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1980-10-31 第93回国会 衆議院 運輸委員会 8号 公式Web版

  1. 昭和五十五年十月三十一日(金曜日)    午前十時三十二分開議  出席委員    委員長 小此木彦三郎君    理事 加藤 六月君 理事 関谷 勝嗣君    理事 楢橋  進君 理事 宮崎 茂一君    理事 福岡 義登君 理事 吉原 米治君    理事 西中  清君 理事 中村 正雄君       阿部 文男君    木部 佳昭君       佐藤 文生君    桜井  新君       永田 亮一君    浜野  剛君       古屋  亨君    細田 吉藏君       三塚  博君    箕輪  登君       水野  清君    山村新治郎君       井岡 大治君    久保 三郎君       小林 恒人君    関  晴正君       浅井 美幸君    小渕 正義君       三浦  久君    四ツ谷光子君       中馬 弘毅君  出席国務大臣         運 輸 大 臣 塩川正十郎君  出席政府委員         運輸大臣官房長 杉浦 喬也君         運輸省鉄道監督 山地  進君  委員外の出席者         日本国有鉄道総         裁       高木 文雄君         運輸委員会調査         室長      萩生 敬一君     ――――――――――――― 委員の異動 十月三十一日  辞任         補欠選任   近岡理一郎君     桜井  新君   林  大幹君     細田 吉藏君  同日   辞任        補欠選任   桜井  新君     近岡理一郎君   細田 吉藏君     林  大幹君     ――――――――――――― 本日の会議に付した案件  日本国有鉄道経営再建促進特別措置法案(内閣提  出、第九十二回国会閣法第一号)  派遣委員からの報告聴取      ――――◇―――――
  2. 小此木彦三郎

    ○小此木委員長 これより会議を開きます。  去る二十九日から二日間、日本国有鉄道経営再建促進特別措置法案審査のため、第一班を北海道に、第二班を愛知県及び岐阜県に、それぞれ委員を派遣いたしました。  この際、派遣委員から報告を求めます。第一班関谷勝嗣君。
  3. 関谷勝嗣

    ○関谷委員 団長の小此木委員長にかわって、私が、第一班、北海道班の派遣委員を代表して御報告を申し上げます。  派遣委員は、団長の小此木彦三郎君、宮崎茂一君、関晴正君、福岡義登君、浅井美幸君、小渕正義君、四ツ谷光子君、それに私の八名で、現地参加として委員小林恒人君が参加されました。  北海道班は、十月二十九日、東京国際空港を出発し、千歳空港に到着後、直ちにバスにて現地視察に向かい、車中にて、国鉄北海道総局長から管内の概況の説明並びに札幌鉄道管理局長から幌内線の概況について説明を聴取いたしました。岩見沢駅に到着後、同市長から国鉄万字線・幌内線の確保に関する陳情を受けた後、列車にて幌内線の視察を行いました。  同線の概要について申し上げますと、幌内線は岩見沢と幾春別間十八・一キロと三笠と幌内間二・七キロ、計二十・八キロから成り、現在一日当たり旅客列車十四本、貨物列車十本が運行されております。昭和五十四年度の輸送量は、普通旅客二十二万人、定期旅客三十三万人、貨物五十六万トンで、同年度の収支状況は、収入二億四千二百万円、支出十七億三千六百万円、収支係数は七一八という状況であります。  次に、幾春別よりバスにて札沼線のバス転換区間の視察に向かい、車中にて北海道総局自動車部長から同線の概況説明を聴取いたしました。  札沼線のバス転換区間の概要について申し上げますと、札沼線は、昭和十年以来桑園と石狩沼田間百十一・四キロについて開業しておりましたが、新十津川と石狩沼田間三十四・九キロについては、昭和四十七年営業を廃止し、バス輸送へ転換いたしました。この区間は、昭和十九年に一時廃止し、昭和三十一年に復活した経緯があり、国鉄バスがすでに運行しておりましたが、鉄道の廃止による代替輸送として国鉄バスを十二回から二十五回増便し、同時に地元の要請を受けて、休止線の復活、路線の新設を各一系統行っております。また、区間停留所個所数は、鉄道の十一ヵ所に対し、四十四ヵ所と増加し、うち二十八ヵ所に待合所が設置されております。さらに、廃止後の鉄道用地は各町に譲渡され、農地、道路、倉庫、住宅等に利用されております。  以上、視察を終了いたしました後、札幌市において一泊し、翌三十日、北海道厚生年金会館におきまして、現地各界の六名の意見陳述者の方々から、本法律案について意見を聴取いたしました。  意見陳述者の意見の概要について、ごく簡単にその要旨を御報告申し上げますと、まず、北海道大学経済学部教授早川泰正君は、賛成の立場から、国鉄経営の実情を見ると、各種の経営努力にもかかわらず、五十四年度末繰越損失が六兆円にも達しており、抜本的な施策を打たない限り再建は不可能である。今年度の予算の内容は、五十四年度末債務たな上げを含む財政施策が行われることを前提に進められているので、早急にこの法律が成立しないと資金的に重大な破綻を生ずると思う。なお、法案の施行に当たっては、北海道における経済社会活動の実態に即した交通体系のあり方を総合的に検討し、その中で国鉄本来の役割りの認識を確立していくとともに、北海道における鉄道と自動車の有機的な関係に十分留意してほしい等の意見が述べられました。  次に、北海道羽幌町長藤沢一雄君は、反対の立場から、昭和五十二年に出された三全総計画では地方の時代とうたわれ、これにより定住圏構想が打ち出された。本法はこの考えを根底から覆すものである。北海道の開発は鉄道とともに進められ、鉄道は北海道の大切な社会資本であり、通勤、通学を主体とした重要な交通手段であるので、これが廃止されると地域の生活形態及び経済に大きな影響をもたらす。本法においては、単に国鉄の経営的要請から、現在の輸送量だけを基準に廃止路線を割り出すという一律基準を採用するとともに、特定地方交通線対策協議会の協議期間二年で協議が調わたいとき廃止に踏み切るということは、地域の実情を無視した考え方である。特定地方交通線の廃止による赤字の解消はわずかである。果たして六十年までに三十五万人体制ができ、借入金の返済が可能であるか。退職金、年金に対する財源対策については何一つ示されていない。総合交通政策の具体的な明示がなされるまで、本法案を凍結を願いたい等の意見が述べられました。  次に、株式会社北村船具店代表取締役社長北村實君は、賛成の立場から、この法案は、国鉄再建のため、国鉄にみずからの徹底的企業努力を義務づけるとともに、地方交通線対策及び国の行財政上の措置を定めるものであり、国鉄の再建のためぜひとも必要なものと考えられるのでその制定に賛成する。国鉄は、まず再建に向かって労使一体となって取り組む姿勢を示し、その上で国民の協力を求めるべきである。国民は、ただ国鉄に従来どおりの輸送形態の継続を求め続けることを改め、国鉄の経営再建をみずからの問題として受けとめ、できる限りの協力をすべきである。地方交通線の基準を制定するに当たっては全国を同一基準で律することなく、北海道の将来を踏まえたわが国における北海道の位置づけを十分勘案することを要望する。その上でバス転換が適当とされる場合、バスと鉄道の運賃、なかんずく通学定期の格差が著しく教育上の大きな問題となるので、この点について国等の十分な配慮を望むとの意見が述べられました。  次に、北海道大学経済学部教授松井安信君は、反対の立場から、国鉄は、戦前戦後を通じて、公共交通機関の大動脈として、国家的、国民的課題を背負わされ、国鉄労使もそれに誇りを持って、その任務を果たしてきた。二十四年の独算制の施行後も経営の枠を大きく超える国の経済改善の一環を担わされ、それが三十九年以降の累積赤字の大きな要因となっている。公共負担については区分を明確にし、国鉄経営の基盤を確立すべきである。国鉄への公共投資は、道路、港湾、空港と比較すると異常に不公平、不均衡で、このアンバランスが旅客、貨物輸送の効率低下の重要な要因となっている。その上国鉄のみに借入金、利子を負担させて、いわゆる構造的欠損となって国鉄経営を圧迫させている。赤字の六割は貨物収入であり、旅客収入の赤字の七割は幹線である。赤字克服の対象として第一に着手すべきは貨物と幹線である。北海道は三全総、定住圏構想を受けて、北海道新発展計画を目下現実に実施中であり、福祉国家、地方の時代への時代的要請からいって、赤字地方交通線の廃止は再検討する必要がある等の意見が述べられました。  次に、札新開発株式会社取締役社長赤井醇君は、賛成の立場から、本法案は、国鉄再建の抜本的な諸施策を盛ったものであり、国鉄自身の経営努力を厳しく求め、経営改善計画の策定、実施等を義務づけるとともに、国鉄の経営努力によりがたいいわゆる構造的欠損について、国の行財政上の措置を定めることとされており、原則的には賛成である。ただし、国鉄の再建に対して、国の助成、国民の協力を求めるからには、何よりも国鉄自体の再建に対する熱意と血のにじむような努力がなければならない。国鉄は、労使一体となって真剣に再建に取り組む姿勢を示すべきである。また、地方交通線問題は、道民にとって大きな課題となっている。政令で線区の基準を策定するに当たっては、わが国における北海道の役割り、積雪寒冷の気象条件等の特殊事情について、単に統計値や机上の検討ではなく、それぞれの地域の実態を十分に調査の上、十分な配慮を要望する等について意見が述べられたのであります。  最後に、北海道今金農業協同組合長村本光夫君は、反対の立場から、法案は、地元の合意が得られなくても一方的に赤字路線を廃止することが可能であり、さらに赤字線区について地域別特別運賃の導入ができるようになっている。これは函館圏を含む道南地域にとっては大きな問題であり、地域の過疎化に拍車をかけ、経済、産業の低下、教育、文化の発展に重大な影響を及ぼし、地域社会の崩壊を来し、住民生活を根底から覆すものである。特に厳しい自然条件のもとで切り開いてきた瀬棚沿線の開発において果たした国鉄の役割りは大きく、鉄道はわれわれ住民の命綱となっている。北部桧山の主な産業は農業、林業、水産などの第一次産業であり、国鉄の廃止は地域の産業振興に、また地域住民の生活に密着する物資の輸送に与える影響ははかり知れないものがある等の意見が述べられたのであります。  以上、六名の意見陳述者から意見の開陳が終わりました後、派遣委員から意見陳述者に対し、本案による国鉄再建の可能性、特定地方交通線選定基準、北海道の特殊性、バス転換及び第三セクターへの移譲問題、特別運賃の導入、貨物輸送及び年金問題等について質疑が行われ、滞りなく、全部の議事を終了した次第であります。  なお、現地における会議の詳細につきましては、その内容を速記により記録をとりましたので、それによって御承知願いたいと存じます。  会議の記録ができましたならば、本日の委員会議録に参照掲載されるようお取り計らいを願いたいと存じます。  以上をもって、第一班の報告を終わります。 (拍手)
  4. 小此木彦三郎

    ○小此木委員長 次に、第二班楢橋進君。
  5. 楢橋進

    ○楢橋委員 団長の加藤理事にかわって、私が、第二班、愛知県及び岐阜県班の派遣委員を代表して御報告を申し上げます。  派遣委員は、団長の加藤六月君、井岡大治君、吉原米治君、西中清君、中村正雄君、三浦久君、中馬弘毅君、それに私の八名が参加いたしました。  愛知、岐阜班は、十月二十九日、新幹線で東京駅を出発し、名古屋駅に到着後、直ちにバスにて鉄道建設公団が建設中の樽見線鍋原第四根尾川橋梁の現地視察を行い、続いて、外山小学校体育館において岐阜県副知事より県下のローカル線の実情について陳情を受けたのであります。  なお、バス車中にて、名古屋陸運局長、国鉄名古屋管理局長及び鉄建公団名古屋支社長から、岐阜県における鉄道、バス及び樽見線の現況を聴取いたしました。  まず、樽見線の概要について申し上げますと、同線は昭和三十三年以来、大垣と美濃神海間二十四キロが開業しており、現在は一日当たり旅客列車は二十六本、貨物列車は大垣-美濃本巣間十二本が運行されており、昭和五十四年度の輸送量は、普通旅客十九万人、定期旅客六十三万人、貨物七十五万トンで、同年度の収支状況は、収入二億七千九百万円、支出十億九千二百万円、収支係数は三九二という状況であります。  以上、視察を終了いたしました後、名古屋市において一泊し、翌三十日、愛知県産業貿易館国際会議場におきまして、現地各界の六名の意見陳述者の方々から、本法律案について意見を聴取いたしました。  意見陳述者の意見の概要について、ごく簡単にその要旨を御報告申し上げますと、まず、愛知学院大学法学部教授の浪川正己君は、賛成の立場から、今回の国鉄再建法案は、再建を推進するための種々の施策を盛り込んだものであり、おおむね妥当なものである。国鉄自身の企業努力として最も期待するのは、徹底した合理化による生産性の向上である。また、要員合理化だけでなく、経費、投資等業務全般にわたる徹底した合理化を期待する。地方交通線問題は、地域における効率的な交通網の形成及びエネルギー対策の見地から取り組むべきであり、輸送密度がきわめて低い線区では、鉄道が適当かどうか、疑問を感ずる。今回の対策は、単に廃止だけでなく、地域における足の確保として、バス路線化、第三セクターによる運営、関係道路の整備等の種々の案を用意しているので、積極的に取り組んでもらいたい。なお公的助成のルールの確立、特に年金問題について早急に助成の道をとるべきである旨の意見が述べられました。  次に、三重県嬉野町長名越成夫君は、反対の立場から、ローカル線はその大半が過疎、農山村地域に敷設されており、廃止するということは、沿線及び奥地の過疎現象に一層拍車をかけることが明白で、過疎地域振興法の立法趣旨からも問題がある。今回昭和六十年度までに廃止しようとしている輸送密度二千人未満の路線に係る赤字は、赤字総額の約一〇%にすぎず、国鉄赤字の根本的な解消にはならない。名松線廃止に対する反対理由として、沿線の白山高校は、全校生徒の六四%が国鉄を利用しており、廃止されると、下宿等をさせるため家庭の負担増や世帯分離等、一層過疎化を生ずる。また、老人、子供及び病院の通院等多くの問題がある。自動車の運行も、山すその道路で曲折が多く、冬季は積雪のため不通となり、通学、通勤にバス利用は不可能である旨の意見が述べられました。  次に、社団法人中部開発センター専務理事の塩野谷格君は、条件つきで賛成の立場から、今回の再建法案は、単なる地方交通線対策法案ではなく、総合的な国鉄再建のための施策を盛り込んだ法案であるので、私は賛成する。地方交通線問題については、今回の法案に盛り込まれた第三セクター方式、バス路線化等の諸対策は、おおむね妥当であると考えられ、また、フランス等の諸外国における対策と比較しても方向としても正しいと考える。賛成するに当たっての条件として、第一に、バス転換の場合、安定性、定時性等の鉄道のすぐれた特性をバスに付加する配慮の必要、第二に、国は公共割引の政策担当個所による負担、バス専用道の道路予算による維持及び転換交付金の弾力的な対応策、第三に、赤字額の多い幹線系線区の反省、収支均衡に向けて労使一体となった増収対策、合理化、サービスの改善に取り組んでもらいたいとの意見が述べられました。  次に、弁護士の小山斉君は、反対の立場から、今回の法案は、国鉄をどうするのかについての将来ビジョンが欠けており、場当たり的であって、国鉄再建法の名に値しない。特定地方交通線対策を中心に、公共性の切り捨てが目に余り、企業性を追求する余り国鉄利用の地域住民や国民の存在を忘れている。地方交通線の選定基準は経済性のみがその選定基準となっている。協議会については、構成メンバーに住民代表、学識経験者を加え、地域の事情と民意を反映させるべきである。また、見切り発車条項の二年は短か過ぎる。線区別、地域別運賃の導入によって、総合原価主義による運賃決定の公共性が捨てられようとしている。また、この方式の導入がやむを得ないとしても、運賃値上げに歯どめが必要である。国の責任範囲を明確にするとともに、総合交通政策を策定することによって国鉄の役割りを定める必要がある旨の意見が述べられました。  次に、松坂屋本社開発事業部長の永縄悦司君は、賛成の立場から、国鉄再建を促進する種々の施策を盛り込んだ今回の法案に賛成する。国鉄は一般会社にたとえますと、会社更生法の適用を受けるべき状態である。現在、国鉄運賃は、全国一一律制になっているが、今後は輸送コスト、他交通機関の運賃レベル等の動向を十分配慮し、線区別、地域別運賃を定めるべきである。公共負担は、通学定期の割引等国鉄に負担させる理由はなく、政策担当個所の負担とすべきであり、また、線路敷等の設備は国または地方に移管して、国鉄の負担を軽減させるべきであるとの意見が述べられました。  最後に、主婦の長沼てる子君は、反対の立場から、安い運賃で利用できる国鉄に依存している学生やサラリーマン、そして住民の方々も多く、法案は、これらの方々を犠牲に追い込んでいる。国鉄は赤字を理由にローカル線を切り捨てるべきではなく、第三セクターヘの譲渡も、経営不振の路線を申し出る民間企業が果たしてあるのか疑問である。また、職員の合理化も人権を無視した合理化は絶対に避けてほしい。新幹線整備の膨大な費用はローカル線の赤字などと比べようがなく、弱者切り捨ての論理がはっきりしている。通勤者の定期割引、身体障害者の運賃割引等、当然文部省、厚生省、労働省において負担すべきである。今回の社会党提出の修正案に全面的に賛成である旨の意見が述べられたのであります。  以上、六名の意見陳述者から意見の開陳が終わりました後、派遣委員から意見陳述者に対し、国鉄の今後のあり方、地方交通線の長期的展望と地方自治体の対応、対策協議会のあり方、パス転換後の諸問題、特別運賃制度及び年金問題の解決策等の質疑が行なわれ、滞りなく、全部の議事を終了した次第であります。  なお、会議の速記による記録の取り扱いにつきましては、第一班と同様のお取り計らいをお願いいたしたいと存じます。  以上をもって、第二班の報告を終わります。(拍手)
  6. 小此木彦三郎

    ○小此木委員長 お諮りいたします。第一班及び第二班の現地における会議の記録が後ほどでき次第、その記録を本日の会議録に参照掲載することに御異議ありませんか。  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  7. 小此木彦三郎

    ○小此木委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。     ―――――――――――――  〔会議の記録は本号(その二)に掲載〕      ――――◇―――――
  8. 小此木彦三郎

    ○小此木委員長 内閣提出、日本国有鉄道経営再建促進特別措置法案及びこれに対する久保三郎君提出の修正案を一括して議題といたします。  ただいま委員長の手元に、本案に対し、加藤六月君外三名から修正案が提出されております。修正案は、お手元に配付してあるとおりでございます。  この際、提出者から趣旨の説明を求めます。加藤六月君。     ―――――――――――――  日本国有鉄道経営再建促進特別措置法案に対する修正案  〔本号末尾に掲載〕     ―――――――――――――
  9. 加藤六月

    ○加藤(六)委員 私は、自由民主党を代表して、本法律案に対する修正案について、その趣旨を御説明申し上げます。  修正の案文は、お手元に配付してありますので、その朗読を省略させていただきます。  修正案の趣旨は、第一に、特定債務等の選定基準日が「昭和五十五年三月三十一日」となっておりますが、これを「この法律の施行の日」に改めるとともに、これに伴う所要の修正を行おうとするものであります。  第二に、特定債務に係る利子補給の遡及適用等について、所要の経過措置を設けようとするものであります。  以上であります。  何とぞ御賛成くださいますようお願い申し上げます。
  10. 小此木彦三郎

    ○小此木委員長 以上で、趣旨の説明は終わりました。  これにて本案並びに久保三郎君提出の修正案及び加藤六月君外三名提出の修正案に対する質疑は終了いたしました。     ―――――――――――――
  11. 小此木彦三郎

    ○小此木委員長 これより本案及び両修正案を一括して討論に付します。  討論の申し出がありますので、順次これを許します。宮崎茂一君。
  12. 宮崎茂一

    ○宮崎委員 私は、自由民主党を代表して、自由民主党加藤六月君外三名提出の修正案及び修正部分を除く原案に賛成し、日本社会党久保三郎君提出の修正案に反対の討論を行うものであります。  御承知のように、国鉄の累積赤字は、昭和五十四年度末において六兆円を超え、本年度におきましては六千八百億円の国の助成にもかかわらず、一兆円以上の赤字が予想され、実質赤字は運輸収入の六三%にもなろうという破局的状況に立ち至っているのであります。  かかる事態に対処するため、政府は、昨年末の閣議了解に基づき、職員三十五万人体制の実現などの経営改善計画の実施、バス転換を含む地方交通線対策の推進、債務の再たな上げ等の国の助成措置等、国鉄経営の再建を推進するための特別措置を定めようとして、本法律案を提出したのであります。  私どもは、国鉄が今日までわが国陸上交通の大動脈としてその機能を果たしてまいったにもかかわらず、かかる破局的状態に立ち至った大きな原因が、種々の構造的問題の内在にあることを考えるとき、国鉄の再建対策には、この現状を凝視し、思い切った発想の転換が必要であると考える次第であります。  国鉄の今日までの合理化対策を振り返ってみますと、昭和四十四年の第一次国鉄再建計画において、十年間に六万人の縮減、四十七、八年の第二次再建計画においては、十一万人の縮減計画を立てたのでありますが、いずれも竜頭蛇尾に終わっております。  今回の再建対策は、昭和六十年度までに七万四千人を削減して、三十五万人体制を実現しようとするものでありますが、この計画は、国鉄みずからが作成した国鉄再建の基本構想案に基づいたものであり、これにより、一般人件費を営業収入の七四%から五四%にしようとするもので、国鉄経営の改善に大いに資するものがあると賛意を表するものであります。  国鉄再建は、まず国鉄みずからの努力によって行うべきことは言うをまたないところでありまして、この三十五万人体制の実現こそ国鉄再建の第一歩であると存じます。  次に、地方交通線の問題について申し上げます。  地方交通線問題は、早くからその対策の必要性が提唱されているところでありますが、昭和四十三年九月の国鉄諮問委員会の意見書において、八十三線区二千六百キロについては、速やかに自動車輸送にゆだねるべきである旨の勧告がされ、次いで、昭和四十四年九月の閣議決定において、地方閑散線の転換の促進が提唱され、さらに、四十七年の国鉄財政新再建対策要綱においては、地方閑散線の五年以内の撤去が定められ、予算措置まで講じられたのでありますが、関係地方公共団体の同意が必要であるということになったため、この計画も進展せず、今日に至ったのであります。  政府は、今回、昨年一月の国鉄ローカル線問題についての運政審の答申に沿って閣議了解を行い、それに基づき、ここに初めて地方交通線対策が法律上規定されたのであります。  地方ローカル線問題が提唱されてから実に十年以上の歳月が経過しているのでありますが、国鉄経営の再建のために大きな意義が存するものと高く評価するものであります。  本案における地方交通線の選定は、政令の定める基準によって国鉄が行うものでありますが、その転換については、地域住民の足の確保「利便の増進等代替輸送に配慮し、関係地方公共団体等を含めて十二分の協議を行うこととするとともに、バスまたは第三セクター等の鉄道へ転換する場合には、転換後の初期投資の費用、赤字補助及び利用者の定期運賃差額補償等の予算措置が講じられることになっており、きわめて妥当な措置であると存じます。  次に、国鉄の構造的欠損に対する国の助成の問題であります。  本運輸委員会は、昭和五十二年十月の国鉄運賃弾力化法案の審査に際し、国鉄再建の基本方向において、国鉄の構造的欠損については、公的助成を含む所要の対策を講ずべきことを提言いたしましたが、これが同年十二月の閣議了解となり、さらに、昨年十二月の閣議了解において、国鉄のいわゆる構造的問題等に対し行財政上の措置を講ずる旨の決定が行われたのであります。  本案は、この閣議了解に基づき、五兆五百九十九億円の過去債務をたな上げするとともに、地方交通線対策のための補助を行うことを規定しているのでありまして、まことに時宜に適したものと賛意を表するものであります。  今回の再建対策は、従来の対策と異なり、減量政策を中心としながら収支の均衡を直接の目標とせず、まず六十年度までにその経営の健全性を確保するための基盤を確立することとし、引き続いて、事業の収支の均衡を図ろうとするものでありまして、国鉄の現状に即した適切妥当な措置であると考える次第であります。  この目標達成のためには、国鉄みずからが労使一体となって、血のにじむような努力をせねばなりません。そして、その上に立った国の助成及び地方公共団体の支援、さらには国民の理解と協力がなくては、国家財政上、赤字の三Kの最大なものであり、いまや国民的緊急課題となっている国鉄再建はなし得ず、将来巨額な国民的負担をもたらすものと存じます。  最後に、修正案について申し述べますと、自由民主党加藤六月君外三名提出の修正案は、法案の成立がおくれたことに伴う所要の整理で、当然のものであります。  これに対し、日本社会党久保三郎君提出の修正案は、地方交通線の転換の結論を対策協議会において行わせようとすることを主たる内容とするものでありますが、その協議が調わない場合の処置が明瞭でなく、従来の経緯から見て、これでは地方交通線対策の推進は望むことができず、昭和六十年度までに国鉄の経営基盤の確立をすることが不可能であると思われますので、これに反対するものであります。  以上をもって、私の討論を終わります。(拍手)
  13. 小此木彦三郎

    ○小此木委員長 福岡義登君。
  14. 福岡義登

    ○福岡委員 私は、日本社会党を代表し、政府提案の日本国有鉄道経営再建促進特別措置法案及び加藤六月君外三名提案の修正案に反対し、わが党の久保三郎君提出の修正案に賛成の討論を行います。  政府案に反対する第一の理由は、累積赤字のたな上げ、構造的欠損の公的負担など、行財政上の措置については評価できるところでありますが、国鉄経営再建の基本となるべき国鉄の使命が明らかになっていない点についてであります。  なるほど、法案の背景となっている昨年十二月二十九日の閣議了解において、国鉄は、都市間輸送、大都市圏旅客輸送及び大量定型貨物輸送の分野を中心に経営の重点化を進めるとあります。  しかし、経営再建の目標年度における国鉄の輸送量は、現状とほとんど変わりなく、旅客において、わずかに四%程度の増加で二千五十億人キロ、貨物においては、全く現在と同じ四百億トンキロとされております。  交通分野におけるエネルギー、環境保全、交通安全など、予想される制約条件を考えれば、国鉄は根本的に見直されなければなりません。  それぞれの交通機関の特性を生かし、かつ有効に組み合わせた総合交通政策が樹立され、その中における国鉄経営の基盤が明らかにされなければなりません。この点が国鉄再建の基本となるべきでありますが、政府案では、これらについての配慮が十分でございません。  第二の反対理由は、国鉄再建が理不尽な大合理化を前提としている点についてであります。  さきに申し述べました昨年十二月の閣議了解において、現在の職員数四十二万人を昭和六十年度において三十五万人に削減することといたしております。これは交通政策からの帰結ではなく、いわゆる三K赤字解消という発想に基づくもので、国鉄の使命を無視したものであるばかりか、サービスの低下、交通安全に対する不安など、大きな問題を残すことになるのであります。  第三の反対理由は、特定地方交通線の切り捨て政策についてであります。  法案において、特定地方交通線の基準は政令に委任することとしておりますが、その内容は、一日一キロ当たりの乗車人員二千人未満の線区は、きわめて少数の例外を除いてこれを一方的に廃止しようとしております。これは住民参加の地域交通計画を否定し、公共交通の任務を放棄するものであり、容認することができません。  第四の反対理由は、地方交通線への割り高特別運賃制度の導入についてであります。  地方交通線に割り高な特別運賃制度を導入することは、通学、通勤などの利用者に負担増となり、住民生活を圧迫することはもちろん、結果的に国鉄離れとなり、国鉄再建に逆行するものであります。  第五の反対理由は、新線建設についてであります。  政府案は、廃止しようとしている特定地方交通線以下の乗車密度しか見込まれない線区であっても、第三セクター、地方鉄道業者など、経営を引き受けるものがあれば工事を継続するとしております。これは結果的にむだな投資となる可能性が強いとともに、新たに政治路線の道を開くものであって、とうてい賛成することができません。  以上、政府案に対し、反対の理由を申し述べてまいりました。  次は、加藤六月君外三名提出の修正案についてでありますが、同修正案は、政府原案の実施期日の変更などで、本質的に政府原案と何ら異なるものではありませんので反対であります。  次に、わが党の久保三郎君の修正案に賛成する理由を簡単に申し述べたいと存じます。  第一は、地域交通の確保についてであります。政府案においては、特定地方交通線の廃止を一方的に決定し、その転換方法について協議し、しかも二年間に結論が出ない場合は、これまた一方的に廃止またはバスに転換することとしております。このやり方では、地域住民や地方自治体を無視する非民主的なやり方で容認できないところであります。  修正案は、廃止を前提とせず、地域交通確保について利用者代表をも含めた協議会で協議し、その中から一定の方向を出そうとするものであり、妥当なものであります。  修正案賛成の第二の理由は、運賃問題についてであります。  政府案の地方交通線に割り高特別運賃制度の導入については、さきに述べた理由で反対であります。修正案では、割り高特別運賃制度をやめ、都市部における私鉄に比べはるかに高くなっている国鉄の運賃を適切に調整することを提案しております。この措置は、国鉄離れを防止し、国鉄再建に直結するものと確信いたします。  第三は、むだな投資をやめ、政治路線の建設に道を開くことを封ずることは当然のことであります。  第四は、政府案において地方交通線の運営について法的助成の規定を設けたことは一歩前進でありますが、修正案は、国と国鉄の責任分野を明確にし、国鉄が経営努力をしてもなお欠損が生ずる場合は、政府はその欠損相当部分を助成するのが適当とするもので、賛成であります。  修正案に賛成する第五の理由は、国鉄再建については、基本的に国鉄みずからの経営姿勢が厳しく問われており、その当事者が重大な決意を持ってそのための努力を精力的に行うべきであります。このため、国鉄の当事者能力を確保するためにも政府は過度の介入はするべきでないので、再建計画の実施過程での政府による計画変更の指示事項を政府案から除外しようとしていることは当然であります。  以上で、私の、政府案及び加藤六月君外三名提出の修正案に反対し、久保三郎君提出の修正案賛成の討論を終わります。(拍手)
  15. 小此木彦三郎

    ○小此木委員長 西中清君。
  16. 西中清

    ○西中委員 私は、公明党・国民会議を代表して、日本国有鉄道経営再建促進特別措置法案及び加藤君修正案について反対の立場から討論を行い、同時に、久保君修正案に対して賛成の討論を行うものであります。  本法案の問題点の一つは、経営再建法案とはいうものの、再建に必要な課題を解決する施策がほとんど示されていないということであります。  国鉄の財政を圧迫する上越、東北新幹線の開業に伴う赤字増、職員構成のひずみからくる年金負担や退職金問題、借入金依存の投資など、いわば構造的な赤字についての抜本的な施策のメスを入れずして、政府の国鉄再建のための基本構想が目指す六十年度における収支の均衡を図ることはとうてい無理であると判断します。  したがって、これらの問題の解決策を欠く本法案が仮に成立したとしても、国鉄の財政を立て直すことは不可能であると申し上げたい。  わが党が指摘してきた総合交通政策の確立と、いま述べた赤字構造の解決こそが再建の要件であり、政府、国鉄はまずこれらの対策を確立することが急務なのであります。  次に看過できない問題は、地方交通線への特別運賃制の導入であります。これは利用率の低い路線、すなわち過疎化が進む地域ほど割り高な運賃になるということであり、過疎地の産業の振興など過疎対策に逆行し、政府の定住圏構想とも矛盾する運賃制度と言わざるを得ません。さらに、都市圏に比較して列車の運行数が格段に少なく、無人駅や貨物取り扱いのない駅が多いなど、いわば質の悪い交通サービスに割り高な運賃を課すことになり、このような経済原則に反した運賃制度を容認することはできません。  第三点は、地方交通線対策の内容についてであります。わが党は、過日、地方交通線の実情と地域住民の意見を聞くため、各地でその実態調査をしてまいりました。住民の反応は一様に政府、国鉄の再建に取り組む姿勢に疑問を投げかけ、鉄道が廃止され、バスに転換されたときの地元への影響に不安を抱いていることであります。そして、国鉄の赤字のしりぬぐいをなぜ過疎地のわれわれがしなければならないのかという強い反発の声が多かったのであります。  本法案の地方交通線対策には、地元住民の意見を反映させる場がなく、対策協議の期限を二年間に限定するなど、地元無視の性格が余りにも強いと言えます。  このほか、鉄道廃止に伴う転換交付金の補助の内容とその財源の不明確さ、対策の内容と対策推進に当たっての各省庁間の意見の違いなど、明確にしなければならない問題点が余りにも多く残されております。  第四点は、再建に関する国鉄自身の企業努力についてであります。本法案には、国鉄がみずから血を流してでも経営の改善に努めるというべき項目が何一つとして見当たらないのであります。すなわち、借入金は国が処理し、赤字線対策では住民と地方自治体に負担を強制し、労働者には合理化を押しつけるのみで、大前提となるべき経営努力が欠落していることであります。  以上のように、国鉄の財政の健全化もなし得ず、地域の発展を阻害し、国民に負担を強いる本法案には反対であることを明らかにいたします。  引き続いて、私は、久保君修正案に対する賛成の討論を行います。  本修正案に賛成する理由は、まず、政府原案のように廃止を前提として地域住民や自治体に鉄道撤去後の対策を迫るのではなく、地域交通のあり方を十分に協議し、適正な交通体系の選択を地域にゆだねているという点であります。  第二の理由は、地方交通線の特別運賃を原案から削除していることであります。  さらに、本修正案は地方交通線の赤字助成を明確化していることであります。  地方交通線は地域の発展に欠くことのできない交通機関であり、地域の動脈であります。したがって、国鉄の使命としての公共的立場から維持運営すべきであり、新線の建設は重点的、計画的に行うのが望ましいのであります。政府原案のように、いたずらに採算性のみを前提として廃止すべき性質のものではありません。地方交通線を地域振興のために維持するに当たって、国鉄が企業努力をしてもなおかつ計上される赤字に対し、国の助成措置を明らかにした本修正案こそ妥当と考えます。  以上、政府原案及び加藤君修正案に反対、久保君修正案に賛成の討論を終わります。(拍手)
  17. 小此木彦三郎

    ○小此木委員長 小渕正義君。
  18. 小渕正義

    ○小渕(正)委員 私は、民社党・国民連合を代表いたしまして、日本国有鉄道経営再建促進特別措置法案並びに久保、加藤両修正案に対し、反対の立場での討論を行います。  まず申し上げたいのは、今日の国鉄の再建に対するわが民社党の姿勢について申し上げたいと思います。  私ども民社党は、終始一貫今日まで国鉄の現状を憂え、真剣に取り組んできたのであります。しかしながら、残念ながら今回の再建計画を見ます場合においては、ただただ運賃値上げだけでこれからの国鉄を再建する、そのような姿勢しか見られないということであります。もちろん今回の再建計画は、国鉄が持つ外的や構造的な要因を排除し、国鉄自身が独立採算制による公共企業体としての企業責任を明らかにするということでは当然のことであります。  しかしながら、私は、このことをなすに当たってはその前提条件があると思うのであります。  今日までの国鉄当局の姿勢を見るとき、国鉄の持つ社会的な責任を自覚し、企業経営者としての責任を果たして全うしていたであろうかということを考えました場合、残念ながら、今日までの国鉄当局の経営姿勢を見た場合においては、そのような理解ができないのであります。  今日の国鉄の置かれている現状を見るとき、職場における管理者層の大多数は官僚的な態度に終始し、経営者的感覚に乏しく、こうした態度が国鉄経営全体を悪化させる要因になっていることは否めないと私は思うのであります。  また、このような要因を挙げますならば、その国鉄に根差しておる体質的な問題であろうかと思うのでありますが、そういう意味では、企業経営として最も初歩的である人事運用の面においても、まさにそういった問題が何ら解決されていないというところに、一つの国鉄の持つ体質があろうと私は思うのであります。  職場における管理権の喪失、職場規律の混乱、それに伴う勤労意欲の喪失、少なくとも競争条件整備のための近代化に伴う合理化諸施策の立ちおくれ、どれ一つをとってみましても、今日の国鉄が企業経営として当然着手すべきこういった問題に何ら積極的に取り組まれていないということを断ぜざるを得ないのであります。  今回のこの法案審議に当たりまして、公聴会等の機会を通じましての公述人の賛成意見のすべてが、その前提条件となるものは国鉄の労使一体としての取り組みであるというととを強調されておったのも、私はここに問題があろうと思うのであります。  したがって、これらの問題解決のために国鉄当局が果たしてどのような決意を持って今回の再建案に取り組もうとしておるのか、責任ある経営者として勇断を持って対処する決意を、国鉄当局が内外にその姿勢を明らかにすべきだと私は思うのであります。  しかしながら、残念でありますが、今回のこの再建案に見る限りにおきましては、質疑を通じての国鉄経営者の当局の態度を見ましても、いま私が指摘するそういった問題について、何ら積極的な意図を感じられないのははなはだ残念に思うのであります。  このような立場から、本来国民は、国鉄自身が現在みずからの痛みを痛みとし、血を流し、肉を切り、みずからどのような真剣な経営再建に取り組んでいるか、そういった国鉄の努力の中において初めて国民は共感を得るものであり、そのような国民の共感を得て初めて国鉄再建の基盤ができるというふうに私は信ずるものであります。まず、このような原則的な立場を考えまして、今日のこの再建法案に対する国鉄当局の今日までの惰性の姿勢が何ら改善される曙光も見出し得ない、そのような立場から反対をするものであります。  次に、地方線対策の問題であります。この問題は、御承知のように、全体の収支バランスの中で大きな比重を占めているそういった問題には手をつけず、ただ単たる地方線を切り捨てるという中で再建を図ろうというのがこの地方線対策であろうと思うのであります。いま私が申し上げるまでもございませんが、地域における公共性は、特に地方線については重要であります。しかるに、国鉄自身は、これらの地方線に対する積極的な改善策を講ぜずして、そうして国鉄全体の再建に対する真剣な取り組みもまだいろいろせずして、ただいたずらに一方的にこれら地方線の対策を推進していこう、切り捨てていこう、地方における公共的な性格を放棄してしまおうという国鉄自身の姿勢に対しましては、わが民社党としては断じて許すことができないのであります。  以上申し上げましたそういった要因から、今回の再建法案に対しましては反対、また、そういった基本的な立場から、それぞれの修正案に対しても反対の意思表明をするものであります。  以上です。(拍手)
  19. 小此木彦三郎

