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1947-09-18 第1回国会 衆議院 外務委員会 第7号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十二年九月十八日(木曜日)     午前十時二十四分開議  出席委員    委員長 安東 義良君    理事 細川 隆元君 理事 原 健三郎君    理事 堀江 實藏君       猪俣 浩三君    田中  齊君       高瀬  傳君    戸叶 里子君       仲山 マサ君   長野重右ェ門君       竹尾  弌君    佐々木盛雄君       仲内 憲治君    若松 虎雄君      唐木田藤五郎君    多賀 安郎君  出席政府委員         復員事務官   荒尾 興功君         外務事務官   磯野 勇三君  委員外出席者         議     員 黒岩 重治君         專門調査員   佐藤 敏人君     ――――――――――――― 八月三十日  在外胞引揚促進請願黒岩重治紹介)(第四一〇號) の審査を本委員會に付託された。 八月三十日  在外胞引揚促進に關する陳情書外一件(第一二九號)  在外胞引揚促進竝びに援護對策實施に關する陳情書外一件(第一六一號) 九月十三日  北海道附屬島嶼復歸懇請に關する陳情書(第二二九號)  在外資産の補償に關する陳情書(第二三一號)  南方殘留同胞引揚促進その他に關する陳情書(第二五八號)  在外胞引揚促進竝びに留守家族援護に關する陳情書外一件(第三〇二號) を本委員會に送付された。     ――――――――――――― 本日の會議に付した事件  講和條約に關連する諸問題の調査に關する國政調査承認要求の件  ソ連領からの引揚促進の請願境一雄君外五名紹介)(第二三三號)  在外胞引揚促進請願黒岩重治紹介)(第四一〇號)     ―――――――――――――
  2. 安東義良

    安東委員長 ただいまより會議を開きます。  日程第一、ソ連領からの引揚促進に關する請願文書表二三三號、紹介議員境一雄君でありますが、本日御出席がございませんから、私から代つて説明いたします。     請願依頼の件  我等小樽市民は昨秋市民大會を開催し、その決議に依りソ連領地に在る同胞引揚促進方御援助連合軍最高司令官マツクアーサー閣下及びその關係方面懇請いたしましたところ、幸にも昭和二十一年十二月より引揚が開始され現在續々と歸環して居りますことは、洵に有難く感激に堪えない處出ございます。  樺太地區に在る同胞引揚は、大體本年降雪期まで完了との事でありますが、シベリヤ地區およびソ連本土抑留中の同胞引揚は、現在の状態では今後尚二ヵ年餘を要しますとのことであり、気候風土を異にし、而も嚴寒の地のことで、引揚完了までには病氣其の他に依り相當の數の犠牲者が出ますことが想像され、留守家族の憂慮はもとより、我等同胞としてその辛苦を想います時、耐え得ないところであります。  玄に我等小樽市民は再び市民大會を開き、その決議により、當小樽市民竝びに其の目的を同じくする札幌市民と共に同胞引揚促懇願大運動を開始し、十二萬名懇願署名書を去る七月二十八日連合軍最高司令官マツクアーサー閣下に提出し、同文の懇請書を翌二十九日對日理事會議長アメリカ合衆國側總司令部代理ジヨージ・アツチソン閣下ソヴエト社會主義協和國連邦側代表ワヅマ・エヌ・デレビヤンコ中將閣下、中國側代表商震將竝び其の他關係方面に提出し、その御援助方懇請しました。全抑留同胞の本年内引揚完了は目下の急務であります。  何とぞ貴院において不幸なる抑留同胞歸環促進を神聖なる議會決議により關係方面懇請することを偏えに懇願致します以上のような請願であります。     —————————————
  3. 安東義良

    安東委員長 日程第二は同じく同胞引揚促進に關する請願でありますので、一括して議題に供したいと想います。文書表第四一〇號、紹介議員黒岩重治君の御説明を願います。
  4. 黒岩重治

    黒岩重治君 在外胞引揚促進請願につきまして、説明を申し上げます。私の紹介いたしました請願は、南方殘留同胞引揚促進國家族同盟高知支部代表者石川伊勢美外百十餘名の連署になるものでございまして、南方作業員として殘留いたしております人たち家族の者が、早急に歸環を促進するように政府の御努力を懇請をする意味の請願であります。異に敗戰關係で、英軍の方からはすでに歸環についての意思表示があつたにもかかわらず、船のまわりが思わしくないために、歸環ができないという實情を訴えておるわけでございますが、すでに連合軍最高司令官の方におきまして、十月末までに全部の歸環を取計らう旨を意思表示もあられたように承つておりますので、本請願目的はそれによつて十分達せられたことと信じます。從つて今後政府の豫期しております早急に期限通り歸環方が取計らわれますように、一段と今後の御配慮をお願いいたしまして、説明を終わりたいと思います。
  5. 安東義良

