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1978-02-07 第84回国会 衆議院 予算委員会 9号 公式Web版

  1. 昭和五十三年二月七日(火曜日)     午前十時一分開議  出席委員    委員長 中野 四郎君   理事 小此木彦三郎君 理事 加藤 六月君    理事 栗原 祐幸君 理事 毛利 松平君    理事 山下 元利君 理事 安宅 常彦君    理事 大出  俊君 理事 近江巳記夫君    理事 竹本 孫一君       愛知 和男君    井上  裕君       伊東 正義君    海部 俊樹君       金子 一平君    川崎 秀二君       後藤田正晴君    笹山茂太郎君       塩崎  潤君    澁谷 直藏君       白浜 仁吉君    田中 龍夫君       田中 正巳君    谷川 寛三君       根本龍太郎君    原田昇左右君       福島 譲二君    藤田 義光君       古井 喜實君    坊  秀男君       堀内 光雄君    松澤 雄藏君       松野 頼三君    森   清君       渡部 恒三君    井上 普方君       石野 久男君    石橋 政嗣君       岡田 利春君    岡田 春夫君       川俣健二郎君    小林  進君       新盛 辰雄君    藤田 高敏君       横路 孝弘君    坂井 弘一君       鈴切 康雄君    武田 一夫君       広沢 直樹君    二見 伸明君       大内 啓伍君    河村  勝君       小林 政子君    田中美智子君       寺前  巖君    大原 一三君       小林 正巳君  出席国務大臣         内閣総理大臣  福田 赳夫君         法 務 大 臣 瀬戸山三男君         外 務 大 臣 園田  直君         大 蔵 大 臣 村山 達雄君         文 部 大 臣 砂田 重民君         厚 生 大 臣 小沢 辰男君         農 林 大 臣 中川 一郎君         通商産業大臣  河本 敏夫君         運 輸 大 臣 福永 健司君         郵 政 大 臣 服部 安司君         労 働 大 臣 藤井 勝志君         建 設 大 臣         国土庁長官   櫻内 義雄君         自 治 大 臣         国家公安委員会         委員長         北海道開発庁長         官       加藤 武徳君         国 務 大 臣         (内閣官房長         官)      安倍晋太郎君         国 務 大 臣         (総理府総務長         官)         (沖繩開発庁長         官)     稻村左近四郎君         国 務 大 臣         (行政管理庁長         官)      荒舩清十郎君         国 務 大 臣         (防衛庁長官) 金丸  信君         国 務 大 臣         (経済企画庁長         官)      宮澤 喜一君         国 務 大 臣         (科学技術庁長         官)      熊谷太三郎君         国 務 大 臣         (環境庁長官) 山田 久就君         国 務 大 臣 牛場 信彦君  出席政府委員         内閣法制局長官 真田 秀夫君         内閣法制局第一         部長      茂串  俊君         公正取引委員会         委員長     橋口  收君         公正取引委員会         事務局審査部長 野上 正人君         警察庁刑事局長 鈴木 貞敏君         行政管理庁長官         官房審議官   加地 夏雄君         行政管理庁行政         管理局長    辻  敬一君         行政管理庁行政         監察局長    佐倉  尚君         防衛庁参事官  夏目 晴雄君         防衛庁長官官房         長       竹岡 勝美君         防衛庁長官官房         防衛審議官   上野 隆史君         防衛庁防衛局長 伊藤 圭一君         経済企画庁調整         局長      宮崎  勇君         経済企画庁総合         計画局長    喜多村治雄君         科学技術庁計画         局長      大澤 弘之君         科学技術庁研究         調整局長    園山 重道君         科学技術庁原子         力局長     山野 正登君         科学技術庁原子         力安全局長   牧村 信之君         環境庁長官官房         長       金子 太郎君         環境庁企画調整         局長      信澤  清君         国土庁長官官房         審議官     四柳  修君         法務省民事局長 香川 保一君         法務省刑事局長 伊藤 榮樹君         外務省アジア局         長       中江 要介君         外務省アメリカ         局長      中島敏次郎君         外務省欧亜局長 宮澤  泰君         外務省経済局長 手島れい志君         外務省経済局次         長       溝口 道郎君         外務省経済協力         局長      武藤 利昭君         外務省条約局長 大森 誠一君         外務省国際連合         局長      大川 美雄君         大蔵省主計局長 長岡  實君         大蔵省主税局長 大倉 眞隆君         大蔵省関税局長 戸塚 岩夫君         大蔵省理財局長 田中  敬君         大蔵省銀行局長 徳田 博美君         大蔵省国際金融         局長      旦  弘昌君         国税庁長官   磯邊 律男君         文部省初等中等         教育局長    諸澤 正道君         文部省学術国際         局長      井内慶次郎君         文部省管理局長 三角 哲生君         厚生省薬務局長 中野 徹雄君         農林大臣官房長 松本 作衞君         農林省農林経済         局長      今村 宣夫君         農林省構造改善         局長      大場 敏彦君         農林省農蚕園芸         局長      野崎 博之君         農林省畜産局長 杉山 克己君         食糧庁長官   澤邊  守君         林野庁長官   藍原 義邦君         水産庁長官   森  整治君         通商産業大臣官         房審議官    山口 和男君         通商産業省通商         政策局長    矢野俊比古君         通商産業省通商         政策局次長   花岡 宗助君         通商産業省貿易         局長      西山敬次郎君         通商産業省立地         公害局長    左近友三郎君         通商産業省基礎         産業局長    天谷 直弘君         通商産業省機械         情報産業局長  森山 信吾君         通商産業省生活         産業局長    藤原 一郎君         工業技術院長  窪田 雅男君         資源エネルギー         庁長官     橋本 利一君         資源エネルギー         庁長官官房審議         官       武田  康君         資源エネルギー         庁公益事業部長 服部 典徳君         中小企業庁長官 岸田 文武君         運輸省鉄道監督         局長      住田 正二君         運輸省航空局長 高橋 寿夫君         気象庁長官   有住 直介君         郵政大臣官房電         気通信監理官  江上 貞利君         郵政大臣官房電         気通信監理官  神保 健二君         郵政省郵務局長 神山 文男君         郵政省貯金局長 高仲  優君         郵政省人事局長 守住 有信君         労働省職業安定         局長      細野  正君         建設大臣官房長 粟屋 敏信君         建設省計画局長 大富  宏君         建設省住宅局長 救仁郷 斉君         自治省行政局長 近藤 隆之君         自治省財政局長 山本  悟君         自治省税務局長 森岡  敞君         消防庁長官   林  忠雄君  委員外の出席者         会計検査院長  佐藤 三郎君         日本国有鉄道総         裁       高木 文雄君         日本電信電話公         社総裁     秋草 篤二君         日本電信電話公         社営業局長   西井  昭君         日本輸出入銀行         総裁      澄田  智君         予算委員会調査         室長      三樹 秀夫君     ――――――――――――― 委員の異動 二月七日  辞任         補欠選任   伊東 正義君     堀内 光雄君   奥野 誠亮君     森   清君   金子 一平君     原田昇左右君   川崎 秀二君     愛知 和男君   正示啓次郎君     谷川 寛三君   根本龍太郎君     井上  裕君   古井 喜實君     福島 譲二君   松野 頼三君     後藤田正晴君   兒玉 末男君     新盛 辰雄君   浅井 美幸君     鈴切 康雄君   矢野 絢也君     武田 一夫君   河村  勝君     小平  忠君   安藤  巖君     田中美智子君 同日  辞任         補欠選任   愛知 和男君     川崎 秀二君   井上  裕君     根本龍太郎君   後藤田正晴君     松野 頼三君   谷川 寛三君     正示啓次郎君   原田昇左右君     金子 一平君   福島 譲二君     古井 喜實君   堀内 光雄君     伊東 正義君   森   清君     奥野 誠亮君   新盛 辰雄君     兒玉 末男君   鈴切 康雄君     浅井 美幸君   武田 一夫君     矢野 絢也君   小平  忠君     河村  勝君   田中美智子君     小林 政子君     ――――――――――――― 本日の会議に付した案件  昭和五十三年度一般会計予算  昭和五十三年度特別会計予算  昭和五十三年度政府関係機関予算      ――――◇―――――
  2. 中野四郎

    ○中野委員長 これより会議を開きます。  昭和五十三年度一般会計予算、昭和五十三年度特別会計予算及び昭和五十三年度政府関係機関予算、以上三件を一括して議題とし、総括質疑を行います。岡田利春君。
  3. 岡田利春

    ○岡田(利)委員 私は、いままでの質問にできるだけ重複を避けまして、端的に四、五点にわたって政府の見解を承りたいと思う次第です。  まず初めに、私は予算の反対討論でも申し上げたのでありますが、昭和五十一年から五十二年にかけての輸出、輸入の動向は、当初予想した以上に輸出増になって、貿易収支の大幅な黒字を記録してまいったわけであります。五十一年で見ますと百十一億ドル、前年対比輸出で二四%の伸びになっておるわけです。今後、昨年一年間の円高の急騰の傾向から考えて、五十二年の輸出、輸入の落ちつき見込みは一体どうなるのか。これを受けて五十三年度の輸出、輸入は、経済見通しでその金額を予想いたしておりますけれども、前年度対比で一体どういう伸びに見込まれるのか、まず、この点について政府から説明を願いたいと思います。
  4. 宮澤喜一

    ○宮澤国務大臣 五十二年度についてまず申し上げますと、大体、輸出は、総額にいたしまして一五%ぐらいの伸びを考えておりますが、そのうち、数量部分が三%ぐらいであろうか、価格部分が一一%ぐらいであろうかと考えております。五十三年度につきましては七%ぐらいの伸びを考えておりますけれども、数量的には恐らく横ばいではなかろうか、したがいまして、七%は価格要因ということに考えております。
  5. 岡田利春

    ○岡田(利)委員 いま長官が述べられた数字からまいりますと、輸出で七%、そして輸入で一四%。まあ輸出は数量ベースは横ばいである、そして輸入は六・八%程度前年度対比数量ベースでは増が見込まれておるのではないか、こう思います。  そこで、私は、この五十三年度の輸出、輸入の想定に対して、最近の輸出の動向をいろいろ検討してみますと、政府が考えている以上にやはり輸出力は強いのではないか、各企業の対応性というものは政府が予想しておる以上に強いのではないか、こういう感じがいたすわけです。御承知のように、商工中金の調査が昨年五月と十一月にわたって行われておるわけです。特に取引先の二百十一社の調査でありますけれども、十一月の調査では、二百三十円台でも十分輸出ができるもの三四%、二百四十円台で三二%、そして二百五十円台が二〇%、二百六十円台が一三%。五月の調査では、もう二百七十円台を割ったのでは、これは分岐点で、とても輸出はできない。わずか六カ月の間にこの調査の数字が非常に変わってきておるわけです。これはやはりわが国の企業の輸出適応力が政府が考えている以上に強い、こういう傾向を示しておるのではないか、こう思うわけです。  そういう意味から考えても、私は、従来の政策そのもの、あるいはまた、円高に対応するそれぞれの措置もとられておるわけですが、この政府見込み以上に輸出はやはり伸びていく、そういう傾向を示していくのではないか、こう判断するのでありますけれども、この点についていかがでしょうか。
  6. 宮澤喜一

    ○宮澤国務大臣 一方におきまして、ただいま岡田委員が言われましたように、いわゆる円高というものに対応しようとする努力は続けられておりますから、いまおっしゃいましたように、時間がおくれるに従いまして対応力をあらわしたような見通しが出てきている部分もございます。しかしながら、同時に、考えなければなりませんのは、実際にいまの二百四十円がらみのレートというものが現実の輸出にあるいは成約に本当に効いてまいりますのはこれから何カ月かの間であろう、従来は先物の予約等もございますから、これが全面的なきつい要因になってくるのはむしろこれからではないかというふうな見方もできますので、その辺はどういう差し引きになりますか、両方の要因があろうと思います。しかし、一つ申し上げられますことは、内需がある程度動き出すということが実現いたしますれば、それはやはりそちらの方へ、つまりいわゆる輸出圧力と言われますものがそれだけ減ってくるということは確かにございますから、この財政主導型の経済運営がうまくいきますならば、それは内需の方へ物が向かっていくということになる要因であろうと存じます。
  7. 岡田利春

    ○岡田(利)委員 昭和四十六年の十二月から昭和四十八年の三月まで、円高は二〇・七%を記録いたしたわけです。これに対して輸出価格の引き上げは二二%、これはもう国際貿易の拡大とそして国内生産性の向上、こういうものに支えられて、円高よりも輸出価格が上回った、こういう実績があるわけです。五十一年の十一月から五十二年の十月の中旬、円は一八%高騰いたしておるわけです。これに対して輸出価格は一〇・八%、こういう数字になっています。したがって、昭和五十三年度二百四十円程度のベースで当初は推移してまいるわけですが、輸出価格の面では、もちろん昭和四十六年時代と同じような輸出価格の上昇はとうてい考えられませんけれども、この五十一年十一月から五十二年十月の一〇・八%、この程度の輸出価格の上昇、値上げというものは考えられるかどうか、この点の見解はいかがでしょうか。
  8. 宮澤喜一

    ○宮澤国務大臣 確かにわが国の産業の中には、ただいまの円レートをもってしましてもなお価格、非価格の競争力のある部分が幾つかございますけれども、御承知のように、それらの品物に対してはいわゆる輸出の事実上の規制がいろんな形で起こりつつございまして、全く自由に物が出せるという状況ではなくなっております。他方で、産地産業等を中心にして、いまのレートでは何としても契約をつくり上げることがむずかしいというようなものもございますから、結局、やや労働集約的な部門、これはなかなか急速にただいまのレートに対応できないのではないだろうか、そういう意味では、お挙げになりました過去の事例と同じような動きをするかどうかということは、やはり新しい要素が幾つかあるのではないかというふうに考えております。
  9. 岡田利春

    ○岡田(利)委員 先ほど伺ったように、輸出は数量ベースで横ばいの傾向ということでありますから、当然、海外経済余剰というものはマイナスの傾向に出てくることは明らかだと思うわけです。したがって、GNPの伸びは国内需要よりも当然下回って出る、これが昭和五十三年度はもう常識になってきておると思うわけです。したがって、国内需要に対する実質成長率、これを一体どう見られておるか、そしてまた同時に、五十三年度前期、後期に分けて、前期は財政主導型で経済運営をする、後期はそれをてこにして民間需要を喚起をして、そして七%の実質成長を達成をするというのが政府のお考えのようでありますけれども、そういたしますと、前期の経済成長は一体どのようになり、後期については実質成長は一体どのようになるのか、この点について説明を願いたいと思うのです。
  10. 宮崎勇

    ○宮崎(勇)政府委員 お答えいたします。  厳密に私どもは四半期別にやってございませんので、大体の傾向でございますが、国内需要は上期が三・八%、下期が三・七%で、大体同程度の成長率でございますが、海外需要の方は上期は五%、下期が三%ということで、全体のGNPの成長はそれぞれ三・七程度で、上期、下期同じでございます。ただ、この間に構成比と申しますか寄与率が、下期に至るに従いまして海外需要のウエートが小さくなってまいります。
  11. 岡田利春

    ○岡田(利)委員 そうしますと、五十三年度一年間を通じて、海外余剰を除外をして国内需要に対する実質成長率、これはどのように見られていますか。
  12. 宮崎勇

    ○宮崎(勇)政府委員 国内需要は、先ほど申しましたように上期が三・八%、下期が三・七%でございますが、寄与度といたしましては上期が三・六%、下期が三・五%という数字になっております。
  13. 岡田利春

    ○岡田(利)委員 海外余剰を除いて国内需要に対する実質成長率七・五%強ではないか、私はこういう一応の試算を承知をいたしておるわけです。そういう面から見て、輸出環境特に国際収支の面、なかんずく貿易収支の面では非常に警戒を要する態勢が依然として続く。わが国は外貨保有高も伸びておりますし、また今年度貿易収支も百億ドルを超すわけでありますから、そういう意味で考えますと、民間予測等を判断いたしますと、貿易収支では、政府は百三十五億ドル、民間では、最高で百七十九億ドル、最低で百五十三億ドル、大体百六十四億ドルから百七十六億ドル、こういう民間予測が実は出ておるわけであります。  そういう意味では、いま指標を伺いましたけれども、この輸出、輸入、国際収支の動向について的確に判断をし対応をしていく、こういう注意深い経済運営というものは、円レートの面から考えてもきわめて重要な課題である、私はこう考えるわけであります。  そういう意味で、私は、このような状況の中で円レートの動向について伺いたいのでありますが、これもまた民間の予測では、来年度は最低では野村総研の二百五十円、それから最高は二百三十円、その他で二百四十円から二百四十五円。政府の予測では一応二百四十五円。モルガン・ギャランティーは一ドル二百四十五円が最も適切であるという示唆を実はいたしております。だがしかし、世界が総フロートに入った約五年間の流れの中でマルクの上昇率、こういうものを考えてまいりますと、もし同じ幅だとすれば二百三十円前後、こういう数字が出るわけであります。もちろん、円レートの相場を政府が予測するということは非常に問題があるでしょうし、現在の円の価値についてどうか、前に総理も答弁されておりまけれども、非常にむずかしい問題ではありますが、しかし、もし五円違いますと大体二%ぐらいになるわけですね。そうすると、貿易収支で大体三十五億ドルぐらい違うわけであります。そういう意味で、円のフロートという問題はこれからの経済運営には非常に重要であると思うわけです。そういう点で、これからの円の動向について私は幾つかの視点を挙げたわけですが、この点について政府はどのような見方を一応されておるのか、あるいはまた所見があれば承っておきたいと思うのです。
  14. 宮澤喜一

    ○宮澤国務大臣 この点は、もう御質問の中にすでにお述べくださいましたように、ただいまのクリーンフロートの体制で申しますと、政府が円の相場を予断することは適当ではない、これは岡田委員がおっしゃいましたとおりでございます。このたび経済見通しの計算上二百四十五円を使いましたのは、せんだって申し上げましたけれども、見通しの一番近い月でありました昨年十一月の平均のレートを便宜使ったわけでございます。  今後のフロートというものをどう考えるかとおっしゃいましたけれども、これは先ほどから御指摘のわが国の輸出あるいは輸入の動向、両方がございますと思いますし、それからドルの、アメリカの貿易収支あるいは経常収支等々いろいろ複雑な要因がございますので、民間でもいろいろ議論のあるところであろうと思います。政府としましては、そのような予断は一切、今回の経済見通しあるいは経済運営を考えます上で、申し上げましたような理由からいたしておりません。
  15. 岡田利春

    ○岡田(利)委員 この際、総理に伺っておきたいと思うのですが、いま私は質問を四、五点してまいったわけですが、問題は、昭和五十三年度の経済運営に当たって、特に上四半期、四-六、四-七、いわゆる梅雨明けのころまで、この間のわが国の経済指標の動向、実勢値がどう動いていくか、きわめて重要だと思うわけです。総理は、すでに、機動的にこれらに対応していく、そういう意味では、もちろん公定歩合の問題もあるでしょう、あるいは早目にタイミングを逸せず何らかの政策をとる、場合によっては補正予算もやる、そして来年度七%近い成長率につないでいく、実はこう説明をされておるわけであります。そういう意味で、特に四-六ないし七の動向について、もちろん在庫調整の問題あるいは稼働率指数の問題もあるでしょう。そして貿易動向もあるでありましょう。そういう意味で、特に五十三年度経済運営についての姿勢といいますか、あるいは五十二年度を振り返っての五十三年度に対する一つの対応姿勢といいますか、こういう点についてひとつ伺っておきたいと思うわけです。  それと同時に、五月、日米会談が行われるわけですが、これはもちろん、日米の全般の問題について討議をされるでしょう。また当面は、経済問題についても重要な地位を占めるだろうと思うのです。なかんずく、通貨の安定なくして経済の安定はないわけでありますから、そういう意味では、アメリカではローザ構想なるものが提起をされて、今日アメリカ国内ではずいぶんいろいろな意見が出て、支持層がどんどんふえておる。そういう立場から考えますと、ドル、円、マルク、いわゆる共同フロート会議、そして一定の幅で固定させていくということは、総理としては非常に傾聴に値する意見である、こう言われておるわけですが、私は、この通貨の安定についても日米首脳会談で重要な課題になるだろうと思うのです。また、日米両国の責任も重大だと思うわけであります。そういう角度から、この際、総理の見解を承っておきたいと思うわけです。
  16. 福田赳夫

    ○福田内閣総理大臣 ことしの経済の動き、これにつきましては、すでに政府は政府の考え方を打ち出しておるわけです。問題は、この実効をいかにして上げるか、こういうことだろう、こういうふうに思います。  かなめは、とにかく、いま岡田さんの御指摘のように、海外環境はそう明るいわけではございませんものですから、輸出にそう多くを期待するわけにはいきません。どうしても内需になりますが、内需を財政を中心としてどういうふうに振興していくかということ。それから、国際社会に対しましてはやはり自由開放体制、これにつきましていろいろ論議があるわけでありますが、自由開放体制、自由貿易体制ですね、これにひびが入るというようなことになったらもう世界的な悲劇に通ずるわけです。そういうことを踏まえまして、わが国もわが国の世界に占める地位、立場、これを踏んまえまして、そういう、世界が悪い選択の方向をとるというようなことのないようにわが国としての最善の努力をする、それには諸外国へ呼びかけるということもあります。しかし、みずからがみずからの開放自由体制を進める、こういう問題もあります。両々にらみながらそのような道を進まなければならぬ、このように考えます。  そこで、いま具体的に御指摘のありましたいわゆるローザ構想です。私は、やはり世界が本当に安定して運営させるためには固定為替制がいいと思うのです。しかし、そこへいま急にというわけにはなかなかいかぬ。そうすると、中間段階としてこのローザ構想というものが意味があるんだろう、こういうふうに思います。ただしかし、このローザ構想といえども、いまのようにアメリカがなお大幅な赤字だ、日本が黒字であるという状態では、なかなか採用という踏ん切りはつき得ません。したがいまして、少なくともローザ構想のような考え方が取り入れられるような基盤づくり、これに向かって世界の主要な国々は努力をすべきである、また協力もすべきである、このように考えますが、日米首脳会談は、国会の方の御都合なんかも承りませんと最終的には決め得ませんけれども、もしそういうことになりますれば、そういう国際経済、国際通貨の問題なんかも日米両首脳の間の重要なる会談のテーマになるだろう、かように考えています。     〔委員長退席、山下(元)委員長代理着席〕
  17. 岡田利春

    ○岡田(利)委員 今日、為替管理も汚されたフロートである。わが国も一応部分的な為替管理の介入を実はいたしておるわけですが、一応これはさておいて、次に私は、総理が常に言う円高のメリットをどう活用するかという点について若干触れてみたいと思うわけです。  実は質問通告をしているわけですが、私はきょう、国民にわかりやすいようにひとつ聞きたいと思うのです。特に輸入の関係で非常にウエートの高い石油業界、電力業界、鉄鋼、高炉、紙パルプ業界。時間がありませんから、きょうは飼料関係とか小麦の関係は省きたいと思うのですが、一応これらの業界の場合、一円上がれば一体どれだけの円高差益が出るのか、この点、端的にひとつ説明願いたいと思うわけです。
  18. 河本敏夫

    ○河本国務大臣 円高の差益の一番大きく出ております業界は石油業界でありますが、石油は御案内のように九九・七%輸入をしております。ほとんど全部が輸入でありますが、その総額は二百億ドルを超えておるわけであります。したがいまして、円が一円上がりますと非常に大きな金額になります。
  19. 岡田利春

    ○岡田(利)委員 私はこれは念を押して、この国会でぱちんと答弁してほしい、こう言っておったのですが、さっぱり通産大臣が出てこないわけです。これは官僚の方の怠慢じゃないかと思うのですが、一応、大和証券等の資料から見ますと、石油業界、これはもちろん電力業界の分を除きますと一円上がって二百二億円、キロリッター八十五円。電力業界は二十二億三千万円。これから鉄鋼、高炉は十二億、紙パルプ業界は一億八千万、こういう数字が出るわけです。これは正しいですか。
  20. 橋本利一

    ○橋本(利)政府委員 私からは石油と電力についての円高メリットについてお答えいたしたいと思います。  石油につきましては、キロリッター当たり一円の円高について八十六円のメリットが出る。五十二年度の年間輸入量二億八千六百万キロリッターといたしますと、一円につき約二百五十億円のメリットが出てまいります。もちろん、これと相殺関係にあるコスト上昇ということも考慮する必要があろうかと思います。  それから電力につきましては、外貨建ての燃料費から試算いたしますと、一円の円高につきまして年間約三十三億円のメリットが出てまいります。
  21. 天谷直弘

    ○天谷政府委員 鉄鋼業についてお答え申し上げます。  鉄鋼業は原料炭、鉄鉱石、くず鉄等を輸入いたしておりますが、昭和五十二年度の見通しによりますと、その輸入額合計はおおむね六十八億ドル前後と見ておりますので、一円の円高が六十八億円の差益ということに相なります。ただし、鉄鋼業は反面百八億ドル程度の輸出をいたしておりますので、輸出の面では約百八億円の損失ということになりますので、差し引きいたしますと四十億程度の差損が発生するということでございます。
  22. 岡田利春

    ○岡田(利)委員 輸入品目のウエートをずっと見てまいりますと、それ以外に、たとえばビールの麦芽が自由化されていますから、これだとかあるいはホップだとか、これなんか大変な差益が出るわけです。あるいは飼料を扱っている日本農産工、これなんかも一円で一億程度の差益が出るのではないか。あるいは薬品業界では抗生物質を初め三分の一程度は原材料が輸入されておる。五、六%値下げが行われておるのですが、それ以上値下げが行えるはずだ。こういう点で、ウエートがずっとありますから、きめ細やかにやりますと、総理が言う円高のメリットを国民に還元することができるのだと思うのです。石油、電力の問題はエネルギー問題で、時間があればやりたいと思うのですけれども、政府は、この円高のメリットを国民に還元をするという意味では、もう少し組織的にきめ細やかにそういう体制をつくってやるべきではないか。どうも、それぞれ企業を通ってくると問題があって、これが消費者に直接還元にはなかなかならない。こういう点で皆消えてしまうわけです。国民は大変失望いたしておるわけです。だから、きめ細やかなそういう対策を積極的に具体的に個々に進めていく。これには各省の協力体制がなければだめだと私は思うのです。そういう点で、物価対策等についても経済企画庁を中心にしてやっておるわけですが、もう一段と力を入れるべきである、私はこう思うのですが、いかがでしょうか。
  23. 宮澤喜一

    ○宮澤国務大臣 わが国の輸入が非常に原材料に偏っておりまして製品の要素が少ないために、たとえば西ドイツなどに比べますと、円高というものがすぐ消費者につながりにくいという点はございますけれども、しかし、現実には卸売物価がこれだけ下がっておりますし、また原材料の値下がりというものは何かの意味で製品にはね返ってこなければならないわけでございます。西独ほど早くないという御指摘はそのとおりでございますが、やはり私どもとして具体的な品物につきまして実態調査、追跡調査をいたしまして、そして業界に対して、その利益の消費者への還元を求めるということは大切な行政であると存じております。したがいまして、ただいま、昨年の暮れから第二回目の追跡調査をいたしておりまして、その結果を間もなく国会にも御報告ができると思いますが、それに従いまして業界に呼びかけをしてまいりたい、また消費者にも知ってもらいまして、いわば啓発をいたしたいと考えております。
  24. 岡田利春

    ○岡田(利)委員 長官の言うことはわかるのですが、やはりもう少し行動的に政府が機動するように、さあ働こう内閣というキャッチフレーズがあるわけですから、そういう点をやはり重視をしなければ、この経済の動向に適確に対応できないのだと思うのです。  そういう点で、次の消費財の問題についても同様であります。まあ輸入の量が少ないから余りウエートがない、ない、こう言うのでありますけれども、そういう姿勢は私はまずいと思うのです。諸外国に対しても、そういう姿勢はよくないと思うのですね。やはり流通の関係でいろいろな問題がある。挙げればたくさんあるのですけれども、しかしながら、やはりそれを的確に国民が判断できるような、そういう情報を提供する、ルールをつくる、こういう方向を切り開いていかなければならないと思うわけです。  たとえば耐久消費財とか消費財の場合には一体CIF価格の公表ができるのか。そうすると国民はわかるわけですね、幾らで入ってきたと。あるいはCIF価格は企業の秘密に属すると言われるかもしれない。しかし、ある程度ウエートが少ないだけにCIF価格等は公表していいのではないか。どうしてもできなければ、その外国製品が相手国で、その外国で売られている値段、あとは運賃と関税だけですから、こういう値段で売られている、こういう情報を積極的に示すというような行動的な対策がとられなければ、言うだけであって、きれいごとで終わってしまうのではないかと思うのです。この点についてはいかがですか。
  25. 宮澤喜一

    ○宮澤国務大臣 厳密な意味で一つ一つの品物のCIF価格というのは、取引の態様によりまして異なりますので示せないかもしれないと思いますけれども、しかし、同じ条件である限りは、円が高くなりましただけ、少なくとも、これだけ下がっておるはずだということは、これは言えるはずでございますので、その辺のことは、やはり消費者にも知っていただく必要があるであろうと私は思います。
  26. 岡田利春

    ○岡田(利)委員 ぜひ具体的な対応をやってもらいたい。  総理、この点は経済企画庁とか物価対策だけではなくして、円高メリットの問題を一体どう国民に還元をするかという点で、やはり各省の連絡会議といいますか、そういうものをつくる必要があるのではないかと思うのですが、いかがでしょうか。
  27. 福田赳夫

    ○福田内閣総理大臣 御承知のように、わが国の輸入構造は、工業品はわずかに二割ぐらいなんです。あとは第一次産品といいますか原材料、そういうものになりますものですから、この八割の原材料につきましては、さあ円高メリット、目に見えるようにという措置が非常にむずかしいわけですね。原材料は安くなるのですが、それが転々として最終需要になるわけですから、その問いろいろな変化がありますので、最終価格にどういうふうに円高メリットが反映されるかということが非常に捕捉困難でありますが、しかし、やはり円高メリットは総体としては非常に顕著に出てきておるわけであります。卸売物価水準が前年同期水準に比べましてマイナスになっているのですからね。これなんかはかなり円高メリットが響いておる、こういうふうに見なければなりませんし、また、政府が公共料金として関与する電力料金でありますとかガス料金、これはことし、ちょうど、この前、価格改定、料金改定をしましてから二年たちますので、常識的には改定期になっておるのですが、これは円高ということを踏まえまして、少なくとも一年間は改定を凍結する、こういうことができるようになりましたことは、これまた円高のメリットである、こういうふうに考えます。  それから、問題は製品なんですが、これはもう端的に円高メリットがあらわれて、国民にも、こうなったなあというふうな印象を与え得る部類に属するわけでありますが、これにつきましては実地調査をいたしまして、それで、どういうふうに円高メリットが出ておるか、これを大体つかみ、それの上に立っていろいろの行政指導をしておる、こういうことをしておるわけであります。いま第二次の製品の価格動向調査をしておりますが、これは昨年の九月末からの急激な円高、それがどういうふうに反映されているかということを捕捉できる、そういう性格のものでありますが、これなんかできましたら、それを踏まえまして、できる限りの努力をしていきたい、かように考えます。
  28. 岡田利春

    ○岡田(利)委員 特に円高の問題の、メリットを還元する意味とは若干違いますけれども、今日、国際電話料金やあるいは日本航空の国際線運賃の問題が非常に問題になっておるわけです。これはいずれも、国際電気通信連合、ITUの条約、協定がある、あるいはまた国際線についてはIATA、国際航空運送協会の協定がある、こういう事情の違いは私は承知をいたしておるわけです。しかし、世界が総フロート時代に入ってもう五年近くになって、ここまで円が強くなってきた、マルクも強くなってきた、そういう中で、なおかつ旧態依然とした協定、これに唯々諾々として従っておるというのは、国民は理解ができないわけです。やはり、わが国の立場は、この協定を積極的に改定をする、こういうことが大事であり、そういう意味では運輸省あるいは郵政省が具体的に一体どう対応されておるのか、この機会に明らかにしていただきたいと思うのです。
  29. 福永健司

    ○福永国務大臣 ただいまの御質問の中で私どもに関係いたします部分といたしましては、第一に御指摘の飛行機の料金等につきまして、昨年末ごろに、とりあえず日本航空につきましては、いま御指摘のようなことも考慮に入れまして四%引き下げをやらせました。しかし、御承知のように、たとえば日本航空をとってみますと、円で切符を売る、こういうことではございますが、同時に日本航空は円払いで約七〇%くらいなものを支払っているようでございます。こういうこと等を考慮いたしますと、切符全体がそれでごそっとというわけにも、なかなかいかないわけでございますので、まあとりあえず、いま申し上げたような措置をとったわけでございます。  一方において、逆に、それぞれ出発地で切符を買うということになりますと、ドルやポンドで払った方では、これはある意味で、その方の料金の値上げもしてもらうということが伴えば、さらに一層徹底するわけでございます。いま、そういうことにつきましても、いろいろ折衝等もさせておりますが、この方はなかなか簡単に進まないわけでございますが、しかし、いま仰せのごとき考えを頭に置きまして今後も対処してまいりたい、そういうように考えております。  なお、先ほど四%下げさせたと言いましたが、これもさらに今後のいろいろの事情を考慮いたしまして、その上での善処もいたしたい、そういうように思います。
  30. 服部安司

    ○服部国務大臣 お答えいたします。  国際電気通信料金は、御承知のとおりに国際電気通信連合、略称ITUと言っていますが、ここで協定がされておるわけであります。この条約によりますると、金フラン建てで定められておりますので、為替相場の変動には影響がございません。したがって、すべて料金決済が安定しているという利点があるわけであるが、一面また、御指摘のように通貨変動の激しい昨今では、利用者が支払う通信料金に国によって差が生ずるという難点もあるわけでございまして、こういう二国間の関係において払い超、入り超、それぞれの場合に損得が異なるという複雑な関係になってまいります。  そこで現在、国際間におきましても、各国通貨が変動相場制のもとに置かれている現状にあって、このままの金フランを維持することは適当ではないという観点から、国際電気通信連合においても、金フランにかわる新しい国際電気通信料金単位の検討が行われているわけでございます。何分、国際間の利害の錯綜する問題でございますので、多少の時間はかかると思いまするが、政府といたしましては積極的にこの問題と取り組んでまいりたい、かように考えている次第でございます。
  31. 岡田利春

    ○岡田(利)委員 情勢が変わっておれば変わった情勢に対応する、このことも大事であります。どうもおっとりしていて非常に消極的ではないか、こういう印象を国民は持っておるわけでありますが、時間がありませんから、このことを強く要望しておきたいと思います。  次に、先般、塚本委員の質問に対して大蔵大臣のお答えもありましたが、歩積み両建ての問題、これはいわゆる狭義の拘束預金なわけです。だがしかし、今日、中小企業の関係の拘束預金の実態は、公取で毎年調査をいたして発表いたしておりますように、事実上引き出せない、いわゆるにらみ預金、こういう拘束預金が存在をしておりまして、大体これが四四・九%、貸付額に対して一一・三%。歩積み両建ての方は貸付額に対して二・二%でありますから、むしろ、この実質上引き出せないにらみ預金の方が重要であるわけです。そういう意味で、にらみ預金の場合は、歩積み両建てと同じように何らかの措置をとらなければならない段階に来ているのではないか、私はこう思うわけです。この点について大蔵大臣の御答弁をいただきたいと思います。
  32. 村山達雄

    ○村山国務大臣 岡田委員おっしゃるように、狭義の拘束預金につきましては、再々の対策によりまして、現在、金融機関の報告によりますと一・三%まで下がっております。特にこれは、預金の金利措置が大きく効いていると思っているのでございます。  いまや問題は、おっしゃるように、にらみ預金に来ておると思うのでございますが、このにらみ預金がどうして出るか、いろいろ部内でも議論し、それから金融制度調査会等でも議論しているわけでございますが、大まかに考えまして大体三つぐらいあるのじゃなかろうか。その一つは、金融機関が自分の採算の上からやるという場合が考えられます。それから二番目は、今度はむしろ債務者の側で、自分の将来の経営戦略のために預金をよけいやっておいてメインになってもらいたい、こういう債務者の側の場合も経営戦略上考えられるわけでございます。第三番目としては、債務者と債権者、ちょうど両方の利益が合致するという場合が考えられる。つまり普通にいきますれば、その信用状況からいってもう少し高い金利でなければならぬけれども、それはやはり、いろんな他の方面に対する信用問題がありまして、それにかえて若干拘束する、こういう問題と、原因がいろいろ考えられるわけでございますが、われわれといたしましては、やはりその債権者の利益から来る分、これが過当であろうということでございまして、その辺の取り締まりを徹底的にやっておるところでございます。  いまやっておりますのは、少なくとも、いつでも引き出せるということを契約上はっきりすること、それから貸付金と相殺ができるということを明示すること、それから、われわれ銀行局といたしましては抜き打ち検査をいつでもやりますよ、そして場合によっては経営者の責任を問いますということを、はっきり通達いたしているのでございます。  このにらみ預金というものは、銀行からとりましてもなかなかわかりません。したがってアンケート調査で、逆に借りている方からとっているわけでございますが、いまだんだん下がってきておりまして、いま一〇%を切っているところになっているわけでございます。しかし、その原因が、さっき申しましたような債務者の利益に適合するものもあるだろうし、債権者の利益に適合するものもあるだろうし、あるいは両者の話し合いでやっておるものもあるということでございます。したがって、われわれは従来の取り締まり方針をさらに厳重にいたしまして、少なくとも債権者の利益によるにらみ預金を極力減らしたいということで、目下鋭意、監督を強化しておるところでございます。
  33. 岡田利春

