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1992-02-27 第123回国会 衆議院 予算委員会公聴会 2号 公式Web版

  1. 平成四年二月二十七日(木曜日)     午前十時開議 出席委員   委員長 山村新治郎君    理事 中山 正暉君 理事 原田昇左右君    理事 町村 信孝君 理事 村岡 兼造君    理事 村上誠一郎君 理事 串原 義直君    理事 野坂 浩賢君 理事 松浦 利尚君    理事 草川 昭三君       粟屋 敏信君    井奥 貞雄君       小澤  潔君    越智 伊平君       左藤  恵君    戸井田三郎君       萩山 教嚴君    真鍋 光広君       村山 達雄君    柳沢 伯夫君       井上 普方君    伊東 秀子君       加藤 万吉君    小岩井 清君       新盛 辰雄君    鈴木  久君       関  晴正君    筒井 信隆君       水田  稔君    和田 静夫君       石田 祝稔君    日笠 勝之君       冬柴 鐵三君    児玉 健次君       古堅 実吉君    川端 達夫君       高木 義明君    中野 寛成君       楢崎弥之助君  出席公述人         経済評論家   河野 光雄君         軍事評論家   藤井 治夫君         外交評論家   伊藤 憲一君         全国労働組合総         連合事務局長  熊谷 金道君         日本商工会議所         中小企業委員会         委員長     松本  進君         明治大学政治経         済学部教授   吉田 忠雄君  出席政府委員         防衛政務次官  魚住 汎英君         経済企画政務次         官       田中 秀征君         沖縄開発政務次         官       鴻池 祥肇君         国土政務次官  前田 武志君         外務政務次官  柿澤 弘治君         大蔵政務次官  村井  仁君         大蔵省主計局次         長       田波 耕治君         大蔵省主計局次         長       涌井 洋治君         文部政務次官  松田 岩夫君         厚生政務次官  園田 博之君         農林水産政務次         官       二田 孝治君         通商産業政務次         官       古賀 正浩君         運輸政務次官  佐藤 敬夫君         郵政政務次官  笹川  堯君         建設政務次官  金子 一義君         自治政務次官  穂積 良行君  委員外の出席者         予算委員会調査         室長      堀口 一郎君 委員の異動 二月二十七日  辞任         補欠選任   越智 伊平君     萩山 教嚴君   鹿野 道彦君     真鍋 光広君   戸田 菊雄君     小林 恒人君   日野 市朗君     鈴木  久君   三浦  久君     古堅 実吉君   中野 寛成君     高木 義明君 同日  辞任         補欠選任   萩山 教嚴君     越智 伊平君   真鍋 光広君     鹿野 道彦君   小林 恒人君     戸田 菊雄君   鈴木  久君     日野 市朗君   高木 義明君     川端 達夫君 同日  辞任         補欠選任   川端 達夫君     中野 寛成君     ――――――――――――― 本日の公聴会で意見を聞いた案件  平成四年度一般会計予算  平成四年度特別会計予算  平成四年度政府関係機関予算      ――――◇―――――
  2. 山村新治郎

    ○山村委員長 これより会議を開きます。  平成四年度一般会計予算、平成四年度特別会計予算、平成四年度政府関係機関予算、以上三案について公聴会を開きます。  この際、御出席の公述人各位に一言ごあいさつ申し上げます。  公述人各位におかれましては、御多用中にもかかわらず御出席を賜りまして、まことにありがとうございます。平成四年度総予算に対する御意見を拝聴し、予算審議の参考にいたしたいと存じますので、どうか忌憚のない御意見をお述べいただきますようお願い申し上げます。  御意見を承る順序といたしましては、まず河野公述人、次に藤井公述人、続いて伊藤公述人の順序で、一人二十分程度ずつ一通り御意見をお述べいただきまして、その後、委員からの質疑にお答え願いたいと存じます。  それでは、河野公述人にお願いいたします。
  3. 河野光雄

    ○河野公述人 私は、持ち時間の二十分の間で三つのことについて申し上げたいと思っております。  一つは、バブル絡みの経済成長の中で税制がどういうことを経験したのか、その中で何が行われたのか。第二番目は、四年度の予算案の中での税制改革について意見を述べたいと思います。三番目は、ここが私がきょうお話し申し上げたい一番のポイントなんですが、今後財政の健全化というものを追求しながら、なおかつ必要に応じて積極的な役割を日本の国の財政は持たなければなりませんけれども、それをどういうふうに果たしていくのかということについて考え方を述べさせていただきます。  最初に、現在のバブル経済崩壊で、実は証券・金融を含めて製造業に至るまでかなりどしゃ降り的な景気後退の波に洗われているんですけれども、しかしこのバブル経済の過程では、恐らく戦後の税制の歴史の中でこれほど税の自然増収が巨額に上がった時期はなかったと思うのですね。問題は、その財政収入というものがどういうふうに使われたのかということをやはり点検しておく必要があるだろうと思うのです。  まず最初に、実行できたことは、評価できることは、福田内閣時代に初めて行われた赤字公債発行というものからとにかく平成二年度において脱却して、公債依存度というのは激変したということなんですね。  二番目は、これは五十八年から五年間にわたって一般政策支出というのがゼロシーリングというシステムによって抑えられてきた。これはいろいろな問題を残しましたけれども、しかし財政再建のためにはやむを得ないという大きな国民的なコンセンサスがあってでぎたと思うんですね。しかし、その後、今申し上げた税収の未曾有の増加ということがあって、三%ないし四%の年率のペースで増加をしつつある。そのことが、このバブル経済の中で財政歳出が放漫に流れたかどうかということについて議論はあるだろうと思うのですね。しかし、過去五年間ゼロシーリングで重要な政策が相当ストップを食らったということを考えてみれば、あの時期にこれだけの歳出が一般政策経費として膨らんだことはまあまあ当たり前だったかなという気がします。  それからもう一つは、この段階で税制改革というのが実は実行されて、所得税、法人税の大減税と消費税の創設ということがあって、差し引き二兆六千億の減税が実行された。これもまた考えてみればそういう環境の中で初めて実現したような性格を私は持っていると思うのです。いずれにしても、税制改革が行われた、赤字公債のゼロということを達成した、一般歳出が若干伸びるようになったということは明らかなんですね。  しかし、問題はこれからであって、今のような、過去数年間続いたような、例えば税収の弾性値というのは普通、我々が長い新聞記者生活の中で大蔵省と議論しながら、まあそんなものだと言われたのは、常識的に考えてみれば平均大体一・一%ぐらいなものだということだったのが、これが六十一年に二%になっている。六十二年には三・二七というとても考えられもしないようなことが起こって、自来、若干落ちましたけれども、やはり相当高い弾性値を示してきたのですが、これはもう今になってみれば過去の夢みたいな話で、これから日本経済の状況を考えてみればそういうことは起こらないだろう。またバブル経済絡みのことが起こってはならないということを含めて、財政というものについて、中身について国民が再び行財政改革の時期と同じように少し踏み込んだ議論をしなければならない時期に来たのではないかと思います。  それで、今の財政の水準、健全度というものを国際的に比較してみれば、アメリカはいろいろな理由があって財政はちょっとひど過ぎますから、これと比較するのはやめますが、似たような状況にあるドイツと比べてみれば、国債の依存率というのはほとんど似たようなものですね。ただ、長期の政府の負債のGNPに対する比率というのは、これは九二年度ですけれども、日本はアメリカに近いぐらい、四四・七%。ドイツはまだ二一%ですから、東ドイツを吸収合併して歳出が非常にふえてはいますが、それだけに国際的に貢献していくことはできないとドイツは言っていますけれども、日本に比べれば、財政の健全度という点からすればまだ傷は浅いのですね。ということを考えてみれば、バブル経済崩壊の後、あのことはあのこととして、そこで達成されたことも一応、プラス評価の面があるならばそれも評価して、これからはしかし少しふんどしを締めてかからないと、財政が下手すればアメリカみたいな姿にずるずる引き込まれるかもしれないということを心配いたします。  二番目に、四年度の予算編成で議論されたことは、赤字公債に再び踏み込むのか、歳出削減プラス何らかの増収措置でこの際しのぐのかという論争が実は行われました。いろいろな議論がありました。赤字公債容認論にはそれなりの経済学的な根拠があるように思いますけれども、日本の政治の実態から見れば、経済学経済学として尊重しますけれども、一たび踏み込めばまた同じような泥沼に入るのではないかと私は考えましたし、そういうことをお考えになった人も多かったようで、結局その道を避けて、法人特別税と乗用車に対する消費税率の六%を三%に下げるという公約を修正するということで、大体平年度五千億ぐらいの税収増を図るということで一応決着がついたのですが、これについて財界その他で、特に法人特別税二年間ということですから異論があることはもちろん承知しておりますけれども、しかし、少なくともバブル経済崩壊で財政が相当がたついたこの過渡期の段階においてはやむを得なかった措置だと私は考えております。  現在、予算審議の最中なんですけれども、よく景気との絡みで、予算の正常な成立、正常な執行ということが言われますが、それは景気に対する関連でそういう議論が今ほうはいとして起こっているので、そんなことはもう与野党関係なく共通の認識だと私は思っておりますから、そのことを強く申し上げる必要は全くないと思いますけれども、税収の面一つとってみても、景気の動向が去年の末に政府が景気見通しを立てていたころに比べれば相当変わっていますからね。あの当時の文章を読んでみれば政府の景気見通しがいかに甘かったかということはだれの目から見ても今歴然としておるわけです。とするならば、景気との絡みで、予算の執行が遅れるということになれば税収に当然響いてくる。そのことは、秋の補正予算編成の時期になって、これは本当に去年と状況は違いますから、昨年は剰余金も随分ありましたから、ことしはそれがゼロの状態でいくわけですから、ひょっとすれば再び赤字公債がどうかというところに政策当局が追い込まれるに違いないと思うのですね。そういうことを回避するためにも正常な予算の執行が望まれているのだと私は思います。  私がきょう申し上げたいのは、実は第三の項目で、これから日本の財政が内外において背負わなければならない政策需要というのはたくさんあるんですね。それは国内においては、内においてはたくさんありますけれども、長い目で見ればもう明らかに高齢化に対してどういう対応策を打っていくかということに集約されることは間違いない。しかし、きょうはそのことを特別申し上げるつもりはありません。私がきょうちょっと申し上げたいのは、外に向かって、国際貢献という言葉が日本では今キーワードになっていますけれども、私は国際貢献というよりも、日本が普通の国として国の大きさに比例してどう責任を分担するかということに尽きるんだと思いますけれども、それをどう考えるか。それは当然財政歳出の圧力になることは間違いありませんから。  もう一つは、所得税減税の話です。さっき申し上げたように、バブル経済の中での税収増加の中で、基本的な税の仕組みを変えるという大作業を大変な抵抗を受けながらも自民党政府は実行した。これはもう国家百年の計から見て万々間違いない話なんですが、所得税の減税についての要請が、どうでしょうか、あと一年ないし二年の間にほうはいとして連合の諸君を含めて議論が上がってくることは間違いないのではないかと私は思っております、いろんな理由がありますが。そういうことに対して財政は、税制は対応できるのかどうかということがこれから問われる話だと思うのですね。  それで、国際貢献の話になりますけれども、今、日本は世界に冠たるODA供与国であって、内容について最近、ここ二、三年随分議論が出ていますけれども、大きな意味でそれがこれからも中心に据わることは間違いありませんね。対ソビエトの問題を別にすればあと二つ、日本がどうしても果たさなければならぬことがあるだろうと僕は思うのですね。  一つは、これは今国会で御審議中の国連の平和維持機能に対して日本はどこまで踏み込んで貢献するのか、普通の国として。  もう一つは、私はそちらの方は専門領域ではありませんからもう一つの領域について申し上げたいのですが、六月に地球環境サミットがブラジルで行われますけれども、これに関連してのことなんです。  現在、御承知のように国連の会議は六月に開かれますけれども、途上国の皆さんは、これは開発会議だと思っているのですね。我々先進国は、これは環境問題だと思っている。そこで全く意見が基本的なところでかみ合わないし、それに、アメリカがいろいろな理由があってこの問題でリーダーシップをとる意識が当面のところ全くありませんから、なかなか国際会議がうまく進行するかどうかも実は危ぶまれる状況にあるんですけれども、私は幾つかの理由で、日本はこの環境問題でこそ初めて、アメリカに追随するだとかECに追随するだとかという二番手ランナーではなくて、一番手のランナーになれるチャンスを持っている、日本はそれだけの責任と実績を持っていると思うものですから、何かあるたびに小切手帳を持って走り回るなんてみっともないことをやって、なおかつ評価されないで不愉快だという国民感情が起こるのに比べれば、この問題で意図的に、アメリカはいずれついてくるでしょう、大統領選挙が終われば、そういうことを勘案しながら一歩リードしたらどうだろうかということを申し上げたいのです。  ただし、そこから先が税制の問題になりますけれども、それを実行するためには何がしかの財源が必要なんですね。そこで、去年の暮れ、十二月中旬に自民党の中で、国際貢献税絡みといいますか、国際貢献のスキームをつくろう、それに裏づけ財源を用意しよう、三年間の時限立法だという議論があって、いろいろな理由があってあれは日の目を見なかったのですが、私も基本的にあのタイミングでああいう手続でやることには反対しましたけれども、しかしあの議論の中で一つだけ意味のあることがあったんですね。それは何かというと、そういう国際貢献というふうにくくられた内容は別にして、あそこで、それを実行するためには今の財政の状況では国民に何がしかの負担をお願いしなければできません、つまり政策的な税制を入れなければこれは実行できませんということを国民に率直に訴えかけたという、この一点においてあの議論は意味があったと私は思っているのです。これからも国際貢献ないしは国際的な役割分担の議論をするならば、そこのところを外してはならないと思うのですね。  それで、幾つかの理由で日本がこの環境問題でリーダーシップをとって、ちょうど国連の平和維持機能に対して日本がこれから貢献する、真ん中にODAがある、さらに左に環境問題で一歩世界をリードするということになれば、僕は、平和維持機能に対する貢献と、金額、性格は違いますけれども環境問題に対する貢献というのは車の両輪だと思っていますから、どちらをやめてどちらをやるという議論ではなくて、双方それぞれの精緻な議論の上に実行しなきゃならない立場に今日本はあると思っていますので、そういう位置づけで環境問題に対して日本はリーダーシップをとるべきだと思うのですね。  今国連の諸君が計算した、これだけの資金需要がありますよ、それがなければできませんという議論と、先進国がひそかに懐の中で用意しているものと、恐らく五〇対一くらいの比率があるのですよ。これはとても絶望的な差で、簡単に歩み寄れる話ではありません。日本がリードするといったって、そんな膨大なことを今の日本国民に要請することができる話でもないのですね。  しかし日本は、産業公害、都市公害、まだ問題残っていますが、これの克服では、まあ共産圏は全然垂れ流しでありましたからこれは全く論外として、自由世界の中で仮にも民主主義国家でこれを技術的に、資金的に克服したのは日本一国ですよ。ヨーロッパはまだおくれているし、アメリカも随分おくれていますよ、比較すれば。ということは、日本はその意思あり、その技術あり、実績あり、これはある意味でジャパン・モデルですよ。つらい経験を経て今日に来ていて、まだ問題は国内で残っていますけれども、これは国際的にどこに出しても、まあ一面そういうことが起こったことは恥ずかしいことですけれども、とにかく世論政治の中で財界を押し上げ、自民党も協力しながら今日まで来たこともまた事実なんですね。恥ずかしいことは一つもないのです、このことは。とするならば、その技術と、まあ一番の基本は技術だと思いますけれども、それはみんなが、これから途上国の開発が進んでいくにつれて、ほっておけば必ず公害は出るのです。現に出ているわけですから、古い型の、日本が克服しかかっているような問題を抱えているわけですから、それに対して日本が持っている、ジャパン・モデルとして勉強したことを供与することは、それがどの程度のスケールということになるか、それは国民負担との関連の話ですけれども、大いに意味あることだと思うのですね。  具体的にそれがどういう名称で呼ぶ税金になるのか、それはわかりません。これからまだ事態は流動的ですし、国内の議論がまとまっているわけでもありません。各省庁間の調整もまだ不十分です。不十分ですけれども、ひょっとしてこれが、秋口になって来年度からさらに先の税制改革論議が始まるときに、こういう議論が国民サイドから出てきて、それはやはり必要だな、何がしかの負担は甘受しようということが出てくるならば、日本の国は、いろいろないきさつがありましたけれども、ある意味で成熟した、責任ある行動がとれるということを、アメリカに言われないで、アメリカの後につかないで、二番手にならないで、みずから率先して実行することが可能ではないか。五年後にだれかに言われて小切手帳に十ドル書き入れるよりも、言われる前に自主的に一ドル供与する方が、どれだけ政治的に、外交的に意味があるかわからないと私は考えております。  以上です。(拍手)
  4. 山村新治郎

    ○山村委員長 ありがとうございました。  次に、藤井公述人にお願いいたします。
  5. 藤井治夫

    ○藤井公述人 藤井でございます。  予算案、特に防衛関係費につきまして、四点にわたり意見を陳述させていただきます。  第一点は、バブル財政からの脱却をしなければならないという問題でございます。つまり、防衛費における後年度負担、いわゆるツケが激増している、まことに憂慮すべき状態になっているわけであります。  今、防衛計画の大綱が決定されました一九七六年予算と新予算案との比較をいたしますと、この十六年間に防衛関係費は七六年を一〇〇として三〇一、約三倍になっているわけであります。一般歳出は二〇六、二倍であります。これに対しまして後年度負担額は四九八、つまり五倍になっているわけであります。一般歳出二倍、そして防衛費は三倍、後年度負担額は五倍であります。そして、そのような増加というのはいつから始まったかと申しますと、一九八〇年から非常に顕著に起きてきたわけであります。その結果として、防衛費の中におけるいわゆる歳出化経費、ローンの支払いに当たる部分が急増している。そして財政の硬直化という現象が起きているわけであります。  新予算案について検討してみますと、後年度負担額は確かに合計額においては昨年に引き続きわずかに減少しております。九〇年度がピークであった。そうして来年度におきましては〇・七%、百九十億円の減となっておりますが、しかし新規の後年度負担は、九一年度は減であったのに、九二年度案におきましてはプラス三・六%となっているわけであります。したがいまして、九三年度の歳出化経費は今年度よりさらに増加するものと見込まれているわけであります。  なぜこのように後年度負担、つまりツケがふえていくのかと申しますと、まず何よりも非常に少ない頭金でもって膨大な発注を続けている、この結果がこういう状況として出てきているわけであります。新年度に関して見てみますと、頭金が三百二十億円、そして後年度負担は一兆七千百三十四億円、これは新規の分でありますが、つまり頭金の五十三倍というツケをローンを組むという、そういうことになっているわけであります。これは極めて不健全な財政運営であると言わざるを得ません。つまり、そこでは歳出予算がどんどんと先取りされていく、したがいまして、情勢が変化しても政策的に柔軟に対応していくということは不可能になっている。もう返済することが目的で政治が行われている、行政が行われていると言っていいような、そういう状況が起きているわけであります。  第二に、国会の審議権、予算を審議し、そしてまたそれを議決する、この権限というものが非常に損なわれてきていると言わざるを得ません。予算書を拝見しますと、国庫債務負担行為、これが出ておりますが、そこに書かれている、なぜツケをつくらなきゃならないかという理由は、生産とか輸入に多くの日数を要する、こう書いているだけてあります。そして、では、そのツケの部分を今度は歳出予算に直していくわけでありますが、この歳出予算の各目明細書というものを拝見いたしますと、そこに書かれているのは、平成元年度に国庫債務負担行為でやったものを歳出化する分が幾ら幾らである、平成二年度の分が幾ら幾らであると書いてあるにすぎない。つまり、なぜそういう装備が必要なのか、そしてそれがどういうふうにして支払われていくのか、こういうことが全く明らかではないわけであります。  今や国際情勢が激変している。こういうバブル財政というものに対して根本的な治療をしなければならぬ、また治療が可能なチャンスである。ローンづけの中毒症状をどう治すか、このことをお考えいただくべきときが来ているように私は思うわけであります。大事なことは、やはりモラトリアムをやるということである。つまり、新規発注、これは歳出の範囲内にとどめる。そのことを二、三年間やりますとこのローン地獄からの脱却は申すまでもなく可能になるわけであります。  次に、防衛関係費というのは、申すまでもありませんが、人件糧食費と、そして物件費から成り立っております。この二つを合わせたものが基本的に防衛関係費である、こう考えていいと思います。この人件糧食費というのは、大綱が決定された七六年から九二年度案に至るまでの間に二二二%、約二倍強になるわけであります。ところが、物件費というのは、この同じ時期に四〇二%、約四倍になっているわけであります。つまり、人件糧食費というのは一般歳出予算の伸びとほぼ同じようなものでありますが、しかし物件費というのはそれをはるかに超えて約二倍増加しているわけであります。そして、この物件費の増というのも、これは実は八〇年代に起きてきたことであります。それ以前におきましては物件費は人件糧食費よりも下にあった、こういう状況でございます。  お手元に配付していただいております資料をちょっとごらんいただきたいのでありますが、この第一図並びに第二図は今申しました防衛関係費の使途別予算及び後年度負担額の推移を示したグラフでございます。ここで非常に顕著なのは、一九八〇年において物件費が人件糧食費を超えたということ、そしてその同じ年に後年度負担額がさらにそれらを超えまして大きく膨れ上がっていくということになったわけであります。そして、結果として、今申しましたように人件糧食費が二・二倍であるが、物件費は四倍になり、さらに後年度負担額は五倍になる、こういう異常な状況が今生じてきているわけであります。  これを一体どういうふうにするのか。つまり、大綱決定以来十六年間にわたって行われてきました異常な軍備拡充というものに対してどう対処していくのか、そうしてこのツケの増大、バブル財政からいかに脱却していくのか、このことを私たちは真剣に考えなければならないときが来ているわけであります。物件費がどんどんふえていく、そして後年度負担がふえていく、この二つはともに原因であり結果であるわけでありまして、いわゆる悪循環が続いてきた、こういうふうに言うことができるわけであります。つまり、八〇年度からお金に糸目をつけずにどんどん軍拡をやってきた、その結果がこういう状況を生み出しているわけでありまして、世界第三位と言われる軍事予算、これをつぎ込んで、そして極めて高価な装備を際限なく買い続けてきたのが過去十年間の実態であります。  その一例として、ここに、改良ホーク並びにペトリオットに関しましてどういうことが行われているかということを、二枚目の第一表及び第二表で明らかにしたいと思います。  第一表は改良ホーク、これは、二次防からこのホークというのは調達が始まったわけでありますが、何かいつの間にかそれが改良されて、そうしてその改良ホークが初期型から改善Ⅰ型、改善Ⅱ型、改善Ⅲ型というふうになってきた。そして、今年度予算、九一年度予算におきましては、この改善Ⅲ型の採用が決定されている。そして、このいわゆるモデルチェンジと申しますか、買いかえが行われることに値段がだんだん上がってきているという傾向がございます。今度の改善Ⅲ型というのは、ここで見ますと〇・五個群ずつ買うわけでありますから、これは合わせまして一個群、一個群の総計所要経費は三百七十一億、こういうふうになっているわけでありまして、従来の一個群が百八十億、百九十億であったというのに比べますと非常に高くなっている、こういう現象がございます。  買いかえのたびにじゃ古いものは一体どうなっているのか、この問題がございますが、陸上自衛隊に勤務していた高井さんという方がお書きになった文章によりますと、ホークシステムの場合、基本型から改良型へ切りかえることにより、ミサイル本体、組み立て装置、発射機、関連部品等のストックがむだになった、こういうふうに言われております。私たちは、ホークを入れるというふうに聞きますと、ホークが入って、そして八個群そろえばそれで一たんストップ、こういうことになるのかと思っていたわけでありますが、そうじゃない。もう十数年間にわたってどんどんどんどん毎年毎年買っていく、八個群どころじゃない、そういう買い物が行われる。そして、買いかえのときに過去にあった部品のストックなんかが全部だめになっていく、こういうことが行われているという事実を発見するわけであります。こういうことが本当に必要でやられているのか、ここが問題であります。一体このようなことが、国会で審議の上でそういう予算が組まれているのか、こういう問題もございます。  もう一つ、ペトリオットの問題がございます。これは、九一年度までに既にもう六個群全部そろっているはずである。昨年は湾岸戦費の問題がございまして、四分の一個群はカットいたしましたが、一応もう沖縄までの分は全部そろうはずである。ところが、新予算案におきましては〇・二五個群プラス一セット、これが入ってまいりまして、そして防衛当局によりますと、このペトリオットの性能向上、能力向上に着手する、こう言っているわけであります。今度の予算案には六百七十七億円が組まれておりますが、着手するというのであればこれから先一体幾らになっていくのか、この全体像というものが全く明らかではない。着手するに当たっては当然、どういうふうな能力向上であり、かつそれにはどのような経費がかかり、どういう年度にどのようにして整備をしていくのか、こういう実態を、あるいは計画を出すべきであろう。そういうふうなことが行われないでどんどん買いかえをしていく、そして買いかえのたびにますます高い物を買い、古い物はどんどん使い捨てにしていくというふうなことが行われていいのかどうか、このことをぜひ御審議をいただきたいと思うわけであります。  私は、装備を採用したりあるいは更新する際は、なぜそれが必要であり、かつその数量、こういう問題につきまして十分審査をする必要があろうと思います、時間のゆとりは十分にあるわけでありますから。新たな装備を入れる場合は、一たん入れますとこういうふうにどんどんふえていく、こういうことがございますから、今度も新規装備は随分いろいろと組み込まれておりますが、これはやはり最初が大事である。頭を出しますと、後はどんどん続いていく、そういう性質を持っているということを念頭に置いて私たちは考えなくてはならないんじゃないか、こういうふうに思うわけであります。  次に、安全保障についての発想を転換しなければならない、このことが急務になっているということを申し上げたいと思います。  冷戦が終結し、ソ連が崩壊した。もはやソ連の脅威がどうなったというふうな問題ではない。ソ連そのものが消えたわけであります。そして、今この旧ソ連のマイナスの遺産というのが極めて大きい。核の問題がある、あるいは兵器輸出、空母をつくりかけていた、それを売りに出すというふうなことをウクライナが言っているわけであります。ソ連が持っている、そして余剰とされている兵器だけでも大変なものでありまして、欧州通常戦力条約による削減分と、それからこの条約関連で、ウラル以東にソ連が移送したその分だけでも、戦車が二万八千両、装甲車が二万五千両、火砲は三万円という莫大なものになっている。この余剰装備が世界に流れ出してくるというようなことがあったならば、一体どういうことになるのか。  つまり、私たちは、ソ連が攻めてくるというふうなそういう脅威に対応する必要は全くなくなったわけでありますが、しかしそれとは全く態様の異なる脅威に対応しなければならないときが来たわけであります。つまり、脅威の性質が、軍事的脅威から非軍事的脅威になってきた。このCIS諸国の問題にいたしましても、これは日本が軍事力をもって対応できる問題ではないことは明らかであります。環境問題がある、南北格差の問題がある、人口問題がある、いろんな問題がございますが、これはすべて軍事力以外の非軍事的手段で対応すべきものである。こういうことについてどう考えるか。  つまり、時代が今や大きく変わっているわけであります。産業革命以来の大変化である、こういうふうに言っていいと思いますが、もはや戦争やりほうだいの時代は去りつつある。これからは、やはり戦争は違法であり、そして、人類がともに生きていくという方向で私たちの安全保障政策を展開していかなければならない、そういう時期ではなかろうかと思うわけであります。  第四に、その点にも関連いたしますが、国際貢献の問題がございます。  国際情勢が激変し、人類がともに生きる、そのために日本が貢献しなくてはならない、その点ではやはり国民的合意が極めて大事であると言えます。そして残念ながら、過去、この二年にわたって行われてまいりました国連平和協力法とかPKO協力法案とかという問題は、合意ができるのにごり押しをやって、結局、何回も臨時国会がむだになっている、こういう現実がございます。やはり意見の不一致、特に憲法問題をめぐって疑義がある、そういう問題は棚上げをして、一致できるところから国際貢献をスタートさせる、このことがなぜできないのか、極めて私には不可解であります。  平和貢献に関しまして私は小さな文章を幾つか発表いたしましたが、まずGNP一%をこの平和貢献に回す、こういうふうに考えております。そしてそれは十年、二十年の計画を必要といたしますが、スタートは千六百五十八億円である。これは、つまり九一年度から九二年度へ防衛関係費の上積み額。この千六百五十八億円を平和貢献のまずスタート資金として、そしてやっていく。これが第一。  第二に、平和をつくるのは人材であります。平和貢献に対しまして長期的な計画のもとに約十万人、この人々がその技術や能力を持ってやっていけるようにしていく、その人材養成のための研修センター的なものもつくる、こういうふうなことがやはり求められているんじゃなかろうかと思います。十万人に一人一千万円かけるといたしまして、これは一兆円かかるわけであります。  次に、平和奨学金を十万人に提供していく。現在日本の国費による外国人の青年たちの留学生というのは約五千人にすぎません。これを十倍にふやす。十倍にふやして五万人にしたところで一千億円で足りるわけであります。十万人で二千億円で足りる。こういうふうなデータを見ておりますと、そのような平和貢献のための人材の育成やあるいは人材の派遣というふうなことがどうして緒につかないのか。これがやはり求められているんじゃなかろうかと思います。  フルブライト奨学金というのがアメリカにございますが、これはずっとやってまいりまして、百二十五カ国から十七万人、青年を呼びまして教育をしている。それに要した経費は十億ドルであると言われております。日本の国会にフルブライトさんのような方がいらっしゃらないのか、いやそんなことはないはずであります。何百人もいらっしゃるはずである。だから、そういうふうな、可能なそういうところからどんどんと平和貢献を進めていくべきではなかろうかと思います。  私たちは世界の平和、まあPKO等の問題がございますが、その論議は別として、やはり対症療法、紛争が起きたからどうするというふうなことだけではなくて、紛争原因を除去していくためにどうしたらいいのか、そこで日本がリーダーシップを発揮すべきではなかろうか、こういうふうに私は考えているわけであります。  以上で陳述を終わります。どうもありがとうございました。(拍手)
  6. 山村新治郎

