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1981-04-22 第94回国会 衆議院 農林水産委員会 10号 公式Web版

  1. 昭和五十六年四月二十二日(水曜日)     午前十時四分開議  出席委員    委員長 田邉 國男君    理事 菊池福治郎君 理事 津島 雄二君    理事 羽田  孜君 理事 福島 譲二君    理事 新盛 辰雄君 理事 松沢 俊昭君    理事 武田 一夫君 理事 稲富 稜人君       逢沢 英雄君    上草 義輝君       小里 貞利君    亀井 善之君       川田 正則君    岸田 文武君       北村 義和君    近藤 元次君       佐藤  隆君    菅波  茂君       田名部匡省君    高橋 辰夫君       玉沢徳一郎君    保利 耕輔君       粟山  明君    渡辺 省一君       小川 国彦君    串原 義直君       島田 琢郎君    田中 恒利君       竹内  猛君    野坂 浩賢君       安井 吉典君    吉浦 忠治君       神田  厚君    寺前  巖君       野間 友一君    木村 守男君  出席国務大臣         農林水産大臣  亀岡 高夫君  出席政府委員         農林水産政務次         官       志賀  節君         農林水産大臣官         房長      渡邊 五郎君         農林水産省経済         局長      松浦  昭君         農林水産省構造         改善局長    杉山 克己君         農林水産省農蚕         園芸局長    二瓶  博君  委員外の出席者         資源エネルギー         庁公益事業部原         子力発電安全管         理課長     平田辰一郎君         資源エネルギー         庁公益事業部原         子力発電運転管         理室長     末広 恵雄君         農林水産委員会         調査室長    小沼  勇君     ――――――――――――― 委員の異動 四月十六日  辞任         補欠選任   上草 義輝君     福永 健司君 同日  辞任         補欠選任   福永 健司君     上草 義輝君 同月二十一日  辞任         補欠選任   竹内  猛君     上原 康助君 同日  辞任         補欠選任   上原 康助君     竹内  猛君 同月二十二日  辞任         補欠選任   北口  博君     粟山  明君   日野 市朗君     野坂 浩賢君 同日  辞任         補欠選任   粟山  明君     北口  博君   野坂 浩賢君     日野 市朗君     ――――――――――――― 四月二十日  食糧管理制度改悪反対及び農業基本政策確立に  関する請願外一件(串原義直君紹介)(第三一  九〇号)  食糧管理制度の充実強化に関する請願(井出一  太郎君紹介)(第三二三九号)  同(小川平二君紹介)(第三二四〇号)  同(小沢貞孝君紹介)(第三二四一号)  同(唐沢俊二郎君紹介)(第三二四二号)  同(串原義直君紹介)(第三二四三号)  同(倉石忠雄君紹介)(第三二四四号)  同(小坂善太郎君紹介)(第三二四五号)  同(清水勇君紹介)(第三二四六号)  同(下平正一君紹介)(第三二四七号)  同(中村茂君紹介)(第三二四八号)  同(羽田孜君紹介)(第三二四九号)  同(宮下創平君紹介)(第三二五〇号)  畜産経営の安定強化に関する請願(井出一太郎  君紹介)(第三二五一号)  同(小川平二君紹介)(第三二五二号)  同(小沢貞孝君紹介)(第三二五三号)  同(唐沢俊二郎君紹介)(第三二五四号)  同(串原義直君紹介)(第三二五五号)  同(倉石忠雄君紹介)(第三二五六号)  同(小坂善太郎君紹介)(第三二五七号)  同(清水勇君紹介)(第三二五八号)  同(下平正一君紹介)(第三二五九号)  同(中村茂君紹介)(第三二六〇号)  同(羽田孜君紹介)(第三二六一号)  同(宮下創平君紹介)(第三二六二号)  昭和五十六年度糸価の引き上げ等に関する請願  (井出一太郎君紹介)(第三二六三号)  同(小川平二君紹介)(第三二六四号)  同(小沢貞孝君紹介)(第三二六五号)  同(唐沢俊二郎君紹介)(第三二六六号)  同(串原義直君紹介)(第三二六七号)  同(倉石忠雄君紹介)(第三二六八号)  同(小坂善太郎君紹介)(第三二六九号)  同(清水勇君紹介)(第三二七〇号)  同(下平正一君紹介)(第三二七一号)  同(中村茂君紹介)(第三二七二号)  同(羽田孜君紹介)(第三二七三号)  同(宮下創平君紹介)(第三二七四号)  食糧管理制度堅持、健全化に関する請願(天野  光晴君紹介)(第三三六三号)  日ソ漁業交渉の促進等に関する請願(赤城宗徳  君紹介)(第三三六四号) は本委員会に付託された。     ――――――――――――― 本日の会議に付した案件  農業者年金基金法の一部を改正する法律案(内  閣提出第四七号)  昭和四十四年度以後における農林漁業団体職員  共済組合からの年金の額の改定に関する法律等  の一部を改正する法律案(内閣提出第四八号)      ――――◇―――――
  2. 田邉國男

    ○田邉委員長 これより会議を開きます。  農業者年金基金法の一部を改正する法律案を議題とし、審査を進めます。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。野坂浩賢君。
  3. 野坂浩賢

    ○野坂委員 農業者の年金問題についてこれから質疑をいたしますが、私はその前に大臣に確認をして質問に入りたい、こう思っております。  歴代の総理及び農林大臣は、農業と他の産業との所得の格差を是正しなければならぬ、それは政府の命題である、こういう方針で進められてまいったわけであります。亀岡農林大臣も御就任以来鋭意努力をされてまいったと思いますが、この方針に間違いはないのか。それと、現在の農業所得と他産業との所得の格差は是正をされてきたのか、格差が拡大をしてきたのか、その辺はどのように御認識になっておるのか。また、これに対応する対策としての方針があればお示しいただきたい、こう思います。
  4. 亀岡高夫

    ○亀岡国務大臣 農業基本法を制定いたしましたその趣旨からして、農業従事者と他産業従事者との所得の均衡を図ってまいるというのが農政の大きな眼目であることはお示しのとおりでございます。私もそのように考え、そしてそれを達成すべく日夜努力をいたしておる次第でございます。あらゆる努力をいたしまして生産性の向上を図り、所得格差をなくそうという努力をいたしてきておりますけれども、他産業従事者の方の所得も年々伸びてきておるというようなことから、一世帯当たりで見た農業所得と勤労者世帯所得との間には、まだ格差が厳然としてあるということを認めざるを得ません。  したがって、今後においても構造政策、さらに生産政策を積極的に推進をいたしまして、規模拡大等によって生産性の向上を図ると同時に、品種改良等あらゆる努力をいたしまして農業所得の向上を進めてまいりたい、こう考えておる次第でございます。なかなか険しい道ではありますが、総合的な施策を進めるということによってこの困難な目的を果たしていかなければならない、こう考えます。  特に昨年、農用地利用増進法初め農地法、農業委員会法等の改正、制定をしていただいて、構造政策を進める環境等の改善も図っていただいたわけでありますので、その辺にも力を入れ、さらに農村の地域社会に対する雇用の場をいかにして設定してまいるかというような問題ともあわせて、目下農林水産省において懸命の努力をいたしておるところでございます。
  5. 野坂浩賢

    ○野坂委員 今後は格差の縮小はあっても拡大はない、こういうふうな農林大臣の意向である、こういうふうに考えてもよろしゅうございますか。
  6. 亀岡高夫

    ○亀岡国務大臣 それが先般農政審議会から答申を受けたあの答申の精神であり、また行政の目標でなければならないということで、私はそのように考えております。
  7. 野坂浩賢

    ○野坂委員 農業者年金のあり方についてでありますが、御案内のようにこれは政策年金であります。ある程度政策的にそれが成果があった、そういう考え方に立って、この農業者年金をやめることはないだろうと思っております。老後の保障を十分にしていくために、農業がある限り農業者年金は続くものと、このように私は判断しておりますが、そういうふうに考えてよろしゅうございますか。
  8. 亀岡高夫

    ○亀岡国務大臣 私もそのように考えます。
  9. 野坂浩賢

    ○野坂委員 農業者年金の給付の水準についてお伺いをいたします。  五十一年に農業者年金を改正いたしました際に、昭和五十年十二月十八日に年金の審議会が答申をしております。その内容は、要約いたしますと「農業者年金の給付水準については、厚生年金保険、国民年金における給付改善の内容及び農業所得の推移を十分に見定めたうえ、厚生年金保険における給付水準決定の基本的考え方に準じ、適正な引上げを図るべきである。」こういう答申が出ております。この意味は、厚生年金と同じような水準で農業者年金というものを考える、給付水準は同じような程度で考えるべきだ、こういうふうに理解をしておりますが、そのとおりでありますか。
  10. 杉山克己

    ○杉山(克)政府委員 そのとおりでございます。
  11. 野坂浩賢

    ○野坂委員 今度の年金の改正につきましては、経営移譲の場合の単価は三千五百七十五円でしたか、それから老齢年金の場合はたしか八百九十五円、こういうことになっておると思います。それで、特にお伺いしたいのは、いまも大臣なり局長から御答弁いただきましたように、厚生年金のモデルケースというのがございますね。お手元にあろうかと思いますが、これは平均加入期間が三十年、平均標準報酬月額は十九万八千五百円、こういうことになっております。それで定額部分と報酬比例配分をプラスいたしますと、モデルケースとしては十二万九千五百二十四円という月額の年金がもらえる、これがモデルケースですね。これに農業者年金を当てはめてまいりますと、推定の農業所得月額というのは十二万九千百十円になりますね。それは示してありますように、十万七千二百五十円という答えから換算をいたしますと、そういうことになります。厚生年金の額と同じようにしたい、こういうことでモデルケースが出ておりますが、相当の開きがありますね。約二万二千円の開きが出ておる。これでは農業所得というものが非常に下回っておるということを明らかにしておるわけであります。この点について、先ほど大臣も局長もお話しになりましたように、同じようなレベルでぜひやっていただきたい、またやっていきたいということでありますが、このような差異を是正する必要があるのではないのか、こういうふうに思いますが、どうですか。
  12. 杉山克己

    ○杉山(克)政府委員 農業者年金の給付水準の算定に当たりまして厚生年金並みの水準を確保するということにいたしておるわけでございますが、その実質は、農業者がその平均的な農業所得をもって厚生年金に加入していたとするならば一体幾らの年金が得られるであろうかということを厚生年金の算定式の例に当てはめて算定をいたしまして、その水準を確保するということを考えているわけでございます。ところが、先生御指摘のように、実質的な所得の点において、現在平均で見ました場合、勤労者一般の水準と農業者の水準とには格差があるわけでございます。この格差是正を図るということについては、先ほど大臣からも御答弁申し上げたとおり、農政全般を通じて時間をかげながら逐次その接近を図っていくということになるわけでございますが、現在格差があってそれが実態であります以上は、やはり厚生年金自体にも、平均は確かに先生先ほどおっしゃられたような標準報酬十九万八千五百円、この場合の年金月額十二万九千五百二十五円というようなモデル計算となるわけでございますが、所得に応じての厚生年金自体の中での格差もあるわけでございます。したがいまして、農業者の所得は勤労者一般の場合と格差がある、それがそのまま農業年金の給付の水準に反映することになるわけでございます。格差の是正ということは今後努力を続けていかなければなりませんが、私どもとしては、制度的に厚生年金と同じ考え方に立ってそのバランスが保たれている給付水準を農業者年金においても確保し得ている、かように考えているわけでございます。
  13. 野坂浩賢

    ○野坂委員 月額十九万八千五百円というのは年収にして三百十三万六千円になりますね。それで、農家の場合は二百四万円ですね。年間に百十万円程度の格差がある。これでは、農業所得の向上を言いましても、三分の一も格差があるということは問題がある。できるだけ政策的にそれを進めるという農業者年金でありますから、たとえば二百四万というのはどういう平準を示しておるのか、専業農家は二百七十七万円あります。亀岡農林大臣がおっしゃる中核的農家というものの所得は約三百十九万円に上っておるわけであります。この辺から考えまして、当然加入の五十アール以上を全部平均したものが二百四万円という理解であろうと思いますが、厚生年金のモデルとあわせて、あなた方が推進をする地域農政と中核的農家の育成という意味の場合は、中核的農家の三百十九万円にもっとウエートを考えて、そのような農業所得方式をいわゆる報酬比例部分の中に算入をする、こういう方法をとったならばある程度水準が並ぶではないかというふうに私はその矛盾を指摘するわけであります。大臣はいかにお考えですか。
  14. 杉山克己

    ○杉山(克)政府委員 農家所得についてどういう推定というか算定をなすべきであるかについては各種の算定方式がございます。過去の傾向からこれを延ばしていくというようなことをベースにするわけでございますが、その場合私ども、都府県〇・五ヘクタール、道二・〇ヘクタール以上の農家、つまり当然加入規模以上の農家の平均農業所得を対象にして推定をしたわけでございます。いろいろな計算方式がありますが、そういう方式の中で一番高い直線回帰方式をとりました場合、五十五年度の農業所得は約二百四万円と算定されたわけでございます。実際にどういう対象をとるかという場合、当然加入規模以上の農家が、考えられる一番合理的な水準であろうかと思います。  それから、中核農家を育成するという観点からそういう所得はとれないものかというお話でございます。確かに中核農家を育成するための助成策はそれなりに農政全般の面で講じていかなければなりませんが、年金制度としてはいま申し上げましたような考え方に立って、公正な所得水準というものを算定すべきであろうと考えるわけでございます。  なお、中核農家をとれば確かに三百十九万円ということになりますが、全農家平均の場合は百十数万ということもありまして、いま申し上げましたような二百四万というのは私どもとしてはかなり配慮した水準であろうかというふうに考えております。
  15. 野坂浩賢

    ○野坂委員 全然配慮してはおりません。これは当然加入五十アール以上を平均化したものです。たとえば、米の生産者米価を決める際には、必要限度数量というものを制定をして、七百三十五万トンを、生産性の高い農家から下に下げてまいりましてこれで値段を決める。非常に政府の都合のいいようにすべてが行われておるということです。現在の労働者の年間所得は三百十三万円、農家の所得の現状というのは二百四万円、これだけの差異が現出をしておるということは問題がある。だから、政策年金といって他の産業との所得の格差を是正するには、少なくとも年金だけでも同じような方向をとっていくということ、しかも中核農家なり専業農家育成というところに農政の焦点を合わしておるならば、その方向をとるということはむしろ適正ではないのか、意欲的になるのではないのか。農業所得は少ないけれども、老後の安定は労働者並みに保障しておりますというところを明らかにすることが、愛情ある農家の老後における保障政策として、いわゆる政策年金としての姿ではないのか、そういうふうに私は思います。  そしてもう一点、これからは格差の拡大ではなしに格差の縮小に集中をするのだ、厳然とした態度で述べられたことに対して私は敬意を表するわけでありますが、昭和五十二年の財政再計算の際には、たとえば経営移譲年金の月額を厚生年金の月額で割った場合は八六・三%という比率が出ておりました。今回の財政再計算の結果は八二・八%という数字が出ております。農業と他産業との所得格差は、より以上はさみ状に拡大をする傾向を示してきた。こういうことが端的に言えると思うのでありますが、先ほど御答弁をいただきました農林大臣なり局長の言とは逆な方向をたどっておる、この点についてはどのようにお考えになるのですか。
  16. 杉山克己

    ○杉山(克)政府委員 確かに、一般勤労者の所得と農業者の所得の間には格差が存在しますし、その格差が必ずしも縮小を見ていない、場合によっては拡大するという傾向さえ見られるわけでございます。そのことがこの年金の給付水準の上にも反映しているということは大変残念なことでございますが、ただ、年金制度のあり方、年金の原理原則からいたしますと、所得に見合った給付ということはやはりやむを得ないのではないかと私は思うわけでございます。  それから、配慮したと言うが配慮していないではないかといういまの御批判でございますが、当然加入者の要件、その規模以上のものをとるということは、実際加入者の平均から見ますと、まあそういう実際加入者の平均のとりようがないという計算上の制約があるからでもございますが、実際の加入者の平均規模よりはやや大きいところをとっているという結果になると思っております。  それから、政策的な配慮が全くないではないかという点につきましては、これはむしろ国民年金の付加年金としての政策的な年金制度であるということ自体に政策的な意図が込められておりますし、それからまた、財政的な面におきましては、一般年金にはないような掛金、保険料に対する国庫補助も行われているというような点もありまして、そういった点については、私どもとしてはできるだけこの制度の中において配慮をいたしているつもりでございます。
  17. 野坂浩賢

    ○野坂委員 いま局長がお話しになりました国庫補助は、たしか拠出時に十分の三ですか、それから給付時に三分の一、それから短期間の方のところには二分の一、こういうことになっておりますね。そうすると、総合して国の補助金は何%になりますか。
  18. 杉山克己

    ○杉山(克)政府委員 先生よく御存じでございまして、いまおっしゃられたようなそれぞれの国庫負担が行われております。すなわち、経営移譲年金給付に要する費用については三分の一、それから期間短縮者については、加算部分について二分の一、それから保険料の拠出時には全体の十分の三、つまり加入者が納める保険料の額の七分の三に相当する額、これだけの国庫補助が行われております。この国庫補助の額全体の給付費に対する割合がどのくらいになるか見てみますと、実質四六%程度になっておるわけでございまして、これはほかの公的年金制度に比べて相当高いものということが言えると存じます。
  19. 野坂浩賢

    ○野坂委員 この前の国会で、農家の負担能力等を勘案をして保険料を決めていただきたい、こういう附帯決議をしておりましたが、亀岡農林大臣が就任をされて、このことだけは実現をされております。これは敬意を表するわけであります。いつも余り敬意を表しておりませんので、この際、敬意を表しておきます。  平準保険料というのは八千五百六十七円ですね。今度の保険料というのは五千百円ということになっております。約六〇%です。従来とってまいりました完全積立方式を修正積立方式に変えたということであります。今後はこれは六〇%以上に、引き下げることがあっても引き上げることはないであろう、それは農家の負担能力が、農業所得の現状とかそういうことから見て、これからの農業者年金は非常に厳しい情勢になってくる、こういう判断から私はそのように考えておるわけですが、大臣も、農林省も、そのようにお考えですか。
  20. 杉山克己

    ○杉山(克)政府委員 年金財政の将来の見通しというのは、実は大変厳しい情勢にございます。そこで今回保険料の算定に当たりましても、すでに先生が質問の中でもお認めくださいましたように、平準保険料としては八千五百六十七円を確保しなければいけないところでございますが、農家負担を考えますと一遍に現在の倍以上の水準に引き上げることは実際的ではないということで、厚生省あるいは大蔵省、関係方面ともいろいろ御相談いたしまして、農家負担能力を勘案した今回の五千百円、その後は漸次毎年若干ずつ、実額で四百円ずつ引き上げるというような調整措置をとったところでございます。これらの調整措置をとった結果、完全積立方式、現在の積立金で将来の給付を賄い得るということにはならなくて、いわば修正積立というような実質になってきたわけでございます。  こうなりますと、将来、給付に対して財源的な不安があるわけでございますが、これをどうするか。この制度が続く限り、その中全体において運営を図っていくということで解決を求めるべきであろうかと存じますが、私どもとしては、将来とも農家負担については十分慎重な配慮をして、同時に、この保険財政の健全化ということをにらんで適正な運営、給付なり保険料率を決定してまいりたいというふうに考えております。
  21. 野坂浩賢

    ○野坂委員 局長さん、きわめて抽象的で、よくわかりませんね。いまは完全積立方式を修正積立方式に切りかえて、平準保険料の六〇%が保険料である、これ以上になることはない、こういうふうに農家の負担能力から考えて言える、こういうふうに思っておりますが、そうですかと聞いておるのです。上がることがあるのかないのか。十分勘案をして慎重にというようなことでは納得できません。
  22. 杉山克己

    ○杉山(克)政府委員 むしろ財政計算から言えば、現在想定されている八千五百六十七円という平準保険料を一日も早く実現しなければならないということであろうかと存じます。ただ、先ほど申し上げましたように、そのことをいきなりというわけにはまいりませんので、さしあたって初年度を五千百円にし、それ以後五年間にわたって年々四百円ずつ引き上げるということを今回の法律改正の内容といたしておるわけでございます。五年間たちましても平準保険料の八千五百六十七円という水準は確保されないわけでございますが、それから先どうするかということについては、現在の段階でそれ以上に上げないとかあるいは絶対上げるのだということではなくて、それは財政全体の問題もありますので、さらにその時点における再計算、それらの吟味を通じて検討なさるべきであるというふうに私は考えております。答えとしてはそういう意味で抽象的にならざるを得ませんけれども、事柄の性格上やむを得ないと考えております。
  23. 野坂浩賢