    ○小此木委員長 四ツ谷光子君。
  20. 四ツ谷光子

    ○四ツ谷委員 私は、日本共産党を代表し、日本国有鉄道経営再建促進特別措置法案に対し、反対の討論を行います。  最初に、私は、本法案が法的に致命的欠陥を持つものであり、本来政府において速やかに撤回されるべきものであることを強く指摘するものであります。  廃止対象路線を選定する際に不可欠な一つ一つの営業線の名称、起点、終点は、本来法律で定めなければならないものであります。にもかかわらず、本法案にはその定めがなく、また道路法五条のごとき法律による政令委任もありません。したがって、政府は、本来法律事項である常業線の名称、起点、終点を政令で定めることもできないわけであります。その結果、政府はこのままでは廃止対象路線の選定もできないことになり、まさに本法案は致命的欠陥法案であると言わなければなりません。しかるに、政府は、わが党の指摘に対し、何ら明確な法的根拠を示すこともなく、廃止対象路線の選定を政令で定めると強弁しております。これでは、住民にとって廃止か存続かという重大な路線選定を政府が自由に行うことができることになり、まさに白紙委任にほかなりません。このような白紙委任は、国会中心主義をとる憲法に明白に違反していると言わなければなりません。  次に、本法案の内容についてであります。  第一に、本法案によって実施しようとしている国鉄の経営改善計画は、国鉄の公共的役割りを際限なく切り捨て、国民と国鉄労働者に一方的に犠牲と負担を求めるものであり、絶対に容認できないものであります。来年度に予定している一〇%値上げを初めとする毎年連続の運賃値上げや線区別割り増し運賃の設定は、利用者に高負担を押しつけるばかりか、乗客の国鉄離れをますます促進するものになっております。また、国鉄職員の三十五万人体制は国鉄の安全輸送を脅かし、地方交通線の一方的切り捨てを初めとする利用者へのサービスの切り捨て、国鉄の公共的使命の放棄と一体不可分のものであります。しかも、地方交通線の廃止に当たっては、二年間の協議で国鉄が一方的に廃止できるといういわゆる見切り発車条項まで規定して路線切り捨てを強行しようとしています。これではいま国民が求めている国鉄再建とは全く逆行するものであります。  第二に、国鉄財政破綻の真の原因にメスを入れようとしない政府の再建策では国鉄財政の再建は不可能だということであります。  約五兆円もの、鉄道債券を初めとする設備投資のための長期負債には何らの対策も講ぜず、今後も引き続き借金依存の設備投資を続けようとしています。これでは国鉄赤字の八割にも匹敵する利子負担がますますふくれ上がり、財政危機を破局に導くことは明らかではありませんか。  さらに、国鉄赤字の約七割を占める貨物赤字に対しても、要員削減などの対策で一時逃れに取りつくろおうとしているだけであります。旅客には高く、大企業貨物には安い国鉄の運賃体系には手を触れようともせず、貨物赤字はたれ流しというありさまです。  また、大企業の物流対策の変更に振り回された結果、国鉄の貨物投資で莫大なむだ遣いが発生していることも明らかになっています。ところが、政府は、陸上貨物輸送分野における国鉄の役割りを高める対策を何ら打とうとしてはおりません。これではエネルギーの節約、自動車公害と交通事故の防止という国民的課題にこたえるものにもなっておりません。  以上が、わが党の本法案に反対する理由であります。  次に、社会党提出の修正案について述べます。  修正案は、路線廃止の見切り発車条項と割り増し運賃制の削除、地方交通線欠損の補助拡大など同意できる点もありますが、全体として政府の反国民的施策を容認するものとなっており、とうてい賛成できないのであります。  すなわち、政府案は、国鉄に対して経営改善計画の作成、実施を義務づけていますが、これは運賃の連続値上げ、安全とサービスの切り捨て、人減らし合理化の実施を強制するものであります。修正案はこのような重大な問題を持つ経営改善計画の作成、実施義務を容認しているのであります。  また、現在新線建設の多くが政府の一方的な予算措置によって中断させられていますが、修正案は、地域住民の強い要望である新線の工事を一切認めないというものであり、とうてい容認することはできません。  以上が、社会党修正案に反対する理由であります。  これまでもわが党は国鉄再建の抜本的対策を提言してまいりましたが、今後も国鉄の民主的再建のため全力を挙げて闘うことを表明し、討論を終わります。(拍手)
  21. 小此木彦三郎

    ○小此木委員長 中馬弘毅君。
  22. 中馬弘毅

    ○中馬委員 私は、新自由クラブを代表して、政府提案に係る日本国有鉄道経営再建促進特別措置法案並びに加藤六月君外三名提出の同修正案に賛成、久保三郎君提出の修正案に反対の討論を行います。  わが日本国有鉄道の財政が赤字に転落したのは、GNPに占める道路投資の比率が二%を超えて、地方道に至るまでの整備が進み、自動車普及率が飛躍的に増大して本格的なモータリゼーションを迎えた時期と軌を一にしています。すなわち、昭和三十九年度以降国鉄の赤字は年を追って増大し、いまや年間赤字は一兆円を超え、赤字累積額は約七兆円にまでふくれ上がってしまいました。  戦後三十五年、わが国の経済、社会の各分野ではモータリゼーションに限らず、石油革命、流通革命、都市化の進展、脱工業化、石油ショックなどもろもろの変革が次々に押し寄せてきました。多くの民間企業では労使ともに血のにじむような努力でこの時代の変化に対応してきたのであります。  しかるに、国鉄は、この十五年間、激しいモータリゼーションのあらしにさらされながら、自動車に移行する旅客や貨物を座視するだけで、輸送形態も経営形態も、さらには人員管理も運賃政策も従来のまま何ら変革することなく続けてきてしまいました。  この間に数次にわたる再建計画が立案されはしました。しかし、それらはいずれも債務のたな上げや助成拡大、運賃値上げなど、その場しのぎの施策にすぎず、経営の根幹に触れる抜本策ではなかったがために何ら実効が上がらぬまま今日に至ったのであります。  国鉄が抜本的に取り組まねばならぬことは、まず第一に、輸送需要の構造的変化に対応して鉄道特性の生かせる分野は積極的に伸ばし、努力しても対処できぬ分野は公共性を配慮しつつ他に転換を図ることであります。  本法案によって鉄道輸送としての需要が少ないローカル線を特定地方交通線として選定し、バス運行等への転換を図る道が開かれたことは、かような意味で評価するものであります。  ただし、これはあくまで転換の道が開かれただけで、自動的に地域住民の利便が増大するものではありません。特定地方交通線がバス運行等に転換されたがために、何年か後、以前よりずっと便利になったと評価されるためには、老人、学生等交通弱者対策を含め、政府並びに国鉄当局は格段の配慮をいたすべきことを申し添えます。  第二に、経営形態についてでありますが、従業員が四十二万人というマンモス事業体を単一の企業経営体として果たして機能的に管理し得るかという問題です。地域別とするか、部門別とするかはともかくとして、それぞれの部門ごとに人員管理を含めた経営責任を明確にするとともに、公共負担等企業経営の範囲を越える部分については、その責任の所在を明らかにする必要があります。この点は本法案に触れられておりませんが、国鉄はいずれ分割し、それぞれ国有民営という形態に移管すべきだと提唱している私どもは、本法案の地方交通線の第三セクターまたは民間への譲渡条項はこの主張に沿ったものとして積極的に評価し、今後の課題として指摘しておきたいと思います。  第三に、運賃政策についてであります。  価格の決定は企業経営にとってその命運を左右する重大な決断であります。運賃法定制のもとでは国会が決めてくれるということで、ともすれば無責任になりがちであったものが、三年前の運賃法定制緩和に引き続き、本法案によってさらに全国均一賃率の枠内ではあるが、割引制度や地域特別運賃が認められることは、国鉄総裁に当事者能力が付与されるとともに、その経営責任が明確に問われることになりました。運用誤りなきよう弾力的に対処して国鉄再建の実を上げられんことを望むものであります。  さらに、国鉄は、新線建設の場合におけるいわゆる政治的圧力の介入を排し、真に国民的立場に立った効率的投資に徹する経営態度を貫くべきであります。同時に、国民や地域住民も国鉄に対する過度の期待や甘えを排さねばならないと考えます。特に本法案にいう政令決定事項である特定地方交通線の選定に当たっては、いやしくも国民の疑惑を招くような政治的配慮を排し、厳正中立、公平無私の立場で臨んでいただきたい。このことなくしては本法案の意図する国鉄再建はまたもや画餅に帰してしまうことは明らかであります。  当然のことながら、本法案の成立、施行だけで国鉄の再建が達成されるとは考えておりません。しかし、国民の理解を得ながら本法案の目的に向かって労使が一体となって取り組むなら、再建の糸口だけはつかめることを確信するものであります。  さきに幾つか指摘した総合的、抜本的改革を今後に期待して、久保三郎君提出の修正案に反対、加藤六月君提出の修正案並びに政府提案の原案に賛成の討論といたします。(拍手)
  23. 小此木彦三郎

    ○小此木委員長 これにて討論は終局いたしました。     ―――――――――――――
  24. 小此木彦三郎

    ○小此木委員長 これより採決に入ります。  内閣提出、日本国有鉄道経営再建促進特別措置法案並びにこれに対する久保三郎君提出の修正案及び加藤六月君外三名提出の修正案について採決一いたします。  まず、久保三郎君提出の修正案について採決いたします。  本修正案に賛成の諸君の起立を求めます。  〔賛成者起立〕
  25. 小此木彦三郎

    ○小此木委員長 起立少数。よって、本修正案は否決されました。  次に、加藤六月君外三名提出の修正案について採決いたします。  これに賛成の諸君の起立を求めます。  〔賛成者起立〕
  26. 小此木彦三郎

    ○小此木委員長 起立多数。よって、加藤六月君外三名提出の修正案は可決されました。  次に、ただいま可決いたしました修正部分を除く原案について採決いたします。  これに賛成の諸君の起立を求めます。  〔賛成者起立〕
  27. 小此木彦三郎

    ○小此木委員長 起立多数。よって、本案は加藤六月君外三名提出の修正案のとおり修正議決すべきものと決しました。(拍手)  お諮りいたします。  ただいま修正議決いたしました法律案の委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  28. 小此木彦三郎

    ○小此木委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。  〔報告書は附録に掲載〕     ―――――――――――――
  29. 小此木彦三郎

    ○小此木委員長 この際、加藤六月君から発言を求められておりますので、これを許します。加藤六月君。
  30. 加藤六月

    ○加藤(六)委員 ただいま議決されました本法律案につきましては、長時間にわたり、きわめて熱心かつ慎重な審査を行ってまいったところでありますが、その審査の過程におきまして、委員各位から国鉄経営の改善のための諸施策につきまして、数多くの貴重な御提言がありました。  これらの事項を集約して、今後の国鉄の経営の改善に資するため、先般の理事会におきまして、鋭意協議をいたしました結果、「国鉄経営改善方策についての提言」として文書として取りまとめました。  この「提言」において取りまとめましたことは、委員各位の御質疑によりさまざまの角度から取り上げられ、政府当局及び国鉄当局の答弁を求められましたことは、お聞き及びのとおりであります。  したがいまして、本日の理事会の協議に基づき、その全文を本委員会の記録にとどめておきたいと存じます。  以下、全文を読み上げます。  第九十二回国会に提出され、第九十三回国会に継続した日本国有鉄道経営再建促進特別措置法案について慎重に審査を行った結果、国鉄経営の改善方策についての提言について左記のとおり合意した。  政府及び日本国有鉄道は、本法律案が成立した後において、この提言の実現を図るよう強く要請する。    記  国鉄経営改善方策についての提言  国鉄の経営については、再三にわたりその再建のための計画が立てられたが、経済社会情勢の変化に伴う輸送構造の変革及びこれに対応する適切な施策の遅れ等により十分な成果を上げることができず、依然として改善の兆しが見られない。今や交通に課せられたエネルギー、空間、環境等の制約条件の中で、国民経済的立場に立ち国鉄がその特性を発揮し、有効に機能できるよう改めてその経営の改善の促進を図る必要がある。  国鉄の経営を改善するためには、国鉄経営上の諸問題について責任の所在を明確にするとともに、国鉄自身の徹底的な経営改善努力と労使の協力が不可欠であり、そのための障害を取り除くことが必要である。  また、国及び地方公共団体の強力な支援に加え、国民の理解と協力が要請される。  一 責任ある経営体制の確立と経営改善の推進  (一) 国鉄は、安易血経営姿勢を排除し、責任ある経営体制を確立して、主体性を持って経営の改善を推進し、その実効を上げるよう努力すべきである。  (二) 国鉄は、各部門について業務運営全般の効率化、機構・組織の簡素化等を徹底することにより、経費の増大を極力抑制すべきである。  (三) 国鉄は、利用の増進、関連事業の充実及び積極的開発、資産処分の徹底等により、収入の増加に努めるべきである。  (四) 国鉄運賃については、各種営業割引の拡大等きめ細かな工夫を凝らすことにより、収入の増加を図るとともに、国鉄の特性が十分発揮できるよう配慮しつつ、各種運賃制度のあり方について検討すべきである。  (五) 設備投資については、当面現状程度の規模に抑制することとし、投資計画の適正化に配慮するとともに、新規投資は、国鉄の特性発揮のための改良工事を主とし、在来線の複線、電化等の輸送力増強については、輸送需要、投資の効率性、採算性等を考慮して推進すべきである。  二 財政上の措置  (一) 戦後の要員事情に起因する退職金、年金の異常増加分につき、退職金については異常増加分に対する利子補給を継続するとともに、年金については年金制度の抜本的検討等緊急に対処すべきである。  (二) 地方交通線のうち、バス輸送等への転換を行わないものについては、徹底的な経営改善措置の実施にもかかわらず生じた欠損について、所要の公的助成を行うべきである。  (三) 運賃上の公共割引は、それぞれの政策実行部門の負担とするよう速やかに措置すべきである。  (四) 大都市通勤・通学輸送対策のための輸送力増強工事等社会的要請に基づき企業採算を超えて実施しなければならない投資については、その負担軽減のための助成を拡充すべきである。  三 総合交通政策の確立  (一) エネルギー、空間、環境等の外的制約条件の変化に対応し、総合交通政策のあり方を速やかに見直し、新しい総合交通政策を確立すべきである。その際特に地域住民の足となる地域交通サービスの確保に十分配慮すべきである。  (二) 効率的な輸送体系の形成を図る見地から、都市内における通勤時の自家用車の使用抑制と公共交通への転換、トラックの運賃ダンピング及び過積載の規制の強化、ダンプカーの協業化の促進、国鉄とトラックの協同一貫輸送体制の整備、国鉄・通運の協調体制の強化等を行うべきである。  (三) 総合交通政策に基づき均衡ある交通体系の維持発展を図るため、公共投資のあり方、財源調達等について総合的に検討すべきである。  以上であります。  政府及び国鉄においては、本法律案が成立いたしましたならば、この提言の実現を図るよう強く要請するものであります。  終わります。(拍手)
  31. 小此木彦三郎

    ○小此木委員長 この際、塩川運輸大臣及び高木日本国有鉄道総裁からそれぞれ発言を求められておりますので、順次これを許します。塩川運輸大臣。
  32. 塩川正十郎

    ○塩川国務大臣 日本国有鉄道経営再建促進特別措置法案につきましては、慎重御審議の結果御採決をいただき、まことにありがとうございました。  また、ただいまの国鉄経営改善方策についての御提言につきましては、この御提言の趣旨を十分体しまして、今後その実現を図るよう努力してまいる所存でございます。(拍手)
  33. 小此木彦三郎

    ○小此木委員長 高木日本国有鉄道総裁。
  34. 高木文雄

    ○高木説明員 日本国有鉄道経営再建促進特別措置法案につきましては、慎重御審議の結果御採決をいただきまして、まことにありがとうございました。厚く御礼を申し上げます。  また、ただいまいただきました国鉄経営改善方策についての提言につきましては、その御趣旨に沿い、みずから徹底した企業努力を行い、労使相協力して国鉄経営再建の確実な実現に向けて総力を結集いたす決意でございます。  ありがとうございました。(拍手)
  35. 小此木彦三郎

    ○小此木委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。     午前十一時五十一分散会   〔本号(その一)参照〕     ―――――――――――――    派遣委員の北海道における意見聴取に    関する記録 一、期日    昭和五十五年十月三十日(木) 二、場所    北海道厚生年金会館三階黎明の間 三、意見を聴取した問題    日本国有鉄道経営再建促進特別措置法案に    ついて 四、出席者  (1) 派遣委員      座長 小此木彦三郎君       関谷 勝嗣君    宮崎 茂一君       関  晴正君    福岡 義登君       浅井 美幸君    小渕 正義君       四ツ谷光子君  (2) 現地参加委員       小林 恒人君  (3) 意見陳述者         北海道大学経済         学部教授    早川 泰正君         北海道羽幌町長 藤沢 一雄君         株式会社北村船         具店代表取締役         社長      北村  實君         北海道大学経済         学部教授    松井 安信君         札新開発株式会         社取締役社長  赤井  醇君         北海道今金農業         協同組合長   村本 光夫君      ――――◇―――――     午前十時開議
  36. 小此木彦三郎

    ○小此木座長 これより会議を開きます。  私は、衆議院運輸委員会派遣委員団団長の小此木彦三郎でございます。  私がこの会議の座長を務めますので、よろしくお願いを申し上げます。  この際、私から、派遣委員を代表いたしまして、一言ごあいさつを申し上げます。  皆様御承知のとおり、ただいま本委員会におきましては、日本国有鉄道経営再建促進特別措置法案の審査を行っているところであります。  当委員会といたしましては、本法案の審査に当たりまして、国民各層から意見を聴取するため、名古屋市と御当地におきまして、この会議を催し、各界の代表の方々から忌憚のない御意見をお伺いしようとするものであります。  御意見をお述べいただく方々には、御多忙中にもかかわらず御出席をいただきまして、まことにありがとうございます。厚く御礼申し上げます。  まず、この会議の運営につきまして御説明申し上げます。  会議の議事は、すべて衆議院における委員会運営についての議事規則及び手続に準拠して行い、議事の整理、秩序の保持等は、座長であります私が行うこととしております。発言をなさる方々は、必ず座長の許可を得て発言していただきたいと存じます。  なお、この会議におきましては、御意見をお述べいただく方々は、派遣委員に対しての質疑はできないことになっておりますので、あらかじめ御承知おきを願いたいと思います。  次に、会議の順序につきまして申し上げます。  まず、午前中に各意見陳述者から順次御意見をお述べいただき、午後再開して、派遣委員から質疑が行われることになっております。したがいまして、時間の関係上、御意見陳述の時間は、一人十五分程度にお願いいたしたいと存じます。  それでは、本日御出席の方々を御紹介いたします。  派遣委員は、自由民主党の関谷勝嗣君、宮崎茂一君、私、小此木彦三郎、日本社会党の福岡義登君、関晴正君、公明党・国民会議の浅井美幸君、民社党・国民連合の小渕正義君、日本共産党の四ツ谷光子君の八名であります。なお、現地参加として、小林恒人君が出席されております。  次に、本日各界を代表して御意見を述べていただく方を御紹介申し上げます。  北海道大学経済学部教授早川泰正君、北海道羽幌町長藤沢一雄君、株式会社北村船具店代表取締役社長北村實君、北海道大学経済学部教授松井安信君、札新開発株式会社取締役社長赤井醇君、北海道今金農業協同組合長村本光夫君、以上の方々でございます。  それでは、早川泰正君から御意見を述べていただきたいと存じます。
  37. 早川泰正

    ○早川泰正君 国鉄再建促進特別措置法案につきまして、賛成の立場で意見を申し上げます。  第一の理由は、国鉄の財政悪化であります。御承知のように、国鉄は昭和三十九年より赤字に転換いたしまして、以後、毎年大きな損失を招いております。昭和五十四年度の収支決算で申しますと、収入が二兆九千億、経費が三兆七千億、ここで八千二百億円以上の損失となっております。  過去の損失の累積欠損を見ますと、昭和五十年におきまして三兆一千六百億円、昨年度でありますけれども五十四年度は、一般勘定分だけで三兆五千億円、これに特定債務整理の特別勘定分を加えますと六兆五百六十八億円という巨額に達しております。  このように財政が悪化いたしました理由につきましては、いろいろなことが言われておりますけれども、その一つ、恐らく最大と思われますものは、モータリゼーションの進展であろうと考えます。昭和四十年を一〇〇といたしまして、五十四年度の全国の乗用車の数を見ますと約十倍、北海道におきましては約十二倍と急増しております。それから、トラックでありますが、これは全国、北海道ともに約二・七倍であります。  こうした状況のもとで、北海道におきましての旅客輸送のうちで、これは五十四年度の数字でありますけれども、国鉄が一四%、自動車が八二%、他は私鉄、航空機となっております。それから、貨物でありますけれども、同じく北海道におきまして国鉄が二六%、自動車が七四%。それから、東京-札幌間の旅客の輸送は、すでに御承知のように、航空機が九六%という圧倒的な多数を占めております。  このような国鉄の財政の窮状に対しまして、過去すでに数回にわたって再建策が講じられてまいりました。昭和四十四年以来現在まで、四回にわたり、いろいろなそれに対する対策が講ぜられてまいっております。たとえば運賃の改定、それから国の助成、利子補給、補助金、特別交付金等々であります。そのほかに、要員の縮減、それから特に今回の法案におきまして一つの大きな問題になろうと思いますが、地方交通線の合理化、転換が従来からいろいろと進められてきたところであります。  こうした背景のもとで今回の法案の性格を見てまいりますと、これもすでに御承知のように、四つのポイントがあるように思います。  その第一は、経営改善計画の策定、実施ということであります。これにつきましていろいろなことが言われておりますけれども、その一つは「事業量、職員数その他の経営規模に関する事項」となっておりまして、ここでは昭和六十年に三十五万人の体制に持ってくるということが一つのポイントであろうかと思います。  その次が地方交通線対策でありまして、これもよく知られておりますように、地方交通線、特定地方交通線、こういうものを選定いたしまして、特に特定地方交通線の中でバス輸送に転換するのが適当である、こう思われるものを選定、公示いたしまして、そうして、そのバスを中心とする代替の輸送機関につきまして、特定地方交通線協議会を設けてそこでこれを審議する、それに要する期間が大体二年、このようになっております。  三番目が国の助成でありまして、債務のたな上げ、これは五十年以後、五十年末と五十四年度末の特定債務を一括してたな上げする。金額にして五兆五百九十九億円となっております。なお、その助成につきましては、先ほど申しました地方交通線対策ということになりますが、その地方交通線運営のための補助、それから特定地方交通線に対して、転換に要する交付金を補助する、こうしたことが助成策の中心であります。  最後が特別運賃の問題でありまして、収支改善の必要な地方交通線につきましては、運賃収入確保のために特定の割り増し運賃を全国的に設定しよう、こういうことになっております。  以上の法案の内容を見ますると、現在の国鉄の財政状況のもとにおきまして、後ほどさらにまた申し上げますけれども、総括的にはこれは必要である、このように考える次第であります。  なお、この中から特に地方交通線の問題だけを引き出して、以下少し意見を申し上げたいと思います。  従来から、過去四回の再建策におきましても、地方交通線対策がそれぞれ問題になっておりましたが、今回の法案の一つのポイントにこれがなっていることは御承知のとおりであります。地方交通線がいかに国鉄の赤字の一つの重要な部分になっているかということはよく知られておりますが、全国の五十四年度の数字を見ますと、営業キロにおきまして、幹線系が五九%、地方交通線が四一%、輸送量におきましては、幹線系が九六%、地方交通線はわずかに四%、収入におきましては、幹線が九四、地方交通線が六、経費は、幹線が八九、地方交通線が一一、それから損失は、幹線が七一、地方交通線が二九、約三〇%近くが地方交通線から出る損失、こうなっております。このような営業キロ、それから輸送量、それから損失、こういう項目を見ますると、そこにやはり大きなアンバランスがあることがわかるわけであります。こうした事実から、後ほどまた特に申し上げますけれども、国の財政が御承知のような状態で、財政再建が焦眉の問題になっておる。それからまた、財政の負担を全国的に公平化しなければならない。こういう大きな要請があるわけであります。そこへ持ってまいりまして、もう一つは、エネルギーその他を中心とする資源利用の適正化。この三つの原則と申しますか、三つの見地から見まして、地方交通線のこのような赤字の状況を放置すべきではない、このように考える次第であります。  たとえばエネルギーの面でありますけれども、地方交通線のエネルギーの比較を鉄道とバスについていたしますと、これはもちろん輸送密度が低くなれば鉄道の方がバスよりもよけいエネルギーを食う勘定になるわけであります。輸送人員が一日二千人未満の場合、鉄道はバスの一・六倍のエネルギーを消費する。これがさらに千人ということになりますと一・九倍のエネルギーを鉄道の方がよけい使う。こういう計算が出ております。  そこで、交通体系のあり方ということが当然問題になるわけであります。これにつきましては、昭和五十二年の十二月に、これもよく知られておりますが、閣議の決定がございまして、国鉄再建の基本方針の中で「国鉄経営の在り方」こういう項が決定されております。これは御承知のとおりでありますけれども、国鉄の業務の中心は都市間の旅客輸送、それから大都市圏の旅客輸送、それから大量定型貨物の輸送、こういうものを中心とする。それに対して効率性の低い分野につきましては、他の輸送機関、これはバスとか私鉄があるわけでありますけれども、それとの関連において効率的な輸送体系を形成する、こういうことが国鉄を中心とする交通体系の基本的な考え方になっております。  これを踏まえまして、五十四年一月の運輸政策審議会の最終報告は「国鉄ローカル線問題について」ということになっておりまして、これをもとにして今回の法案の地方交通線に関する部分が形成された、このように理解をしております。  この場合、輸送手段をバスに転換するということ自体でありますが、これは少なくともその限りにおいては輸送力を確保する、ただ単に輸送をとってしまうのではなくて、そういう形で輸送力を確保する、ここのところが一つの重要な点であろうかと思います。  なお、古いことになりますけれども、四十六年七月の運輸政策審議会の「総合交通体系に関する答申」というのがありまして、この中で「総合交通施設整備計画」というのが出ております。この計画の中の「地方交通体系」というところで、バスへの転換を含む地方交通網の再編、整備が必要である、このような答申が四十六年の七月にすでに出ておるわけであります。  なお、ヨーロッパの二、三の事例を見ますると、ヨーロッパは日本よりももちろんモータリゼーションが早くやってまいりました関係上、すでに地方交通線に該当する部分の廃止が相当進んでおります。一九六一年つまり昭和三十六年から一九七八年、昭和五十三年までの十七年間における事例を見ますと、イギリスにおきましては、旅客営業キロのうち七千七百九十四キロ、フランスにおきましては五千百三十八キロ、西ドイツにおきましては四千五百六十六キロ、これだけの旅客営業キロがいずれも廃止ということになっております。  そういうところから、次に北海道の地方交通線の問題、今回ここで公聴会が持たれるということは、恐らく北海道の例の赤字路線ということがその一つの理由になっていると私は考えておりますので、それにつきまして意見を若干述べさしていただきます。  北海道の地方交通線が特に赤字が多く、アンバランスが大きいということは、いろいろな機会に指摘されておるところであります。先ほど昭和五十四年の全国の幹線系と地方交通線とのパーセントを申し上げましたけれども、これを北海道について全国と比較いたしますと、営業キロにおきましては大体全国の逆になっております。つまり幹線系が四一%、地方交通線が五九%、大体全国と逆ということになっております。したがいまして、輸送量、収入その他においても地方交通線の占めるパーセントは当然全国を上回っているわけであります。しかし、損失の面を見ますると、地方交通線の損失は、全国の二九に対して北海道におきましては三三%、全国を上回る損失、こういう数字が出てまいります。  よく言われます収支係数でありますが、北海道の場合、千歳線以下七線についていわゆる幹線系の収支係数を平均いたしますと二四六、これに対しまして地方交通線、これは歌志内線以下二十九線でありますが、その平均が六〇五という数字が出ております。特に地方交通線の中で最も低いもの、万字線以下十二線を見ますると、これは収支係数一〇〇〇であります。そのうちで特に高い白糠、深名線、この二つを見ますると、これは二〇〇〇を超えております。  こうした地方交通線の経営が非常に悪化しているということは、一つには、北海道の本州と違った特殊事情、たとえば面積が広大である、人口密度が少ない、それから気象、風土、文化、その他生活面において道内各地域が非常に格差が大きい、こういうところもありましょうし、また特に、後ほど問題になろうかと思いますけれども、現在北海道が進めておりますところの新総合開発計画の進展、潜在的な発展能力を顕在化する、こういうことにも関係があろうかと思うのであります。しかしながら、私が先ほど申しました国の財政の再建、それから財政負担の公平化、それから資源利用の適正化、こういった三つの観点から見ますると、北海道にはいろいろな特殊事情はありますけれども、あるからといって、そのために特定の地方交通線を単純にそのまま維持すべきである、こういう理由はそこには存在しない、このように考えざるを得ないわけであります。  そこで、北海道として望ましい交通体系はどういう交通体系かということでありますが、これはやはり道央の都市圏、それから道内における地方中核都市、こういうものを結ぶ主要幹線を現在以上にさらに整備発展させる、そして、それ以外の地方交通線に該当する部分につきましては、輸送の実態を十分検討した上でバスへの転換もやむを得ない、このように判断いたします。  なお、貨物につきましては、これも一つの重要な問題でありますので、貨物輸送の体系化を考える。先ほど出ましたような大量定型貨物の輸送は鉄道を中心として、その周辺の集配機構については主として自動車がそれに当たるべきである、このように考えております。  最後に、今回の法案、私はそれに賛成いたしますけれども、それが通過してこれを実施される段階になりますと、北海道はもちろんですが、一九八〇年代を迎えた全国各地域における総合交通体系のあり方というものが恐らく改めて問題になってくると思います。  その背景といたしましては、すでに日本は低成長時代に入っております。そうして、エネルギーの問題、それから財政再建の問題、こうした幾つかの困難な問題を控えておるのでありますが、そういうところでもう一度国土利用の再編成を考えなければいけない。たとえば昭和五十二年に出ました三全総、第三次全総計画を例にとってみますと、そこの中に定住圏という有名な構想がありますが、この定住圏は、各地域それぞれがその文化、交通、産業、いろいろな面においてその地域の特性に応じたものを形成する。その中に交通体系というものが当然入ってまいります。この交通体系におきましては、その地域の特性に応じて、国鉄を中心としてバス転換その他のものを含めた合理的な交通体系を構成しなければいけない、こういうことが三全総においても盛られておるわけであります。  地方の時代とかいろいろなことが現在言われておりますが、こういうことを一つの大きな出発点にいたしまして、今回の法案が発足をしたその過程におきまして、八〇年代における交通体系のあり方に照応した議論がこれから活発に起こるであろうということを期待いたします。  以上をもちまして私の陳述を終わります。
  38. 小此木彦三郎

    ○小此木座長 ありがとうございました。  次に、藤沢一雄君にお願いいたします。
  39. 藤沢一雄

    ○藤沢一雄君 私は、北海道留萌支庁管内の羽幌町という町の町長をしております。この国鉄法案に対しまして、道民の立場から、さらに僻地に住む住民の立場から、この法案に反対ということで意見を述べたいと思います。  十月九日の北海道新聞は「道内国鉄存続は十線だけ」の大見出しで一面トップで報道いたしました。  ここに北海道の鉄道線路図があります。十分おわかりだろうと思いますが、一応気持ちをあらわす意味でごらん願いたい、こう思うわけであります。  この緑の線が幹線と称する営業線、黄色の線が地方交通線と称されるもので、それぞれ五線ずつ、合わせて十線が残されるだけ、あとの二十六線、赤い色で書きましたが、これはレールを取り払ってしまうという案であります。  見られるとおり、まず海岸線を走る鉄道はほとんどなくなります。道民の足であるはずの国鉄はずたずたに分断され、本道経済や住民生活に大きな影響を与えます。おまけに黄色の地方交通線、これは割り増し運賃を出すなら汽車を走らせてやろう、このようなものでありまして、この考え方を知った道民は大変なショックを受けております。  私の町では、いま部落ごとに町づくり推進懇談会というものを開催中であります。例年ですと、側溝を直してほしい、除雪道路をふやしてほしい、お医者さんはどうなったんだろうかなど、住民にとって身近な問題ばかりがまず取り上げられるわけでありますが、ことしは大分違った雰囲気であります。いきなり、鉄道がなくなったら、また、鉄道がなくなるというけれども、一体どうなんだろうか、本当にそうなるだろうか、まさかそんなことはないだろう、どうなんだ町長ということで、国鉄廃止問題が出されるわけであります。政治とは弱い者のためにこそ存在するのだ、この庶民の素朴な期待と信頼が裏切られるんじゃないだろうかという切実な不安感に変わっております。  私の町には歯医者さんが三軒あります。隣近所の町や村からもずいぶんと通っております。医療問題で会合を開いた折、あるお医者さんから、鉄道がなくなるというが、いまの政府ならやりかねないなあ、鉄道のあるうちに札幌に出たいもんだ、子供も、鉄道もないへんぴなところではどうもということで来るのを渋っているんだ、こういう話がありまして、私は正直なところ、返事をする前に何となく顔色が青ざめてまいりました。国民は公平に公共的な交通サービスを受けられるという国の交通政策は一体何なのだろうか、考え直していただきたい、こう思うわけであります。  私は、国鉄再建法案に反対する理由として、おおよそ次の三点から申し上げてみたいと存じます。  一つは、北海道開発促進の立場からであります。五十二年に出された三全総計画では、地方の時代とはっきりうたっております。これにより定住圏構想が打ち出され、国民はどこにいても安全で、快適で、文化的な生活が送れるというものであります。加えて、人間と経済活動の大都市集中による弊害は、過密、過疎現象などの形で一層際立ってきたものを、地方に人口、産業の誘導を図ろうというものであります。一方、地方の側でも、自分の住む土地からそのよさや特性を引き出し、新しい地域創造を行おうという機運にあります。  これらの社会的公平を進めようとする根源は、何といっても中央と地方を結ぶ交通ネットワークの確立が重要なポイントであります。しかし、いまこの考え方は根底から覆されようとしております。  北海道の開発は、拓殖鉄道の時代から父祖三代、百年間、鉄道とともに進められてきました。鉄道は北海道の最も大切な社会資本であり、百年の投資を蓄積した財産なのであります。それがいま失われようとしております。  廃止の運命にある羽幌線を例にとります。留萌駅は七十年前の明治四十三年に開業され、以後、昭和七年羽幌駅を開設、現在の羽幌線が幌延まで全通したのは昭和三十三年でした。実に四十年の長い歳月を費やして建設されたものであります。  国鉄の二本の線路は、ふるさとと都会を結ぶ心のきずなでもあります。道路があるから、車があるからといって私たちの心情が満たされるものではありません。鉄道は、田舎に残って生活する者にはまさに精神的な支えであります。  北海道には三十二市、百八十町村があります。九月現在で二十四の市議会と百七十六の町村議会がこのローカル線廃止反対の決議をしており、北海道議会も同様であります。この事実こそ、道民の不安と怒りと戸惑いを示すあかしでもあると存じます。  次には、経済効率だけから、いわゆる赤字だから、もうからないからという点で国鉄の存廃を論じることが果たして妥当なことでしょうか。鉄道の問題は政治の問題であって、経済効率だけで存廃を論じるべきでないと思います。国民は公共的な交通サービスは公平に受けられるべきであります。現実にわれわれはこの百年このサービスを受けてきました。しかし、いまになって、おまえのところは人も乗らないし、赤字だからバスでがまんしなさい、鉄道は人のたくさんいる都会を中心に走らせる、理由か、それは損が少ないからだとは余りにひどいんじゃないでしょうか。東京や札幌には電車やバス、さらに地下鉄と、乗り物はいっぱいあります。田舎にはバスしかない。遅くなれば自分の車で帰れ。交通手段の選択さえ許そうとしてくれない。弱い者は死ねというのと同じであります。そこには政治という発想は少しもありません。日本は、いまやアメリカをしのぐ経済大国になろうとしております。わが国は五十三年度に二百四十億ドル、五十四年度に四百億ドル、五十五年度は六百億ドルものお金を使って油を買っております。量はさほど変わらないのに値段が上がったわけであります。五十四年には百六十億ドル、三兆七千億も前年より多く払いました。五十五年には二百億ドル、四兆五千億も多く払おうということになっております。ローカル線を廃止して八百億の金を浮かすより、日本全体のお金の使い方をもう少し真剣に考えていただきたいものであります。それが政治というものではないでしょうか。夜のネオンサインをしばらく消すだけで羽幌線の赤字ぐらい出てくるんじゃないでしょうか。  何もかも便利で文化的な生活をしている都会の人たち、彼らの中には私たちの子供もきょうだいもおります。私たちは、彼らの故郷を守るため、大地や海や森を育てるため、不便を忍んでがんばっております。都会に住む人たちこそその便利性に合った運賃を国鉄に払ってはいかがでしょうか。それがどうですか。都会よりも便数もぐんと少ないのに、さらに高い五割増しもの運賃を取ろうというのであります。弱い者いじめの最たるものだと思います。  三番目には、国鉄再建法案の中身についてであります。  第一に、いままで申し上げたように、単に国鉄の経営的要請から、現在の輸送量だけを基準に廃止路線を割り出すという一律基準の採用には反対であり、北海道には特例措置を設けていただきたく存じます。  失礼な問いかけでありますが、北海道の面積が本州府県に比較していかに広いか御存じでありましょうか。約八万三千五百平方キロ、実に香川県の四十四・四倍であります。いまの日本に未来を託する開発の余地を残しているのは、このように広い北海道だけです。それだけに特別な配慮をお願いする理由があると存じます。  第二に、特定地方交通線対策協議会の協議期間は二年、協議が調わないときは廃止に踏み切る、この問答無用、国民不在の考え方には反対であります。ぜひ再考願いたく存じます。  第三に、政府がこの法案を強行して特定地方交通線を廃止しても、赤字の解消はわずか八百億、廃止によって浮く国鉄職員はわずか一万人であります。三十五万人体制への縮小が果たして五年間でできるのか、新幹線や在来線への投資による借入金返済が可能か、退職者への退職金、年金に対する財源対策はどうなのか、問題はたくさんあるのに解決への道はこの法案では示されておりません。またぞろ税金で帳じりを合わすことになるのではないでしょうか。総合交通政策の具体的な明示がなされるまでこの法案の凍結を願うものであります。  私の住む留萌支庁管内は、九つの市町村より成る人口九万人の過疎地であります。この五年間に毎年一つの町で百人ずつ減った勘定であります。鉄道がなくなったらさらに急激な人口減少が起きるでしょう。多額の投資をした港湾もその機能を半減させ、道央との有機的な連携も大幅に制約される。地方の幕あけと言われた五十三年から、一転して地方の崩壊につながろうとしております。  北海道の交通体系のベースは鉄道であることは、北海道開発の歴史がそれを如実に物語っております。それがいま根っこから壊されようとしています。手を挙げ、足を伸ばして元気に走っていた鉄道が、手足をもがれて胴体だけで寝かされているような姿、これがこの法案の結果であろうと存じます。  十月二十七日の朝日にこんな記事が載っています。「《一石二鳥》「これほどうまくいくとは思わなかった」――政府・自民党内には今こんな声が聞かれる。当初は「衆院通過――参院継続に持ち込めれば上々」との見方をしていた国鉄再建法案と郵便料値上げ法案に、「成立のメドがついた」からだ。」云々との報道があります。加えて、「「国鉄」は十一月四日に衆院通過が確定的となり、舞台は参院に移る。」とあります。  新聞報道でございますから必ずしも信用されるものではないでしょうが、このような重要な法案についてはより慎重に時間をかけた審議が必ずなされるものと期待をいたすものであります。  今回、このような地元の意向等を公述する機会を得たことに感謝を申し上げますとともに、前述したような地域の実情を十分くみ取って、諸先生におかれましては今後の審議に十分反映していただくようお願いをいたします。  政令案はまだ白紙のようでございます。この公布までに最後の期待を持っております。どうか先生方、生きた政治が実証されますよう心からお願いを申し上げまして、私の意見を終わります。
  40. 小此木彦三郎

