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1981-02-25 第94回国会 衆議院 文教委員会 2号 公式Web版

  1. 昭和五十六年二月二十五日(水曜日)     午前十時四分開議  出席委員    委員長 三ツ林弥太郎君    理事 谷川 和穗君 理事 中村喜四郎君    理事 三塚  博君 理事 森  喜朗君    理事 嶋崎  譲君 理事 馬場  昇君    理事 有島 重武君 理事 和田 耕作君       狩野 明男君    久保田円次君       高村 正彦君    近藤 鉄雄君       坂田 道太君    西岡 武夫君       野上  徹君    長谷川 峻君       船田  元君    宮下 創平君       木島喜兵衞君    中西 積介君       長谷川正三君    湯山  勇君       鍛冶  清君    栗田  翠君       山原健二郎君    小杉  隆君  出席国務大臣         文 部 大 臣 田中 龍夫君  出席政府委員         人事院事務総局         職員局長    金井 八郎君         文部大臣官房長 鈴木  勲君         文部省初等中等         教育局長    三角 哲生君         文部省大学局長 宮地 貫一君         文部省学術国際         局長      松浦泰次郎君         文部省社会教育         局長      高石 邦男君         文部省管理局長 吉田 壽雄君         文化庁次長   別府  哲君  委員外の出席者         青少年対策本部         参事官     佐野 真一君         警察庁刑事局保         安部少年課長  石瀬  博君         厚生省医務局医         事課長     斎藤 治美君         会計検査院事務         総局第二局文部         検査第一課長  向後  清君         文教委員会調査         室長      中嶋 米夫君     ――――――――――――― 委員の異動 二月二十日  辞任         補欠選任   臼井日出男君     塩崎  潤君   浦野 烋興君     正示啓次郎君   湯山  勇君     阿部 助哉君   山原健二郎君     松本 善明君 同日  辞任         補欠選任   塩崎  潤君     臼井日出男君   正示啓次郎君     浦野 烋興君   阿部 助哉君     湯山  勇君   松本 善明君     山原健二郎君 同月二十四日  辞任         補欠選任   湯山  勇君     石橋 政嗣君   栗田  翠君     松本 善明君 同日  辞任         補欠選任   石橋 政嗣君     湯山  勇君   松本 善明君     栗田  翠君     ――――――――――――― 二月二十三日  学校教育法等の一部を改正する法律案(中西績  介君外四名提出、衆法第二号)  義務教育諸学校等の女子教育職員及び医療施  設、社会福祉施設等の看護婦、保母等の育児休  業に関する法律の一部を改正する法律案(小野  明君外一名提出、参法第一号)(予)  義務教育諸学校等の女子教育職員及び医療施  設、社会福祉施設等の看護婦、保母等の育児休  業に関する法律の一部を改正する法律案(粕谷  照美君外一名提出、参法第二号)(予)  女子教職員の出産に際しての補助教職員の確保  に関する法律の一部を改正する法律案(勝又武  一君外一名提出、参法第三号)(子) 同月十六日  私学の学費値上げ抑制等に関する請願(池田行  彦君紹介)(第六六五号)  同外一件(大原亨君紹介)(第六六六号)  同(新村勝雄君紹介)(第六六七号)  同外十件(中西積介君紹介)(第六六八号)  私学に対する公費助成の増額等に関する請願  (玉置一弥君紹介)(第六六九号) 同月十八日  私学の学費値上げ抑制等に関する請願(池田行  彦君紹介)(第六九一号)  同(甘利正君紹介)(第七四四号)  同(森中守義君紹介)(第七七八号)  同(大原亨君紹介)(第七七九号)  大学の格差是正及び充実発展等に関する請願  (岩佐恵美君紹介)(第七四三号)  私学に対する公費助成の増額等に関する請願  (寺前巖君紹介)(第七四五号)  同(藤原ひろ子君紹介)(第七四六号)  教育基本法の改正に関する請願(小坂善太郎君  紹介)(第八一八号) 同月二十一日  私学の学費値上げ抑制等に関する請願(池田行  彦君紹介)(第一一三八号)  同(倉石忠雄君紹介)(第一一三九号)  同外六件(小坂善太郎君紹介)(第一一四〇  号)  同(津島雄二君紹介)(第一一四一号)  同外二十九件(水田稔君紹介)(第一一四二  号) 同月二十四日  私学の学費値上げ抑制等に関する請願外二件  (菊池福治郎君紹介)(第一一六六号)  同(田澤吉郎君紹介)(第一一六七号)  同(田名部匡省君紹介)(第一一六八号)  同(友納武人君紹介)(第一一六九号)  同外十件(羽田孜君紹介)(第一一七〇号)  同(長谷川峻君紹介)(第一一七一号)  同外二十五件(清水勇君紹介)(第一二二二  号)  同外八件(戸田菊雄君紹介)(第一二二三号)  同(森井忠良君紹介)(第一二二四号)  同外九件(内海英男君紹介)(第一二六三号)  同(串原義直君紹介)(第一二六四号)  同外十五件(下平正一君紹介)(第一二六五  号)  同外四件(中村茂君紹介)(第一二六六号)  同外七件(日野市朗君紹介)(第一二六七号)  養護教諭全校必置及び国立養成機関設置に関す  る請願(金子満広君紹介)(第一一七二号)  私学に対する公費助成の増額、制度確立に関す  る請願(三浦久君紹介)(第一二二一号)  同(鍛冶清君紹介)(第一二六八号)  同(中西積介君紹介)(第一二六九号)  同(細谷治嘉君紹介)(第一二七〇号)  高校新増設に対する国庫補助増額等に関する請  願(草野威君紹介)(第一二六二号) は本委員会に付託された。     ――――――――――――― 本日の会議に付した案件  文教行政の基本施策に関する件      ――――◇―――――
  2. 三ツ林弥太郎

    ○三ツ林委員長 これより会議を開きます。  文教行政の基本施策に関する件について調査を進めます。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。野上徹君。
  3. 野上徹

    ○野上委員 私は、自由民主党を代表いたしまして、文教行政の基本施策に関しまして、大臣の所信に関しまして、これから九十分質問をさせていただきたいと思います。  何分にも国会一年生でございますので、ふなれな点がございます。何とぞよろしく御指導と御丁重なる御答弁をお願いしたいと思います。  まず、五十六年度は非常な困難な財政事情下におきまして、わが自由民主党は、そういう状態におきましても、文教優先の立場を堅持いたしまして、必要な予算の拡充に努力をいたしましたが、大臣におかれましても、その意を十分にくんで御努力をいただいて、五十六年度予算四兆四千六百八十七億円計上という非常な成果をおさめましたことに対しまして、高く評価を申し上げたいと思うわけでございます。  そこで、まず冒頭にお聞きしたいのは、この予算編成の折に非常に問題になりました教科書無償の継続、と同時に、危険校舎の改築千点緩和措置の継続、この二点につきまして大臣の基本的な考え方をお聞きしたいと思います。
  4. 田中龍夫

    ○田中(龍)国務大臣 お答えいたします。  義務教育の生徒児童に対しまする教育は、これこそ日本の将来を担う国民の基礎的な養成でありまして、最も重要な施策でございます。われわれは、義務教育の教科書の無償給与制度は、憲法の精神にのっとったものでありまして、これをあくまでも今後ともに堅持してまいるという覚悟でございます。  なお、危険校舎の問題につきましても、全国の市町村から強い要望が寄せられまして、五十六年度も引き続きましてこの措置を継続するということにいたしておりますが、今後ともにこれを守ってまいりたい、かように考えております。
  5. 野上徹

    ○野上委員 ただいま御答弁にありましたように、教科書の無償制度というのは、御承知のように三十八年にわが自民党の議員立法によってできました。いわゆる教育に理想を求める国家こそ栄えるのだという信念に基づきまして提案された制度でございます。無償制度から有償への切りかえという論議も財政問題としてあるわけでございますが、いわゆる行き過ぎ福祉への反省という主張がそこには入っていると思います。しかし私は、やはりこの教科書無償というのは、財政問題としてでなく教育問題としてしっかりと位置づけていくべきであると思います。  しかし、この無償化をこれからも継続してずっととっていただく上において、もう一つお願いしておきたいのは、やはりこの無償化と同時に、教科書の内容を真に正確で公正な表現のものにしていっていただきたい。そのための検閲制度その他を十分に勘案して……(発言する者あり)この無償と教科書の中身と両方よくしていく、そういう方向でやっていただきたいと思います。
  6. 田中龍夫

    ○田中(龍)国務大臣 御案内のとおりに、ただいま申し上げましたような生徒児童に対しまする義務教育の基礎的な使用教科書といたしましてりっぱな教科書をつくってまいりたい、かように考えております。     〔委員長退席、中村(喜)委員長代理着席〕
  7. 野上徹

    ○野上委員 ただいま検定を検閲と、ちょっと上がっておりまして申しわけございません。訂正をいたしますが、りっぱな教科書ということでございます。  次に、危険校舎の件でございますが、危険校舎千点緩和措置ということで、これも特に豪雪、地震地帯では、この危険校舎の改築というものを非常に切実に考えているわけでございまして、ことさら豪雪地帯における危険校舎の一日も早い迅速な改築をお願いしたい、かように思う次第でございます。  それから次に、本格的な質問に入るわけですが、私は、ひとつ大臣の所信表明の順に従って初等中等教育、それから高等教育の整備充実、それから私学振興、こういった順序でやらしていただきたいと思います。  まず最初に、校内暴力についてでございます。  校内暴力は、いまや国内的な問題ではなくて、全世界的な問題になっているわけでございます。国内では全国各地でいろいろな非常にショッキングな事件が連日起きているわけですが、これが全世界的なものだということで、ひとつ簡単に、どんなものがあるかということを、新聞の記事など、あるいは私が取り寄せた資料などで御紹介をしたいと思います。  まず、これは二月二十三日の読売新聞に出たフランスのパリでの校内暴力でございます。たとえば「パリ北西のバル・ドワズ県アルジャントゥーユの職業学校。十八歳の女生徒が、下校時に男生徒からキスを求められ、断るとあざになるほど両ほおを殴られ、足げにされ、失神状態に陥った。パリ二十区の小学校。通学途中、外部の非行少年にカバンやノート、鉛筆を盗まれるのを守ると称して、高学年の生徒が児童から「パトロン(用心棒)料」を取っていた。マルセイユ、ベルサイユの中学校では、非行少年が学校の正門で、生徒から「通行料」を徴収していた。」また、ある事件では「問題児四人が、十数人の女生徒を校内で襲い、警察に検挙された。そのうちの一人は、自宅で祖母を脅し、七千フランの貯金を奪った。」こういうような暴行、傷害、放火、性犯罪と、数えると切りがない校内暴力がフランスを席巻しているようでございます。  そうしたことに対しまして、フランスの父母連合会の会長さんは「校内暴力は去年より今年、昨日より今日と増えている。私たちが耳にするのは、ほんの氷山の一角だ」、こういうふうに言っているわけでございます。  そしてフランスの文部省は、こうした校内暴力に対しまして、教育予算の拡大、教師の質の向上、そういったことを強く打ち出しているわけでございます。  また、当面の解決策として、父母連合会は、監督官を増員し、教師、父母、監督官による真の教育スタッフをつくるよう提唱しているのが実態でございます。  また一方、イギリスのロンドンタイムズでございますけれども、これは八〇年九月四日付でございますが、ここにはこのような記事が載っております。「教員の組合では」、この組合員は九万人でございますけれども、「学校で生徒の暴力で負傷する先生のために保険をかけることにした。この保険では、負傷の結果、けがをした結果、一週間以上休暇となる先生には週三十五ポンド」、日本円にいたしまして約一万六千円前後ですが、「四週間にわたって支払うことにしている。組合には週二、三件の暴力事例が報告されているが、これらは単なる足げりから金属製いすによる殴打、レンガの壁にぶつけるといったことから、以前生徒だった者が学校にやってきて、頭蓋骨骨折のけがを負わせるといった事例まで多様にわたっている。こうした問題の悪化の一因に、先生の生徒への制裁が狭められ、その制裁が常に非難されていることがある。また警察など当局も、証拠収集のむずかしさから積極的に訴追して先生を助けようとしない上、裁判所も、生徒の両親が武器を与えて暴行をそそのかしたといった事情でもない限り、賠償を課そうとしないからである。」、このようにして先生は、組合員一人当たり年間二十円を払いまして、万一のときに備えているわけでございます。  こういうような全世界的な問題があるわけでございますけれども、つい最近には、二、三日前に生徒が先生を襲った、そうしたら先生がそれを投げ飛ばしたら、生徒がけがをして傷害罪でつかまった、こういうような事件もございました。  いまや非常な社会問題、国内問題になってきたこの校内暴力に対しまして、大臣は、以前、単に一片の通達を出すだけでは行政の責任回避になってしまう、通達以外にも何らかの対応策を考えたいと言われておりましたけれども、いまや文部大臣として、校内暴力絶滅への強い希求と決意がおありだと思いますが、その決意をお聞かせいただきたいと思います。
  8. 田中龍夫

    ○田中(龍)国務大臣 ただいまは各国の例までお調べいただきまして、日本のあり方についての御意見をいただきまして、大変ありがとうございます。しかしわれわれは、今日の校内暴力の問題は、一朝一夕、最近のことでこうなったということよりも、むしろ戦後の非常な混乱と窮迫、さらに、その後の戦争のつめ跡とも申すべきいろいろな問題が累積もいたしておる、こういうこともございます。  しかしながら、当面の青少年非行の問題は、御案内のとおり、昭和二十六年あるいは三十九年、また今回の五十四年と、十四、五年を間隔にいたしまして起こっておる問題でもございまするし、これらにつきましては、総理府の青少年対策の問題、あるいはまた治安当局とも緊密な連絡をとっておりますが、しかしながら、文教をお預かりいたします文部当局といたしましては、治安維持あるいはまた、そういうふうな面ばかりではなく、最も大事な次の世代を担ってもらう青少年をりっぱに育成し、りっぱに教化していくということが本務でございます。  そういうことから言いましても、文部当局といたしましては、学校長以下全部の教員が一体となって、全力を挙げて校内暴力の問題、あるいはまた青少年の非行の問題に対処してまいらなければならぬ、かように考えております。  秩序ある学校経営を行ってまいり、そしてまた教育の内容を一層充実したものといたしまして、教師と生徒との間の、また生徒間相互の好ましい人間関係を育成することが肝要である。     〔中村(喜)委員長代理退席、委員長着席〕 同時にまた、これは家庭教育というものが大事なことでありまして、家庭と学校というものが緊密な連絡をいたすと同時に、そこにはあくまでも根本的に愛情というものに貫かれた一線がなければならない、かように考えておる次第でございます。  同時に、これを教えます教師の方々におかれましても、高い使命感とまた児童生徒に対しまする深い愛情というものがあって、初めて教育効果も上がるものである、かように考えておりまして、さような方向に指導いたしておる次第でございます。
  9. 野上徹

    ○野上委員 ただいまのような御意見も、いままでこの委員会でも再三お聞きしていたわけでございますが、私は、この校内暴力に関しまして一つの強い意見を持っている。それは、これまでのいろいろな議論が、ややもするといわゆる校内暴力を起こす非行児童生徒の側に焦点が非常に向けられているが、当然、そういう愛情、いわゆる触れ合い、あるいは家庭、社会環境を直していく、いろいろな要因があって非行をする子供ができる、何とかその土壌を直していかなければならない、当然、それには長い時間をかけてやらなければならないのですが、もう一つ一そういう本当に一握りの子供たちのために、毎日心身に脅威を感じている大多数の一般の子供たちあるいは教師、毎日おびえて暮らしているそういう層がたくさんいることを忘れてはならない。そして校内暴力の芽生えがある、あるいは事件が起きたといったときに対する当面の応急処置、そういったものをどういうふうに迅速にしていくか、あるいはいま盛んに言われておりますように、校内暴力を小さな芽のうちに摘み取っていくためにはどうしたらいいのか、こういったことを、これからもっと真剣に考えなければいかぬと思うわけでございます。  警察が校内に入りますと、すぐマスコミや父兄から非難をされる時代がずいぶんございました。しかし最近は、そういうような事件が発生したときには、勇気を持って警察にも連絡して、その目の前の患部を取り除くという作業をしなくてはならないのだという風潮が大変強く出てきていると思うのです。  そういう観点から、まず最初に、事件が発生した場合あるいは早期発見、予防には、警察庁としてどんな措置をとっているのか、お聞きしたいと思います。
  10. 石瀬博

    ○石瀬説明員 校内暴力の問題というのは、ごく一部の生徒が悪いことをしておるわけでございますけれども、それによって大多数の生徒が非常に大きな被害や迷惑を受けていることは、ただいま御指摘のとおりでございまして、私ども、昨年一カ年間で取り扱いました教師に対する校内暴力事件を見ましても、学校から通報がありまして、捜査に行ったというのが七七・四%でございますけれども、生徒や保護者やPTA、一般人からの通報が一一・二%あるということで、これはやはり一般の生徒あるいは保護者の方に対しましても、非常に心配を与えておる大きな問題であろうと考えております。  校内暴力の問題につきましては、いまほど御指摘がございましたように、本来、未然防止を図ることが一番基本でございまして、そのためには学校側の適切な生徒指導によって未然防止を図っていただくというのが一番基本であろうと思います。校内暴力問題につきましては、やや比喩的な言い方でございますけれども、学校が主役で警察がわき役という感じでこの問題に対応しておるわけでございますけれども、ともかく徴候段階で芽のうちに摘むというのが、一般の生徒に対する不安感とか迷惑感を除去する上からも非常に大切なことであろうと考えております。  そういうことで、私どもの方といたしましては、学校当局との連絡をできるだけ緊密にいたしまして、徴候段階で情報をいただく、そして学校に対しまして必要な指導助言を行っていくことによって、事件の未然防止を図っていく、また、不幸にして事件が発生した場合には、的確に、学校とも連絡をとりながら、事案の内容に応じて必要な現場措置を講ずる、あるいはまた関係生徒の検挙、補導措置を通じて事件の収拾と再発、拡大の防止を図る、そういうようなことをやっております。
  11. 野上徹

    ○野上委員 文部大臣にお聞きしたいのですけれども、校内暴力は悪いものだということは当然の理でありまして、学校当局、教師、教育に携わる者が、悪いものは悪いのだというはっきりとした判断をして、その措置をとらなければ、子供の教育上いわゆる信賞必罰という精神を植え込められないと思うのです。  いままでややもすると、父兄やマスコミやいろいろな世論の目というものを意識して、その事件を自分の胸におさめておく教師が非常に多い、あるいはこわくて言えない子供たちもたくさんいる。先ほど申し上げたように、これらの事件は、本当に氷山の一角だと私も思うのです。であるとするならば、そういう校内暴力が発生した場合は、速やかに警察に連絡をして警察官を入れなさい、そして、その悪い芽を、その時点ですぐ排除しなさいという方針を、文部省としてどうしても強く打ち出していく必要があるのではないだろうか、そういう勇気を持つ必要があるのじゃないだろうか、こういうふうに思うわけでございます。  それは決してすぐに子供たちを警察権力で抑えつけたということではなくて、一般の子供たち、先生が万一けがをしたり命をなくしたりということになれば取り返しのつかないことになる。暴力が起きたらすぐ警察に連絡をとって善処するように、そのくらいの強い通達を徹底させていただきたいと思うのですが、いかがでしょうか。
  12. 田中龍夫

    ○田中(龍)国務大臣 ただいまのお話、最近は大分傾向も変わってまいりました。というのは、愛情というものは、ネコかわいがりばかりが愛情じゃない。やはりそこには厳しい愛のむちというものがあって、初めて教学の本旨に達するものだ、また、親と子の間におきましても、家庭のしつけにおきましても同様であると存じます。きちんと秩序立った、そして深く愛せば愛するほどまた厳しい態度で臨むということも当然起こってまいります。  警察との関係におきましては、ただいまお話があったように、学校当局と警察との間にも緊密な連絡をとっておりますことも、御存じのとおりであります。それからまた、教育委員会その他の方面におきましても、地域社会におきます重大な関心といたしまして、社会教育の面におきましても同様くつわをそろえて教学に専念いたしております。
  13. 野上徹

    ○野上委員 いずれにしても、私がただいま申し上げたいのは、眼前に迫ってくる暴力に対して、毎日おびえている大多数の被害者をまず守るという考え方を、徹底、確立していただきたいということが第一点でございます。  次に、先ほど大臣がおっしゃられましたように、教師の愛情ある教育が、校内暴力、非行へ走る子供を少なくする、あるいは立ち直らせる一番大きな要因だと思うのです。  であるとするならば、いろいろな要因があると思いますけれども、教育は人なりという考え方を徹底していくならば、教師の質をいかにしてよくしていくかということが、校内暴力、子供の非行を減らしていく一つの大きなかぎになっていくと思うわけでございます。  そこで、子供にとってよい教師像とは、それから、こういう校内暴力が頻発する時代において、これからの教師にはどんな資質が求められると思うか、大臣の所信をお伺いいたしたいと思います。
  14. 田中龍夫

    ○田中(龍)国務大臣 御案内のとおりに、教育というものは、大事な子弟をお預かりしたたっとい任務でございます。同時にまた、みずからの人格の陶冶あるいは練成、修養にも努めなければなりませんが、教育にあずかるということに対しましての高い使命感、と同時に、そこには貫かれた児童生徒に対しまする深い愛情、同時にまた、すぐれた指導力が要請されるわけでございます。教員の研修には今後ともに一層の力を入れてまいりたい、かように考えております。
  15. 野上徹

    ○野上委員 いわゆる教科の指導力というものと同時に、教員としての心構え、あるいは使命感、情熱といったものが非常に求められるわけですね。そして五十六年度の予算の上にも、教員の資質向上のためのいろいろな予算が盛られているわけです。しかも、こうした行政改革の折でありながらも、なおかつ教師につきましては、四十人学級の実施だとかあるいは教職員定数の改善だとかということで、これからも増員の傾向があるわけでございます。しかも一方では、優秀な人材を確保するための人確法というものも制定されている。いい教師をたくさんつくっていくということなわけですね。そしてある外国人は、日本の教師は三高という表現を使っている。社会的地位の高さ、給料の高さ、質の高さにおいて世界でも上位の方だ。しかし、その先生が、なぜこの暴れる子供を教え諭すことができないのかと皮肉っているわけでございます。  そこで、教職員の資質の向上について、教員の養成、それから採用、研修と三段階あるわけでございますが、それぞれに関しまして、現在どのような対応がとられておるのでしょうか、お聞きしたいと思います。
  16. 三角哲生

    ○三角政府委員 ただいま御指摘がございましたように、教職員の資質の向上というのが、教育現場におきます営みの充実改善のために一番大事な前提となることでございますので、従来から予算措置をしていただきまして、各種の研修をやっておる次第でございます。たとえば新規採用教員の全員に対する研修、それから教職経験五年の教員全員に対する研修、さらには教員の視野なり幅を広げるための教員海外派遣、あるいは教育研究団体に対する助成、その他各種の研修事業を実施いたしましてやってまいっておりますが、昭和五十四年度からは、新たに教員による教育研究グループに対する助成、それから免許外教科担当教員に対する研修それから中学校と高等学校の英語担当教員の海外研修を実施しておる次第でございます。  なお、明年度予算におきましては、これらのものを引き続き継続いたしますと同時に、教育研究グループに対する助成につきまして、さらに若干の充実を図るべく予算案を編成させていただいておる次第でございます。  次に、教員の採用試験の問題でございますが、これまでにおきましても、教員にすぐれた人材を採用すべく、各都道府県教育委員会においていろいろと試験の方法等に各種の工夫を加えてきたところでございます。  それから、御指摘のような教員に対する待遇、処遇の改善等も進めていただきましたことも、大いにこの面に対していい影響を与えまして、教員の志願者も増加をしてまいりますし、その質も上がってきておるというふうに見ておるわけでございますが、この試験におきましても、学力試験のほか面接でございますとか体育実技、適性検査等、各教育委員会で工夫をして、いろいろなやり方を加味してやってございます。  教員は、学力ないしは教育技術というものだけでなくて、御指摘のような教育に対する強い情熱でございますとか使命感等が必要でございますので、学生のときにクラブ活動をどのように経験したかとか、そういった面も含めまして、やはり教員には幅広い資質並びに人間的、人格的な魅力といったようなものも強く要求されますので、こうした観点に立ちまして、すぐれた人材をより一層確保できますように、教員採用の方法の改善には今後とも都道府県教育委員会に対して私どもも一緒になって考えて指導してまいり、よい教員をできるだけ教育の現場に確保してまいるというふうに努力をいたしたいと思っております。  なお、教員養成の問題につきましては、所管局長から申し上げます。
  17. 宮地貫一

