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1980-02-19 第91回国会 衆議院 大蔵委員会 7号 公式Web版

  1. 昭和五十五年二月十九日(火曜日)     午前九時三十四分開議  出席委員    委員長 増岡 博之君    理事 愛知 和男君 理事 稲村 利幸君    理事 高鳥  修君 理事 綿貫 民輔君    理事 山田 耻目君 理事 坂口  力君    理事 正森 成二君 理事 竹本 孫一君       麻生 太郎君    大村 襄治君       熊川 次男君    椎名 素夫君       白川 勝彦君    玉生 孝久君       中村正三郎君    林  義郎君       藤井 勝志君    坊  秀男君       村上 茂利君    毛利 松平君       山口シヅエ君    山崎武三郎君       山中 貞則君    山本 幸雄君       伊藤  茂君    川口 大助君       沢田  広君    島田 琢郎君       塚田 庄平君    山田 芳治君       柴田  弘君    古川 雅司君       多田 光雄君    渡辺  貢君       高橋 高望君  出席国務大臣         大 蔵 大 臣 竹下  登君  出席政府委員         大蔵政務次官  小泉純一郎君         大蔵大臣官房審         議官      垂水 公正君         大蔵省主計局次         長       吉野 良彦君         大蔵省関税局長 米山 武政君  委員外の出席者         農林水産大臣官         房参事官    眞木 秀郎君         農林水産省経済         局国際部国際経         済課長     山崎 皓一君         農林水産省農蚕         園芸局繭糸課長 松岡  将君         農林水産省農蚕         園芸局果樹花き         課長      畑中 孝晴君         通商産業省通商         政策局国際経済         部通商関税課長 内村 俊一君         通商産業省機械         情報産業局自動         車課長     横山 太蔵君         通商産業省生活         産業局通商課長 村田 文男君         日本国有鉄道資         材局計画課長  益子 智夫君         大蔵委員会調査         室長      葉林 勇樹君     ――――――――――――― 委員の異動 二月十六日  辞任         補欠選任   柴田  弘君     矢野 絢也君 同日  辞任         補欠選任   矢野 絢也君     柴田  弘君 同月十九日  辞任         補欠選任   玉置 一弥君     高橋 高望君 同日  辞任         補欠選任   高橋高望君      玉置 一弥君     ――――――――――――― 本日の会議に付した案件  関税定率法等の一部を改正する法律案(内閣提  出第一〇号)      ――――◇―――――
  2. 増岡博之

    ○増岡委員長 これより会議を開きます。  関税定率法等の一部を改正する法律案を議題といたします。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。正森成二君。
  3. 正森成二

    ○正森委員 まず最初に、本法案の前提となりました東京ラウンドが長期間にわたって行われたわけですが、私どもが承知しておりますところでは、77などと言われております発展途上国が今回の東京ラウンドに不満を持っておる、あるいはこれでは不十分ではないかという意見を持って仮調印などのときにはこれを見送った国が多かったと聞いております。それはいかなる理由によるものであるとわが国政府は認識しており、それに対して今後どういうぐあいに対処していこうと、南北関係もございますので、考えておられるか、まず伺いたいと思います。
  4. 米山武政

    ○米山政府委員 今回の東京ラウンドに対しまして、発展途上国がこの結果に対して不満を持っているというふうなことが一部言われておるわけでございます。ただ、御承知のように、この東京ラウンドのスタートに当たりまして、東京におきまして東京宣言が発せられまして、この東京ラウンドの基本的な姿勢を打ち出したわけでございます。その中には、発展途上国の発展の必要性を認めまして、可能な限り先進国はこの東京ラウンド交渉で発展途上国に対して特別な配慮を加える、こういうことがうたわれているわけでございまして、この考えに基づきまして、関税引き下げの分野では、まず他のものに先立ちまして、発展途上国に特に多い熱帯性産品につきましてはまずこの分を先に取り出しまして議論しました。その結果、七七年にはこの熱帯性産品の分野についてまとまりましたが、たとえばわが国等におきましても、数多いリクエストの中から、その中でできるだけこれにこたえるべく八十三品目について、これに対して関税引き下げを行うというふうなことを措置しておりましたし、また諸外国等につきましても同様に熱帯産品につきましては配慮を行っています。  そのほか、非関税障壁につきましても、たとえば評価の関係等につきましては、発展途上国に対してはなかなか直ちに適用するのはむずかしいだろうということで、適用期限の延長等を図っておりますし、政府調達の分につきましても、一番基本であります内国民待遇に対する規定については適用除外を認めるとか、それから相殺関税等につきましても、できるだけこれは努力目標にとどめる、こういうふうな緩和規定を置きましてこれに対処したわけでございます。  この結果、昨年の十一月にガットの総会でこの内容について討議があったわけですが、発展途上国を含めまして全体としてこの成果については了承した、こういう形になっております。  もちろん、これに対しまして、これに参加するという意向を示した国はまだそう多くありません。たとえば関税引き下げにつきましては、ブラジル、インド、インドネシア等約二十カ国がこれに参加する意向を示しております。政府調達その他につきましても、数カ国がこれに参加の意向を示しております。  以上のように、全体的に見ますとこれに対して了承を得ておるわけでございますが、確かに、まだ自分たちが期待したほどではないという点でそういう意見も聞かれております。われわれといたしましては、できるだけ今後も各国がこの東京ラウンドの成果につきまして参加するように働きかけていく、こういうつもりでいるわけでございます。
  5. 正森成二

    ○正森委員 主として、途上国を満足させるためにこれこれこういうことをやっておるのだという側面からの答弁だったと思いますね。それは確かにそういう面があると思いますが、それにもかかわらず、途上国グループになお不満が残っておるというように報道されておるのですね。アルーシャ宣言から五月のUNCTADを経てだんだんに解消はされておるようですけれども。その理由を考えてみますと、全部を述べるわけにはいきませんが、たとえば関税が下げられるのはいいことだけれども、そうすると、特恵関税の扱いを受けておるわけですから、自分の受けるメリットが減少するけれども、その代償をどうしてくれるかとか、あるいは中進国に対する卒業条項が不満だとか、あるいは名指しするのはどうかと思いますが、ECの方から選択的セーフガードというような主張があった場合に、それじゃおれのところをねらい撃ちするのじゃないかとか、いろいろの不満があったと思うのですが、そういう問題についてわが政府はどういうように認識して、将来はどういう方向にいくであろうと見ておられますか。
  6. 米山武政

    ○米山政府委員 御指摘のように、全体の関税が下がりますと、特恵を得ているところは相対的に利益が少なくなるというふうな指摘がございます。しかし、全体が下がりますと、特恵以外のものにつきましてはこれは当然恩典を受けるわけでございますし、またそういう意向もございまして、今回の場合にはさらに特恵面につきましても配慮いたしまして、特恵対象をふやすとか、そういう配慮もいたしております。  それから特恵の卒業条項につきましては、これは御承知のように十年間ということで現在特恵が適用されているわけでございますが、来年にはこの特恵は全面的に見直す、こういうことになっているわけでございまして、その際に、そうした南側の要求に対してどういうように対処していくか、その段階で十分考えてまいりたいと思っております。  セーフガードにつきましては、御指摘のように、結局今回はまとまらずに継続交渉ということになっておるわけでございますが、この点につきましては、今後ガットの場でさらに南側の意向もしんしゃくしつつ検討を進めていきたいと私ども考えております。
  7. 正森成二

    ○正森委員 次に、今度の東京ラウンドの結果、関税率がどういうようになるかという概略的なことを見てみたいと思うのですが、私どもが承知しておるところによりますと、有税品については、鉱工業製品ですけれども、日本は現行の基準税率が九.九で、すでに前倒しをやっておりますから、実行税率が六・九くらいだったのが、今後引き下げ後の税率は五・五くらいになる。これは全品目で言いますと、現行基準税率が五・八くらいで実行税率が三・七だったのが、三%前後になる。ところが、米国は基準税率と実行税率が同じで全有税品目では八・二くらいだった。それが六%弱になる。全品目で言いますと、六%前後なのが今度八年先には四%強くらいになる。ECで言いますと、現行基準税率が九・七%くらいのが引き下げ後には七%強になる。先ほどのは有税品ですが、全品目で言いますと六・四%前後の基準税率、実行税率も同じですが、これが引き下げ後は五%弱になるというような点を見ますと、現行基準税率はわが国が最も高かったのが引き下げ後の税率は三%、四%、五%というようにアメリカやECに比べてわが国が特に大幅に切り下げておるということになると思うのですね。  これは別の面から見てもわかりますわけで、報道されておるところによりますと、わが国の対米引き下げ率は約五九%だ。実行税率では三七%ですね。これは世界の引き下げ率の四九%、実行税率一九%より大きいわけですね。アメリカの対日引き下げ率は三〇%くらいだ。同じようなことがECに対しても言えるわけであります。  その上にまだ、御承知のようにこういうように大幅に譲歩をしているうちに、日米会談直前の政府発表で、実行税率が基準税率より低いすべての商品について実行税率をベースに毎年八分の一ずつ切り下げる。しかも、全譲許品目の七、八割に当たる千五百品目前後については初年度に一挙に二年分をまとめて切り下げる、こういうようになっているのですね。これは非常な譲歩だというように思うのですが、なぜこういう譲歩をわが国だけがアメリカに対してもECに対してもやったのですか。
  8. 米山武政

    ○米山政府委員 いま御指摘のとおり、関税引き下げ率で見ますと、引き下げ後の形は、全品目で日本が約三%、米国約四%、EC約五%ということで最も低いものになっているということ、しかもそれは有税品で見ますと、ベースレートが一番高かったのに一番低くなっている、これは他の国から比べて少し引き下げ過ぎではないか、こういう御指摘でございます。  御承知のように、全品目で見ますと、日本の場合は原料品については無税を張っているということで、そういう貿易構造から見まして、すでに米国、ECに比べて低くなっているわけでございます。それから有税品について見ますと、一番高かったのが一番低くなっているということは事実ございますが、御承知のように、日本の場合はこの基本税率あるいは前回のKRによりまして譲許を決めたときから日本の経済力が非常に強くなり、国際競争力が非常に強くなりましたので、それに対しまして実際上自主的に相当引き下げを行って、現行の実行税率のベースで見ますと、有税品で見ましても、米国、EC等から比べてすでに相当低くなっておるわけでございます。  そういう意味で、現在基本税率あるいは譲許税率等すでにわが国の実態から見て相当高い水準、実際以上に高い水準にある、そういう点も配慮しまして、鉱工業製品につきましては一応平均四〇%カットというスイス・フォーミュラによりまして、しかも各国が非常に関心を持ったものについてはそれぞれ交渉しまして、それ以上のディーパーカットを行ったり、あるいはカット率を少なくしたりした結果、こうなっておるわけでございます。  そういう意味で、確かにベースレートから見ますと、御指摘のように、カット率は日本が五〇%、米国三〇%、EC二五%となっておりますが、実行税率から見てみますと、カット率は日本は二〇%切っているというふうな状況でございまして、そういう競争力という点を頭に置いた場合には、決してわが国がこれを引き下げ過ぎ、こういうふうには考えていないわけでございます。  それから第二の問題、そういうふうに大幅に引き下げたにもかかわらず、さらに追い打ちをかけるように早期実施ということをするのはなぜかということでございますが、御承知のように、ベースレートと実行税率が非常に大きな開差がございます。ベースレートから八年間に引き下げた場合には、実際上、実行税率が低い場合には空を切る、実際に血が出ないことになっておるわけでございまして、こういう点につきまして米国、EC等から強い指摘がありまして、最終のベースは譲許のベースであるけれども、初年度から実効ある引き下げを行ってほしいという要求にこたえたという結果でございます。
  9. 正森成二

    ○正森委員 御説明としては一応わかるのです。しかし、あなたのおっしゃった理由自体が必ずしも十分な答えになっていないという点があるのです。  それでは、なぜ実行税率が基準税率より低かったのかといえば、必ずしもKRのときに約束しなかったことを七二年と七八年に前倒しにやったから実行税率が低くなっているのですね。それはすでに義務以上のサービスとして与えているわけですね。それが低いから、さらにそこから出発して実際に切り下げなければだめなんだということになれば、サービスを前提として、また必ずしも義務でないサービスを強いられるということにならざるを得ないと思うのですね。これは私だけがそう考えているのかと思って物の本を読みましたら、あなたの先輩の歴代関税局長座談会というのが「貿易と関税」に載っているのです。一九七九年の六月号を見ますと、あなたの大先輩が皆ずらっと並んで言うているのです。その中でも「なぜ日本がこれだけ大きな譲歩を迫られたか。」というようなことであなたの先輩が言うておられて、なるほど交渉が非常にたけなわであった七七年、七八年というのはわが国の黒字が大幅に増加したときですね。しかし、東京ラウンドというのは、一年、二年の貿易収支が黒字になったかどうかだけでなしに、やっぱり十年を規模に考えていくというものですね。それなのに、十年規模で考えなければならないのに、一年、二年規模のことで譲歩に譲歩を強いられるというのはいかがなものであろうか、そこまではっきり書いておりませんけれども、よく読むとそう読めるようなことを主張なさっているあなたの前任者の関税局長がおられるわけですね。名前は申しません。  それからまた、「金融財政」というのがございますが、これを見ますと、これの五十四年五月十日付ですが、お気に入らないかもしれませんが、「終盤に入ってからのわが国の譲歩を前提とした交渉態度は目をおおうばかりである。」これは大蔵省OBが言うた。OBというのはだれのことか知りませんが、そういうぐあいに書いてある。あるいはまた、同じ人かどうかわかりませんが、大蔵省OB氏は、「譲歩に次ぐ譲歩が重要な意義を持つかどうかは、はなはだ疑問といわざるを得ない。」こういうふうに言うておられるのです。これは正森成二が言うておるのじゃないです。大蔵省OBが言うておるのです。そうしますと、私が指摘したような、あなたもそれが、譲歩という言葉を使っていいかどうかわかりませんが、わが国の特別の行動であるということをお認めになったと思うのですけれども、そういう点についてはどうお考えになりますか。あるいは大臣がおっしゃっていただいても結構です。
  10. 米山武政

    ○米山政府委員 今回の東京ラウンドのそもそもの趣旨というのは、この前も御質問のときにお答えしたと思いますが、やはり貿易立国を目指す日本としては、何と言っても自由貿易体制に基づく貿易の拡大というのが日本にとって最も利益がある、こういう基本的な前提に立っているわけでございます。国力の弱まったアメリカあるいは関税同盟を完成したECはこれに対して非常にちゅうちょしたわけでございますが、これを何とか最終的にまとめ上げたということは、やはり貿易立国である日本にとっては一番の大きなメリットだ、こうわれわれは思っておるわけでございます。その過程におきまして、いろいろな要求に対してその要求を検討し、多少のそういう引き下げ率が大きいというような点があっても、やはり全般的にこれをまとめるのは最終的には日本の国益であるという判断でやったわけでございます。
  11. 正森成二