    ○山村委員長 ありがとうございました。  次に、伊藤公述人にお願いいたします。
  7. 伊藤憲一

    ○伊藤公述人 伊藤でございます。  ただいまから二十分ほど、四つの点について公述させていただきたいと思います。  一つは、世界的な戦略環境変化の意味であります。第二は、その世界的な戦略環境変化が日本にとって持つ意味であります。第三は、そのような戦略環境変化に対して日本はいかに対応すべきか、この日本の対応でございます。四点と申しましたが、その三点についてお話をさせていただきたいと思います。  一九八五年にソ連にゴルバチョフが登場し、新思考外交を展開し、また八九年、九〇年と東ヨーロッパ革命、そしてそれに続くドイツ統一がありまして、これに伴って既に大きな国際政治構造の転換が起こり、冷戦の終えんというようなことが言われていたわけでございますが、昨年八月、ソ連においてクーデターとそれに続くいわゆる八月革命、また十二月にはソ連邦それ自体の消滅という事態がございまして、まさに世界的戦略環境は根本的な変化を迎えたと言ってよろしいかと考えるわけであります。  しかし、世界あるいは各国にとっての安全保障という観点から問題を見るとき、重要なことは、脅威は変わったのであって、なくなったのではないということであろうかと思います。脅威の性質が変わったということは、例えば、東西対決から発生する欧州正面におけるワルシャワ条約機構の正面攻撃といったような意味のソ連の脅威を問題とすることから、そのような脅威は消滅したわけでありますが、これから、むしろ湾岸戦争であるとか、あるいはユーゴスラビアの内戦状態に典型的な形で出ているような地域紛争の脅威、特定されない不確実な脅威にどのように対応するかということが世界的、また各国にとっての安全保障の問題に変わってきているということでございます。  このことは、例えば世界的な安全保障の最重要課題といたしましても、これまではいかにして米ソ間の戦略核バランスを達成するかということに関心が集中していたわけでございますが、今ではむしろ核の拡散、流出をどのようにして防ぐかということへ主たる関心が移動しているというようなことでございます。あるいはアメリカにおきまして、ソ連の大陸間弾道弾をいかにして撃ち落とすかというSDI計画からいわゆるGPALS、限定されたミサイル攻撃からいかに世界を守るかというGPALSへ移行しているわけでございますが、このような安全保障観ある。いは脅威観の変化が起こっているということがポイントでございます。  このことを反映いたしまして、各国における国防費の動きを見てみましても、NATO正面の負担が急減したアメリカ、あるいはドイツ統一によって軍備削減を義務づけられているドイツを除きますと、むしろ各国は新しい脅威に対処し、新しい安全保障体制をつくるために国防費を増加しているのが実態でございます。イギリスは一三%、フランスもプラスでございます。中国、韓国は一二%、ASEAN諸国も国防費をふやしております。湾岸戦争後の中東諸国が国防費を激増させていることは言うまでもないことでございます。  このような中で、特にアメリカのいわゆる新国防戦略、ニュー・ディフェンス・ストラテジーというものを見てみますと、これは九〇年八月、ブッシュ大統領のアスペン演説で発表されたわけでありますが、その後、ソ連消滅という事態が起こっているにもかかわらず、昨日チェイニー国防長官によって発表された国防報告においても継承されておりますが、これを貫いている考え方といたしましては、基盤的戦力、ザ・ベース・フォースというものを維持する必要がある。これまでの戦力体系というものは東西対決を前提としたものでありますので、これを基盤的戦力、ザ・ベース・フォースに改編していく必要があるということが言われているわけであります。  具体的には、戦略核抑止力を維持するとともに、前方展開能力、緊急展開能力を保持し、また戦力復元能力を維持するというものでございますが、これがどういう形であらわれているかといいますと、例えば核について見た場合、米ソ対決の終えんとともに、いわゆるINF全廃条約に続き、昨年十月のブッシュ大統領の一方的な陸、海の戦術核全廃提案というようなこともあって、戦術核、戦域核についてはこれを必要がなくなったものとして切り捨てる一方、戦略核につきましても大幅な削減を提案しているわけでございます。  これまでの米ソの戦略核の配備といいますのは、相手方から奇襲攻撃を受けて、保持する戦略核のほぼ九〇%が第一撃によって壊滅した後、残る一〇%によって、まず第一に、被害局限のため残存する敵の攻撃戦略核を破壊し、かつ第二に、いわゆる耐えがたい被害というものを相手国都市、産業などに与える。さらに、これで全部撃ち放してしまいますと、終戦処理のとき核を持っていないことになりますので、終戦処理用の核を残す。こういうようなことで、いわゆるSIOP、戦略核の目標リストでございますが、これは膨大なものになり、一万発以上の戦略核を必要とするような状態になっていたわけでありますが、ソ連の消滅というような事態の中で、互いに奇襲、第一攻撃ということがないという前提のもとでは、全くSIOPの目標をつくろうにも目標自体が存在しないという中で、必要でなくなったものを削減するという形で、アメリカ側は五千発、四千発への削減、ソ連側はさらに切り込んで三千発、二千発への削減というようなことを言っているわけであります。これは、いずれも変化する脅威の実態を把握し、それに対応して新しい基盤的戦力を構築しようという思想に基づくものでございます。  ところで、このような戦略環境の変化の日本にとっての意味でございますが、日本周辺の情勢を見てみますと、極東ソ連軍につきましては、私に言わせますならば、東西対決型のソ連の脅威は確かに消滅しつつあるが、地域紛争型のソ連の脅威とでもいうべきものは依然として残存しているということであります。これはどういうことかと申しますと、量的にはソ連極東軍は漸減傾向にあり、七六年、デタント、防衛大綱設定の当時でございますが、以後漸増を続け、八九年にピークに達した極東ソ連軍は、その後量的に漸減傾向にございますが、しかし質的にはむしろ近代化のペースを落としていないということでございます。  例えば戦車を例にとりますと、これは、ゴルバチョフが登場した八五年以来、一万二千両という総量は変わっておりません。その中で近代化が依然続けられ、例えば昨年、一九九一年におきましては、T80型戦車という最新鋭の戦車が五百両新たに登場して、旧型の戦車にかわっているわけでございます。日本は、自衛隊は持っているすべての戦車で一千両でございます。一千両、五百両、一万二千台、こういったところに、やはり極東ソ連軍というものの、冷戦終えん後もなお残る日本にとっての脅威としての意味があろうかと考えるわけであります。  また、北鮮を見るならば、本年一月、IAEAとの間で包括的保障措置協定に調印したとはいうものの、ゲーツCIA長官のアメリカ下院外交委員会における証言によれば、数カ月から二、三年以内に核兵器保有の可能性があるということであり、また現在開発中のSRBMノドンは射程一千キロメートルでありまして、西日本全域をカバーしているわけでございます。  また、中国を見ましても、その保有するICBM若干基、IRBM、MRBM百基以上、中距離爆撃機百二十機以上はすべて日本を射程内におさめ、そして中国が核保有国であることは言うまでもないことでございます。さらに、本日の朝刊各紙によれば、中国は尖閣諸島領有を明記し、その侵犯者には武力行使で退去させる権限を軍部に与えるという領海法を通過させた由でありますが、その一方で、中国海軍は外洋艦隊建設を目指して着々と軍備近代化、増強を行っているわけであります。また、ロシアと韓国の間で北方領土周辺二百海里水域での韓国漁船の操業を許可するというような日韓合意があった模様でございます。  こういったように、日本周辺を見回してみましても、東西冷戦時代とは全く違った形ではありますけれども、日本の安全保障あるいは領土保全という観点から見て、決して脅威が消滅したり皆無になったりするものではない、脅威はなくなったのではなく、変わったのだということが重要なポイントであると考える理由でございます。  しからば、このような世界的あるいは日本周辺の戦略環境の変化に日本はいかに対応すべきであるのか。一言で申すならば、私はアメリカが新国防戦略をもって対応しているように、日本も新防衛戦略をもって対応するべきであろうかと考えるわけであります。その場合、前提として押さえておく必要があることは、一九七六年十月に採択いたしました防衛計画の大綱というものは、所要防衛力構想を否定し、基盤的防衛力構想を採用しているということでございます。これはソ連軍の一部が、まあ大体三、四個師団ということでございますが、突然、何らの準備なく、来襲してきた場合の事態を想定いたしたものでございます。極東ソ連軍の、少なくともハードウエアというものは一九七六年当時の水準を維持しているということを考えれば、防衛計画の大綱というものが考えている基盤的防衛力というものと、アメリカが新国防戦略の根幹として打ち出している基盤的戦力、ザ・ベース・フォースとの間の共通性というものに留意する必要があろうかと思うわけであります。自国の責任範囲において力の真空状態をつくらない、これが基盤的防衛力、ザ・ベース・フォースの基本的な観点でございます。そのような意味の基盤的防衛力を放棄することは、これは責任ある国家として無責任な対応となるのではないでしょうか。  具体的に、本委員会で問題となっております点に簡単に触れてみたいと思いますが、それは平成四年度予算の削減の問題でございます。また、中期防の下方修正の問題でございます。最後に、防衛計画大綱改定の問題でございますが、これについて簡単に私の所見を取り急ぎ申し述べたいと思います。  平成四年度予算を削減することは、私は極めて非現実的な対応ではないかと考えるわけでございます。これは、私の前の公述人である藤井先生からも御意見がございましたが、やはり必要であるのか必要でないのか、この判断があるべきものであって、その前提といたしましては、日本の基盤的防衛力あるいは新防衛戦略とはいかなるものであり、何を最小限必要としているかということの判断が先行すべきものであろうかと考えるわけでございます。こういう観点から見た場合に、来年度予算案につきましては三・八%増と言っておりますが、これが実質的にはむしろマイナスの予算であるということは既に知られていることでございますので詳述いたしませんが、すなわち、三・八%のうち三・六%は人件糧食費、歳出化経費であり、一般物件費〇・二%につきましても、在日米軍基地日本人従業員給与負担増百五十八億円を差し引くと実質は六十八億円のマイナスである、こういう実態でございます。また、一般物件費のうち正面経費につきましても、契約ベースで見るならば、この二年間で実に二〇%の削減が行われているわけでございます。これは五年間で二五%あるいは十二年間で三七%という削減を予定しているアメリカの削減を上回るドラスチックな削減であろうかと考えるわけでございます。  これからの日本の防衛を考えるとき、日本自身が長い耳、遠くを見る目を持つ必要があることは申すまでもございませんが、そのようなとき、例えばAWACSであるとかイージス艦であるとか、こういった装備は極めて高価で金額のかさむものでございます。このあたりは、私は総合的な戦略的判断を踏まえて、それが必要であるのか、なくて済むものなのか、そういう観点から議論していくべきものではないかと考えております。  さて、中期防の下方修正の問題につきましては、前期中期防と比べまして今次中期防は、例えば戦車を例にとれば、二百四十六台増が百三十二台増へと百十四台、前期防から削減されておるわけでございますし、P3Cであれば、五十機増が八機増に四十二機の削減を見ているわけでありますし、F15につきましても、六十三機増が四十二機増へと二十一機の削減を見ているわけでありまして、主要装備の調達量につきましては、既に相当程度の抑制がなされつつあるということを認識した上で、さらにこれ以上の削減というものが本当に適切であるのかどうか、こういうふうに議論を進めていくべきではないか。その場合、日本にとっての基盤的防衛力というのは何かという観点から、新しい戦略環境を前提として議論を深める必要があろうかと考えるわけであります。  大綱の改定ということになりますと、定員十八万人をさらに十五万人にするなどということが検討対象になろうかと思うわけでありますが、この点につきましては時間をかけて慎重に対応していただきたいということで、場合によってはそのような削減も長期的には適切な政策判断として出てくるのかもしれませんが、それは、ただ単に財政問題としてではなく、国策の根幹、日本の大戦略として、すなわち思考停止ではなく思考活性化によって対応されるべきものであろうかと考える次第でございます。  どうも御清聴ありがとうございました。(拍手)
  8. 山村新治郎

    ○山村委員長 ありがとうございました。
  9. 山村新治郎

    ○山村委員長 これより公述人に対する質疑を行います。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。萩山教嚴君。
  10. 萩山教嚴

    ○萩山委員 自民党を代表いたしまして、きょうは質問のトップバッターになったわけでございますが、三万の先生方におかれましては大変お忙しい中を有意義な、しかも感銘深いお話を先ほどから聞かせていただきました。  まず初めに伊藤先生に御質問をいたしたいと存じます。  今もお触れになっておられましたが、ソ連の崩壊によって世界はどの国も軍縮一辺倒というように聞かれております。が、しかし今お話を聞いておりますと、私も甚だ疑問を感じておるわけであります。先日発表された米国の国防報告を見ますと、ソ連崩壊後も旧ソ連軍は核を含む膨大な軍事力を有しておる、また、旧ソ連の核の管理や大量の破壊兵器の拡散に懸念を表明しておると書かれております。我が国周辺についても、対処すべき地域的不測の事態の例として北朝鮮を今ほど先生もお挙げになりました。北朝鮮の核兵器開発計画は、この地域における平和にとって最大の脅威であろうと私も思っております。  確かに世界は、全般的に見て、西側の結束もあり自由化、民主化の方向に流れております。また、そのための努力も行われておることは御案内のとおりであります。我が国周辺の状況を見ますと、極東のソ連軍は膨大であり、また朝鮮半島では南北合わせて百四十万人の軍人がおるわけであります。地上軍が対峙いたしております。中国でも大幅な国防費の増加が行われておると聞かれております。けさも先生がおっしゃったような記事が載っておりました。海軍力の近代化も中国に見られるわけであります。ソ連と地球レベルの対峙をしていた米国や、東西ドイツの際には三十七万人を上限とする国際公約が、ドイツの兵力の削減を行っているという状況が聞かれておりますが、こういった国々と状況は、全く日本の場合は私は違うと思います。先生の御意見を再度お聞かせ願えればと思っておる次第であります。
  11. 伊藤憲一

    ○伊藤公述人 お答えいたします。  冷戦の終えんの最大の受益者は、言うまでもなくヨーロッパでございます。欧州を東西に分断してワルシャワ条約機構とNATO諸国軍とが対峙し、そこに膨大な人員と国防費が注がれていたわけでございますが、この脅威が今や全く消滅したと認定されるに至る事態が生じているわけでございます。ワルシャワ条約機構は解体し、ソ連は消滅したわけでございます。このようなヨーロッパにおいてさえ、しかし先ほど申し上げましたようにイギリス、フランスなどは国防費を削減するのではなく増加の措置をとっているわけでございます。これはなぜかと申しますと、ヨーロッパ正面の負担は確かに消滅し、それに伴い大幅な軍備削減、国防費負担軽減の可能性が生じたわけでございますが、それと同時に、不確実な脅威、地域紛争的脅威、こういったものが発生し得る新しい状況となり、これに対する対応を整える必要があるからでございます。  しかるに、アジアを見ますと、先ほど来申し上げましたように、アジアにおいてはこのような明確な東西対立、対決があったわけではなく、むしろそれぞれに理由、原因、経緯を異にする幾多の個別的紛争が地域的に分散しているという状況でございます。けさほどの新聞を見てみただけでも、例えば読売新聞の二面の右上を見ますと、ロシアと韓国が北方領土における周辺二百海里における韓国船の操業を許可したという報道、そのすぐ横に中国が新領海法を採択して釣魚島、すなわち尖閣列島の領有を主張し、その領有を侵すものは武力を行使しても退去させるという決定がなされたとの報道が載っているわけでございます。このようなことは従来は、東西冷戦下におけるアメリカの巨大な核の抑止力のもとで、核の傘のもとで、日米安保体制のもとで、日本みずからが真剣に我が問題として、また最後にだれにも頼ることができない、日本がみずから動かなければそのまま押し切られてしまう問題として直面しなければならない必要はなかったわけでございます。  しかし、冷戦の終えんに伴う新しい戦略環境とは、まさに巨大な東西対決型の軍事衝突の脅威のかわりに、こういった散発的な、どこからやってくる、飛んでくるともわからない脅威に囲まれながら、それぞれの国がそれぞれに苦悩しつつ自国の安全と、そしてそれが調和して世界平和を確保、保障できる体制をつくるために個別的に、また集団的に努力している、こういう状況があろうかと考えるわけでございまして、そのもとでいかに日本が新しい防衛戦略を構築するか、これがまさに問われていることであって、冷戦が終わったから自衛隊予算を削減せよ、解体せよということになるのは、私に言わせるならば思考停止であって、今求められているものはむしろ思考活性化ではないか、かように考える次第でございます。
  12. 萩山教嚴

    ○萩山委員 どうもありがとうございます。  ただいま先生からも、自衛隊の経費を削減する、これはとんでもない話だということをお聞きいたしました。そこで、私は、緊張緩和の方向に向かって動いておるんだ、こうしたこともあって、欧米諸国においても兵力や国防費の削減をしようという動きが見られます。だがしかし、我が国といたしましても、国際情勢の大きな変化、そして我が国自身の防衛力の、防衛費のあり方についても種々検討を進めていく必要がありましょうが、平成四年度の防衛関係費を直ちに削減すべきものと主張する側に対しては、私はナンセンスだと思うわけであります。ですから、防衛関係費の構造から見ましても、これは大変困難な問題であろうというふうにとらえておるわけであります。  そもそも平成四年度の防衛関係費の対前年度三・八%の伸びは、昭和三十五年以来、三十二年ぶりの低いものとなっております。しかも、防衛関係費の伸びはほとんどいまだ義務的な経費であったり、あるいは人件費、糧食費としての歳出面で賄われておるわけであります。平成三年度と比較すれば、実に約二〇%の大幅な城となっております。このような急激な削減を行った国は諸外国にも例がないと私は思うわけであります。  防衛力の整備というものは長期的な観点に立ち、計画的に行われるべきものであって、我が国の防衛力や防衛兵器についても、このようにぎりぎりまで抑制された必要最小限の平成四年度の防衛関係費を、削減するということではなく、むしろ今後、防衛力のあり方の検討や中期防に立った検討の中で中長期的に防衛費のあり方も考えていく必要があるのではないかと思いますが、先生の御所見を承りたいと思います。
  13. 伊藤憲一

    ○伊藤公述人 お答えいたします。  むしろ今後、防衛力のあり方の検討や、中期防をどうするのかといった検討の中で中長期的に防衛費のあり方も考えていくことが重要ではないかとの御指摘は、まさに私の本日述べてきたことのポイントでございまして、先生の御指摘は私の同感、共感を禁じ得ないところでございます。その意味で、私は、平成四年度防衛関係予算案につきましては、これはこれ以上削減の余地はないし、またここで戦略的な判断抜きに、削減が世界の大勢であるかのごとき錯覚のもとに削減することは過ちの禍根を生むことになるのではないかと考えるわけであります。  しかし、大局的には中期防あるいは大綱を含めまして、大綱はまあ基盤的防衛力を打ち出しておりますが、そして一九七六年というのはデタントの最中ではございましたが、しかし基本的には米ソ対立構造というものの大枠の中での発想でございましたので、その米ソ対立構造というものが解消し、地域紛争型の不確実な脅威というものに対応しなければならないという根本的変化が起こっている現状におきましては、新たな基盤的防衛力というものを考える、新たな基盤的防衛力というものを構築する、そのための腰を据えた中長期的な検討、これは必要であろうかと考えるわけでございまして、これは慎重に時間をかけて、衆知を集めて、国民的な議論の結論として打ち出していくべきものであろうかと考えております。  どうもありがとうございます。
  14. 萩山教嚴

