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1981-05-11 第94回国会 衆議院 外務委員会 13号 公式Web版

  1. 昭和五十六年五月十一日(月曜日)     午後一時一分開議  出席委員    委員長 奥田 敬和君    理事 青木 正久君 理事 稲垣 実男君    理事 川田 正則君 理事 松本 十郎君    理事 高沢 寅男君 理事 土井たか子君    理事 玉城 栄一君 理事 渡辺  朗君       石井  一君    越智 通雄君       木村 俊夫君    佐藤 一郎君       坂本三十次君    菅波  茂君       竹内 黎一君    中村正三郎君       中山 正暉君    古井 喜實君       井上  泉君    河上 民雄君       和田 一仁君    金子 満広君       野間 友一君    河野 洋平君       田川 誠一君  出席国務大臣         外 務 大 臣 伊東 正義君  出席政府委員         防衛庁防衛局長 塩田  章君         外務大臣官房審         議官      栗山 尚一君         外務省アジア局         長       木内 昭胤君         外務省北米局長 淺尾新一郎君         外務省欧亜局長 武藤 利昭君         外務省経済局長 深田  宏君         外務省条約局長 伊達 宗起君         外務省国際連合         局長      賀陽 治憲君  委員外の出席者         外務委員会調査         室長      高杉 幹二君     ――――――――――――― 委員の異動 五月十一日  辞任         補欠選任   太田 誠一君     中村正三郎君   北村 義和君     越智 通雄君   栗原 祐幸君     菅波  茂君   田川 誠一君     河野 洋平君 同日  辞任         補欠選任   越智 通雄君     北村 義和君   菅波  茂君     栗原 祐幸君   中村正三郎君     太田 誠一君   河野 洋平君     田川 誠一君     ――――――――――――― 五月一日  婦人に対するあらゆる形態の差別の撤廃に関す  る条約批准等に関する請願(平石磨作太郎君紹  介)(第三五五五号)  婦人に対するあらゆる形態の差別の撤廃に関す  る条約の早期批准に関する請願(玉城栄一君紹  介)(第三五五六号) 同月八日  難民の地位に関する条約に付帯する決議に関す  る請願(青木正久君紹介)(第四〇二三号)  同(竹本孫一君紹介)(第四〇二四号)  同(渡辺朗君紹介)(第四〇二五号)  同(稲垣実男君紹介)(第四〇六九号)  同(岡田正勝君紹介)(第四〇七〇号)  同(木村俊夫君紹介)(第四一一三号)  同(羽田孜君紹介)(第四一一四号)  同(松本十郎君紹介)(第四一一五号)  婦人に対するあらゆる形態の差別の撤廃に関す  る条約の早期批准に関する請願(稲垣実男君紹  介)(第四〇六八号) 同月九日  日本国平和宣言決議に関する請願(石原健太郎  君紹介)(第四一三六号)  同(佐々木良作君紹介)(第四一三七号)  同(天野光晴君紹介)(第四二六四号)  同(川田正則君紹介)(第四二六五号)  同(渡部恒三君紹介)(第四二六六号)  難民の地位に関する条約に付帯する決議に関す  る請願(飛鳥田一雄君紹介)(第四一三八号)  同(稲葉誠一君紹介)(第四一三九号)  同(河上民雄君紹介)(第四一四〇号)  同(土井たか子君紹介)(第四一四一号)  同(横山利秋君紹介)(第四一四二号)  同(田川誠一君紹介)(第四二六三号) は本委員会に付託された。     ――――――――――――― 本日の会議に付した案件  参考人出頭要求に関する件  国際電気通信衛星機構の特権及び免除に関する  議定書の締結について承認を求めるの件(条約  第一六号)  条約法に関するウィーン条約の締結について承  認を求めるの件(条約第一七号)  業務災害の場合における給付に関する条約(第  百二十一号)付表I(職業病の一覧表)の改正  の受諾について承認を求めるの件(条約第一八  号)  ILO条約の批准促進に関する件  国際情勢に関する件      ――――◇―――――
  2. 奥田敬和

    ○奥田委員長 これより会議を開きます。  この際、参考人出頭要求に関する件についてお諮りいたします。  難民の地位に関する条約の締結について承認を求めるの件及び難民の地位に関する議定書の締結について承認を求めるの件の審査のため、参考人の出頭を求め、その意見を聴取したいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 奥田敬和

    ○奥田委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。  なお、参考人の人選及び出頭日時等につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 奥田敬和

    ○奥田委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。      ――――◇―――――
  5. 奥田敬和

    ○奥田委員長 国際電気通信衛星機構の特権及び免除に関する議定書の締結について承認を求めるの件、条約法に関するウィーン条約の締結について承認を求めるの件及び業務災害の場合における給付に関する条約(第百二十一号)付表I(職業病の一覧表)の改正の受諾について承認を求めるの件の三件を議題といたします。  質疑の申し出がありますので、これを許します。土井たか子君。
  6. 土井たか子

    ○土井委員 前回に引き続きまして、条約法に関するウィーン条約、いわゆる条約法条約についての質問を続けたいと思いますが、中には前回取り上げた点で重複する部分も出てくるかもしれません。しかし、あえて私は大事な点であるという認識でひとつ質問を続けさせていただきます。  いままでの外務省がお考えになってきた条約と国内法との関係というのは、どうも議事録に当たって見てまいりますと一貫していないように思われてならないのです。改めてまずお尋ねをしたいのですが、今回の条約法条約の第四十六条にも関係をいたしますけれども、わが国としては条約と国内法、わけても国内法の中の憲法との関係をどのように考えていらっしゃいますか。条約法優位というふうな考え方もあれば、憲法優位という考え方もあるようでありますが、外務省としてはどういうふうに考えていらっしゃるのですか。
  7. 栗山尚一

    ○栗山政府委員 条約法条約の四十六条との関係での御質問と理解いたしますけれども、国内手続の面において、憲法に反して締結された条約につきましては、これは当然憲法が優先するということで前回御答弁申し上げました記憶があると承知しておりますけれども、憲法の規定に反した条約の締結は無効であるというふうに考えております。
  8. 土井たか子

    ○土井委員 そうすると、憲法が条約に優位しているというふうなお考えなんですか、いかがです。
  9. 栗山尚一

    ○栗山政府委員 そのように考えております。
  10. 土井たか子

    ○土井委員 憲法が条約に優位しているという根拠はどういうところにあるのですか。優位をしているというその根拠です。どういうところに根拠を置いて、条約よりも憲法の方が優位であるというふうに考えていらっしゃるわけですか。
  11. 栗山尚一

    ○栗山政府委員 政府といたしましては、憲法九十八条で「この憲法は、國の最高法規であつて」という規定がございまして、したがいまして、憲法に違反して締結されました条約というものは無効であるというふうに考えておる次第でございます。
  12. 土井たか子

    ○土井委員 ただ、九十八条には、最高法規の条文のその一項のところを見ますと、条約という文言はないのですよ。憲法では、憲法違反の条約であるかないかということを条約という明示の規定として持っていないのです。栗山さん御自身の憲法に対しての栗山的見解というふうに考えていいのですね、その点は。
  13. 栗山尚一

    ○栗山政府委員 先ほどの私の御答弁、必ずしも明確でなかったかもしれませんけれども、私が申し上げました趣旨は、締結されました条約の国際法的な効力と国内法的な効力というものは分けて御説明いたしたつもりでございまして、対外的な効力の面におきまして、条約が仮に憲法の手続に違反して締結されたような場合におきましては、先生御承知のとおりに、条約法条約の中にも規定がございまして、明白にその手続に違反して締結されたものについては無効である。しかし、それ以外の場合におきましては、必ずしも憲法の手続に違反したからといって国際法の面で条約の無効を主張することはできないということは、条約法条約にも書いてあるとおりでございます。私、先ほど申し上げましたことは、国内的な効力の面について申し上げたわけでございます。
  14. 土井たか子

    ○土井委員 条約法条約の中身は四十六条を見ればおっしゃるとおりなんですが、いま私がお尋ねしているのは、日本としてはという前提で聞いているのです。日本としては条約を優位に考えているのですか、憲法を優位に考えているのですかという質問なんですよ。したがって、それに対する御答弁としては、憲法が優位だということをお答えになったのです。その根拠はというと、九十八条に最高法規ということが書いてある、こうあるのですが、もう一度繰り返して言います。  九十八条の一項では、「この憲法は、國の最高法規であつて、」そこまでは栗山さんのおっしゃるとおりなんですが、その次に「その條規に反する法律、命令、詔勅及び國務に關するその他の行爲の全部又は一部は、その效力を有しない。」とございまして、条約とはどこにも書いてないのです。だから、憲法違反の条約はすなわち無効になるということには、この九十八条の一項からは出てこないのですよ。どうなんですか。
  15. 栗山尚一

    ○栗山政府委員 これは従来から政府が御答弁申し上げているとおりでございまして、過去におきましても、憲法というものは国の最高法規であって、条約といえどもこれにまさる効力はないということは、政府が従来から一貫して御答弁申し上げているとおりでございます。
  16. 土井たか子

    ○土井委員 まさる効力がないというのは、その効力を決める決め手、つまり根拠はどういうところにあるのですか。
  17. 栗山尚一

    ○栗山政府委員 先生の御質問の御趣旨を必ずしも私、正確に理解したかどうかわかりませんけれども、先ほど私が申し上げました憲法の「憲法は、國の最高法規」であるという趣旨に照らしまして、国内的には憲法優位であるというのが、従来から政府が一貫して条約につきましてとっておる態度でございます。
  18. 土井たか子

    ○土井委員 自然法的に物を考えると、何ぼでもこれが発想が次から次へとなされるわけでありますが、憲法について問題にする場合には、憲法に即応して問題にしなければならないのです。日本国憲法でいま栗山さんのおっしゃったようなことはどこにどう書いてあるのですか、教えてください。
  19. 栗山尚一

    ○栗山政府委員 土井先生の御指摘のとおり、憲法九十八条におきまして「この憲法は、國の最高法規であって、」としました後で、「その條規に反する法律、命令、詔勅」云々というものの中には、確かに条約は明示的に入っておりません。しかしながら、先ほど私が申し上げましたように、学説の上では憲法と条約とどちらが優位かということにつきまして、学者の中であるいは憲法優位説でありますとか条約優位説でありますとかいろいろございますけれども、私の承知しておりますところでは、政府は一貫して、憲法が国の最高法規であるという憲法九十八条の規定に照らしまして、国内手続的に憲法の定めます手続に違反して締結した条約が憲法にまさって効力があるということは申し上げておらないわけでございます。したがいまして、そういう意味におきまして、憲法優位というのが政府が従来から一貫してとっておる考え方であるというふうに私は理解しております。
  20. 土井たか子

    ○土井委員 いまおっしゃった九十八条に定めている手続というのは、どんな手続なんですか。
  21. 栗山尚一

    ○栗山政府委員 手続といたしましては、憲法七十三条によりまして、条約につきましては国会の御承認を得るということが定められておる手続でございます。
  22. 土井たか子

    ○土井委員 そうすると、つまり国会が承認するという行為によって、条約よりも憲法の方が優位にある、こういう論拠なんですか。いまの栗山さんの発言を総合的に考えればそういうことになりますが、そう理解していいのですか、ちょっと私にはよくわかりませんが。
  23. 栗山尚一

    ○栗山政府委員 すべての国際約束というものが憲法七十三条に言うところの「條約」には必ずしも該当しないということも、政府が従来から申し上げておるとおりでございます。憲法七十三条に言う「條約」につきましては、これは国会の御承認を得ることが必要である、そのような手続を経ずして条約を締結することはできないということが政府の考えでございます。
  24. 土井たか子

    ○土井委員 それは政府の考えなんですが、憲法上、その政府の考えは明文の規定としてどこにどういうふうに規定されているかということを私は先ほどから問いただし続けているのですが、それに対してのお答えはいただいてないのです。一貫した政府の見解でございますということに御答弁は尽きているのですが、その一貫した政府の御見解の、憲法上そういう見解をお出しになる根拠はどこにあるかということを再度お尋ねします。
  25. 栗山尚一

    ○栗山政府委員 憲法七十三条三号に言う「條約」というのがいかなる国際約束を指すものであるかということにつきましては、先生御案内のとおり、昭和四十九年二月に、当時の大平外務大臣から政府の見解として、こういうものが憲法七十三条三号に言う「條約」である、そういう国際約束につきましては国会の御承認を得る必要があるというのが憲法の趣旨であるということで御説明申し上げているとおりでございます。
  26. 土井たか子

    ○土井委員 栗山さん、質問についての答弁というのは、質問をよく吟味して答えてくださいね。まるで違う答弁を先ほどからなされているのです。私は、国会で承認を必要とする条約の範囲なんてただの一つもいま聞いておりませんよ。条約と憲法とどっちが優位かということを繰り返し繰り返し聞いて、いまだにその御答弁がないのです。憲法が優位であるということをおっしゃるが、憲法が優位だということをお考えになるのは、憲法上の規定があって初めて憲法が優位だということが言えるのですよ。憲法上の規定はどこでそういうふうに明示しているかということを、もう一度私はお尋ねします。
  27. 栗山尚一

    ○栗山政府委員 先生の御質問の御趣旨をあるいは取り違えたかもしれませんけれども、国内手続に反して締結された条約、一たん締結された条約が憲法の内容に合致していないものであれば、これは当然憲法が優先するということでございまして、私が先ほど九十八条ということを申し上げましたのは、そういう意味で内容に反したものは国内的には憲法が優先するということを申し上げたつもりでございます。
  28. 土井たか子

    ○土井委員 条約は条約であって、国内法は国内法なんですね。ここで言っているのは、国内法に対して憲法は最高法規であるということを言っているのですよ。条約はあくまで国外法なんです。国際間の法なんです。それに対しては憲法は何ら言っていないのじゃないですか。
  29. 栗山尚一

    ○栗山政府委員 条約を国内的に実施するために、先ほど私が申し上げましたとおりに憲法には必ずしも明文の規定はございません。ございませんことは私もそのとおりであると思いますけれども、憲法九十八条の規定に照らしまして、条約を国内的に実施する場合に、これを法律で実施する場合もございましょうし、条約をそのまま国内的に受容してこれを実施するという場合もございましょうけれども、いずれの場合にいたしましても、国内的な面におきましては憲法が条約に優先するというのが政府の見解であるということを先ほど来申し上げているつもりでございます。
  30. 土井たか子

    ○土井委員 栗山さん、これは整理をしてみましょう。条約が国内法的に憲法下において実施されるという趣旨のことを言われておりますが、条約が国内的に実施されるというのはどういう意味なんですか。  条約はあくまで条約なんです。条約を国内において実施しようとすると、国内的に新たな措置を必要とするでしょう。行政上の措置であるか、立法上の措置であるか、いずれであるかを問いませんが、国内的な措置が必要なんでしょう。国内的な措置と条約そのものとは、本来区別しなければなりませんよ。したがって、条約そのものが憲法よりも上位であるか、憲法が条約よりも上位であるか、私が最初にお尋ねしているのは、条約そのものについてお尋ねをしているのです。国内的措置についてお尋ねをしているわけではない。その辺を整理して、もう一度御答弁ください。
  31. 栗山尚一

    ○栗山政府委員 もう一度整理して御答弁いたしますと、対外的には、条約というものは、仮にそれが憲法の内容に反するようなものでございましても、一定の国際法上有効な手続に基づいて一たん締結された条約を、それが憲法に反するからといって直ちに無効になるようなことはないということが一つでございます。  他方、その条約の国内的な効力という面に着目して申し上げますると、従来から政府が申し上げておりますところは、憲法に反する条約というものは国内的には効力を持たない、憲法が優先するということが従来から一貫した政府の見解であるというふうに申し上げておるつもりでございます。
  32. 土井たか子

    ○土井委員 そのおっしゃっている条約の国内的効力というのがよくわからないのです。  それでは、少し観点を変えてお尋ねしますが、条約締結行為というのはどういう行為なんですか。立法行為なんですか、行政行為なんですか。国会の条約承認行為というのは立法行為なんですか、行政行為なんですか、いずれですか。
  33. 栗山尚一

    ○栗山政府委員 条約の締結そのものは憲法上政府に与えられました行政権の範囲内で行うものでございますので、先生の御質問、私も法律的な定義というものを詳しく存じませんけれども、行政権の行使であるという意味において行政的な行為であると申し上げて差し支えなかろうかと考えます。
  34. 土井たか子

    ○土井委員 国会が条約を承認するかしないか、これも行政行為なんですよ。立法行為では断じてないと私は思っております。そういうことからしますと、条約を締結するという行為自身、一連の行為は行政行為として見なければならない。その国内的な効力云々ということになると、新たにその条約を国として遵守するための体制が必要なんですね。立法的に行政的に必要であるでしょう。これは条約を締結して改めて問われる行為でしょう。区別をすべきだと私は考えているのです。そういう点から言いますと、条約が優位であるか憲法が優位であるかということについて、やはり考え方は栗山さんとちょっと違ってくるのではないかと私は思っております。  憲法が優位だとあくまで先ほどおっしゃったわけだから、もう一度、条約そのものについて一体どう考えたらいいかというところを答えてくださいませんか。国内的な効力はわかりましたよ。条約そのものについてどうお考えですか、憲法優位か条約優位か。
  35. 栗山尚一

    ○栗山政府委員 これはどういうふうにお答え申し上げてよいか、私もちょっと迷っているわけでございますけれども、先生の御質問が、条約そのものの国内的な側面につきまして条約が優位か憲法が優位かという御質問というふうに私どうも先ほどから理解いたしておるものでございますから、その点につきましては、繰り返しになりまして大変恐縮でございますけれども、憲法が優先する、憲法が優位であるというのが政府の一貫した考え方であるということを御答弁申し上げている次第でございまして、条約についてどうかという先生の御質問に私はどうも必ずしも的確に御答弁申し上げてないとお受け取りになっておられるかと思うのですけれども、その点につきましては、どうも先ほど来私が申し上げていること以上に出ないのではないかというのが私の理解でございます。
  36. 土井たか子

    ○土井委員 よくわからないですね。条約については、あくまで栗山さんは国内的側面についてだけを憲法と照らし合わせて、一体どっちが優位であるか優位でないかということを御答弁になっているわけですね。では、条約の国内的側面以外の側面というのがあるのですか、どうなんですか。
  37. 栗山尚一

    ○栗山政府委員 その点につきましては、先ほど来私、申し上げておりますとおり、対外的と申しますか、国際法的な側面で申し上げますれば、一たん有効に締結された条約は、仮にそれが憲法に違反している、あるいは憲法の内容に合致しないというものであっても、そのこと自体が直ちに条約が無効であるということにはなりませんので、適法に締結された条約につきましては、国際的、対外的にわが国がその条約に基づく権利義務関係というものに拘束されるということでございます。
  38. 土井たか子

    ○土井委員 そうすると、条約というのは本来国際法でございますから、いま栗山さんがおっしゃるとおり、たとえ憲法に違反している条約でも国際法としては有効である、こういうことになるわけですね。国際関係においてはそれは有効である、こうなるわけですね。そのことは、つづめて言うと、国際法と国内法というのは法源が別である、法体系が別である、したがって、いずれが優位であるか優位でないかということは問題にならない、こういうことにもなるかと思いますが、この点はどうですか。
  39. 栗山尚一

    ○栗山政府委員 条約法条約におきましても、御承知のように二十七条におきまして、国内法と条約との関係というものに従来の慣習法の規則を定めておりまして、この中で「条約の不履行を正当化する根拠として自国の国内法を援用することができない。」ということが書いてございます。この「自国の国内法」というものの中には憲法も当然入っているということでございまして、国際的には、国内法を理由とした条約の無効ということを主張することはできないということは、従来から国際法におきまして決められていることでございます。
  40. 土井たか子

    ○土井委員 それは、つまりはつづめて言うと、国内法と国際法は対等のものであると理解することができると思いますが、どのようにお考えですか。
  41. 栗山尚一

    ○栗山政府委員 学説的には、先生御承知のように、条約と国内法との関係につきましてはいわゆる一元論、二元論というものがございまして、わが国におきましても学説上いろいろな意見があるということでございますが、先ほど来述べております政府の考え方というものからいたしますれば、土井先生のおっしゃるように、国内法と国際法、国際法の一環としての条約とはおのずと別の次元のものである、いわば学説的に申し上げますと二元論的な考え方ということになろうかと考えます。
  42. 土井たか子

    ○土井委員 学説学説と言ってさすがによく勉強されているのですが、ここは学説を討議する場所ではございませんで、いわゆる政府機関としてこういう問題にどう対処なさるかという政治的な立場でどう考えていらっしゃるかということが非常に大事なんです。したがって、外務省の見解というのは、学説ももちろん参照されることは大切だと思いますよ、でも、ここは学説の解説を聞く場所ではないと心得ておりますので、さよう御理解の上御答弁をお願いします。  さて、先ほど栗山さんは一貫して、条約の国内的側面は憲法優位だということを政府としては述べてきたということをおっしゃいましたが、いままでにその点はどういうふうな見解が政府側から出されているかを、ここで私は御参考までに申し上げておきます。  昭和二十八年八月五日の当外務委員会におきまして、こういう答弁が高辻さんからあるのです。「「確立された国際法規」というようなものの内容をなすものが、たまたま条約の内容に入っておったというような場合については、あるいは条約優先だということも言えないこともないかと思います。」こういう答弁なんです。  それからまた、さらにさかのぼって二十五年十一月二十五日、当外務委員会での西村さんの答弁を見ますと「條約というものは締結した方がよろしいという結論に達したとするならば、私の常識から見れば、必ず憲法改正というものが先に立って、條約との矛盾を解消して、しかる後に條約を日本に対して確定的に成立させる」必要がある、こう書いてあります。  これはいずれも、きょう栗山さんが、国内的に憲法が優位であると、一貫して政府はそういう立場に立ってきたとおっしゃることと一致しないのですが、こういう答弁があることについては、そうしたらこの答弁は変更させて、きょう栗山さんが御答弁になったことが政府の見解と理解しておいていいのですか。
  43. 栗山尚一

    ○栗山政府委員 ただいま先生御指摘の過去におきます答弁を具体的には私、記憶いたしておりませんけれども、当時の高辻法制局長官の御答弁は、私は、いま先生がお読みになったことを伺っております限りにおきましては、憲法と条約というものが一致しない場合において条約が優先するということを高辻長官が御答弁申し上げたということではなかろうかと思います。     〔委員長退席、青木委員長代理着席〕  高辻長官の答弁におきましては、憲法というものはやはり国の最高法規であって、条約といえどもこれにまさる効力はないということを政府としては終始一貫とってまいっておりますという昭和四十四年の当時の高辻法制局長官の答弁がございます。私、先ほどから申し上げておりますのは、そういう法制局長官の過去におきます答弁を踏まえまして御答弁申し上げておるものでございまして、別に最近になりまして政府あるいは外務省が見解を変えたというようなことは毛頭ございません。
  44. 土井たか子

