○
郷野政府委員 それでは私から
陸運監理局の擔當いたしております
行政事務の全般につきまして、概要を御
説明申し上げようと存じます。
陸運監理行政の對象といたしまして、ただいま取上げられておりますものは、
自動車交通事業、小
運送業、小
運搬業、
地方鐵道事業、
索道事業等でございます。なおこのほかに
自動車の
修繕事業、
代用燃料装置の
製造業、輕
車輛の
製造竝びに修繕の
事業、この
仕事も
陸運監理局で所管いたしております。
自動車の
製造と部品の
製造、これは
商工省の所管に相
なつております。しかしながらこの
配給事務につきましては、
輸送行政といたしまして私
どもの方で實際擔當いたしております。
なお
燃料の問題につきましても、それぞれ所管の省がございますが、實際
運輸事業に對します配給の
仕事はこちらで擔當いたしております。なお先般
臨時物資需給調整法によりまして、
陸運關係の
資材の
割當、
配給事務を私
どもで擔當することに相なりました。この
關係の
仕事も前
年度末から擔當いたしておるようなわけでございます。
次に
自動車交通事業の概要につきまして最初に御
説明申し上げたいと存じます。
自動車交通事業といたしましては、
バス、
トラツク、
ハイヤー、
タクシー、
自動車道等の
仕事がございまするが、そのうちで
バス業者はお手もとにさし上げました資料にも掲げておきましたが、ただいま二百五十六
業者ございまして、全體で八萬一千キロばかりの
營業キロをもつておるわけでございますが、現在の
車輛事情、
燃料事情等からいたしまして、そのうち約四割は
營業を休止いたしておるような現状でございます。そして
バス事業に使つておりまする車は一萬一千輛ばかりでございまして、これは大
體昭和十五
年度ごろの
輛數に比べてみますると、約半分に過ぎません。次に
トラツクの
貨物運送事業でございまするが、
業者數は七百三十ばかりございまして、三萬三千輛ばかりの車をもちまして
營業をいたしております。
ハイヤー、
タクシーの
關係におきましては、九百余りの
業者がございます。こういう
状態で
運輸事業を經營いたしておりまするが、このほかに
自家用の
自動車がございます。
自家用につきましては、
トラツクにおきましては三萬七千輛、
バスが二百輛ばかり、
乗用車が七千八百ほどでございまして、特に
トラツクの
關係におきましては、
運輸業者のもつておりまする
輛數を凌駕するような
状態でございます。これで
自動車の總數を見てみますると、大
體十一萬七千輛でございまして、この
輛數は
昭和十四年から十五年の
保有輛數の間にございます。大
體昭和十一
年度に比べまして、總數におきましては八〇%ぐらいにあたつておるのであります。從いまして戰前の
状態に比べまして、二割
程度落ちておるような
状態でございます。しかしながらこれを内容について見ますると、先ほど申し上げましたように、
バスにつきましては
昭和十五年の約半分
程度、
乗用車につきましては
昭和十五
年度あたりの七割
程度の數字でございます。
貨物自動車につきましては、
輛數におきましては七萬八千輛で、戰前とあまり違わないような數量でございます。從いまして
バス、
自動車を除きましては、數量の面におきましては相當に囘復してまいつてきておるのでございまするが、その
車輛の質の點について見てみますると、戰前におきまして、大
體自動車の平均の車齢は四年以下でございました。しかるに最近の
平均車齢は七年半ぐらいに相
なつておると存じております。特にそのうちでも
バスにつきましては、
戰爭中からあまり補充をいたしておりませんでしたので、
車輛は十一年ぐらいの年數に相
なつております。こういう
事情で質が非常に低下いたしております。なおあとで御
説明申し上げたいと存じますが、
自動車部品、特に
タイヤ、
チユーブ、また
燃料などの
關係からいたしまして、車が思うように使えないというような
事情等もございまして、平均いたしまして
實働率は六五%前後に
なつておるようなわけでございます。なおこの
實働率もこのままで推移いたしますと、あるいはさらに低下しやしないかということが懸念せられるような
状態でございます。この
自動車によりまして大體どれくらいの
輸送をいたしておるかと申し上げますと、要
輸送量といたしましては、貨物の
關係におきまして、概數でございますが、約二億トンと私
どもは想定をいたしております。しかしながら昨
年度の實績は大體一億五千五百
萬トンぐらいであつたと存じます。本年におきましても今の
車輛事情からいたしまして、一億六千
萬トンぐらいの
輸送が
確保できるというのが
精一ぱいではないかと考えております。
バスについて申し上げますと、大體十六億人ぐらいを要
輸送量と考えております。實際の本
年度の
