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1980-02-20 第91回国会 衆議院 科学技術振興対策特別委員会 3号 公式Web版

  1. 昭和五十五年二月二十日(水曜日)     午前十時三十二分開議  出席委員    委員長 瀬野栄次郎君   理事 小沢 一郎君 理事 小宮山重四郎君    理事 塚原 俊平君 理事 石野 久男君    理事 上坂  昇君 理事 貝沼 次郎君    理事 中林 佳子君 理事 吉田 之久君       狩野 明男君    海部 俊樹君       椎名 素夫君    玉沢徳一郎君       中村喜四郎君    中村 弘海君       保利 耕輔君    田畑政一郎君       木内 良明君    瀬崎 博義君       林  保夫君  出席国務大臣         国 務 大 臣         (科学技術庁長         官)      長田 裕二君  出席政府委員         科学技術庁長官         官房長     下邨 昭三君         科学技術庁長官         官房審議官   高岡 敬展君         科学技術庁計画         局長      園山 重道君         科学技術庁研究         調整局長    勝谷  保君         科学技術庁振興         局長      山口 和男君         科学技術庁原子         力局長     石渡 鷹雄君         科学技術庁原子         力安全局長   牧村 信之君         科学技術庁原子         力安全局次長  宮本 二郎君         資源エネルギー         庁長官官房審議         官       児玉 勝臣君  委員外の出席者         原子力安全委員         会委員長    吹田 徳雄君         通商産業省生活         産業局住宅産業         課長      中田 哲雄君         労働省労働基準         局安全衛生部労         働衛生課長   林部  弘君         特別委員会第二         調査室長    曽根原幸雄君     ――――――――――――― 二月二十日  理事日野市朗君同日理事辞任につき、その補欠  として上坂昇君が理事に当選した。     ――――――――――――― 本日の会議に付した案件  理事の辞任及び補欠選任  科学技術振興対策に関する件(科学技術振興の  基本施策)      ――――◇―――――
  2. 瀬野栄次郎

    ○瀬野委員長 これより会議を開きます。  まず、理事辞任の件についてお諮りいたします。  理事日野市朗君から、理事辞任の申し出があります。これを許可するに御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 瀬野栄次郎

    ○瀬野委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。  次に、理事の補欠選任を行いたいと存じますが、先例により、委員長において指名することに御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 瀬野栄次郎

    ○瀬野委員長 御異議なしと認めます。よって、理事に上坂昇君を指名いたします。      ――――◇―――――
  5. 瀬野栄次郎

    ○瀬野委員長 科学技術振興対策に関する件について調査を進めます。  科学技術の基本施策について質疑の申し出がありますので、順次これを許します。狩野明男君。
  6. 狩野明男

    ○狩野委員 さきの委員会において、本国会における科学技術庁長官の所信表明が行われましたが、その中で、科学技術は、経済社会発展の原動力であり、国民生活向上の基礎であるとして、特に石油資源を初めとして物的資源に乏しく、狭い国土に多数の国民が生活しているわが国が、この厳しい制約を乗り越えて、将来にわたって経済の安定成長と国民生活の向上を確保していくために、わが国民の英知と創造性の所産である科学技術を積極的に振興していくことが不可欠であるとして、そして原子力の研究開発を初め宇宙開発、それから海洋開発、その他七つの項目にわたっていろいろ御説明がありましたが、その七番目の項目で、科学技術振興基盤の整備として、科学技術一の振興に当たって留意しなければならないのは、科学技術に対する国民の十分な理解と協力が不可欠である、そしてその一環として国際科学技術博覧会を、昭和六十年に筑波研究学園都市において開催予定であると述べられました。そうして、すでに昭和五十四年一月に調査費がつき、さらに昨年暮れ、十一月二十七日に閣議了解が行われ、パリの博覧会事務局に申し出をしたわけでございますが、その博覧会について質問をしたいと思います。  まず第一に、国際科学技術博覧会の開催の意義について御意見を承りたいと思います。
  7. 長田裕二

    ○長田国務大臣 お答えいたします。  国際科学技術博覧会を、昭和六十年に筑波研究学園都市で、あの近辺の地域で開きますことは、当庁初め日本全体の大きな希望であると存じますが、ただいまお話のとおり、昨年十一月二十八日パリの博覧会事務局に申し入れをいたしました。まだ確定したわけではございませんが、私どもは、まず、その可能性は確実だという考え方でいろいろ取り進めているところでございます。  この国際博覧会開催の意義でございますけれども、私どもは、二十一世紀、来世紀を展望し、豊かな人間生活を創造する科学技術というものに焦点を当てて開催をいたしたい、そのように考えておりますが、特に国民の、なかんずく青少年に未来の科学技術を正しく理解してもらい、優秀な人材が今後科学技術分野に参加してもらう、そういうようなことが一つの大きな意義ではないかというふうに考えております。  それから、その次には、博覧会展示を目標といたしまして、各企業とか政府関係機関が集中的に技術開発を進めることが予想されますが、その結果、わが国の技術水準が画期的に引き上げられ、知識集約産業の育成に大きく寄与することになるだろう、そういうことも一つの大きな意義と考えております。  なお、科学技術の情報交換が、この博覧会を契機として世界的レベルで行うことができまして、特に発展途上国の人々に、これらの国に適合した技術開発のあり方をお示しすることができるのではないか、これも国際的な大きな意義だと存じております。  最後と申しますか、いろいろまだございますけれども、筑波研究学園都市、大きな構想をもって取り進められておりますこの筑波研究学園都市につきましては、まだいろいろな問題が残されておりますが、この博覧会が開催されることによりまして、豊かにその血が流れ、肉づけが行われて、あの研究学園都市が一層充実して、その本来の目的を達成しやすいような状況になってくる、そのようなことも大きな意義かと存じまして、これらの点などを絶えず念頭に置きながら、これからこれを推進してまいりたいと思っているところでございます。
  8. 狩野明男

    ○狩野委員 それでは、第二番目の質問でございます。  六十年開催に向かって、博覧会が開かれるわけでありますけれども、この博覧会の構想の概要及び所要資金などについて……。
  9. 園山重道

    ○園山政府委員 お答えいたします。  この国際科学技術博覧会の構想、それから所要経費等についての御質問でございますけれども、ただいま大臣からの御答弁もございましたように、この国際科学技術博覧会は、二十一世紀、いろいろいま言われておりますような、エネルギー初め資源その他の制約が非常にのしかかってくるところを、いかに科学技術をもってこれを克服していくかというようなところに焦点を置いておりまして、私どもは、そのテーマの基本となるものは、まず二十一世紀の生活を創造する科学技術という基本的考え方を持っております。ただ、このテーマにつきましては、いろいろ国際的な手続その他の中で若干しぼらなければならないということもございますので、いまいろいろ検討いたしておりますが、私どもの基本的な考え方といたしましては、やはり二十一世紀の生活を創造する科学技術、こういう基本的な考え方をテーマに据えていきたいと思っております。  開催の時期は、大臣も申し上げましたように、昭和六十年春から秋にかけまして百八十日間ということを予定いたしております。  開催場所は、御承知のように筑波研究学園都市、六カ町村にまたがります大きな都市があるわけでございまして、この中心地区に四十三機関集まりました研究学園地区があるわけでございますが、この研究学園地区の周辺、学園都市の中ということで考えておるところでございます。  この博覧会の規模といたしましては、これからいろいろ具体的な設計に入る段階でございますけれども、現在、大まかな規模として頭に描いておりますのは、予想入場者数といたしましては大体二千万人程度、それから会場の面積といたしましては大体百ヘクタール程度ということを考えておるところでございます。  また、所要経費につきましては、これも今後、具体的な会場の設計等が行われまして、おいおい固まっていくものでございますけれども、現在の段階で私どもが頭に描いておりますのは、いわゆる会場建設費ということで三百五十億円程度、それから政府が出展いたします政府出展関係で約四百億円余、合わせて七百五十億円程度というのが、直接的なこの博覧会の会場建設、出展等の経費と考えておるところでございます。しかしながら、御承知のように非常に厳しい財政事情がございまして、昨年の閣議了解をお決めいただきました際にも、非常に厳しい条件もついておるところでございます。私どもも、もとより関係機関でよく御相談いたしまして、御協力をいただいて、知恵を出し合いまして、できるだけ効率的に、科学技術博覧会にふさわしいものにいたしたい、このように考えておるところでございます。
  10. 狩野明男

    ○狩野委員 次に、いまもちょっと触れられましたけれども、博覧会の構想を今後どのように具体的に進めていかれるのか。たとえば開催の準備とかスケジュール、それから運営の方法などについてちょっとお聞かせいただきたい。
  11. 園山重道

    ○園山政府委員 お答えいたします。  この博覧会を開催いたしますために、開催時期は昭和六十年でございますので、今後約五年間あるわけでございますが、この間にいろいろな仕事を進めてまいらなければならないわけでございます。幸いに、かつて大阪での万国博覧会あるいは沖繩での海洋博等の経験がございますので、これらの資料等を十分に調べまして、いま概略の具体化の構想、スケジュール等を立てておるところでございます。  大きなやるべきことと申しましては、先ほどもちょっと触れましたが、まず国際的にこの博覧会を登録いたしますためのテーマの決定ということが一つございます。それから、テーマに基づきまして全体の基本計画をつくる。それから、こういったものを踏まえまして、博覧会国際事務局に対しましての申請、あるいは博覧会国際事務局からの調査団の来日等がございますので、これらに対する対処をいたさなければなりません。  この博覧会の開催主体となりますのは、前の万博、沖繩博等の例もそうでございますが、博覧会協会というものが設立されまして、これが開催の主体となるわけでございます。この博覧会協会、財団法人としての設立が考えられておりまして、現在、民間におきまして、この博覧会協会設立の準備が行われております。いずれ三月中にも、この協会が設立されるということになりますので、この協会を中心といたしまして、政府あるいは民間、地元はもちろんでございますが、密接な協力のもとに、この博覧会の設計から実施まで持っていくということになるわけでございます。  今後の大まかなスケジュールといたしましては、現在考えておりますところでは、五十四年度、この三月末まででございますが、この期間に、ただいま申し上げました国際科学技術博覧会協会の発足が予定されているところでございます。来年度、五十五年度に入りまして、先ほど申し上げましたこの博覧会のテーマの決定あるいは会場の基本計画の策定等が行われます。五十六年度に入りまして、具体的な会場の測量、調査、あるいは会場の設計等が行われまして、五十七年度から会場の建設工事に入る、こういう予定でございまして、昭和六十年度、先ほど申し上げました春ないし秋にかけまして百八十日間の開催をいたしまして、終了いたしまして後、撤去する作業が行われる、現在のところ、大変大まかでございますが、大体このような今後の具体化のスケジュールを考えているところでございます。
  12. 狩野明男

    ○狩野委員 この博覧会開催について、国の内外から大変な観客が見えると思うのですけれども、その観客の輸送対策、そういうことについてお伺いしたい。
  13. 園山重道

    ○園山政府委員 御指摘のように、私どもは、やはり国際科学技術博覧会として開催いたします以上、できるだけ多くの人々が国の内外から来て見てもらうことが必要かと思っております。この輸送対策の基本になります予想入場者数につきましては、先ほど、現在の段階におきましておおむね二千万人ということを頭に置いておりますことを申し上げたわけでございますが、なお、先ほど申し上げました博覧会協会が発足いたしましてから、さらに精密な入場者予測の作業をいたさなければならないと思っておるところでございます。この正確な入場者予測に基づきまして、万全の観客輸送対策を考えなければならないわけでございますけれども、御承知のように、現在すでに常磐自動車道の建設が進んでおります。したがいまして、この常磐自動車道は、一部は来年度でございますか、五十七年ごろには全部が開通するということでございますので、東京からの自動車の道路の利便はずっとよくなるかと思っておるところでございます。昨年の十一月の閣議了解をいただきましたときに、現下の非常に厳しい財政事情を反映いたしまして、この輸送対策等につきましても、大変厳しい枠と申しますかがつけられているわけでございますけれども、私どもといたしましては、何とかこの博覧会を見においでになる観客の方々の安全にかつ円滑に輸送できるということを考えなければなりませんので、いろいろな方法を考えるべきかと考えております。ただいま申し上げましたような常磐自動車道、これも一つの大きな有力な手段でございますが、そのほか現在の国鉄の常磐線、これにつきまして、できるだけ常盤線の充実等もお願いしなければならないと思っております。それから、その常磐線の最寄り駅からのバスの輸送、あるいは先ほどの常磐自動車道を使いましての東京からの長距離バスの活用、いろいろな方法が考えられるわけでございます。  今後、当初申し上げました正確な予想入場者予測等の作業を行いまして、これに基づいて関係機関にいろいろお願いをいたしまして、関係機関の総力を集めて何とかこの円滑な入場者輸送が行われるように努力をしてまいりたい、このように考えておるところでございます。
  14. 狩野明男

    ○狩野委員 ただいまのお答えの中で、二千万人程度の大変な観客が見えられるわけでございますけれども、これについて博覧会の地元でいろいろ負担が多いと思います。博覧会に関連して、関連事業として道路の整備だとか橋梁の整備、道路の拡張、新規道路など、新たにつくったりそういったことも考えられるのではないかと思います。そういうことについての地元負担について、国にはどのようなお考えがあるか、お聞きしたい。
  15. 園山重道

    ○園山政府委員 関連いたします公共事業につきまして、これは当初から言われておりますが、すでに先ほど申し上げました常磐自動車道その他で約六千数百億というようなことが言われております。これらにつきましては、いわゆる公共事業一般の負担の方法ということで進められるものと理解しておるわけでございますが、そのほかにも、実際に博覧会をやりますための、一番最初に御説明申し上げました直接的な経費につきましても、過去の大阪万博あるいは沖繩海洋博の例に照らしまして、地元あるいは民間での負担をお願いしなければならないと思っておるところでございます。  これは昨年十一月の閣議了解におきまして、会場建設費につきまして補助対象事業となるものに対する国の負担は三分の二である、残りの三分の一につきましては、過去の万博の例等を参考として関係の団体で協議するということが方針として決められておるわけでございます。  私どもは、国の財政の厳しさもさることながら、地元の財政の厳しさも十分承知いたしておりますので、この辺につきましては、この閣議了解の趣旨に基づいて、関係団体と十分な協議をして、できるだけ過大な負担がかからないように、しかも全体としてこの博覧会がみごとに成功するようにいろいろと知恵を出し合っていかなければならぬ問題である、このように考えておるところでございます。
  16. 狩野明男

    ○狩野委員 次の質問でありますが、博覧会関係の今年度、五十五年度の予算措置についてお聞きしたいと思います。
  17. 園山重道

    ○園山政府委員 最初に大臣から御説明がございましたように、五十四年度には調査費として約六百万円程度がついたわけでございますけれども、おかげをもちまして、来年度、五十五年度予算には、全体といたしまして科学技術庁に約一億一千五百万円が計上されておるところでございます。これはまだ初年度でございますので、基本計画の作成といった段階でございますので、一億一千五百万円という数字でございますけれども、中身といたしましては、会場の基本計画策定のための、先ほど申しました今度設立される開催主体となります博覧会協会に対する補助金、これが九千七百万円でございます。そのほかに政府出展の構想、これは政府みずからがやるわけでございまして、その政府出展の構想の策定あるいはこれに必要な基礎調査といったものが一千二百万円、そのほか準備の諸事務費が六百万円、合わせまして一億一千五百万円ということになっておるわけでございます。  なお、同じく予算におきまして、体制として私ども科学技術庁に、国際科学技術博覧会管理官、振りかえでございますが、管理官の設置が認められまして、これもできるだけ早い時期に、正式の博覧会管理官を設置させていただきたいと考えておるところでございます。  なお、政府全体といたしましては、科学技術庁のほかに通産省に約九百万円、これは先ほど申し上げました国際博覧会事務局というのがございますが、この国際的な手続等の窓口を通産省が担当いたしておりますので、通産省がこの国際博覧会事務局――恐らくことしの八月あるいは九月ごろには、この国際事務局からの調査団等が来日いたしますので、こういった調査団に対する対応の諸経費あるいは博覧会国際会議に出席する経費その他ということで九百万円が通産省に計上されております。  また国土庁に、博覧会と研究学園都市整備との調整についての調査費約一千万円が計上されておるところでございます。これは大臣の御答弁にもございましたように、筑波研究学園都市は、御承知のように本年度、昭和五十四年度をもって予定されました四十三機関の引っ越しがまさに終わるわけでございます。あそこに四十三機関が勢ぞろいいたしますので、筑波研究学園都市としては、いわば第二期的な時期に入るわけでございます。こういった筑波研究学園都市の今後の整備の問題、この博覧会との調整の調査費ということで国土庁に約一千万円が計上されておるところでございます。  予算は、大体そういうことでございます。
  18. 狩野明男

    ○狩野委員 最後の質問でありますが、直接的な経費が七百五十億、その他関連事業として七千億ぐらいという大変な膨大な投資が行われるわけでありますが、その跡地の利用についてどのように考えておられますか。
  19. 園山重道

    ○園山政府委員 この博覧会の跡利用ということは、私どもも、これができるだけ有効に活用されることを念願いたすわけでございます。ただ、この博覧会の用地の取得という問題については、すべて地元の茨城県の責任において行われるということが決められておるわけでございますので、県がこの跡地を有効に利用するために、民間の研究機関の誘致でありますとかいったことは考えられておるわけでございますので、私ども、これを大いに期待しておるわけでございます。  私ども自体といたしましても、先ほど申し上げましたように、この筑波研究学園都市というのは、まさに、四十三機関の引っ越しは終わりましたけれども、これから国際的にも研究開発の一つの大きな中心地になるよう育てていかなければなりません。そういった意味で、せっかくこの科学技術博覧会を開くわけでございますので、それを記念するようなものを何かこの学園地区内に残せないかということでいろいろ検討いたしておりますけれども、まだ具体的な提案は持っておりません。今後、この博覧会の開催が、博覧会後におきまして、この学園地区、ひいては日本の科学技術研究開発にできるだけ有効なものとなりますよう、いろいろ知恵を出しまして努力をしていきたいと考えておるわけでございます。
  20. 狩野明男

    ○狩野委員 現在、国の内外ともに厳しい情勢の中で、二十一世紀を展望して、こういった未来への夢を求める博覧会が行われるわけでありますが、この博覧会を通して、わが国は、先ほど申し上げましたように、資源のない国でありますので、国民に大きな夢と期待を持たせるのと同時に、わが国が世界各国、また開発途上国等に対して貢献できるものは科学技術であると私は信じているわけでございます。  そういう意味におきまして、この博覧会が成功に終わるように関係各位の御努力を期待して、利の質問を終わらせていただきたいと思います。  ありがとうございました。
  21. 瀬野栄次郎

    ○瀬野委員長 石野久男君。
  22. 石野久男

    ○石野委員 大臣の所信表明演説で「一九八〇年代が二十一世紀を方向づける重大な使命を有しているという認識で、長期的、総合的観点に立って、科学技術の振興に全力で取り組んでまいる所存である」という決意が述べられました。そして「科学技術振興基盤の整備のために、科学技術に関する基本的な計画の策定を行う」という表明をされましたが、この「基本的な計画の策定」というのは、どういうことを考えておられますか、まず、最初にお伺いします。
  23. 長田裕二

    ○長田国務大臣 原子力開発の基本的な政策と申しますと、まず第一に、私たちは、安全の確保ということに非常に重点を置いているところでございます。さらにまた、核燃料のサイクルの問題、ウラニウム鉱石の入手の問題、あるいはウラン濃縮の問題、再処理の問題等々を込めました燃料サイクルを、日本の国内でしっかり確立していきたいというふうに思っております。さらに進みまして、ウラン鉱石を十分に利用するための新しい高速増殖炉の開発とかそういうような面も、精力的に取り組まなければならない、推進しなければならないテーマだと思っております。さらに進みまして、核融合の研究開発を進める、それらの問題に私どもは精力的に取り組んでまいりたい、そのように思っているところでございますが、なお、具体的な内容等につきましては、政府委員の方からお答え申し上げたいと存じます。
  24. 石渡鷹雄

    ○石渡政府委員 ただいま大臣からお答え申し上げましたように、原子力関係につきましては、安全対策に最重点を置いているわけでございます。具体的には、五十五年度予算といたしまして、原子力安全規制経費といたしまして十億四千万円、安全研究の推進のために二百九十六億四千万円、防災対策の経費といたしまして十二億七千万円、環境安全の確保に必要な経費といたしまして十一億九千万円、合計約三百十九億円を計上している次第でございます。
  25. 石野久男

    ○石野委員 私は、科学技術の振興全般についての大臣の所見というものをやはり聞きたかった。この所信表明はそういう意味だったろうと思うのですが、いまは原子力だけの話でございますが、本年度予算の中にというよりも、大臣の所信表明の中では、科学技術の国際交流促進の重要性を説かれております。そして東南アジア地域の発展途上国との科学技術協力を推進すると言われておりますけれども、この問題については、具体的にはどういう構想があられるのか、あるいはまた、予算の中には日中科学技術協力に三百万円の計上がございますけれども、こういうことはどういうふうな具体的内容を持っておられるのか。
  26. 長田裕二

    ○長田国務大臣 具体的な計数にも関連いたします内容かと存じますので、官房長からお答え申し上げたいと思います。
  27. 下邨昭三

    ○下邨政府委員 お答え申し上げます。  国際協力につきましては、原子力その他いろいろ関連するところがございますが、私どもが計上いたしております予算額は、四十二億三千四百万円でございます。前年度に比べまして、十三億七千七百万円の増加となっております。この中には、開発途上国との研究協力の推進、それから先進諸国との協力の推進がございます。また、エネルギー分野におきましては、日米科学技術協力の推進をすることにいたしまして、この中では核融合の協力と光合成の協力を重点にして一層の拡充を図りたいと考えております。開発途上国との協力の推進の中におきましては、アジア科学協力連合と共同いたしまして、研究協力あるいは情報協力をすることといたしております。  そのほか、国連と共同でリモート・センシング・セミナーを開催するというようなことも考えております。また、中国との科学技術協力につきましては、科学技術交流を促進するための種といたしまして三百万円の経費を計上いたしまして、今後これを拡大していくということで考えておるところでございます。
  28. 石野久男

    ○石野委員 各国との科学技術の協力関係の基本になる政府の考え方というものは、どういうところにございますか。
  29. 長田裕二

    ○長田国務大臣 これから私どもが取り組んでいくべき大きなテーマにつきまして、たとえば核融合のようなものですと非常に膨大な経費がかかる、一国だけでこれを負担していくのになかなか厳しいというような面もございますし、また、総合的に各国ともそれぞれいろいろな面の研究開発を遂げている面などもありますので、そういう面では先進国同士がそれぞれ大きなテーマについて協力し合わなければならないような雰囲気も出ております。  また、官房長からも申し上げましたように、発展途上国につきましては、それらの国々の発展をある程度私どもがお手伝いしていく、協力していくということも、世界各国それぞれ所を得て互いに連携し合い、助け合いながら発展していくという観点から、私ども、これに力を尽くしていくのも一つの義務ではないか、そのような考え方、国情に応じそれぞれ力を合わせ助け合っていく、そのような観点から、国際協力の問題に取り組んでいく所存でございます。
  30. 石野久男

    ○石野委員 科学技術振興の基盤の整備ということと国際科学技術の協力の問題との関連性については、どういうふうにお考えになっておりますか。
  31. 長田裕二

    ○長田国務大臣 自国の、日本は日本自体での自主技術の開発その他独自のものをしっかり育て上げるということも非常に必要でございますが、そのためにも国際協力が必要な面も多分にございますし、また自主技術そのものというよりも人類共通の目標を推進していく、人類全体が豊かになるということも、私どもの理想でなければならないところでございますから、そのような意味合いと両々込めまして、国際協力を推進してまいりたい、そのように思っているわけでございます。
  32. 石野久男

