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1982-02-05 第96回国会 衆議院 予算委員会 6号 公式Web版

  1. 昭和五十七年二月五日(金曜日)     午前十時二分開議  出席委員    委員長 栗原 祐幸君    理事 江藤 隆美君 理事 越智 通雄君   理事 小宮山重四郎君 理事 堀内 光雄君    理事 三原 朝雄君 理事 阿部 助哉君    理事 藤田 高敏君 理事 坂井 弘一君    理事 大内 啓伍君       宇野 宗佑君    上村千一郎君       小渕 恵三君    大村 襄治君       奧野 誠亮君    海部 俊樹君       鴨田利太郎君    金子 一平君       後藤田正晴君    高村 正彦君       塩川正十郎君    澁谷 直藏君       正示啓次郎君    砂田 重民君       瀬戸山三男君    根本龍太郎君       橋本龍太郎君    原田  憲君       藤尾 正行君    藤田 義光君       武藤 嘉文君    村山 達雄君       渡辺 栄一君    石橋 政嗣君       稲葉 誠一君    大出  俊君       岡田 利春君    木島喜兵衞君       野坂 浩賢君    山田 耻目君       横路 孝弘君    草川 昭三君       正木 良明君    木下敬之助君       竹本 孫一君    金子 満広君       瀬崎 博義君    東中 光雄君       蓑輪 幸代君    中馬 弘毅君  出席国務大臣         内閣総理大臣  鈴木 善幸君         法 務 大 臣 坂田 道太君         外 務 大 臣 櫻内 義雄君         大 蔵 大 臣 渡辺美智雄君         文 部 大 臣 小川 平二君         厚 生 大 臣 森下 元晴君         農林水産大臣  田澤 吉郎君         通商産業大臣  安倍晋太郎君         運 輸 大 臣 小坂徳三郎君         郵 政 大 臣 箕輪  登君         労 働 大 臣 初村滝一郎君         建 設 大 臣 始関 伊平君         自 治 大 臣         国家公安委員会         委員長     世耕 政隆君         国 務 大 臣         (内閣官房長         官)      宮澤 喜一君         国 務 大 臣         (総理府総務長         官)         (沖縄開発庁長         官)      田邉 國男君         国 務 大 臣         (行政管理庁長         官)      中曽根康弘君         国 務 大 臣         (防衛庁長官) 伊藤宗一郎君         国 務 大 臣         (経済企画庁長         官)      河本 敏夫君         国 務 大 臣         (科学技術庁長         官)      中川 一郎君         国 務 大 臣         (環境庁長官) 原 文兵衞君         国 務 大 臣         (国土庁長官)         (北海道開発庁         長官)     松野 幸泰君  出席政府委員         内閣法制局長官 角田禮次郎君         内閣法制局第一         部長      味村  治君         行政管理庁行政         管理局長    佐倉  尚君         防衛庁参事官  新井 弘一君         防衛庁参事官  上野 隆史君         防衛庁参事官  冨田  泉君         防衛庁防衛局長 塩田  章君         防衛庁経理局長 矢崎 新二君         防衛庁装備局長 和田  裕君         防衛施設庁総務         部長      森山  武君         経済企画庁調整         局長      井川  博君         経済企画庁総合         計画部長    谷村 昭一君         経済企画庁調査         局長      田中誠一郎君         環境庁長官官房         長       山崎  圭君         環境庁企画調整         局長      清水  汪君         国土庁長官官房         会計課長    中村 博英君         国土庁土地局長 小笠原正男君         外務省北米局長 淺尾新一郎君         外務省条約局長 栗山 尚一君         大蔵大臣官房審         議官      水野  繁君         大蔵省主計局長 松下 康雄君         大蔵省主税局長 福田 幸弘君         大蔵省理財局長 吉本  宏君         大蔵省銀行局長 宮本 保孝君         文部省管理局長 柳川 覺治君         厚生大臣官房総         務審議官    正木  馨君         厚生省保険局長 大和田 潔君         厚生省年金局長 山口新一郎君         農林水産大臣官         房長      角道 謙一君         通商産業大臣官         房審議官    植田 守昭君         通商産業省通商         政策局長    若杉 和夫君         通商産業省貿易         局長      中澤 忠義君         通商産業省基礎         産業局長    真野  温君         通商産業省生活         産業局長    志賀  学君         中小企業庁長官 勝谷  保君         運輸省航空局長 松井 和治君         郵政省電波監理         局長      田中眞三郎君         建設大臣官房長 丸山 良仁君         建設省計画局長 吉田 公二君         建設省都市局長 加瀬 正蔵君         建設省河川局長 川本 正知君         建設省住宅局長 豊蔵  一君         自治省税務局長 関根 則之君  委員外の出席者         予算委員会調査         室長      三樹 秀夫君     ――――――――――――― 委員の異動 二月五日  辞任         補欠選任   藤本 孝雄君     高村 正彦君   渡辺 栄一君     鴨田利太郎君   山原健二郎君     東中 光雄君 同日  辞任         補欠選任   鴨田利太郎君     渡辺 栄一君   高村 正彦君     藤本 孝雄君   東中 光雄君     蓑輪 幸代君     ――――――――――――― 本日の会議に付した案件  昭和五十七年度一般会計予算  昭和五十七年度特別会計予算  昭和五十七年度政府関係機関予算      ――――◇―――――
  2. 栗原祐幸

    ○栗原委員長 これより会議を開きます。  昭和五十七年度一般会計予算、昭和五十七年度特別会計予算、昭和五十七年度政府関係機関予算、以上三案を一括して議題とし、総括質疑を行います。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。大出俊君。
  3. 大出俊

    ○大出委員 理事会の決定に従いまして、政府から回答がございますまで、私の残る質問時間を留保させていただきます。
  4. 栗原祐幸

    ○栗原委員長 それでは、大出君の保留分の質疑は後刻行うことといたします。  次に、正木良明君。
  5. 正木良明

    ○正木委員 おはようございます。  きょうは、経済問題について若干質問をいたします。  御承知のように、いま非常に景気が低迷いたしておりまして、中小企業の倒産も史上三番目というような重大な状況になってきております。同時にまた、そのことが税収の減少に直ちにつながっておりまして、昭和五十六年度の税収減というものが補正予算の補正を上回るような税収減になるおそれがあるというようなことも言われておりますし、同時に、そのことはまた、来るべき五十七年度の税収にも大きな関係が生じてくるであろうというふうに思います。  そういう点から申し上げますと、財政再建という大きな命題のもとで、非常に困難な状況が予想されるということになるわけでございます。これは政府の責任だからうっちゃっておけばいいという性質のものではございませんで、少なくともわれわれ野党を支持してくれた国民の皆さん方も、そのことではやはりお困りになっているわけでありますから、むしろこれは、国民のために、日本国のために、この問題は皆さん方と議論しながら、よりよい方向へ持っていくということでなければならないと考えるわけであります。したがいまして、私は、総理ほか閣僚の皆さん方に、真剣にしかもまじめに提案する問題が幾つかございますので、それはできるだけひとつ謙虚に受けとめていただいて、ともどもに将来明るい展望が開けるような状況にしていただくように、冒頭お願いを申し上げておきます。  そういう意味から申しますと、財政再建について総理が、昭和五十九年度赤字国債ゼロという一つの大きな命題、これに対して不退転の決意というか背水の陣をしかれたことは、ある意味においては非常に評価できることであると思うのです。しかし、非常に困難な道であろうと思います。したがいまして、そのことは五十九年度まで待てばいい問題ではなくて、もうこの昭和五十七年度予算から順当なものに発展させていかなければならないという意味において、そのためにやはり昭和五十六年度の状況というものが非常に大きな教訓になるだろう。昭和五十六年度は、非常に物価が安定しているから恐らく景気の状況も好転するであろうというふうに、昨年のこの予算委員会で同じく私の質問に対してお答えになったはずであります。ところが、確かに物価は安定をいたしておりますが、経済成長は非常に当初の期待を外れることが大きかった。これはなぜだろうという点でございます。その点ひとつ質問をしてみたいと思うのです。  それで、昭和五十四年度というのは、いわゆる第二次石油ショックの後、第一次石油ショックで日本の経済はさま変わりをいたしましたが、第二次石油ショック後もまた大きなさま変わりをいたしておるわけでございまして、そういう点、昭和五十四年度と五十六年度と比べてみるというのは決して悪いことではないだろうというふうに考えます。  実は昭和五十四年度は、名目成長率は非常に低かったわけでありますけれども、税収は非常に好調であったわけです。五十四年度消費者物価の上昇率は四・八%でございまして、昭和五十六年度、まだ最終的なものは出ておりませんが、政府の実績見込みで四・五%、ほぼ同じであります。そして名目成長率、いわゆる名目GNPは五十四年度は七・四%、そして五十六年度、これは見込みでございますが、七%でほとんど変わっておりません。ところが税収は、これは決算額で、五十四年度が、政府の予算見込みを、率で言うと一〇…四%、額で言いますと二兆二千四百二十五億円上回りました。五十六年度はまだわかりませんが、この予算見込みでまいりますと、これよりまだ落ち込むと言われているのですが、予算見込みでまいりましても、率で言うとマイナス一・四%、額で四千五百二十四億円下回るという不調さです。  対前年度決算額に対する決算額で税収の伸び率を見てまいりますと、昭和五十四年度は二一・一%の伸び、五十六年度は、先ほど申し上げたように補正見込みがさらに下回る可能性があるのでございますが、この補正見込みでまいりますと一八・四%の伸びでございます。しかし、年度当初の税制改正による増税額がございますので、初年度分がございますので、五十四年度四千三百四十億円、五十六年度一兆三千九百六十億円を差し引いて計算いたしますと、五十四年度は一八・九%、五十六年度は一三・二%の伸びになりまして、この差の五・七%は、名目成長率の〇・四%を大幅に上回っているのであります。  これほど税収が悪いということになっておるわけでございますが、この五十四年度分は、主税局はおかしいと思われるかもわかりませんが、これは法人税の年度区分の変更によって五十三年度が十三カ月税収になったために、これを十二カ月分に調整をいたしております。  この私の指摘について、大蔵大臣どうですか、間違っていますか。
  6. 福田幸弘

    ○福田(幸)政府委員 お答えいたします。  数字のチェックをやっておりませんので、間違っておりましたらまた訂正いたしますが、私の方の数字で申しますと、五十四年度はGNPの伸びが七・四でございます。それで、税制改正調整後の伸び率で申しますと一四・四でございまして、五十六年度は七・〇で伸びは一三・四ということになっております。
  7. 正木良明

    ○正木委員 だから、大きな違いがあることはおわかりになったと思いますね。  こういうふうに見てまいりますと、物価安定が税収不足につながってくるという答弁が何遍かことしのこの予算委員会で行われておるのです。私も承っておりまして、ちょっと危険な発言を総理はなさったなと思っておったのですけれども、物価が安定し過ぎましたから税収が少なくなったということをおっしゃったのです。これは非常に危険な言い方で、物価が安定し過ぎたらいかぬのか、そうすると物価は安定しない方がいいのかということの反論になるわけで、そんな揚げ足取りはやりませんけれども、名目成長率が下がったら、それに伴う租税弾性値から、一般的な理論としては理解はできるんだけれども、やはり政府の経済運営がまずかったために税収減になったということでなければならぬのです。これはおいおい申し上げていきます。  これはまさに内需の不振であります。これを、実質経済成長率に対する寄与度を、内需と外需に分けて、五十四年度と五十六年度を比較いたしますと、五十四年度は五・三%の成長に対して内需は四・七%、外需は〇・六%、これを百分率で申しますと、内需が八八・七%に対して外需が一一・三%、五十六年度は、これも見込みですが、四・一%の成長に対して内需が一・五%で外需が二・六%、百分率で言うと三六・六対六三・四です。明らかに内需と外需のさま変わりがあるのです。いや、だから内需を振興しようと言っているんじゃないか、そんなことはわかっておるよというふうにお考えになっておるかもわかりませんが、ただ内需の振興と言っても、いわゆる国内需要をふやしていくと言っても、かけ声だけではどうにもならぬわけでございまして、そういう点では非常に重要な問題がこの中に含んでいると思うのです。  内需の項目というのは、個人消費、住宅投資、設備投資、在庫投資等が考えられるわけでございますが、名目で言いますと、個人消費において五十四年度は九・二%の伸び、五十六年度は六・四%の伸び、住宅投資に至っては、五十四年度は名目一二・五%の伸び、五十六年度は二・四%の伸び、設備投資は、五十四年度一四・九%に対して五十六年度四・九%、在庫投資は、五十四年度一一六・二%に対して五十六年度マイナス四一・三%です。  これらの点で、内需というものが、国内需要を高めていくということが、名目成長に与える影響は仮に少なくても、税収に対してはいかに大きな影響力を持っておるかということがおわかりになっていただけると思うのですが、経済企画庁長官どうですか。
  8. 河本敏夫

    ○河本国務大臣 経済には波がございまして、表面に出てくる数字が同じでございましても、勢いが非常にいいときには税収等もふえますし、勢いが非常に弱いときには税収が減る、こういうことが一概に言えようかと思います。  第二次石油危機は五十四年の初めから起こったのでございますが、第一次危機と違いまして五十四年、五十六年とじわじわ進んでまいりました。また、五十四年の経済というものは非常に勢いがよかった、こう思っております。  いま内需のお話が出ましたが、内需四・七という数字をお示しになりましたけれども、そのように全体としての内需の勢いがよかったものですから、たとえば公共事業などは前年据え置きになっておりましたけれども、しかしこれを数%繰り延べしよう、これだけ勢いのいいときに公共事業を全部消化する必要はないということで、年度の後半、数%わざわざ公共事業を繰り延べすることができるくらい内需全体の力が強かった、こう思っております。  その後、第二次石油危機の悪い影響が非常に厳しく出てまいりまして、一昨年の夏ごろから相当経済全体の足を引っ張っております。したがいまして、表面に出てきております数字はやや似通っておりますけれども、五十四年と五十六年の経済の勢いは相当違っておる、そこに税収その他の違いが出ておるのではなかろうか、こう判断をいたしております。
  9. 正木良明

    ○正木委員 確かに、そういう性質はやはり経済というものは持っていますからね。だからこそ生き物と言われるのでありましょう。  それで、実は昨年、昭和五十六年度の予算審議の際に、要するに、物価が安定すれば恐らく個人消費は伸びるでありましょう、物価が安定すれば民間住宅建設も進むでありましょう、したがって在庫調整も進むでありましょう、在庫調整が進めば従来の経済のパターンから言って在庫投資がふえてくるでありましょう、設備投資もふえてまいりましょう。要するに、物価が安定しているということが昭和五十六年度経済にとっては非常に重要な要素であるという説明を盛んになさったのです。私はこのことは決して間違っていないと思います。少なくとも予測の上からは間違っていなかっただろうと思いますが、その物価安定が、まあ総理の言葉をかりて言えば、安定し過ぎるぐらい安定したというような状況で、それじゃ五十六年度内需が伸びなかった理由はどういうふうにお考えになっていますか。
  10. 河本敏夫

    ○河本国務大臣 五十六年度に内需が伸びなかった最大の背景は、やはり可処分所得の伸び悩み、ここにあると思います。そのために消費が停滞をしておりますし、それから住宅投資の伸びも非常に少ない。それから、住宅と消費には中小企業関係が非常に多いものですから、中小企業の状態はよくない。たとえば投資なども、当初考えておりましたよりも中小企業の投資は全体として三兆ぐらい減っておるのでなかろうか、こういう感じがいたします。収益全体がよくないものですから、そこで働いておる三千六百万の人たちの給与も悪い。こういう状態で、つまり、この可処分所得の伸び悩みということが、内需にとりまして三重苦のような状態になっておるというのがその背景でなかろうかと思います。
  11. 正木良明

    ○正木委員 非常に率直な御意見だと思うのです。  そこで、それじゃ五十七年度可処分所得の増加ということが見込めますか。
  12. 河本敏夫

    ○河本国務大臣 五十六年度は、実は政府は、当初雇用者所得の増加はもう少し大きいのではないか、こう思っておりました。それが当初政府の予想よりも非常に低い水準になりましたのは、先ほども申し上げましたように、中小企業の給与関係が非常に悪い、それと景気の回復がおくれておりますために、所定外給与、ボーナスとか残業、こういうものの伸びが非常に低い、ここにあったと思います。  しかし、五十七年度の経済につきましては、政府は、いまのところやや停滞ぎみでありますけれども、在庫調整もようやく終了した、こういう段階でもございますし、第二次石油危機が起こりましてから三年目を迎えまして、世界全体の経済も後半よくなるであろう、こういう見通しも非常に強くなってきておりますし、わが国の経済も後半ある程度回復に向かうであろう、このように考えておりますので、雇用者所得もある程度五十六年の実績に比べましては伸びるであろう、このようにいま考えております。それが消費に若干影響する、こう思っております。  ただ、住宅につきましては、住宅の価格が急に下がることはありませんし、所得が、いまの住宅を自由に買えるようなそういう所得の増加は直ちに期待できませんので、幾つかの積極的な対策が必要だ、このようにいま考えておりまして、住宅金融政策とかあるいは土地政策あるいは中古住宅の建てかえ政策とか、そういう面で非常に積極的な対策を総合的に進めておりますので、こういう政策を軸にいたしましてある程度好転をするであろう、このように考えております。  そのようになりますと、中小企業も五十六年度のような状態ではない、ある程度回復に向かうのではなかろうか、このように判断をいたしておりますが、しかし何分にも、いま経済が、わが国の経済も激動期でございますが、何しろその背景の世界経済全体が非常に激しく動いておりますので、経済の変化に即応いたしまして、機敏で適切な経済政策がその都度必要でなかろうか、このように考えております。
  13. 正木良明

    ○正木委員 それはそれなりによくわかります。  そこで、これは経済企画庁長官なのか労働大臣かよくわかりませんが、少なくとも、五十七年度の経済見通しの中で雇用者所得は六・九%の伸びを見込んでいますね。では果たして六・九%の伸びが確保できるかどうか、そうなってくるとこれが一つの焦点なんです。やはり不景気でだめでしたと、もう一度五十七年度の結果について言わなければならぬようなことがあってはならぬわけであります。ところが、情勢は非常に厳しゅうございまして、労働四団体等この春闘のベースアップは高いところで一二%、低いところで八%、八%から一二%、大分差の開きがありますけれども、それぐらいの要求をしておる。それは雇用者所得六・九%を上回ったものでございますが、ところが経団連あたりから言わせますと、要するに、生産性向上の範囲内である四・四%という説がもうすでに出ているわけです。  そうすると、物価がこのままずっと安定していくのは非常に好ましいことでありますが、そういう状況の中で、仮に大手の労働組合が最低の八%を取ったとしても一、賃上げが実現されたとしても、いままでの実績から見て、中小企業、零細企業におけるところの賃上げ率というのはその半分でありますから、六・九%いくのかどうか、これは非常に困難であろうというふうに考えるわけで、四・四%だというふうに言っている経営者側が八%の賃上げを認めるかどうか、これは恐らく非常に困難であろうというふうにも客観的に言われるわけでございますが、その点の見通しというか自信というか、これは企画庁長官ですかな。
  14. 河本敏夫