輸送といたしましては、何とかして十三億人ぐらいの
輸送を
確保いたしたいものと思いまして
努力をいたしておりますが、昨
年度の實績はおそらく十億を切つておる
程度ではないかと存じております。
なお
自動車道の
事業というのがございます。これは道路をこしらえまして、
自動車をその上に運轉をいたすのでございます。一般の
自動車通行にこれを提供いたしまして、道路の
使用料をとるという
事業でございますが、現在すでにわが國でも日光、
箱根等においてこの
事業も幾分經營を見ておるような次第でございます。しかしながらあまり収益の成績はよくないように存じております。
先ほど
自家用自動車につきまして、
自家用自動が特に
トラツクの面におきまして最近殖えてまいつておることを申し上げました。
自家用車につきましては、
重要産業の經營のために、
戰時中から
トラツクを
自家用といたしまして配属いたしたものが、漸次殖えてまいりました。現在では
業者の持つておる
トラツクの
輛數より多いような
状態に相
なつておりますので、この
自家用車が本來の
自家用車の使命に徹しまして、その
事業のために必要な物資を
輸送するという
方向におきまして、健全に發達いたしてまいりますことは、私
どもの念願するところでございますが、中には最近いろいろ
自家用の目的を逸脱いたしまして、
營業類似行為を行うというような非難もございますので、この面につきましては最近
取締りを強化し、そういうことのないような
方向に向
つて努力をしてまいりたいと考えているような次第でございます。なお、
自動車交通事業につきまして、當面の大きな問題について二、三申上げてみたいと存じます。結局、
資材の
關係の問題が最大の重要問題でございますが、この問題はあとにいたしまして、先ず
企業解體と
新規免許の
關係の問題につきまして私
どもの所見を申上げまして、いろいろまた御叱正を願いたいと存ずる次第でございます。企業の
統合につきましては、すでに戰爭前からその必要を認めまして、自主的に
統合を慫慂してまいつてお
つたのでございますが、
戰爭中、特にまたその末期におきまして、急いで當時の官の指導によりまする
統合を敢行してまいつたような
情勢でございます。その結果といたしまして、ただいまでは
トラツク業者も昔八千を數えておつたと申しますが、三百二十の
統合會社に大體におきまして
統合せられておりまするし、
バスも數千を算えておりましたものが、二百五十
程度の
総合會社に集約せられてまいつております。
統合の目標といたしますところは、結局
資材その他いろいろ
經營上の隘路のございますのに對應いたしまして、できるだけ
資材を重點的に合理的に使いまして、
企業全般としての
合理化をはかる。なお特に重點的な
輸送を
確保すべき部面につきまして、その
輸送を
確保することのできやすいような
態勢をとるということが主眼であ
つたのでございますが、
終戰後の今日におきましても、大體におきまして、
資材の
關係の行き詰まりはものによりましては一層ひどく
なつたものもあるくらいでござまして、まだ緩和せられたというまでには達しておりません。從いましてこの困難な
資材その他の條件の制約のもとに、やはり
國民生活の安定、
重要物資の
生産のために車を使つてまいるということから考えましても、一應この
統合の形態は急激にかえるべきものではないということを私
どもは考えているような次第でございます。しかしながら、それと同時に、この
統合體といたしましては、特に
業者個人の自覺も促しまして、なお必要な監督も強化いたしまして、一面この
經營形態のもとにおいていろいろ生じやすいような弊害は十分に注意をして、こういう弊害のないような
方向にもつていかなければならないものと考えております。從いまして特に
戰爭末期の
状態で軍の必要からつくり上げたような會社でありまして、
統合自體にも非常に無理があつたというようなものにつきましては、いろいろ
事情を精査いたしまして、
關係者の公正な意見も聽きまして、これを解體するというようなことも考えなければならないかと存じまするし、今後あるいは獨占の弊害が著しく現われてきたというような場合につきましては、考えなければならないと存じまするが、一
應統合體は原則として今の
情勢におきましては、當分その
統合のままで
事業を經營してもらいたいものと考えている次第でございます。
なおまた
新規免許の問題でございまするが、これにつきましても今後は一應の基準を設けまして、地方の
交通事情から考えまして需要も十分であり、また
既營業者との間におきましても不當の磨擦を起さないような場合、また業態といたしまして相當強固な經營ができる見透しのつきますような場合には、今後
新規免許も考えていかなければならないと考えておりまするが、今の
資材、
