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1998-04-21 第142回国会 衆議院 本会議 31号 公式Web版

  1. 平成十年四月二十一日(火曜日)     ―――――――――――――  議事日程 第十九号   平成十年四月二十一日     午後一時開議  第一 農地法の一部を改正する法律案(内閣提出)  第二 漁業に関する日本国と中華人民共和国との間の協定締結について承認を求めるの件  第三 中小企業退職金共済法の一部を改正する法律案(内閣提出、参議院送付)     ――――――――――――― ○本日の会議に付した案件  日程第一 農地法の一部を改正する法律案(内閣提出)  日程第二 漁業に関する日本国と中華人民共和国との間の協定締結について承認を求めるの件  日程第三 中小企業退職金共済法の一部を改正する法律案(内閣提出、参議院送付)  労働基準法の一部を改正する法律案(内閣提出)の趣旨説明及び質疑     午後一時三分開議
  2. 伊藤宗一郎

    ○議長(伊藤宗一郎君) これより会議を開きます。      ――――◇―――――  日程第一 農地法の一部を改正する法律案(内閣提出)
  3. 伊藤宗一郎

    ○議長(伊藤宗一郎君) 日程第一、農地法の一部を改正する法律案を議題といたします。  委員長の報告を求めます。農林水産委員長北村直人君。     〔北村直人君登壇〕
  4. 北村直人

    ○北村直人君 ただいま議題となりました農地法の一部を改正する法律案につきまして、農林水産委員会における審査の経過及び結果を御報告申し上げます。  本案は、地方分権推進委員会第一次勧告の指摘等を踏まえ、地方分権の推進を図るため、二ヘクタールを超え四ヘクタール以下の農地転用の許可権限を農林水産大臣から都道府県知事に委譲するとともに、行政事務の明確化を図るため、農地転用の許可基準を法定化しようとするものであります。  委員会におきましては、四月九日島村農林水産大臣から提案理由の説明を聴取し、十六日質疑を行いました。  質疑終局後、討論を行い、採決いたしましたところ、本案は賛成多数をもって原案のとおり可決すべきものと議決した次第であります。  なお、本案に対し附帯決議が付されました。  以上、御報告申し上げます。(拍手)     ―――――――――――――
  5. 伊藤宗一郎

    ○議長(伊藤宗一郎君) 採決いたします。  本案の委員長の報告は可決であります。本案を委員長報告のとおり決するに賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕
  6. 伊藤宗一郎

    ○議長(伊藤宗一郎君) 起立多数。よって、本案は委員長報告のとおり可決いたしました。      ――――◇―――――  日程第二 漁業に関する日本国と中華人民共和国との間の協定の締結について承認を求めるの件
  7. 伊藤宗一郎

    ○議長(伊藤宗一郎君) 日程第二、漁業に関する日本国と中華人民共和国との間の協定の締結について承認を求めるの件を議題といたします。  委員長の報告を求めます。外務委員長中馬弘毅君。     〔中馬弘毅君登壇〕
  8. 中馬弘毅

    ○中馬弘毅君 ただいま議題となりました日中漁業協定につきまして、外務委員会における審査の経過及び結果を御報告申し上げます。  我が国と中国との漁業関係は、これまで昭和五十年に締結された現行の漁業協定のもとで維持されていますが、今般、日中両国について、平成八年に発効した国連海洋法条約の趣旨を踏まえ、原則として沿岸国が自国の排他的経済水域において海洋生物資源の管理を行うことを基本とした新たな漁業秩序を日中間に確立するため本協定を締結することとなり、両国間の累次の協議を経て、平成九年十一月十一日東京において本協定の署名が行われました。  本協定は、基本的に旗国主義に基づいた管理措置をとっている現行協定にかわる新たな日中間の漁業協定であり、その主な内容は、  本協定が適用される協定水域は両締約国の排他的経済水域とし、各締約国は、相互利益の原則に立って、自国の排他的経済水域において相手国が漁獲を行うことを許可すること、  各締約国は、自国の排他的経済水域における相手国の漁獲が認められる魚種、漁獲割り当て量、操業区域その他の操業条件を毎年決定すること、  協定水域のうち、北緯三十度四十分及び北緯二十七度の間の日中両国のおおむね距岸五十二海里の各緯度線上の点で囲まれた暫定措置水域については相互入会措置を適用せず、当該水域における取り締まりは旗国により行われること、  北緯二十七度以南の東海等一部水域については既存の漁業秩序を維持すること 等であります。  本件は、去る四月十四日外務委員会に付託され、翌十五日小渕外務大臣から提案理由の説明を聴取し、同十七日質疑を行い、引き続き採決を行いました結果、本件は全会一致をもって承認すべきものと議決した次第であります。  以上、御報告申し上げます。(拍手)     ―――――――――――――
  9. 伊藤宗一郎

    ○議長(伊藤宗一郎君) 採決いたします。  本件は委員長報告のとおり承認するに御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  10. 伊藤宗一郎

    ○議長(伊藤宗一郎君) 御異議なしと認めます。よって、本件は委員長報告のとおり承認することに決まりました。      ――――◇―――――  日程第三 中小企業退職金共済法の一部を改正する法律案(内閣提出、参議院送付)
  11. 伊藤宗一郎

    ○議長(伊藤宗一郎君) 日程第三、中小企業退職金共済法の一部を改正する法律案を議題といたします。  委員長の報告を求めます。労働委員長田中慶秋君。     〔田中慶秋君登壇〕
  12. 田中慶秋

    ○田中慶秋君 ただいま議題となりました中小企業退職金共済法の一部を改正する法律案について、労働委員会における審査の経過及び結果の御報告を申し上げます。  本案は、最近における社会経済情勢の変化等に対応して、中小企業退職金共済制度の安定及び充実を図るため、退職金等の額の見直しを行うとともに、他の退職金共済制度との通算制度の創設等の措置を講じようとするものであります。  その主な内容は、  第一に、退職金等の額について、掛金月額及び掛金納付月数に応じて定まる基本退職金の額を改定することとしております。  第二に、労働者が、中小企業退職金共済制度加入している企業と特定退職金共済制度加入している企業との間を移動した場合に、退職金を通算して受給できるよう制度を整備することとしております。  第三に、退職金の分割支給制度及び退職金共済契約の申し込み手続について、所要の改善を図ることとしております。  本案は、去る四月三日参議院から送付され、同月十日労働委員会に付託され、同日伊吹労働大臣から提案理由の説明を聴取し、同月十七日の委員会において質疑を終了し、討論、採決の結果、賛成多数をもって原案のとおり可決すべきものと議決した次第であります。  なお、本案に対し附帯決議を付することに決しました。  以上、御報告申し上げます。(拍手)     ―――――――――――――
  13. 伊藤宗一郎

    ○議長(伊藤宗一郎君) 採決いたします。  本案の委員長の報告は可決であります。本案を委員長報告のとおり決するに賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕
  14. 伊藤宗一郎

    ○議長(伊藤宗一郎君) 起立多数。よって、本案は委員長報告のとおり可決いたしました。      ――――◇―――――  労働基準法の一部を改正する法律案(内閣提出)の趣旨説明
  15. 伊藤宗一郎

    ○議長(伊藤宗一郎君) この際、内閣提出、労働基準法の一部を改正する法律案について、趣旨の説明を求めます。労働大臣伊吹文明君。     〔国務大臣伊吹文明君登壇〕
  16. 伊吹文明

    ○国務大臣(伊吹文明君) 労働基準法の一部を改正する法律案について、その趣旨を御説明申し上げます。  今日、我が国を取り巻く内外の環境は大きく変化し、そのため経済社会も構造変化に直面いたしております。また、労働者の働き方や就業意識の多様化も進んでおります。このような状況のもとで豊かで安心できる社会、健全で活力ある経済を実現していくためには、働く人々が意欲にあふれ、能力を存分に発揮するとともに安心して働くことができるよう、職場における労働条件や環境の整備を進めることが重要であります。  このような観点に立って、制定以来五十年を経過した労働基準法について、時代の変化に即応したものとするとともに、その実効性を一層高めるため、中央労働基準審議会において検討を重ねてまいりました。  政府といたしましては、長期間にわたる検討の結果提出された中央労働基準審議会の建議を踏まえ、本法律案を作成し、ここに提出した次第であります。  次に、この法律案の内容の概要を御説明申し上げます。  第一に、新商品、新技術の開発等に必要な高度の専門的な知識、技術等を有する労働者を新たに確保する場合や高齢者などについて、労働契約期間の上限を三年とすることといたしております。  第二に、効率的な働き方とそれによる労働時間の短縮を実現するため、一年単位の変形労働時間制について、対象期間における労働日数の限度を定めるなど要件を追加することといたしております。  第三に、時間外労働を適正なものとするため、労働大臣は、労使協定で定める労働時間の延長の限度等について基準を定め、関係労使は、労使協定を定めるに当たり、これに適合したものとなるようにしなければならないことといたしております。その際、育児または介護を行う女性労働者のうち希望者について、一定期間、通常の労働者より短い限度の基準を定めるとともに、この期間中に、政府は、育児または介護を行う男女労働者の時間外労働に関する制度のあり方について検討することといたしております。  第四に、事業運営上の重要な決定が行われる事業場における企画立案等の業務について、労使委員会で、対象となる労働者の具体的な範囲、健康及び福祉を確保するための措置等を全員の合意で決議し行政官庁に届け出ることにより、決議の内容に基づいて裁量労働制の対象とすることができることといたしております。  第五に、児童労働に関する国際的動向に沿って、最低年齢に係る規定を整備することといたしております。  第六に、都道府県労働基準局長が労働条件についての紛争の解決の援助を行うことといたしております。  その他、労働契約締結時の書面による労働条件明示に係る事項の追加、一斉休憩の適用除外、年次有給休暇の付与日数の引き上げ等の所要の改正を行うことといたしております。  なお、この法律は平成十一年四月一日から施行することといたしておりますが、紛争の解決の援助に関する部分は平成十年十月一日から、最低年齢に関する部分は平成十二年四月一日から施行することといたしております。  以上が、労働基準法の一部を改正する法律案の趣旨でございます。(拍手)      ――――◇―――――  労働基準法の一部を改正する法律案(内閣提出)の趣旨説明に対する質疑
  17. 伊藤宗一郎

