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1980-10-28 第93回国会 衆議院 内閣委員会 5号 公式Web版

  1. 昭和五十五年十月二十八日(火曜日)     午前十一時四分開議  出席委員    委員長 江藤 隆美君   理事 愛野興一郎君 理事 稻村左近四郎君    理事 染谷  誠君 理事 塚原 俊平君    理事 岩垂寿喜男君 理事 上田 卓三君    理事 鈴切 康雄君 理事 神田  厚君       有馬 元治君    小渡 三郎君       大原 一三君    粕谷  茂君       川崎 二郎君    木野 晴夫君       倉成  正君    田名部匡省君       田村  元君    竹中 修一君       上原 康助君    角屋堅次郎君       矢山 有作君    渡部 行雄君       市川 雄一君    小沢 貞孝君       榊  利夫君    中島 武敏君       河野 洋平君  出席国務大臣         法 務 大 臣 奥野 誠亮君         国 務 大 臣         (内閣官房長         官)      宮澤 喜一君         国 務 大 臣         (防衛庁長官) 大村 襄治君  出席政府委員         内閣官房内閣審         議室長     石川  周君         内閣法制局第一         部長      味村  治君         国防会議事務局         長       伊藤 圭一君         防衛庁参事官  岡崎 久彦君         防衛庁参事官  石崎  昭君         防衛庁参事官  多田 欣二君         防衛庁参事官  番匠 敦彦君         防衛庁長官官房         長       夏目 晴雄君         防衛庁長官官房         防衛審議官   西廣 整輝君         防衛庁防衛局長 塩田  章君         防衛庁人事教育         局長      佐々 淳行君         防衛庁衛生局長 本田  正君         防衛庁経理局長 吉野  實君         防衛庁装備局長 和田  裕君         防衛施設庁長官 渡邊 伊助君         防衛施設庁施設         部長      森山  武君         外務省アジア局         長       木内 昭胤君         外務省北米局長 淺尾新一郎君  委員外の出席者         外務大臣官房調         査企画部審議官 馬淵 晴之君         外務大臣官房審         議官      堂ノ脇光朗君         外務大臣官房審         議官      関  栄次君         外務省中近東ア         フリカ局中近東         第二課長    野口 雅昭君         大蔵省主計局主         計官      畠山  蕃君         通商産業省通商         政策局南アジア         東欧課長    諸富 忠男君         海上保安庁警備         救難部長    福島  弘君         内閣委員会調査         室長      山口  一君     ――――――――――――― 十月二十五日  台湾、朝鮮に勤務した日赤救護看護婦の処遇に  関する請願(藤波孝生君紹介)(第三九〇号)  旧勲章叙賜者の名誉回復に関する請願(橋本龍  太郎君紹介)(第三九一号)  同(江藤隆美君紹介)(第四〇〇号)  同(小里貞利君紹介)(第四一三号)  同(志賀節君紹介)(第四一四号)  同(三浦隆君紹介)(第四一五号)  同(青山丘君紹介)(第四二八号)  同(稲富稜人君紹介)(第四二九号)  同(小沢貞孝君紹介)(第四三〇号)  同(岡田正勝君紹介)(第四三一号)  同(春日一幸君紹介)(第四三二号)  同(神田厚君紹介)(第四三三号)  同(近藤豊君紹介)(第四三四号)  同(齋藤邦吉君紹介)(第四三五号)  同(塩田晋君紹介)(第四三六号)  同(高橋高望君紹介)(第四三七号)  同(竹本孫一君紹介)(第四三八号)  同(玉置一弥君紹介)(第四三九号)  同(塚本三郎君紹介)(第四四〇号)  同(中井洽君紹介)(第四四一号)  同(中野寛成君紹介)(第四四二号)  同(中村正雄君紹介)(第四四三号)  同(永末英一君紹介)(第四四四号)  同(西村章三君紹介)(第四四五号)  同(林保夫君紹介)(第四四六号)  同(部谷孝之君紹介)(第四四七号)  同(宮田早苗君紹介)(第四四八号)  同(横手文雄君紹介)(第四四九号)  同(吉田之久君紹介)(第四五〇号)  同(和田一仁君紹介)(第四五一号)  同(渡辺武三君紹介)(第四五二号)  同(相沢英之君紹介)(第四七八号)  同(愛知和男君紹介)(第四七九号)  同(秋田大助君紹介)(第四八〇号)  同(伊藤宗一郎君紹介)(第四八一号)  同(小此木彦三郎君紹介)(第四八二号)  同(大西正男君紹介)(第四八三号)  同(菊池福治郎君紹介)(第四八四号)  同(小泉純一郎君紹介)(第四八五号)  同(小坂徳三郎君紹介)(第四八六号)  同(後藤田正晴君紹介)(第四八七号)  同(佐藤一郎君紹介)(第四八八号)  同(塩谷一夫君紹介)(第四八九号)  同(根本龍太郎君紹介)(第四九〇号)  同(長谷川峻君紹介)(第四九一号)  同(三塚博君紹介)(第四九二号)  同(森下元晴君紹介)(第四九三号)  同(堀内光雄君紹介)(第五〇三号)  在外財産補償の法的措置に関する請願(阿部文  男君紹介)(第四一六号)  同(石井一君紹介)(第四五三号)  同(谷洋一君紹介)(第四五四号)  同(渡辺省一君紹介)(第四五五号)  同外二件(加藤紘一君紹介)(第四九四号)  同(鹿野道彦君紹介)(第四九五号)  同(粟山明君紹介)(第四九六号)  同(田澤吉郎君紹介)(第五〇四号)  同(石原健太郎君紹介)(第五二二号)  同(佐藤孝行君紹介)(第五二三号)  同(津島雄二君紹介)(第五二四号)  北九州財務局福岡市存置に関する請願(平林  剛君紹介)(第五〇一号)  同(村山喜一君紹介)(第五〇二号)  旧満州棉花協会等を恩給法による外国特殊機関  として指定に関する請願(砂田重民君紹介)(  第五二一号) 同月二十七日  旧勲章叙賜者の名誉回復に関する請願(足立篤  郎君紹介)(第五三八号)  同(竹下登君紹介)(第五三九号)  同(佐藤隆君紹介)(第六四八号)  同(長野祐也君紹介)(第六四九号)  在外財産補償の法的措置に関する請願(佐々木  義武君紹介)(第五四〇号)  同(齋藤邦吉君紹介)(第五四一号)  同(砂田重民君紹介)(第五四二号)  同(竹中修一君紹介)(第五四三号)  同外一件(近岡理一郎君紹介)(第五四四号)  同(天野光晴君紹介)(第六五〇号)  同(田名部匡省君紹介)(第六五一号)  同(田邉國男君紹介)(第六五二号)  同(渡海元三郎君紹介)(第六五三号)  北九州財務局福岡市存置に関する請願(細谷  治嘉君紹介)(第五四五号)  同(八木昇君紹介)(第五四六号) は本委員会に付託された。     ――――――――――――― 本日の会議に付した案件  防衛庁設置法等の一部を改正する法律案内閣  提出第一号)      ――――◇―――――
  2. 江藤隆美

    ○江藤委員長 これより会議を開きます。  この際、内閣官房長官から発言を求められておりますので、これを許します。宮澤内閣官房長自。
  3. 宮澤喜一

    ○宮澤国務大臣 朝鮮半島の平和と安定の保持は、わが国の安全保障にとって緊要であるばかりでなく、東アジア全域の平和と安定にとって重要な要素でございますが、昭和五十五年十月二十七日の衆議院安全保障特別委員会における防衛庁岡崎参事官の、北朝鮮の最近の軍事力増強は潜在的脅威の増大である云々との答弁も、このような認識のもとに、北朝鮮の軍事力増強は半島の軍事バランスに影響を与えるものであり、ひいては、直接的ではないとしてもわが国に影響を及ぼす可能性があるとの趣旨でございます。
  4. 江藤隆美

    ○江藤委員長 この際、暫時休憩いたします。     午前十一時六分休憩      ――――◇―――――     午前十一時五十二分開議
  5. 江藤隆美

    ○江藤委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  防衛庁設置法等の一部を改正する法律案を議題といたします。  趣旨の説明を求めます。大村防衛庁長官。
  6. 大村襄治

    ○大村国務大臣 防衛庁設置法等の一部を改正する法律案の提案の理由及び内容の概要について、御説明いたします。  この法律案は、防衛庁設置法のほか、自衛隊法並びに防衛庁職員給与法の一部改正を内容としております。  まず、防衛庁設置法の一部改正について御説明いたします。  これは、自衛官の定数を、海上自衛隊千六百十九人、航空自衛隊七百十二人、計二千三百三十一人増加するためのものであります。これらの増員は、海上自衛隊については、艦艇、航空機の就役等に伴うものであり、航空自衛隊については、航空機の就役等に伴うものであります。  次に、自衛隊法の一部改正について御説明いたします。  第一は、海上自衛隊の潜水艦部隊の一元的な指揮運用を図るため、司令部及び潜水隊群その他の直轄部隊から成る潜水艦隊を新編して、これを自衛艦隊の編成に加えるものであります。  第二は、航空自衛隊の補給機能を効果的に発揮させるため、各補給処の業務の統制を行う補給統制処を廃止し、これにかわるものとして、各補給処の業務全般の指揮監督を行う補給本部を航空自衛隊の機関として新設するものであります。  第三は、人事管理及び編成上の必要性等から自衛官の階級として曹長を新設するものであります。  第四は、自衛隊の予備勢力を確保するため、陸上自衛隊の予備自衛官二千人を増員するためのものであります。  最後に、防衛庁職員給与法の一部改正について御説明いたします。  これは、自衛官の階級として曹長を新設することに伴い、曹長について俸給月額を定めるとともに営外手当を支給することができることとするものであります。  以上、法律案の提案の理由及び内容の概要を御説明申し上げましたが、何とぞ慎重御審議の上、速やかに御賛成くださいますようお願いいたします。
  7. 江藤隆美

    ○江藤委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。  午後一時三十分から委員会を再開することとし、この際、休憩いたします。     午前十一時五十五分休憩      ――――◇―――――     午後一時三十二分開議
  8. 江藤隆美

    ○江藤委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  防衛庁設置法等の一部を改正する法律案を議題とし、質疑に入ります。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。上原康助君。
  9. 上原康助

    ○上原委員 最近防衛問題が大変活発になってきておりますが、本委員会でも、プロパーの委員会でありながら防衛問題についてなかなか議論をする機会がなかったのですが、提案をされました防衛関係法案と関連をさせていろいろお尋ねをさせていただきたいと思うのです。  冒頭、委員長にもちょっと注文をつけておきたいのですが、本来私たちは国民生活と関連ある法案から、かつ与野党が一致する法案の審査というものを理事会を通して強く要望してまいりましたが、はからずもそういう関連法案が後回しになって対決法案とも言える防衛関係法案から審査に入ることについてきわめて不本意であるということを申し上げさせていただきたいと思うのです。  そこで、防衛関係の問題につきましては、相当広範囲にわたりいろいろとお尋ねをしてみなければならない問題がありますので、できるだけ慎重審議の上にも時間をかけて委員会運営をやっていただくことを要望しておきたいと思うのですが、委員長の御見解をまず聞いておきたいと思います。
  10. 江藤隆美

    ○江藤委員長 委員会の運営については理事会の意見を徴して公平に慎重に運営してまいりたい、こう思っておりますから、御理解をいただきたいと思います。
  11. 上原康助

    ○上原委員 けさほど理事会で問題になったと言われております昨日の衆議院の安保特別委員会での朝鮮民主主義人民共和国の最近の軍事情勢というものがわが国にとって脅威が増大をしているというような見解を防衛庁の方から明らかにした。この問題は当然きょうの委員会審議を通して、まず国際情勢に対する認識を防衛庁なり外務省、政府としてどうとらえておられるのか、そういう面から質問を展開していきたいということを考えておりましたが、せっかく官房長官まで来ていただいて、統一見解なりも出たわけです。午前中官房長官が明らかにいたしました政府の統一見解というのは、一体何のための統一見解なのかと改めて疑問ときわめて不満を抱くわけですが、果たして朝鮮半島における軍事情勢なり、北朝鮮、朝鮮民主主義人民共和国の軍事体制というもの、実情というものがわが国にとって脅威である、こういう認識はどこから出てきているのか、改めて官房長官なり防衛庁長官の御認識、御見解を聞いてみたいと思うのです。
  12. 宮澤喜一

    ○宮澤国務大臣 朝鮮半島における状況につきまして、防衛庁の政府委員から衆議院の安全保障特別委員会におきまして御説明をいたしたわけでございますが、その趣旨とするところは、朝鮮民主主義人民共和国、便宜略して北鮮と言わせていただきますが、に軍事力の増強が最近あって、その結果、以前に比べると朝鮮半島における軍事バランスに変化が生じておる、そういう説明をいたしまして、これは潜在的脅威の増大でございますということを申し上げた由でございます。この判断は防衛問題のいわば専門家としての立場から申し上げたことであると思いますが、国全体の政策決定あるいは判断の決定はもっと総合的な広範な見地から、外交でございますとか経済でありますとか、あるいは文化的な交流でございますとか、防衛もその一つでございますが、そういう総合的な見地からいたさなければならないものと思います。したがって、そのような総合的見地から政府の意思決定、判断決定をいたすという立場から申し上げますならば、この際、朝鮮民主主義人民共和国がわが国にとって潜在的な脅威であると断定することは国益に必ずしも沿うものではない、私はそのように判断をいたします。
  13. 上原康助

    ○上原委員 いまの御答弁は、けさの統一見解でお述べになったことと若干ニュアンスが違いますが、脅威と断定することはわが国の国益に合致しない、そういう趣旨だとしますと、一応後ほどソ連の軍事増強に対する潜在的脅威だというような防白の表現など、いろいろ含めてお尋ねをしたいわけですが、しかし政府の統一見解として官房長官がけさほどお述べになったことは、昨日の岡崎参事官の安保特別委における御発言を追認をしたかっこうになっているわけですね。いまの見解とは違うのですよ。私たちが大変慰問に思う、あるいは不満に思うのは、政府の見解というものが防衛庁がこう言ったかと思うと外務省が打ち消している。外務省がこう言ったかと思うと官房長官がそれを修正するとか非常に不統一のままに展開をしながら、かつ結果的には防衛庁の見解というものを政府全体の見解として容認をする、追認をしていくという態度を鈴木内閣発足以来今日までとってきているわけですね。昨日も官房長官は、肯定も否定もしないというように記者会見でおっしゃったという。外務省に至っては、舌足らず発言で訂正が必要だということを高官は言ったとの報道がある。また防衛庁にしても、それは脅威の増大であるという認識はいささか説明不足だとか、あるいはまたそういう認識は全体的には、防衛庁全体としての意向には必ずしもなっていない、こういう報道もなされているわけですね。一体どうなんですか、この件は。外務省はこの件、どう思っていらっしゃるのですか。
  14. 宮澤喜一

    ○宮澤国務大臣 今朝申し上げました趣旨は、そのような軍事バランスの変化というものは、仮に直接的ではないにしてもわが国に影響を及ぼす可能性はあるということを申し上げたわけでございますけれども、それではなお問題点が不明確である、こういうふうな御意見のようでございましたので、ただいまそれを明確に申し上げたわけでございます。  当委員会に私のお呼び出しがございましたのは、政府としての統一した見解を述べよ、こういう御趣旨であると存じましたので、ただいま申し上げましたことが政府の統一見解というふうに御解釈をお願いいたします。
  15. 上原康助

    ○上原委員 そういたしますと、けさほどお述べになったことは、先ほどの答弁で修正をした、訂正をしたというふうに受け取ってよろしいですか。
  16. 宮澤喜一

    ○宮澤国務大臣 両者が矛盾しておるとは考えておりませんけれども、なお明確に申せというお尋ねでございますれば、先ほど申しましたことが政府の見解である、このようにおとり願って結構でございます。
  17. 上原康助

    ○上原委員 どうもまだ釈然としない点もあるんですが、まずけさほどの御見解の前段は、言うまでもなく一九六九年の佐藤・ニクソン共同声明のところを引用しておりますね。そして結びとして、「直接的ではないとしてもわが国に影響を及ぼす可能性があるとの趣旨」である。直接的ではないがわが国に影響を及ぼす可能性がある。一体どういう影響を及ぼす可能性があるんですか、軍事的に政治的に。脅威という実態というのはどういう認識をしてこういう受けとめ方をしようとしているわけですか。
  18. 宮澤喜一

    ○宮澤国務大臣 私どもの基本的な考え方は、この国が潜在的な脅威であるないというようなことをそう軽率に申してはならないという基本的な判断をいたしております。  ただいまのお尋ねは、朝鮮半島の軍事バランスに変化が生じたときにわが国にそれが全く無関係であるかということから申せば、それは直接、間接に無関係であるとは申せないかもしれない。しかしだからといって、それが潜在的な脅威になると判断することはわが国の国益に沿うものではない、そういうふうに考えているわけです。
  19. 上原康助

    ○上原委員 官房長官が政府の御見解としてそういうふうに修正といいますか、訂正をなさったわけですから、防衛庁に聞くまでもないと思うのですが、防衛庁長官の御認識はどうなんですか。
  20. 大村襄治

    ○大村国務大臣 お答え申し上げます。  ただいま官房長官の申されましたことにつきまして全く同感でございます
  21. 上原康助

    ○上原委員 余りにもそっけないのですが、それじゃシビリアンコントロールもいささか不安になるわけですが、この点だけにかかわるわけにはいきませんので、後ほどまた防衛庁のいろいろなことについてはお尋ねをさせていただきたいと思うのです。要するにわれわれとしては、確かにわが国をめぐる国際情勢なりあるいは朝鮮半島の軍事バランスその他について変化があるということは客観的な認識としてできるかもしれません。しかし、防衛庁が言うように北朝鮮のそういった軍事増強も脅威だ。今度またベトナムがやればベトナムも脅威になりますよ。中国だって脅威である。そうなると脅威だらけじゃないですか。こういうことは国民に誤った国際情勢の判断なり認識をさせる結果になっていると思う。その意図が何かということを私たちはむしろ問題にしたいわけです。これはこれから逐次取り上げていきます。  そこで、質問のリズムがちょっと変わるので残念なんですが、官房長官の御日程もありますので、ぜひそうしてもらいたいという御要望でもありますので、総合安全保障問題について若干お尋ねをさせていただきたいと思うのです。  鈴木さんが首相に御就任なされた段階で、安全保障問題は何も防衛とか軍事ということだけじゃないのだ、エネルギー、食糧、その他含めて総合安全保障体制を確立していきたいという従来からの持論をぜひとも実を上げたいということで総合安全保障構想が検討されているようですが、目下のところどうなっているのか。まず官房長官の方からお答えをいただきたいと思います。
  22. 宮澤喜一

    ○宮澤国務大臣 ただいまもお触れになりましたが、国の安全にとりまして防衛は必要な大事な要素でございますけれども、それだけで国の安全が成り立つわけではない。もっと広く御指摘のように外交でありますとか、経済協力でございますとか、エネルギーあるいは食糧の確保、いろいろな要素で国の安全は守られるわけでございます。ところで、そのような各要素は、現在各省庁が行政府といたしましてエネルギーはエネルギー、食糧は食糧という立場で行政をやっておりますけれども、安全保障という視点からそれらのものを整合的にとらえるという努力が従来欠けておると考えましたので、それでそのような検討をする場として総合安全保障会議といったものが必要なのではないかというのが総理大臣のお考えでございます。  そこで、その総理大臣のお考えに基づきまして、ただいまそういう会議をどのようにして構成すればいいかということを私の手元で検討をいたしておるところでございまして、まだ最終的に検討を終わっておりません。最終案ができましたら閣議決定をいたしまして、やがてこういう会議を設けまして、ただいまのような問題を安全という視点から考えてみたい、こういうふうにただいま思っております。
  23. 上原康助

    ○上原委員 しかし、報道されているところによりますと、すでに閣僚の員数とかあるいは構成、そういう面もほぼ決まった、臨時国会終了後でも発足させていくということがもうすでにマスコミを通して報道されているのも、われわれはそれを通してしかわかりませんが、知らされております。  そこで、いま長官のお手元でいろいろ検討しているということですが、これはそうしますと、総合安全保障構想というのは法律事項になるのかということですね。あるいは単なる閣僚懇談会、閣僚会議というような運用にするのか。そうであると、いまの国防会議あるいは国防閣僚会議といいますか懇談会とどういう位置づけ、関連性を持たせるのか。ある面では屋上屋になりかねないですね。現在の国防閣僚会議の場でもエネルギー問題とか食糧問題とかあるいは国民生活全般について、防衛を含めてやろうと思えばできないことはないですね。そこいらの関連性、いま私が申し上げた構成の問題、法律事項になるのか政令事項なのか、もう少し明確にしておいていただきたいと思うのです。
  24. 宮澤喜一

    ○宮澤国務大臣 国防会議との関連につきましても私ども検討いたしましたが、ただいま持っております暫定的な結論は国防会議は国防会議として存置をする。これは御承知のように法律に基づくものでございます。総合安全保障会議は恐らく法律を要しない、閣議決定をもって設置することを決めれば足りるのではないかと考えております。御指摘のように経済でありますとか外交でありますとかエネルギー、食糧等々を国防会議が扱ってならぬということは恐らくないはずでございますけれども、国防会議の構成が法律で決まっておりますので、それらの広い問題を国防会議でやりますことは実は事実上むずかしゅうございます。したがって、より多くの閣僚が参加し得るような総合安全保障会議、そういう場の方がそれらの問題を広く検討するのにごく自然であろう。なお、もとよりそのような総合安全保障会議で決定いたしましたことは各閣僚がおのおのの行政をいたします上で十分頭に置いて尊重してやっていく、こういうことに考えておるわけでございます。
  25. 上原康助

    ○上原委員 国防会議との関連がどうもよく理解しがたい面があるのです。そうすると、現在でもなされている何々閣僚会議というのがありますね、拡大した閣僚全体の閣議ではなくして。それと何ら変わらない。しかも法律事項、行為でもないということになりますと、その権威がどういうふうに発揮できるのか。単なる首相の諮問機関的な性格なのか。そこも問題ですね。  それと、防衛あるいはエネルギー、食糧、総合安全保障というからには国民生活全般についての政策なり方針というか、そういうものも検討されることになると思うのですね。そういたしますと相当のスタッフが必要になることは、これまた当然だと思うのです。目下政府は行政改革で四苦八苦していろいろやりなさいと言っている。そこいらの関連はどうなるのですか。内閣調査室でできるのか、あるいは国防会議事務局に担当させるのか、新たなそういったスタッフを必要とするのかどうか。この点ももう少しお考えを明らかにしておいていただきたいと思います。
  26. 宮澤喜一

    ○宮澤国務大臣 国防会議の構成員が法律で限られておることもありまして、従来国防会議ではただいま申しましたような広い意味での事項は扱っておりません。また、事実上扱いにくいような構成になっておりますから、この安全保障会議でいたしてはどうかと考えております。  それは従来幾つかある関係閣僚会議というようなものと同じような種類のものであるかというお尋ねでございましたが、従来たくさん関係閣僚会議がございましたものをここ数年なるべく整理をいたしておりまして、やや恒久的に残っておりますものはもう幾つもございません。それで、この総合安全保障会議は、たとえば経済対策閣僚会議がございますが、これが恒久的なものと考えられておりますと同様な恒久性を持つものとしてつくっていくべきではないかと思います。  なお、このスタッフをどうするかというお尋ねでございましたが、行政整理が叫ばれておる現在でございますから、この会議のために新しく公務員を増員するというようなことは全く考えておりません。おのおのの問題についてもともと各省庁が所管をしておるわけでございますから、それらの人々を内閣がある意味で借りる、あるいは集めるという形で、総合安全保障という観点から言えば、そのおのおのの問題はどういうふうに整合的にとらえるべきか、こういういわば事務の準備をいたせばよろしいわけでございまして、このために増員をするというようなことは考えておりません。
  27. 上原康助

    ○上原委員 ある程度構想の概略というか、おおよそのところは大体これまで報道されてきたこととさほど違わないような感じがするわけですが、いずれにしましても、確かに国防会議というものは、現在の運用のあり方なり、われわれも問題というか、いまの憲法概念あるいは自衛隊法、防衛庁設置法等々から考えて、これをよりオーソライズするということには疑問もありますし、意見もあるわけです。しかし、いま政府が進めようとする防衛力増強路線ではなくして、エネルギーであるとか食糧であるとか国民の生活全般にわたる総合安全保障体制をどう確立していくかということはきわめて重要な政治課題であることは間違いないですね。したがって軍事に、あるいは軍備というか防衛力の強化ということによりウエートを置くよりも、むしろそういったエネルギーの問題とか食糧であるとか国民生活の安定向上を図る、それがひいてはアジアの情勢あるいは近隣諸国との友好関係、平和外交を含めてでしょうが、そういうことになると私たちは判断をしているわけです。そういった見識というか考え方をぜひ入れた形での総合安全保障会議でないと、私は意味をなさないと思いますね。国防会議とセクショナリズムで、ぎすぎすした形で、ある面では大変な緊急事態にどう対応していくかというようなことにおいては、むしろ支障を来さないとも限らないおそれもなしとしないと思うのです。そういった面を含めて、きょうのお考えをさらに国民が理解をしていただく、また私がいま指摘を申し上げたことなども含めてこの問題についてはやっていただきたい、こういうふうに御要望申し上げておきたいのですが、この件について改めて御見解を聞いておきたいと思うのです。
  28. 宮澤喜一

    ○宮澤国務大臣 いわゆる狭い意味での防衛問題、これは国の安全保障にとりましてはきわめて大切なことでございますから、この総合安全保障会議においてもそういう問題の討議を排除するものではない。そういうことについての議論も私はあるであろうと存じます。  ただ、この会議を国防会議のほかに設けました主たるゆえんは、先ほど来申し上げておりますような国の安全というものをもう少し広くとらえていこうという考え方が基本になっておりますので、ただいま上原委員の仰せられましたことは十分参考にさせていただきたいと考えております。
  29. 上原康助

    ○上原委員 それでは官房長官、お約束の時間ですからいいと思うのですが、せっかく来たのですから、一言だけ。給与関係法案はいつ出すのですか。
  30. 宮澤喜一

    ○宮澤国務大臣 人事院勧告につきましては、従来から幾たびか関係閣僚会議あるいはもう少し狭い数人の閣僚の討議を積み重ねてまいりました。基本的には尊重するというのが政府の考え方でございますが、財政事情もあり、また公務員のその他に関する事項の問題もございまして、結論を得ないままに今日まで至りました。今日午後関係閣僚会議を正式に開きまして、従来からの問題を整理してまいりたいと思います。その上で、できるだけ早く最終的な態度を決めまして、閣議決定の上、国会に法案の提出をいたしたい、そういうふうに考えております。
  31. 上原康助

    ○上原委員 できるだけ関係者の要望にこたえられるような措置をとっていただくことを強く要望しておきたいと思うのです。  そこで本論に入っていきたいと思うのですが、冒頭の南北朝鮮の軍事状況をどう認識するかということとも関連しますが、最近の防衛庁の出しているいろいろな文書とかあるいは見解を聞いていますと、国際情勢の認識というものは、すべて極東ソ連軍というか、太平洋における米ソの軍事バランスというか、その面でソ連が優位になりつつあるんだ、ソ連の軍事力が増強しつつあるから、相対的にわが方の西側陣営、米側の軍事力がソ連と比較して従来のような力がなくなっている、だから軍事バランスの均衡がとれないので、わが国としてもその穴埋め的役割りというか、自衛力をもっと強化しなければいけない、そういうものが随所に出てきているわけですね。これはいささか過大のソ連脅威論だと言わざるを得ないわけです。  これから二、三の例を挙げながら、なぜそれが過大評価であるかということを少し議論してみたいと思うのですが、先ほど官房長官は、その統一見解を幾分修正なさると、防衛庁長官もそのとおりでありますということで済ませるような情勢認識では困るわけです。わが国の防衛を預かる責任者という立場で、現在の国際情勢、特に太平洋地域における米ソの軍事バランスというものを一体どう御認識しておられるのか、まずこの点から明らかにしていただきたいと思うのです。
  32. 大村襄治

    ○大村国務大臣 極東ソ連軍の顕著な増強が行われておりますことは、北方領土への地上軍部隊の配備、空母ミンスク等の極東回航などに見られる太平洋艦隊の増強あるいはSS20やバックファイア爆撃機の配備等に示されるように客観的な事実でございます。これを防衛庁といたしましては、わが国の安全保障にとって潜在的脅威の増大であると考えておる次節でございます。  先生もよく御存じだと思うのでございますが、防衛庁といたしましては、脅威に二つの、要素がある。客観的能力、軍事能力の増大、これは潜在的脅威に相当すると考えておりまして、もう一つの要素の愚図がはっきりしない間は脅威が顕在化したものではない、そういうふうに考えておるわけでございまして、顕在化した意味の脅威とは現在受けとめておらない次第でありますが、潜在的な脅威が事実あることはいま申し上げました客観的な事実に即してそう判断せざるを得ないと考えておるわけでございます。したがいまして、ただいまお話しのございましたように、過大評価をするとか、あるいはわが国の自衛力強化のために意図的に強調しているとか、そういうことは毛頭ない次第でございます。  また、お尋ねのございました極東におけるソ連軍の詳しい配備状況あるいは米ソの軍事バランスの問題につきましては、政府委員をして答弁させたいと思います。
  33. 上原康助

    ○上原委員 政府委員が御答弁なさる前に……。そうしますと、よく言われているわが国固有の北方領土にソ連軍の配置がなされている、あるいはバックファイアやSS20の配備が極東ソ連軍になされた、そういう客観的な事実から判断をして潜在的な脅威だというふうにとらえているのだ。しかし、その潜在的意図というのは、わが国に対して攻撃するとか侵略してくるとかいう意図だと思うのですが、その意図は定かでないので、それは顕在的脅威とまでは言い切れないのだ。非常にまだるっこいですね。従来もそう言ってきた。そうしますと、北方領土にソ連軍が配置をしたということは、わが国を対象としてそういう軍事配置をなさったと見ているのか、あるいは意図もあると見ているのか、ここらが非常にぼけているわけです。同時に、五十五年度の防衛白書から御承知のように潜在的脅威という表現が出てきたのです。これまでは注目すべき動向であるとか、そういう表現をしておったのです。八〇年の防白の特徴点というのは、いま長官がお述べになったように、「わが国周辺の軍事情勢」分析の中で、「極東ソ連軍の増強と活動の活発化は、西太平洋における米ソの軍事バランスに影響を与えつつあり、わが国の安全保障に対しても潜在的脅威の増大であるとみられる。」これが一つの特徴点です。  もう一つは、外務省が非常に旗振り――旗振りという表現は悪いかもしれませんが、要するにいま一つの特徴点というのは――その前に、潜在的脅威という言葉は、私たちの感覚、認識で言わせてもらえば、はっきりとソ連を仮想敵国に仕立てた上での防衛力の整備や増強をしなければいけないという認識に皆さんは立っていると見られるわけです。幾らああでもないこうでもないと言って詭弁を弄しようが、そういうふうにしかこの情勢分析というものは理解できない。私たちはこれは誤った認識だと見ているんです。それは後ほど言いますが、それほどバランスが崩れているのかどうか。これは七九年防白ではこのくだりはどうなっておったかというと、わが国の防衛にとっても注目すべき軍事的能力を備えるに至りつつある、こういう表現になっているんですね。注目すべきであるということと、明らかに仮想敵国杓立場に立った認識で防衛力を整備していこうということは違いますね。そこいらの違いは、どういうふうにこういう流れになっておるのか。もう一度長官の方からお聞かせいただきたい。  もう一つ、いま一つの特徴点は、日本は西側陣営の一員としてソ連の軍備増強に共同対処しつつ、わが国の防衛力の増強整備をしていく必要があるんだ。これまで全方位外交とかいろいろなことを言われてきた。仮想敵国も持たないと言ってきた。冒頭で言いました潜在的脅威である、しかもソ連の軍備増強が著しいということで、そういう情勢分析、認識をしつつ、第二の特徴点として、西側陣営の一員としてさっき私が申し上げたようなことをやっていくということになりますと、明らかにソ連を意識した上での軍事増強、防衛力の整備計画であるということは間違いないと思うのですね。五十四年まではそういうことはきわめてまだ――後ほど聞きますが、基盤的防衛力構想、私はそのものも非常に問題があったと思うのですが、少なくともその概念なり構想、背景というものを踏まえた上での防衛力の整備をやろうという、良識といいますか、そういうものがまだわれわれの方にも見られた。しかし、五十五年度になってこれがまるっきり変わってきたんですね。この違いは先ほどの御説明だけでは理解できません。納得いきません。改めての御見解をお伺いした上で、では具体的な配備状況というものはどうなっているかということを御説明をいただきたいと思います。
  34. 大村襄治

    ○大村国務大臣 潜在的脅威につきましていろいろお尋ねがあったわけでございます。私も四十年代のこの問題に関する国会の速記録等も調べてみたのでございますが、四十年代におきましても潜在的脅威という言葉はしばしば政府委員の口から出されているわけでございます。また同時に、軍事能力という言葉も並行して用いられているわけでございまして、私どもはその点は同じようなことを表現しているものというふうに考えておる次第でございます。  また、潜在的脅威の増大ということは特定の国を仮想敵国視するものではないかという趣旨のお尋ねがございましたが、私どもは憲法の枠内で自衛力の整備を図っているわけでございます。平和憲法のもとにおきましてあらゆる国と平和外交を推進するというのがわが国の基本方針でございますので、特定の国を目指して仮想敵国ということを考えることは、防衛庁といたしましてもいたしておらないわけでございます。客観的な能力の増大に着目して、わが国自身としてなすべきことをなす。具体的には五十一年策定の「防衛計画の大綱」の線に従う、自力でなすべき範囲内の整備を図っていくということに努めているわけでございます。もとより「防衛計画の大綱」は日米安保条約を堅持するということを前提といたしておりますので、原則としてわが国の独力でなすべき範囲が示されております。その目標が具体的に別表に示されている、これを達成するためにいま努力をしているということでございますので、決して仮想敵国を設けてやっているというようなことはございません。
  35. 上原康助

    ○上原委員 防衛大綱とかそういう話は後でまた聞きますよ。私の聞いていることにもう少し答えてくださいよ。そんな客観的に御認識なさるなら、客観的事実としてそうなっているじゃないですか。ソ連の軍備増強が潜在的脅威です、五十五防白というのは全部それが主体ですね。そしてそれを負いながら西側陣営の一員としてやっていくんだということになるとソ連が対象国である。これは社会科のイロハがわかればあたりまえで、そういう認識になるじゃないですか。じゃ北方領土にソ連の軍備が配置をされたというのはわが国を対象としたそういう意図があってやっているのか。それは私が聞いても答えませんでしたね。それはどうなのか。われわれはそういう認識に立たない。そこまで答えてください。
  36. 大村襄治

    ○大村国務大臣 お答えします。その点のお答えを漏らしました点は失礼いたしました。  北方領土へ最近ソ連軍の陸上兵力が大幅に配備されている。私どもの調査では、四島を含めて一個師団に近づいてきているというふうに認識しておるわけでございます。ほとんど引き揚げて見るべき兵力がなかったところにそれだけ大きい兵力がふえてきているということは事実でございます。ただ、その意図がどうであるかという点につきましてははっきりしないわけでございます。そういう意味で私どもは、潜在的能力はふえてきているが、脅威が顕在化しているものとは受けとめておらないわけでございます。
  37. 上原康助

    ○上原委員 この点についてまた議論すると相当長くなりますのでなんですが、五十四年二月一日に「国後・択捉島地域における最近のソ連軍の動向について」という防衛庁発表のものがございますね。ここでも「意図を明確に推定できないが、」とか、これもしかしなかなか巧妙な表現をしていますよ、皆さんは。「確認の努力中である。」「防衛庁が得ている各種の情報に基づいて、総合的に判断したもの」である。意図がはっきりしないというなら、そんなに脅威、脅威だということにもならないのじゃないですか。  いま一個師団と言いましたが、量にしてどのくらいですか、一個師団というのは。
  38. 岡崎久彦

    ○岡崎政府委員 量という御質問でございますけれども、兵員という意味でございますと、ソ連の最近の一個師団は一万二千名が標準であるというふうに考えております。
  39. 上原康助

    ○上原委員 われわれはしかしこれは恐らくアメリカ側のSR71とかその他、北方領土はわりあい視界にありますから、いろいろな情報等で集約なさって、こういう配備がなされているんだということを言っていると思うのです。しかしこれは実際に確認したものではないのですね。確認されているのじゃない。どうもそうらしいというだけのこと、きわめて不明確であるということを申し上げている。それが潜在脅威だということでやっている。  ついでにと言ったら語弊がありますが、北方領土はわが方の固有の領土であっても、一方いまソ連側に実効支配されているわけですね。私はそれは返還すべきだという立場に立っております。配備をすることもけしからぬという立場に立ちます。しかし、実効支配という歴史的な過程があるある。勘ぐれば、皆さんのやり方は、日米共同か知らぬけれども、あるいは独力か知らぬけれども、どうも実力でも北方領土を奪還しようという意図さえもあるのじゃなかろうかという感じを受けないこともないのですね、皆さんの発言をいろいろ聞いていますと。まさかそんなよこしまなことは法律上も実際上もできないと思うのですが、防衛庁長官の御見解どうですか。
  40. 大村襄治

    ○大村国務大臣 北方領土の問題につきましては現在外交折衝中でございますので、防衛庁としてはいま申されたようなことは全然考えておりません。
  41. 上原康助

    ○上原委員 そこで、もう少し具体的な面に入ってみたいのですが、防衛大綱なり防衛力の整備増強計画の中では、主に空と海を主体に進められてきておりますね。それは四次防以降そうなんで、ポスト四次防は特にそうなっている、「防衛計画の大綱」では。  私は、きょうは主に海のことを中心に取り上げてみたいわけですが、太平洋地域における米ソの海軍力のバランスというものは皆さんはどういう御認識をなさっているのか。ソ連の潜水能力が高まったんだとかあるいはさっきのバックファイアとかSS20とか、そういうものが極東地域に配備をされているということを盛んに言っているわけですが、アメリカで言う実際の太平洋艦隊あるいはソ連の太平洋艦隊の軍事バランスというものをどういうふうに認識をし、どういうふうにとらえているのか、ここらの御見解なり御説明をいただきたいと思うのです。
  42. 岡崎久彦

    ○岡崎政府委員 極東におきますアメリカとソ連の海軍力、トン数、艦艇の種類などはすでに発表してあるところでございますので、御質問がなければ省かせていただきますけれども、結論としてまとめて申し上げますと、東アジア及び西太平洋地域全体をとらえてみまして、米ソの軍事バランスは、ソ連は質量両面にわたって増強してまいりました。米国は質的に向上してきております。現在のところ両者の戦力、特に総合的な海軍力の比較につきましては、戦闘海域や戦闘の様相あるいは戦闘期間や集中し得る艦艇、航空機の量、後方支援能力などといった要因が複雑に関連しておりまして、一概に優劣を論じることはできません。ただし、一般的には、太平洋のような外洋におきましては、空母を中心とします強力な航空打撃力、防空能力、対潜能力を有する米第七艦隊の方が優位にあると考えられます。他面、ソ連領の大陸沿岸、日本海、オホーツク海などの海域では、ソ連の陸上基地に配備されました航空機による援護が可能でございますので、ソ連太平洋艦隊の攻撃能力は相対的に高まるものと考えております。  なお、このほか、ソ連の太平洋艦隊は他の艦隊から支援が受けがたいのに対して、アメリカの第七艦隊は太平洋艦隊がその支援後拠となっておりますために増援を受けやすいメリットがあるという点にも留意する必要があると考えております。
  43. 上原康助

    ○上原委員 そうすると、余り変わらぬじゃないですか、米ソの軍事バランスというものは。  そこで、あなたはいま極東ソ連軍という表現をなさいましたね。西太平洋ということを言いましたね。太平洋全地域はどうなんですか。太平洋艦隊という場合は当然アメリカ側は第三艦隊が入りますね。そこはどうですか。まずお答えください。
  44. 岡崎久彦

    ○岡崎政府委員 太平洋という場合でございますか、西太平洋という場合でございますか。
  45. 上原康助

    ○上原委員 太平洋艦隊。
  46. 岡崎久彦

    ○岡崎政府委員 太平洋艦隊の麾下に入っております。
  47. 上原康助

    ○上原委員 私は防衛庁の防衛白書を、十分じゃありませんが、私の素人の立場で若干勉強してみました。先ほど私が言いましたように、いろんな面でソ連軍の軍備力というか軍事力の過大評価をしようと大変苦心をなさっていますね。皆さんがどんなに虚構を積み重ねようとしているのか、それを二、三点挙げてみたいと思うのです。  その前に、議論を深める意味で、アメリカ側の太平洋艦隊で、第三艦隊と第七艦隊の関係は一体どういうふうになっているのか、その編成状況はどうなのか、御説明をいただきたいと思います。
  48. 岡崎久彦