    ○萩山委員 ありがとうございました。  時間も余りありませんので河野先生にお伺いしたいと思います。何点かに絞ってきたわけですけれども、核心に触れる部分だけ少しお伺いいたしたいと思います。  税体系の問題でございますけれども、税制、税負担は税を負担する者の負担能力をしんしゃくして割り当ててあるものでありますが、負担能力をはかる基本的尺度としては所得、消費、資産が考えられます。一方、いかなる税目もそれぞれの長所を有する反面、何らかの問題点を伴いますので、税収が特定の税目に依存し過ぎた場合にはその税目の抱える問題点が増幅されたり、税負担そのものが公平な配分を妨げて国民経済に悪影響を及ぼしかねないという問題点があります。したがって、税体系において所得、消費、資産等に対する課税を適切に組み合わせることが必要になりますが、高齢化の進展等の社会的、経済情勢の変化によって将来どのような税体系を組んでいったらいいのか、ここに改めてお考えをお伺いしたいと思います。
  15. 河野光雄

    ○河野公述人 私、ちょっと冒頭で減税の話に触れながら、時間がなくてそこまでいかなかったんですが、今の御質問と絡めてお答えしたいんですけれども、来年度の予算で国税の構成比を見ると、所得税が七割、それから消費税が二二%、それに資産課税が八%弱という比率になっているんですね。これは昭和四十年代、随分古い話ですけれども、当時は所得税の比率が六割を切っていたんですね。そのかわり物品税が随分ありましたから、四割弱ぐらいが間接税だったんですね。それに資産課税が四%ぐらいあったということなんです。一体どちらがいいのかよくわかりませんけれども、議論の流れは、今先生がおっしゃったみたいに、なるべく所得に対する直接的な課税を軽減して、間接税、今は消費税という名前になっていますけれども、その比率をふやし、それにさらに資産課税を適正化するというのが一番正しい流れだと思うんですね。  そこで、減税の話がいずれ大政治問題になる可能性が僕はあると思っているんですけれども、そのときの解決策としては、この直間比率、今申し上げた、所得税七割それから消費税二割強、消費税を入れてもなおかつ間接税の比率はそんなものですから、これを変えるという枠の中でしか減税はできない。ほかに減税財源を求めることはほとんど不可能だと思うんですね。だから、税体系論からいけば、減税と絡めて申し上げれば兆単位の、二、三千億の減税というのはほとんど意味がありませんから、本当にラーメン減税みたいな話ですから、兆単位の、勤労者の懐に実感として幾らか軽くなったなということが知れ渡るような減税をやろうと思えば、どうしても消費税率のアップということとセットでやらなければ実現の方法が見つからない。歳出をどこで切れという議論がありますけれども、今防衛費の議論が闘わされているようですが、これはなかなか容易でないんですね、実際は。ほかの項目も実際はなかなか容易じゃないんです、切るということは。  それならば、直間比率の変更の中で所得税減税を実現する。その中で時間をかけて見れば、四十年代の方に戻る必要はありませんけれども、少なくとも七割が所得税だというのはどこから見ても重過ぎるんですね、直接その人の懐から持ってくるというのは。だから消費税の比率を上げるということしかないと思いますが、そのことは当然国民的な大論議を呼ぶことは目に見えてますけれども、しかし、所得税減税という大テーマを持ち出すからには、これとのセットの議論をやらなければ私は無責任だと思っています。  以上です。
  16. 萩山教嚴

    ○萩山委員 どうも大変ありがとうございました。
  17. 山村新治郎

    ○山村委員長 次に、新盛辰雄君。
  18. 新盛辰雄

    ○新盛委員 本日は、大変御多忙の中、当予算委員会におきまして貴重な、大変有益なお話をいただいておりますことに深く感謝申し上げます。  私は、日本社会党を代表して、ただいま公述されました諸先生に御質問を申し上げたいと存じます。まず河野先生にお伺いをしたいと存じます。     〔委員長退席、中山(正)委員長代理着席〕  先ほど、景気の動向について政府は甘かったんではないか、このままで推移していくとまた再び赤字公債を発行することになるだろう、そういう御提起がございました。確かに政府も景気後退を宣言をしたようです。この二月の月例経済報告書でも明らかなように、鉱工業生産指数や投資財の出荷指数、これが十一月ごろからほとんど赤字に転じつつある、いわゆるマイナス基調である。こういう状況であるし、個人消費指標もマイナスだ。やや電力使用量が伸びている。こういう状況になっているというのは、これはもうある意味では一段と製造業を初めとして景況というのは悪化しているというふうに見なきゃなりません。  そういう意味で、これからこうしたことに対する対策ですが、来年度にわたる景気浮揚策、金利の下げだとかあるいはまた予算の早期施行だとか、まあいろいろ言われておりますけれども、これで見ますとGNP、経済成長率というのは一体どういう位置に観測をされるのか、率直なところをお聞かせをいただきたいと思います。
  19. 河野光雄

    ○河野公述人 お答えいたします。  去年の暮れ、予算編成段階で政府部内で景気の予測をしたときには、もう間もなく、ですから四月ごろからは在庫調整が一巡して、夏ごろから一般消費並びに設備投資もほとんど回復基調に乗るだろう、こう書いてあるんですね。ところが、三カ月たってみてそうでないことは明らかなんですね。  そのときのポイントは二つあったと思うんですね。例えば株式が大暴落している、今、冬の時代を迎えて全然動きがとれない、土地は大暴落しかかっているという状況で、バブル経済の崩壊というのは各方面で起こっているんですけれども、それは一般消費にも製造業の設備投資にもそんなに大きな影響は与えないんじゃないかという判断が基本にあったと思うんですね。例えば一般家計の貯蓄の一割ぐらいしか株式がありませんから、そこがそう下がったって一般消費にはそう響かないんではないかとか、とにかく実体経済はしっかりしている、製造業はしっかりしている、バブル経済崩壊は当たり前、その苦労があるのは当たり前という判断であったんですけれども、どうやらバブル経済崩壊が実体経済の方に、あの当時、十一月から十二月に考えたときよりもやはり打撃は大きいかもしらぬ。例えば都市銀行の先生方に聞いてみれば、大都市銀行が軒並み、実は貸し付けた債権の金利が入らない、元本もなかなか入りそうにないという状況がたくさんあって、公表されているものの倍ぐらいありますから、全治二年から三年だと言われているんですね。これは、証券はもちろんそうです。ということは、結局先生今おっしゃったみたいに、どうやら三カ月前の予想が相当狂いつつあるということが実態だと思うんですね。  そこで、これから先の景気対策ですけれども、一般的には公定歩合操作の早期実現だとか予算の正常な執行だとか、ないしはそれを前倒し執行だとかという議論があるわけですね川  私は、結局のところ、バブル経済の崩壊が過渡的においていろいろな問題を起こすということは、政府の見通しよりも大きいことは明らかだけれども、しかしそれはある程度やむを得ないと、そのことは。やむを得ないことなんですね。あれだけ二日酔いか三日酔いするほど酒飲んじゃったんだから、目が覚めて頭痛いのは当たり前なんですよ。でも迎え酒やるという議論は危険きわまりない話なんですね、実は。しかし、さはさりながら、不必要に一般家庭その他に圧力を加えるような政策を政府が行うことはいいとはだれも言えないわけですね、そのことは。  ですから、さっきちょっと税収面から申し上げたんですけれども、財政の前倒しといったって、財政が成立しなけりゃ前倒しのしょうがないわけですから。いろいろないきさつがあって今日まで国会審議が来ていることはよくわかっていますけれども、それが正常に執行され、時によって、公共投資が相当程度盛り込まれていますから、地方単独から財投から一般会計に至るまで、それを有効に活用するということをすれば、今一斉に不況論が盛り上がっていますけれども、それはいつでも行き過ぎるんですよ。今の世論だって実は行き過ぎているところもあるかもしれませんからね。それはおのずから落ちついて、政府の見通しほどではないけれども、かなりいい線で収束するんではないかというふうに考えております。
  20. 新盛辰雄

    ○新盛委員 もう一つ、この人手不足下の新型不況だと、在庫調整で景気は後退してもやや底がたいというふうにも言われていますね。そういう中で公共事業予算の前倒しなど、あるいはこれを追加予算とか、この措置をして、あわせて再金利の下げという説もあれば、日銀総裁のように安易な再利下げは景気が片肺になるんじゃないか、金融政策の上でそういうふうになるんじゃないか、こう指摘されています。これは今の時点の見方ですから、金利を下げる、再び下げることが是か非か、これはどういうふうな御観測を持っていらっしゃいますか。
  21. 河野光雄

    ○河野公述人 バブル経済の反省の第一点は、いろんな理由がありますけれども、財政が余り出動できないで、金融が一方的に超々低金利政策を長きにわたって行ったということが言われていますね、これは日銀責任説ですけれども。そのことを反省材料にしてみれば、いたずらにこれから一方的に公定歩合操作、金融政策に依存する景気回復論を言うことは、やはりひょっとすれば危険な道に再び入るのかもしれないという懸念はあるんだと思うんですね。ですから、例えば一般会計で五・三%、財投で一〇・八%、地方単独で一一・五%、公共事業費がふえて計上されているわけですから、とにかく今、目先持っている材料はそれしかありませんから、それを正常に運営することの方が、バランスよく財政、金融両面から景気対策を打つという観点からすれば、どう考えたって、党派を超えて考えたって、それは正しいと私は思っております。
  22. 新盛辰雄

    ○新盛委員 ありがとうございました。  さて、防衛問題で、きょうは大変藤井先生、伊藤先生の方からそれぞれ角度の変わった公述がございましたが、まず伊藤先生にお伺いしたいんでございますが、今おっしゃられました国際的ないわゆる防衛戦略構想、ある意味では東西の力関係は、もはや今冷戦構造が完全に崩壊をして、新たな平和の配当を求め合っているというのが国際的な一般的状況として認識をされているわけです。そういう中で地域紛争型、いわゆるアジア圏内においてもいろいろな事案が発生している。北方領土の返還問題もさることながら、尖閣列島が、昨今中国の方では、日本の固有の領地であるものを、今度の日中国交の正常化二十周年の新たな事態に、これは自分の方のものである、こういうことで線引きをされた。韓国といつもやり合う竹島の問題もここはございます。  しかし、私は長年専管水域の漁業権益の問題でいろいろこの場所でも論議をしてきたものでございますが、これが直ちに地域的紛争、そういうふうに危険度が拡大していくんだというふうな認識を持っておられるようでございますが、そこのところが、力の真空状態をつくってはならないとおっしゃっていらっしゃいます。あるいは中期防の下方修正だって、後方支援の関係環境整備、こうしたものがふえたのであって、前面装備の方は、これは新装備も含めて少ないんでございますよと、むしろマイナス、こういうふうにおっしゃっておるんでございますが、この認識の根底は、今の世界的な規模、ある意味ではグローバルなとらえ方ですね、こういうようなことから見ても、少し認識としてはどうだろうかと感ずるんでございますが、率直なところをお聞かせをいただきたい。  また、それに藤井先生の方から、この件についてはどう思っておられるかをお聞かせいただきたいと思います。
  23. 伊藤憲一

    ○伊藤公述人 お答えいたします。  私の言葉足らずのためか、真意が正確に伝わっていなかったように感じたわけでございますが、私が申し上げたことのポイントは、東西対決型の冷戦が終わり、そういう意味でのソ連の脅威が消滅したからといって、世界は突然エデンの園の平和な世界になったわけではないということであります。  これは若干哲学的なプレゼンテーションになるかと思いますが、私は石川五右衛門が「浜の真砂は尽きるとも」と言ったのと同じような意味で、なかなかこの地球上に永久平和のエデンの園というのは参らないのではないか。時代が変わり条件、環境が変わると、それに対応したような形でまた新しいトラブルや紛争や問題が起こる、常にそれにどう対応していくかということが人類の歴史何千年の積み重ねてきた営為ではないかと。そのような観点から、湾岸戦争型、ユーゴ内戦型は最も顕著な形で実際に血が流されておるわけでございますが、そういうものに限らず、どこから弾が飛んでくるかわからないというような意味の不確実な脅威、こういうものが、今までは眠っていたのに、新しい状況、環境の中でむくむくと起き上がって顕在化しているということを指摘したわけでございまして、これは私は、アメリカの今回チェイニー国防長官が発表しました国防報告をも貫いている思想でございますし、先ほど申し上げましたように、米独両国を除くと、列国が軍事費を削減するどころか、むしろそういう新しい問題に対応し新しい体制をつくるために軍事費の支出をふやしているということの背後にある姿勢でありまして、これは私一人が突出して異を唱えている考え方ではなく、世界の現実が示している実態であろうかと思うわけでございます。  なお、この関連で、私が尖閣列島問題、北方領土問題などに関する最近の新聞報道の記事を引用したことをとらえられまして、あたかも私がこれらの問題を、すなわち地域紛争あるいは地域紛争に発展する可能性がある、したがって自衛隊が出動する可能性がある事件として言及しているかのごとくお受け取りになられたとすれば、これまた私の本意ではございません。私の本意は、そのような今までであれば問題にならなかったようなことが、これは東西冷戦の大きな枠組みの中でアメリカの抑止力というものが効いていたということでございますが、それが緩んできているという状況の中で日本が独自に対応し、対処しなければならない問題が発生しているということであり、また、自衛隊との関連につきましても、そもそも、孫子の言葉ではございませんが、兵はこれを用いずして効果を上げるのが最善の戦略でございまして、そういう意味で、自衛隊の存在自体が心理的な力あるいは政治的な力として問題を平和裏に解決することに通ずる、外交的努力を裏づける国民的な背景になるという意味で申し上げているわけで、我が国がこういった問題が発生したからといって、これを軍事力に訴えて解決すべきであるなどということを示唆したり、望んで発言しているわけではございません。
  24. 藤井治夫

    ○藤井公述人 お答えいたします。  現在、ソ連の脅威がもはや消えてしまった、こう申し上げてもいい状況だと思いますが、しかし、それにもかかわらず防衛庁の内部やその他の方々の中には、あくまでやはり極東ソ連軍は脅威である、こういうふうに言い続けている方が相当いらっしゃるわけであります。確かに、極東ソ連軍という、まあ今ではロシア軍ですが、存在することは事実であります。しかし、それが果たして脅威なのか。軍事力が存在すること自体が脅威であるとするならば、ソ連は、例えば戦車にいたしましても世界の半分を、世界の生産量の半分を生産していたわけですから、莫大なものがあるれけでありまして、私たちが考えなければならないのは、今やがたがたになっているあの状況の中で、結局兵器というのは、先ほど自衛隊についても申しましたが、しばらくするとスクラップになるわけであります。だから、何とかして使わせないでスクラップにさせる方法はないか、これを考えるべきなんですね。  現在、ロシアの財政、まだ四半期分のものしか出ておりませんが、調達予算は八分の一に減っている、こういう問題がございます。その八分の一に減っているということは、これから先ずっと十年もすればロシアの兵器、保有兵器というのはうんと減ってしまう、ほとんどがスクラップになっていくということを意味するわけですから、そういう点で一体どうすればいいのかということを私たちは考えなければならない。  これは既に、今は亡き久保卓也さんがお出しになりました「平和時の防衛力」、後にややあいまいになって基盤的防衛力というふうに言われましたが、この考え方の中にやはりこういう問題についての解決のかぎの一つになるような問題、認識が含まれていました。つまり、軍事力があれば脅威だという従来の発想はもうやめなくちゃならない、その脅威が顕在化してくるかどうかというものを制約する要因というのはたくさんある、こういう認識ですね。それから、国際情勢あるいは国民の考え方とかいろんな問題が制約要因として働いてくるのである、こういう認識に立って考え方を提起されたわけであります。残念ながら結果としては裏目に出たような面もございますが、ただ、そこに一定の合理性があるということを私は酌み取るべきであろうと思っております。  それから、地域的脅威の問題につきましては、これは今伊藤先生もおっしゃいましたが、いろいろもめごとが起きるということそれ自体が軍事力の対象、軍事力、防衛力でもって対処すべき対象ではないわけであります。その紛争が武力紛争に発展し、そしてそれが日本の安全を脅かす、日本の領域を侵害するということになってくるかどうか、ここが問題だと思うわけです。そうでなければ、それは軍事的手段以外の手段でもって解決していく。例えば、紛争の平和解決の制度が国連の中にはあるわけであります。また、二国間でそういう話し合いをしてもいいわけでありまして、そういうふうないろんなやり方があるのに、そうじゃなくて、何か地域的紛争というものに対して軍事力で対応しなきゃならぬという、そういう考え方が声高く叫ばれているわけですが、これはやはり非常におかしいと思います。  というのは、やはり脅威がなくてはもうやっていけない、これが防衛力整備と申しますか軍拡の本質ではないかと思うんです。だからソ連の脅威があった。私は、あの脅威というのは限定的かつ潜在的なものであったと思いますが、今やもうそれもないのですが、それが崩れますとかわりが欲しい。さあ何を見つけるかということで、ちょうど米ソがINF条約を締結し、ようやく軍縮に向かおうとし始めたときにこの地域的紛争の脅威というものが叫ばれるようになりまして、自衛隊の内部でもそういう研究が行われる、こういうふうになったわけであります。  だから、そうじゃなくて、先ほど私も申しましたが、安全保障についての発想を転換し、そうして大部分の問題につきましては非軍事的な手段でもって対応できるわけであります。ぎりぎり軍事手段が必要なのは、日本が侵攻される、そういう場合には何とかしなきゃならぬという問題もございますが、今やそのような脅威は消えた、こう考えていいと思っております。
  25. 新盛辰雄

    ○新盛委員 大変貴重な御意見、ありがとうございました。  さらに藤井先生にお尋ねいたしますが、先ほどのお話で、物件費がというのは前面装備、いわゆる武器弾薬でありますが、人件費、食糧費を四倍もふやさしているし、後年度負担額が五倍にもなっている。この原因はもちろんいろいろこれまでの積み重ねですが、注目すべき御提言として、国際貢献という問題をとらえてGNP一%を平和に貢献していけばいいじゃないか、そして人材を確保するという意味で国際貢献に役立つということをおっしゃっておりますし、今回の千六百五十八億上積み、三・八%の増でございますが、この防衛費のこうした中味のふえた部分だけでも、先生が試算されておられますいろんな数の人が国際貢献に、平和的にすべて貢献していくことができる、こうおっしゃっている説もあるわけですが、これを、これからの問題はどう削減をしていくか、私は野党ですからそう思っております。  そういう中で、単年度で正面装備を削減するのは難しい、中期防の中でこれを削減していく方なら何とかなるのじゃないかという説がいろいろございます。その件についてどういうふうにお考えになっておるか、お聞かせをいただきたいと思います。
  26. 藤井治夫

    ○藤井公述人 防衛庁作成の文書によりますと、先ほど伊藤先生も引用されましたが、とにかく正面装備はどんどんカットされておる、世界に例を見ない二〇%減である。この問題を一つ申し上げておきたいんですが、これは確かにそのとおりのデータは出ておりますが、しかし、これは正面装備とは一体何であるのかということの説明がないんですね。非常にあいまいなもので、防衛白書にもそのことは明確には書いてない。  要するに、これは推論でありますが、兵器とそれから弾薬、これを正面装備と称しているようであります。それ以外にもたくさんの戦闘に必要な装備はあるわけでありまして、例えば日本の基地の維持拡充の費用は一体何であるのか、日本は最前線基地じゃないのかというふうな問題がございますし、あるいはまた、指揮、通信、統制機能、これは今、現代戦においては最も重要とされている問題でありまして、こういうものも除外して、しかも正面装備と言い出したのは数年前からのことでありまして、何か都合のいい区分を採用して、減ってきたんだ減ってきたんだというふうなことを言うのは、ためにする議論じゃないかと私には思われるわけであります。  で、要するに、うんとふえてきたものはちょっと上の方でおろすとか、テンポを落とすとか、そのくらいの問題では今日この大きな国際情勢の変化に対応していけないという、そういう問題がございます。  私は、先ほども申しましたが、この上積みをどんどん積み重ねていくということにもうピリオドを打つべきではないか。九二年度は千六百五十八億円ですが、これを、どんどんこの上積みする分をつもり貯金のようにして、これを平和貢献に回していく。こういうふうにいたしますと、ちょっと計算してみますと、二〇〇〇年には一兆七千四百八十四億円を平和貢献に回せるという計算が出てくるわけであります、三・八%増を続けていくことを前提として。そうではなく、その三・八%を回していく。そうすると、上積み分がどんどん上についていきますから単年度で一兆七千億円、こういう財源ができるわけであります。その上積みをやめる、そして同時にやはり幾らかずつ現在の防衛力水準を落としていくということもあわせて必要、やるべきじゃなかろうか。  そういうふうなやり方をとって、アメリカは九七年までに三〇%カット、こういうふうにせんだってブッシュ大統領は発表されておりますが、三〇%までいかなくても二〇%弱ぐらいのものは削減することが可能であるし、そうしてそれだけのものが出てまいりますと、大きな、何と申しますか、より優先度の高いところにこの財政を投入することが可能になってくる。私は、それが決して自国のためのみにそれを使おうというのではなくて、国際社会が平和にやっていくために必要なものに投入していく、こういうふうにすべきであって、私の考えでは十年計画を二つぐらい考えるぐらい、先ほども申しましたようなGNP一%、十万人の平和貢献ぐらいのことをやっていくという構想がやはり必要ではないかというふうに思っております。
  27. 新盛辰雄

    ○新盛委員 防衛庁の説明によりますと、今回の新装備を含める前面装備、これは今回こうして新たな買い物――古い兵器弾薬などの取りかえも必要だ、ほとんどそれは前面装備に使っているのじゃなくて、三・八%の増の要因は、給与改定や生活開運、環境改善にすべてかけてございます、兵器などいわゆる正面装備は八千六百五十億ですけれども、これは前年度対比三・七%減じておりますということで、私どもはメジロ押しの新規装備だと見ているわけですが、その一例を、新規のもので、新多連装ロケットシステム九両、それから新八十一ミリ迫撃砲ですか、それに百二十ミリ。新八十一ミリ迫撃砲五十六門、百二十ミリ迫撃砲四十七門、さらにミサイル艇PG一隻、練習艦TV一隻、試験艦ASE一隻、これは新規に買う莫大な買い物です。そしてまた、海上自衛隊の対潜ヘリコプター七機、これはプラス二機ですね。そして航空自衛隊の新型救難捜索機、これは三機ですね。そして例のペトリオット、これはまさしく〇・二五個群、これは個群というのですね、プラス一セット、こんなこと。そして、これまでまだ調査中と言われているAWACS。こういうのですべて新しいものに大きく変わりつつあるわけですね。  このことについて、やはりこれからの基盤的防衛力とさっきお話がありましたし、地域紛争型に変換をしているという意見もございました。しかし、総体的には包括的な軍縮提案によって、これはアメリカの大統領が一般教書で昨年暮れに演説をしましたね、五百億ドルの向こう五年間の削減。それを受けて一月二十九日でした、エリツィン・ロシア大統領がまた当然、戦略兵器削減の条約の履行を早急にやって戦略爆撃機の生産停止と、こうなってきたわけですね。それなのに、やはり日本はこうしてどうしてやるのかということについて、御所見ございましたらお伺いしたいと思います。
  28. 藤井治夫

    ○藤井公述人 やはり世界は軍縮に向かってこれから流れていく、このことはもう避けられないと思います。  と申しますのは、やはり核の時代に入りまして、軍備というのが恐ろしくもう高くなっている。軍備をやっても結局安全を得られないばかりか財政経済が破産してしまうという、そういう現実があるわけでありまして、ソ連だけではなく、アメリカの経済財政も大変なピンチに陥っているわけであります。私は、イージス艦というのはトシ当たり価格でいえば飯よりも高価である、そしてF15戦闘機は純金の値段に近づいていっている、重さからいたしまして。そういうものをソ連やアメリカのようにどんどんつくっていく、これはもうああいうふうになっていくのは避けられないわけであります。したがって、これからはやはり、先ほどもちょっと申しましたが、非常に大きな核時代における安全保障というものをみんなが考えて、そうして、軍事力ではない、平和的手段が一番基本になる、そういう方向へ世界は動いていくし、また、平和国家日本としてはその方向で努力しなければならないのじゃないか、かように考えているわけであります。
  29. 新盛辰雄

    ○新盛委員 どうもありがとうございました。
  30. 中山正暉

    ○中山(正)委員長代理 次に、冬柴鐵三君。
  31. 冬柴鐵三

    ○冬柴委員 公明党・国民会議の冬柴鐵三でございます。  先生方におかれましては、大変貴重な御意見を承りました。本当にありがとうございました。私、十五分の時間をいただいておりますので、一問ぐらいずつになると思いますが、順次お伺いをしたいと思います。  まず、河野先生にお伺いいたしたいと思います。先生は、新聞社出身の中立系の委員さんとして政府税調でもう七、八年も御活躍をいただいていると承知いたしております。そういうところから、長期的な視野に立った税制という問題について二つほどお伺いをしたいと思います。  その一つは、適正、公平、公正というような課税を実現するためには総合課税へ早急に移行する必要があると私は思うわけでありますが、その前提問題としてはいろいろ困難な問題もあります。そのような問題点を、先生のお考えをお伺いしたいというのが第一点でございます。  それから第二点は、先生も全言及していただきましたように、ことしの六月、ブラジルのリオデジャネイロで国連の地球環境サミットが開かれます。大きな経済力を持つに至りました我が国は、それに相応した負担を求められる。まあ応能負担と申しますか、私もそうあるべきであるというふうに思いますが、それにつきまして、財政上これは大きな負担になる。例えば、言われるようなCO2の排出課税問題というようなこともありましょうし、長期的な問題として先生のお考えをお伺いしたい。  この二点について御意見をお願いいたします。
  32. 河野光雄

