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2019-04-23 第198回国会 衆議院 文部科学委員会 11号 公式Web版

  1. 平成三十一年四月二十三日(火曜日)     午前九時開議  出席委員    委員長 亀岡 偉民君    理事 大塚  拓君 理事 神山 佐市君    理事 馳   浩君 理事 村井 英樹君    理事 義家 弘介君 理事 菊田真紀子君    理事 城井  崇君 理事 鰐淵 洋子君       青山 周平君    池田 佳隆君       小此木八郎君    尾身 朝子君       大串 正樹君    金子 俊平君       神谷  昇君    木村 次郎君       熊田 裕通君    佐々木 紀君       下村 博文君    白須賀貴樹君       杉田 水脈君    高木  啓君       中村 裕之君    根本 幸典君       福井  照君    船田  元君       船橋 利実君    古田 圭一君       宮内 秀樹君    宮崎 政久君       宮路 拓馬君    川内 博史君       中川 正春君    初鹿 明博君       村上 史好君    吉良 州司君       階   猛君    牧  義夫君       稲津  久君    中野 洋昌君       畑野 君枝君    串田 誠一君       吉川  元君    笠  浩史君     …………………………………    議員           階   猛君    文部科学大臣政務官    中村 裕之君    文部科学大臣政務官    兼内閣府大臣政務官    白須賀貴樹君    参考人    (一橋大学法学研究教授)            山本 和彦君    参考人    (弁護士法人三田パブリック法律事務所所長)    (弁護士)        三澤 英嗣君    参考人    (伊藤塾塾長)    (弁護士)        伊藤  真君    参考人    (早稲田大学大学院法務研究教授)        須網 隆夫君    文部科学委員会専門員   吉田 郁子君     ――――――――――――― 委員の異動 四月二十三日  辞任         補欠選任   池田 佳隆君     佐々木 紀君   上杉謙太郎君     金子 俊平君   小林 茂樹君     熊田 裕通君   宮川 典子君     船橋 利実君   八木 哲也君     宮崎 政久君   牧  義夫君     階   猛君   杉本 和巳君     串田 誠一君 同日  辞任         補欠選任   金子 俊平君     木村 次郎君   熊田 裕通君     神谷  昇君   佐々木 紀君     杉田 水脈君   船橋 利実君     宮川 典子君   宮崎 政久君     八木 哲也君   階   猛君     牧  義夫君   串田 誠一君     杉本 和巳君 同日  辞任         補欠選任   神谷  昇君     小林 茂樹君   木村 次郎君     上杉謙太郎君   杉田 水脈君     池田 佳隆君     ――――――――――――― 四月十八日  司法試験法等の一部を改正する等の法律案(階猛君外二名提出、衆法第五号) は本委員会に付託された。     ――――――――――――― 本日の会議に付した案件  参考人出頭要求に関する件  法科大学院の教育司法試験等との連携等に関する法律等の一部を改正する法律案(内閣提出第四五号)  司法試験法等の一部を改正する等の法律案(階猛君外二名提出、衆法第五号)      ――――◇―――――
  2. 亀岡偉民

    ○亀岡委員長 これより会議を開きます。  階猛君外二名提出、司法試験法等の一部を改正する等の法律案を議題といたします。  趣旨の説明を聴取いたします。階猛君。     ―――――――――――――  司法試験法等の一部を改正する等の法律案     〔本号末尾に掲載〕     ―――――――――――――
  3. 階猛

    ○階議員 国民民主党の階猛です。  ただいま議題となりました法律案につきまして、提出者を代表して、趣旨及び内容について御説明を申し上げます。  現行の司法試験は、受験資格を法科大学院修了者及び司法試験予備試験合格者に限定しているため、法曹資格を得るまでの時間的、経済的負担が大きくなっており、その結果、法曹志望者が減少し、すぐれた資質等を有する法曹の確保が困難となっております。政府は平成三十年度までを集中改革期間としてきましたが、法曹志望者数はなお減少しております。  本法律案は、司法試験を広く受験しやすいものとするとともに、法曹の資質の維持向上を図るため、司法試験受験資格、方法及び試験科目並びに司法修習期間の見直し、弁護士への研修機会の提供等の措置等を講じようとするものであり、その主な内容は次のとおりであります。  第一に、司法試験法を改正し、司法試験受験資格及び受験期間制限を撤廃し、司法試験予備試験を廃止するとともに、司法試験の方法に口述試験を追加するほか、短答式及び論文式による筆記試験の試験科目等を変更すること等としております。  第二に、裁判所法を改正し、司法修習生の修習の期間を少なくとも一年二カ月間に延長することとしております。  第三に、弁護士法を改正し、弁護士会は、法科大学院等と連携しつつ、所属弁護士に対しその資質の維持向上に資する研修の機会の提供を行うとともに、所属弁護士等に係る情報その他の、そのサービスの利用を容易にするための情報の提供等に努めるものとする旨の規定を設けることとしております。  第四に、法科大学院の教育司法試験等との連携等に関する法律を廃止することとしております。  最後に、この法律は、一部の規定を除き、公布の日から起算して二年を超えない範囲内において政令で定める日から施行することとし、これに伴う必要な経過措置について定めるとともに、所要の規定の整備を行うこととしております。  以上が、本法律案の趣旨及び内容であります。  何とぞ、御審議の上、委員各位の御賛同をお願い申し上げます。
  4. 亀岡偉民

    ○亀岡委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。     ―――――――――――――
  5. 亀岡偉民

    ○亀岡委員長 この際、参考人出頭要求に関する件についてお諮りいたします。  本案審査のため、本日、参考人の出席を求め、意見を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  6. 亀岡偉民

    ○亀岡委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。     ―――――――――――――
  7. 亀岡偉民

    ○亀岡委員長 内閣提出、法科大学院の教育司法試験等との連携等に関する法律等の一部を改正する法律案及び階猛君外二名提出、司法試験法等の一部を改正する等の法律案の両案を一括して議題といたします。  これより質疑に入ります。  本日は、両案審査のため、参考人として、一橋大学法学研究教授山本和彦君、弁護士法人三田パブリック法律事務所所長・弁護士三澤英嗣君、伊藤塾塾長・弁護士伊藤真君及び早稲田大学大学院法務研究教授須網隆夫君、以上四名の方々に御出席をいただいております。  この際、参考人各位に一言御挨拶を申し上げます。  本日は、御多用のところ本委員会に御出席いただきまして、まことにありがとうございました。両案につきまして、それぞれのお立場から忌憚のない御意見をお聞かせいただき、審査の参考にいたしたいと存じますので、よろしくお願いいたします。  次に、議事の順序について申し上げます。  まず、参考人各位から一人十分以内で御意見をお述べいただき、その後、委員からの質疑に対してお答えをいただきたいと存じます。  なお、御発言の際はその都度委員長の許可を得て御発言くださいますようお願いいたします。また、参考人から委員に対して質疑をすることはできないこととなっておりますので、あらかじめ御了承ください。  それでは、まず山本参考人にお願いいたします。
  8. 山本和彦

    ○山本参考人 一橋大学の山本でございます。  本日は、法科大学院、司法試験制度の改正のあり方について意見を述べさせていただきます。  私は、現在、本務校で法科大学院長の職を務めておりますが、本日の意見は、中教審法科大学院等特別委員会の委員として審議に関与してきた立場、さらには、何よりも、十五年間にわたり法科大学院及び法学部において実際に教育に携わってきた一教員の立場から意見を申し述べさせていただきたいと思います。  法科大学院制度を総体として見るならば、司法制度改革審議会の意見書が提言した理念、すなわち、理論と実務を架橋した教育、少人数で多方向的、双方向的な密度の濃い教育、厳格な成績評価、修了認定といったものを実現し、制度改革時に期待されていたような法曹を養成してきたものと考えております。  実際、司法修習生や若手弁護士に多く接している法律家の方々のお話を伺えば、旧制度下の修習生等と比べても、判例、文献等の情報調査・分析能力が高いとか、コミュニケーション能力やプレゼンテーション能力にすぐれているとか、また、民法等の基本科目だけではなく先端的な法分野にも通じているなどの評価を受けてきているように思います。  例えば、私の専門分野である倒産法では、この十数年の間に、従来は破産管財人の人材が不足していたため破産手続の開始と同時に手続を終了していた同時破産廃止の事件が九割以上を占めていたのが、最近では六割弱まで減少をしておりますが、これは、全国に倒産法を勉強してきた法科大学院出身の弁護士が管財人の受皿として安定的に確保できるようになったことが一つの要因であり、まさに法科大学院教育の成果と言えるのではないかと思います。  また、私は原子力損害賠償のADRにもかかわっていましたが、原発事故直後、緊急にADRを発足させるため、多数の若手弁護士を調査官として起用する必要があるとの要請がありました。それに迅速に対応することができたのも、法科大学院制度において多数の若手の法律家が養成できていたことの成果ではないかと考えております。  また、とりわけ、多様なバックグラウンドを有する法曹の養成という点で、法科大学院の成果には大きなものがあったと思います。例えば、システムエンジニアを退職して未修者で一橋の法科大学院に入学し優秀な成績で弁護士になった学生が、現在はシステム開発契約などの分野で大活躍をしております。このような学生は、法科大学院という制度が仮になければ、なかなか法曹の道には踏み切れなかったように思われます。同様に、発展途上国における法整備支援に取り組むことを希望し、その希望を現に果たした学生や、弱い立場の人の味方になりたいと考え、現在は児童相談所に常勤弁護士として勤務している学生など、多くのユニークな人材を法科大学院は輩出できたのではないかと思っております。  もちろん、法科大学院教育にも問題がなかったわけではありません。私が見るところ、いわゆる既修者と未修者で問題状況は異なるように思いますが、既修者については、やはり法曹になるまでの時間が長くかかり、その間の経済的負担が余りにも大きいという問題があるように思います。現状のように、高校卒業から法曹資格の取得まで最短で八年近くを要するということでは、医師など他の専門職と比較しても、高校生などにとって十分な魅力がある進路とは映らないように思われます。  その意味で、今回の政府提出法案において提案されていますように、法科大学院と司法試験を連携させたプロセスとしての法曹養成の理念は堅持しながらも、それに要する期間を可及的に短縮する方途を一つのパッケージとして提示することは、法曹への道を考えている高校生や法学部の入学者に対して極めて大きなメッセージになり得るものと考えております。  現在、法学部入学当初の学生は、実際かなりの割合で法曹という進路に興味を持っているように思います。ただ、それらのうち、時間的、経済的に十分な余裕のない学生は、合格率四%の予備試験を目指すか、あるいは法曹を諦めるかという選択になっているように思われます。そこで、法曹コース及び法科大学院在学中の司法試験受験によって最短六年程度で法曹になることができる道が開かれるとすれば、相当数の有為な法学部生が真剣にそのような進路を考えるのではないかと思っております。  もちろん、そのためには学部段階からより効果的な教育を行う必要があり、法曹コースは相当濃密なものにならざるを得ません。ただ、私がゼミの学生等を見ている印象からすれば、そのような教育にも十分に対応できる学部学生が相当数いるように思います。そして、そのような形で法曹コースが実際に運用できれば、司法試験の在学中受験にも十分対応できるものと思われます。また、仮に司法試験が夏ごろに行われるとすれば、法科大学院三年の後期は臨床系の実務科目やそれぞれの学生の関心に即した先端科目を集中して履修することができるようになり、司法修習との架橋や、より多様な法曹の輩出という観点からもメリットがあるものと考えております。  以上のように、私自身は、今回の政府提出法案は法曹養成の現状を踏まえた現実的かつ妥当な方向のものであるというふうに認識をしております。法科大学院発足前の旧司法試験時代を知る私のような者にとって、やはりあの時代に戻すべきではないという思いが強くあります。もちろん、当時法曹資格を取られた方々の頑張りは大変評価すべきものと思っておりますが、その陰で、法曹への道を諦めた学生も多くいます。私のゼミ生などでも、頑張れば司法試験合格の可能性があると思う者でも、経済的な事情等がある学生に対して、当時二%の合格率しかない試験に向けて頑張ってみないかと声をかけることは、当時、教師としては到底できませんでした。今ならそれも可能でありますし、今回の改革により、このような道もあるからと、法曹への選択肢を勧めやすくなります。この違いはやはり大きなものがあると思っております。  今回の改正が実現したとしても、もちろん、それで法曹養成に関する問題が全て解決されるわけではありません。各法科大学院においては、教育のさらなる改善、充実を図っていく必要があることは当然であります。とりわけ重要であるのは、未修者教育の改善の問題であります。この点は、いわゆる共通到達度確認試験が本格実施されるところでありますが、引き続き、今期の中教審においても具体的な議論が必要になるものと思っております。  また、制度的な問題としては、やはり予備試験の問題について、将来的に検討の必要があると考えております。現在の予備試験の実情が制度当初想定されていたものとは大きく乖離していることは明らかであり、今回の改革によって時間的、経済的負担の問題が相当程度改善されていくとすれば、次の段階では、予備試験についても本来の制度趣旨に即した方向に向けた改革が期待されるところであります。  以上、甚だ雑駁なものでありましたが、法科大学院の教師の立場から意見を申し述べさせていただきました。法曹に向けた強い志や目的意識を持った学生に日常的に接している立場の人間としては、今回の改革が一日も早く実現し、希望にあふれた学生の夢がよりよく実現するとともに、プロセスとしての体系的教育を受けた法曹を多数社会に供給する役割をよりよく果たすことができればと考えております。  御清聴ありがとうございました。(拍手)
  9. 亀岡偉民

    ○亀岡委員長 ありがとうございました。  次に、三澤参考人にお願いいたします。
  10. 三澤英嗣

    ○三澤参考人 おはようございます。私は弁護士の三澤といいます。  本日は、このように大変貴重な機会を頂戴し、心より感謝申し上げます。  冒頭、簡単に私の立場をお話しさせていただきます。  私は、東京弁護士会が司法制度改革実現のために設置しました四つの都市型公設事務所のうちの一つであります三田パブリック法律事務所の所長をしております。  当事務所は、渋谷パブリック法律事務所を前身とし、一貫して法科大学院における法曹実務教育、特に臨床法学教育でありますリーガルクリニックという実務実践教育を行ってまいりました。当事務所の教育手法につきましては、本日配付しました東京弁護士会のLIBRAをごらんになってください。  さて、私はそのような立場から、昨年九月ごろから、政府が提出するであろうと想定されていましたこの法曹養成制度関連改革法案、特に在学中受験の導入について強く異議を唱えてまいりました。本日は、その立場から、本法案の問題点を強く御指摘したいと思います。  ちなみに、私の考えの詳細は、皆様のお手元に配付しております3+2+ギャップターム解消論(在学中受験)に関するメモと、それを形にした問題点一覧表に記載しておりますので、それらをごらんになっていただけますと助かります。  なお、そもそも法学部三年プラス法科大学院二年という法曹コースにおいて、法学部と法科大学院は十分な教育連携ができるかという、3+2自体が抱えている問題点もありますが、お時間の関係で、本法案の最大の問題点である在学中受験の問題点のうち、三つに絞ってお話しいたします。  まず第一の問題は、3+2が在学中受験が実施される前提できちっと議論されていないという点です。  在学中受験が実施されますと、法曹コースの場合は、3+2の教育プログラムだとうたいながら、実際は3+1の教育プログラムにならざるを得ません。となりますと、法科大学院に入学した学生は、入学した途端、翌年には司法試験受験が控えているという状況に置かれます。  このような状況の中で、法科大学院は学生に対して、入学後の一年間、いかなるカリキュラムを組んで授業実施するのでしょうか。入学した法科大学院生の立場に立てば、法科大学院の授業と定期試験にさらされながら、一年後に来る司法試験の受験への対策もすることになり、学生の負担感は非常に重くなります。  のみならず、本法案に関連し、司法試験の選択科目相当科目の履修義務まで課せられたために、学生の負担は尋常なものではありません。  ひっきょう、学生は司法試験受験に直結すると思われることしかできなくなり、これに符合するように、法科大学院側もいわゆる受験勉強の対策をするようになりかねません。  当事務所は、三田パブリーガルクリニックという教育手法をしており、学生三人と指導担当弁護士一名がチームを組んで、民事、刑事、行政、外国人等の生の事件にかかわり、みずからが学んでいる法律学が紛争解決事件にどのように活用されるのかを知り、さらにそれをみずからの学修にフィードバックすることを目指しており、やや手前みそになりますが、学生からの評価は極めて高いカリキュラムだと思っております。  しかし、在学中受験導入後は、恐らく誰もこれを受講しなくなると思われます。  実際、この五年間、当事務所は、慶応と中央の学生と一緒にリーガルクリニックを実施してきましたが、本来、法科大学院三年生を予定していたこのカリキュラムのところ、毎年三年生が減り、昨年は、慶応、中央二十八人参加中、二十七人が二年生という状態になりました。なぜ三年生ではなく二年生がこんなにふえているのかを学生に問うと、皆、口をそろえて、三年生になったら翌年の司法試験の準備をしなければなりませんから三年生で受講するのは無理ですと答えます。  ですので、在学中受験が導入されれば、今受講している二年生は、翌年司法試験が控えている以上、当事務所が実施しているようなリーガルクリニック教育を敬遠することになると思います。在学中受験導入は、実務系のカリキュラムにとっては極めて厳しいことになると思います。  なお、一部には、法科大学院三年の夏に在学中受験が実施されれば、むしろ受験が終わったという三年生が後期の授業でリーガルクリニック等の臨床系の科目をとるから心配要らないと言う方もいらっしゃいます。しかし、実際には、受験後、司法試験合格に手応えのある者は事務所訪問等の就職活動に時間を割き、他方、手応えを感じなかった者は翌年の司法試験に向けて試験勉強を始めることになると思われ、リーガルクリニックが充実するというには余りに楽観的に過ぎると思います。  次の問題点は、本法案の目的です。  やや誤解を恐れずに申し上げれば、本法案が狙いとしている真の目的、いわば裏の目的とでも申し上げた方がいいかもしれませんが、その目的は、3+2に加えて在学中受験を導入すれば、法学部四年生で予備試験合格するレベルの学生の層を法科大学院に取り込めるという狙いがあるという点です。つまり、法学部四年で予備試験に合格し翌年司法試験に合格するレベルの学生はトータル五年で司法試験に合格するわけですが、3+2+在学中受験は実質3+1+司法試験受験となりますので、そういう司法試験に早期合格するような学生が法科大学院に入学しやすくなるということです。  確かにその可能性は否定しませんが、他方で、予備試験に受験資格制限は全くありませんから、3+2の法曹コースで法科大学院に入学しても、法科大学院一年目で予備試験に合格してしまえば、それで司法試験受験資格を得られる以上、引き続き法科大学院に在学する可能性は高まると思えません。ですので、本法案は、今申し上げた裏の目的の実現も期待できないわけです。  最後に、本法案の手続的な問題点を御指摘したいと思います。  私は、昨年九月より、3+2+在学中受験の制度導入の情報をキャッチし、ここに同席している須網教授らとともに法務省や文科省を訪問し、3+2+在学中受験の制度設置は、関係者や有識者等の国民を交えた審議会等を設置して、多くの問題について平場でちゃんと議論すべきだというふうに申し上げてきました。  しかし、実際には、法務省も文科省も残念ながらそのような行動は全くとらず、中教審でも3+2+在学中受験について全く議論していません。中教審では、在学中受験が導入されカリキュラムへの影響があることがわかっていながら、五年一貫コースの議論しかしていなかったというふうに私は思います。極めて驚きです。しかも、現実にはまだ法案が成立していないのに、既に大学の一部では3+2+在学中へのカリキュラムの変更作業が進んでいるやに聞いております。  まとめに入りますが、司法制度改革は選挙制度改革と並ぶ平成史における大改革です。  司法制度改革は、法曹や研究者だけではなく、当時、経済界や労働界、さらには主婦連からの参加等、国民参加で広く議論され、その中で法科大学院制度は生まれました。法科大学院制度はそれだけ重要な制度なわけです。法科大学院を修了しなくても在学中受験ができる制度に変更するのであれば、司法制度改革審のような重量級の審議会ではなかったとしても、広く国民の意見を反映できるような会議体を設置し、そこで十分な国民的議論をして法案をまとめるべきだと思います。  これで私の意見陳述を終わります。  御清聴ありがとうございました。(拍手)
  11. 亀岡偉民

