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1947-07-11 第1回国会 衆議院 運輸及び交通委員会 第3号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十二年七月十一日(金曜日)     午後一時二十五分開議  出席委員    委員長 正木  清君    理事 佐伯 宗義君 理事 前田  郁君       井谷 正吉君    島上善五郎君       館  俊三君    成重 光眞君       志賀健次郎君    原   彪君       矢野 政男君   小笠原八十美君      岡村利右衞門君    飯田 義茂君       木下  榮君    前田 正男君 七月七日委員平野力三君及び岡田勢一君辭任につ き、その補闕として重井鹿治君及び木下榮君が議 長の指名委員に選任された。 七月八日委員角田幸吉辭任につき、その補閾と して高橋英吉君が議長の指名委員に選任された。  出席政府委員         運輸政務次官  田中源三郎君         運輸事務官   伊能繁次郎君         運輸事務官   加賀山之雄君         運輸事務官   郷野 基秀君  委員外出席者         議     員 大島 義晴君     ————————————— 本日の會議に付した事件  陸運行政全般特に自動車問題に關する説明聽取     —————————————
  2. 正木清

    正木委員長 會議を開きます。諸君も御承知のことと存じますが、當委員であつた平野力三君、角田幸吉竝びに岡田勢一君が辭任されました。從つて去る八日新たに重井鹿治君、高橋英吉君、木下榮君がそれぞれ選任されましたので念のために申し上げておきたいと思います。  それではこれより陸運行政全般、特に自動車問題に關し當局より説明を聽取いたします。なお説明が終りましてから諸君の中に質問さるる方があろうと存じますが、質問さるる方はあらかじめ書記の方へそれぞれ御申出おきを願います。陸運監理局長郷野君。
  3. 郷野基秀

