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関谷勝嗣君 私は、
自由民主党を
代表して、ただいま議題となりました四
野党提出の
消費税法を廃止する
法律案ほかこれに関連する三
法案に対し反対、
政府提案の
消費税法及び
租税特別措置法の一部を改正する
法律案に対し賛成の意見を表明するものであります。(拍手)
御承知のように、先般の税制改革は、サラリーマン層を中心とする重税感などを是正するとともに、高齢化の進展を踏まえ安定的な税体系を確立することを
目的とし、大幅な
所得減税及び
消費税の創設などを一体として実現したものであります。
この税制改革の一環として創設された
消費税は、昨年四月に実施されて以来、実施当初は、
国民の間には新税なるがゆえにさまざまな抵抗や戸惑いがあったものの、現在では、
国民の冷静な判断と的確な対応とによって着実に日々の生活に溶け込んできております。
野党四党は、こうした現実を無視し、我が党が実施した税制改革のうち、
消費税だけを取り出して廃止を主張しております。これは全く無
責任な
態度と言わざるを得ません。我が党の税制改革のうち、新税の創設だけに反対し、
所得税の減税などはなぜ
追認されるのかという我が党
議員の
質問に対し、
説得的な答弁をされることはありませんでした。
次に、
野党は
消費税廃止後税制再改革を行うとしておりますが、再改革の具体的な内容は一向に明らかにされておりません。
サービス、流通等に対する適正な課税、納税者番号
制度の導入などとされておりますが、その内容を問う
質問に対し、具体的な内容のある答弁はついに聞くことができませんでした。
言うまでもなく、税制は
国民生活に多大の影響を与える問題であります。それゆえ、現に実施されている税制の廃止を主張するというのであれば、少なくとも、将来どのような税体系を構築するのかという具体案を明らかにすることが、必要最小限の
責任であるはずであります。しかるに、
野党の皆さんは、税制のあるべき姿の具体案はどのようなものかと問われれば、判で押したように、必ず、
国民税制改革協
議会において検討していただくと答弁されました。こうした答弁には発議者自身内心じくじたるものがあったものと思いますが、たび重なる
国民協議会という答弁には、我が党
議員のみならず、
傍聴者の方々も失望を受けたものと思います。(拍手)
なお、我が党
議員の質疑に対する答弁の中からうかがい知り得たことに、
野党の皆さんも、
サービス、流通等に対して一般的に課税することを一切否定されているわけではないということもわかりました。すなわち、
消費税と同じような税を否定していないということです。そうだといたしますと、
野党の提案は、
消費税を一たん廃止して、もう一度
消費税に似たような税をつくることを検討するということになる以外はありません。これはまさに、
国民に多大のむだと負担を強いるものと言わなくて何と言えばいいのでしょうか。
さらに、今回、
野党は、仮に
消費税を廃止した場合に、税制再改革までの間当面必要となる代替財源の
法案を提案されておりません。別の機会に四
野党が提案されたものを見ると、個別物品税の復活とか、
法人税の増税などとされております。しかし、今
国会の議論では、これらの措置について、提案者の中でも見解が一致していないことが明らかになりました。とりわけ個別物品税については、
基本的にはよい税だとされている
政党と、そもそも
基本的に問題があると言われる
政党があることがわかりました。なるほどこれでは代替財源
法案は提案が不可能でありましょう。(拍手)いずれにせよ、このようなことで、六兆六千五百億円にも上る
消費税を廃止するということが、全く無
責任なものであるということが明らかになったと思います。
以上の理由から、四
野党提案の
消費税法を廃止する
法案外三件については、強く反対するものであります。(拍手)
一方、与
野党の議論の中で、考え方の一致を見た貴重な部分もございました。
第一に、
野党の皆さんも、税金はなければない方がよいという考えだけではなく、よりよい税制をつくろうという
基本的な立場であるということでございます。
第二に、
野党の皆さんも、税制のあるべき姿の中で、間接税を否定されるわけではなく、
サービスや流通に一般的に負担を求めることを否定されるものでもないということでありました。
第三に、
野党の一部の方からは、
所得再分配も大切だけれども、
自由経済の活力というものも大切にしなければならないという趣旨の答弁もありました。
さらに、税制を考えるに当たっては、
国際的な調和が必要であるという点も納得いただいたように思います。
私は、これらの考え方の一致は、与
野党が税制について真剣な審議を行った成果ではないかと評価しているものでもあります。
次に、
政府提案のいわゆる見直し
法案について申し上げます。
先般の抜本的税制改革は、我が国の長期的、全体的利益にかなう正しい選択でありました。しかし、その中で
消費税については、新税なるがゆえに
国民各層から、さまざまな御意見や御指摘をいただきました。そして、こうした
国民の声を謙虚に受けとめ、新税制が一層の定着を得ることができるよう所要の見直しを行うことは、
国家国民に
責任を負う者として当然とるべき道であります。
この見直し
法案は、御承知のように三つの柱から成っております。
第一に、
消費税の
所得に対する逆進性の緩和などの観点から、非課税範囲の拡大を実施することといたしております。
すなわち、人の
生命にかかわる出産費用、
火葬・
埋葬料を非課税とし、借家住まいの方々のために
住宅家賃を非課税とするほか、
社会的に弱い立場の方々により一層配慮をいたしております。さらに、
学校教育にかかる父兄の負担を軽減するため、入学金、
教科書等を非課税とすることとしております。
また、すべての飲
食料品について小売段階を非課税とするとともに、卸売段階までの
税率はこれまでの半分の一・五%とする措置を講ずることとしております。
第二に、事業者の
事務負担に配慮しつつ、
制度の公平をより一層確保する等の観点から、大
企業の
消費税の納付回数を年四回に増加する措置を講ずるほか、交際費等の支出などについて、事業者にも
消費税の負担を求める措置を講ずることといたしております。
第三に、
消費税収のうち国分については、
国民福祉のための経費に優先して充てることといたしております。
この改正は、いずれも最近における
社会経済情勢に対処し、暮らしの視点に立った見直しを求める
国民の声にこたえるべく最大限の努力を払ったものであり、まさに
国民の待ち望んでいる措置が盛り込まれているものであります。したがいまして、私はこの見直し
法案に賛成するものであります。(拍手)
最後に、一言申し上げますが、
野党の見直し
法案に対する質疑を伺っておりますと、
消費税及び
消費税見直し
法案に対する御批判の最大の点は、中小事業者に対する措置として簡易課税や免税点が幅広く、かつ、画一的に認められているがゆえに、
制度が不公平になっているのではないかということでありました。
消費者の支払った税金が
国庫に入らないケースがあるのではないかという批判に対しては、
政府は、実施状況を十分に把握した上で、適正に対処するということであります。
政府には、細かく実態を把握した上で、
消費税定着のための最大限の努力をすることを願い、私の討論といたします。(拍手)