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1981-03-17 第94回国会 衆議院 社会労働委員会 3号 公式Web版

  1. 昭和五十六年三月十七日(火曜日)     午後一時十九分開議  出席委員    委員長 山下 徳夫君    理事 今井  勇君 理事 戸井田三郎君    理事 戸沢 政方君 理事 湯川  宏君   理事 森井 忠良君 理事 平石磨作太郎君    理事 米沢  隆君       古賀  誠君    竹内 黎一君       中野 四郎君    長野 祐也君       丹羽 雄哉君    葉梨 信行君       八田 貞義君    浜田卓二郎君       船田  元君    牧野 隆守君       枝村 要作君    川本 敏美君       佐藤  誼君    栂野 泰二君       永井 孝信君    草川 昭三君       浦井  洋君    小沢 和秋君       石原健太郎君    菅  直人君  出席国務大臣         労 働 大 臣 藤尾 正行君  出席政府委員         労働省労働基準         局長      吉本  実君         労働省労働基準         局賃金福祉部長 寺園 成章君         労働省職業安定         局長      関  英夫君         労働省職業安定         局失業対策部長 加藤  孝君         労働省職業訓練         局長      森  英良君  委員外の出席者         外務省経済協力         局技術協力第一         課長      川島  純君         厚生省社会局更         生課長     板山 賢治君         資源エネルギー         庁公益事業部技         術課長     越川 文雄君         労働大臣官房参         事官      山口 泰夫君         労働省労政局労         働法規課長   中村  正君         労働省労働基準         局監督課長   岡部 晃三君         労働省労働基準         局賃金福祉部企         画課長     小村 雅男君         労働省職業安定         局雇用政策課長 野見山眞之君         労働省職業安定         局雇用保険課長 守屋 孝一君         労働省職業安定         局業務指導課長 若林 之矩君         社会労働委員会         調査室長    河村 次郎君     ――――――――――――― 委員の異動 三月十七日  辞任         補欠選任   大橋 敏雄君     草川 昭三君 同日  辞任         補欠選任   草川 昭三君     大橋 敏雄君     ――――――――――――― 三月十六日  障害に関する用語の整理のための医師法等の一  部を改正する法律案(内閣提出第四六号)(  予) 同月七日  民間保育事業振興に関する請願(古屋亨君紹  介)(第一五〇五号)  同(山崎拓君紹介)(第一五〇六号)  保育振興対策の確立等に関する請願(山崎拓君  紹介)(第一五〇七号)  腎臓病の予防、治療対策の拡充等に関する請願  (山崎拓君紹介)(第一五〇八号)  同(栗原祐幸君紹介)(第一五二八号)  同(始関伊平君紹介)(第一五二九号)  同(三枝三郎君紹介)(第一五六三号)  同(相沢英之君紹介)(第一五六四号)  同(寺前巖君紹介)(第一六二五号)  同(西田八郎君紹介)(第一六二六号)  寡婦福祉法の制定に関する請願外二件(山崎拓  君紹介)(第一五〇九号)  同(奥野誠亮君紹介)(第一五三〇号)  同(川田正則君紹介)(第一五四四号)  同外六件(玉沢徳一郎君紹介)(第一五四五  号)  同外一件(谷垣專一君紹介)(第一六二九号)  未帰還者・帰国者特別援護の法的措置に関する  請願(伊藤公介君紹介)(第一五二二号)  同(竹下登君紹介)(第一五六五号)  旅館業の経営安定のため旅館業法改正等に関す  る請願(大原一三君紹介)(第一五二三号)  同(加藤六月君紹介)(第一五二四号)  同(瀬戸山三男君紹介)(第一五二五号)  同(平沼赳夫君紹介)(第一五二六号)  同(船田元君紹介)(第一五二七号)  同(稻村左近四郎君紹介)(第一五四〇号)  同(江藤隆美君紹介)(第一五四一号)  同(大村襄治君紹介)(第一五四二号)  同(木野晴夫君紹介)(第一五四三号)  同(坂本三十次君紹介)(第一五六六号)  同(佐藤信二君紹介)(第一五六七号)  同(森喜朗君紹介)(第一五六八号)  同(三池信君紹介)(第一五六九号)  同(佐野嘉吉君紹介)(第一五七〇号)  同(林義郎君紹介)(第一五七一号)  同(愛野興一郎君紹介)(第一六一四号)  同(植竹繁雄君紹介)(第一六一五号)  同(北口博君紹介)(第一六一六号)  同(近藤元次君紹介)(第一六一七号)  同(田中伊三次君紹介)(第一六一八号)  同(谷垣專一君紹介)(第一六一九号)  同(玉生孝久君紹介)(第一六二〇号)  同(玉沢徳一郎君紹介)(第一六二一号)  同(原田憲君紹介)(第一六二二号)  同(藤田義光君紹介)(第一六二三号)  同(村田敬次郎君紹介)(第一六二四号)  療術の制度化阻止に関する請願(松本十郎君紹  介)(第一五三一号)  国民健康保険組合の存続強化に関する請願外十  九件(保利耕輔君紹介)(第一五六二号)  国立療養所村松病院を老人慢性疾患地区専門病  院として新築整備に関する請願(木島喜兵衞君  紹介)(第一六一二号)  国立腎センター設立に関する請願(中村正三郎  君紹介)(第一六一三号)  医療ソーシャルワーカーの設置財源保障に関す  る請願(竹下登君紹介)(第一六二七号)  同(山花貞夫君紹介)(第一六二八号) 同月十一日  民間保育事業振興に関する請願(辻英雄君紹  介)(第一七〇一号)  同(菅直人君紹介)(第一七六〇号)  保育振興対策の確立等に関する請願(辻英雄君  紹介)(第一七〇二号)  旅館業の経営安定のため旅館業法改正等に関す  る請願(足立篤郎君紹介)(第一七〇三号)  同(今枝敬雄君紹介)(第一七〇四号)  同(片岡清一君紹介)(第一七〇五号)  同(倉成正君紹介)(第一七〇六号)  同(小宮山重四郎君紹介)(第一七〇七号)  同(左藤恵君紹介)(第一七〇八号)  同(塩谷一夫君紹介)(第一七〇九号)  同(辻英雄君紹介)(第一七一〇号)  同(三原朝雄君紹介)(第一七一一号)  同(柳沢伯夫君紹介)(第一七一二号)  同(中山正暉君紹介)(第一七二五号)  同(堀内光雄君紹介)(第一七二六号)  同(三ツ林弥太郎君紹介)(第一七二七号)  同(湯川宏君紹介)(第一七二八号)  同(上村千一郎君紹介)(第一七六二号)  同(坂田道太君紹介)(第一七六三号)  同(浜田卓二郎君紹介)(第一七六四号)  同(藤井勝志君紹介)(第一七六五号)  同(綿貫民輔君紹介)(第一七六六号)  同(渡部恒三君紹介)(第一七六七号)  寡婦福祉法の制定に関する請願外八件(片岡清  一君紹介)(第一七一三号)  同(田村元君紹介)(第一七一四号)  同(三原朝雄君紹介)(第一七一五号)  同外十六件(木村俊夫君紹介)(第一七三〇号)  同外二件(中西啓介君紹介)(第一七三一号)  同(浜田卓二郎君紹介)(第一七六八号)  社会保険診療報酬の引き上げに関する請願(正  森成二君紹介)(第一七一六号)  同(四ツ谷光子君紹介)(第一七一七号)  医療ソーシャルワーカーの設置財源保障に関す  る請願(武藤嘉文君紹介)(第一七二九号)  療術の制度化促進に関する請願外十六件(中西  啓介君紹介)(第一七三二号)  国立腎センター設立に関する請願(吉浦忠治君  紹介)(第一七六一号) 同月十二日  旅館業の経営安定のため旅館業法改正等に関す  る請願(天野光晴君紹介)(第一八六九号)  同(宇野宗佑君紹介)(第一八七〇号)  同(小沢辰男君紹介)(第一八七一号)  同(中野四郎君紹介)(第一八七二号)  同(福島譲二君紹介)(第一八七三号)  同(福永健司君紹介)(第一八七四号)  同(森山欽司君紹介)(第一八七五号)  同(山崎武三郎君紹介)(第一八七六号)  同(渡辺秀央君紹介)(第一八七七号)  同(奥田敬和君紹介)(第一八八六号)  同(岸田文武君紹介)(第一八八七号)  同(久野忠治君紹介)(第一八八八号)  同(栗原祐幸君紹介)(第一八八九号)  同(佐藤守良君紹介)(第一八九〇号)  同(山下元利君紹介)(第一八九一号)  寡婦福祉法の制定に関する請願外十件(福永健  司君紹介)(第一八七八号)  同外十一件(地崎宇三郎君紹介)(第一八九二号)  同外二十九件(早川崇君紹介)(第一八九三号)  療術の制度化阻止に関する請願(伊賀定盛君紹  介)(第一八七九号)  民間保育事業振興に関する請願(地崎宇三郎君  紹介)(第一八八四号)  同(西岡武夫君紹介)(第一八八五号) 同月十六日  歯科医療の改善に関する請願(岩佐恵美君紹介)  (第一九七八号)  同(新村勝雄君紹介)(第一九七九号)  寒冷地療養担当手当支給地域の適用拡大に関す  る請願(木間章君紹介)(第一九八〇号)  同(佐藤誼君紹介)(第二〇四〇号)  原子爆弾被爆者等の援護法の制定に関する請願  (河野洋平君紹介)(第一九八一号)  国立腎センター設立に関する請願(湯山勇君紹  介)(第一九八二号)  旅館業の経営安定のため旅館業法改正等に関す  る請願(稲村利幸君紹介)(第一九八三号)  同(小里貞利君紹介)(第一九八四号)  同(亀井静香君紹介)(第一九八五号)  同(佐藤隆君紹介)(第一九八六号)  同(菅波茂君紹介)(第一九八七号)  同(地崎宇三郎君紹介)(第一九八八号)  同(宮崎茂一君紹介)(第二〇四一号)  同(安田貴六君紹介)(第二〇四二号)  腎臓病の予防、治療対策の拡充等に関する請願  (川本敏美君紹介)(第一九八九号)  同(丹羽雄哉君紹介)(第二〇四三号)  寡婦福祉法の制定に関する請願外六件(野呂恭  一君紹介)(第一九九〇号)  同(久野忠治君紹介)(第二〇四四号)  同(畑英次郎君紹介)(第二〇四五号)  同(吹田愰君紹介)(第二〇四六号)  社会保険診療報酬の引き上げに関する請願(浦  井洋君紹介)(第一九九一号)  同(藤田スミ君紹介)(第一九九二号)  同(三谷秀治君紹介)(第一九九三号)  同(土井たか子君紹介)(第二〇六三号)  同(堀昌雄君紹介)(第二〇六四号)  同(渡部一郎君紹介)(第二〇六五号)  視覚障害者の雇用促進に関する請願(大橋敏雄  君紹介)(第二〇六二号) は本委員会に付託された。     ――――――――――――― 三月四日  国際障害者年に対応する施策充実等に関する陳  情書外十件(関東一都九県議会議長会代表東京  都議会議長高橋一郎外十九名)(第八〇号)  同外十件(下松市議会議長国居一外十名)(第一  四五号)  精神障害者福祉法の制定に関する陳情書外一件  (北海道議会議長西尾六七外一名)(第八一号)  個室付浴場業廃止のため公衆浴場法の一部改正  等に関する陳情書(東京都千代田区霞が関一の一  の一日本弁護士連合会長谷川八郎)(第八二号)  不正医療根絶のための対策確立に関する陳情書  (関東一都九県議会議長会代表東京都議会議長  高橋一郎外九名)(第八三号)  し尿浄化槽行政の一元化等に関する陳情書(関  東一都九県議会議長会代表東京都議会議長高橋  一郎外九名)(第八四号)  水道事業経営の安定確保に関する陳情書(名古  屋市中区三の丸二の三の二愛知県市長会長青木  茂)(第八五号)  原爆被爆者援護法制定促進に関する陳情書(長  野県諏訪郡富士見町議会議長五味芳友)(第八七  号)  福祉施策の充実強化に関する陳情書(富山市議  会議長山口光弘)(第八八号)  市町村社会福祉協議会の法制化に関する陳情書  外二件(東海北陸七県議会議長会代表三重県議  会議長野中林兵衛外六名)(第八九号)  同(北海道有珠郡壮瞥町議会議長菅原俊一)(第  一三六号)  戦時災害援護法の制定に関する陳情書外一件  (石垣市議会議長新盛武雄外一名)(第九〇号)  同外四件(豊田市議会議長可知功外四名)(第一  三七号)  中高年失業者救済のための公的就労事業実施に  関する陳情書外二件(大曲市議会議長富樫幸亮  外二十七名)(第九一号)  同(福岡県田川郡方城町議会議長山口忠市)(第  一四二号)  積雪寒冷地の各種年金受給者に対する冬期燃料  手当の制度化に関する陳情書外一件(富良野市  議会議長高井弥太郎外一名)(第九二号)  同外三件(網走市議会議長鬼塚勝外三名)(第一  四一号)  福祉施策の後退阻止に関する陳情書(桶川市議  会議長秋山有司)(第一三五号)  失業対策事業制度の存続に関する陳情書外一件  (福岡県田川郡方城町議会議長山口忠市外一名)  (第一三八号)  失業対策事業制度の六十五歳線引き反対等に関  する陳情書(西宮市議会議長阪本信弘)(第一三  九号)  老人保健制度の確立等に関する陳情書(行田市  議会議長大野一良)(第一四〇号)  季節労働者対策の推進及び積寒給付金制度の改  善に関する陳情書外一件(北海道空知郡奈井江  町議会議長平塚学外一名)(第一四三号)  原子爆弾被爆者援護法の制定に関する陳情書外  二件(網走市議会議長鬼塚勝外二名)(第一四四  号)  学童保育制度の確立に関する陳情書(糸満市議  会議長大城敏一)(第一四六号) は本委員会に参考送付された。     ―――――――――――――本日の会議に付した案件  参考人出頭要求に関する件  雇用に係る給付金等の整備充実を図るための関  係法律の整備に関する法律案(内閣提出第二三  号)      ――――◇―――――
  2. 山下徳夫

    ○山下委員長 これより会議を開きます。  内閣提出、雇用に係る給付金等の整備充実を図るための関係法律の整備に関する法律案を議題とし、質疑に入ります。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。川本敏美君。
  3. 川本敏美

    ○川本委員 私は、まず労働省にお聞きしたいのですが、最近、わが国の工業技術といいますか、技術の進歩というものは、非常に目覚ましいものがあると思うわけです。  本来、その技術が進歩すればその技術が進歩しただけ生産性が向上をして、そこで労働者がそれだけ仕事から解放をされて生活が豊かになるというのが、技術の進歩、開発に向けての世界的な一つの熱意の源泉だったと私は思う。ところが、現実はそうはいかないものでして、最近は逆に、人間が機械に振り回されているといいますか、機械に駆使されているといいますか、そういうような状態が起こってきて、かえって神経的な疲労といいますか、肉体的な疲労からは解放されたとしても、精神的な疲労とかあるいは頭脳的な疲労とか、そういうものが極度にふえてきて、そして労働者の中には新しいいろいろな職業病がいまふえていく傾向にあることは否めないと思うわけです。私はそういう中で、これからのいわゆる労働生産性をさらに高めていくためには、あるいは国民が憲法で保障された、いわゆる憲法二十七条の勤労権あるいは二十五条の生活権といいますか、そういうものを充足していくという立場から考えたならば、雇用というもののあり方についてさらに深く検討をすべき時期に来ておると思うわけです。  そういう意味で、まず私は、昨年末でしたか労働省が年間労働時間の短縮の問題について指導を強めるというような方針を打ち出され、指導通達が出されているやに聞いているわけですが、わが国の企業におきますところの年間の実労働時間というのが現状はどうなっておるのか、さらには日本の労働者の年間実労働時間数というのは諸外国と比較した場合どう違うのか、その点を説明いただきたいと思うわけです。
  4. 小村雅男

    ○小村説明員 統計の事実上のことでございますので、私からお返事させていただきます。  わが国の労働時間を長期的に見ますと、昭和三十五年以降、経過的に順調に減ってきてございます。たとえば、昭和三十五年が一番長い年でございます。二千四百時間余り。それが四十年には二千三百時間、五十年には二千六十時間というふうに順調に減ってまいっております。これが大きな流れでございます。  それから、国際比較の関係でございます。  労働時間の国際比較は、国によりまして非常に定義が違ってございまして、一律にILOに各国政府が報告いたします数字を横並びに見るということはむしろ適当な方法ではないと私ども存じておりまして、いろいろな各種情報を総合いたしまして年間の労働時間で比較するという形を現在私どもとっております。  結論を申し上げますと、生の数字といたしますと、これは外国の数字が遅うございますので現在一九七八年の数字でしか比較できませんが、製造業の生産労働者、国際比較のときはそういうのを使うのが通常でございます、それで申し上げまして、わが国が二千百四十時間余り、アメリカが千九百三十時間余り、イギリスもほぼ同様千九百五十時間余り、西ドイツが千七百三十時間弱、大体こういう数字になってございます。  ただ、この数字の内訳でございますが、技術論で恐縮でございますが、わが国の場合は御案内のような生涯雇用という慣行がございまして、その関係で生産変動に対しまして所定外労働の増減で対応する、不況になりましても簡単にレイオフをやる外国と違っておる、こういうような事情が一つございます。それから先生御案内のように、ヨーロッパ各国では最近病気欠勤と申しましょうか無断欠勤と申しましょうか、そういうものも非常にふえております。これは公式統計がなかなかないわけでございますが、各種のデータを見ますと、同じような生産をやっている国で、病欠が多いと言われている国では労働時間数が非常に短うなってございます。そういうふうに直接的な数字だけでカバーし得ない要素もあるということが、統計の上での問題でございます。  そういうような中で、労働省といたしましては、国際比較の目標といたしまして二千時間を割るという言い方を昨年の計画で決定したわけでございます。
  5. 川本敏美

    ○川本委員 ただいま御報告のとおりに、統計的な数字ではわが国は依然として五十年以降もなかなか年間実労働時間が二千時間を割らないで、逆に五十二年、五十三年、五十四年というふうに、少しずつですけれども、所定外労働時間を含めると延びていく、時間が長くなっていく状況にあることは否めないと思うのです。やはりそういうことを何とかして是正をしようということで、いろいろ従来から労働省では計画を立てておられる。  あれは第四次雇用対策基本計画ですか、これは五十四年の八月十日に閣議決定をされたものですけれども、この中でも、「労働時間の短縮は、労働者の福祉の向上という観点から進める必要があるが、同時に長期的にみれば産業における雇用機会の確保にもつながるので、過長な所定外労働時間の削減、年次有給休暇の完全消化の促進を中心として実労働時間の短縮を進める。」「企業における週休二日制、夏季いっせい休暇の普及を促進する」などというようなことから始まって、いわゆる基本計画が立てられているわけです。  わが国の労働時間の水準が現在二千時間を超えておる、こういうことが、欧米諸国からいわゆるウサギ小屋の働き中毒とか言われる言葉で表現されるように、日本のいわゆる貿易摩擦の一つの原因にもなっておると思うわけです。そういう観点から見た場合に、この基本計画に沿って、少なくとも向こう何年以内には二千時間を割る、二千時間を割ろうとすれば勢いそこで出てくるのは私は週休二日制の問題ではなかろうかと思うわけです。  そこで私はお聞きいたしたいことは、いわゆる週休二日制というもの、完全週休二日制というのは直ちにいかないと思うのですけれども、現在わが国の週休二日制についての実施状況はどうなっていますか。
  6. 小村雅男

    ○小村説明員 現在、五十四年九月現在の数字でございますが、何らかの週休二日制、月一回というのから完全まで含めまして、企業の割合で四六・一%、そこに働いております労働者の割合では七二・九%に相なっております。
  7. 川本敏美

    ○川本委員 ただいまの数字は、いまおっしゃったように何らかの形でということで、月一回とかあるいは月二回とかあるいは隔週とか、月三回とか、完全週休二日制とかいうものを全部ひっくるめての合計の数字だと思うのです。だから完全週休二日制ということになりますと、その比率はまだまだ低いと思うわけです。特にそれが三百人以下の中小、零細企業ではほとんど行われていない実情にあると言っても過言ではないと私は思うわけです。  そういう中で労働省は現在指導を強めていこうとしておるわけですけれども、今度国会でも銀行法が改正されますよね。そして銀行が週休二日制をとっても法律違反にならないような銀行法の改正をしようとしておる。あるいは国家公務員、地方公務員についても、月一回だと思いますけれども、週休二日制というものを取り入れるような法制化がすでになされました。民間の場合は、いわゆる新経済七カ年計画を見ても、あるいはこの第四次基本計画を見ても、そこから出てくるのは、労使の間の話し合いを進めていく、コンセンサスを深めていく、コンセンサスを得るように指導を強化していくというような形で表現されていると思うわけです。それだけで果たしてこういう問題は前へ進むのだろうか。現実の数字はだんだんと逆に時間がわずかずつだけれども延びていく状況にある。こういうようなことを考えました場合に、労働省はいまのやり方で週休二日制というものがいつごろには完全に実現できると思っておるのか、その辺まず労働省の見解を聞きたいと思う。
  8. 吉本実

    ○吉本(実)政府委員 ただいま先生のお話のように、私ども労働時間の短縮につきましては経済七カ年計画あるいは第四次雇用対策基本計画、これに沿いまして六十年度に欧米主要国並みの水準に近づける、こういうことで昨年、週休二日制等労働時間対策推進計画を策定いたしまして、平均的な姿といたしまして六十年度に二千時間を割る、こういうような目標を定めましてそれぞれ進めよう、進める場合でも問題の所在によりましていろいろございますので、各企業の特性に応じてグループ別に問題点なりその対応策を考える形をとってきているわけでございます。そして、これはやはり労働時間そのものは先生御指摘のように労使の自主的な中でこれが実ってまいるというふうに感じておりますので、そういった面についての環境醸成ということに力を注ぎ、計画もそういった点への改善処方というものを示しているところでございまして、そういった姿の中で行政を進めていこう、こういうことでございます。  その際、先生御指摘のように週休二日制あるいは年次有給休暇の取得、この辺が西欧諸国に比べまして日本が見劣りをしているという点でございますので、そういった点がやはり時間短縮を進めていく一つの大きな方向づけだということで、週休二日制の推進なりあるいは年次有給休暇の完全取得、こういう姿で進めていく。さらに最近の、先ほど御指摘のように時間外労働の増加というような点もございますが、そういった点についての適正な指導というものを中心にしまして行政を展開していく、そういうことで労使のコンセンサスの形成なり労使の自主的努力を助長するというふうな姿で考えているわけでございます。  行政としましてはそういった環境づくりとともにに、一番おくれております中小企業の分野につきましては、やはり行政指導としてこういった方面を展開していかなければならぬ、そういうことで週休二日制につきましてもいろいろそういうグループ別あるいは地域別に一つの研究会的なものをつくりながら、その中でそういった点を進めていこうということでございまして、こういった週休二日制の推進につきましても、六十年度に二千時間を割るという一つの姿は週休二日制を推進することである、こういうことで六十年度に向かって努力をしてまいりたいというふうに考えているわけでございます。
  9. 川本敏美

    ○川本委員 先ほどお話あったところですけれども、私は、やはりアメリカとかイギリスとかフランスとか西ドイツ、イタリア、こういういわゆる先進工業国と言われる国々ではすでに週休二日制が完全にもう国民の生活の中に定着をしてしまっている。そういうことのために労働時間があるいは千九百とか千八百とか千七百時間というような状態になってきておる。イタリア等でいわゆる無断欠勤等で特に低いという形があらわれておるところもあろうかと思いますけれども、しかし世界の先進工業国と言われる国々の中では日本のような国はまず例外だろうと私は思う。そこで、先ほども申し上げましたけれども、そういう先進工業国の人々から見ますと、日本人とかうのは働き過ぎで、低賃金で長い労働時間働いて、そしてそこでできた安い品物を集中豪雨的に輸出をしてくるということで、貿易摩擦が大きくなってくると思うわけです。そこでこういう世界的な批判をなくしていく、そして本当に日本が国際社会の中で公正で正々堂々たる競争をやっていくためには、私は、先進工業国並みの労働時間あるいは週休二日制等を早期に実現する必要があると思うわけです。  先ほど昭和六十年を目途にと言われましたけれども、労働大臣にお聞きしたいのですけれども、私は、昭和六十年には完全に週休二日制が実現できるという完全なプロセスを持たなければ、ただそのように努めておりますだけでは、国内ではそれでおさまっても国際的には信用をしてもらえないと思うわけです。そういうためにも昭和六十年までは指導でやっていくけれども、六十年になればいわゆる法制化しますよというような確固たる方針を持たなければ、思想を持たなければ、私はこういう問題は前進しないと思うわけです。その点について労働大臣どうお考えですか。
  10. 藤尾正行

    ○藤尾国務大臣 確かに先生言われるとおり、私どもが一日も早く欧米各国から指弾を受けない、そういった労働条件を整備しなければならぬ、かように考えておりますし、そのためにいろいろな指導をやっておるわけでございますけれども、六十年週休二日制度実現ということは、本当を言いますと私自身はそんなにむずかしい問題ではない、必ずできる、そう思っております。  しかしながら、先生言われるようにもしそれでできなかった場合には法制化するかということでございますけれども、いまここで私どもが法制化を六十一年にはするんだというような予告をいたしましても一体どうだろうかという感じもいたしますし、いまの趨勢を見てみましてももう五〇%にも近くなつておるわけでございますから、五〇%を超えればこれが天下の大勢であるということでそのスピードは恐らく倍加、三倍加するということは十二分に可能だ、かように考えております。  そこで、法制化ということは伝家の宝刀でございますから、それでも度しがたい、いかぬのだということであれば、これはそのときになっていつでもやれる体制にございますから、そのことはひとつ腹に置いて、そのようになる前にもっと完璧な、欧米以上の労働条件といいまするものを私どもが実現をして、そしてむしろ本当を言いますと、いまわあわあ文句を言っておりますヨーロッパにしましても何にしましても、実はふたをあけてみますと、マルチプルジョブでありますとかアンダーテーブルジョブとか、いろいろな言い方がございますけれども、一つの仕事を済ませた後で別の仕事をやっておるというようなことは通例化しておりますから、本当を言いますと、私は、労働時間にいたしましてもそれほど文句を言われる筋はない、かように考えますけれども。  そういう抜け道のようなことをやっております非常に質の悪い欧米に比べまして、日本はどこから見てもきちっと二千時間を割る体制あるいは完全な週休二日というものがそこに実現をしておるという模範的な労働時間の短縮をやってのけたい、必ずやってのけられる、かように考えておるわけでございます。いざという場合には確かに先生の言われるような腹を据えてやるつもりでございます。
  11. 川本敏美