    ○小此木座長 ありがとうございました。  次に、北村實君にお願いいたします。
  41. 北村實

    ○北村實君 道民の一人としての立場から、本法案に賛成の意見を申し述べさせていただきます。  先般発表されました国鉄監査報告書によりますと、五十四年度の国鉄の赤字は約八千億円という巨額に及び、民間会社であれば破産の状態であると言われております。  私は一市民として、これまで国鉄がわが国経済の発展や国民生活の面で大きな役割りを果たしてきたことを知っておりますし、道路が整備され、航空機が発達して、国内交通における国鉄の地位が以前に比べて低下したと言われているものの、将来にわたって国鉄がその機能を十分に果たしていくようさらに大きな期待を寄せております。そのためには、一日も早く経営再建のための抜本的な対策が確立されることが必要であります。  私は国鉄の財政の悪化は、実は国民の大きな負担になっているのだという認識を持っております。したがって、国鉄が経営を再建し、赤字を減らすということは、とりもなおさず国の財政や国民の負担を軽くするということであり、まさに国民的課題とも言うべき重要な問題だと考えます。  本法案は財政面だけを考えた再建ではなしに、日本の交通体系全体の中で国鉄の果たすべき役割り、位置づけを明確にした上で、国鉄がみずからの責任においてなすべき経営努力について経営改善計画を策定し、これを確実に実行することを義務づけ、国は累積債務のたな上げを初め、地方交通線の運営費の補助あるいはバス転換促進のための費用補助等、財政上の特別の配慮を行うこととしております。これらの措置は国鉄再建のためぜひとも必要かつ妥当と考え、この点からも本法案の制定に賛成するものであります。  国鉄の経営問題は、国鉄が企業体としては余りにも巨大で、かつ歴史的、政治的要素が多くあるために、私たち一般国民にはきわめてわかりにくいものがあることは事実であります。しかし、国鉄の再建が国民的課題である限り、私たち国民としては国鉄の経営責任に属するものと国の責任において処理しなければならないもの、そしてまた国民として協力しなければならない分野の区別だけは明確に判断して認識する必要があると思います。  国鉄は公共企業体であるとはいえ、企業体である以上、民間企業と同様の減量経営に徹する必要があることは言うまでもありません。資料によりますと、五十四年度の赤字のうちに占める割合として、幹線部門で七一%、地方交通線で二九%となっております。つまり幹線での赤字の方がより大きいわけですから、この部分については特に国鉄労使の努力を期待しなければなりません。  国鉄の輸送量が減少したことについては、わが国の経済構造の変化もあることは否定しませんが、国鉄が利用者に対するサービス提供の姿勢を欠いた点にも大きな原因があったと考えるのは私一人ではないと思います。法令や規則などいろいろな制約もあると聞いておりますが、少なくとも職員の方一人一人の意識行動が、サービスをよくする、あるいは悪くしないという方向に通じてほしいと願うものであります。  一方、国や国民としては、国鉄がかつて陸上交通で独占的な地位を確保していた時代、あるいは国鉄しか交通手段がなかった時代と、現在のように道路網が整備され、モータリゼーションが進展し、航空機が発達して、利用者が多くの交通手段をみずから選択できるようになった時代とを区別することなく、国鉄に対し昔どおりの役割りを期待し続けるということについて、改めて考え直すことが必要ではないでしょうか。かつて国鉄はそういうことまでやっていたのだからこれからもやるべきだといった、国鉄の能力以上のものを要求し、国鉄の責任ばかりを追及するだけで国鉄の再建は可能でしょうか。  本法案では、国鉄は合理化や関連事業など、みずからの経営努力を進めるとなっており、また国鉄の経営努力ではカバーできない部分に国が財政的援助をすることとなっております。  私たち国民としては、このような国及び国鉄の姿勢に対し、国鉄再建は単に国や国鉄だけのものではない、私たちがどう考えるのかという選択を迫られている認識に立って、本法案について積極的な姿勢をとるべきだと考えております。  さて、本法案の中心的テーマであります地方交通線についてでありますが、先ほど述べましたように、赤字の額こそ全体の二九%とはいいながら、一人のお客を一キロメートル運ぶ費用で見ますと、地方交通線では幹線系線区の約九倍の赤字という非常に大きなものになっているようです。また、五十四年度の数字で見て、地方交通線から生ずる赤字は約三千億円で、そのうちの約三分の一の一千億円前後について国の助成がなされているわけです。地方交通線の赤字は、もはや国鉄の経営努力だけではどうにもしようがないということは、多くの人が認めているところです。そうなれば、これは国すなわち国民の税金を使うしかないわけです。  私は地方交通線について、単に赤字だからバス転換すべきだという考え方に賛成するものではありません。ただ、世の中が変わって道路もよくなっているし、車もふえている現在、地域の足を鉄道だけに守らせるという考え方については、この機会に国民全体の問題として検討する時期に来ているのではないかというふうに考えております。  かつて鉄道を撤去し、バスに転換したところでは、かえって便利になったということも聞いておりますし、省エネルギーの面でも、すべて鉄道の方が有利であるとは言えないという話も聞いております。その線区の利用実態や地域の事情により、利用者にとっても不利益にならないように、また国民にとっても最も経済的な交通手段というものを真剣に考える必要があるのではないかと感じております。  いままで申し述べたのは、いわば一般論とも言うべきものですが、どの線区がどうなるということについては、専門的見地から、あるいは地域の事情をよく考えて決めていただかなければなりません。特に北海道においては、地域の発展に国鉄が果たしてきた歴史や厳しい自然条件といった特殊な問題があるわけです。こういった問題を抜きにして本州や九州と同じ条件を設定されることについては、若干の疑問を抱かざるを得ません。地域の事情と国鉄の経営問題とが調整された上で具体的な決定をしていただくことを特にお願い申し上げる次第でございます。  その上でバス転換が適当とされる場合、問題となるのはバスと国鉄との運賃格差、なかんずく通学定期運賃であります。道内におけるパス運賃の国鉄運賃に対する倍率を求めてみますと、普通運賃で平均一・五倍、通学定期運賃は平均三・八倍に達しているのであります。本道の高校進学率は漸次上昇しているものの、五十四年三月現在九一・一%で、全国都道府県別の下位から四番目に位置し、全国平均値で五年のおくれが見られます。通学割引については、国鉄は公共負担であるとして国の助成を求めており、それなりに理解はできますが、特定地方交通線の対策に当たって、この著しい運賃格差が本道の過疎地域における教育問題に悪い影響を及ぼさぬように、高校の新設もさることながら、国等の十分な配慮を要望いたします。  最後に、これは本法案と直接関係がないかもしれませんが、私の国鉄に対する要望をつけ加えさせていただきたいと思います。  それは、地域振興という問題に対して国鉄が積極的にビジョンを示し、地域をリードしていただきたいということであります。私の住む函館におきましては、青函トンネルの開通という大きな問題に直面しております。地元では、観光あるいは文教都市という新しい町づくりを進めておりますが、何と申しましても国鉄の方向が大きな要素になるのでございます。青函局では、函館駅の貨物跡地を活用した関連事業の導入に、地元の駅前再開発計画と一体となって取り組んでおります。現在のところ、国鉄の資金事情等もあり、難航しているようでありますが、この計画には地元を挙げて協力するとともに、大きな期待を寄せているところでございます。また、連絡船の活用に対する国鉄の努力についても地元では高く評価されており、市民もまた協力を惜しむものではありません。私たち市民は、国鉄が地域に密着し、相互提携の施策を通じて協力し合い、理解を深めることが重要であると考えております。国鉄が合理化の面だけでなく、ビルドの面でも積極的に地域をリードできるようにするためにも、一刻も早く再建し、軌道に乗るよう期待いたしまして、私の意見陳述を終わります。
  42. 小此木彦三郎

    ○小此木座長 ありがとうございました。  次に、松井安信君にお願いいたします。
  43. 松井安信

    ○松井安信君 松井であります。  先ほど早川先生から総論的に再建法案の内容紹介がありましたので、私、そういうのは省略しまして、内容について四点ばかり申し上げたいと思います。  一番最初に、何もかも反対だというわけではないということで、二点ばかり、この再建法案の趣旨について、基本的方向について、評価を申し上げたいと思います。  第一点は、国鉄をわが国輸送の大動脈の中核に位置づけて、他の交通機関との機能分担と協力をうたって、行財政措置で懸案の総合交通体系の実施を急がなければいかぬということをこの法案で言っている点は、前向きのものとして一応評価いたします。  第二点は、国鉄の設立趣旨であります公共の福祉増進を図るために、国の責任と国鉄の責任、いわゆる公共負担区分をできるだけ明確にして国鉄経営の基盤を確立する、なおその上で国鉄当局の経営努力にまつという点で再建法案を提示されている、この点については前向きの姿勢だと思って評価いたします。  しかし、先ほどから早川教授初めお話が出ましたように、非常に厳しい国家財政と国鉄経営の現状ではありますけれども、これまでの膨大な累積赤字をわずか五カ年間で約五百億ぐらいの黒字へ転換するというこの再建法案の計画は余りにも短兵急で、結果的には計量的な帳じり合わせになっている感を免れません。  高度経済成長とそれから経済の効率主義が、わが国の経済を自由世界第二位の経済大国に押し上げる上で大きな効果があったことはわれわれも知っております。しかし、太平洋ベルト地帯、臨海重工業地帯の急速な発展、自動車、オイル、道路を一応戦略拠点としてまいりましたこれまでの高度経済成長政策は、反面においていろいろなひずみ、過疎過密、交通公害、またオイル危機を契機としました諸問題、こういうひずみや不公平を残して、今日GNP信仰からバランスのとれた安定成長、社会資本の公平な配分がえを行い、地方の時代、福祉国家へと大きく転換しなければならないという歴史的な時代的要請が出ておることも、皆さん御存じのとおりであります。この観点に立って、四点ばかり反対陳述の意見を申し上げたいと思います。  第一点は、先ほど一応評価すると言って、一応という条件をつけたわけでありますが、公共負担をさらに明確にすべきであるという点であります。  戦前戦後を通じまして、先ほどの陳述にもありましたように、国鉄は公共交通機関の大動脈として、国家的、国民的な課題を背負わされ、また国鉄労使もそれに誇りを持ってその任務を果たしてきたと思います。二十四年の独算制の施行後も、そのことは本質的に何ら変わっておりません。その独算制の経営の枠を大きく超える国の経済政策、輸送政策の一環を担わされて、それが三十九年以来の膨大な累積赤字の大きな要因になっていることは、議員の皆さんの御承知のとおりであります。  公共負担を次の点において明確にされることを私は要望いたします。  第一点は、国の関係省庁負担の公共負担を明確にして、そして、それに基づく助成を行うこと。第二番目は、国鉄の公共の福祉を増進するための公共負担、独算制の枠を超える設備投資の借入金、利子の自己負担、地方交通線の赤字問題、この点についても本法案はもう少し明確にすべきだと思います。  初めに述べましたように、このようなことを申し上げますのは、福祉国家や地方の時代ということが時代的な要請になっている今日、公私混合形態の国鉄経営は、総合交通体系の中核としてむしろ助成、定着させるべきであるという私の意見の上に申し上げるわけであります。  第二番目。五年間の国鉄再建案というのは期間が短過ぎるのではないかという点であります。  先ほど来言われたような膨大な赤字を突きつけられますと、また、国のいまの財政の危機状態を考えますと、国鉄経営当局がこういうような再建案で経営努力の方向を示されようとする気持ちはわかります。また、こういう案の提示もわかりますが、しかし、先ほど申しましたように、計量的な、または逆算的な帳じり合わせの無理というか、そのツケが六十年度以降に幾つか別枠で寄せられていくという点であります。  その一例は、先生方すでに御存じでありますが、独算制では負担できない東北、上越新幹線の継続工事費が、先ほど私が申しましたように、公共負担つまり財政出資ないし助成の根本的な、また、より明確な解決方法を示さないまま、従来のままのパターン、借入金で計上されていることであります。また、その開業で予想される赤字は約三千億円前後だというふうにも私は聞いておりますが、それが損益勘定注2というところで、一般純損失の枠外で処理されておるということであります。  もう一つの例は、戦後処理の一環として国鉄が抱え込んだ大量の復員者等々による年齢構成のひずみ、他公社にちょっと考えられない四十五歳以上が四三%という年齢構成がこの国鉄の年齢構成だということを私も知りまして驚いているわけであります。そういうのがまた構造的欠損の一因になっているわけでありますが、これまた再建案では六十年度まで一般純損失の枠外として、特定純損失として計上されております。  第三番目。先ほども話が出ておりましたけれども、公平の原理という点で二点申し上げたいと思います。  第一点は、国鉄への公共投資の不公平ということであります。これは先ほど早川教授が御指摘になりましたように、公共交通機関の関係投資を見ますと、先ほどもありましたので繰り返しませんが、鉄道については四十年から五十三年で二・六倍というのに対しまして、他の道路、港湾、空港というようなものは六倍だとか十何倍というかっこうでの投資が行われておる。これが高度経済成長を支えた一面ではありますけれども、余りにも不公平な公共投資で、総合交通体系の観点から申しますと、これは余りにもアンバランスな投資であるということがわかります。しかも、先ほどから申し上げておりますように、それは国鉄の独算制の経営のための借入金赤字負担、利子負担というかっこうで背負わされてきた。これはわれわれ経済学の常識からいいましておよそ考えられない、まさに言われるとおりに構造的な欠損要因と言う以外にはありません。一応は評価いたしますけれども、この点について再検討を早急にされる必要があると思います。  二番目の問題に入りますと、地方交通線の廃止の不公平であります。これも先ほどから出ておりますので繰り返しは省略しますけれども、中央公聴会でもそういう指摘があったのでありまして、これはだれが見てもそうなのでありますが、要するに五十三年度の赤字約八千億円の六割が貨物収入で、旅客収入では、赤字の七割は幹線である。これは早川教授からも先ほど御指摘がありました。しかも、聞くところによりますと、今度廃止され、バス転換をされるという約八十路線の赤字分が約八百億円、そうすると全体の赤字の約一割ということでありますので、どうしても赤字克服対策の着手の順序が反対になっていはしないかというふうに私には思われます。前述のひずみ是正や福祉国家とか地方の時代への時代的な要請からいって、この赤字地方交通線の廃止というのはそういう角度から再検討してしかるべきだろうと思います。  ちなみに、これも先ほどちょっと出ましたけれども、三全総の定住圏構想というのを受けまして「北海道新発展計画」副題「安定した生活と豊かな地域社会の創造をめざして」というのが五十二年の七月に発表されております。これも議員の皆さんは御存じだと思いますが、その計画の柱に、「充実した生活の環境づくり」「創造性に富んだ人づくり」というのを先行させまして、三番目に「豊かさを高める産業づくり」「長期的発展の基盤づくり」というのを掲げておりまして、経済優先のいままでの方針から生活圏構想樹立のための十カ年計画というふうになっておりまして、その計画はすでにいま着々と実施のプロセスにあります。また、地域住民の感情からいいましても、国、道の政策がわれわれの町づくりという方向に転換して、自分たちの番がやっと回ってきたと思ったやさきに、ばっさりと地方交通線を切ってしまうという今度の案になっておるわけでありまして、これは公平の原理からいって、経済性効率の前に、より多く政治の問題としてどうしてもこれは先生方に検討していただかなければならない問題点だと思います。まして、協議会へ地域住民の代表が参加することは当然のことだと私は思うのでありますが、これが除外されておる、これは何としても再考慮していただきたいと私は思います。  一番最後に、その住民の合意というものを得られるように資料を提供し、討議を十分に尽くし、合意を得るというのは、先ほどの陳述者の発言にありましたような点からいっても、これまた当然の民主主義的なルールだと私は思います。  最後に、三十五万人体制という問題では、これは公、私の企業形態にかかわらず、先ほど北村さんもおっしゃいましたように、効率性を高めるということは当然のことであります。その点が国有企業とか公社形態において効率性が悪いという意味で、先進国ではいろいろな問題を起こしていることは言うまでもありませんが、しかし、これは経営基盤を確立した暁においては公、私いずれの企業形態であっても、輸送効率を高めて競争条件に対応し、国民のニーズにこたえていくというのは当然のことであります。すでに国鉄では四十四年から五十四年の十年間に五万一千人の人員の合理化が行われておるようであります。そして、この再建案で示されておりますように、さらに五年間に七万四千人の人員合理化を計画しております。先ほど申しました要員構成のひずみによって六十二年までに約二十万人の集中的退職者が出るということであります。そして、ひずみは大幅に正常化されるというふうに統計資料では示されております。としますならば、第一番目に、集中的な退職者の異常分の差額助成、年金がどういうふうになるかというのが、先ほど指摘いたしましたように、六十年度以降、未調整として、またはペンディングの課題として残されている、これが第一点。  第二点は、集中的な退職者と新規採用予定者との交代がこの五年間でうまくいくものかどうか。高速度、高性能の輸送機関に適合する高度の熟練労働者が適正に配分されることが、先ほどの公共の運転の安全性第一という点から言いまして非常に重要なことでありますが、私はこの五年間における三十五万人体制というのは、そういう点で十分を期しておるかどうかというのが不安であります。その点において、議員の諸先生は、今後の審議及び国鉄当局のそういう計画案についての資料の検討について、十分再検討をしていただきたいと思います。  あとは、北海道の特殊事情についてちょっと申し上げたいと思いましたけれども、時間がもう参ったと思いますので、一点だけ議員の皆さんに申し上げて終わります。  ごく最近「北海道80年代の可能性」というので拓銀調査部から出版された本があります。私はそれに従って申し上げたかったのですが、時間がありませんので省略いたします。特に調査部長の石黒氏が書かれておる論文をお読みになっていただくと、私のきょう陳述したかったことがかなり書かれております。  では、以上で終わります。
  44. 小此木彦三郎

    ○小此木座長 ありがとうございました。  次に、赤井醇君にお願いいたします。
  45. 赤井醇

    ○赤井醇君 私、赤井でございます。早速公述させていただきたいと存じます。  まず、国鉄の再建計画は、昭和四十四年に国鉄財政再建促進特別措置法に基づきまして国鉄の財政再建に関する基本方針が閣議決定されまして以来、国鉄自身の企業努力、国の行財政上の支援、利用者負担による運賃決定を三本柱とする基本的考え方で進められましたが、近年、この運賃改定によります収支の改善は必ずしも期待できない状況に立ち至り、結局残りの二本柱による経営改善を図らざるを得ない状況になっております。  国鉄は昭和二十四年に公共企業体として発足しましたが、当時は国鉄がわが国復興の最大の担い手であり、かつその原動力となって、昭和三十年代に入って復興は急速に早められ、輸送力の整備増強が強く求められまして、昭和三十二年度を初年度とする第一次五カ年計画から設備投資の時代に入ったのでございます。四十年代に入りまして、経済社会の発展は目覚ましいものがあり、産業構造も変化し、エネルギー革命、モータリゼーションが進行し、経済社会のいわゆる輸送ニーズは自動車あるいは航空機への転移が進み、これに伴って国鉄経営はいわゆる赤字時代を迎えるようになったのであります。  こんな経過を見てみますと、一方では国鉄が、国力を回復し、培養するという国家的目的のため、設備の増強をみずからの借入金で進め、そのため大きな金利負担を今日に残してまいっておるのに対し、他方では一国は急増する液体エネルギーの消費に目的税を課すなど、それらを財源といたしまして道路網の拡充整備を急ぎ、結果的にはモータリゼーションを誘導する施策を進めてまいったと言うことができると思います。  こうした観点から見ます限りにおきましては、私は、国鉄に対して他輸送機関と同等な競争を迫ることに、率直に申し上げて、いささか無理なものがあったのではないかと考えるのであります。  もちろんこれは一つの見方にすぎません。国鉄が今日まで数次にわたって進めてまいりました再建計画は、そのいずれもが十分満足される成果を見ずに経過してきたと考えますが、その背景には、言うまでもなく国鉄みずからの努力に反省を求めるものがあるといたしましても、根本的な問題としてわが国の他交通機関を含めて、その交通体系のあり方について総合的な検討がなされ、国民的コンセンサスが十分得られてこなかったことが挙げられると考えます。これがひいては国鉄の再建施策におきましても国民の協力を得がたい状況をもたらしてきておるものと思うのでございます。  これらの結果、国の行財政上の措置が漸次手厚く講じられてまいっております中にありましても、国鉄の経営状態は容易に改善されません。最近五カ年での収支を見ただけでも、毎年八千ないし九千億円の欠損を続けており、もはやこれをこれ以上放置することは、国の財政上から見ましてもとうてい許されるものではなく、早急に根本的対策を講じ、国を挙げて強力に国鉄再建を進めなければならないと考えます。  そこで、国鉄は、御承知のように、昨年七月にいわゆる国鉄再建の基本構想案を提出いたしました。その中で、再建に当たっては、鉄道の特性を発揮することのできる都市間、大都市圏の旅客輸送及び大量定型貨物輸送については、輸送サービスを充実強化し、その他の輸送需要が少ない分野については減量化対策を講じたいとする意向を明らかにいたしました。さらに、業務全般につきましては、近代化、合理化、見直し等を徹底的に進めることにより、昭和六十年度において職員三十五万人体制を実現すること等、そして国鉄の経営努力のみでは解決しがたいいわゆる構造的問題を個別列挙し、これに対する公的助成を要望いたしております。  このような従来になかった国鉄の明確な意志を受けまして、政府におかれては検討の結果、今日の法案が提出されたものと承知いたしております。  この法案は、第一には、国鉄に対してみずからの経営努力を厳しく義務づけていること、第二には、交通機関として国鉄の位置づけを明らかにして、それぞれ所要の対策を定めていること、第三には、国の国鉄に対する特定債務たな上げを初めとする財政上の措置について規定していることであります。  すなわち、この法案では、国鉄の持つ輸送機能上の特性をより以上に明確にするとともに、交通機関として国鉄の位置づけを明らかにして、まず国鉄みずからが公共企業体としてこの経営努力に最大の努力をすべきことを厳しく、具体的細目にわたって規定しております。さらに、国鉄の公共性と企業性とのバランスを考慮しまして、構造的な問題について国の財政上のとるべき措置を具体的に規定づけておるのでございます。  このことは、私が前段経過的に申し上げました国鉄が赤字になっております要因について、それぞれ適切に措置するものであると考えておりまして、今日これ以上放置できないと考えます、要するに急施を要します国鉄の再建のためにも、いずれもきわめて緊急に必要とする措置であるというふうに考え、この法律の制定に原則的に賛成するものでございます。  しかしながら、国鉄の今日の経営状態が必ずしも国鉄自身の責めに帰すべきものばかりではないといたしましても、この法案に基づきます再建策では、たとえば五十四年度決算での一般勘定長期債務残高が十兆千四百九十三億円、すなわちこれを国民総平均で見ますと、国民一人当たり十万円という大きな長期債務と、毎年約八千億円からのいわゆる赤字のツケを国民の協力で解決していこうとするものであります。直接、間接を問わず、これだけ膨大な協力を国民に求めるからには、国鉄は何よりも国鉄みずからの再建に向かって血のにじむような努力と熱意をまず国民に示さなければならないと存じます。  言葉は悪いかもしれませんが、世間で言われる少なくとも親方日の丸的な安易な考え方や行動があってはならないということは申すまでもございません。そして、合理化等再建施策に臨みます当局側と組合側の姿勢におきましても、素朴な一般国民感情から十分理解できるようなものでなければならないと思います。本当に再建を目指すためには、たとえ立場の相違があるにいたしましても、労使の協調により、大乗的な見地に立って、必ず合意できるものではないかと考えます。そして、国民の国鉄への信頼感をより一層深めるべきことを強く望むものでございます。  次に、地方交通線の問題について若干申し上げます。  いわゆるローカル線と称せられます地方交通線の問題につきましては、特に北海道にとっては、先ほど来お話がございますように、きわめて重大な問題でございます。  昨今の新聞報道によりますと、旅客輸送密度がいわゆる四千人未満の線区が一律に特定地方交通線として選定されるとも報道されております。北海道における営業線三十六線区について、過去三カ年の平均実績を見てみましても、この輸送密度四千人以上の線区は特定のわずかの線区に限られておりまして、極論いたしますと、北海道の鉄道の存在そのものが否定されることになりかねないというふうにも思うわけでございまして、一律に選定基準を決められるということ、そこに私はどうしても問題があると存じます。  この基準は、もちろん法案審議の過程を受けまして具体化されるものと存じますが、いかに再建策上とはいいながら、先ほど来お話がありますように、私も、北海道開発におきますいわゆる鉄道の持ってまいりました特殊性というものから考えまして、これはもっと慎重に扱われた上での取り扱いであるべきではなかろうか、このように考えております。  そういう意味で、若干ここで北海道民の立場から申し上げてみますと、北海道は開道以来わずか一世紀にすぎないわけでありますが、開拓の当初から、北海道開発というのは国の施策として進められて今日に来ておりまして、事実、中央依存の傾向が今日も強うございます。また、それを必要とする現状にあると思っております。しかし、マクロ的に見てみましても、北海道の開発はようやくその糸口についたばかりとも言えるのでございまして、北海道こそ、本州地域にかわって今後大きく開発が進められるべきわが国最大の開発可能地域であるというふうにも申されます。  こういった意味からも、北海道開発を先導してまいりました北海道におきます鉄道の使命を全国一律に論ずるということは、必ずしも妥当ではないと考えております。私は決してこの地方交通線の問題について甘えるような考え方は毛頭ございませんが、とにかく本州と異なります本道のこうした特殊な事情について、十分御理解を得たいということを強く訴えたいのでございます。  また、鉄道をバスに転換することそれ自体を、私はすべて否定するつもりはございません。国から手厚い配慮を得ての北海道総合開発計画によって、ともかく北海道の道路網の整備が進みまして、冬期間の除雪体制も強化されてまいりました。今日かえってバス輸送にゆだねる方が、いうところの国民経済的な観点からも、また省エネルギーの面からも得策であり、同時に利用客の利便を高め得る場合もあると考えます。しかしながら、ただ単なる鉄道の旅客輸送の面だけでこれを判断し得ない線区の存在することも明らかでございます。  特に申し上げたいのは、北海道の冬期間におきます交通の問題でありますが、厳しい、いわゆる積雪寒冷という気象条件下にあって、天候の平穏なときには冬季交通の確保はそれほど心配がないのでありますが、これが一たび異常気象時、たとえば豪雪時あるいは猛烈な吹雪のようなときなど、しかも、これが何日間も連続するときなどは、全く予断を許さない事態が生ずるのでございます。  北海道の冬季の交通対策につきましては、ただ単に統計値や机上での検討ではなく、それぞれの地域の実態をはだ身に感じつつ、十分に調査把握し、慎重な判断をされなければならないと存じております。もちろん、同時に、道民生活上の影響につきましても同様の配慮を望むものでございます。特に北海道民の日常の消費生活におきます鉄道への依存度、なかんずく、たとえば灯油でございますとかそういった冬季の生活必需物資の流通の問題については、より的確な状況の把握というものが行われまして、それぞれ適切な措置を講ぜられることを望みたいのでございます。  要しますに、地方交通線を初め国鉄再建についての諸問題は、その対象路線とされているものが特に多いと考えられる北海道におきましては、特別に深刻な影響を及ぼすわけでありますが、国鉄の再建がもはやこれ以上放置し得ないところに立ち至ってきている以上、まず国鉄みずからが、そして国、地方自治体が利用者とともどもに協力し合ってこれに当たって、解決を図ってまいらなければならないと考えております。今日これを放置いたしますことによって、さらに事態は悪化し、結局は後の世代にも大きな禍根を残すことにもなるわけでありまして、相互理解のもと、いまこそ十分なコンセンサスを必要とするときであると存じております。  そうした意味におきましては、先ほど来申し上げますこの施行に当たっての政令、そしてまた地方交通線等に対する基準の問題、これらにつきまして、より以上の慎重な御審議、慎重な実態把握を行われた上での措置を特にお願い申し上げるわけであります。  政令制定に当たっての関係方面の適切な対応を心から御期待申し上げまして、今日緊急に必要とする国鉄再建のために、本法案に賛意を表するわけでございます。  以上でございます。
  46. 小此木彦三郎

    ○小此木座長 ありがとうございました。  次に、村本光夫君にお願いいたします。
  47. 村本光夫

    ○村本光夫君 それでは、与えられた時間の中で発言をいたしたいと思います。  私は、今金町農業協同組合長の村本でございます。  私の直接関係しております地域の路線区は、道南の、日本海に沿いまして、長万部を起点にいたしまして瀬棚町を終点とする約六十キロ余りの沿線でございますが、この国鉄の合理化問題で、昭和五十二年に青函局の局長さんからわれわれにお示しされた内容の経過を若干申し上げ、今日までの運動の概要を申し上げたいと思います。  沿線の町村は四カ町村ございますが、五十二年の八月に青函局長から貨物の合理化問題についての御提案がなされました。その後、五十二年の十一月にわれわれ四町村が、それぞれこの局長から出された合理化、改善の問題についての反対期成会をつくりまして、各関係機関とそれぞれ長い期間、何十回にわたって論議を重ねてまいったわけでございます。その経過につきましては、各関係省庁なり、また青函局に要請をしてまいってございますので御案内だと思いますけれども、その時点で瀬棚線について、まずわれわれ農民の立場から貨物が主体になってきますので、五十二年に一日二往復実施しておった貨物線が、五十三年には一往復に切られた、こういうことでございます。  その後、このまま貨物を存続するということになりますと、瀬棚線の全廃につながる、このような局長のお話もございまして、それぞれ行政関係ともわれわれ農民団体がいろいろ協議したわけでございます。われわれ農民の立場から、この農産物の搬出に対しては、どうしても国鉄がなくてはならない、こういうことでお願いをしてきたわけですけれども、瀬棚線が全廃になるのか、それとも貨物をある程度譲って合理化して、瀬棚線の存続をさせるのかというようなことになりまして、局長さんはその時点では、ある程度貨物の合理化に協力すると瀬棚線は廃止にならない、あわせて今後この施設の整備なり環境の整備をするために予算をつける関係もありますので、できるだけ早く御回答をいただきたい、こんなようなことで、最終的に五十四年にやむなく貨物の運行が年に五カ月ということになった次第でございます。  特に私たちの瀬棚線につきましては、バレイショの生食の主産地でもございまして、秋の期間につきましては、このバレイショの輸送で遠く関東、関西まで運ばれるわけでございまして、この最盛期の九月、十月、十一月ということで三カ月、それから生産資材の搬入期に当たりましては三月、四月ということで、この五カ月を限定されてしまったわけでございます。  なお、バレイショ等につきましては、三カ月で終わるわけでございません。一月、二月まで、消費者の要望もございますし、また市場等の関係もございまして、冬季保管をいたしながら輸送しておるというのが現状でございますので、せめてバレイショのある期間だけでもという要請をいたしたわけでございますけれども、それも取り入れていただけなかった、こういう経過が実はございます。その時点で、先ほど申し上げたように、それに協力すれば瀬棚線の廃止はないのだ、こういうことをお互い約束されながら今日まで進んできたわけでございますけれども、今日このような促進特別措置法案が上程されました。  桧山管内でこれに関連する線は瀬棚線、そして江差線の合理化ということでございまして、桧山支庁管内町村会、桧山総合開発期成会、そして桧山支庁管内の町村議長会、あわせて、後援といたしまして北海道国鉄地方交通対策桧山地区本部、このそれぞれの関係機関十四団体が集まりまして、国鉄地方線存続桧山地区大会を今金町の町民センターにおいて開催したわけでございます。  このことにつきましても、すでに各関係省庁には要請なり陳情を申し上げてございますので、十分おわかりだと思いますけれども、こういう経緯を経て今日この瀬棚線が進んでおるということでございます。  われわれ全般的な農民の立場から、なぜ国鉄の貨物線が必要であるかと申し上げますと、言うまでもなく、政府は口を開けば北海道は食糧基地であるというお話がございまして、われわれもそのとおりだと思って食糧生産に努力しているわけでございます。北海道の主なる農産物の生産量をざっと申し上げますと、五十四年に米で八十六万七千トン、牛乳で二百万トン、バレイショは二百三十万トン、ビートが二百九十万トン、それから大豆を含めて菜豆類が一万五千トン、小麦が二十五万トン、タマネギが四十万トン、トータルいたしまして八百八十万ないし八百九十万トンという大量の農産物が生産されておるわけでございます。そして、生産された農産物のほとんどが関東、関西の遠方に移出をされる。  このような状況の中で、この農産物を移出する金額につきましては、実は膨大な金額になるわけでございますが、これがただいま一番コストの安い国鉄貨物線を利用しておるわけでございます。その他、トラックまたは船等によっても一部が搬出されておると思いますけれども、この一番コストの安い国鉄の貨物が、われわれローカル線から廃止をされる。この地方線の沿線はほとんど農民でございまして、国民の食糧を自給するために大変苦労し、そして安い農産物を供給しているわけでございます。そういう過程の中で、いま国は一番輸送コストの安い国鉄の貨物を廃止いたしましてトラック輸送に切りかえる、このような状況下にあるわけでございます。  われわれ直接荷物を預かっている立場から考えますと、いまたとえばバレイショに例をとってみますと、バレイショが生産されて農業倉庫に入ります。それから選別、包装、その他諸経費が運賃を入れてかかるわけでございまして、距離によっても若干誤差があると思いますけれども、そのうちの大体五〇%が運賃でございます。それが今回トラック輸送に切りかえられるということになりますと、現在の運賃よりもまだ二五%程度高くなってまいります。  なお、日通の計算からいきますと、冬季におきましては約五カ月間、これまた冬季割り増しということで二〇%の割り増し金が取られるということになりますと、これはたとえば芋の例をとって申し上げているわけでございまして、品物によってはそれぞれ違うかと思いますけれども、農産物は重量の重いものでございまして、消費地は遠いわけでございますから、このような形になると、いまのような農産物の価格――御案内のとおり、特に北海道の場合、もうすでに米の場合も価格が下げられております。あわせて、畑作農畜産物につきましては、外国の輸入政策に基づきまして大幅に低迷をしておる。このような状況の中で、運賃がこれほど高騰するということになりますと、全く営農ができないような状況になるというふうにわれわれは判断するわけでございます。  特に、ただいまは生産物の搬出についてお話し申し上げたわけでございますけれども、再生産に使われる営農資材、肥料、えさ、その他の温材等を搬入しなければならない。両面でこの負担をするということになりますと、直接関係のある農民の立場から申し上げますと、われわれに死ねということでなかろうかというふうに言っても過言でないんじゃなかろうか、このように判断されるわけでございます。  過去におきましては、四十八年のオイルショックの時点、われわれは国鉄オンリーで貨物を運んでいるわけでございますけれども、たまたま市場の都合によりまして、たとえば大きな西武なり阪急のデパートにバレイショを送る場合、やはり都合によって日程を決められて注文が来ることがございます。その場合にトラックをお願いした経過があるわけでございますけれども、トラックは、油がないから行けません、地元で油を用意したら行ってあげますよ、こういうことでございます。  ところで、へんぴなローカル線におるわれわれは、油の備蓄はございません。油がなければおのずから市場にも生産物の供給はなかなか円滑にできないということになりますと、大きな社会的な問題になります。われわれはやはりどんな苦労をしても、多少われわれが犠牲になりましても、生産された農産物を市場に供給するそれぞれの役割りというものがあると思います。  そこで、われわれの申し上げたいことは、国鉄も先ほどから十分お話を聞かせてもらっておりますけれども、それぞれ公益的な役割りというものは、長い取引の中で、お互いにその責任の分野というものが出てくるんであろうというふうに考えるわけでございますけれども、今回の問題で、われわれの農産物の移出に対する軽視の面につきましては、全くどこでも持ってもらえるようなことにはなっておりません。上がったものは全部差し引きされて生産者の負担ということになりますと、大変大きな農業問題に発展するであろうというふうに考えておるわけでございます。  この点については、公益という文字の面からいきましても、先ほどからいろいろ赤字解消のため、そしてまた国鉄の経営改善ということはわかりますけれども、そのために大幅な国の助成があるはずでございます。そしてまた、われわれ零細な農民であっても、それぞれ国鉄を利用し、すべてのこういう施設を利用するために、応分の税金負担はしているはずでございます。何のためにローカル線にいる地域住民だけが切り捨てられて、その負担をしょわなければならないかというこの意図は、われわれは全くわかりません。こういう点につきまして、われわれこれから将来営農を続けていくために、どうしても国鉄の貨物が必要であるというふうに考えておるわけでございまして、今回のこの法案については、そういう面から見ましても、私たちは反対せざるを得ないというのが心情でございます。  なお、この瀬棚線また松前線が廃止になりますと、これは函館圏を含む道南地域の大きな問題ともなるわけでございます。  私たちの地域のことを若干申し上げますと、この瀬棚線は、地域に居住し、生活する者についてめ経済、産業、教育、文化、こういうものの発展に重大な影響を及ぼし、地域の過疎化に一層拍車をかけるような事態になろうと思います。道南全体の経済の低下と労働雇用の問題、こういう不安定な問題が大きく影響してくるであろうというふうにも考えるわけでございます。地域振興どころでなくして、むしろ存在権を否定するような地域社会の崩壊につながる、このようなことも懸念されるわけでございます。地域の産業、経済、文化に重大な影響を与えると同時に、過疎化に拍車をかけ、そして交通事故、公害を増大させる住民無視の法案でなかろうか。  この交通事故の問題等につきましても、瀬棚線関係におきましては、昔なりの路面をただ舗装したにすぎません。瀬棚線におきましても、今日大変な交通事故死が発生しております。二、三日前にも、私のすぐそばで交通事故が発生し、即死と同様な形であるわけでございますけれども、こういう事態の中で、なぜ無理してこのように廃止をし、トラックなりマイカーに移行するのか。この事故件数を見ましても、トラックなりマイカーが全体の事故の七〇%も八〇%も占めておると思います。国鉄や飛行機はそんなにないわけでございまして、こういう危険な交通網に切りかえていこうというのは、全く今日の時代に逆行しているのではなかろうか、このようにも判断されるわけでございます。  そういう中で、私たちもいろいろ合理化の問題は苦労があろうと思いますけれども、われわれローカル線の立場から見ますと、この線につきましては衣食住に次ぐ、欠かしてはならない大事なわれわれの足を守る機関でなかろうか、このようにも考えております。地域経済、文化の発展に密着していると同時に、特に厳しい自然条件の中で切り開いてきたこの瀬棚沿線の開発にとって、国鉄の役割りは大変大きなものがございます。  なお、鉄道があるからこそ、この土地に残って黙々と食糧生産を続けていこうかという愛着心がわいてくるわけでございまして、ぜひともひとつわれわれ住民の命の綱としてこの国鉄ローカル線を存続させていただきたいというのが、込めての念願でございます。  そういう面で、どうかひとつ先生方におかれましては、もうすでに、私が申し上げるまでもなく、この反対の運動なりその他の問題等については、各関係省庁から大変な数でもって要請がされていると思いますが、今回このような時間を与えられましたので、私の考えを述べまして、反対の意見といたします。
  48. 小此木彦三郎

