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1985-05-22 第102回国会 衆議院 大蔵委員会 23号 公式Web版

  1. 昭和六十年五月二十二日(水曜日)     午前十時開議 出席委員   委員長 越智 伊平君    理事 熊谷  弘君 理事 熊川 次男君    理事 中川 秀直君 理事 堀之内久男君    理事 上田 卓三君 理事 沢田  広君    理事 坂口  力君 理事 米沢  隆君       糸山英太郎君    大島 理森君       金子原二郎君    瓦   力君       笹山 登生君    塩島  大君       田中 秀征君    中川 昭一君       平沼 赳夫君    藤井 勝志君       高下 創平君    山岡 謙蔵君       山崎武三郎君    山中 貞則君       伊藤  茂君    川崎 寛治君       渋沢 利久君    戸田 菊雄君       武藤 山治君    古川 雅司君       宮地 正介君    矢追 秀彦君       安倍 基雄君    玉置 一弥君       正森 成二君    簑輪 幸代君  出席国務大臣         大 蔵 大 臣 竹下  登君         国 務 大 臣         (沖綱開発庁長         官)      河本 敏夫君  出席政府委員         内閣審議官   海野 恒男君         経済企画庁調整         局審議官    丸茂 明則君         経済企画庁総合         計画局審議官  星野 進保君         大蔵政務次官  中村正三郎君         大蔵大臣房会         計課長     朝比奈秀夫君         大蔵大臣官房総         務審議官    北村 恭二君         大蔵省主計局次         長       平澤 貞昭君         大蔵省主税局長 梅澤 節男君         大蔵省理財局長 宮本 保孝君         大蔵省理財局次         長       中田 一男君         大蔵省証券局長 岸田 俊輔君         大蔵省銀行局保         険部長     加茂 文治君         大蔵省国際金融         局長      行天 豊雄君         大蔵省国際金融         局次長     野崎 正剛君         国税庁直税部長         兼国税庁次長心         得       冨尾 一郎君  委員外の出席者         経済企画庁調査         局審議官    宮本 邦男君         厚生省薬務局審         査第一課長   代田久米雄君         厚生省年金局企         画課長     渡辺  修君         参  考  人         (日本電信電話         株式会社取締役         経理部長    飯田 克己君         参  考  人         (日本電信電話         株式会社職員部         長)      外松 源司君         参  考  人         (東京証券取引         所常務理事)  野尻 孝夫君         大蔵委員会調査         室長      矢島錦一郎君     ――――――――――――― 本日の会議に付した案件  参考人出頭要求に関する件  昭和六十年度の財政運営に必要な財源の確保を図るための特別措置に関する法律案内閣提出第九号)  国債整理基金特別会計法の一部を改正する法律案内閣提出第一〇号)  産業投資特別会計法の一部を改正する法律案内閣提出第一一号)      ――――◇―――――
  2. 越智伊平

    ○越智委員長 これより会議を開きます。  昭和六十年度の財政運営に必要な財源の確保を図るための特別措置に関する法律案、国債整理基金特別会計法の一部を改正する法律案及び産業投資特別会計法の一部を改正する法律案の三案を一括して議題といたします。  この際、お諮りいたします。  三法律案につきまして、本日、参考人として日本電信電話株式会社取締役経理部長飯田克己君、同職員部長外松源司君及び東京証巻取引所常務理事野尻孝夫君の出席を求め、意見を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 越智伊平

    ○越智委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。
  4. 越智伊平

    ○越智委員長 これより質疑に入ります。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。渋沢利久君。
  5. 渋沢利久

    ○渋沢委員 久しぶりの委員会でありまして、きょうの案件、証券絡みということもありまして、証券界のある種の傾向につきまして、本題に入ります前に若干お尋ねをさしていただきたいというふうに思うわけであります。  最近、誠備事件などというものもありまして、証券界のありようが一つ問題になっているわけでありますが、例えばこの誠備の事件が無罪判決が出たときのこれは読売新聞の記事の表現でありますが、「無罪判決が出たことで、類似の悪質顧問業者がはびこることを危惧(きぐ)するとともに、事件の背景には個人投資家を大切にしなかった証券業界の体質があったことは無視できない、」「本来なら個人投資家を育成、保護すべき立場にある大手記勢が、個人を大切にしないで機関投資家本位の営業をすすめたために、街の悪質業者がはびこることになった」と、こう指摘をいたしておるわけであります。最近のアメリカの雑誌「ビジネス・ウイーク」、英国の「エコノミスト」などが相次いで日本の証券市場特集を載せて、四大証券の寡占、株式相場形成のいかがわしさなどを批判、特集をしているということもこれあり、証券業界、国際化の波が押し寄せてきている状況の中で、体質改善ということが一つ指摘をされているところだろうと思うわけであります。証券局の見解をまず承っておきたいと思います。     〔委員長退席、中川(秀)委員長代理着席〕
  6. 岸田俊輔

    ○岸田(俊)政府委員 先生御指摘の証券業界ないしは証券会社のそういう営業姿勢その他の問題につきまして、私どもといたしましては、従来より、投資家保護ないしは株式市場におきます公正な株価形成を保証するという観点から、証券会社その他の健全な運営を確保するための監督を行ってまいりますとともに、証券会社に対しまして投資者本位の営業姿勢を徹底するために適切な指導を行ってまいってきていると思っております。私どもといたしましては証券会社の営業姿勢は最近はかなり改善されてきていると判断をいたしておりますけれども、今後とも、さらに投資者本位の営業姿勢を十分徹底させるように、日々の行政指導ないしは検査等を通じましてこの趣旨を徹底してまいりたいというふうに考えております。
  7. 渋沢利久

    ○渋沢委員 具体的に少しお尋ねをしておきますが、今の局長の話では、最近は証券業界も非常に明朗なものになりつつある、そういう努力をしておる、こう言うのでありますが、私、この問題をお尋ねしようという気になりました直接の動機は、親しくしておる方が身内の中にがんの患者が出て、がんの患者を身内、家族に持つ親の立場で最近の株式関係の業界新聞などにけたたましく報道されている新薬の報道にあわせてこの試験的な投与について懇願を受ける、あるいは問い合わせを受けるというようなことが生々しくありまして、私、そのときにその方からいただいた新聞を見て驚きましたのですが、これは聞いてみると業界の中では割合に広く読まれている新聞なんだそうでありますけれども、例えばこの新聞でいうと、持田製薬のOH1などについての連日の報道がかなりの長期にわたって展開をされておる。  読んでみますと、例えば、名前は申し上げませんが、大蔵省の亡くなられた某局長の話などが取り上げられておりまして、そして、彼はこの薬を知っておれば死ななかったはずだなどというようなことがまことしやかに宣伝をされ、そして、その局長があの時期にこう言った、このところでこういう話をしたというようなことが、死人に口なしでありますが、まことらしく宣伝をされて、この薬はいかにも、まさにがん患者にとっては福音、天の恵みと思われるような形で宣伝をしております。具体的に例えば三越百貨店のどこどこ支店の何がしオーナーの家庭のだれがいつこれを使って完治したとかいうようなことが堂々と報道をされておりまして、こんなに効くものならぜひ使わしてもらいたい、あっせんをしてもらいたいという問い合わせを受けました。私、この新聞を見まして、これはひどい、証券業界というのはこういうものが横行しておるひどい状態だということを知りまして、驚きました。  きょう厚生省に来ていただいていると思うのですが、ちょっと業務局の方に伺っておきたいのです。  そもそもこの種の薬品というのは、まず物質が発見されるまでの段階があって、それからマウスの投与があって、動物実験ですね、それから、薬理的に効果ありということであっても副作用の問題があるということがありますね。執拗に動物実験も繰り返される。その上でなお薬効が確かめられた場合に初めて慎重に患者に試す臨床実験が行われるというような段階を経て、そうして、動物には効いたが人間にため、人間に効いたけれども副作用が大き過ぎて薬としては使えないというような、いろいろ経てそれが厚生省の玄関口に申請をされる。だから、厚生省の正面玄関に申請が出されるまでは少なくとも薬としては海のものとも山のものともつかない性質のものだというふうに理解をするのです。そういう性質のものとして受けとめてようございますか。
  8. 代田久米雄

    ○代田説明員 お答えいたします。  ただいまの制がん剤の研究でございますが、先生おっしゃいましたように、新しい化学的物質を合成いたしまして、そのものをスクリーニングをいたしましてがん細胞に少しでも反応があるものを探し出すというのが研究の端緒でございまして、今お話しございましたようにそのものの動物による実験、あるいは毒性あるいは安全性、有効性、そういうものの検討をさんざん重ねまして、そうしてやっと有効性、安全性がありと確かめられた段階で初めて人に使ってみるということになるわけでございますが、この段階に至るまでには少なくとも十年ぐらいの時間が必要であるというふうに現在言われておるわけでございます。そういうものにつきまして、今お話しございましたように、ある程度動物で効果が得られましても人による効果というものは必ずしも出るということではございませんので、この人による効果の評価というものは非常に慎重にやらなければならぬというふうに考えております。
  9. 渋沢利久

    ○渋沢委員 そうなんですね。かなりの時間をかけて実験を繰り返す。厚生省の玄関に申請されたものでも、しかしまだそれから先があるわけですね。薬事審議会の審査で、長いものは十年以上というのが一丸山ワクチンなんか、特殊な例かもしらぬけれども、申請してから十何年かかっているのと違いますか。
  10. 代田久米雄

    ○代田説明員 お答えいたします。  申請がございましてからも、やはり薬事審議会で何年と検討する場合もございます。さらにデータが不十分な場合には臨床試験を繰り返すというようなこともございますので、何年単位ということで審査自体がかかるということは十分ございます。
  11. 渋沢利久

    ○渋沢委員 もう一つだけ聞きます。  そこでちょっと伺いたいのですけれども、つまり厚生省の玄関に申請されるまでにとにかく大変な時間がかかる。それで、これは全くわからない。それから先もまたいろんな厳しい審査があって、長いものは本当に十年を超えるようなものもある。何かもう待ち切れなくて、途中で申請をおろしてしまうという形で、却下はされないけれども事実上断念するというようなケースもあるというふうに聞いていますけれども、そういう状況の中で今、証券業界で、あなたの方と直接関係ないが、大変乱高下ということで、マスコミの話題にもなったり世間の話題になっている制がん剤と言われるようなものが幾つかあるのですね。  ちょっと私、幾つか挙げますが、それらで厚生省に申請があったものはどれか、ちょっとわかったら教えていただきたいのです。スマンクス、TNF、OH1、ベンズアルデヒド――これはちょっと違うかもしれない、科研製薬ですが、この四つについてちょっと言ってください。
  12. 代田久米雄

    ○代田説明員 申請があるかないかということだけでございましたらば、ただいまの先生の御質問の四件につきましては、いずれも承認申請は出てきておりません。
  13. 渋沢利久

    ○渋沢委員 結構です。業務局に聞くことはそれだけです。  つまり、今証券業界を吹き荒れている制がん剤と言われるものは、薬の価値を定める、薬として認知されるかどうかというものを見きわめる段階としては全く海のものとも山のものともつかない段階で、しかしこの業界では、まさにすい星のごとく踊り出、そして株の乱高下を形づくっている要因になっている。  今、私聞きました四つの製品と言われるものは、例えばスマンクスというのは日興証券、シェア二六%、ほとんど日興が売っておるものなんです。TNFは野村証券、OH1は大和証券、ベンズアルデヒドというのは日興証券、いずれも日本の証券業界の、大手四社と言われるが、ここで言うこの四つの製品はそのうちの三社がみんな商いを主体的にやっているというものである。このことで共通していることは、こういう大手の三社が売買の主役であるということと、いずれも激しい乱高下が見られるということと、薬としてはしかし海のものとも山のものともつかぬというようなものがこういう状況になっているということ、これが今の証券業界の特徴だと私は思うのです。局長は、大変ようなっています、またそう努力していますと、大変甘いことをおっしゃっているが、現実はどうもそういうことではない。  今言いましたベンズアルデヒドというものは、これは五十年ごろに科研製薬というのですか、扱い始めて、日興証券が五十二年から五十三年にかけて企業ぐるみで売りまくって、株価操作による暴騰だということで騒がれて、この国会でも大蔵委員会でも委員が指摘をして話題になった、そういう性質のものですね。十年たっておる。まだ厚生省に申請もされていないですね。こういう実態なんです。私は驚くべき実態だと思う。けれども、なぜかそれが株を動かして、大衆投資家には先ほどの新聞のような形で制がん剤がけたたましく喧伝をされているという状況がある、こういうことなんです。  そこで、ちょっと証券局に尋ねますが、これは東洋経済新報ですか、そこの記事なんでありますが、それで言いますと、こういうことが紹介されている。持田製薬は、「昨年四月に二〇〇〇円台だったものが、アレヨアレヨという間に急騰を演し、一〇月二三日には何と一万六六〇〇円という五〇円額面株としては史上最高の株価を付けている。」しかも、「その後、乱高下を繰り返し、」云々。これはまさに一部の投資家だけに利益をもたらした「株価狂騒劇」であると言って、非常に具体的に、なぜこんなでたらめなことが、乱高下が行われたかということの紹介がされております。  これが実態をあらわしているというふうに思うのですね。研究開発をやっているという研究団体、研究者の側とそれから製薬会社の方とが全くまちまちな発表をすることで、そのたびに何か株の動きが急騰したりあるいは落ち込んだりというようなことを繰り返しておる。そのことで、ここに、東洋経済の雑誌に書いてあるように、明らかに一部の人たちが特殊な利益を受けるために仕組まれたものだと見られるような状況があるのですね。こういう動きに対して証券局なり東証はどういう御調査、御指導、対応をなすっておるのですか。大変よくなったとあなたはおっしゃるのだが、こういうことをおっしゃるのですか、あなたがよくなっておると言うのは。
  14. 岸田俊輔

    ○岸田(俊)政府委員 私どもといたしましては、株価売買高に非常に異常な動きが見られます銘柄を初めといたしまして、株式市場全体につきまして公正な株価形成を確保する見地から常に監視に努めているわけでございます。  先生御指摘のように、いろいろな情報が株式市場には出回っているわけでございまして、株価形成にいろいろな影響のあります情報というものは非常に幅広い範囲でございまして、こういう投資家につきまして投資をいたしますときの情報というものが非常に価格形成につきまして重要であるという点にかんがみまして、私どもといたしましては、公正な価格形成を確保するためには、有価証券の投資判断に影響を与える重要な会社の情報というものにつきましてはその会社からタイムリーに一般投資家に開示をすることが非常に重要であるというふうに考えております。この観点から、東証では上場しております会社に対しまして、そういうような重要な事項が生じた場合には直ちに取引所へ通告することを求めているほか、これを一般の投資家に開示することが必要であると判断した場合には、タイムリーなディスクロージャーを要請をいたしているわけでございます。またそのほか、先ほど申しましたように証券会社につきましても、日常の行政指導とか、それから検査を通じまして適正な営業手法を確保するように指導をいたしているわけでございます。  先生御指摘の具体的な事例の持田製薬に関してでございますけれども、御指摘のように、確かに昨年の四月から株価が変動いたしております。東証といたしましては、昨年の四月から十月までの間七カ月にわたって調査をいたしてきております。これで十分に監視をいたしておりますけれども、その結果といたしまして、現在のところ東証からは、この持田製薬の株式につきまして一部の者が株価操作をしたというような事実があったという報告は受けておりません。また、持田製薬のいろいろな情報が乱れ飛んだ結果、これにつきましてもやはり事実を公開することが必要であるという判断に基づきまして、東証から持田製薬の方に要請をいたしまして、事実関係につきまして、五月二十一日、八月八日、さらには十一月二十八日に株価形成に関します事実関係について公開をいたしております。  私どもといたしましては、今後とも、不公正な取引につきまして監視を引き続いて行うとともに、タイムリーな事実関係につきましての開示ということにつきまして積極的に指導してまいりたいと考えております。
  15. 渋沢利久

    ○渋沢委員 時間がありませんから締めくくりますけれども、私がこれを取り上げたのは、持田製薬のトップが中曽根さんと同級生で、後援会幹部で、この株の問題がそれらしき政治株云々などというがごとき週刊誌の報道をそのまま真に受けて、だからこそ指摘をするなどということではさらさらないのであります。全くそんなことはない。ただ、余りにもひどい動きがあるので、一つの例としてお尋ねをしたわけです。  そこで、今疑惑とされているのは、東証のお調べになったことの根拠の一つはこういうことでしょう。私も驚いたのだが、OH1という、つまりまだ海のものとも山のものともつかぬものがこうして人命救助に、あの人もこの大もという、うそ八百を新聞が並べて誇大宣伝をやって、株だけ売りまくっている。このOH1というものを研究開発をしている林原研究所というのは、これは普通の純粋な研究団体かと思ったらそうじゃなくて、なるほど林原生物化学研究所という純粋な研究グループ、団体も持っているけれども、同時に、林原株式会社、砂糖をつくったり、それから太陽殖産株式会社、貸しビルをやったり、林原商事、これはさまざまな商事会社的なことを、商品販売をやり、昭和運輸倉庫、陸上運送をやり、日本感光色素研究所、これは株式会社として何やら薬の開発をやり、それから京都センチュリーホテルという駅前のホテル経営をやり、国立公園出崎開発株式会社というレジャー施設の開発を業とし、瀬戸内海井島開発、もう切りがないですね、こういうグループなんです。まさにその中の一つに研究団体もあって、その林原さんというのが何やらこのOH1というのを、その研究自体については私もとやかく言う筋はないのですが、しかし、こういう開発をされたこの方が疑惑を集めている最大の問題というのは、ある時期五十万株を上回る株を取得しているということがこれは外に出まして――知らぬとは言わぬで、そのことは新聞に書いてあることだから。それで言うんだけれども、それでインサイダー取引の疑いを持たれているというのがあるのじゃないですか。  最も身近に情報を知り得る立場にある者が株の売買をやるということは、証取法が厳しく禁じておるところであると思うのです。そういうことに触れて厳格な指導や調査が本当に行われておるかどうかということについて、私は疑念を持っておる。時間がないのであれですが、一体本気でお調べになって、法律に違反をする疑惑は全くないと、あなた断言するならしてもらったらいいです、全くないと。
  16. 岸田俊輔

    ○岸田(俊)政府委員 先生御指摘の林原研究所でございますけれども、これは確かに持田製薬の株の取得はいたしておりますが、具体的な数字はちょっと、個別の問題になりますので差し控えさせていただきたいと思いますが、インサイダー取引の対象になりますのは総持ち株の一〇%以上ということになっておりますが、そこまでには至っていないというふうに考えております。
  17. 渋沢利久

    ○渋沢委員 言いにくいことになると個別の何とかということでおっしゃらないのだが、しかし、こういうことに対する調査あるいは指導がきちんと行われないところに株界、証券界に対する不信感が増幅する、そして誠備事件のような、あるいは次から次へと話題になるような、まさに詐欺事件と言っていいような事件がどんどん広がっていく、こういうことになっておるのではないか。  最後に読売の記事を拝借しますが、読売さんが「ドキュメント ガン株乱舞」というのを特集でずっと連載されておりました中に、こういう言葉があるのです。  林原研究所の社長の友人と称する者がこの新聞社を訪ねて売り込みをやる。その紹介の後で、しばらくしてこの株式新聞のキャンペーンが始まった。証券、銀行など関係者の患者が続々と全快した、一年以内にも製造申請になるだろう、ノーベル賞ものである、連日のように持田の活字が躍りまくった。そして大手証券も関心を示し、株価は敏感に反応した。夏に入ると、政治資金も買いに入ったといううわさが流れてさらに株価を押し上げた。そして、キャンペーンを始めてからしばらくたったところで、この新聞社の代表が東大系の医師に尋ねたことがある。OH1が岡山で評判だが、実際はどうだろうか、あんなものはインチキですよとあっさり片づけられたという。昨年十月に一万六千円台に上り詰めた持田株は、その後半値以下に大暴落する。株式市場新聞は今年二月から、今度は何々社の製がん剤何々物質を取り上げ始めた。  これは読売さんの記事そのままです。こういうことなんです。  私は、読売の記者の方が特集されたこのドキュメントを読み、先ほど話したようないきさつでこの新聞を手に入れ、私なりに多少の調査をした範囲で、これはまことに黒い根が深いという思いを新たにしているわけであります。  読売新聞には御迷惑かもしらぬけれども、例の東証取引所の新市場館が開場、オープンいたしました日の読売社説に――これは大蔵大臣、最後にあなたの御意見を聞いて締めくくりたいと思うのであえて言いますが、証券局長は、よくやっている、努力している、持田のことをいろいろ言われたけれども、まあその心配はありませんみたいなことをおっしゃるが、事実は違う。私はこの新聞が指摘したことを素直に受けとめてほしいと思う。この社説では、建物はよくなったがということを前提にして、「内外の投資家に信頼される証券市場にするには、解決すべき課題も多いといわなければならない。第一は、一言でいえば市場の健全化である。 具体的には、余りにも思惑取引で株価が乱高下する現状は、正常な株価形成と言いにくい。いくら「理外の理」も相場の一因とはいえ、投機色が強すぎるのではないか。また、個人投資家の株式保有比率が、年々減少しているのも、こうした”行き過ぎた”投機相場が一役買っていると思う。 大蔵省、証券界は、機会あるごとに個人株主の増加が大切だ、と言い続けているが、実効は上がっていない。株価操作まがいの行為といい、広い意味で市場の健全化に本気で立ち上がるべきときである。」こう指摘をしているわけであります。これは私の言葉ではない。公正なこの新聞の論調をそのまま紹介いたしました。この言葉の表現の中にすべてが言い尽くされているように私は思うのであります。  ですから証券局長、今後、持田株を含めてだけれども、この種のものについてやはりいま少し毅然とした業界の体質改善、刷新を考えないと――言ってみれば、大手四社が実際はこの証券界を動かしておるわけだ。ここへ向けて、それは行政上の権限がどうのこうのと言っている段階ではない。今の国際化、海外の証券企業も参入するであろうという状況の中で、恥部をさらすようなことがあってはいけない。そういう意味で、早急な体質改善が望まれる。そのために必要な手立てを具体的につくるということに努力をすべきだ。そのために必要なプロジェクトを組んで、研究、指導体制もつくるために努力をすべきだ。そして証券業界が、なるほど大蔵省が非常に大きな注意を払っている、行儀の悪いことをやっちゃおれぬという状況をつくり出していくことにあなた方は責任を果たす、そういう責任があると思うのです。そのことを申し上げて、大蔵大臣、大臣としてはいかがお考えでしょうか。
  18. 竹下登

    ○竹下国務大臣 世界的ないわゆる高株価、そういう環境の中にありまして、日本の株式市場というのも堅調に推移しておるというのが一般的な評価であろうと思っております。  先般、新しい建物ができまして、私も参りました。装いが新たにされ、まさにニューヨーク、ロンドン、東京、こういう三大市場というものが名実ともに充実していかなければならぬというふうに思っております。その中に、さまざまな新聞等々でそれぞれ指摘された問題が今日までもございました。これらに対しましては、直接には証券局、そしてその権限の範囲内における、いわば取引所等が絶えず厳格な監視をすることによりまして、投資家に対する不安とかあるいは別の意味における批判とか、そういうものが生まれないような指導を継続的に行っていかなければならぬ課題だという問題意識は私も等しくしておるところであります。
  19. 渋沢利久

    ○渋沢委員 この種のことでいささか不愉快な材料を私は入手しているけれども、きょうの法律案の審査、質疑の目的からして、これ以上このことで時間を費やすのもいかがかと思うので、改めてこれは時間をいただいてただしていきたいと思います。  本題にひとつ戻りまして、大蔵大臣、サミットから帰られて、また連日御多忙でお疲れだと思いますが、最近の景気動向の特徴に触れて、ぜひ大臣のお考えを幾つか伺っておきたいと思うのであります。  摩擦が起きるほど貿易が伸びて、それは大変結構なことであります。設備投資も確かに伸びました。そういう特徴はある。しかし、設備投資が活発になってきた流れの中でいうと、個人消費に火がつかない、そういう状態が続いてきたというふうに思う。個人消費は低迷と言っていい状況があった、これが一つの特徴じゃないか。二段ロケットに点火しないという状況があったと思う。この個人消費の低迷の原因はどこにあるんだろうか。このことについて大臣はどう考えていらっしゃるか。
  20. 北村恭二

    ○北村(恭)政府委員 お答え申し上げます。  我が国の経済全体として見てみますと、国内の民間需要を中心に自律的な拡大局面が続いているというふうな現状にあると思います。そういった成長を支えているものの大きなものはやはり設備投資でございまして、二けた台の伸びが続くといったようなかなり好調があったわけでございます。  一方個人消費、これは今先生おっしゃいましたように若干緩やかな伸びが続いておりました。しかしながら、やはり全体の景気の拡大ということに歩調を合わせまして、緩やかながらも着実な伸びが続いているんではないかというふうに見られるわけでございまして、特に最近、百貨店等の売上高の伸び等に若干明るい材料が出てきているということでございますので、今後の個人消費の着実な伸びというものを期待いたしたいと思っておる次第でございます。
  21. 渋沢利久

    ○渋沢委員 経企庁が何かデパートがことしに入って少し売れ行きがいいというようなことを言ったり、連休に人出が多いとかいろいろ言っておるけれども、しかし全体のリズムとしては、まだそんなに明るさが個人消費の面で出てきたというものはないと私は思うのですね。消費者に必要なものの普及が一巡したというような、この説も当たらないと私は思うし、それは、例えば去年の夏、非常に暑さが厳しくてクーラーはぐっと売れたけれども、VTRの方は落ちたという。本当に消費が伸びているというならやはり一緒に伸びてもおかしくないんだが、そうじゃない。  けさの新聞によりますと、これは経企庁が出した資料が各紙に報道されておりまして、昨年度の消費動向調査という中で、今審議官が少し暖まってきたというふうな趣旨のことを言われた材料かと思うけれども、例えばVTRはトータルで言えば確かに売れているということが出ている。けれども、ここにも書いてあるように、「「収入に占める消費の割合」だけは指標が落ち込み、買いたい気持ちはあるものの、収入を思い通りに消費に回せない消費者の悩みが表れている。」前年よりも二・七ポイントこれが下落している、収入に占める消費の割合は落ちているということが言われているわけであります。だから、今のあなたの説明は必ずしも的を射たものではない。全体として景気回復基調にあることをもちろん否定はいたしませんけれども、そういう中で個人消費の低迷状態というのはやはり続いているというふうに見なきゃならないと思うのです。  特に総務庁が出しております家計調査を見ましても、実質の国民の懐を見ればわかるんでして、とりわけサラリーマンの非消費支出は大変伸びておる。十年前に比べると倍増しておる。実際に可処分所得は減っている。これは総務庁の調査でそういう形のものが出ておりますね。住宅ローン、教育費、それから生命保険などという強制貯蓄割合というものもずっとふえておる。  労働省の調査を見ますと、完全失業率は伸びておる。非常に雇用の状況は悪いですね。特にことしに入って一、二、三、三月などというのは非常に悪いですね、伸びておる。そしてまた、一世帯当たりの平均収入というようなものを見てみましても、これも非常に悪いです。  どの資料を見てもいい資料はないですね。みんな政府の資料ですけれども、一世帯当たりの平均収入データというのを伸び率をずっと見ておりましても、例えば昭和五十年から五十三年ぐらいまでの間の伸び率は一〇%台、ところが五十三年から五十七年へかけての五年間ではそれが六%、七%台、五十八年以降はそれが三・二%、そして去年は二・三%というふうに、一世帯当たりの平均収入金額の前年対比というのは伸び率が大変落ちている。どのデータを見てもそれはいい状況じゃないので、やはり消費が落ち込んでいる、低迷している。落ち込んでいるという言い方は正確ではないかもしれませんけれども、低迷している原因は、家計にゆとりがなくなったという一言に尽きると私は思うのですが、それは間違いでしょうか。
  22. 北村恭二

    ○北村(恭)政府委員 お答え申し上げます。  ただいま先生いろいろな計数をお挙げいただきましてお話しございましたように、家計調査等の資料で見ますと、やはり一般的に可処分所得等の伸び、必ずしも高いものではないということは言えると思いますけれども、しかし昨年度と比べてみますと、徐々にではありますが、そういった伸びが改善の傾向にあるのではないかと思います。勤労者世帯なんかの実収入の伸び等を見ましてもそういった傾向がうかがわれるわけでございまして、こういったことが消費の拡大ということにいずれつながるということを期待しているわけでございます。  ただ、一般的に消費をめぐる消費動向と申しますか、そういったもので、アメリカ等に見られましたようなペントアップデマンドといったような意味での消費を非常に強く刺激するといったような要因は、今の家計の状況から見て余り見られないということは、比較の上ではあろうかと思います。しかしながら、先ほども申し上げましたように、着実な緩やかな伸びというものがそういった所得動向等を反映して続くことを期待したいということでございます。
  23. 渋沢利久

    ○渋沢委員 期待したいのはいいけれども、そんなにこれから個人消費が伸びていくだろうと思われるような、あなたのおっしゃるような推定の根拠になる材料がない。頼みの設備投資、伸びた伸びだと言っているけれども、これがいよいよその伸びが大きく鈍化してきたというのが経済企画庁の調査で明らかになっておるじゃありませんか。これはアメリカの景気のスローダウンの影響が早くも出て、ことしの設備投資の見通しは、細かいことは時間がないので省きますけれども、あらゆる業種の分野で見ましてもこの伸びは大きく鈍化をしている。下期にはマイナスの懸念がされている。これは特別な経済評論家を言っておるのじゃないのです。経済企画庁のデータで、これは数日前に明らかにされたところであります。輸出の鈍化がはっきりと、こう言うのですね、大蔵大臣。これはやはり今の経済の状況を見る上で、審議官が何ぼ個人消費の伸びの上向き説を強調してみても、設備投資の伸びに大きな陰りが出てきた、輸出の鈍化もはっきりしてきたという事実は非常に重要ではないかと思うのであります。これも経企庁の資料であります。輸出にかけて、そしてあの大きなアメリカ相手に貿易摩擦でえっちらほっちら苦労するほど日本も強うなったとお考えになる人もあるかもしらぬけれども、しかし、現実には国内の庶民の懐はびびっておるし、中小零細企業は行き詰まっておるし、それはいまだにこの不況感から抜け出ておらないというのが実態としてある。私は東京の選挙区、下町で中小零細企業の町で、その中小零細企業、商工業者の皆さんと日々道連れで暮らしをしておりますからよくわかる。大変よくなったと、中曽根さんの呼びかけにこたえて外国物でもどん買うかなどという話は一つもない。あれはちょっとピントが外れていますよ。一人当たり二万五千円の買い物をせいというのじゃなしに、一人二万五千円の減税をしますというなら、それはわかるけれどもと、こう言っていますよ。  しかし、それは別といたしましても、経済企画庁の見通しによれば、設備投資も鈍化、輸出も鈍化、この趨勢が明らかだ。こういう状況は、非常に重大なのではないか。アメリカのこの動向、景気減速ということも、これはけさの毎日の記事をそのままちょっと今いただいてまいりましたけれども、これも具体的な紹介は避けますが、この障りはかなり深まってきた。しかも速いということが指摘をされておりまして、アメリカの商務省がそういう下方修正のデータを明らかにいたしております。設備投資に、そして頼みの輸出に鈍化の陰りがあるという状況は、まさに国内は締めて締めて我慢と我慢を押しつけて、そしてひたすら輸出にかけてきたと見られる日本の経済運営の中では、これは非常に重大な局面ではないのか。大蔵大臣はどう受けとめていらっしゃるか。
  24. 竹下登

    ○竹下国務大臣 けさでございますか、昨晩ということでございましょう、アメリカでいわば下方修正。で、見てみますと、名目成長はそこそこでございますが、中身を見ると、デフレーターいわゆる物価の上昇率が少し高くなっておりますので、それをマイナスいたします実質成長率というのが落ち込んできておる。アメリカの場合は非常に頻繁に下方修正、上方修正をやります。そういう習慣になっておりますので、それを見て一喜一憂するということは、必ずしも適当でなかろうかと思いますものの、やはりスローダウンの傾向にあるということは、私も否定するものではございません。  これがアメリカの景気のある意味におけるソフトランディングのあらわれであるとすれば、私はそれなりに見通しがそう大きく狂っておるとは思わないわけでございますけれども、そうでなく、リセッションの始まりというようなことであったら、これはやはり問題であります。それは我が国の輸出にも影響をしてくるでございましょう。そういう意味において、我が国もいよいよ内需の問題に対して意を注がなければならない環境にあるということは、私も同感でございます。  ただ、その内需の問題を政策的な財政の出動でやるかどうか、ここが非常な問題のあるところでございますので、我々といたしましては、あくまでも内需振興の問題を諸般のデレギュレーション等において対応するために、七月には何とか行革審においてそういういわば制限緩和という問題の詳細な指摘をいただいて、これに対して全力を挙げていかなければならないではなかろうかというふうに考えます。  いま一つは、やはり私を含め日本人全体、いわば高度経済成長の体質にいささかなれてきておるのではないか。したがって、今が普通だという表現は非常に適当でなかろうかとも思いますが、いわばインフレのない持続的成長というのが最も好ましい姿であるというお互いの心の中の意識転換をやはり行っていかなければならないではなかろうか、このような感想を持っておるところであります。
  25. 渋沢利久

    ○渋沢委員 高度成長の甘味になれている体質があるということは、それは当たらないことではないと思うのですけれども、ただそういう言い方で言われると、確かに現実に今大臣も、アメリカの景気状況の中でいえば、一喜一憂はしないまでも、しかしそれは大事に見て内需振興問題について改めて考えなきゃならぬのじゃないかと、内需拡大否定派と言われておるあなたにしては少しニュアンスの違ったおっしゃり方をしていると思うのだが、そのことは後でさらにお尋ねするとして、時間がないからはしょりますけれども、私はやはりこの一、二年の状況の中で一言言っておかなきゃならぬのは、中小零細企業の状況は非常に悪いのですよ。個人消費はやや行きつ戻りつというようなことが仮に言えたにいたしましても、これは私と先ほどの大蔵省の意見とは見方が違うけれども、中小零細企業が当面している危機的な状況というのは、現実に倒産というピンチに見舞われているという事実が依然としてあるわけです。これを高度成長経済の甘えになれているという言い方だけで言ってもらっちゃ困る部分だと思うのであります。  これもあるいはだれか違った形の答弁をするかもしれない。例えば最近の倒産状況は少しよくなってきたと、こうおっしゃるかもしれないけれども、そうじゃないんだ。これはあえて時間を節約する意味で言っておきますけれども、例えば日本経済などにもこの間出ていましたが、四月の倒産は一服だということ、これは大変結構なことだと思ってよく内容を見てみますと、倒産件数が減っているというにすぎないのですね。むしろ負債総額そのものは逆に物すごくふえている。倒産件数は前年同月比で確かに減っている、ところが負債総額の方は大幅にふえている。そういう、件数は減ったけれども倒産の痛みは増幅しているというのが、依然として四月の状況であります。そういう意味では変わってません。  この中小企業の倒産状況というのは、一に建築、建設、二に食品、三に繊維で、四が不動産か、多少の入れ違いがあっても、なぜかみんな衣食住、国民の身近な消費部分でやはり消費低迷というものが響いておるというふうに思います。これが中小の倒産の傾向に明らかに反映をしているというふうに思うわけであります。  こういう状況の中で、内需の問題を大臣に少し具体的にお尋ねをするわけだけれども、やはり今までのやり方ではこれはいかぬという状況になっていることは、これは事実だ。大蔵大臣にお尋ねいたしますが、内需振興について、アメリカの状況からいっても考えねばならぬと、こう今おっしゃるのだが、具体的にはどういう形で内需振興を図っていこうというふうにお考えになっておるのか。  この内需振興策というのはいろいろな形で諸説紛々でして、内需振興を否定するものはどこにもないと思うのであります。しかし、そのやりようが、今おっしゃるように財政のてこをどこまで仕掛けていくか、そういう部分について全く積極、否定の二論に分かれておる。これもけさの新聞ですけれども、私ども社会党の国対委員長が、大変失礼ながら自民党の閣僚や実力者を内需振興派と反対派に区分をいたしまして、きのう何か記者会見でしゃべったのが「記者手帳」や「政界メモ」に報道されておりまして、これで見ますと、金丸幹事長を初め政調会長とか積極派が指摘されている中で、中曽根さんと竹下さんだけはこれは全く内需振興否定派というふうに位置づけられておるようでありますけれども、かたくなに、財政の力をもって内需振興を図るというようなことは考えない。それじゃ内需振興を具体的にどんな手法でおやりになろうというのか、聞かしていただきたい。
  26. 竹下登