    ○宮地政府委員 教員養成の面が大変大事であることは御指摘のとおりでございまして、教育職員養成審議会におきましても、それらの点の改善についての検討が従来もなされてきておるわけでございます。すでに四十七年の教育職員養成審議会の建議におきましても、たとえば四年制大学卒業程度を教員資格の原則的な水準にするというようなことなど、教員免許制度全般にわたって水準の向上を図ることでございますとか、あるいはただいま初等中等教育局長の方からも御答弁がございましたように、研修の改善充実でございますとか、あるいはさらに教職に人材を広く求めるというようなことから、教員資格取得の道を拡充することでございますとか、あるいは教職を魅力あるものにするための各種の施策の推進というようなことの建議がなされております。  私ども文部当局といたしましても、実施可能なものから逐次実施をしてきておるわけでございまして、たとえば教員資格認定試験の拡充を昭和四十八年度から行っておりますとか、あるいはその養成審議会でも提案されておりますような、教員の再教育に重点を置きました新構想の大学として、五十三年には上越教育大学と兵庫教育大学の創設を図ったわけでございますし、また、御提案申し上げております昭和五十六年度予算におきましても、鳴門教育大学の創設を図ることといたしておるわけでございます。  そのほか、特に教職について大事な教員養成の面で申し上げますと、教育実習の改善ということが大変大事なわけでございまして、教育実習の改善のためにも、たとえば教員養成大学・学部に教育実習の研究指導センターを設けるというようなことにも取り組んでおるわけでございます。  さらに、教員養成の実地指導のために、現場の教員を大学の非常勤講師として採用して、実学的な指導に当たらせるというようなことも積極的に取り組んできておるわけでございます。  教員養成制度自体の改善につきましても、いろいろ御指摘がある点を承知しているわけでございまして、私どもとしても、検討をいたしておるわけでございますが、現実の問題といたしましては、そういう教員養成大学・学部の具体的な整備充実というようなことに取り組みながら、その教員養成の改善の実を上げていきたい、かように考えておるところでございます。
  18. 野上徹

    ○野上委員 まず、養成のところから、ちょっと細かいことですが、お聞きしたいのです。  この四十七年の教育職員養成審議会の建議は、いろいろな面で提案、そして必要なことを言っていると思うのですが、まず、その養成について、現在の実情を見ますと、五十五年三月、昨年の三月の卒業者のうち免許状を取った人が十七万四千五百人、ところが、この免許状取得者というのは二十八万九千九百人、つまり、ずいぶん数字が違うわけでございます。その原因は、中学校と高等学校の両方の免許状を持っている人がいるということですが、二十八万九千九百人も免許状取得者がいる。つまり、先生にならない学生でもどんどん資格だけ取っておくという傾向があると思うのです。そのうち実際に先生に就職しているのは、たった四万二千人なわけですね。二十八万九千九百人も免許状を出して、そのうち四万二千人しか教師になっていない。そういう実態の裏には、大学における教科が形式的なものに流れたり、あるいは質の面におきましても、たとえば外国、アメリカと比較いたしましても、アメリカの初等中等教育の教員の学歴は、大学院卒が二九・七%、これに対しまして日本ではわずか一・一%。二九・七%に対して一・一%、大学卒は、アメリカが六八・三に対して日本では九〇・二。大学院卒が非常に多いアメリカに比べて日本は非常に少ないわけでございます。いわゆるだれでも一応大学に行って勉強すれば、その資格が与えられる、免許状がもらえるという傾向。これに対しまして、この建議の中では、もっと修得単位数を引き上げる必要があるのじゃないかとかいろいろなことを言っているわけでございますが、その点に関しては、局長、どうでしょうか。
  19. 宮地貫一

    ○宮地政府委員 お答え申し上げます。  特に中学校、高等学校の教科の免許状については、免許状取得者が就職者に比べて大変数が多いという点は、現状は御指摘のとおりでございます。これは基本的には、戦後の教員養成制度が、いわゆる開放制と申しますか、一般大学において教員を養成するというのを基本的な原則として、いわゆる開放制をとられたことによるわけでございまして、国立大学の教員養成大学学部におきましては、教育課程の編成等におきましても、特に教員となる者のための具体的な教育課程を編成するということは可能なわけでございますが、一般大学におきます教育課程から申しますと、教職課程を重視するということと専門教育とのバランスをどう考えるかとか、そういうような点でいろいろと問題点が、指摘されているようにあるわけでございます。  そこで、御案内のとおり、四十七年の教員養成審議会の建議におきましても、先ほど御答弁申し上げましたような点を幾つか建議として指摘をされているわけでございます。先ほど申しましたように、具体的に実施可能なものから私どもとしては実現を図ってまいっておりますが、たとえば免許基準の改善、向上という点も、御指摘のとおりなのでございますが、現実の問題として、なおいろいろ、そこには実施困難な幾つかの難点もあるわけでございまして、そういうような点について十分検討を加えながら、たとえば先ほども申し上げましたように、教育実習という点が特に教員となる者のための非常に大事な一つの要点でございますが、しかしながら、その教育実習につきましても、先ほど御指摘のように、一般大学の免許状取得者にとっては大変数が多くなっておって、その教育実習のあり方が大変形式的に流れておりますとか、あるいは教育実習を受け入れる方でも、大変数が多くて、その点について教育現場にいろいろな難点があるということが指摘をされているわけでございます。  現在、教育職員養成審議会の審議におきましても、教育実習の具体的な進め方、どのようにすれば実効の上がる施策がとれるかということについては、いろいろ御検討もいただいておるわけでございますが、私どもとしては、基本的には本当に教員になろうとする者については、教育実習を十分重視し、免許状のあり方としては、免許状を取得して、実際に教職につく希望がどこまであるのか、その辺の進路指導と申しますか、そういうこととかみ合わせながら、教育実習についても合理的な改善策を図っていきたい、かように考えております。  なお、具体的な、たとえば教員養成大学学部と、採用者側でございます教育委員会側との地域連絡協議会と申しますか、そういうようなものも具体的なものを設けまして、教育実習の円滑な実施ということについて、それぞれの地域で御協議を願うような体制もとっていただいておるところでございますし、また、教育実習についての協力校と申しますか、それぞれの大学側と教育実習についての協力校との継続的な協力関係と申しますか、そういうようなものも密接に図っていきながら、実習の実が上がるようにいろいろと施策は講じているわけでございます。  しかしながら、御指摘のとおり教育養成制度全体についても、なお検討を要する課題もあるかと考えておりまして、先ほども御答弁申し上げましたように、具体的な施策で改善を図りながら、さらにその上で制度面でどのような点を検討すべきか、今後私どもとしても慎重に取り組みたい、かように考えております。
  20. 野上徹

    ○野上委員 いま大学局長のおっしゃるとおりなんですけれども、その中で一点だけ、先ほどの校内暴力とも絡みがありまして、特に小学校の女子教員、女性教員というのは非常に多いわけなんですが、大学でわずか四年間、特に専門分野あるいは教科の知的な面での教育というものは非常に進んだ女子教員だが、非常に経験の乏しい、そしてまだ二十を出たばかりのそういう女性が入ってきて、果たして校内暴力だとかそういったものと取り組めるだろうか、それだけの経験といわゆる指導力、そういったものがあるのだろうかというようなこともよく言われるわけでございます。  そこで、ただいまいろいろ局長が言われた中で、やはり大学における教育実習というもの、これの期間的な面を、せめてもう少し延長する必要があるのではないか、そういう必要性があると思うのですけれども、いかがでしょうか。
  21. 宮地貫一

    ○宮地政府委員 お答え申し上げます。  御指摘のとおり、教育実習が大変教職にとって大事な単位であるということは、御指摘のとおりでございまして、現状から申しますと、初等教員については四週、中学校以上については二週というのが最低基準ということになっておりますが、国立の教員養成大学学部におきましては八週間の教育実習を実施しているわけでございます。これは教員養成大学としては、本来、目的養成ということを眼目にいたしておるわけでございますので、先ほども申しましたように、教育実習に重点を置いた、そういう意味で教員としての資質は高いということが言えるかと思います。  ただ、一般大学におきます教育実習の期間を長くすることにつきましては、先ほどもちょっと申し上げたわけでございますけれども、教員免許状を取得するためには、教科に関するものとか、あるいは教職に関します専門科目をそれぞれ取得してもらう必要があるわけでございますが、一般大学におきましては、それぞれ一般大学の本来の、本来のと申すとちょっと語弊がございますが、一般大学におきます専門科目の履修ということと教職の専門科目の履修との間のバランスをどうとるか、同じ四年間の単位の中で教職専門科目の単位を、どこまで重点を置いて取らせるかということと大学の基本的な教育課程の組み方そのものと大変関連があるわけでございまして、その辺の調整をとりながら、先ほども申し上げたわけでございますが、実際に教員を希望する者については、なるたけ教育実習等を重点的に実施するというような方向で、そういう意味での進路指導と申しますか、そういうようなことも十分加味をしながら、実際の運用でその辺をどこまで改善できるか、私どもとしては、そういう方向で指導いたしておるわけでございますが、たとえば実際には教員にならないけれども、免許状を取っている者についてのそういう免許状の取得の仕方そのものについても、基本的には検討を要する点があろうかと思っておる次第でございまして、制度面の改善全体については、先ほども申し上げましたように、今後慎重に取り組みたい、かように考えておるところでございます。
  22. 野上徹

    ○野上委員 もう一点、確かにいま言われるように、たくさんの大学生がいて、その中からごく一部だけしか先生にならない、やはり入ったときから自分は先生になるのだ、教育者になって子供の指導に当たるのだ、そういう情熱を持った、使命感、心構えを持った先生をもっともっとつくっていかなければいかぬわけですね。私は、それをやはり早く確立してほしいと思うのです、大学の課程におきまして。  もう一つは、その教育課程の中に、少なくともボランティア活動だとかクラブ活動の義務づけというものを、何か単位としてそういうものを入れることはできないのでしょうか。
  23. 宮地貫一

    ○宮地政府委員 先生御指摘のように、ボランティア活動のようなことで実際に子供を指導すると申しますか、そういう実践を身につけるということは、大変貴重なことでございますし、望ましいことであろうかと思います。  ただ、先ほど来申し上げておりますように、教職専門科目を、どういう単位をどの程度必修とするかということについては、教育課程全体の面と関連する点がございまして、現行の制度で申し上げますと、先ほど来御説明しておりますように、教育実習の単位をそれぞれ、小学校で言えば四単位、中学校で言えば二単位というのを、最低の必修単位として規定をしているわけでございます。  御指摘のように、実際に教職につこうとする者が、そういうボランティア活動等で子供の実際の指導に当たるということは、事柄としては大変望ましいことであろうかと思いますが、それを制度面で規定するということについては、なお検討を要するいろんな問題点があるかと思いますので、その点については慎重に検討してみなければならぬことであろうかと思っております。
  24. 野上徹

    ○野上委員 そういうふうにして出てきた、免許状を持ってきた人を、今度は県教委の段階で採用するわけですけれども、この県教委の採用時点におきましても、やはり知的面の試験というものに中心が置かれていて、幾ら指導者として使命感とか情熱とか、あるいは先生としての適性があっても、知的なものが低ければ先生になれない。この男は絶対教師に向いてるなと思っていても、たとえばこの前も森先生と話しておったのですが、剣道五段ぐらいで、いわゆる教師としてのめりはり、いろいろなもの、非常に指導力を持った人が三回も挑戦してもどうしてもだめだ。こういう熱意を持ち素質を持った人でも、なかなか県段階での採用に受からないという人もいるわけでございます。  そこで、県教委のいろいろの採用試験にも、水泳テストとかその他の図工、音楽といった実技は大分組み込まれているわけですが、ここにも何か知的面以外のものでの教員の適性ということで、もう少し別の要素をもっと取り入れるよう、県教委を指導していくことはできないのでしょうか。
  25. 三角哲生

    ○三角政府委員 ただいま御提案の件は、私どもとしても、非常に同感のことでございますので、機会をとらまえまして、都道府県の教育委員会にも提案をし、そういうことが教員の採用、選考の場合により重視される方向へ持っていければということで対応してまいりたいと思っております。  実際問題としては、現在かなりのところで、体操とか水泳とか、その他の体育実技を教員採用試験の内容として設けておりまして、これは傾向としては近年ふえてきた結果でございます。でございますから、そういう方向には現在もあるということが言えると思います。  それから、先ほども申し上げましたが、第一次試験あるいは第二次試験のいずれかにおいて面接を実施いたしておりますが、この面接なども、従来よりもこれにより重きを置くという方向もございますので、いろいろな面をあわせまして県を指導してまいりたいというふうに考える次第でございます。
  26. 野上徹

    ○野上委員 そういうふうにして教員が採用される、その養成、採用の面で、そういう知的面以外のものでまだ未熟な若い先生には、先生になった後での研修というもので今度はみがいてもらわなければならぬわけです。その研修事業をことしもいろいろ具体的にやっておられますけれども、この研修で、まず教育研究グループ、小さな事業ですけれども、この教育研究グループというのは、算数だとか理科だとか、そういう教科グループの先生が集まって研究するというものに対して補助をする、これを教科だけではなくて、もっと別の、たとえば生徒指導だとかあるいは校内暴力だとかいったテーマを持って研究しようとする研究グループ、しかも、それが校内で行われることが望ましい。先生が校外へ行って研修するということは、現場を離れるということは非常にむずかしいことですから、それを校内でやる。この考え方を今後導入、徹底させる考えはないかどうか。
  27. 三角哲生

    ○三角政府委員 ただいま御指摘の教員の教育研究、グループ研究、これに対する奨励事業は、今年度は各県、これは平均でございますが、二十五グループということで、五十六年度予算案におきましては、若干でございますが、これを三十グループに伸ばすように御提案申し上げておる次第でございます。  ただいま御指摘のように、このグループ奨励事業は、教員の自発的な教育研究活動の促進を図るものでございますので、これは校外、ほかの学校の先生たちとグループを組む場合もございますが、もちろん校内でそういったグループを組むということも考えていいわけでございます。そして、それに対して助成をするわけでございますが、現在のところ、御指摘のとおり、分量的には教科指導にかかわるものが主体になってございますが、生徒指導にかかわる分野につきましても、この事業の対象といたしておりますので、私どもは、その分野についても、なお一層意を用いてまいりたいと思っております。  なお、ちなみに富山県の例で申し上げますと、二十グループやっておりますうち、生徒指導と地域との連携、小中一貫をした生徒指導と地域との連携というようなテーマで三グループやっていただいておりますし、それから生徒理解をどう深めるかというようなテーマで二グループ、それから、ゆとりと充実感のある学校経営のあり方というようなことで二グループいたしておりますので、教科の関係の方が数的には多うございますが、いろいろなグループの自発的な考えでそういった生徒指導ないしはそれに関連するような分野についても御研究をいただいておるとは思っておりますが、なお一層意を用いてまいりたいと思う次第でございます。
  28. 野上徹

    ○野上委員 それから最後に、校長、教頭の問題なんですが、最近よくこの校長、教頭の管理者としての能力がどうも足りないのではないだろうか。校内暴力なんかでも、校長、教頭がしっかりしている学校は、みんなよく末端の先生を指導して、そういう非行あるいは暴力などが起きないのだということをよく聞きますけれども、この校長、教頭の研修その他をこれから強化、充実させていくという考え方はありませんか。
  29. 三角哲生

    ○三角政府委員 御指摘のように、学校が教育の実を上げますためには、校長、教頭を中心として、しかも、これに対して全教職員が一致協力をするという体制が必要でございます。しっかりした校長、教頭の管理能力ということが重要でございますし、その力によりまして、学校全体がその経営を緊張したもの、経営の弛緩ということがない緊張した学校経営を行うということが重要でございます。  すでに文部省といたしましては、校長、教頭のいろいろな力量を養いますために、校長、教頭等の研修講座というものを行っておりまして、年間八百人に上ります校長、教頭等が参加をいたしております。  なお、このほかに各都道府県教育委員会においても管理職研修を実施しておりますが、御指摘のように、今後、これらの研修は、なお一層充実させてまいりたいものであるというふうに考えております。
  30. 野上徹

    ○野上委員 いずれにしても、四十七年の教育職員養成審議会の建議あるいは五十三年六月の中央教育審議会の教員の資質能力の向上についての答申といった非常に建設的な建議、答申がなされているわけで、大分時間もたっているわけですので、ひとつ積極的に、この先生の資質の向上は、校内暴力と密接な関係がありますから、これから大いに力を入れてやっていただきたいと思います。  次は、北里大学事件に絡みまして、私学助成法の問題、そして高等教育の計画的整備の問題に移りたいと思います。  まず、北里大学事件は、非常にショッキングな事件であったわけですが、ある面から言えば、こういう私立医科大学というのは、どこの大学でも似たようなことをやっているのではないだろうかというようなことも言われているわけでございます。北里大学事件を初め、最近の私立の医科大学等における不祥事件についての文部大臣の見解をお聞きしたいと思います。
  31. 田中龍夫

    ○田中(龍)国務大臣 私学の、なかんずく医大の経営というものは、御案内のとおり、非常に金を食う仕事であると同時に、それに対しましては、この予算等においても、われわれは誠心誠意を持って増額を図ってまいったのでございますが、それにもかかわりませず、経理の不都合が起こったことは、本当に残念に存じておる次第でございます。  なお、高等教育の計画的な問題につきまして、前期、後期に分けて指導に当たっておるわけでございますが、この私立の大学の問題については、文部省としても、さらに一層十分に調査をし、同時に、それに対しては厳正な措置をとらなければならぬ、かように考えます。むしろ今回のいろいろな事件を、災いを転じて福とするような今後のあり方にしたい、かように考えております。
  32. 野上徹

    ○野上委員 そこで、この北里大学の調査はもう完了していると思うのですけれども、ここの一番のポイントを御披露願いたいと思います。
  33. 吉田壽雄

    ○吉田(壽)政府委員 お答えいたします。  学校法人北里学園から提出されました財務計算書類等には、今回判明いたしましたいわゆる別途経理の金額については一切記載がございません。  それで、学校法人北里学園からの事情聴取を文部省として行いました結果、判明したことは、北里大学の医学部では、昭和五十四年度並びに昭和五十五年度両年度にわたりまして、入学者の父兄から申し込みを受けた寄付金、それから学債につきまして、その受け入れた一部分は直ちに正規の学校会計に受け入れて、その状況については文部省にも報告が出されておりますけれども、残りの部分については、後で学校会計に繰り入れるというような計画のもとに、いわゆる別途経理をいたしておったわけでございます。つまり、特定の銀行に父母の名義で定期預金をつくりまして、その定期預金証書を大学当局が預かっていたことが判明いたしました。  なお、金額でございますが、昭和五十四年度においては、寄付金と学債それぞれございますけれども、寄付金が二億一千四百万円、学債は十二億六千九百万円でございます。昭和五十五年度、これは昨年の六月一日現在でございますが、寄付金はございませんで、学債は十億五千三百万円ということでございます。別途預かり金といたしまして、いわゆる別途経理されたものは、昭和五十四年度については十七億六千百五十万円でございますが、このうち、昭和五十五年度に正規の学校会計に繰り入れたものは九億九千七百万円、約十億円ございます。それから昭和五十五年度入学者にかかる別途預かり分でございますが、金額にいたしまして十四億九千万円でございます。  以上のとおりでございまして、五十四年度並びに五十五年度両年度にわたって別途経理されたものは三十二億五千百五十万円ということが判明いたしております。
  34. 野上徹

    ○野上委員 その説明を聞きますと、いわゆる私学振興助成法あるいは五十二年九月の通達、そういったこれまでの、補助金はあげるけれども、そのかわりしっかり経理をやりなさいという、あるいは寄付金その他の問題も問題が起きないようにしなさいという、そういうことに明らかにこれは違反して、虚偽の経常費報告、収支報告をしている。しかも、入学に絡んで事実上の寄付金も取っている、一千万円以上も取っているということは明白なわけでございます。これは先ほど大臣も言われましたけれども、私学振興助成金、国庫補助金を出すという意義を本当に踏みにじる行為であると私は思います。  そこで、この北里に対して当然ペナルティーが科せられてしかるべきだと思いますが、このペナルティーをいつごろどのような措置を講ずるのか、また、そのペナルティーとしてはどういう段階があるのか、その辺をお聞かせ願いたいと思います。
  35. 吉田壽雄

    ○吉田(壽)政府委員 この補助金でございますが、補助金の根拠は、私立学校振興助成法に規定されておりまして、学校法人が法令の規定に違反した場合等につきましては、その学校法人に交付いたしました補助金を減額することができるという規定もございますし、さらに、その状況が著しく、補助の目的を有効に達成することができないと認めるような場合には補助金を交付しないことができる、こういうふうに規定されております。  北里大学の場合は、先ほど申しましたように、多額の別途経理をいたしておりまして、いま先生がおっしゃられましたように、文部省の学校法人会計基準にも違反しているわけでございます。大学当局は、この別途経理いたしました三十二億円余りを全額父兄に返還するというふうに言明いたしておりますけれども、しかし、会計基準に違反したというような事実は、たとえ父兄に全額返還いたしましたとしても、やはりその責任は免れ得ないわけでございまして、いま、どういうようないわゆるペナルティーを科するかということにつきましては検討いたしております。私どもとしては、できるだけ検討を急ぎまして、早い時期にその措置を決めたい、こういう考えでおります。
  36. 野上徹

    ○野上委員 父兄に返す、返さないという問題ではなくて、これはこの経常費補助金というものの性格、精神を踏みにじった、違反したということでのペテルティーであるわけでございます。五十二年に国からは二十二億円余も出ている。二十三億円ですね。五十三年には二十九億円、五十四年には三十六億円。日大、早稲田、慶応に次いでとにかく全私大で五番目に多いというこれだけ巨額の補助金が出されているわけでございます。こういったものが虚偽の収支報告、虚偽の経常費報告に基づいて出されたとなれば、当然、これからのみせしめと言ってはなんですけれども、この意味からも相当重いペナルティーが科せらるべきであるというふうに私は思うわけでございます。  しかも、その時期におきましては、もうすでに三月に入る時点でありまして、五十六年度の補助金の問題も考えなければならないわけですから、しかも、これは五十四、五十五年にまたがっているものですから、当然いまの時点で、何かその具体的なペナルティーをお考えになっているのじゃないかと私は思いますが、あればお聞かせ願いたいと思います。
  37. 吉田壽雄

    ○吉田(壽)政府委員 ただいま仰せのように、昭和五十五年度の補助金の最終的な交付も決定いたさなければなりませんので、ただいま鋭意作業中でございますが、北里学園に対しましてどのような程度のペナルティーを科するか、これにつきましては、過去の事例等もございますので、そういうものをにらみ合わせながら慎重に検討いたしておりまして、できるだけ早い時期に、三月の上旬ごろには、大体最終的に文部省の措置を決めたいと思っている次第でございます。
  38. 野上徹

    ○野上委員 そこで、厚生省にお聞きしたいのですが、日本の社会福祉の高福祉の現状下において、お医者さんの、医師の需給関係の現状と見通しについてちょっとデータをいただきたいと思います。
  39. 斎藤治美

    ○斎藤説明員 お答え申し上げます。  昭和三十年代から四十年代にかけまして医療需要が急速に伸びてまいりましたが、それに対応して医師の不足状況が著しくなってまいりました。そこで私どもは、四十年代の初めから中ごろにかけまして、文部省にお願いをして医師の養成力の拡充を図っていただきたいということを申し上げました。その際に、養成の目標値といたしまして、人口十万対百五十人の医師教を昭和六十年度までに達成していただく必要がある、その目標を達成するために医科大学の増設あるいは医学部の定員の増加をお願いするということを申し上げてまいったわけでございますが、その後医科大学、医学部の定員の増加によりまして、百五十人の目標は、昭和六十年を待たずに達成できる見通しとなってまいりました。  この百五十人という目標は、あくまでも医師不足を解消する目標というふうに私ども考えておりまして、百五十人に達したから不足状態は解消するというものではないと思います。今後も医療需要はふえてまいります。それから医師が担当すべき業務もふえてまいると思います。私どもは、現在の医科大学の定員を前提にして長期的な医師の増加数を試算しておりますが、二十年後のちょうど二十一世紀の初めには、人口十万対で二百を超えるという状況になるものと考えております。  最近、その医師の数がふえていく、特に急激にふえていくことに対していろいろな御意見が各方面から寄せられておりますが、私どもとしましては、日本において医師の適正数がどの辺であるかということについて、これから十分いろいろな要素を検討してつかんでいかなければならないと思います。  医療需要が今後どういうふうに変わっていくのか。それから医療の供給体制も今後変わっていくかと存じます。最近、開業医よりも勤務医の数がふえてきております。そういったことも考え合わせ、それから諸外国では最近、医療費と国民経済との関係がかなり活発に議論されております。日本でもそういうことを考えなければならないということは、最近各方面から指摘されておりますので、そういう面からの検討も加えて、日本における医師の適正数というものをはじいていかなければならないと思います。現在、専門家にお願いをしまして、そういった適正数の算出方法についての研究をお願いしているところでございます。
  40. 野上徹

