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1947-07-21 第1回国会 衆議院 運輸及び交通委員会 第4号
公式Web版
会議録情報
0
付託事件
海運組合法
を廢止する
法律案
(
内閣送付
)(豫 第三号) ————————
—————————————
昭和
二十二年七月二十一日(月曜日) 午前十時四十三分
開議
出席委員
委員長
正木
清君 理事
前田
郁君 井谷 正吉君 佐々木更三君
島上善五郎
君 館 俊三君
成重
光眞
君 矢野 政男君 山崎 岩男君
小笠原八十美
君 高橋 英吉君 田村 虎一君 中野 武雄君
前田
正男君
出席國務大臣
運 輸 大 臣
苫米地義三
君
出席政府委員
運輸政務次官
田中源三郎
君
運輸事務官
伊能繁次郎
君
運輸事務官
牛島
辰彌君
運輸事務官
郷野
基秀
君
—————————————
七月十一日
海運組合法
を廢止する
法律案
(
内閣送付
)(豫 第三号) の審査を本
委員
に付託された。
—————————————
本日の
會議
に付した
事件
國鐵
、
日通
、及び私鐵の各
勞働組合
に關する説
明聽取
—————————————
正木清
1
○
正木委員長
會議
を開きます。 これより
國鐵勞働問題
に關して、
當局
より
説明
を聽取いたします。
牛島政府委員
。
牛島辰彌
2
○
牛島政府委員
私、
鐵道總局
の
職員局長
の
牛島
でございます。
國鐵
の
勞働組合運動
につきまして、
簡單
に御
説明
申し上げたいと思います。お
手もと
に差上げてございます
國鐵勞働組合概況
を作成してまいりましたので、この
概況書竝びに國鐵勞働協
約の解説に從いまして、要點だけを申し上げたいと存じます。 話の順序といたしまして、第一番目に
國鐵勞働組合運動
の、本日までの經過の
概要
を申し上げたいと思います。
國鐵勞働組合
の
運動
の經過を大別いたしますと、大體五期にわけ得ると思うのであります。第一期は、
昭和
二十一年の二月に
國鐵總連合
が
結成
されるまでの時期でございまして、第二期は、二十一年の九月の例の
馘首絶對反對
の
ストライキ
問題が
妥結
したまでの時期、第三期は、
昭和
二十二年二月の例の
生活權獲得
ゼネスト
問題が、
妥結
と申しますか、打切られたまでの時期、第四期は二・一
ゼネスト
以後、六月に
國鐵總連合
が單一に
結成
されたその大會までの時期、第五期は、その
單一組合結成
後本日に至るまで、こういうふうにわけ得ると思うのであります。ここにも書いておきましたが、
終戰後國鐵
といたしましては、
勞働組合
を
結成
いたす前に、上下の
意思疏通
の機關といたしまして、
昭和
二十年十一月一日に
鐵道委員會
というものをつくりまして、部内で發足いたしたのでありますが、しかし
勞働組合法
の
成立竝びにその
後におきます
社會
、經濟界の情勢の變化によりまして、急速に
鐵道委員會
は發展的に解消いたしまして、
勞働組合
が
結成
されるようになりました。その當時におきましての情勢もそこに書いてございますが、結局この
勞働組合
を全國的に單一するか、または
連合體
にするかという點におきまして、いろいろと
折衝
はあつたようでございますが、結局
連合體
といたしまして、
昭和
二十一年の二月に發足いたすように相なりました。この
連合體
としての
總連合
が
結成
されまして以來、一面非常に
物價騰貴
、
生活
の不安にかられました
從事員一同
は、非常に
生活
不安に襲われたのでございますが、例の七月一日の全
官公職員
に對するところの
給與
の
改善案
によりまして、一時小康を得たように思われました。その後七月末におきまして、
國鐵經營
の
合理化
の見地から、人員を整備し、さらに必要な部面に増員をしようというような
管理者側
からの申出を契機といたしまして、例の
馘首絶對反對
の
ストライキ
が起りました。これも九月十四日に
政府側
と
組合側
との
妥結
によりまして、一
應收まつ
たわけでございます。この結果
當局
としては、
從來
の
整理案
というものはこれを取消すことにいたしました。ただ今後におけるところの、一面において
過剰人員
があり、一面において
不足人員
があるというような點につきましては、これを極力
配置轉換
を行う、また惡質者はこを整理していくことによ
つて
、九月十五日の
ストライキ
は一應
妥結
したのであります。その後さらに
インフレーシヨン
の進行に伴いまして、
生活
の困難がようやく極度に達しつつありましたので、二十一年の十一月に
國鐵總連合
といたしましては、大會をもちまして
生活權獲得
の
要求書
を提出いたしました。そうして
管理者側
と
交渉
を開始するに至りましたが、この
鬪爭
は全
官公吏
の問題に發展いたしまして、例の二十二年二月一日を期して
ゼネスト
をする、いわゆる二・一
ゼネスト
の態勢を整えるに
至つたの
でありますが、その筋からの
命令
によりまして、その寸前において中止される
状態
に立ち至りました。この二・一
ゼネスト
の中止後、
組合側
も一應
爭議
を打切ることといたしまして、
鬪爭態勢
を解きまして、
交渉
によ
つて
問題を解決するというような
方向
に進んでまいりました。その打切るときにあたりまして、
政府側
から提出いたしましたところの
政府職員
の
待遇改善委員會
の準備會において、
兩者協議
によ
つて
今後
給與
、
待遇改善
の
妥結點
を見出していこうということに相な
つたの
であります。他面二月二十一日におきましては、
經營參加
の問題をも含めたところの廣汎な
勞働協
約が締結されました。その後五月下旬におきましては、第一囘の臨時の
經營協議會
が開催せられました。
鐵道
の財政、
給與關係
、
勤務
時間、その他
勞働條件
に關する問題、
業務關係
の
問題等
、
國鐵經營
の各般にわたりまして、
經營協議會
において
協議
が行われました。
經營協議會
の結果といたしましては、
組合側
と運賃の値上げ問題に關し若干
意見
の相違がございましたが、大局的には双方の
意見
が一致いたしまして、これを
專門委員會
