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1947-08-28 第1回国会 衆議院 外務委員会 第6号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十二年八月二十八日(水曜日)     午前十時三十九分開議  出席委員    委員長 安東 義良君    理事 加藤シヅエ君 理事 細川 隆元君    理事 堀江 實藏君       猪俣 浩三君    戸叶 里子君       馬場 秀夫君    小澤專七郎君       竹田 儀一君   長野重右ヱ門君       菊池 義郎君    佐々木盛雄君       仲内 憲治君    若松 虎雄君       多賀 安郎君    綱島 正興君  出席政府委員         經濟安定本   藤澤 次郎君  委員外出席者         総理廰事務官  深瀬  晃君     ————————————— 本日の會議に付した事件  貿易計畫に關する件     —————————————
  2. 安東義良

    安東委員長 會議を開きます。  先般經濟安定本部貿易局長藤澤次郎君から日本貿易に關する大體のお話を承つたのでありまするが、本日は具體的貿易計畫、殊に輸出入囘轉資金の今後の運用竝びに二十三年度の貿易畫及び長期日本貿易計畫と併せて、でき得る限りお話願いたいというわけであります。いろいろ制約せられた點がありますから、まことにお話にくいだろうとお察しいたしまするが、もし外部に漏れて都合の悪いようなことがありましたら、列席の新聞記者諸君にも注意を喚起いたしまするから、ご遠慮なくお話を願いたいと思うのであります。
  3. 藤澤次郎

