○小笠原
委員 今御
答辯による、官吏に
委員を選定云々ということは、私は
委員を選定するのに、官吏にやらせてもよいという話をしましたが、それはどちらでもよいのですけれ
ども、廣く
委員の選定方を求めた方がよいからという
お話に對しては、私も大臣に對しては御同意しかねる。なぜならば鐵道にいる人がかりに選定するとしても、先刻は選定という
意味じやなく、官吏にやらせたらという
意味でしたが、かりに大臣の御
答辯のように、官吏に選定させたら狹い範圍、知事に選定させたら廣い範圍、こう申されるが、鐵道の方がかりに
民主化した役人だということになりましたならば、この人らが
實際運輸
交通に對してはほんとうに明るい方々だ、その明るい方々が全國にわた
つて調査をしているその知能を合議して選定する方が、これは狹いでしよう。けれ
ども知事は多くは素人で、鐵道あがりの人で知事にな
つている人はめつたにない。それを縣會なんかで
委員を設けても、なかなか一人でやれるものではない。それらの人が選定してもどうにもならない。こう私は思う。特にこの
道路運送の
委員であります。今局長も見えられましたから、よく聽いておいてください。輕車というものが一體どれだけの
輸送の役割をするか。この方が鐵道の三倍半も
輸送しているということは、
運輸省で現わした統計によ
つても明らかである。こういう小さな方面の
輸送というものは國家にと
つて重大な問題である。それを含んだこの
道路運輸法の内容に對して、これをまた含んだところの
委員を一縣に一人にするということは、これくらい危險なことはないじやないか。かりに鐵道のことはわか
つても、牛や馬のことまで同じくわかるような人があるでしようか。ややもすれば鐵道といえば鐵道、
自動車といえば
自動車、大きなものに著眼しての論議をする癖があるのであります。
實際問題の
輸送というものは輓馬、
輸送牛、こういうものに大きな
輸送關係の場面があるのであります。これはなかなかたいへんな問題である。これはこまかく
具體的に言えば、大臣も局長もおわかりにならぬだろうから、そういうことをつつこんで言うわけじやないけれ
ども、それの
委員に今のようなことを一緒にやらせるということは、これくらい危險なことはない。
從つて狹い範圍内から選定するとか、廣い範圍内から選定するとかいう議論は、官吏が選定してしかるべきである、知事が選定した方が民主的だと言つた
つて、誰が聽いてもどちらもおかしな話で、どうせ理想的ないい人は出ない。兩方通じている人はありはしない。だから縣から一人などときめることは、知事がきめるのだからと大臣は仰せになるが、かえ
つて理論とか目標というものはない方がよいので、
實際えらい人物が出ると言つた
つて、そんなことはできつこないのだ。そういう
學識經驗者なんというのは、あるはずはないのだから、そこにも無理がある。大體この
委員を選定することに無理があると私は思う。そうして私は、この立法に
實際當つた人は
事務官であるか何だか知らないけれ
ども、各省の立法の
方針を見ておると、だんだん將來官營化するような
方針に見える。石炭ばかりではない。いろいろなことを官營化するような前提でこしらえておるのではないかという疑いが私
どもにはある。これもその
通りである。官營
自動車の方はりつぱにどんどん走らせてお
つて、民營の方は
資材も與えないで、へたばらせて、鐵道の方ではこしらえさせないでおいて、そうしてこれを輿論なりと言
つて、あなた方の力さえ備わればいい。全部官營の目標に沿うためのものである。
民主化と言
つて逃げるために、知事に選任させる。知事に選任させるといつた
つて、それは鐵道の方の素人である。何かつくらせれば、今までの案はごもつともだ、贊成なりと言うに違いない。多くの
委員會は、これらの
委員のたれも彼も、ろくに覺えているものはない。少くとも一縣から三人で、
業者から一人出そう、あるいは經營者から一人出そう、また
學識經驗者から出そう。こうやるというのならば、まだしも私はいいかと思うのだけれ
ども、今のやり方を見ると、全部官營化する目標で出發するのではないか。こうにらんだゆえんはそこにあるのでありまして、また
實際的にそう行
つておる。現在のところも行
つている。今どなたか挺身的に
資材その他のことを御
答辯なさると言うから、承
つてもいいが、しかしそういう空念佛的な挺身隊であ
つても、私は
實際は
資材を與えていないと思う。強いて與えていると言うならば、私は計數をちやんとい
つてきて—
實際問題として、一車も二車も渡らぬものがある。生産能力、あなた方の許可を與えた數、配給
機構について、どれだけどこへ行つたかということは、末端を調べればすぐにわかる。しかしそういうものまで議論をしようと思
つて私は起
つたのではありませんが、少くとも大きな目標は、これは大臣でお知りにならないでも、官營化する前提の
法案ではないかという疑いが非常に濃厚であるから、それを私は伺うのである。これは輿論をつくるために一番いい材料であるから、すべての問題がそこに行く。人工的に強壓的にやる。これぐらい官僚獨善のものはありはしない。多くのものは強制されて、そのまま官僚に引きまわされる。ゆだんは決してできない。大臣になれば忙しい。だから私は
實際問題を伺
つておるので、決して苫米地君もごゆだんなく、周圍を警戒されて進むべきだと
考えております。