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2019-11-22 第200回国会 衆議院 法務委員会 11号 公式Web版

  1. 令和元年十一月二十二日(金曜日)     午前十時十五分開議  出席委員    委員長 松島みどり君    理事 伊藤 忠彦君 理事 越智 隆雄君    理事 鬼木  誠君 理事 田所 嘉徳君    理事 葉梨 康弘君 理事 稲富 修二君    理事 山尾志桜里君 理事 浜地 雅一君       井野 俊郎君    石川 昭政君       大隈 和英君    奥野 信亮君       門山 宏哲君    神田  裕君       黄川田仁志君    国光あやの君       小林 茂樹君    出畑  実君       中曽根康隆君    百武 公親君       藤井比早之君    古田 圭一君       宮崎 政久君    宮路 拓馬君       山下 貴司君    吉川  赳君       和田 義明君    逢坂 誠二君       落合 貴之君    櫻井  周君       高木錬太郎君    日吉 雄太君       松田  功君    松平 浩一君       山川百合子君    竹内  譲君       藤野 保史君    串田 誠一君       井出 庸生君     …………………………………    法務大臣         森 まさこ君    法務副大臣        義家 弘介君    法務大臣政務官      宮崎 政久君    衆議院調査局長      阿部 優子君    政府参考人    (法務省大臣官房政策立案総括審議官)       西山 卓爾君    政府参考人    (法務省民事局長)    小出 邦夫君    政府参考人    (出入国在留管理庁次長) 高嶋 智光君    政府参考人    (経済産業省大臣官房審議官)           中原 裕彦君    法務委員会専門員     藤井 宏治君     ――――――――――――― 委員の異動 十一月二十二日  辞任         補欠選任   神田  裕君     百武 公親君   古川  康君     宮路 拓馬君   吉川  赳君     石川 昭政君   逢坂 誠二君     櫻井  周君 同日  辞任         補欠選任   石川 昭政君     吉川  赳君   百武 公親君     神田  裕君   宮路 拓馬君     大隈 和英君   櫻井  周君     逢坂 誠二君 同日  辞任         補欠選任   大隈 和英君     古田 圭一君 同日  辞任         補欠選任   古田 圭一君     古川  康君     ――――――――――――― 本日の会議に付した案件  政府参考人出頭要求に関する件  会社法の一部を改正する法律案(内閣提出第一〇号)  会社法の一部を改正する法律の施行に伴う関係法律の整備等に関する法律案(内閣提出第一一号)      ――――◇―――――
  2. 松島みどり

    松島委員長 これより会議を開きます。  内閣提出、会社法の一部を改正する法律案及び会社法の一部を改正する法律の施行に伴う関係法律の整備等に関する法律案の両案を一括して議題といたします。  この際、両案に対し、越智隆雄さん外四名から、自由民主党・無所属の会、立憲民主・国民・社保・無所属フォーラム、公明党及び日本維新の会の共同提案による修正案がそれぞれ提出されております。  提出者から趣旨の説明を聴取いたします。山尾志桜里さん。     ―――――――――――――  会社法の一部を改正する法律案に対する修正案  会社法の一部を改正する法律の施行に伴う関係法律の整備等に関する法律案に対する修正案     〔本号末尾に掲載〕     ―――――――――――――
  3. 山尾志桜里

    ○山尾委員 ただいま議題となりました両修正案につきまして、提出者を代表して、その趣旨及び内容の概要を御説明申し上げます。  修正の趣旨は、株主提案権等の濫用的な行使を制限するための措置に関する改正規定中不当目的等による議案の提案を制限する規定の新設に係る部分を削るものであります。  原案におけるこれらの規定は、株主提案権の行使事例の中に権利の濫用に該当すると思われるものが見られ、裁判例においても人を困惑させる目的等による株主提案権の行使を権利の濫用と認めるものがあったことなどを踏まえ、このような権利の濫用に該当し、拒絶することができる場合を明確化することにより、株主総会を全体として活性化させ、経営者と株主との間又は株主相互間でより充実したコミュニケーションが図られるようにする趣旨から提出されたものとのことであります。  しかしながら、本委員会における審議においては、民法における権利の濫用の一般法理との関係を整理すべきであるとの指摘や、当該株主提案が権利の濫用に該当するかどうかのより明確な規律を検討すべきであるとの指摘等がありました。  このような指摘等を踏まえると、株主提案の内容により、これを拒絶することができる場合についての規定を設けるか否かを検討するに当たっては、裁判例株主総会の実務の集積等を踏まえ、権利の濫用に該当する株主提案権の類型について更に精緻に分析を深めながら、引き続き検討していくべきものと考えます。  以下、両修正案の主な内容について御説明申し上げます。  第一に、会社法の一部を改正する法律案に対する修正の概要は、株主が専ら人の名誉を侵害するなどの目的で議案の提出等をする場合又は議案の提出等により株主総会の適切な運営が著しく妨げられ、株主の共同の利益が害されるおそれがあると認められる場合に議案の提出等を拒絶することができるという規定を削除するものであります。  第二に、会社法の一部を改正する法律の施行に伴う関係法律の整備等に関する法律案に対する修正の概要は、会社法の一部を改正する法律案の修正に伴い、一般社団法人及び一般財団法人に関する法律、保険業法及び資産の流動化に関する法律の改正規定のうち社員提案権等に関し目的等による議案の提案を制限する規定の一部を修正するものであります。  以上が、両修正案の趣旨及び内容の概要であります。  何とぞ、御審議の上、委員各位の御賛同をお願い申し上げます。
  4. 松島みどり

    松島委員長 これにて両修正案の趣旨の説明は終わりました。     ―――――――――――――
  5. 松島みどり

    松島委員長 この際、お諮りいたします。  両案及び両修正案審査のため、本日、政府参考人として法務省大臣官房政策立案総括審議官西山卓爾さん、法務省民事局長小出邦夫さん、出入国在留管理庁次長高嶋智光さん及び経済産業省大臣官房審議官中原裕彦さんの出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  6. 松島みどり

    松島委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。     ―――――――――――――
  7. 松島みどり

    松島委員長 これより両案及び両修正案を一括して質疑を行います。  質疑の申出がありますので、順次これを許します。門山宏哲さん。
  8. 門山宏哲

    ○門山委員 自由民主党門山宏哲でございます。  質問の機会をいただきまして、本当にどうもありがとうございます。  早速質問させていただきますが、まず、本会社法改正案におきましては、株主総会資料の電子提供制度の創設が新たに加えられているわけでございます。  本制度は、会社の費用と時間の節約、あるいは株主に対する情報提供の充実等の趣旨から見て、やっと電子化に向けて第一歩が進んだなと、まあ、あくまでこれは総会資料の電子提供だけに限るわけでございますけれども、一歩進んだものと評価できるわけでございますけれども、他方で、株主に対する配慮ということで、株主の書面交付請求権というものが認められております。  また、この書面交付請求権というのは、定款の定めによっても排除することができない強行規定ということでございますけれども、例えば、新規に設立する会社については、定款に書面交付請求権を排除する旨が定められれば、全ての利害関係人がそのような定めがあることを前提に新たに利害関係に入るため、定款の定めによって排除することを認めるという考え方は問題なんでしょうか。
  9. 小出邦夫

    ○小出政府参考人 お答えいたします。  インターネットを利用することが困難な株式の利益に配慮いたしまして、改正法案におきましては、書面交付請求権、これを設けておりまして、委員御指摘のとおり、定款の定めによっても排除することができないこととしております。これは、新規に設立される株式会社についても同様でございます。  新規に設立される株式会社でありましても、将来的には株主数が増加し、株式を上場することなどがあり得ますが、そのような場合には、定款の定めによって書面交付請求権が排除されていることを認識せずに株主となる者があらわれる可能性がございます。  また、定款の定めによって書面交付請求権が排除されていることを認識した上で、インターネットの利用を前提として株主となった者につきましても、その後、インターネットの利用が疾病等で困難となる場合も生じ得るわけでございます。  そして、こういった場合には、書面交付請求権を排除する旨の定款の規定を削除するということが必要になりますが、これは株主総会の特別決議を要するために、他の株主の賛同が得られなければ書面交付請求は認められないこととなります。  こういったことを考慮いたしまして、改正法案では、新規に設立される株式会社につきましても、書面交付請求定款の定めによって排除することはできないこととしているところでございます。
  10. 門山宏哲

    ○門山委員 現行、今回の改正ではそういう趣旨だということで理解をいたしました。  続きまして、株主総会資料の電子提供制度を利用することのインセンティブを付与するという趣旨で、例えば、電子提供制度を利用する株主には余剰金の配当を上乗せするなどすることは、これは違法なんでしょうか。  とりわけ、これは株主平等原則であるとか利益供与禁止の趣旨に反するのかという観点があると思いますけれども、それについてはどのようにお考えでしょうか。
  11. 小出邦夫

    ○小出政府参考人 お答えいたします。  株式会社は、株主については、その有する株式の内容及び数に応じて、平等に取り扱わなければならないとされております。特に剰余金の配当につきましては、株主の有する株式の数に応じて配当財産を割り当てなければならないこととされています。  したがいまして、書面交付請求をした株主以外の株主に剰余金の配当をするということは、こういった会社法の規定に違反する可能性がございます。
  12. 門山宏哲

    ○門山委員 書面提供によって会社がコスト削減ができるということが結局かなわないということは、コストの部分に限っては株主あるいは会社全体で負担するということに現行法はなっているけれども、これはそういう趣旨からやむを得ないというふうに理解をいたしました。  続きまして、取締役の報酬に関する規律の見直しについて御質問させていただきます。  この改正法におきましては、上場会社等において、取締役の個人別の報酬の内容が株主総会で決定されない場合には、取締役会においてその方針を定め、その概要等を開示しなければならないというふうに定められてあります。  この立法の趣旨というのは、適切な職務執行のインセンティブを付与するというようなこともあるんだろうと思いますけれども、取締役会が定めるべき決定方針というのは、例えばどのようなものをいうんでしょうか。
  13. 小出邦夫

    ○小出政府参考人 お答えいたします。  取締役会が定めなければならない取締役の個人別の報酬等の内容についての決定方針には、例えば、報酬等の種類ごとの比率や、業績連動報酬等の有無及びその内容、また、再一任や任意の報酬委員会の設置等の、個人別の報酬等の決定の方針等が含まれると考えられます。  もっとも、取締役の報酬等の仕組みなどにつきましては、現在、実務においてさまざまな検討が進められているところでございまして、実務の変化や発展に迅速に対応することができるようにするために、取締役の個人別の報酬等の内容についての決定方針の内容につきましては、法務省令において定めることとしております。  その具体的な内容につきましては、引き続き法務省で検討を進めてまいりたいと考えております。
  14. 門山宏哲

    ○門山委員 取締役の個人別の報酬等の決定方針等について、株主総会でこれは説明しなければならないとされるんでしょうか。特に法的義務があるのかということも含めてお答えください。
  15. 小出邦夫

    ○小出政府参考人 お答えいたします。  取締役の個人別の報酬等の決定方針につきまして、法文上、取締役に株主総会における説明義務を課することを明記することとはしておりません。  ただ、上場会社等におきましては、報酬等に関する事項を定め、又はこれを改定する議案を株主総会に提出した取締役は、当該株主総会において、当該報酬等を相当とする理由を説明しなければならないということでございます。  そして、その議案が可決された場合には、取締役会において、取締役の個人別の報酬等の内容についての決定方針が新たに定められまして、また、決定方針が変更されるといったことになりますが、その決定方針の内容は、株主が当該議案についての賛否を決定する上で重要な情報でありますし、また、当該議案の内容の合理性、相当性を基礎づけるものであると考えられます。  したがって、このような場合には、取締役は、当該報酬等を相当とする理由を説明する際に、株主総会後に決定方針の内容についても説明することが求められるということになると考えております。  また、改正法案におきましては、取締役の個人別の報酬等の内容についての決定方針に関する事項につきましては、公開会社の事業報告の内容とすることを予定しております。この事業報告につきましては、取締役が、これが提出された定時株主総会においてその内容を報告しなければなりませんので、株主から当該方針に関する事項について説明を求められれば、必要な説明をしなければならないこととされております。
  16. 門山宏哲

    ○門山委員 この取締役の個別報酬額については、これは実務上はほとんど代表取締役に再一任することが行われているということを前提とするならば、少なくとも代表取締役については、自分で報酬額等の内容を決定する、みずから決定すること、これはお手盛りの危険性という点もあると思うんですけれども、個人の報酬額の決定額等を説明するということは検討されるべきではないんでしょうか。
  17. 小出邦夫

    ○小出政府参考人 お答えいたします。  我が国における取締役の報酬等の額は欧米と比べれば低い水準にあるとされておりまして、取締役の個人別の報酬等の内容を開示させる意義は必ずしも大きくないと考えられることや、取締役の個人別の報酬等の内容は取締役のプライバシーに属する情報であることなどを考慮いたしまして、改正法案におきましては、代表取締役を含め、取締役の個人別の報酬等の内容については開示を義務づけることとはしておりません。  他方で、先ほど申し上げましたとおり、改正法案におきましては、上場会社等の取締役は取締役の個人別の報酬等の内容についての決定に関する方針を決定しなければなりませんし、その方針に関する事項は事業報告の内容とすることを予定しております。  このように、株主総会で説明義務を課すということはしておりませんが、取締役の報酬等の決定手続の透明性は相当程度高まるのではないかというふうに考えているところでございます。
  18. 門山宏哲

    ○門山委員 現行はそういうことだということで御理解いたしました。  続きまして、社外取締役を置くことの義務づけがなされるわけでございますが、これについて質問させていただきます。  社外取締役を必置するということについては、日本の証券市場に対する信頼確保等の意義があるというわけではありますが、この制度を上場会社以外には現行広げる予定はないんだろうとは思うんですが、社外取締役を置くことの義務づけについて、例えば、今、一人の社外取締役が複数の会社の社外取締役を兼任している例もあるというふうに報道等もされているわけでございますが、そのような状況で社外取締役が実質的な役割、権能を果たすことはできるのでしょうか。
  19. 小出邦夫

    ○小出政府参考人 お答えいたします。  社外取締役は、取締役会の構成員の一員といたしまして、善良な管理者の注意をもって社外取締役としての役割、責務を果たす義務がございます。したがいまして、複数の会社の社外取締役となっている者は、その役割、責務を適切に果たすために必要な時間、労力をそれぞれの会社の業務に振り向ける必要がございます。  そして、社外取締役による監督の実効性を高めるためには、期待される役割を適切に遂行することができる知見と経験を兼ね備えた者を社外取締役に選任することや、社外取締役の機能が発揮しやすい環境を整備することなどの運用面の取組が必要でございます。  そのような観点から、一般論といたしましては、例えば、複数の会社の社外取締役を兼任する場合には、その数は合理的な範囲にとどめるべきであると考えられますし、具体的な運用に当たりましては、それぞれの会社において、社外取締役候補者の兼職の状況を確認することや、あらかじめ社外取締役の兼職数の上限の目安を設けておくことなどの工夫をすることが考えられるところでございます。
  20. 門山宏哲

    ○門山委員 まあ、そういう説明になるんだろうと思うんですけれども、例えば、社外取締役が兼任状態になることについて法的に情報開示を義務づけるということは、これは問題なんでしょうか。
  21. 小出邦夫

    ○小出政府参考人 委員御指摘のとおり、株主が、社外取締役が実効的にその機能を果たすことができるかどうかの判断をするために、社外取締役が他社の役員を兼任している状況について情報開示されること、これは重要であると考えております。  この点につきましては、公開会社が社外取締役の選任に関する議案を株主総会に提出する場合には、株主総会参考書類におきまして、社外取締役候補者の重要な兼職の事実について記載しなければならないこととされております。  また、公開会社が定時株主総会に提出する事業報告におきましては、社外取締役の重要な兼職の状況をその内容に含めなければならないものとされております。  そして、重要な兼職に当たるかどうかにつきましては、社外取締役が社外取締役として十分な資源、時間を割くことができるかという観点から、兼職先の職務にどれだけの時間を注ぐ必要があるかといった事情を踏まえ判断すべきであると考えられておりまして、実務上も、一般に、社外取締役が他社の役員を兼任している事例を重要な兼職の状況として記載している例も多く見られるところでございます。  このように、社外取締役が他社の役員を兼任している状況につきましては、現行法上も一定の情報開示が義務づけられております。これらに加えまして、重要な兼職に該当するか否かにかかわらず情報開示を義務づける必要性につきましては、実務における既存の規律の運用状況や各方面での議論の状況を注視して検討してまいりたいと考えております。
  22. 門山宏哲

    ○門山委員 わかりました。  それでは、大変問題になっている株主提案権の濫用的行使を制限するための措置について御質問させていただきます。  今回の修正案も含めて、数の点で濫用対処をするということで制限の規定が設けられたわけでございますけれども、議案要領通知請求権を行使して株主総会に提案できる議案数を十までとするという規定を新設するわけでございますが、これはなぜ十なんでしょうか。例えば、三ではだめな理由があるのか。あるいは、特にアメリカでは、聞くところによると一つだというふうなこともあるんですけれども、これを十というふうにした理由について御説明ください。
  23. 小出邦夫

    ○小出政府参考人 お答えいたします。  申しわけございません。その前に、先ほど、取締役の個人別の報酬のところにつきまして、個人別の報酬の内容の決定方針を株主総会において説明するべきではないかという御質問がございましたが、そのときに私、株主総会後に決定方針の内容について説明することが求められるというふうに申し上げましたが、これは、株主総会後に取締役会で決定されるその方針の内容について説明することが求められるという趣旨でございます。申しわけございません。  株主提案権の十個の御質問でございます。  あらかじめ定められた、十個を超えた場合の選択基準……(門山委員「いや、なぜ十個なんですかという質問です、簡単に言えば。それは次にしようかと思っていたんですけれども」と呼ぶ)失礼いたしました。
  24. 松島みどり

