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1947-07-21 第1回国会 衆議院 運輸及び交通委員会 第4号 公式Web版

  1. 会議録情報

    付託事件  海運組合法を廢止する法律案内閣送付)(豫  第三号) ————————————————————— 昭和二十二年七月二十一日(月曜日)     午前十時四十三分開議  出席委員    委員長 正木  清君    理事 前田  郁君       井谷 正吉君    佐々木更三君       島上善五郎君    館  俊三君       成重 光眞君    矢野 政男君       山崎 岩男君   小笠原八十美君       高橋 英吉君    田村 虎一君       中野 武雄君    前田 正男君  出席國務大臣         運 輸 大 臣 苫米地義三君  出席政府委員         運輸政務次官  田中源三郎君         運輸事務官   伊能繁次郎君         運輸事務官   牛島 辰彌君         運輸事務官   郷野 基秀君     ————————————— 七月十一日  海運組合法を廢止する法律案内閣送付)(豫  第三号) の審査を本委員に付託された。     ————————————— 本日の會議に付した事件  國鐵日通、及び私鐵の各勞働組合に關する説  明聽取     —————————————
  2. 正木清

    正木委員長 會議を開きます。  これより國鐵勞働問題に關して、當局より説明を聽取いたします。牛島政府委員
  3. 牛島辰彌

    牛島政府委員 私、鐵道總局職員局長牛島でございます。國鐵勞働組合運動につきまして、簡單に御説明申し上げたいと思います。お手もとに差上げてございます國鐵勞働組合概況を作成してまいりましたので、この概況書竝びに國鐵勞働協約の解説に從いまして、要點だけを申し上げたいと存じます。  話の順序といたしまして、第一番目に國鐵勞働組合運動の、本日までの經過の概要を申し上げたいと思います。國鐵勞働組合運動の經過を大別いたしますと、大體五期にわけ得ると思うのであります。第一期は、昭和二十一年の二月に國鐵總連合結成されるまでの時期でございまして、第二期は、二十一年の九月の例の馘首絶對反對ストライキ問題が妥結したまでの時期、第三期は、昭和二十二年二月の例の生活權獲得ゼネスト問題が、妥結と申しますか、打切られたまでの時期、第四期は二・一ゼネスト以後、六月に國鐵總連合が單一に結成されたその大會までの時期、第五期は、その單一組合結成後本日に至るまで、こういうふうにわけ得ると思うのであります。ここにも書いておきましたが、終戰後國鐵といたしましては、勞働組合結成いたす前に、上下の意思疏通の機關といたしまして、昭和二十年十一月一日に鐵道委員會というものをつくりまして、部内で發足いたしたのでありますが、しかし勞働組合法成立竝びにその後におきます社會、經濟界の情勢の變化によりまして、急速に鐵道委員會は發展的に解消いたしまして、勞働組合結成されるようになりました。その當時におきましての情勢もそこに書いてございますが、結局この勞働組合を全國的に單一するか、または連合體にするかという點におきまして、いろいろと折衝はあつたようでございますが、結局連合體といたしまして、昭和二十一年の二月に發足いたすように相なりました。この連合體としての總連合結成されまして以來、一面非常に物價騰貴生活の不安にかられました從事員一同は、非常に生活不安に襲われたのでございますが、例の七月一日の全官公職員に對するところの給與改善案によりまして、一時小康を得たように思われました。その後七月末におきまして、國鐵經營合理化の見地から、人員を整備し、さらに必要な部面に増員をしようというような管理者側からの申出を契機といたしまして、例の馘首絶對反對ストライキが起りました。これも九月十四日に政府側組合側との妥結によりまして、一應收まつたわけでございます。この結果當局としては、從來整理案というものはこれを取消すことにいたしました。ただ今後におけるところの、一面において過剰人員があり、一面において不足人員があるというような點につきましては、これを極力配置轉換を行う、また惡質者はこを整理していくことによつて、九月十五日のストライキは一應妥結したのであります。その後さらにインフレーシヨンの進行に伴いまして、生活の困難がようやく極度に達しつつありましたので、二十一年の十一月に國鐵總連合といたしましては、大會をもちまして生活權獲得要求書を提出いたしました。そうして管理者側交渉を開始するに至りましたが、この鬪爭は全官公吏の問題に發展いたしまして、例の二十二年二月一日を期してゼネストをする、いわゆる二・一ゼネストの態勢を整えるに至つたのでありますが、その筋からの命令によりまして、その寸前において中止される状態に立ち至りました。この二・一ゼネストの中止後、組合側も一應爭議を打切ることといたしまして、鬪爭態勢を解きまして、交渉によつて問題を解決するというような方向に進んでまいりました。その打切るときにあたりまして、政府側から提出いたしましたところの政府職員待遇改善委員會の準備會において、兩者協議によつて今後給與待遇改善妥結點を見出していこうということに相なつたのであります。他面二月二十一日におきましては、經營參加の問題をも含めたところの廣汎な勞働協約が締結されました。その後五月下旬におきましては、第一囘の臨時の經營協議會が開催せられました。鐵道の財政、給與關係勤務時間、その他勞働條件に關する問題、業務關係問題等國鐵經營の各般にわたりまして、經營協議會において協議が行われました。