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2015-05-26 第189回国会 衆議院 本会議 28号 公式Web版

  1. 平成二十七年五月二十六日(火曜日)     ―――――――――――――  議事日程 第二十一号   平成二十七年五月二十六日     午後一時開議  第一 水銀による環境の汚染の防止に関する法律案(内閣提出)  第二 大気汚染防止法の一部を改正する法律案(内閣提出)  第三 道路運送車両法及び自動車検査独立行政法人法の一部を改正する法律案(内閣提出)  第四 平成二十五年度一般会計予備費使用総調書及び各省各庁所管使用調書(承諾を求めるの件)  第五 平成二十五年度特別会計予備費使用総調書及び各省各庁所管使用調書(承諾を求めるの件)  第六 平成二十五年度特別会計予算総則第二十条第一項の規定による経費増額総調書及び各省各庁所管経費増額調書(承諾を求めるの件)     ――――――――――――― ○本日の会議に付した案件  日程第一 水銀による環境の汚染の防止に関する法律案(内閣提出)  日程第二 大気汚染防止法の一部を改正する法律案(内閣提出)  日程第三 道路運送車両法及び自動車検査独立行政法人法の一部を改正する法律案(内閣提出)  日程第四 平成二十五年度一般会計予備費使用総調書及び各省各庁所管使用調書(承諾を求めるの件)  日程第五 平成二十五年度特別会計予備費使用総調書及び各省各庁所管使用調書(承諾を求めるの件)  日程第六 平成二十五年度特別会計予算総則第二十条第一項の規定による経費増額総調書及び各省各庁所管経費増額調書(承諾を求めるの件)  我が国及び国際社会の平和及び安全の確保に資するための自衛隊法等の一部を改正する法律案(内閣提出)及び国際平和共同対処事態に際して我が国が実施する諸外国の軍隊等に対する協力支援活動等に関する法律案(内閣提出)の趣旨説明及び質疑     午後一時二分開議
  2. 大島理森

    ○議長(大島理森君) これより会議を開きます。      ――――◇―――――  日程第一 水銀による環境の汚染の防止に関する法律案(内閣提出)  日程第二 大気汚染防止法の一部を改正する法律案(内閣提出)
  3. 大島理森

    ○議長(大島理森君) 日程第一、水銀による環境の汚染の防止に関する法律案、日程第二、大気汚染防止法の一部を改正する法律案、右両案を一括して議題といたします。  委員長の報告を求めます。環境委員長北川知克君。     ―――――――――――――  水銀による環境の汚染の防止に関する法律案及び同報告書  大気汚染防止法の一部を改正する法律案及び同報告書     〔本号末尾に掲載〕     ―――――――――――――     〔北川知克君登壇〕
  4. 北川知克

    ○北川知克君 ただいま議題となりました両案につきまして、環境委員会における審査の経過及び結果を御報告申し上げます。  まず、水銀による環境の汚染の防止に関する法律案について申し上げます。  本案は、水銀に関する水俣条約の的確かつ円滑な実施を確保するため、水銀等による環境の汚染の防止に関する計画の策定について定め、特定の水銀使用製品の製造及び特定の製造工程における水銀及びその化合物の使用を禁止するとともに、それらの貯蔵及び水銀含有再生資源の管理に関する措置などを講じようとするものであります。  次に、大気汚染防止法の一部を改正する法律案について申し上げます。  本案は、水銀に関する水俣条約の的確かつ円滑な実施を確保するため、水銀排出施設に係る届け出制度を創設するとともに、水銀排出施設から水銀及びその化合物を大気中に排出する者に排出基準の遵守を義務づけるなどの措置を講じようとするものであります。  両案は、去る四月二十二日本委員会に付託され、二十四日望月環境大臣から提案理由の説明を受け、次いで、今月十五日から質疑に入り、十九日参考人質疑を行うなど慎重に審査を重ね、二十二日に質疑を終局いたしました。  質疑終局後、両案に対し、民主党・無所属クラブ、維新の党及び生活の党と山本太郎となかまたちの共同提案による修正案がそれぞれ提出され、趣旨の説明を受けました。  次いで、採決いたしましたところ、両修正案はいずれも賛成少数をもって否決され、水銀による環境の汚染の防止に関する法律案及び大気汚染防止法の一部を改正する法律案はいずれも全会一致をもって原案のとおり可決すべきものと決した次第であります。  なお、両案に対しそれぞれ附帯決議が付されましたことを申し添えます。  以上、御報告を申し上げます。(拍手)     ―――――――――――――
  5. 大島理森

    ○議長(大島理森君) 両案を一括して採決いたします。  両案の委員長の報告はいずれも可決であります。両案は委員長報告のとおり決するに御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  6. 大島理森

    ○議長(大島理森君) 御異議なしと認めます。よって、両案とも委員長報告のとおり可決いたしました。      ――――◇―――――  日程第三 道路運送車両法及び自動車検査独立行政法人法の一部を改正する法律案(内閣提出)
  7. 大島理森

    ○議長(大島理森君) 日程第三、道路運送車両法及び自動車検査独立行政法人法の一部を改正する法律案を議題といたします。  委員長の報告を求めます。国土交通委員長今村雅弘君。     ―――――――――――――  道路運送車両法及び自動車検査独立行政法人法の一部を改正する法律案及び同報告書     〔本号末尾に掲載〕     ―――――――――――――     〔今村雅弘君登壇〕
  8. 今村雅弘

    ○今村雅弘君 ただいま議題となりました法律案につきまして、国土交通委員会における審査の経過及び結果を御報告申し上げます。  本案は、自動車の型式指定制度の一層の合理化を図るとともに、独立行政法人に係る改革を推進する等のために必要な措置を講じようとするもので、その主な内容は、  第一に、東京五輪特別仕様などの図柄入りナンバープレートを導入するため、自動車の所有者からの申請により、ナンバープレートの交換を可能とする制度を創設すること、  第二に、より迅速かつ確実にリコールを実施するため、必要な報告徴収及び立入検査の対象に自動車の装置製作者等を追加すること、  第三に、国連の車両等の型式認定相互承認協定の改正に対応するため、自動車の共通構造部の型式指定制度を創設すること、  第四に、自動車検査独立行政法人及び独立行政法人交通安全環境研究所を統合し、独立行政法人自動車技術総合機構とすること などであります。  本案は、去る五月十九日本委員会に付託され、二十日太田国土交通大臣から提案理由の説明を聴取し、二十二日、質疑を行い、質疑終了後、討論を行い、採決の結果、賛成多数をもって原案のとおり可決すべきものと議決した次第であります。  以上、御報告申し上げます。(拍手)     ―――――――――――――
  9. 大島理森

    ○議長(大島理森君) 採決いたします。  本案の委員長の報告は可決であります。本案を委員長報告のとおり決するに賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕
  10. 大島理森

    ○議長(大島理森君) 起立多数。よって、本案は委員長報告のとおり可決いたしました。      ――――◇―――――  日程第四 平成二十五年度一般会計予備費使用総調書及び各省各庁所管使用調書(承諾を求めるの件)  日程第五 平成二十五年度特別会計予備費使用総調書及び各省各庁所管使用調書(承諾を求めるの件)  日程第六 平成二十五年度特別会計予算総則第二十条第一項の規定による経費増額総調書及び各省各庁所管経費増額調書(承諾を求めるの件)
  11. 大島理森

    ○議長(大島理森君) 日程第四、平成二十五年度一般会計予備費使用総調書及び各省各庁所管使用調書(承諾を求めるの件)、日程第五、平成二十五年度特別会計予備費使用総調書及び各省各庁所管使用調書(承諾を求めるの件)、日程第六、平成二十五年度特別会計予算総則第二十条第一項の規定による経費増額総調書及び各省各庁所管経費増額調書(承諾を求めるの件)、右三件を一括して議題といたします。  委員長の報告を求めます。決算行政監視委員長石関貴史君。     ―――――――――――――     〔報告書は本号末尾に掲載〕     ―――――――――――――     〔石関貴史君登壇〕
  12. 石関貴史

    ○石関貴史君 ただいま議題となりました平成二十五年度一般会計予備費使用総調書及び各省各庁所管使用調書外二件につきまして、決算行政監視委員会における審査の経過及び結果を御報告申し上げます。  これらの各件は、財政法の規定等に基づき、国会の事後承諾を求めるため提出されたものであります。  まず、平成二十五年度一般会計予備費は、汚染水対策に必要な経費、旧軍人遺族等に対する恩給費の不足を補うために必要な経費、安全保障会議設置法等の一部を改正する法律の施行に伴い必要な経費等六件で、その使用総額は二百五十四億円余であります。  次に、平成二十五年度特別会計予備費は、農業共済再保険特別会計果樹勘定及び園芸施設勘定における再保険金の不足を補うために必要な経費の二件で、その使用総額は六億円余であります。  次に、平成二十五年度特別会計予算総則第二十条第一項の規定による経費増額は、社会資本整備事業特別会計治水勘定における災害対策等緊急事業に係る河川事業の推進に必要な経費の増額等一特別会計の九件で、その経費増額の総額は六十八億円余であります。  委員会におきましては、これら各件につき去る四月二十四日麻生財務大臣から説明を聴取した後、昨日、質疑を行い、質疑終了後、討論、採決の結果、各件はいずれも賛成多数をもって承諾を与えるべきものと議決いたしました。  以上、御報告申し上げます。(拍手)     ―――――――――――――
  13. 大島理森

    ○議長(大島理森君) これより採決に入ります。  まず、日程第四及び第六の両件を一括して採決いたします。  両件は委員長報告のとおり承諾を与えるに賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕
  14. 大島理森

    ○議長(大島理森君) 起立多数。よって、両件とも委員長報告のとおり承諾を与えることに決まりました。  次に、日程第五につき採決いたします。  本件は委員長報告のとおり承諾を与えるに賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕
  15. 大島理森

    ○議長(大島理森君) 起立多数。よって、本件は委員長報告のとおり承諾を与えることに決まりました。      ――――◇―――――  我が国及び国際社会の平和及び安全の確保に資するための自衛隊法等の一部を改正する法律案(内閣提出)及び国際平和共同対処事態に際して我が国が実施する諸外国の軍隊等に対する協力支援活動等に関する法律案(内閣提出)の趣旨説明
  16. 大島理森

    ○議長(大島理森君) この際、内閣提出、我が国及び国際社会の平和及び安全の確保に資するための自衛隊法等の一部を改正する法律案及び国際平和共同対処事態に際して我が国が実施する諸外国の軍隊等に対する協力支援活動等に関する法律案について、趣旨の説明を求めます。国務大臣中谷元君。     〔国務大臣中谷元君登壇〕
  17. 中谷元

    ○国務大臣(中谷元君) ただいま議題となりました我が国及び国際社会の平和及び安全の確保に資するための自衛隊法等の一部を改正する法律案及び国際平和共同対処事態に際して我が国が実施する諸外国の軍隊等に対する協力支援活動等に関する法律案について、その趣旨を御説明いたします。  まず、我が国及び国際社会の平和及び安全の確保に資するための自衛隊法等の一部を改正する法律案について、その趣旨を御説明いたします。  我が国を取り巻く安全保障環境の変化を踏まえ、我が国と密接な関係にある他国に対する武力攻撃が発生し、これにより我が国の存立が脅かされ、国民の生命、自由及び幸福追求の権利が根底から覆される明白な危険がある事態に際して実施する防衛出動その他の対処措置、我が国の平和及び安全に重要な影響を与える事態に際して実施する合衆国軍隊等に対する後方支援活動等、国際連携平和安全活動のために実施する国際平和協力業務その他の我が国及び国際社会の平和及び安全の確保に資するために我が国が実施する措置について定める必要があります。  次に、この法律案の内容について、その概要を御説明いたします。  第一に、自衛隊法の一部改正について御説明いたします。  これは、防衛出動の対象となる事態として、我が国と密接な関係にある他国に対する武力攻撃が発生し、これにより我が国の存立が脅かされ、国民の生命、自由及び幸福追求の権利が根底から覆される明白な危険がある事態を追加するほか、外国における緊急事態に際しての在外邦人等の保護措置を新設し、合衆国軍隊等の部隊の武器等の防護のための武器の使用の規定を整備するものでございます。  第二に、国際連合平和維持活動等に対する協力に関する法律の一部改正について御説明いたします。  これは、国際平和協力業務の実施または物資協力の対象として新たに国際連携平和安全活動を追加するほか、国際平和協力業務に、防護を必要とする住民、被災民その他の者の生命、身体等に対する危害の防止等の業務その他の新たな業務を加えるとともに、その他国際平和協力業務の実施等のために必要な事項を定めるものです。  第三に、周辺事態に際して我が国の平和及び安全を確保するための措置に関する法律及び周辺事態に際して実施する船舶検査活動に関する法律の一部改正について御説明いたします。  これは、我が国の平和及び安全に重要な影響を与える事態である重要影響事態に際して、適切かつ迅速に、後方支援活動、捜索救助活動、船舶検査活動その他の重要影響事態に対応するため必要な措置を実施するために必要な事項のほか、国際平和共同対処事態に対応して我が国が実施する船舶検査活動に関し必要な事項を定めるものでございます。  第四に、武力攻撃事態等における我が国の平和と独立並びに国及び国民の安全の確保に関する法律及びその他の事態対処法制の一部改正について御説明いたします。  これは、我が国と密接な関係にある他国に対する武力攻撃が発生し、これにより我が国の存立が脅かされ、国民の生命、自由及び幸福追求の権利が根底から覆される明白な危険がある事態である存立危機事態への対処について、基本となる事項を定めるほか、武力攻撃事態等または存立危機事態において自衛隊と協力して武力攻撃または存立危機武力攻撃を排除するために必要な外国軍隊の行動が円滑かつ効果的に実施されるための措置等について定めるなど、武力攻撃事態等または存立危機事態の推移に応じて実施する措置について定めるものであります。  第五に、国家安全保障会議設置法の一部改正について御説明いたします。  これは、これまで申し上げました関係法律の一部改正等を踏まえ、国家安全保障会議の審議事項及び同会議への必須諮問事項を拡充するものであります。  そのほか、関係法律の所要の規定の整備を行うこととしております。  以上が、この法律案の趣旨でございます。  次に、国際平和共同対処事態に際して我が国が実施する諸外国の軍隊等に対する協力支援活動等に関する法律案について、その趣旨を御説明いたします。  この法律案は、国際社会の平和及び安全を脅かす事態であって、その脅威を除去するために国際社会が国際連合憲章の目的に従い共同して対処する活動を行い、かつ、我が国が国際社会の一員としてこれに主体的かつ積極的に寄与する必要があるものに際し、当該活動を行う諸外国の軍隊等に対する協力支援活動等を行うことにより、国際社会の平和及び安全の確保に資することができるようにするものであります。  次に、この法律案の内容について、その概要を御説明いたします。  第一に、基本原則として、政府が対応措置を適切かつ迅速に実施すること、対応措置の実施は武力による威嚇または武力の行使に当たるものであってはならないこと、協力支援活動及び捜索救助活動は現に戦闘行為が行われている現場では実施しないものとすること、外国の領域における対応措置については当該対応措置が行われることについて当該外国の同意がある場合に限り実施するものとすることなどを定めております。  第二に、この法律に基づき実施される対応措置を協力支援活動及び捜索救助活動並びに国際平和共同対処事態に際して実施する船舶検査活動とし、これらの活動のいずれかを実施することが必要な場合には閣議の決定により基本計画を定めることとしております。  第三に、自衛隊による協力支援活動としての物品及び役務の提供の実施並びに捜索救助活動の実施等を定めております。  第四に、基本計画には、国際平和共同対処事態の経緯並びに国際社会の平和及び安全に与える影響、国際社会の取り組みの状況、我が国が対応措置を実施することが必要であると認められる理由その他対応措置の実施に関する基本的な方針、対応措置の種類及び内容、対応措置を実施する区域の範囲、外国の領域で対応措置を実施する場合の自衛隊の部隊等の規模等を定めることとしております。  第五に、内閣総理大臣は、基本計画の決定または変更があったときは、その内容、また、基本計画に定める対応措置が終了したときは、その結果を、遅滞なく国会に報告しなければならないこととしております。  第六に、内閣総理大臣は、対応措置の実施前に、当該対応措置を実施することにつき、基本計画を添えて国会の承認を得なければならず、国会の承認を得た日から二年を経過する日を超えて引き続き当該対応措置を行おうとするときは、当該日の三十日前の日から当該日までの間に、当該対応措置を引き続き行うことにつき、基本計画及びそのときまでに行った対応措置の内容を記載した報告書を添えて国会に付議して、その承認を求めなければならないこととしております。  第七に、防衛大臣は、対応措置の実施に当たっては、自衛隊の部隊等の安全の確保に配慮しなければならないこととしております。  第八に、協力支援活動または捜索救助活動の実施を命ぜられた自衛官は、自己または自己とともに現場に所在する他の自衛隊員もしくはその職務を行うに伴い自己の管理のもとに入った者等の生命または身体の防護のために一定の要件に従って武器の使用ができることとしております。  以上が、我が国及び国際社会の平和及び安全の確保に資するための自衛隊法等の一部を改正する法律案及び国際平和共同対処事態に際して我が国が実施する諸外国の軍隊等に対する協力支援活動等に関する法律案の趣旨でございます。(拍手)      ――――◇―――――  我が国及び国際社会の平和及び安全の確保に資するための自衛隊法等の一部を改正する法律案(内閣提出)及び国際平和共同対処事態に際して我が国が実施する諸外国の軍隊等に対する協力支援活動等に関する法律案(内閣提出)の趣旨説明に対する質疑
  18. 大島理森