    ○亀岡委員長 ありがとうございました。  次に、伊藤参考人にお願いいたします。
  12. 伊藤真

    ○伊藤参考人 皆さん、おはようございます。伊藤真でございます。  私は、法曹養成に関して、多様性、開放性そして公平性、これが重要だと考えて、これまで三十八年間法曹養成に携わってまいりました。伊藤塾という塾、司法試験の受験指導校ですけれども、それを主宰しております。特に、多様な人材、他学部生や社会人、これらが法曹になれることが重要と考え、法科大学院制度ができる二十年ほど前から、他学部生、そしてまた社会人が法曹を目指せるシステムを構築してまいりました。  現在、私が主宰する伊藤塾では、社会人が約三割、他学部生が二割ほど法曹を目指して勉強しております。そして、中卒、高卒、専門学校卒業の方々も、予備試験ルートを通じて法律家になっております。合格後を考えるというコンセプトのもと、スタディツアーを実施したり、また、明日の法律家講座という講演会を毎月開催し、第一線で活躍をされている法曹、官僚、政治家の皆さんの話を聞く機会も設けております。  日本で一番長く深く法曹養成に携わっていた、現場で携わってきた、そんな人間と自負しておりますが、きょうは時間が限られておりますので、端的かつ率直に意見を述べたいと思っております。  何事にも建前と本音がございます。建前が必要なときもありますが、今回ばかりは本音で議論しなければ何も変わらないと考えております。失礼な物言いになることがあるかもしれませんが、御容赦ください。  まず、法科大学院制度、これは大学との関係でいえば、大学の生き残り策として生まれたものと認識しております。大学が司法試験予備校から学生を取り戻すことが目的だったのですが、それは失敗いたしました。  今回の政府案は、法科大学院の生き残り策であり、予備試験から法曹コースに学生を取り戻すことが目的だと認識しています。しかし、さきの失敗から何も学ばずにいるため、これも再度失敗することでありましょう。  制度、すなわち権力の力によって学生を動かそうとしても無理であります。学生はそこまで愚かではありません。どんな制度になろうと、一人一人の受験生は、自分の人生をかけて最適な道を選択いたします。それをとめることはできません。それをコントロールしようとすることは、上の立場からの思い上がりではないか、憲法価値である個人の尊重、これに反することとして許されないと考えます。もういいかげん、当事者である受験生を振り回すのはやめていただきたい、そう思います。  さて、現在の法曹養成制度、さまざまな問題を抱えていると認識しています。志願者の激減、それゆえに多様な人材を確保できず、予備試験受験生には予備試験合格後の司法試験受験という屋上屋の負担を課しております。これは社会人受験生にとっては大きな負担になっております。そして、法科大学院の研究者教員の負担も大きく、研究者養成に困難をきわめていると聞くこともあります。  その中で最大の問題は、やはり法曹志願者の激減でありましょう。ことしはとうとう司法試験受験生は五千人を切りました。十五年ほど前には五万人ほどいた受験生が十分の一に激減であります。  対策は単純。志願者激減の原因を見つけて、それを除去すればよいだけです。  では、激減の原因は何か。法科大学院であると認識します。これができてから志願者が激減いたしました。法科大学院がスタートした二〇〇四年には四万九千九百九十一人、約五万人いた出願者が翌年から減少を始めます。新司法試験が始まった二〇〇六年には新旧の司法試験合わせて三万八千人になり、以後減少し続けて今日に至っています。  よって、対策は単純明快。志願者激減の原因となっている法科大学院を除去すればいいだけであります。  ただ、言うまでもないことですが、現場で必死に努力を続けておられる教員の方々や学生を非難する意図は全くございません。制度として問題だと言っているだけであることを御理解いただきたいと思います。  確かに、法科大学院制度は一定の成果を上げた面もあると思います。しかし、志願者激減の原因をつくり、法曹の多様性確保、開放性、公平性という目的、理念において明らかに失敗したと言うべきでしょう。この点に真正面から向き合わずに法曹養成制度改革などといっても、茶番でしかないと考えます。  志願者激減を食いとめるための方策は、法曹の魅力を学生たちに伝えることとともに、誰もが法曹を目指すことができるように、法科大学院制度によってみずから狭めてしまったその間口を広げることであります。つまり、司法試験受験資格の撤廃こそが根本的な解決策と考えます。  では、法科大学院はどうするのか。その役割を広げることで、十分にその存在意義を認めることができると考えます。一言で言えば、地域の実務法務教育拠点であります。ゴールを司法試験合格に限定せずに、公務員や民間企業など、その出口を広げ、社会人、他士業の実務家向けのリカレント教育や外国人等、その間口を広げていけばよいと考えます。  ここで、法科大学院設立の趣旨の一つであるプロセスによる教育についても一言意見を述べます。ペーパーテストによる一発勝負ではなく、法科大学院、司法試験、司法修習というプロセスで法曹養成教育をするというものであります。  まず、司法試験一発勝負という弊害、これもよく言われますが、では、弊害というのであれば、その具体的な根拠を事実とともに明らかにすべきでありましょうが、説得的な論拠は何も提示されていないと考えます。法科大学院制度が始まるまでは、全ての法曹が一発勝負の司法試験、これを突破してきています。さて、とんでもない法律家ばかりというのでありましょうか。  学生が若い時期を受験勉強のために浪費したということもよく言われます。しかし、余計なお世話でしょう。自分の人生は自分で決める、憲法で保障された自己決定権であり、多様な人材が自分の意思で、年齢、学歴、受験回数など関係なく法曹を目指せる、いつでも学修したいときに自由に学び、そして挑戦できる制度のどこが不合理なのでありましょうか。  何よりも、実はこうした誰もが挑戦できる仕組みがこの国の法の支配を支えてきたと考えています。司法試験を本気で勉強し、合格しなかったものの、公務員、他士業、民間企業、NPO、NGO、家庭、国際関係、さまざまな場面で活躍している人材が多数います。かつて年間五万人ほどいた司法試験志願者のうち大多数が法曹にならなかったとしても、実はこの国の法制度を社会において支えているのであります。十分にその学びを生かして社会に貢献している。法曹三者のみがこの国の法制度を支えていると考えることは傲慢であり、司法試験不合格を人生の落後者のようにレッテル張りをすることは上から目線であり、それはやめていただきたい。また、目的を持って学んでいる時間を、合格しなかったからといって、人生の浪費と評価する価値観を私は持ち合わせていません。  さて、プロセスによる教育が重要であるとしても、それは司法試験合格後であっても可能と考えます。むしろ、それ以前は不可能ではないでしょうか。  司法試験合格前にプロセスによる教育といっても、試験と関係ないことを学修させようと強制すること自体が、不自然で無理なことです。司法試験に合格するために多額の学費と時間を使って法科大学院に入るのでありますから、試験の合格に意識が向くのは当然のことであり、よほど余裕のある者しか、試験の不安に打ちかって、試験と無関係な授業を真剣に受ける気持ちなどにはなれません。合格してからプロセス教育をすればよいだけです。合格後の司法研修所、実務におけるOJTも立派なプロセス教育、これらを充実させればよいと考えます。管轄の違う法科大学院、司法試験、司法修習の連携を放置したまま、そのしわ寄せを、受験生にプロセス教育の名のもとで負担させるべきではないと考えます。  また、本気でプロセス教育重視というのならば、法科大学院を卒業した者は全員法曹になれる、つまり、司法試験をなくせばよいわけです。事実上、法科大学院入試が司法試験の意味を持ち、法科大学院が司法研修所になるようなものでしょう。ただ、この場合には、その重い費用負担から、社会人受験生が激減することを覚悟しておかなければなりません。  ところで、一発勝負の弊害といいますが、司法試験が試験である以上、それは当然でしょう。オリンピックの選考試合と同じで、それまでに十分練習をする。つまり、勉強して合格します。そのプロセスがあってこその合格です。もちろん、運が悪くて落ちることもありましょう。それはどの世界でもあることであり、そもそも、何度でも挑戦できるのに、これを一発勝負と評価する意味がわかりません。受験生は、折れそうになる気持ちと闘いながら、必死に努力を続けています。その厳しい勉強のプロセスがあっての合格。それを一発勝負などと言うことは本当に失礼千万であり、試験の現場を知らない者のざれごとにすぎない、そう思います。  予備試験についても述べておきます。  予備試験の受験資格を制限することを検討する人がいるといいます。本気でそんなことを考えているんでしょうか。もしそうならば、それは法科大学院の存続が自己目的化してしまっており、多様性、開放性、公平性という法曹養成の理念、全くそんなものは眼中にないということでありましょう。  法科大学院はすばらしいものであるから、何とか存続させようという気持ちは理解できます。そんなにすばらしいものかどうかはひとまずおいておいたとしても、確実に言えることは、仮に予備試験の受験資格を制限などしたら、辛うじてつなぎとめている優秀な学生も、ますます法曹から離れることは間違いありません。これは愚の骨頂でありましょう。法曹養成制度は壊滅的な打撃を受けると考えます。それが現場の私の感覚です。法科大学院在学中に予備試験を受験できないように制限をした場合、それを理由に法科大学院に行かなくなる学生がふえるだけでありましょう。  予備試験に関して、間違ったレッテル張りが行われています。一、予備試験はバイパスでよくないんだ。予備試験合格者の法曹としての評価が低いということは証明されているのでしょうか。二、予備校、塾は受験テクニックばかりを教えて、諸悪の根源である。  さて、塾では、私たちのところでは、法科大学院が自学自習という名のもとで放置している体系的理解と、基礎、基本の学修を徹底させています。また、答案の作成の練習は法律文書作成能力の訓練であり、まさに実務訓練にほかなりません。  昨年最年少で合格した学生もうちの塾生でありますが、こうして若くして合格した者は、司法試験一辺倒で一般教養がないとレッテル張りをされます。あたかも人々の悩みや苦しみに共感する豊かな人間性と幅広い教養を備えていないかのごとく論じる者がいます。驚くべき偏見です。普通の高校生と同じように高校生活を謳歌し、ただ毎日二時間ほど法律の勉強をこつこつ続けてきただけであります。合格後は、更に可能性を広げようと、語学や会計、一般教養も深く勉強しています。こうした優秀な、可能性のある学生の芽を摘むことが本当に制度改革なんでしょうか。  誰もが最もいい時期にそれぞれの打ち込みたいものが見つかり、それを見つけたときに誰もが挑戦できる制度が、私は教育制度としてすぐれていると考えます。一人一人の能力を引き出すことが教育の本質ではないのでしょうか。これは法曹養成教育においても同じと考えます。法科大学院存続のために個人の能力を引き出すチャンスを制限することなど、教育を本気で考えている国のやることではありません。  繰り返し申し上げますが、予備試験の制限などもってのほかでございます。  最後に、政府案への評価を述べておきます。  法学部生にとっては選択肢がふえてありがたい面は確かにありますが、しかし、法学部中心の制度であり、多様性の後退は必至でありましょう。また、法科大学院在学中に司法試験受験を認めることは、受験生としてはありがたい面もあります。しかし、プロセスによる学修放棄であり、制度としては自己矛盾と言わざるを得ません。  端的に言えば、法科大学院存続が自己目的のびほう策でしかない。抜本的な改善にはつながらない。よって、反対します。  法曹志望者、志願者をふやすためには、法曹への間口を広げることが一番であり、司法試験の受験資格を撤廃することが最も効果的であり、現実的と考えます。その上で、司法試験の内容、司法修習、これを充実させればよいと考えます。  以上から、国民民主党の案に賛成いたします。  以上です。(拍手)
  13. 亀岡偉民

    ○亀岡委員長 ありがとうございました。  次に、須網参考人にお願いいたします。
  14. 須網隆夫

    ○須網参考人 早稲田大学の須網でございます。  私は、法科大学院ができてから十五年間、一貫して法科大学院で教育に携わってまいりました。きょうは、そういう現場の教員という立場から御意見を述べさせていただきます。  皆様御存じのように、数日前に、法科大学院を含む司法制度改革について大変御尽力いただいてきた自民党の保岡興治先生が亡くなりました。私、司法制度改革審議会のころから保岡先生に御指導いただきまして、今回の法案については少し保岡先生とは意見が違うんですけれども、きょうまたこういう形で国会にお邪魔させていただきまして、保岡先生を追悼するという思いで、きょう意見陳述させていただきます。  まず、法科大学院の現状から少しお話しした方がいいと思うんですが、一つは、皆様のお手元に「浪江町聞き取り調査報告書 早稲田大学東日本大震災復興支援法務プロジェクト」、こういう冊子があるかと思います。  法科大学院は実務と理論の架橋ということがキーワードですので、これには、研究者も、実務で発生する新たな問題に向き合いながら、みずからの研究を発展させていく必要があります。こういう形で、早稲田大学の法科大学院では、二〇一一年の震災直後から福島の被災地の自治体への支援ということをずっと継続しておりまして、このプロジェクトには学生も参加しております。昨日、新入生に対する説明会を行いましたけれども、三十名以上の学生が参加してくれまして、こういう形でさまざまな活動を行っているということを知っていただきたいと思います。  それから、法科大学院の全体的な状況ですけれども、実は一時期、非常に受験者、入学者が減って、存続が危ぶまれるという時期がありました。しかしながら、実はどうもその事態は脱したのではないかというふうに思っております。  文科省からいただいた統計を見てもわかりますように、ことしは去年よりも随分志願者それから入学者ともに増加しておりまして、定員充足率も八割を超えております。早稲田大学院の法科大学院を見ても、ずっと定員は二百人なんですけれども、実はおととし、二〇一七年、百十二名まで落ち込みまして、正直言って、百名を割ってどうなるんだろうと思っていたわけですけれども、昨年度百三十六名、今年度は百八十二名ということで、ほぼ定員を充足するという状態。これまで法務省、文科省始めさまざまな制度の改革、取組ということを行ってきたわけですけれども、その成果がようやく出てきた段階になっているのではないか、こういうふうに思っております。  今回の内閣提出法案について少し意見を述べさせていただきますが、内閣提出法案の中身については、学部連携、法曹コースの問題と在学中受験の問題をやはり区別して少し考えなければいけないのではないかと思います。  前者については中教審でずっとこの間議論されてきておりまして、その内容については法科大学院の教員についてもある程度伝わっておりました。しかしながら、後者の在学中受験というのは、これは本当に寝耳に水でして、大変びっくりしたようなわけです。  これに対して、多くの現場の教員がどういうふうに率直に思っているか、感じたかということをお話しさせていただきますが、一つは、これは法科大学院制度の根本的転換だねと。具体的な声としては、これは法科大学院の理念の放棄ではないか、又は法科大学院の終わりの始まりではないか、こんなような声を、これは私が言っているわけではなくて、よく同僚から、他大学含めて、耳にいたします。  法科大学院は、独立した法曹養成機関として、法曹に必要な教育を法科大学院全体のプログラムとして提供するということを考えているわけですけれども、実は、法科大学院卒業前に在学中受験を認めるということは、いわば法科大学院のカリキュラムの中に法曹にとって必要な部分とそうではない部分があるんだ、こういう見方に立つことに、少なくとも現在の司法試験法を前提にすればそういうことになってしまうわけで、これがやはり理念の大きな転換であるというふうに言わざるを得ないんだろうと思います。  それからもう一つは、法案が通れば、やはり法科大学院の司法試験予備校化ということが進んでいくんだろうという印象ですね。教員の声としては、私のレジュメに書いてありますけれども、これからは法科大学院のキャッチフレーズは、入学すれば受験生、こういうことだよね、こういうような受けとめ方です。  ここで私が申し上げていることは、要するに、司法試験科目以外の科目を余り勉強しないというような状況になることが、果たして多様で専門化した法曹養成という理念と整合するんだろうか、どうなんだろうか、こういうことでございます。  そして、特にこの在学中受験は、法学部教育への影響ということもかなり心配されます。司法試験の実施時期が、今、夏を法務省は予定されているんだと思いますけれども、そうすると、法曹コースの学生にとって、法科大学院での教育期間というのは一年数カ月ということになるわけですね。そうすると、単純に考えて、法曹養成教育の重点ということは法科大学院から法学部に移る、時間的に見ればそういうことになるわけで、やはり学部にも相当な影響が生じるのではないかということを懸念いたします。  法案提出の動機なんですけれども、この提案理由は非常に抽象的な書き方をしているのでよくわからないんですが、やはり真の動機は、予備試験との競争において法科大学院の競争条件を改善する、こういうことなんだろうというふうに思います。  しかし、この真の動機にはやはりちょっと幾つか問題があるのではないか。まず第一に、余りこの真の動機自体が正面から語られない。それから二つ目に、予備試験が本来どうあるべきかということは、伊藤参考人の御意見にありましたように、いろいろ見解は分かれると思うんですけれども、少なくとも予備試験の現在の運用が今の制度趣旨、本来の制度趣旨に合っていないということについては、これは明らかなんだろうというふうに思います。こうしたときに、予備試験の運用をそのままにしておいて法科大学院の方だけいじるというのは、これはやはりちょっと順番が違うのではないかというふうに思います。  予備試験が問題である、こういう意見に反対する法科大学院の教員は恐らくいないと思います。意見が分かれるのはどっちを先にするかということだけだと思うんですけれども、やはりこの点は今後引き続き考えていただかなければいけないのではないかと思います。  法科大学院制度、こういう形でいろいろ議論が分かれるわけですけれども、実は、一つ確認しておかなきゃいけないことは、一九九〇年代の末には、いわゆる司法制度改革審議会のころは、司法試験という一発のペーパー試験ではかれる能力には限界があるんだ、だからプロセスとしての必要な専門教育を受けたことを重視していかなければいけないんだということに、法曹三者含めて全ての方が一致されていたわけですね。問題は、果たしてこの認識を今も維持するのか、維持しないのかということが、やはり一つ大きな議論の分かれ道なのではなかろうかというふうに思います。私には、どうも今回の法案は、この点についての認識が曖昧であるというふうに思います。  結論として、拙速な変更は禍根を残すと書かせていただきましたけれども、未修者教育とか司法試験改革とか研修所教育とか、実はいろいろな問題があるわけで、本当はやはり全体、パッケージとして議論しなければいけないんだろうと思います。また、法科大学院の志願者とか入学者が増加に転じてきたのではないか、そういうこの時期に、今制度変更するということはいかにも間が悪い、タイミングとしてどうなんだろうかということもあわせて述べさせていただきます。  以上、御清聴ありがとうございました。(拍手)
  15. 亀岡偉民

    ○亀岡委員長 ありがとうございました。  以上で参考人の方々からの意見の開陳は終わりました。     ―――――――――――――
  16. 亀岡偉民

    ○亀岡委員長 これより参考人に対する質疑を行います。  質疑の申出がありますので、順次これを許します。宮崎政久君。
  17. 宮崎政久

    ○宮崎委員 自由民主党の宮崎政久です。  きょうは、この文部科学委員会で質問の機会をいただきましたこと、委員長、理事そして与野党各党の先生方に感謝を申し上げまして、質問させていただきたいと思います。  冒頭、我が党の中でこの法曹養成制度に今日まで多大な尽力をされてこられました保岡興治先生が、過日御逝去されました。保岡先生は、平成十三年六月十二日にまとめられました司法制度改革審議会の意見書、この取りまとめに大変な御尽力をされて、今日に至るまでの我が国の法曹養成制度、もちろん法曹養成制度を超えた法律全般、我が国の運営について多大な貢献をされてこられました。その先生の今日まで多くの御指導をいただいていた思いを胸にしながら、きょうは参考人の先生方と質疑をさせていただきたいと思っておりますので、どうぞよろしくお願いを申し上げます。  今、我が国の法曹をめぐる状況の中で最も重大であり喫緊の課題は、この道を目指す人がいなくなっちゃっているというところにあります。法曹志願者の激減の問題に対処しなければいけないわけであります。  法科大学院の志願者の数だけを見ても大きく減っています。平成十六年度は志願者数七万二千八百人いたものが、平成三十年度にはその十分の一にも近い八千五十八人にまで減少している。司法試験を受験する人、先ほど旧来の制度についての言及をしていただく御意見もございましたが、法科大学院、新司法試験制度が始まってからの数だけを言っても、平成二十三年には八千七百六十五人を数えていた受験者数も、平成三十年では五千二百三十八人と減少している。もとより、法科大学院という制度ができましたけれども、私は平成四年の司法試験に合格をした司法修習四十七期生でありますけれども、その当時の受験者数は二万人を超える人たちであったわけであります。  この世界、我が国の三権の一翼を担っているわけであります。この三権の一翼を担う人材がきちっと我が国において養成をされて、この担いをしてくれる人材が、その思いとともに法曹になってもらうということが最も必要なことでありまして、そのために今、この政府提出の法案、また野党の方からも提案をしていただいておりますけれども、その議論をここでしっかりする必要があるんだと私は思っています。  そして、まず山本参考人にお伺いしたいと思います。  山本参考人は、中教審の法科大学院等特別委員会の座長代理をされておられたということを、先ほどお話しになっておられました。議事録を幾つか読ませていただきました。その中で、法科大学院創設時の基本理念は未修三年であったけれども、ふたをあけてみると、未修のレベルの違いが大きくて、特に下の方のレベルになると、既修二年に一年を加えただけで追いつくのはちょっと到底難しい、こういった部分にも抜本的な改革が必要だという御発言もあり、また、その一方で、未修者の存在というのは、従来法曹にいなかった人材の供給源にもなっていて、こうした部分を維持しながら抜本的改革を考えることも必要だ、こういう御指摘も読ませていただきました。  中教審の中での議論も踏まえて、今回の法改正の理念的な部分、意義としてどういうところを重視されているのかを、御意見を聞きたいと思っています。
  18. 山本和彦

