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2000-11-08 第150回国会 衆議院 科学技術委員会 2号 公式Web版

  1. 平成十二年十一月八日(水曜日)     午前十時開議  出席委員    委員長 古賀 一成君    理事 奥山 茂彦君 理事 塩崎 恭久君    理事 高市 早苗君 理事 水野 賢一君    理事 樽床 伸二君 理事 平野 博文君    理事 斉藤 鉄夫君 理事 菅原喜重郎君       岩倉 博文君    木村 隆秀君       田中眞紀子君    谷垣 禎一君       渡海紀三朗君    林 省之介君       松野 博一君    村上誠一郎君       近藤 昭一君    城島 正光君       津川 祥吾君    山谷えり子君       山名 靖英君    吉井 英勝君       北川れん子君    中村喜四郎君     …………………………………    議員           近藤 昭一君    議員           城島 正光君    議員           樽床 伸二君    議員           山谷えり子君    国務大臣    (科学技術庁長官)    大島 理森君    科学技術政務次官     渡海紀三朗君    政府参考人    (科学技術庁研究開発局長    )            結城 章夫君    政府参考人    (厚生省児童家庭局長)  真野  章君    政府参考人    (農林水産技術会議事務局    長)           小林 新一君    科学技術委員会専門員   菅根 一雄君     ――――――――――――― 本日の会議に付した案件  政府参考人出頭要求に関する件  ヒトに関するクローン技術等の規制に関する法律案(内閣提出第七号)  ヒト胚等の作成及び利用の規制に関する法律案(近藤昭一君外三名提出、衆法第八号)     午前十時開議      ――――◇―――――
  2. 古賀一成

    ○古賀委員長 これより会議を開きます。  内閣提出、ヒトに関するクローン技術等の規制に関する法律案及び近藤昭一君外三名提出、ヒト胚等の作成及び利用の規制に関する法律案の両案を一括して議題といたします。  この際、お諮りいたします。  両案審査のため、本日、政府参考人として科学技術庁研究開発局長結城章夫君、厚生省児童家庭局長真野章君及び農林水産省農林水産技術会議事務局長小林新一君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ございませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 古賀一成

    ○古賀委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。     ―――――――――――――
  4. 古賀一成

    ○古賀委員長 これより質疑に入ります。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。林省之介君。
  5. 林省之介

    ○林(省)委員 私は、科学技術委員会のメンバーの一人といたしまして、このたび提出をされました法案に関し、幾つかの御質問をさせていただきます。  この問題につきましては、政府案についても随分と私も勉強をしてまいったつもりでございます。過日には、民主党案についての説明を、民主党の法案提出者の方がお見えになってるる承りました。聞いておりますと、ううんと、どちらを聞きましても、ある意味でわかるといいますか、またわからないといいますか、実に微妙なところがあるわけでございます。  また、我々の方にもいろいろな方々から、主として宗教関係の方も多いわけでございますけれども、この問題についての数々の御意見が寄せられております。その多くのところは、少なくともヒトクローンについては絶対に禁止だというような御意見が圧倒的であったと思います。  いずれにいたしましても、近年の生命に関する科学技術の驚嘆すべき進歩というものが、大変目を見張るような状況になってまいりました。一九九七年二月には、御案内のように、イギリスで羊のドリーが誕生する、こういうことで世間を驚かしたわけでございます。  このたびの法案につきましては、いろいろな御議論がなされて、そして前回の通常国会におきまして法案が提出されたというふうに聞いております。私もいただきました資料をいろいろと勉強いたしたわけでございますが、まず初めに、この法案が今回提出されました、あるいは前回の法案が廃案になったその経過をお聞かせいただきたいと思っております。ひとつよろしくお願いをいたします。
  6. 大島理森

    ○大島国務大臣 まず、今までの経過を知りたいという林先生の質問であったと思います。  この法案が前の国会に提出をされて、実は審議がされないままに衆議院選挙に相なりました。当時、私は議運委員長をやっておりまして、山口さんも一生懸命来て、早くやってください、こう言ったんですが、国会提出の時期そのものが実はちょっと遅かったんですね。先生御存じのように、衆議院は、選挙となると、もう政治の力が選挙にどんどん向き始めまして、具体的な法案の審議に入れぬままに終わりました。しかし一方、委員会の皆様方の御努力で、参考人だけお呼びになられて、各界の人の御意見を聞いた。  そういう状況の中で、一方において、先生お話しされたように、ライフサイエンスの世界、特にクローンにかかわる世界は、技術的な議論と同時に研究開発がどんどん進んでいる。そして、多くの中にあって、ある団体のごときは、クローンの人間をつくってさしあげますよというふうな、いわば大変恐るべきといいましょうか、衝撃的なそういうふうなパブリシティーも行う。  そういう社会情勢、研究開発の進みぐあい、そして選挙前の国会の状況から見て、何としてもこの法案は早急につくらなければならない、成立をせしめなければならないということで、選挙を終えまして、そしてこの国会において御審議を願っている。そういう意味での緊急性というものがあるという意味で、私はお願いをしているところでございます。  民主党さんの案も出されておりますので、国会の場において慎重に御議論いただきながらも、そういう大きな社会の動きに対して国会がどのように結論を出すか、世界じゅうの人々が注目していると言っても過言ではないほど大きな意味を持った御審議あるいは法案である、このように思っております。
  7. 林省之介

    ○林(省)委員 どうもありがとうございました。  事の経緯はよくわかりましたし、今大臣がおっしゃったように、世界じゅうが注目をするような、まさに大切な法案であるということも重々承知をいたしました。ただ、まだまだ国民の間には、このクローン技術というものがどこまで我々に貢献をしてくれるのか、時には大変な誤解もあるわけでございます。  そこで、私は、あくまでもこれはいろいろと我々の耳に入る一般の国民の皆様方の御意見を集約するような形で、素朴であろうと思います、あるいは幼稚であろうと思いますけれども、私が知り得ましたところの皆様方の御意見をもとに、さらに幾つかの質問をさせていただこうと思います。  そこで、科学技術庁では、このクローン技術の問題について、特にヒトクローンについてのアンケートをおとりになったというふうに聞いております。反対だという御意見は九〇%以上の人たちが答えているということでございますけれども、このたびの政府案につきまして、こういう国民の声をどのようにお取り上げになっているのか、その点についてお伺いをいたしたいと思います。
  8. 結城章夫

    ○結城政府参考人 今回の政府案につきましては、科学技術会議の生命倫理委員会及びそのもとに設置されましたクローン小委員会並びにヒト胚研究小委員会の結論を忠実に反映して作成したものでございます。  この審議の過程におきましては、中間報告を取りまとめまして、これを公表し、関係学会、有識者、一般の方から広く意見を公募、いわゆるパブリックコメントを求めました。そういうことで、意見を公募するとともに、有識者及び国民へのアンケートを実施するなどによりまして、国民各界各層の多様な意見を取り入れて作成したものでございます。
  9. 林省之介

    ○林(省)委員 一般の国民の御意見もお聞きになったというふうに今お伺いをいたしましたが、そのアンケート自身の実際の回答の数というものはどれぐらいになっておるんでしょうか、お尋ねをいたします。
  10. 結城章夫

    ○結城政府参考人 有識者及び国民へのアンケートでございますけれども、ちょっと具体的な母数は今手元にないんでございますが、その結果によりますと、回答者のうちの九割以上が、クローン技術を人に適用することについては好ましくないという認識でございました。  また、専門家ということで、この審議の過程では、日本産科婦人科学会、医師会などの関係学会とも意見交換を行いまして、これらの学会、専門家の方でも、クローン人間産生に対しては懸念があるという認識を持たれておるということを確認しておるところでございます。
  11. 林省之介

    ○林(省)委員 それでは、民主党にお尋ねをいたします。  同じ質問でございますが、皆様方はどれだけ国民の御意見をお取り上げになったのか、お聞かせをいただきたいと思います。
  12. 山谷えり子

    ○山谷議員 私どもといたしましても、総理府内閣総理大臣官房広報室のアンケート調査あるいはまた科学技術庁の生命倫理に関するアンケート調査を参考にいたしまして、民主党としましてよりよいヒト胚等の作成及び利用の規制に関する法律案をつくるために、本年十月三日から三十一日まで、電子メールで受け付けをいたしまして国民の皆様からアクセスをいただきました。
  13. 林省之介

    ○林(省)委員 その件数はどれぐらいになるんでしょうか。また、賛成はどれぐらいあったのでしょう。いわゆる賛否に対する割合はどれぐらいになるのか、ちょっとお聞かせをください。
  14. 山谷えり子

    ○山谷議員 具体的な度数はきょうは持ってきていないんですけれども、賛否という形ではなくて、私どもの理念を、政府案に欠落しております生命の萌芽であるヒト胚を保護し、人間の尊厳を守る、あるいは、クローン技術の規制というのはクローン個体等の産生のみを禁止するような場当たり的なものでよいのか、理念をどう考えているのかということと、いろいろな研究の対象範囲、取り扱いのあり方とか、さまざまなことを投げかけまして、皆様の積極的な意見を求めたわけでございます。  結論を持っていらっしゃるというよりも、むしろとにかく疑問があるというようなことで、ヒト胚分割胚は許されるのかとか、他人への譲渡というのをどう考えるかとか、ES細胞樹立、これはいい場合もあるけれども問題がある場合もある、それをどう考えたらよいのかとか、すべての人の属性を有する胚の作成を禁止すべきだという意見とか、あるいは、私どもで審査委員会を設けることを記しておりますので、審査委員の構成が学識経験者では研究推進になるのではとか、本当にさまざまな質問、意見、提言というような形で集まってきております。
  15. 林省之介

    ○林(省)委員 アンケートというのは、どなたに対して、どのような形で、どのような質問でというふうなところを幾らでも操作ができるといいますか、私の経験でいえば、アンケートの操作は三〇%ぐらいにわたって、質問の仕方、あるいは対象によって変わってくるということなんですが、少なくとも、ヒト胚についてとやかくという議論というのは、私どもこうしていろいろと学んでおっても、まだまだ十分にわかりにくいところがある。恐らく、委員の先生方の中にも私と同じような立場の方もいらっしゃるんじゃないか、こう思うわけでございます。  既に韓国あるいは中国あたりでは、人クローン胚が作成されている、つくられているというような一部報道も耳にするわけでございますけれども、現在の内外のいわゆるクローン技術研究状況がどのようになっているのかということを、少し御説明いただけないでしょうか。
  16. 結城章夫

    ○結城政府参考人 動物に関する研究でございますけれども、既に存在している動物と全く同じ遺伝情報を持つ動物をつくる体細胞クローン技術につきましては、海外におきまして、平成九年のイギリスのドリーから始まったわけでございますけれども、これまでに、羊、ヤギ、牛、マウス、豚などの哺乳類での成功例が報告されております。  我が国におきましても、家畜ということですけれども、体細胞クローンの牛の作成に成功しているほか、非常に難しいと言われております豚につきましても、その作成に成功いたしております。  それから、今先生お話にありましたように、韓国におきましては、再生医療につながる研究の一環として人クローン胚がつくられたという報道もなされたところでございます。
  17. 林省之介

    ○林(省)委員 かなり研究が進んでいるというふうに理解していいかと思いますが、それでは、今クローン人間をつくろうと思えば、もう比較的簡単にクローン人間をつくることができるんでしょうか、どうなんでしょうか。お尋ねをいたします。
  18. 結城章夫

    ○結城政府参考人 科学技術会議の生命倫理委員会の報告によりますと、人クローン個体の産生には高度な施設設備や巨額な資金は必要でない、一定水準以上の技術を持つ医師研究者であれば比較的容易に実施できるというふうにされております。また、この分野の研究者によりますと、半年間の訓練で、条件さえ整えば比較的容易にヒトのクローン胚は作成できるという見解が示されておるというふうにも聞いております。  したがって、クローン胚が移植される母胎を提供する代理母が確保されれば、人クローン個体の産生は比較的容易に行われることが懸念されておるところでございます。
  19. 林省之介

    ○林(省)委員 それでは、例えば大学のちょっとした研究設備のあるようなところで、それなりの知識を持った人がおれば、今おっしゃったように、簡単にそういうクローン人間をつくることができるということに将来的にはなっていくわけでしょうか。お尋ねいたします。
  20. 結城章夫

    ○結城政府参考人 そのとおり、そういう懸念が非常に持たれております。
  21. 林省之介

    ○林(省)委員 だとすれば、これは大変な事態を招くことにもなるわけでございまして、少なくともクローン人間を禁止しなきゃいけない、そういう意味での政府の明快な御見解をぜひお聞かせ願いたいと思います。
  22. 大島理森

    ○大島国務大臣 先ほど先生が一番最初に、この法律の今までの経過をお伺いをされました。私はそのときに経過だけをお話ししたのでございますが、なぜクローン人間を禁止しなければならないのか。今先生から、大学の教鞭をとられた御経験を持ちながら、いろいろな角度から御質問され、国民がよくわかっていないんだという率直な御質問をされ、まさにその率直な御質問が、今一番大事なところだと思います。  クローン人間にかかわる世界というのは、二つの側面があると私は思います。一つは、やはりライフサイエンスという世界があって、日々これが進展していく。そして、そういう中にあって人類、人間が、やはりその技術発展に伴って人類の貢献にしていくという、そこの合意が一つあるんであろう。しかし一方、だからといって科学技術の進展を野方図にしてはいけません。特に、クローンという問題につきましては、私どもは、まず無性生殖を意味しております。つまりコピーでございます。  きのう、斉藤先生が本会議で御質問されて、とてもよくまとめられた論議であったと私は思うんです。そういうふうな無性生殖という意味でのクローン人間の技術というのは、まず、人の尊厳という観点からこれはいけません。それから、社会秩序の維持に重大な影響を及ぼします。したがって、たとえどういう国であろうとも、どういう宗教観があろうとも、どういう意見を持とうとも、ここはもう人類の共通した禁止しなければならないところでございます。そして一方、技術だけは、今先生が質問されましたように、発展していっている。そこはきちっと押さえておかなければなりますまい。  したがって、私どもは、クローン人間の産生禁止ということについては人類の合意がある。だとすれば、我が国として、そのことを国会の中で、国の意思として早急にやらなければならないということで、禁止をすべきだというのが私どもの意思でございますし、大臣の決意というふうな意味で今お伺いをされましたが、なればこそ、この国会でぜひ成立をさせていただきたい。  民主党さんのいろいろなものを読ませていただいておりますが、ざる法であるとかいろいろ書いておりますが、ざるではございません。我々は、クローンというところは、もう十年という非常に重い刑罰を規定して、そこで抑えますよと。そういう中で、研究開発という分野との間である意味ではバランスを考えなきゃなりませんという中で出した案であるということで、先ほども申し上げましたように、クローン禁止という意味での独立した法律という意味では、世界で初めてなわけだと私は思っております。  それぞれの国々においては、宗教観あるいは文化観、そういうものがあろうと思います。できればこの成立を図り、そして世界に発信をし、そういう問題に世界じゅうで考えられるきっかけにもしてまいりたい、こんな思いで、ぜひこの国会で成立を図っていただきたい、このように思っております。
  23. 林省之介

    ○林(省)委員 今、人の尊厳にかかわる重大な問題であるということはよくわかったわけでございます。  先般、我々科学技術委員会の方で北海道に視察に参りました。そして、北海道の畜産試験場に参りまして、クローンのかわいい子牛を見せていただきました。皆さんそのときに、中には声に出して、わあ、かわいいとおっしゃって鼻面をなでたり、首筋をなでたりというようなことをなさっておられました。その後、バスに乗り込みまして、きょう牛が出たら食えぬなというような話も出たわけでございます。  まさに、無性生殖にしろ、ああして一つの個体として生まれてまいりますと、人格といいますか牛格と申しますか、それを我々はとっさに認めていると言ってもいいわけですね。この子が大きくなった肉を我々は食うわけにはいかない、そういう感情を我々は持ったわけでございます。  事ほどさように、少なくとも、そういう形で個体が出てきたときには、それなりの人格を、人間の場合であれば当たり前のこととして人格を有していくということになってまいるわけでございますが、その研究について、いろいろと法的な規制をしなければとんでもないことが起こるというのが今回の法案提出の御趣意であろう、こう思います。  それでは、ちょっと民主党さんにお尋ねをいたしますが、民主党案では、クローン個体の生産規制に加えまして、ヒト胚の取り扱い全般にも規制を加えようというふうになっているかと思いますけれども、その件に関して、例えば科学者であるとか有識者であるとか、国民の合意は得られているんでしょうか。お尋ねをいたします。
  24. 城島正光

    ○城島議員 お尋ねの件にお答えをしたいと思います。  今いろいろな観点で御懸念を表明されていますけれども、率直に同感でありますけれども、聞けば聞くほど、そうであればぜひ民主党案の、ヒト胚についても何らかの規制が必要ではないかというふうに、結論はいかれるのじゃないかと思いながら聞いているんです。  私たちは、きのうの本会議でも申し上げましたけれども、まずとらえ方でありますけれども、このヒト胚をどういうふうにとらえているかというと、生命の萌芽であるというふうにとらえているんです。  後ほどもちょっと申し上げますが、これはいろいろなアンケート、あるいは先ほどもアンケートそのものに対する御懸念もありましたけれども、少なくとも生物学的にいっても、命、生命という流れからいきますと、受精というのはそのプログラムのスタートであるということについては、大体一致した見解なんだろうと思うんですね。人工中絶が行われるようになってから、では人とは一体どこから言うのかという新たな論議が始まっているんですけれども、少なくとも、命がどこからスタートするかということについては、受精がそのプログラムのスタートだという意味で、私たちは、人の生命の萌芽というのは、このヒト胚というのはそこではないかというふうに極めて重要な問題としてとらえている。  したがって、生命の萌芽であるヒト胚を人為的に作成したりあるいは利用するということは、今大臣も述べられましたように、人の尊厳の保持、あるいは人の命や身体の安全の確保に極めて重大な影響を及ぼすおそれがあるというふうに判断しているというのが骨子であります。  一方で、一般の国民の皆さんも、先ほどもちょっと御質問ありましたけれども、科学技術会議の委託で行われました生命倫理に関する世論調査の結果の中でも、全体と言えるかどうかあれですけれども、一応それによれば、いつの時点から人として絶対に侵してはならない存在と考えるかという質問に対しては、私が今申し上げましたように、生物学的な観点と同じように受精の瞬間からというふうに思われているのが一番多くて、三割に達しているということであります。また、ヒトの受精卵の研究利用の是非についても、約四割の方が、厳しい条件のもとでならばよい、すなわち厳しい条件が必要だということですし、二割の方は、そうであっても研究利用は認められない、そういう意見を出されているわけであります。  このように、我が国の国民の観点からしても、受精に始まるヒトの発生初期段階を、絶対侵してはならない人の尊厳のスタートであり源であるということを考えて、受精卵の研究利用全般に厳しい条件をつけることを望んでいるんではないかというふうにとらえております。  こうした観点も踏まえるならば、ヒト胚が生命そのものであるかどうかというのは論議があるかもしれませんが、少なくとも生命のプログラムのスタートであるということは間違いありませんので、それにふさわしい取り扱いをする法規制がやはり必要ではないかという観点でこういう案をとらえたわけであります。
  25. 林省之介

    ○林(省)委員 おっしゃることはよくわかりますけれども、余りにも規制の網を大きくかけ過ぎますと、例えばES細胞の研究のような、医療にとっても大変有用な研究が滞るといいますか、あるいは他国に先を越されるといいますか、我が国は科学技術立国を目指そうと今しているわけでございますから、法規制が余りにもきつ過ぎることによって、そういう研究開発に支障を来すようなことになってはいけないんじゃないかというような懸念を持つものでございます。  この点に関しては、政府はどのようにお考えになっておられるんでしょうか、お尋ねをいたします。
  26. 大島理森

    ○大島国務大臣 先生御指摘のように、私どもは、無性生殖という世界と有性生殖という世界、この二つのあり方をやはりある意味では別次元で考えなきゃならぬ、この基本から立っているわけでございます。  民主党さんのお考えというのは、今お話しされていたように、ES細胞の研究、そこまで法規制の対象にしていこうと。初め私が民主党さんが御議論をし始めているあたりに伺ったときには、生殖補助医学研究まで対象にしようじゃないかという御議論があったように聞いておりますが、どうやらそこは御理解いただいて、対象外になっているようでございます。  ヒトのES細胞の研究というのは、まさに先生おっしゃったように、スタートをした時点でございますし、ES細胞そのものからすぐ個体になるということはあり得ない。だとすれば、研究に対する柔軟性という環境をつくっておく必要があるであろう。しかし、野放しということではございません。  我々も、ガイドラインその他について、さまざまな議論を踏まえながら、そこはそれなりの自主的な規制も含めながら、我々としてのガイドラインというものも当然考えていくことになろうと思いますが、法律によってそういうことを全部対象にして抑えていくということは、研究開発が日々に変化していく、こういう状況の中で、果たしていいのであろうか。  今なすべきことは、何回も繰り返しますけれども、無性生殖の問題というところをきちっと押さえていくということが大事でありますし、橋本内閣のときにつくったこの問題に対する委員会、もう約三年がかりで議論をしている経過の中で、やはり有性生殖という世界というものと無性生殖という世界は、倫理という観点からも違ったとらえ方をしなければならないし、規制のあり方もある意味では違った考えをとっていかなければならない。  そういう観点に立って、我々は、ヒトのES細胞のところについては今法律という世界からは除いているということでございます。
  27. 林省之介

    ○林(省)委員 おっしゃることはよくわかったつもりでございます。よくわかりました。  いずれにいたしましても、科学技術の進歩を法によって大きく妨げるようなことになってはいけないというふうな気が私はいたします。  後に優秀な同志が控えておりますので、まだまだ質問したいことはあるのでございますけれども、これで終わらせていただこうと思います。いずれにいたしましても、人間のつくり出した知恵ですとか、あるいは技術、科学が人間を不幸にするようなことがあってはならないということだけは切に願いまして、私の質問を終わらせていただきます。どうもありがとうございました。
  28. 古賀一成

    ○古賀委員長 松野博一君。
  29. 松野博一

    ○松野(博)委員 政府提出案、民主党案、両案に対しての質問をさせていただきたいというふうに思います。  急速なクローン技術の発展によりまして、国民世論の中に、ヒトクローンが現実化をしてしまうのじゃないか、そういう危惧がございますし、また一方で、次世代の主要な産業分野と言われておりますバイオテクノロジーを含んだクローン技術の中で、法整備が未整備であるために研究現場が混乱をして、研究の推進が阻害をされているという状況があるかと思います。  この二つの観点に基づきまして、一刻も早いヒトクローンの規制に関する法案の成立を望むものでありますけれども、政府案、民主党案、両案もクローン個体の産生の禁止ということに関しては統一した見解をお持ちだというふうに理解をしております。立場の違い、いわゆる争点というふうになっておりますのが幾つかありますけれども、その中でも、特にヒト胚の法的な問題、法的地位の問題を中心に質問をさせていただきたいというふうに考えております。  その前に、両法案の目的でありますけれども、両法案とも、大きく分類をいたしますと、二つの目的をもって規制をかけようということだというふうに理解をしております。  一つは、人の尊厳、また社会的秩序を守っていく、この観点。もう一つは、クローン技術が人に応用されることによって、母体、胎児、そして、そこから生まれてくる子供たちの安全性が担保できないという点かと思います。  母体、胎児、子供たちに対する安全性が担保できないというのは、非常にわかりやすい合理的な論拠でありますし、このこと一つをもってしてもヒトクローンに関する禁止が成立するものと思いますけれども、一つ目の、人の尊厳、社会秩序の維持、このことに関しましては、各種アンケート調査の中で多くの国民のコンセンサスを得ているという問題でありますけれども、一部、ヒトクローンの禁止に対する反対、また、条件をつけた上での限定的な使用の許可を訴える論拠として、子供を持つ自由、その権利、リプロダクションの自由や、今、生殖補助医療が大変な発展を遂げておりますけれども、治療の自由、両点をもって対抗しようというところがあるかに聞いております。  本法案は大変な重い刑罰を科す法案でありますから、ヒトクローンの禁止、個体産生の禁止ということと、リプロダクションの自由、治療の自由、この二つの対抗する概念がどのような方向性の違いを持つのか、ここを明確にしておく必要があると思いますし、具体的な線引きを提示する必要があるかと思います。この点に関しまして、政府、民主、両方にお聞きをしたいと思います。
  30. 大島理森

    ○大島国務大臣 今、松野委員がお話しされましたリプロダクションの自由、大変国際的、世界的な一つの概念としてあるわけでございます。まさにそういうふうな問題を背景にして、ライフサイエンスあるいはまた生殖補助医学研究というものがどんどん進んでいくというふうな関係があるのだろうと思います。なればこそ、私たちは、まず無性生殖という世界に対してきっちりとした国としての考え方を押さえておかないと、そういう研究が混乱をしていく可能性がある。  したがって、子供を持つ、持たない、いわゆるリプロダクションの権利や不妊治療を受ける権利は、国民にとって、人間にとって基本的な自由な権利だと私も思っておりますし、そういう意味で、無性生殖によるクローン人間の産生というものを抑えるということは、逆に、通常の生殖を補助する不妊治療という問題のところの研究を、ある意味ではきっちりといろいろな形で議論できる、そういう意味合いを持つものであるし、リプロダクトライトというのですか、そういうものに違背するものではない。無性生殖のところだけはいけませんよ、そういうクローンはいけませんよ、だからそこは、十年という重い刑罰をもって抑えます。  しかし、有性生殖の議論、先ほどもちょっとお話ししましたが、そのところは、ES細胞の研究も含めて、ある意味ではこれからどんどん発達していかなきゃならぬ、そういうふうな均衡ある考え方を私どもはとっておりますし、リプロダクトライトという概念に無性生殖の禁止、ヒトクローンの禁止というものは違背するものではない、不当に侵害することにはならない、このように思っております。
  31. 近藤昭一

    ○近藤(昭)議員 お答えいたします。  クローンの禁止そのものについては、私どもも政府・与党案と基本的には通じていると思うんです。とにかく個体クローン産生については禁止しなくてはいけない、これは私どもも十分に踏まえております。  そういう中で、御質問のありましたリプロダクションの自由ということでございますが、まずこれをどういうふうに解釈するか。私なりに今お聞きしておりまして解釈しましたのは、子供を産み育てる権利、自由であると解しますと、それにつきましては、現在行われております生殖補助医療、いわゆる不妊治療等で、足りるという表現がいいかどうかわかりませんが、カバーされているのではないか、そういうふうに考えます。  ただ、例えば、もし幼いころに自分の子供が交通事故あるいは病気で亡くなってしまう、一歳とか二歳とか。そういう子供を、やはりもう一人、子供が病気で死んだあるいは交通事故で亡くなった、だから子供が欲しい。そして、どうせというと言葉はよくないのですが、亡くなった子供に対する思いが強い、できるならばその子供と同じ子供を産みたいというような、そういう権利と解しますと、それはやはり憲法で保障されている自由とは解せないと私は考えます。これは、個の権利というものがあると思います。  そういう意味では、先ほど政府の方からもお話がありましたように、無性生殖で生まれてくる、ある特定の目的、前に亡くなった子供と同じ子供を産むんだという本人の気持ち、いわゆる生まれてくる子供の尊厳、個の尊厳というものを無視して、親の気持ちでそういった子供を産む権利というものは認められていない、そういうふうに考えます。  また、治療の自由についてでありますが、特定の病気の治療にクローン技術が大変に役立つという指摘があるわけであります。もちろん、それを私どもは否定はいたしません。例えば、クローン胚を作成し、そこからES細胞をつくり、それをもとに臓器をつくることができれば、拒絶反応の全くない移植用の臓器ができるだろうと言われておるわけであります。また、ミトコンドリア異常症についても、そういった病気を持つ胚の核を他の除核胚に移植することでその病気を防ぐことができるのではないか、そういうふうには言われております。  ただ、これにつきましても、拒絶反応のない臓器の作成については、マウスにおいて筋肉の幹細胞から血管細胞への転換が成功している。つまり、ほかの方法でもできると言われておるわけでありますし、クローン技術でつくる方法が唯一の方法ではないわけであります。また、ミトコンドリア症の予防につきましても、ミトコンドリアと核内の遺伝子との相互作用には全くまだ不明なところが多いわけであります。治療への応用には、十分な安全性の確保が必要だというふうに考えております。  そういった意味では、治療の自由といいましょうか、もちろんそういう権利もあるんだと思いますが、これについては、かわる方法があるときにはその方法を使う。クローン技術を使うことには本当に注意をしていかなくてはならない、こういうふうに考えておるわけでありまして、別の方法がとれる場合、その場合にはクローン技術でない方法をとるべきだ、かように考えておるわけであります。
  32. 松野博一

    ○松野(博)委員 両案とも一つの明確な線引きとして、無性生殖であるか有性生殖であるか、この点に基準を置くということだと思いますけれども、民主党提出の法案は、政府のクローン技術規制にプラスして、ヒト胚に対する規制を包括的に行わなければいけないという御意見だと思います。  ヒト胚の取り扱いを法律で規制していくということ。ヒト胚自体に倫理的な意味での尊厳、敬意を表さなければいけないということは私も同意見でありますけれども、倫理と法律というのは明確に違う次元の問題でありまして、法律整備をするに当たりましては、反倫理性だけでなく、反社会性の十分な論理的な根拠、また国民世論の支持がなければいけないというふうに考えております。  民主党案の中でのヒト胚の法律による規制、これを作成するに当たりまして、どのような方法で国民の意見を調査し、それを集約していったのか。また、もしそのことを行われたということであれば、ぜひ客観的な数値を教えていただきたいというふうに思います。
  33. 山谷えり子