    ○議長(大島理森君) ただいまの趣旨の説明に対して質疑の通告があります。順次これを許します。稲田朋美君。     〔稲田朋美君登壇〕
  19. 稲田朋美

    ○稲田朋美君 自由民主党の稲田朋美です。  自由民主党を代表して、平和安全法制について質問いたします。(拍手)  我が国の平和と独立、国民の生活と幸せな暮らしを守り抜くことは、政府に課せられた最も重要な使命です。  我が国は、さきの大戦から七十年にもわたり、日本国憲法の平和主義、法の支配、民主主義の理念のもと、平和国家としての歩みを続けてきました。この間、自衛隊の創設、日米安全保障条約の改定を初め、現実の問題に対応すべく、必要な安全保障政策を講じてきました。特に、日米安保条約の改定は、戦後日本の平和の礎を築いたものであり、これを実現した政治家が岸信介総理です。  安倍総理は、五月十六日に高野山を訪問され、岸総理が晩年写経され、昭和五十九年の弘法大師御入定千百五十年に当たって奉納された般若心経千百五十巻を目にされたと聞いております。安倍総理は、この岸総理の千百五十巻もの写経にどのような思いが込められているとお考えでしょうか。冒頭にお伺いいたします。  平和安全法制の必要性についてお伺いいたします。  我が国が講じてきた安全保障政策は、特に一九八九年の冷戦終結以来、世界情勢の変化に伴って大きく動いています。湾岸戦争後のペルシャ湾の機雷掃海の実施、カンボジアPKOへの参加、日米ガイドラインの改定と関連法律の整備、九・一一テロを受けたインド洋での給油活動の実施、有事法制の整備、イラクにおける人道復興支援活動など、枚挙にいとまがありません。  今日、我が国を取り巻く安全保障環境は、一層厳しさを増しています。それは、第一に、世界そしてアジア太平洋地域におけるパワーバランスの変化であり、第二に、我が国全土を射程に入れるノドンミサイルを二百発保有するとされる北朝鮮のミサイル配備、核開発の問題であり、そして第三に、軍事費を急激にふやし、軍事活動を活発化させている中国の台頭であり、また第四に、テロの脅威の拡大や、宇宙やサイバーなど新たな領域における脅威の出現という問題であります。  こうした安全保障環境の厳しさは、平和安全法制の大前提です。まずは、この我が国を取り巻く安全保障環境の大きな変化について、具体的な説明をお願いいたします。  さらに、これらの安全保障環境の変化を踏まえて、我が国としてどのように対応していく必要があるのでしょうか。現在の日本において、戦争を望む者は一人もおらず、みんなが平和な暮らしを願っています。しかし、平和は、単に願うだけでは実現できません。まさに具体的な行動が必要なのです。  最も大切なことは、抑止力、すなわち紛争を未然に防止する力をしっかりと維持強化することです。今回の平和安全法制が実現することによって、具体的にどのような形で我が国の抑止力が強化されるのか、また、日米安全保障体制にどのような影響を与えるのかについて、総理の御認識をお伺いいたします。  総理は、第二次安倍政権発足以来、精力的に外交活動に取り組んでおられます。訪問地域や首脳会談を実施した人数は、歴代一位であると聞いています。  総理がこうした積極的な平和外交を展開されているのは、いかなる紛争も、武力や威嚇ではなく国際法に基づいて平和的に解決するという原則を踏まえたものであると考えます。我が国の平和と安全を確保するために、必要な外交努力を今後どのように進めていかれるのかについてお伺いいたします。  平和安全法制については、最大限の外交努力によって我が国と国際社会の平和と安全を確保することが肝要ですが、他方、万が一の事態に備えて法整備を行うことも重要です。  にもかかわらず、今般の平和安全法制に対して、戦争法案であるとの根拠のないレッテル張りがなされております。  先ほど述べたとおり、日本が戦後七十年間守り続けてきた平和国家としてのあり方は全く変わりません。また、徴兵制が採用されるとか、米国の戦争に無制限に巻き込まれ世界じゅうのどこででも戦争するようになるとか、どれもこれも全く的外れの批判です。  我が国の平和国家としての歩みは不変であり、このような無責任な批判が根拠のないものであること、そして、この法制が国民の命と平和な暮らしを守るものであることを総理から明確にしていただきたいと存じます。  また、昨年七月の閣議決定については、解釈改憲、立憲主義の逸脱という批判がなされています。しかし、この閣議決定は、昭和四十七年の政府見解の基本的な論理のみならず、憲法の番人である最高裁判所が示す考え方、すなわち昭和三十四年の砂川事件判決の、我が国が、自国の平和と安全を維持しその存立を全うするために必要な自衛のための措置をとり得ることは、国家固有の権能の行使として当然のことと言わなければならないをいささかも踏み外すものではなく、解釈改憲というそしりは全く当たりませんし、立憲主義に反するものではないと考えますが、総理の御認識をお伺いいたします。  次に、先日の党首討論において議論になった点について、改めてお伺いいたします。  まず、今回の法制と海外派兵、すなわち海外における自衛隊の武力の行使についてお伺いいたします。ここで言う海外派兵には、PKOや後方支援は含まれません。  自衛隊の海外派兵については、政府が長年維持してきた海外派兵の一般的禁止、すなわち武力の行使を目的として自衛隊を他国領域に派遣することは、一般的に、自衛のための必要最小限度を超えるものであり許されないという解釈は、集団的自衛権の一部を容認する今回の法改正でも変わりません。  しかし、例えば、ホルムズ海峡の機雷掃海のように、我が国への直接の攻撃が行われることがなくとも、我が国の存立が危機に陥るような場合において、必要最小限度の解釈の中で、例外的に他国領海で機雷掃海が認められ得るということですが、このような解釈でよいのか、総理にお伺いいたします。  次に、後方支援活動についてお伺いいたします。  後方支援活動については、実質的に戦争への参加である、活動を行っている自衛隊員は容易に戦闘に巻き込まれ得る、米国からの要請は断れないという批判がなされています。  しかしながら、米国を初めとする国際社会が一致団結して我が国や国際社会の平和と安全を守ろうとしているときに、我が国においても憲法の許す範囲で積極的に支援を行うことは、我が国の安全保障上も、そして総理がおっしゃっている人間の安全保障の実現のためにも必要です。米国からの要請は断れないという批判については、国権の最高機関である国会として、さらには主権国家として、恥ずかしい議論です。  我が国は、湾岸戦争での教訓を踏まえ、四半世紀にわたり、さまざまな経験を積み、検討を続けてきました。その成果が今回の平和安全法制です。  後方支援活動の意義に加え、我が国の判断の自主性に関し、後方支援全てに必要とされる国会の承認の意義と仕組みについての御説明をお願いします。  また、法整備に伴う自衛隊員のリスクについてもお伺いいたします。  野党からは、総理が自衛隊員のリスクについて率直に説明すべきとの批判があります。自衛隊の最高指揮官としての総理から、自衛隊員のリスクと、自衛隊員の安全を守るための法制上の仕組みについて御説明ください。  さて、次に、この平和安全法制の個別論点についてお伺いいたします。  まず、集団的自衛権の限定容認について、総理は、これまで、邦人輸送中の米艦防護やホルムズ海峡での機雷掃海を具体例として挙げておられますが、集団的自衛権が限定的に行使可能な存立危機事態の典型例とはどのような事態でしょうか。石油供給が途絶えることなどが、どのような場合に存立危機事態になり得るかについて、あたかも、経済的影響が生じただけで存立危機事態となるといった誤解があるように思われます。この点について、わかりやすく御説明ください。  また、重要影響事態安全確保法についてもお伺いいたします。  軍事技術の進展や各国の相互依存関係が密接になっていることなどから、世界のどの地域においても、我が国の安全保障に影響を及ぼす事態が起こり得ます。従来の周辺事態は、事態の性質に着目した概念であって、地理的概念ではないとされてきましたが、周辺という言葉が法文に含まれていたことや、国会答弁で、中東、インド洋で生起することは現実の問題として想定されないとされていました。  そこで、今回、周辺事態法を重要影響事態安全確保法に改正することにより、これらの実質的な地理的制約がどのように変わるのか、総理の御認識をお伺いいたします。  次に、国際社会の平和と安全に関する法整備についてお伺いいたします。  今回の平和安全法制では、国際平和支援法の制定と国際平和協力法の改正によって、国際社会の平和と安全に資する活動の実施を大きく拡充することとなります。  このうち、国際平和支援法については、個別の特別措置法で対応すべきであり、一般法を制定する必要があるのかという意見も聞かれます。また、法律がなければ、それを理由に各国からの協力要請を断れるなどという、主権国家としてあるまじき主張も聞かれますが、今回、一般法として国際平和支援法が制定されることの必要性、また具体的な利点について、総理の御見解をお伺いいたします。  国際平和協力法、いわゆるPKO法の改正についてお伺いいたします。  自衛隊は、過去二十年以上にわたり、国際平和協力に従事してきました。今回の改正では、これまでの経験を踏まえつつ、国連が統括しない活動に参加できるようになります。しかし、その中で、例えば、アフガニスタンにおける国際治安支援部隊、ISAFに参加し、タリバンをせん滅、掃討するような活動も行うことになるのでしょうか。今回の改正によってもそのような活動は実施できないと考えますが、いかがでしょう。  私の政治信条は、伝統と創造です。伝統なき創造は空虚、創造なき伝統は枯渇です。平和安全法制において、守るべき伝統は、憲法九条の平和主義の理念、法の支配の貫徹した立憲主義の堅持、そして専守防衛と一般的な海外派兵の禁止です。創造は、憲法下において、国民の生命と安全そして国家の独立を守り、人間の安全保障に貢献する今回の法整備です。  最後に、国民の皆様に、総理が本法案で目指す日本の姿と本法案の成立にかける御決意をお伺いいたします。  我が党は、この国会審議を通じて、国民の皆様の御理解が深まるよう努力を尽くします。野党の皆様におかれましても、本法案の審議をより充実したものとすべく、建設的な議論をされることを心からお願いし、私の質問を終わります。(拍手、発言する者あり)
  20. 大島理森