    藤澤政府委員 ただいま委員長から貿易關係について詳しくお話しろということでありますが、おそらく皆さんのご期待になつているのは、例の占領下日本輸出入囘轉基金をめぐつて、いかなる貿易計畫を立てているかということが、美奈様の關心事であると思います。その状況はまだどこでも發表しておりませんが、できるだけなるべく簡單に、要點がわかりますように、お話いたしたいと思います。それから今年度の貿易計畫は數字をもつておりますから、これにつけてお話申し上げたいと思います。かねて美奈様も日本新聞には出ませんでも、時事通信というような外國電報には出ておりますので、それによつて安本でも、何かクレジットというものがわれわれに與えられるであろうという豫想もとに、七月の初めごろから大體どのくらいの程度のものが與えられるであろうかということをまず豫想をおきまして、二、三作業をいたしました。もしどれくらいのクレジットが與えられるならばどのような計畫を立てるかというので、七月の初めから安本の各局はいわば総動員いたしまして、貿易計畫を立てておつたわけです。たまたま八月十五日の民間貿易再開機會に、たいへんよい時期をねらつてマッカーサー司令部より、昨今皆様方のお耳に達しております占領下日本輸出入基金というようなものが、發表になりました。私どもはそれを從來いたしました作業と照らし合わせまして、大體私ども豫想したものに達したものですから、作業も今日では一段落したのであります。やがてこれを司令部にも御見せし、のみならず單に安本が机上で作文したというようなそしりを受くべきではありませんから、各省作業廳に全部おはかりして、さらにこれまた民間經濟團體貿易界産業界一般の人々に御披露して、そうしてだれが考えても日本經濟貿易のすすむべき途はこれだというようにいたしたい考えであります。今日は囘轉基金がすでに現實のものとなりましたが、われわれが豫想していたものと大體近いので、それをめぐつてどういうふうな構想をもつて、どういうふうにやつていくかということを一應申し上げてみたいと思います。  囘轉基金のことは大體新聞などですでに安本から発表しておりますので、おわかりのことと思つて話しを進めたいと思いますが、囘轉基金は一口に申しますと、日本の保有している金銀その他寶石類などを一應輸出入囘轉基金として認めていただいたわけであります。これは今日ではごく内輪見積つて一億三千七百萬ドルになつているわけでありますが、要するにこれは非常に内輪見積りだと思います。それに從來綿花貿易における総手取金を加えまして、それが訳七、八千萬ドルですから二億何がし、大體二億というふうに考えております。無效はむろんそういうふうに言つております。日本綿花貿易における純手取金というものは、今申し上げたように、七、八千萬ドルないし一億ドルと見積らせておりますが、これとてもきわめて内輪見積りであるらしい。相場の變動とか、その他のことを豫想して、よほど内輪にみておる。人によつて一億を越すだろうといい、私どもとしても一億近くのものが實現すればよいと思つております。ですから基金はもつと殖えるだろう。まず今日では金銀その他のもので一億3千七百萬ドル、これに加うるに七千萬ドル。そこで囘轉基金は二億ドルということで進んでいきたいと思います。それは基金としても使いうる。この基金の中から何千萬ドルを使うこともできる。同時にこの基金クレジットベースにも使える。それで基金が三割にいつもあるようにというのですから、約二億といいますと、これをクレジット基金として用いれば六千六十萬ドルくらいになるわであります。しかしクレジットの一項目として、日本輸出入貿易のためのみならず、日本経済維持のために、つまり一遍に消えてしまうもの、貿易にならないものに使つてもよい。これは基金の約15%を出ないようにというのですから、三千萬ドルです。これは一遍きりしか使えない。ですから綿を輸入して綿織物を出すということはそれにはいらない。あるいは鐵道の資材とか機械を買うとか、つまり日本経済のためになるけれども貿易品にはならない。にほんで消費してしもうものが一割五分だけ認められる。二億ドルの中の三千萬ドルはそういう方面に使える。司令部の方で日本クレジットは五億ドルとみたらよかろうというのは、二億ドルから三千萬ドル引きまして一億七千萬ドル、それの約三倍の五億ドル見當は囘轉して使える。こういうふうにみておる。そういうように私どもも理解している。これは今申し上げましたように、基金基金だけとして三千萬ドルとれば、殘りはそのまま使える。それをクレジットベースに用いれば、三倍以上に使えるのです。そういうふうにはなはだ運用がおもしろくできている。ですからこれは五億ドルにも、うまくいけば六億ドルにも使ひ得る。そういうことであります。それからさらにだんだん進んでいきまして、貿易じりが非常に日本に順調であつて、かりに一年に三億ドルの利益といえませんでも、貿易じりの純手取金が三億ドルに達したときにどうするか。