    ○土井委員 もう一度この二十八年の八月五日とか二十五年の十一月二十五日の外務委員会の議事録に当たってみてください。いまこの繰り返しをここで討議していたら、これは時間がとても足りるわけはありませんから、この議事録にもう一度当たってみてください。私の言っている意味がそこで初めておわかりになるのじゃないかと思います。  さて、日中平和友好条約締結に当たりまして日華平和条約の取り扱いをどうするかということが非常に大きな問題になったのですが、その場合の確定的な憲法解釈は一向に聞かされなかったのですけれども、あの日華平和条約の取り扱いは廃棄ということと理解していいのですか、終了ということと理解していいのですか、運用停止と理解していいのですか、どういうように理解すべきなんですか。
  45. 栗山尚一

    ○栗山政府委員 日中国交正常化に際しましての日華平和条約の取り扱いにつきましては、当時大平外務大臣より国会におきましても御説明申し上げましたとおりでございまして、日中国交正常化の結果として日華平和条約は存続の意義を失い、終了したものと認められるというのが日本政府の見解でありますということを申し上げております。したがいまして、いま先生が、廃棄であるのか、運用停止であるのか、終了であるのかという御質問でございましたが、日華平和条約というものは、ただいま申し上げましたように日本政府が中華人民共和国政府を承認するということの随伴的な効果といたしまして、その存続の意義を失って終了したものと認めるというのが政府の見解でございます。
  46. 土井たか子

    ○土井委員 そうすると、この条約の終了ということに対しては国会に承認を得るという行為は必要なんですか、必要でないのですか、いかがですか。
  47. 栗山尚一

    ○栗山政府委員 いわゆる日華平和条約につきましては、ただいま申し上げましたようなことで、政府承認の変更に伴う随伴的な効果として条約の存続意義がなくなって条約が終了したものと認められるということでございまして、わが国が条約を条約の規定等に基づきまして一方的に廃棄をするとか終了させるとかいう措置をとったわけではございませんので、国会承認の問題は起こらないというのがわが政府の考えでございます。
  48. 土井たか子

    ○土井委員 そうすると、条約の手続に従って終了したのではなくて、自然的条件に従って自然的に終了したという事実関係があるということになるわけですね。そのことの確認を国会に対して求めるというふうな行為は必要なんですか、必要でないのですか。
  49. 栗山尚一

    ○栗山政府委員 憲法七十三条三号との関連におきましての国会の御承認という問題は起こらないということであろうと思います。しかしながら、いわゆる日華平和条約が終了したという先ほど私が申し上げました事実関係につきましては、当時の国会におきまして政府から御説明さしていただいたということでございます。
  50. 土井たか子

    ○土井委員 国会に対して政府が説明したということになるわけですね。  その説明という行為はどういう行為になるのですかね。国会がそれを了承することを求める行為というふうに理解していいのですか。
  51. 栗山尚一

    ○栗山政府委員 日本政府が条約を終了させる、あるいは廃棄するという何らかの措置をとり、それについて国会の御了承をいただく、あるいは御承認をいただくというような性格のものではございません。憲法七十三条との関連で申し上げますれば、政府の外交関係の処理の一環として行いました日中国交正常化の結果として、日華平和条約につきましては、先ほど申し上げましたような事態になりましたので、これを国会に御報告さしていただいた、そういうことでございます。
  52. 土井たか子

    ○土井委員 いや、それは七十三条の三号に言う承認とは違うと思うのですね。いまの報告をされたということは、国会がそれを了承することを得るための説明であるかどうかということをお伺いしているわけです。それは説明しなくてもいいところをわざわざ説明したという意味なのか、説明をすることによって国会に了承を得るためのその行為を政府がとったということになるのか、いずれですか。
  53. 栗山尚一

    ○栗山政府委員 日中国交正常化ということの事柄の重要性に照らしまして、政府がその関連で生じました日華平和条約の処理につきまして国会に御報告申し上げたということでございまして、国会の御了承を得るとか、あるいは国会の御承認をいただきたいとか、そういう性質のものではないというふうに私は了解いたしております。  日華平和条約につきましては、日中国交正常化の結果として法的には先ほど申し上げましたような状況になっておりますということを国会に御報告申し上げたということでございまして、これは格別、国会の御了承をいただかなければならないというような性質のものではなかったというふうに私は考えております。
  54. 土井たか子

    ○土井委員 そうすると、報告しなくてもいいところを報告したということになるのですか。
  55. 栗山尚一

    ○栗山政府委員 必ずしもそういうふうに考えたわけではございませんで、事柄の性質上、その重要性にかんがみ、政府といたしましては国会に御報告すべきことは当然であるというふうに考えて御報告申し上げたというふうに私は考えております。別に、報告する必要のないものを報告したというふうには私、考えておりません。
  56. 土井たか子

    ○土井委員 したがって、そこでお伺いしているのは、その報告するという行為に対しては何かの効果があるから報告をしているわけでしょう。それは恐らく国会に知っておいていただくということの意味で報告されているのでしょうが、知っておいていただくということに対して、やはりそれに対して国会は了承するという付随的な効果があることを考えての報告ではありませんか、いかがです。
  57. 栗山尚一

    ○栗山政府委員 外交全般の処理、それから条約の実施ぶりにつきまして、国権の最高機関である国会の地位というものを勘案いたしまして、政府といたしましては、そのような関連で重要なものについては、当然外交に対する国会の民主的コントロール、あるいは条約そのものに対する国会の民主的コントロール、そういう趣旨に照らしまして御報告すべきことが当然であるというふうに考えて行っておるものでございます。
  58. 土井たか子

    ○土井委員 いま問題として取り上げました日華平和条約の場合は、これは事情が日中平和友好条約の締結ということに伴う問題でございますから、したがって、日華平和条約については、この条約を締結することに対して国会承認を得ているという前提のもとに、いまおっしゃったとおり国会は最高機関性を持っているということに伴う国会に対する報告であるといういきさつが恐らくあると思うのですが、さてここで、条約法条約の中の十九条に言う「留保」、条約を国会で承認をするときに、その条約の中身に留保がある。この留保をつけた条約に対して国会が承認をしたという場合、後にこの留保条項について解除を政府がする場合、また国会承認が必要であると思われますが、この点はどうですか。
  59. 栗山尚一

    ○栗山政府委員 条約の規定に基づいて留保を行う場合、それからその留保を後日撤回する場合、このいずれにつきましても政府の考え方は、これは国会の御承認をいただきましたいわば条約の枠内での行為というものでございまして、これは行政府の外交関係の処理というものの一環として行政府限りでできるというふうに考えておりますので、このようなものにつきましては、当初の留保を付す場合も、それから後日これを撤回する場合におきましても、これは国会の御承認をいただかず行政府限りでできるというふうに考えております。  それから、つけ加えさしていただきますと、条約の規定に基づかない留保の場合におきましては、これは国会にその条約の締結について御承認をいただきます場合に、かくかくの留保を政府としては付する、その留保を付して条約を締結するということについて国会の御承認をいただいておるというのが従来からのやり方でございます。
  60. 土井たか子

    ○土井委員 いまの御答弁のいずれの場合におきましても、留保を付するというのは、その意味において条約を変質させていることになりはしませんか。本来、条約が完全無欠のものであることについて、一部、部分的にそれを据え置くとか、削除するとか、あるいは効力を停止させるとかというふうな意味において、条約を変質させていることになりはしませんか。そうすると、そのもの自身は変質した条約について承認を求める行為ということを政府は留保をしている条約については行っていることになりはしませんか、いかがです。
  61. 栗山尚一

    ○栗山政府委員 留保をいたします結果として、留保の対象になります規定の適用が変更または排除されるということは先生御指摘のとおりでございます。しかしながら、そういう留保によります条約の一定の規定の適用の排除とか変更とかというものが、条約の修正というふうに観念すべきものではないのではなかろうかというふうに思う次第でございます。これはあらかじめ条約におきまして、こういう規定は留保してもよろしいということが書いてあります場合に、その条約全体で国会の御承認をいただいた条約の全体の仕組みの中の一環として政府が留保を付するということは、当然行政府限りでできる。いわば条約の実施の一つの態様でございまして、これは行政府限りでできるというふうに考えておる次第でございます。     〔青木委員長代理退席、委員長着席〕  他方、先ほど申し上げましたように、そういう明示の規定に基づかない留保につきましては、結果といたしましてその留保する規定の適用が変更されるとか排除されるというようなことは、いわば条約の実質的な修正に当たるだろう、こういうことで、その留保を付して条約全体を締結することについて国会の御承認を求めるということが正しいやり方であるというふうに考えまして、従来からそのように取り計らっておる次第でございます。
  62. 土井たか子

    ○土井委員 その留保にも、いまおっしゃったような分類をしようとしたら技術的にあると思うのですが、ただ、留保を付するということに対してどう考えていくか。これは確かに行政的な行為です。ただしかし、先ほど質問に対する御答弁の中でもはっきりおっしゃるとおり、国会の条約承認権というのがある。本来、これは行政権なんです。行政行為なんです、承認するかしないかというのは。したがって、承認をするということ自身も、これは立法行為ではない、行政行為であるということを一つ忘れてもらっては困るのです。  しかし、その留保自身が適正な留保であるかどうかということも、やはり承認行為の中に含めてこれは審議の対象にしているわけですね。そういうことからすると、その留保を解除するということ自身も、先ほどから栗山さん自身が明確に御認識になっていらっしゃるとおり、唯一の立法機関という国会の性格ではなくて、最高機関としての国会には立法行為以外にこのような行政行為があるわけですから、行政行為を持っている国会に対して、改めて留保を解除するということに対して承認を求めるということが必要なんじゃないですか。これは理屈の上から言うとそうなりますよ。政府は一貫して統一した見解だとおっしゃいますが、政府の中では、やはり条約について留保がある場合、留保を解除するときにも国会の承認を必要とするという考え方があることは私は現実に知っているのです。しかし、外務省としては、いままで国会の承認を必要としないという立場を持ってこられたので、そういうことからすると、先ほど来、憲法に違反するような条約は認められないというふうなことをおっしゃってきたこととちょっと矛盾するという論法にもなってくるのでありますが、この点はどのようにお考えになっていらっしゃいますか。私はあくまで留保解除に対しては国会の承認を必要とすると考えておりますが、いかがですか。
  63. 栗山尚一

    ○栗山政府委員 政府といたしましては、条約の規定に基づく留保の場合と、しからざる場合とについては分けて考えておりまして、国際法的には、これはいずれの留保も全く同じでございます。しかし、国内的に憲法との関連においてこれをどのように考えるべきかというのは一応別個の問題であろうということで考えまして、留保規定に基づく留保については、先ほど来私が申し上げましたような考え方によりまして、留保を付する場合も、また後日これを撤回する場合も、これは行政府限りでできるということで、そのように取り扱ってきております。  条約の規定に基づかない留保をいたします場合には、条約全体について国会の御承認を得るということも、先ほど来申し上げておるとおりでございます。現実の取り扱いもそのようになっております。  そのような留保を後日撤回する場合にどうかという点につきましては、これは従来から全く先例がございません。そのような留保を撤回する場合に、これを憲法との関連でどのように考えるべきかということについては、これは後日そういう事態が生じました場合に、憲法七十三条全体の趣旨、それからよその国の憲法制度、慣行というものを十分検討して、慎重に適正な手続を検討すべきであろうというのが私どもの考え方でございます。
  64. 土井たか子

    ○土井委員 そうすると、条約法条約の中に言う留保に対しての解除あるいは留保に対してのいまの破棄、こういう問題についても、いまの御答弁からすると、わが国としてはどういうふうにこれを考えて国内的に手続をとったらいいか、いまだ政府の考えは固まっていない、どのように取り扱ったらいいか、具体的に言うと国会承認を得べきであるかどうであるか、このことに対しての結論はまだ得ていない、このように受けとめていいのですね。
  65. 栗山尚一

    ○栗山政府委員 条約の規定に基づきません留保を解除する場合、それからただいまの先生の御質問は条約の廃棄の場合もあわせての御質問かと思いますが、条約の規定に基づきません廃棄の場合、これを憲法との関連で、国会の御承認との関連でいかに扱うべきかということにつきましては、ただいまの時点におきまして政府としての見解というものはございません。これはそういう事態が起きましたときに、どのように扱うことが憲法上正しい取り扱いであるかということを十分慎重に検討して決めたいというふうに考えております。
  66. 土井たか子

    ○土井委員 時間ですから、最後に一言申し上げておきたいのは、先日、条約に対しての国会承認に当たり、条約というのは、これは単に条約と言われる場合もあれば、協定と言われる場合もあります。交換公文から、覚書から、口上書から、あらゆるものを含めて日本国憲法上は「條約」と称しております。そして、この条約法条約に言うところの「条約」の範囲も非常に広うございます。  従来は国会審議の上で、この国会承認を得る条約というものをどう考えてよいかということが種々論議されてまいりまして、栗山さんがきょうもお答えになったとおり、当時の大平外務大臣からの答弁があったわけでありますが、これはきょう栗山さんが答弁の中ではっきりお認めになりましたとおり、国会の承認権というのは行政権なんですよ。立法権じゃないのです。そして、その行政権というのはどこから出てきているかというと、四十一条の国権の最高機関性から出てきているのですね。内閣が外交権を行使するというのも、これは行政権です。条約を締結するというのも行政権です。と同時に、国会の条約承認権というのも行政権なんですよ。しかも、いま申し上げたとおり最高機関性を持った行政権なんです。  この国会が条約を承認するかどうかについての条約それ自身について、外務省がこれは承認を受くるべき条約である、これは承認を受くるべきでない条約であるという範疇を勝手に決めるというのは、まことに憲法の趣旨、憲法の精神からしたら、そのもの自身をひっくり返して、踏みにじったかっこうになっていっていると私は言わざるを得ないと思うのです。  もう一度その点に対して、外務省はあくまでどういう条約についても原則としては国会承認を受くるのが原則であるということを確認していただいて、特に外務省の立場で条約についての色分けを、国会承認を得る必要がある、必要がないということをすること自身が憲法から考えたらおかしい行き方だ、憲法の趣旨に反する行き方だというふうなことを考えて、その点の考え直しを切に私は要求して、終わりたいと思うのです。よろしゅうございますか。
  67. 栗山尚一

    ○栗山政府委員 憲法七十三条三号に言う「條約」につきましては、これは国会の御承認をいただかなければ政府としては締結できないということは理の当然でございます。しかしながら他方におきまして、すべての国際的な約束、国際約束というものが憲法七十三条三号で言う「條約」でないということも、これはまた理の当然であろうというふうに考える次第でございます。  そこで、憲法七十三条三号に言う「條約」というのは、多種多様な国際約束の中でどのようなものであるかということにつきましては、これは外務省あるいは政府が恣意的あるいは便宜的に解釈できるものではなかろうというふうに私は考えます。しかしながら、条約の締結権を有します行政府といたしましては、憲法七十三条三号に言う「條約」とは何かということの判断につきましては、これをやはり政府が行う責任があるというふうに考えまして、個々の条約の締結につきまして、慎重に憲法の趣旨というものを踏まえて判断をして処理をしてまいっておるわけでございます。  先ほど先生御指摘の昭和四十九年二月の大平外務大臣の答弁も、そのような意味での政府の見解というものを申し上げた次第でございまして、政府の方が便宜的にこれは条約である、これは条約でないというような考え方に基づきまして仕分けをして処理をしておるということでは毛頭ございません。
  68. 土井たか子

    ○土井委員 時間が参りましたので、不本意ながらこれで終わりますけれども、この問題に対しては、国会から要求のある条約に対しては、当然のことながら政府としては承認を受くる。国会がこの条約に対しての承認を求める必要があるということを意思表示した場合には必ずその承認を求めるということが、政府としては憲法上考えられている立場だというふうに私自身は考えております。  外務大臣、この点について一言だけ最後のところを承って、私は質問を終わります。
  69. 伊東正義

    ○伊東国務大臣 入ってきたばかりでございまして、とんちんかんなお答えをしましたら御勘弁を願いますが、政府委員がお答えしておったとおり、国会の承認を求めるべきかどうかという問題につきましては、これは普通は国会と政府と大体の意思は一致するはずでございまして、もしもそういう意見の食い違い等出ました場合には、これは国会の方の委員会と十分政府としても連絡をとりながら判断をするということにいたします。
  70. 土井たか子

    ○土井委員 いまの御答弁で、国会の意思を尊重する、国会から条約に対しての承認を必要とするという意思表示があった場合にはこれに従うという政府側の御見解も含めての御答弁であったというふうに理解をさせていただいて、以上で終わります。
  71. 奥田敬和

    ○奥田委員長 これにて各件に対する質疑は終了いたしました。     ―――――――――――――
  72. 奥田敬和

    ○奥田委員長 これより各件に対する討論に入るのでありますが、別に討論の申し出もありませんので、直ちに採決いたします。  まず、国際電気通信衛星機構の特権及び免除に関する議定書の締結について承認を求めるの件について採決いたします。  本件は承認すべきものと決するに賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕
  73. 奥田敬和

    ○奥田委員長 起立総員。よって、本件は承認すべきものと決しました。  次に、条約法に関するウィーン条約の締結について承認を求めるの件について採決いたします。  本件は承認すべきものと決するに賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕
  74. 奥田敬和

    ○奥田委員長 起立総員。よって、本件は承認すべきものと決しました。  次に、業務災害の場合における給付に関する条約(第百二十一号)付表I(職業病の一覧表)の改正の受諾について承認を求めるの件について採決いたします。  本件は承認すべきものと決するに賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕
  75. 奥田敬和

    ○奥田委員長 起立総員。よって、本件は承認すべきものと決しました。  お諮りいたします。  ただいま議決いたしました各件に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  76. 奥田敬和

    ○奥田委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。     ―――――――――――――     〔報告書は附録に掲載〕      ――――◇―――――
  77. 奥田敬和

    ○奥田委員長 次に、国際情勢に関する件について調査を進めます。  ただいま委員長の手元に、自由民主党、日本社会党、公明党・国民会議、民社党・国民連合、日本共産党及び新自由クラブの六党共同提出に係るILO条約の批准に関する件について、本委員会において決議されたいとの動議が青木正久君外五名より提出されております。  この際、本動議を議題とし、提出者から趣旨の説明を求めます。土井たか子君。
  78. 土井たか子

    ○土井委員 ただいま議題となりました動議につきまして、その趣旨を御説明いたします。  案文の朗読をもって趣旨の説明にかえさせていただきます。     ILO条約の批准促進に関する件(案)   我が国は、他のILO加盟国に比べILO条約の批准状況がいまだ十分でない。   かかる実状及びさきの「婦人関係ILO条約の批准促進に関する決議」に鑑み、政府は、ILOの基本的使命を十分認識し、左記事項の実施について特段の努力をするよう要請する。         記  一 ILO未批准条約については、所要の国内法制の整備等をすすめこれら条約の批准促進に努めること。  一 婦人労働者の労働条件の改善、母性保護の充実を図るため婦人関係ILO条約を可及的すみやかに批准すること。  一 ILO一〇二号条約に係る母性給付、遺族給付、家族給付、廃疾給付部門などについて同条約の趣旨に鑑みその義務受諾をすみやかに通告すること。   右決議する。 以上でございます。  何とぞ各位の御賛同をよろしくお願いいたします。
  79. 奥田敬和

    ○奥田委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。  ほかに発言の申し出もありませんので、直ちに採決いたします。  青木正久君外五名提出の動議に賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕
  80. 奥田敬和

    ○奥田委員長 起立総員。よって、本件は本委員会の決議とすることに決しました。  この際、外務大臣から発言を求められておりますので、これを許します。外務大臣伊東正義君。
  81. 伊東正義

    ○伊東国務大臣 ただいま御採択になりました決議につきましては、政府としまして、趣旨を十分に尊重しまして、今後とも一層努力を重ねてまいる決意でございます。
  82. 奥田敬和

    ○奥田委員長 お諮りいたします。  ただいまの決議について、議長に対する報告及び関係当局への参考送付につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  83. 奥田敬和

    ○奥田委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。      ――――◇―――――
  84. 奥田敬和

    ○奥田委員長 国際情勢に関する件について質疑の申し出がありますので、順次これを許します。高沢寅男君。
  85. 高沢寅男

    ○高沢委員 外務大臣、大変御苦労さまでございました。これから若干の時間をいただきまして、日米首脳会談に関して御質問をいたし、その後、土井委員に交代をいたしたいと思います。  初めに、私もワシントンで行われておりました首脳会談を重大な関心を持ってテレビなどでも拝見いたしましたが、鈴木総理あるいはまた伊東外務大臣のお姿がテレビの画面に出る、そのたびに、なかなか外務大臣がんばっておられるという気持ちで拝見をしていたわけであります。  さて、そして発表された日米共同声明も拝見をいたしました。私は率直に言って、いまこの日米共同声明で進みつつある、あるいは進もうとしている日米の同盟関係、あるいはまた、この共同声明の中にもうたってありますが、日本、アメリカ、西欧のいわゆる先進資本主義諸国の共同の同盟関係というようなものが、この共同声明で見る限りますます推進をされるというような段階へ来ていると思いますが、そのときに、また、けさのニュースによると、フランスではミッテラン大統領が実現したというようなニュースも飛び込んできたわけであります。この日米首脳会談のニュース、それからフランスの社会党大統領実現というニュース、この両方をにらみ合わせて、いまの世界情勢の動きというものがある意味においては最も象徴的にここにあらわれたのじゃないか、こんなふうに実は私は考える次第であります。  この、レーガン政権実現、そしてソ連脅威論というものがさらに大きく強調され、それに対する軍事関係を中心とする西欧諸国の同盟体制を進めるということがいまずっと進行していて、今回の日米首脳会談はその中の一環であった、こう思うわけでありますが、しかし、その考え方だけでいま世界は進んでいるのか、日本としてはそういう立場で一体どんどん行っていいのかということを、お帰りになって早速でありますが、ここで根本的にひとつ考え直していただきたいと私は思うのであります。  そういう意味において、今度のフランスにおけるミッテラン大統領の実現というものは、従来のジスカールデスタン大統領の場合でも、フランスの外交政策を見る限りでは、たとえば対ソ、いろいろな話し合いもしなければいかぬ、デタントも進めなければいかぬというような独自性が非常に見られたわけでありますが、ミッテラン大統領のもとでそういう方向は一層進むだろう、実は私はこう考えております。  あるいはフランスだけではありませんね。つい最近のイギリスにおいて行われた地方選挙では、労働党が非常に進出していることは御承知のとおりです。そういたしますと、このサッチャー保守党政権も一体いつまでもつのか、失礼ながら私は実はそういう感じを持ってイギリスの政局を見ております。そうすると、英国の政局もまたこういう意味においてフランスと同じような大きな変化、転換が出てくるのじゃないのかというふうなことも大いにあり得る展望だ。  こういうふうに考えてまいりますと、ヨーロッパにおいて大きくデタントの方向が前進するという可能性というものを大きく見るべきであるし、また日本としても、そういう世界の流れというものを十分ににらんだ上でこの情勢にさお差していかなければいかぬのじゃないか、私はこう思いますが、アメリカからお帰りになって、そしてフランスにミッテラン大統領が実現したというこの情勢の中における大臣の大局的な御所見をまずお尋ねしたいと思います。
  86. 伊東正義