    ○正森委員 それではそう承っておきたいと思いますが、その次に、私は、有名なジョーンズ報告、ジョーンズ・レポートと言われているもの、米下院歳入委員会の貿易小委員会が日米貿易に関する対日貿易監視小委員会の調査報告書を昨年の一月三十一日に発表されました。これはジョーンズ・レポートと普通呼ばれているものです。もちろん、私はここに述べられている見解にすべて同意するものではありません、ずいぶん一方的な言い分も含まれていると思いますので。しかし、ここで指摘している点の中には、われわれとしてもやっぱり考えておかなければならない点も一部含まれている、こう思うのです。きょうは時間の関係でその全部を指摘するわけにはいきませんが、私が注目しましたのは、その初めの方で「消費者に還元されない円高差益」というところの部分があるわけです。このジョーンズ・レポートはそこで何と言っているかといいますと、「円の三三%の切り上げと、それによる膨大な輸入品の円高差益(日本通産省=MITI=の推定によると、七九年三月に終わる十二カ月間に約二百十億ドル)にもかかわらず、日本の消費者は比較的わずかな恩恵しか受けていない。エネルギーや食糧やその他原料輸入品の円表示価格が下がったため、日本の卸売物価指数は七七年十月から七八年十月までの間に約四%低下したが、消費者物価指数はその間に四%上昇した。その結果、輸入品は多くの場合、円切り上げ前と同様に大して消費者を引き付けず、したがって輸入品に対する需要はほとんど、あるいは全く増加していない。」云々と、こう書いてあります。私は、この指摘はある面では正しい、こう思うわけであります。  そこで、関税が今回の東京ラウンドで引き下げられるわけですけれども、それが引き下げられてもその引き下げの利益が一体だれに帰属するのか、消費者に帰属するのか、それとも輸入業者に帰属するのかということで、関税の切り下げは、私の承知しているところでは、それ自体が目的ではなしに、それによって相互に貿易が拡大するということが目的なはずなんですね。そうすると、輸入者になるほど安くなって利益である、それでは消費をふやそうかということにならなければ、これは関税引き下げの効果がないわけですね。あるいは少なくとも減殺される。そうしますと、このジョーンズ・レポートの「消費者に還元されない円高差益」という問題は、ある意味では関税引き下げの今回の東京ラウンドの将来についても当てはまることではなかろうかというように思うわけであります。この点についてどのように政府当局は評価されておるかどうか、あるいは今度の東京ラウンドの後の関税引き下げの利益の還元方法についてどのような対策を政府部内で考えておられるか、もしお答えできれば答えていただきたいと思います。
  12. 米山武政

    ○米山政府委員 ジョーンズ・レポートを引用されたわけでございますが、ジョーンズ・レポートの指摘につきまして、特に円高効果の輸入品価格にあらわれるのが遅いというようなこと、それから輸入が伸びてないというふうな点につきましては、これはわが方としてもいろいろ言い分がございます。ただ、これは一般論でございますので、むしろ後の方の関税引き下げの方の点についてお答えしたいと思いますが、やはり関税を引き下げるメリットというのは、関税が引き下がることによって輸入コストが下がり、それによって需要がふえ、輸入が拡大する、形式的に言えばそういうことだろうと思います。今回の関税引き下げがそういう各個々の品目についてどうなるかというのは、私どもこれは個々の品目ごとの計算をしておりませんが、しかし、わが国のような自由貿易、自由経済をとっている国については、自由競争が働いてそういう形になることは当然だろうと思います。その場合に、その効果が働かないような何かの流通上の問題等がありましたら、そういう点について改善を図っていく、こういうことだろうと私は思っております。
  13. 正森成二

    ○正森委員 非常に楽観的な答弁なんですけれども、その楽観的な答弁が実際上は必ずしも期待されないというところにジョーンズ・レポートなんかが指摘した不満があっただろうと思うのですね。それで、わが国の新聞紙上での消費者の声あるいは新聞の指摘などを見ましても、日本の流通機構の中にそもそも円高差益あるいは関税引き下げの利益が還元されない仕組みがあって、輸入業者やあるいは中間業者のところで全部とまってしまうという指摘があるわけで、それについて、通産省がおられるようですけれども、通産省としてできることはないのですか。
  14. 内村俊一

    ○内村説明員 お答え申し上げます。  まず、関税以外の障壁でございます非関税障壁につきまして、今回の東京ラウンドにおきましても、スタンダード協定あるいは政府調達協定のようなものができました。これに従いまして、私どももスタンダードにつきまして国際基準に合わせるとか、そういったことをいたす予定でございます。そういうことで輸入拡大を図りたい。また輸入の手続きにつきましても、できるだけ簡素化をいたしたいと考えております。  もちろん、国内問題といたしましては、先ほど関税局長から御答弁いたしましたように、流通機構の合理化は、通産省として大きな課題として取り組んでいくつもりでございます。そういった面を通じまして、輸入関税の引き下げが消費者に直結するように検討いたしたいと考えております。
  15. 正森成二

    ○正森委員 通り一遍の答弁というようにしか思えないのですけれども、次の方に移らしていただきたいと思います。  これは少し私の感じなんですけれども、大騒ぎをして東京ラウンドを長々とやったのですけれども、関税を引き下げても、通貨が固定されて変動がない場合にはガットは非常に効力を発揮するでしょうけれども、いままでのように変動相場制でフロートしている場合には、たとえば、七八年当時のように円がどんどん高くなるというような場合には、関税を少々下げたかどうかということは、ほとんど無視し得るような、そういう効果しかないということなんで、この東京ラウンドが一定の効果を上げる場合には、通貨が妥当な水準で安定するということを抜きにして、わが国の通貨がねらい撃ちされるというようなことでどんどん高くなるような場合には、やはり効果がなくなるといいますか、あるいはせっかく東京ラウンドで譲歩して妥協しても、その意味が失われるというようなことになりかねないと思うのですね。こういう点について政府はどういうぐあいに考えておりますか。
  16. 米山武政

    ○米山政府委員 確かに、関税率と為替レートにつきましては、輸入コストに影響するという意味では関連があるわけでございますが、為替レートはすべての商品に一律に働くということ、それから貿易以外のいろいろの要因も加味されているというような点があるのに対しまして、関税率の場合には、個々の商品の競争力に着目して、それらの競争力に適合したような税率をはじく。しかも、これはある程度長期的、産業政策等も加味した、そういう前提のもとの税率でございますので、関係ないとは申しませんが、やはりそれぞれ機能は変わっている、こういうふうに思いまして、やはり関税の全面的な引き下げというのはそれなりの意味を持っている、こういうふうに考えているわけでございます。
  17. 竹下登

    ○竹下国務大臣 正森委員の御指摘でございますが、確かに関税の引き下げというものは産業政策上のそれなりの意味はある、しかし、本質的には通貨が安定していないことにはその効果も実質上薄いじゃないか。したがって、ずっとこの経過を見てみますと、一九七一年にドルの交換停止が行われて以来、そしてスミソニアンレートになり、フロートしていって、最初の段階は、各国ともダーティフロートはいけないとかクリーンフロートでないといかぬとか、非常にこういうような議論をしておったと思います。そこで、いま先進諸国が大体共通したのは、相互がある種の通貨安定をもたらさないことには、産業政策としてやられる関税をも含め、もろもろの政策に対して本来効果を欠くことになるのじゃないかというので、決してダーティフロートだとは思いませんけれども、かなり強烈な介入をするようになったというのも、やはり御指摘のような考え方がそれぞれの国にできてきているんじゃないか。したがって、これからの産業政策といわゆる通貨政策との調和という点については、各国同士のたゆまざる協調とか協議というのがますます必要になってくるんじゃないかという感じがしておりますので、その御指摘は私どもも十分に踏まえてやらなければならぬ、全体の関税率そのものは別といたしまして、基本的な政策だと思います。
  18. 正森成二

    ○正森委員 それでは、次に関税評価の問題について伺いたいと思います。  それで、今回関税評価について妥結できたということは、アメリカのASPとか四〇二A条とか、非常に恣意的なものが抑制されるという意味で、ある意味ではメリットであるというように評価されておりますし、私もそういう面はあると思います。しかし、関税評価の点を考えます場合には、いろいろ考えてみなければならない問題点も若干あるように思いますので、その点について指摘をしてみたいと思うのです。  それで今度の関税定率法の一部を改正する法律の第四条に関税評価がずっと書いてありますが、その原則は原則として取引価格だということになっているのですが、第四条の二を見てみますと、前条第一項の規定により輸入貨物の課税価格を計算することができない場合等々においては、当該輸入貨物の課税価格は、当該同種または類似の貨物に係る取引価格とする、括孤の部分は略しましたけれども、大体そういう意味のことだろうと思うのです。  そこで伺いたいのですが、第一項でできる場合は問題ないのですけれども、それができない場合に、同種の貨物あるいは類似の貨物の規定は、実際上運用できるのでしょうか。現行法にもほぼ同種の規定がございますけれども、私が承知しておるところでは、ほとんど運用できていないんじゃないかというように思うのですが、いかがですか。
  19. 米山武政

    ○米山政府委員 今回の改正は、やはり基本的には恣意的な評価をできるだけ排除していくということでございます。今度の方が条文上はいろいろ書いてありますが、御承知のように、従来の評価の基本原則は、自由市場があった場合に、そこで売り、手と買い手との間で形成される価格、こういう非常に抽象的なものでございまして、したがいまして、いろいろの制限は少のうございますが、実際上はなかなか決めにくい、恣意的な評価が入りやすい。今回ははっきりインボイスを中心とする、そしてそれでできないものについては必要な補正を加えるということで、補正の方法が細かく書いてあるわけでございます。  いまの御指摘のものは、それができない場合には、まず第一に同種または類似のものである、こういう、例外の中では一番の原則ということになっているわけでございます。これは現行法に書いてあるわけでございますが、現行法でもそうでございますが、大体原則でやっておりますが、同種、類似というふうなものにつきましても、適用例、わりあい数は少のうございますが、これはやっております。従来の経験等に徴して、こういう規定が非常に適用困難ということは余りございません。最近の例でございますと、よくあるのは、冷凍エビ等の場合に非常に価格がよくわからない、そうすると、そういうものをとってきてやるというふうな例はよくやっているようでございまして、具体的にどういうところが問題があるか私もよく承知をしておりませんが、具体的にこういう適用例はあるということでございます。
  20. 正森成二

    ○正森委員 それでは私の方から申しますけれども、たとえば代理店が独占輸入権を持っているような備品は、これは同種あるいは類似といってもなかなか比較のしようがないのじゃないか。それからまた、機械類の場合には、普通、農産品などと遜って並行輸入がないから比較できないのじゃないか。また利潤が適正であるかどうか根拠がないから判断ができないのじゃないか。あるいは同種、類似とといいましても、関税及び貿易に関する一般協定第七条の実施に関する協定の第十条を見ましても、守秘義務があるわけでしょう、秘密のものについては公表できないと。そうすると、相手方を説得する場合でも、これはこれこれこういう同種の機械の値段がこうだ、どこからどこへ輸入している、あるいは輸出しているものがこうだということを言ってこそ向こうは納得するでしょうけれども、守秘義務から言うたら、何で日本の税関はこういう価格を出してきたのやらわからぬということで、説得力がないということにならざるを得ないのじゃないですか。それを説得力があるようなものにしようと思えば、今度は守秘義務違反になるということがありますから、同種、類似というようなものについては、非常に根拠が示しにくくて適用が困難ではないか。一般卸売指数でも発表して同種、類似の最近の価格を公表しておるというようなことになれば運用できるかもしれませんけれども、そういうことは事実上不可能だということになりますと、これは取引価格でできるものはいいですけれども、できない場合には、これで真っ先にやるというその真っ先にやるのがなかなか困難なことになるのじゃないですか。
  21. 米山武政

    ○米山政府委員 同種または類似でやっておる例はあるわけでございますが、それで非常に困難な場合も確かにございます。したがいまして、今度の協定では、同種でだめなら類似でやる。そして類似の価格も使えないという場合にはさらに幾つかの方法を指定しているわけでございまして、まず同種、類似でだめな場合には、その次には国内の販売価格から逆算し、あるいはそれが加工されている場合には加工後の販売価格で見る。また、それでもわからない場合には、製造原価でやる。こういうふうに第一の方法でむずかしいなら第二、第三、第四というふうに幾つかの方法を認めておりまして、非常にむずかしい場合にはその次の方法でやる、こういうふうになっておるわけでございます。
  22. 正森成二

    ○正森委員 関税局長の答弁ははからずも私の指摘が正しいということを認めた上の答弁のようになっておるんですね。つまり、第二がむずかしければ三、四、五といろいろあるから大丈夫なんだと言うのですが、真っ先にやらなければならない同種、類似というものが非常に困難じゃないかというそれ自体の指摘に対しては、いや、そうではないというお答えは十分出てこなかったと思うのですね。守秘義務との関係という点を一つ指摘したり、あるいは代理店が独占輸入権を持っている場合にはむずかしいではないかというような具体的な指摘をしたのですが、そういう点についてはいかがですか。これは現場でも出ている声ですよ。私は現場の人から直接聞いているのですから。
  23. 米山武政

    ○米山政府委員 先ほどもお答えしました一ように、同種、類似でやる例も多うございますが、いま御指摘のありましたように、代理店の問題とか、機械等の非常に秘密が多いようなものについて適用が困難であるということはそのとおりでございます。現場でもそういう声があるということも私どもは承知しております。したがいまして、それでむずかしいなら――これは全部むずかしいということではございません、むずかしいものもある。代理店等というのは、全部代理店があるわけじゃございませんので、そういうものについては、いま申しましたような国内販売価格からの逆算、あるいは製造原価からの逆算、その他の方法は認められる、こういうことでございます。
  24. 正森成二

    ○正森委員 一応の御答弁ですが、なかなか困難ではなかろうか。そうすると、関税評価について見かけは非常にりっぱだけれども、実際上の評価の場合には大変な困難が相互に伴うのではなかろうかということを指摘しておきたいと思うのです。  それから一つ、これは質問というよりは解釈で教えていただきたいのですが、第七条の実施に関する協定がございますね。これは国内法ではございませんが、その第十五条をあけてください。第十五条の4項です。「この協定の適用上、特殊の関係にあるとされる者は、次の場合の関係にある両者に限る。」云々となっておりますね。そして(a)から(h)まで掲げてあります。これは読めばそれなりにわかるわけですが、問題は5ですね。5を見ていただきますと、「一方の者が、他方の者の総販売代理店、独占販売者又は権利専有者(いかなる名称が付されているかを問わない。)であるという点で両者が業務上の関連を有する場合には、両者は、特殊の関係にあるとされる。」これはわかるのです。ところが、その次に「もっとも、両者が4の基準に該当する場合に限る。」となっておるのですね。それだったらこの5なんて置かないでも同じことなんじゃないですか。「一方の者が、他方の者の総販売代理店、独占販売者又は権利専有者であるという点で両者が業務上の関連を有する場合には、両者は、特殊の関係にあるとされる。」これだけなら意味はわかりますね。ところがその後にわざわざ「もっとも、両者が4の規準に該当する場合に限る。」こうなっておれば、前の方なんて置いた意味がないじゃないですか。4だけあればそれで十分なのに、なぜしちめんどうくさく5を設けたのですか。
  25. 米山武政

    ○米山政府委員 今回、評価の問題が議論されたときに一番問題になったのは、特殊関係というのは何かということでございます。とりわけ総代理店に代表されるこの代理店制度というものをどう取り扱うかというのが最後まで議論になったわけでございます。従来のわが国の扱い、あるいはCCCに加盟しておる各国の取り扱いは、この総代理店というものそれ自体でこれはもう特殊関係があるということで、それらの取り扱いについては加算要因ということになっておったわけでございます。これがいろいろな議論がありまして、総代理店といえども4の規定に該当しなければ入れるべきでないというふうな議論もあったわけでございます。それで最後にはこのいろいろな議論の妥協としまして特に5というのが、非常にあたりまえのことでありますが、あたりまえのことを、そういういろいろな議論がありましたので、そこをはっきりさせる意味で規定したわけでございまして、そういう意味では、御指摘のとおりの、あたりまえのことをなぜ書いたかというのは、いま申したような経緯によるもの、こういうふうに私どもは理解しております。
  26. 正森成二