    ○山本参考人 ありがとうございます。お答えをさせていただきます。  今回の改革、中教審で議論されたことを申し上げるとすれば、司法制度改革審議会が提示をされた、できるだけ多様な法曹を多数養成していく、そのためにはプロセスによる法曹教育というのが必要不可欠であるという基本的な考え方は維持をされているのではないかというふうに思っております。  ただ、現状に鑑みれば、やはり法曹養成の中核は法学部卒業の学生、いわゆる既修者になっているということは否定しがたい事実であります。  しかしながら、その既修者において、今委員御指摘のとおり、法曹を志望する学生が激減をしているという状況がある中で、そのような学生の法曹を志望しない理由として挙げられている点では、時間的な負担、経済的な負担というのがアンケート等でもやはり非常に多いということに鑑みますと、まずはその点を改革するということが重要な事柄ではないかという認識があったものと思います。その結果、今回の法曹コースあるいは在学中受験という議論になってきたものと思っております。  ただ、他方で、当然のことながら、そういう多様な法曹を確保するという点では、未修者教育の重要性というのも中央教育審議会においてはコンセンサスがあるところでありまして、そういう既修者に対する対応を進めながら、未修者教育の充実というのをあわせて今後どのような形で行っていくかということについて、今、調査研究等も進められておりますけれども、それを今期の中教審においては更に深めていって、既修者と未修者の両輪で多様な法曹を多数養成するという理念を維持していきたいというふうに考えているところであります。
  19. 宮崎政久

    ○宮崎委員 ありがとうございます。  その中で、特に若い人たちに制度的に示していく、要するに、時間的、経済的な負担を緩和していく。つまり、時間的、経済的負担というのは本人の努力ではどうしようもないわけであります。合格率が低いとかなんとかという話は自分が頑張るという世界かもしれないけれども、時間的、経済的負担というのは制度論ですから。  これをしっかりしていかないといけないという意味では、今回の法案の中にある3+2、通称3+2というふうに言いますけれども、3+2の制度が、よくできる人にトンネルをつくるとかそういうことではなくて、どこかから引っ張ってくるということではなくて、若い人たちに対してそういう制度を示していくということが重要だと私は思います。  この際に、3+2というぐらいですから、学部教育と法科大学院教育との連携のあり方というのは非常に重要になると思うんですね。こういったところについてはどういった点に留意をするべきだと山本参考人はお考えでしょうか。
  20. 山本和彦

    ○山本参考人 お答えを申し上げます。  御指摘のとおり、今回の改革の主眼である3+2、法曹コースというものでございますけれども、従来の、法学部で既修者でやってくる中で、四年間勉強をしてくるものを三年間で頑張るということですので、これは学生にとってはやはりかなり頑張らなければいけないというところがあるのだろうと思います。  また、我々教える側の人間にとっても、その三年間で法学既修者のレベルに到達させるということはなかなか大変なところだというふうに認識をしておりまして、これは学部側でもかなり、教育の手法を含めて取り組まなければならないんだろうというふうに思っています。  ただ、我々は、法科大学院の側でも、従来、未修者を一年で教えて既修者のレベルまで、既修者と同じような形で授業を受けられるような形で教育をしてきたということがございます。  そういうような教育のノウハウ等も踏まえて、この三年間できっちりと法律学の基礎を学んできてもらって、法科大学院で二年頑張れば司法試験、法曹の基礎が修得できるような教育を行っていくという学部レベルでの教育のやり方等についても、今後かなり研修等を行っていかなければならないのではないかというふうに思っております。
  21. 宮崎政久

    ○宮崎委員 同じ趣旨で須網参考人にお伺いをしたいと思います。  法科大学院の現場の教鞭に立っておられるお立場から、政府案に対する評価はいろいろあると思うんですけれども、この制度で、法学部と法科大学院が連携をしてこの制度を進めていくというふうになっていった、法改正が成立をした後のこの連携のあり方などについて、御提言や知見などあればいただきたいと思っております。
  22. 須網隆夫

    ○須網参考人 ありがとうございます。  もちろん、この法案が通れば、法学部と法科大学院は綿密に連携していかなければいけないわけですね。  一つ考えなければいけないことは、今、いわゆる法科大学院協会という組織があって、そこに法科大学院しか入っていない。つまり、法学部は、法曹養成をきちっと、議論に参加する制度的な枠組みがないということなんですね。今回、実は、この3+2それから在学中受験、どちらの話題についても、必ずしも法学部が十分に議論に参加せずに行われてきた経緯がありまして、そこがやはり手続的にはちょっと問題があったと思っているわけです。  まして、法案が通った後であれば、法科大学院協会は当然改組されて、学部と法科大学院両方が一体となってこの法曹養成を議論する、そういう新たな枠組みがきっと必要になるんだろうというふうに思います。  以上です。
  23. 宮崎政久

    ○宮崎委員 ありがとうございます。  あと、この3+2の点でもう一点、ちょっと山本参考人に聞きたいと思います。  これを安定的に運用するには、法学部三年終了時に法科大学院に入っていくということになるわけですね。現行の、要するに学校教育制度の中でも飛び入学という制度、早期卒業という制度があるわけですけれども余り使われていない、こういう現実があります。  飛び入学という制度を使うと、言ってみれば中退になってしまうんですね、学部生としては。入ることによって学士の資格が取れない。そういうこともあるので、私は、早期卒業というものが原則として運用されるのが3+2としてあるべき姿じゃないかと考えているんですけれども、参考人の御意見をお聞かせください。
  24. 山本和彦

    ○山本参考人 御質問ありがとうございます。  その点については、私は全く委員と同じ意見であります。  飛び入学というのは、基本的にはやはり早期卒業を目指して学生が勉強していく。ただ、最終段階で、法科大学院とかの入学試験も合格したけれども病気その他の理由でどうしても卒業がうまくできないという学生は出てくる可能性がありまして、そういう学生については例外的に飛び入学ということはあり得るのではないかというふうに思いますが、基本的には、やはり法学士、卒業していただいて法科大学院の方に入っていただくというのが基本形になるのだろうというふうに認識をしております。
  25. 宮崎政久

    ○宮崎委員 ありがとうございます。  次に、伊藤参考人にお伺いをしたいと思います。  私も、司法試験の勉強をするに当たって伊藤参考人の教えを受けた、教え子の一人でもございます。  伊藤参考人の書かれているものをいろいろ読ませていただきました。ホームページに「塾長雑感」というのが書かれているのを読ませていただきました。この中で、「散る桜」という、ちょうど今の季節に合うようなタイトルのものがあって、予備試験のことについて触れられておられた。予備試験合格者が就職において圧倒的に有利で、かつ実務において評価が高くなっている理由について、参考人はこういうことを書かれておられます。  「困難な試験に合格したということは、このような困難に挑戦する気概があり、不安を克服し、結果が保証されない目標に向かって最大限の努力をすることができるということの公的な証明なのです。 こうした「困難に挑戦し努力を続ける能力」は、実務家にとって決定的に重要なものです。だから予備試験合格者は高く評価されるのです。」という記載がありました。  また、別のホームページの記載を見せていただきましたところ、慶応大学や一橋大学などの法科大学院などで、すばらしい法科大学院があり、教育がされており、法曹となった後のことも考えた教育がされているということについて積極的に評価をされることも書かれておられました。  参考人の御意見をお伺いしたいんですが、予備試験そして法科大学院の教育、二つのルートがあるということは私は積極的に評価すべきだと思っているんですけれども、参考人はどのようなお考えか、教えてください。
  26. 伊藤真

    ○伊藤参考人 伊藤でございます。お答えいたします。  私は、先ほども少し申し上げましたが、選択の幅が広いこと、要するに、本人が自分にとって一番ふさわしい法曹養成の仕組みというか学び、それを選択できること、それが一番大切なことだろうと思っています。  現在の法科大学院でもすばらしい教育がなされているところも多々あるかと思いますので、そういうところをぜひ自分も利用したいという方は法科大学院を選択し、ですが、少しでも早く実務に出て、また実務的な勉強を合格後にしたい、そんな学生は予備試験を目指していく、それは本人の意思で選択できる、そういう制度がよいのではないか、そう考えています。  以上です。
  27. 宮崎政久

    ○宮崎委員 ありがとうございます。  今回の法案で、直接的ではないんですけれども、予備試験の評価について参考人の先生方にお聞きをしたいと思っています。  私は、どのような事情であっても、どのような環境にある人であったとしても、その人の志一つで、法曹という道で自分の人生を輝かすことができる仕組みがあるということは、この国にとって大切なことだというふうに思っています。  今回の法案への評価、先ほどそれぞれの先生方の陳述で聞きましたけれども、予備試験をどのように見ていらっしゃるか、四名の先生方にお伺いしたいと思います。
  28. 山本和彦

    ○山本参考人 先ほど意見陳述でも申し上げましたとおり、私自身は、予備試験というものが存在するということ自体は否定するものではありません。司法制度改革審議会の意見書にありますように、十分な資力がないような方々、あるいは既に社会で十分に経験を積んでこられたような方々に対する、法科大学院を通らないで法曹になる道というものが閉ざされるべきではないというのは、委員御指摘のとおりだろうと思います。  ただ、現状の運用がやはりその理念とはややそぐわないような形になっているということも否定しがたいところでありまして、ただ、それが現在の法科大学院ルートのいわば欠点に由来しているものである可能性もありますので、今回の法改正が実現した暁には、今回の法改正による法曹養成の実績にも鑑みて、もう一度、予備試験、どうあるべきかということをお考えいただければという趣旨で先ほど御意見を申し上げました。
  29. 三澤英嗣

    ○三澤参考人 御質問ありがとうございます。  ここに立つに当たって、これは司法制度改革審議会意見書ですけれども、これに目を通してきました。平成十三年、このころ、この場でもそうだったと思いますけれども、どういう議論がされていたかということに、まず原点に立ち返るべきだと思っています。  当時、私も一発試験で受かった人間ですけれども、この司法制度改革審議会意見書をよく読むと、その一発試験の弊害、それを改めるために今の法科大学院制度がつくられたということが読み取れます。  先ほど伊藤先生から、個人の自由だから、それは個人の責任だというふうにおっしゃいましたけれども、確かにそうでした、私が受けたときもそうです。しかし、我々のときは、そのためにどこで勉強していいかが全くわからなかったんです。日本の国の一翼を担う司法権に参画しようと思っていた人たちは、どこで習ったらいいかがわからないんですよ、当時。大学も、アカデミックなところも、そういう勉強をしていませんでした。だからこそ、司法制度改革審議会意見書は、それを日本の国でちゃんと養成しましょうというふうにして、法科大学院制度をつくったんです。ですので、あくまでも、法曹養成としての基本的なプロセスは法科大学院が基軸になっているというものだと私は思っています。  それで、いろいろな意味で法科大学院に行けない方、その方に予備試験という制度が設けられているわけで、そういう趣旨であれば、私は、予備試験は、当然ですけれども存続していいと思っていますし、しかし、残念ながら、現状は全くそういう制度として機能していないというふうに理解をしております。  以上です。
  30. 伊藤真

    ○伊藤参考人 伊藤から申し上げます。  法科大学院制度が本来の制度趣旨どおりに運営されている、先ほど申し上げた多様性、開放性そして公平性、それが実現するような仕組みとして運用されているのであれば、予備試験というのは、本当に、ある意味では補助でよかったんだろうと思います。  ところが、現実の運用がそれとまるでかけ離れた形になっておりますので、予備試験の本来の趣旨とは違った形で今実際に運用されている、いわば多様性、開放性そして公平性の受皿として機能しているんだ、そう評価しています。  確かに、旧試験の時代は、法曹養成の仕組みが国家としては存在していませんでした。だからこそ、私は、この国で法曹養成の仕組みをつくらなければいけないというので、自分なりに考え、他学部生そして社会人が、自分で学びたいときに学びたいタイミングで、そして余り費用もかけずに法律家になっていける、そんな仕組みをつくってきたつもりでいます。  なので、やはり今の現時点においても、多様性、開放性そして公平性、その理念を実現するためには不可欠と考えています。  以上です。
  31. 須網隆夫

    ○須網参考人 大学が法曹養成に対して責任を負うというのは、これは世界の恐らく事実上のスタンダードなんだろうというふうに思います。そういう意味でいえば、以前の日本のシステムというのはそのスタンダードからかなり外れたところにあったわけで、今回こういう法科大学院ができることによって、大学が責任を持って法曹養成を担うということで、ある種、スタンダードに追いついたわけですね。ですから、そのことの意義をどういうふうに考えるのかということは、恐らくまず一つ大きな論点としてあるんだろうというふうに思います。  その上で、予備試験自体については、既にこれはあるわけですので、私自身は、もちろんこれを否定するものではありません。  伊藤参考人のおっしゃることはわかるんですけれども、そうであれば予備試験の制度の趣旨を変える必要があるわけで、現在の現行法を前提にする以上は、まず予備試験を本来の制度趣旨に従った運用に改めてもらう、そういうふうにしないと、要するに、法律と違う事態が進行していて、それにあわせて実態を合わせていくというのはやはりどうしても本末転倒ではないかという、私のもとの議論に戻ってしまうわけですね。  以上です。
  32. 宮崎政久

    ○宮崎委員 ありがとうございました。  プロセスとしての法曹養成、そして、この国に若い人たちが法曹の道を目指すように戻ってくるように、今回の法案、しっかりと審議をして、先生方の意見も反映させていけるように頑張ってまいりたいと思います。  貴重な御意見、ありがとうございました。  終わります。
  33. 亀岡偉民

    ○亀岡委員長 次に、菊田真紀子君。
  34. 菊田真紀子

    ○菊田委員 おはようございます。立憲民主党・無所属フォーラムの菊田真紀子です。  まず、四名の参考人の先生方には、大変お忙しい中、きょうは貴重な御意見を聞くことができました。心から御礼を申し上げます。ありがとうございます。  それでは、質問に入らせていただきます。  司法試験合格率の低迷や法曹志願者の激減、法科大学院の規模の縮小など、法科大学院を中心とした法曹養成制度危機的な状況にあることは論をまちません。本法律案は、法学部三年、法科大学院二年に加え、在学中の受験を認めることで時間的、経済的負担の軽減を図り、法曹志願者を回復させることを目的としていますが、この改正により本当に志願者は回復に転じるとお考えでしょうか。それぞれの御意見をお聞かせください。
  35. 山本和彦

    ○山本参考人 御質問ありがとうございます。  私自身は、やはり、日ごろ学部の学生等に接している印象でも、あるいは文部科学省等が行ったアンケート調査においても、法学部の学生が法科大学院を目指さない大きな理由の一つが時間的な負担であり、もう一つは経済的な負担、あと司法試験の合格率が低迷しているということも挙げられますけれども、少なくとも、時間的、経済的な負担が、現在の約八年、八年弱、研修所も入れてですね、というところから合計で六年程度ということになれば、そしてそこまで至る道のりが法曹コース、法科大学院、司法試験司法修習という形でかなり明確なルートができるとすれば、私は、その道を歩んでみようと思う学生が相当数いるのではないか、ちょっと具体的な数字で申し上げることはできませんけれども、相当数いるのではないかというのが、学部の学生等と接している私の印象であります。
  36. 三澤英嗣

    ○三澤参考人 御質問ありがとうございます。  実際に回復に転じるかというのは制度を導入してみないと私はわからないとは思いますが、当然、時間的それから経済的な負担の軽減には資しますので、一定程度の効果はあるのかなというふうには思います。  ただ、より本質的なことを問えば、なぜ志願者は法科大学院を目指さないのか、この問いかけをきちっと議論すべきだと思うんですね。中教審で3+2の議論を約二年なり三年されていたと思いますけれども、私はそのこと自体はとても評価しています。というのはなぜかというと、法科大学院に行かない最大の理由は、そこに行けば自分がちゃんと法曹になれるという道筋が見えないからなんですね。だから若者は行くかどうかを迷ってしまうわけです。この国が目指した制度は、そこに行ってきちっと高度な教育を受ければプロの法律家になれる、そういう制度をつくったはずです。この間、法科大学院、いろいろな問題が生じて教育がうまくいっていないということで中教審では3+2の議論をきちっとしていたわけですから、本来はそれを国民、特に若者ですね、これから目指す人たちにきちっと示すべきなんですよね。それを期待していたところ、そこに在学中受験という全く異質のものが入ったので、私は昨年からこの問題にトライしているということです。  ですので、先生の質問に対しては、在学中受験というものが入らずに3+2の教育内容をきちっとこの国が示せるのであれば、志願者は増加していくという話になるのではないかというふうに思います。  以上です。
  37. 伊藤真

    ○伊藤参考人 伊藤でございます。  先ほどからの議論で明らかなように、この制度は3+2、わかりやすく言えば法学部を五年制にしているのと実質変わらないものだと考えています。法学部で五年間勉強し、そして翌年司法試験受験する、それと実質的には変わらない。言うまでもなく、これは法学部の学生にとっての仕組みでありますから、先ほどから申し上げているとおり、他学部生ですとか社会人にとっては何の意味もない。そこはふえないことは明らかだろうと思っています。  現場におりますと、法曹コースというのが始まるよということが学生の中に少し、まだまだですけれども、広がりつつあります。そこでどういう反応かというと、これまで予備試験を目指していた学生が、じゃ、法曹コースも一緒に目指してみようか。簡単に言えば、予備試験を目指していた学生の一部が法曹コースというものと兼ねていく。法曹コースに乗れなかった学生は法科大学院の上位校などを目指すということですから、実質的には、そこで受験生というか志願者が大きくふえるというような感覚は持っていません。むしろ、やはり法学部に行かないとだめなのかな、法学部中心というメッセージ、これが発信されてしまうことを私は懸念します。  以上です。
  38. 須網隆夫

    ○須網参考人 果たしてこの法案で志願者が回復するか、こういう御質問をいただいているわけですけれども、恐らく、この問いに対して、必ず志願者は回復する、そういう確信を持っている方というのはどなたもいらっしゃらないんじゃないでしょうか。むしろ、確信はないけれども予備試験との競争を考えてできることはこれぐらいしかないのではないか、そういう考え方のもとで恐らくこの法案はずっと進んできているのではないかなというふうに思います。  というのは、なぜ志願者が減っているのかということについてはいろいろな理由があるわけですね。  確かに、経済的、時間的負担ということは一つの理由かもしれません。しかし、それが主因かどうかということはわかりません。法科大学院ができる前の旧司法試験の時代には確かに受験者は多かったわけですけれども、そのときには、五年も十年も受験を繰り返している学生はざらにいたわけですね。  それから、今まで語られていない理由でいうと、やはり弁護士会が、もう弁護士は要らないんだ、そういうキャンペーンをこの法科大学院が始まってからしばらくしてから打ち出したことも非常に大きいのではないかなというふうに思います。現在も多くの弁護士会が、司法試験の合格者を減らせ、そういう決議を出しています。つまり、そんな需要のないところに一体誰が行こうと思うんでしょうか。私は、この弁護士会のキャンペーンは誤りだと思っていますけれども、そういう大きな原因もあるわけです。  それから、ここは実は伊藤委員と私、意見は同じなんですけれども、3+2というのは、まさにこれは法学部のことしか考えていないわけですので、要するに、これだけを単独で実施すると、やはり法律家というのは法学部に行った人がなるものなんだね、他学部の出身者とかそういう人は法律家にはならないんだね、なるべきじゃないんだねという、むしろそういうイメージを発信する可能性もありますので、そういう意味でいえば、当然、他学部出身者の受験生というのは今回の法案が通れば減るというふうに見るだろうと思うので、全体として、プラスの部分、マイナスの部分と両方あって、果たしてどうなるんだろうかというのは、これは誰も確信は持てないのではないでしょうか。  以上です。
  39. 菊田真紀子