そのあと日本經濟維持のために使うことができるかというと、そこに若干の制約がありまして、いつでも負債額の二分の一、純正味全員債の半分以上は使えない。一例をあげますと二億ドルの基金をもつている。これは一方は負債であるとともにまだ資産である。資本金というものはある意味負債ですから、實際基金が二億ドル、そうして綿花をかりに三億ドル輸入する、できたものが五億ドルになるとします。そうすると帳面づらは、もと基金が二億ドルと貿易の純手取金が五億ドルで七億ドルになる。今度は負債の方はどうかというと、二億ドルの資本金と、原料が三億ドルで五億ドル、七億ドルと比べて二億ドルの差ができる。つまり二億ドルというのは何に使つてもよさそうでありますが、これにはもとの二億ドルと原料の三億ドル、合計五億ドルの二分の一、二億五千萬ドル以上は使つてはならないという制約があります。だからこの五億ドルというのがもし六億ドルになりますと、八億ドルになるから、正味は三億ドルになります。そうすると三億ドルから二億五千ドルを引いた五千萬ドルが自由に使つてもよいということになります。  次に本論にはいります。安本では海外情勢、あるいはアメリカ方面情勢海外新聞に出た情勢考えまして、二億ドルくらいのクレジットを囘轉して五億ドルくらいは與えられるだろうと豫想しておりましたが、これが的中したと申しますか、そういう豫想もと仕事を始めておるわけです。しかし今申しましたように、六億ドル程度のものがクレジットとして利用できるのでありますが、それではいくらでも金が借りられるならうんとかりようというわけにいかないのであります。つまり胃袋が小さくなつているときに、たいへんな御馳走が來たけれども、それは一遍に消化できないというのが今日の日本経済状態であります。一例を申し上げますと、例えば綿紡にいたしましても、戦前には千三百錘もあつたものが、今日はどうかというと三百萬錘程度になつている。人絹にしても戦前の五分の一になつている。だから綿でもいくらでも買いこんでこなしていくというわけにまいりません。それだけ申し上げても、日本経済がいかに戦争中の企業整備あるいは繊細を受けて減つておるかということがおわかりと思いますから、五億ドルなり六億ドルのクレジットをそのまますぐには消化しきれない。  それではどのくらいの輸出入貿易ができるかということでありますが、御承知の通り日本貿易は書こう貿易によつてつてつた。綿にしても、米綿、印綿、エジプト綿南米綿などを商品化して、それを出して日本経済を賄つていた。綿に限らず、多くのものは原材料を海外に仰いで、それを加工して製品にして輸出していたのでありまして、この状態戦前も今日も變らない。そこで、一體どういう計畫になつているかということであります。ここでちよつと申し上げておきますが、基金を利用しての貿易畫といつても、まだこれですすむのだということにきまつているわけではございません。廣く一般にも訴え、司令部あたりからもこの邊でよかろうというお許しがなければできませんが、まず原料としてはどのくらいのものをもつてくるかというと、これは二億五千萬ドルくらいのものしかこなせないのじやないかと思います。それから原料加工に必要な動力とか燃料どもやはり輸入しなければならぬのでありますが、そういうものが九千萬ドルくらいは要るだろうと思います。そうしますと、これおを合計したものが、數字はちがうかもしれませんが、原料燃料動力で三億四千万ドルくらいのものを輸入したらどうかと思つております。一方、そういうものを利用して輸出し得るものはどのくらいかというと、これがまず七億ドルくらいと考えております。それから日本國原料つまり生絲とか絹織物、農水産物などの輸出が約一億ドル程度だろうと思います。それから日本の國内で、まずみんなが飢えないで、なんとか日本經濟を維持していくためにどのくらいのものを輸入しなければならぬか。これは食糧が一番多くて四億ドルくらいのものが必要であると思う。輸入の方の合計は全體で約八億二千萬ドル輸出の方は八億一千萬ドル貿易外収支、たとえば昔は日本海運國であつて運賃収入があり、おおきな保険会社保険金をとり立てるというわけで、そういうような収入があつたが、今日はそういう貿易外収入はほとんどない。今度はどういうものがはいるかというと、今日來ている貿易團が四百人ばかり代り代りおるだろうから、そういうものがかれこれ六、七百萬ドルあれば結構だと思う。支出の方は今までとは逆に船賃などを拂わねばならぬからこれが約二千五百萬ドルくらい。結局どちらも八億四、五千萬ドルということになつているわけです。  それは基金をりようして一生懸命やつた來年度どのくらいの貿易ができるかを示しただけで、必ずしも思う通りいかないかもしれません。しかし一つ私どもの心を明るくすることは、最近司令部から一九四八年度の、向う側でおつくりになつ輸出入計畫を示されましたが、たまたまわれわれがさぎようしてやつたものと非常な差がない、たいへん近ずいているということです。このことは日本經濟に對する認識がお互いに近寄つておることを意味しておる。