    ○松島委員長 局長、ちゃんと質問を聞いていてください。
  25. 小出邦夫

    ○小出政府参考人 申しわけございません。  株主提案権の個数の制限で十個にした理由でございますけれども、これは法制審議会でもさまざまな議論がございました。  通常、株主総会で取り上げるべき重要な株主提案というのは十個を超えることはないだろうというような御意見もございましたし、アメリカでは株主提案権の個数は一個に制限されているとか、制限すべきでないという意見ももちろんございましたが、もっと、五個にしろ、三個にしろ、一個にしろとか、いろいろな意見がございましたが、パブリックコメントの結果を踏まえまして十個としたわけでございます。  そのときには、株主提案権の、その議案の数をどのように数えるか、役員の選任、解任権の議案をまとめたときは、それが一個になるのか複数になるのか、あるいは、定款変更の議案が出された場合には、それはまとまりをもって一個とするのか、また複数と考えるのか、また、異なる議決がされたときにそれが矛盾された結果となる場合に、それはまとめて扱うのか、そういったいろいろなことを総合して鑑みまして、株主提案権の数、十個ということで、株主提案権の不当な制限にはならないという結論に至ったものでございます。
  26. 門山宏哲

    ○門山委員 まあ、十にしたということでございますけれども、今局長も答弁されたように、十とした場合には、十の数え方が非常に大事になってくると思います。  例えば、定款変更の場合については一応、条文上の手当てがあるんですけれども、相互矛盾があれば一議案となるというふうになると、それでも結構なる可能性もあるんですね。例えば、今回の会社法、これは、じゃ、何議案になるんだみたいなことも考えるとちょっと頭が痛くなるわけでございますけれども、そういう部分もしっかり考えていかなきゃいけないんじゃないかと思います。  これについてはいいですけれども、例えば、株主が十を超えた提案をしている、それについて順位づけしている場合は規定に定めがあるんですけれども、されていない場合、十を超えた提案をしているんだけれども、それを超えている場合について、どういう基準で会社はこれを十というふうに選択する、十を選ぶんでしょうか。
  27. 小出邦夫

    ○小出政府参考人 お答えいたします。  取締役による議案の決定方法につきましては、何らかのルールをあらかじめ定めておかないと、実務上の混乱が生ずるおそれがございます。  そこで、法務省令において、取締役による議案の決定方法についてあらかじめ株主取扱規程等で定めておくことができる旨を定めるということを予定しております。定められた決定方法が恣意的な判断を許さない合理的な内容であれば、取締役は議案をその決定方法に従って決定することができると考えられます。  例えば、合理的な決定方法といたしましては、議案を原則として提案株主が記載している順序に従って、横書きの場合は上からとか、縦書きの場合は右から数えて決定する、そういった秩序立って記載されていないとき、その順序を判断することができないような場合には取締役が任意に選択することができる、そういった定め方が考えられるところでございます。
  28. 門山宏哲

    ○門山委員 これは、省令等で基準を、細目を定めるということでございますから、それもしっかり見ていきたいと思います。  では、例えば、ちょっとしつこいようですけれども、十を超えた提案がなされた場合、ある株主にはオーケー、ある株主には十以下というふうにしていいんでしょうか。これは株主平等原則の問題もあると思うんですけれども、例えば、同じ総会の議案において、この提案は非常に会社にとってはなかなかいいから、これは十一でも認めちゃう、だけれども、ほかはどうだということ、そういうことはできるんでしょうか。
  29. 小出邦夫

    ○小出政府参考人 お答えいたします。  議案の数の制限に関する今回の改正法案の規定ですが、これは株式会社に拒絶権を認める趣旨のものでありますので、仮に取締役が十の議案を決定することが難しいと考えた場合には、取締役の判断により、議案を拒絶せずに全て取り上げることも認められるわけでございますが、委員御指摘ございましたように、提案株主ごとに合理的な理由なく異なる取扱いをすることは、株主平等原則に反し、許されないと考えられます。  したがいまして、合理的な理由なく、ある株主には十を超えて提案を認め、ある株主には十までしか認めないといった取扱いをすることは許されないのではないかと考えます。
  30. 門山宏哲

    ○門山委員 どうもありがとうございました。
  31. 松島みどり

    ○松島委員長 次に、浜地雅一さん。
  32. 浜地雅一

    ○浜地委員 おはようございます。公明党の浜地雅一でございます。  時間がございませんので、早速、修正案について御質問をしたいと思っております。  今回、政府原案でございました会社法三百四条、三百五条の不当目的等の内容に着目をしました株主提案権に対する拒絶条項を削除されることになったわけでございます。  ここは、当然、これまでの判例法理、いわゆる権利濫用法理を具体化をするような条項でございましたので、確かに、文言を一つ一つ見ますと、どういう解釈ができるのかということは、これはいたし方ないところだったと思っています。ですので、私も前回の質疑では、その文言に従って、この委員会の答弁の中でより明確にすることによってこの条項を置くべきだというふうに思っておりました。  しかし、今回、公明党も当然、提出者として賛同したこの修正案でございますが、なぜ、この不当目的等の内容に着目をしました株主提案権の拒絶条項を削除することになったのか、改めて提出者に御答弁いただきたいと思います。
  33. 越智隆雄

    ○越智委員 まず、本修正案の内容につきましては、株主提案権の濫用的な行使を制限するための措置に関する改正規定のうち、不当な目的等による制限規定を削除するものでございます。  具体的には、委員も御指摘のとおりだと思いますけれども、三百四条の、株主総会における議案の提案、そしてまた三百五条における、議案の要領を株主に通知することの請求に関する各規定を削るものでございます。  趣旨でありますけれども、本会議及び法務委員会における質疑を通じて、これらの各規定につきましてさまざまな議論が行われました。その中で、民法における権利の濫用の一般法理との関係を整理すべきだという御指摘、また、当該株主提案が権利の濫用、これは民法の第一条第三項に定められているものでございますが、そこに該当するかどうかのより明確な規律を検討すべきであるという指摘などがされました。  こういうことを踏まえて、慎重を期して、このことについてしっかりと検討すべきだということで、削ることを決めたということでございます。
  34. 浜地雅一

    ○浜地委員 ありがとうございます。  やはり、より明確化が必要だったということは、参考人の質疑等も聞いておりまして、私もそう感じたところでございます。  しかし、先ほど提出者も御答弁いただきましたとおり、これはいわゆる権利濫用法理、いわゆる私法の憲法であります民法の規定を使っている規定でございますので、やはり、大事な株主提案権をきちっと拒絶できるんだということを規定するためには、会社法の中で私は規定すべきであったかと思っております。  しかし、今回は、どうしても明確性に欠けたということで、削除でございます。特に困惑の要件ですね。やはり、困惑は捉える人によってさまざま基準が変わるんじゃないかという御指摘もごもっともだと思っております。  しかし、ここは、実際の平成二十四年の東京高裁のHOYAの判例の、いわゆる判例法理に出てきた大事なキーワードであったことは間違いないわけでございまして、やはり今後は、裁判例や実際の株主総会での株主提案権の拒絶等の運用を整理をした上で、この権利濫用法理をより明確化した、具体化した条項をいずれは私は検討すべきと思いますが、これについて、修正案提出者の御答弁をいただきたいと思います。
  35. 越智隆雄

    ○越智委員 浜地議員の御指摘は、権利濫用法理をより明確化、具体化する、これを会社法の中で条項を検討すべきだという御趣旨だったというふうに思います。  その点、すなわち、株主提案の内容によってこれを拒絶することができる場合についての規定を設けるか否かを検討するにつきましては、委員御指摘のとおり、裁判例や株主総会の実務の集積などを踏まえて、権利の濫用に該当する株主提案権の類型について更に精緻に分析を深めながら、引き続き検討をしていくべきものだというふうに考えております。
  36. 浜地雅一

    ○浜地委員 そのとおりで、将来的にはやはり、しっかりと整理ができた段階では私は明記すべきだと思いますが、しかし、野党の皆様方の質疑、大変鋭いものもございまして、私も与党の一議員として非常に参考になったところでございます。必要性があっても、やはり、この要件というものがきっちりと万人にわかるような明確性というのは当然、法でございますのでなければいけないということは、大変、今回の質疑を通して参考になったところでございます。敬意を表したいというふうに思っております。  次に、閣法の方に参りますけれども、今回、社外取締役が上場企業等、義務づけされることになりました。  そこで、やはり、さまざまな質疑の中でも出ておりましたが、まず、しっかり独立性が担保できる方で、かつ、能力、経験がある方で、時間のある方は果たしているのかという、人材のところが非常にクローズアップされたわけでございます。  今回、上場企業には義務づけでございますが、法の趣旨としては、上場企業以外でも、義務づけでなくても、やはり、幅広く社外取締役というのは普及させるべきだろうと思っております。  そこで、実際に、この社外取締役が、独立性があって、能力があって、時間がある人となりますと、やはり、これまで監査役等に就任の経験のある公認会計士の皆様方というのは一つ人材の供給源だろうと思っています。もう御案内のとおり、監査役に就任しますと、会計監査だけではなく、業務監査もできるわけでございますので、やはり、業務に精通している方々は監査役の経験者だろうと思っています。  そこで、そういった経験の多い公認会計士の皆様方が社外取締役により就任できるような、そういった活用についても一つ考えるべきだと思いますが、法務大臣の御意見をいただきたいと思います。
  37. 森まさこ

    ○森国務大臣 コーポレートガバナンスの向上のためには、取締役会が取締役の職務の執行を実効的に監督できるよう、その構成員には、相応の知識、経験、能力がバランスよく備わっていることが重要であることは委員御指摘のとおりです。  また、社外取締役には、業務執行者から独立した立場で会社経営を監督する役割が期待されるとともに、取締役会に多様な価値観を反映させる役割も期待されております。  このような役割に照らして、どのような資質、背景を有する社外取締役を選任するかについては、基本的に各会社において、その経営問題、経営課題等を踏まえて検討されるべき事柄であると考えられますが、その上で、一般論として申し上げれば、公認会計士は、会計、会計監査、税務等の専門家であり、その専門的な知見に基づき、他の取締役とは異なる視点で意見を述べることが可能であって、社外取締役の有力な候補であると考えております。
  38. 浜地雅一

    ○浜地委員 ありがとうございます。  本当に、上場会社以外の、そんなに大きくない会社でございますと、どうしても、もし社外取締役を選任するとなると、結局は、代表者と人間関係のある人だったりすることになろうかと思っておりますので、そういった意味では、会計や業務監査、これまでのプロでございます公認会計士さんの活用ということに対して大臣からの答弁をいただいたことは、非常に大事な御答弁だったかと思っております。  あと二つのテーマを質問したいと思っています。  ちょっと細かくなりますけれども、今回、成年被後見人の方々が取締役に就任できるようになりました。  そこで、今回、関係法令でもこの整備がなされたわけでございますが、まず、成年被後見人の方々が取締役に就任する場合の手続、また辞任もあわせて、就任や辞任のときに後見人の同意を要するのか、どういった手続になるのか、法務省にお答えいただきたいと思います。
  39. 小出邦夫

    ○小出政府参考人 お答えいたします。  改正法案におきましては、法的安定性の確保から、成年被後見人が取締役に就任する場合について民法の特則を設けておりまして、成年被後見人が取締役に就任するには、その成年後見人が成年被後見人にかわって就任の承諾をしなければならない、その際、成年被後見人の同意も得なければならないこととしております。  他方、成年被後見人が取締役を辞任する場合につきましては、改正法案に民法の特則は設けておりませんので、成年被後見人が取締役を辞任する場合には、成年被後見人が辞任の意思表示をする方法と、成年後見人が成年被後見人にかわって辞任の意思表示をする方法が考えられます。  ただ、成年被後見人がした辞任の意思表示は取り消すことができることになりますため、辞任の効力を確定的に生じさせるためには、成年後見人が成年被後見人にかわって辞任の意思表示をすることが必要になると考えているところでございます。
  40. 浜地雅一

    ○浜地委員 就任の規定は今回、整備法にございましたが、辞任については明文化がないように私は思ったので、今、確認をさせていただきましたが、就任のときは、被成年後見人の同意を得る、辞任のときは、かわって成年後見人が行うか、本人が意思表示をするかということですね、そのまま、ということでございました。済みません、確認でございました。ちょっと私自身が混乱していました。済みません。  そうなりますと、実際の職務執行、成年後見人の同意を得て取締役に就任をされました被成年後見人が取締役としての業務執行をする場合には、これは後見人の同意を得て行うのかどうか、御答弁いただきたいと思います。
  41. 小出邦夫

    ○小出政府参考人 お答えいたします。  改正法案におきましては、成年被後見人がした取締役の資格に基づく行為、これは行為能力の制限によっては取り消すことができないこととしておりまして、取締役である成年被後見人が成年後見人の同意を得ずに取締役の職務を執行したとしても、これを取り消すことはできないということになります。  取締役は、対外的な業務執行に加えまして、取締役会における議決権の行使など、さまざまな対内的な業務執行をする権限を有しておりまして、取締役の職務の執行を取り消すことができることとしますと、法的安定性や取引の安全を害することになることを考慮して、このような規律を設けたものでございます。  取締役は、株主総会において、その経営能力や専門的知識等に対する株主の信頼を基礎に選任されており、取締役の職務の執行や取締役会への出席、取締役会での議決権の行使は、その性質上、代理には親しまない行為であると解されております。  以上申し上げましたとおり、改正法案におきましても、一旦、成年被後見人が法定の手続を経て取締役に就任した以上、成年後見人が取締役等の職務の執行に関与することは想定しておらず、成年被後見人はみずからその職務を執行し、成年後見人もこれを取り消すことはできないこととしております。
  42. 浜地雅一

    ○浜地委員 よくわかりました。成年被後見人が業務執行する場合は、当然もう、後見人の同意はなく、本人が関与していくということでございました。しかも、それは同意がなくても取り消せないと。法的安定性、より確かに、会社法の場合は利害関係人が多いので、そういう理解だと思っております。  実際、成年被後見人の方が取締役になるような場合には、例えばデザインがすごく、デザインの有名な会社があったりして、その方は、ふだんは心神喪失状態にはあるんですが、色とかデザインとか、そういったところには例えば非常に能力を発揮される方というのはいらっしゃるだろうと思っております。ですので、会社は、そういった点に着目をして、期待をして、例えば取締役に就任をさせたということなわけでございますが、しかし、後見人の同意を得ずに行うわけでございますので、逆にこれは、任務懈怠等で、本人が意思決定したことがいわゆる損害賠償の対象等にもなり得るわけでございます。  そこで、被後見人に求められるいわゆる取締役としての善管注意義務、これは一般の取締役に比べて軽減されるということはあるのかどうか、確認をしたいと思います。
  43. 小出邦夫

    ○小出政府参考人 お答えいたします。  御指摘のとおり、取締役は株式会社に対し善管注意義務を負っております。取締役の善管注意義務の求める水準は、当該地位にある者に通常、期待される程度のものとされておりまして、株式会社との契約によってこれを軽減等することはできないと解されております。  したがいまして、成年被後見人が取締役に就任した場合においても、成年被後見人に求められる善管注意義務、これを軽減させることはできないと考えております。
  44. 浜地雅一

    ○浜地委員 成年被後見人の方が取締役に就任した場合に、いわゆる一般の取締役の方と同様、善管注意義務があり、これを軽減することはできないという御答弁でございましたので、そういった意味では、今後、成年被後見人の方が就任する場合に、やはりそういったことも含めて会社の方というのは御説明をするようなことも必要ではないかなというふうに思っております。確認のために今質問をさせていただきました。  次の項目に行きますが、更にちょっと細かくなるんですけれども、法人の設立登記のオンライン申請をするときがございます。今は、オンラインでやってもいいし、紙を持っていってもいいわけでございます。  ただ、現在の運用は、法人の設立登記をオンラインでやる場合にも、代表者の届出印、これに関しては書面で提出をしなければならないというふうになっておったわけでございますが、今回の関連の整備法の中で、法人設立登記をオンラインでやる場合にはこの代表者の届出印については提出をしなくてもいいようになった、任意になったということでございますが、それはどういった理由で任意としたのか、御答弁いただきたいと思います。
  45. 小出邦夫

    ○小出政府参考人 お答えいたします。  御指摘のとおり、法人の登記申請、これをオンラインでする場合、現行法では、電子証明書の送信に加えまして、印鑑の提出が義務づけられているところでございます。  しかしながら、オンラインによる登記申請の場合、申請人の同一性の確認は電子証明書によることで十分でございまして、印鑑の提出を義務づける意義は乏しいのではないかという指摘がされておりました。また、現行の制度においては、印鑑の提出は印鑑届書という書面によってすることを求めておりますので、オンラインのみで登記手続が完了できないという指摘もございました。  そこで、こういった指摘を踏まえまして、オンラインによる登記申請におきましては、印鑑の提出を申請人の任意とし、申請人が印鑑の提出をしないということを選択した場合にはオンラインのみで登記申請手続を完了できるようにするものでございます。
  46. 浜地雅一

    ○浜地委員 設立登記が、代表者になろうとしている者が実際に申請している、その同一性を担保するために印鑑を提出させていたという趣旨でございますでしょうか。  もう一回ちょっと確認したいんですけれども、もともと、なぜオンライン申請時にも書面での印鑑証明をまず求めていたのかというところをちょっと説明してもらいたいんですが。
  47. 小出邦夫

    ○小出政府参考人 登記申請者の同一性の証明は、オンライン申請の場合には電子証明書で行っております。それに加えて印鑑の提出を義務づけていたのは、会社が設立されて活動する場合に代表者の印鑑証明書が多く必要になるということを踏まえまして、設立と同時、設立手続のときに提出を求めていたものでございます。
  48. 浜地雅一