    郷野政府委員 それでは私から陸運監理局の擔當いたしております行政事務全般につきまして、概要を御説明申し上げようと存じます。  陸運監理行政對象といたしまして、ただいま取上げられておりますものは、自動車交通事業、小運送業、小運搬業地方鐵道事業索道事業等でございます。なおこのほかに自動車修繕事業代用燃料装置製造業、輕車輛製造竝びに修繕事業、この仕事陸運監理局所管いたしております。自動車製造部品製造、これは商工省所管に相なつております。しかしながらこの配給事務につきましては、輸送行政といたしまして私どもの方で實際擔當いたしております。  なお燃料の問題につきましても、それぞれ所管の省がございますが、實際運輸事業に對します配給仕事はこちらで擔當いたしております。なお先般臨時物資需給調整法によりまして、陸運關係資材割當配給事務を私どもで擔當することに相なりました。この關係仕事も前年度末から擔當いたしておるようなわけでございます。  次に自動車交通事業概要につきまして最初に御説明申し上げたいと存じます。自動車交通事業といたしましては、バストラツクハイヤータクシー自動車道等仕事がございまするが、そのうちでバス業者はお手もとにさし上げました資料にも掲げておきましたが、ただいま二百五十六業者ございまして、全體で八萬一千キロばかりの營業キロをもつておるわけでございますが、現在の車輛事情燃料事情等からいたしまして、そのうち約四割は營業を休止いたしておるような現状でございます。そしてバス事業に使つておりまする車は一萬一千輛ばかりでございまして、これは大體昭和十五年度ごろの輛數に比べてみますると、約半分に過ぎません。次にトラツク貨物運送事業でございまするが、業者數は七百三十ばかりございまして、三萬三千輛ばかりの車をもちまして營業をいたしております。ハイヤータクシー關係におきましては、九百余りの業者がございます。こういう状態運輸事業經營いたしておりまするが、このほかに自家用自動車がございます。自家用につきましては、トラツクにおきましては三萬七千輛、バスが二百輛ばかり、乗用車が七千八百ほどでございまして、特にトラツク關係におきましては、運輸業者のもつておりまする輛數を凌駕するような状態でございます。これで自動車總數を見てみますると、大體十一萬七千輛でございまして、この輛數昭和十四年から十五年の保有輛數の間にございます。大體昭和十一年度に比べまして、總數におきましては八〇%ぐらいにあたつておるのであります。從いまして戰前状態に比べまして、二割程度落ちておるような状態でございます。しかしながらこれを内容について見ますると、先ほど申し上げましたように、バスにつきましては昭和十五年の約半分程度乗用車につきましては昭和十五年度あたりの七割程度の數字でございます。貨物自動車につきましては、輛數におきましては七萬八千輛で、戰前とあまり違わないような數量でございます。從いましてバス自動車を除きましては、數量の面におきましては相當に囘復してまいつてきておるのでございまするが、その車輛の質の點について見てみますると、戰前におきまして、大體自動車平均車齢は四年以下でございました。しかるに最近の平均車齢は七年半ぐらいに相なつておると存じております。特にそのうちでもバスにつきましては、戰爭中からあまり補充をいたしておりませんでしたので、車輛は十一年ぐらいの年數に相なつております。こういう事情で質が非常に低下いたしております。なおあとで御説明申し上げたいと存じますが、自動車部品、特にタイヤチユーブ、また燃料などの關係からいたしまして、車が思うように使えないというような事情等もございまして、平均いたしまして實働率は六五%前後になつておるようなわけでございます。なおこの實働率もこのままで推移いたしますと、あるいはさらに低下しやしないかということが懸念せられるような状態でございます。この自動車によりまして大體どれくらいの輸送をいたしておるかと申し上げますと、要輸送量といたしましては、貨物關係におきまして、概數でございますが、約二億トンと私どもは想定をいたしております。しかしながら昨年度實績は大體一億五千五百萬トンぐらいであつたと存じます。本年におきましても今の車輛事情からいたしまして、一億六千萬トンぐらいの輸送確保できるというのが精一ぱいではないかと考えております。  バスについて申し上げますと、大體十六億人ぐらいを要輸送量と考えております。實際の本年度輸送といたしましては、何とかして十三億人ぐらいの輸送確保いたしたいものと思いまして努力をいたしておりますが、昨年度實績はおそらく十億を切つておる程度ではないかと存じております。  なお自動車道事業というのがございます。これは道路をこしらえまして、自動車をその上に運轉をいたすのでございます。一般自動車通行にこれを提供いたしまして、道路使用料をとるという事業でございますが、現在すでにわが國でも日光、箱根等においてこの事業も幾分經營を見ておるような次第でございます。しかしながらあまり収益の成績はよくないように存じております。  先ほど自家用自動車につきまして、自家用自動が特にトラツクの面におきまして最近殖えてまいつておることを申し上げました。自家用車につきましては、重要産業經營のために、戰時中からトラツク自家用といたしまして配属いたしたものが、漸次殖えてまいりました。現在では業者の持つておるトラツク輛數より多いような状態に相なつておりますので、この自家用車が本來の自家用車使命に徹しまして、その事業のために必要な物資輸送するという方向におきまして、健全に發達いたしてまいりますことは、私どもの念願するところでございますが、中には最近いろいろ自家用目的を逸脱いたしまして、營業類似行為を行うというような非難もございますので、この面につきましては最近取締りを強化し、そういうことのないような方向に向つて努力をしてまいりたいと考えているような次第でございます。なお、自動車交通事業につきまして、當面の大きな問題について二、三申上げてみたいと存じます。結局、資材關係の問題が最大の重要問題でございますが、この問題はあとにいたしまして、先ず企業解體新規免許關係の問題につきまして私どもの所見を申上げまして、いろいろまた御叱正を願いたいと存ずる次第でございます。企業統合につきましては、すでに戰爭前からその必要を認めまして、自主的に統合を慫慂してまいつてつたのでございますが、戰爭中、特にまたその末期におきまして、急いで當時の官の指導によりまする統合を敢行してまいつたような情勢でございます。その結果といたしまして、ただいまではトラツク業者も昔八千を數えておつたと申しますが、三百二十の統合會社に大體におきまして統合せられておりまするし、バスも數千を算えておりましたものが、二百五十程度総合會社に集約せられてまいつております。統合目標といたしますところは、結局資材その他いろいろ經營上隘路のございますのに對應いたしまして、できるだけ資材を重點的に合理的に使いまして、企業全般としての合理化をはかる。なお特に重點的輸送確保すべき部面につきまして、その輸送確保することのできやすいような態勢をとるということが主眼であつたのでございますが、終戰後の今日におきましても、大體におきまして、資材關係の行き詰まりはものによりましては一層ひどくなつたものもあるくらいでござまして、まだ緩和せられたというまでには達しておりません。從いましてこの困難な資材その他の條件制約のもとに、やはり國民生活の安定、重要物資生産のために車を使つてまいるということから考えましても、一應この統合の形態は急激にかえるべきものではないということを私どもは考えているような次第でございます。しかしながら、それと同時に、この統合體といたしましては、特に業者個人の自覺も促しまして、なお必要な監督も強化いたしまして、一面この經營形態のもとにおいていろいろ生じやすいような弊害は十分に注意をして、こういう弊害のないような方向にもつていかなければならないものと考えております。從いまして特に戰爭末期状態で軍の必要からつくり上げたような會社でありまして、統合自體にも非常に無理があつたというようなものにつきましては、いろいろ事情を精査いたしまして、關係者の公正な意見も聽きまして、これを解體するというようなことも考えなければならないかと存じまするし、今後あるいは獨占の弊害が著しく現われてきたというような場合につきましては、考えなければならないと存じまするが、一應統合體は原則として今の情勢におきましては、當分その統合のままで事業經營してもらいたいものと考えている次第でございます。  なおまた新規免許の問題でございまするが、これにつきましても今後は一應の基準を設けまして、地方交通事情から考えまして需要も十分であり、また既營業者との間におきましても不當の磨擦を起さないような場合、また業態といたしまして相當強固な經營ができる見透しのつきますような場合には、今後新規免許も考えていかなければならないと考えておりまするが、今の資材車輛事情からいたしまして、あまり急いでこういう方向に進むことも困難ではないかというふうに考えておる次第でございます。  なお自動車運送事業組合に關する問題があるようでございます。現在自動車運送事業組合戰時中統制方式によりまして、統制會の方式でこの組合はでき上つております。もとより終戰後の今日、そういう運用はいたしておりませんが、法規の建前から申しますると、統制會方式組合に相なつておりますので、これは現在の事情のもとにおきまして、法律上この形を存続してまいることは適當でないと考えておるような次第でございます。從いまして法律改正の時期におきましては、その點は改正をしていただきたいものと考えております。  なお先ほど自家用車の問題につきまして、自家用車營業類似行為取締りのことをお話申し上げましたが、なおこれに對應いたしまして、運輸事業者自身運送事業經營につきましても一層業者の自覺もお願いいたしまして、公定の運賃料金で必要な方面に對しまして重點的輸送を擔當し、これを確保していくという態勢は今後におきまして一層急速に進めてまいらなければならないものと考えておりまするが、さいわいこの事業關係しておられます業者方々も、この方向におきまして一段努力を自發的にしてもらえるような態勢に相なつておると存じますので、私どももこういう方面から官廳側といたしまして協力してまいりまして、重要物資輸送確保、從いまして經濟危機突破態勢下におきまして、自動車運送事業者輸送の面から國家社會のためにその使命を盡すということをやつてまいりたいと考えておるような次第でございます。  なお次にこの自動車關係につきまして、行政運營の問題、最近のこの面についての取扱い方の變つた點につきまして御説明を申し上げたいと存じます。自動車行政につきましては、御承知の通りもともと警察取締り見地から警察許可というような形で發展してまいつたのでございまするが、漸次保育行政對象といたしまして、營業特許というような形に進んでまいつたのでございます。從いまして大體自動車營業につきましては運輸大臣がこの仕事を擔當してまいることに相なりましても、地方におきましては從來府縣下級官廳としてこの仕事を擔當してもらつてまいつたのでございますが、最近のような輸送情勢下におきましては、府縣行政區域というものが經濟交通の點から見まして必ずしも適合していないような面も方々にございます。なおまた他の交通機關との關係を總合的に一體的に見ていかなければならないような面もあるように考えます。從いまして輸送關係専門家がこういう見地からまとめて見て行く必要も非常に加わつてまいつたことと考えております。なおかつ臨時物資需給調整法によりまして、指定生産資材行政を運輸省の關係官廳におきましてこれを擔當することに相なりまして、資材行政輸送行政と物合一政させるということも必要に相なつてまいりました。從いまして三月二十五日に自動車事務所鐵道局下級官廳といたしまして、各府縣に設けたのでございまするが、輸送關係事務につきましても、五月十五日を目途といたしまして一應府縣から引繼を受ける態勢になつたのでございます。なお輸送行政仕事につきましては、府縣地方における行政との關係が非常に密接なものがございますので、自動車事務所長は必要のありまする場合、地方自治法によりまして府縣知事指揮監督を受ける建前で現在も進んでいるようなわけでございます。行政事務のやり方の最近におきまする變化はそういうようなことに相なつております。  次に自動車運送における資材問題について概略を申し上げてみたいと存じます。車輛事情は先ほど申し上げましたように、數量はやや囘復してまいつておりますが、質的に非常に低下いたしております。新車補充につきましては、トラツクにつきまして月千五百臺のトラツク・シヤシー製造乗用車につきまして今年三百輛の小型乗用車製造をいたすことにしております。トラツク・シヤシーにつきましては、本年度の計畫といたしまして新製一萬五千輛、それから古い車を更生修繕いたしまして、新車とほぼ變らない状態にいたしますものを七千三百五十輛豫定をいたして計畫を進めております。しかしながら最近の資材の見透しから申しますると、これだけの新製ならびに更生確保してまいりますことは、非常に困難ではないかと考えられます。なおいろいろ交渉いたしまして商工省におきましてこの車の新製確保をしてもらいますように、私どももいろいろ連絡をとり努力をお願いしているような次第でございます。  なほ本年度は進駐軍の特別の好意によりまして約八千五百輛ばかりのトラツク並びにトレーラーをわが國の自動車輸送のために使用することを認められてまいつております。これらを合わせまして約三萬輛の車が本年度補充できるようになりますれば、非常に心強い次第であると考えておりまするが、先ほど申上げましたように、新製更生の面におきましてはこの確保は相當危ぶまれておるような次第でございます。  なお先ほど十一萬七千輛の自動車があるということを申し上げましたが、十年間でこの車を補充していくということを考えましても、年に一萬二千輛ばかりは當然廃車補充として必要なのでありまするから、新製更生が思うように進まないということになりますと、ほとんど廃車補充で手いつぱいで、わずかに拂下げ車輛によりまして輸送力の強化ができるという程度状態になりはしないかと考えられるのでございまして、一段努力を要する次第と考えております。  なお次に最近特に窮迫してまいりましたタイヤ事情についてお話し申し上げたいと存じます。大體年間新製修繕用を合わせて約八十萬本タイヤチユーブが必要なのでございます。これに對しますゴムといたしましては、大體一萬六千トン程度を必要とするのではないかと考えております。しかるに最近のタイヤ生産情勢ははなはだ憂慮すべきものがあるのでございまして、まず第一に生ゴム輸入がなかなか思うようにできない。從つて自動車に對しまして生ゴム割當を受けますのが思わしくないという事情がございます。今年の第一、第二四半期におきましては、約八百トン程度タイヤチユーブに對するゴム割當でございます。この向きでまいりますと、おそらく年間を通じまして三千トンからそこらの割當に相なりまして、所要の數量に對しましては四分の一、五分の一というような數量にしかならないのではないかと憂慮せられます。そこで私どもといたしましては、關係の官民一體となりまして、タイヤ生産をこの際國内におきましてできるだけ上げる。またこれに對しまして必要な手配をいたさなければならないと考えまして、その方向に向いましてただいま努力をいたしております。その結果といたしまして、七月以降月五百トンの生ゴムの使用をいたしまして、タイヤチユーブ二萬五千トンを少くとも生産するということを目標といたしまして、これに對しまして電力、石炭その他生ゴム配給確保等、現在生産隘路なつておりまする諸事情を打開いたしまして、さしあたり本年度日本國内需要といたしまして少くとも五千五百トン、これで二十七、八萬のタイヤチユーブと相なりまするが、この程度のものはぜひ製造確保してまいりたい。なお足りない面につきましては、輸入も懇請いたしたいというふうなことを考えておるような次第でございます。この生産がさしあたり確保せられませんと、おそらくこのままでまいりますれば、今年の九月以降、車はありましても、また燃料はありましても、タイヤのためにバストラツクの運行は大なる支障を受けるというような状態に相なつておりまするので、全力を盡しましてこの點は解決に努力しなければならないと存じておるような次第でございます。  なお次に、燃料の問題につきまして簡單にお話を申し上げたいと存じます。まず第一にガソリンでございまするが、大體トラツクにつきましては約半分程度バスにつきましてはほとんど九割程度乗用車につきましても半分以上現在におきましては代燃化せられております。從いましてまだ代燃化されておりません面がガソリンを使用することに相なるのでございまするが、大體ガソリン年間所要量といたしましては、二十一年度におきまして三十萬キロリツトル程度であつたのであります。これに對しまして、割當はわずかに四〇%程度でございまして、最近ガソリン輸入状態も、また自動車に對しましての割當状態もいくらか改善せられることに相なつておりまするので、本年度におきましては、大體所要の五六%、約六割程度のものが滿たされるのではないかと考えておりまするが、それにいたしましても、まだ不足するような状態でございます。私どもといたしましては、この貴重なガソリンほんとうに重要な國民生活安定、經濟再建のために最も重要な方面にこれが使用せられるという態勢を國内におきまして確立いたしまして、なおその態勢の確立とともに、連合軍好意にすがりまして、必要なガソリン輸入を懇請してまいりたいと考えておるような次第でございます。從いましてガソリンの毎月自動車に對しまして配分せられまする量は、今後におきまして多少とも殖やしてもらえるものと期待はいたしておりまするが、一層その使い方につきましては私ども注意をいたしまして、ほんとうに必要な方面にこのガソリンを振り向けて使うということについて、今後一段努力をいたさなければならないものと考えまして、そういう意味においてただいま準備をいたしておるような次第でございます。  次に代燃の大宗でありまする薪炭の問題でございまするが、大體木炭につきましては、昭和二十年度におきまして約五九%程度、薪につきましては五四%程度を入手いたしたにすぎないのでございます。今年の需要について申しますと、木炭につきましては一應三十五萬トン、薪につきましては三十萬トン動力用として豫定せられておりますが、生産事情も相當に困難なようでございまして、そのうち自動車割當てられますものは八割見當ではないかと考えております。その八割の割當の量のうちからほんとうに入手できますものはさらにその内輪になるというような點も懸念せられておりますので、なおできるだけこの割當てられましたものに對して入手の確保、また自家製炭自家製薪というような點につきまして業界の關係者はいろいろと努力をいたしておりますが、この面につきましても一層強化いたしまして、なお代燃装置の改善、燃燒技術の向上などによりまして、節約の面におきましても努力をしてまいりたいと考えております。  一般自動車の問題につきましては御説明はその程度に止めまして、次に省營自動車の問題につきまして御説明を申し上げたいと存じます。省營自動車につきましては、ただいま七十六線約五千キロに近い營業キロをもつております。バスは千百八十二輛、トラツクは三千百三十六輛をもつておりますが、省營自動車昭和五年に初めて實施いたしましてからすでに二十年近くに相なります。この間省營自動車目標といたしましては、御承知通り國鐵道建設線の先行、代行、また國有鐵道既設線の機能を特によくするというような關連にありますもの、あるいは特殊の開發地蔕におきまして、國營自動車でなければその目的を達成できないというようなものを特に選び出しまして、この間鐵道會議にも諮詢をいたしまして、路線の決定をいたして實施をいたしてまいつたのでございます。最近の省營自動車の一つの經營上の問題といたしましては、やはり省營自動車におきましても、民間自動車と同様に、燃料その他の資材、また車輛の點におきましても非常に窮屈な状態にあるということでございます。從いまして民間自動車がやはり既營業線整備充實を第一の目標といたしまして、休止路線の復活に漸次努力をしてまいるという態勢をとつておりますると同様、省營自動車につきましても、既營業線整備充實を第一といたしまして、なおすでに國の方針といたしまして開設を決定せられましたものの實施をその次に鋭意努力をして促進してまいることに重點をおいてまいらざるを得ないような情勢でございます。從いまして今後におきまして省營自動車新規路線を取上げて計畫を立ててまいりますことは、今の情勢からいたしまして、各地から非常に多くの請願、陳情もあるような状態でございまするが、特に緊要なもの以外は新規路線につきましてはこれを實際の計畫に取入れていくということは至難な情勢にあることを御了承願いたいと存ずるのでございます。なほ省營自動車運營に關連いたしまして、いろいろ民間自動車業者の方から省營反對の運動もございます。この困難な情勢のもとにおきまして、民間企業資材その他の制約を受けまして思うように經營ができない事情にあるのでございます。もちろん業者方々はやはりできるだけの努力を盡されまして、自分の擔當しておられまする路線經營に當つておられるのでございます。從つてこういふ路線につきましてやたらに省營自動車を新設してまいるということの慎むべきはもちろんであると考えます。從いまして私どもといたしましては、省營自動車の御要望の特に多い情勢ではございまするが、そのうちのあるものにつきましては、現在の業者の方の實力と、また經營についての御熱意にまちまして、現在の業者の方に、省營自動車の請願いかんにかかわらず、さしあたり經營をしていただくという所も多く出てこなければならないものと考えております。資材その他の面におきましても、バス事業につきましては特に戰爭中から困難な條件のもとにおかれておりますので、國全體といたしましてバス事業について許されるだけの資材も注ぎ込みまして、現在の業者の方の經營を助成するということは必要であろうかと考えておるような次第でございます。  次に鐵道小運送の關係のことにつきまして一言御説明を申し上げたいと存じます。小運送業は現在ありまする小運送業法で規定せられておりまする鐵道軌道等の行う貨物運送の取次、あるいは代辯、それから鐵道軌道を利用して運送をする事業、そのほかに鐵道軌道に附随いたしまして、その兩端におきまして集配をしたりいたします附随運送というものが、事業の内容に相なつておるのでございまするが、この小運送業につきましては、御承知の通りずつと以前は自由營業であつたのでございます。その結果數千の少さな企業が確立いたしまして、その間不當な料金の収受でありますとか、あるいは損害賠償責任の履行不能というようなこと、貨物引換證なしで貨物を引渡しまして、いろいろ惡質な事故を起したということもございました。荷主に迷惑をかけ、また能率の低下、粗漏の包裝のために鐵道輸送をも阻害するというような状態も起りましたので、これを直すために小運送業を免許事業といたしまして、なおまた業者につきましては、いろいろと統合整理を慫慂いたしまして進んでまいつたのでございます。小運送業法竝びに日本通運株式會社法の制定によりまして小運送業界は新しく整頓せられた状態におかれることになりまして、大體業界の規模は集約合同によりまして向上いたしまして、大都市以外は一驛一店の形となつて進んでまいつたのでありますが、戰爭中昭和十六年に大都市及びこれに準ずる地域の業者を日本通運に合併いたしまして、逐次合併も進み、全國を通じて大體一驛一店で、その約九割は日通の事業の形態が現在においてでき上つたのであります。現在の業者の數は二百八十五ありまして、そのうちの一つが日通になつておるのでございます。從事員の數は十一萬二千、そのうち日通が九萬三千ということになつております。取扱いの數量についてもほとんど九割以上は日通の取扱いでございます。この小運送の運營の現状に對して、これをいかに民主化していくべきかという問題があるのでございますが、先ほど來申し上げましたように、現在の一驛一店制はもともと荷主、公衆の保護及び鐵道の構内の非常に狭隘な、しかも仕事の輻輳しておる所におきまして、できるだけ輸送の効率をあげていくということから定めた制度でありまして、必ずしもいわゆる戰時統制の結果ではなかつたのであります。しかしながら現在の一驛一店制の制度に對して、今後において考えていかなければならない點がないかと申しますと、この點については相當考究を要するものがあるように考えております。すなわち一驛一店のためにサービスに缺けるところがある、あるいは企業意欲においてもあきたらないものがあるのではないかという點につきましては、十分檢討を加えまして、將來はある程度の修正が必要ではないかとも考えるのであります。しかしながら現状におきまして輸送の規則を守つて能率をあげていく、特に大輸送におきまして鐵道輸送の能力を充實整備していくことに寄與するために考えてまいりますと、この制度につきましても簡単にこれを廢止するというようなこともできないのではないかと考えるのでありまして、私どもこれを研究いたしておるような次第でございます。またこれに伴い日本通運を今後どういう方向にもつていくべきかということもはなはだ重大な問題でございますが、小運送業につきましては、これは國有鐵道と表裏一體の運用が必要でありまして、大運送と小運送は脣歯輔車の關係におきまして發達もさせていかなければならぬということが考えられるのであります。なおまたこの鐵道輸送につきましての取引は、國鐵が中間に介在いたしました各地の取引でありますので、全國的な網をもつた經營形態ということも、この面から見れば理想の形ではないかということも考えられます。また食糧その他重要物資の流通秩序を保持するために、現在日本通運が實施しております元請けのやうな制度は、やはり現状におきましては、なお當分の間は少くとも必要ではないかというふうに考えられるのであります。從いましてこの全國的につながりをもちました日通の今日の形態を、ただちに解體をするということは、これらの點から考えまして、相當理想に逆行するものもあるやうに考えられまするので、私どもといたしましては、事業の民主化は業者のある程度の複數制というやうな問題で、その方面に重點をおきまして解決すべき事柄ではないかと、ただいまのところ考えておるようなわけでございます。  なお日通の改組の問題につきましては、やはり鐵道輸送の現状から考えまして、鐵道輸送力確保していくことに急激に惡い影響を與うるようなことがあつてはならないという見地からいたしまして、相當慎重な態度をとつてやらなければならないと考えております。しかしながら日本通運株式會社は御承知の通り現在特別經理會社に相なつておりまして、相當の損失も見込まれるような状態でありまして、企業の再建整備計畫をただいま策定いたしておりまするが、この際會社といたしまして、ある程度事業の縮小もしなければならないということが必要になるのではないかとも考えられるのであります。これらの具體的な問題はなおしばらく決定までに時日を要するのではないかと考えておるような次第でございます。  なお小運送業全般につきましては、ただいまこういう小運送業の形態ができ上りまして、全能力をあげて大運送に對應して小運送の確保努力いたしておるのでありまするが、しかしながら小運送關係の施設にはなお足りないものがございます。從いまして現状におきましても小運送業者のもつておりまする集配力は、必要な集配力の三〇%程度でありまして、他はやはり一般の援助を求めているような状態でございます。從いまして私ども常に考えるのでございまするが、小運送業關係の集配力を整備してまいりまするには、ただ單に小運送業者の關係ばかり考えてはならないのであります。小運搬、あるいは貨物自動車運送事業經營しておられます業者方々のこの方面に對する輸送力、こういう面も同時に考えまして、小運送關係輸送確保をしてまいりたいと存じておりまするが、今後におきましても、この態勢を一層明らかにいたしまするために、最近の機會に法律改正のことが、もし可能であるといたしますれば、ぜひ小運送業からいわゆる集荷配達の附随運送に属する部面を取除きまして、その他の仕事を小運送事業といたしまして附随運送につきましては、これを一般トラツクその他の運送事業ということにいたしまして、この面におきましてすべての運送業者の力を集中いたしまして、輸送力の整備増強ができるような方向に進むべきではないかというふうに考えておるのでございます。特に最近小運送力の増強を必要といたしまする面は大都市でございまして、その中でも特に東京都の關係におきましては、小運送力が今低下いたしておりまするために、發送の貨物も抑制を受けるというような状態であつたのであります。これに對しまして、私どもは小運送力の、特に大都市、東京都における増強につきまして、目下方策を進めて、一部すでに實行に移しております。從いまして、大都市特に東京都向けの貨物の發送の制限というものも漸次撤廢せられる方向に向い得るものと考えているのでございます。  次に陸上小運搬業關係につきまして、簡単に御説明を申し上げたいと存じます。いわゆる輕車輛貨物運送事業でございます。これは荷牛馬車、荷車等、人力、畜力によりまして、車輛を使用して貨物を運送する事業でございますが、荷牛馬車で一日約二トン、荷車、リヤカー等で〇・八トンくらいの輸送をしているのすぎないのであります。しかしながらこの小運搬業の現在日本の陸上運送において果しております仕事の量ははなはだ大きいものがあるのでございます。これはわが國の實情からいたしまして、自動車などの出はいりできないような所が、この小運搬業によつて運送されているからでございまして、昭和十八、九年ごろにおきましては、年間三億二千萬トン、現在におきましても、二億トンを下らぬ貨物輸送を小運搬が擔當いたしているものと私どもは見ております。從いまして、この事業につきましての重要性が、あるいは國民全般に十分御認識が願えていないかとも思いまするが、はなはだ重要なものがあるのでございまして、私どもといたしましては、この關係事業の整備發達につきまして、十分の努力をしてまいらなければならないのでございまするけれども、現状はどうかと申しますると、はなはだ憂うべき状態にあるのであります。現に業者の數は専業並びに農村等の兼業等、兩方を合わせまして二十三萬ばかりあるのでございます。そしてまた所要の運搬具は馬車を最大といたしまして、牛車がこれに次いでおりますが、これを合わせまして二十二萬ばかりでございます。しかしながらこれに對しまして、必要な車の新製あるいは修繕の資材も十分な確保が、現在におきましては、物動的にできておりません。また飼料の關係につきましても、年間四十八、九萬トンの飼料が要るはずなのでありますが、これに對しまして、一應計畫は十九萬トンというようなものができておりますが、實績から考えますと、昨年度は全體の需要の一%程度のものしか供給ができておりません。今年も惡くいたしますと、この程度になりはしないかということが非常に憂慮せられるのであります。食糧と關係がございますので、牛馬の飼料につきましては非常に憂慮せらるべき状態にあります。おそらく地方における手配の數量を合わせましても、ほんとうに正規の筋によりまして配當ができておりまするものは二割見當にすぎないのではないかと存じます。その對策といたしまして業者の方はいろいろ努力をせられまして、自給飼料の増産でありますとか、いろいろ未利用の資源を利用するというような方法につきまして努力をしておりますが、この點について國家的な考慮がもつともつと必要ではないかというふうに私ども考えておるのでありまして、この點は特に皆様方のお耳に入れておきたいと存ずる次第でございます。  次に時間が長くなりまして恐縮でありますが、地方鐵道、軌道の關係につきまして簡単に申し上げておきたいと存じます。地方鐵道、軌道につきまして現在百六十ばかりの業者がございまするが、地方鐵道、軌道の關係におきましても、やはり終戰後資材、その他の經營上の困難ははなはだしいものがあるのでございまして、現在地方鐵道の例を軌道にとつてみまするとすでに即刻軌道の交換を要するものが一萬七、八千トンはございます。こういう状態にありますにかかわらず、この資材の入手に非常な困難を感じておるような状態でございまして、何とか手段を講じて現在の輸送を維持していくということをやはり第一の目標といたしまして、ただいま努力をいたしております。從いまして新線の建設、また新規の免許というような面につきましては、現在どうしても消極的な態度をとらざるを得ないような情勢にあるということを御了承願つておきたいと存ずるのであります。しかしながら特に今の國民生活安定、また現下重要な石炭のようなものの生産のために必要な地方鐵道につきましては、終戰後におきましても免許した例がごくわずかでございますが、ございます。これらのものにつきましては、資材の需給の見透しなどと關連いたしまして、今後におきましても考えていかなければならないと存じておりますが、原則的には非常に困難な状態にあります。ただしかし戰災都市の復舊、また農地整理などの關係からいたしまして、將來どうしても地方鐵道、軌道をここに敷設しなければならないというような所はその計畫を立てまして、將來その計畫が實施できるような餘地はつくつておかなければならないと存じております。從いまして今すぐ工事に着手しないでも、こういう路線についての見當は立て對策を講じていかなければならないというふうに考えておりますので、これは十分に考えてまいりたいと存じます。地方鐵道、軌道の關係につきまして、運賃の値上げは先般國有鐵道と同時に實施を見たようなわけでございます。旅客の關係につきまして見ますると、國有鐵道に對しまして、平均の値上りの率が約四倍に相なつておりますから、全體から見ますると値上りの率は少し高く相なつております。しかしながら地方鐵道軌道が私企業といたしまして、収支採算をどこまでも維持いたしまして、この困難な時局下におきまして、ともかくも必要な輸送使命を果していきまするためには、國有鐵道と違いまして、いろいろ要る經費もございます。税金でありますとか、それからまた資金獲得のために最小限度の配當もしなければならん。そういう見地から少し値上りの率が大きく相なつておりますことはまことに、やむを得ない事情があるのでございます。しかしながらこれによりましても、おそらく今後地方鐵道の収支の均衡を維持して經營を繼續していくということは、相當困難な、努力を要する問題ではないかと私ども信じておるような次第でございます。  なおこれに關連いたしまして他の陸運事業についての運賃、料金の問題を簡單に御報告申し上げておきたいと存じまするが、御承知の通りトラツクの運賃については先般ただいまの五割増し、一車一日貸切り九百圓という運賃が決定いたしまして、國有鐵道の運賃の實施と同時に實施をみたようなわけでございます。しかしながらこのトラツクの運賃の九百圓と申しまするものは、おそらく現在の情勢のもとにおきまして、原價計算して見ますると、今度の新價格體系によりまして、他の資材が値上りまするといたしますれば、収支のとりにくい運賃ではないかというふうに私どもは考えております。從いまして他の物價の値上りの状態を考えまして、あるいは近い將來にこれについて再檢討を加える必要が起るのではないかと存じております。しかしながらともかくその線に沿いまして、關係業者その他の御努力をお願いすることに一應いたしておるような次第でございます。なおバスの運賃でございますが、これはやはり最近の人件費の殖え方、また物價の値上りなどを考慮いたしまして、原價計算いたしますると、ほとんど配當もできないというような状態にありまして、全國を平均的に見ますれば、現在の運賃をある程度はどうしても値上げをしなければならんような状態でございます。  以上一通り陸運管理局の擔當の行政事務につきまして御説明申し上げた次第でございます。  次に法律の改正の問題につきまして、私どもなお現状におきましては研究をいたしておるような次第でございまして、これをいかに取扱うべきかというようなことにつきましては、さらに常任委員會に詳細御意見を伺いまして、お指圖に從いたいと存ずるのでございますが、一應この點につきましてお許しを得ますれば簡單に現在の自動車交通事業法、小運送業法につきまして、私どもの改正を要すると考えております意見を申し上げて見たいと存じますが…。
  4. 正木清