    ○川本委員 六十年で五〇%を超えるというような目標はりっぱだと思いますけれども、現実の状態の中では非常にむずかしい問題ではないかと私は思っておるわけです。もう一度もう少し経過を見た上でこの問題についても論議をしていきたいと思っておるところです。  次に私が問題として取り上げたいと思いますのは、定年制の問題についてであります。  定年制は、これまた先ほどお話ありましたけれども、大体昭和六十年に向かって定年制を六十歳といいますか、そういうところを一つの目標にしていま労働省は政策を推し進めようとしておるんじゃないかと思いますけれども、現在わが国の企業における定年制の実情はどうなっていますか。
  12. 関英夫

    ○関(英)政府委員 労働省で行いました雇用管理調査によりますと、昭和五十五年一月現在でございますのでちょっと数字が古うございますが、一月現在におきまして一律の定年制を定めている企業のうち、六十歳以上の定年年齢の企業は三九・七%、それから五十五歳を定年としている企業は三九・五%ということで、この調査が始まりましてから初めて六十歳以上の定年が五十五を上回ったわけでございます。非常にわずかでございます。ただ、そのとき同時に、今後定年を六十歳以上に改定することを予定しているというような企業を加えますと、近い将来に、およそ二年ぐらいのうちに六十歳以上定年制を有する企業が四七・五%になるだろうというふうにそのときの調査結果が出ております。五十五年一月一日現在の状況を申し上げた次第でございます。
  13. 川本敏美

    ○川本委員 いま企業の数で御説明いただいたわけですけれども、労働者の数で言いますといまおっしゃった比率はどのようになりますか。
  14. 関英夫

    ○関(英)政府委員 この調査は企業の数で調べておりまして労働者数がちょっとございませんので、労働者数で定年制の状況をいまここで申し上げることがちょっとできないわけでございます。
  15. 川本敏美

    ○川本委員 そこで、いまおっしゃるようにあと二年もたてば六十歳以上の定年になる企業の数が四七・五%になる、こういうことですけれども、今度の雇用に係る給付金等の整備充実を図るための関係法律の整備に関する法律案の中では、昭和六十年度で定年延長奨励金を廃止して、そして六十一歳以上への定年延長政策の助成対策にはしない、こういう改正がなされようとしておるわけです。そうなると、これは昭和六十年には一〇〇%六十歳以上になるという基本的な計画がなければこういうことはいまから言えないと思うわけです。  先ほど週休二日制の問題について労働大臣は、そのときになってなおかつ未達成の場合には、そのときになってからでも法律は考えたらいいんだ、こう言われたのです。それであればいまおっしゃる定年制の問題についても、昭和六十年になって六十歳以上の定年が一〇〇%実現されるかどうかまだ未確定の現在においてすでに、昭和六十年度でもう定年延長奨励金を廃止するんだというようなことをいまから定めておくというのは、私は大臣の答弁から見ても整合性に欠けるのじゃないか。それなら週休二日制も定年制も全部昭和六十年には完全に実現できる、一〇〇%達成できる、こういうことの裏づけがなければこのことは言えないんじゃないか。この点について労働省はどのように考えておるのかということをお聞きしたい。
  16. 関英夫

    ○関(英)政府委員 先ほど申しました五十五年一月現在の数字でございますが、その後も先生御案内のとおり昨年の春の労使交渉におきまして繊維とか化学の一部、あるいはその後も銀行その他大きな企業におきます定年延長というものが次々と決まってまいりました。そういう意味で私はいまや六十歳定年制というのは一つの大きな社会の流れになり、労使のコンセンサスを得ている、こういうふうに思うわけであります。そういう意味におきまして、これからも私どもいろいろな形での行政指導を強めていけば昭和六十年に六十歳定年を一般化する、こういう目標、雇用対策基本計画あるいは経済計画等で政府が定めました目標は達成することができるのではないか、また達成しなければならない、こういうふうに思っております。  そういう政府目標に従いまして定年延長を実施していただく企業に対する奨励策として、いま先生御指摘の定年延長奨励金があるわけでございますが、昭和六十年度に六十歳定年というものが一般化された以降におきまして、そのときまでになお定年延長ができない企業に対して、その後もなおかつ奨励する助成をすべきかどうか、こういった問題が一方にあるわけでございます。むしろそれよりも、この奨励制度は昭和六十年度までだということをいまから明らかにしておくことが昭和六十年度までに六十歳定年を実現せねばならないという企業に対する刺激にもなる、こういった御意見もございました。そういったことで、関係の審議会におきましてこの定年延長奨励金制度は一応昭和六十年度で廃止するということをいまから明らかにしておくべきだ、こういう御意見が出たわけでございます。  もちろん先生おっしゃいますように、昭和六十年度になってもなおかつ相当数の企業が六十歳定年に達しておらないという事態になりました場合には、そうしてはならぬと思いますし、そうしないように行政指導を強めますけれども、そうなった場合には改めてこの考え方をその時点において見直して、どうしたら六十歳定年を一刻も早く実現できるか、奨励策を含めて考え直すべきであろう、こういうふうに思っているわけでございます。
  17. 川本敏美

    ○川本委員 次に、わが国は高齢化社会が急速に進みつつある、そういう中で六十歳定年が達成されたらそれ以上、六十一歳以上定年制をさらに延ばしていくという考えが政府にないからこういうことが出てくるのじゃなかろうかと私は思うわけです。西ドイツとアメリカとでは定年制に対する考え方が大分に違うようですけれども、それでもなおかつこれらの国々ではもう六十五歳以下の定年というのは余り見受けない状態になっている。日本ももうあと十年もすれば同じような、いわゆる高齢者の比率は同じパーセント、一三%ぐらいになるわけですから、そういうことを考えたならば、六十一歳以上六十五歳までの人々に対してもさらに働けるように、定年制度というものを六十歳からさらに六十二歳、六十三歳、六十五歳に向かって誘導していくというような原則的な指導方針が持たれなければならないはずではないかと私は思う。  その点について労働省はどう思っておりますか。
  18. 関英夫

    ○関(英)政府委員 私ども昭和六十年度までに六十歳定年一般化を目標として掲げておりますが、同時にいまから六十歳前半層の雇用を確保していく施策を強めることが非常に大事だと思っております。  ただ、その場合には、六十歳までと違いまして六十歳前半層になりますと、個々人の体力あるいは職業能力、いろいろばらつきが出てまいりますし、またその層の就業意識も必ずしもフルタイムの常用雇用を希望するというものが多くない。もっと短時間の就労なりあるいはもっと臨時的な就業を希望するというようなものも出てまいりますので、そういう意味で六十歳前半層の雇用確保対策といたしましてはそのニーズに応じた多様な対策をとることが必要だろうと思っております。  そういう意味で、定年延長ができるような職場につきましてはもちろん先生の御指摘のように六十歳以上への定年延長の指導を強める必要がございますし、また再雇用なり勤務延長なり、あるいはフルタイムでない短時間のパートタイム的な就業なり、あるいはもっと臨時的な就業なり、いろいろな形の雇用確保対策というのを多様に講じていく、こういうことが必要であろうと考えておるわけでございます。
  19. 川本敏美

    ○川本委員 さらに今度のこの法改正、この新しい法律案を見ますと、この中で一つだけ改悪される部分がありますね。現在五十五歳以上、最初の一年間は五分の四、次の六カ月は三分の二というような企業に対する高年齢者雇用奨励給付金ですかが出されて、これが昨年あたり年間十万人とか言われるような高年労働者の雇用をふやしたという大きな役割りを果たしたと言われておるゆえんですけれども、これが今度の改正では一律に三分の一程度にされるわけですね。政府は、先般私も質問いたしましたけれども、失業対策事業については、地方公共団体、自治体で行ういわゆる公的な失業対策事業というものが今日までの三十年間の経過にかんがみて老齢化しておるし、いろんなことで、調査研究会報告にもあるように廃止の方向を打ち出してきておる、だんだんと減らしていくという方向を打ち出しておる。それにかわって今度は、そういう失業者というものを民間企業の活力によって吸収をしてもらおう、こういう発想から現行の失対事業の国の補助率と同じような割合を、それだけの金を企業に奨励給付金として給付して、そして誘導政策で高年齢者の失業をなくしていき、雇用の場を広げようとしてやってきた一つの政策だと私は思う。  それが三分の一に減らされるということになると、同じ人を雇うのなら若くて賃金が安くてよく働く青年労働者を使う方が企業にとって有利なことはもう説明しなくてもわかっておるはずです。そうなればこの時点で高年労働者の雇用政策を放棄したのと同じような結果になるんじゃないかと私は思うわけです。少なくとも三分の二以上の雇用奨励給付金で誘導しない限り、今後たくさんふえてくる高年労働者の雇用を確保することは至難ではないか。その点について私は大きくこの法律案に対しては問題があると思っておるわけです。  さらにもう一つは、地域的にいわゆる企業城下町と言われるような、あるいはそこの特定な産業に依存をしておる町で大きな企業が倒産をする、失業者がたくさん出てくるというようなことになりますと、その地域においては中高年の労働者の仕事はなかなか探しにくくなる。そういうところでは五分の四くらいの雇用奨励給付金を出してでも民間活力に期待してやるということでなければ、この間も申し上げましたけれども、それもやらなければ公的な就労制度というものを創設する以外になくなってくると思うわけです。  そういう点について今後どのようにやろうとしておるのか、お聞きをいたしたいと思うのです。
  20. 関英夫

    ○関(英)政府委員 先生最初に御指摘の中高年齢者の雇用開発給付金の制度は、御承知のとおり、石油危機後非常に深刻な不況情勢に対処いたしまして臨時応急の措置として、中高年齢者の雇用に対しまして一番手厚い場合は五分の四というような、通常の場合には考えられないような非常に高率の補助をして、期間を限って中高年齢者の雇用を促進しようとしたものでございます。その期間が本年の六月七日まで、こういうことになっているわけでございます。  一方、今後の雇用情勢を考えましても、心身障害者初めいろいろな条件によって就職が困難な特定の求職者がおるということが見通されるわけでございます。そういった状況を考えまして、今後は特定求職者雇用開発助成金という形で中小企業の場合三分の一、大企業の場合四分の一というような助成の率で、その中に高齢者も含めまして雇用奨励を行っていこう。賃金の三分の一の助成というのも考えてみれば非常に効果のある率ではなかろうか、私はこういうふうに思うわけでございます。  ただ、かつて非常に深刻な不況のときに行いました臨時特例の措置も、これからもあるいは必要なときが出てくる場合も考えられます。そういう意味で、今後の雇用情勢がきわめて悪化してどうしても応急処置が講ぜられる必要があるということになりますれば、この特定求職者雇用開発助成金といったものの率なりあるいは助成期間なりあるいは対象なり、そういったものを見直していくということでその都度対処していきたいというふうに考えておるわけでございます。  また、二番目に先生御指摘になりましたように、雇用問題は確かに地域的なアンバランスがございます。特定不況地域におきます離職者対策ということもかつてこの委員会で非常に問題になりまして、特定不況地域離職者臨時措置法といったような法律による援護措置も講ぜられたところでございます。そういう問題を考えまして、通常は高齢者に対しますようなこの特定求職者雇用開発助成金につきまして、特定不況地域の離職者は四十五歳以上の者を対象とするというような形で雇用のアンバランスに対処していこう、こういうふうに考えているところでございます。
  21. 川本敏美

    ○川本委員 そこで私、もう一度念を押しておきたいのですが、これは大臣、先ほど申しました時間短縮とか定年制延長の問題につきましては第八十七国会、昭和五十四年三月二十日のこの社会労働委員会で、雇用保険法等の一部を改正する法律案に対する附帯決議の中で、その三番目に「定年延長、労働時間の短縮と週休二日制の実施を一層推進するとともに、定年延長の推進については、立法化問題を含め、審議会の議を経て検討すること。」こういうふうに附帯決議がなされておる。これは審議会でその後審議しましたか。検討しましたか。
  22. 関英夫

    ○関(英)政府委員 立法化問題を含めて定年延長の実効ある方策につきまして、先生御指摘の附帯決議に基づきまして雇用審議会に対して労働大臣から諮問をいたしました。五十四年六月に諮問をいたしたわけでございますが、その後雇用審議会は最近まで総会あるいは専門委員会、そういったものをずっと開催いたしまして、その結果に基づきまして定年延長部会という部会を特に新設いたしました。そこで五十五年二月から業種別に労使の方を呼んで定年延長問題についてヒヤリングを行う、あるいは中小企業についてのヒヤリングを行うというようなことを重ねまして、定年延長部会の報告が昨年の十二月十五日に雇用審議会に出されました。  雇用審議会はその後二回の討議を経まして、ことしの一月答申第十六号というような形でとりあえずのいわば中間的な答申をいただいているところでございます。それは、定年延長をこの部会報告に示されたところによって積極的に推進せよということがその答申の骨子でございますが、同時に、立法化問題につきましては、その部会報告にあるように、なお労使の意見に大きな隔たりがあるので今後定年延長の進展の動向を見きわめつつ検討を続ける、こういうことを答申でうたっておるわけでございます。  具体的には、ことしの春の労使交渉なりあるいはことしの一月現在の定年制に関する調査、労働省で行います雇用管理調査、そういったものがまとまってまいりますことしの五、六月ごろからまたこの立法化問題について論議を始める、こういう予定になっているわけでございます。
  23. 川本敏美

    ○川本委員 次に私は、雇用保険法の中で前から宿題になっています日雇い失業給付の段階制の問題について、この際もう一度詰問をして、そしてこれは労働省の責任を明らかにしてもらうとともに、ひとつはっきりした御答弁をいただきたいと思うわけです。  五十四年の二月二十七日に、私がこの社労委員会で当時の栗原労働大臣に対して質問をいたしました。御承知のように、雇用保険法の第十八条でいわゆる基本日額の自動的変更の規定があるわけです。そして同じく雇用保険法の第四十九条で日雇い労働者の失業給付の基本日額の自動的改定の規定があるわけです。  ところが、いまのこの法律の一つの大きな欠陥ですけれども、一般失業給付については毎勤統計で二〇%ですね、百分の百二十になったときには自動的に改定される。だから現在のように賃金水準、物価水準が年間六%か七%ということであっても大体三年ぐらいに一回は改定されるということになるわけです。ところが、この前も指摘しておりますが、日雇い労働者の場合は、この前二千七百円から四千百円に改定されたのですけれども、これは五十三年だったと思いますが、そのときの差額は実に五二%ですよ。五二%上がらなければ改定してない。こういう形です。いまのように五%や六%や八%という賃金上昇の状態でしたら、こんなもの五二%になろうと思ったら十年かかりますよ。その間一般失業給付はふえていくし、日雇い労働者の失業給付はふえない。その間賃金は同じように上がっていっている。  ところが、段階制の中では、一級と二級と三級との比率で、二分の一ずつ足してその比率がどうだというような計算方法があって、その計算に達しない限り改定できない。これは法律の持っておる非常に大きな矛盾点だと私は思うわけです。  これは奈良から出ておられた私の先輩の八木一男先生がこの問題を指摘されて、当時の労働大臣から、次の法改正のときには多段階制で、三段階を四段階ないし五段階にしますという答弁をいただいておられたわけなんです。ところが、八木先生が亡くなられて私が五十一年の年末に当選させていただいて、その上でまた労働大臣にこの八木先生に対する約束はどうなっておるのだと聞いたら、知らぬとは言わぬけれども、ともかく現在の状態では大変いろいろ制度的にも問題があるので検討いたしたい。しかし、次の答弁で栗原労働大臣はこう言われておる、制度改正というようなとき、料率を改定するというようなときにはぜひというのがいまの考え方でございます。三段階を四段階にしたり五段階にしたりということを言われた。細野局長もそのときは、次の改定の中で対処させていただきたいというふうに申し上げるのが一番責任あるお返事ではなかろうかと存じますと、こう言っておるわけです。だから、今度のこの法律改正で当然出てくるものと私は期待しておった。  ところが、これまた全然ほおかぶりですよ。素知らぬ顔をしておる。これは労働大臣がかわっておられるけれども、答弁はやはり労働大臣の答弁としてそのまま守られなければいけないと思うわけです。  まして記録を調べてみますと、日雇い失業給付についての段階制の是正等その改善については可及的速やかに所要の措置を講ずること、こういう社労委員会の附帯決議が、八木先生が質問されたときにもついておるのです。その後にもついておる。私の五十四年のときも。もう三回同じ附帯決議がなされておる。こういうのは全く日雇い労働者というものを差別するような、べつ視するような政策のあらわれだと私は思うわけです。  少なくともこの点については、今度の法改正の中で処理されるべきはずのものであったと私は思います、いままでの約束から言うと。それがなされていないということは、これはもう大きく怒りを感ずるところですけれども、労働大臣、どうするのかということをひとつお答えいただきたいと思います。
  24. 関英夫

    ○関(英)政府委員 大臣の前にちょっと事務的にお答えさせていただきたいと思います。  先生御指摘のように、国会で、日雇い給付につきましての多段階制、審議の都度問題になり、あるいは附帯決議等があったわけでございますが、先生もよく御案内のとおりに、現在の日雇い保険制度自体を見ますと、年間百五十億ぐらいの非常に大幅な赤字になっておるわけでございます。  そういった制度根本の問題がございまして、この給付の段階制を検討するということは、同時にやはりそういう赤字のこの制度をどうしたらいいか、単に多段階制だけの問題でなく、保険料率の問題あるいは給付額の問題等いろいろ問題になるわけでございます。それからまた、事務的に考えましても、多段階になりますと、給付に要します事務量というものも非常に複雑多岐にわたってまいります。  そういう意味で、私ども現在の体制の中でどこまでそういうことが可能だろうか、いろいろ困難な問題がございますが、この日雇いに関します制度の検討、そういうもの全体の中で多段階制を考えようということでございまして、さきの政府委員の答弁もそういうことを申し上げておったのではなかろうかと思います。  今回、いろいろ給付金について整備充実を図ってまいりますが、この日雇い保険制度そのものについてはまだ十分な検討が行われておりませんので、今回は手をつけるに至らなかったというのが事務的な実情でございます。
  25. 藤尾正行

    ○藤尾国務大臣 この非常に権威ある社会労働委員会の御決議といいまするものが過去何回かにわたって行われておりましたにかかわりませず、いまだにそれが実現をしていない、御詰問まことにごもっともでございまして、私どもは姿勢を正して対処していかなければならぬ、かように考えますけれども、ただいま政府委員の話を聞いておりましても、この給付の改善が、いまででも非常に大きな赤字問題というものの解決がさらに困難になろうというような問題もはらんでおるようでございますから、その間非常に検討がおくれて申しわけございませんけれども、こういった問題も含めまして、改めて私が厳しく検討をさせまして、必ず御回答のできますように、私の責任においてやらしていただきます。
  26. 川本敏美

    ○川本委員 保険財政の赤字の問題とか、それによって事務量がふえるとかふえないとかというような問題とか、そういうことは労働省の役人の皆さん頭がいいのですから、そこらはいかようにでも対処できるはずだと私は思っておるわけです。それを、国会のこの委員会で答弁をしておきながら、いつまでもずるずるとそういうことを理由にして実行しようとしないのは、私は全く議会軽視だと指摘をされても仕方がないと思う。いま大臣おっしゃいましたけれども、いまの大臣の御説明で、必ずやりますとはおっしゃっていないわけですよ。次の法改正あるいは次の国会とかには必ずいままでの約束は履行いたしますというような――現にこれは法律違反なんですよ。  奈良県におります山林労働者は賃金が大体一万円以下というのは余りないわけです、伐木造材等は。そうすると、雇用保険法では、最低六〇%から八〇%の間で給付するのが法律の精神ですよ。現在四千百円です。だから、いまやっていることは、もう雇用保険法の法律に違反したことを政府はあたりまえのようにしてやっておる。さらに多段階にして上に一段つくって六千円というのをつくれば、それに見合って保険料も上がることは私は当然だと思いますよ。そういうことは頭のいい労働省の皆さんが考えることであって、それを労働者の責任に押しつけたりすることは私は許されないと思うわけです。  大臣、もう一回だけ、次の改正では必ずやらせますという明確な御答弁をいただきたい。
  27. 藤尾正行

    ○藤尾国務大臣 ただいま非常に厳しい御詰問でございますが、私の性格も多分御存じだろうと思いますけれども、私がやらせると申し上げておるわけでございますから、ひとつ御信頼をいただいてお任せをいただきたい。
  28. 川本敏美

    ○川本委員 これは、私の先輩の八木先生が草葉の陰で労働省にだまされたと思っておる、行くところにも行けないで迷うておると思うのです。これは一日も早く実現してもらわなければ私は断じて後へ引きませんので、その点だけ重ねて申し添えておきたいと思うのです。     〔委員長退席、戸井田委員長代理着席〕  時間がありませんので、あと簡単にもう一つだけ質問したいと思うのですが、現在、ビルの清掃とか電話交換とか受付とかエレベーターガールなど、いわゆるビル管理業務といいますかそういうような仕事がだんだんとふえてきつつあります。電話交換とか受付とかエレベーターガールとかいうようなものは一〇〇%労務賃金ですね。言いかえれば、そういう会社は労務供給業だ、そういう請負業をやっておる会社は労務供給業会社だと言っても過言でないと私は思うわけです。  これは一つの例ですけれども、埼玉県庁とか鹿児島県庁が県庁のそういう業務を会社に入札で請け負わしておるわけです。ところが、一年契約ですから、一年の次の契約のときに落札した会社がかわりますと、いままでその県庁内で電話交換をやっておったりエレベーターを操作したり受付をやっておった、そういうビル管理の仕事に従事しておった人が全員首になって、新しい会社がまた別の従業員を連れてきてやるというような、まことに人身売買にも似た不法なことがいま起こりつつあるわけです。こういう仕事についておる人たちの中には、請け負うた会社と雇用契約を結んでおる人もある、あるいはそうでなくていわゆる任意契約といいますか、いろいろな形の契約の仕方があるわけです。埼玉県庁の場合は労働組合がありましたから、新しく落札をした会社に今度は身分を全部移管させて雇用だけは継続させることができましたけれども、これからこういう問題が多発をしてくると思うわけです。  現在、地方自治体はほとんど入札制度、民間の会社、企業ではそういう入札制度はやっていないわけです。少なくとも九〇%以上一〇〇%までが労務賃金である場合、そこが地方自治体とか政府の関係でいかに入札をしなければいかぬといっても、それだったら人間の賃金を入札しておるのと同じことなんですから、そういうことが現在のまま放置されるようなことではいけない。この点については私は、現在そういうところで働く労働者の保護とかそういう業務に対する規制とかそういう面では国の法律の谷間でほとんどゼロ、いわゆる規制や保護が及んでいないと思うわけです。その辺をやはり何とかしなければ、これからだんだんこの業務はふえてきてこういう人たちがふえてくるわけですから、いろいろなトラブルも起こってくると思う。  この点について労働省はどう考えますか。これは私は職業安定法違反じゃないかと思うわけです。
  29. 関英夫

    ○関(英)政府委員 県庁におきます実情につきましては私もいま伺ったところでよくわかりませんが、職業安定法上、請負契約という形での契約でなくいわゆる労務供給業であれば、労働組合以外のものは労務供給業ができないわけでございますから、職業安定法違反という形になるわけでございます。  御指摘の実例についてはこれから調査してみますが、一般的に申し上げまして、先生の御指摘のようなビル管理業あるいは電算機なんかの新しい情報処理業その他いろいろな形で会社と契約いたしまして、労働者をそこに派遣して働かせるというような仕事が大分多くなってまいりました。その辺の労働者保護に欠ける面もあるのではなかろうかということで、私どもそういった点の研究会をお願いいたしまして、研究会の報告もいただき、そしてそういった業種について新しい法規制を考えたらどうかということで、いま関係の労使あるいは公益の人たちに集まっていただいて、新しい立法問題についての調査会を行っておるところでございます。  そこでの私どもの考え方といたしましては、供給する会社と常用の雇用契約をはっきりさせ、そして仕事を請け負う会社との契約関係というのもはっきりさせ、そういう意味で使用者の責任というものもきちっとさせるというような方向でこの問題を解決いたしたいと思っておるわけでございますが、現在まだ調査会で議論をしている最中でございます。その調査会の結論を待って対処いたしたいと考えておるわけでございます。
  30. 川本敏美

    ○川本委員 あと時間が余りないのですが、最後に、最近労働省は基準局の基準局長会議を開催された席上で、いわゆる第三次産業といいますか、商業とかサービス業、こういう人たち、企業の労働時間とか労働条件等についての監督を強化し指導を強化していく方針だということで方針を打ち出されたと聞いておるわけです。いわゆる商業とかサービス業という部門では製造業と違って従来監督が余り行われていない、そういうために労働基準法違反もたくさんあれば、あるいは労働時間やその他のいろいろな条件が非常に悪い、これをさらに強化をしていこうという方針を打ち出されたやに聞いておるわけですけれども、労働省はどういう方針を持っておられるのか、最後にお聞きをいたしておきたいと思います。
  31. 吉本実

    ○吉本(実)政府委員 先生御指摘の事実につきましては、先般の局長会議で来年度の基準行政の運営方針というものを策定いたしまして、それに基づいての指示でございます。  第三次産業につきましては、先生御案内のように、今後の雇用吸収としては一番大きな分野でございます。しかも中小企業が多いということ、また労働態様もいろいろある、こういうようなことで労務面については立ちおくれの見られることは事実でございますし、労働基準法関係につきましてもやはり製造業と比べてその遵守状況は劣っておるということは事実でございます。こういうことで、労働省といたしましては、そもそも労働条件の明確化自体の問題あるいは先般打ち出しました八時間労働制の特例の廃止というようなことを中心としながら、いわゆる三次産業に対する基準行政を進めてまいりたいというふうに考えております。  具体的には、労働契約というものをちゃんと適正化させるとか、あるいは就業規則そのものの理解なりその作成の問題とか、あるいは労働時間そのものについての管理が不徹底でございますから、そういったところから進める、こういうような初歩的なことから逐次進めてまいりたいというふうに考えておるわけでございますし、またそれに、主要な監督署にいわゆる相談コーナーというものを設けまして事業主側のそういった点についてのいろいろな要望にこたえる、あるいは労働者側の相談にも応ずる、こういうような仕組みをしてまいりたいというふうに思っておるわけでございまして、ただいまの全体の三次産業に対する指導の具体的なやり方につきましては、いわゆる個別指導という形ではなくて集団指導という形でそれぞれ地域別あるいは産業別あるいは問題ごとのグループに分けましていろいろと指導をしてまいりたい、こういうつもりでございます。
  32. 川本敏美