    ○野坂委員 それでは局長さん、年金の単価は今度の法改正で八百九十五円になっておりますね。五千百円というのが保険料です。一番最初四十六年の一月から始まったわけでありますが、この際はあなた方農林省は百八十円という単価を出されたわけです。そうですね。そこで自民党を含めて国会側はこの単価を二百円にした。それは決まったですね。自民党の方もよく聞いておってもらわなければならぬが、二百円の単価に決まったということは、七百五十円の保険料と比べてみて、これを割ってみればいわゆる三・七五という比率が出てくるわけですね。この点が掛け捨てがなくて大体よろしい、そういう考え方でできたわけです。  今日この推移をながめてみますと、いまの農業者の老齢年金の単価は八百九十五円になっております。五千百円になりますとこの比率というものは五・七〇になっておりますね。三・七五から五・七〇になっております。四百円ずつ上げていくということになって六十一年になりますと、八百九十五円と六千七百円ということになりますと七・五になりますね。こういうふうにだんだん拡大をしてくるわけです。  これはどういうことをあらわしておるかというと、老齢年金になった場合には掛け捨てが出てくる可能性が強まってきたということですね。いままでは、老齢年金の場合は自分の掛金に五分五厘を掛けて六十五歳から七十五歳まで十年間でようやく自分の掛けたものが取れる。七十五歳以下で死んだらパアだ、損だということの計算になっておることが端的にあらわれておる。今度はあなた方は苦肉の策で七十五・二歳という前回の平均寿命を七十七・四歳に二年間引き上げてきた。そして、これがパアにならないように、いわゆる加入者の損にならないようにそういう措置をしてきたのですね。このことが六十五年、六十六年程度になってまいりますとそういう傾向が出てくるのではないかということを心配しておりますが、その点は大丈夫でございますかということが一点。  なぜ保険料をこういうふうに上げなければならぬのかということの理由は、あなたがおっしゃる過去勤務債というかいわゆる積立金の不足、これが一つだ。そして、いままでわれわれが、また政府も考えておりました移譲年金というのは、移譲年金が四割で老齢年金が六割だと考えて発足をしたわけでありますが、いまは逆転をして八対二という割合になってきた。したがって持ち出しが多くなってきたということが一つ。そして農業者の高齢化、寿命が延びてきたからだんだん保険料を上げていくという傾向が強まる、一方農業者の負担能力というものは限度に来ておるという状況、だから掛け捨てができるのではないかということを心配するわけであります。そういう点はありませんか。
  24. 杉山克己

    ○杉山(克)政府委員 農業者老齢年金の年金単価とそれから保険料との関係でございますが、これは御承知のように年金単価というものは、それに保険料納付済み期間の月数を掛けまして、それで一年間の年金額が算定されるという性格のものでございまして、直接に保険料と何対幾つというようなことで比較される性質のものではないと存じます。保険料水準がだんだん上がってまいりますのは、先生御指摘のように全体として老齢化が進む、それから経営移譲率が上がる、若年加入の方々の加入がそれほど多くはないというようなこと、そのほか各種の財政再計算上の要素が総合的に反映されて保険料水準が上がらざるを得ないということになってくるわけでございます。  それから、老齢年金について掛け捨てにならないかということでございますが、老齢年金の額につきましては、経営移譲年金とのバランスを考慮して、過去の年金額の改定におきましては経営移譲年金と同率の改定を行ってきているところでございます。今回も同様の考え方をとったものでございまして、特別にこのことによって掛け捨てになるというようなことになるとは考えておらないところでございます。
  25. 野坂浩賢

    ○野坂委員 掛け捨てにならないようにしてください。  これからなぜそういうふうに農業者の保険料が上がってくるのかということを検討しますと、加入者が少ないということですね。発足当時、たしか百六十万人でしたか、それを目標にやられた。いまは一体どういう状況かというと、あなた方の資料でもありますように、昭和五十年をピークにして、五十年に百十六万四千人がいま百七万になってきた。毎年毎年減りつつある。前に、あなたの先輩であります森さんというのは、一軒一軒農林省が歩いて、そして全部加入してもらいます、こういうことでしたけれども、この努力とは逆に、結果的には非常に減ってまいったということであります。加入者の総数は百七万五千人で、いまの受給者というのは十七万一千四百二十一人、成熟度は一六多ですね。そうですが、それをちょっと確認しておかないといけない。
  26. 杉山克己

    ○杉山(克)政府委員 加入者及び受給者の計数的な関係は先生の御指摘になったとおりでございます。
  27. 野坂浩賢

    ○野坂委員 そうすると、この趨勢でいきますと、あなたから資料をいただいておるこれを読んでみますと、五十五歳から五十九歳は二十八万人おるのですね。これも五年したら受給者になります。これが二五・二%。五十歳から五十四歳までの人が三十一万四千人おって二八・三%おりますね。合わせて五〇%。だから、もう十年すれば加入者がどれだけ入ってくるか、そして受給者がどれだけ多くなってくるかということになりますと、一人で一人を養うというかっこうになりますか。そういう計数になるでしょう。どうですか。
  28. 杉山克己

    ○杉山(克)政府委員 御指摘のように四十五歳以上の加入者の割合というのはきわめて大きゅうございます。それに比べまして四十四歳以下あるいはそれよりもさらに若い階層の加入者というのはきわめて少ない。加入者の、特に若年加入者の増加に努力するわけでございますが、それでもなおかつはっきりと受給者の数がふえてくるという実態がありますと、少ない加入者で多い受給者を負担するという事実は生じてまいります。一対一であるかどうかということは、今後の加入者の動向等にもよりますので厳密に一対一ということは申し上げかねますが、かなり重い負担、少ない加入者によって多くの受給者を養うという状況が出てまいることは事実でございます。
  29. 野坂浩賢

    ○野坂委員 私が言ったとおりになります。間違いない、それは申し上げておきます。  そこで、そういうことになれば加入者はなくなってきます。というのは、掛金だけどんどん多くなってきて、入っても負担能力がない、こういう結果になるわけです。そこでどうやるかということはいまの加入者の実態は、二十歳から三十九歳までではわずかに一一・五%、四十歳以上が九〇%を占めておるという。だから私が最初にこれは農業がある限り続きますかと言ったのは、こういうことを心配するわけであります。だから国庫補助金が四六%程度ではとても追いつかない、はっきり言っておきます。  そこで、この四十歳までの未加入者が一体何人いるのか。あなた方が出しておるのには農家の世帯主は四百四十万人おりますと書いてあるじゃないですか。あなた方のところの参考資料の五ページに、四百四十四万六千人、これが農家の世帯主数だと書いてあるのです。それが百万しか入らないという現状なのだ。この未加入者は三十万人おると私は聞いております。そうですね。なぜ入らないのですか、なぜ入れないのですか、どういう努力をされましたか。
  30. 杉山克己

    ○杉山(克)政府委員 御指摘のように未加入者、資格を持ちながらまだ加入してない人は総数で約三十万人おるというふに推定されます。そのほとんどが若年、四十歳未満の者であると考えられるわけでございます。  そこで、こういった人たちがなぜ入らないのかということでございますが、一つには、農業者年金制度そのものの問題以前に、農業に対して魅力を感ずるか感じないか、農業に対してこれから一生をささげようという気魄を持った人が出てくるかどうかという基本の問題があろうかと存じます。この点については農政全般の政策をもって対応する、できるだけ将来の農業を魅力あるものに育てていくということでおこたえするということになろうかと存じます。  それから、農業者年金制度そのものの立場から、なぜ加入が行われないかということについては、やはり若い人は自分の将来に対してそれほど不安を感ずることが少ない、余り老後の設計ということなどに慎重に意を用いないという点が一つあろうかと存じます。それから、農業者年金制度は政策年金として、農業者に対して一般の公的年金よりはかなり有利な扱いになっておるわけですが、このことの実態について、かつて戸別訪問をして勧誘に歩いたではないかというお話がございましたが、そういう努力は今日も続けているのでございますが、なおかつまだ十分に浸透していないという点もあろうかと存じます。  私どもといたしましては、農政全体について農業の将来を魅力あるものにつくり上げていくという努力をすると同時に、いま申し上げましたようなPR、特に若い人を対象にした積極的な勧誘、この制度のよさ、利点をわかっていただければそれなりに入ってみようじゃないかという方も十分あらわれてくると思いますので、さらに一層関係方面も督励して努力してまいりたいと考えております。
  31. 野坂浩賢

    ○野坂委員 いつも約束はしていただくのですけれども、毎年毎年こういう傾向にあります。局長がいま農業への魅力の問題をお話しになったと思うけれども、それは農政で対応するのだと、胸を張らないで下を向いてお話しになったのですけれども、まさにそのとおりであります。農政がそのような姿にないから八六・三%が八二・八%というふうに、格差拡大に拍車をかけておるというのが年金の計算方式を見てもはっきりしておるわけです。農政もこれから胸を張るようにして、他の産業との所得格差を是正する方向でぜひ努めていただかなければならぬ、こういうふうに思います。  聞いておきますが、入ってくれる人もあるかもしらぬというような消極的な姿勢では、農業者年金の経営実態というのはこれから非常にむずかしくなってくる。最近は大蔵省等は、農業者年金の補助額が六百二十二億に上っておるわけですから、目をつけないとは限りませんね。だから私はきょうは大蔵省に出ていただいて、四六%をもっと引き上げいという話をしなければならぬと思っておりましたが、まずその前に、農林省としては未加入者の加入をどうするかということが一番問題になりますが、これからどうされますか。局長、どの県が一番加入率が悪いのですか、どの県が一番いいのですか。
  32. 杉山克己

    ○杉山(克)政府委員 県別に若干の差はございますが、概してそれほど大きなばらつきはございません。いいところから申し上げますと、九〇%以上の加入率を確保しているのは北陸の石川、あとは大体八〇%台にありまして、中に一部六〇%台のところがございます。六〇%台のところを申し上げますと、青森六八・四、茨城六八・二、千葉六九・五、東京六七・八、以上が六〇%台でございます。ですから、そのわりにはばらつきはないのでございまして、全国的に一様にある程度の普及はしているということは言えるかと存じます。
  33. 野坂浩賢

    ○野坂委員 ある程度の普及、満足をしていらっしゃるわけですか。
  34. 杉山克己

    ○杉山(克)政府委員 いま申し上げましたのは、極端にそのことについて浸透してない、特に成績の悪い県があるかという点については、悪くても六〇%台は確保し得ていて、そんなに特別に悪いということではないということを申し上げたわけでございます。全体の水準が、九〇%を超えるものが一県しかないということで、それ自身はまだまだ努力を要する、満足すべき性質のものだとは思っておりません。
  35. 野坂浩賢

    ○野坂委員 加入に努力をしていかなければ非常に重大な事態を迎えるのではないのかと心配をしております。五年先には成熟度はいまの一六%から五〇%以上になるということは私が申し上げておきます。恐らく六〇%になるのではないのか。百人で六十人を養う、いまの状況では必ずこういう事態になります。だから農林省は、たとえば農業委員会の皆さんあるいは農協の皆さんにこの農業者年金加入に対して格別な配慮をしてもらうように、最善の努力を尽くしていただかなければならぬ、そういうふうに思います。  そしてもう一つは、いまの大蔵省が考えておるいわゆる補助金削減の中で、農業者年金の今日の状況はいまお話をしたとおりでありますから、これを五〇多、五五%程度に引き上げるということがあっても、それを引き下げるというようなことでは、農業者年金の今後の経営に異常な事態を迎えるということを指摘しておきたいと思います。努力をしないで農業者の保除料だけを毎年毎年上げるというようなかっこうでは農政はだめで、農業者の保険料だけを上げるというようなかっこうは農民の好まざるところであるということを十分御理解いただきたいと思います。  もう一つは、時間がありませんから私は申し上げませんが、婦人の加入あるいは遺族年金という、他の年金とバランスがとれる方途というものも十分お考えいただいて、農業者年金の育成と強化に努めていただきたい、こういうことを農林大臣に要望し、事務当局にお願いして、婦人加入問題、遺族年金の問題に真っ正面から取り組んで慎重に検討していただきたい、こういうふうに思いますが、最後に農林大臣の御答弁をいただいて、私の質問を終わりたいと思います。
  36. 亀岡高夫

    ○亀岡国務大臣 この年金制度は、日本の国全体が高齢化社会に入ってまいるということで、各種年金の問題としてやはりこれは共通に対処しなければならない大きな問題が起きてきていることは野坂先生も御了承のことと思うわけでございます。これらを解決してまいりますためには、ある程度の高福祉高負担というような方程式がどうしても考えられなければならないということで、これは抜本的に年金制度の改善ということを政府としても取り組んでおるわけでございます。  一方、先ほど来御論議をいただいております、農家にも年金をということで、大きな意気込みでこの立法をして、そして農業者年金制度というものを創設をしたわけでございます。しかるところ、いま御指摘のように、いろいろな、当初企図をした方向と、路線も歩き切れていないという面も出てきておるということも事実でございます。これも先ほど局長がお答え申し上げましたとおり、農政全般として農民の地位の向上を図るということが基本でありますと同時に、やはりこういう制度が、農民のための特別の国庫助成をしてまで年金制度をやっておるのですよ、こう呼びかけておっても入ってもらえないという、その辺のところに今日の農政の心配すべき部面が存在しておるというふうに私は考えております。したがいまして、そういう点を今後農政の面でだんだんとなくしていって、そして農家の本当の信頼を受ける農政を実行していく方途を強力にとらなければならない、こういうふうに考えるわけでございます。  いま行革という問題が出ておるわけでありますが、農業団体が集まっただけで新聞が反対反対、よく見てみると反対しているわけじゃないのですけれども、大きく反対反対とあっちでもこっちでも書き出す。ところが、財界やそちらの方で行革の問題をあれしましても、全然行革に対する批判とかなんとかという取り上げ方はされないという、この日本の、何というのでしょう、世の中といったらよいのでしょうか、私は農林水産大臣として自分の任務であることを声を大きくしてしゃべりますと行革に消極的だ、こういうふうに新聞でぴしっとやられる。こういう日本の世の中ということが、これが私は日本の農政をある意味においてあらわしているのではないかなという感じさえ持つわけでございますから、ここのところはしっかりと諸先生方の御協力をちょうだいいたしまして、あるべき姿、あらねばならない姿、当然不要不急の出費をしていくわけじゃございませんので、そういう点は、やかましく厳しく切るべきものは切っていくという姿には、決意には変わりはありませんけれども、やはり筋の通った納得のいくような方向に強力に農政を進めていくというのが、昨年国会で決議をいただいた食糧自給力強化の、あの院の趣旨を生かしていくゆえんであるということでございますので、この年金制度についても努力をしてまいりたい。  また、この農村婦人の加入の問題あるいは遺族年金の問題等につきましても、いろいろ問題点はございますけれども、これはもう農民年金の、やはり年金でございますから、いろいろと検討をさして積極的に対処をしていきたい、こう考えております。
  37. 野坂浩賢

    ○野坂委員 これで質問を終わりますが、いまちょうちょうとお話をいただきました。新聞ではダービー三着論も言われておりますけれども、私どもは、いまの農政の現状は、農業と他産業との格差、これを是正をし解消していかなければならぬということは、はっきり確認をしておかなければならぬと思います。農業に魅力あるように、今日の農業者年金の姿というものが異常な事態であり、加入者が減少しておるというこの実態、農業に魅力がないということを端的に言いあらわしておるわけであります。そのために、底を広くするためには、まず加入者の増大、そのためには専従婦人、いわゆる婦人の加入の促進、遺族年金の実施、そういうことを特に強調して、私の質問を終わります。どうもありがとうございました。
  38. 田邉國男

    ○田邉委員長 田中恒利君。
  39. 田中恒利

    ○田中(恒)委員 農業者年金基金法の一部改正について、先ほど来野坂委員の方からも幾つかの問題について御指摘がございましたが、冒頭でありますから、農林大臣に御所信のほどを伺いたいと思います。  いまもお話がありましたが、農業者年金は、私は、いまのいろいろな年金制度の中でもやはり一番厳しい問題を抱えておると理解せざるを得ません。一つは、いまお話のありました、やはり加入者がだんだん少なくなってきておる。特に四十歳以上の高齢者が八八・五%という、圧倒的に高齢者が加入者のほとんどを占めておる。これでは年金制度の構成そのものが、どう考えてもやはり成り立たないというのはきわめて常識論であると思うのです。  しかしこれは、いまも御指摘がありましたように、日本農業の実相がやはりそのままここに直映しておるわけでありまして、これは年金制度の中だけで解決できない基本的な問題を持っております。農政全般で処理しなければいけない課題が余りにも多いわけでありますが、同時に、年金制度の内容そのものに問題ありとしないか、この点も私ども見きわめておく必要があるのじゃないかと思うのです。  私はこの間、田舎の農業委員会、農協の関係者と話をしておりますと、こういう話がありました。特に農地法の改正に伴って使用収益権なり賃借権なりの移動によって、たとえば兼業農家の奥さんというものは、これから名義の書きかえをやれば農業者年金にどんどん入っていく道が開かれてきた、しかし肝心の専業農家の奥さんはなかなかむずかしい、こういう状態であれば、この年金をめぐって、専業農家、自立農家育成の政策意図に反する結果になりつつあるのではないか、こういう声も現場では論議の対象になっておるわけであります。  あるいは、後継者の加入が最近非常にふえておるけれども、しかし、やはりこれも損得計算であって、名義だけおやじのものから息子へかえておくというか、使用収益権だけ移動さしておくということで、実態として政策年金として掲げる方向に向かってこの年金が機能しておるのかどうか、こういう問題をふとやはり考えざるを得ない気もするわけであります。  こういう点も含めて農林大臣は、この際、法改正が出ておるわけでありますが、この年金の持つ内容なり日本の農政全体の抱えておる問題について、真に農民の年金制度としてどういうふうにお考えを進められていったらいいのか。私は、この農業者年金法が創設をされた、立法ができた当時、国会で議論をした一人でありますが、そのときにはやはり集中的に老後の保障という問題と、われわれは農民切り捨てになるのじゃないかという指摘をして迫りましたが、政策年金、構造改善政策の一環の議論が伯仲的に論議をされました。その後十年間の流れの中では、ほとんど内容的に移譲年金を中心とした政策年金の様相を強めてきて、国民年金プラス農民年金で老後保障、こういう観点が強まってきております。  しかし、農民の年金として全体的にきちんとつくり上げていくという体系ができないと、専業農家を中心とした年金でやれるのかどうかということについて不安を持つものでありますが、これらも含ませて大臣の御所見を承りたいと思います。
  40. 杉山克己

    ○杉山(克)政府委員 農業者年金制度が農政上どのような効果を生じているというふうに考えるかということでございますが、これは当初から目的としておりますところの一連の構造政策のための施策の一つである、特にこの制度によって適期の経営移譲、早期の経営移譲を進めるということを図ったわけでございまして、それはかなり実現し得ていると思うわけでございます。  後継者に対して移譲した場合、これは一括移譲ということをこの制度では前提といいますか、要件としておるわけでございます。いま今日の農村社会もその兼業化、混在化が進んでおりまして、このことは、農地の資産価値が高まるということと同時に、切り売りだとか分割相続といったもの、それからそういうことによる地片の細分化ということを余儀なくさせるわけでございますが、いま申し上げましたようにこの制度によって一括経営移譲した場合に年金の適用があるということによって、かなりその細分化は防ぎ得ているものというふうに考えるわけでございます。     〔委員長退席、菊池委員長代理着席〕 それからいま一つは、後継者自身がやはりそれによって一括経営ができるということで、後継者が意欲を持って農業経営に当たれるということが出てまいると思います。その点では、細分化を防ぐと同時に後継者の意欲を喚起するのに貢献し得ているというふうに考えるわけでございます。  それから、第三者移譲の場合でございますが、これはケースは少のうございますが、ケースを見てみますと、第三者移譲によってかなりの経営規模の拡大というものは実現し得ているところでございます。そういう意味で、構造政策上それなりの貢献はし得ているというふうに考えるわけでございます。  ただ、先ほど来御指摘ありますように農政全般の問題でございますが、なかなか若年の農業者が、農業の将来に魅力を感じて今後長く農業をやっていこうという意欲に燃えてくださらない、年金に対する加入率も低いというようなことで、種々問題はあるわけでございます。そういったことが反映いたしまして、今日年金財政もきわめて厳しい事態に立ち至っております。先ほど来御指摘を受けたところでございますが、私どもといたしましては、まず何よりも第一に、年金制度の中で加入者の増加を図っていく、特に若年加入者の増加を図ってその点からの財政の健全化に寄与してまいりたい、適正なる運営、一般的な資金の効率的な運用というようなことにも努力して、財政の健全化に努めてまいりたいと考えております。  それから御質問の中に、経営移譲は、所有権だけでなく賃貸借という形で利用権の設定も経営移譲として認めるというようなことから、実態は経営移譲が行われていないというような脱法的なことが出てきているのではないかという御指摘がございました。確かに、所有権の移転と違って、利用権の設定というのはそのような危険がないわけではございません。したがいまして、本当の若返り、本当の経営移譲が行われているかどうかということについて十分その実態を監視する、そしてそういうことが確保されるように指導を強めてまいるということが必要であるし、またそのことに努めているところでございます。
  41. 亀岡高夫

    ○亀岡国務大臣 いろいろ御指摘いただいた農民年金の問題でございますが、先ほども野坂委員にお答えいたしたとおりであるわけでございまして、やはりいろいろと問題点が出てきておることも承知をいたしております。これはもう農民年金だけでなく、ほかの各種年金においても、やはり高齢化社会に伴って年金設計をどう取り組んでいくかというような、抜本的な問題についても方向づけを新たにしなければならないという事態に来ているのではないか、こう考えるわけでございます。この農民年金もそうでございますが、やはり同じような苦労を抱えておるわけでございます。したがいまして、こういう問題に対処して、将来長い目で見た場合においてこの年金制度は一体どうなっていくのかということに非常な不安を持つ、そういうものがなかなか農家の加入を得ることができない一つの理由になっているのじゃないか、そういう感じもいたします。  したがいまして、八〇年代の基本構想を示されたわけでございますので、この農民年金に対しましても、その八〇年代の農業をしょって立つ農家の皆さん方の老後の保障並びに後継者の確保のために本来果たすべきこの農民年金の制度の充実を図るために、さらにどういう点を考えていかなければならぬかということについて、農林水産省においてもひとつグループをつくって検討をしたらいかがか、こういう考えも持っておりますことを申し添えたいと思います。
  42. 田中恒利

    ○田中(恒)委員 以下少しずつ具体的にお尋ねをいたしますが、年金額の引き上げ幅に比べて保険料率の引き上げが今度の場合は大幅に高いわけですね。この保険料と年金の引き上げ率がどうなっておるのか、なぜ高くなるのか、この点をまず一括してお答えいただきたいと思います。
  43. 杉山克己