    正木委員長 その點については皆さんと御相談して…。ちよつと速記を止めて…。
  5. 正木清

    正木委員長 では、これより通告順によりまして飯田義茂君に質疑を許します。飯田義茂君
  6. 飯田義茂

    ○飯田委員 私は國民協同黨の飯田義茂でありますが、當局に少しお伺いして見たいと思います。トラツク問題でありますが、申すまでもなく戰爭中にはそれぞれの業者統合させまして、區域的に會社ができておるのであります。戰爭が終りました今日といたしましては、方面によりますと、會社があるためにかえつて不便を來しまして、從つて從來の業者に車を返してもらいたい。すなわち會社を解體してもらいたいという希望の方向があるのであります。局長からもこまごまお話がありましたが、これは地理的におきまして都會のごときは小さい狭い區域のなかに幾十の會社もあつて統合した方面もありましようが、また山村に至りますと延長百里もありまして、殊に幾山河を越えて行かねばならぬのに一會社統合したというような不便もあつたのであります。これも國の戰爭によりまするところの命令として、やむを得ず不便を忍んで今日まで來たわけでありますが、今日になりましてはどうしてもこれを解體してもらいたい。株主總會におきましても滿場一致で解體方を決議したような箇所もあるのであります。その問題に對しましては、會社側の方は先ほど來、局長のお話になりました通り、なるべく政府としては解體しない方針である。解體すれば運送上においても不便があるし、またいろいろ資材輸入の點においてもそうであるから解體しない。またこれを解體するにしても、元の車主に返還はせずして、一箇所に三十臺以下の小さい會社はつくらない方針である。こういう説明を行つておるわけでありますが、それに對しましても株主が、いや、それは政府の勝手な考え方であろう、われわれは今日不便でしかたがないから解體してくれというの希望であるというので、大體この解體につきましては株主は會社に一任する、直ちに解體を實行してくれというように迫られておる方面があるのであります。局長のお話によりますと、その方面々々の事情によつて解體する考えもあるという御意向のようでもありますが、今私の申し上げました通り、株主總會で解體を決定した會社に対しては、どういうようなお考えをもたれるのでありましようか、この點をお伺いしたいのであります。  それから新線に對しましてあらゆる方面より省營バス、あるいは省營トラツクの希望がある。こういうお話でありますが、會社から私どもも非常に依頼を受けます。さて御承知通り日本は百五十萬町歩という未懇地を開拓することになつております。この開發はもとより運輸省ばかりの關係ではありませんが、國土計畫、あるいは開發廳によつて行われるのであります。その原則といたしましては、今殘つておりますところの未懇地は山間僻地であります。りつぱな便宜のいい所もありますが、これは多く不毛の土地でありますから、まず開懇しましてそこに入植をする。農民の入植できる場所は不便な所であります。その不便な所にただ人ばかり入れてもいけないのであるから、第一にりつぱな道路を開鑿してそれに運輸の便宜をはからなければならない。一々小さいところに鐵道ということはできませんから、まづもつて道路開鑿に伴うところの省營バス、省營トラツク、これを實施するという計畫になつておるのであります。從つてどもも山間に住居をしておる人間でありまして、未懇地の開發につきましては努力を拂つており、指導もしており、獎勵もしておりますが、その指導獎勵に臨んでは、トラツクが通るのである、省營バスが通るのであるということで山間の中にはいつてもらう次第でありますけれども、先ほど來の御説明によりますと、新車製造あるいは古い車の修理もなかなか希望が達せられないというお話でありまして、この未懇地開發に對しまして國の根本的計畫なる省營トラツク、省營バスに對して、ここに御計畫があるかいかがでありましようか。もとよりこの開墾はしておりましても、一年や二年で百萬、百五十萬町歩の開懇はできません。日本の食糧問題から考えまして、三年、五年後には開かなくてはとうていいけないということになつたら、これに對しましての運輸省としてのお考えを承りたいのであります。  もう一つは今囘の乗車賃金の値上りであります。これにつきまして先日局長より學生の乗車定期券に對しての御説明があつたのであります。これは改訂運賃の九割二分を引くから、至つて安い、これほど安いものはないのであるという御説明がありましたが、さて學生がこれを購入せんとしますと、どうもそうでもないようで、相當高いようである。これはどういうものであろうかと私の黨の方にも學生が聽きに來るようであります。實際に九割二分引が實行せられておるか、この點をお伺いしたいのであります。私どもは職掌柄全國各地を旅行いたします、さいわいに代議士をやつておるのでパスをいただいておりますが、所によりましてわれわれのパスに對しましても、無賃乗車券であるから旅行證明書がなければいけないということから、まさに汽車が出んとする場合に、改札口で非常に押問答をするということもあつて不便を來します。それからまた所によりますと、一日に二本も三本も指定列車というのがありまして、それは指定券がなければ乗車できない。私どものように次から次に旅行する者は前もつて指定券をもらうことができませんので、そういう點非常に不便を感ずる方面があります。全國的ではないが、鐵道の方に尋ねてみますと、いやそういうことはないことにしておるからと、こういうお話もあるのであります。從つて親心子知らずであつて、十分に通牒は發せられましても、隅から隅まで行き届いておりませんで、一汽車も二汽車も乗り遲れるようなことがある次第でありますが、これは小さい問題でありまするけれども、これも併せてお伺いをしてみたいのであります。どうぞ御答辯を願います。
  7. 郷野基秀