    ○川本委員 終わります。
  33. 戸井田三郎

    ○戸井田委員長代理 次に、永井孝信君。
  34. 永井孝信

    ○永井委員 この雇用に係る給付金関係の法律案に関連をして、若干の問題点を質問してみたいと思います。  まず最初に、今回の政府が提出した改正案は「雇用に係る給付金等の整備充実を図るため」云々、こう表記されているわけですね。この資料を見る限りでは、制度自体が多岐多様にわたっているために単なる統合を目的としたという感じは私たちから見た場合否めないわけです。整備充実を図るという基本的な考え方、具体的に一体どうするのか、これを冒頭に大臣にひとつ明らかにしていただきたい。
  35. 藤尾正行

    ○藤尾国務大臣 御質問の中に御指摘がございましたとおり、今日の雇用関係の給付金が非常にたくさんあるということでわかりにくいということをもちまして、まずもってこれをだれにもわかりやすいように統合整備をするということもございますけれども、あわせて、何といいましてもいま私どもの迎えようといたしております労働情勢といいますものが、今日非常に大きく変化をしておる。特に高齢化社会あるいは低成長経済というような変化に対応していかなければならぬわけでございまして、いかなる事態になりましても完全雇用を達成していかなければならない、こういうことでございますので、そういった政策効果が上がるような内容のものにこれを仕組み直しをしていかなければならぬ、こういうことでございます。  したがいまして、まず第一に高齢化社会への移行ということから考えましたならば、高齢期における雇用の確保をどのような給付金体制にしたならばさらに図ることができるであろうか。あるいはこれは身体障害者も同じでございますけれども、これらの方々の就職が非常に困難だ、これを何とか促進をするために利用はできないものだろうか。あるいはこれからある程度の低成長経済といいますものを私どもは覚悟をいたしていかなければならぬわけでございますけれども、いかなる事態になりましても、失業、これはもう絶体に予防をしなければならぬということでございますから、それだけの働きをこの給付金においてさせなければなりません。こういったことを考えなければならぬ。あるいはこれからの職業といいますものは生涯性を持ってきておるわけでございますから、肉体的な一つの限界、そういったものを克服していく、そうしてあわせて職業といいますものを前進させていくというような意味で、職業能力といいますものを開発向上していくという上にこれが働いていかなければならぬということでございます。  そのような、大体四つぐらいの点に重点を置いて、給付金制度の統合充実ということにいたしておるわけであります。
  36. 永井孝信

    ○永井委員 それではお聞きいたしますが、雇用調整事業について、景気の変動による場合とそれから事業転換を余儀なくされていくという場合、二つあるわけですね。この景気変動と事業転換という二つの異なったものを統合すると言っているわけでありますけれども、景気変動の場合はあくまでも短期的な対応である、私たちはこのように理解しているわけであります。そして、事業転換の場合は長期的な対応が当然求められてくる、必然的に求められてくる。こういうことから考えまして、それぞれ企業の置かれている状況というものが大きく異なるのにこの二つを統合するということは、一体具体的にどうするのか。それぞれの状況に対応して対策を講じることにしている現行制度の方がむしろ適切ではないかと私は思うのでありますが、この関係についてどう説明されますか。
  37. 守屋孝一

    ○守屋説明員 先生おっしゃるとおり、確かに理念といたしましては両方は別々のものでございます。もちろん景気変動の場合は短期的なものでございますし、事業転換の場合というのはもちろん中長期的な構造変化に対処しようというものでございます。まさに考え方としては別々のものではございます。しかしながら、現実の運営に当たりまして、この両方の現在の業種の指定状況を見ますと、両方ともに相当数が非常に重複してきておるというのもまた現状でございます。  私どもはこういう点を前提にいたしまして、今回は景気変動の場合と事業転換の場合とのいままでの対象業種の指定基準をまず一元化しようということを考えております。これを一本にすることがより事務手続上簡素化でありますとともに、また国民にも非常に使われやすくなる、わかりやすくなるゆえんのものではないか。  というのは、両方が非常にダブっておるということに着目したわけでございます。またこれによって出ますメリットといたしましては、現在は景気変動と言えば事業活動の縮小を余儀なくされているかどうかが一つの大きなメルクマールになるわけでございます。片や事業転換という場合には、現実に事業の転換が行われるかあるいは事業規模の縮小が行われるかということに着目して、そういう場合にのみ給付金を出すという形になっておりました。現実にはこの事業転換の場合の給付金というのは非常に使われづらくなっておるというのもまた現実の姿でございます。  そこで私どもは、今回、両方の業種指定の基準を、特に景気変動の場合を若干緩和することによりまして、これを一本の指定基準によって処理する、そうすることによって、いままで事業活動の若干の縮小の場合には対象にならなかったような、事業転換として処理されていた業種につきましても、今後はこういう給付金の対象になるということから、より実態に沿うものではないかというように考えております。
  38. 永井孝信

    ○永井委員 たとえば雇用調整給付金、それから出向給付金あるいは特定不況地域の雇用調整給付金、特定不況地域出向給付金、この四つが今度は雇用調整助成金ということに統合されるわけですね。そうしてこの支給要件の緩和を図る。いまも説明がございましたけれども、指定基準といいますか、この支給要件の緩和を図ると言っておるのでありますが、現行制度では休業の場合は所定労働日の全一日にわたる休業であってしかもなお休業の延べ日数が所定労働延べ日数の十二分の一、中小企業では十五分の一というように枠がはめられているわけですね。そのために現行法ではその利用、活用ということはきわめてしにくい実情にある、私はこのように見ているわけであります。  法の趣旨からいって、企業の実態に合わせて全一日にこだわるということではなくて、もっと具体的に実態的にこの制度が活用できるように、短時間のものであっても助成の対象にするように考えてみるべきではないか、そのように支給要件を緩和すべきではないか。むしろ時間単位ということで考えることができないのか。  このことについて、支給要件の緩和という立場から具体的に考え方を聞かしてください。
  39. 関英夫

    ○関(英)政府委員 この雇用調整給付金制度、現行の場合におきましては一日単位の休業ということを考えておったわけでございますが、ただいま先生の御指摘のように、全従業員がある時間就業時間を短くするというような形の休業も十分考えられるわけでございますので、御指摘の面は、ただいまの支給要件の緩和の中でそういったものも取り入れられるように考えていきたいと思っております。
  40. 永井孝信

    ○永井委員 教育訓練の場合はこれまた支給要件の中に一人について月二日以上、こういうことが一つの枠になっているわけですね。これについてはどうですか。
  41. 守屋孝一

    ○守屋説明員 この雇用調整給付金につきましては、まだ私どももどこまで最終的に緩めるかということについては、現時点において成案を持っているわけではございません。と申しますのは、これはいずれもしこの法律が国会で御審議いただきまして成立いたしましたならば、引き続いて中央職業安定審議会におきましてまたこの基準等を御検討いただくことにしております。その場におきましていま先生御指摘のような点は十分議論さしていただきたいというように考えております。
  42. 永井孝信

    ○永井委員 その次に、それでは雇用調整事業の対象となっている業種ですね。一つ一つ具体的に聞いて恐縮でございますが、この指定基準で、景気変動によるものは、最近三カ月の生産規模が一〇%以上の減となっており、あるい事業転換の場合は五%以上の減となっているということが指定基準になっているわけですね。この指定基準はいまの産業界の実情から見て改善をする気があるのかないのか。改善することを検討しているのかどうなのか、ひとつ御答弁をいただきたい。
  43. 守屋孝一

    ○守屋説明員 私どもも、現在のいま先生がおっしゃいました一〇%というような落ち込みの基準、これはある意味ではかつての高度成長期から低成長期に移る際の落ち込みとしてはあるいは適当であったかというように考えておりますが、現在のような時点におきまして果たして一〇%という変動がどうかというのは、確かに御指摘のように大きな問題であろうと思っております。この点につきまして、これをどこまで緩めていくかということにつきましては、これはまた緩め過ぎるとそれに伴う弊害も出てまいります。  そこで、これも先ほどと同じくいずれ中央職業安定審議会におきまして、どのあたりが一番妥当かということについて、関係労使、公益の各委員の方々の御意見を十分拝聴しながら、最も公正妥当な基準をつくっていきたい、かように考えております。
  44. 永井孝信

    ○永井委員 さらに事業転換の場合には、それぞれの所管官庁の政策方針というものが一つの要件とされてきているわけですね。たとえば法律の運用であるとか省令であるとか、あるいは通達であるとか、やり方は違いますけれどもそれぞれの所管官庁が政策方針を示している。それに従うことが一つの要件になっているわけですね。しかし、実際法律の趣旨から考えますと、政策方針があろうとなかろうと、あるいは政策方針に合致しようとしなかろうと、実際に生産が落ち込んだときは失業を予防するというその立場、その必要性から当然支給対象にすべきではないかというふうに考えるのでありますが、これはどうでしょう。
  45. 関英夫

    ○関(英)政府委員 事業転換というものが必要になりますその背景というものに、いろいろな事態が現実にはあろうかと思います。中には、語弊があるかもしれませんが、経営者の経営態度、そういったものが十分情勢にマッチしてない。したがって、その業種の他の企業においては非常にうまくいっているけれども、ある企業はうまくいってないというようなものもあろうかと思いますし、構造的にどうしても事業転換を図っていかなければならないといったような業種もあろうかと思います。どういうものを国の制度として見て、それでそこにおける事業転換を離職者を発生させることをできるだけ防止しながら円滑に進めていくか、こういう観点から現在の基準ができているのだろうと思います。  そういう意味で、たとえば放漫経営まで救うというようなことになってまいりますと、これは弊害も出てまいります。何らかの基準が必要でございますが、ただいま先生御指摘のような基準がそれでいいかどうか、そういう点は、先ほど来の休業規模等最近の情勢に合わせて見直す際に、同時に十分御検討いただいて適正な基準というものをつくって運営していきたいと考えております。
  46. 永井孝信

    ○永井委員 経営の側が放漫経営であったとか、いわゆる経営に対する方針態度、こういうところから事業転換ということが起きてくるという場合もありますけれども、要はそこに働いている労働者が失業の憂き目に遭わないように、いま雇用の確保が非常に大きな社会問題になっているときだけに、あくまでも労働者を救済するという精神がいずれの場合も生かされていかなければいかぬ、こういう立場でこれからのこの指定基準の関係についてもひとつ改善方を私は強く要望しておきたいと思います。  次に、最近の雇用情勢の問題でありますが、昨年の九十三国会でも、私はこの問題は大臣にもかなり執拗に質問を申し上げたわけでありますが、あの九十三国会から現在まで就職の機会ということがひとつ関所を越えたわけですね。あのとき、たとえば高齢者の雇用率の達成問題も含めて、大臣の非常に強い決意が述べられているわけでありますが最近の雇用情勢はその後どのようになっておるか。中高年齢者の求人倍率は一体どうなっているか。これらについて、現在把握されている状態をひとつ明らかにしてもらいたい。
  47. 野見山眞之

    ○野見山説明員 最近の雇用失業情勢につきましては、経済全体が、昨年は設備投資はわりと堅調でございましたけれども、個人消費が伸び悩むということで、求人は昨年の前半は好調でございましたが、後半に入りましてやや伸び悩み、他方、求職者が多少ふえてくるというような傾向が見られまして、雇用情勢全体といたしましては総じて安定的ではございますが、改善傾向にやや足踏みが見られるというのが状況でございまして、具体的に求人倍率で見てまいりますと、最近、昨年の秋ごろから〇・七二倍程度で推移しているというのが求人倍率の状況でございます。また、年齢別の求人倍率につきましては、昨年は〇・一七倍でございまして、五十三年の〇・〇九倍に比べまして、高齢者の求人倍率は五十四年、五十五年と同じ水準ではございますが、以前に比べてやや改善した状況にあるというふうに考えております。
  48. 永井孝信

    ○永井委員 いまのお話を聞きますと、必ずしも好転はしていない、足踏み状態にもあるわけですね。そういう実情を考えますと、雇用情勢というのは依然として先行き不安である。雇用の確保を図りたい、雇用の機会を多くしていきたい、こういうふうに、高齢者社会を迎えて労働省全省を挙げて非常に取り組んでもらっているわけでありますが、先行きに不安がある。そういう中で、この中高年齢者の雇用開発給付金というのは緊急対策として制定されてきたわけですね。  そうしますと、現状における中高年齢者の雇用実態から見まして、あるいはまた今後の推移を想定した場合に、中高年齢者の雇用開発給付金を廃止するというのは現実にそぐわないのではないか、こういう気がしてならぬわけであります。現にこの雇用率がまだまだ達成されていない。そう考えますと、緊急対策としての要件はもうすでに消滅しているという前提に立っておられるのかどうなのか。私はそういう状態ではない、このように考えるのでありますが、お考えをひとつ聞かしてください。
  49. 関英夫

    ○関(英)政府委員 先ほど御答弁申し上げましたように、最近の雇用情勢は、昨年半ばぐらいまでの改善傾向がやや足踏み状態にございますけれども、一時の石油ショック後の非常に深刻な状況を脱して改善傾向にあったところ、昨年年央以来やや足踏み状態にある、こういう状況ではなかろうかというふうに思っております。今後におきましては、来年度の政府の経済見通しのような形をとるならば、徐々に雇用情勢もまた改善していくのではなかろうか、こういうふうに見込んでいるわけでございます。  そういう意味におきまして、あの非常に深刻な不況期に臨時緊急の措置として賃金の五分の四というような非常に手厚い助成制度をとったわけでございますが、これはちょっと永続的に実施し得るような制度ではないわけでございますので、私どもとしては新しい特定求職者雇用開発助成金という形で、賃金の三分の一、大企業の場合は四分の一の助成というような形で高齢者の雇用確保を促進していきたいと思っております。  しかし、もう一度また非常に深刻な緊急の情勢になるならば、こういった助成率なり助成期間なり、そういう緊急事態に応じて見直しを図っていきたい。これは関係審議会からも、そういう事態になればその都度速やかに対応してそういうことはやっていけというような御意見もいただいておりますし、ただいまの先生の御意見も十分踏まえまして、そのときの情勢におくれをとらないように考えていきたいと思っているわけでございます。
  50. 永井孝信

    ○永井委員 特定求職者雇用開発助成金、今度そういう名前で呼ばれているわけでありますが、この対象となる特定求職者の範囲というのはどういうことなんですか、内容は。
  51. 守屋孝一

    ○守屋説明員 まず一般的には高年齢者、これは五十五歳以上であります。そのほか同じように社会的あるいは肉体的に非常に就職についてハンディを背負っておられる方々という意味で、心身障害者、それから同和対策対象地域住民の方々、寡婦、こういう方々については年齢制限をしておりません。それからそのほかにも各特別法、たとえば炭鉱離職者臨時措置法等々の特別法に基づきまして手帳を発給し、特別の対策を打つ方々があります。こういう方々は必ずしも就職に際しての肉体的ハンディということではございませんで、特別法の制定の趣旨にかんがみまして、四十五歳以上の方々もこの対象にするという方向で全体をまとめております。
  52. 永井孝信

    ○永井委員 この中高年齢者雇用開発給付金では、対象は四十五歳から六十五歳とされていたわけですね。これがこの新助成金では五十五歳から六十五歳というふうに年齢が引き上げられているわけです。中年者が結果として対象にされなくなってしまう。中高年齢者の雇用状況の実態から見て、五十五歳から六十五歳というふうに年齢を引き上げることは私は問題があるのではないか、こういう気がするわけでありますが、中年者を対象とするようなことは考えられないのか。この点に  ついて御答弁願います。
  53. 守屋孝一

    ○守屋説明員 今回の給付金の見直しの基本的方針は、先ほど大臣からもお話がございましたが、一つには高齢化社会に向かう中での給付金のあり方はどうかというところから出発しているわけでございます。そこで今回の給付金の財源配分といいますか資金の出し方といたしましては、対象をしぼってそういう方々に重点的に給付を行っていこうという考え方でございます。  そこで、じゃ中年者の場合はどうなるかということでありますが、何といいましてもいま就職が一番深刻なのは高年齢者でございますし、また過去の経緯にかんがみましても、いま先生おっしゃっておられます中高年齢者の雇用開発給付金につきましても、これが最初の段階で創設されましたときは、先生も御承知と思いますが、五十五歳以上という高齢者に着目して、なおかつ三カ月であり、かつ二分の一の給付というところから出発しております。そうしてそのときどきの雇用失業情勢の深刻の度合いに応じてこれを引き上げていくという形をとっております。私どもも今後雇用情勢がどう変わるか予断を許さない点があるかと思いますが、そのときどきの状況によりまして必要な場合には五十五歳以上という現在のしぼりをさらに、過去の経緯といいますか経験等にかんがみまして、四十五歳にする場合もございましょうし、あるいはまた支給期間を広げるというような対処の仕方もございましょうし、それはそのときどきの雇用失業情勢に応じまして、たとえばきわめて雇用失業情勢が悪化したという場合にはまたそれなりの対策を打っていく。とにかく平常時においては五十五歳というところで考えております。その点御理解をいただきたいと思います。
  54. 永井孝信

    ○永井委員 重点的にということでもありますけれども、年齢は引き上げられるわ、最前川本議員からも指摘がありましたが、支給額というものも落ち込んでいく、これはいわばダブルパンチなんです。だから、支給額について現行各種雇用奨励金から見れば改善となる部分、そうして中高年齢者雇用開発給付金と対比すればかなり下回ることになる、そのねらいというものがもう一つ私は胸にぽとっとはまるような理解ができないのでありますが、重ねてこの関係を答弁願いたいと思います。
  55. 守屋孝一

    ○守屋説明員 まずこの給付金は労働者本人に支給する給付金ではございませんで、事業主に支給する給付金でございます。その場合も労働者を雇おうとする事業主に支給するのだということであります。この給付金があるからといって途端に雇用需要が出てくるというものではないと私は思います。現にある雇用需要は恐らく若年労働者、とにかく若い層に焦点を合わせた雇用需要が出てきておる。それを何とかして高年齢者の方に、就職が困難な方々の層の方に引っ張っていこうというのがこの給付金の主たるねらいになるかというように私は存じます。  そこでどこへ引っ張っていくのが最も妥当であるか。いまわれわれが考える必要があるのは、五十五歳以上の層の就職がきわめてむずかしいということがございます。そこでまずそこら辺の底上げを重点的に図っていく。同じようなことは心身障害者につきましても、あるいは寡婦等につきましてもあるわけでございまして、そういうところにまず重点的にやるということを考えるべきではなかろうかということでございます。その重点の置き方を考える立場立場によりまして、五十五歳、あるいはそれが五十歳の方がいい、あるいは四十五歳がいいとだんだん下がる場合もあると思いますが、まずこの際最も政策効果が上がるように重点的に金を配分するとすれば、まずここからスタートするというのが一つの給付金のあり方ではないかというように考えております。
  56. 永井孝信

    ○永井委員 この特定求職者雇用開発助成金、長ったらしい名前でありますが、これは安定局長も、緊急時には特例措置を講ずるという考え方をいま言われたわけですね。具体的にどのような場合にどのような措置を講じようとするのか。その場合の基準というものはどう考えるのか。
  57. 関英夫

    ○関(英)政府委員 緊急時とはどういうことかということが、まず措置を講ずる場合の基準だろうと思います。失業率なりあるいは中高年齢者の求人倍率等々、いろいろ準拠するものがあろうかと思いますが、その辺につきましても私どもが予断を持ってこういう基準でということでなく、この法律が施行になります場合には、関係審議会でその基準についても十分御議論をいただきたい。  それからまた、具体的にどうするのかということになりますと、助成率を上げていくとか、あるいは助成期間を延ばすとか、あるいは先生御指摘のような対象を中年者まで広げるとか、その辺のことが問題になると思いますけれども、その辺もどういう状態のときにどの程度どうするかというようなことは、関係審議会で十分御議論をいただいた上で私どもそれに沿って措置していきたい、こういうふうに考えておるところでございまして、現在私どもがこれが緊急時だという基準をすでに決めているということではございません。
  58. 永井孝信

    ○永井委員 事が起きてから審議会に諮って時間をかけて審議するということでは適切に対応できないと思うのです。そうしますと、緊急時に特例措置を講ずると言ってみても、全くわれわれとしては雲をつかむような話でわからないということになってきますので、そのときどき起きてきた事象に合わせて緊急に対応するという場合は、当然いまからいろいろなことを想定して迅速かつ適切に対応できるようなことを検討しておかなくてはいけない。その時期になってからでは遅いのでありまして、この辺の関係は、ひとつ労働省として適切に対応できるような対応をいまから求めておきたいと思います。  その次に、高年齢者雇用確保助成金は継続雇用奨励金に比べて支給条件がきわめて厳しくなってきているわけですね。その理由は一体何なのか、明らかにしてください。
  59. 守屋孝一

    ○守屋説明員 これは現在の高齢者対策としての継続雇用奨励金というものの性格から反省が出てきたわけでございます。  といいますのは、現在の継続雇用奨励金はその企業が六十歳以上の定年制をしいておるという場合に、定年退職後も企業が一人でもあるいは二人でも選択してでも労働者をさらに常用労働者として継続雇用するという場合に、一人について幾らという給付金を出す性格になっております。私どもとしては、企業が選択をして人を残す、あるいは言葉は悪いかもしれませんが、私企業の恐意的な判断によってこの人は残す、この人は残さないというような形で継続雇用をしていくことが今後の高齢化社会の中において果たしてどうだろうかということであります。  そこで今回の助成金は、この六十歳以上の定年制をしいておる企業が定年後に労働者を雇うという場合、これは労働者が希望すればみんな雇うというような形の一つの制度として、定年退職後も継続して雇用される制度をつくるということが六十歳代前半層の雇用対策として必要ではなかろうか。それも強制するということは私は非常に無理だと思いますが、こういう奨励金でもって助成する、奨励するということは、今後の高齢化社会における雇用対策としてまさにあるべき方向であろうという意味で、このような要件に切りかえて新しい助成金というものにしたわけでございます。  したがいまして、決して何も金を出しづらく締めたということではございませんし、またもう一つには、個々に雇用される場合の雇用の形態は、いままでの継続雇用奨励金は常用労働者として雇用するという前提でございます。これはあくまでもフルタイムの雇用を前提にしておりますが、今回のこの考え方は、余り短時間のものではちょっと問題もございましょうが、フルタイムに近いような形での雇用がされるならばこの奨励金を出す。それが嘱託という形であろうがどういう形であろうが、少し緩やかな形でもいいから再雇用の制度を設けていただきたいということでこのような給付金の制度にしたわけでございます。
  60. 永井孝信

    ○永井委員 継続雇用ということについて、いま言われたように、企業の側が窓意的に特定の判断を下してということよりも制度化が望ましい、私はそのことについては賛成なのです。賛成なのですが、現在継続雇用奨励金は多くの企業で活用されているのですね。というのは活用しやすいからなのです。ところが、この支給要件が厳しくなってきたことによって、結果として制度化にはまっていくことをきらうという企業が出てきはせぬかという心配が一つあるわけです。  本来の高齢者雇用拡大の目的にそのことが沿わなくなってしまったら、これは大変なことになる。法律はつくったけれども、その法律は結局空虚なものになってしまうということがあってはいけませんので、もし活用されない場合は、その制度化を促進するような行政指導というものが改めて問われることになるわけです。  この関係についてひとつ決意を伺っておきたいと思います。行政指導に対する決意ですね。
  61. 関英夫

    ○関(英)政府委員 昭和六十年度までに六十歳定年を一般化しようということで私ども行政指導を一生懸命やっておりますが、事はそれで終わりではございませんで、やはり六十歳前半層の雇用確保対策ということにいまから力を入れていかなければならない。その一つの制度化の助成としてこの措置も考えたわけでございますが、六十歳前半層の雇用の確保のためには、こういう助成制度を活用して企業の側に少しでも六十歳前半層雇用を継続していただく、こういうことをやっていただくことがどうしても必要でございます。定年延長の指導とあわせて私ども六十歳前半層の雇用確保対策を強く企業に求めていきたいと思っております。
  62. 永井孝信

    ○永井委員 再度申し上げておきますが、最前御答弁があったのですけれども、定年後嘱託になって従来どおりの業務につくとか、あるいは外注会社をつくってその外注会社にOBを全部ほうり込んで依然としていままでやっておった同じ仕事をさせるとか、そういう本来言われている定年後の業務、就職の場合ですよ、形態は変わらないのだけれども雇用関係だけが変わってくるという場合がずいぶんあるわけですね。当然これは対象として考えていくというふうに私は理解するのですが、それでよろしゅうございますか。
  63. 関英夫

    ○関(英)政府委員 従来と同じような仕事を行います場合には、私はできるならその年まで定年延長で、六十歳以上であろうと対処していただきたいということで指導していきたいと思いますが、しかし当面子会社をつくったりあるいは嘱託という形にしたりしていかざるを得ない、これは賃金その他のいろいろな慣行あるいは人事上の問題から、当面の緊急措置としてそういうこともよく行われるわけでございます。実質的に従来と同じような仕事を継続してやっているということでございますので、六十歳代前半層の雇用を確保するために、新しい助成制度においてはそういうものも対象にしていくように考えていきたいと思いますが、先ほど来申し上げましたように、具体的には、この法律がもし成立いたしましたならば、その後直ちに関係審議会でそういった問題を十分議論していただきまして、先生の御趣旨に沿うような形で新しい助成制度をつくりたいと思います。
  64. 永井孝信

    ○永井委員 職業訓練関係の整備充実もうたっているわけでありますけれども、心身障害者に対する職業訓練の充実について特に私は触れられていないように思えてならぬわけですが、民間企業における心身障害者の生涯訓練、これらについてどう扱っていくのか。だんだん時間がなくなってきますので、ひとつ簡単にお答えを願いたいと思います。
  65. 森英良