においてさらに深く檢討することに相なりました。
組合側
との
團體交渉
もやうやく
軌道
に乘
つて
きたような感がございます。
國鐵總連合
は
結成以來
、
連合體
として出發いたしたのでございますが、本年の六月に相なりますと、さらに大會をもちまして、全
國鐵
の
勞働組合
を打
つて
一丸とするところの
單一組合
の
結成
を完了いたしまして、中央の
本部
が
地方
の各
支部
を包括するような
組織
に改められたのであります。なお大會におきましては、
從來未解決
であつたところのいろいろの問題、さらに新たな
地方提出
の
要求項目
を整理いたしまして、七月九日新たな
要求
を提出しております。最近におきまする
組合側
の動向といたしましては、
經營協議會等
によりまして、
協議
により
解決點
を見出そうとするような
方向
に相なりつつあるように思われます。なお八月中旬には、さらに定期の
經營協議會
を開催いたすように
組合側
と話合
つて
おる次第であります。 今までの
組合運動
の
沿革等
につきましては、概略ただいま申し上げた通りでございます。なお
組合
といたしましての
日誌等
につきましては、その次に
組合運動概要
の日誌として掲載いたしてございますから、この點につきましては省略いたしたいと思います。 次に申し上げますことは、現在の
組合
の
組織
の
概要
でございます。國有
鐵道
の
勞働組合
は、
從來鐵道局
の
管轄區域毎
に各
地方
の
連合會
を
結成
いたしておりまして、その
複合體
をも
つて
總連合會
を
結成
いたしておりましたが、本年の六月五日の大會以降、この
複合體
を解體いたしまして、全
組合員
を打
つて
一丸とするところの單一の
組織體
に改めたのであります。現在におきましては
本部
の下に
支部
が全國に七十五ございます。
組合員數
は約五十六、七萬に及んでおると思いますが、
結成當時
におきましては約五十六萬三千に
なつ
ております。さらにこの
支部
の
組織
の上に各
地方
、すなはち東京、中部、大阪、新潟、仙臺、北海道、九州、四國、廣島というようなふうに、
支部
の
連絡機關
といたしまして、
地方評議會
を設けておる次第でございます。この
組合
におきましては、後に書いてございますが、
支部竝びに地方評議會
におきましても若干の
團體交渉權
というものを認めておるのでございます。さらに
組合
といたしての届出その他の手續を了しておるのでございまして、法律的に申しますと、あるいは純粹の意味の單一體ではないのかも知れないというふうに私どもは考えておるのであります。 次に、最近の
組合
におけるところの問題につきまして申し上げたいと思います。
組合
より
管理者側
に向いましていろいろと
要求事項
が出ておりますが、この
要求事項
の
傾向
について申し上げたいと思います。
當局
に對する
要求
は、やはり何と申しましても
生活
を除去せんとするところの
要求
が一番多いと思います。從いまして
生活費
を中心とするところの
基本給
の増額の問題、その他これに附帶するところの
勞働條件
の
改善
の問題が主と
なつ
ておりますが、
業務改善
の問題につきましても、最近におきましては大分殖えてまい
つて
きたように思います。 まず第一の
給與改善
の問題でありますが、先ほどもちよつと申し上げた
官公吏
の
給與改善
というものは、現在におきましては、
政府職員
の
待遇改善委員會準備會
においてこれを決定いたしておるのでございまして、
生活保障
を中核といたしますところの
基本賃金竝びに各種手當等
につきましては、現状におきましては
運輸省
限りにおいて解決し得ない全
官公吏
の問題と相
なつ
てまい
つて
おりますので、漸次この
準備委員會
において審議せらるるような
傾向
にあるのであります。ただ
組合側
と
管理者側
との
交渉
によりまして
意見
の一致を見、さらに
委員會
においてこれを審議するというような
方向
に進んでおると思われるのであります。 次に
基本給竝びにそれと
直接
關係
ある
金錢給與
以外の
勞働條件
に關する問題といたしましては、たとえば休日であるとか
休暇
、
勞働時間等
の直接的な
勤務條件
、また
住居施設
あるいは
醫療施設
、被服の問題、その他の物的の諸
給與等
の間接的な
勤務條件
とにわけ得られるのでありますが、この兩者につきましては、本年の二月二十一日に締結いたしました
勞働協
約によ
つて
基本的な線はきめられております。今後の問題といたしましては、その
具體的
な
實施方法
が殘されておるわけでございまして、すでに
經營協議會
においても
協議
され、現に
專門委員會
においてもさらに深く
協議
が繼續いたしておる次第であります。ただここにおきましてこの
物的給與
の問題でございますが、この問題も
國内資源
の
供給能力
との
關係
もございまして、
運輸省
限りにおいては解決し得ないような
方向
に逐次向いつつあるのであります。經濟安定
本部等
におきましてこれが
委員會
もすでにできておりまして、
組合側竝びに管理者側
もこれを出して、その
協議
にあたることに
なつ
ておるのでありますが、遺憾ながらあまり活動をしておらぬような状況にあります。ただこの
委員會
においても、
輸送業務
というものについて、
産業別
の
優先順位
の決定においても、また實際の
勤勞用物資
の
配分決定
の問題においても、なかなか重大な問題が起
つて
おります。
業務改善
に關するところの問題として、
組合側
においても
業務組織
の
改善
あるいは制度の
運用等
につきましていろいろと
協議
をいたしております。現に第一囘の
經營協議會
におきましても、この點の
具體的方策
についていろいろと審議されたのでありますが、今後の問題といたしまして經營の
合理化等
、
組合側
にも協力を求める點が相當多々あると考えておるのであります。さらにここに附け加えて
皆様方
に申し上げておきたいことは、きわめて最近におきまする
政府
の施策その他に基きまして、現在の
組合側
において最も關心をも
つて
おりまする問題の一つは
食糧
に對する確保の問題を強く取上げておる點であります。あるいは