    ○議長(大島理森君) お静かに願います。     〔内閣総理大臣安倍晋三君登壇〕
  21. 安倍晋三

    ○内閣総理大臣(安倍晋三君) 稲田朋美議員にお答えいたします。  祖父の写経についてお尋ねがありました。  子供のころ、一心に写経している祖父の姿を何度か見た記憶がありますが、先般、高野山に伺い、その実物を懐かしく拝見する機会を得ました。  そこで思い出しましたのは、その全てに世界平和への願いが記されていることであります。二度と戦争を繰り返してはならない、平和と安全なくして、経済の発展も、幸せな国民生活も望むことはできない。あの戦争を体験したからこそ、晩年に至るまで平和を願い続けた祖父の姿が思い出されました。  理想を現実のものとするために、政治家は、政策を決断し、実行していかなければなりません。このこともまた、祖父の強い信念でありました。私たち政治家は、平和をただ願うだけに終わってはならない。果敢に行動していかなければなりません。  祖父は、総理大臣として、東西冷戦の激化という国際社会の現実を冷静に見きわめながら、日米安保条約の改定に身を尽くしました。日米同盟が、その後、日本と地域の平和と安定に貢献したことは、歴史が証明しています。  あれから半世紀。世界は一変しました。そして、今なお、私たちが望むと望まざるとにかかわらず、国際社会は絶えず変転しています。私たちもまた、この国際社会の厳しい現実を冷静に見きわめなければなりません。そして、国民の命と平和な暮らしを守るため、必要な政策を決断し、実現していく大きな責任があります。  至誠にして動かざる者はいまだこれあらざるなり。私は、誠実な説明を尽くし、平和を願う全ての国民、国会議員の皆さんとともに、平和安全法制の実現に全力を尽くす決意であります。  我が国を取り巻く安全保障環境についてお尋ねがありました。  我が国を取り巻く安全保障環境は、ますます厳しさを増しています。  具体的には、御指摘のように、アジア太平洋地域及びグローバルなパワーバランスの変化、日本の大半を射程に入れる数百発もの北朝鮮の弾道ミサイルの配備及び核兵器の開発、中国の台頭及びその東シナ海、南シナ海における活動、我が国に近づいてくる国籍不明の航空機に対する自衛隊機の緊急発進、いわゆるスクランブルの回数が十年前と比べ七倍にふえていること、この二年間でアルジェリア、シリア、チュニジアにおいて邦人が犠牲となった国際テロの脅威といった問題が挙げられています。  さらに、近年では、海洋、宇宙空間、サイバー空間に対する自由なアクセス及びその活用を妨げるリスクが拡散し、深刻化しています。  脅威は容易に国境を越えてやってきます。もはや、どの国も一国のみで平和を守ることはできない時代になっています。  このような我が国を取り巻く安全保障環境が根本的に変容する中で、国民の命と平和な暮らしを守り抜くためには、あらゆる事態を想定し、切れ目のない備えを行う平和安全法制の整備が必要不可欠であります。  平和安全法制がもたらす抑止力の強化と日米安全保障体制に与える影響についてお尋ねがありました。  今回の平和安全法制が実現すれば、国民の命と幸せな暮らしを守るために、グレーゾーンから集団的自衛権に関するものまで、あらゆる事態に対して切れ目のない対応を行うことが可能となります。  日本が攻撃を受ければ、米軍は、日本を防衛するために力を尽くしてくれます。そして、安保条約の義務を全うするため、日本近海で適時適切に警戒監視の任務に当たっています。  しかし、現在の法制のもとでは、私たちのためその任務に当たる米軍が攻撃を受けても、私たちは日本自身への攻撃がなければ何もできない、何もしない。果たして、皆さん、これでよいのでしょうか。  このような問題を踏まえ、日米同盟がよりよく機能するようにするのが、今回の平和安全法制です。  日本が危険にさらされたときは日米同盟が完全に機能するということを世界に発信することによって、紛争を未然に阻止する力、すなわち抑止力はさらに高まり、日本が攻撃を受ける可能性は一層なくなっていくと考えます。  我が国の平和と安全を確保するための外交努力についてお尋ねがありました。  我が国の平和と安全を確保するために、私は、近隣諸国との対話を通じた外交努力を重視しています。実際、私は、総理就任以来、地球儀を俯瞰する視点で積極的な外交を展開してまいりました。  そして、法の支配を重視する立場から、主張するときは国際法にのっとって主張すべき、武力の威嚇や力による現状変更は行ってはならない、問題を解決する際は平和的に国際法にのっとって解決するとの三原則を私は国際社会で繰り返し主張し、多くの国から賛同を得てまいりました。  外交を通じて平和を守る。今後も、積極的な平和外交を展開してまいります。  我が国の平和国家としての歩みや平和安全法制などについてお尋ねがありました。  平和国家としての日本の歩みは、これからも決して変わりません。二度と戦争の惨禍を繰り返してはならない。この不戦の誓いを将来にわたって守り続けてまいります。  平和安全法制の整備により、徴兵制が採用される、あるいは米国の戦争に巻き込まれるなどというのは、全く的外れな議論です。  徴兵制は明確な憲法違反であり、いかなる場合であっても導入する余地はありません。  アメリカの戦争に巻き込まれるようなことは絶対にありません。新たな日米ガイドラインの中にも、はっきりと書き込んでいます。  日本が武力を行使するのは、日本国民を守るため。これは、日本とアメリカの共通の認識であります。  安保条約を改定したときにも、戦争に巻き込まれるといった批判が噴出しましたが、そうした批判が全く的外れなものであったことは、既に歴史が、皆さん、証明しています。  したがって、戦争法案という批判は、全く根拠のない、無責任かつ典型的なレッテル張りであり、恥ずかしいと思います。  国民の命と平和な暮らしを守り抜く、その決意のもと、日本と世界の平和と安全をより確かなものとするための法案が、平和安全法制であります。  昨年七月の閣議決定に関し、解釈改憲、立憲主義の逸脱といった批判は全く当たらないと考えているかどうかとのお尋ねがございました。  昨年七月の閣議決定における憲法解釈は、我が国を取り巻く安全保障環境が客観的に大きく変化しているという現実を踏まえ、従来の憲法解釈との論理的整合性と法的安定性に十分留意し、従来の、昭和四十七年の政府見解における憲法第九条の解釈の基本的な論理の枠内で、国民の命と平和な暮らしを守り抜くための合理的な当てはめの帰結を導いたものであります。  また、そもそも、昭和四十七年の政府見解のうち、自国の平和と安全を維持しその存立を全うするために必要な自衛の措置をとることを禁じているとは到底解されないとする部分は、昭和三十四年の砂川事件の、我が国が、自国の平和と安全を維持しその存立を全うするために必要な自衛のための措置をとり得ることは、国家固有の権能の行使として当然のことと言わなければならないとの最高裁判決で示された考え方と軌を一にするものであります。  昨年の閣議決定では、国民の命と幸せな暮らしを守るため、必要最小限度の自衛の措置が許されるという、従来の憲法解釈の基本的考え方を変えるものではないことから、憲法の規範性を何ら変更するものではなく、立憲主義に反するものではありません。  したがって、御指摘のとおり、昨年の閣議決定について、解釈改憲、立憲主義の逸脱という批判は全く当たらないと考えます。  海外派兵についてお尋ねがありました。  政府としては、従来より、武力行使の目的を持って武装した部隊を他国の領土に派遣するいわゆる海外派兵は、一般に、自衛のための必要最小限度を超えるものであって、憲法上許されないと解しています。  ただし、機雷掃海については、その実態は、水中の危険物から民間船舶を防護し、その安全な航行を確保することを目的とするものです。その性質上も、あくまでも受動的かつ限定的な行為です。  このため、外国の領域で行うものであっても、必要最小限度のものとして、新三要件を満たすことはあり得るものと考えています。  後方支援及び国会承認の意義と仕組みについてお尋ねがありました。  我が国や国際社会の平和と安全が違法な武力の行使により脅かされているような場合に、諸外国が行う正当な武力の行使を支援することは、その事態の拡大を防止し、事態の収拾を図るためのものであり、我が国と国際社会の平和及び安全の維持のために極めて重要であります。  一方、このような外国の軍隊への支援を行う場合には、民主的統制の観点から、国会の関与が極めて重要であると考えております。  このため、国際平和支援法においては、国際の平和及び安全に寄与する目的で自衛隊を海外に派遣するための一般法であることに鑑み、自衛隊による対応措置の実施について、例外なく国会の事前承認を必要としています。  重要影響事態法においては、我が国の平和と安全の確保を図るためには、即時の対応が必要と判断されるような時間的余裕がない場合も想定されることから、現行法と同じく、緊急の必要がある場合には事後承認によることができることとしています。ただし、これは例外的なものであり、原則は、対応措置の実施前に国会の承認を得なければならないとしています。  このような国会の承認に係る御判断は、憲法と法令に従い、我が国の国益に照らして主体的に行われるものと考えています。  自衛隊員のリスクについてお尋ねがありました。  なぜ平和安全法制を整備するのか、それは、我が国を取り巻く安全保障環境が一層厳しくなり、我が国にとって、そして国民にとって、リスクが高まっているからであります。  国民の命と平和な暮らしを守るため、切れ目のない法制をつくり、そして日米同盟を強化する、それにより抑止力が高まれば、日本が攻撃を受けるリスクは一層下がると考えています。  そして、自衛隊員の任務は、国民の命と平和な暮らしを守り抜くことです。今後とも、この任務には一切変わりはありません。  我が国有事は言うに及ばず、PKOや災害派遣など、これまでの任務も命がけであり、自衛隊員は限界に近いリスクを負っています。  法制の整備によって付与される新たな任務も、従来どおり命がけのものです。そのため、法制の中で、隊員のリスクを極小化するための措置をしっかりと規定しています。  具体的に申し上げれば、部隊の安全が確保できないような場所で後方支援を行うことはなく、また、万が一、自衛隊が活動している場所やその近傍で戦闘行為が発生した場合などには、直ちに活動を一時休止または中断するなどして安全を確保することとしています。  もちろん、それでもリスクは残ります。しかし、それはあくまでも、国民の命と平和な暮らしを守り抜くために自衛隊員に負ってもらうものであります。  他方、リスクの存在を認識しているからこそ、自衛隊員は、高度の専門知識を養い、日々厳しい訓練を行っています。みずから志願し、危険を顧みず職務を完遂することを宣誓したプロとして、危険な任務遂行のリスクを可能な限り軽減しています。これは今後も変わりありません。  法整備により得られる、国全体の、そして国民のリスクが下がる効果は非常に大きいと考えています。このような判断を踏まえて、平和安全法制の整備を行うべきと考えているものであります。  存立危機事態とはどのような事態なのかについてお尋ねがありました。  存立危機事態の典型例や具体例をあらかじめ包括的に示すことはできませんが、その上で、存立危機事態に該当し得る例を挙げるとするならば、次のようなものが考えられます。  例えば、我が国近隣において、我が国と密接な関係にある他国、例えば米国に対する武力攻撃が発生した。その時点では、まだ我が国に対する武力攻撃が発生したとは認定されないものの、攻撃国は、我が国をも射程に捉える相当数の弾道ミサイルを保有しており、その言動などから、我が国に対する武力攻撃の発生が差し迫っている状況にある。他国の弾道ミサイル攻撃から我が国を守り、これに反撃する能力を持つ同盟国である米国の艦艇への武力攻撃を早急にとめずに、我が国に対する武力攻撃の発生を待って対処するのでは、弾道ミサイルによる第一撃によって取り返しのつかない甚大な被害をこうむることになる明らかな危険がある。このような場合が考えられます。  現在の安全保障環境においては、こうした状況のもと、我が国の防衛のための自衛の措置として、退避する邦人の輸送を含め、事態の拡大防止や早期収拾のために活動している米艦船の防護、米軍に対する支援、停船検査等を実施する必要性が生じる場合があると考えていますが、こうした措置は、これまでの憲法解釈のもとで定められた現行法制では対応できないものであります。  いずれにせよ、いかなる事態が存立危機事態に該当するかについては、実際に発生した事態の個別具体的な状況に即して、政府が全ての情報を総合して、新三要件に照らし、客観的、合理的に判断します。  その上で、国の存立の基盤である経済が脅かされるかどうかについても判断の対象になりますが、単に、国際紛争の影響により国民生活や国家経済に打撃が与えられたことであるとか、ある生活物資が不足することのみをもって存立危機事態に該当するものではありません。  存立危機事態については、あくまでも、我が国と密接な関係にある他国に対する武力攻撃の発生を前提とした上で、例えば、石油などのエネルギー源の供給が滞ることにより、単なる経済的影響にとどまらず、生活物資の不足や電力不足によるライフラインの途絶が起こるなど、国民生活に死活的な影響、すなわち国民の生死にかかわるような深刻、重大な影響が生じるか否かを総合的に評価し、存立危機事態に該当するかを判断するものであります。  周辺事態の概念と地理的制約についてのお尋ねがありました。  政府は、従来より、周辺事態について、事態の性質に着目した概念であって、地理的概念ではないと説明してきました。この点については、重要影響事態においても何ら変更はありません。  一方、周辺事態安全確保法の制定時においては、当時の安全保障環境に照らして、我が国の平和と安全に重要な影響を与える事態が生起する地域にはおのずと限界があり、中東、インド洋において生起することは、現実の問題として想定されないとしてきました。  しかし、安全保障環境が大きく変化した現在においては、これらの地域についても、重要影響事態が生起する地域からあらかじめ排除することは困難であると考えています。  なお、今般の法改正においては、周辺事態という表現は地理的概念と誤解されるおそれがあることから、重要影響事態と改めたものであります。  国際平和支援法の必要性や具体的利点についてお尋ねがありました。  国際平和支援法は、国際社会の平和及び安全を確保すべく活動している諸外国の軍隊等に対し、国際社会の一員として、補給、輸送などの協力支援活動や捜索救助活動等を行うことを可能とするために必要となるものであります。  将来、具体的な必要性が発生してから改めて立法措置を行うよりも、自衛隊の活動根拠をあらかじめ定めておく方が、平素より各国とも連携した情報収集、教育訓練が可能となり、その成果を基本的な体制整備に反映することができます。  また、既に派遣のための法的根拠が存在しているため、活動内容、派遣規模といったニーズを確定するための現地調査や各国との調整を迅速に実施できます。  これにより、我が国として、国際社会の平和及び安全に主体的かつ積極的に寄与していくとの意思を目に見える形で表明するとともに、実際の支援活動もより迅速に行うことが可能となり、特措法で対応するときよりも効果的になると考えます。  PKO法の改正についてお尋ねがありました。  御指摘のありましたISAFは既に活動を終了しており、今日の視点で、改めて当時のアフガニスタンの状況を再現して、新たな基準に基づいて再評価を行うことは困難です。  その上で、一般論として申し上げれば、今般新たに規定するいわゆる安全確保業務を実施する場合には、参加五原則が満たされており、かつ、派遣先国及び紛争当事者の受け入れ同意が業務が行われる期間を通じて安定的に維持されると認められることが前提となります。  また、いわゆる安全確保業務は、防護を必要とする住民等の生命、身体及び財産に対する危害の防止、その他特定の区域の保安のための監視、駐留、巡回、検問及び警護を行うものです。  したがって、このような活動を超えて、御指摘のタリバンをせん滅、掃討するような活動を行うことはできない仕組みとなっています。  なお、いわゆる安全確保業務における武器使用権限において、危害を与える射撃が認められるのは、正当防衛または緊急避難に該当する場合に限られることは言うまでもありません。  本法案で目指す日本の姿と、法案成立に向けた決意についてお尋ねがありました。  国民の命と平和な暮らしを守ることは、政府の最も重要な責務であります。  平和安全法制は、御指摘のとおり、憲法の平和主義の理念など、守り抜く伝統は維持し、国家と国民の安全と繁栄を守り、世界の平和と安全を確かなものとするものです。そして、人間の安全保障を含む積極的平和主義のさまざまな取り組みと相まって、子供たちに平和な日本を引き継ぎ、未来を創造するものであります。  戦後七十年の平和国家としての歩みと、自由で、民主的で、人権をたっとび、法の支配を守り続けてきた日本の歩みに自覚を持ち、国民の皆様とともに新たな時代を切り開いていきたいと考えております。  我が国を取り巻く安全保障環境が一層厳しさを増す中、国民の命と平和な暮らしを守り抜くためには、あらゆる事態に対して切れ目のない備えを可能にする平和安全法制が不可欠であります。  多くの国民の皆様に法案の趣旨を御理解いただき、幅広い御支持が得られるよう、国会審議においてもわかりやすく丁寧な説明を心がけ、今国会における確実な成立を期してまいります。(拍手)     ―――――――――――――
  22. 大島理森

    ○議長(大島理森君) 枝野幸男君。     〔枝野幸男君登壇〕
  23. 枝野幸男

    ○枝野幸男君 私ども民主党は、平成二十二年、動的防衛力構想に基づく防衛大綱の抜本改定を行い、自衛隊の配置や装備などについて大幅な転換に着手しました。  領土や領海を守る上で現実に最も重要なのは、自衛隊の体制や訓練などです。  にもかかわらず、一九八九年のベルリンの壁崩壊から二十年もの間、一九七六年、すなわち米ソ冷戦下に定められた基盤的防衛力構想とこれに基づく配置や装備などが、若干の修正はあっても、基本的に維持されてきたのです。それを、安全保障環境の変化に対応して抜本的に改め、南西方面の島嶼防衛やミサイル防衛、そしてテロ対策を重視した防衛力構想へと、現実的に転換したのは民主党政権であるということを指摘しておきたいと思います。  さらに、私たちは、昨年の臨時国会において、現実の島嶼防衛における……(発言する者あり)
  24. 大島理森