    ○杉山(克)政府委員 農業者年金の保険料の額は、年金給付に要する費用の予想額それから予定運用収入、国庫負担の額、こういったものと照らし合わせまして、将来にわたって保険財政の均衡を保つことができる水準に定めるということが基本になっております。今回の財政再計算の結果、農業者年金の財政はきわめて厳しい状況にあるわけでございまして、将来における財政の均衡をとるに必要な平準保険料の額は八千五百六十七円、五十六年現在の保険料額四千百六十円に対して二倍を上回る水準というふうに算定されたわけでございます。  これがどうして必要になったかということにつきましては、保険財政全体の内容を御説明するようなことになりますが、一つには、加入者数が予想を下回っているというようなこと、あるいは経営移譲率が予想を上回ったというようなこと、そのほか種々あるわけでございますが、そういったことが反映しているわけでございます。このことは、給付水準の上昇に比べますと、年金額は五十五年に比べて八・七%、農業者老齢年金は端数の関係がございまして八・九%ということになるわけでございます。また一時金は五十一年に比べて三七・五%の引き上げということになっているわけでございます。こういう給付水準の上昇率に比べると、全体の財政再計算を行って必要な保険料を算定いたしますと、いま申し上げましたように、きわめて大幅な平準保険料ということにならざるを得ない実態になっているわけでございます。  そこで、年金財政の長期収支の均衡を図るという観点からいたしますとこういう水準で保険料を設定するのは当然なのではございますが、先ほど来御指摘がございましたように、今日の農業の実態、農家の負担能力といったものを考えました場合、保険財政上の計算がそうだからといって一遍にそこまで上げることには問題があるわけでございます。そこで、急激な負担増加を避けるため、緩和するために、段階的な引き上げ措置を図ることにいたしまして、初年度、五十七年一月以降は五千百円、以後毎年四百円ずつ段階的に引き上げるという緩和措置をとったところでございます。
  44. 田中恒利

    ○田中(恒)委員 八千五百六十七円の平準保険料に対して五十七年一月以降五千百円の保険料ですね。六〇%といまもお話があったわけですが。この財政再計算の収支の見通しはもう少し詳しく、どういうふうになっていくのか。いつの時点で積立金が、これは六割でいけばやがてなくなると思うのですね。いつごろなくなるのか。あるいはその場合の、今度の再計算期における被保険者の数であるとか、経営移譲年金者の数であるとか加入者の数であるとか、いろいろありますね。こういう財政再計算に基づく今度計算せられた見通しですね、それを少し具体的に明らかにしていただきたいと思います。
  45. 杉山克己

    ○杉山(克)政府委員 今回の再計算に基づく保険料、年金額、そのほかに加入人口それから物価上昇、こういった一連の各種の要素があるわけでありますが、これらについて一定の前提を置いて計算いたしますと、現在ある積立金は六十三年度においては単年度収支において支出が収入を上回るという事態になるわけで、その時点から積立金の減少が始まるわけでございます。そして七十二年まではもつけれども、七十二年度には積立金の全部が取り崩されて、むしろそれから先はマイナスになる、こういう計算になっているところでございます。
  46. 田中恒利

    ○田中(恒)委員 加入者の数はどのくらい見ておるのですか。
  47. 杉山克己

    ○杉山(克)政府委員 現在百七万人ですが、加入者とそれから脱退する者あるいは受給資格を得る者、こういったものの差し引き計算をしてまいりますと、年々波はございますが、六十五年度において八十万人、こういう数字になるものと想定いたしております。
  48. 田中恒利

    ○田中(恒)委員 いま御指摘があったように、六十三年に支出が収入を上回る、積立金はとんとんということになって、七十二年には赤字になる、こういうことでありますし、加入人口は百七万が八十万になるという状況で、年金財政としては本当に大変な結果だと思うのです。それでもなお平準保険料の六割のものにしなければ、これも私ども見て、限度いっぱい、こういうことだと思いますので、非常に厳しい状況にあるということは明らかになるわけです。一体これをどうするのかということになると、幾つかの方法はありますが、掛金を上げるか、給付を下げるか、加入者をふやすか、あるいは積立金の運用益をどれだけ増大するか、国庫補助がどれだけふえるか、常識的に考えてこういうものしかないわけですね。そういたしますとそれぞれ問題を私は抱えておると思うのです。  そこで、それらの一つ一つについて若干お尋ねいたします。  まず掛金であります。先ほども数字を出されておりましたが、この年金が完全積立方式から変わってまいりまして、修正積立方式に実質的に変わる、こういうことだと思います。そういうふうになりますと、農業の所得の問題が動向としては非常に大きな影響を与えると思いますが、推定農業所得の月額は十二万九千百十円、こういうふうに計算をしていらっしゃるということですが、間違いありませんか。
  49. 杉山克己

    ○杉山(克)政府委員 今回の財政再計算におきまして五十五年度の農業所得の水準は、先生がおっしゃいましたような水準で算定いたしております。
  50. 田中恒利

    ○田中(恒)委員 この十二万九千百十円で農家の所得の月額を推定いたしまして、これで五千百円の掛金が出てくるわけですね。これに国民年金が四千五百円、二人で九千円、そして四百円の付加年金が加わって、農家として持つ掛金は一万四千五百円、こういうことになるわけですね。この一万四千五百円という掛金を農業所得の月額との関係で見ると、いわゆる掛金率というものは、これは私の計算ですから少し間違っておるかもしれませんが、千分の百十二・三、こういうことになるわけです。  いわゆる各種の共済組合年金、国共がいま千分の百三であります。しかし、いずれも各共済年金は使用者と加入者折半でありますから、実際の負担は千分の五十一・五になりますね。地方公務員の共済が千分の五十二になるわけです、千分の百四ですから。一番高いと言われる公共企業体の国鉄の共済が千分の百二十三、これが千分の六十一・五ということで、これが一番高いのです。この後われわれが審議をする農林年金が千分の百九で、五十四・五、こういうことになります。この年金の目標であります厚生年金が千分の百六でありますから、折半して五十三、こういうことになるわけでありまして、これらの各共済組合の掛金率と比べると、百十二・三というのはずばり農家の負担掛金そのものでありますから、この割合でいくと、率から言えば倍ぐらいの掛金率になっておるので、これは先ほども御指摘がありましたように、農家としても決して安い掛金であるというわけにはいかないし、われわれも、他の共済組合年金との絡み合いでそういう理解をせざるを得ないわけでありますが、将来これにいわゆる物価上昇分、スライド分というのが、当然、これは最低でありますから加わってくるわけですから、もっと高くなるということですね、いまのままでいきましても。  だから、五年、十年後の農業所得と保険料の関係というものをどういう形でこの年金の場合は考えたらいいのか、この辺についてひとつ検討せられたお考えがありましたら、明らかにしておいていただきたいと思うのです。
  51. 杉山克己

    ○杉山(克)政府委員 先ほどもお答えいたしましたように、財政再計算上の今回の時点における平準保険料は八千五百六十七円ということに、現行保険料の二倍を上回る水準ということに算定されるわけでございます。しかし、そのまま引き上げるわけにはまいらない。農家負担の実情を考えまして、私どもはこれをある期間をかけて逐次引き上げていくというようなことで、今回の改正措置をとることとしたわけでございます。  今回の改正措置による掛金率でございますが、農家所得の月額、先ほど申されました十二万九千円、端数が百十円ついておりますが、それに対する掛金の率は四・〇%ということになるわけでございます。これは厚生年金、そのほかの各種共済あるいは農林年金といったものに比較してそれほど高いというふうには考えないわけでございます。ただ、前回の改正、現在の負担に比べれば相当大幅な掛金率の増加にはなる。二%台が四%になるということはあるわけでございます。  それから、農家としては、現実に保険の加入の姿としては国民年金にも加入しているわけでございます。そういたしますと、国民年金と合わせた掛金負担になるということ、その合わせた掛金負担は、これは御指摘のように一一・二%ということになって、それ自体はかなり高いものになるわけでございます。農家にとって決して楽な負担だとは言えませんが、ただ給付の水準なりほかの年金とのバランスを考えました場合、これはまあやむを得ないのではないか。特に緩和のための段階的引き上げというような措置をとっておるところでございまして、この点は御理解をいただきたいというふうに考えているところでございます。
  52. 田中恒利

    ○田中(恒)委員 これはやむを得ないと一概に言えぬのじゃないでしょうかね。これは普通の農林漁業団体に働く職員の掛金率の約倍ですよ。農業者年金は政策年金で、国民年金についておるわけですから、国民年金を加えなければ、出す方は一緒に出しておるわけですから。そういうことから、農民年金に加入したいと思ってもなかなか、国民年金も全部入っておる、こちらもこうだなということで二の足を踏むわけなんで、やはり両方合わせて農家の掛金の負担限度というものは、大体基準がなかなか立たなければ、私は他の共済組合年金の掛金の度合い、これを一つの目安にしなければいけないと思うのです。そうすると、現状でも倍近く割合としては出ておるわけなんで、ここのところは今後の問題として非常に大きな掛金の決定をめぐるポイントになると思います。  それはおたくの方は財政的にいまお話があったような状況だから大変だということでしょうけれども、しかし、年金制度を維持していくためには、やはり農家が入ってくれなければいけないし、入るか入らぬかの判断は、これはだれもそうですけれども、この年金に入っておってどれだけのものが出てくるかということになるわけですから、その辺が私はやはり掛金の問題の出発になってくると思いますので、この点はもう少しこれから事務当局においても、農家のこういう年金制度の掛金の限度というのは、限界というのは一体どこに置いたらいいのか、これはいろんなデータを参考にしながらお考えをいただきたい、検討していただきたいと思いますし、共済組合年金など、特に厚生年金との関係というものをはっきりさせておいていただきたい、こう思うわけですが、どうでしょう。
  53. 杉山克己

    ○杉山(克)政府委員 確かに農家負担の問題、これは非常に大きな今後検討を要する問題であろうかと存じます。ただ、保険財政というのは非常に長期にわたって、しかも保険の中だけでなく、特に農業者年金という性格からして全体の農政との関連なり、さらにはほかの年金制度とのバランスを考えていかなければならない。そうなりますと、掛金、給付、それから国庫補助、こういったものがそれぞれ単独に決められるのではなくて、全体のバランス、相互の関連を検討しながら決められるというようなことになってくるわけでございます。その意味では、今回の財政再計算が未来永劫この形で将来を規定するということではございませんので、また五年先には、さらに改めてその時点、その情勢のもとにおける財政再計算も行うということで、検討が進められるわけでございます。  ただ、先生の御指摘になりました農家負担、この限界をどういうふうに考えていくかということについて、今回は、先ほど申し上げましたようにこの程度のことは御理解いただきたいということでお願いしているわけでございますが、今後、先ほど申し上げましたような全般的な各要素との関連を見ながら、さらに検討を進めてまいる必要がある、このように理解いたしております。
  54. 田中恒利

    ○田中(恒)委員 次にこの加入者の拡大の問題でありますが、いまも野坂委員の方からも御指摘になっておりましたが、これはどうでしょうか。日本の農業は家族経営でありまして、これは夫と妻が組になるというか、農業にいそしんで所得を生むわけですね。その所得の中から掛金が出るわけですね。これは農業者年金が目指す政策年金、いわゆる自立農家、専業農家の形態から言えば、日本の場合は夫と妻の勤労によってつくられた所得から掛金が出ておるわけですね。したがってそういう立場に立つと、いま農村の婦人の方から農業者年金になぜ婦人が入れないのかという、これはある面では基本的な人間の差別に対する抵抗というか批判として、鋭くこれは各界から出ておることも御承知のとおりでありますが、この際最小限、この農業者年金については年金権の承継を認める。夫が途中で亡くなった場合には、妻が掛金を掛けていって、これをいわゆる通算をして、二十年になれば年金権というものを確立さしていく、こういう処置を基本とした農業者年金の充実のお考えはございませんでしょうか。これは当面、婦人の年金加入の問題の糸口を開く一つの道筋として十分検討に値するものではないか、こう思うわけでありますが、いかがでございましょう。
  55. 杉山克己

    ○杉山(克)政府委員 加入の促進を図る場合、若年の加入者、ここに着眼するということが一つでございますが、いま先生御指摘のように婦人の加入を促進するということ、これもきわめて重要な加入促進の一つであろうかと存じます。現実、婦人の加入はいまの制度で認められていないわけではございませんでして、経営権を有する御婦人は加入できるということになっておりまして、加入率は約四%程度になっておるところでございます。この加入率をもっと引き上げたい。  そこで私ども、やはり御婦人といえども実際に農業の経営を行っているならば、名実ともに経営権を取得して、そしてこの年金に加入できるようにしていただきたい。その点については、農村に、今日なかなか御主人が経営権を握っていて放さない、実際の経営そのものは御婦人がやっておられるにかかわらず、所有権はおろか利用権も設定しないというようなことが見受けられるわけでございます。この点は私ども、御婦人に経営権を移譲した場合には、本当に有利な、メリットの大きい農業者年金の制度が適用されるのだということを理解していただくよう進めてまいりたい、そういうことによって御婦人の加入を実質的に促進したいというふうに考えているわけでございます。  それから、御主人が加入されていて亡くなった場合その継承を、この場合御婦人と申し上げているのは妻の方でございますが、御婦人に認められないかということでございますが、およそ一般的に年金制度の性格といたしまして、年金の受給権は本来一身専属的にある特定の人に帰属するということになっておるわけでございます。そういうことからいたしますと、死亡されたときは一時金の支給というような仕組みがとられているわけでございまして、御質問に対して大変申しわけないお答えになりますが、そういう承継ということはきわめて困難であるというふうに考えざるを得ないところでございます。
  56. 田中恒利

    ○田中(恒)委員 これは加入者をふやすということだけじゃなくて、日本の農家の家族経営の実態からすると、やはり夫と妻が働いておるわけです。そこから出てくる果実でありますから夫と妻が享受するというたてまえに、これは地方へ行けばそういうように受け取るのが皆常識になっておるのですよ。だから、農業者年金に継承制度をやっていけば、婦人のいまの問題、婦人がいま全部農業者年金に加入できるようにせよと言ったって、おたくの場合この実態の中では、はい、そうですかとなかなか言えぬでしょう。何かその道を開かなければいけないのじゃないか。この間参議院の農林水産委員会で、六十歳を過ぎて経営移譲年金をもらっておる主人が亡くなった場合に、あと三年か四年、六十五歳までもらえますね。そこで一年ほどで亡くなった、そういう場合あと三年か四年は妻に継承をさせるという方法はどうですか、こういう質問が議事録を見ますとなされております。     〔菊池委員長代理退席、福島委員長代理着席〕 これについては農林省は、十分に検討に値するので財政再計算期に当たってこの問題は検討いたしますという大臣と当該局長の答弁がなされておるわけですが、これはどういう検討をせられてどういうふうになったのか、このこともあわせてお知らせいただきたいと思います。
  57. 杉山克己

    ○杉山(克)政府委員 その議事録ここの手元にございませんが、恐らく私どもが考えておったことは、その時点では婦人加入一般について、先ほど申し上げましたような経営権の移譲についてPRその他によってさらにこの実態を進めていく、そういうことによって婦人加入の促進を図るということを主眼に御答弁申し上げたものだと存じます。一般的な継承権をどうするかということについては、確かにそれは検討すべき課題かもしれませんが、私どもとしてそれをどうこうするというような段階にはまだ至ってない話でございまして、そういうような直接的な答弁は申し上げてなかったと思うのでございますが……。
  58. 田中恒利

    ○田中(恒)委員 これは杉山さん、こういうふうに言っておるのですよ。これは沖繩の喜屋武さんが質問しておるわけですが「この問題につきましても、やはり農業者年金の基本的な性格からいたしますと、一般的に遺族年金をということは、これはきわめてむずかしい問題であると考えております。ただ、大臣がたびたび御答弁申し上げておりますように、六十歳から六十四歳までの間に死亡したために、経営移譲年金、これが受けられないことに伴って、それでは気の毒ではないかということで、それを受給権の承継ができるかできないか、そういう問題を検討してみたいということでございますので、私ども事務当局もその御意向を受けまして今後検討をしてみたいと考えております。」こういうふうに言っておるのですよ。その前に大臣も、これは武藤大臣でありますが、これは十分に検討をして次の財政再計算期までに結論というか一つの方向を出したい、こういうように言っておるのですがね。
  59. 杉山克己

    ○杉山(克)政府委員 失礼いたしました。私、亀岡大臣の答弁というふうに思ったものでございますから。武藤大臣のときに確かにいろいろそういう検討を迫られて、私ども自身が検討するという意味のことを申し上げたことがございます。記憶がはっきりいたしました。  ただ、その結論については、すでに先ほど御答弁申し上げましたように、そういう形での年金制度一般の中での継承権というのはやはりむずかしいということで、むしろ実態的な経営移譲を促進することによって婦人加入を進めてまいりたい、またそういうことによって年金制度の方が、農村における婦人の扱い、いわゆる差別問題についても改善に寄与するところがあるのじゃないか、いわばそういう結論になっているわけでございます。その点の結論の方を私先に申し上げたわけでございまして、過去の経過については失礼を申し上げました。
  60. 田中恒利

    ○田中(恒)委員 経営権を持つ婦人というのは、実際問題としては兼業農家の婦人になるでしょう。専業農家の場合は、専業農家といったって婦人が専業農家をやっているところもありますけれども、しかし、通常夫がおって妻がおって経営しておるので、兼業農家で御主人がお勤めに出て共済組合年金や厚生年金に入って、そして奥さんが主婦農業をやっておる。この主婦農業をやっておる奥さんに御主人が経営権というものを移譲してこの年金に入れる、こういうことなんですよ。だからいまの段階では、兼業農家の婦人は入れるが、肝心の専業農家の婦人は入れない、こういうことになっておるわけですね。しかし、農業者年金が政策年金であって、専業農家を育成していくという視点に立てば、やはりこの矛盾は考えてもいいのじゃないか。特に、この農業者年金における年金の承継制度というものは、日本の家族農業経営の実態からして検討に値する問題じゃないか。そのことで専業農家の婦人も入るし、掛金も多少上がりますが、しかしそれを負担をすることに理解が成り立つのではなかろうか、こういうように私などは思っておるわけです。  これは大臣ひとつどうでしょうか、質問の趣旨は、いますぐそういたしますというようなわけにももちろんいかぬと思いますし、恐らくいまの年金の財政事情からして、この問題を入れればまた相当掛金を上げなければいけぬということで切られた、こういうように私は理解をしておりますが、しかし、本来農業者年金はいまいろいろ内容的に矛盾があると思います。そういうものを是正していくためには、やはり婦人の加入の問題、特に肝心の専業農家の若い後継者を今後育てていく場合に、後継者の妻に対する対策、こういうことを考えると、この年金の承継制度の問題は十分検討していただきたいと私は思うのですが、ひとつ大臣の御所信を承りたいと思います。
  61. 亀岡高夫

    ○亀岡国務大臣 この農民年金立法の趣旨並びにその法律制定以来今日までの実行してみたその結果、やはりいろいろな問題点が指摘をされておるわけであります。先ほど申し上げましたように、高齢化していく日本の社会の中で、というのは、立法当初にはそういう環境も余り厳しくなかったわけでありますから、最近になってそういう方向に行くのはもう厳然たる事実である、そういう中で、この農業者年金というものがその特色を十分に発揮しながらこの制度を維持、発展さしていくためにはどうしたらいいかというようなことについて、いまの婦人の加入の問題あるいは後継者の問題等々あるわけでございます。それから掛金の問題、加入者がだんだん少なくなってくるというような問題等々、そういう環境の中でこの制度をいかにして発展さしていくかというようなことを、これはやはり農林水産省としても事務的にもきちんと検討せねばならぬ、こう思いますので、私は、もう言葉だけじゃなく、ちょうど八〇年代の日本農政の基本方向というものを打ち出された折でもありますし、年金制度も大きな農政の一環でありますので、その点検討していきたい、こう考えます。
  62. 田中恒利

    ○田中(恒)委員 時間が参りましたようですので、最後に、残された問題を一括して御質問をいたしたいと思います。  一つは、農業者年金というのは将来の期待感というものがどうなるかわからないという不安感が皆さんにたくさんあって、加入者の問題や年金そのものについても足踏みをしておるきらいがあるような気がしてなりません。その一つに、たとえば六十歳までに離農した場合には経営移譲が行われない、こういう場合には年金権が確立しないということであります。年金制度というのは、本来二十年なり二十五年なり掛金を積み立てれば、それから以降はきちんと年金に対する権利が打ち立てられていく、こういうのがたてまえだと思いますが、農業者年金の場合には年金権と称する基本権利が非常に不明確な点が一つの問題だと思うのです。こういう点につきまして、国民年金や共済年金、厚生年金などと同じような取り扱いをしてほしいという要望が非常に強い、この点を十分検討していただきたいということ。  それから、先ほどもお話がありましたが、遺族年金の問題、これは年金受給者が経営移譲をして死亡したような場合、残された妻が最も年金に対する期待を持つものでありますが、それができないというところに一つの盲点があります。この点を中心にして、農業者年金の中に遺族年金というものを何としても打ち立てていかなければいけないのじゃないか、こういうふうに考えますので、この点も強く要望しておきたいと思います。  それから、一時金を今度少し上げられたようでありますが、保険料と一時金、積み立てた保険料の総額、さらに言えば金利を加えたものが最小限一時金の支払いの段階では出されなければいけないと思うのです。しかし、農業者年金を見ると、私少し計算をして十年間の細かい数字を持ってきておるのですけれども、ちょっと紹介しておきますと、四十六年一月に入って五十六年十二月に死亡した場合、保険料は十年間掛けるわけでありますが、全部計算すると、これは元金の合計で金利はありませんが、二十七万六千四百八十円積み立てておる。ところが一時金は幾らになるかというと二十六万二千百八十二円でありまして、受け取る額は約一万四千円ほど少ないのです。これも問題です。確かにほかの共済年金も一時金というのは七割程度のもののようですが、しかし、それは使用者が掛けておるのでありますから、少なくとも加入者が掛けた分については一時金で返っておるはずであります。ところが農業者年金は、今度も少し上げられておりますが、元金部分も一時金が渡せない、しかも経営移譲年金をやらなかった場合には一時金でとまってしまうということにもなっておりますので、この点もぜひ細かく調べてみて、今後の問題として検討していただきたいと思います。  以上、大変大ざっぱになりましたが、最後の方は要請点と幾つかの質疑を込めて御答弁をいただいて、質問を終わりたいと思います。
  63. 杉山克己