ですから私どもみなが集まつていろいろ考え、つくりあげたところの貿易計畫が大體において向う側のものと似ておる。たとえば一例を申しますと、われわれはコメを五百萬トンくださいと泣き叫んだところでもらえるものではない。ところが向う側日本食糧に對してどのくらい要るかということの見當は、われわれよりは少し少いけれども大體當つておる。今日米の産額が約六千万石ということを土臺にし、それに應じて輸入食糧を計算するのですが、向うのほうで日本はもつとできると思召すかもしれない。そう言う差があるけれども、大體においてよく似ておる。それから少し話を進めて申しますと、まず七億の輸出をしようとすると、これに燃料動力が必要であることはだれでもすぐ考える。石炭三千萬トンは一生懸命やらなければならぬと言つておる。その石炭一トンさえもむだにつかえない。輸出が盛んになるからといつて石炭を賣つてもらわなければ實際仕事ができない。だから石炭動力をこの輸出に向けてもらうためには、よほど國内の必要量をカットして輸出に向けてもらわなければならぬ。それではまた國内が立つていけないので、どうしてもきに申したように、輸出するために若干の燃料動力輸入しなければならぬ。なおそれだけで足りないので、あらゆるくふうを凝らさなければならないが、とにかく輸出貿易を盛んにするためにはどうしても若干海外から仰がなければならぬ。私どもの方では輸出産業燃料動力をまわすためには、他から削らなければならぬ。それにはどうしたらいいか。それにはどうしても石炭輸入するとか、重油輸入するとか、鐵鋼輸入するとかしなければならない。石炭輸出産業にまわす、あるいは鐵鋼の方は、鐵鋼をつくるためにたいへん石炭を食うのですが、もしここに鐵鋼をある程度輸入すると、鉄鋼の生産を少々切られてもかまわない。その代わり鐵鋼を使う石炭輸出産業にまわす。こういう方法で進めていこうと思つておるのでございます。それでは石炭をどこから輸入するかと申すと、御案内のように北支開らん炭も多く期待できない。ソヴィエトのサガレンの石炭も、事情を聞いてみると自由に出せない。賣りたくても港にもつてくる設備もないらしい。沸印ホンゲー炭向う勞力不足であるし、輸送力もない。われわれは百万トンくらいは何とかしていれなければならぬという考えをもつておるが、實現できるかできないかわからない。またアメリカあたりでも重油鐵鋼もなまやさしいものではないらしい。けれどもとにかく筋道の立つた計畫を立てたのですから、これはひとつ司令部あたり十分お話をして、また基金を利用して輸出をやめるためには、どうしてもこういう燃料動力に對するご援助を願わなければならぬつもりで一生懸命やろう、大車輪にやろう、こう考えております。司令部側の方では石炭をうんととつたらどうかというお考えをもつておられるようですが、現在どこから石炭を入れるかわからないので、その邊のところは貿易廳がおやりになるでしようが、これは國をあげてやらなければならぬことです。われわれは大車輪にならつて輸出計画を実現するために燃料動力方面を何とかしてとつてきたいと考えております。  それからいつも問題になることでありますが、司令部の非常な好意のもとに、十月まで缺配なく濟むように輸入食糧の放出を許されておりますが、來年はどうかということは今日申し上げることはできませんけれども、今言うように、われわれ國民經濟を維持するための食糧は大體そろばんに入れてあるのです。食生活において一人の飢餓も出ないように、また治安を保とうという考えから、來年度もまた本年度のように入れていただけるかどうかわかりませんが、今までいただいたものも何も支沸いをせぬということではありません。その準備はいつもしていなければなりませんが、今まで通り向うから要るだけのものをいただけるかどうかはかかつて將來のもんだいであります。そういうことが今の囘轉基金運用してどういうふうにやつていくかという今日の構想であつて、ある意味から言えば理想案である。これだけでも各方面から十分検討をして妙案がありますればこれを受け入れる、こういうわけであります。それから委員長から先にご注文がありましたように、長期の計畫についてはどうか、長期の計畫を立てるといいましても、從來はこういう豊富なクレジットがないものですから、とにかく、貧乏状態のままでやつてきた。こういうふうに基金が與えられ、今後これを囘轉することによつて日本經濟活動ができますれば、それによつて日本長期計畫もそういうことをいつも頭におきながら立てていく門を締めてしまつておいて石炭が三千五百萬トンになればああだこうだ、ということはむしろ了簡が狭過ぎ狹過ぎはしないか。こういう囘轉基金を考慮にいれながらまず來年度つてみて、国力の伸展をはかつていく。たま國内の生産力考え合わして長期の計畫を怠りないようにやつていく。私どもの方でもそれを始めておるわけですが、長期の計畫に對してはそういう考え方で進んでおるわけです。  いじよう貿易囘轉基金を利用しての來年度貿易計畫のあらましを申し上げたのですが、もしご質問がありましたらできるだけお答えいたします。
  4. 綱島正興