    ○山谷議員 林先生にお答えした部分と重なる部分があるのでございますけれども、それを前提にいたしまして、ヒト胚の取り扱いに関する意見集約の件でございます。  ES細胞の研究が始まりますと、ヒト胚を壊すというか処理するということが前提になっているわけでございますので、ヒト胚の取り扱いということが非常に懸念されるわけでございます。今は、女性の卵子の採取、使用は当人の生殖補助医療目的以外には行われないことになっておりますけれども、ES細胞樹立研究がスタートいたしますと、たくさんの卵子が必要になってくる。極端な場合には売買などの懸念も出てくるわけでございます。  こういうようなことから、女性の間では、もちろん、現在余剰胚の取り扱いなどについて日本産科婦人科学会におけるガイドラインがございます。けれども、法律では規制されておりませんので、患者へのインフォームド・コンセントが十分に行われていない、医師の勝手な判断があるのではないか、自分たちの余剰胚はどうなっているのかというような不安を女性たちが非常に訴えております。そのような声は、私どもも取材し、声を聞いたわけでございます。統計的に何人というような形ではございませんけれども、そのような不安、懸念が、政府案には全く視点が欠落しているというような声は、十分聞いたつもりでございます。
  34. 松野博一

    ○松野(博)委員 各種アンケート調査による結果を踏まえてということでありますけれども、この場合、ヒト胚に関して倫理的に尊厳を認めるかどうかという問題と、法律的規制に関する同意を得るかというのは、かなりレベルの違う問題だと思います。  その中で、法的な位置として、民主党案はヒト胚を生命の萌芽というふうに位置づけられております。ヒト胚をどういうふうに位置づけるかというのは、各国の宗教観、倫理観、歴史、風土等々によって変わってくるわけでありまして、例えば、ドイツにおいてはヒト胚はもう生命であるというような位置づけをされております。生命であるというふうな位置づけであれば、かなり明確な、厳格な規定になると思うんですけれども、生命の萌芽というのを法的な地位、権利としてどういうふうに位置づけられているのか。  これは、ひいては生命の萌芽というのが、例えば民法上、刑法上に関してどういうような保護を受けるものなのかというところにも発展をしていく議論になると思いますので、このヒト胚の生命の萌芽というのを法的にどう権利を位置づけられるのかについて、ぜひお聞きをしたいと思います。
  35. 城島正光

    ○城島議員 お答えいたします。  御指摘のようにいろいろ難しい問題があると思いますが、少なくとも今我が国においては、当然といえば当然でありますけれども、ヒト胚について、民法上の権利主体あるいは刑法上の保護の対象として法的な位置づけはされておりません。  しかしながら、ヒト胚というのは、先ほども申し上げましたけれども、一たん子宮に着床すれば成長してヒトになるということでありますし、ヒトの発生のプロセスというのは受精以降、一連のプログラムとしてずっと進行していき、そして、受精に始まるヒトの発生を生物学的にどの段階でヒトというのかというのは、いろいろ意見があるところでありまして、特別、どこから明確に区分けするか、あるいは区分するかということが、きちっとこの段階でという時期が確定されている状況ではない。  しかしながら、ヒト胚そのものは、ドイツのは端的でありますけれども、一般的に、世界的にも、先ほど申し上げましたように、少なくともヒト胚というのは、人あるいは人の生命そのものと言えるかどうかというのはありますが、人の生命の萌芽ということはもう間違いない位置づけとしてできるのではないかというふうに考えているわけであります。  そうしますと、前段申し上げましたように、受精に始まるヒトの発生というものを生物学的に明確に区分けする特別な時期というものは、今のところない、あるいは時期はないという学説もありますが、そういう観点に立ちますと、ヒト胚を人為的に作成し、または利用するということは、人の生命が軽く扱われるということにもつながっていく。また同時に、人の生命の尊重、保護という倫理ないし価値観が脅かされることにもなりますし、さらには、ヒト胚が仮にヒトに成長するとすればそのものの尊厳を脅かすおそれがあるのではないかというふうにとらえているところであります。
  36. 松野博一

    ○松野(博)委員 ただいまの御説明をお伺いしますと、概念としてヒト胚を生命の萌芽と位置づけるということに関しては理解できるのでありますけれども、それを法律をもって規制するというレベルに至るまで国民世論が集約をされていない、また議論としてまとまっていないかのような感じを受けるものであります。  例えば、民主党案の中でヒト胚というのを一括して規定しておりますけれども、同じヒト胚でありましても、胎内にあるヒト胚、自然交配によって胎内に生じ胎盤をまだ形成しない状況のヒト胚、もしくは人工授精によって胎内に移されまだ胎内で胎盤を形成しない状況のヒト胚と、人工授精によって、いわゆる胎外で試験管の中にあって受精をした状況のヒト胚、これは、それぞれに保護されるべき権利状況というのはかなり違ってくるかと思います。  胎外におけるヒト胚というのは、独立して単体では生存をし得ないという状況でありますから、例えば、胎内におけるヒト胚と胎外におけるヒト胚、これを一括して同様の生命の萌芽として規定されるのか、またこれは別個に規定されるのか。現状においても胎内におけるヒト胚は堕胎に関する法律や優生保護法等々で保護されているものでありますけれども、この点に関して御説明をいただければというふうに思います。
  37. 城島正光

    ○城島議員 民主党の我々の案では、胎外でのヒト胚の作成、利用の規制のみを基本的に考えておりまして、胎内のヒト胚につきましては、本案の想定外というふうに考えていただいていいのではないかと思っております。
  38. 松野博一

    ○松野(博)委員 それでは、もう明確に理解をいたしました。  ただ、生命の萌芽というのを法律において規制するに当たりまして、確固たる国民世論の集約がないと、例えば民主党案の中で、ヒト胚の利用に関して、生殖補助医療もしくは生殖補助医療に係る医学研究に関しては認める、もしくはES細胞に関する研究に関しては認めるというふうになっております。尊厳を守るべき生命の萌芽が、この運用に関しては認める、この運用に関しては認めないという、その線引きが非常に難しいことになるかと思います。  そこまでの議論をある種確立しておきませんと、法律上の規制をかけるということ、私はヒト胚に関して何らかの法体系、法整備をもって規制をするべきだと考えておりますけれども、この時点で、この法案の中においてそこまでヒト胚を含めた包括的な規制をするのは難しいのかなというような考えを持つものであります。  今の、例えばヒト胚の萌芽の価値と、党提出法案の中の運用上の法的整合性、そこをどういうふうに御理解をされているのかに関して、御説明をいただきたいというふうに思います。
  39. 城島正光

    ○城島議員 お答えいたします。  繰り返しておりますけれども、ヒト胚そのものというのは、人の生命の萌芽として位置づけている、また位置づけることができるのではないかということの中で、ヒトのほかの細胞とは異なって、したがって、倫理的に尊重されるべきものであるということから、ヒト胚を研究に用いることは可能な限り避けるべきだというふうにとらえているわけであります。  しかし、先ほども申し上げましたように、ヒト胚は、人の生命そのものというふうに完全に断定することは難しい状況だろうというふうに思っております。また、ヒト胚を用いる研究には、ヒト胚性幹細胞の樹立のように、医療や科学技術の進展に極めて重要な成果を生み出すことが想定されるものも現実に存在しているということも認識しているわけであります。  したがいまして、我々の民主党案では、ヒト胚が人の生命の萌芽として尊重されるべきものであるとの要請を考慮した上で、余剰胚を、厳格な規制の枠組みのもとで研究に利用することを許容するということにしているわけであります。
  40. 松野博一

    ○松野(博)委員 今の議論をお聞きしても、法的規制をかけるに当たっては、もう少し議論を煮詰める必要があるのかなというような意見を持ちます。  民主党案に質問をさせていただきたいと思いますが、民主党案は、ヒト胚の使用に関して、生殖補助医療もしくはそれに係る医学研究を除くというふうにされておりますけれども、生殖補助医療というのが一体どこまでのものを言うのか。特に、それに係る医学研究というとかなり広範囲な規定になるというふうに思いますし、結果として、これは生殖補助医療に関する研究だからということで、かなり無秩序に、かえってこのヒト胚の使用現場、利用を混乱させるのではないかという危惧があります。  この生殖補助医療並びにそれに係る医学研究の範囲というものに関して、どういうようなお考えを持つか、御説明をいただきたいというふうに思います。
  41. 山谷えり子

    ○山谷議員 生殖補助医療の定義あるいは範囲あるいは混乱というような御質問でございますけれども、生殖補助医療については、「医療法第一条の二第二項に規定する医療提供施設において医業として行われる人の生殖の補助をいう。」と定義があります。この定義は、現に病院等で実際に行われておりまして、一般に生殖補助医療として受け入れられているものをとらえて定義したものでありまして、この定義自体によって生殖補助医療の内容を示しているものではございません。  生殖補助医療について、どのようなものが許されるのか、あるいはどのような規制がというようなことでございますけれども、この件に関しましては、本当に先生御指摘のように、まだ議論が十分に行われていないと考えております。代理の母とか借り腹などという方法が許されるのか、あるいはまた、提供精子、提供卵子を使って胚をつくること、それをまたさらにほかの人のために使うこと、それはどう考えるかなども含めまして、まだまだ十分な議論が行われておりません。早急に検討を行う必要があると考えております。  そこで、民主党としましては、この法律で三年以内に検討を行って規制するという形をとっております。
  42. 松野博一

    ○松野(博)委員 御説明のとおり、この分野に関しては法的な定義が確立をされていないということもあると思いますが、民主党案の中で、このヒト胚の扱いに関して規制を設けるということになりますと、例えば、現行の生殖補助医療で使用されるヒト胚、またこれに伴って出る余剰胚の問題、こういったものにも当然のことながら規制をしていく必然性が出てくるというふうに思います。  その場合において、非常に難しい、まだ議論が集約をされていませんのは、例えば、人工授精に当たってヒト胚を一回につき何個までつくることが認められるのか、余剰胚というものの廃棄がどういった経緯によってなされるのか等々の問題は、まだ確立された議論がないところでありますので、ここについてさらなる議論が必要であろうというふうに思います。  時間の関係がございますので、政府案に関して御質問させていただきたいと思いますけれども、現在またあるいは今後、この生殖補助医療に対する法整備というものに関して検討が行われているかどうか、この点に関してお聞きをしたいと思います。
  43. 真野章

    ○真野政府参考人 生殖補助医療のあり方につきましては、今御議論ございますように、国民の間に幅広い御意見がございます。また、医療のみならず、生命倫理それから法律面などの幅広い観点からの検討を行う必要があるというふうに考えておりまして、一昨年の十月に、厚生省の厚生科学審議会先端医療技術評価部会のもとに、医学、看護学、生命倫理学、法学などの専門家から成ります専門委員会を設置いたしまして、特に、第三者の配偶子提供等による生殖補助医療のあり方につきまして御検討いただいております。  生殖補助医療の是非、対象者はどういう方であるのか、また今後、規制の方法、それから実施する場合の条件整備、そういうところについて御検討いただいておりまして、私どもといたしましては、本年じゅうに同委員会におきます報告書の取りまとめを行っていただきまして、その後、先端医療技術評価部会において御議論をさらにいただく、また厚生科学審議会全体としての意見集約もお願いをしたいというふうに考えております。
  44. 松野博一

    ○松野(博)委員 政府にお伺いをしたいと思いますが、政府案は、ヒト胚の取り扱いに関しては指針による規制ということであるかと思いますけれども、現状のヒト胚研究小委員会の論議と、ヒト胚の取り扱いに関する指針、この方向性に関して御説明をいただきたいというふうに思います。
  45. 結城章夫

    ○結城政府参考人 科学技術会議の生命倫理委員会のもとに設けられておりますヒト胚研究小委員会におきまして、人クローン胚などの取り扱いにつきまして、技術的な観点から研究上の有用性の評価を行っております。それから、これらの胚が人クローン個体の産生につながりかねないというおそれがありますので、どのような規制を行うかということについても検討が行われました。  ことしの三月に取りまとめられましたこの報告書におきましては、人クローン胚等の取り扱いに関する指針の基本的内容となるべき事項が取りまとめられております。政府といたしましては、この報告書を踏まえまして、クローン規制法に基づく指針をこれから定めていくわけでございます。  少しその具体的な内容を申し上げますと、例えば、個体産生に至らないように適切な取り扱いがなされていることとか、事前に動物実験が十分に行われていてヒト細胞を用いた確認が必要な段階であるなど研究の必要性、妥当性が認められていることとか、胚の特徴に応じた研究期間の制限があることとか、ヒトの細胞を使用する際には提供者のインフォームド・コンセントが適切に取得されていること、ヒトの細胞の提供者のプライバシー保護が適切になされていること、あるいは作成した特定胚の授受によって商業的な利益を得ないことというようなことをこれから規定していく方針でございます。
  46. 松野博一

    ○松野(博)委員 もう時間が参りましたので、最後に、民主党案に質問をさせていただきたいと思います。  民主党案は、ヒト胚規制から人クローン個体の産生の禁止まで包括的な規制に関しての提案をされておりますけれども、この法案の最も重要視する論点といいますか、端的に言いますと、ヒト胚の保護か、ヒトクローンの産生の禁止か。これはもちろん包括的な議論の中で関連性が強いというお話かと思いますが、現状の緊急性にかんがみて、どこに最も重要な論点を置いておるかに関して最後にお聞きをしたいというふうに思います。
  47. 樽床伸二

    ○樽床議員 今、二者択一でどちらであるかという御質問でありましたが、私どもは、二者択一という考え方をとっておりません。両方ともに重要であり、両方ともに非常に関連しているものであるという認識に立っておりますことを、ぜひとも御理解いただきたいと思います。
  48. 松野博一

    ○松野(博)委員 以上で質問を終わります。
  49. 古賀一成

    ○古賀委員長 岩倉博文君。
  50. 岩倉博文

    ○岩倉委員 自由民主党の岩倉博文でございます。  二人の同僚議員に引き続きまして御質問をさせていただきたいと思うんでありますけれども、私は、本法案の背景にある基本的な流れは二つあるというふうに認識をいたしております。  一つは、これは共通の認識でありますが、ヒトクローンの産生を禁止するということを強い意思を持って国の内外に発信していくということ。さらにもう一つは、世界各国で注目を集めているライフサイエンス分野、特に再生医療分野の研究に対して、さまざまな研究機関等において迷いなく研究に集中できる良好な環境を、生命倫理を踏まえながらこれからどう確立していけるのか。この二つの流れがあるということを前提に、基本的なことについて御質問していきたいと思います。  今回の両案の大きな相違点の一つに、手続といいましょうか、届け出制と許可制という違いがあります。  そこで、政府案は、いわゆる特定胚を九つに分類して、特定胚の作成等について指針に基づく届け出制ということにしているわけでありますが、そのような規制と一つの法案の中で併用した理由について、お聞きをしたいと思います。     〔委員長退席、平野委員長代理着席〕
  51. 渡海紀三朗

    ○渡海政務次官 既に大分議論が進んでおりますから、中身はよく御存じのところでございますが、まず、法律では、懲役十年という日本の法制度としては大変重い罰をもって禁止をする、規制をするということになっておるわけでございます。これは、ヒトクローンの個体産生ということについてそういうことになっておるわけでありますけれども、こういう罰を科するには、単に倫理性という問題のみではやはり不十分であろう。先ほどから議論になっておりますように、人間の尊厳、こういった倫理的な問題にあわせて、非常に反社会性が強いといったような行為に対してそういった罰を科すべきである、そういうことで、まず法律で規制をしている部分があるわけでございます。  同時に、これも先ほどから議論があるわけでありますが、やはり研究開発という面の、特にライフサイエンス分野での近年の急速な進展がございます。同時に、アンケート調査等も既にいろいろと数字が出されておりますが、この問題につきまして、生殖医療も含め、そしてまた、クローンをつくっちゃいけない、ヒトクローンをつくっちゃいけないというところではコンセンサスはかなりできておるわけでありますが、まだまだ国民的な合意が形成されていると言えない。  そういったところで、現実に、やはりそういった重罰を科すということはちょっと法になじまないんじゃないかというふうな考え方のもとで、残った部分を、法的に規制するという考え方ではなくて、法に基づいて指針をきっちりと定めて、そして今後の議論を待つという考え方をとったわけでございます。  ただ、先ほど研究開発局長の方から松野議員にもお答えをしたわけでありますけれども、これから必要な議論というのは随分あると思います。そして同時に、これは生殖医療の分野についても近々回答が出るというふうにも聞いておるところでございまして、そういったことと整合性を図りながら、今後、このガイドラインにつきましても、科学技術会議の生命倫理委員会ヒト胚研究小委員会ですか、ここの委員会の議論を進めていただいて、きっちりとしたものをつくっていきたい。実効性のあるものにしたいというふうに考えさせていただいておるところでございます。
  52. 岩倉博文

    ○岩倉委員 一方で、民主党案は、ヒト胚の取り扱いを許可制というふうにしているわけでありますけれども、その理由について、ポイントをお聞かせいただきたいと思います。
  53. 樽床伸二

    ○樽床議員 先ほどからいろいろと議論が出ておりますポイントにかなり重複をするわけでありますが、改めまして申し上げますと、私どもは、クローンの人間をつくることに対しましては絶対的にいけないという立場に立つものであります。  しかし、昨日も少し私、本会議の場でも申し上げましたように、人の欲望というものは、これはなかなかとどまるところを知らないわけであります。しかも、科学技術の進歩というものは、それを推進していこう、これは人類のためにもなるという前向きな欲望の中においても、どんどん前に進んでいくというふうに考えるわけであります。そうすると、ただクローンをつくってはならない、クローン個体をつくってはならないということだけで、人間の、これは前を向いた善意の欲望であっても、そういう欲望を果たして抑え切ることができるだろうかということに対して、甚だ大きな危惧を持つものであります。  先ほど松野委員から、倫理と法、こういう話もありました。そして今、政務次官の方からも倫理という表現が出たと思いますけれども、先ほどからの議論の中で、倫理と法は別じゃないか、こういう視点も、岩倉委員もお持ちであるかもわかりませんが、私どもは、まず倫理があって、それから倫理が法に移っていくのではないかという考えを私は個人的に持っておるわけであります。  当然、今生存しているあらゆる人が数万年前に生きていたとは考えられないわけでありますが、その当時、本当に人を殺してはいけないという倫理があったのかどうかは、私どもは知るよしもありません。しかし、モーゼの十戒のように、三千年前ぐらいですか、数千年前に、なんじ殺すなかれ、こういうものがやはり倫理として出てきて、それが法律になっていく。そういう中で、我々は今殺人罪というものを、これはだれしもが当たり前のこととして思っている、こういう実情があるわけであります。  そういうもろもろの観点からいたしますと、ヒト胚というものについて、これを全くクローンと切り離してまず扱いましょうということについては、我々はなかなか認めるわけにはいかない。でありますから、そういう理由の中で、当然のごとく、きちっとした許可制という形で、厳しい、これでも十分かどうかはまたいろいろ議論があるところでありますけれども、そういう考え方に立って、人の生命の萌芽であるヒト胚というものを非常に大事にしていこう、こういう観点から許可制ということに至ったということをぜひとも御理解いただきたいと思います。
  54. 岩倉博文

    ○岩倉委員 倫理観とかあるいは宗教観とか国家観というのは、非常に難しい論議なんですけれども、ただ今のお話で、政府案が全く区別しているというのは、ちょっと飛躍しているのではないかというふうに思うんです。  ただ、許可制によってこれからその研究が、何かしらの阻害、あるいは精神的なことも含めて、トーンダウンをしてしまうのではないかという懸念についてはどう思われますか。     〔平野委員長代理退席、委員長着席〕
  55. 樽床伸二

    ○樽床議員 私どもは、阻害されるというふうな考え方には立っておりません。  まず、科学的な研究については、先ほどからもいろいろ議論がありますように、まだ人間以外の動物レベルから始めるべきものであろうというふうに考えます。個人的な意見をこの場で言っていいのかどうかわかりませんが、個人的には、私は人間と動物はどこが違うのかという根源的な疑問は持っておるわけでありますが、そのことを言い出すと切りがありませんから本日は横に置きますけれども、まずは人間以外の動物レベルから今始めるべき段階であろうというふうな認識をいたしております。  そういうことについて、胚の問題についても、そういう動物の胚で十分に研究を積んでからヒト胚を用いる研究をすべきである、こういう中で、まだまだ我々はそういう段階に至っていないから、非常に厳格な規制を課しても現在のところ、有益な研究が阻害されるということは今はないであろう、このように考えているところであります。  さらにつけ加えて申し上げますと、科学の進歩というのは非常にスピードが速いわけでありますから、私どもも、三年というような期限を切って、その時々の社会の状況、科学の進歩にあわせて見直しをすることについてはやぶさかではない。やぶさかではないというのはどのように受けとめられるのかわかりませんが、私どもは、そういうことについてはきちきちっと、その時代に合った、今右か左か、前か後ろかということは申し上げませんけれども、その段階に合った見直しを逐次していく中で、こういう問題にも対処していけるというふうに理解をいたしております。
  56. 岩倉博文

    ○岩倉委員 科学技術の進歩は非常に速い、したがってフレキシブルな対応が必要である、そういった中での見解の違いが、恐らく両案にはあるんだろうというふうに思います。  時間がないので次に行きますが、罰則規定についてなんですけれども、政府案は、廃案となりました前回の法案から罰則規定を引き上げておりますけれども、この罰則規定がクローン個体の産生防止ということに十分なものなのかどうかということを、政府案、そして民主党案、両方にお聞きをいたしたいと思います。
  57. 結城章夫

    ○結城政府参考人 政府案におきましては、十年以下の懲役または一千万円以下の罰金という罰則にいたしておりますが、これが抑止効果という面から十分かどうかという点の判断は、一概には断言しがたい難しい問題がありますけれども、我が国の刑罰体系の中で見てみますと、犯罪目的のサリン製造、あるいは流通食品への毒物混入といった社会を混乱に陥れる極めて重大な犯罪が、やはり十年以下の懲役というふうになっております。  そういうことを勘案いたしますと、このクローン個体の産生防止についての懲役十年という罰則は、十分な重さの刑罰ではないかと考えております。
  58. 樽床伸二

    ○樽床議員 基本的に政府と余り変わりませんが、十年以下という今政府からの答弁がありましたが、刑罰としては大変重い刑罰であるというふうに考えておりますから、十分抑止効果は期待できるというふうに考えております。  さらにもう一つ、先ほど政務次官からのお話にもありましたように、ちょっとそこら辺の、次の問題でトーンの違うところについては、当然、先ほど政府からお話があったような観点も踏まえまして、少し重さが軽くなっている、こういうふうに御理解をいただきたい。ただ、ともに十分な抑止効果は持つというふうに考えておるところでございます。
  59. 岩倉博文

    ○岩倉委員 政府にお尋ねしたいんですが、仮に我が国の国民が外国でクローン産生にかかわった場合の罰則に対する考え方について、御見解をお聞きしたいと思います。
  60. 結城章夫

    ○結城政府参考人 我が国の刑罰の適用を定める第一義的な基準は、日本の領域の内か外かの区別でございます。したがいまして、日本の領域外の行為については、特別な場合を除いて刑罰法規の適用がないのが原則でございます。  したがいまして、先生御指摘の今の事例、日本人が外国で行った場合は、政府案第三条違反で処罰することはできない、当該外国の法令で処罰していただくことになるということでございます。
  61. 岩倉博文

    ○岩倉委員 このことに対する世界の流れからいって、デンバー・サミットでの宣言、あるいはユネスコでのヒトクローン禁止条項を盛り込んだ宣言の採択というような流れもありますし、今後の検討課題として、いわゆる国民の国外犯としての扱いについてぜひ御検討いただければなというふうに思います。  時間もないものですから次に行きますが、ちょっと周辺のことなんですけれども、ラエリアン・ムーブメントとヒューマン・クローニング財団という二つの組織が、前者の方については宗教団体のようでありますけれども、日本にも数千人の会員がいる。それで、クローン人間をつくる具体的な動きをしているということでもありますし、クローニング財団もそういったことをサポートするというふうなことが報道されている。  非常に不気味な感じがするんですけれども、この団体について把握されていることをお聞きしておきたいと思います。
  62. 結城章夫

    ○結城政府参考人 報道やホームページの情報によりますと、ラエリアン・ムーブメントとは、スイスに本拠地を置く一種の国際的な宗教団体でありまして、日本にも支部を持っていると聞いております。その教義の一つとして、クローン人間を産生することを標榜しておりまして、クロネイドという関連会社をつくり、実際に人クローン個体の産生をこの会社で行うということを公言いたしております。  このラエリアン・ムーブメントからは、このクローン技術規制法案をさきの通常国会に提出いたしました際に、この法案には反対するという旨の意見書が科学技術庁あてに出されております。また、この法案の審議状況について問い合わせもあったところでございます。  ことしの八月には、クローン技術の規制のないアメリカにおいて、人クローン個体の産生に着手するんだ、そのために既に代理の母として五十人の信者を確保しているという表明を行っているものでございます。
  63. 岩倉博文

    ○岩倉委員 宗教団体による悲劇があった国でありますから、ぜひウオッチングをしていただきたいというふうに思います。  もう一つ、クローン技術というのはそもそも家畜の品種改良の中で育ってきた技術でありますけれども、その家畜クローンの現状と世界の中での日本の水準について、お聞きをしておきたいと思います。
  64. 小林新一

    ○小林政府参考人 我が国では牛を中心といたしまして家畜クローンの研究が取り組まれております。  受精卵のクローン牛につきましては、平成二年の八月に誕生しまして以来、この九月末時点で三十六の試験研究機関などで五百五十七頭が誕生しております。  また、体細胞クローン牛でございますが、平成十年の七月に成体からの体細胞クローンの作出に世界で初めて成功したわけでございますが、それ以来、この九月末時点で、二十九の試験研究機関で合わせまして百八十九頭が誕生いたしております。  また、本年一月には、体細胞クローン牛から再び体細胞クローン牛を誕生させる、リクローンということでございますが、これに成功いたしております。  また、牛以外でございますが、世界で二例目ということですが、豚の体細胞クローンがこの七月に農林水産省の畜産試験場で誕生しております。  このように、私ども、我が国の家畜クローン技術につきましては、世界的に見ても高い水準にあるというふうに考えております。
  65. 岩倉博文

    ○岩倉委員 いろいろ質問させていただきましたが、一日も早い成立が待たれている法案でありますので、十分な審議をして一日も早い成立を期待したいと思うんです。  最後に、ヒトクローンではないんですが、せっかく大臣がお見えですので、国際熱核融合、ITERの問題につきまして、現在、非公式政府間協議が継続されておりますけれども、ITERの現状と今後に向けての基本的な御姿勢について、せっかくの機会でありますからお聞きをし、私の質問を終えさせていただきたいと思います。
  66. 大島理森

    ○大島国務大臣 岩倉委員のクローンに関する御質問を伺いながら、できるだけ早い成立を改めてお願い申し上げたい、このように思います。  さて、ITERの問題でございますが、御承知のように、今原子力委員会のITER懇談会、ここにおいて政府としての考え方を集約したく議論をしているところでございます。ITER懇談会におきましてはいろいろな議論をしていただいておりますが、先般、懇談会の概要をいろいろ伺いましたら、一番その中で議論しているのは、資金的な圧迫に対する他の研究に対する懸念という議論が一つ非常に議論になっておりました。  したがって、そういう問題をどのように考えていくかということが、確かに我が国がITERについて取り組むときにきちっとしておかなければならない問題だなということもございます。いずれにしても、来年の夏ごろを目途に各極とも国内誘致の是非を表明するものと思いますし、国内誘致について、このようなタイミングを念頭に置きまして、そして判断してまいりたい、このように思います。  我が国においても、ITER誘致の国内における積極的な動きが見られる状況でございますので、まず国の方針をどのように決めるか、それと並行して、そういう観点に立って国内をどのように考えていくかということをこれからスケジュール的に考えながら、きちっとさせながら、余裕を持って国としての結論を出さなきゃならぬな。今年中には、できればITER懇談会の結論をちょうだいし、その上に立って調整を国内でして、そして公式の政府間協議、そういうものは多分いろいろな、夏ごろを目指してサイトのことも決めながら議論していかなきゃなるまい、こう思っております。  どうぞ、各党におかれましても、このITERの問題にどのように処していくのか大いに議論していただきながら、また私どもの方とも意見交換をさせていただければと思っております。  以上が今の現状でございます。
  67. 岩倉博文

    ○岩倉委員 ありがとうございました。以上で質問を終わります。
  68. 古賀一成

    ○古賀委員長 山谷えり子君。
  69. 山谷えり子

    ○山谷委員 ヒトに関するクローン技術のあり方ということで、生命倫理全般にまたがる問題と私どもは考えているわけでございますけれども、政府案を策定するに当たりまして、科学技術庁主導の縦割り論議のプロセスに問題はなかったかということをお伺いしたいんです。
  70. 大島理森

    ○大島国務大臣 民主党の提案者であられる山谷さんから、縦割りではなかったかという、その縦割りではなかったかという意味がよくわからないんです。どういうことをもって縦割りとされるか。そのことをもうちょっとお話ししていただければ、お答えができるんじゃないかと思います。
  71. 山谷えり子

    ○山谷委員 厚生省では、厚生科学審議会がクローン問題を含む生殖医療技術のあり方に関する審議などをやっておりますし、あるいはまた文部省学術審議会で、クローン研究における新たな倫理的問題等に関するワーキンググループというのがあるわけでございますし、また、ずっと以前ですけれども、中曽根総理が、もっと大きな枠組みで随分研究というか、ああいうような会議を何回にもわたって開かれたわけです。いろいろなところでいろいろな審議、議論がありながら、何か今回、急ぐ余りにえいやっとまとめてしまったのではないかなと。
  72. 大島理森

    ○大島国務大臣 物事というのは、いつか結論を出さなければならないものでございますし、会議ばかり踊ってはいけないことだと思っておりますが、私ども、今先生御指摘いただいた部分については、平成九年、橋本内閣のときにおいて、科学技術会議の生命倫理委員会のもとに小委員会を中心に議論が始まりました。その審議のメンバーは、先生もメンバーを見れば御承知だと思いますし、各般にわたって国民の皆さんの参加もいただき、そして、その審議はすべて公開をされております。  したがって、科学技術庁がえいやっとやった話ではなくて、九年、十年、十一年、そういう時間をかけ、さまざまな議論をし、もちろん、厚生省も文部省もその審議会には主要なメンバーとして入っておりますし、そういう意味で、だれかがやはり企画をし、あるいはやらなきゃなりませんが、それは科技庁が確かにそこの中核というか、そういうものをする役所としてやっておりますが、意見は国民各般各層の御意見を聞きましたし、厚生省、文部省、またかかわる多くの人々の意見も伺わせていただきました。そして、それが公開をされた中での議論である、こういうことが一番大事だと思っております。  そういうふうなプロセスを経て、縦割りではないかということに対して、私どもは、縦割りではございませんということをお答えさせていただきたいと思います。
  73. 山谷えり子