    郷野政府委員 トラツク事業の解體の問題につきましては、ただいまお話のように、會社内部におきまして、一部株主の方々に解體をしたいというような御希望のある向きもあるやに伺つております。しかしながら先ほど申し上げましたような事情からいたしまして、現在ただちに、今まで統合して運營いたしておりまするこの事業體を、ばらばらにしてしまいますることは、原則といたいまして一應この資材の窮屈な際に、特に國民經濟の必要から見まして、この困難な制約のもとに必要な輸送確保していくというやり方を徹底してまいりまするのには、やや大きい企業體の方がよい。また解體の際いろいろ一時的にも能率が下ることが憂慮されるのではないかというふうに考えられまするので、大體の方針といたしましては、先ほど申し上げましたように、よくよくの事情がない限り、さしあたりは現在の形態のもとに仕事をやつていただく方がよくはないかと考えております。しかしながら先ほども申し上げましたように、特に合同企業體をつくりました際にむりのありましたもの、これは戰時中、特にまた戰爭の末期におきまして、軍の指示に基きまして統合した會社のようなものが實例でございまするが、こういうもので、この際株主の方々もぜひ解體をしたいという御希望が特に強いようなもの、こういうものにつきましてはよく事情を調べまして、なお關係事業組合などの公正な御意見なども伺いまして、措置をいたしたいと考えております。從いまして、どこまでも今の一應の方針でありまする企業體を、そのまま統合の形で續けてまいりたいという原則を例外なしに押し進めようという考えではないのでございますが、その例外はできるだけ狭くいたしたいというふうにも考えておるような次第でございます。  なお開拓と道路、また省營バストラツクの問題でございまするが、特に開拓路線として昨年度來取上げておりまするのは、省營自動車につきまして北海道にその例がございます。こういうふうな所につきましては、地方の御要望も特に大なるものがございまするので、また現在關係のその地方において營業をしておりまする既存の業者方々の御意向も、十分伺いまして、その間摩擦のないように十分注意をいたしまして、こういう現に特に急を要する場所につきましては、省營自動車の計畫を立てております。ただはなはだ遺憾なことには、資材あるいは豫算の關係、その他手續の關係からいたしまして、一部その計畫が遅れておるような情勢でございまするが、この點は先ほども申し上げましたが、お約束をいたしておりまする路線などにつきましては、特に急いで早く開業のできるように進めております。國全體の今後の方針といたしまして、こういう開拓路線をどういうふうに取扱うかというお話でございまするが、その點につきましては、ただいま省營自動車の今後の計畫というものは、鐵道の建設豫定線のごとく、全國的に確定しました大計畫というものはございません。從いまして個々の地蔕につきまして、從來もこういう開拓路線というものは計畫してまいつておることでございまするから、その緊要度に應じまして、個々の路線のつきまして、國會の常任委員會などの御指示も受けまして、これから必要なところは實行してまいるように相なるものと私は考えておるような次第でございます。以上私はトラツク竝びに省營自動車の問題につきましてお答えを申し上げました。
  8. 田中源三郎

    ○田中(源)政府委員 ただいま飯田さんの御質疑のうちに、政府としてのトラツク及びバスに對する根本對策をもち合わせているか、かような質疑がございまして、この御質疑に對しまして今陸運監理局の長官からお答えをいたしましたようなわけでありますが、御質疑の御趣旨はごもつともと思つております。御承知のごとくに鐵道の方におきましては、最近の賃金の値上げをいたしましても、まだこの當該年度におきましては九十億以上の非常な赤字を見るというような實態でございますので、目下獨立採算制を營むべく各般にわたつての合理的なる經營面を考究中でございます。不日これを樹立いたして、最も近い機會に樹立いたして、これを閣議に諮り、また皆さんに御報告をしたいと考えておるのであります。今までの考え方とまつたく考え方をかえた觀點から、企業というものに向つてこれを掘り下げて、獨立採算制がとれるかどうか、これをとり得るような方法に考えてみたいと思いまするが、ただ公共的企業の面におきまして、私的企業のようなわけにいかない面もあると考えております。これと關連をいたしまして、いわゆる鐵道には鐵道の建設豫定線がありますごとくに、現行陸運行政の上において將來この小運送の面におけるトラツク、及び鐵道の補助機關としての省營バス、こういうものとも並行した根本的なる立案をいたしまして、一應當委員會にも御審議を願つて御高見を拜聽いたしたいと考えておるような次第でございます。なお委員會の各位におかれましても、かような面につきまして獨自の觀點から、もしお考えがございまするなら、計畫の趣旨をお示し願いますならば、非常に幸かとも存じます。  學生の割引のことでありまするが、私本日資料を持ち合せませんので、多少數字的に間違いがあるかとも思いまするが、六箇月定期におきまして二日半の賃金を拂えば、一箇月の分は大體ただでいけるような率になつておるかとも存じております。詳細なことは後刻取調べまして、お手もとに御報告をいたしたいと存じます。  旅行證明及び指定券の問題でございまするが、御承知通りに列車の増強をいたしまするとともに、急行を除きまするものについては、できるだけ行列を解消して、窓口は自由にいたしたいというのでございまするから、この點については、各局に對する通牒の徹底を缺いておる點でございますならば、十分に業務當局に命じまして、徹底をいたさせまして、御趣旨のようなことはないようにいたしたいと思います。但し急行の問題につきましては、御承知通りに旅行券竝びに急行券の指定があると存じております。さよう御了承を願いたいと思います。
  9. 小笠原八十美

    ○小笠原委員 ちよつと簡單な問題だが、ただいまの飯田さんの御質問と政務次官の答辯とは、食い違いがあるように私はお察し申上げたのです。今の飯田さんのお話は、代議士のパスを持つて歩いた場合に、それによつて指定券や、あるいは急行券の問題で時間を遲らされたり、あるいは通牒の不徹底からいろいろな問題を釀すというところの御質問のように私は承つた。實は私もその點にひつかかつた一人です。それでよく教えた。これは代議士パスだ、そういうわけじやない、いいんだと言うたところが、あなた方それではいけないと言つて、むきになつてかかつたので、まさに汽車に遲れようとした。そこへもう一人の係員が來て、代議士ならいいのだと言つた。そうすると、初めに文句を言つた男が、相濟みませんとも何とも言わず、それならいいじやないか、というようなサービスぶりだ。それを私は聽いているのじやないかと思いますが、これに對してあなたは急行の場合にはそれが必要だとおつしやつた。そこで代議士のパスに對して必要であるかないかということをはつきりしておかぬと、非常に皆さんが御迷惑するだろうと思いますから、ここにあらためて御答辯願いたいと思います。
  10. 田中源三郎

    ○田中(源)政府委員 ただいま小笠原委員からの御注意で、私質疑の要旨を取違えておつたようで、まことに恐縮いたします。これは小笠原委員が仰せられたごとくに、代議士の場合はさような指定のことは要しません。随時お乗りを願つていいのでありまするが、この前の列車の強化のときに、私も一應車中でそういうようなことの話を受けまして、その後に交渉いたしまして、そういうことのないようにいたしたようなことがございます。これは小笠原委員のお説のごとくに、指定券等は要しませんから、随時御乗車をお願いいたしとうございます。  なお小笠原委員の御指摘のように、現業員におきまして、そういうような不明瞭な點から、皆さん方に御迷惑をかけた點がありまするならば、はなはだ相濟まぬと心得ます。今後さようなことがないように、十分行届きまするように、各局長を通じて職場に、現業に通達をいたしたいと存じます。さよう御了承を願います。
  11. 飯田義茂

    ○飯田委員 十分に御注意をお願いしたいですね。
  12. 正木清

    正木委員長 井谷正吉君。
  13. 井谷正吉

    ○井谷委員 前會でも承つたのでありますが、省營バスで民業を逼迫しないようにということから、省營バスは、現在運行しておる運營路線には、御遠慮になるというふうに察せられたのであります。この省營バスは先ほどお話のように、國有鐵道の代用か、もう一つは國有鐵道の補助と申しますか、次は國有鐵道でなくてはできない地區、大體この三つのように承つておるのであります。私の地方の問題でありますが、四國循環鐵道というのはまだ完成しておりません。宇和島というところから高知縣の宿毛という線がありますが、この線の運行を中止いたしまして、その他に代線ができて、今その進行中であります。これをその地方の人が引込んだといふことは、省營バスを運行さしてもらうということが條件なつている。現在は宇和島自動車という民營の自動車が通つておるのでありますが、はなはだこのサービスが惡くて、囘數も少い。車はボロであるということから、婦人がこれに乗れば多く流産をする。一日におきましてもまず三分の二の者は殘され、しかも沿道の町村役場などは優待券を貰つておるから、差支えなく乗れる。そういう方面では異論が起きないけれども一般民衆の方では囂々たる非難があるわけでございます。こういう方面について最近また一般民間の運動が起きまして、私は高松の鐵道局へ參つたのでありますが、鐵道局においても、すでに地圖の上には赤線が引いてあるわけであります。局長が言いますには、地元の自動車會社と話をつけてくれるならば、いつでも運行さす用意があるという囘答でございますが、こういう方面の交渉を民間の者がやらねばならぬのである。またそうした營利會社を相手に私どもが交渉すれば、非常にむづかしい話になるのでございますが、事の起りがさようになつておりますし、殊にこの地方は全國の近海水産の三分の一の漁獲高を示しておるという所であります。交通が不便なために、非常に文化が遲れておるのでありまして、愛媛縣におきましても、この南部が非常に文化的に遲れておるということは、自他ともに認めておるところで、何とかしてこの開發のためにも、これは成就したいと思つておるのでありますが、この方面につきまして局長のお考えを承りたい。
  14. 郷野基秀

    郷野政府委員 省營自動車民間自動車との統制の問題でありますが、私どもといたしましては、特に省營自動車として經營することが適當である、またその緊要度の高いものにつきましては、民間業者の御了解も得、また國會その他の御意見も伺いまして、私どもこれを計畫に移していくことにつきましては、今後におきましても考えてまいりたいと存じてはおりますけれども、現在やはり自動車事業といたしましては戰爭中、車その他の關係におきましても、非常に惡くなつておりまするし、燃料タイヤども窮迫いたしておりまするので、とにかく現状を維持することが第一である。また現在經營しております路線におきまして、ちつとでも輸送力を積極的に整備増強することが、第一の仕事であるというふうに考えておりまするので、民間事業につきましても、新車の免許は特に必要なものでない限り、これも積極的に免許いたしておりません。また省營自動車につきましても特に必要なものでない限り、どんどん計畫を進めていくことは差し控えるべきことでもあり、また事實問題としてできないことであろうと考えております。ただいまお話の宇和島宿毛間の自動車につきましては、この間につきまして省營自動車の御要望のあることは承知いたしておりますが、現在におきましてともかく民營の自動車經營をいたしておることでもございまするので、省といたしましてはまだこの間の省營自動車の計畫につきまして、具體的にこれを立てるという段取りにはもちろん至つておりませんし、一應まず建前といたしまして、現在の民間業者の方にこの路線運營をひとつ御努力を願いまして、ともかくもある程度御要望に副い得るような經營ができないかということを、さしあたり考えてまいりたいものと存じております。省營自動車の計畫を今すぐ取上げるといたしましても、先ほど來申し上げましたような事情で、そんなに早くこれを實施に移すことはなかなか困難であろうと考えております。從いまして、とにかく現在の業者の方に御努力を願つて、なおできる限りの資材その他の御面倒も國として見ることにいたしまして、これを増強して經營をしていただくことが、たとえ省營自動車が將來進出することがあるといたしましても、ただいまの段階におきましては、まず第一に盡すべき手段ではないかと私ども考えておる次第でございます。
  15. 井谷正吉

    ○井谷委員 そういたしますると、高松の局長が、自動車會社と話がつけば運行の用意があると言つたことは間違いということになるわけですか。私はじかに會つて聽いておるのであります。
  16. 郷野基秀

    郷野政府委員 その點につきまして鐵道局長がどういう意味で申しましたのか、私どもも直接聽いておりませんので、その意味につきましてはつきり了解をいたしかねるのでございますが、おそらく、民間事業との間のいろいろな摩擦の問題につきましては、同じく監督行政を擔當いたしておりまして、官民を通じてその發達をはかつていかなければならない立場にあります鐵道局長といたしまして、その點をまず第一に心配いたしまして、そういう問題がないならば、一應路線の候補線として考える一つの條件ができたというふうに考えて、申し上げたのじやないかと想像いたす次第であります。
  17. 正木清