    ○石野委員 その場合に、予算の占めている焦点といいますか、方向というものは、また後でお聞きしますけれども、ほとんどやはり原子力に焦点が合わされておりまして、科学技術庁というのは、まさに原子力の問題だけを扱うのではないだろうかというような感もいたしますけれども、こういうことについては大臣はどういうふうにお考えになっていますか。
  33. 長田裕二

    ○長田国務大臣 確かに、金額だけの面から見ますと、原子力あるいはその発展の一つの道、そこらに使われる経費が多いと思いますが、同時にまた、それは現在の石油問題に端を発しましたエネルギー問題で大変緊急な切実な問題に人類全体が、特に日本が直面していることの反映でもあると存じます。同時にまた、原子力開発というものそれ自体が非常に金のかかる性格のものであるということにもよるかと思います。  考え方といたしましては、私どもは、当面のエネルギー問題ということもさることながら、それ以外の分野の科学技術の発達ということをおろそかにする気持ちは毛頭ございませんし、経費の面だけから見ますと、確かに軽微なように見えますけれども、それぞれ相当の成果が期待されるような予算の組み方になっている、そのように考えている次第でございます。
  34. 石野久男

    ○石野委員 科学技術の予算が果たしてそういうようになっているか、私は、非常に疑問に思うんですよ、率直に言いまして。電源開発促進対策特別会計、この中で示されておる予算の状況というものはどうもやはりそういうふうになっているのかなというような感じもしたりするのですが、予算全体の中で電源開発促進の問題を一つ取り上げてみましても、ほとんどこれが原子力だけに焦点が合わされているのです。原発の交付金が大体全体の二十%、立地勘定では六九・二%を占めておるし、原子力発電の安全対策と開発合わせたものが全体の四三・七三%、そして水力、地熱、石炭ガス化とか太陽エネルギー、こういうようなものを合わせてわずか一六%しか占めていないんですよ。エネルギー問題については、自給率の拡大向上というものを図らなければいけない、私は、こう思っておりますけれども、科学技術庁の考え方が那辺にあるのかちょっと疑問に思う点がある、余りにも原子力に傾斜していないだろうか、こういう感じを持つのですが、大臣は、その点についてはどういうお考えでありますか。
  35. 長田裕二

    ○長田国務大臣 先ほどお答え申し上げましたように、当面のエネルギー対策ということで、代替エネルギーの種類としてはずいぶん数多く考えられておりまして、それを科学技術庁サイドで主として担当するもの、あるいは通産サイドで担当してきていたもの、あるいはその他の部門で担当していたもの、いろいろございますが、御存じのように、原子力の研究開発につきましては、科学技術庁関係が、従来先導的な役割り、主力を占めてやってまいった、そういうようなことから当然そこに比重がかかりますことが一つ。  それから、その他の代替エネルギーにつきまして、たとえば波力発電とかバイオマス、そういうものが十分な展開をまだ見せておらない。十分展開しまして、それらを伸ばしていくためにどれくらい経費がかかるかということにつきましては、まだ現実の問題になっておりませんし、詳しくは存じませんけれども、いずれにしましても、原子力関係は本来相当金のかかるものだというような点もあるかと存じまして、金額を見ますと、そういう本来金のかかるものだという面と、それから、ほかの部門がまだ十分な展開を見せておらない、研究段階と申しますか、そういう段階であるということと、両方の事情が絡み合いまして、金額につきましては、仰せのとおりだというふうに思っております。
  36. 石野久男

    ○石野委員 科学技術庁というのは、基本的には科学技術に全力を傾注するのだと思いますけれども、原子力をやっておれば、すべて日本の国の科学技術がやれるという考え方なのかどうなのかということを私は聞きたいわけです。  というのは、ことしの予算の中で、科学技術庁の予算の六七・八二%というものが原子力の研究開発なんですね。それから、全国庫債務負担行為額のうちの七一・三四%というものも全部原子力なんですよ。そうすると、科学技術庁というのは、もう原子力だけやっておればいいのか、日本の科学技術の振興発展と科学技術庁とはどういう関係があるのかということを私はちょっと聞きたい。  それで大臣が、たまたま科学技術の振興に全力で取り組む所存ということで、その基盤の整備のためにということを言っておりますから、そこのところの大臣の考え方を明確にしておいていただきたい。  わが国の科学技術というものは、もう本当に原子力だけやっておればそれでばあっと進んでいって、科学技術庁はそれで国家的任務を果たし得るのだというふうなお考えなのかどうなのか、予算との関係でそのことをもう一遍お聞かせ願いたいと思います。
  37. 長田裕二

    ○長田国務大臣 先ほどもお答えいたしましたように、当面のエネルギー対策という非常に緊急な問題が――私、先ほど人類、特にわが国ということを申しましたが、振りかかっておりますので、どうしても従来から科学技術庁が主になってやっておりました原子力関係に力が置かれているということは、私どもも、そのとおりだというふうに思うわけでございます。  科学技術庁は、御存じのように、日本の科学技術につきまして一応取りまとめ、調整の役割りを持っております。日本の科学技術全般が均衡のとれた発展をしていくということを目指して私どもは努力していかなければならないと思っておりますし、しさいに各項目につきまして御検討くださいますならば、たとえば宇宙開発の問題でも海洋開発の問題にいたしましても、あるいは防災科学技術の面にいたしましても、金額などはそれぞれ少ない点などがございますけれども、あるいはまたライフサイエンスその他、先ほどから私も仰せのとおりだと申し上げておりますように、金額は少のうございますけれども、私どもが心がけておりますいろいろな面は御推察願えるのではないか、そのように思う次第でございます。
  38. 石野久男

    ○石野委員 推察より何より、政府の科学技術庁というものが、予算の編成に当たっていつまでもこういうような組み方でうまく日本の科学技術に寄与できるのかどうか。余りに原子力に傾斜し過ぎておりはせぬかという疑問を私は持って質問をしているわけなんです。だからこの点は、ひとつ後で考えてもらわなければならぬ課題でないだろうかという疑問なんですね。大臣はやはり、まあ予算を組んでいるのだから、その予算に対して何とか説明しなければいかぬのだろうと思うけれども、将来に向かって科学技術庁というものが政治に寄与しようとしたら、これでいいのだろうかという疑問を持っておる。それについて大臣がどうなのかということをいま一度お聞かせいただきたい。
  39. 長田裕二

    ○長田国務大臣 一般的な考え方といたしましては、国土も狭い、資源も少ないところで一億二千万に近づく人口が相当高度な生活を維持していかなければならない、あるいはそれを発展していかなければならない、そういう国柄からいたしまして、日本の科学技術全般の水準を相当高める、それを産業に反映させる、そこに日本民族の生きる道を見出していくというふうに考えておりますので、特に原子力にだけ力を注ぐというような気持ちは毛頭持っておりません。ただ、エネルギー事情が大変逼迫しております関係と、従来科学技術庁が主として取り進めてまいりました原子力の研究開発は、ほかの方の研究よりも若干金額も多く、金を食う、たくさん金が要るというような性格の点もございまして、予算の数字の面から見ますと、仰せのようなことになりますが、考え方といたしまして原子力に偏する、私は、そのような気持ちは毛頭持っておりません。全般につきまして均衡のとれた、そして民族の活路が新しく開けていくような科学技術の推進の仕方をしなければならない、そのように考えているところでございます。
  40. 石野久男

    ○石野委員 昨年の八月三十一日に総合エネルギー調査会の需給部会で暫定見通し計画を出されましたが、この中にある原子力開発の予測数字というものは、達成し得る見通しをいま持たれておるだろうかどうだろうかということを簡単に聞かせてもらいたい。
  41. 児玉勝臣

    ○児玉(勝)政府委員 先生のいまの御質問でございますが、昭和六十年に三千万キロワット、六十五年に五千三百万キロワット、七十年に七千八百万キロワットという長期の想定をしているわけでございますけれども、これは個々の立地の問題を詰めてこういうことをしたわけではないわけでございまして、約三千万という点につきましては、ほぼそれに近い線は出ると思いますが、六十五年それから七十年については、その立地についていろいろ問題が多いという認識もございます。  ただ、石油の輸入量というのを国際約束の上で一日六百三十万バレルということで達成しなければならないということになりますと、どうしても原子力、それからLNG、石炭、おのおのみんな非常に過大な期待が寄せられておるということは否めない事実であろうと思います。そういう点で原子力につきましても、現在の約千五百万キロワットの原子力をもっと地固めをいたしまして国民の中に取り入れられるような、パブリックアクセプタンスが得られる形として定着させた上において五千三百万キロワット、七千八百万キロワットを目指していきたい、こう考えておるわけでございます。
  42. 石野久男

    ○石野委員 これはなかなか困難な計画だろうと私は思います。しかし、それはまた他日に譲りまして、大臣は所信表明演説の中で「原子力の安全確保に関しまして、米国スリーマイルアイランド原子力発電所事故の教訓を踏まえ、」というふうに述べておられる。そのために防災対策の充実を図っておりますということを言われておりますが、この防災対策の充実のためにどのようなことを汁さっておられるのか、そしてまた、そのための予算はどういうふうにいま組み込まれておられるか、これをちょっと……。
  43. 牧村信之

    ○牧村政府委員 昨年のTMIの事故を契機にいたしまして防災対策の必要性というのが認識されてきておるところでございます。そのための対策を逐次行っておるところでございますけれども、来年度の予算の原案におきましては、従来原子力施設周辺の環境モニタリングをやっておったわけでございますが、緊急時におきましてのモニタリングをさらに強化する必要があるというようなこと、あるいは緊急医療施設を地方公共団体等において整備していただきたいというようなこと、あるいは事故が万々一起きましたときに地方が行います防災対策を有効に支援するために、設置者と国あるいは地方公共団体との連絡網の整備、こういうようなものに重点を置きまして、本年度の予算でいきますと、環境関係のモニタリング関係を中心とした予算が約二億二千万円程度でございましたけれども、これを大幅にふやしまして、約十二億七千万円の予算を計上し、防災対策の強化を図ってまいりたい。この予算につきましては、初年度のみで終わるものではなく、逐次整備をしてまいりたいというふうに考えておるところでございます。
  44. 石野久男

    ○石野委員 原子力安全委員会は、スリーマイルアイランドの事故の教訓を踏まえて、この防災対策のためにどのような方策あるいはまた各官庁との連絡なり折衝なりをしたか。たとえば自治省とか国土庁とか建設省に対して具体的にどういうことをいまなさっておられるか、お聞かせ願いたい。
  45. 牧村信之

    ○牧村政府委員 従来この地域防災計画につきましては、先生方の御指摘もございましたように、万々一ということで余り力を入れておらなく、先生御指摘のように、各省庁との連携は必ずしも十分でなかったことは事実でございます。しかし、TMIの事故が起きましてから、直ちにこの重要性につきまして、関係省庁との連携を強化して地域防災計画を充実すべきであるという反省から、昨年TMIの事故が起きました直後、関係省庁の間で連絡会議を持ちまして、その強化方策を検討したところでございます。たしか関係する十省庁程度の関係者が集まりまして、検討を加えたところでございます。その結論を中央防災会議に持ち上げまして、政府として当面とるべき措置を決定したところでございます。この措置につきましては、関係省庁におきましても、具体的な案としてそれぞれが推進しなければならないことを定めまして、準備を完備したところでございます。  一方、先生御質問の安全委員会におきましては、この事故が起きましたときに、その事故の収束あるいは事故に対応する技術的なことは、安全委員会も責任を持って国の対策あるいは地方公共団体の対策に対して指導助言すべきであるというお考えをおとりになりまして、安全委員会の中に緊急技術助言組織というものを事故後つくりまして、この組織の強化、運営等につきまして鋭意検討をし、充実を図っておられるところでございます。  それからもう一点は、安全委員会の専門部会において、この安全防災対策を円滑に進めていく上でいろいろ技術的な指針と申しますか、技術的な諸問題を整備してまいらなければなりません。その辺につきまして、専門的、技術的事項に関しまして、現在、専門部会におきまして検討中でございます。この答申が安全委員会に上がってまいりますと、安全委員会で御検討の上、政府の方に決定を連絡いただきまして、各行政庁は、これを尊重して政府並びに地方公共団体の防災対策に反映させるように考えておりまして、いまその審議を鋭意急いでおるところでございます。
  46. 石野久男

    ○石野委員 防災の問題できわめて重大だと思いますことは、避難計画の問題だと思います。地震対策にもやはり科学技術庁は当然重大な役割りを果たしますけれども、原子力の方は地震よりももっと緊急を要する、緊迫性を持っているものだ、私はこう思うのです。地震の方は、マグマとかなにかの測定装置がいろいろありますけれども、原子力の事故というのは、いまのところあらかじめ予知することができないという情勢の中で事故が起きている、これは安全委員長自身おわかりのとおりだと思います。それだけにこの問題に対して、予測し得ないものに対して、いかにしてそれを防衛するかというための防災計画が非常に大事だ。そこで防災の問題では、炉自体の技術の問題もさることながら、一たび起きたときにどう避難するかということについての具体的な避難計画、これをやはり早急にやらないといけないのじゃないか。そのためには各省庁、もちろん自治省とかいろいろやはり関係はありますけれども、科学技術庁、特に原子力安全委員会が、そのことのイニシアをとって具体的に企画というものを整備しておく必要がある、こういうように思うのですが、その件について、委員長どういうふうにお考えになっていらっしゃるか、ひとつ見解を聞かせてください。
  47. 吹田徳雄

    ○吹田説明員 石野先生のおっしゃることもっともでございまして、安全委員会といたしましては、TMI事故で学ぶべき一番大きなのは、おっしゃるように、いまの災害防止対策でございます。これはわが国では相当形式的にはできておりますけれども、やはり昨年のああいう時点で考えますと、非常にいわばワーカブルでないということでございます。それで、安全委員会といたしましては、早速それを、日本に適するような防災対策を早急に立てるべきであろう、それで先ほど局長からも説明いたしましたように、専門部会をつくりますと同時に、当面の施策で現在時点でどういうことが最も可能な範囲でよろしいかという対策を急いで立てまして、現在は専門部会の答申を待っているところでございまして、なし得ることは一応手を打ってございます。
  48. 石野久男

    ○石野委員 予算を見ますと、防災科学技術の推進の問題でいろいろと配慮なさっておりますが、しかし、ほとんどこれは地震予知、地震に対する予算が多く組まれております。もちろん全然原子力に対する、先ほど局長からお話のありましたような対策がないとは言わないですけれども、私は、原子炉等の暴走と言ってはいけませんけれども、事故がありましたときの対策として、やはり科学技術庁がここで予算を組まないならば、総理府なら総理府、あるいは政府全体がどういうふうに組んでいるのかわかりませんけれども、その点はやはり安全委員長、科学技術庁長官と協力なさいまして、もっと予算を取るべきじゃないだろうか、そして対策を立てませんと、答申を待っているというようなことだけでは十分じゃないと思うのです。最近特に私はそういう感を強くするのです。  と申しますのは、やはりエネルギーが非常に大事だ、原子力で代替しなければならぬというこの先行的な考え方というものは、非常にあちらこちらに行き渡っておりますから、当然やはり現場はそのことのために焦りが出ている、そこから来る事故の危険性というものを痛感するわけなんですね。そのことを含めて防災に対する予算措置というものを、もっとやはり組みかえてでも何でもいいから政府は科学技術庁の中ででも、あるいは政府全体の中ででも取り上げて、原子力安全委員会にもっとやはり具体的なイニシアをとった行為ができるような裏づけをしてやる必要がありゃせぬか、こういうように私は思いますが、大臣、その点はどういうようにお考えになりましょうか。そういうことについて必要がないとお考えでしょうか。
  49. 牧村信之

    ○牧村政府委員 原子力の防災体制につきましては、先ほど委員長も、いままであったのが若干ワーカブルではなかったというふうにおっしゃられておりますが、一応、災害対策基本法に基づきまして、関係する都道府県並びに市町村の段階まですでにできておるわけでございます。したがいまして、それを原子力災害に着目してよりよくしていくということが、これからの課題であろうかと思います。  先生御指摘のように、中には、これからその防災対策を推進していく上に研究的な要素も確かに抱えておりまして、たとえば放射能の放出があったときに、それを的確に地域の特性に応じて解析するというような研究もこれから必要でございます。それらにつきましては、すでに来年度予算で、原子力研究所の安全研究の予算の中に一億数千万円組み込みまして研究をお願いすることとしておるところでございます。  そのほかの、先ほど当庁関係で十二億と申し上げましたが、この経費につきましては、地域に吹きますそれぞれの都道府県あるいは市町村が設置あるいは用意しておく必要がある緊急連絡網の整備であるとか、モニタリング体制の整備であるとか、医療体制の整備を図っておるわけでございますが、もう一つ重要なことは、先生も御指摘のように、原子力の事故が起きましたときに、何といっても地域住民に放射線の障害を起こさないということでございます。それの対策をいたしますのに、政府ももとより地域の自治体の指導者の方々が、この原子力災害というものに的確に対処していくということも重要でございまして、そのための教育訓練の体制を整備するために原研並びに放医研に特設研修コースをつくりまして、本年度からすでに行っておりますが、来年度以降もそれを強化していくというようなことを図っておる次第でございます。  それから、これは科学技術庁だけがこの緊急時対策に対処して済むものではございません。むしろ科学技術庁は、放射線の影響という観点から関係省庁並びに地方自治体を指導助言する立場でございまして、実際に業務を行いますのは、自治省であるとか都道府県でございますので、そういう方々の方にもよく連携をとって進めてまいりたいというふうに考えておるところでございます。  また、予算面におきましては、当然、通産省におきましては、緊急時の連絡網の整備としての予算の計上、あるいは自治省におきましては、いろいろ避難誘導の際に必要となる機材等の整備の予算化が図られておるところでございます。
  50. 石野久男

    ○石野委員 いま局長からの説明は、努力のほどはよくわかりますが、しかし、こういうものは考え方なり指導の方向というものが間違ったら、手段方法というものは役に立たなくなってしまう。  そこで、一番大事なのは、安全委員会が持っておる知識を中心にしまして、自治省なり関係各都道府県に対する指導、具体的には自治省なり都道府県がやることですけれども、その指導性を発揮しなければならぬきわめて重要な時期だと私は思うのです。だから、避難一つとりましても、スリーマイルアイランドで経験しました、あそこで聞いたところによりますと、避難計画というものがありましても、その避難計画が設定された課題がちょっと違ってしまいますと、もう避難計画は役に立たなくなっちゃうのです。たとえば五マイルの計画をしておったのに十マイルの避難だということになると、五マイルの範囲での計画はもう何の役にも立たなくなってしまう。ですから、避難計画のあり方というのは、施設の設置場所の周辺からだんだん拡大していく避難の計画は全然だめです。大事なことは、全域、広域的なものをまず考えて、それからだんだん内輪に詰めてこないと、計画は何の役にも立たないということを、あそこで私は経験してきておりますが、こういうようなことは、やはり安全委員会等が指導すべきことだろうと私は思います。  つまり五マイルの計画よりも十マイル、十五マイルあるいは全県的な計画をしておいて、徐々に詰めてくれば、その計画はいつでも役に立つ。けれどもスリーマイルでは、ヘンシルベニア州が一定の計画を持っていました、しかし、もう十マイルだということになったら、それは何の役にも立たないのです。避難道路が、今度は次のエリアに入りますと、ぶつかってしまって役に立たなくなっちゃうのです。たまたまあそこは、洪水の計画が非常に整備されておりましたので、それが役に立ったと言うのですペンシルベニアの避難計画で効果のあったのは、あそこは洪水がたびたびあるので、その訓練があったことが一つ、それから、やはり核戦争に対する考え方が一応行きわたっておる、そういうようなことで、まあまあとにかく応急処置ができたのだ、こういうことを担当者は言っておるのですから、こういう問題は、やはり具体的に安全委員会等が事情調査をする、あそこの経験に学ぶということは、そういうことだと思うのです。  だから安全委員会は、そういうことを具体的に自治省なりあるいは都道府県を集めるとか、政府全体として問題の解決への指導性を発揮するということをやってもらわなきゃいけないと思いますが、そういう点について、これはひとつ委員長に、どういうふうに考えておられるか。局長はもう官庁答弁をやるわけですから、それじゃ何の役にも立たないのです、問題として具体的にはね。ですから長官と、それから委員長にひとつ意見を聞きたい。
  51. 吹田徳雄

    ○吹田説明員 私も、安全委員会の所掌の範囲で、防災対策に対しては積極的に安全委員会として働きたいと思っております。  それで、御承知のように防災対策となりますと、避難という問題が一般にはすぐ浮かんでまいりますが、これは避難以外に非常にいろいろな点で考慮すべき点がございますので、その点に関しまして、いま専門部会で鋭意検討中でございます。その専門的な立場からどういうことが助言できるかということを、真剣に現在も考えておる次第でございます。
  52. 長田裕二

    ○長田国務大臣 先ほどもお答え申しましたように、私は、原子力の開発利用につきましては、安全確保がまず何よりも大事な問題だというふうに考えております。  また、スリーマイルアイランドの事故以後の措置としましては、局長及び安全委員長が答えておりますように、当面とるべき措置ということにつきましての予算措置等は、厳しい財政事情下ではございましたけれども、相当の措置がなされていると思いますし、今後、検討を進めておられる点などにつきましては、その結論を得次第、私どもも、その実現に十分に力を注いで対処してまいりたい、そのように考えているところでございます。
  53. 石野久男

    ○石野委員 地震のときの防災計画は、非常に大事ですから、中央防災会議がこのことに真剣な取り組みをなさっていると同じように、原子力施設地域におけるところの防災、いわゆる避難訓練をやるというと、どうも原子力に不安感がつのってきちゃって推進には役に立たないからと、ことさらに訓練を忌避するという傾向があることは間違いだと思うのです。そうじゃない。もっと大胆に言えば、私は、避難訓練はどんどんやった方がいいと思うのです。避難訓練をやることによって、むしろまた原子力に対する理解も進むのだろうと思います。だから、このことは、ぜひひとつ科学技術庁が先に立ってやっていただくようにしてほしい。そうでありませんと、いざというときに本当に役に立たないと思うのです。  きょうこの段階ではどうにもなりませんが、たとえば東海村のあの原子力地域に仮に事故があったとすると、あそこにいま三本、六号国道に対する避難道路ができている、その限りにおいては、ここから逃げられる、しかし、ここから逃げても、六号国道に行ったら、もうさばき切れませんよ。全部T字路ですから行き詰まりですよ。ただ原研の前のところだけ、かすかに額田というところに抜ける道がありますけれども、これなんか自動車で逃げ始めたら、とてもこなせるものじゃありません。ふん詰まりですよ。六号国道は、恐らく日立から福島までは上りはとまってしまうでしょうし、こちらは土浦あたりまで全部自動車がとまって、そして後から来た者は、どこかに逃げるという形になるのではないだろうか。道路計画一つ見てもそうです。鹿島のバイパス線なんかでもすぐ行き詰まってしまう。だから、スリーマイルにおけるパニック的症状というものを、もう少し親身になって考える必要があると思うのです。  委員長、事故があったときに、日本ではこんなことはあり得ないのだということの発言がありましたけれども、これはそうあってほしいけれども、私は、それは間違いだと思うのです。そういうことじゃなくて、最悪の場合に対処することを考えるのが皆さんのお役目だろうと思うのです。本当に国民に奉仕するということなら、そのことをやってもらわなければ困る。だから、安全委員長なり科学技術庁長官は、各省庁に対して、原子力の避難訓練等に対して、もっと具体的に積極的木にやる心構えを持っていただきたい。  このことについて、簡単でいいですから、委員長と長官に御所見だけ聞いておきたい。
  54. 吹田徳雄