    ○山谷委員 生殖医療技術のあり方にも深く絡んでくる問題でございますし、倫理的問題なども絡むわけでございますけれども、本当に科学技術庁省庁の手に負える問題ではないと私は考えておりますので、生命科学に関する何か大きな提言機関などというものはやはり必要ではないかというふうに考えております。  次に、いつから人として絶対に侵してはならない存在かという平成十二年の科技庁のアンケートでございますけれども、受精の瞬間からという人が三割、一方、わからないというのも三割いらっしゃるわけでございます。大臣は、いつから人として絶対に侵してはならない存在というふうにお考えでございますか。
  74. 大島理森

    ○大島国務大臣 大臣としてどう思うかというより、大島としてどう思うかという御質問であったと思うんですが、非常に難しい話だなと思っております。  いずれにしても、人間の存在あるいは萌芽というお話がありました。胚は萌芽。生命はいつから始まるか、これは、私は個人としても今ここでああだこうだと言うことはなかなか答えづらいのでありますが、確かに、科技庁のアンケートというと、三割は受精の瞬間からとお答えになっている人がありましたし、人間の形がつくられる時期以降というのが四割だ、私こういうふうに伺っております。  大島理森としてどこからかと言われても、私が個人として答えることは大臣として答えることでございますので、なかなかここだということは言えませんが、この二つのデータを見ますと、その辺かなという感じもいたします。
  75. 山谷えり子

    ○山谷委員 非常に悩ましい、国民も本当に悩んでいる状況だというふうに思います。  それでは、ヒト胚あるいは余剰胚の取り扱いについてはどのようにお考えになられますでしょうか。
  76. 大島理森

    ○大島国務大臣 ヒト胚をどのように考えるかという、非常に漠然とした御質問でございますが、多分、人の生命とのかかわり合いでヒトの胚はどう思われるかということでございましょうか。要するに、ヒト胚はどう思われるかと言われましても、ヒト胚はヒト胚だと思います、こういうふうに答えざるを得ないので、質問する項目がもう少し具体的であれば、何かさらにお答えをして、議論を重ねたいと思います。
  77. 山谷えり子

    ○山谷委員 ヒト胚は生命の萌芽であるというふうに民主党は考えているわけですけれども、政府は、単なる細胞の蓄積と考えるのか、そのあたりなんです。
  78. 大島理森

    ○大島国務大臣 法律的に、ちょっと民主党さんと私どもと言葉の概念の共通認識を持ちたいと思うのでございますが、山谷先生たちがお出しになっているヒト胚というのを、私どもはヒト受精胚、このように申し上げております。これは、ある意味では共通した概念ではないかと思います。あるいは、我々が特定胚と言っているのも、民主党さんは人の属性を有する胚というふうに言葉として言っている。言葉の違いはあるけれども、そういう意味が共通しているということを踏まえて、お答えをしたいと思います。  科学技術会議生命倫理委員会ヒト胚研究小委員会の報告書において、政府案に言うヒト受精胚の位置づけとして、人の生命の萌芽としての意味を持ち、ヒトの他の細胞とは異なり、倫理的に尊重されるべきである、このようにしておるところでございます。  一方、その取り扱いにつきまして、現時点では、法的に規制することについてまだ国民の間で合意は得られていないのだ、ヒト胚研究全般の規制のあり方について、社会のヒト胚の扱いについての意見をくみ上げつつ、今後議論を深めるべきと。私どもは、この報告を尊重しながら今の法案をつくらせていただいた、こういうことでございます。
  79. 山谷えり子

    ○山谷委員 クローン技術の前提ともなる余剰胚の扱い方なんですけれども、上流における状況をそのままにしておいて、下の方の下流の問題のみを扱っているという違和感は、やはり持たざるを得ないというふうな印象でございます。  また、クローン技術といえば、ES細胞研究というのを無視することはできないわけでございますけれども、政府案ではES細胞に触れておりません。そのES細胞研究については、どのようにお考えでございましょうか。
  80. 大島理森

    ○大島国務大臣 民主党さんの提案を分析して、そして研究させていただきますと、私は、本会議でも、最初のときよりは少しは近くなったのかなという感想を漏らした理由は、初めは、たしか生殖補助医学研究ですら対象にしようという御議論があったことを承知しております。それは、余剰胚というものに対して、そこに使うのであればそこはいいよという、この余剰胚という問題についての研究への道筋を、ある意味では許容しておられる。しかし、同じ余剰胚であっても、ES細胞の部分だけは、これは許可にしなさいというふうな御主張だと思うんです。  私どもは、ES細胞そのものについて、それだけでは個体にならないために、法規制が不可欠ではないということが一つでございます。それから、ES細胞そのものの研究が本当にスタートしたばかりでございまして、これからどのような技術的進展が見られるのであろうか。したがって、そういうことから、柔軟な対応が望ましい。  何も、野方図にしていく、野方図なんだということではなくて、むしろガイドラインという法律によらない規制が妥当だと。研究開発というもののこれからの進展というものと、しかし一方においては、ある一定のものをきちっと踏まえてもらわなきゃならぬという意味で、法律で国家がそこをがちっと押さえるというよりは、これから議論させていただいてガイドラインという中で規制をしていくという方が妥当だ、このように判断したところでございます。
  81. 山谷えり子

    ○山谷委員 報道によりますと、アメリカのワイセル研究所がES細胞を大学などに有償供給する事業を始めるという報道があったわけですが、数十万個の細胞を含む容器二つをセットに、大学、研究所に五千ドルで、企業にも組み合わせに応じて十倍程度の価格で販売する、日本ともライセンス契約交渉中かなどということが報道されているわけです。  ES細胞研究スタートといいますと、営利企業による商品化、学者の功名心、国際競争、本当にさまざまな競争の中、あるいは商業主義の中に入っていくわけでございます。だからこそ、倫理の問題を不問にしてはいけないというふうに思うわけでございまして、それを後ほどのガイドラインでというのは、何か納得できないものがあるわけでございますが。
  82. 大島理森

    ○大島国務大臣 これはES細胞だけの議論というよりは、今先生がおっしゃる議論は、科学技術という問題における基本的な考え方としてとらえなければならない問題だと私は思うんです。  あらゆる研究開発というものも、それが何のために使われるか、何のためにそれを使うか、そこを押さえないと、私は、科学技術というのは、それだけのために動いていくということはあってはならぬことだと思うんです。したがって、極端な言い方をしますと、そこにいる研究者が、そういう覚悟を持って事柄に当たっていくという姿勢がないと、ES細胞だけの問題ではなくて、今あらゆる科学技術、あるいは医療現場のさまざまな事故を見ましても、本当に根底的な、法律で幾ら科しても最後に問われるのはその人の倫理だと。  しかし、さはさりながら、そういうことを最低限押さえるためにも法律というものがあるわけでございますが、ES細胞の場合、今先生が御心配されるような、例えば売買でございますとか、あるいはまたそのために受精胚をなにするとか、そういうものに対して、やはりそこはガイドラインできちっと対応も、率直に言って、山谷先生も私も、どういう姿がそこに今生まれてくるかというのは余り技術的にはわからない部分があります。  したがって、専門家の皆様方の意見を聞きながら、また押さえなければならないところは、そういうふうな意味ではもう少し議論をさせていただいて、そしてまずガイドラインでそこを押さえていくという方が、研究開発の進展性とルールづくりというのでしょうか、その均衡ある観点から考えると、ガイドラインということでまずやっていこうということの方がいいと私どもは判断をした次第でございます。
  83. 山谷えり子

    ○山谷委員 ガイドラインでいろいろな変更とか中止とか立入検査などをやっていくのでしょうけれども、クローン技術の場合、本当に大したお金もなくて小さなところでできてしまうということで、やはりこの際、倫理の問題を不問にせずに、包括的な、民主党のような法案でいくべきではないかというふうに考えているわけでございます。  次に、特定胚の胎内への移植について、政府案では、法律で一部特定胚を禁止しているけれども、そのほかについてはガイドラインにというような、この扱いが違うわけですね。矛盾を感じるわけでございますけれども、その辺は、なぜ法律で禁止する部分とガイドラインにゆだねる部分と分けたのでしょうか。例えば、動物性融合胚というのはガイドラインにゆだねるというような形になっているわけですけれども、いかがでしょうか。
  84. 渡海紀三朗

    ○渡海政務次官 先ほどから、どういう分け方の整理かということは議論になっているとおりでございます。  ヒトクローンの個体産生ということに関して法律で禁止をする、この分け方の一つの基準は、もちろん倫理の問題もございますが、一つ大事なことは、やはり非常に反社会性が強い、これが一つの基準になっておるわけであります。  もう一点は、私はこのように考えております。これも先ほどから議論になっておりますが、大変いろいろな意見がありまして、やはりその中で、まず緊急を要するもの、そしてコンセンサスがとれたものといいますか、とれるもの、こういう基準で、この四つを今、個体産生を禁止するという法律に政府案はなっておると承知いたしておるところであります。  一方、それ以外のものにつきましては、先ほど来これも議論になっておりますが、研究開発の問題とかは非常に進歩が速いわけでございます。科学的知見というものが、実はあるとき一瞬にして崩れてしまうというふうな分野であります。私は、もちろんきっちりとした議論もしなきゃいけない、きっちりとした規制をかけるべきものはかけなきゃいけないと考えておりますが、しかし同時に、このことがこれから先のさまざまな新しい、例えば病気治療であるとかそういった人間にとって非常に役に立つ、こういう研究開発につながるという部分もあるわけでございますから、その辺の見きわめというものをしっかりやる。  しかし同時に、これはちょっと話が長くて恐縮でございますが、おとといですか、ある方が非常にいいことを言っておられました。個人事で恐縮でございますけれども、理研が横浜にゲノム研究所というのをオープンいたしまして、その開所式に行かせていただいたときに、元の文部大臣の有馬先生が、物理学者が犯した間違いをライフサイエンス、生物の皆さんに犯してほしくない、物理は、実は核というのは武器から始まった、これからライフサイエンスに従事する人はそのことを十分考えて研究をしてほしい、こんなことをおっしゃっておられました。私は大変いい言葉だなというふうに思いました。  そういった意味において、要は、非常に人類の役に立つ研究開発、そして同時に、そうでないものの見きわめをやはりその場その場、時代の流れの中できちっとつけていきながらやっていくということで考えれば、やはり指針というふうな方法でやればいいんじゃないか。  なお、余分でございますが、先ほど科学技術庁は縦割りというふうに言われたわけでありますが、これは決してそうではないと私は思います。そして、事実、先生もネクストキャビネットの大臣でございますから御存じだと思いますが、来年の一月からは実は総合科学技術会議というのは内閣府というところへ移って、総合調整をやりながら、その下の機関として今回のまた倫理委員会というものを続けていくわけでありますから、そのことを考えていただければ、きっちりとした議論がしていただけるのではないかなというふうに思っております。  なお、動物性融合胚、これは質問がございましたけれども、ヒトの要素は持っておりますけれども動物の亜種というふうに位置づけられておりまして、基本的には動物であるということで、実はヒトクローンとは分けたというふうにお考えをいただきたいと思っております。
  85. 山谷えり子

    ○山谷委員 動物性融合胚に関してなんですけれども、動物の細胞核を脱核したヒトの卵子に移植することにより作成される胚ということで、それを動物移植すると、ヒトの細胞質を持った動物の誕生ということが実現する可能性がある。これは、いいのではないかということなのでございましょうか。
  86. 結城章夫

    ○結城政府参考人 動物性融合胚という御質問に申し上げますが、人間の卵子から核を取り除く、つまり遺伝情報を取り除きまして細胞質だけにしてしまいます。そこに動物の核、つまり遺伝情報を入れるということでありますから、ここでできます胚は、動物の遺伝情報を持って人間の細胞質、ミトコンドリアその他の細胞質を持ったそういう融合胚になるわけでございます。これを母胎、母胎といっても動物の母胎ということになると思いますけれども、母胎に戻しまして、生まれてくるものは、これは遺伝的には動物でございまして、ただ人間の細胞質を持っているという意味で融合されておるということでございます。  そういう基本的に動物をつくることでございますので、これが人クローン胚と同じように十年以下の懲役に処すべき犯罪であるとまでは言えないのではないかという考え方でございます。
  87. 山谷えり子

    ○山谷委員 続きまして、ヒト集合胚の件なんです。これもガイドラインにということなのでございますけれども、ヒト集合胚というのは、ヒトの胚にその胚と一体となって分裂、成長することが可能なヒトの細胞を結合させることにより作成される胚ということで、これが進んでいきますと、体の一部が別人由来の細胞というような誕生も考えられるわけでございますけれども、これはよしとするということでしょうか。
  88. 結城章夫

    ○結城政府参考人 今お話ございましたように、ヒト集合胚といいますのはヒトとヒトのいわばキメラでございまして、一人の人の中に二つの遺伝子の部分があるということでございます。ただ、これはあくまでも外見は人でございます。  これは、具体的には、例えば二卵性双生児が子宮の中で一方が他方に吸収されるというような場合に、自然にも起こっておるというふうに聞いております。そういう二種類の遺伝子構造を持った、それが集合した、混合したような形のヒトというのは現に生まれておりますし、もう一つ考えてみますと、臓器移植をした場合、ある人の中に他人の遺伝子を持った例えば肝臓が入るということ、これはヒト・ヒトキメラということになっておりまして、こういうことも現にあるわけでございます。  したがいまして、そういう個体をつくることがやはり十年以下の懲役に処すべき犯罪とまでは言えないのではないかという考え方でございます。
  89. 山谷えり子

    ○山谷委員 続きまして、ヒト胚核移植胚に関してなんですけれども、胚を分割したそれぞれの細胞の核を核を取り除いた未受精卵へ移植することにより胎児へと成長するということで、これは人為的な一卵性多児も可能ということだと思いますけれども、それはよしとするということでしょうか。
  90. 結城章夫

    ○結城政府参考人 ヒト胚核移植胚でございますけれども、これは、ヒト胚がある程度分裂をしたヒト胚から核を抜き出しまして、それをやはりヒトの除核卵に入れていく、それを複数個つくるというものでございます。したがいまして、これは生まれてくる赤ちゃんは当然人間でございまして、人間の要素しかございません。動物の要素は入っておりません。  それで、これは既に存在する人のクローンができるわけではなくて、生まれてくる赤ちゃん同士がクローンの関係になっているということでございまして、これは自然の一卵性双生児などでも見られる現象であります。したがいまして、こういう個体をつくることがやはり十年以下の懲役に値する犯罪であるというわけにはいかないのじゃないかというふうに思っております。  そういうことでございますけれども、やはり問題をはらんだ胚でございますので、これを母胎に戻すことは、十年以下の懲役にはしないわけですが、法律に基づく指針でこれは認めないということにしたいと思っております。
  91. 山谷えり子

    ○山谷委員 ヒトクローンをつくっては、コピーをつくってはいけないということは、本当に皆さんが一致することだというふうに思いますけれども、今申し上げました動物性融合胚、ヒトの細胞質を持った動物の誕生、あるいはまたヒト集合胚、体の一部が別人由来の細胞となるヒト、あるいはまたヒト胚核移植胚、人為的な一卵性多児も可能なものでございますけれども、このようなことに、やはり国民は、そのようなこともあるのかということを知らない状況であるというふうに考えております。  ですので、法律で禁止する部分あるいはガイドラインで禁止する部分というような分け方ではなくて、法律で禁止して解除要件を法律で定めて、個別審査で禁止を解除していくやり方というものもあるのではないかと思いますけれども、その辺はいかがでございましょうか。
  92. 結城章夫

    ○結城政府参考人 法律に基づく指針で禁止しておるものを解除するということでございますけれども、政府案では指針で禁止しているものを法律で禁止するということは、それを行った場合は、それは犯罪として処罰するということでございます。したがって、犯罪行為ということになっておるものがある時点から犯罪ではなくなるということは、それはそう簡単にできることではないというふうに思っております。
  93. 山谷えり子

    ○山谷委員 ですので、最初から法律で禁止したらいいのではないかというふうに思いますけれども。つまり、人権侵害とか科学技術などの暴走を防ぐという基本を踏まえまして、例えば今三つを申し上げたわけでございますけれども、国民の意見を広く聞いたとは思えませんし、国民も、これに関してそういう形でいいのかということに疑問を持つ皆さんは多いのだろうというふうに思います。  ですので、民主党案は、法律で禁止する、ただし、もちろん科学技術の物すごい進歩、スピードというのはわかっているつもりでございますので、十分に基礎研究をして、三年以内の見直しということを上げているわけでございます。そのような形にしないというのは、これはどういう意図のもとに、ですからその部分をざる法なんというふうな表現もさせていただいているわけでございますけれども、いかがでしょうか。
  94. 大島理森

    ○大島国務大臣 今先生が御指摘いただいたところは、いわゆる集合胚とかそういうものの、そこの部分だけをお話しされておられるのですけれども、それによってどういう胚研究の有用性、今後可能性として、国民の多くが悩んでいる、多くのという言葉はいけませんが、本当に例えば不妊で悩んでおられる、あるいは先天的にいろいろな障害を持って悩んでおられる、そういう方々に対する可能性としての診療技術あるいは科学技術がどういう進展をするか。やはりそこもきちっと、それぞれの胚、あるいは将来そこから生まれる胚研究の有用性というものをバランスよく国民の前にお知らせした上で、判断してもらわなければならぬと私は思います。  したがって、できれば今局長の方から、それぞれにおいて、こういう胚にはこういう可能性があります、そういうことをやはり報告してもらった上で、そして総合的に判断していただかないと、そこの部分だけを見て倫理と生命ということだけでお話しされますと判断が間違うような気がしますので、局長からその辺を踏まえて答弁をさせたいと思います。
  95. 結城章夫

    ○結城政府参考人 九種類の胚がございますけれども、人クローン胚及びヒト性融合胚、この二つは核移植により作成される胚でございますけれども、これは拒絶反応を起こさない細胞や組織を得ることが可能になるという指摘が生命倫理委員会の報告でなされております。  それから、ヒト胚核移植胚でございますけれども、先ほどの、人工的につくる双子でございますけれども、これは細胞質に存在するミトコンドリアの異常を原因とする疾病の発病予防のために核移植を応用することについて、可能性があるという指摘がなされております。  それから、動物性集合胚、動物の中に人間の部品が入っているものでございますけれども、これについては、近い将来、特定の組織のみにヒト由来の細胞を集める技術が開発されますと医療応用が可能となる、つまり、移植用の臓器を動物の体内でつくるということでございます。この技術によって拒絶反応のない臓器の作成ということが可能になることが期待されております。
  96. 山谷えり子

    ○山谷委員 残念でございますけれども、時間が来ました。いろいろお話を伺いまして、やはり倫理的な問題も踏まえた包括的な法案というものが必要であろうというふうに考えます。なぜならば、基礎研究の部分がまだまだできていない状況で、そして民主党も、三年以内の見直し、その手前は、まだここまで進まないで基礎研究のところをきっちり固める必要があるのではないかということで、法案を提出させていただいておりますので、その辺を考えていくことが大事ではないかと思います。  ありがとうございました。
  97. 古賀一成

    ○古賀委員長 午後一時から再開することとし、この際、休憩いたします。     午前十一時五十五分休憩      ――――◇―――――     午後一時二分開議
  98. 古賀一成

    ○古賀委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  質疑を続行いたします。近藤昭一君。
  99. 近藤昭一

    ○近藤(昭)委員 民主党の近藤昭一でございます。  今回のクローン技術の規制に関する法案について質問をさせていただくわけでありますが、私どもも、私たちはこう考えるということで対案を出させていただいたわけであります。  私も、科学技術委員会にずっと所属をさせていただいておりますが、さまざまな場面で、技術の発展をとるか、あるいは一歩足をとめて、いろいろな情勢を勘案しながら、いろいろなバランスをとっていくべきかということではさまざま悩むわけであります。  特にこの間、原子力の問題で、多くの事故といいましょうか、事件と呼んでもいいようなことも起こったわけであります。そういったときに、本当にこれから二十一世紀に向けて、確かに資源がない日本のようなこういった国で原子力発電の持つ有効性があるのかなと思ったり、あるいは、先般のJCOの事故を見ましても、原子力、核の問題というものは本当に遺伝子にまで影響を及ぼすということで、一たん起こると大きな取り返しのつかない事故に発展する。科学そのものは信頼を寄せられるものかもしれないけれども、やはり科学の安全性、これには何とも予想できないような、避けられないような事故的なことが起きる。  そういうことを考えますと、もちろん我々が、日本という国が科学技術立国を目指していく、そういう中でさまざま研究を促進していく、これは経済的なこととも絡んでくるわけでございまして、日本の今後のあり方については大変重要である、けれども慎重な上にも慎重な論議が必要だ。  また、単純にそういった技術の安全性だけではなくて、そのことがさまざま人間の精神に影響してくる。特に今回のクローン技術については、人間の精神的なことにも非常に大きな影響を与えるんではないかというふうに考えるわけであります。  そういった意味で、先ほど大臣からもお話がありました。この法案の冒頭でお話があったと思います。ことしの通常国会で提案をされたけれども審議にまで至らなかったという経緯の中で、ヒトクローンができてはならない、だからこそ早く、お互いに協力してというメッセージもあるのかと思いますが、成立させようではないかという御提案があったんだと思います。  そこで、幾つか、その法律の根本、理念についてお伺いをしたいと思います。  政府案では、特定の人と同一の遺伝子構造を有する人もしくは人と動物のいずれであるか明らかでない個体をつくることが人の尊厳の保持に重大な影響を与えるとして、人クローン個体等の産生を禁止しているわけであります。  しかし、人の生命の尊厳の根拠とは、ここで言う、他の人のコピーでないこと、ヒトを他の動物とまぜないことだけなんであろうか。これは私の感じるところだけかもしれませんが、政府案は人の尊厳をかなり狭く限定しているんではないか。そして、大変失礼かと思いますが、人の生命の尊厳をかえって矮小化して、結果的にかえって損なうことになってしまっているんではないかというふうに考えるわけでありますが、いかがでありましょうか。
  100. 大島理森

    ○大島国務大臣 近藤委員が冒頭にお話しされた原子力の問題も含めて、科学技術の発展と、そしてそれに伴ういろいろな問題、そういうことから、悩みながら判断をし、また考えてきているという、政治家として非常に率直な、良心に基づいた吐露をされました。私は、科学技術というのは、進歩すればするほどいわば専門的になっていく、そして、専門的な世界に入り込めば入り込むほど全体が見えなくなるという恐ろしさを持っているということをわかりつつ、今先生がまさに吐露された、悩みながらというここのポイントは、とても大事なことだ、このように思います。  我々が科学技術政策を行うに当たり、選択、集中、重点ということを行いながら、国家としての戦略性を持って進めていくという必要性と同時に、幅広い人間としての教養、そこにはモラルもあれば文化性もあれば、そういう上で科学技術政策というものを判断していかなければならないのであろう、そこにおいては同感をいたすところでございます。  さて、そういう意味で、政府案は人間の尊厳というものを狭めて考えていないだろうかという御指摘であったと思います。  私どもは、人間の尊厳であればあるほど、実はもう一方の、今多くの人々の中でさまざまな、病気でありますとか、あるいはまた先天的に持っている障害でございますとか、そういうものを乗り越えることも、人間の尊厳を大事にするという視点からの我々のわざではないだろうかとも思うわけです。  そういう状況の中で、人間の尊厳というものをまずきっちりと基礎的に大事にするために、私どもは、クローン人間等の産生を禁止する、ここだけは、どんな宗教を持とうが、どんな文化の背景を持とうが、あるいは国境が違おうが党派が違おうが、今共通する認識でありますなと。だとすれば、そこのところをきっちりと、もう絶対やってはいけないことだ、そういう個体をつくってはならないことだということで、内外に日本という国の意思を明らかにすることの緊急性をもって私どもは今度の法律をつくらせていただいた、提案をさせていただいた。  一方、先ほど申し上げましたように、しかし、この技術から生み出されるであろうこれを取り巻くいろいろな可能性、先ほど局長もお話ししましたが、逆に人間の尊厳というものを大事に考えるがゆえに、そこから生まれるかもしれない科学技術的な有用性というものに可能性を与えておくということも必要である。そういうバランスを踏まえて、私どもは、生命科学の発展を期したいという意味でこの法案をつくり、ある意味ではどちらも人間の生命の尊厳という視点に立ったものだ、このように思っております。
  101. 近藤昭一

    ○近藤(昭)委員 大臣おっしゃるとおり、ヒトクローンについては、あってはならないということは、先ほど私も答弁の中でお話しさせていただいたように共通の認識だと思うんです。  ただ、私が今質問の中で申し上げた、矮小化といいましょうか、それは人によっては矮小化ととらない方もいらっしゃるかもしれないけれども、矮小化ととる人もいる。つまり、今大臣が答弁の中でおっしゃった、ヒトクローンを禁止するんだという日本の意思を、これは世界的な協調が必要な規制でありますので、そういう意味では日本もいち早く、ことしは日本でサミットも行われました。かつてのデンバー・サミットでこのクローン技術についての危惧が話し合われたわけでありまして、そういった意味では、沖縄サミットでもきちっと日本の意思が示せればよかったのではないかと私どもも思います。  ただ、それには、私どもが今回法案を出させていただいたことで申し上げますと、幾つかもっと議論をすべきところがあるのではないかということと、今申し上げた矮小化がかえってあるのではないか、そこが心配であります。  つまり、ヒトクローンは確かに禁止をされた。しかしながら、人と動物、私も今回法案をつくるに当たっていろいろと勉強しても、ヒトと動物の集合胚とか融合胚とか、何か聞けば聞くほど、何となくそのときは納得をしても、後になると、いや待てよ、何だったかなみたいな感じになってまいりまして、非常に難しい部分があるんです。先ほど午前中の質問の中にもあったと思います。ヒトと動物をまぜ合わせるような実験、それは最終的には動物になるのだから、そういったものはヒトとはとらえられない、動物ととらえるんだというお答えであったと思うんです。  ただ、そういったことが、実験については法では禁止されていない、たしか届け出制だったと思うんです。こういったことが、人の尊厳ということでいいますと、確かに冒頭申し上げました科学技術の発達というものは大事であります。しかしながら、これは精神的にもさまざまな影響をしてくると思う。そうすると、ヒトと動物をかけ合わせるような実験が、私どもが政府の案に対してざる法という失礼な言い方をしているかもしれませんが、そういった側面で出てきてしまうのではないか。  つまり、ヒトクローンだけはつくらないかもしれない、しかし、人の生命、人の尊厳というものをいじるような実験が幾つか抜け落ちていってしまうのではないかということを心配する。ですから、せっかく日本がヒトクローンは禁止するという意思は示せても、その周りの部分で日本は大丈夫だろうかという心配が出てきているわけであります。先ほどの質問と似ているところがあるわけでありますが、その辺はいかがでありましょうか。
  102. 大島理森

    ○大島国務大臣 近藤委員の、情念的といいましょうか、情念的というと大変誤解を与えるかもしれませんが、ヒトと動物の胚、そういうものがもしできたとすることが、我々の常識、倫理あるいは人間の尊厳という観点からどうであろうかということだけを問われますと、それは、我々は、そんなことが堂々とまかり通って変な個体が生まれるというところまですぐ結びつけた上でのいろいろな判断をする場合がございます。  確かに、そういうふうなところだけを考えますと、いろいろな疑問を呈する方があろうかと思いますが、先ほど申し上げましたように、我々は、そういうふうな可能性の中にも、やはり胚研究の有用性というもの、それはすなわち、繰り返して恐縮でございますが、本当に生まれながらにして持っているいろいろな障害、病気というものがあって、今なおいろいろな困難に立ち向かいながら一生懸命生活しておられる方々がおられる。もしそこを治すことができるならば、そこを乗り越える技術ができているならばという思いは、特にそこの家庭の人、御本人にすれば、もう毎日のように考える場合があるのだろう。  そういうところに研究の有用性が、可能性があるとするならば、法律で禁止するところと、もちろん今言ったように、どんなことがあったって個体にする母胎への移植というのは禁止するということは、これは私どもも指針でそういう方向性を持つわけでございます。だとすれば、そこの管理をきちっとして、なおかつ、もしその管理規定あるいはそういう指針に違背した場合は、懲罰、罰則を設ける指針でございますので、そういうことで押さえながら、そして有用な研究に対する環境をつくっていくというのが、先ほど来私が申し上げた、生命科学の発展を期するということと人間の尊厳というもの、そういうものの調和であり、しかし、思想の根底はどちらも人間の尊厳でございますという、そういう中で考えた法案であります。  私どもは、決して狭隘な人間の尊厳論を持っているものでもありません。先生と同じように、さまざまな議論、多くの議論をしながら、ある意味では議論をするということは、そこに悩みながら政府案を出して、国会の場で大いに議論をしていただこう、こういうことで決して出させていただいた次第でございます。
  103. 近藤昭一