    ○野上委員 結局、いまの時代の要請に応じて、要求に応じて医師を養成していかなければならぬということで、私立医科大学もたくさんできたし、そこにも多額の補助金を出しているわけですが、人口十万人に対して百五十人が妥当だけれども、どんどんふえていっても、ふえればふえるほどいいのだといっても、それはだんだんぜいたくというものになってくるわけで、昭和七十五年時点において二百人に達するということは、もはや医師の過剰時代と言っても過言ではないと思うのです。  そういうことを踏まえまして、日本の医師養成機関の今後の見通し、計画と、先ほどの北里問題で、いみじくも一連の事件で非常にこれもまた社会問題化しております寄付金、学債のあり方、この二点についての大臣の考えをひとつお聞かせ願います。
  41. 田中龍夫

    ○田中(龍)国務大臣 ただいまの御質問、今後のこういうふうな問題についての計画の問題と存じますが、第一の高等教育の計画的な整備につきましては、昭和五十一年度から五十五年度までの前期計画及び五十六年度から六十一年度までの後期計画に基づきまして諸施策を進めてまいる。そのうち私立の大学、短大等についてのいろいろな大都市における新増設の問題とか、あるいは私立大学の経常費の補助の問題とか、さらにまた五十六年度から始まります後期計画の期間とか、こういうふうな問題につきまして、担当の局長からお答えいたします。
  42. 宮地貫一

    ○宮地政府委員 補足しましてお答え申し上げたいと思います。  特に医師養成のあり方につきまして、先ほど厚生省の方から全体的な状況について御説明があったわけでございまして、四十八年から進めてまいりました無医大県解消計画ということで、十六の国立医科大学あるいは医学部を設置いたしてきたわけでございます。そこで、医学部の入学定員は、五十六年度では八千二百六十人ということになっておりまして、厚生省からも御説明がございましたように、当面の目標としてきた人口十万人に対する医師百五十人という目標は、昭和六十年を待たずして達成される見込みということになっております。  もちろん、そういうことで基本的には、これまでの不足の時代から次第に充足の時代に入っていくわけでございまして、今後、人口の老齢化でございますとか、あるいは医療水準の高度化、医療需要の多様化というようないろんな要素を考えながら、資質の高い、医の倫理に徹しました医師養成を図るということで、従来にも増して質的な充実に努めたいと思っております。  以上のような事情にかんがみまして、文部省といたしましては、当面、特別の事情のある場合を除けば、医学部の新設とか入学定員増は行わないというのが基本的な考え方でございます。
  43. 野上徹

    ○野上委員 時間がなくなってきましたので、あと二点、大事な問題についてお聞きをしたいと思います。  この私学助成ということは、日本の高等教育の多くをこの私学が果たしているということから、四十五年度からそういう助成を始めてずっと来たわけですが、この私学がどんどんふえてきた、それを抑えなければならぬという、いわゆる量的抑制をしなければならないということから、量的抑制と質的拡充ということが言われてきているわけでございます。そして五十一年からその認可をしないというような方針でずっと来ているわけでございますが、この新しい大学の設置申請がありました場合のこれからの取り扱い方、それにつきまして大臣からひとつお願いします。
  44. 田中龍夫

    ○田中(龍)国務大臣 ただいままで申し上げましたように、この今後の取り扱いにつきましては、十二分にこれを精査いたしまして、そうして計画並びに今後の国民経済のあり方等も勘案いたしまして、厳正な態度で臨んでまいりたい、かように考えております。
  45. 野上徹

    ○野上委員 大臣、実質上はもうこの二分の一補助というのにだんだん近づいてきていると思うのですけれども、やはりこの最終目標は、この経済難の時代においても二分の一の目標に向かって進むのだということでございますか。
  46. 田中龍夫

    ○田中(龍)国務大臣 ただいまの問題は、国民経済との関係においてわれわれの学校政策というものが二分の一補助をあえて行わなければならないのかという御質問でございますが、しかしながら、私は、こういうふうな忌まわしい事件が頻発するということは、一方においては学校経営というものが、やはり依然として莫大な金がかかり、また苦しいものだ、こういうことの反証でも実はあると思うのであります。それにつきまして、一方におきましては、それならばもっと国庫補助をふやしたらいいじゃないか、こういうような安易な御議論も出るかと存じますが、その点は私は必ずしも補助さえふやせばいいというものでもないし、また現行の補助が、これが多いか少ないか、適正であるかという問題については、やっぱりこのことを十分に反省して、さらに調査を進めていきたい、かように考えております。
  47. 野上徹

    ○野上委員 最後に、そうした過去五年間において高等教育の前期の計画整備がなされたわけでございますが、その間において、この前期の五年間の計画整備が終わって五十六年度から新たな計画整備段階に入っていく、そういう段階において量的抑制と質的拡充を図っていかなくてはならない、しかも、私が一番望みたいのは、量的抑制というものは踏まえながらも、やはりいままでも、過去五年間もとられてきましたけれども、たとえば必要な地域配置はやっぱり考えていかなければならない、地方の時代における高等教育機関の地方分散化ということをこれからやらなければならぬ、これを強く地方は期待しているわけでございます。  たとえば富山県も今年度いろいろ高岡産業短大などで措置をしていただきまして、まことにありがたかったわけでございますが、まだ高岡産短大ばかりではなくて、医科、薬科大学につきましても、どうしてもやってもらわなければならないのですけれども、しかし仮に、富山という話がいま出ましたので言ってみますと、地域別のいろいろ配置というものを文部省では考えておりますけれども、これは事富山に限って言えば、どうもぴんとこないわけですね。というのは、たとえばここに、隣に森先生がいらっしゃるので、なかなか言いにくいのですが、隣の石川県と富山県とでは御承知のように人口は一緒なんですね、それなのに短大、大学の数は半分、森先生のところが十二であり富山県が六である。しかも、小松にジェットの空港がありながら富山県にはプロペラの飛行機しかないという陸の孤島でございます。しかるに富山県は教育県の全国のトップレベルだ。東大クラスの国立進学率は全国一だと私は思います。ところが、そういう中において自県内にある大学の収容規模が全国三十八位という非常に情けない状況にある。そして、ほとんどの子供たちが、東京、愛知、京都といったところに行ってしまうわけでございます。これは単に富山ばかりではなくて、地方に大学がほしいというのは、親が子供を大都市へやらなければならない、仕送りしなければならない、また娘をオオカミのいる大都会へ送らなければならぬ、いろいろなあれで精神的な負担もある、そういうようなことも考えて、また教育の機会均等ということもあわせ考えるならば、私は、これからの六年間において、ひとつこの地域配置ということをもっときめ細かにやっていただきたい、こういうふうに思います。
  48. 宮地貫一

    ○宮地政府委員 地域格差といいますか、大都市に高等教育機関が集中しておるということについての是正を図っていくということは、すでに前期の計画においても、そういう取り組みをいたしてきておりまして、具体的な数字はここで申し上げませんが、若干そういう傾向は出てきておるわけでございます。今後におきましても、国立大学の整備ということについては、特に地方の大学を中心に整備を進めていくということでございまして、今後とも、この方針は維持していくということを考えておる次第でございます。
  49. 野上徹

    ○野上委員 これで私の質問は終わりますが、本日御質問いたしました校内暴力の問題、教師の資質の向上の問題、それから私学助成の問題、こういった問題は、まさに教育先進国と言われるこの日本にとって戦後教育の一つの大きな見直しの時期に来ている現時点において、私は、本当に大きな問題だと思うわけでございます。御承知のように、資源のない国日本が二十一世紀に向かって生き残れるのも、これは日本人の資質というものを向上させていくということ一点に私はかかっていると思うわけでございます。  そういうようなことから、ひとつ今後も、わが党も教育優先ということを強く打ち出してまいりますけれども、文部省もしっかりと腰を据えてやっていただきたい、このことをお願い申し上げまして、私の質問を終わります。
  50. 田中龍夫

    ○田中(龍)国務大臣 国家の繁栄、発展の基盤は、まさに教育にある、次の世代を担う青少年のりっぱな教育にあるということを私は肝に銘じまして文教政策を担当いたしてまいりたい、かように考えております。
  51. 野上徹

    ○野上委員 ありがとうございました。
  52. 三ツ林弥太郎

    ○三ツ林委員長 馬場昇君。
  53. 馬場昇

    ○馬場委員 大臣は先般、所信の表明をなさったわけでございますが、私は、今日の社会の情勢、教育をめぐる情況の中で、文部大臣としてぜひ強調していただきたかったことがあるわけでございます。それは、やはり何としても文部大臣としては日本の憲法を守るのだ、教育基本法を守るのだ、そうして憲法や教育基本法の精神を貫く教育、そういう教育行政をやるということを力強く表明していただきたかったわけでございますが、これについて大臣、どうですか。
  54. 田中龍夫

    ○田中(龍)国務大臣 ただいま先生のお話の私の所信表明、改めて明確に申しておきたいことは、当然、憲法を遵守する次第でございますが、さらに教育基本法は、人格の完成を目指し、平和的な国家及び社会の形成者としての心身ともに健康な国民の育成、教育を基本的な目標としておりまして、私は、この目標達成のために全力を挙げてまいる所存でございます。改めて申し上げます。
  55. 馬場昇

    ○馬場委員 大臣の中に憲法云々と言う人もおりますけれども、文部大臣の日本国憲法、教育基本法を遵守して精いっぱい教育行政をやるという強い決意を聞いて安心したのですが、もう少し具体的に、いまから大臣と日本の教育についていろいろ議論しなければならないわけでございますので、私どもと大臣の間に共通の土俵をつくるという意味におきまして、いまもちょっと触れられたわけですけれども、やはり日本国憲法の平和主義、そして国民主権、基本的人権の尊重、この基本理念は、少し具体的に言ったわけですが、あくまでも守るのだ、さらに教育基本法、いま大臣も引用されましたけれども、この前文の個人の尊厳を重んじて真理と平和を追求する人間の育成を期するのだ、こういうこととか、他にも多くありますけれども、特に教育基本法の第一条の目的、これはもう御存じのとおりでございますし、さらに第十条の教育行政、こういう具体的なことにつきましても、そのとおり遵守して精いっぱいやるのだという大臣の決意のほどを、くどいようですけれども、共通の土俵をつくるという意味で、まずお尋ねしておきたいと思うのです。
  56. 田中龍夫

    ○田中(龍)国務大臣 御質問の点は当然でございます。
  57. 馬場昇

    ○馬場委員 非常に明快な答弁をいただいて了解、理解するわけですけれども、私どもと大臣の共通の土俵というものが、ここででき上がったと私は思います。  憲法や教育基本法を守り、憲法や教育基本法に守られた教育をする、そういう教育でなければならないし、そういう教育行政でなければならない、このことが大臣と私どもの共通の土俵だということで、再度確認してよろしゅうございますか。
  58. 田中龍夫

    ○田中(龍)国務大臣 結構でございます。
  59. 馬場昇

    ○馬場委員 そこで、もう一つ。特に大臣は、最近、愛国心の教育の問題について強調なさっておるわけでございますが、これは国を愛しない者というのは、私はおらないと思います。だれも自分の生まれた国を愛するわけでございますが、問題は、愛しなければならない国がどういう国であるかというところからやはり議論の分かれ道が出てくるのではないかと思うのです。  そこで私は、最近愛国心を非常に強調されておりますので、いまぼくらと大臣ででき上がりました共通の土俵というものに照らしてみますと、大臣が言われる愛すべき国というのは、かつての軍国主義のような国ではない、あくまでも憲法の基本理念が貫かれておる国だ、そういう日本を国民は愛しなければならない、そうおっしゃっておられるわけでしょう、その点について聞いておきたいと思います。
  60. 田中龍夫

    ○田中(龍)国務大臣 私の考えを申し上げますれば、私は、祖先伝来の日本民族が伝統と歴史の背景のもとに、そして新しい民主国家の形成のために毎日努力をいたしておりますこのりっぱな現実の日本国である、かように考えます。
  61. 馬場昇

    ○馬場委員 私の言ったことと大臣の答弁は同じかもしれませんが、ちょっとひっかかるのです。私は、ここで憲法の基本理念を貫く日本国ということを強調したのですけれども、大臣は、いま伝統と何とかというような答弁があったのですが、当然基本には、さっき共通の土俵ができました平和憲法、日本国憲法の理念を貫いておる日本の国だということでしょう、どうですか。
  62. 田中龍夫

    ○田中(龍)国務大臣 先生の御意見と私の申し上げたことは違いはないと思います。
  63. 馬場昇

    ○馬場委員 そこで、いろいろ問題があるのですが、具体的な問題に入っていきたいと思うのですけれども、その前に一つ、最近起きたことでございますので、ぜひ聞いておきたいのは、建国記念の日を文部省がことし後援をなさいました。東京の明治神宮会館で行われた建国記念の日、これは奉祝運営委員会主催だったわけでございますが、その建国記念の日の奉祝式典を文部省が後援なさいましたね。いままで後援していなかったわけでございますが、ことし後援をしたその理由と、その根拠をお尋ねしたいと思うのです。
  64. 田中龍夫

    ○田中(龍)国務大臣 御案内のとおりに、いずれの国といえども建国記念の日を祝わない国家はございません。日本国といたしましても先般建国記念の日をお定めにもなり、あるいはまた内閣といたしましても国民の祝日として祝う次第でございまして、建国記念の日の奉祝行事を文部省が後援いたしましても、学校における取り扱いは従前どおりでございますし、文部省といたしまして、学校における建国記念の日の奉祝行事につきましては、格別の指導を行ったわけでもございません。本当に国民といたしまして、自分の国家の建国の日を当然のこととしてお祝いをしようという、まことに常識的と申しますか、そういう気持ちでございます。
  65. 馬場昇

    ○馬場委員 大臣も御承知かと思いますが、建国記念の日は一九六七年、いまから十四年前に決定をしておるわけですね。そうして、そのときは国会の状況は、大臣も御承知のとおりと思いますが、賛否両論が非常に鋭く対立する中で建国記念の日が制定されたわけでございます。その当時の世論調査を見てみますと、二月十一日を建国記念の日にするということに無条件に賛成というのは、国民の過半数に達していなかったというのがほとんどの世論調査でございました。そして、もう十四年たっているのですけれども、政府は、実は十年間、こういう民間の行事を後援していないのです。三年前に、いま言いました奉祝運営委員会ですか、これが主催するのを総理府が後援しておる。文部省はことし初めてこれを後援した。いま大臣がいとも簡単に、建国記念の日を後援するのは、祝うのは、あたりまえじゃないかと言われたことと、この経過は大分違うのです、文部省は去年まで後援しなかったのですから。この辺についての文部大臣のお考えはいかがですか。
  66. 田中龍夫

    ○田中(龍)国務大臣 御案内のとおりに、国民の祝日であります建国記念の日、これは建国をしのび、国を愛する心を養うという趣旨に従った行事でございまして、法治国家でありまする以上、法で決めました建国記念の日というものを、成立の過程においていろいろな議論があったかと存じますが、決定いたしました以上は、国民の建国の日は建国の日でございます。当然のこととして、政府といたしましても、これをお祝いすることは何ら問題はないと存じます。
  67. 馬場昇

    ○馬場委員 では、少し観点を変えて大臣に質問しますけれども、この奉祝運営委員会という民間団体は、どういう性格を持つものと大臣は理解しておられるのですか。私が調べたところ……
  68. 三ツ林弥太郎

    ○三ツ林委員長 鈴木官房長。
  69. 馬場昇

    ○馬場委員 きょうは大臣の所信に対する質疑ですから、私は大臣とやりとりをします。  大臣、私が感じますこの民間団体は、神社本庁だとかあるいは通称右と言われるような団体が中心になっておりますね、今度あなた方文部省が後援した団体は。そしてかつての紀元節、天皇制国家体制の思想的基盤でございました皇国史観を奉ずるような人々がほとんどでしょう、この団体というのは。その団体の行う行事を後援なさった。国民みんなが祝うのを後援するのは当然かもしれません。しかし、そういうまさに宗教色といいますか政治色といいますか、そういうものが片一方に寄ったような者たちが構成するこの民間団体の奉祝記念式典を後援した、この辺はさっきの大臣の答弁と大分中身が違うのじゃないですか。どうですか。
  70. 田中龍夫

    ○田中(龍)国務大臣 建国の日をお祝いするということは、国民として当然のことでございまして、後援をしてくれという団体がございますれば、喜んで後援もし、また応援もいたしたい、これが政府全体としても、また国家としても当然なことであろうと私は存じます。  たまたま先生の御指摘の団体、しかも、いろいろな人の入っておる団体でありまして、それだけしか文部省は後援をしないなら別でありますが、もし後援をしてくれということがあれば、国民として当然な行為といたしまして政府は後援をすべきである、私は、かように考えております。
  71. 馬場昇

    ○馬場委員 ものすごく重大なことをおっしゃっているんですよ。民間団体が建国記念の日を祝うのだ、後援してくれと文部省に言ってくれば、どこでも後援するのだ、そういうことをおっしゃいましたが、大臣、これは内閣の方針と大変違うのじゃないですか。三年前、総理府がこの団体を後援したときに、後援基準というのが政府にあるのじゃないですか。たとえば福田内閣のときに、そういう後援基準に基づいて総理府がやったのだと言われておるのです。政党色のない、宗教色のない国民的規模の民間行事ならば政府は後援する、そういう後援基準というのはあるのじゃないですか。どうですか。これは具体的なので……。
  72. 鈴木勲

    ○鈴木(勲)政府委員 大臣からお答えいたしましたとおり、この奉祝運営委員会の主催いたします建国記念の日の行事は、法律に定められました建国をしのび、愛国の心をはぐくむという全く法律の趣旨に従った事業内容でございます。文部省にももちろん、文部大臣が後援をいたします際には後援の基準がございまして、その基準に適合するかどうかということが後援の可否を決めるものでございますけれども、私どもは、今回初めて奉祝運営委員会の方から申請がございまして、詳細にこの事業内容を精査いたしました結果、文部省の後援基準に該当するものと認めまして、差し支えないと判断したわけでございます。その後援基準の中には、馬場先生がおっしゃいますような宗教色とか政治色とかいうものは特に掲げてはございませんけれども、これは行政官庁が後援をいたします場合には、当然の前提であるということで、私どもは、そのように運営をしておるわけでございます。  そのほか一般的な基準といたしましては、主催者がどういう団体であるか、あるいはその事業が広く教育、学術、文化の普及向上に該当するかどうかというふうな基準がございまして、奉祝運営委員会の行う事業が、この基準に照らして問題がないという判断をいたしました結果、申請のとおり後援を決定したということでございます。
  73. 馬場昇

    ○馬場委員 こういう民間団体が行う事業についての文部省の後援基準があるということをおっしゃいましたが、これを資料として出していただきたいと思う。それから内閣にも後援基準があるはずでございます。これも資料として出していただきたいと思う。そしてもう一つは、文部省の後援基準、内閣の後援基準に対して、この奉祝運営委員会は該当するのだといまおっしゃいましたが、たとえば神社本庁だとか右の団体だとか紀元節を復活するというようなあるいは皇国史観を奉ずるような、こういうような行事がいまいろいろ行われておる実態を見て、これがこの基準に該当するかどうかということを、ここで議論しても間に合いませんので、ぜひそのことを文書で当委員会に出していただきたいとお願いするのですが、委員長どうですか。
  74. 鈴木勲

    ○鈴木(勲)政府委員 文部省の基準は簡単なものでございますが、その団体の中にどういう人が構成員として入っておるかということは、私ども調べた限りにおきましては、いずれも個人としての立場で参加しておられまして、御指摘のように一部には宗教関係者のあるいはいろいろな立場の方がおられると思いますけれども、後援の対象でございます許可基準には適合していると考えたわけでございます。  それから……
  75. 馬場昇

    ○馬場委員 答弁は聞いていないのです。  だから、その点について質問もたくさんあるものですから、ここで一々聞いたって間に合いませんから、いま言ったように、文部省の基準を出してください。内閣の基準があれば出してください。そして、これはこういう構成団体です、一つ一つがこの基準に当てはまっております、そういう資料を当委員会に出してくださいということを委員長にお願いしたいのです。
  76. 三ツ林弥太郎

    ○三ツ林委員長 理事会に諮って善処いたします。
  77. 馬場昇

    ○馬場委員 理事会に諮ってからでいいですけれども、文部省は当然出すべきだと思うのです。  大臣、私は、さっき大臣と共通の土俵をつくったのですけれども、これは共通の土俵からはみ出ておると思うんですよ。大臣も御存じでしょう。現在、この二月十一白、建国記念の日という問題については、国民が分裂して対立しているでしょう。そして、いま国民の中で政治的な立場の違いというのが最も鋭くあらわれている象徴的な日が、この二月十一日建国記念の日じゃないですか。そして大臣、これをことしあなたが後援なさったということに、各報道機関、世論がほとんど、文部省が最も自戒すべきであることと言って、これはすべきじゃない、そして疑義の多い文部省の後援ということで批判的なんですよ。  そういうことで、私に言わせますと、これは憲法、教育基本法を守ると先ほど言われた大臣の信念、そして、いま言った国民の世論、そういうものにまさに背を向けて、そういうものを無視した暴挙だ、そういうぐあいに思います。  この問題については、先ほど申しました資料等について、さらに議論をいたすわけでございますが、そういう点について、ぜひ大臣も考え直していただきたいということを要望しながら、心配しておりますことをぱっぱっといまから言いますから、簡単に答えていただきたいと思うのです。  大臣も先ほど答弁なさいましたけれども、これは神話と史実を混淆した、私たちから言いますと、非科学的な皇国史観というものを、文部省が後援することによって、国民に押しつけるという結果を生むのじゃないかということについて、まず第一にお聞きしたいのです。  たとえば「雲にそびゆる高千穂の」と、出て歌なんか歌っているでしょう。そういうことから考えてみた場合、皇国史観を国民に押しつけることにならないか、これが第一です。
  78. 田中龍夫

    ○田中(龍)国務大臣 私は、日本国家は法治国であると存じます。建国の日を法律をもって決定いたしました間において、いろいろと哲学的なあるいは史観の面で議論があったといたしましても、一たび決定いたしました国民の日をお祝いすることは、私は、何ら法治国家としての憲法に背いた行為とは存じません。
  79. 馬場昇

    ○馬場委員 私が言っているのは、皇国史観を押しつけることになるかならないかということを聞いているのです。なる、ならぬということではっきり答えてください。
  80. 田中龍夫

    ○田中(龍)国務大臣 その問題は、一つの見方でありまして、私どもの考えとは見解を異にいたします。私は、法律に従った当然の行為である、かように考えております。
  81. 馬場昇

    ○馬場委員 じゃ、押しつけることにはならないというような見解のようでございますが、文部大臣、もう一つ具体的に伺いますと、総理府が後援したから文部省もということを官房長が言っておられるんですよ。今度は、ことし、一九八一年すでに後援しておるのだから、そういう式典に文部大臣が出席するのは当然だと言って、文部大臣が出席するということに道を開くことじゃないですか。文部大臣は、こういうようなものに出席するべきであるか、してはいけないか、文部大臣の出席についての見解を聞いておきたい。
  82. 田中龍夫

    ○田中(龍)国務大臣 文部大臣が、田中が出席する、出席しないということは、私は関係はないと存じます。
  83. 馬場昇

    ○馬場委員 あなたは、こういうのに関係ないというのじゃなしに、後援したのですから、普通ならば後援したところにだれでも行きますよ、あなたはことし行かれなかった。大臣の中には行った人もおりますよ。だから、こういう後援というものが、大臣が出席するという前提の露払いではないかということの心配をするわけですが、あなたは来年までおられるかどうかわからぬけれども、来年まで大臣をしておられたら行きますか、行きませんか。ことし行かなかったから来年行かぬと、あるいは大臣が行くのに道を開くことではない、関係ないと、そうお思いですか。
  84. 田中龍夫

    ○田中(龍)国務大臣 御案内のとおりに、ことしはオリンピックの問題がございまして、私は名古屋の方に参りましたことは御承知のとおりであります。そういうふうな日程もございましたが、個人としては自由でございます。
  85. 馬場昇

    ○馬場委員 私は、きょうは文部大臣にすべて聞いていますから、個人のことは答えなくてもいいですよ。これをまだ詰めたいのですが、この後援が、行きたい人も行きたくない人もおるかもしれぬ、その文部大臣の出席に道を開くことになると私は思うのです。これについては、こちらの見解を申し上げておきますが、この奉祝式典の学校での取り組みということを、文部省の後援が促進しはしないかと私は思うのです。そういうことではないと先ほど言われたのですが、その辺についてはどうですか。学校での取り組みを促進することになるかならぬか、その辺はどうですか。
  86. 三角哲生

