム
宣言
の履行を身をも
つて
行
つて
おるのであります。これと同時にそんと竝行して盛り上
つて
おりまするところの、
日本
が生き得る途、これをいかに連合國が認めてくれるかということについて、ひ
とつ
この上とも總理の御盡力をお願いしたいという強い嬰望をこの機會に申し上げる次第であります。さらに………(「わかり切
つた
ことだ」と呼ぶ者あり)わかり切
つて
おりますから大いに要望するわけであります。 それはほんとうに
國民
の強い要望であります。 さらに先ほどの質問にありました終連の事務が内閣に移管されるという問題でありますが、これもただいまの私の考えと同樣に、終連事務は形を變えた外交であるという意味合におきまして、本來外交は内政に對して國政の半分の面であるのでありまして、
從つて
非常に間口は廣いのであります。その廣さは今日の終連と同じわけでありまして、何も問題が各省の事務に
關係
あるから、この終連の事務を内閣にも
つて
いかなければならぬという必要はないと思うのでありまするが、ただこれを強力に指導する必要があるということは私どもも認めるのでありまして、ただ、もはや終連の事務というものも、
講和會議
を控えて先が見えたにもかかわらず、今日これを内閣に移管される必要があるとするならば、それは今後
講和會議
に伴う事務もこの終連の機構の上において取扱うのではないかといぅような想像もせられるのでありまして、そうなるとますます外務省との機構が二重になる。いわゆる二重外交の弊を憂えられるのであります。ただ事務の重要性から内閣に移管するとするのでありましたならば、先ほど申しましたように、
日本
の外交が一外務大臣だけの仕事でなく、内閣全體、總理の主要なる
任務
であるという意味におきまして、移管せられたる終連事務というものは、總理の直屬にせらるるということを希望するのでありまして、どういう方面にこの移管の
組織
をも
つて
いかれるのか、この點ももしお漏しくださることができますならばお尋ねしたいと思うのであります。 それから
コミンテルン
の
關係
でありまするが、これは外務省の
政府
委員
の御
説明
では、直接
東亞
には
關係
がないだろう、少くとも當分はないだろうということでありまする、この點につきまして總理の御見解を伺いたいのであります。と申しますのは、
米ソ
の根本的な
對立關係
というもの、すなわち
世界
が完全に二つにな
つた
という
事實
は、今日何人も認めるところでありまして、この觀點からする
コミンテルン
の今日の
宣言
、そうしてまた
コミンテルン
の本質というものが、いわゆる國際
共産黨
と言われるように國際的である。決して
東亞
を除外するはずはないという心配からいたしまして、この
コミンテルン
の對象がいずれは
東亞
に來ると思うが、これをどうお考えになるか、殊に
東亞
におきましても朝鮮問題あるいは中國における中共の問題とか、現實にこれに直接關連をもつ問題があるのでありますから、この
コミンテルン
の
東亞
に對する將來の
關係
、ないしはもしこれに對する
日本
としての對策というものについて承れたら幸いだと思います。
片山哲
26
○片山國務大臣 要望がありましたので、要望に對して私のみ心構え、考えを申し上げたいと思います。現在は占領下でありまするから、特別の外交事務というものがありません。渉外的事務が多いと思います。この渉外的事務は、ただいま御
意見
の
通り
大體總理廳の事務として、これから扱うようになるであろうと考えております。從いまして、
内閣總理大臣
の外交に關する取扱事務及び心構えが、一層重大になるといぅ御指摘はごもつともであります。私は外交には素人であり、また
外國
にも行
つた
經驗
もありませず、儀禮とかあるいはいろいろのこまかいことは
承知
いたしておりませんが、しかし今後の外交はさような事務的な、あるいはまた
經驗
を通じて得られるものよりも眞に誠意を披瀝して、全
國民
の指示によ
つて
國民
の言わんとするところを率直簡明に表すことが、最も必要であると考えております。誠意と眞實が
事實
を明白にするゆえんでありまして、特別なる技術は必要ではないと考えておりまするので、眞に
日本
の民主化を達成せしめて、
日本
はかく進むのである。そのためにはかくして國際場裡に立
つて
世界
各國の信用を十分に得られる土臺をつくりつつあるのであるということを、率直簡明に表わす、そうして國際的な立場に立
つて
日本
の地位を明らかにすることが最も必要なことと考えて、その意味において
努力
いたしたいと考えておる次第であります。 なお
コミンテルン
の
關係
でありまするが、これは先に申しました
通り
、わが國の進むべき途、わが國の政治原理といたしましては、
民主主義