食糧
の現物を
遲配欠配
なく與える、あるいはまた
食糧休暇
をもらいたいというような面において、問題と
なつ
て現われてきておる次第であります。 次に
組合
の
内部
の問題につきまして、
簡單
に申し上げたいと思います。
組合内部
の事情を
管理者
の
立場
から見ますると、
内部
はやはり急進的な
考え方
と、比較的
堅實
と申しますか、穏健な
考え方
との抗爭をめぐ
つて
、微妙な動きを示しておるように思われるのであります。これが
從來
の
爭議
の過程におきまして、明確な形と
なつ
て現われておるように思われるのであります。すでに御承知の、
昭和
二十一年二月
總連合
が發足いたす以前におきまして、
東鐵管内
に發生いたしました例の
省電爭議
の問題でございますが、これなども
急進派
のいわゆる直接行動と見られるものとも思われるのであります。これに對しまして比較的穏健な
考え方
をも
つて
おる
組合員
といたしましては、
組合
の
團結
を亂るものであるとして一旦
除名處分
に出たのであります。しかして
當局側
がこれらの
省電事件
の
責任者
を
懲戒處分
といたしました。ところが
穏健派
はひつくり返りまして、
組合自身
として除名をいたしましたものを、この
除名
を取消しまして、
當局
に對しましては
懲戒處分
の撤囘を
要求
するに
至つたの
であります。このように分裂しながらも
當局
に對する抗爭におきましては、
團結
を保持する形がその後の
組合
の動きを支配いたしておると思われます。また
昭和
二十一年の九月馘首反對の
爭議
におきましても、
名古屋以西
におきまするところの、いわゆる穏健と申しますか、
堅實
と申しますか、そういう
組合
が東日本の
組合
の
ゼネスト決行
に反對をいたしまして、一時は
組合
の分裂を見るかとも思われたのでありますが、結局大同
團結
いたしまして、
當局
に
要求
を貫徹しようという態度に出ております。また本年の二・一
ゼネスト
の
爭議
は、國有
鐵道
のみの問題ではなく、全
官公職員
の
共同鬪爭
という形をとりましたために、これまでとは違つた行き方をし、當初におきましては分裂の兆は見られませんでしたが、G・H・Qのその筋の
中止勸告
が明らかに
なつ
てまいりますにつれ、
一般組合員
は
急進派
の
獨斷的行動
を不滿とし、これを排撃しようとする試みなども現われたように思われるのであります。また三月中旬におきまして
組合
が大會をもちました際におきましても、一部
急進分子
を
組合幹部
より取除く動議が提起されたことがございます。
組合
といたしましては、その大會においては決議をしなかつたようでありますが、こういうふうに
組合内部
といたしまして、われわれ
管理者側
として見ておりますと、
急進派
と
穏健派
とは相當激しい抗爭を續けてきておるように思われるのであります。しかしながら
當局
に對しましては、あくまで
組合
の
團結
を失うことなく、一致してこれに
當ろう
としておるように思われます。現に
組合
の幹部として苦心しておるところも、またこういうところにあるのではないかと思われるのであります。
組合
といたしましても、最近におきましては非常に
自己批判
をいたしておるように思われるのでございまして、先般六月の大會におきまして、新たに
中央執行委員等
が選出されたのでありますが、そういうのを見ましても、比較的
堅實
な、建設的な、また穏健な人が大部分を占めておるように思われます。なお
組合
は
總同盟
あるいはまた
産別會議等
に現在の段階においては加入いたしておりません。ただ
組合
の
外部活動
といたしましては、例の全
國勞働組合連絡協議會
、さらに七月上旬
結成
を見ました
全日本交通運輸勞働組合協議會
に參加いたして、これらと隨時連絡し、
組合運動
を展開しつつあるのでありまして、現在の段階におきましては、一應落ちつきのある動向を示しておるのであります。 次には、
勞働組合
が
結成
されまして、
組合活動
が活溌になりましたことが、
鐵道業務
にどういう
影響
を及ぼしたかという點を
簡單
に申し上げたいと思います。
組合員
が
組合活動
の何たるかを明確に自覺して、單に權利だけを主張するような矯激な
傾向
を改めて、義務をも履行するようになりますれば、
業務
に對してはむしろ非常によい
影響
を與える。
勞働組合
なくして今後の
業務
の完全な遂行はできないことになると考えております。しかしながら現在までの
組合活動
は、必ずしも
業務
に對してよい
影響
のみを與えたとは考えられない。悪い
影響
を與えておる點も少くないのであります。第一に
業務命令
に從わないことが本筋であると誤解をする向きもあつたかと思われるのでありまして、それは長い間の一方的な
命令
に對する服從の反動として、理解し得る點もないではございませんが、一旦發せられた
業務
上の
命令
に對しては、あくまでも服從することが、いかに民主的に
なつ
ても絶對に必要であると思うのであります。最近は
組合員
も逐次
職場紀律
の維持の
重大性
に目ざめつつあることは喜ばしい
傾向
にあると思われます。 第二に
組合結成
の當初におきましては、
組合員
は無統制にデモその他に參加する
傾向
がございまして、
爭議問題
が發生するたびに、幾度となく何萬という
組合員
が職場を離れるというようなことになりまして、これらにつきましては、
當然業務
に悪い
影響
を及ぼしました。今後これらの觀點からいたしまして、
組合事務
に專從する者の
範圍及び組合活動
をなし得る場合等を限定し、
協約
の
規定
を
組合員
に遵守さしてまいらねばならないと考えております。 次に今後の見透しはどういうふうになるかということにつきまして一言申し上げます。本年の二月に例の劃期的な
勞働協
約が締結されましてから後の
組合運動
は、
從來
とは
大分形
を異にしてきたように思われます。
從來
のように
鬪爭
のみにこだわるというようなことなしに、昨今は
勞働協
約の
規定
に從い、
經營協議會
を中心に
當局
と事務的に
交渉
するように相
なつ
てきております。
組合内部
におきましても、すでに申し上げましたように非常な