    ○正森委員 お認めになりましたように、何か「総販売代理店、独占販売者又は権利専有者」ということを何らかの意味で書きたいというだけの理由で5項が入ったように思われてならないのです。これはよく読みますと、4項だけ書いておれば、4項ですべて賄うのだから、第5項なんか入れる必要は実益上は全くないということですね。私、法律家なものですから、条文を入れる場合には何か実益がなければ入れないのに、これだったら何ら入れる実益はないのです。それをわざわざ入れたのは、いままで総販売代理店等々について考え方があったから、そういういろいろな考え方はあるけれども、4の特殊関係にないものはいいのだぞということをわざわざ明らかにするために実際上の実益がないけれども入れた、こう理解していいですか。
  27. 米山武政

    ○米山政府委員 そのとおりでございます。
  28. 正森成二

    ○正森委員 時間になってしまったのですが、続けてもよろしいですか。一応これで切りましょうか。もう一、二分で終わるならまだ続けますけれども、もう少しかかりそうですから。
  29. 増岡博之

    ○増岡委員長 それではこの次の機会に……。
  30. 正森成二

    ○正森委員 相殺関税、ダンピング等についてこれから伺いたいと思っていたのですが、時間が参りましたので、また質問の機会がございましたらさしていただきます。
  31. 増岡博之

    ○増岡委員長 川口大助君。
  32. 川口大助

    ○川口委員 私も一時間の予定で準備をしたのですが、四十分ということになりましたので、あらかじめお話し申し上げた点につきましても、省略し、もしくは整理をしてお尋ねすることになると思うのでありますが、よろしくお願いいたします。  まず、東京ラウンド交渉の将来について私は若干の危惧を持っておるわけであります。それはなぜかと申し上げますと、御承知のとおりガットの加盟国は九十九カ国でございますが、そのうち八十カ国は開発途上国、こうなっておるわけでありまして、七九年七月の東京ラウンド調印以来途上国で調印したのはわずかにフィリピンとジャマイカだけだとお聞きしておるわけであります。しかも、この開発途上国は七九年四月十二日、東京ラウンドの協定仮調印をしたそうでありますが、その約一カ月後、七九年五月七日フィリピンにおいて第五回の国連貿易開発会議総会が開かれたそうでありますが、この席上におきましては、開発国のほとんどすべての国が東京ラウンドに対して不満の意を表しておる、こういう現状であるわけであります。  さらに、私非常に心配をしますもう一つの理由は、ある解説書で読んだわけでありますが、名前を申し上げまして大変恐縮ですけれども、書いてありますから読むわけであります。外務省の国際機関第一課長さんが、ガットの規約は判例法である、運用の仕方によっては公正な貿易に役立つ反面、保護貿易主義的なルールに固まるおそれもある、こういうふうにおっしゃったと書いてあるわけであります。  こういうふうに考えますと、私は実はきょう時間がありますると、アメリカ、EC、発展途上国の主なる主張とねらいというものをお聞きしたかったわけでありますが、時間の関係上、こういう現状にかんがみまして、いまいろいろお話がありました国益を守るという方向で今後の交渉なり貿易なりというものが果たして思惑どおりスムーズに運ぶのか、また、これによってつまり保護貿易主義というものを打ち破ることができるのか、こういう点についてまずお伺いをいたしたいと思います。
  33. 米山武政

    ○米山政府委員 御質問は二つに分かれると思うのですが、今回の東京ラウンドに対しまして、発展途上国のすべてが不満を持っている、こういうことでいいのか、こういう御指摘が第一だと思います。  先ほども御答弁申し上げましたように、今度の東京ラウンドは、東京宣言において発展途上国については特別な配慮を加えるということで、関税引き下げの面につきましては、他に先駆けまして発展途上国に特に多い熱帯産品につきましてはまずこれについて検討し、この引き下げを決めております。それからいろいろな条約、すなわち評価の条約、政府調達の条約、相殺関税の条約等につきましても、発展途上国の意向も踏まえた、それらの国々に適したような緩和の規定を入れているわけでございます。その結果、昨年十一月のガットの総会におきましては、今度のこの東京ラウンドには九十九カ国参加しておりますが、それらの国がこの成果につきましては一応了承している、こういうことでございまして、さらにその結果、関税の引き下げにつきましては発展途上国は二十カ国がこの引き下げの結果につきましてこれに参加する意向を示しておりますし、他の条約等につきましても発展途上国の一部がこれに参加する、こういうことをしております。もちろん発展途上国が要求していたものすべてについて満足していないという点につきまして、積極的に賛成していないという面もあるということは事実でございます。これらにつきましては今後先進国が協力し、忍耐強く説得し、この東京ラウンドの結果に参加するように協力を続けていきたい、こういうふうに考えているわけでございます。  それから第二の点は、ガットの規約自体が漠然とした判例法的なもので余りきちっとしていないので、相当恣意的なやり方が入る可能性がある、こういうふうな御指摘だろうと思いますが、これにつきましてはガットの規定はそう漠然としたものでなくて、わりあいはっきり書いてある、特に税率等につきましてははっきり書いてありますし、ダンピング、相殺関税その他の規定につきましてもわりあい詳細に規定が書いてありますが、さらに今回の東京ラウンドにおきましては、この恣意的なものが入らないように、さらにこれを手続等につきましても詳細に決めてあります。そういう意味で、この東京ラウンドの協定作成というのは保護貿易等の台頭を防ぐのには意味がある、こういうふうに考えております。
  34. 川口大助

    ○川口委員 私は、自分が心配があるというよりも、外務省の担当官がそういう心配をしておる、だから、大丈夫なのか、こういうことをお尋ねしたわけでありますし、大丈夫であれば結構なんです。長々と御答弁いただきましたが、その一言だけを私は聞きたかったのであります。  そこで問題を先へ進めます。まずお伺いしたいのは、この東京ラウンド交渉に当たって、担当は農林になりますかどこになりますかわかりませんが、一体日本の食糧の自給率というものをどの程度維持するということを前提にして交渉に当たったか、この点をお伺いいたしたいと思います。
  35. 吉野良彦

    ○吉野政府委員 財政当局としての立場からの基本的な考え方を申し上げさせていただきたいと存じます。  申し上げるまでもなく、いわゆる食糧政策の基本は、国民食糧をできるだけ安く、かつまた、安定的に供給するということにあろうかと存じます。そのために、いわゆる自給率に関連するわけでございますが、国内の資源をできるだけ有効に活用していくという見地も踏まえまして、国内で供給が可能なものにつきましては、できるだけこれを国内の生産に依存をし、国内で賄っていくということが一方にございます。と同時に、特にえさその他飼料穀物について顕著でございますが、日本の自然的な条件等から申しまして、国内の需要を国内生産ではどうしても充足ができないという分野もあるわけでございます。そういう分野につきましては、できるだけ輸入を安定的に確保していくということが大事である、かような考え方でございます。  ただ、自給率と申しましても、これは単純にいわば物理的な自給率といいますか、そういう観点からだけではなくて、経済的な採算と申しますか、経済的な合理性も織り込んだところで物事は考えていくべきであろう、こういうのが基本的な考え方でございます。
  36. 川口大助

    ○川口委員 大臣、自給率の確保についての考え方、いまのような御答弁で結構ですか。
  37. 竹下登

    ○竹下国務大臣 財政上から見ました一般論としてはなかなか整理された答弁であるというふうに私は受けとめ、承っております。ただ、川口委員おっしゃいますのは、いわゆるわが国の食糧政策、なかんずくそれの農政の部分に対しての影響というようなことが心配になれば、当然のこととして食糧自給率というものを、いま農林省いろいろ言っておりますね、そういうものがある種の念頭にあって交渉されてしかるべきじゃないかというお感じもあろうかと思うのであります。きょうはたまたま農林省からこの席に参っておりませんが、私は交渉に当たってそれらのことが全く度外視されたものではないというふうに認識をいたしております。したがって、これは日本のみならず特に食糧農作物に対する問題というのは、先進国どこにもそれぞれの国益というものの中に存在しておるだけに、その調和点をどこに求めるかというのでこれらの交渉が行われて、当然のこととして参加された農林水産省におかれてもそれなりの考え方で進められておって、大きく今後の日本農政に対して減退要因をつくるような考え方で進められたものではないというふうに私は理解をいたしております。
  38. 川口大助

    ○川口委員 日本のいまの食糧自給体制というのは、大変いろんな意味でいろんな角度から論議が深まっておるわけであります。ただ、いま財政当局の立場で模範的な答弁であった、こう言うけれども、私どもが言っておりますのは、財政当局はこういう考え方だ、農林省はこういう考え方だ、あるいはまた政府はこういう考え方だということでは困るのであります。  特に、私心配いたしますのは、最近におけるアメリカの食糧問題に対する態度を見ますと、イランの場合であってもソ連への問題であっても、何か食糧というものを一つのえさにしながら戦略物資的な扱いになっておるわけであります。したがって、私どもは消費者とか生産者という特定の立場ではなしに、日本の国を守るといういわば安全保障、自衛の立場から最小限度の食糧というものは確保しておくべきだ、自給体制を整えるべきだ、仮にそれが財政的に若干の負担になってもやむを得ない、これが自衛だ、安全保障だ、こういう考え方に立った自給率というものを確立するべきじゃないかというふうに考えておりますので、そういう考えの上に立って東京ラウンドに対する日本の態度というもの、一体どういう自給率を前提にしながら交渉に当たったのかということをぜひお聞きしたかったわけであります。大臣、いま一度ひとつお答えを願いたいと思います。
  39. 竹下登

    ○竹下国務大臣 私、失礼をいたしました。省からもお見えになっておりましたそうでございますので、まず農林省の方からお答えをいたします。
  40. 眞木秀郎

    ○眞木説明員 ただいまの質問にお答え申し上げたいと思います。  特に自給率の観点から見て今後の食糧政策をどう考えていくかという御質問でございますけれども、ただいま御指摘ございましたように、今後の食糧の国際的需給が必ずしも楽観を許さないという情勢のもとで、今後とも国民食糧の安定供給を確保していきますためには、国内で生産可能なものはできる限り国内で賄っていくという方針のもとに、国内農業におきます生産性の向上も図りながら総合的な自給力の向上に努めてまいりたい、このように考えておるわけでございます。  自給力あるいは自給率の問題につきましては、畜産物消費等が増大をして国民の食生活が向上しているという中で、特に中小家畜向けの飼料穀物等の輸入が今後とも見込まれるわけでございまして、そういう中での自給力の維持向上ということは大変むずかしい問題でございます。しかしながらわれわれといたしましては、主食用穀物自給率につきましては今後ともできる限り現状の水準を低めないという形で考えてまいりたいと考えておるわけでございます。現在、こういう点を含めまして農政審議会におきまして幅広い観点で八〇年代の展望のもとに農政の基本方向について御検討いただいておるところでございますので、その検討結果も踏まえまして今後の長期的視点に立った農政を進めてまいりたい、このように考えております。
  41. 川口大助

    ○川口委員 私の聞いておるのは、皆さんが東京ラウンドで交渉をやったわけでしょう。これから審議会に意見を聞いて決めるのではなくて、交渉は終わっちゃったんです。その交渉の際に、日本の食糧、特に主食をどの程度国内で確保するかということを前提にしてかけ合ったか、これを聞いておるわけであります。
  42. 山崎皓一

    ○山崎説明員 お答えいたします。  私ども東京ラウンドの農産物交渉におきましては、先ほど来、大蔵省あるいは眞木参事官からお答え申し上げておりますように、国内において自給できます農産物につきましてはできるだけ自給を図る。さりながら他方においてわが国の自然的条件等からすべての農産物について国内で自給することができないことは自明でございますので、そういう輸入に頼らざるを得ない農産物と国内で自給すべき農産物との調和を図りつつ農産物の輸入を進めていく必要がある。かような観点から交渉に臨んだわけでございます。  具体的に申し上げますと、農産物交渉におきましては、工業品の場合と違いましてリクエストオファー方式という方式をとってございまして、輸出関心国がこれこれこういう農産物についての関税を引き下げてほしいという要求を出してまいりまして、それに対応いたしまして私どもの方で、輸入国の方でオファーできますものをお答えする、こういうシステムの交渉でございますので、私どもは国内的に生産を進めていくものにつきましてはオファーをいたさない。具体的に申し上げますと、たとえば酪農品でございますとか、あるいはでん粉製品でございますとか、飼料穀物でございますとか、そういうものについてはオファーをいたさない、そういう観点で交渉に臨んできたわけでございます。  したがいまして、この結果につきましては、わが国の農業生産なり農家経済なりに重要な影響を与えるものではないというふうに私どもは確信しております。
  43. 川口大助

    ○川口委員 どうもお尋ねする要点にびたり答えが来ないのです。じゃ、もっと端的に、いまのお話しで輸入に頼る数量と輸入に頼らない数量をどういうふうに考えましたか。端的にお答え願います。
  44. 山崎皓一

    ○山崎説明員 具体的に輸入に頼る数量を何トンでございますとか、どういう農産物は輸入に頼るとか、そういう数字はございませんが、ただ、基本的な農産物で、国内生産が可能なものについては国内生産性の向上を図りつつできるだけ国内生産を高めていく。それを阻害するような関税オファーを行わない、こういう観点から交渉に臨んできたわけでございます。
  45. 川口大助

    ○川口委員 それじゃ別の立場で聞きますが、いま日本では米は余っているのでしょう。これは主食でしょう。余っているものはそのままにして貿易交渉を進めたということですか。それとも、まず国内で自給できるものはそれを消化する、なお足りないものについては輸入をする、そういう考え方にはならなかったのか。
  46. 山崎皓一

    ○山崎説明員 国内で自給可能な農産物につきましてはできるだけ自給度を高めるということは再々申し上げているとおりでございまして、かような観点から、そういうような農産物につきましてはオファーを行っておらない、こういうふうに考えております。
  47. 川口大助

    ○川口委員 どうも言っていることがよくわからぬですな。何か答弁をはぐらかしているように思えてしようがないのです。大体従来は日本では、申し上げるまでもなく三十六年、三十七年ごろはもう米はピークに達しまして、恐らく三十八、九年ごろ、不況等もありまして、米倉が空っぽになった時代があったと思うのですよ。そのころ輸入穀物というものがどっと入ってきた。ですから、その当時全国では、恐らく県によっては米の増産体制を高めるために、反収のよいたんぼに対しては現金で賞金を与える、これは四十三年ごろまで続いたはずであります。一反歩当たり二百五十万ぐらいの賞金をくれる、だから増産体制をやれ、こういうことで増産体制をしいたはずであります。それが、輸入穀物の多量の洪水のような流れ込み、また、そこに悪いことには、名前を申し上げて恐縮でありますが、私の知った限りでは、慶応大学の林という教授などは、米を食うと頭が悪くなるんだ、米を食うと糖尿病になるんだ、米ほど害なものはないんだ、パンを食え、パンを食えとキャンペーンを張ったはずであります。その結果、いま米というものが余りまして、米についてなかなかなじみが生まれてこない。ですから、場合によっては、米は本当に体に悪いのかよいのかというふうなことまでも政府のどこかの機関で明らかにして、そして米の消費拡大を図りながら自給率を高めていくというのが本当ではないのか、こう思うのですが、いかがですか。
  48. 眞木秀郎