    ○吹田説明員 おっしゃること、よくわかるのでございますけれども、そういう避難訓練をやる前にいろいろ、たとえば指導者の訓練でございますとか情報の整備とか、そういうものができ上がってからでないと、いま直ちに、何十キロの範囲の退避計画をやるといいましても、これはすぐにはできませんので、われわれといたしましては、順序を追って合理的に、そういう事故の場合に国民の安全を守るためにはどうしたらよろしいかというのを真剣に考えていきたいと考えておるわけでございます。
  55. 石野久男

    ○石野委員 吹田委員長、事故はあなたの言うそれまで待ってくれますか。
  56. 吹田徳雄

    ○吹田説明員 当面の施策といたしまして、現在、われわれ考えております範囲内では、必要な最少限の手は打ってあると思います。その上によりよくするために、TMIのことから学びましたことを、これから整備してよりよくしていこうと考えておる次第でございます。
  57. 石野久男

    ○石野委員 原子力安全委員長は、非常に段取りよく順序よく仕事をしようという、その気持ちはよくわかります。しかし事故というのが、全く安全だと言っておった原子力にああいう事故が起きたのです。ですから私は、十全を期するよりも次善を期してほしい、そしてその中で一応の概括的な大きな策は与えておいて、それから中を詰めていくというやり方も必要なんだと思います。  いまの委員長のような考え方でおりますと、科学技術庁なりあるいは原子力安全委員会というものは、技術的にどんどん詰めていくということがきわめて大事なことだし、自信を持ってやるためには研究もしなければいけないし訓練もしなければいけない、だけれども、事故というものに対応するための大まかな施策なり何なりというものが必要だと私は思うのです。  ことに訓練は、いままで見ますと、訓練はやりましたと言うときは、いつでも所内の部課長とか村の村長さんとかあるいは議員の方とかが入って、一般の大衆は全然関係していない。こんな訓練をたとえば東海村で何遍やっても、率直に言って、これは役に立たないですよ。しかも原子力施設の中の道路を使って訓練しておったって、こんなものは何にも役に立ちやしません。もっと実効果のある訓練をする構えでなければ、安全委員会は何のためにあるのかわからないですよ。安全委員会に対して国民は信頼を置いている、だから、皆さんの言うことについては、できるだけそれにくっついていって、自分たちの安全を確保しようという心構えはみんなできているはずです。だから私は、十全を期そうという気持ちはわかりますけれども、しかし、スリーマイルアイランドの事故に学ぶということであるならば、施策のあり方としてやり方をもう少し考えるべきだろうと思うのです。  この点は科学技術庁長官は、安全委員長を指導するとかなんとかいうようなこととはまた別に、これは総理が上におるわけですから、安全委員会とか原子力委員会とかいうものを駆使して、やはり一たん緩急あればというときの構えをさせなければいけないのじゃないかと思いますが、いかがですか。
  58. 長田裕二

    ○長田国務大臣 原子力の安全確保の点の真っ先に一番力を入れなければならないことは、原子力施設そのものの故障、あるいは事故などで放射能などを近辺に流さない、そういうような事柄がないように努力することが第一だと思っておりますし、不幸にしてそういうことが起こった場合の措置につきましては、去年のスリーマイルアイランドのあの事故を教訓としましていろいろな措置がとられておりますことは、安全委員長がお答えになったとおりでございます。  いままでとられたこと、これからどういうことをやらなければならないかということを検討しておられること、そういうことを踏まえまして、さらに今後防災関係の施策がいろいろ進められることと思うわけでございます。私どもの立場から申しましても、事故なり何なりが万一不幸にして起こった場合、その事故がどういう性格のものであり、どういう影響を及ぼすかということをまず早く判断するということ、それについてどういう措置をとることが必要なのかということなどにつきまして、それぞれその衝に当たっている者たちがそれらを十分に理解し、実行に移せるようなそういうところまでまずみずからをといいますか、研修その他の措置によってそれぞれの人がそれらに習熟していく、そこらがまず前提ではないかというふうに思っております。  避難の問題も、御指摘のように、避難は絶対にやるべきではないというふうに頭から避けて通るべき問題ではないと私も先生のお話は十分理解いたしますけれども、しかし、手順としましては、そういうようなことで事態をしっかり認識し、その判断に基づいてどういうことをしなければならないかということを関係者が、特に科学技術庁あるいはその他原子力の専門家の方が的確に助言をする、そういう助言なり判断に基づいて、市町村その他現地におられる方々あるいは現地へ駆けつけた人たちが、どういうふうに適切な措置をとるベきかということなどについて十分に習熟し、自信を持って行動できる、そういうようなことがまずスタートでございまして、さらにまた、それ以後の発展、また事故の状況等に応じてお話しのような点なども込めましての措置というものを、ただいま安全委員会で検討中でおられるだろう、私は、そのように思う次第でございます。
  59. 石野久男

    ○石野委員 事故に対する対応については、安全委員長も科学技術庁長官もいずれも、まず私たちが自信を持てなければ国民に対する訓練はなかなかやれない、何よりもまず幹部がその訓練に習熟する、あるいは考え方を十分理解する、そういうことにならなければ、国民の間における、一般市民に対する訓練はやる気持ちはない、こういうふうに理解してよろしいですね。
  60. 長田裕二

    ○長田国務大臣 私は、ただいまお答え申しましたように、先生のお話の避難というものを決してやるべきでないと申し上げているのではありませんで、手順としまして、まず先ほど申し上げたようなところから始める。今後、安全委員会等におかれまして検討しておられる今後の検討事項の中に、恐らく避難等をも込めましてどういう措置をとるべきかということなどが次第に明らかになっていくことだろうと思いますし、そういう出ました結論というものは十分尊重しながら措置をしてまいらなければならない、そのように思っている次第でございます。
  61. 石野久男

    ○石野委員 長官が幾ら避難をするなとかなんとか言ったって、事故が起きれば避難をしなければしょうがないんですよ。委員長が何と言おうと、事故が起きれば避難をするんですよ。あなた方がとまれと言ったって、皆逃げるんですよ。そういうことがわかっているのに、私たちがもう少しわかっていなければ、もっと技術的に研究しなければ避難訓練はできないのだということでは、これは事故が起きたとき、その地域住民に対しては何の安全の策にもなりませんよ。  第一、それだけではありませんよ。ただ、どういうふうに指導するか逃げるかということではなくて、道路自体についてさえも策がないじゃないですか。東海村一つ見てもそうですよ。福井の現地を見てもそうですよ。事故が起きてどういうふうに逃げるのです、どこへ。逃げる道への方策一つ考えていませんよ。ただ、言いわけのように国道に対して道路をつくって、その周辺にと言ったって、本来ならば住民を置くべきじゃないようなところへみんな住民が市街地をつくってしまっている。もういまごろになると、どうにもこうにもならない。われわれが東海の原子力研究所を置いたときには、少なくともあの周辺付近は相当広い範囲で緑地帯をつくるはずだった。そのために学校を移転した。しかし、その後に全部市街地ができてしまった。いまではどうにもならないでしょう、避難させようにも。  指導的な立場に立っている者は、やはりもうちょっと先見的に指導しなければいけないのじゃないでしょうか。安全委員会にこの先見的指導がないとしたならば、何のために安全委員会があるのかわからない。しかも安全委員会のなす最終的なものは周辺地住民を安全に守ること、それは局長も言ったとおりだ。職場におる諸君は常に訓練をされておる。訓練を行うときは、職場の諸君がいつも訓練をしているんですよ。職場の外におって、さく外におる人には一遍も訓練が行われていない、これで何の役に立ちますか。もっと率直に、地域住民が不安を感じておることを心してあなた方は避難訓練等考えなければいけないのじゃないでしょうか。  いまの答弁からすれば、長官も委員長もどちらも、われわれが納得するような避難計画へのマニュアルができるまではやれませんと言うのと同じですよ。私は、そんなことではよろしくないと思うのですが、いかがですか。
  62. 長田裕二

    ○長田国務大臣 考え方として、私は、避難訓練をもう決してあってはならぬものだなどとは考えておりませんで、スリーマイルアイランドの事故がいままでの中では最も大きいかとも思いますが、日本の国内でも故障のようなものは不幸にしてときどき起こっておるわけでございます。ただ、どういう状況になったら避難が必要か、そこのところがまた非常に大事な問題で、避難を要する事故はどういう事故であるか、どういう状況になったら避難してもらわなければならないか、そういうようなことなどにつきましても、なかなか――そういう事故を起こしてはならぬと私は思っておりますけれども、そういう事故が、本当に万一不幸にもそれに近いような状況が起こりました場合も、避難を要するか要しないかという判断あるいはそれらについての御承知の連絡組織とかあるいは専門家を派遣する訓練とか、そういうような、そこまでのものもまだ十分でき上がっているとは思いません。そういう訓練は、昨年来特に力を入れてやっているところでございます。引き続いて今後、さらに展開されていく防災の計画、防災の研究の中で、新たなそういう問題が起こってまいる、そういうものも込めましてなすべき施策が検討される、その結果は十分に尊重してまいる、そういうようなことをお答えしている次第でございます。
  63. 石野久男

    ○石野委員 大臣と私の問答はすれ違っているんですよ。大臣が言うように、いかなるときに避難をするか云々という問題は、皆さんの方で考えたらいいわけですよ。安全委員会がどういう状況のもとにどういう避難をさせるかどうかということは、これは安全委員会が考えなければ庶民にはわからないのだ。私の言うのは、最悪の事態が起きたときとか、事前とか、いろいろ段階がありましょうけれども、そういう事態に対して一般大衆がどういうように避難をするかという訓練がないと、幾ら頭の中でやっておっても、みんな錯綜しちゃいまして、第一、交通が渋滞してしまってどうにもならなくなるだろう。そういうことにさせないためには訓練がなければいけないのじゃないか。そしてそのことは、スリーマイルアイランドの事故がわれわれに非常に厳しく教えているところです。なぜそのことをやらないかということを言っている。だから、いかなる場合に避難をするか、どういうときにはこういうようにするかということは、これは上層部で考えたらよろしい。だから私が言うのは、事故が起きたときに皆さんはこうしなければいけませんよという具体的な問題を大衆の中に訓練しなかったならば、幾ら策がありましても、それは効果をあらわしませんよ、こういうことなんです。  ことにアメリカと日本との違いは、日本の場合は余りにも地域が狭いということです。スリーマイルアイランドは、どんなにパニックがあったとかなんとか言っても、あの広大な地域でございますから、十万や二十万の人は大したことはないですよ。どこへでも隠れられる。日本ではどこへ行ったって隠れる場所がないじゃないですか。アメリカの放射能と日本の放射能と風に乗っていく速度が違うわけじゃないでしょう。みんな同じですよ。被害を与える程度はみんな同じなんですよ。だとするならば、われわれのような地域環境の違うところでは、もっとアメリカよりも積極的に避難計画をつくらなければいけない。それで訓練をしなければいけない。これは何も一年じゅうやれとは言いませんよ。一年に一遍でもいいのですよ。一遍やっておけば大衆は大体方向がわかるのですから、あとの組織の問題は皆さんが具体的にやっていけばいいでしょう。そのくらいのことをやるという決意があなた方になければ、大平内閣に避難計画をつくれといったってこれは無理ですよ。科学技術庁にそういう案がなく、安全委員会にその策がなかったら、どうして政府に案が出てきますか。みんなあなた方に任されているのじゃありませんか。  長官と委員長は、もっとこの問題について積極的でなければならぬと思いますが、特に長官、あなたは私の与えられた所掌の範囲内においてということをよく言われる、それはもうそれでいいと思いますけれども、しかし、この所掌の範囲内においてということがきわめて大きな主導性を持っているわけですよ、本件については。だから、それだけに他の省庁に対しも積極的な発言をする決意がなかったら、安全委員会をつくった意味がないと思うのです。  吹田委員長、ひとつあなたの御所見をもう一遍聞いておきたいのです。
  64. 吹田徳雄

    ○吹田説明員 避難をする訓練ができる時点になりますと私は避難訓練を行いますが、現在、どういう場合に避難して、どういう場合に避難すべきでないか、二次災害ということも考えられますし、そういういろいろなことをあらかじめ専門部会で検討中でございますから、そういうことができてから、避難訓練をすべき時点になりますと、われわれはちゅうちょなくやりたいと思いますが、いま直ちにそういう避難訓練をやるといいましても、条件が非常にむずかしい。みんな各省に関係しております。  そこで、現在の時点で当面どうしたらよろしいかといいますと、やはり避難というのは、ほかの災害のときの避難を原子力にアプライするというしかございません。その訓練をするには、やはり指導者の方の訓練から始めます。そういう手順で、安全委員会としては、鋭意専門部会で仕事をしてもらっております。
  65. 石野久男

    ○石野委員 委員長は、私は避難についてはいまの時点はだめだ、こうおっしゃる。それでは、その時点はいつなのか、いつごろを目途としていま諮問をしたり研究しているのかということをひとつお聞かせください。  それから、いま一つは、いまの時点で避難といいましても、他の避難計画をアプライするよりほかにない、この考え方が私はどうも解せぬですよ。これは計画がないのだから仕方ないということだけれども、原子力の避難というのは、水の被害とか火災の被害とは違うはずなんですよ。放射能に対する避難なんでしょう。単に他の災害計画のアプライなんというようなことでは、原子力安全委員長の発言としては、私は、ちょっとおかしいのじゃないかと思うのですが、それはどういうことでそういう発言が出てくるのですか。
  66. 吹田徳雄

    ○吹田説明員 局長が事務的なことをよく知っておりますので、局長から……(石野委員「いや、いつの時点を予想しているのか」と呼ぶ)できるだけ早く結論を出していただくよう、いま専門部会で作業をしております。
  67. 牧村信之

    ○牧村政府委員 先生の御指摘ではございますけれども、現在、関係する都道府県、市町村に、すでに一般住民の退避の計画あるいは退避の場所等があらかじめ指定されておるわけでございます。先生御指摘のように、その計画に従って退避の計画をやっていないことは事実でございます。私どもがその辺のことをどういうふうに考えておるかを、専門家の先生方の御意見、いま専門部会に出ております御意見等も踏まえて若干御説明させていただきたいと思うのですけれども、原子力災害というのが非常に多様な起き方をするということをまず考えなくてはいけない。それは、一つは、災害が起きて放射能が一過性に出る場合と、あるいはじわじわと出る場合とでは、当然、住民が退避する態様も異なるわけでございます。ある場合には、一過性であれば、もう屋内に待避していてもらって、じっとしていてもらった方がいい場合もあるわけでございます。また先生御指摘のように、ある地域が、区域の人が、退避せざるを得ない場合もあるでございましょう。また気象状態によりますと、当然、原子力周辺の近いところが一番放射線が高いわけでございます。こういうようなことを考えますと、いろいろな様態がある、それに対応していかなければいけないということがございます。そして、そのような対応を的確に判断するのは、やはり指導者並びに国あるいは安全委員会の助言組織が県等に的確な助言をすることがまずきわめて重要であるということが言われておるわけでございます。  一方、地方公共団体のこういう住民の退避等を担当いたします部門におきましては、すでに一般の防災対策でいろいろな経験をお持ちでございます。そこで、それらの方々がおっしゃられておることでございますけれども、原子力特有の放射線に対して、この場合はこうすべきであるという助言を的確にもらえれば、われわれは一般の防災対策に十分乗せて対応できるのだという御意見もございます。そういうような御意見を専門部会の中で、都道府県の方も入っていただきまして、いま盛んに議論をしておるところでございます。そういうような御議論と、あるいは防災対策を発動する線量の指針、準備を始める線量の指針等と絡み合わせまして万全の防災対策を確立していきたいということで、いま議論しておる最中でございますので、もうしばらくのお待ちをいただきたいと思います。それが出た結果、私どもは、現段階では指導者を十分に訓練していくことから始めるべきだというふうには思っておりますけれども、その結論を得て行政庁として対処してまいりたいというふうに考えておるところでございます。
  68. 石野久男

    ○石野委員 防災の問題でいま局長が言われるようなことは、私たちも、そうあるべきだと思いますから、何も否定はしません。そういうふうにやっていただきたい。ただ、時期的に、じんぜん日を待つことはできないということを考えないと、きょうの日にでももし何かがあったときに、そんなことを言っておったら何の役にも立たぬじゃないかということ、だから私は、原子力災害が起きたときに、その放射線災害からどういうようにしてわれわれを逃げ切らせるかという指導は、適切な指導が行われさえすれば大衆は当然動くと思う、動くと思いますけれども、しかし、道路網とかあるいはその他の関係で皆さんが予想しているようには事態が進まない、だからこそ、訓練が必要だと私は言うわけです。  たとえば私の近くのところで、東海に事故が起きたときには、当然やはり、もう水戸どころじゃない、土浦あたりから一つの方策を立ててこなかったら、交通問題の整理はできなくなってくる。こういうようなことは、いま局長が言われたような幹部教育の問題じゃなくて指導の問題なんですよ。だからそういう問題は、地域住民に対して他の災害のものをアプライするというようなことだけでは足らない性格を持っている、放射線ですからね。  だから、こういう問題について私たちが一定の訓練というものをやっておかないと、そういう事態では思ったようにはいかないということを頭に置いておく必要がある。そのためにもこれは急ぐべきだということを言っておる。それは何も私たちが原子炉はまだ不完全なものであって、欠陥炉だからどうだからということと結びつけるつもりはないんですよ、仮に完全なものであったとしても、そういうことの必要性があるのだからやる決意がなければいけない。  委員長が言われるように、整備されたら整備されたら、その時点になればというようなことを言っておったのでは間に合わない。だから、次善の策をとにかくやるように、あなたがやらなくてもいいんですよ、やるべきだということの指示を与えればいいのです。あるいは内閣総理大臣をしてそうせしめればいいんですよ。私は、その考え方が吹田委員長になかったら総理は動かないと思いますよ。むしろ科技庁長官がそのことを協力してやらなかったら内閣は動かないのじゃないですか、率直に言って。この点はやはりもっとはっきりと長官も委員長も、被害を受ける庶民の立場なり地域の場を考えてひとつ対処していただくように、これはお願いしておきたいと思う。特に吹田委員長には、そういう点について、その決意をもう一遍聞かしておいてもらいたい。
  69. 吹田徳雄

    ○吹田説明員 防災は私も非常に関心がありまして、TMI事故以後、日本の防災対策をどういうふうにしたらよりよくできるか、これは非常に各省庁に関係しておりますので、安全委員会の考え方は述べますが、やはり少し時間を要します。それで、いま直ちに事故が起こったときの対策をまずしておきまして、それと並行にやはりよりいいものを考えていきたいと思います。  先生のおっしゃるような最終的なそういう防災対策が非常に緊要であるということは同感でございます。
  70. 石野久男

    ○石野委員 長官、その点についてもう一遍、長官の考え方をひとつ聞かしておいてください。
  71. 長田裕二

    ○長田国務大臣 安全の問題については、いやが上にも力を入れて安全確保に努めてまいるわけでございます。その一環といたしまして、いろいろな措置がとられております中で、今後、安全委員会の結論というものが出るのを待ちまして、それに即応した措置を十分にとってまいりたい、そのように考えておる次第でございます。
  72. 石野久男

    ○石野委員 原発の問題については、長期計画の中では非常に大きな期待をかけられておるし、代替エネルギーというとこれよりほかにないのだということを常に言われておりますけれども、原子炉は、率直なところを言いますと、商業炉として動いているのはいま二十一基あるんですね、しかし、もうかねてから私が申し上げておりまするように、この稼働率というのが、だんだん年次を経るに従って低くなってきている、この事実はどうしてもこれは否定できないと思うのです。  たとえば、いま私たちが昨年のといいますか、資源エネルギー庁から出しておりまする稼働率のあれをずっと再統計してみますと、たとえば稼働して一年から三年までのものを見ますると、これは大体五六・六%ぐらいの稼働率になっておるんですね。それから三年から五年たっているものが、実験用の炉なんかも入れましていまおよそ二十基ございますけれども、これは大体四一%ぐらいの稼働率になっています、設備稼働率ですよ。それから五年から七年のものが十基ありますが、これが三八・九%。そして七年から九年のものが現在八基ありますね、これが大体二六・七%の稼働率になっておるんですよ。これをずっと類推していきますと、新規の炉をつくれば一定程度、五〇%か六〇%の稼働率は統計的には出てまいりますけれども、もう新規のものができなくて、だんだん古い炉になっていきますと、稼働率がだんだん下がってきて三〇%台になっていく。これは何も日本だけじゃない。軽水炉については各国ともにある。特にアメリカでもそのとおりになっている。こういうような情勢の中で――私は、もう時間が非常に少なくなったので炉自体のことを申しませんが、炉が古くなりますると、当然やはり修理の回数が多くなってまいりますね。修理の回数が多くなってきますると、当然、やはりそこに働く労働者の被曝が多くなるわけです。資源エネルギー庁が出している表から見ましても、ずっと七〇年以降の例で見ますと、二年目ごとに被曝人レムが倍になっております。これはずっとごらんになればわかるんですよ。この状況のもとに類推していきますと、あと五年か十年たたないうちに本当に十万人レムぐらいのものになってしまうのじゃないか。今世紀中には恐らく百万人レムの被曝者が出てくる被曝状況になるだろう、こう思うのです。  こういうような状況を委員長はどういうようにお考えになり、また、これをどういうようにして回避していくことができるとお考えになりますか、ひとつ所見を承りたいと思います。
  73. 吹田徳雄

    ○吹田説明員 私といたしましては、やはり放射線の影響というのは、一般大衆と従事者の被曝しいうのは、日本にとって非常に重要な課題だと考えております。  それで、安全委員会といたしましては、ALAPの精神にのっとってできるだけ低くなるように通産その他を指導しております。ですから、安全審査からそれ以後の詳細設計、工事認可等々、運転管理もそうでございますが、それを通じまして、やはり従業員の被曝というのは、これからもできるだけ低減の方向に、たとえば標準化でありますとか、いろいろな検査の方法でありますとかそういうのを、通産、電力、メーカーが一緒になって、規制もそうでございますが、できるだ低減していきたい、こういう考えでございます。
  74. 児玉勝臣

    ○児玉(勝)政府委員 ただいま委員長からお話がございましたけれども、定期点検の問題については、通産省も若干関連しておりますので、補足して御説明させていただきます。  ただいま先生おっしゃいますように、従業者の総被曝線量が年々増加しているのは事実でございまして、私たちとしても、非常に関心を持ってこれを見ております。  それで、その被曝の内容について、現在、分析もしておりますけれども、定例的な定期点検以外に特殊な工事というのが非常にふえております。それはBWRの場合には応力腐食割れの工事でございますし、PWRの場合には蒸気発生器の点検、それから、それに対するプラグの挿入ということでございます。本来、そういうSG、蒸気発生器とか原子炉の中に入ってやるようなものはまれなことでございましたが、それが原子力発電所が運転して数年にしてそういう問題が起こってきたことは、当初予測しなかった点でございまして、今後、原子力発電所をつくる場合にも、品質管理の問題、設計の問題、そういう問題をそれに反映させなければならないと思っております。従来あるものについては、急いで修理させることによりまして、このような異常な状態がいつまでも続くというふうには思っておりませんし、先生おっしゃるとおり五年後、十年後は、いまのような状態で増加さぜることはとても問題でございますので、そういうふうにさせないようにしたいと思っております。  そういう意味で、設備をよくするということでの改良、標準化をしなければいけませんし、さらに機器の自動化、遠隔操作ということで、なるべく人の遮蔽を完璧にするというようなことを考えたいと思います。それからまた、遮蔽物を置くためのスペースという問題もございますし、そういうことで非常に保守のしやすい原子力発電所の設計ということに着目していきたいと思っております。
  75. 石野久男