    ○河野公述人 お答えいたします。  前の方の御質問ですけれども、先生おっしゃっているのは納税者番号制度の導入の可否の問題だと思うのですけれども、金融資産について総合課税をやろうと思えば、制度的にはこれを入れなければかえって不公平になることは明らかなんですね。  ただ、これはもう何年来の議論で、私も実はこのことのためにヨーロッパに調査に行ったことがあるのですが、それで現地でいろいろ話を聞いた経験があるのですけれども、結局、納税に関してはプライバシーはゼロだ。いいですか、納税に関して、実は私の所得はなるべく大蔵省、国税庁に知られたくない、ここまでは隠したいということはもうなしにしてもらいたい。しかし、そのために集めた資料を国税庁が別に漏らしてしまう、漏らすというか、意図的に漏らすことはありませんけれども、どこかに利用されて、それがプライバシーを侵害するということが実は国民が非常に怖がっていることなんです。どこの新聞がどこでやっても、どの放送局がやっても必ず出てくるのは、これは御婦人がほとんどなのですけれども、プライバシー侵害のおそれありということで、納税に対しては極めて高いレベルでの反対論がずっと持続しているのですよ。これは国民的な合意がないと進みようがない話なのですね。今政府税調で小委員会やってそれをやっていますけれども、基本的には、いつの日か国民的な合意ができればこれが導入される。それは、キャピタルゲイン課税その他全般にわたって総合課税でいくということは、一つの税の理想像だと僕は思いますね、一つの考え方ですけれども。しかし、そこに行くプロセスは大変長いのではないか。とてもじゃないけれども年内、十二月までにそのことにけりがつくような状況には私はないと思っています。  二番目の環境の話なのですが、今先生おっしゃったみたいに環境税でもいろいろな構想があるのですね。CO2を排出する量に従って高い税金をかけますよ、まず石炭に相当高いペナルティー的な税金をかけますよ、その次に石油で、LNGだというふうな考え方が一つあるのですね。もう一つはヨーロッパ、EC共同体がそれとは違った考えを持っていまして、いや、エネルギーであれば原子力から出ようが何しようが、いずれにしても全部結局は環境問題まで広がる話だから、CO2基準だけではなくてもっと広い意味でのかけ方をしようじゃないかというのが、ECの統一的な案として事務当局が二年がかりでまとめた案です。  日本の中の議論はまだいずれとも星雲状態なのですね、目下のところ、今日ただいま。ただ、理念として高い理念は日々掲げられているのですよ、地球にやさしいだとか。言葉はコピーですからいいのですけれども、実態に踏み込んだ議論というのは政党間でも政策当局の中でも今はまだ極めて未熟な段階です。ただ、私がさっき申し上げたのは、この一点こそ日本が先頭を切れる重要なテーマだ。これはもう与野党関係ないだろう、この話は。ただしもう一つは、それは必ず国民の負担増を伴わざるを得ませんよ。そこをセットで議論しないと前向きの議論にならないのではないかと私は考えております。  以上です。
  33. 冬柴鐵三

    ○冬柴委員 次に、藤井先生にお伺いしたいと思います。  先生も言及されましたように、国際情勢の激変を踏まえまして軍縮、大きなうねりになっていると認識をいたしておりまして、我が国の防衛費の削減も一つの波長を合わせた動きであろうと思います。  ただ、これも先生今立派な表などいただきまして我が国の防衛費の構成を御説明いただきましたけれども、相当大部分が人件費、糧食費という、そういう義務的な支出というものが占めておりまして、非常に弾力性に欠けるような形になっております。その中で防衛費をいかに削減すべきやというのが非常に大きな問題でありまして、私どもも何年か、どうしたらこれは削れるんだろうと考えてまいりました。  我が公明党市川書記長、こういう面について再三この場でも提案をしているわけでありますが、このような実情を踏まえて、昨年とりあえず中期防の予算総額二十二兆七千五百億から一千億を削減して二十二兆六千五百億円に修正をせよという求め方をいたしまして、政府もこれは取り入れてくれました。そして中期防の三年目で十億円、四年目で二百四十億円、五年目で五百九十二億円、そして六年目で百六十億円、合計いたしますと一千二億円の削減ということが実現したわけでありまして、これは恐らく、戦後我が国で初めて兵器購入費が縮小された第一歩だっただろうと思うのです。今年度予算審議におきましても、書記長及び政審会長から同様の手法によってさらなる縮減を、圧縮を強く求めまして、政府もそれに前向きな答弁を過日されたわけでございます。  抜本的には、伊藤先生も先ほど申されましたように、防衛計画の大綱を見直し、必然的に別表の下方修正ということが伴うわけでありますが、この人件費、糧食費を圧縮しようと思えば、これは定員削減以外ないわけでありまして、そういうふうに考えるわけです。先生はモラトリアムということを提案されました。各単年度ごとの予算をモラトリアムでがちっとやるということは、防衛全体がどうあるべきかという理論抜きにこうやっちゃうわけですから、ちょっとどうなのだろう。そういうこともあわせ考えながら、先生の、現時における防衛費のこのような状態のもとで予算の中から削減していく方法、これについて御見解をお教えいただきたいと思います。
  34. 藤井治夫

    ○藤井公述人 今御指摘の点でありますが、まず予算硬直化と申しますか、いわゆる義務的経費がふえているという問題は、これはやはり先ほど申しましたように結局後年度負担で余りにも、三百億円の頭金で一兆数千億の買い物をするというようなことが続いているからそれが起きている。歳出化経費というものは、正面装備に関していいますと、歳出予算が九千九百三十八億円、そして一般物件費はわずか三百十九億円。歳出化経費が九千六百十九億円ですから、物すごい形で完全に正面装備は歳出化経費で縛られている、こういう状況であります。人種費というのも、これは今現に勤めていらっしゃる方々の人種費を削減することはできません。だから、やはり一年計画なり二年計画なりで定員を削減するとかあるいは募集を落とすとか、そういう手段でやっていかなければなりませんから、歳出予算そのものを減らすのは非常に難しいと思いますね。  だから、私は第一に、このモラトリアムは借金をするのをまずとめようというふうなことを申し上げたわけであります。そうしますと、次にやはりゆとりが出てまいりまして、それで防衛構想の見直しの問題を進めながら、そこでどういうふうに歳出予算それ自体を変えていくか、こういうふうな議論になってくると思います。  公明党が御努力をいただきまして、とにかく中期防、幾らかカットする、こういうふうになったということは喜ばしいことでありますが、しかし、この中期防というのは前中期防十八兆四千億円から二十二兆七千五百億円にふえたものでありますから、このふえた分を考えますと、一千億円カットで果たして、それはもちろん軍縮にはならないわけですね。ふやしているものを一千億円だけちょっと減らすということにすぎないわけでありますから。私は、すぐにとは申しませんが、とにかくこの数年の間に大きくカットしていく方向というのは、やはり平和貢献の方が非常な急務になっておりますから、その財源をどうするかという問題とあわせ考えていく必要があるように思います。
  35. 冬柴鐵三

    ○冬柴委員 最後に伊藤先生にお伺いします。  ことしの九月にはロシア共和国のエリツィン大統領が来日されることが予定されております。我が国の国民の長年の悲願でもあった北方領土の問題解決の最大のチャンスが到来するのではないかと期待をいたしておるわけでありますが、ただ、我が国のこれに対する対応という態度はまだ国民的に合意に達していないのじゃないか。いろいろな意見があります。先生はこの問題について随分いろいろ論陣を張っていらっしゃいますので、御意見を伺って、私の質問を終わりたいと思います。よろしくお願いいたします。
  36. 伊藤憲一

    ○伊藤公述人 お答えいたします。  ソ連が消滅しまして、ロシアが我が日本の、特に北方領土問題に関する外交正面として登場しておるわけでございますが、このロシアという国が対日外交基本姿勢あるいは北方領土問題に関する基本姿勢をどこにどういうふうに据えているのか。旧ソ連の対日外交北方領土問題の姿勢をそのまま引き継いでいるのか、あるいは基本的、根本的な修正をした上で臨んでいるのか、ここのところが問題でございます。  私、昨年十月、モスクワを訪れまして、ロシア共和国外務省にクナーゼ外務次官を訪れまして、三十分ほど二人だけで話をしたわけでございますが、そのとき彼は、ロシアの対日外交ソ連の対日外交とは違う、ロシアは法と正義に基づいて北方領土問題を交渉する、経済協力問題とは全く別個の問題で、返さなければならないものなら一銭のお金をもらわなくても返す、返す必要のないものであれば幾らお金をもらっても返さない、これは別個の問題として対処していくつもりだ。私の心証としましては、私は彼が学者時代のもう十数年のつき合いでございますから心証が得られるわけでありますが、私は、彼は法と正義に基づけば四島はすべて日本のものと考えている人物だという心証を得ているわけでございます。  そのような観点に立ちますと、現在ロシア内政は必ずしもエリツィン政権の観点から見て安定しているわけではなく、国論を統一して対日外交に突破口を見出すことはそれなりに大変な政治指導力、政権の安定的基盤を必要とすることでございまして、私は、そのあたりに苦慮しているのではないか、したがって、対日外交の前になすべき対内根回しにむしろ主力を注いでいる、こういう段階ではないかと思うわけでございます。  これに対しまして、私は、日本国内の議論は必ずしも先生の先ほどの御発言では統一されていないというような御発言であったかのごとくお聞きしたわけでございますが、私は、四島一括返還を求めるという点では、本国会の満場一致の累次にわたる決議にも示されておりますとおり、国民の間に全く異論はない。あるとしても、それは〇・何%かの、一%以下の異論ではないか。そういう中で今まで即時一括返還ということを言っていたわけでございますが、この即時ということまで固執する必要があるのか。この点は、しかし根本的立場にかかわることではなく、少しでも早く確実に返してもらうための方法論でございますから、このあたりについて意見の相違があるとしても、これは国論の基本的な分裂とかいうようなことではないのではないか、かように考えております。
  37. 冬柴鐵三

    ○冬柴委員 ありがとうございました。
  38. 中山正暉

    ○中山(正)委員長代理 次に、児玉健次君。
  39. 児玉健次

    ○児玉委員 日本共産党の児玉健次でございます。  御多忙の中おいでくださって、率直な御意見を賜ったことに感謝いたします。  時間がなかなか短いので、簡潔に申しますから、簡潔にぜひ教えていただきたいと思います。  最初に、伊藤先生。今千島問題について、私たちは、とりあえず四島返還ということを申しつつ、全千島の返還ということも基本的な方向として強く申しておりますが、一%以下の支持ではない、一%以下の支持で私はここに来れなかったということを最初に申しておきましょう。  先ほどの伊藤先生のお話をお聞きしておりまして、ブッシュ大統領が一月二十八日の一般教書演説で、私は、超大国ソ連という恐るべき敵に対応するために強いられてきたこれまでの犠牲をもはや払う必要がなくなった今、これからアメリカで生ずる変化について語りたい、こういう話り口で言い出して、そして、一九九七年までに国防費を三〇%削減することになる、こう述べつつ、一方では、我々アメリカ合衆国が西側指導者であるが、世界の指導者になった、ソ連の消滅で世界の指導者になった、我々はあらゆる場所で自由を支持するため指導的立場をとり続ける、こういうふうに述べていることを思いながら、先ほどの先生のお話を伺いました。  ソ連がもうああやって消滅をする、そしてワルシャワ条約機構が一方的に解体される、そういう中で、これまで軍備の拡張の口実にされてきたソ連脅威論が、これはどう無理に考えても消滅いたしました。そこで新たに持ち出されてきたのが、特定されない不確実な脅威という議論ではないかと私は考えます。  先生は湾岸戦争、ユーゴの内戦の問題を持ち出されましたが、ちょうどソ連脅威論がそうであったように、特定されない不確実な脅威というのも、大体二十世紀に入って何回か軍備を拡大するときに持ち出されたさまざまな理由のバリエーションではないか、そう考えております。ソ連の核管理に対する懸念も、かつてまだ私が若いころ「渚にて」という映画を見ましたが、偶発戦争の危険性、文字どおりソ連の核管理への懸念というのは、核兵器そのものの持っている絶望的な危険性を今浮き彫りにしているのであって、それこそ核兵器廃止の方向に今こそ拍車をかけなければならないんじゃないか、こう考えておりますが、そのあたりについてお考えを伺いたいと思います。
  40. 伊藤憲一

    ○伊藤公述人 お答えいたします。  東西対決型のソ連の脅威というものがほぼ完全に消滅したということは、これは世界共通の認識として出発してよろしいかと思います。そういう状況の中で、アメリカの新国防戦略というものを一貫して流れている考え方というのは、これまでの日本の例で言いますと、日本は防衛計画大綱によって基盤的防衛力構想に移行する前は所要防衛力構想ということで、ソ連の脅威に具体的に対応するという目標を掲げておったわけでございますが、その目標をいわばあきらめ、ギブアップいたしまして、七六年に基盤的防衛力構想に移行したわけでございますが、アメリカは今回、ソ連の消滅、それに伴う戦略環境の激変という事態に対応して、一九七六年に日本がとった政策選択を今しているのだ、かように私は考えるわけでございます。  この場合、したがいまして、対ソ正面に配備いたしました諸戦力は不要になったわけでございます。例えば、アメリカは在欧米軍三十五万の五〇%削減を掲げておりますが、これはまさにそういう観点で必要がなくなったから削減するものであるわけであります。これに対しまして、EASI、イースト・エイシア・ストラテジック・イニシアチブによって表明されております太平洋、アジア方面の米軍の削減は一〇%を前後するものであるにすぎません。また、大幅な削減が伝えられております核戦力は、戦術核にせよ、戦略核にせよ、あるいは戦域核にせよ、すべてこのソ連を仮想敵国として対ソ正面に配備していたものが不要になったということに伴う措置でございまして、ここからアメリカが新しい基盤的戦力を逆にむしろ構築しようとしている姿が見られるのではないかと考えるわけで、もちろんそれは、これまでの所要防衛力的な発想からする米軍と比べれば、例えば兵員二百十万は百六十万に五年かけて二五%削減するというような方向をたどるわけで、これをとらえて、世界が軍縮の大きなうねりであるとか、それに伴う平和の配当であるとかを議論する根拠、前提になっているわけでございますが、しかしこれは、あくまでもそういう米ソ対決型の脅威が姿を消したことに対応して起こっているアジャストメントのプロセスであって、このことは他方、地域紛争型の不測の脅威がもはや発生しないのだとか、そういう発生を予測してそれに対する対応をとる必要がないのだとかということにつながらないことは、これは国防報告、今回発表になりましたが、それを読めば明白なことでございます。  もちろん、日本がアメリカと同じ情勢判断に立ち、同じ対応をすべき理由はございませんが、ただ、日本は既にそのような基本的な姿勢を一九七六年の時点で選択しており、この先で行う日本の戦略的対応はおのずとアメリカの先を行くものである、アメリカの今回の対応というのは、日本が一九七六年にした対応を今しているにすぎないのだということは事実として認識しておく必要があるのではないかというふうに考える次第であります。
  41. 児玉健次

    ○児玉委員 藤井先生にお伺いいたします。  先ほど先生の御意見の中で後年度負担にお触れになって、少ない頭金で膨大な負担が後に出てくる、歳出予算の先食いであり、国会の審議権に対する侵害である、そういった立場でこれまで私たちも何回か議論をしてまいりました。先生の先ほどの御意見の公述の中で非常に私、ここはもっと聞きたいと思いましたのは、新規発注に対する数年間のモラトリアムについてお触れになりましたが、それは先生のお考えでは、どういう形で具体的に進めることが適切だとお考えなのか、これが一点でございます。  もう一つは、先ほどから議論になっております国際情勢の激変、だれもエデンの園が直ちに生まれたとは思っておりませんが、これまでの米ソ対決型のいわゆる冷戦構造、それがもう消滅をしていく、そういった中で、アジアにおける注目すべき事態として、フィリピンの上院がアメリカとの基地協定の更新を拒否する、こういう決議をいたしましたが、これについて先生はどのような受けとめをなさっているか、その二つをお伺いしたいと思います。
  42. 藤井治夫

    ○藤井公述人 お答え申し上げます。  まず、新規発注の凍結の問題でありますが、現在御審議をいただいておりますこの予算案におきまして、やはり相当多額の新規後年度負担が計上されている。これがもし加わりますならば、九三年度以降、やはり相当額の支払いをしなければならないわけでありまして、九三年度は九千六百三十三億、九四年度は五千六十一億、九五年度は二千二百億、こういうふうに予定されております。ところが、これをしない場合にはどうなるかといいますと、今年度は確かにいわゆる歳出化経費というのがございますけれども、しかし来年度からはそれが減っていくわけでありまして、九三年度は七千九百五十四億、九四年度になりますと三千五十九億になりますから、そのくらいになってから、一体どうするのかということを考えたらいいんじゃなかろうか。そうして、それまでの間は、じゃ全然やらないのかといいますと、もちろん歳出予算として議決をいただいた範囲内においてはこれはできるわけであります。そういうふうにしていくことが私は妥当ではないかと思っております。その間、今いろいろ議論がございますが、防衛力整備の構想についてやはり見直しをする、こういうふうにすべきだと思います。  それから、フィリピンの問題ですが、これはいわゆるピープルズパワーのあの憲法改正によってあのことが、つまり上院の議決なしに延長、更新はできない、こうなりまして、結局、今のところは撤去する方向に向かっているわけであります。  私どもにとって非常に教訓的であるのは、基地を貸与するときには必ずこういうふうにしておかなきゃならない。これは私は外交当局の大きな失敗じゃないかと思います、日本の場合は全く無期限でありますから。フィリピンの場合は、最初は九十九年で貸して、それをマルコスさんの時代にさえこれを短縮したわけであります。私たちがもし十年とか二十年とか期限を切っておきますならば、改めて、こういう形で基地を提供することがいいのかどうか、その検討ができるわけであり、これは交渉対象になるわけであります。現にスペインの場合も、そういうふうにしてF16は撤去したわけであります。ここを教訓として私たちは、例えば厚木のNLP基地とか日本国民の主権、その生存と安全ということを考える場合、ああいうことがやられていいかどうかというのはもう論ずるまでもありませんから、そういうふうにすべきであり、そして主権国家同士の条約ですから、ここで見直しをしようという問題提起をすることは十分可能であると思います。  以上です。
  43. 児玉健次

    ○児玉委員 最後になって恐縮ですが、河野先生にお伺いしたいと思います。  先ほどのお話で平和的な国際貢献ということにお触れになって、特に環境の保全、環境を好ましいものにつくりかえていく、その点での日本の技術と実績についてお触れになりました。そして、この分野で日本が、アメリカ追随ではなく、積極的な指導性を発揮したらどうか。私たちも先生のお話を非常に共感しながら伺ったのですが、ただ、その財源でございますが、ODA、政府開発援助、これはもう相当な金額になっておりますが、これを環境保全型、そしてそれぞれの国々の国民生活を優先させる開発に振り向けていく、さらには医療保健援助、こういったことを主軸に組みかえていくならば、現在のODA予算によっても先生がおっしゃったその仕事は可能ではないかと思うのですが、いかがでしょうか。
  44. 河野光雄

    ○河野公述人 それは極めて有力な論点だと思うのですね。国内の高齢化対策を削って環境費に回すなんという発想が国内政治的にできるわけでもないし、正しい選択でもないわけで、対外援助の中に、今先生おっしゃったみたいに、環境絡みのものが現に存在しますからね。それから、ODAの中でよくよく検討してみれば問題があるのもあると言われていることも事実なんですね。ですから、環境貢献のための財政負担の問題を考えるときに、最初のステップは、先生おっしゃったみたいに、既存の対外的な支援関係の中でもうちょっと工夫ができないかなということを考えるのが最初のステップだと思うのですよ。これを素通りすると、いきなり国民にそんな税金、負担を求めるのかという反対を呼ぶことはもう天下に明らかなんですね。だから、先生のおっしゃることは、ステップであることは間違いないと思うのです。  しかし、それだけで現実的にできるかどうかということになれば、私は大いに疑問だと思いますね、今途上国の諸国が出しているこんな膨大な要求から比べてみれば。予算の内容の振りかえでは対応できない。  例えばスウェーデンでは、今先生がおっしゃったみたいに、今までは、例えば一〇なら一〇の援助をしていた、それじゃこれからは二を環境問題に振り向けることにする、しかし援助全体の額は変えないから、今までやっていた一〇を八にするよということなんですね。負担は、新しいものを負担しないということが、まあ例えばスウェーデンの一番そういう問題についてはセンシティブな、前向きの政権の担当者の話だったのですが、日本は結局それだけじゃ足らないのじゃないかという気がするのですよ。何かニューマネーをオンするという、そうすると、金額はせいぜい二、三千億円のオーダーで私は十分いけると実は思っているのですが。そんな兆単位の話じゃありませんけれどもね。そこまで考えないと、やはりリーダーシップをとるということにならないのではないかと私は考えております。
  45. 児玉健次

    ○児玉委員 終わります。ありがとうございました。
  46. 中山正暉

    ○中山(正)委員長代理 次に、高木義明君。
  47. 高木義明

    ○高木委員 公述人の皆様方には大変貴重な御意見をいただきまして、感謝を申し上げます。  時間の関係もありますので、早速河野先生からお尋ねをしてまいりたいと思います。  河野先生は、今後日本が世界に対してどういった役割を果たしていくかという意味の国際貢献についてかなり突っ込んで御意見をいただきました。今の我が国の大きな政治課題は国際貢献と生活大国づくり、こういうふうに言っておられます。私は、この生活大国づくりにつきましては、重要な課題であると思っておりますし、その成果については期待を持つわけでございます。宮澤内閣におかれましても、六つの柱を立てまして生活大国づくりを進めていくということのスローガンを述べておられますが、それはただスローガンであって、今なお余り中身が見えないということでございます。今後、経済審議会の答申を待って具体的にその実現を期すということになっておりますけれども、先生、この生活大国づくりの公約についてどう評価をしておられ、そして平成四年度予算の中にこれがかなうものであるのか、そういう観点からどういうふうな見方をされておりますか、お述べをいただきたいと思っております。
  48. 河野光雄

    ○河野公述人 難しい話なんですが、私は、何とか大国という言葉を使うのは大嫌いなものですから、経済大国だとか生活大国だと。大国になるために何かをするのではなくて、今我々が働いて得ている果実がたくさんあるわけですから、GNPというもの。それを生活の質を変えるために、よりよくするために、量じゃなくて質を、そのために生活をさらに今までよりも豊かにするんだというんだったらよくわかる話だと思うのですね。  それで、ちょっと御質問の趣旨と外れるかもしれないのですけれども、国内でそういう生活を豊かにするための施策を、片一方で相当巨額の投資を行って進むことになっていますね。しかし、同時に私が申し上げておるのは、国際貢献ということを申し上げて、財源が同じだとすれば、国内を削って向こうにやらにゃいかぬかという話になってくるわけですね。どっちをとるかという話になるのですが、確かにそういう側面があると思いますけれども、しかし、国民が考えている質の向上ということは、やはり資源を浪費しないとか、幾つかのことが今相当国民にもわかりつつあることだと思うのですね。余計に物を浪費することが生活の質を上げることだの生活大国になることとは全く違うんだということが、価値観の転換が行われる必要がありますからね。そのことを考えてみれば、全人類のためにどの程度の貢献ができるかわかりませんよ、貧者の一灯ぐらいのことかもしれません、日本がリーダーシップをとったって。しかし、とにかくそこに乗り出すということは、それを若干のものを割きながら、国内で本来なら使えるべき資産、資源を向こうに割くことは、決して国内の生活を豊かにすることの足を引っ張るんじゃなくて、それを全部ひっくるめて、一国平和主義がだめだと同じように、一国経済・生活大国主義もまた通用する話ではないと僕は思いますから、それだけのウエートを日本経済は持っているわけですから、世界の中で。ですから、それは両方を追うことは実は矛盾しているのではなくて、知恵をつけながら、国民の同意を得ながらそれを進めていくということが一番正しい選択ではないかと私は考えております。
  49. 高木義明

    ○高木委員 私たちは、生活大国づくりではなくて、生活先進国づくりをしよう、こういうふうに訴えておるわけであります。  バブル経済の中で資産格差が拡大しておるということでありますけれども、先生、そのための、これを解消するための対策について何かお考えがあればお聞かせいただきたいと思っています。
  50. 河野光雄