    ○河本国務大臣 調整局長から説明いたさせます。
  15. 井川博

    ○井川政府委員 先ほど企画庁長官が申し上げましたように、経済全体の回復の度合いはきわめて緩やかではございますけれども、在庫調整はほぼ完了したというのが一般の考え方でございますし、われわれ経済企画庁といたしましても、七―九月のGNP統計で、ここ数期在庫がずっとマイナスで来ておりましたのが、二・四プラスという情勢になっております。したがいまして、これが底を打ちますと、生産は徐々にではございますがプラスになっていく。現に鉱工業生産の指数も、まだそうきらびやかなものではございませんけれども、期を追うに従いまして上昇の傾向をたどっております。すでに御存じだと思いますけれども、たとえば四―六月期の鉱工業生産前年同期比が〇・八と非常に低いものでございましたが、七―九月期が四・五、十―十二月が五・七、したがいまして、鉱工業生産は逐次対前年比も上がってまいっておるわけでございます。  こういう情勢の中に、経済企画庁長官が申し上げましたような経済政策等もあって景気が明るくなってまいりますと、やはり一人当たり雇用者所得の伸びというのを上がりカーブで見ていいのではないか。春闘の問題と一人当たり雇用者所得、後から分析をいたしておりますと、経済が上がりカーブのときには、どちらかといいますと春闘の数字よりも一人当たり雇用者所得が高目に出てくる。下がり力ーブのときは、春闘の数値よりは一人当たり雇用者所得が低目に出てくる。ことしの、五十六年あたりもまさに下がりカーブというような時期でございますが、来年につきましてはそういう見方をしていいのじゃないだろうか、こういう考え方を持っております。ただし、一人当たり雇用者所得の六・二%と六・九%、この数値は別に春闘というものを対象にしたものではございません。毎回御説明申し上げておりますように、春闘は雇用者所得の中の大体半分を対象にしておりますけれども、そのほかに、たとえば時間外手当の問題であるとか、あるいはいわゆるボーナス等々もございまして、これがさらに上がりカーブになりますと、予想以上の伸びを示すというふうなことになりますので、今年度の六・二に対しまして来年度の六・九という一人当たり雇用者所得は実現可能ではないかというふうに考えているわけでございます。
  16. 正木良明

    ○正木委員 確かに、おっしゃったとおり、在庫調整は一巡しただろうと思います。しかし問題は、従来の経済原則というか経済的な常識からいいますと、在庫調整が終われば在庫投資が始まってくるわけですね。調整局長おっしゃったとおり、生産が上がってくるということになるのだけれども、いま余りにも前途が不透明なものですから、しかも不透明といっても明るい方向へ向かっている不透明じゃなくて、暗い方向へ向かっているような不透明さというものをやはりいろいろなところで肌で感じているのが実情でありまして、そういう意味では、的確に、中小企業なら中小企業に、何らかのプラスの現象がわれわれの方面にもやってくるだろうと思わせるためには、明るい見通しというものをはっきりと与えていかなければ、従来のような進み方で在庫投資は進んでこないだろうというふうに私は考えているのです。したがって、この点が、経済は生き物であるがゆえに、明るい見通しというものをどれだけ国民の皆さん方に与えていくかどうかということが政府の一つの大きな仕事だろうと思う。これはこれで一応横におきます。  もう一つは、これは閣僚の皆さん方からも何回にもわたってこの予算委員会でも御発言があるように、国際的な経済摩擦、日本を中心とするところの対米、対ECの経済摩擦が非常に大きな問題になっている。そうして、そのための要求というものがやはりアメリカから、ECから日本に対して行われてきておりますね。要するに、こういう貿易摩擦というものをできるだけ緩やかにしていくために国内需要の振興が必要で、できるだけ輸出ドライブのかからないように、集中豪雨的な輸出のないように国内消費というものをどんどん上げていこう、僕はこの議論は正しいだろうと思う。  私から申し上げてしまいますが、私は、そういう国際的な摩擦を解消といっても、ゼロにはならぬだろうと思いますが、できるだけ緩やかにしていかなければならぬだろうし、そういう政策が用意され、その政策実行というものがなければ、今度のサミットで総理、お気の毒な結果になると思う。これは恐らく集中攻撃を受けるだろう。そうすると、考えられることは、私は素人中の素人でありますが、まず第一に、要求が来ていることは関税障壁の問題、それから非関税障壁の問題、これを撤廃するないしはそれを緩和するということをしなければいかぬでしょうね。ほとんど残っていないと思うけれども、輸出奨励のための国の助成というものについて検討しなければいかぬでしょうね。三つ目は、国内景気をよくするためにというのは、これは常套手段としては、金融の面からいうと公定歩合の引き下げですよ。これらの問題、そのほかに個人消費だとか住宅建設だとか設備投資だとか、いわゆる内需拡大の項目が幾つかあって、それに努力するということも入るでしょうが、そこで、どうなんですか、残存輸入制限品目というのがまだ残っていますね。これは農林大臣かな。ほとんど農畜産物が多いようですが、これはどうします。
  17. 田澤吉郎

    ○田澤国務大臣 いま農林水産省では、国民の需要の動向に応じて農業生産の再編成あるいは農業生産性の向上を図って、活力のある農林水産業というものをつくろうとして努力をいたしているわけでございまして、そのために政策転換をやっております。たとえば……(正木委員「時間がないからいいです。要するに撤廃できるのかどうかということだけ言ってもらえばいいです」と呼ぶ)わかりました。ですから、これについてはその点を御説明申し上げたいと思いまして、ちょっと時間をかしていただけませんでしょうか。  そこで、いま私たちは米過剰解消という意味で水田利用再編対策を進めております。これは五十八年まで二期対策を進めているわけでございますが、これは緊急避難的なものじゃなくして、集団的にやはり定着させなければならないということで、いま転作作物を選択をして農家、農民にこれをお願いしている、こういう段階に、いま対外経済摩擦問題というのは農家、農民には非常に大きな関心でございます。また不安でもあるわけでございます。そういう中で、私たちはいま関税の引き下げ、それから非関税障壁の解消を進めたわけでございまして、これも大変な仕事なんでございます。  そこで私たちは、アメリカあるいはECに対して日本の農林水産業の状況をできるだけ説明をし、また輸入拡大に対する努力をも理解していただいて、そうして環境をできるだけいい状態にしたい。もちろん政府全体としては、先ほど正木委員からお話のありましたように、内需を拡大して、輸出ドライブのかからない経済体制をつくるということが基本でございますけれども、そういう環境を整備することによって――いま農林水産業に一番打撃を与えるものは残存輸入制限品目なんです。やはり農業は自然を相手の産業でございますだけにその影響は非常に大きいものでございますから、私たちはできるだけ機会を見て日本の農林水産業の状況、これまでの努力というものを説明をして、この緩和にはできるだけ手を染めないような状況にしていきたいというのが農林大臣の考え方でございます。
  18. 正木良明

    ○正木委員 そうだろうと思っていたのです。要するに、昭和五十七年度中には間に合わぬわけですね。要するに、残存輸入制限品目を撤廃するなんということはできぬということでしょう。だから、これはあかんわけや。要するにあかん。それがわかればいいのです。これはまた別の議論ですからね。それをやらなければいかぬとかなんとかは別の議論ですから、あかんでいいんだ。  あとは非関税障壁の問題、これは通産省かな、大蔵省かな。どの程度進んでいますか。要するに、相手国が満足するような状況になっているのかどうか。一言でいい。これもできぬこと、決まっておるから……。
  19. 井川博

    ○井川政府委員 非関税障壁、いろいろな問題がございますけれども、従来から欧米から非常に要望されておりました輸入手続の問題につきましては、総理から一月末までに結論を出すようにということで、要望のございました九十九項目のうち六十七項目は改善、さらに十数項目検討していくということで、海外からも評価されるような状況で結論を出したわけでございます。  なお、この点については、今後そういう問題がございましたら、政府のそういう問題処理体制を完璧にして処理に当たっていこうということになっております。  そのほかの各種の問題がございますが、これについても今後逐次検討を進めていかなければならないということになっております。
  20. 正木良明

    ○正木委員 あなた通産省。企画庁ですか。企画庁がそれやっているの。それは御苦労さんですな。これも圧倒的に向こうが評価するという程度にはいきますまい。  公定歩合の引き下げ。要するに、公定歩合を引き下げるかどうかというのは日銀の仕事でありますけれども、経済情勢としていま公定歩合が引き下げられるような状況であるかどうか。だれですか、これは、大蔵大臣。
  21. 渡辺美智雄

    ○渡辺国務大臣 状況でございません。
  22. 正木良明

    ○正木委員 当然でしょう。それでなくてももう円安傾向というのがまた出てきているわけですからね。ましてやアメリカの金利が度外れて高いわけでありますから、これで公定歩合の引き下げをやるなんということになってきたら、これはまたさらに円安に拍車をかけてくる。円安に拍車をかけてくるということになると、これは不況を招き寄せかねませんね。円安は不況とつながるということになりませんかな、もちろん輸出ドライブがかかるということもありますけれども。  意識的に避けられたのかどうかわからぬが、昭和五十六年度、物価が安定しているにもかかわらず内需が伸びなかった理由は何かといえば、円安だという説明が経済企画庁長官から出てくると思ったが出てこなかったのですが、可処分所得の減少の問題だけしか出てこなかったが、この円安の問題は五十六年度の内需に関係なかったですか。
  23. 河本敏夫

    ○河本国務大臣 わが国経済全体の足を引っ張っておるものは何かということになりますと、私は、一つは、やはり世界不況が依然として非常に深刻である、したがって、いま御議論になっておられます貿易なども、日本の場合、輸出につきましてはいろいろ制限をしなければならぬ、こういう問題がございますので、この点が大きな背景だと思います。  もう一つは、やはりいまお述べになりました金融政策、アメリカの高金利のために、昨年の三月に第三次公定歩合の引き下げ、それから年末に第四次の公定歩合の引き下げをやりましたが、アメリカの高金利がそのころまた高い水準になりましたので、どうもこの二回にわたる公定歩合の引き下げは、私どもが考えておりましたよりもはるかに有効に働いていない、こう思っております。  また、このこと自身が、先ほど御指摘の円安にもつながっておる、このように考えております。円安ということになりますと、現在の日本の経済にとりまして幾つかやりにくい点が出てまいることは事実でございます。
  24. 正木良明

    ○正木委員 私、やはり大きな影響があると思いますよ。素人が考えましても、円安の場合には、輸入をするものは高く買わなければいかぬわけでしょう。輸出するときには、結果的には安く出ているのですよ。だから、輸出がしやすくなるわけなんですから。そうすると、ざっと考えても、ほとんど原材料を輸入に頼っているような日本にとって、高い原料で安い製品を売っているのと一緒なんですから、不況につながらないわけは絶対ないですよ。こういう意味では、経済企画庁から私のところへ事前説明が一カ月ほど前にありましたけれども、そのときにこのことをおっしゃっていたのは、私はなるほどなと思ったのです。だからこの場合も、これ以上公定歩合を引き下げるということはできません。公定歩合を引き下げて、不況を呼び起こすことができないと同時にまた、二回にわたるところの公定歩合の引き下げがあったけれども、長期金融に対しては貸出金利は下がっておらぬですよ。これは何が邪魔しているかといったら国債が邪魔しているんだが、要するに長期金利については影響がない。だから、住宅ローンだって利子は下がらぬですよ。そういうことになってくると、これ以上公定歩合を引き下げるということは、経済的には悪い結果をもたらすことがあったとしても、いい結果が出てくることはない。そうすると、公定歩合の引き下げはできません。  そう考えてきたら、何できます。貿易摩擦を解消するためにわが国は国内需要を喚起しなければならぬと考えて、このような政策を用意しましたとサミットで言える政策を用意しなければいけませんね。この次何を言うかというのは大体わかっているというような顔を総理なさっていますけれども、そうすると彼らが、彼らなんという言い方をしていいのかどうかわからぬ。アメリカとかECが対日要求をしておるところの残存輸入制限品目は、昭和五十七年度は削れぬ、そのまま温存でしょう。むしろこっちが説得をして温存してもらうと、こう農林大臣言っているんだから、これはあきまへんわ。そうすると、公定歩合の引き下げ、これもできませんわ、非関税障壁にはやや前向き、前進の兆しが見られるだけというような形で、国内需要を喚起するためのというか、いわゆる貿易摩擦を解消するための国際的に認知される国内政策の努力というのは何にもないわ。  そうすると、やはりどう考えても、ここで大型減税をやってそれで個人消費を喚起いたします、そのことによって、経済企画庁長官が言うた可処分所得の伸びということにおいて国内需要はまさに上がるでありましょう、したがって輸出ドライブがかからないでありましょうというふうな形で説明せぬと、説明する材料おまへんで。どう考えます。総理大臣がサミットへ出ていくのやから、総理からちょっと……。
  25. 鈴木善幸

    ○鈴木内閣総理大臣 先ほど来、正木さん、いろいろな角度から経済の動向を分析をしていただいておるのですが、おっしゃるとおり、この世界的な非常に深刻な経済状況の中で、日本は精いっぱいの努力をして今日のような成果をおさめつつあるわけでございます。しかし、それをさらに掘り下げて分析すると、いまおっしゃったように、外需依存型であり、内需を中心とした景気の回復を図らなければ、貿易摩擦もさらに激化をしてくるだろうし、税収等も上がらない、そのとおりでございますが、それらの政策を進めるに当たっても非常に選択の幅が狭いということ、これはもう正木さんがるる御指摘になっておったとおりでございます。  そこで、残された問題は大型減税、一兆円を超えるような大型減税をやって、そして可処分所得をふやせ、こういうような御主張が野党各党におありになる。額についてはまた各党によって若干違う面もあるようでありますが、とにかく減税によってそれをやるほかないという御主張であります。しかし、減税の問題にいたしましても、いま財政再建という大きな政策目標を掲げております。五十九年までに何とかせめて特例公債依存の体質は脱却しなければいけない、そして行財政の改革によって国民の税金を効率的に使うようにしなければいけない、こういうことで、まずこれを政府としては最大の政治課題に掲げておるわけでございます。  それから、一方におきまして減税という御要請に対しては、確かに五年間も課税最低限を据え置いておりますし、また税率構造というものも固定をしておるということでございまして、いつまでもこれを放置できないということも、私どもも認識をいたしております。  そこで、財政再建という中で、それならばそういう条件をどうやってつくるかということをただいまあらゆる面から検討いたしております。五十七年度予算の編成におきましてもあらゆる努力をいたしました。御承知のように、一般歳出におきましても一・八%、全体の予算でも六・二%という超緊縮予算、これをやりました。しかし、なお私どもは、今後において行財政でさらに突っ込んだ、掘り下げた改革をやらなければならぬとは思っておりますが、五十七年度予算においては当面これが精いっぱいだ、こういうことでございます。  そういうことで、せっかくの減税の問題につきましても、五十七年度予算では実行はできない。しかし、今後において、将来においてその問題については私どもも前向きで条件整備のために努力をしてまいりたい、こう思っています。
  26. 正木良明

    ○正木委員 そこで、さらに聞きたいことは、それじゃサミットでどういう弁解をなさるのですか。弁解と言ったらおかしいですけれども、どういう説得をされるのか、その材料があるのかとさらに聞きたいところだけれども、これは時間が余りありませんから、また別な人が聞いてくれるでしょう。  そこで、ずっと予算委員会が開かれてからこの減税問題を口にしなかった質問者はなかったというぐらい、いや、あったかな、防衛だけやった人もあるからあったかもわからないが、ほとんど関心を持たない人はなかったわけです。これからも出てくるでしょう。要するに、財政再建が厳しい中で財源がありませんという話ですよ。  そこで私、総理にちょっと聞きたいことがあるんだ。私は総理を尊敬しておるけれども、気に入らぬことが一つだけある。あなた、ときどき詭弁を弄するところがある、だれが知恵をつけるのかわからぬが。要するに、税金がふえたら増税なんです。少なくとも制度にちょっとでもさわって、新設の制度じゃなくても制度にさわったら増税なんですよ。ほっておいてもよけい入ってくるのが増収です。さわっておいてふえたやつを増収とごまかしたわ。これははなはだしいごまかしであって、それはあなたが大きな声で増税なき財政再建と言うたから、これとぐいちになるから、ぐいちというのは大阪弁で、わからぬかわかりませんが、違いになるから、差が出てくるからというので恐らくそうおっしゃったんだと思うが、私はこれは認められません。増税なき財政再建であるならば、増税しちゃいけません。あなたのおっしゃっておる増収も、私は増税としか認められません。  私は、総理がおっしゃった増税なき財政再建というのは、恐らくみずから縛られたんだと思いますよ。その点はみごとなんだ。政治責任をとりますと、五十九年度における赤字国債ゼロという、これはもう手を縛った。もう背水の陣をしいた。これはみごとだと思うんだが、なぜかといえば、要するに、安易にどこかで税の増収ないしは増税というようなものを図っていけば、歳出をカットするメスの切れ味が鈍るから、どうしてもそれをしないでおこうという、これは自戒の言葉であり、それは自分だけ思うているんじゃいかぬから国民の前に約束なさったと思うんです。そやから私は、今度の増税分、吐き出してもらわぬといかぬわ、ばっと。あれを一般歳出の財源に使ったことは、増税なき財政再建に反します。もちろん野党も不公平税制の是正ということを叫んでいますよ。しかし、不公平な税制を是正するということは公平にならすということなんですから、そこから出てきた財源は減税へ回すならば、これは増税なき財政再建として認めることはできます。しかし、少なくともあなたの言う税の増収分、われわれの言う増税分を一般会計、一般財源に入れたということは、増税なき財政再建に反すると私は思っているんですが、どう思います。
  27. 鈴木善幸

    ○鈴木内閣総理大臣 私は、臨調を初め各方面の御意見を拝聴し、それに謙虚に耳を傾けて政策を進めておるわけでございますが、国会におきましては、租税特別措置の問題でありますとかあるいは交際費の課税の強化でありますとか、いわゆる税の公平確保というような観点から御鞭撻を受けておるわけでございます。そういう趣旨で先般三千数百億の租税特別措置の見直しやなにをやりました。これをもって増収だから増税だということを御指摘になれば、これも御指摘のとおりかもしれませんが、しかし、それは大いにやるべしという世論が一方において強くございますから……(正木委員「やったことを悪いとは言ってません。それはよかった」と呼ぶ)そこで、私どもはそういうことをあらゆる努力をして、五十七年度予算においても一兆八千三百億という公債発行の減額をやりました。だから、減税にまでは手は回りませんけれども、先ほど来申し上げるような、これを財政再建のために活用さしていただいておる、生かさしていただいておる、こういうことで御了解をいただきたいと、こう思います。
  28. 正木良明

    ○正木委員 だから、不公平税制の是正をしたということは私は歓迎しているんですよ。要するにその使い方なんです。少なくとも増税なき財政再建という限りは、財政再建するためには相当思い切った歳出カット、うちの書記長の口癖で言うならば骨まで達するというやつや、歳出カットをせにゃいかぬ。それをするためには、安易に他に財源を求めるようなことがあるならば歳出カットのメスが鈍ってくるだろうと、そういう趣旨からいうならば、この金はそこへ使うべき金ではないのです。景気がよくなって税の自然増収なんというものは、これはまた別の問題ですよ。別の問題でありますが、しかし、それは税の不公平をならすためにあるんだから、それを低いところへ持ってくる、高いところを削って低いところへ持ってくる、そういう形にしなければ、私は本当の意味の増税なき財政再建じゃないと思っているんです。というのは、歳出カットのメスが鈍りますから。したがって、私は、少なくとも私の考えでは三千四百八十億円、これは吐き出してもらわないといかぬわ。吐き出してもらうというのは、減税財源に回してもらわないかぬ。そして、これは大蔵省がもうすでに検討をしたんだけれども、途中でやめてしまったけれども、不公平税制の是正の中で退職給与引当金の縮小千五百億円、有価証券取引税の強化千五百億円、給与所得控除の頭打ちの復活五百億円、これで三千五百億円出てきますんや。よろしいか、私のところは、これはまだこれから、いま社会党大会やってますので、あした六日で、あした人事が決まって向こうの政審会長が決まったら、恐らく野党の政審会長会談というのが始まってこの減税のやつは動き出すと思いますが、ところで、うちはいまのところ国税五千億円、地方税千五百億円の六千五百億円減税、民社党さんは五千億円の三千億円の八千億円、そして社会党さんは一兆と言っているけれども、労働四団体の内容から言うと、国税七千億円の地方税三千億円で一兆円です。いいですね。ということになってくると、七千億出てきます。吐き出し分と、新しい――一度は大蔵省が検討なさった不公平税制の是正で約七千億円出てくるのです。三千五百億円、これは歳出にメスを入れてくださいよ、諸経費節減とかなんとかで。そうするとこれはできるのですから。まあ地方税の三千億円の減収に対してどんな手当てをするかというのは、自治大臣、また頭が痛いかもわからぬが、少なくとも可能なんです。だから財源はあるのです、そんなに無理せぬでも。たとえば大きな制度を変えてああしたりこうしたりするといういろいろな意見がありますが、それがなくたってあるのです。  それでなお足らぬというなら、あなた臨調臨調と言うてはるので、臨調に「国及び特殊法人の遊休資産処分」というのが出ておりますね、これをやれと。これは使っておるやつも全部入っているのだろうと私は思うのですが、これは遊休かな。  中曽根長官、「国及び特殊法人の遊休資産処分」、国及び特殊法人の未利用地の処分促進というのは答申に出ておりますね。この中で、行政財産が十七兆二千二百八十五億円、普通財産十一兆七百六十八億円、この内容はどうなんでしょう。全部遊休なのか、行管庁ちょっと答えてくれないでしょうかね。
  29. 中曽根康弘

