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1947-08-07 第1回国会 衆議院 海外同胞引揚に関する特別委員会 第5号
公式Web版
会議録情報
0
昭和
二十二年八月七日(木曜日) 午後二時六分
開議
出席委員
委員長
天野
久君
理事
庄司 彦男君
理事
中嶋
勝一君
理事
原 侑君 川合
彰武
君 高瀬 傳君
松谷天光光
君 吉川 兼光君 和田 敏明君 坂口 主税君
中曽根康弘
君 松本 一郎君 村瀬
宣親
君 竹尾 弌君 水谷 昇君 亘 四郎君 受田 新吉君
出席政府委員
復員事務官
荒尾
與功
君 ————————————— 本日の
會議
に付した事件
海外
同
胞引揚促進
に関する
決議案起草
に關する 件 —————————————
天野久
1
○
天野委員長
これより
會議
を開きます。
海外
同
胞引揚促進
に關する
決議案起草
の小
委員長
の
報告
を求めます。
中嶋勝一
2
○
中嶋
(勝)
委員
さき
にわれわれ小
委員會
に御委託になりました
海外同胞
の
引揚
に關する
感謝竝びにその歸還促
進に關する
決議
の案文の
作成
でございますが、小
委員會
におきましては
愼重審議
これの
作成
を
終つたの
でございます。ただいま朗讀いたします。
海外同胞
の
引揚
に關する
感謝竝
に其の
歸還促
進に關する
決議
(案)
衆議院
は、
連合軍總司令部
が
海外同胞
の
引揚げ
に關し、多大の
盡力
を傾倒せられあるに對し、玄に
感謝
の意を表すると共に、
終戰後滿
二ケ年を經た今日なお、
ソ連管轄地域
、
中共地區及び英軍管下
に殘留する約九十
萬同胞
の急速なる
歸還
の
實現
を期する。
政府
亦之につき全幅の
努力
を傾注すベきである。 右
決議
する。 以上の
通り
でございます。 ただいま議題となりましたる
海外同胞
の
引揚げ
に關する
感謝竝びにその歸還促
進に關する
決議案
の
趣旨
を辯明いたします。ま
づその全文
を朗讀いたします。 御承知の
通り
、
海外殘留同胞
の
歸還
につきましては、昨
昭和
二十一年六月二十八日
以來數囘
にわたり、本院において
決議
せられ、その都度
歸還
の
促進
が全
國民
の聲として内外に向つて強く叫ばれてまいつたのであります。
連合國側
、殊に
總司令部
におかれても、此の
國民
の
要望
にこたえ、
絶体
な
努力
をいたされました結果、
終戰時六
百數十萬を算えた
在外同胞
も、
終戰後滿
二箇年を經た今日では、
米軍地域
はもちろん、中
國地域
、
蘭軍
、
濠軍管轄地域
からの
集團歸還復員
は大體終了いたし、ただ
ソ連地域
、
中共地區及び英軍地域
のみに合計約九十萬の
同胞
が殘留するという、
状況
と相
なつ
ているのであります。 ここに至るまで
連合軍引揚總司令部
が
關係各國
との折衝、その他船舶の
増強等
なみなみならぬ各般の御
努力
に對し、われわれ
國民
として衷心よりの謝意を表明いたすものであります。 しかし、ただいまも申しましたる
通り
、
殘留同胞
の數はなお約九十萬を算えております。しかも殘留がいよいよ長びくに伴つてあらわれてまいりました慘状は、まつたく
想像外
のものがあります。もとの
軍人軍屬
の大部分が
作業隊
とし、最低限の
生活條件下
に
最高度
の勞働に服し、酷熱、嚴寒の地に骨身を削り、
勞苦
の上に
勞苦
を重ねているのであります。
一般居留民
もまた極度の
生活困窮
に直面していると傳えられております。しかも現在のごとき
歸還
の
状況
をもつてしては、
明後昭和
二十四年秋に至らなければ、
引揚げ歸還
が終了いたさないのであります。 かような
状況
におきまして、從來から起つておりましたところの
歸還促
進に關する
民論