    ○石野委員 できるだけ被曝線量を少なくするように努力したいという気持ちはよくわかりますけれども、事実は、なかなかそうはいかないで、むしろ逆行しているわけです。原子炉の安全神話が崩壊したのと同じように、労働者の被曝線量をなるべく少なくしようとするけれども、逆にどんどんふえていっている。  いま私が言っているのは、あなた方が出された、エネ庁で出した七八年度の労働者被曝のなにで言っているわけですよ。数字をここで申し述べておると時間がありませんから、委員長、できましたら、この数字は後で議事録の中にちょっと入れさせてもらいたいと思います。これはエネ庁で出している数字ですから、別に差し支えないわけです。  その数字を見ておってもわかりますように、被曝が非常に大きくふえておる。特に傾向的にいえば、BWRの被曝線量は非常に多いわけです。福島のごときは、あなた方の資料を見てもわかるように、平均被曝線量で福島第一はコンマ七一レム、平均で七百十ミリレムの被曝をするわけです。  その中で特に問題だと思うのは、一般社員は三百七十ミリレムですけれども、下請の場合の平均は、ここに出ているのは七百四十ミリレム、倍です。どこでもこういう傾向が出ているわけです。下請労務者の被曝線量が多いということは非常に問題です。  昨日、朝日新聞の夕刊で「下請け労働者は語る」という大きな記事が出ておりました。この記事は決して誇張でも何でもないのです。どこへ行ってもこのとおりです。私は、この下請労務者の被曝だけではなくて、一般の社員労務者でもそうですけれども、被曝線量がこんなにふえてくるということは非常に危険だと思います。この点について、これは監督官庁もそうだし、特に労働省あたりの監督がもっと行き届かないといけないのではないかという感を強くするわけです。  それで、労働省からいただいておる被曝についての資料と通産省から出ておる資料とを見ますと、これはどこかで突き合うのでしょうけれども、私たちが見る限りでは、ずいぶん違いがあるわけですね。労働省の掌握しているのは非常に少ないのです。この掌握の仕方は、保健所とか何かという間接的な掌握になってくるからだと思いますが、労務管理の上からいって、労働省は、こういう問題をどういうふうに見ているのか。それから、監督官庁としての通産省なり安全委員会は、この問題に対してどういうふうに対処しょうとしているのか、所見をひとつ聞かせてもらいたい。
  76. 林部弘

    ○林部説明員 先生お尋ねの中の数字の違いでございますが、これは一口で申しますと、私どもの方の把握いたしておりますのは、電離放射線障害防止規則の健康診断についての結果報告に基づくものでございますので、六カ月に一回の健診の対象に予定される者を中心に集められた数字でございます。それから、エネルギー庁の方の数字と申しますのは、原子力規制法に基づきます従事者の実態という形になっておりますので、その意味では当然数字の違いが出てくるわけでございますが、実際には、私どもが監督ベースで個々の原子力発電所関係に立ち入りまして監督をいたしております時点のものとしては、両者には私は食い違いは多分ないと考えております。  それから、だんだん被曝線量がふえてくるのではないかというお話でございますが、確かに、先ほど原子力安全委員長の方からお話がございましたように、労働者の被曝はできるだけ少ないことが望ましい問題でございます。現在、これは私どものみでなく、国内すべての原子力関係に関係のございます省庁の決めております許容限度は、先生御承知の国際的なICRPのものに基づく年五レム、三カ月三レムといったところに合致しているかどうか、それを超えないように管理されているかどうかということが一番基本にあるわけでございますので、私ども監督ベースの形としては、そういう国際的に許容されている線量を超えないようにするのは当然でございますが、できるだけ被曝線量を計画的に少なくできるような御配慮を、それぞれの事業者にお願いをするということでございます。  それから、監督そのものにつきましては、私ども、原子力発電所以外に非常に多くの事業場を三千人の監督官が監督をする立場になっておりますので、原子力発電所関係だけ頻繁にということは、なかなかむずかしいのでございますけれども、一応、毎年の監督の計画の運営方針の中で、原子力発電所の関係につきましては重点的に監督を行うということで、実際に指導もし、そのように実行いたしておりますので、業種別に考えますれば、原子力発電所の関係につきましての監督は、他の業種よりはかなり、重点ということで頻度が多くなっているという現状でございます。
  77. 牧村信之

    ○牧村政府委員 科学技術庁は、この問題に対しましては、先生御指摘のような数字の違いを必ずしもつかんでおるわけではございませんけれども、労働者の方がいろいろ渡り歩くケースが原子力発電所の定期検査等であり得るわけでございます。そういうようなときに、ある発電所では規定どおりだけれども、次に行ってよけいに浴びたということが非常に問題になるわけでございます。そういう意味で、法律で定めます現在の三カ月三レム、年間五レムを守るために、すでに御承知かとも思いますけれども、放射線従事者中央登録センターというのを五十二年に発足させておりまして、現在、原子力発電所あるいは主要な原子力施設に勤める方の放射線下の被曝状況を一〇〇%ここに登録させるようなシステムを完備したところでございます。それで、すでに過去の労働者の被曝も含めまして登録を終了して営業しておるところでございます。幸い、昨年におきますこれらの方々の線量は、法律の三カ月三レム、年間五レムを十分下回った数字であることは確認しておるところでございます。
  78. 児玉勝臣

    ○児玉(勝)政府委員 原子力発電所におきます現場の労働者の被曝管理につきましては、電力会社は原子炉等規制法に基づく保安規定によりまして、管理区域への出入管理とか退出時の放射線量の測定とか放射線に関する教育、それから被曝管理台帳の整備等の処置を講じまして、被曝管理の徹底を図るということをやっておるわけでございまして、これは社員、非社員にかかわらず厳正にやっておるはずでございます。  それで、社員は三百七十ミリレムで請負の方がその倍ぐらいだという先ほどの御摘指でございましたけれども、これは作業の内容そのものが、実際に放射線のところでの作業、要するに熟練者、作業者というのが請負でやってもらっておりますので、そういうかたまった作業でいろいろ被曝するチャンスが多いというのが実態でございます。そういう意味で、電力会社の社員は、いわゆる監視業務、巡回というようなところでの被曝線量が主でございますので少ないわけでございます。決して請負業者だけに被曝させて社員は逃げ回っているというわけじゃないわけでございます。
  79. 吹田徳雄

    ○吹田説明員 安全委員会にとりましても、この放射線防護というのは、非常に重要な問題でございまして、安全審査の段階はもちろんでございますが、それ以後に対しましても、非常に関心を持っておりまして、定期的に行政庁から報告を受けて、その内容を審議しております。今後とも、そういう問題に対しましては、われわれ一層関心を持って見守っていきたいと思います。
  80. 石野久男

    ○石野委員 私は先日、福島の第一原発一号炉の修理の実況を炉心のところまで行きまして見てまいりました。炉心には入りませんでしたが、あそこに三、四十分入っておる間の私自身の被曝は三・六ミリレムでございました。中に入りました吉田参議院議員は、十分間で大体十八ミリレムの被曝をしてきております。この計算でいきますると、一時間じっとしておれば百十ミリぐらいの被曝になるわけでございまして、作業の実情から見まして――吉田参議院議員は、ただ中に入って、できるだけ安全に見てきたわけですけれども、作業する方々は、あの中でいろいろな仕事をするわけです。  数年前に島根の発電所で、やはりノズルのひび割れの問題からの作業がありました。その後福島でもあって、たびたびやっておった修復工事も、今度GEから切削機械などが入っておりまして、自動化した切削の方法になり、作業方法もずいぶん変わっておりますから、若干被曝度は少ないだろうと思いますけれども、上から見ておっても、吉田君自身の話を聞いても、あの炉の中では、せいぜい四人か五人くらいしか仕事はできないですよね。ことに切削機械のこのくらいのものが置いてありましたけれども、あんなものが置いてあったりしたら、とても動けない。吉田議員の話によりますと、身動きできない、動くとぶつかっちゃう、こういう状態ですから、作業している方々の被曝を低位に抑えようたって、とても抑え切れないものがあると思います。  炉内の状態をずっといろいろカウントさせますと、ノズルの中心部門では六百五十ミリくらいのものが、そっと当てただけでやはり線量が出るそうです。大体中は百ミリレムくらいの空中汚染度というものになっているのだと思います、が、いずれにしましても、下に鉛のプレートが張ってあるわけですから、下から出てくるストリームのなになんか見ますると、相当な量が当然出てくるわけですね。上で私ども、ちょうど給水スパージャーの取り外したものを、貯水所の中に入れてあるやつを見ました。その方向へずっと線量計を入れますと、それが大体五ミリレムから六ミリレムくらいでございますけれども、今度は炉の方へ向けますと、これはもう二十ミリくらいになる。下へ向けると五十ミリ超えちゃうのですよ。上でちょっと下へ向けただけで五十ミリ超えますから、中に入っている方々は、想像以上の被曝をするものと思われます。  そこで、その作業者の被曝を抑えようとすれば、当然労働時間を詰めなければならぬわけですよね。しかし、仕事の性質上、なかなかそれは十分や二十分で切るわけにいきませんから、一時間、二時間、場合によれば五時間、七時間という時間を働かすということになれば、三カ月三レムというこの限界を一日、二日のうちに乗り越えてしまうという、これが実情だと思うんですよ。しかも、そういうことをやる方々は、もちろん熟練の方々もおりましょうけれども、下請の方が多いということになりますと、先ほど申しました、そして皆さんから出ているこの資料によりましても、請負業務をやっておる方々の被曝線量というのは非常に多いわけです、一般の電力会社の社員の倍なんですから。また、これは平均ですから、多い人になればうんと出てくる。  児玉審議官が参議院の吉田質問に対して答えたときの答えと、それから吉田参議院議員が内閣に対して答弁を求める質問書の中でお答えいただいたときの事情を勘案しましても、労働者一人当たりの被曝一日千ミリレムを超えることは、ずいぶん数多くあるものと私は想像します。この場合、労働省はこの監督をどのようにするのか。監督官庁である通産省は、どういうふうにしてこのICRPの基準に沿うような監督を具体的にやるかという問題が、われわれにとって問われる問題なんです。これはどういうようになさるのかということが一つ。  それから、こういう形で被曝をした方々は、やはりなかなか――ちょうど昨日の朝日新聞の記事にもありまするように、労災補償を受けることはなかなかできないんですよね。これは労働省がもっと積極的にめんどうを見なければならない問題だと思うんですよ。こういうことで、被曝をした方々が症状が悪くなった場合に労災の手当てを受けないようなことでは、とてもこれは安心して入ることはできないと思う。  だから、そういう被曝が増加することについての対策をどのようにするかということ、管理することについて労働者の被曝をどのようにして少なくし、あるいは被曝した者に対して、どういうふうに与えられた保護的な処置をするかという問題、これをひとつしっかりと聞かしておいてもらわなければいけないし、対策を立ててもらわなければいかぬと思います。私の見るところでは、電力会社は、やはり室内で被曝を少なくするためのできる限りの手当てはそれぞれしていると思うのです。しかし、炉の性格上、原子力の性格上、限界があるのだと思うのです。一生懸命にやっておるけれども、どうしても被曝をするし、それから、もうこれを避けようとすれば、労働時間を短縮して、労働延べ人員をやはりうんとふやす企業の側の構えがない限りは、とても被曝を防ぐことができないのじゃないか、こう思いますが、そういう問題等についての一つの所見を聞かしてほしい。
  81. 児玉勝臣

    ○児玉(勝)政府委員 まず、通産省の方からお答えさせていただきますが、この被曝軽減の問題につきましては、まず設備的に、いまおっしゃったように、どのようにシールドといいますか、放射線を防止するための対応をするかということがやはり大事だと思います。ですから、そこの作業場所での最善の防護措置を行っているかどうかということを、特殊工事の場合には特に通産省としても関心を持って話を聞いておりますし、それによってもっと改良した方法があるのではないかというようなことも考えております。  それから、人員をふやすばかりじゃなくて、やはりそれに合った治具をどうするかということ、それを開発してなるべく無人化でそういう高放射線下の作業をするようにする、そういうことで個人的なダメージにならないように考えなければいけないのじゃないかと思います。  それから、今度個人的な、どうしても人が入らなければ作業ができないようなところにつきましては、モックアップをつくりまして、そこで短時間にその作業ができるように訓練をいたしまして、そこでの取り外し――このスパージャーの問題も、実はアメリカに訓練所がありまして、そこで何回も実際にやりまして、それの技術を受けた者が来てやっておるというふうに聞いております。  そういうふうに実際の現場での作業をする人間の技能の向上ということが、やはり被曝時間を短くすることにもなりますので、そういうようなところとのタイアップをしてやるということで、個人的な放射線のダメージが少なく、かつ迅速に的確に十分作業ができるように考えなければいけない、こういうふうに思っております。  それから、やはりそういう高放射線下の問題は、その作業者にすべての負担をさせるわけでございませんで、その保安管理計画書というのをつくりまして、どういう管理方法なり被曝低減対策があるかということを詳細に検討いたしますと同時に、放射線管理員を必ず立ち会わせまして、さっき先生おっしゃいましたように、どっちの方向からどういうものが来るかということの雰囲気の全体の管理をいたしまして、さらに作業時間の監視員を配置いたしまして、その時間を的確に伝えてその管理をいたします。  それから、マスク着用作業におきましては、マスク監視員というのを置きまして、マスクがちゃんと着用されておるか、たとえばフィルターがずれているとか、そういうことがないようにやっております。  そういうようなことで、設備の方の問題と、それから作業員を管理する面と作業員そのものと、大体三つ、三位一体でこの問題を何とか解決していきたい、こう考えております。
  82. 林部弘

    ○林部説明員 初めに監督のことについて申し上げますと、監督につきましては、特別監督指導計画というものに基づきまして、監督官を事業場に差し向けまして監督をしているわけでございますが、現在、監督の時期というのは、おおむね九十日間ぐらい定期検査がございますので、そういう時期に派遣をするというふうにできるだけいたしております。ただ、九十日間ぴったり監督官が張りつくということは、とてもできませんので、せいぜい長くても二、三日くらいの期間ということになりますが、その際、重点的に監督させております項目と申しますのは、やはり一つは、被曝管理の状況でございますし、もう一つは、作業環境の問題もう一つが労働者の健康診断の問題ということに大体なろうかと思います。  被曝管理の問題につきましては、被曝線量の測定とか記録の保存が十分に履行されているかどうか、それから作業環境の測定がきちんと行われているかどうか、それから放射線測定器の備えつけ等の措置はどうであるか、それから被曝線量の限度、これは先ほど申しましたが、これがきちんと守られているかどうか、それから健康診断の実施、その他放射性物質を取り扱っております作業室内の汚染検査がきちんと行われているか、実際に退去者あるいは持ち出し物品の汚染検査がきちんと行われているか、あるいは安全衛生教育が行われているか、大体こういうことを重点項目として監督官は監督を行っております。  ただ監督官は、いわゆる放射線業務に常時従事するという立場の者ではございませんので、監督官が現場に入りまして幾ら放射線を浴びてもよいということにはならないわけでございます。したがいまして、監督官というのは、あらゆる事業場に出入りをするという立場の人間でございますから、当然、一般公衆が被曝しても許されるという範囲内の被曝を超えて監督するということは、現実の問題としては不可能でございますので、いま申し上げましたようなことにつきまして、重点的に監督を行っているということになると思います。  それから、労災に関連してのことでございますが、実は私、労災そのものの担当課長でないものですから、必ずしもお答えが十分でないかもしれませんが、労災の補償の場合、先生がおっしゃる問題というのは、結局、認定の問題になろうかと思います。認定の問題につきましては、医学の進歩というものとにらみ合わせて認定基準を考えるということに多分なると考えるわけでございますが、この認定基準に関しましても、専門家会議における検討結果の報告に基づきまして、そのときそのときの医学の進歩というものを十分取り入れた形で具体的な認定の要件を受けるようになっていると理解をいたしております。  認定要件の骨子といたしましては、もうすでに先生の方からいろいろお尋ねがあったようにも承っておりますが、被曝の線量の問題とか放射線業務への従事期間がどのくらい、それから病気そのものが、潜伏期間ということを考えなければなりませんから、そういう問題とか、それから放射線障害特有の症状がどうなっているか、そういった要件を満たしているかどうかということについて、通達等によりまして現場に対し十分指導いたしておるという状況でございますので、その意味では、年々科学技術の進歩に対応できるような認定基準に少しでも改めるという努力は常にいたしておるというふうに答えられるかと思います。
  83. 児玉勝臣

    ○児玉(勝)政府委員 ちょっと先ほどの答弁で足りない点がございましたが、給水スパージャーの工事で現在、これは準備工事を入れまして十二月からやっておりますが、実際に高放射線下の作業をしておりますのが一月からでございます。それで、一月二十九日までの作業、大体全体の工程からいきまして三分の一ぐらい終わったところでございますけれども、その現状におきましての各工程ごとの最大被曝線量を報告してわれわれ聞いておりますけれども、その中で一番多いのは五百九十二ミリレムということでございまして、千ミリレムよりはずっと下のところで現在は進んでおります。そういう意味で、今後、そういうかっこうで、計画被曝線量というのは一つの計画をつくる上での目安として考えておりますが、実際上はアラームメーターの八割ぐらいのところ、八百ミリレムのところに設定しておると聞いておりますし、そういうことで実際の作業はそれより下のところで抑えるようにしておりますので、実態を報告させていただきます。
  84. 石野久男

    ○石野委員 私は、いまの児玉審議官のなには、皆さんからいただいたこの表から比べてみましても、ちょっと疑問を持つのです。炉心の一番中央に入っている人が、この平均値よりも、請負等社外従事者の、これは五十三年でございますけれども、それよりもはるかに低いところで抑えられて、どれだけどういうふうになっているのかわかりませんが、これは非常に疑問です。しかし、もう時間がございませんから申しませんが……。  ただ長官に、いまの労働省や通産省等のお話でもわかりますように、この高放射線下における作業というのは労働者にとっては非常に危険な作業です。それを主として請負業者の方々のもとでやられておる。労働者は、これは率直なことを申しますると、一般人と余り変わらないわけですよ。いわゆる専門屋ではないわけですよ。したがって、その専門屋でない方々の平均の被曝線量が五十三年度で七百三十ミリレムというものが出ている。これはエネ庁で出した表ですからね。こういうような状態になってきますと、下請労働者に対する被曝の問題についての管理監督なり、それからまた、被曝した人たちで、十分に積極的に物を言えない方々、苦しんでいる方々がたくさんおるわけです、これは会社や何かの事情から。そのことを、出てきている数字の面だけで見ないで、実態を掌握していただくようにしていただくことが非常に大切だと思うのです。その点は通産省もしっかりと見詰めていただきたいし、労働省の方も、監督官が少ないとか、あるいは環境が違うので余り高濃度のところへ入れませんとかいうようなことではなくて、やらにゃならぬ仕事であればやるようにする体制をつくってもらわなければいけない。そのためには、どうしても長官から各省庁に対して強く呼びかけをすることによって、この面に対する行政上の充実化をやはり図っていただくことを私はお願いしたいと思うのです。  いろいろ申し上げたいことがありますが、もう時間がはるかに過ぎておりますので、これでおきますが、最後に、長官の御所見だけちょっと聞かしていただきます。
  85. 長田裕二

    ○長田国務大臣 原子力発電所等の作業員の受ける放射線量をできるだけ減らし、少なくしていくということは、政府全体の方針でもございますしただいまお話の点は、十分に留意いたしまして、これから安全委員会、その他関係省庁とその面への推進を図ってまいりたいと思います。  すでに昨年末以来、関係省庁の間で連絡会が持たれているようでございまして、そこの場で鋭意検討も進められているようでございますから、適切な対応の仕方というものもだんだん得られていくと思います。私は、極力それを推進してまいりたい、そのように思っております。
  86. 石野久男

    ○石野委員 終わります。
  87. 瀬野栄次郎

    ○瀬野委員長 午後一時三十分から再開することとし、この際、休憩いたします。     午後零時五十二分休憩      ――――◇―――――     午後一時三十三分開議
  88. 瀬野栄次郎

    ○瀬野委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  質疑を続行いたします。貝沼次郎君。
  89. 貝沼次郎

    ○貝沼委員 先般大臣の所信表明がございましたが、これについて何点か伺っておきたいと存じます。  この演説の中で、科学技術関係の予算がふえたということ、それから特に科技庁関係で一六・七%もふえたということでありますので、これは私、非常に結構なことだと思っております。しかし、中身を見てまいりますと、なるほどこれだけふえたことはふえたが、果たしてこのふえたことが何を意味するのだろうか。ほかの省庁が予算の伸びが少なかったのに比べて科技庁が伸びたということは、その結果においてなるほどこれだけのものが実績が上がったとか、あるいはこれだけのものが期待されておるというものがなければならぬと思うわけでありますが、それがどうも見当たりません。そこで、どこに特徴があるのか、その点を御答弁願いたいと思います。
  90. 園山重道

    ○園山政府委員 お答えいたします。  ただいま先生御指摘のように、科学技術庁の予算、わりあいにほかに比べまして伸びたわけでございますが、その中で、先生御指摘の何がいわゆる効果として期待されていいものであるかという御質問だと存じます。  全体の一六・七%という伸びに寄与いたしております一番大きなものは、やはりエネルギー関係の研究開発の予算でございます。御承知のように、一番いまエネルギー危機が叫ばれておりますので、私どもは、やはりこの研究開発全般が重要でございますが、特にエネルギー関係につきまして重点を置いての予算、このように考えておるところでございます。
  91. 貝沼次郎

    ○貝沼委員 エネルギー関係はわかりますが、要するに他の省庁が伸びないときにエネルギー関係だけでもたとえば一二・九%の伸びですね。特別会計合わせても三〇・九%、こういうことになっておるようでありますが、エネルギーに力が入ったことはわかる、だけれども、その力は結果としてどこへ出てくるのですか。要するにいままでと変わったところはどこなんですか、こういうところをお示し願いたいと思います。
  92. 園山重道

    ○園山政府委員 科学技術庁といたしましては、エネルギー研究開発の一番中枢に据えておりますのは、やはり石油代替エネルギーとして最も有望であります原子力の研究開発ということになっておるわけでございます。研究開発が対象でございますので、単年度で予算が幾ら伸びて、そのことによって、すぐその年度に何ができるということがなかなか申し上げられないのは、やはり研究開発の一つの特徴であるかと思っておるわけでございますけれども、しかし、今般の特別会計によりまして、実用時期の近いものについて一段と加速してその研究開発を行うということでございますので、私どもは、その成果が必ずや近い将来に出てくる、こう考えておるところでございます。
  93. 貝沼次郎

    ○貝沼委員 それでは、今回のこの予算のつき方は、イランの問題などを中心として起こったその後のいろんな情勢によって私は影響されたものだろうと思うわけであります。もう一つは、日本の財政再建というところから考えて他の省庁は伸びなかったということがあると思いますが、こういうような背後の状況を考えたときに、果たしていま、在来の日本のエネルギー政策の路線というものがそれでいいのかどうか、あるいはこういうような状況が出てきた段階において、日本の行く手を心配して、そしてエネルギー政策のあり方を政府としては考え直した、そしてたとえば代替エネルギーの研究開発であるとか、そういう方向に特に力を入れたとか、そういうような従来と変わった点はなかったのかあるいはあったのか、この点について御答弁を願いたいと思います。
  94. 園山重道