    ○近藤(昭)委員 多分、これはかなり多分だと思うんですけれども、理念的な部分ではまさしく大臣と一致させていただけるのだと思うんです。  ただ、その中でどういうふうに、最低限という言い方がいいのかどうかわかりませんが、最低限とあえて申し上げますと、ヒトクローンの産生を禁止する、しかし、その関連のところをではどういうふうに絞っていくかということなのだろうと思うわけであります。  先ほど来、大島大臣からもちょっと話がありましたが、病気とか事故で片腕あるいは片足等々を失った、ちょっと考えるのは嫌なんですが、例えば自分がそうなったとき、そういう欲求というか自分の欲望から逃れられるのかなと思ったりします。  ただ、人間というものが、あたかも部品をかえていくように、手が悪くなったから手をかえていく、足がなくなったから足をつくってつける、あるいは胃が、肝臓がと、そういうふうにあたかも部品をかえていくようにかえる社会というものが、本当に、こういうものは一人だったらいいという問題とは違うかもしれませんが、例えば自分だけだったらそれは社会に影響はないかもしれない。環境問題などもそういうところがあるかもしれません。自分だけがごみを捨てるのだったら大したことないかもしれないけれども、何十万人、何百万人の人がごみ箱でないところにごみを捨てていけば、物すごい影響が出てくる。  つまり、そういったことがどんどんと治療等々で認められていって、どんどん進んでいく、そういったことがどんどん社会の中に大きくなってくることの与える影響というのは、これは杞憂かもしれませんけれども、僕は大変に心配をする。ですから、そういう意味では、私は、やはり最初のところはなるべく厳しくしておいていいのではないか。  逆に言いますと、科学技術の進歩というのは物すごいスピードであります。ですからこそ、私どもは三年以内に見直しという期限を区切った。三年というのは割と短いのではないかなという感覚をしております。  逆に言うと、科学は、先ほど来からもありましたように、予備的実験、さまざまな実験をやることが、技術が進歩しているわけでありますから、いきなり人に適用しなくても、進歩しているがゆえにさまざまな実験が可能である。そして、そういうことをやることによって、かなりのことが知見できるといいましょうか確認できる。  だから、このことについては、もう完全に、私どもの法案でも合理性等々の言葉を使わせていただいたわけですが、つまりそういった確認をきちっととることができるのではないか。そういういわゆる測定の物差しとしても、科学の進歩というものが大きなことになるのではないかなというふうに考えているわけであります。  ですから、私どもは基本的には、倫理的には大変に共通させていただいている。ところが、縛るところでいうと、もっと厳しく。そして、それについては、これだけ科学が発展しているのだから準備をしっかりやる。本当に安全なもので、さあ、人にというような考え方の方がいいのではないか。この辺がちょっと違うのかなというふうに思います。  先ほど大臣も私どもの議員からの質問に、生命が始まるところ、なかなかお答えにくそうだった。それは多分、大臣としてのお立場だけではなくて、なかなかこれは一人の人間としても、私もさっき私の悩みを申し上げましたが、自分がこういう技術の進展で何でも部品が取りかえられたら、やはり欲望としてという思いと、でも、では聞かれて、生命がどこから始まるかと言われれば、早い受精卵の時期かなとか、悩むわけであります。  ところで、何度も何度も出てきているわけでありますが、生命の尊厳に関しては、科学技術庁からことし三月に出されました生命倫理に関するアンケート調査を見ますと、やはり多くの方が、そうやって聞かれると、受精の瞬間から人として絶対に侵してはいけない存在であると考えると回答していらっしゃる。また、四割が、ヒトの受精卵の研究利用は厳しい条件下でと。だから、かなりの人が、まあ確かにそうだけれども、技術の進歩は大事だから、厳しい条件下のもとだったら認めてもいいのではないかと、非常に常識的なことを考えているのではないか。しかしながら、二割の回答の方が、受精卵の研究利用は認めるべきではないという答えも出している。  ということは、本当に多くの方が、ヒト胚も人の生命の萌芽として、明確な基準もないまま研究に使われるというのは、やはり人の生命の尊厳を損ない、人の生命の物化、また軽視につながるおそれがあるのだと考えているのだと思うのです。  また、これはそういったアンケートだけではなくて、政府の科学技術会議の生命倫理委員会ヒト胚研究小委員会における報告書にも、ヒト胚は生命の萌芽としての意味を持ち、倫理的に尊重されるべきだとあったと思います。つまり、受精卵の段階から侵してはならないものである、また倫理的に尊重されなければならない。人の生命の始まりについて、こういった国民のアンケートだけではなくて、審議会の考える倫理観もかなり厳しかったと思うのですよ。  ところが、そういう意味では、ちょっと手前みそかもしれませんが、私どもの法案の方がよりそういった感覚に近いのではないかと思うのです。どうも政府がつくられた案には、こういったことが十分に取り入れられていないような気がいたすのですが、どのようにお考えでしょうか。
  104. 渡海紀三朗

    ○渡海政務次官 今まさに近藤先生がおっしゃったような状況が、なかなか今の段階ではコンセンサスが生まれにくい部分なんだろうというふうに考えております。  そういう中で、いろいろな御議論もこの倫理委員会なりヒト胚小委員会なりでいただいたわけでございますけれども、最低限、このヒトクローンの個体産生という部分については、アンケートも含めて九割以上の国民のコンセンサスが得られるということ。  先ほど来、大臣の方からもお答えになっておるわけでありますけれども、やはり早急にこのことを禁止しなければ、実は状況として、このクローンの個体産生をやろうというふうな宗教団体なり、またいろいろな動きが世界であらわれている。一部言われておりますのは、クローニングが一応用意された女性五十人のうち十人は日本人であるというふうな、これは確証は得ておらないわけでありますけれども、そういったうわさもある。  そういう中で、これだけは急いでおかなければいけない。そして、あとの部分についてはまだまだ議論が要る。急いでこれをやらなければいけないという認識のもとで、当面厳しく罰するべきものはきっちりとコンセンサスができた部分で縛っていこうという意味で、この法律をつくらせていただいておるわけでありまして、むしろ委員がおっしゃったように、意見がある意味分かれているところに、現在政府の法律案はこういうふうになったという背景があるというふうに私は御説明を申し上げたいと思います。
  105. 近藤昭一

    ○近藤(昭)委員 まさしく、なかなかコンセンサスが生まれにくい部分が非常にあるのだろうなというふうに思います。  ただ、ここが、先ほどの繰り返しになるかもしれませんが、ちょっと考え方が違うところかもしれません。つまり、政府案は、コンセンサスが得られるところだけは法律できちっと禁止をする、あとについては指針でフレキシブルにというところかもしれない。しかしながら、私どもは、コンセンサスが得られないがゆえに、きちっと法律で厳しく規制をしておいて、先ほど来申し上げましたように、合理性がある、あるいは安全性が確認されたものについては許可制でやっていく。  ですから、このコンセンサスが得られない部分を、どういうふうに締めるというかコントロール、先ほど大臣もおっしゃられた、どうやって管理をしていくかということだと思うのです。私は、そういう意味ではこれはちょっと平行線になってしまうのかもしれませんが、厳しくしておいて、本当にコンセンサスが得られる部分については道をあけていく、こういうことだというふうに思うのですね。  ですから、基本的なことでは、本当にヒトクローンの禁止については、今渡海総括政務次官もおっしゃったように、私どもも、一刻も早く法をつくって規制をすべきだというふうには考えております。  ところで、今の、コンセンサスが生まれにくいから幾つか指針をもってというようなお話があったのですが、それに関連して、特定胚の母胎への移植についてお聞きをしたいというふうに考えます。  政府案では、特定胚の母胎への移植について、すべて法律で禁止しているわけではない。一部の特定胚の母胎への移植の禁止について限定をしている。すなわち、人クローン胚、ヒト動物交雑胚、ヒト性融合胚、ヒト性集合胚、本当に何度聞いてもわからない言葉であります。聞いていても、これは何だったのかなと思うわけでありますが、そういった分け方を政府の方ではとられて、母胎への移植をこれらについては禁止をしておられるわけでありますが、残りの特定胚については、法律を受けてつくられる指針で規制されるというふうになっていると理解しております。  ただ、これに関して、本年四月に科学技術庁から出されたヒトに関するクローン技術等の規制に関する法律案についてという法案の説明資料によりますと、指針で母胎への移植が禁止されることになっている特定胚についても、法律に基づく指針で禁止と、禁止という言葉が使われておりました。しかし、この数ページ後の説明図を拝見しますと、同じ特定胚の母胎への移植について、法律に基づく指針で規制とされておられるわけであります。  禁止と規制とどう違うのかと言われると私もなかなか説明がしにくいわけでありますが、しかし、多分禁止の方が全く明確で厳しい。これについては、どうなんでしょう、間違いなのか、あるいは意図的にこういうふうにしようと。
  106. 渡海紀三朗

    ○渡海政務次官 いわゆる規制というのは何らかの制限を加えるということでありますから、その中に、例えば指針で禁止するものもございます。  今委員お尋ねの特定胚の母胎への移植というのは、現在考えております指針、ガイドラインの中では、今言われました、私もいまだに区別がなかなかつきにくいわけでありますけれども、残っております五つのジャンルの胚につきましても、現時点では指針で禁止をするというふうに考えておるところでございます。これは科学技術会議等の意見もそのようになっておりまして、その意見に沿ってガイドラインをつくらせていただきたいと考えておるところでございます。
  107. 近藤昭一

    ○近藤(昭)委員 禁止ということでやっておられると。私どもの法案をぜひという思いでありますが、ただ、政府の案の中でというか政府の中で考えられていることで申し上げますと、それは規制よりも禁止だとはっきり言っていただいた方がよりいいわけであります。  ただ、ちょっと心配しておりますのは、もう一つ申し上げますが、同じようなことになるのですけれども、実は科学技術会議生命倫理委員会クローン小委員会及び生命倫理委員会での答申では、これもまた言葉がよくわからないのですが、クローン、キメラ、ハイブリッドの個体の産生は法律で禁止という表現だったと記憶しておるわけであります。  しかし、キメラについてはヒト性集合胚、動物性集合胚、ヒト集合胚に、ハイブリッドはヒト動物交雑胚、ヒト性融合胚、動物性融合胚という、科学用語にはない造語ではないかと思うわけでありますが、造語で複数に分けて、一部は法律で禁止をした、残りは指針で規制と扱いを大きく分けられたようであります。  いろいろ委員会で諮問をして答申が出てきた。そこには今申し上げたような表現で、法律で明確に禁止すべきだと書いてあった。しかしながら、その後の法案の中では、本当に科学者の人たちも聞いてすぐにわからない、私たちはもちろんそんな中ですからわかりませんが、そういった造語で複数に分けて、なおかつ、それを法律で一部は禁止して残りは指針でと分けられた。先ほどの答弁の言葉じりをとらえて大変恐縮でございますが、まさしく科学者の中でも、コンセンサスという言葉じゃないかもしれませんが、これは何だというふうな、ちょっと理解に苦しむようなものを、逆に言うとはっきりお分けになっているような感じであります。  これはどういうことだったんでしょうか。
  108. 大島理森

    ○大島国務大臣 法律で禁止したものと指針で禁止したものの基準は何かという御質問だと思うんです。  これは、総括も先ほどお話しされましたが、一言で言うと、また誤解を生むかもしれませんがあえて言いますと、要するに強烈な反社会性があるかないか、ここに一つの基準がある。反社会性があるかないかという判断の一つとして、それがいわば無性生殖の範囲、あるいはまた人間の亜種というふうな形になるということ等々から、いわゆる反社会性というものがあるかなしか。  倫理という問題はさまざまな議論があります。そして、極端に言えば、胚の研究というのはこれからいろいろな研究がなされる可能性があります。そのことを踏まえながら、法律で十年という非常に厳しい形での規制を設けるものと、ガイドラインで、それはガイドラインだけれども法律に基づいたガイドラインとして、そのプロセスによって、違背した場合はかなり厳しい罰則があるというガイドライン、指針というのでしょうか。そして、結果として胚の母胎への移植をしちゃいかぬというふうなものを指針で決めた。  そこの線引きは、いわゆる反社会性。倫理というものはもちろん生きていく上で人間社会の基礎になりますけれども、やはり法律というものの基準、どういうふうにセレクトしたかと申し上げれば、反社会性、そこにおいて判断をさせていただいた、こうお考えいただいて結構だと思います。
  109. 渡海紀三朗

    ○渡海政務次官 大臣からも全体のお話についてお答えをさせていただいたわけでありますが、ちょっと私の方の理解も、今の先生のいろいろな言葉がちょっとわかりにくかった部分があったわけです。  この報告書でも、ヒトと動物のキメラ、要はヒトか動物かよくわからないようなそういうものについても、ヒト胚に他の動物の細胞を導入してキメラ胚を作成することと、動物の胚にヒトの細胞を導入して得られるキメラ胚、同じキメラ胚でも種類が違っておりまして、それについては、実は法律でやるものとガイドラインでやるものと二段階に分けて扱うべきであるという報告がされておりまして、いわゆる法律の段階で何かを恣意的に変えたとか、そういうことではないということをぜひ御理解いただきたいというふうに思います。
  110. 近藤昭一

    ○近藤(昭)委員 今総括政務次官から御答弁がありまして、恣意的に分けたのではなくて、きちっとそういう答申もあったし、その答申に基づいて分けたというお答えであります。  なるほどと思う部分と、今大島大臣から御回答があった中で強烈な反社会性というお言葉がありました。その反社会性については何かという中で、無性生殖と人間の亜種というお言葉があったわけでありまして、後ほどまた無性生殖のことについてはお伺いをいたします。  私自身も、さっき自分で申し上げた幾つかの分け方というのは、用意しました資料を見ないと二度と言えないんじゃないか、そんなあれなんですけれども、今大臣がおっしゃられた反社会性。その中でも無性生殖、人間の亜種と、より反社会性の中身をおっしゃられたわけですけれども、繰り返しになるのかもしれませんが、反社会性の部分、今二つほど要素を挙げられましたが、この二つの要素を挙げても、不勉強だからかもしれませんが、私はなかなか合点がいかないといいましょうか、コンセンサスというか理解が得られないわけであります。  もちろん、研究する方は専門家であるので、もともとこういう言葉は専門家の中でも余りなかったようでありますが、それでも専門家は、説明されるとこうなのかということが理解できるのかもしれません。ただ、技術開発の中で本当に社会的な概念さえ変えていくような、大きないわゆる生命医学に関する実験というか分野であるわけでありまして、そういう意味では、私はやはり、そういうことが何かよくわからないけれどもというのはある種危険な思想かもしれません、そういうものがブレーキをかけていくということも注意はしなくちゃいけないかもしれません。しかし、何か、こういうようなものがどこか知らないところで実験をされている。  特に、私どもの法案をつくるに当たって危惧をしましたのは、いわゆる余剰胚ですね。産婦人科学会で指針等々自主規制みたいなことをされていても、御承知のとおり、産婦人科学会に入っていないと産婦人科医が開業できないとか、いわゆる強制的に参加させられているものではない。そうすると、そういうところに入っていない方にこういう規制は及ばないわけでありますし、また入っている方についても、いわゆる御自分たちのガイドラインでありますから、破ったといって罰則があるわけではない。  そして、そういったなかなか目が届かない、あるいは規制が届かない中で、余剰胚というものが、いわゆる母体といいましょうか当人たちが、幾つ余剰胚ができたのか、それがどういうふうに、不妊治療の中で余剰胚が生まれてくる。結果的に治療がうまくいって子供が生まれる。しかし、知らないところで余剰胚が生まれていて、知らないところでそれが実験に使われている。自分の母胎に戻ってきたら、自分の体の中で子供に育ったかもしれない余剰胚が、これは余剰胚ですから先ほどの実験とまたちょっと違うのかもしれませんが、冒頭の繰り返しの生命の倫理観という広い、私どもはなるべく広く考えるべきだと思っておりまして、そういう中で、そういったものが知らないところで実験に利用されている。そして、そういう実験を聞くと、何が何だかよくわからない。だからこそ私は、まず法律でもっと厳しくやるべきではないかというふうに考えたわけであります。  そこで、先ほど総括政務次官から、あるものは法律だ、あるものは指針だ、最初からそういう答申があったよという御答弁があったわけであります。私どもも、多分多くの同僚議員も感じたことではないかと思うのですが、法律というものをつくる、しかしながら中身は随分と科学的なことでして、言葉さえわからない、あるときは明確にイメージできないというような世界を法律で規制していく難しさを感じたわけであります。  そうすると、多分この法案がつくられていく中でも、科学技術庁と内閣法制局の間で先ほど申し上げた言葉等のやりとりがあったのではないかと思うのですが、その辺はどうだったか、お聞かせをいただけるとありがたいのであります。
  111. 大島理森

    ○大島国務大臣 私が伺っておりますところは、やはり片仮名が非常に多うございますので、そういうものを法律化するにどうしたらいいかという議論が、法制局との間でそれはいろいろあったらしいということは伺っております。ただ、根本的な法理論体系として云々というのは、実は、前の法案では量刑が五年でございました。その辺の議論はやはりきちっとあったようでございます。  先生おっしゃるように、非常に専門的な分野ではございますけれども、法体系全体としての中で、法制局との議論という中での思想的な違いとかというのは、こういうことがありましたということはまだ伺っておりませんが、片仮名とか、そういう専門的なものをどう解釈するかという、そこら辺のやりとりはあったやに伺っております。
  112. 渡海紀三朗

    ○渡海政務次官 御案内のように、大臣も私も、実はこの法案のベースが策定されたときには所管でございませんでした。そんなことで、細かいやりとりまでは実は承知をいたしておりません。ただ、先ほど来議論になっております、例えばわけがわからないというふうに今委員はおっしゃいましたが、私も同じような印象を持っております。  名前のつけ方とかそういった点につきましては、法制局とのやりとりの中で、仕分けをするためにはこういうことでなければいけないとか、そういったやりとりがあったやに聞いております。民主党さんも対案をお出しでございますから、そういう点については、基本的な言葉の問題等で民主党さんがやりとりをされたそのこととそんなに大きく違わないのじゃないか。これは相手は衆議院法制局でございますが。そういった法的な意味での言葉遣い等のやりとりはあったようでございます。内容は変えておりません。
  113. 近藤昭一

    ○近藤(昭)委員 私どもも作成する段階で、そういった科学技術の現場での部分と、それを法で規制していく、法案に具体的な文案にしていく。本当にその法律というものが、研究者の方にとってみれば自分がやっている日々の活動を規制していくわけでありますから、そういったことを規制していく文案は本当に大きな意味を持つわけでありまして、そういう意味で、難しさと、きちっとやらなくてはいけないという責任とを感じたわけであります。  ただ、そういうことで申し上げますと、先ほど午前中の質問の中に、動物とヒトをまぜ合わせた場合に基本的に動物であるという実験、それについては、ヒトではなくて動物なので、その取り扱いについての罰則を、ヒトではなくてそれはあくまで動物なのに法律で禁止となると、余りにも量刑が重過ぎるのではないかというような御回答があったと思うのです。  ただ、ここでやはり悩むのは、そういったある種の法律、これは、本当に社会全体に及んでいくので、法律がいいかげんなものであったり、あるいはこっちにある罰則とこっちにある罰則が余りにもバランスが悪いと、やはりその法律の規制を受けている国民としては納得できないところがあるんだろうという思いと、これは御答弁がなくてもいいのですが、さっき申し上げた倫理観で考える部分でいいますと、やはりかなり人と動物が、それは最終的には動物なのかもしれないけれども、ヒトの核とかが利用されることの、言葉はよくないかもしれませんが、いかがわしさみたいなもの、やはり心配だなという気がいたします。  ところで、特定胚の作成についてお聞きをしたいというふうに思います。  政府案では、特定胚の作成について届け出制を採用され、広く特定胚の作成を認めておられるわけでありますが、中には動物の細胞核を除核してヒトの未受精卵に移植するなど、発生研究者がこれまで考えてもみなかったような研究も含まれている。  確かに、特定胚の作成について指針を定められる、それに適合しないものについては改善命令等を出す、変更させるという制度になっておるわけでありますが、それでは仮に、指針に適合するか否かが六十日間で審査し切れなかったような研究、本当にいろいろな研究が出てくるんだと思うのですよ。こういった想像だにしなかったような研究が仮にあった場合、どんな対応をされるつもりなのか、お聞かせをいただきたいと思います。
  114. 渡海紀三朗

    ○渡海政務次官 この内容をもう既によく御存じだという前提でお話をさせていただきますが、届け出をしていただいて六十日間で審査をする、その間に適当ではない部分があればちゃんと是正命令を出す、それに従わなければ罰則も伴う、こういうガイドラインの大体の枠組みになっておるわけであります。  基本的に、今のところ六十日ぐらいあれば判断ができるという前提のもとにおいてつくられていることでありますけれども、そういう場合には、恐らく途中で、この部分が実はどうだとかああだとかいうことで、是正命令ではありませんが、不明快な部分についてもっとより詳しいデータを出していただくなり、そんなふうになるのではないかなと考えておるところでございます。  きょう御指摘がございましたので、超えたらどうかという話でございますから、超えないだろうという前提でございますので、そういうこともよく考えながら、指針をつくるときにもう一度そういうことをきっちりとチェックさせていただきたい、こういうお答えにさせていただきたいと思います。
  115. 近藤昭一

    ○近藤(昭)委員 超えないだろうというお答えは、なかなかお答えにならないのではないかな。超えた場合にどうするのでしょうかということでございまして、これがちょっと心配な、つまり、質問の中でもちょっとお話をさせていただいたわけでありますけれども。  そういうことでいいますと、お話の中にもあった独創的な研究もかなりいっぱい出てくるのだと思うのですよ。独創的な研究を抑制してはいけないから指針だというお答えだったと思うのです。ですから、独創的なものがばあっと出てきて、それはある種、いいものはやれるように指針なのだということだと思うのですが、ただ、逆に言うと、独創的なものというと、なかなか判断が難しいものがいっぱいあるのではないかなということで危惧しておるわけであります。
  116. 渡海紀三朗

    ○渡海政務次官 確かにおっしゃるとおりでございまして、六十日以内に判断ができなければ、これはやはり許可できないというふうに思います。それは科学的知見というもので予期できないわけでありますから、そういった意味で、着手してはいけないということになると思います。
  117. 近藤昭一

    ○近藤(昭)委員 ただ、私が心配しますのは、六十日間で審査し切れなかったというのは二つあるのかな。一つは、予見できないからということ。あとは、マンパワー的といいましょうか、もうどんどん来て、そういうことになってできないときもあるかもしれない。それも六十日間たってしまったのだということで対応なされる、それも許可できないということになってしまうのでしょうか。
  118. 大島理森

    ○大島国務大臣 先生が一番御指摘いただきますように、この法案、この研究技術の一番の問題は、人間の尊厳ということを先生からもいろいろ御指摘いただきました。その視点に立って判断をすべきものだ。したがって、六十日間で判断できないものは、我々がどうぞやってくださいというわけにはいかないというのは、人間の尊厳の観点からそうだと思います。  物理的な理由でどうだという場合は、その状況を見て人員をどう確保するかというのは我々の義務でありまして、いずれにしても、どういう結果であれ、六十日以内に判断できないものには、どうぞやってくださいというわけにはいきません。それは、まさに生命にかかわる、あるいは人間のモラルにかかわる問題ですから。そういうふうなことの視点から判断すべきもの、こう思っております。
  119. 近藤昭一

    ○近藤(昭)委員 大島大臣がお答えになられたように、まさしく、判断できないようなものはそれは許可できないのだということだと思います。そして、今のお答えの中からすると、六十日間できちっとすべてを判断できるような人員を整えるのだということかなと思うわけであります。  ただ、判断できないものは許可できないのだということであれば、先ほど私の質問の中でもお話しさせていただいたように、逆に、かなり合理的で安全だというものは技術の進歩によってかえってわかってきている。あるいは、その見直し期間を短くすることによって、法律で厳しくやっておく中で三年の見直しということで、では今度はこんなことも許しましょうということをした方が、はっきりするのではないかと思うのですよね。それを、とりあえずと言うと失礼かもしれませんが、出しなさい、六十日間で審査しますと。ところが、どうもこれは六十日間で審査し切れない、予見できない、だから許可できないというのは、ちょっと乱暴ではないかな。  そして、ここをちょっと今のことに関連してお伺いしたいわけでありますが、そういうふうに判断をされる、許可できないものははっきりさせるのだ。では、この法案がこの臨時国会にかかった当初から、とにかくヒトクローンを禁止しなくてはいけないのだから、きちっと法案は上げようよというお話がある反面、私が今のことで関連して心配しておりますのは、繰り返しになりますが、特定胚の作成の規制については法律でその内容をきちっと決めるべきであろうと思うわけでありますが、政府案は今申し上げたように、六十日間で審査する。そしてその審査は、指針に適合するか否か、指針にゆだねられているわけでありますが、この指針については、どういう機関で検討されていつできるのか、これについて疑問を感じているわけであります。
  120. 渡海紀三朗

    ○渡海政務次官 指針を作成するためには、一応法律に基づいた指針でございますから、法案が成立をするということが大前提でございます。政府案が成立した場合、附則第一条により、公布の日から一年以内に特定胚の取り扱いに関する指針を定めることというふうになっております。指針を策定するに当たっては、関係行政機関の長に協議するとともに、総合科学技術会議の意見などを聞くこととなっておりまして、これが今委員がおっしゃった部分でございますが、でき得る限り早い時点でガイドラインというものを作成させていただきたいというふうに考えておるところでございます。  ただ一つ、余分なお話になるかもしれませんが、当然今、厚生省の方の生殖医療の研究会が進んでおります。この中で、生殖医療の問題のある程度の交通整理ができましたら、これはまだ予測でございます、私の勝手な言い分でございますが、今大変話題になっております余剰胚の問題等々についても新たな俎上に多分上ってくるのではないかな。そういう状況を見ながら、時期というものをできるだけ早めていきたいというふうに考えておるところでございます。
  121. 近藤昭一

    ○近藤(昭)委員 おっしゃるとおりでありまして、法律に基づく指針でありますので、法律ができないことにはその指針もつくられない、それは当たり前だと思うのです。  ただ、私が心配しますのは、そこのところで、質問の冒頭でお話ししました、かえってクローンの技術の促進法になる危険性もあるのではないかというところ、その辺も関連しております。  つまり、確かに法律ができないと指針はつくれない。指針は一年以内。まあ一年以内というのは一日かもしれませんけれども、でも一年以内だ。最長一年間かかってしまう。そのできてきた指針がどういうものかが、今の時点では、法律に基づくわけですから、法律の理念がどこかで生きているということでは想像はできても、やはり具体的な指針が明らかでない以上、指針で規制するから、指針で規制するからでは、あるいは、指針に適合するかどうか六十日間で審査するのだ、そういう仕組みをつくってある種安全性を確保しているという言い方だと思うのですよ。  法律では禁止していないけれども、きちっと指針でやっているのだよ、指針はフレキシブルだからいいのだよ、指針に合うかどうか六十日間でやるのだよ、六十日間で判断できないものは、これは危険なのだという想像のもとに禁止するということでは、この法律を受けた現場の研究者の人が、もしかしたら、ある人は、なかなかあいまいだからちょっとやめておこうと思うか、あるいは、全部が全部ではないかもしれませんけれども、ある人は、ではこの辺あいまいだからどんどんやってしまってもいいのではないかと。そういう危惧を諸外国は持っているのではないか、あるいは私どもも持っているということでありますが、いかがでしょうか。
  122. 渡海紀三朗

    ○渡海政務次官 先ほど私、答弁しましたが少し間違っておりまして、ちょっと勘違いをしておりました部分がありました。  ガイドラインの問題でございますから、さまざまなガイドラインがあるのですが、例えばES細胞等については、実は今後、科学技術会議でやっていただくというようなこともございますし、少し混同いたしておりました。  ガイドラインは、既に午前中に研究開発局長の方から答弁がありましたように、例えば、インフォームド・コンセントをとるとか、こういう科学技術会議生命倫理委員会等のガイドライン、指針をつくるためのガイドラインが示されておりまして、それに基づいてできるだけ早急に作業は進めたいというふうに思っております。そして、法律公布、施行の周知期間が六カ月ということでございますから、それぐらいの間には、当庁として、責任を持ってつくらせていただきたい、できるだけ早くつくるべく努力をさせていただきたいというふうに考えているところでございます。
  123. 近藤昭一

    ○近藤(昭)委員 法律の周知期間である半年以内を目途にやるんだということでありますが、そうしますと、今の御回答の中にもあったと思うのですが、もう一度、その指針をどこできちっと策定していくのか。あるいは、想像でありますが、指針そのものは非公開の中でつくられていくのか。最終的にやはり多くの人に影響を与えるので、例えば国会にもかかるのかどうか、それをお聞かせいただきたいと思うわけであります。
  124. 渡海紀三朗

    ○渡海政務次官 要は、パブリックコメント等をちゃんといただくためにも、少し時間がかかるというふうに御理解をいただきたい。つくるのはもちろん、行政のガイドラインでございますから、科学技術会議に諮りながら、来年からちょっと組織が変わりますが、役所の方でつくらせていただきたいというふうに思っております。
  125. 近藤昭一

    ○近藤(昭)委員 質問時間が終了いたしましたのできょうはこれで終わりたいと思いますが、大臣とも政府の皆さんとも、理念的には本当に共通させていただいている。ですから、あとは本当にどういうふうに、科学技術というのは社会的な観念、倫理と社会に影響を及ぼしていくわけでありますから、その辺はぜひいろいろと協力し合って、慎重な上にも慎重に進めていきたい、そういうふうに考えます。  ありがとうございました。
  126. 古賀一成