    綱島委員 ちよつとお尋ねをします。石炭は百萬トンという大體の見透しのように伺いましたが……。
  5. 藤澤次郎

  6. 綱島正興

    綱島委員 理想として大體どのくらいの炭價にごらんになつておりましようか。
  7. 藤澤次郎

    藤澤政府委員 こつちから出すものは、はなはだお安く願つておるのですが、アメリカあたり石炭は、鐵より高いような石炭があるのです。これは話しにならないのですが、値段ということはある意味からいえば離れて考えなければならないのです。
  8. 綱島正興

    綱島委員 滿洲方面北支石炭はあてになりませんか。
  9. 藤澤次郎

    藤澤政府委員 開らん炭もいいとこら七、八萬トンじやないかというかんがえですが、もつと出るのです。それで何だか夢を語つておるように思召しですが、そう言いましても、今申し上げるように、司令部の大體の計畫があつて、われわれはそれでやつておる。それは相當懇請を重ねるつもりでおるのですが、石炭アメリカ炭などは三十ドルくらいになるのじやないかと思います。これはちよつと話しにならないのですが、話しにならなくても今言うように加工貿易だから、もつてきてそれをつくつたものが高く賣れれば、商賣人だからやります。この計畫をしますときは、二十二、三ドルとみておるのです。
  10. 綱島正興

    綱島委員 そうするとその餘の動力重油、輕油、それをどのくらい、價格をおつしやることが都合が悪ければ、およそ想像がつきますが、どのくらいを輸入可能とみられますか。
  11. 藤澤次郎

    藤澤政府委員 かのうでないものを言つたら、夢を語るということに聞こえるかもしれませんが、可能でないとは言いきれない。必ずその計畫が可能であるとも言えないのですけれども、私どもの常識で考えれば、もし値段を構わないことになれば、アメリカのごときには鐵鋼も仰ぎ得るのじやないか。重油も仰ぎ得るのじやないか。これは貿易局長一個の意見ですから、さようにお含み願いたい。値段の點は今言うように石炭なんかでも二十二、三ドルのものを、三十何ドルと言つておるのですが、言つておるのは値段だけで、心配する必要はないじやないか。もしその石炭使つてできた機關車なり、できた機械を償う値段でとれば、何もそう心配せぬでいいということです。
  12. 綱島正興

    綱島委員 支那の方にはどうしても輸入するような方法はつかぬですか。
  13. 藤澤次郎

    藤澤政府委員 どうも内乱で開らん炭も思うに任せないのです。今年でも二十七、八萬トンです。
  14. 綱島正興

    綱島委員 たしか戰争前は五圓七十錢くらいで來たと思つておりますが……。
  15. 藤澤次郎

    藤澤政府委員 昔のものは夢のごときものです。
  16. 綱島正興

    綱島委員 その當時中支でも十一圓くらいかかつた北支のものが六圓二十錢くらいです。
  17. 藤澤次郎

    藤澤政府委員 沸印なんかも、聞くところによると向うは勞働力が蒐集できないのです。だから日本から勞務者でも入れたらだおうかという案をもつておる人があるようです。
  18. 綱島正興

    綱島委員 私が伺いたいことは、大きなスケールを知りたいということです。それからそのスケールの基礎となる價格の要素を、ぼやつとでもいいから知りたい。實は私が意外に思うことは、七月七日附の大阪時事永井長官輸出入貿易に關する談が出ておりました。その大體の數字を申し上げますと、生絲の輸出額で約五億ドルと發表しておられました。
  19. 藤澤次郎

    藤澤政府委員 それは新聞尾間違いで、五千萬ドルです。
  20. 安東義良

    安東委員長 綱島委員ちよつと御注意申し上げますが、それは純然たる間違いで、訂正が出ておりました。要するに数字的な間違いでした。
  21. 綱島正興

    綱島委員 ただいま生絲は一オンスどのくらいしておりますか。
  22. 藤澤次郎

    藤澤政府委員 三ドル五十セントくらいに、これも値を下げなければいかぬです。
  23. 綱島正興

    綱島委員 六ドルくらいしておりませんか。
  24. 藤澤次郎

    藤澤政府委員 その點は貿易廳に聽いていただきたいと思います。最近のことは、知りません。今申し上げたように大體數字を示しましたけれども、これがいくらいくらということは、申し上げかねるということは、さつき斷つておいたはずです。ここに數字は出ておるのですけれども、今詳しい數字を申し上げかねるので、輪廓を申し上げたのです。
  25. 綱島正興