    ○小此木座長 ありがとうございました。  以上で、御意見を述べられる方々の意見の開陳は終わりました。  この際、時間が大変短いので恐縮でございますが、午後零時十分まで休憩させていただきます。     午前十一時四十二分休憩      ――――◇―――――     午後零時十一分開議
  49. 小此木彦三郎

    ○小此木座長 休憩前に引き続き会議を開きます。  派遣委員の質疑を行います。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。関谷勝嗣君。
  50. 関谷勝嗣

    ○関谷委員 きょうは、公述人の皆様方にはお忙しいところを時間を割いていただきまして、忌憚ない御意見を午前中伺わしていただいたわけでございますが、まずそういったことにお礼を申させていただきたいと思います。  一人に二十分ということでございまして、十分時間がございませんので、はしょって主な点だけ御意見を伺いたいと思うわけでございます。  まず最初に、松井公述人にお伺いをいたしたいと思います。  まず一つは、松井公述人は時間がないので十分に述べることができないとおっしゃっていらっしゃったわけでございますが、北海道の特殊事情というものをもう少し詳しく列挙をしていただきたいと思います。  国鉄の五十四年の決算による全体の損失は、御承知のように、約八千億円あるわけでございますが、その中の北海道の鉄道部門では千九百億円というようなことで、約二四%もあるわけでございまして、全体の四分の一が北海道であるわけでございます。そしてまた、私たちがこの北海道へ来て地方公聴会を開催いたしました目的もそこにあるわけでございまして、北海道の地方交通線をどうするかということがこの法案で占める比重も非常に大きなものがございます。したがいまして、北海道の特殊事情というものを列挙をしていただきたいと思います。それが一つでございます。  もう一つは、松井さんがおっしゃられましたが、地方交通線を整理しても、それの赤字は約八百億である。そういう少しのものを切るよりも、幹線の方がもっと赤字は大きいのだから、それも考えなければならないのではないかというようなこと。確かに赤字の金額自体から見ますと、それはそうだろうとは思うわけでございますが、それでは今度幹線を切ることができるかといいますと、これは需要が地方ローカル線に比べてぐっと大きいわけでございますから、それを切るわけにはいかないわけでございます。そういうようなことを考えますと、この地方ローカル線をどうしても維持したいということになりますと、国民の国鉄に対する考え方というものがいろいろな会合、意見の交換を通して変わってこなければならないと思うわけでございます。国鉄といえども公共企業体であるということでございますから、それでは、ローカル線を残すために国鉄には国の予算でもってすべてを援助するのだということになれば、それは残すことができるかもしれませんけれども、実際問題としては、いまではそういう考えもございませんし、そういう国民の要望も私はないと思うわけでございます。そうはいいましても、国鉄が多少なりとも財政赤字というものを是正していくためにはということで、その中で一生懸命考えましたのが特定地方交通線をバスに転換をさしていただくということでございまして、バスもないというようなことでございましたらこれは大きな問題でございますが、バスでやる。まして、北海道のような気候条件が非常に大変なところでは、積雪で十日以上そこをバスが通ることができないということがございます場所はこれを廃止することはないわけでございますから、そういうようなことを考えましたときに、金額で八百億円ということを見ればそういう御意見もあるかもしれませんが、私は一つの方法として、これもやむを得ないのではなかろうかというようなことを感ずるわけでございます。  この二つの点につきまして、松井公述人にひとつ御意見を伺いたいと思います。
  51. 松井安信

    ○松井安信君 第一点でありますが、一応数字的なかっこうでは、先ほどの本をお読みになっていただきたいと思います。そこでのポイントは、大体五十一、二年を境にしまして、北海道の従来の中央型といいますか、シェアの形態がいろいろなかっこうで逆転して、少しずつではありますけれども、逆の動きをしている。つまり、北海道における出荷高または生産高、その他いろいろ挙げれば数字はたくさんありますが、そういうようなものがやや増加傾向に向かっておるというかっこうの資料であります。  もう一つは、Uターン、Jターンのいわば雇用の問題が一応札幌を中心にした中央圏だけではなくて、むしろ問題は旭川とかそういうような地方の拠点中核都市と言われるようなところに人口の歩どまりが進んでいっている、また若干増加傾向が見られておるというような点の資料を一応御参考までにごらんいただきたいということであります。  いまの御質問の北海道の特殊事情でありますが、そういう場合に、先ほどの公述人の方たちからも出ましたけれども、一つは、地域が二〇%の地域を占めている、国鉄の職員数の大体一〇%ぐらいを占めている、このことは御承知のとおりだと思います。  そういうような状況で、経済構造をちょっと見てみますと、やはりまだまだ第二次産業は残念なことにシェアが低くて、貿易構造といいますか、収支構造を見ますと、かなりの資源が本州に供給されて、日本経済全体における従来のパターンがいいとは申しませんが、残念なことにまだそういう意味で第二次産業中心の産業構造というのが定着をしていない。そういうような点から言いましての北海道の意思と今後の可能性から言って、それから先ほどのような数字の動きを見まして、非常に期間が短いがゆえに余り早急な結論を出すのは私は差し控えますけれども、そういう傾向を踏まえ、先ほどの北海道新発展計画における計画の柱を考えた投資計画または産業発展計画の中では、基調としての生活圏構想の樹立というような方向でいま全体の北海道の計画も進行しつつありますので、その中においての国鉄のあり方というような位置づけを考えていただきたいというのが私の第一点のお答えであります。  それから、第二点の問題であります。確かに私自身、先ほどはかなり時間をはしょっておりましたので、せっかく御質問いただきましたから申し上げたいと思うのですが、一応赤字のシェアといいますか、北海道または全国における地方交通線の赤字の割合は数字にあらわれているとおりであります。問題は、そういうものを分担しておる北海道の、御指摘のように、法案の特定地方交通線の候補になっているところというか、指定の可能性を持っておるというようなところを見ますと、効率的には確かにいま御指摘のような点があるだろうと思います。ですから、そういうような問題のあるところにおいて効率性を考えていくという視点を私は基調として一応最初に申し上げたわけであります。  ただ、効率性を考えるという問題の前に重要なことは、国鉄の企業体としての性格、そしてまた、二十一世紀に臨む今後の方向性という問題であります。  国鉄が従来担っていた役割りを、今度の再建法案の第一条で書いてありますように、中央のいわば動脈線として見ると同時に、経営の重点は、自主努力によってかなり効率性の方に移っておりますけれども、もう一つの公共性という面から資源を供給していくという機能を考えますと、末梢神経は全部地元にあるわけであります。そういうような点を考えた場合に、効率性だけの問題でお考えになるのじゃなくて、むしろ十年先ないし二十一世紀に及ぶ北海道の可能性、本州との間で果たす役割り、そういうような連結の問題をお考えになっていただいて処理をしていただきたい。  そして、ちょっと付言しましたように、そうは言っても、とりわけ大事なのは、国家財政の赤字ということからいまの国鉄財政が非常にピンチになっていることは私もよく承知をしております。そういう状態といまの北海道の置かれている状態、赤字の実態、効率性と公共性の問題、そういうような点の資料を十分提供して、候補地域の線については住民の意向も十分に参酌していただいて検討していただく必要がある、その点がやや拙速の感を免れないというふうに申し上げたわけであります。
  52. 関谷勝嗣

    ○関谷委員 私たち、昨日も現地調査をさせていただきましたので、北海道の特殊事情というようなことを勘案してまたいろいろ検討もいたしたいと思います。  次に、藤沢公述人にお尋ねいたしたいと思うわけでございます。  町長さんとして現地の事情を細かく御報告をいただきました。その内容につきましては私たちも十分に理解する点もたくさんあるわけでございます。あるわけでございますが、昨日、御承知のように、札沼線の新十津川から石狩沼田まではもうバスになっておる、路線は廃止されておるわけでございますが、そのところも実際に見せていただいたわけでございます。国鉄が廃止されると非常に町の発展に支障を来すというようなことであるわけでございますが、私は、バスに転換をいたしました場合には、それだけパスの回数といいましょうか、乗る方の時間帯が多くなるわけでございますから、そういう点では非常に便利であろうと思います。国鉄でございますと、どうしても列車と列車の間の時間がバスよりは長いわけでございますから、そういう機会も少ない。それから、バスでございますから停車場も何倍という多くのものをつくることができるわけでございまして、私は便利さというような点を考えましたら、決して列車に劣るものではないと思います。あるいはそれ以上の効果を得ることができると思うわけでございます。  私はいろいろな地域の方々の御陳情をいただくわけでございますが、国鉄がなくなると困るのだということをまず考える前提になさってからのいろいろな御陳情が多いと思うのです。それで、実際に町長さんのところで、国鉄が廃止されるとこういうふうに困るのだというのは、私いろいろな陳情をいただきましても、案外その内容はないわけでございます。先ほどのお話を伺いましても、もう一つそういうようなことが私はわかりませんでした。  したがいまして、本当にバスになったらどういうふうに困るのか、私は困らないと思うわけでございますが、それをひとつ詳しくまず最初に説明をしていただきたいと思います。
  53. 藤沢一雄

    ○藤沢一雄君 確かに御指摘のような反論を、私ども先生方にお願いに参りますとよく申されます。ただ反対するより、もう少し条件を出したり可能性を秘めた提言も含めて何かないのかという話があるわけです。しかし、考えられている中に、基本的にはバス転換という問題も含め――さらに私の町の場合は、名寄と羽幌を結ぶ名羽線鉄道というAB線の新線建設を抱えており、北海道では北部三線の中でいま美幸線に次いだ役割りを持っておりまして、これが管内それからわが町の七十年来の悲願になっております。それだけに、まず本線である羽幌線、留萌線がなくなったらそういう線路はもちろん話にも何にもならぬ。  さらに、実は五十年にわが町では羽幌川を切りかえまして羽幌新港をつくろうということで、大体切りかえ費に百四億、港湾建設費に百七十数億かけまして、二百七十六億に及ぶプロジェクト構想が運輸省、開発庁、建設省と三省協議が調いまして、その工事がすでに走り出しております。道北最北端の不凍港という役割りで、木材や石炭その他の積み出し港あるいは輸出入港という役割りをそこに求めるということで、これが管内の、それからわが町の非常に大きな夢であるわけです。それに結びつくいまの線路がなくなればという最も重大な不安をまず持っていること。それに絡みまして、たとえば第三セクター等による運営母体を提供しなければ新線建設はまがりなりませんよ、そういう構想は今度の国鉄再建措置法案の中にも盛り込まれておるように考えます。  さればといって、現状の中で、しからばどういう財源分担をし、どの程度住民に負担をかけるのか、それから国はどうなのか、あるいは道はどうなのか、こういう形のものが定かでない現状で、それは賛成ですという立場には持っていけません。これは堂垣内知事も同様な立場から、少しくそういう問題に対する見解を差し控えようじゃないかという形で意思統一は終わっております。したがいまして、留萌港、天塩港、うちの管内からいきますとそういう港の機能を発揮させる将来への展望は、やはり貨物輸送という長距離輸送的なあり方、それからバスだけでは、あるいは車だけではだめだという一つの背景、これは数字にはあらわすことはできませんけれども、そういう点では心情的に非常に大変なことになると思うわけであります。  これは住民の方に説明いたしましても実は理解してもらえない面もございます。それが歯がゆいわけであります。そして、皆さん方にも、しからば反論としてこうなのだということを私が申し上げようと思いましても、そういう具体的な資料その他についていま言明の限りでないわけであります。これは御理解いただけると思うわけでありますけれども、そういう点を一通り申し上げまして、地域の実態というもの、それから、これが北海道総合開発につながる一つの大きな流れのポイントになってくることは論をまちません。ですから、そういう面の練り直しも当然考えられますので、そういう点からまず鉄道は残しておいていただきたい、こういうことを申し上げたいわけであります。
  54. 関谷勝嗣

    ○関谷委員 もう時間が来たわけでございますが、あと一つだけ早川公述人に御質問させていただきたいと思うのでございます。  皆さんの御意見の中にもございましたけれども、また、われわれ衆議院の運輸委員会のそれぞれの方々の質疑の中にも必ずございましたが、通学のための定期の割引、これの問題が出てまいりました。そして、この負担というものは五年間は国で援助をするとか、その先になるとまだはっきりはいたしませんが、いずれにいたしましても、そういう負担というものはどうしても交通の事業者の負担になってくると思うわけでございます。そうなりますと、今度はバスの方の運営がまた大変な赤字になるという危険性もあるわけでございまして、こういう割引料金というものに対して今後われわれはどう対処をしていくといいましょうか、どういう考えで進んでいくのがいいのであろうかということを常々考えておるわけでございます。  早川公述人として、こういう割引制度について、これは通学の定期だけではなくしてあらゆるものに国鉄がやっておるわけでございますが、お考えがございましたらひとつお聞かせをいただきたいと思います。
  55. 早川泰正

    ○早川泰正君 十分なお答えになるかどうかわかりませんけれども、先ほどちょっと触れましたが、今回の法案の一つの柱に国の助成がございます。その中に、ただいま御指摘になりました地方交通線の対策に関する助成、通学定期に対しては五年とか、それから私鉄、バスへの転換の場合には二分の一ですか、それぞれやっておりますので、こうしたことが当然今回の措置に伴って起こってくる善後措置と申しますか、そういうことは必要だと思います。ただ、ただいま御質問の趣旨は、そういったことはいいとして、これをいつまで続けるのか、つまりそういうことが本質的にいいかどうか、こういう趣旨と私は理解するのですけれども、これはやはり決して無期限ではなくて、ある一定の期間を限ってやるべきである、そして、その期間内にできるだけ地元の努力、企業者の努力、そういうものによって負担を軽くするという努力がなされなければならないと思います。それでもなおかつバスに転換した場合に国鉄よりも料金が高い、こういうことは起こり得るわけでありまして、私は、パスに転換することによって全く従来と同じサービスが得られるとは必ずしも考えておりません。メリットもあろうかと思いますけれども、デメリットも当然起こってまいります。こういうものは、やはりある程度地元の方に負担をしていただかなければならないだろう。財政の負担の広く全国的に見た公平化という点からいったら、これはやむを得ないのではないか、このように考えております。  お答えになりましたでしょうか。
  56. 関谷勝嗣

    ○関谷委員 ありがとうございました。
  57. 小此木彦三郎

    ○小此木座長 福岡義登君。
  58. 福岡義登

    ○福岡委員 皆さん、どうも御苦労をかけました。  早川先生にちょっとお尋ね申し上げますが、先生の御意見の中に自家用車とかトラックがだんだん伸びてきて国鉄がこういうようになったというお話がございました。おっしゃるとおりなのでございます。五十四年度の実績で見ますと、国鉄は、旅客輸送は全体の二五、六%、貨物は一〇%に落ちておるわけであります。ところで、国鉄の再建という考えの中に、昭和六十年度の輸送目標も立てておるわけであります。旅客はわずかに増を見込んで数%の増になっておりますが、貨物は全く横ばいの四百億トンキロの見通しを立てておるわけであります。  私どもが考えますのに、交通関係の制約条件というものがいろいろあると思います。たとえば、一番大きいのはエネルギーだ。あるいはお話がありました交通事故の問題もある。あるいは交通公害の問題、いろいろ制約条件があると思います。したがって、将来の日本の交通を考えるときに、大量輸送機関である国鉄の事業分野がこれでいいのかという疑問を持つわけです。もう少し国鉄の事業分野というものは拡大をせざるを得ない、そういう条件下にあるように思うのですが、先生の御見解を聞かしていただきたいと思います。  たとえば、今度の再建法案の中で、国鉄の一つの任務として都市間輸送というのが明示されている。都市間輸送の最たるものは東京-大阪間で、航空機と新幹線が無制限と言っていいほど競争しておるわけであります。航空機の方は大変なエネルギーの消費である。北海道で言いますと、東京―札幌間は当然航空機が持つべきだ。道内の交通はやはり大量輸送機関である国鉄がもう少し使命を受け持つべきではないかという感じがするわけであります。再建のための一番大切なポイントというのは、国鉄の経営基盤、事業分野をどう考えていくかということになると思うのですが、申し上げました現状が旅客二五、六%、貨物一〇%程度では足りないと私は思うのでありますが、先生のお考えを聞かしていただきたいと思います。  第二番目に、今度特定地方交通線の基準を乗車密度二千人を考えておるわけであります。この分岐点になっておる二千人乗車密度というものがどうなのかという問題でありますが、経済学の立場から考えられまして、公共輸送と経済性といいましょうか、その分岐点は今度の法案では二千人というものを考えておるのですけれども、別に何か考える基準というものがあるだろうか。  以上、二つをちょっと聞かしていただきたいと思います。
  59. 早川泰正

    ○早川泰正君 大変むずかしい御質問で、またこれも十分お答えできるかどうかわかりませんけれども、第一点は、広く言えば国鉄の今後のあり方ということになろうかと思うのですが、六十年の目標が果たして妥当かどうか。これは私、実はそれをまだ詳細に吟味しておりませんので、お答えできないのでありますが、恐らく現在の交通情勢、国の経済成長、エネルギーの制約、こうした問題を勘案して、できる限り、最大限度のところがただいま御指摘になったような数字だろうと私は理解いたします。  航空機との間の関連では、特に先ほど私も申しましたけれども、札幌から東京までの場合は九〇%以上が航空機でございます。それから国鉄も、千歳に空港駅をつくりまして、むしろ飛行機とドッキングするという考え方、これは一つのあり得べき交通体系の方向を示したものと私は言ってよろしいかと思います。  それで、北海道の場合ですが、確かに道内の場合は国鉄の占める割合が大きいだろう、こういう御指摘でございまして、それはそのとおりかと思います、面積が広いですから。しかし、先ほどから私が申しましたように、北海道といえども、ただ面積が広い、過疎化が進んでいるというだけの理由で地方交通線の問題を余り特殊だというふうに考えることは、私は実はとらないわけでございます。これは先ほど申し上げた財政の問題、負担の公平化、エネルギーの適正利用という点から、そういうふうに考えております。  私は先ほど都市圏交通、大都市間の旅客輸送、定型大量貨物の輸送、こういうものについては国鉄、それ以外のものについでは適宜代替の輸送機関を用いるということを申し上げたわけでございますが、北海道につきましてもやはりその原則でいくべきであるというふうに考えております。ただ、先ほど来お話に出ましたような、たとえば食糧基地の問題であるとか、あるいは北海道が日本に残された唯一の発展のポテンシャルを秘めている地域であるとか、そういうことが従来から言われております。そこで、その中で交通体系がどうあるべきかということは、今後さらに検討を要する一つの重要なテーマであろうと思います。  ただその場合、私はやはり八〇年代の一つの大きな制約条件といたしまして、国の財政の再建、たとえば北海道の開発予算をとってみましても、ここ一、二年の伸びというものはほとんど横ばいであります。それ以前の大体二五%から三〇%程度の伸びに比べると、そういう点で開発予算そのものが非常に抑えられてきております。それから、御承知のように、北海道の特例、これもまた三年間で大分削られるような状況のもとにあります。北海道民としては大変残念なことでありますが、国全体の経済の運行という点から見ると、そういうものは方向としてはやむを得ない。そうなってまいりますと、北海道内における交通のあり方というものも、やはりそういう観点から考えていかざるを得ないわけであります。  北海道の場合は、定住圏に対応いたしまして総合環境圏、それから北海道の発展計画におきましては広域生活圏、それぞれ現在いろんな計画が進行してございます。そういう中で、一体交通体系をどういうふうに位置づけるかということが、さしあたって北海道に課された今後の大きな問題だと思うのでありますが、そういう問題に対処する方向としては、先ほど私が公述で申し上げましたような考え方がどうもやはり一番妥当ではなかろうか、こういうふうに考えております。  以上が第一点でございます。  それから第二点は、これは実は大変むずかしい問題で、果たして二千人の基準がどうか。これは八千人、四千人、二千人と幾つかのランキングがございまして、これを一体何で出したのかということでありますが、たとえば中小私鉄、バスのいわゆる収支ぎりぎりいっぱいの均衡線、これが一日一キロ当たり八千人であるというようなところから、だんだん数字が出てきたものと思います。しかし、その数字が果たして厳密なものかどうか。また、それですべて一律にいかなければいかぬかどうか。これはたしか午前中のあれで赤井公述人からそういう御指摘があったのを、私もそのように考えております。これもたしか議会でどなたか答弁なさったのを新聞で拝見しますと、明らかに一つの案、そういうたたき台みたいなものでありまして、これについて政令で定める基準がどうかということを御審議いただくわけであります。これはこれから議員さんが大いにやっていかなければならぬお仕事だと思うのでありますが、そういう点から見まして、一応私は八千人、四千人、二千人という線が、いわゆるクリチカルなラインではないかというふうに考えております。しかし、なおかつ、これだけですべて機械的に一律にいっていいかどうか、これは今後十分に御審議いただきたい、そういう点だと私は考えております。  以上であります。
  60. 福岡義登

    ○福岡委員 ありがとうございました。  今度は赤井さんにちょっとお伺いをしたいのですが、一つは、運賃の問題であります。  今度の再建法の中で、どなたかお話があったんですが、二つの問題があろうと思います。一つは、地方交通線に特定運賃制度を導入するということです。運輸大臣のお考えでは、大体五〇%くらい地方交通線の現在の運賃を上げたいというお考えであります。もう一つは、バス転換にいたしますと運賃が三倍くらいになる。そうしますと、私どもは、国民や住民の皆さんの負担がふえることはもちろんでありますけれども、国鉄の再建ということから考えますと、これによって国鉄離れが一層進むんじゃないかという心配をしておるわけであります。  過去、国鉄離れを起こした理由で一番大きかったのは、五十一年の五〇%の運賃値上げがあるわけであります。このときに五〇%の運賃の値上げをしたんですが、実際の収入増は二〇%しがなかった。計画に対しては三割お客が逃げたことになる。それを一番心配するのでありますが、どういう御見解か、ちょっとお伺いしたいと思います。  もう一つは、午前中の御意見の中には全然なかったのでありますけれども、実は新線建設の問題がこの再建法の中にあるわけであります。北海道では石勝線がいま工事中であります。これは完成しましてもとても黒字にはなれない、赤字であります。工事を中断しております建設途上にある新線も、北海道に何線か御承知のようにあるわけであります。この再建法で、これを引き受けてくれるものがおれば、引き続き工事をやっていくというわけであります。たとえば第三セクターであるとかあるいは民間の地方鉄道事業者であるとか、そういうものが引き受けてくれることが明らかになれば、赤字であっても、つまり乗車密度が二千人以下の線であっても建設をするということにはなっておるわけであります。これはちょっと矛盾があるように思いまして、国会でもいま問題として審議をしておるところでありますが、この新線建設に対して、民間の会社経営をされている立場から、御経験などの上に立っての御意見を伺えればと思います。  以上、二つをお願いいたします。
  61. 赤井醇

    ○赤井醇君 まず第一点の特別運賃に関連します問題でございます。  お話しございましたように、たしか五十一年の年に五〇%くらいの値上げをした。これがきっかけであったかどうかは別にいたしましても、確かにおっしゃるように、運賃の収入の減というようなことで、かえって俗に言われる国鉄離れ、私ども、その点はよく承知をいたしております。  私、考えますのに、国鉄離れという現象の中には、一つは、確かにそういう運賃によります経済的な問題、国民に与えます比較論と申しますか、こういうことによって、もうそんな高いところには乗れない、もっと安いのがあるじゃないかという意味で、本当に乗る必要があるとするならば安い方に乗る、これは当然だと思います。そういう意味からの国鉄離れというものが、まず一つの原因としてあったと思います。  それから二つ目には、そういった経済的な理由ばかりでなくて、国鉄というものに対する信頼感、いわゆる安全であり、的確に、確実に輸送される、快適である、こういうものに対してどうも不確定である、どうも安全でないとは申しませんけれども、要するにそういう心配が起きてくるとか、そういうことに対するいろいろな精神的な問題、言葉は悪いですけれども、いわば国鉄に対する信頼が薄れてきている。こういうものと両々相まって、私は国鉄離れというものが起きてきているのではないかと思っております。  そこで、お尋ねの件でございますけれども、まず地方交通線等についての特別運賃の問題であります。これはこれからどういうふうに決められるかわかりませんけれども、まず原則としては、第一には、先ほど申しました比較の上でのそれを突破するような特別運賃になっては、やはり人情的にもその目的を達成できないだろうと思います。  そこで、いろいろな資料を拝見いたしますと、たとえば現在の地方交通線と並行いたしております中小私鉄あるいはバス等の現実の運賃との比較をいたしますと、あえて申しますが、国鉄の方が相当安くなっております。いろいろ数字は出ているようでありますけれども、それは省略いたします。そういう面からいたしますと、少なくともそれに同等とまでいかなくても、十分そのあたりの経済的な採算を考えられて特別運賃がかけられるということは、これは先ほど来お話ございますように、やはり一種の経済的な均衡を図るという意味からも、私はあってしかるべきだろう、こう思っております。  ただ、これについては、市民感情としては、激変をするようなことでは困ると思います。まあ段階的に、いわば激変緩和の措置をも講じていただきたいものだな、こういうふうに考えております。  それから二つ目の新線の問題でございますが、これは私、何も申し上げなかったことは、逆に言って研究不十分で、どうも大変申しわけないのでございますが、たとえて申されました石勝線でございます。これはおっしゃいますように、北海道開発にぜひ必要だということで、多年にわたって北海道道民の念願、と申しますよりも、実は私どももあの建設をぜひ何とかしてほしいということで、一生懸命運動も申し上げたようなものでございますけれども、ともあれ、石勝線というのはそういう経過で、大きく申しますと北海道開発にぜひ必要だという考え方でございまして、先ほど申し上げましたように、これも北海道の特殊性と申しますよりも、鉄道の持つ先導性によって北海道の開発というふうなものが考えられている一つのあらわれだと存じております。  そこで、そういう点からしますと、なるほどおっしゃるように、これはとても黒字は考えられない。私もそう思います。思いますけれども、こういう特殊な事情のものについては、やはり先ほど私が申し上げましたような北海道の事情を考えていただいて、端的に言って残していただきたいという気持ちなんです。  ただ、残す場合に、これはみんな残しておったら、本当にいわゆる赤字解消にはならないわけでありまして、これは結局国鉄もそうですが、地方自治体、それから利用者、三者を含めた協力というふうなものによって、私は残されるものであるならば残してもらいたい、こう思います。要するに、私も第三セクターといったようなものが適当ではないんだろうか、国鉄の現状でこれを残しましても決してうまくいかぬではないか、こういう感じがしておりますので、そうしますと、残すというからには非常にむずかしい問題があろうと思いますけれども、第三セクターというものが適当ではないだろうか。これは私の全く勝手な言い方でございますけれども、そういうふうな意見と申しますか、考え方を持っております。
  62. 福岡義登

    ○福岡委員 あと二、三分しかないんで、簡単に藤沢さんにお伺いいたします。  問題になっております特定地方交通線、一言で言いますと将来の見通しですね。努力をすればある程度利用者がふえるのか、努力をしてももうだめなのか。いろいろあろうと思うのです。お話のありました開発計画との関係などを考えていけば、いまは利用者が少ないけれども、あるいは貨物が少ないけれども、将来はある程度の量に達するのだという、その辺の関係をちょっと聞かしていただきたいのと、大切な点は、この国鉄再建法案だけではなくて、全体的に地域の交通をどうするのかというのは非常に大切な課題だと思うんですよ。ですから、地方自治体として、北海道なら北海道というものを単位に考える、あるいは郡なら郡というものを単位に考える、市町村なら市町村というものを単位に考えた地域の交通計画というものは必要だと思うんですね。その地域交通計画の策定について、北海道における何らかの動き、もしくはお考えというようなものがあれば、時間がありませんので十分にはお聞かせいただけないと思うんですが、要点だけでも結構でございますから……。
  63. 藤沢一雄

    ○藤沢一雄君 まず、一点目の今後これによって利用者がふえるだろうか、こういう点でございますが、これはやはりやり方だろうと思います。それと、私は先ほど非常に情緒的な言い方で反論申し上げておりますが、住民感情というものはそんなものだと思うのです。国鉄に対する信頼、これがどの程度利用者につながるか、これは利便性の背景もありますが。ですから、これについては政治という側面が出てもやむを得ないから、私はそういう点で申し上げているわけでございまして、この点、定かであるとは申し上げかねます。  次に、二点目の北海道開発計画に即応する役割りが地方交通体系の中でどういう位置づけになるかという御質問だと思うのですけれども、これは道の総合開発振興計画の中で明らかに結論はつけております。しかし、その方向が現在のこのような国鉄再建法案に絡む措置を予想したものでないこともまた事実でありますから、したがって、これが出ますと当然改定されるでしょうし、昨年ですか、流れましたけれども、陸上公共輸送整備特別会計の創設の問題、これによる財源のバランスによった総合交通体系、これは当然地方バス路線にもかかるわけでありまして、これからも重要な点でありますが、これを踏まえた上で練り直すという点が必要であろうかと考えております。  簡単でございますが……。
  64. 福岡義登

    ○福岡委員 終わります。
  65. 小此木彦三郎

    ○小此木座長 浅井美幸君。
  66. 浅井美幸

    ○浅井委員 公述人の皆さん、大変御苦労さまでございます。  今回提案されておりますところの財政再建法案は、国鉄の過去債務のたな上げと、それから経営改善計画というものを除きますと、地方交通線対策といいますか、赤字路線をどう位置づけるかということが問題でございまして、今回の法案の最大の焦点はその点にしぼられているわけでございます。私どもも昨日から現場を見させていただきましたし、また各般の御意見も伺ったわけでございます。  私は早川公述人にまずお伺いしたいのですが、この財政再建法案というのは、六十年度に国鉄の財政収支の均衡を図る、このようなことを目指しているわけでございますけれども、果たして今日のこのような国鉄の現状の中で収支の均衡が本当に実現するのかどうか、この点につきましてまずお伺いしたいと思います。  第二点目は、この地方交通線をたとえば地方自治体だとか第三セクターの部門に移譲できる、こういうことが含まれております。先ほど赤井公述人は、これはやむを得ない措置で賛成だというような御意見でございましたけれども、これについて早川公述人はどのようなお考えをお持ちですか。  第三点目に、企業でございますから、収支相調わなければならないということで、地方の赤字路線につきましては、収支均衡を図るために割り高な運賃をこれから設定しようという話がいま出ております。五割増しというような数字も出てまいっておりますけれども、このような数字、五割増しが果たして妥当なのか。一律五割増しが妥当なのか、それとも路線別によってそういう運賃を設定するのか、その辺についてのお考え、以上三点をまずお伺いしたいと思います。
  67. 早川泰正

    ○早川泰正君 第一点の、今回の法案で六十年の国鉄の収支が均衡できると思うかどうか、こういう趣旨のお尋ねでございますが、私は、これは均衡するように努力をしなければならない、このように理解をしております。しかし、これまでの経過を見ますと、先ほど申しましたように、四十四年以来すでに四回にわたって再建策を講じております。その都度、ある期間を目途としてやってきているわけでありますが、それぞれの事情によってついに今回まで赤字がますます累積をしておる、こういう状況を考えてみますときに、決して六十年の収支均衡が簡単にできるとは考えておりません。少なくとも六十年をめどにいたしまして健全経営ができる、これで健全経営の基盤が何とか確立していける、こういうめどだけをつけていただくということが、私の最低限度それに期待するところであります。そうして、めどがつき次第、これは一年か二年かあるいは三年かわかりませんけれども、できるだけ早い機会に、実際のバランスにおいて収支均衡を図るようにしていただきたい、これが最小限度私が期待するところであります。  第一点は以上のとおりでございます。  第二点の、第三セクターに移譲することが可能かどうか、これも大変むずかしい問題であります。第三セクターに移譲して収支が調うとはちょっと考えられませんので、私鉄にしろ何にしろ、そういうものを引き受ける、それこそ第三セクターがそう簡単に出るということは残念ながら期待できないのであります。しかしながら、もし第三セクターが可能であれば、これは当然足りない部分の赤字を補てんするということは今回の法案の中にも十分盛られております。そういう点から、補助がどれくらい出るかということとにらみ合いで第三セクターに移譲できるかどうかということを実際に決定するのが、これは協議会の段階になるかどうかわかりませんけれども、至当であろう、こういうふうに考えます。  それから、第三点の割り増し運賃の問題であります。五〇%がいいかどうかということは、私ここで的確にそれが低いとか安いとかいう議論を申し上げる材料を持ち合わせておりませんが、しかし、いずれにいたしましても地方の赤字ローカル線で鉄道を今後維持していくということになりますと、割り増し運賃はどうしても必要だろう、こう考えております。恐らく御質問の趣旨は、負担の公平という点から見てそれが問題になりはしないかということかと思うのでありますが、地方の方が仮に五〇%なら五〇%高い運賃を払うということは、明らかにそれだけ負担が重いということであります。しかしまた、考えてみますと、現在の地方のいわゆる特定地方交通線のそれに該当するところの私鉄の料金と国鉄の料金を比べますと、これは先ほどどなたかから御指摘になったと思うのですけれども、明らかに国鉄の方が安いわけであります。つまりその分だけ国鉄は民間に比べると安い料金でサービスをしている、こういうこともやはり言えるかと思うのであります。そういう点から見ますると、割り増し運賃の設定というものは、率がどれくらいかは一応別にいたしましてもやむを得ない、妥当だろう、このように私は負担の公平という点から見て考えております。  これが第三点であります。
  68. 浅井美幸

    ○浅井委員 ありがとうございました。  国鉄の運賃が北海道におきましてはほかの交通手段よりも安いということでございましたが、関西などは並行する私鉄の運賃の方が国鉄よりずっと割り安でございます。ですから、あながち現在の国鉄運賃が割り安と一概には判断できないところもあると私は思います。  そこで、私は松井公述人にお伺いしたいのですけれども、先ほどと同じ質問で非常に恐縮でございますが、松井公述人は、六十年度国鉄の財政収支というものの均衡がとれると思われるかどうか、この点を第一点にお伺いしておきたいと思います。  第二点といたしまして、先ほども公述人が述べられましたように、集中的な退職者というものが出て、確かにこの五年間で三十五万人体制をとります。現在におきましても戦後措置のために大量の人員を抱えた国鉄でございますので、高齢者が多くて、そのためにすでに年金問題が国鉄の財政の中で大きなウエートを占めております。この年金問題について、先ほど公述人から未処理のままだという御指摘がございました。確かにそのとおりでございます。この年金問題についてどのようにすることが一番適当であるとお考えですか。  この二点をお答え願いたいと思います。
  69. 松井安信

    ○松井安信君 第一点ですが、先ほど、未処理または別枠処理ということで、六十年度の黒字というのは赤の問題が別枠処理になっておるということを申したのですが、六十年度をめどに収支均衡成るかといういまの御質問に対しては、非常に無理であると思います。努力目標ということを早川教授おっしゃいましたが、そういう意味の努力目標が示されておる。ただし、私、よけいなことを言ってはいけないという指示を受けておりますけれども、これが成るか成らないかということは、三十五万人体制及び地方ローカル線の問題について本当に協力が得られるかどうかというところがポイントだと思います。  それで、一応御質問の第二点でありますが、だからこの問題につきまして、そういう意味での処理を得られるのには、熟練の労働者が集中退職する場合に、高速度、高性能の交通機関に対応できるような人員配置ができるかどうか、これが問題だということを――これは先ほどの問題で、いまの御質問の問題ではございませんが、そういうことを申し上げたわけであります。  それで、いまの年金問題についてどうするのか。あれはいま皆さんの方でも御検討中である、また、この法案でも今後検討するというかっこうにはなっておると思います。この問題については私、専門家でありませんので正しく答えられるとは思っておりませんけれども、類似の公社ないし公共機関のそういう意味での年金制度の問題がどう調整されていくのかというのが、さしあたって国鉄の集中的な退職者の年金問題についての必要な手がかりになるのではないだろうかと思います。それ以外にもすでに年金制度については、他の種々の年金問題についての検討がいま進行中でありますので、今度は類似の年金問題とそういうようなものをどういうふうに処理するかというような問題が出てきて、そういうような総合的なかっこうで最終的な解決が得られると思います。だから、その過程においては国家財政の方で別枠に置いて特別にたな上げするということを一応検討することになっておるわけですが、その内容については何も示されておりませんので、未解決な、未処理の問題だから何とも答えようがない、こういうふうに先ほど申し上げたわけであります。
  70. 浅井美幸

    ○浅井委員 ありがとうございました。  藤沢公述人にお願いしたいのですけれども、私も全く藤沢公述人の御意見に賛成なんです。ただ、財政のことを考えるならば、適当な路線が並行して、地域住民の皆さん方がそれによってより恩恵を受ける、そして、いまの負担よりも過大な負担にならない状況の中でバス転換ができるということになれば、それは許されてもいいのではないか、私はそういう考えを持っておるわけです。どうしてもバスに転換してはいけないという理由、バスであったならばまずいのだという最大の理由、これについてお聞かせ願いたいと思います。  また、ほかの公述人の中で、このバス転換についてまずいという御意見がございましたならば、お聞かせいただければと思います。
  71. 藤沢一雄