    ○三角政府委員 先ほど大臣が申し上げております。したがいまして、そのとおりでございますが……。
  87. 馬場昇

    ○馬場委員 大臣が申し上げておるとおりなら言う必要はない。
  88. 三角哲生

    ○三角政府委員 若干補足を……。
  89. 馬場昇

    ○馬場委員 よけいなことを言う必要はないのだよ。学校の取り組みを促進することになるかならないかということだけ答えなさい。
  90. 三角哲生

    ○三角政府委員 学校では、従来、国民の祝日の日につきましては、特別活動の学級指導などにおきまして、この祝日の意義というものを理解させるということでやってきておりますが、建国記念の日につきましても、このたび、御指摘のように文部省で民間の一つの行事を後援することとしたわけでございますが、学校における取り扱いは従来どおりでございまして、他の祝日の取り扱いと同様でございます。
  91. 田中龍夫

    ○田中(龍)国務大臣 先ほど申し上げたように、建国記念日の奉祝行事につきまして、文部省といたしましては、学校における格別の指導を行う考えはございません。
  92. 馬場昇

    ○馬場委員 議論すれば非常に長くなるのですけれども、大臣、この二月十一日の建国記念の日というのを、国民みんなが賛成するような日を制定したら喜んでみんなやるでしょう。二月十一日というところに問題があるわけでございます。それは十四年間の経過の中で、法律が制定されるときに大臣は御存じのとおりなんですよ。だから、文部大臣です、文部省ですよ。極端に言えば、他の省庁が後援したって、教育に及ぼす影響とか、そういうことから文部省は控えるのが筋じゃないかというぐあいに思うのです。  なぜかと言うと、戦前、「一旦緩急アレハ義勇公ニ奉シ以テ天壌無窮ノ皇運ヲ扶翼スヘシ」、この教育勅語を、紀元節を基盤にして、そして、そういう軍国主義教育を文部省が先頭に立ってやったわけでしょう。それを二月十一日を文部省が後援するということは、教育勅語的な愛国心というものを育てよう、そういう風潮をつくるということになると私は思うのです。そしてまた、大臣と先ほど私どもが確認しました――隣のあなたは黙っていなさい、大臣に言っているのだから。さっき大臣は、現憲法は主権在民ですよ、戦争放棄しておりますよ、個人の尊厳、こういう三原則は認めますよと言われたのです。ところが、この団体が二月十一日にやっておりますことは、この憲法原則というものに公然と反旗を翻しているんですよ。逆の方向を宣伝しているのが、この奉祝記念行事じゃないですか。だから、共通の土俵を大臣は約束されましたけれども、実際、文部省がいまいろいろなことをやっている行動というのは、大臣が約束されました憲法の理念、教育基本法の理念と違っておる。それが違わないように、ぜひ憲法の理念で個々の教育行政も貫かれるように、文部大臣は官僚なんかも指導するということを、ぜひここで約束していただきたいのです。
  93. 田中龍夫

    ○田中(龍)国務大臣 先生の御意見として承っておきます。  私は現行の憲法を守る。現行の憲法は、あくまでも民主憲法でございます。法治国家でございます。いろいろと御意見の違った見解もございましょうけれども、一たび法治国家として法律によって決めましたことに対しまして、政府の一員としていたすことは当然でございます。
  94. 馬場昇

    ○馬場委員 教育基本法の十条、それから第一条の「教育の目的」は――そういうようなやり方で教育行政なんかやっておりますと――教育行政というのは、国民に対して直接責任を負うわけでしょう。そして教育行政の任務というのは、いろいろの条件整備をするわけでしょう。ところが、そういうような国民世論とかを全然無視して、そういうふうに形式的にやるということ、そこにも問題がありますが、二月十一日というのはなお問題がある。この辺については再度十分議論したいと思いますが、さっきの資料が出た後、ぜひまた議論をやりたいと思います。これは憲法原則に反する、その逆の方向を文部省が後援したのだということを、私の意見として申し上げておきたいと思います。  次に、青少年の非行と校内暴力の問題についてでございますが、これはもういろいろ議論されておりますけれども、昨年の暴力あるいは非行の実態を見てみますと、昭和五十五年の少年非行というのは、刑事犯、校内暴力、これが史上最高になっていますね。全刑事犯の四二・四%に達しておる。本当にゆゆしい事態だと私は思います。  また、この委員会でも議論されたはずですが、私は、この青少年の非行だとか校内暴力の背景をここで議論したいのですが、時間がございませんが、やはり言われておりますように、家庭とか学校とか社会のあり方に問題があります。第一に親が、家庭でいろいろな非行があったときに、その場で教育ができないというような状態がたくさんあるんですね。そこにも問題がございます。それで、学校はまた学校で、能力主義という中で非常に差別、選別の教育が行われておる。そして管理主義の中で規則とか命令とか切り捨てとかが行われておるのです。社会は社会で、一国の総理大臣であった者が収賄罪に問われる、法廷に立っている。そして、その人がまた一政党の派閥の大将として物すごい勢力を持っておる。県知事が五千万の収賄をするとか、そういう社会の風潮。とにかく金と力が勝つのだ、強い者の世の中だというような風潮。弱い者は泣け、やりきれない状況ですよ。そしてまた国際情勢を見てし、日本を見ても、軍備の増強だとか、何か戦争のくつ音というものが聞こえてくる。家庭、学校、社会、国際情勢、そういういろいろなものがこの背景にあると私は思います。この背景については、もうきょうは議論をいたしませんけれども、やはりこれは子供が非行になり暴力を犯すのですけれども、ある面から見れば、これはその犯した相手じゃなしに大人全体に対する反抗、反逆だというような感じもいたします。  対策等についてもいろいろありますが、まず第一に、私は、やはり家庭とか学校とか社会、そういう大人がまず反省をするのだ、そして青少年の悩みというものが聞いてもらえるような家庭であり、学校であり、世の中にしなければならぬということです。そしてまた学校では、青少年に生きる希望だとか学ぶ喜びなどを与えるということ、また何かあった場合には、先ほどから言われておりますけれども、みんな学校が全体で一致して悪いことは悪いのだと毅然としてそれに立ち向かっていくとか、いろいろな方法があると思うのです。  これは、いずれまた当委員会等でも、この問題について議論をするという理事会の話になっておりますが、そういうところで議論したいのですが、私は、当面の問題点の二点について文部大臣に聞いておきたいと思うのです。  まず第一点は、具体的な当面の問題ですが、警察官の導入の問題についてでございます。これは先ほど自民党の質問でもあったのですが、いま校内暴力なら校内暴力の原因の一つに、管理主義とか権威主義とかいうものが学校にはびこっておって、その中から暴力の芽が育っておるということもあるのです。だから、安易な警察官の導入というのは、管理的になり、権威的になり、逆に校内暴力の芽を育てるということになる可能性もある、また、教育の本質から言いまして、教職員が学校現場から逃げれば、もうそこに、その瞬間に教育は崩壊すると私は思います。そしてまた、警察官の導入というのは、教育の自主と自由の本義というものをゆがめることにもなります。  一部で警察官導入、これを非常に進めるというような議論があって、そういうのが新聞等に報道されたときに、文部大臣が新聞、報道機関に見解を表明されておりまして、安易な導入はすべきでないとかいうようなことを言っておられますが、この警察官導入問題について、いま私がいろいろ申し上げましたけれども、文部大臣の見解を聞いておきたい。
  95. 田中龍夫

    ○田中(龍)国務大臣 学校に警察官を導入するということにつきましては、これは個々の事例に即して教育委員会あるいはまた学校長が判断すべき事柄でありますけれども、一般的に申すならば、学校が安易に警察官に頼るべきことではない、かように考えております。  なおまた、私が以前から申しておりまするように、治安当局は、その立場で物を考えるでありましょうし、文部当局といたしましては、青少年を育成し、そうして何とかりっぱな人に育てていかなければならない、おのずからやはり立場を異にするものがございます。
  96. 馬場昇

    ○馬場委員 これは、あくまでも教育の場でございますから、先ほどるる言いましたけれども、やはり文部省としては、教育でもって対策を立てるというような立場でぜひ原則を貫いていただきたいと思うのです。  それからもう一つ、最近こういうことが一部に言われております。校内暴力の責任というのは日教組の教育指導にあるのだ、こういうことがまた一部に言われておりまして、さらに、そういうものが報道された新聞の解説記事の中に、この際ひとつ、これを利用して日教組の影響を弱めようというようなことが載っておったのを私、読んだのですけれども、このことは非常に心配な点を感じます。このことは校内暴力の本質をえぐるのではなくして、政治的に利用しようとする、まさに非教育的な態度であります。この非教育的な態度こそが学校に混乱を持ち込み、また暴力の温床になると私は思うのです。  こういうことについての議論は、また別の機会に譲るといたしまして、ここで私は、文部大臣に提案をしたいのですけれども、実はこの一月に日教組が教育研究集会を開きました。全国の現場の先生たちが集まりました。報道機関がこれを評価して、まさに校内暴力教研と言われるほどであった、それで、この問題で教師に強い緊張感が生まれた、そして、いまほど教師の力量と学力が問われておるときはない、こういう共通認識が生まれた、近年にない意義のある教研だった、こういうぐあいに報道機関が評価しておるのです。これが日教組の現場の先生方の暴力問題に取り組む一つの姿勢のあらわれだと思うのです。  そこで、私が文部大臣に聞きたいのは、大人が反省しなければならぬと言いましたが、その中で、文部省も本当に憲法や教育基本法の理念に立った教育行政をしてきたかどうか、校内暴力の原因になるような教育行政はなかったかどうか、そういうものをやはり反省しなければならぬと思うのです。  そこで、そういう日教組の立場とか文部省の立場とかを土台に置いてここで私が提案したいのは、校内暴力、大変な状況ですが、この問題について文部大臣が日教組とひざを突き合わせて、腹を割ってお話し合いになる気持ちはあるかどうか、そして校内暴力を解消するという話し合いをする気があるかどうか、そして各県の教育委員会に対しても、各県の教職員団体と話をして、校内暴力を絶滅するための話し合いをせよという指導をなさる気があるかどうか、この点について文部大臣の見解を聞きたい。
  97. 田中龍夫

    ○田中(龍)国務大臣 健全な青少年の育成を図りますためには、従来からも都道府県教育委員長協議会でありますとか、あるいは全日本中学校長会でありますとか、あるいはその他教育関係の諸団体とも連絡をとりながら対処してまいっておるところでございますが、今後ともに引き続き、関係団体との連絡を密にして校内暴力を抑制していかなければならない。ただいまお話のような、特にそういった考えは持っておりません。
  98. 馬場昇

    ○馬場委員 文部大臣の政治判断を私は聞きます。官僚が書いたものをそのまま読まれたって、そんなことでは文部大臣としての政治判断にはならぬと私は思うわけです。たとえば校内暴力、大変なゆゆしい状態が起きておる。そういうときに、みんなが責任をなすり合っておっては、あるいは、対立を現場に持ち込んでおっては、これは暴力の温床にこそなれ、解決にはならない。だから、こういうときに文部大臣が率先して教職員団体、たとえば日教組なんかと会って、どうしてこれを解決しようか、そういうことに乗り出す、あるいは教育委員会も、教職員団体とお話し合いをしなさいという指導をする。教職員団体、教員組合というのは、ILOでも国際的にも認められている、その国の教育の振興に寄与する団体なんですよ。そういう立場でぜひ話し合いをするということを、いま何かぐずぐず言うて大臣が政治判断できなければ、そのことを検討でもしてくれませんか、どうですか。
  99. 田中龍夫

    ○田中(龍)国務大臣 このような青少年非行者が出ておりますことは、それを取り巻きますすべての責任であろうと私は思います。親子の関係にいたしましても、あるいは学校の先生と生徒の関係にいたしましても、その他社会の各層におきましても、あるいはまた社会教育の上からいいましても、あるいはラジオ、テレビなんかの関係もございましょうし、非行になりました青少年の諸君を取り巻くあらゆるものの反省を要する点があると私は思うのであります。  ただいま御指摘のように、当該問題につきまして関係者といろいろ御相談もしなければならないとは存じておりますが、いまお話のように、御指示をなさいました特定の団体、あるいはまたその他の団体とも、いまのところはお目にかかる気持ちは持っておりません。
  100. 馬場昇

    ○馬場委員 いまの大臣の答弁は、ちょっと矛盾しているんですね。あらゆる関係者とよく話し合うと言っておりながら、私があらゆる関係者の中の一部分を言ったら、それと会う気はない。たとえば教職員団体なんというのは、まさにあなたがさつき言われたあらゆる団体の中の一つでしょう、そして教育現場に責任を持っている人たちでしょう。だから、ここで言いにくければ、あらゆる団体とこの根絶のために話し合いをいたします、そういうのもあらゆる団体の中の一つでございます、これが素直な言い方でしょう。どうですか。
  101. 田中龍夫

    ○田中(龍)国務大臣 私は、りっぱな青少年の教育をつくり上げますために、皆さんともどこともお目にかかるつもりでございます。いま特筆なさる必要もないと思います。
  102. 馬場昇

    ○馬場委員 特筆なさるつもりというのは、どことでも会うというところで答弁を了解しておきたいと思います。  そこで、最後の質問ですが、文部大臣に現在の教育の状況をどう見ているかということをいろいろ聞きたかったのです。時間もございませんが、これは大臣もいつも言われますように、教育荒廃ということが叫ばれて久しいわけですね。いまの校内暴力もありますように、いわゆる教育の荒廃というのは年々深刻化しつつございます。この教育の荒廃の原因というのはどこにあるか、いろいろ言われておりますが、たとえば、これはすべての人もそう思っているのですけれども、私どもの見解によりますと、本当に人間形成の教育の本質というのが忘れられて、時の政治支配や経済成長の手段として教育が利用されてきたのではないか、そういうような政策というものが教育を荒廃させているのではないか。あるいは六〇年代の高度成長で自然の荒廃だとか自然が荒廃したばかりでなしに、家庭や地域も崩壊をした、子供の安らぎとか発達の場も奪われた、こういうのがやはり荒廃に拍車をかけたとか、先ほどもちょっと言ったのですけれども、総理の犯罪を初め政治社会の倫理の欠如とかいろいろなことが教育荒廃の原因となってきていると思うのです。  私がここで一つ問題にしたいのは、教育荒廃の最大の原因、これは昔から続いている、明治以来続いているのですけれども、やはり学歴社会にあると思うのです。この明治以来の学歴社会というものが、能力主義とか差別、選別の教育を生んで、教育を荒廃させました。  そこで私は、この学歴社会を根本的に打破する道を文部省が音頭をとって、国民の総力を挙げて学歴社会を根本的に変えるということに取り組むべきであるということについての大臣の決意のほどをまず聞いておきたいのです。
  103. 田中龍夫

    ○田中(龍)国務大臣 先生が学歴社会と申される中に、あるいは受験競争の過熱化でありますとか児童生徒の非行の諸問題がございましょうと存じますが、学歴社会をいかにして打破するかというふうなことは、まことに抽象的なことでもあり、実際問題としては、非常にむずかしい内容を含んでおると思うのであります。そういうことから申しましても、開かれた教育と申しますか開かれた大学とか、あるいは御提案を申し上げてまいりました放送大学とか、そういう開かれた大学の姿にして、この受験競争の深刻な姿というふうな問題も解消してまいらなければならない。そういうふうな学歴偏重あるいは因習というものに対しましても、われわれは、これをりっぱな教育に直してまいらなければならぬ、かように考えております。
  104. 馬場昇

    ○馬場委員 私が言う学歴社会というものについていろいろ理解し得る点、理解し得ない点ということで、やや抽象的に御答弁になりましたが、では、もう少し焦点を合わせて申し上げますと、学校の履歴によって社会的、経済的な地位を与える、そういう学歴社会、たとえば大学で何を学んだかというよりも、どこの大学を出たかということが尊重されるような社会、そこに焦点をしぼって、それを学歴社会と言う、この部分について――さらに具体的に申し上げましょう。たとえば大学について言うならば、東大を頂点とするような大学の格差をなくする方向でやってはどうか、あるいはいま言われた入試制度とか卒業の制度というものを、学歴社会を解消するというような方向に向けながら検討することはできないのか、あるいは国家公務員に上級職試験があるが、こういうものの廃止だとか、採用に当たって指定校制度を廃止するとか、企業については同一大学からたくさん採ることを制限するとか、就職した場合に学歴によって所得の格差が出てくるが、そういうものについては改善していく方向で努力したいとか、高等学校について言うならば、もう九三、四%入っているわけですから、ここで義務制化というものを検討してみる、義務制化ができるまでは、高校の格差があるから、高校の三原則といわれておるところの総合製、小学区製、男女共学はきちっと守るように指導して高校の格差をなくするとか、そういうことに真剣に取り組んでみる気はないか、取り組んでおられる部分もたくさん言いましたが、そういう点について大臣の決意のほどを御答弁いただきたいのです。
  105. 田中龍夫

    ○田中(龍)国務大臣 まことに結構なことではございますけれども、同時にまた、実際問題としてはそれを全部打開するということはなかなかむずかしいことであろうと存じます。また受験する者の方から見た父兄の立場、あるいはまた卒業生を採る方の立場、いろいろとございます。今日あります学歴社会というものは、私はいいとは思いませんが、社会的に現実に、そのようなことができ上がっておることも事実でございます。御意見として承っておきます。
  106. 馬場昇

    ○馬場委員 大臣、いまのあなたの答弁を聞いておりますと、たとえば学校内暴力であるとか教育の荒廃が叫ばれておるとか、いまこそ日本の教育を改革しなければならないというような非常に大切なときでしょう、その衝に当たる文部大臣、あなたに対して、本当に情熱も真剣さというものも感じないんですよ。本当におざなりなあなたの態度、これでは日本の教育はますます荒廃するだけですよ。あなた、いま文部大臣でしょう。あなたの力で、おれが文部大臣のときに、この教育荒廃を、暴力、非行を、本当に教育改革をして、少しでもよくしようというような意欲は、全然答弁に出てないじゃないですか。本当に私、心配ですよ。私の時間が来ましたけれども、そういう点について本当に情熱を出してくださいよ。真剣にやってくださいよ。どうですか。
  107. 田中龍夫

    ○田中(龍)国務大臣 私も、文部大臣に就任して以来、心を砕いておる次第でございますが、同時にまた、国際社会におきまする日本の地位というものの向上のために、あるいは科学技術の面におきましても、大学の教育、その他につきましては、私は、真剣にその向上、発展を考えておる次第でありまして、私は、あくまでも日本の国家として、国民として、教育の問題に真剣に取り組んでおります。
  108. 馬場昇

    ○馬場委員 私は、文部大臣のきょうの答弁に関する限りは、真剣さ、情熱を感じません。非常に不満です。だから、また改めて議論をいたします。  あと、関連事項を同僚の中西委員にお願いしまして、私の質問は一応ここで終わります。ありがとうございました。
  109. 三ツ林弥太郎

    ○三ツ林委員長 中西積介君。
  110. 中西績介

    ○中西(績)委員 先ほど私立大学の問題について出ておりまして、これらの問題とかかわりがございますが、時間が大変短うございますので、簡略に質問を申し上げますので、お答えの方も、できれば長々としていただかなくて、適宜行っていただきますようお願いを申し上げながら、質問を申し上げたいと存じます。  先般、大臣の所信表明がございましたが、これの四ページから五ページにかけまして「第三は、私学の振興についてであります。」と、こう書かれてあります。五ページに入りまして「私立大学等に対する経常費補助及び高等学校から幼稚園までの私立学校に対する経常費助成費補助を中心に一層の拡充を図り、」云々とあります。  ここでお聞かせいただきたいと思いますのは、そうした結果、五十五年度の達成率は二九・五%になり、来年度、五十六年度予算を見ますと、その金額は二千八百三十五億円、達成率からいきますと、三一・一%だと思いますが、この点はよろしいですね。確認しておきます。
  111. 田中龍夫

    ○田中(龍)国務大臣 そのとおりでございます。
  112. 中西績介

    ○中西(績)委員 このように私学助成が伸びる、目標の五〇%をいち早く達成するという、このことについては私たちも賛成であります。ただ問題は、昨今、私立大学の中においてはいろいろ多くの問題が出ています。特に近年においては、医科大学あるいは歯科大学等において非常に多く問題が出ておりますし、また憂うべき現象が見受けられます。特に、いま問題になっております北里大学の問題について私はお聞きしたいと思います。  先ほど管理局長の方からの答弁もございましたけれども、北里大学がこの前、問題があったとして文部省に召喚され、いろいろ事情聴取をいたしたようでありますけれども、その際に出てきた報告と従前から挙げられておる、たとえば五十一会計年度の決算に基づく一般寄付あるいは学債、これが五十二年度の経常経費とのかかわりになってくるわけでありますから、そういう点で、先ほど言っておりましたけれども、もう一度御確認いただきたいと思うのです。  五十二年度の分から寄付金、学債、補助金について、その報告、事前に挙がったものと今度徴取をしたものと、違いがあればあわせて答えてください。
  113. 吉田壽雄

    ○吉田(壽)政府委員 お答えいたします。  昭和五十二年度から五十五年度でございますが、文部省調査によります入学者の父兄からの寄付金をまず申し上げます。  五十二年度については二十七億二千五百万円、五十三年度は三億八千九百万円、五十四年度は二億一千四百万円、五十五年度は昨年の六月一日現在の報告でございますが、ゼロでございます。  次に、学債の総額でございますが、五十二年度は五千五百万円、五十三年度は三十億二千四百万円、五十四年度は十二億六千九百万円、五十五年度は十億五千三百万円、こういうことでございまして、文部省に対する報告については誤りはございませんが、五十四年度、五十五年度両年度にわたりまして別途経理いたしましたものが三十二億余りあることは、すでに先生も御承知のとおりでございます。
  114. 中西績介

    ○中西(績)委員 それでは、会計検査院おいででしょう。――会計検査院が先般調査に入られたということでありますので、その結果を発表してください。いまの点だけでよろしいです。
  115. 向後清

    ○向後会計検査院説明員 お答えいたします。  検査院で資料を徴取いたしましたが、その数字は、あくまでも決算書の中で記載されておる数字でございますが、申し上げます。  五十一年度一般寄付金といたしましては六十億六千二百九十万円、五十二年度五十九億七千三百五十五万円、五十三年度二十一億一千百五万円、五十四年度十七億一千七百六十万円。学債でございますが、五十一年度七千五百万円、五十二年度二十三億九千百万円、五十三年度十六億二千二百万円、五十四年度十億八千八百万円。  以上でございます。
  116. 中西績介

    ○中西(績)委員 もう一つ、医学部だけでもよろしいから、これについて言ってください。
  117. 向後清

    ○向後会計検査院説明員 お答えいたします。医学部の一般寄付金でございますが、五十一年度四十一億七百八十万円、五十二年度四十一億九千二百六十五万円、五十三年度四億九千三十五万円、五十四年度三億九百万円。  以上でございます。
  118. 中西績介

    ○中西(績)委員 いま言われた点からいたしますと、文部省に上げられた資料並びに長木学長が呼ばれて、そこで明らかにした中身、全然違いますね。この点おわかりですか、違うということだけ。
  119. 吉田壽雄

    ○吉田(壽)政府委員 お答えいたします。  私の方で先ほどお答え申し上げましたのは、北里大学の医学部の入学者にかかる寄付金と学債の募集の状況を御報告申し上げたわけでございまして、私どもの方では、こういうふうに把握しておるわけでございますし、また私どもが大学から事情聴取したところ、その金額については一応誤りがないというふうに私どもも考えているわけでございます。
  120. 中西績介

    ○中西(績)委員 ところが、今度は北里大学が近来になって明らかにしたものはまた違うんですね。違いがあるのです。たとえば学債を一つ取り上げてみますと、五十四年度は十三億四千万円、こう言っています。あるいは五十五年度は十一億一千三百万円と言っています。ところが、先ほど学債を見ましても、この学債部分については、これは変わりがあるわけがないのですが、それを見ますと、五十三年度を見ましても違いがあるし、五十四年度も違いがあるし、五十五年度も違いがあるのです。このようにこれは全部違うのです。  ですから、その点で今度は、裏口座がではどのようになっておるのか、文部省。
  121. 吉田壽雄

    ○吉田(壽)政府委員 昭和五十四年度の入学者にかかる別途預かり金でございますが、十七億六千百五十万円でございます。このうち五十五年度、翌年度の学校会計に繰り入れましたものは九億九千七百万円でございます。約十億近いものが翌年度学校会計の中に正規に繰り入れられております。それから五十五年度の入学者にかかる別途預かり金でございますが、十四億九千万円でございます。したがいまして、五十四年度及び五十五年度の合計額は三十二億五千百五十万円どなっております。
  122. 中西績介

    ○中西(績)委員 それは、どこで調べられ、どこで確認したのですか、簡単に。
  123. 吉田壽雄

    ○吉田(壽)政府委員 学校法人北里学園の責任者を呼びまして、事情聴取いたしまして、確認した数字でございます。
  124. 中西績介

    ○中西(績)委員 その点も、これは違うんですね。  会計検査院、この点はどうですか。
  125. 向後清

    ○向後会計検査院説明員 お答えいたします。  検査の結果につきましては、現在何分にも、検査資料の整理中の段階でございますので、申し上げるわけにはまいりませんが、北里大学の会計経理につきましては、おおむね報道されました事態について事実が認められております。
  126. 中西績介

