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1980-10-21 第93回国会 衆議院 商工委員会 2号 公式Web版

  1. 昭和五十五年十月二十一日(火曜日)     午前十時三十三分開議  出席委員    委員長 野中 英二君    理事 梶山 静六君 理事 辻  英雄君    理事 原田昇左右君 理事 渡部 恒三君    理事 後藤  茂君 理事 清水  勇君    理事 北側 義一君 理事 宮田 早苗君       天野 公義君    植竹 繁雄君       浦野 烋興君    奥田 幹生君       粕谷  茂君    島村 宜伸君       田原  隆君    橋口  隆君       鳩山 邦夫君    林  義郎君       水平 豊彦君    粟山  明君       森   清君    城地 豊司君       藤田 高敏君    水田  稔君       渡辺 三郎君    長田 武士君       武田 一夫君    渡辺  貢君       伊藤 公介君    阿部 昭吾君  出席国務大臣         通商産業大臣  田中 六助君         国 務 大 臣         (経済企画庁長         官)      河本 敏夫君  出席政府委員         公正取引委員会         委員長     橋口  收君         経済企画庁調整         局長      井川  博君         経済企画庁物価         局長      藤井 直樹君         経済企画庁物価         局審議官    齋藤 成雄君         通商産業省通商         政策局長    藤原 一郎君         通商産業省通商         政策局次長   真野  温君         通商産業省産業         政策局長    宮本 四郎君         通商産業省基礎         産業局長    小松 国男君         通商産業省機械         情報産業局長  栗原 昭平君         工業技術院長  石坂 誠一君         資源エネルギー         庁長官     森山 信吾君         資源エネルギー         庁石油部長   志賀  学君         資源エネルギー         庁公益事業部長 石井 賢吾君         中小企業庁長官 児玉 清隆君  委員外の出席者         商工委員会調査         室長      中西 申一君     ――――――――――――― 十月十八日  地域別電気料金制度の導入に関する請願(渡部  恒三君紹介)(第二〇四号)  灯油の価格抑制等に関する請願(池端清一君紹  介)(第二二四号)  同(岩佐恵美君紹介)(第三八二号)  異常気象による中小企業対策に関する請願(逢  沢英雄君紹介)(第三八一号) は本委員会に付託された。     ――――――――――――― 本日の会議に付した案件  通商産業の基本施策に関する件  経済の計画及び総合調整に関する件  私的独占の禁止及び公正取引に関する件      ――――◇―――――
  2. 野中英二

    ○野中委員長 これより会議を開きます。  通商産業の基本施策に関する件、経済の計画及び総合調整に関する件並びに私的独占の禁止及び公正取引に関する件について調査を進めます。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。原田昇左右君。
  3. 原田昇左右

    ○原田(昇)委員 先般両大臣の御発言を伺ったわけでございますが、わが国経済を取り巻く内外の環境の厳しい現在、激動する諸情勢を十分に把握して、発生する諸問題に対しては機敏かつ適確な対応と民間活力の最大限の発揮を基本として経済運営を行うという自信にあふれたまことに心強い両大臣の所信を伺いまして、大いに意を強うした次第でございます。さきの総選挙でわが党が安定多数を確保し、政治の安定が図られました現在、経済の面におきましても果断かつ迅速な決断を行い、国民の期待に十分こたえる政策の展開を図ってまいらなければならないと思います。このような観点から、両大臣に当面の重要課題について御質問申し上げます。  まず景気動向についてでございます。  両大臣は所信の中で、最近の景気は総じて増勢鈍化の傾向にあるとか、かげりが見られるとか控え目な表現をしておられます。しかし、現実は冷たい夏の影響も加わってもっと厳しい状況にあると考えられます。たとえば倒産件数は九月に千六百件を記録し、危機ラインをはるかにオーバーしております。鉱工業生産も八月は前月比四・五%減少し、過去最大の落ち込みを見せまして減産が続いております。出荷も四・九%と大幅に減少し、在庫も依然として調整が進んでおりません。特に中小企業には景気後退の色が濃くあらわれておるのであります。このような状況を両大臣はどのように認識しておられるか、簡単にお伺いをしたいと存じます。
  4. 田中六助

    ○田中(六)国務大臣 原田委員御指摘のように、中小企業の倒産件数は九月で負債額一千万円以上が千六百四件あるいは七件、それから鉱工業生産の生産、出荷、在庫、こういうのをながめましても景気の動向にかげりが深く影を落としておるという判断は成り立つと思います。したがって、これに対する対策というものを私どもは考えねばなりません。しかし一方物価の面を考えますときに、卸売物価、消費者物価とも、消費者物価は前年同月に比べると八%台を続けておりますし、まあまあとはいえ、これも警戒しなければならないというような非常にむずかしい情勢でございます。したがって、政府も物価と景気の両にらみという政策を堅持しておるわけでございますけれども、景気が冷え込んでしまってどうにもならないということになりますとそれに対するエネルギーの使い方も深く、強くなければならない。転ばぬ先のつえと申しますか、そういう面から考えましてもこれに対する対策、対処というものは早目にやらなければならない。まさしく原田委員御指摘のように、倒産件数一つとっても異常でございます。御承知のように例年だったら三月ごろがピークで後はある程度の線で終始しておりますけれども、月ごとにふえるということは確かに異常でございますので、これが対策に万全を期さなければなりません。  公定歩合につきましては私どもの所管ではございませんのでこれを云々することは避けなければなりませんけれども、そういう金融の面からの措置、大きくは公定歩合が言われますけれども、政府三機関に対する処置もそれぞれ中小企業庁長官名で通達も出しておりますし、これからも十分ウォッチしていかなければならない状況でございまして、私どもはそういう金融の面からも万全の措置をとる、倒産対策あるいは下請企業に対する大企業の支払い遅延防止というようなこと、そういうような面を十分考えつつこれからもまいらなければならないというふうに考えております。
  5. 河本敏夫

    ○河本国務大臣 いま御質問で、現在の景気の状態を分析されまして暗い面が相当見え始めておる、こういうお話がございましたが、そのとおりでございます。私どもが特に心配をいたしておりますのは個人消費が伸び悩んでおるということが一つでございます。それからもう一つは、住宅投資が非常に落ち込んでおる。計画よりも二割近く落ち込んでおる、こういうことでございまして、この二つが景気の足を非常に大きく引っ張っておると思います。一方で設備投資であるとか輸出の方はまだ比較的いい数字が出ております。でありますから現在の日本の経済の状態は明暗が入りまじっておる、こういう感じだと思います。しかし総じて申し上げますと、先ほど御指摘がございましたように、倒産も昨年に比べましてざっと二割見当ふえておりますし、一番の基幹産業であります鉄鋼の生産など見ましてもやはり昨年に比べて一割落ち込んでおる、こういうことから判断をいたしますと、景気動向には相当警戒すべき動きが見られる、このように判断をいたしております。  そこで、先月五日総合対策を立てまして、これまでは景気はほっておいても大丈夫だ、物価が心配だということで物価中心の政策を進めてまいりましたが、これからは物価ももちろん引き続いて注意しなければなりませんが、同時に景気の方に対しても相当しっかりした配慮が必要である、こういう政策を進めることにいたしたのでございます。現在は先月決めました政策がどのように進んでいきますか、その効果を見守っておるところでございまして、この動きいかんによりましてはまた適当な判断も必要か、このように考えておるところでございます。
  6. 原田昇左右

    ○原田(昇)委員 いま両大臣のお話を承っておりますと、景気について相当深刻だということを認識しておられる反面、やはり物価に対する警戒ということを考えておられるようでございます。まことにごもっともではございますけれども、私は、物価については円高傾向も加わりましてすでに、九月はたまたま野菜等の値上がりで消費者物価が上がったわけでございますが、一般的には落ち着き傾向が定着してきておる、卸売物価も急速に下がってきておるのが次第に消費者物価へ反映してくるのではないか。そして、年度見通し六・四%、政府の目標である六・四%程度に抑えることは、河本大臣の所信にもございましたように最大限の努力を払うということでございましたから、それを前提にすれば不可能ではないと思うわけでございます。  一方、GNPの伸びは四-六の伸びは年率にすると二・五%、七-九も停滞ぎみで推移しておることは確実でありますから、これはまだ発表になっておりませんけれども、恐らく二・五%いってないんじゃないかと思います。そうすると、五十五年度政府見通しの四・八%を達成するには下期かなり大き目の成長率を実現しなければならぬ、この点について政府の見通しは私は若干甘いんじゃないかと思うのです。特にこの前の景気対策でその効果を見なければならぬというお話でございますけれども、この前の景気対策一つとりましても、先ほどの中小企業の倒産、あるいは中小企業の困難な状況というのはあの程度の公定歩合の引き下げではほとんど影響ない。さらに住宅着工件数もいま河本大臣のお話のとおり二割も下がってきておる。さらに公共事業の三割増というのも、十-十二月で見ますと、昨年の公共事業の消化率といいますか、遂行率よりは三割増しても少ない。結局われわれとしては国会で決めた予算を使い切らないままに、去年よりはふところへためてまだ模様を見ておる。両にらみで行こう、こういう政策のために、少しその辺が景気に対して迅速果敢な手を打たなければならぬということからいうとなまぬるいのじゃないか、もう景気重視の運営方針へと転換する条件が整ってきておるのじゃないかと私は思います。  さらに、円相場につきましても、国際収支はオイルマネーを中心とする対日投資の増加とか、経常収支の黒字へ転換することによりまして円高基調になってきておりますから、金融面からいっても引き締めの理由の一つは消えたことになってきております。こういうことを考えますと、第二弾の景気対策をどうしてもいま迅速にやらなければならぬということになるのではないか。  以上につきまして、河本大臣の御見解をお願いします。
  7. 河本敏夫

    ○河本国務大臣 九月五日の対策で、公共事業を昨年の第三・四半期に比べまして三割増加いたしましょうということを決めましたが、これは上半期、公共事業の執行が非常におくれておりましたので、予算の枠の中でおくれた分を若干取り戻そう、こういう趣旨でございます。三割と申しましても、中央関係の分だけを申し上げますと七、八千億見当でございますから、そんなに大きな金額ではございません。先ほど住宅が年間を通じて二割近く落ち込みつつあるということを申し上げましたが、この落ち込みで帳消しになってしまっておるというのが現状でございます。したがいまして、この九月五日の対策にも金融政策を機動的に運営する、こういうことを正式に決めておりますが、この意味は、現在の金利水準が景気の足を相当引っ張っておる、だからできるだけ機敏に客観情勢を見ながらもう少し下げていくという方向に持っていくべきであるという趣旨でございます。幸いに国際収支も好転をしておりますし、円の方も八月の公定歩合の引き下げでどうかと心配しておりましたけれども、逆に高くなっておる、こういう状態でございます。また、卸売物価は相当大幅に下がりつつございますし、消費者物価の方も野菜の需給関係が安定してまいりましたのでこれからは相当下がっていくのではないか、こういう感じをいま持っております。そういたしますと、金融情勢を機動的に運営するというその前提条件、客観情勢はだんだんと整いつつあるように思いますので、そういうことを背景にいま日本銀行ではどのような政策をとったらいいのかということについていろいろ検討しておられる、それに私どもは期待をしておるところでございます。
  8. 原田昇左右

    ○原田(昇)委員 大変前向きな御答弁をいただきまして、評価いたします。  私は、第一次の八月に行われた公定歩合引き下げ後も景気の冷え込みはますます厳しくなってきておるという現状において、早期に第二次の引き下げを、環境も整ってきておるという御認識でございますので、時期を失せず効果的な幅の引き下げを行うべきではないか、この点を御提案申し上げます。また、住宅着工数が著しく低いという点につきましては、住宅ローンの金利を下げるというだけではカバーできない。その点は住宅公庫の融資比率を上げるとか何か、どうせ住宅公庫の予算は余っておるわけですから、少しそういう手も打ったらどうか。それから公共事業につきましては、第一次の景気対策では三割増ということになっておりますが、ことしの十二月の目標を見ますと、遂行率において昨年よりは下回っておる。これでは景気対策としては弱いのではないか。もう少し追加をして、当初予算はあるわけですから遂行率を上げていただきたい。以上の三点について特にお願いしておきます。河本大臣、いかがでございますか。
  9. 河本敏夫

    ○河本国務大臣 公共事業の遂行率につきましては、いま御指摘がございましたが、三割増で進めてまいりましてもこの第三・四半期の終わりでは七八・九%という数字でございまして、例年に比べますとなお低い水準にあることは事実でございます。そこで、まだ約二〇%前後の量が残っておりますので、この取り扱いをどうするかということでございますが、これは来月の下旬にはいろいろな経済指標が集まってまいりますので、そのときに関係各省が集まりまして相談をするということにしたらいかがであろうか、このようにいま考えておるところでございます。  それから、住宅につきましても御提言がございましたが、住宅投資の落ち込んでおります背景は、第一は、土地の値段が急上昇しておりまして、手に入りにくくなっておるということが一つでございます。それから第二は、金利水準が相当高くなっておる、こういうことが足を引っ張っておると思います。住宅公庫から貸し出します一部は五%台の低い水準でございますけれども、一部については相当高くなっておるのです。それからまた民間の住宅金利は御案内のように非常に高くなっておる、こういうことで家を建てる人の負担が全体として非常に重くなっております。それからまた、建設費も相当上がっておる、所得は思うように伸びない、こういう幾つかの要素が複合いたしまして先ほど申し上げましたような状態になっておりまして、一つだけの問題を解決いたしましてもなかなかこれはふえない、こういう感じがいたします。しかし、住宅投資というのは景気対策上非常に大きな要素でもございますので、柱でもございますので、この点につきましては、やはり私は単に国土庁や建設省だけの問題ではなく、政府全体としてこれに積極的に取り組んでいくということが非常に大事であろうか、このように考えております。  それから公定歩合につきましては、これは日本銀行がすべておやりになることでございますが、景気対策という面から考えますと、御案内のように昨年は四月、七月、十一月と三回引き上げが行われまして、ことしの二月、三月にまた二回行われておりますが、ことしの二月、三月引き上げましたその背景は、当時石油の値段その他原材料が急上昇いたしまして、円安等も加わりまして、狂乱物価前夜の状態にあるという政府の判断から、急遽国会開会中であったにもかかわらず二回連続引き上げた、こういう背景がございます。現在物価が安定の方向にいく、もう心配ないという見通しが立てば、私は引き上げ前の状態に一刻も早く戻すということが景気対策上望ましい、このように理解をしておりますが、その辺のことにつきましては日本銀行が総合的にいろいろなことをお考えいただいておると期待をしておるところでございます。
  10. 原田昇左右

    ○原田(昇)委員 河本大臣のきわめて前向きなお話を承って大変心強く感じた次第でございます。ぜひともがんばっていただきたいと思います。  そこで通産大臣にお伺いしたいのでございますが、最近の経常収支並びに資本収支の大幅黒字という問題についてでございますが、今後の景気政策を考えるに当たりまして特に考慮しなければならないのは、欧米諸国から日本は失業の輸出をしておるというような非難をこうむっておるわけでございます。また、OPECの大幅黒字に見合う先進国諸国の赤字はみんなで分担しようじゃないかということが国際世論ではないかと思います。こういったことから、わが国経済が経常収支においても九月から黒字に転じてきた、資本の流入は五月ごろからとうとうと流れてきておる、こういうことからいきますと、どうも黒字国としての国際的な非難を招くというおそれもございます。わが国が積極的な景気政策を展開して、内需を振興することによって国際世論をやわらげていかなければならぬし、また、経済摩擦の問題につきましても、内需振興によってこの摩擦の緩和を図るということも必要ではないかと思うのです。そういう意味からも景気対策をぜひ強力にやっていかなければいかぬと思いますが、これについて通産大臣の御所見を伺いたいと存じます。
  11. 田中六助

    ○田中(六)国務大臣 御指摘のように、経常収支はことしに入って赤字幅が多少改善しつつありますが、これも大幅に改善というところまではいっておりません。結局輸入量が相対的に減っておるという関係から、経常収支の赤字が改善の方向にいっておるというふうに見ていいのではないかというふうに思います。  しからば、こういうような情勢にあってどういうふうに判断するかということでございますけれども、私どもは御承知のように日米間でも自動車の経済摩擦というものがございまして、これも自主規制ではございませんが、各自動車メーカーが自粛ということで、第三・四半期はまあまあ何とかなるのじゃないかという気がいたしております。問題は、対米関係がそろそろそういういい方向にいっておると見ておりますと、それが今度はEC諸国に向かって、自動車の集中豪雨的な輸出ということが問題になっておるわけでございまして、私ども世界貿易の均衡あるいは自由貿易というような観点から、日本の自由主義経済あるいは門戸開放、つまり拡大均衡というような面を強調しなければ貿易立国としての日本も成り立ちませんので、世界にそういう集中豪雨的な輸出ということがないように、ひいては世界がそれぞれ保護主義貿易に転換しないような警戒といいますか、そういうことは考えていかなければなりません。したがって、各国に輸入ミッションといいますか、いろいろ各ミッションを派遣していくということ、あるいはよその国から輸出ミッションをこちらに受け入れるというようなことで輸出入のバランスを考える。インバランスのところをできるだけバランスを考えていくという態勢はとらなければならない。したがって、そういうような一つの政策観点から考えますと、やはり日本の国内の情勢におきましても、物価と景気の両にらみと申しましても、御指摘のように、景気を刺激して外国の品物をたくさん日本に輸入するということも大きな方策であり、ひいては国内経済問題あるいは国際的な経済問題を解決する一石二鳥になり得ることは理論上当然でございます。したがって、そういうような政策の推進は、経済協力を含めてやらなければならない大きな政策ではないかというふうに考えます。
  12. 原田昇左右