    ○河野公述人 一番端的なのは、地価の高騰。それは今は随分修正されつつありますけれども、しかし、あれに起こった資産格差の拡大というのは奇想天外なものですよ。ほとんど普通の社会的な正義感からすれば、許すべからざることが現に起こってしまった。その修正過程が始まっているけれども、なかなか簡単にはいかないだろうというのが、今現実的な見通したと思うのですね。  そこで、ただ、一連の動きの中で、地価税もその役割の一端を果たしたと思いますけれども、土地神話というものが僕は七割から八割方これで消滅しつつあるのではないかと思うのですよ。株はどうせ上がったり下がったりすることはわかっていますから、一般国民も投資家も。しかし土地だけは、どっかで踊り場があろうと必ず右上がりカーブ、これ間違いなしということになっていたのが、諸般のいろいろな政策が実行されたことによって、そのことをかなり懐疑的にみんな見るようになったということは、土地をベースにした資産格差の拡大ということに対して物すごい歯どめがかかった、最低限。これは歓迎すべきことだと思うのです。しかし、生じてしまった土地格差というものは、やはり物すごく大きいのですね。  それを是正するのは、今度の税制改革の中にもありますけれども、相続税の問題がありまして、これは税の思想からすれば、相続税をどう取るかということは、社会正義の観点から生涯にわたった所得を最後のところでもう一回再配分するという考え方であの税金がかけられているわけですから、そこで、今度の相続税のあれについては激変緩和ということがあって、しかも地価税というのは大蔵省が余計税金を皆さんからいただいてポケットに入れるということを目的としませんでしたから、地価税導入によって浮くであろう四千億の金を相当有効に地価対策に使うということで今度は予算をつくってありますけれども、しかしそれでもなおかつ一般ちまたの声にあるのは、相続税は重過ぎるという話なんですね。  しかし、余り精査しないで議論を展開するのは間違いかもしれませんけれども、今程度の負担というのはある程度格差是正のためにはやむを得ないところがある。よく三代相続すれば財産パーになるという話が、これは俗説なんですけれどもあるのですよ。それは選んで正確ではないのですけれども、負担の重いことは事実ですね。しかし、そうでもしなければ、生まれた格差の是正の方法なんというのはほかには考えられませんよね。  ということがあるので、相続税の問題は、今回は暫定的な激変緩和ということで税制改革が仕組まれてはおりますけれども、これから長期にわたって、今先生おっしゃった観点から、国民の同意を得ながら、難しい作業ですけれども、やらざるを得ないのではないかというふうに考えます。
  51. 高木義明

    ○高木委員 伊藤先生にお尋ねを申し上げます。  現在のPKOの法案につきましては、参議院で継続審議扱いになっておるわけです。昨今、一部にはPKO法案を今国会で成立させるために、PKFへの参加を凍結して成立させるべきだ、こういう声も出ております。PKFを抜いてのPKO参加は果たして国際的な理解が得られるのかということについては私は疑問が残るわけでありまして、PKFへの協力が不可欠ではないかなというふうに思いますけれども、先生のお立場としてこの問題についてどのようにお考えでありましょうか。
  52. 伊藤憲一

    ○伊藤公述人 お答えいたします。  そういうレベルで今、国会の議論が行われているということは承知しておるわけでございますが、私は、今世界がこれだけ激変する中で日本の新しい方途を模索するという立場から申しますと、PKOの中からPKFを落としますと、PKOというのは平和維持、停戦監視、その後選挙監視というふうになっていくわけでございまして、よく火事の例に例えるわけでございますが、PKFというのは火事の消火に参加しようというのに対しまして、停戦監視団というのは火事場の後始末、選挙監視団はそこに新しい家を新築することになったときの棟上げに参加するというようなことでございますから、いかにも火事が終わった後の火事場泥棒が来ないように監視するところとか、棟上げのお祝いに駆けつけるとかいうところしかやらないという意思を日本が今の段階で明示するということ。つまり、やはりこれはPKFがPKOの中心であるにもかかわらず、そして選挙監視や停戦監視であればもう既に日本の文官、文民が参加している実績があるわけでございますから、とにかく自衛隊を外に出す実績をつくりたいというような観点からの審議の方向であるとすれば、これは国会の与野党の諸先生方の御見識にゆだねられて国民はそれを見守っている状況でございますが、一国民としての私の立場から申しますならば、ここはやはり自衛隊を堂々と世界平和維持の国連の指導下の活動に参加させるというふうに踏み切っていただきたい、かように考えております。
  53. 高木義明

    ○高木委員 藤井先生にお尋ねをいたしますが、先生の書かれた文献を拝読をさせていただきました。その中で先生が自衛隊縮小論を唱えられておられるのを見ましたけれども、そうであるならば具体的にはどの程度縮小すべきだと考えておられるのか、そしてまたその根拠は大体どういうものなのか、お示しをいただければ幸いでございます。
  54. 藤井治夫

    ○藤井公述人 お答えを申し上げます。  私は、自衛隊は半減できる、そういう文章を発表したこともございますが、つまり冷戦の終結、さらにソ連の崩壊ということの中で、従来ソ連の脅威に備えるとして次々やってまいりましたことがございます。つまり、一九八〇年に、鈴木総理のころにシーレーン防衛一千海里、これが入ってまいりましたし、それから中曽根総理のころには三海峡封鎖とかあるいは日本列島を不沈空母にする、こういう戦略も出てまいりましたし、それから、前の中期防におきましては北方前方防衛あるいは洋上防空、こういうのが出てまいりましたが、これは全部見直していい、そういう状況だと思います。  そういうものにどれだけのお金が投じられているか、これは厳密にまだ計算しておりませんが、大体今まで自衛隊が任務としていたことは相当程度削減できる。例えば航空自衛隊のスクランブル、これは必要かどうか、これも全部見直していいと思います。そういう点から申しまして相当程度の削減が、思い切った削減が可能であり、そのことは、日本が思い切った国際貢献をできる、その財源を得ることができるということを意味しておると思いますので、具体的にどういうふうにして予算をカットしていくのか、それをどう組みかえていくのか、こういう問題については十分調査しなければなりませんが、私は、大体十年計画ぐらいで相当のことが可能であろう、実現できるというふうに思っております。アメリカの九七年までに三〇%、そういうことはできないと思いますけれども、四分の一削減を十年でやるというのであれば可能じゃなかろうかというふうに思っているわけであります。
  55. 高木義明

    ○高木委員 時間も参りましたので、これで終わります。どうもありがとうございました。
  56. 中山正暉

    ○中山(正)委員長代理 これにて公述人に対する質疑は終了いたしました。  公述人各位におかれましては、貴重な御意見をお述べいただき、まことにありがとうございました。全議員になりかわりまして厚く御礼を申し上げます。  午後一時三十分より再開することとし、この際、休憩いたします。     午後零時三十三分休憩      ――――◇―――――     午後一時三十分開議
  57. 山村新治郎

    ○山村委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  この際、御出席の公述人各位に一言ごあいさつを申し上げます。  公述人各位におかれましては、御多用中にもかかわらず御出席を賜りまして、まことにありがとうございます。平成四年度総予算に対する御意見を拝聴し、予算審議の参考にいたしたいと存じますので、どうか忌憚のない御意見をお述べいただきますようお願い申し上げます。  御意見を承る順序といたしましては、まず熊谷公述人、次に松本公述人、続いて吉田公述人の順序で、一人二十分程度ずつ一通り御意見をお述べいただきまして、その後、委員からの質疑にお答え願いたいと存じます。  それでは、熊谷公述人にお願いいたします。
  58. 熊谷金道

    ○熊谷公述人 私は、全国労働組合総連合、略称全労連の事務局長熊谷金道です。  新年度政府予算案並びに関連する政府の施策について意見を申し上げたいと思います。  まず初めに、新年度政府予算案については次の三点の理由から反対であり、国民生活優先、生活大国の立場で、抜本的に組み替えを行うべきとの意見を持つものです。  その理由の第一は、世界的な軍縮、軍事費削減に逆行し、依然として軍拡を推進するものとなっているからです。東西の軍事ブロックの対決を基調としてきた国際政治のこれまでの枠組みは今大きく変化し、平和と軍縮を求める世論が世界の流れとなっています。現に、アメリカでも一月末に議会に提出された九三年度予算案では、国防費が前年度比でマイナス三・四%と削減案が出され、今後五年間に五百億ドル削減する方向が打ち出されています。ドイツでも九三年から二〇〇五年までの国防予算を二七%削減するとの政府方針が明らかにされています。  ところが日本政府は、こうした世界の流れに逆行し、新年度予算案においても軍事費を特別扱いして、一般会計の伸び二・七%を上回る三・八%増の予算を計上するなど、軍拡を継続しようとしています。この結果、予算全体に占める軍事費の比率は前年度より増大し、六・三%にもなっています。私は、米ソの冷戦構造を前提とした中期防衛力整備計画を廃棄し、軍事費の大幅な削減を行い、それを国民生活関連予算に振り向けることを求めるものです。  第二には、対米貢献予算案となっていることです。それは一九七八年から始まった思いやり予算としての在日米軍駐留費負担がついに中小企業対策費を上回ったこと、また、二国間援助の半数以上がアメリカの軍事援助先国となっている政府開発援助、ODAが七・八%もの高い伸びとなっていること、さらには日米構造協議に基づく公共投資、しかも大企業に大きな利益をもたらす大型プロジェクト中心の公共投資の拡大が高い伸びとなっていることなどからも明らかであり、私はこの抜本的な見直しが必要であると思います。  第三に、何よりも問題なのは、こうした軍事費と対米貢献優先の一方で、国民生活関連予算が大きく圧迫された予算案となっており、生活大国を目指す予算とはおよそかけ離れた内容となっていることです。とりわけ第二次臨調以降は、国民生活関連予算が著しく引き下げられています。例えば、第二次臨調以前の一九八一年予算と今度の予算案を比較してみるなら、軍事費や経済協力費が二倍前後にふえているにもかかわらず、中小企業対策費や食糧管理費などは金額的にもマイナスとなっており、社会保障関係費や文教科学振興日の予算に占める割合もマイナスとなっています。  私は、こうした政府予算案については、宮澤首相が真に生活大国を追求するというのであれば、軍事費を削って暮らしと福祉、教育の充実を図る方向で抜本的に組み替えること、低所得者層ほど負担が大きい消費税の廃止を強く求めるものです。  次に、国民生活の改善、生活大国に関連しての意見を幾つか述べたいと思います。  宮澤内閣が真に多くの国民が豊かさを実感できる生活大国を目指すというのであれば、私は、低所得者層の問題にもっと目を向け、経済大国にふさわしい国民生活の底上げに政府として力を注ぐべきだと思います。  この点では多くの課題があると思いますが、その一つとして重視すべきは、老後生活を安心して送るための最低保障年金の創設など社会保障の充実を図ることです。我が国の憲法は、健康で文化的な最低生活を国民に保障することを国の責任として明らかにしています。労働省を初め多くの研究機関によっても、老夫婦二人の生計費はおおよそ月二十五万円と言われています。ところが、今日本全国にいる老齢年金受給者約千五百万人のうち五六・八%の八百七十万人の人たちは一カ月二万八千円から三万一千円の年金しかもらっていないのです。拠出制年金の三万一千円という水準は、九一年度の生活保護基準の四五%にしかすぎないのです。私は、すべての国民に掛金なしで支給される最低保障年金制度の創設など、国の責任で年金水準の抜本的な改善を図ることが重要になっていると思います。  また、私が国民生活の底上げという点で特に強調したいのは、勤労国民の圧倒的多数を占めている雇用労働者、とりわけ中小零細企業に働く労働者の劣悪な賃金水準を改善することの重要性です。我が国の労働者の賃金が、名目上はともかく、購買力平価による実質賃金では先進資本主義国の中でも極めて低い位置にあることは労働省の調査などによっても既に明らかにされているところですが、特に問題なのは、賃金の企業規模格差が余りにも大きいということです。例えば、一時金を含めた年間給与で見るなら、五千人以上の企業を一〇〇とすると、十人未満の企業ではわずか五四・一%であり、十人以上三十人未満企業で六七・八%、三十人以上百人未満企業では六八・五%と極めて低い賃金水準に置かれています。しかも、四千数百万人の雇用労働者の半数以上の約五五%、二千五百万人の労働者がこうした百人未満企業で働いているのです。したがって、こうした中小零細企業に働く労働者の賃金、労働条件を大きく改善することは我が国の労働者全体の労働条件の改善と国民全体の生活向上など、経済大国にふさわしい国民生活を実現していく上での極めて重要な課題となっています。  ところが、労働省の調査によっても、こうした百人未満企業の労働者の労働組合組織率はわずか一・八%にしかすぎないのです。ちなみに千人以上企業の労働者の組織率は五八・七%となっています。労働組合のある企業とない企業とでは労働条件に大きな格差があることは、地方自治体などによる労働条件調査等によっても具体的に明らかにされています。したがって、このような状況に置かれている中小零細企業の労働者の賃金、労働条件の改善のためには、下請単価の抑え込みなど大企業による下請いじめの規制とともに、現行の最低賃金法の抜本的な改善と最低賃金の大幅な引き上げ、そのための国による助成措置の確立などが重要になっていると思います。  また、パート労働者が増大しているもとで、その労働条件の改善、とりわけ賃金の大幅引き上げのためには、現在百万円以下に据え置かれ、法定の最低賃金からも税金を取っている課税最低限の大幅引き上げが極めて切実な要求となっています。  さらに、生活大国の内容として、ゆとり、豊かさの実現が言われています。確かに、ゆとり、豊かさは多くの労働者、国民の切実な要求であり、私たちも「人間らしく生き、人間らしく働く」ということをことしの春闘のスローガンとして、その実現を追求をしています。この点でまず申し上げたいことは、労働者や国民はみずから進んでゆとり、豊かさを放棄したり、失ってきたのではないということであり、だれが、何が労働者や国民からゆとり、豊かさを奪っているのかを明確にする必要があるということです。  私は、その一つは、新年度政府予算案にも示されているような軍拡優先で、軍事費などは聖域化しつつ、国民生活に深いかかわりを持つ社会保障、福祉などを自立自助、受益者負担の名により切り捨ててきた臨調行革路線にあると思います。また、国民生活審議会の中間報告でも指摘されているように、土地や住宅を労働者、国民の手の届かないものとしてしまったバブル経済に象徴されるような大企業の横暴と、それを容認、推進してきたこれまでの自民党政治にあると思います。とりわけ大企業の利益第一主義は労働者に低賃金と長時間・過密労働を押しつけ、労働者からゆとり、豊かさを奪い、カローシが国際語となるような異常な日本社会の状況をもつくり出し、国際的にも経済摩擦の主要な原因として批判の的とされてきています。  長時間・過密労働は今やすべての産業分野で深刻な問題となっていますが、中でも長時間労働のワースト産業と言われているトラック運輸労働者の状態をこの機会に若干紹介したいと思います。  全日本トラック協会による平成四年版のトラック運輸事業の賃金実態報告書によると、特積みと言われている長距離路線の牽引運転者の所定内労働時間でも月間で百七十九・九時間、年間二千百五十八・八時間となっており、これに月間で六十八・六時間、年間で八百二十三・二時間にもなっている所定外労働時間を加えた年間総労働時間は三千時間近くにもなっています。また、地域別の集計によると、名古屋圏ではさきに触れた牽引運転者の平均所定内労働時間が百八十四・九時間、所定外が百三十四・四時間、年間総労働時間にすると三千八百時間を超えているという驚くべき長時間労働の実態が明らかにされています。  こうした長時間労働の実態は、さまざまな法違反をも引き起こしています。行政機関が把握できた法違反だけでも、運輸省の自動車局による貨物自動車運送事業法、道路運送法違反状況調査によって、ここ五年間で過労防止違反が約二倍、過積載防止違反が二・七倍と増大していることが明らかにされています。また、労働省の労働基準局長名で昨年の十一月に出された通達文書によっても、自動車運送事業においては、依然として他産業に比べ長時間労働の実態となっており、また、監督実施事業場の約七〇%において何らかの労働関係法令違反が存在していることが指摘されています。  日経運など財界は、労働時間短縮は行政主導ではなく労使の自主交渉でということを主張していますが、私はこうした実態を抜本的に改善し、労働時間の短縮を進めていくためには、労使交渉に任せるだけではなく、労働者に長時間労働を強いている産業構造のあり方や、ジャスト・イン・タイム方式などの改善と労働基準法改正などによる労働時間についての法的規制の強化が不可欠であると思います。  私ども全労連の加盟組織にこうしたトラック運輸労働者を組織している全日本運輸一般労働組合がありますが、この組織の調査によると、高速道路におけるスピード違反の原因の二四%が荷主の着時間指定によるとされていますし、通産省の下請振興基準の改善やさきの労働省の通達も、トラック運転者の長時間労働の一因として、荷主からの発注のあり方についての指摘がされています。また、昨日中小企業庁が発表した調査結果によっても、依然として元請と下請の関係が改善をされていないということが明らかになっています。こうした産業の労働者の労働時間短縮が労使関係だけでは促進されないことを物語っていると思います。まして、我が国の労働者の組織率が二十数%と、圧倒的多数の労働者が労働組合に組織されていない状況からいっても、法的規制の強化が労働時間短縮のかぎを握っていると言えます。  政府は、今国会に労働時間短縮促進法案を上程するとしていますが、この法案につては、既にマスコミ報道によっても、経営者側の労使自治を盾にした反対に遭って、労働省の勧告権など基本的な部分が骨抜きにされたと言われています。  私は、政府が真に生活大国とゆとり、豊かさの実現を追求するというのであれば、その最大の課題である労働時間の短縮に向けて、こうした実効性の伴わない労働時間短縮促進法案ではなく、労働基準法の抜本的な改正を積極的に行うべきだということを強く主張するものです。  以上をもって私の意見表明を終わらせていただきます。どうもありがとうございました。(拍手)
  59. 山村新治郎

    ○山村委員長 ありがとうございました。  次に、松本公述人にお願いいたします。」
  60. 松本進

    ○松本公述人 ただいま御紹介をいただきました松本進でございます。  私は、現在、大阪商工会議所の副会頭でございますが、日本商工会議所の中小企業委員会の委員長を務めております。  本日、平成四年度予算案に関しまして、皆様の前で意見を申し述べ谷機会を与えられましたことを大変光栄に存ずる次第でございます。  世界は今、政治、経済の大きな局面に差しかかっておりますが、経済大国になった日本が国際社会においてどのような貢献ができるかに世界の人々の目が集まっております。加えて、米国を初めとする先進諸国の景気低迷ないし後退の中で、日本がどのような政策をもって景気の立て直しに取り組むのか、これもまた国際経済の将来を左右する要因として注目の的であります。それだけに、当予算委員会初め国会において、これらの問題について実りある審議が行われることが大いに期待されるところでございます。  さて、本日の主題であります予算案に関してでございますが、私は、景気後退下での予算編成、特に大きな環境変化に直面して苦悩している中小企業から見ての予算案という点にスポットを当てて意見を申し述べてみたいと存じます。  まず、現在の景気状況につきまして、実業人としての私の実感を含めて御説明申し上げます。  現下の景気は、さまざまな経済指標、企業経営者である私の実感から見まして、相当深刻な状況にございます。例えば、日本商工会議所が全国の、二百六十五商工会議所がございますが、これを通じまして千八百七十一の業種組合に対して毎月実施しております早期景気観測調査におきまして、業況判断指数が昨年九月以来マイナス二けたの低い水準で推移し、本年一月末の調査ではさらにこれが悪化をいたしておるわけでございます。  ここで言います。況判断指数というのはいわゆるDI値で、増加あるいは好転と答えたものの割合から減少あるいは悪化と答えたものの割合を差し引いた数値のことで、ゼロが基準となり、これが先ほど述べましたようにマイナスの値となるのは、業況悪化と答えたものの割合が好転と答えたものよりは多いことを示しておるわけでございます。  先行き指標を見ましても、指数は一層低くなっており、企業マインドが冷え込んできていることをうかがわせるわけでございます。このような景気後退感は、地域別に見たとき、東京や大阪の大都市圏域で一層苦しいものがあると見られるわけでございます。  私は、先刻申しましたように大阪で事業を行っておりますので、特に大阪の事情につきつけ加えさせていただきます。  大阪商工会議所では、四半期ごとに経営者の景況感を調査いたしておりますが、本年一月から三月期の国内景気につきましては、下降と見る企業の割合が六八・一%と半数をはるかに超えておヅ、上昇と見る企業はわずかに二・六%でございます。  また、自分の会社の業況につきましては、昨年十月から十二月期には上昇と答える企業が二割近くあり、まだ比較的強気のところも見受けられたのでありますが、これも本年一月から三月期では、上昇するという企業が一割強に対しまして、下降するという企業が四割以上という状況でございます。昨年末公定歩合が引き下げられましたので、これが企業マインドの回復にどうつながるのかを注視しているところでありますが、大阪では一向に上向く気配がございません。  大阪は中小企業のメッカと言われるように企業家精神に富んだ中小企業が多く、これが大阪経済発展の原動力となってまいりました。これらの中小企業は、また景気動向に非常に敏感でございます。それだけにこうしたデータは、景気に対する中小企業の生の声を極めてリアルに反映をいたしておるものでございます。  次に、全国各地に配置されております商工会議所の経営指導員が、日常指導業務の中で把握しております状況について御説明を申し上げます。  商工会議所では、かねてから政府系金融機関とタイアップいたしまして、小企業向けの融資をあっせんをいたしております。この動きを見てみますと、平成二年度は設備投資の需要が多く、これへの融資が大幅に増加をいたしまして、運転資金と設備資金の融資比率はほぼイーブン、半々の状態でございました。ところが、平成三年度は、設備資金の融資額は減少一途となり、融資総額に占める設備資金の比率は、七月から九月期三四%、十月から十二月期二六%と急減をいたしております。年を越しましてからも、平成四年になりましてもこの傾向が続いておりまして、中小企業の設備投資が今後さらに冷え込むことを懸念いたしておるのでございます。  また、運転資金にいたしましても、手形や買い掛け決済、諸経費の支払いなど後ろ向きの資金需要が多くなってきたのが特徴と申せます。今後資金繰りが厳しくなることを見越しまして、早目に資金手当てをしたいとの意見も強く出てきているような状況でございます。  融資相談をしております経営指導員の話にょりますと、経営上の問題にしましても、これまでの悩みでありました人手不足や人件費高に加えて、売り上げ不振や受注不振と答える企業のウエートが増してまいりました。景気は深刻な状況にあることを御理解賜り、金融対策も含めまして早目早目に手を打たれますよう、この場をかりましてお願いを申し上げる次第でございます。  私個人といたしましては、これは日銀の問題ではございますけれども、さらなる公定歩合の引き下げも必要であるというふうに確信をいたしております。  さて、このような景況の中で編成をされました平成四年度予算案であり、その特色はいろいろ言われておりますが、一般会計歳入に関しましては、国債発行は七兆二千八百億円が計上されており、国債依存度は一〇・一%と二けたの値に達しておること、歳出の面では公共事業費が六兆九千四百八億円と、一般会計予算の伸び二・七%を上回る五・三%の増加となっている点などは注目に値する特徴であると存じます。景気後退という厳しい事情を考えますと、国債の積極的活用、公共事業費の増額は当然の措置であり、私どもは予算の前倒し執行など景気対策をしっかりやってくれと声を大にして叫びたいところでございます。  ところで、予算案に対する多くの方々の論評に加えまして、私は中小企業を代表する立場において、予算案に見られる中小企業対策について少々意見を申し述べてみたいと存じます。  実のところ、予算案中の中小企業の対策費というのはまことに小さな金額でございます。いわゆるゼロシーリングが行われましたのは昭和五十七年度でございますが、このとき中小企業対策費は二千四百九十八億円でございました。しかるに、その後、マイナスシーリングということになり、この額は削減され続け、平成元年度には千九百四十二億円というありさまになりました。平成四年度予算案においては、千九百五十六億円計上されました。農業関係の予算と格段の差があるわけでございます。これは予算総額のわずか〇・三%でございます。それでも平成三年度に比べまして六億円の増加となっております。なお、石炭石油特別会計において、中小企業物流効率化関連で一億円が計上されており、これを加えますと七億円の増加となります。このような増加は、何と昭和五十六年度以来の実に十一年ぶりの高い伸び率でございます。  今さら申すまでもないことでございますが、近年における経済環境の大きな変化、特にハイテク化、情報化、さらには消費者ニーズの多様化、地域社会の変貌は、中小企業の今後の進むべき方向につきまして大きな問題を提起いたしました。これに加えて人手不足、しかも景気後退下でもなお人手不足という雇用情勢は、中小企業の経営にはかり知れないほどの影響を与えております。中小企業は、経営の合理化とともに、いわゆる時短にも前向きに取り組まないと、多分大きな潮流に取り残され、落後せざるを得ないことになりましょう。  また、最近、改正大店舗法が施行されました。中小規模の小売商店は、大型店との競争の中でその経営にどのような特色を打ち出すか、商店街の活性化をどのように進めるべきか、まさに大きな問題に直面をいたしております。  こうした状況の中での中小企業対策として、地域や伝統にはぐくまれた技術等を活用した中小企業の創造的発展、地域に魅力ある産業の形成など地域中小企業の活性化、コスト上昇に直面する物流の船路打開の一策としての中小企業の物流共同化、効率化、そして魅力ある商店街、商業集積づくりなど新しい課題が打ち出されまして、関係者の御尽力により、前に申し上げましたような予算案の増額と相なった次第でございます。  なお、来年度の税制改正におきまして、かねてより中小企業が求めておりました事業承継税制の一端として、相続税について課税最低限の引き上げなどの改正を行うことで国会に提案されることになりましたが、中小企業者による事業承継の環境を申し上げますと、地価は相変わらず高水準にあり、地価税、固定資産の評価がえなど、路線価格の高どまりで実勢価格よりも路線価格の方が高いというふうな現在の情勢下におきましては、中小企業者にとって負担感は大変重く、物納をせざるを得ないありさまであります。こうした事情を十分認識をいただきまして、今後とも特段の御配慮をお願い申し上げます。  増税、国債増発という厳しい状況下の予算編成におきまして御配慮いただいた中小企業対策でありますだけに、一日も早く予算案が成立し、実施に移されますよう切に希望をいたします。  なお、景気の現状を説明いたしました際、商工会議所が実施しております小企業向けの融資、いわゆる経営改善資金のことを申し述べましたが、この資金は貸付規模が五千五百億円、金利は現在五・七五%で、貸付期間は設備資金が五年、運転資金が三年となっております。この貸付期間は実は昭和五十八年以来変わっておりませんが、貸付限度額はこの間に三百五十万から五百万に引き上げられておりますことを考えますと、貸付期間について、その延長など何らかの手が打たれるべきではないかと思っております。これは今後のことではございますけれども、以上のような事情を御賢察いただきまして、一層の改善にお力添えをいただきたく、あえてここでお願いを申し上げる次第でございます。  予算案につきましては、特に中小企業の立場からいろいろ申し上げましたが、我が国経済社会の大きな変化の中で、中小企業がその明るい未来を模索しているとき、平成四年度予算案に盛られた政策が、あすの経営を築く強力な支援策として、中小企業の経営者、従業員から期待されているのは疑いようのない事実でございます。  それにつけても思いますのは、この予算案が国会に提出されてからほぼ一カ月間経過いたしております。世上、年度内成立は無理、暫定予算必至と言われておりますけれども、このようなことは、景気後退下で全国の中小企業者、召すべての国民が予算にかけた期待を裏切るものと言わざるを得ません。与野党挙げて現下の諸情勢を御認識いただき、世界における日本の立場を御勘案いただきまして、予算案の早期成立に向けて御努力を賜りますよう心からお願いを申し上げまして、私の意見陳述を終わらせていただきます。  御清聴どうもありがとうございました。(拍手)
  61. 山村新治郎