    ○中西(績)委員 その事実があり、そして内容については、私たちが調べたのとはうんと差があるんですね。少なくとも五十四年度は十九億、五十五年度は二十一億、こういう裏口座があるということになっています。ですから、この十九億と二十一億を合わせますと四十億あるのです。発表されたのは三十二億五千百五十万円だ。ですから、報告されているもの自体にまた問題があるということになります。私は、文部省ばかにされているのじゃないかと思うんですね。こんなばかげたことはないのです。それをまたやすやすと信じて、この正式の場へ持ってきて、こうです、こうですということになるといろいろ問題がある。  そこで、そのほか問題のある点は、長木理事長兼学長を呼ばれたときに何かありましたか。
  127. 宮地貫一

    ○宮地政府委員 北里大学から前後二回にわたりまして事情を聞いたわけでございますが、入学者選抜の公正確保の点についても、私どもその点を確かめたわけでございますが、大学側では合否判定と寄付金等の収受は一切関連がなかったということを申しておりまして、文部省といたしましても、その点については確証を得るに至っておりません。しかしながら、正規合格者につきまして、入学の手続前に父兄面接を行って寄付金の要請を行っていたというような点、また補欠の合格者については、合格の学内掲示を行わず、かつ入学手続の説明と寄付金要請とあわせて父兄面接を行うなど、入試の公正について疑問を持たせるような事態があったということは、大変遺憾に存じております。これらの点については、改善方を強く要請いたしまして、直ちに実施をするよう指導をいたしたところでございます。
  128. 中西績介

    ○中西(績)委員 いま入学問題について出てまいりましたけれども、指摘をされました試験の前だとかあるいは一次試験、二次試験にわたってやる際の途中の過程でこうした問題があった。  文部省は、一五十二年九月七日、管理局長あるいは大学局長連名で「私立大学医・歯学部における入学に関する寄附金の収受等の禁止及び入学者選抜の公正確保等について」という通知を出されていますけれども、これに該当するということでお調べになりましたか。しかも、これは今回だけでなしに、五十二年以前からずっとこの時期に限ってやられたかどうか。
  129. 宮地貫一

    ○宮地政府委員 入学手続の点につきましては、今回二回にわたりまして事情聴取をいたしまして、先ほど御答弁申し上げましたような点について、私どもとしては、確証を得るには至りませんが、その点について大変疑問があるということについては十分指導いたしたところでございます。
  130. 中西績介

    ○中西(績)委員 これは、これを出したときには、どういうつもりで出したのですか。この通知を出したのは、いろいろ多くの問題が派生してしょうがないから、これを出したのです。注意を喚起したんですね。ところが、文部省に報告されている面だけを見ましても、たとえば五十二年の寄付金を見ますと、いまあなたが言われました二十七億二千五百万円、文部省発表は。しかし四十一億何がしという、別個のものもある程度入ったにいたしましても、ある。そうすると、こういうことはしてはならないということで五十二年九月に出したんですよ、であるにもかかわらず、これをちゃんと読んでくださいよ、補助金はちゃんと二十二億九千六百何がしついている。あるいは五十三年度だって、その内容をずっと見てみますと、いろいろ報告されるべき中身があります。ところが、二十九億三千万円、次には三十六億と、次々にウナギ登り、補助金は拡大されるばかりです。ということになると、これは一切そういうものがないということで確認をしてきているわけです。大臣、問題はないということでこれをやっているということはおわかりですか。
  131. 田中龍夫

    ○田中(龍)国務大臣 さようでございます。
  132. 中西績介

    ○中西(績)委員 ところが実際には、そういう問題がありながら、全然そのことが追及されずに、一番いい例が、五十二年を見ていただくと一番いいと思うのですが、これを見ますと、そうした寄付なんかはしてはならない、また、それを入学の前提にしてはならぬということを全部これに詳しく書いていますよ、出された通知はりっぱなものですよ、ところが実際には、それが具体的にこれでもって判断をし、適用されているかというと、この実態からするとなっていない、私はこう考えるわけです。  いま私は、極端な言葉を使ったけれども、文部省がこうした大学あたりからばかにされる理由というのがそこにあるわけですよ。そういうことの全然配慮なんということをする必要はないのですから、どんどんこうした補助金政策というのがとられていくわけですから、平気でやるわけですよ。顕著になってきたのは、先ほど出ましたように、五十四年度以降明らかになったように、隠し金が、文部省が言うのと違いますけれども、私たちが調べたところでは、四十億もあるという実態、こういう状況が出てきておる。それでもなおかつ知らないと称して、三十六億の補助金を出しておるという実態ですね。何でもできるということを、ここでは実証しておるわけですね。このことを十分に考えていただきたいと思うのです。  そこで、時間がありませんから飛びますけれども、この大学が金権体質としてのもう一つの例を挙げます。この大学とかかわりを持つのに北里ハイツというのがあります。これは株式会社ですね。この点について何か文部省は握っておられますか。
  133. 吉田壽雄

    ○吉田(壽)政府委員 北里ハイツにつきましては、現在、大学の関係者からの事情聴取を行っておりまして、なお事実関係を精査中でございます。したがいまして、その判明を待ちまして必要な措置をとりたい、こういうふうに考えております。
  134. 中西績介

    ○中西(績)委員 土地を見ますと、こういうふうになっていますよ。大体七筆に分かれています。その七筆のうちの一と五は別であります。その中の二、三、四、六、七というのが北里大学の手にあったものであります。これは相模原市の開発公社から北里学園が入手したものなんですね。その際の言い分が、四十六年六月十九日に菊池という病院長の名前で公社の田所理事長あて、これは現在の相模原市の収入役ですが、文書で売却要請をしております。そのときに「病院勤務者数も日毎に増加して、また、それらの土地、住宅に腐心しておりますので、貴公社所有のゴルフ場東側、大沼地区の土地を御分譲頂き度く、お願いします。」という文書になっている。それが開発公社から渡ったのが正式には四十七年七月三日、この二、三、四、六、七ですね。そして、それが今度はどこに行ったかというと、開発会社である大正興業というところにこれが全部渡っているわけです。四十九年一月二十一日、自分のところでやるからと言って買ったものか大正興業に渡っているんですね。こうした事態が、今度は五十二年三月二日に、大正興業の役員と全く同じ、中に一、二名違いがありますけれども、同じ役員のこの北里ハイツに渡っているわけですね。しかも、この北里学園から大正興業に渡るときには、これが代物弁済として手渡されたわけです。法的には文句をつけられぬようにはしてありますけれども、こういうようなやり方を、いわゆる法人である大学がそういう土地転がしをやるようなところとぐるになってやっておる。しかも今度は大学の理事が、大正興業、ハイツ、こういうものとの関係か非常に深いわけですね。これをいま見てみますと、たとえば大正興業の代表取締役林彦三郎、これが大学の理事なんです。こういう人たちが、さっき申し上げたように北里ハイツの、中に二人だけ違いがありますけれども、また林彦三郎が代表でみんな同じ者が、会社が変わっているだけ、そこにそうして手渡されていっています。これ一つをとりましても、大変な問題がその中には隠されておる。金権体質がここには露骨に出ております。  もう一つあるのです。時間がないから私、説明しますけれども、北里ハイツとの協力関係ですね。いま言う土地転がしの関係はこれです。協力の関係はどうなっているかと言いますと、ハイツに学校が五十二年三月十日、五億二千五百万円の抵当権を設定して協力金頂け入れ契約をしております。それだけではありません。五十五年三月十九日に、やはり同じようなことをして一億七千五百万円。合計しますとちょうど七億円の金が、北里ハイツへ協力金としてこういう措置をされております。そしてでき上がったハイツはどうなっているかというと、こうした協力金がなぜ出ていったかというと、五十三年四月に医学部の生徒を全寮制にして集合教育をやるといってやったわけです。だから、こうした協力ということにしてあるのだけれども、それが今度たった二年、五十五年四月になりますと、全寮制は直ちに廃止しているんですよ。そして他学部の生徒だってどんどん入れるし、相模原のゴルフのコンペ客を宿泊させたり、今度ホテルになっているわけだ。あるいは受験生を宿泊させたりという、こうしたものが次々に出てきているのです。ほかにまだ挙げるとありますよ。時間がありませんから、これくらいにしておきますけれども、ほかに北里ハイツ、竹中工務店、大正興業の関係など、ずっと挙げていきますと、まだたくさんあります。  こうした事態になっていますけれども、この点でまだ全然出ておらないと言いますけれども、こうした事態があるといたしますと、北里学園の問題は深いということがおわかりでしょう、大臣。
  135. 田中龍夫

    ○田中(龍)国務大臣 さようでございます。
  136. 中西績介

    ○中西(績)委員 そこでもう二つ、私は言いたいと思うのです。  今度は、これはまた大変なことですけれども、財団法人ヘルスサイエンスセンターというのがございます。このヘルスサイエンスセンターを見ますと、これまた北里学園の理事の連中が役員なのです。さっき申し上げましたように、これには林彦三郎という人が入り、学長兼理事長の長木氏が入り、阿曽という人たちが入っています。ここではどういうことをやっているかといいますと、これはまた大変ですが、大学病院内のフロアをセンターに貸し付けておるわけです。そしてこの事務所は病院長の隣にある。そして職員が大学から出向している。また機材は大学のものが非常に多い。その中で経営して営利事業を行って、収入はどっちへ行っているかというと、このヘルスサイエンスセンター、財団法人に行っているわけです。  それから、私たち、これはもう神経がどうなっているかと思うようなことがあるのです。ここにこういうものがあるのです。「五月一日オープン入会ご案内」、これを見ますと、後援は北里大学病院になっています。そして「ご入会のすすめ」として学校法人の理事長、である長木大三、こうなっていまして、北里スイミングスクールの宣伝にこれ努めていますよ。これは民間会社ですが、どこにできているかといえば、できている場所は看護婦の宿舎の屋上です。大学の関係の施設の上に二十五メートルプールがちゃんとできていて、民間に貸し付けられている。詳しく細かくいろいろなものが出ていますよ。  こうして挙げてまいりますと、この北里学園というのは、私たちの想像を絶するものがあるということを、このことは示しています。ですから、さっき言った土地転がし、さらにまた、こうした第二会社的なものをつくって、そこから収入を上げていくというようないろいろなことが、この中には隠されておるのです。  これから後文部省は、こうした事態をどうするのか、はっきりしてもらいたいと私は思います。
  137. 吉田壽雄

    ○吉田(壽)政府委員 北里ハイツのことにつきましては、先ほど申し上げましたとおり、現在、事実関係を調査中でございます。その結論を待ちまして、判明次第、適切な措置をとりたいと考えております。  それから、その次にお話の出ましたヘルスサイエンスセンター及びスイミングスクールにつきましては、私ども全く承知しておりませんので、早急に調査いたしまして、これもしかるべき措置をとりたいと思います。
  138. 中西績介

    ○中西(績)委員 それで私は、問題として提起しながら確認したいと思いますのは、こうした学校法人の場合、たくさんのお金を多くの皆さんから、はなはだしいのを見ますと、最高額は五十四年が三千万円、五十五年は四千万円ですよ、だから、従前からあれほど問題になっておったものを、こうして平気でやっておるという実態、そして先ほど私が申し上げましたように、五十二年度二十二億、五十三年度二十九億、五十四年度三十六億、五十五年度は三十億ぐらい、大体八〇%ぐらい交付が決定しているのじゃないかどいう大学あたりの風評になっています。ですから、満々になりますと三十六億ぐらいになりますが、国の助成金で学校運営がなされておるにもかかわらず、会計が全部隠されていくわけです。  一番いい例を申し上げましょう。私が、国の貸し付けの中でどうなっておるのか、どれだけ借りておるのかを示せと文部省に言ったのです。北里学園に対する貸付状況はどうなっておるのか、そうしたら、こういう文書がはね返ってきた。「個々の学校法人に対する貸付状況については、従来から外部に公表しないこととしておりますので、御了承ください。なお、同学園に対する最近の貸付けは、私大奨学事業についてだけであります。」、こういうふうになっておりました。私は、この下の方はいいと思いますよ。ところが、それは知らせませんということになっているのです。これは正式に文部省の文書で来ていますから、うそでも何でもない。ところが、この通知を見ますと、場合によってはそういうことをちゃんとやれと書いてある、必要に応じてやりなさいと。ところが、文部省自体がそういうことをどんどん隠していくという体質、それがこういうことを生んでいくことになると私は思うのです。この点どうですか。時間がないから大臣……。
  139. 田中龍夫

    ○田中(龍)国務大臣 先ほど担当局長から申し上げたように、その点は存じなかった次第でございまして、さらに十分調査いたしまして、また検討いたしたいと存じます。
  140. 中西績介

    ○中西(績)委員 公開をしなければいかぬと思うんですよ。これから後、各大学が全部そういうように問題になって残っていくわけですから、その点を聞いておるわけです。するつもりがあるのかないのか、大臣。
  141. 吉田壽雄

    ○吉田(壽)政府委員 私立学校の会計経理の公開につきましては、従来から各大学の自主的な判断にお任せしております。したがいまして、私の方から必ず公開しなければならないというような指導をすることは、従来から差し控えております。
  142. 中西績介

    ○中西(績)委員 これは理事会だって、あるいはいろいろなところで全部やられまして報告はされるわけですから、国がわざわざ助成金なり補助金を出しているにもかかわらず、われわれがそれを知りたいと言っても、それはだめですよという文書が来ておるということになると、これはいけないと言うのです。この点はどうですかと言っているのですから、大臣、どうですか。
  143. 田中龍夫

    ○田中(龍)国務大臣 そのようなことも初めて伺ったわけでありまして、本件につきましては、十分に検討いたしましてお答えいたします。
  144. 中西績介

    ○中西(績)委員 それでは、もう時間がございませんから、もう一つだけ聞きます。  学債は、卒業後返済をされておるかどうか、調べたことがございますか。
  145. 吉田壽雄

    ○吉田(壽)政府委員 特にその件は調査いたしておりません。
  146. 中西績介

    ○中西(績)委員 この点、問題として残します。  最後に、いまこれを見ますと、大体八〇%程度は医師の子弟が入っています。ですから、世襲制になり、しかも、こうして金のある人だけが入るという結果になっていますね。さっき申し上げたように、最高三千万から四千万という、普通一般ではとうてい考えられないようなことが行われておるわけですね。しかも、それは世襲制という形に大部分なっておる、このことについて大臣はどうお考えですか。
  147. 田中龍夫

    ○田中(龍)国務大臣 冒頭に申し上げましたように、私立大学の経営につきましては、われわれは正当な意味で極力援助してまいったのでありますが、いまお話のありましたように、いろいろとそういう事実が判明いたしたとなれば、その問題については、国民からめ血税によって補助を行っております以上は、十二分に精査いたしまして、また御連絡をいたしましょう。
  148. 中西績介

    ○中西(績)委員 時間が参りましたので、この次は指摘がありましたように、金曜日にありますので、そこでもう少し追及をしていきたいと思いますけれども、私は、問題提起を一つだけしておきます。  それは、こうした事態が起こってくるのは、教学の経費、いままでずっと私が文教委員になってから言い続けてきたことでありますが、これが軽視をされておる、経営が重視をされ、理事長と学長が兼任のところにこうした事態が大変多発しています。こういう点について、文部省は、いままで指導したことがあるのか、あるいはそうした事態をどのようにしていったのか、そういう問題等について、また次回に追及をしてまいりたいと思いますので、きょうはこれで終わります。
  149. 三ツ林弥太郎

    ○三ツ林委員長 午後二時に再開することとし、この際、暫時休憩いたします。     午後一時十三分休憩      ――――◇―――――     午後二時一分開議
  150. 三ツ林弥太郎

    ○三ツ林委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  質疑を続行いたします。有島重武君。
  151. 有島重武

    ○有島委員 初めに、週休二日制についてお尋ねをしておきたいと思います。  人事院がこの週休二日制につきまして、検討なさり、報告をなさり、そして勧告をなすったわけですが、どうしてこの週休二日制という問題と人事院が取り組まなければならなかったか、一番もとに戻りましてのこの勧告の趣旨を承っておきたいと思います。
  152. 金井八郎

    ○金井政府委員 昭和四十八年の夏に人事院が給与の報告を国会及び内閣にいたしました。その際に、いわゆる週休二日制関係につきましても、わが国国内の企業における週休二日制の普及の推移というものを見ますと、昭和五十年には過半数を超えるであろうという判断をいたしまして、四十八年の報告におきまして、週休二日制の採用について検討の段階に達した、公務能率の維持その他諸般の情勢というものを考慮しながら検討をする必要がある、こういう旨を述べたわけであります。  事実、昭和五十年には、約六七・四%でございますかの国内企業における週休二日制の普及が見られたわけであります。ただ、公務員におきましては、いろいろ民間にはないような職種、それから直接国民に接する窓口業務も多くございますし、いずれにしても行政サービスを維持しながらこれを導入するという条件がございます。そういうことで、過去二回にわたりまして、政府に対し、その試行を要請いたしまして、一昨年勧告をするに至ったわけであります。  すなわち、公務員の勤務条件は、国家公務員法の二十八条に基づきまして、いわゆる「情勢適応の原則」というのがございますが、給与その他の主要な勤務条件につきましては、民間の一般の情勢というものを十分に考慮して策定していく必要があるだろうということで、この週休二日制問題につきましても、そういう観点から職員の勤務条件ということで勧告をしたわけでございます。  したがいまして、直接の理由と申されますと、いま申しましたような民間企業における週休二日制の普及を公務員の方にも採用するべきではないか、そういう観点から勧告し、今日実現を見るに至ったわけでございます。
  153. 有島重武

    ○有島委員 私が質問したいのは、どうして民間企業が週休二日の方向に進んでいくのか、その辺の分析もいろいろおやりになったと思うのですが、これはどんなふうな分析をしていらっしゃるのか。
  154. 金井八郎

    ○金井政府委員 週休二日制を公務員に導入するに至った直接の理由は、先ほど申し上げたとおりでございますが、いわばその背景となる事情についてのお尋ねかと存じます。  これは昭和四十年代の後半に、わが国の経済は非常に伸展いたしまして、生産性も非常に向上しているのに伴いまして、賃金水準も上がってまいりました。西欧の先進国に十分匹敵するような賃金水準になってきたと言えるかと思います。ただ、いわゆる労働時間の方につきましては、欧米の先進国に比較しますと、かなりの差が見られる。今後は、賃金上昇もさることながら、生産性の成果を労働時間の短縮の方にも振り向けるという要請が一般的にあったと存じます。その結果、労働者の福祉の向上を図っていく、さらには国際社会の一員といたしまして、労働条件全般について国際的レベルに到達するように調和を図る必要が出てくる、こういう要請もあったかと思います。そういう背景のもとで週休二日制の問題が取り上げられたわけでございます。  さらに、具体的に申し上げますれば、いわゆる技術革新の進展によりまして、労働の場合、肉体的疲労に加えまして精神的疲労というものも増大する傾向にあるとか、特に企業が集中しております都市部におきましては、やはり通勤事情が相当悪くなってきている、そのために疲労が蓄積するし、労働時間は徐々に短縮の傾向にあったわけでございますが、いわゆる自由時間というものについては実質的に余り増加していない、一方、労働者の方は、賃金の上昇だけではなくて、いわゆる余暇の増大を求める空気が強くなった、国民全般もいわばゆとりのある生活を望んでいる、さらに休日を増加させることは、生産性の向上から見て、むしろ好ましい結果が得られるであろう、そういうことが挙げられると思います。これらが要因となりまして週休二日制採用の動きが一種の社会的要請となったというふうに考えております。
  155. 有島重武

    ○有島委員 もう少し詳しくお話を進めていきたいのです。  昭和四十年代に高度成長がなされた、その間にこういった風潮が広まっていったということだけでありますと、いま低成長時代に入ろうとしておりますね、そういった趨勢は今後なくなる、スローダウンしていく方向にあるのか、そういうふうにお考えになっているかどうか、これが一つです。低成長になっても、ますます週休二日制という方向が進んでいくのであろうかということ、その点はどうお考えになっていらっしゃるか。  それからもう一つ、技術革新でございますね、技術革新に伴って生産性が向上する、だから、週休二日制をとっても、生産は落ちないというようなことが起こっておる。これはそういった生産面から見ることが一つできます。しかし、ここは文教委員会の場でございますので、人間の面から見まして、技術革新とともに人間にゆとりができて余暇がどんどんできてくるというような、何といいますか掛算、割算のようなそういう面と、技術革新が進むに従って、扱っている仕事であるとか、あるいは情報の内容であるとかいうものの密度が非常に高まっていっているのじゃないのか、それに対して疲労といいますか、あるいは大量に来る情報ないしはいろいろな仕事上の変化に短時間に対応していかなくてはいけない、技術革新というものは、そういったことになろうかと思うんですね。それをまた生活の中でこなしていく時間というのですか、いわゆる就労時間では換算できないような人間能力の開発の時間というものが本格的に見直されていかなければならないというようなことが、人事院の中でもいろいろ御議論があったやに私は承っているわけなんですが、そういうことがあったなら、ひとつ御披瀝いただきたい。  それから、核家族というような問題があろうかと思うんですね。これも、いまのお話にはちょっと欠けていたのじゃないかと思うのですけれども、家族構成が非常に少なくなってくる、そうして日曜日だけが休みである、夫婦共かせぎであるということになりますと、地方自治体なんかといろいろな手続をしなければならないというようなことがどんどん抜けてしまい、それが累積されていく。昔、おじいちゃん、おばあちゃん、おば様なんかと一緒にいたときには、これを頼みますよということでできたことが、いまはすっぽりとそれが抜けてしまって、いろいろ不都合を呼んでいるということが起こってきている。そういうようなことも聞いているわけですけれども、この週休二日制の方向を討議せざるを得なくなったというその背景について、もう少し詳しく承りたい。
  156. 金井八郎

    ○金井政府委員 経済の高度成長がとまったということは、いま御指摘ございましたけれども、これは週休二日制というものがわが国に普及し、あるいはそれを導入する要請が強まったという点に関して申し上げたのであって、現在すでに、企業におきましては、人事院調査でも七〇%を超えておりますし、労働省調査によりましても、労働者数で申しますれば、八〇%を超えている企業雇用労働者が、何らかの形の週休二日制をやっているわけでございますから、すでにこういう機運といいますか要請というものは、ずっと続いていて、今後もさらに進展していく傾向にあるというふうに思います。  それから、技術革新のことも、先ほど私、申し上げたのですけれども、要するに仕事への取り組み方が複雑になってきますから、いわゆる肉体的な疲労というものに加えて精神的な疲労度というものが従前に比べると確かにふえてきている。そういうことで、この週休二日制というのは、本来、日曜日に接着する土曜日を休みにするということで、そこで、そういう疲労をいやすのにも非常に効果があるだろうし、労働力の再生産という観点から見て効果があるとか、ゆとりのある生活ができるとか、そういうことがいろいろ言われているわけでございまして、その点については、特段に異論はございません。そういうものだと思っております。  それから、先生の御指摘の家族構成の問題ですが、こういう核家族ですから、確かに休みが多ければ、家庭の中でのいろいろなことに振り向けるということはもちろん可能になるわけで、そういう面で、週休二日制の効用という点から言えば、非常にあるかと思います。  ただ、私どもが一番中心に考えておりますのは、公務員の労働条件は、少なくとも社会一般の情勢というものに対応し、あるいは民間企業におけるそういうものに対して、これを先取りすることはいかがかと思いますけれども、これに追随して、少なくとも公務員が職務に精励し得るように、有為な人材が公務にも導入できるように、そういう意味で勤務条件の維持というものは大事と思っております。  そういうことで、確かに家族構成の点からそういう利点があることはわかりますけれども、それを特にねらって週休二日制というわけにもまいらないかと思います。  大体、以上のように考えます。
  157. 有島重武

    ○有島委員 私は、生活自体がずっと変わってきてしまった、生活自体の密度がずいぶん違っておる、そうですね、そういった認識の上にこれは立たれているのだということを確認しておきたかったわけなんですよ。  それで、この報告の中にあります四週五休、これもやがては二週三休あるいは一週二休、本当の週休二日制ですが、その方向に行く暫定的な段階である、そういうふうに解せられると思うのですけれども、いかがですか。
  158. 金井八郎

    ○金井政府委員 今回の給与法の改正におきましても、附則の中で「当分の間」という文言がございます。そこで、御指摘のとおり週休二日制は、本来完全週休二日制というのが究極のあり方だ、これは諸外国の例から見ても、そう言えるわけでございますけれども、現在の、今回私どもの考えておりました週休二日制というのは、四週一回交代半休という形態でございます。さらに公務の特殊事情から弾力的な制度にしてございます。そういうことで、いつまでこういう制度の形でいくかということは、いまちょっとはっきり申し上げる段階ではございませんけれども、いずれにしても「当分の間」という形でいきますし、私どもといたしましては、今回行われることになった週休二日制の実施の態様をよく見守りながら、民間における動向、その他社会情勢というものを十分に考慮しながら、今後、どういう形でこの週休二日制を進展させていくかということを考えていくわけでございますので、お説のとおり、「当分の間」ということで暫定的なものだというふうにお考えいただいても結構だと存じます。
  159. 有島重武