    ○藤沢一雄君 先ほどもちょっと触れたわけでありますが、いまの北海道内の実態は、まずほとんどの市町村がと言っていいほど、この法案に対する何らかの形の意思表示については反対を表明しておるわけであります。そこで、私は、そういう多くの市町村の代弁という形の中でも立場を明らかにする必要があるということから全体的な公述をいたしたわけでありまして、その中身としては、抽象的に過ぎますけれども、大方の住民の感情を代弁したつもりであります。したがって、そういう先生の御質問の中で、しからば、すべての道民がバスに反対なのかと言えば、そんなことはありません。いやバスでもいいよという町長さんもいらっしゃいます。三千万円もらって、おれたちはこういうことをしようかなという方も現実におります。しかし、道内の場合はそういう方はごく少数であるという実態であります。  さらに、第三セクター等による移管という問題がその前段にありますが、たとえば関東における野岩線のような新線建設の例の中での第三セクターの設置合意、これあたりは観光を主体とした線でございますので、明らかに北海道内の開発あるいは産業振興という立場からの線とは違うわけでありまして、私どもが、道を初め決断を下せない背景にはそういうものがあるわけであります。自治省が、そういうことは賛成してはいかぬよと言う意味のほかに、そういう背景があります。  たとえば、どうしてバスに反対するのだという中には、一例といたしまして日高線があるわけでありますが、あそこは苫小牧に通う高校生がおります。近辺の七百数十名が通っておるわけであります。これらを特定の時間帯に送り迎えするという手段を、いま国鉄を外した場合にバスに頼るとしたならば、相当多大な配車準備が必要であろうし、そういうものに対する配慮がない。いずれ出されるわけでありましょうけれども、そういう点も実は各地における通学生を主体とした僻地町村の悩みでもあるわけであります。それに実例が三倍近い負担増につながったという実態、こういうものもやはり懸念されるわけであります。そういう点から申し上げたわけであります。御理解いただきたいと思います。
  72. 浅井美幸

    ○浅井委員 ありがとうございました。
  73. 小此木彦三郎

    ○小此木座長 小渕正義君。
  74. 小渕正義

    ○小渕(正)委員 大変お忙しいところ御苦労さまでございます。  ただいままでの公述人の皆さん方の御意見を拝聴いたしまして、言われていることはいろいろ差異はありますが、一般的には、今回の国鉄再建法案に対して賛意を表明される方並びに地方線問題をとらえてそのことで反対される方、こういうふうにお分かれになったと思います。しかしながら、一つ特徴的なのは、北海道の地域性といいますか、特殊性といいますか、そういう点から特に地方線については格段の考え方を持ってほしいというのがほとんどの方の御意見ではなかったかと思うのであります。  そういう御意見をお聞きしながら端的に私、お尋ねいたしたいと思いますが、特に早川、北村、赤井、三名の方にお願いしたいのでございますが、今回の国鉄再建法案を評価されて賛成され、非常に前向きなものだ、大体そういった御意見だったと思います。今回の再建案を、どこの点を一番評価されて前向きだということで御理解されておるのか、そういうお考えをお持ちなのか、非常に端的な御質問で恐縮でございますが、三名の方にお尋ねするわけであります。  あわせて、この再建案で国鉄が六十年度に収支均衡のバランスをとるという計画について、先ほど早川公述人からは御意見を承りましたので、その点はあと二名の方にお願いいたしますが、この再建案で大体国鉄再建は可能だ、こういうお考えをお持ちなのかどうか、この二つの点につきまして、時間が限られておりますので、要約してひとつお知らせいただきたい、かように思います。
  75. 早川泰正

    ○早川泰正君 第一点の御質問でございますが、今回の法案のどこを一体特に重く見て評価するかという趣旨でございますね。これは私は、最初に四つのポイントを申し上げて、その四つが、形は違いますけれども、いずれも何らかの形で昭和四十四年以来の対策の延長発展線上にある、こういう趣旨のことを申し上げたつもりであります。したがって、私が特に取り上げましたのは地方交通線の問題であります。北海道の場合それが一番大きく関係いたしますので取り上げましたけれども、そういう点から見て、特にどこを評価すべきかというお尋ねには、ちょっと私お答えいたしかねるのであります。強いて言えば、四点ともいずれも、従来のいろいろな経過を踏まえてここでいわば最終的に法案として出ておる、そういう点は評価すべきだと言えば評価すべきでありますが、この中のどこを特に評価するかということになりますと、これは四つともみんな総合的に、有機的に関係してまいりますので、そういう点では特にどこを取り上げるかということはちょっとお答えいたしかねるのであります。  そういうことで、お答えにならないと思いますけれども。
  76. 北村實

    ○北村實君 きわめて簡単なことでありまして、どうしようもない時期に来ているのだ、そういう中で国鉄はこれから一生懸命やりますという決意、それに対して国がある程度めんどうを見ましょう、そういう基盤の上に立って出された一つの法案だと思うのです。それに対してわれわれ国民も、それであれば協力していかなければならないというようなごく簡単なことで先ほど説明を申し上げたはずでございます。  次に、再建が可能かどうかということは、そういうふうに経営基盤を確立する状態に恐らく昭和六十年ぐらいにはなるだろう、そうさせたいということでありますので、なるべくひとつこれからの法案審議の過程におきまして十分実現可能な方向へ先生方御協議いただいて持っていっていただきたい。  いろいろ地方交通線の問題等もあります。本当に私はこの法案の中の大きな問題であろうかと思います。そして、鉄道というのは人や物ばかりでなく、かつて文化を運んで北海道の開拓、開発に貢献してまいったわけでございます。それらが急にそこで切れてこっちへ来ないということになると、恐らく心情的にも住民の方は不安を持つのではないか。では、どうしたらいいか。いろいろな考え方もあろうかと思いますけれども、それが案外オープンにされていない。そういうたたき台がないものだから住民の人もより一層不安の状態が続いていくのではないかということであります。  もちろん、これから地方の時代ということでございますので、魅力ある地方をつくるためにもそれらの交通機関を加えて地域の文化発展、住民生活の向上というものをみんなで一緒になって考えて、いい意味の交通体系をその地域でつくってほしいなと思うわけであります。  お答えになりましたかどうか、以上でございます。
  77. 赤井醇

    ○赤井醇君 お尋ねの第一点でございますが、私の申し上げましたのは、要しますに、いままでなかなか赤字再建ができなかったその経過の中で、今度はそれらを踏まえつつ、いわゆる国鉄の使命をもう一度考え直して、それに基づく国鉄のあり方を明確に位置づけたということでございます。そして、これに基づきますたとえば構造的欠陥の問題であるならば、国は十分これに対して助成をする、こういう中でこの国鉄の再建をとにかく急がなければならぬ、こういう趣旨を十分理解いたしまして、私はこれを重点として賛成をするというわけでございます。  第二点の、この再建案で可能かということでございますが、これは先ほど来お話がございましたように、なかなか容易なものではないと私は思っております。特に国鉄の持っておりますいろいろな構造的な問題があると思います。たとえば中小の、あるいは大きなところもそうですが、私鉄に比べて国鉄独特の構造的な問題があると思います。したがいまして、そういうことから、たとえば運賃の問題にしましてももう簡単に上げるなどというわけにいかぬ。私鉄の方は簡単に上がるというわけではありませんけれども、比較の問題としてはそういう構造的な問題がやはり一つあるのではないだろうか。  それからもう一つ、何といいましても全国一律の組織になって運営されております、そういう中での老後の問題、賃金の問題、それらのいろいろな制約の面がございまして、これは一般の私鉄等における問題の改善に比べて非常にむずかしい問題があるということを私は十分承知しておりますけれども、ともかくこういう案によって、そして言われる三十五万人体制というものをあくまで確立しながら、できるだけの努力、要するに幹線系統については極力収入を上げる、それ以外の分野については縮減の方向をとっていくということでありますが、そういう中でどうしてもこの再建を果たさなければならない、またそうしていただきたい、私はこのように思っております。
  78. 小渕正義

    ○小渕(正)委員 ありがとうございました。  続いて、北村さんにお尋ねいたしますが、今回の国鉄再建案の中身は、いまさら私が申し上げるまでもなく、みずからがやるべきところ、構造的なものとして根差したものについては国に助成、負担をしてもらおう、あとは赤字ローカル線対策、この三つになっておるわけであります。そういう意味で、先ほどの御意見の中では国鉄の経営責任がより明確になったという意味のことを仰せられたわけでありますが、確かに昭和六十年度に三十五万人体制をとって何とか収支のバランスをとっていこうということにはなっておりますが、これだけで果たして本当に国鉄としての経営責任が明らかになったのかどうか。私の方から見ますならば、これはまだそういう意味では何だか非常に抽象的な感じがするわけでありますが、この点について、より経営責任が明確になったという点で御意見を少し伺わせていただきたい、かように思う次第であります。  あわせて、松井公述人にお願いするわけでありますが、公共の責任負担の明確化という意味でいろいろ問題を言われておりました。さらに、もっと具体的にこういうものをしていかなければいけないということ等を一つの問題点として指摘されておられたわけでありますが、具体的にどのような点を指して言われておるのか、二、三具体的なものがあればお示しいただきたい、かように思います。
  79. 北村實

    ○北村實君 実は私も、昭和六十年をめどにこの再建法案が策定されて、それに向けて進もうということに理解しているわけですけれども、じゃその六十年の後はどうなるんだということが実は残された問題だというふうに、多少疑問に思っているわけです。とにかく経営改善計画に基づきいろいろ考えつつ、あるいは地方交通線対策等進めながら、一応の経営の基盤を昭和六十年に置くんだ、その後は、私は、その時点あるいは前後並行してやられても構わないと思いますけれども、総合交通体系というものをやはりもう一度見直して、国鉄の役割り、位置づけというものを明確にして、六十年から後にその方向へ向けてひとつ進めていっていただきたいというふうに思っております。
  80. 松井安信

    ○松井安信君 お答えします。  さらに明確にという点は何かという御質問ですが、たとえば私がいろんな資料で若干試算したところでは、構造的な欠陥については国の責任を明確にする、それの分担をいわば助成の形で前向きに処理していく一定の配慮はしているというのが五十五年度予算であります。  そういう問題で見ますと、私の試算はデータがまだ十分とれない点もありますけれども、国の負担と思われる構造的な欠損で、たとえば五十三年度くらいを見ますと、一兆一千四百億円くらいの構造的欠損と言われるものがあるかと思うんですが、その負担、財政補助は五千数百億円になっておるようであります。  それを明確にするというのは、先ほど二つに分けて申しましたが、こういうものの差が出てくるのはどこかと申しますと、利子を負担するという形があっても、元の返済は、これは国鉄の構造的赤字というかっこうで処理されていくわけですね。もちろんそれについての若干の配慮が出ておるようでありますけれども、そういう点、たとえばさっきの問題では割引運賃の問題、料金の問題にいたしましても、やはり各関係省庁で一応お挙げになったものが、大蔵省の方で集計されたものと、実際に国鉄が構造的な欠損として負担している赤というのとの適合性があるのかないのか、これはむしろ皆さんの方にそういう点の御検討をお願いしたい。われわれにとってはやや資料不足であります。大体そういうようなことが、さらに明確にするという問題点であります。
  81. 小渕正義

    ○小渕(正)委員 引き続き、赤井公述人にお尋ねいたします。  先ほどから、並み大抵の再建でないけれども、本当に国民へのサービスに徹して、そして、まさに労使が一体となって取り組まなければならない問題だろうというような意味のことを言われたと思うのでありますが、今回の再建案の中で、確かに財政的基盤の整備その他そういう物的な面においては一つの形が出ておるわけであります。あと一つは、いま公述人の方が言われましたように、やはり国鉄が持っている一つの体質、特に国鉄内部が抱えている体質といいますか、労使関係といいますか、事ごとに今日までのこういう状況の中で合理化反対、その他いろいろと国民に非常に不信感を植えつけるような一連の行動が発生し、そういう経過から国民が国鉄離れをしていった一つの要因にもこういったものが挙げられているわけでありますが、そういった点から考えますと、私はどのようなりっぱな再建案でありましても、真に国鉄の労使が一体とならなくては、この六十年度を目指した再建案は達成できないのじゃないかという危惧の念を持っているわけであります。  しかるに、現在の四囲の状況を見ますならば、とてもそういう環境にないのじゃないか。国鉄当局としてはそういう意気込みを持って今回のこの再建策を策定されておるわけでありますが、現在置かれている周辺の環境を見ますならば、すべてに反対、そういった意味で、労使本当に話し合って、これから本当に国民のための国鉄としてサービス向上に努めて、一緒に行こうじゃないか、そういう一体感的なものの期待が持てるような環境ではないのじゃないかと私は思うのでありますが、そこらあたりについてはいかがお考えでございますか、お聞かせいただきたいと思います。
  82. 赤井醇

    ○赤井醇君 外から見ましての感覚としては、いまおっしゃられたように、私も現在はそう思います。しかし、少なくとも先ほど申し上げましたように、これだけ大きな問題、しかも、とにかく赤字を国民全体の協力の中で済ましていくんだ、そして再建をなし遂げていくんだというこの大きな問題を抱えた今後においては、いまの状況は仮にそうであったにしても、必ず私はこれに対して労使協調してりっぱにやっていく体制ができるというふうに思っております。また、そのことはぜひお願いをしたいと思っております。
  83. 小渕正義

    ○小渕(正)委員 どうもありがとうございました。  時間がございませんので、一言だけ村本さんにお尋ねいたします。  先ほどのお話の中で、北海道の農産物、大体八百八十万トンくらいじゃないか、こういうお話がございましたが、これらの輸送状況について、ほとんどすべて国鉄を利用されておるのか、そのうち何割くらいがトラック輸送に依存しておるのか、ちょっと立場は違うのでおわかりなかったら結構ですけれども、参考までにひとつ。先ほどのお話の中で、輸送コストがますます高くなるということで、これがより物価高に拍車をかける、こういう形につながっていくようなお話でございましたので、一応そこらあたりの実態がもしおわかりでありますれば、お教えいただきたいと思います。  以上です。
  84. 村本光夫

    ○村本光夫君 ただいまの御質問でございますけれども、この総生産量の何%が国鉄であるかということにつきましては、専門的な分野でございませんので、具体的なものは調査しておりません。米にいたしましても、これは政府が運賃を持っているわけでございます。  ただ言えますことは、ここ一、二年前から余り米の問題、それから北海道としてことし初めて取り扱う特別自主流通米のようなものは、これからは生産者がこの負担をしていかなければならない。もちろん牛乳のようなものも、加工され乳製品となって出ていくものが相当あるのじゃなかろうか。あと大きなものはタマネギ、それからバレイショ、これはでん粉加工その他地元で加工されるものは別といたしまして、生食のものはほとんど国鉄輸送でなければ、現在のバレイショの価格から見て採算が合わないような状況ですから、こういうものは国鉄を利用されておると思いますし、今後もそういう形の中でわれわれとしては考えておるわけでございます。  つけ加えて若干申し上げますけれども、生産資材等の問題につきましても、たとえば今金が函館経済圏を起点にして、国鉄で函館から今金までの生産資材を、たとえばトン当たり計算いたしますと、国鉄運賃がトン当たり千九百六十七円である。それに卸から蔵入れまでのトン当たりの経費が千二百五十円で、トータルして三千二百十七円。これは大抵十五トン車で入ってきますので、これが函館から今金へ入庫するまでの経費を含めて四万八千二百五十円になる。それが現在の今金の場合は五カ月でございますから、それ以外の貨物は八雲で中継をいたしまして、八雲から横持ちをかけて今金に入ってまいります。その場合に、トータルいたしまして、これが十五トン車で五万九千三百五十円かかります。これは日通計算でございます。  そうなりますと、直接国鉄が今金駅まで持ち込むものと、八雲駅から中継するものとの差が一万一千百円ということで、二三%の割り高になるわけでございます。それに、先ほど申し上げたように、これが冬期間になりますと、日通の車で運んでもらっても二〇%の冬期間の割り増し運賃がかかる、こういう計算に相なるわけでございます。これがどこにも該当するかどうかは別といたしましても、大半のローカル線についてはこういう問題があるのではなかろうか。  特に今金の場合は、本線まで約四十キロございます。道路等につきましても、まだ舗装がされていない道路もございますので、そういう面についてはほかの地域と若干異なる点もあろうかと思いますけれども、たとえば地元の現状を申し上げて御回答にかえたいと思います。
  85. 小此木彦三郎

    ○小此木座長 四ツ谷光子君。
  86. 四ツ谷光子

    ○四ツ谷委員 公述人の皆さん方には、大変お忙しいところを本当にありがとうございます。  それでは、二、三の点について質問をさしていただきますが、初めに早川公述人と松井公述人にお願いをしたいと思います。  このたびの再建法案が仮に成立をしたといたしましても、果たして国鉄の再建ができるのかどうか、これは非常に疑問のあるところだと私は思っております。なぜかと申しますと、今度の再建法案の中には、本当の意味の赤字の原因が明らかにされていない、そうい4点があると思うのです。  いろいろございますけれども、まず一つは、独算制だということで、借金政策で赤字がどんどんふくれ上がってきている、毎秒毎秒二万六千円からの利息を払っているという大変な事態になっております。この借金政策をやめさせて、国が適正に基礎設備等に出資をする。当然だと思うのですけれども、もう一つ、大企業や大銀行が引受手になっています鉄道債券というのがございますが、これも五兆三千億に上っておりまして、毎年毎年これに対しては確実に五千億から六千億の利払いがされております。普通の企業でございますと、いまの国鉄はまさに倒産寸前、というよりも倒産した企業。倒産した企業の場合に、このような債権をそのままに放置はできない、当然これはたな上げをされてしかるべきだと思うのですけれども、この点はこれが放置をされて、この辺にはきっちりと利息が払われている、こういう点がございます。今回は、先ほど松井公述人のお話の中にもありました、貨物赤字が、赤字だ赤字だと言っているけれども、七〇%がその赤字のうちで占めている。この問題を抜きにして、地方ローカル線が赤字だから、皆さん方のためには犠牲を忍んでいただいてもバスに転換をする、あるいは運賃を値上げをする、そういうふうなことでこの再建が本当に国民的なものと考えられるかどうかというところが非常に大きな問題だ、私はこのように考えております。  とりわけ、先ほど村本公述人の方からもございましたけれども、中長距離輸送の貨物につきましては、採算が悪いとか効率が悪いというふうなことで切り捨てていく。ところが、これが国鉄の特性だということで、大量定型輸送に非常に重点が置かれているわけです。それはそれで当然国鉄の特性を発揮すべきだと思うのですけれども、会計検査院も、過去十年間にわたって、国鉄の遊休土地をもっと有効に使うべきだということを指摘をしております。約二千四百二十九億円に上るものが遊休地として、もっと有効に使ってしかるべきだという指摘をしておりますけれども、たとえば愛知県に岡多線というのがございます。トヨタ自動車のために、ここに大変な設備投資をして、自動車を運ぶ基地をつくった。ところが、この岡多線が今度廃止対象になっているということは、自動車を運ぶ大企業のいわゆる物流計画が変わりますと、国鉄がいかに至れり尽くせりの設備投資をしても、それが使われなくなる。しかも、これは鉄建公団から借り受けているわけでございますので、三十年にわたって毎年十六億円ずつ借金を払っていかなければならない。だから、この線が仮に今度の廃止対象になって、なくなりましても、借金だけは国鉄について回る、こういうきわめて片手落ちな事態がそのまま放置されている、こういう問題があるわけです。  私はお二人の公述人にお伺いしたいのですけれども、本当に国鉄の再建を国民的立場から実現をしていこうと思えば、このような赤字たれ流しの大企業優先の貨物体系、こういうふうなものにメスを入れていく。物流計画に国鉄が振り回され、政府が振り回されるというふうなことでは、本当に赤字をなくすことはできない、このように考えております。こういう貨物赤字にメスを入れて抜本的な対策を考えていく、こういうふうに私は考えているのでございますけれども、両公述人の御意見を伺いたいと思います。
  87. 早川泰正

    ○早川泰正君 大変むずかしい問題で、これも十分お答えできるかどうかわかりませんけれども、私は国鉄の再建というものを赤字をなくするという観点だけからは考えておりません。これはいままでたびたび御意見に出ましたように、赤字という点、損失そのものの絶対額から見れば、幹線の方がはるかに多いわけであります。地方交通線は、先ほど数字を申しましたけれども、全国で二九%、北海道で三三%ですか、だから、赤字をなくするという観点だけから見れば、むしろ幹線をやめてしまう方がいい。しかし、国鉄というものが交通体系の中で持っている役割り、これは何も国鉄に限らず一国の経済の中で交通体系がどうあるべきかという点から見ますと、そうはいかない。そこで、地方交通線の赤字が問題になるわけである、こういうぐあいに私は申し上げたわけでございます。ただいま御指摘のように、確かに借金経営、借金体質というものはそう簡単に直すわけにはいかないと思います。先ほど御指摘のように、鉄道債券の棒引きということは、民間の自由経済のたてまえからいきますと、そういうことはできないことでございます。しかるべく国がこれを負担する。その点においてはやはり国民の財政負担というものが、今後の国鉄の再建のために必要なことは言うまでもありません。ただ、財政の負担をできるだけ効率的にやっていきたい、これが私は負担の公平につながるものだと考えております。そういう点から見ますと、国の経済全体の動きの中で、産業の発展とにらみ合わせながら国鉄の経営がどうあるべきかということを考えていかなければならないと思います。  ただいま御指摘の愛知県のトヨタのあれですか、それにつきましては、私はデータをいま持っておりませんので、ここでは何ともお答えできませんけれども、民間産業のあり方と国鉄との絡みといいますか、関連においては、恐らくそういう具体的な例がたくさんあろうかと思うのであります。これはこれなりに国鉄利用の効率化、国鉄でなければこれだけ効率的に輸送できない、こういう観点からこういう問題をそれぞれ処理すべきだろうと思います。したがいまして、借金体質を一挙に改善するということはほとんど不可能なことだろうと思います。  ただ、先ほど来、六十年をめどに均衡できるかどうかという御質問がいろいろございましたが、私は努力目標としてそれはそうすべきである。ただそれには、労使の関係も、先ほど御質問にございましたように、協調していただかなければいけないのでありますけれども、国鉄にもそれ相当の経営面の努力をしていただかなければならぬし、また国もそのためには相当程度の負担を払っていかなければならぬ。ただ、その負担を払う払い方については、私の考えでは、負担の公平化、それから低成長下における財政再建のもとにおける資源の有効利用、こういう観点から国も国鉄に対する援助を今後とも続けていくべきであろう。そして、私が先ほど申しましたのは、六十年をめどにして最低限財政健全化のめどが立つ、そういう基盤がある程度できるということが最低限期待するところでありまして、均衡化はあるいはそれ以後になるかもしれません。そういう考え方で私は申し上げたわけでございます。  ただいま御指摘のようないろいろな点は、これは単に国鉄に限らず、経済そのものの制度と申しますか、そういう点から、公私混淆の混合経済のもとにおいてはいろいろな形で公企業と民間との間の絡みというものが出てくるかと思います。そういう場合に、一体何を考え方の基準に置いたらいいかというと、私はこれを先ほど申し上げた三点に置いて考えているということで、大変抽象的でお答えにならないかもしれませんが、私はこのように考えております。
  88. 松井安信

    ○松井安信君 基調としては、私、先ほど基本線は一応お答えしたつもりであります。結局私は思うのですが、現在こうだからこうすべきだという問題のとらえ方が、大体いままでの経済政策の転換の中でやられてきた常道だろうと思います。問題は、こうだからこう行くという、その案が、果たして実現が可能かどうか、そういう場合に、一歩を踏みとどまって、いままでにいろいろ累積してきた諸矛盾をこの際整理する。その大きな原因の一つに、構造的な欠損というものがあるわけです。ですから、そういう意味での継続性から言いますと、経済政策についてはある点は変更されましたけれども、政策の担当責任という点では、自民党を中心にしていままで経済政策がリードされてきていると思います。だから、そういうような問題では、これからこういうふうな再建案を出すという提示についての一定の評価は先ほどしましたけれども、いままでの諸問題を抜本的に直していくという問題がなければ、それの再生産を六十年以降にやるようなことでは、いかに国民の協力があっても解決は得られない、そういうふうに考えて先ほどの基調を私は言ったわけであります。  ですから、第二点としましては、これだけの膨大な赤字があり、財政危機にあるにもかかわらず経営基盤を確立するという形を立てない限りは、今後のいかなる財政再建計画も困難である。最後のチャンスというかっこうで再建案が一応提示されているようでありますけれども、しかし、労使一体と地域の協力、いわば住民の協力ということがなければ今後の再建は無理だと思うのです。  私、ちょっと時間をとり過ぎますけれども、たとえば国鉄経営者の幹部の方、また組合の幹部の方とも私、お会いしました。ところが、労使一体でがんばれという問題の前に、いずれもが経営責任者のような発言をされるので、私が驚くくらいです。つまり事業量をいかにしてふやしたらいいかという問題で、減量経営の効率主義という問題は公、私のいずれを問わず必要であるというふうに先ほど私は申し上げているわけです。ところが、それを達成するためには、労使の協力及び住民の理解がなければ、この計画は単なる効率性の問題だけでは処理できない。その問題が非常にむずかしい問題であるということであります。  それから第三点として、私が先ほど申し上げた公平の原理という問題であります。いま何も無理しなくても世界的に福祉国家的な方向に向かおうとしている。そういう大きな動向から言えば、努力案ではあっても今度の案で五年間の非常に短期の問題に全精力を集中するというような形だけではなく、もう少し広い視野を持ってもらいたい。とりわけ北海道の場合は、先ほどからの説明でわかりますように、言うならば国家の経済政策の一環をそのまま忠実に担い通してきた。国鉄またしかりだと思うのです。  そういうような問題でありまして、私、時間をとって恐縮でしたけれども、今後再建案を成功させるかどうかという前に、いままでの矛盾を、この際一挙にということは無理でありましても、やはり国の責任及び国鉄の責任は責任として明確にする、公共負担を明確にするというようなことで年次計画を明瞭に示していく。その細部については、三十五万人体制にしても運賃にしても、その他の効率性の問題にしても、十分データを示して今後においても検討する。しかし、何よりも大事なのは、経営基盤の確立と相まって過去の諸矛盾をまず抜本的に解決する決意だ、それがないとだめだろう、そういうふうに思います。
  89. 四ツ谷光子

    ○四ツ谷委員 それでは、今度は藤沢公述人と村本公述人にお伺いしたいと思います。  今度の再建法案の中の地方交通線対策の問題は、二つの問題点があると思うのです。  一つは、その選定基準をいわゆる政令に白紙委任をしている。その政令の中身は、委員会でもたびたび論議になっているところですけれども、わずかに運輸省の案のようなものしか示されていないということで、非常にあいまいになったまま地元の皆さん方に不安感を抱かせているという問題が一つだと思います。  もう一つは、法案の中に示されておりますのは、地方交通線の選定に当たりましては、輸送量と利用人員、それのみに選定基準を置きまして、皆さん方が強調していらっしゃいます地域住民の生活あるいは経済基盤というものが基準の中に全く無視されている、こういうところに大きな問題点があろうかと思うのです。  私の調査によりますと、北海道の冬の生活と灯油というのは全く切り離せないと思うのですけれども、興浜南線の雄武町では、二万キロリットルの石油製品を苫小牧から貨車四百九十三両で輸送しておられるそうですが、これをトラック輸送に切りかえると、輸送コストは三倍以上に値上がりする。そうでなくてもことしは灯油が上がっている。今後イラン情勢等の変化によってますます石油製品が上がるということになり、それに拍車をかける、こういうふうな生活直撃の問題が出てきていると思います。  北海道においては、石炭の輸送の問題はこれまた産業開発という点では欠かすことのできない問題だと思います。私の調査によりましても、歌志内線、夕張線でもたくさんの石炭を国鉄によって運んでおりますけれども、もし、これが全部今度の廃止対象ということで国鉄のレールがはがれてトラック輸送にかわりますと、歌志内だけでも八十台以上のトラック輸送にかえなければいけない。こういうことでまいりますと、省エネルギーの問題からいいましても、また先ほどから出ております道内の道路事情の問題からいいましても、交通公害等きわめて深刻な問題が起こってくるということが考えられます。  昨日も、私たちをお迎えいただきました幌内線の反対運動の皆さん方から、ちょっと私そばに寄りましたら、年寄りが多くて国鉄でなかったら困るのだという本当に切実なお訴えがございました。  こういう観点から、お二人の公述人に、このたびの法案の中の政令の基準というものがいまのままではきわめて不都合だ、こういうふうに私は思うのですけれども、先ほどから何遍もおっしゃっておりますが、もう一度、いまの道民の生活実態、産業の実態等から、政令の問題点についてお願いしたいと思います。
  90. 藤沢一雄

    ○藤沢一雄君 政令が白紙のような状態と私も申し上げたわけでありますが、その申し上げた意味は、これから委員さん方が現地公聴会あるいは現地視察等を経て、われわれの希望をかなえてくれるであろうという強い期待を持ってそういう表現をとっております。しかし、現状予測されます中身からいきますと、私ども北海道に住む者にとっては、あの基準では大変なことになる、われわれの地方における生活根拠という問題に非常に大きな影響を与えるから、ひとつ考え直していただきたい、こう申し上げているわけであります。したがいまして、先生のおっしゃるとおりであろうと思いますが、そういう点でひとつよろしくお願いをいたしたいと思います。  二点目の灯油の問題で、紋別の例を挙げられたのでございますが、その点私はよく承知しておりませんが、確かにそういう点もあるでありましょう。ただ、北海道の冬季における道路事情というものは、正直に言って、政令案に予想されるような、十日以上交通不能という状況のところは比較的少のうございます。したがって、せっかくそういう点が盛られましても、私どもに及ぼす利便はないわけでありまして、それだけ開発庁の努力が買われるという面もあろうかと思いますが、それはさておきまして、石炭輸送におきましては明らかに御指摘のとおりであろうと考えます。したがって、あのような状態の中で果たしてすべてトラック輸送に頼れるのか、交通事情はどうなのか。さらに、私ども自治体を預かる上においてゆるがせにできない問題に、最近の交通事故死の、いわゆる交通安全運動という行政上の困難な課題がございまして、これらにもやはり少なからぬ影響を与えることは必至であると考えますので、こういう点はひとつ御再考いただきたい、このように考えます。
  91. 村本光夫

    ○村本光夫君 ただいま羽幌町長さんの方からそれぞれお話もございましたけれども、地元の合意が得られなくて一方的に赤字路線の廃止ができるという法案の中身、また地域別運賃の導入ができるということを考えてみますと、こういう僻地ほど将来その負担を背負わなければならない、そして生産コストの安い農産物を出さなければならないというような大きな問題がございます。トラックの問題等もございますけれども、それぞれ距離的にも遠うございますし、特に生食の秋の出荷になりますと集中してくるわけでございますが、秋の農産物の出荷時期に果たしてそれだけのトラックが用意できるのかどうかということも、過去の経過からいって大変疑問点がございます。  そういう面から見まして、どうしても道路網の問題も関連してくるわけでございますけれども、道南地帯は特に内地府県と一番近い窓口であるだけに交通が大変激しいわけですが、道路面については比較的改良されておらないというのが現状でございます。そういう中でそういうものに時期的に集中された場合に、これは大変な交通問題が起きるであろう、このようなことも心配されております。われわれといたしましては、何としてもそういうものの緩和とあわせて、トラックが独占した場合に二倍も三倍もはね上がるのじゃなかろうかという心配は当然出てきます。国鉄であればそういう心配がないわけでございまして、そういうものを十分調整するためにも国鉄の貨物線は絶対になくしてはならない、このようにわれわれは考えておるところでございます。特に地域別の運賃の格差等が導入されるようになりますと、これまた大変なことになるだろうと思いますので、この点についてはひとつ十分慎重に御検討をいただきながら進めていただきたい、このように考えております。
  92. 四ツ谷光子

    ○四ツ谷委員 どうもありがとうございました。
  93. 小此木彦三郎

    ○小此木座長 これにて質疑は終わりました。  この際、一言ごあいさつを申し上げます。  意見陳述者の方々におかれましては、長時間にわたり貴重な御意見をお述べいただき、まことにありがとうございました。拝聴いたしました御意見は、本法案の審査に資するところきわめて大なるものがあると信じます。厚くお礼を申し上げます。  また、この会議開催のため格段の御協力をいただきました関係各位に対しまして、深甚の謝意を表する次第であります。  それでは、これにて散会いたします。     午後一時五十九分散会    派遣委員の愛知における意見聴取に関する    記録 一、期日    昭和五十五年十月三十日(木) 二、場所    愛知県産業貿易館国際会議場 三、意見を聴取した問題    日本国有鉄道経営再建促進特別措置法案に    ついて 四、出席者  (一) 派遣委員      座長 加藤 六月君       楢橋  進君    井岡 大治君       吉原 米治君    西中  清君       中村 正雄君    三浦  久君       中馬 弘毅君  (二) 意見陳述者        弁  護  士        愛知学院大学法        学部長      浪川 正己君        三重県一志郡町        村会長        嬉 野 町 長  名越 成夫君        社団法人中部開        発センター専務        理事       塩野 谷格君        弁  護  士  小山  斉君        松坂屋本社開発        事業部長     永縄 悦司君        主     婦  長沼てる子君      ――――◇―――――     午前十時開議
  94. 加藤六月

    ○加藤座長 これより会議を開きます。  私は、衆議院運輸委員会派遣委員団団長の加藤六月でございます。  私がこの会議の座長を務めますので、よろしくお願いを申し上げます。  この際、私から、派遣委員を代表いたしまして、一言ごあいさつを申し上げます。  皆様御承知のとおり、ただいま本委員会におきましては、日本国有鉄道経営再建促進特別措置法案の審査を行っているところであります。  当委員会といたしましては、本法案の審査に当たりまして、国民各層から意見を聴取するため、札幌市と御当地におきまして、この会議を催し、各界の代表の方々から忌憚のない御意見をお伺いしようとするものであります。  御意見をお述べいただく方々には、御多忙中にもかかわりませず御出席をいただきまして、まことにありがとうございます。厚く御礼を申し上げます。  まず、この会議の運営につきまして御説明申し上げます。  会議の議事は、すべて衆議院における委員会運営についての議事規則及び手続に準拠して行い、議事の整理、秩序の保持等は、座長であります私が行うことといたしております。発言をなさる方々は、必ず座長の許可を得て発言していただきたいと存じます。  なお、この会議におきましては、御意見をお述べいただく方々は、派遣委員に対しての質疑はできないことになっておりますので、あらかじめ御承知おきを願いたいと存じます。  次に、会議の順序につきまして申し上げます。  まず、午前中に各意見陳述者から順次御意見をお述べいただき、午後再開して、派遣委員から質疑が行われることになっております。したがいまして、時間の関係上、御意見陳述の時間は、一人十五分程度にお願いいたしたいと存じます。  それでは、本日御出席の方々を御紹介いたします。  派遣委員は、自由民主党の楢橋進君と私、加藤六月、日本社会党の吉原米治君、井岡大治君、公明党・国民会議の西中清君、民社党・国民連合の中村正雄君、日本共産党の三浦久君、新自由クラブの中馬弘毅君、この八名であります。  次に、本日各界を代表して御意見を述べていただく方々を御紹介申し上げます。  弁護士、愛知学院大学法学部長浪川正己君、三重県一志郡町村会長、嬉野町長名越成夫君、社団法人中部開発センター専務理事塩野谷格君、弁護士小山斉君、松坂屋本社開発事業部長永縄悦司君、主婦長沼てる子君、以上の方々でございます。  それでは、浪川正己君から御意見を述べていただきたいと存じます。
  95. 浪川正己