    ○古賀委員長 津川祥吾君。
  127. 津川祥吾

    ○津川委員 民主党の津川祥吾でございます。  私は、実は議員にさせていただいてから、各委員会での質問はトータルでまだ六十分しかさせていただいておりませんが、本日は、この科学技術委員会だけで六十分も長期に時間をいただきまして、大変光栄に思っております。ありがとうございます。  時間をいただきましたので、まず、科学技術分野における研究に対して法律で規制をすることに関して、若干私の考え方を述べさせていただきまして、その後の方で大臣と山谷議員に、お考えといいましょうか御感想をお伺いしたいと思います。  私は、人クローン個体の産生に対して当然反対する立場でございますし、また、いかなる研究であったとしても、ヒト胚を無制限に使用してはならないという立場を当然とっております。ただ、私は、この両法案のテーマでございますが、科学技術の分野に対して法律で研究開発に規制をかけるということに関しましては、若干の抵抗感といいましょうか、矛盾あるいは違和感というものを感じるものでございます。  そもそも科学の基礎研究というものにおいては、何をテーマとしてだれが研究をするのかということについては、研究の自由あるいは研究者の自治というものがあったはずであろうかと思います。また、そういったものがあったとしても国がその研究に介入をすることは現在においても当然ありますが、そういうことをする以上は、かなり合理的な理由がない限り許されるものではないというふうに考えております。  例えば、倫理的な観点から考えて国がその研究に制限を加える。例えば人体実験というものに関して制限をするというのは、当然合理的な理由があろうかと思われます。また、先ほどもどなたか指摘をされたことかと思いますが、例えば研究そのものが研究者自身に対して危険を及ぼすおそれがあるもの、その研究に対してある程度の資格が必要であるとか、あるいはその研究所に対してある一定の設備が必要であるとか、そういった制限がかかる場合も当然あろうかと思います。また、環境に対する負荷が非常に大きいような研究であれば、その研究そのものに対して規制がかかることもあり得るのかと。  ただ、あくまでも科学における研究の目的は何かと問いますと、私は真理の探求ではないかというふうに考えます。つまり、その科学の研究の結果、どういった真理が見つかったか、どういった技術が生まれたか。その技術が善であるか悪であるか、あるいは、有用性があるかないかということでもってその研究が善であるか悪であるかというような判断がなされることがあってはならない。そういった結果からの独立が必要ではないかというふうに考えております。  かつて、アインシュタインが相対性理論から導かれるエネルギーと質量の等価性の法則の中からE=mc2という法則を導き出した。非常に単純で美しい理論であるなというふうに私は思っておるわけであります。例えば、仮に一グラムの質量のものがあって、それを全部エネルギーに変えると、簡単な計算で出ますが、大体百万キロワットの発電所が一日に発生する全エネルギーに相当するというような法則でございます。原子力発電も当然こういった理論を用いておりますし、実際には質量の千分の一ぐらいだと思いますが、そういったものをエネルギーに変えているというものを使っているわけであります。  しかしながら、言うまでもなく、このアインシュタインが考え出したE=mc2という法則をもとにいたしまして、かの原子爆弾がつくられたわけでもありますし、広島・長崎の悲劇が生まれたということもあるわけでございますが、だからといって、アインシュタインのこの研究、あるいはこの研究によって導き出された法則が悪であると言えるか、私はとてもそういう言い方はできないというふうに思います。  つまり、研究開発そのものというのは結果の善悪からあくまでも独立であると同時に、また、その導き出された研究結果、法則、新しい技術をどのようにこの社会の中で活用していくかということにこそ、むしろ十分に慎重な議論ないし規制が必要なのではないかというふうに考えるものでございます。  また、このクローン技術に関しましては、世界的な議論の流れといたしまして、人クローン個体の産生に関しては禁止するという方向で恐らく世界的に動いているかと思います。また一方で、ヒト胚性幹細胞、いわゆる万能細胞、ES細胞と言われるものの研究に関しては、恐らく、世界的な流れから見ますと、この研究は推進するという方向に今流れているのではないかなというふうに私は認識をしているところでございます。  人クローン個体の産生及びそのための研究というものは、倫理的観点及び安全性の観点から、制限をされるに足り得る合理的な根拠があるというふうに判断できるかと思いますが、そうであったとしても、この研究そのものを絶対的に禁止する、全くやってはいけないというふうに世界が判断しているとは私は考えておりません。危険性があるし、また倫理的な問題があるから慎重に議論しなければならないし、また無制限な研究をしてはならないというところが現状の判断ではないかというふうに思っております。  むしろ、倫理的な問題などを一つ一つクリアしていくことによりまして、研究の暴走を防ぐ、あるいは、ヒトゲノムの研究などと歩調を合わせながら慎重に研究を進めるということによりまして、この分野において真理の探求を推し進めていくべきであるというのが世界の流れではないかなというふうに私は考えておるところであります。  また、ややもすれば万能細胞あるいはES細胞というものの有用性ばかりが強調される問題がございますが、科学の基礎研究の本来の目的はやはり真理の探求であって、我が国も、科学技術立国を標榜する以上は研究の自由と研究者の自治というものを守っていかなければならないし、またそういった観点をしっかり持った上で、この問題に関しても有効性のある、実効性のある規制をしていく必要があるのではないかというふうに考えておりますが、大臣と山谷議員のお考えをお伺いできればと思います。
  128. 大島理森

    ○大島国務大臣 津川委員の科学政策における規制論、規制のあり方、規制の考え方というものを今るるお伺いいたしました。つまり、真理の探求とそこに得られた知見をどう利用するかというのは別ではないか、できるだけ真理の探求という世界は自由な世界にしておくべきではないか。しかし、そういう中にあって、いわば高い倫理性、あるいは反社会性的なものはやはり一応抑えなければならぬという中でも、できるだけ自由にするというのが基本的な考え方ではないかというような御趣旨であったと思います。私も基本的に同じ思いを持っております。  今原子力の話を出されましたが、特に生命工学という世界は、確かに原子力や素材やITあるいはその他のさまざまな科学技術の世界と違って、生命そのものと直結する問題がございます。生命ということと直結するとすれば、その研究自体にある意味では、きょう午前中からいろいろな議論がありました、人間の尊厳とかあるいは倫理性というものが、他の研究分野以上に実は議論される世界であろうな。  先生がこのたび当選される前に、臓器移植の議論がございました。臓器移植は議員立法でやりました。そして、我が党におきましてもノーバインドで、つまり拘束をしないでそれぞれの判断でしていこうということに相なりました。そのように、生命にかかわる議論というのは、尊厳とか倫理とかそういうものとかかわるものですから、そこと真理の探求との調和というんでしょうか均衡というんでしょうか、非常にそこに悩む問題があります。  ですから、私どもとしては、法律でその世界に対して踏み込むという場合においては、少なくとも、先ほど来申し上げましたように、世界的にも、あるいはおおよそどういう宗教観を持って言われようとも、あるいはどういう文化の違いを持っていようとも、してはならないという分野については厳しく法律で規制していかなければならないという姿勢をまずとりました。  一方、科学技術の真理の探求と同時に、やはり政策ということを考えると、有用性というものをだれでも今度は考えるわけですから、有用性という可能性があった場合のことも考えると、この研究分野はできるだけ柔軟にしておいた方がいいねと。しかし、ある意味では、やってはならないぎりぎりの問題については押さえておかなきゃならぬ、それはどのように変化するかわからないから、ここのところはガイドラインという方向性を持ってやっていこうではないか。  ある意味では、津川委員がお話しされた研究の自立性あるいは自由性というものと倫理というもののバランスを本当に議論しながら考えた結果として、今のような形で私どもは法案を出させていただいたということは御理解いただきたいと思います。
  129. 樽床伸二

    ○樽床議員 山谷議員にという御指摘でございましたが、同じ提案者でありますので私の方からお答えをさせていただきます。  今、政府の方から答弁がございましたが、私どもも、基本的にさほど変わるものではないといいますか、根本のところではほぼ同じような考え方を持っているということをまず申し上げたいと思います。  また、先ほども大臣の方からお話もありましたが、原爆の話を津川委員は引き合いに出されました。もっと卑近な例でいいますと、我々が、もうどうしてもなくてはならないと多くの方が思っておられる自動車そのものも、これは科学技術の発展によって我々は本当に、日々車がなければならない車社会になっております。しかして、車がなければ、年間、万という人が亡くならないわけであります。そういう、まさに科学技術と人類との共存をどのように図っていくのかというのは、これは永遠のテーマであろうというふうに思っております。  しかしながら、そういう中で、研究者の自由とか自治、そしてまた結果からの独立、こういうお話もよくわかるわけでありますが、事この我々の体の中の問題につきましては、先ほど午前中の答弁でも私申し上げましたように、人間も生物でありますから、自分たちの種の問題ということであって、これはもっと深刻な問題であろうというふうに思っております。  人が猿から進化をしたのかどうか、これは大多数の方はそのように認識をしておりますが、一部ではそうではないとおっしゃる方もおられる。私は進化論を信じている方の人間でありますけれども、そうなると、当然、我々人類もこれからまだまだ進化していくであろうと考えるのが普通でありまして、そういうことの中で、遺伝子そのもの、またこのような胚というもの、またES細胞、クローンというものが、その進化の度合いに対して恐らくかなりのアクセルを踏むであろうという認識を私は持つわけでありまして、そういうような問題については、殊のほか慎重にしなければならないというふうに考えております。  今申し上げましたことは、ほとんど大臣の答弁と趣旨としては変わらないわけでありますが、ただ一点違うのは、一点というか大きく違うのは、ヒト胚とかES細胞また余剰胚等々の政府が今回の法案で触れられていない分野について、政府は、まだ結論が出ていない、早急であるという意見。いろいろ考え方はあろうかと思いますが、私どもは、あえてそこまで踏み込むべきだろうという判断をして、今回このような法案を出させていただいたということであります。  かなり私の私見もまじっておりまして、実は私は、先ほどありました臓器移植の法案につきまして反対の投票をした人間でありますから、そういうバイアスもかかっているかもしれないということは御理解をいただきながらお聞きいただければ幸いであろう、このように思っております。  以上です。
  130. 城島正光

    ○城島議員 追加して、民主党案の背景について、基本的な点でございますので説明させていただきたいと思うんです。  津川委員がおっしゃった、一つの哲学に近いところだと思いますけれども、それも一方で非常によくわかる話でありますが、いわゆる研究の自由あるいは研究の自治というものと、まさに社会の要求、人権をどう守っていくかとか、あるいは公共秩序をどう確保していくかということの両立をどう図っていくかということが、基本的なベースになる問題だと思うのです。それを、それぞれの地域あるいはそれぞれの国が、この問題をどう図っていくかということで、やはりその都度その都度明確にしてきているんだろうと思うのです。  なかんずく、こういった今回の法案に関するような問題について見れば、特にこの問題が、この原則をどういうふうに考えていくのかということが問われるテーマであるというふうに思います。  したがいまして、ある面でいうと、いろいろな生命観とか倫理観みたいなものの揺らぎというんでしょうか、午前中からあるように、国民的コンセンサスがあるのかという質問もありますけれども、それ以上に、僕は、今みたいな科学技術、特に科学技術をどう管理していくのかという社会意思というものがどの辺にあるのかというところが、日本の場合に実は一番大きく揺らいでいて、こういう問題については、特にまだ明確になっていないところが今の課題ではないかなというふうに思うのですね。  そういう観点からすると、津川議員がおっしゃった一つの哲学みたいなものは、あえて申し上げますと、アメリカの中ではそれに近い考え方が一般的にある。すなわち、研究の自由あるいは研究の自治というのはどちらかというと個人の権利であるというウエートが非常に高い。  ただ一方では、ヨーロッパにおいては、それに対比してみますと、その研究の自由というのは、個人の権利というよりは社会の利益、いわゆる公益的な一つの成果としてウエートが高い。したがって、社会的なもう一方の何かの公益性があるとすれば、それに対して研究の自由というのが制限を受けるというのが一般的にとられているヨーロッパの考え方だと思うのです。  したがって、今回のに置きかえてみますと、クローンとかあるいは生命にかかわるような問題についていうと、やはり人の尊厳あるいは生命の尊厳という公益というものが、研究の自由とか研究の自治というものに制限を加える価値の方が高いんではないかという判断の中で、例えばヨーロッパでは、アメリカに比べるとこういう問題はかなり厳しく制限されているということだと思うのですね。  したがって、そういうものの中で我が国は一体どういう立場をとっていくのかということが、まさにこの法案をベースとして我々に課せられている一番大きな課題なんだと思いますから、この論議も含めて、そういった点を突っ込んで、現時点における我々の一つの見解というものをきちっと出していくというところは物すごく大きな意義があるというふうに思いますけれども、少なくとも、民主党案でいうと、今津川議員がおっしゃったような観点よりは、やはり社会的なそういう要請といったものも両立させるというところにウエートを置いた考え方に立っているということを申し上げたいと思います。
  131. 津川祥吾

    ○津川委員 大変丁寧な答弁を、大臣も、樽床議員も城島議員もありがとうございました。  実は、私は、研究の自由ということと研究に対する規制、今回のような規制というものは、別に相反するものではないというふうに考えております。つまり、先ほど最初にも申し上げましたが、規制をする以上は相当の合理的な根拠がなければならない。では、その合理的な根拠とは何かというところに、まさに国民のコンセンサスが必要である。そこのところの議論が、現在のところではまだ日本の国内では不足しているのではないかなというふうに考えております。  それでは、まず政府案について若干質問させていただきます。  今回の政府提出のヒトに関するクローン技術等の規制に関する法律案というところで、まさに規制の法案でございますが、少し重複するお答えになるかもしれませんが、どのような理由で、つまりどのような合理的な根拠で、何を規制する目的としてある法律なのか、できれば、その科学的な根拠があればお答えをいただきたいと思います。
  132. 大島理森

    ○大島国務大臣 お答えを申し上げますが、たびたび申し上げておりますけれども、今、科学的根拠というふうな津川さんの御質問でございました。  まず第一に、私どもが十年という刑罰をもって規制しているものは、反社会性という基準が一つございます。  反社会性という根拠はしからば何か、こう言われますと、それはある意味では非常にすぐれて高い倫理性であると同時に、一つはそれによって人間社会秩序が壊れるということが挙げられるだろうと思います。  そして、そのことがどういう胚の性質から想定されるのかと言われますと、一つは無性生殖による胚でありましょう。その胚を母胎へ移植するということは絶対にあってはならぬことだ。第二は、人間の亜種による胚、これも母胎への移植というものはあってはならぬ。どんなことがあってもならぬという状況の中で、十年という大変重い刑罰規定をそこに置いて、これは反社会性がある一連のものであるというふうな合理的な判断を私どもとしてしました。  他の胚、それは、有性生殖による胚は一体どうするのか、今度は科学的にこの問題が一つ残っていますねと。  今、日本の中に一万人もの人たちが、お子さんがなかなか生まれないことによって、いわゆる体外受精をしながら一万人のお子さんたちが健やかに生まれ、そして喜びになっているという実態を見ますと、それも広い観点からいえば、いわば有性生殖によるものでございましょう。  そういう大きな科学的な範囲の、いわば一つの日本の中に通用している常識、そういうものの世界にぎりぎりあるいは迫るかもしれない規制というものを考えた場合に、やはりそこのところは、十年という重い罰則でやるということよりは、そこはガイドラインという手法でもって規制していく、またやってもらうということの方が、先ほど先生がお話しされたいわゆる科学の追求、そしてそこにおけるさまざまな有用性というものを予想されるとするならば、そういう形でそこは押さえていった方がいいのではないか。  そういうふうなバランス上の考えと、いわば合理的な私どもの考え方でこの法律をつくらせていただきました。そして、その胚の性質としては、もちろん無性生殖と同時に、ヒトの要素を持つ動物になる胚も結果としてそういう範疇になっているという分け方になっている、こういうふうにお考えいただければと思います。
  133. 津川祥吾

    ○津川委員 確かに、今大臣お答えになったことは、私も合理的な根拠として挙げられるのかなというふうには思います。  しかし、若干気になる点が幾つかあるわけですが、民主党の方から指摘がたびたびあるところではございますが、若干範囲が狭過ぎるのではないか、もう少し全体的、包括的な規制をしない限り、実効性において問題点があるのではないかというふうに私も考えるところでございます。  確かに、クローン技術によってつくられた胚を人または動物の胎内に移植することを禁止するというのは、一つの非常にわかりやすいところでの禁止ではありますが、言ってみれば、水際作戦といいましょうか、そういった規制だけでは、もしここが突破されてしまったときにどうなるのか。そういう弊害の大きさを考えれば、もっと私は民主党案のように、ヒト胚からの利用のあり方について議論をする、あるいは規制をするというような方が有用性があるのではないかというふうに考えます。  まず、政府案において、実効性について一点だけ懐疑的である部分を指摘させていただきますが、政府案で規制をしておりますのが、人クローン個体の産生というものを規制しているかと思います。つまり、胎内に移植することを禁止しているわけでありますが、先ほど樽床議員が指摘をされたかと思いますが、政府案の中には、例えばES細胞等の規制がどうも入っていない。例えばこちらの方の研究が仮に進んで、人工胎盤ですとかそういったものが可能であるならば、そこでヒトクローンの生成というものもあり得るのではないかというふうに私は考えるわけでありますが、この点についてはどうでしょう。
  134. 渡海紀三朗

    ○渡海政務次官 確かに、今委員おっしゃるような可能性というのは、ゼロというわけにはこれはいかないと思います。将来、これはやはりどういう時代が来るかもわからない。  しかしながら、現時点において、近い将来においてそういうことが起こるであろうとは科学的予見としてはないというのが、一般的な今の考え方だというふうに思っております。人工子宮といった技術、将来的には考えられるものの、やはりそういう意味からすれば、なかなか今これは予見できないことでありまして、現在つくるべき法律としては、そこまでやらなくてもいいだろうという判断に立って、この法律はつくらせていただいておるわけでございます。  もちろん、これは絶対ではございませんから当然見直し規定もございますし、また、将来、状況の変化に応じて対応して、技術の革新というものが行われた場合には、それはそのときの時代の社会背景ということもしっかりとつかまえなければいけないと思いますが、それに対応した法制度をそのときにつくらなければいけない、そんなふうに考えておるところでございます。
  135. 津川祥吾

    ○津川委員 現在の時点で予測される範囲では、人工子宮というものはなかなか難しいのではないかというお答えであったかと思いますが、一方で、例えばクローン技術に関しては、私は、政府案では、規制をしているというよりは、指針の中で取り扱っているというのは、むしろこの技術開発、研究に関して推進をしているのではないかというふうにとらえられるところがあるかと思います。また、新聞報道を見ましても、むしろこれは推進ではないかというような判断をされているようでありますが、その点、どうでしょうか。
  136. 渡海紀三朗

    ○渡海政務次官 科学技術を進めるという意味では、クローン技術そのものを否定しているものではございません。  そして、今回の法律の中にもさまざまな胚の種類というものが細かく分類をされておるわけでありますが、それぞれに胚の有用性というものなり将来の可能性、これは実はガイドラインの中では、今禁止はされておりますが、個体産生も、今回の法律で禁止されたもの以外については、実は科学的予見としては、いろいろな将来の有用性について今のところいろいろな意見があるわけでございます。  そういった意味で、これはまさに、実は大臣も皆さんもお答えになったわけでありますが、先ほどの津川委員の、いわゆる研究の自由、研究者の自立、真理の追求という点、そういった点を考えたときに、やはり日本の国が科学技術創造立国を目指すというこのいわゆる国家観からしても、やはり有用な研究というものは進められるような体制を国においてもつくっていくべきである、研究者がたじろんでしまうような、そういうものはやはりつくるべきではない、そんなふうに考えております。  そういう中から、さまざまなクローン技術というものが将来人間が幸せになるために必要な技術として、これは先ほど津川議員が言われました、要はそれが社会にどう対応されるか、応用されるかということが大事だと思いますけれども、そのためにも、こういう研究開発をやりやすい環境をつくっていくというのも、またこれは国としての責任であるというふうに考えているところでございます。
  137. 津川祥吾

    ○津川委員 科学技術の振興という意味では、クローン技術研究も推進するという話であったかと思いますが、昨今、科学技術の進展の速さ、あるいはバイオテクノロジーの分野に関する技術の進展の速さはかなり速くなってきている。実は、私どもがここで制限、規制の法律の審議をしている最中にも、かなりの技術が進んでいるのではないかと言われているところでございます。  そういう分野であるにもかかわらず、今のところ、その問題はなかなかクリアできないのでございますね。つまり人工胎盤の問題ですが、できないのではないかというところで想定をしない。あるいはさらに、そこの技術の進展、あるいはその技術の進歩、進捗を推進する立場でありながら、この法案の見直しが五年後というのはいかがなものか。つまり、その間にどういったことが起こるかわからない。  午前中の指摘の中にもございましたが、もしこの問題点を認識するのであるならば、まずは法律で規制をかける、その中でこの分野に関してはそれを除外するというようなやり方の方が、法律の適用の仕方としてはより実効性があり得るのではないか。つまり、新しい技術が出てきて、これをよしとするかあしとするかということをその後に、この場で例えば議論するのでは、どうも遅過ぎるのではないか。罰則規定があるというふうにおっしゃっていますが、もし例えばヒトクローンが誕生してしまったらどうするのか。これはまた別の議論ですからここの場では取り上げませんが、もしそうなってしまったらどうなるかというところを考えれば、やはりかなり厳密な、その前の段階での規制というものが必要になろうかと思います。  技術がかなり速く進んでいく、しかもそれを推進するという立場であるならば、この見直しが政府案において五年後というのはちょっと遅過ぎるのではないかというふうに考えますが、いかがでしょうか。
  138. 渡海紀三朗

    ○渡海政務次官 見直しの議論が五年がいいか、もっと短いのがいいかというのは、これは大変難しい議論だと思っております。  法律というのは、基本的に、現在の予見に基づいてこの程度であろうということで一応五年ということにしてあるわけでありますが、しかし、社会の状況が変わり、そしてその中で、やはり見直しが必要だということであれば、その時点で当然これは政府としても、また私は、大臣もそうでございますが立場を二つ持っておりますが、国政の場に参加する者としても、これは当然見直しの期日といいますか、これは法律で今はとりあえず五年ということを決めております。だけれども、そのときは、やはり早めればいいんだろうと思います。法律も「以内」でございますから、幾ら遅くとも五年以内には見直すということでございますから、そのときの状況に応じて、そういうふうに考えていったらいいのではないかな。  民主党さんの案が三年で見直すというのは、ある種の努力目標といいますか、後ろを切ったという意味では違った意味があるんだろうなというふうには考えるわけでございますけれども、そういうふうに、やはり時代の要請に応じて対処していくということが一番大事であろうというふうに考えておるところでございます。
  139. 津川祥吾

    ○津川委員 ありがとうございます。  それでは、若干その次の議論に進めたいと思いますが、この技術に限らないことかと思いますが、科学技術の分野においては、一国内でのみ規制をしても余り実効性がないというところで、国際協調というものが当然必要になってくるかと思います。だからこそ、デンバー・サミットにおいてそういった合意がなされたのかなというふうに認識をしております。当然、大臣もそのように認識をされていらっしゃることと思います。  そうであるならば、現時点で欧州各国の状況を見ますと、例えば生殖補助医療も含めた包括的な規制があって、その中でこのヒトクローンの議論がなされている。そういった海外の事例から見れば、国内においても包括的な規制というものを早急に進めるべきではないかというふうに考えますが、いかがでしょうか。
  140. 大島理森

    ○大島国務大臣 ドイツあるいはイギリス、そういうところにおいて、有性生殖そしてES細胞、そういうものを包括的に考えた法制度あるいはそういうものをつくっているではないかと。この問題に関しては、それぞれの国における文化的、宗教的背景というものが非常に影響する法律であろうと思うんです。  私は、今大事なことは、先ほどの先生の御議論、冒頭にお話しされた、真理の探求ということに国家権力が規制という網をかぶせて、あるいは国家の意思を、違った方向に向けるために極端に介入していくとか、そういうことがあってはならぬと先生が御主張されました。私は同感だと申し上げました。あとは、そこでいただいた知見あるいは真理をどのように有用にしていくか。そこにすぐれて人類のモラリティーが問われる、それが科学技術の最も今問われるところだと私は思います。  そういうことから考えると、私どもは、まずクローン人間の産生という問題に対して、個体産生に対して、明確に十年という規制をまずここでどんと設けます、このアピール、この発信というのは非常に大きい。特にアメリカという国については、まだ依然としてこの問題に対して国家としての意思は決めておりません。したがって、確かにイギリスあるいはドイツ等の今までのさまざまな歴史を踏まえた上での考え方が一つあるにしても、先ほど来申し上げましたように、この研究の必要性というものを私どもは認めます。  しかし、守るべき規制というものがあります。絶対許してはならぬのは、人間のコピーだけは許してはなりません。このことを世界に発信するためにも、まずこれを成立せしめて、やはり世界に呼びかけ、問いかけ、そういう中で、それぞれの国がそれぞれの判断でまずつくっていくというふうにすることが一番いいのではないか、こう思います。  何回も申し上げますように、倫理とかあるいは生命の尊厳というものの考え方の背景には、その国々、民族の文化、宗教観、それぞれがあってでき上がっている部分がございます。世界的に、統一的に、全部これを一緒にする、そこまで待っていなければいかぬといったら、これはとても難しい話になるであろう。まずそれぞれの国がそれぞれの意思や判断できちっとつくっていく、そしてそういうことを積み重ねながら、結果として世界的なルールができるという道しかこの世界はないのかなと思っております。  なるがゆえに、この国会で成立せしめて、私どもも、世界じゅうの人々に日本としてはこうしましたよということを問いかけながら、それぞれの国の判断、結果を生んでいただくように、問いかけをしていくというきっかけにもしてまいりたい、こう思っております。
  141. 津川祥吾

    ○津川委員 大臣が、世界に対して発信していきたいという考え、まことに私は評価をしていきたいなというふうに思うところでございます。  ただ、アメリカのお話が出ましたが、確かにアメリカもまさにこの規制がある意味でおくれていると言われているところでございますが、これは先進国だけの問題ではなくて、他のアジアの諸国ですとか、他の国々も含めた世界的な規制というものがなければ、やはり有効性というものはなかなか生まれてこないのかなというふうに思いますので、ぜひ日本がこの分野において国際的にもイニシアチブがとれるようにお考えをいただきたいなというふうに思います。  それから、最近のイギリス、アメリカにおいて規制緩和が主に進んで、この分野においても進んでいるというふうに思われます。日本においても、中長期的には、またそういった規制のあり方も変わっていくということもあり得るのかというふうに思いますが、まさに、この問題については、何度も出てきた話でありますが、国民の同意というものが不可欠である。しかし、国民の同意を求めるときは、若干時間もかかるし、すぐに返答が返ってくる、同意が形成されるものではないというふうに思われるものであります。  この科学技術の進化の速さから考えて、何か問題が発生したときに審議会を開くですとか、あるいは委員会の中で取り扱うということだけではなくて、やはり常設の調査研究機関のようなものを設置して、その中で常に国民に対して情報を提供する、また国民の意識を把握するといったような研究機関、そういったものの設置が必要ではないかなというふうに私は考えるところでございます。  最後に、大臣にお伺いをしたいと思いますが、このクローン技術あるいはヒトゲノムあるいは再生医療市場というものは、今後急速な成長が予想される、ある意味で魅力的なマーケットであるというふうに言われておりますが、政府として、この分野に関してどのような戦略をお持ちかということをお伺いしたいと思います。
  142. 大島理森

    ○大島国務大臣 実は先般、あれは一週間ぐらい、もっと前でございましたでしょうか、あるホテルでライフサイエンスのフォーラムがございまして、ことしは物すごい活況であった。ゲノムを解明したアメリカの会社も参加していただきました。いかにもモラルサイエンスの今の動向を感ずるようになりまして、率直に申し上げますと、そこで、いや大臣、これが実はクローンの牛ですからぜひ食べてみてくださいと言われまして、いただきました。  そういう中で、いろいろな試算がございますが、今私どもも、そういう意味では、二〇一〇年にはバイオテクノロジーの関連市場規模が二十五兆円になるのじゃないかという予測はしておるところでございますけれども、そういうふうに、国家戦略としてある意味では推進していくという意味での政策をもはや国が持たなければならない。規制をして抑えるというのではなくて、国がこれから生きるためにどういうところに重点的に科学政策を進めるか。すぐれて、それは国家戦略だという思いで、きちっとやっていかなければならないという政策を持つことが大事だ。その一つとしてバイオテクノロジーが挙げられるもの、私はこのように思っておるところでございます。  したがって、私どもは関係五省庁でバイオテクノロジー産業の創造に向けた基本政策というものをつくらせていただきましたし、また科技庁として、そういうふうな観点から、バイオテクノロジーのいわば科学技術振興事業団の諸事業を通じて、育成を図ってまいらなければならぬと思っております。  来年からは、内閣府の中に、国家としての、国としての科学技術政策の総合的な戦略性を議論する場がつくられます。その中でも、むだのない金を使いながら、集中的なバイオテクノロジーの研究あるいは産業の育成というものは日本のこれからの行く末のかぎを握る一つだと認識して、政府として取り組んでいるところでございます。
  143. 津川祥吾

    ○津川委員 まさにそのとおりだろうなというふうに思っております。  森首相がITだITだというふうにおっしゃっていますが、世界のマーケットは、もうITというよりも、むしろその次に来る大きな波でありますバイオテクノロジーのマーケットの方にこそ注目をしていると言っていいかと思います。国内においても、恐らく、政治の場を除けばかもしれませんが、市場の方はそちらの方に今向かっているのかなというふうに思います。  だからこそ、今の段階で十分な議論と、また適正な実効性のある規制をしなければならない。緊急にこのヒトゲノム産生だけを規制すればよいということでは若干不足があるのではないかという点から、私は、民主党案の方がすぐれているというふうに考えているところでございます。  次に、その民主党案についても質問をさせていただきます。  まず、先ほどの政府案と同様になりますが、このヒト胚等の作成及び利用の規制に関する法律案というところで、この法律そのものが何を規制しているのか。それから、その規制をする理由は何か、その規制の目的は何かというところをお答えいただければと思います。
  144. 山谷えり子

    ○山谷議員 民主党もヒトクローン、人のコピーというのは禁止しなければいけないというふうに考えております。だからこそ、またそれは緊急を要するものだと考えておりますので、対案を出したわけでございます。  先ほどからいろいろな議論があったわけでございます。枠組みを大きくし過ぎて、むしろ研究阻害になるのではないかとか、研究の自由はとうとばなければならないとか、それはそのとおりなのでございますけれども、研究阻害に関しましては、まだまだ基礎的な分野が確立していないところでございますので、科学的研究というのは、実証、臨床など、いかなる段階においても、まず人間以外の動物レベルから始動させるのが当然ではないかということで、このような形になっているわけでございます。  民主党案は、国民生活と、それから生態系、科学の健全な発展を、やはりどうしても今の時点、入れなければいけないのではないかと。ヨーロッパでは、二十年ぐらいいろいろな議論があって、そして生命倫理も含めた包括的なものをつくっている。アメリカでは、まだ態度を決めかねていて、むしろ国際機関などを設けて、アメリカのもしかしたら暴走するかもしれないその部分について、日本も歯どめを考えていかなければならないということもあり得るのではないかというふうに考えているわけでございます。  民主党案は、そのような生態系あるいは科学の発展とともに、とにかく安全を考えなければいけないということで、ヒトクローンの禁止、もちろん法律で禁止します。ヒトと動物のハイブリッド、ヒトと動物のキメラ、それから動物とヒトのキメラ、例えばヒトの臓器を持った豚などというのもいけないのではないかと考えております。それから、人為的な一卵性多児、これも法律で禁止しております。政府案に比べて、例えば政府案では、動物とヒトのキメラ、つまりヒトの臓器を持った豚というのは指針で規制という形になっているわけでございますけれども、民主党案では法律で規制というふうになっている。あるいは、午前中にも出たわけですが、人為的な一卵性多児、これも指針で規制している政府案に対して、民主党案は法律で規制しているわけでございます。  研究阻害ということではなくて、本当に安全性を考え、そして生命倫理を考えて、スピードに合わせて考えていきたいということで三年ということを見直しでやっておりますので、科学技術の発展、真理の追求、研究阻害ということは当たらないというふうに考えております。
  145. 津川祥吾