    ○園山政府委員 エネルギー研究開発につきましては、御指摘のようにイランの情勢等が最近に起こったわけでございますが、御承知のように、すでに四十七、八年の第一次の石油ショック以来、このエネルギー関係の研究開発は重視すべしということが政府といたしましても考えられたところでございました。特に私ども科学技術庁といたしましては、その当時から、いろいろ各省庁で行われておりますエネルギーの研究開発全般につきまして、国としていわゆるプロジェクト的な推進をする必要があるということで、一昨年、昭和五十三年にエネルギー研究開発の基本計画というものを作成いたしました。これは先生御指摘のように、各方面のいろいろな分野のエネルギー研究開発が必要である、当面、石油に代替いたします最も有力なものは原子力でございますけれども、そのほかにも石炭等の化石燃料の活用、あるいは自然エネルギーその他の活用ということが必要であるということで、非常に幅広く今後十年間程度の間に国が中心となって推進すべき研究開発の基本計画を策定したところでございます。したがいまして、イランの情勢等はございますけれども、この考え方に従いまして、従来からエネルギー関係の研究開発を進めてきたところでございまして、特に御指摘のような自然エネルギーその他開発にリードタイムが非常に長くかかるというものがございますので、こういうものも幅広くやっていくということをここ数年来続けておりますので、特段に全体のエネルギーに関する研究開発の政策が大きく変わったということよりも、むしろ特別会計等の財源措置によりまして、一段と加速していくという形で全般的に強化拡充された、こういうことであるかと考えておる次第でございます。
  95. 貝沼次郎

    ○貝沼委員 考えはわかりました。  それで、エネルギーの予算がふえたわりには私はちょっと考えに苦しむ点がございますが、昨年の七月二十六日ですか、当時の江崎通産大臣が、第一次大平内閣の閣僚として、太陽熱利用、ソーラー化の構想を発表いたしております。それは八月の五日ごろ通産省で発表されたようでありますが、いろいろある中で、一つは、ソーラー化のために公的施設には三分の二、それから個人住宅には二分の一の補助をして、五十五年度から六カ年間に全戸数二千万戸のうち七百八十万戸をソーラー化していくということが報道されておるわけであります。ところが、半年もたたない現在、この予算案を見ますと、この通産要求の約六分の一に圧縮して、公的施設には五十月分に二分の一の補助、それから個人住宅一万戸分に利子補給五・五%まで、補助はしない、こういうふうにずいぶん縮小されておるわけですね。これはどういうことなんでしょうか。実際エネルギーに関する予算はふえたふえたと一生懸命言っているけれども、反面、こういう太陽熱を使うようなソーラー化のためのものは計画が減ってしまっておる。物すごく減っちゃった。これは一体どういう考えによるものでしょうか。
  96. 中田哲雄

    ○中田説明員 太陽熱の利用につきましては、先生御指摘のとおり非常に重要だということで、通産省の五十五年度予算で総額五十三億円ばかりの予算をお願いしておるわけでございますけれども、これは三つの柱でできておりまして、一つは、御指摘のとおり公的施設用の補助事業でございます。これは二分の一の補助率によりまして、地方自治体等の学校、病院、老人ホーム、その他の施設につきまして補助をしていこう、事業規模六十億円の二分の一の三十億円を補助いたしまして、百五十件ほどのものにソーラーシステムを設置、普及させていこうというふうに考えております。  それから第二点は、住宅用及び事業用の施設でございますけれども、これは御指摘のとおり、当初補助金で大蔵省と折衝に入ったわけでございますけれども、実際にこの施設の設置によりまして、相当のメリットも出るわけでございます。それから個人に対します資産の形成補助というようなものが、財政上の論理になじむかどうかというような点等もございまして、いろいろお伺いしたわけでございますけれども、結論といたしましては、低融資事業をもって普及を進めていくということで、個人住宅につきましては五分五厘、それから事業用につきましては六分五厘の融資で融資規模を百億円、こういう予算をお願いしておるわけでございます。  それからもう一つ、啓蒙普及と品質確保のために別途予算をお願いしておりまして、これら三つを合わせましてソーラーシステムの普及が相当進むのではないかというふうに期待しておる次第でございます。
  97. 貝沼次郎

    ○貝沼委員 いずれにいたしましても、いろいろ説明はされますが、昨年通産大臣が公になさったことからは公に後退しておることは間違いございませんね。その点はいかがですか。
  98. 中田哲雄

    ○中田説明員 補助金にするか融資にするかという点では、御指摘のような点もあったかと存じますが、私ども、この低利融資事業をまず本年度から発足させまして、その実績を見た上で、もし改善すべき点があれば改善する、かように考えております。
  99. 貝沼次郎

    ○貝沼委員 私は、エネルギー関係の予算が三〇%もふえたという大きな宣伝に対して、内容というのは必ずしもそうではないということをいま指摘しておるわけであります。こういうソーラーシステムの問題は、非常に重大な問題でありますから、これから通産省でも大いに力を入れていただきたいと思います。ただ原子力にだけ力を入れればいいというものではない。わが国は、もっともっと将来ひものつかない自分たち独自のエネルギー、こういうものを早く持たなければならぬと思うのです。そのためには、ウランにしてみたって、これはもう限度がありますし、石油と同じような問題が出てくるわけであります。特に外貨獲得の問題ではもう恐らく頭打ちになるでしょう。エネルギーのあの見通しというものが恐らく成り立たないだろうということは、私は、もう想像にかたくないと思いますが、きょうはその問題はいたしませんが、たとえば財政的なドルの問題一つ考えても、恐らくむずかしいだろうと思うのです。  したがって、そういう観点から考えると、こういう太陽のエネルギーあるいはその他の自然エネルギーというものをこれからどんどん使っていかないと、将来、日本の場合は大変だろう、こう思いますので、いまエネルギーに力が入っておるときに、やはり原子力だけに力が入るのではなしに、ほかの分野にも具体的に力が入ってよかったのではないか、こう考えますので、この質問をしておるわけでありますが、大臣いかがでございますか。
  100. 長田裕二

    ○長田国務大臣 私も、考え方としては、お説のとおりに考えております。ただ、ほかの方面の原子力以外の代替エネルギー、石炭なり太陽熱なり光線なり、その他いろいろな面が、それぞれの部署で研究開発されておりますが、当面、大規模に大きなエネルギー不足、石油にかわり得るところまでの見通しが十分立っておらないというようなことなども込めまして、原子力に自然に力が入らざるを得ない。従来も相当入っておりましたところに、一層それに力を入れざるを得ないというような状況でございますが、考え方としましては、お説のような石炭なり太陽なりあるいは波なりあるいはバイオマスなり、そういう面にこれから相当力点を置かなければならない、そのように考えておるところでございます。
  101. 貝沼次郎

    ○貝沼委員 それから、長官のお言葉の中に「一九八〇年代が来るべき二十一世紀を方向づける重大な使命を有していることを深く認識し、長期的総合的観点に立って、」というお言葉がございます。この言葉は、二十一世紀の方向づけはこの八〇年代のいまにしておかなければならないというふうに私には読めるわけでございます。したがって、この八〇年代にいまどういう準備をしておかなければならないというふうにお考えなのか、その点をもう一回お聞きします。
  102. 長田裕二

    ○長田国務大臣 八〇年代がどういう年代になるかということにつきましては、大変むずかしい問題でございまして、非常に多彩にわたるだろうと思いますが、私どもがこの表現で考えましたことは、一つは、エネルギーに関連いたしましては、先ほどウラン資源の限界のことなどもございましたが、核融合等の、いままで二十一世紀になってから人類が利用し得るだろう言われているようなものに早くから着手し、実りあるプロセスをつくり上げなければということもその一つでございますし、あるいはエネルギー節約等に関連しますいろいろな材料問題、いままで存在しなかったような材料などの開発につきましても、相当力を入れて取り組んでいくとか、具体的に申しますと、私、いますぐお答えできる点などにつきましては、この程度かと存じます。  なお、担当局長から補足をしてもらいたいと存じております。
  103. 園山重道

    ○園山政府委員 ただいま大臣御答弁のように、二十一世紀をにらんだときに、この一九八〇年代というのがどういう年代であるかということで大変むずかしい問題でございます。私どもも、感覚的に明確につかんでおるつもりではございますが、個々それぞれについて具体例をもってというのはなかなかむずかしいことかと存じます。ただ、ただいま大臣の御答弁にもございましたエネルギーの問題、たとえば核融合等の問題にいたしましても、そのほかあらゆる宇宙利用、海洋開発、その他全般につきまして、今日の科学技術の命題というものが、それぞれ開発までに非常に長いリードタイムを必要とするということで、新しい芽が出てからこれが実用化されますまでには、短いものでも新しいものは十五年ないし二十年というような時間がかかるということが定説になってきておるわけでございます。私ども特に研究開発につきまして重要な任務をしょっておるわけでございますので、いわゆる新しい技術革新の芽というものを育てていくのは、二十一世紀というものを考えましたときに、やはり一九八〇年代というのが非常に重要な年ではないか、こういった認識を持っておるところでございます。
  104. 貝沼次郎

    ○貝沼委員 それから、これは簡単にお尋ねいたしますが、今年度において原子力の安全確保に関していろいろ述べられております。防災対策につきましては、先ほどいろいろ議論がございましたが、私がもう一点だけ聞いておきたいのは、この防災対策のための今回の予算措置というものはどういう部面の予算措置ですか、これが一点。あと、防災対策のあり方については、午前中ずいぶん議論がありましたから蒸し返しません。  それから次の問題は、「自主的な核燃料サイクルを確立するため、ウラン濃縮技術の開発、使用済み燃料の再処理技術の開発等を推進するとともに、」というところがございます。  そこで、このウラン濃縮技術の開発の問題では、私が伺っておきたいのは、かつてからのスケジュールどおりでまいりますと、いよいよ実証プラント――これはハンドブックのものですが、実証プラントという名前は適切かどうかわかりませんが、パイロットプラントの次は実証プラントという表になっておりまして、そろそろ来年ぐらいからという点線がついておるわけでありますが、この辺のところはどのようにお考えなのか、この二点をまず伺っておきたいと思います。
  105. 石渡鷹雄

    ○石渡政府委員 まず、防災対策の予算内容についてお答え申し上げます。  防災対策につきましては、緊急時の連絡網の整備、それから緊急モニタリング機器の整備、緊急医療施設の整備と、この三点に重点を置いております。これは昨年のTMI事故の経験を踏まえまして、こういう予算措置に特に重点を置いた次第でございます。したがいまして、それらを含めまして予算規模といたしましては前年、五十四年度二千二百万円のものを十二億七千万円に増額をしている次第でございます。なお、ただいま申し上げました緊急時の連絡網あるいは緊急時用の車両等の整備につきましては、通産省及び消防庁についても同じような予算が講ぜられているというふうに承っております。  次に、ウラン濃縮の件でございますが、現在パイロットプラントを建設中でございます。五十五年度予算といたしましては、次の段階といたしまして、まだ実証プラントの段階までいかないであろう、われわれそれを原型プラントと呼ばしていただいているわけでございますが、原型プラントの設計に着手するということで二億二千二百万円の予算を計上しているところでございます。
  106. 貝沼次郎

    ○貝沼委員 この濃縮の話はまた後日することといたします。  その次に「使用済み燃料の再処理技術の開発」というところがありますが、これはかなりINFCEとの関係があると思います。そこで、いよいよINFCEの総会といいますか、最終段階の総会が開かれるであろうと言われておりますが、この再処理をやっていく一つは技術でありますけれども、わが国としては、この再処理の技術というものをどういうふうに考えておるのかということですね。たとえば昨年の十月三日から六日までの四日間、第三回日米技術専門家会合が開かれていろいろ議論されたようであります。特にプルトニウム比、プルトニウム対ウランの比が、わが国としては一対一とかあるいはアメリカとしては一対二がいいとか、つまり三三%くらいで実験しておるからそっちがいいというような議論もあったようでありますが、ここは話が結論を出すようなものじゃないと思いますので出ておらなかったようでありますけれども、わが国としては、今後、どのようにこれを考え、あるいはほかの国と折衝していこうとされておるのか、この点を伺っておきたいと思います。
  107. 石渡鷹雄

    ○石渡政府委員 お答え申し上げます。  先生御案内のとおり、再処理技術は非常にむずかしい技術でございまして、動燃の再処理工場も非常に苦労をしているというのが現状でございます。日米交渉の場におきましては、当然、プルトニウムなるものを地上になるべく出さないようにしようというアメリカの考え方、また逆に日本としましては、限られたウラン資源を十二分に活用したいということでプルトニウムを燃料として使っていきたい、真っ向から違う考え方がぶつかり合ったわけでございます。  先生ただいま御指摘になりました昨年の技術的会合の内容につきましては、二つございまして、一つは、現在の東海の再処理工場での抽出の段階で、すでにプルトニウムとウランがまざった形で出てくるという技術開発を日本でやってもらいたい、そうしますと、単体のプルトニウムが出てこないわけでございますから、核不拡散という観点から非常に好都合である。それからもう一点は、抽出したものを酸化プルトニウムに転換する段階で、これも単体でなくてウランとまぜた形で転換をしてもらいたい、これをわれわれ混合転換と言っておりますが、先生御指摘の一対一あるいは一対二という比率は、恐らくその転換のあたりの数字の議論かと存じます。私どもといたしましては、まずプルトニウムを単体で欲しいとは思わないわけであります。すなわち、後の過程の燃料に使える形であればいい。それが一対一であるか一対二であるか、これは技術的な検討がまだ必要かと思いますが、その前後の混合物であればいいと考えております。そういうことによって日本の核不拡散に対する姿勢がもし世界的に信頼されるということであれば、その辺の混合比にはこだわるものではなかろうというふうに思っているわけでございます。  ただ、先ほどもちょっと触れました混合抽出の技術は非常にむずかしゅうございまして、実験室的には日本でも相当好成績が上がっているわけでございますが、これを工業規模でやろうとすると、なかなか品質が安定しないということでございまして、そういうデータをアメリカ側にも十分示し、またINFCEの場においても、そのデータを公表いたしまして、当面、混合抽出はなかなかうまくいかないのだ、工業的にはまだまだ問題があるのだというのが国際的なコンセンサスになっているわけでございます。したがいまして、日本の考え方といたしましては、当分の間、単体でプルトニウムを抽出し、それにウランを混合した形で転換をするという路線で進んでいきたいというのが、現在の私どもの考え方でございます。
  108. 貝沼次郎

    ○貝沼委員 それからもう一点、この最終総会で承認されるであろうと言われる報告書の中に「高速増殖炉については「エネルギー大量消費国で高度の原子力技術を保有する先進工業諸国にとって高速増殖炉の導入は必要になろう」とし、二〇〇〇年までに発電能力五千万キロワット、二〇二五年では二億キロワットの導入予測を立てている。」、こういう記事が出ておるわけでありますが、こうなってまいりますと、そのころには恐らくわが国は高速増殖炉が動いておるという範囲に入らないといけないのではないかと思います。ところが、現在のわが国の技術の状況から、この年代に果たしてこれが可能なのかどうか、この点が一点。  それからさらに「ウラン濃縮については「一九九〇年までは新規の濃縮能力は不要で、濃縮技術の拡散は制限すべきだが、ウランの大量消費国が一国単位で独自に技術を保有することは許されるべきだ」」、こういうところがあるようでありますが、私、感じとしては、これは日本を意識して、日本は許されるべき範囲の中にあるというような意味ではないかと勘ぐるわけでありますけれども、当局としては、これはどのように受け取っておられるのか。この二点お願いいたします。
  109. 石渡鷹雄

    ○石渡政府委員 お答え申し上げます。  最初に、高速増殖炉の問題でございますが、先ほど予算の話にも出ましたように、来年度から特別会計の枠で高速増殖炉原型炉の建設に着手する段取りになったわけでございます。したがいまして、恐らく六、七年後には原型炉を完成し、その操業の経験を踏まえて高速増殖炉の実用化に進みたい、かように考えているわけでございますが、これも非常に高度の技術でございますので、絵にかいたようなスケジュールで進めるかどうか、若干の問題はなしとしませんが、世界の趨勢にそうおくれない時期に日本も高速増殖炉の実用化を進める、かように考えているわけでございます。  次の、第二点のINFCEの場における議論でございますが、濃縮の能力につきまして、確かに、日本一国で濃縮の技術を持つということがいかがなものかという雰囲気があったやに漏れ聞いているわけでございますけれども、その後の議論によりまして、たとえば日本のような大きな原子力発電国であり、またバックに十分な技術力を持った国が持つのはむしろ当然ではなかろうか、単独でもウラン濃縮の能力を持つのもそう不思議なことではないのではないかというふうに議論が若干変わってきていると聞いております。  先生がただいま御指摘になりました内容は、恐らくそのINFCEの場における最終段階に近い議論の雰囲気を伝えているものと理解いたします
  110. 貝沼次郎

    ○貝沼委員 参考のためにお尋ねしておきたいと思いますが、こういうような考え方に対してアメリカはどういう反応なのでしょうか。
  111. 石渡鷹雄

    ○石渡政府委員 相当推定が入る話でございますが、アメリカ政府のとっております強い核不拡散政策から見ますると、余り歓迎はしていないだろうというふうに私は想像しております。
  112. 貝沼次郎

    ○貝沼委員 私も、大体そういう想像なのであります。そういたしますと、今後、INFCEの場でそういうふうに認知されても、わが国としては、わが国とアメリカとの二国間交渉ということが起こってくるのではないかと思いますが、そう考えてよろしいですか。
  113. 石渡鷹雄

    ○石渡政府委員 INFCEの場は、あくまで技術的な分析、検討の場でございまして、その結論が各国の政策を拘束するものではないということは、INFCEの当初において確認されているところでございます。したがいまして、御指摘のように今後の核をめぐります国際的な問題は、二国間または多国間の交渉あるいは協議によってだんだん枠組みが決められていくであろう、ただ、INFCEの場における議論は十分参考にはされるであろう、かように期待しているわけでございます。  そこで、日米の問題に限ってでございますが、たまたま濃縮につきましては、現在のところ、いわゆる協定上協議をしなければならないということにはなっておりません。むしろ縛りがかかっておりますのは、アメリカで濃縮されたウランが日本に入ってきて、そのアメリカ産の濃縮ウランをいじる場合にアメリカとの共同決定が要るということでございます。したがいまして、理屈から言えば、濃縮について表面上アメリカが日本に対して云々ということではないというふうには解釈されるわけでございますが、これは国際間の力関係でございます。どういう動きが出てまいりますか、ポストINFCEとして、日本として非常に慎重に構えていかなければならない問題であると考えております。
  114. 貝沼次郎

    ○貝沼委員 そういうむずかしい情勢の中で日本のエネルギーは確保していかなければならぬわけでありますが、先般、会計検査院より、宇宙開発事業団が不当事項として指摘されたことがございます。これはどういう内容ですか。
  115. 勝谷保

    ○勝谷政府委員 お答えいたします。  昭和五十三年度の会計検査で指摘を受けました事項は、宇宙開発事業団の種子島宇宙センターの野木レーダーステーションにおけるロケットの誘導計算用電子計算機一式の賃貸借契約更新にかかわるものでございます。これは昭和五十三年四月の更新に当たりまして、新たな年度に当たりまして従来どおりそのままを更新いたしたわけでございますけれども、実は本電子計算機の一部につきまして、その他のところで保有いたしております機器の転用の検討が必ずしも十分されておりませんためにその利活用が図られなかったため、賃貸借料の約千二百七十万円が計算上節約できなかったと認められるわけでございます。その旨会計検査院の指摘を受けた事項でございます。
  116. 貝沼次郎

    ○貝沼委員 この話を聞いて、私は、まあ何とも親方日の丸だなという感じを受けました。要するに電子計算機を構成しておる部分でありますが、それがまだ使えるものをほかのところに転用しないでそれを廃棄処分してしまったんですね。そうして新しいところと契約を結んだ。したがって、それを使ったことにして計算をすれば、当然、この会計検査院の報告によりますと「仮に上記の措置を執ったものとして本件賃借料を修正計算すると、その月額は五百六十九万円、年額は六千八百二十八万円となり、この措置を執ることにより新たに必要となる機器の交換のための費用九百九十三万一千円及び交換機器に対する保守費三百九十九万四千三百二十円の全額を控除しても本件賃借料は約一千二百七十万円が節減できたと認められる。」というわけであります。こういうことは、恐らく間違ってやることはないだろうと私は思うのです。故意にやることもないだろう、そういうことが行われても何とも思わない神経、それがさせるものだと思います。その何とも思わない神経がもしも科技庁所管の中にあったとするならば、これだけ高価な機器を扱っておる分野でありますので、むだ遣いは多くなると思います。  したがいまして、今回のこの不当事項というものはそう大きなものではないかもしれませんが、もしそういう姿勢があるなら大変であるという観点から私は質問しておるわけでありますが、これについて科技庁としてはどういうふうに指導されたのですか。
  117. 勝谷保

    ○勝谷政府委員 御指摘のとおり、まことに遺憾なことでございます。  宇宙開発事業団といたしましては、このような指摘事項にかんがみまして、昨年の十月に、この種事故の反省のもとに物品等の利活用審査委員会を直ちに設置いたしまして、保有機器の有効な利活用を図ることといたしまして、その後の利活用については万全を期しておるところでございます。さらに宇宙開発事業団は、本年の二月、関係責任者の処分を行ったところでございます。  私ども科学技術庁といたしましては、宇宙開発事業団あてに文書によりまして厳重に注意をしたところでございます。今後、再度同様の事態が起きることがないよう十分注意してまいる所存でございます。  ただ、一言だけ申させていただきますならば、当時、この御指摘を受けましたチェックアウト装置を廃棄するに当たりまして、事前に利活用についての対策は一部とったわけでございまして、このチェックアウト装置のうちの五品種につきましては、実は他のものに転用をいたしたわけでございますが、御指摘の電子計算機につきましては、新たに賃貸借をいたしますメーカーとの間で下取りの折衝を重ねたわけでございますけれども、業界にそのような商慣習がないということで、また中古品の販売市場も十分発達していないということで売却が断念された経緯がございます。さらに、すでに二年間にわたりまして従来の電子計算機がうまく運転しておりましたために、その一部について導入するということが、信頼性確保の面から若干問題視されたところでございますけれども、私どもは、このたびの指摘を契機にいたしまして、今後十分検討を進めてまいる所存でございます。よろしくお願いを申し上げたいと思います。
  118. 貝沼次郎

    ○貝沼委員 それは宇宙開発事業団の方としてそういうふうにやったことはわかります。  いまの答弁の中で、下取りしてもらおうという話がありましたけれども、これはまだ耐用年数あるんですよ。普通日本の場合は、諸外国と違って耐用年数は短いのです。しかも、いままで故障したこともなければ順調に動いておる、それを耐用年数内に廃棄処分してしまって、どこへ捨てたか私、知りませんけれども、だれかが拾ったのだろうと思いますが、要するに廃棄処分をしてしまった。このこと自体本当はおかしいのです。  それから、さらに使えるものを使っていないということですね。これは宇宙開発事業団が、そういうふうに反省をし、今後そういうことはないと言うわけでありますが、科技庁としては、これはどう受けとめておるのですか。私はさっき、科技庁としては何か指導したか、こう聞いておるわけでありますが、科技庁の中にはいろいろな事業団があるわけでありまして、そこでも同じような感覚でおられたら大変だと思うわけであります。したがって、科技庁としてはどういうふうに指導されたのか、これを聞いておるわけです。
  119. 勝谷保

    ○勝谷政府委員 指摘を受けまして、直ちに、文書によりまして所管の事業団にこの対応措置を命じておりまして、近くこれに対してどのように今後対処するかの報告を受け取ることになっております。それを受け取りましたならば、さらに両者で検討を進めてまいりたいと思っております。
  120. 貝沼次郎