經營協議會の結果といたしましては、組合側と運賃の値上げ問題に關し若干意見の相違がございましたが、大局的には双方の意見が一致いたしまして、これを專門委員會においてさらに深く檢討することに相なりました。組合側との團體交渉もやうやく軌道に乘つてきたような感がございます。國鐵總連合結成以來連合體として出發いたしたのでございますが、本年の六月に相なりますと、さらに大會をもちまして、全國鐵勞働組合を打つて一丸とするところの單一組合結成を完了いたしまして、中央の本部地方の各支部を包括するような組織に改められたのであります。なお大會におきましては、從來未解決であつたところのいろいろの問題、さらに新たな地方提出要求項目を整理いたしまして、七月九日新たな要求を提出しております。最近におきまする組合側の動向といたしましては、經營協議會等によりまして、協議により解決點を見出そうとするような方向に相なりつつあるように思われます。なお八月中旬には、さらに定期の經營協議會を開催いたすように組合側と話合つておる次第であります。  今までの組合運動沿革等につきましては、概略ただいま申し上げた通りでございます。なお組合といたしましての日誌等につきましては、その次に組合運動概要の日誌として掲載いたしてございますから、この點につきましては省略いたしたいと思います。  次に申し上げますことは、現在の組合組織概要でございます。國有鐵道勞働組合は、從來鐵道局管轄區域毎に各地方連合會結成いたしておりまして、その複合體をもつて總連合會結成いたしておりましたが、本年の六月五日の大會以降、この複合體を解體いたしまして、全組合員を打つて一丸とするところの單一の組織體に改めたのであります。現在におきましては本部の下に支部が全國に七十五ございます。組合員數は約五十六、七萬に及んでおると思いますが、結成當時におきましては約五十六萬三千になつております。さらにこの支部組織の上に各地方、すなはち東京、中部、大阪、新潟、仙臺、北海道、九州、四國、廣島というようなふうに、支部連絡機關といたしまして、地方評議會を設けておる次第でございます。この組合におきましては、後に書いてございますが、支部竝びに地方評議會におきましても若干の團體交渉權というものを認めておるのでございます。さらに組合といたしての届出その他の手續を了しておるのでございまして、法律的に申しますと、あるいは純粹の意味の單一體ではないのかも知れないというふうに私どもは考えておるのであります。  次に、最近の組合におけるところの問題につきまして申し上げたいと思います。組合より管理者側に向いましていろいろと要求事項が出ておりますが、この要求事項傾向について申し上げたいと思います。當局に對する要求は、やはり何と申しましても生活を除去せんとするところの要求が一番多いと思います。從いまして生活費を中心とするところの基本給の増額の問題、その他これに附帶するところの勞働條件改善の問題が主となつておりますが、業務改善の問題につきましても、最近におきましては大分殖えてまいつてきたように思います。  まず第一の給與改善の問題でありますが、先ほどもちよつと申し上げた官公吏給與改善というものは、現在におきましては、政府職員待遇改善委員會準備會においてこれを決定いたしておるのでございまして、生活保障を中核といたしますところの基本賃金竝びに各種手當等につきましては、現状におきましては運輸省限りにおいて解決し得ない全官公吏の問題と相なつてまいつておりますので、漸次この準備委員會において審議せらるるような傾向にあるのであります。ただ組合側管理者側との交渉によりまして意見の一致を見、さらに委員會においてこれを審議するというような方向に進んでおると思われるのであります。  次に基本給竝びにそれと直接關係ある金錢給與以外の勞働條件に關する問題といたしましては、たとえば休日であるとか休暇勞働時間等の直接的な勤務條件、また住居施設あるいは醫療施設、被服の問題、その他の物的の諸給與等の間接的な勤務條件とにわけ得られるのでありますが、この兩者につきましては、本年の二月二十一日に締結いたしました勞働協約によつて基本的な線はきめられております。今後の問題といたしましては、その具體的實施方法が殘されておるわけでございまして、すでに經營協議會においても協議され、現に專門委員會においてもさらに深く協議が繼續いたしておる次第であります。ただここにおきましてこの物的給與の問題でございますが、この問題も國内資源供給能力との關係もございまして、運輸省限りにおいては解決し得ないような方向に逐次向いつつあるのであります。經濟安定本部等におきましてこれが委員會もすでにできておりまして、組合側竝びに管理者側もこれを出して、その協議にあたることになつておるのでありますが、遺憾ながらあまり活動をしておらぬような状況にあります。ただこの委員會においても、輸送業務というものについて、産業別優先順位の決定においても、また實際の勤勞用物資配分決定の問題においても、なかなか重大な問題が起つております。業務改善に關するところの問題として、組合側においても業務組織改善あるいは制度の運用等につきましていろいろと協議をいたしております。現に第一囘の經營協議會におきましても、この點の具體的方策についていろいろと審議されたのでありますが、今後の問題といたしまして經營の合理化等組合側にも協力を求める點が相當多々あると考えておるのであります。さらにここに附け加えて皆様方に申し上げておきたいことは、きわめて最近におきまする政府の施策その他に基きまして、現在の組合側において最も關心をもつておりまする問題の一つは食糧に對する確保の問題を強く取上げておる點であります。