    ○山村委員長 ありがとうございました。  次に、吉田公述人にお願いいたします。
  62. 吉田忠雄

    ○吉田公述人 現代の世界は激動しております。その中で社会主義が確実に消滅しつつあるのであります。幾つかの国は無形文化財の形で残るかもしれませんが、社会主義が消滅しつつあることは現実の問題であります。その中で新しい価値観を持つものとして登場してきたのは自由それから連帯ということでありまして、私はそれは友愛主義と呼べるものではなかろうか、こう思うものであります。  こうした中で、我が国の明年度の予算につきまして、私は概して、大まかに申しますならばよくできておると思いますが、しかし長期的な見通しを持った場合に、なお正すべき点が幾つかあろうかと思うのであります。それらの点で五点、五つの点で意見を公述したいと思うものであります。  第一は、予算の問題以前の問題とも言えますが、PKOにつきまして速やかに成立させていってほしいということであります。  私は、この現在のPKOの日本の国会での審議の過程を見ておりまして、ちょうど国際連盟が崩壊したその後を思い出すものであります。国際連盟の崩壊、主なものはアメリカと日本の行動にありました。アメリカは、民主党の大統領ウィルソンが提唱し、あのベルサイユ条約について共和党が反対いたしました。いわば党利党略によってまずアメリカが脱落したということであります。やがて一九三三年、日本は国際連盟を脱退いたしました。世界の平和を踏みにじるような行動。今もし我が国がこのPKOに賛成しなかったならば、まさに国連を脱退するかのような印象を多くの国々に与えると思います。総理は、国際貢献と生活大国、同時に政治改革を約束されました。国際貢献という点で、私は、小異を捨てて大同について、速やかに成立させていってほしいと思うのであります。  この点でいろいろな政党、賛否いろいろあるようでありますが、お手元に私の書きましたものがございます。イミダスというもので、私は社会主義ということと社会思想に重点を置いて書いてまいりました。その中で社会主義インターというものが三百八十七ページに書いてございます。世界の主要な資本主義社会を改革しようとする政党が入っておりまして、我が国ではここに書いてありますとおり日本社会党、日本民社党、二つが加盟しております。  昨年の三月、オーストラリアのシドニーで社会主義インターの首脳会議が開かれました。そのときに、湾岸戦争が終わったばかりでありますが、その折、安保理事会の決定に基づく力の行使はやむを得なかったという決議を全会一致で採択しております。現代用語で申しますならば、PKOに賛成したということであります。日本社会党も公式に賛成いたしました。民社党も賛成いたしました。  なお、この社会主義インターにつきましては、今共産党も申請中であります。例えばヨーロッパの盟主とも言われたイタリア共産党は、社会主義インターに加盟申請中であり、東欧諸国の共産党も申請中であります。私は、社会主義インターがこれに賛成したということを考えまして、速やかに小異を捨てて大同につき、PKOを実現していっていただきたいと思うのであります。これが第一点であります。  第二点は、防衛費の予算についてであります。  私は、これにつきましては大変よくできている予算である、したがって防衛予算は無制限に削減すべきではない、こういう基本的な考え方を持っております。来年度の防衛予算につきましては、今から一年ちょっと前、一昨年の十二月に策定されたものでありまして、検討してみますと、今日の状態をほぼ予想してつくられた、正面装備を抑制し、後方を重視するすぐれた予算だと思うのであります。  第三点、これから日本が立ち向かっていく大きな課題として、高齢化社会がございます。  今回の予算で私は喜ばしいと思いましたものは、医療費の伸びが他の予算と比べて比較的大きく伸びている、このことを喜ぶものであります。高齢者に対する対策、例えば高齢者対策の中心になるものは私は看護婦さんだと思います。ナースセンターが高齢者を迎え入れ、やがてナースセンターから各世帯、高齢者の世帯に出かけていって介護していく、このことが中心になると思うものであります。  昨年の九月、約一カ月ほど私は北欧諸国の高齢化対策の調査をしてまいりました。その折強く感じますものは、この看護婦さんが中心になっているということであります。しかも、看護婦さんの志望者はかなり多い。日本の場合には、看護婦に対する対策はかなり手薄であります。北欧諸国の看護婦の給与水準は医師の大体三分の二であります。そして、労働時間並びに休暇制度も十分整えられております。  例えば、これは出生率とも関係がございますけれども、最近スウェーデンでは出生率が少し上がっております。それを調べてまいりますと、大きなポイントになるものは育児休暇制度であります。育児休暇制度はこの衆議院でも御賛成いただいて、ことしの四月から発足するのでありますが、我が国の場合には、多くの制度はあるけれども中身が余りないのであります。例えばスウェーデンの場合は、育児休暇は父親でも母親でもどちらでもとれる体制になっておりまして、我が国の場合でもそれはできておりますが、四百五十日間の休暇制度が整備されております。ことし四月から発足するものは一歩前進でありますけれども、さらなる前進を踏まえた上で予算を講じていただきたい。特に看護婦の養成のために、私は看護大学あるいはそのほかのいろいろな教育の場で養成していただきたいと思うのであります。  今日、我が国で看護婦は、就職する者も多いけれどもやめる者も多く、まるでざるであります。しかも、労働条件が悪いということで次々とやめていっているのでありますが、これらの点で、医療費の増額以外に、とりわけ看護婦に対する温かな政策を実施していっていただきたいと思うのであります。これが第三点でございます。  第四点は、外国人の労働力の問題であります。  私は、お手元にこの外国人労働力の問題について書きましたものをお届けしてございますけれども、新奴隷制度にならないためにも――ちょっと失礼いたしました、これは次のものでございまして、今の発言、用意したのですが、お手元にはお配りしなかったのでありますけれども、私は、ヨーロッパ諸国あるいはアメリカでは外国人労働力を安易に入れて、新奴隷制度に似たものができてしまったと思うのであります。それを後悔しております。日本もこのまま放置するならば、例えばソ連から、あるいは中国から、さらに将来北朝鮮から、体制が崩壊しつつ多数の人々が難民として来る可能性なしとはしないと思うのであります。  そうしたことのために、私は、日本で秩序ある外国人労働力を受け入れるために、総枠の設定、それからその間、三Kの仕事ではなしに技能を習得していただくという、この点でも日本が国際貢献できるわけでありますが、技能を習得していただく、これが第二点。第三点は、とりわけ社会保障制度の充実であります。今これらの人々に対しまして、健康保険も、病気になったときもほとんど手が尽くされず、まして退職金は出ないのであります。日本人並みの社会保障制度を整備していただきたい、私はこれは速やかに整備していっていただきたい課題だと思うのであります。  そうして第五点、お手元に資料を差し上げてございますものでございまして、韓国人従軍慰安婦の補償の問題でございます。  日本は、これまで多くの戦争の痛手を受けた人々に対しまして潔い態度をとってまいりませんでした。私はその点見事だと思うのは、アメリカ並びにカナダだと思うのであります。アメリカでは日系人を強制収容いたしました。カナダではもっとひどいことをやりました。強制的に退去させただけではなしに、持っていた財産その他を没収してしまっためであります。やがてカナダは、アメリカの政策と運動しておりますけれども、お手元に差し上げました、これが本物でございます、公式な謝罪文であります。そのコピーがお手元に縮小されてございます。カナダ政府は、過去の「不正の数々を承認することにより、過去に行われた越権が非難されるべきものであることここう言って、一人当たり約二万ドル強の補償をいたしました。現在、韓国人の慰安婦の問題、日本の恥部の問題でございますけれども、私は、これらを調査した上、特にアメリカ、カナダ、これらの例を学んで、潔い態度をとっていただきたいと思うのであります。  私も戦時中戦争に参加した一人であります。しかし、この従軍慰安婦の問題は全く無関係であります。ただ、想像いたしますに、当時恐らくお金を支払ったとしても、日本の円であり、あるいは軍票であったはずであります。これらの心優しい女性たちは、ふるさとに残っている家族のためにお金をためたかもしれませんが、日本の敗戦によりましてこの円は全く入手することができない帆しかも、軍票は紙くず同様になりました。これらの人々に対しましてあるいはまたさらにいろいろな問題が出てくるかもしれませんが、日本として誠意を尽くして臨んでいただきたいということであります。  この五点についてお話を申し上げたのでありますけれども、全体として見まして予算は大変よくできておりまして、ぜひこれを若干の将来の見通しを持った上で通していただくことが妥当であると私は考えるものであります。  以上、簡潔でありますが、五点公述いたしまして私のお話といたしたいと思います。ありがとうございました。(拍手)
  63. 山村新治郎

    ○山村委員長 ありがとうございました。
  64. 山村新治郎

    ○山村委員長 これより公述人に対する質疑を行います。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。真鍋光広君。
  65. 真鍋光広

    ○真鍋委員 私は、日本にとりまして中小企業の存在というものはまことに大切、重要不可欠だというふうにつくづくと思っております。そういった意味合いにおきまして、松本公述人に少しく中小企業の問題に的を絞りまして御質問をさせていただきたい、こう思うわけでございます。  松本公述人は、大阪の商工会議所の副会頭さんであり、同時にまた日本商工会議所の中小企業委員会の委員長さんだ、こういうことでございます。先ほどのお話の中で、中小企業が現在の経済停滞といったものに対して大変悩んでおるということであり、また人手が不足する、コストがアップする、こういうことで大変苦しんでおるというお話。そういう中で、この予算を早く通してほしい、国会がとにかく全力を尽くして早く審議を終えてほしい、このような御要望をしかと承りました。我々はぜひ頑張っていかなければいかぬな、このように思ったわけでございます。  政治の役割というものは、努力した者が報われる、そういった社会をとにかく守り、そしてまたそういった社会につくり上げていくということだろうと思うわけでございます。そういう中で私は、やはり広い広い自由経済というその仕組みの中で、小さく生まれて、そうして努力次第でどんどん零細企業から中小企業、そして大企業に育っていく。戦後灰じんに帰した日本経済が、そういう中から今の大企業はどんどん育ってきたわけですから、そういった道筋が今の中小企業にも、これから新たに起業する方々にもどんどんその道が開けていかなければいかぬのじゃないか、このように思っておるわけでございまして、そうした夢物語の舞台を政治の力で確保していかなければいかぬ、こう思っておるわけでございます。とにかく中小企業者というものは、先ほどお話がありましたように企業家精神、自主独立の企業家精神、これが今だんだん日本では失われておるわけですね。ややもすれば、大企業病というのでしょうか、とにかく大企業に、勉強さえして、学歴がよくて大企業に入れば、後はそこにしっかりしかみつけば一生やっていけるわ、こういうことでございますけれども、大企業病、ぶら下がり病では日本民族が成り立たないわけです。何としても中小企業を守り育てていかなければいかぬ、こう思うわけでございます。  ところが、結局、中小企業というのはいろいろな意味でのしわを直ちに受けるわけでございます。先ほどお話がありましたように人手不足、とにかくこのごろの若い方は額に汗をしないで、できるだけきれいな高いビルのところに入って、時間も早く、夕方になったら会社から引けられるところ、そして給料が高いところということを望むわけでございます。そういう中で、中小企業はいずれかというと三Kということで嫌われがちだ、これは非常に残念なことでございます。宮澤総理の言葉でちょっと物議を醸しましたけれども、やはり日本においてどちらかというと失われつつあるのは、額に汗して働く、その倫理観というものが社会全体から失われつつある、これが大問題だと思うのです。三Kとして非常に中小企業が、特に工業が悩んでおるわけでございますけれども、このあたりについて、何とか中小企業、工業の方に人が集まるように、人材が集まるように、教育の問題も含めて、松本公述人に御意見があれば、お知恵があればひとつ承りたいと思うわけでございます。
  66. 松本進

    ○松本公述人 お答えをいたします。  中小企業が、今日の日本の経済は大変な繁栄をもたらしておりますけれども、それの基本的な働きを示してきた、かように考えております。自動車産業を含めましてすべての輸出産業の下請工場、ジャスト・イン・タイムに部品を届けるとか、中小企業の大変な企業努力は陰に隠れて出てまいりませんけれども、中小企業の大変な功績というものが今日の日本を支えていると言っても過言でないと私は考えております。  現在、御指摘のとおり若い人たちが高いビルに勤めたがって、時短の、週休二日制の大企業に就職しからであるということは、大変私自身も憂えておるわけでございます。しかし、実際面として、政府自体が時短とか、そういう時短のムードも大変あふり立てているわけですね、あふり立てているという言葉はちょっと語弊がありますけれども。というのは、これが中小企業に非常に人手難を招来している大きな原因である。ですから、どうしても長いものに巻かれろで、大手の企業に勤めたがるという安全性を、つまり中小企業はともかく人の倍働かなければ成り立たないわけなんですね。それを時短だ、時短だということでいくわけですから、人手はどうしても集まらなくなってくるという面がございまして、私自身、文書の中に、申し述べる中に入れたかったのですけれども、時短を強く言われるんなら、これはせめて、アルバイトで働く人の金が現在年に百万円、約百万円近いものが控除額ということになっておるわけですけれども、これが十一月、十二月になってきますと、アルバイトの人たちがもう百万円超すから働かない、税金がかかってくるから働かないということで、十一月、十二月に一番人手が要るべき中小企業のところでパートタイマーの従業員が極端に不足するというふうな状態が出てくるわけなんです。  ですから寸時短を労働省が言われるんであれば、やはり百万の控除額を百五十万に上げるというふうな措置をしていただければある程度の人手難というのは、そういう税制上から中小企業の人手難が多少ともまあまあ緩和されるんではないかというふうに考えておりまして、どうも大企業寄りの政策というのがたあっ士走っていって、そうしてそのしわが中小企業にすべての面で寄せられているという感じを非常に深くいたしております。
  67. 真鍋光広

    ○真鍋委員 平成四年度の中小企業関係予算というのは、そういう中では一生懸命努力した結果だ、こういう御評価がございました。この予算の話は、中小企業の数というのは大変多いわけでございまして、七百万社近いものがあるわけでございますから、なかなか予算として一件一件というわけにいかない。一番関心といいますか関係が深いのが金融面での措置、また税制の話だと思います。  そういう中で一つお伺いしておきたいのは、先ほどお話がありました経営改善資金、こういったものも強いて言えば政府金融機関融資体系の中に入ってくるわけですが、それもさることながら、主たるものはやはり民間金融機関だと思うわけです。この民間金融機関の最近の渋りが、金融自由化の進展の中でいずれかというと態度ががらっと逆に変わったんじゃないかということが指摘されておるわけです。つまり、これまで金融機関はいわば中小企業のよき相談相手、余り金を借り過ぎてはいかぬぞ、この事業ならこの程度ですよとお互いに相談しながらやっておった。ところが、いつの間にやら、お客さんはいわば牧場におる羊のようなもので、ここからいかにうまくたくさんの利益を、収益を引き出すか。借りてくれるのなら何でも貸す、国内の円でいいのにインパクトローンを貸してくれる。それは親切がなと思ったら、親切じゃない。こういうことで中小企業の皆さんが、少し金融機関の物の考え方が変わってきたんじゃなかろうか。そういう意味合いで、ある意味で変動期の不安というものを金融面で持っておられる、特に民間金融機関との関係でございますが。この点について御実感されておるところがあればお教えいただきたい、このように思います。
  68. 松本進

    松本公述人 お答えをいたします。  実は昨年、御承知のとおり公定歩合が三回引き下げられております。それで、私の方の会社も含めまして、バブル経済の華やかなりしころには、もう銀行の方から無条件に使ってほしいという話がございました。ところが、日銀が非常に金利を高く持ってきまして、そうして第一次の金利を下げて、第二次の金利を下げましたね、〇・五ずつ。これにスライドして大企業はそのまますっと〇・五下がっているのですけれども、中小企業には都市銀行でありながら言を左右にして貸し渋り、そうして金利も日銀が〇・五下げているにかかわらず〇・三ぐらいに下げ渋るという、そういうことが非常に強かった。事実、大阪商工会議所へも、そういう第一次、第二次の金利を日銀が下げられましたときに、中小企業の方から、さっぱり下がらぬではないか、公定歩合が下がっているにかかわらず都市銀行は下げないという文句がかかってきまして、時の支店長の南原さんにお願いをいたしまして、第三次、去年の暮れに金利がやはり〇・五下がりましたが、そのときには南原支店長さんが相当強く都市銀行にも言われましてそれなりに金利が下がったという事情がございまして、中小企業自体が金利の面でも大企業よりは若干の差別的な面を受けているということは事実でございます。
  69. 真鍋光広

    ○真鍋委員 先ほど、最後に承継税制の話がございました。私、昭和五十八年度の税制改正で中小企業承継税制を導入したのですが、その当時担当課長をやっておりまして、思い出深い税制なんでございますけれども、その後地価がどんどん上がってくる、こういうこともございまして、承継税制というのはそういう意味では設けてよかったな、こんな感じを今印象として持っておるわけでございます。そしてまた、先ほどの御陳述の中で、今また地価の高騰の中でやはり承継税制というのを強化しなきゃなかなかやっていけない、こういうお話もございました。  ただ、一応税の方の理屈としては、私どもから見ておりましても、今度の四年度の税制改正ほどに減額率を上げていきましたら、いわば一つの仕組みの中では限度に来ておるのかな、こんな印象を持つわけでございます。それだけにそのあたり、一応そうは言いながら中小企業の承継というものはこのところはまあまあスムーズにいっておって、大きな実害はなく、制度は円滑に運営されておる、このようにほぼ考えてよろしいものかどうか。つまり、平成四年度の税制改正の中で十分精いっぱい見ておるというふうに私は見るわけですけれども、そのあたりについての実地での御印象を承れればと思います。
  70. 松本進

    ○松本公述人 まず、今スムーズに承継税制がいかれているような御意見でございましたけれども、実態はその面は多少違うのではないか。ということは、「東洋経済」の二月二十二日号に出ておりますとおり、実際の土地の路線価格が実勢の価格よりも高とまりしている、簡単に言うとそういうことでございます。  路線価格は、御承知のとおり相続税の計算の基礎になるわけでございまして、実勢価格が、バブル経済がはじけて、そうして売ろうということになりますと、それが「東洋経済」のあれにも書いてございますが、田園調布の土地の値段が出ておりましたが、売りは一千万円で出した、坪当たり。ところが、だれも買い手がない。路線価格は七百八十万だ。しょうがないから七百七十万で売りに出したけれどもさっぱり売れない。それで、もう物納せざるを得ないということで、物納をしているという現状が出てきておるわけでございます。  これは諸外国の中小企業の税制、承継税制を調べていただければわかりますけれども、基本的な哲学は、諸外国では中小企業を承継さしてやろうという考え方で貫かれておるわけですけれども、日本の場合は、今度は十億以上は七〇%取られるとか、まあ恐らく世界で一番高い税率ではないかと思いますが、現状は物納せざるを得ないという場面が出てきているということをひとつ御承知おきを願いたい。  ただ、今度の税制で非常に私たちが喜んだことがございます。それは取引相場のない株を物納できる、これはもう大変な税制上思い切った救いの手を、延納ということで中小企業を継続してできるという一つの大きな寄りかかりを与えていただくわけでございまして、その点は厚く心から御礼を申し上げる次第でございます。
  71. 真鍋光広

    ○真鍋委員 終わります。
  72. 山村新治郎

    ○山村委員長 次に、水田稔君。
  73. 水田稔

    ○水田委員 三人の公述人のお方には、本当に御苦労さんでございます。社会党の水田稔でございますが、限られた時間ですが、順次御質問させていただきたいと思いますので、よろしくお願い申し上げます。  松本さんにずっと続いての御質問で悪いのですが、まず最初にお願いしたいと思うのですが、一つは、先ほど御意見を述べられました中小企業の予算の問題については、私どもも十年来まさにそのことを言ってきたけれども、シーリングで抑えられてこうずっと下がってきたわけですね。実際には、企業の数でいけば、いろんな区分の仕方があるんでしょうけれども、企業数でいけば九九%は中小企業、働いておる人も八〇%は中小企業で働いておる。それに対して、全体七十二兆円からの予算の中で一千八百億少々でいいのかという思いがあるわけです。これは日本の経済の状況は、全体が大きく、それから技術水準も全然変わってきたわけですね。そういう中で十年一日のごとく従来のパターンのプラスとかマイナスとかいう予算の組み方に私は問題があるのではないかという気がして仕方がないのですが、そこらあたりについて中小企業団体の中での御論議はどうなのか。  それからもう一つは、従来から予算をふやすためにはやはり専任の大臣がおらないとやれないよ、大臣がおらぬから中小企業は通産省のごく一部として扱われる、シーリングの枠の中でどうしてもふやすことができないと言われてきたのですね。そういう点についてのお考えがあれば、まず冒頭お聞かせいただきたいと思います。
  74. 松本進

    ○松本公述人 今の予算の規模でございます。総予算のうちの〇・三%というのは、先ほど申し上げましたとおり、中小企業に関する予算というのは極めて少ない予算であるということは、もう切実に中小企業の団体も含めまして全部が全部感じておるわけでございます。先ほど申し述べましたとおり、昭和五十七年度がピークでございまして、これがまず二千五百億円、アバウトでございますけれども、それからずっと下げ続けてきたということもまさにゼロシーリングということでございまして、やはり国家の予算に協力をするという面で耐え忍んでやってきたわけでございまして、予算というものに対しては、本当にもう少し何とかならないかという感じはいつも持っております。  それから、それに対する大臣を専任に置いたらどうかという御意見でございます。これもやはり中小企業庁という、現在通産省の中の一庁としてあるわけでございますけれども、御承知のとおり中小企業の全体の関係者は四千万人弱というふうに、大変な人口が中小企業の関係者でございますから、まさにそのとおりの希望は持っております。
  75. 水田稔