    ○中曽根国務大臣 その中には、行政財産として行政用に使っておるのもございます。
  30. 正木良明

    ○正木委員 使っておりますね。
  31. 中曽根康弘

    ○中曽根国務大臣 はい。
  32. 正木良明

    ○正木委員 ですから、これを全部吐き出すなんということをしたらみんな立ち退かなければいかぬから、そんなことはできないわけです。そうか、それは両方で一〇〇%と書いてある。この中で処分できるものが相当あるはずなんです。これらの調査というのは、大蔵大臣、行政財産は別として普通財産、これは大蔵省の所管というのが理財局かな、これで遊休土地建物というのが相当ありますか。
  33. 松下康雄

    ○松下政府委員 大蔵省所管の一般会計所属普通財産でございますが、これらのものは、第一には、将来何らかの公的あるいは公共的な用途に活用していくということを考えるべきものでございますけれども、当面そういう公的な需要が見込まれない、いわば本当の遊休財産につきましては、売り払いの処分を促進するということで従来から財源に充ててまいってきておるところでございます。  これらは、いま残高としてそれが全体幾らぐらいあるものかということはしっかり把握をいたしてございませんけれども、毎年度、将来の次の年度におきますところの財産の売り払い処分の見込みを立てまして、これを雑収入に計上しまして、次の年度じゅうにその財産を現実に処分しては歳入の確保を図っておるところでございまして、これは予算額で申し上げますと、昭和五十六年度におきましては五百二十七億円の歳入を見込み、昭和五十七年度予算におきましては五百四十六億円の歳入を見込んでいるところでございます。実際を申しまして、これだけの予算額に達するまでの処分を実行しますことは、私どもも国有財産の担当者が非常に努力を重ねてやっておるのでございますけれども、ようやくこの程度までの処分ができているというのが実情でございます。
  34. 正木良明

    ○正木委員 そうすると、それは毎年度一応目安を立ててそれを達成するために努力しているという形のものなのか、大体リストというのはつくられておって、それを順次やっていっているのか、どうなんでしょうか。
  35. 松下康雄

    ○松下政府委員 財産の状態でございますとか、これに対する需要でございますとか、それらはその年その年の情勢でだんだん変わってまいりますので、あらかじめ非常に遠い将来まで見込みまして、全体でこれだけの処分をやろうというような計画にはなっておりませんけれども、毎年度、予算を編成いたしますときに、それまでの経緯にかんがみまして売却可能、努力をすればここまでは処分可能と見込まれるものを予算に計上しておるわけでございます。
  36. 正木良明

    ○正木委員 わかりました。これはまた別の機会に譲りましょう。  それで渡辺さん、大蔵大臣、吐き出せなんというえげつない言い方をしたけれども、吐き出せというのは、要するに用途変更するのだな、この増税分を。これで七千億の減税というのはできると思うのですが、どう思います。だめですか。
  37. 渡辺美智雄

    ○渡辺国務大臣 非常に困難だと思います。
  38. 正木良明

    ○正木委員 では、その困難な理由というのは……。
  39. 渡辺美智雄

    ○渡辺国務大臣 御承知のとおり、歳出はみんな伸びるところがたくさんあるわけですね。たとえば社会保障関係費はことしは二千四百八十億伸びる、文教費も千二百億伸びる、国債費も一兆二千億伸びるというようなことでして、地方交付税も一兆一千億伸びる、恩給も八百八十八億円ふえる、その他の経費も九百億円ふえると、ふえるものがあるわけですから、切り込むという場合は、少なくともふえるものをふやさないということにする以外にはない。ところが、われわれとしては極力抑えてきたわけです。抑えてきても、実際問題として、では医療費をがさっと減らす、一割減らせば四千億円浮きますよ、一割減らせれば。医療費を一割減らす方法は何だという具体論になってきますと、はっきりとしてなかなか一割減らせない。私は、審査、監査も徹底的にやれば五%ぐらいは減るんじゃないか、こう言っておるけれども、しかし五%減るという数字が、では大臣どこで出るのですかと言われると、それも私もわからぬ。確かにやってみないことにはわからぬわけだから。だから、そういうようなことでなかなか、まあ医療費の見込みを少し減らすという程度のことにしかできない。  年金を減らせといったって、老人がふえるのですから年金は逆にふえますね。インフレですから単価は四・五%ふやさなければならぬというふうに、なかなかこれは大きな切れそうなところがないわけです。  文教関係はずいぶん苦労しまして、何とか八百億円も育英資金を出すんだけれども、育英資金といったって無利息でなくたっていいじゃないか、三・五%ぐらいもし利息を取るとすれば、四百億円ぐらいは国費で、四百億円は郵便局の財投で、三・五%ぐらいの金利だったら国費は四百億円減るわけですから、それはできないか、これはできない。教科書はだめだ。(正木委員「教科書はだめだ」と呼ぶ)私立大学の補助金も二千八百億ある。これなども寄附金も取っているのだから切れないかといっても、結局はみんな、事個別案件になるとまとめて切るということは、現実の問題として法律の改正、発想の転換がなければなかなかできなかった。細かいことでは節約をさせたり切ったりはいろいろしていますが、大口がばっさりいかなかったということは事実なんです。これにはやっぱり発想の転換を図って法律も、がらっと制度も変えるというところまでいかなければできない。  ということでございますから、ここでさらに、この段階で、現予算の中で何千億かの金を経費の削減で生み出せと言われても、これは非常にできない相談である。  では、国鉄に七千億円も補助金出す必要はないじゃないか。私も同じことを言ったのです。七千億なんて、三千五百億の半分にしてしまえと。そうすれば、政府が補償している棚上げの利息はどうするのですか、貸しておくのはだれですか、財投資金じゃありませんか。結局、財投資金に返ってくる金が返ってこないということは同じことだ、こういう話になってくるのです。したがって、現実になると、何千億円という歳出をこの予算審議の過程で切るということはなかなか不可能に近い話だ、私はこう思っているのです。
  40. 正木良明

    ○正木委員 聞かなければよかったな、あなたに。  いずれにしても、精神から言えばそういうことですよ。増税を一般財源に回しちゃいけません。これはまたひざ詰めでやるチャンスがあると思いますから、そのときに譲りましょう。  そこで、一つの大きな柱になっている問題は住宅建設なんだけれども、この住宅建設の問題で、これももう何人かの皆さん方が指摘なさった問題でありますから、重複を避けることにいたします。  そこで、住宅建設が進まない理由というのは幾つかあるわけなんですが、その中でやっぱり一番大きいのは地価の高騰です。二番目は、やはり建設費の高騰です。そして三番目は、要するに実質所得の減です。要するに、もう家は買えなくなってきたということですね。しかし、家が高くなってきたというけれども、その家が高くなった根本的な理由は、やっぱり地価の高騰なんです。それで、これはあくまでも需要と供給との関係でございまして、要するに、宅地供給というものが少ないから地価がどんどんどんどん上がるわけなんです。五十六年度、住宅が建たなかった理由なんて、よくわかりますよ。大体通常年収の五・五倍というのが家の購入費としては、普通の平均的な家ですよ。平均的な家の購入費としては、大体年収の五・五倍と言われているのです。これがやっぱり七倍を超えましたからね。ですから、これはもう大変なことであるわけです。したがって、こういう意味から言いますと、焦点はやはり何といっても宅地供給をふやしていくということでなければなりません。  そこで、今度土地税制の緩和をおやりになったのですね。私は結論から申し上げて、今度の土地税制の緩和で宅地供給がふえるかといったら、私はゼロだとは言いませんよ、ゼロだとは言いませんが、期待しているような宅地供給はありません。なぜかというと、ふんだんにあめは盛り込まれているが、むちはほとんど盛り込まれていないからです。この優遇税制の上であぐらをかいたままで、土地を抱えたままでいる人をふやすだけです。むちがどこかにありますか。
  41. 福田幸弘

    ○福田(幸)政府委員 お答えいたします。  長期安定的な改正にしてあるという点が今後思惑を呼ばないという意味で出てくる原因であろうと思います。御承知のように、十年で長短を区切ったということ、それから上の方の八千万超を四分の三総合を二分の一にしたということ、それから居住用財産の買いかえというものを認めたというのが柱になっています。むちという意味で申し上げますと、これは自治省でございますけれども、特別土地保有税というものを、従来投機を抑えるという意味で使っておりましたのを、土地が動いた場合に家が建たなければ特別土地保有税をかけるということで、住宅建設をしなければ、三年目からだったと思うのですが、取得価格基準の税率で、保有強化で、土地を利用しないでおれば税金が高くなるという意味で、住宅建設に結びついておるという意味では土地住宅税制ということで確立したということであります。
  42. 正木良明

    ○正木委員 それだけじゃないの。それらだって宅地供給がふえるようなむちじゃないじゃないですか。一つだけ三年の期限をつけただけです。  いいですか。これはもうやっぱり過去の歴史を勉強しましょう。個人分の宅地供給がふえた五十年以降を見ますと、最も多く宅地が供給されたのは昭和五十年の十一万八千ヘクタールです。また、対前年比で見ましても、五十一年はマイナスの二六%、五十二年は三・九%、五十三年マイナス五・五%、五十四年一七・五%、五十五年マイナス九・七%。低い。大体横ばいです。五十年だけが急速に宅地供給がふえておるのです。  なぜ五十年かというと、五十一年度から土地の税制が大幅に重課税になることが決定していたからです。要するに、課税逃れの駆け込み譲渡があったのです。これはまさにむちの効用ですね。五十四年度も一七・五%。これは五十四年度に一部が緩和があったことと、年度後半には五十五年度の一部重課税がもうすでに話題になっている。これはあめとむちの併用です。  今度の土地税制の優遇策を考えますと、どっしりとおしりをおろしていればいいのです、土地を持っている人は。ずっと続くんですから。少なくとも次の税制改正までは続くんですから。できるだけ早くこの優遇税制のもとで土地を放しましょうなんという気持ちにはなりませんわ。いいですか。いま主税局長が言ったとおり一つだけです。特別土地保有税三年という期限がついただけです。ほかはついてないでしょう。少なくともこれは時限立法でも何でもありませんから、ずっと続くんです。これをやはりよく考えないと、土地の税制を緩めただけで宅地が供給されると思ったら大間違いです。ここら辺まじめな――僕かてやっぱり地主に恨まれたくないですよ。僕の応援者の中に地主おるのやから。こんなこと言うたら私は恨まれるわけや。しかし、お国のためを思うと、やっぱり言わないかぬから言うているんでね。こんなの見過ごしてしまえば見過ごしたままで終わりですよ。しかし実際、五十七年度の経済を考えたときに、住宅建設ということを中心に置いて何とかしょうとなさっているわけでしょう。その住宅建設の進まない理由は何かと言ったら、宅地の供給が少ないということでしょう。まあそのほかに幾つか理由がありますが。  それをやるためにはどうしたらいいか。土地を持っている人たちにどれだけ土地を供給してもらうように政策的にやっていくかということであるならば、純粋に政策的立場から考えたら、まあそういう恩讐を越えて提言しているんだから、それはまじめに聞いてほしいと思うのだけれど、大蔵大臣、あなた本当にあらゆる意味においては常識的、円満で、考え方が堅実なんですが、そういうことで本当に土地が出ると思いますか。確かに売ろう売ろうとかかっていた人が、安くなったために、優遇されたために出す、これはもう一定のものしかありません。少なくとも売ろうと思ってない人にこの際売っておこうかというふうな気持ちにまでさせるためには、むちが必要です。  いま、総理、宅建業者に聞いたら、新しい宅地があるのは土地の所有者が死んだときですって。だから、お通夜の晩にずうっと不動産屋が集まってくるのです。なぜか。相続税を払うために必ず土地売るやろうと、それが欲しいために不動産屋がお通夜の晩に山ほど寄ってくる。宅地供給のチャンスってそんなチャンスしかない。これは極端な話かわかりませんが、そんなチャンスしかないと言われている。そのためには、本当に余裕のある土地を持っておる人たちに、いまのうちに出しておこうという気持ちにさせるためには、この税制では出ません。ゼロとは言いませんよ、待っている人がいるかもわかりませんから。しかし、それはもう一握りの人です。ほかは全部ほくほくです。そんなにあわてて土地売らぬでもという人ばっかり。そういう人たちに、売ろうかという気持ちにさせるためには、この政策じゃ不十分だと思うのだが、大蔵大臣どう思う。
  43. 福田幸弘

    ○福田(幸)政府委員 お答えします。(正木委員「これは政策的なことだ、技術的なことなんか質問してない」と呼ぶ)  ちょっともう一つ、国税の関係では、三年限りの措置としまして、優良宅地というところに、いままで二分の一でやっておったのが原則二分の一になりましたので、優良宅地関係は三年限り四千万以下の部分は一五%、それを超えるところは二〇%ということにいたして、それが三年過ぎますと二分の一ということで重くなりますので、それは出るということが言えます。  それから、これは長期安定税制であるということで、今後軽減はございませんので、そういう意味で思惑がないという意味で宅地供給になると考えます。
  44. 正木良明

    ○正木委員 そう言うけれども、主税局長、あなたが初めからずっと何年も主税局長をやっていたわけではないから、あなたを責めるのは酷かもわからぬが、こういうような状況にしたのは、一つは土地税制が余りにも変わり過ぎたことですよ。いいですか。地主の方はやせがまんであろうと何であろうとがんばって、宅地供給をしなければ政府の方が根負けして必ず土地の優遇税制に切りかえるに違いないという、要するに政府がこの土地税制についてはなめられているというところがあるのですよ。これはしっかりしてくださいよ。こういうのはむしろ技術じゃありません。政策選択の問題だから。どうです。
  45. 渡辺美智雄

    ○渡辺国務大臣 私は、正木委員の主張は見識であると思います。個人個人には見識の人がたくさんいるのでございますが、政党となるとなかなかまとまらない。そこにむずかしい問題が一つございます。  宅地並み課税の問題を取り上げましても、宅地並み課税賛成というところまで全部が踏み切れないというところに非常な問題点があることは事実であります。
  46. 正木良明

    ○正木委員 それはちょっと間違いでっせ。どこの政党を指して言わはったのか知らぬが、恐らく自民党のことを言うてるのやと思うが、うちはこの税制には反対ですよ、優遇税制。しかも、宅地並み課税の問題についておっしゃいましたが、三大都市圏の市街化区域内の宅地並み課税の問題について、いいですか、自民党のみの賛成であれができたのです。われわれは確かに反対しました。その賛成した自民党の議員が、あの農業協同組合の宅地並み課税撤廃、反対のときに、やはり鉢巻き巻いて撤廃と言っているのだから、もういいかげんにせいと言いたくなりますよ。だから、まとまらないのは自民党です。自分たちが一票を投じて法律を成立させておきながら、ああいう会合に出たら鉢巻き巻いて反対だ、撤廃だと言っているのだから、そんな矛盾した話はありません。そういう意味では武見太郎さんはよっぽど見識がある。そんなことをするやつは全部たたき落とすと言っていたから。農協はそんなことも言わないからな。そんなこと言ったらまた票が減るからやめますけれども。  いいですか。宅地並み課税もそうです。これは何年か前から公明党が提案をしておった三大都市圏の市街化区域内におけるところの宅地並み課税については選択制をとれという要求を今度あなたのところは採用したのじゃないか。それを骨抜きに骨抜きにしたのは自民党じゃありませんか。私たちは、少なくとも十五年から二十年営農意思が確認されなければ宅地並み課税にしなさいと言っているのを、あなたのところは十年にして、しかも、それを五年で見直しをやる。完全なしり抜けじゃないですか。そうでしょう。そういうことから考えれば、あなたがいまここでたんかを切る資格なんかありません。少なくとも僕に切る資格はありません。どうですか。
  47. 渡辺美智雄

    ○渡辺国務大臣 私が別に特定な政党を名指しで言ったわけじゃございませんが、正木委員のおっしゃることは見識であると高く私は評価をしておるわけでございます。本当にあめだけでは動き方が鈍いというのも事実でございますが、しかし、いま主税局長が言ったように、一つは保有税をかける、一つは三年間に限って分離課税で一五%あるいは二〇%という優遇措置をとるという措置をとっておりますから、この点は私は一歩前進だ、そういうように評価をいたしております。これで、じゃ完全なものかと言われますと、いまの条件、いまの状態というものを総合的に判断すれば最善の案であると考えております。
  48. 福田幸弘

    ○福田(幸)政府委員 先ほど申しました一五%、二〇%は三年限りですが、住宅地の用に供する特定市街化区域内の農地の譲渡の場合です。それから、二〇%と二五%というのが一般の優良住宅地の土地の譲渡の場合です。
  49. 正木良明

    ○正木委員 これだけでしょう。三年というのは一つしかないのだよ。  それで、総理よく聞いてくださいよ。五十年にどんどん出てきたと言いましたね。このときにもこんなやり方をやっているのです。四十三年十二月三十一日以前に取得したもので、保有期間五年を過ぎたものについては、譲渡の時期に応じ、その比例税率で分離課税。四十五年、四十六年一〇%、四十七年、四十八年一五%、四十九年、五十年二〇%、そのかわりに住民税が四、五、六とつくのですが、こういうふうにやっているのです。これも期限をつけませんか。この税法の改正のときに際して、何らかの形で期限をつけた方がいいです。そうでないと宅地供給はあり得ません。
  50. 福田幸弘

    ○福田(幸)政府委員 お答えします。  期限をつけますと、その後安くなるのじゃないかという思惑の方がむしろ強いわけです、従来。ですから、これで変わらないということをはっきりさせる方がむしろ土地が出るという意味で期限をつけていないということであります。だから、むしろ安くなるという思惑がいままで強かったわけであります。
  51. 正木良明

    ○正木委員 だから、この後強くすると言えばいいじゃないか。
  52. 福田幸弘

    ○福田(幸)政府委員 いまのは、軽減税率の方は三年でございますから、これは期限をつけて、その後は重くなるという意味です。
  53. 正木良明

    ○正木委員 そういうことはわかっていますよ。ごくごく一部じゃないか。長期譲渡所得の問題、短期譲渡所得の問題などというのは、期限がついていないじゃないですか。長期譲渡所得を十年にむしろ縮めているのですからね。これはこれなりの見識だと思うけれども、しかし、これの軽減税率というものは期限がついているのですか。ついていないでしょう。これはずっと続くのでしょう。続くのだよ。続かないというなら答弁しなさいよ。続かないの。
  54. 福田幸弘