    ○浜地委員 済みません、整理できました。  そうなると、印鑑の提出は任意になるんですが、その場合に、今回、印影をPDFで保管をしようという省令改正を検討されるというふうに聞いております。  しかし、私が平成三十年の三月九日の内閣委員会のときに実は同じような質問をしておりまして、PDFで印鑑証明書を保管することはどうなのかということに対しまして、このように、政府参考人、これは法務省の参考人でございますが、申請人がスキャナーで取り込んだ印影の画像を登記所に送信する方法も考えられるところでございますが、この方法によりますと、送信された印影が同一サイズであることの確保や印影の鮮明度などについて技術的な課題が存在することから、書面の提出を必要としているわけでございますという御答弁がございます。  ですので、これから検討されようとしております省令改正については、この答弁とは逆の、いわゆるPDFで、スキャナーで読み込んでこれを法務省で保管しようということも考えていらっしゃるというふうに聞いておりますけれども、この私の平成三十年の質問に対する答弁と今考えていらっしゃる省令改正についてそごがないのか、最後に確認をしたいと思います。
  49. 小出邦夫

    ○小出政府参考人 お答えいたします。  委員御指摘のとおり、今般、印鑑提出の任意化に合わせまして、省令を改正して、オンラインにより印鑑を提出することを可能とする措置をとる方向で検討を始めたところでございます。  御指摘のとおり、平成三十年三月九日の内閣委員会におきまして、委員からの御質問に対しまして、法務当局から委員御指摘のとおり答えたところでございます。  今般、これらの課題を克服できるかについて検討しているところでございますが、例えば、目盛りつきの専用の用紙に押印してスキャンすることを求めることによって、印影が原寸大であることを確保する措置、あるいは、印影の画像データについて一定以上の解像度を求めることによって、印影の鮮鋭さを確保する措置を講ずることなどで技術的な課題を克服することが可能であるのではないかと考えております。  委員の御指摘も踏まえまして、印鑑の登録が不適切に行われることがないように、検討してまいりたいと思っております。
  50. 浜地雅一

    ○浜地委員 ぜひよろしくお願い申し上げます。  以上で終わります。ありがとうございます。
  51. 松島みどり

    ○松島委員長 午後一時から委員会を再開することとし、この際、休憩いたします。     午前十一時休憩      ――――◇―――――     午後一時開議
  52. 松島みどり

    松島委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  質疑を続行いたします。高木錬太郎さん。
  53. 高木錬太郎

    ○高木(錬)委員 立国社、立憲民主党の高木錬太郎です。  十九日の法案審議、そして二十日の参考人の先生方との議論で、なるほどな、大変参考になった、勉強になった部分、腑に落ちた部分と、いやいや、やはりなかなか腑に落ちないな、理解できないな、理解に苦しむなと思うところとありまして、まさに三百四条のただし書きの部分であったり、三百五条であったりするわけですけれども、いま一度、私なりの言葉を用いて、まずは、政府に対しまして、法務省に対しまして、今回の改正案につきまして御確認をさせていただきたいと思うわけです。  これまでの答弁や説明の中で濫用的という言葉が多用されておりまして、的の意味ですね、何々のようなというふうに私は捉えてしまうんですけれども、つまり、政府提出の改正案でいきますと、濫用とまでは言えないけれども、濫用のような行使も拒絶できる、こういうことでしょうか。
  54. 小出邦夫

    ○小出政府参考人 お答えいたします。  どういった文脈で用いられているかにもよるのかもしれませんが、一般論で申し上げますと、委員御指摘の濫用的という言葉でございますが、濫用に該当するようなという意味であると考えております。  今回の改正法案における株主による不当目的等による議案の提案の制限に関する規定は、株主提案権の行使が権利の濫用に該当するであろう典型的な場合を明文化したものでございまして、現行法のもとで権利の濫用に該当しない株主提案まで制限することを意図したものではございません。  もっとも、権利の濫用に該当するか否かは最終的には裁判所が判断すべき事項でありますので、濫用に該当するようなという意味で濫用的という言葉を用いたものでございますけれども、いずれにいたしましても、濫用とまでは言えないものが濫用的という言葉に含まれるとは考えておりません。
  55. 高木錬太郎

    ○高木(錬)委員 それでは、続けて、二十日の参考人質疑の中で委員側から参考人の先生方に同様の質問をさせていただきまして、先生方の御意見を拝聴したんですが、政府としてどのように考えるかということを確認させていただきたいと思うんです。  一つが、株主提案がそもそも民法の一般条項の権利濫用に当たる場合、拒絶できるか。いかがでしょうか。
  56. 小出邦夫

    ○小出政府参考人 お答えいたします。  株主提案権は、株主が会社の経営に参与し、あるいは会社の経営を監督、是正するために株主に認められた基本的な権利でございますが、権利の一種である以上、その濫用が許されないことは当然でございます。  したがいまして、株主提案権の行使が民法上の権利の濫用に当たる場合には、株式会社はこれを拒絶することができると考えております。
  57. 高木錬太郎

    ○高木(錬)委員 他方、逆の観点で、これまた参考人の先生から御答弁、お考えの開陳がありましたが、政府に伺います。  株主提案が、民法の権利濫用に当たらないけれども、今回の改正案、新設三百四条二号に当たるという場合、拒絶されますでしょうか。
  58. 小出邦夫

    ○小出政府参考人 お答え申し上げます。  先ほどもお答え申し上げましたけれども、今回の不当目的等による議案の提案の制限に関する規定は、株主提案権が濫用された場合、濫用的に行使された場合に株式会社株主提案権の行使を拒絶することができる場合を明確化する観点から、提案権の行使が権利の濫用に該当するであろう典型的な場合を明文化したものでございます。  したがいまして、御指摘の三百四条第二号を根拠に株式会社が提案を拒絶することができる場合は、当該提案は権利の濫用に該当することを前提としております。  したがいまして、改正法案では、最終的な判断権限を有する裁判所におきまして、株主提案が一般条項としての権利濫用には当たらないにもかかわらず、改正法案の三百四条二号に当たるという判断がされるということは想定しておりません。
  59. 高木錬太郎

    ○高木(錬)委員 ありがとうございます。  更に伺ってまいりますが、例えば、株主からの提案内容が役員報酬の個別開示という定款変更であったとして、それが取締役会で、取締役会にとっては開示は嫌だな、勘弁してほしい、困るなという判断がなされた場合、これは困惑に当てはまり、拒絶することができる可能性はいかがですか。
  60. 小出邦夫

    ○小出政府参考人 お答えいたします。  株主による議案の提案を拒絶できるかどうかは、株主が専ら人を困惑させるなど、正当な株主提案権の行使とは認められない目的で当該提案をしているかどうかを、提案の内容や理由、提案に至る経緯等の諸事情を総合的に考慮した上で客観的に判断することとしております。  したがいまして、委員御指摘のように、その提案の内容が取締役会又はそのメンバーである取締役が困惑するようなものであったとしましても、それを提案した株主において、専らこれらの者を困惑させる目的であったと客観的に認められる場合でなければ、この要件には該当しないこととなります。  個別の事案の判断は困難でございますが、委員が御指摘のような事情だけでは提案を拒絶することはできないと考えております。
  61. 高木錬太郎

    ○高木(錬)委員 今の御答弁の中で客観的という言葉がありましたが、客観的はどこで担保され、客観的な判断をするのは誰ですか。
  62. 小出邦夫

    ○小出政府参考人 お答えいたします。  最終的には裁判所の判断ということになりますけれども、客観的に、そういった目的で提案がされたものかどうかという判断をするのは、議場、株主総会における提案であれば、議事整理権を持っている議長ということになりますし、株主総会開催前の議案要領通知権の段階で問題となるとすれば、それは株主総会を招集する取締役が判断するということになるかと思います。
  63. 高木錬太郎

    ○高木(錬)委員 結局、当事者である取締役会が、取締役会は当事者であるにもかかわらず、客観的というのはどうなんですかね。まさに腑に落ちないんですけれども。  では、同じ御答弁になるかもしれませんが、伺います。  例えば、提案内容が当該株式会社の中心的事業からの撤退という定款変更であったとして、取締役会が、これは荒唐無稽だ、あり得ない、事業撤退などあり得ないという判断をされた場合、株主総会の適切な運営が著しく妨げられ、株主の共同の利益が害されるおそれがあるということで、法理論上、拒絶できる可能性はありますか。
  64. 小出邦夫

    ○小出政府参考人 お答えいたします。  株主提案権の行使により、株主総会の適切な運営が著しく妨げられ、株主の共同の利益が害されるおそれがあると認められる場合とは、例えば、株主が不必要に長大な内容の条項を含む定款の変更に関する議案を提案したことにより、株主総会において当該議案の検討に多大な時間がかかり、他の株主による株主総会の議場における質問の時間や、他の議案の審議の時間が大幅に削られるような場合を念頭に置いております。  このような場合は、特定の提案株主の権利行使により、提案株主以外の株主全体の利益が不当に害されるおそれがあることから、このような株主提案権の行使は権利の濫用として許されず、株式会社は拒絶することができると考えられます。  そもそも、株主提案権は、取締役会の意向とは異なる提案を株主総会の議題とすることを認めることに意義があるものと考えられます。また、取締役会においても、株主の提案内容が荒唐無稽であると判断したとしても、これによって直ちに株主総会の適切な運営自体が妨げられるという関係には立たないということでございますので、個別の事情ではございますが、御指摘のような事情だけでは株主の提案を拒絶することはできないと考えております。
  65. 高木錬太郎

    ○高木(錬)委員 であるとするならば、政府の方で、法務省の方で想定している話は、長大であり、時間の問題だ、そこの問題でおそれがある、中身ではない、そのような理解になるんですか。時間なのか。
  66. 小出邦夫

    ○小出政府参考人 株主総会の適切な運営が著しく妨げられ、それによって株主の共同の利益が害されるということが要件でございまして、これは客観的に認定できるのではないかというふうに考えております。
  67. 高木錬太郎

    ○高木(錬)委員 これまでの審議の中で、諸先輩方がこの部分についてさまざまな観点で、さまざまな表現で質問されてこられて、重ねて申し上げるんですが、やはり腑に落ちない。理解に苦しむわけですね。  そこで、午前中に修正案の趣旨説明がありました。これからは修正案提出者に伺ってまいりたいと思うんですが、これまでの審議の中で、株主提案権が創設された昭和五十六年改正の議論がありました。  そこで、修正案提出者にも改めて伺いたいんですけれども、株主総会並びに昭和五十六年改正で創設された株主提案権、これらの本来的意義というものはどのように考えていらっしゃいますでしょうか。
  68. 山尾志桜里

    ○山尾委員 株主総会株主提案権の本来的な意義という御質問だと思います。  株主総会というのは、会社の構成員である株主が直接にそれに参加をして、決議によって会社の基本意思決定を行うための機関である、こういうふうに一般的に理解されていますし、私もそのように理解しています。  その上で、株主こそが本来的に会社の意思決定を行うという総会の意義を支える重要な権利、これが株主提案権であると思います。つまり、株主提案権によって、総会での意思決定株主が主導権をとり、影響を与えていく機会も確保されるということになるわけです。  あわせて、昭和五十六年の商法改正の言及がありました。  藤野保史委員もこの質疑の場で明らかにされておりましたけれども、昭和五十六年の商法改正で株主提案権が導入された際に答弁などにあらわれた趣旨は今も大変重要だと思います。会社に対して株主が自分の意見を訴え意思決定に影響を与えていくということはもとより、仮に可決の見込みは必ずしも高くなくても、会社と株主との対話、そして株主株主との対話、これを通じて会社と株主の連帯感、ひいては信頼感を醸成させ、その信頼のもとに企業価値を高めていくんだ、これが株主総会そして株主提案権のとても重要な意義だと思いますので、重要であればこそ、きちんと要件に該当する株主提案権の行使の機会はしっかりと確保していくべきで、拒絶できるのはあくまで権利濫用に当たる場合だというのが正しい答えだと思います。
  69. 高木錬太郎

    ○高木(錬)委員 先日の審議の中でも、大臣の御答弁で、昭和五十六年商法改正の制度趣旨は今日においても変わらないという御答弁がありました。そのとおりだと思います。それを踏まえておかなければいけないと思います。  続いて、二十日の参考人質疑の中で、参考人の方から、法律は具体的な規定がない方がいい、あるいは、抽象的なものの方が世の中にはプラスになるとの考えもお示しになられました。  そこで、伺いたいんですが、まあ、一定の理解はします、そういうものだというふうに私も思いますが、一般論としてです、しかし、今回のこの会社法改正案において果たしてどうなんだろうか、その考えは通用するのかなという疑問を持ってしまうんですが、修正案提出者におかれましてはどのようにお考えになりますか。
  70. 山尾志桜里

    ○山尾委員 とても重要で、とても答えるのが難しい御質問だと思います。  まず、法律の文言、言葉をどの程度具体化、個別化していくかという問題の前に、新たな立法をする際には、立法事実に支えられた立法の必要性があるか否か、これが検討されるべきだと思います。その上で、必要性がある、立法事実があるということになれば、今度は、その法律はどの程度まで個別具体化して書き込むのが適切なんだろうか、こういう吟味をしていく、これが順番だと思います。  この会社法改正案の今回の質疑を振り返るに、まず、抽象的ではあるけれども、民法の一般条項というのがあって、これを通じて株主提案権の濫用防止は足りているのではないか、足りていない、新たな立法が必要だと言えるに足りる立法事実の支えが弱いのではないかという指摘が委員や参考人からありました。  あわせて、必要性があるとしても、今回の改正案の言葉、文言では、権利濫用に当たらないものまで拒絶できることになってしまう可能性があり、権利濫用に当たるものを具体化するんだという立法趣旨に必ずしも合致しないのではないかという疑いが生じました。だからこそ、今回、与党、野党ともに修正案を提出することになったのだと思います。  したがって、今回の会社法改正案においては、文言の具体と抽象のどこでバランスをとるかという言葉の検討に至る以前の問題として、必要性の存否の問題、あるいは、必要だとして、立法趣旨に文言がしっかり合致できているのか、そういう問題意識で修正案が提出されていると思います。  ただ、仮に今後やはり必要があって、権利濫用事例を明確化を検討すべきだということになった場合には、先ほど高木委員から御紹介のあった参考人の御趣旨、どこまで私も酌み取れているかわからないですけれども、例えば、必ずしも具体化すればいいというものではない、一部を具体化することでその他の扱いなどが複雑になるようなこともありますよというような御指摘というのは、一つ参考になるんだろうというふうに思います。
  71. 高木錬太郎

    ○高木(錬)委員 続きまして、今の御答弁の中で立法事実という話がありまして、さまざまな御説明をずっとこの間、政府の方はされていますが、やはりそこも、立法事実としては、私個人としては理解に苦しむ、腑に落ちないわけですね。  次に行きますが、修正案提出者に伺います。  これまでの答弁で、先ほどの局長からの答弁でもありました、最終的には裁判で判断されるという答弁を重ねてきていますが、裁判というのは、普通に考えたらハードルの高いもので、労力もかかる、さまざまなコストがかかる、少数株主の皆さん、御苦労されて取り組んでこられたりしていますという観点で考えますれば、最終的には裁判でという御答弁が、それこそ、もう繰り返しになって恐縮ですが、私には腑に落ちないわけなんですけれども、この点、修正案提出者、少数株主の権利という観点で裁判で判断されるということに関して、いかがお考えですか。
  72. 山尾志桜里

    ○山尾委員 最終的には、裁判所が、株主が提案した議案が拒絶事由に該当するかどうかを判断するんですというのは、事実としてはそのとおりなんですね。  ただ、だからといって、株主総会の事前の提案やその当日の提案が拒絶される窓口を広げていいということにはならない、事後的救済があるから事前に広目に拒絶していいわけではない、当たり前ですけれども、ここを押さえておくことが大事だと思います。  今、高木委員もおっしゃっていたとおり、本当に、裁判に一般市民がたどり着いて、そしてそれを闘っていくということは、極めて、その時間、労力、そしてお金、コスト、本当にハードルが高いと思います。しかも、裁判にたどり着いて、実際に裁判を闘っても勝てる保証がないという中で、リスクをとってやっていく。  そして、少数株主権ということを言っていただいたので、そこに照らして考えると、もちろん、今回の会社側も大企業ばかりではないでしょう、訴訟に対応していくのに大変な中小企業ということも念頭に置く必要はあると思いますけれども、ただ、企業と少数株主という間柄で考えると、一般的には、そこに労力とかコストとか人手の点でやはり差があるということは多々あるんだろうというふうに思うんですね。  なので、したがって、やはり、さきに申し上げたような株主提案権の趣旨を重く捉えて、権利濫用に当たらない提案が拒絶されるようなことが実際の間口のところであってはならないし、そういう解釈を可能にしてしまうような法律をつくってはいけないということが大事だと思います。  以上です。
  73. 高木錬太郎

    ○高木(錬)委員 ありがとうございます。  それでは、けさ提出されましたこの修正案で、これまでのこの委員会での質疑で、各委員、与野党問わず、その懸念の度合いはいろいろ温度差がありますが、各委員が取り上げていました、権利濫用の範囲が広げられるかもしれない、経営者側の恣意的な運用がされるかもしれない、株主にとっては不当と感じるような拒絶が発生するのかもしれないといったこれらの懸念に関して、この修正案によってどのようになるのでしょうか。御説明いただけますか。
  74. 山尾志桜里