    正木委員長 井谷君、よろしゆうございますか。
  18. 井谷正吉

    ○井谷委員 よろしゆうございます。
  19. 正木清

  20. 成重光眞

    成重委員 私は五つの點についてお尋ね申し上げたいと思います。要點だけ申し上げてお答え願いたいと思います。先ほど局長なり次官からおよそ話しありましたが、御承知通り今日の食糧なり、燃料なり、かような點については、小運送關係の非常に不備不完全と申しますか、そういうために、せつかく食糧があり、燃料があり、殊に木炭等におきましては、われわれの所では、相當量の生産をしておりながら、輸送關係が非常に不圓滑であるがために時の間に合わないというようなことが常時發生しておるのであります。今後わが國における輸送關係は、何はさておいても、むしろ鐵道によるよりも、陸運、小運送の完璧を期することが一番大事なことでないかと考えるのであります。殊にまた將來講和會議でも濟んで、私どもの豫想いたしておりますところの貿易等も再開いたされますならば、おそらくこの自動車關係はいま少し計畫發達を見なければならぬのではないかと考えております。依然としてわが國は牛なり馬なりを使うという大體昔からのしきたりそのままの形で小運送關係目的を達しているような状態で、一向に進歩發達しない現状から見まして、どうしてもこの陸運關係の積極的なる御計畫をなさらなければならぬのではないかと考えますが、いわゆる陸運小運送行政に對する根本的な御計畫なり御方針がありますならば、またこれに關連して燃料、油等の見透し等についてどういう大體御計畫をされているものであるかということを、根本的に一應お尋ね申し上げたいと思うのであります。  第二の點は、先ほどの局長の御説明を拜聽しておりますと、この新物價體系によりまして、省營のトラツク等は一日の使用料を九百圓におきめになつたとかいうことであります。これは最近新物價體系によつてそういう値上りをしたことも、新聞等によつてよく承知をしておりますが、しかし地方におけるトラツク會社等におきましては、今日ではなくて、昨年から今年の春あたりにかけましても、トラツク使用料が一日九百圓ぐらいで使える所がありましたならば私どもは伺いたいと思うのであります。はたして今日トラツクを一臺九百圓ぐらいで使わせるような所があるかどうか。こういう面に對するところの當局の大體御指導なり取締りといいますか、あるいはそういう點に對する管理はどういう方法でやられているのか。その點をお答え願いたいと思うのであります。  第三點は、地方におけるタクシー、貨自動車會社等は、戰爭中ほとんどこれが合同されておりますが、われわれの縣では、一市に對してこれを一つに統合しなければいかぬということで、戰爭中タクシー會社なり個人で經營しておりましたものはほとんどこれを合同して一つの會社にしております。しかし終戰後において、この一つの會社でやつているために、縣からはこれに對して多少の救急用等の名目によつてガソリン等を配給しておりますが、まつたくこれがそういう救急用等には使用されておらない。そうしてそれが獨占しておる仕事であるために、まつたハイヤー等の一般に對する民主的な利用價値というものは生じておらない。縣に相談して、こういうものに對する業者の希望者があるから、タクシー等の會社經營することを許可しないかと言うと、それは從來の法令によつてできないということで、いくら願書を出しましても、一つの會社に獨占さして、今日なおそういう形をとつていることは、はたして當局としてはどういうお考えをなさつているか。もし許されるものならば、そういう必要な場所に對しては、そういうタクシーなり交通事業に對して専心的にやらうとする者があるならば、當然許可なさつてもいいのじやないかと考えておりますが、今なお舊來の法令を盾にとつて許可しないものであるかどうかという點についてお答えを願いたいのであります。  第四點は、私設民營の鐵道、電車あるいはバス等の運賃が、今度の鐵道運賃の値上りによつて、私鐵の方もいろいろな會社經營面から見て、まず平均四倍になるだろうということを申されております。それでなくても地方的には先だつて私が申し上げましたようにいろいろ問題を起しておるのでありますが、一例を申し上げますと、私どもの所ではどうしても民營のバスに乗つて、電車に乗つて、またもう一つの電車に乗り換えなければ、子供たちが中等學校なり、その他の學校に通えない所がたくさんありまして、このごろ値上りする前において、すでにバスは五圓で、一つの電車が二圓、一つの電車が三圓、學校に行くために一日合計十圓の交通費がかかるのであります。學生券で五割引にしましても一箇月百五十圓はかかります。これが四倍になると、おそらく學生連中の五割引にしましても、五百圓なり四百圓の交通費というものが中等學校に通り子供はかかることになると考えます。こういう點につきまして、私は鐵道の値上りの問題等に對して、各地方のそういう私設の電車なり鐵道なり、あるいはバスなり經營しておる會社が、今度の値上りにならつて、一率にこれを三倍半なり四倍に上げるということになると、必ずこういう面に觸れて大きな問題が起ると思いますが、こういう點につきまして特にひとつ會社、工場に働く勞働者、中等學校に通いますところの學生定期券、こういうものについては一つ特段の考慮を願いたい。また割引等の對しては地方の實情なり、人情をよく御調査願いまして、學校の子供、あるいは勞働者が學校や會社に通うために、一箇月五百圓も四百圓も定期券に要るのでは、おそらく普通の家庭では非常に困るのではないかと考えております。こういう點について、學生の定期、勞働者の通勤定期等に對しては、一つ特別なる御研究なり御考慮を地方實情において願いたいと思うのであります。それから私設鐵道等におきまして、非常に利益を見ておる鐵道もあります。ところが中にはやはり損はしてもそういう國家の交通事業として、苦しいながらもむりをして經營しておる私設鐵道もあります。何か戰爭中は、うんともうかる會社から國家がいくらかとつて、それを非常に損をしてそういう輸送に協力しておる會社に援助を與えておつたということを聞いております。今日でも地方にあつてはうんと利益を見ておる所もあるが、そういう所でも三倍半なり四倍の値段を上げるのか、あるいは非常に損をしておる所もありますが、そういううんともうかつておる所、また損をしながら、苦しいながらもそういう經營をやつておる私設鐵道等に對して、何か戰爭中もやつておられたようですが、鐵道當局として何等かのお考えがあるかどうか、この五つの點についてお答え願いたいと思います。
  21. 郷野基秀

    郷野政府委員 貨物自動車の運賃を一日一車貸切り九百圓ということにいたしまして、先般の鐵道貨物運賃改正と同時に實施をいたしたのでございますが、實際に運賃の九百圓を基準にいたしまして、運賃の認可の際につけてあります條項によりまして、惡路、あるいは特に天候の惡い日、あるいは早期深夜などの時間外の勤務などにつきまして、ある程度の割増しを認めてございます。從いましてほんとうにこれらの條件を具えました場合に、認められました範圍内における割増しをとりますることは差支えないのでございまするが、しかしながらこれらの條件を具えないにもかかわらず、これらの條件があるものとしまして、割増しを請求するようなことは厳に取締らなければならないものと考えております。自動車の運賃の取締りにつきましては、現に地方廳、警察の方面におきまして取締りをいたしておりますが、現實にこれらの運賃の規定に違反するような取扱いがありました場合には、輸送關係行政面といたしましては、はなはだしい場合には免許の取消にまで進まなければならないものと考えまするが、その取締りにつきまして、從來御指摘のごとく、いくぶん手ぬるい面もあつたことは事實ではないかと考えます。從いましてこういう點につきましては今囘の運賃の値上げを機といたしまして、一層巖重に取締りをしてまいりたいものと考えます。なおそのほか運賃ではございませんが、荷造費でありますとか、積込料のようなものを貨物自動車輸送の際に、同時に荷主から貰う場合があると、存じますが、これらのものは運賃と區別をしておりますから、その合計の額が非常に大きくなつたような感じをおもちになる場合もあるかと思いますが、これらのものがありまする場合は、區別をしてお考えを願いたいと存じます。  それから都市におけるタクシーの合同會社につきましてお話がございましたが、救急用など特に必要な面に對しましての配車が、不十分であるというお話でございました。こういう點につきましてはもちろん取締りを十分にしてまいらなければならないものと存じます。あるいは現状におきまして、この面につきましても取締りのやり方が十分でないような面も、御指摘のごとくあるかと思いますが、この點につきましては、地方廳の協力を得まして、十分に取締りを巖重にしていかなければならないとものと考えます。  なお新規事業の免許の問題でございますが、ハイヤータクシーにつきましては、御承知通りただいまでは乗用車一般には製造が許可になつていないような状態でございます。從いまして新しき車をもつてハイヤータクシー經營するというような餘力はないかと考えております。なおまた燃料の面につきましても原則としまして、ハイヤータクシーの面には今後ガソリン割當もできないような状態なつております。從いましてハイヤータクシーは一應代燃でやつていかなければならないのでありますが、この代燃の確保につきましても、新しくこの分に振り向ける餘裕はなく、非常に窮屈な状態でございます。從いまして將來資材關係もやや緩和せられるというような時代に相なりますければ、ハイヤータクシー新規免許につきましても、一定の基準を設けまして、地方の輿論も聽きまして、免許をするという方向に、場合によりましては進まなくてはならぬのではないかというふうに考えておりますが、現状におきましては新規の免許は非常に困難でございまして、この餘地はほとんどないように私どもは考えております。  それから私鐵の運賃の値上げでございますが、これにつきましては、一應各企業につきまして、収支採算の状態を個々の會社について取調べまして、最高四倍半、最低二倍半という運賃の値上げを認めております。先ほど國有鐵道の値上げの率よりも、平均してやや高いように申し上げましたが、中にはやはり企業經營の内容に應じまして、國有鐵道の値上げの率よりも少い率しか認めていない會社もあるのでございます。從いまして原則は各會社がおのおのその業態におきまして、収支採算のとれる程度の最小限度の運賃の値上げを認めた、かように御了解願いたいのでございます。  なおただいま私鐵の運賃の問題につきましては、運賃改正によりまして特に収入がよけいに出て來たような場合におきましては、御承知通り上納金についての法律が現在存在はいたしておるのでございますが一應この私鐵の企業につきましては、各事業につきましての収支採算をとるということを本意といたしまして運賃改正を認めておりますので、この上納金關係法律によりまして、上納金を徴収するような場合はそんなにないかと思います。今度の改正によりまして非常に利益が出るような場合には、一面税金の支拂も多くしなければならないことに相なりましようし、またこの上納金をとりまして、これを私鐵の戰災その他で非常に困つております他の會社の資金にまわすこともとり得るわけでありますが、その方面におきまして多くの資金が出ることを私ども豫想いたして、今度の運賃改正はいたしておりません。
  22. 成重光眞

    成重委員 トラツクの運賃は、なるほど御説明によりますと、割増しとか何とか抜け道があるように思います。私ども長い間トラツクを使つておりますが、非常な暴利をむさぼつておる。このことはよく御承知つて十分なる取締りと指導を願いたいと思います。私どもトラツク業者が非常に弱い者いじめをして横暴を極めておることをよく知つておる。ハイヤーについては、お説によると代燃車に使う燃料確保が困難であるから、新規營業は許可しないということでありますが、私どものところでは代燃車としての燃料確保できれば、その他の準備もできているが、許可しない。燃料は木炭であるからたくさんある。またやろうとするものは、自分としても燃料確保ができる自信をもつて出願している。それにもかかわらず許可しない。なるほど會社は警察や縣廳に對しては非常にサービスをよくしているが、醫者が電話をかけて救急車として自動車を貸してくれと頼んでも貸してくれたことがない。非常に非民主的非文化的で困つておる。警察や県廳の役人に對しては非常に便宜を與えているから、警察や縣廳の役人は非常にいいものだと思つているが、一般の醫者に言わせると困つておる。だから新規のものに對しても許可を與えるようにしていただきたい。しかもガソリンを使うのでなく、代用燃料でも何でも確保できるのですから、そういうものについてはよく地方の民情を聽いて許可をするようにしていただきたい。  それから附け加えて申し上げますが、大體東京都内を流しているハイヤーについては、あなたの方で取締つていますか。私どもはここへくるときに百圓とるものもあり、二百圓とるものもある。あれはどの程度やればよいのですか。
  23. 郷野基秀

    郷野政府委員 タクシーの料金につきましては、先般統制して三十圓くらいで認可をいたしたと記憶しております。この取締りは、第一線におきましては警視廳の經濟關係の方で取締つております。それから各府縣におきましても、經濟關係におきまして取締りをいたしております。これは第一線の取締りでございますが、この關係におきます價格の違反につきまして、輸送行政の面における處置を要する場合には私の方でやります。
  24. 成重光眞