    ○森(英)政府委員 ただいま御審議いただいております法案におきましては、職業訓練関係の給付金の整理統合は、中高年齢者の教育訓練の振興ということに関連しまして、新たに生涯訓練の理念に立った段階的かつ体系的な事業内職業訓練に基づく職業訓練というものについての助成制度を創設いたしまして、中高年齢者に対する訓練を整備充実するということでやっておるわけでございますが、御指摘のとおり心身障害者に対する職業訓練も職業訓練分野における大きな重点の一つであるというふうに考えて、その整備充実を図っておるところでございます。  特にお尋ねの民間の職業訓練、心身障害者に対する職業訓練につきましては、さきの臨時国会で改正されました身体障害者雇用促進法に基づきまして、身体障害者に対する職業訓練を行う民間の事業主あるいは社会福祉法人等々につきましても高率の助成が行われる道ができましたので、この制度を活用いたしまして民間における心身障害者の訓練というものも十分拡充してまいりたいというように考えております。
  66. 永井孝信

    ○永井委員 現在この各特別法で設けられている給付金は今後どのように定めていかれるのか、現行制度は法律上どのように担保されるのか、簡潔にお答えください。
  67. 守屋孝一

    ○守屋説明員 それぞれの特別法にはいままでは根拠法でそれぞれの特別法ごとに給付金が書かれておりました。今回はそれぞれの特別法には、その給付金の部分については雇対法に基づき支給するものとするというように明確にいたします。それによって、雇用対策法にはその給付金のメニューがございますので、「するものとする。」と書いてある以上、これは当然支給することになってまいります。そういう絡みにおいて、いままでの特別法と同じ内容の給付金が担保できるというように考えております。
  68. 永井孝信

    ○永井委員 この問題の最後に、これらの雇用に係る給付金の整備充実と中高年齢者及び心身障害者の雇用確保、すなわちこの雇用率の達成という緊急的課題もいまあるわけでありますが、政策的にその緊急的課題についてどのように連動させていくのか、労働大臣、ひとつこの問題の締めくくりとして決意をお聞かせいただけませんか。
  69. 藤尾正行

    ○藤尾国務大臣 いま緊急に私どもに与えられております問題は、雇用率の達成がまだできていない、これを早く達成させて、さらに一段階進んだ段階に進むことができますようにそういう努力をしていかなければならぬ、こういうことでございますから、この種の問題につきましてもそういった目的に沿いますように活用、運用をしてまいりたい、かように考えておるわけでございます。
  70. 永井孝信

    ○永井委員 次に、問題が変わるのでありますが、大変な内容を含んでいる問題でありますだけに、具体的な問題として提起をして質問してみたいと思うのであります。  兵庫県の西宮市に指月電機という電気のコンデンサーなんかを主に扱っている会社があります。この業界ではかなりトップに位置する会社でありまして、秋田とかあるいは遠くは韓国にまで工場を持っているという企業であります。その企業でここ数年来合理化をめぐって労使がかなり対立をしてきたという経過がありまして、その対立してきた内容はそれぞれその時点で和解をしたりして片づいている問題もあるのでございますが、最近不当労働行為というよりもむしろ人権侵害に思われるようなことが起きてまいりまして、実は私、この間現地へ調査に行ってまいりました。調べて整理をいたしましたものをここへ持ってまいっておりますので、私の質問にお答えいただきやすいように問題点に赤鉛筆を入れておきましたものをお渡しいたします。  この指月電機というのは社会的に問題のある企業だと地元ではかなり指弾をされてきた企業なんです。たとえば、労働問題とは全然関係ないのでありますが、昭和五十二年に問題になりましたPCB、あれを廃棄処分にする際に市の水源地のそばに廃棄をして大変な社会問題になった、そういう経緯を持っている企業なんです。企業の全体を推定していただくのにたくさん新聞の切り抜きがありますけれども、こんなにたくさん当時問題になった経過があるのです。現在もなお工場の構内には六百トンを超えると言われるPCBが野積みされているというそういう企業なんです。そうして、当時西宮市が確認しただけでもPCB入りのコンデンサーが二千三百三十七個、PCBの量にして千二百六十リットル、これだけのものが水源地のそばに投棄をされた、その後具体的な対応がとられないままいまだにPCBの汚染を続けているという企業なんです。だから、この地域ではかなり問題になっているわけでありますが、廃棄されていたコンデンサーを回収したのでありますけれども、市の環境部も余りのひどさにあきれ返っている、こういう企業であるということをまず冒頭に申し上げておきたいと思うのであります。  この指月電機が、そういう問題もあって九州の方に新しい工場をつくって移転するという計画をつくった。この移転することについて労働条件上大変な問題があるということで当時労使の関係で大変な対立を生じまして、お決まりのように第二組合というのができていったわけであります。第二組合は会社の方針に全面的に賛成、第一組合の方は反対ということで、配転をさせない、工場廃止をして休止へ持っていかないという確認書は一応とっているのですが、仮に第一組合の組織がなくなればその障害はなくなるのですから九州へ行けるわけです。  そういうことからきわめて最近不当な行為が目立ってきた。これはすでに労働基準監督署に申し立てをしている、あるいは地労委へも提訴しているという問題でありますが、そういうことがあるということを御承知ですか。御承知なさっているかどうか、一言で答えてください。
  71. 岡部晃三

    ○岡部説明員 指月電機の問題につきましては労働者側から申告がございまして、さらに加えまして先生あるいは土井たか子先生あるいは片山先生が最近署に見えまして実情を調査されたという報告を受けているところでございます。
  72. 永井孝信

    ○永井委員 そこで問題は、労働基準法の五条に基ついて申し立てているのですが、労働基準監督署は、申し立てをしたことに対してこれは強制労働に当たらない、内容はいまから具体的に申し上げますけれども、そういうことでなかなか権力を使って問題の解決ができないということから内面指導を行っているようであります。そうして私は基準局の方にも行ったのでありますが、基準局の方も具体的に基準局として動くわけにいかない、地労委へ提訴されておるものですから、地労委へ提訴されておるものを基準局が立ち入ってどうこうということはなかなかできない、こういう一つの障害に実はぶつかっておるわけです。  それはなぜかというと、その内容が単なる不当労働行為ではない、私はそういう基準監督署の対応あるいは基準局の対応について、大変な御苦労を願っていることについては敬意を表しておるわけであります。  いまお手元にお渡ししました資料をちょっと参考にしてほしいのでありますが、どういう具体的な問題が起きているかというと、たとえば中村君というのは労災でけがをした。けがをしたアフターケアとして、本来の業務ではなくて床のペンキ塗りを業務命令で命じられた。それは当然あっていいことなんでありますが、その。ペンキ塗りをする際に、来客用のくつでないと上がれない場所のペンキ塗りであったために作業用のくつをはいていたのでは困るということで上司に相談したら、上司が来客用のくつをはいて作業しろということだったので来客用のくつをはいて仕事をした。そうしたらくつにペンキがついたペンキがついたのはけしからぬということで大変なつるし上げが起きているわけです。  そしてこの安全ぐつをもとに戻せとか弁償できないんなら始末書を出せとか、その始末書の中身が大臣、ふるっているのですが、いかなる処分も甘んじて受けますという始末書を出せというのです。これから出てくるケースは始末書は全部それなんです。いかなる処分も甘んじて受けるという始末書を出せ、こんな始末書の取り方がありますか。就業規則でこの種の始末書をとるようなことが明記されていないはずでありますが、就業規則を超えたような制裁を行うことについて、一体労働行政がどう受けとめるのか、私はこれは大変な問題だと思うのです。  そして結果として本人はそのくつ、三千五百円を弁償したのでありますが、そのことから端を発して、おまえは仕事をしなくてもいい、外の農道で立っておれということで工場外の農道に立たせているわけです。私は現地も見てまいりました。これは工場の敷地じゃないのです。外の農道に、ここに立っておれと命令する。これが業務命令だ。そんな業務命令には従えないと抵抗すると、いかなる処分も甘んじて受けますという始末書を出せ。このケースが次々と起こってくるわけです。  たとえば吉田君というのが指定された時間までにレポートを出せなかった。君はきょうからそこに立っておれ。机もいすものけてしまって、六十センチ四方にテープを張ってこの中に立ってなさい。一日立たすのです。  あるいは仕事で不良品をつくった。上司の言うとおりにつくったと本人は言っておるのでありますが、上司の言うとおりに作業して、つくった品物が不良になった、その責任を問われた際に、上司になぜそのときに手順が間違っているということを確認しなかったのか、それは働くおまえの責任だ、だから始末書を出せ。この始末書もこれまた同じようにどのような処分でも甘んじて受けますという始末書を出せ。そんな始末書は出せないと言うと、第一工場の東北のすみにこれまた一日立っておれという業務命令が出る。この業務命令に従わなかったら、おまえはあしたから仕事に来るな、こういういやがらせが続くわけです。  時間がないからはしょりますけれども、たとえば田畑という女性であります。この女性はキーパンチャーです。このキーパンチャーが一つ数字を打ち間違えた。おまえは仕事に熱意がない、反省しろ、反省するまではそのすみにいすで座っておれ。ずっと朝から座らされるわけです。座っておってトイレに行きたくなったからトイレに行かせてください、こう言うと、上司はトイレは時間中に行くべきでない、休憩時間までしんぼうしろと言ってトイレにも行かさない。  労働大臣、これは労働基準法以前の問題なんです。こう考えていくと労働基準法の第五条に言う強制労働、裏返して言えば強制労働を超えた苦役を業務命令と言って乱発している。これは職権乱用ではないのか。このことを通してもうしんぼうし切れずにやめていった組合員もいるわけですし、目的は組合つぶしにありますから、そのことは地労委でやるとして、この種の人権侵害が、正義感の強い労働大臣がいま座っている労働行政の中で堂々と行われることについて、労働大臣はどのようにお受けとめになりますか。
  73. 岡部晃三

    ○岡部説明員 この指月電機の問題につきましては、労働基準法第五条の強制労働違反ではないかという形の申告がありまして、調査をいたしたわけでございます。  基準法第五条そのものは暴行、脅迫、監禁等々によりまして労働者の意思に反して労働を強制してはならない、こういう条文でございます。この条文そのものには直ちに違反とは断定できなかったところでございます。  しかしながら、行政官庁といたしましてこのような非常に荒廃した労使関係というものを黙過することはできないということから、労働者が円滑に仕事ができるように配慮をしているところでございます。今後とも状況に応じまして適切な指導を監督機関といたしましても心がけてまいりたいと考えております。
  74. 永井孝信

    ○永井委員 適切な行政指導ができるくらいなら監督署だって基準局だって苦労要らないのですよ。  具体的な例を申し上げますと、私たちが調査に入ると言ったものですから監督署は何とかそれまでに解決の糸口を見つけたいと――その誠意は私はくみますよ、誠意は。そして、企業の側にいろいろアドバイスをした。そうしたらいま言った田畑という女性は、そういう行政指導をしたらきょうから就労させるという約束をさせたということでしたので、私は現地に行って本人を呼んで聞きました。一日いすに座らしておったものを十五分間だけ本務でない掃除の業務につかせて、掃除が済んだらまた座っておれ、こう言ったわけです。一日のうち十五分間掃除をさせて、これで監督署の行政指導に基づいて対処したと言えますか。  そしてもっと問題なのは、地労委に提訴している部分がありますので地労委がこの問題について調査に行った。この調査、実地検証も全部企業は拒否しておるわけです。地労委の調査も拒否している、私たちが行っても会おうとしない、労働基準局が具体的にその問題で立ち入りをしようとしてもそのことは認めない、県の労働部が具体的な指導に乗り出したら門前払いを食わされる。どこが行っても企業の側に直接会って実情を調べて対応することができないのですよ。そうして地労委に対する答弁書もここに私は持っていますけれども、その答弁書は、すべてなかった、そんなことはない、就労をしろと言っても本人がしないんだ、真っ向から否定する答弁書しか出てこないのですね。  これでは真実をつかみようがないわけですよ。ヨーロッパのように労働裁判所でもあれば迅速にこの処理ができるのでありましょうけれども、日本はなかなかそうはいかない。裁判で黒白をつけろ。裁判で黒白をつけるということになると時間がかかる。その間人権侵害は続いていくわけであります。人権侵害が続いていくということは結果として労働者がそこで働く機会を失ってしまうことになる。みずから失わざるを得なくなる。  門の外に、問題を起こした中村君が就労しようと思って朝出勤すると、おまえはきのう業務命令で立っておれと言ったのに抵抗したんだからきょうから入ることはならぬと言って、本人直接にロックアウトしてしまって入れない。そして入れなくて、そのことが結果として後に尾を引いて、経営者のトップの方は、君は就労しなかったのだから始末書を出せ、いかなる処分も甘んじて受けますと。いかなる処分も甘んじて受けるという始末書を出すと、就業規則による解雇から含めてどんな処分をされるかわからぬわけでしょう。そんな始末書を出せないと抵抗するのはむしろ労働者としては当然なことではないでしょうか。  そして人権擁護委員会にも問題を持ち込んだ。人権擁護委員会は、労使の問題だからタッチできないので労使の間で解決してくれ。一体労働者はどこへ持っていったらいいのですか。  私は、正義感に燃えた労働大臣であるだけに、この種の問題はゆゆしき問題でありますので、いま地労委にもかかっている、労働基準監督署にも申し立てを行っている問題でありますけれども、事が事だけに、労働大臣として私のいまの話を聞いてどう対応されようとするか、ひとつ決意を言ってほしいのです。
  75. 藤尾正行

    ○藤尾国務大臣 どういうことになるかわかりませんけれども、私、やりましよう。
  76. 永井孝信

    ○永井委員 やってください。いま大臣のやりましょうと言われたことは私は千鈞の重みを持っていると思いますので、ひとつ大臣を信頼します。具体的にこの問題が解決できるように御指導願いたい、これが一つであります。  もう一つは、現地に行って調査をしようにも相手が会わない。いま言ったように県の労働部が入って調査をしようとしても拒否をされてしまう、地労委が審理にかかっている問題ですから実地検証しようとして行っても門前払いを食わされてしまう。こういうことではどうにもならぬわけです。  ですから大臣がやりましょうと言われたことを全面的に信頼しますけれども、まず実情を具体的に何らかの形で把握をしてもらいたい。把握をしてもらった問題と、労働大臣がやると言われたことについて、どのような結果になったかは次のしかるべき委員会で私が再度質問いたしますので、調査の内容などについても明らかにしてもらいたい。その上においてその後の対応を私たちも考えていきたい。こう考えますので、よろしゅうございますか、そのことでいいかどうか、調査の問題も含めて。
  77. 中村正

    ○中村説明員 地労委に係る問題もございますので、私の方で監督機関と協力いたしまして実態を把握したいと思います。
  78. 永井孝信

    ○永井委員 この前予算委員会の分科会でこの種の問題を私も質問したことがあるのですが、再度ここで申し上げておきますと、私たちの調べた全国の中で十四都道府県、そうして二十五の単産、この中でいま現実にこのような労働争議が行われているのは五百七十九組合に上っているわけです。これが賃金を上げろとか上げないとかいうことの紛争ならわかるのでありますけれども、そうではない不当労働行為によって紛争が起きているのが、そのうち三百二十の企業にも上っている。これは指月電機が特に特徴的な問題でありますけれども、近代社会、近代国家と言われているこの日本の中でいまだにこういう問題が次々起きてくるというのは、やはりいまの労働関係の法律、基準法も含めましていわゆる労働法にまだまだそういう面では不備があるのではないか。基準局にしたって基準監督署にしてみたって労基法の違反ということが具体的に出てくれば直ちに対応できるのですけれども、労基法を広げてみてもこういう特殊なケース、不当労働行為に係る陰湿な問題というのはなかなかとらえ切れない。そこから問題の処理が長引いてしまう。その問題の処理が長引いている間は労働者はみずからの生活を支えるために大変な苦労が起きてくる。これは雇用の確保とか雇用の拡大とはまた別の角度で大変な問題でありますので、これらの全般の不当労働行為が根絶できるような対応を労働大臣に特に私は御注文申し上げまして、私の質問を終わりたいと思います。  どうもありがとうございました。
  79. 戸井田三郎

    ○戸井田委員長代理 次に、草川昭三君。
  80. 草川昭三

    ○草川委員 公明党・国民会議の草川昭三でございます。  まず第一に、今回の各種給付金、これは雇用関係でございますが、あるいはまた職業訓練関係の給付金を整合化するあるいは統合して充実をするということは私どももかねがね主張しておったところでございまして、これは心より賛意を表する次第であります。  しかし逆に、この際に、このようにたくさんの給付金が制度化したという歴史的な経緯について、いわゆる労働省としても雇用なり職業訓練等についての長期展望をもう少しロングランで見ることが必要ではなかったのだろうか、こう思うわけであります。労働省としては特に関さんなんかを中心にして非常に先見性のある雇用対策に従事をしておみえになりまして、私どもの立場から申し上げましてもかなり先行して制度化をし、はっきり申し上げれば、われわれ野党の立場からいいましても物を言うということが比較的少なかったように思うわけです。それだけに逆に充実をすることが必要だと思うので、この際一度洗い直しをする意味で、現行のいろいろな問題についてきょうは申し上げてみたいと思うのです。  その最初に、最近の雇用状況というものがどのようになっておるのか、非常に景気のかげりが出てきており、雇用についてもかなり深刻だと言われておりますが、全体的な動向についてお伺いをしたいと思います。
  81. 野見山眞之

    ○野見山説明員 最近の経済は、昨年来設備投資は比較的堅調でございますが、個人消費が伸び悩みの傾向になっておりまして、経済全体としては内需を中心として拡大テンポが緩んできているという状況だと思います。  この中で雇用情勢につきましては、全体としては安定的に推移いたしておりますけれども、一昨年来の改善傾向につきましては、昨年の後半以降、やや足踏みの傾向が見られるというふうに判断しております。具体的には雇用労働者の数は百万人を超える大幅な増加が続いておりますけれども、完全失業者が、昨年の後半に入りまして、前年同期に比べましてやや高い水準になってきている。ただし、完全失業率は昨年の十一月ごろから比べますとやや低下をいたしております。  また、労働市場の状況でございますが、昨年の前半は求人が依然として伸びておりましたけれども、後半に入りまして求人の減少あるいは求職者がやや増加傾向にあるということで、求人倍率につきましては、昨年の秋以降、〇・七二倍程度で推移しているというような状況でございます。  ただ、こういう状況に対しまして、本日、経済対策閣僚会議におきまして景気の拡大と物価の安定を目的とした第二次総合経済対策が講じられることになりましたし、その中で景気の着実な拡大のための諸施策が講じられていくとすれば、この雇用情勢につきましては、五十六年度、次第に改善傾向に戻っていくことが期待されるのではないかというふうに考えております。
  82. 草川昭三

    ○草川委員 ただいまのところ、冷え込み、それが雇用に関係をしておるという御答弁でございますが、特に今後、中長期的に見て急速な高齢化の進展というのがあるわけでございますし、労働力の高学歴化というのですか、そういう問題もございますし、女子労働者の問題、これは非常にいろんな意味でまだ解明をされていないわけでございまして、産業構造あるいはまた職業構造等の転換等の問題があるわけでございますので、ぜひ構造変化に対応をすることが必要ではないだろうか、こう思うわけでございまして、ここで今回の改正による給付金の整備状況ということになるわけです。  それで、今回の給付金の整備というのは百くらいあるというのですけれども、それを三分の一程度にして充実をする、そして同時にわかりやすいように、あるいは利用をしやすいようにする、こう言っておみえになりますけれども、基本的な考え方を簡単にお答え願いたいと思います。
  83. 関英夫

    ○関(英)政府委員 今回の整備充実の第一は、先生御指摘のように百に上るような給付金の種類を三分の一くらいにするために整理統合してわかりやすくするということにございますが、単に形式的に統合するだけでなく、やはり先生御指摘のようなこれからの社会に十分適応するものにしていこう。  その一つは、何といっても急速なスピードで高齢化社会に向かっていく、その高齢者の雇用の確保に役立つものにしていきたい、高齢者の継続雇用あるいは定年延長、そういったものに役立つように。  第二番目には、高齢者はもとより心身障害者あるいは寡婦など、非常に就職困難な方々、そういった方々の雇用の場を確保する助成制度を考えていきたい。その中には特定不況地域等における中年者までも含めてそういったものを考えていきたい。  それから第三番目には、長い職業生涯を十分活力を持って働いていただけるためには、その職業生涯の節目節目で訓練、能力開発、こういったことをしていく必要がある。そういうものを助長するような制度を考えていきたい、そんなようなことをいろいろ考えまして、今回の改正を考えているわけでございます。  簡単に申し上げました。
  84. 草川昭三

    ○草川委員 いまのような局長の答弁でございますので、じゃ、今度はひとつ具体的に。  中高年齢者雇用開発給付金というのが現在あります。ところが、申請の手続がいわゆる起算日から一カ月以内という条件がついておるわけですよ。これは中小企業のおやじさんにとりましては非常に苦しいんですよ。入社してから一カ月以内に手続しろと言ったってなかなかこれは問題があるわけです。  私、いろいろな友達があるので用紙をもらってきたのですが、中高年齢者雇用開発給付金、一番これが利用者が多いのですが、書くことがたくさんあるのです。これをもう少しわかりやすくやれぬかと、こう言うのですが、安定所に言わしてみれば、これ以上わかりやすくすると困ると言うのです。ごまかしもあるかもわからぬけれども、最低だと言うのですが、中小企業のいわゆるおやじさんが一番この制度を使うのです。だったら、いま少しこれを簡便にするのがいまの局長の御答弁に合うのじゃないかと思うのです。  この一カ月以内というのは、私も個人で相談を受けたことがあるのですが、たまたま二カ月日に気がついて行くと、窓口では過ぎておるからだめだと、こう断られるわけです。それで私どもも何とかならぬかと言うと、もう順番が決まっておるからだめだとか、かなりややこしいことを言うのですが、お願いをしたこともあるのです。お願いをしたこともありますから、まあまあ中には便宜を図らっていただいておりますが、起算日から一カ月以内というのは中小企業ではちょっと厳し過ぎるのじゃないかというのが一つ。  それからもう一つ、起算日から六カ月ごとを単位に期間経過後一カ月以内に安定所にやりなさい、六カ月を区切って、しかも七カ月目に申請しろと、こうくるわけです。これも、専門の労務課長がいる企業ならできるのですが、まあまあおやじさんだとか奥さんがやっておる中小企業ではちょっとえらい。しかし実際にそういう中小企業にいま中高年齢だとかがいわゆる流れていくわけです。だから、大企業、能力のあるところでこれを使うわけではなくて、能力のないところがこの給付金を一番使って喜んでおる組織ですから、この申請手続の簡素化ということがいま少し考えられないか。  それから同じように定年延長奨励金もそうなんです。定年延長奨励金、これも十二月末日現在における支給対象者について翌年のこれも一月末までに申請しろというわけです。一月というのは正月休みです。大体十日ぐらいから稼働するわけですから二十日間しかない。中小企業のおやじですから、一週間ぐらいあいさつ回りだ。定年延長奨励金の申請も、中小企業には実に手続上苦しいというわけです。  それと、安定所に聞くでしょう。皆さん、安定所の大幹部ですが、安定所も一年分のを一カ月でやらなければいかぬわけだから、安定所の職員も、これは個人的に言うと、ぶつぶつ言うのです、一月は大変忙しいと。一月はあんたのところは暇だろう、就職なんか余りないからと言うと、いや、一月はこの定年延長奨励金がどっと来るので、しかもこれは一年分を一カ月でやるのだからと。  これは何とかなりませんか。
  85. 守屋孝一

    ○守屋説明員 まず先生、前段の方でございますが、いまの中高年の雇用開発給付金の申請手続、一カ月で出せというのが非常に大変だというお話があります。これは一つには期間が短過ぎるということもさることながら、書く内容が非常にむずかしい。といいますのは、ここで一つの要件になっておりますのは、高齢者の雇用率がどう高まっていったかというようなことも一つの判断基準になっておりますので、そこら辺、年齢ごとに拾っていったりするのが非常に大変だというような問題もあるかと思います。  私どもは、今回の新しい特定求職者の雇用開発助成金につきましては、どの程度雇用率が高まったかということを要件にするという考えは余り持っておりません。     〔戸井田委員長代理退席、湯川委員長代     理着席〕  ただ、高齢者を首切って、また高齢者を雇ってこういう給付金をもらうというようなことがあってはいけませんので、その点の歯どめはいたしますが、雇用率を高めるというような点は余り要素に入れなくていいんじゃないかというようにいま考えております。もちろんこれは審議会でまたさらに御議論いただく点ではございます。そうなりますと申請書の書き方も大分楽になってくるという問題もございます。楽になってくれば、一カ月を二カ月に延ばさぬといかぬということも余りなくなってくるんじゃなかろうか。私どもの方もできるだけこれは早く処理したいというように考えておりますので、余り長々と延ばすわけにもいかないと思います。税務署の青色申告もたしか余り長々と延ばすような感じじゃございませんので。まあ税務署と一緒にするのはどうかと思いますが、余り延ばすというのもどうかと思います。  もう一つは定年延長奨励金の方でございますが、これも十二月末で締めまして一月末までに出していただくということにしておりますのは、これを二月末とかなんとか延ばしていきますと、その年度の予算支出ができなくなってまいりまして過年度になってしまうという可能性もございます。この辺どのようにその内容を簡素化できるかというのはなお検討はいたしますが、余り延ばすということもどうかというように考えております。それは予算の支出面からも若干問題があるという点を御理解いただきたいと思います。
  86. 草川昭三

    ○草川委員 いま守屋課長の方から余り細かいことについてはこだわらないというお話でございますし、私も以前からそういうお話は聞いておりますが、実際窓口へ行きますと、四角四面というのですか、役所の通達があるわけですからかなり厳しく対応しております。これは厳しく対応することが当然だと思いますけれども、やはりその点は善意の立場があるならば理解をしていただきたい。  それから、いまおっしゃった中に雇用率を高めるだけが目的じゃないとおっしゃいましたのですが、実は中小企業というのは大企業と違いまして、やめる、入社するというのが頻々なんですよ。ですから、たまたま前年度一人やめて新しく高齢者を採用した場合でもそれは対象外になるわけですよ。いわゆる実績プラス一名でないと一名分の請求ができないわけですよ。前年度たまたま一人やめておりますと新規補充はこれらの対象に適合しないわけです、雇用率を高めるという目的があるわけですから。それもいま課長がおっしゃったように余りこだわらぬと言いますが、現実にはだめなんですね。  それから、定年延長の場合も、定年制というのが就業規則にはっきり書いてないとだめですね。これも中小企業の立場ではそう明確な定年制というのがない場合もございまして、私ども、今回政府が雇用給付金政策でこういうことをやってくれたんだよと、そうすると中小企業は喜んで申請に行くと、草川君あかんやないか、おまえ言うだけでだめや、全部断られたよと。なぜかというと、去年実は一人やめておったとか、あるいは中小企業で定年制というものがはっきり書いていなかったからだめだったということがあるので、その点はどのように改善をされるのでしょうか。
  87. 関英夫

