○日吉雄太君
国民民主党・無所属クラブの日吉雄太です。
会派を代表し、ただいま議題となりました
地方税法等の一部を改正する法律案、特別法人事業税及び特別法人事業譲与税に関する法律案、森林環境税及び森林環境譲与税に関する法律案、
地方交付税法等の一部を改正する法律案につきまして質問をいたします。(拍手)
まず初めに、安倍総理に確認いたします。
財務省による公文書の
改ざん、
厚生労働省による
裁量労働制をめぐる
データの捏造及び毎月勤労統計の偽装など、
行政機関における不祥事が続いています。国会審議の前提となる資料の真実性が疑われる状況では、審議は成り立ちません。
組織には、通常、不正や誤りを防止するための仕組みが備わっています。これを
内部統制といいます。行政においても、当然、
内部統制が整備、運用されているはずですが、現実には数々の不正が発生しました。そういう意味では、行政において、
内部統制に重要な問題が存在することになります。
では、そもそも
内部統制を適切に構築する責任は一体誰にあるのでしょうか。
一般企業においても、当然、
内部統制が整備、運用されています。金融庁企業会計審議会が公表している財務報告に係る
内部統制の評価及び監査の基準によると、経営者は、組織の全ての活動について最終的な責任を有しており、その一環として、
取締役会が決定した基本方針に基づき
内部統制を整備及び運用する役割と責任があると規定されています。企業においては、
内部統制を構築する責任は経営者、つまり会社のトップである社長に
内部統制を構築する責任があるわけです。だからこそ、不祥事が起きた会社では、社長が辞任して責任を果たしています。
行政権は内閣に属し、内閣は、その行使に当たって、国会に対し責任を負います。内閣のもとに省庁といった
行政機関が設置され、
行政作用の大部分が内閣の責任のもとに
行政機関によってとり行われています。
それでは、伺います。
公文書の
改ざんや
データの捏造、統計の偽装を防ぐ
内部統制を構築する責任は一体誰にあるのか。私は、行政の長である
内閣総理大臣にあると考えますが、総理の明確な答弁を求めます。万が一、
内閣総理大臣に
内部統制構築の責任がないというのであれば、その旨、明言してください。
また、財務報告に係る
内部統制の評価及び監査の基準によると、経営者は、組織内のいずれの者よりも、
内部統制の基本的要素に影響を与える組織の気風の決定に大きな影響力を有しているとされています。すなわち、組織のトップは組織風土の決定に絶大な影響を与え得るということです。誠実なトップのもとでは誠実な組織が形成され、不誠実なトップのもとでは組織も不誠実になるわけです。
財務省による公文書の
改ざんは、不正に対して職員一人一人の意識が希薄であったことを起因としているということですが、組織のトップである総理自身が、不正を排除して誠実に職務を遂行するという意識が欠けていたからこそ、起こり得た事件であったのではないでしょうか。
なぜ、行政の長である安倍総理のもとで財務省職員が不正行為をするに至ったのか、その
因果関係について、財務報告に係る
内部統制の評価及び監査の基準の記載を踏まえて、安倍総理の答弁を求めます。
二〇一二年末に自民党が政権を再び獲得し、もう六年以上も時が過ぎております。
二〇一四年の衆院解散に当たっては、
アベノミクスの成功を確かなものとするため、消費税率引上げは延期、二〇一六年の参院選前には、世界経済が大きな
リスクに直面しているため、消費税率引上げは再延期し、
アベノミクスをもっと加速すると総理は
記者会見でおっしゃいました。
しかしながら、
アベノミクスの成果はいまだ国民にもたらされていません。国民の大半が成果を認めていないからといって、統計不正により偽装まで行われていたとなっては、あきれて物も言えません。
二月五日の衆議院予算委員会で、安倍総理は、消費税の引上げについては、反動減等に対する十二分な対策を講じた上で、リーマン・ショック級の出来事がない限り、法律で定められたとおり、十月に現行の八%から一〇%に引き上げる予定と述べられました。
本年に入ってからは、リーマン・ショック級という言葉遣いはされていなかったので、消費税率引上げ再々延期もあり得べしとの答弁に軌道修正されたと受けとめておりますが、そうした解釈でよいか、安倍総理の答弁を求めます。
次の延期理由は、世界経済危機前夜の
リスクがあるから、
アベノミクスを究極進化させるとでもいうのでしょうか。言葉遊びや数字いじりはやめ、国民生活向上のために少しは力を割いていただきたいと思います。
もし、消費税率引上げが再々延期されるとなれば、気になるのは幼児教育、保育の無償化の行方です。子育て世帯から期待は高まっていますし、少子化対策の観点からも重要な施策ですが、本年十月に消費税率を引き上げないとの判断をされた場合、幼児教育、保育の無償化も延期されるのですか。安倍総理の答弁を求めます。
日本経済を支えているのは、全国三百八十万に及ぶ中小企業であります。その企業は、地方において、必死になって地域経済を下支えする牽引役として頑張っておられます。
アベノミクスに期待など、とうにしていないのであります。政府は、地域経済の活性化は、市町村にとって死活問題であり、大変重要な問題であることを認識しているのでしょうか。
少子高齢化が進む中で、人口の都市圏への流入は歯どめがかかりません。地方で安心して仕事ができ、子供を産み育てることができることを実現するのは政治の役目であります。