    ○原田(昇)委員 それでは、次にエネルギーの問題についてお伺いいたします。  エネルギーの安定供給の確保というのは、わが国にとって最重要課題であることは申すまでもないわけでございまして、通産大臣も所信の中でるるエネルギー安全保障の確立についてお話がございました。  そこで、エネルギー供給の長期戦略というものを立てる必要があると思うのですが、政府の総合エネルギー需給見通しは、東京サミットのとき合意されました、日本として五年後に六百三十万バレルの石油輸入がミニマムラインとして可能だということを前提にして行われております。ところが、その後ベネチア・サミットではエネルギーと経済成長とのリンクを断ち切るんだということが合意され、さらにそれを受けてIEAにおける最近の作業を見ますと、石油の輸入量を現在よりふやすことはほとんど困難だというような状況になっておると聞いております。エネルギーの供給を、これから石油輸入の六百三十万バレルを前提にして考えたのではわれわれとしては大変不安ではないか、もっと厳しい石油輸入を前提に考えていかなければならぬのではないか。そうなりますと、大臣の所信で見ますと、十年後に石油輸入の依存度を五〇%に引き下げることを目標にしておられますけれども、五〇%では少し甘いのではないか、こういう情勢から言うともっと引き下げなければいかぬということになるのではないかと思いますけれども、これについて通産大臣の見解を伺います。
  13. 田中六助

    ○田中(六)国務大臣 最近の国際的な石油情勢につきましては、原田委員御指摘のように、東京サミット、ベネチア・サミット、IEAのそういうような理事会の決定、プロセスはまさしくそのとおりでございまして、特にベネチア・サミットでは経済成長とエネルギーの消費というものを切り離すことが大きな命題になっております。それを受けて、わが国も石油代替エネルギー、省エネルギーあるいはエネルギーの安定確保という三つの柱を立てて一つのエネルギー政策を遂行しておるわけでございます。その中で、御指摘のように日本の十年後の石油依存率を五〇%まで下げるということを決めておりまして、それに向かって私どもはエネルギー政策を進めておるわけでございますけれども、原田委員は、それは五〇%でも甘いのじゃないかという御指摘でございます。しかし、私どもは、いま考えております十年後に石油依存率を五〇%にする、後は代替エネルギーあるいは省エネルギーでやるのだということでいろいろな施策を進めております。  来年度予算におきましては、原子力発電所の問題あるいは石炭火力への転換、地熱、太陽熱、そういう代替エネルギーの諸要素に対する予算の獲得、また、省エネルギー、代替エネルギー対策に対する税制の改正あるいは税制の新設というようなこと、つまり金融面からも税制面からもそういうエネルギー対策の急速な促進を図っております。これも、たとえば原子力発電所を例にとりますと、現在日本に二十一基あるわけでございまして、建設中のものが七基、それから準備中のものが七基、計三十五基を予定しておりまして、現在原子力発電所の二十一基で約千五百万キロワット、ちょうど全電力キャパシティーと申しますか、そういう容量の一二%でございますけれども、これを十年後に五千百万キロワットから五千三百万キロワットにする。それがちょうど全電力容量の二二から二三%に当たるわけでございますが、これも、いま私が数字で申し上げておりますように果たしてうまくいくかどうかという疑問がございます。  それから火力発電を石炭に転換するということを申しましても、これも昔石炭火力でございましたが、それが石油が安いということで石油に変わっておるわけでございますけれども、これを今度また石炭に変えるといったときに、灰の捨て場所あるいは石炭の積み場所、そのほかまだ公害の問題とかいうことがございまして、果たして計画どおりいくかということは疑問でございまして、私は、予定の五〇%までおろすことができれば本当にいいな。五〇%以下まで下げるということをいま断定したり予測申し上げるあるいはお約束申し上げるというようなことは困難じゃないか。石油依存率を五〇%まで下げるということに精いっぱい努力する。これは努力目標でございますから、悪くてそれを達成できないかもわからぬ。しかし、うまくすれば下げられるかもわかりませんし、いずれにしてもその目的に向かって私どもは諸政策を進めていくということが、現段階で答え得る私の最大の答えじゃないかというふうに考えます。
  14. 原田昇左右

    ○原田(昇)委員 いま通産大臣から、実行可能な線からいって五〇%が精いっぱいだろうというお話も承ったわけでございます。私は、この問題は民族の死活問題にかかわる、われわれの生活水準を切り下げなければならないかどうかという大変大事な問題だと思うのです。そこで、現実的に石油が入ってこないという場合には大変なことになるのだということをもっともっとPRをし、国民にも認識をしていただき、そして代替エネルギーの原子力、石炭、地熱、太陽熱などのエネルギーの開発を強力に推進していかなければならぬし、同時に省エネルギーも図っていかなくてはならぬということであろうと思います。  そこで、原子力立地の推進につきましてよく一部では危険だとかあるいは立地に反対だとかいうことが出てまいるわけでございますけれども、危険度からいきますと、石炭はわが国の場合地下七百メートルとか八百メートルで掘っておるわけですが、毎年毎年どうも事故が起こって、残念ながら相当数の死者が出てきておる。さらにガスでさえも、みずから命を絶つ方もおられますが、そういった者も含めますと数百名になる死者が出てくるというように、事故が多いわけでございます。原子力においてはいま世界で発電所が一億四千万キロにも達しており、かなり運転しておりますが、一人も死者が出ておらないというようなことからいっても、私は原子力の立地を推進して、これを主力に代替エネルギーの開発を図るということが目下急務ではないかと思うのです。  そういう意味から、立地促進策についていろいろ通産省でも研究しておられると思います。特に立地交付金で公共用施設をつくるだけでなくて、地域振興につながるような維持費も見ようとか、そのほかのことも考えよう、あるいは原子力発電立地地点の住民に対して料金を実質的に割り引くというような政策も来年度の予算にぜひ計上しようという空気になってきたのは大変心強い限りだと思うのですが、こういった点につきまして簡単にエネルギー庁長官から御説明をいただきたいと思います。
  15. 森山信吾

    ○森山(信)政府委員 ただいま原田先生からお話のございましたように、わが国の中長期のエネルギー需給暫定見通しを見ますと、どうしても石油の依存度を極力下げていくということが至上命題になっているわけでございまして、相対的に石油にかわるエネルギーの開発、導入を促進しようというのが政策課題の中心になることは当然でございます。  そこで、私どもが現在考えております政策課題としましては、一つは原子力発電の拡大、一つは石炭利用の増進、もう一つはLNGの増強、こういった三本柱で代替エネルギーの開発に取り組んでいこう、こういう基本的な課題を考えておる次第でございます。もちろん三本柱と申しましても、それだけで石油にかわるエネルギーが十分であるというわけじゃございませんけれども、現段階におきまして経済的にペイをする、つまり大量に生産をして比較的安価に供給できるエネルギー源といたしましては、いま申し上げました三本柱が中心にならざるを得ないということでございます。そのほか、将来にかけていろいろ開発すべきエネルギーの研究開発に取り組む姿勢は当然にやらなくてはいかぬと思いますが、とりあえず低廉にして豊富なマスプロダクションに耐え得るエネルギーの開発は、いま申し上げました三本柱になるのではないかということでございます。  そこで、LNGにいたしましても石炭にいたしましても、それぞれインフラストラクチュアの開発等に注意しながらだんだんと拡大強化しておるわけでございますけれども、原子力に関しましては、何といいましても日本におきましてある種のアレルギーがあることは事実でございますが、先生御案内のとおり、発電コストで見た場合に、石油発電所と原子力発電所の発電コストは原子力の場合が大体半分だということはもう事実が証明しておるわけでございますので、そういった面からいいましても原子力発電所は今後の一番大きな政策課題にならざるを得ないという考え方を持っておるわけでございます。  仮にいまのような状態で発電所の規模が拡大していかないということになりますと、恐らく十年先にはいわゆる供給予備率というものがゼロになっちゃう。御案内のとおり、電力は常に一割近い供給予備率を持っておらないと安定供給できないわけでございますので、そういった観点に立ちますと、ここで相当強力な対策を講じない限りは将来の電力の安定供給に不安を生ずるという段階にまで立ち至っておりますので、いま申し上げております発電コストの安い原子力発電所の増強を相当強烈な施策といたしまして推進する必要があろう、こういうことでございます。そこで、先ほど先生から御紹介のございました五十六年度の予算要求におきまして、原子力発電を中心といたしました立地交付金制度の強化拡充を図りたいということで、四本柱の予算要求をしたところでございます。私どもも精いっぱいがんばりたいと思いますけれども、ぜひ応援をしていただきたい、かように考えておる次第でございます。
  16. 原田昇左右

    ○原田(昇)委員 代替エネルギーとして、そのほか石炭にいたしましても、私この前九州の石炭火力を拝見いたしましたが、硫黄酸化物あるいはNOx等については石油火力よりは低くすることが可能だ、まあばいじんの問題だけが若干上回りますけれども、環境について非常に配慮ができるような石炭火力というものが実現してきておる。さらに地熱開発につきましても、環境との調和ということを考えていけば私は相当やっていけるのじゃないかと思います。こういう点、ぜひひとつ国民にも十分理解していただいて、こうした立地を進めていただけるように今後とも一層努力をしていただきたい。要望しておきます。  それから次に、石油の備蓄につきまして、今度のイラン・イラク戦争のようなことがございますと非常に備蓄が問題になるわけでございます。私どもは三千万キロの備蓄目標を掲げてやれということにしておるのですが、今度のあれでも政府備蓄はわずか七日、そしてしかもこれは船だというわけですね。相当な予算をつけて陸の基地が一向できない、これはやはり何か問題があるのじゃないかと思うのです。ぜひ通産大臣におかれまして備蓄基地の整備について全力を挙げて推進していただきたいと思います。要望しておきます。
  17. 田中六助

    ○田中(六)国務大臣 今回のイラン・イラクの紛争で、もういみじくも私どもも強く経験しているわけでございますけれども、備蓄という問題はわが国にとっての死活の問題でありますし、またIEAの総会や理事会あたりでも各国の備蓄というものを義務づけるという方向に行っておりまして、御指摘のように政府備蓄が百十一日分のうち七日分だということは余りにも少ない。しかもそれがタンカー備蓄であるということも問題でございます。したがって、私どもも大きな責任ということで備蓄法の改正で三千万キロリットルくらいの備蓄、これは日にちにしますと四十三日分くらいに当たるわけでございますが、その備蓄を目指して、たとえばむつ小川原港、あの地域、それから上五島、これは長崎県でございます。福岡県の白島ですか、それから福井臨海、北海道の苫小牧東地区ですか、そういうところを備蓄の地域といたしまして予定しておりまして、すでにむつ小川原ですか、あそこの地区ではもう建設中でございますし、あと二年もすればでき上がりますし、その他の地区につきましても土地の交渉あるいは建設準備というような方向にいって、これからも万全を期さなければならないという政策を進めております。
  18. 原田昇左右

    ○原田(昇)委員 時間がございませんので簡単にひとつ御答弁いただきたいと思います。  八〇年代のわが国経済の姿を考える場合に、わが国経済のエネルギー面での脆弱性を克服すること、それから自主技術開発を推進すること、それから世界経済との調和と貢献を図っていくという三つが必要不可欠であると考えます。こういう要請にこたえて通産省としてどのような産業政策を展開するつもりか、お伺いしたいと存じます。
  19. 宮本四郎

    ○宮本(四)政府委員 ただいま御指摘のように、八〇年代の日本経済の課題の中にはエネルギー面での脆弱性の克服、それから世界経済との調和ある発展、第三といたしまして技術立国というふうなことが必要かと存じます。これらの目的を達成するためには、私どもは七〇年代に始まりました知識集約化の方向、これをより一層固めてまいる。さらに加えますと非常に高い創造性のあります労働と技術とを加えまして高付加価値化を進めたいと考えておるところでございます。ただ、これを実行するに当たりましては企業の自主努力、市場機構というのがベースになるわけでございますが、それらが貫徹しない部分につきましては金融、税制その他の手段をもってこれを誘導することも必要かと考えておる次第でございます。
  20. 原田昇左右

    ○原田(昇)委員 そこで河本大臣にお伺いしたいんですが、いまお伺いしたように、産業構造上の課題を円滑に推進するにはどうしても経済の安定成長というのが不可欠の前提であろうと思います。新経済社会七カ年計画におきまして政府は中長期的な経済成長率として五・五%程度のものを想定しておられるようでございますけれども、エネルギーの制約や財政の制約の中でその達成には大変な困難が予想されると思います。長官としてどういうふうにお考えになっておられるか、この際お伺いしておきたい。
  21. 河本敏夫

    ○河本国務大臣 昨年の八月に昭和五十四年から昭和六十年までの新七カ年計画を決定したわけでございますが、その後イランの動乱を契機として第二次石油危機の影響が深刻になりましたので、昨年の年末若干の手直しをいたしました。これまでは平均五・七%成長を考えておりましたが、若干下げまして五・五%ということにいたしました。それから物価の方もやや高目に置きかえましておおむね五%、こういうことを目標にすることにいたしたのでございます。もっとも毎年の経済事情が若干異なりますので、その年々の事情に応じまして成長目標とか物価目標を設定することにいたしております。五十四年は六%台という高目の成長目標でございますが、五十五年は第二次石油危機の悪い影響が出てくるであろうということで四・八%成長、物価も六・四%に置いておるわけでございます。来年の目標をどうするか、これは十二月に決めることになっておりますが、できるだけ成長五・五%、物価五%という平均の目標を達成するようにいま努力をしておるところでございますが、最終的にはこの数字は十二月に決定する、そういう段取りになっております。  いずれにいたしましてもこの程度の成長をすることによりまして、社会資本の投資を進めまして国民生活を充実していくということ、雇用の安定を図り日本の経済の国際競争力を維持するという日本として安定した成長路線にこれを定着させるということが目標になっておりますので、むずかしい条件は次から次へ起こってまいりますけれども、そういう問題を解決しながらおおむねこの目標とする路線が実現をするように、最大限の努力をすることが政府の責任であろう、このように理解をいたしております。
  22. 原田昇左右

    ○原田(昇)委員 いま河本大臣からお伺いしたわけでございますが、まさに非常に大事な問題でございますので、私もう一つ御指摘しておきたいのは、経済安定成長に持っていくには民間の活力を大いに活用しなければいかぬ。中長期的には供給力を確保するとか生産性を向上するとか、そして同時に省エネルギー、代替エネルギー化の設備投資をやることが大事であると思うのです。このために民間設備投資の健全な伸長が不可欠だと思うのでございますが、通産省として民間設備投資の促進策についてどういうように考えておられるかお伺いしたいと存じます。
  23. 宮本四郎

    ○宮本(四)政府委員 民間設備投資が今後日本の経済成長を安定裏に達成する上におきまして非常に大事であるということには全く同感でございます。ただ、昭和五十三年度後半以降民間設備投資は回復はしてきておりますけれども、現在のところ中小企業等の投資意欲は必ずしも強いとは言えません。大企業は強い面もございますので、実質的には今年度の設備投資の伸長率は、中期的に望ましいと考えられる伸び、たとえば六・九%ということが言われておりますが、これをある程度下回るのではないかという感じがいたします。また、世界的な規模でのエネルギー問題がございますので、国際経済その他に相当不透明感がございまして、投資意欲が萎縮するおそれもないわけではない、こういうふうに考えております。  したがいまして、最初述べましたような民間設備投資を伸長させまして供給力の確保、物価の安定、生産性の向上を図りつつなおかつエネルギーの脱石油を図るためには、私はここにおいて民間の活力を期待すると同時に、ある程度の政策的支援が必要かと存じます。こういう意味におきまして、通産省といたしましては現在総合エネルギー対策推進のために、及び工業の地方分散のために税制を考えておりますし、また金融的な手段でこれを支援することも考えておる次第でございます。
  24. 原田昇左右