    ○岡崎政府委員 お答え申し上げます。  第七艦隊というのは西太平洋に位置するアメリカの艦隊でございまして、第三艦隊というのは東太平洋、サンジエゴに司令部があります艦隊でございます。  それで、第七艦隊は実戦即応部隊でございまして、第七艦隊がある程度行動いたしますと、それが通常東太平洋に戻りまして、そこで整備、訓練等を行いまして、それが完成いたしますと第七艦隊に配属される。それによって交代されて、従来行動しておりました艦隊は第三艦隊の方へ戻るというのが普通の例になっております。  力の比でございますけれども、総トン数は――これは実は御指摘の点はまことにごもっともな点でございまして、ソ連太平洋艦隊とアメリカ太平洋艦隊を比べますときは、これは通常そのカバーする範囲から申しますと、ソ連の全太平洋艦隊と、アメリカの太平洋艦隊であります第三艦隊と第七艦隊の合計、それを比べるのが正しい。理論的にはそういうことになっております。またわれわれも、外部に説明しますときは、実は第七艦隊というものは太平洋の西部のものである、その裏に第三艦隊というものがあって支援を受けられる利点があるということは必ずつけ加えて説明をしております。ただ問題は、第三艦隊のトン数というものはアメリカは発表しないのでございます。発表してあるトン数は第七艦隊だけでございます。それでその数字をとらえる場合に……
  49. 上原康助

    ○上原委員 それは私の質問をやってから答弁してください。  あなたはいまきわめて重要な発言をなさっているのですよ。頭がいいかもしれないが、私もちょっと調べてきてあるのだ、きょうは。  いみじくもあなたは、ソ連太平洋艦隊というときは、比較する場合はアメリカの第三も第七も――だから私は最初それを聞いたわけでしょう。その合計でなければいかないと。なっていないんじゃないですか。――待ってください。しかも、あなた防衛をずっとやっておられる方として、第三艦隊の構成をアメリカが発表しないなんというのはどういう意味なんですか。これは発表しているじゃありませんか。  第三艦隊は空母四隻、艦隊では通常戦闘艦艇六十五隻前後を持っている。現在の旗艦はミサイル巡洋艦シカゴ、司令官はキナイアド・R・マッキー海軍中将、この程度のことは一般的に公表されていることなんです。何をぼかすのですか。これはインチキきわまる防白なんだ、長官。失礼だが、あなたはそこまでおわかりでないかもしらぬ。だから私は、その構成はどうなっているのかと聞いたのだ。いま私が言ったのが間違っているのかどうか、まずそれから……。
  50. 岡崎久彦

    ○岡崎政府委員 先ほど私が申しましたのは、第三艦隊のトン数はアメリカは発表していないということでございまして、編成につきましてはその都度発表されております。防衛白書によりますと、第三艦隊、第七艦隊合計いたしまして空母六隻、巡洋艦、駆逐艦、護衛艦七十九隻になっております。したがって、公表されております第七艦隊の数字をそれから差し引きますと、大体先生のおっしゃったような数字になると存じます。
  51. 上原康助

    ○上原委員 大体私が言った数字になるなんて、なったら防衛白書にそう書けばいいじゃないですか。何で書かないの。防白ではソ連極東軍ということを非常に強調している。  もう時間もあれだから私の方から言いましょう。  五十五年防白の六十四ページに第十四図というのがある。「米第七艦隊とソ連太平洋艦隊の勢力推移」これを見てください。これを見ると、ソ連が非常に多いように見えますね、長官。アメリカの海軍力については第七艦隊だけ書いて、ソ連については太平洋艦隊全部入れてあるのですよ。したがって、この防白は誤り。明らかに第三艦隊も第七艦隊もトータルしたものを米ソの太平洋における軍事バランスとしては説明をして載せるべきなんだ。トン数だって空母が四隻で巡洋艦がそれぞれ何隻だということになると、皆さん、わかるじゃありませんか。第七艦隊は六十隻で総トン数六十五万トンと出ているじゃありませんか。ソ連太平洋艦隊のトン数や量と数量的にも何ら変わらないのですよ。なぜこれが問題にならないかも問題なんだが、これだけじゃない。幾らでもこういう間違いといいますか、意図的にソ連が過大に多いのだ、だから防衛力が必要なんだということをやろうとしている防衛庁の意図がはっきりするわけですね、この一例をとらえてみても。これは明らかにミスでしょう。国民はこれを見ると、皆さんが言っているのは当たっているかなと見るのです。これはどうですか。
  52. 岡崎久彦

    ○岡崎政府委員 先ほどそこまで申してしまったのでございますけれども、その表が出てまいりますずっと前の十三ページの表に太平洋におきますアメリカの艦隊とソ連の艦隊との勢力比の表がついております。それにアメリカの艦隊が空母六隻、巡洋艦、駆逐艦、護衛艦七十九隻、それからソ連側が空母一隻、巡洋艦、駆逐艦、護衛艦七十二隻と隻数も書いてございます。  ただ、先ほど申し上げましたように、トン数の比較になりますと、アメリカは公表しておりませんので、最近特にソ連の極東艦隊の数字が非常に大きいものでございますから目立つのでございますけれども、従来こういう場合は必ず西太平洋におきます第七艦隊とソ連の太平洋艦隊を比べるのがほとんど慣例になっておりまして、最近アメリカで出ましたコリンズ報告でも第七艦隊とソ連太平洋艦隊の比較でございます。それだけでは確かに全体の勢力比をつかむのに問題がございますので、十三ページに明らかにソ連太平洋軍とアメリカの太平洋艦隊の勢力比、これはトン数が書けないものでございますから、数字だけ掲げてございます。
  53. 上原康助

    ○上原委員 これでは納得できませんね、この答弁は。指摘をされたら十三ページに書いてありますと、十三ページにぐちゃぐちゃ書いたって、あなた、国民はこういう表しか見ませんよ。五十五年防白だけじゃなくて五十四年防白もそうなんだ。あなた、先ほど答弁なさったでしょう、太平洋艦隊という比較をするならば当然第三艦隊と第七艦隊をトータルした合同のものであるんだと。そうであれば、何で正確に防衛白書にも皆さんはそう書かないのですか。インチキじゃないですか、こういうことをやって。五十四年防白の五十ページを見てごらんなさい。こういうふうになっているわけです。これを見ると、ああソ連はたくさんあるのね、強くなっているんだな、困ったな、われわれもっと軍艦が必要だなとやはり国民は思いますよ。これは思わずための意図でしょう。これは余りにも国民をなめた防白だ。これは修正してください。訂正の要あり。あなた、十三ページに書いてあると言って逃げられる問題ではないですよ、数字的にこれは出ているんだから。防衛庁長官どうなんですか。こういうことは私は納得できませんね。
  54. 大村襄治

    ○大村国務大臣 あらゆる資料に基づいて客観的な事実を記載しているわけでございます。また、私どもといたしましては、ここ数年間におけるソ連の極東艦隊の増強ぶりが目覚ましいものがあるということを国民の皆様に知っていただきたい。それに比べまして、前から数字を出しておりますアメリカの第七艦隊の方は減りつつある、こういうことで現在においては先生御指摘のように第三艦隊を、これはトン数は公表されておりませんからいいかげんなものを加えるわけにいきませんので、この表においては第三艦隊は公表されたものから除くというふうにできれば注でも書いておけば親切であったと思うわけでございますが、そういう意味で全体としては決して間違っておるものとは思いません。ソ連が著しく増強してきているという事実は否定すべからざる事実であると私は考えておるわけでございます。
  55. 上原康助

    ○上原委員 理事にもちょっとそれは後であれしますが、もう一つ言わせて……。  皆さんは、客観的に物、情勢を判断しようということを盛んにおっしゃるわけですね。われわれが防衛論争の核心に触れると、そういう観念論で逃げてはなりませんよ、長官。客観的事実としてソ連海軍力がふえているということは観念論としてあるわけでしょう。私もそれは否定しませんよ。しかし、皆さんが言っているほどそんな差はありませんよということを数量的に事実として、いろいろこっちも調べてやった。では岡崎参事官の答弁はどうなるんですか。太平洋艦隊と言うときには第三艦隊と第七艦隊を合同したものである、これはちょっとぐらい勉強する人ならわかります。第七艦隊は、しかも後方支援態勢なんだ。そういう意味で一体じゃありませんか。この表を見ても一体じゃありませんか。太平洋艦隊の組織というふうに出ている。タイプ部隊とタスク部隊に分かれている。しかも地域部隊には、在マリアナ海軍部隊がグアム、在日海軍部隊が横須賀、在韓海軍部隊がソウル、在比海軍部隊がスビックベイ、こういうふうに地域部隊、タスク部隊、タイプ部隊というふうにりっぱに太平洋艦隊の組織図もあるんですよ、専門書には。しかもそこにはトン数は出ていない。トン数が出ていなければアメリカに聞けばいいんじゃないですか。よけいなことはたくさん話し合って聞いているくせに、何でこういう重要なことについては聞かないんですか。そんなことがこの国会の中で通りますか。これは、だめです。いまの答弁は明らかに修正すべき……。
  56. 大村襄治

    ○大村国務大臣 お答え申し上げます。  防衛白書の編集に当たりましては、あらゆる公表された資料に基づいて図も作製し、また説明も加えているわけでございまして、公表されていない数字を推定で加えるという点はいたしておらないわけでございます。そういう意味におきまして、修正をする考えは現在持っておらないわけであります。(発言する者あり)
  57. 上原康助

    ○上原委員 公表されていないと言うが、公表されていますよ。それは常識ですよ、そういうアメリカの太平洋艦隊の海軍力がどうあるかということを勉強する場合は。それこそおごりというのだよ、いまそこでがあがあ言うのは。何でも客観的に事実として、数字として誤っていることが明らかになった以上は検討すべきじゃないですか。どう考えたって皆さんの方はこじつけしかないですよ。そんなことが通ると思いますか。適切を欠いていると思いませんか、この防白のあり方は。しかも注釈も何もつけてない。やるなら、やはり第七艦隊、第三艦隊も含めて太平洋ソ連軍との比較対照をやるべきなんですよ。国民はこれを見たら、やはりそうかと思いますよ。しかも、こういったのを防衛庁が出せばみんな真実と思うかもしれない。これじゃ余りにも権威あるものと言えない。これは海軍力だけの問題じゃないですよ。空軍力だってそうなんです。陸上の問題だってそうです。一事が万事信用できない。それでもいいのですか、言い張って。
  58. 大村襄治

    ○大村国務大臣 繰り返して恐縮でございますが、ソ連の太平洋艦隊の場合には一本でございまして、数字も芸とまったものとして方々に挙げられておるわけでございますので、私どもは各年度の数字をそのまま記載いたしたわけでございます。アメリカの場合には、先生御指摘のように、太平洋艦隊が第七艦隊と第三艦隊で構成されておりまして、それぞれ隻数の方はわかっておるわけでございますが、トン数については第七艦隊だけがはっきりしている。第三艦隊の方は省いてございますので、年次別の比較をする場合には、ソ連の太平洋艦隊の増減とアメリカは第七艦隊だけの増減で比較する、これが年次別の比較の場合にはやはり正確な比較になると思うわけです。先生御指摘のように、第三艦隊のトン数が正確に把握されましたならば、それは合算して比較するというのが適当だと思うわけでございますが、いまだそこに至っておらないので、その点は現在の時点においてはいたしかねている。これは事実でございますので、その点だけは明確に申し上げておきたいと思うわけでございます。
  59. 上原康助

    ○上原委員 本来ならこういう防衛庁長官の御答弁は私は納得しませんよ。これは明らかに皆さんの方がどう考えたってつじつまが合わないじゃありませんか。隻数が上がればトン数が上がるのはあたりまえじゃないですか。隻数はわかっているけれどもトン数が書いてない。アメリカに聞けばそれはわかりますよ。一般のあらゆる専門書に出ているのだ、そういった第七艦隊と第三艦隊の構成についても、連動性、機動性についても。それを防衛庁の専門の皆さんがわからぬはずはないのだよ。ないにもかかわらず、いま問題点を指摘――これは一例ですがね。空軍力においてもそうなんです。こういうふうにやって、あたかもソ連極東軍とかソ連太平洋軍が非常に過大だということでやろうという意図が私はいけないと言うのですよ。皆さんは、防衛論議を現実的な認識でやろうとか、客観的にとらえようとか、数字は正確であるべきだということを常々言いながら、私たちが事実関係をいろいろ調査をしてみて、こうじゃないですかと言って誤りを正すのは大変きついかもしらぬが、事実は事実。長官、検討の余地はありますね。
  60. 岡崎久彦

    ○岡崎政府委員 御指摘いただいた点でございますけれども、まず、第三艦隊はトン数を確かめればわかるという御説でございますが、これは実はなかなかわからないのでございます。つまり海軍力をわれわれが算定する場合、いつもそれが全般として問題になるのでございますけれども、新しくできた艦艇が就役した場合は非常によくわかるわけでございます。結局古い艦艇でどのくらい古いものがもうすでに退役したのか、あるいは予備としていつ出てくるのか、その問題が非常にむずかしい問題でございまして、これはいろいろな考え方があるのでございますけれども、またソ連では幾ら古い艦艇でも非常によくとっておいて、何かの場合には使うというようなそれぞれの海軍の伝統もございますし、これは大変むずかしいのでございます。  なぜ第三艦隊がむずかしいかと申しますと、先ほど申し上げましたように、第七艦隊というものは戦闘即応部隊でございまして、第三艦隊は後方予備の部隊でございます。そのために、第三艦隊の全体の数というものは、これすなわちどのくらいが予備であるかということを公表しなければならないということなので、アメリカに聞いても、もちろんアメリカ自身もその場によって違う数字を出してまいりましょうし、確たる数字を言ってくる性質のものではございません。また、従来、先ほど申し上げましたけれども、コリンズ報告あるいはその他の報告もすべて第七艦隊とソ連太平洋艦隊を比べるというのが慣例になっておりまして、ごらんに入れました表も両方太平洋艦隊とは書いてございませんで、第七艦隊というふうにはっきり書いてございます。防衛白書の中をよくごらんになれば、後方に太平洋艦隊があって支援態勢があるということは十分わかるように書いてございます。
  61. 上原康助

    ○上原委員 あなたが答弁すると、こっちの方がわからなくなるよ。そういうごまかしはいけません。比べ方が明らかに間違っているじゃありませんか。注釈もつけてないじゃありませんか。私はこだわりますよ。きょうはこれは留保します。しかも第七艦隊は確かにタスクフォースです。打撃部隊だよ。両方タスクフォースなのだが、そういう比較の仕方で物事を判断させるという意図がいけないと言うのです。比べ方は明らかに問題がありますね。そこはお認めになりますね。
  62. 岡崎久彦

    ○岡崎政府委員 実は、私はかつて、国会の別の委員会でございますけれども、この問題を説明するために可動能力という考え方で説明したことがございます。むしろその方が現実的かもしれないのでございますけれども、アメリカの第七艦隊は、極東に若干いわゆる母港を持っている艦艇を除きましては一〇〇%即応態勢でございます。それに対しましてソ連の艦隊の方はある程度可動率を掛けなければならない。どのくらいの可動率を掛けるかということは軍事的……(「よけいなことを言わないで質問に答えなさいよ」「比べ方の問題、極東艦隊というときにはアメリカはどういうふうに限定したかということを聞いている」と呼ぶ者あり)わかりました。ですから、トン数の比較が出てこないという状態においていかに比較するかという場合は、ソ連太平洋艦隊とアメリカの第七艦隊を比べまして、それに対して可動率の推定を申し上げる、これが一つの説明の方法ではないかと思います。私はかつてそのように国会で御説明したことがございます。
  63. 上原康助

    ○上原委員 私は、あなたがそこまでこじつけるなら――あなた、そういう言い方ではだめじゃないですか。比べ方もありますし、トン数云々の問題にしたって、出そうと思えば出せるでしょう。出せなければ、比較できないと防白に書けばいいじゃないですか。この点は留保しておきます。いまの答弁では納得しません。  もう一つ、これとの関連で聞いておきたいのですが、盛んにイランあるいはペルシャ湾の状況が問題になっているわけです。アメリカは、ホルムズ海峡を含めてペルシャ湾地域に新たな第五艦隊をつくって配備をしようという計画があるやに聞いているのですが、これについてはどういうふうに御認識なのか。また、その点について日米間なり、アメリカ側から何かのインフォームがあったのかどうか。
  64. 岡崎久彦

    ○岡崎政府委員 この問題につきましては、そういう新聞報道がございました。これは外務省を通じましてアメリカ政府の意向を昨年確かめておりますけれども、アメリカの現在の手持ちの艦艇数では新しい艦隊を創設するほどの力はない、むしろインド洋におけるプレゼンスを兵力の配備を工夫いたしまして増加させる、そういう返事が参りました。現にアメリカはそのとおりやっております。
  65. 上原康助

    ○上原委員 そういう面でも皆さんの、アメリカの対応がどうのとかあるいはいまにもシーレーンが航行不能になるのじゃないかという懸念というのも、これも非常にオーバーですね。確かにいまのイラン、イラクの戦争状態あるいは中東情勢からしますと、そういう危険性というか緊迫した状況にあるということはわかりますが、しかしそれぞれの国がそれぞれの国益を考えているのですよ。日本みたいにアメリカが――かつては経済は、アメリカがくしゃみすれば日本はかぜを引くなんて言ったんだが、いまはそういう状態じゃないと思いますが、いまはアメリカがくしゃみすれば防衛庁は感冒にかかっているようなものだね。みんなアメリカの言いなりですよ。後でそれもやりますが。しかし、アメリカはアメリカなりの、太平洋艦隊なり中東情勢なり極東情勢というものを判断しながら補強すべきところは補強しているし、ある面では対応措置をとっている。だから、そういう総合的な判断というものが防白なり防衛庁の考え方の中では意識的に没にされているということを指摘しておきたいと思うのですね。  もう一つ、潜水艦能力ということを盛んに強調なさいますけれども、アメリカの潜水艦とソ連の潜水艦の可動率の問題とかその性能、これについてはどうお考えなんですか。皆さんはソ連が非常にまさっているとかいうことを盛んに表へ強調する。この間、沖繩近海でエコーI型がああいう事故を起こしたときには防衛庁とか関係者は何と言ったか。あんな赤さびたもので戦になるんかいな。一方においてはソ連が非常に脅威脅威と言いながら、事故を起こしてそれが浮上した段階においてはあんな古い潜水艦しか持っていないのか、こういう茶化し方といいますか見方をしているわけですね。これも意図的、政治的なやり方でしょう。確かに数の上においてあるいは全体的なトン数では上回っているかもしれませんが、私の判断では、運用上の問題とかあるいはソ連海軍の作戦上の優先度の問題、こういう面からすると米ソのバランスというものはさほど崩れていない、ある面ではむしろアメリカの方がまだまだ優位にあるのじゃないかという判断をせざるを得ないわけですね。これなんかもちょっとした専門書をあさればそういうことが大体書いてある。私の方から言いたいのですが、まずあなたの方の御認識はどうなんですか、そういった面は。
  66. 岡崎久彦

    ○岡崎政府委員 ソ連と米国の潜水艦による戦闘能力の比較の問題でございますが、艦艇の数から申しましてソ連の潜水艦の方が圧倒的に多いことはもう御存じのとおりと思います。大西洋地域二百九隻、太平洋地域百三十隻、その他欧州地域四十二隻、これはソ連の数でございます。米国の方は大西洋地域七十二隻、太平洋地域四十六隻、ヨーロッパ方面五隻、これは数におきましては圧倒的にソ連が有利でございます。  可動率につきましては御指摘のとおりでございます。軍艦の可動率というものは、たとえ相手国の推定値にいたしましても双方秘密にしているものでございますけれども、最近のアメリカの責任のある筋の言明でアメリカの可動率は五割ぐらいあるだろう、ソ連が一五%ぐらいだろうということは言っております。数の違いはもともとございます。  ただ、米ソは戦略が違いまして、アメリカの海軍力というものは、アメリカ本土と前方展開しておりますアジアとヨーロッパ、それに向かう海上の交通の自由を確保する、それがアメリカの戦略でございます。ソ連の戦略は、ソ連海軍が第二次大戦後新たに発足したときから一貫しておりまして、これは潜水艦を中心としまして海上交通の自由を妨害する戦略でございます。その場合、海上交通の自由を確保する戦略の方が妨害する戦略よりも多量の艦艇を要するだろうということは、これは常識でも十分考えられることでございまして、戦略が違うものでございますから単に艦艇の数とか能力だけでは比較できない面がございます。
  67. 上原康助

    ○上原委員 防衛庁がどういう御認識でいろいろやっておられるかを探るためにこういう問題も提起をしてみたのですが、きわめて不透明ですね。また、部分的には不正確じゃなかろうかという感じがしてなりません。  大体いまのソ連の第一世代の原潜というのは大方寿命が来ていることは、これは否定できないと思いますね。もちろん新しいのも出てきていますよ。それとソ連の原潜の可動率は、これも若干差し引きをしなければいけないが、ソ連の方が上回っている面もあると思いますが、一般的に言われているのはアメリカの原潜の三割程度なんですね。中には極論すれば一五から二〇%というのもある。それほどじゃないと私は思うのですが、そういう面。さらにSSは老朽艦が多く、数年内には半減するのですよ。鉄のついているのは皆さんはそれを全部勘定しているかもしらぬ。そういう指摘もあるということ。同時に、運用上の問題。だから皆さんはそういう総合的な判断の上で軍事バランスというものを考えなければいけないということを私は申し上げたいがために言っているのです。  ソ連海軍の作戦上の優先度はどうなっているのですか。ソ連海軍の作戦上の優先度はどういう御認識を持っておられるか。
  68. 岡崎久彦

    ○岡崎政府委員 伝統的に海上の交通の妨害及び沿岸の防御にあると考えられます。
  69. 上原康助

    ○上原委員 あなたは妨害されるかもしらぬということしか考えられていない。そうじゃないのですよ、優先度は。防衛庁はそれも知らぬで一体どうするのですか。優先度の問題は、まずはソ連原水艦の、SSBNの防護ですよ。ソ連の原水艦、護衛艦、軍艦のそういう防御が第一任務なんですね。それから米のSSBNに対する攻撃、これが二番目、三番目が米空母、水陸両用攻撃部隊への対処、四番目が海上交通遮断なんですよ、交通路攻撃。したがって、盛んに海峡封鎖とかあるいはいろいろなことを、シーレーンの問題を言いますが、そういう面からすると、ソ連の潜水艦の運用上のあるいは優先度の問題というのは、そういうのを彼らは一応念頭に入れて戦略を立てているのですよ、私の判断では。それは間違っている面もあるかもしれませんよ。そういうことも総合的に判断をした上で、わが国をめぐる国際情勢なり米ソの軍事バランスとか――それは空だって陸だって同じだと思う。これを国民の前に明らかにした上で、しからばどうするかという議論がなくして、あなたがおっしゃるように、あなたは本当に潜水艦というのはみんな交通遮断をするためだけだと思っているの。そんなちんぷんかんぷんの議論じゃいかないんじゃないですか。
  70. 岡崎久彦

    ○岡崎政府委員 御指摘いただきまして、ソ連の海軍戦略は伝統的にはということを申し上げましたけれども、もちろん核戦略というものが出現いたしましてから核戦略そのもの、ソ連のSSBNそのもの、つまり米本土に対する核戦略としての潜水艦の使用がございます。それからまたSSBNを外洋に進出させるための擁護作戦、それが含まれております。  ただ、先ほどもう一つの御質問でございますが、非常にソ連の潜水艦は古いという話がございましたけれども、それも御指摘のとおりでございますが、最近デルタ級、アルファ級という潜水艦が非常に多量に生産されております。それからまた五〇%、一五%というのも、これは平時の可動率でございまして、いざこれが戦争ということになりますと、たとえ一五%のものでも全部一〇〇%動けるようにいたしまして、全部そろえてから戦争が始まります。ですから、戦時の場合の一定期間の可動率とそれから平時に動いている可動率とは、これはまた別の問題でございます。
  71. 上原康助

    ○上原委員 きょうのところはこの程度にこの問題をとめようかと思うのですが、しかし可動率は、戦争だって事故は起きるのだよ。よけい事故は起きるのだよ。それは参考にすべき重要なファクター、根拠でしょう。そのことを申し上げた。アメリカだってポラリスからトライデントにどんどん改造しているじゃないですか。  そこで長官、私がなぜこの問題を長々と申し上げたかといいますと、さっきの相互安全保障構想ともかかわりがあるわけですが、どうも皆さんはソ連の軍事力の増強ということがもう頭にこびりついて、それに対処をしていくための防衛構想というものを盛んに進めているということですが、確かにこれまではアメリカはベトナム戦争であれだけの敗退をし、国民的にも経済的にもいろいろな面で打撃を受けましたね。いつかも私はこの席で申し上げたことがあるのですが、今日の米ソの軍事バランスのギャップというのは、アメリカがベトナム戦争のどろ沼に入り込んだからなんですよ。その国力が落ちたということ、戦争の反省の上に立って、ニクソン・ドクトリン以降ニカ二分の一戦略から一カニ分の一戦略に切りかえたでしょう。アメリカはそうだ。しかしソ連は、中ソ国境紛争とかいろいろ局地的なことはあっても、アメリカのようなどろ沼戦争はやっていない。今日アフガン問題やイラン問題等々では若干あるけれども、やってないですよ。そういう面とか、もう一つは、ソ連の最近の経済状況問題も報告されています。第十次五カ年計画の今年は最終年度になっているというのですが、せんだってのブレジネフ・ソ連共産党書記長の党中央委員会における演説内容を見ても、国民生活最重点に切りかえていくということを言っている。いままでのように全周抑止政策というものはとれなくなっていると私たちは判断するのですね。そこに平和外交のやるべき一つの展望というものがあるのじゃないですか。またけさの一部の新聞報道からしても、ソ連農業の不振、穀物不作というものはもういまその極に達しているんだ、財政上の負担がソ連国家予算の一割以上を超えている、八〇年代の経済動向というのは厳しい状況にあって、軍拡競争ということについても再検討の余地あり、こういう見方もあるわけですね。  そういう国際情勢があるいはあえて皆さんが仮想敵国とまでは言わないにしても、対象国としている国の経済状況なりアジア全体あるいは国際状況を考えた場合には、日本の防衛庁が騒ぐほど米ソの軍事バランスというものが均衡がとれなくなって、いまにも日本が大変になるという状況ではないと私たちは判断するのです。こういうものも総合的な判断をせずして、やれ脅威だ、やれ危険だということだけで軍備拡張競争に加担をする姿勢はやめなさいと私たちは言うのです。どうなんですか、その点。
  72. 大村襄治

    ○大村国務大臣 ただいまのお尋ねに対してお答え申し上げます。  かつてはグローバルな観点におきましてもアメリカがソ連に対して圧倒的優位を保っておったわけでございますが、最近から現在に至るまでの状況を見ますると、ソ連の長期かつ大幅な軍事力増強による蓄積の成果が現実になってあらわれておりまして、しかもその成果は当分継続する性格のものでございまして、アメリカがこのまま放置すればソ連に対し軍事的優位を保ち得るか否か危惧されているのが現状であると判断いたしておるわけでございます。しかもソ連は、その蓄積しましたグローバルな軍事力の、陸海空で多少相違はございますが、四分の一ないし三分の一のものを極東に振り向けてきているという点も事実でございます。その事実に着目しまして、私ども先ほど申し上げておりますように潜在的脅威がこれまでよりは増大しているというふうに判断いたしておるわけでございます。脅威が顕在化しているとは申しておりません。脅威が潜在化している、この客観的事実を無視するわけにはいかないということを繰り返し申し上げている次第でございます。
  73. 上原康助

    ○上原委員 余りお答えになっていないのですがね。どうも国際情勢なりそういう認識をどうとらえるかという面で非常に違いがあるということが改めて浮き彫りになりましたし、私が指摘したことは、私はさほど客観的にも事実の問題としても違っていると見ていないのです。そればかりでなくして、これだけにこだわるわけにいきませんから力説するわけにいきませんが、ソ連脅威論の過大評価ということは、これは何も私だけが言っているわけではなくして、アメリカ自体もそういう言い方はありますよ。  これも指摘しておきたいのですが、米国議会調査局が下院歳出委員会の防衛小委員会から要請を受けて発表したものには、そういうソ連脅威論は過大な評価だとはっきり書いてある。それだけではない。グレン報告というのもたしかある。そういうもろもろのことを考えて日本が余り過大に防衛力を強化することは日本の利益にもアメリカの利益にも合致しないということを言い切っている方さえいるんじゃないですか。そういうようなこともわれわれは十分聞くに値すると思いますし、また防衛計画を進めていく上においては取り入れるべき大きな事実認識として持っておくべきだということ指摘しておきたいと思うのです。
  74. 大村襄治

    ○大村国務大臣 アメリカ国内におきましてもいろいろな意見があるということは承知しておるわけでございます。しかしながら、アメリカの世論また国会における意見の大多数は、このままではソ連に追い抜かれるおそれが大であるからアメリカ自身も努力しなければならない、また西側の同盟諸国に対しても協力を求めるということで進んでいることもまた明白でございます。そのことを申し上げておきます。
  75. 上原康助

    ○上原委員 それはアメリカにもタカ派がいるしハト派もおりますからいろいろの意見はある。それが民主主義なんです。だから日本だってあるわけでしょう。それを無視してはいけませんよ防衛庁長官。  そこで、そういう国際情勢の認識をどうするかということが一つの前提になると私は思うのですが、防衛問題、安全保障ということを考えるときに、「防衛計画の大綱」と基盤的防衛構想について若干お尋ねしてみたいと思うのです。御承知のように「防衛計画の大綱」は、この五十一年度で四次防で終わって、それ以後の防衛計画をどう進めていくかということで一つの方向として出されてきたわけですね。そのときにいろいろ議論されたことは、多くを指摘するまでもないわけですが、考え方、その構想、背景としては基盤的防衛力構想でいきたい。この中で皆さんは何を主張したかといいますと、「国民的合意を確立するための努力」ということをまず挙げているのですね。「第一点は、防衛のあり方に関する国民的合意を確立したいと考えたことである。わが国は、これまで四次にわたる防衛力整備計画を策定し、陸上、海上、航空各自衛隊の整備、充実に努めて来た。しかしながら、これらの防衛力整備計画は、その根底となる考え方や理論が抽象的であり、計画対象期間において、戦車や艦艇や航空機をそれぞれ何両、何隻、同機調達するかといったことを主体としていた。このため、これらの計画は、ややもすると装備の取得計画でしかないとの批判が一部に生じ、その前提となる考え方や理論、つまりわが国の防衛のあり方の明示を求める声が生じた。今回の「防衛計画の大綱」は、このような声に応えて、防衛力を保持する意義、防衛の態勢、各自衛隊の体制等わが国の防衛のあり方について、政府の考えをできる限り具体的に明示しようとしたものである。」しかも、こういう方針を出そうとした一つの反省点というものも、第二点目として「自衛隊の現状なり実態に対して、政府部内でもある種の反省が生じてきたことである。これまでの防衛力整備は、安全保障問題に対する世論の分裂もあり、厳しい環境の下で行われてきた。そして、一方では「わが国の防衛力はどこまで大きくなるのか」といった声も一部に生じたが、他方で、自衛隊の現状は、従来の整備目標たる「通常兵器による局地戦以下の侵略事態に対し、最も有効に対応しうる効率的な」防衛力には程遠く、「いつまでたっても所要の防衛体制に達しない」状況が続いてきた。そして、勢い正面防衛力の整備に重点が置かれ、補給体制や居住施設等のいわゆる後方支援部門の整備は圧迫を受けざるをえなかった。」こういうことで「今回の「防衛計画の大綱」は、このような実情の反省に立って、政府の責任において自衛隊が果たすべき防衛上の具体的任務範囲を明確にするとともに、見通しうる将来に達成可能な現実的な防衛体制を、一定の意味をもった完結性のある形で整えようとするものである。」いろいろとらえ方はあるでしょうが、要するに平和時における防衛力の限界というものを四次防以降は明らかにしながら、皆さんが言うところの量より質ということにより重点を置こうという一つの概念、背景があったと思う。しかも、そういう中で防衛力整備計画はスタートしたわけですが、今日の事態を考えてみると、この基盤的防衛力構想の基盤というものは失われて、いつの間にか防衛大綱と中業だけがひとり歩きしたというかっこうになっているわけですね。質への転換ではなくして、質量ともに拡大をしていくという方向に今日来ているということです。どうなんですか。  いま私が読んだのは五十二年防白です。五十三年までは基盤的防衛力構想というものがある程度取り入れられている。しかし、四年、五年にはそういう概念はもうほとんどないですね。先ほどやりとりしましたような国際情勢の中で、ソ連軍だ、ソ連軍だと脅威論だけ。今日の政府の考え方は、私は基盤的防衛力構想そのものも認めるという前提には立ちませんが、それさえもなし崩しにした形での軍事力拡大、増強路線にいま踏み切ってしまった、こういう認識に立たざるを得ないのですが、長官の御見解を聞いておきたいと思うのです。
  76. 大村襄治

    ○大村国務大臣 お答えいたします。  「防衛計画の大綱」は、先生御指摘のとおり限定的かつ小規模な侵略については原則として独力で排し得る態勢を備えた防衛力を保有していくことといたしております。  また、「四次にわたる防衛力整備計画の策定、実施により」「防衛力の現状を見ると、規模的には、その構想において目標とするところとほぼ同水準にあると判断される。」と記されております。そしてその上で、防衛力の質的向上を図り、もってわが国の防衛を全うし得るよう努めるものといたしているわけでございます。  そしてまた大綱の別表において、編成、主要装備等の具体的の規模を決めている。たとえば陸について言えば、十二師団、一機甲師団、海につきましても対潜海上部隊四個隊等々を別表において明記いたしているわけでございます。  この「防衛計画の大綱」は五十一年に決定されたわけでございますので、私どもその線に従って防衛力の整備に努めているわけでございますが、中期業務見積もりは、防衛庁がこのような「防衛計画の大綱」に示された指針に従いまして、逐年の防衛力整備を進めていくという上でその基礎となる毎年度の予算概算要求等を作成するに当たりその参考とすることを目的として昭和五十五年度から五十九年度までの主要な事業について見積もったものでございまして、防衛大綱の別表の枠内であるということは明白であるわけでございます。最近の国際情勢の変化等に応じまして、この大綱の水準をできるだけ早く達成いたしたいということで、また中期業務見積もりの早期実現ということで現在努力いたしている最中でございます。
  77. 上原康助

    ○上原委員 しかし実際はその概念というか、基盤というのはもうなし崩しにされたと私たちは見ている。  同時にもう一点大事なことは、さっき申し上げたようなこととあわせて「防衛力整備上の国内的諸条件への配慮」ということで、「その一は、経済財政上の制約である。」ということをはっきり言っているのですね。四次防まで余り金がかかり過ぎて、そういったことは経済、財政の上で制約がある。同時に、他の諸政策に著しい圧迫を与えないようなものでなければならない。そういう立場で一応基盤的防衛力ということを考えて、これからは経済、財政の動きあるいは国の他の諸政策との関連、財政状況等も勘案しようということが、善意に解すればそういったそもそもの構想だったと私たちは判断をしたのです。それが今日どうですか。そうなっていないわけでしょう。防衛予算は著しく圧迫しているじゃありませんか。その点はどういうふうにお考えですか。
  78. 大村襄治

    ○大村国務大臣 お答えいたします。  財政、経済の点につきましても念頭に置いて対処いたしているわけでございます。五十六年度の概算要求を作成するに当たりましても、一般的シーリングではどうしても必要最小限の仕事ができないという判断で大蔵省と折衝いたしまして、若干上回るシーリングの枠を認めていただいたわけでございますが、これも財政事情を念頭に置いてそういったようなことになったわけでございまして、決して財政、経済事情を無視しているとか忘れているとか、そういうことではないわけでございます。
  79. 上原康助

    ○上原委員 それは長官のお立場でそう言ったって、多くの国民がどう判断するかの問題なんです。私たちは著しい財政圧迫を与えつつある、これからこういう方式でいきますとより大きな圧迫を与えていくことになる、そういう認識に立っている。  そこで、一言でいいですが、さっきのこととの関連で、そうしますと、いまでも政府の考え方というのは基盤的防衛力の概念、その構想というものを踏まえてやっているという認識でやっておられるわけですか。その点明確にしておいてください。もうその構想は変えるのかどうか。
  80. 大村襄治

    ○大村国務大臣 防衛計画大綱の枠内で進めていくことを考えておりまして、現在防衛計画大綱を変えるということは考えておりません。
  81. 上原康助

    ○上原委員 計画大綱はひとり歩きしている。基盤的防衛力構想というのがどうなっているかということをお尋ねしているのです。そこはきわめて不明であったということを指摘をしておきたいと思うのです。  そこで、先ほどお述べになった中業――予算のことは後で聞きますから、中期業務見積もりについてちょっとお尋ねをさせていただきたいのです。  本来ですと、この中期業務見積もりというものはスタート段階で国防会議に諮らなければいかないほど重要な事項、防衛力整備計画だと見ているのです。しかしこれはやらなかった。しかも、いまとなってはこれは明らかにポスト四次防、第五次防衛力整備計画ですね。これもさっきのいろいろ指摘しましたようなこととあわせて防衛庁の大変巧みなやり方、その点まずどういうふうな御認識を持っておられるのか。
  82. 塩田章

    ○塩田政府委員 中業は本来国防会議にかけるべきではなかったかという御指摘でございますが、先生も経緯を御存じのように「防衛計画の大綱」ができました後、大綱の線に従って防衛力整備を進めていく。ということは従前の年次防方式をやめるということであったわけでございます。これはそういうことでございますが、それにかわりまして防衛庁といたしましては、ああいう年次防方式はやめるにしましても、毎年の予算でお願いするに当たってやはり何らかの防衛庁内部の参考資料としてのプランは持っておかなくては困るということで中業という形をスタートさせたわけでございますが、その際に、それでは年次防の復活と一緒ではないかという御指摘でございますけれども、たびたび申し上げておりますようにこれはあくまでも主要装備品につきましての見積もりということでございまして、防衛費全体の見積もりではないということにおきましてまず年次防と違います。また、年次防とは違いまして、あくまでも防衛庁限りのものでございますから、毎年の予算要求という形でこれの実現を図っていくということも年次防とは違った形をとっておるわけでございます。そういう意味で国防会議にかける、あるいは閣議にかけるというような手続をとらずに、防衛庁内部の資料としてつくってまいったわけであります。
  83. 上原康助

    ○上原委員 それは防衛庁内部だけの、内部限りの資料とかいろいろ言ったって、では防衛庁内部だけの資料がどうして日米首脳会談の議題にまでなるのですか。そこに非常に国民は、われわれは不満を持っている。不満というよりやり方がおかしいんじゃないかという疑問を持っているわけですよ。  同時に国防会議、これは引用するまでもないですが、国防会議に諮らなければならぬ重要事項があるわけでしょう。これは国防に関する重要事項じゃありませんか、少なくとも中業というのは。こんなものは議論しても長くなるので、同時に、一、二、「国防の基本方針」「防衛計画の大綱」三号に「前号の計画に関連する産業等の調整計画の大綱」それは直接関連しないと言えばいいかもしらぬが、問題になった短SAMにしましてもC1にしても、研究開発費をどんどん注ぎ込んでやっておきながら、今度はまたC130を買うわけでしょう。過程においても重大な変更があるわけなんです。  これもずっと時間があれば議論しますが、そういう意味で、防衛庁限りのものであると言いながら日米首脳会談においてまで中業が問題になる。だから、さっき皆さんは経済、財政状況云々を言っても、アメリカからそういうふうに、この中業は絶対五カ年ではなくしてできれば三年でやれ、少なくとも一年前倒しでやってくれと押しつけられて、今日の時代防衛予算も別枠扱い、いろんな問題が派生してきたわけでしょう。これはブラウン国防長官が一月に来て三月に大来前外務大臣がアメリカに行って、五月に大平首相がカーター大統領との首脳会談で結構やったわけでしょう。そういう一連の問題からすると、明らかにこれはポスト四次防の重大な防衛計画であって、防衛庁限りの問題というだけではとどまらないしろものではありませんか。そこで私はそういう認識に立たない。防衛庁、一体何のシビリアンコントロールなんですか。  中期業務見積もりとの関連において、統合長期防衛見積もりというのがあるわけでしょう。二番目に統合中期防衛見積もりという、これは各幕僚長が作成するもののようですね。三番目に中期業務見積もり、四番目に年度業務計画、五番目が年防と言われる年度の防衛、警備等に関する計画、大体この五段階に分かれているようですが、一体この一、二の統合長期防衛見積もり、統合中期防衛見積もりというものはどういうものなのか、その内容を明らかにしていただきたい。  同時に、私は時間の都合がありますから言いますが、現在日本政府にあるそれぞれの計画は、明らかに中業だけではなくして統合長期なり統合中期防衛見積もりもアメリカ側と密接に話し合われているものと理解せざるを得ない。そういう面からしても、国民には明らかにしない、国会にさえも明らかにしないで、アメリカとのやりとりにおいては国民がわからない、国会も知らないものがどんどんひとり歩きしてきている。しかも、長官はこの内容を知っておるのですか。知っておったら、私が次の質問を申し上げる前にその内容を言ってみてください。
  84. 大村襄治