    安東委員長 本件に關しまして政府委員の御説明を願いたいと思います。
  6. 磯野勇三

    磯野政府委員 南方引揚状況につきまして簡單に申し上げます。南方作業隊として殘さておりました人員はおよそ十萬ありまして、本年の三月まではその歸環がいつ始まるかも見當がつかず、非常に憂慮されておつたのであります。かたがた現地における作業状況は相當過酷な状態で働かされておるというような情報もはいつてつたのでありまして、これが速やかなる歸環のために、司令部側とも密接なる連絡をとつてつた次第でありまするが、本年の二月に至りまして、やつと三月から日本軍送還を開始するということが英軍側で決定いたしまして、それによつて三月から始まるということだけはまずわかつたのでありまするが、はたしてそれがいつまでの期間に完了する豫定でもくろまれておるのかという點が一向わかりませんでありましたが、さいわいにして三月、四月、五月という當初の計畫も大量に運んでまいりました。しかしそれがはたしていつまで續くものやらいつ終わるものやら皆目わかりませんでしたが、これもやつとこの七月ごろに至りまして、本年一ぱいには完了する豫定であるという連絡が、英軍側から非公式にはいつた司令部の方からわれわれに傳わるところとなつたのであります。そこでおそくも本年のうちには南方作業隊引揚げが完了すると思つております。さいわいにしてその後状況はきわめて順調でありまして、六月、七月、殊に八月には大量の引揚げもありましたしそれから特にビルマに、おきましては、ビルマからの歸環は最も成績がよく、この八月の末に到達いたした船をもつてビルマの最後の引揚げが完了した次第でございます。ところでビルマ以外の英軍地域シンガポールからの引揚げは、本年一ぱいという話でありましたが、これもだんだん事態が進捗いたすにつれまして、およその見當は十月の中旬までに完了することが非公式ながら確かめられた次第であります。これによつて南方につきましては、久しく縣念の種でありました作業隊引揚げもすみ、殘るはわずか各地方によりまして數百名の戰犯容疑者、關係者あるいは證人というような特殊の少數の人が殘るというだけの状況になつております。初めに申し忘れましたが、蘭印地區にも一萬名ほどの作業隊員がおりましたが、この蘭印地區作業隊員送還に關しましては、オランダ側からも本年の當初連絡がありまして、五月から三箇月間にこれを完了するという計畫がわれわれのところにもたらされたのでありますが、この計畫はまことにきれいに進みまして、その三箇月間に完全に完了いたしました。從つて現在ジヤバ、スマトラその他のオランダ軍地域におります日本の兵隊は一人も殘存しておらない、もちろんこれは戰犯關係者その他を除きまするが、殘存しておらないということになつております。
  7. 荒尾興功

    荒尾政府委員 舊陸海軍復員の概況をまとめて申し上げます。お手もとに表が渡つていると思いますが、その第一表の方をごらんになりますと、今後復員を處理する在外舊陸海軍所屬者概數が載つております。すなわち未復員者の生存の概ね確實なる殘留者、それから生死がいまだ不明である者、これについては除きまして、その數が陸軍におきまして一萬七千、海軍におきましては二千九百、生死不明は陸軍で二十九萬、海軍で四萬六千、ソ連關係殘留者陸軍におきまして約五十七萬、海軍におきまして一萬七百、總計いたしましては舊陸軍が八十八萬、舊海軍が約六萬という數字であります。この備考欄に今まで歸環いたしました總數が載つております。すなわち陸軍が二百五十萬、海軍が三十三萬、合計二百八十四萬。この殘留者復員見透しもそこに書いてございます。殘る法務關係殘留者は、ただいま御説明のありましたいわゆる戰犯關係殘留者の數もそこに載せてございます。第二表にはその細分が書いてございますのでごらんおきを願いたいと思います。
  8. 安東義良

    安東委員長 ちよつと政府委員にお尋ねしたいのですが、五月以來九月初めまでに歸環した者の實數はおわかりになりませんか。五月から國會が開けてから、引揚げられた數ですね。
  9. 荒尾興功