    ○竹下国務大臣 私どもがかねて申しておりますのは、今日、いわば財政の出動によって内需振興を図っていくという環境にないというふうに申し上げておりますことは事実でございます。  その財政の出動とはされば何ぞやということになりますと、二つあろうかと思います。税制の面と財政の面であろうと思います。  税制の面におきましては、内需振興のためには、それは例えば投資減税でございますとかあるいは所得税減税でございますとか、もろもろの減税措置というものがあるわけででざいましょう。しかし、税制の問題につきましては、シャウプ以来のゆがみ、ひずみというものを直していくために、国会の論議を正確に整理をして税制調査会で審議をして、抜本改正の方向でこれから検討していこうという段階にございますだけに、私は、直ちにその問題で税制が出動していくという環境にはなかろうというふうに思います。一方、税制の問題でいま一つは、各党の幹事長、書記長の申し合わせがございますので、その推移を正確に見守っておるということになろうかと思います。  それからいま一つの財政の出動、これは仮に減税した場合におけるそれの財源としての赤字国債ということもその中へ含まれるわけでございましょうが、いずれにしても、これ以上いわばもろもろの財源を公債に求めた場合には、やはり一兆円の公債は三兆七千億の後年度の税負担というものにかかるわけであります。六十年間にわたって子や孫やひ孫にそのツケを回すことによって現状の財政出動をてことするという考え方は、現世代に生きとし生ける者としてやはり私はちゅうちょを感ずるのは世の必然ではなかろうか、こんな感じを持っているわけであります。  そこで、やはり少し中長期に見ますと、可能な限り、民間の力というものがどういうふうにして誘発されていくかということを考えていかなければならぬと思います。それの方策としましては、きのうもオープニングパーティーがございましたが、いわば専売公社でございますとか電電公社でございますとか、そういうことの民営化というようなことが、これは中長期的には大きな民活の意義となって出てくるではなかろうかと思っております。  いま一つは、公共事業の分野に対するいわゆる民間活力の活用でございます。その環境整備のためには、先ほど申しましたように、いわば規制緩和の問題点というものを行革審で今勉強していただいておる、それの具体的一つ一つに対する緩和、解除というものをどういうふうに進めていくかということを、この答申をいただいた後、急速にこれは考えていかなければならない問題であると思っております。と同時に、それの環境を整備していくための、いわば例示いたしますならば、あるいは区画整理でございますとかあるいは都市再開発でございますとか、そういう公共事業が民間活力を生むような環境整備というものにより重点的な予算配分等を行っていかなければならないではなかろうかというふうに考えます。  それから、それは余りにも地域的であり、かつ余りにも大型だという批判もございましょうが、関西空港株式会社のあの方向もまさにこの民活の一つではないか。ひたすら衆知を集めて、民間活力が真に活用できるような環境整備のために急いでかからなければならぬ問題がたくさんある。国有地の売却等の利用等に関する問題ももとよりその一つでございますが、それが直ちに全体のGNPをどれほど動かすかというような問題が今日出ておるわけではございませんけれども、一つ一つの問題についてやはり私どもは真剣に取り組むことによって民間活力の環境整備を行っていかなければならぬではないか、こんなように考えておるところであります。
  27. 渋沢利久

    ○渋沢委員 どうして内需振興拡大を具体的にやるかということになると、せいぜい規制緩和で民間活力でやる。民間活力というのは聞こえはいいけれども、実際、実効のあるもので当面の内需拡大にどういう役割を果たすのか。  おっしゃるように、中長期的なもので言えば、この民間活力の導入、拡大、活用というのは、それはそれなりに意味があると思うのでありますが、例えば、民活はあくまで長期的なものだ、内需への即効性を求めるのはいかがなものか、これは秩父セメントの諸井社長が言っていることなんです。東京湾横断道路について、これは二十一世紀につながる大プロジェクトであって当面の景気刺激には結びつかないと、新日鉄の斎藤会長がおっしゃっておる。財界の皆さんもこういう常識をおっしゃっておる。特別驚くほどの議論じゃない。そういうことだろうと思う。大臣自身もおっしゃるように、この種のものは地域的なアンバランスとか、あるいはいろいろ問題がある。しかしこれはあくまで中長期の中で言えることであって、当面議論が出ているところの内需拡大のための積極的な手法ということには全く、私はこれが答えだというにしては余りにも線が細過ぎると思うのですね。  今や、野党の一部が言っておるんじゃありませんよ、与党の中でも、金丸幹事長を初め大きな強い声になっておるのですね。政府部内でも一つの声になっている。そのすべてがいいと私は言いません。だから大切なことは、それを否定なさるなら、総理と大蔵大臣は、この道で行く、民活、規制緩和だ、これだけですか。しかも、今のお話を聞いておっても、例えばアメリカの景気減速に対応ずる、あるいは経済企画庁が予測するような民間設備投資の障り、輸出の障り、しかも一方では依然として個人消費は上向きとは言えない、中小零細企業の倒産の悲鳴も聞こえる、こういう状況の中で、国を預かる中曽根さんや竹下さんが胸を張って、自信を持って、やあこれでいきましょう、こうおっしゃるものが規制緩和ですか。何かもう一言私は伺いたいですね。大体そういうことをおっしゃってきたのです。総理大臣もおっしゃってきた。あなたも大蔵として大体そういう言い方をされてきたのだが、何とも寂しい話ではありますまいか。それだけでしょうか。
  28. 竹下登

    ○竹下国務大臣 それは、そのほかに、時によっては公共事業の弾力的執行でございますとか、あるいは、とかく民間活力といっても地方にこれを均てんすることは中長期もなおさらに遠いことで、言うなれば公共事業の傾斜配分でございますとか、そういう工夫はしていかなければならぬ。  この四月の公共事業等を見てみますと、大変落ち込んでおります。これは法律が成立しなかったという大きな理由もございますが、これとて急速に傾斜がかかってくるであろう。そして、それでもなおある程度つなぎ得たというのは、補正予算でお願いをして御協賛をいただいた、いわば公共事業の補正、そして債務負担行為、これらによるところの契約というものがその間のつなぎとして役に立っておったではないかというふうに考えます。そういう形の中で財政金融を弾力的に運営をしていく。トタで所得減税を行えば直ちにそれだけ消費がふえる、貯蓄に回るものは別といたしまして消費がふえるという原則を私も知らないわけではございませんが、その財源が後世代の納税者の負担になってはならぬということもまた私どもとしては、財政というものの節度からすれば、後世代の税を先取りするということはやはり非常に慎重に対応しなければならない問題であろうと考えます。  それから、公共事業を仮に建設国債を発行して追加したらどうだ、こういう議論も当然ございます。この公共事業というものについては、数字で見ます限りにおいては所得減税よりもはるかにいわゆる輸入増の比率等も高いものでございますけれども、しかしながらこれとて、一時的に一兆円やれば三年間で四千億程度の増収は期待できると思うわけでありますけれども、その増収分が直ちに発行した公債の償還に充てられるものではなく、どうしても今日の我々の慣れた惰性からいえば、借金は借金としてやはり同じように三・七倍のものを後世代の負担にツケを回さざるを得ぬ、とかく回しがちな体質にあるということを考えてみますと、現在の状況の中で、世界で物価は一番安いし、世界で一番安定した成長率にはありますし、世界で一番失業率は低いし、そういうインフレなき持続的成長というものに我々の目を向けていくということが今日の国民の皆様方のいろいろなニーズにこたえ得る政策ではないといたしましても、後世代の人がまたそれをそれなりに評価していただけることもあろうという、かたくななまでの姿勢をだれかが貫いていかなければならぬと考えております。
  29. 渋沢利久

    ○渋沢委員 かたくななまでの姿勢を貫くというあなたの強い決意は、それはそれなりに政治家として評価を惜しまないけれども、しかしかたくななまでに掲げ持った「増税なき財政再建」、緊縮財政の取り組みがうまくいっているのならいい。財政再建にそのことではっきりした希望が開けるような道筋を走っているなら、そのことがわかれば、それはここまでは我慢だ、ここまではこういう我慢だ、しかしここから道が開かれるというものが出てくるから、同じ議論も非常に中身が充実をしてくるのであります。しかし、政府部内、内閣の中ですら政治的な思惑はいろいろあるでしょうけれども、やはり金丸幹事長が言っていることなんか政治的な思惑で言っているはずはないので、かなりきちんとしたことを――河本さんがおっしゃることやなんかは多少それなりに何か一味あるなという見方をする場合もあるけれども、やはりここまでの角になって、ある意味では今までの臨調の緊縮財政路線というものが大変大きな壁にぶつかっている、転換を迫られているといっていいような客観状況に政治的にはなっているということは、いろいろな理由があることだと思うのです。  それは、財政再建についても明確な見通しを示してないということだと思うのです。今まで出してきた「中期展望」とか試算なんというものは、試算でしかないでしょう。ああいうもので希望を持てというのは、言っている方がおかしいのですよ。試算でいうところの要調整額をいかなる財源をもって処理するかということを具体的に提示する、もはやそういう段階に来ているのです。そこのところをほったらかして、じっと我慢の子の路線が必ず道を開く、こうおっしゃっても、これはいただけない。財政再建というものについて確たる見通しがおありですか。大幅減税やらぬというのですから、内需振興、民間活力についても限界がある。公共投資の枠内運営で結構効果は上がる、そんなことだけで実際に現状が打開できるとだれも思っていない。ここが問題じゃないかという気がするのであります。     〔中川(秀)委員長代理退席、委員長着席〕  そこで、一つ尋ねますが、来年の特例公債の減額はどう計算をしておるのですか。毎年一兆円の減額という計画も当初から行き詰まってスタートしておったと思うのですが、ことしは頑張った。来年はどんな用意をしておるのですか。
  30. 竹下登

    ○竹下国務大臣 これは、来毎度の予算編成方針を決めるまでにその辺をしっかりしなきゃならぬと思うところでございます。すなわち、まず概算要求時点においてどういうふうな手法をとっていくか、こういうことでございましょう。だから、今からいわば今日残っております赤字公債の発行額を六十五年までに単純平均で滅していきますということを申し上げるだけの環境にはございませんが、いずれにしても六十五年に赤字公債依存体質から脱却しよう、それは実際問題昭和四十九年まで赤字公債なかったわけですから、五十年から発生をいたしました赤字公債の依存体質は何とか六十五年までには脱却していかなきゃならぬ。そうすると、当然公債の減額ということを予算編成に当たっては念頭に置いていかなきゃならぬ課題だ。  で、ことしの場合も、一兆円と申しましても、御承知のとおりこれは全額赤字国債じゃございません。したがって、その工夫をどういうふうにしていくかということは、今後の経済情勢の推移を見ながら決めていかなきゃならぬ課題だというふうに考えておるところであります。
  31. 渋沢利久

    ○渋沢委員 しかし大臣、これはさっき言いましたように、六十五年度までに確実に赤字公債からの脱却を達成できるという手順を具体的に示さなきゃならない段階だろうと思うのです。それを具体的に示すということをしないでは、財政再建、財政再建と言いましても、六十五年度達成と言いましても、まじめにそれをやる気かどうかという政府の姿勢が疑われます。  去年の財確法の審議の過程の中で衆議院参議院附帯決議がありました。これを比べてみましたが、さすがに参議院は一味違った附帯決議をおつくりになっている。ここで殊さら、政府昭和六十五年度赤字国債依存体質脱却への手順と方策を明らかにするということを、これはかなり議論をしたというふうに聞いておりますが、確認をして、大蔵大臣は例によって歯切れよく、ただいま御提案の附帯決議の趣旨に沿って、尊重して取り組むということをお約束いたしますと、こう明言をされておるわけであります。そういう経緯にかんがみるまでもなく、これはもはやああいう試算というたぐいのもので当面を糊塗するというわけにはいかないと思います。夢と希望と具体的な対応策を内容としたプログラムをいつお示しになるのか。
  32. 竹下登

    ○竹下国務大臣 昨年参議院におきまして、いわば借りかえ問題を中心として随分論議がございまして、最終的に今御指摘なさったようなことが附帯決議にございます。「なお、第一の事項につきましては、具体的な歳出削減計画とか、増税計画といったものを策定してお示しすることは無理だと思われますが、目標達成に至るいろいろな道筋についてどのようなものができるか、今後工夫してまいりたいと存じます。」このようなお答えを私からいたしました。そしてまた審議の中で、何とか財政改革の論議の手がかりとして従来のものより半歩でも進んだものを出したい、この気持ちは今日でも私にないわけじゃございません。ところが提出した試算は、ことしも昨年度と全く同じ手法によるところの、歳出と歳入の差額を要調整額という形で示しておるにすぎないではないか、こういう御批判を受けておるわけであります。  これは、一定の仮定のもとではありますが、中期的に見た財政事情を示す一つのわかりやすい試算でございまして、これをたたき台として御審議をいただくべき問題ではなかろうか。  そこで考えてみますと、要調整額というのは毎年お示ししておる。ところが現実問題としては、もろもろの工夫によって、それはその前年度に予測されたものよりもその詰まり方は減ってきておりますが、その裏に何があるか。透かして見えるのが、あるいは医療制度の改革というようなものが具体的な歳出の削減計画の一つであったであろう。あるいは、要調整額とは別でございますが、金利等の負担の増高を避けていくためにも、いわば今日御審議をいただいております電電、専売等の株式のそのものが国債整理基金に帰属するという形が、その要調整額の裏に見ていただけるところの一つの透かしとでも申しましょうか、そういうものではなかろうか。そういうことを毎年毎年努力を重ねることによって国民の皆さん方の理解を得ていかなければならぬ。今から、要調整額を埋めるのにこれだけのものは増税でやります、これだけのものは歳出削減でやりますということを仮にお示しいたしたといたしますならば、その増税に対する議論、増収措置に対する議論、あるいはまた一方、歳出削減に対する議論が一挙に出てまいります。私どもは、やはり年々世論動向を見ながら逐次その要調整額というものを具体的に減らしていく、そういう裏打ちとなる制度改正を並行してお示ししながら進めていかなければならないものではないか。いきなり、これだけは増税でやります、これだけは歳出削減でやりますという計画を、経済自身が生身であって、その一部である財政の中でそれらの計画がきちんと組める性格のものではない。しかし、半歩でも突っ込んだ、より議論を深めていただけるものの資料提供等はしていかなければならぬ課題だと考えております。  したがって、本院におきましても、個々の委員の先生方からこういう前提で試算してみるという要請に基づいては、絶えずそういう資料を提示しながら議論を深めてきておるのが現状ではないかと考えます。
  33. 渋沢利久

    ○渋沢委員 要するに、具体的なプログラムは出せない、その日暮らし、その年その年を精いっぱいやっていく以外にない、こういうことなんです。積極的な大幅減税、積極的な公共投資、積極的な内需拡大、そういう形を通して財政再建に弾みをつけ、寄与していくという、そういう意見もこれあり、さまざまな形で、この苦悩に満ちた、しかし活発な議論が展開している中で、ひたすら、あなたの言葉で言えば、まさにかたくななほどに財政再建のための緊縮路線を歩み続ける。しかし、それはいいんだが、具体的な目標、こういう手だてで活路を開くというものについては、なかなかそんなものは数字で示せるものじゃない、毎年じっくりやっていく以外にないというお話の繰り返してあります。時間がありませんのでこれ以上議論いたしませんけれども、そこのところが問題だという気がいたします。六十五年度脱却などということをだれも本気で考えていない。大蔵省にいますか、本気で確信を持って、そうなりきれる、こう言い切れる人がどこにもいないでしょう。それが問題なんだ。国民ももちろん、議会もそう思っていない、そこが問題だと思う。  私はこういう中で、大蔵大臣、やはりもっと国民にわかる財政というものにしていかなければならぬはずだと思う。財政白書というようなものはないんだけれども、そういうものをお考えになったことはないのか。今ごろのことだから、それこそ漫画本でもいいが、本当に財政のありようというものを国民にわかってもらうということの中で、議会の議論も国民にわかる形の議論があって、そして時に党派の垣根を越えて、だれがつくったかは別として、この危機的な財政状況というものを打開していくための手だてを積極的に交換し合うという、そういう状況をつくっていかないと、今のように当たりさわりのあること、後で議論になりそうなことは極力表に出さない、言葉にしない、文章にしないということで、包み隠してやっていくようなやり方は、これは本当の意味で日本の財政再建に寄与する手法ではないと私は思っておる。財政白書というようなことを思いつき的に言いましたけれども、しかしこれは何かお考えがあるか。  それからついでに、もうほかの問題に移らなければなりませんのでこれでやめますが、無税国債論というものがある。これはぜひ大臣のお考えを聞いておきたい。  金融商品に対する課税をこれは崩すおそれがある、懸念がある。これは政府部内で、大蔵の中で何か一体検討されておるのか。大臣、あなた自身はどうお考えになっていらっしゃるのか。これはぜひひとつ聞かしておいていただきたい。
  34. 竹下登

    ○竹下国務大臣 まず一つは、財政白書、私の得意の言葉で(仮称)とでも申しましょうか、これを作成するなどして、国民に財政の内容をわかりやすく説明すべきではないか、こういう御議論でございます。財政改革というのが国民的課題となっておる今日、いずれにしても財政の厳しい状況を国民の皆さん方に御理解をいただいて、そして協力をしていただかないことには、これは実際問題として運ぶことは難しい問題であります。  そこで、財政関係資料の提供ということになりますと、財政法四十六条に基づく国民への財政報告や予算及び財政投融資計画の説明のほか、従来からは、財政状況をわかりやすく説明したパンフレットその他種々の資料を作成してきております。よくごらんに入れております「財政改革を考える 昭和六十年五月」これなどもその一つの例示でございます。  いずれにせよ、各種の財政関係資料というのは、可能な限り国民の皆さん方にわかりやすいものをつくりまして、全国各地で財政金融懇談会あるいはテレビの広報番組とか、あるいは私ども手分けしまして、それぞれの会合に出かけて、財政改革の必要性と日本の現在の財政状況、そして対世界比等について御理解を得る努力をいたして今日に至ってきておるわけでありますが、今の御趣旨には私どもも引き続き対応していかなければならない課題だというふうに考えております。  それから無税国債の問題でございますが、国債の大量発行下におきまして、その円滑な消化に資するために、今度も御審議いただくわけでございますけれども、短期国債、国債の種類、また発行方式の多様化を今日まで図ってきております。国債の多様化については、市場のニーズを勘案しながら円滑な消化を行うという観点に立って、絶えずこれは検討していかなければならぬという考えでございます。  無税国債、これは低利免税国債という性格のものもございますし、また議論をしてみますと、その大宗が財投の原資になっております郵便貯金というのは、ある意味において無税国債じゃないか、こういう議論をする人もございます。が、財政面の問題でこれを低利免税国債ということについて申し上げますと、無税国債といえどもあくまでも借金であります。真の財源ではない。そしてこの問題はよくアングラマネー保有者を対象に国が優遇措置を与えるものになりはしないかということが、非常に私どもが気にする、いつも批判を受けるところでございます。  相続税の優遇措置ということになりますと、我が国の相続税はどちらかといえば、西郷南洲の「児孫のために美田を買わず」、一定のところまで教育したり、それは親の責任だ、しかしそれから先は美田を買わずというような思想が確かにあると思っておりますので、いわば相続税を含めた免税国債、こういうことになりますと相続税全体の体系を崩してしまうことになりはしないかということで、私は否定的な立場に立っておるわけであります。  さてもう一つは、消化面のことを考えなければなりませんが、無税国債の発行によってどの程度消化促進につながるかということになりますと、今渋沢さんもおっしゃいましたように、金融商品の多様化の一環でございますので、まさにそっちへだあっとシフトしていった場合にはこれは金融秩序全体を壊すという危険性もございますし、また国債というものの消化促進は、やはり金利というものが魅力である、こういうことになりますならば、低利といってもそう低利なものになるかどうかという問題点がございますし、基本的には、先ほど御指摘なさいました、これはよほど考えませんと資金シフトがだあっと行われていくということがやはり私どもの懸念としてあり得ることではなかろうか。こんな感じを持っておりますから、正式に部内で無税国債研究会、まあ無税国債そのものの問題点はいつも議論しておりますが、発行するかしないかとかというような前提で検討したということはございません。
  35. 渋沢利久

    ○渋沢委員 いろいろ財政問題、不満が多いのでありますが、ただ、時間もありません。法律案が三つ出ておりますが、私が特に時間をかけてただしたいと思っております電電株の問題が残っておるわけでありますので、質問を変えたいと思います。私は四時間の質問希望時間を理事を通して申し出でございますので、その決着は委員長が理事会で御判断をいただくことだと思うのでありますが、まだ時間はかなり残っているという前提で、ひとつたっぷり電電の問題はお尋ねしたいと思います。きょうは許された時間の範囲内でお尋ねをしていきたい、こう思います。  電電のこの民営化の経緯を考えまして、国が公社、公団、公共団体でいろいろ出資をしたり力をかしていわば育てだというような事業体の中でも、大変悪戦苦闘してさまざま迷惑をかけて困っておるものもあるが、しかしこの電電は実によく努力をされて、政府の出資は本当にわずかだ。これは、金の面では国は何も力をかしていないと言っていいような状態、発足の中で、あれだけのすばらしい力を蓄えてきたと思うのであります。そして、記憶にも新しい、納付金という形でもうかったものをこっちへよこせと言って、それも前倒しとかいって、二重取りまでしてべらぼうに取り上げた。そういうことまでやって協力をさせる。それが可能な事業の状態をつくってきた資産形成の過程で、一つには労使のひたむきな努力、もちろん債券の買い入れその他を通して加入者全体の協力、政府の指導もあったかどうか知らぬけれども、主体的な労使の非常な努力を見るわけで、これが資産形成のかなめだと思うのです。  数字をちょっと見ましたら、外国の電気通信事業の要員数の比率を取り寄せてみましたが、日本はアメリカ、イギリス、西ドイツ、フランスなどに比べてずっと低いのですね。電話機の一万個当たり何人、こういう形で電話の設置台数と従業員との対比を資料で見てみますと、非常にたくさんの施設を持っておりながら非常に少ない従業員で仕事を成功させてきたという経過が歴然としておると思うのです。しかも、年々合理化を進めまして、配置転換をやった数は延べ十二万八千三百人。大変な配置転換をやって、新しい技術に対応するための職員の訓練実施人員数が年間平均延べ二十三万。いろいろデータを見ますと、電電の労使は驚くべき努力をやって、こういう成果を上げてこられたと思います。ここ数年のデータでこれら先進国と言われる国々との対比を見てみると、人は年々減らしている、しかし事業は、電話機の設置数は急速に伸ばしている。伸び率でいえばまさに世界で一、二位である、こういう状況を労使の努力でつくってきたということが言えると思うのであります。  しかし、民営化の過程で、借金だけは五兆六千億の負債をそのまま背負わせて、その株の処分も、今度の法律案のようにその帰属と使途を赤字国債の穴埋めに使おう、こういう形になろうとしているわけであります。その経過から考えますと、これは全くむちゃくちゃなことを大蔵省はお考えになっているとしか言えないのであります。  細かいことを省きますけれども、さすがに竹下大蔵大臣も、去年この委員会あるいは逓信委員会に出かけられて、いろいろ民営化の議論の過程で物を言っていますけれども、例えばこういう苦労をして形成してきた電電の資産、民営化するに当たって、その負債については少なくともどこかで見てやる必要があるのではないか、まして株の売買益が膨大なものとして考えられるとすれば、その中から見るのは最低の常識ではないのかという指摘に対しまして、大蔵大臣の言葉で、速記録をそのまま読みますと、いわゆる会社経理に移りますと、今ゼロの退職給与引当金、限度いっぱいやれば一兆七千億というようなことでございます。会社経理に移っていかれるまでには、この種の問題、実際たくさん出ると思います。民間会社経理形態に移行される問題等によって生ずるもろもろの問題については、十分関心を持って対応すべき課題だという理解は持っておるつもりでございます。こう当然のことながら言っているわけであります。これが常識であります。しかし今度の法案は、民営化の法案審議の過程であれこれ言われ、確認されあるいは今紹介したような大臣の答弁というようなものとは全く離れて、無視して出ているという感じがいたします。  そこで、確認の意味でちょっと聞いておきますが、民営に移ったといっても、この法律の二条で言っております、電話役務の公平な提供、役務の日本全国における安定的な供給の確保、電気通信技術の実用化研究、基礎的研究の推進と普及などを通じ公共の福祉の増進に資するという責務が負わされているというのが、NTTの特徴だろうという感じがいたします。もうかる仕事にだけ手を出しておればよろしい、民間の会社だからそれで割り切っておやりなさいということではない。やはり前身電電公社の経緯にかんがみて、民間の企業であるけれども、損得抜きにして、そして電話事業の安定的な国民への提供、開発、世界のさまざまな競合の中でそこを乗り切っていくだけの高い水準の技術開発等を含めて、この法律の中でそういう公共的な役割というものが規定されておると思うわけであります。具体的に言うと時間がありませんので、簡潔にお答えいただきたいのだが、まさに利害を超えてそういう役割をこの会社は背負わなければならない、また背負っていると法律の上で理解するんだが、具体的に言うとそれはどういうことなのか、どういう形であるのかということを会社の方から伺いたい。
  36. 飯田克己

    ○飯田参考人 先生の御質問、これは法律が云々ということの以前に、私どもとしては、過去の経緯、現在においても一番大きな事業体としての存在でございますので、まだこの状態は当分続くと思っております。したがいまして、そういったことからする当然の社会的な倫理、公共性ということは、私どもの事業の基礎になる社会的倫理と考えております。  いろいろございましょうが、具体的に言えば、例えば一一九番あるいは一一〇番のサービスといったものは一番典型的なものかと存じますが、世の中に火事と泥棒ぐらい反社会的な行動はないわけでありますので、これにつきましては旧公社時代もそうでございましたけれども、私どもはNTTになりましても引き続き無料でサービスを提供する、これが一つの大きな例だと考えております。
  37. 渋沢利久

    ○渋沢委員 営々と労使の努力でこの電電事業資産を形成してきた。しかし五兆六千億からの借金はそのまま背負わされておる。六千八百億の納付金は二重取りを含めて国に納付せしめられておる、そういう協力も積極的にしている。民間の会社になったけれども、さまざま公共の福祉、この事業の性格からいって、利害を超えた、利益を乗り越えた仕事、役務を背負わなければならない、背負っている。  こういう経緯からいきましても、大蔵大臣が先ほど紹介したこの言葉でも言っておりますように、まさに電電資産は国民共有の資産だという言葉がありますけれども、私はむしろ正確に言うと、国民共有のというようなものではなくて、これは労使の努力と加入者の協力で形成したのだ、それは加入者の数からいっても国民的だと言えるでありましょうけれども、そういうものだと思うのであります。したがって株の売却益を例えば電電の負債の償還に充てるとか、あるいは安定的な企業の発展の基礎づくりのために何らかの寄与をするような対応をするとかいうことがあってしかるべきものだと思うのであります。今回のような処理の仕方は全く納得のいくやり方ではないというふうに考えますが、逓信委員会の審議経過に照らして大蔵大臣の意見を求めたいと思うのです。
  38. 竹下登

    ○竹下国務大臣 私も何回かのサミットに参加しまして、特にヨーロッパの労使関係の問題が出ますときの質問を受け、それの例示として日本の労使関係を話す場合、胸を張って話せるのはまさに旧電電公社の労使関係、こういうものはいつも胸を張って話すことにいたしておりますが、それになりますまでには長い時間もかかったと思います。初めからすべて今日のような状態であったとは必ずしも言えなかろうと思いますだけに、大変な双方の努力によってなされた労使関係であるという認識は、少しも渋沢さんと違うところはありません。  一方、別の角度から見ます場合に、国の一部であります旧電電公社が、法律によって独占事業として電気通信事業を営んで、その結果資産が形成されてきたという経緯もまた考えなければならないわけであります。したがって、国民共有の財産というふうに考えるのがやはり筋ではなかろうか。だから、もろもろの審議の経過あるいは附帯決議等々を総合勘案して、今御審議をお願いしておるような形で株式の帰属を決めたという経過になろうかと思われます。  なお、審議の際に、私自身もいわば一般の民営の企業家として考えた場合には、負債の償還に充てていくというのは当然考えられる一つの手法でございます。しかし、今日民営化いたしましたのは、他に競争場裏に出るものがあり得るという前提でこその民営化というふうに理解をしました場合に、株式の売却をその負債の償還に充当したといたしますならば、いわば国からそれだけのものを助成したということにも裏返せば理論づけられるわけでございます。今後出ていくであろうもろもろの企業は、もちろん助成を受けることもなく資金調達をしながら進んでいくわけでございますから、競争原理ということからしても、そのことをあえて企業者として考えるのは当然のことでございますものの、そのことを是認するわけにはいかないではなかろうかというふうにお答えをしながら今日に至ってきたところであります。
  39. 渋沢利久

    ○渋沢委員 これは全く見解を異にするところでありますが、残念ながら議論をしている時間がないので、一、二具体的なことを尋ねておきたいと思うのです。  この株の売却は、具体的にはいつからどういう方法で売却するということを考えておられるか、計画しておられますか。
  40. 竹下登

    ○竹下国務大臣 五十六年、五十七年、五十八年でどれだけの新株が市場で出ておるかという数字を見ましても、それらも一つの参考になるところでございます。例えば五十六年一兆七千九百三十二億円、五十七年約一兆円、五十八年約八千五百億でございますが、そういうような問題とか過去の経験とかそういうものを総合勘案しまして、専門家の方々の意見を聞いて時期もそして額も決めるべきものでありまして、これは今後私どもに課せられた、国民の前にガラス張りの中で処理していくための一番重要な慎重に検討すべき課題ではないかというふうに考えておるところであります。
  41. 渋沢利久

    ○渋沢委員 そうすると、いつからどういう形で売却するかということについてはまだ何も具体案はない、こういうことですか。
  42. 竹下登

    ○竹下国務大臣 今、具体案はないと申し上げるのが適当かと思います。
  43. 渋沢利久

    ○渋沢委員 この法律が衆議院に提案されました際の本会議で、中曽根総理も、いやしくも利権絡みのことであってはならぬ、国民の疑惑を招くような売却手法があってはならぬ、毅然とした対応を示さなければならぬという趣旨のことを述べておるのです。総理が本会議で利権などという言葉を用いるのは余り例のないことだけれども、それぐらいこのことの処理は国民注視の的である、一歩間違うと大変な間違いを犯すことになるという趣旨がある。  私は、この法律が提案される前提として、民営化の法審議の経過からいってもこの株の売却益の使途、帰属というものを決める際には、当然のことながらそれはいつどういう手法で売って、またその処置の仕方はこのようにして世間の誤解を招かない公明正大なやり方であるということを具体的に明示する責任があると思うのです。伺ってみると、それはまだ何にも決めてない、これからだ、そういうことですか。
  44. 竹下登

    ○竹下国務大臣 そういうことですかと言われれば、まさにそのとおりでございますとお答えせざるを得ないと思います。  しかし、いずれにせよ民間活力を導入して事業経営の一層の活性化を図ることを目的としておるわけでございますから――私もこの間、矛盾を感じました。この株式をいただきますときに、電電の七千八百億円、専売の一千億円、これの株主は「日本国大蔵大臣」と書いてありましたので、これは大変だ、私たった一人だ、幸い竹下登とは書いてなかったからまだ良心の苛責にいささか耐えてまいりましたけれども、率直に言ってこれは大変なものだなと思いました。  そもそもが民間活力を導入して事業経営の一層の活性化を図ることが目的であるならば、その趣旨から見れば、これはいつまでもたった一人で持っておるべきものではなく、可及的速やかに多くの人が株主として参加されるということが好ましいものだ。したがって、いつまでも今検討中でありますと言うべきものではございません。それだけにまた、本当にいささかの疑惑も与えないでこれを公開しなければならぬわけでございますから、その手法と時期についてはまさに慎重の上にも慎重ならざるを得ないというふうに考えるわけでございます。
  45. 渋沢利久

    ○渋沢委員 株の売却益をどこに入れてどう使うかということだけ先に決めて、いつからどうして売るのか、国民の疑惑のない形でどう公明正大なやり方をするかということは行き先が決まってからじっくり考えることだ、そういう話はないでしょう。その帰属や売買益の使途がまさにこのように公横の穴埋めに使われるということであれば、そういう趣旨なら趣旨とあわせて、それは幾つかの課題に具体的に答えていく、順序が間違ってはいないでしょうかと思うのです。今のお話は受け取れる話ではありません。  本会議では同僚議員の質問に対して、同僚議員は英国電電の例を引いて、去年やった民間企業への移行の過程で政府保有全株の株式売却に当たって英国の政府のとった方式を明らかにして、特定個人、法人への集中を避けるという観点で電話加入者、全従業員を初め可能な限り幅広い国民に公開する、公正に買い取りをやってもらうというような形のものをただしていましたけれども、こういう英国型というものについての検討に触れて直接は答えなかったけれども、大蔵大臣は、一般投資家の参加を積極的に考えるという趣旨の答弁を、広く一般投資家の参加のできる状況を考えねばならぬという趣旨のことを言っておるようであります。  私は、あそこまでともかく一定の具体的な手法が出ておるのだから、当然のことながらかなりこれは具体的な用意がされておると思ったのに、何もないという話であります。これはいただけない。その趣旨は、どういう意味で大臣はああいうことを言われたのですか。一般投資家に広く買ってもらう、そういう機会を与える方式ということでいえば、これは一つの選択なんだ。何も決まっていないということじゃない。いろいろな売り方の中で一つのやはり枠といいますか、方程式だろうと思うのであります。これはやはりそういうものを具体的に提起する責任が、大臣、あるんじゃないでしょうか。そのことを含めていま一度伺いたいのです。
  46. 竹下登

    ○竹下国務大臣 電電株の売却方式を検討するに当たって、一つはイギリスのBT方式、これはちょうどイギリスとの金融協議がこの間ございまして、私も事情を聞いてみましたが、私には定かには――これは事情がいろいろあるなということはわかりましたが、具体的な問題はあるいは御質問の過程において事務当局からお答えした方が正確かと思いますが、私が一般投資家と言うのは、やはり特定個人に集中することだけは避けなければいかぬ、こういうのはやはり鉄則ではないかというふうに思うからそれは申し上げたわけでございます。  売却方法ということになりますと、一般的に考えられるのは、競争入札によるとか、あるいはその他の方法、例えばシンジケート団をつくってやりますとか、あるいは先ほども申し上げましたように、新株のおよそ消化し得るキャパシティーがどれぐらいあるかという株式市場との関連、そしてまた、過去の例等を参考として民間有識者等の意見を聞きながら、まさに公正、適切な売却を行う方法を検討していかなければならぬ問題だ。  ただ、まだ財務諸表がないわけですから、財務諸表のない株を売るというわけにもいきませんので、本当にこれは国会でも議論をいろいろしてもらったりして、きちんとやらぬと容易なことじゃないなというふうには思っております。
  47. 渋沢利久

    ○渋沢委員 これは政府といえども、この株はそう簡単に、あしたにも売れるというものではないでしょう。通常の常識的なやり方で言えば、その両事業年度にまたがるということでやはり二年の実績が必要であったり、上場には五年ということがあるでしょう。そういうことを、規則だから変えようと思えば変えることができるでしょうが、変えてやっていくのか。やはりこれは大変な問題でしょう。通常やっている常識の範囲で、手法で、その枠の中でやるというのが、本来はこれは当然でしょう。それなら二年、五年待つ。時間は十分ある。今どうしてこんな法案を出さなければならぬか。まず我々の常識として、これを出すときにはどういうふうに示さなければならぬかという責任のあるものを全く退けて、そしてとりあえずこの売却益の使途だけ、そしてその帰属を決める、あるいは配当益の帰属とその使い道を決めるという。どうやって売るのかという一番大事なことについては、一番議論が集中した部分については、これはじっくり別に考える、こんなやり方はありますか。これは逆ですよ。少なくとも同時に提起するというものでなければならぬ。六十年度のことしの予算にこの収入が見込まれているわけじゃないでしょう。常識的な線で言えば、少なくとも二年ぐらいのこの実績の中で、そういう手法も十分考えて、その上でこういう帰属の仕方、この金の使い方は正しいと判断するならお出しになっても結構なんだ。これは順序が逆さまだと思う。  いつそれをお決めになるのですか。いつからどういう売り方をするのか、どういう誤解を招かぬような手法があるのか、どこにそういう保証があるのか、そういうものについて、いつお示しになるおつもりなんですか。この法案の審議中にでも説明なさるというのですか。
  48. 竹下登

    ○竹下国務大臣 これは会社の運営の状態から、株式市場のキャパシティーの問題から総合して、どのような手法が一番いいか、やはりこれには民間有識者の意見を聞かないと非常に私は危険だと思いますので、この法律が成立した後、しかるべき民間有識者の方々の意見を聞いて決めていかなければならぬ課題だというふうに考えております。したがって、今時点でいつまでというだけのお答えをする確たる自信は、今のところありません。
  49. 渋沢利久