    ○福田(幸)政府委員 長短の十年のことの御質問だということでお答えしますと、それは変わらないということでございます。十年ということで変わらない。むしろ五年という意見があったのですが、十年で、土地を買った以上は、そこまで短期、それを超えれば長期であるということで、十年で区切ったわけです。しかし、従来は四十年一月一日以降を短期と見ておったわけです。それを十年ということで長短を区分した、これは変わらない、こういうことであります。
  55. 正木良明

    ○正木委員 だから、優遇なんですよ。優遇なんだけれども、この長期譲渡所得についても、長期譲渡所得の優遇をいつまでするとかなんとかというような形のものにしない限りだめだろうと私は言っているのだ。もう時間がありませんからいいでしょう。  それから、宅地並み課税の問題。これは自治大臣ですか、これは固定資産税だからそういうことになるのですが、最初営農意思を十年という政府の案であったのに、五年で見直しというのはどういう理由ですか。
  56. 関根則之

    ○関根政府委員 宅地並み課税のC農地への拡大をするに際しまして、営農継続意思のある農地に対する配慮措置でございますけれども、考え方はあくまでも十年以上営農を継続することを適当と認める農地についてそういう措置をとっていこうということでございますけれども、後の管理をどうするかということになりますと、いままでは減額制度というのがとられておりまして、一年限りでどんどん減額をしていってしまったわけです。そういうことが多少ルーズになるではないかという御批判もありまして、今回は徴収猶予制度ということに改めてまいりたい。農業を継続するという意思があるわけですから、それをやっている間は徴収を猶予していく、一定期間たった後で、そのとおりやられておれば、営農が継続されておれば、その分を免除していこうではないか、こういう考え方をとるものですから、徴収猶予ということになりますと、債権管理が毎年毎年発生いたしまして、それの管理を続けていかなければならぬ。事務的にも大変繁雑になりますので、徴収猶予制度の管理そのものは五年で区切って、事務の煩瑣を除いていこう、こういう制度でございますので、本来の十年間の営農継続の意思というものは貫徹されているというふうに考えている次第でございます。
  57. 正木良明

    ○正木委員 それで、十年農業をやりますと言って、途中で宅地に売ったらどうなるのですか。
  58. 関根則之

    ○関根政府委員 十年の営農継続の意思の確認をやりまして、最初の五年間ちゃんと営農を継続いたしました場合には、五年分の農地並みの課税を超える部分については免除をいたします。それから、六年目からもう一回五年分が始まりまして、たとえば六年目にやめたといたしますと、その六年目の一年分だけの宅地並み課税分が追徴されるということになります。最初の五年分は、五年間ちゃんと営農を継続した場合には免除をされてしまいます。
  59. 正木良明

    ○正木委員 だから、だめなんだよ。あなた方はそういう便利な言葉を持ってきたけれども、実際においては、最初政府の案にはそれがなかったじゃありませんか。それがなかったのに、五年で一応見直しをするということになった。確かに固定資産税の見直しをしなければいかぬから、それはいいでしょう。それは税率だとか土地の評価の見直しであって、そういうことじゃないんだよ。  そうすると、六年目に売ると、もともとの原案で言うとさかのぼって取られちゃうのが、一年になっちゃうんだ。そうでしょう。それは明らかに優遇なんですよ。それをしなければ、要するに、結果的には営農意思五年の確認と同じことになるのです。そうじゃないか、結論からいって。営農意思十年というのが五年になってしまうのと一緒です。仮に途中で宅地にしてしまったときに追徴されるということから考えれば、五年の営農意思の確認と同じことだ。だから、これは完全な骨抜きなんです。  それでもいままでよりましでしょう。しかし、少なくとも五十七年には間に合わぬ。越智さん、わかっているよ、あなたは専門家だから。あなたがやったのに違いないんだから、いいです。少なくとも五十七年に宅地供給をふやすために選択的宅地並み課税を実行するというなら、五十七年からさかのぼるということでなければならぬのにもかかわらず、少なくとも五年しんぼうしておればということなら、五十七年に宅地がこの税制で動くわけがないじゃないですか、どう考えたって。だから、そういう意味から言えば、住宅建設のために最も必要な宅地供給については、この税の問題から出していこうとするのは、当初の目的から相当大きく後退したと見なければなりません。どうです、総理、そう思いませんか。
  60. 福田幸弘

    ○福田(幸)政府委員 国税の関係で申しますと、五十七年一月からこれが適用になりますから、そういう意味では五十七年からです。
  61. 関根則之

    ○関根政府委員 地方税の方の宅地並み課税につきましても、五十七年で申請を全部やりかえをしていただきまして、十年の意思確認をするわけでございます。しかも、その十年間の意思確認は、単なる書類をぽんと出していくというだけじゃなくて、地元の農業委員会を経由をしていただきますし、また、各市におきます課税審議会の議を経て厳正に、その意思確認なり営農継続が適当であるかどうかの判定をしてまいります。それから、従来単年度主義で減額措置がやられたのに比べれば、少なくも経済効果としては、五年間の徴収猶予制度ということになるわけでございますから、実効はあるものというふうに考えております。
  62. 正木良明

    ○正木委員 私はそんな、ゼロと言っておらぬのですよ。それは一歩前進だと言っているのです。しかし、少なくとも五年間は動かぬぞと言っているのです、よほどのものでなければ。五年間しんぼうして六年目に売れば、五年間のさかのぼりはなくなるんだから。そうでしょう。だれが考えてもそうじゃありませんか。むちにも何にもなりはせぬ。  私は、この市街化区域内におけるところの農地を壊滅させろというような議論の持ち主ではありません。それは、近郊農地において野菜の供給も必要だろうし、災害のときの避難場所にも使えるだろうし、また水害のときのプールする土地にも使えるだろうし、緑地として必要だと思う。  だから本当に、私が問題にしているのは何かと言えば、私は先祖伝来の農業を続けていきたいのですという人まで宅地並み課税するのは酷である、だから、そういう人たちが一生懸命農業をやっていくならば、この後何十年と続けていってください、それは上がる収益というのは少ないのだから、宅地並みは無理でしょう、農地並みの固定資産税で当然でしょう。しかし、そういう本当に真っ当に正直にやっているお百姓さんと、ちょこちょこと菜っぱをつくって、いい値になったら売ろうかと考えているような人と同じようにはできませんよと言っているのです。その人たちのために、そういういわば自分たちの農地を投機の対象にしているような人たちまでなぜ保護しなきゃいかぬのですかと言っているのです。だからこそ選択的宅地並み課税ということを言ったんじゃありませんか。それで皆さん方は採用したんじゃありませんか。それならば、効果あらしめるような宅地並み課税にしなきゃいけないじゃないですか。どうですか。  私は本当に腹が立ってきた。まじめに考えている者の考え方というものが全部変な圧力でつぶされていくなんて、それは不愉快千万ですよ。まじめに考えてください、本当に。これは改正する意思はありませんか、自治大臣。
  63. 関根則之

    ○関根政府委員 技術的にちょっと……(正木委員「あなたじゃない、自治大臣だ。技術的には関係ない、済んだんだ」と呼ぶ)私どもも宅地並み課税の拡充強化につきましては、先生の御発言の御趣旨と大体同じような考え方でやったようなつもりでございます。  従来は、少なくも三年間の営農継続の意思のある人に対して、単年度単年度で減額措置を適用してしまったわけです。ですから、ある年度、たとえば五十七年度私は営農を継続したいということを言ってきますとその年度で勝負してしまって、翌年度それじゃ変えますという場合には、どうぞどうぞという話になって、宅地並み課税の強制を受けるということがなかったわけですけれども、今回は、少なくも法律ではっきりと十年以上営農を安定して継続することが、本人が申請をしますし、その継続が適当であるというふうに認定をしたものについてやるわけでございますので、単に投機的に、土地を売りたいけれどもその時期を待つという人たちを救済するためにこの制度ができたというふうには考えていないわけでございます。まじめに農業を継続したいという方たちを対象に配慮していきたい、こういうふうに考えております。
  64. 正木良明

    ○正木委員 そうじゃないのです。結果的にはそうなるのです。  国土庁長官、宅地が出ると思いますか。
  65. 松野幸泰

    ○松野国務大臣 ただいま五十一年のお話をされたように、私は、あの税制というものはむしろ宅地が出ることを阻害されたと思います。したがって、税法を改正することによって、いままで凍結しておったような状態の宅地が今度の緩和で出てくる、私はいろいろな統計からそういうふうに見ておりますので、よろしく御賛成願います。
  66. 正木良明

    ○正木委員 もうちょっと詳しく聞きたいのですがね。  それで、これは建設大臣になると思いますが、建設大臣、土地区画整理事業の完了した造成済みの土地は、市街化されているのが一〇〇%じゃないのだけれども、これは何らかの対策をお持ちになっていますか。いいですか、区画整理の済んだ土地です。要するに総理、税金をつぎ込んで区画整理したのです。宅地へ転用するためにそうしたわけですね。そうして、下水道も道路も全部完備したわけです。ですからこれは、国民の税金が入って地価が相当上がっておる。要するに、土地の値打ちが非常に上がっておる、こういうところで、まだちょこちょこと野菜をつくって、宅地にならぬところがたくさんあるのですよ。幾らほどあるか、どうするつもりか、二つ答えてください。
  67. 加瀬正蔵

    ○加瀬政府委員 御指摘のような、土地区画整理事業の施行済みの土地でございまして現在未利用の土地というものにつきましては、私ども、首都圏、近畿圏で四万ヘクタールほど調査をいたしました結果、首都圏で七千三百六十ヘクタールほど、それから近畿圏で二千二百ヘクタールほどございます。  そして、こういう未利用地がございます理由でございますが、そもそも区画整理事業というものは非常にむずかしい事業でございまして、市街化の速度が平均年率四%程度になっておるということもございます。また、区画整理済みの土地がもとの所有者のものでございまして、土地の保有者の保有意欲が強いというようなこととか、あるいは利便施設等があわせてできていない、利便施設の整備がそろってこないというような理由もございまして、市街化が進まないというような実態でございます。
  68. 正木良明

    ○正木委員 ですから、これはいまおっしゃったように、もとの土地の所有者が所有権を持っておるわけですから、それはどう利用しようとその所有者の意思のままでありますから、これを直ちに違法とは言えないのですけれども、これだけ金を入れた土地が宅地に転用されないというような問題は、非常に私としては不満なんだけれども、年率四%で市街化が進んでいますなんて悠長なことを言わないで、どうですか、何らかこれを促進するという対策を立てて促進させませんか。
  69. 加瀬正蔵

    ○加瀬政府委員 促進のための施策といたしましては、先ほど申し上げましたような阻害要因を除かなければいけませんので、まず第一に、なるべく建築計画があるような人に保留地の処分をするというようなことが一つあるかと思います。  それから、市街化が進むような利便施設というものを、できますればあわせて設置するというような対策もあるかと思います。  それからまた、土地の権利者に対しましていろいろな住宅の経営等のノーハウを提供するというようなこともあるかと思います。  さらに、一番強い方法としては、建築の義務づけを保留地の処分に当たってするというようなことも考えられるかと思いますが、余り強い規制を加えますと、今度は逆に土地区画整理そのものが行われないというようなおそれもございますので、その辺を慎重に考慮しながら、従来から施策を進めておるところでございます。  さらに、一月二十六日に都市計画中央審議会に諮問をいたしまして、土地区画整理済み地の市街化の促進方策についても現在御審議をいただいておるところでございます。
  70. 正木良明

    ○正木委員 もう時間がありませんので、ちょっと中途半端になってしまいましたが、そのほか私が質問したかったことは、大蔵大臣いませんが、一つだけ聞いておく。  文部大臣、これは大蔵省がぶった切ったのだろうと思うけれども、私はかねてから毎回毎回この予算委員会で言っておるから、閣僚の皆さん方、耳がたこになっているかわかりませんが、要するに、公共事業費の伸び率というのはゼロでしょう。どう考えたって物価の上昇率だけ仕事、事業量が減るのです、算術計算からいっても。したがって、公共事業というものを本当は伸ばしていかなければならぬのだけれども、予算の関係でこういうふうに大きな削減がされている。そうすると、少なくとも財政再建期間中は、できるだけ効率の高い公共事業というのをやらなければいかぬだろうと思っているのですよ。その効率の高い公共事業ということになってきますと、何があるかといったら、できるだけ土地の購入費の少ない公共事業をやれということをもう何遍も主張しているのだ。ことしの公共投資約六兆五千億です。土地の購入費を一〇%節約しますと、六千五百億円仕事の量がふえるのです。主としてこういう土地の購入費が少ないというような事業は、必要でないような事業というのは、大体中小建設業者を潤すような生活関連公共施設になります。ですから、もう何遍も言っているのだけれども、やらぬな。三十ミリの雨が降ったらはんらんする川が全国で三千以上あると言われているのに、その河川改修なんか、まあ河川のつけかえをやるというのは土地が新しく必要ですけれども、そうでなければ土地は要らぬのだ。  また、防災の見地からいったって、学校の中に鉄筋コンクリートの体育館をつくったりいろいろなことをするということは、もう二重三重の政策目的が達成できるから、これはやれとやかましく言っているのに、これはあべこべに危険校舎の予算をことし削ってしまったな。何を考えているのかということになるのですが、文部大臣、それをどう考えていますか、危険校舎。
  71. 小川平二

    ○小川国務大臣 お答えします。  老朽校舎につきましては、御承知のとおり、いろいろな角度から危険の度合いを判定いたしまして、一万点満点で四千五百点までを国庫補助の対象とするということになっておりましたのを、昭和五十二年以来千点引き上げまして五千五百点以下を国庫補助の対象にする、こういうこともいたしまして、改築の促進を図ってきたわけでございますが、近年相当長い間にわたって木造建築の比率が年々低下してきておるわけでございます。昭和四十六年度においてはこの比率が五一%でございましたが、五十一年度は三一%、五十六年度におきましては一五%というところまで下がってきている実情でございます。  こういう状況下で、市町村の出してまいりました計画も、五十六年度におきましては百九十八万二千平米でありましたのが、五十七年度におきましては百八十三万平米、およそ八・三%の減少になっておる。高校の方は全体として非常に少ないわけでございますが、これは二一・七二%の減少ということになっておるわけでございます。五十七年度予算と五十六年度を対比いたしますと、七百九十二億が七百二十二億に減少いたしておる、これは御指摘のとおりでございますが、七十億円の減、八・八%の減少ということになっておるわけです。一言にして申しますれば、計画に対応する予算を計上いたしておるわけでございます。  予算の執行を効率的に行えという御趣旨はもとより当然でございますから、今後もこのことを絶えず念頭に置いてまいるつもりでございます。老朽校舎の件は以上のとおりです。
  72. 正木良明

    ○正木委員 これはだめだ。私は応援団のつもりで言っているのだけれども、文部大臣がそれじゃもうだめだ。  ですから、これは大蔵大臣、ちょっと済みませんな。これはもう予算の運用の中でやってもらうよりしようがないけれども、土地の購入費をできるだけ減らすやつ、頼みますよ。六兆五千億のものを一〇%削ったって六千五百億の仕事がふえるのだから、頼みますよ。これはもう時間がありませんから……。  それでは、これは運輸大臣と総理大臣、お願いします。関西新空港です。第四次空港整備計画、昭和五十六年十二月十一日の閣議決定で、関西新空港に関して「関西国際空港建設計画について総合的な調査検討を進め早期に結論を得た上、その推進を図る。」こう書いてあります。このことは、新空港建設のため早期に結論を出すことを鈴木内閣が確認したということだと私は思うのですが、問題は、四十九年の航空審議会の答申以来、泉州沖を最適地または泉州沖に決定を前提に、これは去年予算委員会で塩川運輸大臣並びに総理大臣からの答弁がありました。この運輸相見解並びに総理大臣の見解は変わっておりませんか。
  73. 小坂徳三郎

    ○小坂国務大臣 基本的な方向については変わっておりません。全く変わっておりません。
  74. 鈴木善幸

    ○鈴木内閣総理大臣 伊丹空港に対する裁判等のことにつきましても大きな関心を持っておるわけでございます。したがいまして、関西に国際空港を建設をしたいという地元の御要請もこれあり、政府としても、その方針で五十七年度予算で三十二億の調査費を計上いたしました。その調査の結果を見まして、前向きで対処したい、こう思っております。  なお、先ほど来お話がございます公共工事建設の問題で、効率的にひとつこれをやれ、こういう景気の際でもあるから、景気対策としても効率的にやれということを正木さんから前の国会でも御指摘をいただきました。私は全くそのとおりだと思うわけでございまして、御趣旨を踏まえまして、予算執行の際におきましては、たとえば公営住宅の建てかえでありますとか、あるいは用地の手配済みの工事であるとか、そういう効率のいいものに重点を置いて予算の執行をしてまいりたい、こう思っております。
  75. 正木良明

    ○正木委員 ごていねいにありがとうございました。ぜひお願いします。  そこで、空港問題ですが、要するに、僕が聞いているのは、あなた方の口から言ってほしいんだ。航空審の答申は泉州沖です。泉州沖に間違いありませんなと聞いているのです。お二人……。
  76. 小坂徳三郎

    ○小坂国務大臣 航空審議会で二年十カ月かけて決定された地域でありますので、われわれはそれを尊重していくという方向は、そのとおり進めてまいりたいというわけであります。(正木委員「泉州沖ですか」と呼ぶ)泉州沖を航空審議会から答申を受けておりますから、尊重してまいります。
  77. 正木良明

    ○正木委員 総理……。
  78. 鈴木善幸

    ○鈴木内閣総理大臣 いま運輸大臣が御答弁申し上げたとおり、航空審は泉州沖ということを前提にして答申をいただいておりますから、それを尊重いたしましてやってまいりたいと思います。
  79. 正木良明

    ○正木委員 そこで、昨年五月、運輸省から三点セットで提示されて以来、地元において意見交換が重ねられてまいりまして、財官界ほかに労働界も含め、幅広い層が取り組んだプロジェクトは他に例を見ないだろうと思うのですが、昨年十二月、大阪府が環境影響評価案に対する中間報告をまとめたが、地元における協議手続が大きく進行いたしております。このような精力的な取り組みを国がどう評価しているかということと、こうした地元の取り組みと比較して、国の対応が非常におくれている。空港建設計画や地域整備計画を具体的に検討するための関係省庁間の調整体制というのはどうなっているのかを、運輸大臣お願いします。
  80. 小坂徳三郎

    ○小坂国務大臣 昨年末に就任いたしましてから、特に大阪府中心の非常な積極的な動きとともに、昨今におきましては、兵庫あるいは和歌山両県とも今年の正月以来積極的な動きに転じていただいておると私は見ておりまして、こうした地域の自治体並びに住民の方々の熱意というものは高く評価をいたしております。  もう一点は、これに対する政府の取り組みでございますが、五十七年度予算案の、三十二億円の予算額の決定に際しまして、特に、政府内部の体制を前進させるために、運輸並びに大蔵両省の事務当局間で特に採算性、そうした問題を中心に一月末から話をすでに始めておりますが、こうしたものをだんだんと積み上げていって政府内部の体制を固めてまいりたい。もちろん、今日までも環境評価その他について、それぞれの担当省庁との話し合いを進めておることは事実でありますが、今後それをさらに前進をさせていきたいというふうに考えております。
  81. 正木良明

    ○正木委員 現在、関西新空港、泉州沖ですが、の建設を進めるに当たって肝要なことは、政府に建設推進のための取り組み体制といいますか、関係閣僚協議会の設置ということが必要なんですが、運輸大臣は去る一月十六日の関西経済五団体の懇談会に出席した際に、日米航空交渉が難航しているのは日本の空港能力の問題もあるからであり、その意味から関西新空港は実現に努力すべきだ、大蔵省との間で前向き対処の合意ができており、地元協議が煮詰まり次第、関係閣僚協議会を設置したいと、これは新聞の報道ですので、このとおりであるかどうかわかりませんが、そういうふうにおっしゃっているようでございますが、この関係閣僚協議会の問題、運輸大臣どうなんでしょうか。
  82. 小坂徳三郎