あるいは食糧の現物を遲配欠配なく與える、あるいはまた食糧休暇をもらいたいというような面において、問題となつて現われてきておる次第であります。  次に組合内部の問題につきまして、簡單に申し上げたいと思います。組合内部の事情を管理者立場から見ますると、内部はやはり急進的な考え方と、比較的堅實と申しますか、穏健な考え方との抗爭をめぐつて、微妙な動きを示しておるように思われるのであります。これが從來爭議の過程におきまして、明確な形となつて現われておるように思われるのであります。すでに御承知の、昭和二十一年二月總連合が發足いたす以前におきまして、東鐵管内に發生いたしました例の省電爭議の問題でございますが、これなども急進派のいわゆる直接行動と見られるものとも思われるのであります。これに對しまして比較的穏健な考え方をもつておる組合員といたしましては、組合團結を亂るものであるとして一旦除名處分に出たのであります。しかして當局側がこれらの省電事件責任者懲戒處分といたしました。ところが穏健派はひつくり返りまして、組合自身として除名をいたしましたものを、この除名を取消しまして、當局に對しましては懲戒處分の撤囘を要求するに至つたのであります。このように分裂しながらも當局に對する抗爭におきましては、團結を保持する形がその後の組合の動きを支配いたしておると思われます。また昭和二十一年の九月馘首反對の爭議におきましても、名古屋以西におきまするところの、いわゆる穏健と申しますか、堅實と申しますか、そういう組合が東日本の組合ゼネスト決行に反對をいたしまして、一時は組合の分裂を見るかとも思われたのでありますが、結局大同團結いたしまして、當局要求を貫徹しようという態度に出ております。また本年の二・一ゼネスト爭議は、國有鐵道のみの問題ではなく、全官公職員共同鬪爭という形をとりましたために、これまでとは違つた行き方をし、當初におきましては分裂の兆は見られませんでしたが、G・H・Qのその筋の中止勸告が明らかになつてまいりますにつれ、一般組合員急進派獨斷的行動を不滿とし、これを排撃しようとする試みなども現われたように思われるのであります。また三月中旬におきまして組合が大會をもちました際におきましても、一部急進分子組合幹部より取除く動議が提起されたことがございます。組合といたしましては、その大會においては決議をしなかつたようでありますが、こういうふうに組合内部といたしまして、われわれ管理者側として見ておりますと、急進派穏健派とは相當激しい抗爭を續けてきておるように思われるのであります。しかしながら當局に對しましては、あくまで組合團結を失うことなく、一致してこれに當ろうとしておるように思われます。現に組合の幹部として苦心しておるところも、またこういうところにあるのではないかと思われるのであります。組合といたしましても、最近におきましては非常に自己批判をいたしておるように思われるのでございまして、先般六月の大會におきまして、新たに中央執行委員等が選出されたのでありますが、そういうのを見ましても、比較的堅實な、建設的な、また穏健な人が大部分を占めておるように思われます。なお組合總同盟あるいはまた産別會議等に現在の段階においては加入いたしておりません。ただ組合外部活動といたしましては、例の全國勞働組合連絡協議會、さらに七月上旬結成を見ました全日本交通運輸勞働組合協議會に參加いたして、これらと隨時連絡し、組合運動を展開しつつあるのでありまして、現在の段階におきましては、一應落ちつきのある動向を示しておるのであります。  次には、勞働組合結成されまして、組合活動が活溌になりましたことが、鐵道業務にどういう影響を及ぼしたかという點を簡單に申し上げたいと思います。組合員組合活動の何たるかを明確に自覺して、單に權利だけを主張するような矯激な傾向を改めて、義務をも履行するようになりますれば、業務に對してはむしろ非常によい影響を與える。勞働組合なくして今後の業務の完全な遂行はできないことになると考えております。しかしながら現在までの組合活動は、必ずしも業務に對してよい影響のみを與えたとは考えられない。悪い影響を與えておる點も少くないのであります。第一に業務命令に從わないことが本筋であると誤解をする向きもあつたかと思われるのでありまして、それは長い間の一方的な命令に對する服從の反動として、理解し得る點もないではございませんが、一旦發せられた業務上の命令に對しては、あくまでも服從することが、いかに民主的になつても絶對に必要であると思うのであります。最近は組合員も逐次職場紀律の維持の重大性に目ざめつつあることは喜ばしい傾向にあると思われます。  第二に組合結成の當初におきましては、組合員は無統制にデモその他に參加する傾向がございまして、爭議問題が發生するたびに、幾度となく何萬という組合員が職場を離れるというようなことになりまして、これらにつきましては、當然業務に悪い影響を及ぼしました。今後これらの觀點からいたしまして、組合事務に專從する者の範圍及び組合活動をなし得る場合等を限定し、協約規定組合員に遵守さしてまいらねばならないと考えております。  次に今後の見透しはどういうふうになるかということにつきまして一言申し上げます。本年の二月に例の劃期的な勞働協約が締結されましてから後の組合運動は、從來とは大分形を異にしてきたように思われます。從來のように鬪爭のみにこだわるというようなことなしに、昨今は勞働協約の規定に從い、經營協議會を中心に當局と事務的に交渉するように相なつてきております。組合内部におきましても、すでに申し上げましたように非常な反省期に入つておるように思われるのでありまして、今後におきましては、非常に軌道に乗つて組合との交渉その他が進められるものと思うのであります。