    ○渋沢委員 それは竹下さん、この電電の民営化法案の審議の中で、あなたは政府の統一見解というやつを、殊さら何回も委員会で文書でお読みになっていますね。そして、そこで議論が集中したのは、この売却収入の使途の問題ですね。これを一般財源に繰り入れるというのはおかしいと、いろいろ議論があったわけですね。そういうことに対しては終始あいまいな態度をもちろん大蔵当局はとってきた。しかし郵政省は、その審議過程を尊重して、それで資産形成の経過というものを十分尊重した対応をするということを採決のぎりぎりまで言い通した。統一見解の文章の中でも、そのことを含めて慎重にこれは検討する、まずその帰属、使途というものについて慎重にこれは検討するという態度表明をあなた自身が示しておるわけです。  ところが、法案が通った翌日に、全く違った今回法案に提案されているような態度を政府部内で決めているという経緯があるのですね。これは単に逓信委員会とのかかわりだけの問題じゃないと思うのです。しかもその使途等について、逓信委員会の審議経過にかんがみて小委員会をつくってそこで詰めよう、そういう話にまで逓信委員会でなっておる。それに対して、全くこの委員会を無視したタイミングで、内容もそうですけれどもタイミングからいってもそうなんです、そういう決め方をしているのです。  統一見解の中であなたはこう言っているじゃないですか。「今後、予算編成の過程を通じ、政府部内において慎重に検討してまいりたい。」何を慎重に検討するかといえば、「株式売却収入の使途については、種々議論があることは承知しているが、いずれにしても国民共有の資産であることに鑑み」「今後、予算編成の過程を通じ、政府部内において慎重に検討してまいりたい。」ということで、この統一見解を、あの法案が採決になるぎりぎりまで政府の態度だということで繰り返し繰り返し表明してきておるのです。そして翌日、その使途についてはこの赤字財政のしりぬぐいに充てましょうということを決めておる。一番議論になっておった焦点について、今後慎重に政府部内で予算編成の過程で議論する、こういう文章をあなたは二度も三度も読んでおる。言っていることとやっていることが全く違うじゃないですか。  だから、もしここで出すとすれば、私は、当然その経緯、なぜこういう決定をするに至ったかということと同時に、その売買収益の使途、売り方、いつからどう売るかというようなことについても、それから議論が集中した疑惑のない処置ということについても、具体的な対応をあわせて示さなければ、こういう統一見解の姿勢からいってもこれは議会無視ですよ。当該大蔵委員会との対応でないからということで認められるような中身じゃないのです。  時間が来ましたからきょうは終わりにいたしますけれども、大蔵大臣、これはひどい政府の態度だと私は思うのであります。一方では、それは国鉄には大変失礼だけれども、国鉄とは違う、電電のこの企業努力なりその結果というものは。そしてさんざん国への納付金等の協力もさせ、借金もしょわしたままで、こういう状態で民営化しているわけです。そして片一方では国の赤字財政。この国債の発行は政治選択の一つでしょう。超党派で国を挙げて、国会を挙げてこの道のほかに道なしと選んだ政策の一つじゃないでしょう。いろいろな議論があった。こんなに公債増発をやってどうなるか、さまざまな議論を踏み越えて数の論理で時の政府が、政治家が判断して、決断して選んだ選択の政策の結果でしょう、今この財政ピンチというのは。そしてできた赤字のしりぬぐいの方に、こちらの企業のようようもうかった方から吸い上げて充てるというようなことを、しかも逓信委員会ではそれは今後時間をかけて慎重に検討させていただくのでまあまあとこういうことを言いながら、一方的にこういう決め方をしてきている。これはまず、その法案の内容というよりは、その経緯の中でも議会無視の最たるものだと私は思うのですね。  大蔵大臣、あなたも官僚政治家じゃないので、全く修羅場の議会活動の中を耐え抜いて今日の信頼を寄せられる地位にお立ちになっておるので、議会人の立場というのは一番よく知っておられるはずだ。我々が財政法の議論もいろいろ理屈っぽくしつこくやるのも、これは議会の参入権限というものを大事にしていくことが民主主義の基本だということをあなたは一番よく知っておられるはずなんだ。これは最後に大蔵大臣のその判断、お考えを伺って、まだ二時間ありますので、きょうの質問は一応終わることにしたいと思います。
  50. 竹下登

    ○竹下国務大臣 この株式の売却収入の使途、これにつきましては種々な議論が行われました。大蔵委員会における議論と逓信委員会における議論と、私も両方でこの議論をさせていただきました。あるいは予算委員会の分科会等においてもその議論をいただきました。  御質問なさるそれぞれの立場からまさに種々の議論が行われたところでございますが、前国会で表明いたしました政府統一見解に基づいて国会の審議、そして国会の審議を踏まえて予算編成過程で種々な協議をいたしました結果、国民共有の資産である電電株の売却収入は、国民共有の負債である国債の償還財源とすることが適当であるといたして、売却可能な分を国債整理基金特会に帰属させるということで法律をお願いしよう、一方、政府保有の義務づけられております株式三分の一については産投会計に帰属させて、その配当金をいろいろ議論の経緯にかんがみ技術開発等に活用するということに今法律でお願いをしておるわけでありまして、この国会の御議論とか附帯決議などを十分に踏まえた濃密な議論を行った結果であるというふうに御理解をいただきたいと思っております。  そこで、この売却の問題につきましては、今御指摘がありますとおり、まさに国民共有の財産でございますので、国民に疑惑を抱かしてはならない、また一方、いささかも国益を損なってはならぬ、こういうこともございますので、公正適切、そういうことで対応していかなければならない課題だ。これこそ民間の相当な専門家の意見を聞きながら決めていきませんと、今のところだった一人の株主であります私が適当なことをするようなことであってはならぬ。あの株券をもらって、余計自粛自戒をしております。
  51. 渋沢利久

    ○渋沢委員 終わります。
  52. 越智伊平

    ○越智委員長 午後一時再開することとし、休憩いたします。     午後零時六分休憩      ――――◇―――――     午後一時二分開議
  53. 越智伊平

    ○越智委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  質疑を続行いたします。矢追秀彦君。
  54. 矢追秀彦

    ○矢追委員 最初に、産業投資特別会計に関連いたしまして質問いたします。  昨年の四月十三日の本委員会におきまして、私は大蔵大臣に大蔵省所管特別会計の歳入の計上の仕方、特に、当初予算で過小に計上され、決算になると何百億円もの金額を計上するやり方の是正を求めてきたわけでございますが、六十年度予算ではこれがどのように改められたか、お答えいただきたいと思います。
  55. 朝比奈秀夫

    ○朝比奈政府委員 六十年度予算におきまして、先生の昨年の御指摘を踏まえまして、特別会計の歳入見積もりに当たりましては前年度の歳入歳出の見直しを行いましたほか、予算編成時における可能な限りの経済金融情勢の見通し、そういったものを勘案いたしまして、できるだけ的確な見積もりを行うよう努めたところでございます。また、外国為替資金特別会計とか地震再保険特別会計のような、外国為替相場の変動だとか地震など予算編成時点ではその動向や発生を予測することが極めて困難なものは別といたしまして、そのほかの特別会計につきましては、その歳入見積もりについて予算執行の段階で財源に不足を来すことのないよう、できるだけ確実に収入として見込めるものをいわばかために計上いたしておるところでございます。  今後とも、先生の御指摘を踏まえまして、可能な限り予算額と決算額に乖離を生じないよう検討し、努力してまいる所存でございます。しかしながら、結果といたしましてはある程度の乖離が生ずることはこれもまたやむを得ない面があるということで、先生の御理解を賜りたいとお願いする次第でございます。
  56. 矢追秀彦

    ○矢追委員 今改善をしたと言われましたが、確かに六十年度予算を見ますと、是正された点については、産投会計では納付金が五十九年度当初予算では八十四億九千三百万円であったのが二百十三億七千七百万円と訂正され、六十年度は当初予算で二百七十六億千六百二十九万九千円、このように計上されるように改められました。この点、私は非常に改善をされたということについては評価をするものでありまして、今答弁がありましたように今後ともやっていただきたいと思います。     〔委員長退席、堀之内委員長代理着席〕  ただ、産投会計についてのこの納付金については私は非常に著しい改善と思いますが、今も言われましたが、他の部分についてはまだまだ足りないのではないか。しかし、地震会計のような不安定なものもあることは私も承知をしておりますが、今後とも今の答弁どおりやっていかれる方向ですか。これは大蔵大臣、お願いしたいと思います。
  57. 竹下登

    ○竹下国務大臣 確かに昨年矢追さん御指摘なさいましたことは、私も記憶いたしております。それで、今度矢追さんの御質疑に先立ちまして、大蔵省、相当な数がございますので、それこそ中にはいわゆる利益の出るもの、出ないもの、外為、地震というのは非常に不確定な要素の多いもの、そういうことを全部私も昨晩見せていただきまして、努力の跡は見られる、やはり御趣旨に沿った線でこれからも努力しなければならぬと思います。確かに、不確定要素があるものとはいえ、予算でございますから、決算とそう乖離が生ずるということは極めてない方向で引き続き安易に流れることなく努力すべきであるというふうに私も考えます。
  58. 矢追秀彦

    ○矢追委員 私は評価する点はきちんと評価をさせていただきたいと思います。  次に、産業特会を見ておりまして、株式配当金がございますが、この項目で六十年度は十四億千八百五十八万二千円が計上されておりますが、五十九年、五十八年がゼロになっております。これはどういうことなのか。さらに過去の株式配当を調べますと、五十七年度当初予算で十四億千八百五十八万二千円が計上され、決算では十七億七千三百二十二万七千円、さらに五十四年度は株式処分益という項目ですが、当初は二十五億八千四百六十一万五千円、決算が二十六億七千六百万円となっております。その前は四十八年度に株式処分益で四億七千百万円が計上されておるわけであります。  このゼロ、ゼロになった理由、これをまずお伺いしたいと思います。
  59. 宮本保孝

    ○宮本政府委員 産投会計が保有しております株式は日航と電発、それから東北開発、沖縄電力、この四つがあるわけでございますけれども、この四社のうちにこれまで配当したことがある会社は日航だけでございます。六十年度の株式配当収入十四億円につきましても、これは日航の配当金収入を予定しているわけでございます。御指摘のように五十八、五十九年度はゼロとなっておりますが、これは日航が配当が行われなかったというふうな状況のためにそうなっているわけでございます。
  60. 矢追秀彦

    ○矢追委員 五十七年度以前はどういう状況だったのですか、日航の株の配当金。
  61. 宮本保孝

    ○宮本政府委員 後配制度といいますか、日航につきましてそういう制度がございまして、政府については配当がもらえなかったという状況です。五十七年度にございますのは、法改正によりましてそれが外れたものでございますから、日航の収入が入っているわけでございます。
  62. 矢追秀彦

    ○矢追委員 次に、今回の産投会計法の改正は、電電とたばこの民営化によりまして、国が取得した株式のうちから電電の三分の一、二千六百億円、たばこの二分の一、五百億円をこの会計に所属しようとしておるわけですが、これらの株の配当が仮定といたしまして一割といたしますと、六十年度以降三百億円を超える配当金が入ってくることになります。これはあくまでも仮定でございます、一割にいくかどうかわかりませんが、前段で私質問いたしました十四億一千八百万円と比べますと二十倍余に当たる配当金が入ってくるわけであります。  そういう意味で、私はなぜこういうことを聞くかといいますと、この株式配当金、ゼロ、ゼロ、ここで十四億となっておるわけでありますけれども、今言ったようになぜゼロになるのか、日本航空から無配であったからゼロだったんだ、そういう説明を聞いて初めてわかるわけでありまして、今後二つの大きな株の配当が出てくるわけですから、果たしてこのような予算書のあり方でいいのかどうか、何らかの改善をすべきではないか。これは率直に言って大蔵大臣どう思われますか。
  63. 竹下登

    ○竹下国務大臣 今の質問を聞きながらなるほどと思いました。確かに常識的にはあらかじめ予測できる配当が入るわけでございます。それが多額にわたることになりますが、予決令等でどうなっておりますのか、私も専門的な知識はございません、書式の上でどう変わってくるかということについては知識を持ち合わせておりませんので、事務当局からお答えをさすことをお許しいただきたいと思います。
  64. 矢追秀彦

    ○矢追委員 私ここで提案しておきたいのは、産投会計予算書に、ぜひこの会計の持っております株式及び今回受け取る電電、たばこの株式の保有状況、予想配当率、過去の配当実績等の内容を今後はつけて予算書を提出してもらいたい。さらに納付金につきましても、改善に一歩進めて、機関別の納付額を三年分、前々年度決算、前年度予定、当年度予定、こういう三年分を明らかにして表示すべきではないかと私は思いますが、その点はいかがでございますか。
  65. 平澤貞昭

    ○平澤政府委員 たばことか電電とかの株式会社のいわゆる財務諸表等、あるいは今委員御指摘のような配当その他につきまして、どの程度予算書に添付するかという問題かと思います。  似たような機関とのバランス等もございます。いろいろそういう観点等もございまして、従来は予算委員会に御提出しております資料とかあるいは大蔵省で出しております財政金融統計月報、こういうものにできるだけ詳しい資料を提供いたしまして、一般の方々がごらんになれるようにしているということでございます。したがいまして、そういう全体の中で委員の御趣旨に沿うようにできるだけ努力してまいりたいと考えておるわけでございます。
  66. 矢追秀彦

    ○矢追委員 今財政金融統計月報とおっしゃいまして、これは昨年の七月の三百八十七、財政投融資特集をいただいたのですが、これちょっと、私勉強が足りないのかもわかりませんが、今の日本航空に例をとりますと、株式の配当を幾ら出したかという項目が出てないように思うのですけれども、これはいかがですか。
  67. 宮本保孝

    ○宮本政府委員 御指摘のとおり、財政金融統計月報では産投会計の貸借対照表が出ておりまして、それぞれその出資金の残高の内訳は出ておりますけれども、配当金が日航から幾らあったかという点については掲上されておりません。
  68. 矢追秀彦

    ○矢追委員 予算書が無理ということを仮に認めましても、今この資料にあるから言うので、私安心して調べたら、これはないわけですよね。だから、そういう項目は出すべきではないのか出すべきなのか、その辺はいかがなんですか。
  69. 平澤貞昭

    ○平澤政府委員 できるだけ御趣旨に沿うように考えてまいりたいと思います。
  70. 矢追秀彦

    ○矢追委員 したがって、大臣、今私提案したことをひとつぜひ御検討いただきたい。恐らく予算書というのは分厚いもので、こういう資料をつけたいのはいっぱいあるけれどもなかなかつけられない、こう言われると思うのです。しかし、私は予算書を見ておりまして、まだまだ省略できるものがいっぱいあるのじゃないか。用紙を見まして、もっと小さくといいますか、全部固められるもの、例えば公務員の俸給表というのは詳しく出てますね。非常にスペースの大きい中で、ああいうのはもう少し何とか整理をしてページを節約して、もっと今申し上げたような株の配当金、トータルでばっと出てきますけれども、どの機関から何ぼ入ったのかわからぬわけですよ。この資料にありますよといってもこの資料にもないわけでして、結局わからぬわけですよ。突如として産投会計で全体にぱんと出てくる、こういうことですから、予算書というのは一つの法律と同じですから非常に大事なものだと私は思いますので、私もかつて国債整理基金特別会計の運用収入については資料をつけていただきまして大変感謝をしておりますが、もう少し予算書というもののいわゆる国民が知りたいもの、これをもっともっと出していくのが一つ。それから、もっと簡素化できるものは簡素化できるのじゃないか。とにかく毎年同じので来ているわけですね。これから新しい時代にどんどん入っていきますし、今言ったように、これから産投会計にだって二つの大きな株式会社が入るわけですから、これだけではちょっとまずいのじゃないか、私はこう思いますので、あえてこういう質問をしておるわけでございますが、大臣、いかがですか。
  71. 竹下登

    ○竹下国務大臣 今御指摘なさいましたこと、もっともな気が私もしますので、いわば従来の慣行もいろいろあるでございましょうけれども、十分今御趣旨の線に沿えるような方向で鋭意検討を進めさしてみます。
  72. 矢追秀彦

    ○矢追委員 このたびの改正案で、電電及びたばこの株式の一部をこの会計が受け入れ、株式配当を基盤技術研究促進センター(仮称)を中心に出資、貸し付けを行うわけです。出資金としては六十年度八十億、貸し付けとしては二十億円。それ以外に情報処理振興事業協会、これは六十年度出資二十億、日本科学技術情報センター出資金が六十年度二十九億円等々となっておりますが、産投会計の投資計画は六十年度三百十四億、五十九年度の四十八億に対し六・五倍、大変大きくふえたわけでございまして、今後、先ほどもちょっと申し上げましたように、電電とたばこの配当が一〇%と仮定をいたしますと年々三百億円程度の新たな出資または貸付金の原資ができる、産投会計が非常に大きな変貌をしてくるわけですね。  私は、昨年も本委員会で、産投会計は極論いたしますともう過去の遺物である、もう役目は終わったのではないか、したがってなくすべきである、そういうことを申し上げました。今回、こういう改正、条文も変わりましたけれども、ここでお伺いしたいのは、こういうふうな非常に大きな仕事にこれからなってくるわけですね、それにしては法改正がやや安易ではなかったか。例えば法案の第一条で、「経済の再建、」を削る、「国民生活」云々が入る、これだけの改正ですね。ちょっとこれではいけないのではないか。今回この産投会計の条文、特に第一条をこのように変えられた趣旨、これをまずお伺いしたいのです。
  73. 竹下登

    ○竹下国務大臣 これは去年も議論しましたが、昔のガリオア、エロアでしたか、それが変貌してまいりまして、昭和二十八年の情勢としては、これは我が国経済の自立達成が主要な課題とされておって、そのためには、電力、海運、鉄鋼、石炭、いわゆる基幹産業の再建に資金を投入して設備の近代化、合理化に努める必要があったが、当時の状況では、その多くを財政資金に依存せざるを得ない状況でありました。このため、産業投資特別会計を設置して、経済の再建のための投資を目的としたものでございますが、その後、我が国経済は今日まさに飛躍的な発展をして、もはや基幹産業に対する投資という形での国の政策は必要性が乏しくなっております。社会的要請、経済政策の重点に即応した産業政策が進められておりますところから、これは削除すべきだ、基幹産業にまだ園が特定なメリットを与えるような施策を行うということは、別の意味からいわゆる貿易摩擦、経済摩擦の対象にもなりかねないという事情の変化がございます。  これを機会に、他の新しい特別会計の設置目的の規定の例に準じまして、この特別会計においても当初のこの目的が明らかになるような「国民経済の発展と国民生活の向上に資する」ためということにいわばこれを改めてきた、やはり経済、産業自身の変化に対応して目的がそういうふうに変わったというふうに御説明申し上げるべきであろうというふうに考えております。
  74. 矢追秀彦

    ○矢追委員 変えられたこと自体を私とやかく言っているわけではありませんが、今回、条文第一条は変わりましたね。それから今度新たに、先ほどいろいろ指摘をいたしました各機関に対する出資、貸し付け、そういうところがふえた。あとは全部そのままなんですね。  いろいろな機関が、二十一ですか、今までありましたけれども、これは去年も私は申し上げたと思うのですけれども、そういうことをきちんと見直しもし、先ほども指摘したような、もっと予算書のつくり方もきちんとした上で変えられるならやむを得ないかなと思いますし、これは極論と言われるかもわかりませんが、本当であれば産投会計そのものを一遍ストップして、スクラップして、そして新たにいわゆる二十一世紀といいますか、今回電電とかたばこの株がこっちへ入ってきたのは、これはあくまでもその利益を技術革新、今後の新しい技術開発に役立てるという目的が大きいと思います、それは私法して反対じゃありませんし、そうもしなきゃならぬと思いますので、そうであれば今までのいろいろな機関も再検討した上で、新しい入れ物にそれをやるべきではなかったか。ただ条文だけを、「経済の再建、」を外し今大臣が言われたような条文に改めただけ、なおかつ機関を少しふやしただけ、あと電電とたばこの株が入ってきた、これだけでは余りにも安易過ぎないか、こう申し上げておるわけですが、その点はいかがですか。
  75. 竹下登

    ○竹下国務大臣 産投会計というのは確かにガリオア、エロアから変化してまいりまして、そうして最初は基幹産業、四十七年にはこれは開銀法改正でございますか、そのときも「経済の再建」ということから「産業の開発及び経済社会の発展」を促進するというふうに変化されておりますので、確かにそれはそれなりに理解をいただいたとして、恐らく、そのことそのものよりも融資対象、この中を洗ってみて、スクラップすべきはスクラップすべきであるという御意見であるとすれば、それは念頭に置いて我々も対応してきたものでございますが、今日の時点で対象として整理するというものは結果として見つからなかった、こういうこととしてお答えをすべきではなかろうかというふうに考えます。
  76. 矢追秀彦

    ○矢追委員 結果として今言われた機関全部残した、こうおっしゃいますけれども、私は去年も指摘したように、まだまだ民営化するもの、やめるもの、さらに存続するもの、また体質を変えていくもの、もっと改善指導するべきもの、多々あると思うのですね。この中にもまだ赤字でどうしようもないとくろもあるわけですから、今見直されて残したと言われますが、じゃどれだけ検討されて結果論としてそうなったのか、その点お答えいただきたいと思います。
  77. 竹下登

    ○竹下国務大臣 例えばでございますが、従来から指摘のありますことからいたしましても、いわゆる北海道東北開発公庫をもう一度開発銀行に統合したらどうだとか、こんな別の角度からの議論があるわけでございますので、それらについての議論がずっと続けられておって、今ごらんいただきましてもさてどれが今スクラップできるか、将来にわたっての問題はいろいろ議論のあるところでございますが、ということになると、にわかにこれはもうスクラップしていいという対象は、結果として今のところ断定するようなものは見つからない、こういうことではなかろうかと思います。
  78. 矢追秀彦

    ○矢追委員 先ほどの質問に戻ってちょっと恐縮ですけれども、予算審づくりの問題になりますが、これも昨年ちょっと指摘さしていただきましたが、六十年度の投資計画、これは表に出ておるわけですね、言うならばフローとしての表が出ておるわけです。しかしこの際は、やはり過去の出資あるいは貸付金の各機関別の金額、ストック、分野、こういうことを明らかにすると同時に、六十年度以降のストックの変動や新規の出資、貸し付けも十分わかる、そういうふうな表といいますか予算書というものをつくってほしかったと私は思うのですが、それは面倒だからできないのか、もうこれでいいという判断なのか、その点はいかがですか。
  79. 平澤貞昭

    ○平澤政府委員 先ほど大臣からも御答弁ございましたように、産投会計のいわゆるフロー、ストックの数字につきましては、委員の御趣旨も我々としてうかがっておりますので、今後その御趣旨をどう生かすかということを念頭に置きながら検討していきたいということでございます。
  80. 矢追秀彦

    ○矢追委員 大臣、重ねて恐縮ですけれども、さっき私は予算書づくりの話をちょっとしましたが、今のこともそうでございますが、予算書全体として私がちょっと申し上げたようにまだまだ省略できるものがあるような気がするのです。そういう面ではもっと薄くしながら中身をよくする、こういう点は率直に言ってどう思われますか。
  81. 竹下登

    ○竹下国務大臣 これは行政改革の折から御趣旨は生かしていいことだと思いますが、別に薄くならなくてもそれだけ厚くなっても私は構わぬと思いますけれども、今言われました趣旨は私にも理解できますので、そういう方向がどういうふうにして生かせるかということで十分検討さしていただきます。確かにおっしゃる意味が私にもよく理解できるような気がいたしますので、そういうのを生かす方向で、予算書全体のあり方についても含めて検討さしていただきます。
  82. 矢追秀彦

    ○矢追委員 ぜひ前向きで御検討をよろしくお願いいたします。  次に、国債整理基金の問題あるいは国債償還の問題に移りますが、昨年の四月十八日の本委員会で、特例債の借りかえ償還について私は政府の政策転換を批判してまいりました。昭和四十年に国債が初めて発行されて以来、二十年の間に国債に対する警戒心というのが非常に薄れてきておる、これは非常に心配であります。これは大臣もある程度お認めになったことでございます。そして、赤字国債を建設国債同様の六十年間の借りかえ償還とすることは、償還面での歯どめを失って赤字国債への警戒心を失わせる、こういうことを指摘してきたわけですが、そのときの大臣の御答弁は、国債に対する節度を守る点は訓示規定に入れた、借りかえはやむなし、しかし努力規定で節度を守る、こう言ってこられたわけです。  そこで、六十年度の場合、この努力規定に従って赤字国債償還のためにどんな努力をされましたか。具体的にお願いしたいと思います。
  83. 平澤貞昭

    ○平澤政府委員 六十年度予算におきましては、五十八、五十九年度に引き続きまして、三年連続で対前年度減額ということで一般歳出の予算を組んでまいったわけでございます。そういう意味で行財政改革を強力に推進するという基本方針をできるだけ貫いてきたわけでございますけれども、それではそういう中で具体的にどういうことを行ったかということでございますが、やはり一番大きな柱は、補助金等の整理合理化だと考えられるわけでございます。これにつきましては先般法案が成立したわけでございますけれども、そういうことを中心に歳出の徹底した節減合理化を行ったということでございます。  それから歳入面では、税制改正のほか、特に税外収入について可能な限りの確保を図ってきたということであります。その結果といたしまして公債発行総額で一兆円を減額するということが可能となったわけでございます。  具体的にはそのほか、今訓示規定のお話が出ましたが、これは新発債で一兆円減額でございますけれども、それ以外に満期到来債が六十年度におきまして二兆二千七百九十八億円ございます。そのうち借換債を一兆八千七百億円発行いたしますので、減横額といたしましては約四千百億円、この部分が残高から落ちるということになります。そういうことで政府としては特例債、赤字公債の減額には可能な限りの努力を六十年度において行ったということでございます。
  84. 矢追秀彦

    ○矢追委員 今の四千百億円、こうなった根拠はいかがですか。
  85. 平澤貞昭

    ○平澤政府委員 これは赤字国債、特例債につきましても建設国債と同様六十年間に償還していくというルールを採用しておりますので、それに基づいて六十年度も返済に努めたということでございます。
  86. 矢追秀彦

    ○矢追委員 六十年で返済ということでいくと、六十分の十現金で償還ということでいいわけですか。そうするとちょっと多いですね。多いことはいいことなんですけれどもね。だから四千百億が出てきた根拠というのはどういうことですか。
  87. 平澤貞昭

    ○平澤政府委員 この中身につきましては理財局の話になるかと思いますが、中に十年横とか割引国債とかいろいろなのがございますので、数字的には若干入り繰りがあるということだと思います。
  88. 矢追秀彦

    ○矢追委員 差し支えなければおっしゃっていただきたいのですけれども、理財局の方。もし手元に数字がなかったら後でも結構です。
  89. 宮本保孝

    ○宮本政府委員 四千百億の詳しい根拠は後刻御説明させていただきます。
  90. 矢追秀彦

    ○矢追委員 私申し上げたいのは、去年まではとにかく現金で返さなければいけなかったわけです。去年法案が通りまして、ことし借りかえの初年度に当たるわけでして、私は去年もこの委員会でも指摘をしましたように、いわゆる建設国債と赤字国債をきちんと区別して発行しても、今度実際返すときには同じになっているわけですね、今のお話によりますと。これではいかぬので、やはり赤字国債については建設国債とは違った何らかの償還をしなければならぬのじゃないか、そのためにどうするかということ。なかなか大変なことはよくわかるのですよ、わかりますけれども、その辺を私は指摘をしたわけです。それに対していわゆる訓示規定、努力します、その努力の結果が四千百億円なんですね。これは今の御答弁によりますと、建設国債の現金償還と同じ考え方ですよ。それでは努力したことにならぬのじゃないか、こう私は指摘をしたいんですが、その点はいかがですか。
  91. 竹下登

    ○竹下国務大臣 これは結果として御指摘のとおりでございますが、「四条公債の場合は、いわゆる六十年償還ルールによっているが、「中間報告」」これは財政審の中間報告のことでございますが、「にもあるように特例公債は、本来、」努力規定もあることでございますから「できるだけ早く残高を減少させるべき性格のものであり、原理的にある一定年限で償還すべきとする方式を決め難い面があると思われる。」云々となりまして、「したがって、六十五年度までに特例公債依存体質からの脱却に努めるという目標の下に、今後、財政改革を具体的に進めていくためには、当面、特例公債の償還については、四条公債と同様のいわゆる六十年償還ルールによることが現実的選択としてやむを得ない」ということを財政審からも意見をちょうだいをしたわけでございます。  が、やはり訓示規定ももとよりございますことですので、当面、特例公債の償還について六十年償還ルールによることがやむを得ないとしても、特例公債の償還年限を六十年間と固定的に考えることなく、今後の財政事情の中で、可能な限り早期償還に努めることが期待される、こういう御意見をちょうだいをいたしたわけでございます。したがいまして、ことしの場合は、種々の議論の米やむを得ないとされる措置に沿って行ったということになるわけであります。
  92. 矢追秀彦

    ○矢追委員 私も、財政審の今読まれた点はよく承知をしております。承知をした上で聞いておるのです。というのは、要するにこうなってもう赤字も建設も同じになってしまうと、これは発行のときに一々今までは特例債の特別の法案がありまして、今度は財源確保法とかに変わってきたわけですけれども、この法律を出す意味がなくなってしまうのですね。何で分けたのかというと、やはりこっちは早く返さなければいかぬ。本来は現金で十年たったら返すというのがこれは決められておるわけで、ただ、お金がなくなったから借りかえやむなし、だからせめてキャッシュで返す分を少しでもふやす努力を私はやってほしかったわけですね。  四千百億は、仮に五千億であっても六千億であっても、これだけ大蔵省は本当に頑張っている、これでこそ国民に理解も得られると私は思うのです。それを初年度からやむないと言われているから、それはやむないと私もわかりますよ、だからといって、これは四千百億でも全く同じじゃ、来年どうするのかといったら来年はまたふえるのですから。来年減るならいいですよ、御承知のように来年は、仮定計算でいつでも三兆五千九百億来るわけですから、本当はまたそれだけキャッシュが要るわけです。それをまた六十年ルールで来年もやる。  じゃ仮に六十五年に財政再建ができて、赤字国横の発行がゼロになったと仮定したら、その後はもっと一挙に――挙には減らせないと思いますが、減らしていけるのかどうか。どうですか、その辺の見通しがなくて、ただそのときそのときにこれは金が足らぬ、もちろんそれは財政事情も、今度だってまた内需拡大なんて言われて、これまた大変なことですわ。私も内需拡大を言いたいけれども、いわゆる国債を発行してまでも内需拡大というのは、私もこの点については余りよしとは思いませんけれども、とにかく来年になれば、来年度予算編成になればまたお金が大変要ってくる、こういうことも事実ですから、これはもう今さら後の祭りで、終わった後のことをぼやいてもしようがないかもわかりませんけれども、私は初年度としてはもう少しやるべきではなかったか。  だから私は、赤字国債の返還のやり方をどうするんだ、同じでいいんですか、やはり変えるべきだという議論、主張もしてきた。少なくも十年たったら後の借りかえのやり方も変えていく、それがもう全然ないわけですよね。ただここの最後の「今後の財政事情の中で、できる限り早期償還に努めることが期待される。」だけで、できませんでしたでずるずる順送りになっていくことを非常に恐れるわけでございますので、四千百億にしかできなかった、この点は努力をされたんでしょうが、結果としては努力されたことにならぬ、少なくも国債の償還に関してはこれはちょっと努力の跡は見られない結果に終わった、こう断ぜざるを得ないわけでありまして、その点はどう反省をされますか。
  93. 竹下登

    ○竹下国務大臣 いわゆることしは最低限の方式しかとり得なかった、こういうことでありますが、今も矢追さん御指摘のように、六十五年脱却までの間仮に電電株等の売却の収入がなかったといたしますと、それまでの間仮にそういう財源なかりせばどういうことになるかということになりますと、年々努力してもそれにさらに上積みしたものを償還するというのは実際問題難しいだろうな、私もこういう感じを持ちます。結局は売却収入というようなものが一つは念頭にあります。  それからもう一つは、これは国債整理基金それだけを見ますと問題もございますけれども、その年度ごとには、可能な限りあらかじめ予定したものを発行しないで結果として済むような財政運営、それから剰余金を生じた場合には、決められておる二分の一のみでなく可能な限りそれらを国債整理基金に充てるというような運営努力をやはりしていかなければならぬ課題ではないかな、こういうふうに考えております。
  94. 矢追秀彦

    ○矢追委員 今の議論の続きは後の方でまた申し上げるといたしまして、今大臣、剰余金の話をされましたけれども、過去は定率繰り入れをやり、それから剰余金もやり、そして余裕金が相当たまっていましたよね。それを、まず剰余金がなくなり、その次定率繰り入れが、これも今度で四年とまっているわけですね。約十兆円ですね。結局九千九百億円しか今年度末で残らないわけですよ。そこまでいわゆる償還財源が枯渇に追い込まれた。だから返すのが大変なのはよくわかるんですけれども、そこで出てきたのが、これまたこれから議論をさせていただきます、要するに初めて一兆円のいわゆる短期の借換債の起債を認める、こういうことになってきたわけでして、非常に現状の後追いといいますか、現状に引きずられてずるずる来ている感じがするわけですね。  ここでまずお伺いしておきたいことの最初は、今回の改正の大きな柱である短期の借換国債の年度内に償還される分の発行とそれから前倒し、この短期国債は日銀引き受けの危険性があるというのでいろいろな議論がございまして、昨日ですか、総理が日銀引き受けはしないという意味の何か発言をされたやに新聞で伺いましたが、まず、この日銀の引き受けは今後ともしないということは言明されますか。
  95. 竹下登

    ○竹下国務大臣 これは財政法に禁じられておりますことゆえ、厳守しなければならない最後の節度のとりでであるというふうに考えております。
  96. 矢追秀彦

    ○矢追委員 今回一兆円を予算総則第七条で出されているわけですが、まずこの一兆円の根拠はいかがですか。この一兆円が大体どういうように――これはまだ予測の段階ですからわかりませんが、実際短期の借換債をやられるのかどうかわかりませんけれども、今回はできることにするということで、権限といいますか権利というものをお持ちになるような改正ですけれども、まず一兆円の根拠、それから具体的にどういうふうな場合にどうされるのか、この二点をお伺いしたいと思うのです。
  97. 宮本保孝

    ○宮本政府委員 今の御指摘の一兆円の額は、翌年度に発行する国債を前年度に前倒しして発行させていただく量として一兆円の枠をちょうだいいたしたわけでございまして、短期国債の方は、これは借換債の範囲内でその金融情勢なりいろいろな私どもの判断によりましてしかるべき時期にしかるべき量の額を発行させていただく、こういうことになっておりまして、一兆円前倒しの方の話でございまして、ちょっと……。
  98. 矢追秀彦

    ○矢追委員 その前倒しの一兆円のまず根拠。
  99. 宮本保孝

    ○宮本政府委員 この一兆円の限度の設定に当たりましては、年度首に必要となる償還資金を平準的に調達するための、例えば国債の償還額は五月、八月、十一月、二月に大体案申して参るわけでございまして、特に五月の、例えばいきなり一兆とか二兆とかいうような償還があるわけでございますから、特に五月の大量償還に対処するために前倒しして発行させていただきたいということでございます。したがいまして、大体五月の償還額をにらんでいるということと、過去の一-三月におきます発行可能額、これは今まで経験的にあるわけでございますので、そういうもの等を総合的に勘案いたしまして一兆円としたものでございます。  それで、六十年度におきます限度の設定に当たりましては、六十一年度四、五月分の償還額が三・五兆円ございますので、これを平準化いたしますと大体一兆二千億程度になるわけでございます。また、四、五月の償還額に六十年度末の基金残高、これは先ほど御指摘の九千九百億円ほどございますけれども、これを考慮に入れて平準化いたしますと八千億円となるわけでございまして、過去の一-三月の月平均発行額が七千億円程度であるというふうないろいろなことを勘案いたしまして、約一兆円の枠をちょうだいいたしたわけでございます。
  100. 矢追秀彦

    ○矢追委員 大臣、これは素人質問みたいで恐縮ですけれども、この前倒しですね、前倒しというものは果たして、善悪に分けた場合、いいのか悪いのか、あるいは必要悪なのか、どう思われますか。
  101. 竹下登

    ○竹下国務大臣 いわゆる集中して償還期がある日あるとき来るわけですから、それを国民に対して、国民の負担になるわけですから、できるだけ有利な形で平準化していこうということは、私は、その政策はそれなりに整合性がある、ただそれ以前に、そういう平準化措置を行ってでもやらなければならぬほどの国債政策に依存したということについては、これはそれなりの批判はいただかなければいかぬ、こういうふうに思います。
  102. 矢追秀彦

    ○矢追委員 実際この前倒し、確かに言われたように五月二十日には二兆三千六十億ですか、これは建設国債ですけれども、償還の期限が来るわけでして、さっき局長が言われたとおり、これは平準化やむを得ない。だからこれもやむを得ないものだとは思いますが、結局ここまでなってきたのは、さっき申し上げたように、償還財源というものが枯渇に追い込まれてしまった。だからといってこれが即というのじゃなくて、これはこれなりの意味はあると思うのですが、まずその前提として、やはり償還財源が非常になくなったということから一つは出てきた、これはお認めになりますね。  それからもう一つは、さっき言われた、一挙に大量に償還をしなければならぬ。それは、ならすためにはそういうこともしなければならぬ、しかもまだ有利に、市場でいいものがあったら買っておきたいという、そういうようなこと、いろいろあると思いますけれども、そういう面で私、結局、性悪説まではとりませんけれども、さっき大臣言われたように、要するに一番問題は償還財源の枯渇、これが一番基本にある、こう考えてよろしいですか。
  103. 竹下登

    ○竹下国務大臣 これは減債制度の基本議論をしますときに、我々は、減債制度というのがちゃんとしてあるということは、何といったって国債発行のいわば精神的にも実質的にも歯どめになるものだ。しかし一方、いわゆる国債整理基金へ積むためにそれだけ余計の公債を発行しておるということは現実的でないではないか、こういういろいろな議論をした結果、やはり減債制度の基本は守るべきものだ、が、そのときどきの財政事情に応じてやむを得ずとらしていただいたのがこの四年閥の措置であるということになろうかと思うのでありますから、基本的にはやはり減債制度を守っていくだけの財源的余裕を持ち得なかったということに対する批判は、甘んじて受けなければならぬ課題だというふうに考えます。
  104. 矢追秀彦

    ○矢追委員 減債制度云々を言われましたので、この問題をもう少しやりたいのですが、その前に、今の前倒しで、ことしは一兆円という先ほどのお話のとおりこれくらいが妥当かと思いますが、私さっき、なぜよいか悪いかなんと言ったその背景は、財政審でも言われているように、今度の法案の中にもきちんと出ておりますが、やはり節度といいますか、きちんと限度というものはおのずからあると思うのですね、「予算ヲ以テ国会ノ議決ヲ経タル額ヲ限度トシ」、こういうふうになっているわけですから。  そうすると、ことしは一兆円で大体おさまるかおさまらないか、これはわかりませんけれども、仮におさまったとして、今度は来年になった場合、六十一年度、六十二年度の場合を見ますと、大体六十二年の五月二十日は六十一年の五月二十日よりは少ないのですが、その次の六十三年になりますと三兆四千億というのが出てくるわけですね、五月の二十日に。これは建設国債です。  この六十三年というのは八月が二兆三千億、十一月が二兆三千億、大分六十一年あるいは六十二年よりも集中が多くなってくるような傾向、私、六十四年の二月二十日までしかここに出してないのですけれども、このような傾向になっておるわけですので、ことしは一兆円、今後また来年も一兆円くらいになるかなと思いますが、その次は二兆円くらい出さなければいかぬようになった場合、果たしてこれは財政の負担増になるのかならないのか。それから、利息の面は私はなると思うのですね、一年で返すのですから。一応ならないとは思いますが、利息面で少しはなってくるのじゃないか、この辺はいかがですか。
  105. 平澤貞昭