車輛事情からいたしまして、あまり急いでこういう
方向に進むことも困難ではないかというふうに考えておる次第でございます。
なお
自動車運送事業の組合に關する問題があるようでございます。現在
自動車運送事業組合は
戰時中の
統制方式によりまして、
統制會の方式でこの組合はでき上つております。もとより
終戰後の今日、そういう運用はいたしておりませんが、法規の建前から申しますると、
統制會方式の組合に相
なつておりますので、これは現在の
事情のもとにおきまして、法律上この形を存続してまいることは適當でないと考えておるような次第でございます。從いまして
法律改正の時期におきましては、その點は改正をしていただきたいものと考えております。
なお先ほど
自家用車の問題につきまして、
自家用車の
營業類似行為の
取締りのことをお話申し上げましたが、なおこれに對應いたしまして、
運輸事業者自身の
運送事業の經營につきましても一層
業者の自覺もお願いいたしまして、公定の
運賃料金で必要な方面に對しまして重點的に
輸送を擔當し、これを
確保していくという
態勢は今後におきまして一層急速に進めてまいらなければならないものと考えておりまするが、さいわいこの
事業に
關係しておられます
業者の方々も、この
方向におきまして一段の
努力を自發的にしてもらえるような
態勢に相
なつておると存じますので、私
どももこういう方面から
官廳側といたしまして協力してまいりまして、
重要物資の
輸送確保、從いまして
經濟危機突破の
態勢下におきまして、
自動車の
運送事業者が
輸送の面から
國家社會のためにその使命を盡すということをやつてまいりたいと考えておるような次第でございます。
なお次にこの
自動車の
關係につきまして、
行政運營の問題、最近のこの面についての取扱い方の
變つた點につきまして御
説明を申し上げたいと存じます。
自動車の
行政につきましては、御承知の通りもともと
警察取締りの見地から
警察許可というような形で發展してまい
つたのでございまするが、漸次
保育行政の對象といたしまして、
營業特許というような形に進んでまい
つたのでございます。從いまして大
體自動車の
營業につきましては
運輸大臣がこの
仕事を擔當してまいることに相なりましても、地方におきましては
從來府縣を
下級官廳としてこの
仕事を擔當してもらつてまい
つたのでございますが、最近のような
輸送情勢下におきましては、
府縣の
行政區域というものが
經濟交通の點から見まして必ずしも適合していないような面も方々にございます。なおまた他の
交通機關との
關係を總合的に一體的に見ていかなければならないような面もあるように考えます。從いまして
輸送關係の
専門家がこういう見地からまとめて見て行く必要も非常に加わつてまいつたことと考えております。なおかつ
臨時物資需給調整法によりまして、
指定生産資材の
行政を運輸省の
關係の官廳におきましてこれを擔當することに相なりまして、
資材行政と
輸送行政と物合一政させるということも必要に相
なつてまいりました。從いまして三月二十五日に
自動車事務所を
鐵道局の
下級官廳といたしまして、各
府縣に設けたのでございまするが、
輸送關係の
事務につきましても、五月十五日を目途といたしまして一應
府縣から引繼を受ける
態勢にな
つたのでございます。なお
輸送の
行政の
仕事につきましては、
府縣の地方における
行政との
關係が非常に密接なものがございますので、
自動車事務所長は必要のありまする場合、
地方自治法によりまして
府縣知事の
指揮監督を受ける建前で現在も進んでいるようなわけでございます。
行政事務のやり方の最近におきまする變化はそういうようなことに相
なつております。
次に
自動車運送における
資材問題について概略を申し上げてみたいと存じます。
車輛の
事情は先ほど申し上げましたように、數量はやや囘復してまいつておりますが、質的に非常に低下いたしております。新車の補充につきましては、
トラツクにつきまして月千五百臺の
トラツク・シヤシーの
製造、
乗用車につきまして今年三百輛の
小型乗用車の
製造をいたすことにしております。
トラツク・シヤシーにつきましては、本
年度の計畫といたしまして
新製一萬五千輛、それから古い車を更生修繕いたしまして、新車とほぼ變らない
状態にいたしますものを七千三百五十輛豫定をいたして計畫を進めております。しかしながら最近の
資材の見透しから申しますると、これだけの
新製ならびに更生を
確保してまいりますことは、非常に困難ではないかと考えられます。なおいろいろ交渉いたしまして
商工省におきましてこの車の
新製確保をしてもらいますように、私
どももいろいろ連絡をとり
努力をお願いしているような次第でございます。
なほ本
年度は進駐軍の特別の好意によりまして約八千五百輛ばかりの