    ○貝沼委員 どうもぼくが言っていることと違うようでありますが、科技庁全体、要するに会計検査院が見るところというのは、初めから終わりまで全部見るわけじゃありませんね。これは私も、立ち会ったことがありますからわかりますけれども、ここの事業団は今回はここを見ましょうということが大体決まっておりまして、そこを見るわけですね。したがって、全部見るわけじゃありませんので、そこのところをそれでもなおかつわかったということは、ほかのところにもあり得るという判断のもとに、科技庁全体としてこれを深刻に受けとめなければなりませんよということを申し上げているつもりであります。  これは何のために言っているかといいますと、そういう一つ一つのむだをしてはならないということは当然でありますが、エネルギー関係の予算が三〇%もふえたふえたと幾ら言っておりましても、後ろでこのようにむだ遣いが行われておったのでは、これは何にもなりませんよ。したがって、予算がふえることが自慢ではなしに、国民の税金、つまり、それによってつくられる予算の額をどのように有効に使うかということが問題なんですね。  行政改革も私はそういう面で問題になっておると思うわけであります。ただ首をちょん切ればいいという話じゃないと思うのです。本当に必要なものはつくればいいし、また有効でないものは削ればいい。したがって、財政再建のもとに行政改革の名前が出てくるのは本当はおかしい。財政が緊迫していなかったら、それじゃ行政改革は必要ないかという話になりますからね。そうではありませんで、財政がどんなに裕福であっても裕福でなくても、国民の税金に対して本当に有効に使われておるかどうかという判断で行政改革は常に行われなければならない。  そういう考えから考えてみますと、今回のエネルギー関係の予算が三〇%もふえたと言って、大手を振って喜んでおるだけではいけない、もっともっとそれなりにえりを正して予算を有効に使っていかなければならない、こう思うわけでありますので、一言申し上げたわけでございます。大臣いかがです。
  121. 長田裕二

    ○長田国務大臣 宇宙開発事業団のただいま御指摘の事件は、私は、ある程度特異な現象だとは思っておりますけれども、しかしお話のように、エネルギー関係を込めまして、これから世間一般よりもさらに年々の増加額を高くしていかなければならないような情勢にあります科学技術庁関係の予算、それの使用方につきましては、よそより以上に十分心してまいらなければならないことは、先生のおっしゃるとおりだと存じます。どういうふうにしてそこらの面を徹底させるかということにつきましては、なお私、改めて庁内で相談をいたし、適切な方法を見出してまいりたいと存じます。よろしくお願いいたします。
  122. 貝沼次郎

    ○貝沼委員 それから、二十一世紀に向かっての話でありますが、先般、首相の諮問機関である海洋開発審議会が「長期的展望にたつ海洋開発の推進方策について」という答申を総理大臣に提出いたしました。この内容は、非常に豊富なものでありまして、私も、これを読みまして、非常に喜んでおる次第であります。特にこの中に「我が国二百海里水域に関する調査の飛躍的拡大、及び総合的な調査・観測・監視体制の確立」とか「海域の開発利用及び環境保全に関する総合的な計画と管理の実施」、「新しい国際海洋秩序への対応と国際協力の積極的な推進、海洋開発の総合的推進体制と法制の整備を図るべきである」、こういうふうになっておりますけれども、この中で特に大事な問題は、やはり推進体制と法制の整備という問題だろうと思います。  先般、私は、当委員会におきまして、海洋開発委員会あるいは海洋開発基本法、こういったものをつくるべきであるという主張をいたしました。また当局からも、そういう方向での答申が出るであろうという答弁もありましたけれども、いよいよこれが出てきたわけであります。  ところで、いよいよ出てきたものは、りっぱなものでありますが、今後、この答申をどのように具体化していこうとされておるのか、この点について伺っておきたいと思います。
  123. 勝谷保

    ○勝谷政府委員 一月の二十二日に内閣総理大臣に提出されました海洋開発審議会答申には、いま先生御指摘のような法制体制の問題を含めまして海洋開発に関する広範多岐にわたる提言が盛られております。海洋開発は、従来から漁業、海運等の伝統的な分野を中心といたしまして、それぞれの関係の省庁が施策を行ってきたところでございますので、この答申の相当部分は、従来どおり関係各省が、それぞれの所掌事務に応じて対応してまいっております。  さらに当庁は、科学技術の面で海洋開発を推進いたす責務がございますが、当庁といたしましては、海洋科学技術開発推進連絡会議を持っておりますので、その会議の場等におきまして、各省庁と連絡協議の上、対応策を検討してまいりたいと思います。  ただ、従来の科学技術、または各省庁がやっておりますこと以上に、このたびの提言で述べられております事項につきましては、連絡協議の場を設けるとか、その他しかるべきことをどのようにするかということを関係各省でいま模索中でございまして、第一回の連絡会は、答申が出まして一週間後に直ちに持ったわけでございますけれども、各省庁でいま独自の検討をいたしておりますので、その結果を持ち寄りまして、近くどうするかということを検討することになっておる状態でございます。
  124. 貝沼次郎

    ○貝沼委員 これは感じとしては余り穏やかではありませんね。いままで海洋科学技術開発推進連絡会議が技術に関していろいろ連絡をとられてきたということはわかります。これはいままでどういうときにとられたかということを見ますと、大体予算折衝の前に、こういう予算を組もうじゃありませんかという打ち合わせのためにやっているんですね。したがって、細かいことまでここではやっていない。ところが、いまそこに話が上ってきた、しかし、ここはいろいろな政策を決定するようなものでもないということなんですね。そこで、なぜこれが議論されなければならないのか。連絡だけならいいけれども、議論するとなるとちょっと問題がある。  それからもう一つは、各省庁が必ずしも賛成していないようであります。一々申し上げる時間がありませんけれども、建設省にしても、あるいは農林省にしても、文部省にしても、自分たちの既得権の侵害というふうに受け取って、なかなか思うようにいかなかったいきさつがあるようでありますが、それらが持ち帰って、そして何かを積み上げてできるということは可能なんでしょうか。私はむしろ不思議だと思うのです。そうではなしに、やはり総理大臣が答申を受けたわけでありますから、総理大臣がそこにおいて一つの判断を示さないと、これはどうしようもないのじゃないかと思うのです。  さらに、この答申によりますと、この法体制あるいは推進の体制というものをつくるためには「このような体制の検討については、総理府を中心に、関係省庁により推進される必要がある。」、こういうふうに総理府中心ということがうたわれております。さらに「最適な体制及び、法制検討のための組織を総理府を中心に設け、海洋開発委員会等新組織の整備後は、同組織が中核的推進機関となる。」ということになっておりますが、これを読む限りにおいては、海洋開発委員会とか、あるいは基本法ができる以前に、準備委員会か推進委員会か何かわかりませんけれども、そういう一つの何か推進の委員会みたいなものができて、協議体ができて、そして進めていく方がよろしいというふうに受け取れるわけでありますが、こういう考えはないのですか。
  125. 勝谷保

    ○勝谷政府委員 先ほど申し上げました海洋科学技術開発推進連絡会議で十四省庁集まって随時やっておりますのは、海洋科学技術分野でございすすので、これは当庁固有の仕事でございます。これは従来もやっておりましたし、今後も推進させていただきたいということを申し上げたわけでございます。  海洋開発委員会でこのたび提言がございました、特に先生御指摘の体制、法制問題につきましては、私どもの従来の会議ではやれないことは御指摘のとおりでございます。したがいまして、その点につきましては、関係十四省庁、この中には総理府も入っておりまして、第一回の会合をいたしまして、さらに総理府の審議室長を初めといたしまして、それぞれのつかさの方々には連絡をとって、個別の折衝は何回かすでに進めておるところでございます。まず関係各省の意見が出そろいましたならば、総理府と連絡をとりまして、本件を粘り強く進めていきたいと私どもは考えておるわけでございます。
  126. 貝沼次郎

    ○貝沼委員 関係各省との連絡ができたら、意見がまとまったらということですね、これはいつごろそういうふうになるのですか、めどはあるのですか。  それからもう一つ、その前に総理大臣は、これを受け取って、これをやる方向で態度を示されておりますか、それともほかの姿勢をとっておりますか。
  127. 勝谷保

    ○勝谷政府委員 和達会長がこの答申を総理に提出されましたとき、お供をいたしましたので、そのときの事実だけ申し上げまして、総理がどのようにお考えかは申し上げられませんが、熱心に本提案を御聴取になりまして、御苦労さんでございました、今後も、この点については事務当局で十分検討させましょうというお言葉をいただいております。私ども、十四省庁で全部が賛成ということになっていないことも事実でございますし、十四省庁と話をすれば、必ず話がつくとも思っておりません。そこらで賛成の意見、反対の意見、反対はどういう根拠というような点を十分検討の上、総理府と打ち合わせを進めることになるかと思っております。
  128. 貝沼次郎

    ○貝沼委員 ですから、総理大臣がそういうことを言うのは、黙って受け取るわけにはいかないでしょうから、御苦労さまですとか一生懸命検討しますと言うことは、これはあたりまえの話であって、そんなことじゃ委員会の答弁にはならないんですよ。そうじゃなしに、総理大臣が受け取って何らかの態度を示さなければ、あとは動きようがないじゃありませんか。大臣いかがですか。大臣はどう思われますか。
  129. 長田裕二

    ○長田国務大臣 海洋関係は、御承知のように、日本の国内のかなり多くの部分で、それぞれ長い歴史、いきさつと、また相当の業績を上げているということなどもございまして、意見の一致を見るということがむずかしい部門もあるわけでございますが、この答申を生かしていくというような方向で現在各方面の意見取りまとめ整理中でございますが、さらに総理府なりどこなり、これは今後の問題でございますけれども、しっかりとそれらを取りまとめ、方向づけをし、各省を動かしていくというようなことも必要ではないかと思います。まだ私ども、どういう形が一番いいかという形、どこへ働きかけてどうするかという具体的なプロセスまでは考えておりませんけれども、いずれそういうような形でこの問題の取り進めをしなければならなくなるのではないか、そのように心組んでいる次第でございます。
  130. 貝沼次郎

    ○貝沼委員 それでは大臣は、閣僚の一人として、また科学技術庁長官として、この答申の方向に沿って実現するように今後努力されますか。
  131. 長田裕二

    ○長田国務大臣 取り進めの努力をしてまいります。
  132. 貝沼次郎

    ○貝沼委員 終わります。
  133. 瀬野栄次郎

    ○瀬野委員長 中林佳子君。
  134. 中林佳子

    ○中林委員 科学技術庁長官の所信表明によりますと、まず第一に、原子力研究開発の推進を挙げていらっしゃるわけですが、その中で「昭和五十五年度におきましては、特に原子力の安全確保に関しまして、米国スリーマイルアイランド原子力発電所事故の教訓を踏まえ、原子力安全規制行政の充実、安全研究の一層の推進、放射線障害防止対策の強化など安全対策の強力な展開を図るとともに万一の事故に備えた防災対策の充実を図ってまいります。」、このように述べていらっしゃるわけです。  そこで、昨年スリーマイル島の事故発生以後、ケメニー委員会、これは昨年十月三十日、六カ月にわたる調査の結果をカーター大統領あてに報告書を提出しているわけですが、カーター大統領は十二月七日に「私はケメニー委員長の勧告の精神と意向に全面的に同意する」という声明を出しております。長田長官は、このケメニー報告はすでに読まれていると思うわけですが、この報告書及びカーター声明についてどのような御見解をお持ちなのか、まず、お聞かせいただきたいと思います。
  135. 長田裕二

    ○長田国務大臣 私、具体的にケメニー報告というもの自体はまだ読んでおりませんですが、安全の問題の推進について大きな方向としてカーター大統領がそういう発言をされた、その精神におきましては同感の意を持っているところでございます。具体的には、いろいろ国情の相違、それから、いままでとられてきている経過等がかなり違っておりますので、なんですが、安全を大いに強調、推進しなければならないという点におきましては同様の気持ちを持っているところでございます。
  136. 中林佳子

    ○中林委員 重ねて長官にお伺いするわけですが、ケメニー報告の大きな特徴は、大統領命令で設置された最高の権威の調査報告であるわけです。ですから、政府高官であれ、企業の首脳であれ、運転員であれ、科学者であれ、宣誓をさせた上で証言をさせているという点にあるわけです。わが国では、かつて原子力船「むつ」の放射線漏れ事故が大問題となったときに、総理大臣が諮問機関として大山委員会を設置した経験がございます。この大山委員会もケメニー委員会のような調査方法がとられていたら、もっとすばらしいものができていたのではないか、このように思うわけですが、長官の御意見を聞かしていただきたいと思います。
  137. 長田裕二

    ○長田国務大臣 「むつ」の故障あるいは事故発生のころの事情を私、よく存じませんので、政府委員の方から、それにつきましてのお答えをさせていただきます。
  138. 牧村信之

    ○牧村政府委員 「むつ」の起きましたとき、私、むしろ安全規制を担当しておりまして、直接の担当ではございませんけれども、わが国におきましても、その原因あるいは原子力開発の体制の可否につきまして、大山委員会というのが内閣総理大臣の諮問機関として設けられまして、そこで原子力開発体制の点、従来の行い方に対する批判等も含めましての報告が出ております。また「むつ」自体の今後の進め方についても報告が出されておるところでございます。それらを受けまして、さらに政府としては、「むつ」の処理につきましては専門の検討委員会を設ける、あるいは行政体制につきましては再度内閣総理大臣の諮問機関である行政懇談会というものを設けて、各種の審議が行われ、先般国会でお認めいただきました基本法の改正に基づきまして、安全委員会という制度をつくり、また科学技術庁におきましては、従来の原子力局を二つに分けて原子力局並びに安全局をつくり、規制行政の中立化ということを図りつつ対処してきておるところと理解しております。
  139. 中林佳子

    ○中林委員 長官は、所信表明で安全性を確保するということ、先ほどの御答弁でも発言なさったわけなんですが、このケメニー報告を詳細にわたってまだ読んでないとか、あるいは大山委員会ができたいきさつを承知してないとか、これでは私、長官としては余りにもその安全性の問題に、そういう事故から学ぶとか、こういう姿勢に欠けていると思わざるを得ないわけで、大変残念に思うことをまず感じております。  そこで、次の質問に移らせていただきますが、吹田原子力安全委員長に伺いたいと思うわけです。  昨年三月三十日にTMI事故についての談話を出されたわけですが、あの時点での安全委員長の発言は、私は、科学者としてまことに軽率であった、そして国民に誤った印象を与えてしまったと思っております。ケメニー報告と余りにも大きな違いが出ているわけなんですが、その認識の違いは一体どこから来ているのでしょうか。
  140. 吹田徳雄

    ○吹田説明員 いまから振り返ってみましても、あの委員長談話は必ずしも間違っておったとは考えておりません。あの当時、私たちは、入り得る資料をもとにいたしまして、私たち五人の――あの当時は四人でございましたが、四人の委員は、全力を挙げてアメリカのその事故を分析いたしました。あるマスコミの方で、あれを最初のところだけに重点を置かれたようでございますが、私たちの真意は、むしろああいう事故から早速学び取って、私たち日本の原子力施設の安全性を直ちに少しでも向上できる方法として総点検を指示いたしたのでございます。総点検を指示すると同時に、詳しい資料の入手に専門家を派遣いたしまして、幸いに、すでに日米の規制、行政当局では情報交換のルートがございましたので、そのルートを通じてあらゆる努力をあの時点で払いまして、いまからあれを読みましても、そう間違ってなかったと考えております。
  141. 中林佳子

    ○中林委員 私は、そういう安全委員長の態度そのものが、もう大変いまの日本の原子力の安全性を侵しているものだ、このように思わざるを得ないわけなんです。ケメニー報告の精神は、安全だと過信することが、もう最大の間違いであったということを言っているにもかかわらず、吹田委員長は、日本では起こり得ないのだというようなことを、再三にわたっておっしゃっているわけなんですね。ですから、そういう吹田委員長の発言を受けてと思うわけですが、原子力安全委員会の米国原子力発電所事故調査特別委員会が昨年九月十三日付で発表した第二次報告書の百六十五ページに「原子力発電所の設計、建設、運転等の各段階における厳重な規制等により、わが国の原子力発電所の安全性は現状においても十分に確保され得るものと考える。」、こういう個所があるわけですね。ですけれども、ケメニー報告によりますと「原子力発電所が永年運転され、この間公衆はただの一人も傷害を受けたことはないという明白な証拠があるわけでもないのに、原子力発電所は十分安全だという考えが、いつか確たる信念として根をおろすに至ったという事実がある。この事実を認識してはじめて、TMI事故を防止し得たはずの多くの重要な措置がなぜとられなかったのか、を理解することができる。こうした態度を改め、原子力は本来危険をはらんでいる、と口に出していう態度に変えなければならないと、当委員会は確信する。」、こういうふうに報告しているわけです。  ですから、安全委員会としては、それでもいま、なおかつその認識を変えていらっしゃらないわけですか。
  142. 吹田徳雄

    ○吹田説明員 三月三十日の委員長談話を初めからしまいまでよく読んでいただきますと、私たちの真意はおわかりと思いますが、そういうバリア、いろいろなレベルでのチェックを十分しておきますと、ほとんど起こり得ないと考えられるが、しかし、アメリカでそういう事故が起こったので、次のような措置を大急ぎでとるのだ、そういうことでございまして、われわれといたしましては、より一層安全にするという努力をいつも続けておるという意味でございます。
  143. 中林佳子

    ○中林委員 もうとにかく発言の前には安全なんだけれどもということが踏まえられて、その上なおかつというふうな、安全だということをすでにもう前提としておっしゃっているところに私は最大の問題があると思うわけです。  ケメニー報告の中で「バブコック・アンド・ウィルコックス社の一上級技師は、TMI事故に非常によく似た過去のある事故についてメモを出している。この事故は運転員が誤って緊急冷却装置を止めてしまった事故であった。彼は、この誤操作があった時の条件下では、幸い重大事故に至らずにすんだ、ということを指摘し、同時に、もし条件が異なれば重大事故に至る可能性があると警告した。(実際そのような条件が後にTMIで生まれたのである)」というような記述があるわけです。  これはアメリカでまさに宣誓に基づく調査が行われたから、このような判断、判明があらわれたと思うわけですが、日本でも各地の原発の事故やトラブルについて、電力会社やメーカーの研究者なり技術者なりが警告した事例がいままででももうすでにあったと思われるわけなんですが、ただ、そういう警告が表ざたになると、その警告をした人は給与や昇格に大きな差別を受けるという日本的風潮のもとでは、なかなかその事実調査はむずかしい。  この際、私は、TMI事故の重大性に基づいて、その教訓を生かしていくためにも、政府がそうした警告を与える人の身分、地位を保障することを約束した上で警告や意見を募って、より一層安全性を確固としたものにしていく、こういう態度が非常に大切ではないかと思うわけですが、大臣、その点についての御意見を伺いたいと思います。
  144. 長田裕二

    ○長田国務大臣 何らかの責任を持ちまして、そのゆえをもって警告されたものにつきまして、逆にその警告の効果、影響等をおそれて警告を渋る傾向があるので身分保障を、そういうお説でございますが、これはちょっとにわかにここで、そのようにいたしますということもお答えいたしかねます。やはり警告は警告として、また責任は責任としてそれぞれ明らかにしていかなければならない面もあるかと存じますので、なお、その問題につきましては検討をさせていただきたい、そのように存じます。  なお、先ほど安全確保が第一だと言いながら、ほとんどその裏づけのようなものがないではないかというおしかりを受けたところでございます。私は着任以来、本当に心から原子力の開発推進には安全の確保が第一だというふうに、前提だというふうに思っているところでございますが、着任しましてから、いろいろそういう面についての庁内での検討をいたしますと、先ほど安全局長が申し上げましたような原子力基本法の改正に基づくダブルチェックの問題とか、あるいはスリーマイルアイランドの経過を踏まえましての安全委員会の措置とか、あるいは今度は現実に原子力発電をやってまいります電力会社の性格、日米の相違とか、あるいは運転員の問題などにつきましても、あのスリーマイルアイランドの事故は、かなり多くの不十分な点の積み重ねの結果出たような感じもいたしますが、もとより日本では違うのだから安全だ、心配ないのだと申し上げるつもりはございませんけれども、少なくともあのダブルチェック以後の日本の体制、スリーマイルアイランドの事故が起こりました後の対応の仕方等につきましては、相当しっかりやってくれている、そのような印象を持っているところでございます。
  145. 中林佳子

    ○中林委員 大臣との間ではかなりの認識の差があるわけですが、アメリカと日本の原子力安全体制の差というものは、わが党の不破書記局長も予算総括の中で、どんなに人数的な差もあるかということは明らかにしている問題なんですね。だから、ここでもはや論議しようとは思わないわけですけれども、本当に安全性を確かめていくという姿勢、あるいは本当に科学技術庁長官として責任ある態度をとっていただくならば、いろんな任務はございましょうけれども、せめてケメ二一警告という非常に重大な事故から報告されているものについての認識は十分に持っていただきたい、このように思うわけで、次の質問に移らせていたがきます。  さらに私、ケメニー報告の問題を出させていかだきたいと思いますが、ケメニー報告によりますと「我々は、本報告書全体を通じて、TMIのうな重大事故防止のためには根本的変更が必要がと強調しているが、しかし、たとえそれらの変更が行われたとしても、この程度あるいはより重大な事故が、二度と起こらないなどと考えてはならない。従って、あらゆる事故防止策をとることはもちろんだが、それに加えて、今後事故が起きたとしても、公衆の健康と安全への影響は最小限庭にくい止められるよう、万全の対策を講じておかねばならない。」、こういうことになっているわけです。  そこで、防災対策の現状についての質問に移らしていただきたいと思うわけです。  昨年九月十三日付のこの第二次報告書では、五十二項目にわたるわが国の安全確保対策に反映されるべき事項について「今後、原子力安全委員会においてその優先度を考慮し、関係専門部会等において順次詳細に検討の上、原子力発電所等の安全性の向上に反映させることを期待する。」となっているわけですが、基準審査関係、設計関係、運転管理関係、防災関係、安全研究関係のこの優先順位はどのようになっているのか。それとあわせて、それぞれの進捗状況はどのようになっているのか。なるべく簡潔に御答弁をお願いいたしたいと思います。
  146. 牧村信之

    ○牧村政府委員 先生御指摘の五十二項目の問題でございますが、あの報告が出ましたときに、この中の運転関係につきましては、ほとんどその時点で通産省等におきまして対策が講じられたものが多かったわけでございます。  そこで、その他のものにつきまして、大きく三つのグループに分けて現在検討が進められております。特に安全審査あるいは安全基準に関するものにつきましては、原子力安全委員会の下にございます原子炉安全審査会並びに原子炉基準専門部会で分担いたしまして、現在、鋭意検討が進められておるところでございます。  それから、原子力の安全研究にかかわる提言につきましては、同じく原子力安全委員会の下にございます原子力安全研究専門部会あるいは環境安全研究専門部会にこのテーマをおろしまして、五十五年度以降の安全研究の計画をすでに立案いたしまして、来年度予算に計上されておるところでございます。  それから、防災対策につきましては、すでに安全委員会におきまして、防災対策を検討する専門部会を設置しておりましたので、そのテーマにつきましては、直ちにその専門部会に移しまして、現在、鋭意検討が進められておるというところでございます。  安全審査絡みの問題につきましては、ことしの春ごろまでには結論を出して、現在、新しい設置許可の申請が出ております原子炉の安全審査に必要なものは、すべて反映していくということを考えております。  それから、防災関係の専門部会の答申をいただいた際には、この五十二項目の中の防災関係につきましての検討が当然含まれておると考えておりますが、これにつきましては、地方の防災計画一あるいは国の各省庁が持っております防災対策の基本計画等に反映していただくようにしてまいりたいというふうに考えておるところでございます。(中林委員「優先順位は」と呼ぶ)直ちに国の施策として反映させるものは、安全研究を除きまして優先順位はございません。御存じのように、安全研究というのは、研究に日時がかかりますので、その成果が出てから反映していくべきものと考えておるところでございます。
  147. 中林佳子

    ○中林委員 優先順位がないような御答弁だったわけですが、昨年の十二月十七日付の原子力安全委員会委員長から原子力安全専門審査会会長あての連絡文書によれば、審議区分で、直ちに反映させる事項のAから長期的課題として検討する事項のEまでの五ランクに分類されているわけですね。これを見ますと、防災関係はDとなっているわけです。これでは私は本当にのんびりし過ぎていると思うのですが、これについてはどのようにお考えですか。
  148. 吹田徳雄