    成重委員 どうぞその第一線の取締りの警視廳にあなたの方から連絡をとつていただいて、特にこれが徹底するようにお願いしておきたいと思います。
  25. 正木清

    正木委員長 矢野政男君。
  26. 矢野政男

    ○矢野(政)委員 二、三簡單にお尋ねをいたしたいと思います。先ほど監理局長さんから國産自動車の製作許可についての御説明がございましたが、許可になつております國産自動車生産につきまして、非常に資材が不足のために、許可されております生産が現在におきましても思うようにいかぬ。今後におきましてもとうていこの許可されております臺數の生産はできないと聞いておるのでありますが、今後におきまする國産自動車生産状況についてお尋ねしたいと思います。  なおこれに關係いたしまして、先ほども御意見がありましたが、乗用自動車の點についてであります。乗用自動車につきましては、わずか小型の自動車が許可されておるという状態でありまして、普通自動車につきましては、生産が許可されておらないという現在の状況でございます。今後非常に需要が多くなつてまいりますと、乗用自動車の車はすでに非常な老朽車に相なりまして、現在この東京市内を動いております自動車につきましても、實に危険極まるような車輛營業をいたしております。この點から見ましても、今後の乗用自動車に對しまして、生産を許可になつておらぬということにつきましては、輸入方面につきまして何等かの計畫をおもちでありますかどうか。この點についてお伺いをいたしておきたいと思うのであります。  なお第二に自動車燃料ガソリンの問題であります。今後のガソリン輸入につきましては、どのような御計畫をおもちになり、またどのような見透しがついておられますかどうか。この點をお伺いいたしたいと思います。  なお先ほどどなたかの御質疑にありましたように、救急車のガソリンの問題でありますが、これは各府縣とも非常に問題になつておるようであります。醫者が頼んでもその救急車がまつたく救急の用をなしておらないということで、私どもたまたまそういう面にぶつかるのであります。この救急車として指定されておる車に對するガソリン配給量でありますが、おそらくこれはその府縣によつて配給の量が違うのではないかと考えるのであります。救急車を準備してありますことはまことに結構であるのでありますが、この救急車に對するガソリン配給、これがまことに少い量でありまして、救急用として備えてありましても、配給ガソリンによつてはとうてい救急の用をなし得ないというような實情のように聞いておるのであります。その點につきましてもどの程度の救急用ガソリンが一輛に對して配給されておるか。また必要に應じてはその地方におきまして適當な特配もし、増配もしておるのでありますか、この點をお伺いいたします。  なお最後に、先ほど井谷さんから御質問がありましたが、民營自動車で非常に經營がうまくいつておらぬ、車輛におきましても、サービスにおきましても、あらゆる面から見まして非常に一般大衆の交通機關としての使命を果しておらぬ、これに對して省營バスを實現させようというような御意見であつたのでありますが、私はこれとまつたく反對の點についてお伺いいたしたいと思つておる次第であります。たまたま聞いておる問題でありますが、その地方におきまして省營と民營と大體において並行をして營業をやつておる。その場合におきまして民營は非常に囘數も多く、またあらゆるサービスの點におきましても省營に比べてはるかにまさつておる。この關係者、沿道民はぜひともこれを元の民營に移してやつてほしいというような聲を次から次と聞かされておりますが、事實こうした省營が民營に非常に劣つておる、非常に不便であるというような實情がございましたならば、これを輿論に訴えまして民營にその營業を任せるというお考えはあるのでありますか。この點についてお伺いいたしたいと思います。
  27. 田中源三郎

    ○田中(源)政府委員 他の面は政府委員からお答えいたしますが、ただいま民營と省營に關する自動車の比較檢討の上に立つての御意見に對してお答えをいたしたいと思います。これに關連して先ほど來の質問にも併せて所見を述べてみたいと存じます。民營でやつておるものを今度省營でそこをやれ、また省營でやつておるものは省營そのものが機能の上において非常に不圓滑である、民營の方が機能の圓滑化から言つていいから、これは民營に移していくべきではないかということであります。私どもは現在の日本の段階におきまして、もつぱらこの問題は資材に關連してきておると考えておるのであります。圓滑に運營の機能が進行されておりまする地方におきましては、ことさらに省營をもって民營を壓迫するがごときことをいたさない方がいいのではないか。しかし民營が公益機關である使命に反してまつたく私利的なる經營に陷り、國民生活の上に惡影響を及ぼすというならば、政府は斷呼これに警告を與えまして、圓滑なる機能に引きもどさせるのが當然であります。もし萬一それをやらないということでありまするならば、その企業の許可を取消して、新たに國家的見地からそこに省營を置く、かような考え方をもつのが當然ではなかろうか。また省營でやつておりまする所が、ただいまの御意見のごとくに、はなはだ民營より劣つたる機能の状態にある、かようなときにあたりましては、その國家的の重要性を考慮いたしてみなければならぬ。民營のものがあくまでも國家的見地に立つてやり通してくれますならばよろしうございますが、萬一それが何らかの企業の手違いから、企業の上において支障を來すようなことになりまするおそれのある場合においては、再びそれを國家事業に引きもどしていかなければならぬと思うのであります。一旦民營にいたしたものを、當時の國家的要請に基いてかりに國營にいたしておりまする場合におきまして、それが今後民營において圓滑なる機能を果し、何ら國家的に差支えないという場合におきましては、あるいは一部さような路線は民營に委ねて、さらにその機能を他の要請のある部面に向けていくということは必ずしも不可能でないと考えるのであります。その時とその機能の情勢に適應して適當なる處置を講じていけばよいのではないかと考えておるのであります。いわゆる日本の鐵道に對する補助機關である省營バスというものに根本的な檢討を加えまして、先ほども成重さんから御質疑がありましたように根本的に考えまして、今後省營バスをただ單に要請に基いてやるか、あるいは鐵道の建設と關連させてこれをやつていくか、こういう根本的、合理的な經營面の上において、先ほど申したような一應の檢討を加えて、政府においてもこれをいたすべきが私は當然だと考えておりまして、先ほど申しましたように今後のいわゆる鐵道の合理經營の一環として、この面を考えていきたいと存じておるようなわけであります。さよう御了承を願います。
  28. 郷野基秀

    郷野政府委員 その他の御質問に對しましてお答え申し上げます。新車製造の今年の見透しでございますが、これも先ほど一般的な説明の際に私からちよつと申し上げましたが、本年度は大體一萬五千輛ぐらいを目標といたしまして計畫を進めております。これに對しまする鋼材といたしましては約四萬トンばかり必要なのでございます。そのうち一萬五千トンは一般物動から割當をもらい、他の二萬五千トンはリロールいたしまして、この材料をこしらえるということで配給を受ける豫定にいたして計畫が立つておるのでございまするが、特にリロールの面におきまして、燃料關係などからいたしまして、成績も思わしくないようでございますので、先ほども申し上げましたように、このままで推移いたしまするならば、一萬五千輛のうち約半數ぐらいのものしかでき上らないのではないかと憂慮いたしております。  なほトラツク・シヤーシにつきましては、資材さえありますればこれ以上の製造はしていいのでございまするが、悲しいかな先ほど申し上げましたような情勢で、これだけの製造確保できないような見込みでございます。しかし乗用車につきましては、小型車は三百臺承認を得ておるわけでございまして、これはダツトサン級の小型車でございまするが、しかもこの小型車は一般の個人の使用は認められておりません。從いまして官廳でありますとか、あるいは政黨のようなところ、あるいは病院その他社會的な事業をしておるような、そういう方面に對しましてこの使用を認められることになるものと考えております。從つて一般乗用車は今のところ製造を許可せられる見込はないのでございまするが、また同時に購入の見込みにつきましても、現在の情勢におきまして輸入の順位などから考えまして、乗用車輸入を認められるのはほど遠いのではないかと考えております。これは一般乗用車でございまするが、バスにつきましてはトラツク・シヤシー製造がさいわい認められておりまするので、必要に應じて、これにバス・ボデーを載せてバスにして使うというようなことは、情勢に應じて十分考えてまいりたいと存じております。  それからガソリン輸入の見透しでございます。輸入したガソリンの大半は自動車用に使うことになるのでございまするが、現在月大體一萬五千キロリツター程度のものまでガソリン自動車關係使用することを認められるような状態に相なりまして、昨年の六月ごろ初めて五千キロリツターばかりの使用を認められましたころから比べますると、だんだんと殖やしてもらつております。これに對しまして今後の見込みとしては、先ほどちよつと申し上げましたが、このガソリン自動車に使われて、眞に日本の國民生活の安定、經濟再建のために重點的ガソリンが使われるということが國内の態勢として確立いたしまするならば、今後このガソリン輸入の量は漸次殖やしていただけるものと私ども信じて、そういう面について努力をしてまいりたいと思い、鋭意ただいまその準備をいたしておる次第であります。おそらくこういうぐあいにして、ガソリンを既定の目的方面に使つていく態勢が確立したならば、月二萬キロリツターぐらいの自動車に對する使用は、近い將來認めてもらえるようになるのではないかと思います。それにいたしましても、大體現在のガソリン車を十分に使つてまいるためには、二萬六、七キロリツターぐらいのガソリンは最小限度要るだろうと思いますので、この程度ガソリンではガソリン車を十分動かしていくというところまでいくのは、ほど遠いのではないかと考えております。なお救急車に對しまするガソリン配給でございまするが、これはめつた使用されないもので、定期路線の運用というようなものでもございませんので、大體一日十キロぐらいの走行と想定いたしまして、三リツターぐらいを一應要る量と想定いたしておりまするが、實際ガソリンの需給事情からいたしまして、月平均一輛に對して五十リツターぐらいの配給率を基準にいたしておるようなわけであります。しかしながら救急車の使用につきましては、警察を通じて救急車の使用を要求せられました場合に、これを出すことに相なつておりまするので、その關係使用がはつきりいたしますれば、こういう事情でその割當の量よりも多く使わねばならなかつたのだという事情がはつきりいたしますれば、この量についての修正は可能なる範圍内において、できるだけ努めてまいりたいと考えます。
  29. 正木清

  30. 小笠原八十美

    ○小笠原委員 國民が運輸省に對し聽かんと欲するところは、まず先般の値上げ問題、その結果についてのことが一番大きな問題であると思うのであります。しかしながら今日はただ自動車その他小運搬等に對する問題を取上げて審議をしておる場合でありますから、全體的な關連とともに、その値上げ問題と國營の問題の自給的な計畫に對して少しお尋ねしておきたいと思います。先刻田中政務次官から近いうちにその問題は計畫されて、この委員會にも發表なさるという御發言がありましたから、それをしばらく待つことにいたしますが、ただ私は先般も次官かあるいは長官であつたかと思われますが、今日値合げをやつてもさらに今後赤字が出る。しからばどうしてこれを補填するかということの問題の御説明の中に、石炭を節約して、その節約した石炭でもつて貨物竝びに客車の増車をして、そうしてそれらによつて赤字補填をするというような御説明であつたのであります。同時に今日の小運搬關係を見まするとき、これはあまり距離が遠いようなところへ飛ぶようでありますけれども、一番大切なことは鐵道の三倍も輸送しておるという小運搬關係、しかもその中の牛馬車關係において、飼料が一番の難點であるという御説明があつたのであります。それらの問題をまず一番にきめていかなければならぬと思いますが、飼料の獲得についてはこれをいかに取扱つておられるか、飼料は農林當局の部面でありますが、それを運輸當局の方ではその配給をまつて、さらにその配給でもつて一番未端の小運搬の完璧を期そう。こういうことで待つてつたのでは、年一年と不足を來して、小運搬は行き詰まつて、いかに貨車が増車されたといえども、それによる經濟的な行き詰まり、その他輸送不圓滑の結果を生ずるおそれが多分にあるのであります。ただいま小運搬問題で論議をしておるときでありますから、まず根本的にその問題について農林省の方といかに折衡しておられるか、これは飼料という小さな問題でありますために閣議にもかけず、國家全體としても取上げずというようなことで、區々たる部分的な範圍内の、課長級において爭いを生じておるようなことがあつたといたしましたならば、それこそ運輸經濟問題の前途に對し重大なる關係であると思うのであります。われわれはもちろんこれに對してのやり方そのものによつてはここに農林大臣にお出を願つて、あるいは安定本部の長官にお出を願つて、その方に質して、この飼料の部面に對し國家はどういう重點をおいておるか。どの範圍においてこれを取扱われるかというところまでつつこんでいく必要が今日大いにあると思うのでありますけれども、とにかく内輪關係といたしましても、まずこの運輸省の方においてその獲得關係について省と省の間にどういう難點があるか、その隘路と今までの折衡しておる經路を明らかにせなければならぬと思うのであります。何ゆえかといえば、將來この運賃値上げによつてまたしても赤字が出て、これ以上國民に——これは利用者が負擔するも、その他の一般國民の負擔となるも同じこと、今日の交通は滿員列車に乗せて、サービスは放りつぱなし、そうしてまだ赤字だと言うが、これくらい不思議なことが世の中にあるかとうわさされておる以上、われわれ委員會としては何とかしてこの問題の解決をつけなければならぬと思うのであります。  殊にもう一つ上に上つてトラツク輸送のことですが、これらに對しては今御説明のあつたように、タイヤー、チユーブゴムの問題が一番重要な問題だと思うのであります。いかに車輛製造しましても、それにゴムが附蔕しなければどうにもなりません。今の新車のあのお粗末さ、しかもスペヤータイヤがついていない。さらにタイヤのない車まで配給しておるという状態である。それで民間はどうすることもできない状態にあるのであります。このゴムの獲得に對しましても、先刻來局長から申されましたが、一體それは商工省で取扱つておるのか、あるいは他のどこの部門で取扱つておるのか。そうしてトラツク關係輸送あるいはバス輸送、これらに對して政府はこれを閣議にかけ、どれだけの重要さで取扱つておるのか、これは大きな問題でありますから、そういうことを明確にしてもらいたいのであります。  なお當委員會なるものは、ただ昔の政府——昔と言つてはおかしいけれども、今は民主化されたというのなら、これは實際を把握するところにお互いが進んでいかなければ、當委員會の權威にもかかる問題だと思うのでありますから、政府の方としても運輸の關係省と一緒にここにやつておるのでありますが、とにかく内輪關係ですから、ざつくばらんに實際問題を把握するということに進んでいかなければならないと思います。  先刻救急車の問題の御質問がありました。それに對して當局は救急車の方にどれだけの油を配給しておるか。救急車をもし他の方面に利用するならば、巖重に御取締りになるという御答辯では、これは形式的であつてだめである。今日は救急車というよりもまず油、そして人間が一人ずつついておつて、いざ走るということになると、その人間に對する給料は一體だれが保證するのであるか、警察が負擔しておるかというとそうではない。他の業務に携わらせようと思つてもだれも引受け手がない。引受けても油が要るときにはやみで油を買つてやるということは火を見るよりも明らかである。それに對して政府は目をつむり、業者の方でも目をつむつて引受けて、これやらせておいて、取締りの方は巖重にするということでは、形式的に流れて實際問題には合わない。先刻も市内の代燃自動車取締りにおいては三十圓だと御説明なつた。一方では百圓も二百圓もとられるという御主張である。これはどちらも事實でしようが、しかしながら業者の部門になつてよく裏面をごらんになつていただきたい。内輪關係というのはざつくばらんに御答辯にならなければならぬ。これは警視廳が取締るというが、警視廳のみでなく、價格をきめるときにはあなた方も參加しておられるに相違ない。しかして價格をきめる上においては今日の代燃車というボロ車が何日目に工場にはいつておるか、工場にはいつてかかる料金はどれくらいであるか、彼らがやみをやつておるかおらぬかをよく突き止める、しかもこれらに對する燃料がはたしてどれほどであつて、一日どれほどあれば彼らの生活ができるか、しかしてその燃料もやみ値段でなくてほんとうの公定價で配給せられておるか、そのルートを完全に通つておるか、これをあなた方が御研究なされておるかどうか、この點を突き止めて實際問題と合わせて、われわれ委員も一緒になつてこれを一生懸命研究して、その問題から解決つけていつて業者も立つようにする。そうしてお互いの委員としの使命も果せるように、政府もまた形式的な答辯をしないで、ほんとう實際問題を研究していく。そこで初めてこの委員會が權威があると私は感ずるのであります。これは一事が萬事すべて同じで、今ここで大體において小運搬の問題を審議しておるから、他の問題にわたることは他の方々に御迷惑をかけるが、それを一例として御説明申し上げたのでありますから、今度何か問題が出たときにはお互いが研究して突き止めて、そうして根本的に解決をつけるということによつて、初めてわれわれの委員會というものが國民に信頼を受け、政府もまた同時に信頼を受ける、また實際に役立つように使命を果したいと思うのでありますから、その意見を附け加えて以上のことをお尋ねしたようなわけであります。
  31. 田中源三郎