    ○大村国務大臣 お答えいたします。  内容は承知いたしております。御説明は政府委員にお願いします
  85. 塩田章

    ○塩田政府委員 まず中期業務見積もりを防衛庁限りと言いながらアメリカ政府が取り上げているではないかという点でございますが、この点につきましては五十四年の七月に中業ができましたときに、私どもが中期業務見積もりについてという公表をいたしました。その内容によりまして、その後アメリカ側との会談の際に説明をしたことがございます。それによりましてアメリカ側が、中業という言葉は使っておりませんけれども、それを指すような意味での対日期待表明をしてきたことがあるということは御指摘のとおりであります。  それから、いま御指摘の統合長期防衛見積もりと統合中期防衛見積もりでございますが、いずれも五十一年の「防衛計画の大綱」ができました後、先ほど言いましたように、今後どうやっていくかということを防衛庁が考えました際の、防衛諸計画の作成等に関する訓令というものをつくりまして、その訓令の中にいま先生が言われました五つの種類の計画を規定しておるわけでありますが、その中の一つが統合長期防衛見積もりであります。これは統幕議長が作成して長官に報告するものでございますが、これは大変長期にわたるものでございまして、その次に出てまいります統合中期防衛見積もりの見積もった期間のさらに次の十年間ということでございますから、作成時から言いますと十五年以上先のことを見積もったといいますか、要するにそういう長期のことでございますから、抽象的な情勢見積もりあるいは今後の防衛力の質的な整備の方向といったようなことを計画したものでございます。  それから、統合中期防衛見積もりは、いま先生が各幕僚長ではないかとおっしゃいましたが、これもやはり統合幕僚会議議長が作成して長官の承認を得るものでございまして、これは先ほど来お話しの中業と同じ期間、作成年度から二年後の五年間につきまして、いま申し上げました統合長期防衛見積もりを参考として内外の諸情勢を見積もり、あるいはわが国の防衛の構想、態勢、各自衛隊の体制といったことを検討いたしまして防衛力整備の構想を決めるというものでございまして、これによりまして各幕は先ほど来議論になっております中期業務見積もりをそれぞれ作成する、こういうことになります。  それから、中期業務見積もり以外に、いま申し上げました二つの統合長期あるいは統合中期防衛見積もりについてアメリカ側に説明しておるのではないかという点でございますけれども、いま申し上げましたように、これは非常に抽象的な情勢判断であり、あるいはまた整備の方向を示しているものでございますので、これにつきましてアメリカ側に説明をしているというようなことはございません。
  86. 上原康助

    ○上原委員 これは皆さんきわめて重要なことなんですよね。統合幕僚会議議長が作成をする。そうしますと、内局はこの作成にどういうふうに関与するのですか。
  87. 塩田章

    ○塩田政府委員 作成の途中ではそれぞれの段階で内局の幹部と統合幕僚会議の幹部とで相談をしておりますが、でき上がって長官への報告あるいは長官の承認という段階では当然内局を経て決裁をとります。
  88. 上原康助

    ○上原委員 いまのはきわめて形式的ですね。もうシビリアンコントロールの一角が崩れているじゃありませんか。だから、中期業務見積もりの中身がどんどんふくれてきた。いみじくもあなたがいま言っているから、そうなっているわけですね。われわれの判断はそうとしか見ない。しかも、統長や統合中期というのは明らかにできませんか。この統合中期に基づいて中期業務見積もりというものが出てきているわけでしょう。どうなんですか、そこらは。  そうしますと、いまの防衛計画というのは確かに長官の承認を最終的に得る。得るときには内局でいろいろ検討をするというのだが、制服そのものがつくっているわけです。だから、だんだんエスカレートしてきている。ここに私たちが指摘をしてきたようにシビリアンコントロールというものはどうなのかという不安が出てきている。こういうものこそ内局がつくって、むしろ制服をコントロールする。逆じゃないですか。だから、そこにたくさん座っていらっしゃるけれども、重要な防衛計画とか装備というものは全部制服任せにやっているというのがいまの実態なんですね、長官。あなたはさっき内容は知っていると言ったけれども、ただこういうふうになっています、ごらんくださいと言われて、まさかあなたの方が敬礼はしないでしょうが、逆立ちしているいまの防衛庁の実態。改めて御見解を聞いておきたいと思うのです。
  89. 塩田章

    ○塩田政府委員 内局が作成すべきではないか、あるいはもっとコントロールすべきではないかということでございますが、先ほども申し上げましたようにいろいろな段階で十分に相談をいたしておりまして、決して制服が独走しておるというようなことはございません。  それから内容でございますけれども、統合長期防衛見積もりは秘に指定をしております。それから統合中期防衛見積もりは極秘に指定しておりますので、事柄の性質上公表することは控えさせていただきたいと思います。
  90. 上原康助

    ○上原委員 重要な問題あるいは核心に触れようとするとマル秘だとか秘だとかあるいは極秘だとかということですね。しかも、統長もそうですが、統合中期防衛見積もりというものは、これは最近はいつできたのですか、三年ごとに作成をし長官の承認を得る云々と言ってましたが。これは防衛大綱との関連では重要な関連がありますよ。私が知る限りにおいては「防衛庁の任務を効率的に達成するための防衛庁内部の計画体系であり大綱を一応前提とするものである、しかし、大綱は内外情勢の変化に伴って随時再検討され、必要がある場合には速やかに修正が行われる性格のものである」云々と書いてありますね。そうすると、さっき「防衛計画の大綱」そのものは変えないとはっきり長官は言っていますが、しかし、これからすると変える準備は十分やっていますね、皆さんの情勢の認識の仕方とか、あるいは最近のいろいろな言動からすると。それほど重要なものが中身秘密ですということで国会、国民の前には明らかにさせないで、しかもその主導権は制服が握っている。装備とか技術的な面において専門家の制服がやるということは、一応組織上のあり方としてやむを得ない面もあると私は思うのですが、事国の防衛の基本にかかわることが制服が主体でシビリアンの方が枠外、枠外というとあれなんでもちろん調整はやっているだろうが、まさにこれでは何かを言わざるを得ませんね。どうなんですか、そこら。
  91. 塩田章

    ○塩田政府委員 まず、できた時期でございますが、統合長期防衛見積もりは五十三年の六月でございます。それから統合中期防衛見積もりは五十三年の十二月でございます。先生、先ほど「防衛計画の大綱」の修正に向かっての準備が何かできているのじゃないかという意味のことをおっしゃいましたけれども、大綱の中において作業しておりまして、大綱を見直す考えがないということは先ほど長官からお答えがあったとおりでございます。
  92. 上原康助

    ○上原委員 性格上というか性質上これは明らかにできないということ、そういうやり方にも私は不満です。全貌が公表できないにしましても、十年先のわが国の防衛計画はこうなるんだ、あるいは五年計画はこういう情勢判断に立ってこういうようにやっていくんだということは、これこそまさに国会と国民の前に明らかにして、基盤的防衛力構想で先ほど言ったような国民的コンセンサスを得るような努力をみずからやるべきものを、そういう核心に触れようとしたら秘密だ、秘密だと逃げておったのじゃ論議のしようもないじゃないですか。目下のところ、これは全然手をつけてないということですか、五十三年の六月と十二月に策定されて。
  93. 塩田章

    ○塩田政府委員 統合長期の方は三年ごと作成しますが、次の段階までは時間がございまして、まだやっておりません。それから統合中期の方は三年ごと作成すると同時に、中期業務見積もりと同じように毎年見直しをするということになっておりまして、五十五年度の見直しは現在やっておる段階であります。
  94. 上原康助

    ○上原委員 見直しはやっているわけですね。  そこで次に進みますが、そういうものを明らかにしないことについては、これはきわめてよろしくない、もっと十分な資料なりそういうものを提出をしていただいて、作戦上にかかわる重大なことであるならわかるが、少なくとも防衛計画を五年先、十年先どういうふうにやっていくんだ、あるいはどういう国際情勢の認識をしているんだということは、そんなに秘にすべきものでない。その点御検討をいただきたい。  そこで、時間の都合もありますので次に進みます。これとの関係もありますが、次に防衛予算について若干お尋ねをしてみたいと思うのです。  先ほど、特別枠を設けたのはいろいろ事情があったんだということですが、大蔵省来ていると思うので、まず大蔵からいきたいのですが、予算委員会などでも大蔵大臣は、防衛予算を特別扱いをしたことは要求段階の話であって、実際の予算査定では厳しく当たる、こういう言い方をしておりますね。これも現に別枠をつくっておきながらこういう言い方は非常に疑問なんですが、改めて大蔵省の見解を聞きたいのです。  一方米国は、米国の高官は、九・七%の概算要求にも強い不満の意を表明している。これでは中業の一年繰り上げはとてもできない、大平公約はほごにされた、こういう不満を述べたという報道もなされている。全く自主的判断でとかあるいは日本の独自の防衛計画構想でやっているんだというわりには、すべてが、予算のふところぐあいにまでアメリカが手を突っ込んで、これでもかこれでもかということをいまやってきているわけですね。憲法の押しつけどころか、自衛隊そのものが押しつけ。そこはある意味じゃ明らかに内政干渉ですよ。  この二点について、まず長官なりの見解を聞いて、大蔵は具体的に今後どうするのか、お答えください。
  95. 大村襄治

    ○大村国務大臣 ただいまの御質問にお答えいたします。  米側としては、現下の厳しい情勢の中にあって西側先進諸国が防衛努力を強化していることを考慮して、わが国に対しても防衛努力を強化するよう期待しているところでありますが、五十六年度の防衛関係概算要求枠の取り扱いを含むこれまでのわが国の防衛努力については、それなりの評価をしているものと考えております。いずれにいたしましても、防衛庁といたしましては、あくまでもわが国としての自主的な判断に基づいて防衛力整備を行っているところであり、現下の厳しい国際情勢にかんがみ「防衛計画の大綱」が定める防衛力の水準を可及的速やかに達成いたしたいと考えておる次第でございます。
  96. 畠山蕃

    ○畠山説明員 お答えいたします。  御質問の点は二点あったかと思いますが、第一点の特別枠を設けたのは要求枠であって予算査定とは別かという点でございます。これはそのとおりでございまして、概算要求段階において、すでに義務的な経費についてまで要求官庁として原則枠の中に当てはめることは困難であるという実情にかんがみて、要求としては特別の枠として要求して差し支えないということでございまして、今後の予算編成過程におきましてこれらを詰めてまいりたいというふうに考えているところでございます。  それから第二点は、アメリカからその概算要求枠についていろいろと評価がなされておる、それでは足りないのではないかということだけれどもどうなんだというお話でございます。アメリカから具体的にこのシーリング枠についてどういう評価がなされているかにつきましては、外務省ないしは防衛庁からお答えすべき問題だと思いますが、いずれにいたしましても、私ども財政当局といたしましては、お話にもございましたようにこれは国内問題で、自主的に防衛予算はどうあるべきかということから、財政事情と他の経費とのバランスを考慮しながら適正に決定してまいりたいと考えております。
  97. 上原康助

    ○上原委員 そこで、アメリカ側からのあれは外務省にちょっとお尋ねするとして、概算要求なので査定に当たっては厳しくやっていくのだとおっしゃるのだが、どれだけ厳しくできるのかわかりませんが、その概算要求を別枠扱いするときに、たしか大村長官と渡辺大蔵大臣との間で物価の上昇その他の事情、情勢の変化によっては追加予算もするんだという合意がなされたというような報道もなされていますね。これは事実なのかどうか。いまの大蔵の言い分とは違うわけですね。それがどうなのかということ。さらに九・七%でたしか二兆四千四百六十六億円ですかになっているわけですが、給与改定分は明らかに含んでいませんね。これを含めると一体どのくらいになるのか。この二点についてお聞かせいただきたい。
  98. 大村襄治

    ○大村国務大臣 前段の追加要求云々ということについてのお尋ねについてお答え申し上げます。  私は、わが国の防衛予算の問題をめぐる内外の諸環境はきわめて流動的であると考えており、そのような観点から今後情勢の変化により追加要求の必要が生じた場合にはその段階で改めて対策を検討してまいりたいと考えております。追加要求の問題は、その必要が生じた背景、事情、経理の性質、規模等各般の諸要素を総合勘案して決定すべきことであり、いまから決めておくことはできないので、そのときに改めて大蔵大臣と相談することといたしたい。概算要求のシーリング枠を大蔵大臣と御相談しました際に、そういった趣旨のことを申し上げ、大蔵大臣もその都度相談しようとお答えになった、こういう経緯があるわけでございます。  給与予算の問題につきましては政府委員をして答弁させます。
  99. 吉野實

    ○吉野(實)政府委員 お答えいたします。  先生御指摘のように、概算要求を出したものは二兆四千四百六十六億です。それに人事院の勧告がことしありましたので、その分を年末にのっけるといたしますと、給与改定分が約五百億でございます。したがいまして、これが二兆四千四百六十六億にのっかる、こういうことになります。
  100. 上原康助

    ○上原委員 そこでトータルのパーセントは幾らになるのですか。
  101. 吉野實

    ○吉野(實)政府委員 伸びの数字をお聞きのことと存じますけれども、いま九・七%になっておりますので、これに大体二・二%ぐらいのっかるという勘定になりますので、全部トータルいたしますと一一・九%ぐらいの伸びになります。
  102. 上原康助

    ○上原委員 そういうふうに非常に膨張傾向にあるわけですね。何も経済財政状況というものが加味されていない。一体その背景は何かということを私たちは厳しく問わざるを得ないわけですよ。まさにアメリカからの押しつけじゃないですか。  そこで、時間の都合もありますので、そういう実態であるということ。よく報道されておりますように、それは一二%前後になるでしょう。この中で、大蔵省に改めてお尋ねしておきたいのですが、伝えるところによりますと、この十二項目にわたる防衛予算の見直しについて大蔵省が防衛庁に要求をした、それは事実なのか、またやるとするとどういう面が可能性があるのか、念のために聞いておきたいと思うのです。
  103. 畠山蕃

    ○畠山説明員 十二項目の改善要求を大蔵省から防衛庁に対して行ったという報道に関する御質問でございますけれども、実はこれは五十五年度予算のケースに引き続きまして五十六年度予算に向けて、ことしの夏五月ごろからいわゆるサマーレビューというものを行っておりまして、このサマーレビューの一環としてそのようなことを行っているわけでございます。サマーレビューといいますのは御承知のとおり、歳出の万般にわたりまして、特にどの経費ということでなくて、歳出のすべての経費につきまして見直しを行う、しかも相手省庁と協力をしながら、むだがないか、非効率な点がないかという点を見直しを行うということで、特定のどの経費についてどういう改善をしてくれというような形で、文書で大蔵省から防衛庁に対して要請をしたものではございません。したがって、そのサマーレビューといいますのは、きわめて多岐の経費、つまり歳出の万般にわたる点についての見直しをお互いに検討してまいるということの二、三の例として私がある場所で申し上げたということでございまして、内容的にその際に例示いたしました事柄といたしましては、たとえば小さな話でございますが、糧食の在庫の基準の見直しであるとか、あるいは自衛官の諸手当の改善の検討だとか、そういったようなすべての経費等々につきまして現在なお行っておるということでございます。
  104. 上原康助

    ○上原委員 外務省に一点確かめておきたいのですが、せんだって、たしか九月十九日かその前後だと思うのですが、伊東外相とブラウン国防長官の会談で、米側はこの防衛費の増額というか防衛費問題を持ち出した。先ほどもちょっと触れましたが、物価上昇などで目減りのおそれが生じた場合の増額を含めてやるべきだ、こういうことが米側から持ち出されたということなんですが、その事実関係を明らかにしておいていただきたいと思います。それが一つ。  防衛関係でほかにもありましたが、法務大臣もおいでになりましたので話題を変えていきますが、そうしますと、防衛費を別枠にしたのはこうこうなんだということはいろいろ言っておりますが、防衛庁としても鈴木内閣としても、当面防衛費は国民総生産の一%ということは変更しない、このことはどうなんですか。これはあくまで堅持をしていく、防衛大綱も変えない、防衛費についても、国民総生産の一%、この閣議決定というものの見直しとかそういうものは考えない、そういう立場である、現在もそういう御認識で進めていくのか、この点、防衛費の関係で防衛庁長官から後でまとめて御答弁をいただきたいと思うのです。
  105. 大村襄治

    ○大村国務大臣 最後のお尋ねの防衛予算と国民総生産との割合一%以内をめどとして当面予算を編成するという閣議決定が五十一年の秋に行われております。私どもは、この一%以内という閣議決定を現在変える考えはございません。
  106. 淺尾新一郎

    ○淺尾政府委員 お尋ねのございました伊東・ブラウン会談でございますが、まずブラウン長官の方から国際情勢について説明がございました。これは時間の都合上省略というか、非常に手短に答えさせていただきますが、アメリカとしては、中東の情勢にかんがみて追加的努力をしている、そこで自分の国防努力をそれによってやめるというわけでないけれども、やはりNATOあるいは日本としてもその防衛努力を続けてほしいということがございまして、特にその中で、日本が顕著にして着実な防衛努力を続けてほしいという言葉がございまして、さらに今回九・七%という別枠が設けられたそのこと自身は非常に正しい方向である、しかし今後の予算策定の過程においてその額は当然削られるであろう、そこで、防衛庁及び外務省の努力を期待するという話がございました。     〔委員長退席、愛野委員長代理着席〕 それに対して伊東大臣の方から、防衛力の整備については日本自身の問題として国民のコンセンサスを得ながら防衛努力を続けていくということがございまして、以上で会談を終わった次第でございます。
  107. 上原康助

    ○上原委員 いろいろ防衛予算について相当むだがあると私たちは思うのですね。なぜC1からC130に変えたのかもお尋ねしたかったのですが、あるいはその他につきましても、また、いまの自衛隊そのものの組織とかそういうものを認知をする立場じゃありませんけれども、どうもアメリカ式のことをやられている。幹部が多いとか、陸上自衛隊は要らないんじゃないかということさえ言っている方もあるし、専守防衛という立場に立つと陸上だけでいいという言い分もある。しかし防衛庁内部でも、日本の特性に合った自衛隊の編成とはどういうことかという見識を持っている方々もいるやに聞いております。  このこともいずれまた議論をしてみたいと思うのですが、隊の編成の問題とか、あるいは七四式戦車をどんどん多額の国民の血税を使ってつくっても、本当に有事のときに役立つのかどうか。また、F15に切りかえていった。F104はパイロットが乗る最後の戦闘機だとさえあのころは言われた。今度またF16でしょう。来年から嘉手納にF16が来ますよ。  念のために聞いておきたいのですが、いまのF4の後続機はどういうことを考えているのですか。嘉手納に米軍がF16を配備をするとなると、防衛庁はまたそれに対応してF16の購入計画でもやるのですか。その点念のために聞いておきたい。きわめてむだ遣いが多い。
  108. 塩田章

    ○塩田政府委員 F4の後継機のお尋ねでございますが、現在まだ検討に入っておりません。
  109. 大村襄治

    ○大村国務大臣 ただいまの御質問に関連しまして、私どもの考え方を申し上げたいと思います。  御指摘のような編成の問題につきましても、国防基本方針におきましても、国力、国情に応じたものを備えるんだと大方針も示されておりますので、絶えず勉強をしているところでございます。  なお、厳しい財政事情下でございますので、五十六年度の予算編成あるいは業務計画の作成のための長官指示におきましても、効率化及び合理化に努めることを強く指示しているところでございます。  五十六年度の概算要求で特に検討しております問題は、司令部機構等の人員の節減、司令部の方をできるだけ減らして一線をふやすということ、あるいは艦艇の延命、F4型機の延命、ヘリコプターの延命、艦艇及び戦闘機搭載武器の転用、訓練形態の効率化、教育課程の統廃合等あらゆる面におきまして合理化に努めることにいたしているわけでございます。
  110. 上原康助

    ○上原委員 聞くことには答えないで……。  自衛隊内部でも、たとえば対上陸作戦の専門隊がなぜないだろうか、武器の装備とか、そういうものに新装備をするのにはいろいろ国の予算をどんどん注ぎ込んでいくんだが、本当に有事の際に戦えるようなこういうものがいまの自衛隊の編成隊としてないんだということを言っていますよ。いかにいまの自衛隊というものが即戦能力というか、いざという場合に役立たぬかということが内部でも相当議論されていると私は思う。われわれは何もそうしなさいとは言いませんが、これは挙げて国民の税金のむだ遣いですよ。これはあなた、自衛隊の中堅の人々がそういうことを論文でもどんどん書いている。何をか言わんやですね。まるでだだっ子が高級なおもちゃをねだるようないまのやり方じゃないですか。われわれにはそうしか見えない。その点も指摘しておきたいと思うのです。  そこで奥野法務大臣、お忙しいところ来ていただきましたのでちょっとお尋ねさしていただきたいのですが、憲法と自衛隊とのかかわりで若干聞いておきたいのです。  法相にお尋ねする前に、大村防衛庁長官の憲法認識、特に自衛隊とのかかわりで。いま憲法改正論――われわれはあくまで自衛隊は憲法違反だと見る。これは憲法を空洞化し、形式化して、すべてが既成事実の上に積み重ねられた虚構が今日の実態になってきているといまでも判断している。そういうときに憲法問題がにわかにクローズアップされてきているのですが、特に防衛という重要な責任ある立場にある防衛庁長官の現行憲法に対する御見識、御認識というものは一体どうなのか、それをお伺いして奥野法相にまた二、三点お尋ねさせていただきたいと思うのです。
  111. 大村襄治

    ○大村国務大臣 防衛庁長官といたしましては、日本国憲法は国家固有の自衛権を否認するものではないというふうに考えております。したがいまして、防衛のための必要最小限の実力を保有することができるものと考えております。この考え方に基づいて防衛力の整備に努めている次第でございます。  憲法改正についてのお尋ねでございますが、鈴木内閣は憲法を遵守することにいたしておりますので、その点につきましては意見を申し上げることを差し控えさせていただきたいと思います。
  112. 上原康助

    ○上原委員 法務大臣、私は法務大臣が文部大臣をしておられるときにも若干沖繩の教育問題とかそのほかで御見解をお尋ねしたことがあるわけですが、これまでの憲法論議で火つけ役といいますか、その発端になったのが法相の法務委員会におけるやりとりからだったわけです。私はその中で特に問題にしたいというよりも法相の真意をぜひ確かめなければいかない、また私たちの立場でのこの不満というものは表明しておかなければいかないということで、きょうお出ましをいただいたわけです。  あなたがたしか十月一日でしたか、臨時閣議後憲法問題を取り上げたときに、沖繩の自衛隊について言及をなさいましたね。沖繩で自衛隊員が国体の選抜競技会で優勝したがその代表にもなれなかった、沖繩では大学入試に合格しても自衛隊員であるため入学できなかった、そういうケースがあるのだ、市町村による自衛官募集業務に対する抗議運動も続けられている、そう述べて、したがって憲法九条があるから自衛隊が違憲という解釈が出てくるのだ、これを手直ししないとならぬ、こうした現状だから自衛隊の装備を幾ら充実しても役に立たないのだ、こういう極言までなさって沖繩を引き合いに出された。このことについて法相は沖繩に対する認識というもの、あるいはあなたのそれは個人的といいますか、法務大臣であろうが閣僚であろうが、それは民主主義社会ですから、憲法に対してどういう御見識なり御意見を持たれようが一応容認される前提もあるのでしょうが、しかし事鈴木内閣は憲法を遵守するのだ、憲法改正の意思はないのだということを明確にしておって、九十六条と九十九条を巧みに使い分けて今日憲法改正、改悪をあおっている。これに対してもわれわれは非常に問題があると見ているのですが、事もあろうにわざわざ沖繩を持ち出したその真意というものを私は聞きたい。もう少し聞きたいことがありますので、まずその点から御見解を聞いておきたいと思うのです。
  113. 奥野誠亮

    ○奥野国務大臣 いまお挙げになりました事柄は、憲法九条に関しまして有力な政党の間で解釈に百八十度の食い違いがある。そこから起こっている特異な事例として挙げましたときに、沖繩における国体の選手選考の問題を取り上げたことがございました。全部沖繩のことを言ったのじゃございませんで、市町村が募集事務に協力をしないということなどは全体的なことで申し上げているわけでございます。特異な事例として挙げたわけでございます。  同時にまた私自身、沖繩については旧軍隊について特別な感情を持っておられた、それはもっともだという理解もいたしているつもりでございます。戦場にもなりましたし、大変な犠牲者が出ましたし、また旧軍隊のとった事例につきまして批判さるべき事柄も戦後史の発掘でいろいろ明らかになってきているわけでございますから、沖繩の皆さん方が旧軍隊について特別な感情を持っておられることは理解しているつもりでございます。私が挙げましたのは沖繩の例ばかり挙げたわけではございませんで、国体は沖繩の例でございますが、市町村が自衛隊員の募集事務に協力しないということは、これは全体的な問題として申し上げたつもりでございました。
  114. 上原康助

    ○上原委員 大分日時が経過していますからいま冷静にそういう御答弁をなさるかもしれませんが、法務大臣、そのときにあなたは、予算委員会でもそうなのですが、現行憲法の制定過程をめぐって、進駐軍とかで主権がなかったので押しつけ憲法だ、ストレートにはそう言わなかったが、そういう御発言もあったやに聞いている。同時にあの法務委員会では、敗戦になって日本の国旗とか君が代とか修身教育、そういうものができなかったのが非常にくやしいということで涙を流した。まさに新古典派の旧タカ派ぶりを発揮なさった。あれで全部わかった。そういうあなたの論理に立つならば、法務大臣、二十七年間アメリカの軍事占領支配下で人権が無視され、ブルドーザーや銃剣で土地や家屋を奪われて、しかも旧軍隊、旧日本軍は沖繩県民を守ったですか。防空壕にいる乳飲み子や一般住民を引き出してみずからの生命を保護したんじゃありませんか。それが私は軍隊の本質だと思うのです。そういうあなたの論理からいくと、二十七年間もそういう状況に置いてあったことが問題にさるべきであって、憲法改正問題とこういうことと、あなたはただ簡単な引用をしたかもしれませんが、われわれは沖繩で戦争を味わい、いまだに日本全国の五三%の基地があり、黒い殺し屋も来る。爆音被害を受けている県民にとってはたまらないの。そういう認識で憲法問題を論ずるというのは余りにも不見識じゃないですか。どうなんですか、そういう点。
  115. 奥野誠亮

    ○奥野国務大臣 いまも申し上げましたように特異な事例を幾つか拾ったわけでございまして、国民体育大会の問題は沖繩についてしかそういう事例はございませんので、沖繩とこう申し上げたわけでございますが、協力義務などにつきましては沖繩とは申し上げていないわけでございます。同時にまた、戦前の軍隊に対する沖繩の皆さん方の気持ち、私はよく理解しているつもりでございます。同時にまた、自衛隊は戦前の軍隊とは基礎から違っているわけでございますし、沖繩を防衛するというたてまえでもございますだけに、自衛隊に対する御協力も得たいなという気持ちはございます。しかし、そのときはそういうことでございませんで、九条に関しまする解釈の違いがこういう事例を起こしているのですよということを申し上げたにとどまっているわけでございます。
  116. 上原康助

    ○上原委員 そうしますと、法務大臣の御見解というのは、あくまで憲法は、改正をしない限りこういう事例があるからだめなんだ、しかもあなたのねらいは憲法を改正する場合は九条に的をしぼってこれまでの言動をなさった、そういうように理解していいわけですね。
  117. 奥野誠亮

    ○奥野国務大臣 八月末の法務委員会は、社会党の稲葉さんから自主憲法ということがある、日本の場合に当てはめてどう考えるかというお尋ねをいただいたからお答えをしたわけでございます。私は、国民の間から合意が生まれてきて、同じものであってもいいからつくり直してみたいという考えになってくるならそれは好ましいと思います、しかし政府としては特別な動きをすることは適当でないと思います、こう答えたわけでございます。同時にまた、鈴木内閣は憲法改正を考えない、こう言っておられますし、鈴木内閣の閣僚でございますから、私もその線は守っていかなければならない、こう思っておるわけでございます。したがいまして、憲法九条の改正を主張するものではございません。ただ、憲法九条の解釈が食い違っているということは国民の立場から見ました場合には大変不幸なことだ、こう私は考えておるわけでございます。そこから起こっている事例を申し上げているわけでございますけれども、この事例に対しまして私は特段の価値判断をそこに加えよう、批判を加えようという考え方で当時申したわけではございません。解釈の違いというものがさらに特異な事例としてはこういうことにまで及んでいるのですよということを申し上げたにとどまるわけでございます。  沖繩の問題は、本土とは違って戦場になったわけでございますし、大変な人たちが犠牲になったわけでございます。いままた上原さん自身が事例をお挙げになりましたように、私たちも大変憤慨する気持ちを持つような軍隊の事例も明らかになってきているわけでございますから、それはそれなりによくわかるわけでございます。わかるわけでございますが、自衛隊は戦前の軍隊とは違うのですよ。こういう話になってきますと、私たちはやはり訴えたいなという気持ちも出てくるわけでございます。
  118. 上原康助

    ○上原委員 そうしますと、二点だけで締めたいのですが、一つは、私がいろいろな事例を挙げましたよね、県民感情、国民感情というものもある。あのときに、少なくとも憲法問題とかかわりを持たして沖繩の事例を出したことは好ましくなかったという御判断がいまあるのかどうか。     〔愛野委員長代理退席、委員長着席〕 しかし、事実がそうだったのだから――事実と言っても、それは結構転校で入学もしましたよ。また、国体には強引に機動隊を出して参加したのだ。少なくともそういうことをいま指摘をされてみて、やはり適切を欠いたというお考えなのか、あるいはそれは当然じゃないかというお気持ちなのか、そこをひとつ。  同時に、いま憲法は鈴木内閣は守っていくの称、遵守をする、しかし一方では、自民党の政綱で改正を主張しているからそれもまた自由だというような判断をしているわけですが、現時点で法務大臣は現行憲法を国務大臣というお立場で尊重し遵守していくという面で国務大臣の任務を遂行していかれようとするのか、あくまでこの憲法はいろいろ問題があるから、国民のコンセンサスが得られれば変えなければならないという信念というか気持ちを持ちながら国務大臣のお仕事を進めていくのか、改めて御見解を聞いておきたいと思うのです。
  119. 奥野誠亮

    ○奥野国務大臣 繰り返し申し上げますけれども、憲法九条から、自衛隊は合憲だという考え方と自衛隊は違憲だという考え方と二つあるわけでございます。そこから起こってまいりました特異な事例を若干取り上げた、その中には沖繩における事例もあったわけでございます。旧軍隊に対しまする沖繩の皆さん方の特別な感情、これはよくわかるわけでございますけれども、国民体育大会に関しまする事例も、自衛隊は違憲の存在だということもあったわけでございますから、特異な事例を挙げる場合には、それを取り上げることは不穏当だとは思っていないわけでございまして、私はあえてそれを批判的に申し上げているわけじゃなしに、見解の違いがそういう事例に発展してきているのだ、こう申し上げているわけでございます。  同時にまた、法務委員会で稲葉さんの質問に答えました気持ち、それはいまも同じ考え方でおるわけでございます。自主憲法、私は国民の間に合意が生まれて同じものであってもいいからもう一遍つくり直してみようじゃないか、こういうことになってきますれば、それは好ましいと思っております。しかし、合意が生まれていないのにいま政府が特別の動きをする、これは適当でないという判断も申し上げたわけでございまして、いまもその気持ちに変わりはございません。
  120. 上原康助

    ○上原委員 私が沖繩の県民であるということも踏まえてお尋ねしたら、法務大臣の感情、お気持ちも少し静んだというか、私の言い分にも幾分耳を傾けた形でのお答えになっていますが、後段は奥野法相の御見解として聞いておきましょう。  しかし、これは何も私だけがそういう指摘をしたんじゃないですよ、奥野さん。あなたが御発言なさってから、十月三日の朝日新聞は、「戦時中「内務省の官吏として戦勝に向けての所掌事務に従事していた」法相にとっては、沖繩戦の犠牲は遠い昔の、はるかかなたのできごとなのだろう。」と厳しく批判しています。旧日本軍に沖繩の民衆が何をされたか法相は知っているのか。沖繩の反自衛隊感情を憲法改正、特に九条の改正に利用したとしか思われない。私もそう思うのです。その前に政府としてはやるべきことがあるのじゃないですか。先ほども言いましたが、私はここで個人的やりとりはしたくはありません、私も政治家の端くれですから。しかも、二十七年まで日本は占領状態にあってくやしかった。二十七年間もすべてが布令布告じゃないですか。ようやく一九六八年になってしか――失礼ですが、あなたに西暦を言ってもおわかりかどうか、昭和で言うと四十三年ですか、そういう状態にしか私たちの自治権、いわゆる首席公選権も与えられなかったのです。それほど悲惨な目に遭った沖繩の事例を出して、いま憲法改悪、しかも自民党が多数を占めたその力を背景にやろうということに私はやはり問題があると見ざるを得ないですね。これは私だけが指摘しているのじゃないですよ。そういうことは、お互い政治家といいますか、特に法務大臣というお立場では、内閣の主要なポストにある方としては、もう少し配慮をしていただきたかったという気持ちもあって、時間もたっておりますが、改めてこの点聞いたわけです。  戦争中の旧日本軍の残虐行為とか現在の状態については理解を示しておられる面もあるからこれ以上追及しませんが、そういうふうにいまの防衛力の増強問題なり憲法改正というようなことに対して、国民コンセンサスがあればあればというようなことでどんどんエスカレートさせていくことには私たちはやはり――日本の平和と民主主義という現行憲法の示す、あなたがおっしゃる平和主義、基本的人権、自治権、この原則を守ってこそ、私たちは日本の今日の平和もあったと思うし、国民生活の向上もあったと見ている。だからわれわれは、軍拡競争よりも日本の平和憲法の理念に基づいた外交、内政、安全保障ということを考えるべきという立場に立っているわけですね。そこをこういうことで悪用なさることはいささか軽率に過ぎたのじゃないかということを改めて感ずるわけですが、これについては、別に法務大臣というお立場での御見解があるようですからこれ以上は追及しませんが、もう一度もし私がいま申し上げたことに対しての御見解があれば聞いて、この問題は済ませたいと思います。
  121. 奥野誠亮

    ○奥野国務大臣 今度の戦争で沖繩の置かれました事情、私たち本当に痛恨のきわみという感じがいたします。大変な犠牲を負われたわけでございますし、特に陸軍のとった姿勢に対しまして、私たちも憤激を感ずる点がございます。自衛隊違憲論合憲論とで上原さんとは話が合いませんけれども、自衛隊は戦前の軍隊とは全く違うのだ、戦前の軍隊の反省の上に立って戦後自衛隊の訓練が続けられているということについてもひとつ御理解をいただきたいな、また沖繩を守るために努力しているのじゃないかという御理解もいただきたいな、こう思います。しかしいずれにいたしましても、戦前の軍隊から起こってきている沖繩の皆さん方のお気持ちは、私たちはよく理解しなければなりませんし、理解しているつもりでございます。  同時にまた、国の独立を守っていく基本的な規定であります九条について、有力な政党の間で合憲違憲というような極端に違った解釈があるということは、国民全体から見ましたら不幸なことだと思うのです。一人一人それぞれ考えが違うかもしれませんけれども、国民として国家として行動する場合には、やはりどこかみんなで合意の道を見つけ出す努力をする。みんなが自分たちの考え方が一〇〇%正しくて相手の考え方が一〇〇%間違っていると言うのでは国として体をなさない。できる限りみんなが議論を積み上げながら合意の道を求め続けていく。国の運命を背負っている国会でありますから、少なくとも国会の中で虚心担懐に議論をし合いながら結論を求める。最初から二つの結論が対決し合うのではなくて、話し合いの中で結論を生み出す努力をみんながやっていかなければならない時代を迎えているのではないかという希望を持っておりますことをぜひ御理解を賜っておきたいと思います。
  122. 上原康助

    ○上原委員 先ほど少しもじったのですが、新古典派の旧タカ派の面目躍如たるあなたの執念といいますか、それはわからぬわけでもありませんが、われわれとしてそれをそうですかと言うわけにはまいりません。いまの憲法の制定過程を踏まえて現在の平和主義――平和主義と言うが憲法九条を抜いたら平和主義になりますか。恐らくならぬでしょう。民主主義、基本的人権の尊重あるいは自治権、その理念は憲法九条があるから光るのです。それをそういう形で引用するということはやはり問題があったということを改め七申し上げて、時間もありませんから、どうもありがとうございました。  そこで、質問が大分残ってしまいましたが、あと一、二点お尋ねさせていただきたいと思うのです。  在日米軍の中東派遣の問題でちょっと聞いておきたいのです。たしか伊東外相だったと思うのですが、去る二十四日の参議院安保沖特で中東地域やインド洋への米軍展開が行われており、その結果、アジア、西太平洋における米軍事力を割くことも余儀なくされている情勢判断をも明らかにしたと聞いております。そこで、中東地域やインド洋への米軍展開という場合に一体何が想定できるのか。また、このことについてはかねてから安保条約でいう極東地域とか極東の範囲の問題があり、きょうはそれまで触れる時間はありませんが、それとかかわっているわけですが、少なくとも中東やはるかインド洋、ペルシャ湾地域まで現在の安保条約でカバーするということはそもそもの出発でなかったという見解を私たちは持っているわけです。展開部隊とは一体どういうことなのか。これが一つなのですが、RDF、緊急展開部隊については、政府はこの二月の予算委員会においても答弁をしておられるようですね。しかし、そのときにはまだ構成されていないと言っておられた。ただ、そのときも、将来構成する場合には沖繩の海兵隊も含むであろうという見解を示されておるわけです。  さらに、九月十六日に公表された米上院外交委員会の南西アジア政策に関する会議録、これは非公開聴聞会のようですが、それによると、ケリー緊急展開部隊司令官は、インド洋などの紛争に対処する緊急展開部隊にどこの海兵隊を加えるのかという問いに対して、特定地域に最も近い部隊というふうに言っておりますが、その議事録では秘密扱いにされている。しかしながら、極東における同盟国の士気に問題が生じないかを判断した上でやるのだが、やはり在沖海兵隊が中東への緊急展開部隊になると見られる、こういうやりとりをやっているわけですね。ここまで沖繩の米軍基地とか在日米軍基地のあり方というものは変化、変質をしてきている。これに対する防衛庁なり外務省の御見解を聞いてみたいと思うのです。
  123. 淺尾新一郎

    ○淺尾政府委員 お答えいたします。  最初に緊急展開部隊でございますが、上原委員御指摘のとおり、緊急展開部隊というのは、アメリカは現在核戦略あるいは通常戦争の上でNATO正面においては十分の兵力を持っている、しかし、それ以外の局地戦争に対して戦力が不十分であるということで、本年の国防教書の中で取り上げられたことでございます。要するにNATO以外の局地紛争に対処するための部隊である、その部隊は陸海空海兵四軍から構成されるということで、どの部隊がいかなる場合に具体的に行動するかということは事態に即応して決められることになっております。  それから第二点のケリー海兵隊司令官の証言でございますが、これは御指摘のとおりの証言でございます。そこでケリーが言おうとしたのは、この緊急展開部隊の性格をまさにあらわして、どこかで事態が起きたときにどこの部隊をその緊急展開部隊に入れるかというのは、危機が発生したところの最も近いところから引き抜くのだということを証言しているのがケリー司令官の証言の内容でございます。
  124. 上原康助

    ○上原委員 そうしますと、沖繩の第三海兵隊が中東地域までそういった派遣を展開されるということは、日本側としては問題ないということですか。
  125. 淺尾新一郎

    ○淺尾政府委員 これは通常国会においてたびたび政府側からお答えいたしましたように、全く仮定の問題でございます。しかし、仮定の問題でございますが、単に部隊が移動していくということであれば、それは安保条約及び地位協定の禁止するものではない。  さらに第二点として、事前協議の対象になるかどうかという問題でございますが、そもそも中東の事態において沖繩の部隊が現実的に事前協議の対象になるような戦闘作戦行動に従事することはあり得ないということはアメリカ側も確認しておりますし、私たちもそういうふうに考えております。理由は、要するに中東の地位と日本との間の距離あるいは戦力運用の面から考えれば、日本の施設、区域から直接発進して、安保条約に言う戦闘作戦行動に従事することは現実的にないということでございます。
  126. 上原康助