    ○有島委員 大臣に申し上げておきたいことは、こういうことであります。週休二日制について、世の中こうなっているのだから仕方がないよという消極的な受け方が一つあろうと思うのです。しかし、さっき人事院からお話がございましたように、これは積極的な受け方といいますか、こういった技術革新がどんどん進んでいく現代の社会に対応していく人間のあり方として、人間能力を本当に発揮していくその手だてとして積極的に評価すべき問題であろう、そういうように私は申し上げたいわけなんです。それを、これはけしからぬことだというような受け方は誤りではなかろうか、かように私は申し上げたいわけなんだけれども、大臣のお考えを承っておきたい。
  160. 田中龍夫

    ○田中(龍)国務大臣 お答えいたします。  週休二日制の問題につきましては、社会の進展なり客観情勢からいたしまして、教職員といたしましても当然のことだろうと存じますが、なお、学校教員の週休二日制の問題につきましては、人事院と交渉いたしてまいる所存でございます。
  161. 有島重武

    ○有島委員 私は、四週五休のことについて、または四週五休をどのように扱うか、いろいろな議論がなされていることを承知はいたしておりますけれども、それについて特にこうせよああせよというふうには、なかなか――本当の現場の声をよく聞くべきではなかろうかと思います。  それから、その際に、特に教育の現場におきましていま一番の関心事は、受験の問題であるというような状況になっているわけですね。学校という場が受験勉強の場になっておる。そこに非常に偏っていると言った方がいいのでしょうか、それですから、父兄もあるいは先生方も受験勉強あるいは詰め込みというような状況、これが教育であるがごとき錯覚は、起こしていないのかもしれぬけれども、やむを得ずそのような実態に追い込まれている、そういう中での声、それから本来、人間性を取り戻していくのだというための一つの措置である、人間能力を本当に最高に発揮していくための措置である、その二つの絡み合い、こういったことを十分配慮していただきたい、こう思うわけであります。大臣のお考えをもう一遍お聞かせいただきたい。
  162. 田中龍夫

    ○田中(龍)国務大臣 ただいまお答えいたしましたように、人事院とも事務的にすり合わせをいたしておりますが、御案内のとおりに、都道府県の教育長協議会からは、昨年の十二月二十四日、教員の週休二日制について「学校教育のあり方や実情など諸般の事情にかんがみ、四週五休方式によることなく、夏季、冬季等の休業日の期間内の適切な日に勤務を要しない時間を指定する方式によって実施すること」という内容の要望が出ておりますし、また指定都市の教育長協議会、あるいは全国市町村教育委員会連合会、また全国都市教育長協議会、全国町村教育長会、全国連合小学校長会、全日本中学校長会、全国高等学校長協会からも同様の要望が出ております。さらに先般、日本PTA全国協議会からも、四週五休方式による週休二日制の実施は時期がまだ早いということが出ております。ただ、これについては、御提案の趣旨等も適切なものでございますので、さらに人事院と協議を遂げながら最終の決定にまいりたい、かように考えております。
  163. 有島重武

    ○有島委員 そのあたりが心配だから私は申し上げておるのです。大臣の御認識ですよ。人事院の方からもこう言ってきたから仕方がないから、数字合わせのように、では、一週間をならしてみて、休みをこれだけ寄せればこれでもってつじつまが合うじゃないかというような扱いは、本来の趣旨に反している、こういうことなんです。  それで、やはり教員なら教員自身がゆとりを持って、あるいはいままでやってきたことを多少ともこなして、新たな活力を持ってというようなことが本来の趣旨でございますから、そのことをくれぐれもお忘れなきように御注意申し上げたい。しかし実態的に、いまやむを得ずこういった処置をとらなければならないというのであれば、将来はさらにこのように開いていくのだというような、そこに一つの方向性なり決意を秘められた当面の処置でなければならない、このように私は思うわけなんだけれども、いかがですか。
  164. 田中龍夫

    ○田中(龍)国務大臣 いままでの経過もございまするので、担当の局長からお答えいたします。
  165. 三角哲生

    ○三角政府委員 今回の四週五休方式による週休二日制の導入と申しますか、その戸口に入るという段階におきましては、現状においては、先ほど大臣から申し上げましたような措置を行うのが、文部省としては、最も適当ではないかというふうに考えておる次第でございまして、今回のものは、でき上がりました制度の上では、人事院にこれから御協議を申し上げるということでございます。  ただ、いま御指摘の、それからさらに先のことでございますが、これは先ほど人事院の職員局長の方から「当分の間、」ということで御説明ございましたけれども、人事院のこれまでの取り扱いについての御説明によりましても、「民間企業における週休二日制の動向は、漸次休日数の多い態様へ移行し、かつ、閉店方式の採用が増加するものと思料されるので、今後公務においてもこれらの点について諸般の情勢に留意しつつ検討する必要があるものと考える。」というふうに御説明になっておられます。したがいまして、国家公務員の週休二日制の実施方法等につきましては、わが国の実情に即しながら、今後さらに人事院において検討がなされていくものというふうに考えておるわけでございます。  ただいま申し上げましたように、現状においては、やはり学校というのは、一般の産業とも異なりまして、人間対人間の営みでございますので、生産性の向上というような点ではちょっと事情を異にする場所でございます。私どもは、やはり学校教育のあり方の基本にかかわる事柄でございますので、現状では、この四週五休方式によることは非常にむずかしい、夏季、冬季等の休業日の期間内に実施するしかないという考えでございますが、今後につきましては、さきに申し上げました人事院におきます週休二日制そのものについての今後の取り扱いの検討状況を初めとして諸般の状況を勘案しながら、教育行政を預かる文部省という立場で慎重に検討してまいらなければならないだろうというふうに考えておる次第でございます。
  166. 有島重武

    ○有島委員 それでは、くれぐれも人事院の考えそのものが、二週三休あるいは週休二日という方向に沿っての当面の措置である、しかも、いま当面のやむを得ざる措置としてこうである、こうである、このことについて私は余り詳しくは言いませんけれども、そういうお扱いに願いたい。  それからまた、さっきPTAだとか、それから校長会であるとか、いろいろなところから要望が出ておるというようなことを大臣言われましたけれども、これも私が申し上げましたように、一つの受験体制の中に組み込まれてしまった学校の枠という中からの声なんだということですね。その枠そのものが決してよろしい枠ではなくて、そういったものをむしろ解消の方向に向かわしていかなければならないという責任が大臣にもおありになる、そういうものを含んだいろいろな要望であるというふうに御解釈をいただきたい、御注意を申し上げておきたい、そういうわけであります。おわかりいただけますでしょうか。
  167. 田中龍夫

    ○田中(龍)国務大臣 御要望として承っておきます。
  168. 有島重武

    ○有島委員 次にいきます。  きょうは一つの提案をいたしたいのであります。それは、これは仮称でありますけれども、わが国に教育博物館を設置したい、こういうことです。明治開国以来のわが国の発展というのは、世界的に驚異である、それから、その基礎になっておるのは教育であったというような評価がなされておりますね。ことに戦後の混乱から今日まで復興してきた、これについては、いろいろな見方があると思いますけれども、特に最近に至りまして、諸外国からも日本の発展のもとになっている教育のことについて知りたい、そういった要望が大変たくさん起こっているようであります。ですから、目黒にございます国立教育研究所なんかには、ここ数年来、ずいぶんたくさんの研究者といいますか、教育者といいますかが、もう連日のように押しかけてきておる、こういった実態があるわけでございます。しかし私たちとしては、これを手放しで喜んでいられるわけじゃありませんで、今後の教育が従来の教育の延長線上でもって、これを量を拡大していくか、あるいは質を高めていくかというような従来の教育体制を発展、充実さしていけば、それでいいのかどうか、これも考えなければならないという時点にいま来ておるのじゃないかと思われます。  ですから、教育制度について、これを検討し直そうじゃないかというような声が最近各所に起こっているようであります。私どもも、教育改革についての意見はいろいろ持っておりますけれども、これに関しまして、いま、いままでの教育をもう一遍考え直してみるという時点であるとするならば、ここでもってどのくらいの大きなけたからこれを考え直していかなければならないかということになろうかと私は思うわけです。  ちょっと文部省の方に承っておきたいのですけれども、文部省の方でも、いまこの六・三・三制の学校教育体制について、何か改革をしていこうというようなお考えを持っているというか、検討しなければならぬというようなお考えがあるのか、それちょっと承りたい。
  169. 鈴木勲

    ○鈴木(勲)政府委員 御承知のように、昭和四十六年に中央教育審議会が、いわゆる第三の教育改革と言われます基本的な学校制度の改革につきまして答申をいたしております。     〔委員長退席、中村(喜)委員長代理着席〕 その答申の線に沿いまして、文部省におきましては、諸種の指摘された問題点をこれまで解決してまいったわけでございまして、その答申の趣旨の徹底という形で現在の諸種の施策が行われているということでございますが、とりたてて、それを上回る、さらに、そのほかの改革案というものを検討している段階ではございませんけれども、ただいま中央教育審議会におきましては、生涯教育という観点から、学校教育を初め社会教育等万般にわたりまして見直しをするという角度からの検討が進められている、そういう段階でございまして、生涯教育の観点から見直されました学校制度のあり方等につきましては、御答申を待ちまして、さらに施策の中で考えていくというふうなことになろうかと思います。
  170. 有島重武

    ○有島委員 大臣、教育といいますと、国民の大部分がすぐ学校ということを連想すると思うのです。その意味において学校制度、これは明治以来非常にすぐれた学校の制度があったということになっておりますけれども、最近の校内暴力の問題であるとか、あるいは受験地獄と言われるような現象であるとか、あるいはもう言い古されましたけれども、学歴社会とかいったこと、教育の中における学校の位置づけをもう一遍考え直さなければいけないのじゃないだろうか。それが大臣の今度の所信表明の中にも、社会あるいは家庭、そういったものとの関連、協力ということを今後は非常に重要視していかなければならないというような意識がおありになるようにお見受けいたしましたし、それからもう一つは、時間的に学校という限られた時間に教育を局限するのではなしに、生涯にわたっての教育というふうに枠を広げて考えていかなければならないのじゃないだろうか、こういう一つの反省といいますか、これは、いままでがこの方向でなかった、しかし、これからはこうでなければならないのじゃないかという一つの転換期といいますか、そういったところにいまいるのじゃないのだろうかと思うわけでございますけれども、大臣いかがですか。
  171. 田中龍夫

    ○田中(龍)国務大臣 お話のごとくに、教育というものが、とかく学校教育だけの教育というようなことでありますとか、あるいはまた戦後の教育だけに限定しないで、さらに長い歴史の流れの中で教育を見直していくべきであるといったようないろいろな御意見やら考え方があると存じます。また、冒頭先生がおっしゃったように、海外からも日本の教育研究というものに相当いろいろな関心が持たれておる、こういう中にありまして、御意見のとおりに、長期的な視野に立った、しかも、きわめて積極的にこういうふうな問題に取り組んでいかなければいかぬ、かようにも考えております。
  172. 有島重武

    ○有島委員 私、特に心配しておりますのは、教育の議論が戦前の教育と戦後の教育との対比の中で行われる、これも非常に有益なことでございますけれども、これから十年、二十年、もっと先のところでもって現在の教育の効果というのはあらわれるわけです。それから、いまから改革していっても、非常に急激に改革をしたところで、やはり十年、二十年はかかるわけでありまして、いまこそ本当にいろいろな議論、いろいろな提案がなされなければならないときであると思うわけです。  大臣もいまおっしゃいましたけれども、明治以来百年というこのわが国の教育を、今度はさらにもっと大きな視野の中で見直してみなければならないというような要請のもとに、いま生涯教育の問題なんかも出てきておるのじゃないかと私は思うわけです。  それで、最初の提案に戻りますけれども、教育博物館というようなものをぜひともこの際つくることを検討し出していただきたいと思います。明治のわれわれの先輩たちが学制をしいた、たちまちに六万の小学校ができたということになっています。それから大学もできた、官立も私立もできた、大したものだということになっておりますけれども、その土台といいますか、以前に日本には約六万の寺子屋があった、それから藩校と言われるような正規の学校もあったし、いろいろな私塾もできておったというような情勢もあるわけです。そういったことは一部の人は知っているわけですね。知っているけれども、国民の大部分といいますか、教育熱心であるお母さんたちであるとか、あるいは先生方であるとか、あるいは教育委員会をやっていらっしゃる方々であるとか、あるいは教育行政に携わっているわれわれ自体も、余りそういう大きな意識で物を考えるという場所がないわけです。  そこで、なるべく多くの日本人が大きな視野に立って日本の教育を考えられる場所をつくりたい。それからまた同時に、世界の人々にも日本のあり方といいますか、われわれのいろいろな対応の中で、かつ一貫したもの、こういったものをより深く認識してもらう。具体的に言いますと、たくさん押しかけてくる外国の人たちに一々対応するのは非常に大変なわけです。本も出ておりますけれども、百聞一見にしかずで、大臣は、大阪の万博跡の国立民族学博物館、これはおいでになったことあろうかと思うのですけれども、これは別にガラスの外から何かのぞいて物知りになって帰ってきたというような、そういうものじゃありませんで、あそこでは実物にどんどんさわれる。それから、あそこへ行って、私も数回参りましたけれども、行ってくるたびに何か物の見方が変わってくるというような、実物の教育とは非常に強烈な影響力を持つものだということを私はつくづく思うわけでございます。それからあそこは、子供たちも来るけれども、学者も来る、外国人も来る。大学院の学生があそこに来て、そして論文を書いて学位をとる。大学の共同利用機関として位置づけられておるといったことになっておりますね。こういうような例は外国にも幾つかございまして、大学の共同利用機関というところまではいっておりませんけれども、七つ八ついろいろございます。  こうした博物館をぜひともつくってもらいたい、こう思っているわけです。ひとつ前向きに御検討いただきたい。
  173. 田中龍夫

    ○田中(龍)国務大臣 先生の当初お示しの教育博物館という呼称の内容を余りよく私、心得なかったのでありますが、ただいまいろいろとお話を承りまして、なるほどそうかという気が実はいたしたわけでございます。  御案内のとおりに、日本が短い間にこれだけの近代化をいたしました百年の歴史の前には、長い教育に対しまする非常な関心と努力が積み重ねられてあったわけでありまして、御案内の長野県を中心といたしました寺子屋でありますとか私塾、あるいはまた毛利藩や水戸藩や岡山藩池田侯なんかのところの官学あるいは藩学、いろいろと私塾等もたくさんあったわけでございます。そういうふうな教育の上に明治の御一新が行われ、それが非常な基礎になりまして、近代化が行われ、それからまた今日に至っておりまする長い沿革に徴しましても、ただいまお示しの教育博物館というもののお考えの全貌がはっきりといたしましたので、まことに結構な御意見である、かように存じておる次第でございます。
  174. 有島重武

    ○有島委員 外国の例ではフランス、イギリス、メキシコ、オランダ、オーストラリア、スイス、スウェーデン。ここにスウェーデンのパンフレットがあるので、ちょっと見ていただきたいのだけれども、これは私のただの思いつきというよりも、日本にも実は明治時代に教育博物館というものがあった、このことは御承知ですか。
  175. 田中龍夫

    ○田中(龍)国務大臣 寡聞にして存じておりません。
  176. 有島重武

    ○有島委員 明治十年の一月、教育博物館というのがあったそうですね。これはいろいろな経緯があったらしいが、年々一万円の多額を支給しておった。これが大正十二年の大震災でもって焼けてしまって、そのままになっているということもあるようでございます。  ともかく、どこにつくれとかどのくらいでやれということは、これから専門家の方にいろいろと御相談をいただきたいと思うのですけれども、できることならば、大きな図書館も併設するとか、それから資料、参考文献を集めて、そして地方から来たお子さんなんかも、そこに泊まりがけでもって見ていかれるような、あるいは外国人でもここに必ず足をとめていかれるような少し大型のものをいまのうちにつくっていく、これをぜひともやっていきたい、そういうことでございますので、ひとつ検討を開始していただきたい、こう申し上げたいのです。
  177. 田中龍夫

    ○田中(龍)国務大臣 ただいまのお話のような次第、内部において相談をいたします。
  178. 有島重武

    ○有島委員 次に、日本語の問題を二、三取り上げておきます。  これも以前から私、非常に重要視している問題ですけれども、キリスト教では、いまローマ法王来ていらっしゃるけれども、ヨハネ伝には「初めに言葉ありき」なんということがあるそうでございますけれども、教育とか文化とか言っても、その基礎は国語であろうかと思うのです。  そこで、わが国の国語教育のあり方について、改良すべき点、反省すべき点というものが多々あろうかと思います。これも私は専門家ではありませんから、この改良方法については、専門家にお願いしなければならないことでございますけれども、指摘しておかなければならないことは、いまも博物館のお話でもってやや申しましたけれども、明治以来の学校教育の中で扱われてきた国語の教育という一つの枠の中にいまあるという認識をしなければならないのじゃないだろうかと思うのです。  といいますのは、小学校、中学校なんかで教えられた学校の先生というのは、寺子屋で教えておられた漢学の素養が非常にある方だという一つの枠があったと思いますね。それがどんないろいろな影響を与えておるのかということをいま考え直さなければならないときじゃないかということを指摘しておきたいと思うわけです。  それでもって文部当局にお願いしたことは、一つは、外国人に教えるための日本語ということをひとつ開発してもらいたい、もう一つは、三十年でも四十年でもかけていいから、本式の日本語の大辞典を刊行する事業を興してもらいたい、こういうことを申し上げてきたわけでございます。この二つのことについて、中間報告で結構ですから、簡単に御報告をいただきたい。
  179. 別府哲

    ○別府政府委員 お答えを申し上げます。  順序がちょっとなんでございますが、まず国語研究所において行っております国語辞典の編さんの方から先に御説明を申し上げておきます。  昨年十月の本委員会におきまして、先生から御質問をいただきまして、御説明をしたところでございますが、国立国語研究所におきましては、国語辞典の編さんにつきまして、国立の研究所で編さんするにふさわしい辞典の種類、規模及び編集刊行する仕組み等について調査研究を現在進めておるところでございまして、昭和五十五年度におきましては、前回も御説明申し上げましたけれども、明治以降の文学作品の目録作成あるいは諸外国における用例採集の方法等に関する実験的試行を行っているわけでございます。  前回先生から御質問をいただきましてから後におきましても、研究所におきましては鋭意作業を続けているわけでございまして、有識者から成る協力者会議をその後も二回開きました。ちょっと細かくなりますけれども、その後の検討の内容の一、二を御紹介申し上げますと、諸外国における大辞典についての資料を作成し、これを検討する、さらに用例辞典のためのベストセラー目緑の草稿を作成いたしております。また国立の研究所でつくります辞典といたしましては、従来の検討の経過から申しまして、豊富な用例を持った、言うなれば用例辞典というものをつくるべきであろうという事柄が討議されてございますけれども、この場合の用例辞典編さんのための見出し語の検討、たとえて申しますと、光ファイバー通信という言葉がございますけれども、この光ファイバー通信という語を引くための見出し語といたしまして、光というところからも引け、ファイバーというところからも引け、また通信というところからも引けるというような見出し語の長さの検討、そういった大変細かい事項になりますが、検討を続けておる段階でございます。さらに引き続き昭和五十六年度におきましても、所要経費を、現在国会で御審議いただいております予算に計上して、さらに検討を続けるという状況でございます。  それから、最初の御質問の日本語教育の問題についてでございますが、外国人に日本語を教える場合、従来とかく中心になっておりますのは、教材などが英語を基礎とした教材が豊富でございまして、それ以外の母語、普通母国語と言った方がわかりやすいわけでございますけれども、必ずしも国と密着いたしておりませんので、専門家は母語と申しておりますが、この母語別の教材を、もっと英語以外の母語について開発する必要があるということで、現在、日本語教育の内容、方法の整備充実に関する調査研究の中におきまして、母語別教材の開発という点に重点を置きながら種々検討を続けているところでございます。また、国立国語研究所の日本語教育センターにおきましても本格的な母語別学習教材の作成といたしまして、インドネシア語、タイ語、スペイン語、ポルトガル語、アラビア語等を取り上げまして、昭和五十二年以来種々準備を続け、現在におきましても作業を続けているわけでございますが、昭和五十四年度から六年度にかけましては、日本語での草稿を作成いたしまして、さらにその後、これを検討の上翻訳、さらに各国語との間の対照研究などをいたすというような作業を続けているところでございます。  以上、簡単でございますが、御説明いたしました。
  180. 有島重武

    ○有島委員 外国人に教える日本語、このことについていろいろと御苦労をしておられるといま御報告がございましたけれども、まだ緒についたところであるから、なお、ここに相当力を注いで進めていっていただきたいということをお願いすると同時に、この仕事がやがて日本の子供たちに国語を教えていく場合の一つの参考となっていく、反省の糧となっていく方向、これもひとつぜひお忘れなきようにしていただきたい。  それから、第二番目の日本語辞典の問題これも大変むずかしい事業についていま慎重に取り組んでおられる御様子でございます。私なんか国語学者でもないし、本当に素人なんだから、それについてどうせい、こうせいということはないわけですけれども、私も、国語利用者というか国語辞典の利用者の一人ですから、一つだけ注文をつけさせていただきたい。それは御検討いただきたいのですけれども、辞典のつくり方を大きく二つに分けてなさるべきじゃないかと思います。  その一つは、いまもお話がございました見出しの問題です。総見出しということで何とかファイバーというお話がございましたね、見出しだけで非常に大部になるであろう、ですから、それは一冊、別冊でやってよろしいのじゃないかと思うのです。それで第二番目に本文になるわけですけれども、本文の方は当然、和語編と漢語系の言葉、それから外来語、あと新造語といいますか専門語というふうに分類するのかしないのか、その辺のことはわかりませんけれども、少なくとも日本の国の、われわれが使っておる言葉の大部分は漢語を主に用いているわけでありまして、教育だとか文化だとか国語だとか数学だとか、一、二、三、四、五、六、七、八、九、十、百、千、万、これは全部漢語の部類でございまして、こういった言葉を、ただ、あいうえお順の中にどんどん入れていくということは多少無理があるのじゃないだろうか。ですから、漢和辞典のような形で整理されていく方がずっと効果的なのじゃないだろうか。また御承知のように、漢和辞典というのは、画数で引くこともできるし、音でも訓でも引くことができる。あれは索引と中身とが別なふうになっております。そういうような扱いであろうと思います。  それから和語といえば、花、ハト、豆、梅だとか、桜だとか、習うだとか、並ぶだとか、なれるだとか、身なりだとか、なりわいだとかといったようなことは、いつか文教委員会か予算委員会で言ったかもしれないけれども、そういったような和語は、あいうえお順でいくし、あいうえお順の中でも、いろいろな整理の仕方が起ころうかと思います。そういった場合に、これをどっちにどうとか、いろいろな議論が恐らく起こるだろうと思うのですけれども、どんなふうに整理をされていても、使用者にとっては大きな総索引が一つあれば探し出すことができる、そういう形態になさるべきじゃなかろうかということを、私もかねがね思っておりましたものですから、この際申し上げておきます。ひとつお考えをいただきたい。  ともかくこの事業は、そんなにお金を一時にかけて進めろ、進めろと言ったって、そう進むものではございませんけれども、持続して、ますます充実させていって芽を育てていってもらいたいということを、大臣に特にお願い申し上げます。大臣から一言……。
  181. 田中龍夫

    ○田中(龍)国務大臣 いまの字引きのつくり方の問題でございますが、先生、大変に御研究になっておられるので、私のようなあれでは、とても答えられませんが、私も若干因縁がございまして、「言海」をつくりました大槻文彦というのは、私の母の親族でございまして、なおまた有名な英和辞典の岡倉由三郎さん、これは岡倉辞典で有名でございますが、私は、子供のときからずっと岡倉家におりまして、そんな関係で、英語の辞典といえども国語の大変な勉強をしなければ、日本語がわからなければ英語がわからない、そういうことをしみじみと見せつけられまして、そういうふうな辞典編さんや何かの中に浸っておりましたものですから、先生の高道なインデックスの分類の御意見に対しましても、深く敬意を表しまして、ありがたいお言葉だと感謝いたしております。
  182. 有島重武

    ○有島委員 教科書の問題につきましていろいろな議論がなされております。それで、最初に聞いておきたいのは、教科書を検定するというのは、学校教育法の二十一条で規定されているわけでございますけれども、この学校教育法二十一条というものは、どういう趣旨において法律事項になっておるのか、その辺から聞いておきたい。     〔中村(喜)委員長代理退席、委員長着席〕
  183. 三角哲生