    ○山尾委員 高木委員御指摘のとおり、この委員会質疑において、与野党問わず、いろいろな観点からの問題意識も顕出されたと思います。  改正原案の対政府質疑などを通じては、原案のままでは株主提案権が権利濫用として拒絶される範囲が広がるのではないかという疑義も提示されました。  つまり、会社側というのは一方当事者なわけですけれども、その一方当事者である会社側が他方当事者である株主側の内心を推認して、その目的が、専ら、例えば会社や役員の名誉を毀損する目的であるとか、あるいは専ら侮辱する目的であるとか、あるいは専ら困惑させる目的であるとか、そのように会社側が認定した場合には拒絶可能となる、もしそういうふうになるんだとしたら、やはり拒絶の範囲というのは相当広がってしまう可能性があるんじゃないか、こういう指摘がありました。  あわせて、参考人質疑において、改正原案がそのまま成立すると、権利濫用の範囲が拡大するだけではなく、場合によっては、必ずしも権利濫用に当たらない場合まで拒絶可能となる余地があるのではないかという懸念も生じました。このような懸念を踏まえて、この修正案を提出しました。  この修正案というのは、内容としては、つまり、今回の改正案の中で、追加的な内容規制については削除をするというものでありますので、不当な目的等による株主総会における議案の提案及び議案の要領を株主に通知することの請求を会社法の規定により制限することはできなくなりますので、さきに指摘したような懸念は解消されるというふうに思っています。
  75. 高木錬太郎

    ○高木(錬)委員 今の御答弁で意義のところは尽きているのかなと思いますが、我々、この政府提出法案を見てから、さまざま党内、会派内で議論もさせていただきましたし、いろいろな方々から御意見もいただきまして、きょうに至っているわけでありまして、この間の経緯も踏まえて、修正案提出者に改めて伺いたいんですけれども、その思い、今回、きょうに至った思いをぜひお述べいただけますでしょうか。
  76. 山尾志桜里

    ○山尾委員 ありがとうございます。  修正案の意義とこの経過を含めた思いということで聞いていただきました。  修正案の意義は、そういう、さきに申し上げたような、改正原案のままだと権利の制限が広くなるんじゃないかという懸念を払拭できるということなんですけれども、あわせて、あえて申し上げると、やはり少数株主の方々の、これまでの株主総会における活動を通じて、やはり社会によい影響を与えていこうというふうに頑張ってこられた、そういった方々のこれからの活動に新たな不安を追加しなくて済んだということだと思います。  やはりさまざまな株主の方がいらっしゃると思うんですけれども、中には、必ずしも自分自身の経済的利益を目的とせずに、そして、多額、安くないお金を払って株主となって、そして、株主総会での活動、株主提案権の行使を通じて、その会社の目先の経済的利益だけではなくて、社会と結びついた本質的な会社の企業価値の向上を訴えていこうというふうに人々が活動してきてくださって、私もこの審議を通じて、そういった方々、きょう傍聴に来てくださっている方もいますけれども、そういった方のお話を聞いて、やはりそういう活動というのはしっかりこの社会で保障されるべきだろうというふうに思いました。  もう一つ、経過について申し上げますと、今回、この法務委員会で、会社法の質疑、必ずしも長い期間ではありませんが、野党の側が必ずしも反対を前提とせずに問題点を指摘して、それを与党の方々も懐深く受けとめて、ともに協議をして、その過程の中では参考人の方にも本当に示唆に富む発言をいただいて、そして、きょう、こういった形で、立国社、維新、自民、公明ということで、ともに修正案を提出しました。これは、私どもが協議を続けていた追加的内容規制の削除ということを一〇〇%与党に受けとめていただいたものであります。  これが、きょう、こういうふうに至ったのも、提出者にはなっておりませんけれども、共産党の委員の、問題点を明らかにするような質疑、そして、きのうの理事会の場で明らかにしていただきましたが、維新の方も提出者に名を連ねるというふうに言っていただいて、本来の国会の姿、閣法が出てきたら、与野党を問わず、ともにチェック機能をしっかり果たして、いい議論をして、できるだけ合意を見出して、必要があればよりいい修正案に改正していくということができたというのは、本当に立法府としての役割を多少なりともみんなで果たすことができているのかなというふうに思って、うれしく思っています。
  77. 高木錬太郎

    ○高木(錬)委員 私は、まだ一期二年しか国会におりませんで、まだまだ経験が足りないんですが、きょうは、立法府の一員として、非常に感慨深く受けとめています。  この修正案提出に至ったさまざまな、提出者はもちろんですが、さまざまな関係された皆さん、とりわけ、今、提出者も言及されましたが、与党の皆様方に対して、まことに僣越ですが、懐深く受けとめられたことに関して敬意を表したいと思います。  私は、最後に触れておきたいのが、またこれは引き続き、この権利の濫用に関して法制審議会で、会社法部会で議論、検討していくことになろうかと思うんですけれども、ぜひ大臣にお願いしたいのが、今のこの委員の皆様方はいささかバランスが悪いのではないかと私は思うわけであります。先ほど少数株主の話もしましたが、やはり機関投資家や東証などだけじゃなくて、これまで活動されてきている少数株主の方々の代表者をぜひ入れていただいた方が、まさにバランスよく、あるべき法改正につながっていくのではないかと思うわけでありまして、これは要望として大臣に申し上げさせていただいて、私からの質問を終わらせていただきます。  ありがとうございました。
  78. 松島みどり

    ○松島委員長 次に、稲富修二さん。
  79. 稲富修二

    ○稲富委員 立国社の稲富修二です。  きょうも質疑の機会をいただきまして、ありがとうございます。  そして、きょう、修正案ということで、与野党、今回この合意に至ったということに際し、まず、委員長始め各理事の皆様、そして委員の皆様、与野党ともに深く敬意を払うものでございます。本当にお疲れさまでございます。  まずは、修正案の提出者にお伺いします。  改めてですけれども、先ほど来、重なりますが、この修正案提出に至った経緯、そして趣旨、内容について、まずはお伺いします。
  80. 山尾志桜里

    ○山尾委員 ありがとうございます。  修正案提出に至った経緯と趣旨ということなんですけれども、やはり、今回の会社法改正案の中でも特に、追加的に、株主提案権の内容に着目をして規制をする条項ですね、その条項が、株主総会における議案の提案、これはいわゆる当日の提案ということに実質的にはなるんでしょうけれども、会社法三百四条ただし書き、そしてもう一つが、議案の要領を株主に通知することの請求、会社法三百五条六項、これは当日ではなく、事前の提案についてもこれを制限すると。この各規定について、対政府質疑や対参考人質疑を通じて、やはりその内容に疑義が生じたということで、慎重を期するために、やはり一度この規定を削除しましょうということに至ったんだと思います。  この内容というのは、今言った条項、三百四条ただし書き及び三百五条六項における追加的な株主提案権の内容規制、ここの部分を削除をするというのがこの修正案の内容であります。
  81. 稲富修二

    ○稲富委員 ありがとうございます。  お手元、一枚、資料を配らせていただきました。修正前の、この真ん中の段が政府提案ということで、三百四条ただし書きの二号、三号が削除され、そして現状と全く同じということになったということでございますが、改めて伺います。  この二号、三号、この質疑を通じて何が問題だったのかということを修正案提出者にお伺いします。
  82. 山尾志桜里

    ○山尾委員 ありがとうございます。  今回、修正案では削除を提案している条項の何が問題だったのかという御質問でありました。  この委員会を通じて、まず指摘があったのは、やはり今も民法の権利濫用という一般条項を通じて一定の濫用規制がかかっている、その上で更に、会社法において、提案権の内容に着目をして制限をする必要性の有無、それを支える立法事実の存否、これが弱いのではないかという指摘が、この委員会において複数の委員、あるいは参考人からもなされたというふうに認識をしています。  その上でさらに、今回の二号、三号に象徴されるような内容規制が成立する場合には、権利濫用とみなされる範囲が広がるのではないかというような疑義も生じました。  それは、先ほども申し上げましたけれども、一方当事者である会社側が他方当事者である株主側の内心を推知して、その目的が、専ら会社や役員の名誉を毀損する目的であるとか、会社や役員を侮辱する目的であるとか、会社や役員を困惑させる目的であるとか、そういうふうに会社側が認定した場合には拒絶できるというふうになるとしたら、やはりその拒絶の範囲というのは広がるのではないか、権利濫用の範囲が広がるのではないかという懸念が生じました。  そしてさらに、とりわけ対参考人の質疑を通じて、権利濫用の範囲が広がるだけではなくて、権利濫用に必ずしも当たらない場合であっても、もしこの改正案がそのまま成立すると株主提案権の拒絶が正当化されるというような場合が出てくる可能性があるおそれ、これが生じたということで、今回の修正案の提出に至ったというふうに認識しています。
  83. 稲富修二

    ○稲富委員 ありがとうございます。整理をしていただきました。  まず立法事実がどうかということ、そして権利濫用を超える部分についても、権利濫用とされない、民法上されないものがそこに該当して拒絶の対象になり得るということ、そして主観、客観でいうと、やはり主観的な判断でこれが拒絶し得るということ等々、まとめていただいたのかと思います。  もう一点、私が今回思いましたのは、法制審の中での議論でございます。  先日も、参考人の先生からこういった御発言がありました。  串田委員からの質問に対して、濫用的でない場合まで制限されるのではないかという御懸念をお持ちじゃないかと思うんですけれども、条文を書いたというか、少なくとも法制審の部会では、そういう懸念を持ってこういう具体的な議論は全くされていませんでしたというくだりがございました。  その他、当委員会でもありました、困惑という言葉が非常に主観的ではないかという非常に鋭い御指摘があり、そういったことは法制審でどの程度議論をされてきたのかということを改めて伺います。
  84. 小出邦夫

    ○小出政府参考人 お答えいたします。  法制審議会におきましては、例えば、改正法第三百四条第二号において提案しております「専ら」、あるいは「著しく」といった要件につきまして、このような厳格な要件を設けると、株式会社が株主が提案した議案を拒絶する判断をちゅうちょするおそれがあるため、それぞれ、主として、あるいは特にといった要件にすべきではないかといった議論がなされたものの、株主提案権の内容を制限する規律を設けること自体については異論がなかったものと理解しております。  また、法制審議会において、委員から、株主提案が権利の濫用に該当し得る場合をより広く規定すべきであるとの指摘等もあったことを踏まえまして、株主が専ら当該株主又は第三者の不正な利益を図る目的で株主提案を行った場合には、会社は当該株主提案を拒絶することができるという規律を設けるといったことについても議論がされました。  この法制審議会における中間試案につきまして、パブリックコメントにかけまして集計したところ、株主提案権の内容を制限することについては賛成が多数でございまして、そのような結果を踏まえまして、法制審議会において改めて審議して、中間試案に文言上の微修正はございましたけれども、コンセンサスを得て、この立法のような、今回の改正法のような文言で改正するという結論に至ったものでございます。
  85. 稲富修二

    ○稲富委員 ありがとうございます。  ですので、内容規制をすることについては同意があったということなんですけれども、今申し上げたのは、その中の二号のところですね。二号のところのその文言については、私が知る限りですけれども、これについて非常に議論があったわけじゃない。議論がなかったからそれは同意をされているんだ、そういう御趣旨かと思いますが、しかし、やはりこれは、困惑という言葉もそうですし、目的という言葉もそうですけれども、それについて委員の中から、これはどういうことなんだ、これは客観性が担保できるのか等々の議論がやはり法制審の中で十分じゃなかったのではないか。  あるいは、もうこれは神田先生もおっしゃっているとおり、濫用的と、いわゆるその的の部分が果たして民法上の濫用の中に入っているのか、外側に出るのかということもなかったということを踏まえると、法制審の議論で半ばもう内容規制はやるんだということがあって、そしてこれが進んでいったのではないかということを思わざるを得ないなと思うんです。  そこで、今後のことがありますので、ぜひ、やはり大部にわたる改正ですので、ここをどうするかということはありますが、ただ、株主提案権というのは極めて大事であるということを当委員会でも何度となく、これは大臣も答弁でおっしゃったとおり、今後の改正についてはやはり丁寧にそのことを、声を、先ほどもありましたけれども、各方面から吸い上げていただきたいなということを思います。  そして、次に、立法事実についてでございます。  これも何度となくありましたが、まず、先ほどの参考人の中でも御答弁があったんですけれども、今回の二号の立法事実としてたびたびあらわれてきたのが二例、そして七、八年前のことである、それは最近ではなかなかそういった事例はないんですよねということが参考人質疑でもございました。  この立法事実が、それでも今なお当局としては十分にあるんだというふうにお考えなのかどうかということをお伺いをします。
  86. 小出邦夫

    ○小出政府参考人 お答えいたします。  株主提案権が濫用される事案、事例が現に生じており、今後も同様の事態が生ずるおそれがあるというふうに考えております。  実務上、株主提案権が濫用された場合でありましても、株式会社は、なるべく提案株主とコミュニケーションをとって提案の理由や意図を確認し、提案株主の同意を得た上で、提案する議案の数を減らしたり、あるいは表現ぶりを変更したりした上で招集通知に記載することが多いと言われておりまして、そのようなものも含めますと、裁判例や株主提案権に関する統計にはあらわれないような潜在的な濫用事例も存在しているものと考えられます。現に、経済界からは、株主提案権が濫用的に行使されている事例があって、対応に苦慮しているんだという指摘もございます。  今回、繰り返しになりますけれども、株主提案権の濫用的な行使、これが実際に存在し、今後も発生するおそれがある、それから、現行法の制度ではそういった濫用的な株主提案に対する対応が困難であるという指摘もされたことを踏まえまして、提案権の濫用を制限する措置を設けるものでございまして、立法事実はあるのではないかと考えております。
  87. 稲富修二

    ○稲富委員 修正案提出者にお伺いします。  私は、やはり、ここは意見がもちろん政府と私は違っておりまして、もしそうであるなら、裁判例を確実に、こういうものがある、たくさんある、直近まであるというのであればそうだなということを思うんです。  二号で書かれていることは目的でございます。目的があると議長が判断すればその提案権を拒絶できるということは、先ほど来話が、従前よりあるように、よほどのそれは、これは目的を持っているかどうかなんということは、その提案している人がどういう目的かなんて誰も判断できない。もちろん、議長が、その人がそういう目的を持っているかなんという判断はできない。  だから、議長は、やはり、客観的にそれをどう言えるかというと、これは主観に頼らざるを得ないということの中があるからこそ、その立法事実が十分にあって、積み上がっていて、だからこれは、立法事実に照らして、目的を、議長が、こうだね、だから拒絶をしていい、拒絶をするべきだと判断するのではわかります。  しかし、要するに、目的という、内心の、はっきりしない、主観のものを判断をする上での事実あるいは過去の事例というのが蓄積されていない中で、それは比較考量かもしれませんが、それがない中でこれをやるのかどうかというふうに私は思うわけです。  修正提案者に伺います。  今回の件で、立法事実に関する基本的認識についてお伺いします。
  88. 山尾志桜里

    ○山尾委員 提出者としてお答えすると多少枠がはまるんですけれども、事実として指摘をするならば、やはり、この委員会質疑を通じて、追加的内容規制を必要とするというまでの立法事実が弱いのではないかという指摘が複数の委員、そして参考人からあったというのは事実だというふうに思います。  その上で、今回仮に修正案と修正を除いた原案が通れば、数の規制は入るわけですね。そこから先、更に株主提案権の行使の制限を個別具体に規制をする会社法の新たな立法が必要なのかどうかというこの立法事実については、ここから先、やはり、さまざまな裁判例の蓄積とか、そしてまた、実際に総会でどのように株主提案権が、きちっと保障されるべきものは保障されているかとか、場合によっては、やはり権利濫用がこういった形で出ていてなかなか苦慮しているとか、そういうことも含めて吟味をしていくということだというふうに思います。これが枠の中の話であります。  一言だけつけ加えると、やはり立法事実というのは、ただ、きちっと数あるいは統計で示されるというのが基本だと思います。暗数とか潜在的な事象とかいうことを言われることがあるんですけれども、それこそ性犯罪の被害が、どれぐらい暗数があって、そういう方にどんな被害があるのかというようなことは本当に難しいし、暗数をきちっと思いに入れてつくっていかなきゃいけないけれども、それでもなかなかその暗数とか潜在的被害では動かないから、当事者の方や支援する方が頑張って、しっかりその数を浮かび上がらせたり、つらい思いをしてそれを顕出させたりして可視化するわけですよね。  この問題については、暗数とか潜在的事象、株主総会でどれだけ濫用行使があって会社が苦慮しているのかということは、今言ったような事例と比べると、よりきちっと事態をみんなにわかるように示した上で、立法事実だというならそれを顕出する、そういう努力が必要だというふうに思います。
  89. 稲富修二

    ○稲富委員 ありがとうございます。  次に、引き続き修正案提出者にお伺いします。  今回この削除をすると、やはり他方で、この内容規制が必要ではないか、どうするんだという御意見があるかもしれません。  そこについて、基本的なことですけれども、株主提案権の濫用については一定の制限が必要と考えるかどうかということについて、提案者にお伺いします。
  90. 日吉雄太

    ○日吉委員 株主提案権の濫用に対して一定の制限は必要であると考えます。  ただ、現時点においては、権利の濫用の規定により対処することが可能であり、また、今回、会社法の改正により、株主が提案することができる議案の数の制限の規定が設けられることから、まずはこれらの規定により対処していくべきであり、これらの規定に加えてさらなる制限が必要となるのか否かについては、裁判例や株主総会の実務の集積等を踏まえた上で、権利の濫用に該当する株主提案権の類型について更に精緻に分析を深めた上で検討すべきと考えます。
  91. 稲富修二

    ○稲富委員 ありがとうございます。  先ほど修正提案者からもありましたように、数の制限というのはこの法案でしっかりと書き込んであるということをつけ加えて申し上げておきたいと思います。  そこで今回、二号では、例えば、当日の提案に対して、理由をはっきりと明示せずとも、議長によって、二号に該当すれば拒絶をできるということになっておったわけですが、それを削除するということで、そうすると、民法の権利濫用規定では十分対応できるのかという御懸念がやはりあるかもしれません。その点についてはいかがでしょうか。お伺いします。
  92. 日吉雄太