    ○平澤政府委員 今の場合、年度越しの国債をある程度発行していくことになりますので、まだ償還してない国債との間で残高がダブることはそのとおりであるわけでございます。したがいまして、その部分について、ごく短期間でございますけれども、ある程度金利負担がふえる可能性はあるわけでありますけれども、片方におきまして、これをやることによって有利に大量の資金を調達することができる、そういう面でのメリット等々がございますから、全体といたしましてやはりこの措置は必要であるというふうに考えるのでございます。
  106. 矢追秀彦

    ○矢追委員 それから、こういうふうなことは、私、六十三年まで言いましたけれども、ここまで条文をきちんと、第五条ノ二までつくられて変えられたわけですから、相当長期というか、今年度だけとかそういうものではなくて、基本的に先ほど言われたようなことでこういう手法は今後ともとっていく、こう理解していいわけですか。
  107. 竹下登

    ○竹下国務大臣 これは赤字国債といわず建設国債といわず、ある日あるとき集中的に償還期がやってくる。その場合、これは一つの見通しの問題でもありますけれども、そのときの金融市場の動向がどんなになっているかという見通しの問題でありますけれども、この制度は、やはりそういう償還期が今後ずっと来るわけでございますから、暫定措置とは言えないのじゃなかろうか。これは、いわゆる予算の持つ単年度主義という問題からして、踏み込むのに対して非常に議論をしたところでございますけれども、私は数年間の暫定的な措置として済むというものではないではなかろうかというふうな印象を持っております。
  108. 矢追秀彦

    ○矢追委員 今単年度主義のことを聞こうと私思っておりましたが、それも一つの議論された問題点かと思いますが、現状から見れば、私も必要悪といいますか、悪いけれどもやむを得ない、こういうふうに思うわけです。  今大臣は、今のこの現状から見たら、確かに半永久的というか、こういうふうなものでやっていかないと、これだけたくさんの借換債が現実にある状況の中でもうやっていけない、このことも理解できますが、そうすることは、ことしはこれと物が違いますけれども、キャッシュの償還は四千百億円しかできなかったわけですから、結局入り口では赤字と建設と分かれても出口は同じ。そういう意味では、もう完全に区別はなくなってしまっている。最初赤字国債を出したときは、あれだけ厳しく、もう絶対こういうことはしちゃならぬのだ、しかしやむを得ない、だから十年たったら現金で返します、これでずっと来て、もうどうしようもないから今度借りかえに切りかえてしまった。結局、極論をすると、赤字も建設も、出るときは法律の二、三行あるだけであとはもう同じ。じゃ返す方で締められているかというと、それもない。  結局、そういうことの状況の中で、私が先ほども指摘しましたように、要するに減債基金の減債制度というものはもう崩壊寸前といいますか、剰余金もやめ、定率繰り入れもやめ、そして今度は赤字国債は借りかえにしてしまう、さらに今度はこういう前倒し。これも、やむを得ずでやってきた、それがまたずるずる続いてくる、こうなったら果たしてどうなのか。  少なくも、六十五年の赤字国債脱却、その後は赤字国債がなくなれば少しは荷が軽くなるわけですから、今度は――本当は私はことしから、百三十三兆円もたまったそのストックについて少しずつでも減らす努力をしてもらいたいのですが、赤字国債からの脱却が先と言うのもわからぬではありませんので、それをまず最初の目標として一生懸命やる。その時点以降は、こういうことをしなくてもいいような余裕金、減債制度といいますか、償還財源というものをきちんとしておくことにしないと、これからずっといくんじゃないかと言われたんではどうもこれは、手放しで結構ですと賛成するようなものだったらいいですけれども、やむを得ない措置であり、しかも私は必要悪とまで言いたいわけですよ。その点いかがですか。
  109. 竹下登

    ○竹下国務大臣 今までの歴史を振り返ってみますと、とにかく歯どめがどこにあるか。いずれにいたしましても、日銀引き受けはいたしません、そうして次は定率繰り入れによって減債制度を維持します、その次赤字公債を昭和五十年から出しましたときには、とにかくこれは借りかえは断じていたしません、こういうことを言って、そうして今日は四年間にわたって定率繰り入れを停止し、しかも五十九年度においていわゆる特例債の借りかえを許容してもらう法律を通し、さらにことしはそれが資金繰りの関係上年度越しの発行を認めていただく法律を出してきた。こういうことでございますから、当初からいえば、やむを得なかったとはいえ、財政の節度に対する厳しさというものが形の上で変化してきたということはやっぱり認めざるを得ないというふうに私も考えるわけであります。  で、昨年から指摘を受けておりましたのは、さはさりながら、財確法の審議の際に矢追さんの指摘というのは、国債残高を、建設と特例債とを何らかの形で明らかにすることを検討しよう、それで六十年度予算から財政法第二十八条によります参考書類におきまして、普通国債の発行年度別償還年次表の様式を改めて、建設公債及びこれを借りかえるための国債、それともう一つは特例公債及びこれを借りかえるための国債、これの別に年度別の償還予定残高を明らかにするようにしたわけです。これは御要請に基づいて考えて、一遍借りてしまって残高になりますと、別に国債に色がついておるわけじゃございませんから、とかくイージーになりがちだというところから、それを数字で申し上げますと、建設国債及び借りかえるための国債が七十三兆九千三百億、特例公債及び借りかえるための国債が五十九兆百億、こういうふうになっておるわけであります。  そこで、これの具体的な償還計画でございますが、何分これだけ長期にわたることになりますので、その長期的な経済見通しが不確実な状態できちんとしたものをお出しするというのは非常に困難なところでございます。だから、まずは六十五年度特例公債依存体質脱却、これに全力を傾けていくというのが私どもの今日の任務ではないか。しかしながら、そうはいいましても、公債残高の累積が経済、財政に与える好ましくない影響を考慮しますと、今後の財政運営においてはやっぱり公債残高の対GNP比をこれまでのように急速に上昇させることのないよう可能な限り低い水準にとどめることが必要であるというふうに考えておりますから、まずは赤字公債依存体質からの脱却、そして今度は残高をいかにして滅していくか、滅していくと申しますか、残高の対GNP比をどれだけの水準に保っていくか。こういうことが六十五年を一つの契機として、前後二つに分けた我々の財政運営の一つの大目標ではないか、こういうふうに考えております。
  110. 矢追秀彦

    ○矢追委員 今いろいう言われましたけれども、減債基金制度の機能というのは、一つは国債信用の維持、それから二番目には有利な時点での借り入れ償却、三番目に国債の異常値下がり時の買い支え等があったわけですけれども、これはまずは期待できなくなってしまったわけですね。それから、今もいろいろお話がありましたが、今のままでいくと、近い将来定率繰り入れの復活もなかなかできない。そうなりますと、この減債基金制度を維持していくのに、あとどうしていくのかということですね。  そうすると、さっきちょっと大臣がおっしゃった株の話が上ってくるのではないか。予算繰り入れというのがありますけれども、これもなかなか厳しい。それにかなり期待をされておるのですか、いかがですか。
  111. 竹下登

    ○竹下国務大臣 これは現実問題として予算繰り入れとて考えなければいかぬことがあるかもしれません。今まではそういう状態にまで至らないという、残高の中である程度始末ができるという環境にあったからでありますが、大量償還を迎えますとそれだけでは済まない。しかし、今おっしゃった株式の売却益というものを、まあ期待してないと言えばこれはうそになります、大変に期待しておると言うべきでございましょう。
  112. 矢追秀彦

    ○矢追委員 ところがその大臣の期待の株ですが、さっきもちょっと申し上げましたように、整理基金に入る部分、電電の場合は五千二百億ですね。仮にこれが十倍になったとしたら五兆ですね。それでも五兆ですよ。五十倍にでもなれば二十五兆ですか、まあこれは大分大きいですけれども、国際電電みたいには上がらないんじゃないですか。私はせいぜい五倍から十倍ぐらいではないかな。私の予想が当たるか当たらないかわかりませんけれども、仮に十倍としても五兆円。五兆円といえば知れているし、しかもこれが利息あるいは株の配当で五兆来るならいいですけれども、皆売っちゃったら五兆で終わりですから、これは六十一年、六十二年度ぐらいでもう終わりですね。仮にそれを全部使ったとして、せいぜい三年までもつかどうか。六十五年までもたぬわけですよ。だから、それは期待をされることは私は決して反対ではありません、財政再建を考えれば、私はむしろ産投会計へ入れるよりももうちょっとこっちへ入れてほしかったなと思うくらいです。しかし、これは決まったことですからやむを得ませんけれども、余りこれに期待し過ぎて、これで借金全部返せるのだ、こうはいかぬと私は思うんですね。その点まず、いかがですか。
  113. 竹下登

    ○竹下国務大臣 私としても一番考えましたのは、そこに新しい償還財源としての財源が目の前にちらつきますと、いわば一生懸命返そうとする自己努力にいささかでもたるみが生じてはならぬという基本的認識に立つべきだという考え方で今日もおるわけでございます。  しかし、期待しておることは事実でございますが、あらかじめ――これはきょうもお話ししましたように、私も不思議な立場になったものだと思いましたのは、この間、たばこにいたしましても電電にいたしましても、株主総会を開いて役員を決めるのですが、株主総会だった一人でございまして、これで御異議ありませんか、はい、御異議ございません、こういうような、これはまさに不思議なことだな、そんな感じがしました。そうなると今度は、一人の株主でございますから、それは矢追さんもっと高く売れますよとか、そんなには高く売れませんよなんというようなことを言いますと、これは影響するところ大であろうと私は思いますので、その株価の将来の展望を申し述べる立場にはまさに一人株主であるだけにないなということを感じます。それに期待をしますが、それにのみ期待をすることによっていささかでも残高を滅していくという努力が失われるようなことがあってはならぬということは、これは我と我が身に言い聞かせ続けていなければならぬ。後々だれが大蔵大臣になろうと政権がどうかわろうと、やはり考えていかなければならぬ課題だというふうに思います。
  114. 矢追秀彦

    ○矢追委員 それのみに期待をしていないと言われておりますのでそれで結構でございますが、先ほどから何度も言っておりますように、いろいろ手だてをされてきていよいよここまできたわけですね。あとかすかな希望として株がある。これだって特効薬にはならない。これはとんぷくぐらいですよ。そうなると、では今後いわゆる償還財源、要するに減債基金制度というものを基本的にどうきちんと維持をしていくのか、大変難しい問題ですが、あと残る手だてというのはどのくらい手があるのですか。その点はいかがですか。
  115. 竹下登

    ○竹下国務大臣 それは財政審でもいろいろ議論をしていただきましたが、減債制度の基本は維持すべきであるということでございます。また、いわゆる国債整理基金特会が空っぽになるようなことを考えてはいけません。そうなると、毎年毎年の予算編成に当たりまして、厳しい姿勢でそのときの財政事情を見ながら結果としては決めていく、こういうことになろうかと思われるわけであります。     〔堀之内委員長代理退席、熊川委員長代理着席〕
  116. 矢追秀彦

    ○矢追委員 将来のあれはあれとして、まず来年度は定率繰り入れはどうされるのですか。実際丸千九百億しかないので、停止すれば来年完全に空っぽになるわけですけれども、米作のことですからまだ何とも言えないでしょうが、方向としてはやはり停止にならざるを得ないのじゃないかと私は思いますが、いかがですか。
  117. 平澤貞昭

    ○平澤政府委員 今委員がおっしゃいましたように、六十年度末での今の見込みですと基金残高が九千九百億円でございます。それに対しまして六十一年度に現在予想されるネットの償還額、これが一兆五千九百億円でございますから、仮に何らかの一般会計からの繰り入れ等を行わない場合には償還財源が不足する事態になります。この問題を六十一年度どう考えていくかということだろうと思うわけでございます。
  118. 矢追秀彦

    ○矢追委員 だから、また何か全然違うのを持ってくるのか、あるいは一番つらい予算から、一般会計から持ってくるのか。大臣、もし今の状況で推移していくと、言いにくいでしょうけれども何を考えられますか。それとも定率繰り入れをまた復活をするかということですね。いかがですか。
  119. 竹下登

    ○竹下国務大臣 六十一年度以降における定率繰り入れの取り扱い、特に六十一年度においてどうするか、こういうことでございます。これにつきましては、六十一年度においては公債の償還財源の問題は今申しましたようにもはや猶予を許されない状況にある、これが基本的認識でございます。  そこで、一方無償譲渡される電電株式、たばこ株式は、この売却可能な分は国債整理基金特別会計に帰属させて公債償還の財源の充実に資する、こうなっておりますが、しかし六十一年度の定率繰り入れの取り扱いについては、今からどのようにします、半分入れますとか、そんなことを言える状況にはございませんけれども、まさにそのときの財政事情を考慮する必要がありますが、やはり現行の減債制度の仕組みというのは、あれだけ議論していただきましたのでそれは維持するという基本的考え方を踏まえて、適切な対応、答えを出していかなければいかぬ課題だという問題意識は持っております。
  120. 矢追秀彦

    ○矢追委員 次に、先ほど、資料の問題といいますか、予算書の問題で少し大臣言われましたが、私はまだちょっと不満足なんです。先ほどの赤字国債と建設国債の区別ですね、残高の方での。これはいかがですか。後の資料では確かにちゃんと出ているのですけれども、予算書の中でもうちょっときちんと書いた方がいいんじゃないかと思うのですが、その点はいかがですか。
  121. 平澤貞昭

    ○平澤政府委員 五十九年度の財確法の際もこの御議論が出ておりまして、何らかの形で建設、特例横別に国債残高を明らかにすべきではないかという御指摘があったわけでございます。そこで、六十年度予算から財政法第二十八条による参考書類における普通国債の発行年度別償還年次表の様式を改めまして、そして、建設公債及びこれを借りかえるための国債、それから特例公債及びこれを借りかえるための国債の別を定めまして、それをさらに年度別の償還予定、残高等が明らかになるようにいたしたわけでございます。それによりますと、六十年度末の建設公債及びこれを借りかえるための国債の残高が七十三兆九千三百億円、それから特例公債及びこれを借りかえるための国債の残高は五十九兆百億円というふうに見込まれているところでございます。
  122. 矢追秀彦

    ○矢追委員 去作より変えられた点はある程度評価をいたしますが、私としてはもう少し詳しくしてもらいたいと思います。その点、また御検討いただきたいと思います。  次に、もう一つの法案であります財確法でございますが、これは予算委員会の集中審議でも指摘をいたしましたが、政管健保から九百四十億円の問題でございますが、これに目をつけられた理由、これはいかがですか。
  123. 竹下登

    ○竹下国務大臣 政管健保の黒字は保険料アップ、医療の適正化によるものでございまして、これを一般会計に吸い上げるというようなこと、それの目のつけ方についてのお尋ねでございますが、一般会計が厳しい状況のもとで、一般会計から多額の給付費補助等を受けております政管健保において単年度収支差が生ずることにまず着目をしまして、一般会計の財源の確保を図るため、六十年度においての一般会計から厚生保険特会健康勘定への繰り入れの特例を定めた。法律上はそうなります。  このように、本措置は、今の厚生保険特別会計健康勘定の財政状況に着目して繰り入れの特例措置を行いまして、後日健康勘定の収支状況を勘案して繰り戻しを行っていくということでございますので、単純に吸い上げたということではございません。これは六十年度に、いわばどこかに財源がないかということで、そこでそれに着目をしたということになるということであります。
  124. 矢追秀彦

    ○矢追委員 政府のいろいろ財源あさりというのはまあやむを得ないかもわかりませんが、ただ、お金がたまっているからそこからもらってこようということに今なっておるように思います。特に政管健保の黒字というのは、一つは保険料が上がっていること、もう一つは医療の適正化といいますか、受診が前ほどではないということで、ある程度これは黒になってきているわけですね。昭和五十六年から黒字になっておりますね。五十三年に一度黒字がありますけれども、あとは五十一年度から全部赤字になっているわけでして、五十九年度はこのときよりふえるということで、今九百四十億取られるわけですが、そういう、言うなれば国民の保険料が上がったということ、それから適正化というのは、お医者さんの立場からいうとお医者さんの収入減、どっちも痛みですよ。それでたまったものを、こっちがお金が足りぬから取る。国民全体が平等にある程度負担がされて、あるいはまたみんながやっているもので余っているものから取る、あるいはまた非常に特殊な、余りそういうところはお金がたまっちゃいけないのだという種類のものから取ってくるならわかるのですが、私はどうもこの辺がよく納得できないわけです。これは、この財源確保で去年も申し上げましたけれども、随分無理していろいろなところから集めてこられて、去年まではまだ電電の利益金とがあったのが、たばこもありましたけれども、これがもう民間にいっちゃってなくなって、そのかわり株をもらうということですけれども、いよいよなくなったので、今度はことしはこれしかない、こういうことでこれに目をつけられたと思うのですけれども、私は本来的な趣旨からいってこの辺はどうか。  それからもう一つは、例えばことし風邪がなかったから割とこれはいいのですけれども、風邪がはやったときはすぐ赤字になるんですよ。そういう点を考えますと、取ってくるべきものとしてはちょっと問題があるんじゃないか。それはいかがですか。
  125. 平澤貞昭

    ○平澤政府委員 この健康保険に対しましては、一般会計は大変苦しい、厳しい財政状況にあるわけでございますけれども、給付費の一六・四%というものをここ数年ずっと国から入れているわけでございます。そういう中で、この政管健保において単年度の収支において黒字を生じた。生じたのはいろいろ理由があるわけでございますけれども、いずれにしましても、この健保の保険の計算の場合は、単年度で保険経理をしておりますので、結局、その部分は積立金としてあるわけでございます。したがいまして、国としては大変苦しい状況にあるものですから、その積立部分を九百三十九億円一般会計に繰り入れて一般会計の財政を助けてもらいたいということでお願いしているわけでございます。  それでは将来、今委員のおっしゃいましたように健保の財政が悪化したときにどうなるかということでございますが、その場合には、今回の法律にも書いてございますように、そういうときはまた一般会計の方から今回の繰り入れ部分についてしかるべき措置をとるように法律上もなっておりますので、したがって、あくまで国が一方的に召し上げたという趣旨のものではなくて、会計間で財源調整として、余裕が出たときにこれを一般会計に繰り入れていただいているというたぐいの措置であるわけでございます。
  126. 矢追秀彦

    ○矢追委員 大臣、さっきも申し上げたことと同じことになりますが、この政管健保に入っている方も、全体の中でいうと大体三割ないわけですね、三千百四十九万人ですから。そういう人によってためられたものということに極端に言えばなるわけでして、そういう意味からもちょっと、どうも財源あさりというのは、どこかたまっていないかということを克明に調べ上げて、これはあるから、じゃここからもらおう、それではいかぬと思うのですね。やはり理屈をきちんと立てた上で、こういう趣旨のお金はやはり余り取るべきでない、ある程度黒字にしておいても、黒字がたまっていてもそれは次の何かのために使うとか、様子を見ておいて、補助率が高いなら、ではそれは補助率として検討する、その方がいいんじゃないかと思うのですけれども、何かたまったからぱっと取るという、取るんじゃないと言われていますけれども、その点いかがですか。
  127. 竹下登

    ○竹下国務大臣 要するに、政管健保などというものは、保険料の適正化、医療の適正化等々から通じて、ことしはたまたまここのところ累積した黒字が出てきた、したがって、それはそれとしておいて、抜本的に政管健保自身の補助がいかにあるべきかというところに着目をして政策を行うべきだ、こういう論理、それはそれなりの筋であると私も思います。  私の方の側から言えば、政府が抱えております一般会計あるいは特別会計のいわば会計間の財源の調整、だから、将来別の事情の場合は、また一般会計等からその範囲内においてそれへ補てんするという、いわば会計区分間における財政の調整措置である、こういう角度からお願いをしておるということであります。
  128. 平澤貞昭

    ○平澤政府委員 先ほど私が御説明した中で若干違いがございましたので、訂正させていただきたいと思うのですが、一般会計に繰り入れるのではなくて、その分を控除するということでございます。実質的には同じことでございます。
  129. 矢追秀彦

    ○矢追委員 次に、またちょっと戻って恐縮ですけれども、この電電、たばこ株式の取得の問題ですが、先ほどもちょっと申し上げましたように、五月八日に引き渡しが行われた電電七千八百億円のうち、国債整理基金分が三分の二の五千二百億、産投分が三分の一の二千六百億円、たばこの一千億については半分ずつ五百億、五百億、こうなっておりますが、これでよろしゅうございますか。
  130. 平澤貞昭

    ○平澤政府委員 おっしゃるとおりでございます。
  131. 矢追秀彦

    ○矢追委員 この株の処分ですね。これはどのような方法を決められますか。一般募集、縁故募集、競争入札、こうありますけれども、大臣、どういう方向で検討されますか。
  132. 竹下登

    ○竹下国務大臣 これが再三議論のあるところでございますが、これは慎重な上にも慎重を重ねなければいかぬわけでございますので、まだことし売るというものでもございませんだけに、いささかの疑惑も持たれないように、今御指摘のありました競争入札にするか、あるいはシンジケート団を組むか、今までの経験と、そしてやはり民間のプロのお方と申しますか、学識経験者の方の意見を十分聞いて決めるということに尽きるではないかというふうに考えます。
  133. 矢追秀彦

    ○矢追委員 利権あさりといいますか利権目当てといいますか、そういういろいろな話が乱れ飛んでおりますので、今言われたようにぜひ公正な価格、そしてそういった不正がないように防止策はきちんとしていただきたい。これは本当に真剣にやっていただかないと、国民がみんな関心を持って、恐らく大蔵大臣のところなんかへいっぱい陳情団が来て、何とか株を分けてもらえぬかというような話があると思うのですね。そういうことがあってはならぬわけでして、公正な価格で、しかもそういう不正なことのないようにぜひやっていただきたいと思います。また、先ほどちょっと申し上げましたが、余り突拍子もない高い値段でも一般の投資家が困るし、といって、ある程度高価でなければ先ほどの財源にもならないしということで板挟みにもなると思います。そういうことを考えますと、やはりある程度一般競争入札というか、大体そういうところへいくんじゃないかなという気が私はするわけです。  これは今後の問題ですが、どの機関で検討されますか。例えば国有財産処分の審議会にかけられるのか、どういう機関で検討されてこの株式の処分が決定されていくのか、いかがですか。
  134. 竹下登

    ○竹下国務大臣 これは二月に私がお答えした答えの繰り返しになりますが、いろいろな先例がございます。確かに電発がございます、それから日本航空がございます。そこで国有財産中央審議会に諮問をして、そこで小委員会における審議を経て答申をいただいた、こういうこともございます。これは先例として一つあることでございますけれども、それも今決まっておるわけではございません。国有財産中央審議会というものに諮問するその前に何か審議会をつくる、あるいは第三者による機関をつくるという考え方、いろいろな議論がございますでしょうけれども、それを固めておるわけでは今日ございません。審議会に諮る前にもう一つ何か勉強の機会とでも申しましょうか、そういうことも含めてこれから慎重に考えることではなかろうかな。こういうことで、二月にお答えしたことから今日こういう点が進んだというようなものは残念ながらございません。
  135. 矢追秀彦

    ○矢追委員 大体いつごろが目標でそういったことは決められるわけですか。タイムスケジュールはいかがですか。
  136. 竹下登

    ○竹下国務大臣 それも含めて、今大体いつごろには決めようと思いますというところまでに至っていないというのが現実でございます。
  137. 矢追秀彦

    ○矢追委員 それでは最後に、午前中も質疑が出ておりましたが、これは質問の予定はしておりませんので恐縮でございますけれども、貿易摩擦について少しだけお伺いして終わりたいと思います。  現状についての認識は大臣も私も変わらないと思います。ただ、やはり言うべきことはきちんとアメリカには言ってもらいたい。かなり言っておられると私は確信しておりますが、向こうの新聞というのは日本の新聞と違って、自分のところがやられたことは余り書かないと思いますからそう出ていないので、例えば日本がドル高の主張を強くやったというふうなことは余り出てないようでありますけれども、いろいろな原因があってこういうことになり、日本の黒字もいろいろありますが、因子として一番高いのはやはりレートにある。そういう意味では、黒字を減らすのにはいろいろ手だてはあると思いますが、やはりレート。少なくも二百円ぐらいまで持っていけば随分黒字が減ると思うのですね。一時百七十円ぐらいまでいったことがあるわけですから、そういうことを考えますと、私はこのレートというものにやはりもうちょっと力を入れるべきだ。  ただ、これは、アメリカにがんがん言うのも必要でしょうし、やらなければなりませんが、それに対して、日本としてできるいわゆる円高基調をつくっていく環境づくりといいますか、これは大臣どうですか。
  138. 竹下登

    ○竹下国務大臣 二十日、月曜日が二百四十九円七十銭、ところがきょうの寄りつきが二百五十円四十銭、こういうことで、なかなか思うようにこの円高基調にじわじわと定着していくという傾向が見られない、毎日一喜一憂しておるというのが現状であります。  今おっしゃいますように本当に、国会で関税の議論をしてもらいますときに一・五とか一というような議論をしておりますと、一方、今仮に二百円になりますと二〇%ぐらい動くわけでございますから、私はある講演会でこういうことを言いましたら、おまえ不見識だと言われまして言わぬことにしておりますが、あえて披露させていただくとすれば、為替レートに比べれば関税率などアクセサリー、こういうことを私が言いました。それは素人の実感として言いましたので、大蔵大臣としてはちょっとこれは不見識だったなという反省をも含めて申し上げたわけでございますけれども。  したがって、今ヨーロッパ通貨に対しては日本は結構円高基調というものが維持されておる。問題は対ドルですね。したがって、率直に申しまして基本的には、短期的にはこれは金利差だと思います。だが、実際何が決め手かというと、私は、理論的には経済のいわゆる諸指標、基礎的諸条件と申しますかファンダメンタルズというものがじわじわと本来は効いてくるべきものだ。そうすると、彼我の差を見ましても、失業率も低いし、消費者物価の上昇率も低いし、そして成長率も、最近アメリカが鈍化すれば、こちらの方はそれでもなお安定成長基調にあるし、だからいずれは円高になることを期待すべきだというふうに私は考えて見ております。  そこで、これが乱高下があった場合は、私は今の場合はやはり協調介入なのかな。ところがアメリカは、協調介入というのにどちらかといえば消極的でありましたが、最近はヨーロッパ等の問題も出てきましたので、それが実効を上げておりますが、さはさりながら振り返ってみますと、何ぼ介入して何ぼ円高が維持されたかという、これも数式で出てこない。ある意味においては、協調介入するぞと大蔵大臣が一遍言いますと、しなくてもそれが一つの警鐘となって投機心を抑え込む、そういう意味もあるわけでありますので、したがって決め手というものがない。さようしからばというので、固定相場制とかあるいはワイダーバンドみたいなものを設けまして、そこでやったらどうだ。それで、しかし昭和四十六年にああしていわゆるドルの兌換制が停止されてからは、ほかにかわるべき措置というとやはり変動相場制しかない。これもサミットにおいても議論になって、そして結果的にどうするかというので、この六月の二十一日に東京で、今度は私が議長でございますが、日米円ドル委員会というのをやりましたので、何かほかの国の大蔵大臣は私を通貨のプロだと思っているのではないかと、これもまた大変困ったことだなと、本当のところそう思っております。しかし、さればそれをどこへ報告するかというと、IMFの暫定委員会になろうと思います、今度は二十数カ国おりますから。そこへ報告のできるようなものをつくらなきゃならぬ。今、G10のいわゆる大蔵大臣代理会議というのをここのところ頻繁に持ち回りみたいにして外国でやりまして、その報告をきょうも受けなきゃいかぬと思っておるところであります。  通貨に対する決め手を欠くというのは、私は、結局は中期的に見てもらって、いわゆる日本経済全体の信認が高まるということがすなわち円高そのものに結びついていくのじゃないか、こんな感じがしております。いつも議論するところですが、今アメリカが債務国になったからドルは暴落するのじゃないか、こういう議論の人がおります。しかし、債務国になっても依然としてドル高基調が続いておる。それはやはりドルに対するそれだけの信認があるわけです。それは経済だけでなく、ストロングアメリカというのがほかの面を含めてもあるのじゃないか。だから、どこかで戦争が起きても、さあ円を持って逃げようという人はまだいなくて、ドルを持って逃げる。そういうことを考えますと、地道な地道な経済の諸条件を整備すると同時に、あるいはもっと円建ての貿易ということを極力進めていくとか、いろいろなことを考えていかなければならぬ。  平素、私自身が毎日心配しておりますので、多少そういうふんまんも含めてお答えいたしたわけでございます。これが決め手のお答えであるとは私自身も思っておりません。
  139. 矢追秀彦

    ○矢追委員 一つ気がかりなのは、アメリカの経済がちょっと減速ぎみであるということが新聞でも出ておりますし、この四半期ですか、たしか〇・七%ぐらいですね。そういった点はちょっとこれも心配材料である。それからヨーロッパが依然として悪いですね。この問題、アメリカの経済をどう見られておるか。  さらにもう一つは、貿易摩擦。アメリカと一番多いわけですけれども、ほかの国も結構やいやい言ってきているわけで、それが非常に難しいですね。特にタイあたりは、なぜ骨つきと骨なしの鶏肉の問題でアメリカと違いがあるのか、どうなんだとか、オーストラリアもそういうことを言いますし、要するに、こっちを立てればこっちが立たないという面が結構出てきている。そういった点で、日本はもちろんアメリカが主体ですけれども、むしろヨーロッパもそうですし、特にいわゆるASEANの方がこれからまた非常に厳しくなるのじゃないか。このASEANの経済成長も今までほどではないようなデータをちょっと最近見ました。そういった点で、世界経済全体の中でアメリカの減速、それから特に、アメリカがだめになると今度は東南アジアが、アメリカへ売れてたらいいですけれども、それを今度はまた日本に文句を言ってくる。こういう、非常に包囲されてしまう感じもあるわけでして、その点はどうやっていくのか。非常に難しいと思いますが、この点はどういうふうな感じをお持ちになっていますか。
  140. 竹下登

    ○竹下国務大臣 昨晩遅くでございますか、出た下方修正、私も正確に中身を分析したわけじゃございませんけれども、それは確かに名目成長はそれなりに上がっておりますが、デフレーターを掛けて見ますと〇・七でございますか、当初の、この間の分よりもまた下がっております。だから、これをどう見るか。私は、まだ今日のアメリカの経済自身は、いわば少し過熱しておったものがソフトランディングといいますか軟着陸していく傾向と見るべきではなかろうかなというふうに一つは考えます。  一方、東南アジアの問題は、この間我が党の藤尾政調会長が現地へ出かけましていろいろのお話をなさって、それを、実に詳細にこの報告を受ける機会がございました。今御指摘なさいましたようなタイの骨なし鶏肉でございますが、日本の場合簡単に言えば焼き鳥の材料でございます。アメリカの骨つきの分は、あれは焼き鳥の分じゃないそうでございまして、我々がかじるやつでございましょうか、それが違うそうでございます。したがって、骨なしの方が我が国の国内産業への影響はより大きいというふうに言われますけれども、実際問題としてこれがシンボリックなものになっておりますので、これについては、アクションプログラム等をつくるに当たって恐らく注目して対応されるべき課題だろうと思います。それからマレーシアのパーム油、これは関税率が下がりましてどっと入るというものじゃないかもしれません。しかし、これしもやはり象徴的なものになっております。それからインドネシアの合板でございますが、あそこは広葉樹合板でございますから、日本ともろに競合する。アメリカの合板は御案内のように針葉樹合板でございますから違いますが、それからフィリピンになりますと代表的なものはバナナでございますか、そういう象徴的なものを一つ一つ理解を深め、例えば合板で申しますならば、六十一年すぐではない約束をしておりますけれども、それまでに国内対策もやっていかなければならぬ、こういうことでございます。  そういうシンボリック、象徴的なものに対する配慮をすると同時に、ASEAN諸国でございますと、いわばODAに当たる面もございますが、さらには資本投資等々を行うことによって全体のレベルを上げていくということに対する継続的な努力をしていかなければならぬのではなかろうか。だから、あなた任せではなく、こちらの施策がまた経済の復興に役立つような立場で対応していかなければならぬのではなかろうか、こんな感じで見ておるところでございます。  合板に限りましては、おおむね三年目としておるわけでございます。
  141. 矢追秀彦

    ○矢追委員 最後に、大臣にもう一つ。  交渉においてはちゃんと言われておると確信をしておりますけれども、日本として譲れない限界というものがあると思うのです。例えば日本で公害の規制が厳しい。だから、自動車けしからぬ、もっと緩めろ、こういう議論は譲れないと思うのです。また、日本語がよくないとか、こうなってきたら何をか言わんやで、その次は顔が黄色いからいかぬ、こうなってくる。ここまで来たら人種差別までいくわけです。それは極論といたしまして、少なくも日本で、例えば果物にしても何にしても病気の問題があるわけですが、そういう点もがんがん攻めてくる傾向が何か出てきているように思うのです。だから、輸入の場合のいろいろな検査が厳しい、厳しいのが当たり前なんですが、何かそれが一つの障壁にとられる。確かに複雑でだめなものもあるし、それは是正がどんどんされてお力まずし、今検討がされておりますから、そういう点は改善されると思いますが、しかし何でもかんでも、じゃどうぞ御自由にというわけにはいかぬ。今言った、横文字にしてくれなんていうのは、こっちが物を売る場合も自主的に大体英語でやっておりますね。だから、輸入品の場合日本語を変えろなんて言われても困ると思いますし、極端に言うと内政干渉にまで至る、そういう譲れない線というのはきちっと守っていただきたい。  まだまだいっぱい例があると思いますけれども、特に日本人の伝統とかしきたりというようなものまでつぶしてしまえというのはとんでもない話。日本における生活を守るためにきちんとした規制をしておる、これは言うべきことはきちんと言って理解をしてもらわないといけない、それは、それだけよそがおくれていて日本が進んでいるわけですから。あとは、できる限りは自由にすべきだと私は思いますけれども、どうも最近は、先ほど象徴的な品物を挙げられましたけれども、それをもってどんどん感情が高ぶっておる。何ぼ悪いものでもまず日本で荒らしてくれ、荒らした結果売れなかったらそれは損でいいんだ、売らせもせぬじゃないかとか、そんな議論も結構あるわけです。それは全然話にならぬ品物だからこっちは入れないだけで、何もシャットアウトしているわけではない。そういう誤解がかなりあるわけですが、先ほど申し上げたように日本の生活、特に安全とか公害とかしきたり二言語、そういうことまで影響されるようなところはひとつきちんとしていただきたい、こう思うのですが、その点をお伺いして終わりたいと思います。
  142. 竹下登

    ○竹下国務大臣 この間藤尾政調会長の報告を聞きましたときに、各省から三十人ついていったというのです。その人たち全員がカウンターパートを求めてお互いの相互理解のための努力をしたという話を聞きまして、かくあるべきだなと思いました。確かに誤解に基づくものも、これは東南アジアといわずECといわずアメリカといわずあろうかと思います。したがって、とにかくアンフェアであるという印象だけは払拭しなければならぬ。フェアでさえあれば、その後は安価にして良質なものが市場を支配していく、これは市場原則でございますから、そこまでを感情の中へ持ち込むというのは相手方もおとりになるべきものではないし、またそうあってはならぬと私は思っております。  特に今おっしゃいました大事なことは、例えば発がん物質である危険性があるからこの消毒の薬剤を使ったものは入れないとか、これはむしろこういう方法で消毒されたらいいじゃないですかというノーハウの提供を行うことによって、相手に対しても理解を求めていく。だから、こちらの基本的なものを譲ってとにかく何であれ入れればいいというものではなかろうと私も思っております。ただ、基準なんかの中で、聞いてみますと、とにかく一遍入れてみてそうして売れなければあきらめるだろうというようなものが、健康とかそういう問題に関するものでなく多少あるというような話も聞きはいたしますけれども、フェアであるという理解さえ深めていけば、この問題に対しては堂々と対応することができるんじゃないかな。だから、どんなお互いの立場でも結構でございますから、より理解を深めていく必要はいつの日でも考えていなければならぬ問題だ。  中曽根総理が相手国に対して言葉を選びながらよく申しておりますが、我が国の商社マンはみんなおたくの言葉を話します、おたくからお越しになる人は全然、全然でもございません、「こんにちは」ぐらいは言うかもしれませんけれども、そういう自己努力も必要ではございませんか、こういうようなことを申されておるのは、私はいいことじゃないかというふうに考えております。
  143. 宮本保孝

    ○宮本政府委員 先ほど御答弁できませんでしたところを補足させていただきます。  例の国債の償還額が二兆二千八百ございまして、借換債が一兆八千七百で、ネットの償還額は四千百と申し上げました。この計算根拠でございますが、国債償還額二兆二千八百のうち十年債が二兆一千二百ございまして、これは約六十分の五十、それから五年債が約千六百ございまして、これが六十分の五十五で計算いたしております。その結果一兆八千七百が借換債として出まして、残りは四千百でございます。  そういうことでございます。
  144. 熊川次男