    ○岡田(利)委員 これは論議すると相当時間がかかります。特に、この点は中小企業にとっては非常に重要な課題でありますので、さらに一層の、ひとついま大臣の言葉どおりの対策をお願いいたしたいと思います。  また最近、銀行の為替手数料あるいはまた銀行の一般公共料金の手数料の値上げについて、コスト水準まで上げるんだと簡単に言いますけれども、結局これが公共料金にはね返ってくるという意味では、国民の側でも非常に注目をいたしておるわけです。したがって、預金獲得のためにこういう制度を始めて、しかも電話料金のごときは無料でやっておるわけですからね。そういう意味では非常に慎重を要すると思うのです。この点、私は特に銀行経営の動向から、一挙にコスト水準まで上げるという乱暴なことは抑制すべきだと思うわけです。これは答弁要りませんから、ぜひ、そういう点を考慮して指導されるように大臣に申し入れをいたしておきたいと思います。  そこで、時間がありませんので残念ながらずっと飛ばして、ひとつ公共投資の問題について、雇用と絡めてお伺いをいたしておきたいと思います。  特に治山治水事業あるいは道路事業というのは、公共事業の約五〇%を占めておるわけです。そこで、長男坊としての建設省では治水と道路の関係についてはどうか、こういう点で資料を要求したのですけれども、残念ながら昭和五十年度の資料が出てきた。用地の場合には五十二年度の資料なんですけれども、これによりますと、昭和五十二年度全事業のうち用地補償費は二五・二%、治水が一六・四%、道路は二七・七%、また本工事費の関係については、全事業で言いますと直接費が七三%で労務費が二三%、資材が四二%、その他八%、間接費が一六%、一般管理費が一一%、こうなっておるわけであります。時間がありませんから私の方から数字を申し上げたわけであります。そういう意味では、最近、道路は特に乗数効果が二・二あるなどと言われておるのですが、私は、この点についても非常に疑問を感じておるわけです。  ただ問題は、前にも多賀谷委員から質問して、公共事業費が一体どれだけの雇用造出の効果を持っておるのかという質問に対しては、いずれ、これは資料で説明をいたしますということで終わっておるわけです。公共事業推進の対策本部を引き受けている大蔵大臣として、この多賀谷質問に対する資料の提出は一体いつまでにできるのか、この機会に明らかにしてもらいたいと思います。
  34. 村山達雄

    ○村山国務大臣 前回、多賀谷委員からその問題がございまして、非常に困難な問題でございますけれども、いま関係省庁、何とかひとつ推計しようというところで鋭意作業中でございまして、できるだけ早い機会に提出したいと思っております。
  35. 岡田利春

    ○岡田(利)委員 できるだけ早い機会にと言って、いつになるかわからぬ、これではちょっと困るので、相当時間がたっているのです。一日からもう一週間たっているのですから、めどを示してもらいたいと思うのです。
  36. 村山達雄

    ○村山国務大臣 いま聞きますと、大分作業が進んでおりまして、近日中にお出しできるのじゃないかということでございますので、どうぞ御了解いただきたいと思います。
  37. 岡田利春

    ○岡田(利)委員 私は、ぜひ総括質問の終わるころまでには出してもらいたいということを強く要望して、これは後から理事会の方でやってもらいたいと思います。  そこで、いま私が申し上げました用地補償費あるいは本工事の内容、直接費その他についての数字は、五十三年度も大体これと同じである、こう理解していいかどうか、建設大臣から御答弁願いたいと思います。
  38. 櫻内義雄

    ○櫻内国務大臣 いま、しっかりした資料はございませんが、おおむね先ほどお示しの見当である、このように考えております。
  39. 岡田利春

    ○岡田(利)委員 わが国の完全失業者の把握というのは、大体三万三千戸程度の世帯を調査をして、そして完全失業者数を出しておるわけですね。大体アメリカ型なんですが、しかし、アメリカでは、一週間十四時間以上働かない労働者も完全失業者数に入っておるわけですね。ここがアメリカと日本の違いである。もちろん、ヨーロッパはまた違いがあるわけであります。そうしますと、わが国の一週間十四時間以上働かない労働者数というのは、実に四十二万人おるわけですね。たとえば三月、百三十万人もし完全失業者になるとすれば、百五十万という説もありますが、プラス四十二万が、わが国のアメリカと比較する完全失業者数であるわけですね。そういう理解をしなければならぬわけです。そういう点から考えると、わが国の失業率というものは他に比べて二%程度だという比較は、余りにも統計的な見方であって、生きた見方ではないと思うのです。こういう点をやはりもう少し変えて物事を考えなければいかぬのではないか。  あるいはまた日雇いが、わが国の場合には実に百四十一万人おる。臨時についても二百二十二万人がおる。こういう動向であります。  特に私が注目しておりますのは雇用保険、これは特に特別給付の五十日分の数字でありますが、五十一年の十二月から五十二年の十二月、ずっと傾向をとってまいりますと、七十万近い給付を受けておる方がおって、そして七十万近い人は一体どこで発生しているかということを見ますと、寒冷地五級――寒冷地五級というのは北海道、東北六県、北陸ですね。この一道十八県、ここが大体六十三万人、ですから九〇%近いわけですね。その六十三万人のうち、さらに二十九万一千人というのは北海道なんです。約四六%、これが北海道なんですよ。ですから、五十日の失業保険を受けておる人々は寒冷地五級に圧倒的に、九〇%近く偏在しておる。その半分が北海道なわけですね。  あるいはまた求人倍率で見ますと、これも先般問題になりましたけれども、沖繩は実に〇・〇八%、最低であります。福岡で〇・二八%、秋田が〇・二九%、青森が〇・二八%、北海道が〇・三一%。高いところでは長野、岐阜、静岡、栃木、愛知。愛知が最高で一・四四。労働力は売り手市場であります。だからボトルネックといいますか、労働力の面ではそういう傾向が出る可能性はこの資料によっても裏づけられておるわけです。  だが、公共投資の場合には一定の計画でやっているんだ、きわめて機械的でありますから、こういう雇用の非常に困難な地域に、ある程度考慮を払うという措置がどうもとられていない。私は、これからの経済の動向を考えますと高度成長は考えられないわけですから、やはり人間を中心にして雇用の面を的確に把握して考えたい。もし、これが公共投資でできないとするならば、社会党も提案しているように直接雇用を考えなければいかぬのではないでしょうか。たとえば炭鉱のような場合、あの福岡の筑豊地帯というものはどうにもならぬ。だから、緊急就労もあれば、開発就労もあれば、特開就労もある。こういう形で、その地域で直接雇用する方法をとっておることは御承知のとおりなわけです。だから、公共投資でそういう対応ができなければ、そういう措置も併用する、こういう一つの雇用政策がこれからとられなければならない、私はこう思うわけです。  そういう意味で、今後、予算編成に当たって、特に公共投資の本部長でありますから、大蔵大臣はそういう雇用の面を十分前提にしながら、前に置きながらそういう点を考えていく、このことを言明できますか。
  40. 村山達雄

    ○村山国務大臣 今度の公共事業の大型のものは、たびたび申しましたように本当に思い切ってやったわけでございまして、もちろん、成長率というものを一つの目的にしておりますが、そのうちの一番重要な部分がやはり雇用の問題でございます。ただいま岡田委員がおっしゃったことも当然留意いたしまして、各省庁と連絡をとりながら、その辺に十分に配慮してまいるつもりでございます。
  41. 岡田利春

    ○岡田(利)委員 特に労働省は、もう少し多面的ないわゆる労働力の分布状態といいますか、休んでいる労働力、働いている労働力ですね、こういう点の資料のとり方について一段と工夫する必要があると私は思う。やはり資料が常に生きていくような、そういう積極的な姿勢が労働省として必要であり、また関係各省や大蔵省に対してもそういう資料に基づいて積極的な提言をする、こういう姿勢が必要だと思いますので、これは答弁要りませんから、要望いたしておきたいと思います。  時間がありませんので次の課題に入りますが、北方領土の関係に移りたいと思います。  外務大臣にお伺いいたしたいのですが、今回の日ソ外相会談で大臣は、日ソ善隣友好条約については向こうが出したから、何も受け取ったのじゃない、持ってきた、こう言われているのですが、少なくとも外交上そういうようなことが通るのだろうか、一体どういう認識でおられるのか、どういう措置をするのか。     〔山下(元)委員長代理退席、委員長着席〕 同時に、共同声明が出されなかったということは、自民党政府が言うように、田中・ブレジネフ会談、この共同声明、これで領土の問題は未解決だとはっきり確認をしている。そこまでの共同声明も出せなかったのは一体どういうことなのか、もう一回振り出しに戻ったという印象が非常に強いのですけれども、この点について承っておきたいと思います。
  42. 園田直

    ○園田国務大臣 共同声明につきましては、平和条約締結交渉、これは継続することに合意を見たわけでありますが、その他のほとんどは合意をいたしましたが、その起点である四島一括返還、いわゆる共同声明の中の未解決の問題を解決をして平和条約を締結する、その個条にわが方と向こうと同意ができなかったわけであります。  そこで私は出発直前から、この点が同意できなければ共同声明または共同新聞発表はしなくともよろしい、こういうように考えておりましたので、こちらの方から、その点が明記されなければあえてこちらは共同声明または共同新聞発表は必要としない、こういうことを通告したわけでありまして、それを書かずに共同声明を出しますと田中・ブレジネフ声明が消えたことになりますから、これは当然発表されて、文章となって、日本にはもちろん、世界各国が知っていることでありますから、これはあえて共同声明を出さなくても有効である、こういうことから共同声明を出すに至らなかったわけであります。  それから善隣友好条約は、その議論の最中に突如として向こうが善隣友好条約案を私のところへ持ってきたわけであります。そこで、私はその場で、善隣友好条約は、未解決の問題を解決をして平和条約を締結した後出てくるのが善隣友好条約であるから、平和条約が締結されれば直ちにこれは取り上げるけれども、ここでわれわれは検討するわけにはいかない。まあしかし、私のところへ持ってこられたから突っ返しはしない、そのかわり私の方も平和条約の案を届けます。こういうことが当時の結末でございます。
  43. 岡田利春

    ○岡田(利)委員 この問題は、さらに同僚委員から質問がありますのでこの程度にしまして、私は、北方領土の法的な地位は一体どうなのか、ずっと調べてみますと歴史的に不明確さが非常にあるわけでございます。したがって、この際、政府の統一見解として、北方領土の明確な法的地位について明らかにしていただきたいと思います。
  44. 園田直

    ○園田国務大臣 お答えをいたします。  一九五六年の国交回復に際し、領土問題が解決を見なかったために平和条約が締結されるに至らず、共同宣言の発出にとどまった経緯及びその後今日に至るまでの平和条約交渉が継続されている事実、さらに先ほど指摘されました田中・ブレジネフ共同声明その他の問題から、北方領土問題が未解決のまま現存している事実はいささかも変わりがありません。そこで、この法的の問題については、歯舞、色丹、国後、択捉の北方四島は歴史的にも法的にもわが国固有の領土であり、サンフランシスコ条約でわが国が権利、権原及び請求権を放棄した千島列島には含まれない。したがって、わが方としては北方四島の一括返還、こういうことになっているわけでございます。
  45. 岡田利春

    ○岡田(利)委員 その見解は承知をいたしているわけです。問題は、そうしますと、この北方四島についてはわが国の主権があるのかないのか、領土権があって主権がないというのか、その点、はっきりしてほしいと思うのです。その法的地位を。
  46. 宮澤泰

    ○宮澤政府委員 北方四島につきましては領土権、すなわち主権を日本が持っておりますが、その実際の行使が妨げられているという状態でございます。
  47. 岡田利春

    ○岡田(利)委員 そうしますと、自治省の交付金の算定基準に、北海道の面積の中に北方四島が入っているわけですね、根室市の面積の中には歯舞、色丹が入っているわけですよ。これはもう主権の行使じゃないですか、施政権の行使じゃないですか、この部分については。そう理解するのは無理でしょうか。
  48. 宮澤泰

    ○宮澤政府委員 わが国固有の領土でございますから、面積の中にこれを勘定いたすことは別に不思議ではございません。(岡田(利)委員「主権の行使は」と呼ぶ)主権の行使は、施政権の実際の行使は妨げられておるという事態でございます。
  49. 岡田利春

    ○岡田(利)委員 面積の算定で交付金の算定基準に入れてお金を出しているわけですから、この点は少なくとも施政権の行使じゃないですか。違うのですか。どうなんですか。わからなかったら、統一見解をはっきり出してもらいたいと思うのです。
  50. 大森誠一

    ○大森政府委員 先ほど外務大臣から申されましたように、わが国としてはこれら北方四島に対する主権を放棄していないわけでございます。そのわが方の立場を堅持するという立場からすれば、わが国の主権の及ぶ範囲にその領土の面積を算入するということは、いささかもわが国の立場と矛盾のないところと考えます。
  51. 岡田利春

    ○岡田(利)委員 総理、どうですか。いまも述べられたのですけれども、結局、面積が算定の基準に入っている、このことは主権の行使、いわゆる施政権の行使、こう私は理解するわけですよ。そういう理解でよろしいですか。
  52. 大森誠一

    ○大森政府委員 わが国がこれら北方四島に対しまして主権及び施政権を有しているということは、従来から堅持している立場でございます。そのわが国の立場からする主権あるいは施政権の行使ということ、それが現実には妨げられているか否かは別といたしまして、わが国の立場からこれらの領土の面積をわが国の全般の面積の中に算入しているということは、わが国の基本的立場と全く合致するものと考える次第でございます。
  53. 岡田利春

    ○岡田(利)委員 結局、そういう意味では主権があり、行使できる面については行使をしているということになるのだろうと思うのです。したがって、北方四島についてはいわゆる主権の行使が妨げられている部分が非常に大きいわけですから、この国内法の適用はしたがって除外をされているのだ、こういう認識でよろしいですか。
  54. 真田秀夫

    ○真田政府委員 先ほど来政府側からお答えしておりますように、北方領土、いわゆる北方四島につきましては、いずれもわが国の主権はあるというのがわが国の年来の変わらない主張でございまして、主権はある、これは法律上あるというふうにわが方は主張しているわけ、ただ、現実の行政なり司法権なりの行使そのものは、これは事実問題として妨げられておる。だから、法令の適用は現実には働いておらない、こういうふうに御理解願いたいと思います。
  55. 岡田利春

    ○岡田(利)委員 したがって、結局、妨げられておるから、わが国としては主権が存在しているわけですから、わが国の国内法の関係は適用除外だ、こういう解釈になるのでしょう。そこで、そういたしますと、北方領土のわが国の国民の財産あるいは権利、これらについては厳然としてやはり存在している、こう解釈するのが当然だと思うのですが、いかがでしょうか。
  56. 園田直

    ○園田国務大臣 御指摘のとおりであると考えます。
  57. 岡田利春

    ○岡田(利)委員 そういたしますと、もう戦後三十三年を経過して、政府は昭和三十六年に北方地域旧漁業権者等に対する特別措置法、その後四十四年に法の改正が行われて、いま北方領土問題対策協会、こういう形でこの人々の立場、地位に対して一応一つの措置をとってこられたわけであります。しかし、現実には一万六千七百四十五人、権利者はそれ以外に二千名程度おられるわけでありますが、この財産権あるいは漁業者の権利、これらについてはもう一歩進めた何らかの適当な措置をとる段階に来ているんじゃないか。旧島民の方方はもう千五百名程度亡くなっていますからね。これを百年たってもこのままにしておくのだということではいけないのじゃないかと思うのですね。この点についてどう考えられておるか、見解を承っておきたいと思います。
  58. 真田秀夫

    ○真田政府委員 漁業法のお話でございますが、漁業権につきましてはまた一つ特別な事情がございまして、つまり、現在の漁業法は御承知のとおり昭和二十四年に制定されたわけでございますが、終戦当時の時点においては明治四十三年の旧漁業法が施行されておりまして、そして、その旧漁業法によって北方四島の周辺にも漁業権が設定されておったのだろうと思います。ところが、終戦後の昭和二十一年の一月二十九日に例の有名な行政分離のスキャッピンが出まして、実は歯舞、色丹、北方四島を含めまして分離されてしまって、日本の行政上及び政治上の権力の行使はまかりならぬ、日本の法令は現実に適用できないということに相なったわけでございます。したがいまして、その行政分離によって、旧漁業法に基づく北方四島周辺の漁業権は実はそこで行使できないという状態に相なった。先ほど申しましたように、昭和二十四年に現在の漁業法が制定、施行されまして、そしてその際に漁業法施行法が同時に制定されて、旧漁業法による漁業権が新漁業法、つまり現行の漁業法による漁業権に乗り移るといいますか、移行するといいますか、そういう措置がとられたわけですが、その時点においては、先ほど申しましたように、行政分離で日本の法律は向こうに適用できないという状態でございましたので、その北方四島の周辺の漁業権はいまの漁業法に乗り移るというようなことはもちろんできない。つまり、スキャッピンが出て行政分離されたその時点において、旧漁業法に基づく北方四島周辺の漁業権はそこで消滅したというふうに解釈しております。
  59. 岡田利春

    ○岡田(利)委員 私は、その解釈も後から出てきた解釈で、どうも歴史的経過を無視しておるし、三百代言的な傾向があるのじゃないかと思うのです。  昭和二十一年一月二十九日にGHQの覚書が出て、これはもちろん、小笠原あるいは沖繩、これらの点についてマッカーサー・ラインが引かれたことははっきりいたしております。そして昭和二十五年三月に新漁業法が施行された。しかし、旧漁業権の執行期間は昭和二十七年の三月十四日まであるわけです。したがって、小笠原の場合であってもそれまであったんだ、異議の申し立てをしておるわけですから。東京都に対しては昭和二十七年までありましたと。だが、それが切れたので、これは権利がありません、こう言われておるわけです。  ただしかし、北方四島の場合にはずいぶん解釈の食い違いがあって、随時見解が修正をされ、今日こうしたような見解が明らかになっておるわけです。その見解から言えば、一貫してわが国の主権の存する領土であるということを言われておるわけでありますから、しかも漁民の場合には、この新漁業法施行に当たって、特にこの場合にこの問題についてはどうするかという異議の申し立て、見解の照会をしておるわけです。これに対して政府は、これはいずれ国際関係が安定した中で、問題が解決できる状況の中で処理をされる、こう説明をいたしておりますし、昭和三十六年の法律審議に当たっても、これはそういう地位にかんがみてこういう措置をするのであって、漁業権の補償でもないし、いずれまたそういう段階が来れば、その地位にかんがみて補償という問題あるいは補償に準ずる問題というものの措置がとられるであろう、こういう一貫した流れがあるわけですよ。そう考えますと、北方領土、これはわが国の一貫した主権の存する領土であるとすれば、問題は、国内法が適用できないんだ、いまでも施政権が適用できない、適用除外になっているんだ。だから、その権利は潜在的に存していて、北方領土が返れば当然その権利者に返さなければならないわけですよ。その権利が認められなければならないのではないのでしょうか。この点いかがでしょうか。一貫性でひとつ御答弁してもらいたい。でなければ改めて……。
  60. 中川一郎

    ○中川国務大臣 漁業権は水産庁、農林省の権限でございますので、判断は、いま法制局長官が申しましたように、昭和二十一年のGHQの指令に基づいて、行政分離によって行政権はなくなった。なくなった瞬間にこの権利はなくなる。それで、昭和二十四年の新しい漁業法のときには、漁業改革に基づいて旧漁業権を買い上げる、そういう行政が北方四島についてはできなかったということで、新漁業法にいう買い上げの対象にはならなということでございます。しかし、そういった事情もありましたから、昭和三十六年に特別法をつくって、約十億円、当時とじては相当な額を北方協会に出資をして、その金の運用によって経営なりあるいは生活の安定を図るという臨時措置を講じたものであり、それでは今後もしこの四島が返ってきたらどうなるか、これは、その場合でも権利保障ではなくして、当時持っておりました漁業権益というものを尊重しながら新しい権利を与えるか与えないか、こういう判断の問題になっていく、こう解釈をいたしているところでございます。
  61. 岡田利春

    ○岡田(利)委員 政府がそういう見解を正式に決めたのはいつですか。政府の見解は、歴史的にずっと調べてもそういう点については不明確なんですよ。北方領土の問題だって、池田・フルシチョフ書簡の数度の交換があって初めてはっきりしてきた。したがって、いまさらさかのぼってそういう見解をとるということは、国民の権利に対して政府として無責任だと私は思うわけですよ。そういう歴史的な経過というものをもう少し考えなければならない。後から水産庁がそういう見解を決めたから、だからそうである。それは、あの昭和二十年からずっと一貫した、サンフランシスコ平和条約、日ソ共同宣言、そういう歴史的な経過から見ても、ずっと後に決めた見解でしょう。三十六年のときに私も審議に参加したが、そのときはそういう統一見解は出ていないですよ。そのときは水産庁から、今度京都から出た参議院議員の林田さんが出て答弁をしている。そういう記録をたどってみると、それは後から水産庁が決めた見解ですよ。これは少し乱暴だと思うのですね。いつ決めたんですか。
  62. 中川一郎

    ○中川国務大臣 いつ決めたか、私は最近農林省に入ったのでございますけれども、法律、制度、覚書等をずっとさかのぼって善意に解釈しても、それしか出てこないのではないか。そういう実態もありますから、当時、岡田先生が代議士になられた当初、十億、そういうことで、補償するという見解が出ないためにああいう暫定的な措置を講じて対処をしたということでございますから、もしそういう、岡田委員のような見解が出るならば、その昭和三十六年の段階において補償ができたものだろう。そういう見解ができないからああいう措置をとったということから見ても、そう新しいものではなくて、従来からの考え方であろう、こう見て差し支えないと存じます。
  63. 岡田利春

    ○岡田(利)委員 私は、この問題だけ論議しておると時間が非常にかかるわけですが、たとえば重光外務大臣の答弁、あるいはまた下田条約局長の当時の見解、こういうものをずっと歴史的に調べてまいりまして、この見解が出てきたのは、昭和四十二年に初めて、国会での質問に対して政府は見解として答えている。それ以前は、小笠原の問題があるから、このときに同様の答弁が出てきた。これは小笠原に対して出てきておるわけですよ。そうして小笠原に対しては六百ドルの見舞い金が出てきている。これが見舞い金として給付されたという経過があるわけです。ですから、これは先ほどの問題と非常に関連のある問題なわけですね。そういう立場からすれば、もう少し統一的な見解というものをぜひ改めて示してもらえないか。これは今後の問題として非常に重要だと思うわけですよ。あわせて、旧島民の財産が残っておるわけでありますから、これは一体どういう法的地位にあるのか。これは委員長にお願いしたいのですが、文書でひとつ統一的な見解を出してもらいたいと思うのですが、いかがでしょうか。
  64. 中野四郎

    ○中野委員長 文書で統一見解、できますか。
  65. 中川一郎

    ○中川国務大臣 この問題は、私も岡田委員と同じ選挙区でございますから非常に関心の深い、立場をかえれば同じような質問をしたくなることでいままでもやってきたところでございますが、確かに、権利の問題にしろあるいは財産権の問題にしろ、これが復帰になったという場合にどう処理するかということはいろいろある問題でございます。たとえば拿捕船の問題も、これは日本の権利のあるところで拿捕したんだから不当拿捕である、だから、もし返ってきた場合は請求権はわが国にある、こういう立場でございます。しかし、現実、返ってこないので、百年待っても来ないじゃないか、そのうちに亡くなる人も出てくるというので、たとえば韓国で李承晩ラインの問題で、返ってきたときに請求権を放棄してわが国がこれを代理払いをした、こういう観点もありまして、そういった拿捕船については、返ってこないということに着目をして、ああいう七十億、ちょっと欠けましたけれども、一時的補償をした。同様に、この漁業権ないしは財産権について、将来ともに返る見通しがない、当分の間ないというならば、何かこれを処置するかしないかはこれからの政策判断であって、議論はしなければなりませんが、やらなければならない問題である、こういうものではない、こういう見解はそう間違った見解ではない、こう思う次第でございます。
  66. 岡田利春

    ○岡田(利)委員 私は、法律論と政治論の立場から言って、拿捕後の漁民に対してはすでに補償を払ったわけですね。これは一応本当は、本来であれば安全操業ができるという体制を前提にしている。これは李ラインの場合もそうなわけでありますけれども、決まったから払ったわけですよ、補償したわけです。そこにもやはり、先ほど中川大臣が答弁しておるように、もう亡くなっている人もたくさんおるし、三十三年たったら、生まれた子供はもう三十三歳ですよ。三十歳の人が六十三歳、五十歳の人は八十三歳ですよ、三十三年間経過しておるわけですから。そうしますと、政治論の立場から言っても、これらについては何らかの措置はとらなければならぬではないか。もちろん十億円というのは、昭和二十五年の金でもし漁業補償を当時したとすれば七億五千万程度であった、こういう点での参考です。十年たった三十六年に、十年前の七億五千万を基礎にして十億という金を池田さんがつくったわけですから。そういう意味では、やはりこの問題については当然、前段の北方領土に対する法的な地位からかんがみても、政治論の面から何らかの措置をとるべきではないか、こういう感じがするのですが、総理大臣の見解を承っておきたいと思います。
  67. 稻村佐近四郎

    ○稻村国務大臣 お答えいたします。  漁業権については農林省所管でありまして、また法制の問題については法制局長官が申し上げております。ただ問題は、二十一年一月二十九日、行政分離処置ということで消滅をいたしました、その関係から補償をするということができない、こういうような関係から、総理府といたしましては融資の制度と申しますか、もと居住をしておられた世帯……(岡田(利)委員「わかっておる」と呼ぶ)わかっておりますか、これに融資の道を広げておるということであります。  以上であります。
  68. 岡田利春

    ○岡田(利)委員 総理大臣、先ほど言ったように、十億という金を池田内閣の当時出して、これは約十億、そのうち七億五千万は、昭和二十五年にわが国の漁業法改正に補償した額を一応めどに計算すれば七億五千万である、十年前の金の値打ちですね。そして、この金の利子を運用して一応の援助措置をとってきたという経過なんです。これは小笠原の場合には大変な金です。二十二億くらいなんですね。昭和三十七年、見舞い金が出ておるわけですよ。人数からいっても問題にならないわけですね。こちらの方は全部では一万八千八百八十九人、島民だけで一万六千七百四十五人いたわけですから。ですから、やはり何らかの措置をその地位にかんがみてとるべきである。そういう検討段階に私は来ていると思うのですよ。検討の結果がどうなるかは別にして、ぜひこの点は政府として検討してもらいたい、こう思うのですが、いかがでしょうか。
  69. 福田赳夫

    ○福田内閣総理大臣 いわゆる北方四島から引き揚げた人の処置につきましては、もう時間も経過したこともあり、その間政府がとった措置もあり、もう大体これで解決済みというような感じを私はずっと持ってきたわけでありますが、政府として残っておる問題は何だといいますれば、これは北方四島の一括返還を実現することだ、このように考えておるわけでありますが、それができるまでの間のこの四島からの引き揚げの人の問題、まだ私、いままで考えたこともありませんけれども、なお総理府の方とも相談してみます。
  70. 岡田利春

    ○岡田(利)委員 現在、北方協会の関係でも、一代継承というのがあるわけですね、この北方協会の援護措置を受けるのに、たとえば漁業権者あるいは定置網の漁業権者は。だから、自分が権利があって、隠居して子供が受け継ぐ。ところが時間が長くたっておりまして、その子供ももう隠居しなければならない、そうしていわゆる当時の孫に譲りたいが、一代で切られておるわけですね。そこで、時間が余り長くなってきておりますから、そういう意味でこの継承方をぜひやってもらいたい、こういう要望があるわけです。これも答弁は別にして、どうですか、検討してもらえますか。(稻村国務大臣「当然検討します」と呼ぶ)それだけでひとつ……。どうもありがとうございました。  特にこの際、注意を喚起しておきたいと思うのは、羅臼と野付海域の問題であります。これは二百海里で、今度は幹部会令で中間に線が引かれた。戦後ずっと三十年間は国後から三海里、そして北海道までは安全操業がずっと三十年間できたんですが、今回のソ連の幹部会令に基づいて中間線が引かれて、漁場が半分になったわけですね。漁場が半分になりましたから、沿岸漁業であっても減船をするとか、あるいは漁業資源の適正配分をするとか、そういう意味で地元では検討もいたしているわけです。この点、十分そういう実情にかんがみて適確な対応をするように、答弁要りませんから、同じ選挙区ですから、要望をいたしておきます。  次に、私は残った時間、海洋法、二百海里の問題でお尋ねをしたいのですが、海洋法会議が三月二十八日から八週間ジュネーブで開かれるわけです。第七会期であります。これはいわば海洋法会議の山場であります。こう言われているんですね。八月ごろには、あとはもう条約の字句の修正、来年初頭からこの海洋法会議の条約は調印される、こういう一応の大まかな日程で今回山場の会議が開かれるわけです。これはわが国にとって非常に重要な会議である。すでに政府は中川融大使を決定して派遣する予定になっているようでありますが、この会議に臨む政府の基本的な態度について伺っておきたいと思います。
  71. 園田直

    ○園田国務大臣 先会期で作成されました非公式の統合交渉草案を基礎として条約の最終的詰めに入ることを期待しておるわけでありますが、御承知のとおり、この会議で一番問題になるのは深海海底開発の問題であると考えております。そこでいろいろ意見が出ておってなかなか多難でありますけれども、わが国としては、私企業の開発権が条約で保障され、深海海底鉱物資源の安定した供給を確保し得る合理的な制度を一日も早く確立をしたい。したがって、この海洋開発、海洋秩序の問題は何としても国際的な合意を得ることが必要でありますから、この点に向かって、海洋国家たるわが国の総合的な面から海洋法会議の早期妥結のために一層の努力をする所存でございます。
  72. 岡田利春

    ○岡田(利)委員 わが国は、第三次海洋法会議に対しては、当初は非常に保守的だった。海洋政策なき海洋国家などと言われておったわけです。しかし、四会期以降、情勢は日本の立場は許さないということで非常に変わってまいりました。今日のわが国のこの海洋法会議に対する態度というものは、私は決定的な変化を見せている、こう思うわけであります。なぜかなれば、これから交渉する遡河性のサケ・マスの問題、これは海洋法条約にはあるけれども、アメリカやソ連の幹部会令や管理法にはないわけですね。そういう点からいっても海洋法条約の早期成立が必要である。高度回遊魚のカツオ・マグロについても、今年ずっと南太平洋は全部二百海里になるでしょう。そうすると、国際的な管理の中に安定的な漁業を営んでいくわが国として、最も必要なことであります。あるいは海底資源の開発の問題は、資源輸入国、工業国家として、これもまた非常に重要な課題になってきております。あるいは至るところで紛争が起きる。わが国の場合には行動半径が広いわけですから、紛争が多いわけであります。この点についても、条約で大体これは合意に達してきている。これらの国際裁判所の発動というものは期待されるところである。まさしくわが国は、いまやこれを積極的にまとめて、むしろリーダーシップをとってまとめて、早期に条約を成立をさせなければならない立場ではないか。そして、一応の合意に達したものについては積極的にこれを批准をする、こういう姿勢が今日わが国の立場であると私は思うわけです。この点についていかがですか、総理大臣から見解を承りたいと思います。
  73. 福田赳夫

    ○福田内閣総理大臣 もう今日、海洋問題がこの段階まで来た。この段階まで来ましたこの現実を踏まえますと、わが国が海洋法会議に臨む姿勢、これは岡田さんのおっしゃるとおりのものである、そのように考えます。
  74. 岡田利春

    ○岡田(利)委員 条約の非公式草案のうち第五部第七十四条、この草案にはいわゆるエコノミックゾーン、経済水域、排他水域二百海里の問題が規定されておるわけであります。この規定によれば、排他水域の境界は中間線または等距離線の原則で協定をされなければならないと定められているわけですね。そうしますと、日韓の大陸棚条約の共同開発区域は、この場合にはすぽっとわが国の経済水域、エコノミックゾーン内に入ってしまうわけですね。これも、条約が批准されてもなおかつ日韓大陸棚条約の五十年間という拘束を政府は受けると考えられておるのか、条約が成立した場合には、この点について、わが国の経済水域であるから、別途その時点で日韓で話し合う余地があるのか、この見解を明らかにしていただきたいと思います。
  75. 中江要介

    ○中江政府委員 御質問の点につきましては、先生御指摘の二百海里のエコノミックゾーン、いわゆる経済水域という制度も海洋法会議で審議されておりますが、同時に大陸棚の制度も審議されておるわけでございまして、具体的に日韓大陸棚協定の対象水域になっております共同開発の対象区域になっておりますところは、これは大陸棚の共同開発ということで大陸棚制度の方で処理される問題だ、経済水域がその上の方で中間線で分離されましても、その下に大陸棚がありますときには、それが当然そのまま下までいくのではなくて、下には大陸棚制度というものが別途あるわけでございます。したがいまして、その間の調整が海洋法会議で行われるかと言いますと、行われておらないのでございますので、どういう基準になりますか、結局話し合いになるのではないかと思いますが、いずれにいたしましても、御承知のように共同開発のあの制度というのは両方の主権を留保した上での実際的解決でございまして、協定の二十八条にございますように、これは最終的に大陸棚の権利を国際法上確定するものではないということでありますので、新しい国際法上の制度が強行法規として出現いたしますれば、当然両国ともこれを尊重するということになることは言うまでもない、こういうことでございます。
  76. 岡田利春

    ○岡田(利)委員 非公式条約案も十分読まれていないのじゃないかと思うのです。大陸棚条約というのは、これが批准されればいずれ失効しますよ、大陸棚条項があるのですから。したがって、この問題は、エコノミックゾーンが優先するというのが討議の経過からいって大体合意に達しておるわけですから、私はそう指摘をしておきます。この問題は本論からちょっと外しまして、指摘をしておきます。  そこで、この機会に、最近の昭和五十二年一月から十二月で結構でありますが、いまわが国の二百海里内での韓国漁船の操業の実態について、政府は把握しておりますか。
  77. 中江要介

    ○中江政府委員 詳細は水産庁の方で把握しておられると思いますが、私どもの承知しておりますところでは、ソ連が二百海里の漁業水域を設定しました結果、その水域で操業できなくなった韓国の漁船が、わが方の領域二百海里の中で、これは公海でございますけれども、その中で操業する度合いがふえた。その結果、漁具その他に対する被害額が昨年の十一月現在で三億五千万円に達しておるという実態は承知しております。
  78. 岡田利春

    ○岡田(利)委員 韓国のわが国二百海里内での操業実態――ほかの国は、日ソの場合は別です。ソ連の場合には協定をいたしておりますから。それ以外、わが国の二百海里内で操業しておるところはないはずであります。したがって、韓国の操業実態に漁業国家としてきわめて重大な関心を払わなければならない。一体何隻、どこの海域で、どういう状態で操業しておりますか。把握しておりませんか。
  79. 中川一郎

    ○中川国務大臣 ソビエトが二百海里水域の設定をいたしました昨年の三月でございますか、それ以降、約三十隻の底びき船が北海道周辺を中心にして十二海里の外、二百海里水域で操業をしておる。最近は減りまして十隻、主に太平洋岸でございますが、内浦湾ですが、最近ではオホーツク海の方にも出て操業しておる、こういう実態と承知いたしております。
  80. 岡田利春

    ○岡田(利)委員 だめですよ、そんなことでは。全然だめですよ、そういうことでは。北海道周辺だけでも、昭和五十二年の一月から十二月まで、韓国漁船は延べ二千三百四十九隻ですよ。数字をちゃんと言わなければだめですよ。あるいは、すでにわが国で領海、そしてまた国際海峡については適用除外で漁業専管水域十二海里を引いておるわけですね。わが国の準領海ですが、ここで韓国の漁船は五百八十一隻ですよ、一年間に。十一隻拿捕されておるわけでしょう。たった十一隻ですよ、五百八十一隻で。これは本来ならわが国の領海なんですよ。この程度の措置しかしていない。かつては、李ラインの場合には軒並みに拿捕された。こういう監視体制でもある。これ以外に、いわゆる日本海の大和堆で船団を組んで漁船が操業しておるんですよ。これもわれわれは散発的に把握しておる。そういう状況把握ができないでおるということは、私は非常に怠慢であると思うんですね。これはその指摘だけをいたしておきます。  そこで聞きたいのは、私の数字が正しいかどうか。それと同時に、であれば、韓国側は一体どのくらい、わが国の二百海里で水揚げ量があると思いますか。これも、大体こういう状況がわからなければわからない、推定がつかないのです。
  81. 森整治

    ○森(整)政府委員 北海道周辺におきますスケトウを中心にいたしまして、五十一年約四万トン程度、五十二年に入りまして、これも推計でございますが、約十万トン程度を漁獲しているのではないかというふうに承知いたしております。
  82. 岡田利春