    ○伊東国務大臣 ゆうべ帰ってきたわけでございますが、けさミッテラン大統領の勝利ということを知ったわけでございます。  いま先生から世界の流れのお話がありまして、その中で日本がどう考えていったらいいかということでございますが、アメリカとの話の中でも、当然日本が西側の一員としまして、民主主義、自由主義というものの上に構築された西側の政治、経済の考え方、その中にあってアメリカと緊密な連帯を保っていくという意味で同盟という言葉を、前から大平総理も使っておりました言葉を使ったのでございますが、そういう中で世界の緊張というものが、特にソ連のアフガニスタンに対する介入あるいは軍備の増強というようなことで非常に国際的な緊張が八〇年代はあるという基本認識の上に立っていろいろお話し合いをしたわけでございます。  その中で、それじゃ西と東、いわゆるソ連との話し合いというものは閉ざしてもう話し合いをしないのかということではないわけでございまして、今度の共同声明の中でも軍縮等の問題も取り上げておりますし、また首脳会談の中でも、ソ連との話し合いというものはアメリカとしても続ける、軍縮の問題でも、防衛の問題でも、あるいは経済の問題でも話し合いは続けるというようなことを話し合いをされたわけでございますし、またヨーロッパも、いまのミッテランの勝利ということがございます。イギリスの地方選挙のお話もされましたが、ヨーロッパでデタントにかげりが出ましたのは、ソ連のアフガニスタンに対する軍事介入がもとになって特にデタントにかげりが出たわけでございます。  でございますので、今後もソ連が、ポーランドの問題もございますし、あるいはアフガニスタンからどうするかという問題もございます、カンボジアの問題もございますが、そういう行動と関連して、やはりソ連との関係、あるいはデタントの行方、東側と西側の話し合いというようなこともどういう形かでそれが進んでいくかと思うのでございますが、やはり私どもはソ連の行動というものがそれに非常に関係があるというふうに思っておるわけでございますけれども、おっしゃるように、これは何も対決だけが姿勢じゃございませんので、厳しい情勢の中にあっても東西の話し合いということは続けていく、窓は開いておこうじゃないかというような話し合いが、日米の首脳会談の中でもこれは当然のことで出たわけでございます。
  87. 高沢寅男

    ○高沢委員 その緊張激化とアフガンの関係で私も一言言えば、アフガンに対するソ連軍の侵入が起きたのは一昨年の暮れの十二月、年末ぎりぎりでありますが、しかし、ヨーロッパのNATOの会議で対ソの軍事強化政策を進めるということの決定がされておるのはその以前なんです。その前の秋からそういうことが進められておるという関係は一言だけ事実で申し上げておきたいと思います。それはあなたも御承知のはずであります。  そこで、そういうヨーロッパの関係ですが、六月九日から総理は今度はヨーロッパを訪問される。そして、その後またオタワ・サミットに臨まれるわけですから、私は、そういう中において、いま申し上げたいわばヨーロッパにおける新しい流れというものは、当然日本としてもそれを正当に評価しなければならぬ、それに対応しなければならぬというふうなものは必ず出てくるということをここで一応申し上げておいて、次に進みたいと思います。  今度の日米会談で特に特徴的にあらわれたのは、総理大臣やあるいは外務大臣が、レーガン大統領やその他の人と会談をされておる、その会談のやりとりと、でき上がって発表された共同声明、私は実はこの間に大変に大きな違和感を持って受けとめたわけであります。この会談の中では、お互いに七十歳でどちらがお兄さんであるとか、やれお別れのときに日本語でさようならと言ってくれたとか、大変友好的であったとか、まあお話としては非常に結構であります。けれども、そういうお話、われわれはテレビでそれを見て、何かいままでと違うかな、こういう気持ちで見ていたところが、さて出てきた共同声明、これまた逆にいままでと違う大変な共同声明が出てきた、こう言わざるを得ないわけです。  私の判断では、今回の日米共同声明によって、これは明らかに日米の軍事同盟体制ということがはっきりと打ち出されたと見るし、あるいはまた、いままで、われわれは個別自衛権で対処していく、集団自衛権はないと繰り返し言ってこられたが、もう事実上集団自衛権にはっきりと踏み出してきておる、こう私は受けとめておるわけですが、会談がまだ行われておる、その終了の前にすでにそういう共同声明ができておるというようなことなんであります。  そういたしますと、この共同声明は一体だれが準備したのか、だれが作成したのか、これは言うまでもなく、大臣、あなたの指揮下にある、われわれの言葉で言う外務官僚であります。私は個々人のことをどうこうは言いません。しかし、わが国の外務官僚というもののこういう作業の進め方、これは首脳会談のあり方として一体これでいいのか。わが国の最高の代表者である総理大臣が向こうの大統領といろいろ話をしておる、しかし、その話がどうこうに関係なく、すでに共同声明はできておる、案文はできておる、その中身は、軍事同盟の前進強化の方向でできておるというようなことが、これが外務官僚の手によってすでにでき上がっておるということ。私は、ある意味においては総理大臣というのはこけにされているのじゃないのかというふうにも実は思います。  そういたしますと、その総理大臣と連帯の責任の関係にある外務大臣、あなたは、自分の指揮下のこうした外務官僚の行動に対する指導監督を一体どのようにお考えになっておるのか、こういう共同声明が首脳会談のやりとりいかんにかかわらずすでにできておるということを大臣は一体どのようにお考えか、これをお尋ねしたいと思います。
  88. 伊東正義

    ○伊東国務大臣 共同声明をつくりまして、向こうと相談して出したわけでございますが、これは一切私の責任でございます。私の部下と一緒に、私も重要なことに相談を受けてやったわけでございますので、首脳と全然別だということではございません。これは脈絡は一緒でございまして、責任は一切私でございます。
  89. 高沢寅男

    ○高沢委員 外務大臣としては当然そういうふうにお答えになるだろうと思います。しかし、そうなってまいりますと、この共同声明を受けて、これから六月に今度は日米の事務レベル会議、あるいは防衛庁長官、国防長官の会談もあるという中で、これからこの共同声明の本当の中身が出てくるというようなことになったときに、軍事強化のアメリカの要求、あるいは防衛予算、軍事予算拡大の要求、日本の国内からも大いにやるべしという声も出ておる。防衛庁は待ってました、お墨つきをもらった、こう言っておる。これらのことをいまの日本の政治の中で、あなたも国務大臣として、政治家として一体どのように対処されるかという非常に重大な問題が私は出てきていると思います。しかし、ここではその重大性を指摘しながら、いま私の責任でやったと言われる外務大臣に、ひとつ具体的にお尋ねしていきたいと思います。  あなたが訪米される前に、われわれ外務委員会で、訪米されたらこういうことをひとつアメリカに言ってもらいたい、言うべきだということをずいぶん私たちは質問し、また、あなたの見解もいただきました。その一つに、非核三原則の問題があります。  アメリカ原潜の当て逃げ事件、この事件の関係の中で日本の非核三原則はますます重要性を増した、こういうふうにわれわれは考え、今度の日米首脳会談の中ではっきりとアメリカに対して日本の非核三原則というものを出して、レーガン大統領からそれを保証しますということをはっきり取りつけるべきであるということをわれわれ申し上げました。鈴木総理も四月段階の国会で、レーガン大統領に日本の非核三原則を必ず徹底させるということを言われた。一体これは首脳会談でお出しになったのかどうか。共同声明には影も見えない。これは一体どうでしょうか。
  90. 伊東正義

    ○伊東国務大臣 非核三原則でこの間特にこの委員会で問題になりましたのは、アメリカの原子力潜水艦の問題でお話が出たわけでございまして、これは私はここでお答えしたことを覚えておりますが、私が向こうに参りましたらヘイグ国務長官に私は言います、必ず言いますよということをお答えしたわけでございます。それでヘイグ長官と会いました際に、原子力潜水艦の問題の中間報告に関しまして私は、あれは中間報告であって、日本は海上保安庁でもちゃんと調査をしているのだから、それと突き合わせてもらうことも必要だし、本報告をなるべく早くもらうようにということを言った際に、日本の非核三原則というものがあるのでこれを尊重してもらいたいということを向こうに私ははっきり言ったわけでございまして、ここで申し上げたとおりのことをヘイグ国務長官には私は話しております。
  91. 高沢寅男

    ○高沢委員 話した結果はどうだったのですか。相手は何と言いましたか。そこまで言わなければ答えになりませんよ。
  92. 伊東正義

    ○伊東国務大臣 原子力潜水艦の問題と三原則の問題とを私は一緒に言ったわけでございますが、それに対しまして向こうは、分けて一つ一つということじゃございませんでしたが、私の言ったことはわかったということでございます。
  93. 高沢寅男

    ○高沢委員 要するに、いなされたということじゃないですか。そういうことを子供の使いという言葉でわれわれは表現して言うのです。なぜもう一押し押して、日本の非核三原則はこういうことだ、国務長官、あなたは日本の非核三原則を尊重するとはっきり言ってもらいたいと、なぜもう一つ押すことができなかったのですか。私は当然そうすべきだと思う。あの原潜の衝突事件が起きたときも、あれほどその重大性について国会でわれわれは繰り返し議論をし、あなたに質問をいたしました。それを言うのが本当に日本を代表する、外国に使いする使命を持った立場じゃないでしょうか。私はまことに遺憾であります。  大臣、もう一つお尋ねしたいが、経済関係であります。自動車問題がこの首脳会談の始まる前に決着、確かに形はそうなりました。しかし、この共同声明で見ると、大変美しい言葉で、お互いに保護主義に反対をして自由貿易、開放体制を進めるということがうたってあるが、そのうたった共同声明のできる直前に、アメリカは日本にいわゆる自主規制をやらせる、日本は今度は自主規制をやらされる、これはその開放体制、自由貿易の原則にまさに反することをお互いにやったわけだ。そのやった直後の共同声明では、そういう美しい原則をうたった。  私は、そらぞらしい共同声明、こう言わざるを得ないと思いますが、この問題は自動車の次は今度は半導体でくるとか、いろいろ言われております。そうであるならば、少なくともこの共同声明をめぐる首脳会談の中で、今後日米経済関係で次の半導体とか何々で二度とこういうことがあってはならぬということを、私は当然日本の立場としてアメリカに言うべきであったと思いますが、そういうことを言われましたかどうか、お尋ねしたいと思います。
  94. 伊東正義

    ○伊東国務大臣 日米の経済関係につきましては、御承知のとおり問題が起きたのは自動車でございますが、あとはほとんど経済問題は解決して、大きな問題はなくなっているわけでございます。今度の首脳会談でも経済問題は出まして、両国とも自由貿易体制は守る、これは日本とアメリカが特に中心になって世界で保護貿易的な動きが出ることに対しまして守っていくということを、強く首脳会談で話が出たわけでございます。  そして、自動車の問題につきましては、アメリカの議会が保護貿易主義的な動きをしているわけでございますが、それを未然に防ぐという意味で自動車の問題が解決したことを喜ぶというような話があったわけでございまして、自由貿易体制は守っていくということを両方が強く約束し合ったということがございます。  半導体の問題は、これは首脳会談でなくて経済閣僚会談のときに関税の問題として出たわけでございますが、これは自由貿易を制限するとかそういうことじゃなくて、関税の問題として相談をしたいというような希望が向こうであったことはございます。半導体につきまして自由貿易を制限するとかそういうような話がなくて、むしろ逆に、向こうからは農産物その他まだ自由化してもらいたいものが実はあるのだというような話が出まして、総理からそういうことは農産物等についてはむしろできないことがあるのだというような説明をされた経緯がございます。
  95. 高沢寅男

    ○高沢委員 私にちょうだいした時間が終わります。したがって、これでもう私の質問を終わりたいと思いますが、重ねて私の要望として大臣にぜひ申し上げたいことは、これから総理がヨーロッパを旅行されるというチャンスがあります。あるいはオタワ・サミットという重大なチャンスがあります。少なくもこういうチャンスにおいて、私がいま申し上げたような日本の非核三原則という立場を国際的にきちんと確認を求めるというようなやり方とか、二度と自由貿易の原則を侵すようなことはやってはいかぬという立場であるとかというふうなことはきちんと主張することによって、こうしたいわゆる先進国の首脳会議の中における日本の独自性というものを貫いていただきたいということを要望として申し上げまして、終わりたいと思います。どうもありがとうございました。
  96. 奥田敬和

    ○奥田委員長 土井たか子君。
  97. 土井たか子

    ○土井委員 続きまして、外務大臣お疲れのところ、さらに質問を続行したいと思います。  いま高沢議員の方から質問の中にございましたとおり、あらかじめ用意された今回の共同声明です。素直に読む限り、歴代の共同声明と比べて、御出発前からすでにわれわれ懸念していたとおりに、非常に軍事色の濃厚な、アメリカ戦略に組み込まれた中身がこの共同声明の中に披瀝されていると言わざるを得ません。特に、世界の情勢の中において日本の目でアメリカを見る、そうして日米関係を考えていくという視点が全くない、単にアメリカの世界観をフィルターとして、それを通して世界を見るというかっこうでしかこの共同声明の中身は展開されていないと思われるわけであります。  そういう意味では、この共同声明は日米関係の重大な転換点となった文書と見るべきだとわれわれは思っている中身でございますけれども、外務大臣の率直なこれに対する感想をまず承っておきたいと思います。いかがですか。
  98. 伊東正義

    ○伊東国務大臣 共同声明といいますのは、そのときそのときの国際情勢に基づいて出すわけでございますので、今度参りましたときの国際情勢というものが非常に厳しくなっておるということは、これは前と違った情勢があるわけでございますので、その点は国際情勢の認識等はその都度その都度変わるということは私はあり得ることだと思うわけでございます。  それから、共同声明の中身でございますが、国際情勢に対する認識は大きなところでは何も食い違っていないわけでございまして、日本側も、この国会で何度も私、御答弁申し上げておりますが、八〇年代の厳しさの問題の原因その他を申し上げているわけでございまして、私は今度の共同声明で、ここの国会で私どもが申し上げていたことと違ったことを書いてきたというつもりは毛頭持っておりません。  あの中をごらんになりますとおわかりのように、南北の問題でございますとか、そういう問題につきましても、いままで日本側は南北問題重視というようなことを言っているわけでございますが、そういう点も読んでいただけばわかるわけでございますし、ここで申し上げていたことといま共同声明の中で出てきていることとは私は別なことを言ってきたというつもりはございませんので、両方で意見の言い合いをしたことは確かでございますが、でき上がったことは、両方合致し、それもアメリカの対ソ戦略に組み込まれてしまったというようなふうには私は考えておりません。
  99. 土井たか子

    ○土井委員 それならば、どういうところで意見の食い違いがあって言い合いをなすったのですか。
  100. 伊東正義

    ○伊東国務大臣 それは一々は申し上げませんが、対ソの問題等につきましても、対応の問題でございますとかいいろんな意見の言い合いをしたこともございますし、あるいは穀物禁輸をめぐっていろいろ議論したこともございます。そこに載せない問題もございますし、認識にはもう少し激しい情勢の分析があったりしたこともございますが、そういうことはそこまで考えなくてもいいじゃないかというようなことで、緩和したことで両方で意見の一致したものもございますし、いろいろつくる過程におきましてはそういうことがあったわけでございます。
  101. 土井たか子

    ○土井委員 そこまで言わなくてもいいじゃないかというので少々緩和した面もあるとおっしゃいますけれども、今回この共同声明の中で、従来にない表現がございます。もうこれは種々報道の中身においても取りざたをされておりますが、「日米両国間の同盟関係」という問題です。この同盟という表現について、当然のことながら鈴木総理に対して記者会見の席でいろいろ質問が沸騰しているわけでありますが、この同盟の問題は、どれほど弁明をされても軍事的意味を持つものであるという理解をわれわれは従来より持ってまいりました。いままで共同声明のたびごとに、またいろいろと外国と取り交わしをするたびごとに、過去の日英同盟とか日独伊三国同盟、すべて戦争につながった同盟をわれわれは認識するがゆえに、戦後の日本は同盟という言葉に対して神経質なくらい注意を払ってきたはずであります。今回、軍事色は全くないと幾ら口を酸っぱく総理が説明をされても、国民の多くは、同盟という表現のもとにいよいよ戦前がこの形でやってきたというふうに受けとめていると思うのですが、この同盟という言葉を使用するということを決めたのは、アメリカ側からの要請ですか、日本側からの発意ですか、いかがでございますか。
  102. 伊東正義

    ○伊東国務大臣 「同盟関係」という言葉が入っておりますが、この言葉は、前の亡くなった大平総理が、去年もおととしも行きましたときに、カーターさんと話したときにこういう言葉を使って話しておることはもう先生御承知のとおりでございまして、私どもは、いま土井さんがおっしゃったように、日英同盟あるいは日独伊三国同盟というような、戦前の戦争することが権利としてあったというような時代にできました同盟という言葉が国民の頭に残っているというのは、それはそれなりにわかりますが、私ども今度使いました同盟関係という言葉は、これはその文脈を読んでいただけばわかるとおり、民主主義とか自由とかそういうものの基礎の上に、そういう共同認識の上に立った日本とアメリカの緊密な連帯関係、友好関係というものを意味する言葉でございまして、軍事同盟とかそういうことは毛頭考えているつもりはない、緊密な連帯関係をそういう言葉であらわしたということでございまして、同盟という言葉は日本側もすでに去年、おととし総理の口からアメリカに言っていることでございまして、両方で一致してこれは使った、つぐつたということでございます。
  103. 土井たか子

    ○土井委員 大臣、おととしからこういう表現をとられていたのですか。おととしからこの表現は始まっていたのですか。いま初めてそれを伺いますけれども、おととしから日米間で同盟という表現のもとにいろいろと交渉を重ねていらっしゃったのですか。
  104. 淺尾新一郎

    ○淺尾政府委員 交渉ということでございませんけれども、総理大臣のあいさつの中にそういう言葉を使ったことはございます。
  105. 土井たか子

    ○土井委員 それは昨年五月じゃありませんか。
  106. 淺尾新一郎

    ○淺尾政府委員 五十四年五月二日のホワイトハウスにおける歓迎式の際の大平大臣の答辞の中に、「同盟国であるアメリカ合衆国との緊密で実り豊かなパートナーシップ」云々ということは書いてございます。
  107. 土井たか子

    ○土井委員 そうして、昨年五月にその大平総理がさらにこの同盟という表現を使用された節、大来外務大臣が同行されて、そしてお帰りになって、きょうのただいまの伊東外務大臣と同じであります、お疲れをいやされる暇もなくこの外務委員会に出席をされまして、われわれは同盟というこの言葉の使い方に対して質問をしたことをきのうのことのように覚えているわけでありますが、その節、大来外務大臣は、「英語では確かにアライドでございますが、これは日米安保条約を結んでいるという立場から出てまいるわけでございます。」と、まことに素直な答弁をされているのです。したがって、その後の答弁というのは言いわけになっているというふうにわれわれとしては受けとめざるを得ない、こういうことであります。  要は、安保条約があるから同盟という言葉が使用できる。今回もこの線の上で論ずるということになってまいりますと、幾ら否定をいたしましても、国民の目から見れば、日米軍事同盟、安保条約という意味を含んだ同盟ということを認識せざるを得ない、こういうかっこうになると思いますけれども、外務大臣、いかがでございますか。
  108. 伊東正義

    ○伊東国務大臣 土井さんのお使いになる同盟とか同盟条約の定義が問題になるわけでございますが、同盟条約というものがあるとすれば、それがたとえば片務的じゃなくて双務的な、お互いに集団自衛権を前提にしたような同盟条約というようなことであれば、日本の安保条約というのは片務的な条約でございますので、そういう意味合いからすれば同盟条約ということは言えない、私はこう思うのでございますが、ただ、軍事的な何らかの関係のあるものを同盟というような言葉を使うのだということであれば、片務的とはいえ安保条約というのは軍事的に関係がありますから、同盟と使ってもいいと私は思うのでございまして、これは同盟という意味の解釈の仕方だ、どの条約を同盟条約と言うかということの解釈の仕方だと思うわけでございます。  今度使いました「同盟関係」というのは、日米の、もちろん安保条約は日米間の大きなきずなになっておることは確かでございますが、それだけでございませんで、日米関係の経済、政治、文化、全部をひっくるめました、あるいは民主主義、自由というものに立った同盟関係という、広い意味の緊密な連帯関係をもとにしているのを同盟関係という言葉を実は使ったわけでございまして、日米関係は日本の外交の基礎でございますし、その中にはもちろん安保条約も入っておるということは確かでございます。
  109. 土井たか子

    ○土井委員 いま明確に外務大臣の方から、安保条約の中の軍事的側面、しかも片務条約であるという意味も踏まえて、しかし軍事同盟と言えば言えなくはないという意味の御答弁が出てきたわけでありますが、同盟という言葉の重みというのは、今回の共同声明の第二項を読む場合、私は、非常に意味として大きいと思っているわけであります。  単に日米間だけの共同声明ということではなくて、共同声明となりますと、世界的規模で、全世界が日本の出方ということを共同声明を見て注目をするということもございますから、そういうことからいたしますと、今回の共同声明で初めて名指しでソ連を非難した、このことはレーガンの対外外交の基本理念でございます新冷戦構造に同盟国として日本が同調したことになるということに相なりますけれども、この点はどのように理解されておりますか。
  110. 伊東正義

    ○伊東国務大臣 土井さんは強いて同盟関係というのは軍事同盟だ、軍事同盟だと、こうおっしゃるわけでございますが、この点は従来と同じでございまして、何も今度行ってその関係が変わったわけでは全然ございませんで、アメリカとの関係はいままでと同じでございます。安保条約も前と全然変わっていない。今度変えようなんということを全然話したわけではございませんし、従来と関係は変わっていないわけでございます。  そして、いま日本がいろいろ対ソ措置等をとっておりますのは、ソ連のアフガニスタン侵入、あるいは軍備増強、北方領土への軍備増強というようなことをもとにしましていろいろ対ソ措置をとっているということもこの国会で明々白々にお答えをしていることでございますので、私は、今度の共同声明で言いましたことが、ここでお答えしていることと別なことをあそこに書いたなんという意思は全然実は持っておらぬわけでございますので、対ソ認識については、基本的なことは、前からも申し上げております、アメリカと一緒でございますが、対ソ措置その他については、これはそれぞれの国が自主的に判断し、それぞれ別であってもしかるべしというようなことを向こうにも話したということでございます。
  111. 土井たか子