    ○熊川委員長代理 玉置一弥君。
  145. 玉置一弥

    ○玉置(一)委員 毎年出てまいります財確法案、見方によっては非常に便利な法案でございまして、いろんなことが入っております。聞く方も聞きやすいのですけれども、どうも法案の趣旨からいくと、財政の穴埋めを毎年本当にやらなければいけない事態が続いている、こういう感じがするわけでございます。できることならば定常的な、いわゆる税法の法案というような形で出されていけば、国の財政に長期的な見通しが立つのではないか、こういうふうに考えるわけでございます。  例えば、今まで電電公社なりあるいは中央競馬会あるいは昔のたばこ専売公社、その辺が納付金ということでかなりのウエートを占めておりましたけれども、その方面が民営化をされるということで、財源確保も短期的な処置という面では非常に難しくなっているというのが現状ではないかと思うわけでございます。やはり長期的ないろんな展望を踏まえた上での財政計画というものをつくりかえていかなければいけないのではないかと、私自身も今までも主張しておりましたし、また我が党におきましても、各委員会なりあるいは本会議を通じて政府に提言をしてきたところでございます。     〔熊川委員長代理退席、熊谷委員長代理着席〕  時間配分二時間ございますので、まず最初におおよその現在の財政状況についてのお話を伺いまして、そしてその内需なり外需にどういう対応をしていくのかという問題、そしていろんな税の問題という順序でお伺いをしたいと思います。  まず最初に財政赤字の問題でございますけれども、財政が非常に苦しいという状況の中で、財政に対するいろんな政策転換というものが現在迫られておりまして、その中で高水準の貯蓄率を誇る我が国において、適切な国債発行ということ、消化をしていくということは不可能でないということでございますけれども、余りに発行いたしますと対GNP比率が上昇していくということになるわけでございます。そういうことで考えていきますと、やはり経済の情勢の推移によっての資金需要ということも絶えず見ていかなければいけないと思うわけでございます。  まず経済企画庁にお伺いしたいのでございますけれども、経済企画庁が「昭和五十七年経済の回顧と課題」という中で、我が国の財政赤字は構造的赤字と循環的赤字とに分けられる、そういう要因分析をしておられますけれども、これについてまず簡単に御説明をいただきたいと思います。
  146. 宮本邦男

    ○宮本説明員 お答えいたします。  五十八年度版の「日本経済の現況」これは通称我々年間回顧と申しておりますけれども、そのときの年間の経済を回顧して分析いたす作業でございますが、その中で、先生が御指摘なさいましたように、構造赤字、循環赤字に関する分析を行っておりますことはただいま御指摘いただいたとおりでございます。  これは、財政赤字には、景気停滞に伴いまして法人税等が落ち込むという税収の落ち込みも響いているわけでございまして、一定の前提を置きまして、仮に経済がそういった落ち込みがない、経済学ではこれは完全雇用と俗称いたしておりますけれども、そういった状況にあったとして得られる税収と現実の歳出を比べるということによりまして、いわゆる構造赤字の大きさがどのくらいなものだろうかというような試算をいたしたものでございます。  計算方法が非常にテクニカルと申しますか、技術的にわたりますので省略させていただきますが、何段階かにわたって、完全雇用状態のGNPがどうなるか、そのときのタックスペース、つまり個人所得とか法人所得がどうなるか、それを踏まえて完全雇用状態の税収がどのくらいあるか、こういう見当をつけるわけでございますが、それぞれの段階に幾つかの前提を置いてございまして、そういった幾つかの前提に基づく一つの試算結果である。五十八年版の年間回顧で提示いたしました分析の中にもそういった断り書きをつけておりますけれども、一つの試算であるという点にも御留意いただけたら幸いだと思います。
  147. 玉置一弥

    ○玉置(一)委員 この報告によりますと、五十七年度の財政赤字の中で約八〇%が構造赤字というような形で出てくるというふうに言われておりますけれども、どうも今までのいろいろな財政の組み方を見でおりますと、大蔵省の方は構造赤字と循環赤字というふうに分けでないような感じを受けるわけです。経済企画庁と大蔵省の中での分析というか、例えば五十七年度についてはこういう中身になりましたという分析、そしてこういうことをやらなければ財政的な赤字の中の循環あるいは構造的な赤字というものは解消されませんよ、そういう話し合いは今までなされましたですか。
  148. 宮本邦男

    ○宮本説明員 今、先生五十七年度の予算で構造赤字が八割とおっしゃいましたが、構造赤字が六割で循環赤字が残りの四割という分析をあの当時いたしたわけでございます。この分析は経済企画庁独自でやります分析でございまして、先ほど申しましたように各段階での前提のつけ方その他計算方式等々いろいろな考え方もあろうかと思いますが、この分析をやった場合には、正式の大蔵省との合い議ということはやってございません。
  149. 玉置一弥

    ○玉置(一)委員 大蔵省にお聞きしますけれども、財政当局として予算編成のときに、現在の経済企画庁が出されているようなデータあるいはいろいろな文献を参考にされていると思います。今までの当委員会におきます答弁におきましても、それぞれ予算編成においては経済見通しなりあるいは現在の結果についての意見というものを、経済企画庁あるいは他省庁と十分連携をとりながら予算編成を行っていくという話をされておりますけれども、今回の構造赤字あるいは循環赤字というふうな分析、これが予算編成の中に余り生きでないような気がするわけでございます。その辺について、大蔵省はどういう情報のもとに予算編成をされているのか、またこの分類の方法、その辺についてどういう御意見を持っておられるのか、お聞きしたいと思います。
  150. 平澤貞昭

    ○平澤政府委員 このような循環的赤字あるいは構造的な赤字という問題につきましては、先ほど経企庁の方から御答弁がありましたように、いろいろ研究しておられるのは我々としても勉強させていただいているわけでございます。  ただ、この赤字の計算の仕方は非常に難しい点が多々あるわけでございます。例えば完全雇用を前提にしているわけでございますけれども、実際上そういう事態があり得るかどうかという点もございますし、完全雇用そのものをどう考えていくかというその出し方の問題もあります。それから、いろいろ生産関数その他でも一つ一つ経企庁御苦労して出しておられますが、検討させていただきますと、やはり数字的に出てくる結果はかなり幅のある範囲のものだと我々も考えるわけでございます。  しかし、いずれにいたしましてもこのような考え方があるのは、予算編成の際にもいろいろ示唆に富む点があることもまた事実でございまして、例えば歳出面で予算の削減、合理化を行っていく場合には、やはりその制度の根幹にまでさかのぼっていきませんと、いわゆる構造的な赤字部分に肉薄できないということもあるわけでこざいます。それから、歳入面につきましても同じようにいろいろ問題があろうかと思うのでございまして、そういう意味からいいますと、現在の財政構造についてかなり示唆に富む提示をしておられるというふうに私は個人的には考えておるわけでございます。
  151. 玉置一弥

    ○玉置(一)委員 四割が循環赤字、六割が構造赤字ということでございますけれども、循環赤字の対策ができなければ、当然構造部分というか、現在の制度の方にいろいろな手だてをやっていかなければいけない、この状態が現在の状態ではないかというふうに思うわけです。ですから、いろいろな経済対策ということで具体的なことをやられておりますけれども、基本的には緊縮財政の中での経済対策ということで、先ほどから話が出ておりますけれども、いわゆる公共投資に対する考え方あるいは景気刺激策そのものが、やはりどうしても財政状況を背景に考えられるということでございまして、なかなか思い切ったことができないというような感じがするわけでございます。  昭和五十六年の三月に大蔵省が出されました、これは衆議院予算委員会への資料でございますけれども、「財政の中期展望」ということで、昭和五十五年度から昭和五十九年度までの経費別の内訳というものが出ているわけでございます。一つは、私も毎回言っておりますように、先行きの見通しがある程度立たなければ民間というものは動かないんだ、自分たちの身を守るということを非常に大切にというか、大前提でございまして、余り先行き不明なときになると、なるべく身近なことだけで判断をしていくというようなことでございますから、ある程度の長期見通しを示していただければ、必ずそれについていく人が出てくるというようなお話をときどきこの委員会でもさせていただいておりますけれども、今までの財政状況から見て将来の展望というものを出さなければいけないのではないか。昭和五十六年の三月に大蔵省からこの資料が出ておりまして、ことしも予算委員会等で我が党からも要求をいたしておりますけれども、「財政の中期展望」、これについて政府の方はたしか出していただくようなお話をされたと思いますけれども、その後の動きはどうなっておりますか。
  152. 平澤貞昭

    ○平澤政府委員 いわゆる「財政の中期展望」の主要経費別の内訳のお話かと思いますが、この問題につきましては予算委員会でたびたび御議論があったわけでございます。その際に、政府といたしましては、やはりこの主要経費別内訳を算出するそのやり方等にもいろいろ検討を要する問題が多々ございますし、かつまたそれが公表されることによって、予算編成とかいろいろな面に与える影響等もございますし、それを提出することを差し控えさしていただいたわけであります。したがいまして、そういう意味でこの問題は政府として今後とも取り扱っていきたいと考えておるわけであります。
  153. 玉置一弥

    ○玉置(一)委員 具体的な展望を出していただかないと、なかなかいろいろな論議が進まないと思うのですけれども。  それから、こういうように主要経費別に分かれておりますと、それぞれの経費がどういうふうに変わっていくのかということがよくわかるわけですね。例えば、社会保障費の関係、今、年金法の改正が準備をされておりますけれども、そういう問題が五年先にはどうなるのかということもわかりますし、例えば防衛費一%を守る、守らないという話。これも、いつになったら一%を超えてしまうのかということもわかるわけですし、経済協力についても、例えば外国からの対策が功を奏すれば、これがだんだん減ってくるではないかというようなことも考えられますし、こういうようなことを考えていきますと、毎年毎年締めてみて、財源が足りないからこういうふうな財確法を出すということではなくて、やはり長期政策というものの中でなおかつ足りない部分について、財源確保のために法案が出てくるということであればやむを得ないと思いますけれども、何となく一年締めてみて、来年の予測をして足りない、ですからことしはこういうことをやるのですよというような感じになっているわけです。そういう面から考えて、大臣、これはぜひ「中期展望」を出していただきたいと思いますけれども、いかがでございますか。
  154. 竹下登

    ○竹下国務大臣 これはたびたび御指摘のあるところでございます。今主計局次長からお答えいたしたとおりでございますが、結局、ことしの場合、いろいろ工夫いたしまして、後年度推計という形で、社会保障と公共投資ということに区分してお出しして、議論の手がかりとしていただいたという経過にあるわけでございますので、なかなかすべてにわたって――大体「中期展望」そのものが一つの仮定を前提の上に仕組んだものでございますから、正確な定数的なものでお示しすることは、これは実際問題としていろいろ議論してみましても難しい問題でございますので、可能な限りの範囲内というので、先ほど申しましたようなもので御審議をいただく参考にしていただいたということに尽きるわけであります。  基本的には、一つは予算の単年度主義というものも、実は確かに我が国の財政法の鉄則として存在しておるわけでありますが、やはり経済がそうであるように、その一部である財政というのを定量的になかなか先の見通しというものはつけにくい問題である。私どもも考え方の中で、財確法を一年一年――最初は議論をしました、一年一年というよりも、当分の間とかいうことはないか。しかし、財政の節度を守るためには一年一年国会で議論していただくことで、やっぱり我々自身がイージーになってはならぬということでそういう措置をとらしていただいているわけでございますので、その点は財政の節度からいえば一年一年、そしてその時点における後年度負担推計を考えた「中期試算」等を参考にして鞭撻いただくのが現実的なあり方かな、こんな感じでおります。
  155. 玉置一弥

    ○玉置(一)委員 特に公共投資の関係とかあるいは社会保障関係、これについて業界が動くということは非常に大きいわけでございますから、なるべく細かい分野にわたっての一つの指針を、これはもう指針でございますから、政府として出していただきたいと思います。  次に移りまして、今の循環赤字の問題でございますけれども、最近のいろいろな方の御意見を聞いておりますと、公共投資を中心にしたいわゆる経済政策、これを積極的にやれという方と、あくまでも財政再建を目的として、いわゆる均衡縮小、まあ政府が唱えている方向ですけれども、この方向を守るべきだという方がおられます。景気は最近ややよくなっておりますけれども、悪いときに、何とか景気浮揚のための施策を、財政を頭に入れながら多少はみ出てもやるべきだというようなことで我々が言っておりましたけれども、結果的には、縮小均衡財政を続けてきたために景気回復がおくれたというような結果になっていると思います。  そういう意味から、まず大蔵大臣にお聞きをしたいのは、積極経済政策というのをやりますと、確かに、今抑えている公共投資等に伸びを与えていかなければいけないということにもなるかと思います。あるいは、文教政策とかいろいろなものがございますけれども、そういうことに政策転換される気はないのか、あるいは、大臣として積極経済政策を採用される気はあるのかないのか、その辺についてお聞きしたいと思います。
  156. 竹下登

    ○竹下国務大臣 今日、景気は自律的な回復基調にあるというときに、財政が出動することによって積極的ないわゆる景気策をとるという環境にはないというふうに言わざるを得ないと思います。  結局、ボン・サミットにおきましても、財政面での規律ということ、インフレのない持続的成長ということをお互いの共通課題として目指そうという今日において、日本だけが積極経済、積極財政を行うことによってそのツケを後世代にゆだねるというのは、とるべき施策ではなかろうというふうに私は考えます。  それともう一つは、私がいつも考えることは、意識転換をある程度必要とするという物の考え方の一つでございますけれども、仮に公共投資等を、財政が出動して、具体的に言えば建設国債の増発等によってやった場合に、それが経済にもあるいは税収にもはね返ってくるということは理論的によくわかることでありますが、要するに、ある種の経済指標というものを念頭に置いて、今は悪いから、では財政が出動して公共投資等をふやそう、が、少しよくなったから今度はそれを減らしていこう、そういう緩急自在と言うとちょっと表現がおかしいのですが、一度歳出圧力にこたえて出したら、今度はそれをもとに返すということは現実問題として大変に難しいものではなかろうか。したがって、ことしの場合の公共事業におきましても、もろもろな工夫をいたしまして、事業量をいささかでも前年度対比ふやしていくということがぎりぎりの施策ではなかったかな、こんな感じで受けとめておるところであります。
  157. 玉置一弥

    ○玉置(一)委員 確認をいたしますけれども、民間と公共があります。民間と公共の比率はわかりませんけれども、トータルで一〇〇として、例えば公共が三〇で民間が七〇だ。合計をして絶えず満杯になっていればいい。ところが、民間が七〇から今度五〇に落ち込んだときに、二〇はふやせないけれども、せめて一〇ぐらいはふやしていこう、今のお話は大体こんなものだと思うのですね。ということは、民間がこれからまたよくなってきたときに、公共投資は、さっきはこれがぎりぎりだという話ですけれども、本当は減らしていかなければいけないのですね、そういう理論でいきますと。減らすことがあり得るのかどうか、この辺確認したいと思います。
  158. 竹下登

    ○竹下国務大臣 公共支出ということじゃなく、公共事業投資と言った方がいいかもしれませんが、それを減らすということは非常に難しいことだ、したがって、安易にふやすとそれは膨張圧力が継続することになりはしないかという感じを持っております。しかし、国費ベースでは滅してきておることは事実でございますが、地方への補助率の改定でございますとか、あるいは財政投融資の活用でございますとか、そんなことで事業費を確保してきておるという現状ではないかというふうに思います。
  159. 玉置一弥

    ○玉置(一)委員 もう一回確認しますけれども、国、地方を合わせて一〇〇、仮に今、国が三〇ぐらい、もっと少ないですかね、それで地方が七〇とさっきと同じ比率を言いますけれども、今のお話ですと、国というものは三〇より余りふやせない、事業量としては七〇の地方の方へふやしていきたい、こういう話ですね。  ところが、補助金をカットしますと、補助金がないからということで地方がまずなかなかふやさないだろう、こういうことも考えられますし、先ほどのもう一つ前の理論ですけれども、急激に伸ばすと減らせない、これは確かに事実だと思うのですね。地方に転嫁をして事業量を確保できないで、転嫁できない部分をもし国が持つという形になったときに、事業量として国がカバーをしていくのかどうか、その辺をお伺いしたいと思います。だから、一〇〇の枠は地方が伸ばさなければ国がカバーするのかということですね。
  160. 竹下登

    ○竹下国務大臣 これは一概にお答えすることはなかなか難しいのですが、まあ比率は仮に五〇、五〇とわかりやすくしたといたしますと、先ほどの最初の議論は、よくISバランス論というのがありまして、投資と貯蓄のバランスをとるべきだ、そこで、貯蓄が日本の方はある、投資先はどこかと言えば、国か地方公共団体か民間か個人か外国だ、したがって、それを、資金需要が民間が乏しいときには国なり地方公共団体が肩がわりして、それでもって公共事業を含めいろいろなことをやればバランスがとれるのではないか、この議論でございますが、先ほども御理解をいただくように申し上げたのは、一度ふやしたものは、その歳出圧力に抵抗して減すということはなかなか難しいという問題も存在するわけでございます。  それで、可能な限り安上がりの政府にして、民間自身が活力のある状態を継続していくのが本来のあるべき姿ではないかなというふうに思えますので、そうした機動的な財政の出動による公共事業というのはなかなか難しいという話を申し上げ、そして二番目の問題は、今おっしゃいました、仮に、これもわかりやすく五分五分といたしまして、国費ベースを金額として余り減さないでそして補助率を下げれば、ことしとった措置のように、事業費は総体としてふえていった、こういうことになるわけでありますが、そのときには、地方財政計画全体の中でそれを受け入れるだけの余力があるかないかということを見定めなければ、それはやたらめったらとできることではないというふうに考えるわけでございます。  ことしそれがお願いできたのは、地方財政計画、大蔵省でいうと、どっちかといえばマクロで見がちでございますけれども、地方の単独の建設公債等も昨年よりもうんと減ってきておる、それではまだいわば起債能力があるということが言えるではないかというような形で、そういうことをお願いしてこの間法律を通していただいて、今週来積極的な予算執行に入っている、こういう現状でございます。したがって、この問題というのは、特に公共事業につきましては長い歴史の中で――社会保障は割に一定した補助率で継続しておったわけですが、公共事業はその都度確かに変わっておりますので、そういう点は車の両輪たる両者でなおこれから協議してやっていけば、事業費を確保するためのそのような措置というものは、今後も可能性はそのときの財政事情においてあるという場合もあり得るというふうに思うべきではないかな。地方負担がまるっきりない、個々の市町村になりますとなかなかわかりませんが、マクロで見る地方財政計画で見ますと、まるっきりないという状態では必ずしもないではないかというふうに思っておるところでございます。  しかし、歴史をひもといてみましても、北海道が今日の繁栄をもたらした一つは、黒田清隆さんが北海道の公共事業は全額国費をもって行う、こういう一文が、太政官布告でございますか、あるわけですね。だからそういう地域別補助率というのは、一律なカットの中でも、その趨勢としては今後とも続いていくべきものではなかろうか、そういうふうにしていわば地方自治体間の財政力の差を縮めていくという政策も引き続いて念頭に置いておかなければならぬじゃないかな、こんな感じでございます。
  161. 玉置一弥

    ○玉置(一)委員 これは経済企画庁だと思いますけれども、「昭和五十九年度リボルビング報告」というものが十二月二十日に経済審議会から出されております。その中に「適切な経済運営に努め、内需中心の安定成長を中長期的に持続させていく必要がある。」こういうお話がありました。そして、「内需中心の安定成長の持続は、国民生活の安定と質的向上をもたらすと同時に、経常収支黒字、財政赤字の問題に適切に対処し、雇用の安定を図っていくためにも、また、世界の一割国家に到達した我が国が、その地位にふさわしい貢献をしていくためにも必要である。さらに、安定成長の持続は、行財政改革を始めとする上記の新しい制度、枠組作りを円滑化するものでもある。」というふうに指摘をしているわけです。中曽根内閣がこれだけいいものを出しているのですから、これをどういうふうに使っていくのか、経済企画庁との連携をどういうふうにされているのか、この辺についてお伺いしたいと思います。
  162. 星野進保

    ○星野政府委員 御説明申し上げます。  先生今御指摘の、経済審議会から昨年の十二月にリボルビング報告というものを提出いただきまして、私ども参考にさせていただいておりますが、先生今お読みいただきましたところでございますが、実はこの章は「新しい成長のための改革と前進」という大きい表題がございまして、その改革のところで、まず一番目に「行財政改革の推進」ということを掲げております。それを受けまして、先生今お読みいただきましたところで、要するにこういう行財政改革を基礎といたしまして安定成長を確保していく、その安定成長を確保することはまだ翻って行財政改革を着実なものにしていく、こういうロジックになっておりまして、安定成長が突出していくというようなロジックにはなっていないわけであります。要するに今の全体の行財政改革の方向を基礎としながら、その上で安定成長を確保していこうということでございます。  さらに蛇足を一つつけ足しますと、これまた報告の七ページで、「行財政改革の推進」のところですぐ出てくるわけでありますが、昨年の状況を踏まえていると思いますが、基本的には「展望と指針」が示しました「中長期的な展望もより明るくなっている今こそこというような言い方をいたしまして、「「展望と指針」の重点である行財政改革を強力に推進する好機である。」と言っておることも、余計なことでございますが、つけ加えさせていただきたいと思います。
  163. 玉置一弥

    ○玉置(一)委員 大蔵省はないですかね。
  164. 北村恭二

    ○北村(恭)政府委員 「昭和五十九年度リボルビング報告」につきましては、今、経済企画庁の方から御説明があったとおりでございますけれども、こういったリボルビング報告は、基本的には五十八年の八月に閣議決定されました「一九八〇年代経済社会の展望と指針」といったものについての見方を新しい時点からしたものでございまして、基本的にこの「経済社会の展望と指針」で書かれております基本線というものが持続されているものでございます。こういった基本的な考え方に沿って、私ども政府として、政府の経済見通しといったものをつくりまして、そういった中で全体の政策運営の基本にしているということでございます。したがいまして、こういった報告がなされたということは私どもよく承知しているわけでございます。
  165. 玉置一弥

    ○玉置(一)委員 時期的に見ますと十二月二十日でございますから、六十年度の政策には織り込まれてないというふうに思いますが、いかがでございますか。
  166. 竹下登

    ○竹下国務大臣 私ども、いわゆる「八〇年代経済社会の展望と指針」、いつも申し上げますが、名目成長率六ないし七、実質成長率四程度、消費者物価三程度、失業率二程度、卸売物価一程度、そういう一つの数値があるわけでありますが、やはりこの「展望と指針」というのは絶えずリボルビングしなければいかぬ、こういうことで、経済企画庁で行われましたリボルビング報告というものを、私どもはこれは時宜を得たリボルビングだと思いますのは、いわば国際経済社会への貢献の問題等がうたわれております。その中にはいわゆる摩擦問題もうたわれております。そうして今御指摘のありましたところの、世界の中の日本の新しい役割の、内需中心の成長と国内投資の促進、こういうこともうたわれておるわけであります。したがって、時期が時期でございますから、ちょうど予算編成時期と一致するわけでありまして、どういうふうに予算に反映していったか、こういうことになりますと、中長期的に国内の投資機会を創出して国内投資の促進を図るということは、税制の上で非常に限られた範囲ではございましたものの、この厳しい中に投資促進の減税措置を行ったということが一つあらわれておるところであろうと思っております。  それから、いわゆる経済摩擦の緩和という問題につきましては、国際的役割の中にありますところの我が国の立場としては、いわゆる経済協力予算、ODA予算等があらゆる予算よりもその伸び率が大きいというようなところに、予算面でもあらわれておるということが言えるのではなかろうかなというふうに思うわけであります。それで、内需の問題は、自律的に、今日は内需が数字の上で見ますと逐次拡大しつつあるわけでございますけれども、今現在、今度は別のいわゆる対外経済対策の面からいろいろな作業が行われておるさなかである、こういうことになるのではなかろうかと思われます。
  167. 玉置一弥

    ○玉置(一)委員 この報告の中身は確かに今大臣がおっしゃったのが入っているわけですけれども、我々がよくわからないのは、やはり基本的には行財政改革ができなければこういうことはできませんよという今の経済企画庁の話ですね。そして、どうもその行財政改革が制度改革ということではなくて、今回の財確法に見られるようないわゆる手直しというか、表面だけを繕うという形になってきているような感じがするわけです。何かというとすぐに足りない部分は民間活力で、こういう言葉が出てくるくらいでございまして、非常に対応の具体策というものがあいまいになってきているのではないかというふうに思います。  そこで、ちょっと関連でございますけれども、例えば昭和六十年度予算における実質的な赤字国債の部分というのがございます。これはもうちょっと後で質問しようかと思ったのですけれども、ちょうどひっかかる問題でございますから。行財政改革というのはやはり制度改革で、今回の財確法というのは面積なんですね。面積を確保しよう。ところが、行財政改革というのはレベルを下げていくという作業になるわけでございますから、あるいは上げていくという部分でございますから、面積とレベルの違いがきておりまして、しかし今回の六十年度予算の編成の状況を見ておりますと、国債減額を行われながらなおかつ今年度限りといういろいろな作業が行われている。  簡単に言いますと、大体ずっと見ていくと主なところだけで九項目ありまして、一番が国債費の定率繰り入れ等の停止、これが一兆八千数百億円、二番目が住宅金融公庫利子補給金の繰り延べ千百八十億円、三番目が国民年金への国庫負担の平準化二千四百五十億円、四番目が住宅・都市整備公団補給金の未計上千五百億円、五番が厚生年金等の国庫負担の一部繰り延べ三千億円、六番が政管健保国庫補助の繰り入れ特例、今回法律案が出ましたけれども、これが九百三十九億、合計が約二兆七千億円。そしてまだありまして、揮発油税の道路特会への直接繰り入れ、これは表へ出さないで入れてしまうというものですね。それから登記特会の創設というので五百五十、そして地方への負担転嫁、例の補助金でございますけれども、いろいろ操作して五千八百ぐらいということになるということで、合計しますと大体三兆五千億円、これがいわゆる表に出ないといいますか、実際はいろいろお金が動いているのですけれども、それをとめてしまったり、要するに今年度だけの処理にしようということになるわけです。  我々が心配しますのは、制度改革ということであれば将来もこれはなしで済むということでございますけれども、どうも見た感じが制度改革じゃない。今年度限りあるいは当分の間というような感じでございました。こういう状態でもしいかれるならば、今のリボルビング報告にもありましたように、中長期的な安定成長というのはあり得ないんじゃないかというふうな心配をするわけです。これが返ってきたときに、今度は逆に大変な財政難に落ち込むというような心配をいたしておりまして、今申し上げました項目等も含めて、財確法の分野から見てどういうふうな対応をされていくのか、それについてお聞きしたいと思います。
  168. 竹下登

    ○竹下国務大臣 確かに今玉置さん御指摘なさった点は、そういう御指摘はあろうかと思います。  定率繰り入れの問題というのは、減債制度は維持していこうという基本的な考え方になっておりますので、四年間、引き続き五年、六年というわけにまいるものではないというふうに思っております。そして、その他の問題につきましては、会計間の支出の平準化措置であり、また会計間におけるいわば調整措置である、こういうことになろうかと思っております。制度改正に伴うものといえば登記特会がある。これは制度改正と言えるでございましょう。  したがって、制度、施策の根本にさかのぼって今まで何をやってきたか。これはいろいろな工夫をしましたけれども、一番目玉になるのは、やはり一つは医療の改正ではなかったかなと。ただ、現実問題として、さはさりながら、退職医療の問題が見通しどおりいってないじゃないか。この議論ももちろんございますけれども、少なくとも九割給付にしたというのはやはり制度改正ではなかったかなと。  それから、これは予算の上では来年からあらわれてまいりますが、いわゆる年金の中長期的な考え方に立って、一つはもう通していただきましたが、今後の問題としては共済年金の問題が残っておりますが、これらはやはり来るべき高齢化社会というものに対応していくために中長期に、まさにこれは中というより長期でございますので、長期にわたるいわゆる費用負担のあり方と給付のあり方をいろいろな角度から検討し、議論していただいた結果のものではないかなというふうに思います。  だから、基本的には行財政改革というのは、ただ機械的に補助金を切っていくとかいうだけでなく、本来は制度改正そのものにメスを入れなければ、中長期的に安定した制度というものにはならない。したがって、毎度毎度そのことを念頭に置きながら予算編成に当たっていかなきゃならぬ課題だというふうに考えております。
  169. 玉置一弥

    ○玉置(一)委員 確かに一遍にできないし、また一遍にやるとかえって弊害が出るということもございますけれども、そういう意味で先ほども中期展望の話をしたのです。  今の年金制度とちょうど同じで、昭和七十年に年金改定をやろう、それを十一年前から制度改定ということで踏み切っているわけです。こういうことをやっていかなければ、なかなかその時点では弊害の方が大きくて手がつけられないというふうに思うわけでございまして、ぜひお願いしたいと思います。  それから、今話がありました退職者医療の問題、これも規模の小さい市町村ほど非常に持ち出しが大きくなっているというような状況もお耳に入っていると思いますけれども、その辺についてもぜひまたお考えをいただきたいと思います。  話を変えまして、対外経済問題、先ほどもお話がございましたけれども、対外経済問題諮問委員会が四月に行われまして、対外不均衡の是正を図るということで内需喚起が必要だ。そして、その対策を一応四つ挙げておりまして、そのうちの一つですけれども、貯蓄、消費、投資のバランスを図る観点から税制の見直しが重要である、こういうふうに言っておられます。後でまた河本大臣来られるようでございますからお伺いしますけれども、大蔵大臣としてこの委員会を受けて、今申し上げました税制改正というものとして、委員会の指摘事項を受けてどういうふうにお考えになっているかというのをお聞きしたいと思います。
  170. 竹下登

    ○竹下国務大臣 今の税の問題を検討をしますときに、私は三つ環境があると思います。一つは税制調査会から抜本改正を行うべきだという異例の答申をもらって、それで国会での議論、きょうの議論もそのうちでありますが、正確に整理して税制調査会で公正、公平、簡素、選択、活力という点から審議していただこうという背景が一つあります。それからもう一つは、与野党の幹事長・書記長会談で言われておりますところの税問題に対する対応の仕方がございます。それからもう一つが、今御指摘なさいました対外経済対策で、それを尊重していくことを決めておりますところの対外経済問題諮問委員会の報告で、今おっしゃっておる「内需中心の持続的成長に役立つ税制の見直しが重要である。基本的には貯蓄・消費・投資のバランスを図る観点から検討を行う必要がある。」と述べられておるわけであります。  この三つをどういうふうな手順で進めていくかというのが、私は現実的に迫られた課題ではなかろうかというふうに考えるわけであります。したがって、これは、こそこそとやると言うと表現がおかしゅうございますが、拙速的にやるよりは、やはり基本的な税調の場等における論議を踏まえて対応すべき問題であろうと考えるわけでございます。  したがいまして、この問題については今具体的にどういうふうになっていくかということは予断を与えることになろうかと思いますので、これについての論評は差し控えさせていただきますけれども、「基本的には貯蓄・消費・投資のバランスを図る観点から検討を行う必要がある。」というときに、トタでそれじゃ貯蓄優遇税制をどうするかとか、この間政令を決めて来年の一月から限度管理をやることが決まったばかりのときに、そういうところまで一挙に飛躍してこれを読むべきでもないでございましょうし、消費の段階につきましても、消費の段階に着目する消費税という感じでこれをすぐ読み上げてみるものでもありませんでしょうし、投資というところにつきましても、比較的民間設備投資が上向きになっておるときに、いわば効果と費用というのが非常に算定しがたい。直ちに投資減税とこれを読むべきでもないでございましょう。したがって、そういう議論を総括して、国会が終わりましたら税制調査会で御審議をいただくことになって、それらの三つの組み合わせというものが調整されていくではなかろうかというふうに思っております。  ただ、各党間の問題につきましては、これは政府として尊重していくということは申すまでもないことでございます。
  171. 玉置一弥

    ○玉置(一)委員 一つだけ取り上げて聞いたからそういうお答えになったかと思いますけれども、四つありまして、これは御存じだと思いますけれども、いわゆる民間活力の培養ということ、それから週休二日制を普及させて労働時間を短縮させ消費を拡大させるということ、それから公共的な分野への民間活力、四つ目が内需中心です。一番目がちょっと間違えましたけれども、要は制限解除ということですね。いろいろな制限を解除しなさい、こういうことですけれども、こういうことをやりながらやっていこうということで、一つ一つ言葉じりを取り上げて言っているのではなくて、こういうことを受けてやっておられますかということでございまして、我々も確かに言葉では今まで聞いていた言葉がそのまま出てきているということで、特に民間活力の活用なんというのは、これは民間というのは普通大体営利企業でございまして、利潤がなければ投資をしない。資金も大きな資金を長期に寝かせるというのは経営が一番下手なやり方でございますから、ちょっとやそっとではなかなか乗ってこないのじゃないかというふうに思うわけです。  そういうふうに考えていきますと、これは一番やりやすいのは、休暇をふやせれば、会社にいるよりはお金を使うだろう。こういう見方でいきますと、消費とのバランスもとれてくるんじゃないかというようなことも考えるのです。ことしは山口労働大臣が、緑と太陽ですか、何とかの週間ということで五月の連休を行政指導によって休みをふやしていこうということをされましたけれども、その辺で、政府としてお金がかからなくて比較的効果の高いものというのは、二番目に申し上げました労働時間の短縮だと思います。この政策について、今の税制はまだ論評を控える程度だと思いますけれども、参考までにどういう具体的なことを――言いたいのは、言葉の飾りが多くてなかなか具体策が出てこないということで、ではお金がかからないのはこれじゃないか、こういうことを言いたいわけです。その辺について御意見を伺いたいと思います。
  172. 竹下登

    ○竹下国務大臣 今指摘されております、私は税制のことについてだけ申し上げましたが、週休二日制、労働時間の短縮、これは一層普及すべきである、こういうことです。  私はいささか古い人間でございますから、よく「朝に霜を踏み分け、夕ベに星をいただく」、それを言いましたら山口労働大臣が、それは島根県の農村青年団長の言うことだ、こう言いましたが、そういう印象がなきにしもあらず。しかし、近代国家の政治家として、いつまでもそういう農村賛歌にある種のノスタルジアだけを感じておってはならぬと思って、我と我が身に言い聞かせておりますが、労働時間の短縮は時代の流れに沿うものでありまして、対外経済問題諮問委員会の報告書が指摘しておりますように、これによって消費機会が増大し、ひいては内需振興にも資するという側面も期待し得ると思っております。  この点は週休二日制・定年制延長問題関係閣僚懇談会、そのもとの週休二日制関係省庁連絡会議で、非現業公務員、一公社四現業、教育公務員、 民間企業、金融機関の五つの分野にわたって、週休二日制の推進に資するとの観点から検討が行われてきておりますが、私の所管とすれば、やはり金融機関ということになるでございましょう。  週休二日制の拡大という問題、これについては、金融機関の月一回土曜日の閉店制による週休二日制は五十八年の八月から実施されて、民間金融機関の一部においてこれを今後月二回に拡大するという機運が今出ております。二日制の拡大もこれまた時代の流れでございますから、大蔵省としても週休二日制拡大についての内部での検討を積極的に、教唆扇動ではございませんが、支援していこう、こういう立場に立っております。  ただこの問題、いつも出てまいりますのは、農協さんと郵便局及び今度は証券会社がスーパーなんかに店舗を出すというような、そういうのに関連がございますので、そういうところへ細かい目配りをしながら、これはやはり労働省の指導も仰ぎながら進めていこうと今考えておりますので、私は、この問題は基本的に軌道には乗っておる課題だと考えております。  事実この間の連休で、私はいつも演説のときに、連休になれば三千万人も日本人は旅をすると言って昔は演説をしておりましたが、これは私がいかに古いかということで、昭和五十三年くらいの統計でございまして、この間見ますと六千二百三十万。はあ大変なものだなと思いますので、さぞかし消費が拡大したではないかというふうな感じも持っておるところでございます。  それから、大蔵省も公務員の関係もございますので、金融機関については今のようなことでございますが、この公務員の問題としても、基本方針として週休二日制の拡大という課題には、これは私どもが中心になるわけではございませんが、取り組んでいくべき課題だという問題意識は持っておるところでございます。確かに、おっしゃるように政府の支出を伴う施策ではございませんだけに、よく理解していきたいと思っております。
  173. 玉置一弥

    ○玉置(一)委員 同じ委員会の指摘の中に、先ほども話が出ております民間活力の培養であるとかあるいは活用というような形で出ているわけです。先ほどの公共投資の話を聞いてもなかなか、政府としてはそうふやしていけないし、また減らせないということがございましたので、どうしても地方の部分あるいは民間という部分の活用というものが、特に中曽根内閣になってから叫ばれてまいりましたけれども、これはなかなか難しいと思うのですね。言ってすぐできるわけはないし、乗ってくるところもまずないだろうというふうに思いますけれども、具体的に民間活力の活用というのは内容的にはどういうものがあるか、あるいはどういうものを考えておられるのか、その辺についてお聞きしたいと思うのです。
  174. 竹下登