    ○菊田委員 ありがとうございました。  次に、法科大学院の教育の充実について伺います。  3+2の制度を創設することで、学部は一年短くなり、大学院では二年の途中で受験できることになります。時間を短くする分、どうやって教育の質の向上を図るのか、私にはイメージがつきません。さらに、在学中受験をする人とそうでない人、司法試験後には受かった人とそうでない人が混在する中で、どのようなカリキュラムを組むのか、本当に充実した授業ができるのかも不明です。参考人のお考えをお聞かせください。  まず、法科大学院の教授であられます山本参考人、須網参考人、そして、法科大学院生にリーガルクリニックの授業をされている三澤参考人の三名にお願いをいたします。
  40. 山本和彦

    ○山本参考人 御質問ありがとうございます。  委員御指摘のとおり、今回の改革を踏まえて法科大学院教育をどのようにしていくか、特にそのカリキュラムをどのように考えていくかということは非常に大きな問題であるということは認識をしています。  この点につきましては、まだ法案が通っておりませんので、なかなか具体的な議論がしづらいところではあります。加えて、司法試験が仮に在学中受験ということになるとしても、その試験がいつごろになるのかによってカリキュラムが大きく変わってくる部分がございます。そういう意味で、いまだ我々の法科大学院における検討、さらに中教審における検討もこれから始まるという段階でございまして、なかなかまだ具体的なところまで議論ができていないというところであります。  この法案ができるだけ早く通って、そしてそれに基づいてその司法試験の時期、内容等ができるだけ早く明らかにされて、それを踏まえて中教審そして各法科大学院においてその具体的なカリキュラム、そして授業のやり方ということを検討していきたいというふうに考えているところです。
  41. 須網隆夫

    ○須網参考人 これもまた難しい御質問でございますけれども、時間短縮で充実できるのか、教育がと。法案の提案理由には法科大学院教育充実のためというふうに書いてあるわけですが、現在の司法試験がそのままであることを考えれば、普通はできないですよね。同じことをより短時間でということなので、これは普通に考えればできないだろうと思います。  それだけではなくて、今御指摘にあったように、受かった人間とそうではない人間が一つのクラスの中で混在する、それに対してどうするのかというのも、これも全く初めての経験ですので、非常に難しい作業になるのではないかなというふうに思います。  唯一、もし充実するとすれば、先ほど山本参考人がおっしゃったように、司法試験が終わった後の最後の学期に、いわゆる司法試験科目以外の教育が充実するのではないかということが考えられるわけですけれども、これは、もし法案が通って夏実施ということになれば、現場は当然そのために努力、そうなるように努力せざるを得ません。そうなるように努力します。しかし、これは後づけでありまして、そうなったらもうそこしかないからそこでやるよねというだけの話でありまして、積極的に、そのことをもって充実だというような根拠としてはやはり使えないのではないかというふうに思います。  以上です。
  42. 三澤英嗣

    ○三澤参考人 御質問ありがとうございます。  実際に期間が短くなるわけですけれども、期間がどういうふうに短くなるかというのを考えてみますと、3+2+在学中受験ということですから、法学部三年、法科大学院は、もちろん司法試験の時期によりますが、実際には一年。そうすると、3+1、つまり四年ですね。しかも、法学部の三年というのは、当然ですが一般教養科目を受けますので、法学部一年生は法律専門科目は恐らくほとんどやらないと思います。つまり、3+2+在学中受験は、実質、2+1になるんですね。つまり、三年で司法試験に合格させるという仕組みに恐らくなります。  これは、今、未修者が三年で合格できているかといえば、当然ですけれども、既修者と、僕に言わせればダブルスコアで合格しないわけです。つまり、それと同じ道をこの在学中受験はたどるのではないかというふうに思っています。  法学部と法科大学院が極めて充実して、機動的に双方のカリキュラムが連携できればその三年間で司法試験合格レベルまで達するということは可能かもしれませんけれども、恐らく大半の学生は受からないのではないかというふうに思っています。  それと、もう一点ですが、その結果、法科大学院を含む3+2はほとんどが司法試験科目の勉強に費やされていく形になりますので、私のところでやっている、教科書を読んだ、その教科書を読んだものが実際の実務でどう生かされ、その生かされたものを学んだものが、さらに教科書に立ち返ってその教科書の意味を真に理解するというような科目は、恐らく、先ほど須網先生からも話が出ていましたけれども、司法試験が終わった後ろの方に回されるという形になり、そこでは、当事務所が実施しているリーガルクリニックとしての機能性は失われると同時に、恐らく学生も余りとらなくなるのではないかというふうに思っております。  以上です。
  43. 菊田真紀子

    ○菊田委員 ありがとうございました。  司法試験合格者数は年間千五百人程度とされていますけれども、3+2の最短コースで合格する人数はどのくらいと想定されていますでしょうか。まず御意見をお聞かせください。  その上で、司法試験と司法修習の時期が変わることで、3+2の最短で合格できる優秀な人にはいわゆるギャップタームが短くなると思いますが、そうではない人たちにとっては逆に長くなることが予想されます。制度改正の恩恵を受ける人はごく一部で、実は、多くの法曹志願者が不利益をこうむってしまうのではないかという懸念もあるわけですが、最後の質問です、四名の参考人にお伺いいたします。
  44. 山本和彦

    ○山本参考人 ありがとうございます。  まず、どの程度の合格者数かということですが、これを予測するのは極めて難しいと言わざるを得ません。ただ、現状で、早期卒業ないし飛び級で法科大学院に入学している学生、数は少ないですが存在しております。それらの学生の司法試験の合格率はかなり高いという実績がございます。我々としては、できるだけ、そういう今回の法曹コースで養成される学生についてもそのような合格率を維持していきたいというふうに考えているところであります。  結果として、ギャップタームが、それらの3+2の学生を除けばかえって長くなるのではないかという御指摘でした。  3+2の学生で、本当に在学中で合格した学生は、今に比べると二年近く期間が短くなるということです。また、3+2で在学中に合格できず次の修了後に合格した学生、あるいは4+2で入ってきた学生で在学中受験で合格した学生、これも現在に比べればギャップタームは短くなります。一年近く短くなります。それ以外の学生、例えば4+2で入ってきて修了後に受験して合格した学生については、御指摘のとおり、現在に比べれば数カ月、四カ月ぐらいかと思いますが、ギャップタームが長くなるということは事実でございます。  我々としては、できるだけ今申し上げたギャップタームが短くなるような形で司法試験に合格できるように、法学部教育、法科大学院教育、連携して教育を充実させて、それがメーンストリームになっていくということをぜひ実現したいというふうに考えているところです。
  45. 三澤英嗣

    ○三澤参考人 御質問ありがとうございます。  まず、一点目の、本当に何人ぐらい3+2+在学中受験で受かるのかということに関しましては、恐らく、ここにいる参考人の皆様もそれを予測するというのは大変難しいんだと思います。  それはなぜかというと、結局、そういうものに関する資料が中教審でもいろいろな審議会でも出ていないからなんですよ。だから、私は、今回申し上げているのは、平場の議論をちゃんとして、データをちゃんと出して、それをもとにこの制度設計をすべきだったというふうに思っているわけです。データが出ていない以上、本当に何人受かるかということは、正直言ってどなたもわからないんじゃないかというように思っています。  それから、ギャップタームに関する問題で、その恩恵を受けるのは少ないんじゃないかというのは、私はそのとおりだと思います。先生のおっしゃるとおりだと思います。  ギャップタームを解消するということと期間を短縮するということは、意味が違います。先ほど山本先生のおっしゃった意味は、私は、期間を短縮するという意味では理解はしますけれども、ギャップタームというもともとの意義からすればそこはずれているのではないかと思っていますので、恐らく、ギャップターム、この制度そのものの恩恵をストレートに受ける人はそう多くはないのではないかというふうに思っております。  以上です。
  46. 伊藤真

    ○伊藤参考人 まずは、法曹コースに何人ぐらいの学生が入っていけるのか。今の時点ですと、一橋大学が三十人ぐらいというのを、仮ですけれども発表している、それぐらいです。ですから、そこの人数次第かなというふうに私は思いますので、ちょっと予測するのは難しいかと思います。  そして、率直に申し上げますと、その法曹コースに入るための勉強、入った後の勉強、先ほどから議論になっていますように、3+2では事実上非常に難しい、大学と法科大学院だけでは事実上難しいと思いますので、多くの学生、あえて言葉を選ばずに申し上げますと、ほとんどの学生は、私どものような大学、法科大学院の外のさまざまな教育機関を利用して、そしてそこを埋めていくということが現実だろうな、そう考えています。  それから、ギャップタームの不公平はどうしても残ってしまうことになるんだろうなと思いますので、それは一人一人が、合格後のことを考えてどこまでさまざまその期間を有意義に過ごせるかということだろうと思いますが、制度としての不公平感はちょっと否めないなと考えています。  以上です。
  47. 須網隆夫

    ○須網参考人 ほかの参考人と同じように、学部の法曹コースの定員自体が果たして何人になるのか、そして、その法曹コースを経てロースクールに進学する学生が果たして何人出てくるのか、これは全て今の時点では全くわからないわけですね。ですから、全体の数の予測をすることはちょっと困難だと思います。  ギャップタームについて、多くの合格者にとっては逆に長くなるのではないかと。おっしゃるとおりだと思います。ただし、この法案は予備試験との競争しか考えていませんので、要するに、予備試験に合格するようなごく一部の層をどっちがとり合うのかということしか考えていませんので、そこで競争できるようになればほかの人のことはどうでもいいと言ってはちょっと言い過ぎかもしれませんけれども、二の次、三の次にやはり優先順位が落ちてしまうんだろうなというふうに思います。
  48. 菊田真紀子

    ○菊田委員 時間が参りましたので、終わります。どうもありがとうございました。
  49. 亀岡偉民

    ○亀岡委員長 次に、階猛君。
  50. 階猛

    ○階委員 国民民主党の階猛です。  本日は、四人の参考人の皆様、貴重な御意見をありがとうございました。  私は、今回、国民民主党の法案を提出した一人でございます。きょうはその法案に関連してお聞きしたいと思うんですが。  そもそも、現在の法曹養成制度、その趣旨は、質、量ともに豊かな法曹を養成するための仕組み、これを実現する、それが現在の法曹養成制度の眼目だったはずです。  しかしながら、実態は、先ほど言ったように、法曹志願者はひところの十分の一になっているということで、量的には低迷、そして質については、これはいい人がいるということも認めますけれども、ロースクールの上位校の先生にこの間もお聞きしましたが、残念ながら入学者のレベルが大変下がっているそうなんです。そしてまた、中堅の弁護士事務所の先生に伺ったところ、最近の弁護士のレベルは下がっているというお話もありました。また、裁判官の新任判事補の採用数もどんどん減ってきているというようなこともあります。  そういうことで、質、量ともに豊かな法曹養成制度の仕組みという当初の目標が達成されない状況になっているのではないか、では、どうやってそれを実現していくのかというときに、もう一回ゼロベースで考える必要があるのではないかと思っております。  昔、私は、ある人におもしろい質問をされました。富士山はなぜ高いのかという質問です。その答えは、裾野が広いからだということでした。裾野が広いというのは二つの意味がありまして、一つは、直径が長いということと、三百六十度、多面的に多角的に広がっている、これが満たされないと富士山のように高くはならない。私は、今の法曹養成制度が質、量ともに豊かになるためには裾野を広げなくてはいけない、そのために、受験資格というのは撤廃して、幅広い分野から多くの人が司法試験を目指す、そういう仕組みにしなくてはいけないという思いで、今回法案を提出しております。  そこでお伺いしますが、現在の法曹養成制度、プロセスとしての法曹養成制度とかいろいろな理念がありますけれども、それは一旦置いておいて、私は、受験資格を撤廃した場合、法曹志願者は大きくふえると考えていますが、先ほど伊藤先生からはその点についてはお話がありましたので伊藤先生はおいておいて、ほかのお三方から、もし私どもが唱えているような受験資格撤廃を実現した場合、法曹志願者は大幅にふえると考えるかどうか、その点だけ端的にお答えください。
  51. 山本和彦

    ○山本参考人 私自身の、法曹志願者が低迷している原因の認識は、先ほど申し上げたとおりです。  仮に、資格、受験要件というのを完全に撤廃した場合には、基本的には旧司法試験時代に戻るんだろうと思っておりまして、合格率、当時二%、三%だったと思いますが、それが多少ふえても四、五%というような試験になるのだとすれば、私自身は、法曹の志願者がそれによって現在よりも大幅にふえるというふうには必ずしも認識をしておりません。
  52. 三澤英嗣

    ○三澤参考人 御質問ありがとうございます。  私も、受験資格を撤廃したら法曹志願者が物すごくふえるかということに関しては、極めて懐疑的です。  それは、先ほど議論の中にも出ていましたけれども、法曹志願者がふえない理由というのは幾つかあります。そのときに受験資格を撤廃しても、その先、私が最も気にしているのは、こういうルートでいけばきちっと合格できるんだというものが示されない限りは、やはり受験制度を撤廃したとしても、結局、富士山でいえば、富士山の山の登り方をどう登っていいかわからない話なので、こういうルートで登れますというものを示さない限りは、私は、とにかく皆さん自由に受けられますよということを言ったとしても余り効果はないのではないかなというふうに思っています。  我々のときに受験生は極めて多かったわけですけれども、それは先ほども出ていましたけれども、受験回数の制限等、一切ありませんでした。何年受けていても受験者一名にカウントされるんです。今はそういう制度ではありません。私は、この制度と同じ仕組みでやれば前のような制度が戻るというふうには理解はしておりません。  以上です。
  53. 須網隆夫

    ○須網参考人 受験資格を撤廃すれば、恐らく、私は受験者自体はふえるんじゃないかなというふうに当然思います。  しかし、問題は、そういうふうにしていいかどうかということですね。もちろん、大学が法曹養成に関与していくということはもとに戻るわけですので、そういう旧司法試験時代のような状態に戻してよいのかどうなのか、そこは一つの価値判断だと思いますけれども。  私は、確かに受験資格を撤廃すれば少なくとも今より受験者自体がふえることは、恐らく階先生がおっしゃるとおりだろうというふうに思っております。
  54. 階猛

    ○階委員 三者三様の答えで、山本先生は明確な答えがなく、三澤先生はふえるとは思わない、そして須網先生はふえるだろうということでした。ただ、ふえるとしても、昔のような一発勝負になって、それがいかがなものかというお話もありましたけれども。  私も宮崎先生と同じように、先ほどの「散る桜」という伊藤先生のエッセーを読ませていただいて、確かに法曹というのはそんな楽な仕事ではありません、覚悟と志がなければ、多数者に逆らって少数者の人権を守るということはできない、そういう重い仕事だと思っています。  だからこそ、私は、試験もむしろ厳しい道を乗り越えて受かった方が法曹としてはふさわしい仕事ができるのではないかと思っておりまして、伊藤先生にお伺いしますが、三人の先生方からは、この受験資格を撤廃した場合に本当にふえるのか、ふえるとしてもそれでいいのかというような御意見がありましたけれども、それについて伊藤先生の御見解をお願いいたします。
  55. 伊藤真

    ○伊藤参考人 伊藤からお答えをします。  私は、この現在の受験資格、それを撤廃することによって当然志願者はふえると考えていますが、理由は幾つもあります。  現在は回数の制限がありますので、五年間五回で諦めた、そんな方も、仕事をしながら、また学びながら続けていくことができる。そして、法科大学院に行けない方々は、今、予備試験ということになりますが、予備試験を受かった後も、さらに司法試験も受けなければならない。仕事をしながら頑張っている社会人の方にとっては非常に負担になります。  そういったところをきちっと整理をし、まさに三澤先生おっしゃるように、そのルートがきちっと見えるようになる、こういう勉強をしていけば法律家になれるぞというその仕組み、それは、司法試験の中身もそうでしょうし、その後の司法修習の中身もそうでしょうが、それも含めた形できちっと整理がなされることによって、新たに法曹を目指そうという人がふえると思います。  合格率が何%というのは、受験生にとってはほとんど関係ありません。司法試験の受験、例えば旧司法試験、一番難しかったときは〇・三七%かな、旧司法試験では〇・三七%ですよ。千人受けて四人受からない。ですが、そんな試験でも一万六千人が挑戦いたしました。それは、やはり、法曹になりたいという高い志を持って、厳しい壁でも何とか突破したい、高い志を持っている社会人や学生はこの国にたくさんいるということでございます。ただ目先の、合格率が下がったから、だから自分は法曹になる夢を諦めますなんという方は、いらっしゃるかもしれませんけれども、私はそれほど多くないと思っています。  先ほど宮崎議員も、私のところで学んでいただいたと。高い志を持って、そして合格して、こうして国政の現場で活躍をされています。階議員もそうでありますよね。ですから、合格した後さまざまな分野で活躍することはできる、そのときに、法律家としての資格を取って頑張る、それは合格率云々の話ではないと私は思っています。人の人生を、ある意味では左右するような仕事ですから、そこは、ある意味で、ある程度厳しい、そこを突破して、むしろそれに挑戦し、そしてそれを乗り越えていく、そういう気概がある人間がこの世界に入ってくることを私は望んでいます。  以上です。
  56. 階猛

    ○階委員 法科大学院については、本当にいい教育をしているのであれば、仮に受験資格を与えなくても、法科大学院には優秀な人材が集まってくると思うんですよ。受験資格を与えないと、法科大学院には人が来ないんでしょうか。今回の政府案も、私も露骨な法科大学院の救済策だと思っていますけれども、法科大学院には、そんな特権を与えなくても人が集まるようなすばらしい教育をしてもらうべきだと思いますし、そうすれば、リカレント教育であるとか司法修習の一翼を担うとか、あるいは法曹以外の一般の方への基礎的な法律の知識を身につけさせるとか、さまざまな分野で法科大学院が社会的に重要な役割を果たすということもできると思うんですね。  ですから、私は、法科大学院に受験資格を与えずとも法科大学院は生き残る道はあると思っていますが、この点について四人の先生方から御意見をお伺いします。
  57. 山本和彦

    ○山本参考人 ありがとうございます。  私の理解は、今回の法案、そもそも、また、法科大学院制度それ自体は、もちろん法科大学院のためにあるわけではないというふうに思っています。プロセスによる法曹養成というものが、優秀な法曹を多数世の中に送り込むために重要であるというのが司法制度改革審議会以来の法曹養成についての基本的な認識になっているのだろうというふうに思っています。その意味で、受験資格と切り離して法科大学院が生き残れるかどうかという問題は、私自身は余り関心がないところでありまして、むしろ、やはり、そういうようなプロセスとしての法曹養成を担う一翼として、法科大学院教育というのを充実していかなければならないというふうに思っているところであります。  委員御指摘のリカレント教育という問題も、私は非常に重要な問題だというふうに思っています。なかなか現在、各法科大学院、十分な余力がなくて、そこにリソースを割けないところはございますけれども、この法曹養成のプロセスが安定していく中で、リカレント教育という点についても法科大学院として取り組んでいく必要はあるだろうというふうに思っております。
  58. 三澤英嗣

    ○三澤参考人 御質問ありがとうございます。  まず一点目の、法科大学院がいい教育をしているのであれば受験資格を外してもいいじゃないかということですけれども、これは、法科大学院とは何なのかというそもそも論、法曹というプロを育成するために何が必要かということの問いかけだと思います。  単なる司法試験を受かるということであれば、法科大学院は単なる受験機関となれば、それは、法科大学院と、場合によっては予備校と競争しながら、行きたい人が行くという話になるかもしれません。法科大学院は司法試験合格をするためだけにつくられているわけではありません。私たち、プロを養成するためにさまざまな教育を施しているわけです、この国の制度として。そこがこの法科大学院制度の肝だということを、まず御理解いただきたいと思います。  ですので、受験資格から外せば、いい教育をすれば行くじゃないかと。でも、受験生は司法試験に一番手っ取り早い道を通るに決まっているわけですから、あえて法科大学院制度というこの困難な教育カリキュラムをとらないというふうになっていくのではないかというふうに思っています。  それから、二点目のリカレント教育等を法科大学院でやったらいいのではないか、これは全く階先生と同感で、私も、日弁連で法曹養成対策室長をやっていたときに、中央大学と慶応大学に頼みました、リカレントをやってくださいと。結果、つくっていただいて、つくってお願いした以上、私は受けないわけにいかないなと思って、私は自腹で法科大学院に入学しました。実際、リカレントを一年間受けました。やはり実務家は法科大学院を利用して自分の技量を上げていくということがとても大事で、先生の御提案は、むしろこれから法科大学院は積極的に取り入れるべきだというふうに理解をしております。  以上です。
  59. 伊藤真