    ○土井委員 そうすると、アメリカのソビエトに対しての軍事力増強に伴う脅威論というものと、いま大臣の方から御答弁のございました日本の対ソ認識というものについてはおのずと相違がある。そして、日本のソビエトに対して潜在的脅威というふうに考えている問題とは同じ土俵の中で論じられるはずのないものでなければならない。  ところが、この共同声明の中身を見ると、まさしくこれはアメリカと日本との間で一致して、同意をして同調しているというかっこうになっているわけでありますから、このアメリカの対ソの軍事力増強に対する脅威論と日本の潜在的な脅威論というものが同じ土俵の中で論じられてしまったというふうに考えられることに相なりますが、大臣、この点はどのように理解すればいいのですか。
  112. 伊東正義

    ○伊東国務大臣 基本的なソ連に対する認識は、何も違ってないのでございます。前から一致しているのです。これは一致しているわけでございまして、今度初めて一致したということじゃございません。  そして、その対策は、これはアメリカのやる対策と日本のやる対策ではおのずから違うわけでございまして、軍事面一つとってみましても、日本では憲法上個別自衛権しかないのでございますから、それ以上のことは何もできないわけでございまして、今度行ったからそれが集団自衛権に変わったというようなことは毛頭ないわけでございまして、基本認識は一致しておりますが、しかし、国によってやれることとやれないことははっきりしておるわけでございますから、その点は今度行きましても総理からもはっきり申されたということでございます。
  113. 土井たか子

    ○土井委員 そうすると、やれることとやれないことがある。日本がやれることとして、世界平和めための対ソ政策の役割り分担というのが少なくとも考えられていてしかるべきだと思うのですが、世界平和のための平和外交として一体日本がどういう役割りを担うかということは、何にもこの共同声明の中からにじみ出てこないのですよ。こういう問題に対する認識はいかが相なるのですか。
  114. 伊東正義

    ○伊東国務大臣 日本としてやれることとやれないことがあるということを私は申し上げましたが、この共同声明の中にも出ておりますが、世界的な危機といいますか、国際的緊張といいますか、そういうものに対処して、西側としては総合的に防衛の問題とか、経済の問題とか、政治の問題とか、外交の問題とか、それぞれの考え方で、整合性のとれたやり方でやっていこうじゃないかという意味のことを触れているわけでございます。  日本がやれることは、その中でいわゆる軍事的なことは自分の国を守るということしかできないわけでございますから、あと日本がやれますのは、日本の総合安全保障、あるいは世界もそういう考え方を持つべきだということを総理が言っておられるわけでございまして、いわゆる経済協力の面でございますとか、あるいは外交の面でございますとか、それぞれの国がそういう整合性のとれた形でやっていこうじゃないかということをこの共同声明の中では言っているわけでございまして、何も軍事力とか軍事的な対決とか、そういうことだけを考えているわけじゃない、経済協力とか、そういうものを広く含めて西側として対処していくのだということを考えておるわけでございます。
  115. 土井たか子

    ○土井委員 ただ、そういうことから言うと非常に問題になるのは、同盟などというふうな言葉を使いまして、端的に言うと死なばもろともというふうな認識を日本の国民の多くはこの言葉の意味の内容として受けとめるわけでありますけれども、いままで米中国交正常化、このあり方は、日本の頭越しでございました。日昇丸事件、まさにこれは当て逃げであります。人命救助すら、できる条件の中でしない。国民の目は、アメリカに対しての不信、この事件を通じて出てきたことはそれであります。アフガン問題について、アメリカはソビエトに対するいわゆる穀物の禁輸措置を取っ払うのに対しては、何ら日本に対して連絡も何もないまま取っ払いをやる。こういうことが次から次から出てくるわけでありますから、一体相手にそれほど、死なばもろとも、心も身もささげるというふうなかっこうでいろいろな約束をしていくことが、国民の安全や平和、これからの生活に対して本当に責任のある日本の外交というものを展開することになるのかどうか、まことに不安であります。  今回の共同声明の中で、「ポーランドへの介入が起きた場合に」「協調した政策を遂行すべきである」というふうな約束をしてしまっているのですけれども、そこまで言う必要が果たして日本においてあるのですか、どうなんですか。
  116. 伊東正義

    ○伊東国務大臣 前段のアメリカに対する土井さんの不信ということをおっしゃいましたが、その中の原潜問題等については、何回も申しわけなかったという意味の遺憾の意の表明をいたしております。私も、中間報告は多とするけれども、国民に納得してもらうにはもっとちゃんとした報告をしてもらいたい、こっちからの報告も出すというふうなことを言ってきたわけでございまして、緊密な連帯ということを同盟関係だということで私は申しましたが、そのもとは信頼がなければできないことでございます。それはよくわかりますので、その点につきましては、外交の責任者として、私、十分注意してまいります。  ポーランドの問題を例にして挙げられたわけでございますが、ポーランドの問題は世界のいわゆるデタントにも壊滅的な打撃を与えるような重要な問題でございます。何度も申し上げておりました。でございますので、そういうことがもし万一起きますと、これは世界の平和にとりまして大きな支障になりますので、何としてもそれは起こしてはならぬことだと私は思っておるわけでございます。  ポーランド人のことはポーランド人が解決すべし、介入はしてはいかぬということを言っておるわけでございますが、アフガニスタンのときもソ連としてはある程度手痛い西側からの反応があったわけでございますので、ポーランド問題が起きたときはもっとその反応は大きいのですよということをわかってもらう、それがポーランドの介入に対する一つの警告になるのじゃないかということを前々から言っておりまして、この席でも私はお答えしたのでございますが、もしそういうことがあった場合には、日本側も平和を守るという意味から、西側の一員としてよく相談を受けて対ソ措置というものは考えていかなければいかぬ。  しかし、全部が何も同じことをやるという意味ではございません。その国の独自の政策というものがございますから、それは全部が一緒ということではございませんが、協調し連絡してやっていこうということは前々から言っておりましたので、それを確認し合った、こういうことでございます。
  117. 土井たか子

    ○土井委員 いろいろと御説明を賜っておりますが、今回の共同声明というのは、焦点はどの辺にあるのかというと、やはり何といっても日米の防衛役割りの分担、そのための日本の防衛力の増強の誓約というところに、文脈をずっとたどっていくとあらわれてくるように私自身は読んでおります。  この十六項目にわたる中身についていろいろと前後をずっと読んでまいりますと、たとえば第二項のソビエトの脅威、そのすぐ次に第四項の中東情勢、それにつないでまいりまして、そしてそこに第一項の日米同盟がある。そうして結論として第八項の日米防衛役割りの分担とそのための日本の防衛力の増強の項目、こういう配列を整えてまいりますと、実にこの共同声明の意図がどこにあるかということは文脈的に浮かび上がってくるように私は読むわけであります。  第八項、この具体的な中身の約束が非常に私は焦点になると思っておりますので、第八項の中身に即応いたしまして、いまから少しお尋ねを進めます。  この中で、「六月に予定されている大臣レベル及び事務レベル双方での日米両国政府の代表者による安全保障問題に関する会合に期待した。」とありますが、この具体的に「六月に予定されている」云々の項目は、アメリカ側の要請に従って共同声明の中に入れられたのですか、それとも日本からの発意でこの共同声明の中にこのようなことが用意されたのですか、いかがでありますか。
  118. 伊東正義

    ○伊東国務大臣 これは両方で話し合ったのでございますので、どっちがどうしたからどうしたというものじゃございません。  これが入ります経緯でございますが、ワインバーガーさんとの話もございますし、私とヘイグさんの話もありました。首脳会談もございました。その間にいろいろ防衛について話が出たことは確かでございまして、総理も国会でおっしゃっているように、はっきりおっしゃったわけでございますが、向こう側も日本の憲法を変えてくださいとかそういうことは言いません、あるいは日本に強制するとかそういうことはしませんということは、どの段階でも必ず話が出たのでございます。しかし、防衛の努力については期待をしていますということは、これはもう出たことだけはそのとおりでございますが、日本側としましては、私も言いましたが、防衛計画大綱というものがあって、これの整備を着実にやっていくのだという意味の答えをしたわけでございまして、総理も私も、一般論として防衛力の強化のための努力ということは言ったわけでございます。  そして、具体的なことにつきましては、これは毎年、事務レベルの協議あるいは防衛庁長官が向こうの国防長官とお話をするということをされているわけでございますので、そういう話は六月にやる会議にひとつ具体的にやってもらおうじゃないかということを、これは両国から話の出たことでございまして、どっち側からどうということではなくて、毎年やっていたことの、今度も六月にそういうことをやるということを期待しているというようなことでこれは書いたわけでございまして、どっち側から強くぜひこれを入れなければ困るというようなことじゃなしに入ったということでございます。
  119. 土井たか子

    ○土井委員 防衛庁の局長は御出席でいらっしゃいますね。お尋ねしたいのですが、これは六月というともう目の前なんですが、この六月に日米両国政府の代表者、それは言うまでもなく防衛庁の方から責任者がお出ましになるということで六月の話し合いが予定されているのですが、これはどうなんですか、五三中業の中身でここのところの問題が話されるのですか、いかがですか。
  120. 塩田章

    ○塩田政府委員 六月の中旬に予定されておりますSSCの会議及び月末の防衛庁長官の訪米におきます会談におきましてどういうことを議題とするかということは、まだ決めておりません。今回の首脳会談の結果等も外務省からよくお聞きしていきたいと思っておりますが、いまの時点でまだどういうことが議題になるというふうに決まっておるわけではございません。
  121. 土井たか子

    ○土井委員 しかし、あらまし日本側としては、もう六月というのは目の前ですから、アメリカに行くのについておおよその大枠というのはもうすでに考えていらっしゃらなければならないはずでありますが、防衛庁としては、五三中業の中身でアメリカ側に対して話し合いに臨むというふうな基本姿勢をお持ちなのかどうなのか、いかがなんですか。
  122. 塩田章

    ○塩田政府委員 いまの時点で、特に五三中業の中身を議題の中心にするというふうに考えておるわけではございません。
  123. 土井たか子

    ○土井委員 そうすると、何で話し合いをなさるのですか。五三中業でなければ何ですか。
  124. 塩田章

    ○塩田政府委員 大体このSSCといいます会議は、元来日米安保体制の円滑な運用ということで、日米の事務レベルの関係者が平素からなるべく多く機会を持って意見の交換、情報交換をしながら意思の疎通を図っていこうということがねらいでございまして、毎年開催をされておるわけでございます。したがいまして、特に議題を持ち寄ってそこで決定をしていくというような運営でなしに、いま申し上げましたような一般的な情報交換あるいは意見の交換というようなことをやることが元来のねらいでございまして、今回もそういうことを中心に考えておるわけでございます。
  125. 土井たか子

    ○土井委員 そうすると、わざわざ共同声明の八項でこういうことを事改めて問題にするという理由がどこにもないのじゃないですか。防衛庁、どうですか。この八項の前提があるでしょう。従来と違った前提があって、それに従って「この関連で、」と始まって「両者は、六月に」わざわざ改めて六月に、大臣レベル及び事務レベル双方での代表者による安全保障問題に関する会合に期待しているわけです。共同声明の中身について具体化するのは六月だ、こう言っているのですから、いままでと違った話し合いをここの中では事改めて問題にしているのじゃないですか、いかがです。
  126. 塩田章

    ○塩田政府委員 例年のことを申し上げましたが、ことしの場合、御指摘のように今回の共同声明の中にああいう文言がございます。したがいまして、どういうことになるのか、そういうことも含めていまから米側と相談しながら対処していくことになりますが、そのためにも、最初に申し上げましたように、今回の共同声明のいきさつ等につきまして外務省等からもよくお話を聞きながら私どもの態度を考えていきたい、こういうふうに申し上げたわけであります。
  127. 土井たか子

    ○土井委員 それでは納得できない話でありまして、防衛庁は防衛庁なりの計画というものを持っていらっしゃるはずです。それを崩して話し合いに応ずるわけにはいかないでしょう。防衛庁の基本姿勢というものがあるはずです。五三中業についてどういうふうにお考えなんですか。それを中身として問題を話されるのですか、どうですか。それ以外の素地を持って話し合いに臨まれるのか、その辺、どうですか。
  128. 塩田章

    ○塩田政府委員 五三中業を盛んにお尋ねになるわけですけれども、五三中業自体はもう御承知のようにすでに発足をしておりまして、五十六年度まで進んできているわけでございますが、ということは、五三中業でもし議題になるとすればそれは五十七年度予算の話ということになるわけでございますが、五十七年度予算の話につきましてはまだ概算要求もするはるか以前の段階でございますから、そういう意味で直接的に議題になるかどうか、全く一般的な話し合いで話題は出るかもしれませんけれども、特にこちらから議題として持ち出すというようなものではなかろうというふうに考えておるので、先ほどのように申し上げたわけであります。
  129. 土井たか子

    ○土井委員 どうもそれじゃ心もとない答弁なんですが、五三中業というのはいまおっしゃったとおりです、もうすでに一年前倒しの話がついてしまっている話なんですね。あとこれからということになると五六中業、この問題に対して、これを素地としてなさるのかどうか、話し合いの中身として臨まれるのかどうか、どうなんです、心づもりは。
  130. 塩田章

    ○塩田政府委員 五六中業につきましては、先般国防会議でも作業開始に当たっての御決定をいただいております。もちろん作業そのものはいまからでございますから、六月の時点でそういう中身を説明するような段階にはとてもいかないと思いますけれども、国防会議で決めたいきさつといったようなことは話題になるだろう、話題になれば私ども必要な説明をしようと思っております。
  131. 土井たか子

    ○土井委員 大変なことだと思いますよ。国防会議で決めた中身というのは何なんですか。まだ決まっていないはずです。研究することだけを国防会議にかけるということが了承されている段階なんじゃないですか。一年かかって研究するという予定なんでしょう。そうすると、国防会議にもかかっていない、閣議決定ももちろんない、こういうことを事務レベルでどんどん決めていくのですか、いかがなんです。
  132. 塩田章

    ○塩田政府委員 いま先生のおっしゃいましたように国防会議で決まっておるわけでございまして、先生のおっしゃったように決まっていることを説明するしかできないわけでございます。それだけのことでございます。
  133. 土井たか子

    ○土井委員 外務大臣、どうなんですか。これはあくまで説明することも不要なんじゃないですか。五六中業に対しては、日本の国内においていままだこういう段階なんですよ。これをどうしてアメリカにわざわざ説明する必要がありますか。
  134. 塩田章

    ○塩田政府委員 先ほど申し上げましたように、私どもの方から議題として出すと言った覚えはございませんで、話題になるだろう、話題になった場合にはそれは話題として説明しましょう、こう申し上げたわけでございます。
  135. 土井たか子

    ○土井委員 外務大臣、いかがですか、今回、六月に予定される大臣レベル、事務レベルに預けたかっこうだということに共同声明の中身はなっているのですが、問題は、中身としては非常に重要課題です。今後の日本の行方を決定すると申し上げてもいい。いま防衛庁としては、あくまでこっちから言う問題ではない、そうすると、五三中業の中身で臨まれるということになるわけでありますが、そのように理解しておいていいのですか、外務大臣。
  136. 伊東正義

    ○伊東国務大臣 八項目に「日本の防衛」といってこれを書きましたのは、「適切な役割の分担が望ましい」というようなことを書いたわけでございますが、いままでここで御説明したことと何も違うことを考えたわけじゃないわけでございまして、日本の防衛でございますればこれは個別自衛権で、安保条約で日本とアメリカが日本の防衛をするということでございます。  あるいは今度は極東の平和とか安全という問題であれば、日本ができますことは、在日米軍があり、地位協定で区域、施設を提供しているということでございまして、それ以外は軍事的な協力はできないということは前から言っていることで、これはそのとおりでございます。日本はそれ以外に、極東の安全平和のためには経済協力でやろうということを、これは前のとおりにこういうふうに書いたわけでございます。  いままで書かなかった周辺海域、空域という言葉を書いておりますが、これは国会で何回も言っております防衛計画大綱の前提が周辺数百海里、シーレーン、航路帯の場合は千海里ということを言っていることを抽象的にここに書いたわけでございまして、新しい役割りを日本が帯びてやっていくというようなことをこの八項で実は書いたわけではないので、従来ここで御説明していることを書いたということでございます。  そういう中で、日本の防衛というものをどういうふうなことをやっていくのだということにつきまして毎年ハワイで相談をされておりますので、そこで相談をするということを書いたわけでございまして、新しい日本の進路を決めるとか、そういうふうなことをここで考えるとか、そんな大それたことを意味した八項では実はないというのがわれわれの考え方でございます。
  137. 土井たか子

    ○土井委員 防衛庁の局長はお急ぎのようですから、一問だけお答えいただいて御出発をお願いしたいと思うのですが、いま沖繩の防空識別圏、ADIZはいずれにありますか。
  138. 塩田章

    ○塩田政府委員 沖繩のADIZがどこにあるかというお尋ねでございますが、西の線がちょっとこの地図で……
  139. 土井たか子

    ○土井委員 それは場所を言っているのでなくて、いずれに属しているかということです。
  140. 塩田章

    ○塩田政府委員 属しているかというのは、どういう意味でしょうか。
  141. 土井たか子

    ○土井委員 日本側にあるのですか、アメリカ側にあるのですか。
  142. 塩田章

    ○塩田政府委員 日本側でございます。
  143. 土井たか子

    ○土井委員 それはいつからですか。
  144. 塩田章

    ○塩田政府委員 具体的な日にちは覚えておりませんけれども、沖繩の返還後にそうなっております。
  145. 土井たか子

    ○土井委員 これは、すでに公表されているのは三十四年九月九日の松前・バーンズ協定限りでありまして、その後、この沖繩のADIZが日本側に移ったということの経緯についていままでに明らかにされたためしがないのです。いま私、ここに持っておりますのは、沖繩のADIZがアメリカ側にあるという防衛庁から出された地図なのでありますが、これはこの限りで防衛庁はお出しになっているわけでありますから、いま沖繩のADIZが日本側にあるという、そのいつ、どういう形でかわったかということと、地図を改めて要求したいと思いますが、これは資料として出していただけますね。
  146. 塩田章

    ○塩田政府委員 資料として提出いたします。
  147. 土井たか子

    ○土井委員 さて、今回のこの八項を見ますと、「空域における防衛力を改善」するとあります。この「空域」ということに含めて、いまのADIZが日本側に移ることが新たに考えられる部面が出てくると思いますが、いかがですか。
  148. 塩田章

    ○塩田政府委員 共同声明の「周辺海・空域」というのと、いまの御指摘のADIZとは直接の関係はございません。  それから、いま申し上げましたように、ADIZは沖繩地区を含めてすでに日本が管理運営をしております。
  149. 土井たか子

    ○土井委員 そうすると、今回の共同声明によって新たにADIZが変わるという可能性は全くないと防衛庁としては認識をされているのですか、いかがですか。
  150. 塩田章

    ○塩田政府委員 そのとおりでございます。
  151. 土井たか子

    ○土井委員 防衛庁は結構です。  さて、それで、先ほど外務大臣から、シーレーン千海里の問題について、具体的明示はないけれども、抽象的に第八項でこれを取り上げて問題にしているという御答弁をいただいているわけです。これは防衛の役割り分担をするということになったと理解することができますが、そのように理解をしていいわけですね。  さらに、ここに「日本の領域及び周辺海・空域における防衛力を改善し、並びに在日米軍の財政的負担をさらに軽減するため、なお一層の努力を行うよう努める旨述べた。」とありますが、これはアメリカに対して、日本はすでになお一層の努力をするという約束をしてしまったのですか。そのように理解していいですね、どうですか。
  152. 伊東正義

    ○伊東国務大臣 在日米軍の駐留経費につきましてはいろいろ議論したところでございますが、このことにつきましては、できるだけ日本としても、許せば協定の中で、労務費や何かはいっぱいじゃないか、あるいは施設その他で考えることがあるのじゃないかということで、一層の努力をします、こういうことを言ったわけでございます。
  153. 土井たか子

    ○土井委員 したがって、一層の努力をするという約束をしたことになっているのですね、それは端的にお答えをいただきたいと思います。
  154. 伊東正義

    ○伊東国務大臣 努めるように述べたということでございますから、これは述べて知らぬ顔はできないですから、述べたことは一生懸命努力する、こういうことでございます。
  155. 土井たか子

    ○土井委員 シーレーン千海里とおっしゃったのですが、これはどこを起点としてはかる千海里でありますか。
  156. 淺尾新一郎

    ○淺尾政府委員 これは二つ航路帯がございまして、一つは京浜、一つは阪神、そこから延びる千海里ということでございます。
  157. 土井たか子

    ○土井委員 京浜と阪神、その地点を起点としてどちらに延びる千海里なんですか。
  158. 淺尾新一郎

    ○淺尾政府委員 南東が京浜、南西が阪神でございます。
  159. 土井たか子

    ○土井委員 南東、南西とおっしゃっても、それは地図の上では漠然としていて、範囲としたら非常に広うございますよ。具体的に、それは何に対する南東なんですか。どっちの方向に向かっての南西なんですか。
  160. 淺尾新一郎

    ○淺尾政府委員 日本からフィリピン側に延びているのが南西、日本からグアム側に延びているのが南東でございます。
  161. 土井たか子

    ○土井委員 そのシーレーンの幅はどれくらいなんですか。
  162. 淺尾新一郎

    ○淺尾政府委員 これは、単に航路帯ということで私たちが理解しているところは、別に幅として何海里という特定のあれを設定しているというふうには承知しておりません。
  163. 土井たか子

    ○土井委員 特定の幅を設定なさらなければ、極端に言えば無限大、そのレーンは面になるという可能性も出てまいりますけれども、そのように理解しておいてよろしゅうございますか。
  164. 淺尾新一郎

    ○淺尾政府委員 さっき申し上げましたように、明確にその幅が何海里かということではないわけでございますけれども、おのずからシーレーンその他の防衛に必要な範囲内に限られるというふうに了解しております。
  165. 土井たか子

    ○土井委員 必要な範囲というのは一体だれが決めるのですか。アメリカですか、日本ですか。
  166. 淺尾新一郎

    ○淺尾政府委員 これは日本の防衛力整備の方針でございますので、日本が当然決定することになります。
  167. 土井たか子

    ○土井委員 このシーレーンの問題はいまに始まったことじゃないのです。すでに再三再四外務大臣から防衛大綱に従ってということを言われている。したがって、その幅も決められてしかるべきであります。どうなんですか。
  168. 淺尾新一郎

    ○淺尾政府委員 これは、先ほどから御答弁しておりますように、明確に何海里と決定されるものではないというふうに私としては理解しております。
  169. 土井たか子

    ○土井委員 そこのところが実はみそだとも言えるかもしれません。  それで、伊東外務大臣にお伺いしたいのですが、周辺海空域についてワインバーガー氏と伊東さんが話されたときには、きょうのこのシーレーンの問題、グアム以西、フィリピン以北というあの周辺海域と今回問題にされている海域とは同一のものですか、違うのですか、いかがですか。
  170. 伊東正義

    ○伊東国務大臣 私がワインバーガーさんと話したときに、向こうは、グアム以西、フィリピン以北という具体的な地名を指して言ったわけでございますが、私はそのときに、それは日本の防衛計画大綱の整備の目標よりも以上のものだということがすぐに頭にきましたものですから、それと憲法論の海域分担論が頭にきましたから、それは困難だと言ったわけでございます。それは困難だと私が言ったことは同じ認識でございます。
  171. 土井たか子