    綱島委員 主要な生絲であるとか、石炭であるとかいうものは、何がいくらするかくらいのことは明確に御存じなければ、計畫が立つわけもないし、そんなものはきちつとしておらなければぐあいが悪いでしよう。
  26. 藤澤次郎

    藤澤政府委員 きちつとできません。今世界の事情がはつきりわからぬことがありますから……。
  27. 綱島正興

    綱島委員 どうしてですか。向うにおいては生絲が一オンスいくらするかということがわかりませんか。
  28. 藤澤次郎

    藤澤政府委員 それは三千ドル半ということになつておるのです。
  29. 綱島正興

    綱島委員 私どもが得た資料では、大體六千ドルになつておりますが……。
  30. 藤澤次郎

    藤澤政府委員 あなたがお調べになつ資料が必ず正しいとは限りません。ですからたとえば生絲がどのくらい出るかとおつしやれば、個別にお話すればまた話しができることもあるのです。けれどもここで一々全部はお話できませんということを、前に斷つておきましたでしよう。
  31. 綱島正興

    綱島委員 それではあとで別の機會にお伺いしましよう。
  32. 佐々木盛雄

    佐々木(盛)委員 局長に一言お聽きをして、局長のこれに對する明確な返答をお願いいたいと思う。先ほどわれわれが來年度における貿易計畫における數字について、説明を承つておりましたときに、どうしてもトータルが合わないというので、おかしいじやないか、もう少し筋を立てて話をしてほしいと言いましたときに、これが合わないのはよほど頭が惡い。こういうことを國會議員に對して言うことは……。
  33. 藤澤次郎

    藤澤政府委員 これは懇意な新聞記者がおられたのでじようだんに言つたのです。
  34. 佐々木盛雄

    佐々木(盛)委員 ここは新聞記者相手ではなく、國會議員相手です。
  35. 藤澤次郎

    藤澤政府委員 それでは失言を取消します。
  36. 佐々木盛雄

    佐々木(盛)委員 それから漠然とすれば漠然とでもいいから、お話をされるときは、大體こういう話をしようということを、もう少し筋道を立ててお話を願わないと、私たち聽いておりましても、かんじんな貿易計畫について、安本なんというものは實に杜撰な計畫をされているように私は受取れるのです。だからもう少し、おいでになるときは、今日行つたときには、こういう話をしようという計畫を立てられて、わかりやすく筋道つてお話を願いたい。われわれ何も秘密であることか、觸れていけないことに觸れようという考えはもつておりません。承つてつて、一向筋道が立たなくて、ただ安本のけ威嚇は杜撰なものであるという結論しか生れないような氣がする。今後御處置願いたい。
  37. 藤澤次郎

    藤澤政府委員 ご質問の點はごもつともと思います。私が申し上げますように、生絲がいくら鐵鋼いくらということを、全部ここで申し上げる自由をもたない。けれども議會であるますがゆえに、今日は私は大體の輪廓を申し上げておこう。やがてこれは、各省にもみなおはかりしなければならぬことですからと、お斷りしてあるはずであります。數字細計が合わぬ點は、私が書いたものより五百萬ドルつたりしておりますから、違いますけれども、大體合うと思います。全體のことを詳しくおつしやれということを私に求められても、今日はできません。つまり、小さいこと、石炭一トンのことでも相當めんどうを起こす事態がありますから、その邊をお含み願つてお聴きを願わないと、私ども今日申し上げたことは、大體輪廓を話したと思いますが、いかがでありましようか。
  38. 加藤シヅエ

    ○加藤(シ)委員 今局長から御説明をいただきまして、ずいぶんお骨を折つてくださつたと思いますが、この前の打合會でも問題になりまして、この委員會では、もう少し十分な研究の發表を聽きたいんだということを、委員長にも特にお願いしてあつたのでございます。そういう矢先に、今日承りました御説明は、私ども新聞や何かで拜見した以上のことは、何も承れなかつたという強い印象を受けたということは、私は、議員として申し上げておきたいのでございます。
  39. 馬場秀夫