    ○岡田(利)委員 時間がありませんからなにですが、全く答弁にならぬですね。大体去年の状況、これは私は現場の人に直接会って聞いたわけです。韓国漁船、トロール漁船ですよ、二千トンから四千トン、そして第五十八大雄丸は二十七SNUN号に乗り移ってまで調査をした。これによりますと、あそこは北見大和堆といって魚道ですよ、わが国のオッタートロールも禁止をされている地域に居座って、そしてスケトウをとりまくったわけですね。大体一回に十トンから七十トン、これは三十トン平均にしても一日七回網を投じて二百十トン、五隻平均であるとすれば千五十トンになる。八十日操業すれば八万四千トンという計算が出るわけですよ。そして常時三十六隻、リストがあるのですね。これが来ているわけですね。二千トンから四千トン。最近は二千トンで抑えるといっても、二千トンを超したトロール船が来ているわけであります。  去年、五十二年、わが国と韓国の間には、日韓漁業条約では十二海里、そして規制ラインが引かれて、そこで十五万トンの割り当て、漁船、漁具、トン数、全部規制をされている。事実上、韓国の二百海里でわれわれは規制を受けて昭和四十年からきたわけです。水産庁のことしの発表では、韓国水域から水揚げしているのは十二万七千トンでしょう、十五万トンの割り当てだけれども。  私の判断では、もうこれは逆転しているのですよ。韓国と日本の双方の二百海里内の漁獲高は逆転しているというのが私の判断です。私は、こういう状況からずっと現地を調査して数字をはじくと、すでに逆転している。この段階は日韓双方で話をして――日韓漁業協定は片務協定ですから、公海を規制されているのですから。そうしますと、わが国の方も自衛上、資源の保護、最大持続生産量というものを守っていく、こういう意味から言っても、日韓の漁業関係は新たな段階に入った。しかも、スケトウは韓国国民の最も好物ですよ。いままで四十万トンのうち四割が輸出されて、二十七万トンがチゲなべ、これは日本で言えばチゲなべ、向こうで言えばミウタン、こういうなべで、大好物ですよ。メンタイコについてもそうでありましょう。魚種についても申し分はないのであります。  だから、二百海里問題というけれども、こういう情勢に適確に対応できない。水産庁は数字を隠す。こういう日韓の新たな関係について、国益の立場から言っても、わが国の沿岸の被害をなくするためにも、あるいは資源を守っていく、わが国の二百海里を大事にしていく。私は、韓国と相互主義でもいいと思うのですよ。等量主義でも結構だと思うのです。そういう新しい日韓の漁業の条件を速やかにつくるべきだというのが私の判断ですが、いかがですか。総理、いかがでしょう。
  83. 中川一郎

    ○中川国務大臣 この問題は、まさに岡田委員と同じ選挙区でございますから、非常に関心の深いところでございます。隻数が非常に違うということについては、これは延べの数と船団の数の違いでございますから、認識不足と言われてもちょっと困るのでありますが、いずれにしても被害が大きい。等量主義であってもそう全体として差がないではないかという御指摘も、昨年あたりの実績を見ますと、量的にはそういうことも言えます。ただ、西の方でとっております関西、山口県やあるいは長崎県付近の漁師の人方の金額で比較するとかなりまだ開きがあるのではないかという問題と、それから協定を結びました際、どれくらいの権益をお互いにとり得るかという問題、あるいはまた北海道の方はよくなったとしても、また西の数多くの零細漁民の方々が一体どうなるのか、こういうことを総合的に判断して、国益的にも、また特に北海道の漁業の人々が二百海里を設定しておらないことにかんがみる被害というものも大きいわけですから、その辺を慎重に配慮してこれは前向きに検討していきたいものだ。これは重大な問題でございますから、この上ともの御指導、御協力をお願いする次第でございます。
  84. 岡田利春

    ○岡田(利)委員 韓国は国としては中進国家でありますけれども、漁業は先進国家であります。遠洋漁業は日本とアメリカに次ぐ第三位の地位にあります。また、漁獲高は世界で第七位の地位にあるのであります。大洋漁業のかつての本拠地なんですから。そして、マグロは十万トン以上とって、韓国人はマグロは食べないのでありますから、これは全部輸出です。日本に来ているわけでしょう。そういうあらゆる面、状況を分析していただければ私はわかると思うのです。この点、特に前向きで検討するということでありますから、ぜひこの点については速やかに検討の結果、日韓の相互利益のためにも話し合いを開始してほしいと思うのですが、いかがでしょう、総理。
  85. 中川一郎

    ○中川国務大臣 わが国にもわが国のいま申し上げたような事情もありますし、韓国にも韓国の事情がありますから、全体としてよくなるように、慎重に真剣に前向きで検討いたしたいと存じます。
  86. 岡田利春

    ○岡田(利)委員 きょうとあす、日米加のサケ・マス交渉がバンクーバーで開かれているわけです。何かこの方は、問題点はありますけれども大体まとまるのではないか、こう伝えられています。十九日からは日ソのサケ・マスの漁業経済協力協定。中川大臣は、この協定については非常に重要なので、訪ソしてもこの解決の任に当たりたい、こう新聞にも述べられているわけです。決意壮たるもので、まことに結構であると思うわけであります。しかし、大臣が行くと言うのですから、ソ連の方は必ず来てください、こう言いますよ。私はそう情勢を判断しているのですが、これは先ほども言いましたように非常に重要な問題であります。いま私が述べたように、大臣は、その場合には本気でソ連に行って交渉をする気持ち、用意があるのかどうか。
  87. 中川一郎

    ○中川国務大臣 まず、日米加につきましてはきょう七日、八日と第三回目の交渉を行っておりまして、従来の日米加でとっておりましたサケ・マスの大方の主張はまずまず通るのではないか、そして減船その他、サケ・マスについて日米加については避けられるもの、こう確信をいたしております。  次に、引き続いて厳しいのは、日米加を受けまして日ソ関係にございます。これは長い間の権益であり、最近は二百海里時代を迎えまして母川国主義をとっておりますから、アメリカ、カナダも相当厳しかったのでありますが、ソビエトはことのほか厳しい。しかも、これは伝統的漁業でございますから、訪ソして有利になることであるならば訪ソもあえて辞さないし、長い間、特に北海道はサケ・マスを中心にして生きてまいりました大事な大事な資源でございますから、あらゆることの努力を払って何とかこれは確保したい、こういう決意でおるわけであります。
  88. 岡田利春

    ○岡田(利)委員 時間がありませんから最後になると思うのですが、大分、行政改革の問題や公取関係の問題を飛ばしてしまって、質問通告して準備をさせて申しわけないと思います。  最後に、今月はどういう月か総理は御存じだと私は思うのです。一日から省エネルギー月間ですよ。そういう意味でエネルギー問題を一問だけお尋ねしておきたいと思うのです。  ずいぶん暑いです。私は汗をかいているのですけれども、エネルギー月間で国会の中が暑過ぎるというのはどうかなと思うのですがね、総理。そして、省エネルギー法を今国会に政府は出そうといたしているわけです。私がそこで気にかかるのは、この省エネルギー・省資源対策本部、これが、従来のエネルギーを大切にする運動本部を解消して、そして稻村総理府総務長官が議長になって発足したわけです。このときの長官の発言に私は非常に奇異を感ずるわけです。「この種の運動はとかく部屋の照明を暗くするとか、暖房の温度を下げるなど、“ケチケチ運動”に走りがちだったが、むしろ、エネルギー有効利用のための技術開発など、景気対策にもつながる積極的で明るい運動にしていきたい」後段はいいのですよ。しかし、石油がぶ飲みで、九九%輸入をしている。石油の依存度を低めるというのが今日、国際的な長期エネルギー戦略であることは御承知のとおりです。したがって、わが国としては節約も積極的にしなければならないし、もちろん、産業に六〇%近く油を使っておる、エネルギーを使っておるわけですから、効率を高めることも大事であります。わが国はあらゆることをしなければならないという立場であるわけです。しかも、省エネルギー政策というのは、長期にわたって国民の生活感、生活価値観を変えていくという運動であるわけです。それを何かけちけち運動だとか暗い面だとか、こういう認識は、省エネルギー政策を進めていく議長である責任者としては、この発言はどうも基本的な問題についての理解が不足ではないかという批判を私は持っているわけです。  そういう意味で、私は改めて総理府総務長官の見解を聞くと同時に、今度、省エネルギー法が国会に出て、これが発足をする。一応それなりに対策は立てておりますけれども、やはり国民全体がエネルギーを節約するという合意を求めていくという政策も大事ではないか。そういう意味で、省エネルギー法が施行される段階においては、その翌年から、国民の合意を得られるならばサマータイムを実施すべきではないか。もう諸国では、この省エネルギーのためにイギリス、フランスでも追加してサマータイムを実施しているわけです。もちろん、これによるエネルギーの節約は、いろいろ説がありますけれども、約一%だと言われておるわけです。  そういう点についてひとつ最後に見解を承っておきたいと思うのです。
  89. 稻村佐近四郎

    ○稻村国務大臣 お答えいたします。  省エネルギー、省資源対策につきましては、国民の皆様の御理解を得ながら節約を進めていかなければならぬと思います。御指摘の私の真意というのは、一月二十四日に推進対策会議を開きましたが、その席上、節約という問題はきわめて大事であるが、一方的なものでなく、もっと進めて申し上げますならば、ビルの保温の問題であるとか住宅の保温の問題であるとか、あるいは太陽熱をどうするとか地熱をどうするとかという総合的な新技術開発によってこの対策会議というものを進めていくことが望ましい、こういう発言をいたしたわけであります。  サマータイムの導入については、いま御指摘のように、アメリカ、カナダ、フランス、イギリス等々が導入をいたしておりますが、国民生活に及ぼす影響も大きいことでございますし、また、サマータイムを導入することによって省エネルギーの効果がどうあるか、こういったことを十分に慎重に検討してまいらなければならぬ、こういうふうに考えております。
  90. 岡田利春

    ○岡田(利)委員 このエネルギー問題について、総理から最後にひとつ。
  91. 福田赳夫

    ○福田内閣総理大臣 省資源、省エネルギーという問題は、本当に考えれば考えるほどむずかしい問題であり、緊急な課題である、また非常に大事な問題である、こういうふうに考えておるわけであります。ただ、いま総務長官の話、対策会議ですか、その席上何か話をされた、そして誤解を招いたという話でございますが、いま、この問題を提起するその仕方が、非常にむずかしいのです。むずかしいのは、いま景気問題というのがあって、節約問題と景気問題とは真っ正面からぶつかる問題ですからね。しかし、それにしても非常に大事な問題、その大事な問題と景気の問題とは截然と分けて考えることのできる問題なのですが、それを截然と分けて誤解のないように説明し、納得してもらう、そこに非常にむずかしい点があるのですが、むずかしい点は克服して資源エネルギー問題の重要性は国民に訴えなければならぬ、そのように考えております。
  92. 中野四郎

    ○中野委員長 これにて岡田君の質疑は終了いたしました。  午後零時二十分再開することとし、この際、休憩をいたします。     午前十一時五十五分休憩      ――――◇―――――     午後零時二十九分開議
  93. 中野四郎

    ○中野委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  質疑を続行いたします。石野久男君。
  94. 石野久男

    ○石野委員 総理は一月二十四日の本会議で、わが党の北山副委員長の質問に答えて、予算を軸に七%の成長率をぜひとも達成したいし、達成できる、そのための設備投資の伸びを九・九%と考えている、このため、たとえば電力業界は四兆円の投資をやろうとしており、見通しは立っている、こういうふうに述べておりますが、いまもそういうような考え方でおられますか。
  95. 福田赳夫

    ○福田内閣総理大臣 その考え方に変わりはございません。
  96. 石野久男

    ○石野委員 二月一日の予算委員会で宮澤長官は、一兆円の繰り上げ発注は可能であると言いました。また河本通産大臣は、電力業界に五兆円の設備投資要請をした、そういうように言われておるし、それから平岩東電社長は、経団連の定例理事会の席上で、来年度の電力設備投資規模に触れて、繰り上げ発注一兆四千億円を含め四兆六千億程度の見通しで努力することを表明した、こういうふうに伝えられておりますけれども、その間の事情について、それぞれ経済企画庁と通産大臣との見解をひとつ承りたい。
  97. 宮澤喜一

    ○宮澤国務大臣 来年度の見通しにおきまして電力業の設備投資を三兆一千六百億円と見ておるわけでございますが、その後、今回御提案しておりますもろもろの措置を加え、さらに通産大臣が中心になられまして電力業界にいろいろ努力方の要請をしておられまして、私どもとしては設備投資に計上されるものは三兆一千六百億円程度と考えておりますけれども、いわゆる繰り上げ発注との関連において在庫投資、つまり設備になり切らない状態におけるものがある程度見込まれるであろう、こう考えておりまして、その点はいわゆる在庫増という中で若干勘案をしておる、こういう計算になっております。
  98. 河本敏夫

    ○河本国務大臣 現在まで、五十三年度分として電力投資で確定をしております金額は、いま企画庁の長官がお述べになりました工事量約三兆二千億弱に加えまして、繰り上げ発注若干を入れまして四兆円強の投資が確定をしております。しかし、現在懸案になっております。近く着工予定の百五十一地点の発電所がございますが、これをできるだけ立地問題を解決いたしまして早く着工できるように、いまあらゆる力を集中しておるところでございますが、それらの動き等を見まして、なお一兆円ばかりの工事並びに繰り上げ発注等について電力業界に協力を要請をしておるところでございます。もしそれが実現をいたしますと約一兆が加算されまして五兆円前後になる、こういう考え方でございます。
  99. 石野久男

    ○石野委員 通産大臣が五兆円と言い、総理は四兆円ぐらいと言っている。それから宮澤企画庁長官も大体四兆円ぐらい。この間、政府の間には電源設備投資の見通しについて約数千億から一兆円の違いがあるわけですが、これは政府はどういうところに焦点を合わしているのか、そこのところをはっきりしてください。
  100. 河本敏夫

    ○河本国務大臣 食い違いはありませんで、私も、いま申し上げましたように、確定をしておる投資額は約四兆円強であるということを申し上げましたが、一兆円は、今後立地問題の促進状況を見た上で加算をしていこうという努力目標であります。したがいまして、食い違いはございません。
  101. 石野久男

    ○石野委員 通産大臣が非常に強気な形で、努力目標として五兆円を言っておりますけれども、実際に具体的にそれは実行できるという見通しを持ってそういうふうに言っておるのでしょうか、そこのところをお伺いしたい。
  102. 河本敏夫

    ○河本国務大臣 いまも申し上げましたように、確定をいたしております投資額は四兆円強であります。一兆円というのは、今後の立地問題を促進することによって加算していこうという努力目標でございまして、五兆円という数字が現在確定しておるわけではございません。確定しておる数字は四兆円でありまして、これは総理も企画庁長官もお述べになっておるとおりでございます。
  103. 石野久男

    ○石野委員 もし、それだけの確定しておる四兆円、それが実際に投資活動ができた場合に、GNPの伸び率に対してどの程度の寄与率を具体的に持ち、また、そこではどのくらいの雇用増が見込まれるのであるか、その点について。
  104. 宮澤喜一

    ○宮澤国務大臣 ちょっと詳しく申し上げませんといけませんのでお許しをいただきたいと思いますが、仮に一兆円のネットの設備投資増があったといたしますと、それは二百兆円に対するものでございますので、〇・五%ということになるわけでございます。それはしかし、一兆円がまるまる設備投資になりました場合でございまして、そのうちのある部分が在庫投資にとどまる場合があろうと思いますので、したがって、そうなりますと、今度は前年の在庫と今年の在庫との在庫のネット増ということを議論しなければならないことになろうと存じます。  それからもう一つ、雇用増でございますが、それはエネルギー庁の方から御答弁いたします。
  105. 橋本利一

    ○橋本(利)政府委員 いわゆる四兆程度の工事が動く場合、どの程度雇用効果が出てくるかというお尋ねでございますが、これを若干厳密に申し上げますと、現実の設備投資としていわゆる政府の二十五兆七千億の中に組み入れられておる額は三兆二千億でございます。一方、ただいま一兆あるいは一兆四千億というお話が出ておりますが、これはいわゆる繰り上げ発注とみなされるものでございまして、繰り上げ発注を受けた企業におきましては生産の準備に入る、あるいは状況によりましては一部原材料の手当てあるいは一部下請に対する内示といったような行為が行われることは考えられるわけでございますが、現実に資金的な支出は翌年度以降になるわけでございますので、そういった意味合いにおきまして、繰り上げ発注に期待する雇用増というものはそれほど多くないというふうに考えていいかと思います。
  106. 石野久男

    ○石野委員 四兆円という投資が予想のようにうまく働けば〇・五%の寄与率が出てくる。しかし、雇用の方ではそれほど本年度は増を見込むことはできないという、そういう情勢の中でこの在庫投資に相当程度回るであろう。そしてまた業界が、政府の要望特に通産大臣の要望にこたえて四兆六千億とか五兆円という設備投資をする場合の、そのことが中期長期のいわゆる投資計画の上にどういう影響をもたらすかという問題が、非常に大きいわれわれにとっての心配事ですが、そういうことに対しては、政府はどういうふうに今度のなにを見ておられるか、その見解をひとつ。
  107. 宮澤喜一

    ○宮澤国務大臣 一般的に申し上げますと、五十三年度中にいわゆる設備投資に計上できるまでに至らない状態の、したがってそれとして在庫投資に計上されたもののかなりの部分は、翌年度において設備投資という形で化体していくであろう、こういうふうに考えております。
  108. 石野久男

    ○石野委員 それはわかるけれども、しかし、先行投資で投資はしても在庫投資になっちゃうんですから、需要がそれだけ伸びなければ、次年度においては設備投資をそれに加えていくということはできなくなるのではないか、そのことに対する見通しはあるのかどうかという問題です。
  109. 河本敏夫

    ○河本国務大臣 いま政府の試算で、五十一年以降昭和六十年までの間にエネルギー投資を五十一年価格で六十八兆円、そこに物価の動きを若干加算をいたしますと百兆近くなると思いますが、それだけのエネルギー投資が必要であると考えておりますが、そのうちのおよそ半分は電力投資でございます。だから、五十一年価格で電力投資は十年間に三十数兆円、それから若干の物価騰貴を入れますと約五十兆円、こういうことになります。最近の投資の動きを見ますと、ややもするとおくれがちでございまして、この状態では二、三年後に電力不足が考えられますので、電力業界に対して設備の促進方を要請しておりますのは、一つは、二、三年後の電力不足に対応するということが第一でございます。それとあわせて景気対策上も非常に大きな影響があるということから要請をしておるわけであります。若干の繰り上げがありましても、それだけの大計画でございますから、全体として、次年度に影響が出てくるとかそういうことはございません。
  110. 石野久男

    ○石野委員 私は率直に言って、計画をしておる五兆円が具体的に本年度計画の線にまで乗るかどうかということを実は心配しているわけですよ。百五十一カ所の発電計画、いわゆる電源開発の計画があるという御答弁でしたし、特に二十二カ所の重要地点の指定がありますが、この百五十一カ所あるいは重要地点の二十二カ所というものは本年度に実質的に計画の線上に入り得るのかどうか、その見通しはあるのかどうか、その点をひとり先に聞かせてもらいたい。
  111. 橋本利一

    ○橋本(利)政府委員 二つの点について御指摘があったわけでございますが、まず、百五十一地点なるものにつきましては、五十四年度中に電調審に上程いたしたいというものを含めての数字でございますので、当然五十三年度の計画の中に入ってきておらないものもあるわけでございます。それから二十二重要地点につきましては、これはすでに電調審を通過いたしまして着工の準備を進めておるもの、あるいは電調審の手続を進めるために準備をいたしておるものということになるわけでございますが、それぞれの地点ごとに問題がございます。二十二カ地点の中で、五十四年度以降に着工予定して、五十三年度中に電調審にお諮りしたいといったようなものを考えておりますので、この二十二重要電源地点につきましても、必ずしも全部五十三年度中に着工するという性格のものではございません。
  112. 石野久男

    ○石野委員 百五十一カ所の電源開発のうちのどの程度のものが、まだ電調審待ちとかあるいはそれ以前のものであるか、そして現に電調審を通っておるものはどれだけあるのか、その明細はありますか。
  113. 橋本利一

    ○橋本(利)政府委員 百五十一地点の内容を分類して申し上げますと、すでに電調審を通過いたしましていまだ着工に至ってないものが四十地点でございます。それから五十二、五十三年度中に電調審で決定いたしたいとするものが六十三地点、それから五十四年度に電調審で決定いたしたいとするものが四十八地点でございまして、合計いたしまして百五十一地点、六千三百五十万キロワットでございます。
  114. 石野久男

    ○石野委員 そのうち特に二十二カ所の重要地点についてのものをより出すと、どういうふうになりますか。
  115. 橋本利一

    ○橋本(利)政府委員 二十二カ地点について名前だけ読み上げさせていただきたいと思います。  電調審上程手続を進めておるものが岩国の火力三号、竜島火力、竹原火力三号、敦賀原子力二号、それから二カ地点は地元の要請によりまして名前を公表することを差し控えさせていただきます。  それから、電調審を通過いたしまして着工手続を進めておるものが、柏崎・刈羽原子力一号、川内原子力一、二号、女川原子力、七尾火力、渥美火力三、四号、伊達火力一、二号、それから能登原子力、あと二カ地点は同様の理由により公表を差し控えさせていただきたいと思います。  その十五地点に対しまして今回七地点を追加いたしておりますが、大河内水力、富津火力一、二号、御坊火力一-三号、松浦火力、共和・泊原子力、高浜原子力三、四号、あと一地点は公表を差し控えさせていただきたいと思います。  以上でございます。
  116. 石野久男

    ○石野委員 その電調審を通っていないものはもとよりですが、通っているもので工事計画の認可を現にとっているものは何カ所あるのか、それは本年度中にどのくらいとれる見通しなのか。
  117. 橋本利一

    ○橋本(利)政府委員 別途、表にして提出させていただきたいと思います。
  118. 石野久男

    ○石野委員 後で表にして出してもらうのはいいのですが、大体、現在工事計画の認可をとっているものは何カ所あるのですか。
  119. 橋本利一

    ○橋本(利)政府委員 御指摘の地点は、二十二のうち二カ地点と承知いたしております。
  120. 石野久男

    ○石野委員 これは経済企画庁長官にも、あるいは通産大臣にもお尋ねしたいのですが、百五十一カ所の計画を持っていて、約四兆円から五兆円の設備投資をしようという意図はよくわかるわけでありますけれども、率直に言って本年度中に、重要地点だというもので――ことしもまだ初めですから、これから認可もとるのでしょうけれども、二十二カ所のうちたった二カ所しか工事計画の認可はとっておりませんから、これでは恐らく電力会社も発注はできないだろうと思うのですよ。幾ら在庫見込みで在庫投資だということになっても、これは仕込み生産すれば別ですけれども、いまの状態では、そんな仕込み生産するということも業界としてはなかなか容易じゃないと思いますが、少なくとも工事認可をとっていないところで発注ができないとすると、言うところの四兆円電源投資とか五兆円電源投資とかいいましても、百五十一カ所のうちで電調審を通っているのは四十カ所しかないんですよね。重要二十二カ所の中では二カ所しかとっていないのですよ。これで果たして、皆さんが言われるように、年度内のいわゆる七%成長の主要な軸として総理大臣が本会議で特に強調された電源開発問題、何ほどの期待が出てくるのだろうか、疑問を持たざるを得ないのです。そういう点について政府はどういうふうにお考えになっておりますか。
  121. 河本敏夫

    ○河本国務大臣 いまの御質問はこれからのことについての御質問でありますが、現在工事中のものが六十カ所ございます。約二千万キロ、六十カ所工事中でございます。工事中のところへさらに今後百五十一地点、特にそのうち昭和五十一年以前に電調審を通ったものは、いま長官が説明いたしましたように四十カ所、それから五十二年、五十三年に電調審を通そうとするものは六十三地点でございまして、工事そのものの主体は、すでに現在着工中の六十地点が中心でございます。それと、それに必要な送電線等が中心になっております。
  122. 石野久男

    ○石野委員 電源工事はいわゆる電源工事と非電源工事とに分かれていて、そして工事量から言えば電源工事そのものは三五%ぐらいだし、非電源が六五%になる、そういう比率であることは私もよく承知しています。しかし、五十一年度の工事実績を推定と比較しました場合には、やはり九六・五%しか実績が現在まで上がっていないですね。それから、五十二年度の工事計画がどの程度遂行されるかわかりませんけれども、その予測はどの程度達成する可能性を持っておりますか。
  123. 橋本利一

    ○橋本(利)政府委員 五十二年度における全電気事業者の投資計画は、昨年の九月時点の調査で二兆六千五百四十五億でございます。このうち電源が九千三百四十七億、非電源が一兆七千百九十九億円になっております。御指摘のように電源立地は難航いたしておりますので、相当の努力が必要かと思うわけでございますが、最近時点におきまして、この中で九電力会社につきまして概要調査をいたしたところ、計画に対しまして千三百億ないし千四百億、五ないし六%程度未達が生じるのではなかろうかという結果と申しますか、見通しを得ております。
  124. 石野久男

    ○石野委員 五ないし六%程度未達成ですか。そういう意味ですか。
  125. 橋本利一

    ○橋本(利)政府委員 全電力事業者の中で九電力につきまして概査いたしましたところ、御指摘のような数字になろうということでございます。
  126. 石野久男

    ○石野委員 五十一年度においても九六%ぐらいの達成率でしたし、ことしの見通しからいってもやはり九四、五%だということです。ですから、政府が考えているように、また通産大臣が、現在六十カ所仕事をしているんだからということを強調されましても、予定どおりの仕事は進んでいませんよ。しかも、当初計画である三兆一千六百六十二億というものを四兆円ないし四兆五千億にしていく、こういう無理な事業計画、あるいは投資計画をされても、果たしてそれが達成できるかどうかがわからないという。しかも、それが十五カ月予算のいわゆる景気浮揚策の一番主要な軸になっているんだ、こういうことになりますと、これは非常に不安定なものだと言わなければいけない。経済企画庁長官は、そういう点はどういうふうにお考えになっていますか。
  127. 宮澤喜一

    ○宮澤国務大臣 設備投資に勘定いたしております三兆一千六百億は、エネルギー庁を中心にしていただいた数字でございますけれども、エネルギー庁自身が、先ほどもお話がありましたように、九電力、電発等々からかたい数字を私どもに、お調べの上でいただいたと思っております。なお、河本通産大臣がさらにその上に一兆円及びもう一兆円というものを目標にしていろいろ努力をしていただき、また通産政務次官もお二人で手分けして地方に派遣されるというようなことで、これはそのとおりいきますればもとより幸せでございますけれども、御指摘のようないろいろな事情で、全部こちらの思いどおりにいくとは限らないことでございますから、そのような要素も実は含めまして、ある意味で多々ますます弁ずでありますけれども、しかし全部びしっといけるとは限らないということでございますので、私どもは三兆一千六百億と考えておりますものはいずれにしてもかたいであろう、そういう計上の仕方をいたしたわけであります。
  128. 石野久男

    ○石野委員 三兆一千六百億円の中には、いま言ったような非常に不安定なものがたくさん含まれているわけですよ。四兆円とか四兆五千億円というのは、それにプラスアルファで出てきたものなんです。ですから、いまの宮澤長官のお言葉はなかなかいただけないのです。特に、あなた方が出しているこの主要経済指標の中で、民間企業設備の五十三年度見通しというのを見ますると二十五兆六千五百億円になっている。この二十五兆六千億を五十二年度の実績見通しと比較してみますと、大体二兆三千億円くらいの増加になっている。この民間設備投資のいわゆる増加分というのは、ほとんど電源開発によるところの増加分に見合うものになってくるだろうと思う。そのいわゆる経済見通しの主軸をなしておる電源開発の問題が、このように脆弱なものであり内容が不安定だとすると、見通しそのものが根本的に崩れてくるのと違いますか。
  129. 宮澤喜一

    ○宮澤国務大臣 五十三年度の設備投資の見通し見込み総額二十五兆六千五百億円でございますが、五十一年度の実績は二十二兆六千億円でございます。したがって、その間に三兆円の増がございまして、その三兆円の増のうち電力が担いますものが一兆一千億円でございます。したがいまして、かなり多くのもので増を見込んでおりまして、ざっと申しますと電力の分が純増分の三分の一に当たるわけでございますが、それにしてもしかし、電力の持っておりますシェアは大きゅうございますので、一二%くらいございますから、これが目玉であることは仰せのとおりでありまして、まずまず、この三兆一千六百億円余りは過大見積もりはしておらないと考えておりますが、なお行政的に、先ほど申し上げましたような努力も重ねていかなければならないことはもとよりであろうと思います。
  130. 石野久男

    ○石野委員 宮澤さんは五十一年度の実績と比較されるけれども、私は、五十三年度の見通しを五十二年の実績見通しと比較しているのですよ。五十一年度と五十二年度の間にも約七千億の差があるわけですよ。だから、いま長官が言われたように三兆幾らという差じゃないですよ。結局、五十二年度と五十三年度の間の差というのは二兆三千億でしょう。電力のシェアはその半分くらいになるんじゃないですか。
  131. 宮澤喜一

    ○宮澤国務大臣 でございますので、まさに二兆三千億の差でございますから、その中の七千億ということでございます。
  132. 石野久男

    ○石野委員 私は、数字の問題はともかくとしまして、電源投資の持つ、いわゆる国民生産増強の上に課せられたウエートというものは非常に大きい。特に民間企業設備の投資の中では、これはもう絶対に大きいのです。ところが、いま言ったように、達成の見込みからいっても実績からいっても一〇〇%はとてもできていない。せいぜい努力して九四、五%というところですよ。さらに五十三年度、いわゆる十五カ月予算を見込んでいるその内容の面から言えば、それに入り込んでくる電源というものは非常に少ないですよ。電調審を通るものもそんなに大きな見通しはありませんし、さらに電調審を通っておっても工事認可をとっているものは非常に少ない。そうなりますと、あなた方が言っているように、いわゆる設備投資の実績としては出てこないんじゃないか。これではやはり経済計画を達成することはできないのではないか。どういうようにしてこの間延びした、どうにも手の届かない問題を実現させるために政府は力を入れようとしているのか、これが問題になってくるわけですよ。私は、そういう点について政府に何か対策があるならば、この際聞かしておいてもらいたい。
  133. 河本敏夫

    ○河本国務大臣 確かに、いまお述べになりましたように、五十一年と五十二年の達成率は九四、五%であり、また、ほぼそれに近い数字になろうかと思います。金額にいたしますと千億ばかりの相違になりますが、そういうことがあってはいけませんので、五十三年度からいろいろな工夫をこらしております。たとえば電源立地の交付金等についても工夫をこらしておりますし、それからもう一つは、この電源開発に関係する法律が三十三もございまして、開発がスタートするまでの諸手続が六十六も必要でございます。関係各省にまたがっておりまして、そういう繁雑な手続等に対しましても政府を挙げてできるだけ簡素化するように努めることにいたしましたし、さらにまた資金の面におきましてもいろいろ工夫をいたしまして、資金面からショートをしないように万全の対策も考えております。さらにまた、現地の説得はこれまでは電力会社がやっておったわけでありますが、それだけでは不十分でありますので、政務次官にそれぞれの地点を担当させまして、政務次官みずから現地の知事とか市長と相談をしながら問題を解きほぐすとか、いろいろな工夫を加えまして、過去一両年は数%の未達成が生じましたので、そういうことのないように万全を期していきたいということで、五十三年度はあらゆる工夫をこらしておるところでございます。
  134. 石野久男

    ○石野委員 いずれにしましても、電源開発の政府の意図は、もうすでに表の上で崩れているのですよ。それを無理に、今度は万全を期するために政府はみずから乗り出していって、次官を東と西に分けて現地工作をしようとしているようですが、しかしその前に、法律が多過ぎるからどうだこうだと言うけれども、そんなことよりもむしろ、現に金をやっている、その金を地元で使い切れないという状態。最近、電源開発促進特別会計は四割を使い残すという実績を示しておりますけれども、これは法律の手続がむずかしいからとかなんとかということで、こういうふうに四割も使い切れなかったのですか。この四割も使えなくなった理由はどこにあるのですか。
  135. 橋本利一

    ○橋本(利)政府委員 御指摘の点は一部新聞の記事によりましての情報かと思いますが、御承知のように現在まだ会計途中でございまして、現在の段階でどこまでの数字が残るか残らないかということは申し上げられません。ある新聞の記事によりますと、私たちの理解では、五十三年度の剰余金を算定するに当たりまして、本来五十一年度発生分をこれに充当するところを、五十二年度の発生分と予定して誤解しておるのではなかろうかというふうに見ておるわけでございます。  それで、五十二年度の電源特会といたしましては、三百七十五億の歳入に対しまして、電源立地促進対策交付金二百三十七億円を中心に合計三百七十五億の予算を計上いたしておりますが、先ほど申し上げましたように、年度末決算を待たないと、明確にどの程度使い残すのか、あるいは全部使い得るのかということは、いまの段階では申し上げ得ないということになります。
  136. 石野久男

    ○石野委員 ある新聞では四割と書いておるということは、それは早計ではないかという話ですが、ことしはもう二月に入っているのですよ。年度もあと二カ月しか残してない。大体実績をつかむことはそんなに困難じゃないはずだ。この四割を使い残しておるということが間違っておるというならば、それを打ち消すような資料をすぐ出してください。出しますか。
  137. 橋本利一

    ○橋本(利)政府委員 現在まだ年度途中でございますので、この段階において御指摘の資料を出すことはできないということでございます。
  138. 石野久男

    ○石野委員 年度全計はできないとしても、第三・四半期までの分は出せますね。
  139. 橋本利一

    ○橋本(利)政府委員 現在の時点では、五十二年度上期までの交付決定額が出ております。この数字によりますと、立地促進交付金といたしましては九十五億五千四百万円でございます。
  140. 石野久男

    ○石野委員 第三・四半期までの分は早急に出してください。それは出しますね、長官。
  141. 橋本利一

    ○橋本(利)政府委員 現在まだ第三・四半期までの計算ができておりませんが、でき次第提出することにいたします。
  142. 石野久男

    ○石野委員 委員長、それはすぐ出させるようにしてください。  通産大臣は、政府があらゆる手を使って、こう言っておりますが、その立地条件なりあるいは電源開発を促進するための主要な問題点は何で、どういうようなことを政府が手を入れて促進しようとしているのか、その考え方をひとつ示してください。
  143. 橋本利一

    ○橋本(利)政府委員 一言で申し上げますと、各立地点ごとに事情がいろいろございます。たとえば、地元の漁業関係者との補償の問題が解決しておらないとか、あるいは大半の土地手当てが終わっておるものの、まだ一部のものが終わっておらないとか、あるいは地域によりましては近接の地域で、競合と申しますが、A地にするかB地にするかといったようなことについてまだ結論が出ておらないといったような問題もございまして、総じて申し上げるならば、それぞれ地域別の実情によって問題点も異なっておりますので、われわれとしてもその実情に即応した対応が必要ではなかろうか、かように考えております。
  144. 石野久男

    ○石野委員 各地における事情が違うから対応に問題があると言いますけれども、それは主として住民に納得を得さしめるということだろうと思うのです。  最近、中電で起きました芦浜の汚職の問題があります。電力会社は、いままで地域住民に納得させようとするために、平たい言葉で言えば、札束でほおをひっぱたいて、とにかく仕事を進めようとしておる。最近では、それが地域住民だけではなく、自治体の長までも含めてそういう弊害が出てきておる。こういうような問題に対して何らかの方法を講じないで、ただ政府が出ていっただけではどうにもならないのではないか。芦浜のいわゆる吉田町長の問題については、政府はどういうふうに考えておるのですか。
  145. 河本敏夫

    ○河本国務大臣 正確な全貌につきましては、まだ司直の手にありますのでしかと申し上げかねますけれども、いずれにいたしましても、このような事件が起こったということは、大変遺憾に存じております。
  146. 石野久男

    ○石野委員 これはただ遺憾に思っているだけでは済まされないと思うのですよ。この中には、反対する人々をいわゆる村八分にするような工作が片方で行われながら、片方は首長の座にあったり、あるいは中央なりあるいは企業と結びついていろいろな仕事をしている。そこへ中電はどんどんと金を入れていくわけですよ。こういうやり方のために町の中は大混乱が起きてくるし、金にはますます汚い情勢が出てくる。しかも、その中で吉田町長がやっている問題は、最近はっきりしてきたことは、中電の事業所長やあるいはその他の諸君が皆これに結託をして贈賄をしておる、いわゆる横領の問題から贈収賄の問題にまで入ってくるだろう、司直の問題は別としましても、現実にこういう問題が起きてきておる。  その中で、特にいわゆる電力開発のためにやるいろいろな手口というものは、これは中電だけではないのです。各電力会社ともいろいろな手口をやっておりますけれども、現実にもう通産省には、中電から浜岡原発へ招待見学をさした報告書が出ているはずですが、その報告書はどういうようなことを示しておりますか。
  147. 橋本利一

    ○橋本(利)政府委員 御指摘の報告書については、私まだ存じておりませんので、さようなことがあったのかなかったのか、あったとすればどういう内容のものであったか、実態を調査いたしたいと思います。
  148. 石野久男

    ○石野委員 これは、中電から監督官庁へ報告書として出ておるはずですよ。浜岡原発へ紀勢町から錦地区の人員二千三百二十三人、柏崎地区から九百九十八人の者が招待旅行をしておるのですね。南島町から六千七百七十一人。これは紀勢町の場合ですと有権者の七一・九%です。南島町の場合でいうと七〇%です。このときのバス代は一台で二十一万六千円かかっておる。飲食費が一人当たり三千円です。とにかく延べの費用で約三千万の金をこれだけで使っておる。  いま、中電が電源三法等によってこの紀勢町にいろいろと交付しておる金はおよそ四億円ありますが、それはどういう内容になっておりますか。
  149. 橋本利一

    ○橋本(利)政府委員 電源三法による交付金は、現在段階ではまだ紀勢町には交付されておりません。
  150. 石野久男

    ○石野委員 電源三法で出さないとすれば、これは中電が出しておる金になる。そういう報告書はつかんでおりますか。
  151. 橋本利一

    ○橋本(利)政府委員 中電みずからが支出した金額につきましては、約三億九千万と報告を受けております。
  152. 石野久男

    ○石野委員 こういう金は、芦浜の地元の両町村の町税の収入が、五十二年度当初南島町で一億二千万だし、紀勢町が七千五百万なんですよ、これは町税の何倍にも及ぶ金なんですよ。こういう金が入っておって、しかも町長はいまのような不正行為をやっておるのです。私は、通産大臣が電源開発のために次官を派遣して、そして住民を納得させるという工作の内容はどういうものなのかをここで聞きたいのだ。こういうような問題に対する監視をしっかりしないままに次官が行って、どういうことをやるのですか。
  153. 河本敏夫