    ○議長(大島理森君) 御静粛に願います。
  25. 枝野幸男

    ○枝野幸男君(続) 法のすき間を埋めるべく、領域警備法案を提出しました。  民主党は、領土、領海を守るため、引き続きこのような地に足をつけた現実的政策を推進していくことを、冒頭申し上げておきます。(拍手)  さて、安全保障環境の変化を踏まえ、我が国の領土、領海を守る上で最も重要かつ喫緊な課題は、特に南西方面の島嶼防衛に万全を期すことです。そのために、海上保安庁や警察と自衛隊との役割分担や連携に、一分のすきもない体制をつくらなければなりません。  この点についての対応を運用改善にとどめ、必要とされる法整備を先送りしたのでは、真に自国の防衛を図るということにはつながらないのではないでしょうか。逆に、集団的自衛権の部分容認などによって、島嶼防衛に一体どのような効果があるのでしょうか。  PKOなどの国際貢献の重要性は否定しません。しかし、まずは、主権国家として、自国の領土や領海にかかわる法整備こそが優先的であるはずです。  抑止力が高まることについて先ほどの答弁でいろいろおっしゃっておりましたが、今回の法改正で、日米安保条約に基づく米軍の負担、責任がふえているのでしょうか。米軍の負担、責任は、何も変わっていません。これで抑止力がどうして高まるのか、総理の明確かつ具体的な答弁を求めます。  今回提案されている法案は、いずれもその名称や条文に、平和という言葉が多用されています。過日設置された特別委員会の名称も、与党のごり押しによって、平和安全法制に関する特別委員会とされました。  昭和十二年、盧溝橋事件における政府声明は、東亜の平和の維持を掲げていました。昭和十六年、日米開戦時の宣戦の詔書は、東亜永遠の平和を確立とされています。  我が国だけではありません。ベトナム戦争における米国両院合同決議、いわゆるトンキン湾決議は、東南アジアにおける国際平和と安全の維持が国益と国際平和にとって死活的であるとして、本格介入を承認しています。  平和のためという大義名分は、戦争を正当化するための方便として使われてきたのであり、平和が強調されている場合には、眉に唾をつけて受けとめるべきというのが歴史の教訓であります。  法案の中身を率直に受けとめるなら、国際軍事協力法案とでも称するのが正直な姿勢であります。今回の不誠実なネーミングは、誰のアイデアと責任で決められたのでしょうか。こうしたこそくなやり方が、国民の理解と信頼を得る上で、適切だと考えているのでしょうか。総理にお尋ねをいたします。  いわゆる新三要件では、我が国の存立が脅かされ、国民の生命、自由及び幸福追求の権利が根底から覆される明白な危険があることという曖昧な主観的要件によって、政府による恣意的判断の可能性が著しく拡大しています。  これまでの解釈では、我が国に対する武力攻撃の有無という客観性の高い要件が、自衛権行使の限界を明確に規定していました。相手国による武力攻撃の着手をどの時点で認定するのかという判断には、若干の主観的評価が残るものの、恣意的判断の余地はほとんどありません。  しかし、既に、これまでの議論においても、経済的理由が根底から覆される事態に当たり得るのか否かについて、与党内においても、日によってばらばらの認識が示されてきています。総合的判断という言葉は、要するに、政府の裁量に任せてくださいと言うに等しく、幅広い裁量の余地が存在することを、政府みずから認めているにほかなりません。  存在が脅かされ、根底から覆されるというのは、いかなる事実に基づき、いかなる基準で判断されるのか。さらには、明白な危険の判断基準はどうなのか。総合的判断という抽象的で無責任な答弁ではなく、法的な根拠を含めて、具体的な判断基準を示すよう、総理に求めます。  総理は、岡田代表との党首討論において、一般に、武力の行使や戦闘行為を目的として海外の領土や領海に入っていくことはしない、機雷の除去は例外である旨答弁されました。また、その根拠として、新三要件の中の必要最小限を挙げています。  しかし、新三要件に言う必要最小限とは、国際法上の概念と基本的に一致するものではないのでしょうか。国際法上、必要最小限とは、武力行使の態様が相手の武力攻撃の態様と均衡がとれたものでなければならないという、均衡性を意味します。すなわち、相手国による攻撃との均衡上、その領土や領海に入っていくことも必要最小限の範囲に含まれ得るし、場合によっては、軍事施設に対する空爆なども可能になるのではないでしょうか。外務大臣の明確な答弁を求めます。  そもそも、なぜ機雷の除去だけが例外なのでしょうか。  国際法上、機雷の除去のような軍事行動を受動的かつ限定的な武力行使であるとして、他の武力行使と区別して扱っている事例があるのか、外務大臣にお尋ねします。  戦時下である限り、相手国から見れば、機雷の除去も、敵対的武力行使にほかなりません。機雷の除去が受動的かつ限定的だからとして、相手国が空爆や地上戦と区別してくれるとでも思っているのでしょうか。中谷大臣にお尋ねします。  限定的な集団的自衛権行使が必要な想定として、しばしば、中東ホルムズ海峡が機雷によって通航不能となり、原油の輸入が滞るケースが挙げられます。  しかし、機雷の除去は、相手国による妨害が予想されない事態でなければ、実施することができません。当該海域におけるタンカーなどの通航が可能となるためには、まずは、当該地域の制海権や制空権を確保し、安全に機雷を除去できる状況をつくり出すことが前提です。  この場合に、安全が確保されれば機雷除去を行うけれども、その前提となる、制海権や制空権を確保するための行動は行わないなんという法制上の根拠は、どこにあるのでしょうか。  機雷の除去が必要最小限の行為として認められるならば、機雷除去のために必要不可欠な行為、すなわち、制海権、制空権確保のための行為として、相手国の軍事施設に対する爆撃なども、必要最小限に入るのではないでしょうか。中谷大臣に答弁を求めます。  中谷大臣はこれまでも、新三要件に合致すれば、敵基地攻撃を含めて、他国領域での集団的自衛権の行使が可能であると明言してきました。本法案の条文を見る限り、これが正しいんだと思います。総理の、一般に、武力の行使や戦闘行為を目的として海外の領土や領海に入っていくことはないという趣旨の発言は、これと矛盾し、世論をミスリードする発言です。総理に、政府としての統一見解を求めます。  これまでの後方支援は、非戦闘地域での活動に限定されていました。ところが、本法案では、実施される活動の期間を通じて戦闘行為が行われることがないと認められる地域という限定が取り除かれ、現に戦闘が行われている現場でなければ活動できる規定になっています。  これまでの要件でも、派遣部隊の安全が十分に確保されたとは言えませんでした。例えば、サマワのイラク復興支援部隊の宿営地にはしばしば迫撃砲やロケット弾が着弾し、人的被害がなかったのは奇跡的だったとも伝えられています。サマワの宿営地に敵の迫撃砲やロケット弾が着弾した回数を、中谷大臣にお尋ねします。  前線部隊に対する攻撃よりも、脆弱な兵たん部隊を狙い、補給路を断つべしというのは、古来、戦略、戦術の基本中の基本です。中谷大臣に、この点の認識をお尋ねします。  現に戦闘行為が行われていなくても、次にどこで戦闘行為が行われるかを予測することは困難であり、自衛隊の協力支援部隊が活動すれば、むしろ、その補給兵たん部隊こそが最も狙われる場所になります。その場所に自己保存型の武器使用権限のみで部隊を送るというのは、自衛官の皆さんに対して余りにも無責任です。これで、あなたの後輩である自衛官のリスクが本当に高まらないと断言できるのか、中谷大臣にお尋ねします。  法案には、現場の判断で活動を休止できるという規定もあり、これを根拠に、支援部隊の安全は確保できると説明されています。しかし、これこそ空理空論のきわみであります。  補給や輸送は、受け入れ部隊との密接な連携協力のもとになされます。前線で必要とされている輸送や補給という重要な業務を、任務の途中で放り投げ、自分たちだけ逃げるというのでは、相互の信頼関係は成り立ちません。初めから、法制上できないことはできない旨を明確にする方が、ずっとましです。このような中途半端なやり方は、自衛官の皆さんに大変な困難と危険を負わせる一方、自衛隊の国際的信用を失うことにつながりかねません。中谷大臣の認識をお尋ねいたします。  憲政の神様と仰がれた尾崎行雄翁は、大正六年、「憲政の本義」という著書の中で、次のように述べています。すなわち、衆議院にしていやしくも立言議定の府ならんや、賛否の議論、いまだ半ばに至らざるに当たって、討論終結の声、既に四方に沸く、我が国には表決堂ありて議事堂なしと。  本法案に関しては、国会提出もなされていない段階にもかかわらず、総理みずから、成立時期を他国の議会において断言されました。与党からは、審議時間について八十時間程度との発言が再三にわたってなされてきました。議論、いまだ半ばに至らざるどころか、議論、いまだ始まらずしてこの始末です。  本法案は、形式的には二本ですが、実質は、十一本の法案を強引にまとめたもので、その論点は多岐にわたります。その全てが、自衛官の皆さんを初めとする、人の命にかかわる論点です。  咢堂翁の指摘から百年を経ようとしている今、再び本院は表決堂とのそしりに甘んじることになるのか、それとも、堂々たる立言議定の府たり得るのかが問われているのであります。慎重の上にも慎重を期し、期限を定めず、十分な審議がなされることを強く求めます。  昭和十五年のいわゆる反軍演説に対し、男性のみとはいえ、普通選挙により民主的に選ばれていたはずの本院は、賛成二百九十六、反対七という圧倒的多数で斎藤隆夫議員を除名いたしました。  民主的なプロセスに基づいていたとしても、いっときの多数が大きく道を誤ることがあり得るというのは、かつてヒトラーへ全権委任を議決したドイツの経験だけではありません。我が国自身も、わずか七十五年前に経験をしているのであります。だからこそ、民主的に選ばれた多数派といえども、憲法に拘束されるという立憲主義が重要なのであります。  本法案は、立憲主義に反する恣意的な憲法解釈の変更をいっときの議会多数をもって正当化しようとするものであり、立憲主義と民主主義の真っ当な理解からは、到底許されないものであります。  立憲主義を破壊する法案を数の力で押し切ろうとするならば、斎藤議員の除名に賛同した当時の本院議員たちと同様、遠からず歴史に断罪されるであろうことを同僚議員諸氏に強く警告いたします。  最後に、賢者は歴史に学ぶと言われます。  総理には、安保闘争などのみずからの幼少時の経験だけでなく、大正から昭和の初期にかけての歴史に真摯に向き合い、ポツダム宣言は当然のことながら、尾崎行雄翁や斎藤隆夫議員などの姿勢をしっかりと学ばれんことを強くお勧め申し上げ、質問を終わります。(拍手)
  26. 大島理森

    ○議長(大島理森君) 議員諸君に申し上げます。  質疑者の発言、答弁者の発言が国民の皆様方にしっかりと伝わるようにし、また、諸君にしっかりと聞こえるようにするためにも、静粛な議論、しっかりした議論を望みます。     〔内閣総理大臣安倍晋三君登壇〕
  27. 安倍晋三

    ○内閣総理大臣(安倍晋三君) 枝野議員にお答えいたします。  我が国の領土、領海を守るための関係省庁間の連携に関する法整備の必要性についてお尋ねがありました。  政府においては、五月十四日、武力攻撃に至らない侵害に際し、いかなる不法行為に対しても切れ目のない十分な対応を確保するため、我が国の領海及び内水で外国軍艦が国際法上の無害通航に該当しない航行を行う事態、武装集団が我が国の離島に不法上陸する事態、外国船舶が公海上で我が国の民間船舶に対し侵害行為を行う事態について、海上警備行動、治安出動等の発令に係る手続の迅速化のための閣議決定を行ったところであります。  また、さまざまな不法行為に対処するため、警察や海上保安庁などの関係機関がおのおのの対応能力を向上させ、情報共有を含む連携を強化するほか、各種の訓練を充実させるなど、各般の分野における必要な取り組みを一層強化していくこととしています。  これらにより、現下の安全保障環境において、武力攻撃に至らない侵害に際し、いかなる不法行為に対しても切れ目のない十分な対応を確保するための体制を整備したところであり、現時点では、新たな法整備が必要であるとは考えておりません。  集団的自衛権の行使の限定容認などによる島嶼防衛への効果についてお尋ねがありました。  具体的な例を申し上げれば、海上警備行動等の下令手続の迅速化に関する閣議決定により、島嶼部に対する不法行為に対しても、切れ目のない十分な対応を確保するための体制が整備されています。  また、我が国の平和と安全に重要な影響を与える事態への対応についても、関係諸国と連携しつつ、しっかりと対応することによって、このような事態が、島嶼部を含む我が国への攻撃に発展することを防ぐことができます。  さらに、存立危機事態においても、新三要件を満たす場合に、集団的自衛権の行使が限定的に容認されることにより抑止力が高まり、このような事態が、島嶼部を含む我が国への攻撃に発展することを防ぐことができます。  このように、平和安全法制を整備することなどにより、いかなる事態に対しても切れ目のない対応が可能となり、また、日本が危険にさらされたときには、日米同盟が完全に機能します。このことを世界に発信することによって、抑止力はさらに高まり、日本が島嶼部を含め攻撃を受ける可能性は一層なくなっていくと考えています。  平和安全法制の名称についてお尋ねがありました。  国民の命と平和な暮らしを守り抜く、その決意のもと、日本と世界の平和と安全をより確かなものとするために国会に提出した法案が、平和安全法制であります。  したがって、今回の法案の目的は、我が国と国際社会の平和と安全の確保という点に集約されています。  このような法案の趣旨、目的を踏まえ、平和安全法制との名称は、政府としては非常に適切なものと考えております。  法案の名称は、政府部内で内容を協議していく中で定まったものですが、政府として法案を提出した以上、その責任は総理たる私にあります。  いずれにせよ、多くの国民の皆様に、法案の趣旨を御理解いただき、幅広い御支持が得られるよう、法案の国会審議においても、わかりやすく丁寧な説明を心がけてまいります。  新三要件の判断基準についてお尋ねがありました。  新三要件に言う、我が国と密接な関係にある他国に対する武力攻撃が発生し、これにより我が国の存立が脅かされ、国民の生命、自由及び幸福追求の権利が根底から覆される明白な危険がある場合とは、我が国と密接な関係にある他国に対する武力攻撃が発生した場合において、そのままでは、すなわち、その状況のもと、武力を用いた対処をしなければ、国民に我が国が武力攻撃を受けた場合と同様な深刻、重大な被害が及ぶことが明らかな状況をいいます。  今回の法整備では、これを存立危機事態として規定しています。  いかなる事態がこれに該当するかについては、事態の個別具体的な状況に即して、政府が全ての情報を総合して客観的、合理的に判断することとなるため、一概に述べることは困難ですが、実際に我が国と密接な関係にある他国に対する武力攻撃が発生した場合において、事態の個別具体的な状況に即して、主に、攻撃国の意思、能力、事態の発生場所、事態の規模、態様、推移などの要素を総合的に考慮し、我が国に戦禍が及ぶ蓋然性、国民がこうむることになる犠牲の深刻性、重大性などから客観的、合理的に判断することとなります。  存立危機事態に至ったときは、政府は、事態対処法改正案第九条に基づき、事態の経緯、事態が存立危機事態であることの認定及び当該認定の前提となった事実、我が国の存立を全うし、国民を守るために他に適当な手段がなく、事態に対処するため武力の行使が必要であると認められる理由等を明記した上で対処基本方針を策定し、これについて、直ちに国会の承認を求めることとしています。  このように、今回の法整備においては、事態が存立危機事態であるか否かの判断を含め、我が国としての事態への対処について、厳格な基準のもとで、政府が判断するのみならず、国会の御判断もいただき、民主主義国家として適切に判断される仕組みを設けているところであります。  海外派兵についてお尋ねがありました。  政府としては、従来より、武力行使の目的を持って武装した部隊を他国の領域に派遣するいわゆる海外派兵は、一般に、自衛のための必要最小限度を超えるものであって、憲法上許されないと解しています。これは、従来から一貫した答弁であります。  先日の党首討論では、この海外派兵の一般禁止という従来の見解を申し上げたものであります。  繰り返し申し上げているとおり、自衛隊が武力行使を目的として、かつての湾岸戦争やイラク戦争での戦闘に参加することは、明らかに、必要最小限度を超えるものであって、憲法上許されません。  他方、機雷掃海については、一般にということの外と申し上げたように、その実態は、水中の危険物から民間船舶を防護し、その安全な航行を確保することを目的とするものです。その性質上も、あくまでも受動的かつ限定的な行為です。  このため、外国の領域であっても、新三要件を満たすことはあり得るものと考えています。  したがって、私の発言が事実誤認であるとか世論をミスリードするといった御指摘は、全く当たりません。  残余の質問につきましては、関係大臣から答弁させます。(拍手)     〔国務大臣岸田文雄君登壇〕
  28. 岸田文雄