    ○馬場委員 ちよつと今のお話の中で、日本經濟維持のために十五%というのですね。食糧はどうですか。
  40. 藤澤次郎

    藤澤政府委員 食糧は別に賄うというそろばんでいつております。それはもし今のように、占領軍がわれわれに、あとで計算するにしても、とりあえず與えられているものは、食糧だけでも日本の要求を全部入れれば、それを勘定すれば三億以上になるのです。そうすると十五%ではとうてい賄えない。
  41. 馬場秀夫

    ○馬場委員 四億七八千萬圓というのは……。
  42. 藤澤次郎

    藤澤政府委員 それには國内鐵鋼とか、非鐵金屬とか、化學製品とか、みなはいつている。その全部は私ここで申し上げませんでした。
  43. 馬場秀夫

    ○馬場委員 主として食糧ですね。
  44. 藤澤次郎

    藤澤政府委員 食糧を三億一千萬圓も考えているのです。
  45. 馬場秀夫

    ○馬場委員 除外例で、必ずしも鐵則通りいかぬというわけですね。
  46. 藤澤次郎

    藤澤政府委員 いかないのです。
  47. 深瀬晃

    ○深瀬説明員 今局長の申しましたことについて、ちよつと補足して申し上げますと、大體食糧と肥料、それから食糧増産用、漁業用資材、こういう日本國民の生活を維持するに必要な物資は、大体米國の豫算で見てくれているわけです。これは救濟關係の保障は、はつきりわかりませんが、大體この勘定に見てくれるだろう。大體そういう見當でおりますから、今の勘定は大體合つていくのじやないかと思います。
  48. 馬場秀夫

    ○馬場委員 それはできますか。
  49. 深瀬晃

    ○深瀬説明員 結局食糧はこの勘定の中に見なくていい。こういうことになります。管理官がきめることですから、あまりこの場合深く追求しない方がいいのではないか。
  50. 馬場秀夫

    ○馬場委員 その場合は三億殘されるのですか。
  51. 深瀬晃

    ○深瀬説明員 はあ。
  52. 藤澤次郎

    藤澤政府委員 お氣にさるかもしれませんが、一五%の中ではやつておりません。
  53. 安東義良

    安東委員長 説明員の發言の際は、特に發言の許可をお願ひします。
  54. 藤澤次郎

    藤澤政府委員 たびたび繰返すようでありますが、この中には各省にまわつていないものもあるのです。それを本日私がここで、はなはだ雲をつかむような説明をしましたので、御不満でもありましたでしようが、私どもの立場を考えて御勘辯願いたい。それから、今年度の數字を出せとおつしやれば、あるいは書き物にして委員長にお出ししてもいいと思います。それはこの分ではございません。たとえば貿易をわれわれが一生懸命やる。實現するせぬは別にして、それの本年度のものなんかできておりますので、それを出し得る程度の出したいと思います。
  55. 安東義良