    ○伊藤参考人 伊藤から申し上げます。  まず法科大学院ですけれども、単なる司法試験の受験のための学校ではない、法律家を養成するためにさまざまな教育をされている、本当にそのとおりだと思います。  ただ、私はそれは、合格後に法科大学院、合格者を受け入れてさまざまな幅広い教育をする、そんな機関にすればよいのではないかなと思っています。  今の法科大学院というのは、やはりどうしても司法試験の合格、それが唯一の目的ではないと言いながら、合格率などによってやはり国の評価が変わってくる、何か補助をいただけるその金額も変わってくるようなことも聞いたことがあります。唯一の目的ではないと言いながら、事実上その合格率を上げるということ、にもかかわらず、司法試験受験指導はしてはいけないというプレッシャーがかかっている、これは現場の先生方は本当に大変だろうと思います。  私は、その法科大学院制度の出口を広げる、すなわち、法科大学院を卒業した後、もちろん司法試験を受験するのもすばらしいと思いますが、公務員ですとか民間企業に行ったり、NGO、NPOに入っていったり、国際機関に入ったり、政策秘書になったり、まず、さまざまな出口を広げ、それが本来法科大学院の役割だ、司法試験合格者は実務法曹を養成するだけではないということを明確にやはりそこは位置づけていくこと、そしてそのために入り口の間口も広げるということが重要かと思います。  もちろん、法曹志望者を受け入れる。先ほどの話のように法学部生を受け入れるということはあるかもしませんが、幅広く法曹志望者を受け入れる。それだけではなく、やはり研究者や公務員志望の学生も受け入れる。また、ビジネスの現場で法務知識を身につけたい、そういう皆さんたち、社会人を受け入れる。そういう社会人のリカレント教育にとっても意味があると思いますし、さらに、最先端実務を身につけたい士業、これは弁護士に限りません、行政書士や司法書士や地域の法律家として、町の法律家として活躍をされているさまざまな士業の方がいます、そういう皆さんたちが学び直しをする、そして実務能力を高める。そういう、一言で言えば、各地域の実務法務教育の拠点として機能する。  地方には、そこで法務的な知識を学びたいという社会人の方は大勢いると思いますし、例えば海外との取引について少し勉強したいんだ、そういう全国の各地域の、ビジネス法務を学びたいという中小企業の方々もいらっしゃるだろうと思います。外国人の方もそうでしょうし、合格した後の司法修習生を受け入れる、そして専門的な分野の法律を学ぶ。  もう、やれることは本当に幅広くあるんだろうなと思います。そうやって間口を広げ、出口も広げることによって、その法務実務教育の拠点という形で十分重要な役割を果たしていけるのではないか、そう考えています。
  60. 須網隆夫

    ○須網参考人 やはり、先ほどの最初の意見陳述でもお話しさせていただきましたけれども、司法試験という一回のペーパー試験で基本的に必要な能力が全てはかれるんだ、そういう前提を認めれば、先生のおっしゃるようなストーリーになるんだろうなというふうに私は思います。  しかしながら、それ自体が果たしてよいのかどうなのか、それは無理なんじゃないかということでこの法科大学院の制度というのは始まっているわけで、ですから、私はそちらの方に自分としては賛成していますので、ちょっと先生の御意見には賛成しかねる、こういうことになるんだろうと思います。  ただ、私は、そういうことはあり得るとは思うんですけれども、もしそういうシステムに戻っていけば、世界的に見て非常に珍しいシステムということになるんだろうというふうに思います。  なぜ日本でだけそういうようなシステムが可能であるのか。昔やっていたというのはそのとおりなんですけれども、現在のこのグローバル化した世界の中で、与党の方でも、司法外交とか法曹の国際化とか、さまざまなグローバルな場面での日本の法曹ということを考えておられるだろうというふうに思います。  そういう状況の中で、なぜそれが日本でだけ積極的に選択されなければならないのかということについては、実は、余り納得がいく説明をお聞きしたことがなくて、ぜひ、どこかでお聞かせ願えればと思います。
  61. 階猛

    ○階委員 質疑時間が終了しましたのでここで終わりますが、私はもともと銀行員だったんですけれども、旧司法試験の制度だからこそ、弁護士を目指して、何回も試験を受けて、ようやく受かった口であります。その過程では、伊藤先生にも大変お世話になりました。  そして、私が思うには、幅広い人材をどうやってこの司法界に集めていくかということは、この国の未来にとって本当に重要なことであります。この委員会だけでなくて、国会を挙げてこの問題というのは真剣にじっくりと議論していくべきだろうということを最後に申し上げまして、私の質問を終わります。  ありがとうございました。
  62. 亀岡偉民

    ○亀岡委員長 次に、中野洋昌君。
  63. 中野洋昌

    ○中野委員 公明党の中野洋昌でございます。  きょうは、四人の参考人の皆様、山本参考人、三澤参考人、伊藤参考人そして須網参考人、本当に貴重な御意見を頂戴しておりまして、改めて感謝を申し上げます。  私の方から、先ほど来さまざまな議論が出ておりますので、一部重複するところがあるかもしれませんけれども、どうか御容赦いただければというふうに思います。  少し個人的なことを話させていただきますと、私が大学を卒業したのがちょうど平成十三年という時期でございまして、私の同世代あるいは少し後輩の、司法試験に挑戦をしよう、法曹を志そうという世代の人たちが、このロースクール制度というか、まさに旧制度と新しい制度のちょうどはざまの時期だったというか、そういうことであります。  旧試験を挑戦していくのか、あるいは、ロースクールということで、新しい制度でしっかり勉強していこうということで、いろいろな選択をされた同世代あるいは後輩たちがいたなというふうにも記憶をしておりますし、当時は、できたばかりの制度でございましたので、ロースクールでしっかり学べば法曹資格が取れるんだということで、皆さん学ばれていたというふうに記憶をしております。  私自身は司法試験を目指したわけではなかったんですけれども、そうした、このロースクール制度の導入当初、法曹を志す同じ世代の人たちを経験をした、そういう世代だということを、少し個人的なこととしてお話しさせていただきます。  そういう中で、ロースクール制度というものが初めて導入をされて、ここで学べばということで、多くの方が期待をして入った。  しかし、少し残念ですのが、その後、実際にロースクールに入ってもなかなか合格ができないというふうな声が聞かれたりですとか、あるいは、そもそも制度そのものへの信頼というか、果たしてこれで進学をして本当にちゃんと法曹になれるのかというふうな不安の声というのを、逆に、政治の世界に入ってからは、学生の皆さんのいろいろな声を聞いたときに、少しちょっと悩んでいるんですと、正直、司法試験を目指したいんだけれども大丈夫なんだろうかというふうなお声をいただいたり、あるいは、法学部そのものの人気が少し落ちてきたみたいなニュースを目の当たりにしますと、制度が始まった当時の雰囲気というか、そういうものを経験しておりましたので、少しこれは何とかしないといけないなという思いで今回の質疑も参加をさせていただいております。  そこで、少し、冒頭、山本参考人と須網参考人にお伺いをしたいのが、そもそも今回議論の発端としては、やはりロースクールを志願する方というのが当初に比べてもう大きく減ってしまっている現状にある、これを何とか打開していかないといけないというところが議論の出発点だというふうに理解をしております。  ですので、まず、現状の認識として、どうして現在こういうことになってしまったのかというか、やはり一番根本的に直さないといけない部分はどうなのかということ、お二人は恐らく少し異なった意見かというふうに思いますけれども、お二人の参考人に、まず冒頭、その点についてお伺いできればというふうに思います。
  64. 山本和彦

    ○山本参考人 御質問ありがとうございます。  先ほど来出ていますように、法曹志願者の減少については、幾つかの原因が複合的に作用しているのではないかというふうに思っております。結局、学生が、最終的に法律家になって、そしてそこで活躍するまでの具体的なイメージがなかなかやはり抱きにくいということがあるんだろうと思います。  第一に、司法試験というものにまず通らないといけないわけですが、そこに至るまでの時間的、経済的な負担ということ、これはるる申し上げたところです。  それから、司法試験を仮に受験するとしても、そこで本当に自分が合格できるのか。司法試験合格率というのが、当初言われたような高い率に必ずしも達していないということ。  合格した後、弁護士、裁判官、検察官になるわけでありますけれども、その後の、例えば弁護士等になったとしても、必ずしも自分の思うような職、仕事ができるような状況にならないのではないか。これは景気の状況等もあったかと思いますけれども、弁護士事務所の就職状況その他ですね、なかなか将来に向けた夢が学生としては描けない。  そのような事情が複合して現在のような状況になったのではないかというのが私の認識です。
  65. 須網隆夫

    ○須網参考人 ありがとうございます。  制度が始まったころの非常に熱い雰囲気、私も今でもよく覚えております。  なぜロースクールのこの制度が機能不全に陥っていったのかというのは、いろいろな原因があります。  まず第一番目に、やはり合格率。制度当初の合格率が、審議会の意見書が発表していた七割、八割という水準に達しなかった、しかも人為的に抑制されたということ。  それから第二番目に、先ほどもお話ししましたけれども、弁護士会がもう増員は必要ないというキャンペーンを行い、他方、確かに、新しく登録した弁護士が就職がなかなか、弁護士事務所への就職が難しい、また、それ以外の新分野への進出というのもなかなか簡単にはいかなかったという、こういうような理由。  そして三つ目として、そういう状況の中で、司法試験問題の漏えいとかさまざまな不祥事があり、また当初七十四校あった法科大学院が募集停止が続いていく、こういう中で、いわば人々のマインドセット、日本社会全体のマインドセットの中で、法科大学院というのは非常によくない制度ではないかというような雰囲気が出てきたことがやはり大きかったのではないかというふうに思います。もちろん、当初の段階では、法科大学院側の教育にもなれない部分があったことも事実でございます。  このロースクールのシステムというのは、実は、たくさんの法科大学院志願者がいないと持続可能ではないシステムであるというふうに思います。たくさんの志願者の中から優秀な人を法科大学院に選抜し、その人にしっかり教育をして、そのかわり、ほとんどの人に司法試験には合格していただく、これがいわば、よい好循環になっていく条件なんだろうというふうに思います。  ただし、先ほどお話ししましたように、もしかしたら、その好循環が始まるという時期に今来ているのではないかというふうに私は思っておりまして、今後の志願者の増に大きな期待を持っている次第です。  以上です。
  66. 中野洋昌

    ○中野委員 ありがとうございます。  この低迷をしているさまざまな原因を解決しようということで、今回、政府の案というものができておるわけでございまして、それが、先ほど来話が出ている3+2、学部が三年、ロースクール二年、プラス在学中の受験を認める、こういう仕組みだということでございますので、これのそのものについての御意見も少しお伺いをしたいというふうに思うんですけれども。  山本参考人の方からも、確かに、カリキュラム自体がかなり濃密なものになってくるのではないかというふうなことが参考人御自身のお話からもあったかと思いますけれども、私も少し懸念をしておりますのが、要は、今まで、かなり時間がかかるということが一つのデメリットというか選ばれない原因だったのではないかということで、このギャップタームを解消しようということで、今度は短くしているわけでございます。  そうすると、これは須網参考人のお話にもあったかと思いますけれども、もともとプロセスとして養成をしようとしていた、だからしっかり長さをとってやっていたという中で、それが選ばれなくなってきたから、じゃ、短くしていこうということになってくると、何かそもそもの、プロセスとして養成をしていくというものと相矛盾をしていくのではないかということは、確かに私も懸念として感じるところではあるんです。  ですので、そういう意味では、カリキュラムを果たしてどうしていくのかであるとか、あるいは司法試験の内容をどうしていくのであるとか、その中身の議論もしていかないと、この制度だけを縮めていくというだけでは、決してうまくいかないのではないかというふうな思いというか、そういう感想を持っております。  こうした点につきまして、山本参考人がどのようにお考えかということをもう少し詳しくお聞かせいただければというふうに思います。
  67. 山本和彦

    ○山本参考人 ありがとうございます。  委員御指摘の問題は最も重要な点だと、我々法科大学院関係者は認識をしております。先ほど申し上げたように、できるだけ早く本法案が成立をし、それを受けて、司法試験の時期等についても、あるいは中身についても、できるだけ早く関係者の間で意思統一をしていただいて、それを受けて、我々、法科大学院関係者としてはカリキュラム等を整えていく、現実的にフィージブルなものにしていくということが必要なんだろうと思っております。  今回の改革は、私の考えでは、プロセスとしての法曹養成という基本的な理念は堅持しているということだろうというふうに思いますのは、年限は短縮はしているわけでありますが、そこで修得すべき単位数等については、現状と基本的には変わらないものにしている。司法試験は、仮に在学中で受験、合格したとしても、法科大学院の修了というのが司法修習生になるための要件として規定している。つまり、法科大学院での現在の教育は最後まできちんと受けていただく必要があるということですので、全体としての最終的なでき上がりの姿といいますか、法曹になる方が受ける教育内容というのは現段階とは変わるものではない。そこに工夫が必要なのですが、私の認識、学部で教えている認識でも、例えば一橋大学などでは、四年で卒業するわけですが、三年で卒業要件の単位数を取ってしまっている学生というのはかなり現実にいます。  もちろん、一橋大学は卒業論文というのがあって、その後、卒業論文ゼミとか卒業論文を書くわけですが、そのあたりを濃密にする必要はあるというふうに思っておりますが、学部を三年に短縮したからといって、それでその学生の教育内容とかレベルとかそういうのが落ちるというふうには必ずしも認識をしておりませんで、そのあたり、教育の工夫は必要ではありますけれども、カリキュラム等を工夫していく中で対応できるものというふうに考えております。
  68. 中野洋昌

    ○中野委員 ありがとうございます。  しかし、ここのやはり工夫というのが、制度を改正していく上で、実際に中身を落とさずにというかそういうものが、非常にこれから検討していく必要があるのだということをまた改めて感じさせていただきました。  もう一つお伺いをしたいのが、ほかの参考人の皆様からもお話がございました、例えばこうした3+2と在学中受験みたいな形をすると、もうまさに法学部の方しか対応できないのではないかというか、未修者の方、あるいは社会人といった多様性の確保というその最初の理念は本当に保たれるんだろうか、こういうこともやはり心配をするところであります。  私も、学部自体は法学部ではなかったんですけれども、公務員試験は法律職で受けました。そのときは、伊藤真参考人のテキストには大変に助けられたところではあるんですけれども。やはり、未修者の方が、法曹のところの、何というか、専門的なことを勉強するというのはかなりハードルがあるなというのは私自身も感じたところでございまして、未修者への対策ができるのか、あるいは多様性が確保できるのか、この点については、山本参考人はどのようにお考えでございますか。
  69. 山本和彦

    ○山本参考人 ありがとうございます。  その点は、まさに、今期の中教審として考えていかなければならない一番大きな問題の一つだろうというふうに考えているところであります。  先ほど来出ていますように、今回の改正が、あたかも法学部、そして既修者だけを念頭に置いて、そういう人たちだけが法曹になればよいのだというメッセージとなるということを我々としては最も恐れているところでありまして、未修者の教育をより充実していく。  既にそのための幾つかの方策、例えば、共通到達度確認試験というような形で、未修者一年から既修者に進む際に、全国共通の試験を受けて、それを進級の際に考慮するというようなシステム。ずっと今まで準備的な作業をやっておりましたが、今年度からそれが本格的に実施されて、現実に進級の要件として考慮されて、一年生としては、どういうところまで勉強してどこまでいけば全国レベルで、既修者に、二年生に進んでいくことができるレベルなのかということを知っていただくという機会になろうかと思いますし、また、未修者教育の各法科大学院でやっているさまざまな努力というものについて、情報を集約して、それを各法科大学院で学び合うというようなことも今行われているところでありまして、私どもとしましては、ぜひ、多様な法曹の養成という観点から、この未修者教育についても、既修者とまさに両輪のものとして充実させていくということが重要であるというふうに考えております。
  70. 中野洋昌

    ○中野委員 済みません、山本参考人にちょっともう一問お伺いをしたいんですけれども。  私が少し今後の展開として気にしておりますのが、法曹養成制度というのは大きな変革をいたしまして、ロースクールを導入した。それと同時に、もともとは量の確保というか、やはり法曹人材が数多く必要だ、しかし質を落としてはいけない、だからロースクールという養成制度をしていこうというふうな議論もあったかというふうに思います。合格者数もかなりふやした、ロースクールも導入をした。ただ、なかなか現実、うまくいっていないのではないかというふうなお声もあり、そして合格者の数自体も絞ってきた。そして今回また、ロースクールの制度自体も、3+2と在学中の受験ができますよという仕組みに変えるということではあるんですけれども、本当にこれで制度としてある程度安定したものになるのかどうかというふうなところ、少しどうなんだろうというふうな問題意識はございます。  もちろん、社会のいろいろな状況を踏まえて、やはり法曹人口が足りないというふうなことがあれば、またそこは議論にはなるんでしょうし、そこは状況変化によって変わってくるものではあるとは思うんですけれども、しかし、余りにも制度が変わり過ぎると、法曹を目指す人からも、やはり、なかなか予見できないというか、そういうことがあってもいけないだろうというふうに思います。  ですので、今回の制度の改正で、ある程度法曹の養成の仕組みというのは安定をしたものになっていくのか、あるいは、状況を踏まえながら、まだまださまざまな改革をしていかないといけないものなのか、こうしたところについて御意見をいただければというふうに思います。
  71. 山本和彦

    ○山本参考人 ありがとうございます。  確かに、この間の法科大学院創設以来、いろいろな改革が行われてきた結果、学生の目から見れば、猫の目のように変わってしまう、非常に不安定な制度であるという印象を与えてしまったことは否めないところかと思います。  ただ、私自身は、今回の改革が実現すれば、先ほど申し上げたような法曹志望者の減少の原因というものが相当程度改善されることは間違いないと思います。時間、費用の点については既に申し上げたとおりでありますし、合格率の問題も、一番低かったときは二〇%すれすれぐらいに法科大学院修了生の合格率はなったと思いますが、現在は二五%ぐらいまで回復してきているところでございます。  今回の法案にもありますように、法科大学院の定員をある程度管理していって、そこで充実した教育を行っていけば、更に合格率は改善していく可能性はあるんだろうというふうに思いますし、最後の段階で、弁護士等になった場合に対する学生の不安という観点からも、最近はやはり、かなり弁護士事務所も人手が足りなくなっているというお話であるとか、企業の法務部とかももっと人を雇いたいんだというようなお話はかなり随所で聞くところでございますので、そういうところも改善をしていけば、全体としてこれまで悪循環を繰り返していたこの制度というのがいい循環に入る、先ほど須網委員もおっしゃったと思いますが、今、いい循環に入る可能性がある時期になっておりますので、この法案で後押しをいただくことによって、その循環をより安定したものにしていくということが可能なのではないか、それを期待しているということでございます。
  72. 中野洋昌

    ○中野委員 時間が参りましたので、以上とさせていただきます。  三澤参考人と伊藤参考人には、少し時間が足りなくて御質問ができなかったことをおわびを申し上げたいというふうに思います。  以上で終わります。ありがとうございました。
  73. 亀岡偉民

    ○亀岡委員長 次に、畑野君枝君。
  74. 畑野君枝

    ○畑野委員 日本共産党の畑野君枝です。  山本和彦参考人、三澤英嗣参考人、伊藤真参考人、須網隆夫参考人の皆様には、きょう、本当に貴重な御意見を伺うことができました。ありがとうございます。  実は、今回の法案、法科大学院の教育と司法試験等との連携等に関する法律等の一部改正案なんですが、随分前の法律の改正なんですね。当時は法務委員会で審議がされておりました。ここは文部科学委員会ですので、私、当時の議事録とか、あるいは、先ほどから議論になっております司法制度改革審議会意見書とか、一から勉強し直す、こういうことで臨ませていただいているんです。  それで、まず四人の参考人の方に伺わせていただきたいんですが、この二〇〇一年の司法制度改革審議会意見書、これがベースになって法律化されたというふうに思うんですが、「司法試験という「点」のみによる選抜ではなく、法学教育、司法試験、司法修習を有機的に連携させた「プロセス」としての法曹養成制度を新たに整備すべきである。その中核を成すものとして、法曹養成に特化した教育を行うプロフェッショナル・スクールである法科大学院を設けるべきである。」というふうに言われて、そして、二〇〇四年から学生受入れ開始を目指して整備されるべきであるというふうに、法科大学院について述べられたわけです。  当時、二〇〇二年に衆議院の法務委員会でこの議論をしておりまして、我が党も木島日出夫議員始め議論しているんですね。その当時、制度設計は大丈夫なのかとか、あるいは、その後、司法修習の給費制が廃止されるということなども起きましたけれども、当初、本当に懸念をして、具体的にもっともっと準備する、あるいは対策を打つべきではないかという意見もそういう議論の中であったというふうに思うんです。その点で、私は当時の理念を今回相当変えるものだと思うんですね。  当時どのような議論が国民的にもあって、そして、今回法曹志願者の激減ということは特に言われているんだけれども、そもそも制度が違ったわけですから、そういう一つ一つの吟味なり、先ほど参考人の方からもその具体的なデータと分析、それは今回の法案が出されるに当たってどのような議論がされてきたのかということについて、四人の方にそれぞれお伺いできますでしょうか。
  75. 山本和彦