    ○小坂国務大臣 関係閣僚協議会の設置につきましては、もちろん大プロジェクトでありますから、政府内部において十分な意思の疎通並びに対応策が協議されなければならぬのでありますから、これは当然将来設置の方向に向かって私も努力をしてまいりたいというふうに思っております。
  83. 正木良明

    ○正木委員 総理もこの懇談会に出られまして、このことについて御発言があったようでございますけれども、現在どのようにお考えでしょう。
  84. 鈴木善幸

    ○鈴木内閣総理大臣 調査が一応完了いたしますれば、関係閣僚の間で話し合いをさせたい、このように考えております。  関係閣僚会議を設置するかどうかの問題は、その関係閣僚の間でいろいろ話し合いをいたしました煮詰まりぐあいを見まして、官房長官を中心に考えたい、こう思っております。
  85. 正木良明

    ○正木委員 泉州沖に設置される予定の新関西空港問題については、さらにお尋ねしたいことがあるのですけれども、ちょっと時間をとりますので、これはまた別な機会に譲りたいと思います。  非常に制限された時間の中で、私の意図するところを十分申し上げることができませんでしたし、なかなか答弁の方も十分でなかった点もありますので、直ちに即断できませんけれども、いまの質疑応答の中でやはり私が感じましたことは、五十七年度五・二%の実質経済成長率をつくり上げていくということは非常に困難な点があるということであります。  そういう意味で、いまマイナスの展望を国民が持っているということが非常に心配なんです。中小企業は、景気の先行きということに非常に心配いたしておりますし、国民は、将来果たして年金の問題等を初めとして老後生活というのは確保されてくるのだろうか。この問題は、私は、いま保険会社だとか銀行がやっております私的年金がものすごい勢いで売れているわけですね、これがやはり一つの証左でないかと思っているのです。このことを、厚生大臣、余り時間がありませんけれども、最後にしたいと思いますが、これはやはり厚生省として、同時に鈴木内閣の総理大臣として、鈴木首相が国民の前にはっきりした安心感を与える必要があるのじゃないかと思うのです。心配だといったら私も心配なんですよ。国会議員の年金はどないなるやわからぬわけやからな、いま考えたら。これも国会議員をやめたときちゃんといままでどおり三分の一くれるのやろうかと思ったら、これはどう変わってくるかわからぬ。これは国民の目から見ればぜいたくな話であるかもわかりませんけれども、国会議員さえ前途に不安を感じているような状況の中で、国民がどれほど大きな不安を感じているかということを考えますと、つくづくそのことを感じます。そのために、もうかねてからこの「福祉社会トータルプラン」の中で公明党が、老後生活の問題について年金制度というものを基本年金とそれからそれへ積み増しの二階建て年金ということを提唱しまして、やはり国が保障するナショナルミニマムというものを明確にして、そして国民に安心感を与えていくということをやっていかなければ、これは景気の問題にだって私は大きな影響があるだろうと思うのです、物を買わなくなっていますから。ですから、そういう点ではやはり厚生大臣の責任は非常に重いと思うのです。こういう老後問題、何か支給の年齢が繰り下がるかもしれない、減額されるかもしれないなんということを考えると、やはりどうしても貯蓄の方に、また私的年金を買うというような方向へ向いていくおそれがある。この辺についてやはりきちんとした安心感を与えなければいかぬと思うのですが、厚生大臣、どうでしょうか。
  86. 森下元晴

    ○森下国務大臣 政治の目的は民生安定でございまして、その民生安定のためには、暮らしと健康を守っていこうというのが厚生省の省としての大きな目的でございます。そういう意味で、老後のための年金問題、また健康を管理するための、健康の問題につきましては、厚生省としては不安感を与えないように、これは全力を挙げておりますし、また当然挙げるべきであると思っております。  今回スライド制を、特例法で消費者物価に合わせまして四・五にしたのも、御安心をください、絶対に目減りいたしません、そういうあらわれでもございまして、今後とも先生おっしゃったように絶対に不安感を与えないということに全力を挙げて、厚生行政を通じてやってまいりたいと思います。  それからもう一つの問題は、決して民業を圧迫するばかりが政治ではございません。やはり民業は民業としてのよさもございますから、各党からいろいろ年金の将来についての案も出されておりまして、それを集約いたしますと、公的年金というものは中核的な役割りをしていこう、しかも安心を願って、その上に個人のそれぞれのより安心感を得るための民業である、こういうはっきりした区別をいたしたいというふうに考えておりまして、決して、そのために景気の足を引っ張っておるのでないということを申し上げまして、お答えといたしたいと思います。
  87. 正木良明

    ○正木委員 どうもありがとうございました。これで質問を終わります。
  88. 栗原祐幸

    ○栗原委員長 これにて正木君の質疑は終了いたしました。  午後一時より再開することとし、休憩いたします。     午後零時四分休憩      ――――◇―――――     午後一時五分開議
  89. 栗原祐幸

    ○栗原委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  質疑を続行いたします。大内啓伍君。
  90. 大内啓伍

    ○大内委員 昨日来問題になっておりました武器等の共同開発あるいは今後の対米技術情報供与等の問題について、まず冒頭にお伺いをいたします。  私は、これからのアメリカに対する技術情報の供与並びに共同開発問題というのは、十年前、十五年前とは根本的に異なる新しい課題を日本に提起してきていると思うのであります。それは、一つには、日本が今日軍事的にも応用し得る高水準技術というものを各方面にわたって保有、開発するに至ったこと、二つには、アメリカがこのことに着目をいたしまして、技術情報の供与について相互主義を明確に求め始めてきていること、そして三つ目には、しかもそれは単に汎用品だけではなくて純軍事技術、それも民間レベルのものについて求めてきていること、そして四つには、米国のそうした要請というのは、日米安保条約を初めとする一連の日米安保体制に基づいてなされている、私はそう思うのであります。  したがって、今日日本に判断が求められているものは、昨日来いろんな議論がございましたが、もっと根本的には、アメリカに対して日本は、日本の安全保障の一部をゆだねている、あるいは依存している、そしてかつ、現実にライセンス生産等を通じてアメリカから軍事技術情報を入手しているという日本が、武器輸出三原則を盾にして、同盟国であるアメリカを今後とも他の一般諸国と同様に取り扱うことが果たしてできるだろうか、それとも何らかの配慮がこの際検討されなければならないのだろうか、私は、このことが今日の技術情報の供与あるいは共同開発という問題の今日的な課題だ、こういうふうに思っているわけなんです。そして、そのことをまず私は、最近の事実関係の中からちょっと立証してみたいと思うのです。  そこで、まず防衛庁長官にお伺いをいたしますが、昨日も議論になりました昭和三十七年の十一月十五日に結ばれました「防衛目的のための技術的資料及び情報交換取り決め」に基づきまして日本がアメリカから入手している附属書にかかわる技術情報は、全部で何件ありますか。
  91. 伊藤宗一郎

    ○伊藤国務大臣 政府委員から答弁させます。
  92. 和田裕

    ○和田(裕)政府委員 お答え申し上げます。  附属書の内容につきましては、全部が秘ということになっておりますので、はなはだ申しわけございませんが、申し上げられません。
  93. 大内啓伍

    ○大内委員 私は、附属書の内容の公開を求めているわけではありません。私も数は大体承知しておりますが、やはり当局から伺いたいと思ってお伺いをしているんで、件数ぐらいはいいでしょう。
  94. 和田裕

    ○和田(裕)政府委員 それでは、ある幅で申し上げさせていただきますが、一応項目につきましては数十件、そういうオーダーでございます。
  95. 大内啓伍

    ○大内委員 大体これは五十数件あります。  日本がこれまで提供した技術は何件ありますか。
  96. 和田裕

    ○和田(裕)政府委員 これも秘でございますが、全体の感じからいいますと、アメリカから受け取っておりますものの数分の一ということでお答えとさせていただきます。
  97. 大内啓伍

    ○大内委員 ずいぶんおかしなことをおっしゃいますね。だって、項目で明らかにしてきているものがあるでしょう、現実に。現実に秘だと言いながら公開したものがあるでしょう。それを言ってごらんなさい。
  98. 和田裕

    ○和田(裕)政府委員 昭和三十七年十一月十五日に覚書を結んだわけでございますが、その際に、赤外線関係及び遠赤外線関係及び携帯食糧、この三件が含まれているということを言ったという記録を読んだことがございます。
  99. 大内啓伍

    ○大内委員 一部が公開されて、その他が公開できないということはないでしょう。項目を言ってください。
  100. 和田裕

    ○和田(裕)政府委員 これにつきましては、日米間で秘扱いになっております。実質的に言いましても、米側がどういうことに関心を持っておるか、または逆に言いますと、米側から見て日本の技術が特にどういう点がすぐれているかということを明かすことは、いろいろな意味で非常に差し支えがあるということのようでもございますし、いま言いました日米安保関係の非常に重要な秘密でございますので、それに対しては差し控えさせていただきたいと思います。
  101. 大内啓伍

    ○大内委員 それ以上深追いはいたしませんが、やはりこういう問題は、日米間でできるだけ了解を得られるものについては、いま情報公開の時代ですから明らかにしていくという努力をされるように希望いたします。  そこで、私は、一つ一つ立証していきたいのでありますが、昨年の六月三十日に大村防衛庁長官とデラウアー国防次官との会談がワシントンで行われています。このときに、実は非常に重要だと思われますのは、アメリカから、日米間の装備技術協力を推進したい、そしてそのことは、アメリカの防衛技術の対日輸出を従来どおり円滑に行うという見地からもきわめて重要である、こういうふうに述べられたと聞いておりますが、事実でしょうか。
  102. 和田裕

    ○和田(裕)政府委員 そのとおりでございます。
  103. 大内啓伍

    ○大内委員 つまりアメリカは、自分たちの技術を日本に提供する、そういう状況を継続する上からも日米間で装備技術協力を今後積極的に推進することは非常に重要なんだ、こう言っているわけですね。そして、これに対して大村防衛庁長官はこう答えていますね。「今後装備技術の相互交流という原則にのっとってこれを拡大することについては、当方も基本的に同意する。」間違いありませんね。
  104. 伊藤宗一郎

    ○伊藤国務大臣 そのように報告を受けています。
  105. 大内啓伍

    ○大内委員 つまり、アメリカは日本との間の装備技術協力を非常に熱心に要望し、そして日本の防衛庁長官はこれに基本的に同意を与えている。この事実をまず確認したわけでございます。  そして、その後和田装備局長が訪米されまして、同じくワシントンで九月十八日デラウアー国防次官と会談をされていますね。そのときにアメリカ側は、「装備技術交流の相互性の確立について日本側が原則的に合意することは、防衛費増額、費用分担増と並んで、今後の日米安保体制の拡充にとってきわめて重要である。」こう述べているんですね。つまり装備技術交流というのは、日本の防衛努力による防衛費の増額やあるいは防衛分担金の増額と並んでその一つの柱としてきわめて重要である、こう指摘したことに対して和田装備局長は一まあその前にもう少しアメリカはもっと具体的なことを言っているのですね。アメリカはこう言っているのです。きのうあたり問題になっておりましたが、装備技術の共同研究開発の方途、研究開発の分野における協力関係を今後一層進めていきたい、こう述べているのですね。そしてこれに対して和田装備局長は、相互交流の原則にのっとってこれを拡大していくことについて原則的に同意するという、大村防衛庁長官のさっき申し上げた発言を再確認いたします、こう言っておりますが、間違いありませんね。
  106. 和田裕

    ○和田(裕)政府委員 全体に言って間違いございませんが、共同研究、共同生産の点につきまして、これを一層というふうにいま言われたように聞きましたけれども、その一層ということは多分なかったかと思います。(大内委員「ここに一層と書いてある」と呼ぶ)私がそのとき申しましたのは、何分にも共同研究、共同開発の話は初めて聞くお話でございますので、これは持ち返って検討さしていただきますということを申し上げた次第でございます。
  107. 大内啓伍

    ○大内委員 そのこともある程度事実なんですね。和田装備局長はこう言っているのですね。「共同研究・開発が可能か否か、可能とすればどのように進めるべきかについて、双方で検討してみよう」こう言っているのですね。そしてこれに対してアメリカ側は、「相互防衛援助協定の精神にかんがみ」、ここで相互防衛援助協定というのが出てきているのですよ。その精神にかんがみ「当然防衛技術交流の両面交通が促進されて然るべきであると考えており、日本側の検討が早急に進められるよう期待している。」  この私が述べた大要は大体事実でしょう。
  108. 和田裕

    ○和田(裕)政府委員 そのとおりでございます。
  109. 大内啓伍

    ○大内委員 だんだん基礎が固まってきているわけですね。  それで実は、この二つの会談を背景にして、昨年の十二月十四日と十五日、日米装備技術定期協議が東京で開かれているのですね。ここでは相当重要なことがさらに出てくるのです。つまり、アメリカから次のような具体的な要望が出ているのですね。  一つは、「日米安保体制にかんがみ、武器輸出三原則等と日米安保条約等との関連についての検討の結果、日本が装備・技術の相互交流を完全に可能にするとの結論を昭和五十七年一月頃までにでもまとめられることを強く期待する。」まあ過ぎましたけれども。  二つには、この中身はちょっと重要ですね。「アメリカが装備・技術の協力で考えているのは、初期的な共同の研究から武器の共同の開発、製造、維持までの全般に及ぶものであって、日米の防衛協力に貢献するもの総てである。また、汎用武器の技術に限定されることなく、両用武器技術及び純軍事技術の双方を含むものである。」  そして三つ目に「日本の民間企業がアメリカの民間企業と一切の制約なしに自由に意見・情報の交換ができるようにする必要がある。このような観点から日本の武器輸出三原則等と日米安保条約等との関連についての新しい見解は、」つまり、新しい見解を求めているわけです。「企業に対する一切の拘束を取り払うものであることを期待している。」こう言っていますね。これは昨日来から、昔あった、ないという話がございましたけれども、今後の問題としてアメリカは、共同開発、技術、情報の供与、しかもそれは、もちろん汎用品だけではなくて純軍事技術、それも防衛当局からの情報、技術資料だけではなくて民間レベルのものについても、三原則等との関連について新しい見解を出してくれ、こう言ってきているのですね。  これに対して、わが方、つまり防衛庁当局はこう言っているのですね。政府と言ってもいいでしょう。日米防衛技術の相互交流の促進について同意する旨は確認する。新しい政府統一方針をまとめましょう。これは一月中なんですね。言うまでもなく、一月八日の日米安保協議委員会の段階で日本は回答するというたてまえに立って、こう言っておられるのですね。これは間違いありませんね。
  110. 和田裕

    ○和田(裕)政府委員 全体としてはそういうトーンでございますが、若干私の記憶をたどりまして申し上げさせていただきますと、五十七年のなるべく早い時期にでも新しい見解を出してくれというふうに言ったように記憶しております。  それから、いま、協力の分野につきましては、共同研究、共同開発から共同生産、あるいは製造というふうに言われたかもしれませんが、言われた点につきましては、確かに共同研究、共同開発を強調されておりましたけれども、共同生産については、将来の問題としてはそういうことが持ち上がるかもしれないというようなトーンで言われたというふうに記憶しております。  それから最後に、私どもの方がそれは早期にまとめましょうというふうにお答えしたと言われたようにお聞きいたしましたけれども、私はそうは申し上げませんで、お答えの旨を留意いたしまして関係各省と作業を引き続きやっていくというふうにお答えしたと記憶しております。
  111. 大内啓伍

    ○大内委員 もちろん、早い時期にというよりか、五十七年の一月ごろまでにとはっきり月が出ていますね。これは別に私がつくった資料じゃないのですから、そちらの方で出された資料ですから、間違っている資料ではないと思います。  つまり、この一連の会談及び十二月の日米装備技術定期協議、そしてこれを踏まえまして、実は日米安保協議委員会が一月八日に持たれまして、このときもアメリカ側は同様の趣旨のことを述べられているわけですね。そしてそのことに、もちろん外務大臣、防衛庁長官等も、これにこたえよう、こういう姿勢で臨まれているわけなんです。  つまり、今日アメリカが求めてきている技術、情報の供与という問題はなまやさしいものではない。日本がいままで武器輸出三原則、それに基づく統一見解という中で、武器技術も含めて、アメリカに対してよその国と同じようにこれを適用してきた、こういうことについて考え直してほしい、そしてそういう武器輸出三原則あるいは日米安保体制というものを踏まえて実は新しい対応を日本は考えてほしいということを具体的に言ってきているのです。そしてそういう方向に対して、日本の防衛庁当局等は原則的にそれに同意を与えている。この事実は、防衛庁長官、間違いないでしょう。
  112. 和田裕

    ○和田(裕)政府委員 原則的には間違いないと存じます。
  113. 大内啓伍

    ○大内委員 これは聞いている方がおわかりだと思うのです。  そこで、私は少し基礎的に確かめておきたいことがございます。これは外務大臣になると思います。  日米安保条約第三条、これは防衛力増強の項目です。これは、一九六〇年の時点で改定安保という形で導入されてきた俗に言うバンデンバーグ条項であることは御存じのとおりです。そして、この条項に規定された努力をする国家に対してアメリカは防衛協力を行いましょう、そういう立場から次のように規定したのですね。自助及び相互援助により武力攻撃に抵抗する能力を維持し発展させる、三条にはそう書いてありますね。つまり、いま私が述べてきた、たとえば技術供与とか情報供与とか共同開発という問題の根源は実はここにあるのだということをアメリカはきちっと踏まえて、いま要求してきているということを忘れてはならぬわけです。そしてさらに相互防衛援助協定、これより先にできているわけです。その一条では、言うまでもなく「装備、資材、役務その他の援助を、」「細目取極に従つて、使用に供する」、こう書いてあるのですね。さっきのデラウアー会談の中でも、このことをはっきり踏まえて要求されてきていますね。  そこでお伺いをいたしますが、日米安保条約やいま申し上げた相互防衛援助協定といったような日米間の条約、協定というものに、日本からの軍事技術供与あるいは軍事技術開発、これは情報供与も入れていいわけですが、日本としてどのように拘束されるのか。これは義務なのか、義務でないのか。仮に義務であるといった場合に、その義務の性格はどういう性格のものか、それを外務大臣からお答えいただきたい。
  114. 櫻内義雄

    ○櫻内国務大臣 ただいま御指摘の点は、一言でいわゆる安保体制、こう申し上げてみたいと思うのです。  それで、この技術交流の問題が起きて以来、武器三原則あるいは政府の方針は、これはアメリカにも当然適用されるもの、しかしながら、一方においていまお話しのあったような安保関係のことがございますので、そこで、この技術交流の問題については鋭意検討しよう、こういうことで来ておるわけであります。  そして、ただいまいろいろ御指摘がございましたが、具体的には昨年の十二月の会合が、非常に私は、日本としてその会議に基づくことを結論を出さなければならない、こういう責任を感じておるわけでありますが、しかし、お話しの一月までに云々ということについては、残念ながら私は聞いておらないのであります。これは慎重にいろいろなケースを検討しなければならない、こういうふうに踏まえております。  また、安保協議委員会のことをいろいろおっしゃられましたけれども、この協議委員会におきましては、概略的な発言がマンスフィールド大使によって行われております。しかしまた、伊藤防衛庁長官はこれに対して、技術交流の問題は鋭意検討中であるということをお答えした範囲にとどまっておる次第でございます。  以上、お答えします。
  115. 大内啓伍