    ○眞木説明員 ただいまの御質問でございますけれども、米につきましてはただいま大変大量の過剰を生じておりまして、このため、生産面におきましては水田利用再編対策、また片方、消費の面につきましては学校給食その他消費の拡大に努めておるところでございます。  御質問の趣旨は、お米はそういうふうに余っておるのに、片方で輸入される穀物がどんどんふえておる、たとえば小麦等を考えます場合に、小麦製品が一般の食生活に非常にふえた、その結果、米の消費が減退をしておるのではないかという点を踏まえての御質問であろうかとも存じますけれども、実は、小麦のいわゆる食用の消費というものは、パンその他ございますけれども、最近は横ばいでございまして、その中で、米自体が、畜産物その他のトレードオフと申しますか、片方がふえれば片方が減るというような食生活の内容の変化に伴いまして、減り続けておるわけでございます。現在、そういう畜産物の、特に中小家畜の需要に充てますために輸入の穀物が大変ふえておるということでございます。  われわれといたしましては、現在、米が栄養的にも非常にすぐれた食品である、日本人としては将来ともこういう食生活を続けることが栄養バランスをとるためにも大変必要であるということの啓蒙を含めまして米消費の拡大の努力を続けておるところでございます。その中で、米自体につきましては、できる限り需給をバランスさせまして、いわゆる食生活の実態に即応した形での生産の再編成を進めていきたい、このように考えて現在諸般の施策を進めておるところでございます。
  49. 川口大助

    ○川口委員 では、ずばりひとつ答えてください。肉その他を含めてもいいのですが、日本の自給率はどのくらいにするというめど、目標、あなたたちの考え、これを数字でひとつずばりお答えしてください。
  50. 眞木秀郎

    ○眞木説明員 現在、この点につきましては、先ほどもお答え申し上げましたように、農政審議会において御審議を願っておるわけでございますけれども、この農政審議会におきます検討のいわゆるたたき台と申しますか、そういうことのために昨秋農林水産省として昭和六十五年を見通しました試算を行ったわけでございますが、その中におきましては、総合的な自給率、いわゆるあらゆる食糧を価格ベースで示したものでございますが、これにつきましては現在とほぼ同程度の七三%、それから主食用の穀物の自給率につきましてもおおむね現状と同じ程度の六八%というような試算を行いまして、現在これの妥当性等につきまして御審議をいただいておるところでございます。
  51. 川口大助

    ○川口委員 価格でパーセントを発表しても、人間の体がどのくらいのカロリーでもつのか、あるいはどのぐらいの数量でもつのかということでありまして、価格というのは、いまのようにインフレだと、これはわからぬのですよ。ですから、価格でパーセントなんというよりも、ずばり国民の栄養、生命、人体を守るために少なくともカロリーではこの程度のパーセントを確保してみせる、心配しなさんな、こういうふうな御答弁できませんか。
  52. 眞木秀郎

    ○眞木説明員 ただいまの試算の前提になりましたいわゆる日本人がとる熱量の見通しでございますけれども、これが現在二千五百カロリーを若干下回る程度でございます。今後におきましてもやはりこの程度、現在の二千五百カロリー程度が維持される。西洋人のように、二千八百から三千カロリーというようなところにはいかないだろう。といいますのは、日本人の体表面積は西洋人の方々に比べて一割ぐらい少のうございまして、所要熱量も低いわけでございます。また、他方、厚生省が計算をしております摂取ベースでのカロリーも二千百カロリーから二千カロリーに六十年度の基準を下げておるというような状況もございます。そういう意味で、二千五百カロリーの総熱量の中で、バランスのいいたん白質、脂質、でん粉をとる形で、いまさっき申し上げました自給率を計算したわけでございます。最初に申し上げました総合自給率は価格ベースでございますけれども、主食用の穀物自給率につきましては量ではじいております。
  53. 川口大助

    ○川口委員 そうすると、整理しますと、二千五百カロリーのカロリー維持で七三%ないし六八%の自給率は確保できる、こういうふうに理解して結構ですか。
  54. 眞木秀郎

    ○眞木説明員 そのとおりでございます。
  55. 川口大助

    ○川口委員 わかりました。  次に、時間もありませんので、通産省にちょっとお伺いいたしたいと思います。  これは特恵関税の特別措置についてでございますが、いろいろ品目がございますが、ポリエステルの長繊維と化合繊維のステープル、紡績糸ですか、これは特恵品目の指定になっておりますか。
  56. 村田文男

    ○村田説明員 ただいま御指摘の品目につきましては、いずれも特恵の対象になっておりまして、現在日割り制度の管理方式がとられております。
  57. 川口大助

    ○川口委員 私はよくわからぬですが、特恵関税の特別措置に指定したというものは、ならば、できるだけ数量制限を行わないということがたてまえじゃないかと思うのですが、これはいかがですか。
  58. 米山武政

    ○米山政府委員 特恵対象の基本的な考えでございますが、数量を制限しないという意味でございませんで、やはりそれぞれの業種の競争力に応じましてその管理の方法を、非常に緩和したものから厳しいものにする、それぞれの品目に応じまして厳しいもの、あるいはそれほどではないもの、それから非常に緩やかなもの、こういうふうに決めておるわけでございまして、すべてが、特恵関税のものは幾らでも入っていいというふうになっておるわけではございません。
  59. 川口大助

    ○川口委員 それでは、時間がありませんので、簡潔に答えていただきたいと思うのですが、割り当てをするということは、無条件で数量を入れないということは、やはり国内産業を意識してのことですか。
  60. 米山武政

    ○米山政府委員 端的にお答えしますと、月別、日別の管理ではまだ不十分であるというものについては事前割当ということでございまして、特恵を与えているものの中では最も私どもセンシティブな品目というふうに考えておるわけでございます。
  61. 川口大助

    ○川口委員 現在、二品目、二品目と言っても種類はたくさんあるのですが、大まかに二品目と言っています。この二品目に限ってお尋ねするわけですが、この割り当てはいま金額でなされておるわけですね。時間がないから私から申し上げますが、ポリエステル長繊維については金額にして六億五千九百万円の割り当てになっているわけです。それから、化合繊維綿、紡績糸等については四億七千五百万円の割り当てになっているわけです。この割り当て数量は、いま言ったとおり国内産業に及ぼす影響を考えるわけでありますから、これよりオーバーしたとなると狂うわけであります。ところが、去年の四月から、いまお話がありましたとおり、これをいわゆる日別管理にしたわけです。具体的な例を申し上げますと、日別管理にしました関係上これは四月一日から始まっているわけでありますが、昨年の四月一日は日曜日であります。そこで、二日からこれは入っているわけでありますが、日別勘定した実績は翌日でなければわからぬわけであります。三日でなければわからぬ。それを実際に措置するためには、四日でなければ措置ができない。こういうふうになるわけです。で、この実績を見ますと、割り当てが六億五千九百万でありながら、この四日までの間に十二億五千六百万円の輸入がなされておる。わずか一日で割り当ての倍以上の数量が入っておる。さらに、紡績糸等につきましては四十四億八千万円でありますから、割り当ての十倍のものが入っておるわけであります。こういう実態は、いま局長さんお答えになった国内産業、市況に及ぼす影響を考えますと、一体どういうふうな御処理をなさるおつもりですか。
  62. 米山武政

    ○米山政府委員 ただいま御指摘の品目は、当初は月別管理であったわけでございます。月別管理でございますと、その割り当てがいっぱいになった翌々月、すなわちいっぱいになってからもう一月間自由に入るということになって非常に産業上問題があるということで、今度は日別管理に移したわけでございます。日別管理でも、なおその日及びその翌日の二日間でいま御指摘のような大量なものが入っております。これが国内産業に及ぼす影響が非常に大きくなる、しかもそれが非常に問題であるということになりますれば、それをさらに事前割当に移すというふうな過程を従来とっておるわけであります。現在のこの段階が事前割当に移す段階であるかどうかという点につきましては、なお慎重な配慮が要る、こういうふうに考えておるわけでございます。
  63. 川口大助

    ○川口委員 それは通産省、慎重な配慮じゃなくて、もう考えているのでしょう。二月七日の繊研新聞によれば、通産省が四月一日から実施すると書いてあるのです。これは一体どういうことなんですか。
  64. 村田文男

    ○村田説明員 先ほど先生御指摘のように、昨年の四月にポリエステルの加工糸につきましては二倍、アクリルの綿その他につきましては九倍という膨大なものが二日ほどの間に集中したわけでございます。これは量がオーバーしたということのみならず、しかも一時期に集中するということで、国内産業に多大の影響を与えたわけでございます。本件、単に大企業である化繊メーカーの製品であるのみならず、この加工過程あるいは紡績過程で多大の中小企業がこれに参画いたしております。そういう観点から私どもこのまま放置することは適切でないと考えまして、現在大蔵省と御相談中ということでございます。新聞は決定と書いておりますが、通産省としての方針の決定でございまして、検討中ということでございます。
  65. 川口大助

    ○川口委員 そこで、もう一つ別の面から大臣にお伺いしたいのですが、いま中小企業の業者、生産者の立場から言うといまのような問題になるのです。ところが、現実はこういう多量のものが入ってくるので国内のいわゆる合成繊維の値上げができなくなっているわけです。つまり、割り当て以上の繊維が入ってくるために足を引っ張って値上げを食いとめておるという実態なんです。いままでの関税局長なり、あるいは通産省の東京ラウンドの交渉を見ると、どちらかというと生産者保護の立場に立った行政になっておる。私ども消費者にしてみれば、つまりどこでもいいのですよ。内外問わずよい品物が安く入れば結構だというのが消費者心理なんです。しかも関税を下げるということはそれだけ国の税金を下げるということでありますから、国の歳入を減らすということでありますから、国の歳入を減らした分だけ国民に何かメリットがなければいかぬ。そのメリットが安い、よい製品を手に入れるということになると思うのであります。この辺が兼ね合いになると思うのでありますね。一体、大臣はこの際、いまお話ありましたとおり片一方じゃ中小企業のために割当制度を事前割当に移行するかもしらぬ、こうおっしゃっておるわけでありますが、このために物価が下がっておる、こういう現実についてどういうふうにお考えになってどう処理することが適当、だとお考えになっていますか。
  66. 竹下登

    ○竹下国務大臣 およそ貿易自由化の原則は、いま川口委員まさにおっしゃったように、地球上に生存する四十億の人類が安価にして良質なものを自由に使用することができるというのが理想であると思うのです、消費者サイドから物を申しましたときには。しかし、その中には約百六十五でございますかの国という一つの障壁とでも申しましょうか、そういう思想の中にそれぞれの国益が調和されていかなければならぬというところから、長年の人類の英知の中にしぼり出されてきたものの一つが東京ラウンドであるというふうに理解してみますと、私は、これは必ずしも生産者サイドに立ったものとは思いません、消費者サイドに立ったものと思いますが、その辺の兼ね合いという言葉もお使いになりましたが、私もその兼ね合いの点がむずかしいの、だろうと思うのであります。しかし、その消費者サイドに立った場合も、たとえば先ほど来の御議論にもありましたように、為替相場が動いて必ずしも関税というものが消費者サイドヘの物価にはね返ってこないような実態もあったかもしれない。いまの川口委員の御質疑は、消費者の立場と日本の合繊生産者――だから、どういう角度で、私はお答えできるだけの自信がございませんけれども……。しかし、そうした問題を今度は産業政策の面でそれなりに調和をとっていくというのがまた通産行政というものではなかろうかなというふうに感じました。
  67. 川口大助

    ○川口委員 まあそんな答弁かもしれません。しかし、いま通産省は大蔵と相談すると言うのですよ。だから、大臣は通産省に対しても答弁しなければならぬ。ですから、大臣はどういうお立場で回答なさるのかと言っているわけです。
  68. 竹下登

    ○竹下国務大臣 これはりっぱな人がりっぱに相談してくれることを期待いたしておりまして、各般の状況を見ながら、私自身がそれに対して方針を授けるという種類のものではなかろうと思いますけれども、熱心な協議を私も見守ってりっぱな結論が出ることを望んでおります。
  69. 川口大助

    ○川口委員 私は、大臣に期待したいのは、つまり官僚サイドにない判断ができる人だ、ここに大きな期待を持っているのですよ。恐らく国民も竹下大蔵大臣の就任に対して期待したのは、そこじゃないかと思うのですよ。つまり、いままでややもすると官僚ベースで物事を操作をした。官僚ベース必ずしも悪いとは言わぬですが、間々、その官僚が場合によっては大企業との癒着が出てきたり、いろいろな問題を起こすような場合もあり得る。そこで、大臣の政治家としてのいわゆる国民に対する御判断というのがあるのじゃないかという期待の上でお尋ねをしたわけでありますが、どうも残念ながら、官僚に任せるという答弁ではちょっと物足りないのですが、いま一度お答えしてくれませんか。時間がないから……。
  70. 竹下登

    ○竹下国務大臣 知識のない私がいきなり指図などをするほどうぬぼれていないということを申したのでありまして、よき結論が出ることを期待し、私とて必要があればそれに対して指示をする立場はとれるわけでございますから、御質疑の点は私なりに理解できるところであります。
  71. 川口大助

    ○川口委員 時間でございますから。
  72. 増岡博之

    ○増岡委員長 山田芳治君。
  73. 山田芳治

    ○山田(芳)委員 東京ラウンドの交渉は、もちろん貿易を自由にして、そのことがグローバルの立場からいっても各国民に非常に利便をもたらすという考え方、またわが国においては、特に貿易立国という立場からいって、自由貿易の考え方から、この交渉が成立をしてそれに伴う条約案件並びに国内法の改正を行う、こういうことであろうと思うわけであります。しかしながら、各国にはそれぞれの事情があって、いろいろの問題があります。わが国においては、もうここで申し述べる必要もないほどはっきりしておるのでありまして、一つは食糧の問題、農産物をどうするかという問題と、もう一つは繊維の問題、この二つだろうと思います。ですから、わが国はすでに東京ラウンドで交渉される以前において、いわゆる実行税率というものを決めて基準税率よりも低い関税を実行しながら八年先を目指してやっている、そういう姿勢をとっていることは、ある意味においては、世界に先駆けてやっているということについてはそれなりの理由があり、また評価さるべき点があるだろうというふうに思うわけです。  第一点、大臣にちょっと伺いたいのですけれども、最近自動車の輸入について、アメリカ側がアメリカの自動車の一〇%の範囲内においてというような国内法をつくろうという動きがある。それは恐らくできないだろうという話がありますけれども、わが国のように貿易を自由にしようということでこれだけ関係者が非常に努力をしておられるのに、一方では貿易自由化に反するようなアメリカの国内法の動き等があるということは、これはガットの精神あるいは東京ラウンドの精神に反する動きではないかというふうに思うわけです。いま、繊維にしても食糧にしても同じような、東京ラウンドの範囲内における二国間協定というものを想定してなされているのか、あるいはそれの国内法がもし成立したとするならば、それは有効に働くのかどうか、東京ラウンドの精神からいって、あるいはカットの精神――これもアメリカが主唱し、始めたわけでありますが、その点について、まず大臣の考え方を伺っておきたいと思います。
  74. 竹下登

