○
館委員 その
漁業勞働者は、もちろんこの
船員法關係の取締りを受ける範囲内ではありません。
船員法に關連するものは、船を動かす船員のみに
關係することでありますか、私がここで申しますことは、
運輸行政の上の
船員法というものとは少しはずれておるのでありますが、失業對策のところでもいろいろ話をしておりますけれども、北海道に住んでおるとわかりますが、北海道の
漁業の移動勞働者というものは年間五萬人は動いてお
つたのであります。これは東北各六縣から、あるいは北海道の東南地方から、最初は日魯の漁場あるいはにしん漁場に行く者があ
つたけれども、それがさらに食えなくてにしんが終ると、北洋に出掛けて行
つて八月末に歸
つてくる、歸
つてくるとすぐまた食えなくて身賣りをして、いかつりの
漁業に轉換する。いかつりの
漁業に轉換して、それが終ると食えなくてまた身賣りをや
つて、いわしの漁場に勤める。そうして十二月になると
ようよう一月くらいはうちへ歸
つておる。その期間ににしん漁場とカムチヤツカ漁場が始ま
つて、東北六縣に漁夫募集にくるという
ような
状態で、移動勞働者がはなはだしく多いのであります。その移動勞働者がどういう
状態で勞働するかというと、大體
漁船に乘
つて遠方に出掛ける、カムチヤツカへ出掛けるところの
漁船に乘り込んでいくのであるが、それらは人間としての待遇を受けておらない。從
つてカムチヤツカにいくときにはほとんど荷物の上積みにな
つていく。歸るときもカムチヤツカの鹽びきの上に乘
つてくるのである。五百トンか六百トン、多いのは三千トン、四千トンの船でありながら、船室もなければ何もない。はなはだおかしいことを言うのですが、歸りのカムチヤツカの鹽ますの上に小便も糞も垂れ流してや
つておるという
状態であります。こういうことが保護さるべきどの法律をも與えられておらない
状態でありまするが、
船舶建造の上においてそういうことが十分考慮され得る
ような
資材もその他の餘地も今はありませんでし
ようが、そういうことも十分考慮していただきたい。船客がその
通りでありまするがゆえに、ましてその船客を遇するところのいわゆる
海員法の適用を受ける船員というものはそれ以下の生活を船内でや
つておるということである。それが單に
漁業經營者の恣意のままに
造船ができる――現在の正確な
檢査規定が
造船を遲くせしめるものである、あるいは手續がそういうことを遲くさして
國家の要請にこたえられないという名目のもとに、
漁業船舶の
建造が非常に粗末になる、すなわち安上りになる。從
つて個定資本も少くなるという
意味から、そういうものを主張される半面がもし
農林省にありとするならば、私は勞働者の
立場において
絶對にいけないと思う、それはいかに多くの
漁船が沿岸に沈没したりなどしておるかということによ
つてもわかる。
漁船というものはますます
建造を強固にし、あるいは羅針盤をつける、あるいはもし許すならば無電をつけるくらいに發達するべくこれを助長するのがあたりまえだと思う。そのためにも
船舶行政というものを大きく上から一元化していくことが最も大切なことではないかと私は思う。經營者の腹を惡推量をする
ようでありまするけれども、もしそういうことであればいけない。そういうことでなくても、今の立論の上からい
つて、この
船舶行政をいかに一元化するか、
農林行政をどうして一元化するかということに問題の歸著點があると思いますが、その點を十分考慮して、
農林當局が出た場合に、十分にそれを聽きわけてみたいと私は思う、今までのところは旗はあげかねるのでありますけれども、そういうことを十分に考慮に入れていただきたいと思うのであります。