    ○議長(伊藤宗一郎君) ただいまの趣旨の説明に対して質疑の通告があります。順次これを許します。鍵田節哉君。     〔鍵田節哉君登壇〕
  18. 鍵田節哉

    ○鍵田節哉君 私は、民主党を代表いたしまして、ただいま提案のありました労働基準法の一部を改正する法律案について、橋本総理大臣並びに伊吹労働大臣に質問をいたします。  法案に対する質問に先立ち、冒頭、現下の憂慮すべき雇用情勢につき、総理の御認識と今後の対応策をお尋ねいたします。  去る三月二十七日に発表された総務庁の調査によりますと、二月の完全失業率は三・六%と調査開始以来最悪の数字を記録し、雇用は極めて深刻な状況に陥っています。また、こうした雇用危機は個人消費を一層萎縮させ、住宅投資を初め企業の設備投資の悪化にもつながり、景気回復を妨げる大きな要因ともなっております。  かつて細川内閣は、雇用情勢が悪化した一九九四年一月、総理大臣を本部長、全閣僚を委員とした緊急雇用問題等対策本部を設置し、精力的に失業の防止や各種対策の実施に取り組み、大きな実積を残しました。一方、橋本内閣は、緊急対策本部が改組された産業構造転換・雇用対策本部を就任翌月の一昨年二月二十一日にただ一度開催したのみであり、今日の危機的状況に至っても、なお何ら有効な手だてを講じておりません。また政府は、倒産負債額が過去最悪となっているにもかかわらず、倒産企業の労働者の状況把握さえ十分にしていないのではないでしょうか。  雇用問題は、総理を初めとした全閣僚が協力し、政府を挙げて取り組まなければならない最優先の課題であります。政府は、現行の対策本部を緊急雇用対策本部へと改め、従来の施策の拡充に加え、直ちに、雇用対策法に基づく強力な施策の発動と政府の総合的雇用創出計画の策定など、機動的かつ抜本的な雇用対策を行うよう強く求めるものであります。この点について、総理の明快なる答弁をいただきたい。  さて、今回の労基法の改正案の提案理由として、我が国を取り巻く内外の環境の変化と労働者の働き方や就業意識の多様化の進行が挙げられております。確かに、我が国において、その根底となる幾つかのシステムに変化が生じてきていることは事実であります。一つには、急速な少子化の進行と人生八十年時代の到来であります。二つには、男女共同参画社会実現へのうねりであります。三つには、先進国にふさわしい国際公正基準に沿った労働条件の整備であります。  現在、パートや派遣へのニーズが女性を中心に高まってきていると言われていますが、これは、正社員では休暇もとれず、時間外労働も極めて多いことが原因であり、決して本来のニーズから選択を行っているわけではありません。また、毎年五百件を超える過労死の申請が出され、年間四千時間を超える労働で健康を損なう労働者も後を絶ちません。好景気に転じたときには、時間外労働に対する指針だけでは歯どめがきかなくなることは火を見るより明らかであります。さらに、我が国のILO条約の批准状況は極めて低く、国際的に共通の公正な労働基準づくりに努力する姿勢が弱いことが繰り返し指摘されております。  こうした現状を考慮したとき、労基法の全面施行から五十年の節目となる今日、まず行わなければならないことは、男女がともに働ける環境づくり、高齢者が六十五歳以上まで働ける環境づくり、そして私たち一人一人が日本の経済力にふさわしいゆとり、豊かさを実感できる条件づくりでなければなりません。その意味で、今回の改正案は、労働条件の明示、年次有給休暇の年二日増など評価すべき点も一部含まれておりますが、これらは世界的労働基準から著しくおくれている分野であり、むしろ遅きに失した改正であります。  一方、審議会において労使の意見が対立した項目については、ほとんどが使用者側の意見をもとに法案が作成されており、規制緩和の美名のもとで労働者の権利が著しく侵害されかねない、まさに労働基準法の改悪案と断ぜざるを得ません。  以下、特に大きな課題についてお尋ねいたします。  第一に、時間外労働の上限時間が法案に明記されておらず、政府が真剣に時間外労働に歯どめをかけようとする姿勢が見られないことであります。  日本社会のあり方に鋭い視線を注いできた著名なオランダのジャーナリスト、カレル・ヴァン・ウォルフレンは、我が国男性の過密な労働の実情を、「麻痺した社会の犠牲者たち」として次のように指摘しております。戦後の日本の偉業は「日本人の個人生活の犠牲の上に成り立っている。会社で心身のエネルギーを使い果たしてしまうため、社員たちはまともな家庭生活を営む元気を失くしている。中間階級の男性社員は目を覚ましている時間のほとんどすべてを企業に吸いとられる結果、会社の外で個人的な目的のために使う気力はもう残っていない。」と。今また女性をも、このような過酷な労働条件に追い込むおつもりでしょうか。  私は、昨年の男女雇用機会均等法改正に際し、女子保護規定撤廃に当たっては男女共通の時間外労働の上限時間を法案に明記するよう強く求めてまいりました。また、このことは政府の目標でもある年間千八百時間労働の実現に不可欠なものであります。法案に具体的な明記がなく、しかも上限時間を超えた際の罰則も定められていない中で、政府はどのように実効性を担保できるとお考えなのか、伊吹労働大臣の明確なる答弁を求めたい。  第二は、休日労働、深夜労働に対する新しいルールがないことであります。  休日、深夜の過重な労働は、勤労者の健康を損ない、育児や介護などの家族的な責任を果たすことを困難にするものであります。特に深夜業については、人が持つサーカディアンリズム、いわゆる日中リズムが崩れると健康障害の可能性も指摘されており、やむを得ないものを除き、その導入には慎重な対応が必要であります。政府は、今後の我が国における深夜労働をどのように位置づけているのか、また、労基法において休日労働、深夜労働に関する新しいルールの確立が必要不可欠であると考えますが、労働大臣の御所見を賜りたい。  第三は、新たな裁量労働制の拡大であります。  現在、裁量労働制は、弁護士など特定の専門的職業にしか認められておりません。この裁量労働制を、今回は、事業運営上の重要な決定が行われる事業場において企画、立案、調査、分析などの業務に従事する、いわゆるホワイトカラー全般にまで拡大しようとするものであります。これらの分野は、従来からふろしき残業やフロッピー残業が日常化している職場であり、現在の状況において裁量労働制が認められたならば、こうしたサービス残業が追認されることとなり、このままでは実際の労働時間はむしろ長くなり、賃金のカットのみされることは明白であります。  また、制度の導入に当たっては、当該事業場に労働者の代表が半数を占める労使委員会を設置するとの規定があります。しかし、現在、中小企業における労働組合の組織率は極めて低く、労使の力関係は明白であり、時間外労働の三六協定に見られるごとく、労働者の代表にふさわしくない人たちによる決議が横行することが懸念されます。裁量労働制の導入には慎重な検討が必要であるとの審議会での労働者側の意見や、労働省自身の裁量労働に関する研究会での社会的コンセンサスが必要との報告も無視し、法案化が強行されており、労働者の職業生活を守る最低基準を設けた労働基準法の精神を逸脱し、使用者側の一方的な意見を採用した暴挙であると言っても過言ではありません。  以上の理由により、今回の法案による新たな裁量労働制の導入には大きな懸念を禁じ得ません。今後、引き続き労使間の合意形成に向けた審議会での論議が必要であると存じますが、労働大臣の御見解を伺いたい。  最後に、変形労働時間制の要件緩和であります。  変形労働時間制は業務の繁忙期に所定労働時間を延長するものであり、実施方法や運用を誤ると労働者の負荷は極めて過重なものとなります。しかし、今回の法案は、単に現在のままでは使い勝手が悪いという経営側の恣意的な理由を採用しております。一年単位の変形労働制を導入する場合は、健康確保や家庭生活への影響などに留意し、週の所定労働時間基準を現行の四十時間を下回るものとするよう強く求めるものですが、労働大臣の御見解を賜りたい。  また、今回の法案は、立法化の検討過程も異常であると言わざるを得ません。これまで労働法は審議会での公労使合意による答申が通常でありましたが、今回は労働者側が強く異を唱えたいわゆる例外的な法案であり、このような法案を今回国会に強行提案されたのにはその背景にどのような意図があるのか、お尋ねいたします。  我々国会議員に課せられた使命は、法案審議の過程で、働く者の声に耳を傾け、立法府の英知を結集し、法案を改悪と言われることなく真に改正と評価されるものへとしていくことであります。労働条件の根幹にかかわる労基法は、現在のみならず将来の勤労者の人としての生き方、そして二十一世紀の日本社会の姿に重大な影響を与えるものであります。人の働き方は労使の十分な合意によって決められるべきであって、経営側の恣意的な意向によって決められることのないよう特に留意しなければなりません。  最後になりますが、私と橋本総理は昭和十二年生まれの同世代であります。一般社会では、高度成長期わき目も振らず働いてきて、昨年定年を迎えた年代であります。どうか労働行政の推進に当たりましては、過去の経験から推しまして、額に汗して働く者が報われ、将来にわたって働きがいのある豊かな社会が構築されることを基本理念として、ともに頑張ろうではありませんか。政府案を完全無欠と考え、これに固執することのないよう十分な論議と勇気ある決断を求めますが、橋本総理のお考えをお聞かせください。  また、同じく労働大臣にも、改めて労働省の設置目的や労働基準法の趣旨を踏まえた上でお考えをお聞かせください。  以上、労働大臣には、今日まで日本経済の高度成長を支えてきた、外国からもうらやましがられている良好な日本の労使関係、信頼関係をあなたの代で決して破壊することのないよう強く求めまして、私の質問を終わらせていただきます。ありがとうございました。(拍手)     〔内閣総理大臣橋本龍太郎君登壇〕
  19. 橋本龍太郎