、平和主義による立場を堅持いたしておるものでありますから、共産主義とは相容れないことは言うまでもないのでありまするから、その線に沿うて今後の政治運用をいたすことは言うまでもないと考えております。
安東義良
27
○安東
委員長
それでは總理大臣に對する質問はこれをも
つて
打切りたいと思います。御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
安東義良
28
○安東
委員長
説明
員曾野明君、お續けを願います。
曾野明
29
○
曾野説明員
時間がございませんので簡單に引續き申し上げます。先ほど申し上げましたように、右翼の社會主義者は
アメリカ
の
帝國主義
の手先にな
つて
おると書かれております。本年の六月に十九
箇國
の
ヨーロッパ
の社會主義者がスイスのチユーリツヒに集まりまして、第二
インター
の
復活
の
委員會
を開いたのであります。やはり十二月にもう一度
會合
をプラツセルで開くことにな
つて
おりまして、十一日附の
プラウダ
にはこの點を指摘いたしまして、
自分
の方が九
箇國
の
世界
共産黨
をつく
つて
、
世界
の
コミンテルン
の
復活
だと言
つて
騷ぐけれども、社會民主黨も同じことをや
つて
おるのじやないかということを述べております。 その次に、
ソ連側
の今まで申しましたような
アメリカ
の
政策
に對する對策を賞めたのでありますが、簡單に申し上げますと、その對策の攻撃
目標
は、
米國
の
帝國主義
、その
協力
者英佛、それから右翼社會主義者、特に英佛、こういう三つが攻撃對象にな
つて
おります。そうして先ほど申しましたように、
米國
の戰術がきわめていろいろな手をと
つて
くるのだから、反
帝國主義
陣營は團結して共同動作をとらなければならねということを言
つて
おります。その際に各國の
共産黨
は自國の民族的獨立と主權擁護の旗印を
國民
に言
つて
、毅然として全力を盡さなければならぬ。そういうふうに全力を盡すならば、
ヨーロッパ
及びアジアにおきまする
アメリカ
の奴隸化計畫は實現されないであろう、こういうことを述べたのであります。 その次に、この
宣言
はそれでは
戰爭
が起る
可能性
があるかどうかということを述べておるのでありますが、
アメリカ
の
帝國主義
者たちは新しい
戰爭
を始めたいという希望をも
つて
おる、願望をも
つて
おるということを
判斷
をしております。しかしながらこのような
戰爭
をしたいという希望と、それが實現できるという
可能性
の間には距離がある。なんとなれば
世界
の諸
國民
は
戰爭
を希望していないからだ。だから
戰爭
に反對の
勢力
が結集したならば、
アメリカ
の侵略者の計畫は完全に失敗するであろう。そして
アメリカ
は
最初
に申しましたように、
戰爭
するぞ、
戰爭
するぞと言
つて
脅かすけれども、それで氣を弱くして讓歩してしま
つて
はその手に乘ることになる、こういうことを書いておるのであります。つまりこの
判斷
によりますと、
戰爭
の起こるか起らぬかは、
帝國主義
戰爭
に反對する
勢力
がどの程度結集できるかによ
つて
きま
つて
くる、こういう
判斷
をしておられるのであります。 最後にこの
宣言
は、それでは勞働階級はどういう態度をとるべきかということを述べておるのでありますが、
一つ
は、
自分
らの力をあまりに小さく評價してはいかぬ、それから
帝國主義
陣營の力をあまりに大きく考えてはいかぬ、こういうことをまず言
つて
おるのであります。それからその次に、
帝國主義
陣營の新しい侵略性に對して絶對に讓歩してはいかぬ、もし讓歩すれば彼らはますます侵略的になるというのでありまして、ここでミュンヘンの例をあげております。つまり
英國
が
ドイツ
に讓歩したために、
ドイツ
は次々に新しい要求をもち出した。もし今
自分
らの陣營が
アメリカ
に讓歩すれば、
アメリカ
はますます強く出てくるだろう、こういう
判斷
をしておるのであります。 そうして最後に各國の
共産黨
は共同の綱領によ
つて
國家
的、政治的、
經濟的
、イデオロギー的あらゆる面において侵路計畫に抵抗する先頭に立たなければいかぬ、こういうことをも
つて
この
宣言
に結んでおるわけであります。 終りの方は非常に簡單になりましたが、およそ今申し下げました
内容
をワルソーの九
箇國
共産黨協議會
の
國際情勢
に關する
宣言
はも
つて
おるのであります。
竹尾弌
30
○竹尾
委員
ちようと曽野さんに簡單にお尋ねいたしますが、今の訟明で大體わかりましたが、結果におきまして、
ソ連
は一九三五年八月の例の第七
囘大會
、あのときに
帝國主義
一般に對する鬪爭をやめて、御
承知
のように人民戰線をつくる、こういうことを言
つて
、それでその後
日本
開戰になりましてから、もう一層それに拍車をかけて、そして全
民主主義