    ○大内委員 私のお伺いしたことに必ずしも直接に答えられておりません。日米安保条約並びに相互防衛援助協定上、もう略して日本の技術供与等と言います、それは条約、協定上の義務と考えているのですか、そうでないのですか。
  116. 櫻内義雄

    ○櫻内国務大臣 私は義務というようにはとっておりませんが、担当の局長からお答えさせます。
  117. 栗山尚一

    ○栗山政府委員 お答え申し上げます。  安保条約第三条、それから相互防衛援助協定第一条の意味につきましては、従来からもお答え申し上げておりますように、日米間におきまして防衛分野において相互に協力していこう、援助し合っていこう、それから、相互防衛援助協定一条につきましては、先ほど先生おっしゃいましたような装備、資材、役務というようなものについてお互いに協力し合おうという枠組みをつくっておるものでございますが、従来から申し上げておりますように、アメリカから言ってまいりました個別的、具体的な要請に一つ一つ応じていかなければならないというような条約上の義務を定めたものではございません。
  118. 大内啓伍

    ○大内委員 そんなことはわかり切っています。別に交換公文でもあるまいし、ましてやその細目でもないわけなんですから。日米安保条約とか相互防衛援助協定というのは、そんなものじゃない。しかし、その持っている、さっき申し上げた安保条約第三条とか相互防衛援助協定の第一条の持つ意味というのは、全く日本がそういう点について義務とは関係ないと考えて差し支えない条項なんですか。防衛庁長官はどうですか。
  119. 栗山尚一

    ○栗山政府委員 条約、協定の解釈の問題でございますので私から答弁させていただきますが、先ほど申し上げましたように、一般的な協力関係というものは、まさに安保条約三条、それから相互防衛援助協定の一条について双務的にあるということでございます。ただ先般来の、いま先生のお話しのような防衛技術の問題について日米間の交流を相互的なものにしていこうというアメリカの一般的な要請ないし期待の表明というものをこの安保の三条あるいは相互防衛援助協定の一条に照らしてどういうことになるか、この点につきましては、まさに先ほど来申し上げておりますように、関係省庁の間で鋭意検討中である、まだ結論が出ておらない、こういうことでございます。
  120. 大内啓伍

    ○大内委員 時間がもったいないですね。そんな回りくどいことを言わないで、条約上、協定上、そういう日本の技術供与等は全く拘束されないのですか、されるのですか、どうなんですか。それは包括的な義務的なそういう内容を持ったものなんですか、そうでないのですか。ここではっきり、どっちでもいいんです。これは後の問題で非常に重要なことなんです。
  121. 栗山尚一

    ○栗山政府委員 お答え申し上げます。  先ほど申しましたような趣旨で一般的に協力する協力関係というものは、これは日米双方の義務でございますので、そのような協力を何らかの事情で一切しないということになれば、これは安保条約三条、相互防衛援助協定一条の違反あるいはその趣旨に合わないということになろうかと存じます。  しかし、先ほど申し上げましたことの繰り返しになりまして恐縮でございますが、ただいまアメリカから言ってきております一般的な期待の表明というものを安保体制の中でどういうふうに受けとめるかということにつきましては、単なる法律的な解釈の問題ではございませんので関係省庁で検討中、こういうことでございます。
  122. 大内啓伍

    ○大内委員 そうすると、その条約及び協定上、たとえば軍事技術供与等が日本としてその条約や協定から発生する一つの責任であるかどうかについてはまだわからないということなんですな、検討中というのは。そういうことですか。
  123. 淺尾新一郎

    ○淺尾政府委員 ただいま条約局長から御答弁したとおりでございまして、個別的、具体的な義務というのは負っておりません。しかし、いかなる状態でもアメリカからの要請を断る、これは安保条約あるいは相互防衛援助協定の趣旨に反する、こういうことでございます。
  124. 大内啓伍

    ○大内委員 趣旨というのは、条項ではどの条項の趣旨に反するんですか。
  125. 栗山尚一

    ○栗山政府委員 先ほどの繰り返しになりますが、安保条約の三条、相互防衛援助協定の一条というものに照らして、そういう協力を一切やらないということであれば、そういう条項の趣旨には沿わないであろうということでございます。
  126. 大内啓伍

    ○大内委員 じゃ、条約、協定上、たとえば日本がやらないと言ったら、それは条約、協定の趣旨に反する、義務という言葉を使ったり使わなかったりしておりますが、そういう内容として受けとめているわけですね。  そこで総理、お伺いをしたいんですが、私がいま順次申し上げてきたのは非常に重要なまじめな議論なんですよ。アメリカは日本に対して、純軍事技術の供与、情報の供与、しかもそれは防衛当局だけのレベルじゃなくて、民間に存在するそうした技術、情報についても、どうか日米安保条約、相互防衛援助協定の立場から、その精神にのっとって日本は考えてくれないか、そして、武器輸出三原則等もあるけれども、そこについてはさっき私が述べたように、ひとつ新しい見解を考えてもらえないだろうか。私は、これがいま武器技術、情報供与の中核的な問題だと思うのですよ。  私は、きのう来の議論を聞きながら思いましたのは、そういう今日的な課題と離れた議論が非常に重要な議論として取り扱われているんですね。それはそれで結構でしょう。しかし、私どもが政策的な一つの判断をしなければならぬ、あるいは日本の方針としての判断をしなければならぬということは、まさにそういう問題なんですよ。それについて日本の政府が、そして総理が一体どういう態度で――日本の国民に対しても、また条約を結びしかも日本の安全保障の重要部分をゆだねているアメリカに対しても、駆け引きなしに率直に日本政府の意向というものを、あるいはいまの段階での考え方というものを披瀝しておくことが私は総理の責任だと思うのですよ。  私は、皆さんの揚げ足取りの議論をしようとしているんじゃないんです。本当にそういうことを考え合わなければならぬ。そして、だめならだめ、もう少し検討しなければならないならこういう部門について検討しなければなりません、いやそうじゃなくてこういうものを配慮していきたいと思いますというようなものが出なければ政府の態度ではない。そういう意味から総理のお答えを聞きたいと思います。
  127. 鈴木善幸

    ○鈴木内閣総理大臣 日米間における武器技術の交流の問題は、先ほど来大内さんおっしゃるように、まさに今日的な問題になってきております。非常に重要な問題になってきておるわけでございます。日米安保体制がわが国の防衛の大きな支柱になっているという観点からいたしまして、日米安保体制を円滑かつ有効に運営をするということは、日本側においても大きな責任が存在するわけでございます。私はそういうような観点からいたしまして、この日米の技術交流の問題を重視いたしております。  そして、昨年の暮れから特に米側からこの問題について安保条約や援助協定に基づいて一般的な期待と要請がなされておる、それに日本側としてこたえていかなければならない、このように考えておりますが、御承知のように、一方におきまして、わが国は平和国家という立場からいたしまして国会の決議もございます。そういうようなことで、この武器輸出禁止に関する三原則、政府方針というものもあるわけでございまして、私どもは安保条約を踏まえながら、この武器輸出三原則とどのように調整してこれに対応するか、いませっかく検討中でございます。
  128. 大内啓伍

    ○大内委員 これは非常に含蓄のある総理答弁でしたね、いまのは。つまり、そういうものを検討するという意味は、いままでのような状態だけではもうやっていけない、したがってこれを検討しなければならぬ。しかもアメリカは、これは一般的、包括的ではあっても、アメリカの要求というものは相当具体的に出てきている。こういう中で、たとえば日米安保条約あるいは武器輸出三原則という関連においてこれは検討していかなければならぬという趣旨のいまの総理の御答弁である。これは非常に重要だと思うのです。  そういう意味での政府の、これは何と言うのでしょうか、新見解とアメリカは言っているのですが、統一的な方針、態度というものはいつごろまでに、というのは、さっき申し上げたこれからの日米協議を見ておりますと、六月にまたありますね、いつごろまでにそういう方針をまとめようと思っているのでしょうか。総理、総理の腹としてはどうですか。
  129. 鈴木善幸

    ○鈴木内閣総理大臣 関係省庁間でせっかく検討中でございまして、いまいつごろということをお答えできる段階でございません。
  130. 大内啓伍

    ○大内委員 先ほど来申し上げたとおり、私が日本が先ほど御指摘申し上げた武器技術あるいは情報の取り決めに基づいて何件ぐらいそういう附属書にかかわる提供を受けているかと聞いたのは、実は相当重要なところなんです。  日本ではいまF15、P3C等のライセンス生産を受けておりますね。この中にはたくさんの純軍事技術が含まれております。そういうものがいま私が申し上げたとおり五十件余はある。そしてアメリカからはどんどんどんどん軍事技術等々の入手を得ている。そして日本の安全保障の重要部分を依存している。そして日本は、武器輸出三原則だけで果たして、他の国と同じように、君は同盟国だけれどもよその国と同じなんだと言って突っ張れるかどうかという問題を佐々木委員長が代表質問で提起したのですよ。そしていま私はそれを詰めにかかっている。そしていま総理は、そういう日米安保条約等の立場を踏まえてひとつ検討したい。これは今後実は日本の防衛政策だけではなくて、いろいろなところに重要な関係があるのです。だから聞いているのです。だって、いまバッジシステムだってもうだめでしょう。そのバッジシステムは、恐らくこれから――三つのグループにいま発注しましたよね。国産でできますか。純国産でできますか。そんなものできやしません。アメリカからも相当の技術協力を得なければならぬ。  ここに二百三ミリの自走りゅう弾砲というのがあります。和田装備局長が五十五年の九月アメリカに行きまして、ライセンス生産を申し入れているのです。しかし、だめになっちゃったのです。なぜだめになったかというと、十二月十五日、ストラットン下院議員らがこのウォーターブリッド社が生産する大口径のものは外に出さないという法案を成立させたのです。そして十二月二十七日には大統領がこれのサインを終了しまして、この二百三ミリのりゅう弾砲の主要の砲身のところはもう出せないのです。これができた途端に、その他の部門についてもいま三十名余の議員が輸出差しとめの陳情に駆け回っています。これはライセンス生産できないのです。そういう事実関係があったことを、和田装備局長、ちょっと説明してください。
  131. 和田裕

    ○和田(裕)政府委員 二百三ミリ自走りゅう弾砲の取得につきましては、実は全部につきましてライセンス生産をしたいということで申し入れをしておりましたけれども、砲身では、砲のチューブと言っておりますが、その部分だけを除いて一応ライセンス生産させるというような話になりつつございましたけれども、昨年十二月十五日に至りまして、いまお話のございました米国議会におきまして、ストラットン下院議員の提案によりまして、一九八二年度国防省歳出予算法の修正といたしまして、政府所有の工廠にかかわります大口径砲の技術資料を他国に出さないという動議が可決されました。その結果、砲身の一番前にあります砲口制退器という部分と、それから一番後ろにございます薬室等をおさめてある砲尾環の部分、この部分につきましては技術資料が日本に提供されないということになったということを知っております。
  132. 大内啓伍

    ○大内委員 つまり、アメリカは技術供与についても相当相互主義を求めてきているのですよ。ライセンス生産もいままでのようにはなかなかいかぬのですよ。つまり、日本がこれから技術供与とか情報供与というものを考えていかなければならぬ土壌、土台、背景というものが、そういう具体的な問題の中にひそんでいるということを私は皆さんに申し上げるために、いまそういう例を出しただけなんです。  総理、これから検討されるとおっしゃったのですが、アメリカと他の国とはやはり相当違いがありますよ。そして軍事技術供与の問題についても、日本としては相当広範に考えなければならぬという事態に追い込まれてきているのですよ。私は、一切これはノーと言い切れないと思いますよ。総理はその辺の感触をどういうふうにお感じになりながら検討するとおっしゃったのですか。
  133. 鈴木善幸

    ○鈴木内閣総理大臣 いま関係省庁でせっかく検討中でございますから、感触というようなことを、いま私、軽々に申し上げかねます。
  134. 大内啓伍

    ○大内委員 昭和五十一年の三木内閣が打ち出した三地域以外、つまりアメリカを含んで慎むという問題について、これが今後とも同盟国アメリカにも適用し得るのかどうか、そういう問題がいまの技術供与、情報供与の中心問題だということだけは申し上げておきたいと思うのです。  さてそこで、時間がどんどんたちますので。きのうもちょっと出ておりましたけれども、この技術供与等の問題あるいは共同開発等の問題というのは非常な沿革があるのですよ。一九五一年、つまり昭和二十六年に例の相互安全保障法、MSAがアメリカで成立いたしまして、そしてその後に、昭和二十九年、一九五四年の三月八日に日米の相互防衛援助協定が調印されて五月に発効していく。そしてその翌々年の五六年、昭和三十一年に、きのう問題になりました相互武器開発計画、MWDPというものが一時出て、そして三十七年のドル防衛というアメリカの理由によってこれが一時中断していく。そしてその後に日米安保条約の改定が行われて、バンデンバーグ条項が挿入されてくる。そして一九六二年、つまり昭和三十七年に、いま問題になっております十一月十四日の防衛目的のための技術的資料及び情報の交換に関する書簡交換、これが大平外相、ライシャワー大使の間で行われる。そしてここから、翌日には同資料、情報交換の取り決め、つまりDAというものが取り決められていく。そしてその後の六六年に、それをどうやってやろうかという当局同士の、担当者同士の話し合いが議事録的にまとめられたものとして、武器の研究開発に関する覚書という形になって続いてきているのですよ。  ですから、こういう流れというのは、決して偶発的なものが飛び出してきたのではなくて、一つの大きな流れを形成しながら、そして日本とアメリカとの国力の差、技術の差というものが、だんだん日本に対してもそういう要求となってあらわれてきている。そしてその兆しが、さっき申し上げた非常に早い時期においては三十一年の相互武器開発計画であったわけです。これは新兵器の共同生産、軍事技術交流をアメリカが資金を援助してやろう、こういうものだった。そしてその中に、きのう出ていたようなホーミング魚雷等々の問題があったのです。そして日本はそれに対して一つの発議をしているということは間違いないのです。  しかし、いまその問題についてくどくど私が聞こうとするものではありません。問題は、これから日本がアメリカに対して技術供与等をやっていこうとする場合に三つのケースがある。  一つは、政府が保有している技術、たとえば防衛庁当局の保有している技術をアメリカ政府へ提供する、こういうケースがあるのです。これは可能ですか。その根拠は何ですか。条約のどれですか。協定のどれですか。第何条ですか。これは当然、防衛庁長官ですな。
  135. 和田裕

    ○和田(裕)政府委員 御質問の点は武器技術の点かと思いますが、武器技術につきましては、原則としてアメリカにつきましても、三原則、政府統一方針に準じて取り扱うということで対処しておるわけでございます。  なお、これに関連いたしまして、防衛技術に関しますところの資料交換取り決め、いまおっしゃいますところの昭和三十七年十一月十五日にできました覚書でございますが、これに基づきまして防衛技術資料及び防衛技術情報の交換を行う枠組みができておって、さっきもおっしゃいましたように行っているということでございます。
  136. 大内啓伍

    ○大内委員 つまり、政府対政府ではできる、その根拠はさっき私が指摘してきた取り決め等である、こういう御返事ですね。  そうすると、日本からアメリカ政府に提供された技術が第三国に流れることはどうなんですか。
  137. 和田裕

    ○和田(裕)政府委員 資料交換取り決めに基づきまして米国に提供されることがある技術情報、技術資料につきましては、これはこの資料交換取り決めがもともと日米間の相互防衛援助協定に基づきます関係上、第三国への譲渡につきましては供与国の同意を得るということになっていると承知しておりますが、なお、私の言っていることが間違いございましたら、外務省の方に訂正していただきたいと存じます。
  138. 大内啓伍

    ○大内委員 正確を期してください。これは重要なところですから、正確を期してください。外務省なら外務省。外務大臣、頼みます。
  139. 栗山尚一

    ○栗山政府委員 ただいま防衛庁の方から御答弁ありましたとおり、相互防衛援助協定一条の二項におきまして「いずれの一方の政府も、他方の政府の事前の同意を得ないでその援助を他の目的のため転用してはならない。」という規定がございますので、この相互防衛援助協定一条に基づきまして、取り決められた枠内で行われる情報の交換につきましては、防衛庁の方からお答えがありましたように、この規定の適用があるということになります。したがいまして、事前の同意を得ないで、提供された情報援助を他の目的のため転用してはならない、こういうことでございます。
  140. 大内啓伍

    ○大内委員 それはアメリカとの間にどういう方法で確認しておられますか。つまり、日米の了解事項はきちっとございますか。
  141. 和田裕

    ○和田(裕)政府委員 相互防衛援助協定に基づきまして、三十七年十一月十四日に交換公文が取り交わされておりまして、それに基づきまして翌十五日に覚書が交わされておりますが、そういった中でいま言いました一条二項の規定の内容が反映されておるというふうに承知しております。
  142. 大内啓伍

    ○大内委員 それは出せますか。わからないですよ、それは。これは政府対政府の間の技術供与、情報供与はできる、そしてそれは相互防衛援助協定及びそれに基づく書簡交換及び取り決めによってそういうふうになっているといっても、そういうふうになっているかどうか、全然わからないじゃないですか。われわれには全然わからないじゃないですか。私が聞いているのは、恐らくそんなことは条文で書いてあるはずがないでしょう。だから、日米間でそういうことがしつかり了解されているかどうか、そういうことをはっきりしてください。
  143. 栗山尚一

    ○栗山政府委員 お答え申し上げます。  先ほど私が引用しました条文、若干不正確でございましたので、さらに補足して御説明いたしますが、相互防衛援助協定の一条四項「各政府は、共通の安全保障のため、この協定に従って受ける装備、資材又は役務の所有権又は占有権を、これらの援助を供与する政府の事前の同意を得ないで、自国政府の職員若しくは委託を受けた者以外の者又は他の政府に移転しないことを約束する。」こういう規定がございまして、先ほどから先生引用になっております資料交換取り決めは、当然この一条四項の規定の適用があるということでございます。
  144. 大内啓伍

    ○大内委員 そんなことは私もこれを持っているからよく知っているのですから、早く答えてください。さっきからずいぶん時間のむだをしている。  それじゃ二つ目、日本の民間技術のアメリカ政府への提供、これはもちろん、言うまでもなく地位協定十二条の関係でございますが、これはきのうもいろいろ議論がありました。この点はどうですか。
  145. 栗山尚一

    ○栗山政府委員 地位協定第十二条の趣旨につきましては、一昨日でございましたか、昨日でございましたか、私から御答弁申し上げましたが、ただいま先生の御指摘になられておりますような日米間の防衛技術の移転の問題と地位協定十二条の規定とは直接関連がないものであろうというふうに私は理解しております。十二条は、あくまでも、日本の施設、区域を利用する米軍が、自分の必要な資材、役務を日本において調達する場合の規定でございますので、ただいま日米間で話題になっておりますような問題とは直接関係がないのではないかと理解しております。
  146. 大内啓伍

    ○大内委員 そんなことは言ってないですよ。十二条関係でアメリカ政府が日本の民間から調達する。それが、たとえば地位協定第二条に基づいて行われるときはどうかという意味で聞いているのです。これは、在日米軍が米軍施設、区域から国外へ持ち出すことは違反ではない、こうおっしゃられたのでしょう。それは間違いないですね。それはいいです。  そこで問題は、つまり日米の民間同士の成約でアメリカに対して技術等が提供されるもの、これは通産大臣になりますな。どうして大臣が答えないんだ。僕のときにはどうして官僚の皆さんが、官僚の皆さんはりっぱな方だけれども、やはり大臣が答えてください。
  147. 安倍晋太郎

    ○安倍国務大臣 お答えいたします。  武器並びに武器技術の輸出につきましては、御存じのように、三原則がありますし、政府の基本方針がございます。したがって、アメリカに対しても民間の武器技術についての輸出ということはできない、こういうことであります。
  148. 大内啓伍