反省期
に入
つて
おるように思われるのでありまして、今後におきましては、非常に
軌道
に乗
つて組合
との
交渉
その他が進められるものと思うのであります。ただ今後の日本の經濟の
秩序いかん
というものが非常に大きな
關係
があるのでありまして、さらに
インフレーシヨン
が悪化し、
生活
問題が事務的な
交渉
、あるいは
協議
のらち内で解決ができなくなるというようなときには、か
つて
示したような
組合活動
の態勢に逆轉するところがないとは斷言できないのであります。 以上申し上げましたところは
從來
の
組合
に關することでございますが、以下お
手もと
に差上げました
パンフレツト
にございます點は、
組合
のきわめて最近の
綱領竝びに運動方針
でございます。これらをごらん願いますと、
考え方
といたしましても、非常に建設的なものに相
なつ
ておると思われます。
國鐵
の
勞働組合
の
規則
その他はそこにございますが、この
規則
の
説明
は一應省略さしていただきまして、別にお
手もと
に差上げてございます
國鐵勞働協
約の
解説書
によりまして、
勞働協
約のおもな點だけを御
説明
申し上げたいと思います。この
勞働協
約を作成するには、
組合側竝びに管理者側
も
誠心誠意努力
をいたしまして、さらに
中央勞働委員會
の御努力もございまして、でき上つたものでございます。全
條五十六條
より
なつ
ております。この
協約
の根本というか、
特徴
をなしておるものを一、二申し上げたいと思いますが、この
協約
におきましては、
鐵道經營
の
管理權竝びに人事權
というものは
當局側
にあるという點に
特徴
があると思います。この點は
組合
といたしましても
管理者側
に
經營權竝びに人事權
というものがあることをはつきり認めたことに
なつ
ております。次に
經營協議會
の設置を第二條において
規定
しております。
經營協議會
につきましては別に
經營協議會規則
を設けておりますが、すでに第一囘を開き、さらに中旬には第二囘を開いてまいりたいと思
つて
おります。この
パンフレツト
のおしまいの方に
經營協議會
の
規則
も掲げてございます。次に申し上げる點は、この
協約
におきまして
組合員
の
範圍
と申しますか、第四條の
規定
がいろいろと
從來
も問題にな
つたの
でございます。國有
鐵道
の
從業員
はこの
勞働組合
の
組合員
とするというふうな書き方に
なつ
ておりまするので、この點がいろいろと例の
職制
の問題と關連いたしまして、
クローズド・シヨツプ
ではないかというふうに言われたのでございますが、私どもといたしましては、この點につきましては國有
鐵道獨自
の
職制
である、こういうふうに考える。強いて申しますればあるいはユニオン・シヨツプに當るのかとも思いますが、本
協約
を通じまして
組合員
の脱退を認める、
組合員
にあらざるところの
從業員
のあることを認める、また
組合
より
除名
されましても、國有
鐵道
において當然これを解職するということにならない、解職する一つの理由になるというような點、この
協約
におきましては他の
組合
の成立をもなお豫想しつつできておる點を考えますと、この第四條においてきめておりますることは決して
クローズド・シヨツプ
ではない、
國鐵獨自
の
職制
であるというふうに考えておるのであります。なおこの第四條の
規定
の但書におきまして「職務の
性質上甲
の
立場
を代表すると認められるものを除く」というふうに書いてございまして、甲の
立場
を代表するという
立場
にあるものは
組合員
としないというふうに書いてあるのであります。この點につきましては先般の
經營協議會
におきまして
範圍
を一
應組合側
と協定をいたしまして、
協定事項
として
經營協議會
においてまとま
つたの
であります。それの一番の根本は驛長であるとか、あるいはまた
現場長
、
機關區長
であるとかいう
現場
の長を
組合員
とするかしないかという問題でございます。それも
經營協議會
におきましては
現場
の長は
組合員
としないということで協定が成立したのであります。しかしながら
組合
といたしましては、
經營協議會後
の大會におきましてこれをかけましたところが、
組合員
の同意を得られませんので、これが
勞働協
約と同じ效果を發生するということに相なりませんために、現在におきましては
現場長
は
組合員
であるか、
組合員
でないか、まだはつきりきま
つて
おらない
状態
でございます。甲の
立場
を代表すると認められるもの、これの
組合員
の
範圍
ということにつきましてはさらに
組合
と
折衝
をし直さなければならない
状態
にあることを申し上げておきたいと思います。 次に勞働におきまして特に申し上げることは、
勤務
時間、その他休日、
休暇等
のことでございます。
勤務
時間につきましては一日八時間、一時間以内の休憩時間を含めて
勞働時
間は一日八時間であるということに取極めてはございます。一時間以内の休憩時間を含んでおりますので、おおむね
實働七時間制
を採用するということに相
なつ
ております。但し
勤務
時間というものは
鐵道
の
業務
の
特殊性
からいたしまして、いろいろの
勤務制度
がございますので、それに從いまして別表によるというふうに第十五條の
規定
において定めておるのでございます。なお休日、
休暇
につきましては、
週休制
を採用し
慰勞休暇
と申しますか、
休暇
につきましては、
勤續一年
以上の者につきましては、年二十日を認める。一年未滿三箇月以上の人につきましては、年十日を認めておるのであります。なお
勤務
時間を超えて
勤務
いたしました者に對する
増務給
その他のものを認めておるのであります。
女子竝びに年少者
の
勤務
は、勞働基準法が實施になりますのを待
つて
きめるという
勞働協
約に
なつ
ておるのでありまして、現在
組合側
と
女子竝びに年少者
の
勤務
をいかにするかということについては、
專門委員會
において
折衝
中でございます。それからこの
協約
の第五十二條におきまして、この
協約
は二月二十二日から有效になりまして、八月の二十一日まで有效ということに相