    ○上原委員 何を聞いても、結局安保条約あるいは地位協定に抵触しないのだということで、みんなこれまでそういう答弁で一つ一つ積み上げてきているわけですが、問題はそういうことじゃなくして、RDFというのは、部隊編成を聞いてみても明らかに作戦行動部隊でしょう。そういうのが派遣をされる。そのために在日米軍基地が中東地域の戦争にまで使われるということをわれわれは問題にするわけです。皆さんそうおっしゃいますけれども、確かにそれは遠距離であることは間違いないですよ。しかし、C5Aギャラクシー、これは言うまでもなく大型輸送機ですね。これで空中給油をすれば直送できると米側も言っているのです。確かにストレートでは行けないかもしれない。しかし、在日海兵師団というのは、それだけの機動性、能力をもう持っているわけですよ。それが戦闘作戦行動とはみなされないからということで、安保条約はいまや西太平洋だけでなくしてアメリカの世界戦略そのものに活用されているところに今日の問題があるということを指摘せざるを得ないわけですね。  最後になりましたが、この点、いま私が言ったことについてもお答えがあればお尋ねしたいのですが、あと自衛権の範囲の問題とかホルムズ合同艦隊構想についてもお尋ねしたかったし、例のミサイルの装備の点についてもお尋ねをする予定でしたが、もう時間が参りました。このミサイルや魚雷装備も非常に問題ですね。しかも防衛庁長官も知らない。総理も知らなかった。官房長官、後でクレームつけたでしょう。さっき言ったような明らかに制服先行のやり方、シビリアンコントロールはどこにある、こういう欠陥があるという点を指摘して、また次の機会にやります。  最後に有事立法の問題についてちょっとだけ聞いておきたい。その後の作業経過がどうなっているのか、鈴木内閣も有事立法をつくっていくことなのか、一応の御見解だけ、現在における防衛庁なり法制局のお考えをぜひ聞かせていただきたいと思うのです。
  127. 大村襄治

    ○大村国務大臣 お答え申し上げます。  防衛庁における有事法制の研究は、現在防衛庁所管の法令を中心としてその他の関係法令についても、自衛隊の行動にかかる事項について有事の際不備があるかどうか慎重に検討を進めているところであります。したがいまして、まだ研究中ということでその成果を私のところで検討する段階には至っておりません。
  128. 上原康助

    ○上原委員 官房長官来ましたが、いま防衛庁でそういう作業を進めているということですが、鈴木内閣は有事立法、いわゆる戦時法といいますか、そういったことについてはどういう御見解を持っておられるのですか。
  129. 宮澤喜一

    ○宮澤国務大臣 いま長官の御答弁のとおり事務当局においていろいろな調査等々やっておられるという段階のようでございますので、内閣といたしましてまだどうということを考えておりません。
  130. 上原康助

    ○上原委員 これで時間が参りましたので質問を終えますが、きょういろいろ米ソの軍事バランスの問題とか防白のつくり方というか、その内容について触れましたが、必ずしも十分納得のいける御答弁が得られませんでした。しかし、少なくとも防衛費の問題にしましても中業の問題にしましても、もう少しわれわれが主張するようなことなども取り入れるというか、聞いていただけるところは十分聞いてもらわぬと、脅威論だけで防衛力増強路線を突っ走るということは、私は日本の将来にとって悔いを残す結果になると思うのですね。そういう意味で、時間が参りましたので終えますが、改めて防衛庁長官のこれからの防衛問題に対する基本姿勢といいますかそれを、きょうのやりとりしたことも含めて御所見を聞いて、質問を終えたいと思うのです。
  131. 大村襄治

    ○大村国務大臣 お答え申し上げます。  上原委員から長時間にわたりいろいろ有益な御意見を聞かせていただきまして、その点を拝聴いたしたわけでございます。私どもの資料等で不備な点があれば今後できるだけ補うように努力してまいりたいと思います。また、先生におかれましても私どもの意のあるところはひとつ聞いていただきたい。そういうことで今後ともよろしくお願い申し上げたいと思う次第であります。
  132. 上原康助

    ○上原委員 終わります。
  133. 江藤隆美

    ○江藤委員長 鈴切康雄君。
  134. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 防衛の論議に入る前に、官房長官がおいでになっていますので、昨日十月二十七日に安保委員会におきます中馬委員に対する岡崎参事官の答弁に関しまして政府の統一見解が出ましたので、それについて少々お聞きを申し上げたいと思います。  私、昨日の安保委員会の速記録をつぶさに見てみますと、こういうふうになるわけであります。まず第一に、日本の国として潜在的脅威とは何かという具体的な問題に対して質疑が行われたわけです。決して韓国の立場で言ったのでなくして、日本のいわゆる脅威はどういうふうなものであるかという論議が進められたときに、ソビエトに対する潜在的な脅威、こういうことは、それは政府が言っているとおりでありますけれども、その後「米韓軍合同と北朝鮮の軍事バランスから申しますと、北朝鮮の軍事能力というのははなはだ増大しております。これは潜在的脅威の増大でございます。」こういうことですね。「これは」というこれは前のものがかかってくると同時に、日本のいわゆる脅威というものに対してかかってくるわけであります。となりますと、日本はそういう北朝鮮におけるところの非常に大きな軍事力の能力を持った状態というものは潜在的な脅威の増大だというふうに言っているわけですね。ですから、政府は北朝鮮の軍事力をわが国にとっての潜在的脅威とする認識に立っておられるかどうか、この点について明確にお答えを願います。
  135. 宮澤喜一

    ○宮澤国務大臣 この点は先ほども上原委員にお答えを申し上げたところでございますが、防衛庁の参事官が、防衛の見地から見て、朝鮮民主主義人民共和国の軍事力が強化されておる、それで潜在的な脅威の増大である、専門家の立場として防衛の面からそういう判断を申し上げたものと考えますが、政府全体といたしましては、無論防衛も必要でございますが、外交、経済、文化交流その他いろいろな面で総合的に国の政策を決定するあるいは判断をいたさなければなりません。そういう立場から申し上げますならば、朝鮮民主主義人民共和国がわが国に対して潜在的な脅威であるという判断を下しますことは国益に合致しない、私はさように考えております。
  136. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 そうしますと、潜在的脅威という考え方に立つということは国益に反するから、そういう考え方をとらないのだということであるとするならば、ここに明らかに「軍事バランスから申しますと、北朝鮮の軍事能力というのははなはだ増大しております。これは潜在的脅威の増大でございます。」、こういう答弁が適当であったかどうか、これはいかがでしょうか。
  137. 宮澤喜一

    ○宮澤国務大臣 防衛問題を専門に研究しております専門家の立場から、お尋ねがあってそう申し上げたことであろうと思いますが、国全体の立場から申しますと、そういう判断をすることは私は国益ではない、こう申し上げておるわけでございます。
  138. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 十月の二十六日防衛庁長官はNHKで討論会に出られましたね。そのときわが党は市川安保理事が出たわけでありますけれども、そのときにはからずもこの点について言及しております。そのときは、潜在的脅威ということについて言えば、防衛庁の説明によると、脅威の要素には能力と意図があり、ソ連の場合、軍事的能力は高まっているが意図はないので潜在的脅威だということになる。とすれば、中国も朝鮮民主主義人民共和国も軍事力を強化しており、結局軍事的能力が高まればすべて潜在的脅威ということになってしまう。現実的にはソ連だけを挙げて潜在的脅威と言っているところにこの言葉のあいまい性があるというふうに市川さんの方から指摘をしました。そのときに防衛庁長官はこういうことを言われております。中国、北朝鮮も軍事能力を増大しているが、米ソ両軍事大国は圧倒的な軍事力を持っている。中国、北朝鮮は比べ物にならない。格段な相違である。脅威を与える能力がないということで潜在的脅威というものではないと言われていますね。それに間違いありませんか。
  139. 大村襄治

    ○大村国務大臣 二十六日のNHKの討論会でそのように申し上げた記憶を持っております。
  140. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 そうなりますと、防衛庁長官とそれから岡崎参事官との間には完全にそういう認識の違いがありますね。これはどうしますか。
  141. 大村襄治

    ○大村国務大臣 お答えいたします。  参事官はまあ専門家の立場で申されたと思うのでありますが、私は国務大臣として御質問に対して私の意見を申し上げたわけでございます。
  142. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 参事官は専門的な立場で北朝鮮は潜在的脅威があるんだ、こういうふうに言った。私は潜在的な脅威はないというふうに言った。これは言うならば、防衛庁長官というのはシビリアンコントロールの最高責任者ですよ。その最高責任者の言ったことの方がどれだけ重みを増しているか、国民の方々はみんな見ておられるのですから。そのときには何ら問題が起こらなかったのは、防衛庁長官の認識が正しいからなんです。となれば、この問題の食い違いについて、岡崎参事官の前に言った答弁は取り消してもらうたい。
  143. 大村襄治

    ○大村国務大臣 重ねてお答え申し上げます。  岡崎参事官の答弁は専門的な立場から見解を述べたものと考えますが、ただいま官房長官が述べられましたとおり、軍事的な側面だけでなく国全体の立場から見れば、国益に沿わないという御発言もございまして、私はその点につきまして同感でございます。国務大臣としてそういう点も含めまして私も発言したように記憶いたしておるわけでございます。
  144. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 答弁になっていませんね。少なくとも十月二十六日にNHKであなたがそのように言われたことは、国民の皆さん方が見ておられるわけです。少なくともあなたは防衛庁長官として、三十万人からのいわゆる武装集団を指揮しなければならない、そういう立場にあるわけですね。専門の立場で政府委員が言ったからそれを認めるなんという言葉で、私はこれから審議はできませんよ。審議できません。
  145. 大村襄治

    ○大村国務大臣 重ねて申し上げます。  専門家の立場で答弁をしたと思うのでありますが、言葉足らずであり、不適当だったと思います。
  146. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 専門家の立場であって、言葉の言うならば内容が不適当であり、言うならば趣旨が十分に言いあらわしていなかった、こういうようにお認めになりましたね。それならば、岡崎参事官の言われたことについて、これはやはり政府の統一見解でいくということで取り消してもらいたい。その点についてどうでしょうか。
  147. 大村襄治

    ○大村国務大臣 政府の統一見解どおりいたしてまいります。
  148. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 取り消しということでよろしゅうございますね。その判断でいいですか。
  149. 大村襄治

    ○大村国務大臣 私の立場で申し上げますのは、官房長官の申されました政府の統一見解どおり今後対処してまいるということであります。
  150. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 防衛庁の中で意見が対立しているのですよ。防衛庁長官の考え方とそれからいわゆる専門家と言っておるまあ政府委員でしょうか、それの問の調整もとれないで、この問題がぽんぽんと出てくるのはどういうことなんですか。これじゃとてもとてもこれから質疑をしていくにしたって質疑はできませんよ。だから、岡崎参事官の言ったことは一切取り消しをして、政府の統一見解にしますと、こうおっしゃいなさい。
  151. 大村襄治

    ○大村国務大臣 お答え申し上げます。  先ほど申し上げましたとおり、言葉足らずであり、不適当であったと思いますので、政府の統一見解どおり今後そういうことがないように努力してまいります。
  152. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 防衛庁長官とそういうことで意見が違うということ、これは非常にまずいことですよ。防衛庁長官が言ったことについて国民の皆さん方は――北朝鮮、中国のあれについても能力がとてもそれだけないから、だから潜在的脅威じゃありません、これは正しい考え方でしょうよ。やたらに潜在的脅威を誇大化しながら進めていくのがいまの防衛庁の考え方じゃないですか。  外務省来ていると思いますけれども、外務省は北朝鮮のいわゆる潜在的脅威に対してどういうお考えでしょうか。
  153. 木内昭胤

    ○木内政府委員 御承知のように、北と南との間では南北会談の試みがございましたけれども、これも結局まとまるところに至らず、南北間には緊張状態があるということと認識いたしております。韓国側が北を脅威であるというふうに見ておることも事実でございます。
  154. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 それじゃ日本の国において、あなたは北朝鮮のいわゆる軍事力の増大というのは潜在的脅威なんでしょうか。はっきりしてください。
  155. 木内昭胤

    ○木内政府委員 先ほどお答え申し上げましたとおり、緊張状態があるというふうに私どもは認識いたしております。
  156. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 緊張状態があるとするならば、日本の国においても潜在的脅威があるのかよ。
  157. 木内昭胤

    ○木内政府委員 脅威があるかないか、これはきわめて主観的な問題でございまして、私の立場でここでお答えするのは適当じゃないと思います。
  158. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 外務省というのは、少なくとも隣国に対して手を伸べながら、等距離の関係を保ちながら平和を保っていくというのが日本の基本的な考え方でしょう。それにもかかわらず、日本の国がいま現在、北朝鮮の軍事力の増大というものに対して潜在的な脅威があると言っているのに、外務省はそのままで、そのとおりですとおっしゃるのですか。
  159. 木内昭胤

    ○木内政府委員 私どもとしましては、何とか南北の緊張が緩和するようにしなければいかぬ、かようなことから中国あるいはアメリカとも十分にそのラインでの努力を継続いたしておる次第でございます。
  160. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 あなたに聞いているのは、潜在的脅威があるのかどうかという認識を聞いているのです。韓国とそれから北朝鮮のそういう問題ではなしに、あなたの認識を聞いているのですよ。
  161. 木内昭胤

    ○木内政府委員 その点につきましては、けさ方の官房長官の示されました統一見解のとおりでございます。
  162. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 官房長官、いわゆる「軍事力増強は、潜在的脅威の増大である」と言っているわけです。それは要するに、もう前から潜在的脅威があったということですね。それが増大したということです、ないものは増大する余地はないのですから。いつも防衛庁の方は、北朝鮮の潜在的な脅威があるんだ、あるんだと思っておったから、こういう言葉が出るんじゃないですか。これは非常に問題のある発言だと思います。  ここに書いてあります「直接的ではないとしてもわが国に影響を及ぼす可能性があるとの趣旨」である、これは具体的にどういうことなんですか。官房長官、あなたの統一見解が出ていますね。その中で、「直接的ではないとしてもわが国に影響を及ぼす可能性があるとの趣旨」である、どういう具体的な実態があるのですか。
  163. 宮澤喜一

    ○宮澤国務大臣 それは、朝鮮半島の情勢が安定してくれることがわが国にとってはきわめて大切なことでございますから、その軍事バランスが崩れるようなことになれば、直接的ではないにしてもわが国に無関係ではない、そういうことを申しておるものと思います。  先ほどから政府委員に対して、潜在的脅威であるかないかということをしばしばお尋ねでございますけれども、本来ならばこういう問題は国全体として高度の立場から申し上げるべきことであろうと思いますので、そういう意味で、大村長官も私も、いまそういうことを断定することはわが国の国益ではない、こういうふうに申し上げているわけでございます。
  164. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 官房長官、御苦労さまでした。給与関係閣僚会議が終わったのでしょうけれども、どういうふうなお話し合いになりましたでしょうか。
  165. 宮澤喜一

    ○宮澤国務大臣 先ほど給与関係閣僚会議を開きまして、実は各閣僚とも委員会等に出席を求められておりましたので、余り長時間の議論はできませんでしたが、すでに国会に御提出してございます公務員の定年制でありますとか退職手当に関する法律、これとあわせてやはり民間準拠ということで給与の問題も国会で御審議を願いたい。それについては、なるべく早く提出して御審議を願うべきだという考えと、財政当局の立場から、今回のような財政事情ではなかなか毎年どおりの完全実施はむずかしいという立場とがございまして、先ほどの会議は結論を得ないままに休憩いたしました。できるならば、これから夜までの間に私が出ました問題を整理いたしまして、総務長官とも相談し、大蔵大臣とも相談いたしまして、その上で歩み寄りができるようでございましたら、今晩遅くにも会議を再開いたしたい、ただいまそういう段階におります。
  166. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 官房長官は給与関係閣僚会議の中の調整役でありますから、これは公務員の生活給である以上は一刻も早く出すべきであるし、完全実施ということは当然だと私は思うのです。大蔵省の方は、聞くところによりますと、財政が非常に苦しいから、完全実施を見送って繰り延べをせよとか、あるいは公務員の二法を抱き合わせにせよ、こういうけしからぬ話が出たかのように聞いておりますけれども、官房長官あるいは総務長官はそういう御意見ではないと思いますが、官房長官は、きょうここで夜でも調整をして何とかしたいということは、大体いつごろをめどとしてこの閣僚会議に決着をつけ、閣議決定をして、そしてまた言うならば法案をお出しになるつもりなんでしょうか。
  167. 宮澤喜一

    ○宮澤国務大臣 おのおの財政を預かる立場があり、あるいは公務員行政に関係する閣僚としての立場があり、けしからぬと言われますと、おのおのの立場も御了解いただきたいと申し上げたい気持ちがいたしますが、私、調整役でございますので、なるべくそれらの意見の歩み寄りを図りまして、できるならば今晩じゅうに会議を再開いたしまして、最終結論に達したいと考えておりますが、なお、ここ数時間ちょっと調整をいたさなければなりませんので、はっきりお約束を申し上げるというわけにはまいりません。しかしできるだけ早くと考えております。
  168. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 その御努力は多とするものであります。今晩じゅうに結論を何とか出したい、この官房長官の気持ちわからぬわけではありませんが、結論が出たら、あしたにでも持ち回り閣議でもやられるのですか。それとも閣議の日にちまで待ってということなんでしょうか。どういうお気持ちでしょうか。
  169. 宮澤喜一

    ○宮澤国務大臣 大筋で結論が出ました場合には、その結論そのものを持ち回り閣議で一応決定をいたしまして、なお、後日具体的な法案を、閣議決定をもう一遍する、そういう手続にいたしたいと思っております。
  170. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 官房長官の御苦労を多とするものであります。どうかひとつ前向きに進めていってもらいたいということを要望いたしておきます。  せっかく官房長官がおいでになりましたので、二、三お聞きしますけれども、実は鈴木総理大臣が総合安保会議ですかを設置されるということを明言されたわけでありますけれども、官房長官は総理の番頭役でありますから、どういうふうに総合安保会議の設置をされるつもりなのでしょうか。内容とテーマをどういうふうにされるのでしょうか。
  171. 宮澤喜一

    ○宮澤国務大臣 国の安全にとりまして、いわゆる狭義の防衛というものはきわめて大切なものでございますけれども、同時に外交でありますとか経済協力でありますとか、エネルギー、食糧といったような問題も欠かせない安全の要素であると思います。したがいまして、こういう問題は各省でおのおのの立場から行政をやっておりますけれども、安全という見地から、それらの問題を整合的にどう考えていくべきか、そういう視点からの検討の場がやはり必要であろうというのが総理大臣がこの会議を発想された基本の考え方であると思います。ただいまそういう総理のお考えに従って、事務的にこの会議のあわ方を検討いたしておる段階でございます。  問題としては、ただいま申し上げましたような問題が取り上げられることになろうとは思いますけれども、会議の性格等につきましては、まだ最終的な結論に達しておらないというのが現状でございます。
  172. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 総合安全保障会議の構想、食糧とか資源とかエネルギーとか、国の存立の基本にかかわる問題について、政策を総合的に安全保障の観点からとらえて調整を進める、こういうことなんですが、国防会議の改組は考えておりませんか。
  173. 宮澤喜一

    ○宮澤国務大臣 その点もいろいろ検討いたしましたが、ただいま考えておりません。
  174. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 国防会議というのは総理大臣が議長ですね。総理大臣が国防会議へ出られて決定をされるということは、国防会議というもので結論が出る以上は、総理として決められたあるいは国防会議議長として決められたものを安全保障会議に持ってきても手直しをするような余地はないのではないですか。その点はどうですか。
  175. 宮澤喜一

    ○宮澤国務大臣 安全保障会議自身が狭義の防衛というものについて議論をすることはもちろん妨げないところでございますけれども、この会議自身は関係閣僚間の連絡協議をする場でございますし、国防会議における審議事項、これは決定をいたす場でございますから、国防会議においてなされました決定は、閣議で決定をまた改めていたすわけでございますが、それをこの関係閣僚会議が直すと申しますか、改めるといったようなことにはならないようにいたさなければならぬと思います。
  176. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 そこに問題があるのは、先ほども北朝鮮は潜在的な脅威である、そういう純軍事的な立場から言ったと言われている問題、それをたとえば国防会議において純軍事的な立場で決定をしたと仮定をします。そんなことはないと思いますけれども、仮定したとします。それを持ち込まれた場合に、安全保障会議、総合的な立場に立って日本の国としてはこうあるべきであるということを論議しなければならないところの場所において、そういう決定がなされた場合には、全く手直しの余地がない。先ほどあなたは、国益に準じた場合において、潜在的な脅威なんて、そういうことを言うのはこれはもう、不見識とは言わなかったにしても、適当ではないというふうに論理づけられましたけれども、そういうふうな形でいろいろと安全保障というものを総合的に包含をしたときに、日本の国のこれからの安全保障というものはどうしたらいいかという問題に立ち至っていかなければならないわけですから、国防会議の決定というのは、純軍事的な問題が持ち込まれて、それを追認をするという形になりますよ。その点についてはどうなんでしょうか。
  177. 宮澤喜一

    ○宮澤国務大臣 国防会議における審議事項は、国防に関する重要事項ということに決まっておりますので、ただいまのようなことを国防会議がかつて決定したこともないように思いますし、国防会議そのものは、もう少し具体的なものの決定をするところであると思います。他方、関係閣僚会議では、これは決定をするあるいは答申をする場ではございませんので、状況についていろいろ話し合うことはあろうと思います。でございますから、逆に総合安全保障会議でいろいろ議論協議いたしましたことが、将来国防会議で何かを決定するのに参考になる場合はあり得ると思いますが、国防会議で決定または答申いたしましたことを、関係閣僚会議が改めるというような仕組みにはいたさない、最終的には閣議が決定をするという仕組みにいたすべきだと思います。
  178. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 国防会議において付議をしなくてはならないものはちゃんと決められておりますけれども、それを付議して、そしてその付議をしたものについて閣僚会議がいろいろ相談をしながら、そこで決定を下さないで安全保障会議にお持ちになるというならば話はまたわかるわけです。決定をしてしまったのではもう動かしようがないわけでしょう。だから、付議をして審議をして、それを言うならば安全保障会議にやって、大局的な総合的な立場から審議をして、それでいいだろうということであるならば、それは国防会議で決定をするというならば、私は話がわかると思うのですが、もう決定したものを持ってきて、これを認めろということは屋上屋になるし、また権威づけをするための機関にすぎないというふうに私は思えてならぬのです。その点はいかがでしょうか。
  179. 宮澤喜一

    ○宮澤国務大臣 まだ十分に内容は固まっておりませんけれども、ただいま御指摘になりましたような御理解で、まず大まかは間違いないと考えております。
  180. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 メンバーはどういうメンバーになりましょうか。
  181. 宮澤喜一

    ○宮澤国務大臣 これも実は未決定事項でございますが、予想されます問題が、先ほど例示的に列挙いたしましたようなことでございますので、そういうことに関係の深い閣僚にメンバーになっていただくのが適当ではないかと思っております。
  182. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 官房長官、ここのところ非常に憲法解釈の問題が出ておりますけれども、政府は憲法解釈からは防御的な兵器を持つことは可能であるというふうに答弁されておりますね。日本の国は非核三原則核拡散防止条約及び原子力法によって持てないというふうになっておりますね。非核三原則は、御存じのとおり国会決議をされたときに、この非核三原則はわが国の国是であると政府の方では言っております。われわれの理解によれば、国是というのは、国家政策基本政策であって、内閣の変更あるいは政策の手段として軽々に変更できるものではないと判断をいたしておりますけれども、その点についてはいかがでしょうか。
  183. 宮澤喜一

    ○宮澤国務大臣 軽々に変えるべきものではないと思います。
  184. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 官房長官、御苦労さまでした。それではきょうこれから大変な日程、ひとつ大いにがんばってください。  これから少しお聞きいたしておきますが、政府は昭和五十一年の十月二十九日に、昭和五十二年以降に係る「防衛計画の大綱」を閣議決定いたしました。その大綱の特徴は、いわゆる基盤的防衛力構想という新しい考え方が取り入れられて、基盤的防衛力の考え方あるいは基盤的防衛力の具体的な内容、まあ整備というようなことで示されております。  国際情勢というのは確かに流動的なものでありまして、当時昭和五十二年には確かにデタントの終わりであったかというふうに思うわけでありますが、国際情勢にはかなりの変化が見られるけれども、その点についての防衛庁長官の御認識をお伺い申し上げます。
  185. 大村襄治

    ○大村国務大臣 昭和五十一年、防衛計画大綱が策定された当時の国際情勢と今日の状況とを比較しますと、いろいろな変化が生じていることは事実だと思うわけでございます。特にアフガニスタンへのソ連軍の侵攻以降は、米ソ両国間の信頼関係が薄らぎまして、そういう意味では後退をしているという感じがいたすわけでございます。しかしながら、先生御指摘になりましたような防衛計画大綱策定当時のいわゆるデタントというものが崩れ去ったものとは私ども理解いたしておらない、さように考えておる次第でございます。
  186. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 国際情勢、国際政治構造等が今後当分の間大きく変化しないということが基盤的防衛構想の基本的な考え方である、そのように防衛白書の方では言っております。ですから、限定的かつ小規模な侵略までの事態に有効に対処するという考え方で進むということなんですけれども、その基盤的防衛力構想は、当時、平時だというときの認識に立って、基盤的な防衛力の整備ということを図っているわけであります。  そこで、私が申し上げたいことは、よく防衛庁は平時、有事あるいは緊張時というふうなことを言われますけれども、その平時から有事に至る緊張の度合いを防衛庁としてはどのように分析をされておるのでしょうか。たとえて言うならば、平時であっても、この基盤的防衛力構想をつくったときはほとんど鏡のような状態であった、私はそのように判断いたしております。それから平時であっても、さざ波のような状態もあるでしょうし、うねりも出てくるという場合もあるでしょうし、それから緊張というところに入り込んでいくこともあるでしょう。それで有事、非常事態ということになるわけでありますけれども、現在はどういう状態なんだろうかということについての御認識をお伺いしたいわけです。
  187. 岡崎久彦

    ○岡崎政府委員 平時と有事と緊張時ということの定義は、私どもしておりませんので、もっぱら平時と、それから本当の有事、それ以外のことは考えておりません。ただもう同じデタントと申しましても、時代が移りますとその内容が変わってくることもまた当然でございます。デタントと申しますのは、要するに核戦争回避ということでございますけれども、これは参考としましては、七〇年代半ばのブレジネフ、ニクソンのころのデタントと、それから現在のデタント、つまりアメリカが同盟国と共同して防衛力を増加していかない限り、いつか抑止力も崩れてしまう、そういう情勢の上に立ったデタントと、内容自身はずいぶん変化している、そういうふうに考えられます。
  188. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 それじゃ平時と有事、この二つしか防衛庁としては考えていない。緊張時ということをよく言われますけれども、緊張時ということは全然お考えになっていない。また平時の中でも決して平らな鏡のような状態ばかりではないわけでありますから、その平時自体の物のとらえ方、分析の仕方、これはどういうふうにお考えになるのでしょうか。
  189. 塩田章

    ○塩田政府委員 先生のおっしゃいます緊張時という意味が私ども必ずしもよくわからないのですが、確かにいま岡崎参事官が言いましたように、平時と有事というふうに分けて考えられるわけでございますが、平時の場合に、先生のおっしゃいますように、いろいろな段階といいますか、それはあると思います。先生はさざ波とかうねりとかいろいろおっしゃいましたが、そういった段階が確かにいろいろありまして、そのある時期を緊張が高まったというような意味で緊張時というふうにつかまえる表現の仕方もあるかと思いますけれども、私どもといたしましては、要するに、有事でない平時の段階におきましては、「防衛計画の大綱」にありますように、すきのない防衛態勢をつくっていくということで対処しておるわけでございます。
  190. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 そうなりますと、先ほど御答弁なさいましたけれども、現在の状況というのは平時の中の緊張時に入ってきているのか、そうでないというふうにおっしゃるのか、その点はどうなんですか。
  191. 塩田章

    ○塩田政府委員 国際情勢が厳しくなっているという認識につきましては、たびたびいろいろな機会に申し上げておるわけでございますが、それを先生のおっしゃいます緊張時と言うのかどうか。私どもは大変国際情勢が厳しくなっておる時期であるというふうには認識いたしております。
  192. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 先ほどもお話がありましたけれども、ソビエトの潜在的な脅威というふうに言われております。現在脅威を与える力はあるけれども意図がない、だからそれは潜在的な脅威であるというふうにおっしゃっておりますが、ソ連の脅威を与える力をどのように具体的に判断をされておりましょうか、また脅威の実態をどうとらえておられるか、その点について。
  193. 岡崎久彦

    ○岡崎政府委員 大臣からたびたび御説明がありましたように、潜在的脅威というものは軍事能力と同じ意味でございます。したがいまして、ソ連の軍事能力がグローバルな面におきましては、また極東におきましても顕著な増強を示しているということは客観的事実でございまして、御必要なら改めて数字など申し上げます。
  194. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 ソ連の潜在的な脅威は、昭和五十一年当時の基盤的防衛構想のときと比べて、先ほども言われるような厳しい状態になってきておるというわけでありますけれども、基盤的防衛力構想そのものはもう変えない、そう判断してよろしゅうございましょうか。
  195. 大村襄治

    ○大村国務大臣 「防衛計画の大綱」を現在変える考えは持っておりません。
  196. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 現在変える考えはないということは、将来は変えるということにもつながりましょうか。
  197. 大村襄治

    ○大村国務大臣 将来のことは現在でどちらとも申し上げるわけにはいかないと思います。
  198. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 昭和五十一年十一月五日の国防会議及び閣議決定の「当面の防衛力整備について」というものがございます。その「当面の防衛力整備について」には「防衛力整備の実施に当たっては、当面、各年度の防衛関係経費の総額が当該年度の国民総生産の百分の一に相当する額を超えないことをめどとしてこれを行うものとする。」と書いてありますね。そこでたしか昭和五十一年度に「当面」ということが論議されたことがあります。そのときはたしか「当面」というのは五年とか六年とかそういう解釈であるというような論議がなされたことも記憶にありますけれども、五年、六年といいましても、もうすでに五年、六年ということになってしまうわけでありますが、「当面」ということについて防衛庁はいつまでだというふうに判断をされておるのでしょうか。
  199. 大村襄治

    ○大村国務大臣 ただいまのお尋ねに対しましてお答え申し上げます。  政府は、防衛力の整備に当たりましては、当面、各年度の防衛費がGNPの一%を超えないことをめどとして行うことを昭和五十一年に国防会議及び閣議において決定いたしております。この「当面」とありますのは、固定的な時期を予想しているものではなく、必要があると認められる場合には決定内容について改めて検討さるべきものだと考えております。  なお、防衛庁としましては、現在の中期業務見積もり、これは大綱の範囲内で実施しておるわけでございますが、これを実施していきます場合、防衛関係費はGNPの一%に近づいていくものと考えております。現在すぐこの一%を改めるという考えは持っておりません。
  200. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 ではもう一度念を押しますけれども、現在、昭和五十五年はGNPの〇・九%ですね。中業計画が終わるのは昭和五十九年ですね。五十九年には言うならば一%に近づけたい、そういう希望を持っておられるというふうに判断してよろしゅうございましょうか。
  201. 大村襄治

    ○大村国務大臣 お答え申し上げます。  GNPがどうなのかということも、将来につきましてはいろいろ予測しがたい要素もございますので、私どもがいま進めております中期業務計画が達成される過程におきましては、現状のGNPを念頭に置きました場合一%にだんだん近づいていく、そういうふうに考えている次第でございます。
  202. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 それは五十三中業を達成のとき、そのように判断してよろしゅうございましょうか。
  203. 塩田章

    ○塩田政府委員 五三中業は五十五年から五十九年までの期間でございますが、その五十九年度に一%に近づくであろうという見通しを持って作業をした、こういうことでございまして、おっしゃいますように、中業が完成といいますと、大分またその先になるわけでございますから、それとは別でございます。
  204. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 これから概算要求を出されてその詰めが行われるわけでありますけれども、本予算の枠組みができるまでどのような日程で五十六年度の防衛予算というものが決定されるのでしょうか。
  205. 吉野實

    ○吉野(實)政府委員 お答えをいたします。  特別な手続はないわけでございまして、各省の予算と同じように、大蔵省と担当官庁である防衛庁の間にいろいろ詰めるべき事項を詰めて予算の編成に入る、こういうことでございますけれども、最終段階で、予算の編成が終わって概算閣議がある前には、国防会議に概算のまとまった要求を提示する、その後で閣議に臨む、こういう手順になろうと思います。
  206. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 防衛庁は、ことしに入ってから国防会議におかけになったものがございましょうか。
  207. 塩田章

    ○塩田政府委員 ございません。
  208. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 五十五年度においてはすでに二回開かれておりますね。五十六年度の業務計画が決定して、そしてしかも防衛予算の概算要求を作成された段階において、なぜ五十六年度のいわゆる予算とか業務計画について国防会議の付議にされなかったのでしょうか。
  209. 塩田章

    ○塩田政府委員 御指摘のように、例年概算要求をいたしました後、国防会議に付議をいたしておりまして、ことしもそのつもりでおるわけでございますが、いままでのところ日程等の関係がございまして、いまいつかけるか詰めておる段階でございます。
  210. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 概算要求というのはもうできて大蔵省と詰めをされているわけでしょう。概算要求を決められたときに国防会議の付議にしないで、もうすでにひとり歩きしているというのはどういうことなんですか、これは。
  211. 吉野實

    ○吉野(實)政府委員 概算要求に当たりましては、閣議了解をもちましてシーリングの問題がいろいろ検討されて概算要求を提出する運びになったわけですけれども、予算の編成手続といたしましては、先ほどちょっと申しましたように、私ちょっと言い過ぎたかと思いますが、重要事項について、政府の予算案ができたところで防衛予算の重要な事項について、たとえば新しい装備をするとか、そういうようなものについて国防会議にかけて御了承をいただいてから閣議にかける、こういうことであろうと思います。概算要求をやったすぐ後の段階あるいはいずれにしても終わった後の段階での国防会議への報告というのも、やはりそういうような事項についてだけ報告をするといことになろうかと思います。
  212. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 それはシビリアンコントロールを形骸化した行為以外の何物でもないわけですね。たとえば五十二年の八月には、五十三年度の防衛関係予算要求のうち国防会議に付議すべき事項について審議しているわけです。なお五十四年には、五十五年度の防衛予算要求のうち国防会議に付議すべき事項について審議しているわけですね。それで審議をして、そして概算要求をこれで出そうというのが、これがシビリアンコントロールの立場じゃないですか。にもかかわらず、いわゆる防衛庁の中にあるところの言うならば内部資料でできている、これは国防会議にかかってませんよ、国防会議にかかっていない、決定されてない、いわゆる防衛庁の内部資料をもとにしてつくられたものを、国防会議に付議もしないで、そして概算要求として出すのは、これは不見識ですよ。そうじゃないですか、大変な不見識ですよ。これはまさしくシビリアンコントロールを逸脱した問題じゃないですか。それは当然十二月に予算案が決定されれば国防会議において決定をする、閣議決定をする。それはあたりまえです、そんなことは。けれども、今年度はこういう形でいこうということについて防衛庁の内部資料がひとり歩きするというのは、ここにあるじゃないですか問題が。防衛庁、長官どうです。
  213. 大村襄治

    ○大村国務大臣 お答え申し上げます。  概算要求のシーリングの枠につきましては、七月末の閣議において議題となり、およそこういう線で進めるという点が決定いたしたわけでございます。防衛庁といたしましては、その方針に基づいて具体的な数字をはじいて、八月末の閣議において具体的な数字を決定したということでございまして、すべて閣議の決定の線に沿って進めているわけでございます。そういう意味においての文民コントロールの線は守られておるものと理解しております。
  214. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 あなたは本当にお気の毒と申し上げる以外にないのであって、七月の十七日に認証式を受けられたですね。防衛庁長官として所信をこれからということでお話しになったときに、本来ならばもう目に見えているところの五十六年度の概算要求について、私は国防会議の議に付して、そしてそれを出したいという作業は残っておりますということぐらい言わなくちゃならないのですよ。国防会議で決めるのとあなたが大蔵大臣と話し合って枠を決めるのとは全然違うのです、そんなのは。これは国防会議で、少なくともシビリアンコントロールとして総理大臣が出て閣僚が集まって、これでいいかどうかということをやらなければならないでしょう。それもしないで、そして言うならば防衛予算を出そう、そして先取りしちゃおう。こんな予算の先取りですよ。昭和四十七年に予算の先取りで大きな問題になって国会が二十二日間空転したことをあなたはよく知っておるはずだ。こういう問題をまずやらなければシビリアンコントロールができるはずがないじゃないですか。だから、いま防衛庁は、もういろいろの問題が右往左往してちっともシビリアンコントロールがきかない。そこにいる背広なんか、全然言うならばシビリアンコントロールがきいてないじゃないですか。それは防衛庁長官がだらしがないからですよ。国防会議にまずかけるのが筋でしょう。どうなんですか。
  215. 塩田章

    ○塩田政府委員 先ほど概算要求を出した後、例年国防会議に付議しておると申し上げましたが、国防会議にかけて説明はしておるのですけれども、いわゆる国防会議の決定事項といたしておりますものは、政府の予算原案が成立したときでございまして、防衛庁が概算要求を出したその後で国防会議に付議しておりますものは、決定を求めるわけではなくて説明をしておる、そういう形で国防会議にかけておるわけでございます。
  216. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 国防会議にやはりこういう種類のものは付議をしなくちゃならないのです。決定しちゃったら困るのですよ。こんなものを決定してしまったら困るんだよ。まだこれから大蔵省とのいろいろの折衝があるわけですから、当然付議をして審議をするという形がシビリアンコントロールじゃないだろうかと私は申し上げるのです。それをずっと今日までやってきたでしょう。なぜことしやらないのですか。やるのが筋でしょうと私は申し上げるのですよ。
  217. 塩田章

    ○塩田政府委員 いまも申し上げましたように、毎年国防会議に御説明をしております。ことしもやるつもりでいま進めております。なぜそれが説明であって、付議して決定する付議事項にしないのかという点につきましては、概算要求を出すのは各省所管大臣である、防衛庁の場合は防衛庁長官の専管事項でございますから、防衛庁長官が決めまして、それを国防会議で御説明をするということでございます。
  218. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 じゃことしみたいなことを来年もやるというのですか。概算要求がまとまれば、少なくとも概算要求を国防会議に付議して審議して、その形でお出しになる、こういう形はこれはずっとそうなっているのじゃないですか。来年はやはりもう全部抜いちゃって、ただ閣議決定をぼんぼんやるのですか。
  219. 塩田章

    ○塩田政府委員 先ほど申し上げましたように、概算要求案をつくること自体は防衛庁長官の専管事項でございまして、これについてどこかにかけるということは本来ないわけでございます。国防会議で御説明を申し上げているといいますのは、その中に主要な装備品とかいろいろございますものですから、そういう意味では国防会議に御説明をしておりますけれども、元来概算要求案をつくることは防衛庁長官の専管事項でございますから、そういうふうに御理解いただきたいと思います。
  220. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 それはわかっていますよ。防衛庁長官の専管事項だということはわかっています。だけれども、五十六年度の業務計画と、そしてさらに概算要求に出す予算というものをあわせて国防会議に付議をして、言うならば審議をしていただく、それに基づいてシビリアンコントロールをきかして出すのが当然じゃないでしょうかと申し上げているのです。何も防衛庁長官が――前にこういう形をとったことは間違いであったということなんでしょうか。
  221. 塩田章

    ○塩田政府委員 繰り返すようでございますけれども、八月三十一日に大蔵省に出す概算要求案のことでございますれば、繰り返しておりますように、防衛庁長官の専管事項でございまして、従来も、私さっき言葉がちょっと足らなかったと思いますけれども、国防会議で御説明はしておりますけれども、付議して決定していただいたわけではないのです。ですから、そのことをもってシビリアンコントロールが欠けるというふうなことではないというふうに私どもは思っております。
  222. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 五十四年の九月十四日に、五十五年度の防衛予算要求のうち国防会議に付議すべき事項についてということで審議しているでしょう。審議しているのですよ。私は審議していることを言っているわけであって、今回だってC130を六機入れるというのでしょう。これはC1にかわってCXでしょう。そういうふうな防衛の主要装備が繰り込まれている場合に、当然こういう付議をして審議をしていただく、ここで決定してしまったのではどうしようもないわけですから、そういう形が必要じゃないかと私は申し上げるのですよ。
  223. 塩田章