    ○津川委員 今回の民主党案の中に最初はあったというお話もございましたが、生殖補助医療の規制についてであります。  今回は見送る、しかし、この部分についても近いうちに規制をかけていくべきではないかというお話だろうかと思いますが、その中で当然出てくる大きな問題でありますが、余剰胚について、どのような問題意識を持ち、またどのように規制していくお考えなのかというところをお答えいただければと思います。
  146. 山谷えり子

    ○山谷議員 余剰胚についてでございますけれども、余剰胚というのは、御存じのように、生殖補助医療で余った胚のことでございます。確かに、今一万人ぐらい体外受精で赤ちゃんが誕生しているということで、この余剰胚の問題というのは大きな問題でありますし、またクローン技術とは切っても切れないということで非常に重要だというふうに考えております。  この余剰胚の扱いにつきまして、現状においては、日本産科婦人科学会によるガイドラインによって自主規制というような形でございます。しかしながら、この余剰胚の扱いについて、患者へのインフォームド・コンセントが行われずに、医師の勝手な判断により、余剰胚を患者が知らぬ間に廃棄または不妊治療研究に利用されているなどの事態が発生するおそれがある。これは女性たちが心配して不安に思っていることなんでございますけれども、私たちも多くの女性たちにいろいろな声を聞いてまいりました。国民の目から見ましても、余剰胚の扱いが不透明、不明確という不安の声がございます。  これらの現状を考えまして、昨今は、日本においてもヒトES細胞樹立研究等のヒト胚を利用した研究実施を望む声が大きいわけでございます。確かに、神経細胞でパーキンソンが治るんじゃないかとか、あるいは糖尿病にも非常に有効なものができるのではないかとか、人類の福祉の向上という観点から見たら、一体どこまでどう考えたらいいのかというのは、本当にまだみんなが悩んでいる状況だというふうに思うんです。  そういうような形で、研究実施あるいは研究の進展というものが望まれる、そういう声も聞かれるわけですが、人の生命の萌芽であるヒト胚が科学的な合理性及び必要を持たない研究に利用されないように適正な取り扱いを確保する、これはまた別問題でございまして、確保するということは急務であるというふうに考えております。
  147. 津川祥吾

    ○津川委員 余剰胚というところで、当然ヒト胚の研究というものに使われるということになろうかと思いますが、その研究そのものを民主党案では認めているのか。積極的に認めるのか、少なくともこの余剰胚のみに関して認めるのか、その辺をお願いします。
  148. 山谷えり子

    ○山谷議員 ヒト胚の研究でございますけれども、ヒト胚の研究は、許可制という条件のもとで余剰胚については認めていくということでございます。
  149. 津川祥吾

    ○津川委員 あと、民主党案の中で特に目立つところといたしまして、ヒト胚は生命の萌芽であるという表現がございます。これが、ある意味で民主党案の中で一番注目されるべきところなのかなというふうにも思うわけであります。そういう観点から、ヒト胚の扱いに関して今回規制をされるということでございますが、その前の段階の生殖細胞の段階から規制しないというのはなぜかということをお伺いします。
  150. 近藤昭一

    ○近藤(昭)議員 お答えいたします。  生殖細胞の段階からなぜ規制しないのか。先ほど樽床議員もちょっと話をされましたが、人と動物の区別というか、今回、私どもは、とにかく人の生命の萌芽ということで大事にしていきたい。しかし、動物は動物で、もちろん大事にしなくちゃいけないということがある。あるいは、人間の祖先が猿なのか。今回の法案を作成するに当たっていろいろ研究しておりますと、必ずしもそうではないという考え方もある。ミトコンドリアが細胞の中にあるということは、すべて同じ起源から発するんではないか。  そんなようなこともありまして、まさしく、逆に言うと科学が発達することによって、人というのをどこで区別するのか、人の祖先が何なのかわからないようなところもある。かえって、人間が持っている倫理的なもの、あるいはある種の常識みたいなことの方が、それは時代によって変わるかもしれませんが、非常に社会的に通用しているという意味では正しいのかなと思ったりしたわけであります。  ちょっと話がそれたかもしれませんが、生殖細胞については、生命の萌芽であるヒト胚を適切に取り扱うことが今回の法案の主目的でありまして、ヒト胚は生命の萌芽でありますけれども、生殖細胞については人の生命の萌芽であるとまではやはり言い切れないだろうということであります。  そういう意味で規制はしない。しかしながら、胚の作成において、ヒトの生殖細胞や体細胞を利用する場合もあるわけでありまして、そのような場合においては、十分にその生殖細胞の提供者の同意をとる等の措置を講ずることとしていくということでございます。     〔委員長退席、平野委員長代理着席〕
  151. 津川祥吾

    ○津川委員 生殖細胞の段階では規制をしないというところで、アメリカでも精子バンクといったものがかなりありますし、有性生殖の話になりますが、そういった部分ではかなり自由奔放といいましょうか、そういうような状況になっておるわけであります。日本においても、規制をしないのに、ではその提供者に対して同意をとるというのはどういうことでありましょうか。
  152. 近藤昭一

    ○近藤(昭)議員 お答えいたします。  繰り返しになりますけれども、この法案の目的は、生命の萌芽であるヒト胚を適切に取り扱うために講ずるものである。その中で、生殖細胞は人の生命の萌芽であるとまでは位置づけられないだろう。ですから対象外とする。  ただし、それは、非常に考え方もいろいろあるのかもしれませんが、やはり人間の体の一部であるということ、そして、その生殖細胞を扱うことが重大な影響を及ぼすだろう。人間の体の一部である以上、きちっと提供者の同意をとることはやはり必要であるという考え方でございます。
  153. 津川祥吾

    ○津川委員 ありがとうございます。  次の点を質問させていただきますが、民主党案におきましては、ES細胞の樹立にかかわる研究というものは許可をされているようでありますが、ほかにも有益あるいは有用な研究もあるのではないかと思います。その辺はどうでしょうか。
  154. 城島正光

    ○城島議員 お答えいたします。  確かに、御指摘のとおり、民主党案ではヒトES細胞の樹立にかかわる研究ということについては、許可というか、そういう方向でしているわけでありますが、それは、御承知のように、この研究は、拒絶反応がない移植用の細胞とか臓器ですとか、あるいは組織の作成といった面において極めて有用な成果を生む可能性がある研究である。しかも、この研究については、どうしてもヒト胚を使用する以外に今のところ方法がない。  また、御指摘のように、それ以外のヒト胚を使った有用な研究ということも数多く存在するというふうには思いますけれども、先ほどから論議になっておりますけれども、ヒト胚は人の生命の萌芽であるという観点から、みだりに使うべきじゃないんじゃないかというふうに我々は思っているわけであります。  先ほど生殖細胞の話もありましたけれども、あえて我々が厳密に言うと、生命の萌芽というところでいうと、まさに、生殖細胞というよりは受精した直後というんですか、受精卵以降というか、あえて細かく言えば、それが生命の萌芽ということだと思うんであります。そういう点からいっても、このヒト胚そのものというのは、みだりに使うべきじゃないんじゃないか。したがって、動物の胚ですとかあるいは試験管段階とか、そういった段階で十分研究を積んでからヒト胚を用いた研究をすべきではないかな。  私も、実は以前、民間企業のまさにバイオサイエンス研究所というところでこの周辺の研究を一時期したことがあるわけでありますけれども、そういった観点からも、あえて言うと現段階ではまだ、かなり重要な研究がありそうでありますけれども、どうしてもヒト胚を使わなければならない段階に今あるというふうには、現段階では判断していないということであります。     〔平野委員長代理退席、委員長着席〕
  155. 津川祥吾

    ○津川委員 最後に一点、国内における生命倫理に関する国民的議論がいまだ未成熟ではないかという点をちょっと述べさせていただきたいと思います。  今のお話の中にもございましたが、人はいつから人でいつまでが人か。先ほどの大臣のお話の中にもございましたが、例えば、脳死は人の死かどうかというところで、何年か前に議論があったところではございましたが、実は私は、科学技術という観点から見ると、日本が出した答えというのは残念ながら非常に非科学的な答えであったというふうに思っております。  つまり、脳死、大脳死とするか、脳幹死とするか、あるいは人の死かどうかという議論をして、専門家が煮詰めていったときに、なかなか結論が出なかった。最終的に出した結論は何だったかといいますと、その脳死の方の体を臓器移植に使える場合に限って脳死と認める。これはとんでもない話です。これは一番やってはいけない判断をやってしまったというふうに私は思っております。  また、それゆえに、臓器移植の技術等々すべてを私は否定しているわけではございませんが、最も重要でかつ慎重に議論しなければならないポイントで、その段階においては国民的な議論が最終的にはなされなかったというふうに私は思っております。  このクローン技術においても、人の始まりはどこか、人の尊厳とは何かというところがまさに重要なところでございますから、いま一度、国民全体の議論を喚起する必要があるのではないか。我々国会議員も含めて、政府の皆様方もそういった努力をさらに重ねていただきたいというふうに考えるところでございます。  また、よく言われるところでございますが、人クローン個体の誕生がだれの不利益になるんだ、あるいはだれが被害を受けるんだというようなことを言われたときにも、明確な答えを我々は用意しなければならないというふうに思っております。  また、先ほども申し上げましたが、将来の再生医療市場が、十年後には二十五兆円あるいは二十年後には五十兆円と言われておりますが、だからこそ、この有用性ばかりを強調して、有用性があるからこそ何をやってもいいというような議論に走らないように、十分な合意を求めるための議論を国民に対して最大限に呼びかけていかなければならないということを改めて要望いたしまして、私の質問を終わらせていただきます。  どうもありがとうございました。
  156. 古賀一成

    ○古賀委員長 山名靖英君。
  157. 山名靖英

    ○山名委員 公明党の山名靖英でございます。  朝からの四時間にわたる議論が展開されたわけでございまして、相当の事細かな議論がございましたし、私の用意をいたしました質問も、かなり皆さんとダブる部分があろうかと思いますが、確認の意味も込めて質問をさせていただきますので、御答弁のほどをよろしくお願いいたします。  もう言わずもがなとは思いますが、クローンをめぐる論議は、本年五月に当委員会で参考人質疑が行われまして、事の重要性から一刻も早い成立を求められたわけでありますが、いま少し検討期間が欲しいという野党側のお話もございまして、廃案となったわけでございます。  近年の遺伝子あるいはバイテク等の生命科学の目覚ましい進展というのは、我々人類にとりまして、人間とは何か、生命とは何か、科学はどこまで人間の生命にかかわっていいのか、こういった生命倫理ともいうべき重大な命題を突きつけたわけでございまして、大変重要な課題を背負っておるわけでございます。  ともかく、今世紀、人類は哺乳類の体細胞クローンをつくり出すことに成功をしたわけでございまして、イギリスのドリー、その後、中国や韓国でのヒトの体細胞クローン胚の作成の成功、我が国にあっても、難しいと言われた豚の体細胞クローン個体の産生に成功した、こういうふうに報じられてまいったわけでございます。これは、言いかえれば、クローン人間作成の可能性が、コピー人間作成の可能性がすぐ目の前に来ている、こういうことでありまして、まさに衝撃的な事態を目の前にしている。  したがって、そういった意味でのきちっとした法規制、これはもう待ったなしではないかというふうに認識をしているところでございますが、今、クローン人間をつくり出すことに積極的な団体も出ておるようでございまして、そういうことを踏まえながら、改めて私は大臣に、この人クローン個体産生の法規制の緊急性及び重要性について御見解をお伺いしたい。  とともに、今クローン技術が、先ほど豚の体細胞クローン作成と言いましたが、海外におけるその後の発達ぶりというんですか進展ぶり、及び我が国のクローン技術のレベルが今どこまで来ているのか、これについてあわせてお聞かせをいただきたいと思います。
  158. 大島理森

    ○大島国務大臣 今、山名先生から、ことし五月の参考人招致以来さまざまな論議を経て今日まで参りましたこと、委員のお一人としてそういう経過を踏まえながら、改めてその緊急性、重要性というもののお尋ねがございました。  私も、臓器移植の論議のときに、私の所感としてこのように思ったんです。ライフサイエンスという世界、あるいは人間が生きるということに対するすさまじい、言葉は適当かどうかわかりませんが執着、きれいな言葉で言えば希望というんでございましょうか。しかし、これはだれも否定することができないわけです。人間はいつか死ぬという宿命を持ちながら、その日を一生懸命生きていくというまた宿題を背負いながら、頑張っているわけでございますから。  それで、例えば臓器移植という問題に、あのときに結論を出し得ない。その中身は先ほども御指摘がありました。そういう必要性、あるいはどうしてもやりたいという人々が国内にいたときに、日本ではそういうふうな環境にないとすれば、今、国際化の時代に、世界に行く。やってくれるところに行く。その国際化という現状が、医療の世界あるいはそういう世界にもどんどん行っているんだな。だとすれば、その技術を使うか使わないかは、高度技術産業時代だからこそ改めてそれぞれの主体性によってそのことを判断するにしても、国としては、受けるチャンスがあるという、そういう場をつくっておくことが大事なんじゃないだろうかと私は思いました。  今、クローンの法律を皆さんに議論していただくときに、やはりライフサイエンスという世界が、ゲノムの解明から始まり、今度はたんぱく質の解明の時代に入り、一方、クローン技術というものが生まれて、そこから生まれる人類に及ぼす有用性というものも、かなり明らかになってきた。だとすれば、先ほどからいろいろ議論していましたが、もし極端に、一切こういう研究はだめだといって、だれもそういうふうに主張はしていないにしてもだめだといって規制した場合には、必ずこういう問題についてやってくれるところに人々が行って、日本人としてそういうところに行って、自分のいろいろな治療をやったりする場合があるかもしれない。  そういうこと等々も考えれば、クローン技術という問題について、絶対に許されない分野は今すぐに抑えておきながら、しかし、そこから、さまざまな研究開発によって人間にとって、人類にとって有用な可能性があるというところもこれからあるとするならば、そのバランスを考えながら、抑える法律はきちっとしなきゃならぬ。  だとすれば、そのだめだという根拠は一体どこにあるかというと、ただ一点、反社会性だ。反社会性というのは何かといいますと、先ほど来申し上げましたように、一つは、人間を道具として使うとか、あるいは多様性をなくするとか、その他いろいろあるわけですが、要するに、秩序を壊していく。人間が人間としての社会の秩序を壊す。  そういう観点から、絶対これだけはやっちゃいけないというものを今早急につくらないと、先生お話しされたように、もうある団体では、アメリカをベースにして、私どもはクローンの子供をつくってさしあげますとか、一方ではそういうことがどんどん進んでいく。そういうことの中から緊急性というものがあるという意味で、私どもは、今回の無性生殖を意味するクローン、これは国内外で禁止されるべきとの合意が存在しています。そして、そういうクローン人間誕生の危険性は高まっております。  そういう観点から、緊急性というものがあり、また反社会性というものがあり、そこはしっかりと十年という刑罰規定を設けて、だめですと。その他のところは、もちろんきちっとしたルールをつくりますけれども、さはさりながら研究開発の有用性を認めて、ガイドライン等で押さえて、そういう世界をつくっていこうというのが今次の我々の法律であります。  海外のクローン技術のありよう、日本の技術実態については、総括の方からお答えをさせていただきます。
  159. 渡海紀三朗

    ○渡海政務次官 今ももう既にお話しになった内容でございまして、従来型の受精卵クローンというのは十年前ぐらいから盛んに行われております。先ほどおっしゃっておりましたクローン牛などがそうでございますし、最近は、よく言われております平成九年の羊のドリーから始まって、これまでに海外では羊、ヤギ、牛、マウス、豚、哺乳類を中心としてこれだけの成功例が報告をされておるところでございます。  日本も、これも先生御承知のように、農林省の研究だと思いますが、なかなか難しいと言われておったわけでありますが、豚が既に成功をいたしておりまして、かなり進んでいるというふうに考えていただいていいのじゃないかというふうに思っております。  なお、韓国におきましては、再生医療につながる研究の一環として、既に人クローン胚がつくられている、こういう情報も、これは報道でございますけれどもあるところでございます。
  160. 山名靖英

    ○山名委員 そこで、事の緊急性、反社会性を重んじての重要性を今お述べになったわけでございますが、民主党さんの案もそういう起点に基づいて出されたかという認識はありますが、ともかく、こういった問題に対して、これは世界共通のテーマだと思いますし、そういう意味では、イギリスやドイツ等におきましては、一定の法規制を持っております。  ただ、アメリカにおいては、合衆国全体としての法規制がとれていない。アメリカのこれが一つの文化かなとは思うんですけれども、なぜアメリカがそういう態度なのか、理解に苦しむわけでございますが、一方でアメリカ等は、市民が議論に参加できるように、情報公開あるいは教育の機会の提供等を行っているというふうにも聞いております。  そういった意味でも、我が国でも今後の課題として、こういった議論や中身についてITを使った情報公開、こういったことも、手だてとして国民の一層の理解を深めるという意味からも私は大事じゃないかと思っております。  さきのアンケート調査の結果がございまして、大体三割の人がだめだ、ところが、残る七割の人が、よくわからない人を含めて七割の人がもうひとつ乗り気ではない。これも結局は、国民の皆さんにこういったたぐいのテーマが与えられていないし、そういった情報がきちっと伝わっていない、それを判断する手段に欠けている、こういうふうに思うわけです。  まさに生命の倫理にかかわるこういう大事な問題について、もっともっと開かれた議論にするためにも、もう既に政府はホームページ等で開いていると思うんですけれども、今後のそういった意味での取り組みについて、決意のほどをお聞かせいただきたいと思います。
  161. 渡海紀三朗

    ○渡海政務次官 先ほどのアメリカの件はもうよろしゅうございますか。(山名委員「結構です」と呼ぶ)なかなか複雑な事情があるようでございまして、きょう大統領がどっちが勝ったか、まだわかりませんが。  日本のパブリックアドレスの件でございます。  当然、生命倫理委員会などの詳細な議事録とか、そういったものはインターネットで公開をされておりますし、また、パブリックコメントを実施するという意味で、シンポジウムを開催させていただいたり、さまざまなアンケート調査をやっておるところでございます。  ただ、先生御指摘のように、この件に関していえば、私も、これは十分国民に理解が行き渡っているかなといえば、まだまだ努力をしなければいけないな、そんな思いがいたします。  生命倫理に関する社会的なさまざまな問題に関しては、現在一つの案としては、市民みずからが提言をまとめていくということで、コンセンサス会議というのをひとつ試しにといいますか、ヒトゲノムの研究に関してやっておるところでございます。  今後、こういった手法を通じて、さらにわかりやすい情報公開、また情報の発信、そしてパブリックコメントといったようなことを求めて、国民の合意形成に資したいというふうに考えておるところでございます。
  162. 山名靖英

    ○山名委員 そこで、クローン技術が人類に及ぼす影響というものは、功罪含めてはかり知れないと思います。ある面で、未来に対して限りない可能性、夢ともいうべきものもあるわけでございますが、現在では、人クローン胚を含む特定胚については、生殖医療の分野で有用性を持っている、有している、こういうふうに言われておりまして、その研究に対する一方での期待も大きい、こういうふうに承知をしております。  したがって、先ほど言われましたような、絶対あってはならない、そのためにも絶対禁止しなければならない、こういうものと、将来的に有用性の認められるものについては厳格な管理のもとに、禁止すべきものは禁止をしていく、こういう二つの方途というものが当然あってしかるべしだ。そういう意味では、何でもかんでもすべてを規制するというのは、将来のそういった有用性の部分なり、人類のためにまた生かせる部分を殺してしまう、こういうことも思います。  そこで重要なのは、今現在におけるこの部分の線引きをどこでするか、こういうことだと思うのです。政府案では、特定胚を二つのグループに分けまして、法律による胎内移植の禁止と、指針による胎内移植の規制という二つの方法をとっておるわけでございまして、すべての特定胚については法的に禁止の網をかぶせていない、こういったことになっているかと思うのですが、この辺の線引きの根拠、これについてわかりやすくお教えいただきたい。
  163. 渡海紀三朗

    ○渡海政務次官 午前中からの議論もここの部分に随分集中をしておるわけでございますが、政府案の根拠というのは、先ほども大臣がお話しになりましたように、やはり反社会性という、このところで線引きをいたしておるわけでございます。そこの部分に着目をいたしまして、個体産生が行われれば、倫理的にはもちろんでございますけれども、社会的に非常に大きな混乱を起こす。そういったことで、四つの胚に限定をして個体産生を禁止いたしているという点が一つ特徴としてございます。  その他の胚については、当然これも野放しということではありませんで、今先生がおっしゃいましたように、社会的に有用な研究というものを、やはりそれでもやってはいけないことと、どんどんやった方がいいということがあるわけでございますから、そういった観点から、ガイドラインで指針を示し、禁止すべきものは当面禁止をする。  これも先ほどから議論が出ておりますように、今のライフサイエンス分野での研究開発の進展というのは、大変スピードが速うございます。ですから、さまざまな状況変化に応じて柔軟に対応しながら、研究開発という意味では、実は先ほど民主党の津川議員からも御指摘がございましたように、やはり自由な研究が守られるということも守りながら、しかしだめなことはだめということで対応していくというのが、より今のこの状況になじむであろう。  これは、科学技術会議の生命倫理委員会からしてもそのような報告をいただいておりまして、政府案ではそこできちっとした線引きをして、反社会性の非常に強いというものの個体産生について、国民のコンセンサスも九割以上は得られておるわけでありますから、法的に十年という非常に重い刑罰を科して禁止をする、あとのものについてはガイドラインでもっていろいろと規制をしていく、こういう考え方をさせていただいておるところでございます。
  164. 山名靖英

    ○山名委員 特定胚の取り扱いに関する指針についてでありますが、この特定胚の規制を政府案は法律上、五年後の見直しということにしております。対して民主党案は、すべての特定胚を規制する法律が三年後の見直し、こういうことになっているわけでございます。  政府案につきまして、日進月歩といいますか、目覚ましく進展するクローンの分野に果たして即応し得るのか、こういう疑問を持っているわけですが、いかがでしょうか。
  165. 大島理森

    ○大島国務大臣 先ほども御議論がありましたが、我が方は五年以内、以内ということを言っております。そして、ガイドラインということで指針を示して、法律規定を設けるところをガイドラインでやっていこう、むしろそういうことによって柔軟に対応してもらおうということでございます。  先生がお話しされたように、もしすべてを民主党さんのようにがちっと刑罰規定をもって禁止をすると、それを見直したときに、より一層強くするときはある意味では楽かもしれません。社会的ないろいろな知見の結果、ある程度そこは緩めなきゃならぬといったときに、例えば五年の刑罰を三年にするとか、そうしたときに本当に国民の理解を得るのに大変な労力が必要なんじゃないだろうか。  そういうこと等々を考えたときに、私どもは、むしろガイドラインという手法を用いて柔軟に対応するすべをつくりました。一方、五年以内に、必要であればそのときに、多くの国会での議論等を通じ、また必要であれば見直すことについて何らやぶさかではない、こう思っております。
  166. 山名靖英

    ○山名委員 政府案に対する質問の最後ですが、指針の適合性に対する届け出の問題ですね。届け出で判断していく、こういうことでありますが、例えば何か不正ともいいますか、これに反する、こういった事態が起きたときに、立入検査、こういうことをうたっているわけです。この立入検査の有効性といいますか、常にしょっちゅうやるわけではないでしょうし、人数もやはり職員の皆さんは限られているわけですから、そういった意味での検査体制というものが今後問題になるんじゃないか、このように思っております。  そういった意味での有効性、実効性の問題と、立入検査というのは、こういうことで問題があって立入検査をしたということを周知する必要もあると思うのですね。こっそりとやるというケースもあるかわかりませんが、それよりも、そういった意味での情報公開が必要じゃないか、そういうように思っております。  そのチェック体制について十分な体制がとれるのか。立入検査の中の最も主体となるような、例えば、実験ノートなんかは克明に毎日毎日、時間刻みで書くようですけれども、決め手になるようなそういった資料というのはどこに見出すのか。その辺の立入検査の体制について、お伺いをしたいと思います。
  167. 結城章夫

    ○結城政府参考人 届け出をしていただきまして、その書類を見て判断ができない、不十分だと思えば報告徴収を行い、必要があれば立入検査に行きたいと思っております。それで、立入検査でありますが、文部科学大臣がその職員、文部科学省の職員をして行わしめるわけでございまして、具体的には、研究振興局ライフサイエンス課の職員が中心となって行うこととなっております。  実際の立入検査のやり方でございますけれども、関係者へ質問をする、あるいは書類の検査を行うというようなことができることになっておりまして、実際の検査といたしましては、実験のノートであるとか、いろいろな発注伝票、装置の運転記録といったものを調べるということで、かなりの実効性が確保されるものと思っております。  それで、検査の結果の透明性ということでございますけれども、立入検査の結果も含めまして、この法律の施行状況を積極的に国民に伝えるということは必要だと考えておりますので、透明性のある法律の運用を心がけていきたいと思っております。
  168. 山名靖英

    ○山名委員 それでは次に、民主党さんの案について、何点か御質問をさせていただきたいと思います。  さきの本会議でも我が党の斉藤理事が質問をさせていただきましたが、民主党案によりますと、規制の対象をヒトの受精卵、受精胚という有性生殖まで範囲を拡大しているわけですね。  クローン人間というのが許されないのは、まさに男女のかかわりのないヒトのコピーを産生する、そういう意味の無性生殖、こういうところに根本的な問題があるんじゃないか。そういうことからいえば、有性生殖の問題と土俵の違う無性生殖の問題を一つにくくっちゃって論議して、同じ法律で規制をするというところに、いささかどこから見ても無理があるんじゃないかな、私はこういう気がいたしまして、斉藤理事も論理に飛躍があるという指摘をしたところでございますが、改めて御見解をお聞きしたい。
  169. 近藤昭一

    ○近藤(昭)議員 お答えをいたしたいと思います。  委員御指摘のことでありますが、私どもが今回この法案でクローン個体の産生を禁止する理由といたしましては、特定の目的のために特定の形質を持ったヒトを意図的につくり出そうとする人間の育種、あるいは人間を特定の目的のための手段、道具とみなすことに道を開くことであること、また無性生殖であることなどを挙げておるわけであります。無性生殖だからということだけではなくて、幾つかの理由の中に無性生殖がある。  したがって、無性生殖を禁止しなければならないことについては論をまたないわけでありますが、無性生殖であることはクローン個体の産生を禁止する理由のあくまで一つとして挙げているということでございまして、民主党案においては、有性生殖、無性生殖を、法規制するしないとの基準とは考えていないわけであります。ですから、有性生殖だからといって何でもやっていいというわけではないですし、例えば代理母も考えられないということでございます。
  170. 山名靖英

    ○山名委員 その部分がいま一つ、全体的な網をかけている以上は結局そういう論理になってしまうわけでありまして、わかりづらい部分だと私は思います。  もう一つ言いますならば、民主党案では、表向きと言ったら失礼かもわかりませんが、ヒト胚の作成及び利用を法律で原則禁止する、こうなっておるわけですね。その法律を見ますと、先ほどからもずっと話が出ていますが、生殖補助医療及び生殖補助医学研究、これについては法律の適用外として除外をしておるわけですよ。  問題は、ヒト胚の作成及び利用から生殖補助医療等の分野を除いてしまうと、そのほとんどは規制の範囲外となってしまう、これはもう当然だと思うんですね。生殖補助の名のもとに行われる研究であれば何をやってもいいという、むしろ何か法律がお墨つきまで与えてしまう、こういうような嫌いが私はするんですが、いかがですか。
  171. 山谷えり子

    ○山谷議員 生殖補助医療も、人の生命の萌芽であるヒト胚を人為的に作成、利用するものであるので、その方法等によっては人の尊厳に反するものと考えられる。また、もし十分に安全性を確立していない技術を用いるようなことがあったとすれば、生まれてくる子供の生命及び身体の安全にも重大な懸念が生じます。したがいまして、生殖補助医療だからといって自由に行っていいものではなく、その方法等について規制を行うことは必要であるというふうに考えております。  ただ、生殖補助医療は、子供を持つことを望む不妊の夫婦にとって非常に有益なものでありまして、現在実際に広く行われているわけです。この議論を大分やったわけでございますけれども、生殖補助医療または生殖補助医学研究というのは、そうした夫婦あるいは本人の幸福追求権として現在行われているものは、個人の選択権として認めるということがよいのではないかという結論に至りました。
  172. 山名靖英

    ○山名委員 その場合、先ほど出ていました研究利用した後の余剰胚、これを人の胎内に戻すことを禁止していないわけですが、民主党案では、胎内に戻しても問題ない、こういうふうに考えているわけですか。
  173. 山谷えり子

    ○山谷議員 規制のあり方についてなんですけれども、今厚生省の審議会で検討が大詰めを迎えていますけれども、その結果を待って整合性を持たせるように配慮しまして、またさらに時間をかけて一貫した総合的な政策形成を行うべきというふうに考えております。  そこで、民主党案では、生殖補助医療については、研究も含めて、その規制のあり方について総合科学技術会議での多様な観点からの議論を踏まえ早急に検討を行いまして、三年以内に規制を行うこととし、現段階では生殖補助医療及び生殖補助医学研究にかかわるヒト胚の作成、利用については許可の対象とはしないこととしています。
  174. 山名靖英