    ○関(英)政府委員 個々の給付金の種類ごとのお話を越えまして、要するに今回の給付金制度の改正の目的は、複雑多岐にわたるものを統合してわかりやすい、かつ活用されやすいものにしよう、こういうことでございますので、先ほど答弁がありましたように雇用割合というような要件についても見直しをいたすようにいたしております。  ただ、見直しをいたすと申しましても、一人の高齢者を解雇してすぐ新しい人を雇う、それを奨励するわけにいきませんのである程度の歯どめは必要でございますが、従来のような厳しい要件というものは緩和していこう、そういうことによってできるだけ簡素な手続によりこの給付金制度が活用されるように考えていきたいと思っております。  それからなお、定年制の問題についての御質問がございましたが、定年延長を助成するために定年延長奨励金制度があるわけでございます。定年制度がない企業は、定年という一定の限界がないわけですから、十分本人の意思によって雇用が続いていくわけでございます。そういうところで定年延長ということはないわけで、定年制度が就業規則なり労働協約でしかれており、ある一定年齢に達したことをもって、解雇の意思表示の必要もなしにそこで自然に雇用関係が切れてしまう、こういう定年を何としても延長してもらいたい、それを奨励する制度でございますので、制度としてないところはこれは適用にならない、こういうことでございます。
  88. 草川昭三

    ○草川委員 おっしゃるとおり制度のないところは対象にならないというのですが、中小企業の実態をぜひやはり知っていただきたいと思うのです。もう言われるとおりなんです。そのことについて批判はいたしません。  そこで、いま労働省は各種制度のパンフレットを事業団からたくさん出しているのです。それぞれ一冊ずつには説明が書いてありますが、たまたまいまのように、もっと中小企業については、定年制度も五十五とか六十とかはっきり書きなさいよ、そうしたらこういう制度も適用になりますよというもう一つ踏み込んだ親切な説明書が私は欲しいわけです。これを中小企業のおやじさんが一番欲しがるわけです。私どもは中小企業のおやじさんと一番会って説明をするわけです。それで、頼むよ、年をとったおじさんを雇えば政府がこういう援助をするよ、こう言うと、そんないい制度があったらもっと早くPRしてくれと言うから、こういう。パンフレットを持っていっては配るわけですからね、もう一ついまの話をやっていただきたい。ここの議会の答弁は関さんがおっしゃるとおり、一言も異論はありません。現実にしかしそれを適用させなければ意味がないわけですから、もう一歩踏み込んだぜひPRというのですか宣伝をお願いをしたいわけです。  そこでもう一つ、身体障害者の方々についてのいろいろな設備等の助成金もあるわけです。これも私の知っている方で身体障害者を雇っている方のところに制度の説明に行きましたら、これもいいけれども、ぼくは昔から身体障害者を一人なり二人なり雇っておるんだ、ところが過去にさかのぼらぬのですね、この制度というのは。できてからになるわけですから、そこら辺について、本当に昔から善意で障害者の方々を採用している企業にも、設備の問題なり助成金なんかが遡及して行われることこそ必要だと思うのですが、そういう点での便宜的な考え方はないでしょうか。
  89. 関英夫

    ○関(英)政府委員 身体障害者に関します助成制度には、新たな身障者の雇い入れを助成する場合と、つまり身体障害者の雇用を促進しますために、新たに雇用した場合に少しでも事業主の経済的負担が軽減されるように一年間とか助成金を出すというような制度と、それから、現在雇っている身体障害者によりよく働いていただくために作業設備を変えますとか工場を変えますとか、いろんなそういった施策を行う場合の助成制度というものがいろいろございます。  恐らく御指摘のものは、新たな雇用に対して助成する、ところがある企業においてはすでに相当前からずっと雇っている、一遍もその助成に浴したことがない、こういうお話だろうと思うのですが、制度が新たな雇用を促進するための助成制度でございますので、従来からずっと雇っている方に着目しての制度ではないわけでございます。  なお、身体障害者を雇用率以上に多数雇用している場合、あるいは中小企業で非常に多数雇用している場合の報奨金制度あるいは雇用調整金制度がございます。したがって、雇用率を超えている場合には、従来から雇っている事業主の方にもそういった給付制度があるわけでございます。
  90. 草川昭三

    ○草川委員 それはいろんな組み方を考えて障害者の採用ということについては促進をしなければいかぬと思いますので、それはひとつ要望を申し上げておくわけです。  そこで、ちょっとこれは問題が外れますけれども、実は身体障害者の方々の雇用促進について地方自治体等の協力というのですか物の考え方について、これは厚生省にもお伺いをしたいと思うのです。  実は身体障害者の福祉会館というのがいま全国的に各地につくられつつあるわけでございます。たまたまこれは具体的な事例で、名古屋市が総事業費八億五千万でかなり大きな身体障害者の福祉センターというものをつくりまして、そこにスポーツセンターを置きまして、水泳だとか車いすのバスケットだとか訓練室だとか研修所をつくる、非常に大型なものをつくるわけです。これは厚生省からも国庫補助が一割程度でございますか、ついておるわけです。これは大阪にもあるようでございまして、相当大きいので、全国的にどういうような運営をやっておるかということを少し聞きたいのですが、私が申し上げたいのは、とにかくそういうようなりっぱな訓練設備ができたので、その運営なり管理人に障害者の方々の採用ということを促進できないかというのが私の意見なんです。  名古屋市の場合で例を申し上げますと、車いすの障害者のグループの方々と市の管理をする担当のところが窓口で話をして、障害者のグループで福祉法人をつくって、運営について委託をさせてくれぬか、よかろうというようなある程度の話し合いがあったと私は聞いておるわけです。それはどの程度になっておるかわかりませんが、しかしどういうことか、結果としては直営になってしまったそうです。組合との関係もあるのでしょうね。直営になってしまって、障害者の方々が実際に仕事ができないわけですね。非常に残念がってみえるわけです。  このような設備というのは障害者自身でないとわからない点があるのです。たとえば車いすだとどこかのスロープがどうだとか、バドミントンをやるときにどうだとか、卓球をやる場合にどうだとかというのは、健常者ではかゆいところに手が届くということがなかなかできない。ひとつ障害者自身に管理をさせていただいたらどうだろうかといって非常に熱望があったようでございますが、これはだめになってしまった。  こういう例があるのですが、どうでしょう、この障害者福祉会館の運営等について、厚生省としては自治体側にどのような協力の要請をお願いしておみえになるのか、お伺いしたいと思うのです。
  91. 板山賢治

    ○板山説明員 先生御指摘の名古屋市の身体障害者のセンター、これはA型という大きい身体障害者のセンターでございますが、本年五月開館を目指していま整備が行われ、おっしゃるように運営をどのようにするかというようなことについても、職員の採用等についても市が努力をいたしておるところでございます。実は当初、お話がありましたように障害者団体に運営を委託しようかということも市は検討したようです。ただ、私ども障害者福祉を担当いたしておりまして、一口に障害者といいましても、視力障害者、聴覚言語障害者あるいは肢体不自由者、そしてそれらの障害の種類別に、また物の考え方、運動の進め方というものが団体によって非常に格差があるわけでございます。なかなか全障害者に共通の中庸不偏の団体というものが持ちにくい、そういう実情にあります。ですから、障害者団体に委託しようとした名古屋市の意図も、そういった物の考え方の調整というふうなことができなくて、結局は直轄でやらざるを得なくなったという経緯を伺っているわけです。  全国でいまA型のセンターという大きい方が十五ほどありますが、その中で七カ所ほどが、直営ではなくて社会福祉事業団というものに運営を委託しておるわけです。私ども補助金を出します際にも、公共団体が直営するか、社会福祉事業団あるいは社会福祉法人に委託をしてもいいというようなことをいたしておりますが、なかなか障害者団体に委託をするという例が出てまいりません。その理由はいま申し上げたようなことです。問題は、名古屋市の場合に、これから職員を配置いたしますのに、いまお話しのように障害者自身がこれに当たれるような配慮をしろという点でございますが、これは私ども、補助をいたしておりますので、名古屋市とも十分に協議をいたしまして、指導をした上で、できるだけそのような方向で努力をいたしたいと考えます。
  92. 草川昭三

    ○草川委員 厚生省の御答弁を伺いましたが、一つの組織としてぜひそのような要請をお願いしたいと思うのです。  実は私、この問題も直接担当の課長さんに電話で申し上げたのですが、障害者の団体といってもやはり能力的に問題があるというようなこともはっきりとおっしゃるわけです。ことしは国際障害者年です。労働省としては、障害者の方々の就職促進は基本的な命題なんですけれども、地方自治体の担当者ですら障害者の能力的な評価ということをおっしゃるわけです。それは本音かもわかりませんけれども、そういうものがあるとするならば、いろいろな意味で手をかしてあげて、逆に行政側の方がヘルプをして積極的に自立をさぜることこそ、私は障害者福祉会館をつくった意義があると思うのです。そこで初めて国のお金が生きる、県のお金が生きる、名古屋市のお金が生きると思うのだけれども、何とまあ冷たい対応ではないだろうか。  これは具体的なモデルとして討論しても、いろいろさまざまな団体がありますから、一つの団体にやることはできないでしょう。それはわかります。しかし、条件に応じて福祉法人をつくるというのが――大阪は福祉法人をつくったのでしょう。委託してみえるのですね。大阪が福祉法人へ委託をしておみえになるのなら、全国的にこれを利用していったらどうだろうかと思うのですが、この私の提案については、労働大臣どうでしょう。
  93. 藤尾正行

    ○藤尾国務大臣 地方自治団体がおやりになっておられる問題でございますから、私が労働大臣といたしましてそのことについてとかくのことを申し上げるのは非常に差し出がましいところもあるわけでございますが、原則としては先生のおっしゃるとおりでございまして、そのような原則に沿えるものなら沿わせて差し上げるということに助力するのが私どもの一つの仕事であろうとも考えますので、頭に置きまして、どの程度のアドバイスをするかで非常に手心のむずかしいところでございますけれども、厚生省なり名古屋市あるいは愛知県等々とも話をいたしまして、あるいは一般的にそのような要望書を流しまして、御趣旨が通りますようにそのようなフォーラムをつくってみたい、かように考えます。
  94. 草川昭三

    ○草川委員 ぜひそのようなことを要望して、この問題は終わりたいと思います。  次に、職業訓練の方に移ります。  この職業訓練のあり方で、入校状況がどうだとか卒業後の就職状況についてお伺いをすればいいのですが、時間がございませんのでそれを避けまして、職業訓練校の中で特に高卒コースというのが定員に達していないという問題があるわけでございますが、職業訓練校の利用状況について、一般的な動向はどのようなものでしょうか。
  95. 森英良

    ○森(英)政府委員 お答えいたします。  職業訓練校の訓練種類別の入校状況を申し上げますと、五十四年度におきまして、養成訓練については八二・三%、能力再開発訓練については七六・四%、向上訓練については九七・八%という状況になっております。なお、高校卒の養成訓練につきましては、入校状況はちょっと悪うございまして三四・三%という状況でございます。
  96. 草川昭三

    ○草川委員 これはやはりそれぞればらつきがあるわけでございまして、いわゆる人気のあるコースと、不人気と言うと言葉は悪いのですけれども、多少ニーズに合っていない問題もあるので、今回のことを契機といたしまして、せっかくできておる訓練コースというものの見直しも私はぜひ進めていただきたいと思いますし、一面、いま私立のいわゆる各種学校というのが非常に人気があるわけですよ。特に国家検定のライセンスをねらうコースは非常に高い月謝を払ってもなお満員であるという状況もあるので、それは公共職業訓練校もあのようなものを見習うことがぜひ必要ではないか。これは率直に申し上げて、人気がないとするならば反省をすべきではないか。  そこで、これもちょっと私具体的な例を申し上げますが、技能検定制度というのがあるわけです。技能検定制度というのはかなり広範囲にわたっていま検定制度が行われております。これは拡充する方向かどうか。現在百を超しておると思いますが、幾つぐらいの職種で技能検定がやられておるか、お伺いします。
  97. 森英良

    ○森(英)政府委員 技能検定は、御指摘のとおり技能労働者の技能の向上とその社会的、経済的な地位の向上ということのためにきわめて重要でございまして、そういう目的で漸次拡大の方向で努力してまいっておるところでございます。五十五年度におきましては実施職種は百十三職種でございまして、これまでに検定に合格した者が約九十万人というところまでまいっておるところでございます。  今後につきましても、すでに就業構造上大きなウエートを占めております第三次産業における職種についての検定の問題でありますとか、あるいは一定の場所に集合して検定をすることがむずかしい職種につきまして現場での検定を行いますとか、その他いろんな流れ作業における職種あるいは複合的な技能の職種といったものにつきましても新しい技能評価技法を開発いたしまして、だんだんむずかしくなっておりますが、今後とも拡大の方向で努力してまいりたいというふうに考えております。
  98. 草川昭三

    ○草川委員 ところが、いま非常に人気のある電気工事士というのがあるのですけれども、電気工事士については技能検定がやられていないわけでしょう。屋内配線、非常に建築ブームになっておるわけですが、なぜ電気工事士に技能検定がないのか。  きょう通産省お見えになっておられますが、問題は、通産省の方に電気工事は行政上の責任があるわけでございますので、通産省の方が認めないと電気工事士は一級、二級の技能検定がやれないのかどうか。これをまず労働省からお聞きしたいと思うのです。
  99. 森英良

    ○森(英)政府委員 技能検定を新しい職種について行います場合には、訓練法に基づきまして政令でその職種を指定するということになっておりますので、これはやはり労働省のみではなく、関係の行政庁等につきましても合意を得てやりませんと、実際上動かない問題でございます。
  100. 草川昭三

    ○草川委員 じゃひとつ、通産省の資源エネルギー庁としては、電気工事士の技能検定についてどのような御見解を持っておみえになりますか。
  101. 越川文雄

    ○越川説明員 お答え申し上げます。先生お尋ねの電気工事士でございますが、これは昭和三十五年に電気工事士法というような法律によりまして設けられた資格制度でございますが、これは一般家庭での工事をいたします工事者についての資格を設けたということでございます。その資格を取得するためには、一つは筆記試験、また一つは技能試験というようなことで、その合格者に対して与えられておるということでございますが、四十五年には議員立法によりまして電気工事業の業務の適正化に関する法律というようなものもできてございます。これにおきましては、経験が三年以上という電気工事士免状の所有者が主任電気工事士というようなことで名前が与えられるようなこともございます。  こういったような関係の法律等において、すでに経験、技能に応じた資格制度というものが取り入れられておるわけでございまして、こういったような法令等との整合性をも勘案しつつ、電気工事分野における技能検定というものは考えていかなければならないのではないかというふうに考えてございます。
  102. 草川昭三

    ○草川委員 だから、きょうは通産省に幾ら物を言っても仕方がないので職業訓練局に物を言いますが、結局いまのような通産省の考え方ですから、労働省としての技能検定ができぬわけですよ。やはり屋内の電気工事士というのはどんどんふえて、しかも、これが消防法の関係からいってグレードが非常に高くなってきているのですよ。だから一級、二級にして、しかも通産省の方も触れられましたように、業界の方は逆に一級電気工事士、二級電気工事士というのをつくってくれ、こう言っているわけですよ。グレードをはっきりしてもらわないと、わずか三年以上の経験があればあとは熟練工も未熟練も同じでは、いまの場合に災害の問題等で困るという要求があるわけです。  そういうことを受けて労働省の方の職業訓練も一級、二級をどんどんつくって、そして訓練開発をすべきだと私は思うのですが、局長、どうですか。
  103. 森英良

    ○森(英)政府委員 この問題は、先生からも二、三度にわたりまして御指摘を受けている点でございまして、私ども検討しておるところでございます。  おっしゃるとおり、業法の電気工事士等の資格は、どちらかと言いますと保安の見地から定められておる資格でございまして、わが方の技能検定は、その職種についての技能の熟練度というものに着目して一級、二級等の検定を行っておるわけでございまして、両者は相反するものでなく、むしろ相補って両立するものであるというふうに考えております。  したがいまして、労働省といたしましては、この点につきましては五十三年の職業訓練法の一部改正の際にも衆議院の社労委の附帯決議がございまして、「技能検定を必要とするすべての職種に技能検定を拡大する」ようという御指摘も受けておりますので、先生の御指摘の趣旨を踏まえまして、積極的に関係省庁等と協議を進めてまいりたいというふうに考えております。
  104. 草川昭三

    ○草川委員 これは電気工事士という具体的な職種でございますが、せっかくいい制度があるわけでありますから、これは通産とよく話し合いをして取り上げていただきたいということを特に要望しておきます。     〔湯川委員長代理退席、委員長着席〕 じゃ、これは終わります。  次に、時間がございませんので、もう一回職業訓練の方に戻ります。  職業訓練について先ほどもモジュール訓練ということを言われておるわけですが、聴視覚訓練というものの役割りというのが非常に多くなってきておると私は思います。同時に、この職業訓練はわが国の国内だけの問題ではなくて、海外にも職業訓練というものは技術協力という面で非常に大きなウエートを占めてきておるわけでございますが、私いろいろな機会を与えられまして海外の青年協力隊の方々ともお話をしておるわけでございますが、日本から技術教育で旋盤だとかあるいは設計だとか電気溶接だとかいろいろなことをやっておりますけれども、その教材が日本語の教材しかない。だから少なくとも英語の教材が欲しいということで、もっと労働省の方の職業訓練にも予算が欲しい、あるいは外務省の海外技術協力の方にも予算が欲しいというようなお願いをしておるわけです。実際は日本と開発途上国との関係が非常に深まってくるのですが、開発途上国の中には、中東なんかはフランス語圏が多いのですよ、だから英語をしゃべる人はだめだと言うのです。英語なんかは生徒だ、教える教師の側はやはりフランス語をしゃべってもらわなければ困るというので、非常に協力隊の方々も困っておると思うのですが、一体海外の技術協力について、あるいは職業訓練という面でどのように外務省の方は考えておみえになるか、経済協力の立場からお伺いをします。
  105. 川島純

    ○川島説明員 お答え申し上げます。  先生御指摘の青年海外協力隊でございますけれども、これは協力隊に限って申しますと、現在二十四カ国に八百人余りという相当の数が出ております。隊員諸君の熱意もあって、おかげさまで非常に内外から好評を得ているわけでございますが、御指摘のたとえば職業訓練等の分野におけるパンフレットないし指導書ないしそういったもののたぐいはどうかとおっしゃることになりますと、先生御指摘の点そのとおりの面がございまして、何せ多くの国に、非常に異なった生活環境のところに出て、異なった内容の指導をしていることもございますし、他方その必要性は認識しつつも、現実に英語あるいはまた御指摘のフランス語、さらに申せば御承知の、国によってはそれぞれ現地語もいろいろあるわけでございまして、協力隊員がその本旨からいって、それぞれ地方に行き現地住民と生活をともにしながら技能を通じて協力をするというたてまえから申しますと、その国の言葉で協力し指導するのが一番望ましいわけでございます。  そこで、農林水産業でございますとか機械の保守とか自動車整備とか土木建築とか、きわめて多種多様な業種を指導するに当たりましては、現実にはスタンダードなパンフレットその他がなかなかないということで、実技をもってそれぞれいろいろな形で苦労して教えております。私どもも御指摘のような点考えておりまして、たとえば隊員が二年ほど苦労して、その経験を通じて、稲作であるとか機械の保守であるとか電気整備であるとかというパンフレット、指導書をつくっておるケースもございます。これはできる限り利用しております。それから現地の学校が教科書をくれとか楽譜を欲しいとかいう場合は、いわゆる機材供与費等で購入して贈っている例もございます。  さはさりながら、御指摘のとおりの英語あるいはフランス語の指導書といったものを、私ども今後ニーズをできるだけ考えて、御指摘のような点で関係省庁の御協力も得て作成、送付して、できるだけその実を上げたい、こういうふうに考えております。
  106. 草川昭三

    ○草川委員 労働省の方へお伺いしますが、いまのような海外の技術協力なり職業訓練の指導についていわゆるどのような考え方、あるいはいま申し上げましたようにモジュール訓練等が出ておるわけですが、いわゆる聴視覚教育等を含めて英語あるいはフランス語等をパンフレット等に採用する考え方があるか否や、お伺いします。
  107. 森英良

    ○森(英)政府委員 御指摘のとおり、これまでの協力は主として英語圏が中心になっておりましたので、これまでにつくってまいりましたものは大体英文のものでございまして、フランス語の教材というものはまだ手がけていないところでございます。  しかしながら、英文になっておりますと、英語からのフランス語、スペイン語等への翻訳は現地でもかなり経済的に簡単にできておりますので、わが国の海外の職業訓練センターにおきます教材につきましては、派遣専門家が現地で日本の関係あるいはいろんな資料を見まして現地で現地語でつくる。その教材のつくり方から現地のカウンターパートに協力を求め、その訓練をするという方向でやっております。  したがって、現地で使っておりますものはフランス語もあると思いますが、その基礎になりますものにつきましてはこれまでフランス語がなかったわけでございます。しかしながら、これから考えますと、アフリカのようなフランス語圏からの協力要請もだんだんに出てまいっておるような状況でございますので、先生御指摘の点も十分考慮してまいりたいというふうに考えます。
  108. 草川昭三

    ○草川委員 海外の職業訓練という問題は、政府の海外協力も前年度に比べて予算が二倍にふえておるわけです。そして政府の方の海外協力も従来のような大型のプロジェクトから人づくりというところに方針が切りかわっており、中小企業の育成という現実的に相手の国の利益を考えるような協力に切りかわってきておるわけでございますから、その方向で労働省の職業訓練も対応していただきたいと思うのです。いま局長がおっしゃいましたように、とりあえず英語で、向こうへ行けばフランス語に翻訳しやすいというのですが、日本人が教えるわけですから、問題は、向こうに渡すわけじゃないですから。ですから、まずこの日本の方々に、せっかく協力隊なりあるいは専門家として向こうに行かれる方にそういう資料、教材というものを積極的に与えてもらいたい。  労働省の予算は二倍にふえてないかもわかりませんが、国全体としては、海外協力については二倍にふえるわけですから、労働省もそういう意味で積極的に海外の訓練というものについて適応願いたい。  そしてまた、いま英語と言いますけれども、わずかですよ。全部の教材が英語になっているわけじゃないのです。ごくわずかの教材だけが英語になって、英語に対する予算がついたのは去年からですか、ことしからですか、それは昔からというわけじゃないので、これは積極的に今後、職業訓練は国内の問題も含めてできておる、モジュール化になっておるわけですから、最初からいろいろな組み合わせを考えられてやっていただきたいということを申し上げまして、時間が来ましたので、終わりたいと思います。
  109. 山下徳夫

    ○山下委員長 米沢隆君。
  110. 米沢隆

    ○米沢委員 私は、本法案の細目について質問をいたす前に、その前提となります若干の問題を質問さしてもらいたいと思います。  まず初めに、八〇年代の雇用情勢がどう推移していくかという問題でございますが、御承知のとおり労働力の需給関係には経済成長がどれほど進むかということが大きな影響を持っていることは事実でございます。  そこで、いろいろな統計を見ましても、八〇年代の前半は六%前後、後半はさらに下回っていくであろうというのが通説でございます。同時に、この経済成長予測を前提にしまして、たとえば一九八五年時点を推定したいわゆる就業者数の伸びというものは、これまた各種の統計資料を読みましても、高いところで産業構造審議会が出しました年率〇・九%、労働省の推計で〇・七六あるいは〇・六一というのが伸び率ですね。同時に、これに対する労働力の供給の予測は、政府の第四次雇用対策基本計画の前提となりました、あの雇用政策調査研究会の推計によりますと、一九八五年までの年平均の労働力人口増加率が〇・七九%、約六%程度の経済成長を前提にいたしましたときに、労働需給はほぼとんとん、大勢的には労働需給状況というのは顕著な改善が見出せない、こういうふうに読めるわけでございます。  ということは何を意味するかといいますと、現在の完全失業者数が百万人を超えて、失業率にして二%前後というものが維持され、有効求人倍率は一・〇倍を割り込むといった状況が、少なくとも八〇年代の前半まで続くという予測をせざるを得ないわけでございます。その上、御承知のとおり現実面では企業の人減らし、いわゆる減量経営というのは恒常化しつつございますし、経企庁なんかがやりました、たとえば新局面における企業構造あるいは安定成長に適応する企業構造等の調査結果を見ましても、いままでも景気調整局面には人減らし、減量経営をやってきたけれども、これから先もいわゆる減量経営に重点を置いてやるのだというような経営者側の発想が、この調査結果に出ておるわけでございます。  そうなりますと、先行きをながめましたときに、一体八〇年代前半の雇用情勢は少なくとも現在よりもいい方向に向かうのかどうかという問題と、同時に、第四次の雇対計画、それを作成されたときに、少なくとも八五年度の完全失業率を一・七%程度以下、あるいは有効求人倍率一・〇倍に近い水準とすることを目安にするというようなものが果たして守られる情勢にあるのかどうか、その点から聞いてみたいと思うのです。
  111. 関英夫

    ○関(英)政府委員 第四次雇用対策基本計画におきまして、昭和六十年を一応の目標といたしまして、先生御指摘のような状態を実現する、そのための雇用において講ずべき基本的な施策というものを掲げておるわけでございますが、先生の御質問は、最近の情勢から見て、そのねらいといいますか計画に狂いが生じているのではないかというような御趣旨かと思いますが、この第四次雇用対策基本計画は、同時に閣議決定されました新経済社会七カ年計画と歩調を合わせておりまして、そこでは、この昭和六十年までの平均の成長率を五・五%程度、こういうことで種々の試算をすると、有効求人倍率でおよそ一倍程度、つまり需給が大体均衡する、そういうもとでの失業率として大体一・七%程度が想定される、こういうことになっておるわけでございまして、それと平仄を合わせまして私どもの雇用対策基本計画を作成した次第でございます。  確かに、昨年の半ばごろまで非常に改善傾向にございました雇用失業情勢も、最近の景気の動向を反映いたしまして、昨年後半以降足踏み状態、横ばい状態といいますか、そういうような状況にございますが、一方で雇用者数は前年度を百万人以上上回るというような形で一応の伸びも示しておりまして、来年度にやがて入るわけでございますが、本日決定いたしました経済対策等についてよろしきを得れば、来年後半にかけて徐々に景気が立ち直り、雇用面でも明るさが増してくる。したがって、六十年度まで平均して五・五%程度の経済成長ができるならば、目標とした雇用の数字も達成できるのではないか、こういうふうに私どもとしては考えておる次第でございます。
  112. 米沢隆