    ○杉山(克)政府委員 途中で脱退した人に対して年金の受給権がその後発生しない問題についてどう考えるか、一時金だけでいいのかというお話でございます。これは一般的な年金の制度と農業者年金固有の制度の問題双方に触れる話でございます。経営移譲ということを一つの保険事故として設定して設けられているこの制度からいたしますと、一般の養老年金的な形にはなかなかいかないのではないか、そしてそういう老後の年金については国民年金という基本的な制度が公的年金としてあるわけでございますから、それと抱き合わせて、それの付加的な形でこの政策年金を設けたということからして、それで対処するということにならざるを得ないと思うわけでございます。  それから遺族年金につきましては、先ほどの婦人加入の問題のところでも申し上げたわけでございますが、一身専属的な性格あるいは年金制度のたてまえという点からいたしまして、この点はいろいろ議論もあるところでございます。  それから、積み立てをした額と一時金の支払いを受ける額とで、積み立ての方が大きくいわば切り捨てになる場合が出てくるではないかということでございますが、この点につきましても先ほど申し上げました保険事故、つまり経営移譲という問題との関連で検討される性格のものであろうか思います。ただ、納付された方の立場からすれば、やむを得ない事情があって脱退する場合、一時金がその掛金にも満たないというのはいろいろ割り切れない感じもお持ちになる話かとは存じます。  いずれにいたしましても、そういう制度問題全体に絡むようなむずかしい問題を含んでおります。今回のことは今回のことといたしまして、全体の問題につきましては、将来の財政再計算のこともあるわけでございますし、それから別途私どもといたしましては、社会保障制度審議会なり各種の審議会からいろいろ御注文もいただいている点もございます。先ほど大臣も申し上げましたように、内部で農業者年金制度の研究会も設けているところでございますので、これらの問題について今後継続的に検討を進めてまいりたいと考えます。
  64. 福島譲二

    ○福島委員長代理 竹内猛君。
  65. 竹内猛

    ○竹内(猛)委員 農業者年金基金法の一部を改正する法律案に関連して幾つかの質問をいたしますが、その前に、私はきのう内閣委員会で大臣にも申し上げましたが、この委員会にはちょっとなじまない問題でありますけれども、農林省の関係することでありますからただしておきたいのは、最近問題になっている敦賀の原発の問題で、農林省の米の検査員がそこで立ち会いをしている、あるいはまたきょうの日本経済新聞を読むと、今度は林野庁から回った者が五人そこにいたという、何か農林省から回った者に責任があるかのような記事が毎日の新聞に載っている。このことについて、一体事実はどうなのか。ある新聞の論説によると、この原発の事故はその最高責任者が辞任をするほど重要なものなのだ。にもかかわらず、その責任が米の検査員であるとか林野庁から移っていった者にあるとかというところに歪曲されるようなおそれなしとしない。その実態についてわかるだけの説明をしてもらいたいと思う。
  66. 平田辰一郎

    ○平田説明員 御説明申し上げます。  運転管理専門官制度と申しますのは、米国のスリーマイル島の事故の教訓を踏まえまして、また地元住民の不安を解消するため、国の常駐官を原子力発電所に派遣しまして、その運転管理状況を常時監視させるための制度でございまして、昭和五十五年度に発足しております。  現在全国十カ所の原子力発電所に十五名の運転管理専門官を派遣しております。運転管理専門官十五名中五名は省庁間配転により、農林水産省の御協力により実現したものでございまして、昨年十二月一日から勤務しております。この五名は地元の事情にも明るく、誠実かつ有能な方でございまして、通産省としては非常に感謝しておるところでございます。  なお、これらの者は農林行政上のエキスパートではございますが、いままで電気事業と全く無関係な仕事をしていたために、現段階では主として事務的な仕事を担当しておりますが、経験を積むことによりまして、一日も早く運転管理監督の第一線で活躍してもらう予定でございます。勤務条件等が合致すれば、これらも一人でも多く省庁間配転による有為な人材を受け入れたいと考えております。  なお、新聞の件でございますが、一部新聞におきまして誤解に基づくと思われる記事がございましたが、これにつきましては、昨日から行いました私どものプレス発表におきまして、上記趣旨を十分御説明いたしましたが、にもかかわらず本日再度一部新聞に誤解に基づく記事が出たことはまことに遺憾でございます。農林水産省の皆様には深くおわびを申し上げる次第でございます。  なお、運転管理専門官の細かいところにつきましては、私どもの運転管理室長から御説明申し上げます。
  67. 竹内猛

    ○竹内(猛)委員 これでわかりましたけれども、少なくとも食糧の検査員とか林野庁から行ったとかなんとかということで、あたかもその行った者が責任者であるかのごとき新聞記事があちこちに見えて、これは大変迷惑をするということですから、この点についてはいま言うようにしっかり新聞記事の取り消しをするなり改めてもらうなりしないと、これは行った人々の名誉のためによくない、こういうふうに思いますから、それだけはぜひ注意をしてもらいたいと思います。
  68. 平田辰一郎

    ○平田説明員 先生のお言葉を踏まえまして、十分最大限の努力を払いたいと思っております。
  69. 竹内猛

    ○竹内(猛)委員 私はきょうはその内容の問題を議論するわけじゃなくて、そのことを言うわけですから、それで結構ですから。  さて、この年金基金の問題でございますが、ことしは農林省が設置されてから百年、農業基本法が始まってから二十年、この基金が成立してから十年目ですね。そこで、その百年、二十年、十年という一つの区切りの中で、特にこの農業者年金に関しては、先ほど来同僚の質問もあるように、私は、出発のときからこれは大変不幸な出発をしている年金だと思うのです。私どもは、社会党は、農民にも年金をということで、農業で働いている農家の皆さんが一定の年齢になったら世間並みの年金が出せるようにということを主張して、農民年金というものを主張してきた。ところが佐藤内閣のころになってから、年金はつくるけれどもということで農業者年金という、こういう形になった。  これは内容を見ると、まず国民年金に加入している者、そして経営移譲を六十歳でしなければ受給資格を持たない、こういうことですね。したがって、規模拡大、構造改善の方向に協力をしなければその受給資格を持たないということだ。仮に六十歳で経営移譲しなかった場合には国民年金と農業者年金の部分だけがもらえるという形になって、結局期待に外れる、こういう形になるわけです。だからこれは非常に条件づきの年金制度でありますから、入れといってもなかなか入りにくい条件がある。したがって、先ほど来、まだ三十万の未加入者がある、その中で、たとえば私の茨城県などは六〇%台である。これは茨城県は本土では第一の農業県ですね。その隣の千葉県も第二番目ですね、茨城県に次いで。これがまた六〇%台だ。大臣の福島県は農業県としては三番目だ。ここだってそれほど多くはないだろうと思う。     〔福島委員長代理退席、委員長着席〕 こういうように、農業をやっている者に魅力を持たない年金、しかも将来が非常に危険であるということで、一体この農業の就業人口構造からいって、いまから何年この農業者年金基金というものは財政的にもつであろうか。たとえば五十五年十二月の加入者が百七万です。その中で当然加入が八十万、任意が二十六万でありますが、年齢からいうと二十歳台が少なくて五十歳台が五三・五%、こういうことになると、行く行くはこれはパンクするおそれなしとしない。いつまでもちますか、財政的に。まず、そのことからひとつ。
  70. 杉山克己

    ○杉山(克)政府委員 財政的にいつまでもつかということでございますが、現在までのところ、完全積立方式ということで、将来の給付も現在の積立金で賄い得るという計算をとってまいったわけでございますが、今回の改正では、それはとうてい期しがたい、やはりある時点からは積立金に食い込まざるを得ないというようなことになってまいっておるわけでございます。ある時点ということでございますが、最終的には私ども、まあいろいろな前提を置くことになりますけれども、いまの積立金が底をつくまでにはまだかなりな期間、昭和七十二年まではもつだろうというふうに見ているわけでございます。  ただ、これはいまの計算でございまして、その間もちろん種々の、加入者の増加でありますとか、そのほか掛金をどうするかあるいは国庫補助をどうするか、余裕金の運用をどうするかというような、経営上の努力を最大限払ってまいるわけでございますので、そこは若干幅のある話でございますが、普通に想定すれば私どもとしては七十二年まではいまの資金は底をつかない、何とか持ちこたえることが可能ではないかというふうに見ております。
  71. 竹内猛

    ○竹内(猛)委員 その七十二年以降はどうしますか。
  72. 杉山克己

    ○杉山(克)政府委員 これは年金制度一般に共通する問題で、非常にこの制度の悩みのところでございます。もちろんほかの年金が同じ問題を抱えているからいいというわけではございませんけれども、ほかの年金全体の動向などとも考えあわせながら、何も七十二年から先ということでなくて、五年ごとの財政再計算というのが行われるわけでございますから、その基本的な問題は検討して対策を講じていかなければならないというふうに考えております。  将来の問題についていま断定的に申し上げることは、これはやや冒険に過ぎるわけでございまして、これは給付の水準なり掛金なりあるいは国庫補助なり、ほかとのバランスなり、年金制度といったものに対する、国民一般なりあるいは農業の世界でこれをどう理解し先の問題を検討を進めていくかというような、そういういわば世論といったもの、そういったものを背景にして検討をしていかなければならないというふうに考えております。  ただ、いずれにしても、ただ高福祉だけを主張するわけにはまいらない厳しい状態にあるということを十分念頭に置いて検討しなければいけないというふうに考えております。
  73. 竹内猛

    ○竹内(猛)委員 将来のことを言ってもこれは仕方がないのですが、その他の年金もやや同じような運命にあるものが幾つかあることも知っていますが、いずれにしても、非常にわかりにくい年金であり、しかもこれは政策年金ですからね、その前提がある。その前提を満たさなければもらうものはもらえないという。ほかの年金は、何歳になったら、何ぼ掛けたら幾らもらえるのだ、これははっきりしている。この農業者年金というものはそうではない。だから、この十年間に今度の改正で七回目ですね。幾ら今回までに七回目の改正をしても、依然として先の方が暗い、だからなかなか入りにくいですね。二十歳の人に農業者年金に入りなさい、四十年間掛ければこうなりますよと言うと、その四十年間の農業の見通しが暗いと言う。それなら四十歳から二十年掛けたっていいじゃないか、こういうことになる。したがって、農業後継者問題としてきわめてゆゆしい問題じゃないか。だから、たとえば新しく学校を卒業する者がわずかに〇・二%、七千人しか就業しない。全国に三千四百の市町村がある、一市町村に二人しか新しい就業者がないというこの状態、これは大臣に聞かなければいかぬが、こんな状態で日本の農業が先に明るい見通しがないのかあるのかということをまずお聞きしたい。
  74. 亀岡高夫

    ○亀岡国務大臣 そういう現実を直視しながら八〇年代の基本構想が答申になったもの、こう理解しておるわけでございます。したがいまして、十年後の生産と需要の長期見通し等を基本にいたしまして、また国会で決議をいただいた食糧自給力強化といったような総合的な農政全般の強化というものを推し進めることによって、農業に対する魅力を生み出していくということがやはり私は基本になろうと思うわけであります。  と同時に、後継者の少ない中でも救いのありますことは、非常に優秀な者が農業に残っておる。これは私の経験でございますけれども、私の方の市町村でも、町にもう一クラス五人か六人しか残らない、三十年間として百五十人。そうすると三十年後には百五十戸の農家でその町の農業をやっていかなければならぬようになりますよ、だから私は農業をやるのです、思い切った農業をやります、こういう若い諸君が出てきておる。そういう諸君が農業者として大いに気概を持って、目標を持って、使命感を持って、中核農家として将来日本の農業を支えてもらえる、こういう一つの期待感もあるわけでありますし、しかし何といっても余りにも少ない数ではこれはどうにもしようがありませんので、その点については農業改良普及所を通じまして後継者の対策に万全を期そう、こういうことで努力をいたしておるわけであります。
  75. 竹内猛

    ○竹内(猛)委員 それならまたもう一つ問題を出さなくちゃなりませんが、一つは三月の段階では畜産物の価格を決定をする時期であったわけです。そのときの畜産物の価格の値上がりが一%から三%の間での値上がりしかしていない。いま労働者が春闘をやっていますね。八%以上というところで、きょうも私鉄が大体去年の物価の値上がりを取り戻すというところまでいっている。公務員の最低でも四・数%というものが大体出ているのですね。これから米の価格になるけれども、恐らく米の値段も抑えようとするに違いない。  ところで、繭の値段は一体どうしてくれるのだ。前々から基準糸価の問題について、私は何遍も何遍もここで主張してきたけれども、いまだに決まらない。五月二十日ごろには決まるであろう、きのうも養蚕の皆さんが自民党の代表とずいぶん交渉されたようですね。ところが新聞には、基準糸価を千円下げて、そして輸入を抑えて、国内の生産も抑えてまあ何とか縮小の需給均衡をやっていくのだ、こういうことですね。桑畑なんというものは一朝一夕にできるものではない。三年なり五年なりそういう努力を積み上げてできるものです。そういうところに、仮に千円糸価を下げることによって現在の十五万俵といわれるところの過剰がうまく処理できるかどうか。三月十三日の新聞に千円下げるという記事が大きく出て以来今日まで、神戸においても横浜においても糸価は下がりっ放しだ。逆に安い物を今度は売り込むという、そういう商社まで出てきているという始末だ。こういう状態の中で、魅力を持てと言ったって、これは大体持てないじゃないですか。だから、どんなことがあっても少なくともこれは据え置きをする、あるいはいろいろな処置を講じてともかく農家に明るい希望を持たせるような処置をしない限り、養蚕家も現在よりは減ってしまうだろう。  しかし、農林水産省の去年の方針によると、十三万ヘクタール三十万俵というものを目標に六十五年まではやろうじゃないか、こういうようにちゃんと訴えている。にもかかわらず、その見通しが狂ってしまった。その責任を生産の養蚕家あるいは糸をとるところの製糸業者とその労働者、そういうところにかぶせてしまうのでは、これは農業に魅力を感じないのも無理はない。こういうことが農業者年金にも入る足をとどめる原因になっている。きのうの決定等々もありますから、最近の基準糸価に対する大臣なり局長の考え方をひとつここで明らかにしてもらいたい。
  76. 二瓶博

    ○二瓶政府委員 基準糸価についての考え方いかんというお尋ねでございますが、最近におきます蚕糸業をめぐる情勢につきましては、先生御案内のとおり、絹需要の減退、景気の低迷などを背景といたしまして、生糸の国内引き渡し数量、これが五十四生糸年度は対前年比で二割減、さらに五十五生糸年度はその水準よりさらに一割減ということで、大幅かつ急激に減少をいたしております。こういうこともございまして、二年前の五十四年六月以降、長期にわたりまして糸価が低迷をしておるという状況にございます。そういうことから買い支え等をやっておりまして、輸入糸の方は当然売り渡しの方は停止ということでございます。  そういうことからいたしまして、ただいまもお話がございましたように、この三月末で十四万八千俵という古今未曽有の生糸在庫が事業団にたまっておる、こういう状況になっております。さらにこの四月から三万俵の買い上げ枠を設定をいたしておりますので、現在さらに十四万八千俵にプラスして積み増しが進行しつつあるという、きわめて厳しい情勢にあるわけでございます。したがいまして、基本的には絹需給の改善を図るということが何といいましても必要でございます。そのために、今後需要増進対策ということで需要面の方を官民一体となりまして伸ばしていくという施策、それから外部からの供給でございます輸入、これの抑制方策についてさらに検討をして詰めていく、価格対策の問題あるいは生産対策の面でもさらに工夫をこらす必要があろう、こういうことで実効ある措置を適時適切に逐次実施に移していく、そういうことで有機的、総合的に絹需給の改善ということを目指して対処する必要があろう、こう思っております。  そこで、当面決定を迫られている基準糸価等の繭糸価格につきましては、現下の厳しい需給事情の改善に資するというような方向で決めていく必要があるのではなかろうか、かように考えております。いずれにいたしましても、繭糸価格安定法の定めるところに従って、遅くとも五月末までには慎重かつ適正に決定したいということで、現在鋭意検討を継続いたしておるところでございます。
  77. 竹内猛

    ○竹内(猛)委員 この問題についてはこれ以上この場所でやるべきことじゃないと思いますが、いずれにしても、生産農家はいま春蚕を前にして一体どうなるのかということを非常に注目しています。だから、五月の末ということになれば春繭は大体出るじゃないですか。それまでに価格が決まらないということは、およそこれはかつてなかったことだ。大臣、これはどうですか、五月の末じゃなくてもっと早く決まらないものですか。
  78. 亀岡高夫

    ○亀岡国務大臣 この繭糸価格安定法に基づく基準糸価というものは三月三十一日までに決めなければいかぬということがいままでのやり方であったわけですが、法律の中に、異常の際には五月いっぱいに決めてもよろしいという条文がありまして、それを今回は適用させていただいておる、こういうことでございます。  現状の分析、現状の認識等々、将来の問題について、いま党の方といろいろ最終的な詰めをやっておるわけでありますが、なかなかその詰めが出ないということで苦悩をいたしておるわけでございます。しかし私どもとしては、とにかく養蚕農家が今後長く、一元輸入を含む繭糸価格安定法に基づく繭糸価格安定制度を堅持して、そして活力ある養蚕を続けていくことができるようにするためにはいまどうしたらいいかということを中心にいたしまして、あらゆる面から検討をし、そうして政府としての重大なる責任も感じておればこそその対策を確立しなければいけない、こういうことでやっておるわけでありまして、将来養蚕がだめなんだといったような意識は全く持たないわけでありまするし、これは伝統産業でありますし、また長い歴史を持った産業でもありますので、これはもう生々と発展をさしていきたい、こういう気持ちであればこそ、いまいろいろと厳しいことも申し、苦しいことも申し上げ、なおかつ長期低利の融資制度等も十分考慮していきたいというようなことも含めて、実は対策をあわせ考えておるというのが現状でございますので、もうしばらく時間をかしていただきたいと思います。
  79. 竹内猛

    ○竹内(猛)委員 最終的には大臣が決めるわけですから、養蚕農家が生産の希望を失わないように決めてもらいたいということを重ねて要望します。  それで、今度は年金の方に移りますけれども、今度は七回目の審議ですが、六回までの審議の中で附帯決議を幾つかつけてまいりました。先般も七項目の附帯決議がついているわけですが、その附帯決議の中の、先ほど野坂委員あるいは田中委員が質疑をした遺族年金の問題あるいは婦人の地位の問題、こういうものが依然として直っていない、やはりこれは非常にむずかしいのですか、どうですか。
  80. 杉山克己

    ○杉山(克)政府委員 農業者年金法を国会で御審議をいただきました際は、従来、確かにおっしゃられるように毎回たくさんの附帯決議をちょうだいしているわけでございます。私ども、全般的にはそれなりに相当におこたえしてきたわけでございますが、ただ、いま御指摘の婦人加入の問題、遺族年金の問題、これについてはむずかしいのかというお尋ねでございます。  率直にお答えせざるを得ないのでありますが、きわめてむずかしい事情にございます。やはり先ほど来御議論いただいておりますように、一般的な公的年金、基本的な年金として国民年金の制度があります。そして老後の一般保障はそちらに乗っかって、農業者年金については特定の政策目的を持った付加年金としてこれが創設されたという経緯があるわけでございます。農業者について全く別途の、国民年金とは独立した公的年金を設けるかということは、その段階で問題としては整理されたわけでございますので、そういう付加年金の性格、それからいま一つは、年金制度全体の原理原則というか基本的な考え方からいたしますと、くどくどしくは申し上げませんが、正直申し上げまして婦人加入と遺族年金の問題はきわめてむずかしい制約がございます。
  81. 竹内猛

    ○竹内(猛)委員 実際、家族制度というかその中では、確かに土地の所有者というのは、家族の中の一人が所有をしてくる。それを移譲するという形の年金の組み立てになっているわけだが、実際農業をやっている者は婦人でしょう。たとえば五十五年の農業白書を見ても、現在男子の農業専従は全農家の二二%、百三万戸ということになっている。あと七八%は男は専従しない。それはほとんど婦人がやっている。事実上婦人がやっているときに、形だけは男ということになっていて、どうしてもここには矛盾が出てくる。だから、実際耕作をする者がその年金なり何なりをやれるような方向がなぜとれないのか。それは年金のためにそういうことをするのはおかしいということになるかもしれないけれども、どうしてそれができないのですか。
  82. 杉山克己