    ○内閣総理大臣(橋本龍太郎君) 鍵田議員にお答えを申し上げます。  まず、雇用問題は、全閣僚が協力して取り組むべき最優先の課題という御指摘をいただきました。  現下の失業率は極めて厳しく、特に四十五歳以上に厳しい状況であることを認識しております。全閣僚が協力して機動的かつ抜本的な雇用対策を講ずるべきと御指摘をいただきましたが、現在、政府全体で検討中の総合経済対策を早期に実施し、景気の回復を図ることこそ、まさに雇用の安定につながる重要な対策であると考えており、その一環として雇用対策の充実についても検討をしております。これらによりまして、雇用の安定に全力を尽くしてまいりたいと考えております。  また、労働行政の基本理念、法案審議における姿勢についてお尋ねをいただきました。  経済社会の構造変化の中で、働く人々が安心して能力を十分発揮していくこと、そういう環境をつくっていくことが労働行政の基本だと考えております。改正法案は、このような基本的な考え方の上に立ち、関係者の精力的な検討や協議を経て作成したものであり、政府としては、一日も早く成立させていただきたいと考えておることを申し添えさせていただきます。  残余の質問につきましては、関係大臣から御答弁を申し上げます。(拍手)     〔国務大臣伊吹文明君登壇〕
  20. 伊吹文明

    ○国務大臣(伊吹文明君) 鍵田議員にお答えを申し上げます。  六つの御質問をいただきました。  まず、時間外労働についてのお尋ねでございますが、終身雇用制が主流の我が国におきましては、時間外労働の持つ雇用調整機能により失業を防止できるという面がございまして、画一的にこれを罰則をもって規制することは適当ではないと考えております。このため、改正法案では、時間外労働に関する上限の基準を労働大臣が定めること及びこの基準を労使が遵守することを労働基準法に規定し、これにより、長時間の時間外労働を抑制することに十分実効があると考えております。  第二に、休日労働、深夜労働についてのお尋ねでございます。  深夜労働は、生産プロセスの運営上の必要や国民生活上の利便から不可欠な面があることは否定はできませんが、これに従事する労働者の就業環境の整備や健康管理等のあり方を含め、広範囲な角度から引き続き検討を加え、適切かつ現実的に対応したいと考えております。  また、休日労働及び深夜労働の賃金の割り増し率については、審議会において、実態調査を参考にして、引き続き検討が行われることになっております。  第三点は、裁量労働制についてのお尋ねでございます。  新たな裁量労働制は、対象業務について法律にその範囲を限定した上で、労働大臣が定める指針により具体的運用例を明示することといたしておりますとともに、労働組合が存在しない事業所においても労使委員会が十分機能できるよう、労働者代表の適正な選任を担保するための手続や決議、議事録を労働者へ周知すること等について法律で明確にするなど、御懸念のようなことが起こらないよう十分な措置を講じております。  第四に、変形労働制につきましては、今回の改正法案では、週四十時間労働制を基盤といたしております。これは、労使が真摯に取り組んでまいりました平成九年四月に全面的に適用されました週四十時間労働制を基礎とすることが最も現実的であり、労働時間短縮にも効果的であると考えたからでございます。  第五に、審議会の答申との関係についてのお尋ねでございます。  経済社会の構造変化や働く人たちの働き方への期待、希望が多様化していることに対応いたしまして、意欲あふれ、安心して働ける新たなルールを設けることの必要性については、公労使三者とも共通の認識を持っていただいていると思います。この共通認識のもとで改正法案の内容の検討が行われ、大部分の項目について、公労使一致でおおむね妥当との答申をいただいたものでございます。  なお、御指摘がございましたように、答申に当たって労働側委員からの意見が出された一部の項目につきましては、今後さらに審議会において、この法律の御可決後、施行に向けての法律の運用の議論がなされる中で検討させていただきたいと考えております。  最後に、労働行政の基本理念と法案審議における姿勢についてのお尋ねでございます。  先ほど総理から御答弁申し上げましたのと全く私も同じ考えでございます。一人一人額に汗して働く労働者の長期的な労働条件の維持向上のため、一層努力したいと考えております。(拍手)     ―――――――――――――
  21. 伊藤宗一郎

    ○議長(伊藤宗一郎君) 桝屋敬悟君。     〔桝屋敬悟君登壇〕
  22. 桝屋敬悟

    ○桝屋敬悟君 私は、ただいま議題となりました労働基準法の一部を改正する法律案に対し、平和・改革を代表して質問を行うものであります。  法律案の内容に入る前に、労働行政全般にわたる総括的な質問を行いたいと思います。  まず初めに、私も先ほどの鍵田議員と同じように、最近の雇用情勢について質問をしたいと思います。  現下の雇用情勢は、我が国経済の先行き不透明感により、かつてない厳しい状況が続いております。二月の有効求人倍率〇・六一倍、完全失業率も三・六%と統計作成以来の最高水準に達しております。  こうした厳しい雇用情勢の中で、働く意思と能力がある人が働くことができないという失業の増加、雇用の厳しさは国民生活に大きな不安を投げかけております。特に若年層及び高齢者層の高い失業率は深刻でありますし、さらに失業者のうち中高年サラリーマンの倒産やリストラによる非自発的失業は、昨年二月に比べて三割もふえております。一家を支える世帯主の失業率も二・七%と過去最悪となっており、生活不安を一層大きくしています。  現在の失業の背景には、経済構造の変化による部門別の労働需給のミスマッチや世界的市場経済化による国際的要因などがあるものの、最大の要因は総需要が不足しているという景気的要因であることは論をまちません。すなわち、橋本政権が進めてきた、経済見通しを誤った昨年来の九兆円に上るデフレ政策や財政構造改革に伴う大幅な予算の圧縮効果などなどによる政策不況が、厳しい雇用情勢の最大の原因なのであります。  こうした厳しい雇用情勢を総理はどのように認識され、責任の重さをどのように感じておられるのでしょうか。橋本総理、今国民が聞きたいのは、口先介入の延長のような記者会見ではなくて、この不況はこれからどうなるのか、さらに一層深刻になるのか、いつまでどんな我慢をしなければならないのか、そして政府はこの厳しい状況に対してどんな処方せんを持っているかということであります。総理のお考えをお聞かせいただきたい。  失業は人材の政策的放置であると考えます。労働大臣は、所管大臣として労働問題のみならずマクロ経済についても積極的に発言をしていきたい旨の話をされておられますが、今後の取り組みについてお伺いしたいと思います。  次に、規制緩和とゆとり社会の実現についてお尋ねいたします。  経済社会のグローバル化等に伴って、国民の雇用労働環境も大きく変化しています。こうした中で、働く人々もかつてのような弱い労働者だけではなくなった時代認識もあるでしょう。働く人々の意識も働き方も多様化し、それに合わせたルールづくりも必要となっております。しかしながら、我が国の長時間労働は依然として解消されておらず、過労死に象徴されるような労働者の健康破壊が進んでおり、加えて、時間外労働等の規制緩和により、多くの女性が長時間・深夜労働に従事し、家庭の子供たちが放置されている弊害も指摘されているところであります。  こうした状況の中で、規制緩和が企業のニーズのみに沿った、できるだけ使い勝手のいい労働力にしたいというのであれば、国民はゆとり社会から遠のいてしまいます。規制緩和による市場原理の激化は格差も拡大させます。私は、大きな規制緩和の流れの中で、働く人々への保護はますます重要となっていると考えますが、総理の御所見をお伺いいたします。  産業構造の変化の中で、こうした厳しい状況は、特にパート、派遣、契約社員等の非正規雇用労働者への労働条件のしわ寄せとしてあらわれてきていると考えますが、労働大臣の御所見をお伺いいたします。  さて、今回の法律案について順次質問を行います。  初めに、時間外・休日労働及び深夜業の問題でありますが、中基審の議論においても、公労使により相当の意見の食い違いがあったことが報告されているとおり、今回の法改正の大きな問題点の一つであります。  昨年の女子保護規定撤廃の法改正を経て、我が国の長時間労働の実情を踏まえ、男女がともに人間らしい生活を営み得る労働条件を保障する男女共通の時間外・休日・深夜労働の規制を求める声が広がり、国会審議においても時間外労働等の整備に関する附帯決議がなされたところであります。こうした背景の中で、今回の基準法の改正が検討されてきました。今回の改正は、我が国の長時間労働体制に歯どめをかけるため、確実に実効性のあるものにしなければなりません。  その観点からは、適正化のためのガイドラインに法的根拠を与えることは一歩前進であるものの、労働基準法そのものに上限規制を規定しているものではないという点、基準に対して労使双方で遵守する努力義務を定めたものであり法的拘束力がないという点で、その実効性に危惧するものでありますが、総理の御所見をお伺いいたします。  また、労働大臣の定める基準については、現行の適正化指針の一年三百六十時間、女子保護規定撤廃に伴う百五十時間の問題、この両者をどのように整理され規定されるのか、労働大臣の御所見をお伺いいたします。  なお、女子保護規定撤廃に伴う激変緩和措置については、どの程度のレベルを想定されているのか、あわせてお伺いしたい。さらに、その対象となる女子労働者について、育児、介護のみならず、妊婦や健康上の理由のある者までも対象とすべきであると考えますが、命令で予定している対象者についてお伺いをいたします。  また、我が国の長時間労働が解消できない大きな理由に割り増し率の低さが挙げられますが、中基審での継続的検討も勘案の上、時間外・休日・深夜労働の賃金割り増し率の引き上げを今後検討すべきであると考えますが、労働大臣の御所見をお伺いいたします。  次に、新しい裁量労働制の導入についてお尋ねをいたします。  法律案では、企業の中枢で働くホワイトカラーの自律的で創造的な働き方のルールとして新たな裁量労働制を設けることとされていますが、裁量性が認められない業務に安易にみなし労働時間制が拡大されるならば、かえって長時間労働、不払い労働を助長することになり、結局は労働者に大きな不利益をもたらすのではないかとまことに心配であります。  そこで、お尋ねいたします。対象者の範囲等を決定する労使委員会という法律上の新たな機関を規定していますが、この委員会の法的位置づけを明らかにしていただきたい。  また、対象者、対象業務についての規定は、いずれも抽象的で明確でなく、無制限にホワイトカラー全般に拡大する危険性があり、さらに対象業務についても、建議の段階では、「具体的指示をすることが困難なもの」とされていたものが、法律案では一歩踏み込み、「具体的な指示をしないこと」とされ、労使委員会で決定すればすべて対象とされる危険性があるのではないかと考えますが、労働大臣の御所見をお伺いいたします。  こうした観点から、大臣が定める指針の内容が極めて重要となります。この指針の骨格をお示しいただきたい。また、この指針に反した場合の対応についてあわせてお伺いをいたします。  次に、一年単位の変形労働時間制についてであります。  本制度は、そもそも労働時間短縮を促進するために導入されたものであり、この適用に当たっては、対象となる労働者の健康確保や家庭生活については特に留意をしなければならないと考えます。したがって、一年単位の変形労働時間制を導入する場合は、所定労働時間の基準をさらに短縮する必要があると考えますが、労働大臣の基準設定に当たってのお考えをお伺いいたします。  最後に、労働契約期間の上限の延長についてお尋ねいたします。  法律案では、新商品、新技術の開発等の業務、新規事業の展開などのプロジェクト業務に従事する高度の専門的知識、技術等を有する者を確保するために新たに雇い入れる場合に労働契約期間の上限を三年に延長することとされていますが、この点についても、運用の仕方によっては、三年の若年定年制となるものであり、また既に雇用されている労働者を終身雇用から有期雇用に転換させる方途を開くものであり、その運用のあり方が懸念されるところであります。  対象となる労働者の限定等については、新や高度がつけばすべて適用対象となる危険性も十分あることから、大臣の定める指針の策定方針についてお尋ねしたいと思います。また、当該業務に新たにつく者に限るとの規定は、新規採用労働者に限定されるものなのか、事業の転換、拡大等の場合も適用対象となるのか、具体的にお尋ねしたいと思います。  労働現場における有期契約の最大の問題は、反復更新の取り扱いであります。中基審においても重要な研究、検討課題とされているところであります。この点について、改正案の三年契約の場合の更新の取り扱いはどうなるのか、また、一年以内の契約の反復の問題の検討状況について、あわせて労働大臣にお尋ねいたします。  いずれにしても、我が国の産業構造の転換、規制緩和という大きな流れの中で、いかにして真に豊かさとゆとりを実感できる国民生活を確保するか、まことに困難な課題であります。本法律案は、我が国の今後の選択肢が問われているわけであります。私ども平和・改革は、これから慎重かつ十二分に審議を尽くすことを決意表明し、質問を終わります。ありがとうございました。(拍手)     〔内閣総理大臣橋本龍太郎君登壇〕
  23. 橋本龍太郎