    ○原田(昇)委員 民間設備投資の原動力になるのは何といっても技術革新であろうと私は思います。わが国経済のさらにの発展を維持拡大していくにはどうしても技術立国への道を歩まなければならないわけでございまして、これについては通産大臣の所信ではっきり述べられておりまして、私は大変評価する次第でございます。  そこで、その技術革新については、新しい技術先端産業として宇宙産業や情報産業、航空機産業、原子力機器産業、こういった産業の育成強化を図ることは大変大事であり、同時に、九〇年代に開花が期待される次世代産業の確立に必要な基盤技術の開発をやる必要があろうと思います。いままで日本の技術開発に投じました研究費を諸外国と比べてみますと、大体政府が三割、民間が七割ということになっております。諸外国は大体政府、民間一対一というようになっております。したがって、この際、ぜひとも技術革新の最も先導的な技術としての高度な材料とかセンサーとかバイオテクノロジーなどを基盤技術として確立するように通産省としてお考えいただきたいと思いますが、決意のほどをひとつ大臣からお伺いしたいと思います。
  25. 田中六助

    ○田中(六)国務大臣 次世代産業、つまり一九八〇年代もさることながら、一九九〇年代、いずれにしても次世代産業、次の次の産業ということは、日本の国際競争力を強めるという意味でも大きな技術革新が至上命題でございます。御指摘のようにわが国のこういう次世代産業に対する研究費の補助、育成というものは先進諸外国に比べまして非常に劣っております。したがって、私どももエレクトロニクスを中心とする産業に対してはこれから十分援助をやっていかなくちゃいけませんし、官民一体ということで外国の批判も受けるおそれもありますけれども、先進国自身がそういうことをやっておりますし、私どもは研究費の助成、援助、協力ということを十分考えると同時に、競争力をつける方向に政策を持っていきたいと考えます。
  26. 原田昇左右

    ○原田(昇)委員 次に中小企業の問題でございますが、特にことしから来年にかけて通産省として地場産業の振興策についていろいろ研究されておると聞きます。私は、地場産業の振興は大変大事なことだと思いますので、ぜひともこれを推進していただきたい。具体的にどういうようにお考えになっておるか、また中小企業対策として通産省として一番やりたい問題は何かといった点について簡単に一言御答弁いただきたいと思います。
  27. 児玉清隆

    ○児玉(清)政府委員 お答え申し上げます。  従来からやっておりました産地対策の拡充はもとよりでございますが、新しく来年度から地場産業の振興ということで三つぐらいの柱で考えておりまして、一つは、地場産業の振興センターに対する助成ということによりまして、これを起爆力にいたしまして地場産業全体の振興発展を図る、それが第一でございます。第二といたしまして、地場産業の振興ビジョンを作成する。それから第三番目に、地場産業の総合振興事業ということで、これは異業種間の提携関係を含めまして、総合的な需要開拓とか商品開発といったことに対する助成制度を創設する。こういったことについて現在折衝中でございます。
  28. 原田昇左右

    ○原田(昇)委員 時間でございますので、最後に一問申し上げます。  大臣が所信におきまして、対外経済関係として国際的な責務を遂行していくということから、総合的な経済協力を推進される、さらにASEAN諸国を訪問されて四つの基本原則を提案されたことについて私は大変評価するものでございます。わが国の安全保障の上からいっても、経済協力というものを強力に進めることが大変大事なことではないかと思います。さらにこの激動する諸情勢に際しまして、情勢を十分的確に把握して、果断かつ迅速な決断を行って通商産業行政を推進していかれるということでございますので、私も大変心強く感じておる次第でございます。ぜひともこうした線に沿って十分に腕をふるっていただきたいと思います。  最後に静岡のガス事故の問題でございますが、これについてその後いろいろ御検討のことと存じますが、ガス事業法の改正等を含んでどういうように考えておられるか、中間的でも結構でございますが、簡単に御答弁いただきたいと思います。
  29. 石井賢吾

    ○石井政府委員 お答えいたします。  静岡ガス事故以来、地元静岡県あるいは自治省、消防庁等と今後の事故防止のための実態的な協力関係の形成という観点で、現在具体的に諸々の項目について連携方策を検討いたしておる段階でございます。
  30. 原田昇左右

    ○原田(昇)委員 時間でございますので、両大臣の御健闘を祈りまして私の質問を終わります。(拍手)
  31. 野中英二

    ○野中委員長 清水勇君。
  32. 清水勇

    ○清水委員 先週両大臣から所信表明がございましたが、関連をして幾つかの点でお尋ねをし、問題点をただしておきたい、こう思います。  いま与党議員としては珍しく時間を超過してまで熱心な質問をされたわけでございますが、まず最初に私は石油をめぐる情勢とその見通しについてお尋ねをしたいと思います。  われわれの期待に反して今日イラン・イラク戦争はどうも長期化の懸念がある。一面、中東情勢は全般的に心配があり、またさまざまな面で不安定要素が色濃くなりつつあるのではないか。たとえばこの戦争が他の産油国に飛び火をしないという保証もありませんし、イスラエルとアラブの関係はいつどうなるかわからぬ。下手をすると第五次中東戦争の引き金にまたなってくるのではないかというおそれもなしとはしない。かてて加えて、わが国が一番依存度を高くしているサウジにしても、どうも政治情勢に安定感が失われつつあるのではないか、こういったようなことを考えてみますと、とりわけイラン・イラク戦争等を通じて、大臣を中心に通産当局はしばしば安定的供給に何らの不安はない、こういう角度で楽観論を投げかけておられるわけでありますけれども、私は一抹の不安をどうしても禁じ得ない。そこで、まずその辺についての認識を最初に大臣に承りたい。
  33. 田中六助

    ○田中(六)国務大臣 石油、原油、そういう問題についての現状認識は、中長期的には御指摘のようにすべて安心だというような断定はできないのじゃないかというふうに思います。しかし、現状でどうかというふうに聞かれますと、短期的には備蓄がございます。あるいはペルシャ湾のホルムズ海峡は閉鎖されずに通過できます。イラン、イラク両国からの石油輸入はストップしておりますけれども、以上申しましたような態勢でうまくいっておりますというふうに答えているわけで、現状認識はそうでございます。現に灯油なども、十月の値段は私は上がると思いますし、全部が全部中長期的な問題だけじゃなくて、現実の中でもやはり不安情勢はございます。しかし、私どもは、それならば売り惜しみ買いだめの禁止措置をとるとか、いずれにしても国民生活に関連するそういう二法律を発動していろいろやるとかいうようなことまではいっていない。やはり市場機構の自由な機能発揮によって、需要と供給による価格決定でいいのじゃないか。私どもがいろいろな操作をするよりも自然に任せておきたい。幸いに、国民の皆様に要望しております消費量、つまり省エネルギーにいたしましても、七%をことしは目標にしておりますけれども、それがうまくいかせていただいておるというようなことを勘案しまして、余り不安だ不安だと言って危機感をあおるような段階ではないというようなことでございまして、非常な心理的な要素もございますので、非常にむずかしいところではございますが、現実は御安心くださいということを言うのがいまの私どもの立場でございます。
  34. 清水勇

    ○清水委員 政府が国民の心理的パニックを恐れる、冷静な判断を求める、こういう意味で安定的供給には事欠く心配はないのだ、備蓄量も豊富だし、仮に最悪の場合でも短期的に見れば今日の備蓄量の半分も取り崩せば二年ぐらいは心配ないよ、こういうふうに言われる気持ちは理解できないことはないのです。  だがしかし、たとえば、けさの新聞報道にもあるように、IEAの理事会がきょうあるわけですね。ここでは八一年の輸入目標について一五%ぐらい削減せざるを得ないという事務局案が昨日明らかにされている。これがそのとおり進めば、来年度のわが国への供給というものは非常なダメージをさまざまな意味で招かざるを得ない、こういうふうに見ざるを得ません。また加えて、仮にイラン・イラク戦争が早い時期に収拾を見たとしても、現実に製油所などを含めて石油関連施設が相互の爆撃によってかなり破壊をされている。イランのごときは、財政的には増産を必要とするという事情が起こるでありましょうけれども、現実の問題としては生産の復旧には長期の時間を要するのではないか。こういうことなどを思い合わせて考えてみると、当面サウジ等が百万バレル・パー・デーの増産をやる、その他も同調する、こういう動きがあるにしても、現実には非常にシビアな環境になるのじゃないか。したがって、安定的な供給を確保していくためには容易ならざる事態を今日迎えているということを率直に国民に訴え、冷静な判断を求めていく、こういったことが非常に重要な時期ではないかというふうに私は思うのです。通産大臣が心配をされて、いろいろと歯にきぬを着せておっしゃっておられるわけでありますが、きのうの世界の出来事がけさのテレビのニュースにのるというような時代でありますから、やはり真実は真実として明らかにし、その上で万全の対策を進める、こういうことが重要な時期ではないかと思うのでありますが、所信を承りたいと思います。
  35. 田中六助

    ○田中(六)国務大臣 先ほども申し上げましたように、短期的に見ますと御承知のように政府、民間合わせて百十一日分の備蓄がある。それが現実に数日分ふえる可能性がある。それからIEA諸国が平均、二十一カ国でございますけれども、百四十日分の備蓄を持っている。IEAの理事会あるいは総会で決めておりますように相互にこれを調整し合おう、スポット価格につきましても高値買いはよそうぜというようなことで、一応協調体制をとっておりますし、一方、省エネルギーあるいは石油代替エネルギーに対しても、相互に石炭あるいはLNGその他地熱、太陽熱、そういうものの開発促進をやろうというような諸対策をとっております。イランの方は七月からストップしておるわけでございますし、イラクの方も九月二十三日からストップしている。これは御承知のように三十九万バレル・パー・デーでございます。それが全くなくなった。御指摘のように戦争が終わってもオイルの生産は一年あるいは数年かかるという説もございますし、それが全く来なくなるだろうということも考えた上のことで、何年間ぐらいというようなことは言えませんけれども、まあまあ短期的にはいいだろうというふうに考えるわけです。また現実にそういうふうになっておるのです。  御承知のように日本の石油は九九・八%外から来るわけでございまして、IEA諸国もそれぞれお国の事情も家庭の事情も出てくる可能性もございますし、そういう対外的なことに依存してはどうかと思われます。したがって、私も今回また月末から、この前行きましたASEAN諸国の二カ国残っている部分と豪州の石炭の問題、そういうものに行くわけでございますけれども、それが済めばできるだけほかの国々も、中国もメキシコもサウジアラビアも訪ねて、相手のあることでございますのでこちらの思うとおりにはならないかもわかりませんが、国民生活に支障のないように、日本の産業が大きく依存しておるこの問題についてもそう大きな支障のないように努めたいというふうに考えております。清水委員の御指摘のように、おまえ不安がないのかと言われますと、そういう不安については、そういう外国を訪ねて、油ごいというのはいやでございますけれども、一応そういうことを話し合うようにしていきたいというふうに考えるわけでございます。     〔委員長退席、原田(昇)委員長代理着席〕
  36. 清水勇

    ○清水委員 いま短期的な見通しについて指摘をされました。短期的にはおっしゃる方向だと私も見ております。だがしかし、短中期的あるいは中長期的という中期を絡ませた見方で見るとやはり大変な不安がある。新経済社会七カ年計画そのものにもエネルギーの制約という面で重大な影響をもたらさずにはおかないような影響が出る可能性もなしとはしない、こういうことを一つは案ずるわけです。  そこでいま、ASEAN地域に第二次訪問される、インドネシアに行って、いやな言葉だけれども油ごいをするんだと言われる。私は、これはこれで結構だと思います。だがしかし、問題は、今度のイラン・イラク戦争を通じて全体として中東地域の不安定要因が並み並みならないものがあるということはいやというほどわかったわけでありますから、ある意味で安定的な供給を確保するという立場からいけば、どうしてもここで思い切った供給源の多元化あるいは分散化を進めていかざるを得ない。その際に私が一つ指摘しておかざるを得ないのは、たとえば最近中国からの報道等によりますと、御承知のようにわが国の備蓄量がいささかだぶついていて備蓄をするタンクがない、あるいは中国の油は御承知のとおり重質油ですから、そういう面で敬遠をするといったことがあって、全体として契約どおりの引き取りをしていない。引き取り量が減量している。そこで、たとえば中国側では八一年、八二年にわたる対日輸出量の計画を大幅にダウンせざるを得ない。計画によれば八一年は九百五十万トン、八二年は一千五百万トンであるけれども、これをそれぞれ八百三十万トンに割り当て量を減量する、それに見合う生産しかしないということをわが国に通告をしてきていると伝えられている。二面では供給源の分散化という意味でASEAN諸国も回られる、協力を仰ぐ、中南米へもいらっしゃる。これはこれで結構だと思います。だがしかし、現実には中国との関係はいま言ったようなことが真実であるとすれば、これはいささか矛盾をした話であるし、そういうやり方では国際信義にもとるだけではなしにわが国の対外的な信用を失墜する、今後の安定的供給を確保するという資源外交の面でも大変なマイナスになりはせぬか、こういうことを一つは痛感をするわけです。  それからいま一つは、今度の旅行の後、時期を見てアラブ諸国へも行きたいとおっしゃる。そうした際に、わが国がもっと積極的に何らかの手段、方法を講じつつ、イラン・イラク戦争の早期終結のために一定の役割りと努力を払うということがあってしかるべきなのではないか、私はこう思うのでありますが、いかがでしょう。
  37. 田中六助

    ○田中(六)国務大臣 油を中近東ばかりに依存していると大変だから世界に分散しろ、御指摘のようにいろいろなところを考えておるわけでございますし、現に実行しておる部分もございます。御指摘の中国の問題でございますけれども、八〇年は八百万トン、これは予定どおり。御指摘のように八一年、八二年は向こうの生産体制のそごと申しますか、それから向こうに油が要るというような需要の度が深くなったというようなことで、予定どおりおまえのところにはやれない、しかし八百三十万トンはというようなことでございますので、向こうのいろいろな事情があるわけでございますので、それはそのとおりで結構だということになっているわけでございます。対外的な折衝あるいは外国相手のことでございますので、先ほども指摘しましたようにそれぞれの国の家庭の事情もあって、こちらの思うとおりいかないというようなことがあるわけでございます。  それで、油を頼むばかりではなくてイラン・イラク戦争をとめる、ストップさせる、停戦させるということが日本の大きな役割りではあるまいか。私も実はそのように思うのです。イラクからいま特使が参っておりまして、きのう総理がお会いしたのですが、私も実は土曜日にそのイラクの特使と会いまして停戦の話もいろいろやったわけです。それからイランの方にも、和田大使が前々からじっこんでございますので電話で話したりしておりまして、いま清水委員御指摘のように、西欧諸国がやるのも一つの大きな務めかもわかりませんけれども、歴史的ないろいろなことがございまして、日本が経済協力をずっと進めてきておるならばついでに――ついでにと言ってはなんでございますけれども、そういう停戦に大きな役割りを果たすのも大きな考えではあるまいかというふうには私は考えております。
  38. 清水勇

    ○清水委員 イラン・イラク戦争の停戦問題についても積極的に考えていきたい。大臣は特にどの大臣よりも行動力にたけているようでありますから、その点ではどこかを回るついでなんというような発想ではなしに、これは積極的に取り組んでいく、このことが国際的なわが国の信用という面についても一定の力を確保することになるはずでありますし、安定的な供給にも無縁ではない、こう思いますので、これはぜひ進めていただきたい。  さてそこで、先ほども石油代替エネルギーの開発の問題に触れて論議がございました。この点についてはきょうは時間がありませんから私としては後日に譲って詳細な論議を尽くしたいというふうに思っておりますが、いま政府としては脱石油体制をどう進めるか、代替エネルギーの開発との関係、省エネルギーの関係等も無論あるわけでありますが、これは大きな政策課題になって、これはこれで進めていかなければなりません。しかし、そうは言っても短中期的に見ると依然として石油に対する依存度が一定程度高く続いていくわけです。ところが昨今のような中東情勢といったようなことに思いをすればするほど、一定量の備蓄を確保していくことが非常に重要な課題になるのじゃないか。ところが備蓄量を確保すると言ってみても、新たに備蓄タンクなどをつくる場合の立地問題、こういうものが一つのネックになる。あるいはいま橘湾等に停泊をしているタンカーにしても、二年に一回検査のために空っぽにしなければならない。たとえば当面タンカーにある油を一体どう処理をするのかといったようなことなんかも一つの大きな課題になるのだろうと思うのであります。具体的に備蓄備蓄と言われるわけですけれども、これ以上民間備蓄に依存はできないと思いますので、いわゆる政府ベースの備蓄、これをどう進めるのか、ネックは何なのか、この辺をひとつ明らかにしていただきたい。
  39. 田中六助