トラツク並びにトレーラーをわが國の
自動車輸送のために使用することを認められてまいつております。これらを合わせまして約三萬輛の車が本
年度補充できるようになりますれば、非常に心強い次第であると考えておりまするが、先ほど申上げましたように、
新製、更生の面におきましてはこの
確保は相當危ぶまれておるような次第でございます。
なお先ほど十一萬七千輛の
自動車があるということを申し上げましたが、十年間でこの車を補充していくということを考えましても、年に一萬二千輛ばかりは
當然廃車補充として必要なのでありまするから、
新製、更生が思うように進まないということになりますと、ほとんど
廃車補充で手いつぱいで、わずかに
拂下げ車輛によりまして
輸送力の強化ができるという
程度の
状態になりはしないかと考えられるのでございまして、一段の
努力を要する次第と考えております。
なお次に最近特に窮迫してまいりました
タイヤ事情についてお話し申し上げたいと存じます。大
體年間新製と
修繕用を合わせて約八十萬本の
タイヤ、
チユーブが必要なのでございます。これに對しますゴムといたしましては、大體一萬六千トン
程度を必要とするのではないかと考えております。しかるに最近の
タイヤ生産情勢ははなはだ憂慮すべきものがあるのでございまして、まず第一に
生ゴムの輸入がなかなか思うようにできない。
從つて自動車に對しまして
生ゴムの
割當を受けますのが思わしくないという
事情がございます。今年の第一、第二四半期におきましては、約八百トン
程度の
タイヤ、
チユーブに對するゴムの
割當でございます。この向きでまいりますと、おそらく年間を通じまして三千トンからそこらの
割當に相なりまして、所要の數量に對しましては四分の一、五分の一というような數量にしかならないのではないかと憂慮せられます。そこで私
どもといたしましては、
關係の官民一體となりまして、
タイヤの
生産をこの際國内におきましてできるだけ上げる。またこれに對しまして必要な手配をいたさなければならないと考えまして、その
方向に向いましてただいま
努力をいたしております。その結果といたしまして、七月以降月五百トンの
生ゴムの使用をいたしまして、
タイヤ、
チユーブ二萬五千トンを少くとも
生産するということを目標といたしまして、これに對しまして電力、石炭その他
生ゴムの
配給確保等、現在
生産の隘路に
なつておりまする諸
事情を打開いたしまして、さしあたり本
年度日本國内需要といたしまして少くとも五千五百トン、これで二十七、八萬の
タイヤ、
チユーブと相なりまするが、この
程度のものはぜひ
製造を
確保してまいりたい。なお足りない面につきましては、輸入も懇請いたしたいというふうなことを考えておるような次第でございます。この
生産がさしあたり
確保せられませんと、おそらくこのままでまいりますれば、今年の九月以降、車はありましても、また
燃料はありましても、
タイヤのために
バス、
トラツクの運行は大なる支障を受けるというような
状態に相
なつておりまするので、全力を盡しましてこの點は解決に
努力しなければならないと存じておるような次第でございます。
なお次に、
燃料の問題につきまして簡單にお話を申し上げたいと存じます。まず第一に
ガソリンでございまするが、大
體トラツクにつきましては約半分
程度、
バスにつきましてはほとんど九割
程度、
乗用車につきましても半分以上現在におきましては代燃化せられております。從いましてまだ代燃化されておりません面が
ガソリンを使用することに相なるのでございまするが、大
體ガソリンの年間の
所要量といたしましては、二十一
年度におきまして三十
萬キロリツトル程度であ
つたのであります。これに對しまして、
割當はわずかに四〇%
程度でございまして、最近
ガソリンの輸入の
状態も、また
自動車に對しましての
割當の
状態もいくらか改善せられることに相
なつておりまするので、本
年度におきましては、大體所要の五六%、約六割
程度のものが滿たされるのではないかと考えておりまするが、それにいたしましても、まだ不足するような
状態でございます。私
どもといたしましては、この貴重な
ガソリンを
ほんとうに重要な
國民生活安定、
經濟再建のために最も重要な方面にこれが使用せられるという
態勢を國内におきまして確立いたしまして、なおその
態勢の確立とともに、
連合軍の好意にすがりまして、必要な
ガソリンの輸入を懇請してまいりたいと考えておるような次第でございます。從いまして
ガソリンの毎月
自動車に對しまして配分せられまする量は、今後におきまして多少とも殖やしてもらえるものと期待はいたしておりまするが、一層その使い方につきましては私
ども注意をいたしまして、
ほんとうに必要な方面にこの
ガソリンを振り向けて使うということについて、今後一段の