ただ今後の日本の經濟の秩序いかんというものが非常に大きな關係があるのでありまして、さらにインフレーシヨンが悪化し、生活問題が事務的な交渉、あるいは協議のらち内で解決ができなくなるというようなときには、かつて示したような組合活動の態勢に逆轉するところがないとは斷言できないのであります。  以上申し上げましたところは從來組合に關することでございますが、以下お手もとに差上げましたパンフレツトにございます點は、組合のきわめて最近の綱領竝びに運動方針でございます。これらをごらん願いますと、考え方といたしましても、非常に建設的なものに相なつておると思われます。國鐵勞働組合規則その他はそこにございますが、この規則説明は一應省略さしていただきまして、別にお手もとに差上げてございます國鐵勞働協約の解説書によりまして、勞働協約のおもな點だけを御説明申し上げたいと思います。この勞働協約を作成するには、組合側竝びに管理者側誠心誠意努力をいたしまして、さらに中央勞働委員會の御努力もございまして、でき上つたものでございます。全條五十六條よりなつております。この協約の根本というか、特徴をなしておるものを一、二申し上げたいと思いますが、この協約におきましては、鐵道經營管理權竝びに人事權というものは當局側にあるという點に特徴があると思います。この點は組合といたしましても管理者側經營權竝びに人事權というものがあることをはつきり認めたことになつております。次に經營協議會の設置を第二條において規定しております。經營協議會につきましては別に經營協議會規則を設けておりますが、すでに第一囘を開き、さらに中旬には第二囘を開いてまいりたいと思つております。このパンフレツトのおしまいの方に經營協議會規則も掲げてございます。次に申し上げる點は、この協約におきまして組合員範圍と申しますか、第四條の規定がいろいろと從來も問題になつたのでございます。國有鐵道從業員はこの勞働組合組合員とするというふうな書き方になつておりまするので、この點がいろいろと例の職制の問題と關連いたしまして、クローズド・シヨツプではないかというふうに言われたのでございますが、私どもといたしましては、この點につきましては國有鐵道獨自職制である、こういうふうに考える。強いて申しますればあるいはユニオン・シヨツプに當るのかとも思いますが、本協約を通じまして組合員の脱退を認める、組合員にあらざるところの從業員のあることを認める、また組合より除名されましても、國有鐵道において當然これを解職するということにならない、解職する一つの理由になるというような點、この協約におきましては他の組合の成立をもなお豫想しつつできておる點を考えますと、この第四條においてきめておりますることは決してクローズド・シヨツプではない、國鐵獨自職制であるというふうに考えておるのであります。なおこの第四條の規定の但書におきまして「職務の性質上甲立場を代表すると認められるものを除く」というふうに書いてございまして、甲の立場を代表するという立場にあるものは組合員としないというふうに書いてあるのであります。この點につきましては先般の經營協議會におきまして範圍を一應組合側と協定をいたしまして、協定事項として經營協議會においてまとまつたのであります。それの一番の根本は驛長であるとか、あるいはまた現場長機關區長であるとかいう現場の長を組合員とするかしないかという問題でございます。それも經營協議會におきましては現場の長は組合員としないということで協定が成立したのであります。しかしながら組合といたしましては、經營協議會後の大會におきましてこれをかけましたところが、組合員の同意を得られませんので、これが勞働協約と同じ效果を發生するということに相なりませんために、現在におきましては現場長組合員であるか、組合員でないか、まだはつきりきまつておらない状態でございます。甲の立場を代表すると認められるもの、これの組合員範圍ということにつきましてはさらに組合折衝をし直さなければならない状態にあることを申し上げておきたいと思います。  次に勞働におきまして特に申し上げることは、勤務時間、その他休日、休暇等のことでございます。勤務時間につきましては一日八時間、一時間以内の休憩時間を含めて勞働時間は一日八時間であるということに取極めてはございます。一時間以内の休憩時間を含んでおりますので、おおむね實働七時間制を採用するということに相なつております。但し勤務時間というものは鐵道業務特殊性からいたしまして、いろいろの勤務制度がございますので、それに從いまして別表によるというふうに第十五條の規定において定めておるのでございます。なお休日、休暇につきましては、週休制を採用し慰勞休暇と申しますか、休暇につきましては、勤續一年以上の者につきましては、年二十日を認める。一年未滿三箇月以上の人につきましては、年十日を認めておるのであります。なお勤務時間を超えて勤務いたしました者に對する増務給その他のものを認めておるのであります。女子竝びに年少者勤務は、勞働基準法が實施になりますのを待つてきめるという勞働協約になつておるのでありまして、現在組合側女子竝びに年少者勤務をいかにするかということについては、專門委員會において折衝中でございます。それからこの協約の第五十二條におきまして、この協約は二月二十二日から有效になりまして、八月の二十一日まで有效ということに相なつておりますが、この第五十五条の規定によりまして、この期間中においては人員整理のための解雇をしないということを認めておるのであります。この規定につきましては、先ほど申し上げました九月十五日のゼネストの際交換いたしました覺書を再確認いたしておるのであります。この協約が更新されましても第五十五条は當然には繼續して效力をもつものではないのであります。協約の大體の特徴その他については以上私から申し上げた點に盡きると思つております。はなはだ簡單でございますが、一應國有鐵道勞働組合の概況について申し上げた次第でございます。