そこで、子育て世帯を応援し、
社会保障を全世代型へ抜本的に変えるため、幼児教育の無償化を一気に加速するとうたっている、無償化における市町村の対応についてお尋ねします。
予定どおり無償化が実行されたとしても、問題はあります。
政府案によれば、
認可外保育施設についても、ことし十月から五年間は、原則として、児童
福祉法に基づく届出があれば無償化の対象に含まれることになります。ただ、例外があって、この期間内に、市町村が条例により基準を定める場合は、対象施設をその基準を満たす施設にできることになっています。
つまり、市町村が非常に厳しい基準を条例で定めることによって、
認可外保育施設を無償化対象から除外できることになります。市町村により取扱いに差が出るのは不公平ではないですか。
財源については、臨時交付金を創設して、全額国費で賄うことになりますが、対象が定まらない以上、その額も定まらないのではないですか。
また、二〇一九年度はこの臨時交付金で財源を賄うとのことですが、消費税率引上げ再々延期において、二〇二〇年度以降はどうするのか、
総務大臣にお伺いいたします。
森林環境税について伺います。
現在、
東日本大震災の復興財源に充てるための復興特別税として、住民税については一人年一千円を上乗せしています。今回の法案では、その期限が切れる二〇二四年度から森林環境税を導入して、住民税の負担を継続させる案になっています。
本来であれば、復興特別税の期限が切れた段階で、一度、税負担をもとに戻すべきです。なぜ、課税の根拠が全く異なるにもかかわらず、全く同じ一人千円の負担となるのでしょうか。今まで一人千円課税としていたから、そのままであれば批判も出にくいだろうという思惑で看板をかけかえたのではありませんか。
総務大臣にお伺いいたします。
所得税についても、復興特別税として税額に二・一%上乗せされていますが、二〇一三年から二十五年間が経過すると、その期限が切れます。その後はどうするのでしょうか。今回と同様に看板をかけかえて、新税を導入するのでしょうか。
財務大臣にお伺いいたします。
森林環境税の税収は年六百二十億円とされています。使い道として、森林整備と称して、かつてのスーパー林道のように、
自動車道に近い道路などに予算を投入するばらまきは排除すべきと考えます。
森林整備等に必要な地方財源を安定的に確保することが何よりも重要であり、森林整備を担う人材の育成や担い手の確保についても重要になってまいります。適正な使い道をどのように担保していくのか、
農林水産大臣にお伺いいたします。
日本の国土面積の三分の二に当たる約二千五百万
ヘクタールが森林であります。今はその多くが整備されずに放置された状態になっています。そもそも、森林は、国土の侵食防止や保水の作用を持ち、災害を防ぎながら、多様な生態系を支えていると言われています。
私の地元である浜松市天竜区は、森林における有名な町であります。林業に携わる方に意見を聞くと、最近は、山村も外部経済の影響をかなり受けていて、山と向き合う文化から離れてきている。本当は、まず山村があり、自然と向き合いながら営まれる人の暮らしがあって、その中の一つとして森や木を利用する林業があるはずなのに、これを植えればお金になるということで、杉やヒノキ、
カラマツばかりの人工林を育ててきた。そうすると、外部経済に頼らざるを得なくなり、山を地域循環の中で利用していくことが難しくなってしまったということであります。
人の暮らしと山とのかかわりを強くしていくことが重要だと考えますが、今後の林業における方針について、
農林水産大臣にお伺いいたします。
地方税源の偏在是正について伺います。
昨年度は、地方消費税の清算基準が見直されました。今回の改正案では、法人事業税の一部を分離して特別法人事業税とし、全額
都道府県に譲与することになっています。
地方税源の偏在是正措置についてはこれで完了するという理解でよいですか、それとも、来年度以降もさらなる措置が続くのでしょうか。
総務大臣にお伺いいたします。
次に、ふるさと納税について伺います。
ふるさと納税の返礼品競争の過熱を受け、一昨年、
総務省は、返礼割合を三割以下とするなどの見直しを要請しました。要請を守らない
自治体がいるので、
総務省はこのたび、返礼割合三割以下、返礼品は地場産品との基準を満たさない
自治体については、本年六月より、ふるさと納税の対象から外すとする案を出してきました。
しかし、同じ年の所得について、ある時点から取扱いが変わるのは不公平ではありませんか。また、駆け込み寄附を生み、混乱のもとになりませんか。
総務大臣に答弁を求めます。
ふるさと納税がもたらしているゆがみは、返礼割合だけではありません。ふるさと納税は、所得が高ければ高いほど、青天井に年間上限も高くなり、高所得者が節税に利用しているという批判が出ています。
また、寄附を受ける
自治体にとっても、年による変動が大きく、毎年保証されているわけではない不安定な財源であり、中長期的な事業には利用しにくいという面があります。
こうした指摘を踏まえ、年間上限を頭打ちにして、ゆがみを抑えるといった考えはありませんか。
総務大臣に伺います。
人への投資や地域主権改革などの抜本的な改革を誠実に実行できるのは我々であることを国民の皆様にお約束申し上げ、私の質問といたします。
御清聴ありがとうございました。(拍手)
〔
内閣総理大臣安倍晋三君登壇〕