    ○土井委員 困難だと言われながら、総理大臣は記者会見の席で、米側は、第七艦隊を後顧の憂えなく他地域に振り向けるようにするために日本自体の防衛はしっかりやってほしいとの態度であるということを言われて、いわゆるスイング作戦ですね、アメリカが出向いていったその後は、日本が海域に対して防衛するということのお互いの話し合いがあった旨を公表されているわけであります。  本来、海域防衛分担については、政府としては憲法違反であるということで統一見解まで出して、今日に至るまで、それはできないことである、拒否しなければならないという態度をとり続けてこられたわけでありますが、今回このシーレーンの中に入る面の部分については、一切日本としては防衛の対象にして考えることはできないということを外務大臣としては断言され得ますかどうですか。
  172. 伊東正義

    ○伊東国務大臣 総理が記者クラブで言われたのを私もそばで聞いておったのでございますが、その海域を全部日本が防衛分担をするのだ、そして、その海域を第七艦隊がもしもいままで防衛分担として考えていたら、それはもう日本がそこをやるのだから出ていってもらっても差し支えないのだ、そういう意味のことを総理は言われたのじゃないのですよ。そんな海域分担論を総理は言われたわけではないのです。日本の国を守るための防衛としては、周辺数百海里、航路帯千海里というものを頭に置いて日本の防衛をやるのだということを言われたのでございます。その結果として、一部第七艦隊がインド洋の方に行くという結果論はあるのかもしれませんが、総理はあくまでも、日本の防衛としては、周辺数百海里、航路帯千海里、それを日本の防衛の整備の目標とし、それを中心にしてやっていくのだということをクラブで言われたわけでございまして、いま土井さんがおっしゃるように、その海面は全部日本が引き受けるのだというようなことを総理が約束され、いままでと別なことを言われたということじゃございません。
  173. 土井たか子

    ○土井委員 まだまだ問題点が残るのですが、最後に一問だけ簡単に伺って終わります。  ここに「在日米軍の財政的負担をさらに軽減するため、」とあるのですが、これはここに傍聴されている楢崎弥之助議員なども、従来ずいぶん何回も繰り返しこの点について質問を詰めておられるわけでありますけれども、地位協定二十四条の解釈におきましても拡大解釈をやって、もうぎりぎりのところまで来ているわけです。これ以上地位協定の解釈を曲げることができない限界まで来ているのに、それから先、財政的負担をやることに対して何をやっていくことができるのですか。
  174. 淺尾新一郎

    ○淺尾政府委員 これからどういう点でできるかということを具体的に検討してまいるわけでございますが、土井委員の御指摘のとおり、労務費については現在の地位協定の解釈の限度いっぱいでございます。ただ、施設費については、なお日本側として負担し得ることは地位協定上認められる点でございますので、その面で、さらに施設の面においてのわが方の負担、わが方から支払うということを考えております。
  175. 土井たか子

    ○土井委員 問題点はまだ残りますが、時間の方が許しません。終わります。
  176. 奥田敬和

    ○奥田委員長 玉城栄一君。
  177. 玉城栄一

    ○玉城委員 今回の日米両首脳会談、大臣、大変御苦労さまでございました。  私、今回の首脳会談、そしてそれに基づく共同声明を真剣に読ませていただいたわけでありますが、日本の将来、また日本自身の問題として思いをはせるときに、これはただごとではない、率直にそういう印象がするわけであります。いわゆるアメリカの世界戦略と申しますか、あるいは対ソ戦略と申しますか、そのもとにわが国がくくられて、今後わが国の外交はまさに身動きがとれないようなことになりやしないか。確かに評価される面もありますけれども、自分で自分の首を絞めるような結果になりかねない、そういうことを言っても過言ではないような感じがいたすわけであります。  そこで、これまで日米友好、いろいろなことをされてきたわけでありますけれども、わが国の生存の確保、また平和、安全の確保という目的のために、やはり日米友好、あるいは今回「同盟」という新しい言葉も出てきているわけでありますが、果たしてこういう状態でいいのかどうか、非常な不安があるわけであります。この共同声明は十六項目あるわけでありますが、最後までずっと読みますと、日米同盟から始まりまして、ソ連の脅威の問題、あるいはアジア、中東、アフリカ、中南米等々、まさに世界にわたるいろいろなことが書かれているわけでありまして、いま日本の置かれている立場を考えますときに、やはりそういうふうに左右上下というものをよく見きわめながら常に最善の道を選んでいかなくてはならないのではないか、いたずらにソビエトを刺激するようなこういう形でいいのかどうか、非常な不安があるわけであります。その点、大臣の御所見を承りたいと思います。
  178. 伊東正義

    ○伊東国務大臣 玉城さんの御心配になることはわれわれも十分注意しなければならぬことだ、こういうふうに思っております。アメリカ側と話したときにも、ソ連との対話というようなことにつきまして実はいろいろ話し、アメリカも窓は閉じないというようなことでやったわけでございまして、御心配のことにならぬようにということはわれわれも努力してまいりたいと思います。  ただ、共同声明で言っていますことは、いままで私、国会等で述べましたこととは、言葉のニュアンスの問題は別にしまして基本的な考え方は、国際緊張のもとというのがソ連のいろいろな一連の行動から起こっていることが多いという認識につきましては従来からも述べておりましたので、従来と変わったことを今度アメリカと約束したとか、重荷をしょってきたのだとかいうようなことは実は一切ない、私はそういうふうに考えておりますし、先生に申し上げても差し支えないことだというふうに思っております。     〔委員長退席、青木委員長代理着席〕
  179. 玉城栄一

    ○玉城委員 そこで、先ほどのお答えにも、また、ただいまのお答えにもあったわけでありますけれども、対ソ認識についてはわが国とアメリカは同じである、これは前々から言っていることである、そういうふうにおっしゃっておられるわけであります、対策においては別々だということでございますが。そうしますと、現在のレーガン政権は対ソ政策に対してはもともと強いアメリカ、そして力の外交と申しますか、いわゆる西側陣営が結束をして、軍事的にも優位を保って、封じ込めといいますか、そういうふうないわゆる力の外交を基本的な立場としているように私、承っているわけでありますが、そういうレーガン政権の考え方についても、やはりわが国としても同じであるというふうに受け取ってよろしいわけですか。
  180. 伊東正義

    ○伊東国務大臣 対ソ認識の問題でございますが、基本的な問題については一緒でございますが、それじゃアメリカは一切窓を閉ざして力だけの対決ということを考えているかというと、これはまた、話したのでございますが、そういうわけではございませんで、たとえばヨーロッパでも年末までには戦域核の問題につきましてソ連と話し合いをするということをはっきり言っておりまして、ヘイグ長官も、九月には国連総会に出るのでグロムイコ外相にもそれを話すのだということを言っておりました。  また、首脳会談の中でも、防衛の問題あるいは貿易の問題を話す窓口はあけてある、穀物禁輸の話も出ました、そういうことで、一方で力ということも考えるが、窓口はあけて話すのだということは首脳会談でも出たわけでありまして、私どもはそれは大切なことだ、こういうふうに認識しておりますし、それは非常にいいことだというふうに思っているわけでございます。  日本は御承知のような対ソ措置を考えておりますが、この間、ヘイグ長官と穀物禁輸の話をしましたときに、日本側のいままでやっている措置も改めて説明し、日本側の考えもいろいろ述べ、話してきたところでございますが、対応措置そのものについては、これは世界各国それぞれ事情があるわけでございますから、それぞれの国の事情に合ったような対策を考えていけばいいというふうに思っております。アメリカといえども単に力だけの対決ということじゃなくて、一方でそういう窓口、話し合いもするという態度をとっているということの説明もあったわけでございます。
  181. 玉城栄一

    ○玉城委員 大臣はいまいろいろとおっしゃっておられますが、先ほど高沢先生からも御質疑があったわけでありますが、この共同声明を読む限り、日米同盟であるとか、二項にはソ連に対する憂慮の念であるとか、あるいはわが国の適切な役割り分担であるとか、そういう強いものが出てきまして、おっしゃるところのたとえばデタント、緊張緩和の問題であるとか、米ソ首脳の平和的話し合いの問題であるとか、あるいは非核三原則の問題であるとか、何一つこの中に出てきていないわけですね。わが国の平和と、そして世界平和という立場から考えますときに、こういう大事な日米会談においてなぜそういう大事なことが共同声明の中に織り込まれなかったのか。  非核三原則の問題についても、大臣はたしかこの委員会でそういうことも考えてみようということもおっしゃっておられたわけでありますが、どうしてそういう一連のいわゆる平和的な政策というものがこの共同声明の中に出ていないのかということです。
  182. 伊東正義

    ○伊東国務大臣 先ほど申し上げましたように、非核三原則の話は私はヘイグさんとしたわけでございます。  共同声明の性格の問題でございますが、主として日米の関係、日米が共同で世界に話しかける問題というようなことを取り上げたわけでございまして、その中には軍縮の問題でございますとか、軍備管理の問題でございますとか、そういう日米で共通して働きかける問題もございますし、あるいは南北の問題、経済協力の問題、これは日米共通してやることでございますので、そういう問題を主として共同声明の中には取り上げたということでございます。
  183. 玉城栄一

    ○玉城委員 先ほども御答弁にあったわけですが、この一項にありますところの「日米両国間の同盟関係」ということについては、広い意味でいわゆる政治、経済、文化すべてを含むということですから、軍事という安保条約との関連等もあってそういうことも言えないことはないという意味の御答弁があったわけでありますが、この日米同盟関係というのはそういう軍事的な側面も含まれているというふうに解釈していいわけですね。
  184. 伊東正義

    ○伊東国務大臣 それは同盟条約の定義の問題だということを前提に申し上げたのでございますが、いまの安保条約は片務的でございます。双務的じゃないのでございますが、そういうものも同盟だというふうに御解釈になれば、それは前からあるわけでございますから、いま始まった問題じゃないのでございます。同盟条約の定義の仕方で、そういうものもみんな同盟条約だということでございますれば、日米関係は安保条約を結んだときから同盟条約があるわけでございます。これは定義の問題でございますということを前提にお答えをしたわけでございまして、今度の同盟関係というのは何も軍事的な同盟条約とか、そういうことを頭に置いたわけでございませんで、広く民主主義とか自由とか、そういうものを基調にしまして、その上に立った緊密な連帯関係といいますか、友好関係といいますか、そういうものを指して広い意味の同盟関係という言葉を使ったわけでございます。もちろん日本とアメリカの間には、外交上の基軸でございます安保条約という条約のあることもこれは否定はできない、あるわけでございますから。同盟条約の解釈の仕方でございますということを前提に私はさっき申し上げたのでございまして、特に今度同盟関係と言いましたのは同盟条約だというようなことを頭に置いて言ったのじゃございませんということを、土井先生に私は申し上げたのでございます。
  185. 玉城栄一

    ○玉城委員 頭に置いてそういうことを書いたのではないとおっしゃるわけでありますが、これは客観的に見まして、この共同声明の一項に日米の同盟関係、二項にはソ連に対する憂慮の念、一連の国際情勢についてのことが書かれているわけでありますが、こういうことからしまして、まあ先ほど軍事的ないろいろな話をされておられるわけですが、これは結局は対ソ同盟、いわゆる日米間に対ソ同盟的な色彩がこの共同声明の中からにじみ出てくると思うのですが、いかがですか。
  186. 伊東正義

    ○伊東国務大臣 特に対ソと言ってソ連を敵対するとか対決するとか、そういうことを頭に置いて言った、共同声明を書いたというわけではございませんで、日本の防衛というものは、何回も申し上げますけれども軍事的なものは自分の国を守るということしかできないわけでございますから、ソ連に向かってどうするということは軍事上何もないし、できないことでございます。また、そんなことを考える気は全然ありませんので、憲法上はっきりしているわけで、対決とか敵視するとか、そういうことを前提にしたものではない。  ただ、いまの国際緊張がソ連のいろいろな行動から出ていることが多うございますという現実の事実認識の上に立って共同声明を書いたということでございますが、よくお読みになりますと、経済協力の問題でございますとかそういう問題については南北問題というものをよく考えなければならぬ、特に南の国の平和が世界平和に大切だということも書いてあるわけでございまして、その点は世界の現状の認識をもとにして事実を書いたということでございます。ソ連を敵視するとか敵対するとか、そういうことを目的として書いたものじゃございません。
  187. 玉城栄一

    ○玉城委員 日米間に対ソ関係についての認識は一致している、そういう前提の上で、日米同盟関係というふうにわざわざ共同声明にうたっておられるわけですが、そうしますと、レーガン政権のとっています対外政策、いわゆる対ソ政策ですね、力の外交といいますか、いわゆる軍事的に西側は優位に保たなくてはならないという考え方については、大臣はどのようにお考えですか。
  188. 伊東正義

    ○伊東国務大臣 アメリカと話したとき、こういう話がよく出ます。アメリカがベトナム戦争に失敗して以来、いわゆる軍備の増強というものに熱心でなかった、片やソ連はその間に軍備増強ということをやっておりましたので、近い将来になるとバランスが不利になるということがある、それでやはり力のバランスというものは保っていかなければいかないので、そのために努力をせなければならぬということをアメリカがよく言っておるわけでございます。これはどっちが上か、どっちが下かということはいろいろな見方の問題がございますから、ここでどうならなければいかぬということを私は申し上げませんが、力のバランスがとれた状態でないといろいろな話をしてもうまく進まぬとか、そういうことがあるのだと言われているということだけは、私は事実として認めるわけでございます。
  189. 玉城栄一

    ○玉城委員 そういたしますと、結局、結論としてはレーガン政権の考えている力の外交政策というものは肯定されるということになりますね。
  190. 伊東正義

    ○伊東国務大臣 アメリカもそれだけで平和が保てるというふうには思ってないわけでございまして、先ほどから申し上げますように、いろいろ東側といいますか、まあソ連でございますが、そういうところにも窓口をあけて話し合いはしていこうという態度はとっているわけでございますし、また、第三世界といいますか、非同盟諸国といいますか、そういうところの平和が大切だということもアメリカも言っておるわけでございますので、力のバランスだけで世界の平和がくるかこないかということにつきましては、私は、それだけで世界に平和はくるものじゃない、軍備管理の問題もあれば、軍縮の努力もあれば、あるいは第三世界に対する経済協力のものもあれば、そういうものが力と総合されて世界の平和がくるのだというふうに私どもは思っておりますので、アメリカに対しましても経済協力の問題等いろいろ話したわけでございます。
  191. 玉城栄一

    ○玉城委員 そうしますと、結論として、レーガン政権の考えているいわゆる対ソ外交についての力の外交というものには必ずしも同調しない。これは西側陣営先進諸国の中にも、レーガン政権に対しては一部批判的な国があるわけですね。そういう意味で日本も、向こうとこっちは立場が違いますけれども、必ずしも同調はしていない、この中に書いてある日米同盟関係だとか、あるいは意見の一致だとかいうことはそういう意味ではないというふうに、はっきりおっしゃっていただけますか。
  192. 伊東正義

    ○伊東国務大臣 私の説明がどうも下手くそなのかもしれませんが、アメリカも力のバランスだけで平和が必ず達成するのだとは考えてない、こう私は思うわけでございまして、アメリカと話したときも、アメリカも力のバランスという努力はするが、ソ連とは話し合いの窓も開き、ヨーロッパでは戦域核の話も今年中から始めるのだ、あるいはSALTとか、そういう軍備管理とか、あるいは貿易の問題とか、そういうこともアメリカとソ連が話す窓口をあけているのだというような説明がございましたし、第三国に対してもその第三国の平和ということを考えていかなければいかぬということも意見の一致を見ているわけでございまして、アメリカは力だけだ、それで平和が達成するのだというふうには思っていない、アメリカも力だけではなくて経済あるいは政治、外交といろいろなもので総合して平和が達成できるというふうに考えていると私は思うわけでございます。  その点は日本も考え方はもちろん一致しているということでございまして、先ほどから先生はアメリカは力だけだというふうにお考えのようでございますが、アメリカもそれだけではない、ほかの努力もやはりやるのだということにおいて日本も一致しておるのだ、私はこういうふうに見ているわけでございます。
  193. 玉城栄一

    ○玉城委員 時間がございませんので。大臣もこの委員会でたびたびおっしゃいますし、総理も行かれる前にそういうことをおっしゃっておられるわけですが、わが国としてはやれること、やれないこと、これははっきりさせておきたい、そういうことを何回もおっしゃっておられるわけですね。今回の首脳会談で、わが国としてはどういうことはやれないということをお断りになったか、その点、あったら御説明いただきたいと思います。
  194. 伊東正義

    ○伊東国務大臣 総理が、二回目の首脳会談で時間をとってはっきりと、国会で述べておられます憲法上の制約、あるいは個別自衛権の問題で専守防衛、あるいは最少限度の自衛力という意味で軍事大国にならぬというようなお話、国民のコンセンサスというようなお話とか、いろいろレーガン大統領に言われたわけでございまして、レーガン大統領も、アメリカとして日本の憲法を変えてくださいとか、あるいは強制してこういうことを日本はやるべしというようなことは言わないということをはっきり言ったわけでございます。  私もヘイグ国務長官に、六月にまたハワイで会議があるということだから具体的な話があるだろうが、日本としてはできること、できないこと、これははっきりすべきだ、実は国防会議でも私はそういう意味のことを主張したのだ、できないことを約束して過剰な期待を持たせるというのは一番いかぬということが私の考え方だということを話したわけでございまして、総理もその点ははっきり向こうに言われたわけでございます。
  195. 玉城栄一

    ○玉城委員 先ほどの質疑にもありましたが、これも共同声明の中で非常に重要視されておりますが、来月の大臣レベル、事務レベルの会合、これに大変期待を持たれ、またわが党としても重大な関心を持ち、注視をしているわけであります。先ほどの防衛庁の方のお答えでは、何か情報交換で大したことはないような御答弁があったわけで、これは大臣から、その両会談における議題、どういうことが議題として討議をされるのか、それをはっきりさせていただかないと、ただその場任せでは――共同声明にもあるわけですから、おおよそのことをおっしゃっていただきたいとわれわれは思うのです。
  196. 伊東正義

    ○伊東国務大臣 共同声明を書きますときに、六月にはこういうこと、こういうことを議題としてやるのだというような具体的なことを挙げて向こうと話したということは今度はございません。総理とは、ハワイ会談のことにつきまして、出かけていく前に総理として自分の考えを防衛庁に十分伝えて、できることとできないことがあるのだからということをはっきり伝えるという意味のことを言っておられるわけでございまして、議題としましていま具体的に何と何をやるというようなことを共同声明をやりますときに決めたということはございません。
  197. 玉城栄一

    ○玉城委員 いや、わが国としてはどういうことを考えていらっしゃるのですか。来月、両会談でどういうことを討議しようという考えを持っていらっしゃるのですか。何にもないわけですか。
  198. 淺尾新一郎

    ○淺尾政府委員 先ほども塩田防衛局長から答弁いたしましたように、従来の例から申しますと、安保事務レベル協議におきましては、主として自由な意見の交換ということで、まず国際軍事情勢、それからアメリカの国防政策及び日本の防衛政策、こういうことでございます。  今回の会談においても、まだ議題はもちろん決まっておりませんが、まず内容は全く自由な意見の交換である、したがって、そこで話すことは両国政府を拘束するものではないというのが性格でございます。
  199. 玉城栄一

    ○玉城委員 そうしますと、たとえばわが国の防衛力の増強の仕方の問題、あるいは例の一%の見直し、大綱の見直しの問題、そういう問題は討議はされないわけですね。
  200. 淺尾新一郎

    ○淺尾政府委員 これからアメリカ側とまだ議題を詰めていくわけでございまして、現在の段階でいま玉城委員が言われたようなことが討議されるかどうかということをここで私また断言して、そうでないということになると、まだ時期的に尚早であるというふうに思っておりますが、もちろん日米の防衛当局間の意見交換でございますので、日本の防衛問題、あるいはその日本の防衛力整備についてのアメリカ側の関心事項、これは当然お互いに意見を交換するということになると思います。
  201. 玉城栄一

    ○玉城委員 大臣、そうしますと、先ほど申し上げました防衛大綱の見直しとか、そういうことも話はされる可能性もあるわけですか。
  202. 伊東正義

    ○伊東国務大臣 これは防衛庁がお答えになることでございまして、私どもから、防衛計画大綱をどうするかというようなことにつきましてここで議題にするのだとかしないのだとかいうことはお答えをする段階じゃないと私は思いますので、これはまた何かの機会に防衛庁にひとつお尋ねを願いたいと思うわけでございます。
  203. 玉城栄一

    ○玉城委員 これ以上はあれですが、わが国の財政の厳しい中、福祉予算を削り教育予算を削って、ひたすら防衛費の増額を特別扱いとか、とんでもない方向、これは重大な問題で、そういうことが絶対にないように強く要望をしておきます。  これも先ほど質疑の出た問題ですが、八項の日本の領域及び周辺海域空域における防衛力云々の問題、これは約束をしてきた、まあ努力をするということだから、当然やらなくてはならないというようなことでありますが、御存じのとおり現在厳しい財政状況ですね。そういうことは財政の状況でできない、そういう満足のいくようなことはできないということがあっても、別にこれは米側から文句を言われる筋合いのものではないというふうに理解してよろしゅうございますか。
  204. 伊東正義

    ○伊東国務大臣 これは努力をしましょうと言って努力目標を掲げて、数字とかそういうものは一切掲げてございませんが、努力しましょうという約束をしたのでございますから、まず努力をして実現するように一生懸命やるのがやはり信頼関係をつなぐことだと私は思っております。
  205. 玉城栄一

    ○玉城委員 そうすると、やはりこれは約束されていることになるわけですね。そのように理解せざるを得ないですね。
  206. 伊東正義

    ○伊東国務大臣 努力をするという約束はしました。だけれども、何%ふやすとか、どうふやすとか、そんなことは一切言っていないので、努力をしますという約束をしたのですから、これは努力をするつもりであります。
  207. 玉城栄一

    ○玉城委員 なぜそのことを申し上げるかと申しますと、大臣、お亡くなりになられた大平総理は、数字の話を持ち出しまして、数字がひとり歩きし、そのとおり約束しなかったということで米側は不満、不平、それがいろいろ尾を引いているわけですね。ですから、今回のこの場合においても、実際に数字をお挙げにならなかったでしょうけれども、実質的に莫大な天文学的な数字がこれは必要になってくるわけですね。現在の財政状況からして、こんなことをやったらとんでもないことになるわけですね。ですから、たとえこれに書いてあったにしても、たとえできなくても米側から文句が言われ、あるいはいろいろ責められるというような筋合いのものではないと理解してよろしゅうございますか。
  208. 伊東正義