    ○米沢委員 同時に、八〇年代前半の雇用情勢を展望しましたときに、やはり問題は雇用者数の動向、いわゆる労働力の需要の変動というものがかなりばらつきが出てくるのではないか、たとえば、消費構造の変化あるいは国際競争力の優劣の問題、技術革新の進捗度の問題等々で。ですから一般的にこれからの労働力の需要というものがどういうふうに伸びるだろうという、われわれが現時点で推測する以上にかなりのばらつきが出てくるのじゃないかという気がするのです。  同時に、労働力の供給という面から見ましても、御承知のとおり、新規学卒の労働力が相対的に低下していく、あるいは学歴がどんどん進行していく、高学歴化していく、あるいは特に、高齢化した労働力がどんどんふえていく、女子労働力がふえていく、そういう意味では、労働力の供給の面からもかなりの構造的な変化と言われるようなものが出てくるわけで、そこらを二つドッキングしたときに、従来どおりの予測というものがかなりいろいろな角度から変化していかざるを得ない。  そういう意味で、おっしゃるように将来に向けてそう心配されていないような答弁でありますけれども、かなりのきめ細かい対策を打たない限り大変な問題になるんじゃないか。そういう意味で、こういう需要の変化あるいは供給力の変化、そういうものが労働力需給というものにどういうインパクトを与えるのか、そのあたりをどういうふうに考えていらっしゃるのか、対応策をあわせて聞かせてもらいたいと思うのです。
  113. 関英夫

    ○関(英)政府委員 雇用対策基本計画等を作成いたします場合に、マクロの労働力の数の一応の予測を立てていくだけでなく、先生御指摘のように、供給面では、急速な高齢化、高学歴化、女子化――言葉が悪いかもしれませんが、そういったような労働力供給構造そのものの変化が見込まれるし、需要側においても、二次産業での労働力需要の伸びというものは余り大きく期待できない、三次産業が伸びていくであろう。簡単に言えば、そういうことで産業構造の変化が国際的な要因もあって非常に進んでいく、そういう意味で需要側にも変化がある、そういう変化を見通した上での雇用対策を講ずる必要があるということに一応なっているわけでございます。  その基本的施策についても計画の中でいろいろ出ておりますが、ただ、そういう労働力需給の見通しが常に目標どおりに進んでおるかと言えば、女子労働力の進出というような状況については、私ども、計画をつくるときに作業した以上の進出度合いになっておりますし、やはりその都度そういった計画についてはフォローアップをしていく必要がございます。  そういう意味で、経済審議会におきましても、あるいは私どもにおきましても、調査研究会を開催してその後の変化といったもののフォローアップもいたしておりますが、しかし、総体としての六十年度の先ほどの求人倍率等の見通しについていま手直しをしなければならぬほどのことはないであろうということで、経済審議会と私どもと両方で年々フォローアップをしつつ、そして対策もその時期に応じて、そういう変化に応じた対策を考えていかなければならないと考えているところでございます。
  114. 米沢隆

    ○米沢委員 私は、今後政府が一九八五年度の政策目標を達成されるかいなかは、やはりそのかぎは、今後労働時間の短縮がどうなっていくのか、あるいは定年延長がどうなっていくのか、あるいは雇用の創出というものが具体的に手をつけられるかどうかという、そのあたりがどれほど進むのかにかかっておるんじゃないかという気がします。  そこで、これはもう共通の認識だと思いますが、これから先の雇用の安定化のためには六つのポイントがあると思います。一つは、雇用機会の創出あるいは既存の分野での雇用機会の拡大の問題。二つ目には、労働時間を短縮して、その短縮分はできるだけ雇用の増大に向けるという、仕事の分かち合いというのですか、ワークシェアリングというのですか、そういうものにまじめに取り組まねばならぬという問題。三つ目には、中高年齢者の雇用の安定という意味から、いわゆる定年延長、雇用率の実効ある運用の問題。それから四つ目には、景気変動や産業構造転換に対して雇用を守っていくためのいろいろな措置の問題。あるいは公共職業訓練の改善の問題、あるいは不安定雇用と言われるような労働者の雇用改善の問題、ここらが指摘をされるんじゃないかと思います。  時間の許す限り順次質問をさせていただきたいと思うのでありますが、まず第一に、雇用機会の創出と拡大の問題でございます。  先ほどから言いますように、八〇年代の労働力の需給動向の予測は、需要と供給は大体バランスがとれて、完全失業者がかなりのレベルで残るということが予測をされるわけですね。さらに、先ほど申しましたように、産業別あるいは業種別の労働力需要の変動、あるいは高齢者の雇用状況の深刻な実態等をながめましたときには、雇用機会を大量に創出するということ、既存の分野での雇用拡大の必要性が従来以上に増しておるというふうに見なければならぬ、そう思うのですね。そのためのアクションがなされねばならぬと私たちは考えるわけでございます。  そこで、いま雇用開発委員会等が開催されて検討がなされておりますけれども、あるいはその結論を待たねばなりませんが、すでに結論が出ておるものもあり、あるいはもうすでに今度は雇用の創出という面で利用できるようなものが指摘をされておるやに聞いておるわけでありまして、この際、委員会を開催して報告がどうだという議論よりも一歩進んで、雇用の創出あるいは拡大、その面に向けて行政努力、しかと努力目標を置いてがんばってもらわないと、どうも口では言うけれどもむずかしいのだということでずるずる行くような感じがするわけでして、その点大臣、具体的な行政努力をやってもらいたい。来年から何をやるんだ、何をするというぐらいのことはある程度検討をいただいてこたえていただくような状況がいまの段階ではないかと思うのですが、大臣いかがですか。
  115. 関英夫

    ○関(英)政府委員 先に私から事務的なことを答弁させていただきたいと思いますが、雇用開発委員会の御指摘がございました。中央と地方に先生御案内のとおり置いておりますが、中央におきましては、まず第一回といいますか中間的な報告として、これから非常に発展が見込まれる職種についての職業情報を多分に盛った、そしてそういうところの雇用量の今後の見通しまで含めて職業ハンドブックというようなものを出して、今後発展が見込まれる雇用への誘導を図っていくべきである、こういう御提言をいただいております。その後さらに調査研究が続けられております。ハンドブックにつきましては、いまその作成に努力している段階でございます。  地方につきましては、先生御承知のように、五十四年度に五県設けましたところが一番最初でございまして、それが来年度三年目に入りますが、従来まで不況地域の離職者の実態、あるいはこれから伸びる産業はどういうものが考えられるか等々いろいろな実態調査、あるいは研究委託、討論を重ねておりまして、これから雇用対策を含め、その地域における雇用機会の拡大を図っていくためにどういう施策を講じたらいいかということについての論議に入って、五十六年度中には報告書が出されるという段階に来ておるところでございます。私どもとしてはそれを受けてそして対策を講じてまいりたいと考えておるところでございます。
  116. 藤尾正行

    ○藤尾国務大臣 ただいま安定局長から申し上げたわけでございますけれども、ともかく五十六年度中に報告書を出してくれるということでございますから、これを見なければ何とも言えませんわけで、ただ私どもが考えなければなりませんことは、こういった開発委員会の御報告といいますものは一つの指針でございまして、それを実態的にどのように具体化するかということが私どもの使命でございますので、こういった点につきましては中央、地方ともどもに、国、地方あるいはそれぞれの一つの地域圏といいますか、そういったところでどのような対応をすべきかということをよく詰めて、そしてお互いに話し合いをし、了解し合った上でそれを実行に移すような方向に持っていく以外にはない、かように考えます。
  117. 米沢隆

    ○米沢委員 それでは、雇用開発委員会の答申といいましょうか報告書の中で、具体化できるような指針あるいは指摘があったならば雇用創出をするという具体的な行動に移るというふうに見ていいですか。
  118. 藤尾正行

    ○藤尾国務大臣 そのとおりでございます。
  119. 米沢隆

    ○米沢委員 次は、ワークシェアリングの問題でございます。  最近、御承知のとおり欧米諸国との貿易摩擦の関連で日本人は働き過ぎだという批判が行われたり、あるいは日本の過重な労働時間がどうも国際競争力という意味ではちょっと公平を欠くものだというような理屈まで言われて、かなり労働時間の短縮という問題が世上の話題になってきておりますが、この点について労働大臣はどういうような御感想をお持ちですか。
  120. 藤尾正行

    ○藤尾国務大臣 この問題につきましては、そういった欧米の対日批判といいますものが当たっておるか当たってないかということにつきましては、私はそれなりに考え方がございますけれども、そういったこととは別に、私どもがいま御指摘のとおりこれから先高齢化社会を迎え、あるいは婦人労働を導入していかなければならぬというようなことも考え合わせて、ワークシェアリングを進めていかなければならぬことは、これは間違いのないことでございますし、また労働条件の将来の前進のためにも労働時間の短縮ということは目指していかなければならぬ大きな目標でございます。  したがいまして、とりあえず、いま非常な御批判を受けているわけでございますけれども、ともかくもここできるだけ短い期間に、いわゆる一応の指標とされております二千時間というものを割る程度のところに労働条件をそろえていかなければならぬ、さように考えておりますし、その際に、とかくのことは別といたしまして、ともかくほかの国がそれをやらなくてもあるいはそれに違反する行為をやっておりましても、そういうこととかかわりなく、わが国だけはどこから見ても、縦から見ても横から見てもちゃんとやっておるなというような姿にしたい、かように考えて、目標を決めてひたむきにそこに前進をさしたい、かように考えております。
  121. 米沢隆

    ○米沢委員 労働時間の短縮というものが是正されていく方向でがんばっていただくということはいまお聞かせいただきましたが、まあ結果的には時短が雇用情勢を好転させるものである。しかし、この段階においては、先ほどから言うておりますように時短イコール雇用の拡大につながるというものをもう少しクローズアップして強力な行政指導をしてもらいたいと思うのでございます。しかし、労働時間を議論する場合には、どういうふうな方向で労働時間を短縮するか。いま、たとえば労働基準法の改正等も含めて何か検討したらどうだという声も大変高くなっておるわけですね。だから何となく労使交渉に任して労働時間を何とか短縮しろということでは従来とそう変わらないと思いますし、同時に低経済成長でどうもむずかしいということになれば、雇用するよりも時間外、こういう形で出てくるのは人情みたいなものでございまして、そういう意味で、行政指導というものをどこらにポイントを置いて、時短させるためにどういうところにポイントを置いて強力な行政指導をなさろうとするのか、その点を伺わしてもらいたい。  そういう意味では、労働時間短縮約二千時間を割るぐらいとおっしゃいましたが、それを達成するための手段として何を考えていらっしゃるのか、あるいは時間外労働の削減の対策、あるいはいろいろな休暇がありますね、年次有給休暇等の完全取得の問題等々、口で言うだけではどうもならぬわけでありまして、いままでやってきたけれども、現実が現実ですから、そういう意味で、今後何か目新しい行政指導項目があるのかどうか、その点を具体的に聞かしてもらいたいと思うのでございます。
  122. 吉本実

    ○吉本(実)政府委員 雇用の関係におきまして労働時間短縮が大事だということは、私どもそのとおり受けとめておる次第でございます。  そこで、いまの御質問でございますが、私ども、昨年作成いたしました週休二日制等労働時間対策推進計画におきまして、いわゆる労働時間対策をいわば政府の具体的なやり方として目標を掲げているわけでございます。それが先ほど大臣おっしゃったように、六十年度までに欧米諸国並みの二千時間を割るという姿を達成したいということに期しておるわけですが、いままで、そういった点についてさらに一歩踏み込んで、それぞれの企業ごとにグループ分けをしまして、四グループぐらいに分けて、それぞれの業態の対応における問題点、それに対してどういう施策をしていくかというようなことを一つのグループ分けにして改善手法というものを考えたわけでございます。  したがいまして、この計画にのっとって今後進めてまいるわけでございますが、ただいま先生御指摘のように、具体的な内容としましては、何といいましても週休二日制の普及促進、それから年次有給休暇の完全消化の慣行を育成していく、それから過長な時間外労働時間というものを何とか抑えて圧縮していく、こういうことに中心を置いて進めていくわけでございますが、それの具体的中身といたしましては、一つは、従来からも行っておりますがさらに強化してまいりたいのは、いろいろそういう問題なり、地方の企業グループあるいは地域におきますグループ、そういうものをまとめまして、いわゆる一つの業種別研究会といったものをつくりまして、そこで具体的にどういう隘路があり、どういう問題点があるかを詰めて、その中で具体的にここら辺を改善していこうというふうな方向をとっていくということが一つ。  それから、何と申しましてもこれは一般国民なり消費者のいわゆる理解というものを強めていかなければならないということで、具体的には、政府としては要するにPR活動を積極的に行っていく、こういうふうなことを中心にしていくつもりでございます。  それからなお、監督機関全体としましては、先ほどのような一つの指導体制というものを打ち出すべく、来年度からそういったことを計画的に実施していこうというふうに考えております。
  123. 米沢隆

    ○米沢委員 それを促進するために、何もかも法律の改正が必要だというところまでしがみつこうとは思いませんが、少なくとも時間外の問題、それから時短、週四十時間労働ですね、あるいは週休二日等々を法的に、ある程度経過措置を含めても結構ですから、法的に何らかの改善をしていかない限り、みんなで集まって問題点を摘出してそれを一生懸命やろうじゃないかということだけでは、どうも前進しないのではないかという気持ちが私はするわけです。  そういう意味で、労基法の改正等について、少々は検討がなされておるのかどうか、またそういう改正についての必要性みたいなものについて、どういう御見解をお持ちなんでしょうか。
  124. 吉本実

    ○吉本(実)政府委員 労働基準法の改正という観点から時間問題を推進しろということでございますが、この点につきましては、五十三年に中央労働基準審議会、三者構成で形成されていますが、その中央労働基準審議会で建議をいただきまして、とにかくこれは行政指導で行えというような線で私どもいままで来ておるわけでございます。  それから、先ほどのお話に出ました経済七カ年計画あるいは雇用対策の四次の計画、こういった中でも、六十年に向けて時間短縮を週休二日制等を中心にしてやれという場面も、行政指導でこれを行うということで、実は政府全体としてそういう方向で取り組んでいこう、こういうことにしておるわけでございます。  ただ、何と申しましても一番の隘路は中小企業でございます。そこで私どもとしましては、一番底辺であります八時間制というものについての特例がいまだに残っているのはいかがかということで、今回そういった特例については段階的に廃止の方向をとって、制度的にもそういった面に踏み切ったというところでございます。
  125. 米沢隆

    ○米沢委員 これは定年と同じで、行政指導オンリーの――建議がそう出たからおれたちもそうするんだと言ったら、一体労働省は何のためにあるんだという気がするので、それは平行線になりますからそこらで議論を終わりたいと思いますが、でき得れば、進捗状況をながめながら、労基法の改正まで踏み込んで検討していただくということをぜひ確認をしてもらいたいと私は思っております。  それから次は、中高年齢者の雇用の安定に関連しての問題でありますが、御承知のとおり高年齢者有効求人倍率というのは極端に低いということは、先ほどからもいろいろな議論があったところでございます。その背景には、結局年をとったら労働能力が低下してその割りにはコストが高過ぎるということが、こういう状況をつくっておるんじゃないかと思いますが、しかしながら加齢と労働能力に関する研究なんというものがいろいろ民間でもなされており、あるいは定年延長部会なんかの報告書を読みましても、決してそんなものじゃない、こんなことが書いてあるんですが、そのあたり、労働省としてはどういうふうに考えていらっしゃるのか。  もしそうだと、余り関係ないという議論であれば、そこらをもう少し何かこう企業サイドにうまく浸透させて、企業にその気を起こさせる、そういう指導みたいなものが強力に展開されるべきだと思うのでありますが、その点いかがでしょうか。
  126. 関英夫

    ○関(英)政府委員 雇用審議会で定年延長部会を設けまして、業種別に関係労使から定年延長の実効ある方策についてヒヤリングを行ってまいりましたが、その中でただいま御指摘のありました加齢と労働能力の問題といったことについてもさまざまな御意見をいただいたわけでございます。  それを集約いたしましたのが、先生が御指摘になりました雇用審議会のことしの一月のいわば中間的な答申で、その中で一般的に高年齢者は、従来のといいますか、それまでと同じ職務を続ける限り、一般的にはその能力は十分なものがある、これが部会の結論でございます。  しかし同時に、そのヒヤリングの中で、やはり高年齢者になると視力が落ちる、機敏な動作ができないといったことから、いつまでもつき得ない職場もある、あるいは非常な体力を要する職場では高齢者になっては無理がある、しかしそこも機械化を図れば高齢者といえど就業できるとか、いろいろな御意見がございました。  また先生御指摘のように、機械産業につきまして、ある面では高齢者の方が若年者よりも職務に関する能力は高いといったような調査結果が出ている面もありますが、総じて言えば、加齢と労働能力についての研究はまだ完全ではございません。今後さらに研究を強めるべき問題だろうと思いまして、来年度私ども労働省としても加齢と職業能力について実態調査をいたしたいと思っておりますが、いずれにいたしましても、雇用審議会の答申にありますように、従来と同じ職務を続ける限り、一般的には高齢者の能力は十分なものがあるという答申が出たわけでございますので、私どもそういう考え方を十分行政指導の中で企業側に徹底させていきたいと思いますし、また、それが困難な職場について、高年齢者が働けるようにするための職場の改善の融資制度も来年度新設することにいたしておりますので、困難な場合にはそういうものも活用して高齢者の雇用の場を確保していただくように行政指導を強めていきたいと考えております。
  127. 米沢隆

    ○米沢委員 そういう形で行政指導を強めていただかねばなりませんし、同時に、現在でも定年延長の行政指導だとかあるいは雇用率の運用だとか、就業機会の確保の対策とか、もろもろの対策を労働省としてもやっていただいておりますけれども、にもかかわらず、やはり中高年齢者が景気の調整局面に入りますとまずねらわれる。希望退職も大体中高年齢者というものが対象ですし、いろいろな優遇策を示して転職をしろとか、新しい職場を探してやろうというのも大体中高年齢者ですし、そういう意味ではなべて若年者よりも中高年齢者というのがやはり雇用不安といいましょうか、肩たたきの対象になる、ねらわれるという意味では全然変わってないわけでございます。  そうなりますと、やはり若年者よりも中高年齢者に対して何らかの形で解雇を制限するような、解雇制限法とは言いませんよ、解雇制限を誘導するような政策というものがやはり柱としてないと、現状のままに流れていくということにならざるを得ないのではないかと私たちは心配をするわけです。  したがって、われわれも年齢による差別禁止法等をつくれと、こう言うておりますけれども、それも立法上いろいろな問題があることも事実知っておりますが、少なくとも、その言葉どおりのぴしっとした、絶対だめだという議論をするような法律ではなくても、解雇制限的な誘導政策を入れたような何か柱を、制度を何らかの形でつくってもらうことが、本当は中高年齢者の雇用を確保し安定させるという意味で、いま労働省として考えてもらわねばならぬことではないか、しつこいようでありますが、そう考えるのでございます。その点少々はかたい頭をやわらかくしてもらいたいと思うのですが、いかがですか。
  128. 関英夫

    ○関(英)政府委員 先生も御案内のとおり、石油危機後の不況期におきまして、雇用調整においてとかく中高年齢者が対象になったという問題がございました。その底には、労働能力が落ちるといいますよりは、わが国の雇用慣行のもとにおきますとやはり中高年齢者ほど年功序列賃金によって賃金コストが高くなる、それからまた逆には、中高年齢者で一定のときまで働いていって、そして御子息等が働きに出ると逆に家計の上で心配がなくなる、そういう意味で希望退職にも応じやすいとか、いろいろなことが重なって中高年齢者が多く雇用調整されていったというような実態があったのではなかろうかと思います。  基本的には、私は、わが国の雇用慣行のもとで法制的に年齢による解雇制限というようなものを強制するということには無理があるのではないかと思いますし、また雇用審議会におきます定年延長の立法化の問題について労使の意見に隔たりがある現状のもとにおいて、こういった立法措置には無理があるかと思いますけれども、雇用調整の際に中高年齢者のみにしわ寄せされるというようなことは決して好ましいことではない。やはり雇用調整に当たっては弱い立場の者にしわ寄せするのでなく、関係の労使において、どうしても雇用調整をするとすればどういう基準でいくべきかというようなことがもっと真剣に話し合われるような事態を私としても好ましいと思いますし、そういう方向に労使の話が行われますような要請もしていかなければならぬだろうと思っております。  繰り返しになりますが、わが国の雇用慣行のもとで法的にこの問題をどうこうするということはいまだ時期尚早ではないかと考えております。
  129. 米沢隆

    ○米沢委員 中高年齢者が景気の調整局面ではまずねらわれるということでございますが、それは企業の状態からして人情としては少々わかるような気もするのですね。しかし、どうしても許してはならないのは、たとえば景気がおかしくなる、あるいは産業構造転換をしなければならぬとなったときに、それに悪乗りする解雇というものが依然として後を絶たないということでございます。同時に、その企業の業績がちょっとおかしくなりますと、どうもそれに便乗しまして、減量経営をやらねばならぬとにしきの御旗を立てて、結局過剰防衛というような言葉が適当かどうかわかりませんが、そういう感覚で解雇をする、そういう情勢が非常に多い。これは労働組合を持っておるところの企業もありますけれども、未組織労働者、そこらはもう完全に振り回されておるという状況を私はいろいろなところで聞かされるわけであります。  後はその解雇が悪乗りなのか過剰防衛なのかの判断は実際できません。できないけれども、いかにもそこに働いておる連中の話を聞いて、もうこれは振り回されておる状況がよくわかるという事態に遭いましたときに、私はやはり解雇制限という問題は、日本の場合には民法と労働基準法にちょっとあるぐらいで、結果的には、おかしいじゃないかというときには解雇権の乱用の法理を使ったり、あるいはまた公序良俗規定に反するではないか、そんなことを援用しないと解雇がおかしいという議論にならないというほど、解雇というものに対して日本というのは大変自由な国であると申し上げざるを得ないと私は思うのでございます。  そういう意味で、少なくとも悪乗りだとか過剰防衛的な解雇については、第三者が本当にそうなのかどうかをチェックできるような機関がぜひとも必要ではないかという気が私はするのですね。そして本当にそうならば、つぶれる会社にいつまでも雇っておけという議論はできません。しかし悪乗りをするような連中は許さない、できれば解雇を延期させる、あるいは規模を小さくさせる。そのための公的な機関、チェック機関みたいなものがつくられて初めて、これから先の雇用の安定というものは制度的に私は本当の意味で安定する措置ができ上がるのではないかという意見を持っておるのでありますが、その点どういう御見解ですか。
  130. 関英夫

    ○関(英)政府委員 先生も御案内のとおり、わが国では終身雇用というような慣行が一般的でございまして、解雇権の乱用といったようなものは許されないということは判例の積み重ねですでに十分徹底している、そのことが言えると思います。  たとえば不況期に生産量の増減に応じて簡単にレイオフをして雇用量を調整しているような外国と比べれば、わが国は企業経営がどうにもならなくなって初めて雇用調整に入っていくというように、むしろ法制面と別に現実の雇用慣行としては非常に雇用が守られている国ではなかろうかと思うわけでございます。もちろん先般の不況期にたとえば造船その他いろいろなところで雇用調整が行われました。それが、いままた立ち直ったときから見れば、多かったか少なかったかいろいろの問題があろうかと思いますが、まさに会社の経営状態を一番よく知っている労使がぎりぎりの選択をして、そして企業の再建のために選んだ道でございまして、第三者がそれを過剰であるとかいやどうとかと判断する余地を許さないものではないかと私は思います。わが国のような労使関係においては、第三者よりも企業における労使がその企業の実態を一番よく知っているわけでございまして、その中でぎりぎりの最後の選択として雇用調整が行われていくわけでございますので、第三者がそこに入っていって企業経営上どうこうというようなことは、わが国では余り実態に合わないのではないか。  もちろん非常に大量の雇用調整をいたします場合には、安定機関への届け出等も義務づけられておりまして、私ども予防なりあるいはその後の離職者対策なり十分な措置はとっていきたいと思いますけれども、雇用の量が現状で適切であるか、それはどのくらい多過ぎて、それ以上になるといわゆる悪乗りであるか悪乗りでないか、こういったことを行政が判断するということは、わが国の場合余り実情にそぐわないのではないかと考えている次第でございます。
  131. 米沢隆

    ○米沢委員 この問題は大変大きな問題ですからそう詰めることはできませんが、どうも良好な労使関係の結果だけを聞いていらっしゃるのではないか、あるいは社会的に問題になったものだけしか耳に入らないのではないかと私は思うのです。実際はその底辺では、こんなのは日常茶飯事であるのです。結局、特に未組織労働者などというものは物を言えないままに雲散霧消していくというものがあるわけで、なければこんなことは言わないわけで、それはまたいろいろな具体的な事実を持ちながら今後の課題として残しておきたいと思うのであります。  それから本法の問題に返りますけれども、特定求職者雇用開発助成金、結局いままでの緊急時のもの、通常時のものを分けたものを一つにする、こういうことでございますが、その際緊急時のものがなくなるということに対して、労働者の立場からすればやはり不安が残るわけです。そういうことで、ここにも書いてありますように、緊急時における特例措置として「雇用状況が極めて悪化した場合には、その状況に応じ、特例措置を講ずることができるものとする。特例措置を講ずべき場合及び特例措置の内容についてはその都度検討するものとするが、中高年齢者雇用開発給付金等の実施の経験を踏まえ、迅速かつ適切に対応するものとする。」という建議がなされておりますね。政府としてもこういうことを踏まえていまからやっていくのだという御見解のようでありますが、実はこういうものは機動性のある、果たして即応してぱっとやってくれるかどうかという問題が一つあるのと、こんなように書き方が抽象的にしてあるけれども、どういう基準が満たされればこんな緊急発動というものをまじめに考えてくれるのかという、そこらがどうもあいまいもことしてわかりませんので、どうかその点発動の基準みたいなものが明らかにできればはっきりしてもらいたいと思います。
  132. 関英夫