    ○竹下国務大臣 自動車問題につきましては、先般来の日米間の公私によらずいろいろな話し合いの中で、日本もかなり勇敢に、努力不足ではないかというような指摘をしておるような報告を受けております。私は、いまのいわゆる制限をしろという問題の法律につきましては、いろいろな見方をする人もございますが、これは私の意見ではなく私がある書物を読んだとき感じた一つの意見として、そのレポートを見ますと、いまの場合、アメリカの国会議員というのはつぶれそうな自動車産業の前に行って、これは日本がけしからぬのだ、だから、おれは制限するのだという演説よりも、なお、日本のいい車をおれは入れるのだと言って演説をした方が票になるというようなことが書いてありまして、なるほどそこまでいったものかなあという感懐を新たにしたのであります。私は、ガット精神等からしてそういろいろな現実問題になる性格の動きではないのではないか、好ましい動きとは決して思いませんけれども。しかしながら、これらの日米経済摩擦という問題は、むしろ二国間の協調の中で解決していくことが結果的には好ましいのではなかろうかなというふうに基本的には考えております。
  75. 山田芳治

    ○山田(芳)委員 確かに、繊維あるいは農産物については二国間協定という形が現に進行もしているわけでありますが、これは非常に後進国あるいは後進性の産業なんで、最も近代的な自動車というようなものについて、さっき言ったようにグローバルなというか、多くの国の中でガットなり東京ラウンドの精神というものが前向きで進められるというときに、そういう動きは、少なくとも先進国であるアメリカの動きとしてはおかしいというふうに私は思うのですが、通産省から自動車課長さんもおいでいただいておるようですから――まだ見えていない。それじゃその問題は後にいたします。  それでは次に、大臣、いま私が申し上げたように東京ラウンド交渉において、わが国の問題としては、基本的にはもちろん賛成であるにしても、農産物並びに繊維、特に中小企業について一体どのような配慮をなされたかという点をまずお伺いをしておきたいと思います。
  76. 竹下登

    ○竹下国務大臣 中小企業と農業への配慮につきまして、かなりきめの細かいことを関税局長からお答えすることをお許しいただきたいと思います。
  77. 米山武政

    ○米山政府委員 今回は、できるだけ一律に大幅に引き下げていくというのが基本でございますが、これにつきまして、それぞれの国の抱えている問題について、問題があるものについてはそれぞれ個別にその問題を取り上げてやっていくという方式をとっております。  まず農業につきましては、一律引き下げということより、それぞれの要求を出してもらって、それぞれの品目についてそれぞれの国が答えていくという方式をとっております。農業につきましては、そういうふうにきわめて個別的に配慮する、こういう方式をとっております。  中小企業につきましては、鉱工業製品ということで一応一律にやっております。ただその場合でも、個別の品目につきましては、問題があるものについてはオファーしない、要するに譲許しない。それから、譲許するものにつきましても、すでに日本が自主的に引き下げているものについてはできるだけその引き下げた現行のところでそれ以上下げないで譲許する、あるいは譲許する場合でもできるだけカット率を少なくする、こういうふうなやり方をしておるわけでございます。  さらにまた御質問ございますればお答えしたいと思いますが、特に繊維というものは各国とも非常にセンシティブな品目でございまして、繊維につきましてはとりわけそういう配慮が強く行われている、こういう一般論でお答えしておきたいと思います。
  78. 山田芳治

    ○山田(芳)委員 横山課長が来られたので――いまこういうことを質問したのです。  東京ラウンドにしても、ガットの精神にしても、自由貿易をたてまえにしている。しかしながら、それぞれわが国内の事情がありますから、適用除外の条項もないではないわけですけれども、先進国で、しかも最も近代産業と言われる自動車において、アメリカにおいて一〇%の範囲内に抑えるという動きがあって、それが国内法的なものをつくるというようなことが報道されている。これは少なくとも東京ラウンドの精神あるいはガットの精神に反するものではないのか。国内法ができたとしても、それは恐らく無効のものではないかと思うけれども、こういう動きに対してどういうふうに考えるか。また、そういう法律ができないだろうけれども、もしできたとするならば、それは東京ラウンドなり、ガットの精神において、二国間の協定も行わないで行われるということはおかしいではないかと思うのですが、この点についてお伺いをいたしたい、こういうことです。
  79. 横山太蔵

    ○横山説明員 お答えいたします。  おくれてまいりまして、まことに申しわけございません。  アメリカの議会におきまして、先生がいま御指摘のような輸入制限立法、現在、提案されておるものもございます。まず、そういうように至りました背景でございますが、これはやはり現在、アメリカの自動車産業の労働者の失業は二十万人を超えているとわれ言ておる……
  80. 山田芳治

    ○山田(芳)委員 それもよく存じております。  私の質問したのは、国内法的にそういうものがどうなのかということについてお答えをいただきたい。時間がないものですから、済いません、カットされて……
  81. 横山太蔵

    ○横山説明員 私ども法案の審議の予定でございますとか、その見通しでございますとか、そういうものは一切承知しておりませんし、また、アメリカの方でもそういうものが具体的に立てられておるということではないようでございますし、よその国の立法活動のことでございますので、私どものようなものがとやかく申す筋合いではないと存じますけれども、法案の成否についてはいろいろ問題があろうか、かように考えております。  先生お尋ねの法案ができた場合に、それがガットあるいは東京ラウンド等との関係はどうかという御質問でございますが、私、自動車産業を所管しております課長といたしましては、さような立法ができまして自動車貿易が損なわれるということはきわめて好ましくないと考えておりますが、国際ラウンドの趣旨あるいはガットの規定等との整合性につきましては、少し私の所掌を超える問題でございますので、責任ある御答弁ができないのが実情でございますから、よろしくその辺は御推察をいただきたいと存じます。
  82. 山田芳治

    ○山田(芳)委員 どういうことですか。答えられないというのは、いま答えると非常に微妙であるという意味ですか。それとも知識はあるけれども、言わぬ方がいい、こういうのですか。ちょっとはっきりしてください。
  83. 横山太蔵

    ○横山説明員 お答えいたします。  別段、いま答えて微妙である、ないというのはございませんが、ただ、この場でお答えいたしますほどガットあるいはMTNでのやりとりを十分承知する立場にございませんものですから、お答えができないというのが実情でございます。
  84. 山田芳治

    ○山田(芳)委員 それでは、どなたから答えてもらったらいいか……。
  85. 米山武政

    ○米山政府委員 まずお答えしなければならないのは、一体、どんな立法になるか、その内容にもよると思いますが、たとえば極端な輸入制限、数量制限等をするような場合は、輸入制限はガットで認められたものに限って認められるわけでございまして、それ以外のものはやはりガットの精神に反するわけでございます。ただ、その場合に、国内産業が輸入によって非常に苦境に陥った場合にはセーフガードが認められているわけでございます。だから、その限りにおいてやる場合には認められるわけでございますが、しかし、その場合でもいろいろな条件がついてくる。それぞれの関係の国と交渉してやらなければいかぬとか、必要な場合には必要な代償を出すとか、そういうふうな規定がございます。
  86. 山田芳治

    ○山田(芳)委員 じゃあ一言だけ。  そうすると、国内法が幾らできても、ガットの手続をきちっと踏まない限り有効に働かないということだけは明確に言えるわけですね。
  87. 米山武政

    ○米山政府委員 そう理解しております。
  88. 山田芳治

    ○山田(芳)委員 自動車のことはまたほかの人がやるでしょうから、私はこの程度にいたします。  繊維の問題なんですが、これから申し上げる点は、具体的かつ非常に大切な問題なんで、ひとつ大臣よく聞いておいていただきたいのです。  実は生糸の問題との関連で、京都で西陣という絹織物、和装産業の一大産地があります。ここは着物と帯とネクタイという三つの業種があるのですが、いまわが国では、あえて西陣とは言いませんが、全国的にネクタイの産業は、はっきり申し上げて、もうつぶれるかどうかという瀬戸際に立っております。ネクタイはいま大変な状態になっているのです。  なぜそうなっているかと申しますと、現在、国内産の糸は大体キロ当たり一万四千七百円を前後しております。ところが、輸入というか外国産の生糸は高いところで九千円、安ければ六千円くらい、こういうわけであります。そこで、西陣ではこの糸を使っていわゆる西陣ネクタイをつくっているわけですが、大体一本について四十グラムの生糸が.要るわけであります。そういうぐらいですから、一キロで二十五本ですか、そういうふうになるわけですが、このネクタイができ上がるにはいろいろと加工賃が要ります。そういたしますと、その加工賃がいろいろあるのですが、精練の費用であるとか、染色の費用であるとか、整経とか、あるいは綜続という縦の糸の上げ下げをするということ、あるいはデザイン料、紋紙代あるいは工場の費用、営業費等を入れますと、約千六百円かかる、こういうことであります。そこで、輸入の糸ですと千三百円くらいである、こういうわけであります。ですから、どうしても国内の糸といいますか、現在の相場の糸を使ってネクタイを織るととても輸入のネクタイにかなわない。とりわけイタリアのネクタイには完全に国内のネクタイが追放されかかっているというのが現状であります。  そこで、西陣では、こういう高い糸を使ってやるのではもうとても国内では外国、特にイタリアのネクタイには競争ができない、原料が高いということで。外国で勝負する以外にない。こういうことで、京都市も応援をいたしまして、去年の九月にはシアトルで展示会を開き、ことしの九月にはボストンでまた展示会を開いて、外国で市場を見つけて勝負する以外に西陣のネクタイの業者は生きていけない、こういう形になっております。  そこで問題は、関税定率法の十九条の二という規定がございまして、外国から入る生糸を使って外国へ売る場合には関税は免除をされるとともに、生糸には制限を受けている繭糸価格安定法の除外規定というのが繭糸価格安定法の十二条の十三の二というのにあります。いわゆる外国から入ってくる生糸でそれを加工して外国へ売る場合には関税もかけませんし、いわゆる生糸は一元化輸入というので蚕糸事業団が一元化輸入をしているというもののらち外に置いているのが保税工場の役割りであります。  そこで、西陣の業者は、この繭糸価格安定法十二条の十三の二を使い、また同法施行令の第十六条の二を使い、また関税定率法の十九条の二を使って何とか外国から安い生糸を輸入して、保税工場に指定を受けて、そして外国へ輸出をするという形で勝負をしたい、こういうふうに考えているわけですが、ここに一つ問題があるというのは、ネクタイというのが大変流行が変化をする品物で、三月ぐらいあるいは半年ぐらいで、たとえば幅が広くなったり狭くなったり、あるいは柄が非常に変化をするということがあります。したがって、輸入の生糸を使用してネクタイをつくっても、流行が激しいものですから、いまの保税工場のように一定の計画を出してやっていくということは、もちろんやるとしても、キャンセルを受けるという場合があるわけであります。そうしますと、たとえ外国から輸入し、それを輸出しようとしても、流行が変わるということで、あらかじめ注文を受けていたものが半分に減らされるとか、三分の二に減らされるということが非常に多い、非常に不安定な産業であるということから考えて、輸出向けのネクタイ用の輸入生糸を繭糸価格安定法の関係でそういったキャンセルをされたものを国内に引き取る、そしてまた必要なときは関税定率法の十九条の二によって国内産の生糸に置きかえて輸出をするというようなことが可能かどうかということが一つの大きな問題になるわけであります。  そこで、私はまずお尋ねをしたいのでありますが、まず関税定率法第十九条の二第一項の趣旨をひとつ関税局長さんにお伺いをしたいわけであります。
  89. 米山武政

    ○米山政府委員 御指摘のあった十九条の二第一項の規定の趣旨でございますが、これはあらかじめ税関長の許可を得て保税工場で恒常的に輸出用の、この場合はネクタイでございますが、ネクタイをつくる場合には、その原料は当然無税でございますが、何かの事情、特別な緊急な事情がありましてその原料である輸入生糸が入ってこない、その場合には緊急避難的に国内のものを使って、そしてそれをつくって輸出するわけでございますが、その代替として輸入した生糸については国内で使うわけですが、それについては関税を免除する、こういう規定でございまして、本質的には保税地域というのは外国、関税法上外国と考えているわけです。外国の中で原料を使って輸出したものは、これは関税法上無税である。しかし、いま言ったような緊急な、どうしても救ってやらなければ気の毒である、こういうものについては、これを特例として、十九条の二の手続に従ったものについては免税とする、こういう規定でございます。
  90. 山田芳治

    ○山田(芳)委員 そこで、いまお尋ねをしているのは、需要がふえて輸入の生糸が足りないときには、とりあえず国内の生糸を使ってそれに回して、あと輸入するものは国内に一元化輸入の適用を除外して認めてやる、こういう趣旨ですね。ですから、輸出がふえて最初の計画以上に生糸を使うときには、国内産をとりあえず代替に使って、後で輸入した生糸は関税をかけないで国内へ持っていってよろしい、こういうことですね。  ところが、いま私の質問を申し上げたのは、ネクタイというのは非常に流行に鋭敏なんで、注文どおりつくったけれども流行おくれで、先ほど言ったように三分の一とかあるいは半分とかキャンセルをされる。そういった場合、現在の法規では、先ほど通産省の話では三%の範囲内なら貿管令でよろしいということだそうでありますが、三%と言ったら本当に微々たるものであります。そういうものを、少なくともキャンセルをされたものは今度は国内に転用して、そのかわり新しくそれはたとえば幅が広いから狭いものにしてくれれば注文をとることができる、幅の広いのは三分の一減らしてくれ、幅の狭いのをそのかわり三分の一ふやしてくれ、こういうふうになった場合、そのキャンセルをされたものは、いまの繭糸価格安定法及び施行令並びに関税定率法の規定によると、どうにもならぬようになっておるのです、これははっきり言って、大臣。向こうへ注文を受けて送ろうとしますと、流行が非常に変わるのでキャンセルされる、返ってきた、そういう場合、その製品を国内の業者はどうしていいかわからないのです。国内へ持ち込めないという規定になっておる。これはなぜかというと、繭糸価格安定法で一元化輸入の生糸の外でつくっているかっこうになっていますね。そうすると、国内へ持ち込めない。三%だけはいい、こうさっき言われたのですが、それを超えたらもうだめだ。これをどうするのか。長いことかかって売ればよろしい、こういうわけかもしれません。しかし、いまアメリカで行われている商談は、大体アメリカでは五〇%の利益を取らないと引き取らない。それでも外国の生糸を使えば、五〇%のマージンを取られてもやっていけるけれども、そういうキャンセルされたものをもう国内に振り向けられないなんというようなことになってしまいますと、しかも五〇%もマージンを取られるのですから、それを値引きしたら完全に赤字になってしまう、こういう状態になっておるので、要するに、ネクタイ業界がもういま本当に瀕死の重症というか、どうしていいかわからない、こういう状態ですから、キャンセルされたものは国内に入れる、そのかわりその分だけはまた輸出をするという形で努力をしながら、そういうキャンセルをされたものは国内に入る道を、これは関税かけて結構です、七・五なら七・五、いまの関税定率法の七%かけて結構ですが、引き取れる道がないのかという点について、何らかの穴を抜けないと、西陣の業者としてはリスクが大きいので踏み切れない、こう言っているのですがね。この点について、一遍事務当局がいま答弁しますから、後で大臣ちょっと、その点前向きで検討していただきたいという点をお答えをいただきたいと思うので、まず事務当局からひとつ。
  91. 米山武政