    ○塩田政府委員 ですから、いまお話ございましたたとえばC130みたいなものは、当然ことしも国防会議に御説明をして審議をいただくつもりでおります。それはいわゆる決定ということではなくて、御説明をするということでございます。
  224. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 概算要求を出す前にどうしてしないんだ。概算要求は防衛庁長官の専管事項であることはわかりますよ。わかりますけれども、そのできた段階においてどうして国防会議に出して審議をして、それに基づいて、言うならば予算の交渉をしないのかと私は聞いているのです。
  225. 塩田章

    ○塩田政府委員 いままでも概算要求を出す前に国防会議にかけたことはないのでございまして、概算要求を出しました後、国防会議にいま申し上げたような趣旨で御説明をしておるわけです。ことしはそれが確かにおくれておりまして大変遺憾に思っておりますが、手続は進めておるわけであります。
  226. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 だから、シビリアンコントロールはいまはもう防衛庁では働かなくなってしまっていますね。たとえば昭和五十五年八月の「日本の防衛」、これは国防会議において審議をすべきそういう筋合いのものではないのですけれども、これは国防会議に報告しましたか。
  227. 大村襄治

    ○大村国務大臣 八月の初め懇談会を開いて御報告いたしました。
  228. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 懇談会を開いた、そのいわゆる出てきた方々、言うならば国防会議に報告するという形でやられたのですか。それともあなたがこういうものを出しますよということでお話しになったのですか。国防会議が開かれてないというじゃないですか。
  229. 大村襄治

    ○大村国務大臣 国防会議の同じメンバーで懇談会を開いておりまして、その席上御説明申し上げました。
  230. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 これも坂田防衛庁長官が、この「日本の防衛」についても報告をすべきである、そのように考えていると言うわけですから、少なくとも国防会議に報告するということは、これは大切な要素ですよ。あなたはそういうメンバーにお話を申し上げた。恐らく閣議の席でこういうものを出しますなんて言ったのでしょうけれども、私はそういうふうなやり方は余りうまくない、こういうふうに思います。  そこで、こんなことでは時間がどんどんたってしまいますので先に進みますが、中業は五十五年度から五十九年度までの五カ年計画であるわけですが、すでに五十五年度はその概要は明らかになっております。五十六、五十七、五十八、五十九の四カ年に、どの年にどれだけの装備を積算しての中業であるか、実は防衛庁の資料ではよくわかりません。そこで、防衛庁が一年前倒しをして早期に具体的に達成したいとしている内容というのはどういうものがあるのでしょうか。
  231. 塩田章

    ○塩田政府委員 いま先生もお話ございましたように、年度割りを決めてやっておるわけではございませんので、一年前倒しとかそういうことじゃなくて、早期達成ということで考えております。そういうやり方のものですから、具体的に五十六年度でどれを早期達成を図ったというのはなかなか申し上げにくいのですけれども、一応私どもが五十六年度の概算要求をするに当たりまして、こういうものをということで念頭に入れたものといたしましては、陸の戦車、自走火砲、それから無反動砲、対舟艇対戦車誘導弾発射装置、矩距離地対空誘導弾、海の場合で言いますと護衛艦、それから艦艇の近代化、それから空の場合で言いますとC130、それから短距離地対空誘導弾、こういったものについては早期達成ということを念頭に置いて五十六年度の予算要求案を作成したつもりであります。
  232. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 いまの答弁ちょっと聞いてなかったのですが、陸、海、空全部言われましたか。
  233. 塩田章

    ○塩田政府委員 全部申し上げました。
  234. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 それでは五十九年度までの中業見積もりをそっくり一年間繰り上げる、そういう考え方に防衛庁は立っていない、いま言ったような主要な装備を早期に達成したい、早期に達成したいといっても一年間というか、常識的にいま言われているわけでありますけれども、結局主要装備については五十八年度までにめどをつけたいというお考えなんでしょうか。
  235. 塩田章

    ○塩田政府委員 必ずしもそこまで決めておりません。五十五年度はすでに発足しておりますが、五十六年度もし今回の要求どおり認めていただいたとしまして、残り七、八、九年度にどれだけ残るというものを年度割りを持っておるわけではございませんので、その三年間でどういうふうに割り振るかということは、また五十七年度以降の作業になると考えております。     〔委員長退席、愛野委員長代理着席〕
  236. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 この防衛白書の中にも、いわゆる五年間の中業の中に三年ごとに新たに中業見積もりを見直し、作成をするということは、いままでの単年度のローリングシステムによる見直しと違って、現在の中業見積もりを五十七年度まで続け、五十八年度には新たに中業見積もりをつくり直すと判断してよいのか。となると、ここにある中業見積もりのいわゆる補足資料というものは書きかえられる、こういうふうに判断していいのですか。
  237. 塩田章

    ○塩田政府委員 いまお話しのように、三年ごとに新たにつくり直すというつもりでおりますので、次は五十六年度につくりまして五十八年度から新しい中業に入る。したがいまして、いま御指摘の資料等は全部書きかえなければなりません。そのように考えております。
  238. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 そうしますと、五十八年度から中業見積もりが書きかえられるということは、内容自体が大幅に変わるのか、あるいは中業見積もりの範囲における手直しなのか、その点はどうなんでしょうか。
  239. 塩田章

    ○塩田政府委員 五六中業の作業内容についてまだ何もめどを持っておるわけではございませんので、ちょっと申し上げにくいのですけれども、三年ごとに見直すと言いながらも、やはり継続性は持っていかなくてはいけないだろう。ですから、いまやっております五三中業でできなかったこと、あるいは新たに不備が感ぜられるようなところ、指摘されるようなところ、そういうようなところは当然取り上げていくことになると思いますが、要するに、一方で中期業務見積もりとしての継続性を持ちながら、しかし三年ごとにつくり直すという意味は、やはり情勢に対して柔軟な計画でありたいという意味もございますので、その辺はいまから五六中業の作業に入るに当たりまして十分考えながらやっていきたいと思っております。
  240. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 現在、防衛庁が出している五三中業見積もりは、防衛庁の内部資料ということになっているわけでありますけれども、総理大臣は五六中業をぜひ国防会議にかけたいということはどういう認識なんでしょうか。五十六中業というのは、五十八年度から六十二年度の五カ年間の中業見積もりということになるわけでありますけれども、その間において「防衛計画の大綱」を見直すことも考えておられるのでしょうか。
  241. 塩田章

    ○塩田政府委員 いまの五六中業を今後どう扱っていくか、国防会議にどういうふうに扱っていくかということにつきましては、私ども現在何らかの形で国防会議の議題としたいと考えております。その意味、認識はということでございますけれども、いまも申し上げましたように、何らかの形で議題としたいということでございまして、それ以上にどういう形でどうするというふうにはまだ全然決めておりません。私どもは基本的には、中期業務見積もりは防衛庁の内部資料であり、防衛庁予算編成作業の参考資料であるという性格でいままではずっときておるわけでございますが、そこを変えるかどうかというようなことも含めまして、それはどういう形になるかという検討はまだ全然いたしておらない段階でございます。
  242. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 総理大臣は、五六中業から国防会議にかけたいというようなことについて、防衛庁の方は全然御認識がないのですか。
  243. 大村襄治

    ○大村国務大臣 この問題につきましては、総理の御発言にもございますし、私どもといたしましては五六中業の策定段階、これからでございます、その段階におきまして、国会の論議や世論の動向等諸般の情勢を勘案しつつ適正な方途を考えたいと現在思っている次第でございます。
  244. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 いま五三中業はひとり歩きしているというふうに国民の非難が非常に強いわけでありますけれども、五十三中業については、遅くてもこれからでも国防会議におかけになる気持ちはありませんか。
  245. 大村襄治

    ○大村国務大臣 五三中業につきましては、すでに策定済みでございますので、これは改めて国防会議の議題にするということは考えておりません。
  246. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 これからの防衛力整備計画というものは、四次防までの整備計画を三年ないし五年ということで設定するのではなくして、いわゆる単年度のローリングシステム方式を取り入れながら、五年ごとの中業見積もりをつくって、そして三年ごとに見直しをする、こういうことなんですが、国際情勢が余り変化をしないということであるならば、こういう形でこれからずっと続けられる、こういうことでしょうか。
  247. 塩田章

    ○塩田政府委員 先ほど長官から、いま「防衛計画の大綱」を見直すつもりはないと申されたわけでございますが、その「防衛計画の大綱」に従っていま中期業務見積もりを進めておるわけでございますから、「防衛計画の大綱」が見直されない限り、いまおっしゃいましたように、いまの形で進んでいくということになるのではなかろうかと思います。
  248. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 先ほど御答弁なかったわけでありますけれども、五六中業というのは五十八年から六十二年ですね。このときになりますと――五十九年までは確かに防衛庁長官は防衛大綱まで中業見積もりはいっていない、だから防衛大綱は見直す考えはない、こうおっしゃっておりますね。だから六十二年ということになるいわゆる五六中業というものについて、その間にどんどんと装備なんかの充実をしていくという段階にまで来ると私もある程度判断するわけですけれども、その段階になったとき「防衛計画の大綱」というものは見直すというふうな考え方はお持ちになっていないのでしょうか。
  249. 大村襄治

    ○大村国務大臣 先ほども、「防衛計画の大綱」は現在見直す考えはない、将来のことについては現在の段階でわからないとお答えしたわけでございます。  そこで、ただいまのお尋ねでは六十二年……(鈴切委員「そうそう、五十九年まではわかっていますから、六十二年ということです」と呼ぶ)そのころのことはどうなりますか。いろいろな要素があると思うわけでございます。国際情勢や国内の情勢の変化とか、あるいはそのときになっていま御指摘のように「防衛計画の大綱」の目指している線に実現しているかどうか。そういった点がいろいろな要素があろうかと思いますので、それらの点をその時点において踏まえてみませんと、現在の時点で変えるとか変えないとかいうことを申し上げるのは早過ぎるのではないか、こう思う次第でございます。
  250. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 五十一年に「防衛計画の大綱」ができて、いわゆるポスト四次防として整備された装備と、五十五年から五十九年の中業見積もりを達成したと仮定した場合を比較して、どれだけの防衛力がアップされるというふうに判断をされていましょうか。
  251. 塩田章

    ○塩田政府委員 中期業務見積もりが達成された場合、この見積もりの開始前と比較して防衛力はどのように整備されるだろうかというお尋ねだと思いますが、全般的にはもちろん向上いたすわけでございます。  陸、海、空別に申し上げてみますと、陸上自衛隊の場合、火力、機動力、戦車と火砲を中心にしたものでございます。海上自衛隊の場合対潜、対艦、対空能力、航空自衛隊の場合、要撃戦闘能力、低空対処能力、そういった面で相当な向上が見込まれるというふうに考えております。  たとえば陸上自衛隊の場合で申し上げますと、戦車が現在、現在といいますのは中業に入る前の年、八百五十両でございますが、それが約千百三十両になります。また海上自衛隊で申し上げてみますと、ミサイル搭載護衛艦十三隻が三十五隻になります。ヘリコプター搭載護衛艦九隻が十九隻になります。海上自衛隊のP3C、対潜航空機でございますが、八機から四十四機になる。また航空自衛隊でいいますとF15が二十三機から九十一機、E2Cが四機から八機というふうになるわけであります。  いま申し上げましたように、自衛隊の能力は相当に向上するというふうに考えますけれども、「防衛計画の大綱」により保有しておくものとされております限定的かつ小規模な侵略に対しては、原則として独力でこれを排除し得る態勢という点からいきますと、まだそこまでは到達しないというふうに考えられます。
  252. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 五三中業を達成したと仮定した場合、「防衛計画の大綱」の目指す装備からいうとまだまだだ、こうおっしゃるわけですね。となると、質的、量的においては「防衛計画の大綱」で目指すものの何%を充足するのですか。
  253. 塩田章

    ○塩田政府委員 今度は中期業務見積もりができた場合と大綱とを比べてみますと、そういうお尋ねだったと思いますが、規模的に見まして大綱の別表に到達しないものは、海上自衛隊の陸上対潜機部隊、これが別表では十六個隊になっておりますが、中業が完成いたしましても十四個隊ということで、二個隊、一二・五%がまだ残る。それから対潜水上艦艇、大綱の別表では約六十隻ということになっておりますが、中業が完成しました場合に五十八隻でございますから、二、三隻不足する。パーセントで言いますと三ないし五%ぐらい。それから海上自衛隊の作戦用航空機で言いますと、大綱で約二百二十機となっておりますが、中業が完成しました場合に約百八十機、機数で四十機、パーセントで一八%足りないという状況になります。また航空自衛隊について申し上げますと、作戦用航空機、大綱の別表では四百三十機と書いてありますが、中業が完成しました場合に三百五十機でございまして、約八十機、パーセントで一九%足らないということでございます。  規模的に大綱の別表と比較して不足するものは以上のような状況でございますが、先ほども申し上げましたけれども、質の面で申し上げますと、これはちょっとパーセントであらわしにくいものでございますから、いまのようにパーセントで御説明するわけにはまいらないものでございます。
  254. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 今回130を導入することを決めて、五十六年度にはC130Hを六機お決めになりましたね。中業見積もりの時点では、CXの輸送機は実は明確でなかったわけでありますけれども、航空輸送体制の検討結果を待つということに実はなっておったわけでありますが、C130Hを導入するに至った経緯と目的というのはどういうことなんでしょう。
  255. 塩田章

    ○塩田政府委員 いまお話がありましたように、五三中業を作業いたしましたときに、航空輸送体制をどうするかというのが実はペンディングのままで残っておりました。今回C130Hを中業期間中に十二機導入いたしたいというふうには考えたわけであります。これは防衛計画大綱の別表の四百三十機の内訳といたしまして、私ども航空輸送体制を、三十六機体制ということを考えておるわけでございますが、その三十六機体制を全部C1でいくかあるいはほかの飛行機をミックスさせていくかということにつきましていろいろ検討いたしました結果、航空輸送の作戦需要を勘案いたしまして、あるいはまた作戦態様を勘案いたしまして、ミックスしてC1を二十四機、C130Hを十二機導入というふうに考えたわけであります。
  256. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 そうしますと、ここにあります中業見積もりの補足資料の中に、これは中業完成時C1は二十六機になっておりますね。これとの関係はどうなのですか。
  257. 塩田章

    ○塩田政府委員 いま申し上げましたように、その時点では最終の三十六機体制にいく形というものがまだペンディングであったものでございますから、その補足資料では、そのとき持っておりましたC1だけをとりあえず記載しておいて後の検討にゆだねた、こういうことでございます。
  258. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 そうなっていないでしょう。ここでは中業の完成時でC1が二十六、いわゆる中業で、航空輸送体制の検討結果によるけれども、この内容についてはこれからだというわけですが、C1についてはもう二十六と決まっているのじゃないですか。それを、言うならば、C1を二十四機にしてC130を十二機にしたということ、これは数字が合わないです。
  259. 塩田章

    ○塩田政府委員 御指摘のように、その資料には二十六機になっておりますが、中業完成時におきます損耗を考えた場合に、計画としましては二十四機という計画だということでございます。損耗を考えて数字が違っておるわけでございます。
  260. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 C1が今日まで国産輸送機として開発されたわけでありますが、研究開発には昭和四十一年から四十七年まで約七十四億円を投入しているわけですね。C1を併用するにしても、この時点でなぜC130を導入しなければならないのか。C1は航続距離と搭載量の当初の性能諸元を満たしていなかったから、こういう形をとるのか、またC130は直接輸入形態をとるのかあるいはライセンス生産にするのか、こういう点についてはどういうふうにお考えなんでしょう。
  261. 塩田章

    ○塩田政府委員 輸入の点につきましては、後ほど装備局長からお答えいたしますが、なぜいまC130を導入するのかという前段の方でございますが、先ほどもちょっと申し上げましたけれども、航空自衛隊の輸送能力を考えていきます場合に、たとえばいま陸上自衛隊の空挺部隊を輸送する場合、あるいは航空自衛隊の戦闘機部隊を何個か急速展開をするといった場合に、所要の輸送力を勘案いたしまして検討いたしました結果、C1三十六機体制よりも、速力は遅いですけれども、大きな輸送力を持ちますC130Hとミックスにした方が――いま申し上げました検討の結果におきまして、たとえて言いますと、航空自衛隊の戦闘機部隊、一夜のうちに三個飛行部隊を展開するというような場合には、今度のようなミックスした形なら可能である。あるいはまた陸上自衛隊の空挺部隊を運ぶにしましても、C130がミックスしてあれば大きな火砲を運ぶことができるというようないろいろな点を考えまして、今回導入に踏み切ったわけであります。
  262. 和田裕

    ○和田(裕)政府委員 先生の御質問の後段の点、すなわち、なぜライセンス生産しないでまるごと輸入するかということでございますが、先生御指摘のとおり、C130につきましては、取得機数が十二機でございまして非常に少ない。ライセンス生産する場合には、取得機数にかかわりませず、オーバーヘッドといいますか、たとえばロイアルティーあるいは専用の治工具、試験設備、そういったものがかかるわけでございまして、取得機数が十二機というように非常に少ない場合には、きわめて割り高になるということでございますので、現在のところ予算要求の積算の中におきましては、まるごと輸入をするということで考えておる次第でございます。
  263. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 私は、装備局長、何もライセンス生産せよと言ったのじゃなくて、これは輸入をするのかライセンス生産方式にするのかということを聞いたわけであって、あなたの方の考えは、それであるならそれで結構です。  C1とC130の性能諸元を比較いたしまして、C1はどれくらいの総量を積むことができるのか。C130はどれくらいのものが積めるのか。武装した場合がどれくらいの人員で、非武装の場合にはどういうふうなものが積めて、そして装備はどういうものが積めるのか。その点についてはいかがですか。
  264. 塩田章

    ○塩田政府委員 まず輸送重量でございますけれども、C1は約八トンでございます。それからC130Hは約二十トンでございます。どういうものが積めるか。まず武装した人員でございますが、普通の人員の場合はC1は六十人でございますが、C130は九十二人。それに対しまして空挺部隊の要員につきましては、C1は四十五人でございますが、C130Hは六十四人ということになっております。それで運べるものにつきましては、たとえば74の戦車でありますとか百五十五ミリの自走りゅう弾砲といったようなものは、どちらも運ぶことはできませんが、牽引式のものであれば、今度のC130Hであれば百五十五ミリも二百三ミリも運ぶことができます。それから今度いま、来年度お願いしようとしております国産の短SAMそういうものもC130であれば運搬することができます。
  265. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 C130の輸送機の用途について、防衛庁はどれだけ調査をして認識をお持ちになっているのでしょうか。
  266. 塩田章

    ○塩田政府委員 先ほどから申し上げておりますように、航空自衛隊の輸送体制を整備するということで導入をしたいと思っておるわけでございますが、その際にどういうものを具体的に調べてみたかと言いますと、空挺部隊を一個挺団、約九百人でございますが、これを一遍に運べるかどうか。あるいはこれも先ほど申し上げましたが、航空自衛隊の戦闘機部隊三飛行隊を一夜のうちに展開できる、そういうようなところを一応めどにしまして輸送力の作業をしてみた、こういうことでございます。
  267. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 今回入れるC130H、いわゆる輸送機ですけれども、これは実際には世界で四十カ国が使っているわけです。その内容をよく調べてみますと、中距離の輸送機で約四千キロ運べます。それからもう一つは、原潜に対する通信網、これも言うならばできるようになっているのです。それからもう一つは、機雷敷設用としても常識的には使えることになっているわけですけれども、C130Hの機雷敷設のことについてはどういうふうになさるつもりですか。
  268. 塩田章

    ○塩田政府委員 輸送機でございますから、C1にしましても、C130Hにしましても、機雷を運搬することは可能でございます。もちろん、可能でございますと言いましても、どちらも積むためにはその装置が要りますが、現在その装置は持っておりません。
  269. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 今回輸入するC130H、これは機雷敷設の装置はない、将来も機雷敷設の装置はつけないでいるということですか。
  270. 塩田章

    ○塩田政府委員 その点につきましては、将来の検討課題にいたしたいと考えております。
  271. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 検討課題ということは、あり得るということでしょうか。
  272. 塩田章

    ○塩田政府委員 そういうことでございます。
  273. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 機雷敷設の装置は、将来はやはりあり得るということだという話でありますけれども、アメリカのC130に関する私の調査によりますと、このC130といういわゆる輸送機というのは大変な飛行機なんですね。これは大変な輸送機なんです。これは種類もたくさんありますけれども、C130はまず空中補給機、それから爆撃機あるいは燃料補給機、地上爆撃戦闘指令所、救助機、救急機その他半ダース以上の用途に使用される多目的輸送機なんです。この輸送機の役割りの中でできないものは航空機への要撃としての役割りである。もちろん、機雷の敷設からあるいは核兵器の運搬まで、航空輸送のすべてをこれがやっているということも私、実はよく知っておるのです。このような長い、いわゆる多目的輸送機というものは何のために必要なんですか。
  274. 塩田章

    ○塩田政府委員 いろいろな用途に使われておるという御指摘は、私どももいろいろ聞いております。     〔愛野委員長代理退席、委員長着席〕 そのためにいろいろな改装は当然要ると思いますけれども、私どもはあくまでも先ほど申し上げました通常の輸送機として購入をしたいということでございますが、何のためにこれが要るかということにつきましては、先ほど来申し上げたとおりでございまして、航空自衛隊の輸送体制を、先ほど申し上げましたような事情を考えた場合に、ぜひこういうものを整備したいというふうに判断をしたわけでございます。
  275. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 私が申し上げているのは決してうそも偽りもないのです。これはアメリカの資料で、USAFの一三部隊の司令官のジェームス・ヒルドレス准将が、C130がいろいろいままでやってきたことについて全部述べてあるのです。だから私はよく知っているのですよ。これはいわゆる多目的輸送機なんですよ。まさか防衛庁はこれを否定するようなことはないでしょうね。これについてフィンストール現象というのがあるということは御存じでしょうか。
  276. 塩田章

    ○塩田政府委員 先ほども申し上げましたように、いろんな用途に改装して使われているということは承知しております。  最後に、いま先生がおっしゃいましたのは、ちょっと私、承知いたしておりません。
  277. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 フィンストール現象というのは、いわゆるラダーロック、高速のときに垂直尾翼が動かなくなるとか、あるいはラダーフォースリバーサル、いわゆるかじにかかる力があるスピードで逆転する、こういう問題等全部お調べになって購入に踏み切られたのですか。
  278. 番匠敦彦

    ○番匠政府委員 ただいま先生がおっしゃいましたかじの現象につきまして、C130についてどうであったかということは、先生もおっしゃいましたように、C130はもうすでに千六百機ぐらい生産されて各国で使われている飛行機でございますが、私はよく承知しておりません。
  279. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 そういう専門的なことも調査をした上において決断を下さなければいけませんね。少なくとも六機を購入するあるいは十二機を購入するというなら、そういう専門的なことを全部調査しない上においてどんどんお決めになっていくということについては、いずれにしてもちょっと問題があろうかとぼくは思う。だから、アメリカの言うものならば全部そのまま結構だというような物の考え方は、そういうことではいけない。少なくとも日本の国において何が必要であるかという問題を検討して購入をするということであるなら、また話は別ですけれども、いわゆる多目的輸送機でできないのは要撃だけというんですよ。要撃は相手方の飛行機が来て、それに要撃をする。それはできないが、爆撃することも地上をやることも全部できるというんですよ。そういうことであるけれども、今回のはC130Hということであるから、それは非武装であることは私よくわかっております。そのほかHC130あるいはAC130あるいはDC130あるいはMC130、こういう飛行機があって、それぞれの用途によって使われているんでしょう。だから、アメリカがイラン危機に対して、ソ連のアフガニスタン侵攻で日本を取り巻く国際環境も一変したということで、日本に対する防衛分担増の要求を強めていて、五十五年の一月三十日、米政府筋が日本に期待する防衛努力向上の内容として、初めて具体的に明らかにした問題の中に、有事には、ソ連艦隊の太平洋進出を三海峡、宗谷、津軽、対馬で封じるため海上防衛体制を完備する、中東石油シーレーンの防衛の範囲を現状より拡大する、こういうことをアメリカでは言っているというふうに伝えられておりますけれども、私はこのC130がそういう役割りを果たさないなんという証拠は何もないと思うのですが、その点はどうなんでしょう。
  280. 塩田章

    ○塩田政府委員 先ほど来何回も申し上げておりますように、あくまでもわが国の航空自衛隊の輸送体制の一環として購入したいということでございまして、わが国は、これまた申し上げるまでもなく、自衛権の範囲内での行動をとるわけでございますから、あくまでも一般の輸送機として使い、いま御指摘のようなことは考えておらないわけでございます。
  281. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 そうはいかないでしょう。この「日米防衛協力のための指針について」、外務省と防衛庁が日米安全保障協議委員会で話し合った中に「その最も効率的な運用を確保するための態勢を整備・維持し、」そして「情勢の変化に応じて必要と認めるときは、自衛隊と米軍との間の調整機関の開設を含め、整合のとれた共同対処行動を確保するために必要な準備を行う。」と書いてあるのです。結局、アメリカと共同体制をとるのだ、こういうことは、明らかにC130というのはアメリカが使っている非武装ではありますが、いわゆる軍用機ですから、同じ機種であるならば、そういう整合のとれるあるいは共同対処ができる、こういう形にならざるを得ないのではないですか。その点はいかがでしょう。
  282. 塩田章

    ○塩田政府委員 いま御指摘のガイドラインで言っておりますことは、そのとおり、一般的に有事の場合の日本の自衛隊と来援してきた米軍との間の共同対処行動についての研究をやっているわけでございますが、そのためにも航空自衛隊は航空自衛隊としての機能を発揮するように、あるいは陸、海、空それぞれの自衛隊としての機能を発揮し、それによって米軍との間の共同対処がより効果的にできるようにすることは、当然必要なことでございます。航空自衛隊の輸送力体制も当然その一環としまして整備しておって、初めて日米共同対処も有効に発揮できるというふうに私どもは考えるわけでございまして、そういう意味での整備でございます。
  283. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 C130は非常に足が長い。四千キロというのです。あなたたちの考え方はいま、いざという場合に、南から北へ言うならば空挺部隊を輸送するというようなお話だけにとどまっておったわけですが、有事のときには、日本の国内の輸送体制を一歩踏み出して、たとえば北の千歳からあるいはまた南の沖繩から四千キロ可能な輸送体制も確保できるということでしょう。そういうことなんでしょう、これは。
  284. 塩田章

    ○塩田政府委員 その点につきましては、先ほど申し上げましたように、わが国の自衛権の許される範囲の中での行動になるわけでございまして、それ以上のことを考えているわけでは決してございません。
  285. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 C130は先ほど申し上げましたようにいわゆる多目的輸送機だ。それで機種についても私、申し上げました。その中に、輸送機であるけれども爆撃もできる、そういうC130は防衛庁としては考えていないですね。
  286. 塩田章

    ○塩田政府委員 輸送機として考えておりまして、爆撃機としては考えておりません。
  287. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 今回のイラン・イラクの紛争に邦人救出のため特別日航機が赴き、救出の任に当たりました。ところが日航では紛争の当事国に飛行機を向けるということは当初渋っておりましたけれども、無事邦人の帰国をさせることができた。今回導入しようとしているC130Hは非武装であると政府は言っております。しかし、中長距離輸送ができ、途中空中給油機なりで給油を受ければ中東に派遣できるような機能も持っております。非武装といっても軍用輸送機でありますけれども、軍用輸送機を邦人救出という名目で紛争の国へ派遣ができるように憲法では考えられましょうか。その点については法制局でしょうかね。
  288. 味村治

    ○味村政府委員 ただいまの問題はしばしば問題になったところでございますが、わが国の憲法は自衛のため必要な最小限度の武力の行使ということは認めるというふうに考えているわけでございます。しかしながら、海外におきまして邦人が何かの難に遭うというような場合は自衛権の発動の要件はございません。したがいまして、そういった場合に他国の領土に武力を行使する目的でもって部隊を派遣するということは憲法上できないというふうに承知しております。しかしながら、そういうように武力を行使する目的ではございませんで、単に、先ほどおっしゃいましたけれども、日航機が行くかわりといたしまして、たとえばある空港に集まっております邦人を救出いたします。それにはもちろんその国の承諾が国際法上は必要でございますが、そういう承諾を得ました上で単に運搬をする、そういう邦人を輸送して日本に帰すという目的でございますれば、何ら武力を使わないということでございますれば、憲法上は可能でございます。ただ、自衛隊法上はそういうことが自衛隊の任務として定められておりませんので、自衛隊法上現在は不可能であるということになっております。
  289. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 その際、これは軍用輸送機であるわけですから、C130に乗り込む自衛隊は武装しているわけですね。その武装している自衛隊を乗せるということについては憲法上問題があるのではないでしょうかね。いかがでしょうか。
  290. 味村治

    ○味村政府委員 先ほど私が申し上げましたように、武力行使の目的をもって、武装いたしました部隊を他国の領土、領海、領空に派遣する、こういうことを一般的に海外派兵と政府の説明では定義づけているわけでございますが、そういうことはできないということでございます。武装するということは、やはり武力の行使をすることを目的とするのであろうと推定されますので、そのようなことはできないというふうに考えられます。
  291. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 次に進みますけれども、日本としてイラン、イラクとも非常に重要な石油の供給源となっております。アメリカは初めイラン・イラクの紛争には介入しないという方針をとっておりました。しかし、御存じのとおり人質になっておるという状態からアメリカの大使館の人たちを救出したいという特殊事情があって、アメリカとしては、国連でイラクの侵略を非難するとか、そういうような形で、実はいま現在人質が解放されるかどうかという重要な岐路に立っておるわけであります。しかし、アメリカを中心にしてホルムズ海峡が封鎖されるということを非常に懸念をしておるところの西側陣営は、共同してこれに対して対処しよう、こういうふうにいま考えているわけであります。そこで日本として、ホルムズ海峡封鎖の目的をもって西側陣営の連合艦隊を構成する分担金を払えというようないろいろの話が出ておりますけれども、この点について分担金を払うということができるのかどうか、これについてはどうでしょうか。
  292. 関栄次

    ○関説明員 お答えを申し上げます。  ただいま先生からもお話ございましたように、イラン・イラク紛争をめぐりまして現在安全保障理事会を中心にいたしまして平和的解決のための努力が続けられておりまして、またそういう安保理での努力を補足する形で、イスラム諸国会議の一部の国が中心になりまして平和的解決への努力が現在必死になって続けられているわけでございます。現在までのところ、安全保障理事会で、先生がただいまおっしゃいましたお考えのような、いわゆる共同パトロールとかいうような考え方は一切出ておりませんので、あくまでこれは仮定の問題でございますけれども、従来の国連の平和維持活動の一つの形態といたしまして、そういうような考え方が安全保障理事会におきまして、現在十五カ国から構成されているわけでございますが、全会一致の決議によりまして具体化して、加盟国にその経費の分担が求められるというような場合になりますと、日本は国連の一加盟国といたしまして、その義務を果たすためにその分担金支払いに応ぜざるを得ないというふうに考えております。
  293. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 そうしますと、国連安保理事会でパトロールについてホルムズ海峡の安全通航のために拠出を決議した場合において、日本としては協力せざるを得ない、こういうことですね。それと同時に、憲法上、そういうことはできるのでしょうか。
  294. 味村治

    ○味村政府委員 この問題は、ただいま外務省の方が申されましたように、まだ決まった段階ではございませんので、具体化してから検討しなければならない問題であろうかと存じますが、ただ、一般論を申し上げますれば、日本はいわゆる集団的自衛権の行使は憲法上許されないということになっているわけでございます。集団的自衛権と申しますのは、結局、自国と緊密な関係を持っておる他国、これが武力攻撃を受けました場合に、その他国を助けるため、防衛するために武力を行使するということでございます。そういうように武力の行使ということが集団的自衛権の要件といいますか中心概念になっているわけでございますが、費用の負担ということは、一般的に申し上げますれば武力の行使には該当しないであろうというように考えております。しかし問題は、具体的になりました場合にいろいろな状況とか使途、目的、いろいろございましょうから、そういうことを具体的に詰める必要はあろうかと存じます。
  295. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 ホルムズ海峡の安全通航のためにパトロールするということは、万が一に向こうが武力攻撃をしてきた場合においては、それに対処するということでしょう。そうですね。となりますと、それは集団自衛権の武力には確かに参加はしないにしても、武力を支える側面にお金の支出というものは当然あるわけですね。だから、武力とお金というものはちょうど両輪のような形になっているわけでしょう。金がなかったら何にもできるはずはないのですから、武力の方はできないけれども、お金の方は出せるなんという論法はできましょうか。武力の方もできないということであれば、やはりお金を出すことも適当ではないというのが集団安全保障の立場、自衛権の問題から言いますと当然じゃないですか。お金を出してもいい、それではやらせるということではないですか。ちょっとおかしいですね。その点もう一度……。
  296. 味村治

    ○味村政府委員 この問題は憲法九条に関係をするわけでございますが、憲法九条が禁止しておりますのは武力の行使ということでございまして、武力の行使というのは、要するに戦争のための実力の行使ということでございます。しかし、お金を払うということは、これはまた一般的に申し上げまして、それとは質を異にすることでございますから、先生のおっしゃいますように、お金を払うことによって武力の行使が初めてできるのだというような場合もございましょうし、武力の行使をするそのごく一助としてお金を払うのだという場合もございましょうし、いろいろなケースがございます。ごく一般的に私は申し上げました次第でございまして、そういう観点から申し上げますと、費用の負担ということは、武力の行使には該当しないというふうに一般論として言えるのではなかろうかと存ずるわけでございます。
  297. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 確かに狭義で解すれば、直接の武力の行使には参加しないかもしれないけれども、広義に解すれば、金というのは武力を行使するものに対する支援活動でしょう。となれば、広義に解釈をすれば、それは要するに憲法に抵触してくるのではないですか。集団の自衛権の行使につながるのではないですか。その点はいかがですか。
  298. 味村治

    ○味村政府委員 どうも繰り返しになって恐縮でございますが、集団自衛権は武力の行使ということを中心の概念に据えているわけでございます。つまり集団的自衛権の行使のために、わが国が武力を行使するということは許されないということでございまして、費用を負担するということは、武力の行使とは質的に違うということを一般論としては申さざるを得ないということでございます。
  299. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 私はそれは納得しませんけれども、また後でそういう問題も多く取り上げられるでしょう。  実はシーレーンに関してちょっとお聞きしたいわけでありますけれども、もう時間がほとんどないですね。私が質問したときに、周辺海域数百海里、航路帯千海里とした基準は、それが限界ではなく、能力の問題だ、そのように答弁しているところがあるのです。能力の問題で、限界じゃない。いわゆる数百海里とか航路帯一千海里とか、その基準を設けたというのは、決してそれが限界ではなく、能力の問題だというふうに私には答弁しているところがあるのです。今後アメリカ等の要請によって、艦艇の大型化あるいは航空機等の近代化、質、量、能力の増強によって、その範囲というものは拡大されるおそれがあるように思うのですが、その点についてどのようにお考えでしょうか。
  300. 塩田章

    ○塩田政府委員 先生もおっしゃいましたように、私どもが海上自衛隊の整備を行っていきます場合の能力的な整備目標といたしまして、わが国周辺数百海里、航路帯を設けた場合には一千海里ぐらいの範囲で作戦ができるような海上自衛隊の艦艇を整備したい、そういう目標で整備をしておるわけでございますが、その点はいままでもそうでしたし、今後もそのつもりでいくつもりであります。
  301. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 能力がそれだけしかないから、言うならば数百海里あるいは千海里、そういうふうな基準ができたのだ、能力ができれば、さらにそれを延ばしていくというお考え方をお持ちなんでしょうか。
  302. 塩田章

    ○塩田政府委員 能力がないからといいますか、どういう海域まで作戦のできる艦艇を整備するかという目標、そういう意味の整備目標としていま申し上げたような目標を持っておる、こういうことでございます。
  303. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 五十三年の八月から始められた防衛研究について、もうすでに二年を過ぎておりまして、かなりまとまるように思われますけれども、その研究の結果は何らかの形で発表されるとか、いまどれくらいの作業が進んでいるか、その点についてひとつ……。
  304. 塩田章

    ○塩田政府委員 御指摘の研究につきましては幾つか項目がございまして、そのうちの共同作戦計画の点につきましては、現在かなり進んでおります。しかし、情報でありますとか後方支援体制でありますとか、そういったようなそれ以外の点につきましては、まだ必ずしも予定のように進んでおりませんで、全体的にいつごろまでというふうなめどが言えるような段階にはまだ来ておりません。  それから、できたときに公表するかということでございますが、これは作戦計画そのものでございまして、事柄の性質上公表することは控えさせていただきたいというふうに考えております。
  305. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 この防衛研究の一つの大きな柱の中には、有事法制の研究とか中央指揮システムの検討とかあるいは日米防衛協力のあり方ということが検討の一つの大きな柱になる、こうなっているわけでしょう。となれば、この有事法制の研究については、すでに福田総理大臣が有事法制の研究については国会にやはり報告をして、発表をしますと言ったことについては、「防衛ハンドブック」の中にも出ておりますね。それは統一見解として出ているわけです。有事法制、これを国民の前に明らかにするという必要があるのじゃないでしょうか。
  306. 塩田章

    ○塩田政府委員 大変失礼いたしました。私は、先ほどのお尋ねを日米ガイドラインに基づく共同研究かと勘違いしたものですから、先ほどのような御答弁をいたしましたが、いまのお尋ねは防衛研究のことでございます。  防衛研究につきましても、御指摘のように一昨年から始めておりまして、これにつきましてはかなりこれも進んでおりましていずれ公表、公表といいましても、これも概要について差し支えない範囲で公表したいというふうに考えておりますが、中身そのものは、やはりこれも公表は差し控えさせていただきたいと思っております。いずれにいたしましても、何らかの公表はできるようにしたい、ただし、その時期はまだ具体的にいつごろというふうに、そこまで申し上げる段階までは至っておりません。  それからなお、いま最後におっしゃいました有事法制の研究、これは一応私どもは防衛研究とは別というふうに考えておりまして、これにつきましては、先ほど長官からほかの方のお尋ねに対してお答え申し上げましたように、まだ長官のところまで上げる段階に至っておりません。鋭意進めておる、そういう段階でございます。
  307. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 まだまだ論議したいことがありますが、時間が来ましたのでこの程度にいたします。  このところ、防衛庁は増強路線に非常に突っ走ってきている、これはもう国民の目から見ても明らかであります。わが党につきましては、現実の問題として、自衛隊をさしあたり保持するということに対しては、国民の生命、財産を守るという意味からやむを得ないというふうな考え方に立っておりますけれども、しかし、それも領土、領海、領空の領域保全のための専守防衛に厳しく任務限定をして、先ほども言いましたように、厳しくシビリアンコントロールというものを強化をするという考え方から立つならば、いま政府が考えておりますところのやり方というものとは、やはり一線を画すように考え方で来ております。そういう意味において、野放し的な防衛力の整備計画というものに対して、私どもは非常に危機的な考え方を持っておりまして、先ほどからずっと論議をしてきましたけれども、私どもの方の考え方を中心にして論議をするということになりますと、食い違い等がいっぱい出てまいりますから、そういう意味においては、立ち至って政府の考え方に近づけながら考え方をお聞きしたということを申し添えまして、質問を終わりたいと思います。
  308. 江藤隆美

    ○江藤委員長 午後六時五十五分に再開することとし、この際、休憩いたします。     午後六時四十一分休憩      ――――◇―――――     午後六時五十七分開議
  309. 江藤隆美

    ○江藤委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  質疑を続行いたします。神田厚君。
  310. 神田厚