  4. 正木清

    正木委員長 次いで日通關係及び鐵關係勞働組合問題に關して、陸運監理局長より説明を聽取いたします。
  5. 郷野基秀

    郷野政府委員 私から陸上運送關係、自動車小運送竝びに地方鐵道軌道關係勞働組合につきまして、概略を御説明申し上げたいと存じます。お手許に差上げてある表にあります通り事業別に見ますと地方鐵道軌道につきましては百七十五の事業者がございます。そのうち休業中のものもございますので、現に營業いたしておるものは百五十九でございますが、そのうち百五十社について組合はすでに結成せられております。また從業員の數はこれは兼業のバス事業を含んでおりまするが、總數十四萬八千七百、組合員の數は十四萬八千七百、組合員の數は十四萬四千ばかりに相なつております。この地方鐵道軌道組合の中から約八十七の組合が別に全國的な連合體組織といたしまして、日本私鐵勞働組合總連合會組織いたしております。この組合の中には地方鐵道經營いたしておりまする傍系のバス事業四つ、トラック事業一つ、竝びに汽船會社一社がはいつております。このほか都市の經營いたしておりまする軌道關係につきましては、これはまたバスも含めておりまするが、日本都市交通勞働組合連合會結成いたしました。加入の組合は六大都市のほか川崎、仙臺の二つの市の經營をいたしておりまする企業が參加いたしております。この關係組合員の數は私鐵總連合關係が十萬六千ばかり、都市交通勞働組合連合會關係が二萬三千ばかりに相なつております。  ついででございまするから自動車の運送事業につきましての組合結成状況も簡單に御説明申し上げたいと思いまするが、乗合自動車の關係におきましては百六十八の業者につきまして六十六の組合ができております。從事員約二萬に對しまして一萬四千人ばかりが加入いたしております。私鐵のバスの分は別に私鐵の方に入れてございまするので、これを省いております。ハイヤー、タクシー、ここに旅客と書いてございまするが、この關係におきましては業者の數は九百あまりと推定されておりまするが、組合結成關係で私どもではつきりつかんでおりまするものは、まだ二十五でございます。組合結成の數は比較的少く相なつております。從事員數約一萬一千に對しまして組合員の數は四千四百ばかりというふうに推定いたしております。トラツク事業につきましては六百あまりの業者數のうち二百二十ばかりの組合ができておりまして、從事員數八萬九千に對しまして、組合員の數は五萬一千、こういう状態でございます。その中でトラツクの事業組合だけが全國的な貨物自動車勞働組合連合會結成いたしておりまするが、加入の組合はこのうち約五十ばかりでございまして、組合員の數は約四萬でございます。  次に小運送業でございまするが、これは日通を含めまして二百八十六の業者につきまして、組合は四十五結成せられております。從事員十一萬二千七百あまりに對しまして、組合員の數は十萬五千ばかりに相なつております。この關係におきましては日通組合がその大部分を占めておりますることは申し上げるまでもないのでございます。こういう状態地方鐵道軌道、自動車竝びに小運送業關係勞働組合は現在結成されておりまするが、このうち特に私鐵の關係日通關係の問題につきまして、詳細にさらに御説明申し上げたいと存じます。地方鐵道軌道關係につきましては先ほど申し上げましたように、日本私鐵勞働組合總連合會が一方にございまして、これは本年の一月十日に結成せられたものでございまするが、綱領といたしましては、強固なる自主的な組織を確立いたしまして、勞働者の生活安定、向上等を期するということを掲げております。現在加入いたしておりまするものは八十いくつでございまするが、大きな地方鐵道軌道組合はたいていこれに加入いたしておりまするので、傘下の組合員數は、先ほど申し上げましたように非常に多く相なつております。日本都市交通勞働組合連合會はこれまた今年の一月に結成せられたものでございまするが、この二つの傘下に屬します組合が本年二月に最低賃金制度と退職金制度の確立を要求いたしまして、經營者に要求を提出いたしたのでございます。この要求に對する解決につきましては、それぞれ組合經營者側におきまして交渉をいたしておつたのでございますが、私鐵總連合中央勞働委員會の調停を希望いたしまして、經營者側もまた、中央勞働委員會要求もございましたし、運輸省といたしましてもこの間斡旋をいたしまして、經營者團體を結成いたしまして、この私鐵總連合經營者團體との間におきまして、中央勞働者委員會の斡旋調停によりまして漸次問題の解決努力をしてまいつたのでございますが、四月の三日に調停案が提示せられまして、この調停案によりまして假協定が五月にでき上りました。六月分から新しい賃金によりまして給與制度を確立するということになりまして、この要求につきましての爭議の問題は一應解決を見ることに相なつたのでございます。それからさらにこの退職金の問題につきましては、本年の五月以降、勞資協議の結果きめるということにその當時話合いができてまいりました。この六月分から新しい給與をきめて實施をするということにきまりましたにつきまして、經營者側からは、現在の地方鐵道軌道の運賃ではとうていこれを十分に負擔していくことができないから、これの方面につきましても改正をしてもらいたいという希望がその當時申し述べられておりました。