    荒尾政府委員 調べましてあとでもつてまいります。
  10. 安東義良

    安東委員長 速記中止。     〔速記中止
  11. 安東義良

    安東委員長 速記を開始してください。御質問ありませんか。
  12. 竹尾弌

    竹尾委員 南方關係ちよつとお尋ね申したいのですが、八月の二十四日にシンガポールから船が出たということを聞いておりますが、それは事實でございましようか。
  13. 荒尾興功

    荒尾政府委員 今ここで何日に出帆したかということはちよつとわかりませんが、こちらに入港の日の今後の計畫はここに印刷してまいりましたけれども、前の記録はちよつと出ておりません。あとで調べて御返事いたします。
  14. 磯野勇三

    磯野政府委員 先ほど南方引揚げ状況につきまして概略申し上げましたが、全般のの状況につきまして、もうすでに御承知のこととは存じまするが、かいつまんで状況を申し上げたいと思います。  一言申し上げますと、引揚げ状況全般といたしましてきわめて順調に進んで参りました。先ほども申し上げましたように、南方はこの十月をもつて完了する豫定でございますし、中國地區につきましても華北、中華に多少留用者殘つておりますが、これも完了いたしておりますし、米軍地域當初に完了いたしましたし、朝鮮、満州につきましても、これも完了いたしております。ただ満州につきましては、これはこの六月ごろの數字でございまして、正確なことはどうしてもわからないのでございますけれども、大體中央軍治下に三萬無いし三萬五千、中共の治下に三萬ないし三萬五千おるものと考えられておりました。ところがこれは留用者でございますが、この人たち當初技術的な見地から留用せられているのでありますが、その人たちが腕を揮うための前提が非常に缺けておる現在の状態におきまして、留用者も十分にその職責を果たすことができない。かたがたいろいろな状況からできるだけ歸リたいという希望がいろいろな方法連絡はされておりましたので、常に司令部側ともそのことを話しておるのでありますが、この七月、八月にかけまして、遂に一部の留用者留用解除になりまして、七月、八月に、一萬八千八百名ほど歸つてまいりました。これはもちろん中央軍治下であります。それからまたその一萬八千八百名が歸りますことについては、いろいろ裏面の事情もございましたけれども、結局これが豫定よりか遅れましたけれども、その當時満州における共産軍の活躍というものが事態を緊急な状態においたために、かえつて大量に促進せられたという傾向もございました。そこでまた一萬五千ほどは殘つておるはずなのでございますが、その分につきましては、ただいまおもに長春方面からの引揚げその他が大體中心地區へ集まることが完了いたしましたので、近々相當の船を大量に派遣することになつておりますので、おそらくこの九月中に大體一萬九百名ほど引揚げることになつております。あるいはその際に溏沽におります留用者一千名というものも引揚げることができるのではないかと思つております。このようにすべての地域においてはきめて順調に進み、すでに完了した所が多いのでありますが、問題はソ連地區のみであります。一寸速記をやめて…。     〔速記中止
  15. 安東義良

    安東委員長 速記開始。御質問はありませんか。
  16. 竹尾弌

    竹尾委員 シンガポールの方から今後船が出ると思いますが、その見透しはどういうことになつておりますか。
  17. 荒尾興功

    荒尾政府委員 速記をやめてください。
  18. 安東義良

    安東委員長 速記中止。     〔速記中止
  19. 安東義良

  20. 田中齊

    田中(齊)委員 千島その他の島々における日本人の住民の引揚げはなされつつあるのか、あるいはこれらの島は平和會議において規則がきまつてから引揚げるのかそのことを承りたい。  それから今一つニューギニアその他の南方島々にまだ殘在兵力があるといううわさもあるのですが、これらを捜査して引揚げさせる用意があるかどうか、これも承りたいのであります。
  21. 磯野勇三