    ○河本国務大臣 いずれにいたしましても、中部電力の問題は大変遺憾に存じております。先般も、中部電力の代表者を呼びまして、厳重注意をしたところでございます。
  154. 石野久男

    ○石野委員 吉田町長が中部電力に土地を売っている。これは約一千坪ぐらいの土地ですが、すでに第三抵当まで入っておる土地なんです。その土地を買って、しかも登記をしないで中電が買っておる。移転登記は見合わすという覚書を入れて買っておるのです。しかも、その移転登記をしないままで土地を買って、吉田は抵当は一応抹消したんだろうと思いますが、その土地をまた担保にして三千万の金を借りているのですよ。その担保をするについては、東海銀行がその金を貸すのですが、パシフィック・コンサルタンツが保証人になって、鹿島建設がそれを仲立ちしているとも聞いておるのです。  私はこの問題などを見ますと、土地を買うということをして、これは体裁のいい利益供与をしている。電力会社がそういう形で首長を抱え込んで、そして芦浜の電源開発の仕事を進めるというような、こういう行動を監督官庁は、これは自治大臣もそうですか、通産省も、こういう問題に対して手を加えないでどうして地元住民の協力を得る電源開発ができますか。そういう問題についてどういうふうに処置されますか。
  155. 河本敏夫

    ○河本国務大臣 土地の問題の詳細は私はまだ承知いたしませんが、いずれにいたしましても中部電力の問題は大変遺憾な出来事でございまして、先ほども申し上げましたように、中部電力の代表者に対しまして先般厳重に注意をしたところでございます。
  156. 石野久男

    ○石野委員 大臣が遺憾な問題だと言うけれども、そういう問題が出てくる一番根源になるのは、地元住民を招待見学をさせるというようなことで地ならししているものだから、町長やあるいはそれに関連する多くの自治体役員の諸君がそういうところへ出向いていったりあるいは交渉しても、何も不思議に思わないような情勢がつくり出されているのですよ。  私は、この電力会社がいわゆる原発招待見学をさせるということはやめるべきだと思うのです。無理にそんなことをやらないで、必要だったら自力でやったらいいと思うのです。しかも、全部電力会社が金を出して見学旅行させるというようなことは、買収行為ですよ。通産大臣は、これはどういうふうになにしますか。こんなことを許しておいてどうして電源の開発なんかできるんですか。かえって社会風紀を乱しますよ。
  157. 河本敏夫

    ○河本国務大臣 見学の問題も私はいま初めて聞きますが、どういう内容であったのか、事実をよく調査をしてみます。
  158. 石野久男

    ○石野委員 こんなことはわかり切ったことですから私は多くを言いませんが、こういうようなことを許しておいたのでは、とても地元住民は、自分たちの安全性を確保しようとしている、真剣な闘いをしている者が、全部こういう招待旅行だとか何かで買収をやられることによって仲間を分断されてしまう。特に不景気なんかになってくると、もう金はない、少しでも、旅行でも何でも、あるいは弁当でも出しでくれればそこへ行くという、そういう傾向になってしまって、弱いところにつけ込んで、そして安全性の問題を軽視して、強引に、エネルギー開発が必要だからとか何とかいうことでやっている。こういう手だてを許すことはできない。これは監督官庁として、こういう問題にやはりもっと厳しい監督をしなくちゃ、もうどうにもならぬのじゃないですか。これは中電だけじゃないと思うのです。さしあたって、そこだけでなしに、各電力会社に対して、とにかくこういう招待旅行なり寄付行為というものはやめさせるようにするということを、これは総理大臣、指示はできないのですか。
  159. 河本敏夫

    ○河本国務大臣 いずれにいたしましても、私どもも中部電力の今回の事件は大変遺憾に存じております。国が全力を挙げて電力投資を促進しようとするやさきの出来事でありますので、やはり他に影響するところも大変大きいと思います。それだけ私どもも非常に遺憾に存じまして、非常に厳重な注意をいたしまして、今後そういうことの絶対ないように、十分会社側に対しまして厳達をいたしました。  なお、いまお述べになっております見学問題につきましては、これはどういう内容の見学であったのか、もう少し実情をよく調べてみました上で何分の判断を下したいと思います。
  160. 石野久男

    ○石野委員 見学だけじゃないんだ。ぼくはいま政府に強く要求したいことは、もう電力会社が寄付行為をするということはやめなさいというのですよ。寄付行為をやることがこういう乱れを生じてくる原因になっている。それをやめないで、どこでそれじゃ、こういう不正な行為をとめる道がありますか。何か方法があるんならばその道を教えてもらえばいいし、少なくともこういう事実がここだけじゃないのです。ほかにもあるんだ。少なくとも象徴的に出たのは紀勢町の問題ですよ。自治大臣はこういう問題をどういうふうに見ているか、総理大臣はこういう問題についてどういう指導をするか、いまこの問題が問われていると思うのです。私は、ただ電力会社を責めたりなんかするんじゃない。日本の社会風紀が乱れてくる、不正なものに対する感覚が鈍ってくるのですよ。それだけじゃない。結局、あなた方が期待しているところの電源開発の問題、それ自体が阻害されるんじゃないですか、このことによって。方法を講じなければならないと思うのですが、総理大臣はそれをどういうふうに対処しますか。
  161. 加藤武徳

    ○加藤国務大臣 中部電力であのような問題の生じましたことはきわめて遺憾だと存じております。  ただ、見学を絶対にやらすなという御意見でございましたけれども、新たな企業が立地いたしますような場合には、その団体といたしましてはまだ経験のないことでございますから、他の経験を持っております地域等を見学いたしますことは、場合によっては必要であろうかと思うのでございます。ただ、その際の財源でありますが、もしその財源が、立地しようといたしておりまする企業の負担においてなされるようなことがあるといたしますならば、正しい方法ではないのであります。  ただ、地元への協力金のこととも関連があるのでありますけれども、地元といたしましては、企業が立地いたしますとこれと関連を持ちます公共施設等の整備も必要でありますから、協力金を絶対に取ってはならぬというぐあいには言い切れないと思うのでありまして、ただ、見学等の場合にも公共団体等が協力金等を受け入れる、あるいはその公共団体独自の財源等によって見学をいたしてまいりますのが正しい筋であろう、かように存じておるところであります。
  162. 福田赳夫

    ○福田内閣総理大臣 問題の中部電力の件ですね、これは私、しさいには承知いたしませんが、要するにこの問題は、中部電力が立地につきまして地域住民の理解を求める、こういう努力のいろんな態様がああいう形であらわれてきた。その中になすべからざる問題もあるわけであります。  また、私は、やっていい問題もあるのじゃないかと思うのです。やはり企業当局といたしまして、その企業について理解と協力を求めるという努力はこれはもうやるべきであるし、また、あえてとがめられるべき問題じゃない。やはり一つ一つの問題をよく分析をいたしまして、どれが行き過ぎというか、妥当でないというものであるか、どれが許される問題であるかということを区分いたしまして、そして疑義の起こらないようにする、こういうことかと思うのですが、政府におきましては、ああいう不祥事件が起きたのですから、よくこの機会をとらえまして、そしてこの問題が適正に進行する、このようにしなければならぬ、かように存じます。
  163. 石野久男

    ○石野委員 総理はそういうような考え方でおるときに、いま通産省は次官を派遣していろいろなやはり工作をなさっているわけです。次官はそういう問題については十分目を光らせながら、押さえながらやるという態度で行っているのですか。それとも、どういう指示を与えてその次官を派遣しているのですか。そこのところだけちょっと聞かしておいてください。
  164. 河本敏夫

    ○河本国務大臣 先ほどエネルギー庁の長官から答弁をいたしましたように、地区ごとに幾つかの問題があるわけです。それらの地域ごとの問題点につきまして知事あるいは市長等その地区の責任者と十分話し合いをいたしまして、その地区の問題を話し合いで解決していこう、こういうことで派遣をしておるのであります。
  165. 石野久男

    ○石野委員 特に、次官などが地方に行ったときのいわゆる供応の態勢とかなんとかいうものに対しては、厳格、自制をしなければいけないと思うのですよ。ことに、地元の人たちはおえら方が来るとそこへ群がるように行ってしまうということを巧みに利用して、そして誘導するようなことがあってはいけないと思うのです。そういう点はひとつしっかりと指示を与えるようにしてもらわなければいけないと思うが、大臣はそれをやってくれますか。
  166. 河本敏夫

    ○河本国務大臣 いやしくも政府の使者として地方と話し合いをするわけでありますから、そういう点は十二分に配慮しなければならぬと思います。
  167. 石野久男

    ○石野委員 中電の問題は、いずれにしても電力開発の立場からして非常に重大な問題です。今後、各電力会社に対して厳しい通達を出して、このようなことのないようにさせなければいけないと思うのです。それだけははっきりやってもらわなければいけないと思うけれども、その点についても、もう一度所見を聞かしてください。
  168. 河本敏夫

    ○河本国務大臣 これまでは事件を起こしました中部電力だけに対しまして厳重な注意を喚起をいたしておりまして、その点は他の各電力会社も十分承知をいたしておりますので、事件を起こさない電力会社に対しましてわざわざそこまでするのはどうかと思っておりましたが、せっかくの御注意でございますから、どう処置をしていいのか、その点は十分相談をいたしたいと思います。
  169. 石野久男

    ○石野委員 私は、原発の問題と地震の問題についてお尋ねしたいのですが、その前に、伊豆の地震でいろいろな問題が教訓として残っていると思うのです。特に最近は、中伊豆町の翠光苑の井戸の観測で放射性元素、ラドンの濃度が平常よりも上がっておったということがわかって、その数日後に地震が出た。それからまた、石廊崎の体積ひずみ計の記録がやはりそれと符合するように、地震を明確に示しているようなものがあるということがわかった。しかし、これは皆、後のことなんですね。地震対策本部の体制は整備されているといっても、なおこういう問題で集計が後追いになっちゃって、予知体制にはなっていない。こういう問題について政府はどういうふうにお考えになっていますか。
  170. 熊谷太三郎

    ○熊谷国務大臣 地震の問題につきましては櫻内長官からいろいろお話があると存じますが、とりあえず、今回の伊豆大島近海地震と浜岡原発の影響の問題でございます。  いまいろいろお話のありました細かい点についてはまだ十分つまびらかにはしておりませんが、今回の伊豆大島近海の地震の際は、浜岡原発は御承知のように定期検査中でございまして、まだ稼働していなかったという現況でございます。  そこで、この浜岡原発におきましてキャッチしました、いわゆる設計用加速度でございますが、この設計の基盤は大体三百ガルということになっておりますが、実際感じましたのは、地下二階におきまして二十七ガル、また地上三階におきまして大体三十五ガルでございまして、直接的には別段の影響がなかったというふうに考えておるわけでございます。
  171. 櫻内義雄

    ○櫻内国務大臣 私の所管で災害に対しての対応策を常時とっておるわけでございますが、ただいまの御質問でいきますと、予知についての伝達ということ、これが問題になってくると思うのでございます。そして現状からいたしますと、気象庁が地象を担当しております。また、予知技術につきましては科学技術庁長官の方で鋭意ご研究願っておって、おおむね信頼に足るところまで来ているのではないか。地震予知連絡会がある。その中に関東部会がある。先般の場合でも、その関東部会が検討せられた結果が気象庁から予知情報として提供されておるわけでございますが、現在まだ、その予知の連絡、伝達について十分な措置がとられておらない。これはきわめて遺憾な点でございまするが、これらの点が、今後の地震立法の中でいかにいまの時勢に応じた対応策をとるか、これはいま鋭意研究をしておるところであります。しかし、現実に予知情報というものは出されておる点もございまするから、私の立場からすれば、それらのものが信頼に足りるものでありますれば、これが関係地域に対して十分迅速な連絡をとって、それに応ずる措置をすべきでないか、このように見ておるわけでございます。
  172. 福永健司

    ○福永国務大臣 気象庁は私の所管でございますが、先ほどお触れになりました体積ひずみ計あるいは小地震観測網等の整備はなお一層必要であると私は考えております。  過般の地震には、実は気象庁の方で観測いたしましたことを関係方面に連絡いたしまして、どのぐらいの強さの地震というようなことまでも当時申したのでございますが、たまたま、その連絡をいたしまして一時間後に地震がありましたので、そのときは、よく連絡したと言ってほめられたことはほめられたのでございますが、こういうようなぐあいにしょっちゅういくとは、私はそう簡単に考えておりません。いま御注意のありましたような点については、一層の整備を図っていくことが必要であろうと思います。
  173. 石野久男

    ○石野委員 地震の問題で細かいことを聞く時間がございませんが、地震と活断層の問題が非常に関係があることはもう言うまでもありません。     〔委員長退席、栗原委員長代理着席〕  そこで、活断層の問題について、過日、毎日新聞でしたか、伊豆の方の活断層のなにを出しました。そうしたら、地質研究所や国土庁の方でこれに対して、これはもう不安を増長するからというようなことでいろいろなクレームがついたりしたのだという話も私は聞きましたが、しかし、そういうことではなくて、やはりわが国が少なくとも世界じゅうの地震エネルギーの一五%というものを抱え込んでおるわけですね。国土はわずかに〇・一%しかないのに、地震エネルギーを一五%も抱え込んでおるというこの国の実情というものを国民にはっきりさせなければいけない。そのためには、やはり活断層というものについて恐れをなしてはいけない。むしろ、よく知らすということが大事だと私は思うのです。それを知らすことによって、利害得失のある人も、ところによっては仕事の上で出るかもしれませんけれども、やはり知っていることの方が利益です。  そこで私は、活断層の図面がいまどの程度整備されているかということを、これは地質研究所ですか、国土庁ですか、どういう状況になっておるか、この際、ひとつ聞かせていただきたい。
  174. 櫻内義雄

    ○櫻内国務大臣 日本全土の地質の状況につきましては、国土庁におきまして詳細な検討をされたものがございます。だから、必要に応じて、これは公表できるものでございます。  なお、ただいま、伊豆半島の特異な地質の状況に伴う御質問でございますが、こういう地域につきましては、地震予知連絡会がすでに観測強化地域というものを指定しておるわけでございます。たとえば東海地域、伊豆半島南部から伊良湖岬あたりまでを対象とし、海を含んだ愛知県東部及び静岡県のほぼ全地域あるいは関東南部地域というように観測強化地域を指定して、いま御心配されておるようなことについては常々十分な検討をしておる、こう申し上げていいと思うのであります。そのほかにも特定観測地域というのが七地域ほどございますが、これは必要に応じてお答え申し上げます。
  175. 石野久男

    ○石野委員 地震対策本部が、予知連絡会がいろいろと指定をした地域について調査をしておることはよくわかっておりますし、それから国土庁が地質検査、調査を十分よくやっておるということもわかりますけれども、活断層に関しては必ずしもまだ図は整備していないはずです。これは実質的にどういうふうになっているか、大臣でなく担当の方にひとつ、どのところまで進んでいるか、明確に示してほしい。
  176. 窪田雅男

    ○窪田政府委員 お答え申し上げます。  地質調査所におきまするいわゆる活構造図、これは活断層を含むわけでございますが、この作成状況でございますけれども、地質調査所におきましては、文部省の測地学審議会の建議等を受けまして、昭和四十一年度から地震予知に関する研究を積極的に行ってきておりまして、その一環といたしまして、活断層及び活褶曲等地殻の活構造につきましても調査研究を重ねておりまして、その成果は各種活構造図として出版発行してまいっております。これは市販もいたしております。今後の活構造図の作成につきましては、地震予知における活構造の調査の重要性にかんがみまして、さらに取り組んでまいりたいと考えております。  なお、一月二十日の毎日新聞の記事で触れられております伊豆半島の活断層図の編さん作業につきましては、今回、昭和五十三年一月十四日の伊豆大島近海の地震後における現地調査の結果を反映することにいたしております。  このような活構造図を編さん、作成する地域の選定に当たりましては、活断層等についてのデータが十分に蓄積されております地域及び政府の地震予知連絡会によりまして地震発生に関する観測の強化が必要であると指定されております地域を重点的に取り上げるということにいたしております。
  177. 石野久男

    ○石野委員 重点的に取り上げる順序はよくわかりましたが、私は、いま全国のそういうものが全部整っているのかどうかということを聞いているのですから、細かいことはいいのです。整っているなら整っている、できていないならできていないということを、こことこことはできていないのだというところをはっきりしてほしい。
  178. 窪田雅男

    ○窪田政府委員 お答えいたします。  すでに刊行されておりますものは、後期新生代地質構造図、これは「東京」と称しておりますが、これは五十万分の一でございます。それから第四紀地殻変動図「近畿」、これが五十万分の一でございます。次に、阿寺断層周辺地域の地質構造図、これは岐阜県でございますが、これは五万分の一でございます。  それから、今後の作成予定でございますが、伊豆半島活断層図、これは十万分の一及び五万分の一でございます。それから次に日本活断層図、これは二百万分の一、次に信越地域活構造図、これは二十万分の一の予定でございます。次に秋田・山形地域活構造図、これが二十万分の一ということになっております。  以上でございます。
  179. 石野久男

    ○石野委員 それらのものはいつごろできる予定なのですか。できる可能性はあるのですか。
  180. 窪田雅男

    ○窪田政府委員 伊豆半島の活断層図は昭和五十三年の予定でございます。日本活断層図も五十三年でございます。それから信越地域活構造図、これは五十四年でございます。次に秋田・山形地域活構造図、これは五十四年の予定でございます。  以上でございます。
  181. 石野久男

    ○石野委員 それらのものができますと、全国はほとんど全部完成するのですか。
  182. 窪田雅男

    ○窪田政府委員 全部というわけではありませんが、日本活断層図というのは全体のもの、これは二百万分の一でございますから詳細ではございませんが、そのほか重点的に今後進めていきたいというふうに考えております。
  183. 石野久男

    ○石野委員 いま工業技術院長が言っているのは、非常にラフなものであれば、それはいまもあるのですよ。必要なのはやはり非常に精密なもの、なるべく五十万分の一というようなもの、あるいは五万分の一というようなものが欲しいわけですよ。そういうものがないと、いま私どもが聞いておるようなものに答えることはできないはずです。そういうことをやる能力はないのか、金がないのか、どっちなのかということをはっきりしてもらいたい。
  184. 窪田雅男

    ○窪田政府委員 お答えいたします。  この活断層の調査につきましては、政府の地震予知連絡会より、地震発生に関する観測の強化が必要であると特に指定されております地域を重点的に取り上げまして、さらに積極的に取り組んでまいりたいというふうに考えておりまして、地質調査所の中にもこれを専門に取り組んでおる部門がございまして、それに他の部も協力いたしまして調査を進めておるわけでございます。  以上でございます。
  185. 石野久男

    ○石野委員 私の聞いていることは、活断層というものは、われわれにとって地震との関係でなるべく知りたいのですよ。知りたいことに答えるのには、もっと細かい地図を早くつくってほしいということを言っているのですよ。だから、地震予知推進本部からの要請があったから下請でやっているということだけなら、その答弁でよろしいのですが、あなたは専門屋なんだから、もっと細かいものが早くできればいいと思うのか、もうそれでいいと思うのか、そういうことをそれでは聞かせてください。
  186. 窪田雅男

    ○窪田政府委員 お答えいたします。  地震予知連絡会の方で十分討議しておられまして、その重点を重点的に進めるということでよろしいかと考えております。
  187. 石野久男

    ○石野委員 いまの答弁は、どうも十分にわかって質問に答えてくれていませんですが、私は、地震に対する私たちの警戒心というものを一層厳しくしていかなければいけない。それには、地殻変動がどういうように行われていくかということに対しての予知を地震予知推進本部はしなければいけない。したがって、それには詳細な地図が必要であろうと思う。けれども、私の知っている範囲では、いま先に言われた阿寺、第四紀、後期という三つのものだけは精細なものはあるのですが、あとはまだ精細なものはない。伊豆の方はことしのうちにできるようですが、日本活断層図、これはことしのうちにできるというけれども、これは二百万分の一でしょう。非常にこれはラフなものなんですよ。そうでなく、これはやはり一日も早く整備するための予算措置をこの際すべきではないかというふうに考えます。この点について、国土庁なり地質調査所、通産でもどっちでもいいですが、ひとつ答弁してください。
  188. 櫻内義雄

    ○櫻内国務大臣 先ほどからの御質問でおわかりのように、各省庁に担当が相当分かれております。しかし、国民の心配しておる大きな問題でございまして、これに対する予算措置につきましては、国土庁の長官といたしまして全体の調整に当たっておるのでありますから、でき得る限りそれに応ずる予算措置を講ずるよう進めてまいりたい、こう思います。
  189. 石野久男

    ○石野委員 これは総理にもお願いしておきますが、活断層の地図というのは、推進本部が二、三カ所のところは整備しているのですよ。けれども、まだ多くの特定観測地域とか観測強化地域とかいろいろありますが、それが全部そういうように整っているわけじゃないのです。ですから、これはこの際予算をつぎ込んで、できるだけ早く精細なもの、精密なものをつくるようにする努力を、ひとつ内閣で指示をして整備してもらいたい。
  190. 村山達雄

    ○村山国務大臣 ただいま石野さんから御指摘がございましたように、わが国は地震は非常に重大な問題でございますので、かねがね重点を置いているところでございます。ことしは、地震関係の予算は、全体で三五%増の五千九百十億を張りつけておるところでございます。特に予知関係、これは非常に重要な問題でございますので、四〇%増をやっておるのでございます。  なお、ただいまお話がございました活断層の問題、またいろいろな問題があるようでございますが、関係省庁と十分な連絡をとりまして、万遺憾なきを今後とも期してまいりたいと存じています。
  191. 石野久男

    ○石野委員 活断層の問題は非常に大事なので、何よりもまずその調査体制を整えるとともに、地図の作成を一日も早く急いでやってもらうように、特にこれは総理にもお願いしておきます。  なお、地震の問題と原子力施設の問題について、熊谷長官から先ほど、浜岡がどうであったかということの御報告はいただきましたが、浜岡は大分離れているところで、それにもかかわらず一定程度の震度があったわけです。それよりももっと大事なことは、活断層といわゆる原子力立地との関係を全体としてどう見るかということが非常に大事になってきた。実はこの活断層との問題で、すでに原発基地はかつて問題を大きく起こしています。新潟県あるいは鹿児島の川内、そしてまた愛媛の伊方、いろいろあります。私は、特にこの際、伊方四国発電の原発の問題で、あの伊方の発電所の沖合いに非常に長い、地元の人はといと言っているそうですか、約二十四キロにわたるところのみぞがあるのです。幅約七百メートルくらい、深さ六十メートル-六十五メートル、こういうものを最近になりまして、地元の漁民が魚群探知機でずっと探査しました。その状態は、たとえばここにも図面がありますが、こういう図になって出ているわけです。このことについて、現地の漁民はもとより地質学者は、これはいわゆる中央構造線に連なるもの、関係があるのじゃないかという心配をしているわけです。中央構造線との関係があるとすると、いわゆる電力のサイトは非常に問題が出てまいります。地元はそのことを非常に心配しているので、ぜひひとつこの海溝いわゆるといというものについて調査をしてくれないか。漁民は魚群探知機でやったのだけれども、魚群探知機は海底のところまでしか入りませんから、実際にそれが中央構造線と関係しているかどうかということについての地質検査をしてもらわないといけない。断層との関係はどうなっているかということについて調査をしてもらいたいということを四国電力に強く要求しているのですが、四国電力は、もういわゆる安全審査も通っているし問題はないということで、これは答えないのです。  私は、先般伊方へ行ってまいりました。沖合いに出るつもりでしたが、風が強かったものですから出ませんでしたけれども、やはりこの地域は一応どうしても調査をした方がいいと私は思います。調査をして何でもなければそれでいいのですからね。もし住民が不安がっているように、中央構造線との関係が明らかに出るような地質であるならば、これは考えなければいけないと思います。  すでにこれはおわかりだと思いますが、アメリカでは原子力の立地について、その原発から三十二キロ以内に一・六キロの長さを持ったいわゆる断層があった場合には原発の発電所を許可しないという規定があるのですよ、たった三十二キロ以内のところにそういうものがあれば。ところが、いま伊方の沖合いにあるみぞは放水口からわずかに六十メートルくらいしか、百メートル行っていないところからもうあの溝が始まっているわけです。それから七百メートルの幅をもってずっといわゆる九州中央部に渡るところの中央構造線の線に沿って、佐田岬に沿ってずっと連なっている。もしこれが本当に吉野川から来る中央構造線に連なっているとするならば、四国発電所の立地は非常に重要な問題が出てまいります。私は、これは文句を言わずに一度調査をすべきだと思います。  これは科学技術庁長官にお尋ねしておきますが、四国電力にこのことを調査を――ボーリングをしてくれと言っているのですから、数カ所ボーリングをすればわかるのですよ。もし四国電力がやらなければ、通産省なりあるいは科学技術庁がやった方がいいでしょう。私は、これは四国電力の責任だと思いますから、あるいはまた、科学技術庁が安全審査を通過させているのですから科学技術庁の責任かもしれませんが、ボーリングはぜひやるべきだと思いますが、所見をひとつ聞かしてもらいたい。
  192. 熊谷太三郎

    ○熊谷国務大臣 ただいま石野委員のお話のありました伊方原電の敷地の前面海域にありますといの問題でございますが、これは一応原子炉安全専門審査会におきまして専門的立場からこれを十分に審査しまして、といは断層によるものではないという判断をしているわけであります。したがって、一応、現在の結論としましては、追加的な調査は必要がないと考えているわけでございますが、せっかくの御意見でもございますから、その調査の問題につきましては、なおしさいに検討させていただきたいと存じます。
  193. 石野久男

    ○石野委員 いま長官から、安全審査を通っているからもう必要はないということを言われました。一応は検討しようということですけれども、しようの答弁は必要がないというところなのです。それは四国電力でもそう言っているのです。だけれども、この中央構造線というのは本州からずっと通ってきまして、長野県を通って、いまは関東へ渡って、千葉県を通ってまたずっと上へ上がるという線になっているそうです。これは本州、四国、九州を縦断するいわゆる地質境界線の一つなのです。特に四国では吉野川からあの松山、佐田岬、その北側を通って九州中央部に入っていく線なのです。この線を、もう大体学問的にはあの付近に中央構造線があるということはわかっているのですから、このものと、その中にあるみぞは、通産省ないしは科学技術庁は、あれは潮流によってできたのだなんというようなことを言っているけれども、地質学者は、そうじゃない、氷河期の段階で、いわゆる瀬戸内海がまだ水が入ってないとき、氷河になっていたときに、その時分にこれはあの地帯を中央構造線に沿って川が流れていたものだろう、こう言われているのです。すでにあそこはもう断崖絶壁になっているのですよ、原子力のあるところは。大体六十メートルぐらいのところに建っているので、海の水をとってしまえば断崖絶壁なのですよ。しかも佐田岬はこのようにずっと一線を、もうきれいに岬がそろっているのです。これは中央構造線に沿ってできているものと、地質学者は言っているのです。  だから、そういうところですから、いままで調査していなくて、それで安全だという認定を下しておりますけれども、しかし、今日のように地震が、だんだんとマグマが動いてきている、こういう時期におけるところの、やはり活断層に対する警戒心は厳密でなければならない。もしも中央構造線が伊方の沖合い六十メートルぐらいのところから走っているということになりますと、どんなにがんじょうに岩盤にくっつけてある原子力発電所でもひっくり返ってしまいますよ。しかも、ここは六十メートルの断崖絶壁の中腹にあるのですから、ひっくり返ったらみんな中へ入ってしまいますよ。だから、そういう問題を含めて、地元住民が不安を持っているときには、政府もやはりその地元の声にこたえて、もし本当にあなた方が安全だと言うのなら、ボーリングをやったらいいじゃないですか。ボーリングをやって大丈夫だということを地質学者に認証させて住民に安心させるということが、原子力推進の上では非常に大事だと思う。これはどうしても政府が指導的立場に立って、住民の声を聞いて、あのみぞのボーリングをするということだけはここではっきりさせてもらいたいと思う。
  194. 熊谷太三郎

    ○熊谷国務大臣 先ほどお答えいたしましたとおりでございますが、石野委員のせっかくの重ねての御発言を十分尊重いたしまして、さらにひとつ検討させていただくことにいたしたいと存じます。
  195. 石野久男

    ○石野委員 私は、これは伊方だけじゃなくて、新潟にも九州の川内にも皆あるのですけれども、安全審査は皆安易に通ってしまいます。将来非常に憂うべきことが起きなければいいという心配を持っているのですから、その点はひとつ、ただ反対のためでなく、先ほどイデオロギーとかなんとかいうやじもありましたけれども、イデオロギーでも何でもないんですよ。地震が来たらイデオロギーもくそもありはしないのですから、そこのところをもう少し真剣に考えてもらいたい。  原子力についての警戒心というものは、ただ単に原子炉だけではありません。ソビエトのいわゆるコスモス954号の墜落に絡んで、世界じゅうはいま平和なときの戦争の危害を直接受ける恐怖にさらされている。私たちは、このコスモス954号というものがなぜこんなに恐怖にさらされるような内容になっているかと言えば、それは原子炉を積んでいるからです。アイソトープの電池を持っているからです。これを持っていなければ、普通の人工衛星、太陽熱だったらこんな騒ぎはしないはずだ。ただ機械的な損害としてだけで済んでいるはずです。だけれども、原子炉を持っているからこそこれだけの騒ぎをしている。  私は熊谷長官にお聞きしますが、いまこれだけ騒いでいるこの原子炉衛星に対するわれわれの危険の感度と、隕石が落ちることについてのわれわれのいわゆる恐怖と、どちらがいま世界の人々にとって大きいのでしょうか。
  196. 熊谷太三郎

    ○熊谷国務大臣 大変むずかしい専門的なお尋ねでございますので、私自身の個人的な考え方を申し上げるわけにもまいりませんが、十分ひとつ検討してみたいと思います。
  197. 石野久男

    ○石野委員 いま宇宙を一生懸命泳いでいるところの衛星は、皆様御承知のように合計して約四千五百ぐらいございます。消滅している残骸衛星だけでも六千あるのですね。私は、コスモス954というこの衛星の与えている問題というものをやはり真剣に考えなければいかぬと思っているのです。私たちは原爆を受けて原子力に対するアレルギー現象を持っているんだとかなんとかいうようなことまで言われるほど神経質になっておりますが、しかし、これは日本人だけで済まされる問題でないと思うのです。     〔栗原委員長代理退席、委員長着席〕 もし、こういうような原子炉を積んだ人工衛星が人口密集地帯に落ちたらどういうことになるんだろうか。カナダに、あの氷原の中に入ったからいまこれで済んでいるのですよ。しかも、落っこちてきた破片が、たった二十五センチか三十センチというものがいわゆる時間当たり二百レントゲンからの放射能を出しているということになりますと、これは容易なことではありません。  私はこういう問題に対して、これはほっておいてはいけない、こういうように思うのですよ。特に、ソ連が今度の人工衛星の問題について、コスモス954について自分のものであるかどうかわからないという態度で、いまのところまだそういう態度ですね。どうなんですか、外務省、モスクワの方では、これは自分のものだということを認証しているのですか。
  198. 園田直

    ○園田国務大臣 必ずしも認めてはおりません。
  199. 石野久男

    ○石野委員 そうすると、国籍不明のこういうものが、やみくもにあちらにもこちらにも落っこちてくる危険性があるわけなんですね。アメリカのスカイラブはことしの年央後半にやはり大気圏に入ってくるだろうというわけです。これは、もし誘導装置がうまく効けば適切なところへ落っこちるであろうけれども、コスモス954のように誘導装置が効かなくなったらどこに落っこちるかわかりやしませんよ。こういうような問題をわれわれは人ごとのように考えておれないわけです。大変なことだと思います。やはりこの問題について、私は、総理はどういうふうにお考えになっているか、ひとつこの際、総理の所見をまず聞かしてもらいたい。
  200. 福田赳夫

    ○福田内閣総理大臣 これは石野さんの御指摘をまつまでもなく、大変な重大問題がいま提起されておる、こういうわけです。これを放置しておきますと、本当にこれは地球のおしまいというようなところまで発展しかねない問題だろう、こういうふうに思いますので、これをどういうふうに処置するか、これはもう日本だけというわけにもいかぬ。どこの国一つという力でどうにもこうにもなりません。これは国際社会全体の協力で、もう本当に人類という立場に立って始末しなければならぬ問題である、そういうふうに考えまして、わが国としてもどういう行動をどういう方面に対してするか、いま検討中でございます。
  201. 石野久男

    ○石野委員 この問題はきわめて重大でございます。特に私は、この問題で一番大切なことは、現実にいま数千個の衛星が宇宙を回っているわけですね。引きおろせと言ったってすぐには引きおろすことができない。この際一番大事なことは、情報が公にはっきりわかることだと思います。何よりもアメリカとソ連が持っておる情報を世界じゅうに明らかにすることです。この情報の公開、これはわが国は原子力三原則、自主、民主、公開の原則を持っておりますが、これはわが国だけの問題じゃない。世界じゅうの問題として、いわゆる情報の公開というものが必要だと思います。この問題については政府はどういうふうにお考えになりますか。
  202. 園田直

    ○園田国務大臣 御指摘のとおりでありますから、近く開かれます宇宙空間平和利用委員会並びに科学技術小委員会において、日本政府はイニシアチブをとって情報の全公開を求める所存でございます。
  203. 石野久男

    ○石野委員 積極的にそれをやってもらいたいと思うのです。  同時に、こういう情勢のもとで、なおかつやはりコスモス何号かをソ連は発射します。また、アメリカはやはり、中断しておったいわゆる宇宙原子炉衛星の問題に、研究費を予算として組んでおるのです。もうこの情勢のもとで原子炉衛星を宇宙に発射するということは絶対に許してはいけないと思います。その工作は必要なんじゃないでしょうか。これを言うものは日本よりほかにないのじゃないか。しかも、動力炉衛星というのは主として軍事衛星であるということは、もうまがいもない事実なんです。私たちは、本当に世界の人類の文化のために衛星を使うとするなら、何も無理にこういうような高度なものをしなくたって事足りるはずです。アメリカとソ連とが核の権威の上において世界を制覇しようとする、このいわゆる二つの超大国が覇権を核に託して世界を支配するということについては、われわれは許すことができないと思うのです。こういう時点でありながら、なおかつ衛星を打ち上げるというようなことは、われわれは黙っておるわけにいかないのじゃないだろうか。だから、情報の公開を明確にして、こういう打ち上げ行為を絶対にやらせないということは緊急に必要なことじゃないだろうかと思いますが、いかがですか。
  204. 園田直

    ○園田国務大臣 人工衛星が必ずしも全部兵器として使われているとは思いませんが、たとえこれが平和利用の目的であろうとあるいは軍の目的であろうと、いずれにしてもその脅威は脅威でありますから、すでに日本政府は、ひとりでできることでありませんから、カナダ、スウェーデン、イギリス、続いてオーストラリアなどと連絡を緊密にし、一方、外務省からそれぞれ係官を派遣をして、各国と共同して、先ほど申し上げました宇宙空間平和利用委員会において、原子炉を動力とする人工衛星及び電源とする、先ほど言われましたアイソトープの打ち上げ、これについて規制をやるべきである、こういうことで、いま連絡を密にしておるところでございます。
  205. 石野久男

    ○石野委員 私は、いま一つ聞いておきたいことは、外務省筋では、そういう問題について特に事故の再発防止をするという方法を講じたらいいじゃないかというような意見が、これは科学技術庁であるのかどこか知りませんが、そういう意見があるようです。いま一つは、安全保障の措置を要求すべきだ、こういうことを言っているけれども、率直に申しまして、現在、宇宙にあるこの動力炉衛星に対するいわゆる事故の再発防止をどういうふうにしてやるのですか。やる方法がありますか。あるいは安全保障をする措置をしようと言うけれども、どういうふうにして具体的にやるのですか。こういうような考え方がもしあるとするならば、私はこれはよろしくないと思いますが、いかがですか。
  206. 園田直

    ○園田国務大臣 もちろんそれぞれ真剣に研究しているところでありますから、過程においてはいろいろ意見が出ることは当然であります。すでに外務省は意見を全部言わして統一をして、先ほど申し上げたような方針で進む所存でございます。
  207. 石野久男

    ○石野委員 私は、あえてこのことを言うのは、原子力というものは他のいろいろな物象とは違うということを言いたいのです。ほかのことならば、事故の再発防止をするという方法があるのです。できるのです。いまの状態では。あるいはまた安全保障措置をすることもできるのです。だけれども、原子力に関する限り、事故の再発を防ぐということは、少なくとも宇宙衛星に関してはできるはずはない。それだけの技術はないはずです。能力はないはずです。安全保障措置をするだけの能力も技術もないはずです。そういうないものをあるかのごとくに言って、そしてこの原子炉衛星というものを認証しようとするようなことは許してはいけない。それを許すのはだれのためかといえば、アメリカとソ連のいわゆる二つの超大国の恣意を許すことだけにすぎない。私は、やはりこういう問題について日本政府はもっとはっきりした態度をとらなければいけないと思う。私の考え方について総理はどういうふうにお考えになりますか。
  208. 福田赳夫

    ○福田内閣総理大臣 この問題は本当に大事な人類的問題である、こういうふうに思うわけでありまして、ただいま外務大臣が申し上げたような方針でわが国としては全力を尽くしてみる、こういう考えでございます。
  209. 石野久男