この問題も今月に入りまして國有鐵道の運賃の改正と同時に、地方鐵道軌道についての運賃改正も實施せられることに相なりましたので、一應六月分から遡りまして、この調停案に示されました基準によりまして、各私鐵經營者側と勞働組合との間におきまして、新しい賃金體制の確立實施を見ることができることに相なつたわけでございます。なお都市交通勞働組合傘下の六大都市の市電と、仙臺市電につきましては、各地方勞働委員會に提訴があつたのでございまするが、交通勞働の特殊性を考慮いたしまして、いわゆる千六百圓案、あるいは千八百圓の確定に至りますまでの措置といたしまて、とりあえず現行給與に六大都市電は三百圓ないし四百圓、仙臺市電は二百七十圓の加給をなすべきことの勸告が提示されまして、これを勞資兩方面におきまして受諾をいたしました。この點も一應解決を見ております。これによりまして地方鐵道軌道關係におきまする平均二千四百圓の給與を基準といたしまして、新しい給與體系が確立いたしまして、各私鐵の給與と、都市交通勞働における給與につきましても、ほぼ大體におきまして平衡を得た給與の體系ができ上つてまいつたのでございます。しかしながらなお退職金制度の問題につきまして、勞資兩方面におきまして協議中でございまして、なお決定に至つておりませぬ。しかしこの問題はただいま經營者側と勞働者組合側におきまして、鋭意折衝中でございまして、だんだん話も具體的に進みつつありまするから、何とか近いうちに解決を見るのではないかと期待をいたしているような次第でございます。この退職金の問題につきましては、現在の地方鐵道軌道經營状態からいたしまして、永年勤續いたしました人の今後の生活を保障するという意味合における給與を、全額相當の額を負擔するということにつきましては、財政上餘裕がないという點が相當難點のようでございまするが、この點につきまして、大體組合側要求をいたしておりまするものは、二十五年勤續者に對しまして十年間の生活が保障できるような金額というところにあるようでございます。經營者側も、この考え方をどの程度まで受け容れられるかということにつきまして、鋭意檢討を加えておるようでございます。それから都市交通連合會關係の退職金の問題につきましては、勞資双方におきまして具體的な研究をするように關係地勞委から勸告をせられておりまするが、まだ本格的な協議にはいつていないようでございます。なおまた最近食糧の缺配の問題に關連いたしまして、缺配手當の要求をしておる都市交通關係勞働組合があるようでございますが、この點につきましてもなお解決を見るにいたつておりませぬ。地方鐵道軌道勞働組合の現状はそういう状態でございます。  日本通運の勞働組合の現状について御説明申し上げます。日本通運の勞働組合につきましては、一昨年、昭和二十年の十一月ごろ、地方におきまして運送店の勞働組合ができるようになりましたのが初めでありまして、その後各地に日通勞働組合支部というようなものができかけてまいつたのでございますが、昨年の四月になりまして、東京におきまして全國の從事員を打つて一丸といたしまする單一組織の全日通勞働組合組織を見ることになりました。現在この日通勞働組合單一體といたまして活動いたしておるわけであります。なおこのほか地區統合の會社などの勞働組合もあるわけでありますが、日通勞働組合との關係につきましては、別個の組合といたしまして直接關係はない形態で進んでおるようであります。ただ友誼的の團體といたしましての連繋はもちろんあるのでございまするが、形式上におきましては別個の團體となつております。現在日通勞働組合は事務員、昨業員一體となりまして、本社一、支社九、支店三百七十七、計三百八十七の支部をもつておりまして、組合員は事務員約三萬八千、作業員約六萬、計約九萬八千名ばかりであります。この日通勞組は昨年結成せられまして以來結成大會の決議の事項といたしまして、勞働協約の締結・待遇改善、社規、社則の改正、その他數項目の要求をいたしております。その後經濟情勢の變動に對應いたしまして、生活維持のための待遇改善その他の要求も提出いたしております。中央協議會も數囘にわたつて開催をいたしております。爭議状態にはいりましたことは一囘ございます。最近におきましては日通の復興會議の促進につきまして、活發に行動をいたしております。今年の二月、全日本産業別勞働組合會議に加盟いたしておりました關係から、その傘下におきまして鬪爭いたしておりましたが、二月の全面的なストライキ中止命令に從いまして、この關係におきましては別に日通の會社側と協定をいたしまして、二月に給與改正につきましての協定を結びまして、これを實施してまいつたのでございます。しかるにまた最近の給與状態につきまして、ほかの會社との振合いもございまするし、また先般發表せられました暫定業種別平均賃金におきましても、貨物業の關係におきましては、二千四百四十一個の基準賃金を規定いたしておるような關係もありまして、日通のことしの二月にきまりました給與の水準、すなわち一人當り千七百五圓と相なつておりますが、この關係におきましては現在の情勢に適應しないものがあるということを考えまして、會社側におきましてはただいま現在の給與を五割方殖やすことにつきまして、組合側協議をいたしておるような次第でございます。この結果大體二千五百圓餘りの給與の水準に相なると思いまするが、日通の勞組につきましては平均年齢も三十七歳ぐらいでございまして、相當高く相なつております。從いまして平均家族數も三人四分、比較的多くなつております。