    ○水田委員 ありがとうございました。また後で、別の項目でお伺いしたいと思うのです。  吉田先生、時間の関係で仰せになったと思うのですが、PKO法案の問題を言われたのですが、その背景になる国際情勢ですね、私もゴルバチョフ大統領のいわゆる新思考というのを大会宮殿の中で直接最初に聞いた一人なんですが、従来と違って攻められたら守れるだけでいいというところ、これは軍事に関して、それからほかのことはペレストロイカその他でやったのですが、そういう思考でやってきた。ヨーロッパの兵隊をアジアヘ持ってきたのは確かですけれども、少なくとも今見る限り、百万の軍隊を減らしていこう、それからCISと各共和国の間では戦略軍と共和国軍のあれがなかなかまとまらない。そういうことを見れば、いわゆる侵略というのは、一つは能力と意思ということになれば、まさにそういう意思の点では全くそういうことはなくなってきておる。アメリカも戦略的な爆撃機はつくるのはやめようとか、あるいは軍事費を二五%減らす。そういう米ソの状況の中でヨーロッパがおさまると、アジアはそのかわり残ってやるんだ、こういうことじゃなくて、世界全体で対決の状況のレベルは下がってくる。そして心配なのは、これからいろいろ地域紛争とか民族間のあれで、そういう形に地球上における紛争というのは変わってくるだろう。  ですから、今までと違った発想が、ずっと同じような形で正面装備から何かやられる、それがいいのかという、そういう国際的な情勢についての先生のまず分析を聞かしていただいて、それでああいうお考えかなということを理解したいと思いまして、情勢分析をちょっとお聞かせいただきたいと思います。     〔委員長退席、村岡委員長代理着席〕
  76. 吉田忠雄

    ○吉田公述人 国際情勢は大変微妙でございまして、私は、そういう微妙なときには、むしろじっと立ちどまって見詰めておる、これが一番、国の運命を左右する上ではじっとしていることが一番よろしいと思うのであります。  ソ連が今、旧ソ連が大きく変化しつつある。ただその場合でも、確かに核については縮小傾向にございますが、先ほど御発言ございましたとおり、ヨーロッパ部分からアジア部分に変わっております。しかも、将来これから刻一刻不透明になってまいります。ただ、ソ連だけではなしに、中国の軍事費は増加しております。北朝鮮もふえております。世界で軍事費が減っているのはアメリカとドイツだけでございます。あとは少しあるいはかなり多くふえている状況でございます。  私はそのことを考えますと、従来の米ソ対立という時代は確かに去って、去りつつあると申し上げられると思いますが、かわって起こるのは中くらいの力を持っている国々の争いであります。それが一昨年から昨年にかけたイラクとクウエートとの関係でございます。イラクに対して多くの国々が武器をいろいろ売る。そして、ソ連がイラクから手を引き、あるいはクウエートから手を引く。こうした状況があの湾岸戦争の引き金になったと認識しております。  こうしたことを考えますと、何が起こるかわからない状況で、日本だけ一方的に例えば防衛費を削減、無原則に削減するということは問題でございまして、中長期で考えていくべきだ、まずこれが基本的なスタンスでございます。ことしふやして、来年減らして、またふやすという、こういう立場はとるべきではない。もし削減ということが大きな課題になるならば、中長期で見た上で、しかも国際情勢を見ると今日は不透明である、したがって単純に削減ということは口にすべきではないということが根本認識でございます。
  77. 水田稔

    ○水田委員 ありがとうございました。  それでは、熊谷さんにお伺いしたいと思うのですが、軍事費の問題についてお話がありまして、私どももそのことができればという思いで今予算修正等についても野党の中での話し合いをさせてもらっておるわけですが、ただ実感として、私たちが一番実感するのは、九〇年のILOの調査の購買力平価で、日本が一〇〇で、アメリカ一四四、西ドイツ、旧の西ドイツが一四七、こういう点から、それが実際の生活の実感だろう。しかし、それだけではなくて、住宅の問題あるいは通勤の問題、そういう問題もあると思うのですね。それを実感できるために私どももどうしたらいいかということを考えるわけですが、そういう中で一番問題になるのは、例えば軍事費を半分に減らしても、その金で先ほど言われた全部、社会保障から何から、全部のことは実現できぬわけですね。財源問題については何かお考えがあるのかどうか、聞かしていただきたい。  それからもう一つは、その中で私も痛切に感じておるのは、内需拡大にならない、いわゆる下請単価を徹底的に抑えつけるというやり方ですね。それは現実には、日本の社会における親会社と下請との関係というのはもうがんじがらめの状況なんですね。それをどのように実際に解きほぐしていくのかということについて、お知恵があれば聞かしていただきたいと思います。
  78. 熊谷金道

    ○熊谷公述人 お答えいたします。  まず、労働者、国民の豊かさ実感、一方における軍事費の削減で財源問題をどう考えるのかということですが、きょうちょっと具体的な数字を持ってきておりませんけれども、私どもの所属をしている国家公務員労働組合連合会などの試算によっても、大企業が今内部に蓄積をしている必要以上の例えば退職引当金だとかさまざまな内部留保の取り崩し、あるいは政府予算案の全体の見直しによって、私どもはさまざまな財源を生み出すことができるというぐあいに考えています。きょうちょっと手元に細かな数字を持ってきておりませんので、大変申しわけありません。  それから、下請との関係ですが、実は私もきょうこちらへの来る前に、昨日中小企業庁が発表した「発注方式等取引条件改善調査結果」をいただいてきました。去年の二月に通産省が下請振興基準を改正をした、その結果がどういう形で反映をしているのかということが発表されていますけれども、この結果を見ても、親企業と下請の関係での受注、発注の関係は依然として改善をしていない。そして、下請単価の決定方法についても、親企業の指し値とする下請企業が一七%、あるいは見積もり合わせといっても、通産省ですらこれは形式的にすぎないと言っていますが、それらを含めると実質的には二五・八%の企業が親企業の指し値によって下請単価が決められているということが指摘をされています。  したがって、私どもとしてはこういう下請単価の決定の方法等について、むしろ行政指導ということだけではなくて、一定の法的規制を含めた検討をぜひ行っていただきたいというように考えるものです。
  79. 水田稔

    ○水田委員 ありがとうございました。  松本さん、今のことで、中小企業をたくさん抱えておられる団体なんですが、逆に言えば今の実態というのは私もそう理解しておるから聞いたわけなんですが、それを変えていくということは中小企業にとっても、例えば今度自動車の労使の間でそういう論議がされておるわけですね。私は、例えば自動車の売り値を上げるだけじゃなくて、やはり下請単価を自動車産業が上げてやれば、中小のいわゆる労働時間の短縮や賃金の引き上げや、これは数字があるわけですけれども、大手に比べて中小が大体八割ぐらいの賃金しかもらってないとか、あるいは新しい設備投資も単価が上がればできるわけですね。そういう点で、どういう仕組みにすればそれはできるのか。実際には独禁法に触れるかどうかわからぬという形の決め方のような感じがする場合もあるわけですね。ですから、その点について中小企業としてはどういう形で親企業との取引関係を改善すればいいか、お考えがあれば聞かせていただきたいと思います。
  80. 松本進

    ○松本公述人 これはもう古くて大変新しい問題であると存じますが、例えば自動車製品、自動車の物そのものの単価が上がったならば、それにスライドしてその部品の購入は高めるというふうな方法もあるんではないかと思います。  いずれにいたしましても、中小企業、下請業者というのはその会社がないと生きていけないというふうな範疇にあるわけで、非常に弱い立場にあるということは事実でございます。
  81. 水田稔

    ○水田委員 それじゃ吉田先生、最初先生の資料を見てどきっとしたのです、韓国人の慰安婦の問題について。私はソウルで育って、戦争中へ今の浦項から上海、青島で占領下の中国も経験している。私も十九、二十ですから、若いときですから直接縁はなかったけれども、現実に植民地支配の状況も見てきておるわけですね。そういう中で、この慰安婦に対する先生の最後のお考えというのはもうまさにそうだと思うのです。  しかし、私は一番近い国でやはり思いが違うというのは、あの国へ行ったら、景福宮の中に壬辰の倭乱で焼かれたといったものを全部書いてあるんですね。これは豊臣秀吉が攻めていった四百年前なんですね。それから、日本人の観光客には見せない場所があるんです。一番奥に閔妃暗殺をした、李王の目の前で向こうの王妃を殺した、日本の大使館におった軍隊と右翼が行って殺したんですが、見せないんですね。それはあの国の思いというのは、日本の恨みとは違うけれども、ハンというその思いがあるんですね。その中にはやはり日本の命令で、それは本人も嫌々行った者と喜んで行った者とあるかもしれませんけれども、戦地で捕虜の監視に使われて死刑になった人もおるし、あるいはもう戦後日本の籍を離れたから一切面倒見ぬ。これは台湾の人についてはいろいろ裁判等もありまして、やりましたね。  ですから私は、韓国なり朝鮮民主主義人民共和国との関係を考えるときには、この慰安婦の問題だけじゃなくて、そういう問題はすべて、歴史教育の問題も含めて、そういう全体的な解決が必要ではないかと思うのですが、先生はこのことだけお触れになっておるのですが、そういう点について何か御調査になりお考えがあるのか、お伺いしたいと思うのです。
  82. 吉田忠雄

    ○吉田公述人 ただいまの御質問につきまして、私はほとんど全面的に賛成でございます。共鳴いたします。朝鮮半島を訪ねますと、私は北は訪ねたことはございませんけれども、韓国を訪ねますと本当に胸痛むような思いであります。あの朝鮮半島を武力で踏みにじったのは日本だけでございまして、その意味で心の痛みというものを日本人はもっともっと認識すべきだと思いますし、とりわけ閔妃暗殺のあのことを角田房子さんの著書で初めて私も知りまして大変驚愕いたしました。  ですから、世界の多くの国々はいろいろ大きな失敗を犯しております。ドイツ人はユダヤ人虐殺ということで、誠心誠意いろいろな形で補償をしようとしております。日本人の中へ例えば韓国の従軍慰安婦の問題を出したら、今度は兵士の問題はどうかとか、あるいは北朝鮮はどうなるとか、あるいは台湾、私はそれらの問題を全部含めた上で日本人としてやるべきことを誠心誠意やっていただきたい。まず政府として、この従軍慰安婦はまず第一歩でございますけれども、謝罪し、そして巨額な金額というふうな点は日本の財政からいって難しいと思いますが、カナダが誠心誠意示した金額は二万ドルでございました。その金額で仮に一万人だったらどうなるのか、二百五十億円でございます。あるいはさらにそれ以上膨らむかもしれません。そうしたことを考えますと、確かに難しい問題がありますが、今直ちに第一歩だけ、従軍慰安婦だけでもまずやっていただきたい。  ただ、御承知のとおり、日韓の基本条約の問題がございます。日本は韓国側にやはり言うべきことは言ってよいと思います。しかし、あの基本条約のところで出なかった問題、私はこの兵士の問題は大変微妙な問題になってくると思いますが、従軍慰安婦だけはこれはもうあの枠外として扱っていただきたい、これが私の考え方でございまして、御質問の趣旨に基本的に私は全く同調いたします。
  83. 水田稔

    ○水田委員 ありがとうございました。  引き続いて、松本さんに再々立ってもらって申しわけありませんが、一つは、先ほど金利の問題で、なかなか公定歩合下げても中小企業は下げてもらえないというお話があったんですが、私どもが心配しておりますのは、バブルがはじけて株が低迷していますから、従来は株式市場で大手が新株発行したりして調達してきた資金調達ができなくなってくる。今恐らくできないと思う。ほとんどとまっていると思うのです。そうなると大手は、景気が悪いと言いながらも、設備投資その他の資金というのは銀行からの借り入れでやる、これは額が大きいですからい大手ですから。そうすると、当然そこでは中小に対する資金手当てというのは先細りになってくると思うのですね。この予算でも、中小企業金融公庫であるとかあるいは国民金融公庫であるとか、あるいは信用保証協会の保証の補助金であるとか出資金であるとか、それでずっと予算を組んでおるわけですね。これはそこらの政府系の資金で、今の不況と言われる中で中小企業を面倒見るのは、そうしなきゃ市中銀行ではなかなか、今お話しのあったとおりだと思うんですね。そういう点で、この現実の状況と、それからこの予算で、こういう程度でそこらあたりは十分なのかどうか、御見解をお聞かせいただきたいと思います。
  84. 松本進

    ○松本公述人 お答えをいたします。  エクイティーファイナンスのことだと思いますが、大企業はバブル経済のときにはそれで大量のマネーをつくったということは事実でございまして、今日バブル経済がはじけて、大銀行から貸し出しをするようになったということのしわ寄せが中小企業に来ていることは事実でございます。政府機関の、マル経融資と言っておるのですけれども、それの私は大阪商工会議所の審査委員長をいたしておりますので、金融の動きというのは非常によく心得ております。先ほど申し上げましたとおり、一時、バブル経済のときには、そういういわゆるマル経融資というのは若干減ったわけでございます。ところが、バブル経済がはじけましてから相当ふえてまいりました。ふえてまいりまして、先ほど申し上げましたとおり、運転資金という面が大変ふえてきた。設備投資の面がもう本当に一〇%ぐらいに落ち込んできた。これは大変大きな問題だと思うのですね。経済の動きで一番はっきりしますのは、中小企業の設備投資の動きを見ておれば経済の動きというのが一番はっきり読み取れてくる。というのは、最低ラインで何とか生きていこうという、そういう面での経済活動が読み取れるからでございます。  それで、全体の政府機関のお金で十分かというお話でございますが、ことしは多分五七%ぐらいで、多少余っておるというのが現在の実情でございます。
  85. 水田稔

    ○水田委員 ありがとうございました。  引き続いてもう一つ御質問したいのですが、先ほどもお話がありましたように、日本の経済というのは技術的には非常に高いレベルの、中小企業もそういうものを求められるようになってきた。あるいはまた、情報化とも言われるそういう社会になってきた。ですから、今までの従来のパターンでそのまま生きていくというのではだんだん取り残されるわけですね。そういう中での資金需要もあるだろうし、あるいは技術的な援助というものも必要だろうと思うのですね。それで、予算の中にも新しいものが少しずつ芽が出てくるわけですけれども、むしろこういうことをやればとにかくこれからの中小企業が意欲を持って、というのは人手の問題でも、例えば労働時間の短縮ができなければもう来ないですよ。土日が休みでなかったら、そこへは人は来ないだろうと思う。あるいは将来に向かっての展望のない企業には行かないだろうと思うのですね。三Kとかなんとかじゃなくて、そういう問題があるだろうと思うのです。そういうことを乗り越えていくために必要な施策というのは、例えば中小企業として見られて、こういうことが実際に行政の面で支援してもらえるのなら助かるがなというようなことを、実際に事業を運営されておる中でお感じになることがありましたら、ぜひ聞かせていただきたいと思います。
  86. 松本進

    ○松本公述人 一例を申し上げますと、この一月の末に大店舗法が改正になりまして、もう大型のスーパーなり百貨店が幾らでも進出できる。それで、審査期間が従来三年間であったのが一年間に短縮をされたというようなことで、一番現在危機感にさらされているのは小売商だと思います。これは御承知のとおり昭和五十七年がピークでございまして、百七十二万戸全国でございました。現在は十万戸ぐらい減りまして、百六十万戸ぐらいに減ってきているわけであります。なお、この減ってくる限度というのは、引き続き強い勢いで減っていくと思うのですね。  そういう中で大店舗法が改正をされて、大型店舗が自由に、ほとんど自由に進出できるような状況に、アメリカのさしかねもあって、御承知のとおり改善をされた。そういたしますと、これは一例でございますが、大阪で虹の街という地下街がございます。これが二十年たちまして、やはり大型店舗あるいは高島屋とか大丸とか、そういういろいろな店舗に負けないような競争力を持つためには大改装をしなければならない。それで、虹の街が二十年たちまして、そうして大改装の費用が、これは約四百店舗ございますが、正確に決まったのが、多分百五十八億円だと思いますが、百五十八億円かかる。それは特に地下街ですから、二十年たって設備を徹底的にきれいにしなければいけない、それで百五十八億要る、これをどうしたらいいかということでございますが、要するに高度化資金というのを借りることができるわけでございます。これは御承知のとおり無利子で、五年据え置きで向こう二十年間で返済をしていくという制度でございますが、それを借りるわけです。ところが、ここに隆路がありますのは、四百店舗全員が賛成をしなければ政府の高度化資金が使えない。それで、早く改装しなければいけないのに、現状を申しますと、わずか三名どうしても改装に賛成をしない。四百人のうちでたった三名が反対するばっかりで高度化資金を借りるような手続ができない。  それで私は、まずお願いがあるのは、九〇%その改装に賛成であれば――これはもう全部が判こを押して、政府に対する返済は全部、四百人なら四百人、一人一人の経営者が責任を持つという非常に厳しい内容であるわけなんですが、これが一人でも反対したら進まないというふうな状況は、ぜひ、これは願いであるわけですが、九〇%の人が賛成すれば高度化資金が借りられるというふうにしてほしい。  それから、そういう小売商に対ずみ援助というもの、大店舗法が改正されっ放しで、それに対する援助の方法、幸い虹の街とかそういうところは高度化資金が借りられるわけですけれども、組織化されていない商店街がございますが、そういう組織化されていない商店街でも簡単に高度化資金が借りられるような、そういう救いの手を差し伸べていただけたらというふうに思っております。
  87. 水田稔

    ○水田委員 ありがとうございました。  時間がちょうどまいりましたので、質問を終わりたいと思います。
  88. 村岡兼造

    ○村岡委員長代理 日笠勝之君。     〔村岡委員長代理退席、中山(正)委員長     代理着席〕
  89. 日笠勝之

    ○日笠委員 公述の先生方には、公私どもにお忙しいところ大変に御苦労さまでございます。私、公明党・国民会議の日笠でございます。どうぞよろしくお願いいたします。  時間も短いので簡単にお答えいただければと思うのでございますが、まず熊谷さんにちょっとお伺いをしたいのですが、先ほど生活大国ということでるるお話がございました。その中で、私どもが一番ゆとりと豊かさを感ずる原点はやはり家庭ではないかと思うのです。衣食住という生活の基本、これは当然でございましょう。先ほどのお話の中には私どもが主張をしております――持ち家の方にはいろいろな税額控除であるとか低利な住金からの借り入れができるとか、しかし借り家の人は何ら国からの、税制の面でも財政的な面でも、皆無とは言いませんけれども、ほとんどないわけなのですね。家賃控除であるとか家賃補助であるとか家賃手当であるとか、こういうものはぜひとも、先ほど申し上げましたゆとりと豊かさを感ずる原点は家庭だ、家であろうということで、持たざる者の家賃控除、手当、補助、いろいろ考えるわけですが、熊谷さんはこの借り家の人に対する税制、財政的な面で何かお考えがございますか。
  90. 熊谷金道

    ○熊谷公述人 お答えいたします。  私も今先生が申されましたように、現在の借家住まいの労働者あるいは国民に対して、既に自治体の一部が家賃補助制度を導入していますけれども、もっと本格的に、国の援助を含めた家賃補助制度あるいは家賃に対する控除についてもっと積極的に検討していただきたいというように要請するものです。
  91. 日笠勝之

    ○日笠委員 その場合はどうでしょう、家賃控除という、所得税から控除してやる方法がいいのか。これですと、低所得者の方は納税が余りないものですから返ってこないということがありますね。補助ないしは手当、どれが熊谷さんは望ましいと思いますか。
  92. 熊谷金道

    ○熊谷公述人 私は、所得の多寡にかかわらず、家賃そのものに対する補助制度の方が低所得者層を含めて援助になるのではないかというように思います。
  93. 日笠勝之

    ○日笠委員 では、松本公述人に今度はお伺い申し上げます。  私は大蔵委員会所属でございまして、今ちょうど同時刻で国税三法の改正法案を審議しておりまして、その中に、今度の税制改正の中にいわゆる法人特別税というものを創設をするようになっております。昨年の湾岸戦争での九十億ドルの臨時特別法人税は、これは一たん廃止しまして、新たに財政事情にかんがみて、法人特別税を二年間の適用期間で、基準法人税額のうち四百万円を超える部分に二・五%賦課する、こういうことを今論議をやっておるわけでございますが、松本さんはこの法人特別税、大阪の商工会議所の副会頭というお立場で所員の皆さん方のいろいろな経営状態等お考えになった場合、相当これは影響があると思われますか、ないと思われますか。あればどういうところに、どういう業種とかどういう地域だとか、そういう固定的にあるのかどうかとか、その辺のところをお聞かせ願えればと思います。
  94. 松本進

    ○松本公述人 お答えをいたします。  大阪商工会議所の全体の雰囲気から申し上げまして、特別法人税というのはこれは大変困るということでございます。というのは、現在バブル経済がはじけまして、先ほどから一貫して申し上げているとおり、大変景気が落ち込んでおるというときに、多少なりとももうけがあればそれのもうけを蓄積したいというふうな時期に、そういう特別法人税を課するということはいかがなものかと考えております。
  95. 日笠勝之

    ○日笠委員 それに対して青色申告の方は今度特別控除十万を三十五万という、ある程度、貸借対照表をつけよとかいろいろ条件ございますけれども、十万円だったのを三十五万ということで、今までより一歩前進ということが同じく改正案の中にあるんですけれども、この点の評価はいかがでしょうか。
  96. 松本進

    ○松本公述人 そういう控除額がふえるということは、大変結構なことだと考えております。
  97. 日笠勝之

    ○日笠委員 そうしますと、あめとむちのような税制改正になっちゃうんですが、総トータル的に今回の税制改正にはどういう御所見をお持ちでございますか。
  98. 松本進

    ○松本公述人 特別法人税というのは、おっしゃったとおり湾岸戦争のときに約束がございました、その約束事を一応すりかえたような格好になっておりますから、その点では評価をいたしかねます。
  99. 日笠勝之

    ○日笠委員 それで、もう一点、公定歩合のことを先ほどからるる申されておられましたけれども、どの程度ならば適正な公定歩合であろうか、景気回復にある程度加速がつくのか、個人的な御見解で結構でございますが、その理由とあわせてお願いいたします。
  100. 松本進

    松本公述人 個人的な、これはあくまで個人的な感覚で申し上げておるわけでございますが、〇・五%ではだめです。一%ぐっと下げていただくことが非常にいいんではないか。と申しますのは、〇・五%下げますと、また〇・五%下げるんではないかという期待感が膨らみまして、すべての産業活動が活発化しないんではないか。もう一遍頑張れば〇・五下がるというふうな気持ちがかえって災いするんではないか。思い切って一%下げていただきたい。これは個人的感覚でございます。
  101. 日笠勝之

    ○日笠委員 では、吉田公述人にお伺いを申し上げたいと思います。  先ほど五つの観点を述べられました。そのうちの実は防衛費と高齢化社会の特に看護婦さんの対策、これにつきましては、今国会、我が党もこの予算委員会の席で市川書記長を先頭に大変力を入れて論戦をさしていただきました。例えば防衛費も、防衛費の八割以上がいわゆる人件費であるとか糧食費である、大宗を占めておるわけでございます。ですから、これを削るといってもなかなか、人件費を削ったり糧食費を削って、大変な肉体労働をされる方に食事の質を落とすというわけにもいかないと思いますし、そうすると問題は巨額の後年度負担なんでございますね。一遍にこれも今の財政上できません。そこで我々は、いわゆる二十二兆七千五百億円と言われている中期防の予算の中からとりあえず一千二億円という、半端でございますけれども、削減を明確に防衛庁長官に言質をとったわけです。さらに、新規の調達も、イージス艦とかAWACSとか、こういうものを凍結してさらに下方修正をできる限りはしていごう、こういうふうな見解を、主張を持っておるわけでございますが、先生はこういう我々の考えに対してのお考えはいかがか、お伺いをしたいと思います。
  102. 吉田忠雄

    ○吉田公述人 私は見解を若干異にしておりまして、まず、既に発注したものにつきましてはこのまま見詰めるべきではないか。これは発注いたしまして、既にプロセスの段階でございます。それを急に減らすということは、大変な混乱をもたらすのであります。それからまた、AWACSその他いろいろ、航空機その他につきましては、これまでの経過を見ますとかなり減らしております。減らしたものをさらに減らすということは、私は現段階で軽々にとるべきではない。  そこで私は、今年度の防衛費につきましては、まず不透明な国際情勢のもとではこのまま認めていく、これであって、無原則に削減せよというふうなことが一番私は問題であろうと思うのであります。もちろん公明党の御主張につきましては無原則だと申し上げているわけではございませんけれども、ただどれを減らしたらいいのか。具体的にやりましてさらにその内容を検討してまいりますと、私も防衛費につきましては若干検討してまいりましたけれども、これを減らせという具体的なものはまずないのではなかろうか。明年度の予算につきましてはこのまま見詰めていっていただきたい、そして中長期にお考えいただきたい、こう思っております。
  103. 日笠勝之