    ○大内委員 いままでの政府の考え方ではできないですね、正確に言えば。そして、いまその辺の検討が求められてきているわけですね。ここがまさに外務省と防衛庁と通産省で検討になっている中心課題である、こういうふうに認識していいですね。
  149. 安倍晋太郎

    ○安倍国務大臣 いわゆる技術交流といいますか、武器技術の輸出等も含めたそうした日米間の技術交流につきましては、先ほど総理も答弁をいたしましたように、現在、安保体制との関係でどうあるべきかということについて目下検討中であって、結論は出ていない、こういうことであります。
  150. 大内啓伍

    ○大内委員 それは見直しと受け取っていいですか。
  151. 安倍晋太郎

    ○安倍国務大臣 先ほどからここでも議論がございましたように、米国からの要請等もあるわけであります。そうした情勢を踏まえましていま政府として検討をしておる、こういうことでありまして、まだ結論が出てない。
  152. 大内啓伍

    ○大内委員 結論は出てないけれども、見直しという中で検討に入っている、これは非常に重要なところですね。  また和田装備局長になってしまうが、一月二十六日の記者会見であなたはこう言っていると言われているのです。ちょっと見てください。昭和四十一年六月のいわゆる武器の研究開発に関する覚書について、それは「昭和三十七年十一月十五日の日米軍事当局による「技術的資料、情報の交換に関する取り決め」の効率的運用を図るために、日米の担当者同士が考え方を述べ合ったものをまとめたもの」である、例の覚書についてこういう見解を明らかにしていますね。間違いありませんね。
  153. 和田裕

    ○和田(裕)政府委員 間違いございません。
  154. 大内啓伍

    ○大内委員 そして、さらに続けて、そこのところは間違いないのですが、後が間違ったと言われると困るのですが、「この「取り決め」によって日米間で武器の共同研究・開発ができる、」という見解を明らかにされましたね。
  155. 和田裕

    ○和田(裕)政府委員 そのように言った記憶はございません。
  156. 大内啓伍

    ○大内委員 これは国会でいま大問題なんです。しかも、これは大新聞のトップです。訂正されましたか。
  157. 和田裕

    ○和田(裕)政府委員 訂正はいたしませんでしたけれども、たまたま同日付のほかの新聞等を読み合わせていただきますと、私が大体どんなことを言ったのか、あるいは察していただけるんじゃないかと考えております。
  158. 大内啓伍

    ○大内委員 それでは、もう少し先を言ってみましょう。  さらに共同開発と武器輸出三原則との関連について、和田装備局長は、「1日本国内で共同開発した武器や武器技術を正規の手続で対米輸出する場合だけ三原則に抵触する2日米地位協定一二条に基づき在日米軍が調達し、日本の施設区域内から米国に運ぶ場合は三原則にぶつからない3米国で共同開発して日本に持ってくる場合も同様」である、この点は間違っていますか、間違っていませんか。
  159. 和田裕

    ○和田(裕)政府委員 第一点でございますが、私が申し上げましたのは、武器技術を輸出手続によって行おうという場合には、当然米国の場合でいっても原則として三原則統一見解に準じて取り扱われるということを申し述べた趣旨でございます。  それから第二点につきましては、この前の予算委員会でたしか石橋先生からの御質問にもお答えいたしましたように、これにつきましては、外務省のこれまで述べられた見解と同じだという趣旨も一緒に言った次第でございます。  それから第三点は、アメリカから研究開発した場合にどうなるかということでございますが、たとえばでございますけれども、こちらからアメリカに出向きまして、向こうの武器の関係の研究開発施設を利用するといった場合も考えられるわけでございます。そういったようなことの結果として武器なら武器の部分品、構成品ができたという場合、それを持ち帰ることはできるだろうという趣旨のことは申し上げたような記憶がございます。
  160. 大内啓伍

    ○大内委員 だんだん土台が整ってきているんですが、ここについ二、三日前に出ました「正論」の「防衛の基礎技術と情報」、ここで、いま御答弁いただきました和田さんが一問一答をやっているのですね。これは知っていますね。「日米技術協力―まず共同研究・開発から」これでいまもめているわけなんですね。そして、和田さんは相当はっきりしたことを言っているのですよ。共同研究、共同開発、共同生産ということについて「問題意識、人、金、技術、設備などを持ち寄るのが共同開発。」である、こういう定義ができますかね。「しかし、仮に日本の技術者がアメリカに行き、米国の施設を借りて技術を頭の中に入れ、一定の構想のもとに装備品の試作品をつくって実験したあと堂々と持って帰るのは三原則に抵触しない」。それから、さっき私が出しましたバッジシステムは、もう古くなっていますからかえなければならぬですね。「具体的にバッジシステムの日米開発はどこまで進んでいるのか。」こういう質問に対して、和田装備局長は「今回は提案資格者を国産メーカーにしぼった。だから、アメリカの会社はそれぞれ各社のうしろにくっついていて、日本の各社と密接に連絡している」、和田装備局長は、現段階において、これはいま見積書をつくっている最中なのです。その段階において日米は、「共同開発」という言葉を使っている。そして、日米は密接に各企業が連絡し合っている。これは共同開発を認めているのじゃないですか、いかがですか。
  161. 和田裕

    ○和田(裕)政府委員 第一点の共同研究、共同開発の定義でございますが、これは前にも申し上げましたとおり、どうも非常にいろいろあるようでございますが、非常に広い意味で言いますと、人とか知恵とか技術とか、施設の共用であるとかお金のプールであるとか、運用要求のすり合わせであるとか、そういったようなこと、それを全部やってもよろしゅうございますし、部分的にやってもなるのじゃないかということはここで申し上げた次第でございます。  それから、バッジでございますが、確かに御存じのとおり、今度の場合には提案資格者を国産のコンピューターメーカーに限定させていただきました。そのコンピューターメーカーは、私ども承知しておりますところでは、それぞれアメリカのソフトの会社の技術をいろいろ利用しているというふうに考えております。
  162. 大内啓伍

    ○大内委員 二月一日のこの委員会でのやりとりの中で、外務大臣と防衛庁長官は、共同開発は覚書を基礎としてできない、そうはっきりここで言われたのですよ。しかし、現実にこれからバッジシステムを開発する、あるいはその他の多くのものを開発する場合に、日米のそうした技術交流等は不可欠なのですよ。できないのですよ。そして、和田装備局長は、現実に新バッジシステムというものを発注する側にある人が、そういう問題について、民間対民間の技術交流、共同開発、そういうものが完全に行われようとしている、行われつつある、調べていますから、私も知っているのです。これは一体どういうことになるのでしょう。共同開発は本当に一切できないのですか。
  163. 櫻内義雄

    ○櫻内国務大臣 大内委員は、昨日の私の答弁がどのような質問で行われたかをよく御承知であったと思うのです。私は、覚書に基づいての共同開発の研究ができるかどうかという石橋委員の御質問でございますから、覚書の性格上これは日米政府間の権利義務を決めたものでありませんから、覚書を根拠にそのような法的枠組みに基づいての共同開発というものはできない、こういうことで、これはたしか石橋委員が私に念を押すために質問があられましたから、そのときの言葉は短かったと思いますけれども、覚書に基づくものは共同開発はできない、こう申し上げた次第であります。
  164. 大内啓伍

    ○大内委員 非常に正確になりました。防衛庁長官は不正確なことを言っている。新しい覚書をつくらなければ共同開発はできない、そういう趣旨のことをおっしゃった。間違いありませんか。
  165. 伊藤宗一郎

    ○伊藤国務大臣 私が申し述べましたのは、日米両国の間で共通の開発対象となる武器を定めて、双方が技術や資金を出し合って進めるような本格的な共同研究開発をしようとするならば、当然に新たに取り決めを結ぶ必要があろう、そのときの御質問にありました覚書は、そのような取り決めに当たるものではないということを申し上げたのでございます。
  166. 大内啓伍

    ○大内委員 そうすると、外務大臣としては、あの四十一年の覚書を基礎としたそういう共同開発というものは、それはできない。しかし、現状では何かを根拠としてできるんですか。
  167. 櫻内義雄

    ○櫻内国務大臣 技術交流の問題については、またこれが進んで共同開発まで及ぶと思いますが、この技術交流の問題については、先般来たびたび申し上げておるような武器三原則あるいは政府の方針から、現状においてはアメリカについてもこの方針に基づく、しかしながら、きょう大内委員のおっしゃったように、一方において安保条約等があるのでありますから、そこでまた昨年の六月また十二月というふうに米側からの御意向もいろいろ出ておるので、いま鋭意それに基づいての検討をしておる、こう申し上げておるわけです。
  168. 大内啓伍

    ○大内委員 そうしますと、あの昭和三十七年十一月十五日の取り決め、あるいはもっと大きく言えば相互防衛援助協定のもとで共同開発をすることが可能ですか、不可能ですか。
  169. 栗山尚一

    ○栗山政府委員 協定上の法律的な問題として申し上げれば、そのようなことを行う場合には当然相互防衛援助協定に基づく取り決めが新たに結ばれるということが必要だろうというふうに考えます。ただ、全般の方針につきましては、先ほど来大臣から申し上げておるように、検討中ということでございます。
  170. 大内啓伍

    ○大内委員 そうすると、防衛庁長官が言った新たな覚書というのは何です。長官の問題です。長官が言ったんです。
  171. 伊藤宗一郎

    ○伊藤国務大臣 先ほど来御指摘をいただいております相互防衛援助協定に基づく新たな取り決めでございます。
  172. 大内啓伍

    ○大内委員 そうすると、相互防衛援助協定に基づく新たな覚書なんですか、取り決めですか。そういう意味で聞いているんですよ、外務大臣の言っていることと違うから。
  173. 伊藤宗一郎

    ○伊藤国務大臣 取り決めでございます。
  174. 大内啓伍

    ○大内委員 外務大臣もそういうふうにお考えですね。
  175. 櫻内義雄

    ○櫻内国務大臣 そのとおりでございます。
  176. 大内啓伍

    ○大内委員 そうすると、大体はっきりしましたのは、いわゆる共同開発というのはこれから新しい取り決めをしなければできない。そして、きのう来PS1とかC1とか共同開発が行われたではないか、いや、そんなことはありません、いろんな議論が出てきている。そして、それは昭和五十一年の前か後か。つまり武器輸出三原則統一見解の後か前かによって武器輸出三原則の適用の問題が起こってくる。こんな不正確な議論で国会はもめているわけですよ。共同開発の定義がはっきりしなければ、それがいいか悪いか判定できないじゃないですか。そして、いろんな前提をつけて、こういう共同開発もある、こういう共同開発もある、その場合は違反である、その場合は違反でないなんという議論を百万遍繰り返したって意味がないじゃありませんか。  いま日本はF15、P3Cをライセンス生産していますよ。これも将来どうなるかわかりません。しかし、アメリカからその図面をいただき、いろいろな開発の方法について教授をいただき、そして、その生産をやっているのは日本の資本だ。日本の技術だ。日本の熟練労働者だ。日本の施設だ。これは共同研究にはならぬのですか、共同開発にはならぬのですか。こんな堂々たる、日米で技術を出し合い、指導し合いながら一つの兵器をつくっていく。あなたたちのようにいろいろな詭弁を弄されると、それまでも実は共同開発ではなくなってしまう。PS1やC1の比ではない。あれは汎用品と規定すれば汎用品と規定できる。こっちは明らかな武器だ。そして、それに対して日本は現実にそういう行動をとっている、とらざるを得ない。  防衛庁長官、責任を持って答えなさいよ、官僚に答弁させないで。あなたたちがいまやっているライセンス生産は共同開発ですか、共同研究開発ですか、そうでないんですか。
  177. 伊藤宗一郎

    ○伊藤国務大臣 大内委員からもいろいろ共同開発についての御意見なり仕分けがありましたけれども、いま御指摘の点は、いわゆる共同研究開発とは性格を異にするものと考えております。
  178. 大内啓伍

    ○大内委員 それでは、共同開発の定義を出してください。それが違うと言うならその基準を出してください。いままで基準を出したことはない、それで違うなどと言われたら迷惑千万だ。これからその種の共同開発的なものは相当日本はやらなければならぬ。現実にやっている。  ライセンス生産は英語で何と言っているか知っていますか。アメリカでは何と言っているか知っていますか。宮澤さんいるからよく知っていますよ、きっと。コプロダクションと言っていますよ。共同生産と言っていますよ。日本が日本語でライセンス生産と言っているんじゃありませんか。共同生産と共同開発とどこが違うのです。どうしてそんな論弁が世界で通用するんです。じゃ基準を出しなさい。定義を出しなさい。
  179. 伊藤宗一郎

    ○伊藤国務大臣 私どもが共同開発と申し上げておりますのは、共通の開発対象となる武器を定めて、双方の技術をプールし、責任分担を調整し、かつ必要資金を分担するというような本格的な共同研究開発を指しております。
  180. 大内啓伍

    ○大内委員 これは新見解ですな。和田装備局長はこの二月一日の議事録の中で「共同研究開発という言葉は非常ないろいろな言葉を含むのでございまして、場所によりましてその定義が区々でございます。」だから、どういう基準で議論したらいいのかと言っているのですね。  きのう来問題になっている同僚委員のこの問題を解明するために、一体どの物差しで共同開発と言うのか言わないのかという問題は、これは重大問題ですよ。いま防衛庁長官は、一つは、武器を定めて双方が資金を負担し合うと言いましたな。それから資料の交換、人の交流等、そういうものをやるんですな。そして、日米両国間においてそういう共同開発という場合には、共通の開発対象となる武器をまず定めて、双方の技術をプールして、そして責任分担を調整して、必要資金を分担する、それが共同開発だ、これはライセンス生産も当てはまってくるのですよ。  いま防衛庁長官が責任を持って共同開発という定義はこうだと答えた。この間、宮澤官房長官は、防衛庁長官の言うこの見解は内閣の見解だと言った。  総理大臣、確認してください。総理、確認してください。そうでなければこれは定義になりませんよ。いま内閣の、一番重要な争点じゃありませんか。
  181. 鈴木善幸

    ○鈴木内閣総理大臣 私は、先ほど来、大内さんと政府委員、防衛庁長官、外務大臣等との御意見の交換をじっと聞いておったのですが、この問題は、日米の軍事技術交流の問題につきまして、一方において武器輸出禁止三原則、政府の方針がある。そういう中で、これは共同研究、共同開発でそれが武器三原則、技術三原則に抵触するのかどうか、こういう問題点からいろいろ発展していってこの御議論がいま行われておるように思うのです。日本のP3Cなどのライセンス生産は日本の自衛隊が使うためにやっていることでございまし七、これをアメリカに輸出するためにやっているのではない。したがって、私は、これは武器三原則には抵触するものではない、このように考えています。
  182. 大内啓伍

    ○大内委員 私がいま総理にお伺いしたのは、共同開発がいい悪いという、いま議論をしている中で、私がたとえばライセンス生産等は共同開発ですか、こう聞いたら、われわれの考える共同開発とは違う、こうおっしゃるから、違うならその定義、基準というものを出せ、こう言ったら、概念的には相当明確な定義を出されたのですよ。だから、それが内閣の方針と受け取ってよろしゅうございますかと、これは念には念を入れているのですよ。後の論争に響く基準なんですよ。ですから、総理大臣にそのことを裏打ちしていただけますか、こう聞いているのですから、これは答えていただかないとこの先やりょうがないのですよ。これはどうしますか、重要な問題なんですよ。これは定義をきちっとしてくださいよ、後の論争にかかわり合いがありますよ。(発言する者あり)
  183. 和田裕

    ○和田(裕)政府委員 申しわけありませんが……
  184. 大内啓伍

    ○大内委員 それはいかぬ。そんなことを聞いているのではない。(発言する者あり)  いま申し上げているとおり、非常に重要な見解を防衛庁長官が述べられたのですよ。そうして、これはいま係争になっている問題をさばく基準になるのです。そうして、これが防衛庁長官の責任において言われた以上、これは綸言汗のごとしですよ。ですから、それを内閣総理大臣として確認していただけますかということを内閣総理大臣に聞いているのだから、これは答えていただきましょう。まずいのですか。
  185. 鈴木善幸

    ○鈴木内閣総理大臣 これは、共同開発、共同研究の概念をどういうぐあいに規定をするか、理解をするかという問題で、きわめて技術的な問題でございまして、政策判断でございませんから、防衛庁なりそういう専門家から、ひとつ政府委員から答弁させます。
  186. 大内啓伍

    ○大内委員 ちょっと待ってください、ちょっと待って。  じゃ、通産大臣に聞きましょうか。(発言する者あり)そればあなたの方も失礼だよ。僕が理事であるということはわかり切っているでしょう。じゃ、僕がトラブルがあったとき、だれが交渉するのですか。交渉相手はなしですか。(「昼の理事会で申し出るべきだ」と呼ぶ者あり)しかし、その辺は臨機応変にやるべきじゃありませんか。まあ、あなたとけんかしてもしようがない。  しかし、委員長、これは委員長としてお考えいただくことですよ。こういう問題で、重要な問題なんですよ。そのときに、やはり問題があるといって党の代表が出ていくぐらいは認めたっていいじゃありませんか。委員長、その判断をまず下してください。(発言する者あり)
  187. 栗原祐幸

    ○栗原委員長 総理大臣。
  188. 鈴木善幸

    ○鈴木内閣総理大臣 防衛庁長官の発言につきまして、私の見解を求められたわけでありますが、防衛庁長官から重ねて申し上げたいということでございますから……。
  189. 伊藤宗一郎

    ○伊藤国務大臣 ただいま私が御答弁申し上げましたのは、昨日来の予算委員会での御論議に合わせまして、防衛庁長官としての見解を申し上げたのでございます。
  190. 大内啓伍

    ○大内委員 そうしますと、宮澤さんこの間おっしゃったこととちょっと、ケース・バイ・ケースで使い分けたわけですな。そういう無責任なあれはどうかと思いますが、私は防衛庁長官の定義、見解として受けとめておきましょう。これ以上深追いしても総理はお困りでしょう。  しかし、しかしだ。(「逃すな」と呼ぶ者あり)逃さない。大丈夫。いま総理おっしゃったように、この問題は非常に専門的な面があるのですよね。ですから、専門家でも相当詰めなければならない。しかし、この問題は日本だけがへたとえば共同開発はこういうものでございますと言って通るものじゃないのです。少なくともアメリカとの間に、この共同開発の概念については意見の一致をきちっとしておかなければならぬ性質のものなんですよ。その意味で、政府はこの問題について統一見解をやはり速やかに用意する必要があるのですよ。  委員長、私、そういう見地から、政府がこの問題について速やかに統一見解を出すよう、委員長から命じていただきたいのです。
  191. 栗原祐幸

    ○栗原委員長 政府側はどうですか。――装備局長。
  192. 大内啓伍

    ○大内委員 いや、そうじゃない、そうじゃない。いや、いい。和田さん、いい。まだあなたにあるからいい。
  193. 和田裕

    ○和田(裕)政府委員 一言、一言……
  194. 大内啓伍

    ○大内委員 いや、そうじゃない、内閣に聞いているんだ。委員長、取り扱いが違う、そんなものは。
  195. 和田裕

    ○和田(裕)政府委員 共同生産と共同開発につきまして……
  196. 大内啓伍

    ○大内委員 委員長、取り扱いが違う。
  197. 和田裕

    ○和田(裕)政府委員 共同生産と共同開発につきまして説明させて……
  198. 大内啓伍

    ○大内委員 いや、ちょっと待ちなさい。委員が待てと言っているんだから待ちなさい。
  199. 栗原祐幸

    ○栗原委員長 大変重要な問題でございますので、理事会で協議いたしたいと思います。
  200. 大内啓伍

    ○大内委員 これは、非常に重要な問題について軽率な発言が続いています。しかし、防衛庁長官が出した定義というのは一つの定義です。今後これは内閣において統一見解としてオーソライズされなきゃなりません。それについて委員長が理事会で協議して、そして政府にそのことを要請するとはっきりされるなら、私はこの問題はこれでとどめましょう。委員長からきちっと言ってください。
  201. 栗原祐幸