なつ
ておりますが、この第五十五条の
規定
によりまして、この期間中においては
人員整理
のための解雇をしないということを認めておるのであります。この
規定
につきましては、先ほど申し上げました九月十五日の
ゼネスト
の際交換いたしました覺書を再確認いたしておるのであります。この
協約
が更新されましても第五十五条は當然には繼續して效力をもつものではないのであります。
協約
の大體の
特徴
その他については以上私から申し上げた點に盡きると思
つて
おります。はなはだ
簡單
でございますが、一
應國有鐵道勞働組合
の概況について申し上げた次第でございます。
正木清
3
○
正木委員長
次いで
日通關係及び
私
鐵關係
の
勞働組合
問題に關して、
陸運監理局長
より
説明
を聽取いたします。
郷野基秀
4
○
郷野政府委員
私から
陸上運送關係
、自動車小
運送竝びに地方鐵道軌道
の
關係
の
勞働組合
につきまして、
概略
を御
説明
申し上げたいと存じます。お手許に差上げてある表にあります
通り
、
事業別
に見ますと
地方鐵道軌道
につきましては百七十五の
事業者
がございます。そのうち休業中のものもございますので、現に營業いたしておるものは百五十九でございますが、そのうち百五十社について
組合
はすでに
結成
せられております。また
從業員
の數はこれは兼業のバス事業を含んでおりまするが、總數十四萬八千七百、
組合員
の數は十四萬八千七百、
組合員
の數は十四萬四千ばかりに相
なつ
ております。この
地方鐵道軌道
の
組合
の中から約八十七の
組合
が別に全國的な
連合體
の
組織
といたしまして、日本私鐵
勞働組合
總連合會
を
組織
いたしております。この
組合
の中には
地方
鐵道
の
經營
いたしておりまする傍系のバス事業四つ、トラック事業
一つ
、竝びに汽船會社一社がはい
つて
おります。このほか都市の
經營
いたしておりまする
軌道
の
關係
につきましては、これはまたバスも含めておりまするが、日本都市交通
勞働組合
連合會
を
結成
いたしました。加入の
組合
は六大都市のほか川崎、
仙臺
の二つの市の
經營
をいたしておりまする企業が參加いたしております。この
關係
の
組合員
の數は私鐵
總連合
の
關係
が十萬六千ばかり、都市交通
勞働組合
連合會
の
關係
が二萬三千ばかりに相
なつ
ております。 ついででございまするから自動車の運送事業につきましての
組合結成
状況も
簡單
に御
説明
申し上げたいと思いまするが、乗合自動車の
關係
におきましては百六十八の業者につきまして六十六の
組合
ができております。從事員約二萬に對しまして一萬四千人ばかりが加入いたしております。私鐵のバスの分は別に私鐵の方に入れてございまするので、これを省いております。ハイヤー、タクシー、ここに旅客と書いてございまするが、この
關係
におきましては業者の數は九百あまりと推定されておりまするが、
組合
の
結成
の
關係
で私
ども
ではつきりつかんでおりまするものは、まだ二十五でございます。
組合
の
結成
の數は比較的少く相
なつ
ております。從事員數約一萬一千に對しまして
組合員
の數は四千四百ばかりというふうに推定いたしております。トラツク事業につきましては六百あまりの業者數のうち二百二十ばかりの
組合
ができておりまして、從事員數八萬九千に對しまして、
組合員
の數は五萬一千、こういう
状態
でございます。その中でトラツクの事業
組合
だけが全國的な貨物自動車
勞働組合
連合會
を
結成
いたしておりまするが、加入の
組合
はこのうち約五十ばかりでございまして、
組合員
の數は約四萬でございます。 次に小運送業でございまするが、これは
日通
を含めまして二百八十六の業者につきまして、
組合
は四十五
結成
せられております。從事員十一萬二千七百あまりに對しまして、
組合員
の數は十萬五千ばかりに相
なつ
ております。この
關係
におきましては
日通
の
組合
がその大部分を占めておりますることは申し上げるまでもないのでございます。こういう
状態
で
地方鐵道軌道
、自動車竝びに小運送業
關係
の
勞働組合
は現在
結成
されておりまするが、このうち特に私鐵の
關係
と
日通
の
關係
の問題につきまして、詳細にさらに御
説明
申し上げたいと存じます。
地方鐵道軌道
の
關係
につきましては先ほど申し上げましたように、日本私鐵
勞働組合
總連合會
が一方にございまして、これは本年の一月十日に
結成
せられたものでございまするが、綱領といたしましては、強固なる自主的な
組織
を確立いたしまして、勞働者の
生活
安定、向上等を期するということを掲げております。現在加入いたしておりまするものは八十いくつでございまするが、大きな
地方鐵道軌道
の
組合
はたいていこれに加入いたしておりまするので、傘下の
組合員數
は、先ほど申し上げましたように非常に多く相
なつ
ております。日本都市交通
勞働組合
連合會
はこれまた今年の一月に
結成
せられたものでございまするが、この二つの傘下に屬します
組合
が本年二月に最低賃金
制度
と退職金
制度
の確立を
要求
いたしまして、
經營
者に
要求
を提出いたしたのでございます。この
要求
に對する
解決
につきましては、それぞれ
組合
と
經營
者側におきまして
交渉
をいたしてお
つたの
でございますが、私鐵
總連合
は
中央勞働委員會
の調停を希望いたしまして、
經營
者側もまた、
中央勞働委員會
の
要求
もございましたし、
運輸省
といたしましてもこの間斡旋をいたしまして、
經營
者團體を
結成
いたしまして、この私鐵
總連合
と
經營
者團體との間におきまして、
中央
勞働者
委員會
の斡旋調停によりまして漸次問題の
解決
に
努力
をしてまい
つたの
でございますが、四月の三日に調停案が提示せられまして、この調停案によりまして假
協定
が五月にでき上りました。六月分から新しい賃金によりまして
給與
の
制度
を確立するということになりまして、この
要求
につきましての
爭議
の問題は一應
解決
を見ることに相な
つたの