    ○杉山(克)政府委員 いまの農業者年金制度におきましては、およそ婦人一般の加入を否定しているということではなくて、農業の経営者、加入資格を有する者については当然加入を認めているわけでございます。したがって、御婦人でも実際に農業の経営権を持っている、つまり農地について所有権を持って耕作を行っている、あるいは所有権でなくても利用権を持って耕作を行っているという事実があれば、そして規模等要件を満たしておれば、これは加入できるわけでございます。農村では、実態は確かに婦人が経営の実質を掌握している、経営の責任を持っているという場合でも、名義上、所有権はもちろんでございますが、利用権も与えられておらないという場合がしばしばあるわけでございます。むしろこれは、そういう婦人が実際経営上の責任を有するにかかわらず名義が所属してないというところに問題があるのではないかというふうに考えるわけでございます。  もちろん、農村一般の長い習慣、今日の婦人の農村における地位といったようなことから考えますと、それが一挙に年金のたてまえからする原理原則的な解決ができるというふうにも思えませんけれども、私としては、やはりそういう名義を、たとえ利用権の設定でもよろしゅうございますから御婦人、奥さんに移して、そして年金に加入してそのメリットが受けられるというようなことに持っていくべきである、そういうことのPRを十分進めていくべきであるというふうに考えております。
  83. 竹内猛

    ○竹内(猛)委員 そういうようなことと同時に、それならなぜ遺族年金というものにつなげていかないのか。それは別々でしょう。遺族年金はどうしてできないのですか。
  84. 杉山克己

    ○杉山(克)政府委員 家庭で遺族といった場合には、これは一般年金の制度によって手当てをするというのが普通の考え方でございます。この場合、農業者年金に加入している方は国民年金に加入しているということが条件になっておるわけでございまして、その点については国民年金一般の母子年金等の制度もあるわけでございます。そういった点から、この農業者年金の政策年金、付加年金という性格からして、直接にそういう遺族年金を考えるということには至っておらないわけでございます。
  85. 竹内猛

    ○竹内(猛)委員 これは実際、農業において一番働いている女性の地位というものを余りにも軽視しているのじゃないですか。実際の実務をしている者が軽視されて、こういう人たちのところに年金が渡らないということになれば、実際の話がこれは魅力がないですよ。だから大臣、これは早急に検討会でも開いてやってもらわなければ困る。実際、女性がこんなに一生懸命働いていて、おやじさんはやはり働いているんだよ、そうしなければ農家はやっていけないのだから。こういう実態の中で女性はそれに対して発言権が持てない、おやじさんが亡くなっても今度は遺族年金につながらない、そんなばかな話はないでしょう。大臣、そういうことについて矛盾を感じませんか。われわれはこれを何回も何回も議論したけれども、もうこの辺で十年目だから、十年は一区切りですよ。どうです。
  86. 亀岡高夫

    ○亀岡国務大臣 先ほどもお答え申し上げたわけでありますけれども、ちょうど農政審の答申も出たわけでありますし、そして、ことしは御指摘のように農林省創設百周年、この法律ができて十年、私どもも竹内君が言われたように農民に年金を、こういうことで運動を始めてこの制度ができたわけでありますけれども、政策年金、付加年金、こういうことで農村の実態に十分適合しているかというと、ちょっとそぐわない面も、いま御指摘のような点があるわけでありますね。したがいまして、去年も武藤大臣が検討をする、こうおっしゃっておられるようでありますが、農林省としてもいろいろ検討を進めてはおりますけれども、まだ結論を出してはいないわけでありまするし、次の財政再計算のときまで待たずとも、やはり将来非常に困難な事態にこの年金制度というものは立ち至るということはもう白々明々の事実なんでありますから、とにかく農林省としてもきちっとしたものをつくって検討をやらせる、こういうふうにいたしたいと思います。
  87. 竹内猛

    ○竹内(猛)委員 この農業者年金というのは、どうしても出発が政策年金であるだけに、実際は不自然なんです。不自然なところは不自然として認めてもらわなければ困る。そして、これはちょっとやそっと直しても直し得ない状態にある。  もう一つ伺いますが、経営移譲年金ですから、十年たって規模拡大、近代化はどの程度できましたか。
  88. 杉山克己

    ○杉山(克)政府委員 規模拡大が直接図られるということもございますが、むしろ、ほっておきますと今日の兼業化あるいは混住化の社会では現在持っている農地が切り売りされる、分割相続される、そういうことによって細分化するというおそれがかなり高いわけでございます。この農業者年金の場合は一括移譲を要件として農業者年金の給付が受けられるということになっておりますので、その点そういう細分化の防止にはかなり貢献していると思います。これなかりせばもっと細分化は進行したのではないかというふうに考えられる点がございます。  それから、後継者に移譲した場合は、細分化の防止ということが主眼でございまして、それ自身が直接規模拡大ではございませんけれども、規模拡大の地盤といいますか、そういう前提条件をつくり出すという意味ではかなり効果があったというふうに考えられます。  それから、第三者に移譲する場合でございますが、これは件数はそんなに多くございませんけれども、一部実際に移譲した実績について調べましたところ、これは五十五年の十月から十二月という比較的最近の短期間の例でございますが、六百四十件。この実績は、平均規模が譲り受け前は一・四七ヘクタールであったものが譲り受け後は二・〇八ヘクタールということで、かなり規模拡大は実現しているという実態が見られるわけでございます。
  89. 竹内猛

    ○竹内(猛)委員 この中で、総合自給率が九〇%だったものが七二%に下がったということ。これは総合自給率ですから、穀物自給率になるとはるかに低いということは御承知のとおりだ。それから農業就業人口は確かに減りました。農家については余り減っておらないですね。五百五十万戸の農家が四百六十六万戸という形で、それから規模についてはいまお話しのとおりですが、したがって農業全体としてはいい方向にいっていると思われないでしょう。専業農家自体が、私たちは農業基本法というものに対しては賛成をしてこなかったけれども、あのとき自民党の皆さんが二町五反の農家を百万戸つくると言って構造政策をやったのでしょう。できましたか。二町五反の農家百万戸できたですか。
  90. 杉山克己

    ○杉山(克)政府委員 確かにおっしゃられるような数字の実現は見ておりません。ただ、経営規模の拡大ということは徐々にではありますが前進はしておるところでございまして、特に、大臣も先ほど申し上げましたように昨年農地三法の制定を見たわけでございます。これによってかなり賃貸借による規模拡大というものは実現の基礎が得られたというふうに思うわけでございます。時間のかかる話ではございますが、これを精力的に進めることによって最大限規模の拡大を図ってまいりたい、努力してまいりたいと考えます。
  91. 竹内猛

    ○竹内(猛)委員 時間がだんだんなくなりますから整理をしますが、末端の事務費ですね、このめんどうな、わかりにくい、しかも説得しにくい仕事をする農協、農業委員会、これをいろいろ調べてみると、農協に平均三十五万円、農業委員会には十九万円という委託料が出ているという。一つの法律が一番の最末端の農家の中で作用する場合に両方合わせて五十何万円という、これでは本気になって加入を促進をしたり仕事をすることはなかなか困難じゃないですか。それは農協の場合には加入者がいますから金が動くので、金が出入りをすれば手数料も金利も入るからいいけれども、農業委員会などというものはその判定をしたり、いろいろむずかしい事務しかやらない。もうかることは何もない。もう少しこれは何とかならないものか。こういうような状態では末端で勢いよく説得をして加入を進めるということは困難じゃないですか。どうですか。
  92. 杉山克己

    ○杉山(克)政府委員 財政がいろいろ厳しい状況の中で、この種の事務、人件費的な助成というものはきわめて窮屈にならざるを得ないわけでございます。ただ、事業はきわめて重要であり、かつ困難であるということは私どもも十分承知しておりまして、五十六年度予算におきましては、むずかしい情勢のもとではございましたが、五十五年度に比べて全体としての若干の増額は実現し得たところでございます。  それからPR等につきましては、月刊の雑誌でありますとかパンフレットでありますとか、所要の図書類は農業者年金基金において作成して、そういう事務的な経費の本質的に一番かかるところは極力中央で負担するような形もとっておるところでございます。ただ、今後ともそういう事務経費の増額を図って、一層事業の活発な活動を促進することが必要でございますので、さらに努力いたしたいと考えます。
  93. 竹内猛

    ○竹内(猛)委員 最後に、国土庁の所管になると思いますが、昨年建設委員会で農住組合法というものが成立しました。これは四人の農家が二ヘクタールの農地を対象にして住宅も建てられるし営農もやる、この場合に四人が、年金ですから一人一人の決意によるものでありますけれども、満たない者があった場合、四人合わせると面積はちゃんとしているけれども、その中に足りない人があった場合に年金に入れるのか入れないのか、その辺の状況はどういうふうになるのか、農住組合と農業者年金との関係は。
  94. 杉山克己

    ○杉山(克)政府委員 農業者年金に対する加入の資格要件は、それぞれ当然加入、任意加入、経営規模なり農業従事要件というようなことで決められておるわけでございます。農住組合の組合員についてはどうかということでございますが、農業者年金の加入資格を判断するに当たりましては、農住組合の組合員であるかどうかということは問うておりません。したがって、農住組合の組合員であるなしを問わず、農業者年金基金法に定める加入資格要件さえ満たしておれば当然農業者年金に加入できることになっております。
  95. 竹内猛

    ○竹内(猛)委員 時間が来たようですからこれで終わりますが、できてからちょうど十年目ですね。一区切りをつける時期です。そして今回もまた一定の値上げを前提にして給付を考えている、それもわからないわけではありません。ありませんが、こういうことをしていって、結局加入者が老齢化して受給者の方に回っていって、新しい若い加入者が入ってこなければ当然行く先はわかっていることだ。だからいまのうちに昭和七十二年以降の問題についても十分に検討されたいし、先ほどから私の前の野坂委員あるいは田中委員も主張されているように、遺族年金あるいは婦人の地位というものについてしっかり考えてもらわないと、いまの農業の実態に合わない、農業の実態に合わせてもらいたいということを要求するし、大臣から最後にお答えをいただいて私は終わります。
  96. 亀岡高夫

    ○亀岡国務大臣 先ほど来申し上げておりますとおり、この農業者年金につきましては農林水産省の中で機関を設けて検討に入る、そしていままで論議されたような点、できるだけ結論を出さなければいかぬと思うのです。七十二年以降は赤字になる、赤字というか積立金も一銭もなくなるという事態になっているわけですから、その先どうするのかということも明示できないままに行政を推進するのは無責任だ、こう言っても言い過ぎではないと思うほどでございます。  これは政府としても、国民年金を初めとする厚生年金、各種年金、これも将来どうなるかというような不安をみんな持っておりながら、それではどうするのだということになるとみんな黙って、積極的に結論を出そうという努力が遅々として進んでいない。これも非常に残念なことで、私どもも内閣の一責任者としてそういう面のことも閣内であわせ検討していきませんと、農民年金だけでうまいことを設計しようといってもなかなか容易じゃないと思いますので、その辺も十分心得ながら検討してまいりたい、こう思います。
  97. 竹内猛

    ○竹内(猛)委員 終わります。
  98. 田邉國男

    ○田邉委員長 神田厚君。
  99. 神田厚

    ○神田委員 農業者年金基金法の一部を改正する法律案につきまして御質問申し上げます。  最初に、経営移譲年金の支給の政策効果の問題につきまして御質問申し上げますが、農業者年金制度の発足経過を振り返ってみますと、当時はこの年金制度を純粋な老後保障制度にするのかそれとも農業構造政策推進の手段にするのか、こういう二つの意見があったと思うのであります。結局、政府は農業構造政策推進のための年金体系という形をとったわけでありますが、この経営移譲年金の支給が開始されまして以降五年を経過した今日、その政策的な効果というものが問われる段階になってきているわけでありますが、政府としましてはその政策効果をどういうふうに評価しているのでありましょうか。
  100. 志賀節

    ○志賀(節)政府委員 神田先生御指摘のとおり、この年金制度は構造政策のための施策の中で適宜の経営移譲を進めることを目的としておるわけでございます。その経営移譲は後継者に対するものと第三者に対するものがございまして、それぞれ次のような役割りを果たしておるのではないかと理解をいたしております。  その一つは、農村社会における兼業化あるいは混在化の深まりの中で農地の資産価値がだんだん高まってまいりまして、農地の切り売りや分割相続などによりまして地片の細分化あるいは権利の分散化の危険性が増しておる、これを後継者移譲によって一括移譲を要件としておりますから、これに対する歯どめとしての効果が発揮されておる、あるいは構造政策推進のためのそういう前提条件を満たしておる、こういうふうに理解をしております。  それから、わが国の農業は後継者不足あるいはまた老齢化が問題となっておりますが、後継者移譲を通じて後継者を確保することができる、それから農業経営主の若返りができる、こういうことに寄与しておると思うのでございます。それからまた、第三者移譲は後継者がいない場合になされるわけでございますから、その数は少ないけれども、第三者移譲を通じて経営移譲を受けた者の経営規模の拡大に貢献しておる、こういうことになっております。  ちなみに、経営移譲を受けた後継者の平均年齢は三十・七歳、第三者移譲の効果といたしましては、昭和五十五年十月から十二月に裁定を受けた六百四十件について、経営移譲を受けた者を見てみますと、その前後の平均面積で見ますと、譲り受ける前の面積は一・四七ヘクタール、それが譲り受け後は二・〇八ヘクタール、こういうようなことになっておりまして、ただいま申し上げたことを数字的に裏づけておると思うのでございます。
  101. 神田厚

    ○神田委員 ただいま御答弁ありましたが、御案内のように経営移譲の相手方は、第三者移譲が七%、後継者移譲が九三%、後継者移譲が圧倒的に多いわけでありますが、しかしながら後継者移譲がこの制度の目的とする経営の若返りに十二分に役割りを果たしているのかどうか、さらに移譲された農地が有効に活用されているのかどうか、こういう点につきまして政府はどのような調査をして、どのような指導を行っているのかをお聞きしたいのであります。  同時に、ただいまの御答弁から、後継者移譲に対しましては、農地の細分化を防止するということを行うという観点からは評価できるものがありますけれども、この法律の目的である農業経営の近代化、これに十分機能しているかどうかはこれまた非常に疑問があるという指摘もあるわけでありますが、この辺のところ、あわせて御答弁をいただきたい。
  102. 杉山克己

    ○杉山(克)政府委員 年齢の若返りということについてどの程度寄与しているかということは、これは後継者の平均年齢、実績を見てみますと三十・七歳というようなことで、労働力として一番優秀な世代が継承しているという実態が見受けられます。そういう意味では若返りに貢献しているということははっきり言えると思うわけでございます。  ただ、経営移譲の農地の利用状況、それが本当に趣旨どおり活用され、近代化に大きく貢献しているかということになりますと、これはなかなか個別の事情を追跡調査するということも困難でございまして、十分な実態の把握はできておりません。ただ、私ども、経営移譲の効果が、それこそ脱法的に行われて台なしになるというようなことのないように、各種の側面的な指導もあわせ行って、その効果が発揮できるように指導いたしているところでございます。たとえば、農協の組合員名義、農協の組合員としておやじさんがなっておったのを、経営権がかわったならば、当然一般ならば子供さんに移すべきであるというようなこともありますので、そういうことを指導するとか名義の変更を指導するとか、それから米などの生産物の販売あるいは農業用資材の購入、こういったことについても農協組織等を通じて後継者名義で行うように指導する。それから、農業所得の申告につきましても同様後継者名義で行うことを指導するというようなことで、経営移譲の実態を本当に備えるようにということで指導を図っているところでございます。  それからまた、近代化にどの程度貢献しているだろうかということについて、それ自体の直接的な調査はないのでございますが、全国農業会議所の実施した、移譲を受けた者の、後継者の意識調査、これによりますと、こういう方の中で農地をふやしたいという方が二七%あるというようなことになっております。それから、経営移譲を受けた後の現在の心境はどうかということについては、農業経営の大変さを身をもって体験しているということで、実質真剣に取り組んでおると思われる人が六〇%あるとか、それから経営をすべて任されて生活に張りを感ずるようになったという人が三六%あるというようなこともあり、それからまた規模拡大を積極的に図りたいというような意見もかなり見られておるというようなことで、後継者移譲は、そういう意識調査の面からはある程度前向きに取り組んでいるなというようなことがうかがわれる点があるわけでございます。
  103. 神田厚

    ○神田委員 現行制度で、一つに、使用収益権の設定により後継者に移譲された土地については、これは第三者に対してさらに利用権の設定等をした場合には、経営移譲年金の支給が停止をきれることになっているわけでありますが、これが農用地利用増進事業等の推進において足かせになっているというような意見もございますし、何らかの改善措置を講ずる用意がある、こういうふうに言われておりますし、さらに、農業用施設の範囲等にかかわる内容等について非常に具体的でない、そういうふうな問題も提起をされておりますが、この辺はどういうふうにお考えでございますか。
  104. 杉山克己

    ○杉山(克)政府委員 実態によってまた判断しなければならない、個々相当差がある話かと存じますが、一般的には、経営移譲を受けた若返った経営者は、むしろ自分の農地を、まあそれは使用収益権であれ、ほかに又貸しするあるいは利用増進事業によって賃貸するというようなことではなくて、むしろ積極的に経営を拡大していくということが望ましいし、また、そのように指導していくべきものであるというふうに考えます。したがってそういう方が、安易にとは言いませんけれども、自分の経営を縮小して、ほかに農地をたとえ利用増進事業の形であれ貸し付けるというようなことになるならば、それは余り一般的には好ましくない話ではないかというふうに思うわけでございます。そういう場合には年金の支給停止になることもまたやむを得ないのではないか。  ただ、農用地利用増進事業とのかかわりについては、これはむしろ後継者というよりは第三者移譲の問題が大きく絡んでくると思うわけでございます。私ども、それぞれ経営規模の拡大、農業経営の合理化、生産性の向上ということを、いわゆる構造政策を目的とした政策でございますので、その間そごを来すことのないよう、十分その間の調整を図ってまいりたいと考えます。
  105. 神田厚

    ○神田委員 次に、年金額の引き上げの問題につきまして御質問申し上げますが、今回の改正では、前回の財政再計算期に比べまして経営移譲年金が一・三七五倍、また農業者老齢年金が一・三七七倍に引き上げられておりますけれども、どういう算式を基礎にこの年金単価を算定したのでありましょうか。また、この引き上げ幅が昨年の厚生年金や国民年金の引き上げ幅と比べた場合どのようになっておりますのか、お答えをいただきたいと思います。
  106. 杉山克己

    ○杉山(克)政府委員 農業者年金の給付水準の算定は、その平均的な農業所得をもって厚生年金に加入していたとするならばどれだけの年金が給付されるかという、いわば厚生年金並みの水準を基準として額を決定することにいたしております。  このため、今回の改正に当たりましても、過去の財政再計算と同様な考え方に立って給付水準を決定することといたしまして、昭和五十五年度における平均的な農業所得を最近の実績等から、まあ各種の推計方法があるのでございますが、これを推計いたしまして、その農業所得をもって厚生年金に加入した場合の年金額を算定して、これを基礎といたしまして、さらに国民年金とのバランスあるいは農業者年金の財政事情、物価上昇率の見通し、こういったものを総合的に勘案して決めたところでございます。  年金単価については八・七%、これは前回の再計算時に比しまして一・三七五倍ということになるわけでございますが、こういう引き上げを行うこととしたところでございます。
  107. 神田厚

    ○神田委員 この引き上げの幅は、昨年の厚生年金あるいは国民年金の引き上げ幅と比べてどういうふうになっておりますか。
  108. 杉山克己

    ○杉山(克)政府委員 バランスを考慮したわけでございますが、実数で申し上げますと、国民年金及び厚生年金の五十五年度の財政再計算におきますところの年金額の引き上げは、それぞれ七・一%、一〇・九%となっております。農業者年金の今回の引き上げ率は先ほど申し上げましたように八・七形ということで、全般的な条件を考えますと、おおむね妥当な線は貫き得たというふうに考えております。
  109. 神田厚

    ○神田委員 経営移譲年金の額につきまして、これは制度発足当初より厚生年金並みの給付を実現するということでやってこられたわけでありますが、標準的な加入期間を有する人の場合におきまして両者の年金額を比較した場合においてはどういうふうになっておるのか。前回の財政再計算期に比べ格差が開いているのか縮小しているのか、こういうことが問題になってくるわけでありますが、われわれの方の計算では格差が開いている、こういうふうなことになっております。したがいまして、今後のこの格差を縮小するための計算方式等の改善、工夫を加える必要があると考えますが、その点はどういうふうにお考えでありますか。
  110. 杉山克己

    ○杉山(克)政府委員 厚生年金に三十年加入した場合の標準的な年金額は、月額にして十二万九千五百二十五円ということになります。農業者年金に三十年加入した場合の年金月額は十万七千二百五十円、比率にいたしますと八二%程度ということになるわけでございます。前回の場合は八六%程度でございましたから、若干格差が開いているということになるわけでございます。これは年金制度の問題というよりは、ベースに使われる所得水準の開きがここに反映しているということになるわけでございます。先ほど申し上げましたように、農業者年金について所得水準を算定いたしました結果、そういうことが反映されてこういう数字になったということでございます。
  111. 神田厚

    ○神田委員 ですから、明らかに前回の財政再計算期に比べましてその格差が開いている、こういうことがこの平均した標準的な加入期間を考えた場合に出てきている、こういうことでありますから、今後この格差を縮小するための計算方式等の工夫、あるいはこの格差をどういうふうにして縮めていこうかということについての農林省の考え方というのはありますか。
  112. 杉山克己

    ○杉山(克)政府委員 農業所得それ自体の格差を今後どう解消していくかということは、先ほど大臣からも御答弁を申し上げているところでございますが、農政全体の中でこれは努力をしていかなければならない性格のものであろうと存じます。なかなか格差の解消は困難でございますが、あらゆる政策を通じてこれは努力してまいりたい。農業者年金制度の中では、少なくともその所得に見合った厚生年金並みの給付水準は今後とも実現してまいりたいというふうに考えております。
  113. 神田厚