    ○石野委員 私は、外務大臣が積極的に国連軍縮会議等、核軍縮会議で発言をするとか、あるいは平和利用会議の中で発言するとかということを、大臣の答弁のように期待したいと思うのです。そういうことを含めて、私どもは、少なくとも人工衛星には原子力電池なり原子炉等の放射能を持つ一切の装置をしないということをさしあたり強く要求すべきだと思います。  二つ目には、いままで消失した原子力衛星、現存するものの安全性に関し、一切の資料の公開を政府は米ソに要求してほしい。これはわが国がいわゆる非核三原則を世界に宣言しているということからしても非常に大切なことだと思います。だから、総理大臣はソ連、アメリカに対して大胆にこのことを要請して、さらに原子力衛星を監視をすることを目的とする国際機関を新たに設けること、国連軍縮会議に対しては核軍備廃絶の実現を期するという行動を主体的にやってもらいたい。アメリカやソ連の意向を勘ぐりながら日本が態度をとるべきではないと思います。仮に日米安保条約があったとしても、この問題は独自の体制をとって、そして世界をリードするということを福田総理大臣はやるべきだろうと思います。人類を救うためにこれはやらなければならないことだと思います。総理の所見をひとつ聞いておきたい。
  210. 福田赳夫

    ○福田内閣総理大臣 御所見の趣旨は全く同感でございます。ただ、具体的な御提案でございますから、その具体的な御提案をそのままこうしますと、こういうふうな御答弁はいたしかねます。しかし、御趣旨は全く同感でございますので、御提案の問題も含めまして最善を尽くす、そのことだけははっきり申し上げます。
  211. 石野久男

    ○石野委員 これは総理の言葉をまた返すわけじゃありませんけれども、私は、具体的な提案ということよりも、これがもう最低限の大事なことだと思って言っているわけです。もう再考を要しない必要なものだと思っているのです。ことに日本は被爆国であるという唯一の特殊性を持っているがゆえに、それは仮に国際関係や外交上の問題がいろいろあろうとも、それを乗り越えてやるだけの総理大臣の意図がやはりなければならないと思う。これは一億の日本人の心からの切願だと私は思います。世界の人々も、このことに対してだれも手向かう者はない。もし手向かう者があるとすれば、覇権を主張する人たちだけだ。それはアメリカとソ連だけですよ。そんなことにおびえる必要はないと思います。私は、大臣にいま一度、やはり本当の心からの所見を聞いておきたいと思う。
  212. 園田直

    ○園田国務大臣 先ほど安全規制のお話がありましたが、御指摘のとおりでありまして、日本政府は、すでにソ連の方に抗議を申し込んだ際に、ソ連の方から、これはちゃんと安全規制があって、故障の場合には宇宙圏でこれが爆発するようになっているなどという説明がありましたが、そのような規制が仮にあろうとも、すでに予定より狂って故障で落下するわけであるから、そのような機械装置も故障があるはずであるから、そういうことは信用できない、こういう反論をやっております。  それから、いま総理が言われましたとおりでありまして、それぞれの国と相談協議の結果出てくることでありますから、監視の機関をどうするかこうするかという具体的な問題は、総理のおっしゃるとおりに、やってみた後の問題でありますけれども、少なくともわれわれは、覇権とかどうとかという問題ではなくて、人類に対する脅威、これだけは、よその国と相談をして、断固主張すべきものは、どこの国が迷惑であろうと主張すべきであるという決意に変わりはございません。
  213. 石野久男

    ○石野委員 外務大臣は、私が覇権という言葉を使ったものだから、いわゆる日中問題だとか何かに関連して話しているかしらぬけれども、覇権というのはそういうものじゃないですよ。権力をもって制覇するということなんです。いわゆる核をもって世界を有無を言わさず制覇するということが一つの覇権なんですよ。そういうことをアメリカもソ連もやっているから私は言うのです。だから、少なくとも世界の平和のためにも、人類の幸福のためにも、健康を維持するためにも、この原子力、放射能の恐怖というものは何人といえども、これはイデオロギーや何かじゃないということをやはり率直にあれして、世界外交上の問題に取り上げてもらいたいと思います。
  214. 園田直

    ○園田国務大臣 その趣旨は十分理解しておるつもりでございます。
  215. 石野久男

    ○石野委員 最後に、科学技術庁長官にこれはお願いしたいのですが、原子力三原則の中に公開の問題があります。公開の問題は、なかなかやはり資料公開というのは日本の中でも現実にできないのです。だから、これはたまたま動力炉衛星というものが事故を起こしたということによって世界的な問題になりましたが、しかし、少なくとも情報を公開するということの必要性は非常に切実な問題としてあるわけでございます。私は、これは内閣の問題でもありますが、原子力に関連して資料公開という問題をこの際積極的にひとつ指導してもらいたい。これは各企業に対してもですよ。このことを政府が指導するということについての長官の所見だけひとつ聞いておきたいと思います。
  216. 熊谷太三郎

    ○熊谷国務大臣 御趣旨を体しまして十分善処いたしたいと存じます。
  217. 中野四郎

    ○中野委員長 これにて石野君の質疑は終了いたしました。  次に、二見伸明君。
  218. 二見伸明

    ○二見委員 私は、きょうは防衛問題、あるいは日米通商協議、農産物の輸入自由化、農業問題等等、バラエティーに富んだ問題を質問したいと思います。  最初に、本論に入る前に外務大臣に確認を兼ねてお尋ねをいたしますけれども、けさの有力紙で金大中氏がきょう釈放されるとの報道がありました。しかし現在まだ釈放されたという報道に私たちは接しておりません。金大中氏がきょうじゅうに釈放されるのか、あるいはきょうは釈放されなくても近い将来に釈放される見通しがあるのか、お願いしたいと思います。
  219. 園田直

    ○園田国務大臣 本日早朝並びに昼ごろ、在外公館に対して照会いたしましたところ、釈放されていない、なお本日釈放されるような動きもない、こういうことであります。韓国内では釈放されるといううわさが飛んでいることは事実でございます。
  220. 二見伸明

    ○二見委員 現在まだうわさの段階であって、釈放という事実関係もまだ確認されてないことだと思います。したがいまして、金大中氏が釈放された段階でこの問題についてはまた別途議論をしたいと思います。  ところで、外務大臣に重ねてお尋ねいたしますけれども、去る二日、ブラウン米国防長官より、一九七九年の会計年度の国防報告が公表されました。就任二年目に入りまして、内外ともに変化の過程にあるカーター政権の世界戦略の概要が初めて明らかにされたわけであります。キッシンジャー外交のもとに進められた力の均衡によるデタント路線はソ連に一方的に利益をもたらしただけだという米国内の反発はあるものの、ソ連とのデタントはあくまで追求し、戦略兵器を中心にさらに広範囲な軍備規制の話し合いを進めていくのがカーター大統領の基本姿勢であったはずだと私は思います。さらに五月には国連で初めて軍縮特別総会が開催される予定になっており、世界各国とも軍縮に対する関心が非常に高まりを見せております。にもかかわらず、今回の国防報告は、欧州では危機が高まっているという認識のもとに、NATOは防衛同盟だが反撃できる力を持たねばならない、あるいはワルシャワ条約軍の攻撃を最小限の領土的損失で阻止し、速やかに戦争前の境界を回復するため、NATO軍への初期戦闘能力を、特に対戦車能力を強化するとともに増援能力を向上させる、こう述べておりまして、軍縮というよりも軍拡方針を打ち出したのではないかとさえ読み取れるわけであります。  外務大臣にお尋ねいたしたいのは、この報告をただ単に軍事的な面からだけではなくて、複雑多岐にわたる国際環境の外交政策の中からどうお読みになり、どう分析されたのか、また欧州の危機ということについては外務省はどういうふうにお考えになっているのか、これをお尋ねしたいと思います。
  221. 園田直

    ○園田国務大臣 ただいま御質問の米国の国防報告というのは膨大なものでありまして、ただいま発表されたのはその要旨が発表されただけであります。したがいまして、その全文を取り寄せているところでございますから、詳細な検討はいたしておりませんけれども、発表された要旨から拝見をしますると、カーター政権成立以後、アメリカの国防、特に東南アジアに対するアメリカの意向並びに計画、いろいろ情報が流れておったわけでありますが、今度の国防報告によって、戦略あるいは通常兵器等を含めてアメリカの国防計画が、東南アジアについてはきわめて明確である、これはいままでと何ら変化はない、こういうことが第一。  それからヨーロッパとアジアの方、ヨーロッパに重点を置いてアジアを少し抜いたようなという新聞評もありますが、私はそのようには考えておりません。ヨーロッパはヨーロッパとしての全般的な戦略、それからアジアについてはアジアについての基本線、これを明確にされたことである。  なお、詳細にわたっては防衛庁の方から御意見をということでございます。
  222. 二見伸明

    ○二見委員 ヨーロッパの危機ということについてはどう判断されておりますか。ヨーロッパに危機が高まっているのかどうか、その判断はいかがでしょうか。
  223. 園田直

    ○園田国務大臣 まあ戦略上の判断、あるいは国防報告でありますから、これは単に戦略戦術のみならず、そのほかの考え方もあると思いますけれども、私はヨーロッパにおける危機が高まっておるとは判断いたしておりません。
  224. 二見伸明

    ○二見委員 要するに、ヨーロッパの危機については、アメリカ国防報告での判断と日本の外務省の判断とは違うということを私は確認をしたいと思います。それはまた後ほど議論をしたいと思います。  防衛庁長官にお尋ねをいたしますけれども、この報告はヨーロッパ、極東、中東の三地域を結んで一体とした戦略構想を打ち出しているわけでありますが、外務大臣はアジアを二義的に扱っているのではないと言われましたけれども、私はやはりアジアに対する言及は第二義的な位置しか与えていないのではないかと思います。そこで防衛庁としては、この報告について、これはアメリカのアジア戦略の手直しを述べ、日本の防衛分担増を求めたものである、こういう分析をする人もおりますし、また、いま外務大臣の御答弁のように、アメリカの極東戦略は現状維持の姿勢を打ち出し、特に大きな変化はないと見る、こういう方もおります。防衛庁はどちらの方でしょうか。
  225. 金丸信

    ○金丸国務大臣 ただいま外務大臣から答弁があったとおりだと思うのですが、私の知る範囲におきましては、米ソの関係は現状を維持していることがいわゆる安全保障体制の目的を達するというようなこと、あるいは在韓米軍は撤退、削減するという問題については、四、五年の間段階的にこれを撤退するということでありますから、いわゆるアジアの情勢にバランスを崩すことはない。  また、日本は「北のいかり」だと言っておるわけでありますが、いまの日米安全保障条約を維持することによってアジアの平和というものが目的を達するというようなことを言っておるわけであります。  また、分担金の問題について御質問がありましたが、日本の自衛隊はあくまでも日本の中で分担することでありまして、アメリカはアメリカで分担し、いわゆる、アメリカに日本が乗るということもなし、またアメリカが日本に分担金を持ってくるということもない、私はこう思っております。
  226. 二見伸明

    ○二見委員 欧州に危機が高まっているのかどうかまでは、これはアメリカと日本の間で見解が分かれてもやむを得ないと思いますし、そういうこともあるだろうと思います。しかし国防報告を見ている感じでは、アメリカはヨーロッパの危機ということをはだ身に感じていると思います。そしてアメリカの戦略を日本、極東を第二義的であるとかないとかというよりも、むしろアメリカの持っている力をアジアよりもヨーロッパに向けているのではないか、そういう印象というよりも、そうしたことを実感として感ずるわけであります。  そこで、さらにお尋ねいたしますけれども、この報告の中にはわが国を「北のいかり」と表現して、そして「緊密な日米防衛関係の継続はアジアの安定を一層強化する。日本の自衛戦力向上の努力、特に日本が最近発表した防空、対潜水艦作戦能力増強計画を支援する。米国は日米防衛協力向上を進めており、日本政府と在日米軍の経費削減の方法について協議してきた。」ここで「日本政府と在日米軍の経費削減の方法について協議してきた。」こう言っております。さらに、「米国はその富と国際秩序に対する利害関係に応じて、集団安全保障の負担を分担する用意がある。しかし同盟国が自力防衛の拡大に必要な基本的な力をつけてきており、かつそれらの国が直接的には超大国と対決していない地域では、集団安全保障の負担について若干の調整が行われるべきである。そうでなければ安全保障は真に集団的ではなく、長続きもしない。」と報告の中では述べているわけであります。  防衛庁長官にお尋ねしますけれども、これはアメリカが来軍の負担を機能と経費と両方の面でもって日本に肩がわりをさせたい、肩がわりしてもらいたいという構想をはっきり打ち出したのだと、私はこれを読んで見ているわけでありますけれども、防衛庁としては、その点はどういうふうに見ておりますか。
  227. 伊藤圭一

    ○伊藤(圭)政府委員 アメリカが、極東におきます日米安保体制といいますか、日本との同盟というものを重視しているということは明らかでございます。そしてまた、日本が日本の独自の判断で必要な防衛努力をしているということを評価しているのも事実でございます。しかしながら、日本に肩がわりをさせるとか、そういうようなことはないわけでございまして、分担といいますか防衛協力という形におきましては、私どもも日米防衛協力小委員会においていろいろ協議をしているところでございますが、分担という形で肩がわりというようなことは全くないわけでございます。
  228. 二見伸明

    ○二見委員 私は、そういうことを言われるともう少し言いたくなるのですがね。いいですか、この中では「しかし同盟国が自力防衛の拡大に必要な基本的な力をつけてきており、かつそれらの国が直接的には超大国と対決していない地域では、集団安全保障の負担について若干の調整が行われるべきである。」「若干の調整が行われるべきである。」と言っておるわけです。「そうでなければ安全保障は真に集団的ではなく、長続きもしない。」これは明確じゃあありませんか。日本がアメリカの機能及び経費についての分担をどう考えるかは別として、アメリカ側の意図はまことに明瞭であります。そういう答弁では満足できません。防衛庁長官、いかがですか。
  229. 金丸信

    ○金丸国務大臣 アメリカの願望であろうと私は思うわけでありますが、防衛庁といたしましてはそのようなことは聞いておらない、こういうことであります。
  230. 二見伸明

    ○二見委員 長官はいま重大な答弁をされたわけであります。要するに、機能及び経費の両面でもって日本に肩がわりさせるのはアメリカの願望であるといま長官は答弁をされたわけです。  総理大臣にお尋ねいたしますけれども、アメリカ側にそういう意図がある。では、日本はアメリカ側のその意図に対してどういう対処をされるのでしょうか、いかがでしょうか。
  231. 福田赳夫

    ○福田内閣総理大臣 アメリカが腹の中でどういうふうに思っているか、これはいろいろなことを思っていると思います。ただ乗り論というようなことが言われるような状況でありますから、二見さんのおっしゃるようなこともアメリカ人の腹の中にあるいはあるかもしらぬ。しかし、わが国としてこれを論ずる場合におきましては、アメリカから日本に対してどういう意思表示があるか、そういう問題だろうと思います。そういう角度におきましては、アメリカはわが国に対しまして、さような要請をした、意思表示をしたということはございませんです。
  232. 二見伸明

    ○二見委員 そういう意思表示をしたことがないというのは総理の答弁でございます。  では、重ねて総理大臣、お尋ねいたしますけれども、一月三十日の参議院の予算委員会で真田法制局長官は、軍事技術は進歩しており、そのときどきの軍事科学の進展により自衛の限界は変化があってしかるべきだ、こう答弁されて、大きな論議を巻き起こしたわけであります。この発言については、私また後ほどお尋ねいたしますけれども、この真田さんの発言というのは、軍事力増強を肯定する発言であって、われわれとしては絶対に容認できない発言であります。総理大臣もマニラ宣言で、軍事大国にはならないということを宣言されておりますし、マンスフィールド駐日大使も、日本の防衛力の増大はアジアの不安定要因になる、こう言っております。  私は、総理大臣に一つは基本的なことをお尋ねしたいのですけれども、アメリカが防衛機能、経費分担増の両面でわが国に期待をしている。わが国が受け入れるかどうか別であります。それは別問題です。アメリカとしてはそういう意図を持っている。そういうアメリカの意図と、今度はそれを承知しているわが国の防衛のあり方、いままでは機能分担の申し出がなかったというのは、きのうまでの話であります。国防報告ではそう述べているけれども、日本に具体的にこうしてくれ、ああしてくれという意思表示はなかった。しかし、これからは意思表示があるかもしれません。そうなった場合に、わが国としてはこの問題をどういうふうに対処していくのか。あくまでも機能分担ということについては憲法第九条のたてまえもあり、わが国としては防衛の機能分担には応じられないという態度をおとりになるのか。あるいは真田長官の答弁では、軍事技術の進展によって自衛力の限界にいろいろ変化があってしかるべきだという発言もありますので、場合によっては機能の分担まで踏み込むこともあり得るのか。総理大臣、これはいかがでしょうか。――これは法制局長官の法律的な答弁ではございません。政治的な見解ですから……。
  233. 福田赳夫

    ○福田内閣総理大臣 アメリカがわが国にどういうことを求めるか、これは先ほどから申し上げておりますが、腹にアメリカが何を思っているかということと、わが国に対して公に言ってくることと、これはもう別の問題でございます。腹にアメリカがどういうふうに思っているか、これは私にはわかりません。わかりませんが、わが国に対しまして防衛上どうやるべきだというような要請がましいことは万々いたすまい、私はこういうふうに考えておりまするし、同時に、防衛はもとよりわが国の主権的な事項でありますから、この問題をどうするかということは、これはわが国の主権国としての立場において自主的に決める問題でありまして、アメリカの意向にかかわる問題ではない、このような見解でございます。
  234. 二見伸明

    ○二見委員 私は、いまの答弁をすんなり受けてもいいような、ちょっとこれはおかしいなと思う点もありますので、確認いたします。  要するに、アメリカからはそういう要請がなかった、またそういうものは日本が自主的に判断することだと言っております。確かに自主的に判断することなんですけれども、その自主的に判断する中で、防衛の機能分担を日本が自主的に判断することもあり得るわけですか。
  235. 福田赳夫

    ○福田内閣総理大臣 これは万事憲法第九条の範囲内においてである、このように御理解願います。
  236. 二見伸明

    ○二見委員 そういう抽象論で答えられると、また非常にやりにくいわけでありますけれども、憲法九条の範囲内であると言いましても、たとえば真田法制局長官の発言もあり、解釈によってはどうにでも動いていく。  では、長官に聞きます。アメリカとの防衛の機能分担は憲法九条に抵触するのですか、しないのですか。
  237. 真田秀夫

    ○真田政府委員 先ほどから私の参議院予算委員会及び当委員会における答弁が問題というか、それを御引用になっての御質問でございますので、私が二度にわたって申し上げましたことの真意、趣旨を明確にここで繰り返して述べさせていただきたいと思います。  私が申しましたのは、もちろんこれは憲法問題でございまして、憲法九条の説明をいたしたわけでございまして、つまり憲法九条は、わが国が主権国として持っている固有の自衛権まで否定しているものではない、これはまず異論のないところでございます。したがいまして、この自衛権の行使を裏づける自衛のための必要最小限度の実力を保持することも、これもまた憲法は禁じているものではないであろうというのがそもそものわれわれの立論の出発点でございます。  したがいまして、九条第二項が保持を禁止している戦力というのは、言葉の意味どおりの戦う力、戦力ですから、その言葉の意味どおりの戦力のうちでも自衛のための必要最小限度を超えるものを指して、それを九条二項は保持しない、こう言っているのである。そこで、わが国が保持する自衛力が、それが自衛のための必要最小限度を超えるか否か、つまり、憲法第九条第二項に違反するかどうか、そういう点については、そのときどきの国際情勢、それから科学技術の進歩等の諸条件によって変わり得る相対的な面を有することも否定し得ない、これが私が申し上げた趣旨でございます。  つまり、そのうちの科学技術の進歩によって相対的に変わり得るものであるという点が非常に問題を醸しているようでございますけれども、これは何も私が事新しく申し述べたのではなくて、いままでの国会における政府答弁にもしばしば出ている点でございます。ただ、そこで御注意願いたいのは、これはあくまでもぎりぎり憲法論としての話でございまして、その後それが、憲法上のリミット、憲法九条第二項で保持が許されるか許されないかというその限界点を申し上げたわけでございまして、その範囲内においてどれだけの軍備を現実に持つかということは、これは立法政策の問題でございますので、その辺は混同なさらないようにひとつお願いいたしたいと思います。
  238. 二見伸明

    ○二見委員 防衛機能の分担は憲法九条とは抵触するのですか、しないのですか。
  239. 真田秀夫

    ○真田政府委員 それはただいま申し上げましたところからおのずから明白だと思いますけれども、分担という言葉がいいのか協力というふうに言うのがいいのか、それはとにかく、わが国が自主的にわが国の持つ防衛力の範囲を決めるわけでございまして、それは当然憲法の第九条第二項の許容する範囲内において持つということの一言に尽きるわけでございます。
  240. 二見伸明

    ○二見委員 法律論をやりますと言葉が堂々めぐりいたしますので、私は余りやりたくないのですけれども、いまの長官の答弁をお聞きいたしますと、防衛機能の分担は必ずしも憲法違反ではないととれますよ、これは。長官、それでいいんですね。日米の間で防衛機能を分担するということは、これは。しかもアメリカの戦略というのは、北東アジアで余りがたがたしてもらいたくないというような基本戦略があるわけですよ。そういうただ単なる防衛機能の分担だけじゃなくて、そういう思想がアメリカにはあるわけでしょう。そうした思想を踏んまえた上で防衛機能の分担をするということは、いまの長官の答弁からいくと憲法違反ではないとしか受け取れませんよ。どうなんですか、それは。
  241. 真田秀夫

    ○真田政府委員 防衛機能の分担ということの意味合いなんですが、わが国は独立国として固有の自衛権を持っております。それを裏づけるための実力部隊としての自衛力を持っております。また一方、アメリカとの間の安全保障条約によって、アメリカは極東における国際の平和及び日本の平和の維持に寄与するために施設、区域を日本から提供を受けて、そしてただいま申しました極東における国際の平和と日本の平和の維持に当たってくれているわけなので、さればと言って、いまのどうも分担分担とおっしゃる意味合いが私によくわからないのですけれども、わが国はわが国を守るために実は固有の自衛力を持つわけなので、それ以上に別にアメリカのために持つわけじゃないのでございますから、つまり集団的な自衛権と普通言われているそういうような自衛権を持ち、あるいは行使するということは、それは憲法上許されないということも、これもかねがね申し上げておるわけでございますから、どうもその辺で御理解願わないと、私は分担とおっしゃるのが何か共同して持つというような意味合いに受け取られるものですから、どうもそれが直ちに憲法違反かどうかというようなことをちゃんとお答えする方法がないわけでございまして、いま申し上げましたように集団的な自衛権というものは持たないのですから、日本は日本固有の自衛権があって、日本は日本を守るために自主的に憲法の範囲内で持てる範囲のものを持つ、それを政策としてどこまで持つかは、終局的には国会で予算なりあるいは法律案の質疑を通じてお決めいただくという筋道になる、そういうふうに御理解願いたいと思います。
  242. 二見伸明

    ○二見委員 だんだん話がわからなくなってくるんだ。これはあなたと、ここで限られた時間の中で押し問答しても始まりません。いずれこれは会議録ができ上がってまいりますから、お互いの発言をきちんと見て、それをもとにして一度この論議はやりたいと思います。ここでがたがたやっても始まりません。だんだん話がこういってわけがわからなくなってくる。一つ一つ今度は言葉の定義をきちんと決めながら、この問題は内閣委員会なり外務委員会なりに御出席いただいて議論をしたいと思います。  ただ私は、長官がぐじゅぐじゅ言って話がわからなくなりましたけれども、しかし冒頭あなたが、機能分担も憲法九条には必ずしも抵触しないんだと言った、そう受け取れた発言は私は非常に注目をいたしております。と同時に、これはいろいろな日本を取り巻く客観情勢の変化によっては防衛分担があり得るだろう、機能分担があり得るだろうということを実は危惧しているわけであります。それはまた後ほどの議論にしたいと思います。  総理、現在の安保というものですね。日米安保条約がつくられた五〇年の後半から六〇年前半というのは東西冷戦構造という国際情勢、これがありましたし、わが国の立場というのはアメリカに、これはいろいろその言葉は適当でないという御批判はあるかもしれませんけれども、アメリカに追随するわが国の国際的地位という、アメリカに追随していくのだという、そういう国際環境にあったのだろうと私は思います。しかし、その後六〇年の後半から七〇年前半、もう七〇年後半と進むにつれて国際環境も変わってまいりましたし、またわが国の国際的な地位というものにも大きな変化が来ております。こうした国際環境の変化とわが国の国際的な地位の変化というものを考えて、現在の安保条約についていろいろな議論があるわけです。これはもう変質したのだ、こういう人もおります。いや、変わっておらぬという人もおるし、いや、変質したのだという人もおるし、いや、これは八〇年代は、新しい国際環境の中で日米安保条約を基軸とする日米関係というのは変質をしていくべきだ、こう言う人もおります。総理大臣の基本的な御認識は、これについてはどんなものでしょうか。
  243. 園田直

    ○園田国務大臣 先ほど国防報告に対する所見が求められましたが、あの国防白書は、欧州の方が物騒であるからそちらの方に軍事体制、軍事力の重点を移すから、アジアの方は少しすくから日本が肩がわりをしろ、こういうふうには解釈をいたしておりません。アメリカの平和維持は、御承知のとおりに軍事力の均衡、そして抑止力によって平和を維持しようということでありまして、ヨーロッパと東南アジアを比べた場合では、もともとからNATOその他の軍事体制、兵力の配置、兵器の配置等から見ても、ヨーロッパに重点を置いておることは事実であります。したがって、ヨーロッパに重点を置いていることと、東南アジアの平和にあくまで不動の方針でアメリカは平和を維持するという確固たる信念が今度の報告でわかった、こういう意味でありまして、日本に期待されるものは、手薄になるからアメリカのかわりに日本がやれという意味ではなくて、安保条約、行政協定その他によって平和を維持するためにアメリカと日本は約束があるわけであります。その約束内において、憲法の枠内で日本が自分の国を守るべきその責任だけは十分に果たせ、こういうのが期待でありますから、したがって、総理のおっしゃったとおり、憲法の枠内において国内の情勢あるいは力、こういうことを勘案して、これにどのようにこたえるかは、まさにこれ総理みずからの決断である、このように判断をいたしておるわけであります。
  244. 二見伸明

    ○二見委員 それは後ほど伺いますけれども、安保は変質したと言う人、あるいは変わってないと言う人、あるいは安保をもととする日米関係というのは将来八〇年代に向かって変質されてしかるべきだという意見がある、私これをお尋ねしたら、外務大臣が、私が前に質問したことについていま答弁があったものですからはぐれちゃったわけですが、総理大臣はどうでしょうか。
  245. 福田赳夫

    ○福田内閣総理大臣 安保条約は、第一条で第一義的な日米の安全保障面の規定をしているわけですね。この点につきましては、私はこの条約ができたときとまた今日まで受け取り方において何らの変化はない、こういうふうに考えております。  ただ、安保条約は、これはもう一つ大事な点を決めているのです。第二条であります。日米が経済その他の各般の部面において相協力する、こういうことでありますが、この点が、私は、安全保障論議の陰に隠れまして、そして余り議論もされない、また同時に、その第二条の持つ役割りというものについての認識、またそれに基づくところの努力、そういうものが非常に希薄であった、こういう感じがしてならない。しかし、今日はそれがまたそうでない。やはり日米関係というものは、安全保障というその日米間、またアジア、極東ですね、極東の平和や安全だけの問題じゃないのだ、第二条が示すごとく、日米というものは、これはもう世界の問題につきまして安全保障以外の諸分野において相協力する、そういう関係になってきております。現実に日米問題の本質というものは、安全保障の問題もそれはありますよ。ありまするけれども、それ以上に世界の中で日米は一体どういうふうな協力をするかというところへ来ておるわけで、そういう面におきましては、私は、日米安全保障条約というものが、本来企図した目的、第一条、第二条双方踏まえましての目的に従いまして見直されつつあるし、また、これがさらに推し進められるべきである、このように考えております。
  246. 二見伸明

    ○二見委員 軍事的な性格については変化はないけれども、経済的な面では変化があるという御認識ですね。  それで実はもう一点お尋ねしますけれども、新聞報道によりますと、今月の十五日に自民党の政調会長の江崎さんだとか三原さん、日経連の桜田さんが発起人となりまして、日米安全保障研究センターを設立するというニュースが流れているわけであります。恐らくこれは総理もお耳にはさんでいらっしゃることと思いますけれども、聞くところによれば、このセンターの構想というものは、八〇年代にかけてわが国の外交、安全保障政策の抜本的再検討が必要であり、従来わが国がとってきた米、ソ、中の三大国の勢力均衡に自己調整するという受動的な姿勢から、アジア太平洋の新しい秩序形成の主役の一人として、日本の防衛上の役割りを増大した日米安保の第三次改定を目指そうというのが趣旨だと言われているわけであります。総理大臣はこの構想をお耳にはさんでいるのかどうか、またもしこういう構想があるとするならば、総理としては日本の防衛上の役割りを増大した日米安保体制の第三次改定というものについては、基本的に好ましくないとお考えになるのか、それは一つの方向として傾聴すべきものであるとお考えになるのか。私は、こうした方向は好ましくないと考えております。総理はいかがでしょうか。
  247. 福田赳夫

    ○福田内閣総理大臣 その話は私は聞いておりません。したがいまして、そのいわゆる構想、それについての所見は、これは申し述べない方が妥当であろう、このように思います。
  248. 二見伸明

    ○二見委員 いずれにしても、お聞きになってないのですからこれは議論の余地がありませんけれども、どうですかね、そういう第三次改定、防衛力を増大するというような形での日米安保の第三次改定というような構想、総理のお気持ちとしてはそういうことは好ましいのですかね。
  249. 福田赳夫

    ○福田内閣総理大臣 私は、日本の防衛論議、これが盛んになる、これはもう非常にいいことだろう、こういうふうに思います。しかし、その結論が憲法第九条の枠をはみ出る、こういうことは断じて許されないことであり、幾ら条約をほかの国と結びましても、憲法の枠だけは超えることはできないし、そういうことは許されざる問題である、このように考えます。
  250. 二見伸明

    ○二見委員 私たちは日米安保体制については、これを強化するような方向の考え方には賛成できないわけです。総理大臣、先ほど私は変質のことでお尋ねしましたけれども、日本とアメリカとの関係というのはこれからも非常に緊密な関係を日本としてはとる必要があると思います。これを否定するものではありません。しかし日本とアメリカとの関係というのは、私はむしろこれからますます軍事同盟的色彩をより薄める必要があるだろう、経済的、文化的な、あるいは人的な関係は緊密であってもしかるべきだけれども、軍事的な色彩は薄める必要があるし、私たちの党の基本的な考えとしては、軍事同盟である安保条約を廃棄して、八〇年代にかけては経済大国となったわが国は、経済を中心とし文化を中心とした新しい日米関係、そうしたものを目指すべきだというのが私たちの基本的な考え方であります。そしてもうそういう時代に入っていると思うし、そうした点で模索をするべきだと私は思いますけれども、総理大臣はこの点はいかがですか。
  251. 福田赳夫

    ○福田内閣総理大臣 経済、文化の日米関係、これは大変結構なことであるけれども、わが国とすると、わが国の安全を度外視して文化も経済もあったものではありません。そういう関係から見ると、私は、いまの安保条約というのはよくできていると思うのです。第一条が安全保障でしょう。第二条が経済だとかその他の問題の分野の関係で、私は、この両々を踏んまえてできておる安保条約というのは大変よくできておるし、これが策定の任に当たった当時の両当局関係者に先見の明を敬意を表する、そういう感じがいたします。私は二見さんのお気持ちはわからぬわけではありませんけれども、安全保障の問題を度外視して文化も経済も平和も安全もあり得ない、こういうふうに思います。
  252. 二見伸明

    ○二見委員 これはお互い考え方の違いでございまして、ここで議論しても始まらないことでありますけれども、また話は先ほどの法制局長官の参議院予算委員会での話に戻ります。  先ほど、いろいろ誤解があるといけないからということでるる御答弁がございましたけれども、要するに、軍事科学の進展により自衛力の限界にも変化があってしかるべきだという、この部分が拡大報道されたとおっしゃいましたけれども、私はこの答弁というのは非常に重要な意味合いを持つものだと思っております。というのは、F15の空中給油装置について、今度は空中給油はしないということを外したわけでありますし、つけないはずの爆撃装置もつけたわけであります。当時の田中総理大臣が国会で答弁された三つの原則がありますね。それをただ単にひっくり返しているだけの話ではないのですよ。どういう意味合いを持っているかというと、専守防衛、あるいは軍事技術の進展、環境の変化、こういった形容詞をつければ際限なく軍備の増強が可能になる、そうした道を開いたというところに真田長官の発言の歴史的な重みと意義があると私は思うのです。だから、私たちは、この真田発言には承服ができないのです。あの発言があった以上、これは法律上の解釈だけでは済まされない。  たとえば、総理大臣が軍事大国にはならないとマニラ宣言でおっしゃいましたけれども、われわれが軍事大国にならないならないと言ったって、軍事大国であるかどうかと判断するのは諸外国であります。強大な軍事力を持っていて、おれたちは軍事大国じゃないぞと言っても、東南アジアの諸国が、ああ、日本は軍事大国じゃありませんよとにっこり笑ってくれるかどうか、それは疑問であります。われわれの主観的意思だけでなくて、客観的に見てもこういうわけで軍事大国にはならないのですという歯どめをしなければならない。これは非常に歯どめはむずかしいです。だけれども、可能な限りでの歯どめをしなければならない。その一つが、防衛庁長官、GNP一%。たとえば国債発行では、前の大蔵大臣の坊さんは、三〇%というのは非常に理念的なもので、それが一%超えたから、二%超えたからなんという議論をされたことがあります。しかし、GNP一%はいままでずっと守ると言われてきた。これは私は、対外的に説明し得る一つの限界だろうと思いますよ。一%といいましても、絶対量から見ると、日本はこれだけ大きなGNPの国ですから、韓国の一%と日本の一%はけた違いに違います。そういう絶対量の問題はあるけれども、説明の資料にはなると思う。  ところが、長官は、六%の成長がこれから続くならば一%以内でおさめられると言う。もしこれから日本の経済が思うようにいかなくて六%を割ってしまった、そうした時代が続く、そうしたときでもGNPの一%は厳然として守るのだ、軍事予算だけは景気の変動、財政の問題には無関係に増強されてはいけないのだという毅然とした態度が私は必要だと思う。どんな状況であっても一%を守るという決意は防衛庁にはございますか。大蔵省はそれに対してはどういうふうにお思いになりますか。
  253. 金丸信

    ○金丸国務大臣 当面一%ということはさきの国防会議で決定をいたしたわけでありますが、しかし、先ほど軍事大国にしてはいけないというお話もあり、まさにそうだと私も考えております。また、そのときどきの経済状況によって、防衛という関係の毎年の予算というものは、柔軟性を持たせるべきだと考えておりますし、また現状から考えてみましても当分の間一%を超えるようなことはない、私はこう信じております。
  254. 二見伸明

    ○二見委員 私はこういうところの言葉というのは非常に大事にするたちでございまして、当分の間は一%は大丈夫だ。当分の間というのは三年か五年かわかりませんけれども、新聞のある試算によれば、五年後には一%を超えるという報道もあります。そのときになったら、当分が終わったから今度は一%を超えていいのだ、これじゃ困るのです。大蔵省は、お金を扱う方ではこの点はどういうふうに説明されますか。
  255. 村山達雄

    ○村山国務大臣 これは、かねて国防会議の決定に基づきまして一%以下にするということでございまして、ことしもその原則を堅持したところでございます。
  256. 二見伸明

    ○二見委員 ことしは〇・九幾つですから、堅持されているのはわかるのです。一%以下で済むところまでが当分の間であって、ある日、ある時代には一%を超えざるを得なくなった、飛行機も国庫債務負担行為で買っていますね、後になってだんだんツケが回ってくるわけです。そのときになったときに、もう当分の間は終わって、きょうからは一%を超えてもいい時代に入りました、それでは一%という歯どめ論は何の意味もなさない。長官、これはどうですか。
  257. 金丸信

    ○金丸国務大臣 経済情勢の変化あるいはその他、諸情勢の変化がない限り、私は当分続くと思います。
  258. 二見伸明

    ○二見委員 この議論はこれで終わりますけれども、経済情勢の変化があれば一%を超えることもあり得るのだというふうにいまの答弁は認識をいたします。それは非常に重大な発言であると私は理解いたします。  もう一つお尋ねしますけれども、まとめてお尋ねいたします。  要するに、いろいろな情勢の変化によって、いま空中給油は、しないのがすることになりました。では、空中給油機の保持は将来あり得るのかどうか、空中給油の訓練は将来あるのかどうか。それからもう一つ、海上幕僚監部は、今後の防衛力整備に一万トン級小型空母四隻の建造計画に着手したという報道を私読みましたけれども、こういうことが事実としてあるのかどうか。もう一つ、事実があるなしは別として、航空母艦というのはわが国は持てるのかどうか、今後とも持たないのかどうか。原子力潜水艦については、軍事技術の進展があろうと何があろうと絶対に持たないし、持てないのか。この五つをまとめてお答えください。
  259. 伊藤圭一

    ○伊藤(圭)政府委員 まず、現在、防衛庁の計画で空中給油機を持つ計画はございません。空中給油に関する訓練というものも、いわゆる教育の課程その他の訓練というようなことは考えておりません。  それから、一万トン級の空母の問題が新聞に出ましたけれども、防衛庁がこういった形の空母といいますか航空機を搭載する艦艇を持つ計画はないわけでございます。それでは、空母というものが憲法の九条に違反するのかどうかという御議論でございますが、これは搭載する飛行機の種類それからその艦艇の仕様、そういうものによって決まるものだろうと思います。対潜作戦をやるのにヘリコプターというものはきわめて重要な機能を果たしております。これを載せる、まとめて載せるかあるいは分散して載せるかというような問題が議論されておりまして、現在防衛庁におきましては、危険分散というような意味から、それぞれの護衛艦にヘリコプターを搭載するという考え方に立っております。  さらに原子力潜水艦につきましては、私どもはいま計画を持っておりませんし、原子力基本法との問題もございますので、そういったことは現在考えていないわけでございます。
  260. 二見伸明