    ○山本参考人 ありがとうございます。  司法制度改革審議会で議論されていた当時は、私は一法学部の教員でした。その議論は基本的にずっと伺っていて、基本的な方向性としては賛成をしていたわけです。  当時の司法制度改革審議会というのは、御存じのとおり法律、法曹について議論をする会議体であったわけですが、法曹出身者の方よりも法曹以外の委員をより多く入れて議論をするという、かなり当時としては、ややラジカルな会議体だったのではないかと思います。そういう法曹以外の方々の御意見も踏まえた形で、こういう法曹養成制度が望ましいだろうという形になったものというふうに理解をしておりまして、そういう意味では国民的な議論がなされた、どの程度の国民がこの議論に関心を持ったかということはもちろんあるかもしれませんが、基盤としては国民的な議論がなされたものというふうに理解をしております。  その後は、特に中央教育審議会では、私はかなり長い間この議論に携わってまいりまして、その中央教育審議会においては、いろいろなデータが示される中で、どういうふうに法曹養成制度をしていったらいいだろうかということで、法科大学院は、先ほど申し上げたように、かなり改革をこの間ずっと続けてきた、いろいろな意味でやってきたというのが私の認識ではあります。ただ、それが余り一般には伝わっていない部分もあるのかなというふうに、先ほどのお話を聞いて伺ったところです。  今回の改革についても、法学部の学部の方の意見を全く聞いていないということではありませんで、中教審も従来の法科大学院特別委員会から法科大学院等特別委員会というふうに名称を改めて、かなり法学部の先生方も一緒に入っていただいて、委員会の中では議論をいたしました。法学部からのいろいろな要望とか御意見とかも踏まえて、今回の法曹コースの制度設計というのがなされたというふうに認識をいたしておりまして、それなりにというか、まあ幅広い意見、幅広い形で議論を進めてきたというのが私の認識ではあります。
  76. 三澤英嗣

    ○三澤参考人 御質問ありがとうございます。  先生おっしゃるとおり、今般、この政府提出の法案は、先ほど来私が手元に持っています司法制度改革審議会意見書と大幅に異なるというふうに私は理解をしております。  この意見書、それからその後の議論を追っかけていけばわかりますけれども、もともとこの法科大学院制度自体は、法科大学院というところに実務家も研究者も入り、未修者であれば三年、既修者であれば二年という教育をきちっと受けて、だからこそ司法試験を受けて、期間短縮される司法修習、一年間ですね、受けてプロの法律家になっていくという話だったわけです。  ところが、今回出されています在学中受験という形になりますと、要は法科大学院の教育を完了していなくても司法試験を受けられる。これは司改審の意見書にも全くそんなことは書いてありません。仕組みが異なってしまうんですよね。そのことを私はきちっと議論して、審議会なりなんなりをつくって議論した上で法案として出るべきだったのではないかというふうに思っております。  私に言わせれば、平成の大改革を改める大改革が今行われようとしているわけですけれども、中教審でそれはきちっと議論されていたかといえば、繰り返しますけれども、3+2の議論はされていました。それは私は認めます。しかし、そこに在学中受験だという、司改審意見書では全く想定していなかったものが入るということについては議論はされていません。もし議事録があるのであれば、それを出していただきたいと思います。  唯一出ているとすれば、昨年、読売新聞がこのことをすっぱ抜いたときがあると思いますけれども、そのときの中教審で若干議論が出ただけです。それは中身の議論じゃないです。恐らく中教審で、それは誰かが発言しないとうまくないんじゃないかというような話があって対応したんじゃないかというふうに思っています。  先生おっしゃるとおり、審議会の意見書、これを大幅に改正する法案だというふうに理解をしております。  以上です。     〔委員長退席、馳委員長代理着席〕
  77. 伊藤真

    ○伊藤参考人 お答えします。  先生の方から、この当初、もう本当に二十年も前になりますけれども、法務委員会なり、その法務のところを中心に、そこでも議論がなされたという御指摘がございましたが、まさにそのとおりでございます。  プロセスによる教育ということですから、法科大学院、これは文部科学省でしょう。そして、司法試験は法務省の管轄です。合格した後の司法研修所、司法修習は最高裁判所でございます。そこを連携させた議論、これがどうしても必要です。いわゆる縦割り行政というような、ばらばらでいいわけがない。その一貫した法曹養成のシステム全体をトータルに見て議論がなされたか。全く今回はそれがなされていないということでございます。  また、残念ながら、当初のこの司法制度改革のもとで、法科大学院、プロセスによる教育ということが提唱され、繰り返し申しますが、多様性、開放性そして公平性、私はその理念に賛同し、私も実はある大学と提携して法科大学院をつくろうと考えたものであります。ですが、残念ながら、認めていただけなかったんですけれども。  その当初も、三千人合格者を出しますよ、でも、七十四校できて、六千人ぐらい法科大学院に入学させてしまうわけですよね。それで合格率が七割、八割。小学生でもわかる計算に失敗したわけです。誰が見ても当初から破綻することは明らかな制度として残念ながらスタートしてしまいました。  既修者は二年勉強すればいいんですよ、入学した未修者、法律を全く勉強していない人が一年で既修者に追いつくという仕組みでこれは当初スタートしたわけです。私も、もう三十八年法曹養成に携わっていますが、全く法律的な前提知識がない方を一年で、大学四年間法律を勉強した皆さんに追いつくというのは、本当にこれはなかなか大変なことです。相当、カリキュラムも、また教育スキルというところも含めて熟練していないとなかなか難しいところですが、当初からそういうある意味では理想を掲げてスタートしたんですが、残念な結果になってしまいました。  もう一度、いわばゼロベースで、先ほど申し上げた、まさにプロセス、全体をいわば視野に入れた形で法曹養成を変えるならば、そこを見据えた上で変えていくということにしないと大変な結果が待っているだろうなというふうには思います。  以上です。
  78. 須網隆夫

    ○須網参考人 司法制度改革審議会、ちょうどもう二十年前になりますけれども、随分重要なことを議論した審議会だったと思います。やはり、法律家の日本社会における役割を広く拡大していこうということが、司法制度改革審議会の意見書の大きなポイントだったと思うわけです。  日本の社会は、裁判所は別なんですけれども、それ以外の場所では資格を持った法律家がいなくても基本的に回っていくような社会になっているわけですけれども、それを変えていこうというアイデアだったと思います。それがある程度成功して、中央官庁にもかなり法律家の資格を持った人はふえてきましたし、また自治体、福島の被災地の自治体でも南相馬市とか浪江町には弁護士資格を持った職員がいる、こういう状態になっております。  そういう中で、養成システムについてもやはり法科大学院が中核になったシステムをつくろう、そういう議論をしてきたと記憶しております。  これは、本質的には、日本社会というものが法曹養成という問題にどれだけ社会の持っている資源を割いていくのか、こういう問題なんだろうというふうに思います。  旧試験の時代には、実は、日本社会はほとんど法曹養成というテーマに対して資源を割いていなかったというふうに思います。これを大学に関与させることによってより多くの資源を割いていく、それはやはり、法律家の果たす役割というものが社会の中で非常に重要なものなんだということを改めて確認したことだったんだろうというふうに思います。  今回の在学中受験の問題も、それから実は3+2の学部連携の問題も、どちらも審議会の意見書とはかなり異なっているというか、反していると言わざるを得ないと思います。  審議会が非常に、法律家だけでなく各界の方々、経済界、労働界、消費者団体等の方々の参加を得ていわば国民的な議論をして決めたことを変えるためには、本当はやはり、それと同じ程度の国民的な議論というものが必要だったんだろうと思います。  それから、法曹養成から法曹制度というのは一つのシステムなんですよね。実は、一部をいじると、ほかにも当然、波及効果が生じてきます。今回の在学中受験と学部連携というのはまさにその一部をいじるわけですけれども、本当はやはり全体を議論しなければいけないのではないかというふうに思います。  以上です。
  79. 畑野君枝

    ○畑野委員 ありがとうございました。  いろいろな取組、例えば、先ほど、司法修習は給費制がなくなったけれども修習給付金が復活するとか、額は低いですけれども、いろいろな運動がずっと行われてきたというふうに思うんです。  それで、先ほど紹介した司法制度改革審議会の意見書の中で、先ほどの学部との連携のお話、3+2の話にかかわってなんですけれども、このように意見書では言っていたわけですね。「大学における法学部教育を何らかの方法で法曹養成に資するよう抜本的に改善すれば問題は解決されるとの見方もありうるかもしれないが、この考え方は、大学法学部が、法曹となる者の数をはるかに超える数(平成十二年度においては四万五千人余り)の入学者を受け入れており、法的素養を備えた多数の人材を社会の多様な分野に送り出すという独自の意義と機能を担っていることを看過するものであり、現実的妥当性に乏しいように思われる。」というふうに言っているんです。  ですから、そういう点からも変わってきているというふうに思うんですが、先ほどからも議論になっているように、学部で三年間、そしてプラス二というのは、実際、二ではなくて、法科大学院の二年目の途中で司法試験の在学中受験を認めるということになると、実質もっと少なくなる。例えば臨床とかクリニックの話がありましたけれども、そういったところは、では一体どうなるのかということもかかわってくるんですね。  私、これらを議論する上で、では当初の目的だった司法試験制度の中身を含めてどうあるべきかという議論も一体でなくてはならないと思っていて、二〇〇二年のときには、もちろん、法務委員会だけでなく、文部科学委員会との連合審査も行われましたけれども、中心的には法務委員会でやってきた。だから、おっしゃったように、全体的なプロセスの中でどう法曹養成をしていくのか、そういうものを変えるのであれば、それはその抜本的な議論をもう一回国民的にも起こしていく必要があるのではないかというふうに思っているんです。  それで、時間が限られておりますから、幾つかその点について伺いたいんです。  まず、3+2と、それから法科大学院での在学中司法試験の受験を認めるということが、当初のプロセスとしての法曹養成にどういう影響を及ぼすのか、その点について、四人の方に伺えますか。
  80. 山本和彦

    ○山本参考人 ありがとうございます。  確かに、今回の改正というのは、当初の法科大学院制度のあり方とはやや異なる面があることは間違いないというふうに思っています。ただ、司法制度改革審議会が唱えたプロセスとしての法曹養成という考え方自体は、今回の改革においても堅持をされているというのが私の認識です。  委員御指摘のとおり、確かに、3+2の2の部分で、途中で司法試験を受けることになるのではないかということです。それはそのとおりなんですけれども、ただ、司法試験に合格した後、最終的には、法曹になる、司法修習生になるためには二年間の法科大学院の課程を修了しなければならない、そこで要求される単位数等も基本的には現在とは変わるところがないというふうに私自身は認識をしております。  臨床教育等について難しくなるというのは御指摘のとおりで、そのカリキュラムをどこに組むかというのはなかなかの工夫が必要なところでありますが、最初に私が意見を申し上げたように、三年の後期というのが、もし仮に、夏休み、夏に司法試験が行われれば、その後の後期に、クリニック、エクスターンシップその他の臨床教育に集中して取り組むという可能性も十分あるわけでありまして、そのあたりは、司法試験のあり方も含めて、今後、かなり関係者で議論をしていただかなければなりませんし、それを受けて、カリキュラム等をかなり工夫していかなければならないということは事実でありますけれども、基本的なプロセスとしての法曹養成という考え方に変化はないというのが私の認識であります。
  81. 三澤英嗣

    ○三澤参考人 御質問ありがとうございます。  まず、先生が先ほど司改審の意見書を読み上げられましたけれども、あの部分はとても重要な部分でして、今回は、3+2ということで、連携をするということが前提になっていますが、これは、当時、なぜ法科大学院制度が法学部につくられなかったかというのは、まさにその司改審意見書の摘示しているところがポイントなんです。つまり、法学部は法曹養成機関では全くないので、法曹養成機関を法学部では端的に言えば担えないということで、私の理解でいえば、外出しで法科大学院という制度をつくったんです。その後、日本の法学部は何も変わっていません。そこに今ドッキングさせようとして、この法案が出ているわけです。  中教審でさんざん3+2の議論はされていたと思いますけれども、私は個人的に、この司改審意見書ができていたときの問題性、これが今きれいに回復できているのか、そしてこれからそこがクリアできるのかということについては極めて疑問だと思っていますので、運用としてうまくいくかということについては気になります。  あと一点ですが、先ほど繰り返しましたことと同じですけれども、もともとは、既修者であれば、法学部四年でプラス二年ですから、六年教育を受けるという話だったんですね。これが、3+2で、在学中受験が加われば、結局、六年が四年になるんです。先ほど山本先生がおっしゃっていましたけれども、単位数は変わらないというわけです。六十センチの大皿のものを四十センチに盛ったら、多分、おかずはこぼれます、それから、食べる人間はきちっとそしゃくできません。必ずこの制度はそういう方向へ向かっていくと思います。  うまくいくかと言われれば、恐らくうまくいかないのが今の法案の制度だというふうに理解をしております。
  82. 馳浩

    ○馳委員長代理 申合せの時間を超過しておりますので、御答弁、できるだけまとめていただくようにお願いいたします。
  83. 伊藤真

    ○伊藤参考人 プロセスによる法曹養成にどのような影響があるか。私は、プロセスによる養成の中身が変わってしまうんだと思います。3+2によって、実質的には、司法試験合格を目指したプロセス、それが新たにできてしまって、幅広い、さまざまな知見をもとにした法曹養成、当初の目的である法曹養成から、はっきり言えば、目の前の司法試験に合格するためのプロセスが大学から始まってしまう、そのプロセスに中身がまるで変わってしまう、大きくそこは問題だと思っております。     〔馳委員長代理退席、委員長着席〕
  84. 須網隆夫

    ○須網参考人 簡潔にお話しします。  現在の教育への影響ですけれども、一つは、ロースクールがなぜ独立して、学部と切り離されたかというと、他学部出身者を平等に扱うということだったわけですね。ですから、当然、この点が変わります。  それから二つ目は、クリニックとか臨床系科目の件のことを言われましたけれども、それ以外の先端系の科目への影響ですね。いわゆる将来の専門化した日本の法曹を育てる、その種になる一定の基礎を、当然、法科大学院の中で学修する。知的財産権法であったり、国際関係であったり、そういうようなことが予定されていたわけですけれども、やはりそこへの悪影響というものも、そういう先端系科目の先生方たちは非常に懸念しております。  それから三つ目に、志願者の動向なんですけれども、法曹コースに入らなくて、法学部から法科大学院に入学するという学生の道も当然あるわけですよね。この学生の動向というのがどのように影響を受けるのか、よくわかりません。つまり、法曹コースに入れなかった、若しくは修了できなかったから法科大学院へ行くのは諦めよう、もしこういうような学生が多くなれば、やはり全体の志願者は余りふえないということになるのかもしれません。  以上です。
  85. 畑野君枝

    ○畑野委員 ありがとうございました。  以上で終わります。
  86. 亀岡偉民

    ○亀岡委員長 次に、串田誠一君。
  87. 串田誠一

    ○串田委員 日本維新の会の串田でございます。  今、畑野委員が、当初、どういうふうになったのかというのはすごく大事な立法事実だと思うんですが、まず最初に、四人の方に質問する前に、伊藤参考人にちょっとお聞きをしたいんです。  予備試験において高く評価されているという話の中で、宮崎委員が質問された、紹介した中では、困難を乗り越えていくからだというようなこともありました。ただし、それだけの、精神論で評価されているわけではないんだと思うんですね。経済界で予備試験を合格した人が高く評価されているというのは、現実的にはどういうようなところが指摘されているんでしょうか。
  88. 伊藤真

    ○伊藤参考人 お答えいたします。  予備試験の勉強の過程では、徹底した基礎、基本、これを重視します。予備試験の問題内容が極めて基本的な基礎知識を問うものなものですから、徹底した基礎、基本を身につけていること。  それから、科目相互の関係性も含めた全体的な理解、これは体系的理解と言葉をかえることができますが、法制度全体を体系的に理解するという、そこにたけているということだろうと思います。  さらには、短い期間で目的を設定して、そこに向かっていわばさまざまなプロセスを検討していくという、私たち、ゴールからの発想と言っていますけれども、何か目標に向けてみずから計画を立てて努力をして進めていく、そういったいわば仕事の進め方、そこにも評価が高いんだろうなと思いますが、私は、一番の理由は、徹底した基礎、基本を身につけ、そして、時代が変わり、社会が変わったとしても、新しい先端分野などについて、みずからの力でそれを身につけていく、そういう土台がしっかりできている、それが評価の大きな一つの原因だ、そう考えています。  以上です。
  89. 串田誠一

    ○串田委員 そういう意味では、予備試験が、経済界なんでしょうか、高く評価されるということは、法科大学院ではなくて予備試験の方が高く評価されるというのは、これはちょっと問題なんじゃないかなと思うんですけれども、一方では、階委員が先ほどの質問の中で、現在は質が下がっているという声をよく聞くという話でもありました。  そこで、立法事実なんですが、一発試験では評価できないというような委員からの御発言もありましたけれども、この当初の制度を取り入れるときに、それまでの旧司法試験の、これは弁護士だけじゃなくて、裁判官や検察官や弁護士が質が悪いという声がどこからかあったのかどうか。なければ、それを変えるという意味がないわけで、どういうようなところからそういう声があったのか、四人の方からお聞きをしたいと思います。
  90. 山本和彦

    ○山本参考人 ありがとうございます。  旧試験の時代に法曹の質が下がっていたのかという御質問であったかと思います。  全般的にどうであったのかということはなかなか分析が難しいところだと思いますけれども、例えば司法制度改革審議会の意見書の中には、やはり司法試験の受験生、合格者の中に、どうも受験手法といいますか、受験技術に集中している学生が多いのではないかというような指摘がありました。  私の乏しい経験でも、私は、旧司法試験の時代の一番最後の方で口述試験の委員をやっておりました、そのときの私の印象でも、いわゆる論点については立て板に水のごとくしゃべっていた学生が、非常に基本的なこととか、あるいはなぜその制度がそういうふうになっているのかという、我々としてはかなり基本的なことを聞くと、途端に答えられなくなってしまうというようなことを感じました。ほかの委員とかも同じような感想を述べていたというようなことがございました。そういう意味では、やや、何というか、学修の仕方に偏りがあったということは否定できなかったのではないかというふうに思っています。  それから、特にそういう現象が生じてきたのは、合格者の人数をふやす時期に、五百人から七百人にふやし、七百人から千人にふやしていく時期に、やはりだんだんそういう現象が見られる受験生の割合が多くなっていったという現象があったように思います。  そういう意味では、千人の人数を更に千五百、二千という形で法曹の数をふやしていきながらその質を担保するという観点からは、当時の旧司法試験のやり方というのは限界があるだろう。そこで、プロセスとしての教育というような、体系的な形で学生を教育していくという制度が不可欠なのではないかという認識が一般になったのではないかというのが私の認識であります。
  91. 三澤英嗣

    ○三澤参考人 御質問ありがとうございます。  質問の前提として、先ほど来、予備試験が優秀で、それ以外が余り優秀でないような聞き方をされているように感じていますものですから、ちょっと気になりましたけれども、私は、ごめんなさい、予備試験が優秀だというのは、ある種の都市伝説だと思っています。私が聞いている中で、元司法研修所教官の人ともお会いすることもありますし、このテーマで話すこともありますけれども、予備試験の人が極めて優秀だというふうに必ずしもおっしゃるとは限りません。まず、そのことだけは申し上げたいなと思います。  先輩法曹として、後輩の質が下がっているとか質が上がっているということについて、試験で決まるとは思っていません。プロは試験だけでは決まらないからです。  二点目の、旧司法試験のときの質が下がっていたかということに関してですけれども、これは、私も旧試験を受けてきた人間なので何と答えていいかわからないんですが、少なくとも司改審のときに出ていた意見は、旧司法試験で合格してくる人の弊害としては、例えば論文試験なんですけれども、論文試験の答案が判で押したようなものが極めて多くなってきていると。つまり、法律家としては、いろいろな事象について、もちろん、一つのテーマについて同じような解答をするということは法律家として基本だから当然わかるんですけれども、司法試験の問題について、どこかで習ったような答案形式のものをみんな書いてくる、これで日本の法曹というのは大丈夫なんだろうか、弁護士、裁判官、検察官、大丈夫なんだろうかという声は、少なくとも司法制度改革審議会のときに私は聞いた記憶があります。  以上でございます。
  92. 伊藤真