    ○内閣総理大臣(橋本龍太郎君) 桝屋議員にお答えをいたします。  まず、雇用情勢についてのお尋ねがございました。  二月の有効求人倍率が〇・六一倍と六カ月連続して低下し、完全失業率が三・六%と過去最高の水準になっております。このうち、二十四歳以下の若年層では有効求人倍率が一倍を超え再就職が比較的容易でありますが、四十五歳以上の中高年齢層に対しましては有効求人倍率が〇・二五倍と、特に厳しい状況にあります。  この厳しい雇用情勢の最大の原因は政策不況ではないか、この不況はいつまで続くのか、政府はどのような処方せんを持っているかとお尋ねがありました。  我が国経済の現状を見ますと、バブルの後遺症といった経済社会の構造問題に加え、アジアの通貨・金融不安や我が国の金融機関の破綻による金融システムへの信頼低下などの影響もある中に、昨年来厳しさを増した家計や企業の景況感が実体経済全般にまで影響を及ぼしており、完全失業率が既往最高となるなど、景気は一層厳しさを増しております。  こうした景気停滞から一日も早く抜け出すために、先日、我が国経済及び経済運営に対する内外の信頼を回復するに必要かつ十分な規模の経済対策を講じることを決意し、国民の皆様にその基本的な考え方を発表させていただきました。ここに盛り込まれた特別減税の追加、継続や真に必要となる社会資本の整備を初めとする各般の施策が相まって、消費者や企業のマインドを高めて景気回復をもたらすと考えております。  次に、規制緩和の流れの中での働く方々への保護というお尋ねがございました。  経済社会の大きな変化の中で、経済活動の一方の担い手である労働者がその能力を十分に発揮し、経済社会を支えていただけるように、労働条件や労働環境を整備していくことは大変重要であり、今般の労働基準法の改正も、このような視点に立って労働者の保護のためのルールを整備強化しようとするものであります。  次に、時間外労働に関する基準の実効性についてのお尋ねをいただきました。  改正法案では、この基準を労働大臣が定めること及びこの基準を労使が遵守するようにしなければならないことを労働基準法に規定することとしております。これにより、長時間の時間外労働の抑制に十分な実効が上がるものと考えております。  残余の質問につきましては、関係大臣から御答弁を申し上げます。(拍手)     〔国務大臣伊吹文明君登壇〕
  24. 伊吹文明

    ○国務大臣(伊吹文明君) 桝屋議員にお答えを申し上げます。  まず雇用情勢でございますが、先ほど総理からも、中高年齢者を中心として雇用情勢は厳しいと御答弁を申し上げました。雇用は短期的には景気の動向に左右されるものであり、雇用の安定を図る観点からも、総理が御答弁を申し上げましたように、景気回復のため、金融システムの信頼を回復し、金融デフレを払拭するとともに、マクロの有効需要管理などの対策を強力に推進していく必要があると思っております。  その上で、労働省としては、これまでも、雇用調整助成金制度の活用により失業の防止を図るとともに、積極的に求人の発掘を行い、離職者の早期再就職を促進するなどの対策を講じてまいりました。これらに加えて、現在、政府で総合的な経済対策の一環として雇用対策の一層の充実について検討いたしているところであり、今後とも雇用の安定に努力をしてまいりたいと考えております。  次に御指摘の、いわゆる非正規雇用労働者の労働条件についてでございます。  確かに、現実には、経済社会の構造変化や労働者の就業意識の変化等を背景といたしまして、多様な雇用形態で働く労働者が増加いたしております。労働行政といたしましては、パート、派遣等の労働者が労働条件面で不当な取り扱いを受けることのないよう、労働基準監督機関による監督指導において今後とも一層の努力をしてまいりたいと考えております。  第三に、時間外労働の上限に関する基準及び激変緩和措置についてのお尋ねであります。  一般の労働者についての基準に関しては現行の適正化指針を参考とし、また、女子保護規定の解消に伴う激変緩和措置として設ける基準については、中央労働基準審議会の建議で通常の労働者よりも低い水準を設定することとされている趣旨を踏まえ、適切な水準にいたしたいと考えております。  また、基準緩和措置の対象者については、建議にございますとおり、育児・介護休業法の深夜業の制限を請求できる労働者の範囲と同様とすることを基本に検討してまいる所存であります。  五点目は、時間外・休日労働の賃金の割り増し率でございます。  中央労働基準審議会の建議では、本年度行う実態調査の結果を見た上で、引き上げの検討を開始することとされております。また、深夜業の賃金の割り増し率についても、あわせて検討することが適当とされているところであります。私といたしましては、この検討を円滑に進め、その結果を待って適切に対処したいと考えております。  裁量労働制について、三つお尋ねがありました。  まず、裁量労働制における労使委員会は、改正法案においては、労働基準法上、賃金、労働時間など労働条件全般について調査審議するものとして位置づけられておりますが、さらに、裁量労働制の実施に当たっては、対象業務や対象労働者の範囲、健康管理のルールなどについて全員一致で決議することが義務づけられているところであります。  さらに、裁量労働制の対象業務でございますが、改正案では、企業の中枢部分で働くホワイトカラーのうち、業務の遂行手段や時間配分をみずからの裁量で決定し業務上の具体的な指示を受けない者に限り、その対象となることを法律上明らかにし、さらに、対象業務の具体例を指針において示すことといたしております。  また、個々の事業場では、労使委員会において、法律及び指針に則して労働者の具体的範囲を全会一致で決議で定めなければならないこととされているところであります。すなわち、対象業務が明確かつ適切なものとなるよう、十分な措置を講じているところであります。同時に、労使委員会において法律及び指針に照らして適当でない業務を対象業務とする旨の決議が仮になされたとしても、そのようなことは法律上許されておりませんので、労働基準監督署の厳正なチェックを受けることは当然のことであります。  新しい裁量労働制の指針の骨格についてもお尋ねがございました。  指針では、対象業務や対象労働者の範囲、働き過ぎ防止、健康確保のための措置の内容、苦情処理体制のあり方のほか、制度の適用に当たっての労働者本人の同意、業務の成果の評価基準など、労使が話し合って定めておくべき事項を示すことを予定いたしております。届け出られた決議が指針に反している場合には、これに沿ったものとなるよう改めて労使委員会で検討して決議することを求めたり、それが法違反になるような重大なものであれば厳しく是正を求めるなど、労働基準監督署において厳正な指導を行ってまいる所存でございます。  変形労働時間制については、今回の改正法案では週四十時間労働制を基盤といたしましたが、これは、労使が真摯に取り組んでおります平成九年四月に全面的に適用された週四十時間労働制を基礎とすることが最も現実的であり、労働時間短縮にも効果的であると考えたからでございます。  労働契約期間について三点、これもお尋ねがありました。  まず、その上限の延長の対象となる高度の専門的知識、技術などを有する労働者の基準についてでありますが、高度の専門的能力を持つ労働者がその能力を十分に発揮することができる環境を整備するという制度本来の目的に合致するものとなるよう、中央労働基準審議会を初め関係方面の御意見を伺いながら定めたいと考えております。  また、当該業務に新たにつく者に限るという要件は、事業の転換、拡大等に伴う場合をも含めまして、対象となり得る労働者を新たに雇い入れる場合に限るという趣旨でございます。  最後に、三点目の、三年契約の労働者について契約を更新する場合の契約期間の上限は、現行と同様、一年となるものでございます。また、一年以内の有期労働契約の反復更新の問題につきましては、中央労働基準審議会の建議に沿いまして、専門家による研究会を設け、さらに調査検討を進めていくことといたしたいと考えております。(拍手)     ―――――――――――――
  25. 伊藤宗一郎