    ○伊東国務大臣 去年数字がひとり歩きしてというようなあれは、九・七という数字がひとり歩きしていろいろ問題を起こしたわけでございまして、今度はそういうひとり歩きするような数字というのは一切、実は向こうには言っておりません。それで、いま玉城先生のおっしゃったように、莫大とか天文学的と言えばなんでございますが、そういうことはあり得ないことでございますので、総理も首脳会談で、そういう防衛だけ突出するというようなことになれば大変なことなんだということをレーガン大統領にるる言われたわけでございますから、努力するといってもそれはおのずと許容限度というものがあるだろうと私は思いますが、まず努力をすることが一番でございますから、ここに書いてあるように一生懸命に日本側として努力するということはやらなければならぬと私は思っております。
  209. 玉城栄一

    ○玉城委員 冒頭にも申し上げましたけれども、本当にわが国は手足をくくられまして抜き差しならぬ状況に置かれているわけですね。大臣も一生懸命努力をする努力をするということを強調しておられるわけですけれども、こういう行き方に対して私たちは非常に不安に思うわけであります。  これは冒頭にも申し上げましたけれども、そういう平和的な、デタントとか、緊張緩和だとか、大事なものはこの中には何一つない。軍縮ということを盛んにおっしゃられますけれども、そのことを見ましても、東西のバランスをとりながら云々というような感じで、これもちょっとよく理解できないのです。  このように同盟関係とか、そういうことでぴたっといった場合に、たとえば大臣がさっきおっしゃいましたように穀物の対ソ禁輸解除の問題にしましても、あるいは古くは中国と頭越しに、一夜明けてみると、ぴたっとやっていたわが国はとんでもないかっこうになった、そういうことが過去にもあるわけですね。ですから、こういうふうな、ある人に言わせれば対米追従的な外交で本当にわが国の生存と安全というものが確保できるのかどうか、非常な不安があるわけです。  大臣は十七日、十八日、沖繩にいらっしゃるわけですが、いま申し上げましたこの周辺海域のどうのこうのということからしまして、これは常識的に素人が見て、特に沖繩の基地というものは御存じのように現在パンク状態ですから、これ以上基地の強化というものがされたらもう大変なことになるわけですね。したがって、こういうことの約束のもとに沖繩のあるいは自衛隊の基地がこれ以上強化されるということがあってはならないと思うのですが、いかがでしょうか。
  210. 伊東正義

    ○伊東国務大臣 沖繩につきましては本当に特殊な事情で、非常に施設、区域の密度が高い地域だということはよく知っておりますので、私もいま玉城さんがおっしゃるように一回行ってみようと思っているわけでございますが、民生安定ということとの調整をとらなければいかぬわけでございますので、その点は、おっしゃったことは十分頭に置いて今後も話し合いのときには臨むというのが日本の態度であるべきだと思っております。
  211. 玉城栄一

    ○玉城委員 最後に、そうすると自衛隊の沖繩の基地が強化される心配はないというふうに理解してよろしゅうございますね。
  212. 伊東正義

    ○伊東国務大臣 自衛隊の話をされたわけでございますが、これは私が答弁するのはちょっとぐあいが悪いことでございますので、ひとつそれは勘弁をお願いします。
  213. 玉城栄一

    ○玉城委員 時間がありませんので、また次の機会にいたします。
  214. 青木正久

    ○青木委員長代理 渡辺朗君。
  215. 渡辺朗

    ○渡辺(朗)委員 大臣、どうも御苦労さまでございました。お疲れのところ、早速幾つかの問題をお伺いさせていただきたいと思います。  率直なところ、大臣、今度行かれまして、この首脳会談をどういうふうにお考えでございますか、印象をお持ちでございますか。大成功だったというふうにお考えでございますか、期待どおりうまくいったというふうにいまお思いでございますか、率直な感じをまず聞かしてください。
  216. 伊東正義

    ○伊東国務大臣 総理の訪米の結果に点数をつけるようなものでございますから、採点はひとつ御勘弁を願いたいと思うのでございます。私は、今度行きまして、総理とレーガン大統領が二人だけでも大分長い時間話されたわけでございますが、その二人だけの中でも非常に重要な、穀物の問題でございますとか、原潜の問題でございますとか、いろいろ出たりしたわけでございますが、二人が話されて個人的な親近感といいますか、信頼感といいますか、そういうものが生まれたということは非常によかったというふうに見ておるわけでございます。  また、話し合いも率直な話し合いができまして、たとえば防衛の問題が出ましたが、総理からは国会で言っておられたとおりのことを実は言われたわけでございます。国会で答弁になっておられることを向こうに言われた、向こうも、それは日本の立場が憲法の制約の中でやっているということはよくわかる、憲法を変えてくれとは言わぬというような前提でまた率直な考えを述べるということがあった。あるいはアジアの問題、中国の問題、あるいは韓国の問題、カンボジアの問題、ソ連の問題、中南米の話も出ました。そういう話をまた向こうとして率直に話をするというようなことでございましたので、首脳会談というものはお互いに信頼感を増し、そしてお互いが考えている国際情勢の問題でございますとか、懸案の問題でございますとか、こういうものについて話し合いをするということでございまして、私はそれなりに非常に有意義であったというふうに思っております。
  217. 渡辺朗

    ○渡辺(朗)委員 私、いまの御説明を聞いて一つには安心したのですが、それは、十分の意思あるいはこちらの要望事項、見解、そういうものも開陳された。しかし、大臣、どうでしょう、共同声明の形にはそれが、事務的な前後左右のずれもあり、十分盛られていないという感じはお持ちではございませんか、その点、いかがでございますか。
  218. 伊東正義

    ○伊東国務大臣 共同声明には、大体意見の一致を見たということを中心に、そして世界の情勢とか認識とかいうことを書いたわけでございまして、こっちで言ったことが全部載るとか向こうで言ったことが全部載るということにはなっておらぬというのが、いつもの共同声明の性格ではなかろうかと思うわけでございます。今度盛ってあることは、大体意見の一致ができたようなことが大部分載っておるわけでございますので、私はそう大きな問題は落ちているとかいうことはないというふうに思っております。
  219. 渡辺朗

    ○渡辺(朗)委員 大臣、その際に、一致したことだけを載っけるのが共同声明、私はそういうものではないと思うのですね。  いまなかなか複雑な国際情勢で、大臣も先ほどからたびたび言っておられます対ソ認識にしましても、やはり認識は一緒であっても対応が違うのだ、では、違うところもやはりちゃんと言っておかぬといかぬ、そういうことであったと思うのです。それでないとあちこち誤解が出てまいります。ですから、その違いはここに載っかっているとお考えですか、日本側が違うぞと思うことはここへちゃんと入れてあるというふうにお考えですか、どうですか、大臣の率直な印象をひとつ聞かせていただきたい。
  220. 伊東正義

    ○伊東国務大臣 たとえばいまおっしゃいました対ソ措置、今度は措置の問題になりますと、あるいはポーランドにもしも介入があった場合の措置というようなことになりますと、これは実は違った問題があると思うのです。しかし、今度の会議で対ソについて、われわれとしては具体的にこういうこと、こういうことを考える、こういうことは緩めるとか、こういうことはポーランドの場合はどうするとか、そこまで実はやらなかったわけでございますので、共同声明に盛られたことは、話の出ました大部分の一致点が載っているということでございます。
  221. 渡辺朗

    ○渡辺(朗)委員 それでは、大臣、もう一つ率直な感じをお聞かせください。この首脳会談を通じまして、いまお話を聞きますとこれから一層友好関係が深まっていくというふうに考えてよろしいのでしょうか、日米の協力関係も同時に深まっていくであろうというふうに考えてよろしいのでしょうか。
  222. 伊東正義

    ○伊東国務大臣 今度の首脳会談の一つの特色は、民主党のカーターさんにかわって共和党のレーガン大統領が新しく誕生した。これから共和党のレーガン政権の、安全保障とか、外交とか、エネルギーとか、いろいろな政策が出るわけでございます。日本側も鈴木総理という新しい内閣ができて、新しい内閣同士で話し合いをされるということでございまして、いままでは何回か会った首脳がまた会うというようなことがあったわけでございますが、今度は初めてでございますので、本当にどう考えているのかなということをやはりはだで知るということが私は非常に大切だったというふうに思うわけでございまして、私は、今度の首脳会談をされたことによっていろいろな関係がより密接になるだろうというふうに考えます。  といいますのは、密接という意味は、何も日本が好まぬことをやるという意味ではちっともないわけでございまして、いろいろな重要な問題については十分協議するというようなことを実はレーガン大統領も鈴木総理に言っておられるわけでございます。たとえば穀物禁輸につきましても、通報だけで協議しなかったということはやはりまずかったのじゃないか、ああいう問題は協議した方がよかった、実は時間がなかったのだというような話をされたそうでございまして、いろいろな重要問題については、会談でも言っておられましたが、ひとつまず電話で何かあったら協議しよう、特に、大臣同士で話のつかぬようなことがあったら何でも電話をかけてくれというようなことを、並みいる大臣を前に置いてレーガン大統領が言っておりました。  そういうような点で、両国の関係というものは、いままでは新しい首脳が太平洋を隔てていろいろ人の話を聞いたわけでございますが、直接会って話をされたということは、それなりに私は非常に意味があったことだというふうに考えております。
  223. 渡辺朗

    ○渡辺(朗)委員 さて大臣、私、率直にいまの共同声明を読んだ場合に、こんな感じを受けるのです。それは、日米の両首脳がソ連の軍事力増強、これを背景としたソ連の動き、これに対して憂慮、そういう認識に立つ、そして日米間の同盟関係を一層強化していくというふうな、背骨として非常にそういうものが貫かれているのじゃなかろうか。  確かに、このむずかしい国際情勢の世界に対処するに当たって、日米両国が緊密な協力のもとで問題を解決するように努力していくということ、そしてまたそれを明確化させるということは、大変重要だと思います。しかし、重要だけれども、今回の共同声明でちょっと不思議に思うところは、いままでの共同声明の中には、安保体制あるいは両国の友好関係、これを堅持するというのがいつでも大体貫かれていたところでございます。そこに今度新たに「日米両国間の同盟関係」という言葉が入ってきたのはどういう意味を持っているのだろうか。率直に言って新聞なんかでも、この問題がやはり一番論点として論じられているところでございます。国民の中でも、なぜこの「同盟関係」という言葉が、演説や何かではなくて、公式の共同声明の中に盛り込まれたのかということでございますが、これについては大臣はどのようにお考えになりますか、ひとつ教えてください。
  224. 伊東正義

    ○伊東国務大臣 「同盟関係」という言葉が入りましたのは、現実の状態の認識といいますか、それを言葉にあらわしたという意味でございまして、いままで、先ほどから話しました去年、おととしあたりは、総理がアメリカへ行って演説に使っていた言葉だということでございました。いままでも日本の総理が使っていた言葉でございますが、これは先ほどから言いますように、何も軍事同盟ということを考えたのじゃなくて、非常に緊密な友好関係、緊密な連帯関係ということをこういう言葉で言いあらわしたということでございまして、特に同盟関係という言葉を使ったから軍事的に日本がいままでよりも以上のものを引き受けるのだとか、そういうことではなくて、そういうことを全然考えてない、アメリカと日本との関係は、本当に日本の外交の基軸であり、非常に緊密な関係にあるのだということをあらわす意味で使ったのでございます。  しかし、そうだからと言って、いろいろな措置まで、あるいは外交のやり方まで、全部一緒にやるのだというようなことは、これは毛頭考えてないわけでございまして、それぞれの国は独自なものがあるわけでございますから、基本の認識はそういうことでございますが、その対応策、いろいろな現実の問題についての具体的なとるべき措置については、これはその国の独自の判断でやっていくのだということでございます。
  225. 渡辺朗

    ○渡辺(朗)委員 大臣、その際に、同盟関係というのは、どうしてこれは「同盟関係」になるのでしょうか。英文の方でははっきりと、日本とアメリカ合衆国の間における「ザ・アライアンス」となっております。なぜ日本語の方の翻訳文では「同盟関係は、」となるのか。別にこれは同義語だと言えば同義語だけれども、何かずいぶん、ちょっと水で増して薄められているような感じがいたします。この違いには、大臣、私が悪意をもって聞き、あるいは善意をもって聞いた場合、どのようにお答えになりますか。
  226. 淺尾新一郎

    ○淺尾政府委員 確かに英語では「アライアンス」、片方は「同盟関係」というふうに訳しておりますけれども、ここで言っております同盟というものは、「同盟関係」と日本語で訳しておりますように、そこではいわゆる軍事的な同盟ということでなくて、日米が共通の価値観を分かち合っているということを念頭に置いて、日本語においては「同盟関係」という言葉を使っているわけでございます。     〔青木委員長代理退席、松本(十)委員長代理着席〕
  227. 渡辺朗

    ○渡辺(朗)委員 漢和辞典を引っ張り出していろいろすることはないと思っておりますけれども、私、この辺でいつでも気になることがあるのです。いままでもそうですけれども、英文で書いてある言葉と、それから日本語に翻訳された場合に、何かいつでも水増しされたり、それからちょっと日本国内向けに、いわゆるホーム・コンサンプションと言うのでしょうか、そういう訳語がいつでも従来もとられてきているのではあるまいか。  今回でも、「ザ・アライアンス」となっている場合には、軍事同盟も含む、軍事的なものの協力、これも含むものとしてアメリカが受け取っても、あなたはいまそのように非軍事的なものだとおっしゃるけれども、アメリカ側がそう言ってきた場合には、実際に事務当局としてどう対応されますか。いや、そんなことはないと、どこにもうたってないのですから。きちっとそれの違いというところが、解釈にもこれだけの違いがありますよということがうたってあるならばいいですよ。公式の文書にないでしょう。「ザ・アライアンス」だけが残るわけです。これはどういうふうにされますか。
  228. 淺尾新一郎

    ○淺尾政府委員 これは、共同声明をアメリカ側と実際にいろいろワシントンにおいて協議いたしました。その際に、「アライアンス」ということに書かれているその内容は、先ほど私が申し上げましたような意味でのアライアンスであって、即、軍事的なものを含まないということは日本の認識であるということを先方に言い、先方もそういうふうに理解して結構であるということをやりとりした経緯がございます。
  229. 渡辺朗

    ○渡辺(朗)委員 その経過はわかります。しかし、その解釈はそれぞれによって違うように玉虫色みたいに見える「ザ・アライアンス」であっては困るわけです。やはり文書にそれがきちっと残ってないといけないでしょう。  ところで、大臣、お聞きしますけれども、この共同声明で日米間の同盟関係を明確にしたということは、どういうふうに理解したらいいのでしょうか。日米の両国首脳がお互いに共同の目的のために共同歩調をとり、同一行動をとるということを政治的に約束したというふうに理解してよろしいのでしょうか。
  230. 伊東正義

    ○伊東国務大臣 先ほどから申し上げますように、同盟関係というのは、広い意味で経済の問題あるいは文化の問題とか、いろいろなものを含めた関係を頭に置きまして、基本的には自由主義あるいは民主主義というものの共同の価値観といいますか、そういう認識の上に立った広い関係のものだ、緊密な連帯関係だ、こういうことでございますので、これは広い関係だというふうに解釈していただきたいと思うわけでございます。  その前提になっております自由主義の問題とか民主主義は、これはもう変わらぬわけでございますから、そういうものについては共同一致した行動をとるということが非常に多いと思うわけでございます。しかし、それから出てくるいろいろな対策でございますとか、そういうことにつきましては、全部が同一歩調、同一行動とは私は限らぬと思うのです。問題によりましてその国その国の独自な事情、国力というようなことがあるわけでございますから、それは基本的には民主主義、自由主義というものの価値観は一緒でありますけれども、国としてとる具体的な政策についてはおのおの違いがあるということは前提だと思います。ただ、大きな問題についてはそういうときに事前によく協議するとか連絡し合うとか、そういうことは緊密な連帯関係ということから言えば必要だというふうに考えております。
  231. 渡辺朗

    ○渡辺(朗)委員 私は、国際情勢の認識がどこまで、どういうふうに議論されて一致したのか、そこら辺を聞きたいと思うのです。  大臣、私は同盟という言葉が使われたのをお聞きしているのであって、いや、軍事的なものではありませんということだけを強調されるのは、ちょっと異様に思うのです。もし本当に軍事的なことまで必要なような情勢であるならば、もっと国民の前にはっきり言った方がいいと思います。こういうことを話し合ってきた、こういう国際情勢なんだ、だから日本は本当にうかうかしておれぬという意味で、もっとはっきりおっしゃった方がいい。その点は何か言葉の解釈だとか、日本側で一方的に、これはよくアメリカにも了承を得たことだというふうなことを言いながら、アメリカの理解していることと違った解釈で押し通そうとすると、やがておかしなことになってしまう。  この非軍事的なことはいま何遍もおっしゃっておられますが、では、アメリカ側の方でどなたにそれを話し、それが向こうで、どこかに了解したということできちっとして残っているのでしょうか、そこら辺をもう一遍確認しておきたいと思うのです。
  232. 伊東正義

    ○伊東国務大臣 具体的には政府委員の方から申し上げますが、私が軍事同盟ということを頭に置いて約束したのではないということを申し上げておりますのは、軍事というのを日本で考えますと憲法でも制約があるわけでございまして、日本は日本を守ることしかできないのだというのはもうはっきりしているわけでありますから、それ以上広げて軍事同盟なんということはできない、日本は軍事的には個別自衛権しかないのだということはもうはっきりしていることでございます。  さっきから土井先生と私がやりとりしております片務的な安保条約、それが軍事的な同盟のようなものじゃないかと言われれば、安保条約を結んだときからこれはあるわけでありますから、それは何も否定しませんが、広い意味ではこれはそういうことも入った軍事関係だということを先ほどから申し上げているわけでございまして、単に軍事同盟というものをここで両国が相談してきたのだというようなことはございませんということを私は申し上げておるのでございます。何かそれだけ強弁するのはおかしいじゃないかという御質問でございますが、いろんなことで盛んに言われますので、まずそれをはっきり言っておかなければならないということで私は申し上げているところでございます。
  233. 淺尾新一郎

    ○淺尾政府委員 この点について日米間で誤解があってはいけないという問題意識はまさに私たちも持っておりまして、共同コミュニケの作業をワシントンで集中的に行っている際に、在ワシントンのわが方の政務担当の参事官と、先方の国務省の国務次官補代理を含める責任者との間で、日本側の解釈は先ほど申し上げたようなことである、アメリカ側もそれで差し支えないということを何回も話をしております。
  234. 渡辺朗

    ○渡辺(朗)委員 これはまた別の機会にぜひぜひ突っ込んでいきたいと思うところでございますが、今回新しく出てきた問題としてもう一つあるのではあるまいか。  それは、プレスクラブなんかにおける総理の演説にもありましたけれども、わが国の周辺海域数百海里と航路帯一千海里の防衛に言及しています。そして、共同声明の中には、日米の役割り分担と、日本の領域及び周辺海空域における防衛改善、これを併記しているわけですね。その場合に、特に私、わからぬのは、空域というのはどういうところでしょう。先ほど、海域の問題、空域の問題、いろいろ論議が出ておりましたけれども、空域というのは、どこまでの範囲が日本の空域というふうにお考えでございますか、大臣、もう一遍聞かせてください。
  235. 伊東正義

    ○伊東国務大臣 領土、領空ということをよく使うわけでございますが、領土の上の空が領空ということで、法律的に領土、領空ということを使っております。周辺海域と言いましたのは、防衛庁がよく数百海里ということを言っておりますので、その海域の上の空域というふうに私どもは解して使っております。
  236. 渡辺朗

    ○渡辺(朗)委員 海域の上にある空域ですか。もう一遍そこら辺、ちょっと明確におっしゃってください。
  237. 淺尾新一郎

    ○淺尾政府委員 先ほど大臣の答弁されたとおりでございまして、防衛計画の整備で現在自衛隊が周辺水域について整備をしておりますが、同時にそのことは、周辺水域を守るということについては、その周辺水域の上にある空域についても日本側として自衛力整備の対象にしているということでございます。
  238. 渡辺朗

    ○渡辺(朗)委員 大臣、ここでもう一つ確認しておきたいのですが、アメリカ側とお話し合いをされている際に、極東におけるソ連の軍事的な脅威がいろいろ論議されております。その際に、六千七百キロの航続距離を持つバックファイアの極東配備を前提にしたソ連の脅威ということだったのでしょうか。空域の問題が論議されなければこんなことが話されるわけはないし、その場合に、その前提として極東におけるソ連の脅威というものがある。それは一体具体的に何を指していたのでしょう、そして、そこからどういうふうにしてこの空域、海域の問題が出てきたのでしょう、そこら辺をちょっと私、聞きたいのです。御記憶を思い起こしていただいてお聞かせいただきたいと思います。
  239. 淺尾新一郎

    ○淺尾政府委員 今回の首脳会談で特にバックファイアに言及したやりとりというのはございません。ここで言っております水域の、あるいは輸送路の防衛ということになりますと、当然哨戒その他ということで空域についての自衛力整備ということも必要になって、そういう観点からここに日本の周辺の水域と空域というのを並べてあるわけでございます。
  240. 渡辺朗

    ○渡辺(朗)委員 もう一つ、ちょっとそれに関連してお聞きしたいのですが、空域という問題を考える場合に、これは制空圏を意味する問題ですか、お聞かせください。
  241. 淺尾新一郎

    ○淺尾政府委員 今回の首脳会談で、その制空圏とか、そういう細かい具体的な議論は全然いたしておりません。まずそれを申し上げます。  そこで、ではそういう水域における日本の安全を確保するためにどうしたらいいかということになれば、当然その水域の上にある空域で活動いたします哨戒も必要になってくるという意味での空域ということでございます。
  242. 渡辺朗

    ○渡辺(朗)委員 大臣、いまの答弁は、どうもここら辺で政府の従来答弁から一歩踏み出しているのではないですか、どうですか。防衛政策の基本にも関連してくると思うので、大臣、ちょっとお聞かせいただきたいのです。  もう一遍言いますけれども、今度の共同声明で特徴的なことは、ソ連の脅威ということが一つ憂慮され、それからまた、日本側の方の拡大された海空域の防衛というものに役割りを分担するということがうたわれているというのが特徴だと思うのです。そうすると、いま御答弁いただきましたが、ちょっと大臣、これは従来の答弁から海空域という問題が逸脱していま理解されているのじゃなかろうか、いかがでございますか。
  243. 伊東正義

    ○伊東国務大臣 今度の首脳会談で向こうで話したことは、いままでの防衛の分担の区域を広げるとか、いままで以上のことをやりましょうというようなことは一切首脳会談では話をしなかったのでございまして、先生のおっしゃるように、何かこの共同声明でいままで以上に防衛で踏み込んだのだということは私はない、少なくとも首脳会談ではそんなことを話したことはないわけでございます。
  244. 渡辺朗