    ○浪川正己君 ただいま御紹介いただきました浪川でございます。  まず、国鉄再建法案について陳述人としてどう考えるかという点を申し上げ、続きまして、国鉄における経営の合理化について、第三として、地方交通線問題、第四として、公的助成問題、とりわけ年金問題に限って申し上げたいと存じます。  まず第一点として、国鉄の再建法案についての私の基本的な考え方を申し上げます。  国鉄の現状というものは、現在六兆円を超える累積的な赤字を抱えております。さらに、毎年一兆円近い赤字を発生させるなど、その経営を見ますならば、まさに破産的状態ではないかと言っても過言ではないと思います。このような状態が続くとすれば、国鉄というものは、国の基幹的な輸送機関としての使命を果たすことが不可能ではないかというふうに思います。また他方、わが国におけるエネルギー情勢を考えますと、将来とも、わが国における交通体系におきましても、省エネルギー輸送機関である鉄道がその主力を担うべきだというふうに考える次第であります。  私は、以上のような観点から考えますと、国鉄を現在の経営状態から一日も早く脱却させまして、将来にわたってその経営基盤をしっかりしたものに改善することが急務ではないかというふうに思うわけであります。  今般の国鉄再建法案を一べついたしますと、従来から国鉄が再建のために当面しているもろもろの施策がほぼ盛り込まれていると思います。次に述べるように若干の不十分の面もありますが、おおむね妥当な内容を具有しているものと考えますので、私はこの法案に賛成いたします。  第二点、国鉄による経営の合理化についてであります。  国鉄は、明治初期に誕生して以来、わが国における陸上輸送の需要に、すべての面に対応してその路線及び列車体系を発展させてきたと思います。かような方向というものは、昭和三十年代以前の自動車とか航空機が十二分に発達していない段階におきましては、近代的な、そして便利な交通機関として鉄道のほかはなかったということができましょう。こういうような方向は一応正しかったわけでありますけれども、しかし、現在のように航空機、自動車というものが異常に発達する、そして近代的な交通機関として発達してまいりますれば、鉄道が持っているすぐれた便益というものは、やや角度を違えて考えなければならない。  私は、かような航空機、自動車の発達というような背景のもとに、国鉄は、その鉄道としてのすぐれた特徴を発揮できる分野、すなわち、まず都市間の旅客輸送と大都市圏の旅客輸送、それから大量的、定型的な貨物輸送、こういう三つの分野に国鉄のすぐれた特徴を発揮して、重点的に経営がなされるべきだというふうに思います。したがって、それ以外の分野については、国鉄としては原則として撤退を図るべきだというふうに思います。もっとも、鉄道路線を社会的要請によって存置しなければならないというような場合については、財政的な十二分の裏打ちが必要じゃないかというふうに思います。  要するに、経営の重点を置く分野と撤退すべき分野というものを明確に峻別をして、経営の合理化を図るべきだというふうに思います。  かように考えますけれども、国鉄自身について要求いたしますことは、国鉄というものは背後に国が控えているのだ、赤字が出てもまあまあだ、よく親方日の丸だというようなことが言われますが、こういうような観念を全く脱ぎ捨てて、業務運営における徹底した合理化による生産性の向上を図ってもらいたい。つまるところ、国鉄自身の厳しい経営努力というものを期待したいのであります。  よく鉄道の問題について、輸送密度が一日キロ八千名ないと採算ベースに合わないということが一般的に言われております。この点、国鉄について見ますと、かような採算ベースという輸送密度につきまして、一部のものは黒字でありますけれども、その他は、かような採算ベースに関する輸送密度についても赤字が多いのであります。もちろん、国鉄には経営的に努力をしてもどうにもならないというような、いわゆる構造的な欠陥等の特殊事情がありますけれども、これを差し引いても、業務運営に甘さがあるのではないかということを痛感いたします。  私は、国鉄に対して、昭和六十年までに要員の合理化をする、いわゆる三十五万人というような方向とか、経費あるいは国鉄の投資面についても全般的に見直しをしまして、徹底的な合理化を期待したいと思うのであります。もし、これが実行されないとするならば、われわれ国民感情として、現在の国鉄としての再建は納得できないと言わざるを得ないのであります。かような場合におきまして、いわば法というものは形式であり骨格であります。これを肉づけ、血を通わせるのは国鉄自身であろうというふうに思います。したがいまして、この法案成立の暁におきまして、十二分な対策がとれない場合においては、場合によっては国鉄は民営などによって運営することもいたし方なかろうというふうに思います。  第三点として、地方交通線問題について所見を述べたいと思います。  いわゆる赤字ローカル線問題というのは、国鉄再建に関する重要な問題の一つであることを失わないと思います。鉄道が輸送機関として必要であるかどうかが問題になっている路線は、輸送密度がきわめて低い線区であります。今般問題となっている点は、輸送密度が二千人にも満たない、コスト的にもまたエネルギー的にも非効率と考えられるローカル線についてであります。この点について、代替輸送機関としてのバス輸送などへの転換を図るべきであるというようなことであると思われます。  この対策に対しまして、すぐに赤字線の廃止ということを連想しがちでありますけれども、この事後の対策につきましては、バス輸送、第三セクター、民間業者などによる代替輸送の方法が考えられております。しかも、これが決定につきましては、地方協議会という場を通して地域住民の意向が反映できるようになっているようであります。また、先ほど申しましたように、エネルギーという問題は現下のわが国の焦眉の急の問題であります。こういう問題についても、やはりエネルギーの効率の側面からも十二分に検討してみなければならないと思います。  私の聞くところによりますと、国鉄は、かつて幾つかの線区を自動車、バスに転換した実績があるようであります。その場合におきましては、その地域の停留所の増加あるいは運行本数の増加等によりましてサービスが向上し、地域住民からも大変喜ばれているというような事例もあるやに聞いております。また、先ほど申しましたエネルギー対策の観点から考えましても、輸送密度のきわめて低い線区につきましては、私はバス輸送等の方法が得策ではないかと思うのであります。  翻って、私は、国鉄の持つ使命を考えますとき、将来とも鉄道の特徴が発揮できる都市間、大都市圏の旅客輸送、大量定型的な輸送を中心に経費の重点化を図り、その他の輸送需要が少なく鉄道の特徴が発揮しがたい分野については、減量化を図るのが急務と思います。  ところで、この赤字ローカル線、いわゆる特定地方交通線の存廃については、地域住民につき、もろもろの重要な問題を包蔵していると思います。私もこの点は十二分に認識をいたしておりますが、今般の再建法案によりますと、単に路線の廃止だけではなくして、地域における足の確保として、バスの路線化、これは国鉄バスの場合も民間バスの場合もありましょうし、あるいは第三セクターによる運営、関係道路の整備等のもろもろの案を用意いたしているようであります。この問題については、私は国鉄は積極的に取り組んでもらいたいというふうに思います。  第四として、公的助成の問題について触れたいと思うのでございます。  先ほども申しましたけれども、国鉄の現状的赤字の要因の中には、必ずしも国鉄の経営努力だけではいかんともしがたいものがあります。かようないわゆる構造的欠損というものが、ややもすると国鉄の経営の任に当たる者に対して無力感を抱かせているような感じがあります。また、国鉄の経営者がその経営に対して、いたし方ないのだというようなことで責任回避の理由にもされがちであると思います。こういうような問題については、一方において国は公的な助成のルールを確立し、その赤字要因の除去に協力することが理想ではないかというふうに思います。他方、国鉄の経営者は残された赤字要因の除去に全力投球をし、経営者としての責任を負うべきであると思います。  この助成の問題については、私は特に年金問題にしぼって申し上げたいと存ずる次第であります。  御存じのとおり、国鉄は国の機関として、戦中戦後の鉄道省の時代におきまして、戦争中は戦時輸送力の増強、戦後は満鉄等海外にありました鉄道関係者が引き揚げ等によって大量的にわが国鉄に復帰をいたしております。言ってみれば、これは当時の戦争あるいは戦後のわが国の国の施策によって、大量に職員採用を余儀なくされたというふうに私は思います。したがって、かように大量的に一時的に採用したことによって、国鉄職員の年齢構成にもいろいろとひずみが生じておりまして、かようなひずみが近年、国鉄における退職金あるいは年金問題として経営的に大きな負担となっていることも見逃し得ない事実であろうと思います。もっとも、退職金については数年前よりすでに国による助成がなされているようでありますけれども、年金対策につきましては、いまだ確立された、ルール化された公的助成がなされていない。こういう点において、早急にこの公的助成についての道を開いてほしいと思います。  この年金の問題につきましては、同様な電電その他の機構もございますけれども、国鉄の場合はとりわけ年金の成熟度と申しましょうか、これが非常に高いようであります。資料を見ますと、今後の十年間に約二十万人の新しい年金受給者が生ずる、一方、組合員は約七万人減る予定である。組合員が減り、年金受給者がふえるのでありますから、成熟度が上がるのは当然のことであります。いわば十人の組合員で十一人の年金受給者を支えるというような、異常な状況ではないか。  こういう点を考えますと、国の他のいろいろな年金制度との絡み合いもありましょうけれども、国鉄の赤字の構造的欠損として、この問題は早晩妥当なルールを確立していただきたいと思います。  以上で、私の陳述を終わります。
  96. 加藤六月

    ○加藤座長 ありがとうございました。  次に、名越成夫君にお願いいたします。
  97. 名越成夫

    ○名越成夫君 私は、三重県一志郡嬉野町町長名越成夫でございます。  一志郡は六カ町村によりまして形成をされております。今回の国鉄地方線の名松線沿線に五カ町村がございます。したがいまして、この郡の町村会長として、関係町村長の考え方も含めましてここに発言をさせていただきたいと存じます。  私が申し上げますることは三点ございます。一つには、国鉄の使命について、二つ目には、地方線の問題点について、三点は、直接関係をいたしまするところの名松線廃止反対の問題でございます。  第一点は、国鉄の使命についてでございます。  国鉄は、申し上げるまでもなく、公共機関とし七、公共の福祉を増進する目的のもとに国民にひとしく利便を与える使命があると思うのでございます。国鉄は、公社という企業形態をとっておられるわけでございまして、公共性のきわめて強い事業でございます。したがって、今回の地方交通線対策につきましても、学識経験者の意見なりあるいは関係する住民の考え方、また地方公共団体の意向を十分に吸い上げていただき、地方末端までの理解と協力を得ながら、長期的観点に立って政策の実効を確保していっていただくことが国鉄の使命ではなかろうかと存ずるものでございます。  第二点は、ローカル線に対する問題点でございます。  ローカル線はその大半が過疎、農山村地域に敷設をされておりまして、これを廃止するということは、沿線及び奥地の過疎現象に一層拍車をかけるということは明白でございます。また、過疎対策として国は特別に過疎地域振興法を制定されておるわけでございまして、その立法趣旨からいたしましてもローカル線の廃止は非常に問題がある、かように私は考えるものでございます。  さらに、国鉄の再建対策といたしまして地方線の廃止が重要な柱となっておるわけでございますが、中日新聞は、十月二十日の「財政危機の中身」という表題で、国鉄の赤字の八〇%は乗客輸送でなく貨物輸送にあると指摘をされております。また、今回昭和六十年度までに廃止しようとされている輸送密度二千人未満の路線に係るところの赤字は、赤字総額の約一〇%にすぎないと言われておるのでございます。したがって、国鉄地方交通線の整理のみでは国鉄赤字の根本的な解消にはつながらないと思うのでございます。国鉄赤字の解消が国民的課題であるということは、私どももよく承知をいたしております。しかしながら、このために地方交通線を廃止することが最善の方法であるかどうかはもう少し広い論議が必要ではなかろうかと存ずるものでございます。  次に、八〇年代は地方の時代であると言われております。すなわち、私ども町村自体が創意工夫をこらして地元の産業を生かし、住民が安心して働き、生活できるような町づくりをしていかなければならぬ時代であろうと思うのでございます。したがって、国と地方公共団体とのコミュニケーションがさらに強く求められるときであろうと思うのでございます。この時期における地方交通線の廃止は、こうした地方の努力を断ち切り、ますます地域格差や過密過疎を推し進めることになろうと思うのでございます。  次に、廃線しない場合は民間事業者あるいは第三セクターに経営を任せるということでございますが、プロの国鉄が運営しても赤字になるような路線を運営することはきわめてむずかしく、その可能性はきわめて薄いと存じます。仮に設立されても赤字経営は必至でございまして、国の赤字助成後の地方自治体の財政負担は避けられない。現在でも苦しい地方財政を一層圧迫し、地方自治体としてはとうていたえ得られないことになろうかと思うのでございます。  以上、地方線に対する全般的な私の考え方を申し上げさせていただきました。  第三番目には、直接関係をいたしまする名松線廃止に対する反対でございます。  鉄道敷設法によりますると、この名松線は三重県松阪市から名張を経て奈良県桜井市に敷設をされることになっておるわけでございますが、しかし、ただいまは三重県一志郡美杉村でとまっておるわけでございます。したがって、十分にその機能を発揮いたしておらないということは事実でございます。さらには、奈良県側におきましては、その沿線であるところの大宇陀町、菟田野町、榛原町、室生村、曽爾村、御杖村、桜井市、こうした市町村がこの路線の延長をただいま国に対して熱心に陳情されておるわけでございます。したがいまして、そういう観点からいたしましても、名松線の廃止はできない状況にあるのではないかと私は思う次第でございます。  さらに、過去におきましても国鉄の合理化策に協力をいたしまして、地域住民は不便を忍んで無人駅なりあるいはまた貨物取り扱いの廃止等について協力をいたしてまいったわけでございます。それが今回廃線ということになれば、そういう希望もなくなり、今日まで協力をいたしてまいりました沿線住民の国鉄に対する不信感がきわめて強くなるのではないか、かように考えるものでございます。  さらに、名松線沿線にある白山高校は、全校生徒の六四%、生徒数にいたしまして五百四十七名がこの名松線を利用させていただいておる状況でございます。さらには、この名松線を利用しまして、松阪市、津市、鈴鹿市、久居市等にありますところの十数校にわたる高校に通学をいたしておる生徒が約二百六十名あるわけでございますが、廃止されることによりまして下宿等をせざるを得ない状況になり、家庭の負担もきわめて過重になり、あるいはまた世帯分離や過疎等が一層進む状況になるのではないか、かように考えるものでございます。  次に、マイカー時代とは申しながらも、自動車の利用はほとんどが若い者でございます。家にある老人あるいは子供等は従来名松線を利用してまいりましたが、その足がなくなるということになれば、特に病気等によるところの通院等に対しまして不安を与える結果となり、行政上におきましても多くの問題点が起こってまいるわけでございます。  次に、現在民間におきまして経営されておるところの自動車等もございますけれども、何と申しましても険峻な山合いの道路でございます。非常に狭くて曲折が多く、しかも冬季は積雪が多いわけでございまして、しばしば不通の場合があるわけでございます。したがいまして、通学、通勤等にバスを利用することは不可能な状態にあるわけでございます。  以上、今回の地方交通線の対策は、国の総合交通体系とこれを実施するところの政策が明らかにされないまま、短期的な収支採算性の観点のみから全国一律の基準で廃止をしようとされておるわけでございます。また、国鉄赤字を地方にしわ寄せしようとするものであると言わざるを得ないと私は思うのでございます。地域の均衡ある発展を図り、定住構想の実現のためにも、国鉄の果たす役割り、機能を考え直すべきときであると思います。過去の実績や採算の面のみでなく、国の地域振興施策ともよく照らし、長期的、総合的な観点に立って検討し、対処していただきたいと思うのでございまして、そのためにも地域住民の理解と協力によってこの問題を実施されることを特に希望いたしまして、私の陳述を終わりたいと思います。  ありがとうございました。
  98. 加藤六月

    ○加藤座長 ありがとうございました。  次に、塩野谷格君にお願いいたします。
  99. 塩野谷格

    ○塩野谷格君 現在、わが国の解決すべき至上命題の一つが国鉄財政の再建であることは、国民各層ひとしく理解しているところであります。国鉄は、昭和五十四年度末において約六兆円の累積欠損を抱え、米、健保とともにわが国財政悪化の一因となっており、しかも、放置しておくならばこの傾向は今後とも続くことが懸念されております。ちなみに、昭和五十四年度の純欠損は八千二百億円、五十五年度は一兆円を超すことが予想されていることは御案内のとおりでございます。  このような情勢にある今日、国鉄の財政再建のための抜本的対策の確立は国民的課題となっていると申せましょう。今回の国鉄再建法案は、過去に論議された幾つかの同類の法案にも増して、国鉄が置かれている状況を真剣にとらえ、再建のための具体的かつ有効な方策を提案していることを評価いたしまして、私は、幾つかの条件を付した上で同法案の成立を希望いたします。  以下、私の本法案に対する条件つき賛成の理由を述べさせていただきます。  顧みますと、国鉄は明治初頭以来約百年にわたって日本の交通の根幹を形成し、国民生活の上に多大の貢献をもたらしてきましたことは、歴史の教えるところでございます。しかし、昨今の社会変動の激しさは、このような国鉄の役割りに対して何らかの変化を要求するに至りました。かつて国鉄が国のすみずみにまで敷設されたころ、だれが現在のマイカーや航空機の飛躍的な発達を予想し得たでありましょうか。これら国鉄を取り巻く周辺環境の変化に対しまして有効な手段が講じられましたならば、現在の国鉄の窮状はあるいは避けることができたかもしれません。しかしながら、必要な対策が必ずしも的確にはとられなかったのが事実ではないでしょうか。現在、国鉄の赤字の何割かは、このような環境の変化がもたらした欠損、いわば構造的な欠損であると言えます。現にマイカーや航空機が現在の隆盛を見る以前における昭和三十八年度までは、国鉄は黒字経営を行ってまいったのであります。  さて、国鉄が現在置かれている状況に対しましては、幾つかの対応策が考えられます。前述の社会情勢の変化に対応した輸送体系の確立、つまり経営の重点化は、まず筆頭に挙げられなければなりません。また、経営の実情に合った運賃政策も必要でございましょう。政治路線と言われ、建設したところでほとんど利用者が期待できないというような新線の建設は、厳しく戒められるべきであります。さらに、借金が借金を生むような過去の累積債務のたな上げは、国鉄労使の無力感を払拭し、達成可能な目標を与えて奮起を促す意味で、ぜひ必要ではないかと考えられます。さらには、このような国鉄のみの努力だけではどうしても解決できないような問題に対する施策以外に、国鉄自身の人員削減等の合理化を含む経営努力が不可欠なことは言うまでもございません。国鉄の再建問題は、これら諸対策の複合的な取り組みの中で見出すべき事柄と私は考えます。  一方、国鉄には他の交通機関では果たし得ない使命がありますことも事実であります。一般に公共的使命と呼ばれているのがそれに当たります。幾らマイカーが普及いたしましたとはいえ、これに依存することができない階層は将来を含めて必ず残るのであります。こうした人たちの移動需要に対する最終的な保証は、公共交通機関以外では担い得ません。また、鉄道を取り上げた場合、それが町づくりに果たしている役割りは非常に大きいものでありまして、均衡のとれた効率的で安全な市街地の形成を考えますと、鉄道は単なる一交通手段にすぎないとは言えません。また、地域社会の人々が鉄道に寄せる信頼感の強さも無視できないのでございます。これらをすべて経済的尺度で割り切り、何が何でも単純に収支均衡させようということは、無謀ではないだろうかと考えられます。  このように考えました場合に、今回の法案は、世に言われるような単なる地方交通線対策ではなくて、総合的な国鉄再建のための施策を盛り込んだ法案と見受けられます。また同時に、いま申しました公共交通機関の必要性も認めたものであると感じられますので、部分的に不満足な個所は見られますものの、基本的に賛成するゆえんでございます。  今回の法案は、国鉄再建に当たっての総合的対策を盛り込んだ法案であることはいま申し上げたとおりでございますが、特に地方交通線問題についての論議が起こっていることも事実でございます。また、私が属しております中部開発センターというのは、中部圏の総合的な開発整備及び町づくり等に関する調査研究を主たる目的とする組織でございますので、法案賛成の前提となる条件を申し上げる前に、地方交通線問題について一言申し述べたいと存じます。  地方交通線問題の根本は、モータリゼーションの発達により、鉄道が社会経済的に見た場合、地域における最適の輸送機関でなくなったという点にあります。この結果、地方交通線は国鉄の営業キロの四一%を占めるにもかかわらず、輸送量はわずか四%、収入も六%にすぎないのであります。地方交通線だけで年間二千三百億円の赤字という数字になってあらわれております。加えて、ここ数年来の国民の関心事でございますエネルギー問題から見ましても、輸送密度のきわめて低い線区についてはむしろバスの方が省エネルギー交通機関であるという事実も見逃せないのでございます。さらに、自動車の普及は、都会においてこそ一段落いたしましたものの、地方ではなお高い伸びを示しているという事情もございます。これらの諸事情を勘案いたしますと、一定の社会的使命を終えた鉄道路線を実情に合った形に変えることはどうしても必要であると言わざるを得ません。赤字の絶対額自体は幹線系の方が多いのではないかという御指摘もあるかと存じますが、かといって、それはこのような明白な不合理を見逃してよい理由にはならないと存じます。  一方、国鉄の有する公共的性格の重要性は先ほど申し上げたとおりでございますが、この相反する二つの命題を解決するために設けられたのが、今回の法案に見られる第三セクター方式、民営移管、バス路線化等の諸対策でございましょう。鉄道廃止後の地域住民の足の確保の問題を、これら多様な選択肢を設定して、地方の意見を反映させて決めようという考え方は、問題解決の実践的な手法として評価できます。また、このような行き方は、地方の時代と言われている今日において特に大切ではないかと存じます。交通問題は、地域によってさまざまに事情が異なる問題がございます。今回の法案によりまして地方の人々が鉄道運営に参加できるようになれば、国鉄の運営が自分たちの考える方向で行われるならば地方の国鉄は維持し得る、こういうふうに考える人たちにチャンスを与えることにもなります。地域の実情に合わせたきめ細かい経営も期待できましょう。現在のように全国一律の基準で国鉄を運営していこうという考え方自体に無理が生じているのが地方交通線問題のもう一つの顔でございます。  私はかつて外国で生活をしたことがございまして、現在もヨーロッパを中心に多くの知人がおります。その関係でときどきヨーロッパに参りまして、また、つい一昨日も二週間ほどの出張でパリから帰ってまいりました。とのような私の経験から申し上げたいことは、地方交通線問題は日本だけの問題ではないということでございます。今日、このような意見発表の機会を持たせていただくことになったものでございますので、フランスに住む私の友人にあちらの鉄道事情について尋ねましたところ、フランスでもやはり地方交通線はフランスの国鉄と言われるSNCFを考える上で一つの重要なポイントになっているということでございました。そして、一九三〇年から七〇年代の初めに至るまで、フランス国鉄は路線を四万キロから二万五千キロまで縮小いたしておるということを教えてくれました。これは実に四〇%に及ぶ路線の廃止でございます。しかも、その大部分がローカル線であるということもそのときに教えていただいたのでございます。この間の事情は、鉄道発祥の国、イギリスにおいても同様であると聞いております。こうした諸外国と比べますと、日本の場合は地方交通線対策が遅過ぎたと言うことができるかもしれません。いや、事態はヨーロッパほどには深刻ではなかった、そういう点からいまのような形で地方交通線が残されたというふうに考えられるような気がいたします。いずれにいたしましても、一つの方向として今回の法案の考え方は間違っていないと思うのでございます。  とは申しましても、私は今回の法案のすべてに満足いたしているわけではございません。最初に条件つき賛成と申しましたが、以下、その条件について、大まかに三つに分けてお話し申し上げてみたいと存じます。  一つは、申すまでもございませんが、今回の措置によって地方が不当に不利益をこうむることがないように御配慮いただきたいということでございます。そのためには、地方があくまでも鉄道の維持を希望する場合に用意されている第三セクター、民間移管への道をできるだけ平たんに整備していただきたいということでございます。  このような観点からいたしますと、現在転換交付金として予定されていると仄聞いたしております金額、すなわち営業キロ当たり三千万円の持参金は、余りにも少ないと言わざるを得ません。一般に地方交通線と言われている輸送密度八千人以下の路線は、民営で行っても赤字が出ると言われておりますけれども、それよりはるかに条件の悪い特定地方交通線をこのような条件で切り離そうとするところに、地方の猛烈な反対が起きるのではないかと存じます。地方にチャンスを与えるという考え方からいたしますれば、いま少し温かい心遣いを期待したいと存じます。  私がこのように申し上げるのは、余りにも短兵急に事を進めてすべてを無にすることがないようにという点から申し上げておるのでございます。国鉄の試算によりますと、今回の法案が実施され、輸送密度二千人以下の路線の四千キロが廃止されますと年間約九百億円の赤字が軽減されるというふうに聞いておりますが、このような赤字削減のための努力は当然必要と申せますが、一気に達成することをねらうのではなくて、徐々に実現されるよう御配慮されてはいかがでございましょう。また、交付金の支出基準も、全国一律営業キロ当たり幾らとするのではなく、路線が短く、不利なところには多目にするといった弾力的な運用も必要でございましょう。さらには、転換後の赤字補てんも、五年で打ち切るということのように聞いておりますけれども、貧しい地方財政をお考えいただき、もう少し長い目で見ていただきたい、このように考えるのでございます。最終的には社会経済的に見て廃止はやむを得ないというような路線でありましても、地方の人々に実験のチャンスを与え、運営が不可能なことを納得していただいた上で廃止するという方法が、この場合、迂遠に見えて意外と近道であると私は考えるのであります。  さらに、鉄道の維持が不可能で最終的にバスに転換するような場合でありましても、バスをできるだけ鉄道に似たものにするよう御配慮いただきたい。たとえば廃線敷をバス専用道路といたしますれば、定時性の確保、スピードアップに大きな効果が期待できます。そのためには、専用道の建設、整備、維持に必要な費用はすべて一般の道路の予算で行ってもよいのではないか、、こう考えるのでございます。  また、今回の法案を実現するに当たって予定されている政令の中身を先日新聞で拝見いたしましたが、地方交通線、特定地方交通線の定義など、関係向きの御努力によりましてよく吟味されたとお見受けいたしました。この上は、廃止の対象となっている輸送密度二千人以下の四千キロの路線について、一線ごとにもう一度見直された上で、できるだけ不公平のないような、かつ地域の実情に合致した基準を設定していただき、その上で確実に実施に移してくださるよう要望いたしたいと存じます。  と申しますのは、かつての再建計画で同じような趣旨の地方交通線廃止案が俎上に上った際、最終的には運用の段階でなし崩しにされてしまったことがあると聞いているからでございます。法を実効あるものとするためには、ぜひ慎重かつ厳正な法の運用をお願いいたしたいと存じます。その意味で、二年間の期限つきの協議は厳守する必要がございましょう。ちなみに、フランスでは六カ月でございました。今回の法律の趣旨をよく理解して誠実に対応した地方がばかをみることがないようにぜひ御配慮いただきたいと存ずるのであります。  二つ目は、条件というより希望でございますが、国鉄が今日のような状況に陥った要因の一つには、国としての総合的な交通政策がなく、鉄道、自動車、航空、船舶といった各種の交通機関がそれぞれ無原則に、また必ずしも平等とは言えないような競争を続けてまいったからであると言えましょう。この結果、マイカーが異常にふえ、鉄道、バスといった公共交通機関の輸送ウエートが落ちてくるといった現象となってあらわれているのでございます。このため、現在ある交通体系は、安全面、環境面、エネルギー効率の面から見まして必ずしも満足のいくものではなくなっておりまして、また、交通弱者に過酷なしわ寄せが加えられている原因ともなっております。よって、今回の法案を契機といたしまして、国として望ましい交通体系はどうあるべきか、また、その中で公共交通機関はどのような役割りを果たすべきかという広範な議論を起こしていただきたいと存じます。  以上、今回の法案に賛成するに際して、主として政府当局に対していろいろとお願いを申し上げましたが、それにも増して国鉄自身に要望したいことも多々ございます。よって、賛成に当たっての第三番目の条件といたしまして、国鉄の自助努力を望みたいと思います。  今回の法案が成立いたしましても、国鉄自身の経営努力がなければ再建は不可能であります。赤字額そのものが地方交通線よりも幹線の方に多いということを聞いておることからも明らかでございます。そのためには、現在、経営改善計画で想定されております三十五万人体制の実現は絶対の条件と申せましょう。今回の法案によりまして平穏な生活を脅かされる多くの人々に思いを寄せていただき、国鉄労使は、この人員削減のほかにも、絶えざる合理化、サービスの向上、経営努力等を遂行して、国民とともに産みの苦しみを分かち合っていただく義務があるのではないかと存じます。  以上、いろいろと申し上げましたけれども、最後に一言だけ申し述べさせていただきたいと存じますが、それは、現在ある国鉄の赤字問題は、国、国鉄、国民の共同責任であるということでございます。国鉄の性格をあらわして親方日の丸というような言葉がよく使われておりますけれども、実は国鉄問題に関して、日本全体が親方日の丸意識になっているのではないかと思うのであります。現在、国鉄の累積赤字六兆円、これは国民一人当たりの負担額にすれば一体どれだけになるか。そして、国鉄問題を論じている人々が、すべてこのことを自覚しておられるでしょうか。国鉄は倒産しないということを盾といたしまして、日本全体が安易にもたれ合っている、そういう結果が今日を招いているという思いが私には捨て切れないのでございます。ツケは最終的に国民一人一人に回されるということを国はもっと周知徹底させる必要があると存じますし、国民もこれにこたえて、自分のこととして国鉄問題を考える必要があるかと存じます。  以上、地域の開発における交通政策の重要性を認識する者といたしまして、ぜひとも申し上げたいことだけを述べまして、今回の陳述といたしたいと存じます。
  100. 加藤六月

    ○加藤座長 ありがとうございました。  次に、小山斉君にお願いいたします。
  101. 小山斉

    ○小山斉君 端的に意見を申し上げます。私は、この法律案に反対いたします。  私の意見は、まず総体的批判、第二に反対項目とその理由、三番目に関連意見という順序で申し述べてみたいと思います。  まず第一に、この法案に対する総体的批判を申し上げます。  この法律案は、国鉄の再建を目指すものであります。そうであるならば、国鉄をどうするのかについての将来ビジョンが前提になければならないと思います。すなわち、わが国の総合的な交通体系の中でどのように国鉄を位置づけるべきか、また国鉄の経営の機構と経営の方式はどうあるべきかについて将来目標があって、これに近づくための具体的なステップがこの法律案でなければならないと考えます。しかし、この法律案は、右のビジョンを欠いております。場当たり的であります。国鉄再建の名に値しないと考えます。言い過ぎかもしれませんが、この法律案は、とりあえずやってみよう法であり、あとはまた考えてみよう法であるということができるかと思います。  国鉄経営の経営理念は二つあります。一つは、公共性であり、二つは、企業性であります。そして、交通市場の今日的状況のもとで、経営理念のウエートが公共性から企業性へと移されつつありますが、これは一面ではやむを得ないと考えます。しかし、この法律案は、特定地方交通線対策を中心にいたしまして、公共性の切り捨てが目に余ると思います。企業性を追求する余り、国鉄利用の地域住民、ひいては国民の存在を忘れているのかと思うほどであります。これでは国民の理解と納得は得られません。国民の支持のない法律ができても、その実現はむずかしかろうと私は思います。  国鉄経営における企業性の重視は、確かに世界の趨勢であります。しかし一方では、公共性の存続は、第一義的には国、政府の財政責任に移されていることもまた世界の国鉄の現状であります。国鉄の経営において、もはや収支の均衡を望むことはできないとの認識がその前提にあります。事実そのとおりであります。  各国の鉄道の状況を見てみますと、これも先進諸国でありますが、やはりわが国と同様、たてまえとして独立採算制をとっております。しかし、この採算制は、公共負担すなわち旅客及び貨物輸送の公共割引運賃、不採算の維持、過大な恩給、年金負担などに対する政府補償を前提とした独立採算ということになっております。さて、この法律案では、この公共性存続のための国の責任が明確ではありません。片手落ちであると考えます。  次いで第二に、反対項目とその理由について申し上げます。  この法律案を国鉄再建のためのとりあえずのステップと評価し、検討するといたしましても、しぼりまして、以下の諸項目について反対せざるを得ないと考えます。以下、反対の項目を挙げ、理由を申し上げます。  第一点、地方交通線対策条項につき反対いたします。これは第八条ないし第十一条関係であります。かつて地方交通線対策は、昭和四十二年、国鉄諮問委員会の勧告に基づいて行われたことがあります。このときは八十三線区、二千六百キロの合理化、廃線処理を目指したのでありますが、結果として十一線区で、何キロだったかいまちょっと記憶は定かではありませんが、とにかく失敗しております。原因は二つあります。一つは、地方自治体の同意を得なければいけないという歯どめが自民党からかかっていたということ。二つ目は、国鉄自身が、また国も、地域と国民の納得を得るような説得努力をしなかったということ。この二点ではないかと思います。ところが、今回のこの地方交通線対策でありますが、一挙に地元を切り捨てた切り捨て御免方式をとっているように私には思えます。  さて、各論に入りますが、選定基準についてであります。地方交通線の選定基準は、「運営の改善のための適切な措置を講じたとしてもなお収支の均衡を確保することが困難である」というふうにあります。特定地方交通線の場合も、バス輸送を行うことが適当であるということに選定の基準があります。これは第八条に書いてあります。これはいずれも経済性のみがその選定基準となっております。  考えてみますと、地方交通線はもともと経済性を捨てて公共性を追求するために設置されたものであります。そして、いまこれが切り捨てられようとしております。この場合に、経済性のみの視点から切り捨てられることは、地域住民ひいては国民が納得するはずがないと思います。賛成できません。選定基準に地域性、公共性を加えるべきであります。  次いで、協議会についてでありますが、これは第九条関係です。協議会の構成は住民代表、学識経験者をも加えるべきだと思います。そして、地域の事情と民意を反映させるべきであると考えます。この法律案では警察の職員が構成員となっておりますが、いささか唐突に過ぎると思います。オブザーバーで結構かと思います。  協議事項について。特定地方交通線を廃止することを前提に代替措置を協議させるというのが、この法律案の内容であります。すなわち、線路はめくる、さあどうするといったぐあいに言っておるのですが、こういう切り捨てを決めた上での協議にはやはり私は賛成できないと思います。存続か代替かという基本的問題を中心に、代替措置を含めて協議すべきであると考えます。  次いで、見切り発車条項です。第九条ないし第十一条関係です。協議期間の二年は短過ぎる。住民意思を問い、諸般の調査を行う期間を加える必要があるかと思います。三年ないし四年が適当と思います。二年で急ぐ必要はないと思います。  協議期間内に協議が調わなかった場合、国鉄がいわゆる見切り発車をするという方式にはどうしても賛成できません。もし協議の結果が、特定地方交通線を存続したい、あるいは協議が調わなかったといった場合、どうしたらいいのか。これは私の考えですが、存続を前提にいたしまして、都道府県知事が存続のためにとり得る行政上、財政上の措置を明らかにした意見書を運輸大臣に提出して、自後の措置は運輸大臣すなわち国が決定するという方式もあり得ようかと思います。  さて、特定地方交通線を廃止する場合に、国鉄は必ずバスを走らせると一般に説明しております。しかし、法律案ではそうはなっておりません。問題があります。第十一条はこう言っております。特定地方交通線を廃止する場合に、これにかかわる措置を確保するため必要があると運輸大臣が認めるときは、国鉄にバス輸送の指示その他の措置を講ずるものとすると書いてあります。大臣が代替輸送機関の確保の必要を認めない場合はバスは走らない、またバス輸送以外の措置をとってバスを走らせないこともできる、こういうふうに私は読めるのであります。  第二点、地方交通線の運賃条項について私は反対いたします。これは第十三条関係でありますが、この法律案は、従来の総合原価主義による運賃の枠組みを外して、地方交通線について線区別、地域別運賃を導入しようとするものであります。総合原価主義による運賃決定は、国鉄の公共性のゆえであり、また公共性確保の担保でもあったわけであります。ここでも安易に公共性が捨てられようとしております。賛成できません。  右の方式が、つまり地域別、線区別運賃の導入が仮にやむを得ないといたしましても、運賃値上げには歯どめが必要であります。ほっておいたら鉄道運賃はタクシー代よりも高くなるということも、あながち冗談ではないと私は思います。そこで、地域ごとに地方自治体、住民、学識経験者から成る諮問委員会を設けて、運賃額を答申させ、国鉄がこれを尊重するというルールをつくることも一案ではないかと思います。  第三点、経営改善計画の変更等の指示条項につき反対いたします。これは第七条関係であります。  運輸大臣は、国鉄に対して、改善計画の変更や経営改善につき指示することができるとなっております。その必要はないのではないかと思います。もともと改善計画は運輸大臣の承認を得ることになっています。その上で進められるわけであります。これは第四条にそう書いてあります。そこで私は、日ごろ当事者能力がないと悪口を言われている国鉄に対して、できるだけ自主性と自立性を持たせてやりたい、そして積極的で自信のある経営改善をやらせてみたい、途中からの大臣の口出しはない方がよい、実はそう考えるわけであります。また、どうしても大臣の口を通じて政府の意向を国鉄の計画や計画の実行に反映させたいと考えるならば、方法はあろうかと思います。その方法は、国鉄は毎事業年度における報告書を大臣に提出するわけでありますが、その際に、大臣がこれに意見を述べる、そういう道を開くこともいいのではないかと考えます。  最後に、関連意見を申し上げたいと思います。  まず、労使関係について申し上げます。  国鉄は合理化の柱といたしまして、いわゆる三十五万人体制を実現しようとしております。業務に支障を来すことはないか、安全性の確保はどうか、無理をして職員の人権を侵すことはないかという点が国民の関心事であります。また、単なる減量のための合理化のほかに、需要誘導のための積極的な事業活動、すなわち商売上手であることが国鉄に要請されております。国鉄にこんな商売上手ができるのだろうか、心配の種であります。  そして、一番の心配の種は労使関係であります。労使が協力して事に当たらない限り、どのような計画も実現が困難だからであります。いま国鉄当局と国労、動労は二百二億円損害賠償事件で争っております。これは深刻な事態であります。この裁判は昭和六十年までに第一審の判決が出るでありましょう。国労、動労がこの訴訟に負けたとなれば、職場は大混乱に陥ります。労使の対決は破局的になります。再建計画もまた大きく挫折することでありましょう。そこで私は、監査委員会がしばしば述べておりますように、労使はともに過去の行きがかりを捨てて協力体制をつくるべきであると考えます。そして、そのときはいまをおいてないと信じます。  また、その方法でありますが、労使関係修復のアクションはやはり国鉄当局がとるべきであると考えます。国鉄当局はこの事件を取り下げて、国労、動労に対して手を差し伸べるべきでありましょう。組合の方もこの手を握り返すに違いないと私は思います。  二つ目に、国鉄再建に関する国の責任範囲の明確化について申し述べたいと思います。  国鉄を再建するには、国の責任範囲を明確にする必要があります。そうでなければ、国鉄の努力目標も明確には定まらないからであります。赤字は今後もふえ続けます。恐らくは昭和六十年以降もであります。一体これをどうするのだろうか。これについて国はどのような形で関与し、責任を分担するのか。具体的に言えば、工事費を中心とする設備投資の負担を今後どうするのか。過去債務をたな上げいたしましても、この投資財源を借入金に求める限りは国鉄の財政改善は望み得べくもないからであります。また、地方交通線を中心とする避けようのない赤字をどう埋めていくのか。公共割引、これは通学や身障者の割引でありますが、この負担をどうするのか。たとえばイギリスのように、不採算旅客輸送については赤字相当分を原則として国が補償するというふうな方式はとらないのか、また今後深刻化する年金負担をどうするのか、国が補助をするのかしないのか等々について、国はその方針を明らかにする必要があると考えます。  また、国はわが国における総合的で体系的な交通政策を策定し、その中における国鉄の役割りを定める必要があります。そして、その上で国鉄の抜本的な機構の改革や経営方式の抜本的な転換を図るべきであろうと思います。  この抜本策については私なりの試案は持っておりますが、時間もありませんのでこれは割愛して、以上で私の意見を終わりたいと思います。  ありがとうございました。
  102. 加藤六月