    ○神田委員 あらゆる努力をするということでありますが、このままいきますとどんどん格差が開く一方になってくるわけでありますから、よほど政策的に考えていただかなければならない問題になってくると思いますので、ひとつその辺はよろしくお願いしたいと思っております。  続きまして、農業者老齢年金の引き上げにつきましては、今回も経営移譲年金並みの引き上げしか行われなかったわけでありますが、今後とも特別の引き上げを行う用意はないのかどうか。農業者老齢年金の引き上げについてはかなり強力な引き上げ要求が出ているわけでありますが、その点はどういうふうにお考えになりますか。
  114. 志賀節

    ○志賀(節)政府委員 先ほど来申し上げましたように、農業者年金制度は経営移譲年金を主体とした政策年金でございまして、六十五歳以降の老後保障は国民年金と相まって行うこととしておるわけでございます。  農業者老齢年金は、経営移譲ができなかったけれども、長年農業に精進してきた者に対する老齢保障として設けられたものでございまして、農政的な意味の薄い農業者老齢年金の額をさらに引き上げるということは、この制度の趣旨からは困難であると考えておるのが政府の考えでございます。  また、農業者老齢年金は終身年金でございますので、その引き上げは保険料へ影響が大きく、今回の財政再計算においては農家の負担能力を考慮いたしまして段階的な引き上げを行うこととしたものでございまして、さらに保険料の引き上げを要する改正は事実上困難でございます。
  115. 神田厚

    ○神田委員 御答弁でありますが、老齢年金の引き上げの問題につきましては、引き続いて、そういういろいろな事情があるのはよくわかっておりますけれども、われわれの方としましては要求をしていきたいと思っております。  同時にもう一点、農業者老齢年金の支給の要件につきまして、経営移譲をしているのはそれはいいのでありますが、六十歳となる前日において農業者年金の被保険者になっていなければならない、こういう大変厳しい要件がついているわけであります。こういう厳しい要件をつけた理由は一体何なのか。さらに政府は、今回の改正案の作成段階ではこの要件の緩和について検討した、こういうふうにわれわれも聞いておりますけれども、今後ともこの緩和の方向での努力をしていくつもりなのかどうか、その点はいかがでございますか。
  116. 杉山克己

    ○杉山(克)政府委員 農業者老齢年金は六十歳に達して、いわば農業を退職するということで経営移譲する方、そういう方に農業に精進してきたということにお報いするという趣旨を有する性格のものでございます。そういうことからこの要件を設けております。これを廃止するかあるいはもう少し何か条件緩和できないかということ、確かに内部議論として詰めた経過がございます。ただ、いま申し上げましたような趣旨から、そこは問題があるということでこれについての改正は行わなかったという経過があるわけでございます。  それから実際に、そういう六十歳に達する前日に被保険者でないために農業者老齢年金の受給資格を失うのは、兼業に従事したために六十歳以前に被用者年金に移った、しかもその後六十五歳までに経営移譲をしなかったという場合でございますが、そのようなケースは実際問題としてはきわめて少ないのではないかというふうに考えられます。
  117. 神田厚

    ○神田委員 時間もありませんので次に移ります。  保険料の引き上げ問題で、われわれは保険料につきましては従来から農家の負担能力を考慮して定めるということを指摘しているところでありますが、今回政府は従来の完全積立方式から修正積立方式に移行し、保険料の緩和を図ったわけであります。この点は多少評価もできるのでありますが、しかしながらこのままでは年金財政に大きな穴をあけることは確実でありますから、将来この年金収支の見通しがどういうふうになるのか、将来的な見通しについてお聞かせをいただきたい、こういうふうに思っております。
  118. 杉山克己

    ○杉山(克)政府委員 農業者年金の今後の財政収支の見通し、これはきわめて厳しい状況がございます。いま先生も申されましたように、算定される今回引き上げるべき水準の平準保険料というのは現行保険料の約二倍の水準になるわけでございます。ここまで一遍に引き上げるようなことは実際に農家負担の能力からするとできない話でございますので、その点については緩和措置を講じ、初年度五千百円とし、自後これを逐次引き上げていくということにしているわけでございます。  こういうことでございますと、完全積立方式は崩れて積立金について将来不安を生ずるのではないかということでございますが、その見通しといたしましては、いろいろ条件はございますが、一定の現実的な条件を前提に置いて計算いたしますと、六十三年度時点で支出が収入を上回るということで、積立金の取り崩しが始まると見られております。そして、だんだん積立金が減ってまいりまして、七十二年度の時点では積立金がなくなるというふうに計算されるわけでございます。  こういう長期的な見通し、これをさらにその後どういうふうに見通しを持っていくかということになりますと、一般的には積極的な加入促進あるいは積立金の効率運用を図って収支改善に努力するということでございますが、やはり基本的には給付水準なり掛金率なりあるいは国庫補助なり全体についての吟味、検討ということが必要になってこようかと思います。ほかの年金のあり方等とも関連して、いずれ五年ごとには再計算を行うことになっておりますので、今後検討すべき課題と考えておるところでございます。
  119. 神田厚

    ○神田委員 いま御答弁がありましたように、われわれは従来から保険料の緩和ということについてこれを主張し続けてまいりましたが、本制度が政策年金だというこの出発点から考えますれば、国庫助成の引き上げがやはり今回何らかの形で――全然措置が講じられなかったけれども、今後の方針としては、いまお話を聞いていますと年金見通しも非常に厳しい状況になってきている、そうかといって、農業所得等の減退等によって農業者が負担をしていく限界も非常に厳しいものになっているという状況から、政策年金としての性格に照らした国庫助成の引き上げの問題については、今回の措置が講じられなかったことと、今後の方針についてお聞かせをいただきたいと思います。
  120. 杉山克己

    ○杉山(克)政府委員 おっしゃられるように、確かに政策年金である、その推進のためには国としてもそれなりの努力が必要であるということで国庫補助を行っております。しかもその国庫補助の水準というのは、ほかの公的年金に比べますとかなり高率の程度となっているところでございます。そういうバランス論からいたしまして、なかなか今後国庫助成の拡大を図るということはむずかしいのではないかということと、いま一つ財政的に、五十六年度予算を見ましても国の負担は六百三十億というような大きな額に上っております。これが今後、いまのままでも、国庫負担率を特に上げるというようなことをしなくても年々大幅に増加していくということを考えますと、率直に申し上げまして国庫助成を引き上げるという形での調整、財政収支のつじつまを合わせるということは、なかなか困難であるというふうに考えております。
  121. 神田厚

    ○神田委員 しかしながら、これはいろいろ考えていって、最終的には国庫助成の引き上げという問題も当然検討されなければならない問題でありますから、それらはひとつ前向きに御検討いただきたいと思っております。  時間が来ましたので最後に、関係者の要望が大変強い、また国会におきましても附帯決議等においてその実現を要望しております、制度の改善事項としての主婦の加入問題や遺族年金の創設問題、これらの問題がございます。これらについていろいろむずかしい側面がたくさんあることは承知をしておりますけれども、今後もやはりこれらの問題も徐々にこれを実現をさせていかなければならないわけでありますから、こういう附帯決議等について、要望されている制度改善事項について、どんなふうにお考えでありますか。
  122. 志賀節

    ○志賀(節)政府委員 ただいま神田先生がむずかしい側面は十分承知しておる、こういうお話でございますので、そのむずかしい側面をちょうちょう申し上げることはこの際差し控えたいと思いますし、先ほど大臣も御答弁になっておられましたので、そのことについても重複は避けたいと思いますが、さしあたって、現在私ども大変に注意しなければいかぬと思っておりますことは、農地等の権利名義を有している女性は農業者年金に加入できることになっておるにもかかわらず、そしてまた、使用収益権の設定等を受けて加入する道も開かれているにもかかわらず、この点については必ずしも周知徹底されていない、こういう点が見受けられますので、この点はやはりPR不足のそしりを免れませんから、この点はちゃんとやっていかなければいけない、このように考えておるわけでございます。  冒頭に申し上げましたとおり、この問題につきましては、いろいろ困難な側面があるわけでございますが、この点につきましても大臣御答弁のとおり、順次前向きに検討をしてまいらなければと考えておるわけでございます。
  123. 神田厚

    ○神田委員 終わります。
  124. 田邉國男

    ○田邉委員長 この際、午後三時二十分から再開することとし、暫時休憩いたします。     午後一時六分休憩      ――――◇―――――     午後三時二十二分開議
  125. 田邉國男

    ○田邉委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  質疑を続行いたします。吉浦忠治君。
  126. 吉浦忠治

    ○吉浦委員 農業者年金基金法の一部を改正する法律案について御質問をいたします。  この年金は、昭和四十二年の一月の総選挙の際に、当時の佐藤総理大臣が農業者にも恩給をという公約をなさったことから、その実現が大きく前進をして、その後政治課題となり、昭和四十五年に制定をされまして、四十六年本事業が開始されて以来十年を経過しているわけでありますが、昭和五十一年からは経営移譲年金の給付、また本年二月からは農業者老齢年金の給付が開始されております。農業者の老後の保障と農業経営の近代化、すなわち農業経営の規模拡大と経営の若返りを図るという両面を持ったものでございますが、これは農業者の中に定着していっていると言ってもよかろうと思います。しかし、本制度が将来にわたって健全な運営ができるか否かということは、今後加入者がどの程度確保されるかにかかってくるというふうに思われるわけであります。  そこでお尋ねをいたしますが、政府は本制度発足当初は被保険者数を二百万人、その後の財政再計算においては百六十五万人程度、こういうふうに予定したと聞いておりますが、これに比べますと、加入実績者は余りにも差が大き過ぎて、離れ過ぎていると思うわけであります。そこで、こういうふうに加入率が低いという、その原因というものはどこにあるというふうにお考えになっておられますか、まずこの点からお尋ねをいたしたいと思います。
  127. 杉山克己

    ○杉山(克)政府委員 ただいま御指摘のように、前回の再計算時、五十二年一月時点においては、当時の加入資格者数を百六十五万人と見込んでおったわけでございます。その後兼業化が進展する、それに伴って被用者年金へ移る者が増加するということがあって、国民年金への加入の農業者の数が急激に減少してまいりました。また、六十歳へ到達によって加入資格を失った方が出てまいったというようなことによりまして、年金の加入有資格者数は五十五年度当初では百四十二万人程度ということで、前回の再計算時よりかなり大幅に下回るような状況になったわけでございます。これに対しまして、加入状況がどうかということは、五十五年度当初の時点で百十一万人、これはその後若干減っておりますが、現在この有資格者数と対比する時点で申し上げますと、百十一万人、加入率で七八%ということになっております。  したがって、現在実数で約三十万人程度の未加入者がおいでになるわけですが、これらの方々が農業者年金に加入しないのはなぜかということでございますが、一つは、やはり農業の将来について本当に安定した希望の持てる未来像を描けていないということがあるのかと存じます。その点は農政全体で対応しなければならない大きな課題であるかと存じます。  それから農業者年金制度自体に即して申し上げますならば、若い方は年金というものを身近に感じない、いつまでも元気でいられるというようにお考えになるのかもしれませんが、将来の不安を余り想定されないというようなこともございます。それから、先ほど申し上げたこととやや重複しますが、将来自分が何になるか、どういう目標を定めて生活設計を営んでいくかというようなことにまだ定まっていない点があるというような点もあろうかと存じます。  それからいま一つは、これは私どもが一番努力をしなければならない大事な点でございますが、年金制度一般もさることながら、特にこの農業者年金制度について必ずしも十分に御理解がいただけていないという点があろうかと思います。特にこの御理解いただけない点については、従来からも努めてまいっているところでございますが、加入率を高めるよう、ぜひ今後とも最大の努力を傾注してまいりたいと考えております。
  128. 吉浦忠治

    ○吉浦委員 五十五年の十二月末の被保険者数が百七万五千人、こうなっておりますが、来年の一月一日の財政再計算においてどの程度の被保険者数を見込んでおられますか。先ほどの委員会の答弁でもお聞きしておりましたが、五年先、十年先という見通しを聞きたいと思いますが、いかがでございますか。
  129. 杉山克己

    ○杉山(克)政府委員 今日現在まで百七万人ということでございますが、今後新規の加入者、それから脱退される方、それから受給資格を得て加入者という形でなくなる方、いろいろございますが、年々減少を続けてまいるというふうに見込まれておりまして、五年先の昭和六十年度におきましては九十二万人、それから昭和六十五年度、十年先の時点においては、これは約八十万人というふうに見込まれるわけでございます。
  130. 吉浦忠治

    ○吉浦委員 最近の農業者年金基金の調べというものが、現在年金未加入者、どなたも御指摘なさっているように約三十万人程度、こういうふうに聞いておりますけれども、その年齢層というものはどのようになっておりますか、お尋ねをします。またこれらの方の加入促進というものは具体的にどのような方途をお考えなのか。調べてみますと各県まちまちで、一〇〇%のところもあれば五〇%未満の加入の県もあるということで、そのばらつきが余りにもひど過ぎるのじゃないか。こういう点で都道府県、市町村ごとに大きな格差があるように思われてなりません。いわゆる低加入地域の一層の啓発というものをどのように農林省はなされておられるのか、具体的な事例で結構でございますので、お知らせを願いたい。
  131. 杉山克己

    ○杉山(克)政府委員 未加入者自体の年齢構成はどうかということについて、直接の資料はございませんが、有資格者の年齢構成を見てみますと、これは基幹的農業従事者の年齢構成がほぼそれに相当するのではないかと見られるわけでございます。これで推定いたしますと、二十歳から二十四歳の階層が一九%、二十五歳から二十九歳の階層が三四%、三十歳から三十四歳の間が二六%、三十五歳から三十九歳の間が二一%と見込まれるわけでございます。未加入者のウエートは若い階層ほど高い。そして四十歳に近づくにつれて低下しておりますが、これは先ほども申し上げましたとおり、若い方ほど年金を身近に感じていらっしゃらないということがあるのかと思うわけでございます。したがって、今後加入率を高めていくには、そういう若い階層を重点にPRを進めていくことが必要であろうと考えます。  そこで直接には、これは農業者年金基金がその仕事を担当するわけでございます。まず、未加入者名簿、働きかける対象についての一覧をこしらえまして、その方々に個別の加入促進等、各般の加入促進策を図っていくということにいたしております。これを実際に担当していただくのは都道府県、市町村、さらには農業団体、農業委員会というようなことになるわけでございます。  それから具体的な加入促進対策の一つといたしまして、従来から特定加入者ということで、若い階層で入ってこられる一定の要件を備えた方には割引保険料、保険料軽減措置がとられているわけでございますが、今回その対象範囲を拡大するという改正を行うことにいたしております。こういったことも対象範囲の拡大には資するものと考えられます。  それから地域別の加入率のばらつきがあるのではないかということでございますが、確かにある程度のばらつきはございます。加入率の低い県、六〇%台のところは、個別の県名を挙げさせていただきますと、青森県でありますとか茨城県あるいは千葉県、東京、こういった幾つかの県があるわけでございます。中には北陸の石川のように九〇%を突破している県もありますので、こういう加入率の低いところ、しかも農業県と考えられるような大きな県に対しては、重点的にそういうPR策を進めてまいりたい。そしてPRについては、これは農業者年金基金が定期刊行物、月刊誌をつくるとかリーフレット、パンフレットのたぐいを作成する、そしてこれを配布する、これを直接第一線で担当していただく方々にもその研修をするとか、趣旨の徹底、事務の推進についての助成を行うというようなことで進めていくことにいたしておるわけでございます。
  132. 吉浦忠治

    ○吉浦委員 年金額の引き上げについてお尋ねをいたします。  今回の経営移譲年金及び農業者老齢年金の引き上げ幅は、過去二回の財政再計算期に比べますと低いものとなっておりますけれども、この理由はどこにあるのか。他の公的年金制度における引き上げ幅と比べてお答えいただきたいと思うわけです。経営移譲年金の場合、老齢年金の場合、農業者年金の場合は制定時、四十九年の改正、五十一年の改正、それから五十六年の今度の改正というふうに、当初のときは二・二倍、その次、四十九年から五十一年のときは一・四八倍、今度は一・三八倍とだんだんと低くなっておる、この理由というもの、どのようにとらえておられますか、お答え願いたい。
  133. 杉山克己

    ○杉山(克)政府委員 過去の引き上げ幅に比べまして今回の引き上げ幅が、確かにいま数字の上で低くなっておりますが、これは一つは農業所得の伸びが鈍化してきたということもございます。ただ、いま先生が御指摘になりましたような大きな格差、従来の上げ幅に比べて今回の上げ幅が小さいのは、これはむしろそういうことよりも、年々の物価スライドといいますか、物価の状況を反映して改定を行うことが、従来はまとめて行っていたというようなこともあるわけでございます。最近におきましては、年々その都度その物価上昇を反映して給付の額を上げるということを行っておりましたので、いわば何回分かが一緒に出たのと、今回毎年やっているその一つが出てまいったのと、そういう差が一つ大きくあらわれているわけでございます。  それから、各種年金全体とのバランスはどうかということでございますが、国民年金の場合、五十五年度における財政再計算に伴う年金額の引き上げは七・一%、今回の農業者年金の財政再計算に伴う引き上げ率は八・七%でございますので、物価の上昇率だとか年金財政の状況ということを考えれば、おおむね妥当なものではないかというふうに考えております。
  134. 吉浦忠治

    ○吉浦委員 経営移譲年金額の水準については厚生年金並みの水準を確保することが目的であると聞いておりますけれども、平均加入期間三十年間を有する人で両者の年金額を比較して御説明をいただきたい。
  135. 杉山克己

    ○杉山(克)政府委員 厚生年金に三十年加入した場合の標準的な年金額は、月額にして十二万九千五百二十五円というふうに計算されております。一方、農業者年金の場合、三十年加入した方の年金月額は十万七千二百五十円というふうに計算されます。
  136. 吉浦忠治

    ○吉浦委員 御説明のように農業者年金の方が低い年金額となっておりますけれども、将来を見通して両者の格差が縮小する見通しなのかどうか、この点をお伺いしたい。
  137. 杉山克己

    ○杉山(克)政府委員 農業者年金の給付水準は、当然加入被保険者の農業所得を推計いたしまして、この農業所得をもって厚生年金に加入したとすれば年金額はどの程度になるかということを計算して、その数値を基礎にして決めるわけでございます。その意味で農業者の所得自身がどうなるかという問題であろうかと思います。  従来、一般勤労者と農業者の所得の格差を埋めるべくそれぞれ努力してまいっているところでございますが、残念ながらなかなかその差は埋まらない。縮まった時期もございますが、広がるということもあって、現在格差はかなりあるわけでございます。これが将来縮められるかということになりますと、年金の問題というよりはまさに農業の規模拡大、生産性を上げてその所得の増加を図るという全般的な政策の中で実現を見ていくべきものと考えております。私どもとしては、当然これは農林水産省全体の目標でございますが、そういう大きな目標に向かって努力を続けてまいる所存でございます。
  138. 吉浦忠治

    ○吉浦委員 農業者老齢年金については、国会においても従来から附帯決議等により特別の引き上げを要請してきたところでもありますが、今回特別の引き上げをしなかった理由はどこにあるのか。また経営移譲できず農業者老齢年金しか受給できない者、この方たちは今後保険料の掛け捨てといった事態が起こらないかどうか、この点についてお尋ねをいたします。
  139. 杉山克己

    ○杉山(克)政府委員 農業者年金制度は、御承知のように経営移譲年金を主体としたところの政策年金でございます。一般的な六十五歳以降の老後保障は国民年金と相まって行うということになっておるところでございます。  農業者老齢年金は、経営移譲はできなかったが、長年農業に精進してきた方に対する老齢保障として設けられたという性格を持っております。その意味ではまさに一般年金の付加的な性格がまことに強く、政策的な意味は比較的薄い性格のものであると考えられます。この額についてさらに特別に引き上げるということは、ただいま申し上げましたこの制度の趣旨からして困難ではないかというふうに考えております。  それからいま一つ、農業者老齢年金は、経営移譲年金が五年間に基本の額が支払われる、そしてその後は十分の一ずつ毎年というのと異なりまして、これは終身年金の形をとっておるわけでございまして、その引き上げは保険料に及ぼす影響がまことに大きいということもございまして、負担の点も考慮し、この点は特別な引き上げ措置を講ずることをしなかったというものでございます。
  140. 吉浦忠治

    ○吉浦委員 次は保険料の引き上げについてお尋ねをいたしますが、従来、本年金制度において完全積立方式が採用されておりますが、今回の財政再計算に当たってはいわゆる修正積立方式に移行していると聞いております。修正積立方式に移行したことは、保険料の引き上げ緩和を図る措置として評価できるわけでありますけれども、これが年金財政にどのような影響を与えるのか、具体的に年金収支の見通しをお聞きしたいと思います。
  141. 杉山克己

    ○杉山(克)政府委員 ただいま先生もおっしゃられましたように、今回の保険料の算定に当たりましては、平準保険料をそのままその保険料として引き上げるというのではなくて、各種の事情、特に農業者の負担ということに配慮いたしまして、初年度五千百円、その後毎年四百円ずつ逐次引き上げていくという措置をとることにいたしたわけでございます。したがいまして、全体として保険の財政は悪化する、現在の積立金で将来の給付を満度には賄い得ないという事態になるわけでございます。それを完全積立方式から修正積立方式に移ったという表現、そう言うことができようかと思うわけでございますけれども、これは数字の上でどういうふうに推移していくかということを見ますと、いまのところ六十三年度までは単年度収支が均衡いたすのでございますが、六十三年度においては単年度の支出が収入を上回る、そして積立金の一部取り崩しということが行われるようになります。それから、七十二年度になりますとそれらの取り崩しが極度に達しまして、積立金が全くなくなるというふうに見通されております。もちろん、こういう見通しを算定するに当たりましては種々前提を置いて計算するわけでございますが、現在私どもの作業では七十二年になれば積立金は底をつく、そういう計算になっているわけでございます。
  142. 吉浦忠治