    ○三角政府委員 お答え申し上げます。  学校教育法第二十一条には「小学校においては、文部大臣の検定を経た教科用図書又は文部省が著作め名義を有する教科用図書を使用しなければならない。」ということで、小学校では教科書を使わなければいけないわけでございますが、その教科書としては文部大臣の検定を経た教科用図書を使う、こういうふうに定めてあるわけでございます。  なお、特殊な教科書、たとえば盲学校用の教科書でございますとか、あるいは特殊な職業科目の教科書等で、民間でこれを発行いたしましても、なかなか採算ベースに合わないというようなものにつきましては、文部省が著作の名義を有する教科用図書を使用する、こういうことにいたしておるわけでございます。  そこで、文部大臣の検定を経た教科用図書を用いるという趣旨でございますが、これは学校教育におきまして、ただいま読み上げましたように、必ず使用しなければならない各教科における主たる教材でございますので、教科書は、その意味で非常に重要なものでございます。したがいまして、教科書に寄せられます国民あるいは社会の期待というものも非常に大きいわけでございます。そういうことから、教科書につきましては、教科書が教育基本法、学校教育法、さらには、それらに基づきますところの学習指導要領などに沿いました適切なものとなるように検定ということを行っているわけでございます。
  184. 有島重武

    ○有島委員 逆に言いますと、検定がなければ一体どうなるのか。
  185. 三角哲生

    ○三角政府委員 検定制度と申しますのは、民間の著作者にいろいろな創意工夫をしていただいて、それぞれの特色のある教科書をつくっていただこうということが前提にあるわけでございますが、しかし、ただいまの逆におっしゃいました検定を廃止といいますか、検定制度がなければどうなるかということは、先ほど申しましたことをまた逆に申すことになるかと思いますが、やはり検定を行いませんと、誤りや不正確な記述が多い教科書や、そういったものが残された教科書、そういうものが生まれるおそれがございますし、学習指導要領の目標、各教科の目的、それらに沿った教科書を確保する必要がございますので、そういう意味で、やはり教科書というものは、一面的な見解のみに基づいて記述された教科書でも困りますし、検定というものがございませんと、そういったおそれも出ますし、それから教育課程に即した教科書の発行が必ずしも期待できない。これまでの経験によりましても、検定におきましては、教科書一点当たりにつきまして、多いものは数百カ所、たとえば社会科の教科書で申しますと、四百から六百カ所の意見を付して、それらについて改善をしていただいた上で検定をしているというものが多いのでございます。
  186. 有島重武

    ○有島委員 三角さん、もし検定がないと教育基本法やあるいは学習指導要領から著しく逸脱したような教科書が続々と発行されるであろうか、そう思いますか。
  187. 三角哲生

    ○三角政府委員 私どもといたしましては、できるだけ検定の仕事というものを集約して実施をしたいのでございますから、検定がないとどうなるかということは一応おきましても、それぞれの著・作者なりあるいは発行会社なりが十分に学習指導要領というものをこなしていただきまして、その上でさらにそれぞれのお力を注いでいい教科書の原稿をお出しいただくということは、ぜひともこれは望ましいことでございますが、その上でも、やはり教科書というものは、昨今非常にいろいろな角度からの御意見がございますように、国民の期待が非常に寄せられておるものでございますから、十分に吟味して学校現場でこれをしっかりと活用していただけるようなりっぱなものにしていくということを心がけなければなりませんので、やはり検定ということを経ませんと、先ほど申し上げましたような意味合いでの心配のないものに持っていくという手順の上で欠陥が出てくるということになろうかというふうに考えておるわけでございます。
  188. 有島重武

    ○有島委員 もう一遍伺いますよ。  検定がないと教科書を書いていらっしゃる方々あるいは教科書会社の人たちが、基本法や学習指導要領などから著しく逸脱したような教科書をつくってしまうであろう、そういうふうにいま心配をしておられる、そういうことですか。
  189. 三角哲生

    ○三角政府委員 これは個別には、物によりましては非常に粗雑な原稿が出てくる例もございますので、著しく逸脱をする場合もあり得るかと存じますが、常に著しくというのもやはり語弊があろうかと思います。いずれにいたしましても、検定をいたしませんと、著作者の側だけの判断では、私どもが制定しております学習指導要領との兼ね合いというものについて、なお不安が残るわけでございます。
  190. 有島重武

    ○有島委員 万が一、ちょっと逸脱しておる教科書がある、これは現場の先生がそういうものを買うでしょうか。
  191. 三角哲生

    ○三角政府委員 それは検定を行いませんければ、普通の本を買うのと同じ状況を仮定しての話になりますが、そういう場合には、現場の先生はよく判断して、できるだけしっかりとできた教科書を選ぶということを心がけるということになりましょうから、仮に考えました場合には、先生が良識を持って選べば、学習指導要領の線に沿って小学校の教育の目的が達成されるに最も適したものということでお選びいただくということになろうかと存じますが、それは、やはりそういう仮定をするということは、これまでの経緯に照らしましても無理がございますし、それから、いろいろな意味でのロスなりデメリットの多いことでございますので、私どもは、現在の仕組みの上に立ちまして、著者及び会社には極力自主的にしっかりした原稿本をつくっていただきますし、文部省側といたしましては、それを受けとめまして、できるだけ一生懸命にりっぱな教科書ができますように、必要な意見をお伝えして検定の手続を進めていきたい、こういうふうに考えておるわけでございます。
  192. 有島重武

    ○有島委員 私が伺っているのは、変なものをつくったら売れなくなるのじゃないですかということです。
  193. 三角哲生

    ○三角政府委員 これは売れる売れないというのは、いまはもう教科書につきましては、会社が発行してやっておるわけでございますので、一つの商品としての競争というものがあるわけで、その競争が必ずしも内容だけでいけるかどうかということもございますので、単純にいいものが必ず売れるというふうにもお答えしにくいのでございます。
  194. 有島重武

    ○有島委員 では、局長のおっしゃるのは、悪いものであってもリベートがついて売れちゃうおそれはある、こういうことですか。
  195. 三角哲生

    ○三角政府委員 そういうことを申しておるつもりではございません。割り切りにくい話であるというぐあいに受けとめております。
  196. 有島重武

    ○有島委員 いいものをつくりたい、これは私も本当にそう思います。これはみんなそう思っております。皆さん方がいいと信じていらっしゃるものと何かいろいろな意見があってずれがある、それで昨今、いろいろな問題が起こっておるわけですね。私は、実は問題が起こってもいいと思っているのです。いろいろな意見があってよろしいと思っております。ただ、文部省のやっていらっしゃる検定というのは、過保護という言葉がございますけれども、何だか至れり尽くせりみたいで、余り細か過ぎて神経質みたいなそういう印象があるわけだ。どんなふうに検定するかの基準なんというのも拝見をいたしました。皆さん方大変苦労していらっしゃるということもわかります。教科書が主たる教材で微妙なものだというようなことを言われますけれども、皆さん方の御苦労が本当にそれが有効に働いておるのか時代に逆行しておるのか、この辺のことをもう一遍考えなければならないのじゃないだろうか。いままではそういった制度で進んできた、いいでしょう。しかし、これも一字違っても大変だ、あるいはいろいろな表現上の言い回しもある、これを教科書そのまま全部うのみにして、それをいわゆる子供の白紙状態のやわらかな頭脳の中にたたき込んでしまうのだから、これは大変なんだというような意識もおありになるかもしれない。しかし、それは世の中に知識が余りなくて学校にしか知識がなかったという、かつて明治時代にそういった時代があったのでしょう、そこでは教科書というものは、何といいますか、唯一の知識の源であったというような状況があったでしょう。しかし現在、学校以外のところにも情報がはんらんをしておる時代です。皆さん方は、大変厳正中立というようなことをお考えでいらっしゃるかもしれないけれども、子供たちが生活しているところ、それはかなり幅の広いところですね。言い方がちょっと抽象的になりますけれども。皆さん方、いま文部省の検定と言われて非常に神経を使ってやっていらっしゃるが、それは余り逸脱しないというか、ぶれが少ないと言いますか、右にも左にも行かぬ、ちょうど適正中庸なるものということを目指していらっしゃるように思うけれども、もう少し幅を広げていく、振幅の大きいものにしていっても構わないという方向性に現代はあるのではないか、将来はあるのではないかと私は感ずるのだけれども、その方向性の問題だけちょっと……。
  197. 三角哲生

    ○三角政府委員 現行の教科書制度におきましては、先ほども申し上げましたように、民間の著作になる教科書を、検定という手続を経て教科書として用いる、こういうことでございますので、内容のしっかりした、たとえば大人が読んでも読みでのあるような、いい、りっぱな教科書をつくっていただくということは、まずもって著作者あるいは発行編集者、これらの人たちにいろいろな意味で努力していただくということが基本になければならないと思うのでございます。  検定というのは、でき上がってまいりました原稿につきまして、先ほど申し上げましたような趣旨から、教科書検定基準というものに照らしまして、チェックをさせていただく、そういう作業でございますから、教科書をお書きになるのは、あくまでも著者の方々であるわけでございます。したがいまして、過保護というのは、そういう感じももちろん否めないわけでございます。字が間違っておりましたり、かな遣いに至るまで訂正をしていくという実態ももちろんございますけれども、その教科書自体の基本的な内容というのは、やはり著者がどれだけりっぱに書き上げてくださるかということに発してくるというふうに考えておる次第でございます。  ただ、これはやはり先ほど申しましたような趣旨で検定というものは現状ではどうしても必要である。有島委員御提案のように、教科書を一つの参考図書というような扱いで教育を展開するというようなことも、世界じゅうのたくさんある国の中にはそういう緩い扱いの国もあるかと存じますけれども、わが国の場合には、これまでの経緯なりあるいは伝統的な考え方あるいは学校全体としての取り組みの上において、教科書はどうしても必要な主たる教材である。そのほかにも、またもしさらに適切なものがあれば、それは補助教材として用いることも可能なわけでございますが、教科書については、そういうことでございます。  それから、検定につきましても、当然、学習指導要領の目標、内容に一致しているかということが基本でございますが、学習指導要領も、このたびの改訂でかなり基礎基本に重点を置きまして弾力的にしておりますので、著作者の方がいろいろと工夫すれば、いろいろな意味での特色のある多様な教科書ができてくるはずでございます。それを私どもは期待いたしますが、なおかつ著作者は、場合によりましては大学の先生とかそういう方々でございますので、やはり学習指導要領を基礎にしまして、それらに照らして検定ということを通して、これが小学校あるいは中学校等で使われる上において最も支障のない、ぐあいのいいものに持っていくように努力をしなければならない、こういうふうに考える次第でございます。
  198. 有島重武

    ○有島委員 大臣に申し上げておきたいのですけれども、初中局長の方でいまのようなお答えになる、これはやむを得ないことである。決められたことを忠実にやっていただくということをわれわれも文部省にお願いしておるわけですから、これでよろしいわけなんですけれども、大臣のお立場として、こうしたいろんな教科書をめぐっての、その内容をめぐっての問題がいま起こっておる。政治が教育の内容にまで手を突っ込んでいくということは余り望ましくないことであるということはみんな承知の上で、しかも、そういった議論が起こっておるということがあろうかと思うのです。これは今後もいろんな議論があってよろしいと思うのですけれども、さっきの、また博物館の話に立ち戻るようでございますが、この辺で、いままでの国定教科書の延長線上に教科書というものを考えていく、それで戦後になって、いろいろ民主化されて、仕方なしに多少の緩和する処置をとったというような発想から、もう一歩また開いていかなければならない時期にいま来ているのではなかろうかと私は痛感をいたしております。  そこで、小学校、中学校に関しては、余り冒険はしたくないでしょう。高校あたりから検定教科書というものの制限を少し緩和していくということをお考えになりませんか。
  199. 田中龍夫

    ○田中(龍)国務大臣 先生のいままでのお話を静かに承っておりましたが、小中学校、義務教育の子弟、さらに、それに引き続きます、最も人格形成上大事な高等学校の生徒、この方々は、われわれにとりましては、日本民族としての非常に大事な宝でございまして、同時にまた、りっぱな国民を養成しなければならぬ、こういうことはだれもがこいねがっているところでございます。  さて、その方々が使います教科書の問題でございますが、これを商業主義の、いわゆる売らんかなの姿に放任してしまうということは非常に問題ではないか。御案内のとおりに、いろいろ販売政策上あるいはまた、いろいろな広告その他の姿を見ましても、これに対して何ら関心を持たないで、そしてレッセ・フェールと申しますか、放任して勝手なものを勝手な出版会社がつくり、また勝手な姿に持っていくということについては、これはお考えを願わなければならないのじゃないか。われわれの大事な子弟の大事な教育であればあるほどにそういう点はまじめに考えていきたいものだ、こういうふうに考えております。  そういうふうなことから、やはり検定の制度というものは守っていきたいものだ、かように考えております。
  200. 有島重武

    ○有島委員 現時点では恐らくそういうことになるでしょう。  それで、検定の幅が神経質な方向にますます今後もいくか、検定の幅がやや緩やかな方向に開いていくか、この辺はどうですか。
  201. 田中龍夫

    ○田中(龍)国務大臣 神経質、神経質でないという問題ではなく、何はともあれ、大事な子供たちの大事な教材でございますので、ひとつりっぱな教科書をつくっていかなければならぬ、かように考えております。
  202. 有島重武

    ○有島委員 では、時間が参りましたので、私立大学の問題と、それから国際交流の問題を残してしまいましたけれども、また、いまの問題もちょっと議論が詰まりませんけれども、またのチャンスをお願いします。  以上で終わります。ありがとうございました。
  203. 三ツ林弥太郎

    ○三ツ林委員長 和田耕作君。
  204. 和田耕作

    ○和田(耕)委員 私も、いま有島委員が問題にされた教科書問題と、そして、この前に集中審議をいたしました校内暴力のその後の問題について、二点の問題について御質問をしたいと思います。  有島委員の御質問を拝聴しておりまして、いろいろ考え方があるものだなと思って感心をして聞いておったのですけれども、私は、有島委員とは全く違った逆の立場で考えておるのです。これが間違いなら間違いだとはっきり申していただきたいと思うのですけれども義務教育なんですから、小学校と中学校、十五歳以下の子供なんです。そしてまた、いまの日本は、世界国じゅうで一番自由な国でありまして、テレビやラジオ、新聞、雑誌では、ありとあらゆるいろんなことを言っておられる。この影響も非常に大きい。こういう二つの条件だけを考えましても、民主的な平和な日本の次代を担う国民の義務教育としては、きちんとした考え方なり、きちんとした一つの国民として必要な基礎的なものは与えなければならない。高等学校以上は違った考え方を私は持っています。しかし小学校、中学校の場合は、自由な教育がいいからといって余りそういう教育をするということは、子供のためにもよくないのじゃないか、そういう気持ちを持っておるわけでありまして、そういう意味から見て、いまの教科書というものの中にはいろいろ問題がある。  実はいままで、余り教科書自身を私も読まないで、大体当てずっぽうで物を言っていることが多かったのですけれども、このごろ、いろいろ教科書の問題が議論されるようになりまして、いまの教科書をいろんな立場からよく研究をしておる成果が出ております。これはいろんな立場の人で、あるいは社会教育をやっている人であったり、あるいはまた個人の学者であったり、あるいは産業団体等もいろいろ発言をするようになっておりますけれども、あるいは政党、自民党さんの方でもいろいろ御研究になっておるようでありますけれども、そういうことで、私も、ある有力な学者の団体が、中学校の社会科の中の公民教育部門の問題に限定をして詳細に現行の教科書を調べた資料を拝見いたしました。これはいろいろな立場を持った人ですからと思って、いろいろ割り引きをしてみなければなりませんけれども、その現物そのものは教科書そのものなんですね。そういう研究の材料を拝見すると、なるほどこれは問題だという個所がかなり多いと思います。その研究では、大体数百個所で教科書の原文そのものを取り上げて、いろいろ研究なさっておられるのですけれども、非常に問題が多い。それを問題にする立場は、これはその人々の立場によって自由であるし、いろいろ検討し合う必要がありますけれども、文部大臣の、今回の施政方針演説の中で「中学校において新しい学習指導要領による教育を実施することとしており、」という言葉があるのですけれども、この学習指導要領と反した、あるいはその趣旨を非常に過小に評価したり過大にしたりというようなところ、あるいはこれに書いてないものをかなり大きなスペースを使って教科書に書いているもの、そういういろんな意味の学習指導要領と違ったものが、現行の、この四月から施行される教科書の中にはあるということですね。  そういう問題を、文部大臣も担当の局、課長さんも、お気づきの点が多いと思うのですけれども、そういう個所がないとお思いになりますか。あるいはいろいろ問題点はあるとお思いになりますか、どちらでしょう。
  205. 三角哲生

    ○三角政府委員 いま御指摘の中学校の教科書というのは、もちろん、すでに私どもの方の検定を経てこの四月から用いられるものでございます。先ほどもちょっと申し上げた次第でございますが、公民の分野で申しますと、たしか八社八種類あったと存じます。これはあくまで民間の著作に対する検定でございますので、それぞれ教科書について、記述については一様ではないわけでございまして、ただいまちょっと御指摘がございましたような、たとえば学習指導要領に定めてある事柄につきましても、個々の事柄について見ますれば、取り扱い方について多い分量で扱っておるものもあれば、同様の内容につきましてより少ない扱い、比較すれば軽い扱いにしてあるというような差があることは当然私ども承知しておるわけでございます。  ただ、学習指導要領の趣旨に反するようなものにつきましては、これは検定の過程におきまして修正を求める意見を出して、そうして著作者側に対する対応を行ってきた次第でございますが、いずれにいたしましても、検定の作業というのも、そのまま結果をどう見るかということは、その結果のできぐあいというのは、相対的なものでございますので、いずれもこれが絶対的にどうこうというふうには、事の性質上申し上げられないというふうに思っておる次第でございます。  なお、ただいま申し上げました公民八社八種類は間違いでございまして、七社七種類でございます。
  206. 和田耕作

    ○和田(耕)委員 ちょっと要領を得ないのですけれども、学習指導要領に御苦心なさって書かれたこと、しかも大事な一つのポイントと思われるようなことでこの教科書では全く無視しているというものがあると思いますか、ないと思いますか。
  207. 三角哲生

    ○三角政府委員 御指摘のようなケースは私どもはないと思っております。
  208. 和田耕作

    ○和田(耕)委員 私はあると思うのです。これはこの前のときも私、取り上げたことがありましたけれども、今度の学習指導要領では、かなり丁寧に日本の国を愛するという言葉がありますね。そういう趣旨のことが学習指導要領の中にありますね。しかし、この四月から発行される教科書の中には、先ほど調べた書類によりますと、一カ所もないという記述がある。しかも、この記述は、いままでの教科書の中にはきちんと載っておったと言われる。その載っておった文章はみんなちゃんと書いてある。しかし、新しい教科書には、一つもそういうことに言及した点がないということですけれども、これは私、その資料によって物を言っているので、この資料は正しいと思っておるのですが、間違いですか。
  209. 三角哲生

    ○三角政府委員 学習指導要領の中には、御指摘のように、たとえば社会科の公民的分野でございますとか、それから道徳の領域等におきまして自分の国を愛するとか、あるいはその平和と繁栄を図り、文化を高めていくことが非常に大切であるという文言が書いてございますが、これはそういう一つの分野の目標として示しております。したがいまして、この目標に沿って教科書の記述をどうするか、これは著作者側の考えに立って出てまいります。ですから、必ずしもその学習指導要領に書いてあります字句そのまま、あるいはそれに非常に近いような字句が見当たるか見当たらないかということも、もちろん問題ではございますけれども、端的にそういう言葉で似た言葉を用いなくとも、全体の文脈なり、あるいは教科書全体を見た場合に、この目標が実現されるような記述になっておる、それが必要でございます。  もちろん、私どもの考えといたしましては、国を愛するというようなことを、そういう言葉自体としても記述をし、さらに、そういうなまの言葉だけでなく、いろいろな角度からそういう目標が達成されるような教科書、これは非常に望ましいものであると思っておりますが、七つなら七つの教科書を比べますと、その間にいろいろな取り扱いの相違があるということは承知いたしております。
  210. 和田耕作

    ○和田(耕)委員 局長さん、いままでの教科書にはきちんとあるんですよ。それが今度の教科書には全然ないのです。そういう国民の愛国心を、しかも、これはおかしな教え方ではないのです、きちんと正しく教えておるのです。民主国家としての、平和国家としての愛国心をきちんと教えた項目があったのに、これがないのです。  大臣、その問題をぜひ注意していただきたいと思いますが、いかがでしょうか。
  211. 田中龍夫

    ○田中(龍)国務大臣 教科書のできるまでのいろいろなシステムは、和田先生よく御研究のことと存じますが、文部省としましては、学習指導要領を出しまして、教育の基本的な方針を指示しておるわけでありまして、その指導要領の線に沿わないことがあっては困ります。あくまでも指導要領の線に沿うて編さんをしてもらわなければ困りますが、同時にまた、具体的な問題に対しまして、前にはこの句があったが、今回はこの句がないという御指摘も、そのとおりかもしれませんけれども、指導要領の線に沿いました国を愛するという気持ちがおのずからわき出てくるような文章の構成、あるいはまた所期の目的を達するような全体の方針が貫かれておれば、それも検定のいろいろな過程を通しました経過にかんがみまして、やはりそれは肯定いたしてもよろしいのではないか、かように考えております。
  212. 三角哲生

    ○三角政府委員 ちょっと補足をさせていただきます。  和田委員御指摘の、和田委員がお読みになった本で言及されておる教科書というのは、ちょっといま担当に尋ねたのでございますが、たしか昭和三十三年ごろに発行されました一種類の教科書でございますが、それにおいては、かなり詳しく国を愛するということについて記述があったこと、そのことではないかというふうに察せられますが、その本に比べますと、その他のものについては、若干その記述の分量等においては少なくなっておるということでございます。
  213. 和田耕作

    ○和田(耕)委員 これは私、一例として国を愛するという言葉を申し上げたのですけれども、いま小学校、中学校の子供に、民主国家としての国の成り立ち、そうして仕組み、そういう問題はきちんと教えなければいけません。これは警察の問題も防衛の問題もそうです。天皇の存在もそうです。きちんと教えなければいけません。天皇の問題については、憲法第一条に、日本国の象徴であり、日本国民の統合の象徴である、これは主権を持った国民の総意に基づくというのが憲法の第一条ですね。天皇陛下の問題についても、日本の独特の一つの存在としてきちんと教えなければならない。つまり、こういうところが大事なことなんです。憲法の問題でも、作者によって憲法の都合のいいところだけを書いて、しかも、それだけが民主主義であるかのような印象を与えてはいけませんよむやはり民主国家、国家の成り立ちというものをきちんと教えなければ正しい教えにならないのです。  しかも、その点が戦後の教育全体に欠けておるんですよ。教科書だけじゃありません。まさしく戦前はその問題だけだったのです。個人が全く欠落しておった。戦後は国家という問題を教えることがまるっきりいけないかのように欠落しておるのです。その問題を民主国家として正しく教えるということが、現在の民主的な平和な日本の国民を教える教科書の中にも入らなければならないことなんです。何もファッショ的な言葉を言っておるのじゃないのです。そういうことが欠落しておるのです。これは大臣の立場としていろいろあれがあるから、これ以上私はその問題について答弁は求めませんけれども、この問題は意外に大事なことですよ。  たとえば、いまの若い子供が今後大きくなって国際的な舞台で働こう、大いに平和あるいは自由な国をつくろうという場合でも、自分の国というものに対して正しい理解を持ち、正しい愛情を持たないでどうしてそんな平和運動ができるのです。どうして国際的な友好関係のあれができるのです。無国籍者をつくってはいけませんよ。そういう意味で私は申し上げておるのです。  しかも、今度の教科書の中には、そういうふうな子供になりがちなことに大きなスペースを使っている部分が非常に多い。それだから、私は申し上げておるのです。  そういう意味におきまして、学習指導要領というものがある、これ自身が教員の仲間からは問題にされているのですが、しかし、これは一応の存在の理由を持っている。この立場に立ってもっと厳しく教科書の内容というものを検査しなければなりません。そのことをやられておりますか。  先ほど局長はいろいろ言っておられるけれども、確かに学習指導要領の線に沿って出されたいろいろな教科書の原稿に対してチェックしておりますか。いかがです、局長。
  214. 三角哲生