    ○日笠委員 もう一点、今度は看護婦さんの問題でお伺いをさせていただきたいと思いますが、一県一看護大学設立てあるとか夜間保育の延長であるとか二・八体制と週休二日、看護婦さんが養成されても結婚等々でやめていく、こういうふうなことすべてを踏まえた需給見通しというものを厚生省が昨年十二月につくりました。前回のときはまだまだそういうことが加味されない需給見通しでございましたけれども、今度の十二月に出てきたものはそれらが加味された需給見通しでございます。  問題は、先生がおっしゃったようにスウェーデンのようにお医者さんの三分の二ぐらいの報酬をとなりますと、日本の今の医療環境を見ますととても無理なようなお話ではないかと思いますし、そうかといって、それがいいという意味じゃございません。問題はもっとほかにもあるのではないか。看護婦さんの待遇を改善していくということ、もしございますれば、先生のお考えをお述べいただきたいと思います。
  104. 吉田忠雄

    ○吉田公述人 私も、看護婦につきまして軽々にふやしたりということを申し上げているわけではございませんが、ただ私は、北欧諸国の例を見ますと、日本ではない政策を実施している。そこで、全部輸入したらよいとは思いませんけれども、日本型でとり得るものをとったらいいのではなかろうか、こう思って、まず待遇の点で申し上げたのであります。北欧諸国では大体三分の二の給与水準である。せめてあの重労働に対しまして、三分の二まではいかなくても、今の状況では低過ぎると思います。だから、六万ほどふえて五万ほどやめて、数字ちょっと持ってまいりましたけれども、そのような状況に、ざるみたいな看護婦の養成制度になっているということを申し上げまして、ぜひ看護婦のまず賃金、それから労働時間が長過ぎるのであります。そこで、今の案では万八回でしょうか、夜間勤務、そうなっておりますので、それを少しでも減らす努力を一歩でもするような政策を打ち出していただきたい。すぐにスウェーデン並みとは申しません。その一歩でも伸ばすという政策が出ていないのではないかということでございます。  それから、やはり日本でないものとして一番感じますものは、医療を運営するに当たって、医師、看護婦それから事務系統の人々と、三者で共同決定しているという運営の仕方でございます。これは日本には欠けております。これらの点も日本で加味すべきではなかろうかということでございます。
  105. 日笠勝之

    ○日笠委員 ありがとうございました。
  106. 中山正暉

    ○中山(正)委員長代理 次に、古堅実吉君から質疑の通告があります。これを許します。
  107. 古堅実吉

    ○古堅委員 最初に熊谷さんにお尋ねします。  過労死という言葉が国際通用語となっておるという不名誉きわまりない事態に日本が置かれております。そういう中で、時間外労働の削減をめぐって、労働者の中に残業収入の減少との関連で抵抗があるという言い分も聞かされます。この点についてどう御理解しておられるか、お聞かせください。
  108. 熊谷金道

    ○熊谷公述人 お答えいたします。  確かに労働時間短縮を進めていく中で、労働者の中から、それでは残業手当が一体どうなるのかということが大変大きな問題としてあることは事実であります。その理由としては私は二つあるというように思います。  一つは、余りにも低い賃金水準そのもの。先ほど申し上げましたけれども、とりわけ中小零細のように大企業に比べて五十数%から六〇%というような低い賃金水準、このことが労働者に残業を余儀なくさせているという問題と、もう一つは賃金体系、賃金制度そのものが、成績主義的な労務管理のもとで労働者に企業への忠誠心をあおり立て、残業に駆り立てている。そういう賃金制度、賃金体系、このことが関連し合って、長時間残業と今言われた残業代の問題が出ているのだろうと思います。  したがって、私どもとしては、賃上げか時短かではなくて、賃金水準の引き上げと労働時間の短縮という問題は一体的に改善をしていかなければ、労働者にゆとり、豊かさを取り返すことはできないというぐあいに考えています。  以上です。
  109. 古堅実吉

    ○古堅委員 労働時間の短縮という場合に、年間総労働時間の短縮、そこを強調する言い分というのがございます。ただ単に年間を通じての総労働時間を短縮すればいい、逆に残業時間はふやせるなどとかいうことではあるまいというふうにも思っていますが、そういう言い分にかかわって熊谷さんはどう受けとめておられるか、そこもお聞かせください。     〔中山(正)委員長代理退席、委員長着席〕
  110. 熊谷金道

    ○熊谷公述人 お答えいたします。  私どもも今、一つには、政府労働省自身が国際的にも公約をした年間千八百時間という総労働時間の短縮ということは、一つの大きな目標としています。しかし、同時に私たちがその際に重視をしていることは、労働基準法労働時間の弾力化条項が持ち込まれたことによって、今多くの企業で、年間労働時間の短縮ということによって例えば休日増を図る、そのかわりに一日当たりの労働時間を延長する、そして延長労働時間については時間外手当を払わないということが大企業や中小零細企業の中にも持ち込まれてきています。  したがって、私たちは、そういう時短の名によって一日当たりの労働時間が逆に延長する、そういうような時短ではなくて、二十四時間という一日の時間サイクルの中で、人間の生理からいっても一日九時間、十時間というような労働時間ではなくて、一日当たりの労働時間をどう短縮をしていくのか、そのことを基本に据えた労働時間短縮、そして全体として年間の総労働時間を短縮していくべきだというように考えています。
  111. 古堅実吉

    ○古堅委員 日本の長時間労働の問題や日本的労使関係などという、そういう言い方がされます。そういう言われ方について国際的にはどのように受けとめられているというふうにお考えか、そこらあたりについてお聞かせください。
  112. 熊谷金道

    ○熊谷公述人 お答えいたします。  昨年の十月に、日本の労働省とECが共催をしまして、ブリュッセルで日本的労使関係とECの労使関係についての国際的なシンポジウムが行われています。日本では余り多く報道はされませんでしたけれども、慶応大学の島田先生が日本経済新聞に労働時間短縮と労働組合の役割について書かれた際に、そのECと日本の労使関係をめぐる国際シンポジウムの中で、EC側から、日本との経済摩擦の主要な原因が日本の長時間労働にあるという厳しい批判がされたということが報道されていました。  また、先日行われたドイツのIGメタルと日本のIMF・JCとの定期協議の際にも、IGメタルの代表から日本のJCに対して、日本の長時間労働がドイツにおける労働条件の改善、これ以上の時間短縮を困難にしているという意味で、日本における労働時間短縮の一層の促進のための労働組合の役割について強く要望が出されています。  また、私ども全労連が昨年の十一月の下旬に日本的労使関係と労働組合についての国際的なシンポジウムを行いましたけれども、その際に大変印象的だったのは、アメリカの代表が日本の長時間労働の実態の話をずっと聞きながら最後に感想的に発言をしたのは、アメリカの一昔前の鉱山労働者の奴隷のような状態を日本の労働者の話を聞いて感じだということを感想的に話をしていましたし、スペインのシアットの自動車の労働組合の代表がこういうことを言いました。日本はヨーロッパに大変多くの製品を輸出しているけれども、最大の輸出物は日本的労使関係だ、このことがスペインにおけるこれまでの労使関係に大変大きな問題をもたらし、自分たちのさまざまな労働条件の改善の闘いの障害になった。  そういう意味では、日本における長時間労働、低賃金の実態の改善が、国際的な貿易摩擦の解消あるいは国際的な労働者の連帯という点からも私たちは大変重要だというぐあいに考えています。
  113. 古堅実吉

    ○古堅委員 政府は労働時間の全体としての短縮の問題で法律を新たに制定する。先ほど御発言がありましたが、それだけでは実効性が伴わない、労働基準法を抜本的に改正するなどということが伴わないといかぬという御趣旨の御発言がありましたが、こういうかかわりについてもう少し具体的に突っ込んだ御意見がお聞きできたらというふうに思います。
  114. 熊谷金道

    ○熊谷公述人 お答えいたします。  先ほどはトラック運輸産業について申し上げましたが、ちょうど最新の資料で、先ほども触れましたけれども、中小企業庁が行った中小下請企業に対する「発注方式等取引条件改善調査結果」によりますと、親企業の発注方式が、休日前に発注して休日直後に納入をさせるという発注方式が依然として四一・二%にもなっていて、昨年より悪化をしている。したがいまして、親企業の方は休日前に発注をしてそれで済むわけですけれども、中小下請の方はその発注を受けて休日を返上して物をつくらなければいけない、そして休日明けにその製品を納入しなければいけないということが多くの元請、下請との関係であるということが明らかになっています。したがって、こういった実態を踏まえたときに、それらの中小下請の労使関係だけで労働時間の短縮を進めようとしても、こうした元請、下請の発注、受注関係の規制だとかあるいは法的規制を伴わない限り、私どもとしては労働時間短縮が本当に促進するというぐあいには考えられない。したがって、労働基準法の改正など法的規制の強化が必要だというぐあいに考えるものです。
  115. 古堅実吉

    ○古堅委員 次に、松本さんにお伺いしたいと思います。  先ほど中小企業の立場の苦しさについて伺いました。今回の政府予算を見ますというと、中小企業対策費がわずかに〇・三%ふやされるという提案でございます。しかし、臨調行革が叫ばれて十年余、そのスタンスで見ますというと、実に政府予算の五四・四%増に対して、中小企業対策費は逆に二一・七%減らされたという実態が明らかであります。これは中小企業の対策を温かく進めているということにならないところか、文字どおり冷たい仕打ちだと私自身は受けとめておりますが、そういうことからもいろんな意味での苦しい立場が一層進められておるんじゃないかというふうにも思います。  そこらあたりにかかわって皆さんが実感しておられる点、あるいは政府予算とのかかわりで、どのように予算面でも中小企業対策費をふやしていかなくちゃいかぬかということにかかわって日ごろ感じていらっしゃる、そういうところあたりからお聞かせいただきたいというふうに思います。
  116. 松本進

    ○松本公述人 予算の伸び率は、まさにほかの部門の予算と比べまして少ないことは事実でございます。しかし、先ほども申し述べましたとおり、約七億円前年よりは予算がふえておるわけです。これのふえておるというのは、大変国債を発行したりあるいは公共投資をふやさなきゃいけないというふうな面の中で、むしろ去年よりは非常に減らされている部門もあるのではないか。そういう中で七億円、これは些少な金額ではございますけれども、新しい地方の産業おこしというふうなことあるいは商業集積の掘り起こしというふうなことで七億円がつけられたわけでございまして、そういう不況の中での予算ということでは、少なくとも前年と対比した場合には喜ぶべき兆候ではないかというふうに考えます。  しかし、先ほど御指摘のとおり、中小企業の予算というのがわずか全額の〇・三%というのはいかにも少な過ぎるという感じは持っております。ただ、自由主義経済の中で余りにも過保護になりますと、その産業自体の発展力と申しますか活性力というものを失うというおそれもあるわけでございまして、実はこれ一例なんですけれども、私は通産省の、中国地方の機織りの方の、織物のそういうものが非常に管理化されて、あれは約三十年間続いておって、最後にはもう自由化した方がいいという結論が、その委員会で結果が最近出たんですけれども、そういうようなことで、余りにも過保護になることも考え物ではないか。ですから、少ないことは事実なんですけれども、大阪の中小企業は、先ほど申し上げましたように自分の力でやっていこうという力が非常に強うございますので、そういう面もあわせて御認識いただければ結構だと存じます。
  117. 古堅実吉

    ○古堅委員 時間がございませんので、吉田先生に最後に大急ぎでお尋ねいたします。  先ほどの御発言とは直接のかかわりはございませんが、予算との関係ですね。先生は私学でいろいろと御苦労も多かろうというふうに思います。しかし、私学助成、これも全国的か運動がありますけれども、なかなか思うようにいかない。そういう面がありますが、その運動の反映で、わずかに二%ではありますけれども今度ふやされるということになっております。しかし、一九七五年七月に参議院の文教委員会で、高校、大学の経常経費の二分の一を補助する、そういう国会決議がございます。しかし、現状で見ますというと、大学で経常費総額に占める国庫補助率の割合というのは、一九八〇年度で二九・五%、それをピークにしましてどんどん下がってまいりまして、九〇年度には一四・一%まで下がっております。情けない話だなと思いますが、私学で苦労していらっしゃる立場から、そのことについての御意見が若干いただけたらと思います。最後の質問です。
  118. 吉田忠雄

    ○吉田公述人 私も私学に籍を置いております。財政的には、私は教職員の給与については我慢するつもりでおりますけれども、ただ、それ以外の点ではもっと、いろいろ研究、教育の点で温かな配慮が欲しいということを痛感しております。そして、それらが整いつつ人件費についても御配慮いただきたい。まず物件ということを感じております。  以上、簡潔ですが、お答え申し上げます。
  119. 古堅実吉

    ○古堅委員 終わります。
  120. 山村新治郎

    ○山村委員長 次に、川端達夫君。
  121. 川端達夫

    ○川端委員 公述人の皆さん方、大変お忙しいところ大変御苦労さんでございます。また、貴重な御意見ありがとうございます。  時間が非常に限られておりますので早速質問に入らしていただきたいと思いますが、まず吉田先生にお伺い申し上げたいのですが、先ほどのお話を伺っておりまして、私たち民社党がかねがね持っておりますいわゆる国際観、それからそれに基づく政策等、基本的な認識においてまさに軌を一にする御意見でございまして、非常に意を強くしたところでございます。  まず初めに、お述べになりましたように、今歴史を振り返ったときに、日本のこういう国際的な変化の中での行動が本当にこれで許されるんだろうか。国連結成後初めて国連が機能をする時代を迎えた。その直後に起こった湾岸戦争の経験も踏まえて、日本がどういう行動をすべきかということで非常に世界も注目をしているし、我々もそれに対応しなければいけないという中で、いろいろな議論を国会でもやっているわけですけれども、先ほどのPKOのことをお伺いする前に、いわゆるそういう国連として、恐らく結成後、米ソの冷戦構造という部分では本来の機能を発揮できなかったものがようやく発揮できるようになってきたというときに、国連の機能というものを改めて見直す機運というのが非常に強くなっております。  そういう中で、私たちも国連機能を強めるという意味で、旧敵国条項の廃止であるとかあるいは事務総長の権限をもっと強くするべきではないかということを主張しておりますし、同時に、安保理事会、安保常任理事国あるいは安保非常任理事国、そういうもののあり方というものに関しても大きなメスを入れなければいけないんではないかというふうに考えておりますが、この国連の機能強化という点に関しての御所見を賜りたいというふうに思います。
  122. 吉田忠雄

    ○吉田公述人 国連に日本がさらに積極的に参加して活躍していただきたいと思うものでありますが、私はやはり国際連盟と比較しながら思い出すのであります。  御承知のとおり、国際連盟時代に日本は常任理事国の一つでありました。そして大変立派なことを言っていたんですが、やがて日本は凋落していったのであります。国連の強化ということが特に湾岸戦争以降脚光を浴びてまいりまして、これまで人間がつくった機構である国連、さまざまな欠陥を持っておりますが、一つ一つ解決しながら、私は今や、これからの将来にわたって国連は世界の平和にとって大きな役割を果たすものだと信じておりますし、また欠陥のある組織ですけれども、少しでも欠陥のないような組織にしようと日本は積極的に参加すべきであろう、こう考えております。  その際、日本が湾岸戦争をめぐって一番非難されましたことは、御承知のとおり人的貢献ということであります。ある皮肉なジャーナリストは、あの湾岸戦争で敗れた第一はもちろんイラクであるけれども、第二は日本であるというくらいの評価があるほど日本はダメージを受けたのであります。それは主として人的貢献ということでございました。ただ、日本の事情から見ますと、つぎがなかったとか運がなかったということも確かに言えるのであります。予算の実行が湾岸戦争が終わってからだということは確かにつきがなかったし、それ以降、円安の傾向ということも問題でございました。  それらを考えますと、私は、もしも日本のような態度、人的貢献はしない、お金だけ出すということをほかの国々も次々にやったならば、間もなく国連は崩壊いたします。国際平和を維持することに日本は足を引っ張ったという歴史の評価を受けると思うのであります。  以上でございます。
  123. 川端達夫

    ○川端委員 そういう中で、私も全く同感なんですが、今国会ではいわゆるPKO法案が参議院で継続という状況になっております。そういう中で与野党のこの成立に向けてのいろんな動きもされているという報道もされていますが、そういう中で、人的貢献のあり方という部分、それから国際連盟と今の国際連合の違いも含めて、いわゆるPKOというものが非常に大きな特徴的な問題だ。その中で、最近、PKOの中のPKFは凍結してでも通したらどうだというふうなことが巷間伝えられる、報道されているわけですが、私たちはそういうことでは本当の貢献はできないのではないかという認識を持っているのですけれども、その点についての御所見をお伺いしたいと思います。
  124. 吉田忠雄

    ○吉田公述人 私は最近の報道を見てまさかと思うのでありますが、PKFを分離し、そしてPKOだけでもというふうなことを耳にいたしますと、世界じゅうの多くの国々は本当に悲しんで、まさか日本がこのようなことをやるとは思わないと思います。まずPKO法案を通していただきたい。そして、それに対して小異を捨てて大同につき、ぜひこれを今国会で成立させてほしい、これが世界の多くの国々の願いではないかと思います。
  125. 川端達夫

    ○川端委員 その点についてまさに私たちも、この議会の中で民社党は、かねがねいち早く一番強くPKOに積極的に参加する、きっちりと法案をつくってやるべきだという主張をしてまいりました。しかし、長年の日本の戦後の歴史の中で、国民の合意と理解というものも含めて、それと同時に過去の反省の中でシビリアンコントロールというのを明確にするという意味で、国会承認はその前提であるという主張をしてまいりました。つぶすために主張しているのではなくて、本当にいいものにするためにという思いで主張をしてまいりまして今日に至っておりますが、このシビリアンコントロール、そして我々の国会承認という主張に対してはどのような御所見をお持ちでしょうか。
  126. 吉田忠雄

    ○吉田公述人 私は、衆議院で修正された法案を読みまして、民社党のものだと確信いたします。今日の法案は民社党の嫡出子であります。ただ、いろいろさまざまな取引がありましたために違った名前がつけられているようでありますが、あの中の文言でもはっきり国会承認が記載されてございます。ですから、若干の疑いを持つ点はないわけではございませんけれども、私は、あの法案は民社党としてぜひ賛成していただきたい法案である、こう考えております。
  127. 川端達夫

    ○川端委員 時間が限られておりますので、どうもありがとうございました。我々もまたよりよき法案の成立に向けて頑張ってまいりたいというふうに思います。  松本公述人に、きょうは御苦労さんでございます、お伺いしたいのですが、先ほど経済が相当深刻な状況になっているという、特に中小企業を取り巻く環境ということに私もまさに同感でございまして、一昨日経企庁が月例報告をお出しになりまして、きのうは通産省の指標が出ました。そういう中で、少し遅いのではないかな、やや甘いのではないかなという所見を持っておりましたが、まさに現場を預かられる立場として、それよりもっと非常に厳しいというお話でありまして、まさにそのとおりだというふうに思います。  ただ、そういう中で、経企庁の経済見通し、報道でもいろいろな、ちょっと遅過ぎるのではないかということがありましたが、いろいろな統計的な技法の問題とかいうことはあると思いますが、やはりそういうものが、ちょっと正確には忘れましたけれども、例えば拡大という言葉が初めてなくなった。減速しつつ、インフレなき安定成長への調整期間であるというふうな表現でございました。それを政府の認識として経済対策をおとりになる、予算をお組みになるという部分では本当の今の景気に対応できないのではないかという危惧を非常に持っているわけでございますが、そういう状況の中で、いろいろな形でもう政府の方にも御実情はお伝えだとは思いますが、最近の政府のそういう経済判断、公定歩合も含めまして、先ほどお話がありましたけれども、どのような御所見を持っておられるか、お伺いしたいと思います。
  128. 松本進

    ○松本公述人 まさにそのとおりでございまして、経済企画庁、それから政府、そういうものが出す数字が三カ月おくれているというふうに我々はいつも言っておるわけでございます。やはり数字が政府の方に上がってくるのが相当おくれた、最低、一番近い数字でも一カ月おくれて上がってくる。これはアンケートをするから、そのアンケートの結果を収集して、そして現在の経済情勢を考えるということになるわけでございますから、タイムラグというのは絶対ございます。  それで、諸先生方がそれぞれの選挙地域に帰られて、実感としてそういうふうに一般庶民の方からの訴えを聞かれることが本当に身近な最初の信号ではないか。それから、タクシーに乗られて運転手にそれぞれの状況を、景気の状況を聞かれるというようなことも一番近い生な経済情勢ではないかというふうに考えておりまして、やはり対応が三カ月はおくれているという感じを我々は持っております。
  129. 川端達夫

    ○川端委員 私たちもかねがねそういう主張をしておりまして、我々の立場ではもう少し迅速かつ的確な判断と対応ができるようにいろいろな角度で申し上げているところでありますし、公述人におかれてもまたそういうお知恵も含めて御示唆を賜ればというふうに思っております。  もう一つ、今非常に大きな時代の流れといいますか、時間短縮という問題それからいわゆる地球に優しいというのですか環境問題、この二つのテーマに関して、国民の一人として、それはやらなくていいとおっしゃる方はおられない、当たり前のこととしてやらなければいけないという時代に来たというふうに思っております。やらなければいけない、そういういわゆる大義の中で、現実に一番御苦労をされているのが中小企業の皆さん方だ。そういう大きな時代の流れというか大義のもとにやりたいんだけれどもという中で、突き詰めていけばすべてコストが上がる。果たしてそれが適切に転嫁できるのであろうかというと、いろいろな競争関係、それから下請関係を含めてなかなかできない。そういう状況に置かれている中で、やはり相当、先ほど来中小企業対策費というものがうたわれておりますけれども、自助的な努力に御援助申し上げるということの今までの考え方でなくて、何らかの抜本的な手を打たないといけないときに来た。このまま放置しますと、地球に優しくない企業、時短のできない企業は生き残れない、これは間違いないと思いますね。  生き残れないのは努力が足りないから、つぶれて御苦労さんということでは済まない。日本の経済が中小企業の皆さん方に正味を支えていただいて成り立っている経済であるわけですから、そういう部分では相当思い切った諸施策というものを根本的にビジョンとして打ち出さないと、日本の経済自体が環境と時短だと言いながら、足腰弱くつぶれてしまうということになるのではないかなということで、我々も非常に危惧をいたしましていろいろな制度援言を行っているところでありますが、そういう観点での公述人の御所見といいますか、こんなことができたらいいのになというふうなことなんかがあればお聞かせをいただきたいと思います。
  130. 松本進

    ○松本公述人 これは今おっしゃった時短の問題と、それから地球に対する環境を悪化さすようなものはだめだという、おっしゃるとおりだと思うのですが、逆に時短を余り唱え過ぎると日本の産業というのは崩壊していくということがひそやかにささやかれている。  一つは、時短の問題を、余りにも早急にこれを実施されますことは日本の国の経済というものを根幹的に非常に弱くしていくということが一部の者の意見として出ているわけでございまして、やはり中小企業の時短を早急に実施しろ、あるいはそういう時短の問題は避けて通れないということは事実でございますけれども、時短を早急に実施してもらうということに対しては大きな危機感を、というのはやはり日本の経済は、何というのですか、そういうものは大変古い、そんなことはわかっているとおっしゃるとおりなんですけれども、今日非常に豊かな経済力を日本が持っておって、しかも世界から注目されるような、そういう発言力を持つようになった根底はやはり経済力だと思います。その経済力を支えておるというのは、やはり何といっても本当にまじめにこつこつと働くという働き好きな日本人というところに帰着をしていくということは、これもまた事実だと思います。ですから、やはり中小企業を含めましてまあまあ緩やかに時短というものの制度を推し進めていただきたい。時短をしながら、しかもいい製品を安く、安くつくるというのはこれは禁句かもしれませんが、ともかくも優秀な製品をつくっていくという、そういう根幹にはちょっと難しい問題、時短ばかりになりますと難しい問題になってくると思います。  時短をするために最も適切な方法は何か、中小企業は何を望むかということは、先ほど申し上げましたとおりパートタイマーの税制問題をやはり真剣に、本当にこれは百万円の控除額というのを百五十万円に引き上げてほしい、そういうことによって多少とも中小企業の人手難は緩和されるということは事実でございますので、この点もあわせてお願いをいたしたいと思います。
  131. 川端達夫

    ○川端委員 どうもありがとうございました。  時間が来てしまいましたので終わりにしたいと思いますが、その時短の速度を緩やかにということが許されない現状という部分において、我々は、それが見方によってはそこに働く人たちの犠牲の上に成り立つということが許されない、こういう環境になってきたという部分にやはり大きな悩みがあるのだというふうに思っております。またの機会にいろいろとお教えをいただきたいというふうに思います。  きょうは皆さん、どうもありがとうございました。
  132. 山村新治郎

    ○山村委員長 これにて公述人に対する質疑は終了いたしました。  公述人各位におかれましては、貴重な御意見をお述べいただき、まことにありがとうございました。厚く御礼を申し上げます。  以上をもちまして公聴会は終了いたしました。  次回は、明二十八日午前十時より委員会を開会し、総括質疑を行います。  本日は、これにて散会いたします。     午後四時散会