    ○日吉委員 株主提案権の濫用につきましては、現行法のもとでは、民法第一条第三項の権利の濫用の規定により対処することが可能と考えております。また、過去の裁判例においても、株主提案権の行使について、権利の濫用として許されない旨の判断も出ているところであります。  現状におきましては、株主提案権の濫用については権利の濫用の規定により対処することが可能と考えられており、権利の濫用の規定では対処できないような事例への対応の必要性については、なお今後の事例の蓄積を待って検討すべきものであると考えます。
  93. 稲富修二

    ○稲富委員 ありがとうございます。  次に、三号のことをお伺いをします。  私、この二号と三号の関係についてなんですけれども、二号は、「専ら人の」ということで、人に対してさまざまな規制、制限をかけていく、三号は、最終的には「株主の共同の利益」というものが出てきまして、それが害されるおそれが認められる場合は拒絶ができるということで、その対象がまたちょっと違うし、二号と三号、これは事務方の方にもお伺いしたら、重なる部分もあるけれどもそうじゃない部分もあるということで、同じ拒絶事由にしても、何だか二号と三号の関係が、カテゴリーも違うものがあって、非常にわかりにくいな、どういう関係にあるのかということを思うわけですが、この点、どういう、この三号、二号、この規定を設けているその趣旨、そして関係にあるのかということをお伺いします。
  94. 森まさこ

    ○森国務大臣 不当な目的等による株主提案を制限することとした趣旨は、株主総会における審議の時間等が濫用的な提案に割かれ、株主総会の意思決定機関としての機能が害されたりするなどの弊害を防ぐというものでありますが、改正法案第三百四条第三号は、例えば、株主が不必要に長大な内容の条項を含む定款の変更に関する議案を提案したことにより、株主総会において当該議案の検討に多大な時間がかかり、他の株主による株主総会の議場における質問の時間や他の議案の審議の時間が大幅に削られ、株主総会の意思決定機関としての機能が害されるような場合等には株主提案を拒絶することができるものとするために設けたものであります。  このように、第三号は、株主総会の適切な運営が著しく妨げられ、株主の共同の利益が害されるおそれがあるかという客観面に着目したものであります。これに対し、第二号は、株主が専ら人の名誉を侵害する目的等で議案の提出をするかどうかという、議案を提出する株主の主観面に着目したものでございます。  このように、第二号と第三号とではその適用対象が異なり、例えば仮に、株主が専ら人の名誉を侵害する目的等で議案の提出をするとは認められないため第二号には該当しない場合であっても、その議案が不必要に長大な内容の条項を含む定款の変更に関するものであるような場合には、三号に該当し得るということになります。
  95. 稲富修二

    ○稲富委員 ありがとうございます。  ここの「株主の共同の利益」という言葉なんですけれども、これは他の条文にも出てくる言葉でございまして、共同の利益というのは多数の利益、こう解してよろしいんでしょうか。
  96. 森まさこ

    ○森国務大臣 「株主の共同の利益」とは、文言のとおり、株主全体の利益をいうものと考えられますが、例えば、少数の株主と多数の株主との間で見解が対立しているような場合における多数の株主の利益を指すわけではなく、客観的に、少数の株主も含む株主全体の利益を指すものと考えられております。  なお、会計帳簿閲覧請求の拒絶事由について定めた会社法第四百三十三条第二項第二号においても、「株式会社の業務の遂行を妨げ、株主の共同の利益を害する目的」という文言が使われております。  同号でも先ほど御説明したのと同様の解釈がされておりまして、例えば、不必要に多数の帳簿書類の閲覧を求める場合、不必要に多数の株主が同時に若しくは計画的に間隔を置いて相次いで閲覧を求める場合、殊さらに会社に不利な情報を流布して会社の信用を失墜させ株価を低落させるために閲覧を求める場合などが、この文言に該当すると解されております。
  97. 稲富修二

    ○稲富委員 その後に、「害されるおそれがあると認められる場合」ということで、先ほど来大臣がこういう場合はということをおっしゃってきたんですけれども、そういうことの裁判例、そういったものはあるんでしょうか。
  98. 小出邦夫

    ○小出政府参考人 具体的な裁判例については承知しておりません。
  99. 稲富修二

    ○稲富委員 ありがとうございます。  これも、「おそれがあると認められる場合」という、要するに、まだ何か共同の利益が害されていなくても、可能性がある場合は提案権が制限をされる、こう解してよろしいんでしょうか。
  100. 宮崎政久

    ○宮崎大臣政務官 今の御質問、要するに、可能性が少しでもあれば制限されるのかというふうな御質問であると理解をすれば、そういうことではないわけであります。  株主の共同の利益が害されるおそれが認められるというのは、株主の共同の利益が害される可能性が少しでもあると認められることを意味しているわけではないということでありますので、そういう趣旨ではないというふうに考えております。
  101. 稲富修二

    ○稲富委員 要するに、まだ利益が害されていなくても、その可能性があると議長が判断をすれば制限ができるということですよねという、その確認でした。
  102. 小出邦夫

    ○小出政府参考人 お答えいたします。  ここで「株主の共同の利益が害されるおそれ」で足りるとしているのは、株式会社におきまして、株主提案権の行使により株主総会の適切な運営が著しく妨げられ、株主の共同の利益が実際に害される前に、あらかじめ株主提案を拒絶することができるようにする必要があるからでございます。  したがいまして、ここで言う「おそれ」でございますが、株主提案を拒絶しなければ株主総会の適切な運営が妨げられ、株主の共同の利益が害されることが、先ほど政務官からも答弁がございましたが、少しでも可能性があるということではなく、そういった共同の利益が害されることが強く推認される場合を意味するものと考えます。
  103. 稲富修二

    ○稲富委員 ありがとうございます。  要するに、まだ何か害されていない時点で、当然、これは拒絶することによって、害されることがないわけですよね。なので、そうすると、未実現のことを事前に防ぐためにこれを拒絶をするというのであれば、当然ながら裁判例もない、そして先ほどさまざまな御説明ありましたけれども、何らかの、これもこういうことがあったから、だからこれが必要なんだという、未実現のものを拒絶する以上は相当の理由がないと私はこれは書けないんじゃないか、要するに立法としてはやはり理由づけとして不十分じゃないかというふうに思うわけです。  時間が最後になってきましたので、最後、修正提案者にお伺いします。  今回、株主提案権をやはり五十六年の商法改正によって実現をし、少数の株主の意見を尊重する、あるいはそれを取り入れることがまさに会社の発展にもつながる、ある意味、少数の意見を取り入れ、そして対話をすることによって会社は発展をするということからこれを大事にしてきたわけです。しかし、他方で、やはり権利濫用の制限、これをどうするかということは、常にこれは同時にあるわけです。  やはりこれをどうバランスをとって考えるかといったときに、どこに重心を置くか、あるいはどうそれについて考えるかということについて、最後、お伺いをしたいと思います。
  104. 山尾志桜里

    ○山尾委員 まず大事な視点は、どこに重点を置くべきかという御質問でしたので、申し上げると、やはり株主提案権の今委員がおっしゃったような重要な意義に鑑みて、要件に当てはまる限りはその株主提案権の行使をきちっと保障していくということが前提として必要なんだろう、肝要なんだろうというふうに思います。  その上で、しかし一部に存在する権利濫用事例、この事例をどうやって正当に拒絶することによって株主総会の意義を全うしていくかということ、このバランスをどうとるかということは大事な視点だと思います。  今の時点で申し上げれば、先ほど同じく修正案提出者の日吉さんからもありましたけれども、まず民法の一般条項で、権利濫用、これを通じて濫用行使を除いていく。それは実際、裁判例でもそういったロジックが使われている。あわせて、今回、数の規制は入りますので、今、この法案が成立した暁には、そのバランスの中で今後の推移を見て、本当に、より規制方向の立法の必要性があるのかどうかということも含めて検討していくということだと思います。
  105. 稲富修二

    ○稲富委員 以上で終わります。ありがとうございました。
  106. 松島みどり

    松島委員長 次に、松田功さん。
  107. 松田功

    ○松田委員 立国社の松田功でございます。お疲れさまでございます。  会社法の質問に入る前に、先週、私が質問をいたしました収容・送還に関する専門部会について、二点ほど御確認をさせていただきたいと思います。  まずは、議事録の公開についてでございます。  第一回、第二回の会合の議事概要が、ホームページで公開されております。これは概要でございますので、後日、きちっとした議事録、どの委員がどのような発言をどの流れでされたのかなどがはっきりわかるものを公開されると思ってよろしいでしょうか。また、いつぐらいに公開される予定でしょうか。
  108. 高嶋智光

    ○高嶋政府参考人 お尋ねの収容・送還に関する専門部会の議事録につきましては、ホームページで公開する予定でございます。  ただ、御指摘の議事録の方は、逐語で作成しておりますため多少時間をいただいておりまして、でき次第、準備ができ次第、個人情報あるいは公にすることが相当でない部分を除きまして、御指摘のとおりホームページで公開する予定でございます。
  109. 松田功

    ○松田委員 でき次第ということでございますが、先日、在職老齢年金制度について中西経団連会長の発言がカットされており、経産官僚の介在疑惑が問題に上がっております。このような状況ですから、法務省としては、そのようなことのないように、きちんとした対応をしていただきますようよろしくお願い申し上げます。  次に、専門部会の委員について、先週の質疑で、専門部会にはIOMや精神科医の方も入るべきとお伝えをいたしましたが、それに加えて、当事者や支援団体の方の意見を聞く必要性もあるのではないかと思います。  今回の議事概要を見ると、現場からの視点が全く足りないように思います。送還忌避者の本質を細かに見なければ、現状を変えることはできません。議事概要を見ると、心配したとおり、送還するための強化策ばかりが話し合われている印象を持ちます。  大臣は、さまざまな論点について自由闊達な議論を期待しているとおっしゃられました。収容を経験した当事者の方や収容所を日々訪問されている支援者の方などからも専門部会にてヒアリングを行うべきと考えますが、大臣、いかがでしょうか。
  110. 森まさこ

    ○森国務大臣 専門部会においては、もう議論が始まりまして、議論、検討のあり方についても、今まさにその最中と承知をしておりますが、収容のあり方等を検討するに当たり、委員御指摘のように、さまざまな関係者からヒアリングを実施することによって、現場のことを含めてさまざまな課題を浮き彫りにさせていくことができると思っております。  ヒアリングについては、必要に応じて専門部会でお決めになっていただけると考えておりますが、いずれにしても、専門部会においては、送還忌避者の増加、収容長期化の現状や課題を踏まえつつ、具体的な方策について、委員の皆様の専門的な知見に基づき、多様な角度から、ヒアリング等も含めて自由闊達な御議論がなされることを期待しております。
  111. 松田功

    ○松田委員 自由闊達な意見をするために、専門部会の委員の意見を踏まえる必要があるということとはいえ、事務局の方からもヒアリング先を提案することは可能かと思います。  ハンストで亡くなった方がみえる大村の収容所では、宗教者の方が手分けをして面会をし、被収容者の状況をよく把握されているとお伺いします。また、これまで難民認定を受けた方の中にも収容を経験された方がおみえになります。  送還忌避者と一くくりに法務省は言いますが、一人一人、血の通った人間であります。その声を代弁できるような方と全くないまま議論が進むことを避けるためにも、ぜひ大臣の方から、当事者や支援団体からの意見聴取を御指示していただきたいと思いますが、大臣、いかがでしょうか。
  112. 森まさこ

    ○森国務大臣 今述べましたように、自由闊達な御議論の前提として、多様な角度からのヒアリングというのは大変重要だと思っておりますので、委員の御指摘もございますので、必要に応じて部会長と相談をして検討してまいりたいと思います。
  113. 松田功

    ○松田委員 ぜひ検討をして進めていただきたいと思います。  それでは、会社法の質問に入らせていただきます。  日産自動車のゴーン前会長が逮捕されたことからも指摘をされているように、役員報酬の透明性を確保する必要があると考えられます。  取締役員報酬などについて質問をさせていただきたいと思います。  中間試案などでは、報酬などの決定方針の株主総会における取締役の説明義務に関する規定が設けられておりましたが、法制審の要綱には盛り込まれず、本法律案にも盛り込まれませんでした。それはどのような理由からでしょうか。  また、報酬の決定方針については、改正後の会社法第三百六十一条四項に基づいてされる株主総会における取締役の説明事項に含まれておりませんが、法制審では、解釈として含まれているとの説明がなされました。この点について、法務省のお考えをお聞かせください。
  114. 小出邦夫

    ○小出政府参考人 お答えいたします。  改正法案におきましては、上場会社等の株主総会において報酬等に関する事項を定め、また、これを改定する議案が可決された場合には、取締役会がその内容に基づいて取締役の個人別の報酬等の内容についての決定方針を定めることとなります。  このように、取締役の個人別の報酬等の内容についての決定方針は、株主総会の決議により取締役の報酬等についての定めがされた後に、その内容に基づいて決定されるものでございますので、株主総会に報酬等に関する議案が提出された時点で、その後に決定される報酬等の決定方針はいまだ存在しないわけでございますので、当該株主総会における説明義務を課すことは困難であるために、そのような義務を課す規定を設けることとはしていないわけでございます。  それから、改正後の三百六十一条第四項は、取締役の報酬等に関する事項を定め、又はこれを改定する議案を株主総会に提出した取締役は、当該株主総会において、当該報酬等を相当とする理由を説明しなければならないこととしております。  この当該議案の可決後に決定され、あるいはまた変更される取締役の個人別の報酬等の内容についての決定方針の内容は、株主が当該議案について賛否を決定する上で重要な情報でございまして、また、その議案の内容の合理性や相当性を基礎づけるものであると考えられます。  したがいまして、このような場合には、取締役は、当該報酬等を相当とする理由を説明する際に、株主総会後に決定され、又は変更される決定方針の内容についても説明することが求められることになるものと解釈しております。
  115. 松田功

    ○松田委員 次に、公開会社取締役を含む役員報酬などに関する事項についての事業報告の内容が不十分であるとして、法制審要綱には、公開会社の事業報告による情報開示の充実を図ることが提案をされております。  一つ、報酬などの決定方針に関する事項。二つ、報酬などについての株主総会の決議に関する事項。三つ、取締役会の決議による報酬などの決定の委任に関する事項。四つ、業績連動報酬などに関する事項。五つ目、職務執行の対価として株式会社が交付した株式又は新株予約権などに関する事項。六つ、報酬などの種類ごとの総額。  これらを、改正後の会社法施行に当たり、会社法施行規則に設けられますか。
  116. 小出邦夫

    ○小出政府参考人 お答えいたします。  改正法の施行に伴う法務省令の改正におきましては、取締役の報酬等の内容の決定手続等に関する透明性を向上させるという改正法案の趣旨に照らしまして、公開会社における事業報告による情報開示に関する規定の充実を図ることを予定しております。  具体的には、取締役の個人別の報酬等の内容についての決定方針に関する事項、あるいは業績連動報酬等に関する事項、職務執行の対価として株式会社が交付した株式等に関する事項等でございますが、先ほど委員が御指摘した事項もこの事業報告内容に含まれるものと考えております。
  117. 松田功

    ○松田委員 法制審では、今挙げた規律のほかに、事業報告において会社役員の個人別の報酬額を開示することが検討されましたが、法制審要綱に盛り込まれず、見送ることとした理由はどのようなものなのでしょうか。
  118. 小出邦夫

    ○小出政府参考人 お答えいたします。  御指摘のとおり、改正法案におきましては、取締役の個人別の報酬等の内容について開示を義務づけることとはしておりません。また、改正法案に伴う省令の改正におきましても、事業報告においてそのような開示を義務づけることは予定しておりません。  これは、まず、我が国における取締役の報酬等の額、これは欧米等と比べれば低い水準にあるとされておりまして、取締役の個人別の報酬等の内容を開示させる意義が必ずしも大きくないと考えられることや、取締役の個人別の報酬等の内容は取締役のプライバシーに属する情報であることなどが考慮されたものでございます。  もっとも、先ほどから答弁させていただいておりますとおり、取締役の報酬等の決定手続に関する透明性を向上させる観点から、上場会社等においては、取締役会において取締役の個人別の報酬等の内容について決定方針を定めなければならないことといたしまして、また、そういった事項、あるいは、報酬等の決定の委任に関する事項、あるいは業績連動報酬等に関する事項等々の報酬等に関する多くの事項を公開会社の事業報告の内容とすることを予定しております。  こういったことをあわせ実施いたしまして、取締役の報酬等に関する情報開示が充実して透明性が高まると考えておりますので、取締役の個人別の報酬等の内容の開示を義務づける必要まではないと考えたものでございます。
  119. 松田功

    ○松田委員 次に、取締役の個人別の報酬などの内容にかかわる再一任についてお聞きをいたします。  日産自動車のゴーン前会長の事件の背景には、この再一任することへの規則がなかったことが一因として挙げられると思います。しかし、今法案には盛り込まれませんでした。透明性を確保するためにも、再一任のルール整備はしていく必要があると思われます。  そこで、質問をさせていただきます。  代表取締役などへの再一任は、取締役会から委任されることになるため、報酬などの決定方針として法務省令で定める事項に含まれることになりますか。
  120. 小出邦夫