    ○国務大臣(岸田文雄君) まず、新三要件の第三要件に言う必要最小限度の意味についてお尋ねがありました。  新三要件の第三要件に言う必要最小限度とは、国際法の用語で言う均衡性を意味するものですが、同時に、我が国に対する武力攻撃、または、我が国の存立が脅かされ、国民の生命、自由及び幸福追求の権利が根底から覆される明白な危険をつくり出している我が国と緊密な関係にある他国に対する武力攻撃を排除し、そして、我が国の存立を全うし、国民を守るための必要最小限度を意味するものです。  その意味において、これによって我が国の憲法上認められる武力行使の態様は、必ずしも、他国が自衛権に基づき行うものと完全に一致するわけではないと考えております。  いずれにせよ、自衛隊が、武力行使を目的として、かつての湾岸戦争やイラク戦争での戦闘、すなわち、一般の方々が思い浮かべるような、敵を撃破するように大規模な空爆や砲撃を加えたり、敵地に攻め入るような行為に参加することはありません。  そして次に、国際法上、機雷除去を他の武力行使と区別して扱った事例についてお尋ねがありました。  武力行使の目的を持って武装した部隊を他国の領域に派遣するいわゆる海外派兵は、一般に禁止されます。  機雷掃海については、性質上、あくまでも受動的かつ限定的な行為であり、新三要件に該当する場合には、外国の領域で武力の行使を行うことが憲法上許容される一つの例として挙げられたものです。  御指摘のように、国際法上、機雷除去のような軍事行動を受動的かつ限定的な武力行使であるとして他の武力行使と区別して扱っている事例として論じられているものがあるとは承知しておりません。この違いは何かということでありますが、この違いは、我が国が我が国の憲法上許容される武力行使を、国際的に見ても他に例がないほど極めて厳しく制限している結果であると考えます。(拍手)     〔国務大臣中谷元君登壇〕
  29. 中谷元

    ○国務大臣(中谷元君) 枝野議員にお答えいたします。  機雷除去についてお尋ねがありました。  機雷掃海は、水中の危険物から民間船舶等を防護し、その安全な航行を確保することを目的とするものであり、その性質上も、あくまでも受動的かつ限定的な行為であって、一般の方々が思い浮かべるような、敵を撃破し、制海権や制空権を確保するために大規模な空爆や砲撃を加えたり、敵地に攻め入るような行為とは異なります。掃海艦艇は外部からの攻撃には非常に脆弱であるため、戦闘が現に継続しているような現場では機雷掃海を円滑に行うことは困難です。  他方、自衛隊が、武力行使を目的として、かつての湾岸戦争やイラク戦争での戦闘、すなわち、さきに述べたような行為に参加することは、自衛のための必要最小限度を超えるものであり、憲法上認められるとは考えておりません。  いずれにしましても、新三要件を満たす場合に行う機雷掃海は、あくまでも我が国を防衛するためのやむを得ない自衛の措置として行うものであり、相手国の意図にかかわらず、憲法上も国際法上も正当なものでございます。  次に、機雷の除去に当たって、制海権や制空権を確保するための行為についてお尋ねがありました。  一旦敷設された機雷は、掃海によって除去しない限りいつまでもそこにあり続けることから、新三要件を満たす場合には、我が国として、みずから掃海を行う必要があります。  機雷掃海は、その性質上、あくまでも受動的かつ限定的な行為です。ただし、掃海艦艇は外部からの攻撃には非常に脆弱であるために、戦闘が現に継続しているような現場では、機雷掃海を円滑に実施することは困難です。  機雷掃海を行うことができない状況においても、例えば、共同対処する他国軍の作戦などにより相手方の軍の活動が抑えられることを期して、共同対処する他国軍と調整しながら、安全を確保しつつ機雷掃海を実施できる状況をつくり出すため、後方支援などの努力を最大限に行うこととなります。  なお、戦況は一般に千差万別でかつ流動的であり、制海権、制空権を敵に常に押さえられ、安全が全く確保できない状況が長時間続くといった仮定を置くことは適切ではありません。戦況が変化して、安全を確保できる状況となった場合は、機雷掃海を行うこととなります。  いずれにせよ、自衛隊が武力行使を目的として、かつての湾岸戦争やイラク戦争での戦闘、すなわち、一般の方々が思い浮かべるような、敵を撃破し、制海権や制空権を確保するために大規模な空爆や砲撃を加えたり、敵地に攻め入るような行為に参加することは、自衛のための必要最小限度を超えるものであり、憲法上認められるとは考えていません。  次に、サマワ宿営地への迫撃砲等の着弾回数についてお尋ねがありました。  陸上自衛隊の部隊が派遣されていた平成十六年一月から平成十八年九月までの間、サマワ宿営地内にロケット砲弾によるものと思われる弾着痕等が四回発見されました。隊員に人的被害は発生せず、無事に任務を終了しました。  次に、後方支援等を行う部隊に対する攻撃についてお尋ねがありました。  重要影響事態法や国際平和支援法に基づき実施する補給、輸送などの支援活動は、その性質上、そもそも戦闘の前線のような場所で行うものではなく、危険を回避して、活動の安全を確保した上で実施するものです。法律上も、部隊等が活動を円滑かつ安全に実施することができるように実施区域を指定することとしています。  具体的には、部隊の安全等を考慮して、今現在戦闘行為が行われていないというだけではなくて、自衛隊が確実に活動を行う期間について戦闘行為がないと見込まれる場所を実施区域に指定することとなります。  活動する部隊は、みずから収集した情報や、支援対象国やともに活動する外国の軍隊等から得られた情報等を踏まえ、常に安全の確保に留意をして活動することとなりますが、万が一、状況の変化により、自衛隊が活動している場所が現に戦闘行為が行われている現場となる場合等には、活動を休止または中断することとなります。このため、戦闘に巻き込まれるということはありません。  また、我が国が補給、輸送などの支援活動を行い得る対象となる外国の軍隊の活動は、日米安保条約や国連憲章の目的の達成に寄与する正当なものであり、このような支援活動を行う自衛隊の部隊等に対する武力の行使は、国際法上正当化することはできません。  支援活動と自衛官のリスクについてお尋ねがありました。  繰り返しになりますが、重要影響事態法や国際平和支援法に基づき実施する補給、輸送などの支援活動は、その性質上、そもそも戦闘の前線のような場所で行うものではなく、危険を回避して、活動の安全を確保した上で実施するものです。  その上で、不測の事態に際して、自分や自分とともに現場に所在する自衛隊員などの生命や身体の防護のためのやむを得ない必要がある場合には、武器を使用することが可能です。これにより、派遣された自衛隊員等の安全を確保しつつ、活動を適切に実施することができると考えています。  最後に、支援活動における他国との信頼関係についてお尋ねがございました。  重要影響事態法及び国際平和支援法においては、これらの法律に基づき実施される補給、輸送などの支援活動に関し、円滑かつ安全に実施することが困難であると認める場合等には、防衛大臣は活動の中断等を命じなければならないとしております。  これは、支援活動が、その性質上、そもそも戦闘の前線のような場所で行うものではなく、危険を回避して、活動の安全を確保した上で実施するものであることも踏まえて設けられた枠組みであり、我が国のみが特異な行動をとるといったことはありません。自衛隊の活動が我が国の法令に基づき実施されることは当然であり、これは他国にあっても同様のことです。  このような観点から、関係国に我が国の法令の内容を事前に十分説明し、理解を得ておくことが重要な要素と考えており、仮に、我が国が我が国の法令に基づき活動を中断したとしても、それをもって他国との信頼関係が損なわれるということは考えておりません。  この点、ゴラン高原のPKO、UNDOFについて、民主党政権下である平成二十四年に、シリア情勢の悪化に伴って、我が国の要員の安全を確保しつつ、意義のある輸送活動を続けるということは困難との理由から、派遣部隊を撤収させることとしましたが、この際も、国連や関係国への十分な調整により、国連やその他の関係国との信頼関係を損なうことなく活動を終了いたしました。  以上です。(拍手)     ―――――――――――――
  30. 大島理森

    ○議長(大島理森君) 太田和美君。     〔太田和美君登壇〕
  31. 太田和美

    ○太田和美君 維新の党の太田和美です。  私は、維新の党を代表して、ただいま議題となりました安全保障関連二法案につきまして、安倍内閣総理大臣に質問をいたします。(拍手)  日本を取り巻く極東の軍事バランスと、世界の安全保障情勢が近年大きく変化している中で、我が国の存立と国民の生命や財産を守るため、また、国際社会の平和と安全に向けた責務を果たしていくために、安全保障体制構築の必要性については一定の理解を示すところであります。  しかしながら、その守るべき国民の皆さんの中で、今回の法改正に対する不安がピークに達しているということを総理は本当に理解されているのでしょうか。  先週末、二十三、二十四両日に毎日新聞が実施した全国世論調査では、集団的自衛権の行使など、自衛隊の海外での活動を広げる安全保障関連法案について、反対との回答が五三%で、賛成の三四%を大きく上回っております。安保法案を今国会で成立させることに関しても、反対が五四%を占め、賛成は三二%。同じ与党内の公明党支持層でも、いずれも反対が賛成を大きく上回っています。これまでの他社の世論調査でも同様です。  さきの大戦のみならず、これまで我が国がかかわってきた全ての戦争でもそうであったように、大抵、自国の防衛という名目がその戦いの端緒となるのが歴史の教訓であります。  今回の法改正では、そういった国家権力の行使や暴走に対して歯どめをかけられているのか、これによって再び我が国に戦争の惨禍が起こるのではないのか。戦後の安保政策を大転換させ、国の形を変える今回の法改正議論において、国民の不安を払拭し、歴史の審判にたえられる議論によって、現在の国民のみならず次世代への責任を果たすことができるのか。今、国権の最高機関たる国会に籍を有する全ての議員の判断が問われております。  期限を夏までと決めて先を急ぐ安倍総理は、本当に国民の皆さんの不安の声に耳を傾けていると言えるのでしょうか。  さらに、今回の安全保障法制の整備については、女性の視点からも考える必要があります。  現在の安倍内閣では、四名の女性閣僚が登用されるとともに、女性の活躍推進に取り組んでおられます。  今国会の施政方針演説において安倍総理は、戦後以来の大改革の一つとして女性活躍を挙げ、私は、女性の力を強く信じます、家庭で、地域で、社会で、職場で、それぞれの場で活躍している全ての女性が、その生き方に自信と誇りを持ち、輝くことのできる社会をつくり上げてまいりますと述べられております。  私は、このような安倍総理の女性の活躍を推進する取り組みには、賛同し、支持するものであります。  しかし、安倍総理、さきの米国議会における演説で、紛争下、常に傷ついたのは女性でした、私たちの時代にこそ、女性の人権が侵されない世の中を実現しなくてはいけませんとも述べられているではありませんか。にもかかわらず、今回の法制の整備については、特に、女性の理解も得られているとは言える状況にはありません。  先ほど指摘した毎日新聞の世論調査で、反対五三%、賛成三四%と指摘いたしましたが、女性だけだと、反対が五六%にふえ、賛成はたった二四%にしかすぎません。  また、昨今掲載された記事によると、麻生副総理の派閥所属議員の奥様に、今回の法改正の役所の担当者が説明したところ、全く理解をされなかったという話まで出ております。  世の女性たちが、夫を、家族を、子供たちを戦争に巻き込みたくないという思いや不安を抱くのは当然のことです。御自身の奥様にすら理解いただけないものを国民に理解いただくということは、並大抵のことではありません。  総理、今回の法整備は、国民、野党の声に耳を傾けながら、女性が紛争で傷つくことのないものに仕上げていくことが必要であると考えますが、こうした声に耳を傾けていくおつもりがあるのかどうか、安倍総理の見解をお伺いいたします。  我が国は、さきの戦争の反省に基づき、憲法第九条のもとで、紛争当事者にならないことだけではなく、紛争の一方に加担することのない外交・安全保障政策をとってまいりました。多額のODAを供与し、国際社会から高い評価を受けてきました。  また、長い審議の結果成立したPKO法に基づく自衛隊によるPKO活動も高い評価を受けています。さらに、米国同時多発テロ後にはテロ対策特措法を成立させ、インド洋上で補給支援活動を行い、イラク戦争後はイラク人道復興支援法を成立させるなど、これまで長い議論と国民的理解を積み重ねて外交・安全保障政策を築いてまいりましたが、今回、安倍政権は、これまでのよき伝統や議論の積み重ねを無視し、憲法改正がなければ不可能としてきた集団的自衛権の行使について、国会での議論を経ないまま、閣議決定だけで憲法解釈を変更し、既成事実をつくってしまいました。  その後、その新しい憲法解釈に基づくガイドラインを米国側と先行合意し、次いで、その根拠となる法案を今国会に後づけで認めさせようとしております。  これでは、国民的合意のない恣意的な憲法解釈を許し、憲法の信頼性も傷つけてしまいます。総理は、立憲主義をどのようにお考えでしょうか。お答えください。  我が国は、日米安保条約に基づき、米軍に基地を提供しています。さらに、在日米軍駐留経費の一部を昭和五十三年度から日米地位協定の範囲内で負担し始め、昭和六十二年度からは、日米地位協定の特則である特別協定を締結して、駐留軍等労働者の基本給や訓練移転費、光熱水料等の負担を負っています。我が国は、既に日米安保条約による義務以上の負担を担っているのです。  それにもかかわらず、近年、中国の海洋進出が著しく、尖閣諸島周辺でも中国公船が領海侵犯を繰り返している中で、こうした中国の脅威に対抗するために、政府は、今回、米側の期待に最大限応えることで同盟の深化を進めようとしています。  過去二回のガイドラインの改定が米側から提案されたのに対し、今回の改正や安保法制見直しが日本側から提案されたことは、こうした日本政府の立場を反映したものと言えますが、我が国が担うべき負担のあり方を含め、日米関係の現状に対する評価と日米両国による国際貢献の今後の姿について、総理の考えをお伺いいたします。  自民党は、衆議院の特別委員会で審議時間を八十時間と考えているようです。また、安倍総理は、訪米の際に行った演説で、この夏までに成就させますと述べられました。  しかし、先ほど触れました衆議院の特別委員会でのPKO法案の審査では、審査時間こそ八十七時間四十一分でしたが、三国会にまたがって審査が行われました。  今回の安全保障法制の整備は、間違いなく、戦後の我が国の安全保障政策のみならず、日本という国家のあり方を大きく変える分岐点になります。  このような法案審査に当たっては、ゆめゆめ、審査時間ありき、成立時期ありきではなく、議論を尽くした結果として、国民、特に女性の理解が得られるようになったときに初めて採決が行われるべきだと考えます。  安倍総理には、決して与党に審査の強行を促すことはしないというお約束をしていただきたいと思いますが、いかがでしょうか。お答えください。  法律案については、さまざまな論点があります。これまでできないとされていた、集団的自衛権に基づく武力行使ができる状況、すなわち存立危機事態とは一体どのようなものなのか、自衛隊は地球の裏側でも武力を行使することになるのか、今回の改正により拡大される自衛隊の武器使用によって、平和に貢献するつもりが紛争を助長することにならないのか、また、我が国が紛争に巻き込まれることはないのかなど、疑問は尽きません。  そこで、多くの論点の中で、まずは、我が国による武力行使の歯どめについてお伺いをいたします。  自衛隊を海外に派遣するに際しては、海外派兵を行ってはならないという憲法上の大原則があり、安倍総理もこの原則を尊重する旨答弁をしております。そのため、湾岸戦争のような事態では、戦闘に参加することはないとしています。  また、さきの党首討論でも、外国の領土に上陸をしていって戦闘行為を行うことを目的に武力行使を行うということはありませんし、あるいは、大規模な空爆をともに行う等々のことはないとも述べられました。  しかし、憲法上許されているのは、武力行使の目的を持たないで部隊を他国へ派遣することだけであるにもかかわらず、ホルムズ海峡が機雷封鎖されたような場合、新三要件に該当すれば、武力の行使に該当する機雷除去が可能であるとしています。  ホルムズ海峡に公海部分はありません。新三要件に関する政府解釈は、海外派兵を禁止する憲法の大原則と明らかに矛盾しています。したがって、法律案に、存立危機事態においては他国領域での戦闘行為ができないと書かれていないならば、安倍総理の答弁は空証文となってしまいます。  法律案に他国領域での戦闘行為ができないと明記しない理由について、総理にお伺いしたいと思います。  また、中谷防衛大臣は二十二日の記者会見で、法案をめぐって、自衛隊員のリスクが増大することはないという認識を示されました。  集団的自衛権を容認する憲法解釈の変更に伴う活動の拡大や、これまで戦闘地域から隔絶された非戦闘地域や後方地域に限定してきた自衛隊による外国軍隊の後方支援について、現に戦闘行為が行われている現場でなければ可能となるなど、今回の法改正では、自衛官の活動地域が戦闘地域に近づくことなどから、危険にさらされるリスクが高まり、戦闘行為に巻き込まれるおそれも格段に高まることは明白な事実です。それにもかかわらず、リスクが増大することがないという発言はどういうことなんでしょうか。  活動拡大の必要性とそれに伴うリスク、双方を説明した上で、必要性が高いからリスクがあってもやらなければいけないと説明を尽くすのが政府の責任ではないでしょうか。法整備による抑止力強化によるリスクの変化の観点ではなく、自衛官の活動範囲の拡大という点からの自衛官のリスクの増大についてどのように考えますか。中谷大臣本人の釈明と、それについての総理の見解をお伺いいたします。  いずれにせよ、今回の安保法制の改正において、審議すべき論点は山積しており、この法案が戦後日本の安全保障政策の大転換とされている以上、国民的理解を得るため、国会の場で十二分な審議をとって徹底審議をしなければならないのは当然のことです。  安倍総理のように、さきに米国での議会演説で夏までの成立を約束したり決意を述べたりすることは、国会の軽視、国民への説明の軽視にほかならず、断じて許容することはできませんし、猛省を促すものであります。  維新の党は、国民に積極的に賛成していただける法整備を行うため、論点を整理し、対案を準備しております。  我が党は、現時点では政府案に対する賛否を決定していません。なぜなら、政府・与党が納得のいく説明をできるのか、また、国民の不安を払拭するために我々の提案を受け入れて、今回の法整備を国民の賛成できるものに仕上げることができるのかによって、賛否を決定するべきものであるからです。  最後に、安倍総理が、我が党を初めとする野党の提案について謙虚に検討し、国家国民のためによいものは受け入れつつ、将来の世代に恥じることのない安全保障法制を整備する意思をお持ちなのかどうかをお伺いするとともに、我が党が、平和国家日本、専守防衛の国是を守り、国民の不安や疑念を払拭するために全身全霊をささげていく決意であることを申し上げて、私の党を代表しての質問を終わらせていただきます。  ありがとうございました。(拍手)     〔内閣総理大臣安倍晋三君登壇〕
  32. 安倍晋三