    ○竹下国務大臣 民間活力というのは、市場原理を基本とします我が国経済が、今後ともインフレのない、内需中心の持続的成長をしていくためには、基本的には、一つは行財政改革を推進して民間部門の枠を広げていくということが大事でございましょう。それから二番目には、規制緩和等によりまして民間活力活用のための環境整備を行いまして、民間の持つ「創造的エネルギーを解き放つべく独創性及び進取の気性の喚起を図ること。」これはボン・サミットの経済宣言にある言葉をそのまま申し上げたわけでございますが、それが肝要であると思います。  さて、されば今度は具体的な方策ということになりますと、私は、今までを振り返ってみますと、これも今すぐ効果があらわれることじゃございませんけれども、やはり既に電電とたばこ、これの民営化を実施したということは、これからそれに対する、第二電電ができますとか、まあたばこ会社自体でいろいろな付随業務を行われますとか、トタじゃございませんが、やはり一つのモデルみたいなものになりはしないかなと思っております。それでその後今度は、規制緩和ということは今行革審において具体的な方向が検討されておりますほか、河本大臣のもとで民間経済界、関係省庁からのヒアリングを今行われて、きょう七月とおっしゃいましたか、具体的なものを出さなければならぬというふうに詰められていくのではなかろうかというふうに考えております。それから、やはりもう既に仕組みとしては決まって、まだ動いておりませんが、関西空港は民活だと私も思います。河本大臣がこの間もここで答弁しておられました神戸のポートピアでございますか、いささか語が長くなって申しわけありませんが、私は前からあれに感心しておりますのは、神戸というのは港神戸というので、世界的にそういう意味において知られておりますから、昔から外債を入れるところでございます。私も、日本の外債というのは大蔵大臣が一応サインするわけでございますけれども、本当にその意味においては神戸をまねたがいいな。最近は道路公団ももちろん、公営企業金融公庫までどんどん外債を入れるようにしております。別に金利の高いのを借りる必要はございませんが、スイスとか西ドイツとか、いろいろなところへ手を出しておりますので、ああいうやり方というのは基本的には民活だろうというふうに私は思っております。  それから、よく環境の整備と言われますが、公共事業の分野におきます民間活力の活用という観点から、関西空港は、設立は見られましたが、まだ仕事をしているわけではございませんけれども、これから第三セクターの方式とかいろいろなことが考えていかれるのではなかろうか。都市再開発については、やはり土地利用の高度化、弾力化のための規制緩和ということと、もう第一号は計画は決まっておりますがまだ実施になっておりませんが、国有地の活用というようなものがそれぞれ考えられていくのじゃないかな。今度の建設省等の予算の中で見ましても、やはり民活が都市再開発の中で生かされるであろう環境をつくるための予算執行なんていうものは工夫しておられるな、素人目で見ながらそういうふうな印象を持って臨んでおるところであります。
  175. 玉置一弥

    ○玉置(一)委員 いろいろほかの項目もあるわけでございますけれども、先ほどもお話ございました与野党の減税の論議、その中にもやはり消費拡大ということがかなりのねらいとしてあるわけです。  そこで経済企画庁にお聞きをしたいのですが、昭和五十七年三月、これもまた参議院の予算委員会ですけれども、このときに、公共事業を一兆円追加した場合と一兆円の個人減税を実施した場合の経済効果の試算をそれぞれ出しておられますけれども、同じやり方で今一兆円の公共投資追加あるいは一兆円の個人減税というものを実施した場合、昭和六十年度ベースでどうなるのか、この数字についてお伺いしたいと思います。
  176. 丸茂明則

    ○丸茂政府委員 今先生御質問の、一兆円の公共投資と個人減税をやった場合の経済効果はどうかということでございますが、公共投資にいたしましても個人減税にいたしましても、その効果というものを的確に把握するというのは大変難しい面がございます。一つは、景気の局面でその効果というものが必ずしも同じではないということでございまして、景気が上り坂のときに、あるいはいろいろな産業の操業度が高いときに、特にこれは公共事業でございますが、公共投資をいたしますと、それが即生産、出荷の増加につながるわけでございますが、経済が比較的沈滞といいますか、景気が余りよくない、在庫がたまっている、あるいは操業度が低いというときですと、そのいわゆる乗数効果、経済の効果が小さくなるというようなこともございます。  したがいまして、一義的にこうであるということを申し上げるのは大変難しいわけでございますが、私どもモデルをつくっておりまして、これも膨大なモデルでございますが、五十七年のときにお答えした以後、モデルについてもデータを新しくする、あるいは技術的な面になりますが、モデルの中身を改善するというような努力はしております。したがいまして、一義的にこうであると申し上げるのはある意味で大変危険といいますか、誤解を招く面もございますけれども、私どもの試算しております結果を申し上げますと、公共投資を一兆円増額したという仮定でございますと、現在の経済規模でございますと、成長率にいたしまして名目のGNPをおよそ〇・四%程度引き上げることになろうかという試算がございます。  それから、所得税を同じく一兆円減税した場合の効果につきましては――名目GNPへの影響というものが今〇・四と申し上げましたが、〇・五の読み間違いで、大変失礼いたしました。  それから減税の方でございますが、これはおよそ名目GNPに対しまして〇・二%程度の効果があるというのが、モデルの計算結果を機械的に現在の経済規模に当てはめてみるとそういうものになる。ただ、これ以上くどくど申しませんけれども、私どもとしてはモデルを最善のものをと努力しておりますが、あくまで大体の目安であるというふうにお考えいただきたいと思います。
  177. 玉置一弥

    ○玉置(一)委員 ついでにというのも変ですけれども、今いろいろな間接税の話が大分出回ってきておりまして、これについても、一兆円規模ということで間接税を実施した場合に我が国に与える影響、これまた数字でお願いしたいと思います。
  178. 丸茂明則

    ○丸茂政府委員 間接税の増税あるいは減税の効果につきましては、予算委員会のときにも御議論、御質問があって、私どもの大臣からお答えしたことがございますけれども、現在のモデルの性格から申しまして、私どもの現在持っておりますモデルで直ちに間接税の効果を試算しますことは非常に難しい面がございますので、現在のところ残念ながらお示しできるような数字というものがはっきりございません。と申しますのは、大事な問題でございますから、私どもも研究は続けておりますけれども、一つは、従来間接税を政策的に大きく動かしたという経験が我が国の場合には乏しいわけでございます。そうしますと、どうしてもモデルの性格上過去に行われたことをベースにいたしますので、そこがなかなか試算をするようなぐあいにできない、モデルの構成そのものができないという技術的な面がございます。  しかし、そうは申しましても、先ほど大蔵大臣からのお話もございましたように、今後税制についての検討をしていくわけでございますので、私どもとしては研究はしてまいりたいと思いますが、今日ただいまの段階では今申し上げたようなことでございます。
  179. 玉置一弥

    ○玉置(一)委員 今の減税の話でございますけれども、先ほどから具体的な対外経済対策というものがないというお話を申し上げておりました。今度サミットで中曽根総理が帰ってこられまして、一人百ドル買え、買えと言っておられますね。百ドル買えというからだれか百ドルくれるのかと思ったら、だれもくれないらしいのです。逆に考えていけば、百ドル分減税をしてもらえば、またみんな買う意欲が出てくるのではないか。そして逆に、今度貯蓄をいかに抑えていくかというのもちょっと考えていかなければいけないと思うのですが、消費拡大のために一人百ドル減税します、そういうようなことでもやらないと、具体的な対外経済政策というのはなかなかできないのじゃないかというふうに思います。ただ、一人百ドルにしますと大したものが買えない。だから継続的にはなかなか続かないと思います。  大臣、中曽根総理は一人百ドル買えという話をされておられますけれども、我々は、じゃその分減税してほしいなという気持ちなんですよ。実際、今一人買っても、あと継続していくのかという心配もあるわけです。そういうことで、より具体的に継続性を持たせるということでもあり、本当に一人百ドルくらいを買わなければ今の対外経済摩擦が解消できないということであれば、逆に国が買って人に配るということでもいいわけですし、その辺より具体的に進展させていくために、何か考えておられるか、あれはただ単に中曽根さんが言っているだけなのか、減税と結びつかないのか、その辺についてお伺いしたいと思います。
  180. 竹下登

    ○竹下国務大臣 一人百ドルというのは、二万五千円、割にわかりやすいということで、電車の中にもポスターが出ておるということでございまして、政治というのは目で見るもの、批判は当然あるにいたしましても、かえってわかりやすい話ではないかというふうにも考えるわけであります。     〔熊谷委員長代理退席、堀之内委員長代理着席〕  政府が外国の製品を買ってそれを二万五千円ずつ配れば、一億二千万といたしますと二兆七千億か八千億になろうかと思いますが、これも経企庁から投資の場合と減税の場合とが出ておりましたが、いろいろな仮定の前提を置いての話で勉強しておりますのは、公共投資の一五%に当たる三兆円、これをやりますと、輸入増加が十三億ドル、すなわち三千二百五十億円、鉄鋼とかそんなのが入ってくるのでございましょう。それから、減税を所得税歳入額の三分の一に当たります五兆円、そうしますと七億ドル、千七百五十億円、こういう数字を一ドル二百五十円で換算して最近勉強しておりますが、これは政府の統一した権威ある数字だと思っていただいては困ります。  それから、円ベースで考えますと、公共投資を一兆円やれば、輸入増加が千八十億円。減税一兆円やれば、輸入増加は三百五十億円でございますから、本当は百ドルの方が二兆幾らになりますから大変大きな数字になるわけでございます。  それから、ドルベースで言いますと、公共投資を百億ドルやりますと十一億ドル、減税を百億ドルやりますと、二兆五千億円でございますけれども、三・五億ドルというような数字が出ておりますので、それはそのもので目に見えた数字は上がっていくものでは必ずしもないでございましょう。この問題は、日本が閉鎖性があるという誤解をも含めた認識を解きほぐして、特にアンフェアではないのだ、フェアなんだということにおいて対応していくべきものではなかろうかというふうに考えております。
  181. 玉置一弥

    ○玉置(一)委員 具体的な数字が出て何となくわかったような気がするのですけれどもよくわからないのです。もっと長い時間かけてやらなければいけないことだと思うので、具体的な話がまとまり次第、またいろいろお聞きをしたいと思います。  話が変わりまして、年金税制についてお伺いをしたいと思います。  ことしの一月でございましたか、新聞がすっぱ抜いたのかどうか知りませんけれども、大蔵省の方から、高齢化を迎えて今の年金のいろいろな負担の問題が指摘をされておりまして、六十一年度税制に向けて今の年金税制というものの抜本改革をやりたい、こういう話が出ておりました。一方、経済企画庁の高齢化研究会というものがございまして、「高齢社会への課題と対応」の中におきまして同じような指摘がされております。この辺につきまして厚生省大蔵省それぞれ、これは高齢化研究会の問題でございますけれども、どう受けとめておるのか、お聞きをしたいと思います。
  182. 渡辺修

    ○渡辺説明員 昨年の十一月、経済企画庁総合計画局の中に設けられました私的な研究会だろうと思いますが、高齢化研究会から先生おっしゃるような「高齢社会への課題と対応」という報告書が出ております。その中の「施策の多様化と弾力化」という項目のもとで、老齢保障の多様化と弾力化の観点から三つの点を指摘したいと。その三点の中の二番目に、「社会サービス等の面で適切な費用負担の導入を図ること」ということが挙げられております。私、これを改めてじっくり拝読をいたしましたが、例えば施設に収容して介護サービスをいたしますとか、あるいは在宅のお年寄りのためにホームヘルパーを派遣する、こういったいわゆる福祉サービス、役務の提供に関連して、年金所得を含めて負担能力のある方からはその能力に応じて適切な費用徴収をすべきだ、こういう限りにおいてはよく理解できるのですけれども、この中に少し唐突に、年金に対する課税についての検討ということが書いてございまして、その点については、私、すっきりこういうことだなという理解をしかねているところでございますが、あえて推測いたしますと、負担能力の大きいお年寄りとそうでないお年寄りと、何でも一律にするということについてはどうだろうかという御趣旨かなという程度でお許しをいただきたいと思います。
  183. 梅澤節男

    ○梅澤政府委員 年金課税の問題につきましては、いささか話が古くなるのでございますけれども、税制調査会の過去の御議論でも、前々回の中期答申、つまり五十五年の答申では、高齢化社会に備えて、既に高齢化社会に入っております諸外国、これは年金課税についてさまざまな経験を重ねて今の制度ができておるわけでございますから、そういう制度も参考にしながら今後勉強する必要があるという指摘がございまして、五十八年の中期答申になりますとそれがさらに具体化されまして、公的年金それから企業年金、それから任意年金、いわゆる個人年金と言われるものでございますが、そういったものを通じまして、掛金段階それから受け取り段階の課税のあり方について検討すべきであろうというかなり詳細な検討の課題の答申がございます。  ことしの答申では、昨日大蔵大臣からの御答弁もございましたけれども、年金制度の改革が具体的な日程に上り、既に一部法律も成立しておる状況を踏まえまして、今度は公的年金、私的年金を通じまして、課税のあり方について整合性のとれた税制を組み立てていくべきであろう。その場合の視点は、やはり掛金段階の課税と受け取り段階の課税を一体どう考えるのか。それから私的年金につきましては、公的年金を補完する意味で、そういった自助努力を政策的に、今後の我が国の高齢化社会を考えました場合にどういうふうな位置づけを考えるのか。そういった考え方を受けて、税制面でそれに一体どういうふうに対応していくのか、大変大きな課題でございまして、ただいま委員が御指摘になりました六十一年度云々という新聞報道はともかくといたしまして、これはやはり今後の税制の抜本的見直しの一つの大きな課題の中に含まれる問題であろう。高齢化社会の問題に対するいろいろな御提言につきまして、いろいろな御指摘を私ども伺っておりますけれども、一体これをどう考えるかというのは、これからの税制調査会での御議論をまつということになろうかと思います。
  184. 玉置一弥

    ○玉置(一)委員 また調査会とか審議会で逃げられるのですけれども、そういう指摘事項が出てない前に大蔵省がこういう発表をするということはおかしな話で、税法定主義というか、やはりそういう手続をちゃんと踏んでからやっていただかないと困ると思うのですね。  ただ、いろいろ問題点がある。野党が言ってはいけないのかな、これは。やはり若年の夫婦とそれから老年の夫婦との税負担の差というものがかなり大きく出ているように思います。特に高齢者控除ですかね、あれがかかっている、いないというのはかなり大きなことになるわけです。一般のサラリーマンは確かにお金を稼ぐための経費というのがかかりますけれども、それは年金受給者であっても同じように控除されるとか、いろいろな問題点があると思うのです。余り野党が言うとおかしくなりますから言いませんが、やはりバランスが崩れているということもまず間違いない事実だと思います。  それと、あと収入総額ですね、それに応じた段階制というのももっと設けるべきではないかというふうに思いますので、これからの年金に対する税制、これはやはり少なくとも平等、公平ということを前提に考えていただきたいと思いますし、タイムスケジュールについても、確かに税調の答申が出てくると思いますけれども、税調へのいろいろなデータというのは大蔵省からまた出すわけですから、その辺についてもちゃんとしたものを出していただくようにお願いしたいと思います。  大臣にお聞きします。これもまた制度的な、構造的な問題だと思うのですけれども、この年金制度、負担というもの、これは老齢人口が二〇一五年にピークになるというふうに言われておりますけれども、将来の年金の負担、国鉄の共済年金は二名に一名抱えているというような状況ですし、厚生年金は十四名ぐらいですか、大体そんなところだと思います。十一名がな、忘れましたけれども。そういうふうな、要するに何人で負担するかということとも関連してくる話でございまして、その辺やはりこれまた一つの流れをつくっていただかないといけないと思うのですね。これは大蔵省だけのものじゃないし、それぞれの省庁にまたがる語でございますけれども、この辺について一つの動き、特に税制を中心にしてお考えになっていただいて、今の年金に対する課税の問題あるいは今後の年金の負担の問題、その辺をどういうふうにお考えになっているのか、お伺いしたいと思います。
  185. 竹下登

    ○竹下国務大臣 年金全体でいきますと、今数字が出ておりましたが、厚生年金受給者と負担者の割合で見ますと、昭和六十年度が九人に一人、それから六十五体度が六人に一人、七十五年度が四人に一人、八十五年度が三人で一人、こういうことになるようでございます。この間ある学者と話しておりましたら、今のように仮に夫婦二人で一・七人ずつを産んだといたしますと、ちょうどあと八百年後に、日本に授(受)精能力のある男女はいなくなる、こういう話を聞きました。なるほど、いま少しこれは奨励しなければならぬなという感じを持っておりますが、いずれにせよ、好むと好まざるとにかかわらずやってきます高齢化社会でございますので、年金問題についてはそれこそ計画的に――今まで通していただいたものもございます。これから御審議いただくものもございます。そして、年金担当大臣がこれを調整権限を持って、昭和七十年を目途に統合一元化されていくべき課題ではないか。  したがって、今も御意見の中に出ておりましたが、私も共済関係の審議会に出ておりますと、最近非常に感ずることでございますが、十万円の初任給の人が七千円程度払って、おやめになった人は二十二万。それで二十二万のちょうど私くらいのおじさんを、おれたち何で七千円出して養わなければいかぬのだという世代間不公正といいますか、世代間バランスという問題が出ております。税制の点においてもその点は、今も野党の議論とか与党の議論とかいうことは別として御指摘なさっておりましたが、高年者年金特別控除が七十八万円、そのほかに給与所得控除の適用が認められて、その結果、公的年金だけしか所得のない老年者夫婦の場合は、その年金収入が二百四十一万八千円、それで老人控除対象配偶者の場合、二百五十一万一千円以下の場合には所得税は課税されないわけでありますから、一般的な所得税の課税最低限から見ればうんと高いところにあるわけでございます。このようにかなりの優遇をされております。そうなると、公的老齢年金といえども一定水準を超える場合には、それ相応の負担を求めるのが適当であるというような考え方であろうと思うのでございます。  そこで、税調の中期答申の五十八年十一月の分では、公的老齢年金の支給の増大が確実に見込まれることから、先ほど議論しました世代間の負担のバランスをより重視していく必要があることを考慮したら基本的に見直さなければいかぬぞよ、こういう指摘があります。それを受けて六十年度答申においても、「現在進められている各種年金制度の統合化、受給単位の個人化等公的年金制度自体の改正の動向を踏まえて、早急に検討を行うべきである」、こういうふうにされております。したがって、公的年金制度自体の改正の動向、国会でいろいろ御議論いただいておるわけでございますから、それを見きわめながら早急に検討を進めていかなければならぬ。しかしこの場合、我が国における今後の年全体系全体としての関連からいえば、公的年金だけでなく、私的年金たる企業年金、任意年金をも含めて検討を行うことが必要であるというふうな指摘を受けておりますので、基本的にそういう指摘を受けておることを根底に置いて対応すべき課題であるというふうに考えておるところでございます。
  186. 玉置一弥

    ○玉置(一)委員 先ほど梅澤局長の方から、これからの年金の税制についてのいろいろなお答えがございましたけれども、その中にもありましたいわゆる自助努力におきます老後の生活資金、これが、今の公的年金を考えていきますと財源難であり、負担から考えるとそうむげに伸ばすことはできない。一方では、支給の金額についてもある程度受給者、負担者のバランスを考えていくとある線で到達してしまうんではないかというように思うわけで、それを補っていくのがいわゆる自助努力というか自分たちの資金であり、場合によっては私的年金というようなことになろうかと思います。公的年金は国の負担をかなりしていただいているわけでございますけれども、今度は、じゃ私的になった場合とか自助努力の老後生活、財形貯蓄みたいなものですね、そういうふうな形の減税策というものが織り込めないか、あるいは個人年金についての、私的年金についての掛金の支払い、これについての優遇措置というものが考えられないか、こういういろいろなことがこれからの問題点として出てくると思います。その間も一括して所得税の控除引き上げをやるとか、いろいろな問題があるわけですけれども、この辺について大蔵大臣はどのようにお考えになっていますか。
  187. 竹下登

    ○竹下国務大臣 例えば従来の生命保険料控除と別枠で、年に五千円の所得控除をします個人年金保険等の別枠控除、これは去年、五十九年度から税制改正において行ったわけでありますが、これの基本的考え方は、今御指摘なさいましたように、いわば老後生活安定のための自助努力の奨励、こういうことが基本的考え方にあったからであります。  確かに今も御指摘なさっておりましたが、負担する方のことと、それから給付を受ける両方の水準を二十一世紀に向かって考えていかなければいかぬわけでございますから、それを考えますと、それを補完するものとして出てくるのは、自助努力による個人年金というのが当然出てくるわけであります。したがって、これにつきましては、先ほども申し上げましたが、六十年度答申で、今後の年全体系全体としての関連において、公的年金のほか私的年金たる企業年金、任意年金を含めて検討を行う必要がある、こういう答申をいただいておりますので、私は、この問題はいつまでも手をかけないでおくわけにはいかない問題だというふうな認識の上に立っておるわけであります。  ただ、今おっしゃいましたように、掛金のたびごとに控除するという方式等については、いろいろな意見があるところでございますけれども、基本的に自助努力というもの、好むと好まざるとにかかわらずそういう方向に行く場合、私は、それらを総合しての年金税制のあり方は勉強しなければならぬ喫緊の問題だというふうに思っております。
  188. 玉置一弥

    ○玉置(一)委員 最後にもう一回、年金の基金についてお伺いしたいと思います。  従来から厚生年金基金の自主運用を私たちが主張してまいりましたけれども、今回の課税の流れの中で、いわゆる国家公務員共済の積立金レベルを上回る部分について、一%特別税というような形で課税をされております。しかし、公務員共済等の統合化が進みあるいはこれからの年金制度の統合化というものが進んでまいりますと、今の税制度の改革とかありますと、年金基金に対する課税というものが、厚生年金基金についてはかなり苦しくなるという実態になるわけでございます。今まで以上に強く課税免除、非課税――自主運営で運営していかなければ、なかなか税金を納めるほど稼げないということになるかと思いますので、それについて大蔵大臣のお考えをお伺いしたいと思います。
  189. 竹下登

    ○竹下国務大臣 今の自主運用の問題が一つございますが、やはり国の責任において集めた金とでも申しますか、これを一元的に運用していくのが正当である、こういう答申等をちょうだいしておるわけであります。そこで、自主運用を実際問題余り広げていきますと、これはときにはリスクも伴うわけでございます。有利、安全、確実、そしてもう一つ公共性というのも、国の責任において集めたものは考えなければなりません。ということになりますと、私は、現行の運営の仕方にまさる運営方法というのは、現実問題としてはなかなか見つけにくい。それはだれしも集めた者が自分で運用したいという気持ちはありますけれども、やはり自主運用ということになればリスクも伴いまして、国の責任において集めたから国が一元化の形で運用し、そして公共性のあるものは還元融資等で安く出さなければならぬ場合もございますだけに、それが現在のあり方としては最も至当なものではなかろうかな、こういう感じを持っておるところでございます。
  190. 玉置一弥

    ○玉置(一)委員 この間も何か財投の金利をある程度変動させたいようなお話がございました。財投の金利が動いて見込みが狂いますとかなり大きな金額になりますので、その辺も大分心配いたしております。ぜひそういう機会にでもまたもう一回お考えをいただきたいと思うのです。  河本大臣、大変お忙しい中来ていただいてありがとうございました。財政運営の中で、特に景気対策とかでいろいろ御意見が分かれているように聞いておりまして、我々としても非常に共感するところが多いわけでございますが、その辺をぜひ皆さん方に一回御披露していただきたい、こういうことで、お忙しい中来ていただいたわけでございます。  まず一つは、政府が赤字国債脱却にだけ目を奪われて、緊縮財政というような形で公共投資をも抑えてしまう、こういうような形でやってきた、そして景気対策がそのために非常におくれてきたということがございます。河本大臣は、国積発行という面から見ても、特に建設国債の発行については、赤字国債と区別をしてある程度増発をしてもいいのではないかというようなことを言われていたと思います。  これはちょっと古い話でございます。一九八二年、約三年前でございますから古いですね。「個人生活を例に取れば、家を建てるとか自動車を買うための借金と、飲み食いする浪費のための借金は違う。社会資本投資のための国債発行は、赤字国債発行とは違うのであって、この区別をすべきだ、と最近、考えている。」これはちょっと古いですから、また最近はちょっと変わったかもわかりませんけれども、このときに述べておられます。その辺について、我々も、公共部門の拡大をある程度景気の安定成長のためにやっていくべきだという意見がありまして、そういう意味で先ほどから論議をしていたわけでございますけれども、河本大臣の御意見をお伺いしたいと思います。
  191. 河本敏夫

    ○河本(敏)国務大臣 投資のための国債、これは建設国債でございますが、当然赤字国債と性格は違うと思うのです。だから、理屈の上から言いますと、時と場合によれば建設国債は増発してしかるべきだ、私はこう思っておりますが、今政府の方針は、赤字国債はできるだけ滅していこう、建設国債、これもチャンスがあれば滅していこう、こういうことでございますので、それでは社会資本投資がなかなか思うように進みません。御案内のように十五の分野で五カ年計画をつくりまして、それぞれ目標を決めまして社会資本投資計画が一応国民に約束されておるわけでありますが、それがなかなか思うようにできない。それじゃ一体どうしたらいいかということで、六十年度予算編成で大蔵大臣も大変苦労されまして、建設国債のかわりに地方債の増発をして、社会資本投資全体の投資額をふやしていこう、こういうことをおやりになったのだと思います。  たまたま現在は、アメリカの経済回復の影響を受けまして輸出も相当拡大をいたしておりますし、その輸出拡大の背景のもとに民間の設備投資も相当進んでおる、こういうことでございますから、現時点ではそれなりに建設国債の増発をしなくても、御案内のように昭和五十九年度は、来月発表になりますが、およそ実質六%くらいの成長になるのではないか、私はこう思っております。ただ、アメリカの経済もやや陰りが見えておりますので、これが本当に減速するとは思いません、私は一時的な現象だと思いますけれども、もう少しこういう動きを見まして、やはり日本経済の力が衰えないように、健全な発展が続くような、そういう方策は今後ともいろいろな角度から考えていかなければならぬと思います。特に、先月九日、一連の対外経済対策を決めますときに、貿易摩擦を解消するためには市場開放だけでは不十分だ、やはり内需の拡大が必要だ、為替対策も必要だ、その他数項目のことを同時にやりましょう、こういうことを決めておりまして、やはり総合的な、そういう整合性を持った政策の推進が必要だと思います。  そういうことで、御質問の点は当然区別してしかるべきだと思いますが、そのときどきの政策によりまして判断をされておるというのが現状だと思います。
  192. 玉置一弥

    ○玉置(一)委員 一時よりは確かに大分よくなってきておりますし、そういう意味で、若干無理をしなくても減額できるということになると思います。しかし、先ほども言っていたのでございますけれども、今回の六十年度予算を見ても、約三兆五千億に上るいわゆる国債減額のための大蔵主計局の操作といいますか、こういうものがあるわけでございまして、実際問題、それだけの負担を後でやっていかなければいけないということでありますから、実質的には国債減額ができなかったのではないかというふうに思うわけでございまして、そういうときにどちらを減らすべきであってどちらをふやすべきだ、そういう一つの指針という意味でお聞きをした次第でございます。  今の適正経済持続といいますか、中程度の、ある程度安定した経済成長、これを持続していくための施策としてやはり考えるべきだということでございますけれども、例えば今の国債発行残高がGNP対比であるレベルに維持されていれば、国債の発行というのはまだまだいいのじゃないかというようなこと。あるいは逆に考えていきますと後年度負担ですね、残された者が負担をしていくこの負担限度、この辺との絡みがありまして、今時点はGNPが伸びているからいいけれども、その時点でどうなるかわからない。両方から見た場合に、どちらもどちらでちょっと不安があるわけですけれども、この辺について河本大臣は、GNPから見た国債残高、この辺をどういうふうにお考えになっているかお聞きをしたいと思います。
  193. 河本敏夫

    ○河本(敏)国務大臣 一昨年政府が発表いたしました経済成長の中期展望を見ますと、大体一九九〇年、昭和六十五年まで平均で実質四%成長、名目で六、七%成長を続ける、こういう目標になっておりますが、これは、七年間毎年その数字を続けるということじゃございませんで、条件の悪いときには二、三%成長しかできないときもあろうと思いますし、条件のいいときには平均を上回って五、六%成長になると思うのです。その平均が大体四%、名目で六、七%、こういう目標を言っておるのだ、私はこう思います。  しかりといたしますならば、一昨年来アメリカの経済が回復した影響を受けまして日本経済も条件はよくなりまして、さっきもちょっと申し上げましたが、昨年は多分実質六%ぐらいな成長にいっておるのではないか、このように思います。そこで、仮に実質五%、名目八%ぐらいな成長ですと、これから十五年後を迎えた二十一世紀の初めには、私は日本のGNPはおよそ九百兆になると思います。  そこで、今のお尋ねは、国債の残高というものはGNPの大きさとの比較をしないと本当の評価はできないのではないか、こういうお話がございました。私ももちろんGNPの大きさと比較する必要があると思いますが、同時にあわせてやはりその国の経済の勢いはどうなのか、GNPは大きいけれども勢いを失っておる、こういう経済だとよほど警戒しなければならぬと私は思います。それからもう一つ、その国の貯蓄率が一体どうなっているのだ、その国債が国内資金で消化されているのか、あるいは海外の資金によって消化されているのか、そういうこともやはり判断の材料になると思うのです。でありますから、一概に国債残高が多いからといって恐れることはありませんし、あるいは少ないからといってそれでは警戒をしなくてもよろしいかというと、少なくても警戒しなければならぬ、そういう場合もあろうと私は思います。  そこで、その国の持っておる経済の勢い、国内の資金量、そういうことが非常に大きな判断の材料になるのだと思いますけれども、今の政府の政策はできるだけ国債の発行残高を減らしていこう、こういうことが基本になっておりますから、私が今申し上げましたようなことを考えながら、今の政府の考え方、さらに社会資本投資の拡大、そういう幾つかの課題がございますので、そこらの幾つかの課題の整合性をどこに求めるかということが政策の一番難しい点ではなかろうか、このように私は思います。
  194. 玉置一弥

    ○玉置(一)委員 確かに大蔵委員会に所属しておりますと、どうしても財政状況、将来の展望というものがかなりありまして、野党もかなり苦労するのですけれどもね。やはり今大臣がおっしゃいました経済の勢いがなくなったらこれまた大変なことでございますから、そういう面で我々も十分、逆に政府を監視しながらやっていきたい、かように思います。  所得減税についてお聞きしたいと思います。  現在の所得課税は物価に見合った減税が十分行われていないということで、数年にわたって何度か減税の要求を政府に対してやってきたわけでございます。特に五十八年に大幅減税ということでやっていただいたように思いますけれども、いろいろな給与所得者の状況を見ると、どうもまだまだ不十分だというような感じがいたします。当時は、まさに景気対策ということで大幅減税をやろうという話が延び延びになって、五十八年ということになったわけでございます。  河本大臣は昨年の十一月でございましたか、これは平河町の日本都市センターで行われました講演の中で、景気浮揚に役立つ大幅減税実施の与野党合意がまだ十分実施されていない、こういうお話をされたという新聞報道がございました。景気がよくなる程度の減税をするということで与野党が合意をしたわけでございますけれども、まだ実施がされていないということでございまして、これは一つは制度的なものもあるかと思いますし、いろいろないわゆる政策減税というものもあるかと思います。そういう面での御指摘だと思いますが、この辺についての真意を聞かせていただきたいと思います。
  195. 河本敏夫

    ○河本(敏)国務大臣 一昨年秋の解散前の臨時国会で、与野党が文書で、五十八年から景気浮揚ができる規模の所得税減税をやりましょう、こういう合意をされました。私は、これはもう大変なことだ、これをやれば日本の経済、財政の姿も一変するのではないかというふうに思いまして、非常に大きな期待を持っておりました。しかも、五十八年からやるというのですから、そうすると五十九年、六十年になれば経済、財政の姿はうんと変わって力が出てくるだろう、こう思っておったのですけれども、残念ながらそれを受けての減税もそんなに大規模なものではございませんし、一方で増税もございましたので、私自身は、どうもあのときの約束は空約束に終わったのではないか、どうも実行されておらぬということを感じました。  それで昨年一月、五十九年度予算編成の際に、大蔵大臣と自民党の政調会長に、この際税制の抜本改正をやるということを検討していただくことはできないものだろうか、やはり税制抜本改正の中でこそ初めて大規模な減税もできるのだ、私はそういうことを感じたものですから、そういう提案をいたしまして検討をお願いしておったのでございます。幸いに、昨年の末には政府税調、自民党の税調とも、直間比率の見直しを中核とする税制の抜本改正という答申が出まして、それを受けて総理も大蔵大臣も、何十年ぶりかの抜本的な税制改革を進めたい、こういうことを予算委員会で何回かお述べになっておりますので、私はそれはもう大変いい方向に行っておるということで、その成り行きに非常に大きな期待を持って見守っております。  と申しますのは、先ほどちょっと触れましたアメリカ経済がさま変わりのような力を回復いたしましたのは、レーガン第一期政権のスタートにおいて思い切った大減税をやった、それが私は最大の効果になっておる、このように思います。そういう先例もございますので、抜本的な税制改革を大蔵大臣がいろいろ御苦心をされておるということについて私も評価をし、大きな期待を持っておりますが、これはいつかできるということでは困りますので、できるだけ早くやってもらいたい。そうすれば日本の経済もすっかり変わるのではないか、こういう感じがいたします。
  196. 玉置一弥

    ○玉置(一)委員 時間がございませんので、最後に、今の税制改正の話についてお伺いしたいと思います。  これもまた去年の話でございますけれども、竹下大蔵大臣と河本長官、当時経済企画庁長官でございますけれども、どうもその当時から、今まで「増税なき財政再建」というのが中曽根内閣の柱でございましたけれども、増税なきというのは無理だというニュアンスの話が大分出されてきておりまして、このときは、この新聞記事は、先ほども論議しておりました緊縮財政と積極経済政策、これで大蔵大臣と河本大臣は違うというようなことが書いてありますけれども、この時点でもう既に増税なきという言葉をかえて、今ございましたように税制改正を大幅にやるべきだというような御意見になっているわけでございます。この辺について、あともう時間がございませんので、大蔵大臣と河本大臣それぞれ――今の税制について河本大臣は、もうなるべく近い将来に改定をしろということでございますけれども、大蔵大臣としてどういうふうにお考えになっているのか、それについてお伺いをして終わりたいと思います。
  197. 竹下登

    ○竹下国務大臣 「増税なき財政再建」、こういうことは今日の時点までその大筋は貫いてまいりました。しかし、それとは別の角度から、シャウプ以来のひずみ、ゆがみの出た税制そのものを抜本的に見直すべきであるという趣旨の、先ほど河本大臣からもお話がありましたような、異例のことながらという前提で答申もちょうだいしたわけでありますから、これに取りかかっていかなければならぬ。その手順ということになりますと、まずは国会の議論等を整理いたしまして、そうして政府税調にまず予見を持つことなく議論をしてもらおうということでありますので、可能な限り早くやりたいという気持ちは税調に、時限を付してというところまでは私は踏み込んでおりませんけれども、お願いをしなければならぬ課題だという問題意識を持っております。
  198. 河本敏夫

    ○河本(敏)国務大臣 予算委員会の議論を通じまして総理大臣と大蔵大臣からは、仮に間接税の増徴をしても、それを所得税とか法人税の減税に全部還元するということであれば国民の税負担はふえない、ただ、そのことによって経済が力を回復して税の自然増収が拡大をする、そういうことになってもそれは増税にはならない、あるいは不公平税制の是正も増税にはならぬ、こういう趣旨のことを言っておられました。したがって、一方で増税をして、それを別の形で減税に還元するということは、「増税なき財政再建」には反しないのではないか、当然やるべき課題ではないか、私はこのように考えております。
  199. 玉置一弥

    ○玉置(一)委員 もう時間が来たので終わりますけれども、今非常にいい御意見をいただきましたので、ぜひ政府部内で統一された意見となるようにお願いを申し上げておきたいと思います。どうもありがとうございました。
  200. 堀之内久男