    ○伊藤参考人 申し上げます。  どこかで習ったようなことをみんな書いてくる、多分、私のところで習ったようなことを皆さん書いてくるんだろうなと思います。試験の問題に対してどう対処するか、問いにどう答えるか、それは、やはり答案の書き方も、また考え方もさまざまございます。私は、そんなことを言うのだったら、問題を変えればよかっただけと思っています。  当時、数行の問題で、しかも、一時間ぐらいの中で答案を書き上げなければならない。一時間で千六百字ぐらいの答案を書き上げる、それがどれだけ大変なことか。現場でじっくり考えて答えましょう、そんな問題では全くなかったわけです。  ですから、例えばA4一枚、二枚、三枚、そういう長文の事例を出して、じっくり現場で考えて解答を作成するような問題に変えればよかっただけと思います。そこを一切検討もしないで、何かパターン化された答案が次々出てくる、それこそワンパターンの批判でありました。  先ほどからさまざま御議論がありますけれども、試験である以上、そんな試験で法曹としての能力をはかれるわけがないです。まず、出発点として、ペーパー試験だろうが何だろうが試験そのもので法曹としての力がはかれるわけがない、ただ、最低限の入り口のところのハードルを越えていますか、それだけのことなんですね。そしてまた、試験である以上は評価も分かれて、ピンからキリまで、それはいろいろな合格者がいて当たり前のことです。先ほどからお話を伺っていても、できるやつもいればできないやつもいる、当然のことで。  御質問ですが、質が下がったかどうかということですけれども、当時、大学の先生方や試験委員の先生方の主観的な感覚、それは幾つか声が出ていました。しかし、客観的なデータに基づいての実証的な根拠は何一つ提示されていなかったと考えています。  以上です。
  93. 須網隆夫

    ○須網参考人 今、伊藤参考人のお話をお聞きしていて、もし伊藤参考人の塾が市場を支配していなければ、もしかしたら法科大学院制度は生まれなかったのかなとか思っていたんですけれども。  先ほど三澤参考人のおっしゃったことに加えて、当時の批判は、伊藤先生のような塾の本だけ読んで法律書を読まない、そのために、やはり基礎から物事を組み上げていくところに能力的に不足があるのではないか、こういうことは言われました。それがどれほど客観性を持っていたのかということについては、確かに伊藤参考人のおっしゃるとおりです。  ただし、実は九〇年代の後半、裁判所と検察庁と弁護士会と、この三者全て、現在の旧試験による選抜には問題があるということでは一致していたわけですね。普通、実はこの三者が意見が一致するということは余りないんですけれども、なぜかどなたも、その問題については問題性を感じておられた。  ですから、そういう意味でいえば、客観性はないかもしれないけれども、間主観性はかなりの程度あったのではないかなというふうに思います。  以上です。
  94. 串田誠一

    ○串田委員 試験である以上は、傾向と対策というのを検討するのは普通かなと思うんですが、今回の法改正で3+1とか、いろいろな意味で、逆に言えば、やはり試験はやるわけですよ。顔を見て合格者を決めるわけじゃないですから。  そのときに、試験をやるんだけれども、先ほどの弊害、こういう問題が出たらこういう型どおりの答えが返ってきている、たくさんそういう答えが返ってきているのが弊害だという話であるなら、今回の改正で、それを避ける方法というのはどういうふうになっているんでしょうか、四人の方にお聞きしたいと思います。
  95. 山本和彦

    ○山本参考人 ありがとうございます。  試験である以上はという委員の御指摘はそのとおりでありまして、もちろん、法科大学院は、全体としてプロセスとしての法曹養成ということで、法科大学院教育の中でさまざまな、試験でははかれないような能力も養っていって、それを修了するということが最終的に法曹になる条件ということになっておりますので、試験では十分見られない部分も、そこで最終的には担保しているという部分があろうかと思います。  司法試験のあり方をどのようにするかということについては、繰り返し今回出ておりますように、これはかなり大きな改革でございますので、ぜひ関係者で、司法試験のあり方というものについて、もう一度ゼロに立ち返ってといいますか、考えていただいて、先ほど伊藤参考人の方からも、試験の問題を工夫することが重要であるという御指摘、御示唆もあったように思いますので、ぜひ、その試験の問題のあり方についてもう一度真摯に議論をしていただきたいというふうに考えております。
  96. 三澤英嗣

    ○三澤参考人 御質問ありがとうございます。  先生御指摘の司法試験の問題、このことはとても大事だと思います。先ほど来申し上げていますけれども、極めて大きく期間が短縮され、そのカリキュラムの中身自体の量は変わりませんので、その学生に対して司法試験を従前のとおり、例えば、今の試験でもそうですけれども、それをそのまま当てはめればどういう結果が起こるかということは、私は、おのずと、大変学生にとってはシビアな結果になると思っています。  今回の法改正については、まあ一つの案だとは思いますが、先ほど来出ていますように、これは司法制度改革審意見書のときにもありました、一体としての制度ですので、先生御指摘のとおり、本来であれば、司法試験の改革、これも交えた上で先生方に御議論いただくのが筋目だったのではないかなというふうに理解をしております。  以上です。
  97. 伊藤真

    ○伊藤参考人 申し上げます。  試験が存在する以上は試験対策が必要なことは、何も変わらないというふうに思います。ですから、先ほど申し上げたとおり、3+2が単にその試験のためのものになってしまわないか、そこは本当に懸念をしております。  私どものところでは、先ほど須網参考人の方から、伊藤さんのところがなければ法科大学院は始まらなかったかもしれないなんて、本当にありがたいお言葉をいただきましたが、私たちのところでは、いきなり難しい、先生方が書いた本を読んで法律が嫌いになるぐらいならば、わかりやすい、そういうテキストを読んで、しっかり基礎、基本を自分のものにして、場合によってはその過程でしっかりと教科書を読む、又は合格してからしっかり専門書を読んで勉強する。学ぶにはプロセスがあるでしょう、学び方の手順や順序があるはずだ、それを徹底して形にしてきたつもりであります。  ですから、やはり試験問題というものが、どういうものが出題されるのか、そこを相当しっかりと考えていただかないと、この制度というのは、残念ながら、単に合格するためだけのプロセス、それに変容してしまう危険が極めて高いな、そう考えています。  以上です。
  98. 須網隆夫

    ○須網参考人 どのように問題を回避するかという御質問でしたけれども、答えは、一つの試験にどれだけの負荷をかけるのかということなんだろうと思います。つまり、一つの試験だけに圧倒的な負荷をかけるシステムを維持すれば、問題点は回避できないだろうというふうに思います。  これは、きょう話に出ておりませんけれども、現在の法科大学院は、実は進級したり卒業したりするというのは決して容易なことではありません。毎年、一定の学生が進級ができず留年していくことになりますし、その過程の中で、退学して進路を別の方向に求めるという学生もたくさんおります。  ですから、毎回の学期末試験も一つの試験ですし、それから、話が出ておりました共通到達度確認試験、こういうような別の試験もあるわけですね。その延長線上に司法試験があるわけで、問題は、やはりその司法試験に現在かけられている圧倒的な負荷というものを軽減していくということ、これしかないんじゃないかなというふうに思います。  その意味で、司法試験については、問題の作成の体制を含めて、内容については早急に見直しをしないと、この法案は通ったけれども司法試験はそのままということであれば、それは、確かに、数年後にはもう法科大学院はないということになっているかもしれないと思います。
  99. 串田誠一

    ○串田委員 紋切り型な答えが多いというのが弊害ということであれば、結局は同じような問題が今回も発生するのではないかなと思うんですが。  もう一点、山本参考人にお聞きをしたいんですけれども、長い間受験している人がいるというような話がありました。これは、例えば囲碁、将棋であれば奨励会が年齢制限していますけれども、芸能人などは、本当にいつまでも自分は歌手になれるんだと思っている人もいれば、漫才師もいるでしょうし、ほかの試験も、ずっと受けている方もたくさんいらっしゃると思うんです。何でこれは司法試験だけ、ずっと受験する人を心配しなきゃいけないんでしょうか。
  100. 山本和彦

    ○山本参考人 ありがとうございます。  心配しているかどうかということですけれども、私の理解では、それは果たしてそういう、人生を司法試験受験するということだけに費やして、その後立派な法律家になっている方がいることは間違いないところでありますけれども、そこは五年なら五年という形で区切って、そこで一区切りをつけてもらう。  もちろん、さらにその後、予備試験とか法科大学院を受け直して、新たな受験資格で更にそれを続けるということは可能だということにはなっているわけでありまして、やはりそこで一度自分の人生の進み方というのを見直してもらうということが望ましいのだというのが司法制度改革審議会のときの判断で、奨励会に似ているかどうかというのはちょっとわかりませんけれども、その判断には一定の合理性があったのではないかというふうに私自身は思っています。
  101. 串田誠一

    ○串田委員 山本参考人が先ほど、悪循環をこれで断ち切りたいとおっしゃられたものですから、今までのスタートラインはそれほど問題視されていなかったんじゃないかな、それで変えて悪循環という状況になって、今回が悪循環のまた一環にならないかどうかと。  今、平均年齢が二十八・八歳、昨年、おととしもそうですけれども、これは旧司法試験のときの合格年齢と余り変わらないんですね。そういう意味で、平均年齢が変わらない中では、そのときに受験回数を決めるとか試験問題を変えれば悪循環は発生しなかったんじゃないかというふうに、私は素直に、ちょっと単純に思った次第なので、質問させていただきました。  ありがとうございました。
  102. 亀岡偉民

    ○亀岡委員長 次に、吉川元君。
  103. 吉川元

    ○吉川(元)委員 社会民主党吉川元です。  四人の参考人の方、大変お忙しい中、ありがとうございます。  私からも何点か質問をさせていただきたいと思います。  まず、ちょっと大きな質問なんですけれども、二〇〇一年の司法制度改革審議会の意見書、私も読ませていただきました。冒頭から、その成功なくして二十一世紀社会の展望を切り開くことが困難であると。そういう意味で言うと、非常に大きな改革を目指したということであります。ただ、恐らく、今回の法改正が出てくるということは、そこで目指したものが十分実現をできていないからこそ、こうしたものが出てくるんだろうというふうに感じております。  そこで、まず四人の参考人の方に、現状の到達点の評価、二〇〇一年の意見書からもう十八年たっておりますけれども、評価はどうなのかということと、それから、やはり今回の改正というのは、もちろんこれは改正そのものに賛成、反対というのはあると思いますけれども、いずれにしても法曹界のあり方そのものに、いい面もあるし悪い面もあるかもわからないが、影響を与えるものだという認識でよろしいんでしょうか。その点を、二点を尋ねます。
  104. 山本和彦

    ○山本参考人 ありがとうございます。  司法制度改革以来の状況の評価ということでございます。  私自身は、司法制度改革に基づく法曹養成制度というのは一定の成果を上げてきたというふうに認識をしております。法科大学院制度というものなくしては、現在のような数及び質の法曹を日本社会に供給するということはやはりなかなか難しかったのではないかというふうに思っているところです。  しかし、他方で、法科大学院制度についてさまざまな問題があったことも確かでありまして、とりわけ、やはりある意味で大きな誤算というか違ったところは、司法試験の合格率というのが改革審が言われていたような七割、八割といったようなところに到達できず、それよりはるかに下のレベルにとどまってしまったということがあります。  それを改善すべく、法科大学院教育においてできるだけそれを充実していこうという努力がこの間なされてきたということでありまして、そして、今回出ております政府提出法案における改革というものも、それを後押ししていって状況を改善していく一つの手がかりになり得るものではないかというふうに思っております。  ただ、この3+2と在学中受験というのは、やはり非常に大きな改革であることは間違いありませんので、これをうまく定着させていくためには、さまざまな関係者がこれから非常に努力をしていかなければならない、とりわけ我々、大学、法科大学院、法学部の関係者というのはかなり頑張って努力をしていかなければなかなか改革の成果を達成することはできないということは認識をしているところであります。
  105. 三澤英嗣

    ○三澤参考人 御質問ありがとうございます。  現在の状況が司改審の意見書当時と比較してという御趣旨だと思いますけれども、これはもちろん私の個人的な見解ですけれども、道半ばかなというふうには思います。  道半ばというのは、悪い方向へ向かっている道半ばという意味ではなくて、やはり、司改審の意見書が目指している理想、これはお読みいただくと本当によくわかりますけれども、どこの国に出しても恥ずかしくない立派な内容です。やはり我が国はそこを目指していたわけで、裁判員裁判もしかりですけれども、この平成の時代、司法制度自体が大きく変わったという意味では、私は評価されてしかるべきだと思います。  ただ、法科大学院と法曹養成システムは、従前あったシステムが長年続いていたわけですから、そこに、ある意味では革命的な制度変更だったわけで、その矛盾がこの間、幾つか出てきた。それが、司改審の意見書の中で当初予定したレベルの勢いでは達成されていないということなんだと思います。  二点目は、この制度、今の法案ですね、これが通ったときに法曹界にどういう影響を与えるだろうかという御趣旨のものだったと思いますけれども、私は極めて大きな影響を与えると思っています。  というのは、先ほど来、私、繰り返し同じことを申し上げていますけれども、この3+2+在学中受験という制度できちっとした教育がなされるというふうには私には思えないのです。そのために、結果的に、ロースクールで3+2+在学中受験に行っても結局法曹になれないんじゃないかというマーケットができてしまって、結局もとのもくあみで、この制度に乗ってくる若者、それが今と同じ、場合によっては今よりひどく、目指す人が少なくなってしまうのではないか。  これは、先輩法曹として、私たちの後輩ができないということは大きなことですので、今すぐに何か影響ということではないかもしれませんけれども、仕組みとして導入されれば、五年、十年、二十年のスパンで大きな影響を与えるのではないかというふうに危惧しております。  以上です。
  106. 伊藤真

    ○伊藤参考人 お答えします。  何度もお話を申し上げているように、志願者の極端な激減、その一点だけで、残念ながらこの到達はできなかった。やはり失敗を真正面から認めて、そこから、ゼロからここは考え直す。その理念、目標、目指したところは私はすばらしいものがあったと思います。ただ、残念ながら、現実の運用、スタートの当初からうまくいきませんでした。  法科大学院の先生方は本当に御尽力されて頑張られたんだろうと思いますが、やはりもともと研究者でいらっしゃいます。実務家教員というものも何人も参加しましたが、やはり実務家でございます。教育のプロというのはなかなかそこには入っていませんでした。十五年間いわば努力をして、うまく教育ができなかった。それが、今度、制度を変えて新たに、この教育、頑張っていきますと言われても、多分なかなか信じる方は少ないんじゃないかなというふうに思います。  そんなものですから、やはり、繰り返しますが、多様性そして開放性、公平性、その理念の原点に戻るべきではないのか。従来の旧司法試験においても、理系の方、SEの方、それから、二十年勉強して合格して、人の闇がわかる法律家として活躍されている方、仕事をしながら何年も苦労して合格された方、本当に多様な皆さんたちが、実は従来の試験制度のもとでも、一発勝負と盛んに批判されてはいるのですけれども、そこで合格し、今現場で活躍をされていますので。  繰り返しますが、もう一度、多様性そして開放性、公平性というその理念に適合するような制度にしていく、それが大切なことだろうと考えます。  以上です。
  107. 須網隆夫

    ○須網参考人 現状の評価ですけれども、私、恐らく二〇〇三年だと思うんですが、やはり参議院の委員会で参考人として、法科大学院の件ですけれども、呼んでいただいてお話しさせていただいたことがあるんですけれども、そのときに考えていた私のイメージからすれば、現状は失敗でしょうね。  ただし、恐らく、客観的に見るとかなりプラスの部分が多いんだろうというふうに思います。というのは、以前は法曹養成ということを自分たちの仕事ではないと思っていた大学の認識が変わりました。そういう中で、学問的なバックグラウンドを持った者が法曹の養成教育に当たるんだ、このことはこの十五年間の歴史の中ではっきり確立してきたんじゃないだろうか。この成果がやはり今後の日本における法曹養成の貴重な前提となるのではないかなというふうに思います。  では、今回の法案がどういう影響を及ぼすかということですけれども、一言で申し上げれば、これはやはり否定的な影響が法曹養成に対して生じるということなんだろうというふうに思います。  もう少し具体的に言えば、現在は法科大学院の教員が全体として法曹養成に対して責任を持っているという体制で進んでいるわけですけれども、恐らく、司法試験科目以外の部分というものは、法科大学院の要素の中から削り取られていくことになるのではないでしょうか。先ほどもお話ししましたけれども、臨床系の科目もそうですし、それから、先端系のさまざまな科目、独占禁止法、知財法、国際法等々ですけれども。そういう中で、果たして、そういうものを除いてしまった法曹養成というものが、今後二十一世紀の日本の法曹養成のあるべき姿なのかどうなのかという点については、ぜひ御議論をお願いしたいというふうに思います。
  108. 吉川元

    ○吉川(元)委員 ありがとうございます。  実は、二つ目の質問、なぜ影響を与えるのか、与えるものなのかという質問をさせていただいたのは、ここは文部科学委員会、学校の教育のあり方、教育行政を中心に議論をする場なんです。  今回の法案、確かに3+2で、また在学中の試験、一見学校制度のように見えますけれども、内実は、やはり法曹界全体に与える影響は非常に大きいものが、これは肯定的なものか否定的なものか、それはいろいろな立場で、考え方によって違いはあるとは思うんですけれども、いずれにしても大きな影響を与える、ただ単なる大学のあり方を少しいじるという話ではないんだというふうに、私自身も認識をしております。  そういう中で、実は我々としては、野党側としては、これはぜひ法務委員会と連合審査をしてほしいという要求をしています。なぜかというと、今まさにおっしゃったとおり、肯定的なものか否定的なものかは別にしても、全体に影響を与えるとするならば、やはり法務委員会の中でも議論してもらわないと、これは我々ののりを越えた部分が出てくるのではないかと。  例えば、文部科学委員会でも法務省は呼べるんですけれども、法務大臣は来ないんです。法務大臣は答弁をしないんです。法務省のトップが、やはり法務行政をつかさどるトップが質問をしていただくためには、連合審査、またその専門的な委員も含めた連合審査が私は必要だということで、その点を少し尋ねさせていただきました。  もう余り時間がないので、簡単にあと御答弁をお願いできればと思うんですけれども、先ほど伊藤参考人の方からもう既に答弁していただいたんですが、いわゆる法科大学院の修了者の司法試験合格率の低迷、この原因が一体どこにあるのか、三人の参考人の方に簡単にお考えをお知らせいただければというふうに思います。
  109. 山本和彦

    ○山本参考人 ありがとうございます。  司法試験合格率の低迷ということですけれども、一つ大きな原因は、当初、法科大学院の定員の管理ということは必ずしも行われておらず、やはり、やや過大な、七千人ぐらいだったと思いますけれども、過大な定員で発足をした結果、必ずしも十分な教育が行えないようなケースというものが多く見られたというところに一つの大きな原因があったのかなというふうには思っています。  この点は、その後、かなり定員が少なくなってきているという状況もあって、相当程度改善を見てきているところというふうには思いますけれども、その結果として、先ほど申し上げたような学生の法曹離れといいますか、法曹を志す学生が結果として少なくなっていって、いわば悪循環に至ったというのが私の認識であります。
  110. 三澤英嗣

    ○三澤参考人 御質問ありがとうございます。  合格率の低迷の原因は幾つかあると思いますけれども、今、山本先生がおっしゃった、やはり定員管理の問題が大きかったかなというふうに思います。  ただ、当時、私が司改審の関係でいろいろ聞いている限りにおいては、当時は恐らく小泉内閣だったと思いますけれども、従前の大学とそれを管理する文科省という枠組みではなくて、むしろ新しい制度でということで、多くの大学法人がそこにトライをする、つまり、司法試験を受けていくというための法科大学院制度にエントリーしていくという形だったと思うんです。  残念ながら、そのエントリーをする人たちは、本来のあるべき姿を予想せずに大学側がエントリーをした。結果、物すごい数になり、そこでエントリーされれば、当然、激しい競争になるわけです。当時は、その競争の基準というのは一つしかなくて、司法試験合格率というものなんですね。これが学生のマーケットに物すごい影響を与えていて、そのことが全体のシステムを落としているわけですけれども。  どっちがいいかはよくわかりません。ただ、定員管理自体が大きな問題だったということは、そのとおりだと思います。  以上です。
  111. 伊藤真