    ○議長(伊藤宗一郎君) 武山百合子君。     〔武山百合子君登壇〕
  26. 武山百合子

    ○武山百合子君 私は、自由党を代表して、労働基準法の一部を改正する法律案に関し、総理並びに関係大臣に質問いたします。  橋本内閣のもたらした政策不況によって、国民経済は深刻な状況に立ち至っております。昨年一年間の企業倒産は一万七千件を超え、十二年ぶりの高水準となりました。ことし二月の完全失業者は、前月より六万人ふえ二百四十六万人となり、戦後最悪を記録いたしました。完全失業率も三・六%で過去最悪であります。  雇用の安定は国民生活の基盤であります。労働基準法改正を提案する前に、まず、みずからの政策によってこれだけ多くの労働者を路頭に迷わせた責任を、総理御自身が明らかにすることが先決ではありませんか。先日の総理辞任のうわさが兜町を駆けめぐったときの株価のはね上がりと、その後の急落に象徴されるように、総理、あなたが退陣されることが最大の景気対策であるとお思いになりませんか。総理の御見解をまずお伺いいたします。  さて、戦後間もなく労働基準法がつくられてから半世紀が経過し、社会経済情勢は大きく変化いたしました。制定当時は前近代的な制度が残っておりました。強制労働、タコ部屋、中間搾取、ピンはねなど、今考えれば非人間的な労働慣行が横行していた時代でありました。労働基準法は、弱い労働者を保護するとともに、我が国の雇用環境改善に大きな役割を果たし、勤勉な国民性、労使協調の努力などとあわせて、日本経済の発展と国民の福祉の向上に大きく貢献してまいりました。  今日、日本経済のボーダーレス化、国際化が進むとともに、情報通信分野などの目覚ましい技術革新によって、国民の働き方も、また意識も大きく変化してきております。今や、中小企業の労働者であっても、当然の権利として完全週休二日制を要求できる時代となりました。フレックスタイムや在宅勤務などの雇用形態も急速に普及する気配を見せております。これからは、二十一世紀の少子・高齢化社会をにらみつつ、我が国の活力を増大させていくために、高齢者や女性の進出が強く求められる時代となります。  こうした状況の変化を考えれば、戦後半世紀の間、労働基準法の改正がほとんどなされないまま今日に至っているのは不思議なくらいです。その見直しを行うのはむしろ当然であります。この法改正は国民の働き方を変えるものであります。二十一世紀の我が国の繁栄と国民生活に直結するものであるだけに、先を見越した改正の必要性があります。  このような認識に立った上で、以下、質問いたします。  初めに、規制緩和との関連について伺います。  現在、我が国では、実態はともかく、規制緩和が声高に叫ばれており、職場も大きく変わりつつあります。よき慣行として労使を支えてきた終身雇用制が崩れ、勤労者の働く意識も変わりました。労働移動が進み、パートや派遣労働などの不安定な雇用もふえています。こうした動きを、政府は規制緩和の流れの中で当然のことと位置づけ、施策を講じられるのか、あるいは一定の歯どめが必要と考えるのか。その場合、規制緩和で発生するであろう国際化、情報化、技術革新など、新たな雇用の受け皿にどのように労働移動を図っていこうとするのか。また、陰の部分として発生する失業の増大、労働条件の低下、格差拡大といった問題をどのように食いとめるのか。これらについて総理の御見解をお尋ねいたします。  二十一世紀の日本は、間違いなく労働力が不足する時代を迎えます。少子・高齢社会の進展をにらめば、経済社会の活力を増大させていく上で、働く女性を補助的と見るのではなく、正規の労働力と見るべきではありませんか。  男女雇用機会均等法が施行されて十年以上が経過し、働く女性は二千七百万人を超え、うち女性雇用者数は二千百万人を突破いたしました。しかし、管理職に占める女性の割合は、部長クラスはわずか一・四%、課長クラスは三・一%、係長クラスは七・三%にとどまっております。かつて、マーガレット・サッチャー・イギリス首相はイギリス・タイム誌のインタビューに答え、「女性は家庭の管理者です。だから管理経験を持つ点で女性の方が男性よりずっと上です。責任を転嫁することなく、自分で決断することを経験しています」と述べています。  能力があるにもかかわらず、特に我が国において女性の管理職が少ないのは、家事や育児、介護などの責任が女性にだけしわ寄せされている現実があります。働く女性のための環境整備がおくれています。これらの働く女性のための条件整備について、総理はどのようにお考えでしょうか。  私は、条件整備には、保育環境を整え、育児・介護施設を大幅に充実させるべきと思いますが、小泉厚生大臣のお考えをお伺いします。  また、子育てが一段落した女性たちが今育児に追われ育児の手助けを必要とする人を支援する、労働省が始めた有償ボランティア制度の充実を図るべきであります。労働大臣の御見解をお尋ねします。  次に、女子保護規定撤廃と時間外労働の問題について伺います。  今回の改正に当たり、労使が最も対立したのが時間外労働時間の上限規制の問題であります。特に、男女雇用機会均等法の改正に伴って女性の時間外・深夜労働を制限する労基法のいわゆる女子保護規定が撤廃されることになりますが、政府案では、新たな上限規制を設け、現在年間三百六十時間とし目安となっていたものを、労基法に根拠を置く基準に改めます。女性の働く環境が欧米に比べ整備されていない日本での女子保護規定撤廃は、特に共働きの女性にとって大きな負担となります。過労死に象徴されるような男性の労働環境を、そのまま女性に押しつけることになります。職業生活の一方で、家事、育児も担っている現状から、仕事と家庭の両立が困難になることは火を見るよりも明らかです。  時間外労働の問題は男性の長時間労働の問題であり、これが女性の職場進出を阻んでいる側面もあります。時間外労働の基準については、法律で規定するかしないかは別としても、労働者側が主張したように、三年後に年間百五十時間になるよう残業減らしを進めるべきと思いますが、労働大臣の御見解を求めます。  次に、裁量労働制の問題について伺います。  具体的な成果や実績で一定時間働いたとみなす裁量労働制でありますが、既に一部ホワイトカラーの職場に拡大されています。希望する人に対して、自分で時間配分を考え、主体的に仕事をできるようにする働き方は、選択肢の一つとして考えるべきです。自分で時間管理ができる人を机の前にいつまでも拘束する必要はありません。しかし、裁量労働は一定の成果が要求されることになります。達成できなければ、長時間労働になり、家に仕事を持ち帰るサービス残業がふえると思います。過剰な忠誠心と労働を強要するという日本の労働慣行のマイナス面を、さらに悪化させることになりかねません。サービス残業イコール強制的な長時間労働を合法化するとの意見もあるぐらいです。  政府案では、職場に労使委員会を設置し、そこで働き過ぎの防止措置など決議することを導入要件としております。決議は労働基準監督署に届けることになっておりますが、特に、労働組合のない中小企業で労使委員会を有効に機能させることができるのかという疑問があります。裁量労働制を導入して、サービス残業がふえ、労使委員会が十分に機能しない場合、この制度を再検討し、見直すことも含め、慎重に対応することが必要であります。労働大臣の御見解をお聞かせください。  次に、中小企業における労働時間短縮について伺います。  労働時間の短縮が進まないのは理解できないではありません。ただでさえ不況で、経営環境の厳しい中、中小企業が労働時間を短縮するのは容易なことではありません。しかし、今、不況だからと中小企業労働者の人件費負担増を理由に実現を渋り、景気がよくなると人手不足だからと実現を渋っていたのでは、いつまでたっても労働条件は向上しません。また、中小企業の労働時間短縮が難しい原因として、大企業による発注方法の問題があります。週末に発注することが多い上、発注内容を頻繁に変更するといったことが長時間労働の原因となっています。  現在、若者は休日の労働条件を重視しており、時短は有能な人材確保のため有効であります。政府は、意欲のある中小企業を支援するため、週四十時間労働への誘導策を充実すべきと考えますが、総理の御見解をお聞かせください。  今、なりふり構わず働くことを目標とした時代から、仕事への適性や、働きがいのある、ゆとりある時間を大切にする時代へと、国民の意識も大きく転換しつつあります。  ところが、残念ながら、我が国の労働時間はまだまだ長いのが実態です。フランス、ドイツより三百から四百時間も長い労働時間を短縮する工夫が求められます。週四十時間労働が実施されない中小企業は数多く、サービス残業も依然なくなりません。法律では縛ることのできない国民の意識や雇用慣行を是正するための努力が必要です。年次有給休暇の消化率が平均六割にも達しないのは、欧米諸国では考えられません。周囲に気兼ねせず退社したり、休暇をとる環境づくりも必要です。こうした環境づくりのために、総理は、どのような施策が必要とお考えでしょうか。  一つの提案として、私は、祝日三連休を挙げます。年間十四日ある国民の祝日のうち、日にちを動かすことが可能で、三連休にすることによって祝日の意義が高められる四祝日、すなわち、成人の日、海の日、敬老の日、体育の日を決まった週の月曜日に移すというものであり、これは欧米では広く普及している制度であります。  休日が二日、三日と長くなれば、ドライブやアウトドア、郊外のスポーツが盛んになることは余暇開発センターの調査からも明らかになっております。また、ボランティア活動にも積極的に参加する人がふえると思います。三連休を過ごしてみると、不思議と労働意欲がわくものです。家族との交流、読書、学習、調べものといった、団らんや自分を充電するゆとりの時間が国民には必要です。  既に、私たちは、この国会に法案を提出しております。連休の日数がふえれば、ふだんやりたくてもできないことがやれます。そうした希望を多くの女性が持っております。ゆとりある社会にするため、祝日三連休を実現すべきと考えますが、総理のお考えをお聞かせいただいて、私の質問を終わります。ありがとうございました。(拍手)     〔内閣総理大臣橋本龍太郎君登壇〕
  27. 橋本龍太郎