    安東委員長 そうお願いします。
  56. 藤澤次郎

    藤澤政府委員 一應議會にこれは出したかもしれませんから、それを確めて、出しておりませんでしたら早速こしらえて出します。
  57. 馬場秀夫

    ○馬場委員 貿易外收入で、今のバイヤースのものが八百五十萬ドルと聞いておるが……。
  58. 藤澤次郎

    藤澤政府委員 一日二十ドルくらい使うだろうというのです。
  59. 馬場秀夫

    ○馬場委員 三十ドルと聞いておつたが、三十ドルとしてもそうならない。
  60. 藤澤次郎

    藤澤政府委員 外國船の修理も少しあるのじやないか。これもほんの豫想であります。
  61. 馬場秀夫

    ○馬場委員 觀光關係はないのですね。バイヤースだけですね。
  62. 藤澤次郎

    藤澤政府委員 そうです。それと外國船の修理したもので、いくら日本にはいるだろうということも考えているのです。
  63. 馬場秀夫

    ○馬場委員 國内産原料は一億ドルくらいあるのですか。
  64. 藤澤次郎

    藤澤政府委員 生絲、織物一緒で四千四五百萬ドルくらいしか見積つておらぬのです。
  65. 馬場秀夫

    ○馬場委員 おもなものは何ですか。
  66. 藤澤次郎

    藤澤政府委員 生絲が五萬俵、織物が生絲量にして三萬俵くらいのところで見積つておるのです。その他農水産物なんかもあります。但し、陶器なんかは、燃料があるので、外國から仰ぐ原料という觀念の中に入れておるが、陶器なんかも入れればもつとあるのです。私の説明が足りませんでしたが、陶磁器なんかの考え方は、燃料がよけい要りますので、そういうものを外國から仰いだもので賄うために、外國から仰ぐ原料という觀念の中に入れて考えておるのです。
  67. 馬場秀夫

    ○馬場委員 前のははいつておりますね。
  68. 藤澤次郎

    藤澤政府委員 はいつております。
  69. 馬場秀夫

    ○馬場委員 茶は。
  70. 藤澤次郎

    藤澤政府委員 茶ははいつております。
  71. 馬場秀夫

    ○馬場委員 茶はどのくらいですか。
  72. 藤澤次郎

    藤澤政府委員 先に御質問を受けておりましたが、説明が足りませんでしたから補足いたします。國産原料においては一億ぐらいに及ばぬと申しましたが、これは陶磁器などのような石炭とか動力を使うものは外國から仰ぐということも考えに入れまして、國産の中に入れておりません。ほかの原材料も海外から仰ぐという部内に入れておりますから、國産の方は一億程度になつております。
  73. 馬場秀夫

    ○馬場委員 國産のおもなものについて一億というのは、大體どういうものですか。
  74. 安東義良

    安東委員長 ちよつと御注意申し上げます。懇談的になつて速記が非常にとりにくいということでありますから、はつきりやつていただきたい。ということは、これらの資料はやはり参考になるものでありますし、一々同じ事を繰返す必要もありませんので、特に速記させておるわけですから、そういうふうにひとつつていただきたい。
  75. 藤澤次郎

    藤澤政府委員 お茶は四百萬ドルぐらいです。
  76. 馬場秀夫

    ○馬場委員 今の國内産原料において、どれくらい見積れば一億になるかという質問をしておるのですが、生絲が四千五百萬ドル、お茶が四百萬ドルあとの五千萬ドルは何でできておりますか。
  77. 藤澤次郎

    藤澤政府委員 それは農産物を約一千八百萬ドルくらい、水産物を一千八百萬ドル、その他茶も入れて二千二百萬ドルくらいと見ております。そうしますと、生絲、絹織物を加えた繊維全體を五千五百萬ドル、そのうち生絲が四千五百萬ドルと見ております。
  78. 仲内憲治

    ○仲内委員 輸出の方は為替レート為替レートはどういうふうに豫想されておりますか。
  79. 藤澤次郎

    藤澤政府委員 今日まで為替レートはきまつておりませんので、今までこれくらいに賣れたというお知らせを政府から受けたものを参考にして、同時に今まで海外からの資料も得られませんでしたので、新聞などで得た材料その他で海外市場の相場を大體考えに入れてドルを見出しておるわけです。
  80. 安東義良

    安東委員長 日本側の貿易外支出は二千五百萬ドルと算定しておられたようですが、どういう種類のものがありますか。
  81. 藤澤次郎

    藤澤政府委員 國内航路用のものも外國傭船による必要がありますので、これを一五萬トンくらい傭船するのではなかろうかそうすれば傭船料千五百萬ドルくらいかかろう。そのほか一千萬ドルは何かわからぬものが入るんじやなかろうか。
  82. 安東義良

    安東委員長 貿易に必要な船舶の問題は今どんなふうに話合いが進んでいるのですか。
  83. 藤澤次郎

    藤澤政府委員 私明確な知識をもつておりませんので、あとで調べてお答えします。
  84. 安東義良

    安東委員長 ほかに御質問はございませんか。  それではこれをもつて散會いたします。   午前十一時四十七分散會