努力をいたさなければならないものと考えまして、そういう意味においてただいま準備をいたしておるような次第でございます。
次に代燃の大宗でありまする薪炭の問題でございまするが、大體木炭につきましては、
昭和二十
年度におきまして約五九%
程度、薪につきましては五四%
程度を入手いたしたにすぎないのでございます。今年の需要について申しますと、木炭につきましては一應三十五
萬トン、薪につきましては三十
萬トンが
動力用として豫定せられておりますが、
生産事情も相當に困難なようでございまして、そのうち
自動車に
割當てられますものは八割見當ではないかと考えております。その八割の
割當の量のうちから
ほんとうに入手できますものはさらにその内輪になるというような點も懸念せられておりますので、なおできるだけこの
割當てられましたものに對して入手の
確保、また
自家製炭、
自家製薪というような點につきまして業界の
關係者はいろいろと
努力をいたしておりますが、この面につきましても一層強化いたしまして、なお代燃装置の改善、
燃燒技術の向上などによりまして、節約の面におきましても
努力をしてまいりたいと考えております。
一般の
自動車の問題につきましては御
説明はその
程度に止めまして、次に
省營自動車の問題につきまして御
説明を申し上げたいと存じます。
省營自動車につきましては、ただいま七十六線約五千キロに近い
營業キロをもつております。
バスは千百八十二輛、
トラツクは三千百三十六輛をもつておりますが、
省營自動車は
昭和五年に初めて實施いたしましてからすでに二十年近くに相なります。この間
省營自動車の目標といたしましては、御承知の
通り國有
鐵道の
建設線の先行、代行、また國有
鐵道の
既設線の機能を特によくするというような關連にありますもの、あるいは特殊の
開發地蔕におきまして、國營の
自動車でなければその目的を達成できないというようなものを特に選び出しまして、この
間鐵道會議にも諮詢をいたしまして、路線の決定をいたして實施をいたしてまい
つたのでございます。最近の
省營自動車の一つの
經營上の問題といたしましては、やはり
省營自動車におきましても、民間の
自動車と同様に、
燃料その他の
資材、また
車輛の點におきましても非常に窮屈な
状態にあるということでございます。從いまして民間の
自動車がやはり
既營業線の
整備充實を第一の目標といたしまして、
休止路線の復活に
漸次努力をしてまいるという
態勢をとつておりますると同様、
省營自動車につきましても、
既營業線の
整備充實を第一といたしまして、なおすでに國の方針といたしまして開設を決定せられましたものの實施をその次に鋭意
努力をして促進してまいることに重點をおいてまいらざるを得ないような
情勢でございます。從いまして今後におきまして
省營自動車の新規の路線を取上げて計畫を立ててまいりますことは、今の
情勢からいたしまして、各地から非常に多くの請願、陳情もあるような
状態でございまするが、特に緊要なもの以外は
新規路線につきましてはこれを實際の計畫に取入れていくということは至難な
情勢にあることを御了承願いたいと存ずるのでございます。
なほ省營自動車の運營に關連いたしまして、いろいろ民間の
自動車業者の方から省營反對の運動もございます。この困難な
情勢のもとにおきまして、民間の企業も
資材その他の制約を受けまして思うように經營ができない
事情にあるのでございます。もちろん
業者の方々はやはりできるだけの
努力を盡されまして、自分の擔當しておられまする路線の經營に當つておられるのでございます。從つてこういふ路線につきましてやたらに
省營自動車を新設してまいるということの慎むべきはもちろんであると考えます。從いまして私
どもといたしましては、
省營自動車の御要望の特に多い
情勢ではございまするが、そのうちのあるものにつきましては、現在の
業者の方の實力と、また經營についての御熱意にまちまして、現在の
業者の方に、
省營自動車の請願いかんにかかわらず、さしあたり經營をしていただくという所も多く出てこなければならないものと考えております。
資材その他の面におきましても、
バス事業につきましては特に
戰爭中から困難な條件のもとにおかれておりますので、國全體といたしまして
バス事業について許されるだけの
資材も注ぎ込みまして、現在の
業者の方の經營を助成するということは必要であろうかと考えておるような次第でございます。
次に
鐵道小運送の
關係のことにつきまして一言御
説明を申し上げたいと存じます。小
運送業は現在ありまする小
運送業法で規定せられておりまする
鐵道軌道等の行う貨物運送の取次、あるいは代辯、それから
鐵道軌道を利用して運送をする
事業、そのほかに
鐵道軌道に附随いたしまして、その兩端におきまして集配をしたりいたします附随運送というものが、