    ○田中(六)国務大臣 つまり政府備蓄が七日分で、しかもタンカー備蓄だということで、これも世界各国に比べますと非常に低い。そこで私どももいま考えておるのは、実は先ほども原田議員にお答えしたのですけれども、三千万キロリットル、これは日にちにしまして四十三日分あるわけでございますけれども、そういう政府備蓄をやろうということで備蓄法の改正なども含めましてそういう考えを持っておるわけでございます。それには地点が問題でございますので、いまむつ小川原という地区で建設中でございまして、これはあと二年もすれば建設が完了するわけで、そのほか福岡県の白島、長崎県の上五島、福井県の福井臨港、それから北海道の苫小牧東地区における備蓄地区をそれぞれ予定しておりますし、私は事務当局からそれぞれの交渉がかなり進展しているところもあるというふうに聞いております。したがって、そういう備蓄の量の増大と地区の設置の増大を考えて、その政策は進めておるわけでございます。
  40. 清水勇

    ○清水委員 先ほど大臣は灯油等の値上がりのことにもちょっと触れられたような気がしますが、これは経済運営のあり方をめぐる質問の際に私はちょっと触れさせてもらうつもりでおりますから御承知を願っておきたいと思います。     〔原田(昇)委員長代理退席、委員長着席〕  次に、この機会にイラン石化事業の問題についてちょっと触れたいと思います。  十七日にNHKのニュースを見ておりましたら、三井グループが三十億円をイランに送金する、これは政府が予定どおりIJPCに追加出資をするということを背景に立てかえ払いをするのだ、こういうふうなことを報じておりましたが、その辺の真偽をまずお聞きしたいと思います。
  41. 藤原一郎

    ○藤原政府委員 お答え申し上げます。  いまお話しの三十億円につきましては、現在続いております人件費の支払いその他、当面の必要に充てるために三井物産が工面をしたお金であると思います。  御承知のとおり昨年二百億の出資を決めたわけでございますが、そのうち現在まで支出いたしましたものが五十四億円でございまして、残額はそのまま残っておるわけでございます。したがいまして、それに見合うものというふうにお考えいただいて結構かと思います。
  42. 清水勇

    ○清水委員 いずれにしても、十四日の夜でありましたか政府首脳が、ここまできたらIJPCの事業は継続せざるを得ないし、現に七千三百億円に対して一千億円くらいよけいかかるようなことになるかもしれぬが、三井グループ等から政府に要請があれば応分の負担をせざるを得ないと思っている、そういう談話を非公式に発表されている。こういう点から見て私が感じておりますのは、そうした態度が事実だとするといささか軽率なんじゃないかということなんです。  御承知のようにバンダルホメイニがすでに四回にわたって爆撃をされている。このプロジェクトのいわば心臓部というようなエチレンプラント等も破壊をされている。今後なお爆撃が続行されるかもしれない。採算割れは必至だが一体どうなるのか予測も見通しもつかないということがIJPC全体に対して今日指摘をされているわけですね。そういう折に、計画であるから予定であるからという理由で仮に第三回目の政府資金を出資をするということは、いたずらに国民の血税を場合によれば浪費をするというようなことになりはしないか。戦争の成り行きを注目をし、かつまたその上で冷静な判断をし、そしてIJPCに対して一体どうするのかという慎重な態度がなければならないと私は思うのです。  もともとこのプロジェクトは三井が膨大な利益を見込んで他のいかなる参加も介入もさせなかった、独自な事業としてやってきた。が、しかしホメイニ師等によるイラン革命を通して、それ以前からもうすでに問題があったわけでありますが、あれを境にとても五千五百億ではできないといったようなことから政府に支援を泣きつくというようなことがあり、これをナショナルプロジェクトに格上げをしたといったいきさつをめぐっても、これはずいぶん疑惑あるいは疑問というものが当時から投げかけられているわけです。きょうは時間がありませんから、これは別の機会に究明をさしてもらうことにいたしますが、そういうようないわくつきのものであればなおのこと、海外経済協力基金から出す政府出資、これについてはよくよく慎重であってしかるべきではないか、私はこう思うのでありますが、いかがでしょう。
  43. 藤原一郎

    ○藤原政府委員 まず事実関係から御説明申し上げますと、四回の爆撃があったわけでございますが、三回目の爆撃までは一応事実が確認してございまして、損害といたしましては軽微ということでございます。それから第四回の爆撃につきましては、正確にはつかんでおりませんが、いま先生の御指摘のようなエチレンプラントの中核部分を爆撃されたというふうな事実はないようでございまして、オレフィンのタンクあたりが行きがけの機銃掃射というような形で少し被害をこうむった、こういうふうな感じでございます。したがいまして、これが平和回復いたしました後にどういう状態であるかという点につきましては現在まだ予測はできないわけでございますが、現状におきましては事業が継続不可能というふうな損害状態ではないという認識でございます。したがいまして、現在の状態で今後どうするか、あるいは追加資金がどうかというふうな判断をすべき時期ではないというふうに考えております。その辺はすべて事が落ちつきました段階において全体を含めて判断すべきであろうかと思いまして、現在時点で追加資金とかなんとかいうのは非常に早計な判断であろうかと思っております。現在の二百億の枠内の出資につきましては、これは現在なおテヘランに七百五十名の人がおりまして、これにつきましての諸手当等もあるわけでございますし、オンゴーイングの事業でございますので、金利支払い等もございまして、これの水の手を切ってしまうわけにはいかないという面もあるわけでございますので、その辺は現状においてある程度の資金というものは必要であるというふうにお考えいただきたいと存じます。
  44. 清水勇

    ○清水委員 そうしますと、大臣、二百億のうちすでに一回、二回にわたって計五十四億出資をしている。三回目以降も多少時期はずれるかしれないが、いまの御説明に沿うた形で支出をしていくのだ、こういうことになりますか、これが一つ。  それからもう一つは、十四日でありましたか、三井グループ側がしきりにここまで来るともう私企業の限界である、これ以上のことはひとつ政府支援を煩わさざるを得ないというキャンペーンを張り始めたというふうに私は見ているわけですが、そういうことをとらえて、大臣が三井物産の八尋社長らを呼んでいろいろただされたというふうに報道があるわけでありますが、その辺の内容についてお聞かせいただきたい、こう思います。
  45. 田中六助

    ○田中(六)国務大臣 これは清水委員御指摘のように、ナショナルプロジェクトというとやはり国民の税金との関係もございますし、そう軽々しくいろいろな措置、対策というものはできませんし、イラン、イラクは戦争中である、いろいろそういう大所高所から考えた場合に、いずれにしても三井物産の八尋社長の態度は軽率ではあるまいかというふうに思いまして、どういうことだということでただしたわけでございます。結論は軽率であったというふうに認めたわけでございます。  それで、私としては、いずれにしても戦争中であるし、まだ被害の実情もわかっていない、いろいろな要素を勘案してそういう態度に出ることはおかしい、いろいろなことをいままで政府に相談してきておりながらこういうことを全く相談なくやるということはどういうことだ。確かに清水委員御指摘のように、反面何かのキャンペーンであったかもわからないという考えが私にもあったわけです。そういうことで、やすやすとあなたたちの思う勝手なとおりにはできませんよという意味のこともありまして、簡単に言えばくぎを刺したというような意味も込めて、いずれにしても実情はあなたのしゃべったあるいは行動をとったのはどういうことかということを尋ねたわけで、本人は軽率であったということでございましたので、いま戦争中であるし被害の状況もわからないということで、一応私は事態を静観するような態度でいるわけです。
  46. 清水勇

    ○清水委員 その際に、たとえば第三回目以降の政府出資の支出について何か約束なり示唆をされるようなことがありましたか。
  47. 田中六助

    ○田中(六)国務大臣 事実を究明して、しゃべったことに対するそういうものの究明をして、しかり飛ばしたというのはおかしいのですが、いずれにしてもおかしいじゃないかと言うことが精いっぱいで、内容のことについて金がどうとかこうとかということは一切ありませんでした。
  48. 清水勇

    ○清水委員 そう言われれば、そんなことはないだろうなんというようなことを重ねて聞くことはいたしません。また、いずれさっき申し上げたように少し時間をかけてナショナルプロジェクトへ格上げをしたいろいろな経緯等について、あるいは今後の見通し等についてお聞きをしたいと思います。  さて、次に経企庁長官にお越しをいただいているわけでありますから、経済運営のあり方について少しお尋ねをしておきたいと思います。  先ほどもお話にありましたように九月五日に経済対策閣僚会議を開き、総合経済対策を立てられた。これはつまるところ、四-六月期の推移あるいは七月以降の景気動向、こういったようなものを踏まえたとき、政府の経済見通しの実現が期しがたいような局面に陥っている。特に景気のかげりが最近顕著である、こういったようなことを重視して、何らかの政策的なてこ入れをせざるを得ない、こういうふうに判断をされたものだというふうに思うわけでありますが、その点は簡単で結構でありますが、いかがでしょうか。
  49. 河本敏夫

    ○河本国務大臣 そのとおりでございまして、ことしの前半は景気の方も順調に推移をしておりましたが、夏ごろから変調を来しましたので、かつまた物価の方もおおむね安定の方向に参りましたので、これまでの物価中心の、物価だけを考える、景気はまず大丈夫だ、こういう経済政策を、物価の方も十分配慮をしながら景気についてもある程度積極的に考えていこうという政策に変更した、こういうことでございます。
  50. 清水勇

    ○清水委員 いま大臣は、物価のことも考えながら景気のことをと言われているわけでありますが、私が率直に感ずる印象を申しますと、今年度の前半は物価対策に重点を注いできたが、後半はその重点を景気対策に移す、こういうふうな路線の転換が考えられているんではないのか。とりわけ私も大臣が通産大臣のころいろいろと論議をいたしたわけでありますが、河本大臣はかねがね高成長論という立場をとっておられるわけでありますから、そういう点で物価重点から景気重点に移行をしたと見ることは間違いなんでしょうか。
  51. 河本敏夫

    ○河本国務大臣 私は、第一次オイルショックが起こりましてから世界の経済事情もエネルギー事情も変わりましたから、かつてのような高度成長はとても不可能だし、それをやりますと余りにも矛盾の多い経済運営になりますから、やはり安定成長路線、これが必要だ、このように考えております。  御案内のように昭和五十一年の五月に決まりました昭和五十年代前期の五カ年計画は平均六・三%経済成長を目指す内容でございますが、これも昭和五十年代前半の安定成長路線、こういうことであったと思います。それから昨年決まりました新七カ年計画も平均五・五%成長ということでございまして、これも安定成長路線、高度成長では決してない、このように御理解をしていただきたいと思います。  それから五十二年、五十三年に景気対策を進めましたが、このときはきわめて大規模な補正予算を組みまして、積極的な景気対策を年度の途中で進めたわけでございます。今回はかげりが出始めた程度でございまして、まだそれほど深刻な状態ではない、かつまた財政事情も大変窮屈であるということから、現在の予算の枠組みの中で、また金融政策なども若干加味しながらの政策でございますから、そんなに強力な内容の景気対策ではございません。  それから今回の対策の一つの大きな特徴はやはり物価に非常に重点を置いておるということでございまして、物価につきましては八項目の政策のうち特別に物価対策を重視しよう、こういうことにいたしております。それは、現時点では物価が安定をいたしませんと他の経済政策もなかなか効果をおさめにくいという判断に立ちまして物価を引き続いて重視をしていこう、こういうことでございまして、決して景気中心の経済対策ではない、物価及び景気双方に対して十分な配慮をしていこう、こういう対策でございます。
  52. 清水勇

    ○清水委員 そうしますと、物価に引き続き力を入れていく、こういうことを伺うことができたわけでありますが、私はどうもこの物価の先行きに一抹の懸念を禁じ得ない。これまで大臣はしばしば十月以降物価の鎮静ということを指摘されておりまして、私も卸売物価が鎮静化に向かいつつあるという動きは否定をいたしません。しかし、どうも消費者物価については必ずしも楽観できないんじゃないか、こう思うのです。たとえば民間の調査機関が共通的に立てている見通し等を総合いたしますと、消費者物価について十-十二月は七・八ないし七・九%、年を越えて五十六年の一-三月は七割台は割るにしても六・六%から六・七%、こういう見方が一致していて、結局年度間七・八%くらいということになりはしないか、こういう見方をされております。河本大臣は予算委員会等々を通しても明らかにされておりますが、六・四%におさめるためには十月以降後半期を消費者物価について四・六ないし五%以内に推移をさせなければならないと言われているわけなんでありますが、それと思い合わせて見てみると、どうも六・四%というのは無理だ、こういうふうに言わざるを得ないわけであります。特にこれから先物価を押し上げる幾つかの要因も挙げられると私は思うのでありますが、まあたとえば海外のインフレ要因等は円高で相当程度吸収できるのかもしれませんが、油の値動きが一体どうなるのか、あるいはアメリカ等の穀物相場が急騰しているわけでありますが、これがどういう影響をもたらすのか、さらには冷夏とか長雨に伴う野菜等々、これからの出回りがこれまた一定の心配なしとはしない。五百億の物価対策費、これは野党の要求で修正を見た金でありますが、これをつぎ込むなどして精いっぱいの政策努力をされる。これは当然なことなんでありますが、それにしても六・四におさめることはむずかしい。そうした場合に政府見通しの修正について検討せざるを得なくなるんじゃないか。こんなふうなことも感ずるわけでありますが、その辺はいかがでしょうか。
  53. 河本敏夫

    ○河本国務大臣 御承知のように昨年の初めには石油がバレル十二ドル見当でございましたが、現在は三十四ドルぐらいで日本に入っております。したがって三倍近く石油が上がっておりまして、それからそれ以外のいろいろな原材料もそれ相当に急上昇をいたしております。日本はエネルギー、原材料をほとんど全部外国から買っておりますので、世界で一番悪い影響を受けておるわけでありますけれども、第一次オイルショックのときのようなああいう混乱は起こっておりませんで、幸いただいままでのところ、世界で物価問題に関してはドイツと並んでまあいい方向に行っておるのではないか、このように考えておりますが、それはやはりここ二、三年の間に日本の産業の生産性の向上が非常に進んだということ。それで海外のいろいろな原材料高、エネルギー高を吸収しておる、こういう背景があると思うのであります。でありますから、これからもいま御指摘がございましたようにイラン・イラク戦争の長期化等の不安定要因もございまして、私どもも大変心配しておるわけでございますけれども、ある程度の海外からの輸入品の高騰は吸収できるであろう、こう思っております。  それから、御案内だと思いますけれども、最近は卸売物価が非常に下がっておりまして、いずれこれはまた消費者物価にはいい影響が出てくるであろう、こう思っております。  それから、これも御指摘がございましたが、八月、九月、消費者物価が相当高かったというその背景は、野菜が異常気象のために急上昇したということが非常に大きな原因になっておりますが、幸いにその後いろいろ対策を立て、台風等もそれましたので最近は値段もだんだんと下がっておりまして、十月の後半以降は下がり方が特に顕著になっております。  そういうこともございまして、特に先月六項目についての物価対策も決めておりますし、さらにその後の工夫等も加えておりますので、消費者物価は海外要因という若干の不安定要因はございますけれども、大体下がる方向に進みつつある、こう私は見ておるのでございます。ただしかし、六・四という政府目標を達成するためには、下半期平均四・六%という水準にしなければなりませんので、これはなかなかやはり工夫と努力が必要でございます。むずかしい条件でございますが、ことしの春のベースアップが、政府が六・四%という消費者物価目標は実現をいたします、こういうことを繰り返し言明しお約束したという背景のもとに妥結した、そういう背景等もございますから、政府といたしましてはあらゆる工夫と努力を引き続き加えてまいりましてこの目標はぜひ実現したい、こういうふうに考えておるところでございます。
  54. 清水勇

    ○清水委員 午前中は十二時半までということでありまして余り時間がありませんが、午前中最後の一言お尋ねをしておきたいと思います。  いま河本さんからお話のあったことしの春闘に触れて、御承知のように低い額で収束を見た。これは政府の六・四%という見通しに対する大きな期待が背景にある。これは非常に重要な要素になっているわけでありますから、もしこれが崩れるというようなことになりますと、調整減税なんというようなことがしばしば問題として提起されておるのですけれども、何らかの政府に対する責任の追及をせざるを得ないというようなこともあり得るわけでありますから、午後時間があれば重ねてお尋ねいたしますが、十分努力を尽くしていただきたい、こう思います。  それから通産大臣がさっきもちらっと触れられていたので気になるのでありますが、たとえばこれから需要期を迎えて灯油の価格が大変心配になっているのです。ことし一-三月という需要期は大体御承知のように一かん千三百円ないし千四百円。これが四月以降の非需要期に入ってから逆に急騰しまして千六百円台まで来る。いまの見通しで言うと、来月ごろからの需要期にはひょっとすると十八リットル当たり二千円近くになりはせぬか、こういう懸念さえ一部には言われているわけです。ところが私の見る限りでは、OPECの方も、消費各国のいわゆる省エネルギーがかなり進む、備蓄もだぶつく、全体としてそういままでのように値上げ攻勢がかけられない。ある意味で言うと安定的に価格の方は推移をしている。確かにサウジの二ドルアップだとかアラブ首長国連邦がこれに追随をするというような動きがございますが、これは他にさらに大きな波紋を広げるというようなこともなさそうだ。かたがた、御承知のように昨年末ないしことしの初頭、為替レートで円レートは二百五十円前後、これが今日円高になって、二百十円すら割ろうというような状況ですから、仮に少々の原油の値上がりがあっても円高で十二分に吸収され、なおおつりが来る。今日石油企業がかなり潤っているのはそこにも一つの要素がある。というようなときに、家庭生活に欠くことのできない必需物資である灯油が、何となくいま言うような形で値上がりをするというようなことになりますと、これは経企庁長官が一生懸命消費者物価の安定というようなことを言われてもそうはならない、影響するところ非常に大きい。この辺はどういうふうにごらんになっていますか。
  55. 田中六助