    ○二見委員 これ確認だけ、ちょっと詰めておきますけれども、空中給油機を保持する計画はない。計画のあるなしと持てる持てないとは別であります。  それからもう一つ、航空母艦については搭載機の飛行機の種類によって決まるということでありますけれども、ヘリコプター以外の飛行機を搭載する小型にしろ大型にしろ航空母艦というのは持てるのかどうか。持つ計画があるなしじゃなくて、持てるのかどうか、原理的に。この点どうでしょう。
  261. 伊藤圭一

    ○伊藤(圭)政府委員 空中給油機につきましては持つ計画はないと申し上げましたが、これが絶対持てないかということになりますと、オプレーションの場合に、これが憲法に違反するというふうには私どもは考えておりませんけれども、これは国防会議等で御説明し、御議論をいただいた結果ではございません。  さらに空母といいますか、飛行機を搭載いたしました艦艇でございますが、かつて対潜哨戒をやるためにヘリコプターとそれから小型の艦載の対潜哨戒機を積んだようなものがございました。ヨーロッパの国々では、そういった意味で対潜哨戒をやるための空中からの捜索、探知、そういうための航空機を積んだ艦艇がございます。そういうものであれば、やはり憲法の枠内の装備であるというふうに考えておるわけでございます。
  262. 二見伸明

    ○二見委員 要するに、いろいろな環境が変化する、情勢が変化する、軍事技術が進展するに従って、いま持てないことも持てるようになるし、航空母艦も持っても差し支えないということになります。対潜哨戒機ならば積んでも構わないという話だけれども、やはり航空母艦というのは防衛というよりもむしろ攻撃型のものであります。航空母艦を中心とした艦隊というものが相手国に脅威を与えないわけはないと私は思います。防衛庁長官、航空母艦を持つことが相手国に脅威を与えませんか。これは機動部隊ですよ。
  263. 金丸信

    ○金丸国務大臣 航空母艦を持つということについて、いろいろ説明をいたしたわけでありますが、現在の防衛庁といたしましては、航空母艦あるいは原子潜水艦を持つ考え方は持っておりません。     〔委員長退席、毛利委員長代理着席〕
  264. 二見伸明

    ○二見委員 先ほど総理大臣は、安保については軍事的な関係は変化がないとおっしゃいました。私、この点をもう一度真田長官の発言も敷衍して、やはり気になることがあるわけです。お尋ねしますけれども、これはアメリカの今度の国防報告では、こういう言葉があるのですね。「西太平洋で強力な防衛体制を維持することは米国の政策であり、これはこの地域での米国の利益と存在を示すためばかりでなく、欧州で危機が生じ、米軍事力がNATOに向けられた時に、北東アジアで無謀な行動が起こされるのを阻止したいからである。」これは私はアメリカの基本的な考え方だろうと思います。これについてはとやかく言う気持ちはありません。そう言いまして、さらに「西太平洋地域内ですぐに使える米軍主力は地上基地を持つ攻撃用戦闘機九個中隊」そのうちの幾つかは韓国にあるはずです。「沖繩の第三海兵師団の二個旅団、空母二隻をもつ第七艦隊の艦艇である。」こう言っているのです。北東アジアですぐ使えるのは、そのうち日本に関係してくるのは沖繩の第三海兵師団の二個旅団だ、こうなっているわけです。これは日本のイエス、ノーではなくて、アメリカの基本的な考え方です。  これはある雑誌に載っておりました久保国防会議事務局長の論文の一部です。その一部をすぽっと抜き出すということは、本人にとってちょっと迷惑になる引用になるかもしれませんし、誤解も生じるかもしれませんけれども、あえて引用させていただきますと、こう言っています。「抑止力の見地から言えば、たとえば朝鮮半島における戦争を防止するためには、在日米軍基地の自由使用をあらかじめ認め、米軍の軍事用資器材の大きな貯蔵を目で見える形でデモンストレートすることなどは、米軍の計画立案上も都合がよく、軍事的には抑止力を高めるゆえんとなろう。」  この二つを短絡的に結びつけて議論するというのはあるいは誤解も生じやすいと思いますし、私その危険性は十分承知しておりますけれども、純粋の軍事的な見地からいうと、北東アジアの抑止力として在日米軍基地の自由使用を認めた方がよいという考え方も、これは純軍事的な立場から出てくるだろうと思います。私たちはこの立場には立ちません。しかし、純軍事的にはそういう立場も出てくるだろうと思います。しかし、それは私たちのわが国の安全の基本にかかわる重大問題だと私は思っております。  総理大臣、安保条約、軍事面においては変化がないという御認識でございましたけれども、この自由使用ということは、今後はいろいろな条件の中、国際情勢の変化、アジア情勢の変化等々によっては自由使用ということも総理はお考えになるのですか。それともそれはアメリカからいって、これは事前協議でイエスもあればノーもあるという御答弁がいままでずっとありましたけれども、日本としては基本的には依然としてノーと言いたいのだというお考えなんですか、どうでしょうか。
  265. 福田赳夫

    ○福田内閣総理大臣 その問題ももうずっと長い間わが国の態度は定着しているのです。わが国にあるところの米軍の基地から米軍が出撃をするという際には、事前協議という制度を適用するわけです。その際には、わが国としてはイエスと言う場合もあり、ノーと言う場合もある、これはいささかの変わるところもございませんです。今後も変わりません。
  266. 二見伸明

    ○二見委員 続いて、これはわが国の安全に関連して朝鮮問題について若干触れておきたいと思います。  先ほどのアメリカの国防報告につきましては、そのうち詳細な全文が入りました場合には、英文じゃなくて日本文に直したものを御提出をいただきたいと思います。それを読んでまた改めて議論を重ねたいと思いますので、それはお願いしたいと思います。  朝鮮問題に関してですけれども、私たちはこう思います。朝鮮半島については、朝鮮民族自身による民族自決の原則に基づく統一の実現を支持し、念願をしております。しかし、朝鮮半島の現実は朝鮮民族の願望とは全く異なったものであります。そしてきわめて近い将来に平和的統一が実現する見通しは少ないという人もおります。わが国としては、内政干渉にならない範囲で、平和的統一のための客観条件づくりに協力することを原則としながら、朝鮮半島が事実上二つの国家に分断されているという現実を直視した政策を展開する必要があると考えております。去年発表された日本の方の防衛白書によれば、朝鮮半島は「今日でも世界で最も軍事的対立と緊張の厳しい地域の一つ」であるが、「米中ソの三国がいずれも非平和的手段による朝鮮半島の大幅な現状変更を欲していないことがこの地域における外わくからの紛争抑止力として作用して」おり、「小規模紛争発生の可能性は排除できないものの当面大規模紛争が発生するとは考えにくい。」これが防衛庁の見解であります。今度はアメリカの国防報告でも、朝鮮半島が差し迫った状況にあるとは述べておりません。ヨーロッパと比べるとアジアは比較的安定しているというか、「不鮮明である。」という言葉を使っておりまして、よくわからぬということです。逆に言えば、きょうあす戦争が始まるような状況だとは認識していないのだろうと私は思います。私は、平和的統一が実現するまでの間朝鮮半島で大規模な紛争が発生するのは朝鮮民族のためにもよくないと同時に、わが国の安全にとっても決して好ましいものだと思っておりません。総理大臣も、朝鮮半島の平和が維持されているのは軍事的意味だけではなくて総合的バランスが保たれているからだと再三述べてこられました、在韓米軍の撤退のときに。  そこで私、伺いたいわけでありますけれども、韓国の民生安定、民生向上のために経済協力することについては反対ではない。それはそれなりに意義を認めます。しかし、韓国と北朝鮮を比較した場合、これは世銀発刊の「アトラス」によりますと、たとえば一人当たりのGNPは、一九七三年、韓国は四百十ドル、北朝鮮は三百五十ドルです。この間の格差は〇・八五であります。七四年には、韓国四百八十ドル、北朝鮮は三百九十ドル、格差は〇・八一、広がっております。七五年には、韓国は五百五十ドル、北朝鮮は四百三十ドル、格差は〇・七八、さらに広がっております。朝鮮日報の記事によりますと、韓国のGNPは、一九七六年、一人当たり七百ドル、北朝鮮は三百六十三ドル、これですと約半分であります。韓国へは手厚い経済協力をする、韓国にはアメリカも入れば日本も入る、そしてそのために韓国の経済というのはぐんと上がってくる。しかし、北朝鮮に対しては日本は事実上何もしてこなかったと言っても過言ではないと思います。もしこのままでいけば南北間の格差というのは開くばかりだろうと思います。南北間の格差が開くということが果たして朝鮮半島の平和と安全、緊張緩和に好ましい影響が出ると考えているのかどうか、私は疑問だと思うのです。これはまずい、格差は是正すべきだ、こう思います。そういう点から、北朝鮮に対する政策というものを、態度というものを再検討することが日本の安全のためにも好ましいのではないかと私は思いますけれども、総理大臣はいかがでしょうか。
  267. 園田直

    ○園田国務大臣 国交のない北朝鮮に対するわが国でとり得る策はおのずから限定があるわけであります。輸銀資金の使用も主として純経済的側面から手続が進められているたてまえになっておりますが、御承知のとおり、対外債務の支払い遅延問題が生じていることもあって、諸般の情勢を検討し、慎重にやっているところであります。なお、民間レベルの貿易事務所の相互設置等については、この話し合いが具体化してくれば慎重に検討してやるつもりでございます。いずれにいたしましても、私が外交演説で申し述べましたとおり、まだ国交が開かれておりませんけれども、まず相互理解の増進を図ることが肝要であり、今後とも貿易、人物、文化等の分野における交流を積み重ねていきたいと考えておるわけでございます。
  268. 二見伸明

    ○二見委員 総理大臣は去年マニラで三つの原則を言われました。その中の一つに、心と心の触れ合う相互信頼関係ということをASEANに行かれたときに言われたわけです。これは非常にいい言葉です。心と心の触れ合う相互信頼関係、これは北朝鮮には適用できないのでしょうか。国交が回復されておりませんけれども、国交が回復されてないという意味での限定はあるかもしれないけれども、心と心の触れ合う相互信頼関係を築いていこう、そのために何か具体的な行動を起こすべきだとはお考えにならないでしょうか。いかがですか。
  269. 福田赳夫

    ○福田内閣総理大臣 私は、いわゆるマニラ演説でも、国と国との間、特に日本と東南アジアの国国との関係は、心と心の触れ合うそうした関係でなければならない、こういうふうに申し上げ、また東南アジアには社会主義体制の国もある、そういう国がありまするけれども、これは体制を超えてその置かれている立場で協力をしていくべきである、こういうこともまたつけ加えておるわけでありまして、この考え方は私は朝鮮半島につきましても別に何ら変わったことはない。ただ、朝鮮民主主義人民共和国ですか、この国とわが国は国交がないわけであります。国交がないということでありますと、それだけのまた制約がある。またわが国といたしましては、しばしば申し上げておりますが、朝鮮半島の平和、これを重大視する。その平和はなぜ保たれておるのかというと、南北のバランスだ。その南北のバランスという問題はひとり経済的な角度の問題だけじゃないのです。経済的な側面もありますれば、また政治的な側面もある。特に政治的な側面からすれば、朝鮮民主主義人民共和国は中ソ両国がこれを承認する、韓国は米日、この両国が承認する、そういう四カ国の微妙なバランスというか、力の組み合わせというか、その上に立っている均衡状態、したがって平和でもある、こういう関係もありまして、事を経済問題だけで考えるわけにはいかぬということは御了解願えるのじゃないかと思いますが、そういういろいろな立場があります。そのいろいろな立場が満足せられるような状態においてわが国といたしましては行動しなければならぬ、かように考えております。
  270. 二見伸明

    ○二見委員 外務大臣、ソウルからの報道によると、韓国政府は二月、三月の米日との外相会談を軸に非同盟諸国への接近を深め、韓国の単独国連加盟を促進する方針を固めたという新聞報道がありました。このことについて外務省は聞いているのかどうかということ、もしそういう動きがあったとするならば、日本政府はこれにどう対応するのか。韓国が単独承認なんということを言ってきた場合に、これはよいことか困ることなのか。これはもしそういうことになると、いままでのわが国の方針とは変わってくるわけですね、そういう事態がもしあるとするならば。どうでしょうか。これは韓国の各紙で一斉に報道されたというから、全く根も葉もない話ではないと私は思うのです。どうですか。
  271. 中江要介

    ○中江政府委員 御質問の前段の、ソウルから伝わってきております非同盟諸国あるいは米韓、日韓の外相会談その他で韓国が国連加盟の働きかけをするのではないか、この点につきましては、私どもは正式の外交チャンネルでは何ら聞いておりません。  それから第二点の、もし韓国が国連加盟を希望するなら、それをどう思うかという点につきましては、これはかつて韓国は国連に加盟を申請しておりまして、日本政府といたしましては、そのこと自体は国連の普遍性の原則から見まして何ら差し支えないばかりでなくて、大いに国際社会の一員として国際連合の中でも多くの国とつき合っていくということ自身はいいことだ、こういうふうに考えております。ただ、それがそれでとどまらない。その点は先ほど福田総理も言われましたように、朝鮮半島の現状から見て、そのことの持つ意味が単なる国連加盟以上の政治的な意味を持つならば、その点についてはわれわれとしても慎重に考えなければならないという点はございます。ただ、期待といたしましては、先ほど先生もおっしゃいましたように、朝鮮半島全体が、この半島に住んでいる人たちがもし統一を希望するといたしましても、その実現には間があるとするならば、その間たとえば東西ドイツのように両方でもし話し合いが調うならば、国連のメンバーとしてその間多くの国とつき合いを深めるということは、これは一つの考え方ではあるまいか、こういうふうに思いますけれども、現状は、南北鮮の間ではその点は必ずしも意見が合っていないというのが現状である、こういう認識でございます。
  272. 二見伸明

    ○二見委員 いずれにいたしましても私は、朝鮮問題というのはただ単なる朝鮮問題じゃなくて、やはり平和的統一を民族が目指していく、それをわが国としては客観条件が整うように努力していく責務があるだろうと思います。この問題もまた後ほど改めて議論さしていただきたいと思います。  次に、この間終わりました日米通商協議、これに関連して二、三お尋ねをしたいと思います。  牛場大臣にお尋ねをいたしますけれども、日米通商協議はこの間共同声明でもって一応の決着を見たわけでありますけれども、私は、これは始まりの終わりであって、日本が今後なさねばならないことは山ほどあるというふうに思います。  先日ある新聞の報ずるところによると、ストラウス代表は一日のアメリカの上院財務委員会国際貿易小委員会の公聴会で、経常収支の黒字幅減少について、七八年で五十億から六十億ドル削減し、今後二、三年で均衡化されると、これを明らかにしつつも、これはあくまで日本側の意図であり、米国としては貿易均衡化には八年かかるという見通しを持っている、こう述べたという報道があります。さらに質疑応答の中で、アメリカは半年以内、つまりこの七月の先進国首脳会議前には対日審査を行うことを明らかにしたと報道されております。またリビコフ委員長は、日米両国政府の努力を評価したけれども、米国としては対日圧力を引き続きかけるべきだと述べたと、こう報道されておりますけれども、この報道について牛場さんはどういうようなことを承知されておりますか。
  273. 牛場信彦

    ○牛場国務大臣 この間の日米の協議、あれは確かに全部の問題が解決したものではありませんで、相当長い道のりの第一歩と言ってもよい、これは間違いないところだと思うのであります。  それから、この間のストラウス氏の上院の小委員会の公聴会の発言を見ますと、非常にこの間の協議の内容並びにそのバックグラウンドをよく理解しておりまして、われわれから見まして間違った発言は全然ございません。  それから、日米の貿易収支の均衡の問題でございますけれども、日本の黒字解消につきましては、確かにアメリカ側はなるべく早くこれを均衡に近づけてくれということを申しまして、われわれの方でもそれをもちろん日本の政策としてやりたいところでありますので、その意味が共同声明の中にも入っております。しかし二、三年という期限は切ったことはございません。  それから、八年と申しましたのはどうもよくわからないのですけれども、恐らくこれは、いまジュネーブで交渉しております東京ラウンドで合意いたします関税引き下げでございますが、これが大体四〇%、目標としまして八年間にやるということになっておりまして、その八年ということが恐らくストラウス氏の頭にあって、これは議員の質問に答えてのことでありますので、八年ぐらいかかるだろう、こういう言い方をしておりまして、別にこれも期限を切ったという意味ではないと思うのであります。  それから、日本に対してプレッシャーをかけるという話でございますが、これはアメリカの議会でしょっちゅうそういう話があるわけでございまして、ストラウス氏もそれに答えて、アメリカ議会でそういうプレッシャーがあるということは、これは自分も日本側に伝えようということを申しております。しかし同時に彼が言っておりますことは、この問題は日米が協力してやらなければならないことであって、つまり世界経済を不況から助け出して、そして保護主義の台頭を防ぐ、こういう日米共通の目的の達成に日米が両方で努力しなければならないことである。そしてアメリカとしても努力する。そのためには強い政治的な意思を持たなければならぬ。日本側は福田総理がそういう意思を持つということを言っておられるわけだから、これは協力してやらなければならないことだということを申しておるわけでありまして、決して日本側だけに一方的に何かやれと、こういうことを言っているわけじゃないわけでございます。
  274. 二見伸明

    ○二見委員 このストラウス代表は、経済成長率や輸入拡大策などについて定期的な監視を続け、その結果を大統領と議会に報告すると約束したと、こう報道されておるわけであります。この新聞記事を読む限りはかなりどぎつい印象を受けるわけでありますけれども、考えようによると、これは日本に対する内政干渉の疑いまで出てくるところでありますけれども、このことについてはどういうふうに受けとめておられますか。
  275. 牛場信彦

    ○牛場国務大臣 ストラウス氏も、その証言の中で、今度の協議の結果についてはフォロースルーをよくしなければならぬ。フォロースルーという意味は、恐らく両方が政策目標を決めて、それに向かって進むわけでありますから、それをどういうふうにして進んでいるかということはしょっちゅう気をつけて見ていこうということで、もちろんアメリカ自身のことも含めて言っておるわけでございますけれども、日本について特にこれから六カ月あるいはそれ以内ごとに自分は大統領とそれから議会に報告するということを申しておりまして、これは向こうが勝手に決めたことでありまして、われわれから何も申す筋合いではないのでございますけれども、日米間で決めましたことは、この十月にストラウス氏と私とがもう一遍会うということを決めております。  それからそのほかに日米の次官級の会合というものがございまして、これは去年の九月に始まったのでございますが、一年に二回ぐらいやろうということで、ことし恐らく半ばぐらいにはそういう第二回の会合が開かれるのじゃないか。それからそのほかにいわゆるマルチの場といたしましては、もちろん首脳会議もございますし、それから OECDの場もあるということで、この日米共同宣言で日米両国が申しました政策の実行の道程というものは、いずれにしてもこれは世界の注視の的になってまいる、これはまことに予期しておかなければならないことだろうと思っております。
  276. 二見伸明

    ○二見委員 今後の状況の推移によっては、この十月の段階で、十月に話し合いをされますね、その段階で対日圧力が加わることもあり得るわけですね。どうでしょうか。
  277. 牛場信彦

    ○牛場国務大臣 十月と申しますと、来年度半ば過ぎたばかりのところでございますね。それまでに私は日米のみならず、日本の経常収支というものが非常に変わってくると思うのです。少なくともそういう傾向は出てくると思います。それからまた、十月といいますと、まだ一年間の結果を見通すのには早過ぎるということでございますから、その機会に何かさらに新しい問題について向こうからプレッシャーがかかってくるということは、私は予期しておりません。
  278. 二見伸明

    ○二見委員 私の質問がちょっと不鮮明な質問だったのでそういう御答弁になったと思いますけれども、いまわが国は、来年度は七%成長を目指し、経常収支を六十億ドルにするということでこれからスタートするわけであります。それが私たちは果たしてうまくいくかどうかという非常に疑問を持っているわけでありますけれども、私たちの疑問、危惧がどうもだんだん的中してきた場合には、十月の段階で対日圧力が加わるおそれもあるのじゃないかという私は危惧を持っているわけであります。総理大臣、総理大臣は、いや、これからスタートするのだからと言われるかもしれませんけれども、そういう事態になったときには、やはり緊急輸入などの対策も講じなければならないというふうにお考えになりますか。
  279. 福田赳夫

    ○福田内閣総理大臣 アメリカが関心を持ちますのは経常収支です。わが国の経常黒、これでありまして、これは私はことしは六十億ドルの黒になるであろう、こういうふうに経済見通し上は見ておりまするけれども、六十億、ゼロ、ゼロというふうにいきますかいきませんか、その辺は別といたしまして、大体その見当の是正が行われるであろう、これは私は確信を持っております。
  280. 二見伸明

    ○二見委員 牛場大臣にお尋ねいたしますけれども、この間ヨーロッパを回ってこられましたですね。その結果、ECの態度は非常に厳しくて、日本は製品輸入比率を四〇%まで高めろだとか、日本車の輸出を手控えてほしいとか、エアバス、医薬品、化学製品など欧州からの輸入拡大策を早急に実施すべきであるとか、いろいろな注文が出されたと聞いております。また牛場・ジェンキンズ会談後の記者会見で、ECのデンマン対外関係総局長が、二月七日、きょうですね、二月七日のEC外相理事会で対日強硬声明が採択される公算がきわめて大きくなった、こう述べたと言われております。どういうようなことが出るのか、私まだ聞いておりませんけれども、日本とECとの今後の関係、成り行きによっては日本品の締め出しというような事態も出てくるのか、またあなたがECを回ってきてのいろいろな感想で、日本として何を譲らなければならないというふうにお考えになって帰ってきたのか、その点あわせてお尋ねをしたいと思います。
  281. 牛場信彦

    ○牛場国務大臣 私がECのブラッセルの委員会へ参りまして、それからイギリス、ドイツ、フランスあたりの要人とも会見してまいりました。確かに日本に対する不満が相当強いことは感じられた次第であります。  その不満の大きな原因は、この間の日米の協議というものが、これは日本がアメリカに対してだけコンセッション、譲歩を与えたのじゃないか、こういうことにあるわけでございますが、これは実際実情は全然違っておりまして、私どもがアメリカに対して言いましたことは、大部分はこれは日本が独自でやることでありますし、その効果というものは世界全般に及ぶ、こういうことでございますので、ECももちろんその中に含まれておる。たとえば日本が行いました関税前倒しなどにつきましても、これは日本側がアメリカと相談する前に自分で決めたことなのです。それからその前倒しの中には、ECの関心を持っている品目の方がむしろたくさん入っておるというようなことであって、これは情理を尽くして話したわけでございますけれども、先方はやはり日米間の話が余り喧伝されたせいもありまして、なかなかそれで納得しないということが一つございます。  それからもう一つは、日本とECとの貿易が非常に日本の輸出超過になってきておる。これは量は非常にまだ少ないのでございますね。日本のEC向けの輸出というのは大体年に八十億ドルちょっと上回る程度、これは日本総輸出の一〇%でございますね。ところがECの日本からの輸入といいますのは、これは向こうの輸入の一%にもならない。こういう小さな貿易額でございますから、われわれの立場から申せば、もう少し貿易を発展させてからバランスのことを話そうじゃないか、こういうことを言いたいわけなのですけれども、向こうに言わせれば、そんな小さな貿易額であるのに、すでに年間五十億ドルほどの赤字が出ておる、これはしかも毎年拡大する傾向にある、これは何とかしてくれなければ困る、こういうこと。この二つが主な不満の原因になっておると思うのであります。  こういうことにつきましては、もちろんわれわれからも反論はいたしているわけでありまして、日米関係につきまして、日米の間の共同声明の問題につきましては、先ほど申しましたとおりであります。  またバランスの問題につきましては、いわゆる貿易外というものを勘定に入れれば、日本とヨーロッパのバランスはそんなに日本にとって有利なはずはない、ところがなかなかこの貿易外というものはつかみにくいものですから、向こうは承知しないということで、しかしだんだん認識は深まってきておると思うのであります。  さしあたりのところ、いまおっしゃった外相理事会でもって、ECの委員会に対して、日本と強硬な交渉をしろという命令が出そうだということになっておりまして、その命令が出るというと、向こうから要人がやってきて、交渉したい、つまり、アメリカとの間では去年の九月からことしの一月までかかってやった段階を、いまから三月いっぱいぐらいの間に日本との間でやりたいということのようでございますけれども、これは四月の初めにECの首脳会議がございまして、そのときまでに何か具体的な成果を得たいということなのです。  ところが、関税の問題にいたしましても、そのほかの問題にいたしましても、日本としていまやれることはほとんどないのです。ただ輸入手続の問題でありますとかあるいは検査の問題でありますとか、そういうようなものにつきましては、ECの要望の中で若干はやれるものもございます。また、そういうものについてはできるだけ好意的に考えてやって、先方がもしこちらへ来るということになりましたときに何らかの成果が得られるようなかっこうにしてやりたいと思いまして、いま鋭意各省の間で検討しているところでございます。  それから、この結果は何か日本品が締め出されることになるのではないかということでございますが、私は、これはいろいろ強硬な発言をする向きがございますけれども、EC委員会としては何もそういう力はないわけでありまして、やるとすれば各国がやるわけでございますね。これはイギリスに行きましてもフランス行きましても――ドイツは、もちろんこれは問題ない、そういうことは全然考えておらないわけですが、私も先方の要路と話してまいったのでございますけれども、いずれにしましても、日本との貿易が片貿易になっている、つまり貿易収支が悪いからといって日本からの輸入をとめるというようなことは、これはいまの世界の通商規則によって許されないことでございまして、そういうむちゃなことをやるはずはないと私は思っております。  それから、現在日本からの輸出がヨーロッパにおいて市場撹乱を起こしているかと言えば、そんなことは一つもない。現にイギリスに対してなんかは三割ほども日本の輸出につきましてある種の自主規制を行っている状況でございます。     〔毛利委員長代理退席、委員長着席〕 それでありますから、いろいろ問題は続くと思いますけれども、そう急激な何か変化が起こるということではないのじゃないか。しかし、いずれにしましても、ECとの関係は今後非常に重要視していかなければならないと思っております。
  282. 二見伸明

    ○二見委員 日米通商協議にしろあるいは今後のECとの関係にしろ、私は国際社会における日本の新しい時代が来たというふうに思います。  総理大臣、日本人というのは過去ずっと、こういう表現はあるいは適当かどうかわかりませんけれども、どちらかというと被害者意識で来たのじゃないか。何かあるとわあっと、おれたちはやられるのだという被害者意識で来たけれども、しかし、日本がここまで強くなりますと、被害者意識だけでは物事はだめで、日本が逆に国際社会では加害者になっているのだということも日本人は自覚しなければならぬだろうと思います。  日米通商協議あるいはEC――ECでは特に個別の品目に対してわが国に要求があるようでありますけれども、日本は国際社会に孤立していけるわけではありませんし、国際協調というものをこれからもいままで以上に大事にしていかなければならないということになれば、ある期間、ある瞬間では血の出るような思いをするかもしれないけれども、譲るべきところは譲るだけの決意も固めなければならないだろうと思います。これは考えてみるならば、日米通商協議にしろ、ECとの問題にしろ、日本の貿易構造を変革していく問題だろうし、日本の産業構造を変革していく問題だろうと私は思います。その点について、非常に抽象的な質問で申しわけありませんが、総理としてはこの点はいかが御認識なさっているか、伺いたいと思います。
  283. 福田赳夫

    ○福田内閣総理大臣 わが国の経済が今日このような状態まで来た、そういう状態のわが国といたしますと、世界を離れてわが国の繁栄、発展ということはもう考えられない。わが国は、平和の問題もそうだろうと思いますが、繁栄、発展、この問題につきましても、世界と運命もともにする、こういうふうに思うのです。ですから私どもは、世界がよくなる、そのために貢献をしなければならぬと思うのです。そのよくなる、その中で、よりよい繁栄、よりよい平和をわが国は楽しめるのだ、そのように思いますが、そういう構えで立ち臨んでいきたい、さように存じます。
  284. 二見伸明

    ○二見委員 次、農業問題について、水田再編利用対策について若干伺いたいわけでありますけれども、法制局長官がいらっしゃいませんので、きのう川俣さんが質問された問題については、長官が見えてからお尋ねしたいと思います。  最初に、百七十万トンの減反と食管制度についてでありますけれども、中川農林大臣に率直にお尋ねいたします。  私は、食管制度は需給調節と価格調整という大事な機能を果たしており、今後とも堅持すべきだというふうに認識をいたしております。食管制度を堅持するということについては、政府とわれわれも言葉の上では同じであります。どこが違うかと言えば、一つには買い入れ制限を初めとする流通管理のあり方、もう一つは米価水準、同じ食管制度を守ると言いながら、違いはこの二点にあると思います。  それで中川農林大臣は、昭和五十二年二月二十五日、ある新聞の「論壇」でこういうことを言われたのです。   やがて七月の米価シーズンともなれば、生産者は高米価を要求して、農林大臣に米を投げつけての闘争が始まるであろうし、消費者は低米価の旗をかかげて米価審議会に殺到するに違いない。もしこの両者を満足させるとしたら、食糧管理特別会計の赤字は天文学的数字となり、国家財政がこれを許さない。   このように、農政の根幹であり、主食である米について「過剰の問題」と「価格の問題」を同時にかかえ、毎年多くの議論を重ねてきたが一向に明るい見通しがなく、食管の赤字に年々一兆円に近い膨大な財政資金を投入しながらも、米の過剰は増大するばかりである。   こんなことを今後もつづけるならば、農民ばかりでなく、消費者までも不満が高まり、自民党の不信にとどまらず、やがて、政治全体に対する不信となり、不測の事態にまで発展しかねないと心配である。   国政に参加していらい十三年間、農政にたずさわってきた私は、これを解決する道はひとつしかないと確信している。   つまり、米価の暴落防止等の歯止め策を講じ、さらに買い占めなどのない適正な市場管理策を設けたうえで、政府が管理する現在の食管制度を思いきって廃止し、生産者と消費者が、自由に取引できる自由流通の基本に返すことしか、解決の道はないと考えるのである。 これはあなたの論文であります。いまでもこの御心境に変わりございませんか。
  285. 中川一郎

    ○中川国務大臣 いまでもその考え方に変わりはございません。そこに書いてございますように、従来のように値段をたくさん上げて、過剰在庫をたくさん持ってというような、食管のねらっておる必要な米の需給のバランスを図る、こういう根幹がなくなるならば、そうならざるを得ないのではないか。そこで、そういうことにならないように、今度の水田利用再編対策によってそういうことを避けるためにいま言ったような政策を強力にお願いしているということが現状でございます。
  286. 二見伸明

    ○二見委員 総理大臣に伺いますけれども、たしか根幹の維持というのは、私の記憶する上では、昭和三十五年に総理大臣がたしか農林大臣のときに初めて福田総理大臣のおつくりになった言葉だそうでありますけれども、中川農林大臣は幾つかの前提を設けながらも、食管制度は思い切って廃止すべきだというのが結論的な考え方であります。いま農林大臣はそれを肯定されました、変わっておりませんと。総理大臣はこの中川農林大臣と同じお考えですか。
  287. 福田赳夫

    ○福田内閣総理大臣 米をめぐりましては生産者もあり消費者もある。その方々が譲り合って、そしていまの制度、つまり食管制度を運営していく、こういう態度をとらない限りこの食管制度はやがて運営できなくなりますよ、これを廃止せざるを得なくなりますよということを中川君は言っておったのじゃないか、そのように思います。願うところは、恐らくみんなひとつ協力してください、この制度の円滑な運営ですよと、こういうことをPRしておるのじゃないかと思います。  私は食管制度、まあ中川農林大臣が言われるように非常にむずかしい問題がいろいろあります。それを克服して、そうしてこれを維持していくということがどうしても求められておることである、このように思うわけであります。しかしその食管制度といいましても、これはバラエティーというか、やり方についてはいろいろ工夫がありましょう。そういうことを踏まえまして、私は根幹はこれを維持しなければならぬ、こう言っているのです。
  288. 二見伸明

    ○二見委員 農林大臣、要するに、あなたは食管制度は――もう一回読みますよ。一つには、客観的な認識として、あなたは生産者は高米価を要求する、消費者は安くしろと言っている、こんなことをやったらば天文学的な赤字になってどうしようもない、財政的な見地からこんなことをのめない、こう言っているわけです。もしこれを同時に解決しようとするならば、「米価の暴落防止等の歯止め策を講じ、さらに買い占めなどのない適正な市場管理策を設けたうえで、政府が管理する現在の食管制度を思いきって廃止」するとこう言っている。いずれにしても、あなたは基本的にはもう食管制度は廃止しなければならぬという認識に立っておるのだ。もし食管制度を廃止するのがいやであるならば、生産者、おまえは低米価で満足せよ、消費者は高い米で満足せよ、そうすれば食管制度は守れるけれども、そうでなければ食管制度は守れませんよというのが私はあなたの考え方だろうと思うのです。いかがですか。
  289. 中川一郎

    ○中川国務大臣 表現は別といたしましても、従来のように過去昭和四十五、六年ごろに七百万トンも余って、そうして約一兆円の経費をかけ、さらに一兆円近くのお金をかけて生産調整をやりながら、なおかつ四、五百万トンの米が余る、こういう仕組みの中でまた生産者米価を上げて、政治加算等相当大幅な要求がありますから、そういうことをやっていけば、またこれは相当米が余ってきて、食管に言う国民の必要な食糧以外のものの流通が出てきて、そういう事態になりかねないのではないか。でありますから、今後は価格も、それはもちろん労賃なり所得補償方式の域は出ませんけれども、従来のようなそう大幅な値上げによって、他の農作物よりは米をつくった方がいいというので自力開田でずいぶんやっているわけでございます。したがって、北海道初め米の適作地でもないところで米のできるような仕組み、こういう仕組みを従来どおり続けていくならば、莫大な財政負担を伴い、しかも過剰米が生じて、食管はいやおうなしに堅持できなくなるのではないか。そうなったら大変だから、いま言ったような歯どめをかけての間接統制も考えるべきであろうと、政治家としての見識を申し上げたのでございます。農林大臣となりましては、やはり食管は堅持しなければならぬ。そのためには米を取り巻く事情について消費者も、そしてまた生産者も協力していただかなければいかぬ。そこで消費者に対しては、農林大臣就任以来、古来固有の食糧である米について消費拡大について御協力を願いたい、また生産者もみずからうどんやラーメンを積極的に食べるのではなくして、まず食糧を米に求めるという姿勢を求めつつ、さらに過剰米が生じないように御協力を願いたい。これは法律や何かで規制するものではなくして、みずからが自主調整をやっていく、こういうことで食管制度を守るようにしていきたい、こう思う次第でございます。
  290. 二見伸明

    ○二見委員 その法律に基づかないところについては、時間がありませんので私は議論しませんけれども、ただ米価について、あなたはいま食管制度を守るためには高米価はできないとおっしゃった。確かにことしの五十三年産米価についてはどういうふうに言われているかというと、米がたくさん余っているから低米価決定になるではないかという心配が農民の間にあるわけです。大河原食糧庁長官は当時、五十二年十月二十七日の衆議院の農林水産委員会でこう言っている。「米価水準については均衡化対策を実効あらしむる水準ということで、」要するにとれ過ぎないということですね、これは。「需給の実勢というものを踏んまえた米価水準でなければ、米の均衡化対策の達成はしにくい」と、こう言っているわけです。政府は、四十四年産米から三年間その水準を据え置きました。そのときは、生所方式と言いながらも、算定の中身をごちょごちょいじって据え置くという、非常に芸術的な、手品みたいなことをおやりになったわけでありますけれども、五十三年もやはり四百万トンを超える過剰米がある、百七十万トン生産調整しなければならぬ、そういうことが非常に大きなおもしとなって米価の決定が行われるわけですか、これは正式には、たてまえ上は米価審議会にかけて答申をいただくという形になるでしょうけれども、農林省としてはそういう方向で行きたいと思っているわけですか。これについての御答弁をいただいて、それに対して私、議論いたしません、時間がありませんから。
  291. 中川一郎

    ○中川国務大臣 前回、過剰米を生じたときには過剰米処理をやっているうちは米価は引き上げない、こういう基本方針で五年間に取り組んだわけでございます。今回はそのようなことを決めておりません。したがって、生所方式、労賃、物価その他を勘案して決めます。しかし、その決める内容についても、政治加算がいろいろございますので、米の均衡化対策に支障のない配慮ができるところが法の範囲内においてあれば、そういう配慮をもって米価に取り組まなければならぬ。従来のように、何%、十何%と上げて、そしてほかの作物をやめて米をつくるような時代ではない、こう思っております。
  292. 二見伸明

    ○二見委員 生産調整を行政指導でやることの法律的な問題については議論がありました。私もこれについてはやはり一つの考え方を持っております。  これは一種の行政指導でありますけれども、私は、行政指導というのは、一般には、行政主体が所掌事務に関し、強制力によることなく、行政客体の任意的意思に基づく協力によって行政目的の達成のために行う事実行為としての誘導行為、こう思います。そして、行政指導というのは、既存の法律に抵触しない範囲で、原則として自由に行うことができると私は思います。  しかし、ただその通用力が、中身がよい、納得できるという内容の説得性によるのではなくて、一種のサンクション、圧力、不利益、そういったものにより裏打ちされている場合、あるいは、私人の主体的意思決定を、もう判断できない、対等の関係ではないという、著しく削減せしむる方法によって介入する場合には、具体的な法律の根拠が必要である、私は行政指導というものについてはそう思うわけです。  今回の生産調整については、もういろいろ議論がありました。ペナルティーの問題等いろいろありました。いずれにしても、これは公平を期するために、正直者がばかをみないためにとかいろいろなことが言われますけれども、私は、不利益処分であることには間違いがないと思うのです。私はこれだけを限定して言うわけじゃありませんけれども、もしそうした相手に不利益を与える行為が、法律に基づかないで行政指導の名のもとに行われるとするならば、米の場合だけではない、それ以外の国民生活の、われわれの権利に関する問題、われわれの生活に関する問題にまで行政指導が入り込んでくる余地がある。だから私は、ただ単に生産調整だけの問題じゃなくて、この行政指導の問題は非常にシビアに考えています。相手に不利益を与える場合には、これは法律的にこういうわけで、こういう理由でペナルティーを科しますと、きちんとした法律に基づいてやるのが大事だと思います。これをないがしろにすると、こればかりではない、ほかの問題にまで影響をしてまいります。  私は、総理大臣の政治家としての御見識をこの問題については承りたい。生産調整のいい悪いというだけの問題じゃなくて、法治国家、法律に裏づけのない行政指導、しかもそれによって権利が侵害されることがいいのかどうか、そうした問題について、私は御答弁いただきたいと思います。私は、この後にもう一問別の問題でお尋ねしたいことがありますので、お願いしたいと思います。
  293. 中川一郎