    ○田中(源)政府委員 これは速記をやめてもらいたい。
  32. 正木清

    正木委員長 それでは速記をやめて…。
  33. 小笠原八十美

    ○小笠原委員 ただいまの田中政務次官のお話は、速記を止める必要はあまりないのではないか。斷片的な數字か何かの場合ならばとも角、今申されることに對しては速記を止めることは一つもないように思う。速記を止めることに短時間にするようにお願いいたします。
  34. 田中源三郎

    ○田中(源)政府委員 今小笠原委員のお話のありましたいわゆるタイヤの部面から申しますが、どうしても日本のタイヤ所要量は最低四萬トン要ります。そこで前議會にぜひとも輸入をしていただくようにということで建議案を提出をいたしまして、本年度は大體相當の原料ゴム輸入がせられるのであろうという想像をつけているのであります。今日のこのままのタイヤ状況で行きましたならば、九、十、十一月ごろになりますと、非常にタイヤ生産が少くなりまして、おそらく自動車運營上にたいへんな事態が起きやすまいかというので、數日前に經濟安定本部、商工省、運輸省、運輸省およびメーカー、消費者代表等寄りまして、これが生産に關する協議をいたしたような次第であります。そうして本日私どものところに通報が參りましたところによりますと、數日前に寄りましていろいろ討議をいたしました結果、この自動車タイヤの需給對策に關しまして經濟安定本部内に、需給對策委員會というものが安定本部の生産局長が委員長となりまして常設することに決定いたしまして、そうして運輸省なり商工省はもちろんのこと、關係の各省とが打合せをいたしたというようなわけでありまして、鋭意原料ゴム輸入を懇請いたしまして、大體所要量の原料ゴムを入れていただいて、タイヤの面におきましては自給をやつていきたい。ただ自動車タイヤにつきましてもう一つ困りますことは、御承知のごとくエジプト綿のような長い綿が製造に必要でありますので、これがまだ輸入がいたされませんので、米綿、印綿を代用いたしておるようなわけであります。今度印綿の長いものがはいりますならば、現在輸入の米綿ととも使いましてある程度できるかもしれませんが、タイヤの面においてはさような状態なつております。これとても當委員會におきまして一段の御檢討を願つてぜひともこの輸入を實現をして、現在の輸送行政に支障なからしめるだけの所要タイヤをつくるために、私は當委員會も御援助を願いたいと思うのであります。  なお飼料の問題は非常に重大な問題であります。從來御承知のごとくに、滿州、北支、朝鮮等の輸入によりますものが、今日ではいわゆる國外貿易になりまして、管理下におかれております日本の行政におきましては、今許されたる輸入量しか認められぬのであります。この問題につきまして現在輸入の一%くらいしか中央においては確保されておらぬというような、まことに貧弱な状態であります。地方におきましても食糧難の面からほとんどあらゆるものが食糧にまわされていくために、最も困難な状態であります。今度さらに根本的な重大な飼料問題に關しましては、各府縣の陸上運搬の組合の連中からもしばしば陳情もありますので、これはさらに一應關係農林當局と根本的なる協議を遂げて、そうしてその結果も當委員會に報告をいたしまして、さらに御援助なりお教えを仰きたいと考えております。現在の状況はさようの状態で、一部農村における農業兼業の方は、ある面は少しく自分でこれを補い得ることができましようが、都市においては實に重要なる問題となつてきておるようなわけでございます。さよう御了承願つて、特にこの面に向つては御指示なり、御援助をお願いいたしたいと思います。
  35. 小笠原八十美

    ○小笠原委員 ただいまの御答辯で大體わかりましたが、先刻輸送ゴム關係の對策委員會が安定本部によつてできたということを承つております。これは輸送方面一方だけの對策委員會でありましようか。またゴム全體の使用に對する對策委員會でありましようか、この點を明確にされたいのであります。特にこれが交通關係のみの委員會といたしまして、重要な交通分野の上から政府の方で事情を認めて委員會をつくられたというようなことになつておりますならば、それに對して一體民間からその方の委員會は委員がはいつておられるかどうか。またこういうふうな交通運輸關係委員會の委員長でも、それに連絡があつたのであるかどうかというようなことも承つてみたいのであります。それを明確にしてもらいたいことが一つ。  もう一つは今の飼料關係に非常に難點がある、飼料獲得に對して難點があるということであるが、飼料について農林省との折衡關係はどうなつておるかということを明らかにしたいのであります。これはあなた方のところばかりで關係しておらんで、農林當局と懇談して、どういうところに重點をおいて飼料の配當をやつておるかということを、農林大臣にも、さらにわれわれは先刻申したようにお尋ねして確めておきたいと思います。あなた方の方でもやはりこの小運搬の輸送關係には素人だからわからぬかも知らぬけれども、一體輸送というものを改革しなければだめです。今都市の輓馬とか都市の牛というものはどういう輸送をしておるかと言えば、飼料がないために荷物を半分しかひつぱりません。こういうことを解決するにはどうしたらよいか。粗食に耐える、飼料が三分の一でいい牛でもひつぱれば、ちようど今の輸送が完全にできる。馬もその通り、背の低い北海道の土産、在來の木曽馬のごときものを相當買つてきて輸送馬に使へば、飼料が少くして滿點の輸送ができ、今の輸送がちやんと行える。それで三分の一の飼料で解決がつく。そういうことの觀點をあれこれ注意しなければならぬ。これはもちろん一つの方面で日本の畜産方針を定めて、——もうこれは軍の關係はなくなりましたが、産業的な方面に仕向けるについては、自主的に粗食に耐える粗牛馬というものに増産の方針を仕向けていかなければならぬのであります。これは農林方面においても意見を發表してくださると思つております。ただ連中がもつてくるのは、一年は半年使つてあとは肉用に賣り飛ばすとあまり損がないからということで、柄の大きい馬ばかりを買つてくる。ところが飼料がないから、がたつとやせてしまつてすぐ倒れるというようなかつこうになつております。あまり採算的な方針をとるように仕向けると、動物愛護とかあるいは實際輸送關係ということに對して缺陷があるのであります。都市輓馬の方向もよくこれから研究なされて、そういう研究と相まつて、農林省の方からも重點的に大きな目で懇談してもらうように連絡する必要があると思うのであります。その點を申し上げます。
  36. 田中源三郎

    ○田中(源)政府委員 第一タイヤの方ですが、これは數日前に各メーカーの寄りました會合が、安定本部、商工省、運輸省の主催でありましたので、商工政務次官も私も參つたようなわけでございます。今報告を受けたのでありますが、これにはその後民間の方もおはいりになつております。どういう構成になつておりますか、詳細はまだ聞いておりませんから、これを一應取調べまして後ほどお手許の方に詳細に御報告をいたしたいと存じます。  小運送におきます輓馬の問題等につきましては、殊に畜産關係のエキスパートである小笠原委員からのお話はごもつともと存じますが、これは私が役所に就任いたしまして以來、小運送における飼料の問題につきましては、ごく正直に端的に申しますと、話をちよつと聞いた程度であります、また私は正直に申しますが、運輸省におきましても——今小笠原委員のおつしやるような深い考え方もありますが、またこれは從來運輸省がやつておらないものを、今引繼いだのでございますから、おそらくその點についての徹底を缺いておると思うのであります。從つて農林省の畜産飼料としての——從來畜産家飼料に關する觀點のような、燃烈なこの面に對する研究なり交渉があつたかどうかということも、私どもとしてまだ聞いておりませんので、多少私もこの點については小笠原委員と意見を同じういたしますが、この點もよく省内を取調べ、さらに一應農林省等の關係等も掘下げて伺いまして、後ほど詳細に御報告をいたしたいと思います。
  37. 郷野基秀

    郷野政府委員 飼料の問題につきましていろいろ専門的な御意見を伺いまして、私どもも大いに教えていただくことできまして、ありがとうございました。この飼料の問題につきまして私どもといたしましては、農林省の畜産局、擔當しておりますのは飼料課でございますが、この方面に小運搬上の實情をよく説明いたしまして、いろいろと詳細な事務的な折衡は常にやつて、連絡をとつておるのでございます。そうして大體米糠の増配、未利用資源の活用、なお輸送の飼料の配給というような、大體三つの點につきまして、直接飼料の増配の問題を打合せをいたしておるのであります。その結果本年度といたしましては一應四十八萬トンばかりの所要量に對しまして、十九萬トンのわくは農林省といたしまして數字の上では一應くれておるのでございます。この十數萬トンは農林省におきまする全體の飼料の供給力の約一五%でございます。このほかにやはり乳牛關係の飼料でありますとか、あるいは馬の關係生産の奨勵という方向から、競馬という方面に對しても飼料をわけなければならんでしようし、いろいろな點を考慮しまして、この程度割當を現在のところいたしてもらつておりますが、この割當が、從來の經驗から申しますと、先ほど政務次官からおつしやいましたように、あるいは全體の需要量の一割程度に抑られてしまうような危險も多分にありますので、ただいまお話のありましたような線に沿いまして、私ども事務的にさらに檢討を加えまして、この點配給努力いたしたいと考えております。運輸省といたしましては、今般の牛馬に對します飼料の問題につきましては、こういふ事務的な打合せを十分いたしますと同時に、また實際にこの問題につきまして、閣議で御提案を願いまして、一應飼料の確保につきましての農林當局の教えも願うことにいたしました。そのほかになおどうしても正規のルートによります飼料の確保が困難なものに對しましてては、新圓の非常に窮屈なときだから、これはやむを得ない處置でございまするが、飼料確保のために新圓を出していただくような處置を決定してもらつて進んでまいつたような状態でございますけれどもなほども努力の結果が、今後におきまして十分にまだ實を結ぶような方面に進んでおりませんので、大いに努力の餘地がありますることを私ども十分に自覺しておりますから、また御指導を受けまして、この上とも努力いたしたいと考えております。
  38. 小笠原八十美

    ○小笠原委員 時間がありませんから簡單に申し上げますが、田中政務次官の先刻のゴムの問題、あれはタイヤとチューブの問題だけの委員會であるかどうかということに對して御答辯がなかつたようですが、それを一つ。それからもう一つ飼料問題に對しては、今局長からもお話がありまして、今後閣議の問題でも取上げて御研究をなさるということは結構でありますが、これがあまり行き詰まらないうちに、聲を大きくしての重要な使命を果すことに對した努力をしていただきたい。それからこれはあとで私聽こうと思うけれども、田中君でなくても、あとで研究して大臣でもよろしいから簡單に伺いたい。資金がないないとおつしやるけれども鐵道で主要な財産を處分するということを新聞で拜見した。いかにも實際ありそうな話である。旅館であろうが、寮であろうがたくさんもつておるのであるから、今あれはせつぱ詰まつたときに處分しても、資金が何千萬圓、何億萬圓というものが、浮ぶだろうと想像しておりますが、そういう點をいかに處理されるであろうかということを、何か大きな問題のときに一遍伺つておこうと思いましたけれども、今御答辯なさらなくてもいいが、一應お聽きいたしまして、これで打切ります。
  39. 田中源三郎