    ○内閣総理大臣(安倍晋三君) 太田和美議員にお答えをいたします。  法整備に当たり、女性が紛争で傷つくことがないようにする必要性についてお尋ねがありました。  国民の命と平和な暮らしを守ることは、政府の最も重要な責務であります。  我が国を取り巻く安全保障環境が一層厳しさを増す中、国民の命と平和な暮らしを守り抜き、女性や子供、お年寄りを含め、全ての国民が紛争で傷つくことがないようにするためには、あらゆる事態を想定し、切れ目のない備えを行う平和安全法制の整備が不可欠であります。  これにより、紛争を未然に防ぐ力、すなわち抑止力はさらに高まり、日本が攻撃を受ける可能性は一層なくなっていくと考えます。  政府としては、女性の方々を初め多くの国民の皆様に、法案の趣旨を御理解いただき、幅広い御支持が得られるよう、国会審議においても、わかりやすく丁寧な説明を心がけてまいります。  今回の法整備と立憲主義についてお尋ねがありました。  昨年七月の閣議決定における憲法解釈は、我が国を取り巻く安全保障環境が客観的に大きく変化しているという現実を踏まえ、従来の憲法解釈との論理的整合性と法的安定性に十分留意し、従来の、昭和四十七年の政府見解における憲法第九条の解釈の基本的な論理の枠内で、国民の命と平和な暮らしを守り抜くための合理的な当てはめの帰結を導いたものであります。  また、そもそも、昭和四十七年の政府見解のうち、自国の平和と安全を維持しその存立を全うするために必要な自衛の措置をとることを禁じているとは到底解されないとする部分は、昭和三十四年の砂川事件の、我が国が、自国の平和と安全を維持しその存立を全うするために必要な自衛のための措置をとり得ることは、国家固有の権能の行使として当然のことと言わなければならないとの最高裁判決で示された考え方と軌を一にするものであります。  新ガイドラインは、憲法に従って、法令の範囲内で実施すると明記しています。  平和安全法制は、これから国会で御審議いただくものであり、国会で後づけで認めさせるとの御指摘は全く当たりません。  このように、今般の平和安全法制は、これまでの憲法解釈の基本的な論理を維持したものであり、恣意的な憲法解釈や憲法の信頼性も傷つけてしまうとの指摘は全く当たらず、立憲主義に反するものではありません。  日米関係の現状と日米両国の国際貢献の今後についてお尋ねがありました。  オバマ政権は、これまでさまざまな機会に、アジア太平洋重視政策を継続する旨、繰り返し強調してきており、同地域への関与を強化してきています。  米国がアジア太平洋地域重視政策を継続していることは、地域の安定と繁栄に大きく貢献するものであり、我が国として大いに歓迎しています。  平和安全法制は、国民の命と平和な暮らしを守り、日本と世界の平和と安全をより確かなものとするためのものです。この法制により、日米同盟の抑止力、対抗力は一層強化されることとなります。  その中で、先般、私は訪米し、オバマ大統領と新ガイドラインを確認するとともに、日米同盟がアジア太平洋や世界の平和と繁栄の確保に引き続き主導的な役割を果たしていくことで一致しました。  なお、御指摘のあった在日米軍駐留経費負担については、日米安保体制の円滑かつ効果的な運用を確保し、日米同盟関係を維持強化していく上で極めて重要な役割を果たすものです。  先般の2プラス2においても、これが前方展開した在日米軍のプレゼンスに対する日本の継続的な支援を示してきたことを確認しました。  米国議会演説で述べたとおり、自由、民主主義、基本的人権、法の支配といった基本的価値のきずなで結ばれた揺るぎない日米同盟が、二十一世紀においては希望の同盟として、国際社会が直面する課題に対処し、世界をよりよい場所にしてまいります。  平和安全法制の国会審議についてお尋ねがありました。  法案の国会審議のあり方については、国会が御判断される事柄であり、政府として申し上げることは差し控えたいと思います。  いずれにせよ、政府としては、女性を含む多くの国民の皆様、そして与党のみならず野党の皆様に、法案の趣旨を御理解いただき、幅広い御支持が得られるよう、今後の法案審議においても、わかりやすく丁寧な説明を心がけてまいります。  海外派兵についてお尋ねがありました。  武力行使の目的を持って武装した部隊を他国の領土、領海、領空へ派遣するいわゆる海外派兵は、一般に、自衛のための必要最小限度を超えるものであって、憲法上許されないと解しています。  このような従来からの考え方は、新三要件のもと、集団的自衛権を行使する場合であっても全く変わらず、新三要件から論理必然的に導かれたものであります。  今般の法整備において、新三要件は全て法律上明確に規定されているところであり、その論理的帰結である海外派兵の一般的禁止の考え方について、重ねて規定する必要はないと考えています。  なお、機雷掃海については、その実態は、水中の危険物から民間船舶を防護し、その安全な航行を確保することを目的とするものです。その性質上も、あくまでも受動的かつ限定的な行為であり、新三要件を満たすことはあり得ると考えております。  自衛隊員のリスクについてお尋ねがありました。  なぜ平和安全法制を整備するのか、それは、我が国を取り巻く安全保障環境が一層厳しくなり、我が国にとって、そして国民にとって、リスクが高まっているからであります。  国民の命と平和な暮らしを守るため、切れ目のない法制をつくり、そして日米同盟を強化する、それにより抑止力が高まれば、日本が攻撃を受けるリスクは一層下がると考えています。  そして、自衛隊員の任務は、国民の命と平和な暮らしを守り抜くことであります。今後とも、この任務には一切変わりはありません。  我が国有事は言うに及ばず、PKOや災害派遣など、これまでの任務も命がけであり、自衛隊員は限界に近いリスクを負っています。  法制の整備によって付与される新たな任務も、従来どおり命がけのものであります。そのため、法制の中で、隊員のリスクを極小化するための措置をしっかりと規定しています。  具体的に申し上げれば、部隊の安全が確保できないような場所で後方支援を行うことはなく、また、万が一、自衛隊が活動している場所やその近傍で戦闘行為が発生した場合などには、直ちに活動を一時休止または中断するなどして安全を確保することとしています。  もちろん、それでもリスクは残ります。しかし、それはあくまでも、国民の命と平和な暮らしを守り抜くために自衛隊員に負ってもらうものであります。  他方、リスクの存在を認識しているからこそ、自衛隊員は、高度の専門知識を養い、日々厳しい訓練を行っています。みずから志願し、危険を顧みず職務を完遂することを宣誓したプロとして、危険な任務遂行のリスクを可能な限り軽減しています。これは今後も変わりはありません。  法整備により得られる、国全体の、そして国民のリスクが下がる効果は非常に大きいと考えています。このような判断を踏まえて、平和安全法制の整備を行うべきと考えております。  法整備に関する他党の提案についてお尋ねがありました。  平和安全法制については、有識者懇談会での議論や政府内での時間をかけた検討、そして、自民党と公明党の与党協議会における二十五回に及ぶ徹底的な議論も経たものであり、我々としては、ベストな案をお示しできたと考えています。  多くの国民の皆様、そして、与党のみならず野党の皆様に、法案の趣旨を御理解いただき、幅広い御支持が得られるよう、丁寧に説明に努めてまいります。  今までのような、何でも反対の野党をつくるつもりはありません。先般の松野代表の発言を歓迎いたします。維新の党の皆さんとは、どうか、後世に責任が持てるような、建設的な議論を行わせていただきたいと考えております。  残余の質問につきましては、関係大臣から答弁させます。(拍手)     〔国務大臣中谷元君登壇〕
  33. 中谷元

    ○国務大臣(中谷元君) 太田議員にお答えいたします。  法整備に伴う自衛隊員のリスクについてのお尋ねがありました。  これまでも、自衛隊員は、リスクを負って厳しい任務に当たってきました。  従来から、自衛隊の活動の実施に当たっては、事前調査チームまた連絡官の派遣、関係国や関係機関との情報交換などを通じて、活動地域の情勢等についての情報収集に努めてまいっております。  活動の特性などに応じて、隊員の安全確保に十分な自己防護用の装備を携行しております。  また、派遣先国の社会的、文化的慣習等を尊重し、地域住民等との良好な関係構築、維持に努めてまいっております。  このように、隊員のリスクを極小化するための措置をしっかり実施しております。  また、今回の平和安全法制においては、例えば国際平和支援法においては、防衛大臣は、部隊等の安全の確保に配慮しなければならないこと、円滑かつ安全に活動を実施する区域をあらかじめ指定すること、活動の実施場所またはその近傍で戦闘行為が行われる場合や、それが予測される場合、さらに部隊等の安全を確保するため必要と認める場合にも、部隊長等の判断で活動を一時休止などして危険を回避すること、活動が円滑かつ安全に実施することが困難である場合には、防衛大臣は活動の中断を命じなければならないことなどを規定するなど、各活動の行動の性格を踏まえつつ、安全確保に係る規定を設けております。  これまでも、自衛隊は、任務拡大をしてまいりました。その都度都度ごとに、自衛官は、服務の宣誓をしたプロフェッショナルとして、厳しい訓練を重ねリスクを極小化してきたのです。今回の法改正に当たっても、法律に規定された措置によるリスク軽減策に加えて、このような努力を継続することは当然です。  それでも、リスクをゼロにすることはできませんが、我が国と国際社会の平和と安全、国民の幸せな生活を守り抜くため、自衛隊は、与えられた任務を着実に果たしてまいります。(拍手)     〔議長退席、副議長着席〕     ―――――――――――――
  34. 川端達夫