    ○内閣総理大臣(橋本龍太郎君) 武山議員にお答えを申し上げます。  まず初めに、雇用の安定、そして景気対策についての御指摘をいただきました。  政府としては、その時々の経済情勢に応じて、財政、金融両面にわたる措置をとってまいりました。今回の措置も、我が国の経済運営に最終的な責任を持つ総理大臣として政治決断をいたしました。私は、今この大事な時期に政治空白をつくるべきではないと考えており、責任を持って構造改革を進めながら景気の回復や雇用の安定に努めてまいります。  次に、規制緩和との関係で、雇用形態の多様化や労働移動の増加対策についてのお尋ねがございました。  改革を進めていく過程におきましては、摩擦的な失業の発生などさまざまな影響が及ぶおそれがあります。労働者が生きがいと自助の気持ちを持って、その能力を十分に発揮できることが大切だと考えておりまして、機動的な雇用対策の実施、また労働基準法制の整備等、労働政策面において的確にこたえていきたいと考えております。  次に、働く女性のための条件整備についてのお尋ねがございました。  政府としては、女性が雇用の場においてその能力を十分に発揮できるよう、男女雇用機会均等確保対策や職業生活と家庭生活の両立支援対策に積極的に取り組んでいきたいと考えます。  また、中小企業に対する週四十時間労働への誘導策についてのお尋ねがございました。  脆弱な経営基盤、取引先との関係など、中小企業の実情に十分配慮しながら、省力化投資等への助成措置も活用するなど、週四十時間労働制が円滑に定着するよう懇切丁寧な指導に一層努めてまいりたいと思います。  また、法律で縛れない意識や雇用慣行を是正する必要性、そして労働時間短縮のための職場環境づくりについてのお尋ねがありました。  長時間残業の削減あるいは年次有給休暇の取得促進を図るためには、議員御指摘のように、職場における労使の意識改革、業務体制の改善を進めることが必要であり、引き続き労使の積極的な取り組みを促してまいりたいと思います。  次に、ゆとりある社会実現のために、祝日三連休化を実現すべきだという御指摘をいただきました。  現行の祝日の一部を月曜日に移動させることによって連休の創出を図るいわゆる祝日三連休化につきましては、個々の祝日の意義について検討することはもちろんでありますが、三連休化による社会経済に対する影響、三連休化に対する国民世論の動向等も勘案しながら、国民各層の幅広い御意見も踏まえて慎重に検討する必要があると考えております。  残余の質問につきましては、関係大臣から御答弁を申し上げます。(拍手)     〔国務大臣小泉純一郎君登壇〕
  28. 小泉純一郎

    ○国務大臣(小泉純一郎君) 保育環境や育児介護施設の充実についてのお尋ねでありますが、保育については緊急保育対策等五か年事業を推進してまいりましたが、昨年、児童福祉法を五十年ぶりに改正いたしました。平成十年度予算において、すべての保育所で乳児保育を行える体制の整備や延長保育の充実を図ったところであります。  また、介護については、在宅サービスと施設サービスとの均衡を図りながら、新高齢者保健福祉推進十か年戦略の目標達成に向けて取り組んでいるところであります。  今後とも、二十一世紀の少子・高齢社会に向けて、保育、介護両サービスの充実に取り組んでまいります。(拍手)     〔国務大臣伊吹文明君登壇〕
  29. 伊吹文明

    ○国務大臣(伊吹文明君) 三点のお尋ねがございました。  まず、育児をサポートする有償ボランティア制度についてでございます。  育児の援助を行う人とそれから援助を受けたいという人から成っております会員組織をつくり子育て支援を行う市町村に対しまして、労働省としては各種の援助を行っているところでございます。今後とも、より多くの市町村においてこの事業が広まりますように、その普及促進について、御指摘がございましたように積極的に取り組んでまいりたいと思います。  第二は、時間外労働についてのお尋ねでございます。  改正法案では、上限に関する基準を労働大臣が定めること及びこの基準を労使が遵守すべきことを労働基準法に規定しておりまして、これにより、長時間の時間外労働の抑制に実効を上げたいと考えております。上限に関する基準の具体的な水準は、中央労働基準審議会の意見などを伺って適切なものとしていく考えであります。ただ、具体的水準については、時間外労働の実態等に十分考慮をし、現実的に定める必要があろうかと考えております。  第三に、裁量労働制についてのお尋ねでございます。  改正法案は、御指摘のような問題が生じないように、長時間労働やこれによる健康への悪影響を防止するため、業務の遂行状況の把握や働き過ぎ防止、健康確保のための措置などを労使委員会における全会一致の決議で定め、実施することを要件といたしております。また、労働組合が存在しない中小企業等の事業所においても労使委員会が十分に機能できますように、労働者代表の適正な選任を担保するための手続や決議、議事録の労働者への周知等について、法律でこれを明確にしているところでございます。したがって、御審議を経てこれが正しく運用されれば、必ず世界に通用する労使関係を確立し、日本の経済や社会に新たな活力を注ぎ込むことができると考えております。(拍手)     ―――――――――――――     〔議長退席、副議長着席〕
  30. 渡部恒三