    ○吉浦委員 また、今回の改正では国庫補助の拡大措置が講ぜられていないわけですが、本制度の政策年金としての性格に照らして、将来その拡大を図るべきだというふうに思いますが、当局の見解を承りたい。
  143. 杉山克己

    ○杉山(克)政府委員 農業者年金につきましては、その政策年金であるというような性格からも、従来から一般の年金に比べてかなり高額の国庫負担が行われているところでございます。給付及び保険料、両方の面でその負担が行われ、実質の国庫負担割合は約四六%ということになっております。そういうことを考慮いたしますと、ほかの年金とのバランスあるいは特に今日のように財政事情が厳しい状況のもとにおいては、なかなか国庫助成の拡大を図るということは正直申し上げまして困難なわけでございます。私どもとしては現在の国庫補助の仕組み、この水準を維持するのが最大限努力したところであるというふうに申し上げたいと存ずるわけでございます。
  144. 吉浦忠治

    ○吉浦委員 保険料についてですけれども、修正積立方式の採用によりまして緩和されたものの、農家単位で見れば、国民年金の保険料と合わせて拠出する必要がありますので、現在農業者年金と国民年金の保険料を合計した月額が一万二千円というふうになっております。これが改正後には一万四千五百円に引き上げられる、こういうことになるわけですけれども、果たしてこれだけの負担に農家がたえられるかどうか。また将来における保険料の設定方針というふうな面もどういうふうにお考えなのか。特に心配なのは、昨年の冷害や災害等の被害者対策というものを、この保険料の増額についてどのような対策をお持ちなのか、お尋ねをいたしたい。
  145. 杉山克己

    ○杉山(克)政府委員 今回の保険料改定の結果、五十七年一月から農業者年金とそれから夫婦二人分の国民年金を合わせた保険料の総額は、一月一万四千五百円ということになります。確かにおっしゃられるようにこの水準は農家にとって決して楽な負担とは言えないと思います。ただ一今回の保険料の決定に当たりましては、農家負担の急激な増大を緩和するということのため、段階的に引き上げを行うということにしている点もあるわけでございます。それから、最近における農家所得の状況等から見まして、また給付の水準等から見まして、この程度はやむを得ない、御勘弁願いたいところのものというふうに考えておるわけでございます。  六十二年以後保険料をどうするかということについては問題が残っているわけで、引き続き段階的な引き上げを図ることにはしておりますが、その具体的な水準については、今後の財政再計算等を行った上で、その結果を待って決めるという考えでおるわけでございます。  それから、冷害等で被害を受けた農家に対して保険料を何か特別な扱いができないのかということでございますが、これにつきましては、時効期間として二年間の保険料納付の猶予期間が設けられることになっております。これを活用することによっておおむね対処できるのではないかというふうに考えておるわけでございます。
  146. 吉浦忠治

    ○吉浦委員 時間もありませんので、附帯決議等の処理方針、前も御質問がございましたが、過去において国会で何回も指摘された附帯決議、今回何らかの改善措置が講ぜられていないかどうかということですけれども、それは主婦等の年金への加入問題、それから遺族年金制度の創設等の問題であります。今後これらの問題は実現する見通しがないのかどうか。附帯決議を次も検討のようでございますけれども、毎回同じことを決議してもこういう点で大変疑問を持つわけでありますが、もしも制度上実現する見通しがないならば、関係者の納得のいくような何らかの方策を講ずる用意があるのかどうか、この点をお尋ねしたい。特に国会においてこれらの問題は、過去六回にわたって法改正に対し重点的に取り上げてその実現を図るべく進められた問題であります。明確な御答弁をお願いしたい。
  147. 志賀節

    ○志賀(節)政府委員 吉浦先生御指摘の婦人加入あるいは遺族年金についての今後の実現の見通しはきわめて困難な状態にございますが、しかし、附帯決議でございますからこれに対してはきわめて私ども真剣に取り組んで、ただいま先生がおっしゃられましたような、もし見通しが困難であるならばこれに対していかなる方途を講ずるのか、その方途についてなるべく御納得のいただけるような、そういう方向を見出したい、こういうことで検討をしている最中でございます。
  148. 吉浦忠治

    ○吉浦委員 最後に、末端業務体制の拡充という点でお尋ねをいたしますが、農業者年金事業の円滑な運営を図るために、末端の業務受託機関である農業委員会や農協の業務体制というものを拡充して、これに対する助成強化が必要であるというふうに指摘もされておりますし、その助成の実情とともに、今後の助成強化方針というものをお持ちなのかどうか。私も末端の業務を調べてまいりましたけれども、農協の中に置いてあるというふうな、ただ単にそういう委託のやり方でなくて、委託料等の引き上げというものも図らないとこの体制は拡充できないのじゃないかということを感じて帰ったものでございます。指導をどのようになさっているのか、それから業務の意欲ある姿勢というものはどういうふうにすれば喚起されるのか、農協の中におけるその任務と兼ね合わせまして、先ほど申しました委託の助成の強化等について最後にお尋ねをして、終わりたいと思います。
  149. 志賀節

    ○志賀(節)政府委員 農業者年金業務の運営に当たりましては、業務受託機関の事務が円滑に行われますように、実は従来から業務委託費の引き上げに努めてきております。またそれと同時に、業務受託機関の職員の質的向上を図りますための研修制度の整備拡充に努めてきておるわけでございます。
  150. 吉浦忠治

    ○吉浦委員 終わります。ありがとうございました。
  151. 田邉國男

    ○田邉委員長 寺前巖君。
  152. 寺前巖

    ○寺前委員 朝から細部にわたっていろいろ御質問がありましたから、余り繰り返しのようなことをいつまでもやっておってもいけないと思いますので、だめ押し的なものと、今後の考え方の問題などについて大臣からいろいろ聞いてみたいというふうに思います。  いよいよこの法案を審議するというので、この間、私の出身の京都の農村部の二、三の町の担当者並びに農協の担当者に会いに行ってみたのです。福知山市、三和町、瑞穂町、そういうところを回ったのですが、どうだね、何か農業者年金についてあなたたちから特別に言わなければならない問題があるかねという話をすると、異口同音に最初に出てくるのは、誤加入の問題、間違って資格のない人が入ってしまっているという問題が期せずしてどこへ行っても出てくるわけなんですね。ことしで十年になるのですから、出発時からのいろいろの問題の未処理がいまだに残っている、こういうふうに言えると思うのです。  それでは、誤加入というのは一体どういう問題で起こっているのか具体的に聞かせてください、こういう話をしてみるのです。わかりましたよ。たとえば、婿養子に自分は行っていると思っていて、そうして農業者年金を掛けてきたわけなんです。いよいよ基準日が来た、来年から移譲年金をもらう段階になったと思って農業委員会の方で担当者が調べてみたら、何のことはない、一生懸命掛けていた人は実は婿養子の形式をとっていなかった。結局、娘さんをもらって結婚しておっただけで、手続はされてなかったから普通の結婚になる。だから財産の側からいったら、娘さんとしておじいさんから嫁さんの方が移譲は受けている、それをまた自分の下の子供に移譲するとするならば、嫁さんが入っていなかったらいかぬかった話になるじゃないか。これはそもそもあの加入をしたときに資格をきちんとしておかなかったところからえらいことが起こったなという問題になるわけなんです。なに、形式論から言ったらきわめて明確な形式なんです。だが、田舎の実態というのは、かくのごとき実態というのが現実に存在しているのがその姿なんです。  こういう問題にも直面いたしました。農協の皆さんがせっせと、農業者年金に入っておって損は絶対しませんぜ、息子さんに移譲されたときにごっそり年金が入ってくるのですから、それはもうぜひお入りなさいや、入ることになってますのやと言って勧めに来た。それで、そんなに言うのだったらと思って私は入ったという。ある嫁さんでしたが、当時息子はまだ高等学校の生徒だった。何年かたって、いよいよ私、年金をもらう年になってきたなと思って農業委員会の人に、もうそろそろですなと言って聞いてみて、農業委員会の担当者の方で調べてくれたら、奥さん入っているのが間違ってましたぜという話がそこでも出てきた。一体何じゃなと言うて聞いてみたら、おたくのだんなさんが亡くなったときに、すでに息子さんに跡取りとして、ちゃんと法務局の登記の方には、記録はそっちに行っているじゃありませんか、記録は奥さんのものになってませんぜ、そうすると奥さんから移譲しなければいけないのに、移譲の形式はもうだめですな、そもそも入っているのがおかしかったのと違いますかということを農業委員会で言われて、それで奥さんが怒り出したわけなんです。  あなたたちが入れ入れと言うから入って、入っておって損はしませんぜと言われてきておったのに、いざ出すという段になったら間違ってますぜとは何事だと怒り出した。これは前に起こったらしいのです。さあそれから担当者が三回かわっている、今日まで五年ほどたっているそうですけれども、いまだに解決がつかない。形式の解決はいつでもつけることができるわけです。だが、感情が伴っているわけです。さんざん今日まで掛けさしておいて、いまさら間違っておったとは何事ですかと言って、その奥さんかんかんになって怒っているわけです。さあ農業委員会の諸君は何ぼか包んでいかぬとこれはぐあい悪いぜ、あの話はおさまらぬぜという話のままで、それもずっと今日まできている。  この種の話というのは、形式論からいったらそれは問答無用かもしれませんけれども、現実にあの農業者年金が始まったときに起こった姿というのは、かくのごとき問題が各所に起こって行き詰まっているのです。なぜこんなことになるのだろうか。そこで、こういうふうに形式が整わなかった問題について、一つは本人の責任だけでは責められない、処理をしなければいけないのじゃないだろうか。すなわち、資格のない人に掛けさせてきておった、いよいよお金を払う段になると、これは明確にあなたは移譲ということが書類上も整っていますかという点検を基金の方はされるのでしょう。なぜ加入の段階できちんとそのことをやらなかったのか、やらなくて五年間なら五年間それを進めてきておった責任というのは明らかにとる必要があるのじゃないだろうか。いま言った方々のところで期せずして出てきたのは、郵便貯金だって五年も掛けておったらこれだけのお金になりますぜ、それが問答無用で、間違ってますという一片の話だけでこれを処理されるのですかという、この期せずして出てくる言葉、私は責任のとり方という問題についての何らかの指導が一つは要るのではないかと思います。  もう一つの問題は、その加入をされるときに親切に相談に乗っておったら、ちゃんと移譲年金をもらうことができる形式をつくることができたと思うのです。たとえば婿養子の人、その段階で奥さんが掛けておるというやり方をするならば解決をしておった問題だろうし、あるいは息子にちゃんと移譲ということが行われる段階のときの処理の仕方もあったでしょう。あの加入のときに親切な処理がなされておったら当然移譲年金がもらえる段階に来ておったものが、そのことがきちんとやられていなかった。私は受け付けた側の責任問題というものをそれなりに解決することをしなければならない、すなわち郵便貯金並みにと言うた提起の問題あるいは遡及して切りかえをすることができたはずではなかったかということに対する現実的な処理があってしかるべきなんじゃないだろうか。こういう問題について、身もふたもない形式論だけではなくして、何らかの処置を検討しておられるのかどうか、お聞きをしたいと思うのです。
  153. 杉山克己

    ○杉山(克)政府委員 形式的な法律解釈だけで退けてしまうのは、これはひどいではないかという御指摘のようでございますが、やはり、どこに線を引くかということになりますと、厳格な制度のたてまえもございまして、その点は御事情まことにお気の毒だと思うようなケースもあるわけでございますが、なかなか処理がむずかしい。そうは言ってないで何か責任をとるようなことを考えられないかということでございますが、この席でもって確とした名案があるわけでもございません。  私ども、むしろ責任のとり方というのは、そういう誤加入がそんなにたくさんあるとは思っておりませんけれども、それでもある程度発生したということからすれば、およそそういうことが今後発生しないように努力をする、そのために勧誘する側も十分な知識を持って親切にこれを指導する。それから、加入される方も十分な知識を持たれるように、パンフレットとかリーフレット、印刷物等についても十分わかりやすいものを用意するといったようなことを努力していくことがまず第一であろうかと思います。それから勧誘する職員の資質を向上するために研修等を行って、その勧誘業務について誤りなきを期するというようなことをまず図っていくべきではないかというふうに考えます。  そうは言いましても、今度は誤加入のすでに起こったものの実態について、全く切り捨てて何ら手当てできないのかということになりますと、私もお聞きしていて、そこは何とかできないものかという気持ちになるわけでございます。ただ、修正をするといいましても、本当にその人が基本的に資格があったのかないのか、誤加入といっても態様はさまざまであろうと思いますし、それから現地での加入に至る経緯もまたこれさまざまであろうかと存じます。そういった実態については、いまここでどういう対処をということをお約束できないのは残念でございますが、私ども調べてみたい。そうした上でまたそれぞれの判断をしてみたいというように思います。
  154. 寺前巖

    ○寺前委員 具体的な事実に基づいて、遡及してでも手が打てたものであったという前提に立ってほしいと思います。御検討いただきたいと思いますが、同時に、いま局長がおっしゃったとおり、二度とその道を歩ましてはならないという形式上の問題について、正しいPRと正しい運営に当たっての教育は非常に重要だ、御指摘のとおりです。  私、基金の方に、一体どういう宣伝パンフを持っておられるのか、いただきたいといって取り寄せたのです。「農業者年金はあなたの年金です」というこのパンフ、私が心配したものがクローズアップされているだろうかということで見たのです。私は、これ自身は間違ったことは書いてない、だけれどもクローズアップされていないということが残念なんです。というのは、いま言ったように自分名義の農地等の面積、自分名義ということが年金の上における重要な位置であるわけです。農家の生活というのは、だれの名義になっているかというのは、あの農業委員の選挙にもそんなことは関係ありません。農家の場合には世帯主義になっている。うちの土地や、借りている土地や、だれがだれに、そんなこと関係ないのです、日常生活は。さればこそ、自分名義という位置というものが、年金は個人がもらうというところが、この日常生活との違いですから、したがってそこはもっとクローズアップしなければならない要素を持っているわけなんです。これは非常に大事なところなんです。  もう一つは、農家の生活ですから、奥さんが専業をしていくという状況に今日たくさんなってきています。そういう状況の中で、だんなさんが厚生年金に入っておる。奥さんが国民年金。そして奥さんはその場合に移譲年金をもらうこの年金に入られたらということがそのときは出てくるわけです。ところが、だんなさんも国民年金で、奥さんも国民年金。この場合に、将来だんなさんが厚生年金に入られるような仕事におつきになった場合には、奥さん中心の農業になるのだから、奥さんの所有として農業者年金に奥さんが入っておられると続くことができますよとか、この失格をする問題の焦点というのは、もう十年やってきている中で非常に明確になってきておる。そこをクローズアップして、加入のときに親切にわかりやすいものにしないと、ここに書かれていることは一つも間違っていないけれども、読む側の心理から言うと、違う心理がこのパンフレットの中では働く。私はやはりこのパンフレット自身の改善をさせる必要があると思うのです。いかがなものでしょう。
  155. 杉山克己

    ○杉山(克)政府委員 御指摘の点、よくわかりました。おっしゃるとおり、もう少しアクセントをつけて間違いを防ぐための親切な手当てが必要であろうと存じます。そのほか、私どもこういうパンフレットについてもう少し真剣に、大ぜいの目で見て本当に訴える力を持つ、効果を持つような、そういうパンフレットにするように全体の改善に努力いたしたいと思います。今日印刷されているものも、またいずれ次のものを印刷することになるわけでございますから、その段階では必ずおっしゃられたことが盛り込めるように計らいたいと存じます。
  156. 寺前巖

    ○寺前委員 これは本人の責任ではなくして、日本の農業経営の実態から、自分が農業でずっと続けていって若返りの経営移譲をやっていくというプランを持っていて、そして農業者年金に入ってみたが、途中で働きに出て、出かせぎという段階ではなくしてずっと続くところの職業にかわってしまった。すなわち二種兼業にかわってしまった。厚生年金にずっと入ってしまう。こういう新たな事態が生まれて、せっかく掛けた農業者年金について、これは脱退をしなければならないという事態が生まれるというものも、これまた本人の責任の分野とは言いがたいと思うのです。本人はやはり移譲年金をやりたいと思っていたのだから。ところが、ここでもまた誤りが起こってきます。農家の生活の中で二種兼業で厚生年金に入っているのにもかかわらず、自分が入った農業者年金について、国民年金も引き続き掛け、農業者年金も掛けて、平気でこの二つをやっているということが、これも形式から言ったらあり得ない形式です、現実に存在するわけです。  そこで、こういうふうに事情変更が途中で起こった場合に、脱退一時金という制度があります。ところが、これは三年までの人はいわば掛け捨てということになるのでしょう。自分の責任で事態の変更が起こったものでないのに掛け捨てというのはちょっと殺生な話じゃないかということが一つと、事情変更は日本の農業の姿そのものから来ている。これを考えたら、だんなさんが農業者年金に加入した段階に遡及して奥さんのものに転換をして、そして整理をして引き継ぎをしていくことができるように便法をとる。それは法改正が要るのかどうか、そこらの研究をしてみる必要があるのではないだろうか、いかがなものでしょう。
  157. 杉山克己

    ○杉山(克)政府委員 後段の方からお答えいたしますけれども、農業者年金に限らず、年金制度は一身専属的な権利義務関係ということで整理されているわけでございます。そういうことからいたしますと、夫婦は一体である、あるいは親子は一体であるというような考え方から、御本人が亡くなられる、あるいは条件が変わったといった場合に、その家族の方が承継することは大変残念ながらできないというたてまえになっているわけでございます。そういう意味で、法改正を必要とするかという御質問でございますが、法改正以前の問題として、そういう扱いはおよそ原理的にできないということになるわけでございます。  それから、確かに本人の事由ではない、本人の責任ではないということで厚生年金等に加入することのために、国民年金もあわせて同じことになりますが、農業者年金の加入資格を喪失される、にもかかわらず納付が続けられる、そして過誤納があった、その返還についてどうかということでございます。これは、農業者年金制度が経営移譲という保険事故を対象にして保険制度が仕組まれているということからしますと、全体をプールしての保険ということの立場から、確かに本人の責任でないといえば、それは一つの社会的な現象でございますし、本人だけの話ではないのかもしれません。しかし本人に関して起こった本人に関する事由であるということから、その点は保険に加入するときにひとつ御理解いただきたいということで、三年未満の人は掛け捨てになるというのは、これは非常に残念な言い方になりますけれども、やむを得ないのではないかというふうに思うわけでございます。
  158. 寺前巖

    ○寺前委員 長期にわたって若いときから掛けておったら得なんですよとこれに書いてありますよ。しかし、事情変更が起こる農村の実態を見たときに、本当にそういう分野についての研究をしないと農家に対してこれはひどい話になるではないかという感じが私はします。そこに遺族年金の問題もあれば、また主婦の加入の問題なども関連して重要な問題を含んでいると思うのです。後ほど大臣から御見解を聞きたいと思います。  同時に、今度はいよいよ資格を得る段階になってしまった、経営移譲をやるべしで準備をしてきたところが、娘に経営移譲をやらす予定でおったのに娘が遠いところへ嫁に行ってしまって、ああ経営移譲の年金ついにもらわずじまいで六十五歳の老齢年金まで待たなければならぬことになったなあという事情もあって、中途で計画が変わるというのが今日の実態です。ところがこの経営の移譲年金と老齢年金を見ると、この制度では取り扱いの違いが余りにも大き過ぎる。政策年金として持っているところからこの違いがあると言えばそれっきりかしらないけれども、政策年金に協力をしておった人が事情変化が生まれてそれが使えなくなってしまうという事態も、またその中にはあるわけです。  調査室の方からいただいた資料を見ると、二十年掛けた人が七十四歳の時点で移譲年金をもらう人ともらわない人で一体どれだけの違いが生まれるかという計算をしてくれています。七百二十九万七千二百円もらえる人と二百十四万八千円もらえる人、すなわち三・四対一という割合で、経営移譲をしなかったならば極端に少ないという計算をしてくれています。私は自分でも確かめてみましたが、との数字は間違っていない。そこに老齢年金は何としても変えてもらわなかったら困るという話になる性格があると私は思うのです。これについてはやはり検討を要するというふうに見ておられるのかどうか、お聞きをしたいと思います。
  159. 杉山克己

    ○杉山(克)政府委員 先生御自身の質問の中に答えが含まれているような御質問でございましたが、確かに政策年金ということで経営移譲を行わせて、それによる若返り、農地の細分化を防止するということが最大の目的となっております。そういうことからいたしますと、保険事故である経営移譲の場合はそれなりに相当多額の給付も行われるわけでございます。それから老齢年金は、どちらかといえば一般年金的な老齢保障の性格が強いものでございます。そういう意味では、基本には国民年金があるというようなこともありまして、この制度自体の中で老齢年金を特別手厚くはしていない、したがって経営移譲年金と比べて格差がかなり大きいということは事実でございます。  ただ、老齢年金につきましても従来から一般的な改善、引き上げは行ってまいっておりますし、今後の問題についてどう考えるかということは、これは年金制度全体、ほかの年金とのバランス等も勘案して検討してまいりたいというふうに考えております。
  160. 寺前巖