    ○副議長(川端達夫君) 佐藤茂樹君。     〔佐藤茂樹君登壇〕
  35. 佐藤茂樹

    ○佐藤茂樹君 公明党の佐藤茂樹でございます。  私は、公明党を代表して、ただいま議題となりました平和安全法制整備法案並びに国際平和支援法案の二法案について、安倍総理に質問をいたします。(拍手)  政治の最も重要な責務は、我が国と国民を守ることにあります。  公明党と自由民主党は、国民の命と平和な暮らしを守る安全保障法制の整備について、昨年の五月から約一年にわたり、精力的に検討を行ってまいりました。  法整備の検討に当たり、公明党は、従来の政府解釈との論理的整合性や憲法九条の持つ法的規範性が維持されたものでなければならないと強く主張してきました。中でも、憲法九条のもとで許容される自衛の措置はどこまで認められるのかを突き詰めて議論した結果、昨年七月一日の閣議決定において、厳格な歯どめとなる新三要件が明記されました。  その後、この閣議決定を踏まえた国会での議論が積み重ねられるとともに、本年三月、与党間で法制整備の具体的方向性をまとめ、その中で、自衛隊の海外での活動を認める際の歯どめとして、国際法上の正当性、国民の理解と民主的統制、隊員の安全確保という三原則が公明党の提案で盛り込まれました。  このように、今般の平和安全法制はこれまでの国会審議や与党間における十分な論議を経て法案提出に至ったものであり、拙速であるとの批判は当たらないものと考えます。  他方、広範にわたる法整備の全体像を国民に理解していただくためには、わかりやすく丁寧な説明が必要です。本日から始まる本格的な法案審議を通じ、国民の不安や懸念を一つ一つ払拭していくことが大切であり、こうした観点に立って、以下、具体的に質問をさせていただきます。  初めに、新たな安全保障法制を整備する必要性について伺います。  内政や外交など、さまざまな課題がある中で、なぜ今安全保障法制の整備が重要なのか。特に、我が国を取り巻く安全保障環境がどのように変化し、法制上の措置が必要になったのか、具体的にお答えください。  次に、安倍内閣の外交努力について伺います。  我が国の平和と安全を守るためにまず大切なのは、紛争を未然に防止する外交努力です。外交を通じて平和を守る、この外交努力の上に、あらゆる事態を想定したすき間のない安全保障体制の構築も車の両輪として生かされていくものと考えます。  そこで、具体的に伺います。  昨年七月の閣議決定にもあるとおり、外交努力によって脅威の出現を未然に防ぎ、紛争の平和的な解決を図ることが、安全保障上、これまでにも増して重要になると考えますが、改めて安倍内閣の方針について確認させていただくとともに、安倍政権発足以来今日まで、どのような外交、対話努力を重ね、各国との平和友好関係を築いてこられたのか、お聞かせください。  次に、専守防衛について伺います。  憲法九条のもと、我が国は、専守防衛に徹し、他国に脅威を与える軍事大国とはならないという基本方針を堅持し、一貫して平和国家としての道を歩んできました。  この専守防衛こそ、平和国家にふさわしい、我が国防衛の基本的な方針であり、これを変えることがあっては断じてならないと考えます。  新三要件に該当する場合に新たに認められる自衛の措置を含む今般の法整備によって、憲法の精神にのっとった受動的な防衛戦略である専守防衛の定義と基本方針が変わることになるのか、明確に答弁していただきたい。  次に、新三要件に該当する場合に認められる自衛の措置について伺います。  昨年七月の閣議決定では、憲法九条のもとで許容される自衛の措置は、新三要件に該当する場合にのみ認められることとなっています。  公明党は、この新三要件を法律上も明確に規定するよう主張し、今般の武力攻撃事態対処法改正案において、存立危機事態が新たに定義され、新三要件の全てが明記されることになりました。  他方、政府の判断により、集団的自衛権の行使が全面的に可能となるかのような誤ったメッセージが発信されていますが、新三要件に該当する場合に新たに可能となる武力の行使は、あくまで我が国を防衛するためのやむを得ない自衛の措置であり、この点において、従来の政府解釈との整合性は保たれているものと考えます。  そこで、改めて伺いますが、新三要件に該当した場合に可能となる武力の行使は、国連憲章第五十一条で認められているような、他国防衛そのものを目的とする全面的な集団的自衛権の行使が含まれるのか。また、新三要件に該当するか否かの判断に当たり、法解釈上、時の政府が恣意的に運用できるような解釈の余地が残されているのか。新三要件をめぐるこれまでの国会答弁などを踏まえ、正確にお答えください。  次に、自衛隊が実施する後方支援について伺います。  今般の法整備によって可能となる後方支援は、米軍を初めとする外国軍隊に対し、その武力行使と一体化しない範囲で輸送や補給などの支援を行うものであり、一つは、我が国の平和と安全のために行う支援、もう一つは、国際社会の平和と安全のために行う支援の、大きく二つに分かれます。前者は、周辺事態安全確保法を改正し重要影響事態安全確保法として、後者は、新たな国際平和支援法として、法律上措置することとなりました。  ここでお尋ねいたしますが、二つの後方支援を法律上立て分けた理由について、法律の趣旨、目的等を踏まえて御説明ください。  関連して、後方支援と武力行使との一体化について伺います。  米軍を初めとする外国軍隊への支援を行うことについて、後方支援の名のもとに海外で武力行使ができるようになるのではないかとか、活動の拡大に伴い武力行使と一体化する危険性が高まるのではないかといった批判が繰り返されています。  言うまでもなく、憲法九条のもとでは、海外での武力の行使は許されません。  そこで、改めて確認いたしますが、二つの法律に基づき実施される後方支援は、憲法が禁ずる武力の行使に当たるのか、また、武力の行使に発展する可能性はあるのか、明確にお答えいただくとともに、他国の武力行使との一体化を防ぐために法律上どのような歯どめが規定されているのか、あわせて御答弁していただきたい。  次に、重要影響事態安全確保法について伺います。  本法案では、これまでの目的規定から我が国周辺地域におけるという文言を削除し、そのまま放置すれば我が国に対する直接の武力攻撃に至るおそれのある事態等我が国の平和と安全に重要な影響を与える事態という文言を維持し、その名称を新たに重要影響事態に改めました。また、重要影響事態における後方支援の対象として、これまでの米軍に加え、その他の国際連合憲章の目的の達成に寄与する活動を行う外国の軍隊も追加されています。  これについて、実質的な地理的制約をなくし、支援対象を拡大することで、自衛隊の活動がグローバルに拡大するのではないかとの懸念が指摘されていますが、なぜこうした目的規定の見直しが必要になったのか、その理由について伺います。  また、これにより、従来の、日米安全保障条約の効果的な運用に寄与し、我が国の平和及び安全の確保に資するというこれまでの法律の趣旨が大きく変わることになるのか、あわせて伺います。  次に、新たな国際平和支援法について伺います。  これまで国際社会の平和と安全のために実施する後方支援については、テロ対策特措法のように、必要に応じてその都度特措法を制定、延長するなど、時限的な対応を行ってきました。  今般の法整備では、特措法ではなく一般法とすることで、政府の判断でいつでも自衛隊の派遣が可能となり、歯どめがきかなくなるのではないかといった懸念があります。  そこで、同法については、公明党の主張により、自衛隊を海外に派遣する際の三原則に基づいて、例外なき国会の事前承認を初めとする、より厳しい要件や手続が課せられることとなりました。  そこでお尋ねいたしますが、なぜ特措法ではなく一般法が必要なのか、その理由を明らかにしていただくとともに、自衛隊の派遣を決定する上で、国際法上の正当性や国会の関与、隊員の安全確保について、法律上どのような歯どめが設けられているのか、わかりやすくお答えください。  次に、PKO協力法の改正について伺います。  日本の自衛隊は、カンボジアでのPKO参加以来二十年以上にわたり、多くのPKOに参加し、国際社会から高い評価を得てきました。今般の法改正は、こうしたPKO二十年の経験と実績を踏まえて行うものですが、他方、業務の拡大や武器使用権限の見直しについて、隊員の安全面からリスクが格段に高まるのではないかという懸念があります。  そこで、具体的に二点伺います。  一点目は、国連平和維持活動について、新たな業務として安全確保業務が追加され、これに伴い任務遂行型の武器使用が認められることとなりますが、ここで言う安全確保業務には、現地の警察が行うような治安維持活動一般も含まれるのかどうか、その内容について確認させていただくとともに、武器使用権限については、正当防衛、緊急避難以外は認めないという従来の危害許容要件を変えることになるのか、お答えください。  二点目は、従来の国連平和維持活動とは別に、新たな活動として国連が統括しない人道復興支援などを行う国際連携平和安全活動について、我が国としてなぜこうした活動に参加する必要があるのかお伺いするとともに、新たな活動においても、紛争当事者間の停戦合意や受け入れ同意など従来の参加五原則は維持されるのか、隊員の安全確保はどのように規定されているのか、御答弁していただきたい。  以上、平和安全法制二法案に関する主要論点について伺いました。  今般の法整備は、我が国の平和と安全を維持し、国民の命と平和な暮らしを守るための重要法案であり、国民の理解を深めるために、それに資する与野党の充実した審議が不可欠です。  信なくば立たずという格言があります。政治の要諦として何より大切なのは、国民からの信頼を得ることです。特に安全保障は、国民の理解の上に立って初めて成り立つものであり、国民の十分な理解を得ながら進めることが重要だと考えます。  公明党としても、今後さらに、特別委員会等における国会審議を通じて議論を深め、国民の皆様に安心し、信頼していただけるような法整備の実現を目指し、引き続き与党としての責任を果たしてまいりたい。そのことを最後に申し上げ、私の質問を終わります。(拍手)     〔内閣総理大臣安倍晋三君登壇〕
  36. 安倍晋三

    ○内閣総理大臣(安倍晋三君) 佐藤茂樹議員にお答えをいたします。  我が国を取り巻く安全保障環境の変化と平和安全法制の必要性についてお尋ねがありました。  我が国を取り巻く安全保障環境は、ますます厳しさを増しています。  具体的には、御指摘のように、アジア太平洋地域及びグローバルなパワーバランスの変化、日本の大半を射程に入れる数百発もの北朝鮮の弾道ミサイルの配備及び核兵器の開発、中国の台頭及びその東シナ海、南シナ海における活動、我が国に近づいてくる国籍不明の航空機に対する自衛隊機の緊急発進、いわゆるスクランブルの回数が十年前と比べ七倍にふえていること、この二年間でアルジェリア、シリア、チュニジアにおいて邦人が犠牲となった国際テロの脅威といった問題が挙げられています。  さらに、近年では、海洋、宇宙空間、サイバー空間に対する自由なアクセス及びその活用を妨げるリスクが拡散し、深刻化しています。  脅威は容易に国境を越えてやってきます。もはや、どの国も一国のみで平和を守ることはできない時代になっています。  このように、我が国を取り巻く安全保障環境が根本的に変容する中で、国民の命と平和な暮らしを守り抜くためには、あらゆる事態を想定し、切れ目のない備えを行う平和安全法制の整備が必要不可欠であります。  安倍政権における外交、対話努力についてお尋ねがありました。  我が国の平和と安全を確保するために、私は、近隣諸国との対話を通じた外交努力を重視しています。実際、私は、総理就任以来、地球儀を俯瞰する視点で積極的な外交を展開してまいりました。  そして、法の支配を重視する立場から、主張するときは国際法にのっとって主張すべき、武力の威嚇や力による現状変更は行ってはならない、問題を解決する際は平和的に国際法にのっとって解決するとの三原則を私は国際社会で繰り返し主張し、多くの国から賛同を得てきました。  外交を通じて平和を守る。今後も、積極的な平和外交を展開してまいります。  平和安全法制の整備と専守防衛の関係についてお尋ねがありました。  我が国は、戦後一貫して、日本国憲法のもと、専守防衛に徹し、平和国家として歩んできました。  今般の平和安全法制の整備に当たっては、昭和四十七年に示された政府見解の基本的な論理は一切変更していません。この基本的な論理は、砂川事件の最高裁判決の考え方と軌を一にするものです。  したがって、今般の法整備によって、憲法の精神にのっとった受動的な防衛戦略である専守防衛について、その定義、そして我が国防衛の基本方針であることに、いささかの変更もありません。  平和国家としての日本の歩みは、これからも決して変わることはありません。その歩みをさらに力強いものにする、そのための決断こそが、平和安全法制の整備であります。  新三要件に該当するか否かの判断と、該当する場合に認められる武力の行使についてのお尋ねがありました。  新三要件のもと、我が国が用い得る武力の行使については、あくまで我が国の存立を全うし、国民の平和な暮らしを守るため、すなわち、我が国を防衛するためのやむを得ない自衛の措置として認められるものであって、国連憲章第五十一条で認められている集団的自衛権の行使一般を認めるものではなく、また、他国の防衛それ自体を目的とする集団的自衛権の行使を認めるものでもありません。  我が国が武力の行使を行い得るのは新三要件を満たす場合に限られますが、これは憲法上の明確かつ厳格な歯どめになっています。  まず、第一要件のとおり、我が国と密接な関係にある他国に対する武力攻撃が発生したことに加え、これにより、我が国の存立が脅かされ、国民の生命、自由及び幸福追求の権利が根底から覆される明白な危険がある場合でなければ、武力の行使は憲法上許されません。  次に、第二要件のとおり、これを排除し、我が国の存立を全うし、国民を守るために他に適当な手段がないことが必要であり、自衛の措置としての武力の行使は、あくまでも我が国を防衛するための最後の手段です。  また、第三要件のとおり、武力の行使を行うとしても、それは自衛の措置としてのものであり、必要最小限度のものでなければなりません。  この新三要件は、今般の法整備において明確に書き込まれています。  以上のとおり、新三要件は、憲法上の明確な歯どめであり、国際的に見ても、他に例のない極めて厳しい基準であって、その時々の内閣が恣意的に解釈できるようなものではありません。  さらに、実際の武力の行使を行うために自衛隊に防衛出動を命ずるに際しては、これまで同様、原則として事前の国会承認を求めることが法律上明記されており、政府が判断するのみならず、国会の御判断もいただき、民主主義国家として、慎重の上にも慎重を期して判断されることになります。  我が国が実施する支援活動についてお尋ねがありました。  重要影響事態安全確保法は、我が国の平和及び安全に重要な影響を与える事態において、我が国の平和と安全の確保を目的として後方支援活動を行うことを定めるものです。  これに対し、国際平和支援法は、国際社会の平和及び安全を脅かす事態に国際社会が共同して対処しているときに、我が国として、国際社会の平和と安全の確保を目的として協力支援活動等を行うことを定めるものです。  二つの法律は、対応措置の内容について大きな差異はありませんが、このように、対象となる事態、法律の目的が異なるものであり、対応措置を実施するための要件や手続も異なることから、その趣旨を明らかにするため、二つの法律に分けることが適切であると判断したものです。  一方、この二つの法律によって我が国が実施する補給、輸送などの支援活動それ自体は、武力の行使に当たるものではありません。  また、他国の武力の行使と一体化することにより、我が国自身が憲法上認められない武力の行使を行ったとの法的評価を受けることがないよう、支援対象となる他国軍隊により現に戦闘行為が行われている現場では、支援活動は実施しません。  また、仮に、状況変化により、現に戦闘行為が行われている現場などとなる場合には、直ちに活動の一時休止、中断等を行うことを明確に規定しています。武器を使って反撃しながら支援活動を継続することはありません。  さらに、自衛官が武器を使用できるのは、自分や自分とともに現場に所在する自衛隊員などの生命や身体の防護のためのやむを得ない必要がある場合のみであります。  これらのことから、この二つの法律により実施される支援活動が武力の行使に発展する可能性はありません。  重要影響事態安全確保法案の目的規定についてお尋ねがありました。  政府は、従来より、周辺事態について、事態の性質に着目した概念であって、地理的概念ではないと説明してきました。この点については、重要影響事態においても何ら変更はありません。  一方、グローバルなパワーバランスの変化、技術革新の急速な進展、大量破壊兵器や弾道ミサイルの開発及び拡散、国際テロなどの脅威という安全保障環境の変化を踏まえると、我が国の平和及び安全に重要な影響を与える事態が発生する地域をあらかじめ特定することは困難であるため、対象とする事態を重要影響事態に改め、我が国周辺の地域におけるといった文言を用いないこととしました。  また、我が国の平和及び安全に重要な影響を与える事態に対処する上で、日米安保条約の目的達成に寄与する活動を行っている米軍だけでなく、国連憲章の目的の達成に寄与する活動を行っている外国軍隊等との連携をも強化することが、我が国の平和及び安全を確保するためには不可欠であると考えています。  こうした考え方から、今般の改正において目的規定を見直すこととしたものですが、重要影響事態に対処する外国との連携においても、日米安保条約の効果的な運用に寄与することが引き続き中核であるとの認識であり、また、我が国の平和及び安全の確保に資するという法律の目的は変わりません。  国際平和支援法についてお尋ねがありました。  将来、具体的な必要性が発生してから改めて立法措置を行うよりも、自衛隊の活動根拠をあらかじめ定めておく方が、平素より各国とも連携した情報収集、教育訓練が可能となり、その成果を基本的な体制整備に反映することができること、また、既に派遣のための法的根拠が存在しているため、活動内容、派遣規模といったニーズを確定するための現地調査や各国との調整を迅速に実施できること、これにより、我が国として国際社会の平和及び安全に主体的かつ積極的に寄与していくとの意思を目に見える形で表明するとともに、実際の支援活動もより迅速に行うことが可能となり、特措法で対応するときよりも効果的になることにより、特措法ではなく一般法が必要と判断しました。  国際的な正当性の担保については、我が国が対応措置を実施するのは、我が国が支援する諸外国の軍隊等の活動を行うことを決定する国連決議や、問題となる事態に関連して国連加盟国の取り組みを求める国連決議がある場合のみとしています。  国会の関与については、この法律が国際の平和及び安全に寄与する目的で自衛隊を海外に派遣するための一般法であることに鑑み、国民の理解を十分に得つつ、民主的統制を確保する観点から、例外なく国会の事前承認を必要としています。  部隊の安全確保については、防衛大臣は部隊等の安全の確保に配慮しなければならないこと、部隊が円滑かつ安全に活動を実施する区域をあらかじめ指定すること、活動の実施場所またはその近傍で戦闘行為が行われる場合や、それが予測される場合、さらに部隊等の安全を確保するため必要と認める場合にも、部隊長等の判断で活動を一時休止するなどして危険を回避すること、活動が円滑かつ安全に実施することが困難である場合には防衛大臣は活動の中断を命じなければならないことといった必要な措置を法文上明記しています。  PKOにおける、いわゆる安全確保業務についてお尋ねがありました。  この業務は、防護を必要とする住民、被災民その他の者の生命、身体及び財産に対する危害の防止及び抑止その他特定の区域の保安のための監視、駐留、巡回、検問及び警備を行うものであります。  これは、派遣先国の同意等が安定的に維持されることを前提に、あくまでも、派遣先国の警察権の補完や代行という意味での事実行為として行うものです。犯罪の捜査や犯人の逮捕といった、派遣先国の警察権そのものを執行するような内容の業務は含まれません。  また、この業務に伴う武器使用権限においては、危害許容要件、すなわち相手を傷つけることが許されるのは、御指摘のとおり、正当防衛または緊急避難に限られ、これまでとは変更はありません。  PKO法における国際連携平和安全活動についてお尋ねがありました。  近年の国際的な平和協力活動においては、紛争終了後、その当事国の国づくりの取り組みへの支援と、そのための安全な環境の創出が重要な役割となってきています。こうした取り組みは、国連PKO以外の枠組みによっても実施されるようになってきています。  国際連携平和安全活動とは、このような国連の統括しない枠組みのもとで、国際の平和及び安全を維持するために行われる活動であり、停戦合意や受け入れ同意を含む国連PKOについて必要とされている参加五原則と同様の厳格な原則に該当する場合に参加できることとしています。  また、参加に当たっては、隊員の安全の確保に配慮しなければならないとしているほか、実施要領において隊員の安全を確保するための措置を定めることを規定しており、これら各種の措置によって隊員の安全確保に万全を期していきます。(拍手)     ―――――――――――――
  37. 川端達夫