    副議長(渡部恒三君) 金子満広君。     〔金子満広君登壇〕
  31. 金子満広

    ○金子満広君 私は、日本共産党を代表して、労働基準法の一部を改正する法律案に対して、総理に質問をいたします。  まず最初に、改正についての基本的な考え方を伺います。  言うまでもありませんが、この労基法は、現憲法とともに戦後政治の基本原則として制定されたものであります。そこには第一条で、「労働条件は、労働者が人たるに値する生活を営むための必要を充たすべきものでなければならない。」とし、しかも解釈の相違を生まないために、第二項では次のように述べています。「この法律で定める労働条件の基準は最低のものであるから、労働関係の当事者は、この基準を理由として労働条件を低下させてはならないことはもとより、その向上を図るように努めなければならない。」と、向上への努力義務を明記しているのであります。  ところが、今提案されている本法案は、一部改正どころか、その本質は労基法の根幹となっている八時間労働制と雇用保障を崩壊させるものであるとみなさざるを得ません。  そこで、具体的な問題について質問をいたします。  その第一は、八時間労働制の破壊であります。法案が、裁量労働制の対象を拡大すること、変形労働時間の要件を緩和することを打ち出していることであります。  そもそも、裁量労働とは、労働時間に関係なく仕事の成果で評価するということで、労働強化をもたらし、家庭生活にさまざまな困難、矛盾を伴うこと。また、変形労働時間制は、一日八時間という労働時間を一カ月、一年間の平均で弾力的に運用することであり、労働者の生活リズムを壊し、減収も招きかねない。したがって、これまでは特殊的、例外的な場合にしか適用されてきませんでした。  ところが、今回の政府案は、その制限を取り払って、これを広範な労働者に適用できるようにするものであります。これが許されるならば、資本の都合と利益のために労働者の生活リズムは混乱し、今横行しているサービス残業は合法化され、みなし労働で残業手当は大幅カットされるのではないですか。総理、重大な問題でありますので、明確な答弁を求めます。(拍手)  今や、労働時間の短縮と労働条件の改善は、国際的にも大きな政治の流れとなっています。周知のように、フランスでは、既に年間労働時間が日本よりはるかに短い千六百八十時間となっておりますが、さらに今年二月には、労働時間の短縮による失業率の減少、雇用の拡大のため、下院では一日七時間、週三十五時間労働制を可決いたしました。今上院で議論しておりますが、上院の態度いかんにかかわらず、四月下旬には下院で最終的に議決される運びになっていることは、既にマスコミでも報道されているところであります。また、イタリア政府も、同じく週三十五時間労働制を既に決定をいたしております。  こうした国際的な流れから見ても、八時間労働制の崩壊、長時間・過密労働サービス残業の合法化に通ずる日本政府の労基法の改悪は、まさに逆流、逆立ちであります。これは、国情の違いではなくて政治のかじ取りの違いだと思いますが、いかがでしょう。総理の見解を求めます。  第二は、短期雇用契約制の問題です。  今日、失業率は、既に質問にも出ておりますが、政府が一九五三年統計をとり始めて以来最悪の三・六%になっています。失業者は二百四十六万人に及んでいます。こうした中で、三年上限の短期雇用制を新たに導入することは、雇用保障のない労働者制度的に大量につくり出すことになるではありませんか。これは、歴史的に形成されてきた長期安定雇用の原則を根本から覆すばかりか、これまでいかなる労働法規にもなかった首切り自由の権限を使用者に与えることになりますが、この点どうですか。  これが、労働者の住宅ローンなどにも新たな障害をつくり出すと同時に、雇用不安の増大、個人消費の冷え込みを加速させることは言うまでもありません。まさに労働者に対する新たな搾取と支配の体制を広げるものであります。このような制度は絶対に導入すべきではありません。  第三は、この裁量労働制、変形労働制、そして短期雇用制の導入が日本社会に与える重大な影響であります。  裁量、変形労働の拡大によって利益を得るのはだれか。財界、大企業であり、その犠牲となるのは、五千四百万の労働者とその家族であります。労働者の健康は破壊され、家庭や社会生活はこれに対応できなくなります。育児や介護、家庭教育には、裁量も変形も通用いたしません。深刻な事態を招くことになります。少子化問題も一層加速させるということになると思いますが、これらの諸点について、総理、どう考えますか。お答えをいただきます。  そこで、時間外労働の上限に対する法的規制の問題について質問をいたします。  女子保護規定撤廃に伴って男女共通規制を行うということは、労働界、法曹界を初め圧倒的な世論になっております。ところが、この法案は、時間外労働の上限を大臣、つまり労働大臣が命令で定めるとしているだけであって、その上限時間は示されておりません。なぜ示さないのか。総理、一体何時間にさせようとしているのですか、また、しようとしているのですか。また、命令に違反した場合、罰則がないのでは実効性がないということではありませんか。はっきり答えていただきます。  このような抽象的、あいまいなことでは、政府みずからが十年前に世界に公約した年間千八百時間の達成など、到底不可能ではありませんか。なぜ十年かかっても千八百時間ができなったのか、このこともあわせて答弁をしていただきたいと思います。  第四は、我が国の労働者、国民にとって必要なことは、今、労基法の改悪ではなくて、国際的にも低い水準に置かれている労働条件を速やかに改善することであります。  そのためには、我が国労働者の上に重くのしかかっている、過労死まで引き起こしている長時間・過密労働を速やかに解消することであります。そのためにも、八十年も前に締結された一日八時間かつ一週四十八時間の制限及び増加時間の最大限、つまり、上限規制を義務づけているILO条約第一号を批准することであります。なぜ今日まで批准しないのか、その理由をきょう改めて伺います。  我が党はこれまで、残業時間の上限を、一日二時間、月二十時間、年百二十時間、休日労働は四週間に一回以内、深夜労働は四週間に三十五時間以内、月六回以内とすること、時間外・休日労働及び深夜労働は本人の同意を前提とし、残業割り増し率を五〇%、深夜・休日割り増し率を一〇〇%にすることを主張してきましたが、これこそ国民多数の願いであり、世界の流れにも合致するものだと確信をしております。  そこで、今度の改悪案で重大なことの一つに、政府の改悪案が中央労働基準審議会、いわゆる中基審での労働者側委員全員の反対を押し切り、財界の積年の要求を丸のみして出されたという問題があります。なぜ、労働者側の意見を退け提出してきたのか。これは労働基準法第二条の次の明文がありますが、これに違反しております。つまり、「労働条件は、労働者と使用者が、対等の立場において決定すべき」との法的原則にも違反し、さらに、労使公益三者から成る中基審の存在をも否定するものとなるのではないかと思いますが、総理の見解を改めて伺います。  総理、この労働基準法の改悪に反対する国民の世論と運動は、改悪の内容が明らかになるにつれて、広範な広がりを急速に見せております。  何よりも、労働者は、全労連、連合、中立系の枠組みを超えて全国的な反対運動に立ち上がり、今、国会、そして各党にも連日のように請願、陳情が寄せられています。  また、全国の弁護士を結集している日本弁護士連合会も、既に二月、会として具体的な内容を専門的に分析をし、反対の態度を表明しております。さまざまな法律家の団体、労働法学者、各種団体からも次々に反対の態度表明が行われています。  地方議会においても、二月から三月にかけて、労働基準法は制定以来五十年、最大の危機に立たされているという大阪府議会の各党合意、全会一致の決議に見られるように、改悪に反対する決議は急速に全国に広がり、各種の報道によっても既に二百七十議会を超えております。労基法の改悪で二十一世紀を迎えることは断じてできません。  総理は、この反対の声をどのように受けとめていますか。答弁を求めるとともに、私は、この法案の撤回及びこれを強行しようとしている橋本総理の退陣、国会解散によって国民の信を問え、このことを強く要求をして、質問を終わらせていただきます。(拍手)     〔内閣総理大臣橋本龍太郎君登壇〕
  32. 橋本龍太郎

    ○内閣総理大臣(橋本龍太郎君) 金子議員にお答えを申し上げます。  労働基準法改悪、改悪と言われましたけれども、改正案を提出しております。そして、どうぞそうした御検討を願いたいと思います。  裁量労働制など労働時間にもたらす影響について、まずお尋ねがありました。  裁量労働制や変形労働時間制は、労働者が自律的にあるいは効率的に働くことができるようにすることによって、創造的な能力を十分発揮したり、労働時間の短縮を実現できるよう、健康確保の面を含めた新たなルールをつくろうとするものであり、長時間・過密労働など御懸念のようなことはないと考えております。  次に、国際的な流れに照らしての改正法案の評価についてお尋ねがありました。  この法案は、あくまでも、昨年四月全面的に適用されました週四十時間労働制を基盤として、働く人たちの働き方への期待や希望の多様化に対応し、自律的にあるいは効率的に働くことができるようなルールをつくろうとするものであり、国際的な流れに十分沿ったものと考えております。  次に、労働契約期間の上限を三年に延長すること、これは、新商品や新技術の開発のためなど社内で得がたい人材を国の内外から確保したり、定年退職者などの高齢者の能力や経験を生かせる雇用の場を確保することを目的とするものであり、これからの社会にとって必要なシステムであると考えております。  また、裁量労働制等の導入と少子化問題の関係についてもお尋ねがありました。  裁量労働制につきましては、働く人みずからが主体的に労働時間を管理できることを十分に保障するなど、改正法案におきましては、職業生活と家庭生活の調和に十分留意した内容としており、御懸念のような問題は生じないと考えております。  次に、時間外労働規制についてお尋ねがございました。  我が国では、時間外労働は雇用調整機能を有することから、画一的に罰則をもって規制することは適当ではなく、法律に根拠を置く上限に関する基準及びこれに関する労使の遵守義務を定めることにより、十分実効が上がると考えます。なお、上限に関する基準の水準は、中央労働基準審議会の意見を聞き、適切な水準といたす考えであります。  年間千八百時間を目標とする労働時間短縮について、なぜできないというお尋ねがありました。  この十年間に約二百時間の短縮を見ましたものの、内外情勢が大きく変化し厳しい経済状況が続いたことなどから、目標にはなお約百時間の開きがありますので、その達成、定着に向けて積極的に取り組んでまいります。  次に、労働条件とILO条約についてのお尋ねがありました。  改正法案は、労働者が安心して働ける新たなルールを設けて、長時間残業の抑制等を図るものであります。また、ILO第一号条約につきましては、時間外労働等に関する法的規制の仕組みが我が国の法制や実情に合わないため、批准しておらないものであります。  次に、審議会との関係についてお尋ねがありました。  経済社会の構造変化等に対応して新たなルールを設ける必要性についての共通の認識のもとに、大部分の項目について全会一致でおおむね妥当との答申をいただきました。なお、労働側委員から意見が出された項目につきましては、審議会における施行に向けての運用の論議の中で御検討いただきたいと考えております。  また、労働界などの改正法案に対する反対意見に関するお尋ねがございました。  それぞれの立場から各種の意見が見られるところでありますが、改正法案は、労働者が健康で安心して働けるような新たなルールを設定すべく、関係者間の精力的な検討や協議を経て作成したものでありますので、政府としては、ぜひ一日も早く成立させていただきたいと考えておりますし、景気対策など政策の対応の求められる今、この大切な時期に政治空白をつくるべきではないと考えております。(拍手)     ―――――――――――――
  33. 渡部恒三