    ○山名委員 では、ちょっと観点を変えまして、民主党さんの法案につきましては、いわゆるES細胞樹立の研究も法規制の対象に含めているわけでありますが、それはなぜですか。
  175. 近藤昭一

    ○近藤(昭)議員 御質問でありますが、私どもの法案では、ES細胞を規制対象にしているというよりは、余剰胚の研究、利用について規制対象としているわけであります。そして、一定条件のもとで、許可制でES細胞の樹立の研究のためにはヒト胚を用いてもよいということであります。  なぜ余剰胚の利用が規制されなければならないかにつきましては、これは何度も繰り返しているわけでありますが、ヒト胚は生命の萌芽であると位置づけることができ、倫理的に尊重されるべきであるため、みだりに研究に用いることは可能な限り避けるべきだと考えております。しかし、一方では、ヒト胚は人の生命そのものとは異なる、また、ヒト胚を用いる研究には、ES細胞の樹立のように医療や科学技術の進展に極めて重要な成果を生み出すことが想定されるものがある。したがって、ヒト胚が人の生命の萌芽として尊重されるべきとの要請を考慮した上で、余剰胚を厳格な規制の枠組みのもとで研究に利用するとしているわけであります。
  176. 山名靖英

    ○山名委員 ということは、ES細胞もヒト胚を使うわけですよね。そういうことになりますね。  ES細胞の樹立の研究といいますか、これは当然ヒト胚の存在というものが大前提になるわけなんですね。民主党案というのはヒト胚の保護を目的とした法案だ、こういうふうにおっしゃっておりますが、ES細胞樹立のためであればヒト胚の使用が結果的に許可される、こういうことになってしまって、何か自己矛盾じゃないかという気がするんだけれども、いかがでございますか。
  177. 近藤昭一

    ○近藤(昭)議員 ですから、私どもといたしましては、ES細胞の樹立については許可をする。しかしながら、厳しい一定の条件のもと、ES細胞を使って実験をせざるを得ないといいましょうか、ある程度動物的な実験をしてきた、安全性が確認された、そしてそれをいよいよ実用化といいましょうか、安全性を確認した上で最後はES細胞を使わざるを得ないというような一定の条件のもとではES細胞を使っていいということであります。
  178. 山名靖英

    ○山名委員 私も専門家じゃないからよくわかりませんが、ES細胞それだけでは個体産生にはつながらないらしいですよね。したがって、やはりそういう意味ではクローン個体産生とES細胞というのは分けて、別途指針としてこれは確立すべきだ、そういうたぐいの問題である。さっきから有性、無性をごっちゃにしちゃっているということを言いましたけれども、この一点からも、その辺のもうひとつわかりづらさというか、大まかさというものを私は指摘したいと思います。  それから、民主党の法案は見直し規定が三年、こういうふうになっております。生殖補助医療等に名をかりた研究が行われた場合、罰則ではどういう扱いをされるんでしょうか。生殖補助医療等のためにこれは研究しているんです、やるんですといいながら、それに違反をした場合の罰則はあるのかという意味です。
  179. 樽床伸二

    ○樽床議員 それはうそをついているわけでありますから、当然我々が規定いたしております罰則に該当するというふうに私どもは考えております。  それから、先ほどからいろいろ山名委員の方からお話がございますが、私どもは、クローンのもとにはヒト胚がある、そのヒト胚からクローンにもなるし、ES細胞も出てくる。こういうことから考えると、有性、無性という分け方もあるけれども、その川上はヒト胚ではないか。そういうところもしっかりと包括して見なければ、結局は、私が先ほどから何度もこの席で答弁をいたしておりますように、よかれと思っていても、科学技術の進歩に対して人類は大きな希望を持っておりますから、それが善悪ということは別にしまして、やはり暴走する可能性はあるということで、非常に厳しい管理のもとできちっと運用していくという趣旨の発言を委員が先ほどされましたが、私どもはそういう観点に立ってこの法案をつくっているということを御理解いただきたいと思います。
  180. 山名靖英

    ○山名委員 第二十二条でしたか、胎外におけるヒト胚の作成ということに限定をされておりません。これは、言いかえれば、通常の性行為による胎内でのヒト胚作成についても配偶子提供者の同意を得なければならない、こういうことになるわけでありまして、これはいささかどうかな、こういう感じがいたします。  第三条第一項にも、「ヒト胚は、人の生命の萌芽であって、何人も、みだりにこれを作成し、又は利用してはならない。」そういう規定がございます。そういうことから読みますと、通常の性行為により女性の胎内でヒト胚を作成することも、そういう意味では、みだりにこれを作成し、利用するということに当たらないのか、こういった率直な疑問を持ったわけですけれども、御見解をお伺いしたいと思います。
  181. 樽床伸二

    ○樽床議員 ちょっと私の理解力が乏しいせいか、確実に御質問の趣旨を把握していないで答えるかもわかりませんが、二十二条の問題は、結局、余剰胚というのはヒト胚の中で不妊治療に使って余った部分ということですね。余った部分がそのまま今残っている。それを使うには、当然それのもとになる男性と女性がおられるわけでありまして、これは俗に夫婦であろうとは思っておりますが、そういう方の許可をちゃんと得ないで使ってはいけない。  当たり前の話なんですが、今はそこら辺が非常にあいまいになっていて、いろいろな形でぐちゃぐちゃになっているのではないかという前提に立って我々はこの二十二条を設けているということで、全然前項等々の条文とは矛盾しないというふうに考えております。
  182. 山名靖英

    ○山名委員 さっき私が申しましたような読み方ができるわけですよ。だから、その辺が条文としてちょっと舌足らずじゃないかなという気はしております。  時間が来ましたので最後になりますが、今回の民主党案の中で、特に五条、許可制をとっているわけですが、研究に逐一許可を必要とする、こういうことになりますと、人類のためになるような研究、いわば夢ともいうべきもの、そういった研究を阻害、阻止をしていくのではないか、こういうふうに思います。その点についての御見解を最後にお聞かせいただきたいと思います。
  183. 樽床伸二

    ○樽床議員 先ほどの御質問にちょっと答えていなかったように思います。委員がおっしゃっておられる通常の性行為に基づくものについては、これは提供者というものには全く当たらないわけでありますから、それは通常の行為、通常の行為というのも何となくあれなんですが、普通の行為であるということで、当然この二十二条には該当しないというふうに我々は考えております。  それから、なぜ許可制にするのかということでありますが、それは先ほどから申し上げておりますように、ヒト胚というものの保護、それは人の尊厳の萌芽であるという大前提で、ヒト胚とクローン、ES細胞を分けて考えることはできないという前提の中で、条文に書いてございますようなきちっとした許可が必要であるということを考えて、この法案を提出させていただいたところでございます。
  184. 山名靖英

    ○山名委員 余り時間がありませんので十分論議できなかったのですが、総括して申し上げて、民主党案はやはりちょっと早急な、失礼ながらばたばたの中での作業という印象をぬぐえないわけです。  政府案で提案しているように、やはりクローン技術の規制ということに対象を絞って、そして個別法という形で我が国が世界に発信する。後進国と言ってはまた失礼かもわかりませんが、そういう生殖医療関係の問題で悩んでいる国も多いわけですから、やはりそういうところへの指針にもつながる大変意義あることだ、私はこういうふうに思っております。そういう意味でも、今国会でぜひとも政府案を通して、世界に向けて、また将来に向けての発信を願いまして、質問を終わります。  ありがとうございました。
  185. 古賀一成

    ○古賀委員長 菅原喜重郎君。
  186. 菅原喜重郎

    ○菅原委員 自由党の菅原喜重郎でございます。  まず、閣法に関連して質問をしていきたいと思います。  平成九年二月、イギリスのロスリン研究所が体細胞クローン羊ドリーの誕生を報道し、クローン技術が人に用いられるのではないかとの危惧が世界じゅうを駆けめぐりました。その後三年以上の歳月が経過し、この法律案が国会の審議に付されているわけであります。生命科学に関する我が国で最初の規制法ということですから、慎重な検討が行われてきたものと考えています。  そこで、クローン羊ドリーの誕生が明らかになった後の我が国の対応はどのようになってきたのか、またなっているのかをお伺いします。
  187. 結城章夫

    ○結城政府参考人 平成九年二月のクローン羊ドリーの誕生直後でございますが、同年三月には、科学技術会議の政策委員会におきまして、ヒトクローンに関する研究に政府資金の配分を差し控えるという決定がなされております。  その年の九月には、当時の橋本総理の御指示によりまして科学技術会議に生命倫理委員会が設置され、さらにその下にクローン小委員会などが設置されました。それで、すべて公開のもとに議論が進められまして、昨年の十二月には、生命倫理委員会において、人クローン個体の産生に対し罰則を伴う法規制を行うべきとの結論が得られたところでございます。  一方、大学などに対しましては、文部省が平成十年の八月に人クローン個体の産生につながる研究を禁止する旨の告示を発出いたしております。この間、関係の学会、有識者、一般から広く意見を公募するとともに、有識者及び一般へのアンケートを実施いたしまして、その九割強がクローン人間の産生禁止を支持していることを確認いたしました。  こういうことを踏まえまして、さまざまな議論を踏まえてこの政府案ができておりまして、前回の通常国会に出させていただきましたけれども、廃案になりましたので、再度この国会に出させていただいたところでございます。
  188. 菅原喜重郎

    ○菅原委員 それで、このドリー報道の後、デンバー・サミットにおいては、ヒトの体細胞クローン産生を禁止するために適切な国内措置と緊密な国際協力が必要とされました。その後も、WHOやユネスコ、欧州評議会などでも次々とクローン個体産生の防止がうたわれ、それが国際的なコンセンサスであることは疑う余地がないものになったと私は考えています。  この問題は、世界各国が責任ある対応をとらなければ、どこかの国に優生思想的な発想からクローン人間を誕生させられることによって、それにおくれをとれないと考える国が次々にあらわれては、もはや歯どめがきかなくなるおそれのある大変危険なものではないかとも思っております。  それで、このクローン羊ドリーの誕生が明らかになった後の諸外国の対応はどうなっていますか、お尋ねします。
  189. 結城章夫

    ○結城政府参考人 クローン羊ドリーの誕生は、クローン人間の可能性を開くものとして世界に大変大きな衝撃を与えました。これを受けまして、ユネスコ、WHOそれからデンバー・サミット、欧州評議会などのさまざまな国際的な場で、クローン人間禁止の方針が決議されるなど、国際社会において規制の方針が打ち出されてきております。  個々の国を見てみますと、従来から生殖医療の規制の枠組みを持っておりましたイギリス、フランス、ドイツにつきましては、その既存の法規の枠組みの中で、法文の解釈あるいは明文によってヒトクローンの禁止措置が既にとられております。一方、アメリカ、ロシア、韓国、イスラエルといった生殖医療の規制の枠組みを持っていない国々におきましては、クローンを規制する単独法によってヒトクローンを規制する方針で検討が進んでおります。  このように、人クローン個体の産生を禁止することは国際的なコンセンサスであり、各国の状況に応じたそれぞれの措置がとられているところでございます。
  190. 菅原喜重郎

    ○菅原委員 私は、各国においての法整備が、必ずしも一線を画して進捗していないような状況もあると思っておるわけであります。そういうような考えから、逆を言えば、世界の動向に先んじて今我が国が法整備を行う必要がある、そういうふうに今回の法案提出を考えております。  しかし、もう一度確認しておきたいと思いますが、諸外国で必ずしも一斉にこの規制がとられていない、そういう中で我が国がクローン技術に関する規制を急ぐ理由は何か。また、これについて国際的における役割いかんということについて、大臣にお聞きしたいと思います。
  191. 大島理森

    ○大島国務大臣 菅原先生はもう全部承知の上でいろいろなお尋ねをしておられるのだろうと思いますけれども、先ほど政府参考人としての発言がありましたように、今日までいろいろな経過を踏んでまいりました。  特に本年になりまして、例えば、日本ラエリアン・ムーブメントの動きというものが一つございまして、その中に、プレスリリースで、生命の尊厳を失わせるヒトクローン法、つまり、ヒトクローン法の規制をすることは人類の大罪だ、こういうふうなことがそこに訴えられたり、また、そういうふうなことから、クロネイドという請負会社が、赤ちゃんをつくってやりますよということでインターネットで公表したりしている。  この世界は、多分一度でも起こったりいたしますと、先ほど菅原先生がお話しされた、道具として人類を使う、あるいは優生思想、そういうふうなもの、つまり私は、人類の秩序が乱れる、こう申し上げたいのでございますが、もうそういう危険性が今ここに来ている。そういう意味で緊急性が非常にございます。  さらに、世界がまだ共通したルールがないのに日本だけがそのことをというふうなことですが、御理解の上でお話しされていると思っておりますけれども、この問題で、世界じゅうが同じルールをつくろうといって国連を中心に何か考えていくとすれば、これは各国のいろいろな社会、文化の違い等々によって、定まってくることは私はなかなかに困難ではないかと思います。  むしろ、そういう緊急性、重要性というものがありとするならば、日本が、日本の国会、政府が、意思としてそこをきっちりと定めて、日本はこういたしました、皆さんの国々でも考えていただくのがいいのではないでしょうかといって、世界じゅうの人々に発信をしていくという意義もまた大いにあるのではないか、このように思っております。
  192. 菅原喜重郎

    ○菅原委員 クローンの産生は、唯一無二の人間存在の尊厳性というものにもかかわってくる問題でございますので、今大臣の答弁を聞きましても、私もやはりクローンの技術規制については速やかに法律を整備し、世界に規範を示していくべきであり、この委員会でもそのための建設的な論議を行っていきたいと思っているわけでございます。  最近の新聞を見ていると、イギリスの政府諮問機関が、人クローン胚の研究を認めるべきとの勧告をし、お隣の韓国や中国でも人クローン胚やそれに類する胚を作成したとの報道がありました。これだけクローン技術の規制について声高になっているときに、一方ではクローン胚絡みの研究はどんどん活発になっていく感があります。これをどのように受けとめればよいのか。人クローン胚等の研究に有用なものがどのようにあるのか、また考えられるのか、このことをお尋ねいたします。
  193. 結城章夫

    ○結城政府参考人 問題をはらんでいる規制対象としております特定胚の中には、九種類あるわけでございます。  そのうちの人クローン胚及びヒト性融合胚につきましては、科学技術会議の生命倫理委員会の報告におきまして、拒絶反応を起こさない細胞や組織を得ることが可能になると指摘がなされております。  それから、ヒト胚核移植胚でございますけれども、これにつきましては、細胞質に存在するミトコンドリア異常を原因とする疾病の発症予防のために核移植を応用することについての可能性が指摘されております。  また、動物性集合胚でございますが、これにつきましては、近い将来、特定の組織のみにヒト由来の細胞を集める技術が開発され、医療応用が可能となると予測されております。この技術を応用いたしますと、例えば、動物の体内にヒトへ移植可能な拒絶反応のない臓器を作成することも可能になるわけでございます。  以上の人クローン胚などは、現時点で有用性が顕著なものとして生命倫理委員会で認められたものでございますが、これ以外のものにつきましても、技術の進展等に伴い新たな有用性が生ずる可能性がございます。
  194. 菅原喜重郎

    ○菅原委員 ちょっと質問を飛ばさせていただきます。  包括的な規制がある方が安心であるような気はしますが、科学技術に対する規制については、もちろん迅速さも求められますが、それがもたらしてくれる恩恵をできる限り明らかにした上で、国民がどのように考えるかを把握し、その技術がもたらす負の側面をやはり国民がどうとらえるかについて、十分過ぎるほどよく考えて対応するということが国として正しい姿勢であると思います。  そこで、民主党の法案について再三指摘されているところでありますが、私からも衆法についてお尋ねします。  クローン技術の規制については国民的な合意があると私は考えていますが、ヒト胚を生命の萌芽として尊重し法律による保護を与えることについての国民的合意があるのかという点で、どのようにお調べになっているのか、このことをお聞きいたします。
  195. 城島正光

    ○城島議員 お答えいたします。  まず、何度も繰り返して恐縮なんでございますけれども、我々民主党案の場合の基本的なベースとなる考え方というのが、ヒト胚を人の生命の萌芽であるというふうにとらえるということが基本中の基本でありまして、そのために、生命の萌芽であるヒト胚をまさしく人為的に作成したり利用するということは、人の尊厳の保持並びに人の生命及び身体の安全の確保に重大な影響を及ぼすおそれがあるという判断の中でこの案をつくったわけであります。  今御指摘ありましたように、クローン技術の規制、特にヒトクローンについては、もうほとんどの国民的合意が規制についてあるんだろう。しかし、このヒト胚までそうすることについてはどうなんだということであります。  我々、そう考えた中で、午前中も申し上げましたけれども、総合科学技術会議の委託で行われました生命倫理に関する世論調査、その結果の中でも、例えば、いつの時点から人として絶対に侵してはならない存在と考えるかという質問に対しましては、受精の瞬間からであるという回答をされた方々が最も多くて、三割を占めているわけであります。また、ヒトの受精卵の研究利用の是非ということについての質問につきましては、四割の方が厳しい条件のもとで行われるべきだ、二割は研究利用は認められない。どちらかというと六割の方が、この面については厳しい対応ということを国民の皆さんから要望されているのではないかということもあるというふうに思っております。  したがいまして、我が国の国民の中では、どれだけの合意かというのは確かに難しい判断ではございますが、今までの中において言いますと、受精に始まるヒトの発生初期段階を、絶対侵してはならない人の尊厳の源であるというふうに考えて、受精卵の利用研究全般に厳しい条件をつけることを望んでいるのではないかというふうに思っております。  したがいまして、こうした世論調査の結果も踏まえるならば、ヒト胚を、生命そのものと言うことについてはいろいろな見解がございますけれども、生命になり得る可能性を有したものであり、生命の萌芽ということに位置づけて、それにふさわしい取り扱いをするということについては、一定の合意があるのではないかというふうに思っております。
  196. 菅原喜重郎

    ○菅原委員 今質問させていただきました、どの程度のコンセンサスがあれば法律として規制を考えてよいか悪いかという点は、これは明確な基準はないわけです。本当に緊急な問題であるときは、コンセンサス確認に頼らないこともないとは言えないわけです。ただ、クローン技術の規制とヒト胚の取り扱いに関する規制とでは、国民の理解とコンセンサスの程度がかなり異なっているのではないかと思うので、質問した次第でありました。  イギリスやフランス、ドイツでは、確かにヒト胚の取り扱いそのものを規制する法律を整備し、クローン技術の規制もその一環として取り扱われております。しかし、それらの法律は、体外受精で誕生したいわゆる試験管ベビーを契機に、何年間にもわたる国民的議論を経て生殖医療を適正な管理のもとに置くべく制定されたと聞いています。そのような法律が既に存在したことから、後に出現したクローン技術の規制についても、その中の応用問題として取り扱われたものと承知しています。我が国とこれらの国のヒト胚規制をめぐる検討の歴史は相当に違っていることに留意をすべきと考えるわけです。  また、イギリスとドイツでは規制の対象、厳しさ、仕組みも全く異なり、一口にヒト胚の取り扱いを規制するといっても、それぞれの国の文化社会的状況に応じた規制が必要であり、そのためには相当の議論が必要と考えています。  それで、衆法について、イギリスやフランス、ドイツに比べ、我が国のヒト胚規制に関する議論は熟していないのではないか、国民はヒト胚をなぜ規制しなければいけないかよく理解できていないのではないかという点については、いかがお考えでしょうか。
  197. 城島正光

    ○城島議員 御指摘の点は、基本的な状況というのはそういうことなんだろうというふうに思います。  今御答弁したことを繰り返しませんけれども、我々としては、現段階ではある程度の国民的な合意あるいは理解というのは進んできているのではないかというふうに思っておりますけれども、菅原先生全く御指摘のとおり、あえて申し上げますと、ヨーロッパ等では、この生命倫理あるいは医療を含めた、こういった分野についての統一した国民合意を得るための検討というのは、日本に比べて歴史を持っているなと。  それはいろいろな理由があるのでしょうけれども、確かに、こういった問題についてかなり歴史的に政府も、そしてまた国民的な関心度の歴史においても、大きくヨーロッパにおいてはある。その中で、それぞれの国において、こういった問題について全体はかなり厳しいトーンでありますけれども、おっしゃるように特徴ある法体系を組んできている。  しかし、先ほどの論議にもありましたけれども、あえて申し上げると、法体系としては今の民主党案のように、ある程度包括した中でヒトクローンに対しての規制をかけていくという、法体系としては一般的にはヨーロッパにはそういう体系が多いんではないかというふうに思っております。  したがって、日本のこれからの課題といいますと、やはり欧米と同じように、国においても日本の場合、まだそれぞれ縦割り行政の中で、最近はまた厚生省も似たような医療関係の審議会ができておりますので、統一した常設した機関というものが、一方で国民合意を取りまとめるためにも必要ではないかというふうには思っております。
  198. 菅原喜重郎

    ○菅原委員 以上でもって、質問を終わらせていただきます。
  199. 古賀一成

    ○古賀委員長 北川れん子君。
  200. 北川れん子

    ○北川委員 社民党・市民連合の北川れん子です。  午前中からの議論を聞いておりまして、世界に先駆けて日本が禁止法をつくったということを発信したいという御答弁があり、またイギリス、ドイツのような法体系にならないのは民族の文化や宗教の違いがあるという御答弁を聞いておりますと、私は、一つの法律ができた場合、ある部分は罰則つきで禁止されるけれども、明文化されない部分は国家の意思でスタートできる、こういう微妙なバランスを、この議論をずっと聞きながら、どの方向へ日本が行くのかという重要なことを決めないといけないということを背負いながら、以下の質問をしていきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。  では、まず、生殖補助技術でヒトの胚を扱うということは同じなんですが、ある分野は科学技術庁がかかわらない、ある分野は科学技術庁がかかわるというふうに聞こえてくる部分があったんです。  今問題になっているクローン、そして新たに出てきたES細胞、これは受精後一週間目ぐらいの胚というふうに聞いておりまして、移植用臓器がつくられるかもしれないという細胞、そして生殖医療という、三つの分野があると思うんですが、今回の法律は、この規制を分けていらっしゃるようにお見受けするんですが、どういう理由でこのように区分けされたのか、お伺いしたいと思います。     〔委員長退席、平野委員長代理着席〕
  201. 大島理森

    ○大島国務大臣 基本的には、おっしゃるように、区別をした考え方に基づいてやっておるわけです。それは、我々が今緊急に、そして国家の意思として、やってはならないことを抑えておく。それは何かといいますと、まさに人クローン個体を絶対につくってはいかぬ、こういうところがまず一点ございます。  一方、有性生殖の問題については、民主党さんの案でも、生殖補助医学研究というものについては認めていきますよ、こういうふうに言っているわけですね。有性生殖という世界は、既に体外受精児の皆さんが一万人もおられるという世界でございます。それを、人クローン個体と同じ理念ととらえ方でそこを規制し、そこを考えていくというのは、やはり無理があるんじゃないだろうか。  だから、私どもとしては、有性生殖の世界というものについては、さまざまな手法をもって秩序ある規制をしていくことは大事だと思っておりますが、何せ、子供のない方の産みたいという希望をかなえていること、現実として年間一万人もの体外受精児がいる世界というものに対しては、ある意味では、人クローン個体をつくるということと同列にはできない世界だという観点から分けたということでございます。
  202. 北川れん子

    ○北川委員 ちょっと角度を変えて聞いたつもりだったんですが、前段でいろいろな委員の方が言っていらっしゃるのと同じ御意見で返ってきたので、私は、クローン、ES細胞、そして生殖補助医療、この三つを一体で議論するという場が必要ではないかというふうに思っております。  次の質問なんですが、この法案が成立すれば、ES細胞の研究の道が開かれていきます。ES細胞の研究は、ヒトの細胞や臓器に関してオーダーメードの医療再生医療という言い方もしておりますが、それを行う企業が、利益追求のためにそれを利用、利用というのはまず初めに特許をとる、特許をとって情報技術を囲い込むということが考えられると思うんです。ここでも、臓器と命という問題の関係があやふやにされたままスタートするということですから、事実が既成事実化されていくおそれがあると思います。  胚や細胞の提供が無償、今は無償の場合しか考えられないわけですが、けれども、それを逆に用いたES細胞研究や事業化において得られる特許の取得や商品化による利益というものは、お認めになっていくという立場なのでしょうか、お伺いします。
  203. 大島理森

    ○大島国務大臣 むしろ、北川委員はどういうお立場、主張で御質問されているか、そこをお伺いできればいいと思うんです。つまり、ES細胞の研究もいけないという観点でどうも質問しているような感じを答弁する側としては受け取っているんでございますが。  私どもは、先ほど申し上げましたように、ES細胞の研究というものについては否定しているものではございません。やはり、いろいろな、病気を持っておられて悩んでおられる皆さん、あるいは遺伝的に生まれながらにして持っているさまざまな病気あるいはそういう問題を乗り越えたい、これは、ある意味では否定することができない人類の望みであろうと思うんです。そのことに、あらゆることを考えながら努力、研究していくというのも、また我々人類の仕事なんじゃないだろうか。  その一つとして、ヒトのES細胞からの研究というのは、まさにスタートしたばかりです。技術が確定してから、あるいは研究体制が確定してからそれをオープンにしたらいいんじゃないかとかというのは、これは研究ではないような気がするんですね。まさにそこを、先ほどの議論もありましたが、真理を追求し、研究し、そういう中でES細胞の実態を知り、どうしたらそれが人類にとっていいことになるかという研究をすることは、私はあってしかるべきだろうと。  ただ、そこにまつわるいろいろな問題があることは承知いたしておりますし、そのことについて、例えば小委員会においても、生殖医療の余剰胚に限ることであるとか、インフォームド・コンセントを大事にしなさいとか、あるいは余剰胚の提供が無償で行われるべきだとか、あるいは売買を行ってはいかぬとか、そういうふうな、研究を進めるに当たってのきちっとした規則、そういうものを指針としてこれからつくって、いずれにしても、余剰胚の商業化につながらないような厳格な取り扱いを確保していくことが必要であろうと思います。  その結果として、それぞれの民間の皆様方が、そういうことによって得られた知見、研究成果を人類のために役立てたいということであれば、当然、広い意味でライフサイエンスのマーケットの中でそれは生きていくかもしれない。そのことまでを否定しては相ならぬと思いますが、どういうことがあっても、人類としての倫理性だとか、そういうものは持たなきゃならぬことは当然だと思います。
  204. 北川れん子

    ○北川委員 人類の発展のためへの寄与という面は、まだ技術が確立されていないES細胞について、いかにも寄与するという形での雰囲気、御発言の部分が多いんですが、わからないだけに、私は、デメリットの部分を今具体的な言葉で、特許とか商品化につながるのではないかという形でお話ししたんです。その以前に生命倫理の確立が必要なのではないかということをお伺いしたくて、先ほどの質問をさせていただきました。  次は、ES細胞の研究については、ガイドラインという話が午前中からもずっと出ておりました。二〇〇〇年三月の科学技術会議生命倫理委員会ヒト胚研究小委員会発表ですか、ヒト胚性幹細胞というのがES細胞というらしいんですが、「ヒト胚性幹細胞を中心としたヒト胚研究に関する基本的考え方」に、第三章というのが既にできているらしいんですが、この第三章がガイドラインのもとになるというような話を漏れ聞いたんです。  既に、もう幾ばくか、早急につくるというお話があったんですが、具体的な面を持ち合わせていらっしゃるのではないかという点をお伺いしたいんです。
  205. 結城章夫

    ○結城政府参考人 ただいまのお話のとおりでございまして、ことしの三月のヒト胚研究小委員会の報告書におきまして、これから政府がつくるべき、これは法律に基づかない行政上のガイドラインでございますけれども、ES細胞の取り扱いに関するガイドラインの考え方が書き込まれておるわけでございます。それが先ほど大臣から御説明申し上げました、生殖医療の余剰胚に限るとかそういった点が書き込まれておりまして、それに基づいて具体的なガイドラインをつくる作業を今進めておるところでございます。
  206. 北川れん子

    ○北川委員 どうもありがとうございました。  では、午前中に一番あったお話の中に、クローン小委員会の去年の十一月十七日に出た報告に沿って今回法律ができたというお話をお伺いしたんですが、ちょっとさかのぼって、九八年六月十五日にクローン小委員会の中間報告というのが出ています。この中間報告と九九年の報告との違いを、私も勉強しているうちにふと気づいたものですから、そこからお伺いしたいと思います。  例えば、委員会の命題自身も違うんですね。九八年は「クローン技術に関する基本的考え方について」となっています。九九年は「クローン技術による人個体の産生等に関する基本的考え方」となっている。第二章は「クローン技術の可能性に関する評価」で、九九年は、この「可能性」が「クローン技術の有用性に関する評価」というふうになっている。字句というのがとても大事だと思って今お伺いしているわけです。  そして、二の(一)では、「クローン技術による人個体の産生」というのが、「クローン技術によるヒト胚の作成及び人個体の産生」、きっとここら辺で、九八年以降に出てきたES細胞、新たな細胞、これは九七年のドリーにもなかったものですね。少し変わったんじゃないかなというのを、素人の私でも変わっていくのを見たということなんです。例えば二の(二)でも、「人個体を産み出さないクローン技術の適用」が「細胞培養」という言葉に変わっています。  そこで、お伺いしたいんですけれども、クローンの定義なんです。私もここを読み込むのがとても大変だったんですが、確かに、体細胞クローンは子宮へ戻すことは禁止、受精卵クローンに関してはちょっとあいまい、でも研究や治療では将来マル、そういう感じになっている法律ではないかというふうに思っているんです。このクローンの定義なんですが、中間報告では、核移植及びES細胞作成技術を含めてクローン技術とみなしているというふうになっているんですが、今回、九九年のをもとにされたと言われているので、その辺、クローンの定義についてお答えください。     〔平野委員長代理退席、委員長着席〕
  207. 結城章夫