    ○寺前委員 農業者年金を長年にわたってわざわざ掛けさせているのだから、事情変更が起こってきている事態のもとでは、この問題はより重視をする段階が来ているというふうに私は思うのです。  次に財政問題です。先ほどもお話がありましたが、一体どういうことをするつもりなんだろうかということをどうしたって言わざるを得ない財政事情下にあると私は思うのです。私は先ほど、厚生省がお出しになっている国民年金の収支試算の計算と農業者年金の試算を見せてもらいました。六十三年になったら――給付の改定率を毎年六%として、利回り六%、毎年四百円ずつ保険料が上がっていく計算をやってみると、六十二年でもって収支残は終わってしまうという計算になっている。先ほどの話を聞いていると、さらに十年たったら積立金がなくなってしまうというようなことなんですから、完全積立方式で進んできたこの年金制度は、明らかに今回の法改正の段階で完全積み立てばアウトになった、いまのあり方も収支決算から言うたらアウトになる。これは収支の表から出てきているきわめて明確な点です。  一方で農民の農業所得です。農業所得を農林白書から見てみますと、去年も前年よりマイナス、ことしも前年より大幅マイナス、二年続きで農業所得はマイナスが続いている。あの数字を見ますと、農業所得は毎月平均十万円前後の数字になると思うのです。ところが農家の世帯中心でこの農業者年金も含めて考えてみると、今回の法改正を進めていくと一万四千円から一万五千円、毎年四百円ずつ上がっていきますから、付加年金なり、夫婦の国民年金のお金を入れるとそうなっていく、五年先には二万円近くになっていくじゃありませんか。これに健康保険その他考えていったら、専業農業をやっていく人たちが移譲をしていく過程における所得との関係を見たら、負担はだんだん高い位置を占めていくじゃないか。今度の法改正でも、負担能力を考えて全面的積立方式へ持っていくことができなかったのだという提起がある。ところが、ことしでそう言っているけれども、だんだん負担は客観的に高い位置にいくだろう。そして、財政面から言うたらだんだん積み立てはなくなっていく。  この解決の道、この制度をやめてしまうか、そうしたら解決するかしれません。しかしいまさらやめられぬのでしょう。内容面から見たらどういうことになるのだろうか。どうしたって国庫をもって充てていくという全面的な改革をしなかったならばこの問題の解決はできないのじゃないか、制度審でも検討するようにということをすでにこの法改正前に出しているのはそこにあるだろうと思うのです。一体今後の問題として、見通しのない年金運営はあるべき姿ではない。特に政策年金として位置づけた以上は、政策年金を進めるためには大幅な国庫助成がなかったならばこれを遂行することはできないということを明確にされてしかるべきではないかと思うのですが、いかがなものですか。
  161. 杉山克己

    ○杉山(克)政府委員 今回の財政再計算後の将来見通しでございますが、先生御自身が御指摘になりましたようにきわめて厳しい、具体的な表現で申し上げますれば、完全積立方式はすでにとれなくなって、修正積立方式に移らざるを得なかった、こういう状況にあるわけでございます。そして、現在の積立金をもってしては、単年度収支は六十二年度は均衡がどうにか保たれるものの、六十三年度に入りますと支出が収入を上回る、そして一部積立金の取り崩しが始まるということで、七十二年度には積立金がなくなってしまうというような計算がなされております。いろいろその前提がございますが、先生が先ほど質問の中で触れられましたような幾つかの前提を置いてそういう見通しを立てているところでございます。  これについて将来どうするのかということでございますが、この問題につきましては社会保障制度審議会の方からもきわめて厳しい意見が出されております。「この際、農業者年金制度そのもののあり方について、抜本的検討を行われたい。」という結びになっておりまして、全体の見直しということを要請されているわけでございます。ただ私、今後どうするかという問題について、いまの時点で断言的に遠い将来のことを申し上げるわけにはいかないと思うわけでございます。それはやはり、農業の事情がさらに五年先、十年先、あるいはもっと厳しくなっているというような情勢があるかもしれませんし、それなりの変化が生じているわけでございます。そうなりますと、給付の水準なり掛金の水準あるいは国庫補助のあり方、そのときの財政負担能力の問題、そういう全体的なことを総合的に検討して、そのときの状況に応じた結論を出さなければいけないと思うわけでございます。  確かにこのままでは収支が破綻するという将来が見通されておりますが、ある意味では高齢化社会の進行に伴って年金制度に共通した問題でもございます。将来そういった問題について国民的なコンセンサスがどういうことになるのか、さらに農業の世界で、農業者年金に対してどのような評価なり、これまたどのような全体としてのコンセンサスができるかというようなことともかかわって決められなければならない性質の、大きな問題であると思います。そういった問題の重要性、深刻さを考えて、私ども、今後十分検討を進めてまいりたいと考えております。
  162. 寺前巖

    ○寺前委員 十年にして深刻な段階に入るような見通しのない年金の運営という問題については、やはりもう少し率直に検討していただきたいと思うわけです。  もう一つ聞いておきたいと思います。  農業者のために年金をといったこの事業の福祉施設の設置及び運営、こういう業務がこの年金の中にあるわけです。ところが現実には福祉の事業は一つもなされていないというところに、この年金事業の特徴がまたあるわけです。そんなこと構うておられるか、あれは法律上の、こういうこともやりますという話だけだったのだというのか、それとも福祉施設の問題、福祉事業について考えるというのかどうか。  さらにもう一つ、どの年金も積み立てたお金をそれぞれの分野の人の、厚生年金だったら働く人々の融資に使ったり、積極的にそれぞれの納入者の分野にわたって低利の融資などをやっているものです。この農業者年金においても、二〇%を限度としてそういうことをやりましょうということになっていたはずです。ところが、このいただきました資料を見ると、わずか六、七%の範囲のところしかなされていない。こういう分野については先行き不安な状況だからやむを得ませんというのか、それとも検討するというのか、その点は一体いかがなことになっているでしょうか。
  163. 杉山克己

    ○杉山(克)政府委員 福祉事業を今後どう見ていくのか、やるつもりがあるのかという御質問でございます。  先ほど来申し上げておりますように、農業者年金の財政事情が現在も非常に厳しいし、今後厳しさが一層予想されるわけでございます。一面また、福祉事業を行うには相当の資金が必要でございますし、長期にわたっての資金の回収ということも考えなければなりません。また、せっかく大事なお金をお預かりしているわけでございますから、積立金の安全かつ効率的運用ということにも配慮する必要があるわけでございます。そういう意味で、福祉事業をやらないとかいうわけではございませんが、今日まで積立金もそれほどたまってこなかったという事情もございましたし、いままでは確かに福祉事業を何もやっていないというような事情でございました。今後はそういう財政全体の事情も見ながら、できる範囲で何か検討していかなければならないというふうに考えるわけでございます。  積立金の農村還元の問題でございます。  これをどのように計算するかということでございます。実は積立金の農村還元の内容といたしまして、まず第一に農地売買業務へ貸し付けるということがございます。これが六十億円、それから農地取得資金としての融資が二百十八億円、これがいわば直接還元でございます。実はこのほかに大きく農林債券の購入ということで農林中央金庫に対する資金の提供が千三百三十六億円、合計いたしますと千六百十四億円。積立金総額三千六百五十五億円に対しまして、農林債券の分まで含めますと千六百十四億円ということで、かなりの農村還元ということができようかと思うわけでございます。もちろん直接貸し付け、運用するということも必要でございますが、それは専門的な農林中央金庫というような機関を通してというようなことで、私どもそういう形での農村還元を図っているということでございます。
  164. 寺前巖

    ○寺前委員 局長に最後に、農協へ行っても農業委員会へ行っても、先ほどから言うように誤加入の問題に初めとして十分な相談に乗り切れない、あるいはいろいろな後から処理をしなければならない事情が生まれている。こういうことを詰めて聞いてみたら、結局のところ片手間に仕事をしなければならないという町村もあれば、そこにもう専念させられてしまって、ほかのこともあって困っているのだというところもあります。いずれにしたって受託業務の改善を進めないことには十分にこたえ得る体制にはなっていないということが言えるのではないか。十年たってきたのですから、財政的には展望なしだと言ったって、十年の歴史というのは、体制的にもきちんとした受託業務体制に変わらないことには、これはもう責任を負うことができないと思うのです。  ところが、農業委員会へ行ってみたら、基金の人にお話を聞いたら農家台帳には所有関係を明確にしてもらうように書いておいてもらったらああいう間違いは起こらぬのですが、こう言うのだけれども、現場の農業委員会へ行ってみたら、農家台帳を見ると、うちのものですというだけの話であって、法務局のように所有関係がどうなっているという明確なものは書かれていないですよ。実際にはそういうふうにきちんとなっていない。また、それは農業者年金以外は余り関係ないのだ、農業委員の選挙だって、なに、そんなものと関係なしにここの家の二十歳以上の人は全部選挙できます、大体農地法関係の仕事というのは世帯単位の仕事になっている。法律もそうなっているのです。年金だけが個別にざっと入ってくるところに矛盾が生まれているのです。  先ほどもお話ししておったのですが、移譲というのはその家の仕事を次へ持っていくというだけの話です。年金は個別になる。ここのところに矛盾をしていく要素が多分にある。それだけにこの受託業務というのは非常に重要な位置を占める。ところが農協に一年間に何ぼ受託を、お金をもらうのですかと聞いたら、平均年三十四万円。一委員会、農業委員会の場合は十八万円。私は初め月かな思ったら違うのです。これは、体制の問題というのはこういうことでいいのだろうか、どういうふうにお考えになっているのか、お聞きをしたいと思います。
  165. 杉山克己

    ○杉山(克)政府委員 前半の、今日農村においては世帯単位で物が考えられているという点につきましては、制度の予定している個人主義といいますか、個人個人の権利義務関係を明確にしてというたてまえとはギャップが確かにあると思います。ただ、そういう権利義務関係というもの、個人の立場を明らかにするということは、農村にもこういう制度を通じてだんだんはっきり御理解いただかなければいけないというふうに考えるわけでございます。  それからいろいろトラブルや事故が起こる、こういったことについて、これはまことに申しわけない話でございまして、当初は期間も浅く、ふなれな職員も多かったというようなことがあってそういうことが多かったのかと存じますが、先ほど来御指摘もありましたが、件数全体としては逐次減ってまいって、改善が図られているところでございます。そういった防止のためにも職員研修、職員の資質を高める、それから組織としてそれぞれの受託を受けてくださっている機関が全体の能率を高めて一生懸命仕事をしていただく、そのことのために予算的な、あるいは指導上の措置も行わなければならない、そのとおりだと思います。  その点この種の事務委託というものは、正直申し上げましてなかなか予算が伸びにくいところでございますが、五十六年度におきましても、五十五年度に対し若干の増額手当てを行ったところでございます。今後ともその事務の充実を図る、そしてトラブルだとか事故の起こらないようにする、徹底したPRを行って加入促進等にも効果を上げるというようなことを考え、事務体制の強化に努力いたしたいと存じます。
  166. 寺前巖

    ○寺前委員 先ほどからの私の指摘に対して、大臣はどのようにお聞きになっておったのか、最後的にひとつ御見解を承りたいと思います。
  167. 亀岡高夫

    ○亀岡国務大臣 この農民年金と申しますか、農業者年金は、十年前に農民にも恩給をということで非常な農村の要請にこたえてスタートした制度でございますが、十年たちますと、いま御指摘いただいたようないろいろな問題が明らかになってきておるわけでございます。したがいまして、政府全般としても各種年金の見直しの段階というところにもうすでに来ておるわけでありまして、抜本的な対策を講ずるための検討が始まっておるわけでありますから、農林水産省といたしましても、いままでも検討はいたしておりますけれども、さらに体制を確立いたしまして、そしていま御指摘のありましたような問題等も含めて検討をしてまいりたい、こう考えております。
  168. 寺前巖

    ○寺前委員 いろいろお伺いをいたしましたが、今度の法律の改正を見て私はまず第一に気ずく点は、保険料の上がり方と給付の実態との違いです。前回の再計算期と比べてみると、給付の分野で一・三七五倍、保険料の分野では二・〇八二倍になっておる。現状と比較しても、今度の法改正は給付の分野で八・七%、物価上がり程度です。ところが保険料の方は二二・六%のアップ、さらに昭和六十一年になると六一・一%のアップとなる。明らかに掛金はどんどん上げられていく。しかも財政実態から見てはますますそのことを必要とする、そういう方向に流れている。これは農民が当初農民のための年金と願っておった実態が、掛金がうんと取られる実態に広がっておるという問題として見なければならない。  さらに所得の分野から考えると、出発の昭和四十六年当時と比べて農業所得は二・四倍だ。保険料は五・三倍とはね上がってきておる。先ほども申し上げましたが、夫婦で国民年金、付加年金、農業者年金を入れると一万五千二百円からになる。五年先になると二万円近くになっていく。所得の方は平均十万前後だということになってくる。だんだんこれは下がる一方だということを考えてみると、全体としての掛金を上げることを中心とした法改正としか見ることができないではないか。私はこういう道を一層進めるということの第一歩になるだろうという点において、この法改正は賛成しかねると思うのです。  さらに先ほどから言いましたように、農村におけるところの実態との関連で見ると、整理をしなければならない問題はいっぱいあります。主婦の問題、遺族年金の問題、老齢年金の問題、そして誤加入をしたり、途中事情が発生した場合におけるところのあり方の検討、さらにこの財政の展望の問題、こうやって見てくると、今日もう少し全面的に検討されたところの法改正が出されてしかるべきだ。これはそもそもの農民に対する年金をとの願いとは違って、政策年金として零細農民を切り捨てていくというところの、そこから出てきた施策なればこそ、いろいろな矛盾を持ってきたものである。私はこういう道筋を進めるこの法改正には反対することを申し上げて、質疑を終わりたいと思います。  以上です。
  169. 田邉國男

    ○田邉委員長 これにて本案に対する質疑は終了いたしました。     ―――――――――――――
  170. 田邉國男

    ○田邉委員長 これより討論に入るのでありますが、別に討論の申し出もありませんので、直ちに採決に入ります。  農業者年金基金法の一部を改正する法律案に賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕
  171. 田邉國男

    ○田邉委員長 起立多数。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。     ―――――――――――――
  172. 田邉國男

    ○田邉委員長 この際、本案に対し、松沢俊昭君外四名から、自由民主党、日本社会党、公明党・国民会議、民社党・国民連合及び日本共産党の共同提案に係る附帯決議を付すべしとの動議が提出されております。  提出者からその趣旨の説明を求めます。松沢俊昭君。
  173. 松沢俊昭

    ○松沢委員 私は、自由民主党、日本社会党、公明党・国民会議、民社党・国民連合及び日本共産党を代表して、農業者年金基金法の一部を改正する法律案に対する附帯決議案の趣旨を御説明申し上げます。  まず、案文を朗読いたします。     農業者年金基金法の一部を改正する法律案に対する附帯決議(案)   政府は、本制度が農業者の老後の保障と農業経営の近代化等に果たす役割の重要性にかんがみ、制度の長期にわたる健全な運用が図られるよう、農家の負担能力等に配意しつつ、年金財政充実のための各種方策を検討するとともに、若年未加入者に対する加入の促進、受託業務体制の整備充実に努めること。   また、これと併せ、農業者老令年金水準の改善、農業に専従する主婦等の年金への加入及び遺族年金制度の創設等についても引き続き検討を進めること。   右決議する。  以上の附帯決議案の趣旨につきましては、質疑の過程等を通じて各位の十分御承知のところと思いますので、説明は省略させていただきます。  何とぞ全委員の御賛同を賜りますようお願いを申し上げます。
  174. 田邉國男

    ○田邉委員長 以上で趣旨の説明は終わりました。  採決いたします。  本動議に賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕
  175. 田邉國男

    ○田邉委員長 起立総員。よって、本動議のごとく附帯決議を付することに決しました。  この際、ただいまの附帯決議に関し、農林水産大臣から発言を求められておりますので、これを許します。亀岡農林水産大臣。
  176. 亀岡高夫

    ○亀岡国務大臣 ただいまの附帯決議につきましては、農業を取り巻く諸情勢の変化を踏まえ、十分検討いたしたいと思います。     ―――――――――――――
  177. 田邉國男

    ○田邉委員長 なお、ただいま議決いたしました法律案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  178. 田邉國男

    ○田邉委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。     ―――――――――――――     〔報告書は附録に掲載〕      ――――◇―――――
  179. 田邉國男

    ○田邉委員長 次に、昭和四十四年度以後における農林漁業団体職員共済組合からの年金の額の改定に関する法律等の一部を改正する法律案を議題とし、趣旨の説明を聴取いたします。亀岡農林水産大臣。
  180. 亀岡高夫

    ○亀岡国務大臣 昭和四十四年度以後における農林漁業団体職員共済組合からの年金の額の改定に関する法律等の一部を改正する法律案につきまして、その提案理由及び主要な内容を御説明申し上げます。  この法律案は、農林漁業団体職員共済組合による給付に関し、恩給制度、国家公務員共済組合制度その他の共済組合制度の改正に準じて、既裁定年金の額の引き上げ等による給付水準の引き上げ等を行おうとするものであります。  次に、この法律案の主要な内容につきまして御説明申し上げます。  第一は、既裁定年金の額の引き上げであります。これは、退職年金等の金額の算定の基礎となった平均標準給与を、昭和五十六年四月分以後、昭和五十五年度の国家公務員の給与の上昇率を基準として引き上げ、年金額の増額を行おうとするものであります。  第二は、退職年金等についてのいわゆる絶対最低保障額の引き上げであります。これは、恩給制度の改善に準じ、退職年金、遺族年金等に係る絶対最低保障額を引き上げようとするものであります。  第三は、掛金及び給付の額の算定の基礎となる標準給与の月額の下限及び上限の引き上げであります。  第四は、遺族の範囲の改正であります。これは、組合員期間が十年以上である者の配偶者について、遺族年金を受ける上で、死亡した者との生計維持関係を要することとするものであります。  第五は、昭和三十九年改正後の農林漁業団体職員共済組合法、いわゆる新法に基づく遺族年金に係る寡婦加算の額の引き上げ等であります。これは六十歳以上の寡婦または子がいる寡婦の新法による遺族年金に加算されるいわゆる寡婦加算の額を引き上げるとともに、寡婦加算の適用を受ける受給者が同時に退職年金等を受けることとなる場合は、必要な調整を行うこととするものであります。  第六は、高額所得を有する退職年金受給者のうち、昭和三十九年十月一日から昭和五十四年十二月三十一日までの間に退職した者に対する退職年金の一部の支給を停止することであります。  以上がこの法律案の提案理由及び主要な内容であります。  何とぞ、慎重に御審議の上、速やかに御可決いただきますようお願い申し上げます。
  181. 田邉國男

    ○田邉委員長 補足説明を聴取いたします。松浦経済局長。
  182. 松浦昭

    ○松浦(昭)政府委員 昭和四十四年度以後における農林漁業団体職員共済組合からの年金の額の改定に関する法律等の一部を改正する法律案につきまして、その提案理由を補足して御説明申し上げます。  この法律案を提出いたしました理由につきましては、すでに提案理由において申し述べましたので、以下その内容につき若干補足させていただきます。  第一は、既裁定年金の額の引き上げであります。これは、昭和五十五年三月三十一日以前に給付事由が生じた退職年金、減額退職年金、障害年金、遺族年金、通算退職年金及び通算遺族年金につきまして、その年金額の計算の基礎となった平均標準給与を、昭和五十六年四月分以後、昭和五十五年度の国家公務員の給与の上昇率を基準として、平均四・四%程度引き上げるものであります。  第二は、いわゆる絶対最低保障額の引き上げであります。これは、退職年金、障害年金及び遺族年金につきまして、年齢または組合員期間の区分に応じ、その絶対最低保障額を昭和五十六年四月分から引き上げ、同年六月分からさらに引き上げることといたしております。たとえば、六十五歳以上の者の退職年金については、絶対最低保障額を昭和五十六年四月分以後七十万円から七十三万三千六百円に、同年六月分以後この額をさらに七十四万九千円に引き上げることといたしております。  第三は、標準給与の下限及び上限の引き上げであります。これは、掛金及び給付の額の算定の基礎となる標準給与の月額につきまして、その下限を農林漁業団体職員の給与の実態等を考慮して六万九千円から七万二千円に引き上げるとともに、その上限を国家公務員共済組合制度に準じて四十一万円から四十二万円に引き上げようとするものであります。  第四は、遺族の範囲の改正であります。これは、組合員期間が十年以上である者の配偶者について、組合員期間が十年未満である者の配偶者と同様に、遺族年金を受ける上で、主として死亡した者の収入により生計を維持していたことといういわゆる生計維持関係を要することとするものであります。  第五は、昭和三十九年改正後の農林漁業団体職員共済組合法、いわゆる新法に基づく遺族年金に係るいわゆる寡婦加算の額の引き上げ等であります。このうち、寡婦加算の額については、六十歳以上の寡婦または子のいる寡婦の新法に基づく遺族年金について、子の数等に応じて加算される額を、昭和五十六年四月分から引き上げようとするものであります。たとえば、子供が一人いる場合の寡婦加算額については、昭和五十六年四月分以後六万円から十二万円に引き上げることといたしております。  なお、寡婦加算の適用を受ける受給者が同時に退職年金等を受けることとなる場合の調整については、その詳細を政令で定めることといたしております。  第六は、高額所得者に対する年金額の一部支給停止であります。この措置は、百二十万円を超える退職年金を受ける権利を有する者であって、昭和三十九年十月一日から昭和五十四年十二月三十一日までの間に退職した者についても、昭和五十五年一月一日以後に退職をした者の場合と同様に、各年における給与所得の金額が六百万円を超える場合に、その超える年の翌年六月から翌々年五月までの分として支給される退職年金について、昭和五十七年六月分以後の年金額の引き上げによる増額分を限度として、適用することといたしております。  このほか、所要の規定の整備を図ることとしております。  以上であります。
  183. 田邉國男

    ○田邉委員長 以上で趣旨の説明は終わりました。  本案に対する質疑は後日に譲ることといたします。  次回は、明二十三日木曜日午前九時五十分理事会、午前十時委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。     午後四時五十二分散会      ――――◇―――――