    ○副議長(渡部恒三君) 濱田健一君。     〔濱田健一君登壇〕
  34. 濱田健一

    ○濱田健一君 私は、ただいま議題となりました労働基準法改正法案に対し、社会民主党・市民連合を代表して質問いたします。  今回の改正法案については、経済社会の構造変化や働く人たちの働き方への期待、希望が多様化していることに対して、健康で安心して働けるようなルールをつくり環境を整えるという立場から、与党として、その内容についてよりよいものとなるよう努めてきたものであります。この一定の成果を踏まえつつ、勤労国民の権利擁護をその存在価値の一つとする社会民主党として、労働条件の向上を図る観点から、なお明らかにすべき幾つかの課題についてお伺いいたします。  今回の改正案は、約五十年ぶりの抜本改正になります。現行基準法が、制定当時の経済状況、すなわち戦後復興期の典型と考えられた工場労働者の労働条件確立を最優先の課題にしていたことは明らかでございます。その後、高度経済成長期を経て安定成長に移行する過程で、産業構造のみならず、労働者の就業意識も変化し、また労働力需要、供給の両面にわたるさらなる変貌は、押しとどめようもない趨勢を示していたとも言えます。したがって、労働基準法を、これらの状況に的確に対応し得るものにしていくことは、国民的なコンセンサスになっていたと認識するところです。  特に、超高齢化社会が間近に迫る中で、国民一人一人が、労働を通じてその能力を十分に発揮し、それによって福祉を支えていく、つまりは、労働が福祉社会を支えるシステム構築に積極的に取り組むことが、今、政治が目指すべき最大の責務ともなっているのであります。また、国民生活の質的向上を促す経済構造改革を推進するためには、競争制限的な規制の見直しは進められなくてはなりません。しかしながら、同時に、雇用労働に関する社会的規制については、労働者の権利保障を第一義とする新たなルールの確立を図るべきというのが、労働者の切なる願いでもございます。  労働基準法の改正、それも五十年ぶりの見直しを行うに当たっては、このような時代の要請にこたえていくことが不可欠であると認識しますが、今回提出された改正法案の基本的な考え方を橋本総理大臣にお伺いいたします。  改正法案では、労働契約締結時に文書により明示すべき事項の拡大、退職事由の明示義務化など、パート労働者などを含め労働契約の入り口と出口で労働関係の明確化を図り、紛争の予防に寄与する内容が盛り込まれております。さらには、中小零細企業の労働者のゆとりの確保にも配慮して、年次有給休暇の付与日数を増加させているほか、児童労働の国際的状況に沿って最低年齢を引き上げたことなどは、労働者の福祉向上の見地からも、評価にたえ得るものになったと思慮するところであります。  これらに加え、改正法案の主な内容について、労働者の労働条件の一層の向上を図る立場から、改正法案に関連する事項を含めて、政府の考えをお伺いいたします。  第一に、時間外・休日労働に関してであります。  昨年の通常国会において、男女がともに仕事と家庭を両立させながら人間らしく働き続けるルールを確立するため、男女雇用機会均等法等整備法が成立し、来る九九年四月から、労働基準法中の時間外・休日労働や深夜業に関するいわゆる女子のみ保護規定が解消されることになっております。  本院における同法案の審議の際には、女子のみ保護規定の解消に伴い、家庭責任を有する女性労働者がこうむる職業生活や労働条件の急激な変化を緩和するための適切な措置、時間外・休日労働のあり方等について検討を行うよう政府に対し促す旨の決議が行われたところであります。また深夜労働に関しては、これが過度に及べば健康に与える影響が懸念されるだけでなく、男女を問わず人間らしく働き続けていくためにも、新たな対策を講ずることが焦眉の急になっていたとも言えます。  これらについては、中央労働基準審議会においても中心的な議題の一つになったと聞いております。検討結果が法案にどのように盛り込まれ、関連する措置とあわせて、今後いかに具体化していく方針か、労働大臣にお伺いいたします。  第二は、一年単位の変形労働時間制に関してであります。  変形労働時間制は、業務の繁閑に応じて所定労働時間を設定することにより総労働時間を短縮するという趣旨から、一日八時間、一週間四十時間に係る労働時間規制の弾力化を志向したものと理解するところです。したがって、それゆえにこそ、今回の法案における一年単位の変形労働時間制についての改正も、単に使用者側のニーズにこたえた弾力化ではなく、総労働時間の短縮という明確な目的意識を有し、かつ労働者の健康確保にも最大限配慮したものでなければならないのでございます。この点についての労働大臣の御見解をお伺いいたします。  第三は、裁量労働制に関してであります。  裁量労働制の対象労働者の範囲については、この制度が本来の機能を発揮し得る方々、すなわち、仕事の進め方や労働時間の配分について使用者に指示されることなく、みずからの判断と責任で業務を遂行できる者に限定されるべきなのは論をまちません。いたずらな拡散を招かないための拡大防止策は万全が期されているのでしょうか。また、裁量と責任を持って仕事をする方々が、成果志向の結果、オーバーワークに陥ることがないような歯どめ等は十分でしょうか。何より、労働組合が存在しない中小零細企業などで労使委員会が十分に機能する措置は講じられているのでありましょうか。  これらの課題は、事前の与党調整でも社民党としての立場から指摘したところでもありますが、改正法案における措置状況について労働大臣の見解をお伺いいたします。  労働条件の向上、労働者の福祉の観点からは、申し上げた諸点に係る改正内容が適切でなければならないことは言うまでもありません。同時に、改正された法律が確実に履行されることは極めて重要となります。  労働基準法が定める労働条件の基準は最低ラインのものであり、使用者が労基法を遵守しなければならないのはもとより当然であります。しかしながら、現行労基法のもとでもまだまだ違反事例が絶えない中で、新たに設けられるルールの実効性を確保しなければならないことを考慮すると、労働基準監督官の大幅増員など労働基準監督機関の体制整備は必須の要件になるのではないでしょうか。労働大臣の方針をお伺いいたしたいと思います。  本法案は、男女を問わず、労働者の今後の働き方や家庭生活のあり方に大きな影響を与えることになります。経済のグローバル化等が進む中で、我が国の経済社会が健全な発展を維持していくためには、すべての労働者を保護する土台、ルールとなる労働基準法へと改革、革新することこそが、真の意味での活力とゆとりに支えられた日本経済再生につながると確信するところであります。この観点を含め、労働行政、とりわけ労働条件を向上させるための施策遂行の重責を担う労働大臣の御決意をお伺いいたします。  なお、せっかくの機会をいただいたことでもあり、最後にどうしても触れておきたいことがございます。  もとより、労働基準法の改正は、これまで述べてきたとおり、すべての労働者に対する権利保障を目指すものでなければなりません。それゆえ、何より求められているのは政治に携わる者の高い見識と言えます。いたずらに政争の具にするのではなく、国民的な評価をかち得る審議を、与野党の垣根を超えて尽くそうではありませんか。この環境を醸成していくために、労働大臣におかれても、労働者の皆さんとの胸襟を開いた話し合いに引き続き御努力いただくことを強くお願いし、私の質問を終わります。(拍手)     〔内閣総理大臣橋本龍太郎君登壇〕
  35. 橋本龍太郎

    ○内閣総理大臣(橋本龍太郎君) 濱田議員にお答えを申し上げます。  私には一点、この法案の基本的な考え方を問われました。  労働基準法の改正法案の基本的な考え方について、改正法案は、我が国経済社会の構造変化や働く人たちの働き方への期待、希望というものが多様化していることに対応し、議員が御指摘になりましたように、時代の要請にこたえて、労働者が意欲にあふれ安心して働けるようにするための新たなルールを設け、その環境を整備しようとするものであります。  残余の質問につきましては、関係大臣から御答弁を申し上げます。(拍手)     〔国務大臣伊吹文明君登壇〕
  36. 伊吹文明

    ○国務大臣(伊吹文明君) 五点のお尋ねがございました。  まず、時間外・休日労働、深夜労働についてお答えを申し上げます。  時間外労働につきましては、今回の改正案に盛り込まれていますのは、次の三点でございます。  すなわち、労働時間の延長の限度に関する基準の根拠を労働基準法に設けること、三六協定の内容が基準に適合したものとなるようにしなければならない旨の義務を労使に課すこと、家庭責任を有する女性労働者については、激変緩和措置として、労働時間の延長の限度について通常の労働者よりも低い基準を設定することなどであります。  また、深夜労働については、これに従事する労働者の就業環境整備、健康管理等のあり方を含め、広範な角度から引き続き検討を進め、適切に対処することといたしております。  時間外・休日労働及び深夜労働の割り増し率につきましては、実態調査を見て審議会において検討が行われることとなっております。  次に、一年単位の変形労働時間制についてのお尋ねでございます。  今回の改正については、一定日数以上の休日の確保を要件とするほか、時間外労働の上限に関する基準を通常の場合よりも低い水準とするなど、健康確保にも配慮しつつ、より効率的でめり張りのきいた働き方を実現することにより、総実労働時間の短縮を図ることといたしております。  三点目は、裁量労働制についてのお尋ねでございます。  改正法案では、対象業務を法律において限定した上、労働大臣が定める指針により運用の具体例を明確に示すとともに、対象労働者の範囲は法律及び指針に則し個々の事業所の労使委員会における全会一致の決議で定めることを要件とするなど、明確かつ適切なものとなるよう十分な措置を講じております。  また、長時間労働やこれによる健康への悪影響を防止するため、業務の遂行状況の把握や働き過ぎ防止、健康確保のための措置などを労使委員会における全会一致の決議で定め、実施することを要件といたしております。  さらに、労働組合が存在しないいわゆる中小企業等の事業所においても労使委員会が十分に機能できるよう、労働者代表の適正な選任を担保するための手続や決議、議事録の労働者への周知等について法令で明確にいたしているところでございます。  労働基準監督機関の体制整備について御指摘がございました。  これまでも必要な増員に努めてきたところでありますが、今回の労働基準法の改正の実効性を御指摘のように担保するためには、今後関係機関とも協議し、厳しい行財政事情ではありますが、働く人一人一人のために適切な措置を講ずるよう私としては努力をいたしたいと思います。  最後に、労働条件を向上させるための施策の遂行に当たっての決意についてのお尋ねがございました。  私は、我が国が国民の生き方、価値観の多様化、また国際化や少子・高齢化等大きな転換期にある中で、現在の平和で恵まれた暮らしを維持発展させていくには、何よりも働く方々が生きがいと自助の気概を持ち、持てる能力を十分に発揮し、経済社会を支えることができる環境をつくっていくことが長期的に大切であると考えております。  このため、労働者が健康で安心して生き生きと働くことができるよう労働条件や労働環境を整備していくことが重要であり、額に汗して働く一人一人の労働者のために、労働行政に全力を挙げて取り組みたいと思っております。また、そのような方々に対しましては、橋本内閣として常に対話の扉を開いておることを申し添えたいと思います。(拍手)
  37. 渡部恒三

    ○副議長(渡部恒三君) これにて質疑は終了いたしました。      ――――◇―――――
  38. 渡部恒三

    ○副議長(渡部恒三君) 本日は、これにて散会いたします。     午後三時四分散会