○川島
参考人 おはようございます。楽天ソシオビジネスの川島と申します。
本日は、本会にお招きいただきまして、まことにありがとうございます。また、
参考人として発表の機会をいただきましたことに感謝申し上げます。
それでは、お手元に資料を御用意しておりますので、そちらに沿ってお話をさせていただきたいと思います。
弊社楽天ソシオビジネスは、二〇〇七年十二月五日に楽天の特例子会社という形で設立されました。現在、拠点の方は、
東京、仙台、大阪、大田区の森ケ崎、また磐田市の磐田工場がございます。従業員数が、こちらは四月現在になっておりますが、二百四名、雇用率が二・二八%となっております。
私たちの会社の理念という形で、特例子会社を設立するに当たって楽天の三木谷と約束したことが二点ございます。一つが、障害者雇用を推進し、
社会に貢献できる企業として成長すること、もう一つは、障害のある方に成長の機会を提供し、その結果、事業としての成功を果たすこと。
私自身、楽天ソシオビジネスが設立したときに、一般のプロパーで入っております。プロパーで、私自身が足に障害を持っておりまして、障害者雇用で働くのが初めてだったんですね。実際に入ってみて驚いたことがたくさんございまして、いろいろ役職を経て現在
役員としてやっているんですが、この中で、もうちょっと障害者雇用を変えていかなければいけないのではないか、どうして障害者と健常者の間に壁があるんだろう、差別があるんだろう、活躍機会がなぜないんだろうという疑問を感じながらこの十二年やってきました。
社員構成なんですが、障害者の方が中心となっております。障害者が七七%、健常者が二三%。障害の種別が身体、知的、
精神、近年では
精神の方々の雇用を促進しておりまして、今現在だと四〇%を超えております。
男女比で見ますと、IT企業はやはり男性の人気がございまして、男性の
社員が多いです。
雇用形態ですが、正
社員、パート、契約
社員となっておりますが、
基本的に全員正
社員にするということが私たちの目標です。契約
社員という形でいるのが、トライアル採用ですね。トライアル採用を使っております。半年間のトライアルを経て契約
社員となり、パート、正
社員という形になっております。
続きまして、従業員数の推移となります。こちらは二〇〇八年からカウントをとっておりますが、純増して二〇一八年には百七十九人、この一年でかなり人数がふえてきております。
雇用率ですが、二〇一八年に雇用率が二・二%になったときに、私たちもなかなか今採用が追いつかないという状況で、一旦落としております。
私たちの会社は、二〇一二年から黒字を達成しております。というのも、今までずっと二〇一一年ぐらいまで、楽天から補填を受けてやっておりました。ただ、やはり障害者の方々の
給与を上げることができないとかさまざまな問題があり、楽天からの補填を切ることにしました。自力経営をしていこうということで、みんなで一致団結して新たな仕事を獲得し、自分たちで経営をやっていこうという方針に変えていきました。そこから、みんながモチベーションを上げ、自分たちのスキルを高め、今現在に至っております。二〇一八年では十一億を達成する企業へと成長してきております。
具体的なところでいきますと、七ページになります。
オフィス環境、こちらにつきましては、私たち独自で経営はしていますが、親会社の楽天がとても理解があります。私たちが困っていることに関しては、オフィス環境を含め、さまざまなところで改善をしてきております。
二〇一五年に二子玉川に移転する際、オフィスの方も私たち障害者の方々が仕事をしやすい環境といったところをつくっていただいております。
視覚障害につきましては、点字ディ
スプレーを入れたり、読み上げソフトを入れたり、拡大鏡を入れたり、あとは、二階の
エレベーターホールですね。普通のビルになりますと、ビルの入り口までは点字ブロックがあるんですが、中に入るとなかなか点字ブロックがございません。ここを楽天の方に交渉し、点字ブロックを
エレベーターの前まで引いていただきました。
また、聴覚障害につきましては、ブギーボードを貸出ししたり、あとは、朝礼、会議体とかは
手話通訳者を配置しております。上下肢につきましては、昼食のアテンドや