    ○神田委員 防衛庁設置法等の一部を改正する法律案、いわゆる防衛三法につきまして御質問を申し上げます。  まず、われわれはこの防衛三法の問題につきましては、過去の経緯の中で、いわゆる国際環境の変化の問題、あるいはシビリアンコントロールの問題、さらには自衛隊の欠陥是正等の問題につきまして、過去の委員会におきまして御質問を申し上げてきたわけでありますけれども、今回、特にこれらの問題を論議をするに当たりまして、私どもといたしまして、特にこの委員会審議を通じまして、政府当局の答弁をもとといたしまして賛否の態度を明らかにしていきたい、こういうふうに考えているわけであります。  そこで、まず最初に御質問申し上げますのは、過日、二十四日の午後、国会内におきまして、鈴木総理と佐々木委員長との間で、防衛力整備を中心としました党首会談が開かれたわけであります。この党首会談におきますわれわれの提案は、すでに御案内でございますが、われわれといたしましては、わが国の防衛問題がいまや重大なる選択の時期を迎えているこの厳しい国際情勢のもとで、われわれは自衛力の整備を図ることが必要であるということを提案をし、しかしながら、その整備の図り方につきましては、国民のコンセンサスを求めつつ、まず第一に、最大の安全保障というのは世界平和であるということにかんがみまして、平和戦略を推進すること。第二には、現行憲法は自衛力の整備を否定するものではないのでありまして、したがって、現行憲法の枠でこれを進めること。第三には、財政事情を配慮する。この三つの条件のもとで自衛力の充実を図るべきであるということを御提案申し上げたわけであります。そしてこの基本的な立場から、われわれはその中でまず第一に、米ソのデタントと没脅威論を前提とした現在の「防衛計画の大綱」を抜本的に見直し、脅威の実態に即応すべきである。さらには、中期業務見積もりは単なる防衛庁の内部資料ではなく、事実上防衛力整備計画そのものであることにかんがみ、これを国防会議の付議事項とし、政府の計画として明確に位置づけるべきであること。次には、各方面から指摘されている自衛隊の欠陥について、これを速やかに是正すべきであること。特に最近問題化しております短SAMについて、その採用を再検討すべきである。さらに国会に安保特別委員会ができ、シビリアンコントロールが一歩前進したのでありますけれども、まだまだ不十分である。したがって、特別委員会を機能的に運営するとともに、形骸化している国防会議を改組強化し、総合的立場から安全保障全般を協議し得る最高機関としての機能を高めるべきである、こういう形で鈴木総理に対しまして御提言を申し上げたのであります。そしてそれらのものにつきまして、基本的に原則的な合意ができたというふうにわれわれは感じているわけでありますけれども、この会議には防衛庁長官は御出席をなされておりませんでした。したがいまして、自民党から櫻内幹事長、安倍政調会長、田澤国対委員長、これらの方々が出たわけでありますけれども、防衛庁長官は、この自民、民社の党首会談の内容につきまして、どういう形でそれらの問題について御報告を受けたでありましょうか。
  311. 大村襄治

    ○大村国務大臣 お答え申し上げます。  両党の党首会談の後、官房長官から内容について御連絡を受けております。
  312. 神田厚

    ○神田委員 その報告の内容につきまして、われわれの提言の内容につきましてはどういうふうに御判断でございますか。
  313. 大村襄治

    ○大村国務大臣 お答え申し上げます。  大体先生がお述べになったように聞いておるわけでございますが、中には検討せよという項目もあったように記憶しております。
  314. 神田厚

    ○神田委員 これらの問題で私どもが一番心配しておりますのは、防衛問題につきましては国民的なコンセンサスがまず第一だ。そういう中で、われわれはこの防衛力の整備も国民的なコンセンサスを求めた上でこれを行っていかなければならない、こういうことを前提といたしまして提言をしているわけであります。この内容につきましては、それぞれこれから後の各論におきまして御質問を申し上げていきたいと思っております。そういう大前提のもとで、防衛庁長官としてのこの提言に対する御感想はどういうことでございましょうか。
  315. 大村襄治

    ○大村国務大臣 感想として申し上げさせていただきますると、まず第一の平和を守るため外交交渉を強力に進めるという点につきましては、全く同感でございます。  また、自衛力の整備に当たって憲法の枠内で進める、その基本において日本国憲法は国家固有の自衛権を否認するものではないという認識においても全く同感でございます。自衛のための必要最小限の自衛力は、日本国憲法の認めるところであり、その範囲内において防衛力の整備を図るということにつきましても、意見を同じくするものでございます。  次の原則としまして、財政力の範囲内で防衛力を整備せよという点につきましても、私ども国の財政、経済の状況も念頭に置きながら、そして御指摘のございましたように、国民のコンセンサスを得ながら進めていくことにつきましても、同じ考えを持っているわけでございます。  ただ、個々の点についてお述べになりました点、たとえば防衛計画の根本的見直しの問題あるいはその他の問題につきましても、若干見解を異にするものもございますが、大筋におきましては、いま申し上げました当初の原則が同じでございますので、個々の問題につきましては、今後また検討も進め、お話もさせていただきたい、さように考えている次第でございます。
  316. 神田厚

    ○神田委員 われわれはこの法案審議、これに前向きに取り組んでいくという前提の中では、自衛隊、安保問題につきまして国民的な合意ができつつあるのかどうかというのを一つの判断にしなければならない。さらには日本を取り巻く国際環境が変化をしているという状況を見なければならない。さらにはシビリアンコントロールがきちんと貫かれて、一つには国会の中における安全保障特別委員会の設置あるいは中期業務見積もりを国防会議に付議する、こういうふうなものがきちんと果たされなければならない。さらには自衛隊の欠陥是正についての政府の誠意のある対応がなされなければならない、こういうふうなことを考えているわけでありまして、これからの審議の中で、これらの問題につきまして進めていきたいというふうに考えております。  そこで、過日私どもの大内政審会長が予算委員会におきまして短SAM問題につきまして質問をいたしました。この問題につきまして総理大臣は、この短SAM問題につきまして、これを慎重に検討し、五十六年度予算編成までに結論を出す、こういうふうなことでございましたが、防衛庁長官におかれましては、この問題につきまして改めて関連機種との比較検討等をするというようなお考えも一部聞いております。具体的に再検討するという話は聞いておりますけれども、どういう形で再検討なさるおつもりでありますか。
  317. 大村襄治

    ○大村国務大臣 短距離ミサイルにつきましては、防衛庁といたしましては慎重に検討した結果、その機種を国産の短距離地対空誘導弾としたものであり、この決定には誤りがないものと確信いたしております。さきの自民、民社両党首会談においては、総理から国産短距離地対空誘導弾の整備について、さらに検討する旨発言があったと承知いたしております。防衛庁といたしましては、機種選定に当たって国産短距離地対空誘導弾、ローランド等の検討対象機種について、運用上の要求、性能、整備維持性、経済性等の観点から慎重に検討を行い、総合的に判断した結果、国産短距離地対空誘導弾が最もすぐれているとの結論に至ったものではありますが、総理からもさらに検討してみるようにとの指示もありましたので、さらに検討を加えて、その結果を報告したいと現在考えている次第でございます。
  318. 神田厚

    ○神田委員 この場合、検討するというのはどういう形で検討なさるのか。どういう方法で、どんなふうな検討をなさるおつもりなのですか。
  319. 大村襄治

    ○大村国務大臣 ただいま申し上げましたように、これまでの検討の過程で複数の対象があったわけでございます。運用上の要求、性能、整備維持性、経済性等いろいろな角度から検討して総合判断を下したわけでございますが、さらに検討せよとのお話でございますので、性能の点も含めて、いま申し上げました諸点について検討を加えて、そして検討の結果を御報告申し上げたい、さように考えている次第であります。
  320. 神田厚

    ○神田委員 この会談におきましては、五十六年度の予算編成までに結論を出す、こういうふうに言われておりますけれども、この五十六年度の予算編成までに結論が出るでありましょうか。
  321. 大村襄治

    ○大村国務大臣 五十六年度の予算編成までに結論が出るように努力いたしたいと考えております。
  322. 神田厚

    ○神田委員 必ずしも五十六年度の予算編成までに結論が出るという断言ではないようでありまして、検討の仕方、実践その他のいろいろなものを含めますと、私は、五十六年度の予算編成までに結論を出すのは非常にむずかしいというような判断を持っておりますが、その辺はいかがでございますか。
  323. 大村襄治

    ○大村国務大臣 努力をすれば五十六年度の予算編成までに結論が出せるのではないかと現在考えております。またそうすべく努力しなければならないと考えております。
  324. 神田厚

    ○神田委員 長官の答弁を聞いていますと、五十六年度の予算編成までに結論が出ることが非常に微妙な感じで受け取っておりますが、私は、やはりせっかく再検討するということでありますから、これはきちんとした検討をしていただかなければ困ると思います。そういう意味では、ただ単に予算編成に間に合わせるということではなくて、ひとつ根本的に、この問題につきましては最初から時間をかけまして検討をしていただきたい、こういうように要望申し上げますが、いかがですか。
  325. 大村襄治

    ○大村国務大臣 御要望の点も承りましたが、先ほど申し上げましたように、五十六年度概算要求としてすでに提出してございますので、検討の結果もその時期に間に合うように努力するのがむしろ防衛庁の仕事ではないか、責任ではないか、さように思う次第でございます。
  326. 神田厚

    ○神田委員 さらに、この問題につきまして機密が漏洩したのではないかということで、その調査をなさったということであります。われわれとしましては、最初から機密の事項ではないということで、これらの問題につきましては発言をしていったわけでありますが、そういう意味では、民社党としまして、われわれはこの防衛問題につきましては非常に理解を持って、そして防衛庁の考え方につきましても是々非々の立場から叱咤激励し、やってきたわけでありますけれども、この問題につきまして非常に不愉快な感じを民社党員全体が持つに至ったことは、私はまことに残念だと思うのでありますが、この調査の結果というのはどういうふうになったのでありましょうか。
  327. 大村襄治

    ○大村国務大臣 防衛庁の文書なり写しが流れておったかどうかにつきまして調査はいたしました。調査の結果は、そういう秘密文書は流れてないということが判明しましたので、調査はやめにいたしました。
  328. 神田厚

    ○神田委員 それでは一応次の問題に移りたいと思います。  最初に、過日起こりましたソ連原潜の日本領海通過問題につきまして御質問を申し上げたいと思っております。  ソ連原潜が火災を起こしたということで、日本の領海を最終的には警告を無視して通過をしていった事件がございましたが、この問題につきまして、この事件の経緯と日本の政府の対応につきまして御説明をいただきたいと思うのであります。
  329. 塩田章

    ○塩田政府委員 防衛庁のとりました態度につきましてお答えいたします。  防衛庁が第一報を受けましたのは八月二十一日の朝八時十五分でございますが、沖繩におります南西航空混成団、航空自衛隊の部隊でございますが、その司令が海上保安庁第十一管区海上保安本部から災害派遣の要請を受けたのが第一報でございます。  同司令は、直ちに災害派遣を発令いたしまして、飛行機二機を用いまして災害救助の活動に入ったわけでございますが、現場に行きました後、同原子力潜水艦の方から災害救助活動を拒絶、拒否されましたので、それは打ち切ったというのが最初にとりました防衛庁の行動でございます。  後は、別途、海上保安本部から海上幕僚監部に連絡がございまして、海上自衛隊から護衛艦「まきなみ」という佐世保地方総監部の船でございますが、これを派遣すること、並びにP2Jという飛行機を現場に派遣する、それによりまして監視活動を始めたわけであります。  同時に、航空幕僚監部並びに海上幕僚監部の中にございますオペレーションルームを開設いたしました。同時にと申しますのは、空幕につきましては八時二十五分ごろ、海幕につきましては八時四十分ごろでございますけれども、それぞれオペレーションルームを開設いたしたわけであります。  自後監視活動をやっておったわけでございますが、二十三日になりまして、領海を通過する可能性ありという連絡が外務省、海上保安本部からございまして、現地の部隊からも、そういうふうに船が動きそうだというような報告がございまして、二十三日の十四時ごろ関係幹部が集まりまして、防衛庁の処すべき態度について検討いたしましたわけですが、基本的に海上保安庁の第一次任務とされる点でございますし、防衛庁といたしましては、海上の問題につきましては海上保安本部、対外折衝につきましては外務省の活動にお任せいたしまして、われわれはそのまま監視活動を続けていこうということを協議いたしまして、十五時ごろ長官に申し上げて、長官からそれでよろしいという御指示をいただいて、引き続き艦艇、航空機による監視活動を続けた。艦艇につきましては、同原子力潜水艦が対馬海峡を通過するまで監視を続けた。  以上が防衛庁のこの事件に対してとった行動でございます。
  330. 堂ノ脇光朗

    ○堂ノ脇説明員 ソ連の原子力船の事故に関しまして外務省がとりました措置は、二十一日早朝事故があったことの通報を受けまして、直ちに在京ソ連大使館にこの旨を通報し、また人道的見地から援助を与える用意のあることを申し出いたしました。その後数回ソ連側と外交ルートを通じて接触いたしまして、二十二日の晩になりまして領海通過のおそれも考えられるということから、日本政府としては、この原子力潜水艦につきまして、火災事故を起こしているということでございますので、放射能漏れのおそれがないか、そのおそれがないということでなければ領海の通航は認められないということ、並びに日本政府は従来から非核三原則の政策をとっておりますので、核搭載の事実がないということの保証がない限り通過は認められないということを通報したわけでございます。  翌二十三日に至りまして、午前中にソ連側から、専門家の意見によれば放射能漏れの危険はないという回答が参りましたが、私どもとしましては、このソ連側の回答をもってしては日本側の要請に対する十分な回答になっていないということから、二十三日午後二時在京ソ連大使館員を外務省に呼びまして、二つの点について、すなわち放射能汚染がないということ及び核兵器の搭載がないということの保証がない限り日本の領海の通航は認められないということを申し入れた次第でございます。  それにもかかわらず、午後三時二十分に当該潜水艦はわが領海に入りまして、午後五時五十五分に領海を横断し切ったわけでございますが、その間にも、午後四時でございますが、ソ連側に対して、この通航はわれわれの許可を得ないものであるから認められない、直ちに退去してほしいということを外交チャンネルを通じても申しましたし、また現地における海上保安庁の巡視艇からもこの旨を再三警告したと聞いております。  その後、通過してから一時間ぐらいたちましてソ連側から正式の回答がございまして、この船舶につきましては放射能の状態は正常である、したがって放射能汚染の心配はないということ、それからまた当該潜水艦につきましては核搭載の事実がないということを通報してまいりました。その後、二十三日の夜でございますが、在京ソ連大使館のジノビエフ公使を外務省に呼びまして、日本側の許可を得ず、再三の警告を無視して日本の領海を通過した事実ははなはだ非友好的な行為であるということを指摘しまして抗議をいたしました。
  331. 福島弘

    ○福島説明員 先ほど防衛庁、外務省から御報告、御説明がありましたが、なるべく重複しないように、主として現場において海上保安庁の巡視船がソ連の原子力潜水艦等の船団と対応した状況の辺に焦点をしぼって御説明申し上げます。  二十三日の正午ごろ、ソ連原子力潜水艦は、その他護衛艦等を従えまして曳航を開始したわけでございますが、三時前後になりまして巡視船の「もとぶ」は、ソ連の原子力潜水艦がこのままの進路で進みますと、あと四海里で領海に入るといったような状況になりましたため、ソ連の曳船に対しまして国際VHF、これは無線電話でございますが、英語で、貴船は間もなく日本領海に入る、直ちに進路を変更しなさいという繰り返しの警告をすると同時に、国際信号旗、この国際信号旗と申し上げますのは、旗によりまして、その旗を連係しまして、その組み合わせによって相手に意思を伝達する方法でございますが、それを掲揚いたしまして、沿岸から離れて占位されたいといった旨の通知をいたしました。これに対しまして、ソ連海軍司令官旗を掲揚しました潜水母艦が、日本政府から領海を通過する許可を得ていると英語で回答してきたわけでございます。  巡視船の「もとぶ」は直ちに管区本部であります第十一管区海上保安本部を経由しまして、海上保安庁の本庁にその許可があったかどうかにつきまして照会してきました。約十分間ぐらいの時間が経過したわけでございますけれども、本庁といたしましては、すぐ外務省に照会してその有無について確認をしまして、もちろん許可はしていなかったわけでございますが、第十一管区海上保安本部を通じまして現場の巡視船「もとぶ」に、日本政府は通航の許可は与えていない旨の通報をいたしました。  同日の三時二十分ごろ、引き続きましてソ連原子力潜水艦は領海の中に入ってまいりましたので、先ほどの国際信号旗を掲揚して、その意味する警告を与えながら、さらにVHFによりまして英語で、日本政府は貴船に対し領海通航の許可は与えていない、貴船は現在日本領海内にある、直ちに退去せよと、繰り返し退去を要求したわけでございます。  これに対し、その都度、許可を得ているといった旨の回答があったわけでございますが、やはり巡視船も繰り返し繰り返し同様の趣旨の警告を発したわけでございますが、最終段階におきまして、ソ連の潜水母艦は、日本政府から領海通航の許可を得ている、放射能漏れの危険もない、無害通航により日本領海を通航するといった旨の回答を行ってきたわけであります。そういったことで、継続警告と船の進行というような状況で午後五時五十五分に東シナ海の公海にソ連原潜を中心とした船団が出たわけでございます。  なお、ソ連原子力潜水艦の領海通航の警備に当たりましては、特別態勢をとっていたために、現場の巡視船「もとぶ」と海上保安庁の間の通信連絡は、第十一管区海上保安本部を経由しておおむね十分以内で確保したわけでございます。参考のためにお伝えしておきます。
  332. 神田厚

    ○神田委員 説明を聞いておりますと非常に不可解なことでございまして、許可を与えていないのに許可を得ていると言って通過をしていったということでありますね。領海侵犯ということから考えますと、政府としましては、もう少し強硬な阻止行動はとることはできなかったのかどうか、その辺はどうですか。
  333. 堂ノ脇光朗

    ○堂ノ脇説明員 ソ連側は、通過するに際しまして、日本政府の許可を得ているということを申し立てたそうでございますが、私どもはそのような許可を与えた事実はございませんで、これは明らかに事実に反することでございます。  したがいまして、通過開始後、午後四時の段階で在京ソ連大使館に対しまして、現場からの報告によれば、ソ連の潜水艦は許可を得ているということを言っているけれども、これは事実に反するではないか、わが方としては、放射能汚染のないこと及び核兵器の搭載のないこと、この二つの点についてソ連側の保証を求めている、この保証がないまま通過したということは、日本の領海の侵犯であると思うという趣旨の抗議を行っております。  それから、御質問の阻止することはできなかったかという点は、外務省の所管とちょっと違うと思いますので、お答え申しかねます。
  334. 神田厚

    ○神田委員 海上自衛隊の対応も非常に問題になるわけですが、これはいろいろ制約があってできないということですね。海上保安庁としてもそれ以上のことができなかったということで、言ってみれば、みすみす領海侵犯をされて何もできなかったという無力さを全国民の前に露呈をしてしまったわけです。私がこのことをなぜ心配するかというと、いま北方領土の返還運動やそういうことで日本の国内の世論が一つのものを形成しようとしている。それに対しまして、領海侵犯されてそのまま何もすることができなくて、どろ足で座敷の中を踏みにじられたような形で行かれてしまった。こういう一つの無力感が、たとえば北方領土の返還運動などの運動そのものを破産させてしまうものにもなってしまうのではないか、こういうことを非常に恐れるわけであります。  私は、今回何もできなかったわけでありますから、このことにつきましては、もうそれ以上のことは言うつもりはありませんけれども、その後の処理につきまして、たとえばその抗議につきましても通り一遍の抗議で済ませている。さらには外務省の首脳は日ソの外相会議のときにこの原潜問題につきまして抗議をするんだということを一時考えていたけれども、伊東外務大臣と相手の外務大臣との会談の中でも、この問題につきましては一切触れられていなかった。こういうことは、その後の処理の問題も含めまして、国民に対して非常に説明不足だし無責任だと私は考えるわけでありますが、その辺はどういうふうに考えておりますか。
  335. 堂ノ脇光朗

    ○堂ノ脇説明員 先生のおっしゃいますとおり、ソ連側の行為はきわめて非友好的でございますし、日本の国民感情を逆なでするような行為である。特に私どもが、火災を起こして困っている船に対して人道的な見地から援助を申し出たのにもかかわらず、それに対して全く回答がなかった、そして再三の警告を無視して通過したということはきわめて理解しがたいと申しますか、私どもとしては納得しかねる行為でございますので、この点につきましては厳重に抗議申し入れを行ったわけでございます。  ただ、この事件は火災による事件でございまして、この問題につきまして、国連におきます外務大臣の会談の場で改めて抗議をすることは私どもとしては考えなかった次第でございます。
  336. 神田厚

    ○神田委員 当初抗議をしたいという考え方もあったようだけれども、時の経過というのは恐ろしいもので、その時の経過の中でそれをしないような形になってしまった、こんなことだろうと思うのでありますが、私はやはりこういう問題を忘れてはだめだと思うのです。これをこのままにしておいたのでは、われわれが日本国の主権を国民と一緒に守ったり考えたりしていくときに非常に大きな問題になる。私はこの件につきまして、もっと時間があれば突っ込んだ話をしたいのでありますけれども、時間もありませんから、われわれとしましては、政府のとった弱腰な態度、さらには日本に対してとったソ連の無礼な態度、こういうものにつきまして強く抗議をしておきたいと考える次第であります。  続きまして、防衛計画大綱の問題につきまして御質問を申し上げます。  まず、防衛計画大綱の内容でございますが、大村防衛庁長官は、十月十一日の予算委員会におきまして、防衛計画大綱の内容につきましては、必ずしも没脅威論ではないのだということを言っておりますけれども、この考えには変わりはないのでございましょうか。
  337. 大村襄治

    ○大村国務大臣 お答え申し上げます。  「防衛計画の大綱」におきましては、平時に十分な警戒態勢をとり得るとともに、限定的かつ小規模な侵略事態に有効に対処し得る防衛力を保有することとしております。これは脅威を無視した平和時の防衛体制をとるということではなく、わが国に信頼し得る軍事能力、すなわち潜在的脅威を念頭に置いた上で、わが国が保有すべき防衛力の機能、質等について大綱で定めているものでありまして、その規模についても、それを念頭に置き、限定的かつ小規模な侵略に対して独力で対抗し得るような防衛力を定めているものであります。したがいまして、没脅威論が脅威を念頭に置かないで防衛力を整備することを意味するとすれば、大綱は没脅威論に基づいているものとは言えないと考えております。  前回の答弁におきましても、そのような考え方に基づいて御答弁申し上げたわけでございまして、現在におきましても、同様の考えを持っておるということを申し上げる次第でございます。
  338. 神田厚

    ○神田委員 この大綱が没脅威論をもとにしてつくられているということは、幾つかの公式文書の中でも明らかになっているわけなんです。われわれは、わが国の平和を守るためには、デタントと没脅威論を前提とした現在の「防衛計画の大綱」をこの際抜本的に見直すべきだという話をずっとしているわけであります。政府は、この問題に対しましては、たとえば、ただいまの大村長官の答弁のように、必ずしも没脅威論ではないという答弁をしている。しかし、まず最初はポスト四次防の第二次長官指示、これは防衛庁防衛局、五十年十月三十日、この文書を見ましても「常備すべき防衛力の考え方は、従来の防衛力整備が、考えられる各種の脅威に対して、おおむね対応できる防衛力を目標として行われてきたのに対し、前記のような情勢を前提として、防衛上必要とされる各種の機能に欠落がなく、基本的な任務部隊、後方支援部隊等を備え、その配備においても均衡がとれている、一応態勢の整った基盤的なものを目標とすることとしている。」こういうことを言っている。さらに五十一年十月二十九日の防衛計画大綱の決定の際の「防衛庁長官談話要旨」、これも「特定の脅威に対抗するというよりも、国家間の地域的な安定均衡を前提として、平時における警戒態勢を重視するとともに、万一の事態に必要となる防衛態勢の基盤となるものを追求すべきではないかということであります。」さらに「防衛アンテナ」の五十一年十一月号に「防衛計画の大綱について」防衛庁防衛局、これはもっと明確に「わが国が保有すべき防衛力のあり方として、何らか特定の脅威に対抗することを基調とするのではなく、」「つまり、脅威対抗の考え方から脱却し、」「脱却し、」と書いてあります。「脅威対抗の考え方から脱却し、防衛力の規模を主体的に導き出」していく。さらに五十一年六月の防衛白書五十一年版「侵略の脅威に対抗するというよりも、全体として均衡のとれた隙のないものであることが必要である。」五十二年七月の防衛白書五十二年版、同じようにいわゆる脅威を大綱としてつくったのではないということを言っているわけです。ところが、現在の状況というのはいわゆる潜在的脅威を認めているわけでありますから、そういう意味では、すでにこの防衛計画大綱の内容としてつくられたものがどうも現在の状況と合ってない。したがって、いま長官が答弁した、必ずしも没脅威論ではないという言い方は、このいろんな文章から見ていけば、これは間違いなんだ。明らかに没脅威論ではないという考え方に立っている答弁というのは、私はちょっと問題であると思うのですが、いかがでございますか。
  339. 大村襄治

    ○大村国務大臣 お答え申し上げます。  いろいろ資料を引いての御質問でございますので、詳しくは政府委員に答弁させますが、私が申し上げましたのは、「防衛計画の大綱」を策定する際にも、潜在的脅威を念頭に置いた上で、その脅威の量だけにかかわらずに、むしろ質の向上に重点を置いて計画を策定したという記録があるわけでございます。そのことを申し上げたわけでございまして、没脅威論が脅威を全然念頭に置いてないという意味であれば、そうではないということを申し上げた次第でございます。  詳しくは政府委員からひとつお答えさせていただきたいと思います。
  340. 塩田章

    ○塩田政府委員 いま大臣からお答え申し上げたとおりでございますが、先生がいろいろ御引用になった文章は、そのまま私どもも承知いたしております。にもかかわらず、必ずしも没脅威論ではないというふうに大臣が申し上げましたのは、いま先生の御指摘の五十二年の白書にも書いてございますように、防衛力の本質というものは古今東西を問わず、外部からの脅威に対し備えることにあるという考え方、前提に立ちまして、五十二年の防衛白書にもいろいろ説明をしてございまして、もう申し上げるまでもなく御存じのとおりでございますが、脅威を意図の面と能力の面に分けて分析をしまして、その分析の結果、こういう「防衛計画の大綱」ができたのであるという説明をしておるわけでございます。そういう意味におきまして、必ずしも没脅威論ではないということを申し上げたわけでございますが、一方、それではいわゆる脅威対抗論といいますか、それに対抗する意味での脅威対抗論が、平時から脅威に対して独力で有効に対処し得る防衛力を保持すること、そういうことを意味するとすれば、大綱はそういう考え方をとっているものではない、これもまた申し上げるまでもないことだと思います。ですから、先ほど申し上げましたように、大臣がお答えしましたのは、脅威を必ずしも無視するものではなくて、量と質あるいは意図と能力、そういうものを考えてできたものであるという趣旨で申し上げたものでございますので、そのように御理解賜りたいと思います。
  341. 神田厚

    ○神田委員 ちょっとおかしいんですよね。潜在的脅威を念頭に置いて作成したと言いますけれども、潜在的脅威という言葉を初めて防衛庁が認めて、これを公式に発言したのは、国会の場ではどこですか。
  342. 塩田章

    ○塩田政府委員 古いことの話、ちょっといま存じておりませんが、私が承知しておりますのは、前の細田長官はそういう言葉を使われました。それから山下長官もお使いになったのじゃないかと思いますが、ちょっと正確には覚えておりません。
  343. 神田厚

    ○神田委員 これは私の予算委員会の質問で、山下防衛庁長官が初めて潜在的脅威だということを言ったわけであります。したがいまして、それは五十二年の時点ではございません。ですから、この防衛計画大綱ができる段階では、防衛庁は潜在的脅威という言葉は全然使っていないのです。認めていないんだ。それにもかかわらず、それをいまの大村長官が潜在的脅威を念頭に置いてこの防衛計画大綱をつくったと言うことは非常に矛盾をしておる。
  344. 塩田章

    ○塩田政府委員 おっしゃいますように、防衛庁が潜在的脅威という言葉を使ったこと自体は、御指摘のとおりでございます。  それで、先ほどちょっと私が申し上げましたが、五十二年の白書にも書いてございますように、脅威というものを意図の面と能力の面に分けて解説してございますが、その場合の能力の面、これはいま私どもが申しております潜在的脅威という言葉で表現をしておるわけでございまして、そういう意味では、当時から脅威を意図と能力に分けて記述してございまして、そういう意味で申し上げたわけであります。
  345. 神田厚

    ○神田委員 ちょっとおかしいんですね。――長官、あれですか……。
  346. 大村襄治

    ○大村国務大臣 ただいまのお尋ねにつきまして、ちょっと補足して御説明申し上げます。  私の手元には、昭和四十七年十一月十日の参議院予算委員会での質問に対して政府委員が「潜在的な脅威、すなわち、周辺諸国が軍事能力を持っておるということだけは事実であるので、それを基準にして防衛力の整備を考えました」というような記録もございますので、国会答弁で防衛庁が潜在的な脅威ということを以前から用いたことがあるという事実はございます。
  347. 神田厚

    ○神田委員 それは内部でそういうような形で言われていたのかもしれないけれども、正式に極東ソ連軍等の問題で潜在的脅威という言葉を使ったのは、山下防衛庁長官の時代であったわけですね。したがいまして、それまでは潜在的脅威ということについて防衛庁は認めようとしていなかったというように私は考えているのでありまして、そういう意味で、ここでこの防衛計画大綱のつくられ方が潜在的脅威を念頭に置いてつくられたということは非常に納得しがたいことだ。もしそういうことであるならば、もう一回これは記録を全部洗い直して、本当に潜在的脅威というものを念頭に置いてこの防衛計画大綱がつくられたのかどうかというのは、これはもともとのところから論議をしなければならないと思っております。したがいまして、この件につきましては、次回の方に保留をしておきたいと思います。  次に、限定かつ小規模の侵略に独力で対応するというふうなことが、これは一つの内容のポイントでありますけれども、この限定かつ小規模というのは、具体的にどのぐらいの規模のものを言っているのか。たとえば陸で言えばどのぐらいの勢力が侵略をしてくることを言っているのか、あるいは海で言えば、あるいは空で言えばどういうことなのかということは、具体的にはこれはどういうふうなことなんですか。
  348. 塩田章

    ○塩田政府委員 限定的かつ小規模な侵略という場合の具体的な内容いかんということでございますが、これは考えられる侵略そのものが、様相がきわめて複雑でまた多岐にわたりますものですから、具体的にどのぐらいだということを申し上げることは大変困難であろうと思います。一般的には、防衛白書にも書いてございますわけですが、侵略の企図が事前に察知しにくくて、日米安全保障体制の間隙に乗じて行われる可能性がないとは言えないという事態を考えている。したがって、侵略する側の方からいたしましても、侵略のために大がかりな準備を行うことなしに進攻することとなるので、比較的兵力もそう大きなものにはならないだろう。それからまた期間的にもそんなに長い期間ということじゃなくて、短い期間に既成事実をつくってしまおうというような場合に考えられるという、抽象的に申しますればそういうことでございますけれども、それを具体的にどのぐらいの兵力の量だというふうに申し上げることは大変困難であります。
  349. 神田厚

    ○神田委員 しかし、この防衛計画大綱が限定かつ小規模の侵略に独力で対応するんだということを言っておるわけでありますから、少なくとも大枠であっても限定的かつ小規模というものの具体的な規模というものがある程度わからなければ、どういうふうにしてそれに対応する態勢がとれるのかという問題が出てくるわけですね。ですから、これはきちんと本当に、一個師団だとか何とかだということはあるいは言えないでしょうけれども、大体どの程度の勢力の侵略を考えているのかについては、余り抽象的な答弁じゃなくてお話をしていただかなければならないと思うのであります。
  350. 塩田章

    ○塩田政府委員 その点につきましては、過去の国会答弁等でも議論がいろいろございました際に、陸で言いますと、数個師団というような言葉が出たこともあるように承知いたしておりますが、それにしましても、その数個師団にはかなり幅がございまして、具体的にどの辺なのかということにつきましては、具体的な質疑応答があったようには承知いたしておりません。いまの時点におきましても、私といたしましても、そう具体的にそれ以上どのぐらいだというふうなことはちょっと申し上げかねるわけでございます。
  351. 神田厚

    ○神田委員 なかなか答えにくい問題であろうと思います。しかし、限定かつ小規模の侵略、いわゆる小規模と言っているのだから、その規模がある程度特定されなければ、防衛についての対応もできないということもこれまた当然のことであるはずです。大体大枠の、大体このぐらいの侵略というものについて想定をしているんだということはあるはずだと思うのですが、それはどうですか。
  352. 塩田章

    ○塩田政府委員 繰り返しになるわけでございますけれども、やはり抽象的に申し上げるよりないわけでございまして、いま先生がおっしゃいますように、想定がなければ準備もできないではないかということでございますけれども、いまやっております日米ガイドラインに基づく作戦研究なんかのような場合には、当然ある程度の想定はもちろんせざるを得ない。想定いたしました上での計画を立てるということになりますけれども、それもいま申し上げましたように、相手方のあることでございまして、具体的にどういう形であらわれるか、もちろんそれもわかりませんし、それ以上いまここで具体的に、何個師団だろうとか、あるいは何機であろうというふうに申し上げることはちょっと私できかねるというのが偽らざるところでございます。
  353. 神田厚

    ○神田委員 限定かつ小規模というのが、日本の立場で言っているのか、それとも客観的なことを言っているのか、いろいろ問題がございますね。つまり侵略国の戦略が具体的かつ小規模な侵略をする可能性を持っているということで、その対応として限定かつ小規模なという書き方をしているのか。日本の立場で結局限定かつ小規模な侵略にしか対応できないから、限定かつ小規模な侵略という書き方をしているのか、この辺はどうなんですか。
  354. 塩田章

    ○塩田政府委員 もちろん侵略しようとする国があって侵略しようとする場合には、どういう考え方で来るのかわかりませんから、こちらが勝手に限定、小規模だと言ってみても、向こうからどれだけのものが来るかもちろんそれはわかりません。ただ、私どもは、自衛隊の整備をいたします場合に、一方で日米安保体制ということを一つの柱としながら、一方でみずからの防衛努力をするという場合に、いま申し上げました大規模な形でなしに来る限定的で小規模のものに対しては、自分で独力で排除できるものを目標として整備しよう、あとは日米安保体制で対処しよう、こういう考え方に立っておるわけでございまして、そういう意味では先生のおっしゃいました後段の方に当たろうかと思います。
  355. 神田厚

    ○神田委員 日米安保の問題の、日本に対する来援態勢等につきましては、後の方で御質問申し上げます。  そうしますと、これは相手の国の戦略というものがある程度考えられるということでありますが、具体的にこれはアメリカとよく比較をされて、ソ連の軍事戦略というものがよく比較の対象になります。ソ連の軍事戦略は、具体的な小規模な形での戦略をとるのか、それとも先制大量攻撃というような形をとるのか、いろいろ言われているところでありますが、防衛庁としてはどういうふうな判断をしておりますか。
  356. 岡崎久彦

    ○岡崎政府委員 ソ連の戦略は、一般に申しまして、先制、奇襲、縦深突破を重視している、かように考えております。
  357. 神田厚

    ○神田委員 そうしますと、いわゆる限定かつ小規模という概念には当てはまらないのでありましょうか。
  358. 岡崎久彦

    ○岡崎政府委員 防衛庁がいままで発表いたしましたソ連の戦略につきまして、規模の問題は特に論じておりません。
  359. 神田厚

    ○神田委員 どうもわれわれとしましては、先制大量攻撃、奇襲攻撃というような形で、規模も相手より優位な態勢をとって行動を起こすというふうな形で理解をしているわけでありますが、そういう意味から言いますと、限定かつ小規模の侵略に独力で対応するといういわゆる防衛計画大綱の内容は、非常に戦略的な意味で脆弱性を持つと考えますが、その辺はどうでございますか。
  360. 塩田章

    ○塩田政府委員 先ほども申し上げましたように、わが国がみずからの防衛力を整備する目標といたしまして、独力で排除できる範囲としては限定かつ小規模のものを排除しよう、それ以上のものは日米共同対処でいこう、こういう考え方をとっておるということで申し上げておるわけでございますが、そういうわが方の防衛努力もなければ、相手方から見れば、小規模な兵力で短時間に既成事実をつくってしまうというようなことが逆にねらいやすくなるということも言えるわけでございまして、そういう意味では、わが国の防衛力が弱体であるということであれば、むしろこの種の攻撃を誘うというような結果にもなりかねないわけでございまして、私どもは、限定的小規模に対しては、少なくとも自力で排除し得るものを整備しよう、こういう考え方をとっておるわけであります。
  361. 神田厚

    ○神田委員 戦略の問題が出ましたから、関連しましてちょっと御質問申し上げます。  過日の予算委員会で細田前防衛庁長官は、私の質問に対しまして、ソ連の潜在的脅威の中には核の脅威も含まれているという答弁をした。そのことにつきまして大村防衛庁長官はどういうふうにお考えでございますか。
  362. 大村襄治

    ○大村国務大臣 米ソ間では従来から競争と協調の両面を持って関係が推移してきましたが、ソ連の軍事力増強及び第三世界の勢力拡張、とりわけ今般のソ連のアフガニスタンへの軍事介入は、米ソ間の緊張緩和の動きの基礎をなす信頼関係を損なうに至っており、米ソ両国間の関係は当面後退を余儀なくされていることは事実であります。しかし、米ソ間の全面対決により核戦争の危機が増大することは避ける必要があるという点については、米ソの基本的考えは変わっていないと見られ、このことは先日開始された欧州戦域核制限に関する米ソ予備交渉などでも示されているとおりだと考えております。  このような意味で、大綱策定当時に比べてデタントが後退しているとは考えられますが、崩れてしまっているとは考えておりませんので、ソ連が近いうちに核戦争を行うという公算はそうないものと考えている次第でございます。
  363. 塩田章

    ○塩田政府委員 ちょっと補足させていただきます。  核の脅威に対してどういうふうに対処を考えているか。御承知のように「防衛計画の大綱」でも「核の脅威に対しては、米国の核抑止力に依存するものとする。」こう書いてございまして、一方おととしのガイドラインにおきましても、核の抑止力については同じような考え方を示しておりまして、アメリカの抑止力に依存するという考え方でございます。
  364. 神田厚

    ○神田委員 ぼくが防衛庁長官に聞いたのは、ソ連の潜在的脅威の中には核の脅威も含まれるのか、そしてその問題について細田前防衛庁長官は、核の脅威も含まれると答弁をしたのでありますけれども、大村長官はどういうふうに考えているか、こういうことであります。
  365. 大村襄治

    ○大村国務大臣 ただいま政府委員がお答えしましたとおり、核の脅威に対しましてはアメリカに依存するというのが政府の考え方でございます。
  366. 江藤隆美

    ○江藤委員長 ちょっと済みません。岡崎参事官、何かさきの訂正を少し……。
  367. 岡崎久彦

    ○岡崎政府委員 先ほどソ連の軍事戦略を先制、奇襲、縦深突破と申し上げましたけれども、先生御指摘のとおり量的優勢がございます。ただ、これは実戦場面における量的優勢であって、全体の大規模、小規模という概念とは違うもの、そういうふうには考えております。
  368. 神田厚

    ○神田委員 どうも長官、デタントの説明をしてくれたりいろいろしてくれるのですが、ぼくが聞いているのはそうじゃなくて、潜在的脅威の中には核の脅威もあるのかという話を聞いているのですね。それはもちろん「防衛計画の大綱」の中ではいわゆる核の問題についてはアメリカの抑止力にこれを頼るんだということを書いてあるのはわかっているのです。後でまたそのことについては質問しますけれども、現時点で長官は、極東ソ連軍の潜在的脅威の中での核の脅威について、これをどういうふうにお考えになっておりますかということを聞いておるわけです。
  369. 大村襄治

    ○大村国務大臣 核の脅威が増大しているかということにつきましては、先ほどお答えしたとおりでございます。ないとは申してないわけでございます。
  370. 神田厚

    ○神田委員 そうしますと、やはりそういう核の脅威があるということでいいんですね。
  371. 大村襄治

    ○大村国務大臣 可能性はあるということは……。
  372. 神田厚

    ○神田委員 可能性というのがちょっとわからないのですが、もしそういうことでありますれば、それでは潜在的脅威の核の問題につきまして、防衛庁としては、日本の国民に対しましてその生命、財産を守る手だてとしてどういうふうなことを考えているのか。
  373. 塩田章

    ○塩田政府委員 先ほど来申し上げておりますように、核の脅威につきましては、アメリカの抑止力に依存するということでございまして、自衛隊としては、核を持つことももちろん考えておりませんし、先生のおっしゃいますような特段のことをいまやっているわけではございません。
  374. 神田厚

    ○神田委員 防衛庁長官もそのとおりでございますか。
  375. 大村襄治

    ○大村国務大臣 そのとおりであります。
  376. 神田厚

    ○神田委員 そうしますと、アメリカの核の抑止力の問題でありますが、現在米ソの核のバランスが非常に崩れてきているということが指摘をされている。そういう中で、アメリカの核の抑止力によって日本として完全にカバーをしてもらえるというふうにお考えでありますか。
  377. 塩田章

    ○塩田政府委員 あくまでもアメリカの抑止力に依存するということでございます。
  378. 神田厚

    ○神田委員 長官はどうですか。私は、米ソの核のバランスが崩れてきているから、アメリカの核の抑止力に頼り切れないところが出てきているのじゃないかということを言っているわけでありますが、その辺はどうでございますか。
  379. 大村襄治