    ○栗原委員長 理事会で協議をし、適切な処置をとりたいと思います。
  202. 大内啓伍

    ○大内委員 それでは、他の問題に移りましょう。  例の防衛費の後年度負担の問題なんですが、政府はこのところ国会答弁を通じて、昭和五十一年の防衛費の、一%以内、こういう歯どめは堅持する、そして六十二年までのいわゆる五六中業中もこの原則を守る、これは総理言明にかかわることなんですね。これは総理、間違いございませんか。
  203. 鈴木善幸

    ○鈴木内閣総理大臣 「防衛計画の大綱」を昭和五十一年の十一月に閣議決定をいたしました際に、あわせてその各年度における防衛費はGNPの一%以内にとどめるようにする、こういうことを決定をいたしておるわけでございます。御承知のように、その五十一年の閣議決定は、当面一%以内、こういうことに相なっております。それを私は鈴木内閣におきましても変える考えは持っていない、こういうことです。
  204. 大内啓伍

    ○大内委員 防衛庁長官にお伺いしますが、長官は十二月二十一日、昨年でございますが、御記憶だと思いますが、衆議院の内閣委員会で、GNP一%以内より防衛大綱達成を優先させたいという趣旨の見解を述べられていると思うのです。ここに当時の正確なあなたの発言もございますが、幾つかの前提をつくりながらGNP一%以内という問題と防衛大綱達成という問題が、これが競合してきた場合には防衛大綱の達成を優先的に考えていきたい、こういう趣旨の発言をされておりますが、間違いありませんか。
  205. 伊藤宗一郎

    ○伊藤国務大臣 お答えをいたします。  いま、先生も議事録をお持ちのようでございますけれども、私もいま持ってまいりまして、私、こういうふうに申し上げております。「大綱水準達成等のため防衛関係費の対GNP比が一%を超える必要があると判断される場合があるかもしれない。その場合は、防衛庁としては、その必要性を明らかにし、国防会議等において審議をお願いをしていただくことになろうと思いますけれども、まだそのことにつきましても、」「GNPの成長率も流動的でもございますし、期間内の防衛関係費や対GNP比がどのようになるかについては明確な見通しを得がたい状況でもございます。またその必要が生ずるかどうか、あるいは仮に生ずるとしても、いつ何どきどういう状態になるか等につきましては、いまこの時点では判断できる段階ではない」ということを申し上げたのでございまして、優先ということを申し上げたつもりはございません。
  206. 大内啓伍

    ○大内委員 じゃ、改めて聞きましょうか。  GNP一%を守りたい、これは鈴木内閣の閣僚である防衛庁長官としてあたりまえだと思うのですね。しかし、他方において、五十一年の「防衛計画大綱」は達成しなければなりませんね。そして、GNPというのは、これは生き物ですから、これがどう変わってくるかわかりませんわね。まして、いまのようにGNPというのはどんどん落ち込んできている。この三年ぐらいは七%台ですからね、名目でも。ですから、「防衛計画大綱」とGNPとの競争が起こって、これを追い越す場合が出てくるんですよ。そのケースが多いです。後で順々に聞きますが、あなたとしては、「防衛計画大綱」を実現することにまず全力を尽くされるわけですか。
  207. 伊藤宗一郎

    ○伊藤国務大臣 「防衛計画大綱」のできるだけ早い達成と昭和五十一年の閣議決定、また総理の御方針等勘案をしながら、防衛庁長官としての責めを果たしてまいりたいと思っております。
  208. 大内啓伍

    ○大内委員 そんなむずかしく言ったら国民の皆さんはわからぬ。「防衛計画大綱」と一%が競合してどっちをとるかというときには、防衛庁長官はどっちをとるのか。
  209. 伊藤宗一郎

    ○伊藤国務大臣 ただいまも申し上げましたとおり、両方を勘案をしながら、防衛庁長官としての大任を果たしてまいりたいと思っております。
  210. 大内啓伍

    ○大内委員 それじゃ、具体的に聞きましょう。  ことしの一月六日に防衛庁の関係参事官会議が行われましたね。ここで陸海空の三幕僚監部から、五六中業についての制服の立場からの見積もりというものが説明されましたね。説明されたということは間違いないですね。ちょっと待って、もう続けて言いましょう。そこで出た正面装備費は、総額幾ら提案されましたか。
  211. 塩田章

    ○塩田政府委員 参事官会議を行いましたことは、そのとおりでございます。  それから、そこで出ました金額につきましては、これは各幕の作業のおおむねの構想ができましたので報告は受けましたけれども、また、それを各参事官に紹介いたしましたけれども、まさに途中の作業の段階でございますので、いまここで金額幾らということは控えさせていただきたいと思います。
  212. 大内啓伍

    ○大内委員 私の聞いております範囲で申し上げますと、たとえば陸上自衛隊は北海道の師団を強化する。たとえば、いまの師団は九千人でございますが、これを一万五千人にする、戦車、火砲、装甲車等をふやす、こういうものが基本になっていますね。それから、海の場合は、護衛艦約六十隻を達成する。このため、退役艦の補充も含めて十九隻の建造を要求する。そして、新艦船には対艦、対空のミサイルを搭載する。潜水艦は十六隻体制を完成する。P3Cは九飛行隊九十機体制を目指して、予算化されている二十五機にさらに六十五機を新たに要求する。空は、迎撃戦闘機部隊十飛行隊のうち七飛行隊をF15部隊にする。このために新たにF15九十五機強を要求する。予算化されている七十五機と合わせて百七十機強とする。Cm輸送機十五機、E2C二機追加、さらにはバッジXの完成等々が出されたというふうに、これは相当正確なものだと思うのです。そして、これを積算してみたら大体六兆円ですね。  これは大蔵大臣、よく聞いておいてくださいよ。五カ年で一兆二千億です。正面装備費というのは大体二五%ですから、総額にいたしますと約二十兆円です。GNPにいまの実績で掛けてまいりますと、これだけで大体一・二%毎年平均になります。こんな計算はだれでもできますよ。これはもちろんSAM-X等は入っていないんです。正面装備費だけなんです。正面装備費が上がれば、それにつれて後方支援関係費は比例して上がるのですよ。その他の機関の関係費も上がってくるのです。  ここで私がちょっと試算してみますと、昭和五十七年度の予算は二兆五千八百六十一億ですわね、御存じのように防衛費は。そして、これがいま五十七年のGNP成長率は八・四%と計算していますね。去年は七%ですよ。八・四%で計算してみますと、来年二千四百二十五億円、つまり一〇・九%増という形で進みますと、六十年の段階で一%を切ってしまうんです。去年の七%の実績で言えば、二千億円の追加で一%、三年後に切っちゃうんです。いまの正面装備費は一年間で一兆二千億です。  しかも、それは制服が自分勝手に頭の中で考えて出してきた数字じゃないですよ。「防衛計画大綱」を実践しようとするとそういう数字だと出してきている。だから、私は、「防衛計画大綱」を実践するんですか、それとも一%をお守りになるんですか、その二者択一の問題が起こったときには一体どちらを優先してお考えになるんですか。総理は一%を切らないと言っているけれども、本当にそんなことができますか。できる相談じゃないですよ。  私は、きょうはSAM-Xの問題も触れたいと思いましたけれども、ちょっと時間がないのでこれは触れませんけれども、いまの状態でバッジXを発注・注文するに当たって、見積書をいま防衛庁はとっていますよ。そこで、SAM-Xで考えているのは六群です。六群で計算してみろと出しています。六群ということは、これは数字を言うとちょっと秘密になってくるからあえて言わないが、数十発です。数十基なんです、ファイアユニット。これをもし最低の最低で見積もっても、このSAM-Xを調達するだけで一兆四千三百五十億から一兆五千億は軽くかかるのです。これは大変な数字なんです。それにあなたは五億二千万円の予算をつけた。しかも、これは内容的に相当問題があるのです。これは時間があったらいつかやりましょう。  私は、かつて短SAMの問題をやりました。あのときは私にいろいろな反論をされましたが、私の申し上げたことを実践しなければならないという事態に防衛庁自体が入ったことは、後のあのインプルーブを見てもおわかりのとおりです。しかもそのためには、アメリカの企業からその技術を買わなければならぬというような事態が起こっていることも、これは共同開発の問題なんです。それは言いませんけれども、そういう問題が往々にして来るのです。これは容易なことではない。  私は、総理、一%を維持したいという総理の決意というのは、政治姿勢として敬意を表するのですよ。しかし、もっと重要なことは、この国際情勢の中にあって、日本がどういう地位にあり、どういうことをしなければ日本の自主的な立場からいってもまずいか。また、国際社会、なかんずく同盟諸国との関係、特に西側の一員としてそれはやらなければならぬかという立場に立って、防衛力整備という問題は考えるべきです。そして、もしそれが財政事情の中で、GNPがだんだん落ち込んでくる、そして一%を超すというケースの方が蓋然性としては高いという状況がどう見たって見越されるときに、そういう問題を素直に政府が国民に投げかけて国民のコンセンサスを得るということが、私は政治だと思うのです。指導者の任務だと思うのです。いままで逃げ続けてきた。そして、一挙にいまそういう問題が押し寄せてきた。そういう問題について、いろいろいままでの枠にとらわれた議論だけをしようとする。だから私は、防衛費の中身を吟味しなければならぬと言っているのですよ。だから、効率的な問題にメスを入れよと言っているのです。  ですから、SAM-Xの問題についても私は問題提起をしているのです。だって、国防会議なんか機能していますまい。国防会議で総理大臣が、関係大臣が、日本の装備、防衛力の整備についてどれだけの知識を持って判こを押していますか。サインをしていますか。何にもわからないで、めくらのサインをしているという可能性が強い。まあ、そこまで言ったら失礼かもしらぬ。しかし、そういう可能性がある。アメリカと日本のその機構は全く違う。防衛庁が出した資料と防衛庁が出してきたこのデータ以上のものを持って、それを査定する力は国防会議にはない。だから、いまの国防会議は形だけのシビリアンコントロールだ。これから防衛費が本当にふえていかなければならぬという時代の中で、そういう問題をきちっと立て直さなければ、国民は防衛費の突出、突出と非難するだけだ。  私は、そういう意味で、一%論という問題についての総理の答弁は、現段階で総理の答弁として承っておきますが、そういう事態にはならない。だんだん、いまのままほうっておくと、一%を軽くオーバーしていく。そして、それがいけないのかいいのかという問題について、政府ははっきりした決意を持って見解を出すべき段階に来ている、私はそういうことを申し上げておきたいと思うのです。特にこの五六中業をやろうとしたら、なかなか一%でおさまるものではありません。おさめると言うなら、どういう方法で防衛費に対して切り込んでいくのですか。総理の決意を承りましょう。
  213. 鈴木善幸

    ○鈴木内閣総理大臣 この問題につきましては、先ほど申し上げましたように、五十一年当時、当面GNPの一%以内、こういう方針がございます。私は、いまの段階におきまして当面変える必要はない、こういう立場に立っております。遠い将来においてGNPの関係あるいは防衛費の問題、いろいろ出た時点において総合的に国民世論その他を聞いて、国会にもお諮りして判断をするというのが政府の考えでございます。
  214. 大内啓伍

    ○大内委員 いま総理の後の方の発言中には、相当含みがございますね。国民の意見も聞いて国会にも諮ってそういうことは決めていきたい、そのことを含蓄ある言葉として受けとめておきましょう。  私は、本当はもっといろいろな問題をやりたかったのでございますが、その時間がございませんでした。そこで、一つだけ総理に聞いておきたいことがあるのは、総理は一月の十二日に、海洋国家にふさわしいハリネズミの防衛計画というものを言われましたね。私はよくわからないのです。たとえばヨーロッパのように正面に敵がいる、背後にはいない。その場合には、その国境線にミサイルをずっとハリネズミのように張りめぐらす。これをラインディフェンスというのです。日本がもしハリネズミのような防衛計画を立てるということになりますと、これは天文学的な防衛費を必要とする。総理はどういう意味でおっしゃられたのですか。
  215. 鈴木善幸

    ○鈴木内閣総理大臣 いま大内さんがおっしゃったように、日本は四面海をめぐらしておる海洋国家でございます。また、日本の平和憲法並びに基本的な防衛政策枠からいたしまして、専守防衛に徹することを基本としております。この二つの大きな柱、要件からいたしまして、日本のこのような海洋国家にふさわしい防衛体制というものがあってしかるべきだ、これは当然のことだ、こう私は思っております。  したがって、私は、先般防衛庁長官に対して、こういうような観点に立って専門的に日本の防衛について深い研究を進めてほしい。そして、その成果につきまして取り入れるべきものは、これを「防衛計画の大綱」の達成の過程において取り入れていくというようにしていくべきである、こういうことを指示いたしたわけでございます。したがって、その際に、ハリネズミだとかあるいは陸をどうするとか海をどうするとか、そういう専門的なことにつきましては専門家の専門的な検討にお願いをする、こういうことを言ったわけでございまして、そういう軍事的な専門的な分野にまで素人の私が入ってそれを制約をするというような考えは決して持っておりません。
  216. 大内啓伍

    ○大内委員 わかりました。針が引っ込んだので、私もこの問題は引っ込めましょう。  内政問題でも基本問題たくさんございまして聞きたかったのですが、残念ながら聞けません。そこで、通産大臣に一つだけ。  いま、ちまたで非常に困っておる問題がある。それは素材産業の問題なんです。これ、ちょっと次元が急に違いまして恐縮ですが、通産大臣に一つお伺いをしたいのは、現在わが国で、御存じのように、アルミ、石油化学あるいは紙パルプ、塩化ビニール等素材産業が、非常な原料高あるいはその中の特に電力料金の高騰、それから需要の停滞、過当競争等によりまして構造的な不況に陥っている。このままでいってしまいますと、それらの産業、企業はみんな壊滅状態になってしまうという重要な段階に入ってきているんです。私は、これはこれから日本の経済を浮揚さしていく上でもそういう状態に放置しておくことは許されない、その見地から、素材産業の健全な回復を図ることがバランスある日本経済の構築と経済の安全保障、これは安全保障に非常に関係があるという観点から、緊急不可欠の課題であると思っているわけであります。  そこで、まずお伺いしたいのは、この素材産業はすでに国際競争力を失っているからもう衰退してもやむを得ないと思っているのか、それともそうではなくて、政府の積極的なてこ入れによって今後これが立ち直ることが十分可能であり、やらなきやならぬと考えているかどうか、これをまず伺いたい。
  217. 安倍晋太郎

    ○安倍国務大臣 これはもちろん言うまでもなく、基礎素材産業というのは国民生活に不可欠な物資を供給する非常に重要な産業である、こういうふうに私どもは考えております。おっしゃるように、いま非常に悪いわけであります。何としてもこれに対する対策をこれから詰めて、好転を図っていかなきゃならないと考えております。
  218. 大内啓伍

    ○大内委員 そこで、これらの産業は業種によりまして相当違いがあることは御存じのとおりなんですが、しかし、共通して言えることは、電力高騰対策、それからナフサなど原料対策の解決が非常に重要な課題になっている。それからもう一つは、これは独禁法に関係があるのですが、生き残るための業務提携ですね、特に業界自身の構造改善を図るということが緊急の課題、要請になってきている。そして、業界自身、もうこの点について自主的な努力をしようと思っているのですよ。ところが、いままでの制度、法体制というものが足かせになっておりまして、これがなかなか思うようにいかない。そこで、原料の共同購入、製品の共同開発、生産品種の調整など共同行為を積極的に政府が認め、支援してやらないとこれらの構造改善ができないのですが、その点はどうですか。
  219. 安倍晋太郎

    ○安倍国務大臣 いまお話しのように、アルミであるとか紙パルプであるとか石油化学等の基礎産業は非常に悪化をいたしておるわけであります。これは短期的には住宅産業が非常に悪かったということでしょうが、しかし同時に、二度にわたる石油ショックによるエネルギーの高騰であるとか、あるいはそれに伴う原材料等の高騰といったようなことが原因になっておるわけで、通産省としましては、産構審というのがありますが、この産構審にこれが対策を諮りましてこの答申を得ておるわけでありますが、個別的に答申を得たものから対策を逐次実施をいたしております。  たとえばアルミにつきましては、関税をゼロにするとかあるいはまた電力料金の軽減化を図る措置を講ずるとか、そういうふうな措置をとっておりますし、また紙パルプだとか小棒だとか塩ビ、そういうものについては、独禁法で弾力的な運用といったようなものによって安定を図っておるわけでございます。その他、いまお話しのような生産設備等につきましても、これからのことを考えると抑制をしていかなければならない。アルミにつきましても、百十万トンから七十万トン体制へ持っていこうということで努力が行われておりますし、さらに、石油化学等についての集約化というようなことも行っております。塩ビについては、いまおっしゃるような共同販売の実施等も行っておるわけでございますが、いずれにいたしましても、産構審の答申を逐次得ながら、これに基づいて具体的な、個別対策といいますか、個別対策を実施をしてまいりました。非常に重要な産業でございますから、何としてもこれを国民経済上立て直していかなければならない、そういうふうに考えておるわけでございます。
  220. 大内啓伍

    ○大内委員 そろそろ時間でございますが、最後、一問で終わりにいたします。  通産大臣御存じのように、特定不況産業安定臨時措置法、これは来年の六月三十日で切れてしまいますね。この際、やはりそうした素材産業対策の緊急性にかんがみまして、その法律が切れてから法律を考えるというのじゃなくて、もうそろそろ今国会においても、通産省としては、共同行為の実施などができるような特安法の改正といったようなものをぜひ考えていただきたい。もし、そういう法改正ができないとすれば、次善の策というものがどういうものがあるのか、これはなかなかむずかしいんですけれども、ぜひ法改正に取り組んでもらいたいと思いますが、そのことをお伺いして、私の質問を終わりたいと思います。
  221. 安倍晋太郎

    ○安倍国務大臣 特安法につきまして、いまお話しのように、来年切れるわけでございます。そこで、その段階で総合的に改正をするという方法もあると思うわけでありますが、しかし、いま現在の不況産業の状況から見て早急に改正をしろという御意見もありますし、実は、いま産構審の審議をいただいておりまして、その産構審の大体一つの見通しといいますか、答申の状況を受けて判断をしなければならぬと思うわけですが、先生お話しのように、やはり早期に改正に取り組む必要もあるかもしれない。こういうことで実は迷っておるわけでございますが、いずれにいたしましても、今日のこうした基礎産業の不況な状況でございますから、この法改正の問題に対しては真剣にひとつ取り組んでまいりたい、こういうふうに考えております。
  222. 大内啓伍

    ○大内委員 ありがとうございました。  先ほど来問題にしておりました共同開発等につきまして、私は政府に統一見解を求めました。本来ですと、そういう問題がきちっと出て論議すれば、より具体的に問題が解明できたと思うのであります。時間がございませんのでやめますが、改めてそういう問題については政府の見解をただしたいと思いますし、総理におかれましても、これは非常に重要な問題でございますので、その場限りの方針ではなくて、やはり確固たる方針を一刻も早くわれわれにお示しいただきますよう要望いたしまして、質問を終わります。  ありがとうございました。
  223. 栗原祐幸

    ○栗原委員長 これにて大内君の質疑は終了いたしました。  なお、本日予定いたしました野坂君、大出君及び阿部君の質疑につきましては、後刻理事会において協議いたします。  次回は、来る八日午前十時より開会することとし、本日は、これにて散会いたします。     午後三時九分散会