    ○関(英)政府委員 いかなる場合が緊急時であるかの判断基準につきましても、この法律が成立いたしましたならば直ちに中央職業安定審議会でその発動基準、それからどういう場合にはどうするべきかというような御議論を願いまして、そしてそのときどきの情勢に即刻対応するように、なかなかどうも時間がかかって間に合わないのではないかというような御批判のないように、私ども運用してまいりたいと考えております。
  133. 米沢隆

    ○米沢委員 対象者で漁業離職者求職手帳所持者以下七つの該当者が、四十歳のものを四十五歳に延ばして対象をしぼったという措置をするということになっておりますけれども、そういう意味ではこの審議会の中でもかなりもめた、大きな論点の一つだったと思いますが、審議会における四十五歳にしぼっていくという議論はどういうふうになされたのか、そしてその点について政府としてどういう見解を持っておられるのか、まず聞かせてもらいたいと思います。
  134. 守屋孝一

    ○守屋説明員 審議会の議論されました内容につきましては、これはこういう場でどこまでオープンにすべきかちょっと私も判断つきかねますが、要は、今後の雇用政策の中で雇用関係の給付金はどうあるべきかという観点からの議論をされましたとき、給付金の一つの持っていき方としては、高齢化社会に向かう中で高齢者に対してその就職をより容易にし、あるいは雇用を確保していくためにどのような給付金の体系にすべきかというのが非常に大きな議論になったわけであります。  そこで、この特定求職者雇用開発助成金につきましてもそのような観点から考えましたときにどうするかという話になったわけでありますが、そうなりますと当然五十五歳以上の人は、これは対象になるということになるわけであります。  ところで、先生おっしゃっているのは、多分、現在の各種の雇用奨励金等が原則として四十歳以上を雇用奨励金の対象にしているという絡みとの問題かと思います。その点につきましては、就職の難易度を考えますときに一つの大きな指標になりますのは、年齢別の有効求人倍率がそのデータの一番大きなものになるわけであります。そこでこの年齢別の有効求人倍率を見てまいりますと、大体四十四歳、このあたりまでは求人と求職の割合がほぼ一対一という関係、あるいは求人の方が多いという状況でございます。ところが四十五歳を超えますとこれが急激に悪化してまいります。たとえばごく最近の五十五年の数字で申しますと、四十五から四十九歳あたりの求人と求職の割合は、求職一に対して求人が〇・六、言うなれば半分に近いような状況になっている。求人の方が非常に少ないという状況でございます。そこでこういう点に着目いたしまして、今後の給付金をどこに焦点を合わせて、ばらまくという感じじゃなくて、焦点を合わせてより行政効果が上がるように手厚くやるという観点から考えた場合にどうなるかということでありますが、そうなればおのずから四十五歳のところが一つの分岐点になって物を考えざるを得ないということになるわけであります。  審議会ではこういう議論を重ねていきまして、最終的には全会一致でもって、先ほど先生がお話しになりましたような各種手帳所持者については四十五歳以上という建議をいただいたというのが経緯でございます。私どもはそれに沿ってこの制度を進めていきたいと思います。
  135. 米沢隆

    ○米沢委員 重ねてお尋ねをしますが、緊急時における特例措置をつくるというその特例措置の中に、どれだけ出すかという期間の問題とか支給条件、金額の問題とか対象をどうするかという問題がありますが、その中には少なくとも年齢というものも緊急時には議論される対象であるというふうに確認していいですか。
  136. 守屋孝一

    ○守屋説明員 これはそのときそのときの緊急事態の状況によりまして、給付率でもってまず対応すべきなのか、あるいは期間を延長することでもって対応すべきなのか、全部の道具立てをそろえるべきかという、見方がいろいろございます。しかし具体的なケースを見ませんと何とも申し上げかねますが、一般論としては、たとえば五十五歳のあたりを五十歳とか四十五歳におろしてくるというような過去の経緯もございますので、そういう意味では年齢を頭に入れて判断する場合もあるというように言えると思います。
  137. 米沢隆

    ○米沢委員 最後になりますが、雇用調整助成金の要件緩和の中で在籍出向について助成の対象とできないかという問題ですが、いかがですか。
  138. 山口泰夫

    ○山口説明員 現在の出向給付金といいますのは、これを雇用調整事業としてわれわれが位置づけておりますことからもわかりますように、失業の予防のための雇用調整の目的で行われる出向に限って助成をする、こういう趣旨になっておりまして、どういう範囲の出向を対象にするかということにつきましてはいろいろな要件がございますが、御質問との関係で言いますと、出向によって主たる賃金の支払いを出向先の方の事業所が行っており、したがって雇用保険の被保険者資格が移る、出向元の事業所から出向先の事業所に移る、こういう場合のみを助成の対象にしておるところでございます。このようにいたしましたのは、出向先の事業所におきます、実際に就労しておるかどうかといったようなことの確認を含めまして、制度の適正な運用を図るという観点からでございます。  ただ、雇用調整のために行われておる出向の中にもこのような取り扱いでは対象とされないようなものもあるいはあるかもしれません。そういうことですので、その実態なりあるいはそれを対象とする場合に適正な対応ができるかどうかというようなことも含めまして、今後さらに検討するようにさせていただきたいと思います。
  139. 米沢隆

    ○米沢委員 終わります。
  140. 山下徳夫

    ○山下委員長 小沢和秋君。
  141. 小沢和秋

    ○小沢(和)委員 今回の法案は、もともと給付金や助成金などの制度というのは非常に複雑で百種類以上もある、そのためになかなか活用もできない、そういうようなものをすっきり整理をしてもらいたいということ、私たちの方も要求をしておりましたし、それが実現をした、またこの機会に若干の改善も見ておるという点では、その限りでは私たちも評価するにやぶさかではないつもりであります。  しかし、これで中高年あるいは障害者などの就職が進むかどうかという点については、私どもは大変疑問に感じているわけです。その点で具体的にまず一つの例として中高年齢者雇用開発給付金の問題でお尋ねをしたいと思うのです。  この給付金は、三年前から臨時的な措置としてやられるようになったものでありまして、今度は名前も変えて恒久化するということになっているわけですけれども、実際にこれでどれだけ雇用が伸びたかという点については私は大変疑問だと思うのです。実際日本経済を左右している大企業の雇用している人の数というのは逆にこの期間も減り続けているんじゃないでしょうか。全体としては雇用されている人がふえているというふうに言っても、それは中小。また形態としては、本工という形じゃなしにパートとか臨時というような形ではないですか。特に大企業の中には、私が聞いている範囲では、いろんな名目で大企業から人を出してしまって、それを自分の系列下にある企業などに入れさせる、そのときにこの給付金を使うというような形で、逆に人減らしにさえ利用しているというような実態もあるようですけれども、こういうようなことは労働省としては承知しているかどうか。実際にこの給付金がどのような効果を上げたというふうに考えているか、まずお尋ねをしたいと思うのです。
  142. 関英夫

    ○関(英)政府委員 中高年齢者雇用開発給付金が大企業の人減らし、大企業が自分のところの従業員を減らして関連のところに入れて、そしてこの給付金を受けているということでございますが、大企業の退職者であれ、中高年齢者で安定所の紹介によって安定した職業についたということがはっきりしている場合に、この給付金が出されるわけでございまして、大企業が自分の関連のところにあっせんするというようなものは対象にならないわけでございます。そういう意味で、大企業の人減らし、そして関連企業へのあっせん、そういうものが直接この対象になるとは考えておりません。
  143. 小沢和秋

    ○小沢(和)委員 しかし、この期間にあなた方は六十歳の定年制がずいぶん普及したというようなことを言って自慢しておられるけれども、その大企業の部分で雇用の絶対数が減っているということは事実じゃないのですか。そうすると、あなた方はこういうふうな形でふやすようにしたと言うけれども、これは実効は出ていないということにならざるを得ないのじゃないですか。
  144. 野見山眞之

    ○野見山説明員 労働力調査によりますと、雇用労働者の規模別の状況を見ますと、昨年来中規模程度のところと同時に、規模の大きいところもふえておりまして、五十五年の年間で言いますと、雇用労働者の増加数が九十五万ございましたが、そのうち一人から二十九人のところは二十万、三十人から四百九十九人のところが四十万、五百人以上のところが二十八万増加している状況でございます。
  145. 小沢和秋

    ○小沢(和)委員 千人以上は。
  146. 野見山眞之

    ○野見山説明員 この労働力調査では五百人以上を一括してくるんでおりますので、内訳はわかりません。
  147. 小沢和秋

    ○小沢(和)委員 私は大企業に対してはほとんど効果が出ていないというふうに考えるわけです。  ところで、中小企業の方から喜ばれていることはそしてまた効果が一定の範囲で上がっているということは、これは私も事実だろうと思うのですが、今度はその中小企業にしてみれば、手続がなかなかむずかしいとか、あるいは入職の経路が家族や知人あるいは新聞広告などを見たというような場合にはこれに該当しないというようなことになつて、結局十分に行き渡らないというような問題もあるというふうに私聞いているわけです。ですからこの機会に、大企業の悪用は防ぐという措置をとりながら、同時に中小企業などについてはもっと手続も軽便にして、積極的にこの給付金がもらえるというような状態をつくっていかなければならぬのではないかと考えますが、いかがですか。
  148. 守屋孝一

    ○守屋説明員 手続を軽便にするといいますか、利用者が使いやすいようにするということにつきましては、私も御説のとおりだと思います。  ただ、いま先生がおっしゃいました中で、安定所紹介でなければだめだ、縁故採用したのが対象にならぬというのはおかしいじゃないかというような御指摘がございましたが、実はこの点につきましては、これは私どもは何も安定所紹介がモノポリーだというように考えてこのようなことをやっているわけでもございませんし、また安定所紹介でなければ就職が確認できないということでやっているわけでもございません。これは給付金の性格からいたしまして、本来そのままではなかなか職につけない方、そういう方が安定所に出てこられる。自分で自己就職される方はまだしも、自分での手づるもなくて安定所に出てこられる方々が一番就職が困難な方々である。こういう方々を企業の方にごあっせん申し上げる、そういう中で採用していただく際にこういう奨励金をつけるのが本来意味があることでございまして、これは何も自分が就職されるという場合に労働者に支給する金でございませんで、事業主の方々にお願いして支給いたす金でございますから、そこらあたりの要件を緩めるということは私どもはいささか問題であると考えております。  しかし、申請手続その他につきまして非常に煩瑣なところがある。たとえば中高年の雇用開発給付金の場合は、高齢者の雇用率を高めるというのが現行では要件になっておりますが、新しい給付につきましてはその辺は必ずしも雇用率を高めるということを要件にするということはしなくてもいいようにしたいと思っております。これをすれば大分申請の手続も楽になってまいります。ただ、高齢者を先に首切っておいて後で高齢者を雇って給付金をもらうというような悪用だけは防止する必要がありますので、その観点からのチェックはいたしたいというように考えております。
  149. 小沢和秋

    ○小沢(和)委員 このような給付金がいろいろあるわけですけれども、私は、給付金をいろいろやることによっていわば雇用を誘導していくというか誘発するというか、そういうようなことでは高齢者の雇用というのはなかなか改善できないのではないかと思うのです。むしろ、たとえば雇用率の六%というようなものを法律で義務化するとか、あるいは定年制の法定化とか、あるいは年齢によって雇用差別をするというようなことを禁止するとか、そういうような措置の方が積極的な意味を持つのではないかと思うのですね。労働省が発表した数字を見ましても、高齢者の雇用率は大企業ほど低い。そして千人以上のところが未達成ということになっているわけですね。これはちょうどこの前議論した身障者の雇用の傾向と全く一致していると思うのですよ。あれもやはり大企業ほど低いという状態だったと思うのですね。  私は、この高齢者の問題についても、せめて身障者と同じように雇用率を法律ではっきり定めて、そして場合によったら守らない企業について公表をするとかいうふうな社会的制裁を加える程度のことは早速にも取り組まなければならぬのじゃないかと思うのです。その程度のことをやらなければ実効はないのじゃないですか。
  150. 関英夫

    ○関(英)政府委員 わが国の雇用慣行を考えますと、春に新規学校卒業者を採用する、そして終身雇用、年功序列賃金、勤続とともに増高する退職金制度、そういったもので支えられており、そのために定年制というものも生まれてきているわけで、余り外国に例を見ない雇用慣行でございます。そういう雇用慣行のもとで、先生いま御指摘のような法律、さまざまな御指摘がございましたが、そういう法律をもって強制するということは、私は、わが国の雇用慣行の実情に合わない面があるのではないか、こういうふうに思うわけでございますが、いずれにいたしましてもこの辺の立法措置の問題は、国会におきます与野党間の合意に基づきまして雇用審議会で現在審議をしているところでございますので、その審議の結果を踏まえて私ども対処いたしたいと思っているわけでございます。  しかし、大企業ほど高齢者の雇用率が低いという事実は先生御指摘のとおりでございます。その底には、定年制というものが高齢者の雇用が進まない原因としてあるわけでございますから、私どもとしては大企業中心に現在定年延長を行政指導で広めておるところでございますが、最近、従来おくれていた大企業あるいは従来おくれていた業種で定年延長に踏み切るところが非常にふえてまいりました。そういう意味で、私ども昭和六十年までには六十歳定年を一般化しようということで努力をしておるところでございまして、そういうことを通じて大企業における高齢者の雇用率も高めていきたいと考えております。
  151. 小沢和秋

    ○小沢(和)委員 そういうことが雇用慣行に合わないということを言われるけれども、身障者などの場合には、そういう法律を現につくっているわけでしょう。身障者の場合には雇用慣行に合うのですか。私はその点は、理屈は一緒だと思うのです。その点は何も質問はしません。  私は、いずれにしろあなた方がこういうことについて踏み切らない、結局のところ高齢者に対する求人、またその人たちの就職というのはいつになっても改善されないという状況じゃないかと思うのです。十年一日というふうに言いますけれども、十年前と現在と比較をしてみて、求人率あるいは実際の高齢者の就職状況、これは率で見て改善をされておりますか。
  152. 野見山眞之

    ○野見山説明員 高齢者の求人倍率、十年前でございますと、昭和四十六年、五十五歳以上につきましては〇・一六でございます。五十五年が〇・一七でございまして、十年前と比べますとわずかながら上がっていることは事実でございます。ただ、その間四十六年以降、高度成長の最後の時期に当たりますから、四十八年あたりは〇・五一ということで高かったことは事実でございます。ただし、その後石油ショック以降〇・〇九というような時期がございましたし、これが二、三年ありましたし、それに比べますと、〇・一七はわずかではございますが改善しているのではないか。  なお、就職率でございますが、就職率は十年前の昭和四十六年は六・三%でございまして、昭和五十五年が四・七%、これは下がっております。     〔委員長退席、戸沢委員長代理着席〕 しかしながら、五十年代に入りまして、一番低い時期が昭和五十年の三・四%でございまして、その後年を追ってわずかではございますが改善してきているということでございまして、なお就職率の年齢計の六・四%には及ばないということで、依然として高齢者の就職状況は厳しいということは変わりないと思います。
  153. 小沢和秋

    ○小沢(和)委員 依然として厳しいというふうにあなた最後に言われましたけれども、実際にはますます厳しくなっておるというふうに認識すべきじゃないんですか。いわゆる高度成長時代にも、中高年者の人たちというのは満足な就職口はなかったわけですよね。ところがもういまは、石油ショック以後はこういうような高度成長も望めない。それどころか、大企業などは減量経営ということで、少しでも雇っている人を吐き出そう、吐き出そう。中高年の人たちがその場合の対象にされていることは、はっきりしておるわけですね。こういうような中で、いわゆる高齢化社会が到来しつつあるということになるならば、一方は雇わなくなる、しかも高齢者は急速にふえる、この両方が相まったら、これはもう高齢者の就職ということがどんなにこれから急速に深刻な事態になるかということは明らかじゃないのですか。  従来のようなそういう少々経済的な利益で誘導するというようなことで、果たしてこういう深刻な事態を打開することができるのかどうか。私は絶対できないのじゃないかと考えるが、いかがですか。
  154. 関英夫

    ○関(英)政府委員 先ほども申し上げましたとおり、従来定年制の低かった業種あるいは大企業におきましても、定年延長の動きが非常に盛んになってまいりました。昨年の一月一日現在の数字は何回か申し上げましたので省略いたしますけれども、その後の動きというものを考えますと、私は大企業や従来定年制の低かった業種においても、定年延長は急速に進んでいくと思います。そういう意味で、高齢者の雇用の場の確保という面では、景気の動向にも左右される面はありますけれども、制度的に進んでいくということが十分見込まれるわけでございまして、昭和六十年までには六十歳定年の一般化を私ども十分やっていけるのではなかろうかと思っておるわけでございます。  昭和六十年を越えますと、六十歳以上層の人たちが非常にふえてくる時期にまいります。そういう意味で、私どもいまから昭和六十年に向けて、そして昭和六十年以降さらに六十歳代前半層の雇用の場の確保の施策に力を入れていきたい、こういうふうに考えておるわけでございまして、高齢化社会の到来に備えていまから準備を進めていこうという考え方のもとに、今回のこの法案も考えているわけでございます。
  155. 小沢和秋

    ○小沢(和)委員 いろいろ言わぬでいいから、端的に答えてもらいたいのですけれども、高度成長時代が去って、いまのような低成長時代の中で高齢化が急激に進行するということになれば、もうこういう人たちの就職問題、仕事の問題というのは決定的に深刻な問題になるのじゃないかとお尋ねしているのですよ。これは少々定年制が普及するとかそういうようなことでは、私は基本的には事態は変わらないのじゃないかと思うのですよ。その認識はいかがですか。
  156. 関英夫

    ○関(英)政府委員 高齢者の雇用問題を考えます場合に、まず高齢者が高齢期になってから失業者として労働市場に出てくるのをできるだけ防ぐということがまず第一でございます。そういう意味で、定年延長なりあるいは六十歳を超えての継続雇用というものをこの法案では奨励しよう、こう考えているわけでございます。  それから第二には、そういう制度はありながらやむを得ず倒産その他で高齢者が労働市場に出てきた場合の雇用の促進、それをまた特定求職者雇用開発助成金というような形でこの法案では助成していこう、こういうふうに考えているわけでございます。そういう意味で、高齢化社会に備えての今度の法案だと思っておりますので、いま以上にどんどん深刻になっていって、こういうような措置をもってしては対処できない、そんな事態が来るとは私は考えておりません。
  157. 小沢和秋

    ○小沢(和)委員 私はそれはきわめて重大な認識の誤りじゃないかと思うのです。私はこれから急速にそれが深刻になってくるということはもう疑いのない事態だというふうに考える。  その点で、七八年の七月に中期労働政策懇談会が一連の提言を出している。このことはあなたも御存じだと思うのですが、この提言の中でも、これから失業情勢がやはり深刻になってくるだろうということを見越して、三つの対策を提言していると思うのです。あなたそのうちの二つはいま言われました。一つは、失業を予防する。もう一つは、失業をした場合にその人たちに対してできるだけのことをする。もう一つ言っているのですよ。その三つ目は、公的な就労事業を考えなくちゃいけないということじゃないですか。「再就職困難な失業者に対し、政府が積極的に雇用創出を図る」政策が必要だということを言っているでしょう。このことについては、あなた方は全く政策の視野の中に入れてないのですか。
  158. 関英夫

    ○関(英)政府委員 そういうような懇談会の提言が出たことは承知いたしております。その当時特に景気の悪化した中において、再就職の困難な中高年齢者に対する臨時応急の措置として雇用開発給付金というような制度をとりまして、一番手厚い場合には賃金の五分の四を補助する。これはいわば公的な金で民間における雇用の場をつくっているとも言えるようなそういう手厚い助成制度も考えて措置をしてきたところでございます。その結果十万人の雇用というものを一年間で創出することができたというふうに私どもは考えております。
  159. 小沢和秋

    ○小沢(和)委員 だから、あなたは民間の活力を利用するのだという趣旨だろうと思うのですが、その民間の中でも一番の決定的なウエートを持っている大企業は、この期間一生懸命減量経営、人減らしをやっているじゃないですか。だから私は、今後この中高年者の仕事の問題というのは急速に深刻にはなっても、少しでも事態が改善されるというような甘い見通しを持つことは決してできないと思うのです。だから、そういう事態に備えていまから公的就労事業を再確立する必要があると私は考えるわけですが、あなたはそれについてどうお考えですか。
  160. 関英夫

    ○関(英)政府委員 御指摘の公的就労事業がどういうものを考えておられるのか、私十分には存じませんが、一つには、従来の失対事業のような形態が公的就労事業の一つの形態であろうかと思います。  失業対策事業につきましては、長い歴史の経緯もございますが、そこに非常な失業者の滞留を招いたという教訓を、私ども一つくみ取ることができるかと思います。今後、いろいろな雇用対策が景気の動向によって必要になります場合にも、失業者をそこに滞留させるような雇用対策はとるべきでないと考えております。
  161. 小沢和秋

    ○小沢(和)委員 失業者が滞留したと言って失業者がそこに長いこととどまっていた責任があるかのように言っていますけれども、先ほどから私が言っているように、高度成長の時代にでも、こういうような人たちに対してあなた方がいろいろなお金を出すだとか、あるいは就職相談でいろいろな形でその人たちに仕事を紹介して、そこへ行かないと失対の紹介も打ち切るというようなことをやったりして出そう出そうとかかったけれども、結局そういうような人たちに対してあの高度成長の時代でも仕事をきちんと保障することができなかったから、今日までこの人たちは失対事業に残らざるを得なかったのじゃないですか。それを何か長期に滞留したとか言ってこの人たちの責任であるかのように言うことは許されないのじゃないかと私は思うのです。  実際に諸外国の例なども見ていただくといいと思うのです。あなた方からいただいた資料によっても、雇用創出のための事業制度というのは、あなた方が一九六三年から日本で失対事業を打ち切ろう打ち切ろうとかかった時期から以後、各国でそういう事業が始まっておるでしょう。アメリカでは一九七三年から、イギリスでは七八年から、西ドイツでは六九年から始まっておりますね。そして、アメリカなどでは四十六万二千人の人たちがこの公的な就労事業に実際働いているじゃないですか。  こういうような諸外国の動向から見ても、失業情勢が深刻になってくるという事態の中では、こういうこともこれはやらなければ実際に失業情勢に対応することができないのじゃないですか。とりわけ中高年者というのは、先ほどからとの人たちのことがずっと議論の中でも一番問題になっておったと思うのですよ、実際雇い手がないのだから。しかし、この人たちは働かなければならないのだから、こういうようなものが必要になるのじゃないですか。
  162. 加藤孝

    ○加藤(孝)政府委員 いま御指摘のように、諸外国におきましてこういういわゆる公的就労事業が行われておることは事実でございますが、これらの行われておりますものは、いずれも日本と異なりまして就労期間が一年限りというものでございまして、一年で次の民間就職等へいく、こういう一年限りのものが行われておるわけでございます。日本のようにいつまでもそこにおるというものとは基本的に性格が異なるものが行われておるということが一つあるわけでございます。  それからまたオイルショック以降これらがふえているというお話でございますけれども、各国それぞれ失業情勢の変動に相違がございますし、また国の政権担当者の交代によりましてその辺の方針がいろいろ変わるというようなものもございます。御承知のように、アメリカでいま四十六万二千がこれに働いておるという御指摘がございましたけれども、今度の新しいレーガン政権のもとでは八一年にはこれはなくするというような方針も示されておるというようなこともございますし、またイギリスにおきましては必ずしも雇用失業情勢良好と言えませんが、これがサッチャー政権になりまして、いままで九万人レベルでやっておりましたものが二万人とか一万二千人とか、こういうことで急速にその数は減っておるというような問題もございまして、基本的にこういう公的就労事業というものがずばり失業者の対策として必ずしも有効に機能してないというふうな問題点が各国においても次第に浮き上がっておるという事情にあるわけでございます。
  163. 小沢和秋

    ○小沢(和)委員 あなた方は先ほどから日本ではそういうことはもう考えないというような趣旨に聞こえるようなことを言っておられるのですが、昨年の十二月六日に出た失業対策制度調査研究会の報告でも、いわゆる民間に頼れないような不況地域では特定地域開発就労事業ですか、いわゆる特開というのをやるべきだということを提言しているんじゃないですか。この提言があるけれども、あなた方はその部分はやらないというわけじゃないんでしょう。
  164. 加藤孝

    ○加藤(孝)政府委員 昨年の研究会の報告で指摘されておりますことは、現在の特開事業というものは失業多発地帯について行われているけれども、これは失対と違いまして六十五歳という年齢制限はございますが、六十五歳までは結局滞留というような問題を生じておる、あるいはまたこれが失業者のそこでの固定化という問題、それから手作業が主体になっておりますために経済効率的にも非常に問題があるというような問題点を指摘しつつ、これを一年間のオン・ザ・ジョブ・トレーニングということで次での就職をしていくためのそういう機能を果たすものとしてこの改善を図るべきだ、こういう御指摘をいただいておるわけでございまして、そういう線で今後検討を進めていきたい、こういうふうに考えておるわけでございます。
  165. 小沢和秋

    ○小沢(和)委員 私が聞いていることに端的に答えてください。  だから、今後失業情勢が非常に深刻になっていわゆる失業の多発地域が具体的にできた場合には、あの報告によってもこういう特開事業などというのを、いまとは形は違うけれども起こせということを言っているわけじゃないんですか。その場合、私は中高年齢者等の雇用の促進に関する特別措置法の第二十一条に基づいてやられることには変わりはないんじゃないかと思うのです。  これを読んでみるとどうも抽象的で、いろいろな施行規則やらあるいは解説といったようなものを読んでみても、中高年齢者の求職者の数が著しく多いとか抽象的なんですよ。私は先ほどからの答弁は皆不満ですけれども、少なくともこういうことがうたわれているとすれば、どういうような状況に立ち至ったならばこういうような制度をいまとは違うにせよやるということを、あの報告は求めているのか、そこのところを私に納得のいくように具体的に説明をしてほしいということを言っているんです。
  166. 加藤孝