    磯野政府委員 第一の點につきましては、千島からの引揚者は二種類にわかれております。これは終戰直後からあつたことでありますが、脱走して北海道にまいりました者が相當でございます。脱走者だけの數字は今ちよつともつておりませんですが、これは相當數に上つております。これは距離も近いことでございますし、漁師というものは船に出る職業柄、船をもつて容易に北海道に渡ることができたようでありまして、脱走者の數も相當に上つております。それから千島から樺太に連れていかれて歸つた者も、これも數字をもつておりませんが、若干ございます。從つて千島引揚は一體どういうふうに行われるのかということについては、司令部ソ連側との協定ができましたときも、われわれといたしまして氣になりましたので、その點は確かめましたところが、これは一應樺太にもつてつて樺太から引揚げることになるのだということになつておりますので、從つてこの地域につきましては平和條約ができるまで留保をするということはございません。現に若干ずつ引揚が行われつつあるという状況であります。  それから南方島々豪州關係地域のみならず、その他の島々においてもまだ日本兵殘つておるのではないかということは、どなたもがもたれる御懸念であろうと思うのでありますけれども、これにつきましては、くわしいことは一復關係の方から御説明を願うといたしまして、要するに生死不明という分類に屬します者があるがために、そういう確認ができないという人員が、相當あるのではないかと思われるのであります。從つて常識的にはおそらく數字の上に現れたギヤツプというものは、大體においてはすでに戰歿ないしは海歿しておるのではないかということも考えておるのでありまするが、統計面に現れましたところと申しますか、司令部側で準備いたしました數字によりますと、豪州地域には日本兵は戰犯その他の關係者を除きましてはないというふうになつております。
  22. 戸叶里子

    ○戸叶委員 ビルマにおける戰犯關係の殘されておる人たちは、大體どのくらいでありますか。
  23. 荒尾興功

    荒尾政府委員 ビルマ殘つておる戰犯竝びにその容疑者百八十名でございまして、辯護竝びにこれのお世話のために管理要員としてただいま殘つておりますものが、四十六名、合計二百三十二名でございます。  それから先の御質問のニユーギニアとかそういうところに殘つておらないかという問題、それからこれを捜索するかというふうな問題につきましてのお答えをいたします。實は昨年島もしくは山々に殘つておるというような情報が多々はいりましたので、第一復員局といたしましては、當時参謀とか隊長とか、部隊状況、地理に明るい者を選抜いたしまして、現地に派遣をして、これを捜索する。なおこれに呼びかけまして全部救い出してくるということにいたしまして、でき得る限りの作案をつくりたいと思いまして、司令部におきましても非常な好意をもつて本提案を研究していただいたのでございますが、研究の結論は、貧弱な資材とか人員をもつてやるよりも、現在連合軍殘つておるものが大がかりにやつた方がよろしいという御判決のように思います。この結果現地に現在殘つておりますところの日本將兵をつかいまして、これを殘つておるという確報が上がり次第、日本からはたとえば總理大臣あるいは復員廳總裁、もとの部隊長あるいは参謀等に手紙を書かせまして、現地に届けます。そしてラヂオ放送その他によりまして、これを救出してもらつておる状況でございます。これは新聞にときどきペリリユウの救出、あるいは沖繩救出等のことが出ておりますが、こういう状態でありまして、確報のないものにつきましては、おそらく今向う側の言うております通りに、もう殘つておらないのじやないか。ただお留守宅におきましては、せめて生き殘つてつてもらいたいといいう御熱望があることは十分承知しておりますので、これが調査に對しましては、確實生死のほどを確かめましてから公報を出すように注意をしております。御了承願いたいと思います。
  24. 安東義良

    安東委員長 大體御質問も盡きたと思いますから、日程第一、第二の請願を採擇致したいと思います。御異議はございませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  25. 安東義良

    安東委員長 それではそのようにいたします。     —————————————
  26. 安東義良

    安東委員長 次に日程第三、講和條約に關連する諸問題の調査に關する件。これにつきまして國政調査承認要求書を議長まで提出いたしたいと思います。調査事項範圍は、講和條約に關連する諸問題の調査ということにいたしたいと思います。調査目的は、講和會議は現在日本の直面する最大關心事でありますので、講和會議に關する諸問題を研究調査するところにおきたいと思います。調査方法は官民各方面よりの意見聽取及び資料要求ということにいたします。調査期間は本會期中といたしたいと存じます。これにつきまして皆様の御意見を承りたいと思います。なおこれに關連いたしまして、問題によりましては小委員を構成して研究した方が都合がよいことが多いだろうと思います。相當問題が機微なことがありますので、今日の日本状況から判斷いたしまして、ときには非公開の少數の人によつて一應研究していただくというようなことが適當かと思いますから、その邊のところは御了承願いたいと思います。それは問題によりまして、そのときに應じ小委員會をつくつていくというような方法はいかがでございますか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  27. 安東義良

    安東委員長 ではそういうようにいたします。  今日はこれをもつて閉會といたします。     午前十一時三十五分散會