    ○小出政府参考人 お答えいたします。  現在の実務におきましては、取締役の個人別の報酬等の額が明らかになることを避けるといった理由によりまして、取締役の個人別の報酬等の内容に係る決定を委任された取締役会が、その決定を更に代表取締役に委任すること、委員御指摘の再一任と呼ばれておりますが、こういったことが行われております。  改正法案におきましては、上場会社等の取締役会は、取締役の個人別の報酬等の内容についての決定方針を定めなければならないこととしております。さらに、法務省令におきまして、当該方針に関する事項や、取締役会の決議による報酬等の決定の委任に関する事項を事業報告の内容とすることを予定しております。  したがいまして、上場会社等の取締役会が、取締役の個人別の報酬等の内容に係る決定を取締役に再一任する場合でありましても、再一任を受けた取締役が取締役会の定めた決定方針に従わなければならず、また、再一任に関する事項が開示されることとなって、取締役の報酬等の決定手続の透明性を高めることとしております。  他方で、取締役の個人別の報酬等の内容は取締役のプライバシーに属する情報であることから、合議制である取締役会において審議し、決議することになじまないとの指摘がございまして、会社法においてこれを取締役会において決議しなければならないものとすることについては慎重な意見が強いところでございます。  これらの点を踏まえ、改正法案では、御指摘のような考え方は採用せずに、再一任に関する事項も開示するという、あるいは、取締役の個人別の報酬等の内容についての決定方針とあわせまして、その再一任に関する事項も決めなければならないということにしております。
  121. 松田功

    ○松田委員 法務省令で定める事項に含まれるのであれば、会社法施行規則において事業報告による情報開示の規律の対象となり、多少なりとも再一任に関しては透明性が担保されると言えますが、情報開示の対象とされないのであれば、企業は株主総会において再一任の合理性をきちんと説明すべきと考えておりますので、質問させていただきました。  それでは次に、新たに新設される社債管理補助者の制度について質問をさせていただきます。  社債権者の保護のために、社債管理者を置かなければならないとされています。例外規定により、社債管理者を定めていないことが多いとされています。ならば、社債管理者を定めなければならない、例外規定を外すという意見は出されなかったのでしょうか。  二〇一〇年に事実上破綻となりました日本航空や、二〇一七年に倒産したタカタなどは、いずれも社債管理者不設置会社で、その社債が債務不履行になったと報道されております。大企業においてこのような混乱が発生したわけですから、社債管理者を置くようにした方がよいのではないかと思いますが、なぜそのような意見は出されなかったと思われますか。
  122. 小出邦夫

    ○小出政府参考人 お答えいたします。  現行法上、会社は、社債を発行する場合には、原則として、社債管理者を定めて、社債権者のために社債の管理を行うことを委託しなければならないこととされております。  もっとも、実際には、社債管理者については、裁量の広範な権限を適切に行使しなければならないため、なり手を確保することが難しく、社債管理者を定めることに要するコストも高くなることから、会社は、例外規定に基づき、社債管理者を定めないことが多いと指摘されております。  法制審議会の部会におきましては、例外規定に該当する場合をより限定すべきじゃないかという指摘もございましたけれども、例外規定を削除すべきであるというまでの意見は出されなかったところでございます。  これは、このような状況の中で例外規定を削除することとした場合には、社債管理者のなり手を確保することができずに、社債を発行することが困難となることなどの理解があるためであると考えられるところでございます。  それから、済みません、先ほど、再一任のところで、端的に御質問に答えていなかったような気がいたします。  再一任に関する事項は、取締役の個人別の報酬等の内容についての決定方針に含まれるということで御理解いただきたいと思います。
  123. 松田功

    ○松田委員 社債管理者のなり手の難しさや、また、報酬などやコストの面や、いろいろ問題もあるかと思います。  続いて、ちょっと質問を進めさせていただきます。  社債管理補助者の資格として、法務省令で定める者とはどのようなものをと想定されておりますでしょうか。
  124. 小出邦夫

    ○小出政府参考人 お答えいたします。  社債権者を保護する観点から、社債管理補助者の資格は、その権限を適切に行使することを期待できる者に限定することが相当であると考えております。  そこで、第七百十四条の三におきましては、社債管理者となることができる者として第七百三条各号に掲げる者、すなわち銀行及び信託会社等が社債管理補助者となることができることとし、さらに、法務省令で定める者が社債管理補助者となることができることとしております。  この法務省令で定める者につきましてですが、社債管理補助者が破産手続等をする権限や、契約に定める範囲内において社債に係る債権の実現を保全するために必要な裁判上又は裁判外の行為をする権限等を有していることを踏まえまして、弁護士及び弁護士法人とすることを予定しております。
  125. 松田功

    ○松田委員 弁護士、弁護士法人を想定しているということでございます。  社債管理者の不設置の社債が多い現状において、それを補うために社債管理補助者という制度を設けたならば、なぜ社債管理補助者を置くことを義務づけなかったのか、その理由をお聞かせください。
  126. 小出邦夫

    ○小出政府参考人 お答えいたします。  先ほども申し上げましたが、現行法上、会社は、社債を発行する場合には、原則として、社債管理者を定め、社債権者のために社債の管理を行うことを委託しなければならないこととされておりますが、社債権者がみずから社債を管理することができると期待できる一定の場合には、社債管理者を置くことを要しないものとされております。  社債管理補助者制度は、そのように、社債権者がみずから社債を管理することが期待でき、社債管理者を置くことを要しない場合に、社債権者の負担を軽減するという観点から、社債発行会社に社債管理補助者を置くという選択肢を設けるものでございます。  こういった制度趣旨、すなわち、社債管理補助者制度は、社債権者がみずから社債を管理することが期待できる場合に利用されるものでございますので、社債管理補助者を設置することまでを義務づけるまでの必要はないというふうに考えております。
  127. 松田功

    ○松田委員 社債管理者不設置会社でその社債が債務不履行になったりしていく状況というのは、その当事者にとっては非常に大変なことであるということはおわかりだと思うんですが、その辺について、もっと積極的な形で社債管理については法務省としては進めていくお考えでいるように感じ取ってよろしいんでしょうか。
  128. 小出邦夫

    ○小出政府参考人 お答え申し上げます。  先ほどの繰り返しになりますけれども、今回の社債管理補助者制度は、社債権者がみずから社債を管理することが期待でき、社債管理者を置くことを要しない場合の補助の制度でございますが、委員御指摘のとおり、社債をめぐる今後の社会の状況、あるいは社債発行会社と社債権者との間の関係等の推移をよく見まして、今後、社債管理や社債管理補助の制度について、どのような制度が適切なものかどうか、研究してまいりたいと考えております。
  129. 松田功

    ○松田委員 社債権者の保護機能を充実をさせていくということによって、社債市場の活性化が図られます。企業の資金調達機能が強化をされれば、我が国の国際競争力も増すのではないかというふうに思います。今後も、社債権者の保護の機能を充実させる施策を求めていきたいと思っております。  もう質問時間もちょっとなくなってまいりましたので、最後に、政省令委任について、少し警告を鳴らすべく、述べさせていただきたいと思います。  昨今、安倍政権下では、政省令委任立法を多用しており、行政の裁量権が大きくなっております。今回の会社法改正案においても、政省令などに委任する事項が多数、多く盛り込まれておりました。専門的な内容などを事細かに法案に明記するのが難しいことはわかりますが、法案の起草段階で具体的な政省令に委任することは国会の形骸化につながるのではないでしょうか。  昨年の入管法改正、統合型リゾート、いわゆるIR実施法、そして働き方改革関連法についても、重要な事項が省令委任されております。入管法改正に関しましては、重要事項の大半が政省令に委任され、政府に過剰な裁量権が与えられていることにより、我々立法府の審議が法令に十分反映されておりません。また、法律の条文を見ただけでは中身が判然とせず、法の理解や透明性に大きな課題があると言えます。  立法府によるチェックを踏まずに重要事項の変更が可能になっていることも問題です。憲法学者の田中祥貴教授は、重要項目は事後的に国会が内容をチェックする仕組みが必要だ、委任立法の成立や発効要件に国会の審査、承認を必要とする議会拒否権制度を確立すべきだと語られております。  国会の行政監視の一環として、授権法の委任範囲を超えていないか、しっかりとチェックをしていかなければならない現状を大変危惧していることを申し上げ、私の質問を終わらせていただきます。  ありがとうございました。
  130. 松島みどり

    ○松島委員長 次に、藤野保史さん。
  131. 藤野保史

    ○藤野委員 日本共産党の藤野保史です。  きょうは、役員報酬の問題についてお聞きしたいと思います。  先ほど松田委員も質問されていましたが、まず、法務省に確認いたします。  本法案を議論した法制審の中間試案の段階では、役員報酬の個別開示も検討とされていたと思いますが、最終的には落ちてしまった。  なぜ役員報酬の個別開示は盛り込まれなかったんでしょうか。
  132. 小出邦夫

    ○小出政府参考人 お答えいたします。  法制審においても議論がございましたけれども、まず、役員の個別報酬は個人のプライバシーにかかわる事項であること、それから、我が国の取締役の報酬、これは欧米等と比べれば低いということで、個別開示をするまでの必要性は大きくないということ、それから、個別開示をしなくても、上場会社等におきましては、取締役会におきまして取締役等の個人別の報酬等に関する決定方針を定め、その他、報酬の定め方、報酬の決定に関するさまざまな事項を開示対象としておりますので、全体としての取締役の報酬決定手続は透明化が図られるということで、個別の報酬の開示までは必要ないというふうに判断したところでございます。
  133. 藤野保史

    ○藤野委員 先ほどもおっしゃいましたけれども、プライバシーというのは理由にならないと思うんです。おととい神田参考人もおっしゃっていましたが、今既に金融商品取引法のもとで、年総額一億円以上なんですけれども、報酬は個別開示されているんですね。ですから、プライバシーというのはもう理由にならない。より広くするかという議論はしたらいいと思いますけれども。  二つ目に、外国と比べて低いと言いましたけれども、これもやはり比べる先が間違っていると思うんです。やはり従業員と比べるべきであって、従業員と役員との格差というのはこれはもう年々拡大しているわけでありますから、これはやはり開示すべきだというふうに思います。  そして、三つ目に、決定方針を決めるから透明性が担保されるんだとおっしゃるんですけれども、その点でちょっと法務省にお聞きしたいんですが、調査室がおまとめになった資料で、役員報酬の算定方針があると答えた企業についての割合があると思うんですが、三つの類型について、それぞれ、二〇一八年、何%というふうに答えているでしょうか。
  134. 小出邦夫

    ○小出政府参考人 申しわけありません。ちょっと手元に資料がございませんので、また調べて報告させていただきます。
  135. 藤野保史

    ○藤野委員 資料も出しています。だから、これを聞くよといって通告しているんですから。
  136. 松島みどり

    ○松島委員長 答えられますか。(藤野委員「ちょっと、時間をとめてください」と呼ぶ)  速記をとめてください。     〔速記中止〕
  137. 松島みどり

    ○松島委員長 速記を起こしてください。  小出局長。
  138. 小出邦夫

    ○小出政府参考人 取締役報酬の開示状況でございますけれども……
  139. 藤野保史

    ○藤野委員 開示状況じゃなくて、算定方針について答えてください。
  140. 小出邦夫

    ○小出政府参考人 算定方針、ちょっとお待ちください。(発言する者あり)
  141. 松島みどり

    ○松島委員長 速記をとめてください。     〔速記中止〕
  142. 松島みどり

    ○松島委員長 速記を起こしてください。  局長。
  143. 小出邦夫

    ○小出政府参考人 失礼いたしました。  取締役の報酬算定方針ありというものについて、会社類型別でお答えいたします。  まず、監査役会設置会社におきましては、報酬算定方針ありとするものが二〇一八年において八二・五%、それから、監査等委員会設置会社におきましては、報酬算定方針ありとするものが八四・八%、指名委員会等設置会社におきましては、報酬算定方針ありが一〇〇%ということになっております。
  144. 藤野保史

    ○藤野委員 ですから、取締役会で決定方針を決めるとか、方針を決めるとおっしゃるんですけれども、既にこれだけ決まっているわけです。  決まっているんだけれども、この配付資料の一の左を見ていただきますと、監査役会設置会社では、全員個別開示、二〇一八年、〇・〇%、監査等委員会設置会社は、二〇一八年、〇・一%、指名委員会等設置会社は、全員開示、一・四%です。  ですから、これは方針を決めたといっても実際にやられていないわけで、これでは透明化が進む実質的担保にはならないわけです。  ヨーロッパでは、アメリカ、イギリス、ドイツなどでは、原則として、取締役の個別開示がもう義務づけられております。ですから、グローバルスタンダードとおっしゃるのであれば、これはやはり役員報酬の個別開示、進めていくべきだというふうに思うんですね。  大臣、これは実は法務省も無関係ではありませんで、まず、その前提として法務省に確認したいんですが、法務省のOBで社外取締役や社外監査役に就任しているのはそれぞれ何人いらっしゃるでしょうか。
  145. 西山卓爾

    ○西山政府参考人 現在、当方で記録を持っているのが平成二十六年度からになります。平成二十六年度から平成三十年度までで、法務省出身者の再就職で、社外取締役につきましては合計十四名、社外監査役については合計十五名であると把握をいたしております。  なお、この把握は、国家公務員法第百六条の二十四第二項の届出に基づき把握しているものでございます。
  146. 藤野保史

    ○藤野委員 私たちは、何も、官僚OBの方がその知識や経験を生かして民間企業で活躍されるというのは当然あり得ると思っております。しかし、実際はそうなっていない例というのもこの間出てきております。  東芝の不正会計問題では、社外取締役に元大使クラスの方が二名参加されておりましたし、何より、関電は社外監査役に大阪高検です。法務省関係の大阪高検の検事長だった方が再就職されていて、あの元助役からの金品受領を知っていたにもかかわらず、それを取締役会に一年以上報告しなかった。こういうことになって、今、第三者委員会の調査対象になっている。  ですから、こういう事例も起きているもとで、やはりしっかりとチェックをしていかないといけないと思っております。  配付資料の二を見ていただきますと、これは朝日新聞と東京商工リサーチが調査をされて、非常に興味深い調査だと思います。  東証一部上場の約千九百八十企業が対象、これは二〇一八年四月時点ですけれども、社外取締役の報酬を、これは個別開示されていないものですから、役員数で割ったところ、平均で年間六百六十三万円だったというんですね。  下の方を見ていただきますと、下から二段目のところは、官僚や日本銀行OB、官僚OBの平均報酬は約七百五十万円で、全体平均より百万円ほど高いということなんですね。  もう一つ指摘したいのは、真ん中あたり、二段目に書いているんですけれども、日経平均株価に採用されている二百二十五社のうち、報酬が判明した二百十八社の平均は約千二百万円に達しているというんです。平均が六百六十三万円なんですけれども、いい企業の場合は千二百万円に達している。  一番下に、二番目に書いていますけれども、複数の企業をかけ持ちしている人も多い、四社以上兼務する社外取締役がいるところが約三百社あった、こういう調査なんですね。  ちょっと実例でも見てみたいと思いまして、配付資料の三をお配りしているんですけれども、これは、衆議院の予備的調査、国家公務員の再就職状況に関する予備的調査というものから抜き出したもので、本体はこれなんですね。極めて分厚いもので、どなたでもごらんになれる衆議院の調査であります。これを見ると、兼務の状況がもう極めて、個人名も出ておりますから、リアルに出てまいります。  配付資料でお配りしたのは、ある検事総長ですけれども、この方は、退職されてから半年後ぐらいにはもうワタキューセイモアという会社の特別顧問になったり、日清医療食品株式会社の特別顧問になったり、そして一年後には日本郵政株式会社の社外取締役に就任する。そして、それから一日後には住友商事株式会社の社外監査役になり、そこから三日後にはNKSJホールディングス、これは損保ジャパンとかいろいろ合併した会社ですけれども、それの社外監査役にもなる。翌年にはマヨネーズとかをつくっているキユーピーの社外監査役にもなるということで、恐らくですけれども、開示されておりませんのでわからないんですが、恐らく、やはりこれだけの優良企業ですから、報酬が、これだけ兼務していますと数千万に達するんじゃないかと思われます。  大臣、率直にお聞きしたいんですが、国民感覚からしてこれは高過ぎるのではないかというふうには思われませんか。
  147. 森まさこ

    ○森国務大臣 民間企業における取締役の報酬の金額の多寡については、コメントする立場にはございません。
  148. 藤野保史

    ○藤野委員 民間企業と言いますが、私が聞いたのは法務省OBの話なんです。  私は、別にOBが民間に天下りしちゃいけないとは言っていないんですけれども、しかし、これだけ兼務をされて、渡り鳥とか言われるいろいろな批判を受けて、いろいろな決まりもつくったのに、結局、今はこうなっているという、ここはやはり大臣が何かコメントされないとおかしいんじゃないですか。大臣、もう一回お願いします。
  149. 森まさこ

    ○森国務大臣 社外取締役に法務省の出身がなることについては、それまでの経験やその専門的知見により、社外役員に選任をされることもあると思います。  基本的に、各会社において、その経営課題等を踏まえて検討されるべき事柄であると考えております。
  150. 藤野保史

    ○藤野委員 ちょっと余りにも人ごとだったので、重ねて聞いたんですけれども。  やはりこの問題は、私はなぜ聞くかといいますと、配付資料の四を見ていただきたいんですね。これは週刊東洋経済の二〇一八年六月二十三日号なんですが、今既に九八%の企業で社外取締役が設置されていると。しかし、そこに書いていますように、「「一人でも社外がいればいい」という時代は終わり、「三分の一以上必要」という時代に突入しつつある。」こういう特集なんですね。  実際、アメリカやイギリスでは、上場企業の取締役の半数以上が社外取締役であることが求められております。三分の一以上という時代、そして過半数が先進的な例になりつつある。  他方、日本は、次のページをめくっていただきますと、円グラフが右の方に出ていますけれども、三分の一以上の企業というのはまだ一六%にとどまっておりまして、八四%が三分の一未満。これによりますと、全ての企業で三分の一以上にするには、その左の棒グラフですが、七千人近く不足している、そういうことなんですね。  ですから、グローバルスタンダードと政府がおっしゃっている水準に持っていこうとしたら、あと七千人近く社外取締役が必要になってくる。政府がコーポレートガバナンスの改革の旗を振れば振るほど、こういう需要が生まれてくるわけであります。  これが、大臣、官僚の方がそのみずからの知恵と経験を生かして新しい職場でそれを発揮していく、そういう方向につながっていく、そういうことなら大事だと思うんです。しかし、そうならずに、何か幾つも、兼務自体が悪いとは言いませんけれども、実際は形骸化して、コンプライアンス村といいますか、新たな天下り先が数千規模でできてしまうということになったらそれは困るわけで、この境目に今あるというふうに思うんですね。  だからこそ、私は、官僚OBの方も含めて、役員報酬の個別化というのは、これは必要じゃないかと思うんですけれども、大臣、改めていかがでしょうか。
  151. 森まさこ