    ○三角政府委員 御指摘の事柄のうち、たとえば天皇陛下の地位につきましては、小学校では六年の社会科、それから中学校の社会科いずれにおきましても、学習指導要領の上でこれを子供たちに理解させるようにということを示しておりまして、たとえば中学校の方で申し上げますと、途中からでございますが、「日本国及び日本国民統合の象徴としての天皇の地位について理解させる。」というふうに述べられております。そうして、これに基づきまして、教科書におきましても、中学校の公民の教科書では、たとえば「憲法は国民主権の原則をとったから、天皇の地位は大きく変化した。現在の憲法では、天皇は象徴としての地位を有し、その地位は主権の存する日本国民の総意に基づくとされている。象徴としての地位とは、天皇が、日本の国、および日本国民が一つのまとまったすがたになっていることを表す立場にあることをいう。」というようなことで記述が行われております。  これは一つの例でございますが、私どもは、教科書の検定に当たりましては、ただいま和田委員御指摘のような点については、十分これに留意しながら業務を進めてまいらなければならないというふうに考えておる次第でございます。
  215. 和田耕作

    ○和田(耕)委員 そこで、教科書がどういう人たちによってつくられて、そして、どういう形で販売されて、現場の先生方の手元に行っているか、そのプロセスを簡単にひとつ御説明してください。
  216. 三角哲生

    ○三角政府委員 御説明申し上げます。  まず、教科書の原稿の作成でございますが、これは教科書発行会社の考えによりまして、通例複数の場合が多うございますが、著作者を選定いたしまして、この原稿本を作成するわけでございます。これは状況によりましてまちまちではあろうと思いますが、かなりの期間を使って原稿を作成するということになるかと存じます。そして、その原稿本を提出して、文部省に対しまして教科書の検定の申請を出してくるわけでございます。  ちょっと技術的な言葉になりますが、この検定は、原稿本審査と内閲本審査、さらに見本本審査という三段階を経て最終的に検定が決定されるという仕組みになってございます。  それで、まず最初の原稿本審査でございますが、文部大臣は、検定申請のありましたこの原稿本を、教科書調査官の調査に付するとともに、文部大臣の諮問機関でございますところの教科用図書検定調査審議会に検定の可否について諮問をいたします。そしてこの審議会は、諮問を受けました原稿本を一点当たり各三人の調査員をお願いいたしまして、調査に付しまして、そうして教科書調査官とこの調査員と両方の調査結果を資料といたしまして、教科書として適切かどうかを審査いたしまして、その結果を文部大臣に答申するということになっております。そして文部大臣は、この答申に基づきまして、原稿本審査の合格、不合格の決定をいたしております。この場合、合格と認めました原稿本につきましても、なお不適切と認められる個所について、個々に意見を付しまして訂正を求めるのでございます。  次に、内閲本審査でございます。原稿本審査の合格の通知を受けました発行会社は、検定で付されました意見に従って修正を加えまして、その修正を加えたものを内閲本と言っておりますが、これを提出してまいります。文部大臣は、この内閲本を、それが適切な修正となっておるかどうか審査をいたすわけでございます。物によりましては、若干の往復をいたすというようなことがあり得るわけでございます。  続きまして、最後の見本本審査でございますが、内閲本審査の合格の通知を受けた発行会社は、これを完成本としての体裁を整えた見本本にいたします。そして、これをさらに出してもらいまして、これをも念のためにチェックをし、審査をいたしました上で最終的に検定合格、こういうふうになるわけでございます。  それで、いま申し上げましたような手順は、検定の申請を行いましてから約まる二年かかりまして印刷が完了し、配給をして、四月には子供の手に渡る、こういう段取りになってございます。
  217. 和田耕作

    ○和田(耕)委員 教科書を作成していくその過程についてはよくわかりました。そしてまた、いろいろな問題はあると思いますけれども、そういう仕組みもりっぱな一つの方法として考えられると思いますけれども、ただ、その仕組みが、文部省の人たちが多分考えておると思わないような形で実際に運用されているというような面はないのですか。あるいはもっと詳しく言いますと、私の友人の学者で何回か教科書を書く立場になった何人かの人から、学習指導要領の線に沿い、いろいろの点できちんと書いたつもりだけれども、書いても、それを発行者が選ばなかったり、あるいは書いたその本を現場の教師が使わない、買わなかったりということで、結局おもしろくないからやめてしまったという話を私は聞くのですけれども、こういう事実があると思われますか。あるいは、そういうことがあっても、しょうがないなと思っておられるのか、何とか改善しなければならぬと思っておられるのか、いかがでしょう。
  218. 三角哲生

    ○三角政府委員 教科書を買う、買わないといいますか、どの教科書を使うというその選定でございますね、これは、ただいまの制度では、一口に言いますと、郡市単位で採択の地区を設けまして、そうして、その中に数個の市町村がある場合には、それが連合して一つの委員会のようなものをつくりまして、その単位、各採択地区ごとに一つの教科では同一の種類の教科書を使うということにいたしまして、全国で約五百カ所の採択地区ということになっております。それぞれの地区で、何種類かございます各教科ごとの教科書について採択の委員会を中心に十分に検討をいただきまして、必要に応じて都道府県の教育委員会にも採択のための委員会が設けられますので、そういう委員会からの指導も受けまして、一番自分たちにとって適切であると思う教科書を選んでいただく、こういうことでございます。  いまお話になりました事例が、果たしてどういうケースか、私ども想像するのが若干困難な面がございますけれども、そういう採択でだんだんに部数が減っていくということになりますと、教科書の発行者は、やはりこれは会社でございますので、そういう採択の状況に影響されて、そして教科書の執筆者に対して何らかの意見を出したり、あるいは執筆者の選定について、またいろいろな考えを改めてといいますか、考えを直していくというか、そういう展開はあり得ると思っておりますが、私ども文部省の立場といたしましては、教科書の採択というのは、現在あります仕組みの中で、どれが一番その地域の子供たちに適切であるかということを純粋に検討していただいて、自分たちが本当にいいと思う教科書を選んでいただきたい、教科書の採択にその余のいろいろな要因が影響を与えることがもしあるとすれば、それは困ることであると考えておる次第でございます。
  219. 和田耕作

    ○和田(耕)委員 この問題は、後から申し上げる校内暴力等のことで国民は頭を抱えている、なぜこういうことが起こるのかというような問題もある、学校の先生は何を教えているのだということにもなる。そういうことで、恐らく教科書の問題は、これからずっと広く国民の目に関心を持たれて、いろいろ論議を呼んでいくと思うのです。  そういう見通しに立って申し上げるのですけれども、教科書を選定するプロセスは、かなり合理的な、しかも民主的なあれであっても、これを曲げてしまうような勢力なりあるいは判断なりがある、それが大きく物を言うような状態があれば、何とかこれはそうでないように対策をしなければいけませんよ。つまり、現場の先生方がこの本がいいからということで、その現場の先生方の好みあるいは判断で、結局、教科書のいろいろよさそうな仕組みそのもの全部が正しく機能しないで、そういう方向に曲げられてしまうという事実が仮にあるとすれば、それは私、早急に直していかなければならぬと思うのですけれども、そういう心配はないですか。
  220. 三角哲生

    ○三角政府委員 教科書につきましては、いろいろな方面からいろいろな調査なり研究なりあるいは意見の提示などがございまして、特に昨今は教科書に寄せる声が非常に多くなっております。そういったいろいろな声があるのは、こういう民主的な情報化の社会でございますから、それはそれでよろしいかと存じますけれども、やはり教科書を選定いたします責任を持っておる、先ほど御説明申し上げましたような仕組みの中で仕事をする方々は、先ほども申し上げましたが、やはり純粋にその職責を果たしていかなければなりませんので、私どもは、いま御指摘のような御心配がいささかでもないように、県の教育委員会を通じてなお十分に指導を強めてまいりたいというふうに思っております。
  221. 和田耕作

    ○和田(耕)委員 その方法として、あるいは極端な対策かもしれませんけれども、現在、何も七社の人たちが自分たちのいろいろな好みに応じて七つの種類の教科書をつくる必要なんかはないじゃないですか。いかがです、それは。
  222. 三角哲生

    ○三角政府委員 先ほど来御説明申し上げておりますように、現在は、教科書を民間の方々がおつくりになることが自由にできるたてまえになっておりまして、そういったたてまえのもとで、いわば一種の純粋ないい教科書をつくるという意味での競争もしていただいて、そしてその上で、学習指導要領という一つの、やや抽象的ではございますけれども、これは基準でございますから、そういう基準に照らして、いろいろな意味の多様な教科書ができるということを期待しているのがいまの制度でございます。  まあ七社が多いというのは、一つの見方かもしれませんけれども、これがやりたいという団体なり著作者がおって、おつくりになって検定に合致して、そして、それがある程度の部数採択をされるということで成り立てば、それだけの冊数ということに結果的になるわけでございまして、これは教科によってもいろいろでございます、もっと少ない教科もあったかと存じますけれども。これを私どもの立場で、これでは多いとかこれでは少ないとか言うのは、いまの制度上申し上げかねる話になるわけでございます。
  223. 和田耕作

    ○和田(耕)委員 競争をしていいものができるという条件があれば、競争というのは非常にいいのですけれども、競争をして逆に悪いような結果を募らせるようなことになれば、そういう競争はまずい競争なんです。  私が一社にしろと言うと、また国定教科書ということになるかもわからぬから、そういうことは言わないのですけれども、仮に一社にしても、それをつくり上げるのにしっかりとした民主的なプロセスを経ておれば、その方がまだましですよ。一歩を譲って仮にりっぱなきちんとした基礎を持った三社ぐらいで適当にいいものができるようなことが考えられれば、それが一番いいかもわかりません。たくさんあるのが民主的だなんてことを考えると大間違いだ。たくさんあって逆に悪い結果を起こしやすいということになれば、むしろ一社の方がましですよ、正しいプロセスさえ踏んでおれば。しかし、一社ということもいろいろ議論もあるだろうから、そういう問題を一度、現在の実情に照らしてぜひとも検討してもらいたいと思うのです。大臣、そういう検討もできませんか。
  224. 田中龍夫

    ○田中(龍)国務大臣 われわれは、りっぱな教科書をつくることに専念をいたしておるわけでありまして、いまの教科書の可否という問題につきましては、一定のルールに従った基準でもって今日の教科書が選定されておるわけでございますが、いまのような本質的な御議論は、皆様方が自由に御意見を述べられ、そしてまた、りっぱな教科書の完成に対しまして積極的な御協力をなお一層賜りますようにお願いをいたします。
  225. 和田耕作

    ○和田(耕)委員 教科書問題は、その程度にいたしまして、校内暴力の問題について質問をいたしたいと思います。  せんだって私は、教育団体の、先生の団体の全国大会に党代表であいさつに行ったのです。そこで、校内暴力の問題にも触れまして、これは一つや二つの理由ではない、もっとたくさんの理由があるけれども、学校の中の問題は、やはり先生が主役なんだから、先生としてもっと反省をしてもらい、あるいは気持ちを合わす形で正しく指導してもらうことが大事だということを申し上げた。ところが、私の次の次に立った全国の校長会の会長さんが、先ほどこの問題についてのごあいさつがありましたけれども、いまの学校の先生方が一生懸命にやっているから、まだこの程度にとどまっておるのですというごあいさつをした。私は、全く予想もしなかったごあいさつなものですから、唖然としたのですけれども、本当であれば、それは非常にりっぱなことで、校内暴力というのは全く外的な要因ということになる、先生方が私どもが一生懸命やっているから、まだこの程度にとどまっているのですと言うんですから。しかも、全国校長会の会長ですから。しかし、そういう認識でいいのでしょうか。
  226. 三角哲生

    ○三角政府委員 私、直接その場でお聞きしておりませんのでなんでございますが、私がいま和田委員からお聞きしました私なりの感じでは、一生懸命にやっている先生の学校も多いから、国全体としてはこの程度にとどまっておるというふうに理解をすれば、非常によく意味が通じるのじゃないかという気がいたします。
  227. 和田耕作

    ○和田(耕)委員 このごろ何かかっこうのいいことを表面で言って、本当のことを言わないということがあるけれども、文部省は、そういう正直に物を言う状態がなくなりつつあるのじゃないですか。大きな転換期ですから、もっと正直に言った方がいいですよ、何とかいう法務大臣はちょっと度が過ぎたところもありますけれども。やはりこの問題は非常に大事な段階に来ておると私は思います。  特に、最後に一つの提案がありますけれども、その前にごく最近の、十二月から一月、二月というところの校内暴力の状況はどうでしょうか。
  228. 三角哲生

    ○三角政府委員 なお昨年来の状況が続いておるというふうに感じ取っております。
  229. 和田耕作

    ○和田(耕)委員 特に私が警察庁の方にお伺いしたいのは、この半年間にずっと起こっておる校内暴力の問題で、外部の暴力団あるいは暴走族、OBでもいいのですが、上級学校の暴力組織、その学校の外の暴力組織と結びついたような校内暴力の状態、あるいはその顕著な例を二つ三つ教えていただきたいと思うのです。
  230. 石瀬博

    ○石瀬説明員 校内暴力事件の校外の暴力団あるいは暴走族その他の番長グループ、元卒業生というようなものとの関連でございますが、まず暴力団絡みの事件につきまして二つばかり御紹介いたしたいと思います。  一つは、神奈川県の横須賀市内の市立武山中学校の校内暴力事件でございますが、昨年の十月六日の午前中に、同校で教師の注意の仕方が悪いといって激高しました三年生男子三名が五名の教師に暴力をふるいまして、学校側の通報で事件を認知した所轄の警察署が、逮捕状の発付を得まして、通常逮捕したという事件がございます。  この事件は、同日の午前十時三十五分ごろの休憩時間中に、先ほど申しました三名の生徒が、同級生の一名に因縁をつけて、二階の男子トイレに引きずり込んで暴行を働いているのを見ました担任教師が、一階の保健室へ暴行されている生徒を連れていきまして、そこで治療をいたしておりましたところ、先ほどの三名の生徒がその様子を見に参りました。そこに居合わせたほかの五人の教師が、授業時間中だから教室に入るようにと注意したところ、暴れ出しまして、足げりにしたり皮バンドで殴りつけるなどの暴力をふるって、一人の教師には、胸部打撲、全治三週間のけがを負わせる、他の四人の教師にも、それぞれ暴行、傷害を加えた、こういうことでございます。  これらの少年は、同校の番長グループを構成するものでございますが、強姦致傷とかシンナー吸引等の非行歴もございまして、保護者も学校側からも施設収容を望む、さらに他の生徒に与える影響も非常に大きいということで逮捕状の発付を得て逮捕したものでございます。  その背後関係をいろいろ調べてみましたら、この三名の生徒の取り調べの過程で、この事件の背後に同校の卒業生で暴力団稲川会横須賀一家桜井組という組織の組員である十八歳の少年及びその情婦である十八才の少女がおりまして、これが同校の番長グループを牛耳っておる、そして恐喝や暴行等を校内の番長グループと一緒にやっているということが判明いたしましたので、この二人につきましても、逮捕状の発付を得まして通常逮捕いたしております。  それから、いま一件は、愛知県豊橋市立北部中学校における番長少年による恐喝、暴行事件でございまして、これは教師に対する暴行事件ではなくして、生徒間の校内暴力事件でございます。  この中学校の三年生の番長でございますけれども、自分の下におる副番長の中学二年生がボタンの花の入れ墨をしているのを見て、それが非常にかっこういい、自分も番長としての勢威を示したいということで、その副番長の兄が暴力団愛豊同志会三虎一家組員でございまして、そこに頼み込みまして、昨年の三月上旬にさそりの入れ墨をしてもらった、こういうことでございます。  ところが、数週間を経ないうちに、その暴力団員からその番長が呼ばれまして、女を世話せい、それができぬなら一週間以内に十万円持ってこい、十万円持ってこないときには、ドラムかんにセメント詰めにして海にほうり込むぞいうようにおどされまして、大変に驚いたわけでございます。  そこで同人は、金を持っていかぬとどんな目に遭うかわからぬということで、昨年の三月ごろから六月ごろにかけまして、同校の他の生徒五人から、五回にわたりまして暴力をふるいながら、あるいはまた暴力をふるうぞと威嚇しながら計七万円をおどし取りまして、あと両親の財布から盗んだ金などを合わせまして十二万円を暴力団員に渡した、こういう事件がございます。  そういうことで、必ずしも数多い事件ではございませんけれども、暴力団の影響によりまして、校内の暴力事件が起きているという現実があるわけでございます。  それから、暴走族絡みの事件につきましては、先般十二月十二日の集中審議の際に、東京都葛飾区内の区立奥戸中学校の校内暴力事件につきまして御紹介いたしたわけでございますが、これにつきましては、同校の卒業生の元番長が「荒武者」とか「一寸法師」とかという地域の暴走族グループを形成いたしまして、その暴走族グループの影響で校内暴力を起こしている。この校内暴力を起こしておりました番長グループの連中も、何とかこのグループを解散したい、あるいは離脱したいというふうに考えていたわけでございますが、先輩の暴走族グループからおどされて、なかなかグループも解散できない、グループから離脱することもできない、こういう状況であったわけでございます。  時間の関係もございますので……。
  231. 和田耕作

    ○和田(耕)委員 これは前の集中審議のときも、そういう御報告が幾つかあったと思いますけれども、私自身もいろいろ調べてみると、外の暴力組織との関係がかなり深いものがかなりあるような感じがしますね。こういう問題については、この校内暴力についての対策あるいは現状把握等についてたくさんの資料がいまやあります。そして、いろいろなテレビ局ほとんど全部がかなり集中してこれを報道したり、あるいは新聞等もこれを報道しておるようです。私も、できるだけこの問題に関心を持つていろいろな対策を見ておるのですけれども、理想主義的な人は、警察に対して余りさわってくれるなという感じの人が多い。こういう感じの人が多いけれども、やはりかなり状態をよく知っておる人は、警察に早く連絡をしなければならないということを主張する人もある。校外の暴力組織との関連で起こっている問題については、先生が何ぼばたばたしても、あるいは学校の教育委員会とかあれがいろいろなことをやったところで何ということにもならない。やはりそれは警察のごやっかいにならなければならない問題が非常にたくさんあると私は思いますね。  そういう問題も一つ私ども理解をしなければならぬと思うのですが、さてもう一つ、総理府の方お見えになっていますね、最近、総理府として、この問題に対してどういう処置をなさったのか、もしなさったとすれば御報告をいただきたい。
  232. 佐野真一

    ○佐野説明員 お答えいたします。  まず、非行対策関係省庁連絡会議というものを開きまして、申し合わせ事項を定めております。  まず、その趣旨でございますが、青少年の非行が最近著しく増加いたしまして、内容的にもいわゆる非行の低年齢化、一般化の傾向がさらに進んでおりまして、特に最近では校内暴力、家庭内暴力等の暴力非行が多発するなど、その現状は憂慮すべき情勢にあるわけでございます。  このような事態に対しまして、暴力非行を防止するとともに、青少年の健全育成を図るため、関係各省庁が一体となって、この施策の推進を図ろうということでこの会議が持たれたわけでございます。  その経過でございますが、昨年の暮れから、非行防止に関係ある各省庁、具体的に申しますと総理府、警察庁、法務省、文部省、厚生省、労働省の六省庁でございますが、これらの各省庁によりまして、政府としての対応の検討を始めまして、昨年の十二月十九日及び本年一月十六日の二回にわたりまして、関係省庁局長会議を開催し、その結果を踏まえまして、非行対策関係省庁連絡会議申し合わせというものを取りまとめた次第でございます。  この申し合わせば、本年二月六日付をもちまして、総理府から関係各省庁、各都道府県及び関係団体等に送付したところでございます。出たばかりでございますが、一応その効果でございますが、この申し合わせば、最近の暴力非行に対する政府としての対応を示したものでございますが、各都道府県や関係団体におきましても、その趣旨を勘案いたしまして、それぞれの立場で効果の上がる施策を進めていただくよう期待しているところでございます。また総理府におきましても、この申し合わせに基づく効果が発揮されるよう、さらに努力を続けてまいりたい、かように考えている次第でございます。
  233. 和田耕作

    ○和田(耕)委員 この問題は、先ほど申し上げたとおり、マスコミのほとんど全部を動員した、いろいろな座談会なり対策を求めるあれがあるのですけれども、実態については、ほとんど説明がされ尽くされたという感じだし、こうしたらいい、こうしたらいいという対策めいたことについても、いろいろな案が出ておりますけれども、そういうものを集約されて、この校内暴力に対処するための効果のある手というものがどこも打たれていないというのが現状なんですね。  学校内の暴力ですから、やはり元締めになるのは文部省だと思うのですけれども、文部省でも、関係局長さんの通達めいたものを二度ぐらい出したぐらいで、その他何ら効果ある手は打っていない。現場の各府県あるいは市の教育委員会が、問題の起こった各学校との接触をしながらいろいろやっておられると思うけれども、結局、学校任せということになってしまう。学校任せになっても、学校として適切にこれに対処する状態にない。こういう状態で経過しておるんですね。  一見センセーショナルないろいろな事件は、このごろ新聞で余りお目にかかってないけれども、先ほどの局長さんの報告のように、事態は依然として進行している。しかも、この問題は、内容をよく見ますと、けばけばしい暴力ざたになった問題の根の方には、授業を勝手にボイコットするとか、あるいは勝手に授業に入らないとか、あるいは教師をばかにするとか、あるいはまた授業中に音楽を鳴らすとか等々の、しかも、それを見ておる一般の学生が、むしろそれに拍手するような雰囲気があることが問題なんですね。  こういう問題なんですから、あるいははでな暴力事件は影を一時ひそめてみても、事態は同じなんですね。しかも、そういう問題についてのいろいろな理由なりあるいは現象としては言い尽くされておる。こうしたらいいということもいろいろな案が出ている。しかも、これは実際に効果のあるような処置がとれない。二階から目薬という言葉があるのですけれども、そういうふうな状態に近い。  しかも文部大臣、これはあなたの所管のことなんですよ。あなた以外にこの問題を取り上げて何とか処置をする行政官庁はないんですよ、校内暴力については。そういう問題としてお考えになったことがありますか。文部省として教育委員会に対して、これ以上立ち入ったことはできない、学校の現場に直接物が言えない、だから、しようがないのだ、そういうことでは済まされない問題じゃないですか。これは教育自体の問題ではありませんけれども、教育の環境あるいは教育がよく行われるような条件整備をするという、まともに当たる問題でしょう。暴力ざたによって実際に学校でまともな教育が行われないのですから、あるいはいま申し上げたような教育のできるような雰囲気がつくられていないということによって実際の教育が行われてないわけですから、まともな教育が行われる条件をつくるのは文部省の責任でしょう。  そういうふうに見ると、いままで文部省が教育の問題についてなかなか立ち入れない問題があることはよく理解できます。しかし現在、現場で教育がまともに行われないような事態が進行している。しかも、これは教育自体の問題じゃない。外部暴力との関係もある。こういう問題について、何か新しい考え方を持たないと、新しいタッチの仕方をしないと、この問題の処理は一向に進まないのじゃないですか。こういう問題を文部大臣はいかが考えておるのでしょうか。
  234. 田中龍夫

    ○田中(龍)国務大臣 お話の点に関しまして、これは全く私の責任でございますし、同時にまた、文部省といたしましても、あらゆる条件を検討もし、また同時に、管理体制あるいはまた校長を中心とした学校の一致団結したあり方、教育委員会並びに校長さんに対しましても、強力にこのことを申しておる次第でございます。  なお、そういうふうな現状につきまして、今後、全力を挙げて努力をしてまいりますが、何とぞ皆様方の御協力のほどをひとえにあわせてお願いを申し上げます。
  235. 和田耕作

    ○和田(耕)委員 最後に、もう時間も来たようですから、一言申し上げますけれども、いま申し上げたとおり、これは教育内容自体じゃないのです。教育が正しく行われるような条件をつくるそのものなんですね。したがって文部省は、全国の教育長を、この問題を中心にして集めて、そしてそれぞれ具体的な報告を受けて、これに対してどうしたらいいかということぐらいの措置は、文部大臣としては、すぐそういう姿勢をとらなければ、あなたの責任は果たされませんよ。いままでの関係があるから、そういうことをやればいろいろなことを言うのがおる、それで何もしないというのじゃ、私は、文部大臣の責任は果たされないと思いますね。  教育の行われる環境が壊れているのですから、壊れようとしておるのですから、それに対してもっと積極的な、いままで立ち入れなかったようなところまでも入っていくという決意を持ってもらいたい。特にそれをお願いいたします。
  236. 田中龍夫

    ○田中(龍)国務大臣 ただいま御指摘の教育長の問題でございますが、本年の一月二十日に開催いたしました都道府県教育長、委員長の会議におきまして、校内暴力を初めといたしまする児童生徒の非行の問題を取り上げまして、非行防止について指導をいたしました。また一月末の都道府県教育委員会指導事務主管課長会議におきましても、この問題につきまして協議をいたし、検討を重ねております。今後ともに、各都道府県教育委員会に対しまして、適切な指導助言を行いまして、一日も速やかに当該暴力問題を解決いたしたい、かように考えております。
  237. 和田耕作

    ○和田(耕)委員 私の質問を終わります。
  238. 三ツ林弥太郎

    ○三ツ林委員長 次回は、明後二十七日午前九時五十分理事会、午前十時委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。     午後四時三十四分散会