    ○大村国務大臣 政府委員が答弁したとおりでございますが、その前提としての認識でございますが、かつて圧倒的な力を持っておりましたアメリカの核の力が、最近のソ連の増強によって非常に近づいてきている、このままでほうっておけば追い抜くかもしれないということで、ここ数年来、アメリカが西側諸国とも協力してその辺の増強に努めておりますので、必ずしもソ連が現在優位に立っているというふうには私、考えてはおらないわけでございます。ただ、その努力を怠った場合には、逆に引き離される可能性もあった、少なくともあったというのが現在における認識でございます。
  380. 神田厚

    ○神田委員 この問題は、突き詰めていきますと、極東ソ連軍の勢力の問題、さらにはソ連とアメリカの核戦略の問題等につきましての論議をしていかないと結論が出ない問題でありますが、いまのお話でありますと、当面いわゆるアメリカの核の抑止力に頼っていくんだというような御答弁だというふうに理解をして次に進んでいきたいと思います。  ずっと「防衛計画の大綱」の問題についてやっておりますが、この「防衛計画の大綱」の達成の見通しにつきまして、先ほども質問がございましたが、これは現在どこまで達成されているのか。つまり三自衛隊それぞれについていいますと、おおむね何%ぐらいの達成になっているというふうに御理解でございますか。
  381. 塩田章

    ○塩田政府委員 現在の状況をパーセントであらわすことはなかなかむずかしい面もあるわけですが、一応御説明を申し上げてみますと、陸上自衛隊について申し上げますと、昭和五十五年度において機甲師団が一個できます。それから混成団も四国にできまして、十二個師団、二混成団、一機械化師団という基幹部隊の編成は一応終わることになります。したがいまして、あとは自衛官の充足率でありますとか、装備の更新、近代化でありますとか、そういうようなことに今後とも努めて  いく必要があるということになります。  海上自衛隊について申し上げますと、大綱の別表において基幹部隊として対潜水上艦艇部隊、四個護衛隊群、それから地方隊としまして十個隊、潜水艦部隊六個隊、陸上対潜機部隊十六個隊というのを整備することとしておりますが、対潜水上艦艇一個隊を除きまして、現在大綱別表に定める規模には達しております。主要装備の艦艇、航空機につきましては、五十五年度末で大綱別表の規模を下回っておりますが、パーセントで言いますと、艦艇は約九〇%、作戦用航空機は約八五%。またさらに今後そういった主要装備につきまして減耗が予想されますので、今後とも引き続き装備の更新、近代化が必要であろうと思います。  航空自衛隊について申し上げますと、基幹部隊としましては、要撃戦闘機部隊十個飛行隊、支援戦闘機部隊三個飛行隊、地対空誘導弾部隊六個高射群、これは整備できておりますが、未整備の警戒飛行部隊、例のE2Cの部隊でございますが、これがまだ別表の線に達しておりません。作戦用航空機の数について申し上げますと、五十五年度末では大綱の別表に定めております規模を下回っておりまして、現在約九〇%、こういう状況でございます。
  382. 神田厚

    ○神田委員 そうしますと、質問を変えまして、次の五六中業見積もりで達成できるのか、いつごろ達成されるかというような問題ですけれども、それはどうでございますか。
  383. 塩田章

    ○塩田政府委員 これは五六中業に入ってみないとわかりませんけれども、五六中業の作業に入りまして、その辺をにらみながら作業してみたいと思いますが、いまの段階で、五六中業の完成時点で達するであろう、あるいは達しないであろうとちょっとまだ申し上げかねる状況でございます。     〔委員長退席、愛野委員長代理着席〕
  384. 神田厚

    ○神田委員 いずれにしろ、五六中業の段階で達成できないまでも、達成に近い形のものは、そういうふうな姿になるというふうに理解してよろしゅうございますね。
  385. 塩田章

    ○塩田政府委員 まず、基幹部隊等の編成は現在でも数的には大体達しておりますので、規模的なものは、断言はできませんけれども、ある程度達成はできるだろう。問題は質的な中身の装備の更新、近代化の問題、そういうことを考えます場合に、いまのところ達成できるとも申し上げかねる、こういうような気持ちでございます。
  386. 神田厚

    ○神田委員 それでは五六中業でもはっきりしないということですが、そうしますと、これは達成までどのくらいの経費が必要だというふうに考えますか。これもなかなかむずかしいのでしょうけれども、やはり防衛計画大綱の問題は、主として抽象的な表現に具体性をつけていくわけでありますから、これはどこかできちんとある程度ここでこういうふうにするんだということでなければ、どこまでいったって達成できないんだ。幾らでも達成できない状況というのはあるわけだけれども、しかしながら、やはり防衛庁としては、大体このくらいのところでこうするんだというものをある程度持ってもらわないと、これは論議にならないのですがね。
  387. 塩田章

    ○塩田政府委員 五三中業で、主要装備品につきまして五年間で二兆七千ないし二兆八千億ということを申し上げておるわけです。それが五六中業の時点でどうなりますか、五六の作業に入ってみないともちろんわかりませんが、それから類推して、それをどの程度かとにかく上回る数というようなことになるのではなかろうかと思います。ちょっといま数字を申し上げられるような段階ではございません。
  388. 神田厚

    ○神田委員 なかなか答えにくいことではありましょうが、そうしますと、大体経費もはっきりわからないということになりますが、大体のことは、枠組みとしてはGNP一%以内でこれを達成するというような考え方になりますか。
  389. 塩田章

    ○塩田政府委員 この点も、五三中業につきましては五十九年度に一%に近づくであろうという見込みの作業をした、こう申し上げましたが、五六中業につきまして、大分先のことでございますし、GNPの変動ということもいまから予測つきませんし、それから整備の方もまだ計画に入っておりませんので、その点も何とも申し上げにくい段階でございます。
  390. 神田厚

    ○神田委員 こういうふうな話ですと、ちょっと抽象的で余り進まないですね。だから、やはりどの程度のどういうふうなことをどうするんだという、もう少し大体の具体的な枠組みを示していかなければならないんじゃないかと思うんですがね。  一%内で可能かどうかという問題も、これ自身非常にむずかしい問題でありますから、それにつきまして、現在の段階で答えられないということであるようでありますが、その辺のところは、われわれとしましても、防衛庁自身の非常に早い時期での計画性というものを期待したいというふうに考えておる次第であります。  この問題につきましては、どうですか、長官の方はどういうふうに考えていますか。
  391. 大村襄治

    ○大村国務大臣 委員のただいまお尋ねの点でございますが、防衛庁といたしましては、現在の「防衛計画の大綱」の線を可及的速やかに実現したいと思って努力しているわけでございます。その範囲内における現在の中業でございますが、五十五年度から始まったばかりでございまして、二年目の五十六年度の概算要求をいま私どもしているわけでございます。それがどういうふうな落ちつきぐあいを見るか、またその後のGNP、これも将来の問題でございますので、いろいろな幅があり得ると思うのでございますが、そういったものを彼此勘案しながら、現在の中業が進むまでの間においてできるだけ一%の水準に近づいていくであろう、また近づけていきたい、そういう考え方を持っているわけでございます。
  392. 神田厚

    ○神田委員 時間も余りなくなってきましたので、次の問題へ移ります。  先ほどから潜在的脅威の問題につきましていろいろ御質問申し上げておりましたが、われわれは潜在的脅威というのは便宜的に使っているのです。もともと基本的な考え方としては、脅威に潜在的も顕在的もないという考え方を持っておりますが、防衛庁は特にこの潜在的脅威ということと顕在的脅威ということを分けて使っておりますけれども、こういう使い分けはいわゆる日本だけではないかというふうにわれわれ思っておりますし、脅威というのは、潜在的と顕在的とこの二種類あるのかどうか、ちょっと教えてください。
  393. 塩田章

    ○塩田政府委員 何回も申し上げておりますけれども、もともと脅威は侵略し得る能力と意図、それにそのときの国際環境、そういったものが結びついて顕在化するものであるというふうに考えているわけでございますが、そういった意味で、わが国に対する差し迫った脅威が現在あるとは考えていない、そういう意味で潜在的脅威と申し上げているわけでございますが、意図というものは、御承知のように変化しやすいわけであります。また国際環境は常に先行きが不確定要素を含んだものであります。防衛を考えます場合には、周辺諸国の軍事能力、これを私どもいわゆる潜在的脅威と言っているわけでございますが、この周辺諸国の軍事能力については配慮していく必要があるということを申し上げているわけであります。
  394. 神田厚

    ○神田委員 顕在的脅威というのは具体的にあるのですか。
  395. 塩田章

    ○塩田政府委員 脅威が顕在化したという場合は、いわゆる有事の場合ではないかと思います。
  396. 神田厚

    ○神田委員 そうしますと、顕在的脅威ということはないんですね。つまり、そのときは有事だ、そういう解釈でよろしゅうございますか。
  397. 塩田章

    ○塩田政府委員 言葉の使い方でございますけれども、直ちにイコール有事というような意味でも必ずしもないと思いますので、有事ないしは有事に近い状態ということに、顕在的脅威ということになれば、そういうことになるのではなかろうかと思います。私どもは、潜在的脅威ということで軍事能力のことを使っておりまして、顕在的脅威ということは、そういう意味では使っていないわけでございますが、強いて言えば、有事とか有事に近い状態、そういうことではなかろうかと思います。
  398. 神田厚

    ○神田委員 一つはっきりしましたことは、顕在的な脅威ということはないということですね。その場合は有事だ、あるいは有事に近い状態だ、こういうことでありますれば、潜在的脅威というものに対する警戒心というものをもっときちんと持たせなければだめだ。潜在的脅威というと脅威が潜在化しているから、これはまだまだ大丈夫なんだろうということでありますけれども、そうじゃないのですね。つまり脅威というのは、潜在的も顕在的もないということですね、能力と意図との問題でありますから。つまり能力やあるいは意図をどういうふうに察知するかによって、脅威の判断をするわけでありまして、脅威には潜在とか顕在とかはなくて、脅威しかないというふうな判断を、われわれは前々からそういうふうな話をしようと思っているのですが、どうも防衛庁の方が潜在的だという言い方をしてしまうものですから。われわれとしては潜在も顕在もないのだ、脅威は脅威だというように判断しますが、どうですか。
  399. 塩田章

    ○塩田政府委員 言葉の使い方の問題かもしれませんが、私どもがあえて潜在的脅威と申し上げておるのは、脅威といった場合には、何度も申し上げますように、意図が加わった状態として言葉としては考えられるわけです。そうしますと、意図というのは要するにわからないわけでございますから、私どもが客観的にながめます場合には、意図はわかりませんので、軍事的能力のことを注目して潜在的脅威というふうに言っておるわけでございます。
  400. 神田厚

    ○神田委員 脅威の論争はまたもう少し後でさせてもらいまして、時間もほぼありませんので、北方領土の基地の問題につきまして二、三御質問させていただきます。  現在、北方領土の、いわゆる日本の固有の四島における基地化というものはどういうふうになっておるのか。
  401. 岡崎久彦

    ○岡崎政府委員 北方四島の基地化の状況につきましては、昨年来択捉、国後、色丹の三島において一個師団規模に近づきつつある兵力というふうに考えておりまして、その後も建設あるいは頻繁な連絡等もあるようでございますけれども、現在の推定では、一個師団にほぼ近い兵力が展開されているというふうに考えております。
  402. 神田厚

    ○神田委員 一個師団の規模の兵力というのは、装備その他はどういうふうになっておりますか。
  403. 岡崎久彦

    ○岡崎政府委員 通常の師団の装備の中で、まだ展開されていないと考えられますものもございますし、特にフロッグミサイルでございますが、これはいまだ配備されていないと考えております。  他方、師団規模以上の百三十ミリ砲でありますとか、あるいはヘリコプター、ミル24のようなものも配備されております。
  404. 神田厚

    ○神田委員 われわれが資料で見るところによりますと、ソ連軍の一個自動車化狙撃師団の主要装備は、T62中戦車百八十八両、水陸両用軽戦車二十三両、装甲兵員輸送車二百九十七両、装甲偵察車十二両、対戦車ミサイル二百三十八基、百二十二ミリ砲五十四門、百五十五ミリりゅう弾砲十八門、自走高射機関砲四十門、五十七ミリ高射砲二十四門、SA7地対空ミサイル五十七基、こういうような兵力を持つと言われておりますけれども、北方領土におけるいわゆるソ連軍も、こういう程度の装備を持っているというふうに判断してよろしゅうございますか。
  405. 岡崎久彦

    ○岡崎政府委員 詳細の数字は申し上げられませんが、持っております装備の種類から申しまして、現在のところ欠如しておりますのはフロッグ地対地ミサイルであると思っております。その他戦車、歩兵戦闘車、装甲兵員輸送車あるいは砲、火砲、自走高射砲、地対空ミサイル、そのようなものは大体そろっていると考えております。
  406. 神田厚

    ○神田委員 そうすると、これはソ連の正規の一個自動車化狙撃師団の主要装備をほとんど持っているというふうに判断をしていいと思うのですね。SA7の地対空ミサイルの五十七基、これは数量はどのぐらいというふうに防衛庁の方で確認はされているのだろうけれども、発表はしませんけれども、ほぼ完全な一個師団が北方領土に配備をされている。防衛庁としては、これに対して、この配備されている軍隊の性格その他についてはどういうふうに判断をしておりますか。
  407. 岡崎久彦

    ○岡崎政府委員 先ほど師団規模に近いと申し上げましたけれども、これは実は島嶼配備の特殊編成だろうと考えております。したがいまして、戦車、火砲の数が平野部における通常の師団ほどの数がそろっているとはわれわれ考えておりません。ただそのかわり、通常軍団配備であります百三十ミリ砲でありますとか、軍管区配備であります武装ヘリとか、そういうものが配備されている一種の特殊な編成であるというふうにわれわれは考えております。  性格でございますが、これは従来より申しておりますとおりに、これは攻撃的であるとかあるいは防備的であるとかということは、その時と場合によってどのようにでも変われるものでありまして、いま断定することはできないというのがわれ.われの考え方でございます。
  408. 神田厚

    ○神田委員 それではどういう意図をもってこういう配備がされているというふうに判断をしておりますか。
  409. 岡崎久彦

    ○岡崎政府委員 意図と申しますものは、これは推定のほかはないのでございますけれども、まずわれわれが考えますことは、最近ソ連が械東シベリアを重要視しているということでございます。それからまたSLBMの射程が伸びた結果、オホーツク海の戦略的価値が増加した、それからインド洋方面の重要性が増加するにつれまして、インド洋を管轄に持っておりますソ連太平洋艦隊の重要性が増加した、あるいはその他国際情勢に対する配慮もあるのではないか、そういうふうに考えております。
  410. 神田厚

    ○神田委員 北方領土のこれだけのソ連軍の戦力というのは、日本の自衛隊の師団の戦力と比較をすると大変な勢力になりますね。日本の自衛隊の場合には、たとえば六一式戦車は二十二両しかない、あるいは七四式戦車十一両、六〇式装甲車十一両、百二十五ミリりゅう弾砲十二門。言ってみれば、外国の師団においては二千人の連隊か三、四千人の旅団規模の装備しか持たない、こういうふうに言われている。北方領土にいる一個師団のソ連軍の戦力というのは優にわが国の陸上自衛隊の三個師団の戦力に匹敵する、こういうふうな判断もわれわれとしてはせざるを得ないというふうに考えているわけでありますが、その辺につきましてはどういうふうにお考えでありますか。
  411. 岡崎久彦

    ○岡崎政府委員 将来北方領土の師団がどの程度まで充足されるかわれわれわからないのでございますけれども、現在では島嶼配備を目的とした特殊編成でございまして、平野における戦闘力から考えますと、先生がいま御指摘になりましたようなソ連の通常の一個師団、その戦闘力よりもやや劣る性質のものであろうと思っております。  日本の師団との比較につきましては、防衛局長から御答弁いたします。
  412. 塩田章

    ○塩田政府委員 日本の師団の場合、御承知のように九千師団と七千師団がございますが、戦車について申し上げますと、いま先生数量を言われましたが、一般的には四十両ないし五十両、火砲約四十門というような状況でございまして、諸外国の一流師団に比べまして、そういう意味でかなり何といいますか、能力が不足しておるという状況であることは否めないと思います。
  413. 神田厚

    ○神田委員 そうしますと、北方四島に配備されているソ連軍の兵力というのは、日本にとって、戦力の能力とそれから意図はちょっとまだ不明なところがあるけれども、日本の領土に、北方領土に配備をされていることも含めまして、先ほどの話でありませんけれども、一種の脅威というふうに判断をせざるを得ないと思いますが、その辺はどうですか。
  414. 塩田章

    ○塩田政府委員 先ほどから申し上げておりますように、脅威ということになりますと意図が入った言葉でございまして、意図は私どもはわからないし、むしろ外交的には友好関係を続けていきたいわけでございますから、そういうことは別にしまして、私どもは、やはり軍車的能力に着目して、潜在的脅威であるというふうに認識しているわけでございます。
  415. 神田厚

    ○神田委員 そうすると、先ほどの話じゃありませんが、潜在的脅威が増大をしているというふうなことですね。
  416. 塩田章

    ○塩田政府委員 それはそのように理解しているわけでございます。
  417. 神田厚

    ○神田委員 それから、もう一つ大事な問題は、水晶島にトンネルが掘られて、この水晶島が恒久基地化しようとしているというような新聞報道があったわけです。これにつきましては、その後、防衛庁としましては確認をしたのか、あるいは確認をする必要がないということで確認をしなかったのか、確認ができないのか、それとも何かほかに考えがございますか。
  418. 岡崎久彦

    ○岡崎政府委員 水晶島には従来からソ連国境警備隊が配備されておりまして、正規軍が配備されて、その基地化が進められるということではございません。回帰の施設はソ連の国境警備隊用のものと考えられます。したがって、基地と申しましても、これは国境警備隊の基地でございます。実は、トンネルというものでございますけれども、これは最近建設されたものではございませんけれども、何らかの穴らしいものが存在していることは承知しております。ただ、それがトンネルであるかどうか、それについて目的や内容等について解明すべく努力しておりますけれども、何分小さなものでございますので、適切な確認手段がなくて、苦慮している事情でございます。  ヘリポートにつきましては、昨年の夏にもうそういう機能を果たし得ると思われる施設があるということを確認しております。
  419. 神田厚

    ○神田委員 こういうふうに防衛庁が確認をしたときには、もうすでに違うところを、また今度違う配備をされているというようなことで、何か話したくないのかどうか知りませんけれども、どうも北方領土についての情報国民に知らせるのが非常に遅いですね。われわれは飛行場の滑走路の問題を初めとしまして、ずっと最初から、北方領土が強化されるから何とかされないようにこれをしなければだめだという話をしていたのでありますけれども、なかなか本気になってやってくれないことは非常に残念であります。いま私が指摘をしましたように、すでにいまの段階で、この北方領土四島にありますソ連の戦力は、優に北海道自衛隊の三個師団に匹敵するような戦力になりつつあるということを考えますと、ひとつやはりこの辺で北海道にある自衛隊のいわゆる師団の装備の強化の問題その他につきまして、これも早急に手を打っていかなければならない問題になってくるだろうと思っております。その辺につきまして、最後に防衛庁長官から御答弁をいただきたいと思います。
  420. 大村襄治

    ○大村国務大臣 御承知のとおり、北海道には現在四個師団が陸上自衛隊としては配備されておりますが、その装備の強化につきましては、自衛隊としましても鋭意努力中でございまして、その線に沿いまして五十六年度の概算要求も行っているところでございます。  詳細の点につきましては、必要があれば政府委員をして答弁させます。
  421. 塩田章

    ○塩田政府委員 五十六年度のみならず従前も、新しい装備、七四式戦車でございますとか新しい装備が入った場合には、北部方面隊から先に重点的に装備しておるというようなことは従前かち努めてまいったわけでございますが、五十六年度におきましても、そういうことは当然考えていきたい。  北部方面隊の強化といいましても、具体的に陸上自衛隊の場合、人員の増加ということはいまのところ考えておりませんわけですが、来年度五十六年度におきまして、八六%という充足率を八六・四まで上げていただくようにお願いしたいと思っておりますが、もしそれが認めていただければ、全部北部方面隊にその人数は投入したいというふうに考えております。  そのほか、短SAMとか携帯SAMとか、そういった新しいものを導入いたしました場合も、まず北部方面隊から、あるいは航空自衛隊につきましても、千歳の基地から先に掩体を設けるとか、あるいは短SAMを北の方の部隊から先に配備する、そういうようなことにつきましては五十六年度においても配慮をいたしておりますし、今後ともそういう配慮はしていきたいというふうに考えております。
  422. 神田厚

    ○神田委員 そのほか、日米安保の中でスイング問題、それからRDF、緊急展開部隊の問題、それから米軍の有事来援態勢の問題、中期業務計画、それから奇襲対処、それから自衛隊の具体的な欠陥の指摘の問題等につきまして通告をしておきましたが、時間の関係でできませんでしたので、次回に譲らしていただきたいと思います。  ありがとうございました。
  423. 愛野興一郎

    ○愛野委員長代理 上田卓三君。
  424. 上田卓三

    ○上田(卓)委員 防衛庁が出しておられます防衛白書の中身について、まず数点にわたりましてお尋ね申し上げたい、このように思います。  まず、この第一部の第二項で述べておりますように、「米ソの軍事バランスと西側の対応努力」というところで、「一九六〇年代以降における軍事力の増強によってソ連は」云々ということで、「今や、同時多正面における作戦能力を備えつつある」と述べられておるわけでございます。これにつきまして、何を根拠にソ連の軍事力が同時多正面作戦能力を備えつつあると言われておるのか、その点についてひとつ御説明願いたい、このように思います。
  425. 岡崎久彦

    ○岡崎政府委員 一九六〇年代以降におきます軍事力の増強によりまして、ソ連は核戦力や欧州及び極東地域における軍事体制におきまして米国に対抗し得るようになったと判断されるのみならず、昨年十二月のアフガニスタン軍事介入は、NATO正面や極東ソ連からの兵力を転用することなく作戦を遂行したと見られること、さらに海空軍の増強によって、海空交通路に対する攻撃力を高めていることなどから判断いたしまして、幾つかの正面においてそれぞれに作戦し得る能力を備えつつあると判断したものであります。
  426. 上田卓三

    ○上田(卓)委員 最近のアフガンとの関係だけで、あるいは最近のソ連の核兵器の開発というようなことだけで、ソ連が多正面で、まあたとえばNATO諸国あるいはアラブ諸国あるいは極東というような形で、多正面という以上は一カ所じゃないと思うのです。それを同時にやれるという能力、いまの参事官の答弁だけで私は納得できないのですが、もっと詳しく説明を願わなきゃならぬと思うのですが、どうですか。
  427. 岡崎久彦

    ○岡崎政府委員 実はこの判断は、われわれもアフガニスタンの作戦を見ておりまして、多正面から転用しなくてあれだけの作戦を遂行し得るということを発見したわけでございますけれども、実は、米国の国防報告でございますが、昨年の一月に発行された国防報告までは、ソ連は二正面作戦というのは、やはり余り好まないのではないかという判断をしておりました。ところが、ことしの一月のから――これは日本語でございますが、「ソ連は世界の幾つかの地域で同時に作戦することができるようになったという可能性をもはや否定できなくなった」というふうに記述してございます。アメリカの判断も日本の判断も大体同じである、そういうふうに考えられます。
  428. 上田卓三

    ○上田(卓)委員 アメリカの判断もそうであるし、日本の判断もそうである。そのアメリカの判断が、それが正しいかどうか、あるいはまたアメリカがどうあろうと日本の判断が正しいのかどうか、こういう点で、そういう多面的な戦争が起これば、それはまあ当然そういうことになってくるだろうということはわかるわけですけれども、いまのこの時点で、なぜそういうことを言うのかという点がよくわからないのと、それから当然中ソのそういう関係もあって、その中ソの国境地帯に相当のソ連の軍隊がくぎづけになっているということもこれまた事実であろうと思うし、さりとて、そういうNATO諸国との関係においても、それじゃNATO軍といいますか、その中でのそういうソ連軍というものがすぐ移動するというような形になるのかどうかということで、私はそういう意味で、アフガン事件の際に見せたソ連のそういう一つの軍事的な措置について、あなたのおっしゃる面だけではちょっと理解しかねるわけでありまして、そういう点で、そういう判断になったところの基礎資料というものがあるのではないかというように私は思うのですが、それは公開できますか。そういう資料があっておっしゃっているのですか。
  429. 岡崎久彦

    ○岡崎政府委員 結局、資料と申しますのは、ソ連の全師団数あるいは全航空機の数、それを軍管区別にいかなる形でもって配備しているか、これをその地域における軍事バランスから見まして、他からの増援を求めないで派遣できるかどうかということでございます。ですから、資料となりますと、結局はソ連の軍事力の見積もりでございます。それについては大ざっぱな数字は、大ざっぱと申しますよりも、大要は白書等に発表してございます。
  430. 上田卓三

    ○上田(卓)委員 ソ連が急速に多正面作戦が可能になった、こういうことについて私自身は、それはそうなったのか、あるいはそうなってないのか、その点は私自身も専門家でもないし、そういう判断をする資料も持ってないわけでありまして、そういう意味で、いまの防衛庁のそういう考え方、あるいは防衛白書の中で述べられているこの点についての一つの資料というものをぜひとも私たちに提示をしてもらいたい、このように思いますので、現在防衛庁のその根拠になるところの資料というものをすべて提示していただけますか。その点どうですか。
  431. 岡崎久彦

    ○岡崎政府委員 ソ連の陸海空のおおよその数字につきましては、われわれは公表できる資料は用意したものがございます。それを……。
  432. 上田卓三

    ○上田(卓)委員 後日で結構ですから、そういう資料を出していただけますか。
  433. 岡崎久彦

    ○岡崎政府委員 はい、差し上げます。
  434. 上田卓三

    ○上田(卓)委員 それでは次へ進みたいと思うのですが、米ソの軍事バランスの評価については、私ははっきり申し上げて、アメリカにおいても相当議論のあるところではないか、こういうように思っておるわけです。特にたとえば一九八一年度のアメリカのいわゆる国防報告ではこのように述べておるのです。「戦略核戦力ではソ連は十五年前の大幅な数量的劣勢から現在の均衡状態まで到達した」云々と、そして「われわれが適切な計画でもって応じなければ、潜在的には戦略面で優位に立てる力を持つに至った」と、いわゆるソ連の優位論を展開をしておるわけでございます。ところが逆に、国防情報センターとかあるいはアメリカの議会の調査局の報告では、ソ連の脅威論は過大評価というような、そういう報告がなされておるようでございますが、そういう事実を御存じであるのか、そうしてそれに対してどのようにお考えになっているのか説明してもらいたい、このように思います。     〔愛野委員長代理退席、委員長着席〕
  435. 岡崎久彦

    ○岡崎政府委員 ソ連と米国の核戦略の比較につきましては、これは現在大統領選で選挙イシューになっているぐらいでございまして、むしろ共和党などに言わせますと、もうアメリカは負けてしまったので、それに対してその差を縮めるのがアメリカの政策でなければいけないというふうに書いてございます。他方、民主党の方は、いや、そういうことはない、まだアメリカは優位であるし、アメリカが余り劣勢であると言うことは、かえって同盟国に対する信頼度を弱める、これは事実の問題と別にしまして政策の問題でございますけれども、そういうことを言っておりました。  ただ、一番核心になっておりますソ連のICBMの命中精度につきましては、ことしの国防白書からことしの夏まで、八カ月か九カ月のうちにアメリカの表現もだんだん変わりまして、ソ連の命中精度はかなり高くなってきている、これは放置しておくとますます危なくなる状態だということを、最近はかなり強い表現で言っているようでございます。たとえば八月二十日のブラウン長官の演説だと思いますけれども、これはもうソ連は恐らくアメリカの地上のICBMを破壊できる能力をすでに獲得したか、あるいは非常にそれに近い状態にあるだろうということを言っておりますし、それから前後の記者会見でも、これはアメリカが努力しないとソ連の脅迫に屈するような時代が来るかもしれない、そういうような表現を使っております。  ただ、全体としてわれわれ考えますのは、いまだ全体の力としてはアメリカが優位である。ただ、アメリカと同盟国が共同してこれから防衛力強化に努力しないと、西側の優位は脅かされるような時代が来るかもしれないというのがわれわれの認識でございます。
  436. 上田卓三

    ○上田(卓)委員 参事官自身がお認めのように、アメリカの中にもいろいろソ連の軍事力について非常に過大に評価する、そういう考え方もあれば、それほどでもないという意見もあれば、全然そういうことは当たらないというような意見もあるわけで、特にそれはアメリカの議会あたりでもそういう議論がなされておるだろうし、当然いま闘われているそういう大統領選挙でも大きな論点になっているのではないかと私は思うのですけれども、最近のそういう防衛論議を聞いておりますと、防衛庁の方々だけじゃない、自民党の方々もそうでありますが、何か防衛庁が軍事力を増強する、防衛予算をふやすために、ことさらソ連の脅威論というものを強調する。そのために、それを裏づけるような資料、あるいはデータというのですか、またアメリカにおいてのそういう偏った意見を非常に参考にされておるのではないか、われわれはこのように考えざるを得ないわけであります。特に防衛白書にはそういうところが、あなた方にとっていいところどりというか、そういうような感がしないでもないわけでありまして、それについてひとつ長官の方から、あなた方がいまソ連の脅威、潜在的脅威というような形で表現されているものが、果たして本当に間違っていないと考えておるのかどうか、その点についてお聞かせいただきたい、このように思います。
  437. 大村襄治

    ○大村国務大臣 ただいまのお尋ねの点でございますが、私どもは、あくまで客観的な事実に基づいて、七〇年代に入ってからの急速なソ連の世界的な陸海空軍事力の増強ぶり、またそのうち陸海空で多少の差はございますが、四分の一ないし三分の一を極東地域に配備している、そういう事実からいたしまして、潜在的脅威が増大していると判断しているわけでございまして、それをオーバーに脚色するとか過大に宣伝するとか、そういう気持ちは毛頭持っておらないわけでございます。  それから、先ほど委員がお尋ねになっておりました多方面の能力の点でございますが、アフガニスタンへの侵攻の際に、他の地域から大きな兵力を移動せずに、あれだけのものを迅速に展開できる能力を備えているということは事実でございますが、さらにそのほかに、海空軍の増強によって、海空交通路に対する攻撃力を高める、これは従来ソ連には見られなかった点ではないか。ソ連はどちらかといいますと陸軍国でございまして、海空の方は比較的手薄であったわけでございますが、最近急速に質、量ともに増強しまして、相当広範囲にわたって攻撃力を高めているということも事実ではないか。私はそういう意味で多方面に対する能力を備えつつあるというふうに考えている次第でございます。
  438. 上田卓三

    ○上田(卓)委員 きょうも外務省の方もお見えだと思うのですけれども、たとえば去る二十二日に、外務省の安全保障政策企画委員会が発表された第一ラウンドの骨子、ここにまとめがあるわけでございますが、当然ここでは外務省としての公式見解といった性格のものではないことを念のために断っておく、こういうことで公式見解ではないということはわかりますけれども、やはり外務省の中心メンバーが一定の考え方としてまとめたものとして私は注目しておるわけでございますが、その中では、「アメリカがもはや以前の如く対ソ圧倒的優位に立っていないにしても、米ソの軍事力を量・質の両面から検討すれば、アメリカは、依然として軍事的に対ソ優位を保持しており、最近のアメリカの軍事努力を考慮に入れれば、かかるアメリカの優位は一九八〇年代においても引続き維持されるとみられる。」こういうふうになっておるわけでございまして、防衛庁の言うような対ソ脅威論というのですか、潜在的脅威論というものと矛盾をするというように私は思っておるわけでありますが、その点について、先ほどもちょっと述べられたと思うのですけれども、もう少し明確にお答えをいただきたい、このように思います。
  439. 岡崎久彦

    ○岡崎政府委員 米ソの軍事バランスというものを考えますときに、単なる勢力的比較だけで本当に戦力が出るかどうか、これはいろいろな要素がございます。プラスの要素もございますし、マイナスの要素もございます。西側にとって不利な要素と申しますと、東西の全面戦争の場合、局地戦争でもそうかもしれませんが、やはり東からの奇襲によって始まる。しかも最近の兵器の命中精度が非常に高いものでございますから、最初の戦争における西側の損害がかなり大きいのではないか。その余裕を見なければいけない。しかも、昔のように総力戦で、もう一度戦争している間に船を新たにつくり出してそれで間に合うというような時間が、国力を戦力に転化する余裕のないような戦争になる可能性がある。そういうことも考えなければいけない。それが西側の弱みでございまして、東側の弱みは、従来から言われておることでございますけれども、頼りになるべき同盟国が少ないとか、経済的基盤が弱いとかいう問題はいろいろございます。ただわれわれとして、そういうのを全部比べて、いま若干アメリカが強いから安心だ、防衛努力をしなくていいとか、あるいはもうソ連に負けそうだ、それほどソ連が強いならば、いまさら努力しても始まらないとか、そういうことではないのでございまして、結局われわれが一番危機であるとか心配であると思っておりますのは、かつてキューバ危機のころには、アメリカとソ連の力というものは全く大人と子供の力だったわけでございます。ソ連の核兵器というものは、液体注入で十時間もかかるようなミサイルが七十本ございまして、アメリカが先制攻撃すれば相当部分は破壊できてしまった。アメリカのミサイルの方は全く無敵でございます。したがいまして、六〇年代の初めにおきましては、たとえばソ連を幾ら自由にさせても、結局最後にはアメリカが勝ってしまう。それぐらいの悠々たる力を持っていたわけでございます。最近になりますと、その力の差が非常に狭くなってまいりまして、たとえ話で恐縮でございますけれども、かつて横綱と幕下であったとすると、最近は横綱と関脇であるとか、横綱と大関であるとか、非常に際どくなってまいりまして、これはちょっといろいろな条件を設定すると、やってみないとわからないくらいの厳しい条件になってきました。といって、どちらが強いかといえば、横綱が強いことは明らかなんでございますけれども、そこまで差が狭まったということ自身を危機と考えております。したがいまして、危機がこれだけ――また二度と横綱と幕下のように差が開くという時期が来ることが将来見通されないということになりますと、いろいろ計算いたしますと、八五年ごろに米ソの戦力バランスが一番悪いという数字がよく出てくるのでございまして、それもそれぞれいろいろ理由はあるのでございますけれども、むしろある時期において若干差が狭まったとか広がったとかそういうことでございませんで、八〇年から先を通じまして、かなり長期にわたりまして米ソの関係が非常に際どい状況にある、そういう状況が続いている、そういうふうに考えております。
  440. 上田卓三

    ○上田(卓)委員 ソ連の軍事力が強化されて、いまはまだアメリカの軍事力の方が優位であるとはいうものの非常に肉迫してきている、恐らくこういうような表現だろうと思うのですが、そのことについても、その度合いについても、やはり軍事専門家の中にもいろいろ議論があるわけでしょう。だから、防衛論議というのはアメリカでも行われているわけで、そういう一般論を述べるだけじゃなしに、いわゆるソ連軍の増強というものとの関係でどうアメリカが防衛計画を練るかとかあるいは西側がどうなるかということの中で、そこに色合いが出てきておるのではないかというように私は思うのです。そういう中でわが国のとっている、防衛庁が考えているソ連軍に対するそういう考え方が、アメリカの中で議論になっている過大なそういう評価と結びついておるというところに大きな問題があるのではないか、私はこういうように考えて申し上げておるわけでありまして、そういう意味で、先ほど申し上げたように、外務省の安全保障政策企画委員会が第一ラウンドの骨子として出しているそういう一定の評価というものと、いま防衛庁が言うあるいは防衛白書に書かれておるものとには大きな違いがあるのではないか、こういうことで矛盾しているということを申し上げておるわけでございます。  また、先ほど長官の、ソ連の多正面作戦、そういう能力が出てきたということについても、これは参事官に対しても私、申し上げたように、アフガンにおけるところのそういうソ連軍の一つの行動を一定のデータを持って言われているのだろうと思うのですけれども、それだけで何か非常に急速にソ連がどの方面でも同時に戦争が可能なんだというような形で即論ずるというのですか、結論づけてしまうのはいかがなものだろうかということで、その点については長官がおっしゃっておるのですけれども、私は同意できないわけでございます。  それで、さらに続けて御質問を申し上げたいわけでありますが、特に防衛白書の第一部の第四項にはこのように述べておるのですね。極東のソ連軍の増強と活動のいわゆる活発化は云々「わが国の安全保障に対しても潜在的脅威の増大である」こういうように述べられておるわけでありまして、いままで、去年までの防衛自害では、このソ連の「潜在的脅威」という言葉というのですか、文字というものは見られなかったように私は思っておるわけです。午後の上原委員の質問の中では、国会答弁の中ではそういうことは言ってきたんだということを長官おっしゃっておったと思うのですけれども、しかしながら、防衛白書とかそういうある程度公式――国会発言も公式には違いないわけですけれども、活字として余りそういうものが見られなかったにもかかわらず、いわんや防衛白書でいままで出てなかったことが急に、アフガン事件があったとはいうものの、それだけで急にこういう言葉が出てきたということはうなずけないのですが、その点についてどのようにお考えですか。
  441. 岡崎久彦

    ○岡崎政府委員 御指摘のとおり、防衛白書におきまして「潜在的脅威の増大」というような表現が出てまいりましたのは、私の承知しておる限りではことしが初めてだと思います。ただ、これはやはりおのずから客観情勢のしからしむるところではないかと思うのでありまして、ソ連の軍事力増強というのは、過去二十年間一貫して非常に大きなものがあったのでございますけれども、それが西側諸国によってその蓄積の結果がかなり重大なものになってきたということが指摘され出しましたのが七〇年代の半ばごろからでございます。特にごく最近になりまして、特に七六、七年ごろからいろいろな変化が起きてまいりました。特に戦略核の分野でSS17、18、19というような最新式のICBMがソ連に急速に大量に配備されるようになってきました。それがアメリカのICBMを脅威するようになったのが一番のもとであると思います。そういう形でもって世界的にソ連の脅威というものの認識が深まってくるようになりました。わが国といたしましても、わが方の固有の領土であります北方領土に対して地上軍が進出してきた。それから続いて世界的にショックを与えた事件といたしましては、アフガニスタンへの侵入があったということで、アメリカの国防報告とか各国の国防報告あるいは政治関係の文書を見ましても、やはりことしになってからソ連の潜在的脅威に関する認識というものが非常に深くかつ強くなってきております。わが防衛白書もおのずからそういうものを反映したものだ、そういうふうに考えます。
  442. 上田卓三

    ○上田(卓)委員 極東ソ連軍、それの潜在的脅威というものについての根拠というのですか、たとえば去年からことしにかけてどういうような変化があったかというような、そういう根拠みたいなものはあるわけですか。
  443. 岡崎久彦

    ○岡崎政府委員 いま申し上げましたように、特にここ数年間のソ連のいろいろな動きが世界的に注目を引いておるわけでありますけれども、その結果として、それが反映されてこういう表現が政府の間でも合意されるようになったということでございまして、別に去年とことしの間に大きな線があるというわけでもございませんけれども、一例をもって申し上げますれば、ソ連の太平洋艦隊が一年間で十四万トンふえたという事実がございます。実はこれは三年ほど前から急増しておりまして、十四万トンふえる前が八万トン、その前が五万トンでございました。三年間で二十七万トンという急増をしております。これは恐らく平時の一つの地方に対する配備としましては空前の数量ではないかと思います。
  444. 上田卓三

    ○上田(卓)委員 私は、少なくとも去年の防衛白書には「潜在的脅威」という表現が用いられてなくて、ことしの防衛白書に用いられているということで、一年間に極東における極端な変化がこんなにあるんだという、そういう形の位置づけならそれなりにまた議論も呼ぶんじゃないかと思うのです。私はごく短い単位でお聞きしておるわけでありまして、そういう点で一般的な意味での、たとえばそれはアメリカにおいてもわが国においてもある程度一定の防衛力、国防力というのですか、そういうものが増強されている、これはソ連においても一般論としてあるんじゃないかと私は思うが、極東におけるそういうソ連軍の軍事力の強化というものについて何かことさら非常に過大評価をする。あるいは午後にもちょっと、いわゆる北方四島でのソ連軍の軍事施設云々、一個師団前後だろうというようなことも含めて言われておるわけですが、これ自身も果たしてどこまで根拠を持って言われておるのか、本当に見てきたわけでもなかろうというように思うし、そういうものについても十分われわれは理解できない。当然中ソというような関係もあって、そういう国境地帯にはある程度の兵力が割かれておるということはわかるけれども、それが果たして日本に向いているわけでも何でもないというようなことにもなるわけでございますので、その点について、ことさらそういう意味で「潜在的脅威」というものを防衛白書の中でこの時点で入れなければならなかった、そういう根拠というものを明確にひとつ示してもらいたい、このように思うのです。
  445. 岡崎久彦