    ○堀之内委員長代理 正森成二君。
  201. 正森成二

    ○正森委員 現在、政府も国会も財政再建をどうするか、あるいは財政危機と言ってもよろしいが、それをどういうぐあいに克服するかということで、この法案に関連してそれぞれ同僚委員が熱心に論議をなさっているわけであります。私どもは、そういう問題を論議する場合に、現在の状況にもかんがみて、この大きな国債残高をつくり出した要因といいますか、もちろん一言でこれだけであるというようには言えないかもしれませんが、極めて大きな要因がどこにあったかということを考え、反省してみる、そしてその轍を踏まないようにするということは非常に大事なことであるというように思います。  そういう意味で、大蔵省から出されたものを見ましても、昭和四十年から国債が発行され始めましたが、四十年から四十九年までの十年間における国債残高は九兆六千億ないし七千億であります。それが昭和五十年から五十九年の次の十年間には残高が百二十二兆円にふえた、つまり十二倍になったわけであります。そこで決定的なターニングポイントになりましたのは昭和五十年であります。したがって、私たちは昭和五十年から数年間の財政運営についてやはり見直し、反省してみる必要があるのではないかというように思います。  この問題については予算委員会でも若干申し上げたことがございますが、きょうはお時間をいただいておりますので、当時の新聞などを見ながら議論をさせていただきたいと思います。これは朝日新聞の昭和五十年七月十七日付の夕刊であります。そこにはこういう記事が載っております。これは、自民党の三役と経団連等の財界首脳が会談したということを報じた一面トップ記事であります。   この会談は十六日の三木首相―土光会長会談の後を受けて開かれたもので、自民党側からは中曽根幹事長のほか松野政調会長、灘尾総務会長、小坂財務委員長が、財界側からは土光会長のほか、永野日本商工会議所会頭、稲山日本経営者団体連盟副会長、佐々木経済同友会代表幹専らが出席した。   会談ではまず松野政調会長が前日の三木―土光会談での財界側の要望をいれ、自民党としては臨時国会に大型補正予算を提出する方針を決めたことを報告した。この補正予算では工事が中止または繰り延べされている本四架橋、新幹線建設などを復活させるなと思い切った措置が必要で、そのためには赤字国債の発行もやむを得ない、との考えを明らかにした。さらに松野氏は「銀行の経営状態からみて、預金金利を据え置いたままでも公定歩合をさらに一%引き下げることができる」と発言、第三次公定歩合引き下げの必要性を主張した。   このあと自民党側はさきの国会で成立した選挙二法の内容を説明、国民政治協会のあり方に的をしぼって財界側と意見を交換した。党側は「自民党は国民政治協会を政治資金団体に指定するつもりだ。従って同協会への献金はすべて自民党の政治資金になる。そこで財界も同協会への献金に協力してほしい。今回の政治資金規正法の改正で個人の政治献金は税金の面で優遇されるので経営者は税金を払うより献金をした方が得だと思う。また一企業からの献金総額も制限されるので、献金企業の対象を広げていきたい。現在献金を中止している企業も改正法を理解して再開してほしい」と財界に本格的な政治献金再開を要請した。   これに対し財界側は「国民政治協会の体制をできるだけ早く整備し、協会から各企業に献金を呼びかけてほしい。その時点でわれわれも相談に応じる」と答え、国民政治協会の体制整備を条件に自民党への献金に全面協力することを約束した。 こう報道されております。  その隣に解説記事が載っておりまして、「濃い取引的様相」という見出しで、財界の方は前年の昭和四十九年に改正された政治資金規正法以来とまっておった政治献金を自民党に行う。自民党は百億円からの赤字があったわけですが、これで息をつく。昭和五十年といいますと、ことしじゅうか翌年には解散が必至であるという年ですから、これは自民党にとって願ったりかなったりである。財界はどうかといえば、オイルショックの後で非常に経済情勢が厳しくなっていたときに、大型の公共投資を初め公共事業の追加で景気拡大をやってもらって、もうけを広げる、願ったりかなったりである、これが当時の新聞にも報道された内容であります。これは朝日新聞だけではございませんで、毎日新聞、日経その他全部載っているわけであります。  これに、対して   中曽根幹事長ら自民党首脳から赤字国債発行を前提とした大型補正予算を臨時国会に提出する約束をとりつけたことで、国会終了後、財界が総力をあげて取り組んできた強力な景気回復策への要望はひとまず功を奏したと判断している。これは「土光敏夫経済団体連合会会長ら財界首脳は」という主語であります。   永野重雄日本商工会議所会頭は「財界がかねてから主張してきたことを自民党がやっと分かってくれた。とくに赤字国債を言い出したことを評価する」と語り、土光会長も「半年間、説明してきた不況の現状をやっと政府・自民党首脳が理解してくれた」云々というように言っております。  ここに「経済団体連合会三十年史」というのを持ってまいりましたが、そこでも明白に認めておりまして、その六百八十七ページには、「こうして、公定歩合引下げを中心とする金融緩和、財政支出の拡大、財源対策としての赤字国債の発行によって不況の打開を図るべく、政府・自民党に対する働きかけを行なった。」しばらく飛ばしまして、「三木首相・中曾根幹事長・松野政調会長は七月十六日、当会に対し、景気対策について総合的施策を講じる意向を表明した。そのために補正予算の編成、公債発行、金利引下げなどの積極的措置を講ずることを約した。」財界三十年史の公の文書に、今言いましたことが明確に書かれているわけであります。  そこで、大蔵大臣に伺いたいのですが、昭和五十年というのは大蔵省の立場から見て財政が非常に厳しい時期ではなかったですか。私の記憶では、昭和四十九年度に約八千億円歳入欠陥ができ、それがわかったときには既に五十年度予算が成立しておりましたので、昭和五十六年、五十七年の鈴木内閣のときと同じように、気がついたときは既に高い歳入を予定して、それを発射台としてさらに大きい経済成長率を見込んだ五十年度予算が成立してしまっておりましたので、昭和五十年度の歳入欠陥というのは約三兆九千億に上るという状況になったわけであります。ところが、それにもかかわらずこういう景気対策を行うということをやりましたために、建設国債と特例債を大量に発行する、そしてそういう状況であるのに、約四千二百億円の公共事業の追加を補正予算でやるということを、五十年秋の臨時国会でやったわけであります。  そういうように考えてみますと、この法案審議でも問題になっております、赤字国債の発行に踏み切った――もちろんそれまでにもいろいろの原因があるでしょうが、大きな要因というのは、この財界と政府・与党との七月中旬における会談、特に、経団連が半年がかりで政府・与党に要望したことがやっと認められたと言っている財界の働きかけによることは極めて明らかであります。こういう問題についてどういうように評価しておられるか、御所見を承りたいと思います。
  202. 竹下登

    ○竹下国務大臣 難しい問題でございますが、確かに四十年の公債発行というのは、オリンピックの翌年の戦後最大の不況というのが原因であったと私は思います。当時私は内閣官房副長官をしておりましたので、その当時の閣議の模様もまだ記憶をしております。  それから、五十年に赤字公債の発行に踏み切ったことも御指摘なさいましたとおりです。あのときの環境を見ますと、四十九年度にたしか大減税を行いました。(正森委員「そうです。一兆七千億」と呼ぶ)そうです。大減税を行いましたが、実質成長が三角になりました。卸売物価は三〇%ぐらいでございましたでしょうか、上がったような時期でございますが、この五十年度というのは最初おっしゃいましたとおり、まだ歳入欠陥、四十九年のがわからぬうちに編成いたしましたね。したがって、これは弾力的な運営をするとかいろいう言っておりましたが、四十九年、厳密に言うと四十八年の暮れからでございますけれども、四十九年から続いた石油ショックの後遺症から、世界経済全体が結果としてなかなか立ち上がれなくなったということで、何しろマイナス成長でございましたから、今そんなことをしたら我々殺されるかというぐらい大変なときであったと思います。  そのときに議論になりましたのは、今四十九年に大減税を行って増税を行う時期ではもちろんない、したがって、せっかく国民の貯蓄というものがあるわけだからというので、赤字公債の発行に踏み切って、景気のてこ入れというような施策を行ったことは事実であります。それで、大平さんがたしか大蔵大臣でありまして、その当時のことを想起しながら、税の先取りを自分はしたということを言っていらしたことが印象として非常に強く残っております。
  203. 正森成二

    ○正森委員 五十年だけをとってみますと、四十九年にオイルショック、四十八年暮れの中東戦争ということからでございます。そういう言い方もできますが、財界が非常に音頭をとって赤字国債の発行に踏み切ったことは事実であります。しかし、その後の五十一年、五十二年、五十三年の運営を見ますと、中東から油をバレル二ドルや二ドル五十セントで買える状況でなくなったにもかかわらず、昭和三十年代、四十年代前半の高度成長というものを何とか維持したいということで、財政に過大な負担をかけたことは否定できない事実であるように私には思われるわけであります。その責任の一端は当時の福田総理にもあると思われますが、こういう事実があります。  昭和五十二年、福田さんが総理になっておられましたが、そのときにサミットがもう既に始まっておりました。そして、カーターさんが大統領に就任しておりましたが、一月十一日に記者会見をした後、世界の景気を回復させるために、我々は日本と西ドイツがアメリカとともに世界の先頭に立って積極的な景気拡大策をとることを望んでいるということで、二日後の十三日には福田とカーターとの間で電話会談が行われたということがございます。その後、一月三十一日の福田首相とモンデール副大統領との会談では、アメリカ側が六・七%の成長率という具体的な数字を出しまして、我々は日本が六・七%の成長を達成しようとしていることに関心を持っているし、敬意を表したい、アメリカと日本と西ドイツの三国が世界の景気浮揚のために足並みをそろえようではないか、こう言って有名な機関車論を出したわけであります。そこで、三月二十二日にワシントンで行われた日米首脳会談で、福田首相はカーター大統領に、日本が機関車の役割を負うことは原則的に反対せず、こういうように言われた上で、ロンドン・サミットではこれを世界的に公約をするということがございました。  その後、五十三年を見ますと、今度はもっとそれが大きくなりまして、実質成長率七%を実現するということをボン・サミットで約束をされたわけであります。ですから、その後の公共事業のふえ方などを見ますと、五十年から大体二〇から二一%、五十三年に至ってはたしか三四%を超えるという割合になっているわけであります。これについては、私はやはり財界の非常な圧力といいますか要望と、それから国際的な公約という名前をとった日本に対する期待、圧力というものが考えられると考えます。  ここにあるのは、昭和五十二年七月十二日の読売新聞でありますが、こう書いてあります。   財界は、参議院選挙が終わり、自民党善戦によって政局安定のメドがついたことから、ただちに政府、与党に対し景気浮揚のための追加策を要請する方針である。経済団体連合会(土光敏夫会長)は、十一日、正・副会長会議を開き、このままでは今年度の政府目標の六・七%の実質経済成長の達成は無理との点で判断が一致、一兆五千億円の規模に上る補正予算の編成をはじめ、長短金利の一段の引き下げ、投資減税の年度内実施などの景気対策のほか、電源立地の促進と石油備蓄の強化を含む幅広い経済政策の推進を政府に求めることで合意した。経団連は、大型補正予算の財源問題についても、単年度における国債依存率三〇%以内にこだわる必要はないという国債増発論に固まっており、福田首相をはじめ政府に要請する構えである。 こういうように言いまして、同様の発言は各紙に出ておりまして、土光氏あるいは永野会頭というような方々は皆同趣旨の発言をされております。  こういう点を見ますと、五十年一年だけでなしに、それから三年ないし四年に続いて、夢よもう一度の高度成長型にするために、財政の出動を非常に無理をして行っておる、あるいは行ったということが言えるわけで、物の本を見ますと、当時の竹内事務次官等は、三〇%以内にするために非常な抵抗をしたということも出ておりますけれども、それが破られてしまったということが認められるわけであります。  あるいは、ここには七八年一月三日の朝日新聞がありますが、こう書いてあります。五十三年度ですが、「予算案の大筋が固まったとき、福田首相が桜内建設相に声をかけた。右手を口のあたりにもっていって「ゲップが出ないかね」。」こう言ったというんですね。ゲップが出るくらい公共事業の予算をつけた。そして「建設省内あげて「いかに積むか」の作業が始まるが①新規事業では関連の調査などがあるため急場の間に合わない②従って継続事業の進度アップを主眼にする、との方針をとった。」ということで、このとき「首相は「来年度予算では、建設省の概算要求を上回る公共事業費をつけたい。事業が消化できるかな」。」こう言ったというんですね。さらにこう書いてあります。「粟屋建設省官房長がもらした。「空から金が降ってきた。こんな増査定は四十八年度予算以来だ」。」こういうように言っております。  つまり、こういうのを見てみますと、赤字国債を発行するということを一方でやりながら、ゲップが出ないかねと言うくらい公共事業費をつける、空から金が降ってきたと言うくらい金をつけるということを、財界の要望とロンドン・サミットあるいはボン・サミット等の国際的な要望、日本機関車論等に基づいて行ってきたということが、昭和五十年から五十三年、四年にかけて財政的に猛烈な国債残高を累積させたということの紛れもない原因であろうというように思わざるを得ません。  今、総理が、七年たちましてやはりボン・サミットに、西ドイツに行かれまして、経済宣言その他が出ましたが、その中で公共事業の拡大というような声が出ておりますし、あるいは黒字を解消するために、外国から経済摩擦についていろいろ言われるというような声が出ております。私どももそれを一概に否定するものではありませんが、昭和五十年や五十二年の歴史を顧みますときに、我が国の自主的な判断、あるいは国民経済全体を考えるということをややなおざりにして、外国との関係をよくする、あるいは財界の要望にいちずに耳を傾けるということになれば、その後で払わなければならないツケというものは大変なものになるというのが、五十年、五十二年の我々の教訓でなければならないというように思わざるを得ないわけであります。サミットからお帰りになったことでもございますが、この五十二年のことについての御見解を承りたいと思います。
  204. 竹下登

    ○竹下国務大臣 五十一年に私、建設大臣をしておりまして、それで五十二年は概算要求時点にはかなり渋い状態でありました。それで、結果として増査定をいたしまして、ある省だけを私、記憶しておりますが、増査定の資料を持ってこいと言ったときに、持ってこれなかったという省があったことは事実であります。自由民主党の中において、私が何か公共事業の公開財源の配分を担当しておったと思います。しかし、結果的に思いますと、あのときの五十二年、五十三年の公共事業というものが、本当は社会資本の整備を急速に充実させた一つのきっかけではなかったかと思います。  しかし一方、公債依存度が五十二年は三〇%を超したと思うのでございますが、それによって大変高くなりまして、そこから五十四年は惰性で経済そのものはよくなってきて、五十四年度予算の公債依存度がたしか三九%ぐらいでございましたでしょうか。(正森委員「そうです」と呼ぶ)それで、五十五年でそういう累積したものが、要するに国債が売れなくなったという表現はおかしゅうございますが、条件変更を相当しなければ売れなくなるというような状態になったので、五十五年度予算にまず一兆円の減額ありきというので財政再建が始まってきた。  そういうような感じで振り返っておりますが、したがって、いわゆる機関車論に対する反省は、今日、ボン・サミットにおきましても全体的にあろうと思っております。あれは、日本が機関車であるということで終わらなかった。すなわち、かつての宗主国である仏領何々とか英領何々とかいっぱいあったわけですから、そこらにも全部今度はそういう要求が来た。したがって、世界全体の金利を高めて、開発途上国としては、結果として何ら得るものはなかったという反省が今日続いておりますから、私は、今度のボン・サミットにおきましても、いわば機関車論というものについては、あの機関車論の反省の上に立ってという発言が行われるのもその辺にあったではなかろうかというふうに思っております。     〔堀之内委員長代理退席、中川(秀)委員長代理着席〕 しかし、日本全体の社会資本とかいうものは、やはりあの時代に整ってきた。  それから、もう一つ前の四十八年、福祉元年、あのときに社会保障の水準は世界的水準とでもいいますか、そういう水準に達した。その惰性というものが赤字国債と建設国債両方にかかって進められ、五十五年からの財政再建。それでも予算は一〇%シーリングだったと思いますけれども、それから五十六、七年は、第二次石油ショックの影響とでも申しましょうか、また論評するらち外にあると思っております。したがって、機関車論に対する反省というのはサミット全体の中に存在しておる、だから特定の国に対して機関車論を押しつける環境にはお互いないというのが現状ではなかろうかな。  非常に評論家みたいなことを言って申しわけありません。
  205. 正森成二

    ○正森委員 私が申し上げたのは、これは私の独断的な意見ではないわけです。前にもちょっと引用しましたが、きょうは現物を持ってまいりました。自民党の政務調査会長の藤尾正行氏が「自由民主」に「予算編成に臨むわが党の方針」ということで、講演を速記されたものだと思いますが、書いておられる中で、私と同じ意見を述べておられます。こう言っておられます。  当時、経済界の代表は「この際、大量の国債を発行してもいいから、何とかこの経済的なパニックを避けるために、公共事業を拡大して景気を刺激し、振興してほしい」と政府に要望したわけです。   その公共事業政策を強力に推進されたご当人が当時の経団連会長の土光敏夫さん、関経連会長の日向方齋さんという東西両経済界の代表であったのです。   こうして政府は国債の大量発行により経済の建て直しを行い、経済界の方々もこの政策を大変評価されたわけですが、当然、そのツケが国債の累積として回ってきたわけです。経済の評価については我々とはやや違いますが、ともかくこういう事実は認めておられます。  その後で「赤字脱却へ国民も経済界も協力を」というところでこう言われております。   もちろん、私どもは政府と一体にある責任政党の立場から、言われるまでもなく、六十五年度までの赤字国債からの脱却が至上課題であるならば、私どもも全力を挙げてそれに取り組んでいきます。   しかし、そのときに「国民および経済界には これに対する何らの責任もない、それは政府がやればよろしい」という考え方は少し横着すぎやしませんか。その責任をつくったのは経済界であり、国民全体でもあるわけですから、このような非常事態には政府とともに責任を分担してもらってもいいではないかと思うのであります。   例えば、六十五年度までに赤字国債を完済しようというのですから、経済界の方々がお持ちになっている国債の利子といったものについても「こういう非常事態だから、私どもにも協力させてくれ。我々が受け取る利息は半額でよろしい、三分の一でも結構。場合によっては利息分はいらない」というくらいの協力態勢を経済界も、あるいは国民の立場からも言っていただくような空気が出てこないものであろうかと。 こう言っておられるのですね。これは「国民も」という言葉を使っておられますが、もちろん主として経済界に対して言われている言葉であります。我々もあえて国債の利息をただにせいというようなことは申しておらないわけで、藤尾さんが非常に蛮勇を振るってこういうことを言われたと思うのですね。ですから、与党の政調会長も分析、評価については我々と相似たことを言っておられるということを指摘しておきたいと思います。  そこで、この後始末に関連した問題でありますが、たしか竹下大蔵大臣が一月三十日に、当委員会でございましたか、最初の質疑で、国債というものは、建設国債であろうと赤字国債であろうと、出せば後代の国民に大変な負担をかけるのだ、だから赤字国債はいけない、建設国債はいいというようには必ずしも言えないということで、こう言っておられると思います。それで、建設国債をやるとその波及効果があるということを言われ、税収も多少はね返るということを言われた後で、  それはそれとして依然として一兆円の建設国債の元利払いは残るわけです。そうしますと、七%で計算いたしまして、十年ごとに六分の一ずつ返して六十年で返済しますと、結局三兆七千億の負担を後世代に押しつけることになる。そうすると、今我々が痛みを感ずる負担の三・七倍、インフレ率というのが多少、三%ぐらいはあったにいたしましても、それは別としても、言ってみれば三・七倍の負担を後世代に残すことになるというと、やはりそこでちゅうちょせざるを得ない。 ということを申されまして、仮に百六十五兆円国債残高が残って、そしてこれを七%の金利で計算すると、六十年にわたって五百十兆円を子、孫、ひ孫にツケを回すことになるということを言っておられるわけであります。これは七%、六十年償還という前提を置きますと仰せのとおりであろうと私は思います。竹下大蔵大臣の御指摘は、質問がなかったせいでしょうが、ここで終わっておるわけです。  しかし、この前も私が少し引用いたしましたが、今でも非常に敬意を表さざるを得ないのは、たしか宮本さんとの関連でも申し上げたかと思いますが、ここに持っております「財政法逐条解説」、これは大蔵省主計局第二課長兼第三課長の平井平治氏の著書であります。昭和二十二、三年ころ出されたものであります。この中で非常に含蓄のあることを言われ、竹下大蔵大臣の言われたことを前提にして、それからさらに一歩進んだ見解――一歩進んだと言うと非常に失礼でございますが、突っ込んだ見解を述べておられると思うわけであります。この前も引用いたしましたが、結局財政法はいろいろよくできておるけれども、抜け穴というのは幾らでもあるので、要はこれを運用する人の問題であるということを序文の中でまず言われておる。その後で個々の条文について注目すべき発言をしておられます。  申しわけございませんが、私は、かつてこういう大蔵エリートがおられたということに敬意を表する意味で、もう一遍読ませていただきたいと思います。こう言っておられます。  財政法は財政に関する、重要な基本原則を明確にしている。即ち従来のように公債によって戦争を計画したり、インフレーションを招来して大多数の国民を塗炭の苦しみに突き落したり、国民の知らぬ間に、煙草の価格や通信費や、鉄道賃が何倍にもなったりすること等を一切禁止している。これ等をみると、なる程従来の財政法規に比して国民の総意を尊重していると、いい得ないこともない。又一部支配階級の専横を封じているともいい得る。然し私には憲法や、会計法が不備であったがために戦争が計画されたり、インフレーションが起ったりしたとは信ぜられない。やはり戦争を惹起したのは人であり、インフレーションによって大衆をこの惨めな生活に突き落したのも人である。こう考えて来ると如何に民主的な憲法が出来ても、立派な財政法が出来ても、其の運用に人を得なかったならば、所謂、猫に小判であって、意味をなさない。況んやこの財政法には幾多の抜道と、曖昧なところのあることは本文で指摘しているとおりである。従って私は総ては人にあると信じている。即ち民主的な人によって民主的に運用せられて、始めて、財政法は民主的であるといい得るのである。私はこの財政法が民主的な人によって民主的に運用せられて、この荒廃した、相国を再建し、国民大衆を再びこのような惨めな生活の淵に突き落すことのないように念願する。これが脱稿直後の私の偽わらざる感じである。 こう言っておられるのですね。  そういう点を考えますと、当時の大蔵省の官僚はなかなか国土的な風格といいますか、考えを持っておられた。今出ております財確法が果たしてこの「民主的な人によって民主的に運用」されるというのに該当するであろうかという念を若干持たざるを得ないわけです。  そして、この方は財政法第四条の改正の中でこう言っておられるのですね。長いですから、一部だけ引用いたします。   公債論は本書の目的とするところではないから、公債の性質であるとか、得失については触れないが、簡単に公債と租税の関係を明瞭にしておく必要がある。先ず公債が現代の国民負担を単純に後代に遺すと云う一般論は清算しておきたい。それは、今日の所要財源を租税に求むるとすれば、当然負担すべき階級(それは主として資本家である) 当時の大蔵官僚はなかなか思い切ったことを言いますね。今の大蔵省の役人、これだけ言えますかな。  の負担を公債によることによって、一時的な租税なれば負担しなくともよい階級に長期に亘って課税することである。例えば今日千億円を必要とすると仮定して全部を租税によった場合にも、そのうち一割のみを租税として九百億円を公債によった場合にも、最低の負担をなす民衆は、同額の最大限の租税負担である。 この意味がちょっとわからないのです。印刷の間違いかもしれません。  燃して前者によった場合には最低負担の民衆は一回の租税負担で済むのを、後者によっては、長期に亘り、而も元本の利子も加わって、全体を通じた負担の総額は著しく増大する結果となる。従って、公債によることは後代の公債所有者の元利を同時代の租税収入で支払うことになるのみであつて、長期に租税を通じて所得の分配関係を支配するのみである。従って資本主義財政の一つの特色は公債によって二重に階級的利益を擁護することである。 こう言っております。つまり、当時の大蔵官僚は、公債を発行すれば、これは竹下大蔵大臣が言われたように、一兆円の場合には六十年償還とすれば後世代に三兆七千億円、三・七倍の負担を負わせるというだけでなしに、一遍で租税負担するなら、租税応能主義等によって金のある者が多くを出し、金のない者は少ない税金で済むということで済むものを、公債で後代に残すならば、その額がふえるだけでなしに、持てる者はその公債から元利償還を受けて利息ももらうということで、二重の資本主義的な矛盾を生むのであるということを喝破しているわけです。  私は、これは非常に注目すべきことを既に昭和二十二年、二十三年に言われているというように思わざるを得ないわけです。理財局長、それぐらいの決意でいろいろの政策にも当たっていただきたいと思うのですね、答弁は求めませんが。  そこで、理財局長に伺いますが、そういう平井さんの観点からいたしますと、現在の国債の分布状況、これはあるいは質問通告をするのを忘れたかもしれませんが、おわかりですか。おわかりにならなければ私の方に資料がございますから――おわかりになりますか。おおよそのあらましで結構です。
  206. 宮本保孝

    ○宮本政府委員 保有状況でよろしゅうございますか。(正森委員「はい」と呼ぶ)  五十八年度末でございますが、構成比で申し上げますと、市中金融機関が約三〇%でございます。それから個人、法人等が約四〇%、資金運用部と日銀が約三〇%というふうな分布になっております。
  207. 正森成二

    ○正森委員 大体そうだと思いますが、私の方が調べました資料では日銀の調査月報、昭和五十八年の資金循環ですか、そういうものからの資料によりますと、五十八年十二月末で国債残高が約百十兆円、民間保有が七十八兆で七〇・八%、そのうち民間金融機関が四十七兆円で四二・五%、法人企業、個人が三十一兆円で二八・三%、そのうち個人分が約十四兆四千億円、一三%、法人分が約十六兆六千億円、約一五%ということになっております。これはいろいろな資料を集めたものですから誤差はあると思いますが、大体そういうことではなかろうかというように思います。  それをさらに細かく分析してみますと、この個人というのがどういうぐあいな分布で持たれているであろうかというものを調べてみたものであります。これはどこから調べたかというと、貯蓄増強中央委員会の貯蓄に関する世論調査、八三年版から調べてみました。そうしますと、個人の貯蓄のうち国債での保有を所得階層別に見ますと、低所得の二百万未満は、貯蓄保有世帯のうちの三%が国債を持っておる。二百万から三百万未満は三・二%、三百万から四百万は四・一%、四百万から五百万は五・六%、五百万から七百万円は九・四%、七百万円以上は一四・一%ということになっております。これはここに資料がありますから、読み間違えてない限り正確であろうと思います。  そうしますと、一三%は個人だといいますが、低所得層は、九〇%台で大抵貯蓄は持っているのですが、そのうちの三%ぐらいしか国債では持っておらない。ところが七百万円以上の者は一四・一%である。七百万円以上ということで切っておりますが、これを一千万円以上とか一億円以上とかというように刻んでいきますと、このパーセンテージはさらにさらに上がるであろうというように思われるわけであります。  そうすると、国債を持っておって元利償還、特に利息の償還で利益を得る者は、個人といいましても大多数の勤労者階級ではなしに、金融機関やあるいは金融機関以外の事業法人やあるいは高い資産家層であるということが統計から明白に出てくるわけでありますし、昭和二十二年、二十二年に平井平治氏の喝破されたことは、この国債大量発行の現代から見てこれは依然として真理であるというように申さなければならないと思います。そうだとすれば、財政が持つべき所得再配分機能というのは著しく阻害されて、逆配分という状況にやはりならざるを得ないことになると思いますが、いかがですか。
  208. 竹下登

    ○竹下国務大臣 私がいつも申し上げますのは、その一兆が三兆七千億になって後世代へのツケ回しになるということと、いま一つは、ことしの予算編成に当たっての大きな悩みと言うと表現が感傷的になりますが、それは要するに利払い費が社会保障費を超した。財政は、なかんずく予算はと言った方がいいかもしれませんが、いわば道路をつくりますとかいろいろな全体のためのことをやらなければなりません。防衛ももとよりでございます。教育ももとよりでございますが、と同時にいま一つは、応能主義によるところのこの租税からして、いわば具体的に言えば生活保護等の富の再配分という機能を元来果たすべきものである。その富の再配分ということを意識した場合に、利払い費が社会保障を超えた場合、その編成の衝に当たる者として、じくじたるものを感ぜざるを得ない。単年度の予算を見た場合に、そのようなことを感想として申し上げたことも何だびかございます。  ただ、私自身、諸外国の皆さん方とお会いして感じますのは、そこのところが意識の相違とでも申しましょうか、我々は、それを言ってみれば外資に頼っておる、外国のお金に頼っておる、あなたのところは自分の国の国民の貯蓄に頼っておる、そこに大きな相違がある。そして国民の皆さん方が、いわゆる利殖を求めての行為であると言われようと、それだけのものを勤労によって蓄えておる人に対する利子として考えるならば、我々のような、それを諸外国のファイナンスに求めておる者とおのずから考え方は違うではないか。こういうことを私はよく批評として受けますが、単年度予算の際にそのことを感ずることは事実であります。
  209. 正森成二

    ○正森委員 それでは、財政危機を招いた要因等に絡む問題はこのぐらいにしまして、理財局長に資金運用部資金や財投について伺おうと思っておったのですが、横に野尻さんとおっしゃいますか、わざわざ証券取引所からおいでいただいておりますので、質問の順番を変えて、野尻さん、この問題だけお答えになれば帰れるわけで、最後まで残っていただくのはお気の毒ですから、局長はいいという意味ではございませんけれども、これは役目ですから仕方がない。東京証券取引所は突如呼び出されたわけですから。  大蔵大臣、この前二月二十日にたしか財政経済の集中審議がございました。そのときに私が質問させていただきまして、この問題を短い時間でございましたが、速記録を見ますと議論しております。そのときに私が一番関心がございましたのは、電電、NTTの株をいかに公正な価格で円滑に売却をしていくか、そこにいささかも疑惑を招くようなことがあってはならないという観点から若干質問しておりますが、ごく短く引用いたしますと、KDDのときの例を挙げて、相当利益を上げているのに株価が五百円に対してわずか六百二十四円とか五百九十六円ぐらいで落札されておる。それがあのときの、あの日の株価で三万七千円であるというようなことも申しまして、「ですから私は、売却に当たってはやはり、最初はそれはまだ上場しておりませんけれども、できるだけ早く、最初は二部か一部かわかりませんが上場して、公開の株の値段を国民の前に何人にでもわかるようにして、そしてゆっくり時間をかけてその値段に近い線で売っていくということであれば国民は納得するでしょう」云々ということを言っております。  これに対して竹下大蔵大臣が、「私とまさに今、考え方、正森さんとそう違っていないと思うのであります。」光栄の至りでありますが、そういう御答弁をいただきまして、「今の正森委員の意見も、私どもとして聞かしていただいた意見の一つであると受けとめて、やらなければならぬと思っております。」という意味の御答弁をいただいております。  それで、きょう同僚委員も私以外にいろいろ御質問があったようであります。それに対して、私が調査室等から承りましたところでは、大臣の基本的な答弁のスタンスは、今審議しておる、これを通していただいて、そして慎重に検討して、いやしくも公正を欠くような、そういうことのないようにしたい、具体的な方法はまだこれからであるという答弁を続けられたように聞いております。それで、公式的にはそういう御答弁であろうと思いますが、しかし何となくそれではこの法案が審議をされるのにいささかコクがないというような感じもいたしますので、証券取引所の方にも来ていただいて、私の方からいろいろ例えば、多少はまたおっしゃることもあるかもしれない。どうなさるかと聞けば、それはまだ決まっておりませんというお答えにならざるを得ないかと思いますので、議論をしていきたいと思います。  そこで伺いますが、これは三月十九日の日経であります。「英電電上場に道」という見出しで、英電電というのはBTのことですね。それで、「十二月には発行済み株式数の五〇%強を英、米、日などで売り出し、日本では最終的に一億八千万株が売られた。」ということを申しまして、「こうした日本国内にある大量のBT株の流通をうながすため、BTは東証に上場を希望、引受証券会社を通じ東証に打診中」こういうことを言っているのですね。  その同じ記事の中で「東京証券取引所は十八日、昨年発足した英国電電の民営後の新会社であるBT(ブリティッシュ・テレコム)の東証上場について、弾力的な措置を講じる方針を固めた。従来、上場の条件となっていた過去三年間の収益力・配当基準について、基準を改正、BTの上場に道を開こうというもの。東証では同時に四月から発足する日本電信電話会社(新電電)のケースも同様に対応するとしており、六十一年度前半に予想される新電電の政府株放出と前後して、上場が実現することは確実となった。」こう書いてある。確実であるかどうかはわかりませんが、これは注目すべき記事であるというように思うのですね。  それで、ここに「上場関係規則集」というのがございます。ありがとうございました。これは東京証券取引所の昭和五十九年十一月のものでございまして、これを見ますと、「上場規程等」とか「審査基準等」とかそういうものがずっと載っているんですね。私は、株はあなたから見れば素人、だれから見ても素人かもしれません。学校で習ったことぐらいしかよく存じませんが、東証では上場というのは一応二部上場のことを言われて、二部上場から一部上場になるにはこういう条件が必要であるというようなことで、大阪証券取引所とか名古屋とかいうところに上場しておったとか、あるいは二部に上場した後こういう条件が備わったものということが書いてありますね。そういうことであろうと思いますが、何分にもNTTは、いろいろな比較のとり方、指標のとり方にもよりますが、トヨタ、東京電力に劣らない我が国一の規模の企業であると言ってもいい。ということになれば、通常の上場と言えば二部だというのでなしに、一部上場もできるようにした方がいいのではないかという声が一つあります。  それからもう一つは、これを少し見てみたのですが、読み方が間違っているかもしれませんが、BTのときに言われたように、過去三年間の利益がどうとか配当がどうとか、そういうことになりますと、株式会社になったばかりですから、厳密に言えばそれには合致しないということにもなりますし、それから、私が見た中でこれは一番問題だなと思いましたのは、第四条一項(2)のaですか、「株式の分布状況」というところがありますね。「大株主上位十名及び特別利害関係者が所有する株式の総数(以下「少数特定者持株数」という。)が、上場のときまでに、上場株式数の七〇%以下になる見込みのあること。」という規定がありますね。  これはずっと見ておると例外規定があって、私も東証に勤めているわけじゃないから、あるいは間違っているかもしれませんが、「付則」のところに「第四条第一項第二号aの規定にかかわらず、当分の間、少数特定者持株数については、上場のときまでに上場株式数の八〇%以下になる見込みがあり、かつ、上場後最初に終了する事業年度の末日までに上場株式数の七〇%以下になる見込みがあること」。それからさらに附則の3には、「上場株式数が六千万株以上の場合における前項の規定の適用については、同項中「上場株式数の七〇%」とあるのは、上場株式数が六千万株以上一億二千万株未満の場合にあっては、「上場株式数の九〇%に当たる株式数から千二百万株を減じて得た数」とし、上場株式数が一億二千万株以上の場合にあっては、「上場株式数の八〇%」とする。」というような例外規定もあるようであります。  そこで、そういうことを前提に置いて、これは審査基準でありますが、もしこの審査基準を文字どおり守るということになりましたら、日本電電は大株主十名どころか、大株主は竹下登大蔵大臣を代表とする日本政府一人なんですね。これを上場するのに適用させようと思えば、二〇%なり三〇%なり売って、それで株主をふやしてからでないと上場できないというようなことになれば、そんなことをしているうちに政府が売る予定の半分の大部分は売ってしまうということになって、公正な株価を決めるために東証を利用するというようなことは事実上できないということになりかねないのですね。ですから、私はこの審査基準については何らかの御配慮が必要ではないかというように思いますが、お答えをいただいてから私の考えもさらに述べたいと思います。
  210. 野尻孝夫

    ○野尻参考人 東京証券取引所の野尻でございます。ただいまの御質問にお答えいたします。  まず、日本電信電話株式会社の株式の上場でございますが、これにつきましては同社株式の売却の方法が未定でございますし、まだ同社から株式の上場についての具体的要望もございませんので、現在の段階のところ、私どものところでは確定的なことは申し上げかねますが、考え方として申しますと、この新電電の株式の上場につきましては、株式の売却の方法が具体化した段階において関係者で御協議なさって、これを早期に上場すべきであるという御結論が出た段階で、私どもでは投資家に公正な価格形成と円滑な流通の場を与えるという観点から弾力的に対処していきたいというふうに考えております。  そう考えました場合に、具体的に現在の基準との関係がどうなるかという点がございます。これにつきましても確定的なことは申し上げられませんが、もしすぐ上場するとした場合にどうなるかということを考えてみますと、一つは設立経過年数の問題あるいは利益の基準の問題がございます。そのほかに、ただいま御指摘のございました株式の分布状況の基準の問題がございますが、これらにつきましては、今後売却の方法がどうなるのか、この辺のところを伺った上で考えていきたいというように考えております。  ただ、この分布状況につきましては、現在の考え方でございますと、日本の株価形成というのは、ある程度株主に分布されまして、それが市場に出てくる、こういう状態で株価形成をするという考え方で、実物市場の建前をとりますと相当程度の株式の分布といいますか、株式の分散がございませんと売りが出てまいりませんので、価格形成が非常に難しくなってまいります。この辺のところが非常に重要なポイントになってまいりますので、そういう点とあわせて、分布の問題につきましては、今後電電株式の売却が具体化した段階において、私どもでは先ほど申し上げた趣旨に沿って検討してみたいというふうに考えております。
  211. 正森成二

    ○正森委員 非常に慎重な答弁ですが、私が伺ったのでは、現在はもちろん確定的には言えないけれども、当事者が早期に売却し、その場合には公正な価格を知るために上場したいというような意向があれば、東証としては弾力的に対応したいという答弁だろうと思うのです。そのときには、規定等についてどうするかということもやはり弾力的に考えたいというようにとっていいと思うのですね。  それで、私は利益だとか配当だとかいうのは、なるほど株式会社になってからの利益配当というのは来年の三月ですかが最初で、最近の新聞報道を見ますと、一割配当は可能である、配当性向は五〇%以下にできるということが出ておりますし、それから過去の電電の財務諸表と言ってもいいものがあるわけですから、これは何とかなると思うのです。  一番問題なのは株の分布状況に関することであろう。普通、新株を上場する場合にも、私はよく知りませんが、売りがある程度なければ、玉というのがなければ寄りつかないですから、そのことをおっしゃっていると思うのですね。しかし、その点について私考えてみたのですけれども、あなた方のこの「上場関係規則集」を見ますと、「新規上場銘柄の初値の決定方法等に関する要請事項」というのがありますね。それを見ますと、「幹事会員は、当該株券の発行会社に、「初値を定める売買において、次の各号に定める数量の売委託をする旨、株主から同意を得ておく」ことを上場日前に確約させるものとする。」という規定がありますね。これはその当該株券発行会社を大株主や何やらががっと握っておって、そして売り委託の売れる本当の玉がない、あるいはあってもごく少数であるということになれば、不当な、非常に高い株価が形成されるとかいうことになりかねないので、それを防ぐ意味でこういう規定を置いておられるのであろうというように私は理解いたしますが、これを見ますと、「(1)直接上場銘柄上場日における上場株式数の区分に従って次のとおりとする。」というのがありまして、一千万株未満は八十万株売り委託できるものを用意しろというようになっておりまして、以下ずっと上がっていくのですね。それで、六千万株以上の場合は二百万株用意しなさい、こうなっています。  この株というのは五十円株ですか、五百円株ですか。
  212. 野尻孝夫