事業の内容に相
なつておるのでございまするが、この小
運送業につきましては、御承知の通りずつと以前は自由
營業であ
つたのでございます。その結果數千の少さな企業が確立いたしまして、その間不當な料金の収受でありますとか、あるいは損害賠償責任の履行不能というようなこと、貨物引換證なしで貨物を引渡しまして、いろいろ惡質な事故を起したということもございました。荷主に迷惑をかけ、また能率の低下、粗漏の包裝のために
鐵道輸送をも阻害するというような
状態も起りましたので、これを直すために小
運送業を免許
事業といたしまして、なおまた
業者につきましては、いろいろと
統合整理を慫慂いたしまして進んでまい
つたのでございます。小
運送業法竝びに日本通運株式會社法の制定によりまして小
運送業界は新しく整頓せられた
状態におかれることになりまして、大體業界の規模は集約合同によりまして向上いたしまして、大都市以外は一驛一店の形と
なつて進んでまい
つたのでありますが、
戰爭中、
昭和十六年に大都市及びこれに準ずる地域の
業者を日本通運に合併いたしまして、逐次合併も進み、全國を通じて大體一驛一店で、その約九割は日通の
事業の形態が現在においてでき上
つたのであります。現在の
業者の數は二百八十五ありまして、そのうちの一つが日通に
なつておるのでございます。從事員の數は十一萬二千、そのうち日通が九萬三千ということに
なつております。取扱いの數量についてもほとんど九割以上は日通の取扱いでございます。この小運送の運營の現状に對して、これをいかに民主化していくべきかという問題があるのでございますが、先ほど來申し上げましたように、現在の一驛一店制はもともと荷主、公衆の保護及び
鐵道の構内の非常に狭隘な、しかも
仕事の輻輳しておる所におきまして、できるだけ
輸送の効率をあげていくということから定めた制度でありまして、必ずしもいわゆる戰時統制の結果ではなか
つたのであります。しかしながら現在の一驛一店制の制度に對して、今後において考えていかなければならない點がないかと申しますと、この點については相當考究を要するものがあるように考えております。すなわち一驛一店のためにサービスに缺けるところがある、あるいは企業意欲においてもあきたらないものがあるのではないかという點につきましては、十分檢討を加えまして、將來はある
程度の修正が必要ではないかとも考えるのであります。しかしながら現状におきまして
輸送の規則を守つて能率をあげていく、特に大
輸送におきまして
鐵道輸送の能力を充實整備していくことに寄與するために考えてまいりますと、この制度につきましても簡単にこれを廢止するというようなこともできないのではないかと考えるのでありまして、私
どもこれを研究いたしておるような次第でございます。またこれに伴い日本通運を今後どういう
方向にもつていくべきかということもはなはだ重大な問題でございますが、小
運送業につきましては、これは國有
鐵道と表裏一體の運用が必要でありまして、大運送と小運送は脣歯輔車の
關係におきまして發達もさせていかなければならぬということが考えられるのであります。なおまたこの
鐵道輸送につきましての取引は、國鐵が中間に介在いたしました各地の取引でありますので、全國的な網をもつた
經營形態ということも、この面から見れば理想の形ではないかということも考えられます。また食糧その他
重要物資の流通秩序を保持するために、現在日本通運が實施しております元請けのやうな制度は、やはり現状におきましては、なお當分の間は少くとも必要ではないかというふうに考えられるのであります。從いましてこの全國的につながりをもちました日通の今日の形態を、ただちに解體をするということは、これらの點から考えまして、相當理想に逆行するものもあるやうに考えられまするので、私
どもといたしましては、
事業の民主化は
業者のある
程度の複數制というやうな問題で、その方面に重點をおきまして解決すべき事柄ではないかと、ただいまのところ考えておるようなわけでございます。
なお日通の改組の問題につきましては、やはり
鐵道輸送の現状から考えまして、
鐵道の
輸送力を
確保していくことに急激に惡い影響を與うるようなことがあつてはならないという見地からいたしまして、相當慎重な態度をとつてやらなければならないと考えております。しかしながら日本通運株式會社は御承知の通り現在特別經理會社に相
なつておりまして、相當の損失も見込まれるような
状態でありまして、企業の再建整備計畫をただいま策定いたしておりまするが、この際會社といたしまして、ある
程度の
事業の縮小もしなければならないということが必要になるのではないかとも考えられるのであります。これらの具體的な問題はなおしばらく決定までに時日を要するのではないかと考えておるような次第でございます。