    ○結城政府参考人 生命倫理委員会のクローン小委員会でございますけれども、まず中間報告を取りまとめまして、公表し、パブリックコメントを求めたわけでございます。これが平成十年の六月から八月にかけてでございました。その間にコメントは百五件ほど寄せられまして、それも踏まえて検討をさらに引き続き進め、最終報告ができ上がったわけでございます。その最終報告が去年の十一月でございます。  それで、その間に、いろいろなパブリックコメントそのもの、審議の状況を踏まえていろいろな手直しがされたわけでございますけれども、そこの最終報告に、クローンの定義といいますか、用語の定義というのが参考についておりまして、ちょっと読み上げさせていただきますと、「一般に「核遺伝子が同一である個体」をクローンと呼ぶ」というふうに書いてあるわけでございます。これがこの報告書の最終的な定義だと了解しております。
  208. 北川れん子

    ○北川委員 そうしましたら、体細胞クローンと初期胚からのクローンでは、同じなんではないかと思うんですが、いかがでしょうか。
  209. 結城章夫

    ○結城政府参考人 体細胞クローンも受精胚クローンも、これはクローンでございます。  体細胞クローンの方は、これはこの法律で言う人クローン胚でございまして、法律で、この人クローン胚を産生することは犯罪行為として十年の処罰を受けるということでございます。  一方、受精胚クローン、これは二種類ございまして、ヒト胚分割胚とヒト胚核移植胚でございますけれども、これはその十年の犯罪ということには適当ではなくて、指針でもって産生を禁止するという方にカテゴライズしてございます。
  210. 北川れん子

    ○北川委員 そこら辺が素人にはすごくわかりにくくて、体細胞クローンも受精卵クローンも、一般の人たちがクローン人間をつくることに関して、皆さんが言っていらっしゃった各界各層の有識者のアンケートの中にはその区分けというのはないように思うんです。そして、中間報告にも区分けはなかったものが、ES細胞が出てから区分けができたように思うんですが、それは違いますでしょうか。
  211. 結城章夫

    ○結城政府参考人 体細胞クローンは、既に今存在しております人と全く同一の遺伝子構造を持った別の人をコピーする、つくることでございます。これは非常に反社会性が強くて、決してやってはいけないことという整理になっております。  一方、受精卵クローンの方、これは二種類ございまして、ヒト胚分割胚、ヒト胚核移植胚でございますけれども、こちらの方は、生まれてくる子供同士が同じ遺伝子構造を持っておるということでございまして、そういう意味では、もともと有性生殖でございます。先ほどの体細胞クローンは無性生殖ですが、ヒト胚分割胚、ヒト胚核移植胚の方は有性生殖から出てくるものでございますし、生まれてくる子供同士が同じ遺伝子構造になっているということで、意味合いが相当に違いまして、その反社会性の程度が体細胞クローンとは違うということで、このような規制の仕方の仕分けをしたわけでございます。
  212. 北川れん子

    ○北川委員 何かまたもとに戻った答えになってしまって、ちょっと何か違うような感じがするんですけれども、核の遺伝子が同一の個体あるいは細胞というふうにクローンの定義を、もう一度改めて聞きますが、ここに押さえておいていいでしょうか。核の遺伝子が同一の個体あるいは細胞。
  213. 大島理森

    ○大島国務大臣 今私どもが禁止している人クローン胚というのは、皮膚などから細胞をとって、そこから核を取り出して、そしてヒトの未受精卵の中に埋め込んで、それでヒトのクローン胚ができていくというのが、まず絶対やってはいかぬ、そしてそれを胎内に入れることは絶対やってはいかぬという一つの規制でございます。  先生がおっしゃったのは、例えばヒト胚分割胚、そういうものは、男性と女性の間で体外受精して有性生殖をした、つまり、これは体外受精でございますね。そこから生まれたヒト受精胚を分割したものを胎内に入れるというのは、いわば男性と女性の体外受精、有性生殖したものであるわけです。例えば次のヒト胚核移植胚、これは逆に、やはり体外受精をしたものから核を取り出して、そしてヒト未受精卵にその核を埋め込んで、そして同じような子供が何人もつくれる、そういうふうなもの、これもまたある意味では有性生殖から生まれたものなわけですね。  だから、有性か無性か、そこに大きな違いがありますよということを申し上げたんですが、結果として、クローンとしては、ある意味では同じかもしれない。しかし、そこの経過の中で、無性というのは、自分の皮膚あたりからとってそういうコピーが生まれる。有性の場合は、男性と女性のそういう体外受精の中から生まれた胚を分割したり、あるいはそこから核を取り出してたくさんつくったりという意味での、子供のコピーというんでしょうか、そういうものが生まれる。しかし、その源は有性である。そういう意味で、そこは違った思想、違った考え方が結果としてでき上がりますということを、一生懸命説明しているということでございます。
  214. 北川れん子

    ○北川委員 ちょっとまだ、先ほどのクローンの定義でお答えをいただいたというふうには、今の分では思われないんです。ですから、その辺は、今の大臣のお答えと私の質問とはちょっと違うような。今のは、特定胚についてのいろいろな御指摘はいただいたと思うんですが、クローンの定義で。
  215. 結城章夫

    ○結城政府参考人 ちょっと突然のお尋ねで、よく調べないとお答えできませんので、少し検討させていただきますので後ほど御報告させていただきたいと思います。
  216. 北川れん子

    ○北川委員 先ほどから何人もの委員もおっしゃっていたし、私自身もそうなんですが、クローンとは何を指すか。例えば胚の定義も、民主党の案と政府の案も違う。このときの中間報告でも微妙に違う。イギリスなどでも、今、九〇年の法案から、修正を出して、胚の定義を変えればヒトクローンの問題は解消できる部分があるんじゃないかということです。胚の定義さえも、今技術の進歩がずっと成っていくので、なぜ定義にこだわったかというと、残念なんですが素人だからそこが読み込めないんですね。それであえてお伺いしましたので、ぜひ後日御答弁をいただきたいと思います。  次の質問なんですけれども、クローンに関する有識者アンケート調査、これは九八年八月二十六日から九月十六日に出されているんですね。ですから、ちょうどドリーの話が話題になって、まだ情報として熱い時期にされたアンケートなんです。  ここで一つおもしろいのが、生命倫理の問題について特に関心の高いものを挙げてくださいと言っていますと、確かに、クローンの作成というのは高い部分に入っているんですが、逆に低いのが体外受精、代理母、それから妊娠中絶、こうなっていまして、生殖補助医療、これに関しては、同じ生命倫理の問題であっても、多くの人が、自分とは関係のない問題ということも含めて、なかなか関心を持ち得ない分野であるわけです。  先ほどの質問の中で、私が、クローン、ES細胞、生殖補助医療と合同で論議をするという空気をつくっていくのは必要じゃないかというふうにお伺いしたのは、ここの中のアンケートからも推察できる部分があるんですが、その点、いかがでしょうか。
  217. 大島理森

    ○大島国務大臣 広い意味で、ライフサイエンスという意味では、私は共通の生命倫理観というものを議論することは決して悪いことではないと思うのです。生命科学というものと倫理というのは本当に難しい問題であり、率直に申し上げますと、悩みながらこの問題に絶えず対処していくという謙虚な姿勢が私は必要だと思います。  一方、先ほどから議論があった、人クローン個体等を禁止するということにおいては、今喫緊にその必要性と重要性があります、だからそうさせてくださいという法案をつくったということでございますが、そのように、研究のあり方ということを考えますと、無性生殖という世界と有性生殖という違いをすべて同じ土台にのせて議論することは果たしてどんなものか。共通の部分はもちろんございます。それは、先ほど言った生命倫理という意味では、私は、これだけではなくて臓器移植の問題もあるかもしれないし、さまざまに、生きるということ、それから医療、科学というものの倫理というのは、本当に絶えず考えていかなきゃならぬ。  ですから、同じ土台で生命倫理という問題をともに議論したり考えたりすることは悪いことじゃないし、大いに議論していいと私は思います。ただ、法体系その他を考えたときに、一方、そういう土台にあっても、やはり共通にできない部分というものがあるんだろうという思いで、今のような法律にいたしました。  ですから、今ES細胞の研究といっても、これは本当に始まったばかりでございますし、これからどういう態様が出てくるのか、成果が出てくるのかわかりませんが、押さえることだけはきちっと押さえておこう。しかし、それを法律といってがちんとやることによって、かえって柔軟な研究体制ができませんな、こういうふうなこと。  民主党さんにおいても、生殖補助医学研究については、最初のときは対象にしようかという議論があったようですが、今除いたというのは、ある意味では私どもとほとんど同じ考え方に立っての結果であったろうと思います。
  218. 北川れん子

    ○北川委員 確かに、大臣の御答弁いただきましたように、謙虚に振り返るときが必要だというのをお伺いしまして、次の質問をいたしたいと思うわけです。  この小委員会の中でも、小委員会は十六名で全員男性なんですね。小委員会が持たれている中でも、一部やはり、不妊治療と言われる生殖技術に携わった女性たちとか障害を抱えた女性たち、またDNAやゲノムの問題に関心のある人たち、さまざまな方面から女性委員を入れてほしいという意見も行っていたと思うんですが、中で、ある委員が、女性委員を入れたらどうだという意見からいいますと、もとに戻ってしまうから、最終報告の九九年のときにもやはり男性でまとまってしまった、十六名男性になりました。  そこで、次にお伺いしたいのが、公聴会なんです。そういうことで、女性の意見の反映というのが、この中間報告であれ、まとめの報告であれ、反映されていないという面があります。そこで、ぜひ公聴会を各地で持っていただきたいというふうに思うんですが、この意見などにはいかがお考えでしょうか。
  219. 大島理森

    ○大島国務大臣 法案審議における公聴会というのは、政府が、こうあるべきだとかなんとかとは言えないと思います。  少なくとも、今までのこの案を出すまでのいろいろな審議会は、パブリックコメントも求めておりますし、オープンにしております。そういう中で我々は多様な意見を聞いてきたつもりでございますが、公聴会をやるかやらないかは、すぐれて委員会の皆さんの御判断と思っております。
  220. 北川れん子

    ○北川委員 では、今、科学技術委員の判断というお答えをいただきましたので、この後いろいろ議論を尽くした中で委員の方からも意見が出てくれば、私は、この最終的な九九年の報告の中に女性の意見が、パブリックコメントをとられたと言うけれども、反映されたようには思えない。反映した箇所があったのであれば後でまた具体的に教えていただきたいんですが、ぜひ公聴会の方は、委員の方で考えていく時間を委員長とも御討議していきたいと思いますので、よろしくお願いします。
  221. 古賀一成

    ○古賀委員長 理事会においてお諮りいたします。
  222. 北川れん子

    ○北川委員 ありがとうございました。
  223. 古賀一成

    ○古賀委員長 北川れん子君の質疑を終わりました。  先ほどのクローンの件は、そういうことで、はっきりと次回よろしくお願いを申し上げます。  吉井英勝君。
  224. 吉井英勝

    ○吉井委員 日本共産党の吉井英勝でございます。  きょうは、私は、最初の質問ですから、政府のお考え、それから民主党提案者の皆さんのお考えというものを、既にいろいろ議論されておりますが、少し確認をする意味での質問から始めていきたいと思います。  まず一つは、人クローン個体の産生を禁止する理由は何かということですね。これについて、政府はどういうお考えか、民主党提案者はどういうお考えか、まずこのことを最初に伺いたいと思います。
  225. 大島理森

    ○大島国務大臣 禁止する理由はいかん、こういうことでございますが、たびたび答弁を申し上げておりますが、改めて、やはりクローン人間の産生は人間の尊厳、社会秩序の維持等に重大な影響を及ぼす。したがって、科学技術の、クローン技術の進展を見ますと、あるいはそこにまつわるいろいろな報道を見ますと、この法規制は喫緊の課題である、このように思って私どもは禁止をさせていただいた次第でございます。
  226. 近藤昭一

    ○近藤(昭)議員 委員にお答えいたします。  大変に基本的な、大切なところでありますので、少し丁寧に申し上げたいと思います。  クローン個体の産生を禁止する理由につきましては、大きく二つあると考えております。人間の尊厳の侵害という問題、そしてまた、その技術を用いて生まれてきた個体の、ヒトの安全性の問題。  人間の尊厳の侵害につきましては、動植物の育種と同様、クローン技術の特色である予見可能性、こういったふうに育つだろうという可能性を用いて、特定の目的のために特定の性質を持った人を意図的につくり出そうとすること、こういった人間の育種、ヒトの育種や、また人間を特定の目的のための手段、道具とみなすこと、例えば、スポーツの優秀な人あるいはIQが高い人、そういった人を生み出す目的、つまり人の手段、道具化に道を開くものである、これは大変に問題であるだろう。  また、人クローン個体に固有の問題として、既に存在する特定の個人の遺伝子が複製された人を産生することにより、体細胞の提供者とは別人格を有するにもかかわらず、常にその人との関係が意識され、実際に生まれてきた子供やまたその体細胞を提供した人に対する人権の侵害、それが大変に大きな現実として明白化してくるだろうということであります。これは本当に、私どもの国の憲法の個人の尊厳ということに対しても著しく反する、かように考えております。  そしてまた、これも繰り返し述べられておりますが、遺伝子があらかじめ決定されているということ、無性生殖であるということ。受精という男女のかかわりの中、子供の遺伝子が偶然的に定められる、決められるという人間の命の創造に関する基本認識から著しく逸脱しているものと考えます。こういったことによって、人間の生殖に関する基本認識から大きく逸脱し、かつ親子関係等の家族秩序に混乱が予想される、かようなこと。  そして、先ほど申し上げたもう一つ、安全性についてでありますが、生まれてくるヒト個体が、正常の受精に比較して安全性に関する問題が生じる可能性を否定できない状態では、生まれてくるヒトの安全性の確保は保証できず、このような状況下でクローン技術を適用することは大変に大きな問題があるということ。  また、この辺が先ほどからもいろいろと論議されておるところでありますが、ハイブリッド、キメラにつきましても、私どもの法案は、この個体の産生を禁止しております。  ヒトと動物のキメラ胚につきましては、個体が発生した場合に、ヒトと動物の細胞がまじり合った生物を生み出す。人の種としてのアイデンティティー、人間とは何かということ、アイデンティティーを損なう生物を生じさせる可能性があるという点で重大な問題がある。  また、ヒトとヒトとのキメラ胚についても、二系統以上の遺伝子を有する細胞がまじり合った個体の生成につながるものである。人の生命の萌芽たるヒト胚を用いて研究を行う具体的な必要性があるのだろうか。現段階では、具体的な効果がある、意義があるというふうには想定されないと考えます。  また、ハイブリッド胚につきましても、ヒトと動物の配偶子を受精させて得られるハイブリッド胚、これを母胎に移植して個体産生に至った場合、まさしくこれもヒトの種としてのアイデンティティーを損なう生物を生み出す可能性がある大変に大きな問題ということで、私どもは禁止をしております。  以上です。
  227. 吉井英勝

    ○吉井委員 この点では、政府案、民主党案ともに、人の尊厳の保持、人の生命及び身体の安全の確保並びに社会秩序の維持という問題などにかんがみ禁止ということで、若干の違いはあるかもしれませんが、基本的にはそういうところかなというふうに、今のお答えを聞いておりましても、私自身は認識しているわけです。  そうすると、次に、これは政府参考人の方からお答えいただいても結構なんですが、一般に、クローン人間あるいはクローン動物の産生について、生まれてくる個体の安全性の問題についてどういうふうに考えているか、あるいは現状の研究はどういう到達段階かということについて伺いたいと思います。
  228. 結城章夫

    ○結城政府参考人 クローン個体の安全性ということでございますけれども、過大児ができるとか、いろいろな問題が生ずるというふうに聞いております。したがって、それが、生まれてくる赤ちゃん自身の安全性の問題もございますし、母体にも安全上の問題を生ずる可能性があるというふうに承知しております。
  229. 吉井英勝

    ○吉井委員 私自身は、さらにいろいろな条件が重なったときの、突然変異とか、そういったさまざまな条件によって、本当に人間あるいは生物の安全や安定性そのものが揺るがされてしまう、恐らくそういう問題があるだろうというふうに思っております。  次に、これは両方の法案の中に入っているのですが、クローン人間の産生について、人間の尊厳という問題です。  人間の尊厳をどう考えるか。ここには、そもそも人間はどうあるべきかという問題とか、あるいは人類が多様な発展を行っていく上での可能性の角度からとか、いろいろな角度から人間の尊厳というものについての考え方があろうかと思いますが、これは政府の方からと、また民主党提案者の方から、それぞれに人間の尊厳という言葉を法文上使っておられるのですが、どういう考え方で言っておられるかを少し伺っておきたいと思います。
  230. 大島理森

    ○大島国務大臣 一番の根幹は、大島理森という人間が一人しかいない、そこが原点であろうと私は思います。それは、どの人間もそういうことである、なるがゆえにお互いに尊重していく。その生命、思想、あるいはその存在、そういうものを認め合う、それだと思います。
  231. 樽床伸二

    ○樽床議員 吉井委員から大変難しい御質問をいただきまして、少し戸惑っております。  人の尊厳とは、我々が生まれるに至る過程の中で、どれほど多くの、多くといいますか、非常に小さい可能性の中で我々は一人間としてこの世に生まれてくる。当然、父親、母親の出会いの確率、さらにそれ以上に最も確率が低いのは、精子と卵子の、どの精子と卵子が合体するのかという、気が遠くなるような確率の本当に乏しい中で我々はこの世に生まれてくる。そういうことを我々は、非常にとうといことである、そういうふうに考えているわけであります。  人の尊厳というのは、そういうところに端を発して生まれてくる、先ほど大臣もおっしゃいましたような自分が自分である誇りとか、自分が自分であることのみずからの意識という漠然としたもの、何か禅問答しているようで恐縮でありますが、そんな何とも言うに言えないような思い、自分が自分である思いというようなことと御理解をいただきたい。  こういう問題につきましては、またゆっくりと御議論をさせていただける機会があればと思っております。
  232. 吉井英勝

    ○吉井委員 ゆっくり議論するために、大分私のこの質問時間も、民主党の皆さんの御協力もいただいてよろしくお願いしたいと思います。  人クローン個体の産生を禁止するその理由として、法律上も人の尊厳の保持という言葉を両案とも使っているわけですね。私は、きょうの議論はここまでにとどめておいて、また次回以降にやりたいと思いますが、やはり法律上これを使うからには、そこは少しきちんとした議論をしておくことが大事かというふうに思います。  次に、生まれてくる人間の立場からした場合に、どういう面で人権が侵害されている存在だと考えていくかという問題ですね。つまり、生まれながらにして、唯一の遺伝的特性を持っているとは言えない、すなわちアイデンティティーを侵害されている存在という問題とか、生まれること自体がいわば実験材料という意味を持ってまいりますから、生まれてくるクローン人間の立場からしたときに、人権が侵害されるという問題は、どういう内容、どういう意味を持っているのか、この点についても伺いたいと思います。
  233. 大島理森

    ○大島国務大臣 私は、先ほど尊厳という問題についてお答えしたわけですが、それから演繹して申し上げますと、まさにそういう観点から、つまり、大島理森のコピーをつくってはならぬということが尊厳の根幹であるわけでございますので、生まれてきたときにどのように考えるかということを、私どもは今想定するべきではないと思うのです。そうあってはいかぬと。これは、日本国民としてそう決意をしてそういうふうな法律にするというときに、私どもは、そういうことを想定した上での議論というのは、なかなか今ここで入っていくということにちゅうちょを感じております。
  234. 吉井英勝

    ○吉井委員 仮に大島大臣のコピーであったとしても、生まれてきてしまったら既に別人格なのですね。これは憲法によっても、人間として、生まれてしまったら尊重されなければいけないのです。しかし、生まれるということ自体が、本当にいわば実験生物として扱われるわけですから、生み出すこと自体が、これほどひどい、最初から非常にひどい人権侵害というものはないと思います。  考えたくないというところがあるのはよくわかるのですが、さて、そういう場合に、もう少し突き詰めて見ておきたいと思う一つは、たとえクローン人間であっても子供が欲しいという親の欲望で、親なりあるいはヒトクローン技術にかかわる研究者の手で、クローン人間の受胎と出産、産生を決定するということが許されるのか。まさに生まれながらにして実験材料という形をとり、本人の人権が侵害されるクローン人間の人権を、親や研究者が勝手に侵害することは許されるのかという問題にもつながることかと思うのです。  この点について、私は、これはもともとそういうこと自体が許されるべきものじゃないと考えておりますが、改めて伺っておきたいと思います。
  235. 大島理森

    ○大島国務大臣 今先生がくしくもお話しされましたが、生まれてきたときにその問題をどう考えるかというテーブルにのって今議論することは、なかなかしづらいのです、率直に言って。我々は、まさにそういうクローン人間の個体というものをつくってはなりません、人間の尊厳、人類の秩序、人間の秩序、そこをきちっと押さえるということが大事だと申し上げ、そういう法律をお願いしているときに、生まれたときにその議論はどうあるべきかというのは、大臣としてはなかなか踏み込めない。これは御理解いただきたいと思います。
  236. 吉井英勝

    ○吉井委員 私は、生まれたときに大問題なのですから、だからそういうものを産出するようなことをやってはならない、そういうことで申し上げておりますので。  次には、人クローン胚等の研究を規制する理由というものについての考え方を、政府並びに民主党提案者から伺っておきたいと思います。
  237. 結城章夫

    ○結城政府参考人 問題をはらんでおります胚、これは規制対象特定胚というふうに言っておりますが、これについては、母胎に移植された場合にクローン人間などの産生につながる可能性があるということでございまして、そういうクローン人間等の産生を確実に阻止するために、いわば移植する前段階にあります人クローン胚等の作成や研究の段階から規制をすることが必要であるという考え方でございます。  このため、政府案におきましては、人クローン胚等の作成やそれを用いる研究などについて遵守すべき指針を定めるとともに、届け出義務を課しまして、人クローン胚等の研究が適切に行われることを確保しているところでございます。
  238. 近藤昭一

    ○近藤(昭)議員 人クローン胚についてでございますが、これもずっと議論しておることでありますけれども、人クローン胚は、ヒト個体の産生につながる可能性があるものであるという危険性、また、ヒト胚と同様に人の生命の萌芽としての意味を持つものでありまして、その取り扱いには大変に慎重であるべきであり、規制が必要だというふうに考えております。
  239. 吉井英勝

    ○吉井委員 次に、民主党案ではヒト胚は人の生命の萌芽と定義しておりますが、政府の見解では、ヒト胚は人の生命の萌芽と見るのか、あるいはヒト胚は人の生命の萌芽とはみなさないのか、この辺について政府の方に聞いておきたいと思います。
  240. 結城章夫

    ○結城政府参考人 科学技術会議生命倫理委員会のもとに設置されましたヒト胚研究小委員会の報告書におきましては、政府案に言うヒト受精胚、ヒト胚でございますが、これは生命の萌芽としての意味を持ち、ヒトのほかの細胞とは異なり、倫理的に尊重すべきとされております。  ただし、現実の問題といたしまして、この胚に保護を与えるべきかについては国民の意見は分かれておりまして、ヒト受精胚の取り扱いを法規制することについて十分な国民的合意は形成されておらないわけでございます。このため、法による規制を行うことは時期尚早であるという立場でございます。
  241. 吉井英勝

    ○吉井委員 ヒト胚の利用についての規制というものの考え方ですね。これは、ある意味では表裏の関係で、ヒト胚の研究の正当性ということにも、正当でないものはもちろん禁止、しかし正当性と禁止との間のところがあって、だから禁止じゃなくて規制という言葉が生まれてくるわけですね。その関係といいますか、そのことについては政府並びに民主党案提案者はどういうふうにお考えなさっているかを伺いたいと思います。
  242. 大島理森

    ○大島国務大臣 規制と禁止という議論でございますが、先ほども政府参考人からお話がございましたように、ヒトの受精胚は生命の萌芽としての意味を持ち、ヒトの他の細胞とは異なり、倫理的に尊重すべきである。しかし一方、現実の問題として、胚に保護を与えるべきかどうかという問題につきましては、公開されておりますから、小委員会でもさまざまな議論がまだ依然として続いております。  したがって、ヒトの受精胚そのものについては、一方、広い意味での世界においては、毎年一万人の体外受精のお子さんたちが生きて頑張っておられるという世界でもあるとするならば、そういうふうなことも勘案し、またその研究という問題も勘案したときに、我々は、法による規制はやはり時期尚早である、このように判断をいたした次第でございます。しかし、今後における規制のあり方等は、さらに国民的な議論を踏まえながら、総合科学技術会議などでの審議が必要である、こういうふうに思っております。
  243. 城島正光

    ○城島議員 民主党は基本的な考え方のベースが、御指摘のとおり、生命の倫理、生命を尊重するという観点からして、ヒト胚そのものが生命の萌芽であるということを基本に置いた体系を立てております。  しかし一方で、生命の萌芽であるとは認識しつつも、どの段階で人ということに認定できるのかということを含めて、そこについては大変難しい問題があるわけであります。しかし、少なくとも人の萌芽としてのヒト胚というものについて、生命倫理の観点から、人の誕生の源でありますから、それなりに丁寧な対応が必要ではないかということを重要視しておりますので、おのずから、クローン技術というものとヒト胚に対する対応というのは、基本的な枠組みは同じでありますけれども、規制というものと厳格に禁止するものとにウエートづけはしているわけであります。そういうことであります。
  244. 吉井英勝

    ○吉井委員 次に、ES細胞や特定胚の研究に必要なヒト胚またはヒト配偶子の提供についてどのような条件を考えておられますか。これは両提案者から伺いたいと思います。
  245. 結城章夫

    ○結城政府参考人 先ほど来御紹介しておりますヒト胚研究小委員会の報告書におきまして基本的な考え方が示されておりますので、それに基づいて御報告いたします。  まず、ヒトES細胞についてでございますが、今後、ES細胞については、その取り扱いについてのガイドラインがこの法律とは別に、この法律に基づかない行政上のガイドラインということで定められますけれども、ES細胞の樹立に際して使用するヒト胚についての基準がそこに書き込まれることになっております。  具体的には、凍結期間を除いて十四日以内、二週間以内のヒト胚を使用すること、使用されるヒト胚は凍結保存胚であること、交通費などの必要経費を除いてヒト胚の対価が無償であること、樹立に必要と認められる数以上のヒト胚の提供を受けないこと、提供されたヒト胚は遅滞なく樹立に使用すること、樹立機関における保管は樹立計画に必要な範囲内に限ること、提供者からのインフォームド・コンセントをとるべきことといった内容が書き込まれる予定でございます。  次に、この法律の規制対象でございます特定胚についてでございますけれども、これはこの法律に基づいてその取り扱いのための指針を定めていくわけでございますが、その中でヒト胚等の提供についての条件が示されることになります。具体的には、提供者からのインフォームド・コンセントがとられていること、提供に当たっての商業的利益を禁止することといった内容になる予定でございます。
  246. 近藤昭一

    ○近藤(昭)議員 お答えいたします。  政府案でも、今御答弁があったように、これから決められていくということでありますが、私どもの民主党案では、第四章におきまして同意、無償、匿名という倫理原則で定めさせていただいております。  この原則は、人の体の一部を利用する際守るべきルールとして国際的に広く認められております。フランスなどの国で立法化もされておるわけでありまして、我が国でも臓器移植法において、心臓や肝臓などの臓器に関しこれらが既に立法化がされております。まさしく人の体の一部の中でも人の生命の萌芽である胚及びその胚を形成することに直接関与する精子、卵子の提供、授受には、とりわけこれらの倫理原則の遵守が強く求められると考えております。
  247. 吉井英勝

    ○吉井委員 次に、政府案では、人クローン胚を作出し胎内に戻さないで胎外で培養した場合は、これは胚盤胞からES細胞を得ることは法律上は可能としていると考えてよろしいかという問題、これを伺いたいと思います。
  248. 古賀一成

    ○古賀委員長 ちょっと趣旨がわからなかったようですから、再度お願いします。
  249. 吉井英勝

    ○吉井委員 政府案で、要するに人クローン胚をつくって胎内に戻すことは禁止ですから、戻さないで胎外で培養した場合、その胚盤胞からES細胞を得ることは法律上は可能ということになるかと思われますが、こういう考えと見てよろしいか。
  250. 結城章夫

    ○結城政府参考人 指針でそういうことができるということになれば、それは法律的には可能でございます。
  251. 吉井英勝

    ○吉井委員 民主党の皆さんの場合は、民主党案ではこの扱いについてはどういうふうにお考えになっていらっしゃるかも伺いたいと思います。
  252. 近藤昭一

    ○近藤(昭)議員 私どもでは、十六条で「許可の基準等」というのを定めておりまして、この基準に合えば認めるということでございます。
  253. 吉井英勝

    ○吉井委員 政府の方は指針を定めてということで、民主党の方は基準でということで、いずれにしても、基準という言葉を使うにしても指針にしても、そういうガイドラインをつくって今後考えていくということですね。  そこで、時間も多分終わりになるでしょうから最後の質問になろうかと思いますが、政府案ではヒト胚を外す、民主党案ではヒト胚を入れるという。これはこの間ずっと議論もありましたが、それぞれにその理由というものを、簡潔で結構ですから、改めて伺っておきたいと思います。
  254. 大島理森

    ○大島国務大臣 簡単に言いますと、反社会性の強さの違いというものが一点ございます。有性生殖による胚という世界は、先ほど申し上げましたように、広く言えば、その中に一万人の体外受精で生まれるお子さんたちもおる。またもう一つは、研究として有用性が考えられるという意味で、そのように分けて考えておるというふうに御理解いただきたいと思います。
  255. 城島正光

    ○城島議員 これはもう何度も繰り返しますけれども、生命の尊厳という観点からして、私たちは生命の萌芽であるそのヒト胚というものも、その生命の尊厳という観点からするとそれにふさわしい対応をしていくべきだということに重きを置いているということでございます。
  256. 吉井英勝

    ○吉井委員 時間が参りましたので、本日の質問はこれで終わります。
  257. 古賀一成

    ○古賀委員長 次回は、来る十日金曜日午前八時五十分理事会、午前九時委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。     午後五時十三分散会