國家
を打
つて
一丸としなければならぬということにな
つた
。これは御
承知
の
通り
であります。そこで今度の
コミンテルン
の一般原則としては創立
當時
のいわゆる
帝國主義
一般に對する鬪爭を
復活
させた、こう見て差支えないと思いますが、その點お答えを願います。 それからもう
一つ
はこの日米開戰のときに、例の
コミンテルン
の
解散
、一九四三年五月三十日のブラウダに出たと申されましたが、そのときには今度の
宣言
で
アメリカ
と
ソ連
の
戰爭
目的は
違つて
おる、こう
はつ
きり言
つて
おるようですが、あの
當時
の文獻を見ますと、ことごとく全部
米英
ソの
戰爭
目的は一致しておる。こういうことを
はつ
きり言
つて
おるように記憶しております。そしてそのときには日米
戰爭
今度の第二次
戰爭
がこれは非常に重要な點だと思いますけれども、連合軍、
米英
ソ側からすれば、これはいわゆる進歩
戰爭
で、祖國
戰爭
である。
從つて
これは非常に是認さるベきものである。こういうことを
はつ
きり言
つて
おるようですが、それも
ソ連
自體が今度の
宣言
でそれを否定していた、こういうふうに解釋します。そして第二次
世界
大戰
は現在
ソ連
としてはこれを
世界
各國
帝國主義
者の間の
帝國主義
戰爭
と見ておるのか、あるいはか
つて
一九四三年の聲明のごとく、進歩的
戰爭
であるとみておるのか、その點ひ
とつ
お答えを願いたい。
曾野明
31
○
曾野説明員
最初
の點でありますが、確かに反ファシズム戰線のときは資本主義の打倒を言
つて
おります。今度の
宣言
は、
アメリカ
帝國主義
の侵略性と言
つて
おりますのでその點は變
つて
きておるのではないかと思います。 それから今申されました第ニ次
世界
大戰
の初めに
英米
ソの方の行
つた
戰爭
は進歩的
戰爭
だという解釋を
當時
ソ連邦
はと
つて
お
つた
ことは
事實
であります。しかし
アメリカ
の態度がその後において變
つた
ために、
アメリカ
の
政策
は
世界
の進歩を妨けるのだという
判斷
に基きまして、
アメリカ
が今までの進歩性を失
つて
すでに反動性をも
つて
きた、こういうふうな見解で今度の
宣言
はな
つて
おるのでないかと思うのでありまして、つまり
情勢
の
變化
により、
アメリカ
の
政策
の
變化
によ
つて
、
アメリカ
の進歩性は失われてきたという見解をと
つて
おると思うのであります。その結果といたしまして、第二次
世界
大戰
はこの
宣言
の立場からいたしますれば、
帝國主義
者間の
戰爭
という解釋になるのではないかと思うのであります。但しこれにつきましては、
ソ連
の方はまだ明確なる見解を發表しておりません。
竹尾弌
32
○竹尾
委員
今の
説明
によれば明らかにこれは變節だということになりますか
曾野明
33
○
曾野説明員
つまりそれは社會の進歩に
從つて
、當然
情勢
が變
つて
くるという立場に立つわけでありますから。普通にいわゆる變節ではなくして、
情勢
が變
つて
きたために
判斷
が變
つて
きたのです。
竹尾弌
34
○竹尾
委員
この前の
判斷
と今度の
判斷
は變
つて
くるということになりますか。
曾野明
35
○
曾野説明員
これは往々あることでありまして、これだけに限らないと思います。
安東義良
36
○安東
委員長
ほかに御質問はありませんか。
竹尾弌
37
○竹尾
委員
簡單ですが、今曽野さんの御
説明
だと、
東亞
において戰亂がない、こういうことに歸著すると思いますが、例の三五年の王明、すなわち陳紹萬テーゼ、あの抗日統一人民戰線を否定するとすれば、
帝國主義
戰爭
勃發のおそれあることは明かでありまして、その意味から
東亞
に
戰爭
が起らないとは限らないと思うのでありますが、その點いかがでありましようか。
曾野明
38
○
曾野説明員
先ほど宣告の御
説明
に申し上げましたように、この
宣言
によりますと、ヨーロツパに對する
アメリカ
の
やり方
は全
世界
に對する計畫の一部にすぎないということを申しておるわけであります。この見解を擴めていきますと、
東亞
においてもやはり同じような
對立
が起ることを豫想しておるということはあると思います。但し現實の場合といたしまして、この
宣言
は
マーシャル
案自體に對抗する對策とも見られるのでありまして、
東亞
に關しては何ら具體的には述べておらないのであります。
安東義良
39
○安東
委員長
それではこれをも
つて
打切りまして、次會は來る二十日月曜日午前十時から打合會を開きます。先日差支えがあ
つて
出られなか
つた
公正取引
委員會
理事
島本融君から、
戰後
の國際經濟の動向について
説明
を聽取いたします。 本日はこれにて散會いたします。 午後零時二十一散會