○
館委員 ちよつとけさの質問のむし返しの
ようですけれ
ども、諸情勢について、ほかから聽いたことによ
つて、
説明を追加させていただきたいと思います。概念的にけさからずつと聽いたところでは、
水産廳の御
説明は、とにかく
水産が食糧として大きくクローズアツプされたという點、あるいは重井君がそれをさらに擴大して、日本の産業の大きな立脚點からもこれを
考えるべきものである、單に現實に困
つておる食糧自身のために
水産廳が便乗したという印象を與えるのはよろしくない。
水産廳を
考えるならば、もつと大きなスケールにおいて
考えなければならないというところを一本つつこまれておる
ようですが、いずれにしてもとにかく自然發生的に、
水産が大事であるから
水産廳をこしらえなければならぬという觀念論、その觀念論が横行しておるのでありまして、それが具體的な問題にまで研究されることが非常に足りないと思う。だんだん聽けば聽くほどあなたがたの所論はきわめて薄弱である。しかもこの問題が單に
運輸省のみに
關係したことでなく、商工省の方にも
關係をも
つておるということになりますと、これはなかなか容易な問題でなく、十分に檢討を加え、しかる後一定の方針がきま
つたら、そこで初めて大きな政治的な動き、あるいは決斷というものができるのでありますけれ
ども、現實の段階においては、まだ決斷をどうするという段階にまで研究が積まれておらない。まだ確信がい
つておらないという印象を多分に私は受ける。非常にあぶ
なつかしいという印象を多分に受けるのであります。そうしてまた非難をするわけではありませんが、大體
水産局というものは、
從來地方あるいは中央の
水産業界の
人たちの
意見のみを聽いてお
つて、それのみが
水産局なり
水産廳の
水産行政というものの主體をなしてお
つたきらいが非常に多いと思う。今重井君からもそれらしいことがありましたが、
水産委員會にしましても、
水産の
業者がここに委員にな
つておるということも
一つの考慮の中に入れなければなるまいかと私は思う。參議院の
水産委員會はあるいは贊成であるかどうか、おそらくそういう
人たちが集ま
つておられるならば贊成しておられるだろうと思います。參議院の
運輸交通
委員會では、正確には聞いておりませんから、
水産廳の
設置に反對しておられるかどうか知らぬが、とにかく
運輸行政の上から見て、
造船の
一元化をやるということには絶對に反對だと言
つておるということを聞いております。また
水産委員の
人たちも、
造船あるいは
漁船、そういうものの今までの
行政のあり方について深い考慮を拂うことがなくして、そういう小
委員會がもたれたきらいがあるのではないかということを
考えます。そこが非常に違う感じがいたしますので、
委員會といたしましても、また贊成なさ
つておる政府當局としても、その間を十分まだまだ檢討し、確固ある方針をきめられる必要があるのじやないか。しかる後、その功罪をはつきりさせて、それでこそ初めて政治的な決斷を要する段階にも到著する。
お話を承
つておりますと、商工省の繊維局では
事務的には非常に困難である。これは政治的に解決すべき問題だと言われたのであります。その政治的に解決するところの基本的な觀念がまだ整
つておらぬと私は見る。こういうことに對しては御贊成をし兼ねるのであります。
勞働者の
立場についても、仄聞するところによれば、海員組合は
水産廳の設立に反對であるという
意見を私は聞いております。
農林省の
お話では、働く者も
經營する者も、ともに
一つにな
つて水産廳の
必要性、あるいは
水産行政の
一元化を望んでおるということを言われるのでありますが、私は必ずしもそうは思
つておりません。もしそうであるならば、もう少し地方の農漁村の、農業もやり、
漁業もやり――さらにまたさつきの
勞働者と
經營者の數がわけにくいと言われた
ようなそういう形のところは十分にあります。そういう階級の小企
業者の
意見も入れられたところの漁村の民主化について、今どういうことが要求せられておるかということろに、大きな
水産行政の問題があるのであります。そういうところを十分剔抉すべき必要がある、そういうことから
考えてい
つて、どうしても
水産廳の
考え方をもつと深く、もつと幅を廣くして國政全體とどういう振合いをとるのか、また
行政機構の上においてどういう摩擦が起き、どういう整理が要るのか。そういうことについての私の受取り方が、きわめて頭が惡いのかも知れませんけれ
ども、非常に薄弱である。もう少し練り直される必要があるのじやないかと私は思います。少し
考えた方がじみちな道を離れて、先走りをし過ぎておるという感じを受けるのであります。今のところまだまだ
造船を
運輸當局から離すというところの御
説明は納得し兼ねるのであります。そういうことを申し上げておきたいと思います。いろいろの
機構が改變されるけれ
ども、
機構によ
つて物が動くのではなく、そこにはさま
つた人の問題であります。いかに
機構をりつぱにこしらえても人がうまくなければどうすることもできない。
水産行政機構においてそれだけの熱意がありましたならば、今の
機構においてでもうんと熱意をあげられ、また
運輸省が非難されるところがありましたならば、それについても十分なる連絡と熱意をも
つておやりに
なつたならば、私は十分この
造船の問題は解決がつくものと思います。また
局長は勞務
行政については今までの
通りにしておくということでありますけれ
ども、海員組合が反對するということは、たとえば海上
勞働の問題を陸上の
勞働者に一緒にするということは、特殊事情があるから一緒にできないということで二元的にな
つておるのでありますが、この
農林省に属する
漁船に乗組むところの
船員、あるいは
漁船に乗組む
漁夫の問題も農林
行政と非常にマツチするのであります。そういうところも十分
考えて、ただ單に
運輸省海運總局の
船員法その他にのみ預け放にしておいて能足れりという
農林省の話ではいけないと私は思う。
造船の面でも結局私は
勞働關係に附随してくる。そういうことにおいて、ここに大きな
水産廳の
機構が要るという立論にもなりますが、それと同時にまた現在の物資が足りない。
機構が惡くて物資が潤澤にまわらないのでなくして、物資がないのでまわらないという半面を十分お
考えを願いたい。今井仁さんが言われた
ように物資がないのを
機構いじりをして、それで完全にできるかどうかということであります。もちろん艦政本部の
資材が殘
つてお
つたら品物ができたということもわかるのであります。それがなく
なつた今日においては、いろいろの
資材その他にもますます缺乏してくる。そういうときに、
機構によ
つてそれが獲得できたりする
ようなものでは私はないと思います。殊に
經營者の
水産局に要求する實意というものは、値の面にあるのじやなくて、かえ
つて商工省の管理しておるそういう物資の面において非常に矛盾を感じておるのじやないかという感じがいたします。また
造船の方にいたしましても、トロール船が多く
なつたり、いろいろ
關係がありまし
よう。それはその局に當る
人たちの割振りの
やり方がまずか
つた。あるいは
終戰のどさくさで農林
行政がしつかり立たないうちに、どしどし船がなく
なつたから、こしらえ
ようという、そういう
考えから、基本的なものを定めないうちにでてきたのじやないか。またやみ船にしても、在來のトロール船というものの監督、新しい船の
建造その他のことについてはちやんとうまくや
つてお
つても、それらの船の監督、あるいは登録という
ようなことですが、そういうものについて非常に缺陷があるのではないかということが
考えられまして、
機構が貧弱であるからということでなく、現在その
機構をすみからすみまでりつぱに履行するだけの熱意が足りないために、いろいろのことが起るのじやないかという氣持がずいぶんいたすのであります。
實際の内情へはいらないから、私の
立場は非常に暴論であるかも知れませんけれ
ども、しみじみそういう印象を今の
お話から受けざるを得ないのであります。