なお小
運送業界全般につきましては、ただいまこういう小
運送業の形態ができ上りまして、全能力をあげて大運送に對應して小運送の
確保に
努力いたしておるのでありまするが、しかしながら小運送
關係の施設にはなお足りないものがございます。從いまして現状におきましても小
運送業者のもつておりまする集配力は、必要な集配力の三〇%
程度でありまして、他はやはり一般の援助を求めているような
状態でございます。從いまして私
ども常に考えるのでございまするが、小
運送業の
關係の集配力を整備してまいりまするには、ただ單に小
運送業者の
關係ばかり考えてはならないのであります。小運搬、あるいは貨物
自動車運送事業を經營しておられます
業者の方々のこの方面に對する
輸送力、こういう面も同時に考えまして、小運送
關係の
輸送確保をしてまいりたいと存じておりまするが、今後におきましても、この
態勢を一層明らかにいたしまするために、最近の機會に
法律改正のことが、もし可能であるといたしますれば、ぜひ小
運送業からいわゆる集荷配達の附随運送に属する部面を取除きまして、その他の
仕事を小
運送事業といたしまして附随運送につきましては、これを一般の
トラツクその他の
運送事業ということにいたしまして、この面におきましてすべての
運送業者の力を集中いたしまして、
輸送力の整備増強ができるような
方向に進むべきではないかというふうに考えておるのでございます。特に最近小運送力の増強を必要といたしまする面は大都市でございまして、その中でも特に東京都の
關係におきましては、小運送力が今低下いたしておりまするために、發送の貨物も抑制を受けるというような
状態であ
つたのであります。これに對しまして、私
どもは小運送力の、特に大都市、東京都における増強につきまして、目下方策を進めて、一部すでに實行に移しております。從いまして、大都市特に東京都向けの貨物の發送の制限というものも漸次撤廢せられる
方向に向い得るものと考えているのでございます。
次に陸上小
運搬業の
關係につきまして、簡単に御
説明を申し上げたいと存じます。いわゆる輕
車輛の
貨物運送事業でございます。これは荷牛馬車、荷車等、人力、畜力によりまして、
車輛を使用して貨物を運送する
事業でございますが、荷牛馬車で一日約二トン、荷車、リヤカー等で〇・八トンくらいの
輸送をしているのすぎないのであります。しかしながらこの小
運搬業の現在日本の陸上運送において果しております
仕事の量ははなはだ大きいものがあるのでございます。これはわが國の實情からいたしまして、
自動車などの出はいりできないような所が、この小
運搬業によつて運送されているからでございまして、
昭和十八、九年ごろにおきましては、年間三億二千
萬トン、現在におきましても、二億トンを下らぬ貨物の
輸送を小運搬が擔當いたしているものと私
どもは見ております。從いまして、この
事業につきましての重要性が、あるいは國民全般に十分御認識が願えていないかとも思いまするが、はなはだ重要なものがあるのでございまして、私
どもといたしましては、この
關係の
事業の整備發達につきまして、十分の
努力をしてまいらなければならないのでございまするけれ
ども、現状はどうかと申しますると、はなはだ憂うべき
状態にあるのであります。現に
業者の數は専業並びに農村等の兼業等、兩方を合わせまして二十三萬ばかりあるのでございます。そしてまた所要の運搬具は馬車を最大といたしまして、牛車がこれに次いでおりますが、これを合わせまして二十二萬ばかりでございます。しかしながらこれに對しまして、必要な車の
新製あるいは修繕の
資材も十分な
確保が、現在におきましては、物動的にできておりません。また飼料の
關係につきましても、年間四十八、九
萬トンの飼料が要るはずなのでありますが、これに對しまして、一應計畫は十九
萬トンというようなものができておりますが、實績から考えますと、昨
年度は全體の需要の一%
程度のものしか供給ができておりません。今年も惡くいたしますと、この
程度になりはしないかということが非常に憂慮せられるのであります。食糧と
關係がございますので、牛馬の飼料につきましては非常に憂慮せらるべき
状態にあります。おそらく地方における手配の數量を合わせましても、
ほんとうに正規の筋によりまして配當ができておりまするものは二割見當にすぎないのではないかと存じます。その對策といたしまして
業者の方はいろいろ
努力をせられまして、自給飼料の増産でありますとか、いろいろ未利用の資源を利用するというような方法につきまして
努力をしておりますが、この點について國家的な考慮がもつともつと必要ではないかというふうに私
ども考えておるのでありまして、この點は特に皆様方のお耳に入れておきたいと存ずる次第でございます。