    ○渡辺(朗)委員 もしお話をされてないとすると、これからの事務的な、あるいは防衛庁長官の訪米などの際に、恐らく具体的に打ち合わせをされるのであろうと思うのです。それだけになかなか大事な問題だと思うのです。  そこでもう一つ、別の角度から私、外務大臣にお聞きしたいのですけれども、大臣はどういうふうにお考えでございましょうか。「防衛計画の大綱」というものがございました。それで、もし今回の共同声明で指摘しているように、ソ連の軍事的な増強やら、あるいは脅威というようなものがあるということになりますと、「防衛計画の大綱」そのものを見直さぬといけない。というのは、当時防衛大綱を決めたときにはそういうものは何も触れておりませんでした。したがって、別表だけを早く実行してしまえというような形でいくのではちょっと問題が出てくるのじゃなかろうか。防衛大綱と別表というのは全然別で、整合性がないのじゃなかろうか。特にいまは別表の方だけがひとり歩きするというか、先走りをしておりますけれども、そういう点について大臣はどのようにお考えでございますか。
  245. 伊東正義

    ○伊東国務大臣 防衛計画大綱と別表、これは一緒のものでございまして、この前も国防会議でいろいろ問題になりましたのは、まだ日本は防衛計画大綱の水準までにもいってないのだ、防衛計画大綱の水準を達成するということがまずやることじゃなかろうかというみんなの認識で、それでは何年にそれがというようなことで国防会議で大分いろいろ議論が出たわけでございまして、防衛計画大綱を見直して、改定をしてという議論は出ませんでしたし、われわれとしましては、やはり防衛計画大綱の水準をまず達成する、それを何年に達成するのだということが私はさしあたりの問題だというふうに理解しております。
  246. 渡辺朗

    ○渡辺(朗)委員 そうしますとますます不思議になってくるのですが、こういうふうに今回共同声明で海空域の問題が触れられ、それからまた、総理大臣もそこで約束しておられる。そうすると、その地域を日本の自衛隊が守ると言いますけれども、一体だれがどうやって守るか。現在の海上自衛隊なり、あるいは空を守っている航空自衛隊の勢力をもってしては、ちょっと能力的にも不可能でしょう。大臣、その点はどのようにお考えでございますか。結局、そこの増強を急速にしていかないと、これはアメリカに向けての単なるリップサービスになるような分担であり、約束であるということになりませんか。
  247. 伊東正義

    ○伊東国務大臣 私は軍事専門家でございませんので、渡辺さんのおっしゃるのに的確な答弁はできないと思うのでございますが、防衛計画の水準を達成するということは日本の閣議でも決めていることでございますから、それをまず達成するのだ、その結果どこまでどうできるかということはそれからの問題だと私は思うわけでございまして、ヘイグさんにも私、言ったのでございますが、日本としてできないことまで約束して、そうして過剰期待をアメリカに持たせるというようなことは一番悪いことなんだから、そこはできること、できないことをはっきりするというふうなことを今度も私はヘイグさんに言ったのでございます。  いまどこまでやればどこまで守れるかというようなことは、これは非常に専門的な問題になりますので、防衛庁の方にお聞きを願いたいと思うのでございますが、単にリップサービスをして、そしてあと、できなかったということは、これは本当に不信感を招きますので、それは厳に慎まなければならぬ。今度の共同声明でも、数字的な問題とか、具体的な問題とか、そういうことは一切何も約束するとかというふうなことはなかったわけでございまして、この共同声明に沿うて日本としてできることはどこまでだということを総理もレーガン大統領にそれははっきり言っておられるわけでございますから、その点は渡辺先生のようなリップサービスというようなことにならぬように、これは十分日本として気をつけなければならぬというふうに私は考えております。
  248. 渡辺朗

    ○渡辺(朗)委員 時間もありませんので、あと一、二だけ簡単にお答えいただいて、終わりたいと思います。  一つは、経済援助のあり方でございますけれども、私どもの党の委員長が、総理が訪米される前の党首会談の際にも申し上げたのです。これは選別的に経済援助をするのではなく、あるいは戦略的に重要地点に援助をするのではなく、南北問題そのものの観点から、途上国、そして必要なところに援助を拡大していくという基本的な姿勢で臨んでほしいという要望もしております。ところが、この共同声明の中では、「世界の平和と安定の維持のために重要な地域に対する援助を強化してゆく」これを日本側で、日本の総理大臣が言っておられるのですね。そうしますと、これはアメリカの選別的な、戦略的な経済援助に同調したのではなかろうかという懸念を私は持つのですけれども、大臣、いかがです、簡単にひとつ。     〔松本(十)委員長代理退席、委員長着席〕
  249. 伊東正義

    ○伊東国務大臣 いまおっしゃったのは九番目の問題でございますが、その前段がございまして、「世界の平和と安定の維持のためには開発途上国の政治的、経済的及び社会的安定が不可欠であることを確認した。」こういうことを書いてあるのでございまして、このことは実は南北問題ということでいろいろ話したわけでございます。日本としてはやはり南北問題を重点に考えているのだ、しかし、その中で西側の一員として日本でやりましたのは、パキスタンでございますとか、トルコでございますとか、あるいはタイでございますとか、そういうところに対して紛争周辺国として援助をしたという事実があるわけでございまして、これはそういうこともあわせて頭に置いて考えますということを言ったのでございまして、あくまで、この九項の先の方をごらんになりますと、南北問題をずっと書いているわけでございまして、やはり南北問題が中心でございますという方針は変えておりません。
  250. 渡辺朗

    ○渡辺(朗)委員 もう一つ、時間がありませんので、大臣はここで先ほどからもしばしば言っておられます。基本的な認識は一致したけれども、対応の仕方はソ連に向けて違うのだ、独自性を持っていくのだということを言っておられます。大変結構なことだと思いますが、やはり事は戦争か平和かの問題であり、アメリカの方が、片手に剣を持ちながら片手にバイブルみたいな形で、剣は持っているけれども、同時に穀物の禁輸措置は解除する、そういうこともやれる。ところが、日本の方は一体どうするのだろうか、何か一緒になってげんこつだけ振り上げたけれども、いつどこでおろすのか、これからの対ソ外交について独自の路線を歩むとされるならば、大臣としてはいまどのようなプログラムを持っておられますか、これをひとつぜひ聞かしていただきたい。
  251. 伊東正義

    ○伊東国務大臣 渡辺さんは戦争か平和だ、こうおっしゃいましたが、戦争にならぬようにするのが本当にわれわれの役目だ、こう思っているわけでございます。でございますので、アメリカも力だけじゃなくて、さっきから言いますように対話の窓口は開いておくのだということで、具体的な例として戦域核の問題なんか向こうから説明があったわけでありますが、日本としまして従来やっておりましたココムでの高度技術製品の問題、あるいは政府の信用供与の新規のものについてケース・バイ・ケースでやっていた問題、あるいは政府のハイレベルの人的交流というものをやっていなかったということがございますので、政府としましても、今度共同声明を出すその前提のいろいろ議論したものを受けまして、大筋はアフガニスタンの問題、領土問題等を変えないのでございますが、いろいろな措置について検討するということはやっていこうと思っております。
  252. 渡辺朗

    ○渡辺(朗)委員 どうもお疲れのところ、ありがとうございました。
  253. 奥田敬和

    ○奥田委員長 金子満広君。
  254. 金子満広

    ○金子(満)委員 大臣、お疲れのところ大変恐縮ですが、端的に伺いますから、率直に答えていただきたいと思うのです。  私は率直に言って、今度の日米首脳会談というのはこれまでのそれと違って、質的にもきわめて重大な変化をもたらした、その結果出された共同声明は、これから日本の国民に対して大きな負担を強いている、こういうことは必至だろうというように思います。会談の中でレーガン大統領が、アメリカの各国との同盟関係の中でも日米同盟関係が最も重要だという表明をいたしました。そして、その共同声明の中には、先ほどから言われておりますように「日米両国間の同盟関係」ということがうたい込まれたわけです。これは両者が確認をしたわけであり、しかも両国の責任者でありますから、これはもちろん約束であり、実行するものであることは言われるとおりです。しかし、このことは単にそれにとどまらず、日本をアメリカのいわゆる力の政策、世界戦略に全面的に結びつけたものだ、今後具体的な行動が日を追うに従って明らかになってくるだろうと私は思うのです。  そこで、端的な質問をこれから行いますが、まず今度の共同声明の中に記述されている事柄は単なる希望の表明ではなくて、先ほど大臣も何回も答弁をされておりますように、両国間の約束である、したがって、これは行動を前提とした日米間の指針である、このような性格を持ったものだ、このように私は解釈できると思いますが、その点、いかがですか。
  255. 伊東正義

    ○伊東国務大臣 私、言いましたのは、日本が努力するというようなことを言ったことについては、努力もしないでほったらかすなんということはできない、それは相互信頼にもとるということを言ったわけでございますが、ここの中にもいろいろの表現の仕方、こういうふうに述べたとか、あるいは意見の一致を見たとか、約したとかいうようなことがございますが、その言葉に従って私はやるべきだということでございますが、日本がこういうことをやるというようなことを努力すると述べたとかいうようなことについては、当然日本側としてその信頼関係を保っていくために努力するということだと思います。  ただ、ここに書いてありますことが全部約束で、これはすぐに実現するのだということではない、自動車問題については感謝したとか、いろいろあるわけでございますから、ニュアンスはそれぞれによって若干は違っているということだと思います。
  256. 金子満広

    ○金子(満)委員 つまり、ここに記述されているところで、努力するとか、こういうことで一致したとか、そういう点は当然行動を伴う、実践を伴うということである、これはもう繰り返して質問いたしませんが、そういうことで理解していきたいと思うのです。  それからもう何回も出ていますからこれも短く伺いますが、同盟関係ということについて、信頼であるとか友好であるとか、経済だとか社会だとか文化だとかうんと広いのですとかと、やたらに広げているのだが、大臣、軍事というのは入っているのでしょう、これは。その点を率直に伺いたいのです。
  257. 伊東正義

    ○伊東国務大臣 日米安保条約、これを先生は同盟条約だ、こう見られれば、もう安保条約を結んだときから同盟ということになるわけでございまして、これは先ほどから申し上げますように、同盟あるいは同盟条約の解釈で違ってくるわけでございまして、日米安保条約が同盟条約だとお読みになる人があれば、それは当然昔からあったわけでございますから。  ただ、同盟条約ということになりますと、軍事的な問題であれば双務的な問題であろうと私は思うわけでございますが、それは解釈の問題はいろいろございますから私はここで申し上げませんが、軍事同盟ということを目的として同盟関係という言葉を使ったのだということではございません。緊密な連帯ということをあらわす言葉として書いたわけでございます。
  258. 金子満広

    ○金子(満)委員 だから、緊密な連帯ということで、軍事を除いて緊密なんてそんなばかみたいな話はないのであって、当然含まれている。解釈で、あなたの方はたとえば、金子君、君の方は安保条約は軍事同盟だと解釈すればつくったときからあるんですよというような、そういうことではなくて、現実にたとえばさっきの大臣の言葉の中にも、個別的自衛権というものはある、それは軍事力であると言っているのですから、そういうものを含んでいたら、軍事力を含んでいる今度の同盟ですと何で率直に言えないのですか。何かあるようでないようで、解釈する人によって違うとか、とにかく国家国民の運命を左右するような大事な問題で、人によって解釈が違うようなことでは私は困ると思うのですよ。だから、社会も政治も経済も文化もいろいろあってよろしい、しかしその中に軍事という問題も明確に入っていますということが、これは言えないのですか。
  259. 伊東正義

    ○伊東国務大臣 さっきから私、言っていますのは、御質問される方が同盟関係というのは軍事同盟だ、こう言って御質問されたり、よくそういうことが書いてありますから、そんなことだけ考えたのじゃございませんということを言っておるわけでございまして、日米関係というのはおっしゃるとおり安保条約もあるわけでございますし、いろいろな緊密な連帯関係があるわけでございますから、そういうものは全部入っています、こういうことです。
  260. 金子満広

    ○金子(満)委員 では、軍事は入っているという解釈をしますが、これは国際法の見地から言っても、国際法の辞典の中でも、これは戦後のものですが、固有の同盟は戦争に当たって共同の敵に対し連帯的軍事行動をとり、相互に支援するものである。したがって、単に政治的結盟は同盟といってもこれは固有の同盟ではない。具体的に限定がない限り軍事同盟というものであることははっきりしているのですね。それを何とかそうでないように、ないように思い込ませよう、こういうふうに言っているのです。  こういうのは証明すれば日本の国会にもあるのです。この二月九日の衆議院予算委員会で野党委員の質問に対して、これは外務大臣も答えていますが、総理が答えている方を言いますよ。質問で、「経済、社会、文化関係、そしてまた防衛問題もございますので、軍事的な面も配慮いたして同盟関係を強化する、」こういう意味で軍事的な面も配慮して「一層成熟させる、そのように理解してよろしゅうございますか。」鈴木内閣総理大臣は「そのとおりでございます。」と、ちゃんと言っているのです。ですから、軍事関係はこのときから入っているのです。  そういう点ははっきりしていかなければならぬし、今度アメリカへ行っても、共同声明の七項に出ているのです。総理大臣の側から言っているのです。向こうが言ったのじゃないんですよ。「総理大臣は、先進民主主義諸国は、西側全体の安全を総合的に図るために、世界の政治、軍事」軍事と自分で言っているのですから。「軍事及び経済上の諸問題に対して、共通の認識を持ち、整合性のとれた形で対応することが重要であるとの考えを述べた。」というのですから、これはレーガンと鈴木との会談というのじゃなくて、総理大臣がこういうように言っているのですから、もう軍事は完全に含んでいるのです。こういう点をもっと率直に言わないと私は誤解を招くと思うので、この点は念のために含まれているということを何回も聞きましたら、そういうことですと言うからそれは確認をしておきますけれども、そういう解釈でいいのでしょう。
  261. 伊東正義

    ○伊東国務大臣 金子さんがわざわざ念を押して言われるのは何のことかよくわからぬのでございますが、前から安保条約がありますから、金子さんの流でいけば軍事関係、同盟関係は前からあるのだという前提で物を言っていられるのだと思うわけでございますから、その関係は何も変わっておりませんということを言っているわけでございまして、安保条約はある。ただ、安保条約を双務的にしようとか、そんな条約を変えようなどということは毛頭考えていないわけでございますから、同盟関係と書いたことをもって軍事同盟だ軍事同盟だとおっしゃるのは私はどうもわからぬ。それなら前からあるはずだ。前から金子さんはそう言われるはずだが、何でいまそういうことを言われるのかなと奇異に感じて私はお答えをしておるわけでございまして、前からずっと安保条約はございます。
  262. 金子満広

    ○金子(満)委員 安保条約があって、その中には軍事力がある、その軍事力も含めた共同声明であるということはもうわかりました。そういうことだというぐあいに解釈していきますが、つまり、伊東外務大臣や日本の政府がどういう解釈をし、どういう答弁をしても、今後アメリカが軍事関係を含めて、特に日本のいわゆる防衛力、軍事力の拡大を迫ってくることだけは間違いないのです。しかも、今度の共同声明で言われる「同盟関係」にふさわしい行動を求めてくることは必至だと思うのです。そういうことがないという保証は共同声明を見てもないのでありまして、そういうことからして今度は、安保条約は双務的なものでないと言うけれども、安保条約に基づくいろいろの行動がここのところで求められるということを私は指摘しながら、具体的に四項の問題について質問をしたいと思います。  この四項、いわゆる中東条項ですが、これは日本の側から出したのですか。向こう側から出たのですか。
  263. 淺尾新一郎

    ○淺尾政府委員 共同声明の中にございます両者の意見の認識の一致その他の点については当然双方が考えているということでございまして、どちらがどれを提案し、後者がまた受け入れたということではございませんで、その当時における国際情勢をそれぞれが認識したということを書いてあるわけでございまして、四項についてもその点については同じでございます。
  264. 金子満広

    ○金子(満)委員 それでは、四項の中にある「米国の確固たる努力」ということを評価しているわけですが、その確固たる努力というものの中に当然軍事力の展開というのは含まれていると思うのですが、そう解釈していいですね。
  265. 淺尾新一郎

    ○淺尾政府委員 そのとおりでございます。
  266. 金子満広

    ○金子(満)委員 この四項には重大な問題が二つあると思うのです。  第一は、アメリカが中近東で行っている軍事行動を日本の政府が何の批判も前提もためらいもなく無条件に全面的に評価したということは初めてだと思うのです。これが第一です。  第二の問題は、その軍事行動によって日本が利益をこうむっていることを認めた。つまり、アメリカに借りがあるぞということをここでうたったのだと私は思うのです。こういう点で、共同声明の中で「中近東、なかんずく湾岸地域の平和と安全」ということを言っているけれども、そこには公海上のことであるという限定も何もありません。これは人の国の中まで入っているのです。よその国の領海まで全部入っているのです。そして、油田の防衛から石油の輸送ルートの問題まで全部頭に置きながらやっているのだと私は思います。そうして、軍事介入も今後あっても容認するのですよ。いわば今後何をやっても、アメリカが軍事行動をとった場合も支持の予約、手形を出しているのです。  外務大臣は、あの周辺の地域の国々が非同盟中立の国であることは先刻御存じのとおりだと思う。それからまた、イスラム教関係の国が非常に多いということも、大臣も知ってのとおりだと私は思うのです。こういう中で、たとえばことしの一月に四十二のイスラム諸国の首脳会議が開かれた。この宣言でも、アメリカやソ連の介入には強く反対している。二月のニューデリーの非同盟諸国の外相会議でも、大国の介入に反対をしているわけです。  かつてわが国の政府は全方位外交とかなんとかきれいなことを言いましたけれども、ところが今度の共同声明の四項の規定というのは、全方位どころか、完全に西側一辺倒外交に変わってきた。そして、中東介入にもアメリカが何をやっても日本はそれを支持するということにならざるを得ない。これはあの地域の非同盟諸国に対する、あるいはイスラム諸国に対する対抗、そういうものになっている。ならざるを得ないじゃなくて、なっていると考えますが、外務大臣、この点はどうでしょう。
  267. 伊東正義

    ○伊東国務大臣 その前に、同盟関係ということに安保条約も入っているから、安保条約でもういろいろなことを言ってくるに違いないというお話があったわけでございますが、はっきりしていますことは、日本の個別自衛権ということで憲法に書いてある、憲法を改正してくれなんて言わないということを大統領もはっきり言っているわけでございますから、これはそういう誤解のないようにひとつお願いしたい。同盟関係ということは軍事上の目的だけに使ったのではないのだということだけは、私は繰り返し申し上げておく次第でございます。  それから、全方位外交というものはやめたのかというお話、きれいごとという言葉を金子さんはお使いになりましたが、全方位外交というのは何も無原則に、八方美人式にどこでも頭を下げて仲よくするということではないわけで、やはり原則ははっきりしているものだと私は思うわけでございます。その原則というのは、日本は西側の一員だということ、これははっきりしているのが日本のたてまえでございます。どの地域でも、どんな政権ともできるだけ平和友好関係を続けていきたい、続けるように努力するというのは外交の基本だと思うわけでございます。しかし、そうだからといって、無原則に何でも全方位、全方位というものじゃないということだけははっきりしておく必要があるのじゃないかというふうに私は思うわけでございます。  そういう中で、それじゃ何をしてもいいのかということでございますが、これは国際法上の問題もあり、あるいはいま先生のおっしゃったようなその地域の第三世界の人々の考え方、非同盟の考え方もいろいろあるわけでございますから、そういう問題につきましては、やはり同盟関係、緊密な連帯ということからいって、日本としては言うべきことがあれば当然言うというのがたてまえだと思う。  今度、PLOの問題も実は私は国務長官といろいろ話をしてきた。意見の合わぬことがございますが、日本としてはこれはアメリカと考え方は違うというようなことを実は話してきたわけでございまして、問題がありましてももう全部投げ出して、何をやってもいいのだということではない。緊密な連帯というものは、やはり言うべきことは言うということが態度だと思います。
  268. 金子満広

    ○金子(満)委員 伊東大臣、言うべきことはいいのですけれども、中東における米国の確固たる努力というのが、これは無条件で何の前提もなしに全面支持になっているのです。だから、言うべきことを言わないで、アメリカが何を中東でやっても、これはちゃんと支持するようになっているのです。  しかもその後で、そのアメリカの確固たる努力、軍事力の展開を含むというのは答弁のあったとおりですが、そういうものも含めて日本の政府は支持をして、それが「日本を含む多くの諸国が裨益していることにつき意見の一致をみた。」というのだから、これは相当すさまじい一致ですよ。そういうことは言うべきことを言わないで、これはアメリカが言いたいことなんです。  だから、この点は大事なことだ、しかも、これはあの湾岸地域だけでなくて、非同盟諸国やイスラム諸国が全部反対している大国の介入について、伊東さん、今度の共同声明はそれを逆なでするだけじゃなくて、こっちから挑戦したようなものだ、そういうように思いませんかと私は聞いているのです。大変なことですよ、これは。これを持って中東へ行って、今度は日本政府はアメリカとこれを結びました、こういう点で完全な意見の一致を見たのですと言ったら、とんでもないことになって、非同盟諸国から日本は石油の七割以上の供給を受けているのにこういう状態だというのは大変だから、一言そのことについて伺っておきたい、こういうことなんです。
  269. 伊東正義

    ○伊東国務大臣 湾岸のホルムズ海峡の自由というような問題が起きまして、日本の石油にとりまして非常に問題がある、しかし、日本は周辺の国と平和な外交をするとか、国づくりに協力するとか、経済協力をするとかいうことをやっておるわけでございますが、アメリカは湾岸の航行の自由ということにつきまして努力をしたわけでございまして、それが日本を含む西側のあそこの油の確保ということに裨益があったのだということは、それは率直に認めたということでございまして、何をやってもいいということまでそこで考えて言ったわけじゃございません。
  270. 金子満広

    ○金子(満)委員 まあ共同声明の文脈で見る以外に私どもは方法がありませんから、そういう点で申し上げているわけです。  それでは、そのことと関連をして、伝えられるいわゆる中東防衛基金構想というようなものが出ております。これについて、コンソーシアム的なものができれば日本は協力していくこともあるのかないのか、あるいはそういうようなことがあったとしても、これは明白に、中東介入基金といえばもうそのとおりだと思うのですね、そういうことはしないのだということをここで明言できるかどうか、これを大臣、ちょっと聞いておきたいと思うのです。
  271. 伊東正義

    ○伊東国務大臣 その問題につきましては、全然何にも連絡もないわけでございまして、それは相談を受けたことはないのです。でございますので、これは相談があるかどうか、私はそういう相談はないと思っておりますが、まだいまここでそれは右だ左だとお答えするような段階じゃないというふうに思っております。
  272. 金子満広

    ○金子(満)委員 これは大臣、四月二十七日の参議院の安保特別委員会で、わが党の上田耕一郎議員の質問でもいまと同じようなことを言われているわけですが、相談はないだろうという想定じゃなくて、あったとしても、こういうところに金は出すべきでない、そういう点はぜひ言明してもらいたい。このことを加えながら、時間がありませんから、次の質問を一緒にしておきます。  四項との関連で、すでに八項問題というのが出てまいります。ここで大事な問題は、「両者は、日本の防衛並びに極東の平和及び安定を確保するに当たり、日米両国間において適切な役割の分担が望ましいことを認めた。」こういう表現はいままで共同声明などにあったかどうか、聞いておきたいと思うのです。
  273. 淺尾新一郎