    ○吹田説明員 いま先生のおっしゃるように、ある程度クラス分けをしてございます。それで防災の方は、昨年の七月に当面の施策をつくりまして、それはもうできる範囲で早くそれに織り込んでございます。そのほかの事項は、いま局長の言いましたように、専門部会で鋭意四つのワーキンググループをつくって検討中でございます。
  149. 中林佳子

    ○中林委員 私は、こういうランクづけされること自体が非常におかしい、五十二項目はすべてAランクにされるべきではないか、このように思っているわけなんです。そういうA、B、C、D、Eとなりますと、これは少々遅くても構わないんだなという感じをどうしても受けざるを得ない、私はそのように思います。防災計画にいたしましても、当初は秋ごろあるいは十二月末、そういうぐあいにしてどんどんおくれているという実態が現実にあるわけなんですね。だから、そういう意味で私は、こういうランクづけの認識の度合い、それが余りにも私どもの願いからそれていると言わざるを得ないと思うわけです。  ケメニー報告では「一刻を争う迅速な防護処置が必要な場合は、不十分な事前計画はむしろ危険」という旨の見解を述べているわけです。先ほど、暫定計画を七月に出しているとおっしゃるわけですけれども、私は非常に不十分だ、このように思っているわけなんです。県の方に行ってみましても、大変不十分であると言わざるを得ない暫定的な計画しかないわけです。ですから、ケメニー報告の、こういうものはむしろない方がいいみたいなくらいに、非常に十分な防災計画を立てなければならないという警告をしているわけですが、大臣、このようなケメニー報告の意見をどのようにお考えでしょうか。
  150. 長田裕二

    ○長田国務大臣 日本におきます原子力に関する防災計画につきましては、なお必要がありますれば、政府委員からいろいろお答えを申し上げますが、私は、災害基本法に基づく一般的な措置、原子力施設が置かれております地域の特別の災害予防ないし災害対策の計画、それから、ただいま御指摘の当面とるべき措置、あるいは今後検討して措置すべき事項等々ございまして、それらの展開を待ちまして、私どもは、遺漏のない措置をしてまいりたいと思っているわけでございます。  ケメニー報告を読まなかったことで先ほどおしかりを受けたわけですが、私は、読んではおりませんが、日本は日本としての対応の仕方として万全を期してまいりたい、そのように存じております。
  151. 中林佳子

    ○中林委員 ケメニー報告を読んでない、これはしようがない話なんですが、日本の原子力発電所というのは、ほとんどアメリカを手本にしながらやっている、しかも、アメリカが安全と言うから安全だというような形で、安全だ安全だと言われていた、この安全だと言われる本家本元のアメリカであのような大事故が起きたということから、アメリカで起きた事故からどのように日本が学んでいくか。国情が違うとか日本は日本なりのと、こういう長官の御答弁が続いているわけなんですが、私は少なくとも、このケメニー報告、スリーマイル島事故から学ぶ、こういう姿勢をぜひ貫いていただきたい、このように思います。  そこで具体的に、原子力発電所立地県の防災の現状と対策について、私、島根県なものですから、中国電力島根原子力発電所のある島根県の問題を中心にお伺いしたいと思うわけなんです。  島根原発のある鹿島町、その隣の島根町、そしてまた鹿島町の隣の松江市の緊急時の避難場所は、おおむねどんなところにそれぞれあるのか、お答え願います。
  152. 牧村信之

    ○牧村政府委員 ただいまここに島根の防災計画を持っておりませんが、それぞれの町あるいは市が防災対策計画をつくっておることは、先生御存じのとおりかと思います。また昨年四月に、われわれが政府ベースでつくりました当面とるべき措置を受けまして、それの対応もできるような修正が行われておりまして、島根の原子力に関しましては、立地町でございます鹿島町、隣接の島根町、それから松江市の地域防災計画に所要の措置を講じてきておるところでございます。  われわれといたしましては、先ほどからも問題になっております防災対策の専門部会の技術的な諸問題につきましての答申を踏まえて、さらに、これらの防災計画をよりよいものにしていきたいと考えておるところでございます。それら、それぞれの町及び市の防災計画に、たとえば避難場所というようなものを町ごとに定めておりまして、万一のときに備えておるというのが現状でございます。
  153. 中林佳子

    ○中林委員 それぞれの具体的な点をお伺いしたかったわけですが、私の手元にある資料によりますと、鹿島町、これは原子力発電所のある町なのですが、そこの避難場所というのが、たとえば恵曇地区というところ、これに十五カ所設定されているわけです。この十五カ所のうち恵曇小学校片句分校、これは原子力発電所から一・五キロのところで七十五人収容する、それから恵曇漁協片句支所、これも同じく一・五キロ離れていて三百九十人収容する。それから講武地区にも十七カ所ありまして、ここの一矢会場というところは、何と原発から一・三キロのところ、こういう状態なんですね。ですから、この鹿島町の避難場所、小学校とか集会所、そういうところがなっているわけですが、一番近いところは一・三キロ、遠くて四・五キロ、その間に避難する、こうなっているのです。これで本当に避難と言えるのか。スリーマイル島の事故から考えれば、こんなところに避難したのでは汚染地区になってしまう。それ以上の事故がさらに起こるかもわからない、こういう実態なのです。  それから、お隣の島根町、これは本家本元の発電所がある鹿島町よりは少しましなのですが、これで見ますと、地図がありまして、八キロから十二キロの間に集会所の地図が書いてあるわけですが、ただし、どこの人がどこへ逃げていくかというようなことは、これを見る限りでは全くわからない、こういう状況になっております。八キロカラ十二キロの範囲といっても、非常に近いと私は思っております。  ましてや松江市、十三万人目おりますけれども、この松江市の避難場所、私も、松江市民なわけですけれども、一体どこに逃げていいかという話を聞いたことは、いまだかって一度もないのです。そういう大変お粗末な状態なのです。  国は一体、こういう避難場所が実際に設置されていることに対して、これで当面の暫定的な計画はやっていける、こういうお考えなのか、それともほかが行政指導をなさっているのか、その点をお伺いしたいと思います。
  154. 牧村信之

    ○牧村政府委員 ただいま先生のおっしゃられましたように、各町で避難場所が非常に近いところにつくられておるということは、現状において事実でございます。そこで、各市町村の防災計画の上に県の防災計画がかぶさっておるわけでございまして、必ずしもその町だけに避難場所があると考えておるわけではございませんけれども、ただいま御指摘の点、たとえば地元の町の方が遠くの方に逃げなければならない事態のときにどこへ行ったらいいかというようなことをあらかじめ定めておくこと、これは非常に今後の問題点としてあろうことかと思っておるわけでございます。原子力安全委員会の専門部会におきましては、防災計画を立てる指標的なこと等も含めていま盛んに検討をしておるところでございまして、そのような報告が出ました上で、各都道府県等も全般的な原子力防災の見直しをお考えになっておられるところでございますので、逐次、その報告を受けて、その報告の趣旨に沿って可及的速やかに整備していくというような考え方でおるところでございます。  なお、避難場所につきましても、先ほども他の先生から御指摘がございましたが、原子力災害の場合には直ちに避難するというのが望ましくない場合もあるわけでございますので、ある意味では、その場所にある密閉された気密のコンクリートの建屋の中に一時退避するというようなことも含めて、いまこの退避の問題につきまして専門家の間で議論が進められておるところでございますので、その結果を待って、われわれとしては、関係市町村、都道府県等と協議をしてまいりたいと考えておるところでございます。
  155. 中林佳子

    ○中林委員 この避難場所というのは、私、本当に大切だと思うわけです。  昨年十一月二十六日に開かれました学術シンポジウムでも、都甲東大教授が、TMIの二号炉の「事故では、ある時間の間、希ガスに対しては、第一、第二のレベルの安全対策がほとんど機能せず、第三のレベルの敷地のみしか有効でなかった。」、こういう指摘をしているわけです。この避難場所ということ、周辺の住民の健康と安全ということ、これは非常に大切であるわけです。  ですから、そういう意味で、いま専門部会で営々検討中だというようなお話であるわけですけれども、大体どの辺に避難すればよいとかコンクリートの建物の中に退避させるとか、そういうお話もいま出されたわけですが、そういう一定の目安を持って審査会でもお話は進めていらっしゃると思うのですが、そういう目安そのものは、たとえば安全委員会の委員長あるいは局長、そういうところで何かお持ちなわけですか。
  156. 牧村信之

    ○牧村政府委員 現在の各都道府県等が持っております防災対策は、その指針が非常に少ないわけでございます。住民の方が放射線を浴びますときに、一時的に放射線の影響の出る線量として、ICRP等で言われております二十五ラドという集積線量以下で住民の退避あるいは避難を行うようにすべきであるという集積線量の指標があるわけでございます。それにのっとっていまの段階は行っておるわけでございますけれども、できるだけそれよりも下回って十分安全なうちに避難計画を行いたいということで、いま専門家にいろいろ議論していただいておるわけでございまして、われわれが何か頭からこういう線量に持っていこうというような態度で御検討いただくのはむしろ変な、何と申しますかリードになるかと思っておりますので、それを差し控えておるということでございます。したがって、放射線の専門家あるいは原子力工学の専門家、放射線医学の専門家の方々にいま盛んにその辺の御議論をしていただいておるということで、当初、昨年の末ごろまでには出したいという事務局側の希望を言っておったわけでございますけれども、なお検討することがいろいろ多岐にわたって出てきたためにおくれておるのが現状でございます。
  157. 中林佳子

    ○中林委員 本当におくれていると思うのです。スリーマイル事故が起きてからもう一年近くたつわけですね。その間鋭意検討中、検討中ということで、しかもケメニー報告が十月に出ましたから四、五カ月たつわけですね。そういうことでは、私ども、非常に不安に駆り立てられているわけです。  アメリカでは緊急時計画として原子力規制委員会、環境保護庁が共同で作成した州地方政府の放射能緊急対応計画を発展させるための立案基礎、こういうものを出しておりますが、それによりますと、原発立地点から少なくとも十マイル、十六キロ以上離れたところへの避難をしなければならない、こういうふうになっているわけなんですね。  ですから、私は少なくとも、日本はそういう基準、アメリカ以上くらいのところに置いていただかなければならない。十六キロ以上ということになると、十三万人目のいる松江市、もちろんこれは避難場所なども明らかにしていただかなければならない。私どもは、子供もいますし、そういう意味では、本当に子供のこと、母体のこと、このスリーマイル島の事故が起きてから不安でたまらないのです。これが一年近くも続いているという実情、それにも増してまだまだ鋭意検討中ということになりますと、いかにも何か一生懸命にやっていらっしゃるように見えるけれども、何だかつじつまを合わせようとなさっているのではないか、こう考えざるを得ないような状況もあるわけなんです。  さらにロゴビン報告では「四季に応じて十二カ月の避難計画がなければないのと同じだ」、こういうふうに述べているわけですね。四季の変化、つまり島根県に当てはめてみますと、鹿島町には佐陀神社という有名な神社がございます。そこのお祭りが全国的にも有名なんですが、十一月二十一日から二十五日まで最高一日で二万人以上出る、こういうような土地があるわけですね。鹿島町の人口は九千少しですから、そこの人口が三倍くらいにふくれ上がるという時期があります。また島根半島一帯は夏になりますと海水浴、一年じゅう通じて釣りの客、そういう観光地でもあるわけです。また山陰地方ですから雪も降ります。除雪の問題、そういうおのおのの四季に応じたそれぞれに合った避難計画がなければならないと思うわけですが、一体このようなこともお考えになっているのか、現在はそういう計画はあるのかどうか、お答え願いたいと思います。
  158. 牧村信之

    ○牧村政府委員 お答えする前にちょっと申し上げさしていただきたいと思うのですが、アメリカがスリーマイルアイランドで事故を起こしましたときに、原子力の防災計画を持っていない州等が半分以上あったということをぜひお考えいただきたいと思うのです。それから原子力周辺のモニタリングをほとんどやっておらなかった国でございます。私どもの日本におきましては、不十分ではあったかもしれませんけれども、すべての県が原子力に対応する防災計画を曲がりなりに持っておったということ、それからモニタリング等につきましても、自治体並びに設置者が周辺のモニタリングをやっておるというようなことで、全く日本が防災対策についておくれておったとは私、絶対思わないところでございます。これをよりよくしていこうとして私どもいま一生懸命やっているつもりでございます。ただ、御説明の不十分さその他からいろいろ御批判を受けて申しわけないと思いますが、気持ちはそういうところでございます。  なおそれから、ただいまの四季等の土地の事情による対策というのを考慮しなければいけないという御指摘は、非常にむずかしい面もありますが、ごもっともなことだと存じまして、その点につきましては、防災対策専門部会の方によく先生の御指摘を検討していただきたいというふうに考えるところでございます。特に原子力施設の防災対策は、先生御指摘のように、その場所の気候、特に風の性質、これの影響するところが非常に大でございます。そういう点をどういうふうに考えていったらいいのかというようなことも、この専門部会での重要な審議事項になっておると私は承知しております。
  159. 中林佳子

    ○中林委員 ぜひそういうところまで緊急計画に取り入れていただきたいと思います。  原子力発電所の事故は、昼間の間の穏やかな気象のときだけに起こるのでは決してないわけですね。そこで、夜の事故があったとき、島根県の場合を想定してお伺いするわけですが、県の緊急対策本部が招集されるのに一体どのくらいの時間がかかるのか、また国では緊急技術助言組織が招集されるには一体どのくらいの時間がかかるのか、それから夜間の事故で専門官の現地への派遣チーム、これが到着するまでにはどのくらいの時間がかかるのか、そういう専門官はどういう形でどういうルートで到着するのか、その点までについてお答え願います。
  160. 牧村信之

    ○牧村政府委員 事故が起きますと、当然のことでございますが、設置者が、その事故の状況を直ちに判断して、県並びに国にあるいは地元市町村に報告されるわけでございます。その連絡の仕方につきましては、電話等によります専用線を現在整備しておるところでございます。来年度予算では、さらにそれを、状況等も送れるようにファックスを使うような回線にし直そうというような計画をやっておるところでございます。  そこで、その事故が拡大性のものであるかどうかの判断を一義的には設置者がいたします。その報告を受けて、原子力発電の場合には通産省が直ちに……(中林委員「そういう手順じゃなくて時間をお願いします」と呼ぶ)少なくとも一時間以内とかそういうような時間に県、それから役所に連絡が来ることになっております。その状況によって専門家が集まるということで、私どもとしては、夜と昼では若干の違いがあろうかと思いますが、少なくとも数時間のうちには、関係省庁並びに原子力安全委員会の方におきましては専門家を集めたいと思っております。  なお、専門家を現地に派遣するのは、その専門家のおります場所は、東海村の原子力研究所並びに動燃事業団、それから千葉県の放医研並びに科学技術庁の測定等ができる専門家で構成しておりますので、それぞれ時間的には違いがございますけれども、私どもとしては、防衛庁にすでにお願いしておりまして、緊急の運送手段をお願いしておりますヘリコプターまたはジェット機でもって現地に赴くというような体制がすでに組まれておるところでございます。したがいまして、遅くとも翌日には現地に到着して県等の防災活動に参加できるというふうなことを考えておるところでございます。
  161. 中林佳子

    ○中林委員 昼と夜では若干の時間の違いみたいな話だったのですが、県の職員もみんな帰って休んでおりますし、国の機関だってそうだと思うのです。だから、夜招集するということになると、かなりの時間差が当然出てくると私は思います。そして、たとえば防災課長あるいは保全課長、こういった者が出張していたら一体どうなるかとか、あるいは緊急技術助言組織者として任命されております人たちが海外に出張ということも当然あり得るわけですね、そういうときには一体どういう措置をとられるわけですか。
  162. 牧村信之

    ○牧村政府委員 ただいま御指摘の、職制を持った県の課長さん方がいらっしゃらないときは、当然、その下の方等複数で担当を決めさせていただいておりますので、一義的には連絡は課長さんがいらっしゃらなければ補佐の方に行くとか、そういう連絡網は一応整備させていただいております。それから、専門家が海外に出ておられるときは、これはやむを得ないと思っておりますが、そういう専門家が一人だけでないという、複数の各分野の専門家をお願いしておるつもりでございますので、十分対応できるのじゃないかといま私どもは考えております。
  163. 中林佳子

    ○中林委員 発生時からそれから専門官が現地に到着する間、地元の対策本部ではただ事態を見守るしかないという現状なんです。私も、島根県の防災課でいろいろお話を伺ってきたわけですが、実際災害が起これば国の専門官の指示を仰ぐ以外に何もない、こうおっしゃるわけですね。ただ体制はとっているけれども、どのようにしたらいいか、どのような被害になっているのか、そういうことをはかるのは専門官でなければできないということで、いま聞きますと、翌日やっと届くということでは、原子力発電所があるわが県では本当に私どもは不安で仕方がない、このように思っておるわけです。TMIでも、いわば組織がされる初めの数時間の対処が非常に大切だ、あのときの対処がもっと適切であれば、もっと事故が少なくして済んだだろう、こういうことを言われておるわけなんですね。  そういう点で国は、その辺の事情をどのように埋めていき、そういう原発がある地元の県民なり住民をどのような安心のもとに置いていただけるのか、その点をお伺いしたいと思います。
  164. 牧村信之

    ○牧村政府委員 各県によりまして、ある程度独自に、原子力発電所から放射性物質が漏れる相当低いレベルで対策本部をおつくりになるお考えのところが最近ふえてきています。私どもも、そういう意向を踏まえまして、準備段階、それから実際の対策に入っていただくというような、かねてからワーカブルと申し上げておりますような基準を早くつくりたいと思っております。  それから、初期活動はどうしても地元でやっていただかなければいけないわけでございます。国の機関としては、連絡調整官とか常駐検査官の制度を最近つくりましたので、そこを窓口にいたしまして、県あるいは町との連携、あるいは本部からまだ人が着かない間も、本部、東京等におります専門家とよく連絡をとって対応していくようなきめの細かい措置が必要であろうかなというふうに考えておるところでございます。  したがいまして、原子力安全委員会の緊急助言組織も、全員が現地に行くのではなくて一部が現地に行って、本部と連携をとりつつやるというようなことで、動いている間は何もできないというようなことのないようにいたさなければならないかと思っております。また発電所自体も、周辺の監視あるいは防災対策に防災基本法上当然責任身持っておるわけでございますので、その電力会社の一部のモニタリング関係の人等は市町村当局が大いに活用できるようにしなければならないかと思っております。  それからもう一つ、先ほど初期活動が非常に重要だとおっしゃられましたアメリカの例は、事前対応の不十分さから今回のような大きな事故にかった経験を踏まえてのアメリカの御意見でなかろうかと私は判断しておるところでございます。
  165. 中林佳子

    ○中林委員 電話の連絡だとかそういうことで非常に不十分である、私は、このように考えております。  あわせまして、私が大変心配しておりますのは、ここに島根原子力発電所が運転開始したときの「原子力防災のしおり」、こういうのがあるわけです。昭和四十八年に出しているパンフレットで、鹿島町に全部配付されて、松江市と島根町は回覧された。私は、初めて見たわけなんですが、これは安全だということをもう決めてかかってあるという点で非常に問題だと思っているわけなんですが、この中にこういう文があるのです。「原子力施設は、施設の設計、管理に厳しい規制と細心の注意がはらわれており、十分に安全は保障されているといえますが、しかし、万が一、原子力施設の事故により、放射能の影響が原子力施設の敷地外におよぶときには、直ちに国・県・市町村原子力施設が協力して災害の拡大を阻止するとともに、住民の安全を確保することにしており、このための訓練も毎年実施することにしています。」、こう書いてあるわけです。  私、県や鹿島町や松江市や島根町で聞いたのですが、毎年やられているのは通信の訓練だけで、住民参加の訓練はこれまで一遍もやられたことはございません。これを見ますと、いかにも火災訓練や地震対策の訓練と同じように書いてあるわけなんです。私は、スリーマイル島の事故から考えてみても、日ごろのそういう防災訓練というのが非常に大切である。特に放射能というのは、においもありませんし、色もありませんし、痛さも熱さもわからない、こういうことですから、私は、これこそ毎年訓練がされてしかるべきではないか、このように思うわけですが、政府のお考えをお聞かせ願いたいと思います。
  166. 牧村信之

    ○牧村政府委員 防災活動を行います場合の原子力防災訓練がどうあるべきかということは、非常に問題のあるところでございまして、これも現在、専門部会で慎重に御検討をいただいておるところでございます。従来、ややもすれば確かに、-安全であるから、こういう訓練をやれば、かえって不安全さを宣伝するからやらないのだというふうにとられておるのは事実でございます。ある時期、私どもも、そういうことについて非常に否定的でございました。しかし、いまは必ずしもそういう考え方で対処しておるつもりはございません。しかし、一般住民を巻き込んだ訓練をやるのが果たして一番いい方法かどうか、これは専門家の間でも非常に議論が分かれるところでございます。安全専門部会の先生方の中でも否定的な方が非常に多くございます。と申しますのは、原子力災害と言っても、避難ということを仮に指導者が非常に的確にやれば、何ら一般の防災対策における避難と変わらないのだという御意見の方が多いということでございます。  そこで私ども、いま何が何でもちゃんとしなくちゃいけない一番大事なことは、防災対策にかかわる地域住民の方、それから県市の消防、警察の方並びに衛生研究所と申しますか測定等に参画していただく方、特にそれらの方々に、原子力の防災というのはこういうものじゃなかろうかということを十分認識していただくことが一番大事ではないかと、こういうのが先生方の御議論の非常に強いところでございます。  そういうように指導者が事故対応というものを十分に行い、その上で計画がちゃんとしておって、住民の方に、この地区の方はいますぐ退避してください、ここの方は一時部屋の中にいてくださいというような、きめ細かいことをやらなければ、原子力の防災対策は十分できないのじゃないかというふうに考えますので、その辺、まだ結論が出たわけじゃございませんが、いま専門部会でも御検討いただいておるところでございますので、それに沿って私どもも必要な訓練というものをこれから積み重ねていきたいというふうに思っておるところでございます。
  167. 中林佳子

    ○中林委員 防災体制そのものをまだ検討中である、いま事故が起こらないから幸いなんですけれども、起こったら一体松江市民はどうなるのか、島根県民はどうなるのか、考えただけでも大変お寒い感じを受けているわけです。  もう時間がございませんので、立地基準についてお尋ねするわけですが、牧村安全局長は、昨年十二月五日の当委員会での私の質問に対して「アメリカの方針、NRCの方針等も参考にしつつ、わが国のように人口密集、密度の高い、国土の狭い国において、安全を保ちつつ、どういう敷地の基準を考えていくかということはきわめて重要な問題でございます。そういう点も踏まえつつ、日本として新しいサイト、敷地の基準につきまして検討をいまやっていただいておる最中」、こういうふうな御答弁をしていらっしゃるわけなんですが、検討中の考え方は、どういうものであるのか、現在の立地審査指針を大きく変えるものになっているのかどうか、簡単にお答え願いたいと思います。
  168. 牧村信之

    ○牧村政府委員 先般お答えしたとおりでございますが、この日本の立地審査指針というのは、原子力施設の持っている安全性の評価の上に立って、立地のもし事故が起きたときに、これは事故と申しましても、日本は、アメリカと違いまして、重大事故、仮想事故という二つの事故を想定してやっておりますが……(中林委員「長い説明はいいですから、いま検討されている中身が、その指針を変えるようなものになっているのかどうか」と呼ぶ)これは当然、アメリカでいろいろ勧告等をされておる報告も踏まえて検討していただくということでございます。  それがいまどういうふうになっていくかということは、いま予断を私から申し上げるあれにまで詰まってきておるとは思いません。この基準部会というのは、比較的時間がかかろうかと思っておりますので、なお時間をかしていただきたいと思います。
  169. 中林佳子