    ○伊藤参考人 伊藤から申し上げます。  法科大学院は、先ほどから御議論、御発言がありますように、先端的な、また臨床的な、応用的な部分の学修には本当に適しているところかなと私は考えていますが、残念ながら、基礎、基本そしてまた法制度全体を体系的に理解をする、その部分、基礎、基本及び体系的な学修は、自学自習という名のもとで、各学生に委ねられてしまいました。  そんなものですから、本当にその基礎的な部分の徹底した訓練、学修、これがすこんと抜け落ちてしまったので、やはり合格率はなかなか振るわない、そういう結果になってしまったんだろうと私は考えています。  以上です。
  112. 須網隆夫

    ○須網参考人 合格率の低迷の原因という御質問ですけれども、もし司法試験が資格試験であればそういう質問でいいんだと思うんですけれども、これは競争試験ですので、合格率は初めから低迷するように合格者の数が設定されていたということなんだと思います。  これは毎年の合格者を見てみればわかるわけですけれども、ほとんど大体同じような数字になっているわけで、できが悪かったから少ないというよりも、もともと大体合格者はこの程度にしておこうということで合格者が決まっているわけですから、当然、受験者が多くなれば、合格率は低迷せざるを得ない。ですから、何が原因で何が結果なのかというのをもう少しよく見る必要があるのではないかと思います。  もちろん、ほかの参考人がおっしゃったように、当初の法科大学院の教育内容等に多くの問題があったということを否定するつもりは全然ありません。
  113. 吉川元

    ○吉川(元)委員 次に、山本参考人にお尋ねいたしますが、中教審も含めて御努力いただいたということで、今回、連携の問題がございます。  いわゆる法学部に入って、その後、入学のガイダンスの資料を見せていただいたら、法学部ですね、予備試験に何人合格しましたというのがあって、それにプラスして、他大学の、例えばこれはある私立の学校なんですけれども、例えば東大の大学院、法科大学院に何人行きましたと。つまり、他大学に実際には行っていて、また、それを売りにしている側面も少しあるのかな、大学名は言いませんけれども。  だとするならば、これは、果たして連携というのはうまくいくものなのか。一つの大学、同じ大学の大学と大学院であれば、まだいろいろな連携が恒常的にできると思うんですけれども、大学がかわって、実際にそういうケースは今まで、今でもたくさんあるわけで、こういう連携というのは果たしてうまくいく設計になっているんでしょうか。
  114. 山本和彦

    ○山本参考人 他大学との連携ということです。  現在の仕組みのもとにおいても、一定程度、法科大学院と学部の間で連携がされている例というのはあるというふうに承知をしておりますけれども、今回の仕組みによれば、連携ができれば、そこの法学部から筆記試験なしで法科大学院が受け入れる場合というのが生じてくるというふうになっております。  現に、特に地方枠というのがありまして、地方の法学部の法曹コースと連携をした場合に、筆記試験なしで、面接等だけで、成績だけで入学を認めるというような制度も認められることになっておりまして、現に、幾つかの法科大学院と法学部の間でそのような連携協定が結ばれているというふうに伺っています。  この連携協定のあり方については、この法案が通った後、より具体的に検討していかなければならない問題だというふうに思っていまして、中教審等でも議論の題材になるのではないか、それができるだけうまくワークしていくようにやっていかなければならないというふうに思っております。
  115. 吉川元

    ○吉川(元)委員 ほかにも聞きたいことがたくさんございましたが、ちょっと時間が来てしまいましたので、私の方からはこれで終わりたいと思います。
  116. 亀岡偉民

    ○亀岡委員長 次に、笠浩史君。
  117. 笠浩史

    ○笠委員 未来日本、笠でございます。  本当に、参考人の方々には、きょう、四名の方、おいでいただきありがとうございます。最後でございますので、よろしくお願いをいたします。  きょうも本当に出ておりましたけれども、本来であれば、今回のこの大きな改革にあわせて司法試験の中身の議論というものもやっていかなければ、この法案が成立したらその後ということではなく、やはりこの法科大学院の中におけるカリキュラム、あるいはそこで教えていく内容等々にも大きな影響を与えていくんだと思います。  もう一つは、先ほども少しお答えになっていた方がおられますけれども、あとは、やはり私も、今回、どうもこの予備試験というものに、今、優秀な学生の人たちが、司法試験に臨むに当たって、法科大学院よりも予備試験を選択する、それも法科大学院の受験生等々、あるいはそれが減っていく一つの大きな要因じゃないかというような、意図が何か見えるんですよね、その人たちを呼び戻していこうというような。  しかしながら、であるならば、本来だったら予備試験のあり方もやはり見直していかなければ、予備試験はこのままで当面置いておいて、では、果たして本当に法科大学院に、改正をされたからといって、学生がそちらを選択するのか。その辺については、やはり今までどおり予備試験でいくという子は、その道がなくならない限りは、このままだと私は予備試験を選択していくんじゃないかというふうに思うんですけれども、その点について、ちょっと四人の参考人の方の御見解を伺いたいと思います。
  118. 山本和彦

    ○山本参考人 ありがとうございます。  なかなか学生の動向というのは読みにくいところがありますので、予測は難しいところでありますけれども、今回の改正の目標、私の認識では、そもそも法曹を諦めてしまっていた学生というのも、こういう時間的、経済的負担を軽減することによって、まず法曹を目指してくれる、それは法科大学院の方に来てもらうということを一つ期待しているところです。もちろん、従来予備試験に行っていた学生が法科大学院の方に来るということもあるかと思いますが、そもそも諦めていた人というのを、法曹の道というものをもう一度考えてもらうということが一つ大きいのかなというふうに思っているところであります。  予備試験との関係におきましても、実際にこの3+2という形で法曹コースを修了して、在学中受験で合格すれば、最短で約五年程度で司法修習生になれるということですので、これは、四年生で予備試験を合格して、次の年に司法試験を合格するというのと基本的には同じ形になるということですので。  もちろん、費用的な負担、その他経済的な援助等々の問題も考えていかなければいけないというふうには思いますけれども、私どもとしては、やはり、ぜひ法科大学院の方に戻ってきていただくというか、法科大学院の教育を受けていただきたいというふうに考えておりますし、そういう可能性というのは開けてくるのではないかというふうには思っております。
  119. 三澤英嗣

    ○三澤参考人 御質問ありがとうございます。  先生御指摘のとおり、この今の政府法案が通っても、予備試験に手がつけられなければ、恐らく何も変わらないと思います。  予備試験というのは、先生方御存じのとおり、誰でも受けられる試験という形で設定してしまっていますので、受けない学生はいないんですね。学生に言わせれば、予備試験というのは法務省が作成した国家的模擬試験ですので、とりあえず受けてみる、司法試験も横にある、それは受けない人はいないんです。つまり、それで受かってしまえば、それが道が近いという話になれば、そこで司法試験を受けていくという形になってしまいますので、先生御指摘のように、ここは予備試験も一緒に手をつけなければいけないと私は思います。  その制約の方法については、実はいろいろな議論があります。私も日弁連にいたときに大分議論をしました。これはいろいろな難しいところはあるんですけれども、少なくとも、船に穴があいているときに、どういう制度でなら穴が埋められるかという話を何もしないで放置していたら、船は沈んでしまいます。  とにかく何らかの形で、予備試験には一定の制約をまず設けて、それで、今この3+2の教育手法が軌道に乗るというところを並行して考えていくというのが一番大事な考え方ではないかなというふうに理解をしております。  以上です。
  120. 伊藤真

    ○伊藤参考人 申し上げます。  予備試験を見直さないとという御議論があることは十分承知しておりますが、繰り返しますが、予備試験を制約するということになりましたら、今以上に法曹志願者は減る。それは、私の実感からは明らかなことかなと思います。  そして、法曹コースを設けたことによって予備試験から学生を引き戻すことはできるかということでございますが、これは、まず学生は予備試験を目指します。そして合格すれば、予備試験ですが、予備試験を目指すぐらいの学生は法曹コースの方にも通っていきます。ですから、法曹コースと予備試験と、両にらみとでもいいましょうか、予備試験に合格しなかったときには法曹コースで、しっかりそちらで学びましょうということになるだけと考えますので、学生たちにしてみれば、今までと勉強の仕方は何も変わらない。  ただ、予備試験に制約を設けたら、そっぽを向く学生は随分いるのではないかなというか、社会人も含めて、さまざまな観点でやはり問題は大きくなるだろうなと。決定的に、法曹志願者に対しての影響、また、多様性という側面に関して大きな影響を与えてしまうことになる。ますます資金的な余裕がある方しか法律家になれないというような可能性も含めて、そこは、もし何か議論するならば、相当真剣にしっかりと議論しないといけないな、そう考えています。  以上です。
  121. 須網隆夫

    ○須網参考人 予備試験に合格するような学生にとっては、この3+2ができたからといって、法科大学院に進学しようというふうに判断する学生は余りいないのではないかというふうに思います。これは言うまでもなく、法科大学院の学費は無料ではありませんので。  実は、今奨学金が非常に充実していまして、本来の法科大学院の学費を払っている学生というのは、どの法科大学院でも少数になっております。しかし、それにしても、学費を払わなければいけない、しかも授業に出席しなければいけないことは間違いないわけで、それはやはり、予備試験に合格するような学生にとってみれば、法科大学院に行くメリットは余りないんだろうというふうに思います。  やはり、今、伊藤参考人は社会人がというふうにお話をされましたけれども、本来受かるような社会人が、受かるべき社会人が、法科大学院に入学していながら予備試験を受験している者によって排除されてしまっているのではないかというふうに思うわけですね。それは、公平公正とともに、この予備試験自体の制度趣旨も含めて考えなければいけないので、そのような現象が果たして許される現象なのかどうなのかということは、更に御検討いただく必要があるんだろうと思います。
  122. 笠浩史

    ○笠委員 ありがとうございます。  私も、予備試験をこのままにして、それともう一つは、先ほど来あるように、在学中の試験というものが入ってきたために、ますますわからないわけですよね。  今ありました、法科大学院のメリットというのは、もちろん司法試験に、きちんと合格率が高く、そして合格をして法曹界に入っていけるという、それが一番の道であることはもちろん基本なんですけれども、やはりこれからの法曹界にとって必要な人材というもの、どういう能力を持った人たちなのか。  あるいは、当然ながら、司法試験を経て法曹界に入った後に活躍できる、そして、時代を先取りしたいろいろな、さまざまな身につけるべき知識や能力をしっかりと法科大学院の中で、むしろ何年でというか、短くとかそういうことではなく、何か予備試験と同じような最短でとかいうことよりも、そこで学んだことが本当に生きてくるというような中身にしていく必要があるんじゃないか。そういった点の議論が、余りにも今回見えてこないんですね。  ですから、何か司法試験の合格率を上げていくということも大事だけれども、そもそも、法科大学院が、学生にとって、法曹界を目指す人たちにとって、そのカリキュラムが非常に魅力的だというようなものにすべきだという認識を私はしているんですけれども、その点の課題というものについてお考えがあれば、それぞれ四名の方にお伺いしたいと思います。
  123. 山本和彦

    ○山本参考人 ありがとうございます。  認識は全く委員と同じでございます。  私も、ことしの法科大学院の入学生に対して、院長としてお話をしました。法科大学院の目標というのは、決して司法試験に合格することではなくて、その後、法律家として活躍するということであり、我が法科大学院はそのための教育をしているということを繰り返し学生に対しては申し上げております。  今回の改正も、私の認識としましては、確かに司法試験の受験というのが法科大学院の在学中に挟まれるわけでありますが、全体として法科大学院で教えることというのは何ら変わってはいないわけであります。先ほど来申し上げているように、基本的な単位数というのは変わらないという前提でございますので。  法曹にとって必要な、必ずしも基本的な科目だけではなくて、さまざまな先端的な科目でありますとか、あるいは実務系の科目、さらには法哲学とか法制史とか、そういう基礎的な法学も含めて全体を体系的に学んでいただくという法科大学院の理念、それこそが法曹になった後に役に立つのだというその信念自体は変わっておりませんし、今回の改正によっても、それは私は基本的には影響を受けないものというふうに認識をしております。
  124. 三澤英嗣

    ○三澤参考人 御質問ありがとうございます。  先生おっしゃる、魅力的なロースクールをどうつくるかということ、これは極めて大事な問題だと思います。  ただ、この3+2+在学中受験が入ってしまえば、きょうの午前中かけていますこの時間の中でも大分出ましたけれども、私が担当しているようなリーガルクリニックのような実務実践教育は、恐らくカリキュラムの中からは、端の方に追いやられるということだと思います。  私が端に追いやられることはしょっちゅうなので、そのこと自体はいいんですけれども、このリーガルクリニックと、臨床教育その他実務系の科目の大事なことというのは、法科大学院はやはり理論と実務、実践なんですね。この往復をしてくるということが学修を高める上において極めて重要だということです。  私も昨年、学生を預かって、ある刑事事件ですけれどもやりましたけれども、やはり学生は教科書のことしか読んでいませんが、実際、あることで裁判のところに行ったときに、学生は愕然とするんですね、日本の刑事裁判がこういう形で運用されていると。そのことが教科書を読んでもわからないんです、そういうリアルなものは書いていないからです。  大事なことは、そういうリアルなものを教科書の中に読み込む力で、それが本人の学修意欲を更に高めていき、最終的には司法試験に受かっていくという実力をつけていくわけですね。それが僕は法科大学院の魅力だと思っていますので、今のような、単に基本六法、基本七法になるんですかね、そういう試験科目だけに特化する、特にペーパー式の試験科目に特化していくような仕組みになるとすれば、それはむしろ、本来持っている法科大学院の魅力に逆行する形になってしまうのではないかというふうに危惧しております。  以上です。
  125. 伊藤真

    ○伊藤参考人 法科大学院を魅力あるものにすれば、予備試験を目指す者、また合格した者も法科大学院に進んで、しっかりとそこで意味のある学修をするに違いないと思います。  法科大学院を魅力あるものにする前に、予備試験受験生を法科大学院に引き戻そう、そのために予備試験を制限、制約をする、全くもって本末転倒でございますので、まずは法科大学院を魅力的なものにする。  それは、カリキュラムの面もそうなんですが、先ほども須網参考人の方からお話がありました、法科大学院の中では進級のさまざまなハードルがございます。その進級する際の学内の、ロースクールの中での試験、それをどのように通っていくのか、また、そこでの評価というもの。  私が相談を受けるところでは、そのロースクールの先生方の考えや意見、それに従わなければなかなか評価してもらえない。はっきり言えば、その教授たちの意見に従順な学生、どうしてもそこの評価、学内での評価を高めようということで、そこに従順な考え方になってしまいがちだという声も少なからず聞きます。そうならないように、学内での評価基準を客観性のあるものにする等々の、さまざまな点で魅力あるものにしていくということがまず先行しなければいけないんだろうな、そう考えています。  以上です。
  126. 須網隆夫

    ○須網参考人 魅力的なカリキュラムというのは、やはり司法試験の科目だけではなくて、よりもっと深みのあるというか、幅の広いカリキュラムをきっとつくっていくということなんだろうというふうに思います。  学生の人たちには、現場に触れてもらい、また、社会の中で困っている人たち、それから、例えば海外でトラブルに遭って困っている企業とか、こういう人たちの声を聞きながら、法律家というのは社会の中でどういう役割を果たしていくべきなのか、そして、法律家というものに対して社会はどういうような期待をしているのか、こういうようなことを考えながらやはり育っていってほしいわけで、そういうようなことができるような全体的なカリキュラムというものを、きっとどんな状況になっても可能な限り追求していくというのが我々の役割なんだろうというふうに思っております。  先ほど最初に報告書をお見せしましたけれども、あれは早稲田でやっている福島のプロジェクトなんですが、実は一時期やめていたんですね、正直言うと。つまり、みんな司法試験で忙しいだろうと思って、そんなことやっちゃいけないんじゃないかなと思っていました。  ところが、二〇一六年でしたか、アメリカのロースクールの学生が福島の問題を考えるために教員に引率されて来たんですね。うちの法科大学院で受け入れまして、そのときに、アメリカからわざわざやってきてくれているのに、日本の学生は司法試験で忙しいので、そういうことは受かってから後でやります、今はできませんとは恥ずかしくて言えないですよね。これはやはり法科大学院の存在意義自体がなくなるんだと思います、そんなことをやっていれば。それでまた始めたところ、実は毎年参加する学生の数がふえてきて、ことしであれば、きのう説明会をやったわけですけれども、一割五分近くの学生が、新入生、参加してくれるようになったわけです。  最後にもう一つだけですが、法科大学院というのは、実は一方的な教育の場だけではないんですね。そういう実務、実際に社会の中で起きている問題に研究者も何らかの形でかかわることによって、我々の側にもフィードバックがあるわけで、そういう意味で、まさに実務と理論を架橋するためには学問の方も変わらなければいけないので、法科大学院でそういう機会がなくなれば、実は日本の学問自体の発展もとまってしまうのではないかという、ここもぜひ、文科委員会ですので、御理解いただきたいというふうに思います。
  127. 笠浩史

    ○笠委員 文科委員会ですので、最後にちょっと山本参考人と須網参考人に、法科大学院で実際にいろいろと率いておられるその立場から伺いたいんです。  今、学生の数も減ってきたということで、七十四校あったものが三十九校と、もう三十五校なくなっているわけですよね、法科大学院。このままもう自然淘汰でいいのか、あるいは定員的なものをどういうふうに考えるべきなのか。非常に、大学院によっていろいろなレベルも格差もあるような気がするんですけれども、その点について、お二人に最後に伺いたいと思います。
  128. 山本和彦

    ○山本参考人 ありがとうございます。  先ほど私が申し上げましたように、やはり最初の段階で余りにつくり過ぎたし、定員も多過ぎた、十分な教育が行き届かなかったということは紛れもない事実だったのではないかと思います。そういう意味では、法科大学院の数が減り、定員もかなり減ってきて、今二千三百とかそれぐらいまで減少してきているというところかと思います。  今回の法案の基本的な考え方も、定員をほぼ現状の形で管理していくということだというふうに認識をしておりまして、しかし、現在はかなりの大学が定員割れになっておりますので、この定員ほど実際の学生は現在いないという状況にあるわけであります。  私としては、やはり本来の定員のところぐらいまで実際の学生数が戻ってくるということが望ましいというふうに思っております。そして、できるだけ、法曹に対して熱意もあり能力もあるような学生が今回の改正によって法曹という道を選んでいただいて、そういう学生たちの中から現在の定員規模の学生数が集まってくれば、おのずから司法試験の合格率というものも改善していくだろうと思いますし、そして、それが全体としていい循環に入っていくということを期待しておりまして、現在の定員数というものをできるだけ確保できるような形で今後進めていければというふうに思っております。
  129. 須網隆夫

    ○須網参考人 法科大学院設置当時は、実は設置の準備をしていた途中にいわゆる教員についての基準を緩めて、みなし専任というような類型を認めたりしたために多くの法科大学院ができてしまったということは事実なんですけれども、恐らく、法科大学院の募集停止が続いているような状況の中で、なかなかこの制度が好循環を生み出していくというのは非常に難しいだろうというふうに思います、現実的に。要するに、募集停止があるということは、その業界というのはもうだめな業界なんじゃないのというふうに当然世間からは思われますので。  そういう意味でいえば、合格者数、入学者数、若干回復してきておりますので、何とか現在の校数が維持され、政策的に維持するというよりも事実上維持され、そして、新しい法科大学院が開校するというようなニュースがもし出れば、恐らく、そこまでくれば、法科大学院制度というものが持続可能なものとして日本社会に定着していくことになるんじゃないでしょうか。  以上です。
  130. 笠浩史

    ○笠委員 ありがとうございました。終わります。
  131. 亀岡偉民

    ○亀岡委員長 以上で参考人に対する質疑は終了いたしました。  この際、参考人各位に一言御礼を申し上げたいと思います。  参考人の皆様におかれましては、貴重な御意見をお述べいただきまして、まことにありがとうございました。委員会を代表いたしまして厚く御礼を申し上げます。どうもありがとうございました。(拍手)  次回は、明二十四日水曜日午前八時五十分理事会、午前九時委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。     午後零時三十九分散会