でございます。それからさらにこの退職金の問題につきましては、本年の五月以降、勞資
協議
の結果きめるということにその
當時
話合いができてまいりました。この六月分から新しい
給與
をきめて
實施
をするということにきまりましたにつきまして、
經營
者側からは、現在の
地方鐵道軌道
の運賃ではとうていこれを十分に負擔していくことができないから、これの方面につきましても改正をしてもらいたいという希望がその
當時
申し述べられておりました。この問題も今月に入りまして國有
鐵道
の運賃の改正と同時に、
地方鐵道軌道
についての運賃改正も
實施
せられることに相なりましたので、一應六月分から遡りまして、この調停案に示されました基準によりまして、各私鐵
經營
者側と
勞働組合
との間におきまして、新しい賃金體制の確立
實施
を見ることができることに相
なつ
たわけでございます。なお都市交通
勞働組合
傘下の六大都市の市電と、
仙臺
市電につきましては、各
地方
勞働
委員會
に提訴があ
つたの
でございまするが、交通勞働の
特殊性
を考慮いたしまして、いわゆる千六百圓案、あるいは千八百圓の確定に至りますまでの措置といたしまて、とりあえず現行
給與
に六大都市電は三百圓ないし四百圓、
仙臺
市電は二百七十圓の加給をなすべきことの勸告が提示されまして、これを勞資兩方面におきまして受諾をいたしました。この點も一應
解決
を見ております。これによりまして
地方鐵道軌道
の
關係
におきまする平均二千四百圓の
給與
を基準といたしまして、新しい
給與
體系が確立いたしまして、各私鐵の
給與
と、都市交通勞働における
給與
につきましても、ほぼ大體におきまして平衡を得た
給與
の體系ができ上
つて
まい
つたの
でございます。しかしながらなお退職金
制度
の問題につきまして、勞資兩方面におきまして
協議
中でございまして、なお
決定
に至
つて
おりませぬ。しかしこの問題はただいま
經營
者側と勞働者
組合側
におきまして、鋭意
折衝
中でございまして、だんだん話も
具體的
に進みつつありまするから、何とか近いうちに
解決
を見るのではないかと期待をいたしているような次第でございます。この退職金の問題につきましては、現在の
地方鐵道軌道
の
經營
の
状態
からいたしまして、永年勤續いたしました人の今後の
生活
を保障するという意味合における
給與
を、全額相當の額を負擔するということにつきましては、財政上餘裕がないという點が相當難點のようでございまするが、この點につきまして、大體
組合側
の
要求
をいたしておりまするものは、二十五年勤續者に對しまして十年間の
生活
が保障できるような金額というところにあるようでございます。
經營
者側も、この
考え方
をどの程度まで受け容れられるかということにつきまして、鋭意檢討を加えておるようでございます。それから都市交通
連合會
關係
の退職金の問題につきましては、勞資双方におきまして
具體的
な研究をするように
關係
地勞委から勸告をせられておりまするが、まだ本格的な
協議
にはい
つて
いないようでございます。なおまた最近
食糧
の缺配の問題に關連いたしまして、缺配手當の
要求
をしておる都市交通
關係
の
勞働組合
があるようでございますが、この點につきましてもなお
解決
を見るにいた
つて
おりませぬ。
地方鐵道軌道
の
勞働組合
の現状はそういう
状態
でございます。 日本通運の
勞働組合
の現状について御
説明
申し上げます。日本通運の
勞働組合
につきましては、一昨年、
昭和
二十年の十一月ごろ、
地方
におきまして運送店の
勞働組合
ができるようになりましたのが初めでありまして、その後各地に
日通
の
勞働組合
の
支部
というようなものができかけてまい
つたの
でございますが、昨年の四月になりまして、東京におきまして全國の從事員を打
つて
一丸
といたしまする
單一
組織
の全
日通
勞働組合
の
組織
を見ることになりました。現在この
日通
の
勞働組合
が
單一
體といたまして
活動
いたしておるわけであります。なおこのほか地區統合の會社などの
勞働組合
もあるわけでありますが、
日通
の
勞働組合
との
關係
につきましては、別個の
組合
といたしまして直接
關係
はない形態で進んでおるようであります。ただ友誼的の團體といたしましての連繋はもちろんあるのでございまするが、形式上におきましては別個の團體と
なつ
ております。現在
日通
の
勞働組合
は事務員、昨業員一體となりまして、本社一、支社九、支店三百七十七、計三百八十七の
支部
をも
つて
おりまして、
組合員
は事務員約三萬八千、作業員約六萬、計約九萬八千名ばかりであります。この
日通
勞組は昨年
結成
せられまして
以來
、
結成
大會の決議の事項といたしまして、
勞働協
約の締結・
待遇改善
、社規、社則の改正、その他數項目の
要求
をいたしております。その後經濟
情勢
の變動に對應いたしまして、
生活
維持のための
待遇改善
その他の
要求
も提出いたしております。
中央
協議
會も數囘にわた
つて
開催をいたしております。
爭議
状態
にはいりましたことは一囘ございます。最近におきましては
日通
の復興
會議
の促進につきまして、活發に
行動
をいたしております。今年の二月、全日本
産業別
勞働組合
會議
に加盟いたしておりました
關係
から、その傘下におきまして
鬪爭
いたしておりましたが、二月の全面的な
ストライキ
の
中止
の
命令
に從いまして、この
關係
におきましては別に
日通
の會社側と
協定
をいたしまして、二月に
給與
改正につきましての
協定
を結びまして、これを
實施
してまい
つたの
でございます。しかるにまた最近の
給與
の
状態
につきまして、ほかの會社との振合いもございまするし、また先般發表せられました暫定業種別平均賃金におきましても、貨物業の
關係
におきましては、二千四百四十一個の基準賃金を
規定
いたしておるような
關係
もありまして、
日通
のことしの二月にきまりました
給與
の水準、すなわち一人當り千七百五圓と相
なつ
ておりますが、この
關係
におきましては現在の
情勢
に適應しないものがあるということを考えまして、會社側におきましてはただいま現在の