    ○野尻参考人 額面五十円を前提にしております。
  213. 正森成二

    ○正森委員 そうしますと、額面五十円で六千万株以上といえば、これは三十億円の規模の企業ですね。それは二百万株用意すればいいといってとになれば、額面からいえば、これは一億円ですね。三十分の一ということになります。そうだとすると、NTTは七千八百億円ということになりますから、これは五万円株だそうですけれども、だから金額でいきますと、六千万株以上は二百万株というのを文字どおり適用しますと一億円分でいいということになれば、一億を五万で割ると、ちょっと算数に弱いのですけれども、二千株ですかな、多分そうですね。二千ぐらいでいいという結論も出てきかねないし、あるいはそうじゃなしに、三十分の一という割合をめどとしているんだという考えを仮にとるとしても、幾らですか、額面にして二百億前後になりますかな、三十分の一だったら二百六十億ぐらいが出ればいいということになると思うのですね。  この場合は、私は素人ですからあえて申し上げるのですが、何も株が分布してなくてもいいのじゃないですか。確実に売ってくれる売れる玉があれば、それで株価は形成されるのじゃないですか。だから竹下大蔵大臣が、二百億なら二百億は必ず出しますよ、私が懐へぎゅっとしまい込んで、買い手が来ても売らぬというようなことはしない、二百億なら二百億、三百億なら三百億出しますよということで東京証券取引所に売り委託をすれば、これは値が寄りつかないということはない、立派に寄りつくので、あの規定は、普通の会社を想定して、大株主が株を独占しておって売る方にも出さないという場合は、これは値が形成されない、あるいは極端に玉が少ない場合には、もちろん需給の関係で値段が猛烈に上がるということになってはいけないから、公正な値段ができる程度の、そして会社の規模から見て恐らく売り手が集まるであろうというのの折り合いで、長年の東京証券取引所の経験からこの数字を出しておられるのじゃないかと思うのですね。そうすると、NTTの場合には、何も大株主といいますか、利害関係者の数が三〇%をめどにしてどうのこうのというような余計なことを考えなくても、一人というのはありがたいので、竹下大蔵大臣は悪いことは絶対にしないですから、これは一人が全部を代表して、それで三百億分なら三百億分を売りに出すということになれば、これは確実に売る玉があるわけです。  そうすると、やはりこういう規定は、考えようによっては、道理に則して考えれば必ずしも要らないのであって、初めから競争入札とかなんとかいうことをやらなくても一この規則を見ますと、もし初値を、類似の、参考値というのですかそれで決めて、それのプラス一〇%以内で売ってもいいということにすれば売れるようですから、最初のときだけは初値を決めるのはなかなか難しいでしょうけれども、二回目からは、形成される株価を基準にしてそれよりやや低目に決めておけばいいわけです。だから、最初の一回だけは難しいですけれども、最初の一回に一千億円も二千億円も余りたくさん売り出さぬように、適当な価格をやってそれで様子を見るということにすれば、二回目からは、形成される株価を基準にして、全くだれからも疑われないようにこれは売却できるということになるのじゃないですか。私が素人で考えれば、この規定から見る限りそういう結論が出てくると思いますが、いかがです。     〔中川(秀)委員長代理退席、委員長着席〕
  214. 野尻孝夫

    ○野尻参考人 お答えいたします。  まず最初の、規定の解釈の問題でございますが、後の方は、市場では通常いわゆる冷やし玉と言っていまして、私どもの価格形式の基本といたしましては、売りも多数の人、買いも多数の人、こういう人の中での競争売買の中から公正な価格を形成する、これが私どもの現在の市場の基本原理でございます。したがいまして、冷やし玉につきましては、先ほど正森委員からお話ございましたように、現在は特例ではございませんで経過規定でございます。この前、規定を変えたものですから、一挙にやるのはどうかなということで、八〇という規定を設けているのでございますが、これは当面の間やろうということなんでございます。そういう八〇にして、ある程度、二〇以上のいわゆる浮動株といいますか、市場に出る株があることを前提にして、その上でなおかつ、しかし二〇あってもなかなか――従来ですと、新規公開いたしますと買いが殺到して値がつかない、したがって、そのときに適正な値段をつけるように冷やし玉といいますか、会社の方で売り委託をしてほしい、こういうふうにやっておりまして、冷やし玉だけで値をつけるという考え方はございません。  それからもう一つ、株式の分布状況を考えます場合に、私ども、今度の電電の問題を考える場合に非常に難しいと思っておりますのは、先ほどおっしゃったように、どの程度売り出されるのか、それが非常にはっきりしません。ただ、売りが政府だけということになりますと、市場の価格というのは、先ほど申し上げましたように売りも多数、賢いも多数の競争売買を前提としている市場の原理に合わなくなってくる。この辺のところになりますと、単なる特例でいけるのだろうか。この辺のところが、市場における価格形成の面から、現在の市場価格原理を守るといたしますと非常に難しいものではなかろうかというふうに考えております。
  215. 正森成二

    ○正森委員 今の答弁はもっともらしくて、よく聞いていると、今私が読み上げました「新規上場銘柄の初値の決定方法等に関する要請事項」の売り委託をするというこの株の数は、冷やし玉というのですか、である、こういうことですけれども、それなら、冷やし玉としてはその程度やっておくが、それ以外に、一般に広く売りに出てくるというものを、政府すなわち竹下大蔵大臣に別途用意させて、二つ用意させておけば、それはそれでいいわけなんでね。政府が売らないというならあれですけれども、売るということであれば、それが一人であろうとあるいは数千人、数万人であろうと、売るということではやはり同じことではないですか。ただ、その場合に困るのは、売りが多い場合には、ある人は五十五円なら売りたいと言うし、ある人は八十五円でないといかぬと言う。ところが、政府一人の場合には一つの値段しか出てこないというような点はあるかもしれませんが、それは政府が何円から何円の間、こう言えば、これはたくさんの人間が売りを望んでおるというのと同じことになるわけなんでね。  私どもはなぜこういうことも言うかと申しますと、新聞など、そんなのを見ますと、あなた方は、売り出すときの希望価格というのですか申請価格というのですか、それを決めるのに、類似会社のいろいろな成績を参考にするとかなんとか言いますが、その参考にするのは、どうもKDDというのはばか値がつき過ぎているのでこれは参考にならぬ、だから電力やとかガスやとか、そういう業種の違うもので相当規模の大きいものというので、配当だとかあるいは利益だとか何やらいうのを調べてみれば、大体五倍か六倍がいい線で、それ以上は無理であろうというようなことが盛んに書いてあるのですね。  ところが、それならば同じような電信電話関係をやっている、主として外国相手のKDDが――きょうは私はここに、きのうかおとといの株価を持ってきましたけれども、これを見ると三万一千円ほどですかね。この間までもうちょっと高かったけれども、それがそういうぐあいになった。三万一千円にしてみたところで、五百円ですから、六十倍を超えておるということになれば、五倍、六倍と五十倍、六十倍とは、えらい違うのですね。もちろん、これは実勢を必ずしも反映せずに、人気をあらわしているのでしょうけれども、しかし、人気も、何も理由がなくて人気が出るのじゃなしに、千代の富士にしろ、若島津にしろ、だれにしろ、人気が出るのには人気が出るだけのわけがある。あの人と結婚したいという人気が出るからには、何ぞいいところがあるということであるので、人気が出るそのもとになる条件、実体は何かということをやはり考えていかなければいかぬと思うのですね。  そうしますと、何ゆえにKDDだけは除外するのかということになりますと、あなたも御承知でしょうけれども、BTの場合には、一株五十ペンスでしたかな、株式上場したら、初値がいきなり二倍の九十何ペンスついて、そして、当時の新聞を見ますと、これはもうごうごうたるもので、「政府が実勢をはるかに下回る価格で売却したことは、国家および納税者にとって多大の損失につながった」ということを言っておりますし、これは大分かっかとした人でしょうな、「労働党の影の貿易産業相のアラン・ウィリアムズ下院議員は同日の議会で、「初日に一株当たり四十五ペンスものプレミアムがつくのは異常であり、単なる計算違いではすまされない。これは英産業史上まれにみる犯罪行為に相当する」と追及した。」というように言っているのですね。これは二倍にもいかないのですよ、九〇%ぐらい政府の売り値より高かったというだけでも、これだけごうごうたるものがあるのに、もし株の額面の五倍や六倍ということでやって、その後もし四十倍、五十倍、六十倍というようなことになれば、それは理財局長かどなたがおやりになるかわかりませんが、まあただでは済みませんな。犯罪行為というようなものではないのになるのじゃないですか。  そういうことを避けようと思えば、やはりそれを避け得るようなシステムを考えていかなければいかぬ。私は、第一回だけは若干の誤差があっても、それは人間だからやむを得ないと思うのですね。しかし、それはなるべく額を小さくし、被害を少なくして、第二回目からは、日本国民がこれくらいなら買ってやろうという値に近い額で、政府が売り値を指定するということでいくべきであろう。それにはやはり東証がいろいろの「上場関係規則集」というようなものをよく考えて、もちろん関係者が早く売るのかどうか、そんなことがわからなければできませんし、早い話が来年配当ができないということであれば、これはもう問題にならぬしということでありましょうけれども、来年の遅くも秋には予想されるいろいろの事態に対して、私は前向きに対処してほしいと思うのですね。  それで、東証の野尻さんにいろいろお伺いしましたが、証券局長あるいは理財局長あるいは大蔵大臣、どなたでも結構ですけれども、私と野尻さんとのやりとりの中で、ぜひ自分の所管でここは一言答えておかなくてはならぬと思われる方は、どうぞお答えいただきたいと思います。証券局長いかがですか、あるいは理財局長。
  216. 岸田俊輔

    ○岸田(俊)政府委員 先ほど来先生からも御指摘がございますように、売却の方法というものが全く決まっていない段階でございますので、余り具体的なお話はなかなか申し上げられないのですが、ただちょっと一点だけ申し上げておきたいのは、要するに上場の意味でございますけれども、上場というのは、先生一部からとおっしゃっておりますが、上場する必要がなぜあるかといいますと、多数の株式の保有者があって、その中で競争の原理が働いて自由な価格形成をしていくということが前提でございますので、ある程度の株式の保有者が分布していないことには、やはり上場という意味がなくなるのではなかろうかな。ここら辺はいろいろ御議論のあるところかと思いますが、これも含めまして売却方法の問題と絡みますので、この点につきましては、それが決定したところで、私ども検討いたしたいと考えております。
  217. 宮本保孝

    ○宮本政府委員 電電の株式の売却につきましては、けさほど来いろいろお話がございまして、私どもといたしましては、やはり厳正かつ公平、公正な方法で行いまして、いささかも国益を損なうことなく、また国民に疑惑を抱かせることがないように、一慎重に対処してまいる所存でございます。ただ、売却方法であるとか、あるいは上場の問題とか、非常に専門的といいますか、私どもとしてもまことにわからない点が多くございまして、今後各方面の皆さん方の御意見を十分お聞きしながら、あるいはきょうのお話なども十分お聞きしながら対処してまいりたいと思います。
  218. 正森成二

    ○正森委員 大蔵大臣、いかがですか。
  219. 竹下登

    ○竹下国務大臣 これはわからないことが多いというのが今の理財局長の答弁でしたが、私にはわからないことがすべてだという程度の知識の持ち合わせしかございませんので、今論評する立場にはなかろうと思っております。勉強すれば勉強するほど難しい問題だなという問題意識だけは持っております。
  220. 正森成二

    ○正森委員 この問題ばかりは言えませんので、一応区切りをつけますが、証券局長の答弁で、ある程度株式が分布していなければ上場の意味をなさないということを言いましたが、そんな観点をとれば、やはり東証の規定にある八〇%とか七〇%とか三〇%以下とか二〇%以下とがいうようなことになれば、今度NTTなんかなかなか上場できないですよ。上場できるときにはもう既に大部分は売ってしまっていて、東証には上場してくれないわ、しかし株の値打ちはあるわということで、証券取引所以外のところで値がついて、それでどんどんとやみ値で売れていくというようなことが猛烈に広がるのは、もう火を見るより明らかですね。それで、その内容がまた国会などへ報告されて、だれがどういう格好で割り当てを受けたんだ、あるいは入札したんだというようなことで、それはえらいことになりますな。だから、あなたは非常に悠長に、ある程度分布いたしませんととか、株主が広がりませんとというようなことを言っておりますけれども、そういう考え方でおりますと、これはBT以上にえらいことになるというように思いますよ。  大蔵大臣は、きょうは多少上場規程などを読み上げましたので、わからないことがすべてであるというような極めて謙虚な御答弁をされましたが、二月二十日のときには、おぼつかない私の質問に対しても、正森さんとほぼ同じ意見であるという意味のこともおっしゃっておられるわけですから、私以上に御造詣が深いことはもう間違いがないと思うのですね。私としては、やはり公正な、世間で認められる値段を一日も早く公的な場所で形成して、それに近い線で多少時間をかけて売っていく。私は、理財局長の所管であろうと思いますが、余り一遍に大きく売りますと、うまくいった場合はいいですけれども、過ちを犯した場合はもう取り返しがつかない。ぼつぼつ売っていけば、何年かたてば相当売ってもいいでしょうけれども、初めのうちはぼつぼつ売っていけば、たとえ値決めが多少まずかったなとか、いや何やらかにやらということがあっても、これはトライアル・アンド・エラーで被害も少ないということになるわけで、私は、できるだけ早く世間で認められる値段が形成されるように、そしてそれには東京証券取引所というような、せっかく株式売買のためにある組織をやはり活用していただきたいという希望を申し述べておきたい、こう思います。  大蔵大臣、何か仰せになりますか、もうよろしゅうございますか。――じゃ野尻さん、どうも失礼しました。お帰りください。
  221. 越智伊平

    ○越智委員長 どうもありがとうございました。
  222. 正森成二

    ○正森委員 それでは、次の問題に入らせていただきたいと思います。  時間がだんだんなくなってまいりましたので、省略しながら質問をいたしたいと思いますが、私は戦後の国債発行というものを考えますと、これは去年もたしか申し上げたかと思いますが、ほぼ十年ごとに大きな段階的変化を起こしておるというように言えると思います。  それで、まず政府短期証券あるいは短期国債と言う人もおりますが、戦後から今日までずっと発行されまして、特に二十年代では長期国横発行にかわるものとして大量に発行されました。そして、これは大蔵省証券として日銀引き受けでありました。その後約十年を経ました二十八年から政府保証債が発行されまして、三十年代には財政投融資の膨張によって大量の政府保証債が発行をされました。さらに十年たちました四十年に入りますと、長期国債が発行されることになりました。それから十年たった五十年からは国債が大量発行されまして、しかもその中には特例国債が加わるということになりました。さらに十年たちました昭和六十年には、これは赤字国債の借りかえとそれから短期国債ですね。しかも前倒しのものも発行してよろしいというようになってきたわけであります。これは、我が国の広い意味での政府証券というか国債というのが、十年ごとに大きな衣がえといいますか飛躍をしておるということも申しても差し支えがないのではないかと考えるわけであります。  なぜこういうぐあいに短期国債あるいは政府の短期証券というものが政府保証債になり、国債になり、そして特例国債になったかというようなことについての分析は、何人かの学者がやっておりますけれども、それを申し上げる時間はございませんので、全部省略させていただきたいと思います。  そこで、財投資金というか資金運用部資金、簡保資金それに政府保証債、いろいろございますが、その資金運用部の預託金について若干伺いたいと思います。  資金運用部の預託金というのは減少しているといいますか、額は非常に多いのですけれども、もっと欲しいと思われる理財局長のお心から比べれば、これは少ないのではないかという気がするわけですね。それで、その原因というのはどこにあると御認識でしょうか、伺いたいと思います。
  223. 宮本保孝

    ○宮本政府委員 今正森先生御指摘のとおりでございまして、資金運用部資金は主として郵便貯金と厚生年金、国民年金から成っております。郵便貯金は五十六年度に八兆九千億、これは当初ベースで申し上げますけれども、ふえたわけでございますが、順次七兆九千、七兆九千、六兆九千、そして今年度の財投計画では六兆四千ということで、これは減ってはいないのでございますが、ふえ方が鈍ってきているということでございます。  これは、一般に民間金融機関の預金についても言えることでございますけれども、我が国が成長が鈍ってまいりまして、名目成長率が鈍りますと結局金融資産の方の伸びも鈍ってくるということで、郵貯だけではございません、民間の金融機関もあわせまして預貯金の伸びがだんだん減ってきている。ただ、その中でも郵貯は比較的伸びがいい方でございます。いずれにいたしましても、全体の減る中で郵貯も減ってきているということでございます。  それから厚生年金、国民年金も、これは五十七年度の四兆三千億をピークにいたしまして四兆一千、三兆八千五百、ことしは去年よりは一千億ふえましたけれども三兆九千五百ということで、四兆三千から比べますれば増加額が減っている。これは、年金につきまして、かつてのように積立額がどんどんふえる時代とは変わってまいりまして、年金が成熟しましてだんだん受給者がふえてきまして、払い出し額の方がだんだん多くなってきているということです。ただ、もちろん今申し上げましたように三兆とか四兆の増加はしておりますけれども、その増加額の伸びがだんだん鈍ってきている、こういうことでございます。
  224. 正森成二

    ○正森委員 今宮本理財局長は主として郵貯と厚生年金、国民年金についておっしゃいましたが、財投資金があってほしいと思う額よりは少ないというのには、資金運用部預託金の減少という面からいいますと、今お述べになった以外の要因があるのではないかというのが私の考えてあります。それは何かというと、資金運用部というのは特別会計の積立金、特別会計の余裕金等国の資金を一元的に統合管理するわけですね。そうしますと、特別会計の積立金等の減少はそのまま資金運用部預託金の減少となる関係にあります。  そういう意味からいいますと、例えば昭和五十八年度の場合を例にとると、税外収入の増加のために外国為替資金特別会計から四千六百億円、補助貨幣回収準備資金から一兆六十四億円、自動車損害賠償責任再保険特別会計から二千五百六十億円、こういうものが取り崩される。あるいは今おっしゃいました厚生年金の国庫負担金の繰り入れ減額で二千四百二十一億円、国民年金の国庫負担金繰り入れの平準化三千百八十億円というような歳出削減が行われましたが、これはそっくり積立金が減少ということになる。あるいは国債整理基金は一般会計からの定率繰り入れが停止されているだけでなしに、基金自体が取り崩されているために、基金の残高というのがどんどん少なくなりまして、本年末には九千九百億になる。これはたしか五十五年末には三兆五千七百七十八億円あったはずであります。  こういうように資金運用部の預託金の減少というのは、ただに郵貯の伸びとかというだけでなしに、こういうぐあいに特別会計の積立金等の減少という面を否定することができないということで、その分だけ財政赤字は回避されたかもしれません、また国債規模は抑制されたかもしれませんが、財投原資が同額だけ減少して資金運用部資金が一般会計資金へと振りかえられたことになると言わざるを得ないと思うのですが、いかがですか。
  225. 宮本保孝

    ○宮本政府委員 そういう点もあろうかと思います。ただ私は、運用部の資金について今郵貯と年金だけを申し上げましたのは、去年の十二月末で見ましても、運用部のお金の中で郵貯が六一%を占めております。それから厚生年金と国民年金を入れまして約三〇%を占めております。今先生御指摘のその他特別会計分、これはその他預託金と言っておりますけれども、これは六・四%で、ウエートが若干少ないものでちょっと省略したのでございますが、いろいろな特別会計の中で今申し上げましたような事情がございまして、時々私どもにお預けいただいておいたものがなくなってしまうということはございます。ただ、これはいろいろな財政全体の要請の中で、割と単発的に生じているものでございまして、恒常的な要因ではないのではないかという感じがいたします。
  226. 正森成二

    ○正森委員 そのほかに財投資金を窮屈にしている理由として、一般会計予算編成上の措置が財投の運用面に与える影響というのはやはり考えてみる必要があると思うのですね。それは、国債の引き受けが最近とみに増加しておる。これは年々増加いたしまして、例えば去年は三兆六千億円だったのですけれども、ことしは借換債などがありますので、理財局長の論文を後で聞かせていただきますが、奮発して五兆円ということになっているのですね。それから、そのほかに地方財政対策関連の貸し付けがあります。これは政府資金をもつて貸し付ける。そのほかに特別会計貸し付け。これは五十九年からはなくなりますが、交付税の特別会計貸し付けというものがあります。こういうものに、減ってきている原資を――財政計画外のものもございますけれども、まず国債、それから地方交付税の特別会計、それから地方債、政府資金というようにやりますから、ただでさえないものが、よく御飯を食べる子供と同じようで、おまえにもやらなければいかぬ、おまえにもやらなければいかぬというようになってくれば、これは金が少なくなるという面が最近では相当大きなウエートを占めているのではないでしょうか。あるいはそれが本来の金の使い道であると言われれば、本来のことをやっておると言えるかもしれませんが、そういう面があることは否定できないのではないですか。
  227. 宮本保孝

    ○宮本政府委員 事実関係はまさに今先生御指摘のとおりでございます。ただ、私どもといたしましては、この運用部に預けられているお金というのは、国の信用制度を通じて集められている政府資金でございます。これを国と地方とそれから財投機関、この三つにバランスよく配分していくのが我々の務めだと思っておるわけであります。その場合に、国とか地方とか財投機関とか、毎年毎年の資金需要の実態でございますけれども、これを把握しながら配分しているわけでございます。  現在、資金循環は、先ほどちょっとお触れになりました日銀のマネーフロー表なんかをごらんいただきましても、特に国の、中央政府の資金不足が一番大きい、それから地方政府というようなことでございまして、やはり国の資金需要の強さを勘案いたしまして、今回国には五兆円を配分し、それからまた地方等におきましては、補助金等の問題もございまして資金需要がかなりあるものでございますから、約六割を政府資金で持つというようなこともいたしました。それから財投機関の方は財投機関で、臨調答申にもございますように、それぞれの資金需要の実態を厳しく見直しいたしまして、余り膨れて必要のない公共部門の資金の使い方は好ましくないことでございますので、それぞれの機関ごとに資金需要の実態を十分見きわめまして編成いたしておるわけでございまして、特に国債を優遇したとかなんとかということではございません。それぞれバランスよく配分することに心がけた結果、今回のような姿になったということでございます。
  228. 正森成二

    ○正森委員 しかし、それにもかかわらず、資金運用部の資金繰りは相当厳しくなっているのじゃないでしょうか。資金運用部の資金繰りがどの程度であるかを見る指標は、短期余裕資金の指標である短期証券の残高がどういうぐあいに推移しているかを見るのが一つのメルクマールだと思いますが、私の持っております資料では、例えば昭和五十年ごろは、ピークでは五兆円を上回っているというときがあったと思いますが、現在ではそれに比べるとはるかに減っているのじゃないでしょうか。ごく大まかなところでお答え願います。
  229. 宮本保孝

    ○宮本政府委員 これも御指摘のとおりでございまして、五十年度は短期証券の保有額は一兆二千億でございました。それから五十三年度がピークでございまして六兆九千億、それからだんだん減ってまいりまして、五十七年度が一兆一千億、それから五十九年度は三千八百億ということでかなり減ってきております。これは、実は運用部会計の収支がございまして、短期証券を保有することよりももう少し有利な運用をいたしまして、できるだけ安い金利で貸さなければいけませんから、運用部ももうけておかなくちゃいかぬということもございまして、短期証券に運用いたしますよりは、例えば現先等で長期国債を買わせてもらっているというようなこともございます。  ちなみにちょっと紹介いたしますと、五十三年度は先ほど申し上げました短期証券が一番多くて六兆九千億でございました。これはウエートにいたしまして九・四%を占めておったわけでございます。そのときに長期国債の方は四兆二千億で五・七%。ところが五十九年度で見ますと、先ほどの三千八百億というのはわずかに〇・三%、ところが長期国債の方は、これは新発債の引き受けもございますけれども、現先運用などをいたしておりますので二十九兆六千億でございまして、ウエートが一九・五%ということでございます。そんなこともございまして、短期証券の保有割合は減っているけれども、資金繰りが非常に窮迫しているわけではございません。
  230. 正森成二

    ○正森委員 ここで問題なのは、資金運用部資金が思うほどの額でない。しかもそれを、中央政府それから地方政府、財投機関というように一定の政策順位、優先度を決めて配分していくということになりますと、財投機関に対して配分すべき金がなくなってくるということになりまして、そこで出てくるのが政府保証債じゃないでしょうか。  私が手元の資料で対比して見ますと、これは横浜市立大学教授の原さんの「財政投融資原資の不足とその要因」という論文に出てくる資料でありますが、「国債保有額と政保債発行額との比較」という数字が出てくるのですね。それを見ますと、五十一年は資金運用部による国債保有額が一兆円に対して政府保証債の発行額が七千六百七十六億。以下ずっと上がってまいりまして、五十二年になりますと、資金運用部による国債保有が一兆円に対して保証債が一兆三千六百五十五億。五十四年は一兆五千億に対して一兆五千七百七十九億。五十七年は三兆五千億に対して二兆二千二百億。そして五十八年、五十九年と上がって、現在は――(「二兆九千億」と呼ぶ者あり)二兆九千億ですか、というようにずっと上がってきているわけですね。  それは大部分どこへ行っているかというので見てみますと、公営企業公庫に行っている額が一番多いですね。公営企業公庫は政府保証債を出してどうしているかというと、これは地方公共団体の資金需要を賄っておる。ということになりますと、本来ならば政府資金で地方債を引き受けたりあるいは地方自治体の財政不足を賄うものが、結局政府が出動できない、しているんだけれども比重は下がっておる、それをやはり地方公営企業が代位する、代位するのに政府保証債を出すという格好になっているのではないか。  そうだといたしますと、政府保証債というのは、いいですか、昭和三十年代というのは国債を発行していなかったのですね。そして、増大する資金需要に対して政府保証債を出して、それで賄っていた。昭和四十年代からはまさに財政が国債を発行した。政府保証債なら利息が要りますけれども、財政というのは、国債そのものは利息要りますよ、しかしその償還は租税でやるわけですから、政府保証債のようにもうけて返すというのと違うわけですね。国民の税金、ただの金ですから。ただの金と言ったら悪いですけれども、利息のつかない金です。そういうことになりましてどうなったかといいますと、それもここに資料がございます。多くは申しませんが、国債を発行しているために政府保証債は大体四千億円程度でずっと横ばいになるのですね、昭和四十年代は。ところが昭和五十年代に国債を発行しまして、それも余りふえていなかったのですけれども、国債の大量発行に伴って、建設国債は出すわ、赤字国債は出すわ、それでも足りないで政府保証債がどんどん出ていくということになっているのです。  もっと皮肉な言葉で言えば、一般会計で特例公債を減額すればその分は大体政府保証債がふえるということで、私は昔よく「少年倶楽部」なんかの漫画を読みましたが、「デコ坊が机の上を片づけりゃ次第に散らかる押し入れの中」、こういう川柳だか何だかわからないのがあるのですね。政府が特例公債減少すれば、次第にふえる政府保証債。こういうことで、結局何のことはない、一般会計で借りなければならないものをそちらの方ヘツケ回しをしておるということが言えるのじゃないですか。つまり、政府保証債は大量国債発行下の現在においては隠れたる準国債であると言ってもいいので、そういうことを財政の技術としてやっておる場合には、特例公債を何ぼ減少したとか申しましても、それはやむを得ないことで一生懸命おやりになっておるのでしょうけれども、政府債務全体から見ればこれは減少になっていないし、大いに考えなければいけないことではないかというように思うのです、後で宮本さんの論文を引用しながら申しますが。
  231. 宮本保孝

    ○宮本政府委員 この点につきましては、必ずしも今先生の御意見のような感じではないのでございますけれども、いわゆる政府保証債につきまして、今御指摘のように公営公庫が一兆一千億円で一番大きいわけでございます。そのほか国鉄とか道路とか鉄建とか公共事業団体が発行しているわけでございますが、財投機関といいましても安易に政府資金に依存するのはやはり好ましくない。これは臨調答申の中にも出ておるのでございますが、やはり民間資金を活用しながら自己努力でもってやるべきだという考え方が一方にあるわけでございます。そんなこともございまして、先ほどの、税金で賄わないで、事業をやってもうけて賄っていくというふうなものにふさわしい事業団体については、一部政府保証債でもミックスさせまして自己努力を期待するというようなことで、政府保証債を発行してまいったわけでございます。  ただ一方、国債は出すわ、地方債は出すわ、さらに政府保証債も出していくというようなことになりますと、民間資金のクラウドアウトという問題も出てまいりかねません。それから財投機関にとりましては、資金コストが一般的に言えば政府資金よりも高いわけでございますから、コスト高になるという面もございます。それから、政府保証債は国債よりは魅力がないといいますか、売れ行きが悪い面もございます。いろいろなことがございまして、政府保証債にそうそう頼るわけにもいかないというようなこともございまして、五十年代に財投資金が減ってまいりますのに応じて政府保証債をふやしてまいりましたけれども、ことしはもうこれ以上ふやしてはいけないということで前年同額にとどめておるわけでございます。そういうこともございまして、今後そうそうそんなにふやしていくわけにはいかないのではないかというように考えております。
  232. 正森成二

    ○正森委員 それに関連して一問聞いておきますが、例えば地方公営公庫というのは政府保証債に依存する割合が非常に高いわけですが、そうしますと、経営困難を来して、調達コストが約八%ぐらいなのに、融資の大半が政府資金並みの七・二%ぐらいで抑えられているために逆ざや状態になり、その補てん財源が公営競技の納付金だとか一般会計の補給金というものによっておるというような事態があり、これは財投機関全般について多かれ少なかれ言えることであるということでその対策が非常に望まれているのですけれども、そういう事実はよく御存じだと思いますが、いかがお考えですか。
  233. 宮本保孝

    ○宮本政府委員 公営公庫の場合には、公営公庫の設立の趣旨からいいまして、普通ならば三千三百ございます各地方団体が、市中消化によりましてみずから地方債を発行して資金調達をするのが原則であるけれども、小さな市町村になりますとその能力がないということで、そこで公営公庫をつくりまして一括して発行いたしまして、それを市町村に配る、そういう機能を果たしているわけでございます。したがって、そういう意味で、当初から民間から市中消化によって資金を調達しようというふうなことでできておるわけでございますから、これについて政保債を認めていくことは設立の趣旨からいって当然じゃないかと思います。  ただ、今御指摘のように、最近はかなり長期金利が下がってまいりまして、場合によっては財投金利よりも国債が低いわけでございます。それから政保債もあるいは低くなっているかもしれません。そんなこともございましてコストが低くなっておりますけれども、一般的に言いますと、今御指摘のとおり、政府保証債の方が政府資金よりはコストが高いということ、したがって、公営公庫につきましては補給金であるとかあるいは公営競技の納付金でもって措置しているということでございます。これは今一般的に財投機関の全体の姿といたしまして、調達コストと運用の利回りがやや利差が狭まってまいりまして、公営公庫以外にもいろいろな政府関係金融機関等に補給金を出さざるを得なくなってきておりまして、これが私どもにとりましては非常に大きな問題になってきているということでございます。
  234. 正森成二

    ○正森委員 時間がもうございませんで皆さん御迷惑でしょうから、最後に、ここに六十年二月十八日の「金融財政事情」を持ってまいりましたが、「短国と前倒し発行で大量借換えに対応する 大蔵省理財局長宮本保孝」というように、にこやかな、なかなかいい写真でありますが、その論文が載っております。私も拳々服膺、二、三回読ましていただきました。どういうような考え方で財投計画をつくったかということがよくわかりますし、理解に非常に役立ったということをお礼申し上げたいと思います。  それで、わずか六枚くらいの論文ですけれども、内容はなかなか豊富でございまして、本当はこれだけで少なくとも三十分くらいは伺いたいと思っておったのですが、時間がございませんので、前の方は全部省略しまして、いきなり終わりの方を聞かしていただきますが、短期国債を出さざるを得ないわけですね。それで、これについてはいろいろ意見がございまして、またの機会に質問さしていただきますが、短期国債というのは公募入札するのだから金利自由な商品ですね。お書きになっているとおりです。それで短期国債の商品設計をどうするかということで、規制金利の既存の金融商品に大きな影響を与えかねないのですね。例えば発行時期はどうするかとか、あるいは期間をどうするかとか、あるいは割引にするのか利付にするのかとか、発行単位をどれくらいにするのかとか、あるいは短期の国債市場を育成していく方がいいから、ぽつぽつでも恒常的に発行するのか、あるいは金利の高いところはこれでつないで、低いときは十年物とか、あるいは今あるのかないのかちょっと忘れましたが、六年ないし八年物とかいうので泳いでいくとかいうようないろいろな考え方があります。宮本さんが終わりの方で一括して書いておられますね。これについて、確かにここにはある程度書いておられるのですが、それ以後数カ月たっておりますので、お考えをお聞かせ願いたいと思います。
  235. 宮本保孝

    ○宮本政府委員 短期国債の商品設計につきましては、法律を成立さしていただきました後、また関係者等とも十分相談しながら決めていきたいと思っておりますが、やや具体的にちょっと申し上げてみたいと思います。  発行方法と発行金利は、先ほど御指摘のように公募入札でやるつもりでございますから、当然その発行時の市場実勢を反映した自由な金利になるだろう。それから期間につきましては、短期の借換債発行時以降におきます国債の満期到来の見込みをまず勘案しなければいけない。それから、短期の借換債の償還が中長期債の償還月と重ならないようにしなければいけないという問題。あるいは国債整理基金の資金繰りでございますが、これも円滑になるようにしなければいけないというようなことがあるわけでございます。こんなことを考えながら決めていかざるを得ませんが、同時に発行時の金融情勢を踏まえまして、その時点におきます市場のニーズにこたえまして、最も有利に発行し得る期間を我々としても選択する必要があるんじゃなかろうか。それから、先ほど御指摘の規制金利商品であります各種の定期預金や割引金融債であるとか、あるいは自由金利商品であるCDとかMMCとかいうものの競合にも配意して考えなくてはいけないだろうということが言えると思います。  それから最低券面でございますけれども、これは短期の借換債が市場から見ますれば自由金利商品としての性格を持つことになりますので、預貯金等既存の規制金利商品からの急激な資金シフトを招かないように配慮する必要があります。またCDとかMMC、これは今CDが一億円、MMCが五千万でございます。こういうような自由金利商品が金利自由化の進展とともにどういう単位になっていくのかというふうな点もございますし、こういう状況も踏まえる必要がある。あるいは金融市場におきます他の短期金融商品の取引単位ですね。仮に券面が幾らでも一回の取引が大体どのくらいで行われているのか、そういうふうなものも考慮して決める必要があるんじゃないかということも問題点でございます。あるいは利付か割引かという点も非常に大きい問題でございまして、これは想定される主たる投資家層のニーズを踏まえまして、所要資金の円滑な消化を図りますとともに、これは課税の公平とかあるいは税体系全体の整合を図っていく必要があるわけでございます。そういうような見地から、税制上の取り扱いをどうすべきかということとも関連して、総合的に検討して主税当局とも話し合いをしていかなきゃいかぬのじゃないかというふうなことでございまして、いずれにいたしましても、こういう具体的細目につきましては法案の成立後幅広く研究さしていただきたい、こう思っております。
  236. 正森成二

    ○正森委員 最後の質問にいたします。  私は、住友銀行の「経済月報 一九八四年九・十月号 借換債時代の国債管理政策」というのをここに持ってきておりますが、これは銀行ですから、短期国債に非常に脅威を感じて、自分の立場を正当化しようという見地もあるやにうかがわれる論文ではありますが、これが書いておりますのは、短期国債というのは国債整理基金の歳入歳出外で出せるわけですね。まあ極端にいえば、十兆円だといいましても、三カ月の単位でもしそれを転がしてはかりいるということになれば、理論的には四十兆円出せるわけですよ。だから短期国債においても大変な額になる可能性があるわけですね。この住友の試算では、借換債の発行額の一割を一年で出していく、それはやはり短期債で借りかえるというような前提を置いて論じておりまして、それでも昭和七十年度には、この年に出す短期借換債の一・七倍、二十一兆六千億円の一・七倍の三十六兆二千億円になるという試算をしておるのですね。つまり、一割一割でずっといくということになりますと、短期ですから、それが累積してくるという試算をしておるのです。もしそういうようになりますと、これは公募入札で自由金利だといいましても、なかなか消化し切れないということになりまして、よもや日銀引き受けはないにしても、日銀の買いオペを要請するとか、いろいろな問題が要請されざるを得ないのじゃないかということも、別の銀行の研究で、三井銀行ですが、一部出ておるのですね。  こういう問題についてどうお考えになるか伺いまして、三時間のうちのとりあえず二時間というお話だそうでございますから、あと一時間ありましても終わるかどうかと思っておりましたが、ともかく一時間あるということはありがたいことでありますので、時間になりましたので、これできょうの質問を終わらせていただきます。
  237. 宮本保孝

    ○宮本政府委員 今度出します短期の借換債と申しますのは、発行額が償還額の範囲内に限られまして、かつまた年度中に償還されてしまうわけでございますから、したがいましてこういう歯どめがあるわけでございまして、年度を通じて見ますれば、新たにその歳入額がふえるわけではございません。その点が一つと、それから、私どもはやはり国庫負担を最小にするために短期国債を出すわけでございます。  それからもう一つ、やはり発行当局といたしましてはできるだけ低利、長期の安定的な資金で調達しておきたいわけでございますから、火の車のような短期国債をぐるぐる回しながら調達するようなことは、私どもとしてはとても考えられませんので、そういうふうな銀行の御心配は当たらないと思います。
  238. 正森成二

    ○正森委員 終わります。どうもえらい遅くまでありがとうごさいました。
  239. 越智伊平

    ○越智委員長 次回は、明二十三日木曜日午前九時五十分理事会、午前十時委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。     午後七時四分散会