    ○米山政府委員 問題は二つあると思います。一つは関税の問題でございます。関税の十九条の二をもう少し拡大して解釈できないかという問題。もちろん、関税の問題にも二つありまして、十九条の二の適用の拡大の問題と同時に、でき上がったものを引き取れるかどうか、関税かけてもいい、こういうようなお話ですが、関税をかけるということになりますと、これは問題がありませんが、関税をかけないで十九条の二の適用をもっと拡大する方法があるかどうかという問題が一つでございます。それを引き取る場合に繭糸価格安定法でどういう問題があるかというのは、後ほど農林省の方からお答えになると思います。  それでまず、先ほど申しましたように、輸入の生糸を使ってそこで輸出している限り問題はない。しかし、そういうところで非常に不安定であるから、一つの方法として、一定数量あらかじめ国内のものを恒常的に使っておいて、国内のを使っていたらいざとなったら引き取れるわけですから、そしてその分を一応計算して後から入れる。いつも恒常的にそれをルール化したらどうかという一つの考えもあるわけでございますが、この点について考えますと、十九条の二というのが、先ほど申しましたように、関税法上は外国でございますので、外国で外国の原料を使って外国に輸出する分については関税は関係ない、しかし、ごく緊急避難的に、たまたま船便がおくれて荷物がおくれてしまったとか、そういうふうな特殊な非常に限られたものについて救済しようという制度でございます。それを恒常的に一定の量あらかじめ国内のを使っておいて、後で輸入をしてその分を免税するというのはどうもこの精神にそぐわない、また、もともと保税制度にもそぐわない、こういうふうに私どもは考えておりまして、いまの緊急避難というものをどの程度の範囲に考えるか。いま申し上げたようなところまで拡張すれば、この法の精神から見て少し拡張し過ぎではないか、こういうふうに考えるわけでございます。
  92. 松岡将

    ○松岡説明員 お答えいたします。  ただいま関税定率法第十九条の二の点につきましては関税局長がお答えいたされたわけでございますが、現行の繭糸価格安定法の例外規定につきましては、関税定率法の第十九条の二の第一項と、もう一つは保税輸入という点がございます。この点につきましては、保税工場におきまして輸出貨物の製造に使用する原材料として輸入されるということにつきまして農林大臣が認定する、輸出貨物向きに製造される原料であるということで保税工場へ行ってそういう形で認定する、そういう認定を農林水産大臣がいたしまして、そうして初めてそうした輸入につきまして事業団によります一元輸入の例外、こういう形になっているわけでございます。  したがいまして、そういった内貸転用という問題につきましては、そういう認定したことと状態は異なってしまう、こういうことになりますので、現在の繭糸価格安定法の精神から申しますと、内貸転用という点につきましてはそういう条件違反ということに相なって、そもそもそういったものについては認定したことが間違っているということになりますので、内貨転用は困難だということに相なるわけでございます。
  93. 山田芳治

    ○山田(芳)委員 私の聞いているのは、キャンセルしたものを国内に持ち込めないかということがまず一問あるわけですね。それはどうなんですか。
  94. 松岡将

    ○松岡説明員 申しましたように、繭糸価格安定法の例外規定は、輸出に向けられる製品をつくる原料として輸入するということにおいて繭糸価格安定法の例外規定がかかって一元輸入の対象外、こういう構成に相なっているわけでございます。
  95. 山田芳治

    ○山田(芳)委員 ですから、輸出しようとしたのだけれども、キャンセルを受けた。それじゃ、それはもうだめですと言うのだったら、それは焼いたりでもするのか、あるいはどこかに見本ででもただでくれてやれ、こう言うのか。そういうことでなしに、輸出をしようと思って輸入をしたけれども、ファッション性の非常に激しい製品であるので、三月なり半年で変わるから、そういうものがキャンセルされたら、それは国内に回す、そのかわり絹の量全体としては輸入がふえては困るという繭糸価格安定法の精神から言うならば、国内産のものをそれにかわって使ってこれを輸出します、こういうことであるならば、国内に流通する生糸の量というものは変わらないのだから、ひとつそのぐらいの例外の穴を何とか抜いて、西陣の業者が一つの技術で勝負をしようということを考えているのに協力をしてやってもらえないかと言っているので、それはそういうキャンセルがないことが望ましいので、そうでなければ結構なんだけれども、もしそういうことがあったときも、せめて国内に引き取ってやる、そのかわり、かわりの国内産の生糸をまた外国へ輸出するために使うという振りかえを認めてやるということを、どこに問題点があるか知りませんが、数量的に言えば同じなんだから、そこらあたりの配慮をしてやって、この業界が何とか生きていける道を模索してやってほしい。生糸自身としては、決して国内に持ち込むという趣旨ではないのであって、またそれにかわるものは当然輸出をする、こういう考え方なんですがね。どうですか。
  96. 松岡将

    ○松岡説明員 お話でございますれば、まず最初に原料をでき上がった製品について国内転用をやる、その結果、次にまた今度は生糸を保税で輸入する、事業団の一元輸入の例外として輸入するということになりますと、その輸入につきましては、その生糸が製品となって輸出されるということが前提になるわけでございまして、その点につきましては、現行の繭糸価格安定法におきましては製品が輸出されるということの前提で初めて一元輸入の対象外、こういう法律構成になっておりますので、ただいまの御指摘の点については繭糸価格安定法の制度からは無理である、こう言えるのではなかろうかと思います。
  97. 山田芳治

    ○山田(芳)委員 大臣、いまお聞きになったように、何もキャンセルされることを期待するわけではなくて、向こうへ注文のとおりやったら、向こうのファッションが変わったから三分の一かあるいは半分にしてくれ、そのかわり広い方はもっともらいます、狭いやつはちょっと勘弁してくれ、こうなりますと、残っちゃうわけなんですよ。これを国内に持ち込もうといったって、いま持ち込めないわけなんです。それは輸出の方は輸出なんだ、こういう言い方で、それなら無料ででも配ってやれ、こういうことになりますと、いま言いましたように、半分もマージンを取られるような激しい競争をしているのをそういうことで認めてやれないというのは、私は業界に対して余りにも気の毒だと思うのです。繭糸価格安定法の精神はよくわかるのです。国内に生糸がふえることは、国内の蚕糸業者、農家、私のところにもたくさんおりますから、その人たちの立場もよくわかるのですけれども、それに振りかえて国内の糸を使います、そうしてとにかく立っていけるように、何かまずいところがあれば、ひとつそういう例外規定だけを何らか認めてやってほしい、そういうことでネクタイ業界が何とか外国で勝負をしたいという望みを果たすような方向で検討してやるということを、ひとつ大臣、お答えをいただきたいと思うのです。これはずっと関係の課長さん、課長補佐の人たちとも打ち合わせをしたのですけれども、何とか前向きで考えたいけれども、なかなか問題点があるというところでいま終わっております。しかし、これから鋭意詰めさせてほしいので、大臣としてよく聞いておいていただいて、前向きで善処できるものはするというふうな答弁をぜひお願いをしたいと思うのです。関税局長も大臣にアドバイスしていただいて結構ですから、そういうふうな方向でこの際ひとつお答えをいただきたいと思います。時間がないので、もう一問後でやるのでよろしくお願いいたします。
  98. 竹下登

    ○竹下国務大臣 私も、昔の養蚕県でございますので、繭糸価格安定法ができたころはたしか県会議員でございました、ずいぶん昔の話になりますが。それからその後いろいろな形で改正がなされて、最終的に一元輸入というようなことは五十一年に改正がなされたという経過のようです、おぼろげながら承知しております。したがって、これは私はどうも繭糸価格安定法の従来からの経緯からすると、そこの中で考えろというのは何か無理なような感じもするのです。いま聞いたばかりでございますから、詳しい知識を持っての話ではございません。むしろ、繊維産業自体の問題として何らか適切な方法を模索さしてみる必要がありはしないか、そういうことになれば通産省ということになるかもしれません。その辺の兼ね合いを、私自身きょうお話聞きましたので勉強させていただいて、その上で大臣に言うとか、何かのアクションは起こしてみますが、きょうお答えするだけの自信はございません。
  99. 山田芳治

    ○山田(芳)委員 具体的な問題は農林も通産にも、また大蔵には前から申し上げてあるように、この問題は何とか善処してほしい。西陣のネクタイ業界、大きく言えば日本全体のネクタイ業者は大変な状態だということは、通産省の課長さんおられますが、うなずいておられる、わかっているとおりなので、何とか立ち行く道を、便法をみんなでひとつ相談をしていただいて、私どもの方もやるべきことは西陣の業者に十分やらせて、うまくいけるように、外国に勝負できるようにすることをお願いして、次の質問、一問だけしたいと思います。  いま話にありました蚕糸事業団の問題なんですが、実はきのうの価格でいわゆる下べそと言われる価格一万四千七百円を一円上回りました。そこで、問題は、蚕糸事業団の実需要者割り当てが五十四年度は三万二千五百俵という割り当てがなされております。それが四月ないし六月で六千五百俵、七月から九月が七千五百俵、それから十月から十二月、去年の第三・四半期が八千俵ということになっているのです。それで、ことしの一月から三月が一万五百俵。ところが、価格の関係で、七月から九月、第二・四半期の七千五百俵も、全量まだ割り当てが行われてないのみならず、もちろん十月から十二月の八千俵については全然放出をされていない、こういう実態ですね。  そこで、私の地元の丹後機業にしても、あるいはほかの事業にしても、きょうおまえが質問するのならこれをぜひひとつ頼んでおけ、こういうたっての駆け込み要求がありまして、もうすでに超えているじゃないか。ところが、三日間ぐらい超えないといかぬのだ、こう言うのだけれども、おそれがある場合という言葉になっていますから、三日間おそれがあるというか、もう三日間続けば、おそれどころか現実に超えるわけですが、こういうようにその前後を一円、二円低迷をしているという形で動いているときには、せめて割り当てをしたこの七千五百俵と八千俵は一日も早くひとつ放出をしてやってほしい。特に繊度というのがあって、糸の細い、太いですが、日本では十四中というのは織っていない、紡いでいないわけです。また、二十一中というのもほとんど、少ないわけです。そういう中で、産地においてはそういう糸を使うところは一日も早くこれを割り当てしてほしいということを非常に強く要求しています。現状でもこれでは計画生産がなかなかできないんだというふうに言うておるわけでありますから、一日も早くいま言った割り当てのあった分、第二・四半期の分、第三・四半期の分はすでに日にちが過ぎているわけです。いまはもう第四・四半期になっているわけですから、これを一日も早く放出をしてやるというふうに考えてもらいたい、こういうことでありますが、この点について――きょうの相場がちょっとわかりませんけれども、きのうはとにかく一円超えているのです。これが三日続けばというのですから、もう一日すでに超えているわけです。過去においても一日や二日超えたことがあるわけですから、この点をひとつこの場ではっきり、みんな聞いておるはずですから、お答えを願いたい。
  100. 松岡将

    ○松岡説明員 現在今生糸年度、つまり昨年の六月に入って以来糸価が低迷いたしまして、日本蚕糸事業団におきましても中間買い入れを発動いたしまして、国産生糸の買い入れ、現在まで約一万二千俵の買い入れを行っております。そういったこととの、糸価低迷との関連で、ただいま先生御指摘ございましたいわゆる下べそ価格以下でございますので、基準糸価を下回るおそれがあるということで、現在いわゆる実需者売り渡しの引き渡しが停止されておる、こういうことでございます。この点につきましては、そういった基準糸価を下回るおそれというものをどういうふうに客観的に判断するかという判断基準といたしまして、横浜及び神戸の現物市場の価格が三日間連続して一万四千七百円を下回ったときに実需者割り当てを停止する、こういうことが一方でございまして、そういう実需者売り渡しの停止条件との対応関係におきまして実需者売り渡しの解除についても考えている、こういうことでございます。
  101. 山田芳治

    ○山田(芳)委員 最後に一言。  だから、いまこういう状況だから、できるだけ、一日も早く検討して割り当てを実施してほしいという要求については、もう一遍お答えになってください。
  102. 松岡将

    ○松岡説明員 全体として輸入糸の売り渡しにつきましても、生糸につきます中間安定の一環として行っているわけでございますから、諸般の客観的な諸条件をあらかじめ皆さん方におわかりいただくような条件設定のもとに繭糸価格安定制度を運用いたしているわけでございます。  したがいまして、先ほど申し上げましたように、実需者売り渡しの停止の解除につきましては、その停止条件、つまり、先ほど申し上げましたように、横浜及び神戸の現物糸価の平均が連続して三日間下回ったときに停止するという条件との対応関係におきまして考えている、こういうことでございます。
  103. 山田芳治

    ○山田(芳)委員 それじゃ答えになっておらぬと思うので、もっと言いたいところですが、時間がありませんから、そういう要求があるということを十分踏まえてやってもらいたいということを要求して終わります。
  104. 増岡博之

    ○増岡委員長 正森成二君。
  105. 正森成二

    ○正森委員 それでは、先ほどに引き続いて質問をさせていただきます。  今度の東京ラウンドでは相殺関税についての協定もあるわけですが、従前に比べてどこが改まり、とかく問題のありましたアメリカに対してどの点について歯どめがかかったのか、簡単に説明してください。
  106. 内村俊一

    ○内村説明員 お答えいたします。  一番大きな改正点でありまして、またわが国にとって一番そのメリットがありました改正点は、従来アメリカにおきましては、有税品につきましては、損害があってもなくても補助金の事実があって、それが価格に影響しているということであれば相殺関税をかけられたわけでございますけれども、今度東京ラウンドの交渉の結果、アメリカも従来の国際コードに従いまして、損害がない場合には相殺関税をかけないということにしまして、国内法の手当てをしたわけでございます。これが一番大きな改正点であったと思います。  以上でございます。
  107. 正森成二

    ○正森委員 ちょっと理事と話していたので、あなたの御答弁を多少聞き間違えているかもしれませんけれども、二遍言っていただくのは気の毒ですからいいです。もし私のとり方が間違っていたら、また指摘してください。  損害がなければ発動できないという点が一番大きなメリットだ、こういう御主張のように、要約すると、承ったのですが、しかし、その点については本当ははなはだ不十分といいますか、あるいはあいまいな点があるのではないですか。私どもが知っておりますのでは、これは損害といいましても、アメリカ側の考え方は、取るに足りない以上の損害であればいいとか、あるいは実質的でないことはない損害、重要でないことはない損害という解釈をしておるというように言われておるのですね。そうだとすると、いままでの取るに足りない以上の損害、まあささいの損害と言う人もおりますが、それと実質的には変わらないのではないかという気がするのですけれども、その点はどうですか。
  108. 内村俊一

    ○内村説明員 相殺関税の点につきましては、従来は全く損害の要件がございませんでした。ダンピングの点につきましては、先生御指摘のように表現がちょっと変わったわけでございますが、相殺関税につきましては、従来はなかったわけでございます。  なお、協定では実質的な損害という表現を使っております。マテリアルインジュリーという表現でございますが、アメリカの今度のダンピング法及び相殺関税法、双方ともその表現は一応使っております。  ただ、注がついておりまして、いま先生御指摘のような、取るに足らなくないというような意味に解するという注がついておるわけでございます。その点につきまして、われわれもう大分アメリカの案ができた段階でアメリカと交渉もいたしました。その際、アメリカ側は、協定上の義務は当然あるわけなので、協定に従ってやりますということを言っておるわけでございまして、今後とも実際の運用に当たって、そういう協定に従ってやるようにわれわれも十分気をつけて、そういう問題がありましたらアメリカに申し入れたいと考えております。
  109. 正森成二