    ○中川国務大臣 その農民に不利益を与えたという考え方は、ここはひとつ認識をしていただきたいのでございますが、反四万円から七万円、畑作農家に比べたら比較にならない奨励金を差し上げているのです。そして、畑作に転向しても不利益にならないという配慮を加えていることも、単に押しつけているのではないということ。それから、米の需給のバランスをとるのは、何も政府だけの責任ではなくして、農民みずからが、消費があるところに生産がある、そして需給のバランスをとっていくことが長期的に農民の生産を守るのだ、こういう包括的な大きな利益もあることでありますし、特に先ほど申し上げたように、生産調整をただ農林省の行政で、損するけれどもしゃにむにやれというものではなくて、非常に莫大な国家投資をして御協力を願って、経済的に不利益にならないように、そのほか、土地改良についてもあるいは指導についても、あらゆることについてきめ細かくやって農家生活を守る、こういう基本的なことでやっておりますので、この点は必ずしも不利益を強要していない、こう思う次第でございます。
  294. 福田赳夫

    ○福田内閣総理大臣 事実関係につきまして、いま農林大臣から申し上げたとおりであります。政府としましては、それは減反という苦痛を与えるという面はありますよ。ありますけれども、同時に、これによって食管制度を維持する、こういう大きな利益もあることです。利害得失を論ずるならば、私は得の方が非常に大きな問題だと思いますが、問題はそういうことじゃないのじゃないでしょうか。法律、つまり権利義務に関係があるということであれば、これは法律の問題ですよ。しからず、そういう問題ではなくて、これは行政の裁量に任されている、こういう問題でありますれば法律による必要はないのでありまして、私どもは、法律によって新たに権利義務を課すというようなそういう性格のものじゃないのですから、これは行政指導、これによるのだ、こういうふうに申し上げておるわけであります。
  295. 二見伸明

    ○二見委員 残された時間が非常に少なくなりましたので、いまの問題については言及いたしませんけれども、私は、そうした権利義務というか、相手に不利益を与えることに関してはやはり法律に基づいてやるのが正しいし、それをやっていくのが法治国家であり、あたりまえのことだと思います。減反について、これ以上この問題については論及いたしません。  文部大臣、私はまとめてお尋ねいたします。  沖繩で開かれた日教組の教育研究全国集会、いろいろなショッキングな現場からの報告がなされました。非常に私も衝撃を受けております。  一つは、文部省はこの衝撃的な報告をどう受けとめているか、これを承りたい。  それから、文部省では小学校、中学校の学習指導要領を改定することになっておりますね。そんなことでこの問題が解決できるのかどうか。二つ目。  もう一つは、高等学校の新学習指導要領というのはいつ発表されるのか。改定する予定ですね、これをいつ発表するのか。これは三つ目です。  もう一つ。高等学校、今後の高校はどうあるべきかということなんですけれども、高校進学率が二〇%から三〇%という昔ならば、分数計算ができないとか漢字が満足に読めないとかという、いわゆる小学校の基礎学力も満たしていないような高校生はほとんどなかったわけです。しかし、進学率が九三%を超えた、ほとんどの者が高等学校へ行くという時代になると、小学生以下の学力しかない生徒を抱えた高校も出てくるのが私はあたりまえだと思うのです。そうした問題は、学力のない生徒に無理やり勉強させることほど私は過酷なことはないと思うのです。たとえば、むしろ英語、数学、理科、社会、こういった点では落ちているかもしれないけれども、絵をかかせれば、物をつくらせれば、体操の方は、音楽の方は、そういう者はあるわけです。本来ならば、その才能を伸ばすための専門の高等学校みたいなものがあり、社会もそれをあたりまえのこととして受け取れるようなものであればいいのです。しかし、現実はそうじゃない。日本の国は、何も一億の日本人が全部総サラリーマン化を目指して、ネコもしゃくしも普通高校に入るなんという考え方自体が、私は決して好ましくないと思うのです。普通高校がAランクで、商業、工業がBランク、Cランクだという、こういう物の考え方は、私は改めなければならぬと思います。  しかし、いずれにしても、いまから十年前、二十年前の高校と現在の高校とは、高校という名前は同じでも、質は違っております。九三%以上の者が進学するんだということは、もう高校の質が変わっているのです。これは、私も質問をするのにいろいろ考えながら、迷ったわけですね。高校の姿はどうあるべきか。たとえば、いまみたいに入学選抜方式でいけば、高校は、五つの高校があれば必然的にA、B、C、D、Eの高校のランクがつきます。入った高校でもって子供は差別されます。みんな入れる、そうすれば、高校のレベルを同じにすれば、一つの高校に百点満点の子と零点の子がいるわけです。そうすると、今度は学校の中で能力別のクラス編制をしなければならぬという問題も起こってくるわけです。考えれば考えるほど、これは矛盾であるわけです。  新学習指導要領の改定をされることについては、こうした高校のあり方についてまで述べられるのかどうか、あるいはそれとは別に、高校のあるべき姿というものをもう一度文部省としては提起されるのかどうか、これをお尋ねしたい。  もう一つ。高等学校の落ちこぼれを考えていくと、やはり小学校ですね。低学年のクラス編制はいま四十人ないし四十五人、たしか法律では四十五人ですか、私は、これを小学校一、二、三年ぐらいまでは三十人以下の小単位のクラスにして、先生が一人一人の子供を十二分に目を通せるようにする、そうしなければ、やはり一番大事なところでつまずいてしまうのではないかと思います。  非常に多岐にわたりましたけれども、まとめて御答弁をいただいて、質問を終わりたいと思います。
  296. 砂田重民

    ○砂田国務大臣 二見委員から非常に多岐にわたる御質問でございます。簡略に扱うべき問題ではありませんけれども、時間もございませんので、できるだけ簡略にお答えをいたしたいと思います。  御指摘の点は、これは余りにも学歴偏重しております社会のあり方にも事は発しております。大学の入学試験の問題にも原因がございます。各種各般の原因がございますけれども、一番大事なことは、やはり小学校の低学年、中学の低学年で基礎を、基本をしっかり身につけるいとまなしに、詰め込み主義といいますか、余りにもたくさんのことを教え込もうとしていたいままでの学習指導要領、教育課程に問題があることには間違いないと思う。  そこで、学習指導要領の改定をいたしまして、それに伴います教科書の改訂は五十五年、五十六年となるわけですが、それまで待ってはいられませんので、移行措置をもう直ちに五十三年度から始めるわけでございます。いまちょっと触れましたように、何といっても丸暗記をさせるのではなくて、基礎、基本というものを理解をさせる、繰り返して反復してでもそれをやらせるというところに一番大事な今度の学習要領の改定の基本点があるわけでございますから、これによって、言われます。いやな言葉ですけれども、落ちこぼれというような現象はずいぶん防いでいけるはずだ、これが一番ダイレクトな、直接的な解決方法だと私どもは確信をいたしております。  学級編制基準のこともお触れになりましたけれども、率直に申し上げますと、一人の先生に一人の子供というのが教育は一番望ましい。しかし、財政的な問題等もございますし、これから数年の間はまだ百二、三十万人の小学生がふえるわけでございます。それに対応してまいらなければなりませんので、いますぐただいまの基準変更は非常にむずかしい問題である。しかし、これは引き続いて検討はさせていただきたい。教員の数の問題もあわせてやってまいらなければならないことだと思います。  ただ、一つだけ、いま二見委員が非常に重要なことにお触れになりましたけれども、私は、二見委員の御質問を通じて、青少年の諸君にどうしても言っておきたいことがあるのです。  情報が多過ぎる社会、落ちこぼれということが耳に入り、落ちこぼれということが目に入る。青少年はみずからを落ちこぼれだとは絶対考えるべきではない。数学ができないということが落ちこぼれではないはずでございます。やはり、いまおっしゃいました、芸術の道に進むという特技のある人もありましょう。またあるいは、思いやりのある、何とか人のために役立ちたい、そういう非常に強い正義感を持った青年が、たとえ数学ができなくとも、それは落ちこぼれでは絶対ない。そういう青年たちを受け入れる社会は、窓は開かれている、そういう自信を持って自分の道を進んでほしい、こういうふうに私どもは希望いたしますし、そういう社会の建設のために、教育もそれに合った教育に合わしていこう、こういう努力を、引き続いて全力を尽くす決意でございます。
  297. 中野四郎

    ○中野委員長 これにて二見君の質疑は終了いたしました。  次に、河村勝君。
  298. 河村勝

    ○河村委員 まず初めにお尋ねをいたします。  先ほど出ております経済審議会の暫定試算、それから大蔵省の財政収支試算、あれに書いてあります。五十七年度で赤字国債を解消するということは、政府の決定した方針でしょうか、どうでしょうか。
  299. 村山達雄

    ○村山国務大臣 決定した方針ではございません。これは試算でございます。いま財政健全化を図るには幾多の努力が要るということをお示しするための試算でございます。
  300. 河村勝

    ○河村委員 単なる試算だというお話でありますが、大蔵省の方の財政収支試算は、なるほどいろいろなケースをつくって計算をしておりますが、「昭和五十五年度経済の暫定試算について」という経済審議会企画委員会の資料、これは「特例債解消の目途を一応五十七年度におき、それまでに相当程度の税負担の引上げが行われるものとして試算を行い、」こう書いてありますが、この委員会では、五十七年赤字解消というのを与えられた条件としてこれをつくったという意味ですね。これを与えたものは政府ですね。そうすると、これは試算のために五十七年度赤字国債解消というものを与えた、そういうことなんでしょうか。
  301. 宮澤喜一

    ○宮澤国務大臣 御承知のように、昭和五十年代前期計画では、最初五十五年には特例国債をやめるということで一つの算術をしておったわけでございますけれども、そのことが財政等々の事情からむずかしいということになりましたので、仮にそれを五十七年にした場合にはどのような経済全体の姿になるかという試算をいたしました。これは五十七年にするということの政府の決定があっていたしたわけではありませんで、五十五年が仮にずれた場合、五十七年ならどうかという試算でございます。
  302. 河村勝

    ○河村委員 それならよろしいのですけれどもね。私どもも、赤字特例債というものはなるべく早く解消しなければならない、その点においては同じ考えです。ですけれども、五十七年度赤字国債解消というふうなものが前提になりますと、大蔵省の試算にもありますように、五十四年度で二兆円近い大きな増税をしなければならないというようなことになる可能性が強い。それは明らかに、いま日本の置かれた経済状態から見て、来年度においても非常に矛盾するものになろう、そう思うので念のためにお尋ねをしたわけです。ですから、この五十七年度赤字国債解消というものはあくまでも単なる試算であって、政府の方針ではない、それでよろしゅうございますね、総理大臣。
  303. 福田赳夫

    ○福田内閣総理大臣 それはあくまでも試算は試算でございます。しかし、赤字公債をああいう状態で長くほうっておくわけにいかない、これをなるべく早く打ち切り、こういうふうにしなければならぬ、これも政府の願望でございます。
  304. 河村勝

    ○河村委員 願望を込められた試算ですか。これは政府だけで決められることでありませんから、政府の決定した方針でないということだけ確認して、これからの問題に移ります。  今回の国会の審議を通じて総理は、昨年の政策的な失敗というのは国際収支の見通しを誤ったことだ、そういうふうに述べられております。それは、そのとおり率直におっしゃったのは結構でありますけれども、ただ、総理が本当に誤ったのは、国際収支の見通しを誤ったよりも、むしろ国債依存度三〇%、いまも早速願望という形でもって、一日も早く解消したいというような気持ちが出ておりましたけれども、とにかく国債依存度三〇%の枠をどうしても守りたい、そういう執念のようなものがあって、それが誤りのもとになったんだと私は思うのです。だから、去年の年度当初国際収支の見通しを誤った、それは仕方がないとは申しませんけれども、それはそれとしまして、途中で転換をする時期はあったし、途中で転換をすれば、今日ほど、内外の均衡の問題でここまではむずかしくならないで済んだかもしれない、私はそう思っているのですね。  私は、ここでもって総理にもう一遍記憶を呼び起こしていただきたいのです。昨年の十月十二日、この予算委員会の場で、私は民社党を代表して質問をいたしました。その際二つの提案をしているのです。この十月の初旬というのは、ちょうどブルメンソールの発言がございまして、一ドル二百六十円レートが崩れて、二百五十円台に突入した時期であります。その際に、あの臨時国会における二兆円規模の補正予算を、国債依存度三〇%にとらわれないで、もっと拡大しなさいというのが一つです。もう一つは、この際――この際というのは、そのときでありますけれども、五十三年度、五十四年度、この両年にわたって経済成長率七%を目標にする予算をつくって、それで内需を拡大するという方針を内外に明らかにした方がよろしい、そういう二つの提案であったわけです。  そこで、そのときに総理大臣が何とおっしゃったかといいますと、私が、当時国内の不況の実態というものは総理が考えていられるよりもはるかに厳しい、同時に、ちょうどアメリカの攻勢が非常に強くなって、それで円高の傾向が急に強まった、こういう時期であるから、ぜひともその三〇%の枠を外して、それでこの二兆円規模の事業予算というものをふやすべきであると言うのに対して、総理は何とおっしゃったかというと、考え方の基本は、河村さんのような考え方でいいのじゃないでしょうか、つまり社会経済あっての財政なのです。ここまではよろしいのでありますけれども、それから後がいけないのでありまして、いま財政が三〇%公債に依存しておる、これは非常に不健全な形ではないかと思う、先進国の中でもそんな国はどこを探したってありません、このままいけば社会経済の崩壊ということにつながってこないとも限らない、だから自分としては、世界の中における日本丸の運営といたしましてはとにかく三〇%というものはこの際守っていく、またそれによって健全な社会経済の維持、発展ができるんだ、こうおっしゃっているのですね。結果は、第二次補正で公債依存度三四%までなってしまった。それが結果であります。  それからもう一つは、五十三年度、五十四年度のことについて、いま申し上げたように、五十三、四年度はとにかく内外の均衡を達成するためにも調整期間である、同時に、五十五年以降くらいからは財政均衡を図らなければなるまい、ですから、それに対する期間でもある、だから五十三、四年度は七%くらいの成長目標にして財政を拡大して、内需を拡大する、同時に、この二年間に行政改革あるいは不公平税制の是正等をやって、五十五年以降恐らく増税時代に入る、その準備をなさるべきである、そういう主張をしたわけです。  それに対して、やはり総理は同じような返事をなさいまして、大体考え方としてはそう変わっておらぬとおっしゃっておりながら、結局は、ただ、少しあなたと考えが違いますのは、財政というか、こっちへの配慮を、私は、いまの日本の公債依存財政、この姿を非常に心配しているのですよ、財政を膨張させよう、そのために三〇%というようなかんぬきを外してしまえ、このような話でございますけれども、それは私は非常に神経質に考えていかなければならぬ、こういう御答弁だったのです。結果は、やはり五十三年度については少なくとも七%成長を目標にせざるを得なくなった。  私は、先見の明を誇るようなことを言って恐縮でございますけれども、しかし、もし十月当時から思い切って二兆円の枠を拡大して、内需の拡大をもっとやる。同時に、ちょうどアメリカとの国際的な交渉が七%成長を約束するというのが一つのかぎになったように、当時、十月の時点で、五十三、四年度も七%成長をやっていくんだというようなことを内外に宣明すれば、状況はずいぶん変わったのではないか。それは、二百四十円までいかなくて済んだであろう、そういう偉そうな言い方はしませんけれども、かなり改善されたのではないかと私は思う。  そういう意味で、総理は、この時期においては国際収支の見通しはある程度ついてきておったわけです。それにもかかわらず方向を誤ったというのは、やはり国債依存度三〇%の枠に総理はとらわれ過ぎた。結局は、簡単に申せば、外圧によって総理は姿勢を変更されたんだと思うのです。そうであれば、いまでも、さっき単なる試算だとおっしゃりながら、衣の下によろいが出たような発言をされますように、依然としてそういう執念が非常に強くある。そうであれば、これから五十三年度の途中においても、五十四年度の経済運営についても非常に心配があるんじゃないかと私は思う。その点、非常に懸念しております。そこで、総理に、このいきさつを踏まえて、現在どういうような考え方でおられるのか、それを篤と承りたい。
  305. 福田赳夫

    ○福田内閣総理大臣 昨年十月のあなたとの話を思い出しますが、私はあのときもはっきり申し上げたのですが、あなたのお話は、私は基本において賛成できるというような趣旨を申し上げたのじゃないかと思うのです。ただ、あなたがその際、公債三〇%の枠だけ外してしまえばそれで万事解決するような話をするものですから、それはそういうものではない、財政というものは非常に厳粛なものだ、この問題、一方においてどしんと踏まえてやらないと、行く先々、日本の社会、日本の経済というものは大変なことになりますよ、こういうことを申し上げたわけです。あなたはたしか二兆円の景気刺激政策をとるべし、こういうようなお話だった。私ども、二兆円をとったのですよ。二兆円政策というものをとったわけです。ただ、その手段、方法はそれは財政になるべくひびがいかない方法がいいじゃないか、こういうふうに思いまして、三〇%の枠内という、これは手段、方法の問題です。それをとったわけです。私は財政のことも思い経済のことも思って、三〇%の枠が守れるというならその方がよほどいい、そういうふうに当時も考えておりましたし、いまでもそういうふうに考えておりまするが、問題はやはり経済。あの当時で言えば六・七%成長、私は二兆円施策で六・七%成長はこれはできる、こういうふうに思っておった。ところが、外圧というか、そういうことじゃないと思いまするけれども、円為替の急上昇という問題が起こってくる、そうしてこれが相当深刻な影響を及ぼす、こういうことになってくる。これはもう今度は相当の対策を講じなければならぬ。なりませんが、財政の役割りを考えるとき、その三〇%というところではもうとてもやり切れない、こういう状態になってきたのですよ。これはやむを得ず三〇%の枠を超えざるを得ない、こういうことになってきたわけでありまして、この三〇%の枠をここで超えましても、しかし経済をぴんとさせる、そうすればやがてこの問題につきましてもこれを是正する機会がありましょう、こういう考え方をとるに至っておるわけなんです。ですから、財政はとにかく三〇%の枠は超えます。その三〇%の枠を超えるということ自体に重点があるわけじゃないのです。重点がありますのは、パーセントの基準を超える超えないは別といたしまして、とにかく財政が非常に重大な局面に立ってきておる、この局面、これを将来どういうふうに是正していくかということも踏まえながら、わが国の社会経済の運営をやっていかなければならぬ、こういうことを考えておるわけなんです。  それにはどうするかというと、何と言っても経済をここで立て直さなければいかぬ。あなたは五十四年度のことを言う。私も五十四年度、五十五年度、五十六年度のことを考えておるのです。そして大体五十三年度からの五カ年を展望すれば、平均すると六%ぐらいの成長をぜひ維持していきたい。しかし経済の流れを見ておりますと、五十三年度は七%成長だ、五十四年度はどうだというと、七%まで持っていくことは妥当でない。しかし七%に近い六%台、こういうようなことを想像して屋望しておいた方がよかろう。それから五十五年度はどうする、いやそれより低目に持っていく、だんだん低目に持っていきたい、こういうふうに思っているのですが、五カ年間大体平均いたしまして六%周辺、その辺で落ちつくような展望を持ちながらやっていきませんと、これはエネルギーの問題を一つ考えたってなかなか重要問題ですよ。いろいろ総合いたしまして、わが国の経済を健全に運営していくということになると、その辺を踏まえてやっていかなければならぬ。その辺をきちんと踏まえてやっていきますれば、財政の方もいまは非常な時代であるけれども、やがて展望は開かれてくるだろう、このように確信をいたしております。
  306. 河村勝

    ○河村委員 私が十月のときに三〇%の枠を外しさえすればそれでよろしいと言ったというようなことをあなたはおっしゃったけれども、それは無礼でしょう。さっきも言いましたように、私はちゃんと前提を置いて、とにかく赤字公債をいつまでも発行していれば財政ばかりでなしに日本経済は破綻をする、だからいずれ解消しなければならない、だけれども、いま内需の拡大をやって対外均衡と国内の景気の回復をしなければ財政そのものだって回復をしないんだ、だから、五十四年度以降増税を含む財政均衡にも協力する用意がある、わざわざそういう前提でお話ししたのですよ。いまの総理のおっしゃり方は少し失礼じゃないんでしょうか。(福田内閣総理大臣「そういう印象であったわけです」と呼ぶ)印象であったというのは、それはおかしいですよ。それだけ前提を置いて話しているのに、そんなばかなことはないですよ。まあしかしそれはそれで、あなたがそういう印象を受けたと言うなら仕方がありませんけれども、私のそういう発言でそういう印象を受けられたとすれば、よほど初めからひがんでお聞きになっているか、執念にこり固まっちゃって、もう三〇%の枠にさわるようなことを言うとハリネズミみたいにこうなってしまうものだから、全部そういう錯覚に陥っておられるのだと思う。そこが実は私は心配なんですよ。  ですから、いま五十四年度以降のことをおっしゃった。その言い方にも私は不満があるのです。それは、エネルギーのこともあるよというようなことをおっしゃった。そのくらいのことはわれわれも考えております。だからトレンドとして、五十七年度ぐらいまでを考えれば五十五年まででもだんだん下がってくる、そして一応安定の軌道に乗せた後は国の出場がだんだん減っていくのですから、成長も落ちていく、それは当然のことであります。しかし、これは暫定試算と書いてあるように、暫定試算はいろんな政策意図は全然抜きに、ただ五十三年度に七%成長する、そして五十五年は大体六%ちょっとぐらいのところだ、だからトレンドとしてこうなってくるのだ、そういう単純な試算だけしておられるわけでしょう。しかし政府の立場はそうじゃないはずですね。それは流れとしては、大数観察としてはそうでしょう。だけれども、五十三年度は七%仮に成長した、一体五十四年度はどうするかというのは、私はちょっと違うと思う。  宮澤さん、一体この五十三年度の経済見通しにおいて七%成長が達成した結果は、設備稼働率において九二%ぐらい、これは実質で言えば八〇%ちょいですね。それから失業者は五万人程度減るぐらい、そういうことですね。どうなんですか、私どもはこのままでは七%成長はなかなか困難だと思っておりますが、仮にいま七%成長すると想定した結果を見ても、五十四年度を考えればやはり相当な内需拡大型、積極型の予算でなければならない、そういう状況じゃないのでしょうか。
  307. 宮澤喜一

    ○宮澤国務大臣 概してそういうことであると思っております。
  308. 河村勝

    ○河村委員 そうであれば、仮に暫定試算というものを信用するとして、五十三年度で七%、五十五年ないし五十七年度で六・一%ぐらいに計算しているようですね。そういう全体の流れはあるとしても、五十四年度はやはりもう一押しして、とにかく七%成長を目標にするのだ、五十三年度は七%、それから後は少し財政均衡時代に入っていく、だから成長も落ちる、だけれども五十三、四年度でとにかくこのバランスを回復して、それは構造不況業種の対策その他残っても、大筋において軌道に乗った段階でもって今度は成長をスローダウンしていくのだ、そういう政策意図のはっきりした態度を表明されることが、私は一般の民間に協力を求めるにせよ何にせよ、その上において一番よい方法ではないかと思うのですが、いかがでございますか。
  309. 宮澤喜一

    ○宮澤国務大臣 それで先ほど概してと申し上げましたのは、五十四年の三月ごろにはおっしゃいますように稼働率指数が九二ぐらいにはなる、しかし稼働率にすれば八〇ちょっとのところである、完全失業も残っておるではないか、それはそのとおりに私どもも考えておりますけれども、ただ経済の形は、五十三年度財政が主導しますことによって、後半ぐらいからはかなり経済活動あるいは消費活動もいわゆる信頼を取り戻すような軌道に乗るであろうと思ってはおりますものですから、単年度ではそこまでしか参りませんけれども、その次の年度で財政が今度のようなことを繰り返してやるのではこれはまた論外でございますけれども、手を放しても黙っていれば自然に内需だけでいってしまうというようなわけのものでもない。やはり財政は財政で、今度ほどではございませんけれども、ある程度の社会資本中心の仕事はしていかなければならないのではないか、こんなような感じでございます。
  310. 河村勝

    ○河村委員 そうだと思うのですよ。ですから、七%ことし達成すれば、五十四年度七%達成するためには五十三年度のような大型な予算は必要がないと私は思う。七%達成すればですよ。だから、もし七%成長に自信がおありならば、五十四年度七%目標にするとおっしゃっても、総理の執念である財政均衡を頭に置いても、そうおそるべきものではないんですね。ですから私は、そういう意味からいいましても、そういう考え方をとり、かつそれを公表されることが全体に及ぼす心理的な影響というものは非常に大きいから、ぜひともそうなさったらいかがですかと申し上げているのです。いかがでございますか。
  311. 福田赳夫

    ○福田内閣総理大臣 そのとおり考えているのです。つまり、五十三年度では操業率を望ましいところへ大体近づくというところまで持っていきたいと思っているのですよ。そうなりますと、五十四年度においては民間活動が相当活発になってくるだろう。そういうものに合わせまして、財政も多少負担は楽にはなりまするけれども、積極的な活動をする。そういうふうにいたしまして、五十三年度の末に企業活動がどうなるかというと、宮澤企画庁長官が申し上げましたように、製造業稼働率にいたしまして九二・二%ですね、操業度でいうとこれは八三%ということです。八三%ではちょっと足りないのですよ。そうすると、五十四年度ではやはり常の状態ではいかぬ。不足している操業度を八五ないし八六%、稼働率指数にしてこれは九五%前後、その辺まで持っていかぬと本当に日本の経済が落ちついたと言えませんから、したがって、五十四年度という時点は、これは将来の平均水準の成長の高さよりはかなり高いところへ目標を置くべきだ、こういうふうに考え、そのことはずっと申し上げておるのです。
  312. 河村勝

    ○河村委員 それと、もう一つ私は提案をしたいのですけれども、それは中期経済計画と中期財政計画をつくりなさいということです。中期経済計画は国会でオーソライズするようなものにする、そういうことなんですけれどもね。今度の財政収支試算がずいぶん袋だたきになりましたけれども、これなどはやはりその典型だと思うのですね。中期経済目標を前提とする財政収支試算がない。だから、政策意図は何もなくて、ただいろいろな仮定だけ置いて計算するようなものになってしまうから、人をばかにしたようなものになる。もしこれにはっきりした中期的な経済目標に従った政策手段が組み合わせてあれば、りっぱな財政収支試算なんですね。かつての時代は、毎年見通しよりもはるかに大きな税収があって、それを社会資本にも使えたし、福祉にも使えた幸せな時代でしたから、財政も単年度だけで少しも困らない時代が何とか続いたわけですけれども、今度の石油危機以後の不況とインフレで、もう景気対策も短期の景気対策だけでは賄えなくなったということははっきりしてきたと思うのですね。ですから、片一方で完全雇用と国際収支の均衡、片一方で財政均衡、これを両方図っていこうということになれば、やはり中期的にかなり計画性を導入していかなければならない。それが今度のいろいろな問題にあらわれていると私は思うのですね。ですからこの際、中期経済計画というものをつくって、それでそれは国会の承認を求めるようにする。もちろん国会に承認を求めるのは、そんな細かい経済指標まで求める必要は全くないのであって、大きな経済目標と、それに必要な主要な政策手段だけをオーソライズしておく。それに基づいて政府は五年間の、五年以上のものはできないでしょうから、五年間の財政計画をつくる。これは毎年ローテートしていけばいいわけですね。いろいろな狂いもできるでしょうから、毎年その年を初年度にして、毎年改定していけばいいわけです。そういうようなものをつくって、それで本当にこういう経済運営の中身やそういうデータも、いままでのように政府だけがデータを握っていて、われわれが教えてくれと言ってもなかなか教えてくれないといったようなことでなしに、そういうデータも公開して、それで本当にコンセンサスを求めていくというのがこれからの一番の行き方じゃないかと思います。中期経済計画、いままでのはアクセサリーですね、当たったことはないし、かつてはもっぱら上の方に間違いといいますか、予定よりうんと上がってしまって、いまは予定より常に下に下がってしまうというようなかっこうで信用がない。そんなものでなくて、本当にそれを生かして使う、そういうものにしていく、そういうお考えはないでしょうか。
  313. 宮澤喜一

    ○宮澤国務大臣 それは実際そういうことができたらと私も思うのでございますけれども、何度か私自身中長期の計画というのに携わってみまして、この節はずいぶんモデルも改善されてまいりましたけれども、しかし、やはりなかなかその予測能力というのは自信のあるものになってまいりません。これはもうよく河村委員が御承知のとおりでございます。  それで、五十年代の前期の経済計画というのを政府は持っておりますけれども、結局、数字は出してみますものの、一種のバックデータになりまして、しかし政策目標としてどうしてもしなければならないことは何か、雇用の改善でありますとか物価の安定でありますとか、もう少し国際収支の均衡化でありますとか、財政の姿の改善でありますとか、社会資本の充実はもとよりであります。それから社会福祉、そういうようなものを、政策目標を表に立てる、その裏づけとしての数字をはじいてみるというようなこと以上に、実は自信を持って五年なら五年を予測するということはどうもいまの私どもの力ではむずかしい、日本に限らないと思いますが、むずかしいように思うのでございます。  それで、河村委員は、経済計画はそれでいいのだ、政策目標を掲げればいいと言われるわけですが、今度はその上で財政計画を立てるとなりますと、これはどうしてもこの数字になりませんと、恐らく財政計画というものになりにくいのでございましょうから、なかなかそこまでのお助けが私どもの方のフレームで、数字でもってできない、それだけの力がまだないという率直な感じを私は持っているわけでございます。
  314. 河村勝

    ○河村委員 私も完全なものはできるとは思っていないのです。ですから、経済計画については、いろいろな細かい経済指標は国会承認事項なんかにしないで、毎年間違ったものを直していけばよろしい。ですけれども、一応計算の基礎としては使って、それで経済目標とそれに基づいた政策手段をオーソライズする、そういう意味で言ったわけです。ですから、最初はかなり試行錯誤があるかもしれないけれども、しかし、初めは少しぐらい間違っていてもいいでしょう。そういうのがスタートすることがむしろ大事である、私はそういう意味で提案をしているのです。いかがでございます。
  315. 宮澤喜一

    ○宮澤国務大臣 たとえば今回の試算というようなものは、おっしゃいますようにバックデータではあったけれども、五十年代前期計画の最初の二年の実績がかなり違ってまいりましたから試算をやってみた。あるいは一種のローリングプランと言えるものかもしれないと思います。それをこの間、大蔵大臣が財政の試算をされるときのデータに使われたということでございますが、私ども一生懸命やりまして、できるところがこのあたりのところか、こういうことは今後とも続けて改善をしてまいりたいとは存じております。
  316. 村山達雄

    ○村山国務大臣 いま企画庁長官が申し述べたところでございますが、企画庁で暫定試算をつくっていただきまして、これはこの前の分のフォローアップでございますから、大体年率ではそれほど変わらないところで暫定試算を出していただいたわけでございます。われわれの方では、それをもとにいたしまして、五十七年度に特例国債から脱却するとした場合の幾つかの型を出したわけでございますが、ケースCが最も整合性のあるものでございまして、あとは大体、もっと縮めたらどうかとか、もう少ししたらどうかとか、いろいろなあれをつくったことは御案内のとおりでございます。ケースCで見ますと、御承知のように名目成長が一二・五%に対して、歳出規模では一五・五%程度出ているわけでございますから、歳出規模として考えてみますと、過去の例、ずっと高度成長時代のこの一二・五と一五・五という開きは、安定成長時代の、高度成長ではありましたけれども比較的安定しているときの開きで見ますと、平均値でとりますと、かなり近接しておる。そういったところで、一体財政がそれにもかかわらずどれくらいの積極性をとれるのかということをひとつ読み取っていただきたい、かような願いを込めましてずっと試算をいたしておるところでございます。
  317. 河村勝

    ○河村委員 財政収支試算の説明をいま聞こうとは思っていなかったのですが、まあ大変残念です。私はもう少し積極的な、意欲のある答弁がいただけるかと思ったらさっぱり。これから先の経済運営について、私はやがてこれでは済まなくなる時期が来ると思うから申し上げているのですけれども、とにかくそれをつくるという意図のもとに検討する用意もないということに非常に失望いたしました。  次に、七%成長は達成できるかということについて、これはいろいろな角度からいままでこの予算委員会で聞かれておりますから、それと重複しないところで二、三お尋ねをいたします。  宮澤さんの前の説明で、昨年六・七%成長予定のものが五・三%まで下がってしまった。一・五の差ですね。その理由が三つある。一つがげたの問題で、一つが経済活動全般の低下、三番目が円高だ、こういうお話でしたね。同様の問題が五十三年度においてもあるかもしれない、そういう前提でお尋ねをいたしますが、五十三年度においてこのげた分、言いかえれば五十三年の一-三月ですね、一-三月の実質成長率は年率で言うと幾らになりますか。
  318. 宮澤喜一

    ○宮澤国務大臣 先ほど申し上げました〇・五と申しますのは、げたには違いないのでございますけれども、毎年のようにある時期に前の年の国民所得の、国民総生産の確定数字が出てまいります。それで、昭和五十二年度の場合、五十一年度の数字が私どもの思ったのよりは低く出てまいりました。それはかなり後になりましたので、したがって、そこの誤算からまいります分、こういうような意味を含んでおります。それが一つでございます。  それから、五十三年度に持ち越しますいわゆるげたと言われる部分は、名目で三・三、実質で一・九ぐらいではないか。それをまずお答えしておきます。
  319. 河村勝

    ○河村委員 すると、その実質一・九というものが五十三年度の各需要項目の中に織り込まれてくる、こういうことになりますね。
  320. 宮澤喜一

    ○宮澤国務大臣 これは実は需要項目ごとに違うことに――全部申し上げましょうか。(河村委員「いや、いいです」と呼ぶ)いまのは総支出の場合でございます。
  321. 河村勝

    ○河村委員 それから円高の影響、これが〇・五%。すると、五十三年度について言えば、輸出入の計算基礎には一ドル二百四十五円をお使いになっているということでしたね。そうしますと、これはほかのすべてについても二百四十五円を前提にして計算をされておる。だから、これもやはりこれの動き方によって同様の影響が出る可能性がある、こういうことですね。
  322. 宮澤喜一

    ○宮澤国務大臣 そのとおりでございますし、それからもう一つは、五十二年度と五十三年度との比較でございましたら、五十二年度平均の円と五十三年度平均の円とは、ただいまのレートのままで考えましても五十三年度の方が少し高いということになっております。
  323. 河村勝

    ○河村委員 それから経済全体の活動の低下ですが、これはいろいろあとを残らず含んでおるわけですが、端的にそのあらわれているのが在庫調整のおくれだろうと思います。今度在庫調整が進むことに一番期待をかけておられるようですね。これがもし予定どおりいかないというと、全体がうんと狂ってくるはずだと思います。これはなかなか説明が困難だと思いますが、一体、実質でもって在庫投資が二一・三%ふえているという経済の姿というのは、在庫調整がいつごろ終わって、あと在庫の積み増しというのがどの程度の姿になっているのか、企画庁あたりでもって考えておるような、まあ考えているというか、いろいろなケースを並べておりますが、最終需要が相当活発に増幅されて、それで消費財から生産財、それから素材産業へと相当大きな幅でもって拡大をしつつ在庫がふえていく、そういう形を予想してこのくらいのことを考えているのかどうか、その辺の感じをひとつ聞かしてください。
  324. 宮澤喜一

    ○宮澤国務大臣 これはおっしゃいますように数字でなかなか申し上げられませんので、感じで申し上げますと、まあ幾つかのもの、石油とか化学とか、紙などもそうかもしれません。それから構造不況業種、これらのものを一応別にいたしまして、概して在庫調整が四月ごろになりましょうか、ことに流通在庫はかなり低くなっておりますから、一応終わるのではないか。しかし、そうかと申しまして、企業家なり消費者の心理が突然もう全く変わるというわけにはまいりますまいから、積み増しの力はそんなに強くはないだろうということと、もう一つは、一番遅いのは原材料在庫ではないだろうかと見ております。
  325. 河村勝