    ○田中(六)国務大臣 灯油が需要期に入りまして私も非常に気になっております。しかし、いまのところ、灯油の備蓄と申しますかストックがちょうど九月末で六百五十万キロリットルを予定しておったのが、八月末で六百五十万キロリットルどころか六百八十万キロリットルになったわけです。それから燃料油の販売量を見ましても、ちょうど八千百六十万キロリットルで、前年同期比で九〇・三%と落ちついているわけですね。それからいま、確かに三月ごろからずっと灯油は上がっておりますけれども、十八リットルのあのかんが、六月が千六百六円です。それから七月が千六百五円で、八月が千五百九十四円、それで九月が実は心配になっていた。ところが九月はまたちょっと下がりまして千五百八十一円なんです。しかし、十月にそれが下がるとはもう絶対言えないし、むしろ私は、御指摘のように上がるのじゃないかと思う。  それで、まあ一応そういうふうにストックはありますけれども、いろいろな諸情勢、心理的なこともあって上がってはいけないというふうに、その監視体制は、これは便乗値上げとかそれから売り惜しみ買いだめというようなことのないように、県段階も通産局もそれからその他、本省もそうですけれども、そういうことのないように一生懸命監視、監督をしているわけで、今後の推移を見る以外ないような、無策みたいなことでございますけれども、一応量は確保しておる、したがって、あとはいろいろな監視体制をしいていくという体制で見ていこうというふうな現状でございます。
  56. 清水勇

    ○清水委員 それじゃ、あとは午後に譲ります。
  57. 野中英二

    ○野中委員長 この際、暫時休憩いたします。     午後零時三十四分休憩      ――――◇―――――     午後二時二分開議
  58. 野中英二

    ○野中委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  質疑を続行いたします。清水勇君。
  59. 清水勇

    ○清水委員 午前中物価の問題に触れたわけでありますが、六・四を目指して最善の努力をしたい、しかしなかなか状況はシビアである、こういう趣旨のお話であったかと思いますが、ここでいわゆる景気の見通しに触れながら、若干総合経済対策に触れて大臣の所見を求めたいと思います。  午前中のお話の中にもちょっと出ておりましたが、たとえば五十二年、五十三年の対策の際には、規模にして二兆円あるいは三兆円というような財政をつぎ込んで景気の刺激、浮揚を図り、一定の効果を上げたと思うのです。しかし、今度の場合は、率直に言うと公定歩合の再下げを期待する、そしてそれを通して金融の弾力的な運営といったようなものに期待をしながら、いわゆる景気のてこ入れを図っていきたい、こういう趣旨ではないかというふうに受け取られるわけです。ただ、率直に申し上げて、今日景気にかげりが色濃く出ている、あるいは非常に不況感が強いという原因の最たるものは、GNPの半分以上を占める個人消費の冷え込み、たとえば住宅建設が落ち込んでいるというのも一つのあらわれだと思うのですが、その辺にあるのではないのか。とすれば、金融の弾力的な運営というようなものに一定の期待をかけることはいいでありましょうけれども、それ以上のウエートをどうやって個人消費の回復のために政策努力を進めるのか。たとえば、現実の問題として春四月以降のベースアップによる新賃金は、釈迦に説法でありますが、御承知のように実質マイナス一・四四%というような状況になっている。あるいは農村部等は冷夏、長雨等による災害は深刻なものがあるわけでありますが、一面ではそういうところから実質所得がダウンをして、どうも個人消費にはずみをつけるというようなことにならないのじゃないか。そこで、この際具体的に内需を振起するためにどのような有効な方策をとろうとされるのか、この辺をお聞かせいただきたいと思います。
  60. 河本敏夫

    ○河本国務大臣 実情はいまお述べになりましたとおりでございまして、景気の足を一番大きく引っ張っておりますのは個人消費の伸びが思うようにいかないというところにあるわけでございます。これにはいろいろな背景もありましょうけれども、消費者物価が計画よりも高い、実質所得が減っておるというところにやはり一番大きな背景があろうと思います。そこで、先ほども申し上げましたが、今回の景気対策は消費者物価を下げるために一連の努力をいたします。それを非常に大きく考えていこうということを決めまして、六項目の消費者物価対策をわざわざ景気対策の柱として掲げたということでございます。  しかしながら、これも先ほど触れましたけれども、住宅投資が非常に落ち込んでおりますし、イラン・イラク戦争の長期化に伴う悪い影響も油以外にも出始めておるような気配もございます。でありますから、景気の先行きもよほどいろいろな角度からあらゆる問題に対して正確な分析をしながら対策を立てていかなければなかなかむずかしいのではないか、このように思います。しかしながら、いろいろ工夫と努力をいたしますればある程度の成果はおさまるであろうと思います。
  61. 清水勇

    ○清水委員 これまでの経過を見てみますと、四-六月期が実質で多分二・五%くらい、七月以降はと言えば、八月の鉱工業生産指数についてせんだって通産省で発表されておりますけれども、四・五%という落ち込みになっている。さらに十月以降はどうかということを考えた場合に、いま大臣がいみじくも言われるようになかなか先行き厳しいものがうかがわれる。それやこれやを通して、仮に四・八%という見通しの達成はと言えば、これは非常にむずかしいのじゃないかと実は考えざるを得ません。特に九月期において中小企業を中心に企業倒産件数が千六百八という数字になる、こういうこととの兼ね合いで現実の問題として四・八%という目標が四%少々という程度にとどまる場合には、経企庁長官がしばしば言われているように、来年度五・五%の成長率を目標にしたいということなどが大変なブレーキになりはしないか、支障になりはせぬか、私はこういうふうなことも感ずるわけでありますが、いずれにしても当面的には四・八の目標に向かって鋭意努力をされる、こういうことなんでしょうか。
  62. 河本敏夫

    ○河本国務大臣 そのとおりでございまして、特に最近の設備投資の動向を見ますと、大企業の中で自己資金を大量に持っておるところは外部の借入金もわずかでやれますから、現在の金利水準からそんなに悪い影響は受けませんけれども、中小企業のようにほとんど外部の借入金で設備投資をするというところはいまの金利水準ではとてもやっていけないということで、計画の変更等も相当出ております。そういうことから現在の高い金利水準が景気の足を相当引っ張っておる、これはもう明らかな事実でございますから、きょう午前中も申し上げたところでございますけれども、金融政策を景気の足を引っ張らないような方向に至急持っていくことが非常に大事な課題ではなかろうか。日本銀行の方もこの点は十分理解をしておられまして、総合的にいろいろな角度からいま検討していただいておる、このように考えております。
  63. 清水勇

    ○清水委員 この項の最後に一言ちょっと聞いておきたいことは、いまも触れた中小企業を中心とした企業倒産、今後さらにその傾向は非常にシビアなものがある。倒産をした企業で再建の可能なものについてどう再建にてこ入れをするか、こういう問題もありますが、一面では倒産にまでは至っていないけれども非常に危機的な様相を深めている、企業の経営基盤の底が非常に浅い、こういった中小企業が実は枚挙にいとまのないほどあるのであります。たとえば冷夏、長雨等による中小企業の危機的な場面に対しても、手を打つとすると緊急融資、どうもほとんどそれに尽きているように思うのです。しかし果たしてそれだけでいいのか、こういうことも心配になるのであります。私とすれば、たとえば緊急融資の場合にしても、静岡のガス爆発の際に国が一億出し県が一億、これを金融機関で四倍に薄めて、あれは六・何%でしたか、そういう金利になるところを市が利子補給して五・五%という形で、静岡方式と言われる対策を立てたという経過があるのでありますが、借りやすい、返しやすい、こういうような状況というものが背後に配慮をされていなければ、これはなかなか血の通った政策とは言えないんじゃないか、こういう感じがするわけです。農政などと異なって、中小企業対策の場合にはえてして企業の自助努力を求める、あるいは企業の活性化を期待するというふうなことが言われているわけなんでありますが、それを促すためにも一定の政策的な背景というものが用意をされなければならないんじゃないか、こういうふうに思うのでありますが、いかがでしょうか。
  64. 児玉清隆

    ○児玉(清)政府委員 お答え申し上げます。  倒産防止についての現在の制度は、先生御承知のように保険あるいは直接的な金融等がございますが、それ以外に、実際は金で済む話よりも以前にいろいろ危ないという段階で、いわば倒産一一九番ということで駆け込み訴えするような受けざらが必要だという認識が最近ございまして、実は五十四年度から倒産防止特別相談室というものを設けておるわけでございますが、五十五年度で百二十カ所設けておりまして、来年度はさらにそれをふやしたいということでおります。  それで、実際は危機に瀕した中小企業が直接金融機関あるいは信用保証機関に駆け込むという場合も、もちろん十分それなりのシステムがあるわけでございますが、そこへ至ります際に若干の介添えが必要だというようなものにつきまして、新しい方式といたしましていま申し上げましたような特別相談の仕組みを設定いたしておりまして、実は五十四年度一年間でも千件の駆け込み相談がございました。五十四年度の実績でございますので、それが非常に一般的、次年度以降もそういった効果が上がるということは非常にむずかしいかもわかりませんが、幸い五十四年度は千件のうち七百件が救われたという事例がございます。親身になってそのとき相談に応じます商工調停士というものを任命しておりますが、主たる仕事といたしましては金のつなぎの口をきいてやるということになっております。成功しました事例を全部当たって見てみますとそういう事例が大半でございまして、こういう制度をさらに拡充強化するというのが一番現実的な当面の一つの手だてではなかろうかと考えております。したがいまして来年度におきましては、ある意味では商工調停士の顔で金融のつなぎをつけてやるということだけでは足りませんので、むしろ制度としてそういった倒れないための金融を立てたらどうかということでございます。したがいまして、企業の体質強化資金融資制度というのが現在もございますが、これの拡充を図りまして、その中で先ほど言いました一一九番で駆け込んできた人が、確かにこれは良質の金をつぎ込めば何とかなるというような場合に適用になりますように、商工調停士がその制度金融に新しくつないでいくという方式を来年度の新しい施策として現在折衝いたしております。  それが一連の倒産防止のための拡充の一つの政策の流れでございますが、当面放置できない問題といたしまして冷夏の問題がございまして、これにつきましては従来からの手法によります直接的な被害者に対しますところの保険の不況業種の指定で、アイスクリーム、清涼飲料それから麦茶製造業、こういったものを指定いたしまして、信用補完制度の具体的適用を拡充するという措置をまず第一にこの九月からとっております。  ただ問題になりますのは、やはり当座金融機関の倒産対策資金でもなかなかめんどうが見られない、もう少し良質なものということでございまして、冷夏につきましても特別措置をもちましてこの九月の十九日、新しい適用といたしまして、冷夏による特に緊急事態のあるものにつきましては、先ほど言及いたしました企業体質強化資金制度、これをことしの後半から適用しようということで拡充をいたしまして、これが現在すでに進行いたしております。青森県の例等で申し上げますと、当初八億円の予定でございましたがこれを十八億円にかさ上げをいたしまして、そして金利が大体七・七%ということでやっております。先ほど御指摘いただきました静岡方式のような、いわゆる市の特別の利子補給というような制度によりましてさらに緊急にそれを下げるというところまでは至っておりませんけれども、通常の制度金融の金利で申しますと九・一%でございますので、七・七あるいは七・八という制度は相当効果はあると期待をいたしております。  それから、最後に御指摘いただきました借りやすくしかも返しやすいような実際の運用なり制度の仕組みということでございますが、これにつきましても最近いわゆる景気のかげりと冷夏が重なったということで非常に厳しい情勢にございますので、九月十九日に、特別に政府系の三機関に対しましては、私どもと大蔵省の銀行局長の連名をもちまして貸出手続の簡素化、個別企業の実情に応じまして返済猶予も弾力的に認める、それから担保徴求の弾力的な運用にぜひ心がけてもらいたいという通達を出しております。なお、市中の金融機関につきましてもそういった面で配慮が必要でございますので、これは私どもの方が単名でそういった通達を同じく九月十九日に発しておるところでございます。  いずれにいたしましても現在の制度で完璧とはちょっと申せませんので、五十六年度におきましてもさらにできる限りの改善をしたいということで一つ考えておりますのは、いわゆる政府機関の中小企業倒産対策貸付制度というのが現在別枠でございます。その頭打ちの金額が中小公庫の場合ですと現在二千万円になっておりますが、これを来年度はぜひ三千万円に拡大したいということを考えております。これも一例でございますが、そういった点でさらに倒産防止の仕組みというものの強化拡充を図っていくとともに、実際に窓口で借りやすく、かつ返済の場合も実情に即して若干の猶予等も弾力的に考えるというような措置を今後きめ細かにやっていきたい、このように考えております。
  65. 清水勇

    ○清水委員 いま中小企業庁長官から一応きめの細かい配慮をしておるのだという御説明をいただいたわけでありますが、これから年末に向かっていくわけでありまして、各企業それぞれ決済を迫られる時期と重なっていくわけでありますから、いよいよ機動的に対策を進めていただきたいということを強く望んでおきたいと思います。  時間も少なくなりましたので、最後に石油カルテルの判決とのかかわり合いで公取委員長もお越しでございますので、通産大臣等とあわせて若干お尋ねをしておきたいと思います。  改めて言うまでもありませんが、九月二十六日に東京高裁が石油業界のやみカルテル事件について判決を言い渡しております。率直に言って、第一次石油危機の際、千載一遇のチャンスととらえて生産調整あるいは価格協定を結んだわけでありますが、これが独禁法違反であると判断されているわけであります。  ところでこの判決の中で、しさいに見てまいりますと、たとえば生産調整に触れて東京高裁では、通産省は石油業法の運用として、石連に対し公然と行政指導をもって生産調整を行わせていた、こういう行政介入が石連など被告人らのカルテル行為を容易にしたのだ、こういう指摘をしております。  まず最初に、通産大臣にこの点どのように受けとめておられるのかお聞かせをいただきたいと思います。
  66. 田中六助

    ○田中(六)国務大臣 判決は、生産調整はまあまあとして価格協定は違反だということの判決でございまして、行政指導という法的根拠のない指導ということは、日本の産業政策の中に長くあるわけでございます。通産省の産業政策と公取関係の独禁法との調整をどうするかということは、独禁法改正を手がけておるさなかにいつも問題になることでございまして、私自身、そういう通産省の産業政策と独禁法による独禁政策とは競合するものではない、内外の学者の意見もいろいろございますけれども、私は前々からそう思っておるのです。と申しますのは、独禁法政策というものはむしろルール、つまり規則、そういうもののつくり方、秩序をどうするかということであって、必ずしも私どもの産業政策とはかみ合わないものではない。むしろこの二つが組み合わされることによって独占あるいは寡占がなくなっていって、私どもの標榜する自由主義経済あるいは市場経済というものの機能が十分発揮されるのであって、今後とも産業政策とそういう独禁法の政策とが競合したりクロスしたりすることのないように努めてまいりたい、大まかに言えばそういうふうに考えております。
  67. 清水勇

    ○清水委員 いま大臣が触れられていることなんですが、この委員会でも独禁法がらみでこれまでもしばしば産業政策と独禁政策の問題について議論があったことは御承知のとおりであります。  そこで、今度の判決との兼ね合いで見てみますと、少なくとも今回の判決は、経済基本法である独禁法が通産省等の進める産業政策に優先をするということが明確にされたと受けとめるべきではないのか、こう思うのです。たとえば石油業法があります。これは石油業界に非競争的な枠組みを一面ではつくっている。需給調整と称して、ひいては生産調整を予定をするということ自体がやはり独禁法と矛盾をするのではないか、そういう性格を持っているというふうに私は感ずるわけでありまして、そうだとすればどうしてもそこからたとえば行政指導、カルテルといったような関係に発展をしていく問題点を内包しているように思わざるを得ないので、この点、この判決を通じて石油業法を見直すというような考え方を持たれているかどうか、もう一回お聞かせをいただきたいと思います。
  68. 田中六助

    ○田中(六)国務大臣 石油業法の中にはやはり行政指導というものを加味したものがあるわけで、それと独禁法との関係を考えてみますと、やり方によっては独禁法に相矛盾するものが石油業法そのものの中にあるということは言えるのではないかと思います。したがって、独禁法との関係を考えれば、そういうことのないようにこれを改正しなければならないという考えは当然浮かぶと思います。しかし、現段階で私どもは運用と申しますか、行政指導をうまくやっていけばそれで済む問題じゃないかというふうにも考えております。
  69. 清水勇