    ○正森委員 いまいみじくもおっしゃったように、実質的な損害と表面はなっておりますけれども、注のところで、実質的でないとは言えない損害とか、重要でないとは言えない損害とか、そういうことになっておりますと、いままでのITCというのですかが言うておりました取りとめもない損害でないものというのは何のことやらわけのわからぬ、もうほんのちょろっとでも何かあればすぐ発動するということになりますと、実質的にアメリカに歯どめをかけた歯どめをかけたと言いましても、向こう側は歯どめがかかっておらない。そして逆にわが方の若干の措置を、輸出援助のための補助金であるとか、減税であるとか、あるいは商業上の採算から見ておかしな融資であるとか、十二くらいありますね、それにひっかけてくるおそれがあるのじゃないかというように思いますが、従来の例と比べて、公平、平等の原則からわが国益を守ることができるのですか。
  110. 内村俊一

    ○内村説明員 相殺関税につきましては、ことしの一月一日からすでに損害要件が発効しておりまして、従来調査中のものについても改めて損害についてチェックをするということで現在進行中でございますが、現在までのところ、日本の関係では一つが決定がございまして、これは損害なしということでシロになっております。もう一つございますが、もう一つにつきましては、これは提訴者側が損害の事実を立証できないということで提訴を取り下げておりまして、二つ一応解決しております。そういうことで、アメリカにこういう損害要件を入れさせたことはいまのところ非常にメリットがあるのではないかというふうに考えております。
  111. 正森成二

    ○正森委員 私もよく知らないのですけれども、昨年の八月に日本製のバルブと重量計が相殺関税のやり玉に上げられたですね。それからことしの十二月の末ですか、パイプフィッティングというのですか継ぎ手ですね、それがやはり相殺関税のやり玉に上がったというように聞いておりますが、あなたの御説明になったのは、私が指摘したそのどれですか、それともまた違う分ですか。
  112. 内村俊一

    ○内村説明員 提訴を取り下げましたと先ほど御説明いたしましたのは、先生御指摘のバルブでございます。それからシロになりましたと申しますのは、鉄鋼製のチェーンでございまして、鉄鋼製のチェーンは七八年、二年ほど前にすでにクロの決定があって、若干、二%でございますか相殺関税を取られておりますが、それについてさらに別な理由によりもう一度提訴が行われました。これにつきましてシロの決定がなされたわけであります。
  113. 正森成二

    ○正森委員 私がいま言いましたパイプフィッティングというのは、これはチェーンと同じ種類のものですか、それとも別の種類のものですか。
  114. 内村俊一

    ○内村説明員 お答えいたします。  別でございます。これは現在まだ決定の結論が出ておりません。あと一、二カ月中には出るかと思います。
  115. 正森成二

    ○正森委員 そこで伺いたいと思うのですが、相殺関税の対象になるような税制上その他の措置であるというようにアメリカ側等でされているものにはどういうものがあるのですか。中小企業関係でやはり二、三あるように思うのですが、それについて説明してもらって、そしてそれがわが政府から見て不当であると思うなら不当であるという見解を述べていただきたいと思うのです。
  116. 内村俊一

    ○内村説明員 お答えいたします。  アメリカ側が問題にしておりますのは、一つは円相場高騰関連中小企業対策臨時措置法による融資その他でございます。  一応項目だけ申しますと、それからジェトロの活動、これが実質的に補助金的効果を生むのじゃないか、こういうことでございます。  それから市場開拓準備金なんかについても問題になることがございます。(正森委員「中小企業市場開拓準備金ですね」と呼ぶ)そうでございます。  そういうことでございますが、まず円高対策法でございますが、御高承のとおり、これが五十三年の二月に、五十二年以降の急激な円相場の高騰によって企業基盤が非常に弱いわが国中小企業が経営困難になったということに対処して制定された法律でございます。これは目的は、事業活動に支障を生じている中小企業者に対して緊急かつ臨時の経営安定対策を図るというのが目的でございまして、決して輸出振興の意味を持っているものじゃないということで、われわれはアメリカに反論をしております。また、この法律は時限立法でございまして、今年度末で終わることになっております。そういうことでございます。  それからジェトロにつきましては、最近の活動など大いに説明いたしまして、これは外国との通商摩擦を避けるためのいろいろな情報の交換、あるいは広報活動、そういったものが主体でございます。また、輸出のみならず輸入についても最近は非常に力を入れておりまして、製品輸入促進のためのいろいろな事務をやっておりますが、こういうことから見ても決してこれは輸出振興につながるものじゃないということを反論しているわけでございます。  市場開拓準備金につきましても、これは海外取引が国内取引と比べまして非常に不確定要素があるということで、予見しがたい費用の支払いが行われるということがございますので、特に中小企業につきましては情報収集力とか信用力、交渉力等の面では著しく劣っておる、こういうことで不測の事態に備えるために準備金の積み立てを認めているわけでございますが、これは全く免税にしてしまうというわけではなくて、課税を後年度に繰り延べるということによりまして対外活動のコストの平準化を図るという制度でございますので、これは決して輸出増進を図るための補助金ではないということを強く主張している次第でございます。  以上でございます。
  117. 正森成二

    ○正森委員 市場開拓準備金のような制度は、逆にアメリカだってあるんじゃないですか。むしろアメリカの方がずっと日本側よりも大幅な保護を与えているのじゃないですか。
  118. 内村俊一

    ○内村説明員 お答えいたします。  アメリカにはDISC制度というのがございまして、一定の資格を持っている場合には輸出収入の半分が永久的に課税の繰り延べになるという制度がございます。この点もわれわれは大いに引用して反論しておる次第でございます。
  119. 正森成二

    ○正森委員 いま言われたように、永久に繰り延べできるというような制度を持っている国が、わが国の非常に限定された制度についていろいろ問題にして、そして相殺関税というようなことを口にするということは非常に遺憾だと思うのですね。  ダンピングについて伺いますが、いま関税のところとほぼ同じあれ、だと思いますが、ダンピングについてアメリカ側に歯どめをかけたというか、今度の東京ラウンドの結果として改善されたと思われる点はどういう点ですか。
  120. 内村俊一

    ○内村説明員 お答えいたします。  先ほどもちょっと御説明いたしましたが、従来のアメリカのダンピング関係の法律によりますと、単なる損害という表現しか出ておりません。これが、ガットのコード上は実質的な損害ということになっておりますが、今度そういう表現がアメリカのコードにも入りました。ただし、先ほど先生から御指摘のありましたように、やはり同じような、取るに足らないものではないというような注がついておりますので、その点につきましては今後とも大いに注意をしてかかっていかなければいかぬというふうに考えております。
  121. 正森成二

    ○正森委員 そこで、たとえばことしの一月四日に、日本製のポータブル電動タイプライターに対してダンピングの疑いがあるということで仮決定をしたというように報道されているのですね。それからまた、これは従来からずっと挙げていたわけですが、電子レンジがダンピング、だ、こういうように言われているのですね。次々にこういうようにダンピングだ、ダンピングだということで、わが方がダンピングだと言って提訴されたのは一体何件ぐらいあって、わが方がアメリカ側に対してダンピングだと言ったのは何件ぐらいあるのですか。
  122. 内村俊一

    ○内村説明員 お答えいたします。  ダンピング制度ができましてから現在までの全体の数字はちょっと把握しておりませんけれども、現在調査中のものを申し上げますと四品目でございます。一つは、七八年に提訴されておりますが、残りの三品目につきましては昨年、七九年に提訴されたものでございます。  わが方では、ダンピング調査、相殺関税調査というのを実施したことは一度もございません。
  123. 正森成二

    ○正森委員 いま言われましたように、わが方は当面はやっていない、向こうだけはやってくる。ダンピングの制度を決めましてからの総計だと、私の記憶では六十何件かに上がっているはずであります。次々にダンピングだ、相殺関税だとやってくるのですね。  小泉政務次官がおられますのでちょっと申しますと、これは日本人じゃないのですが、ジーン・グレゴリーという国際経営評論家が書いたものですけれども、それを見ると、アメリカにはトライアル・バイ・アンブッシュ、トライアル・バイ・アバランシェと呼ばれるものがあるのだそうです。これはどう言ったらいいのですかね、待ち伏せ審判とか、なだれ審判とかいって、ともかくささいなことに理由をつけて、待ち伏せのように次々とトライアルを出して打撃を与える。なだれのように、通ろうが通るまいが、いまちょうど自動車やテレビがやられているようなあれですが、次々に申し立てをして、それに対する対応にいとまなからしめて、そして相殺関税を通すかあるいはダンピングということで牽制する、その決定が出ればいいし、出ない場合でも政府間交渉に持ち込んで数量制限あるいは工場をアメリカに進出しろ、こうなるのですね。そうしますと、幾ら東京ラウンドということで関税交渉で双方譲歩した、あるいはアメリカ側の譲歩を得たというようなことを言いましても、実際上は東京ラウンド以外の力関係で物事が決められていくということになるわけですね。  そうすると、一生懸命交渉に参加して一番大きな譲歩をしたわが国にとって十分なメリットがないと言わなければならないと思うのですが、そういう点についていかがお考えでしょうか。
  124. 小泉純一郎

    ○小泉(純)政府委員 確かに、正森委員の指摘した面もあると思いますけれども、裏返せばそれだけ日本の商品が脅威を与えているというか、競争力がある。戦後、安かろう悪かろう、そういう悪評を受けた一時期はありましたが、安いけれども、なぜいいのかということで日本の商品が世界各国から信頼をかち得ている、むしろその方がいま不思議である、こんな安いはずがないということで、いろいろ相手国に摩擦なり刺激を与えている。これはやはり日本の企業の対応力というか適応力がすばらしい、そういうことによって日本の経済は発展してきたのだと思います。ですから、短期的にあるいは一時的に見れば日本が譲歩しなければならない面もありますけれども、全般的に見てできるだけ自由貿易の拡大に資するためにお互いの障壁を少なくしていこうということに対しては積極的に対応していく、その成果というものがあらわれているし、また、そういう競争に打ちかっていく努力というものが日本の経済力、企業力を強めていく方法じゃないか。ですから、一概に、そういう譲歩というものが日本経済にマイナスを与えているというふうには私は考えないのです。むしろ、こういう障害なり非難にめげず克服していこうというその努力は大いに評価していいのじゃないかというふうに私は考えております。
  125. 米山武政

    ○米山政府委員 先ほど、わが国ではこういう体制はどうなっているか、実例はあるかというふうなお話でございます。最近、カリフォルニアから塩酸カリが非常に安く入りまして、これはダンピングではないかということで問題になったことがございます。これは各省、それから業界等の意向を聞きまして、またユーザー等の意向も聞きまして、問題があるにしても、現在これはダンピングとして調査を開始するほどのものではないという結論になっております。  なお、最近、新興工業国あたりの追い上げが非常に強くなっておりまして、特に関税率も非常に低くなっておりますので、こうした特殊関税による産業の保護をどうしていくかという問題はこれから相当問題になってくると思います。この法案が成立後、この手続等を政令等によりまして細かく規定し、いつでも対応できるように努力してまいりたい、こういうように考えております。
  126. 正森成二

    ○正森委員 通産省、タイプライターと電子レンジの現状と見通しについて答えてください。
  127. 内村俊一

    ○内村説明員 タイプライターにつきましてまず御説明させていただきます。  タイプライターは、七九年の四月にアメリカのある会社から提訴されたわけでございますが、この会社はアメリカに残っております唯一の電動タイプライターメーカーでございます。わが国のメーカーは三社ほどございますが、アメリカ側の主張によりますと、ダンピングマージンと申しますか、日本の国内価格と比べてアメリカへの輸出価格がかなり安いという主張がございます。また損害の関係では、この辺はちょっと、一社だけでございますのでデータが公表されておりません。その会社がどの程度困ったかというデータを出す必要があるわけでございますが、一社だけでございますから、企業秘密ということで公表されておりませんので、この辺ははっきりいたさないわけでございますが、日本からの輸出量を申し上げますと、七八年で大体五千六百万ドルぐらい輸出されております。これだけの輸出があると相当損害があるというふうにアメリカ側は主張するのだろうと思います。われわれの方の反論といたしましては、国内販売価格及び輸出価格につきましては詳細なデータを出しまして、ダンピングの事実はないということを立証しております。  その後七九年十二月、昨年の十二月の二十八日に仮決定がございまして、これはメーカーによって多少違いがございますけれども、それぞれダンピングの事実があるという仮決定が行われております。これにつきましては、わが方業界は弁護士を通じまして現在商務省と折衝いたしまして、ダンピングの事実がないという反証をしておる次第でございます。損害につきましては、損害を調査する機関でITCというのがございますが、このITCにまだ付託されておりません。損害についての議論はまだ行われていないという状態でございます。御高承のとおり、ダンピングの事実と、それからそれによる損害という二つの要件が備わりますと、ダンピング税が課せられるということになりますが、現在前半について争っているところでございます。  それから電子レンジでございますが、電子レンジにつきましては七九年に提訴されたわけでございます。これは提訴したのはアメリカの家電工業会、業界団体でございます。提訴されましたわが国の会社は相当ございます。七社ほどございます。現在アメリカに輸出されておりますわが国の電子レンジは、大体アメリカの市場で三〇%ほどシェアを占めております。したがって、これはアメリカの業界にとって大変な損害であるというのがアメリカ側の主張でございます。特に七八年には日本からの輸入が急増しているという主張をしております。日本側といたしましては、同じく反論をいたしておりまして、国内販売価格、輸出価格のデータを各社別に詳細に提出いたしまして、ダンピングの事実は全くないという反論をまずいたしております。これにつきましても、アメリカの財務省もこの証拠を十分検証しているところでございます。これは財務省がダンピングを取り扱っておりましたが、一月から商務省に移管されまして、いま商務省がその資料を引き継いで検討しております。損害につきましては、七九年の下期には二、三〇%減少しているじゃないかというような細かい反論をしておりまして、一時は相当なシェアまでいったけれども、若干減ってきているということを主張しておるわけでございます。これも現在商務省において調査継続中でございまして、結論はまだ出ておりません。  以上でございます。
  128. 正森成二

    ○正森委員 カラーテレビについて伺いますが、カラーテレビについても輸入が急増しておるということでいろいろ問題にされたことがございますし、エスケープクローズ条項の適用を向こうが言ってきたということがあるわけですが、一時三百万台を超えておりましたけれども、日本政府がOMA、オーダリー・マーケティング・アグリーメントと言うのですか、秩序ある輸出協定というものに調印して年間百七十五万台に制限する、各松下等数社は、結局アメリカ側に工場進出させてアメリカで三百万台前後生産しておるから、もう日本側の輸出はふえない、ちょうどいま自動車で言われていることを先取りしてカラーテレビがやったようなかっこうになっているんですが、こういうのは、結局アメリカ側から言ったらある意味では非関税障壁ですかね。いろいろ文句をつけては政府を引きずり出して、そして数量制限をさせ工場進出をさせるということになっておるのですね。このOMAというのは三年間という期限でしたが、ことしのたしか六月ごろには切れると思うのですが、これは延長されるつもりですか、それとももう実際上の効果というものを必要とされないぐらいに輸出がなくなっているというので、延長しないつもりですか。
  129. 内村俊一