    ○森国務大臣 先ほどの事務方の答弁のとおり、改正法案においては、取締役の個人別の報酬等の内容について開示を義務づけることはしておりません。  これは、我が国における取締役の報酬等の額は、先ほどの答弁と同じでございますが、欧米と比べれば低い水準にある、また、プライバシーとのことでございまして、また、法務省の出身者が社外役員として就任した場合においても同様に当てはまるものと考えております。
  152. 藤野保史

    ○藤野委員 別に天下りがだめとかというわけではなくて、少子高齢化になってくる、人手不足だとおっしゃっているもとで、ちゃんとしっかりと透明性を持って働けるような仕組みをつくる上で、役員の報酬の個別開示が必要じゃないかということでありますから、そのプライバシーとか、全くかみ合わない答弁はやめていただいて、しっかり検討していただきたいというふうに思います。  次に、私は、全体として今回の会社法を一体どういうふうに考えるべきかということも御質問をさせていただきたいと思うんですね。  安倍政権は、この間、企業が世界で一番活動しやすい国というものを目指してきたと思うんです。この会社法改正案もその一環だというふうに思います。  配付資料の五を見ていただきたいと思うんですが、これは調査室の資料にも紹介されておりました、この法案にかかわる政府の大きな方針、二〇一四年の六月二十四日に閣議決定された日本再興戦略二〇一四であります。  ここの冒頭で、「コーポレートガバナンスの強化」というのがありまして、こういう文言があります。「日本企業の「稼ぐ力」、すなわち中長期的な収益性・生産性を高め、その果実を広く国民(家計)に均てんさせるには何が必要か。まずは、コーポレートガバナンスの強化により、経営者のマインドを変革し、グローバル水準のROEの達成等を一つの目安に、グローバル競争に打ち勝つ攻めの経営判断を後押しする仕組みを強化していくことが重要である。」こういう考え方といいますか、論立てといいますか、こういう発想でいわゆるコーポレートガバナンスの強化が位置づけられているということであります。  余談なんですけれども、ここにある、広く国民に均てんさせるというんですけれども、この均てんというのは、辞書によりますと、等しく利益に潤うことということらしいんですね。均てんのテンというのは霑で、難しいんですけれども、これも辞書で引くと、湿るとかぬれるとか、そして恩恵を及ぼすという意味もあるんですね。  経済の世界では、トリクルダウン論と均てん理論はほぼ同じ意味だというふうに言われております。  安倍総理は、アベノミクスはトリクルダウンだと言われるのは嫌われるんですね。違うと否定されるんですけれども、御自身は、二〇一二年、ちょっと国会議事録を調べてみましたら、政権復活以降、この均てんという言葉、最近も含めて五十回使われております。均てんしていくということは安倍総理自身がもう何度も使われているんですね、予算委員会も含め、本会議も含め。  ですから、こういう均てん理論というのが根本にあった上で、コーポレートガバナンスのまず第一として経営者のマインドを変えるんだ、だからコーポレートガバナンスだというわけですが、ただ、そこで挙げられているマインドを変える指標が私は問題だと思うんです。  ROEというのが挙がっておりまして、これはリターン・オン・エクイティー、いわゆる自己資本利益率であります。しかし、これは私はもう時代おくれだというふうに思うんですね。  ちょっと時間の関係で、配付資料を見ていただきたいと思うんですが、配付資料の六に、日経新聞を紹介させていただいております。  ことしの八月に、アメリカの経済団体、これは日本の経団連に当たりますけれども、ビジネス・ラウンドテーブルというところが、株主第一主義を見直すという宣言を発表いたしました。  私もちょっと驚いたんです。一九九七年以降、毎年必ずこのビジネス・ラウンドテーブルは、株主第一主義を掲げた宣言を二十年以上掲げてきたところなんですね。そこが今回初めてこれを見直しました。株主だけではなくて、顧客、従業員、サプライヤー、地域社会、株主という五つ、この五つの利害関係者全てに利益をもたらすことを企業の目的に据えました。これはどうしてかという理由については、時代に合わせて長期的視点に立った方針に転換したというふうに述べているんですね。  つまり、今法案が根本にあるといいますか、ROEですよね、株主、株価、こういうものを経営者のマインドとして優先させるんだ、こういう発想から、ROE、これを優先してやれとずっと二十年以上旗を振ってきたアメリカの財界がここにもう転換をして、そうじゃないんだ、五つのステークホルダー全部に利益をもたらす、それが経営なんだというふうに転換しているというのは、私は非常に重要だというふうに思っております。  この点で幾つかちょっと確認したいんですけれども、経産省に聞きたいんですが、二〇一七年三月に公表された調査で、日本企業と欧州企業で、いわゆるSDGsについての認知度あるいは定着度というのはどういうふうになっているでしょうか。
  153. 中原裕彦

    ○中原政府参考人 お答え申し上げます。  御質問の数字につきましては、二〇一七年三月に企業活力研究所が公表しました、社会課題、SDGs等の解決に向けた取組と国際機関、政府、産業界の連携のあり方に関する調査研究報告書におけるアンケート調査で示されたものであるというふうに認識をしております。  SDGs等の認知度につきましては、日本企業では、経営陣に定着していると回答した企業が二五・五%であるのに対しまして、欧州企業では六五・四%となっております。また、SDGsを新たなビジネスオポチュニティーと捉えている割合につきましては、日本企業では三七・一%であるのに対しまして、欧州企業では六三・五%となってございます。
  154. 藤野保史

    ○藤野委員 SDGsというのは、持続可能な開発目標という国連の目標でありまして、二〇一五年に定められました。これは、十七の目標と百六十九のターゲットから構成されておりまして、誰一人として取り残さない、リーブ・ノー・ワン・ビハインドというものを理念としておりまして、既に企業活動にも今大きな影響を与えております。  二〇一七年のG20では、首脳宣言にこうした考え方が盛り込まれまして、それ以降ずっと続いておりますし、既にフランスなどでは、法律で、こういうSDGsを企業に法的義務を課すものまで生まれているということであります。逆にそれが何か制約になっているということではなくて、新しいビジネスチャンスになっている。アマゾンとか、今、GAFAと言われる企業は、こうした分野に今非常に力を入れて新たな商品開発を進めているという状況になっているわけであります。  しかし、今答弁いただいたように、日本の経営者の場合はこの認知度が欧州の経営陣の半分以下でありますし、同じ調査では、中間管理職の認知度は、欧州もそんなに高くなくて一五%なんですけれども、日本はもっと少なくて三%なんですね。  ですから、企業のビジネスの最前線である中間管理職とかそういう人には全くそれがビジネスチャンスとして捉えられていないという現状でありまして、私は、その経営者のマインドを変えるというのであれば、今やもうROEとかではなくて、こういうSDGsなどをむしろ経営者やあるいは働く人のマインドにしっかりと据えてもらうというのが必要じゃないかと思うんです。  特に、経営陣でいえば社外取締役、この方々は、取締役と同じ発想ではなくて、やはりより中長期的な視点でその会社にコミットしていくということが求められると思うんです。  ところが、実態はどうか。  法務省にお聞きしたいんですが、法務省、ストックオプションの付与対象者の中で社外取締役等に対する割合は、近年どういうふうになっていますでしょうか。
  155. 小出邦夫

    ○小出政府参考人 お答えいたします。  法務当局におきまして、ストックオプションの付与対象者のうち社外取締役が占める割合については把握しておりませんが、東京証券取引所が公開しております東証上場会社コーポレート・ガバナンス白書二〇一九によりますと、二〇一八年においてストックオプション制度を導入している会社のうち、社外取締役ストックオプションを付与している会社の割合は、監査役会設置会社において二三・七%、監査委員会設置会社において二七・三%、指名委員会等設置会社において三八・七%であると報告されております。
  156. 藤野保史

    ○藤野委員 私が聞いたのは推移なんですけれども、推移をちょっと答えてもらえますか。
  157. 小出邦夫

    ○小出政府参考人 推移につきましては、大きな変更はないというふうに認識しております。
  158. 藤野保史

    ○藤野委員 先ほどの調査室の資料でちょっと確認してもらえますか。
  159. 松島みどり

    松島委員長 速記をとめてください。     〔速記中止〕
  160. 松島みどり

    松島委員長 では、起こしてください。
  161. 小出邦夫

    ○小出政府参考人 監査役会設置会社でストックオプションの付与対象者のうち、社外取締役が占めるものの割合を推移を見ますと、二〇一四年が一八・四%、二〇一六年が二三%、二〇一八年が二三・七%というふうになっております。  また、監査委員会設置会社におきましては、二〇一六年が二五・四%、二〇一八年が二七・三%。  また、指名委員会等設置会社におきましては、二〇一二年が五〇・〇%、二〇一四年が四〇・七%、二〇一六年が二九・四%、二〇一八年が三八・七%となっております。
  162. 藤野保史

    ○藤野委員 指名委員会等設置会社というのは、もともと最先端なあれですからちょっとあれなんですが、監査役会設置会社や監査委員会設置会社では、この間、ちょっとずつですけれども、ふえてきているんですね。社外取締役なんだけれども、ストックオプションをもらっている。  こうなりますと、既に四人に一人ということになりますので、多いところでは四割がストックオプション付与対象の社外取締役ということになりまして、大臣にお聞きしたいんですが、これですと、やはりROEの視点とか株価の視点というのに社外取締役までがなってしまう。ですから、やはりこれはまずいんじゃないかと思うんですね。  この点そのものについて、大臣、どのようにお感じでしょうか。
  163. 松島みどり

    松島委員長 では、小出局長、簡単に。
  164. 小出邦夫

    ○小出政府参考人 どのような報酬の種類を与えるか、各社の政策だと思いますが、先ほど申し上げた数字を見ましても、社外取締役ストックオプションを付与されている割合より社内取締役の方が高いということでございますので、その点ではやはり差があるものと考えております。
  165. 藤野保史

    ○藤野委員 そんなことで手を挙げないでほしいんですよ。私が聞いているのは、社外取締役でふえて、四人に一人になっているということなんですよ。  大臣にお聞きしたいんですが、日本経団連というのは、二〇〇四年二月にCSR推進に当たっての考え方を発表しているんですね。同時に、CSRの取組というのは、官主導ではなく民間の自主的取組で進められるべきだ、CSRの規格化や法制化に反対というのを打ち出したんですね、このとき。  片や欧州というのはどうかといいますと、そのCSRなどについて、EU指令や政策パッケージをまさに出して政策的に推進してきた、総合的に推進してきたということなんですね。最近のダボス会議でも、世界経済フォーラムでも、グローバル百と言われる持続可能な百社のうち、五十社以上がもう欧州なんですよ。  ですから、そういう意味でも、やはり何か民間でやっていれば済むんですみたいなことはもうだめだというのは、この十数年間の取組が示しているというふうに思うんです。やはり政治政策としてしっかりとイニシアチブを進めていく、大臣、これが求められると思うんですけれども、いかがでしょうか。
  166. 森まさこ

    ○森国務大臣 SDGsやCSRについて御指摘がございました。  世界的にSDGsが高い関心を集める中で、我が国の企業においてもSDGsの達成に向けた取組は拡大しつつあるものと承知しております。  持続可能な社会の実現のための目標にどのように取り組むかは各企業それぞれの判断によるべきと考えておりますが、持続可能な社会の実現は、企業が持続的に成長し、その企業価値を中長期的に向上させるための素地となるものでありますから、企業が積極的にSDGsの達成に向けた取組を行うことについては、積極的に評価をしてまいりたいと思います。  今後も、我が国の企業によるSDGsの達成に向けた取組の状況を引き続き注視をし、関係団体や関係省庁とも連携して、必要な検討をしてまいりたいと思います。
  167. 藤野保史

    ○藤野委員 もう終わりますけれども、やはりこの十数年、そういう民主導でやってきたんです。私も別にそれを否定しませんけれども、しかし、こういうやはりモーメントが変わっていくようなときは、しっかり政策が総合的に見通しを持ってやらなければ進まないし、それが、こういうまさにSDGsのような取組に求められている。  今回、会社法にはそういう視点が全くない、これではやはり企業の健全な発展につながらないということを指摘して、質問を終わります。
  168. 松島みどり

    松島委員長 次に、串田誠一さん。
  169. 串田誠一

    ○串田委員 日本維新の会の串田誠一でございます。  まず最初に、森法務大臣にお聞きをしたいんですが、今回、内閣提出法案が与野党の修正というような形で提出をされたわけですけれども、法務大臣としてはどのようなお気持ちなのかをまずお聞きしたいと思います。
  170. 森まさこ

    ○森国務大臣 国会での議論についてですけれども、今回の提出法案については、串田委員を始め、さまざまな御指摘をされて、最終的に与野党から修正の提案がなされたわけでございますので、法務省としても重く受けとめております。
  171. 串田誠一

    ○串田委員 委員会の質疑がこういうような形で前進していくというようなことで、大変、私としても、こういう質疑をしていくかいがあるなというふうに思っております。  そういう観点から、今回、動議を提出した会派として責任もしっかりあるものですから、そういう意味で、他の委員の方からの質問に関して、ちょっと気になることがあるので、小出局長に確認をさせていただきたいと思うんですけれども、三百四条には「この限りでない。」と書いてあるんですね。三百五条には「適用しない。」というふうに書いてある。  三百四条は修正されたとしても、三百五条は改正が残るということですので、非常に責任を持たないといけないと思いまして、質問させていただくんですが、今までの委員の質問の中には、拒絶することができるという前提で質問されていらっしゃったんですね。これは質問しやすいからそういう言い方をしているんだと思うんですけれども、法文は、正確に言うと、「この限りでない。」となっているわけです。三百四条の「この限りでない。」、三百五条の「適用しない。」、これは法律的にはどういう効果をもたらしているんでしょうか。
  172. 小出邦夫

    ○小出政府参考人 お答えいたします。  いずれにいたしましても、どちらの条文、表現は違いますけれども、株主が提案することができるという権利を定めたところの、その限りではない、あるいは、これは適用しないということでございますので、会社においてそれを、株主の提案を拒絶することができるというふうに法律的には読むということだと思います。
  173. 串田誠一

    ○串田委員 今、最後がまたちょっと気になるんですけれども、拒絶することができるというのは、拒絶しなくてもよいという読み方ができるわけですね。その前半まではずっと、適用しないとおっしゃられたわけですよ。適用しないということは、請求することができない。  請求することができないというのを、会社側が任意に請求を認めてよいというふうに読むのかという質問なんですが、この三百四条の中には、「法令又は定款に違反する場合」となっているわけです。法令とか定款に違反する場合も、会社としては、その請求を認めることができるというふうに読んでいいんでしょうか。「この限りでない。」と書いてある以上は、できないというふうに読むのではないかと思うんですけれども、その点、明確にしていただきたいんです。
  174. 小出邦夫

    ○小出政府参考人 お答えいたします。  法令又は定款に違反する株主提案がされた場合に、それにどういう対応をするかということは、会社側、取締役の善管注意義務に係ってくることでございますので、提案の内容によっては拒絶しなければならないというような場合もあり得るかというふうに思います。
  175. 串田誠一

    ○串田委員 それは後でまた聞きますが、三百五条は今度、適用しないとなっているんですね。適用しないということは、その前の条文は請求することができると書いてあるんです。請求することができるという条文を適用しないということは、請求することができないというふうに読むと思うんですが、こういう読み方で正しいでしょうか。
  176. 小出邦夫

    ○小出政府参考人 お答えします。  請求することができるという規定を適用しないということでございますので、請求を拒絶することができるというふうに解するということだと思います。
  177. 串田誠一

    ○串田委員 また最後がちょっとわからないので。  拒絶することができるということは、拒絶しなくてもよいということなんですか。適用しないと書いてあることは適用できないんでしょう。ということは、拒絶しなきゃいけないんじゃないかと、条文上はそういうふうに読めるんですけれども、そうじゃないんですか。適用しないと書いてあるんですよ。
  178. 小出邦夫

    ○小出政府参考人 お答えします。  請求することができるということを否定しているわけでございますので、会社においてその請求を拒絶することができる、会社においてその請求を拒絶しないこともできるということだと思います。
  179. 串田誠一

    ○串田委員 ちょっと、日本語としてはそう読まないんじゃないかと思うんですよ。適用しないんですよ。できるという規定を適用しないんだったら、できないんじゃないんですか、日本語として。  何でこんな質問をしているかというと、先ほどほかの委員の方から、十を超えたときに、一人の株主からは採用してよくて、もう一人は採用してはいけないというようなことはできるんですかということに対して、小出局長は、株主平等の原則からそれはできないという答えだったんです。  ということは、十を超えてもできる場合があることを前提にした回答のように読めたものだから、これを読むと、十を超えた場合には適用しないと書いてあるので、適用しないということは、前三項は入れられないんでしょう。請求できないんじゃないですか。どうでしょう。
  180. 小出邦夫

    ○小出政府参考人 申しわけございません。同じ答えになってしまいますけれども、請求された場合に、十を超える請求があった場合にそれを拒絶することができるという規定でございまして、ただ、そのとき、別の法理で、株主平等の原則に反するような扱いはできないということでございます。
  181. 串田誠一