    ○清水委員 そこで、いま行政指導という話も出ているわけなんですが、たとえば石油業界なら石油業界に限定をしてもいいのでありますけれども、従来石油業法を通して需給関係の調整をどうするか、ひいて言えば生産調整などというような問題に触れて、生産制限的な内容に立ち至って行政機関と業界とが相談をするというような機会がずいぶんありましたね。行政指導という名で通産省が一枚かんでいることは議論の余地はないのですけれども、しかしこれはどうしても余りオープンになっていない。ひいて言うと密室的な性格のものであって、何となく行政指導という美名のもとで国民生活に直接影響のあるような重大な政策等がそこで公然とやられてきている。ところが、今度の判決を通じてはそういうものにメスが入れられて、独禁法に照らして行政指導のあり方というようなものも転換をしなければならないというか、見直されてしかるべきだ、こういうふうな感じを持つのでありますけれども、その辺はどうでしょうか。
  70. 田中六助

    ○田中(六)国務大臣 確かに今回の判決を見ますと、私どもも考えさせられるところもございます。したがって、将来の展望でございますけれども、先ほども申しますように石油業法そのものをずっとつぶさに読んでみますと、やはりそこに、もしもそのとおりを深くやっていきますと独禁法に抵触する、あるいはそれと何か相反するというようなものがあるのですけれども、それから清水委員はマイナスになる面があるというふうな考えもありますけれども、また逆に国民生活あるいは経済全体から考えて、この石油業法というものがなければならないという考えもあるわけで、先ほどから申しますように非常に微妙な業法でございます。したがって、いつの日にかこれを改正しなければならないんじゃないかという気もしますけれども、ただいま申しますように私どもがその運用をうまくやっていくならば、それはなくして済むんじゃないかという気もいたしておるわけでございます。
  71. 清水勇

    ○清水委員 ここで公取委員長にお尋ねいたしますが、今度の石油やみカルテルの司法的判断が出されるに至る経過を通して、特に公取が画期的な告発をされたということが発端であることは言うまでもないのでありますが、判決の中で、たとえば過去において委員会等の場で公取委員長が生産調整を容認するような答弁をしたり、あるいはまた生産調整に対して警告も調査もしなかった、こういうことが実は被告人らに対して犯意を持たせなかったということにもつながりはせぬかという、そういう事実認定をしている点はいささか重大なのではないか、こう思うのでありますが、この点について委員長としてはどのように受けとめておられますか。
  72. 橋口收

    ○橋口政府委員 九月二十六日の東京高裁の判決でございますが、これはいろいろな角度から見まして大変に価値ある判決だというふうに考えておるわけでございます。これは、政府全体にとりましてもそうでございますが、なかんずくわが公正取引委員会にとりまして価値の高い判決だというふうに考えておるわけでございまして、ただいま御指摘がございましたもろもろの問題につきまして当時どういう状況であったかという問題もあろうかと思いますし、それから、当時の北島公取委員長が答弁いたしましたのは当委員会でございまして、そのときの質問者は現通産大臣の田中六助先生でございます。当時の公取委員長はすでに故人となっておられますし、田中先生はいま責任あるお立場にあるわけでございますから、その間歴史の流れというものを感ずるわけでございますが、いずれにしましてもそのときどういう趣旨で答弁をされたかということにつきましては確認の可能性がないわけでございますから、現在におきましてはその答弁の当否とかその後の独禁行政のあり方につきましてのわれわれの見解を申し上げますよりは、やはり判決要旨におきましてそういう御指摘をいただいたということを重く考え、また厳しく受けとめておるわけでございます。したがいまして、今後は仮に将来判決というような事態が生じました場合にも、重ねてそういう指摘を受けることのないよう厳正に独禁法を運用してまいりたいというふうに考えております。
  73. 清水勇

    ○清水委員 いま委員長から歴史的経過を踏まえられながら所感を述べられたわけでありますが、それはそれとして私なりにあの判決の中で東京高裁が指摘している内容を吟味してみますと、公正取引委員会というものはたとえば生産調整というものについてもっと厳しく、あるいはもっと積極的に対応すべきではなかったのか、こういう意味でいわばかなり激励を与えられているのではないかといった読み方もしているわけなんでありますが、その辺のところも委員長がどんなふうに感じておられるのか。次に申し上げることにいささか関係がございますのでお聞かせいただきたいと思うのです。  実は、現在産業界にかなり広範に自主減産という名の実質的な生産調整――生産調整とは言えないかもしれませんが、とにかくそういう傾向が広がっております。河本長官等は、物価対策上問題があれば増産に転換をさせるというようなことも発言されているということを承知いたしておりますが、それはそれとして、当面公取としては粗鋼、小棒、エチレン、塩化ビニール、紙パルプ、この五業種について調査に乗り出したというふうに承知しております。現に事情聴取を始めているようでありますが、このことは当該業界に独禁法に触れる疑いがある、こういう判断で進められているのでしょうか。たとえば本来需要と供給のバランスが崩れて下がるべき価格が、減産という手段を通じて品物不足を醸成することによって下がらない仕組みをつくる。企業は、言うまでもなく減産の目的は一定の企業収益性というものを確保するために進めていると見て間違いがないと思うのであります。そういたしますと、独禁法の法意にもとるようなことではないのか。そうだとすれば、いま五業種について調査を進めておられるという意味は非常に重要だというふうに思いますので、その辺の所見をお聞かせいただきたいと思います。
  74. 橋口收

    ○橋口政府委員 判決の要旨におきまして御指摘をいただきましたことは、公正取引委員会に対する激励であると同時に、かつての公正取引委員会の独占禁止行政に対する頂門の一針ではないかというふうに考えておるわけでございまして、そういう点から申しますと懈怠の指摘というふうに言っても差し支えないのじゃないかと思っておるわけでございます。したがいまして、先ほど厳しく受けとめるというふうに申し上げたのはそういう趣旨でございます。それから、判決はまだ要旨の段階でございまして、実は全文を入手して検討するいとまがないわけでございます。これは私の推測でございますが、判決作文が明らかになりますと、行政指導のあり方につきましても大変有益な示唆が含まれているのじゃないかというふうに考えておるわけでございまして、先ほど通産大臣との間に御質問がございましたけれども、今後の行政指導のあり方につきましても、今度の高裁の判断というものが一つの重要な指針になるのではないかというふうに考えておるわけでございます。  それから、現在行っております五つの業種につきましての減産についての実態調査でございますけれども、これは一つは東京高裁の判決要旨というものが念頭にございます。と同時に、それ以前から、ことしの第一・四半期のおしまいごろから第二・四半期にかけまして、日本経済のかなり重要な部分につきまして自主的な減産の波が広がってまいりまして、これにつきまして一部のユーザーの方等からも一体日本経済の現状はどうなっているのか、把握をしてほしいというような具体的なアドバイスというものも受けておりますし、また、政府の方でも九月五日の経済対策閣僚会議におきまして、今後の経済運営の基本方針の中にも、行き過ぎた減産によって需給が逼迫することがないよう配慮するというような御方針もお決めになっておるわけでございますし、また独禁行政独自の立場からも関心を持っておったわけでございます。現状におきましては、減産のあり方、内容、程度、理由等につきまして十分解明をいたしたいというふうに考えておりますが、万に一つの、先生が御指摘になりましたような法律違反というような事態があれば、これはもちろん法の規定に従って厳しく処断をいたすつもりでございますけれども、現状におきましては、日本経済とのかかわり合いにおける減産の実態、ことに市場経済における最大の言語としての価格動向のあり方につきまして関心を持っておるところでございまして、もう少しお時間をかしていただきますと、その実態というものがおおよそ解明できるのじゃないかというふうに考えております。
  75. 清水勇

    ○清水委員 どうもありがとうございました。  以上で終わります。
  76. 野中英二

    ○野中委員長 城地豊司君。
  77. 城地豊司

    ○城地委員 十月十七日に通産大臣並びに経済企画庁長官の所信の表明をいただきました。私もなれないものですから、むしろこの所信表明を、活字になったものを細かく私なりに検討をしてきょういろいろ伺いたいと思います。そういう意味では、ただ単に言葉じりをつかまえるという意味でなくて、むしろ日本語の意味を詳細に、厳密に考えてどうなるかというような質問等もあろうと思いますが、そういうふうに御理解いただきたいと思います。  それともう一つは、前に原田委員、そしていま清水委員、それぞれ質問をいたしました。質問の内容としては重複しても差し支えないということかもしれませんが、重複することは余り好ましくないので、そういう意味では重複を避けて質問を申し上げたいと思います。とすれば、その重複を避けたというために、また時間的ないろいろな関係や個人の能力の関係から、若干結論だけを急いで理解しにくい点が出るかもしれませんが、それらについてあらかじめ了解をしておいていただきたいと思います。  それからもう一つは、通産大臣の所信の表明と経済企画庁長官の所信の表明、非常に似通っている部面が多いわけでございますし、さらにもっと突っ込んで言えば、経済企画庁長官の内容は、所信の表明よりもむしろ九月五日に行われた経済閣僚会議の八項目の経済対策というようなものが後段にほとんど盛られているということなものですから、きょうのところはこの通産大臣の述べられました所信の表明を中心にして質問をしてまいりたいと思います。しかしお答えは、先ほどからもありますように、物価問題であれば経済企画庁長官に答えていただくということでお願いを申し上げたいと思います。  そういう意味では、各項目別に質問をしてまいりたいと思います。  最初に、この二ページにあります「機動的な経済運営」、これの中では特に消費者物価の問題、先ほどからいろいろと問題になっております。この消費者物価の問題の中で、この二ページにあります「消費者物価も落ち着きの方向にあります。」という断定をしておられますが、「落ち着きの方向」というのは経済学的に見てどういうような考え方でこういう表現をされたかということが一つでございます。  それから次に、物価の動向の結論でございますが、先ほどから二人の委員の質疑、答弁等で、いろいろ考えていることの大綱は理解をしたつもりでございますが、私はどう考えても消費者物価の動向を見ますと、前六カ月を経過している現在、さらにあと六カ月しかないというこの五十五年度の物価の動静を見ますと、先ほど長官が言われましたが、今後の六カ月間を毎月四・六ないし四・八%で抑えていって一年度通算で六・四になるというようなことはむずかしいのじゃないかというふうに率直に考えます。これはきわめて断定的な言い方ですが、ほかのいろいろな経済の専門家、さらにはわれわれが具体的に試算をした内容の数字もありますが、時間を多くとりますので数字の点は省略をいたしますが、どう考えても七・六ないしは七・八にしかならないのじゃないかというふうに、断定的で失礼でありますが、そういうように考えざるを得ません。もう一度この点についてはっきりしたお考え方を申し述べていただきたいと思います。  さらに景気の関係では、成長率の関係で、当初予算の四・八%の問題について、先ほど、何としても努力をして何とかそういうことにいきたいという答弁がございました。しかし、何と言いましても四月、五月、六月が二・五%の成長である、そして七月、八月、九月も、これは予測がまだ完全に出ておりませんが、考えられる線ではやはり二%台の成長で、三%を超えないのじゃないかという見方が専門家の中でなされているという状況からして、この四・八%という本年度の経済成長率も、非常にこれも独断的でありますけれども、一番悪い面で見ている経済の専門家は二・九%というように見ております。いい方で見ている人は四・〇%というふうに見ておりますが、先ほど企画庁長官が断定されました。私どももできれば成長率が伸びた方がいいし、物価の上昇もとどまった方がいいという考え方には変わりがありませんが、その辺について再度、はっきりした考え方を申し述べていただきたいと思います。  次に、経済企画庁長官の所信表明の中に、下期から再び堅実な拡大傾向を回復するというように述べられておりますが、この見解については私どもはそういうふうに考えておりません。そういうふうにいった方がいい、望ましいとは思いますけれども、残念ながら現実はそんな甘いものではないというふうに考えておるわけで、それらの点についてのお考え方を伺いたいと思います。  なお、四ページの結びのところにございますが、民間の設備投資の役割り、これは先ほどから質疑で解明されました。私も、民間の設備投資の役割りは非常に重要であるし、そのことを通して経済運営を軌道に乗せていく、また、活気を呈する経済運営をしていくということで、必要なことだと思いますが、この結びのところにあります通産省は、「所要の投資環境の整備に努める所存」というふうに書かれておりますが、こういうふうに言い切っている「所要の投資環境の整備」というのは具体的にどういうことを考えておられるのかということについて伺いたいと思います。  さらに、物価の問題で一点だけ伺いますが、五十五年度の予算の際に、五百億の物価関係の予算というようなことでそれが決まったというように聞いておりました。本日、各政党の間でこの五百億円の問題について、物価を上げさせないために、また物価対策としてこの五百億円をどういうようにしたらいいのかという政調会長レベルの話があるという話を聞いておりましたが、政党次元ではやはり現状の物価の状況の中で緊急的にそういう対策を立てる必要があるということでそういう会議が持たれておるわけでありますが、政府としては具体的にそれらの内容について何か検討しておられることがあればお聞かせをいただきたい。先ほどからの物価のやりとりにつきましてもかなり抽象論が多いし、前回の予算委員会等の質疑を伺っておりましても、またこれはこういう国会の場とは違いますが、テレビ討論等で言われておりましてもかなり抽象的なものが多くて、具体的にたとえば野菜の値上がりを抑制するために出荷奨励金で三十億円使いますとか、これこれこういうことのために二十億円使いますとか、こういうところに五十億円使えばこうなりますとか、なるということは断言はできないかもしれませんが、そういう具体的な施策、具体的な金の使い方という点をはっきりさせなければ非常に理解がしにくいんじゃないかと思いますし、現状からしてそういうところをはっきりさせていただいた方が大方理解がいくんじゃないかというふうに考えますので、それらの点についてお伺いをしたいと思います。  「機動的な経済運営」に関連して、一ページにあります「はじめに」ということで前書きがありますが、これの中に「今後の我が国経済をめぐる環境は、決して楽観してよいものではありません。」というくだりがございます。「楽観してよいものではありません。」ということですから、楽観はするなということでありますが、私は、この表現とこの書き出しの「はじめに」全体にわたって述べられている考え方は、やはり「楽観してよいものではありません。」と言いながらも、過去こういうわけで石油ショックを乗り切ってきた、しかも、他の国よりも日本の場合にはうまくいった、そういうようにやってきたというようなことを述べられて、しかも「決して楽観してよいものではありません。」というように述べている。そういう全体の中から、いま厳しいんだという意味で非常に厳しく受けとめるよりは、むしろ厳しい中にも何とかなるさというような、そういう意味の楽観的な気分があるように何回読んでも感ずるのですが、それらの点についてお考えがあればはっきりと答えていただきたいということでございます。  あと、次の項目以降は答弁をいただいてから伺いたいと思います。
  78. 河本敏夫