    ○岡崎政府委員 先ほど申し上げましたように、これは世界的にここ数年間の危機的な情勢について認識が深まってまいりました。それがいろいろな文書にいろいろな形であらわれてきまして、日本の防衛白書もその一環であるというふうに考えるべきだと思います。  しかし、この一年間で何が変わったかという具体的な御指摘に対しましては、やはり一年間で十四万トンの海軍艦艇が増加した。これだけをとらえましても空前のことだろうと思います。  それから、択捉、国後だけに限らず色丹島にまでソ連が地上軍を配備した、それがこの一年間の新しい出来事でございます。  それから、極東ソ連軍は中ソ国境が主とした配備であろうということは御指摘のとおりでございまして、これは防衛白書の中の図をごらんいただければ恐らくそこにも書いてあると思いますけれども、六九年のダマンスキー島事件のころまでは極東ソ連軍、これはザバイカル以東のソ連軍でございますけれども、大体十八個師団と思っておりましたのが、たった三年くらいで三十個師団にふえております。これはもう中ソ紛争を反映したものであることは明らかなんでありますけれども、その後ずっと横ばいになっておりまして、それで過去三、四年ほどまたちょっとふえております。そのふえた中には択捉、国後に対する配備も含まれておるというふうに考えております。択捉、国後に対する配備ということになりますと、これはちょっと中国向けとはとても言いがたい、これはまた新しい事態である、かように考えております。
  446. 上田卓三

    ○上田(卓)委員 ことしの一月の「防衛アンテナ」という本がございますが、いわゆる防衛庁防衛局の調査第二課の分析ということで、ソ連の太平洋艦隊が七百七十隻あるのだ。そのうち主として外洋において行動する主要水上艦艇は七十隻だ。そしてあとの残りの五百七十五隻がいわゆる小型の補助艦艇である、こういうふうに分析されておるわけですが、このことは防衛白書に載っていませんね。そういう点が一つ。  それから、もう一つついでに聞きますが、アメリカの海軍協会の編集の「極東諸国海軍の手引き」というのがあるのですが、それによりますと、一九七七年度でソ連の太平洋艦隊は五百五十隻、七十六万二千トンとなっておるわけですが、その点について、白書での資料といいますか、そういうものと大きな食い違いがあるように思うので、三年間で二百二十隻の増になるのですかね、果たして正確なそういう資料に基づいてそういう一定の判断をされているのかどうかちょっと疑わしいのですが、その点も含めてひとつお答えいただきたい、このように思います。
  447. 岡崎久彦

    ○岡崎政府委員 「防衛アンテナ」に調査二課執筆という文書が載っていることは存じております。そこに書いてありますことも、これは調査二課限りの文書でございますので、防衛庁全部の意見ということではございませんけれども、ある程度正確な内容のものでございます。  それで、いまおっしゃったとおりに、まさに御指摘いただいたことと同じことでございますけれども、御指摘のとおり、ソ連の艦艇の中には補助艦艇、これは小さな艦艇でございます。それからかなり古い船も含まれております。それで、アメリカの海軍協会のつくりました、これは私、ブレックマンの「ファーイースタンネービー」という本だと思うのですが、この数字とわれわれの数字とが違っていることもよく存じております。それからまたアメリカ政府の持っております数字とわれわれの数字とも違っております。これは実は各国ともに海軍には、周辺の海軍の船の評価につきましては伝統がございまして、それでわが国の海軍の専門家というものは、非常に緻密に広範囲に数えるという伝統がございます。これは別に最近ソ連の脅威を強調するために特にそういうことをしたわけではございませんで、ずっと長い間それをしております。これはまた継続性の意味からも、またわれわれの伝統から申しましても、やはり今後とも継続すべきものと思っております。  他方、アメリカとかそういう専門家同士はそれぞれの国に伝統がありまして、それぞれの国の数字が違うことをよく知っておりまして、またその理由がどこから来るかということもよく知っておりますので、相互の間の理解というものにそごはございません。
  448. 上田卓三

    ○上田(卓)委員 だから、私は冒頭に申し上げたように、都合のいいデータだけをかき集めて、そして一定の結論に導いているのじゃないかというのはそこなんです。だから、この「防衛アンテナ」に出ているところの資料というのは、先ほど数字を申し上げたものは、勝手に根拠のないものは載せてなかろうというようにぼくは思うわけです。  それと、これはアメリカのことをしばしば出しておるのですが、あなた方も何も向こうの言うとおりにしてないとおっしゃるかもわかりませんけれども、結果的にアメリカのある部分を代表する人たちの結論というものと、あなた方が言うておる結論はよく似ておるので、私はそういうことを言うてない人たちもあるのだということで申し上げているわけですけれども、このソ連の極東軍のそういう評価についても、たとえばアメリカの議会の図書館の調査局の報告書というのがあるわけでありますが、そこでは「米ソの軍事力バランス」という項の中で「ソ連軍の配備の状況は大急ぎで兵力を拡充する計画を全く実施していないらしいのが目につく」、こういう形で、「全く」という表現を使って、「大急ぎで兵力を拡充する計画を全く実施していないらしいのが目につく」というような記述があるわけです。そういう点が一つと、それから上原委員の方からも、防衛白書の中でいわゆるアメリカの艦隊と、そしてソ連の太平洋艦隊との比較という点で、いわゆるソ連の太平洋艦隊に対するアメリカの太平洋艦隊というものを考えた場合に、それは第七艦隊とそして後方に控えるところの第三艦隊、この二つ合わせたものとソ連の太平洋艦隊を対比することが当然常識的な線であるということで、そのことが防衛白書に出ていないのは遺憾ではないか、こういうようなことを述べられて、この防衛白書は非常に作為的である、意図的である、一方的である。その部分だけを見れば、あたかもソ連の太平洋艦隊が非常に強力でアメリカが非常に見劣る、これはえらいこっちゃなと思わせるようなことになっておるのではないかと、私も全くそのように思うわけであります。そういう点で、あなた方のそういう考え方を突き詰めて考えていくならば、ソ連を潜在的に脅威という新しい言葉を用いておるのだけれども、いわゆる侵略する能力があっても意思がなければ脅威とは言わない、しかしないとも言えない、要するに意思があるとも言えないし、ないとも言えない、そういう意味では顕在的でないのだ、だから、そういう意味で潜在的脅威というような形で述べられておるのだけれども、少なくとも潜在的という言葉が前にあるとはいうものの、意思があるのかないのかわからないような状況のもとで、その潜在的脅威というような形の表現が当てはまるのかどうかという気すら私はいたしておるわけでございます。やはり若干そういう意思が、たとえば日本を侵略する意思があるかないかようわからぬけれども、あるのじゃないかというような見方があるのじゃないか、あるいはわが国は、ソ連を仮想敵国としていないと言いながら、仮想敵国に近い形で見ていると言わざるを得ないのではないか、こういうふうに私は考えるのですが、その点について、潜在的脅威というものについて私の疑問に答えていただきたいと思います。長官、お願いします。
  449. 岡崎久彦

    ○岡崎政府委員 いまの御質問に長官からお答え申し上げますけれども、ただ私、いままでの事実関係の御質問にお答えしましてちょっと一、二点申し上げておきたいことがございます。  まず、先ほどからおっしゃいましたことの中に、アメリカの中にはいろいろな意見がある、その中でもいわゆるタカ派の意見を反映したようなものをつくっておるのではないか、そういう御意見だろうと思うのです。  これは、われわれはもちろん客観的にわれわれの伝統に従ってつくっておりまして、別にどちらの意見も反映していないのでございます。ただ、防衛の政策論に絡めて考えて、タカ派の意見を反映して日本の防衛力増強の役に立たせようとしているだろうということでございますと、これは間違いでございまして、アメリカの場合はタカ派もハト派も政策論については全く同じでございます。これはいかなるハト派でありましても、いますぐ軍備増強してソ連の軍備増強に追いついていかないと、やがては大変なことになってしまうということでございます。たとえば、ことしの夏問題になりましたグレン報告、これは報告の内容自身最もハト派でございまして、しかも論旨も最もずさんなものであると私は思いますけれども、その人の書いたものでも、もうわが防衛予算はことしから一%になっていなければならない、一・二%ならもっといい、そういうのが政策論になっておりまして、タカ派、ハト派であるということとわが防衛力を増強しなければいけないという政策論とは必ずしも関係ございません。いずれにしても、これは増強につながってくる問題でございます。  それからもう一つは、先ほど申し上げましたけれども、ある面ではわれわれの数字がアメリカの数字より大きい場合があるのでございます。と申しましても、いまおっしゃいました議会図書館の数字などは、ソ連水上艦艇の数をたしかわが方の見積もりよりも相当多く見積もっております。数字というものは上下があるのでございまして、結局数字を数えた人と議論して、おまえ一体どういう考えでこうしたんだということがわかってくれば、それでお互いに理解し合えるものでございまして、われわれは伝統的な手法に従ってこれが最も正しい、これが最も機密を保持し、かつ国民をミスガイドしない、そういう数字を出すということをやっておりまして、それは一貫してやっておりますので、手心を加えますとかえって数字が乱れてまいります。これはいかなる数字を使いましても、昨年ソ連海軍が十四万トン、その前八万トン、その前五万トンふえたということは、この三年間の退役の数をよほどよけいに数えない限りは、大体最近の数字に関してはどこの国も変わりはないと思います。ですから、国民がいままでずっと防衛白書を読んでいたと考えまして、その趨勢を、ソ連がこれだけ伸びてきてアメリカが現状を維持しているという趨勢を理解してもらうためとしましては、一貫性を持った方がいいのではないか。特にことし、去年とソ連の脅威を増強するために新しい手法をとったということではございません。
  450. 大村襄治

    ○大村国務大臣 お答え申し上げます。  繰り返して恐縮でございますが、ソ連のここ数年の著しい軍事能力、これは全世界的にもそうでございますが、極東におきましても、著しく軍事能力が高まってきているという事実に即して、潜在的脅威が増大していると私は申し上げているわけでございまして、意図とは全然関係のない問題でございます。  また、特定の国を敵視しているのではないかというお尋ねでございましたが、平和憲法の精神にのっとりまして、あらゆる国と平和外交を推進していくという国の方針に従っているわけでございますので、決して特定の国を敵視するというようなことはいたしておらないわけでございます。仮想敵というようなことは、防衛庁としましては考えておらないということを明確に申し上げておきたいと思うわけであります。
  451. 上田卓三

    ○上田(卓)委員 そういう侵略する意思があるかないかわからないという言い方をしながら、また片方において潜在的脅威ということをソ連だけについて――きのうは岡崎参事官がそういう朝鮮半島の軍事バランスの問題で、朝鮮民主主義人民共和国についてもそういう潜在的脅威が増大している、こういうような形で発言し大きな問題になり、宮澤長官からそれを全面的に否定するような、朝鮮半島における軍事バランスの変化があるということについては、そういうわが国の平和と安全に直接、間接的に関係ないことはない。しかし、それを直ちに潜在的脅威と言うことはわが国の国益に当たらない云々、こういう形で全面的に否定をされたというふうに私は解釈をいたしておるわけでございますが、そういう点で、他国を侵略するに値するだけの軍事力を持っている国々は世界にたくさんあるわけで、またわが国の近隣ということになれば、決してソ連だけではなかろう、こういうように思っているわけであります。そして長官が仮想敵国としては思っていない、こういう状況の中で潜在的脅威をソ連が持っているんだ、この言葉だけが出てくるわけですね。そうすると、どうしても若干の意思を持っていると見ているのか、あるいは仮想敵国として、それに近い国としてみなしているということにならざるを得ないのではないかという意味で、私はその点について明らかにしてもらいたいということを申し上げておるわけであります。  それに関連して一歩前へ進めて、このことについてさらに長官の方からお聞かせいただきたいわけでありますが、従来防衛庁は基盤的防衛力構想ということをおっしゃって、特に私の理解するところでは、たとえばわが国を取り巻く国際環境に重大な変化がない限り、わが国の防衛力は限定的かつ小規模な侵略に対処できるものでよい、こういうように述べ、そしてわが国の防衛力は、いわば平和時の防衛力とも言うべきものであり、特定の差し迫った侵略の脅威に対抗するというよりも、全体として均衡のとれたすきのないものであることが必要、こういうふうに規定しておるというように私は考えておるわけでございまして、そういう点で、いままでのそういう基盤的防衛力構想の中には、ソ連の潜在的脅威というものはなかった、また去年までの防衛白書の中でもそういう言葉が見当たらなかった、こういうように私は思っているわけであります。  そこで、特に、どういいますか、防衛大綱の基本的な思想でありますいわゆる基盤的防衛力構想について、十月の二十四日の参議院の安保特別委員会で防衛庁が出したところの基本的見解に関連してお答えいただきたいわけでありますが、一九七六年の防衛白書と、それから同年の閣議決定されたところの防衛計画大綱の基本的な立脚点というのですか、そういう観点というものは、やはり先ほど申し上げた基盤的防衛力構想であるわけでありますが、その中身というものをとらまえるならば、それは一つは専守防衛、それからもう一つは全方位外交、それから三つ目は仮想敵国を持たないという、こういう三つではないかというように私は思うわけでございますが、その点について、この三つを肯定なさるのか、そしてその考え方というのはいまなお変えておらないのか、その点まず前提にお答えいただきたい、このように思います。
  452. 塩田章

    ○塩田政府委員 五十一年の「防衛計画の大綱」の基本的な考え方として、三つの点をお挙げになったわけでございますが、専守防衛という最初におっしゃった点、これはもう「防衛計画の大綱」よりもはるか以前から日本の国防の基本方針でございまして、それはそのとおりだと思います。  それから、全方位外交というのを二番目におっしゃいましたが、これは言葉としては、私の記憶では福田総理がお使いになった言葉ではないかと思いますが、五十一年当時にそういう言葉が使われておったかどうかわかりませんが、何といいますか、日本の外交の精神としてはそうであったのではなかろうかと思いますけれども、「防衛計画の大綱」の当時に全方位外交という考え方、少なくともそういう言葉は当時恐らく使っていなかったと思いますが、そういう考え方を入れたというわけではないんではないか、全方位外交という言葉を念頭に置いて入れたのではないんではないか。  仮想敵国は設けないということも、これはそのとおりでございまして、仮想敵国という考え方をわが国のいろんな防衛計画の中でとってきておるわけではございません。
  453. 大村襄治

    ○大村国務大臣 ただいま政府委員が答弁しましたとおり私も考えております。
  454. 上田卓三

    ○上田(卓)委員 先ほど述べましたように、十月二十四日の参議院の特別委員会では、潜在的脅威に対応して、緊張時に備え、規模を拡充強化できるというような、新しい見解ともとれるのですが、そういう緊急時に備えたという言葉が新しく出てきておるわけでございますが、これは先ほど申し上げたいわゆる基盤的防衛力構想というものと相当矛盾するのではないか、このように考えておるわけでございまして、ここで言うところの緊張時に備えという、この緊張時というのはどういう状態を想定されておるのか、その点についてお答えいただきたい、このように思います。
  455. 塩田章

    ○塩田政府委員 「防衛計画の大綱」の中の四の「防衛の態勢」というところの前文に「その防衛力は、前記一においてわが国が保有すべき防衛力について示した機能及び態勢を有するものであり、かつ、情勢に重要な変化が生じ、新たな防衛力の態勢が必要とされるに至ったときには、円滑にこれに移行し得るよう配意された基盤的なものとする。」という言葉がございます。これはよく御存じだと思いますけれども、このことを十月二十四日のときにも申し上げたわけで、別に新しい言葉を申し上げたわけではございません。
  456. 上田卓三

    ○上田(卓)委員 この基盤的防衛力構想は、先ほど私が申し上げたように、限定的小規模の侵略に対処するものだ、そういう状況を想定して、そしてまた私が先ほど申し上げた緊張時というのですか、そういうものを想定していないと思うのですね。もしか、有事と言えるのか、あるいはそういう緊張した状況が起こったとしても、そういう基盤的なものさえしておれば、そういう状況になったときでもそれ相応の応待というのですか、そういうものができるのだ、それがいわゆる基盤的防衛力の構想ではないか、こういうふうに思っておるわけでありまして、だから、たとえば潜在的な脅威に対応して緊張時に備え云々ということになりますと、そういう基盤的防衛計画構想というものからはみ出て、いままでの考え方はもう間に合わないのだ、こういう状況で対処しなければならぬのだということで、従来の考え方を否定した形になるのじゃないか、矛盾した形になるのじゃないかというように私は思うので、その点について長官の方から明確にひとつお答えをいただきたい、このように思います。
  457. 塩田章

    ○塩田政府委員 まず、私からお答えいたしますが、基盤的防衛力の考え方は、いま先生がおっしゃいましたように、その基盤的防衛力を持っておれば、一つは限定的かつ小規模な侵略には対抗する、これが一つでございます。もう一つ重要な変化が生じた、いわば有事といいますか、そういう状態になったときにもそれでやれるのだという意味ではございませんで、先ほど読みましたように、新しい態勢に円滑に移行し得るのだということでございますから、新しい態勢に円滑に移行し得るよう配意された基盤的なもの、つまりそういうときには新しい態勢に移行するということが前提に入っておる考え方だ、私はそのように解釈をしておるわけであります。  それでは基盤的というのはどういう意味かと申しますと、いろいろな観点があると思いますけれども、一つは、防衛上必要な各種の機能を備えておるということ。つまり防衛上いろいろな機能の中でどこか欠けているものがあるのじゃなくて、どの機能も全部備えておるということ、それから後方支援態勢を含めて、その組織及び配備において均衡のとれた態勢を持っておる。つまり前方といいますか、正面装備部隊だけがりっぱにできておって後方部隊が余りできてない、そういうのではなくて、両方が後方支援態勢を含めて組織及び配備において均衡がとれておるというようなこと。それからいま申し上げました新たな防衛力の態勢が必要となったときには、円滑にこれに移行し得るよう配意されたもの。たとえば具体的に言えばどういうことかといいますと、量的には必ずしも十分でなくても良質の、質のいい基幹要員を持っている、そうしていつでもより強固な態勢に移ることができるというようなことを配慮してあるというようなことも、その一例だと思いますけれども、そういうような幾つかの観点から考えて、基盤的なものを整備しておくという考え方であろうと私は思っております。
  458. 大村襄治

    ○大村国務大臣 ただいま政府委員が御答弁申し上げましたとおりであります。私といたしましては、最近のわが国周辺の国際情勢にはこれまでとかなり変化が出てきておりまして、潜在的脅威が増大していると考えているわけでございますが、直ちに「防衛計画の大綱」を見直すことはせず、防衛計画大綱の線をなるべく早く実現するようにすることが基盤的なものを実現するゆえんであって、万々一の場合に円滑にこれに移行し得ることになると考えておるわけでございます。直ちに「防衛計画の大綱」を見直したらどうか、こういう意見もございますが、私はいま申し上げましたような考え方に基づきまして、大綱の線を変えずにこれを実現することに努力してまいるのが筋ではないか、さように考えておるわけでございます。
  459. 上田卓三

    ○上田(卓)委員 その基本的な考え方を変更する気がない、そういう意味で私はそれなりに一定の評価をしたいと思うわけでありますが、やはり昨今のそういう防衛論議の中でなし崩し的に、そういうことを前提にしながらも、ややもすればそれを実質的に崩していくというようないろいろ無責任な発言等も出てきておるわけで、それだけ防衛庁の中においてすら岡崎発言のようなある程度自由に言えるような雰囲気、そういうものをわれわれは非常に重視しおそれるもので、われわれとしてはシビリアンコントロールという意味においても非常に危惧するものであります。  外務省の方もお見えのようでございますので、先ほどいわゆる基盤的防衛力構想の前提というのですか、基本として専守防衛、それから全方位外交、それから仮想敵国を持たない、こういう点について長官からも確認を得たわけでございますし、またいまの決意というものも承ったわけでございます。くどいようでございますが、やはりその全方位外交というものとソ連の潜在的脅威論というのですか、そういうものとはどうしても矛盾する、私はこういうように考えておるわけでありまして、特に全方位外交というのは、少なくともいかなる国とも敵対関係をつくらず、あるいは政治体制のいかんを問わず相互の交流を深めるというのが基本的な考え方ではないかというふうに考えるわけでございまして、そういう全方位外交からは、特定の国を潜在的脅威あるいは仮想敵国だとは言ってないが、その辺に近い響きを持つような、そういう脅威論に対して納得をできないわけでありまして、そういう全方位外交というものと潜在的脅威論というものについて外務省はどのような矛盾があると考えておるのか、それは矛盾しないと考えておるのか、その点についてひとつお述べいただきたい、このように思います。
  460. 馬淵晴之

    ○馬淵説明員 ただいま防衛庁の防衛局長から申されましたとおり、全方位外交という言葉は公式の場で使われたことはないと思いますが、われわれの認識といたしましては、日米友好体制を基軸として、それから政治観念を同じくする西欧諸国と協調して、その上に立ってあらゆる国との友好関係の輪を広げていくというのが、従来からのわれわれの外交政策の基盤でございまして、その点につきましては、ソ連についてもそのような基本政策のもとに臨んでおるわけでございますけれども、ソ連につきましては、ただいま防衛庁の方からも御指摘がございましたとおり、アフガンに軍事介入いたしますとか、あるいは二年前から北方領土に配備いたしますとかということで、そういう友好の輪を広げるということが向こうの方の条件からむずかしくなっているということはまた事実であろうかと思っております。
  461. 上田卓三

    ○上田(卓)委員 時間の関係もありますので、さらに前へ進めたい、このように思っております。  イランとイラクの紛争の件ですが、当初この紛争はホルムズ海峡を含む中東全域に戦火が拡大をしていくのではないか、それが第三次世界大戦というかそういう世界戦争に発展する危険性をはらんでいる、こういう意味で非常に心配をしておったわけでありますけれども、しかし、最近の事態を冷静にながめてみますと、ホルムズ海峡の封鎖、石油輸出ストップというような最悪の事態は回避されつつあるように思うわけです。まだ深刻でございますが、たとえばイラン、イラク両国とも戦場を国境地帯に限定し、ガルフ一円に拡大するのを自制している、こう言ってもいいのじゃないかと思うわけであります。また同時に、アラブ諸国の懸命の外交努力も続けられておるわけでありまして、アメリカの連合艦隊構想は、西ドイツの反対というかそういう対応などもあって必ずしもうまくいっていないのではないか、こういうように考えるわけであります。また一方、イランの人質問題も新しい動きが出てきておるわけでございまして、一進一退というのですか、どうなるかということで全世界の国民が注目しているような状況であります。  このような戦局というか状況というものについて、外務省は一体どのように考えておられるのか、お答えをいただきたい、このように思います。
  462. 野口雅昭

    ○野口説明員 いま先生御指摘のとおりでございまして、確かに戦局はアバダン、ホラムシャハルを中心としますフゼスタン、ここに限定されておりまして、そのほかの局面では余り大きな動きはない。そのほかの地域、湾岸それからホルムズ海峡、こちらに対する戦火の影響もいまのところは及んでおりませんし、いまのところそれが及ぶというような状況も見当たらない、こういうことかと思っております。
  463. 上田卓三

    ○上田(卓)委員 先ほど申し上げましたように、最悪の事態は脱しつつあるのではないかというのが私の考え方であります。  ただ、予断を許さないというような状況はあるわけでございますが、しかし、十月の十六日にはアメリカ、フランス、オーストラリアなどによるところの事実上の合同艦隊が動き出して、特にアメリカのブラウン国防長官は、イランが紛争をホルムズ海峡にまで拡大をするならば武力の行使も辞さない、このように強硬な表明がなされたことは、先刻御承知のことだろうというふうに思うわけでございますが、これはきわめて危険なことだと言わざるを得ないわけでございまして、すでに事態が鎮静化の兆しを見せているときに、この地域の緊張をいたずらに高めるような行動は厳に慎むべきだ、こういうように思っておるわけであります。シーレーンズの関係もあるにしても、こういう中東でのイラン、イラクを中心にしてまた米ソというような形で緊張が高まることはわが国の安全にとってもよくないし、世界の国民に大きな影響を与える問題であるわけでありますから、平和憲法を持つわが国が、特に中東に石油を多く依存しなければならないわが国の経済的な立場というのですか、あるいは政治的な立場でもいいわけですけれども、そういう意味で積極的にイラン・イラクの紛争が一日も早く両国家間で、またしかるべき第三者の調停によって解決に向かっていくということが非常に大事だと思うので、そういう中での日本の態度というのですか、今回のイラン・イラクの紛争に対して日本が一体何をしたのか。果たして一方の肩持ちをして、そういう緊張激化のためにしたのか、それとももっと大きな立場に立って紛争解決のために努力したのかということは、世界じゅうの方々が注目しているのではないかというように私は思うわけでありまして、そういう点で、今後の日本の外務省を中心としたところの積極的な紛争解決の努力の決意というのですか、そういうものについて一言ここでお答えいただきたい、このように思います。
  464. 野口雅昭

    ○野口説明員 先生御指摘のとおり、現在のイラン・イラク紛争に第三国が介入する、こういう事態になりますと、これはきわめて危険でございますので、第三国の介入がないということがきわめて大事でございまして、この点は日本もそのほかの国も同じ考えでいるわけでございまして、これまでわが国はそのような考えを多くの場で表明してきておりますし、また現在のところイラン、イラクの立場はきわめて異なっておるために、残念ながらまだ停戦に至っていないという状況で、イスラム会議諸国とかそれから非同盟諸国、こういった国が盛んに仲介努力をやっておりますので、こういった努力を支持していくという立場を明らかにして、たとえばパキスタンのハク大統領に対してぜひよろしくというふうなことも言っておりますし、これまで紛争の拡大防止並びに早期停戦のためにできるだけの努力をしてきておりますし、今後とももちろんこれまでの努力を倍加するということでございます。
  465. 上田卓三

    ○上田(卓)委員 この件についてはそれで終えておきます。  次に、昨年末のアフガニスタン事件を契機に、特にアメリカのソ連に対する経済制裁、またわが国の場合は経済制裁とは言わずに経済措置というような形でおっしゃっておるようでございますけれども、しかし、言葉のあやであって、中身はやはり経済制裁というような形であろうというように私は思うわけでありますが、いまからずっとさかのぼっていろいろ考えてみると、果たしてあの経済制裁とは何であったのかということをわれわれ考えざるを得ないわけであります。  そこで、たとえばアメリカの穀物禁輸にもかかわらず、アルゼンチンあるいはその他からの輸出でソ連に入る穀物の量は一向に減っていない。高いものを買わされているという面はあるかもわかりませんが、そういうこととか、あるいは逆にそのことによってアメリカは政府が農民の保護ということで穀物を買い取るという重荷を背負い込んだような状況があるわけでございます。ある意味では、ソ連という国は六十三年前にロシアでソビエト政権ができて以来、ずっと資本主義諸国に囲まれて軍事介入とかあるいは経済制裁というのですか、そういうものを受けてきて試練に試練を積んできた国であって、そういうふうなアメリカとかあるいは日本その他の国が今回アフガン問題を契機にしてやったようなことでへこたれるような国でないというように私は思っておるわけでございまして、逆に、七〇年代に着実に拡大してきたところの東西のそういう経済交流というものの一定の状況の中で、相手にそういう制裁らしきものを加えれば必ずこっちにもそのマイナスというのですか、そういうものがあることは当然のことではないか、私はこういうように思っておるわけであります。そういう点で、ああいうような形のものが外交関係を有利に運ぶ上で果たして有効な手段であったのかどうかということで疑問を感ずるわけでありまして、その点についての外務省の考え方というものを少し述べていただきたい、このように思います。
  466. 馬淵晴之

    ○馬淵説明員 先生も御承知のとおり、ソ連に対して、日本を初めアフガニスタン介入を契機としましてとりました措置は、一つはソ連のアフガニスタン侵入を撤回させること、それからもう一つは、そのような軍事侵略がソ連にとって非常に高いものにつく、この二点であったと思いますけれども、特に第二の点について非常に高いものについたという意味におきましては十分効果があったと思いますし、またこのような措置をとることによりまして、ソ連に十分反省の余地を与えたというふうに私は確信をしております。
  467. 上田卓三

    ○上田(卓)委員 それは果たしてそうであろうか。わが国自身が逆に経済制裁措置ですか、そういうものを自主的に向こうに与えたものと同じものあるいはそれ以上のものをこちら自身が――まあそれは当然覚悟だということになるのかもわかりませんが、そういうように考えておるわけであります。特に新聞等によりますと、わが国の商社やいわゆるプラント業界が昨年までに商談に入ってまだ成約までできずにいるところのプラントが十四件ある、総額にして四十億ドルから五十億ドルに達する、こういうように報道されておるわけでありますが、特にわが国が対ソ経済措置をしている間に、ソ連との経済活動がとだえている間に、イギリスとかあるいはフランスとか西ドイツなどに大型プラントを次々と横取りされている、独占されていると言ってもいいような状況があるわけであります。私も本会議で総理に質問をしたわけでありますけれども、たとえば三菱重工と三菱商事が進めていたところのバクー向けのリグ、海底掘削装置、いわゆるプラントでありますが、三月にフランスにとられてしまったというような状況があります。また、同様に四月には宇部興産と日商岩井が進めていたところの高圧ポリエチレンプラントはイギリスにとられておるわけであります。最近では九月に新日鉄とアメリカのアームコ社の進めていたところの電磁鋼プラントがフランスにとられてしまうというような状況が起こっておるわけでございまして、当然こういうことがソ連に対する経済措置の影響として起こってきたのではないか、こういうように思っておるわけでございます。実際、ことしの一月から六月期の対ソ輸出額では、西ドイツやフランスやイギリスが大幅に伸びておるわけでございまして、日本は逆に減少しているという数字が出ておるわけでありまして、そういう点について通産省はどのように考えておられるのか、見解を明らかにしていただきたい、このように思います。
  468. 諸富忠男

    ○諸富説明員 お答えいたします。  まず第一点の、アフガン問題発生後、日本の商社等が欧米諸国からプラント商談等をとられたのではないかという御指摘でございます。アフガン問題発生後、対ソ輸出案件でわが国が受注できなかった案件というのは幾つかございます。ただ、先生御承知のように、こういったプラント案件と申しますのは、商談がいろいろな形で欧米諸国と競合するわけでございます。価格でございますとか品質、性能あるいはデリバリーの時期等々ございまして、いろいろな要素によって受注できるかどうかということになるわけでございます。したがいまして、私ども、わが国政府が対ソ経済措置を講じたことによって、それらの受注がすべてできなかったかということについては必ずしも明らかでないわけでございまして、御指摘のように、アフガン問題発生後、確かに受注できなかったものはございます。しかし、それがすべて制裁措置によってそうなったかということについては必ずしも明らかでないということでございます。  それから、わが国がこれらの個別案件について今後どういうふうに対応していくかという考え方でございますが、私ども、基本的には日ソ経済関係というものが、これまでの日ソ関係におきまして非常に重要な役割りを果たしてきたということは、高く評価しなければならないと思うわけでございます。ただ、御承知のように、昨年暮れからアフガンに対する軍事介入というふうなものが行われまして、これに対しましてわが国政府といたしましても、さきの国会で故大平総理が表明したような基本方針で対応するということを申し上げて、今日まで来ているわけでございます。したがいまして、私どもは、こういう基本方針を受けつつも、なお、冒頭に申し上げましたように、日ソ経済関係の役割りの重要性に十分に留意しつつ、あるいはアフガン問題の事態の推移を十分に見守る、あるいは西欧諸国の動きを十分に見守って、ケース・バイ・ケースで対応してまいりたい、こういうふうに考えているわけでございます。  それで、私どももアフガン問題発生後、先生御承知の大口径管、これはパイプでございますが、それからサハリン石油の問題、第三次森林資源開発あるいは南ヤクート炭の追加ローン、これらの案件については逐次解決を図ってまいっているわけでございまして、今後こういった個別案件につきましては、さきに私が申し上げましたような基本的な考え方でケース・バイ・ケースで対応してまいりたい、こういうふうに考えておる次第でございます。
  469. 上田卓三

    ○上田(卓)委員 商談のことですから、いろいろな要因が絡むということは事実ですけれども、やはりソ連に対する経済措置をしている間に大型のそういうプロジェクトがヨーロッパ側というのですか、先ほど申し上げた国々にとられてしまった。もしかそういうものがなかったときに努力してもこうなったかもわからないけれども、しかし、その措置の間に起こった出来事であるだけに、これは経済措置をしたかわりに、逆に向こうからそういう措置を受けた。どっちが損したのかというような、経済的な面だけ見ると、やはりそういう問題はわれわれとしては疑問に感ぜざるを得ないわけであります。特に来年からは、ソ連においては第十一次の五カ年計画の策定が始まるわけでございまして、そういう点で、このまま信用供与をストップする、こういうようなことが続くと、あと残っているところのプラント等についての商談についても大きな影響が起きてくるのじゃないか、こういうように思うわけでありまして、ケース・バイ・ケースで処理するというような考え方のようでございますけれども、やはりわが国の経済を考えた場合に、早急にこの経済措置を解くといいますか、あるいは中身をもっともっと緩和して、実際フリーハンドである程度商談ができるというような状況にすべきだ、このように思っておるわけでありますが、外務省の考え方をひとつお聞かせいただきたい、このように思います。
  470. 淺尾新一郎

    ○淺尾政府委員 直接私の所管でございませんけれども、対ソ経済措置が有効性を保つためには、西欧、アメリカ、日本がある程度の歩調をとる必要があるということでございまして、過日伊東外務大臣がアメリカを訪問した際にも、アメリカに対して、最近の電磁鋼板のフランスによる輸出あるいは西独によるアルミプラントによって経済措置に足並みが乱れている、そこで、西欧と日本とアメリカとしかるべきときに協議する必要があるだろうということを話してきておりまして、まだアメリカ側はそれに対して、大統領選挙もありまして何ら反応もございません。  また、個々のケースについては、先ほど通産省の方から説明があったとおりでございます。
  471. 上田卓三

    ○上田(卓)委員 ぜひともそういう点で、先ほど申し上げた観点から見ても、ひとつこの経済措置を緩和するなりあるいは直ちに撤廃するというような形で外務省は努力してもらいたい、このように思います。  最近、ソ連は西シベリアから西欧七カ国にまたがる天然ガス、それに伴うところのパイプライン建設計画を発表しておるようでございますが、その総額は百億ドルと言われておるわけでありまして、そのうち二十ないし三十億ドルの資金援助を日本に求めてきているというようなことも報道されておるわけでありますが、これに対してアメリカは、西側の対ソエネルギー依存を高め、西側の対ソ結束を弱める、こういうことでストップをかけてきておるように聞いておるわけであります。しかし片方、西欧諸国は、エネルギー部門での協力は、欧州のエネルギー需給を安定させる上でも、ソ連の中東進出を防ぐ上でも重要と、このように判断をしておるようでございます。日本も従来、エネルギー部門での協力は規制をしていなかったわけでありまして、これまで軍事転用可能な高度技術からエネルギー部門についてまで協力拒否を打ち出したところのアメリカの方針は、そういう意味ではわが国の従来の方針とも合っていない、このように思うわけでございます。そういう点で、通産と外務の見解をただしたいわけでありまして、西シベリア、それから西欧間のガスパイプラインへの協力は実際どうする気持ちであるのか、その点についてお聞かせをいただきたい、このように思います。
  472. 諸富忠男

    ○諸富説明員 お答えいたします。  お尋ねの西シベリアの天然ガスパイププロジェクトにつきましては、西欧諸国に天然ガスを供給するためのプロジェクトでございまして、現在、ソ連と西ドイツ、フランス等々が中心になって検討を進めているというふうに私ども承知してございます。それで、わが国に対しましても、現在のところ、コマーシャルベースで打診があるようでございますけれども、目下のところ政府ベースではまだそういった打診はないということでございます。  今後の取り扱いいかんということでございますが、私、先ほど申し上げましたように、さきの国会で表明されました対ソ経済措置、それに対する基本的な考え方を踏まえつつ、わが国とソ連との経済関係の役割りあるいはこういったアフガン問題の動き、それから西欧諸国の個々の動き、こういったものを十分に注視いたしまして対応してまいりたいというふうに考えている次第でございます。
  473. 上田卓三

    ○上田(卓)委員 対ソ連あるいは社会主義諸国との経済交流に対する姿勢は、やはりわが国の平和と安全といいますか、あるいは世界の平和と安全というものにとっても非常に関係のあるものでありまして、やはりこれを別々に考えるということは大きな間違いがあるのじゃないか、こういうふうに私は思っているわけであります。特にアメリカの考え方でございますが、先ほど申し上げたように、この高度技術あるいはエネルギー部門での対ソ協力の規制は、ソ連の軍備増強を防ぐために必要、いわばソ連といつでも渡り合える、やり合える、そういう体制を維持しておこうという考え方のようであります。ということは、とりもなおさず緊張激化を前提とした考え方、いざというときいつでもやれるのだ、そういう考え方がやはり基礎にあるのではなかろうか、こういうように思っておるわけであります。それに引きかえて、ヨーロッパすべてとは言いませんが、西ドイツとかあるいはフランスなどは、輸出規制をするとますますソ連などを追い込んでしまう、そうして緊張緩和に悪影響が出る、こういうことで、アメリカのそういう考え方にある程度反論しておる、抵抗していると言っても過言ではなかろう、こういうように私は思うわけであります。そういう意味で、ヨーロッパ型は欧州地域の安定のためにはソ連との交流強化が不可欠、こういうような考え方があるように考えるわけでありまして、そういう点でこういう考え方は、いざというとき、うはあ、それはもう最後のときだ、そういうことになってしまったのではもう人類は滅亡してしまうのだから、そういうことを万が一でも起こらさぬような状況をどうするのかという観点にやはり立っておる、こういうふうに考えておるわけでございまして、特に隣国ソ連、特にそういうソ連に対する潜在的脅威論というものが台頭してきておるわけでございますが、わが国にとって対アメリカの問題あるいは対中国の問題、そのほかありますが、やはり一番関係の悪いのは対ソ連じゃないかと私は思っておるわけでありまして、ソ連と、領土問題があるとはいうものの、またアフガン問題があるとはいうものの、やはりいたずらに事を構えるという姿勢、あるいはソ連がある程度極東での軍事力を強化しているというようなそういうものに対抗して、それならわれわれもこうしなければならぬというような、ちょっと感情的とも見られるそういう防衛力の強化、軍事力の強化ということは、ヨーロッパなどのそういう国々の対応と相当違ったものがあるのではなかろうか、私はこういうように思っておりますし、またアメリカ自身が全部が全部そういうような考え方になっているかといったら、やはり大統領選挙も絡んで決してそういう状況でもなかろう、私はこういうように思うわけでありまして、そういう点でSALTIの問題も含めまして、大統領選挙が終われば一遍に米ソの関係がどうなるということではないかもわかりませんが、やはりある程度のそういう緊張緩和のために、平和憲法を持つわが国は何をすべきか。第二次世界大戦で多くの国々に対して迷惑をかけたわが国は、やはりそういう戦争責任という立場からも積極的に、そういうアメリカのしり馬に乗るのじゃなしに、本当に平和の使者として、まさしく全方位外交というのですか、そういう立場でやはり積極的な平和外交をすべきではないか。そういう意味で、私、本会議でも申し上げましたように、西ドイツのシュミット首相やあるいはフランスのジスカールデスタン、そういうぐらいな線でやはり日本が対応していくということがあって当然ではないか、こういうように考えておるわけでございますので、そういう点についてひとつ防衛庁長官なりあるいは外務省の見解を最後にお聞きして、私の質問を終わりたい、このように思います。
  474. 大村襄治

    ○大村国務大臣 お答え申し上げます。  直接私の所管ではございませんが、先ほど申し上げましたように、平和外交を推進していくということが最も大切でございますので、先生が御指摘の点につきまして、外務省、通産省が引き続き努力されることを私どもとしましても希望する次第でございます。
  475. 馬淵晴之

    ○馬淵説明員 外務省の対ソ方針につきましては、先ほど私が申し上げたとおりでございます。西独、それからフランスの対ソ措置に対する御指摘というのはわれわれは承知しているわけでございますけれども、同時に、ヨーロッパにおける軍事バランスにつきましても、去年の十二月にNATOの理事会で決定がございましたとおり、一応東欧における軍事力が非常に強化されている、特に戦域核の面で非常にバランスが崩れつつあるということで、西側におきましても、新たに戦域核の導入を決定して、またそれに基づいてソ連と交渉するというような立場をとっていることは先生御承知のとおりでございます。
  476. 上田卓三

    ○上田(卓)委員 質問を終わります。どうもありがとうございました。
  477. 江藤隆美

    ○江藤委員長 次回は、来る三十日木曜日午前十時理事会、十時三十分から委員会を開会すること  とし、本日は、これにて散会いたします。     午後十時十九分散会