給與
を五割方殖やすことにつきまして、
組合側
と
協議
をいたしておるような次第でございます。この結果大體二千五百圓餘りの
給與
の水準に相なると思いまするが、
日通
の勞組につきましては平均年齢も三十七歳ぐらいでございまして、相當高く相
なつ
ております。從いまして平均家族數も三人四分、比較的多く
なつ
ております。なお荷役を主といたしまする重勞務者であります
關係
から考えまして、私も大體現在考えられておりますこの
給與
の水準の案は適當のものではないかと考えておりまするが、小運送業の現在の實情から考えまして、今般小運送料金も三倍一分に改訂を見ることには相なりましたけれ
ども
、これらの
給與
を維持してまいりますためには、會社といたしましては、いろいろ小運送業以外に營業いたしております營業部門もございまするが、全般を通じまして、節約、
合理化
、能率増進の面につきまして大いに
努力
がいるものではないかと考えております。なお日本私鐵
勞働組合
連合會
、日本都市交通
勞働組合
連合會
、全國貨物自動車
勞働組合
連合會
、全
日通
勞働組合
などは、また最近
全日本交通運輸勞働組合協議會
に參加することに相成りまして、この
關係
におきまして交通、運輸の
勞働組合
が全般的に新しい結びつきをもちまして、今後の勞働
運動
を展開してまいるということに相
なつ
ておりますることを、併せて御
説明
申し上げておきたいと存じます。 以上
簡單
でございまするが、大要御
説明
を終ることにいたします。
正木清
5
○
正木委員長
諸君にお諮りをいたします。
當局
の
説明
は終りました。これから質疑にはいるわけですが、今のところ館君一人から通告があつただけでございます。時間も時間でありまするから、本日の日程の取扱い方について、
一つ
諸君の御
意見
を伺いたいと思います。館君に
委員長
から御相談申し上げますと同時に、諸君に御相談をいたしたいと思いますことは、明日は海運
關係
の勞働問題について
説明
を聽取したいと思
つて
おりまするし、前の
委員會
においてもさように日程が組まれておるわけです。なお館君に相談というのは、明日の海運
關係
の勞組の
説明
の聽取を終
つて
から、本日出席された
政府
委員
にも出てもら
つて
、全體で質問をするというようにしたいと思いますが、どうですか。
館俊三
6
○館
委員
私は
政府
の方たちの
組合
説明
のひまを見て、緊急なる北海道の
鐵道
そのものについて、ちよつとお話をしておくことが非常によいと考えますので、明日に延ばさないで
一つ
の時間をいただきたい。
正木清
7
○
正木委員長
では諸君に御相談をいたしますが、館君の質疑が行われるわけですが、そういたしますと、午後も續行することにいたしましていかがでしようか。
成重光眞
8
○
成重
委員
館君の質問は十分ぐらいで終るそうですから、一應館君に質問していただいて、それで散會したらどうかと思います。
正木清
9
○
正木委員長
では館君に質問を許します。館俊三君。
館俊三
10
○館
委員
今日むりにお願いいたしましたのは、今日の一時に北海道から農林省へ北海道の
食糧
事情を嘆願に來ておりますので、それに出かけなければならないということもありまして、急に時間をいただいたのであります。申譯がございません。北海道の
食糧
事情は、新聞で御承知の
通り
、きようの讀賣なんかは極端な例ですが、九十日の缺配をしておる箇所がある。これは函館の近くのセメント會社のある上磯。あの近くにおいてさえ約九十日近い缺配をしておるのであります。これは非常にたいへんなことでありまして、この點における認識を深めていただきたいということを土臺にして、北海道の
國鐵
の現状は知
つて
おられるでしようが、これを十分に認識して善處をしていただきたい。こういうことなのであります。現在北海道における
國鐵
從業員
は、現業員だけで約六萬人、家族を入れますと約二十萬と見てもよいじやないかと思うのであります。この人たちの
生活
が、北海道民全體の
生活
が窮迫すると同じような
状態
において窮迫しておる。それで飢餓
鬪爭
にはいるのではないかといううわさを聞いておるのであります。この飢餓
鬪爭
ということは非常に困つた問題でありますが、極端なのは、函館の
機關
區、追分、岩見澤その他二、三の
機關
區というものは、
食糧
のないという事情から
動き
がとれない。これについての事情は、二、三日前運輸大臣まで北海道の新聞の記事を參考に差上げてあるのであります。函館
機關
區のごときは、新聞の誇張した報道であろうと思いますが、約五割ぐらいが買出しのために缺勤をしておる。その記事を差上げておきました。それが非常に今日の輸送状況に大きな
影響
を及ぼしておると私は思う。それだからすぐその家庭米をも含めた
食糧
の配給を、
鐵道
從業員
にうんとや
つて
いただきたい。もちろんこういうことを言いましたら、もちろんこういうことを言いましたら、三百萬、四百萬近い北海道農民は、
鐵道
職員だけということで、非常な反撥心が起ると思うのでありますが、その點をよく含味していただいて、理解ある處置をしていただきたいと思います。飢餓
鬪爭
をやらなければならぬということは、現在における
給與
では、とても買出しばかりでやみの
食糧
を買
つて
おるので、ほとんど赤字々々で暮しておるから、その赤字の埋合せをしていただきたいということと、この
食糧
の飢餓が運轉に差支えるという二つの問題からなのであります。殊に例をとりますと、これは聞いた話で、よく本省で調査してもらいたいと思いますが、急行列車を北海道内に増發したその
關係
で、
機關
士が足りない。この
機關
士を別の
機關
區からまわそうとした際に、その半分ぐらいの者は、
食糧
問題のためにまわることを拒んでおるというような
状態
で、ようやく半數を
配置轉換
と言いますか、臨時的な措置によ
つて
動かしたことによ
つて
、函館、旭川の急行が辛うじて動いたということであります。これは
組合員
のうわさ話で私は調査しておりませんから、實情を調査していただきたいと思
つて
おります。殊に今問題に
なつ