    ○副議長(川端達夫君) 志位和夫君。     〔志位和夫君登壇〕
  38. 志位和夫

    ○志位和夫君 私は、日本共産党を代表して、安倍政権が平和安全法制の名で提出した一連の法案について質問します。(拍手)  安倍政権は、この法案を平和安全と銘打っていますが、我が党は、日本を海外で戦争する国につくりかえる戦争法案というのが正体だと考えています。  多くの問題点がありますが、憲法九条を破壊する三つの大問題について質問いたします。  第一は、海外派兵の恒久法の新設、周辺事態法改定によって、米国が、世界のどこであれ、アフガニスタン戦争、イラク戦争のような戦争に乗り出した際に、自衛隊がこれまで戦闘地域とされてきた場所にまで行って、弾薬の補給、武器の輸送などの軍事支援、いわゆる後方支援を行うようになるということです。  これまでのテロ特措法、イラク特措法などでは、自衛隊が活動できる場所は非戦闘地域に限定されていました。ところが、政府提出法案では、非戦闘地域という歯どめは外し、戦闘現場、その瞬間に戦闘行為が行われている場所でなければ、自衛隊の活動期間中に戦闘行為が行われる可能性がある場所、これまで戦闘地域とされてきた場所であっても、自衛隊の軍事支援ができるとしています。  総理に五点質問いたします。  一つ。戦闘行為が行われる可能性がある場所まで自衛隊が行くということは、自衛隊自身が相手方から攻撃される可能性があることになる。それをお認めになりますね。  二つ。自衛隊自身が攻撃されたらどうするのか。必要な場合には武器を使用することになる。それをお認めになりますね。  三つ。自衛隊が武器の使用をすれば、相手方はさらに攻撃する。そうなれば、自衛隊は応戦し、戦闘になるではありませんか。総理は、昨年五月の予算委員会の私の質問に対して、イラク戦争やアフガニスタン戦争のような場合に武力行使を目的にして戦闘に参加することは決してないと繰り返しました。しかし、たとえ武力行使を目的にしていなくとも、補給や輸送などの後方支援が目的であったとしても、これまで戦闘地域とされてきた場所にまで行って活動すれば、結果として自衛隊が戦闘を行うことになるではありませんか。これは、憲法九条が禁止した武力の行使そのものではありませんか。答弁願いたい。  四つ。自衛隊のイラク派兵は、非戦闘地域への派兵を建前にしていました。それでも、サマワの陸上自衛隊の宿営地には、ロケット弾などによる攻撃が少なくとも十四回、二十三発に及び、うち四回、四発のロケット弾は宿営地の敷地内に落下しました。航空自衛隊はバグダッドなどへの空輸活動を行いましたが、バクダッド上空に来ると、携帯ミサイルに狙われていることを示す赤ランプが点灯し、警報が鳴る事態が頻発し、命がけの回避行動が必要でした。  総理、イラク派兵は、非戦闘地域が建前であっても、攻撃を受け、戦闘に至る一歩手前だったという認識はありますか。非戦闘地域という歯どめを外し、これまで政府が戦闘地域としてきた場所にまで行って活動すれば、自衛隊が現実に攻撃され、殺し、殺される危険が決定的に高まることは明らかではありませんか。  五つ。そもそも、政府の法案で後方支援と呼んでいる活動は、国際的には、兵たん、ロジスティクスと呼ばれている活動です。自衛隊の行う兵たんが、戦時国際法上、軍事攻撃の目標とされることは、一九九九年の周辺事態法案の質疑で、私の質問に対して政府が明確に認めたことです。  兵たんは、戦争行為の不可欠の一部であり、武力行使と一体不可分のものであり、だから軍事攻撃の目標とされる。これは、世界の常識であり、軍事の常識ではありませんか。政府の言う武力行使と一体でない後方支援など、世界ではおよそ通用するものではないと考えますが、いかがですか。  以上五点について、総理の明確な答弁を求めます。  第二に、PKO法改定法案にも重大な問題点があります。  国連が統括しない活動にも自衛隊を参加させ、形式上停戦合意がなされているが、なお戦乱が続いている地域に自衛隊を派兵して、治安維持活動などに取り組むとしています。武器の使用も、自己保存のためのものだけでなく、任務遂行のためのものも認めるなど、格段に拡大しようとしています。  総理に質問します。  こうした法改定がなされれば、二〇〇一年から二〇一四年までの期間、アフガニスタンに展開した国際治安支援部隊、ISAFのような活動に自衛隊を参加させ、治安維持活動などに取り組むことが可能になるのではありませんか。  ISAFは、治安維持を主任務にしていましたが、米軍主導の対テロ掃討作戦と混然一体となり、十三年間で約三千五百人が戦死しています。こうした活動に自衛隊を参加させるとなれば、ここでも、自衛隊が、殺し、殺される戦闘に参加することになるではありませんか。憲法九条が禁止した武力の行使を行うことになるではありませんか。明確な答弁を求めます。  第三は、これまでの政府の憲法解釈を根底から覆し、武力攻撃事態法の改定などによって、日本がどこからも攻撃されていないのに、集団的自衛権を発動して、アメリカの戦争に自衛隊が参戦し、海外で武力の行使を行うことになることです。  総理に質問します。  一つ。私は、二月の本会議の代表質問で、米国が先制攻撃の戦争を行った場合でも、武力行使の新三要件を満たしていると判断すれば集団的自衛権を発動するのかと質問しました。総理は答弁で、個別具体的な状況に照らして、総合的、客観的に判断すると言うだけで、発動を否定しませんでした。  重ねて伺います。  米国が先制攻撃を行った場合でも、発動することがあり得るのか否か。先制攻撃は国際法違反の侵略行為です。先制攻撃の戦争であっても集団的自衛権を発動するとなれば、集団的自衛でなく、集団的侵略そのものではありませんか。  二つ。日本が国連に加盟してから今日まで、日本政府が、米国による武力行使に対して、国際法上違法な武力行使として反対したことが一度でもありますか。  私は、一九九七年の日米ガイドライン改定の質疑で、同じ質問を当時の橋本首相にも行ったことがありますが、首相の答弁ははっきり、一度もないというものでした。今日に至るまで反対したことは一度もないはずであります。こんな異常な米国追随の国は、世界の主要国の中でも日本だけであります。  総理、このような政府が、米国から、武力攻撃をされたから支援してくれ、支援しないと日本の存立にかかわると言われて、どうして自主的な判断ができますか。米国が無法な戦争に乗り出しても、言われるまま集団的自衛権を発動することになることは明らかではありませんか。  憲法を幾重にもじゅうりんする戦後最悪の戦争法案は、徹底審議の上、廃案にするしかありません。そのことを強く求めて、質問を終わります。(拍手)     〔内閣総理大臣安倍晋三君登壇〕
  39. 安倍晋三

    ○内閣総理大臣(安倍晋三君) 志位和夫議員にお答えをいたします。  活動の実施場所と攻撃を受ける可能性、武器使用及び支援活動と武力の行使との関係についてお尋ねがありました。  重要影響事態法や国際平和支援法に基づき実施する補給、輸送などの支援活動は、そもそも戦闘の前線のような場所で行うものではなく、危険を回避して、活動の安全を確保した上で実施するものであります。  これまで戦闘地域とされてきた場所まで行って活動するとの趣旨が定かではありませんが、いずれにせよ、我が国が行う支援活動は、現に戦闘行為が行われている現場では実施しないことを明確に規定しています。  また、法律上、部隊等が活動を円滑かつ安全に実施することができるように活動の実施区域を指定することとしており、今現在戦闘行為が行われていないというだけでなく、自衛隊が現実に活動を行う期間について戦闘行為がないと見込まれる場所を実施区域に指定することとなります。  万が一、状況の変化により、自衛隊が活動している場所が現に戦闘行為が行われている現場等となる場合には、活動の休止、中断を行うこととなります。  自衛官が武器を使用できるのは、不測の事態に際して、自分やともに現場に所在する自衛隊員などの生命や身体の防護のためのやむを得ない必要がある場合のみです。武器を使って反撃しながら支援を継続するようなことはありません。  いずれにせよ、自衛隊が戦闘行為を行う、あるいは自衛隊の活動が戦闘行為になるということはありません。  したがって、支援活動の実施が結果として武力の行使となるといった御指摘は当たりません。  自衛隊のイラク派遣等についてお尋ねがありました。  自衛隊のイラク派遣に当たっては、特措法において、自衛隊の活動区域をいわゆる非戦闘地域に限定し、一時休止、中断の規定を設けたほか、現場においては、地域住民との融和、多国籍軍との緊密な連携、安全に関する情報の収集に努めつつ、自衛隊員の安全に万全の措置を講じていたものと認識しています。  また、重要影響事態法や国際平和支援法においては、先ほど申し上げた実施区域の指定や活動の休止、中断等の仕組みを設けることにより、自衛隊員の安全に十分配慮しており、危険が決定的に高まるといった御指摘は当たりません。  後方支援と武力の行使との一体化についてのお尋ねがありました。  いかなる事態であっても、後方支援を受けている間は攻撃に対して極めて脆弱な状態になるため、後方支援に際しては、危険を回避し、安全を確保することは当然であり、軍事的に合理性のあることです。これは、同時に、後方支援を十分に行うためにも必要なことであります。  今般の法制に基づき我が国が行う後方支援は、部隊の安全が確保できないような場所で行うことはなく、戦闘に巻き込まれるようなこともありません。  もとより、後方支援それ自体は、武力の行使に当たらない活動です。さらに、我が国が行う後方支援は、他国の武力の行使と一体化することがないように行うものです。  このようなことから、武力行使と一体不可分とか世界で通用しないといった御指摘は当たりません。  PKO法の改正についてお尋ねがありました。  今般新たに規定するいわゆる安全確保業務を実施する場合には、紛争当事者の停戦合意を初めとする参加五原則が満たされており、かつ、派遣先国及び紛争当事者の受け入れ同意が期間を通じて安定的に維持されると認められることが前提となります。  また、いわゆる安全確保業務は、防護を必要とする住民等の生命、身体及び財産に対する危害の防止その他特定の区域の保安のための監視、駐留、巡回、検問及び警護を行うものです。  御指摘の治安維持活動等が具体的にどのようなものであるかは明らかではありませんが、今申し上げたような活動を超えて、御指摘のような戦闘に参加することはできない仕組みとなっています。  このため、憲法九条が禁止した武力の行使を行うこともありません。  なお、いわゆる安全確保業務における武器使用権限において、相手に危害を与える射撃が認められるのは、正当防衛または緊急避難に該当する場合に限られることは言うまでもありません。  新三要件についてお尋ねがありました。  憲法上、武力の行使が許されるのは、あくまでも新三要件を満たす場合に限られ、我が国または我が国と密接な関係にある他国に対する武力攻撃が発生したことを前提としています。  いかなる場合に新三要件を満たすことになるかは、事態の個別具体的な状況に即して、政府が全ての情報を総合して客観的、合理的に判断することになります。  また、国連憲章上、武力攻撃の発生が自衛権の発動の前提となることから、仮に、ある国家が何ら武力攻撃を受けていないにもかかわらず違法な武力の行使を行うことなどは、国際法上認められない行為を行っていることとなるものであり、我が国がそのような国を支援することはありません。  したがって、御指摘の点は全く当たりません。  集団的自衛権行使に当たっての我が国の判断等についてお尋ねがありました。  日本は米国の武力行使に国際法上違法な武力行使として反対したことはありませんが、過去、米国のグレナダ派兵やパナマへの軍事介入の際に、我が国は遺憾の意を表明しています。  憲法上、我が国による武力の行使が許されるのは、あくまで新三要件を満たす場合に限られます。  我が国の存立が脅かされ、国民の生命、自由及び幸福追求の権利が根底から覆される明白な危険があるとは言えない場合や、他に適当な手段がある場合や、必要最小限度の範囲を超える場合は、新三要件を満たさないことから、武力の行使は許されず、米国からの集団的自衛権行使の要請があったとしても、断るのは当然のことであります。  また、政府の判断に加えて、実際に武力の行使を行うため自衛隊に防衛出動を命ずるに際しては、国会承認を求めることとなります。  このように、新三要件を満たすか否かの判断は我が国が主体的に行うものであり、御指摘のように、米国に言われるままに武力を行使することになるといったことは断じてありません。(拍手)
  40. 川端達夫

    ○副議長(川端達夫君) これにて質疑は終了いたしました。      ――――◇―――――
  41. 川端達夫

    ○副議長(川端達夫君) 本日は、これにて散会いたします。     午後四時一分散会      ――――◇―――――  出席国務大臣        内閣総理大臣   安倍 晋三君        財務大臣     麻生 太郎君        外務大臣     岸田 文雄君        国土交通大臣   太田 昭宏君        環境大臣     望月 義夫君        防衛大臣        国務大臣     中谷  元君  出席内閣官房副長官及び副大臣        内閣官房副長官  加藤 勝信君        内閣府副大臣   左藤  章君