    ○河本国務大臣 先ほど物価と経済成長の問題でお話がございましたが、まず物価の問題についてお答えをいたします。  消費者物価はこの春以降ずっと八%台が続いておりました。七月は七%台でございましたが、それ以外の月はほとんど八%台でございまして、政府の目標六・四%からは相当高い水準であったと思います。最近落ちつきの方向にあるという意味は、だんだんと政府目標に近づきつつある、こういう趣旨を先般の所信表明で申し述べたわけでございますが、ここ二、三カ月特に消費者物価が高かった背景は、異常気象が続きまして、そのために生鮮食料品、特に野菜の出荷が激減をいたしました。野菜の消費者物価に占める比率というものは比較的小さいのですけれども、しかし非常に大きく動くものですから、最終的には消費者物価に及ぼす影響というものが大きくなってくる、こういうことでございます。しかし、その後増産のためにいろいろ対策を立てましたし、出荷のためにもいろいろ対策を立てまして、異常気象も回復して最近はようやく平静を取り戻しております。だんだん下がる方向に行っております。消費者物価には相当いい影響がだんだん出てくるのではないか、このように考えております。  それからまた、この春は卸売物価がずっと急上昇しておりまして、毎月二%前後、一月で二%前後という急上昇が続いておりましたが、最近は九月もマイナスであります。〇・三%マイナス、十月の上旬もこれまた〇・五%マイナスということで、これはおおむね峠を越した、ほぼ落ちついた、このように見ていいのではないか。これもだんだんいい影響を及ぼすであろう、このように考えておりますし、さらに先月五日には六項目の物価対策を強力に進めるということを政府の方で決定をいたしまして、鋭意これに取り組んでおるところでございます。  そういうことで、この九月まで、上半期は相当高い水準で推移しておりますけれども、下半期にはだんだんと下がる方向に進んでまいりまして、年度間を通じましては政府目標を達成すべく今後も引き続いて最大限の努力をしてまいりたい、このように考えておるところでございます。  そこで、いま御指摘のございました五百億円の物価対策費でございますが、本日午前野党三党から具体的な消費者物価引き下げのための提案を自由民主党の方でお聞きをしたようでございます。自由民主党の方では三党からの御提案をどのように受けとめるべきかということについていまいろいろ相談が進んでおるようでございますが、政府の方でもそれと並行いたしましてできるだけきめの細かい具体的な対策を立てたいと思います。詳細にわたりましての対策をいま準備いたしております。月末までには発表できる、このように考えておるところでございます。  消費者物価が安定をいたしませんと、ほかの経済政策もなかなか有効に進めることがむずかしゅうございますので、現時点におきましてはやはり消費者物価を安定されるということが最大の経済政策である、このように私どもは理解をいたしております。個人消費が予定どおり伸びないというのも、この消費者物価が予想外に高いというところにあると思いますし、そのために実質賃金所得が減っておるという背景もあろうかと思います。  そこで、消費者物価をとにかく下げるということが景気回復にもつながるであろう、このように理解をいたしまして、先般の総合対策でも物価の安定ということを景気対策の最大の課題にいたしております。こういうことは初めてでございます。景気対策に物価対策を強力に織り込んで、しかもそれを具体的に数項目にわたってこういう対策をやりますと言ったことは初めてでございますが、以上申し上げましたような背景がございますので、全力を挙げまして消費者物価安定のために取り組んでまいりたいと考えております。  それからもう一つ、現在の景気の足を引っ張っておりますのはやはり金利が非常に高いということにあると思います。御案内のように、ことしの二月、三月、二回にわたりまして公定歩合を引き上げましたが、そのときには狂乱物価前夜にあるという表現をいたしまして、政府の方では日本銀行と打ち合わせをして、最終的には日本銀行が二回にわたる大幅な公定歩合の引き上げをされた、主として物価対策上この決定がされたわけであります。しかし、当時心配されておりました狂乱物価前夜という状態はもう完全に鎮静をいたしまして、毎月卸売物価が先ほど二%上昇したということを申し上げましたが、いまはマイナスの方向でございますし、消費者物価もいま御説明をしたとおりでございまして、物価がほぼ安定をしたという段階におきましては、私は当然金利水準も引き上げ以前の水準に戻すべきである、また、金利政策を機動的に運営するための前提条件としての国際収支あるいは円レート等も順調に背景として進んでおりますし、そういうことで総合的に機は熟しておると考えております。そこで、日本銀行等も同じお考えだと思いますが、いろいろいま工夫をしておられるところであろう、こう思います。これからの景気対策を進めます上におきまして、消費者物価をまず安定させる、金利水準を引き下げる、そういう客観情勢をつくっていくということがもう何よりも肝心だ、このように思います。  以上のような方向で、ことしの消費者物価の目標と成長の目標をぜひ達成をしたい、こういうことで下半期の経済運営を進めてまいるつもりでございます。
  79. 田中六助

    ○田中(六)国務大臣 私に対する質問は三つあったと思います。  一つは物価の上昇、そういうものが安定の方向にいっておる、これを経済学的にどう見るかという御質問でございますけれども、現在、経済学的な問題は別といたしましても、実証的に言えることは、前期比の上昇率が五月で〇・九、六月が〇・三、七月が〇・二、それから八月がマイナス〇・一で、九月がちょっと上がりまして一・七です。前年同期比が五月が八・二、それから六月が八・四だったと思いますけれども、七月が七・七、八月が八・七、九月が八・九です。そういう点から見て物価はある程度なだらかな線をいっているんじゃないか。またちょっとハイレベルの点もございますけれども、そういう点から見て、まあまあ消費者物価がそういう調子でございますので、それは一応安定のトレンドと申しますか、そういう方向にあるんじゃないかということを言っておるわけでございます。  経済学的にどう見るかということでございますけれども、これは賃金と物価のスパイラルがあって、それがどんどん上がっておるというようなこともあるでしょうし、M2、つまり貨幣の増加というようなことで、それがインフレーションあるいはスタグフレーションになっておるというようなこともあると思います。  経済学的にどう見るかということはいろんな学者の見方もあるでしょうし、内外のいろんな見方もございますので断定したことは言えませんけれども、いま申し上げましたように前年同期比、それから前期比、そういうもののトレンドからそういうことが言えるんじゃないかということを言ったわけでございます。  それから設備投資の件でございますけれども、自由主義経済を標榜しているわが党といたしましては、民間のみずみずしい活力を生かすためにも民間の設備投資ができ得るような環境づくり、その政策をやっていこうというのが私どもの趣旨でございまして、それならば具体的にどういうふうなことをやっておるかということでございますけれども、いまエネルギー問題が非常に私どもの大きな関心事となっておりますし、政府の施策の眼目の一つにもそれがあるわけでございまして、このエネルギー、つまり代替エネルギーあるいは省エネルギーを含めまして、そういう設備投資に対する減税措置を講じようという税制が一本あるわけです。それから工業再配置と申しますか、そういうところの誘導地域に対する工業投資、そういうものに対する減税、そういう投資減税が新しい予算として二つあるわけでございます。したがって、そういう面から民間の設備投資を促進し、景気を刺激して、みずみずしい活力を出そうというのが私どもの考えにあるわけです。  三番目の問題は、物価は安定し、景気はまあまあと言いながら非常に警戒をしなくちゃいかぬ、心配があるというようなことを言っておるがどうかということでございますけれども、これもやはり物価と景気の両にらみということはあくまで私どもが考えておかなくちゃいかぬことでございまして、日本の国内だけの問題じゃなくて、世界全体に不況、つまりスタグフレーションあるいはインフレーションというようなものがみなぎっているわけで、まあまあ幸いに日本と西ドイツがエンジンカントリーズとしての役割りをやって安定しておる、ということを言われておりますけれども、御承知のようにイラン・イラクあるいはオイルの問題などございまして、私どもが考えられない点で油の価格が外から上がってくるわけです。それによって製品をつくる。そうなりますと、国内のコントロールのきかない面で物価の高騰というようなものもあるわけでございまして、やはり安心はできない。一つの方向として物価の安定の方向はあっても、ともすれば国際的要因あるいは国内のいろいろな要因から警戒はしなければならないということをうたったことでございまして、相矛盾するようでございますけれども、それは私どもの警戒心を常に持っておかなくちゃいかぬということをうたった結論でございます。私どもはそれが相反する、あるいは矛盾していくというようなことは思っておりませんけれども、国民経済あるいは経済の全体を預かっておる私どもとしては、一応警戒の態勢あるいは国民に対して心の構えを要望しておかなくちゃいかぬという観点から申し述べたわけでございます。
  80. 城地豊司

    ○城地委員 具体的な五百億円の使途の問題についても政府として十分検討して、物価対策として今月末までにはっきりまとめるというお答えをいただきましてありがとうございます。  次に、「エネルギー安全保障の確立」という四ページから十ページまでのところで質問を申し上げたいと思います。  石油の問題については清水委員や原田委員から言われましたので、重複をいたしますので省略をいたしたいと思いますが、六ページのところにいろいろな対策を立てる、たとえば備蓄をしたりその他内外の石油需給の問題でいろいろ力強い御回答もいただきました、なおアジア全体の地域でもさらにわが国のために石油輸入の確保に努めるということ等も述べられておりますが、この六ページのところにたとえば「内外の石油需給、備蓄の状況により、」結びとしては「当面石油供給面における不安はありません。」とありますが、しかしその途中に「国民の冷静な対応があれば、」という言葉が一つ入っているわけでございます。普通の経済政策だとすれば内外の石油需給、備蓄の状況により当面石油供給面における不安はありませんと結んでそれで十分成り立つのじゃないかと思うのですが、あえて国民の冷静な対応があればというのはどういう意味なのかということを私は伺っておきたいと思います。  それから、「エネルギー安全保障の確立」という項では、非常にスペースを割いて原子力発電その他日本のエネルギーのあるべき姿等の分析がなされておりますが、これらについては本日は時間が少ないものですから後日に譲らせていただきたいと思います。ただ、九ページのところに、最後の方にいろいろな省エネルギーの問題、エネルギーの使用の合理化の問題等々述べられておりますが、その最後に、「我が国産業構造の省エネルギー化を強力に進めてまいります。」という文言がございます。わが国の産業構造を変えていこうというわけでありますが、わが国産業構造の省エネルギー化というのはどういう意味なのか、伺っておきたいというふうに思います。
  81. 田中六助

    ○田中(六)国務大臣 まず第一点の冷静な国民の判断があればというところでございますけれども、私どもがいま進めておる政策は、御承知のようにエネルギー問題で世界も日本もてんやわんやのところでございますけれども、備蓄がこれこれある、あるいは現在の燃料油の販売量がこれだけある、あるいはまた現在の灯油のストックはこれだけあります、だから御安心、まあまあ安心といかなくても当面大騒ぎをすることはございませんというふうなことをたびたび言ってきておるわけでございますけれども、やはりいろいろなことで、たとえば数日前の朝日新聞の投書欄にも、ある主婦が灯油の値上がりが最盛期に向かって気になるという投書をしておりましたけれども、これは内外の諸情勢を見た素朴な国民の感情じゃないかと思うのです。したがって、そういうことが非常に広まっていくと、オイルショックのときに、まあすぐ冷静になって、政府の適応力もよかったし国民の適応力もよくて大事に至らずに済んだわけでございますけれども、トイレットペーパーとかあるいは洗剤とかそういうものに対する大騒ぎの経験もございましたが、そういうことはないように国民の皆さんが冷静に判断してくださればという警戒心を言ったまででございます。  それから省エネルギーを言っているのだが、これは産業構造との関係はどうなのかという御質問でございますけれども、いままでの経済の構造というか、産業の構造は石油に依存した構造だったと思うのです。しかし、このような内外の諸情勢でございますので、脱石油、脱エネルギー政策あるいは省エネルギー政策というものを私どもはいまやっておるわけで、たとえばオイルの依存率を十年後には五〇%に下げる。そういうようなことは省エネルギーだけじゃなくて、あるいは脱石油、脱エネルギーというようなことで産業構造を転換しなければ五〇%に下がらないわけです。したがって、そういうことを私どもは考えてそこにそういうふうにうたったわけでございます。
  82. 城地豊司

    ○城地委員 続いて、第三番目の「摩擦なき通商関係の確立と国際的責務の遂行」について質問をいたします。  この中では節度ある輸出、エネルギー外交の積極化、そして産油国の訪問、発展途上国との総合的経済協力というようなことで、「摩擦なき通商関係の確立と国際的責務の遂行」について非常によく述べられていると思います。しかし、この「摩擦なき通商関係の確立」の問題をさらにもう少し突っ込んで考えていきますと、諸外国で批判されておりますように、何といいましても経済の基本にある日本人の働き過ぎということが問題になるのじゃないかと思うのです。これは直接労働時間とかそういう問題になりますと、この委員会でそれぞれ論議をする問題でないという見方もありますが、むしろ国際的な通商関係ということでいきますと、ただ単に労働時間の問題だからそれはというようなことで片づけるのではなくて、日本全体のトータル的な働き過ぎということが指摘されるとすれば、トータルに対してはトータルでこたえていく、日本人は働き過ぎでないのだ、ちゃんとこれだけ休んで、しかもこういう能率を上げているのだということを訴えていくべきだろうし、そうでなければ諸外国からの批判は絶対なくならないのじゃないかと思います。  ここ数年間のいろいろな傾向を見てみますと、確かに労働時間の短縮は行われてきています。主として基幹産業の大企業の面では週休二日が非常に徹底してきている。しかし、日本全体からすればまだまだであるという状況だと思います。そういう意味で考えますと、日本全体の労働時間の短縮、働き過ぎの是正ということなしには国際摩擦の解消がむずかしいというふうに私は断定的に判断をいたします。そういう意味で言いますと、何といいましてもお役所とか銀行とか、そういうところの週休二日を実現させる、そして学校の週休二日が実現する、さらにいわゆる製造業なんかでも、大企業だけでなくて中小企業がどんどんそういうものを実現するというようなことでいって、日本全体がどう比べてみても労働時間では先進諸国との差がないというところまで行くべきであろう。そういうような形を通じていかなければ国際摩擦はなくならないのではないかというふうにきわめて独断、断定的でありますが、考えるのでありますが、通産大臣のお考えをお聞かせいただきたいというのが一つでございます。  第二点は、いま国際的な摩擦が非常に多い。私は電機の出身でありますが、電機でもカラーテレビの問題その他ありました。いま自動車の問題が非常に大きく出てきております。さらに鉄鋼の関係も出てくるということが予測されておりますが、そういう意味で考えますと、いまは主として日本から輸出をする、生きていくために輸出をしなければ日本経済は成り立っていかないわけですが、輸出をする面でいろいろ起こっているのじゃないかと思うのです。しかし、一面で考えますと、そういう摩擦だけでなくて、ついこの間もいろいろなところで話をされたのですが、化学産業については、むしろ輸入をすることによって化学産業そのものが成り立っていかないというような一面もあるように聞いております。そういう意味ではいろいろな産業政策とか産業構造の変化とかいろいろな点で早く手を打たなければ大変なことになるわけですが、この化学産業等の輸入の問題についてそういう懸念がないのか、またあるとすればどういうような措置をしていかれるおつもりなのか伺いたいと思います。  なお、自動車等の問題については、当面騒がせておりますけれども、また別の機会に譲りたいと思います。
  83. 田中六助

    ○田中(六)国務大臣 経済摩擦の中いろいろなことがあるが、まず第一に日本は働き過ぎじゃないか、もう少し週休二日とかその他いろいろ徹底したらどうかということでございます。私もまさしくそういうふうに思います。日本はまだまだ働き過ぎるというふうに批判されても仕方がないような体制であると思うのです。したがって、週休二日の徹底とかあるいはもう少しレジャーを楽しむとかいうふうな方法を考えるべきではあるまいか。しかしそれは、私どもの長い間の産業そのものが年功序列とか終身雇用制度とか、そういうものの根本的な問題があるから、これは批判される面もございますけれども、終身雇用とか年功序列という制度はまた外国は学ばなければならないというようないい面もあるわけでございまして、そういう点を一概に葬り去るわけにいきませんけれども、もう少しレジャーと申しますか、休むということがこれからの活力を養成する意味でも必要じゃないかというふうに思っております。  それから、いろいろな産業の近代化と申しますか、将来の先端産業の品物に対処して考えなくてはいかぬのじゃないかということでございますけれども、私どももこの摩擦をなくするために、将来またいろいろなものが競合しないようにということから、第三市場の開拓、それぞれバイラテラルにもいろいろ話し合って、そういう産業開発、共同開発、たとえば日本の自動車産業が向こうの自動車産業と共同して向こうでつくるとかというようなことを考えていけばそういうものも解決していくんじゃないかというふうに思っております。
  84. 城地豊司

    ○城地委員 次に「技術立国への道」ということで述べられておりますが、これについては、先ほど前の人が九〇年代に開花が期待される次世代産業問題でやりましたので省略をして、次の「活力ある中小企業の育成」の関係について御質問を申し上げたいと思います。  先ほども質疑応答でありましたが、中小企業に景気のかげりが非常にあらわれてきている。そして九月の倒産件数は千六百七件もしくは千六百八件、調査する基準によって一件違いがありますが、非常に大変な事態になっているというふうに報じられています。しかし、あの千六百七件と書いて括弧して一千万以上の企業ということで書かれているわけですが、一千万以上でないそれ以下の小口倒産というものの実態はどういうふうにつかんでおられるか、最初に伺いたいと思います。
  85. 田中六助

    ○田中(六)国務大臣 中小企業庁長官がいますので……。
  86. 児玉清隆

    ○児玉(清)政府委員 お答え申し上げます。  一千万円以上の負債額のものにつきましては、きわめて精緻な民間調査がございまして、これも私どもの施策のデータとして使っておるわけでございますが、一千万円未満のものにつきましては、現在のところ百十一の都市を選びまして、これの小口倒産の動向把握調査というのをやっております。そのもとといたしましては、今回十月一日から中小企業事業団ということに統合されましたが、その前身でありました中小企業共済事業団の方から民間の調査機関に委託をいたしまして、全国の百十一都市について動向把握というのをやっております。その結果につきましては「企業倒産調査月報」という刊行物を公表いたしておりまして、そこでいろいろな要因分析等もやっております。ちなみに七月の件数で申し上げますと、一千万円未満というものが、百十一都市でございますので絶対数としてはサンプルになりますが、七百二十八件という数字でございます。大口倒産に比べまして数の水準としては小そうございますが、何せ百十一という限られたサンプルでございますので少ないわけでございます。ただ、それの動向といたしましては、今年に入りましてから高い水準で推移しておるということは、一千万円以上の大口倒産の動向とほとんど同じカーブを描いております。
  87. 城地豊司