    ○串田委員 それだったら、適用しないことができると書いた方が明確だと思うんですよ。適用しないと書いてあるんだったら、適用できないんですよ、普通、日本語として。というふうに私は思うんですが。  これを質問している趣旨というのは、最初、三百四条に権利の濫用条項を明文化するものを入れようとしていたと。これは今後、将来、また考えているというお話だったんですね。  権利の濫用というのは、御存じのように、権利がある、権利があるんだけれども、今回その権利を認めることはできないという意味で、権利があるわけですよね。ところが、ここにそれを入れてしまった場合、法令又は定款に違反した場合というのは、これはできないということになるんだと思うんです。そうすると、権利の濫用を明文化してここに入れるということは、権利がないことになるわけですよ。  そして、権利の濫用を認めるというのは、裁判例でもう御存じのように、大変苦渋の決断で裁判所が行うわけで、伝家の宝刀と言われているわけですから。非常に総合的な判断をしなきゃいけない、その中で苦渋の決断をしていくということですから。  例えばそこに、困惑という言葉が判例にあったとしても、困惑という単純な、国語辞典で調べているだけではなくて、権利があるということを前提とした上で、いろいろな、人やバックボーンというものを考えた上で、今回は権利の濫用としてそれは認めないというときに、判決文として困惑という言葉を使ったかもしれないけれども、それを抜き出して困惑という言葉をここに入れてしまうと、権利の濫用という、本来あるべき権利が、この限りではないということとか適用しないというようなことになると、権利がないということを前提にしてしまうので、私は、非常に、これを明文化していくということは、かえって問題になっていくのではないだろうかと。  むしろ、そこは判例法理に従って、権利があるということを前提とした上で、いろいろな適用場面において、苦渋の決断において判断していってもらえればいいだけの話であって、明文化すると、ひとり歩きして、権利をなくしていってしまう方向になっていかないだろうかというようなことが懸念されるわけですね。  だから、文言としては、この限りでないとか適用しないというふうに書いてあるわけですから、本来は、今、小出局長の言い方であれば、この限りでないとか適用しないじゃなくて、適用しないこともできるとかというふうにしておかないと、条文上、日本語としては私はおかしいというふうに思うんです。  一方で、裁判所の事例に任せる場合というのが逆にある、法文化しない方がかえっていいという場合があると思うんです。  ちょっと質問の順番を変えますが、一方で、法文化しないと日本の企業や日本の活性化に非常に私は問題になるようなことになりはしないかということで、ここはしっかりと法文化について検討していただきたいというものが、経営判断原則というものなんですね。  そこで、きょうは、次に、経営判断原則についてお聞きをしたいんですが、経営判断原則というのはどういうものであるのか、説明をまずしていただいてから質問したいと思います。
  182. 小出邦夫

    ○小出政府参考人 お答えいたします。  経営判断原則とは、経営上の専門的判断をする取締役に相当程度の裁量を認め、当時の状況に照らして、経営判断の前提となった事実の認識、情報収集、調査分析等に不注意な誤りがなかったかどうか、また、その事実に基づく意思決定の過程や判断内容に著しく不合理なところがなかったかどうかという観点から審査し、そのような誤りや不合理がなければ、当該判断は取締役としての善管注意義務に違反するものではないとする考え方でございます。
  183. 串田誠一

    ○串田委員 今、質問通告もさせていただいている中で、今の経営判断原則というのは日本における経営判断原則だと思うんですが、これはアメリカの判例法からでき上がってきた考え方ですけれども、アメリカと日本との違いというのは、端的に言うと、どこが違ってくるでしょうか。
  184. 小出邦夫

    ○小出政府参考人 お答えいたします。  アメリカの州法上の経営判断原則は、裁判所は、取締役、会社間に利害対立がないこと及び取締役の意思決定過程に不合理がないことのみを審査し、判断内容の合理性には一切踏み込まないものである点で、先ほど申し上げました、我が国における経営判断原則とは異なるということでございます。
  185. 串田誠一

    ○串田委員 小出局長が最初に回答されたのは、判断内容というのもおっしゃられたものですから、これは日本の経営判断原則ということを言われたんだと思うんです。  要するに、今、取締役の責任問題、この会社法の改正にも、保険というようなものの保険料を会社が負担するというようなこともありますし、また、株主総会で取締役を追及するに当たっては、権利の濫用とかというような問題がある。  要するに、取締役がどこまで会社との関係で、あるいは第三者との関係で責任を持たなければいけないのかという観点の中で、アメリカは取締役の責任が発生する範囲が非常に狭い、逆に言えば、日本は取締役の責任が発生する範囲が広いという要約をさせていただくということで、小出局長、これは今の言い方で正しいでしょうか。
  186. 小出邦夫

    ○小出政府参考人 評価の問題になりますので、どちらがどうというふうな単純比較は難しいと思いますけれども、先ほど申し上げましたとおり、日本における経営判断原則、これは判例とかでもとられている考え方ですが、それは判断内容に踏み込む。他方、アメリカの経営判断原則は手続的なことを見るということで、その違いはございますが、どちらが甘い、どちらが辛いとは、一概にはちょっと申し上げられないところでございます。
  187. 串田誠一

    ○串田委員 アメリカは、経営判断原則で責任を負う率というのは極めて低いというふうに言われているんです。  日本は、平成五年の改正で、株主代表訴訟の印紙代が、今、これは経済的なものでないという基準で、一万三千円という印紙代がもう確立されたというようなこととか、あと、会社の会計帳簿の閲覧要求が、発行済み株式総数が以前は十分の一だったのが百分の三になるとか、非常に、会計帳簿の閲覧が、前は十分の一だったのが百分の三になったということで、証拠も非常に収集しやすくなったということで、これで急に、平成五年を境にして取締役の責任追及というのがふえたというふうに言われているわけです。  そういう中で、保険を会社が負担するんだとか、あるいは株主総会の議案提案権を制限するんだという方向性というのはわからなくはないんだけれども、原点に立ち戻っていただいて、取締役がどこまで責任を負うのかということを、諸外国を比べて検討していただきたいということなんです。  なぜかといいますと、アメリカの場合には、取締役がチャレンジしていけるんですね、新規の事業に。そのときのその結果に対して、会社に損害を発生してしまう場合があるんですよ。しかし、取締役としては、チャレンジをしていくことによって、時には世界に先駆けた事業、発明が成立することもあるわけです。  これを、損害が発生したときに取締役が責任を負うんだという考え方を前提とした上で、保険金だとか株主総会とか、そういうようなことで、やはり取締役が責任を負うんだという今の状況を維持していけば、取締役というのはやはり萎縮していくわけですよ。新しいチャレンジをしていこうというふうには思わない。  日本が今企業が非常に停滞しているというのは、アメリカとかほかの国もそうですけれども、今、特許は中国も非常に多いですが、取締役が新しい事業にチャレンジしていっても責任を負わされないんだ、結果的には会社に損害が発生したとしても責任は負わされないんだというような理論というのは、これは日米で完全に分かれているわけですね。  経営判断原則は、アメリカの場合には決定過程までしか裁判所は判断しないのに対して、日本は決定判断の内容にまで判断をしてしまうものですから、損害が発生したときに、このような形で取締役がターゲットになってしまう。だったらば、無難にやっていこう、無難にやっていこうということで、新規の事業にチャレンジしていかないというようなことになるんですね。  では、それを裁判所の判例法理でできるかというと、裁判所の今の取締役の条文解釈からすれば、委任の規定ですから、善管注意義務とあとは忠実義務というのは、これは御存じのように、判例では変わりがないんだという判断となってしまっていて、そして、そこから判断内容までこれは判断せざるを得ないというのが今の裁判所の考え方のように私は思うんですが、小出民事局長、アメリカのように、判断内容は判断しないで、判断結果だけまでしか判断しないんだというようなアメリカのような経営判断原則というのは、判例からしてこれは導くことが可能なのかどうか、ちょっとお答えいただきたいと思います。
  188. 小出邦夫

    ○小出政府参考人 取締役が中長期的な企業価値の向上の機会を逃さずに果断な経営判断を適切に行っていくこと、これは我が国の株式会社の国際競争力を高めるために非常に重要であると認識しておりまして、今回の改正法にございます会社補償の規定、あるいはDアンドO保険の規定、これも取締役の果断な経営判断を助けるものでございますし、また、優秀な人材を確保するということからも有用な制度と思っております。  経営判断原則でございますが、先ほど、我が国における経営判断原則を御紹介させていただきましたけれども、これがアメリカの経営判断原則と比較して、取締役が経営判断をしたその内容に立ち入らずに取締役の責任の判断、これをすることを導くことができるかどうか、これは非常に難しい問題でございまして、また引き続き研究させていただきたいと思いますけれども、やはりこの経営判断の原則に関する規定を設けることか、あるいは、アメリカにおける経営判断原則、それがどういう事例に適用されて、どういう結果を導いているのか、また、それが日本の会社経営に関してどのような点でマッチする部分があるのかとか、今の会社経営の実情に照らしてどのような評価を受けるかということについては、今後とも研究してまいりたいというふうに考えております。
  189. 串田誠一

    ○串田委員 日本は先例主義というのもありますし、日本がずっと積み重ねてきた経営判断原則というのは、アメリカから導入したのは間違いないんですけれども、日本の民法の考え方というのが忠実義務違反からスタートしてしまうために、経営判断の内容までも判断の対象にしていくというのが先例としてずっと積み重なってきているんですよ。これを突如として変えるというのは、私としては、司法にそれを委ねるというのはちょっと酷なんじゃないかなと。これはやはり立法の過程の中で、アメリカとか中国と伍していかなければならないときには、日本の企業もまた積極的なチャレンジというものを認めていくというような法改正というのも必要なんじゃないかというふうに思っているんです。  そういうことをしていく過程の中で、取締役の責任問題、保険料を会社が負担するのがいいのか、株主総会で議案提案権を狭めた方がいいのかというのは、私はすごくびほう策な感じがして、もっと根本的に、取締役の責任というのはどこまで認めたらいいのかということを、判例法だけではなくて、立法の過程の中からやっていかないと、日本の企業がこれから新しい事業にチャレンジしていくというようなことを私はどんどん進めていただきたいという過程の中では、現在の日本の経営判断原則というのはアメリカと比べれば取締役に対して少し酷で、そして臆病になり、無難なところへと行ってしまうという法体系であるということをぜひとも認識をしていただきたいと思います。  次に、時間の関係で大臣に、コーポレートガバナンスというのが非常に重要だと思うんですが、なぜ重要なんでしょうか。
  190. 森まさこ

    ○森国務大臣 コーポレートガバナンスは企業統治とも訳されるわけでございますが、会社の業務を執行する役員が、株主その他の利害関係人の立場を踏まえた上で、透明、公正かつ迅速果断な意思決定を行うための仕組みを意味するものと考えております。  コーポレートガバナンスがなぜ重要かと申しますのは、その向上が企業の持続的な成長及び中長期的な企業価値の向上に資するものであるから重要であると考えております。
  191. 串田誠一

    ○串田委員 御指摘の部分はもう間違いないと思うんですが、一方、日本の企業に海外からも投資をしてもらいたい、国内からも投資をしてもらいたいという場合には、やはりその株式会社が、非常にガバナンスがしっかりしているんだ、安心できるんだ、そして株主のいろいろな問題に関しても追及する権限というものがしっかり与えられているんだということが大事なんじゃないかなと思います。  そういう意味で、株主総会に関する議案提案権というのが問題とありましたが、一般的には株主総会というのは数時間、一時間以内というのが非常に多いようですし、わずか一日の問題なんですよ。ですから、例えば困惑されようが何されようが、とにかく株主からの意見はちゃんと制限せずに聞くんだ、それが日本の企業なんだ、だからぜひとも投資をしてくださいというようなことが私は大事なんじゃないかなと。株主になったとしても、提案権も制限されている、困惑させちゃいけない、やはりそういうようなことをやっていると、日本の企業としての魅力というものが私はなくなってしまうんじゃないかなと思いますので、今回、勇断、与野党ともに、非常に、この修正決議に関して、日本の企業、将来のことを思って修正を提案していただいた。それを受け入れていただいた大臣に大変敬意を表したいと思うんです。  もう一つだけ。  今、コーポレートガバナンスというのがありましたが、省庁もそうですし、民間企業もそうなんですが、長年にわたっていろいろな問題があるのに、なかなか表に出ないというのは、内部告発が非常に足りないんじゃないかと。大臣も、内部統制システムという話がありましたが、内部告発がしやすいようなコーポレートガバナンスというものが法律上の中には何一つ書かれていないんですけれども、内部告発を非常にしやすくするようなコーポレートガバナンスへの法改正、これについていかがお考えでしょうか。
  192. 森まさこ

    ○森国務大臣 委員の御質問、内部統制システム、内部通報制度に関するものと理解をいたしますけれども、大会社等においては、いわゆる内部統制システムを決定しなければならないということにされております。  内部統制システムを構成する体制には、取締役及び使用人等の職務の執行が法令及び定款に適合することを確保するための体制、すなわち、法令等遵守体制が含まれます。  そして、この法令等遵守体制としては、例えば、会社法、会社の業務に関係する法令について、取締役及び使用人に教育を実施したり、内部監査部門による監査を行うことのほか、委員御指摘のような内部通報制度を整備することも含まれると考えております。  内部通報制度は、社内に隠蔽されがちな企業不祥事を取締役等が早期に把握し、これを是正することにより、会社の損失を回避させるという重要な機能を有しております。  そして、内部通報制度を実効的に機能させるためには、委員御指摘のとおり、従業員等が不利益をこうむる危険を懸念することなく通報することができ、通報された情報等が、客観的に検証され、適切に活用されるような体制整備を行うことが必要であると考えております。
  193. 串田誠一

    ○串田委員 修正協議も調いまして、大変気持ちよく終わることができました。  ありがとうございました。
  194. 松島みどり

    ○松島委員長 これにて両案及び両修正案に対する質疑は終局いたしました。     ―――――――――――――
  195. 松島みどり

    ○松島委員長 これより両案及び両修正案を一括して討論に入ります。  討論の申出がありますので、これを許します。藤野保史さん。
  196. 藤野保史

    ○藤野委員 私は、日本共産党を代表して、会社法改正案の修正案に賛成、政府原案に反対の討論を行います。  反対する理由の第一は、原案が、株主提案権について、提案数、提案内容の双方で権利を制限するものとなっている点です。  参考人質疑では、株主提案権が濫用されているという立法事実は極めて脆弱だとの指摘が相次ぎました。そもそも、仮に濫用のおそれがあるとしても、株主総会の活性化の観点から、株主提案権などの少数株主権を強化する方が大事であるというのが一九八一年に株主提案権が導入された立法趣旨です。森大臣も、その趣旨は今も変わらないと答弁されました。濫用のおそれを理由に株主提案権の制限を行うことは、この立法趣旨を没却するものです。  関電、東芝、日産など、日本を代表する企業で重大な不祥事が相次ぎ、社外取締役や監査役などが役割を果たせない中、会社の健全な発展にとって、株主との対話の重要性はむしろ高まっています。株主提案権は、制限するのではなく、拡大すべきです。  第二に、原案は、ストックオプションなど、業績連動型報酬の要件緩和で経営者を優遇する一方で、報酬の個別開示を見送るなど、透明化の措置が極めて不十分です。しかも、経営者が経営に失敗して会社に多額の損害を与えた場合、本来経営者が負担すべき訴訟費用や賠償金を会社に負担させる会社補償制度、DアンドO保険を法制化しようとしています。これらは、ROEや株価など、短期的なもうけを重視する傾向を助長し、経営者のモラルハザードに拍車をかけることにつながるものです。  最後に、ことし八月、米国の主要企業が加盟するビジネス・ラウンドテーブルが、二十年以上にわたって掲げてきた株主第一主義を見直すという宣言を行いました。世界でも、顧客、従業員、サプライヤー、地域社会、そして株主など利害関係者全てを重視する経営が大きな流れになっています。  ところが、原案は、いまだに株主第一主義にとらわれた内容です。これは、日本企業の健全な発展に逆行するものです。政府が進めてきたコーポレートガバナンス改革全体の真摯な検証を行うべきです。  なお、修正案は、株主提案権の内容面での制限につながる規定を削除するものであり、賛成とし、討論を終わります。
  197. 松島みどり

    ○松島委員長 これにて討論は終局いたしました。     ―――――――――――――
  198. 松島みどり

    ○松島委員長 これより採決に入ります。  初めに、内閣提出、会社法の一部を改正する法律案及びこれに対する修正案について採決いたします。  まず、越智隆雄さん外四名提出の修正案について採決いたします。  本修正案に賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕
  199. 松島みどり

    ○松島委員長 起立総員。よって、本修正案は可決いたしました。  次に、ただいま可決いたしました修正部分を除く原案について採決いたします。  これに賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕
  200. 松島みどり

    ○松島委員長 起立多数。よって、本案は修正議決すべきものと決しました。  次に、内閣提出、会社法の一部を改正する法律の施行に伴う関係法律の整備等に関する法律案及びこれに対する修正案について採決いたします。  まず、越智隆雄さん外四名提出の修正案について採決いたします。  本修正案に賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕
  201. 松島みどり

    ○松島委員長 起立総員。よって、本修正案は可決いたしました。  次に、ただいま可決いたしました修正部分を除く原案について採決いたします。  これに賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕
  202. 松島みどり

    ○松島委員長 起立多数。よって、本案は修正議決すべきものと決しました。  お諮りいたします。  ただいま議決いたしました両法律案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  203. 松島みどり

    ○松島委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。     ―――――――――――――     〔報告書は附録に掲載〕     ―――――――――――――
  204. 松島みどり

    ○松島委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。     午後三時三十六分散会