次に時間が長くなりまして恐縮でありますが、地方
鐵道、軌道の
關係につきまして簡単に申し上げておきたいと存じます。地方
鐵道、軌道につきまして現在百六十ばかりの
業者がございまするが、地方
鐵道、軌道の
關係におきましても、やはり
終戰後の
資材、その他の
經營上の困難ははなはだしいものがあるのでございまして、現在地方
鐵道の例を軌道にとつてみまするとすでに即刻軌道の交換を要するものが一萬七、八千トンはございます。こういう
状態にありますにかかわらず、この
資材の入手に非常な困難を感じておるような
状態でございまして、何とか手段を講じて現在の
輸送を維持していくということをやはり第一の目標といたしまして、ただいま
努力をいたしております。從いまして新線の建設、また新規の免許というような面につきましては、現在どうしても消極的な態度をとらざるを得ないような
情勢にあるということを御了承願つておきたいと存ずるのであります。しかしながら特に今の
國民生活安定、また現下重要な石炭のようなものの
生産のために必要な地方
鐵道につきましては、
終戰後におきましても免許した例がごくわずかでございますが、ございます。これらのものにつきましては、
資材の需給の見透しなどと關連いたしまして、今後におきましても考えていかなければならないと存じておりますが、原則的には非常に困難な
状態にあります。ただしかし戰災都市の復舊、また農地整理などの
關係からいたしまして、將來どうしても地方
鐵道、軌道をここに敷設しなければならないというような所はその計畫を立てまして、將來その計畫が實施できるような餘地はつくつておかなければならないと存じております。從いまして今すぐ工事に着手しないでも、こういう路線についての見當は立て對策を講じていかなければならないというふうに考えておりますので、これは十分に考えてまいりたいと存じます。地方
鐵道、軌道の
關係につきまして、運賃の値上げは先般國有
鐵道と同時に實施を見たようなわけでございます。旅客の
關係につきまして見ますると、國有
鐵道に對しまして、平均の値上りの率が約四倍に相
なつておりますから、全體から見ますると値上りの率は少し高く相
なつております。しかしながら地方
鐵道軌道が私企業といたしまして、収支採算をどこまでも維持いたしまして、この困難な時局下におきまして、ともかくも必要な
輸送の使命を果していきまするためには、國有
鐵道と違いまして、いろいろ要る經費もございます。税金でありますとか、それからまた資金獲得のために最小限度の配當もしなければならん。そういう見地から少し値上りの率が大きく相
なつておりますことはまことに、やむを得ない
事情があるのでございます。しかしながらこれによりましても、おそらく今後地方
鐵道の収支の均衡を維持して經營を繼續していくということは、相當困難な、
努力を要する問題ではないかと私
ども信じておるような次第でございます。
なおこれに關連いたしまして他の陸運
事業についての運賃、料金の問題を簡單に御報告申し上げておきたいと存じまするが、御承知の通り
トラツクの運賃については先般ただいまの五割増し、一車一日貸切り九百圓という運賃が決定いたしまして、國有
鐵道の運賃の實施と同時に實施をみたようなわけでございます。しかしながらこの
トラツクの運賃の九百圓と申しまするものは、おそらく現在の
情勢のもとにおきまして、原價計算して見ますると、今度の新價格體系によりまして、他の
資材が値上りまするといたしますれば、収支のとりにくい運賃ではないかというふうに私
どもは考えております。從いまして他の物價の値上りの
状態を考えまして、あるいは近い將來にこれについて再檢討を加える必要が起るのではないかと存じております。しかしながらともかくその線に沿いまして、
關係業者その他の御
努力をお願いすることに一應いたしておるような次第でございます。なお
バスの運賃でございますが、これはやはり最近の人件費の殖え方、また物價の値上りなどを考慮いたしまして、原價計算いたしますると、ほとんど配當もできないというような
状態にありまして、全國を平均的に見ますれば、現在の運賃をある
程度はどうしても値上げをしなければならんような
状態でございます。
以上一通り陸運管理局の擔當の
行政事務につきまして御
説明申し上げた次第でございます。
次に法律の改正の問題につきまして、私
どもなお現状におきましては研究をいたしておるような次第でございまして、これをいかに取扱うべきかというようなことにつきましては、さらに常任
委員會に詳細御意見を伺いまして、お指圖に從いたいと存ずるのでございますが、一應この點につきましてお許しを得ますれば簡單に現在の
自動車交通事業法、小
運送業法につきまして、私
どもの改正を要すると考えております意見を申し上げて見たいと存じますが…。