    ○田中(源)政府委員 タイヤチユーブ委員會でございまして、それに限られております。いろいろ苦心をいたしてやつておりますから、いずれ大臣からでも答辯するようにいたします。
  40. 正木清

    正木委員長 通告順による質疑は以上をもつて終りました。この機會に委員各位にお諮りいたします。委員外である大島義晴君より發言を求められておりますが、これを許すに御異議ありませんか。
  41. 正木清

    正木委員長 異議ございませんか。では大島義晴君に質疑を許します。時間の關係上簡潔に願います。
  42. 大島義晴

    ○大島義晴君 委員外である私に發言の機會をお許しくださつてたいへんありがたうございました。私主として陸運監理局長に御質問申し上げ、またお答え願いたいのであります。ごく簡單に要點だけ申し上げますが、先ほど來監理局長が、現在の自動車統合體をしばらくこのまま存置する。こういう考え方に對しては私も同感であります。當然そうなければならぬと思つております。それは現下日本の再建の上におきましても、輸送力をますます強化する上においても、當然そういかなければならぬ。むしろ私は都會地附近の鐵道とか、そのほか自動車事業會社の合同體を通じて、配車の面には書面報告のみならず、直接監督の任に當るべきではないかとさえも考えておるくらいでありますから、この點はまさに正しいお考えだと思います。そこで先ほどの御説明にありました通り自家用自動車ははるかに營業用のトラツクよりも數が多いのであります。ところがこの自家用自動車の大半がやみをやる。背中で背負い出すやみに對しては巖重な取締りはいたしますけれどもトラツクで一車積みのやみに對しては取締りの手がなくして、やみの大部分はこれから流れて出るということをあなた方は御承知を願いたいと思います。しかしこの自家用トラツクに對しましては、私どもが縣に參りまして話をいたしますると、現在の法律の上においては、自家用自動車の車體檢査願を出されると、これを拒否することは法律上できない。もし小さい業者の人人が自家用車輛検査願を出せば、使用承諾書という面で一應抑えるけれども、縣會議員か何かがそのうしろについてきて巖重な談判を申込まれると、この車體檢査を拒否することはできないから、自家用自動車はどんどん殖える傾向にある。從つて自動車によるやみがますます多くなるということは縣當局もはつきり申しているのでありますが、運輸省はこの自家用自動車車體檢査その他に關する制限についてお考えがあるかどうか、この點をお伺いいたしたいのであります。  それから新しい營業の許可に對しては、自動車三十輛以上もつものに對しては一應許可する方針だということをかねて伺つておりますが、現在の事情トラツク三十輛を集め得るものは軍需工場の殘骸でもない限りにおいてはおそらくこれはあり得ません。しかもこの軍需工場は、かつて戰爭中業者から自動車を徴發いたしまして、この代金の支拂は一應いたしましたけれども終戰後においてその代金は取返えされている。從つて自動車業者はただとられた自動車が軍需工場の名になつておるがゆえに、そこに再び三十輛の車を集め、營業の許可をとるというようなことがありますならば、これは二重の苦しみを受ける不當な行為と言わなければならぬと思うのでありますが、はたしてその三十輛という基礎的數字を、この軍需工場の殘骸に基礎を置く場合でも認めるかどうか、こういうことをお伺いしたいのであります。  その次は燃料の問題であります。私どもはちようど群馬に住つておりますので、薪炭に對しては深い關係をもつておりますが、このほど私どもは山間に參りまして驚いているのは、山がかたつぱしから坊主になつている。しかも山をあれだけ坊主にしながら、東京の人々が一年に二俵か三俵の炭の配給しかないということは、一體これは何に原因があるかということを考えてみましたときに、ここに代燃の問題が當然起つてくると思うのであります。代燃といたしましては木炭と薪との二種であります。もし木炭によらすして、薪を使用するということにいたしますならば、木材を炭にする、あの家庭におけるガスの發生が自動車のやはり動力の装置となつて使い得るのであります。木炭にいたしましても、薪にいたしましても、決し差はありません。使用上にいくらかの違いはありますけれども、その効果におきましては、おそらく違いはありません。もしこの木炭を代燃に使用することを止めさせて、全部薪で動かす御方針をおとりになりますならば、おそらく東京の家庭にも一年を通じて十俵や二十俵の木炭は完全に配給されるのではないかとも考えるのであります。これらに對して當局は薪でも炭でも勝手氣ままにやられるという御方針でなく、むしろこの際この苦しい燃料不足の日本においては、當然薪に統一して、一般家庭に木炭を配給すべきではないかというふうに私は考えるのでありますが、これに對する御方針はいかように相成つておりますか、これを伺いたいのであります。  さらにもう一つの問題は進駐軍の拂下げ自動車をめぐつて省營自動車の件であります。先ほど局長さんから八千五百輛の車輛が進駐軍の御好意によつて拂下げられたということを承つております。これはまつたくその通りだと思つておりますが、そこでこのごろの省營トラツクの計畫と申しまするのは各府縣にわたつております。先ほどのお話によると、民業を壓迫せぬように民業の足らざるところを補うために省營の計畫をおやりなるというお話のように承つておりまするけれども、私どもはこの計畫を知つておりまする關係上、申しますが、斷じてそういうことはありません。民業で十分間に合つているところへもつてつて、省營トラツク經營をどんどん進めていく。その計畫の自動車というものは決して在來の日本の自動車ではない、進駐軍からの御好意による拂下げの自動車をもつて計畫しているという事實が歴然としておるのでありますが、こういう點は一體これでも民業を壓迫していないということが言えるかどうか伺いたいのであります。さらにまた八千五百輛の車輛のうち、運輸省自體の使う車は大體半數であります。半數の車は各府縣事業體を通じて配給されているのであります。これは貸付という名で配給されておりますけれども、この貸付にからんで今や談合事件が各府縣に起つている。この事實を運輸省はお知りになつているかどうか。しかもこの談合事件を起す原因と申しますものは、甲の縣で五つの統合體があるといたしましと、運輸省はまず三つの統合體を認めるけれども、二つの統合體は認めない。三つの統合體には車輛の貸付をするけれども、二つの統合體には車輛の貸付をしない。こういう指令を出してまいりますために、だれもオミツトされるものになりたくないために非常な猛運動をやる。その奪い合いが盛んに起つておる。これはタイヤがないということと、この貸付自動車には、月額ドラムカンで三本のガソリンがついて一緒にこれが配給されるということに大きな原因があるのであります。こういうことを御存じであるかどうか。現にこれがために私どもの方でも非常に問題を起しておりまして、これはあるいは疑獄事件に發展する可能性すらあるのであります。こういうようなばかばかしいことによつて、民心の撹亂をするということははなはだ私はけしからぬと思いますのみならず、先ほど局長さんの仰せられた通り、今の総合體をそのままお認めになつて、この総合體を通じてやろうというのに、その総合體の内部に甲乙をつけるということは、いかにも私は了解に苦しむ點でありますので、この総合體にもさような差等をおつけになつて將來おやりになるつもりかどうか、この點を伺いたいと思うのであります。時間がありませんから、以上お尋ねいたします。
  43. 郷野基秀

    郷野政府委員 統合體の問題につきまして、輸送確保について會社の報告なども巖重にとつてつたらいかがかというお話でありましたが、この統合體が重點的輸送確保してまいりますために、業者の方に先ほども申し上げましたように、自發的にこういう方向に進んで努力をしていただくということを、これからの仕事のやり方といたしまして、全面的に推し進めてやつていただくようにお願いしたいと考えておりまするし、それと同時に、その實續の報告などにつきましても十分確認をいたしまして、そのやり方を進めてまいりたいと思つております。  なお自家用のやみ取締りの問題でございますが、お話のように現在の法規におきましては、確かに不備の點がございます。先ほどお話のありました車體檢査證の問題でありますが、そういう點につきましても御指摘のような不備はあると存じております。しかしながらこれからの行き方といたしましては、燃料タイヤその他の資材につきましても、できるだけ重點的に、はつきりどういう使い方をしているかということを詳細に一輛々々檢討いたしまして、配給をしていくという方向に進めてまいりたいと考えておりますので、たとえ車體檢査證をもらいましても、使い方が穏當でないものは事實上、そういう面から使えなくなるということは現行の状態の法規の運用におきましても、期待できるものと考えておりますがなお進みましては、自動車交通事業改正の機會が最近においてございましたならば、ぜひ自家用のやみの取締りと申しますか、その面につきましての法規の整備をいたしまして、自家用車營業類似行為をいたしますことは、單に對價を得て運送をやるということのほかに、なお對價を得て車を貸し渡すというようなことにまで十分の取締りができるような法的根據をつくつていただきたいと考えておりります。  次に新規免許の基準の問題でございますが、現状におきましては新しい企業體と申しまするものは、やはり自動車運送事業の本質からいたしまして、相當の規模をもつた企業體でなければならないと考えておりまするので、一應三十輛というようなものを、都市以外の田舎の業者につきましても、この程度の標準は必要ではないかと私どもは考えておりますが、この標準を滿たすような企業體がどういう形でできるかということにつきましては、新規免許を將來いたしますような場合におきましては、一々その車を獲得いたしました經路などにつきましても十分に調査をいたしまして、なお地元の運送事業組合などの意見も聽きましてきめたいと思つておりますので、この三十輛の車の獲得の經路が穏當を缺くような場合におきましては、新規免許は出すことができないと考えております。  それから薪炭の問題でございまするが、薪炭のために日本の山の立木の蓄積が漸次減つてまいるという點は、まことに憂慮すべき問題であります。大體自動車用の木炭、薪につきまして、全體の需要量の約一割見當のものでございます。從いまして自動車用の薪や炭の全體におきまする割合はあまり多くないのでございますが、しかしやはり御指摘のように、少しでも木炭を使いまする代りに薪によりまして使用合理化をはとるということは、技術的に可能なる限度におきましては努力いたすべきものと考えております。炉の能率のよいものの研究などもいたしております。最近乗用車などにつきましても、薪の炉の研究を進めておるものがあるようでありまするが、できるだけ新しい炉につきましては、薪の方を多くして使つていくという方針はすでに立てております。なおまた將來半成コークスなどの利用ができるようになりますれば、できるだけこういうものに依存いたしまして、木炭や薪を減していくことに努力いたしたいと考えております。  なお拂下げ自動車の問題につきまして御注意がございましたが、拂下げ自動車によりまする國營運營と、民間車輛を貸し渡しまして運營をいたしまするいわゆる管理經營運營との間に、できるだけ磨擦の起らないようにということは、私ども特に注意をしたしておる點でございまして、そういう考え方から、どうも中央におきまして机の上で計畫を立ててはうまくいかないという點を顧慮いたしまして、すでに四月の初めに、問題につきましては關係方面とも連絡をとりまして、地方におきましては鐵道局、あるいは府縣、それからトラツク事業組合の代表の方など、關係者ほんとうにこの問題については實情に合つたような使い方をするということを本位といたしまして、現實の具體的な計畫についてお打合せを願つて、お話のまとまつたものから中央に報告をしていただいて、これを具體化していくというやり方をとつておりまして、ただいまお話のように、あるいは場所によりましてはなおぐあいが惡いような問題を引起しておるような所が場合によつてはあるかもしれませんが、私ども聞いております範圍におきましては、全國的に大體お話は圓滿に現在進んでおるように承知いたしております。具體的なことにつきまして、なお御注意のありましたような點につきましては、詳細私どももまた氣をつけてみることにいたします。  なお一應拂下げ車輛は、運輸大臣におきまして、民營でやりまする場合におきましても、車輛の所有權を保有し、責任をもつて運營確保するという行き方をとつておりますために、私どもといたしましてはできるだけこれを管理經營として、使われる業者につきましても制限をして、特に必要性の大なる地域におきまして、そこの關係業者の方に使つていただくという行き方の方が、輛數もあまり多くございませんし、いいのではないかと考えまして、一應業者の方についてはできるだけ數を少くする。全般的にこれをばらまいてしまいますと、どうも管理もしにくうございまするし、重點輸送の趣旨も達成困難ではないかというふうに考えまして、そういうふうにお願いをいたしておるようなわけでございます。これにつきまして御指摘のようないろいろな弊害が伴つておるといたしますれば、そういう點につきましては、實際の問題といたしまして私ども十分注意はしなければならないと考えておりますが、そういう考え方のもとに、今までは使う場所、また業者の方も重點的に制限をしまして、最も効果的に使つていただくという方針でそういう行き方をしております。御注意のような點につきましては、巖にその問題につきまして注意してまいることにいたします。
  44. 正木清

    正木委員長 別に通告もございません。時間も大分經ちましたので、本日はこの程度にいたしたいと思いますが、いかがでしよう。
  45. 正木清

    正木委員長 では本日はこれにて散會いたします。次會の日程は公報をもつて通知いたします。    午後四時五十三分散會