自動車通勤等をしております。
続きまして、業務
紹介になります。さまざまな方々が活躍しております。
私たちの会社は、身体の人は身体の仕事とか、
精神の人は
精神の仕事と、分けていないんですね。一つの仕事を切り分けして、みんなが仕事に携わっていくということをやりましょうということで、ウエブ制作をやっている
精神の方もいれば、知的の方もいます。
あとは、人事関係ですね。大体、人事の業務は外部に出している企業が大半なんですが、これを内製化しました。楽天の
社員にかかわる書類関係、入退社であったりとか社保であったり、そういった手続を全て私たちの会社で行っております。ここについても、
知的障害の方であったり、
精神の方も活躍をしております。
また、独自の事業といったところも行っておりまして、こちらが十三ページ、十四ページになります。
二子玉川に移転した際、
コンビニエンスストアを社内でつくることにしました。社内の決済は現金を使いません。Edyであったりカードが主流になっており、
知的障害の方でもレジ対応ができるようになっております。こういった面でも、さまざまな障害をお持ちの方が活躍することができるようになっております。
社内では、クリーニングの一次受け
サービスもあり、クリーニングの衣類にタグづけをする仕事につきましては
知的障害の方がやったり、レジ対応は
精神の方がやったりという形で、多岐にわたっております。
また、ファクトリー事業を、こちらも二〇一五年から開始しております。
植物工場を大田区の森ケ崎の方につくっておりまして、ここでは、重度の障害を持っている方が三名、また身体の方が二名という形で働いております。磐田工場につきましては、二〇一九年、
地方の障害者雇用をもうちょっと活性化したいという思いで、磐田市に工場をつくりました。こちらにつきましては、雇用人数は障害者十名を予定しており、現在採用活動を行っているところでございます。日産百八十
キロのレタスを楽天の
社員食堂の方に
納品しております。
続きまして、十五ページ、私たちの特徴といったところになります。どのように採用をしているのかといったところになります。
手帳種別に合わせ、専門の方々を配置しております。身体の方、知的の方、
精神の方、こちらのやはり理解といったところ、障害特性の理解がないと、採用もなかなか進めていくことが厳しいです。
すまいる採用につきましては、
知的障害の方。特別支援学校と連携をとり、就労支援機関とも連携をとり、マッチングの部分でお互いにミスをしないようにしております。アシスト&トレーニングチームは、
精神、
発達の方々の採用、ここに最近は力を入れております。
精神の方々の採用というのは、どこの企業もなかなか進んではいないんですが、ここをあえて挑戦しにいこうという形で、就労支援機関であったりそういったところと連携をとり、実習を経て、トライアル採用という形で三・五カ月ぐらい、お互い、当事者に関しては会社を知る、環境になれる、私たちは、その方々が働ける準備ができているのかどうか、その辺を見きわめながら本採用へと導いております。
また、入ればそれで終わりではなくて、その後、本人たちがいかに定着していくかといったところに力を置いております。
そこにつきましては、メンバーサポートチーム、ここは、専門の方々が
知的障害の方々のトレーニング、サポートを行っております。パソコンにつきましても、少しずつできるようにこちらの方がお手伝いをし、彼らの職域を広げております。
事務サポートチームにつきましては、
精神、
発達障害の方々。やはり、入るとなかなか安定はしないです。不安定なところをいかに安定に持っていくか。たび重なる面談を経て彼らに自信をつけていく、そんなようなサポートをしております。
社内環境につきましては、人的サポートです。障害者
職業生活相談員を配置しております。また、ジョブ
コーチ、
精神保健福祉士、そのほか、手話
技能検定につきましては管理者全員が取るようにして、
社員のサポート体制を行っております。
以上となります。このような形の特例子会社もあるという形で御認識いただけたらと思います。
本日はどうもありがとうございました。(拍手)