    ○中林委員 最後なんですが、ケメニー報告では「本報告において勧告した高水準の原子力発電所の安全基準に従えば、周辺住民をよりよく防護し得る安全対策が策定できるはずであるから、NRC及びその後継機関は、新規の建設または運転許可を出す前にケース・バイ・ケースで次のことを決めなければならない。」として、そのうちの一つに「州及び地域の緊急時計画の審査と承認を認可の条件とすること。」、こういうふうにするほどこの問題を重視しているわけです。  ところが原子力安全委員会は、昭和五十四年十二月十七日付の「高浜原子力発電所の三、四号炉及び福島第二原子力発電所の三、四号炉の増設に係る審査方針について」と題する文書では「審査関係の事項を直ちに原子炉安全専門審査会における安全審査に反映させるとともに、さらに基準関係、設計関係及び運転管理関係に係る事項についても、次の方針に基づき、本件安全審査に反映させるものとする。」とだけ述べていて、防災計画とか立地基準は反映されてないわけなんです。  防災対策の見直しもまだ終わってない段階で、かつ、検討しつつある防災関係や立地審査指針、これは原子力安全専門審査会に反映する意思もないままに、そういう検討中のものがあるにもかかわらず、高浜の三、四号炉及び福島第二原発の三、四号炉の安全審査をしようというのがわが国の原子力安全委員会であるわけです。  私は、このTMI事故から引き出す教訓について、日米間で余りにも大きなギャップが存在することにもう憤りを感じているわけなんです。アメリカでは運転中のものにまでこういう防災対策やあるいは立地基準を新たな基準で見直そうとしている。ですから、わが国でも、もう運転中のものについてももちろん見直していかなきゃならないと思いますが、ましてや高浜だとか福島の三、四号炉の新たに建設しようとするものについては、厳しい対応をしていかなきゃならないのではないか。そうしなければ、国民の信用を回復することはできない、こう私は思うわけですが、大臣、このような姿勢をとり続けていること、これで本当に果たして国民の信頼を回復できると思っていらっしゃるのか、最後にお伺いしたいと思います。
  170. 長田裕二

    ○長田国務大臣 防災関係につきまして専門部会で検討が進められている、その結果が出てくる以前に新しい認可なり安全審査なりをすることが妥当か、そういう御趣旨だと存じます。  ただいま進められております専門部会の検討は、従来ほとんどなかったところに新たにつくるということではなくて、従来も相当それぞれの計画があった、それぞれの措置がなされていた、さらにまた、スリーマイルアイランドのあの教訓も踏まえましての五十二項目の中でも、実施に移すべきものは相当実施に移しながら、さらにまだ検討を加えるべきものがあるかということについての検討が進められているわけでございまして、私どもは、いままでも十二分に気をつけておったものに、さらに一歩進めようというようなのが、ただいまの姿でございますから、いまここで建設許可等をストップする、それまで待たせるというところまでは考えておらないところでございます。並行的に進めていこう、そのように考えているところで、ございます。
  171. 瀬野栄次郎

    ○瀬野委員長 林保夫君。
  172. 林保夫

    ○林(保)委員 皆さん御苦労さまでございます。時間の制約もございますので、少しマクロ的になるかもしれませんが、総括して、原子力の問題と海洋の問題につきまして御質問いたしたいと存じます。  言うまでもございませんが、一九八〇年を迎えまして、今日ほど未来に対する関心、これが深まっておるときはないと思います。  それは、一つには、今日のエネルギー問題に象徴される動乱と、同時に、二十一世紀を展望して、人類といいますか国民的ないろいろな未来に対する不安あるいは希望もまぜての問題が出てきていると思います。そういった中でも、特に科学技術庁御担当の問題はもう万事そのものだ、こう申し上げていいかと思いますので、ひとつこの機会に総括いたしまして、理念なりあるいはまた展望なりを率直にお開かせ願えたら幸せだと存じます。  第一は、言うまでもございませんが、エネルギー問題の解決は現下の最大の政策課題でございましょう。この問題の長期的な解決に当たりましては、代替エネルギーの開発は、主として原子力を初めとするエネルギーの研究開発が最も重要である、これは衆目の見るところでございますが、政府は、これにどうのように取り組んでまいられますか。先般、長田長官の格調高い所信表明はちょうだいいたしましたけれども、なおもう一度、ひとつこの機会にお話しいただきたいと思います。
  173. 長田裕二

    ○長田国務大臣 石油にかわるエネルギーの開発につきましては、第一次石油ショックの翌年、昭和四十九年でございますか、工業技術院を中心としまして、サンシャイン計画、石炭の液化、ガス化、地熱、太陽光線あるいは太陽熱の電池化とか水素とか、そういうようなものが取り上げられまして、それぞれの担当の向きで精力的に進められてきたところでございますが、昨年の第二次石油ショック以後、さらに広く精力的に取り組もうという総理の見解などもございまして、あと従来から科学技術庁なども進めてまいりました風力、波力の発電あるいは植物の葉緑素の機能などを使いましての水素の発生とか、あるいはまたアオサンゴとかユーカリなどの樹液からそれに似たようなものを取ることとかそれぞれございますが、原子力発電がやはりそれの本命、代替というよりもむしろ石油と並んでの将来のエネルギーの本命とも言えるような考え方からしまして、二十年前後ぐらいから原子力開発が取り進められてまいったところでございます。  今日におきましても、ほかの方の代替エネルギーは、そう大量のエネルギーをいま作成し得るというところまでまだ進んでおりませんが、原子力につきましては、原子力による発電がすでに二十一基、千五百万キロワットに達しておりますし、ただいま建設中または計画中のものがさらに十四基ございます。これらを合わせまして、あと五年先には三千万キロワットの能力を持とう。それ以後の計画もいろいろあるわけですが、それに関連いたします核燃料サイクル、これらを十分に運転し、発電をしていくために必要な核燃料サイクル、ウラン鉱石の入手、濃縮ウランの入手、あるいは濃縮の技術、それから再処理の問題、これらにつきまして、日本の自主的な開発も、それぞれ――ウランの鉱石の入手は大したことはございませんけれども、十年余りにわたって必要な鉱石の見通しはついておりますし、濃縮ウランについても、昭和六十年代の半ば以後ぐらいまでの見当が  ついております。その上、濃縮につきましては、先般、人形峠のパイロットプラントが一部運転を開始いたしました。再処理につきましても、東海の動燃事業団でやっておりますし、今後も原型炉の開発などに向かって進もうとしておるわけでございます。なお、再処理につきましては、それ以後の計画なども、現在民間の方で取り進められておるわけですが、そういうものを込めまして、さらにプルトニウムを使います高速増殖炉の開発につきましても、現在鋭意それが取り進められておる。さらに、それらの後に人類究極のエネルギーと言われております核融合の開発につきましても、日本とアメリカとソ連とヨーロッパと四グループが、それぞれ互いに一面協力しつつ一面競いつつ開発を進めている現状でございまして、日本のエネルギーの将来については、時間はかかる、努力も要る、資金も要りますけれども、そう暗い見通しではない、私どもは、そのように考えているところでございます。
  174. 林保夫

    ○林(保)委員 大変情熱的な御答弁を聞きまして、なお資金的な問題、さらには保全と安全の問題が、先ほど来質問がたくさん出ておりましたように、やはり大事だと思われますが、安全確保の問題につきまして、どういう理念で、それからまた、これを知らせなければいけませんね、おやりになられるか、その点をもう一つお伺いしておきたいと思います。
  175. 石渡鷹雄

    ○石渡政府委員 先ほど来大臣からたびたび申し上げておりますように、原子力発電あるいはその他の事業につきまして安全の問題は大前提としているところでございます。特にその安全そのものに的をしぼりまして、私ども、安全研究というカテゴリーを設けまして、長年来研究を進めているところでございます。  具体的には、まず現在、実用化されております軽水炉の安全性につきまして、まず燃料の問題あるいはその冷却材が急速にあるいは徐々に失われるような事態になった場合にどんなことが起こるのか、また、そういうことを確かめた上でどういう対策を考えたらいいのかというような研究を進めております。昭和五十五年度におきましては、このような工学的な安全研究のために約八十五億円の予算を計上している次第でございます。  それから、安全研究のもう一つの大きな分野でございます放射線が人体にどのような影響を及ぼすか、あるいは環境放射能の挙動がどんなものであるかという研究の分野につきましては、特に低レベルの放射線の人体等に及ぼします影響に焦点をしぼりまして、主として放射線医学総合研究所を中心といたしまして、これらの研究を鋭意進めようとしているところでございます。予算額といたしましては、五十五年度に約三十五億円の予算をお願いしているところでございます。  また、その他放射性廃棄物の処理、処分の問題あるいはただいま大臣からも御紹介がございました新型動力炉の開発に伴います安全研究等もあわせて積極的に推進する所存でございます。
  176. 林保夫

    ○林(保)委員 局長にもう一つお尋ねしたいのでございますが、一つは、先ほど大臣からお話がございました核融合炉の問題で、国際協力をやりながらなお日本も独自にいろいろと手を打っておられることは承知しておりますが、この展望がどうなのか。町にはいろいろと雑誌の数ほど意見が分かれておりますが、局長なりの御判断をひとつ承っておきたいのでございます。
  177. 石渡鷹雄

    ○石渡政府委員 私なりの判断というのはとても持ち合わせていないわけでございますが、先生御指摘のように、いろいろ観測が分かれているのは事実でございます。一番早い予測で来世紀早々という方から、一番遅いと申しますか手がたい予測で来世紀半ばになるのではないか、いまから見でもすでに五十年ほどの幅があるわけでございますが、いずれにしましても、この研究の段階がまがきわめて初歩の段階にあるということは事実でございまして、きわめて卑近なたとえで恐縮でございますが、子供の段階でいけばまだ幼稚園に入った段階である、したがいまして、あと幾つかの教程を経まして社会に出ていくというまでには、まだまだこれからどういうふうに育っていくのか非常に不安定と申しますか予測がむずかしい分野が非常に多いということは事実でございます。しかし、一致しております点は、いずれはそう遠からず物になり得るであろうということが一致しているところでございまして、そういう意味で、先ほど御紹介がございましたように、わが国も含めて四つの世界的なプロジェクトが競争しつつある、しかし、余りにも多額の資金がかかるので、国際協力を一方進めていかざるを得ないのではないかというのが実態でございまして、それらがそれぞれのプロジェクトを推し進めるのか、あるいは国際協力という形でまとまっていくのか、その辺の動向、行方が見えてくるのは、この十年ぐらいの間に何らかの方向が出てくるのであろうと見ているところでございます。
  178. 林保夫

    ○林(保)委員 この問題、さらには海洋の問題、さらにはまた宇宙の問題、いずれも大きな柱でございますが、局長のおっしゃられた展望は展望といたしまして、国民のコンセンサスをできるだけ得るように、そしてまた、この柱を崩さないような対応を行政サイドでぴちっとやってくださいますよう、後の二つの問題とも関連いたしますけれども、要望いたしまして、海洋の問題についてお伺いしたいと思います。  先般、一月二十二日でございましたか、海洋開発審議会の答申が出まして、非常に大きな課題を行政サイドに与えておる。四十二の目標課題をさらに四つの重要課題にしぼって、がんばれ、こういうことで、総理の諮問機関でございますので、科学技術庁だけの問題じゃございませんけれども、これをどのような形で実現されますのか、大臣にその所信を承りたいと思います。
  179. 長田裕二

    ○長田国務大臣 海に囲まれております日本にとりまして、今後の海洋開発の問題は、非常に重要なことだと考えております。また同時に、海に囲まれているゆえをもちまして、あるいは国民性等もございまして、日本が古くから漁業とか海運とかいう海洋関係の面で非常に伝統、歴史を持ち、また、相当の成果を上げてきているとも御存じのとおりでございます。そのようなことからいたしまして、今後の海洋開発についても、それぞれの立場からのいろいろな意見が多彩にございます。  先般、海洋開発審議会から第一次、第二次と二次にわたりまして答申をいただき、基本的な考え方あるいは当面のやるべきこと等についてのかなり具体的な構想が示されました。今後、これをどう取り進めていくかということについては、先ほど来ほかの委員の方へのお答えの中にもございますように、まだ政府部内で完全に一致を見ているというところまでまいっておりません。いまその取りまとめ作業中と申したところが一番適当なのではないかと思うわけでございます。  しかし、そういう段階で果たしてすっきりと調整がつき、取りまとめができるかということについても、若干の問題点、疑問もないわけではございませんので、今後の成り行きを見まして、政府内で、総理府にいたしますかどうですか、そういうところで、もう少し強い調整を、また強い迫力をもって推進できる体制をつくる必要があるのではなかろうか、そう思いながら現在の推移を見ているところでございます。  いずれは、そういうことについて、科学技術庁もその推進役をとらなければならないのではないか、新しい形の体制のもとでの推進役を務めなければならないのではないかな、そのように考えているところでございます。
  180. 林保夫

    ○林(保)委員 御指摘のように、まさに政府を挙げてということにならないと、この問題は解決しないと思います。あるいは総理マターといってもいいかもしれませんが、やはり長官に推進役をやってもらわないことには、ほかの各省も手をこまねいているというのが実情ではないかと思いますので、お言葉のようにひとつがんばっていただきたいと思うのでございます。  これから御質問申し上げるのも、科学技術庁の範囲を超えるかもしれませんが、それはそれなりとして、国民的な立場で非常に疑問に思っていることが多々ございますので、率直にひとつお答えをいただきたいと思います。  それは海洋法会議のことでございますが、昨年は、第八会期を終わりまして、まだ決着を見るには至っておりませんけれども、御承知のように、マンガン団塊をめぐる南北の問題とかいろいろな利害の対立も出てきておったのが、ようやく集約される段階に来ております。海洋に関する国際秩序は、御承知のように日本は対応が大変おくれておったが、ようやく日本もやろうかという気持ちになっているだろうと思いますけれども、おくれておることはもう否定できない事実だと思います。  国連におきます海洋法会議の動向を、政府としてはどのように見ておられるか、今後の見通しなり対応なり一応の御見解を承っておきたいと思います。
  181. 勝谷保

    ○勝谷政府委員 第三次の国連海洋法会議は、新時代の要請に応じた海の新しい法秩序をつくろうというもとに、一九七三年十二月以来すでに八回の会期を重ねておることは、先生御指摘のとおりでございまして、近く第九期を迎えようとしております。  先回の第八期におきまして、従来のいろいろな案につきましての改定作業が非公式に精力的に進められまして、できますれば、この第九期におきまして、できるだけ早く妥結をいたしたい、そしてできれば第九期の春、夏の会期で一応の合意に到達しまして、最終的公式草案を決定したいということでございます。そうして、この見通しのとおりに進みますならば、八一年のカラカス会議におきまして、条約の正式な採択が行われるという段階になっておりますので御指摘のとおり重要な段階に立ち至ってまいりました。  ただ、ただいま御指摘のように、会議の焦点となっております深海海底開発問題につきましては、実は先進国と開発途上国の間でまだかなりの見解の相違がある状態でございます。したがいまして、どのようにするか、スケジュールどおりに進むかにつきましては予断が許されない実態でございます。  わが国の態度といたしましては、公正な新海洋秩序を確立すべく同条約の早期成立に先進国の立場で協力、努力をいたしますが、海洋開発の国際的基盤の安定化という基本的な方向で努力をしてまいりたいと思っております。  もちろん、外務省等関係各省相集ってやるわけでございますが、科学技術庁といたしまして、海洋科学技術推進の観点から本件の推進に努力してまいりたいと考えているのでございます。
  182. 林保夫

    ○林(保)委員 そのような情勢にあろうかと思われますと同時に、また大変大事なことは、世界各国とも、出てくるであろう結論をすでに予測いたしまして、海洋開発についての体制をかなりつくっておるというのもまた見逃せない現実でございます。私は、日本はこの点大変おくれておると思います。その点どのように認識されておられますか、日本の段階はどうなのか、この機会に御所見を承っておきたいと思います。
  183. 勝谷保

    ○勝谷政府委員 御質問の件につきましては、そういう体制づくりでは最も進んでいるのではないかと考えておりますアメリカにおきましては、十年前の一九七〇年に商務省の中に海洋大気局、ノアが設立されております。またフランスにおきましても、十三年前の一九六七年に国立海洋開発センター、CNEXOが設立されております。  ノアは、当初の構想では、米国の海洋開発行政の一元化を目指したものでございましたけれども、実際には海洋調査と研究開発を中心とする組織となっております。  米国におきましては、海洋開発行政は、このノアのほかにも連邦政府各省庁、州政府などに分かれておりまして、実際は複雑な構成になっております。フランスの国立海洋開発センターは、フランスにおける海洋科学技術に関する調査、研究、開発の中心となっております。  いずれを見ましても、調査、研究、開発につきましては、統一的な組織ができておりますが、その他につきましては、やはり各国の歴史、法制等が異なっておりますので、その国の最もやりやすい体制になっているのではないかという気がいたすわけでございます。  したがいまして、どの国が最も進んだ体制にあり、わが国がどのようにおくれておるかということは一概に申せませんが、少なくとも米国においては十年前、フランスにおいては十三年前に、そのような一つの取り組みが行われたということは、わが国のほかにこの二国が海洋開発国として先進国であるということを考えますと、うなずける点でございます。  わが国におきましては、すでに御議論いただいておりますような新たな組織、法律の制定についての提言がなされておりますので、先ほどの大臣答弁の線で、各省、鋭意その設立に向けて努力をいたしておるところでございます。
  184. 林保夫

    ○林(保)委員 ただいまお話のように、米国の海洋大気局とかフランスの国立海洋開発センター、あるいは西ドイツも海洋開発の計画、そして、それの助成に大変力を入れておりまして、これに見合うものが、わが国としては、先ごろ予算をおとりになられたところの海洋科学技術センターその他だろうと思われます。基本法の整備も答申を受けてこれからだろうと思いますが、どういう機構をつくり、どういう運用をしていったらいいか、科学技術庁としてのお考えをこの機会に承っておきたいと思います。
  185. 勝谷保

    ○勝谷政府委員 このたびいただきました答申の中で、体制と法制につきましては、実は具体的に示されております。  組織につきましては「具体的には、以下のような所掌をもつ「海洋開発委員会(仮称)」を設置することが有効であると考える。」と書いてございます。  海洋開発委員会の権限といたしまして、第一に「海洋開発に関する国としての中長期目標の設定、総合開発基本計画の策定に関する事項」、第二に「二百海里水域総合調査・観測・監視システムの整備等、多数の省庁に関連する大型国家プロジェクトの策定に関する事項」、第三に「海域総合利用方策の基本に関する事項」、第四に「海洋開発に関する国としての経費の見積り及び見直しに関する事項」ということがうたってございます。  さらに、法制整備につきましては「海洋開発基本法(仮称)の制定」、さらには「海域総合利用及び管理のための法制整備」、第三には「国際海洋法に対応した国内法制の整備」とうたってございます。  基本法の制定の中身といたしましては「海洋の開発と環境保全との一体的推進、海洋に関する国際協力の推進等、新海洋時代に対応した海洋開発に対する国の理念及び基本方針」を法律としてうたい、さらに、その法律の中で――海洋開発基本法でございますが、その中に「海洋に関する総合開発基本計画の策定、海洋開発委員会」の組織についてうたいなさいということが述べてあります。そのほか「海域総合利用及び管理のための法制整備」並びに「国際海洋法に対応した国内法制の整備」についても、具体的に述べてあるところでございますので、やるといたしますれば、この具体的な提言を素材にいたしまして検討を進めることになるのではないかと考えております。
  186. 林保夫

    ○林(保)委員 こうなってまいりますと、大臣の決断次第だということになりますが、基本法の制定について、大臣は、いつごろどのような対応をなさいますか、御決意を承りたいと思います。
  187. 長田裕二

    ○長田国務大臣 先ほど申し上げましたように、それぞれ伝統と輝かしい実績とまた膨大な機構を抱えている部門がたくさんあるわけでございまして、そういうものをまとめて、非常な努力の結果、りっぱなこの答申が出された、そう思っているわけでございますが、これを具体化していくという面につきまして、まだ関係方面の意見も十分にまとまらない。まとめるための連絡会議が持たれまして、ある程度進められておりますけれども、まだ完全な一致を見るという見通しまで持つに至っておりません。したがいまして、調整し、推進していくための機構が要るのではないか、そういう今後の事態をながめながら、その方面にわれわれが一層の努力をしなければならない情勢になるのではないか、その際にはそういう方向で進もうというところまで申し上げたわけでございまして、いま先生御質問のような点につきましてのこちらのはっきりした具体方策を申し上げるまでに至っておりませんことは、大変残念でございますが、私どもは、せっかくりっぱな答申もいただき、これを推進していくことが、わが国のためにも、その他もっと広く世界のためにもなり得るという気持ちもいたしますので、前向きの姿勢を絶えず維持しながら適切な措置をとってまいりたい、そのような心づもりでおりますことを申し上げるにただいまはとどめさせていただきたいと存じます。
  188. 林保夫

    ○林(保)委員 大臣に大いに御努力願いたいことを申し添えまして、最後の質問になろうかと思いますけれども、御承知のように、かつてわが国は公海自由の原則にしがみついておりました。このために二百海里時代への対応が大変おくれたという苦い経験を持っておりますだけに、私も、特に大臣に、先ほど来申し上げておりますように、しっかりした早い対応をお願いしたい、このように要望するわけでございます。  わが国の管轄下にある四百五十一万平方キロメートルですか、国土の十一倍に当たる二百海里水域について大変大事なのは基本的な管理の体制、そして、この答申の中にも出ておりますが、第一の項目の中に「有効かつ強力な調査、観測、監視の体制」、このようなことがうたわれております。これこそ、各省庁にまたがって政府としてどう対応するか決めなければならぬ問題だと思いますが、国民的な立場からいたしますと、なぜいつまでもこれをほうっておくのだ、一体どこがどういうふうな責任を持ってこの海域を守り、監視し、そしてその中で、調査するにしても安全でなければならぬ、このように考えておるのが大勢でございますが、これについて大臣がどのようにお考えになり、そしてまた、これをどのようにされますか、基本法との関連もあろうかと思いますが、明確なお答えをお聞きしておきたいと思います。
  189. 長田裕二

    ○長田国務大臣 ただいま二百海里問題につきまして御指摘の点は、主として運輸省の海上保安庁の関係、そちらが主ではないかというふうに思うわけでございます。  私、ただいまここで詳しく具体的に御答弁申し上げるようなデータを持ち合わせておりませんけれども、海上保安庁におきましても、二百海里体制に即応する設備、人員等の体制を着々とっているように聞き及んでおるわけでございますし、なお政府の一員といたしまして、ただいま御指摘のような問題につきましては、先ほど申し上げましたような心構えのうちに、具体的な問題などにつきましても、やらなければならないと思うことにつきましての発言等はいたしながら取り組んでまいりたい、そのように思っております。
  190. 林保夫

    ○林(保)委員 とうとう時間が来てしまいまして残念でございますけれども、大臣の姿勢それ自体は、大変前向きで積極的だと理解させていただきましたし、この答申にも「粘り強い努力を重ねることを強く要望する」と出ておりますので、私も、このことを重ねてお願い申し上げまして、質問を終わりたいと思います。委員長、ありがとうございました。
  191. 瀬野栄次郎

    ○瀬野委員長 この際、お諮りいたします。  午前中石野君の質疑の中で御要望がありました「実用発電用原子炉施設における被ばく実績表」を本日の会議録の末尾に参照掲載いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  192. 瀬野栄次郎

    ○瀬野委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。     ―――――――――――――     〔文章は本号末尾に掲載〕     ―――――――――――――
  193. 瀬野栄次郎

    ○瀬野委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。     午後四時十一分散会      ――――◇―――――