    ○加藤座長 ありがとうございました。  次に、永縄悦司君にお願いいたします。
  103. 永縄悦司

    ○永縄悦司君 ただいま御紹介いただきました永縄でございます。  私は、本日賛成側としてここに出席しているのでありますけれども、私は、国鉄のやっていることについてすべて無条件で賛成しているというわけではありません。国政上及び国鉄再建のために本法案がいかに重要なものであり、かつ必要であるかという点について賛成しているのであります。前もってお断りしておきたいと思います。  国鉄はわが国の最高の基幹的輸送機関でありまして、今後ともその重要性には変わりはなく、一日も早く収支均衡の上、再建されるべきものであって、本法案の早期成立を希望いたすものであります。  現在の国鉄は、御承知のように、高速道路の発達とトラック、タクシーといったものを含めたモータリゼーション、そして航空機とか地下鉄とかの整備が進められた結果、旅客、貨物ともにその利用度は年々低下いたしまして、国鉄の旅客及び貨物のシェアは、昭和三十五年と五十四年とを比較いたしますと、旅客が五一%から二五%、貨物が三九%から一〇%と低下しております。現在国鉄が六兆円を超える赤字を抱えていることはすでに述べられたとおりでありますけれども、さらに、これらも起因いたしまして毎年一兆円近くの赤字を計上するということになっておりまして、その経営はまさに破局的であると言わざるを得ません。これを一般の会社にたとえますと、会社更生法の適用を受けるべき状態だと思います。このまま放置いたしますならば、国の基幹的輸送機関としての使命は果たし得なくなるものと思います。  このような状態に陥ったのは国鉄の経営努力の不足だとばかり言っているわけにはいかないのであって、大きな要因としては、総合的な運輸政策の欠如、すなわち自動車、バス、私鉄、船舶、航空機といった各種の交通機関が秩序のないままに、しかも不平等な競争を続けてきたことや、国鉄の発生的、構造的な問題が起因していると思います。  たとえば、マイカーの利用増大という問題はわれわれ小売業に従事しております者にとっても大きな変化をもたらし、昭和四十年までは余り見られなかった郊外型のショッピングセンターなどが全国に展開され、現在盛況をきわめております。このような時代の変遷に即した経営が国鉄として迅速に対応できたかどうかということを見てみますと、むしろ国鉄としてはそういうことができなかったという点については同情する必要があると思います。  国鉄の経営を早急に健全化させるためには、国鉄労使の現況自覚と反省、そして、その上にたゆまざる企業努力を要求するのは当然のことでありますが、国民的課題として、国鉄の再建はぜひともなし遂げなければならない問題なのであります。そのためには、会社更生法を適用された会社の再建の一般的手法である債権の切り捨て、たな上げ、または利息免除並びに利子補給や、収支採算面から見まして撤退すべき業種、国鉄に置きかえますとスクラップすべき赤字路線とその代替交通機関、要員の合理化、新規事業においては採算重視志向は当然であり、山陽特殊鋼、興人、佐世保重工、この近くでは林紡など、中には一〇〇%減資などの思い切った手段をとって再建を図っております。  先日、衆議院運輸委員会から送られてきました運輸省鉄道監督局作成の国鉄経営再建促進特別措置法関係の参考資料を見ますと、この法案は、単なる地方交通線対策だけではなく、国鉄再建のための基本的な法案でありまして、昭和五十二年十二月の国鉄再建の基本方針並びに昭和五十四年十二月の国鉄の再建についての閣議了解は、両者ともわれわれ国民としては十分理解できるものであります。また、昭和五十四年一月二十四日、国鉄地方交通線問題小委員会の「国鉄ローカル線問題について」の結論もまた納得できるものでありまして、ここに本法案に対して賛同の意を表するものであります。  次に、具体的な問題につきまして、二点ほど申し上げます。  まず、線区別、地域別運賃についてでありますが、これは運賃の改定ということにもなろうかと思います。電力とかガスなどの公共料金も、ある程度は電力、ガス会社の収支を参酌して料金が決められております。国鉄についても、線区別、地域別に見て、採算面や競争関係の有無といったものを考慮して運賃を設定すべきものだと思います。  後ほどお配りいたしますけれども、「主要鉄道営業キロ数および収入内訳」という資料から抜粋いたしますと、たとえば東武鉄道は、営業キロ数で鉄道が四百八十キロ、バスが三千三百八十一キロ、営業収入千二百十億円に対しまして鉄道が五五%、自動車が二二%、不動産が二三%となっております。また、この近くの名古屋鉄道を例にとってみますと、営業キロ数が鉄道で五百三十九キロ、バスが三千七十四キロ、営業収入七百九十億円に対し鉄道が五七%、自動車二〇%、不動産が二三%であります。これを国鉄に置きかえてみますと、鉄道が二万一千三百二十二キロ、バスが一万四千三百四十二キロ、営業収入二兆六千五十七億円に対し鉄道が九四・二%、自動車一・四%、不動産三・七%、その他として船舶が〇・七%という構成になっております。国鉄に比べますと、大手私鉄のバス路線と自動車収入のウエートが高いことがよくわかると思います。これは明らかに地域対応としてバスが鉄道をうまく補充しているのでありまして、輸送密度の低い地域ではバスを走らせ、エネルギー消費という点でも合理化され、配慮されている証左だと思います。輸送密度の低い地域ではバスの方が鉄道よりエネルギー効率がよいということはすでに皆様御高承のとおりでありまして、国鉄の地方交通線でも同様のことが言えるのではないかと思います。  運賃の一例として、名古屋鉄道管理局内の樽見線美濃本巣-美濃神海間の国鉄料金と岐阜乗合バスの五十五年四月一日現在の料金を比べてみますと、国鉄百二十円に対しまして、バス料金は二百十円で一・七五倍です。通勤定期は三千六百円対九千四百五十円で二・六三倍、通学定期は千七百六十円に対して七千五百六十円で、実に四・三倍という高額になっております。また、岡多線岡崎―新豊田間での運賃を同様に比べてみますと、普通運賃では二・四倍、通勤定期三・六倍、通学定期は四・八倍となっているのであります。このように同じ区間であっても料金に大きな差が見られ、採算面からも、エネルギー効率という点から見ましても、国鉄の悪く言えば非合理性がうかがえると思います。  これは地方交通線と地方バスとの料金比較でありますが、同じ鉄道同士でこれを比べてみますと、まず東京の大手私鉄と国鉄の新宿-八王子間では、京王帝都電鉄は国鉄に対し、普通運賃で五〇%、通勤、通学定期で五〇%でありまして、これはちょうど国鉄の半分の料金で走っているわけです。いかに国鉄がサービスを施しても競争相手に食われてしまうのは当然のことだと思います。では、大阪地区ではどうか。阪急電鉄の梅田-三宮間と国鉄の大阪-三ノ宮間とを比べてみますと、阪急は国鉄に対し普通運賃で六〇%、通勤定期で七〇%、通学定期で五〇%と、これも私鉄がきわめて割り安であり、これでは競争に勝てないと思います。  しかし、地方の中小私鉄と国鉄とを比べてみますと、茨城交通の勝田-阿字ケ浦間では、昭和五十五年四月二十日現在で、私鉄は普通運賃で二・三倍、通勤定期三・二倍、通学定期三・七倍となっています。また、近江鉄道の米原-貴生川間では、私鉄は国鉄に対して普通運賃で一・六倍、通勤定期で二・四倍、通学定期で四・四倍となっています。これでは国鉄が採算面で苦しいことはよくわかると思います。  このような矛盾はいかにして解決したらいいだろうか。国鉄が運賃を設定する場合、全国一律制であり、コストとか競争関係の有無は考慮していないからであります。線区別、地域別の運賃で対応できるように考慮しなければならないと思います。  次に、国鉄の割引運賃について申し上げます。国鉄の運賃には通学定期割引、身体障害者割引などの公共割引制があります。この割引は利用する側から言えば確かに多ければ多いほどいいわけですが、これら文教対策とか福祉対策の施策が国鉄の経営の中で行われているということについては、いささか矛盾を感ずる一人であります。国鉄が昭和二十四年から五十四年までに負担した割引額は、通学割引で六千八百四十億円、その他を加えますと実に七千百四十一億円の巨額に上っております。余裕のある国鉄ならまだしも、これを国鉄が負担しなければならない理由は理解できません。負担すべき関係省庁を明確に分離し、国としても国鉄再建にさらに力を入れていただきたいと思います。  これから申し上げます二つの問題については、本法案と直接関係はないかと存じますけれども、私の所感の一端として申し上げたいと思います。  まず、新線の建設と宅地等の開発についてであります。これは在来線についても同様なことが言えると思いますが、国鉄が新線を建設する場合、政治的、社会的な要請に基づくケースが多く、私鉄のような周辺の宅地開発とか観光開発、そして、その将来性を見越して、しかも採算面を重視して建設するのと異なり、国鉄がこのような理由で建設するのはきわめて少ないと思います。これからの国鉄としては、まず投資採算ということを重視しなければならないと思います。そして、高収益につながる地域に注目していかなければならないと思います。  鉄道と言えばだれしもが想像しますのは、まず大量輸送とか大量交通機関ということであり、そして経済性に富んでいるとかエネルギー効率がいいとかいうことだろうと思います。しかし、遊園地の中の電車ならいざ知らず、一つの収益事業としての国鉄が、何両もの車両をつないで走っている地方交通線でほんの二、三人しか乗っていないというような情景を連想され、これが当然だと言われる方は一人もいないと思います。ところが、昨今の地方交通線ではよく見かける風景なのであります。これでは鉄道本来の目的を達しているとは言えないと思います。モータリゼーションなどの環境の変化という点については、私鉄も同じ影響を受けていると思います。こういった中で、私鉄はいかに対処しているか。後ほどお渡しいたします主要鉄道収入内訳表をごらんいただきますと、私鉄の不動産収入がいかにウエートが高いか、よくおわかり願えると思います。周辺の開発に熱心で、ちょっと例を挙げますと、近くの名古屋鉄道の場合、各務原線とか広見線などの宅地、住宅開発というものは目をみはるものがあると思います。新線、在来線とも、可能な限り住宅公団とか関係企業とタイアップして沿線の住宅開発や観光開発に力を入れ、利用客の増加に努め、収入増を図らなければならないわけであります。国鉄はただ車両を走らせていればいいのだというようなことではいけないと思います。そのためには、国の強力な総合対策を望むものであります。  最後に、線路敷地の一部の国または地方公共団体の負担について申し上げたいと思います。鉄道を除いた大量輸送機関として航空機、バス、トラックなどが挙げられますが、その運行は空または道路でありまして、自前の専用路線というものを持っていないのであります。鉄道のように線路敷を買収したり線路を建設したりする必要はありません。確かに国は国鉄に対し工事費の一部を負担しているかもしれませんが、線路敷の用地買収には多額の資金を必要とし、線路建設もまた莫大な資金が必要なのであります。これらがすべて国鉄の負担となっているわけでありまして、借入金とか鉄道債券でその資金を賄っている国鉄としては、その利息や償却費は現状ではとても負担しかねる額に上っております。公社として国鉄に採算面より福祉面を要求するという考え方もありますけれども、そうだとすれば、線路敷用地は国鉄から一部分離させ、国または地方公共団体の資産として移管できないだろうか。また、地方交通線では、一部線路設備費等も同様、移管できないだろうかと思います。このような思い切った発想の転換を図ることも一つの改善策につながるものでありまして、国鉄の早期再建に役立つものであると存じます。  以上、お聞き苦しい点もあったかと存じますが、これにて終わらせていただきます。
  104. 加藤六月

    ○加藤座長 ありがとうございました。  次に、長沼てる子君にお願いいたします。
  105. 長沼てる子

    ○長沼てる子君 長沼でございます。  現在、国会におきまして日本国有鉄道の経営再建促進特別措置法案が審査されておりますが、その中で、昭和六十年度までに一日の利用者が二千人以下の地方ローカル線の廃止が云々されております。  資料によりますと、昭和三十九年、わが国経済が高度成長期に入りましてから、その利用率の下降が目立ってまいっております。このことは、道路行政が盛んになり、それにつれてモータリゼーションが進行してまいりました、こうした事情が国鉄の利用率を著しく低下させたのでありましょう。しかし、一方では、安い運賃で利用できる国鉄に依存している学生やサラリーマン、そうして住民の方々も多くおられることを考えますとき、この法案はこれらの方々を犠牲に追い込むことになりはしないかと案じられてまいります。  赤字ローカル線のほとんどが政治路線だと言われておりますし、私自身も、以前は、集票目的のための政治路線に強い反発を感じ、廃止を望んだ時期もございました。しかし、実情を知るに至りまして、政治路線といえども住民の強い希望によって建設されたものですから、赤字だからという理由だけで切り捨てるなどということがあってはならぬと思うようになりました。  また、資料によりますと、赤字解消のために、こうした赤字ローカル線を第三セクターに譲渡またはバス路線に切りかえるとされております。しかし、著しい経営不振のローカル線の譲渡を申し出る民間企業が果たしてございますでしょうか。また、バス路線に切りかえると申しましても、路線の取り壊し、そして設備など、その投資はかえって赤字を増幅させるのではありますまいか。また、先ほど述べられた町長のお言葉にもありますように、バス路線に切りかえた場合、冬季積雪のために不通になるところがたくさんございまして、そのしわ寄せは住民に大きくのしかかってまいります。  また、職員の合理化が云々されております。そのとおりでございまして、決して親方日の丸ではならぬと存じますが、現実には、ローカル線におきましては年ごとに職員の整理が行われ、合理化が進められております。人権を無視した合理化は絶対に避けていただきたいと存じます。  聞くところによりますと、国鉄の一九七九年度の赤字は八千七百億円、その中で地方ローカル線の赤字は約八百五十億円、その比率は一〇%にすぎません。この実情を知りますとき、法案に盛られた措置案は弱者切り捨ての論理以外の何物でもないと痛感させられ、憤りすら覚える次第でございます。  道路行政による自然破壊、モータリゼーションの進行による大気汚染など、便利さのみを追求する政治の弊害は、わが国の将来にはかり知れぬものがあると思うのでございます。資源小国日本のエネルギー不足、安くて幾らでも入手できた過去の再来は絶望でございましょう。  こうした点を考えますとき、国鉄が抱えている膨大な赤字の問題は地方ローカル線にあるのではなくて、中央幹線の推進にのみ目を向けておられる政治にこそ、その責任があるのではございますまいか。新幹線整備の膨大な費用は、地方ローカル線の赤字などと比べようもございません。この点だけを取り上げましても、この法案はやはり弱者切り捨ての論理がはっきりしていると申せましょう。現在、東北新幹線、成田、上越新幹線等が整備されようといたしておりますが、それらのすべてが東海道新幹線と同様に国鉄経済を潤すという保証がございますでしょうか。何もかもが便利さのみを追い求めることのいかに多いことか、それが人心の荒廃にも関連してまいりますことを政治家は真剣にお考えいただきたいと存じます。  その実例として、名古屋新幹線沿線の住民の方々が、その騒音に耐えかねて公害訴訟を起こされました。被害者の中には、騒音のために情緒が不安定となったり、また高血圧症を起こして死亡された方もございます。これらはその典型であると申しましても過言ではないと存じます。  また、膨大な赤字を抱えながら、国鉄は通学者、通勤者の定期割引、身体障害者の運賃割引などを負担しておりますが、第三者から見ましたとき、これは何としても蹄に落ちないわけでございます。当然文部省なり厚生省、労働省なりが負担すべきだと考えるのでございますが、いかがなものでございましょうか。一九七八年における国鉄借金の利子が一日当たり十三億円、新幹線一日収入の実に約七四%だというこの事実は、まさに赤字が雪だるま式にふえていくことを示しております。  こうした点を考えますとき、公共事業ではなく、むしろ国営事業に切りかえる時期に来ているのではございますまいか。赤字だから運賃を値上げするという短絡的な導入方法は、ますます客離れを増幅させるだけで、逆効果を招くことは火を見るよりも明らかでございましょう。民間企業とは異なり、国鉄はあくまでも国民の足を守るとりでとして運命づけられている公共企業体であるはずでございます。だとすれば、利用者が少ないからとの理由で切り捨てるなどという発想は絶対に避けるべきだと思いますし、ぜひ避けていただきたいと強く訴えるものでございます。  終わりに、私は、今回社会党が提出されました国鉄再建法の修正対案を読ませていただきました。その結果、この対案はまことに現実的で説得力もあり、全面的に賛成できるものであろうかと存じます。どうぞ政府におかれましても、真剣にお考えいただきたいと存じます。  以上、一介の主婦として、つたない意見でございますが述べさせていただきました。ありがとうございました。
  106. 加藤六月

    ○加藤座長 ありがとうございました。  以上で、御意見の陳述は終わりました。  この際、時間が大変短いので恐縮でございますが、午後零時十五分まで休憩いたします。     午前十一時四十四分休憩      ――――◇―――――     午後零時十五分開議
  107. 加藤六月

    ○加藤座長 休憩前に引き続き会議を開きます。  派遣委員の質疑を行います。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。楢橋進君。
  108. 楢橋進

    ○楢橋委員 自民党の楢橋でございます。本日は、陳述人各位におかれましては、大変貴重な御意見を賜りまして、厚く御礼を申し上げます。時間もございませんので、早速質問に入らせていただきたいと思います。  浪川、名越、塩野谷、小山、永縄各陳述人から、総合的な交通政策がないというお話がございました。御存じのように、航空機の発達や高速道路、モータリゼーション、そういった交通機関がいろいろ多岐にわたるようになりまして、わが国の交通体系というものが変わってきたわけでありますが、今後の国鉄のあり方というものを考えてみた場合に、他の交通機関との競争といいますか、ある面では整合性ということが非常に問題になるのではないかというふうに思うわけでございます。  塩野谷陳述人にお伺いしたいと思うのですが、たとえば地方から地方空港の要望が非常に強い。いままでYS11で飛んでいたところを、滑走路を延ばしてジェットを飛ばしてほしい。そうしますと、国鉄と競合をするという問題があるわけですね。また、トラック輸送やあるいは道路交通網の発達によって、国鉄から車の方に利用者が移ってくるというわけでありまして、よく話に出るのは、東京と大阪の間に飛行機を飛ばして、片や新幹線も走っておる、そういったことがいろいろ問題になっておるわけでありますけれども、非常に問題が大きいものですから、総合的に今後の国鉄のあり方につきましてまず御意見をお伺いをいたしたいと思います。  それから、先に質問事項だけを申し上げますと、小山陳述人から、また永縄陳述人からも、国の国鉄再建の責任範囲につきましてお話がございましたけれども、もう一度具体的にお伺いを申し上げたいというふうに思います。  それから、浪川陳述人からは年金問題について述べられたわけでありますけれども、国鉄の年金問題の解決のためにどうしたらいいか、御意見を賜りたい、かように思います。  それから、浪川陳述人にもう一点お伺いしたいのは、これは長沼陳述人からもお話がございましたけれども、地交線の赤字というものは一〇%である、そして幹線の赤字が非常に多いわけでありますけれども、幹線系の線区から生じている赤字対策が必要であるという御意見ですが、具体的にどのような対策が欠けておるか、お伺いをいたしたいと思います。  よろしくお願いいたします。
  109. 加藤六月

    ○加藤座長 それでは、まず塩野谷陳述人、お願いします。
  110. 塩野谷格

    ○塩野谷格君 総合交通体系の整備ということは、地方の場合も常に言われる点でございまして、私どももそういった必要性をよく強調するのでありますが、いまお話のございました点に関連いたしますと、まず国鉄の場合は、私、先ほど述べましたように、使命を果たしたものと今後使命を果たすべきものと区別する必要があると思うのですね。  これはたとえて申しますと、先般も私中央線の普通列車に乗ってみましたけれども、どういうわけか停車時間が非常に長いのですね。ある駅で私は感じたのですけれども、特にこれは複線でございますから、反対から来る列車を待つ必要もないわけです。また、追い越されるということもなかったのですが、非常に長い停車時間がある。スピードアップということは、他の交通機関との競争の上でやはり図っていかなければならない。それから、乗りかえの便利さ、そういうものも十分配慮しなければいけないと思うのです。  総合交通体系というのは、利用者に便利さを与えるということであろうかと思います。たとえば名古屋でございますと、岡多新線と、名鉄が豊田新線をつくりまして乗り入れているわけですね。その場合の国鉄側の待ち時間が非常に長い。ですから、私鉄と国鉄とのリンクの仕方、こういうこともやはりもう少し能率よくいかないものだろうか。私鉄の便利さと国鉄の公共性というものを、もう少し双方の交通体系のリンクする、そういう結節上の時間待ちというようなことがなるたけないようにやっていかれるということも、競争ということよりも相互の交通体系の補完関係を強化していくことになり、そのものも利用者の増加にもなるのではないかと私は考えております。
  111. 小山斉

    ○小山斉君 国の国鉄再建について果たすべき責任範囲についてでありますが、諸外国の例を見てみましても、繰り越したな上げの赤字について切り捨てを行っておるようであります。また、設備投資についても、私はこれは国の責任において行うべきであると考えます。それで、このままほっておきますと年々赤字が累積していくわけでありますが、累積すればするほど深刻になります。  これはイギリスの例でありますが、年度欠損の処理を毎年やっておるようであります。法律に定めて、それに従って行っておるわけであります。たとえば、一九七五年でイギリスは損益四百三十三億円の赤字を出しておりますが、国が欠損補てんとして同額を出しております。一九七六年、やはり損益が百八十七億円のマイナスを出しておりますが、やはり同額の補てんをしております。このとおり統計を読むべきかどうかは自信がありませんが、不採算路線については、大臣と公社とが協議をして、いわば収支の差額相当分をとにかく埋めるのだというふうに法律で決められておって、そのとおりにしておるというふうに聞いております。  また、年金についても、わが国だけでなくて、諸外国もかなり大きな負担で悩んでおるようであります。その場合でも、やはり何ともしようがない分については国が補助をしておるというふうに聞いておりますし、わが国もそうすべきではないかと思います。  大体以上です。
  112. 永縄悦司

    ○永縄悦司君 いま小山さんからおっしゃったとおりだと存じますが、現在、国鉄の持っております長期借入金というのは五兆二千七百億円あります。それで、鉄道債券が四兆六千二百二十億円、合計いたしますと、借入金に頼っている金額が九兆八千九百二十億円。これを単純に前年度の金利で見てみますと、利子とか債務取扱費用として五千五百二十五億円というのを計上しているわけであります。この額がもしなかりせば、では実際国鉄は幾らであったろうかといいますと、約千七百億円で済んでいるのではないか。ですから、千七百億で済むものが、これだけの金利があるためにどうしても赤字になっていく。要するに、借金が借金を生んでいくのだという意味から言いますと、こういった国鉄再建を論ずるのを契機として、これくらいの金額を一挙にたな上げしてしまわなければ次の再建はむずかしい、こういうようなことが申し上げられるかと思います。  以上です。
  113. 浪川正己

    ○浪川正己君 二点についてお尋ねのようでございますが、まず年金問題でございます。  先ほども申し上げましたように、国鉄の年金という問題については非常に成熟度が急上昇している。電電とか他の同様な公社に比べて見ますと、全く異常とも思える状況だ。昭和六十年にはその成熟度が一一四%になるというようなことですね。これは先ほども申しましたように、国鉄の持つ構造的欠損の最たるものだと思うのです。  ところが、この問題について、国鉄自身の問題というよりも、この原因になったものは、いわゆる先ほども申しましたように、戦争中の戦時輸送を増強せよ、それには人が要る、戦後は、御存じのように、海外からの満鉄とか華北交通とか、いろいろ当時の外地における交通網からの撤退というようなことが原因になって異常に膨張した。こういうようなことは、いわば当時の国策に沿った形の採用であったわけです。それが今日的現状においては一気に噴き出して退職金とか年金に向かっていく、いわゆる異常な成熟度を招来したということなんです。そういう点において、やはり国鉄の経営的な努力ではどうにもならない一つの大きな問題だと思うのです。  そういう点において、年金という問題は他の同様な機関との兼ね合いもありましょうし、助成という問題はいろいろな省との関係において熟慮しなければならない問題もあろうと思いますけれども、これは国鉄赤字の大きな要因でありますので、でき得れば早急にルールを確立して、公的助成の国による手当て――国がやったらというわけではありませんけれども、原因の一端がそういう点にありますので、私は、速やかに公的助成の方法を講ぜられるのが得策ではないかというふうに思うわけです。  それから、第二点の地方線の赤字対策でございますが、先ほど来議論になっておりますけれども、今日的様相におきます航空機あるいは自動車の異常な発達というようなことで、国鉄としてこれに対してすべて競争できるわけではありません。そうならば、競争できる特徴を持ったもの、先ほども申しましたように、大都市圏の旅客輸送とか都市と都市を結ぶ旅客輸送あるいは定型的、大量的な貨物輸送、こういうものに一応ウエートを置いていく。いわば今後の赤字対策の大きな柱として国鉄の向かうべき面は、鉄道の持っている利点というものをよりよく発揮することが必要ではないか、かように私は思うわけでございます。  以上です。
  114. 楢橋進

    ○楢橋委員 どうもありがとうございました。
  115. 加藤六月

    ○加藤座長 吉原米治君。
  116. 吉原米治

    ○吉原委員 社会党の吉原でございます。午前中各陳述人の皆さんから貴重な御意見を承りましたが、時間の関係もございまして全部の皆さんにお尋ねをするわけにまいりませんので、特に、今回出されております国鉄再建法の政府原案に賛意を表明しておられる方々にだけお尋ねをいたしたいと存じます。そういう意味では、浪川さん、塩野谷さん、永縄さん、このお三方に問題点を一つずつお尋ねしたいと思います。  最初に、浪川さんの方にお尋ねしたいのは、国鉄の経営のあり方というのですか、御承知のように、国鉄は株式会社ではないのですから、そういう意味では、日本国有鉄道の事業の基本的なあり方についてどういう考え方を持っていらっしゃるのか。  また、午前中の意見陳述の中で、経営の重点を置く分野と撤退分野を明確にすべきだというような御発言もあったやに承るわけでございますが、そういう表現はどういうお考え方で述べておられるのだろうか。むしろいま国鉄が考えておる撤退をしたいという分野は、大方は過疎地帯、つまりローカル線、採算的に言いますともうからない路線であります。こういう路線を国鉄が引き揚げるという場合に、その後を、民営鉄道にしろ第三セクターにしろ、そういう不採算なローカルの路線を民間にやらせるという発想は、これは国鉄の持つ公共性といいますか、そういう観点からいかがなものかと私は疑問に思うわけです。  それから、軌道とバスとの違いですね。軌道を外してバスに転換すれば利用者の足が確保されるからそれで事足れりというお考え方のようでございますが、軌道の持っておる特徴と、またバスでないとやれない分野とがあるわけでございまして、単に足を確保するからそれでいいじゃないかというわけにはまいらぬわけでございますから、そういう意味で軌道とバスとの果たさなければならない役割りといいますか、これについてはどういう御認識をされておるだろうか。  また、いま話をしましたように、第三セクターというのは、言ってみれば沿線の市町村、それに県が関係しますか、それに民間事業者が入るというふうな構成になると思いますけれども、こういう第三セクターでやればいいといいましても、先ほど嬉野町長さんがおっしゃっていましたように、沿線の自治体がそう豊富な財源を持っておるわけではございませんので、そういう意味でこの第三セクターというのが現実的なものなのかどうなのか。国鉄が引き揚げた後は当然そういう制度でもって運営をすべきだ、これは国鉄の経営の基本的なあり方という点から考えますと私どもは疑問に思っておる点でございますから、この点をひとつお答え願いたい。  それから、塩野谷さんの方には、この法案が通りますと、特定地方交通線の線区ごとに対策協議会が持たれることになります。それで、この対策協議会は地方の意見を聞くという意味で大変いいことだ、こうおっしゃっていましたが、私どももそのことは否定いたしません。大いに地元沿線の皆さんの理解と納得を得なければならぬのは当然のことでございますから、そういう意味で線区ごとの対策協議会は必要だと思いますが、政府原案の方はこれを国鉄の経営から外すということが前提になっていて、その後始末をいかがしたものかという相談をする機関が、言われておるこの対策協議会の中身でございますので、国鉄の経営から外すという大前提がある限り、必ずしも地方の皆さんの意見をくみ取った処置だとは私どもは思っていないのです。ですから、長沼さんからお話もございましたように、わが党が出しております修正案は、そういう意味で存続も含めた、あるいは国鉄の経営も含めた対策協議会を持つべきではないか、そして結論が出なかったら該当の県知事から最終的に運輸大臣に意見書を提出する、その出した意見書は尊重しなければならぬ、こういうことにいたしておるわけでございますから、対策協議会の今回の提案のあり方が一体妥当なものなのかどうなのか、私どもはきわめて非民主的な強権的な条項だ、こう指摘をしておるわけでございますので、その点ひとつ塩野谷さんの方からお答え願いたい。  それから、永縄さんの方にお尋ねをしたい点は、実は政府原案では、午前中の御発言の中にもありました特別運賃制度を導入することになっておる。平たく言いますと、この特別運賃制度というのは、国鉄は、御案内のように、全国一律の賃率ですが、そうでなくて、二万一千キロの中の九千キロが俗に言われております地方交通線、この九千キロにわたって高い賃率を掛けよう、つまり、並行しておる私的な輸送交通機関と比較して割り安になっておるからこれを引き上げようというわけです。逆に言いますと、都市部では国鉄の方が高くて民営の方が非常に安い、そういう意味では地方と中央とでは非常にアンバランスが出ておるわけでございまして、いま言われましたように、この特別運賃制度というのは、政府原案によりますと、相当利用者が減っておると言われておるこの地方の利用者の運賃を民間並みに引き上げよう、あるいは一気にいかなくても当面五割ぐらいは引き上げようという国鉄総裁の答弁が出ておるわけでございます。  そうなりますと、最後に御発言なさった長沼さんの御発言の中にありましたように、いま少々不便でも駅まで自転車で行くか歩いていくかして安い国鉄を利用する、あるいは通学生等については特にでございますが、安いがゆえに国鉄を利用しておるという利用者の立場に立ちますと、逆に国鉄離れを生じさせて本当の意味の国鉄再建策にならぬ。同じ料金なら近くのバス停に行ってバスを利用する。少々遠いけれども安いから、あるいは安全で決められた時間に目的地へ到着するから列車を利用しようとしておる利用者の皆さんの利用を逆に締め出すことになってしまう。そういう意味で、今回提案の再建法の中に言っております特別運賃制度というものは再建策にならない、むしろ都市部の民営と国鉄との運賃のバランスを調整すべきだ、こういう趣旨で私どもは修正案を出しておるわけでございますので、この特別運賃制度の是非について永縄さんの方からお答えを願いたい。  以上です。
  117. 浪川正己

    ○浪川正己君 ただいまお尋ねの第一点でございますが、国鉄の経営のあり方はどうなのかということ、あわせて国鉄の法的な地位はどうなのかというふうなことだと思います。  確かに、仰せのとおり、国鉄は、いわゆる商法上の営利を目的とする社団法人ではなくして、運輸大臣の監督下にある特別法上の公社法に基づいて存在する法人でございます。ですから、国鉄の法的地位あるいは性格としても、株式会社のごとく採算ベースで営利第一主義というわけにまいらないことは当然のことだと私は思います。もとより国鉄というものは、公共性を有する国民の足としての機能性を持ったものであろうというふうに思います。ところが、現実的には六兆円に及ぶ赤字を出している。しかも、そのツケが最終的には国民に回ってくる、こういうふうな状況で、ただに公益性であるからといってかような膨大な赤字を出すということは、やはり一つの企業体ということも考えなければならない。こういう点において私は、当然に公益性を前提にしているけれども、企業性というものを全く没却することはでき得ないと思うからであります。そういう点において、国鉄が株式会社のごとく収支相償い、一定の利潤を追求する企業体ではないのだということは申すまでもないと思います。  それから、第二点でございます。  私、先ほど申しましたように、国鉄というものは、現在の航空機あるいは自動車、こういうものの異常な発達、道路網の整備というようなことを踏まえて考えるならば、いたずらに国鉄が従来の全国津々浦々にわたる路線を担当するというような力はないと思うのです。国鉄は、従来明治、大正、昭和の初期から中葉にかけてはいわば陸上輸送の王者であったけれども、こういうことは幻影にすぎない。王者たる地位を退いたんだ。そうならば、王者としての特徴というものを引き出して、それをひとつ今後経営の面に乗せていったらいいのじゃないかというように思うわけです。  そういう点において、私は三点、これは繰り返しますけれども、大都市圏の旅客輸送、都市と都市との間の旅客輸送、あるいは国鉄でなくてはなし得ないような定型的、大量的な輸送というものを重点的にやっていく。それによって経営の効率化あるいはこの法案に盛られた精神をよりよく伸ばし得るのじゃないか。さすれば、反面において全国津々浦々にある鉄道動脈をある程度整理することが必要だということです。そういう点において、撤退すべき面もあるのじゃないか。そういう撤退面につきましては一応十分なる対応策を考え、この法条によりますといろいろと地方交通線の選定あるいはその代替輸送という問題についての一応の方途も規定されておりますので、そういう点において、思い切り減量するためには泣いて馬謖を切るという方法論も必要じゃないか。  もとよりその点について、地方路線、赤字路線についてぜひとも存置しなければならないという場合は、十二分の助成対応ということを考えて措置をする。これは私も大学の教授でありますから、学生の足あるいは中高の足の確保も必要だと思います。そういう社会的要請によって存置しなければならない場合もあるかと思いますけれども、もしその路線に対応する十分な道路がある、しかもバスの輸送が可能である、それが効率的だという場合には撤退することも必要じゃないか。いわば減量経営の一つの方法論としてこの撤退を考えるべきだということで、二つの点にしぼって今後の国鉄を考えるべきだということを申し上げたわけです。  第二に、この点に付随して軌道とバスの機能性をどう考えるのか。おっしゃるとおり、これはレールがあればそこを走らせればいいわけでございますが、バスの場合、当然道路の問題がございます。鉄道は大量的、しかも他の輸送手段よりも効率的であることはもとより申すまでもないと思います。ですから、軌道とバスというものはその機能性において長短相補う面がありますけれども、レールの魅力というものも確かにあります。しかし、私はこれに付加して考えるのに、鉄道が昔から通っているのだからそれを終始動かすというのもやはり問題だということです。その軌道に沿うところに適正な道路が敷設されており、十二分にその地域住民の足が確保できるならば、代替輸送も考えるべきじゃないかということで、決して軌道とバスを混同した形で申し上げたわけではございません。  それから、それに付随しまして、いよいよ路線廃止という問題になって、代替輸送はいかにしたらいいかという問題にかかってくると思うのです。この代替輸送についてはバスとか第三セクターが登場してくるわけであります。おっしゃるとおり、第三セクター、民間による運営というのは、確かにこの案によりますと輸送密度が二千人未満だという場合に一応廃止の方向に進むわけでございますので、採算ベースに乗らないことはもとより当然のことです。ただし、民間がそういう場合に採算ベースが合えば当然に引き受けることは可能だと思いますけれども、ただ思いますのに、そういう路線に付随する地方公共団体、赤字で苦しんでおる面もありましょうけれども、たとえば学校が設置されておれば登校のときあるいは帰るときに大量に一時に乗るわけですが、その場合に一定の距離は鉄道が必要だというときには、ぜひともそういうことについて地方公共団体でできる範囲内のことを国が助成してやるべきだということで、第三セクターによるものが現実的かというと、これはなかなかむずかしい問題ではありますけれども、代替輸送の一つの方法としてその意味を認めたいと思うわけです。  以上です。
  118. 塩野谷格

    ○塩野谷格君 御質問にお答えします。  特定地方交通線の廃止を前提とした協議会のあり方についての御質問であるかと存じます。  法案によりますと、国鉄は協議会にかける場合、運輸大臣の承認を得ているわけですね。ですから、国鉄は、協議会にかける前にまず路線ごとに実態をよく検討される必要があると思うのです。十分地域の実情を見ていただき、各路線ごとの不公平さがないように十分御検討をいただきたいということを先ほども申し上げておきました。そういうことを前提にしてまいりますれば、私は廃止を前提にした協議会のあり方は決して非民主的だとは思わない。この案より民主的にする方法はほかにあるかと思いますけれども、私はこれが民主的ではないとは言い切れないと思いますし、二年という協議が私は適当であるということも申し上げました。存続をも含めて議論することはむしろ協議会の紛糾を呼んでなかなか結論が出ないのじゃないか、むしろそれにかける前に十分議論しておくということであれば実効は期せられるのではないかと私は考えております。
  119. 永縄悦司

    ○永縄悦司君 先ほどおっしゃったのは十三条関係の地方交通線の運賃についてだと思いますが、運賃を高くすれば鉄道利用者は減ってしまう、ますます赤字になるのじゃないかという御指摘だと思いますが、現在でもすでに赤字なんです。それがさらに減ってきたところで大した赤字は出ないと思います。それと、代替交通機関を今回の場合ですとバスなり何なり考えると言っているわけですから、私は料金を高くするのも一つの方法、それから代替交通機関でもってこれを賄うのも一つの方法、要するに国鉄さんがやってみたいと言っていることについては、今回国鉄再建という大きな前提があるわけですから一応やらせてみたい、そういうことを申し上げているわけです。  以上でございます。
  120. 加藤六月

    ○加藤座長 吉原君、いいですか。
  121. 吉原米治

    ○吉原委員 再質問いたしたいのですが、持ち時間がなくなりましたので、残念ですがまたの機会に……。  どうもありがとうございました。
  122. 加藤六月

    ○加藤座長 次に、西中清君。
  123. 西中清

    ○西中委員 公明党の西中でございます。きょうは大変貴重な御意見を、また貴重なお時間を割いていただきまして感謝をいたしております。  私は、先ほどから採算性という話が出ておりますので御意見を伺いたいのですが、今度の再建法は、六十年度に収支の均衡をとるという、いわば再建の基礎固めといいますか、そういう性格を持っておると思います。ただ、午前中陳述人の皆さんからお話もございましたけれども、総合交通体系が固まっていないこの中で、国鉄がこうした法律案を出して再建をやろうとしておるという点で、国鉄の占める位置というものがもう一つ明確でない。先ほどからいろいろな御意見は出ておるわけでありまして、その上でその持っております目的というか、財政再建についてもまた残された問題が数々あるわけでございます。たとえば上越、東北新幹線の赤字が当面十年ぐらいは続くだろうというように国鉄当局は言っておるわけであります。それから、年金問題、さらには整備新幹線五線の建設、これも断念をしたわけではありません。こういった新しい事業もこれから新たに巨額な赤字を生んでいくわけでありまして、六十年の収支均衡にこういうことは条件に入っておらぬ。年金も別だ。先ほど、どなたか忘れましたけれども、一般企業で言えば会社更生法にかかるような状態だ、そうしたものの再建の場合には、こうこうこういうような方法でやっていくのだとおっしゃった。こういうことも考えないでこの法律案は出ておるわけでありますが、そういう点について浪川さん、塩野谷さん、永縄さん、御意見がありましたらお伺いしたいと思います。
  124. 浪川正己

    ○浪川正己君 国鉄の性格は、先ほど申しましたように、公共性を強度に持った機構だというふうに思うわけであります。ですから、一般企業と同様に考えることができないことは論をまたないわけでありますけれども、東北新幹線、上越新幹線というものは一つの国家的な今後のあるべき交通のためのものだと思うのです。ですから、この再建については除外をして考えるのは当然だろう。  それから、おっしゃるように、基本的にこの再建法というものは国鉄の基礎固めをするためのものである。しかし、これによって直ちに収支相償い、収入支出の均衡が生ずるとは私は思わないわけです。これは志向するところはそうであるけれども、現実はこのような形で、先ほど申し上げたように、あくまでも法というものは形式であり、内容を盛るものは国鉄自身だろう、この法案に肉をつけ、血を通すのは国鉄の経営努力だろうというふうに思うわけです。ですから、収支相償うことを標榜しておりますけれども、将来に向かって、とりわけ六十年代に向かっての健全財政ということ、山積する問題がすべて解決し、この国鉄再建法というものがすべての特効薬というわけにはまだまいらない。ですから、当然に均衡財政が望ましいけれども、将来に向かって健全財政の確立を私はお願いしたいために先ほど申し上げたわけであります。そういう点について、この法案は一応国鉄自身にそういう大きな課題を課したところが、健全財政の方向を歩む一つの路線敷だというように思うわけであります。  以上です。
  125. 塩野谷格