    ○内村説明員 お答え申し上げます。  このカラーテレビの取り決めにつきましては、現在もうすでに枠は百七十五万台でありますが、毎年百七十五万台の枠まで日本の輸出は達しておりません。そういう実態を説明いたしまして、この三年で終わりにしようということはアメリカ側に申し入れておりますけれども、ただ、アメリカ側といたしましては、日本の問題はさることながら、その他中進国の問題がありまして、同様な協定を結んでおります。そういう関係もあって存続してくれないかということになっております。まだ結論は出ておりません。  以上でございます。
  130. 正森成二

    ○正森委員 まだ結論が出てないのですか。向こうの言いなりだな。  一つ聞きたいのですけれども、調査期間が今度の東京ラウンドの取り決めで縮小されましたね。それはある意味では早く結論が出るからいいことだという説もあるのですが、逆にアメリカ側は早い期間のうちにばたばたと相殺関税にしろダンピングにしろ決めることができる。やられる方は十分に対応する準備期間がないということで、これは改善であるのか改悪であるのかわからぬという説があるのですね。それについてはどう評価していますか。
  131. 内村俊一

    ○内村説明員 ただいま御指摘のように、具体的なケースによりましてわが方にとって有利な場合もございますし、場合によりましては不利になる場合もあるかと思います。ただ、調査期間を短縮されましたけれども、これは特別の場合には延長するということになっておりまして、われわれとしましては具体的なケースごとにこの資料の提出期限なんかを決めてまいりますけれども、とても短い時間で間に合わない場合には、政府ベースでも申し入れをいたしまして、これは延期してもらってやっております。
  132. 正森成二

    ○正森委員 最近非常に顕著になっておりますのは、カラーテレビの場合もそうでしたし、今度自動車がまさにカラーテレビの後を追おうとしているわけですが、輸出が非常に伸びるから輸出を抑える意味で工場をアメリカ内に進出しろ、アメリカの中でつくったものはアメリカで売れ、こういうのがアメリカ側の貿易収支を改善する上で、あるいはアメリカにおける雇用を確保する上で言われていることなんですね。そうすると、日米両国を考える場合には、その両方を含めたバランスを考えなければいけないのですね、単なる輸出輸入だけではなしに。  ところが、アメリカ側が日本に対して進出してくる場合には、それをほとんど考慮に入れていないのじゃないかと思われる点があるのです。統計によりますと、七六年の例で言えば、日本に進出したアメリカ系の多国籍企業や大企業の日本での売り上げ高は二百一億ドルになっておりますね。つまり、その同じ年の対日貿易赤字の五十六億ドルを大きく上回って、向こうが貿易が伸びない伸びないと言っているのは、アメリカの資本が日本に入ってきてそこで工場をつくって日本人に一生懸命買わせるというのが二百一億ドルもあるから、だから、その貿易収支が赤字になっているのだ。その間日本はどうかというと、アメリカで売り上げは約二十億ドルしかないのですね。これを両方足して計算しますと、アメリカの方がはるかに日本国民に物を買わせておるということになるのです。これはいまのカラーテレビの例を見たり、あるいは自動車の例を見れば、明らかに、工場を進出させ、そこで生産したものを買わすのが貿易の一変態であるということは、これは向こうも認めているからこそそうしろと言うわけで、そうすると、自分の方は日本に対してやっていることについては口をつぐんでおるということになりますと、わが国としては、アメリカといろいろ貿易収支の問題などで交渉する場合に、この点はやはりもう少し強く主張する必要があるのではないかというように思いますが、いかがですか。
  133. 米山武政

    ○米山政府委員 この問題につきましては、先ごろこの委員会でも議論になりまして、この実情はどうなっているか。多国籍企業、たとえばアメリカ企業が日本にどのくらい来て、また日本がどうなっているか、その関係、その効果、影響、対策をどうするかという御質問がございまして、その数字を出してくれ、こういうふうな議論がございました。私どもいまその点を作成し、そしてまたその数字によってどういうふうな影響があるかということを検討している段階でございます。
  134. 正森成二

    ○正森委員 私もきょうの質問の前に、最近五年間の数字を提出してくれるように要求してあるのです。きょうまでに出てくれば、その数字があるからよけいな質問をしなくてもよかったのですけれども、いまだに提出がないから質問したわけです。できれば、きょうの質問で私の質問は終わるかもしれませんが、資料ができましたら私の部屋へ届けていただきたいと思いますが、よろしいですか。
  135. 米山武政

    ○米山政府委員 複雑な問題がいろいろございますが、できるだけ可能な資料を整えましてお届けするつもりでございます。
  136. 正森成二

    ○正森委員 政府調達の問題について、法案とは直接関係がございませんが、東京ラウンド関連ですから、御質問したいと思うのです。  政府調達の問題では、電電公社のことが非常にクローズアップされて新聞に載っているのですが、これは電電公社の問題だけじゃないと思うのです。わが国のいろいろな意味での中枢にかかわることだというように思います。  私どもが承知しておるところでは、政府としてはいろいろオファーいたしましたが、たとえば三公社ですね、電電だけじゃなしに国鉄も含んで、企業体としてはオファーしたというように承知しているのです。しかし、どの範囲をオファーするかという点については、まだ十分に決定せずに交渉中であるというように承知しているのです。私は、電電の問題はいままでに何度も論議されているようですから、国鉄の問題を少し取り上げたいと思うのです。  国鉄では、御承知のように、信号関係というのは、国民の生命、財産に非常に関係があるのですね。そして、この信号関係というのは、ただ赤やら黄の色による危険表示だけでなしに、最近ではATSとか、ATCとか、あるいは列車集中制御装置のCTCとか、そういうものがありまして、このノーハウというのは非常に重要なんですね。かつ、これによって事故あるいは故障が起こったときには、直ちにそれを直すための即応体制というものがなければならぬということになりますと、これは軽々しく外国に開放するということではわが国益に必ずしも合致しない点があると思うのです。それで、国鉄は企業体としてはオファーされておりますが、範囲については、たしか安全に関する点は除かれておったやに私の記憶にございますが、その点が交渉の過程でどうなっているかという点について明確にお答えを願いたいと思います。
  137. 益子智夫

    ○益子説明員 ただいま御指摘ございましたことにつきまして昨年ずいぶん交渉が持たれまして、国鉄は輸送の安全が基本でございます、したがいまして輸送の安全を確保するに必要な資材、これは全体としてシステムとして機能しておりますので、これについて開放する考えは持っておらないという意思を表明しておりまして、事実それで今日に至っておる経過でございます。
  138. 正森成二

    ○正森委員 わかりましたが、大体それで貫けそうですか。
  139. 益子智夫

    ○益子説明員 はい、そういうふうに考えております。
  140. 正森成二

    ○正森委員 それでは結構です。  次に、農産物の点について伺いたいと思います。  農産物というのは、どこの国でも非常にセンシティブな問題であると思うわけですが、政府はアメリカとの関係でどのぐらいの品目をオファーしたのですか。――百八じゃないですか。
  141. 米山武政

    ○米山政府委員 農産物の分類はいろいろしょうがあると思いますが、八百五十のうちの二百でございます。
  142. 正森成二

    ○正森委員 対米は。私がいま聞いているのはアメリカとの関係です。
  143. 山崎皓一

    ○山崎説明員 対米につきましては、農産物百八品目をオファーしてございます。
  144. 正森成二

    ○正森委員 ここに「東京ラウンド農産物交渉」という農林省の書類があるのです。それを見ますと、アメリカに対するオファーは百八品目、リクエストは百三十だったのです。そして輸入額は十三億六百万ドル、こうなっております。それでいいですね。  ところが、わが国が得たオファーというのは、リクエスト十八品目に対してわずか五品目、二千四百万ドルにしかすぎないのです。ですから、アメリカに対しては非常に譲歩が多い。弱腰という言葉は余り品がよくないから言いませんが、譲歩が多過ぎるのではないかというように思わざるを得ないのですが、いかがです。
  145. 山崎皓一

    ○山崎説明員 確かに一見いたしますと、二百品目のうち百八品目が対米関係ということで、アメリカのシェアが多くなっているかのようにも見えることは事実でございます。ただ、これは必然的に日本の農水産物の輸入構造を反映しているわけでございます。いま、日本の農産物の輸入のうち約三分の一はアメリカでございまして、そういうこと等を考え合わせますと、決してアメリカにだけ過剰にオファーしたというふうには私ども考えておりません。
  146. 正森成二

    ○正森委員 得ていない点は。
  147. 山崎皓一

    ○山崎説明員 得ていない点につきましては、私どもまずリクエストいたしましたのが十八品目、これは国によってダブりがございますので、実際の品目の数では十品目余りでございます。これは水産かん詰めとか、果実かん詰め等で、これにつきましてはわれわれいろいろ交渉したわけでございますが、結果的には、先生御指摘のように五品目しかオファーが得られてない、こういうことになっております。
  148. 正森成二

    ○正森委員 具体的な例について一、二伺いたいと思います。  特恵税率の引き下げで、バナナが四月一日から九月三十日まで特恵関税が設定されております。これは、政府の方は競合のぐあいが軽いと言うているのですが、リンゴとの競合がないとは言えませんし、競合がリンゴに限定されるわけでもない。柑橘類では、温州ミカンの過剰によってイヨカン、甘夏カンやらへの転換が図られておって、夏季のバナナに特恵関税が設定されれば、オレンジの輸入拡大とも相まって柑橘農家に打撃を与えるおそれがあると農家の間で言われているのです。  また、バナナのほとんどはフィリピンからの輸入で、ドール社などの多国籍企業が委託生産して日本の商社、伊藤忠などが輸入しておる、こう言われておって、これらの商社が非常に強く夏季の特恵供与を要請してきたということになると、これは非常に問題があると言わざるを得ないわけであります。  あるいはまた、バルクワインの特恵税率の引き下げについて言いますと、これは少し前のことですが、ずいぶんたくさんの農業協同組合、山梨県だとか山形県、長野県とかいろいろなところから、もしこのまま放置されたら国内のワイン産業は輸入ワインのブレンド産業と化して、わが国において真の国産ワインが育つ道は閉ざされてしまうことは必定である、その場合は、原料ブドウの生産農家は不可避的に原料ブドウから生ブドウへの転換を強いられて、この方面の全国的な過剰傾向に一段と拍車をかける、全国のブドウ農家の困難を招くことは必定であるという陳情が国会にも来ているのです。  農産品についていろいろ聞いていると切りがございませんので、こういう二品目についてだけ申し上げましたが、こういう点を十分考慮した上で今度の譲許税率などを決めておられるのか、特恵を与えておられるのか、お答えを願いたいと思います。
  149. 畑中孝晴

    ○畑中説明員 お答えを申し上げます。  バナナの関税というのは、かって七〇%くらいの関税がございました。それを国内の競合関係を見ながら次第に引き下げを行ってきたわけでございますが、バナナは大体百万トンを超える輸入がございましたけれども、現在では八十万トンくらいでございまして、値段も余り上がらないというような状況でございます。そういうのに比べまして、国内の特にバナナとの競合関係をかなり生産者が気にしておりますリンゴにつきましては、相当、価格も現在のところ堅調でございますし、こういう形で、関税を一遍にたくさん引き下げるわけではございませんで、徐々に引き下げをやっていけばそう大きな影響はないのではないかというようなことを判断をいたしたわけでございます。  また、ワイン用のブドウといいますか、原料ブドウにつきましては、私どもの方で、これは国税庁の方が関係をいたしますので、双方で毎年県を集めて会議をやるなり、あるいは場合によっては県へ行くなりして原料ブドウとワイナリーとの安定供給、安定取引ということをずっと指導してまいっております。そういう全体の取引の安定、そういう中でボトルワインの引き下げなりバルクワインの引き下げなり、そういうものが何とかこなしていけるのではないかというふうに考えておりますけれども、もとより大変たやすいことではございませんので、国内的な果実のいろいろな省力化とかあるいは流通の合理化とか、そういった面についても十分配意をしてまいりたいと考えております。
  150. 正森成二

    ○正森委員 時間でございますので、最後に一問だけ伺って終わらせていただきたいと思います。  午前中の質問でも引用しました歴代関税局長の座談会というのがある。これは非常に興味深く拝見したのですが、この中で最後の万に非常に注目すべきことを二つ言うておられるのです。これは別々の方が言うておられるのです。名前はあえて申しませんが。  一人はこう言っているのですね。「もう一つ、税関の立場に立つとわりあいさびしいことになるんですが、鉱工業製品の関税率の平均が五%台になってしまった。これは、平均だから、五%をはるかに下回るものもある。そういった関税率の存在は、いたずらに手数をかけさせられるだけで、財政収入としての意義は石油関税を除いては、きわめて稀薄になっている。これは基本的に検討していただく必要があるんじゃないか。」ということを言いまして、結局税関職員の士気に関係するという意味のことを別のところや何かと合わせてにおわしておるわけですね。これは非常に大きな問題ではなかろうかというように思います。つまり、労多くして功少なし、何をやっているのか、こうなるわけですね。中にはもうゼロのものもありますしね。  それからもう一つは、別の関税局長がこう言っておられるのです。「関税局全体としては、確かに関税収入が先細りになるので、関税職員のモラールにある程度影響することは事実でしょう。」こう言って「八税関を回ってみたけれども、そういう心配を持っていることは感ぜられました。」ここまでは前の局長と同じことを言っているのですが、その後が「しかし、政府ではいま一般消費税の検討をやっており、これが導入されれば、税関が受け持つ部分の総額は、いまの関税収入を上回るのではないか。徴税事務そのものは、そんなに大きな変化はないんじゃないかと思います。」こう言っているのです。つまり、関税が先細りだから士気に影響するんじゃないか、モラルに影響するのじゃないか。ところが、一般消費税を導入したら、いままでの関税全部扱ったよりももっと取れるから士気は大いに上がるだろうと言わんばかりのことを言うておるのですね。これはあなたの前任者です。いまアメリカかどこかへ行っているらしい。本当に関税局はそんなことを考えているのですか。
  151. 米山武政

    ○米山政府委員 確かに関税率が下がってきております。税収の面では必ずしも少なくなっておりません。むしろ、石油関税も入れますと一兆円近いものになっております。これは輸入価格が上がったせいでございます。  ただ、私ども税関の仕事が関税をよけいに取るということにあるのみではないと思っております。税関の仕事は、ここで申し上げるまでもなく、税の面と関の面、それで税関と言うわけでございますが、国内でいろいろ決められた法令に沿って適正に輸出され輸入されるか、こういうもの、それから社会悪物件というものも非常に多くなっております。こういうものに対する国民の関心も非常に高まって、そういう面の仕事もふえております。  それから先進国等が、ここでもいま議論がありましたように、関税障壁は少なくなっても、いろいろこれから中進国等の追い上げによる特殊関税、たとえばダンピング関税、相殺関税、こうした面も、現在では適用ございませんが、いずれそういう事態も来る、こういうふうに思ってこういう面の整備も図っておるわけでございます。そういう面で私ども税関の士気というのは非常に上がっている、決して税率が下がったから士気が沈滞しているというのは非常に表面的な見方ではなかろうか、こう思っております。  一般消費税の話というのは、これはどういうことかよく私もわかりませんが、一般消費税というのは、国会でお決めいただいて、もし決まったらもちろんこれは適正に執行するわけでございますが、私どもそれを一般の職員が望んでいるというふうな気風があるということは聞いておりません。
  152. 増岡博之

    ○増岡委員長 次回は、明二十日水曜日午後五時三十分理事会、午後六時委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。     午後零時三十六分散会