    ○淺尾政府委員 いままでの日米共同声明には、そういう役割り分担という言葉は使っておりません。
  274. 金子満広

    ○金子(満)委員 それでは、次のことを聞いておきたいと思うのですが、極東の平和と安定のために自衛隊が関与する、あるいは寄与するということができるかどうか。これはできないと思いますが、それでいいですね。
  275. 淺尾新一郎

    ○淺尾政府委員 お答えいたします。  そのとおりでございます。自衛隊が活動するのは、日本が攻撃された場合だけでございます。
  276. 金子満広

    ○金子(満)委員 それは憲法上できないということですね。
  277. 淺尾新一郎

    ○淺尾政府委員 いまの御質問が個別自衛権の範囲内でないからということであれば、そのとおりでございます。
  278. 金子満広

    ○金子(満)委員 そこで、この八項の次のパラグラフに移るわけですが、「日本の防衛並びに極東の平和」というのは、日本と極東とが同じものになっているのですね。「日本の防衛並びに極東の」ということで、極東が一つのセットになっている。そうして、日米間で「適切な役割の分担が望ましい」、「望ましい」ということですから、つまり、これはいまはないのですね。だから望んでいるわけですね。そして、これから役割りの分担をしていこうということになっているのだろうと私は思うのです。  役割り分担については、六日に会談の背景説明をホワイトハウスの高官がやったという中で、この分担の一つの内容は、地域的な防衛における日本の役割りは監視機能の分担だ、そういう機能分担である、こういうことを述べているわけですが、これはそういうことなんですね。
  279. 淺尾新一郎

    ○淺尾政府委員 ホワイトハウスの当局者の言明がいかなるものであるかどうか承知しておりませんが、ここで言っております、まず「日本の防衛」、これについては当然自衛隊が当たるわけでございまして、その場合に、小規模限定の侵略に対抗するということでございます。  それから、日本の防衛と全く関係ない極東の安全と平和、この場合には、自衛隊は、先ほど申し上げましたように憲法上の制約がございまして、直接軍事的な協力はできないというのは明白でございます。ただ、日米安保条約を結んでおりますので、アメリカ軍が日本の施設、区域を使用しております。したがって、そういう観点で米軍が施設、区域を使用することがある、そのためにわが方として施設、区域を提供している、こういうことでございます。
  280. 金子満広

    ○金子(満)委員 その関連ですけれども、そうしますと、機能分担ということであれば、たとえば、P3C対潜哨戒機、これはシーレーン一千海里、そこまで出るわけですね。そういう中でいろいろの情報をキャッチすると思うのです、平時でも戦時でも。そうした場合、分担するのですから、相手と何か分け合うわけですね。そうした場合に、米側にその情報を、平時でも日本の持っているP3Cは提供するのかしないのか、こういう点はどうなんですか。
  281. 淺尾新一郎

    ○淺尾政府委員 まず、この八項との関係で申し上げて、そういう具体的な話は今回の首脳会談で一切出ていないということを確認させていただきます。  それから、今後たとえばP3Cの持っている情報をどういうふうに分け与えていくのかということについては、日米ガイドラインによって、第五条の対処の面においては、明らかに共同作戦計画の一環ということでいろいろ研究協議が行われているというふうに私たちは承知しております。その中には情報の提供というのがございますが、あくまでもこれは第五条に対処する状態でございます。
  282. 金子満広

    ○金子(満)委員 では、時間が参りましたから、最後に一言、二言質問して、終わりたいと思います。  今度の日米会談では、数字が出たとか、こういう具体的な取り決めがあったとかいうことではないというのを大臣はるる申されるわけですが、ちょうどあと一カ月たちますと、ハワイで事務レベルの会談が始まるわけですよ。     〔委員長退席、青木委員長代理着席〕  いやでもおうでもそのときには、お茶飲み話でなくて、本格的にこの共同声明を受けて、共同声明で期限を切ったわけですから、事務レベルの会合でもやりますと言っているのですから、先ほどからずいぶん質問が出るように、まだ何をやるか決まってないとか、いろいろ意見交換ですとか、そういうような行きずりの話し合いでないことは明白だ。両首脳が話し合った方向で、つまりあそこで合意された、義務づけられた行動の内容を詰めるというものになるのだろうと思うのですね。  ですから、一カ月たてばわかるわけですから、基本方針だけ、このハワイの会談に臨む基本方針は、これは防衛庁長官ということでなくて、今度の日米首脳会談に臨んだ伊東外務大臣としての見解を承っておきたい、こういうことです。  それから、さっき答弁が一つ漏れていますけれども、中東のあれこれの基金というものが言われた場合に拒否すべきであるという私の意見を申し上げたのですが、まだこれについてお答えがありませんので、念のためそれも伺って、質問を終わりたいと思います。
  283. 伊東正義

    ○伊東国務大臣 先ほどから申し上げますように、今度一切数字は出ませんでした。また、具体的な約束というものは、総理も、私もそういうことはいたしておりません。  ただ、私、この前にワインバーガーさんに会ったときに私の方から言ったのですが、具体的な問題、中業の問題がこの前三月に行ったときに出た、そういう具体的な問題は、防衛庁長官と会われるのでしょうから、そのときにいろいろ意見を述べられたらどうですかということを言ったことがございます。今度もその点は私はやはり同じだと思います。六月の会議があれば、具体的に向こうはいろいろ期待表明とか意見交換の場、私はその場であるだろうということは予想されます。  それから、中東の問題は、これはこの前も共同パトロールがあるだろう、お金の要求があるだろう、そのときどうだと盛んに質問されましたが、そういうことは一切ございませんよということを私、申したことがございますが、そのとおりでございまして、今度の問題も私はそういうことはもうあり得ないことだというふうに思っておりますので、さっきと同じ答弁でひとつお許しを願いたいと思います。
  284. 青木正久

    ○青木委員長代理 河野洋平君。
  285. 河野洋平

    ○河野委員 大変時間も遅くなりましたが、もうしばらくごしんぼう願いたいと思うのです。  私も同僚議員と同じように共同声明の評価について、少し私の意見を交えながらお尋ねをするわけですが、先ほどから議論のとおりに、今度の日米共同声明がやはり軍事色が強いものだという、かなり多くの人たちの危惧の念というものがある、これは否定できないと思うのですね。各政党と同時に、一般の報道機関もそういう解説を数多くされている。それはなぜ軍事色が強くなったかという、危惧であってほしいと思いますけれども、その危惧の念の表明があるかというと、一つは、いまさんざん御議論になった同盟という言葉を使ったじゃないかということが一つと、もう一つ、内容の問題だと思うのですね。  同盟という言葉を使わなくても、この内容であれば軍事色が強められたと言われたであろうと思うのです。そこにかてて加えて、同盟などという言葉を使ったものですから、そら来たという感じになった。その同盟という言葉は解釈の問題だと大臣初め事務当局は盛んにおっしゃるわけですが、やはりどうもこんなに解釈が分かれる、誤解を生むような言葉を使ったことはまずかったのじゃないかというふうに思いますね。日本国内でもこれだけ誤解をされる、まあいわれなき言いがかりとあるいは言うかもしれないけれども、言いがかりをつけられるような言葉を選んでしまったというのはやはりまずかったのじゃないか。  これが日本の国内におけるさまざまな解釈の違いならばいいけれども、日米双方で解釈の相違があるということになると、これはもっと困るわけで、先ほどの渡辺議員の御指摘のとおりに、同盟という言葉の解釈をめぐって日米両国は事務当局で議論をして確認をしましたという御答弁で、ややよかったかなと思いますけれども、それとて決して公式的なものではないでしょう。そういう確認があったということが公式的に何かに残されて、将来アメリカ側から何か言われたときに、いや、こういうメモがあるからと言える性質のものなんでしょうか、どうでしょうか、これは事務当局からで結構ですからお答え願いたい。
  286. 淺尾新一郎

    ○淺尾政府委員 先ほども御説明いたしましたように、この点につきましてはドラフディングの段階で何回もわが方からアメリカ側に日本の意見を言い、アメリカ側もそのとおりで間違いないということを言っておりますので、いやしくも事務当局の相当高いレベルにおける確認でございますので、われわれとしては日本側の解釈についてアメリカ側も同じであるというふうに信じているわけでございます。
  287. 河野洋平

    ○河野委員 まあ信じていくのは、両国関係が非常にいいときにはお互いに信じ合っていっても問題はない。両国関係が非常に良好なときには問題がないのですけれども、信じられなくなるような関係になったときが一番困るわけで、そういうときに何かドラフトが残されているかどうかということが非常に大事だ。でき得べくんば、こういう共同声明に解説書がなければならぬようなことであっては困るわけですけれども、解説書のようなものがないとまた困った状況になるというのじゃぐあいが悪いですね。そうした解説書のごときものは、いまの御答弁を伺うと、ないのでしょうな。議論したから大丈夫だと言って、きっと大丈夫と信じているということを御答弁になっただけですから、解説書はないのでしょう。これはちょっと心配だなと思いますが、余りしつこくこだわってこれ以上お聞きはいたしますまい。  ただ、同盟関係という言葉は、日米関係で二年前ですか、三年前から出てきた言葉だとおっしゃる。しかし、同盟関係と呼べるような関係は日本にとってアメリカ以外の国にありますか。
  288. 淺尾新一郎

    ○淺尾政府委員 ここで言っております同盟という内容が、先ほど来御説明しているように、民主主義とか自由という共通の価値観を分かっているということであれば、日本も同じような価値を持っている国とはやはり同様な関係にあるということが言えますけれども、日本とアメリカの場合は、さらにそれが安保条約であるとかその他の日米間の友好その他によって裏打ちされているということで、全く日米間の関係が他のすべてのと申しますか、他の同じような民主主義とか自由を持っている国にそのまま適用になるというふうには考えておりません。
  289. 河野洋平

    ○河野委員 つまり、自由と民主主義を基盤にしている友好国はほかにもたくさんあるけれども、同盟と呼ぶにふさわしい関係は日本にとってはアメリカだ、こういう御答弁ですね。しかも、その理由といえば、ただ単に自由と民主主義を基盤にして、友好的な経済交流とか、文化交流とか、外交的な共同関係を持つだけではなくて、安保条約その他の関係を持っているから、日米はほかの国には使わない同盟という言葉を使うのだ、これでいいですか。
  290. 淺尾新一郎

    ○淺尾政府委員 そのとおりでございます。
  291. 河野洋平

    ○河野委員 同盟という言葉については少し整理をされてきたように思うのですね。  そこで、この日米共同声明の中で、これはもう余り問題にならぬのかもしれませんが、在韓米地上軍を維持するというこのアメリカの意思、これでいくと、日本の総理大臣はその「役割を高く評価した。」とありますね。これはそうなんでしょうか。
  292. 伊東正義

    ○伊東国務大臣 ことし米韓の首脳会談がありましたときに声明が出まして、そして在韓米軍の駐留は続けるということがあったわけでございます。あのときに、あの声明を日本としては評価しますということを言ったわけでございまして、その延長でそういうことを言ったわけでございます。
  293. 河野洋平

    ○河野委員 かつてカーター大統領が在韓米地上軍の撤退を表明されたときにも、日本外務当局はその撤退を評価された経緯があると思うのですね。この撤退について日本は、同意というのじゃありませんな、好意的に評価をしていた。それがだんだん変わって、今度は高く評価する、こういうことになった。この変化の経緯について多少御説明願えないでしょうか。
  294. 伊東正義

    ○伊東国務大臣 前のカーター政権のときに撤退が一回発表があって、それが取りやめになるということがあったわけでございますが、あのときは確かに撤退というものは慎重に考えてもらいたいというような意味のことを言って、撤退反対だというような、あるいは撤退賛成だとか、そういう意思表示はたしかしなかったと思うわけでございまして、そういうことをアメリカとしてやられるなら、やはり非常に慎重に考えてもらわぬと困るという意味のことをたしか言ったのじゃないかと思います。  今度、米韓の首脳会談でああいうことが出まして、そのとき評価するということを言いましたのは、朝鮮半島の平和ということを考えた場合に、南進の問題とかいろいろあるわけでございますが、日本としましては韓国には軍事的なものはできない、経済協力をするということでございますが、南と北のバランス問題をいろいろ考えた場合に、バランスがとれているところには紛争というものはないだろうというふうな前提に立ちまして、在韓米軍があるということが一つのバランスを保つゆえんとなって朝鮮半島の平和ということが保たれるのじゃないかという判断で、あれは評価する、こういうことを言ったわけでございまして、朝鮮半島の平和の問題は非常にむずかしい問題でございますが、いま政府としてはそういう判断をしたわけでございます。
  295. 河野洋平

    ○河野委員 この在韓米軍の維持を高く評価することのよしあしについては、それぞれいろいろな評価、意見があるのだろうと思うのです。私はここで外務大臣と少しこの問題について議論をすれば、外務大臣には外務大臣のお考えがきっとあるだろうと思いますが、きょうはこの議論はやめておきます。  そこで、これは本当かどうかわかりませんが、鈴木総理は、日米会談の結果といいますか、成果について、ASEAN訪問の結果を踏まえてASEANの首脳に連絡をする、電話でもかけて日米関係の結果は連絡するつもりだというようなことを言われたという記憶があるのですが、私の記憶違いでしょうか。もしそう言われた経過があるとすれば、ASEANの国々にはこの結果について何か総理から連絡をなさる御準備があるでしょうか。
  296. 伊東正義

    ○伊東国務大臣 総理が今度向こうへ行かれまして、これは特にブッシュ副大統領でございましたが、ASEANを一月に総理が歩かれたときに、各国の首脳がアメリカに対しましていろいろ意見を言ったことがございます、それと、今度アメリカへ行かれますにつきまして、それぞれの国にあります日本の大使館を通じまして、アメリカに行くのだが、特に何か日本がASEANのことについて言う必要があるだろうかというような照会も実はされたわけでございます。その結果に基づいてブッシュさんに、ASEANの国々はこういうことをアメリカに対して希望しているというようなことを総理から言われて、それに対しましていろいろアメリカの考え方があったのでございます。  ですから、総理としましては、アメリカはこう言っているよというようなことを、各国の首脳に連絡をしようというおつもりがあるのだと私は思います。私も、それをやるということを伺って行ったわけじゃないのですが、帰りにそういうことを言っておられましたから、当然総理としてはおやりになるのではないかと思います。(河野委員「まだしておられないですか」と呼ぶ)まだきょう現在はないと思うのですが、恐らく近い将来にやられると思います。
  297. 河野洋平

    ○河野委員 レーガン政権になって、米中関係というものが多少問題があるように報道された向きがございます。日本のいまの立場から言えば、日米関係は最も重要な関係でございますが、同時に日中関係、もっと言えば米中関係もまた非常に正常な、良好な関係であってほしいというのが日本側の考え方だと思うのですが、アメリカに行かれて、日米会談の中で、米中の関係について何か議論をされたことがございましょうか。
  298. 伊東正義

    ○伊東国務大臣 おっしゃるとおり日中、日米はいい、米中はカーター政権時代はよかったわけでございますので、私はこれが東アジアといいますか、アジア全部の平和にとって非常に大切なものだと思っております。三月に私が行ったときも、ヘイグさんにその話をしたわけで、米中の友好関係の維持発展ということを伝えたわけでございますが、今度は首脳会談でレーガン大統領の方から鈴木総理に米中関係の話がございまして、総理の方も、日本としては近代化を助けてひとつ安定するようにやっていくのだというお話がございました。レーガン大統領からも、米中関係というのは大切なので、これについてこれを発展させるようにアメリカも考えているというような話がございました。
  299. 河野洋平

    ○河野委員 共同声明の内容について二点ばかりお尋ねをしておきたいと思うのですが、十項目目に「ガット体制に具現された自由かつ開放的な貿易の諸原則の維持と強化に引き続き努力する決意である」こういう決意が述べられて、これは日本としては非常に歓迎していいところだと思うのですが、こう言いながら、片手で自動車問題その他いろいろ、アメリカ大統領は「日本政府によってとられた自主的措置に対し謝意を表明した。」こうおっしゃっておられるのです。「日本政府によってとられた自主的措置」というのは非常に表面的で、実態はかなりアメリカからのさまざまな連絡、交渉、プレッシャー、いろいろなものがあって、最終的な数字にせよ何にせよ、民間企業に対して政府が、われわれから見ていると、民間に対する公的介入は今度はきわめて強かったな、もちろん何らかの形で解決をしなければならぬ問題だと私は思いますけれども、その解決の方法は、前段でうたう「自由かつ開放的な貿易の」云々という文句とはかなり違った状況が自動車の解決にはなされた。  私は、なされたことについて、これから先もひとつ気をつけてほしいと思うと同時に、今後半導体の問題を初めとして、またまだ日米の経済関係には問題があるのじゃないか。ここでこういう議論、共同声明をした以上は、アメリカが今後それらの貿易問題に自動車と同じような手段、手法を使ってくるということはないと考えていいのでしょうか。
  300. 伊東正義

    ○伊東国務大臣 今度の首脳会談ではその話は出ませんで、むしろブロックさんから半導体という名前が出ましたが、半導体について関税の問題がございました。関税を両国共同して引き下げるということを考えてもらいたいというような話が出、もう一つは、日本の市場がどうも自由化していない、もっと自由化してくれという例に農産物が出たわけでございまして、総理から、半導体の問題については事務的にお互いよく相談しよう、農産物についてはそう言われても急にそういうことはできないのだという話があったわけでございます。  いま河野さんのおっしゃる、何か自動車と同じような状態になることはないだろうかということでございますが、いまは私どもはそういうものは日米関係にはない、いまのところは予想されないというふうに思っております。
  301. 河野洋平

    ○河野委員 もう時間がないので、もう一問かそこらでやめますが、日米両首脳によって国際情勢がいろいろ語られて、この七項目目でしょうか、「先進民主主義諸国は、西側全体の安全を総合的に図るため」云々というくだりがあるわけです。先ほど高沢議員からも御質問があったわけですが、フランスの大統領選挙の結果が、ミッテラン氏が当選をするということになって、これは西側先進民主主義諸国の議論もちょっとした味わいの違ったものになるのじゃないか。  まだけさの話ですから、私どももよく研究はしておりませんけれども、ミッテラン氏は恐らくフランス共産党の支援を相当得ているのじゃないかという推測もされますし、こんなことを言うと大変失礼ですけれども、フランスにおいては、フランス社会党はフランス共産党の力をかりたときに非常な力を発揮する。しかし、過去幾多の例を見ても、あの社会党は共産党の力をかりたときに非常に強い力を発揮するけれども、共産党が表に出てくるとまた力がなくなってしまうといういろいろな経過があるわけです。  しかし、今度は七年任期の大統領を手中におさめたことは事実であります。サミットを初めとして、西側の先進民主主義諸国の相談の中に一味違う状況が出てくるなんという、こういう状況は、恐らく日米共同声明を発するときには想定されてなかった。いやいや、わしらは大体そうなるであろうと考えておったのだよとおっしゃるのか、いや、これはこういう状況になるとは思わなかった、恐らく思わなくて、これが出て、ミッテラン大統領の出現によって、この共同声明のこの部分、多少やり方がむずかしくなったな、そういう御感想でしょうか、どうでしょうか。
  302. 伊東正義

    ○伊東国務大臣 共同声明をつくるときは、本当にこれは大接戦だということでやって、こういう結果になるという予想をもってこれをやったとか、いや、ジスカールデスタンが勝つという予想でこうやったとか、そういう前提は置かないでやりました。率直に申し上げます。  ミッテラン氏が当選されてどういう政策をとりますか、これからの問題、国会の解散というものをされるかもしらぬ、あるいは西側に残るのだと言っておられる、NATOにも残るのだということ、ECにもというようなことをよく選挙のときにやったわけでございます。現実にこれから共産党の関係がどうなるかという問題もありましょうし、サミットにも恐らく出てこられると思うのですが、そういうときにどういう主張になるかとか、いままでとは一味変わったようなものが出てくるか、まあこれはわかりませんけれども、やはり変化といいますか、そういうものには日本としても十分注視しなければいかぬ。特にヨーロッパの情勢ですね、そういうもの、あるいは対ソ問題とか、どういう味の違った政策をとられるのかということはわれわれとしてもよほど注視しなければならぬ、こういうふうに思っております。
  303. 河野洋平

    ○河野委員 もう時間ですから、これでやめますが、もう一度、大臣。  フランスの政権がかわったということで、西側先進民主主義諸国というものの構えも多少変わってくるのじゃないか。そんなに急激に変わるとは思いませんけれども、従来の、ジスカールデスタン氏が大統領だったころのシュミット、ジスカールデスタン両氏の間柄などを考えますと、ヨーロッパの先進民主主義諸国の連絡といいますか、関係は非常に良好だった。これから先、西ドイツとフランスの関係が悪くなるかどうかというのは、そんなことをいま急いで言う必要はないことで、じっくり見ていけばいいことではございますけれども、しかし、首脳会議の進め方その他、やはりなかなかむずかしくというか、いままでとは違った関係でいくだろう。  そういう折も折、日本は思い切ってアメリカにコミットした。アメリカが先進民主主義諸国のリーダーとしてやっていく、やっていってもらわなければいかぬわけですけれども、やっていくについていろいろと問題が出てきそうなときに、これだけコミットしたということについて、少し行き過ぎたのじゃないだろうか、もうちょっとヨーロッパの様子なども注意深く、これはこれで、もう終わってしまったことですから、これをやり直せとか、これがよかったとか悪かったとかという大臣の評価はいまないでしょうけれども、ヨーロッパ情勢についてはこれからもうちょっと慎重に見ていかなければいかぬな、そういうお感じがあるでしょうか、それだけ伺って、終わりにします。
  304. 伊東正義

    ○伊東国務大臣 この共同声明をやりましても、アメリカとは、たとえば対ソの話し合いの問題とか、いろいろやったわけでございまして、これ以外の問題がいろいろあるわけでございます。でございますので、この共同声明が何か新しいものを日本が約束する、新しいものの重荷を負うということは私は全然考えてない、現実のやってきた政策をこれは率直にあらわしたのじゃないかというふうに私は見ておりますので、この共同声明に縛られてどうこうということでは私は考えておりませんが、新しいフランス、ヨーロッパの情勢が何か出てくる可能性もあるかもしらぬというときに、それはどういうふうに対処していくかということについては、それはまたそれで慎重に考えなければならぬと思うわけでございますが、アメリカとの基本的な関係というものはやはり変わらないというふうに私は思っております。
  305. 河野洋平

    ○河野委員 結構です。
  306. 奥田敬和

    ○奥田委員長 次回は、来る十三日水曜日、午前十時理事会、午前十時三十分委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。     午後五時十六分散会