は、現在の不安な世情を反映し、これまでとはまつたく樣相を異にし、ますます痛烈に
なつ
てまいりました。
留守宅家族
の人々の
非痛
な心情と悲慘な
生活
とは、時の經過とともにいよいよ筆舌に盡せぬ深刻さを加えてきました現實の状態は、
人道的見地
においてもとうてい黙視することができないので、各
方面
に熾烈な
引揚げ促進
の
國民運動
が擡頭するに至りましたことは、まことに當然すぎることといわなければなりません。
衆議院
におきましても、殊に昨年以來、
引揚げ歸還
の
促進
に、また
歸還
後の定著安定に、
國民
の
要望
に副い、あらゆる
方面
にいろいろと
盡力
をいたしてまいりましたことは、諸君御記憶の
通り
であります。新
憲法
のもと新たに
國家最高機關
としての
國會
が成立いたしましたる今日、われわれといたしましては、さらにここに
決意
を新たにし、この問題に處するの要ありと確信いたすものであります。
引揚問題
の
解決
は
人類普遍
の道徳及び正義の當然の要請であります。なお
日本國憲法
が理想とする
世界平和實現
のために、各
國民
の間に永く恨みを殘してならないことは申すまでもないところであります。さらに
ポツダム宣言
第九條により、
舊軍人軍屬
は速やかにその家庭に復歸せしめられることと相
なつ
ております。われわれは今日ここにあらためて廣く
世界
の人道を愛する公論に訴え、特に
關係諸國
に對しさらに衷情を披瀝して、
在外殘留同胞急速歸還
の
實現
を懇請いたさなければならぬと信ずるものであります。 現に
南方英軍管下
の殘留者の
實情
は、ここ一、二ヶ月以内、すなわち秋に入る前にこれを全部
歸還
せしめなければならぬ必要に迫られております。また
北方ソ連管下
からも、今後さらに二冬を過すというがごとき
事態
の發生せぬよう、
歸還速度
を極力早め、
遲くも
本年内に
全員歸還
をみるように
努力
いたさなければならないのであります。
政府
においても、去る七月一日、
片山總理
の
施政方針演説
で述べられましたごとく、
殘留同胞
の
急速歸還
の
實現
に
努力
することを
決意
せられております。
事態
は遷延を許しません。われわれはこの際あらためて
殘留同胞全員
が、
さき
に申しましたごとく可能の限り迅速に故郷に
歸還
し得るよう、あらゆる
效果的手段
を構ぜられんことを強く
要望
いたすものであります。 以上申述べましたごとく、われわれはここに
決意
を新たにいたし、
殘留同胞約九
十萬の
急速歸還
の
實現
を期して
萬全
の
努力
をなすことを誓いますとともに、
政府
に對し最善の
努力
を要求いたしますることが本
決議案
の
趣旨
であります。 何とぞ新
憲法下
の新しい
衆議院
として、本問題の
根本的解決
を
促進
しますため、本
決議案
に對し全員こぞつて御贊成くださるよう念願しつつ、
趣旨
の辯明を終る次第であります。以上。
天野久
3
○
天野委員長
ただいま小
委員長
の
報告
の
通り
決定するに御
異議
はございませんか。
天野久
4
○
天野委員長
御
異議
ないと認めまして、小
委員長
の
報告
通り
決定いたします。 なおお諮りいたしますが、本
決議案
の提出その他に關して
委員長
に御一任願うことに御
異議
はございませんでしようか。
天野久
5
○
天野委員長
それでは御
異議
がないと認めましてさよう決定いたします。 なおお諮りいたしますが、本
決議案
が通過いたしました後におきまして、
關係各方面
にそれぞれ陳情をいたしたいと考えておりますが、その順序、
人選等
につきましても
委員長
において取計らうことに御
異議
はありませんでしようか。
天野久
6
○
天野委員長
ちよつと速記を止めてください。
天野久
7
○
天野委員長
それではこれで散會いたします。 午後二時二十一
分散會