    ○塩野谷格君 ただいまの浪川さんの意見と私の意見は全く同じでありますが、その健全財政ということは、一朝一夕に直ちに黒字に持っていくことはなかなかできないと思うのです。しかし、姿勢というものは大事でございまして、基礎固めをするという努力をぜひしていただきたいと思っております。  それから、運賃の問題も若干御説明したいと思いますが、運賃を上げるだけで財政の再建ができるとは私は思っておりませんので、今後運賃の値上げについてはなお検討を要する点があろうかと思っております。  また、経営の再建ということ全体を考えますと、国鉄の数十万人という職員を組織して運営していくということは、今日の時代には非常にむずかしいのではないかと思うのですね。数十万という人を動かす、そういうことは今日の時代には非常に不可能に近い、私はそう思っております。そういう大きな組織を運営される非常な御苦労を私よく感ずるのでありますが、今日においては非常にそれはむずかしいことであるということをつけ加えて申し上げたいと思います。
  126. 永縄悦司

    ○永縄悦司君 先ほど、一般の会社でありますと会社更生法を適用されるのだというのは私が言ったのですが、それぐらい厳しい条件に現在あるのではないか。ですから、公社であるためにそういった会社更生法の適用を免れているというところに国鉄の再建のむずかしいところがあるのだと思います。  いろいろな点につきましては、浪川先生並びに塩野谷先生のおっしゃったとおりだと思いますけれども、そういった意味で、さらに厳しい状態を乗り切るためにもこの法案はぜひ通して、一応やってみないとわからないのではないかという感じもするのであります。  以上です。
  127. 西中清

    ○西中委員 それから、もう一点お伺いをしておきたいと思いますが、国鉄の財政再建の中で将来大きな問題になってくる、まあ当面も問題になってきておるわけですが、いわゆる年金の問題でございます。これは公企体によって、また国家公務員その他の共済年金、いろいろ制度の違いがあるし、歴史も違うわけでございますから、非常にむずかしい問題でございます。しかし、何らかの解決を見なければならぬわけですが、国鉄総裁の私的諮問機関から出ております考えの中には、そうした公企体の共済、国家公務員の共済といわゆる一元化、統合という考え方が出ておるわけでございます。そうした一つの考えがあるわけですが、何らかの解決をしなければならぬというお話があったけれども、皆さん方としてはどういうお考えを持っておられるか、お伺いをさせていただきたいと思います。  浪川さんと塩野谷さんにお願いいたしたいと思います。
  128. 浪川正己

    ○浪川正己君 先ほどから申しましたように、年金というもの、特に国鉄の現段階というものは異常な形で、成熟度が非常に高いということなんですね。そういう点におきまして、この原因関係が戦中戦後の増員によるものだということで、これは私自身の私見ですけれども、他の公社あるいは一般公務員の場合とやはり一緒にできないような状況があると思うのです。とりわけ、先ほどちょっと申しましたけれども、将来は受給資格者十一人に対して十人の組合員が年金を出していかなければならないということですね。いわゆる年金受給者と拠出する組合員の関係が非常にアンバランスだということです。そういう状況には、戦中戦後の原因が大きく機能しているのだというふうに思います。  そういう点から、これを大きく手術するためには、大きな国家的助成という方法論しかないのではないかということですね。そういう点において、私はいろいろ他の年金制度、公務員の年金制度を含めて洗い直しは必要でありましょうけれども、国鉄の持っている特有性というものに着目するならば、やはり一応国鉄の年金制の持っている一つの難点というものを考えますと、個別的な助成というものが必要ではないかというふうにいま思っております。  まだ専門的にこの点について調べたわけではありませんので、自分の私見を交えて申しました。
  129. 塩野谷格

    ○塩野谷格君 年金問題について私は余り専門でないので、御意見を申し上げることはできませんが、一応浪川さんのおっしゃられたような点は私十分理解できる点でございまして、国家的助成を行うということで進めていくことが必要ではないか、私はこういうように考えております。
  130. 西中清

    ○西中委員 終わります。
  131. 加藤六月

    ○加藤座長 次に、中村正雄君。
  132. 中村正雄

    ○中村(正雄)委員 民社党の中村でございます。地方公聴会という性質上、私は白紙の立場で、それぞれ意見を述べられた方に、賛成の意見を述べられた方には反対という立場でひとつ質問いたしたい、反対の意見を述べられた方には賛成という立場でひとつ質問いたしたい、かように考えます。  最初に、浪川さんにお尋ねいたします。  御承知のように、いまの国鉄がこのようになりました根本の原因は、やはり国鉄の持っております構造的な問題あるいは社会経済の変化、いままで国の政策の不徹底や不備並びに国有鉄道自体の経営の非能率的な問題、これが原因でこのような破産寸前の状態になったことは御案内のとおりです。したがって、今度の法案の骨子では、公共企業体という性格、これは経営という立場から見れば非常に不明確な企業体の性質でございます。したがって、今度の法案によって、国有鉄道の公共的な部門については国が責任を持って解決をする、企業的な部門については国有鉄道が改善に改善を重ね、企業努力の積み重ねによって収支の均衡を図ろう、これが法案の骨子でございます。  ところが、国鉄が幾ら企業努力をし、職員が不退転の気持ちで改善に当たってもおのずから限界がある、こういう説がございます。それは何かと言いますと、たとえば国鉄と同じ企業、これは民鉄もございますし、バスもあれば航空機も海運もある。同じような交通という事業に携わりまする企業にしても、国有企業という体質から来まする問題、それが同じ性質の企業であっても、民営に比べてはどうしてもやはり経営という面についての体質が違う。そこに、企業を改善しようとしても限界がある。もし、これをやり得るとすれば、国鉄の全職員が発想を根本的に転換しない限りは、企業努力を幾らやっても収支の均衡はとれない、こういうことを言われる方があるわけなんです。この見解に対してどういうふうにお考えになるかというのが第一点でございます。  第二点は、この法案の重要な部分ではありますけれども、一要素にすぎません地方交通線の問題、これが一番大きな問題になっているわけなんです。ところが、地方交通線をつくるということは、御承知のように、十年、二十年、長ければ五十年の年月をかけてでき上がっている鉄道なんです。しかも、その鉄道というものは、地方開発ということが一番大きな観点になってつくられた線が地方線であるわけなんです。したがって、今日赤字だからといって、あす、あさって、五年、十年後にいつまでもいまの赤字が続くかどうかということはわかりません。愛知県の方でありますので御承知のように、たとえばいまから三十年前、豊田市がいまのように繁栄するとは恐らく皆さん方も御想像もされなかったと思います。したがって、赤字であるという現時点をとらえて、これを国鉄から経営を切り離すということはどうかという意見が非常に強いわけでございますし、また国鉄の経営を解除しても引受手があるかどうか、これは二、三についてはあるかもわかりませんが、ほとんど不可能だ、こういう意見が世論として出ておるわけなんです。  また、今度の再建法につきましても、当事者でありまする国鉄の職員自体が、皆さん方御承知のように、反対です。当事者である国鉄の職員に理解を得ることができないような政策が、一般国民に理解を得るということが果たしてできるかどうか、私はむずかしいと思うのです。  この三点について浪川さんにお伺いいたしたいと思います。
  133. 浪川正己

    ○浪川正己君 まず、第一の点ですが、国鉄というものが企業と違って公共的性格を持っているのだ、やはりこういう努力についてもおのずから体質的に限界があるのではないか、こういうことについてどう思うかというようなことだと思うのですが、国鉄のそういう性格というものはおっしゃるとおりだと思います。ただしかし、現実にいまここに生じているこういうような多額な赤字、そして、そういうものが結果的には国民的な負担となってくるわけです。ですから、この問題について、ただに国鉄というものが公社であり、公共性を追求するのだというだけでは済まされない、いわば国民生活あるいは国家経済を脅かすような状況が出ているのではないかということなんですね。そういう点において、一つには、やはり体質というもの、これは公共性と企業性という相反する命題に対して、いわば二律背反的なものでありますけれども、これを何とかアウフヘーベンできるような、止揚できるような方向を極力探っていかなければならない。この法案にあることもやはりそういう基盤固めの一つであると思いますので、私は、この法案をてこにして、ぜひとも国鉄の方向というものを、ただに公共性だけではなくて、収支相償うような健全財政の確立の方向をぜひ探ってもらいたい。国鉄の体質がそういうような体質なんだからいたし方ないということではなかなかこの問題は解決できない、抜本的にはやはり考え直さなければならない体質だというふうに思います。  それから、第二点でございますけれども、確かに地方線の問題は地域住民にとっては重要な問題であろうと思います。おっしゃるように、地方線を設定するには十年、二十年という長い建設期間、目的も地方開発だと思います。しかし、私は、こういう地方線を考える場合に、地域の状況というものが時代時代によってずいぶん変わってきている。社会的条件、経済的条件、あるいは人口についても過疎化とかそういうような、いろいろわれわれが予測し得ないような時代の進展とともに変わる要因というものも看過できない。ですから、そういう点において、地方線の持っているそういう客観的情勢というものを踏まえて考えるならば、初期のそういう地方開発というものと必ずしも軌を一にしない場合においても、場合によってはこの問題についてこの法案に盛られているごとく一つの方向づけをせざるを得ないのではないかというふうに思うわけです。  それから、第三点の、国鉄の労組はこの問題について反対の体質だ、ところが、いわゆる経営者サイドについてはこれを進めていきたい、こういうようなことでありますけれども、私は、これは特に労働者に対してやはり十二分なる理解を理事者が求むべきだ、そして六十年代までに三十五万人体制という問題があるけれども、これもどうも私のあれでは、首切りによって達成するというようなことではなくして、今後の減量経営に伴って路線の整理をしていく、そして、ある程度の方向づけというものがあるならば、十二分にその対応、特に三十五万というものができるのではないかというふうに私は予測をしているわけです。特に、人員が異常にふくらんだ戦中戦後の者がほぼ定年的に退職していらっしゃる。加えて採用についても、減量経営をしていって、従来十人採っておったところを五人にするとか、そういうようなことで経営の合理化も当然に考えなければならない。そういう点において、労組に対しては経営者は十二分なるコンセンサスを得て、そして国鉄のみの内部的問題だけではなくて、全国民的なコンセンサスというものを基本にしてこの問題について対応していかなければならないと私は思います。現状は労使相はむという感じもありますが、これは従来のいろいろな問題点もあろうと思うのですね。そういうことを総ざらいして、労使も協力してこの国鉄再建に向かってもらいたいというのが私の考え方です。  以上です。
  134. 中村正雄

    ○中村(正雄)委員 それでは、次に名越さんにお尋ねいたしたいと思います。  これは地方線の問題ですが、先ほども申し上げましたように、公共的な部門につきましては帰するところ国民の税金によってすべて政府が責任を持って賄おう、企業的部門については一応利用者の負担を願おう、国鉄自体も最善の努力をする、これが今度の地方線の対策問題の中心になっておるわけでございます。したがって、それに対しまして利用者で負担のできない地域の問題については、地方自治体もこれに対応する負担をしなければならないということが一般論として言われておりますが、この点についてどうお考えになっておるか、これが第一点でございます。  それから第二点は、御承知のように、赤字続きの地方線を持っておりまする国有鉄道は、固定資産税だけでなく、納付金まで地方自治体に対して納めているわけでございます。これが赤字の一つの部分になっていることは当然でございますが、この制度に対してどのようにお考えになっておるか、これが第二点でございます。  第三点は、おっしゃいましたように八〇年代は地方の時代だと言われております。おこがましい言い方ではありますけれども、地方の時代というのは、利益だけは享受するけれども負担は国が負担してくれ、これでは地方の時代とは言えないわけで、権限も責務もすべて地方が負うということを前提にしなければ地方の時代は出現しないわけでございます。したがって、私は地方交通の問題については、地方自治体も応分の負担をするという考え方がなければ地方の時代としての地域の発展はできないと考えるのですが、この三点について名越さんにお尋ねいたします。
  135. 名越成夫

    ○名越成夫君 ただいまの御質問に対しまして私の考え方を申し上げたいと存じます。  第一点の問題でございますけれども、今回の赤字対策の問題がいわゆるローカル線にきわめてしわ寄せをせられておる、そういう事態からいたしまして、私は午前中陳述を申し上げたわけでございますけれども、運賃等の問題につきましても、従来の国鉄の債務のたな上げ、またローカル線の対策、特別運賃制度の導入、こうしたことが今回の一つの大きな柱になっておるようでございます。もとよりこの問題につきましても、地域住民の皆さん方の十分なコンセンサスを得れば、多少のそういう問題についての理解は得られるのではないかと私は考えておるわけでございます。  第二点は、国鉄における固定資産税等の問題でございますが、ローカル線の廃止によって、恵まれない地域の住民自体が大変困るということでございますから、私どもはこれを中心として考えていかなければならない。したがって、国有鉄道におけるところの固定資産といった問題については、私ども市町村といたしましても当然そういう考え方については協力を申し上げていかなければならない、こういうふうに思うわけでございます。  第三点は、地方の時代においては、すべてを国に依存するという考え方ではないと私は思います。当然私ども自治体の考えるべきは考えていかなければならない、こういうふうに考えておる次第でございます。  以上でございます。
  136. 中村正雄

    ○中村(正雄)委員 私の質問に対してはお二方とも中心の答弁はありませんが、時間でありますので打ち切ります。
  137. 加藤六月

    ○加藤座長 この際申し上げますが、名越成夫君は所用のため退席されます。  御多用中のところ御出席いただきまして、まことにありがとうございました。  どうぞ御退席ください。  次に、三浦久君。
  138. 三浦久

    ○三浦(久)委員 公述人の皆さん、どうも大変御苦労さまでございます。私、共産党の三浦久でございます。  私は、中村委員と逆に、立場をはっきりして御質問をさせていただきたいと思いますが、私はこの法案に反対であります。私どもも、国鉄の財政再建というのはどうしてもやらなければならない問題だと思っております。しかし、地方交通線というものを切り捨てる前にやらなければならないことはたくさんある。この法案ではその点について触れられていない、手をつけていない、そういうふうに考えておるのです。  そこで、私は最初に塩野谷さんにお尋ねをいたします。  皆さんの陳述を聞いておりますと、特定地方交通線は一日の乗車密度が二千人未満、こういうような響きを受けるのですが、これは一日の乗車密度四千人未満が特定地方交通線です。この乗車密度というのは、一日にどの一キロの線路をとってみても一キロ平均四千人乗っているということですから、大変多数の人が乗っていると私は思うのです。ただ、六十年度までには乗車密度が一日二千人未満の路線を廃止してバスに転換する、こういうことになっております。  まずその前提をはっきりさせておいてお尋ねいたしますが、六十年度までにバス転換される地方交通線の赤字は、五十四年度末の決算で九百五十五億円であります。これは五十四年度の全部の赤字八千二百億円の一二%に当たるのですね。それで、七千億近く助成がありますから、この助成がないといたしますと全部の赤字は一兆四千億円ぐらいになりますから、その赤字の中のわずか七%にしかすぎないものであります。ところが、幹線の赤字はいま全体で七〇%に及んでいるわけです。その中でも特に貨物の赤字が大変多うございます。これを貨客別損益で言いますと、貨物の赤字はその七〇%を占める。国鉄が赤字になりました昭和三十九年から五十三年度までの貨物の赤字は累積四兆円を超えているということです。ところが、旅客の方はどうかといいますと、これは七千億円以下であります。ですから、旅客の五・六倍の赤字を貨物が出しているということなんですね。ですから、私は、この貨物対策というものをやらなければ経営の収支改善はできないのではないかと見ているのです。  ところが、今度の再建法の審議で運輸省が出してきました経営指標によりますと、五十五年度も貨物の総輸送量は四百億トンキロであります。それでは、六十年度はどうなるのかと見てみますと、同じ四百億トンキロなんですね。全然変わらないのです。それでは、貨物の値段を上げて収支を改善するのかというと、そうではないのです。上げると荷離れしてしまう、国鉄離れしてしまうというので、ことしの初めに運賃の改正がありましたけれども、そのときには等級制度をなくしてしまう、そして大量定型貨物については割引運賃を三段階に設けているのですね。ですから、安く安くという方向ですから貨物の赤字は全然消えていかない。そうしますと、結局旅客の収益で貨物の赤字をカバーしていく、そういう国鉄の体質は依然として続いていくと思っているのです。  その点について、貨物の収益改善のために何かいい方法があったらひとつお教えいただきたいと思います。
  139. 塩野谷格

    ○塩野谷格君 貨物の問題はおっしゃられたようなことで、私も聞いておりますが、一つの改善策の参考になるのは、民鉄がかつては扱っておりました貨物を切っていっていますね。民鉄さんは貨物の取扱量、そのウエートをだんだん落としてほとんどやっていない状態になっております。そういうことも一つの参考になるのではないかと思っております。国鉄自身のあり方としては、早急にそういう形をとり得るかどうか、なお問題があると私は思いますが、方向としては、貨物の取り扱いを減らしていくことが一つの方法ではないかと私は思っております。
  140. 三浦久

    ○三浦(久)委員 永縄公述人にお尋ねいたしたいと思いますが、永縄さんは、いまの国鉄の状況は会社更生法を適用するようなものだとおっしゃいました。私もそのとおりだと思うのです。ところが、会社更生法を適用して会社を更生させるために最初に何をやるかという場合に、債権債務をどうするかということが一番大きな問題ですね。今度の場合には二兆七千億円の長期債務のたな上げ分がありますが、これは国が融資したあの財投の部分だけなんですね。財投の一部分であります。それで、大企業とか大銀行が持っている鉄道債券、これは膨大なものなんですが、これに全然手をつけていないというのが現状なんです。この大企業や大銀行が持っている鉄道債券の残高はどのぐらいあるかといいますと、五兆三千億円あるのです。そして、それだけで一年間に三千五百億円以上の利息を払っておるのです。全体としては八千億幾ら払っているのですが、この大企業、大銀行が持っている鉄道債券だけでも一年間に三千五百億円以上です。これは元金も返しておりますから、元金は一年間にやはり二千五百億円以上払っているのですね。  そこで、六十年度までが再建のめどだとすれば、そこまでこれだけでもちょっと待ってもらえば、一年間に六十億のお金を支払わなくても済むという結果になるのですよ。そうすると、地方ではローカル線ははがれてしまって大変苦労する、また運賃の値上げで苦労している、それから労働者は要員の削減で苦労する、国もまた多額の助成金を出して乏しい財政の中からやりくりしている一みんなが苦しんでいるのに、今度の財政再建法では、大企業、大銀行だけは、これだけ大きな問題を抱えていながら、いままでどおり元金も利息もそっくりそのまま返してもらえるという結果になるのですね。資本主義社会の中で会社更生といえば、債権債務、元利、これをどうするのかということが一番問題だ。ここに何も手をつけていないところに私は大変不公平さを感ずると同時に不合理性を感じているわけですけれども、永縄さんの御意見を承りたいと思います。
  141. 永縄悦司

    ○永縄悦司君 おっしゃるとおりだと思いますし、そう言いたいだろうと思いますけれども、言えない苦しさというのはわかっていただきたいと思います。私はそう言うべきだと思いますけれども、そういう主張のできない国鉄の苦しさを理解していただければわかると思います。
  142. 三浦久

    ○三浦(久)委員 長沼さんにお尋ねいたしたいと思います。  主婦の立場で運賃の値上げが家計を大変圧迫しているというお話があったと思うのですけれども、いまの国鉄というのは、五十二年に、運賃の値上げは経費増の範囲内では運輸大臣の判こ一つでできる、国会の審議は必要ない、こうなってしまって、そのために安易な経営姿勢を生んでいると私は思うのです。むだ遣いがあって毎年会計検査院から不当事項を指摘されているのですね。大井埠埠頭の問題なんか、千二百億円も過剰の設備投資をして指摘をされておりますし、御当地の岡多線にしても、今度廃止の対象になっておりますけれども、これもトヨタ自動車の要請で五百億も六百億もかけてつくった。それが今度十年足らずでもって廃止されてしまうという結果になるのですが、これはCD線として建設されておりますので、廃止された後までも一年間に十六億円ずつ二十年間も鉄建公団に借料を払わなければならない、こういう問題が全部運賃におっかぶせられてくる。その上に、今度はこの法案が通りまして第三セクターでやるということになりますと、これは五〇%未満の運賃の値上げになります。バスに転換をする、これは国鉄よりもはるかに高いことは永縄さんが非常に詳細に陳述なさいました。たとえばきのうわれわれが見てきた樽見線の問題でも、永縄さんがちゃんと出しておられますが、通勤定期、通学定期ははるかに高くなるわけです。  こういうことについて、足を確保するのだと言いながらも、実際には非常に大きな負担をしなければそういう足の確保ができないという状況になるわけですが、この点についての長沼さんのお考えをもう一度聞かしてください。
  143. 長沼てる子

    ○長沼てる子君 先ほども申し上げましたけれども、国鉄というのは国民の足を守るという至上命令があるわけでございます。赤字だからそれを切り捨てて第三セクターに、またバス路線に切りかえる、そうすれば目に見えて運賃が上がることはわかり切っていますね。だから、いまお話しになったように、鉄建公団に何億もの金を長年にわたって返さなければならないという状態の中では、こういった路線は切り捨てていただきたくない、やはり国鉄でもって経営していただきたいということでございます。
  144. 三浦久

    ○三浦(久)委員 また長沼さんにもう一点だけお尋ねしたいのです。  社会党の修正案に賛成だとおっしゃったのですが、きのう私たち樽見線を見てさましたら、美濃神海と樽見間はいま建設中なんです。これはAB線です。ところが、社会党の考え方は、修正案の中では、現在建設しているAB線については、開通した後に特定地方交通線になると見込まれるような路線は一切工事は認めない。ですから、美濃神海と樽見間の工事も認めない、工事認可はその効力を失うということになっている。失ってしまうのですから、第三セクターとしても残らないし、結局ぶつ壊してしまうよりしようがないということになるわけですが、そういうように美濃神海と樽見間の建設ができなくなるということについては、長沼さんはどのようにお考えになっていらっしゃるでしょうか。
  145. 長沼てる子

    ○長沼てる子君 私もさっき申し上げたことの中に不備な点もあったかと思います。いまの御発言のように、第三セクターに切りかえることのできるような線路はつくらないのだということ、そのつくらないという意味は、やはり運賃に影響するという意味でつくらせないというのではないでしょうか。この点をはっきりしていただきたいと思います。
  146. 三浦久

    ○三浦(久)委員 いえ、国鉄の財政に悪い影響を与えるから工事認可はその効力を失うというわけですね。結局はつくらせないというお考えなんです。では、結構でございます。  では、小山さんに法律問題でちょっとお尋ねしたいのですが、時間がありませんので簡単に申し述べます。  政令で定める基準が八条一項にございますけれども、その政令で八千人とか四千人とかいう基準を決めていくわけですが、そのほかに線路の終点と起点というものまで政令で決めるというのが政府の考え方でございます。そうなりますと、たとえば御当地の大垣の駅からいま申し上げました美濃神海までの間の樽見線は地方交通線。ところが、美濃赤坂に行っている線がございますね。これは大垣から出ておりますけれども東海道本線になっているのです。そういたしますと、美濃赤坂に行くあの線の方が乗車密度は大変低くて、樽見線の方がたくさん乗っていると思います。同じような枝線であっても乗車密度が高いものが切り捨てられて、少ないものが残ってしまうということになるわけですね。こういう不合理をどうするのかということなんですけれども、政府の考え方によりますと、自分が政令を定めるときにそれを合理的に改めるというわけです。そうしますと、いままで東海道本線で入っておった美濃赤坂まで行く線も、東海道本線から外してしまうと切り捨てられてしまうことになるのですね。逆に樽見線を東海道本線の一部だというふうに規定すれば、それで残ってしまう。ですから、枝線の場合には、さあ切るも残すも自由自在という結果になるわけですね。これは法律が政令に委任している事項をはるかに超えているので、結局切るも残すも政府の政令次第、こういう結果になっているのじゃないかと思うのですけれども、こういう点についてはどのようにお考えですか。
  147. 小山斉

    ○小山斉君 なかなかむずかしい御質問ですけれども、とにかく法律が政令に委任する、それは条件なしで委任する場合もありましょうし、条件をつけて委任する場合もあるでしょう。本件の場合には法律によって委任するのだけれども、その決め方についてしかるべき条項をつけて委任するという方法もありましょう。また政令をつくる前にそれなりの諮問委員会の意見を尊重して決めるという方法もありましょう。いろいろ工夫すればできないことはないと思います。
  148. 加藤六月

    ○加藤座長 次に、中馬弘毅君。
  149. 中馬弘毅

    ○中馬委員 皆様方、どうも御苦労さまでございます。新自由クラブの中馬弘毅でございます。  国鉄の再建の問題ですけれども、国鉄が三十九年に赤字を出してから、再建計画というのは四回ぐらいできているのです。しかし、その都度計画が実行できなかったということなんです。われわれも今回のこの法案で国鉄がすっきり再建できるとは思っておりません。いままでの計画は小手先的なことが非常に多かったのです。しかし、国鉄の再建というものは、抜本的に経営形態までも含めて変えていかなければだめだと私どもは認識いたしております。今回の場合はその一つの突破口になるという認識のもとにこの法案を評価しておるわけでございますけれども、この経営形態ということを皆さん方一言ずつはお話しになったようであります。  まず、長沼さんにお尋ねいたしますが、国営化したらどうだというお話がございました。しかし、私の考えですと、たとえば電力、ガスといったものでも、あれがちょうど国鉄と同じように日本全体が一体となった一つの企業体であったとしたら、果たしていまのように安く順調に供給されておったかどうか、非常に疑問に思うのです。塩野谷さんでしたか、四十数万人という単一のあの大きな企業体というものが果たしていいのかどうか疑問に思うという御意見もございました。それで、長沼さんは国有化ということをどうお考えになりますか。それが効率がよく、そして国民に負担なく安く供給できるか。場合によっては、国有化でしたら値段は政策ですから幾らでも安くできるのですけれども、結局はそれは税金という別の形で負担になるわけですね。その点に対してどうお考えでございますか。
  150. 長沼てる子

    ○長沼てる子君 それはもちろん税金で賄われることはわかりますけれども、いまのように公共企業体である場合は市中銀行から借り入れなければならないということがございますね。いま利息につきましても、一日十何億円という利息を払わなければならない。それが雪だるまになって赤字が膨大になっていく。そういうことが国営によって緩和されるのではないかという感じから私は申し上げました。昭和二十四年まではたしか国営だったと思いますね。それがアメリカの指示によって公共企業体になったということを聞いております。
  151. 中馬弘毅

    ○中馬委員 ありがとうございました。  社会主義圏の国々でも、そういった全くの大福帳的な国有化は効率が悪いということで、利潤動機を織り込んで、それぞれが責任体制を持たせたいわゆる独立採算的な企業形態にしていこうとしているのが現状じゃないかと私は思うようなことでもございます。  その点に対して、塩野谷さん、いかがお考えでございましょうか。
  152. 塩野谷格

    ○塩野谷格君 私は、もともと国がやる仕事はまことに能率が悪いものだと考えております。しかし、われわれ人間でありますので、そこに企業努力をするという知恵を働かすべきだと思うのです。法律があって国有化された組織であるから、あるいは公社であるから、公共性だけを追求していればいいという考え方では成り立たないと私は思っております。能率が悪くてもいいのだということは、法案のどこにも書いてないと思うのです。ですから、国鉄のような組織の中でも、なるたけ民間の持つ創意、そういうクリエーティブな考え方を導入するような組織にならなければならないと思いますし、また、先ほども人数が大き過ぎると申し上げましたが、今日の時代ではとても責任の持てないような状況で管理能力が問われているということでございますので、私は、国有化されたいろいろの企業を諸外国で見ましても決してよくなっていないケースが多いということも参考になると思っております。
  153. 中馬弘毅

    ○中馬委員 どうもありがとうございました。  今度の法案はときどき誤解があるようでございまして、何か線路を引っぱがして陸の孤島にしてしまうのだというような反対の意見があるようですね。この間もある方々の陳情を聞いておりますとそういうようなお話でしたから、ちょっと誤解があるのじゃないかと思うのです。これは先ほどお話がございましたように、要するに鉄道というものから、それぞれの交通機関の特性を生かしてバスの方にかえていこうとしているわけでございまして、バスでなくても、場合によっては第三セクターでもう少し効率のいい鉄道の運営をしていただいても結構なわけでございまして、そのようにかえていくことも一つあるわけです。バスはバスの部門でそれぞれまた考えてやっていく。停留所の数も多くなるかもしれませんし、また本数も二時間に一本、一時間に一本という形じゃなくて、三十分ごとに走る、十五分ごとに走るということもそれぞれの自治体の方々や地域の方々が研究されればできるわけでございますから、そういう面に関しまして、企業経営に直接タッチされております永縄さんにお伺いいたします。  先ほどの経営形態等も含めて、大きな会社でもそれぞれ事業部に分けたりあるいは別会社にしたりして効率よく図ってやっておられるわけでありますけれども、そういう点は国鉄のいまのあり方に対してどうお考えになっておられるか、そして、どのような方策がいいか、ちょっと御意見をお聞かせ願いたいと思います。
  154. 永縄悦司

    ○永縄悦司君 問題が大きいのでちょっと即答をいたしかねますけれども、職員が四十二万人という企業体を一本にまとめて管理し、経営していくというのは大変なことだろうと思います。私どもの関係で申し上げますと、やはり関係会社を六十幾つ分けて、それぞれの特徴ある業務に分けているところもたくさんあります。そういった意味でいきますと、ある程度そういったお考え方も正しいかとは存じます。  ただ、先ほどからおっしゃっていますように、公共企業体として、福祉だとか地方開発だとか、そういうことについて国鉄が要求され、しかもその開発費は、先ほど申し上げたように、全部自前である。そういったところに、片や要求はするけれども負担はおまえ持ちだぞという形では、国鉄としてはどうしても成り立っていかないであろう。やはりそういったところも、公共福祉を要求するのであれば、それ相応の国としての負担を考えるべきであるし、それから過疎地に住んでおるというのも、悪く言えば一つの宿命かとも思うのです。モータリゼーションが発達しまして、商店街なんかの場合、あちらがつぶれたりこちらがすごくはやったりということでもめている場合もありますけれども、それもやはり一つの宿命だと思って、それ相応な対応が必要だと思うのです。
  155. 中馬弘毅

    ○中馬委員 実は名越町長にお伺いしたがったのですが、フランスの事例なんかをお述べになったのはどなたでしたか、塩野谷さんでございましたですか。この間、運輸委員会での公述人の御意見をお聞きしているときに、いまの国鉄の地方ローカル線であっても、たとえば踏切ごとにとめてみたり、あるいはもう少し小さな車両で動かしたり、その方はミニカーとおっしゃっておりましたけれども、そういうものをもう少し開発してでも地域の人たちの利便を図ったらどうだということをおっしゃっておったのです。しかし、国鉄は、そのことを自分たちが提言しても、どうしてもやってくれない。これは当然だと思うのです。先ほど言いましたように、あのようなばかでかい組織でそのような末端の声が反映されるわけもないのですから、むしろそれぞれの地域で、第三セクターでも何でも結構ですけれども、たとえばいまの線路敷そのものを利用してでもそういうことができるということを、ある自動車メーカーの技術者が言っておりました。そのような自動車のようなものであの国鉄の線路の上を走らせて、地域の利便に沿うようにあっちこっちとめてくれるようなものが簡単にできるのだというような話も聞いております。  フランスで大分ローカル線をはがしているというようなお話もございましたが、そういうことに関連して、実は名越さんにそういうことも考えたらどうだということをお聞きしたがったのですが、塩野谷さんに、かわってでもお答えいただけたらと思います。
  156. 塩野谷格

    ○塩野谷格君 私、フランスへたびたび行きますが、今度行ったときに、新しいフランスの新幹線をちょっと拝見してきました。パリーリヨン間の四百二十五キロを時速二百六十キロで二時間で走るという新幹線でありますが、陸のコンコルド、こういうふうに言われております。私は時間の関係で乗れませんでしたけれども、拝見したところですと、軌道のゲージが千四百三十五ミリですね。ですから、日本の新幹線と同じものです。在来線のゲージとも同じでございます。ですから、日本と違うのですけれども、昔の線路を使いながらこういう新しい時速二百六十キロの新幹線を走らせることができる、こういうことでございまして、日本の在来線はゲージが狭いですからこういうような新幹線ができるかどうか疑問だと思いますが、新しい技術を使ってこういうような技術革新を行っていくということは、私は必要じゃないかと思っております。ただ、ミニカーがいいかどうか、私は技術的にはよくわかりませんが、新幹線をお引きになるというような計画の前に、もう少し在来線の路線の整備、つまり地方線なんかはずいぶん曲線が多いですね。ああいうところをもっとスピードの出るような直線化を図っていくというようなことで、従来の財産を生かしながら新しい時代に対応するという工夫もあるのではないかと思っております。フランスは、そういうふうに在来線の線路を使って新幹線を走らせている、こういうことでございます。
  157. 中馬弘毅

    ○中馬委員 浪川さんにお伺いしたいと思います。  先ほど、バス転換してかえって地域の人々に喜ばれている、利便になっているというような事例の御報告もございましたが、また同時に、民営移管論もお述べになったようでございます。そういう点に関して、いままでの話の推移等もあわせて、地域の人たちがむしろ二時間に一本しか走らないようなローカル線よりもバスにしてよかったなといったように国鉄もしなければいけないと思うのですが、そういう点も含めてひとつ御意見をいただきたいと思います。
  158. 浪川正己

    ○浪川正己君 先ほど、路線にかえてバス運行をして地域において喜ばれていると申しましたのですが、やはりいろいろケース・バイ・ケースだと思うのですね。ですから、これは成功した一例だと思うのですが、当然に国鉄の場合ですと、それぞれとまる区間もある程度距離が必要でしょうし、小回りがきかない。そういう点において、バス路線にいたしますと、それぞれの利用あるいは通勤、通学というような面についても、至近な距離に停車ができる。こういう点において画一的にこういうような方法が成功するとは思いませんけれども、ケース・バイ・ケースでその地域の実情に即応するような体制ということが必要じゃないか。  ですから、この地方交通線の問題につきましては、地域の利益というものを直ちに無視できないわけでございますので、いろいろ路線に即応する道路があるかどうかというようなことを勘案しなければならぬし、また場合によっては冬季積雪があって道路を通行し得ないというようなことで、しかも住民の足が必要だという場合については、やはり社会的な要請として従来の運行をしなければならぬ場合もあるのではないかというように思うわけです。そういう点において、この問題については、一応基準はございますけれども、きめの細かい対応を国鉄に要望したいというふうに思っております。  以上です。
  159. 中馬弘毅

    ○中馬委員 どうもありがとうございました。  時間が参りましたので、終わります。
  160. 加藤六月

    ○加藤座長 井岡大治君。
  161. 井岡大治

    ○井岡委員 社会党の井岡ですけれども、大方の皆さんから各方面にわたってお聞きしておりましたので、私は一間だけ浪川公述人にお尋ねをいたしたいと思います。  いまのお尋ねの中で、地域地域において国鉄は配慮をしろ、こういうお話でございましたから、私は大方それで尽きておると思うのですけれども、特別地方交通線を残していただきたいというその御要望の中に一番大きく出ておるのは通学の問題なんです。  実は、きのうも私たち樽見線を視察をさせていただきました。帰りにたまたま高校の学生さんが乗ったわけですけれども、そこの学校の生徒数は千人、こういうことでした。それで、学生さんのお話ですが、あなた方大垣からここに何ぼぐらい通っておいでですか、こう質問いたしましたところ、大体クラス五十二人だ、こう言っておりました。そして、八クラスある、こういう話でしたから、約四百人ですが、そのうちの三分の一は大垣から通っています、こういうお話でした。  これは帰るときはいいのです。ところが、朝行くときは、学校が八時半なら八時半ですから、だっと乗るわけですね。そうすると、いまのバスは大体五十二人、補助いすを入れて六十人です。あれをああいうのではなくて長目のいすにしまして、バスが大きく乗れるようにして、八十五人、これはもうけつから押さなければ乗れないのがバスの事情です。そういたしますと、三割から三割四分、五分、こういうことですから、三百五十人から四百人の生徒を運ぶには五台なり六台、一時に出さなければいかぬわけです。そうしないと学校の始業時間に間に合わないわけですね。  第三セクターでやったらいいじゃないか、こういう意見があるわけです。国鉄はそう答えているわけです。ところが、現実に通学だけのために第三セクターをやり得るのかどうか。こういうことを考えると、私は単に第三セクターでやれとかあるいはバスでやれとか、こう言ってみても、これは口頭禅であって現実の問題ではない、こういうように思うわけですが、この点について何か御参考になる御意見をお聞かせいただきたいと思います。
  162. 浪川正己

    ○浪川正己君 私も教育に従事する者として、こういう存廃について、特に通学の学生のことを思うと非常に胸が痛むわけでありますけれども、当面のあれとちょっとあるいは違うかと思いますが、実例として、私の大学はいま愛知郡日進町、ちょうど名古屋市と接するところに、ございます。東名高速道路のすぐわきなんですけれども、交通線としては現在地下鉄が藤ケ丘というところで、学校まで約六キロ余りありますけれども、学生は現在一万二千人おります。ですから、当然にその地下鉄の最終地点から学校まで六キロの間歩くのは大変なんですね。したがって、どうするかということで、現在は名鉄バスによる輸送をしているわけでございますけれども、一万二千人のうち三、四千は自家用車あるいはモーターバイク等を利用しています。その余の者については、周辺からも下宿が近い者は通っておりますけれども、約三割はバスを利用して学校に来る、こういう状態です。学校としては、やはり時間帯が、大体九時二十分から始まりますけれども、九時前後についてはもうぐっと収容できるような形のバスを並べまして、名鉄にお願いして運んでいるというのが実情です。  ですから、バスで輸送というのは、大量に輸送する点においては確かになかなかむずかしいものがありますけれども、愛知学院大学の場合は、一応バスのピストン輸送で学校まで通学せしめている。その中間地帯はその本数を減らすということですね。そういうことで、多様なバスのサイクルをしている実情でございます。ですから、できる限りは国鉄の持っている大量的に、一気に、省エネルギー的に運べるという特性も生かして、そういう問題に国鉄さんも対応していただきたいと思います。  以上です。
  163. 加藤六月

    ○加藤座長 これにて質疑は終わりました。  この際、一言ごあいさつを申し上げます。  意見陳述者の方々におかれましては、長時間にわたり貴重な御意見をお述べいただき、まことにありがとうございました。拝聴いたしました御意見は、本法案の審査に資するところきわめて大なるものがあると信じます。厚く御礼を申し上げます。  また、この会議開催のため格段の御協力をいただきました関係各位に対しまして、深甚の謝意を表する次第であります。  それでは、これにて散会いたします。     午後一時五十九分散会