なお荷役を主といたしまする重勞務者であります關係から考えまして、私も大體現在考えられておりますこの給與の水準の案は適當のものではないかと考えておりまするが、小運送業の現在の實情から考えまして、今般小運送料金も三倍一分に改訂を見ることには相なりましたけれども、これらの給與を維持してまいりますためには、會社といたしましては、いろいろ小運送業以外に營業いたしております營業部門もございまするが、全般を通じまして、節約、合理化、能率増進の面につきまして大いに努力がいるものではないかと考えております。なお日本私鐵勞働組合連合會、日本都市交通勞働組合連合會、全國貨物自動車勞働組合連合會、全日通勞働組合などは、また最近全日本交通運輸勞働組合協議會に參加することに相成りまして、この關係におきまして交通、運輸の勞働組合が全般的に新しい結びつきをもちまして、今後の勞働運動を展開してまいるということに相なつておりますることを、併せて御説明申し上げておきたいと存じます。  以上簡單でございまするが、大要御説明を終ることにいたします。
  6. 正木清

    正木委員長 諸君にお諮りをいたします。當局説明は終りました。これから質疑にはいるわけですが、今のところ館君一人から通告があつただけでございます。時間も時間でありまするから、本日の日程の取扱い方について、一つ諸君の御意見を伺いたいと思います。館君に委員長から御相談申し上げますと同時に、諸君に御相談をいたしたいと思いますことは、明日は海運關係の勞働問題について説明を聽取したいと思つておりまするし、前の委員會においてもさように日程が組まれておるわけです。なお館君に相談というのは、明日の海運關係の勞組の説明の聽取を終つてから、本日出席された政府委員にも出てもらつて、全體で質問をするというようにしたいと思いますが、どうですか。
  7. 館俊三

    ○館委員 私は政府の方たちの組合説明のひまを見て、緊急なる北海道の鐵道そのものについて、ちよつとお話をしておくことが非常によいと考えますので、明日に延ばさないで一つの時間をいただきたい。
  8. 正木清

    正木委員長 では諸君に御相談をいたしますが、館君の質疑が行われるわけですが、そういたしますと、午後も續行することにいたしましていかがでしようか。
  9. 成重光眞

    成重委員 館君の質問は十分ぐらいで終るそうですから、一應館君に質問していただいて、それで散會したらどうかと思います。
  10. 正木清

    正木委員長 では館君に質問を許します。館俊三君。
  11. 館俊三

    ○館委員 今日むりにお願いいたしましたのは、今日の一時に北海道から農林省へ北海道の食糧事情を嘆願に來ておりますので、それに出かけなければならないということもありまして、急に時間をいただいたのであります。申譯がございません。北海道の食糧事情は、新聞で御承知の通り、きようの讀賣なんかは極端な例ですが、九十日の缺配をしておる箇所がある。これは函館の近くのセメント會社のある上磯。あの近くにおいてさえ約九十日近い缺配をしておるのであります。これは非常にたいへんなことでありまして、この點における認識を深めていただきたいということを土臺にして、北海道の國鐵の現状は知つておられるでしようが、これを十分に認識して善處をしていただきたい。こういうことなのであります。現在北海道における國鐵從業員は、現業員だけで約六萬人、家族を入れますと約二十萬と見てもよいじやないかと思うのであります。この人たちの生活が、北海道民全體の生活が窮迫すると同じような状態において窮迫しておる。それで飢餓鬪爭にはいるのではないかといううわさを聞いておるのであります。この飢餓鬪爭ということは非常に困つた問題でありますが、極端なのは、函館の機關區、追分、岩見澤その他二、三の機關區というものは、食糧のないという事情から動きがとれない。これについての事情は、二、三日前運輸大臣まで北海道の新聞の記事を參考に差上げてあるのであります。函館機關區のごときは、新聞の誇張した報道であろうと思いますが、約五割ぐらいが買出しのために缺勤をしておる。その記事を差上げておきました。それが非常に今日の輸送状況に大きな影響を及ぼしておると私は思う。それだからすぐその家庭米をも含めた食糧の配給を、鐵道從業員にうんとやつていただきたい。もちろんこういうことを言いましたら、もちろんこういうことを言いましたら、三百萬、四百萬近い北海道農民は、鐵道職員だけということで、非常な反撥心が起ると思うのでありますが、その點をよく含味していただいて、理解ある處置をしていただきたいと思います。飢餓鬪爭をやらなければならぬということは、現在における給與では、とても買出しばかりでやみの食糧を買つておるので、ほとんど赤字々々で暮しておるから、その赤字の埋合せをしていただきたいということと、この食糧の飢餓が運轉に差支えるという二つの問題からなのであります。殊に例をとりますと、これは聞いた話で、よく本省で調査してもらいたいと思いますが、急行列車を北海道内に増發したその關係で、機關士が足りない。この機關士を別の機關區からまわそうとした際に、その半分ぐらいの者は、食糧問題のためにまわることを拒んでおるというような状態で、ようやく半數を配置轉換と言いますか、臨時的な措置によつて動かしたことによつて、函館、旭川の急行が辛うじて動いたということであります。これは組合員のうわさ話で私は調査しておりませんから、實情を調査していただきたいと思つております。殊に今問題になつておりますことは、石炭の増産——これは運輸面のことですが、石炭の増産のために石炭をうんと山から運ばなければいかぬ。しかも正木委員長から二、三日前にお話を聽きますと、六十萬トンぐらいの坑木が山に停滞しておりながら、これを輸送する力がないという状態なつておる。