ておりますことは、石炭の増産——これは運輸面のことですが、石炭の増産のために石炭をうんと山から運ばなければいかぬ。しかも
正木委員長
から二、三日前にお話を聽きますと、六十萬トンぐらいの坑木が山に停滞しておりながら、これを輸送する力がないという
状態
に
なつ
ておる。札鐵といたしましては、十月末になりましては、雪その他のために輸送障害を受ける。この夏場において坑木の輸送なり、あるいは重要なる石炭の輸送なり、あるいは重要なる石炭の輸送なりの能率を上げなければ、暮の雪の降
つて
能率が上らないときに
なつ
て、しかも
食糧
の取入れがどんどん出てきて、その輸送が十一月から盛んになるというころ合いに
なつ
て、もちやもちややり出したのでは、とても及ばないことになる。今は輸送の夏枯れどきと言いますか、このときにその輸送力をも
つて
坑木なり、石炭の輸送に能率を上げなければならぬ。そういう際にこの仕事をする職員がこんな
状態
であ
つて
は、北海道の輸送能力が非常にむだに費されたり、時期を失してしまつたりする。その點において、十分なる考慮を拂
つて
いただきたいと思う。私この點については、ここへ六月に來るとすぐ、苫米地さんその他列席の人たちに、省において非常に強く話したのでありますが、これは札鐵の
組合
としては、去年の五月もそういうことで非常に心配しておつた問題である。それは
機關
車の問題、札鐵の
機關
車がどう
なつ
ているか。私は苫米地さんに非常に激しく申し上げてきた。二、三日前に家でラヂオを聽いておりますと、札鐵から本州に
機關
車を借りに来た。借りに來たけれ
ども
、本州にとても
機關
車が足りないので貸してやることができなかつた。それほど
國鐵
は困
つて
おるというような意味のラヂオ放送があつた。
鐵道
次官のお話ということであつたが、名前が違
つて
おつたから、
鐵道
次官でなかつたかもしれません。私早速
運輸省
に行
つて
、札鐵から車を借りに來ておるかどうか調べに行こうと思
つて
おりましたが、ひまがなくて行けなかつたけれ
ども
、そういうふうに札鐵では
機關
車がなくて非常に困
つて
おる。石炭なりあるいは
食糧
は非常に重要な問題として、
鐵道
では第一番に書きあげておりますが、これには貨車の
配置轉換
よりも、もつと徹底して重點的に
機關
車の配置をしなければ、とても北海道はこの冬はもたないと私は思う。今最も望んでおることは——資本家側か、
經營
者側が來てお
つて
、六十萬トンとかの坑木を欲しいと言
つて
おるそうです。それから緊急の
食糧
の移動、それを十分にやり遂げてもらうことが必要です。もう二、三日すると——きよう、あすにはまた北海道から家庭用の石炭について嘆願が參ります。それも無理な輸送を願うのではなくて、夏場における輸送ということを主張として望むのです。
政府
は二トン三分ということを言
つて
、これはくれるかどうかしりませんが、とにかく二トン三分ということに
なつ
ておる。それは七月、八月、せめて九月の上旬までに動かさなければ、吹雪の北海道ではとても
動き
がつかない。坑木もその
通り
である。現在の炭鑛にいかに能率をあげさしても、北海道の貨車の面においても、人的の面においても、
機關
車の面においても、その他の面においても、とうてい賄うことはできないと思う。これを
組合
の方でやかましく言いますと、いかにもそれを條件として、飯を食わせろ、給料を上げろというふうに世間一般にはとられるが、常識的に夏場の輸送というものは、北海道においては殊に強く考えなければならぬ。重要物質の出る北海道、殊に基本的の石炭を出す北海道においては、それを考えていただかなければならぬと思う。そこで私は全國の
機關
車の事情というものがどういうふうに
なつ
ておるか。どういうふうに修理の豫算をと
つて
おるか。また今日の豫算面において、殊に
機關
車に對する豫算はどれくらいに
なつ
ておるか。その豫算によ
つて
賄われるところの新車は何臺で、修繕が何臺できるか。それは去年と比較してどれくらいの高低があるのかということを、詳らかにしてもらいたいと思
つて
おる。それを知
つて
、多少とも去年によりも、資材難の折柄でもあり、あるいは豫算の
關係
もあるでしようが、それを上へ向けてもらわなければ、とても
國鐵
というものはもちきれなくなる。そういうことを私は痛切に考える。急場になればなるほどそれをや
つて
もらわぬことには、とても國の經濟體系の建直しというものは不可能だと思
つて
おる。これは平塚さんがこの正月北海道に來たときに、私は札鐵局長と局長室で激しく話したことがある。そのとき私はおとぎ話をいたしたのであります。水道の技師にどうしたら水が出るかということを話すと、おそらく堰堤をうんと築いて水を溜めると言うだろうが、それだけに終らないで、
鐵道
の輸送をうんと上げなければならぬと言つた。その輸送
状態
を今日のままにしておつたら、ほとんど一年後には、ほんとうに手を上げる時期がくると思う。だからもう少し輸送
機關
に重點をおいていただきたいと思う。海運も大事です。海運では機帆船は非常に大事ですが、
鐵道
の現在における位置というものを、基本産業の上にどうしても重要に考えていただく。うわさによればA組でなくB組に落ちたとい
つて
、札鐵の
組合員
も非常に心配しておる。札鐵の
組合
では
組合員
も局長も非常に一體に
なつ
ておる。これは局長からも懇々と頼まれたが、札鐵の現状については十分に戰
つて
くれというお話であつた。私は長く
鐵道
をや
つて
おる
關係
から、心から自分の
職場
を護るということにおいては、上の施策に對して非常にたるいものがあると思
つて
おる。重點的とい
つて
もほんとうに重點的にい
つて
おるのではないというふうに考える。その點ひとつ十分に調べて、貸す
機關
車があつたならば貸していただきたいと思う。そういうことが石炭と
食糧
の面にありますので、十分にひとつ御考慮を願いたいと思います。御返事は要りません。
正木清
11
○
正木委員長
では本日はこの程度にいたしまして、明日は午後一時より海運
關係
の勞組の問題と、殘
つて
おります氣象の問題について、
當局
から
説明
を聽取することにいたします。 本日はこれにて散會いたします。 午後零時六分散會