    ○城地委員 いまお答えをいただきまして理解をしましたが、一般に千六百七件出た、大変だと言いましても、それは一千万円以上のいわゆる大口倒産ということであります。小口の倒産については、全国にあれだけ多くの都市があるのに百十一の都市だけの調査で、しかも七月で七百二十八件、非常に少ない数字だけしか出てきておりません。これはなぜかと言いますと、百十一のサンプルそのものに問題があるのです。たとえば神奈川県であれば一番工業人口とかが多い川崎市なんかは入っていないとか、私の出身の茨城県であれば水戸市というようなところは入っているが、肝心の重工業の二十万都市の日立は入っていないとかいうことで、このサンプルそのものにも非常に問題があると思います。ということは、現状においては百十一の都市で調査をするしかないのかもしれませんが、実際に倒産というような不幸な事態、そういう実態を把握することを考えていきますと、大口の倒産ではなくてむしろ小口の倒産、三人、五人の企業や二人でやっているような小さい企業というようなところの実態を完全に把握されなければいろいろな対策を立てられないのではないかと考えるわけであります。したがって、これらの小口倒産をもっと範囲を広げて、調査網を拡大して、言うなれば小口の倒産の実態もしっかりとつかむような方針をお持ちかどうか、質問をしたいと思います。
  88. 児玉清隆

    ○児玉(清)政府委員 お答え申し上げます。  実は小口倒産につきましては外形標準が非常につかみにくいという悩みが若干ございまして、たとえば自主的な廃業あるいは転業といったものと純粋の経済的な倒産というものが、仕分けがなかなかむずかしいということで、サンプルも実はこの百十一都市にやむを得ず限定しておりますが、いま御指摘のように、小口倒産の実態把握ということも私どもも必要性は十分認識しているつもりでございますので、それを広げるかどうかにつきまして今後研究をしてみたいと考えます。
  89. 城地豊司

    ○城地委員 中小企業庁長官からそういうお答えをいただきましたが、倒産を論ずる際に、だれが考えても倒産の実態が、たとえば九月で千六百七件という大口の倒産だけで済む問題じゃなくて、むしろそういう小口のものも全部網羅をしてそして対策を立てるということだろうと私は思います。いま長官の言われた転廃業その他の関係で捕捉しにくいというのは、そういう部面もそれは確かにあるでしょうが、実態として考えたときに、余りいいことではないにしても日本全体の倒産は四千件なら四千件あるとか五千件ある、しかしそれを何とかして対策を立てていくのが政治じゃないかと思うのです。そういう意味ではいますぐ改善をするということについてはいろいろな措置で非常にむずかしいかもしれませんが、実態把握ということで考えていきますと当然そのことが必要なんじゃないかと私は思うのです。特に先ほど清水委員も言われましたが、現田中通産大臣は非常に思い切って何でもやられる方だと伺っておりましたので、この件について通産大臣の御見解を伺いたいと思います。
  90. 田中六助

    ○田中(六)国務大臣 九月の倒産件数が千六百四件、七件あるいは九件ともいろいろ言われておりますけれども、それは負債額が一千万円以上でございます。したがって、まだまだ零細な小口の企業が倒れておるといま中小企業庁長官が指摘しておりましたけれども、非常に底辺の企業が倒れておるということ、これは統計にあらわれているのが負債が一千万円以上というふうに限定されておりますので、それでも千六百件もあるわけでございますので、その下請企業、孫請企業がいかに連鎖倒産をするかということなども考え合わせますときに、私どもも率直に言って頭の痛い、胸の痛む思いがするわけでございます。したがってこれに対する統計のやり方をもう少し鮮明にしろということでございますけれども、でき得ればそういうふうにしていきたいし、わざわざ一千万以上の負債というように限っておるところはそれがみそかもわかりませんけれども、その下にたくさんまだあるということを十分認識していきたいと思います。ただ統計上、いろいろ先ほど長官が指摘しておりましたように、零細な企業の中には家内企業的なもの、家庭だけでやっているようなこともございまして、転業、廃業あるいは合併するとかいろいろな問題がございまして、実態の把握がしにくい点もあるのじゃないかと思いますけれども、あなたの意思は私ども十分つかんでこれからの政策に努めていきたいというふうに考えます。
  91. 城地豊司

    ○城地委員 いまの通産大臣のお答えで、前向きで十分対処をされるというふうに理解をいたします。  倒産の話が出たのでそのことの関連で触れますが、九月の倒産が千六百七件になった。そして十月、十一月、十二月と年末にいくに従って倒産についての傾向がどうなるとお考えか、それについて伺いたいと思います。私どもは、従来も大体年末はわりあい倒産等が多くなる傾向だと判断をしております。そういう意味を含めて見通しがありましたら伺いたいと思います。
  92. 田中六助

    ○田中(六)国務大臣 まさしく年末は毎年倒産件数も多くなるし、中小企業者の人々というのは非常に苦しむということから、政府三機関を中心とする金融の配置というものは前年同期よりも二六%アップ、一兆六千五百億というようなことも私どもも考えておりますし、年末融資につきましてはまた特段の配慮をすると同時に、特別枠あるいはその他の条件の緩和なども考えて対処していく方針でございます。
  93. 城地豊司

    ○城地委員 倒産の問題は一応そういうような状況であるし、九月ですら千六百件以上と、危機ラインという千五百件を超えているという実情からさらに重大な関心を持って進めていただきたいと思いますし、いま大臣が言われたようなそういう融資対策等々、十分な措置を講じていただきたいということをお願い申し上げたいと思います。  次に、中小企業の金融対策の実態について伺いたいと思います。  私ども中小企業を回りますと、最近は通産省、特に中小企業庁等の努力で非常に道は開けてきている。けれども実際の問題になると非常に融資等も受けにくいというような声を聞きます。これは科学的ないろいろな裏づけとか数字がありませんから非常に観念的になりますけれども、そういうような状態であるので、借りようと思っても、何々の点は書類を持ってきてまた返される、そしてこれは不備だということで指摘される、借りにくいからどうしても手軽な金融機関に借りに行くということにはね返ってきているわけであります。  これは中小企業庁長官に伺いますが、最近の中小企業の金融の状況で、各金融機関別でも結構ですが非常に多く活用されているのかどうか。私どもの断片的なことでは余り活用されていない向きがあるのじゃないかと考えているので、その点を御質問いたします。  ただ、別な面で、新たな設備合理化資金で五年間据え置いて、その後から返済をするというような資金があるようでありまして、これも不勉強で申しわけありませんが、その資金については借りる人が非常に多くなっている。設備合理化、近代化資金というのですか、そういう話でございますが、そういう点のことも含めて中小企業の金融の現況について、概略で結構ですからお答えをいただきたいと思います。
  94. 児玉清隆

    ○児玉(清)政府委員 お答えを申し上げます。  いま御指摘いただきました点を分けますと二つございまして、いわゆる政府系の金融機関、国民金融公庫と中小企業金融公庫と商工中金といったパイプを通じて直接中小企業者に流されますいわゆる政策金融機関というものと、それから制度的に、たとえば中小零細業者の設備近代化のために特に地方の自治体、県でございますが、県の方で設備近代化資金ということで零細な者に融資するというものと両面ございます。  また、政府系を通じます三機関の中でも、特に国民金融公庫から出てまいります無担保無保証制度、一口当たり三百万円貸しておりますいわゆる経営改善資金というのがございます。とりあえずの大きな種類としてはそういうことかと思います。  それで、現在三機関で流しております金融と申しますのは、全体といたしまして大体十三兆円ぐらいの残高がございまして、中小企業向け融資の中で大体一三%程度でございます。したがいまして、これが中小企業対策金融という点では、いわゆる補完的な立場としては非常に有意義にかつ機能しているわけでございますが、最近の動向からいたしますと、その三機関から流れます金のうち、特に設備資金についての申し込み及び借り入れというものが若干低調でございます。その理由といたしましては三つぐらいございますが、一つは将来に対する収益性を確保する自信という点で若干不透明であるという点がございます。それから景気全体の先行きに対してまだ自信が持てないので、設備投資というところまで踏み切れないという問題がございます。それからもう一つは、最近非常に声が高まっておりますのは、長期資金の金利が高い、したがいまして、その金利を払ってペイするような経営は、どうもいまの金利水準ではなかなかむずかしい面がございまして、それでここのところ二、三カ月、特に設備投資金融の需要というものが停滞をいたしております。したがいまして、量的に言いますとこの三機関の金融というものは、現在のところはそれほど逼迫はしておらないわけでございますが、それにいたしましても短期の運転資金及び後ろ向きの長期つなぎ資金といったものが若干ふえておりまして、やはりそのときどきの客観情勢に応じ、資金の需要の中身というか、質というものが変わってきてはおりますが、この三機関の政策金融機関としての機能といいますか、それは非常に大事なものであると現在でも中小企業側でも思っておりますし、私どももそういった評価をいたしております。  それから、先ほど御指摘いただきましたたとえば設備近代化資金等の需要は非常に活発である。これもロットが非常に小そうございまして、金額が小さくてしかも金利が非常に安いということもございまして、先ほど申しました高金利ということの逆の需要が出てまいっておりまして、安い金利の方にどうしても需要が集中しておるような実勢でございます。
  95. 城地豊司

    ○城地委員 大企業の減量経営と中小企業の関係でひとつお考え方を伺いたいと思うのです。  最近大企業が、非常に苦しい経営環境にあっても、減量経営等でそれを乗り切って大きな利益を上げてきているということが言われています。大企業の減量経営がいろいろやられている実情について、私もある程度承知しているつもりでございます。とは言いながら、大企業の減量経営が中小企業にしわが寄っているのではないかという点が非常に懸念されるわけでございます。そういう意味で明確な御答弁をいただきたいのですが、たとえば大企業が具体的に生産計画をする際に、これは最近もいろいろ起こっている状況ですが、一万台の何かをつくる。そして一万個の部品が必要だ。大企業の場合には内部でいろいろ検討をして、VA運動ということでできるだけ自分の工場の中に滞留する期間を少なくする、品物が入ったらそれをすぐ組み込んで一万台の製品にして出すという方式がとられているわけであります。自分の工場の中にそういう資材や資金を寝せておくことによって、非常にコストの面にプッシュされるのでマイナスになるからそういう方式をとっているわけであります。  しかし、逆に言うと、そのことが非常に中小企業を圧迫しているという事例があります。一万個の部品を何月何日の何時に納めろということで大企業から中小企業に発注があるということであります。大企業がたとえば十月二十一日の午前八時に一万個納入ということであれば、一万個納入されたらすぐそれを生産の軌道に乗せて、一日二千個ずつつくるとすれば五日間で一万個全部消化をしてしまうということになって、五日間で一万台の製品が出ていくわけであります。ところが、それが中小企業にしわが寄っていると申しましたのは、中小企業は規模が小さいわけでありますから、一万個を何日に納めろと言われましても、自分の生産能力は一日三百個しかないとすれば、一万個納入するためには三十日以上の日にちがかかるわけであります。一日三百個しかできないということは、いまから一カ月前の九月二十一日にまず三百個つくる、そして翌日また三百個つくるということで、三百個、三百個という集積が一万個になって納めるわけであります。大企業はその一万個を五日間なら五日間で全部消化をしてしまう、こういう仕組みになっているのが大企業と中小企業の部品の注文の現状であるわけです。  これは一つの例でありますけれども、非常に大きな問題点であって、なぜそれが問題点であるかといいますと、大企業の場合にはVA思想が徹底して工場の中にできるだけ金目のものを寝せておかない。金を借りて生産しているわけですから寝せておくとそれだけ金利がかさむ。ですから、金利がかさまないような方式をとるということでありますが、しからば中小企業の場合にはその数を納めろと言われて、最初の三百個は中小企業の倉庫の中に三十日間寝ているわけです。翌日製作した品物は二十九日間寝ているということで、一万個まとめて、やっとできましたということで納めているという実情があるわけであります。私は少しオーバーに言いましたから、一万個とか、二千個とか三百個ということでわかりやすく砕いて言ったわけですが、そういう実情がある。ということは、いわゆる大企業の減量経営と称し、経営合理化というものが中小企業にストレートにしわが寄っているわけであります。であっても、大企業がそういうふうにするからといってそういう単価を上げるということではなくて、むしろ単価の方は一生懸命合理化して、大企業も合理化しているのだから中小企業も合理化しろということで合理化が要求されるという意味で、中小企業は非常に苦しい立場に陥っているのではないかと思うのです。金融の面でなくてむしろそういう具体的な生産、受注、納入の面で負い目があるわけで、それができなければ非常に大きな制裁措置が大企業から加えられるという仕組みになっております。  これを解消するためにどうしたらいいかという課題があるわけですが、解消するためには大企業からの発注をもう少しこまめにしていくという方法もあるし、中小企業も少し設備を近代化して、もう少し能力を上げていくという方法もあります。分散して発注するという方法もありますが、大企業はどうしても自分のところを中心にして注文をするという傾向があるわけでありますが、そういういま言ったような一つの例に見られるようなことについて通産省はどういうふうに考えられるか。またそれらについて具体的にどういうようないろいろな意味での行政指導というものがなされているか、お考えを伺いたいと思います。
  96. 児玉清隆

    ○児玉(清)政府委員 お答え申し上げます。  現在の自動車を初めといたしまして電機関係の産業等、特に世界に大変な競争力を持っております企業群でございますが、これは御指摘のように大企業のアセンブル部門とそれから中小企業の部品ないしその他の素材提供部門と、これがコンビネーションでそういった競争力を持っているわけでございまして、現在までたどってまいりました大変な苦難の道が、現在の全体として見ますと非常に世界に冠たる競争力を実現したわけでございます。その過程におきまして、いまおっしゃいましたたとえばかんばん方式と言われるような仕組み、これも二、三年でできたというよりは、もう十数年かかってそれが積み重なっているようでございまして、その間に親と子の相当なあつれきとか話し合いとか、そういった過程があったわけでございます。そして現在そういう大と中小とのパートナーとしての組み合わせ、そういったものがしっくりいっているところは円滑に生産と発注、販売というものが十分回っているわけでございます。そのためには中小企業の方でも相当思い切った設備の更新をやりまして、それから自己の設備の面につきましても、あるいは生産プロセスの点につきましても相当システム化をやりまして、そして非常に悪戦苦闘しながらついていったという実情がございます。そのことについての評価はなかなか一概には申し上げにくいわけでございますが、いま非常に足腰の強い中小下請企業と言われる一群のものは、そういうものを克服して現在まあまあやっているということだろうと思います。  ただ、必ずしもいま申し上げましたようなことで順調にいくケースばかりではございませんので、やはり下請の関係というのは親の方の強い力と弱い下請という関係でとらえられる場合が数としては非常に多いわけでございます。したがいまして、こういうものを全体としてうまくやっていくというためには、やはり下請関係につきましての規制ということを必要とするわけでございます。この点につきましては、いま御指摘のようなひずみができるだけ取引条件の面で出てこないようにということを、中小企業庁と公正取引委員会が二人三脚で規制の執行を担当いたしておりまして、その密度も相当上げてきております。実際の立入検査の件数等も、五十四年でいいますと千八百件というようなことで、合理的な取引関係をそれによって確保するという行政的な面での支えをいたしておる段階でございます。もちろん親と子との関係というのが対立関係ということでは決してうまくいかないわけでございまして、やはりそこは相補う関係、お互いそれぞれの立場を尊重しながら補完し合うという関係が経済的には一番いいと思われますので、指導という面も行政としては重視しております。これにつきましては下請の振興法というのがございますので、それによりまして下請振興基準というものをつくりまして、できるだけ親企業がそれを遵守するということによって下請が実態上保護され、かつ相当近代化されて前向きに強くなっていくということを誘導いたしております。  そういった規制の面と振興と申しますか、行政指導という両方をあわせまして行政の一つの展開を図っておりまして、まだ十分というところではございませんけれども、逐次改善を見ております。私どもが見ている限りにおきましては目に余るものというものは相当数が減ってきております。私どもも規制の面では、余りひどい事例につきましてはこれを公正取引委員会に送致いたしまして、その措置を請求するという段取りをつけるわけでございます。  以上申し上げましたようなことによりまして、なるべくしわが寄らないようにということで監視いたしておりますが、こういうことは今後もそういう点で努めてまいりたい、このように考えております。
  97. 城地豊司

    ○城地委員 最後になりますが、先ほどからのいろいろな質疑の中で、いま経済運営全体を見ても、消費者物価の問題にしても、成長率の問題にしても、そして倒産の問題にしても、さらにもっと大きな意味で心配しますと、イラン、イラクに始まる石油の問題にしても大変なところへ来ているんじゃないかという認識をいたします。そういう意味で、それらの中で特に通産行政というものの置かれる立場、それから重要度というものはますます大きくなってきているのじゃないかと思います。そういう意味で先ほどから質問、さらには要請を申し上げましたが、特に非常に弱い立場にある中小企業の育成というようなもの等も含めて、適切な行政をされるように要望して質問を終わりたいと思います。ありがとうございました。(拍手)
  98. 野中英二

    ○野中委員長 次回は、来る二十四日午前十時理事会、午前十時三十分委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。     午後三時四十九分散会