札鐵といたしましては、十月末になりましては、雪その他のために輸送障害を受ける。この夏場において坑木の輸送なり、あるいは重要なる石炭の輸送なり、あるいは重要なる石炭の輸送なりの能率を上げなければ、暮の雪の降つて能率が上らないときになつて、しかも食糧の取入れがどんどん出てきて、その輸送が十一月から盛んになるというころ合いになつて、もちやもちややり出したのでは、とても及ばないことになる。今は輸送の夏枯れどきと言いますか、このときにその輸送力をもつて坑木なり、石炭の輸送に能率を上げなければならぬ。そういう際にこの仕事をする職員がこんな状態であつては、北海道の輸送能力が非常にむだに費されたり、時期を失してしまつたりする。その點において、十分なる考慮を拂つていただきたいと思う。私この點については、ここへ六月に來るとすぐ、苫米地さんその他列席の人たちに、省において非常に強く話したのでありますが、これは札鐵の組合としては、去年の五月もそういうことで非常に心配しておつた問題である。それは機關車の問題、札鐵の機關車がどうなつているか。私は苫米地さんに非常に激しく申し上げてきた。二、三日前に家でラヂオを聽いておりますと、札鐵から本州に機關車を借りに来た。借りに來たけれども、本州にとても機關車が足りないので貸してやることができなかつた。それほど國鐵は困つておるというような意味のラヂオ放送があつた。鐵道次官のお話ということであつたが、名前が違つておつたから、鐵道次官でなかつたかもしれません。私早速運輸省に行つて、札鐵から車を借りに來ておるかどうか調べに行こうと思つておりましたが、ひまがなくて行けなかつたけれども、そういうふうに札鐵では機關車がなくて非常に困つておる。石炭なりあるいは食糧は非常に重要な問題として、鐵道では第一番に書きあげておりますが、これには貨車の配置轉換よりも、もつと徹底して重點的に機關車の配置をしなければ、とても北海道はこの冬はもたないと私は思う。今最も望んでおることは——資本家側か、經營者側が來ておつて、六十萬トンとかの坑木を欲しいと言つておるそうです。それから緊急の食糧の移動、それを十分にやり遂げてもらうことが必要です。もう二、三日すると——きよう、あすにはまた北海道から家庭用の石炭について嘆願が參ります。それも無理な輸送を願うのではなくて、夏場における輸送ということを主張として望むのです。政府は二トン三分ということを言つて、これはくれるかどうかしりませんが、とにかく二トン三分ということになつておる。それは七月、八月、せめて九月の上旬までに動かさなければ、吹雪の北海道ではとても動きがつかない。坑木もその通りである。現在の炭鑛にいかに能率をあげさしても、北海道の貨車の面においても、人的の面においても、機關車の面においても、その他の面においても、とうてい賄うことはできないと思う。これを組合の方でやかましく言いますと、いかにもそれを條件として、飯を食わせろ、給料を上げろというふうに世間一般にはとられるが、常識的に夏場の輸送というものは、北海道においては殊に強く考えなければならぬ。重要物質の出る北海道、殊に基本的の石炭を出す北海道においては、それを考えていただかなければならぬと思う。そこで私は全國の機關車の事情というものがどういうふうになつておるか。どういうふうに修理の豫算をとつておるか。また今日の豫算面において、殊に機關車に對する豫算はどれくらいになつておるか。その豫算によつて賄われるところの新車は何臺で、修繕が何臺できるか。それは去年と比較してどれくらいの高低があるのかということを、詳らかにしてもらいたいと思つておる。それを知つて、多少とも去年によりも、資材難の折柄でもあり、あるいは豫算の關係もあるでしようが、それを上へ向けてもらわなければ、とても國鐵というものはもちきれなくなる。そういうことを私は痛切に考える。急場になればなるほどそれをやつてもらわぬことには、とても國の經濟體系の建直しというものは不可能だと思つておる。これは平塚さんがこの正月北海道に來たときに、私は札鐵局長と局長室で激しく話したことがある。そのとき私はおとぎ話をいたしたのであります。水道の技師にどうしたら水が出るかということを話すと、おそらく堰堤をうんと築いて水を溜めると言うだろうが、それだけに終らないで、鐵道の輸送をうんと上げなければならぬと言つた。その輸送状態を今日のままにしておつたら、ほとんど一年後には、ほんとうに手を上げる時期がくると思う。だからもう少し輸送機關に重點をおいていただきたいと思う。海運も大事です。海運では機帆船は非常に大事ですが、鐵道の現在における位置というものを、基本産業の上にどうしても重要に考えていただく。うわさによればA組でなくB組に落ちたといつて、札鐵の組合員も非常に心配しておる。札鐵の組合では組合員も局長も非常に一體になつておる。これは局長からも懇々と頼まれたが、札鐵の現状については十分に戰つてくれというお話であつた。私は長く鐵道をやつておる關係から、心から自分の職場を護るということにおいては、上の施策に對して非常にたるいものがあると思つておる。重點的といつてもほんとうに重點的にいつておるのではないというふうに考える。その點ひとつ十分に調べて、貸す機關車があつたならば貸していただきたいと思う。そういうことが石炭と食糧の面にありますので、十分にひとつ御考慮を願いたいと思います。御返事は要りません。
  12. 正木清

    正木委員長 では本日はこの程度にいたしまして、明日は午後一時より海運關係の勞組の問題と、殘つております氣象の問題について、當局から説明を聽取することにいたします。  本日はこれにて散會いたします。    午後零時六分散會