    ○加藤(孝)政府委員 研究会の報告で申しておりますのは、あくまで物の基本的な考え方として、失業多発地帯においてこれが一般の広域職業紹介であるとかあるいは企業の誘致であるとか地域振興対策、そういったものが成果を上げるまでの間、どうしても国や地方公共団体が関与して何らかの就労のために失業情勢緩和のために対応すべき事態もあり得るであろう、そのために現在特開事業があるけれども、これも滞留問題であるとか、そういう経済非効率の問題があるので、そういったものについて基本的な視点を示しまして、それが一年間のオン・ザ・ジョブ・トレーニング、こういう機能を果たすものにしてほしい、それからまたそこで事業を起こして吸収するということではなくて、その失業者を雇用してくれる場合には援助する、そういうような仕組みのものにこれを改善を検討しろ、こういう指摘がされておるわけでございまして、そういう視点に立って、今後具体的にどういう場合にどんな形のものを仕組んでいくのか、それについては今後検討を私どもしていきたいということでございまして、具体的に特定の何か基準なり要件なり、方法論についてはすべて今後の問題でございます。
  167. 小沢和秋

    ○小沢(和)委員 結局のところ、今後どういう事態になった場合にこの特開事業というのをやるかということをいわば検討課題としていくということにすぎぬわけですね。  私は、実際、北九州という全国的に見るならば就職が非常に困難な地域におりますから、現在の状況のもとででもこの特開事業を産炭地などにならって起こしてほしいというような陳情などもしばしば受けるのですよ。だから、私は、北九州などのような状況のもとでは起こすべきだということを強くこの機会に指摘をしておきたいと思うのです。  時間がありませんから答弁の方も端的にお願いしたいと思うのですが、次の問題に移りたいと思うのです。  この給付金の支給が六十五歳までの労働者を対象にするということに、どの問題をとってみてもなっておるのですが、六十五歳までしか労働政策の対象にしないという考え方に私はそもそも非常な疑問を持つわけです。現在、人生は八十年に近いわけですね。六十五歳までが現役の労働力であるというような考え方というのは一体いつどういう根拠に基づいてつくられたものであるのか。法律的にこういうふうに定められているというのであれば、そのことも含めて御説明願いたい。
  168. 関英夫

    ○関(英)政府委員 雇用対策の対象として幾つまでかという問題は、中高年齢者雇用促進法におきまして高齢者というのを六十五歳まで、こういう定義で置いておりまして、その雇用対策を進めるということがいろいろ書かれているわけでございます。したがいまして、私ども六十五歳までについて労働者が働く場がなくて賃金が得られない場合の保障といいますか助成といいますか、そういうものは公的な資金でいろいろめんどうを見るべきであろう、しかし六十五歳以上については、その賃金が得られないからといって雇用政策として公的な資金でめんどうを見るのはやらない。ただしそのことは、六十五歳以上の人について働くなという意味ではございません。お元気で、働く場があって働くことは大いに結構でございますし、安定所は六十五歳以上の人の求職を受け付けないということではございません。職業紹介は一生懸命いたします。しかし、働けないからといって賃金保障をするというのは、失われた賃金を補てんするというようなのを公的資金でやるのは、少なくとも六十五歳までだ、こういう考え方でございます。
  169. 小沢和秋

    ○小沢(和)委員 六十五歳以後も働いて結構、できるだけのお手伝いをしましょうといっても、実際に六十五までそういう助成措置をとっておったものをやめてしまったら、ますますもってそういう人たちが雇用の機会に恵まれないということははっきりしている。これは事実上あなた方が六十五歳で打ち切ろうとしていることじゃないのですか。それはいまのように急速に寿命が伸びてきているという状況のもとでは当然再検討すべきではないかというふうに私は考えるのです。  実際、あなた方が高齢者就業実態調査というのを最近もやりました。この結果は、六十五歳から六十九歳までの人々についても八五%の人たちは仕事を続けたいというふうに言っているのですね。そして、そのうちの六四%は、なぜ自分が働かなくちゃいかぬかということについては、自分と家族の生活を維持するために必要なのだということを言っているのですね。生活のためなのですよ。健康のためとかあるいはもう少しいい生活をできればしたいとかいったようななまやさしい理由じゃないのですね。  こういうふうに、寿命も延びてきた、核家族化だというような中では、元気な限り働けるように、こういうような人たちについてももっと積極的な施策をとることが必要な段階に来ているのじゃないのですか。
  170. 関英夫

    ○関(英)政府委員 高齢者等就業実態調査についてのお話がございましたが、六十五-六十九歳層で全体を一〇〇としてみますと、不就業者の中ででございますが、仕事をしたいと思わないという人が二二・七%、そして仕事をしたいというのをさらに分けまして、できればしたいというのは全体の一四・七%……(小沢(和)委員「いや、そんなことは聞いておらぬよ」と呼ぶ)どうしてもしたいというのは一・三%程度でございまして、六十五過ぎますと、急激に不就業者がふえる、あるいはどうしても仕事をしたいという人は全労働者の中で一・三%程度でございまして、六十五歳までと、その就業、不就業の状態あるいは仕事に対する意欲、そういったものは急速に変わってくるわけでございます。  そういう意味で、六十五歳以上でも現に働いている方はおられるわけでございまして、私どもお世話は十分いたしますけれども、その生活保障というのは、雇用政策でなく別の施策で講ずべきものだと思っております。
  171. 小沢和秋

    ○小沢(和)委員 失業対策制度調査研究会もやはり報告の中で六十五歳ということで線引きをして、五年間猶予するけれども後一律にこういう人たちはやめてもらいますという態度でいるわけですね。しかし実際には六十五歳を過ぎても幾らでも元気で働いている人はいるわけです。私も失対事業をあっちこっち見て回っておりますけれども、いわゆる乙という元気な人のための仕事にこの六十五歳過ぎの人が何ぼでもおります。  私は、最近、三重県の松阪市に、ここがいわゆる失対事業の民主的改革運動というのをやって大きな成果を上げているということで実情調査に行ったのですけれども、この人たちが小学校のプールなどを失対事業で建設をしているのですが、そのプール班というのは十八名いるのです。プールですから、鉄筋で組み、そしてそこにコンクリートを流すというような相当に激しい仕事なんですけれども、ここで七十歳以上の人が五名も働いているのですね。六十歳以下の人は逆に四名しかいないのです。そして毎年のように次々、現在すでに十五カ所もプールをつくっているわけです。七十歳を超えるような人でもこういうようなきつい仕事でもどんどんやっているのですよ。自分も元気な限り町のために少しでも役立ちたい、こういうような人たちの気持ちを尊重して、少なくとも一律に強制的な追い出しをするというようなことは私は絶対にすべきでないというふうに考えますが、その点はどうでしょうか。
  172. 加藤孝

    ○加藤(孝)政府委員 今度の研究会の六十五歳という考え方は、一つには他の高齢者に対する対策とのアンバランスの問題、それから年齢が元気なうちはいつまでも、という形の中でやっておりますと、結局元気だ、元気でないということをだれが判定するかということの中で、実際に事業そのものがもう労働政策の事業としてなかなか継続しがたいような限界に来ておる、こういうような問題が出てきておるわけでございます。  そういう形の中で、いま七十歳のことをおっしゃいましたけれども、八十歳以上の方も相当おられる。七十歳以上になりますと二五%の方がおられる。二万五千人おられる。さらに六十五歳以上の方が約半数おられるというような状況にあるわけでございまして、そんなような高齢化がどんどん進んでおる、高齢化が進む中で事業が非常に継続しがたい状況になってきておる。こういう現状を踏まえて、五年程度後において六十五歳という考え方が示されておる、こういうわけでございまして、六十五を超えても七十になっても元気な方がおられることをこれは否定はいたしません。しかし、制度として一定のやはりその辺についての考え方というものは入れなければ、私は元気だ、私はまだ元気だ、こう言われる中にもいろいろ問題があるわけでございます。その辺をきちっとしたい、そして労働政策の事業としてこれを立て直したい、こういう考え方に基づくものでございますので、その点について御理解を賜りたいと思うわけでございます。
  173. 小沢和秋

    ○小沢(和)委員 しかし、六十五歳でやめさせられた場合に生活することができないというのがこの人たちの切実な声ですよ。私も実際にその場で何人もから陳情を受けまして、本当に何と言っていいか言葉にも窮するような話がたくさんある。  たとえば、これは三重の人の話ですけれども、中川さんという方は、子供さんがみんな嫁いでいってしまったけれどもその子供たちに身を寄せることはできない、御主人は肺がんで死亡して、その御主人のお父さんが九十を過ぎているけれども、この六十九歳の中川さんという人がめんどうを見ている、こういう二人世帯だというのですよ。こういうような人たちが失対をやめさせられたら一体どうして生きていったらいいのか。あるいはもう一人だけ例を挙げてみますと、早野さんという方。この方は六十歳の男の方でしたけれども、八十五歳の年とったお母さんが寝たきりという。奥さんが中途失明で全盲。この三人でいま生活をしているというわけですね。こういうような人たちが失対をやめたらもうあしたから生活できない。一体こういう人たちに対してどうしたらいいのか。  こういうような人たちのことをおもんぱかってだと思いますけれども、かつて昭和四十六年に国会決議で、失対に就労しているのと同程度の生活が維持できるようになるまでこういうような人たちについては引き続き就労できるように配慮することということが決議されておるのですね。こういう点から考えてみても、結局生活保護に落ちていく以外にないというようなこういう状態を私は見殺しにすることはできないのじゃないかと思います。  あなた方はこういう人たちを生活保護にならないように生活を保障していくことができるというふうに考えて、こういうやめてもらいますという方針を打ち出しているのですか。
  174. 加藤孝

    ○加藤(孝)政府委員 先生のお話でございますと、要するに生活に非常に困っている状態があれば七十になっても八十になってもとにかく失対事業で就労させておけというようなことだと思うのでございます。  要するに問題は、どんなに就労できない状態の方でも失対事業でいつまでも抱えろ、これはやはり私ども労働政策の事業として、労働に対して賃金を払う、こういう形で事業を継続しておるわけでございまして、やはり就労ができないような状態になってくればそれはこの辺でリタイアをお願いしたい、それで生活できないという状態があれば、これはやはり基本的にそういう七十、八十の方で生活できない方があれば、生活保護というものがあって、生活保護を受けるのはだめだとかけしからぬとかそういうものではないと思うのです。まさにそういう人たちのために生活保護制度というものはあるわけでございまして、生活保護へ持っていくのはけしからぬ、そのかわり失対事業でいつまでも受けとめておけ、これは私どもとしてはやりかねるということでございます。
  175. 小沢和秋

    ○小沢(和)委員 私たちもいつまでもそういうところで働けるようにしておきなさいと言っているのではないのですよ。それは引退できるような条件をつくってあげたい、私たちだってそう思います。しかし、現実にはそういう条件というのはない。だから結局のところ生活保護を受ける以外にはこの人たちは行き場がないのじゃないか。この人たちは自分はこれだけいまでも元気で働けるのだから生活保護などを受けなくても働かしてもらいたいと言っているわけですよ。そういう希望にこたえるのが労働省の仕事じゃないのですか。  ぼつぼつ時間のことも気になるから私あと一、二点だけ質問をして締めくくりたいと思うのです。  そのいまの引退をするという場合でも、百万円ということが言われておりますけれども、この百万円というのもきょうこのごろでは余りにも私は少ないのじゃないかと思うのです。国、県、市が合わせて百万というようなことではなくて、もっと国だけでも百万出してやるとか、それぐらいのことはやはりやるべきじゃなかろうかというふうに考えます。  そして、このいわゆる引退する人たちに出すお金を留保者という病気などで最近現場に出てきていないような人たちについては出さないということで交渉の中でやり合っているというようなことを、私組合の機関紙でちょっと見たのですけれども、こういう病気で一番引退の条件さえ整えば引退するだろうというような人たちに対して一銭も出さない、とにかくやめなさいというようなことでは、それこそやめるにやめられないのじゃないか。だからこういうような人たちに対してももっと温かみのある態度をとるべきじゃないか。  最後にもう一つだけお尋ねをしたいのは、よく失対事業が非能率だというようなことが問題になりますけれども、私はこれは労働省の方のいわゆる資材費などの関係も非常に大きいのじゃないかと思うのです。実際に私がこの松阪で聞いたのでは、いわゆる資材費が国から来るままで仕事をやるとしたら二百四十人がかかって一日に一メートルの道路の舗装をする資材費にしかならないというのですね。私はこんなことで非能率とかなんとか言って非難できないのじゃないかと思うのです。だからこういうようなものについても改善をすべきだというように考えますけれども、以上三点ほどお尋ねします。ぱっぱっと一言ずつ答えてください。
  176. 加藤孝

    ○加藤(孝)政府委員 まず百万円の話でございますが、これは、いままで失対事業で生活を支えてきた方の生活を急速にそこで変えるということに必要なものということで、この金額は失対賃金の約一年分に見合うものであるわけでございます。こういったものは他の一般の方々との均衡もやはり考慮する必要があるわけでございまして、中小企業の方々の退職金がどうなっておるかとかそういったようなもの等も考えれば、これはもっとどんどん上げろということには簡単にまいらない問題でございます。  また、留保についてのお話でございますが、今度の特例一時金は、高齢、病弱のために現場では実際には就労がなかなか困難になっておる、にもかかわらず出てこられて事業の遂行上いろいろ障害になっておる、そういう方にこの際引退をお願いしたい、こういうものであるわけでございまして、すでに留保という形で自宅でじっとしておられるという方は何もこの際特に出ていってくださいとかそういうものではないわけでございます。したがいまして、これは特に留保について原則としては対象に考えておりません。ただ、現在就労者団体との間でたとえば業務上災害で留保になっておられる方等の問題につきましての具体的な話し合いというものを進めておる、こういうことでございます。  また、この資材費の関係の問題でございますが、失対事業は基本的に多数の失業者をとにかくそこで吸収させていくということでございまして、公共事業のように資材費をぽんとたくさんつけましてやっていく、こういうものでは基本的にないわけでございます。そういう意味で資材費が公共事業とは基本的に違うという問題があるわけでございますが、やはり資材費全体の運用の中で、一方において資材費のかかるプールとかなんとかというようなものがあれば、片方においては除草とか清掃とか、ほとんど資材費のかからないような事業を選択するというような形の中で、全体として資材費をできるだけ効率的に使っていくというような配慮を事業主体にお願いし、また労働省としても、資材費の配賦についての全国的な調整をやっておるところでございます。また、資材費につきまして毎年アップを図っておりまして、今後ともそういう資材費の上昇については努力をしていきたい、こう思っておるところでございます。
  177. 小沢和秋

    ○小沢(和)委員 終わります。
  178. 戸沢政方

    ○戸沢委員長代理 次に、石原健太郎君。
  179. 石原健太郎

    ○石原(健)委員 今回の改正のうち雇用保険法六十三条の改正の趣旨は「段階的かつ体系的な事業内職業訓練計画に基づく職業訓練を振興するために必要な助成」を行うためとありますけれども、具体的にはどのような助成を考えておられるのですか、お尋ねいたします。
  180. 森英良

    ○森(英)政府委員 お答えいたします。  今回の職業訓練関係の給付金の統合充実につきましては、これは中央職業訓練審議会の建議を受けまして、高齢化社会の中で特に中高年齢者に対する事業主の行う職業訓練というものを助成する必要があるということで考えたものでございます。  これまでに行われておりました中高年齢者の教育訓練の振興についての各種給付金と申しますのは、定年前三年以内の労働者を対象にしまして、これらの労働者を公共職業訓練施設あるいは専修学校、各種学校等の民間の教育訓練施設に派遣して教育訓練が行われます場合に、その受講料及び賃金の一部を助成するものであったわけでございます。  これに対しまして、新しい給付金制度におきましては、これら現行の給付金を統合充実いたしまして、審議会の建議の趣旨に沿いまして、事業主が生涯訓練の理念に基づく段階的、体系的な職業訓練計画をつくってもらうことを前提にいたしまして、その計画に基づいて事業主が行う中高年齢者に対する訓練を助成の対象にしようということで考えておるわけでございます。
  181. 石原健太郎

    ○石原(健)委員 その場合、その訓練計画の基準とかあるいは――確かにこれから高齢化社会を迎えていく中でこういう面に国が積極的に助成策を進めるということは必要なこととは思いますけれども、それぞれの地域の個々の労働者の要望にかなう訓練ということがやはり大切だと思うのです。国が画一的な基準をつくっただけでは十分対応できない面も出てくると思うのでありますけれども、この点に関しましてはどのような配慮を考えておられるか、お尋ねいたします。
  182. 森英良

    ○森(英)政府委員 全く先生御指摘のとおりでございまして、私どもがとります養成訓練等におきましては、これは若い勤労者といいますか求職者に対する、その人の全生涯にわたる基礎的な技能、知識を付与するものでございますから、そういう点からもある程度基準を厳格に守ってもらいまして、しっかりした訓練をやってもらうということが必要になってくるわけでございますが、今回始めようとしております中高年齢者に対する訓練ということになりますと、これはもうすでに相当の職業能力を持っておる方々でありまして、しかもそれぞれの既存の知識、技能というものも千差万別であるわけでございます。したがいまして、国が画一的な、固定的な基準を設けてそれで縛るということは確かに不適当と考えておりますので、そういう基準のような問題はなおこれから詰めていくことでございますけれども、先生御指摘のような線でできるだけ弾力的なものにしてまいりたいという方向で検討したいと思います。
  183. 石原健太郎

    ○石原(健)委員 この中高年者の再訓練の面では、中小企業などにおいてはいささかおくれている、手薄な面があるというふうに聞いておりますけれども、中小企業の再訓練に対しては何か特別考えておられるようなことがあるのかどうか、お尋ねいたします。
  184. 森英良

    ○森(英)政府委員 中高年齢者に対する訓練という面におきましては、実は大企業においても、まだこれからいよいよやらなければならぬだろうということで、いろいろ新しい動きが出始めておるというところでございまして、これは非常に進んだ企業が一部手をつけておりますけれども、大企業においてもなお十分に手がつけられていない面であるというふうに考えておりますので、中小企業、大企業の別なくこの補助はできるようにしていきたいというように考えております。  なお、中小企業の行っております職業訓練といたしましては、いわゆる認定訓練というのがございまして、これは主として養成訓練を、中小企業が、多くの場合団体をつくりまして訓練法に定める訓練基準に沿った訓練を実施します場合に、その設備費あるいは運営費といった面について補助をする制度でございますが、これは今回の統合の面では、いま現在は二つの助成制度に分かれておりますが、それを統合いたしまして、手続面でも簡素化いたしまして、そういう認定訓練の面の助成もさらに拡充してまいりたいということで考えておるわけでございます。
  185. 石原健太郎

    ○石原(健)委員 これからがその中高年者に対する再訓練という御返答でありましたけれども、これから年数がたつにつれてますます需要が増加するということは予想されるわけです。諸外国では、総賃金支払い額の一%ぐらいですか、こういったものを積み立てて訓練基金制度というようなのをやっているところが多い、韓国や台湾なんかでもやっていると聞いております。日本では将来ともいまのような仕組みのままでよいものかどうか、財源が大丈夫なのかどうか、あるいは、不足であると考えられるならば何か抜本的な方策を講じるつもりなのかどうか、お尋ねいたします。
  186. 森英良

    ○森(英)政府委員 今回の給付金等の統合充実によりまして特に強化されますのは、事業主の行う職業訓練に対する助成でございまして、そういう性質から申しますと、これは原則として事業主が負担しております雇用保険料によって賄うということが雇用保険法の趣旨からも適当であるというように考えておるところでございます。  先生御指摘の訓練基金制度等につきましては、私どもも勉強はさしていただいておるわけでございますが、雇用保険における能力開発事業制度といいますものも、事業主から拠出金を取ってそれに基づいて訓練に使っていくという限りにおきましては一応似たような機能を持っておるわけでございまして、また、当面の財源の見通しにつきましては、確かに新しい給付金等によりましてある程度の必要財源の増加ということもあるわけでございますが、当面は必要な経費は雇用保険料の中で賄っていけるというふうに見通しておりますので、直ちに新たな財源措置を講ずる必要は目下のところまずないのではないかというふうに受けとめております。
  187. 石原健太郎

    ○石原(健)委員 ただいま中高年者の再訓練ということをお尋ねしたわけでありますけれども、これは確かに大切なことだと思います。今回改正の対象になっている各種の給付金、これらの給付金の趣旨もそれぞれに結構だとは思われるのですけれども、中にはどうも場当たり的な、一時しのぎのためにやるという感なきにしもあらずのものもあるわけであります。中高年問題の根本的な解決は、やはり定年延長ということがその一つの手だてではないかと考えるのでありますけれども、先ほど来各党の方が触れられておりまして、その御返答も聞いておったわけなんでありますけれども、せめて事務的な仕事とかそういうものだけでもとりあえず六十あるいは六十五、こういった法制化を考えてみてはどうか、可能な職種だけでも、そう考えるのですけれども、いかがでしょうか。
  188. 関英夫

    ○関(英)政府委員 私ども雇用対策基本計画等におきまして、六十年度六十歳定年一般化という方針でやっておりますが、六十歳ですべて終わりということでなく、六十歳前半層、六十五歳未満層に対する雇用対策を今後とも強めていかなければならぬ、いまからそれに取り組んでいこう、こう考えておるわけでございまして、今回の法案で考えている給付金もそういう方向でいろいろ整理いたしております。  しかしながら、定年六十五歳というのを特定の職種について法律で強制したらどうかという御指摘でございますが、繰り返しになりますけれども、わが国の雇用慣行のもとで法律的に定年年齢を強制するということについてはなかなかなじみがたい点がございますし、なおまた、この立法化問題につきましては、国会におきます与野党の合意を経て関係の審議会で現在諮問に応じて御審議をいただいている段階でございますので、私どもとしてはその審議の結果を待ってそういう問題について対処していきたいと考えているところでございます。
  189. 藤尾正行

    ○藤尾国務大臣 まことにありがたい御趣旨で感謝をいたすわけでございますけれども、私どもといたしましては、私どもの働きといいまするもの、これを年金につなげたい、こう考えておるわけでございます。そうして一方におきまして、いまの年金制度を考えてみますときに、いまのたとえば厚生年金六十歳支給というようなことでは年金自体がもたない時代にもう来ておるわけでございますから、やがては、非常にむずかしい問題がいろいろあろうと思いますけれども、これは六十五歳年金という支給開始年齢の引き上げが起こる可能性といいまするのは非常に強いわけでございます。そういったことを片一方で考えて、それでもそれにつなげていかなければならぬということを考えれば、当然私どもの頭の中には六十五歳定年にしたいなあという希望が非常に強いわけでございます。  しかしながら、それに至る道程といたしまして、まずいまの支給年齢でございます六十歳にとりあえず定年を延長さしていただいて、それをできるだけ早くやって、そしてそれを六十二歳、六十三歳、六十五歳と延長をさしていただく、そういう努力をさしていただくことが、この高年齢社会といいまするものを迎えます私どもの務めではないか、かように考えまして段階的にやっておる。でございますから、当然この六十歳の定年制度を法制化するというようなことも、これをやってしまいますとまたそれを改正するのは大変でございますから、そうでなくて、やがては六十五歳の定年に持っていくための道程として私どもの政治指導によってそれを達成さしていただけぬものだろうか、こういうことでお願いしておるわけでございます。
  190. 石原健太郎

    ○石原(健)委員 それでは次に、身体障害者の雇用促進についてなんですけれども、各種の助成金があるようでありますけれども、この重度身体障害者の雇用というものはなかなか進んでいないというふうに聞いております。いまでも雇った場合には二倍にするというのですか、そういうカウントがされているようでありますけれども、障害等級に応じてもう少し細かく助成の内容に差をつけたらどうかと思うのですが、いかがでしょうか。
  191. 若林之矩

    ○若林説明員 先生御指摘のように、近年障害の程度の重度傾向が見られるわけでございまして、重度障害者等の雇用の問題は、私どもも特に重要な課題と考えておるわけでございます。重度障害者等の雇用の促進を図りますために、各種の行政措置におきまして重度障害者等に特に手厚い措置を講じておるわけでございます。具体的には、先生御承知かと思いますけれども、雇用奨励金などにつきましても支給額でございますとか期間につきまして、重度障害者につきまして手厚い措置を講じておるわけでございますし、御審議いただいております法律が施行されました場合には、特定求職者雇用開発助成金につきましても、その助成率が中小企業で普通三分の一でございますものが重度障害者の場合は二分の一になります。期間も通常一年のものが十八カ月になるというようなことでございます。また、大変よく活用されます職場適応訓練などにつきましても、この期間を、通常は六カ月のものを重度の者は一年にするというようなことにしております。また、いろいろな助成金で重度だけに限って助成をする、いま大変活用されております重度障害者等雇用管理助成金といったものも要するに重度障害者のための制度であるわけでございます。  しかし、先生おっしゃいますように、その助成目的に応じては障害の重度の概念につきまして弾力的にすべきものと考えておりまして、たとえば通勤対策でございますと、下肢障害者のような場合には四級以上の下肢障害者に対して対象にするというようなことを考えて、また脳性麻痺の方などにつきましても四級以上はそういう通勤対策の特別措置の対象にするというようなことをしておるわけでございますし、たとえば聴覚障害者で手話の援助が必要であるというような者に対する助成措置につきましては、三級以上の聴覚障害者の方につきまして助成措置を講ずるというような対応もいたしておるわけでございます。  それで、等級別に一つ一つについて細かい違いをつけるということになりますと、これは技術的になかなか複雑になってくるわけでございますし、最近雇用に対する理解が深まってまいりまして、中軽度につきましては一般的に申しますとその雇用が大変進んでまいっておるわけでございまして、やはり問題は重度であろうと私ども考えておりまして、そういった意味で基本的にはこの枠組みで重度障害者の雇用促進に努めてまいりたいと考えておるところでございます。
  192. 石原健太郎

    ○石原(健)委員 質問を終わります。     ―――――――――――――
  193. 戸沢政方

    ○戸沢委員長代理 この際、参考人出頭要求に関する件についてお諮りいたします。  厚生関係の基本施策に関する件について、日本赤十字社から参考人の出席を求め、意見を聴取することとし、その日時、人選につきましては委員長に御一任願うことといたしたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  194. 戸沢政方

    ○戸沢委員長代理 御異議なしと認め、さよう決しました。  次回は、明後十九日木曜日午前九時五十分理事会、十時委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。     午後六時八分散会