    ○河村委員 次に、これもいろいろ問題になっております公共投資が果たして消化できるかということでございますが、いろいろ御苦心なさったようで、財政の方に相当無理がありはしないかと思っていろいろ検討してまいりましたが、まず大丈夫のようですな。その点はずいぶんがんばったということを認めます。ただ、一般財源の不足ができればその分だけ影響するという懸念がありはしないかという気がしますが、それはそう大きくなさそうだからいいとします。問題は施工能力で、熟練工の不足とかいろいろな問題がございますが、それはまあ一応別として、やはり早く仕事をやらせるというのが一番肝心だと思うのです。  それで、補助金の交付とそれから地方債の発行、この二つの複雑な手続というのは、いままでは非常に大きなガンだったわけですね。いまさっき何かパンフレットをいただきましたね。今度は非常に簡便にやるのだという話でありますが、これを見ましても、たとえば「補助金の早期交付」というところで、交付申請の際の提出書類は、継続事業については省略するというようなことが書いてあるのですね。継続事業で省略なんというのはあたりまえのことであって、一体これをもっと簡単にできないのであろうか。  大体、府県では、前の年の六月ごろから準備をして、それから年度内かかってそれぞれの主管官庁、この場合建設省が多いと考えていいかもしれませんが、そういうところと打ち合わせをして、それで三月にはもう工法協議までやるような段取りになっている。それで、四月に内示通知をやる、内示通知をやった上でさらにまだ許可申請として膨大な書類を持ってこさせてまたやるわけですね。これが一カ月ぐらいかかる。なぜこういうむだなことをするのか。とにかく内示通知の段階で事実上仕事は終わっているのですね。だからこんなものは、あとは本当に形式だけでよろしいはずだ。こういうところも省略できないで、補助金の交付手続を合理化したということが一体言えるのであろうか、いかがです。
  326. 村山達雄

    ○村山国務大臣 従来のやり方をいろいろ反省いたしまして、できるだけ迅速にやるために、いまお説のようなことで継続事業をやめるとか、あるいは補助事業の申請についても部数はごくわずかにするとか、設計も簡単にするとか、それも部内手続をどんどん進めまして、成立しなければならぬわけでございますが、もう成立したら即刻やりたい、こういうことで準備を急いでいるわけでございます。
  327. 河村勝

    ○河村委員 建設大臣どうですか、いま私が言ったのは。とにかく四月になって改めて認可申請をやるなんてむだなことをやめて、もうそれまでに中身は全部決まってしまっているのですから、形式でしょう。そういうものを省略するぐらいなことができないのですか。
  328. 長岡實

    ○長岡政府委員 国会における予算審議との関係もございまして、手続はどうしても成立後になりますけれども、その事前にいろいろ協議をいたしました際に提出されたものを代用するという部分が今度は相当部分、そういうことを活用して河村委員のおっしゃるように手続の省略を図りたいというふうに考えております。
  329. 河村勝

    ○河村委員 根本的に、昭和三十年にできた補助金等に係る予算の執行の適正化に関する法律というのですか、補助金適正化法、これは昭和三十年、まだ地方自治体というものが誕生して間もなくて、事務能力もろくにない、その時代の法律ですね。だから、がんじがらめにやかましい審査を義務づけて、その上に、全体に影響のないような設計変更みたいなものまで一々許認可にわける、こういう法律はこの際廃止をしたらいかがです。これは何省の担当なのか。
  330. 長岡實

    ○長岡政府委員 適正化法の所管は大蔵省でございますが、補助金につきましては、たとえば公共事業のように、しかも今回の景気対策のために早期に執行するための手続の省略が必要であることは申すまでもございませんが、一方新しい補助金等を設定いたします場合には、その補助目的とか補助効果等も十分検討する必要がございまして、現在におきましては、新規の補助金につきまして適正化法に基づくいろいろの検討をいたしておりますけれども、一般的には手続は非常に簡略化しておる次第でございます。
  331. 河村勝

    ○河村委員 私が言っているのは、そんなことではなしに、法律をやめたらどうかと言っているのです。法律は法律だが、ことしは忙しいから少し雑にして済ませるというようなことではなくて、ことしだって雑にするというわけではないでしょう。能率化したわけでしょう。能率化できるものなら、法律そのものをやめたらいいじゃないですか。いかがです。やめるのは国会かもしれぬけれども、やめる意思表示を政府がすべきであると思うが、いかがですか。
  332. 村山達雄

    ○村山国務大臣 補助金の適正化法は、それなりの私は目的を持っておるものだと思います。したがって、問題はそれを時代の要請でいかに運用するかというところに私はあると思っておるわけでございまして、その時期に応じまして、その必要必要でやっていることであって、いま直ちに適正化法をやめることにつきましては、なお検討を要すると思っております。
  333. 河村勝

    ○河村委員 総理大臣、こういうような官僚的な返事しか出てこないのですね。現にことしほとんど簡略化して能率を上げてできることが、それが常態としてできないというわけはないでしょう。法律がそのままであれば、来年になればまた戻っちゃうのです。ですから、こういう時期にこそ一遍見直してやめるのが本当なんです。いかがですか総理大臣。よくおわかりにならないのかもしれぬが、私の言うことは間違いありませんから、やめる方向で検討すると約束をなさいませんか。
  334. 福田赳夫

    ○福田内閣総理大臣 公共事業が大変膨大化する、そういう際に法律をやめるということ自体がどういう効果を持ちますか。私はいまお話を聞きながら、さあ、ふだんのときならやめてもあるいはそう支障はないかもしらぬが、こういうこの際、やめるということが一体どういうことになるのかなということがちょっと気になるような感じがしますが、まあ慎重に考えるようにします。
  335. 河村勝

    ○河村委員 総理大臣、全然実態をつかんでおられないのだ。どうもこれは聞いたのがむだでしたから、それではやめておきましょう。そうじゃないのですよ。とにかくやたらと細かく規定し過ぎているということなんです。補助金をなくせと言っているのじゃないのですよ。総理大臣の話を聞いていると、まるで私が補助金をなくすような話みたいにとれるけれども、もっと簡単にできるものはできるのですから、これは本当にひとつ検討してください。  それと、もう一つは地方債の起債ですね。これも今度のパンフレットに書いてございますが、これで一番悪名の高いのは財務部なんです。これは、本当は行政機構改革をして財務部をみんななくせばこういう問題がなくなるはずであります。  地方債の発行では、自治省と大蔵省が相談をして、それで府県におろす。それから先、本当は財務部は権限的に関与する資格を何も持っていないのですね。ただ、資金運用部資金で一部持つという、そういう実力を利用して、それで繁雑な協議を県や市町村に要求をして、そのために一カ月余もむだに時間を空費するというのがこれまでの例なんですね。大蔵大臣、もう財務部でああいうむだな仕事をするのはやめたらいかがですか。まあ財務部をやめてしまえば一番よろしいのだけれども、その前に仕事の面でいきましょう。
  336. 村山達雄

    ○村山国務大臣 河村さんよく御承知のように、運用部の資金の管理は、大蔵省は預金者の立場を保護する立場で、適切な管理をしなければなりません。すでにまた、五十一兆という膨大な資金を貸しているわけでございまして、債権者の立場に立っておりますから、その債権の保全もまたやらなければなりません。そしてまた、二十兆を超える大きな公共債が出るわけでございますから、金融調整の責任者として、どうしてもやはりその全部が円滑に消化されるように配意しなければならぬところでございます。したがって、財務部の協議をやめるというわけにはいかないと思いますが、おっしゃるように、その手続その他、いろいろな批判があることは私も十分承知しておりますので、今後できるだけ簡略の方向で前向きに検討をしてまいりたいと思っております。
  337. 河村勝

    ○河村委員 前向きに検討でなしに、ことし、事実上なくてもいいぐらいのところでやってみる気はないのですか。やってみて決して支障はないはずですよ。いかがです。
  338. 村山達雄

    ○村山国務大臣 いま申しましたような趣旨からやめるわけにはいきかねる、こういうことでございます。
  339. 河村勝

    ○河村委員 総理大臣、これだから行政機構改革はできないのですよね。人がいれば仕事は見つけます。機構があれば仕事は見つけてくるのですね。ですから、やらぬでもいい仕事をやるようになる。資金運用部資金を貸すというだけなら、これは銀行が金を貸すのとはわけが違うのですね。もう事業の枠も決まり、それでその中の何%を地方債で持つかという、その枠まで決まっているわけでしょう。それをただ財務部は、その枠の中で貸すだけの話ですよね。銀行が金を貸すのは、その事業が倒れるかどうかを心配しなければならないけれども、幾ら貸すかというところからやるから非常に手間がかかるのであって、それが全部枠も決まり、別段回収する心配をすることもない。それでもってむやみな手数をかけている。そういう実態があるのですよね。これは自治大臣、一体どうなんです。この二つの問題は。どうも大蔵大臣に聞いていると、自分の城を守る方の側で、特に村山さんはそれが強いから、本当のことがわからない。自治大臣の立場として、この補助金と財務部の問題、一体どう考えているのか、ちょっと聞かせてください。
  340. 加藤武徳

    ○加藤国務大臣 前段の、補助金を受けるに当たりましての手続の簡素化につきましては、地方団体が強く願望しているだけではありませんで、自治省といたしましても、長い間の願望でございます。そこで、こういう機会にこそ徹底した簡素化を願いたい、かようなことを強く希望いたしておるのでありまして、大蔵大臣が答弁されましたように、いま推進本部を中心に検討いたしておるのでございますから、私どももそういう方向で強く意見を出してまいっているところでございます。  それから後段の起債の問題でございますが、都道府県債につきましては、大蔵省と協議をしますことが法的に縛られておりますので、当面はやむを得ないといたしましても、市町村の起債につきましては、去年の国会でもやはり議論になったのでありますが、大蔵筋と協議をいたさなければならない法的な根拠はないということが明確になっておるのでありまして、自治省といたしましては、少なくも市町村の起債に関しましては、大蔵省筋に協議をいたさないような手続ができますことを願望いたしておるところでございます。
  341. 河村勝

    ○河村委員 お聞きになりましたか。自治省は、とにかく財務部と相談しないでやりたい、こう言っているわけですがね。それでまた、法律的にはやらないでも済むわけだから、それでやったらいいんじゃないですか。別段、機構の問題ではないでしょう、事実問題ですから。だから、自治省が府県以下の自治団体を指導して省略をさせればそれでよろしいわけでしょう。そうじゃないのですか。
  342. 村山達雄

    ○村山国務大臣 地方団体並びに自治省からそういう御希望があることはよく承知しております。問題は、やはり最終の金融調整の問題もございますし、また、地方財政にもかかわり合いを持つことは御承知のとおりでございます。問題は、それが単に形式に流れるということでなくて、それが本当に生かされるというところに本当の意味があろうと思うのでございまして、そのために、前向きのことでその効果が上がるように、そうしてまた形式を排するように、そういう方向で大蔵省としてはいま検討しているところでございます。
  343. 河村勝

    ○河村委員 ことしやった実績を、これは大蔵省からではなくて、自治省から報告をしてください。その上で、適正化法並びにこの地方債の取り扱いをどうするかを本当に検討しなければ、いつまでたっても大蔵省ががんばっていれば直らないというようでは、本当に将来のためにならないと私は思う。自治大臣、この年度の途中でもいいから、一遍実態を報告してください。お願いしますね。  次に、個人消費支出。GNPの半ば以上を占める個人消費支出が一%でも狂えば、これは〇・五%の影響があるというぐらい大きいものですね。これもいろいろな質問がございましたから、私も将来の問題としてちょっとお尋ねだけしておきたいと思います。  宮澤さんは、何か春闘のベースアップをなるべく軽く扱いたいと思われたらしくて、個人所得の中で雇用者所得は六〇%、その中で基準内賃金は五四%だ、だから、基準内賃金というのは全体の三〇%だから春闘で影響するのは三〇%だ、こういうお話でしたね。確かに計算上はそうでしょう。だけれども、基準外賃金も全部基準内賃金の率によって動くのですよ。ですから、ベースアップには三〇%しか影響はないというのは、これは大うそですよ。これは時間外手当はもちろんだけれども、退職金でも、すべて基準内賃金がもとになって動いていくのですからね。ベースアップの差異によって影響することは間違いないのですよね。そうでしょう。だからあれはためにする議論で、私は宮澤さんらしくないと思ってどうかと思ったのですが、違いますか。
  344. 宮澤喜一

    ○宮澤国務大臣 そのとおりなのでございまして、それであのときに、ペースメーカーであることには違いございませんがということをつけ加えさせていただいておったのです。それで、私は実はあのときも申し上げましたけれども、春闘のことをあれこれすることが私どもとしてどうも適当でありませんけれども、しかし、何か申し上げなければ、消費の見方が適正かどうかが御審議をしていただくのにいけませんので、それで雇用者所得のことはどうしても申し上げざるを得ない。しかし、それは春闘そのものとはかくかくの、無関係と申しますか、このような程度のかかわり合いのものでございますということを実は申し上げようとしておったのでございます。
  345. 河村勝

    ○河村委員 一人当たりの雇用者所得は九・四%というお話でしたね。そうすると、基準内賃金――ベースアップのことは言うといけないのですね。雇用者所得は九・四%の伸びですね。そうすると、基準内賃金は七%ぐらいの伸びになるわけですか。
  346. 宮澤喜一

    ○宮澤国務大臣 それを申し上げますことが政府としてはやはり適当でなかろうということで、せんだって申し上げましたのは、それならば、五十三年度の雇用者所得を九・四と一応置いておるのはわかったが、五十二年度はどうなのだというお尋ねでございましたから、それは一〇・五と置いておりましたと、こんなふうに申し上げたのでございます。
  347. 河村勝

    ○河村委員 計算すれば多分七%ぐらいになるのだと思いますが、まあ、それはいいでしょう。最近、いろいろな民間の調査を見ますると、経営者側のアンケートをとっても、七%をちょっと上回るようなベースアップの予想が出ているようですから、もしそういうことであれば、この消費支出の中の大きな部分を占める雇用者所得に大きな狂いが出ないわけですから、それは御同慶にたえないところだけれども、もしこれが狂うというとまた大きな影響を持つということですね。  民間設備投資をちょっと伺いたいと思う。どうも今日までの、五十二年度中の動きを見ますと、これが実質で六・七%ふえるというような感じは少しもしないのであります。特に私が不思議に思っているのは、昭和四十七年度の民間設備投資の見通しと比べて、余りにも大き過ぎると思っているのです。昭和四十七年というのは、昭和四十六年の不況期から脱出する時期です。それでちょうどコンディションも似たようなものでありまして、やはり製造業にはほとんど期待できなくて、電力、運輸等に期待をするだけだ。それで、GNPの見込みが四十七年のときには七・二%、今度は七%と、ちょうど同じですね。ところが、四十七年度の民間設備需要の伸びは二・七%、今回が九・九%、これは名目。四十七年のは名目だか実質だかちょっとわからないですけれども、名目のようです。余りにも違い過ぎるのですね。四十七年は結果として実質で一〇%以上成長しましたから、設備投資も名目で一〇・五%、ほぼ今回予想しているぐらいの設備投資があったわけですが、何で、同じような条件であるのに、四十七年の場合に二・七%程度の伸びしか見込まないのに、今度九・九%も見込めるのか、どうもその辺がぴんとこないのですが、何か特別の理由が五十三年度にはあってこういう措置をされたのかどうか。
  348. 宮澤喜一

    ○宮澤国務大臣 確かに四十七年度は、五年間続きましたイザナギ景気が終わりまして下降に向かいまして、四十七年度のどの辺が谷になるかわからないというかなり暗い空気で四十七年度の見通し、予算編成が行われました。実際上は、後になってわかったことでございますけれども、谷は四十六年の十二月であったわけですが、それはその段階ではわかりません。したがって、民間設備投資の見通しが通産省の調査、興銀、開銀等の調査がおしなべて非常に大きなマイナスを実は立てておりました。したがいまして、そういう心理と申しますか、そういう雰囲気でありましたので、政府自身も非常に低い二・七という見通しをいたしたわけでございますが、実際は四十六年の十二月が谷であったという後からわかった事実が示しますように、最終的には一二・二%に御承知のようになった。  でございますから、結局今回は、そうは申しましても、このときほど製造業の主導型でないことになっておることもございまして、まあまあ幾らなんでも二・七というような見通しを立てることはない、それほど悲観的な見方はないわけでございますから、あの程度のことをいたしておるのでございます。確かに型としては、これは多少手前みそになるかもしれないのでございますけれども、あのときにああいう暗い見通しが多かったのですが、実はその年の十二月には谷が来ておって、結果としては四十七年に入りましてかなり経済が上向いたという年でございました。
  349. 河村勝

    ○河村委員 それから住宅建設について、建設目標は実質で一〇%増ですけれども、ことしの目標は建設戸数では一体幾らなんです。
  350. 櫻内義雄

    ○櫻内国務大臣 伸び率一三・六%で十五兆円、こういう計算をしておりますが、質の向上四%分を勘案しますと、五十三年度百六十一万戸、こういう目標にいたしております。
  351. 河村勝

    ○河村委員 そうすると公庫、公団、公営を抜いた約百万戸近いものが民間ですね。一体これが達成できるのか。これはやはり一番大きなウェートを持っております。  昨年の実績を見ますと、一-三月はGNPベースで四〇%増、四-六月が二〇%増、それから七-九月になると、もう前期比で三五%くらい落ちてくるのですね。これはなぜかといいますと、公庫の融資の枠が出たときには、出た前半にばかっと出て、それが切れますと、もう五月以降からだんだん減ってきてしまう。これから後の統計がないので、後半また公庫融資の枠も拡大いたしましたから、その時期はふえたかもしれないと思いますが、とにかく結局公庫枠を頼りにするだけであって、民間は去年も結局伸びていないのだろうと思う。なぜ民間がこう伸びないのか、その理由はどこにあるとお考えですか。
  352. 櫻内義雄

    ○櫻内国務大臣 五十二年度は、一次補正の十万戸追加後は大分模様が変わるわけでございます。ただ、その前の状況をただいま河村委員が御指摘をしたものと思いますが、これは端的に言って不況のあらわれである、こう見るよりいたし方がない。いま私のところにある資料でいきますと、民間自力建設住宅で五十一年度が百二万、五十二年が九十万ちょっとという、この辺がいま御批判になった点だと思うのでありますが、私は、非常に単純に考えるようでございますが、民間自力建設は不況が原因、こういうふうに考えております。     〔委員長退席、栗原委員長代理着席〕
  353. 河村勝

    ○河村委員 不況と言うのはおかしいのです。要するに、民間の住宅の事情というのは、個人の消費と同じような性格のものですから、一般的な事業の不況とは関係がないわけですね。だから個人の収入の問題でしょう。どうも傾向を見ますと、やはりベースアップの率と金利。金利よりもベースアップの方が高い時期は民間建設が伸びる。ベースアップの方が金利を下回ってしまうその時期から減ってくるのですね。昨年ぐらいがちょうどそのクロスするところですね。ことしも仮に七%ベースアップがあっても、いま民間金利は七・九二%、だから金利の方が高い。やはりベースアップの額よりも金利が高いときはなかなか手が出ない。一般需要は非常に強いけれども、なかなかつくる意欲が出ない、そういうトレンドがあるのです。だから、これを助けて民間をやろうと思えば、住宅ローンの金利を一%下げてやる、そうすれば政府の例のローン減税とあわせて、まあまあ一%ちょっとくらい下がる、そこで初めて民間ローンというものが一般の大衆に消化できるようになるであろう、私はそう思うのですけれども、一体住宅ローンの金利を一%くらい下げて、それで利子補給するという意思はありませんか。
  354. 村山達雄

    ○村山国務大臣 現在、民間の金利はいまどんどん下がっておりまして、住宅金融の方は大体七・九くらいじゃないかと思っているのです。そうしますと、一年定期にコストを足しますとぎりぎりいっぱい、預貸率の関係からいって銀行としては恐らくこれ以上はなかなか下げにくいところであろう。消費者ローンでございますと、御案内のように、同じくらい手がかかりますけれども、九%くらいはいっているわけでございます。そこで、国が補給したらどうか、こういう話でございますが、これがなかなかそうはいかぬのでございまして、いま一%の話が出ましたけれども、これは何しろ二十年間、大体償還期限がそういうことでございまして、大変な財政負担を将来もたらすことはもう御承知のとおりなのでございます。そういったことで、民間の方に、率を下げるというわけではございませんけれども、相談所を設けるとか、あるいは住宅相談所を設けるとか、あるいは過去のものについても条件変更等について相談願うというようなこと、あるいはまた民間には新しい分といたしまして元本一年据え置きというようなものを設けるということをやりながら、また他方において住宅金融公庫の方に非常に資金もつけ、それから条件も改定して、総合的にやろうというわけでございます。やれば相当出るとは思いますが、何しろ窮屈な財政事情でございますので、乏しい知恵をあちらこちらとかき集めてやっているというのが現状でございます。
  355. 河村勝

    ○河村委員 いつまでもやってくれというわけではなくて、長く続ければ大変なことになることはわかっています。だから、ここ二年くらいをとにかく景気浮揚のためにやるという決意をすれば、できないことではないと思います。この点は、いずれ予算修正の問題とあわせてもう一遍御相談をする機会があろうと思うので、そのときに残します。  もう一つ、前、私どもの書記長が質問の際に、建設大臣から答弁のあった問題で、地方自治体が土地の開発業者あるいは公団等に課する公共公益施設整備費負担の軽減の問題です。これが、いま土地供給の非常なガンにもなっているし、土地を高くする最大の原因にもなっている。私どもは、いままで五〇%ぐらい開発者が負担しているものを二五%に抑えて、残りの分は地方自治体が地方債を発行してそれを処理をする、その地方債に対して国が利子補給をなさい、現にことし三百億の施設整備費の予算を計上してあるけれども、その使い道は定かでない、これを本当に生かして使うのにはこれが一番有効でありまして、あと二百億くらいふやせばほとんどすべてに均てんできる、そうすれば本当に宅地を安くしかつ供給を促進することが可能だ。それに対して建設大臣は、方向としては考えているが一挙にはいかないとかなんとか、考え方としていいようなことを言いながら、結論はやらないということのようである。もし考え方はいいと言いながらやらないというならば、なぜいいのにやらないのか、その理由を説明をしていただきたい。
  356. 櫻内義雄

    ○櫻内国務大臣 理由を端的に申し上げますと、地方債のかさ上げあるいは利子補給というのを御承知であろうと思いますが、昭和四十九年度に創設して、やっておるのですね。ところが、これが、余りこの実績が上がっておらないわけでございます。  ちょっと御参考までに読み上げますが、三大都市圏等における宅地開発等に関連して必要となる公共公益施設の整備に必要な起債の充当率を一〇〇%とするための別枠計上の特別起債を認め、これに対して利子が六・五%となるよう利子補給する。  こういうことを一方でやっておるのですが、昭和五十一年度で見まして、これを利用したのが六市町村、三十団地、そして起債額は二億六百万、利子補給は五百八十八万七千円、こういうような状況にあるわけでございます。  そこで、今回この三百億の公共施設整備の新規の予算を計上しておるわけでございますが、その際に、この三大都市圏の小中学校などについては当初三年間年利率三・五%、その後の七年間年利率六・五%との差を利子補給する、その利子は十年分を一括して交付するというように、従来のやり方につきまして多少味をつけておるわけでございまするが、われわれとしては、おっしゃっておる宅地造成費の中の関連公共が、大体現状で民間開発で三二・五になっていますね、公的開発で四五・五になっておりますから、御指摘の二五%以下にとどめるというところにはちょっと間隔があるわけで、ただ今回の三百億の新しい制度がどの程度これへ影響しているかというと、五ないし一五ぐらいの影響があるのです。ですから、皆さんの言われている二五%以下にせよという方向には、今度の施策である程度のパーセントが下げられるのだから、それでこれがもし非常に効果があれば、私らとしては、さらに明年あたりはもっと多く要求したい、こういう考え方でありますから、御趣旨には沿って考えておりますと、こうお答えしておる。
  357. 河村勝

    ○河村委員 前にある利子補給制度というのは、いま伺えば六・五%まで利子補給するというのでしょう。そんなもの使うわけないでしょう。ただでもって開発業者に押しつけることができるものを、六・五%以上の金利を補給するだけでもって利用するわけがないじゃないですか。そんなものと、いま私が申し上げているものとを比べられては困るのであって、一体、学校等の負担というのは、確かに地方自治団体としては大変なつらさであることはわかるけれども、しかし、家ができ上がって人が住めば、その経費はやがて回収できるものですね。一体何年たてばそういうものが回収できるか御存じですか。私の計算では、大体八年ないし九年でもってその投下資本は回収できるのですよ、市民税その他で。ですから、そういう回収できる性質のものをただでもってみんな押しつけてしまうというのは大体精神が悪いので、いま地方自治体でやっているのは、全部指導要綱とかいう全然法律的根拠のないもので、実力行使で押しつけているわけでしょう。それで住宅公団も一般の民間の業者もみんなやられているわけです。これはやはり国でもって指導要綱をやめさせて、二五%以上は持たしてはいけない、超える分は地方債で持って、その利子は全額国で持ったらいいんですよ。府県、市町村は、しばらくの間はつらい。そうすることによって最も早くこの問題が解決できる。これはぜひやってください。いかがです。
  358. 櫻内義雄

    ○櫻内国務大臣 私のお答えする範囲は超える点があると思うのですが、ただ建設省側からの意見を申し上げますと、先ほど申し上げた住宅、宅地に関連する公共施設の整備の三百億円ですね、この三百億円にはなお国土庁の事業調整費などもございますし、それからまた根幹になる、もとの公共施設の補助もあるわけでございますから、それらを総合的にやって、そしていまおしかりでございましたけれども、確かに開発者に全部負担させればいいのですけれども、現在その情勢というものはまた変わりつつあると思うのですね。関連公共施設まで負わされるからもう開発をしない、だから土地供給も減ってきておる、また押しつけられているから値段も上がっておるという状況ですから、だからその方からも改善する必要がある、こういうことで今度の関連公共施設整備の新制度をお願いした、こういうことなんでございますから、この点を御理解いただきまして、地方債とか利子補給とかいう問題になってまいりますると私がお答えすべき筋のものではないと思うのですが、ただ、負担を二五%に近づけつつある、そういう施策を建設省ではとっておるということをお答え申し上げておきたいのです。
  359. 河村勝

    ○河村委員 どうも説明がさっぱり納得いかない。再度この問題は取り上げます。  総理、そこで、いまいろいろな角度からお尋ねをいたしましたが、こういう見通しというのは、決定的にだめだとか決定的にいいとかいうことは本当はだれにもわからないのですね。ですけれども、大筋の考え方として、どうもいまの予算のままでは無理があろうというのが常識のようであります。そういう意味で、われわれもこれから予算の最終の段階になって可能な限りの予算の修正をやって、できるだけ、公共投資の効果だけを頼るのではなくて、その他民間消費等を刺激する方策を講じたいということで、いずれ予算委員会の終末の時期から政府・与党との間に協議に入ることになろうと思います。     〔栗原委員長代理退席、山下(元)委員長代理着席〕  そこで、それで万全なものができればよし、なかなかそういう万全というのはだれが考えてもできないと思いますから、総理に腹を決めていただきたいのは、やはりさっきのお話のように、四、五月ごろになりませんと在庫調整の模様もわからない、ベースアップの推移もわからない、それから円高の推移も、あるいはまたこれも変わるかもしれない、そういう不確定要素がいっぱいあるわけですね。ですから、五、六月ごろになれば、一体これでもっていけるのかいけないのか見当がつくのだろうと思います。ことしはやはり七%成長というのは、まあ総理は公約ではないとおっしゃるけれども、内外に対する事実上の公約でもあるわけですから、どうしても達成をしなければならない。でありますから、五月ないし六月の時点で、もし今後の経済の推移いかんによって、どうしてもこれでもって追加需要が必要であるという段階になった場合には、総理は積極的に、こだわりなしに、予算の補正を含めて機動的な財政の運営を考えるという決意をお持ちであるかどうか、それをこの問題についての締めくくりとしてお尋ねをいたします。
  360. 福田赳夫

    ○福田内閣総理大臣 ことしは国際的にはどうしても経常黒を大幅に減らすということをしなければならない、こういうふうに考えています。また、国内的には景気をとにかく上昇軌道に乗っけなければいかぬ、このように考えておるのです。     〔山下(元)委員長代理退席、委員長着席〕  五、六月というお話でありまするが、もう毎日毎日というぐらい、毎月毎月、そういう目標に向かって経済がどういうふうに動いていくか、これを注目してまいりたい、こういうふうに考えています。もとより経済は生き物でございますから、いろいろな変化が出てくる、こういうふうに思いますが、その変化に応じまして臨機、機動的な対策をとる、これはもう当然です。
  361. 河村勝

    ○河村委員 その点をお願いをしておきます。これは一番大事な時期でありますから。  時間が余りなくなってしまいましたので、若干残る問題について、ばらばらになりますけれども、少しお尋ねをしたいと思います。  これは農林大臣と外務大臣、鯨の問題なんですが、この六月に国際捕鯨委員会が開かれます。そこでまた日本のとる鯨を規制しようという動きが非常に強くて、例の、鯨を食べるとおかわいそうだという種類の、アメリカ、カナダを中心にした環境保護団体が非常に勢力がございまして、日本はどうも四面楚歌になりつつあるようでございます。いま日本の鯨のトン数は四万トン、牛肉、牛換算二十万頭。ですから国内畜産の五〇%ぐらいのウエートを持つ大きな食糧源でありますね。それでもういま日本に残されているのはわずかに一船団だけ、キャッチャーボートを引き連れた一船団だけ。もうこれ以上引っ込みようがないくらいになっておりまして、今度これでもって規制をされた日には、全面的になくなってしまうというところまで来ている。これは国際交渉に臨む決意が一番大事でありますけれども、その前に、アメリカ等に対する対外交渉というのが一番大事なんですが、聞くところによると、これは外務大臣、日本のアメリカ大使館筋は、どうも鯨にはわりあいと冷淡であって、わが国はもうやがて鯨はかわいそうだから余り食べないようになるだろうというような、そういう種類のことを言うもので、相手もだんだん、それならもう日本はいいのかというような気分になりつつあるというようなうわさも聞いております。そういう意味で農林大臣、一体どういう決意をもって臨まれるのか、それから外務大臣に続いて、どういう気持ちで対処されるのか、それを伺いたいと思います。
  362. 中川一郎

    ○中川国務大臣 鯨を取り巻く国際環境の厳しいことは御指摘のとおりでございます。そうしてついに一船団になりまして、昨年暮れの交渉でもこの一船団があるいはと心配されたのでありますけれども、ようやく一船団は残すことができました。ことしの六月、また国際捕鯨委員会でいよいよ山場を迎えるわけでございます。そこで、鯨は資源としてのみならず、伝統的な捕鯨業がなくなるということは大変なことでございますので、交渉に臨むに当たりましては事前にアメリカ等にも、特にアメリカが主導国になっておりますから、最大の交渉をして何とかこの危機を乗り越えて、そうしてこの一船団だけは守り抜きたい、最善の努力を尽くしたい、こう思う次第でございます。
  363. 園田直

    ○園田国務大臣 いま言われましたように、在米大使館で鯨はとらぬでもいいなどという意見はございませんけれども、御指摘のとおりに、われわれの要求、主張等が的確に伝わっていない、もっと主張すべきである、こういう声がなきにしもあらずで、私も、もっと捕鯨業というものに対する日本の伝統及び必要性を強く主張すべきだ、こう考えておりますので、御趣旨に従って強く会議並びに会議前の関係各国に対する折衝を開始するつもりでおりまして、すでにそのように指示をいたしております。
  364. 河村勝

    ○河村委員 科学的に言いましても、いま日本でとっている鯨の数というのは、増殖する、鯨の毎年ふえてくる分量の半分ぐらいであって、それでこのくらいとっても鯨はむしろふえるばかりだというぐらいの科学的根拠があるようでございます。そういう意味で、とかく鯨というと余り大したことのないような感じが一般にはするけれども、現実には、さっき申し上げたように、国内産の牛の半分ぐらいに該当する肉を供給しているわけでございますから、特に格段の、もう六月は迫っておりますから、特に対米折衝が一番大事だと思いますので、よろしくお願いいたします。  国鉄の問題で一つ伺いたい。  私はちょっとだまされたような気がしているので、福永運輸大臣はおかわりになったものだから余りいきさつを御存じないと思うのでありますが、国鉄の構造的欠損の補てんという問題で、これは総理大臣にも最後の段階でもって確認をして、誠意を持って努力をされるというはずでございましたが、十分には行われていない。これは、昨年の運賃法修正案をつくりますときに、議員提案でつくった運賃法の改定案であります。これはただ運賃の法定主義を緩和するだけではなくて、この時期この際に何とか国鉄再建のレールを敷きたいというところにねらいがございまして、運賃の改定に自主性を与えるということが一つの大事な要件でございますが、もう一つ、国鉄の膨大な、一兆円以上になる赤字の中には国鉄の労使の責めに帰せられるべき部分も、私の計算では三千五、六百億あると思います。しかし同時に、いろいろな公共負担をしょわされまして、国鉄労使がいかにがんばっても解消のできない赤字というものが八千五百億くらいある。これを構造的欠損と言うのでございまして、「国民経済的観点を考慮して、公的助成を含む所要の対策を講ずる。」それを五十三、四年度でもって実現するというのがこの閣議了解事項の趣旨であったのです。ところが、現実問題として財政が非常に苦しいという事情もあるでしょうけれども、ことしの財政の手当てというものは決して十分なものではなくて、まあ済んでしまう。そこでことしどうしろと言っても、この財政状態ですから、これを予算修正しろなどということは申しませんけれども、もともとがとにかく構造的な欠損を補てんし、運賃に自主性を与える、その上であとは国鉄の労使を厳しく督励して、いかなる合理化をやっても経済再建を図る、それを国民の前に誓わなければならないというぐらいの強い決意でこれをやっていこう、こういうつもりであったわけですが、肝心の構造的欠損の補てんの方が十分でないというと、なかなか国鉄の財政再建も先が思いやられるわけです。五十三年度は不十分であって、八千億と言ったものが五千五百億ぐらいにしかならない。これではとてもだめでありますので、明年度以降ひとつ閣議了解の線に沿って本当にこれを解決するという決意をぜひ聞きたい。これは運輸大臣と総理大臣と両方から伺います。運輸大臣はよく御存じないはずだから。
  365. 福永健司

    ○福永国務大臣 ただいま御指摘の構造的欠損に関しましては、私も運輸大臣になりましてずいぶん各方面から強くその御指摘を受けました。いまお話しのごとく、五十三年度予算には、率直な話、ごく一部しか出ていない、大きなものがまだ抜けておりますということは、私自身もこれは残念に思っております。十二月二十九日の閣議了解では五十三年、五十四年でと、こういうことでございますが、その両年で後の方でやりますからというのでは、これはまあいかにも言いわけのように聞こえるということは私もよくわかっておる次第でございますが、何しろ国鉄法が通ったのが御承知のように年末でございますし、何分にも今度は間に合いませんでしたけれども、といってゆっくりしているべき問題では絶対にありません。ですから、いまお話しのごとく、五十三年度では十分ではございませんが、五十四年度にいま御指摘の点を強く実行に移す、こういうことでなければならぬと思います。非常に国鉄のことをよく御理解の河村さんのお話でございます。私も十分頭に置いて、私の立場で強く押してまいりたいと考えております。――(河村委員「いや、村山さんはろくなことを言わぬから……」と呼ぶ)
  366. 村山達雄

    ○村山国務大臣 いや、私も運輸政務次官をやったことがありますから、国鉄については存じているつもりでございます。  昨年、国鉄の財政再建に関する基本的な方針ができまして、いずれにいたしましても大きな問題でございまして、合理的な運賃の改定を含んで国鉄に自主権が与えられたところでございますが、一方また国鉄みずから合理化を図らなければならぬところも当然でございます。その上でどうしても、国鉄が努力をし、適正な運賃を求めても、なおその国鉄の財政負担を超えてサービスをしなければならないというようなもの、それがどれだけ出てくるか、これが私はやはり構造的欠陥と言われるものだろうと思うわけでございまして、その問題につきましては五十三年、五十四年でひとつお互いに検討して、そして本格的なかつての国鉄に再建したいというのが共通の願いであるわけでございます。本年度は、おっしゃるように、運輸大臣から見ますと不満足かもしれませんが、財政当局としては相当がんばったつもりでございまして、五千四百億ぐらいの助成をやっておる、またローカル線についても三百三十数億円のものをやっておるわけでございますが、問題はこれからであることを十分承知しております。ともに検討してまいりたいと思っておるのでございます。
  367. 福田赳夫

    ○福田内閣総理大臣 国鉄の再建につきましては、昨年国鉄運賃法の改正が成立するに当たりまして国会の要請もあり、また、政府の方におきましても基本方針というのを決めておるわけであります。五十三年度はその基本方針の線がどうも少し足らぬ、不十分だということはよく承知しておりますが、基本方針の線で、国鉄問題は処理する、これははっきり申し上げます。
  368. 河村勝

    ○河村委員 最後に国鉄総裁に一言。  いま政府からも非常に力強い返事があって、運賃の自主性ができ、構造的欠損の補てんができる。残るところは、もうすべて国鉄総裁以下の責任にかかってくるわけです。あと、これから一番大事なことは、いま国鉄の荒廃した労使関係、特に職場規律のだらしなくなったのを徹底的にたたき直さなければならない、これが一番の仕事であります。ところが、にもかかわらず、この月の初めになって、ある管理局において動力車労組の組合の幹部をやっておる人間、これが保安要員に対する暴行傷害の罪で五十一年の一月に裁判が確定をして、それで懲戒免職になっておる。それをこの二月になって復職をさせておる。しかも現在なお動力車労組の第一線の幹部である。このようなことが事実であれば、職場秩序の確立にまじめに一生懸命やっている現場の管理職、それから一般のまじめな職員、こういう人間は一体どう考えるか。こういうことを一つやったらば、百日の説法へ一つで、総裁が幾らきれいごとを言って号令をかけても、国鉄の労使関係の再建なんというのはできるものじゃない。これは事実であるか、事実であるとすれば一体どういう処置をされるか、それを伺います。
  369. 高木文雄

    ○高木説明員 ただいま御指摘の問題は私としましてもまことに遺憾な出来事でございまして、率直に申しまして私自身も大変びっくりいたしたわけでございます。しかし、できたことでございますので、その処理についていろいろ考えまして、管理局の責任者をつい二、三日前でございますが、行政処分に付したわけでございます。現場ではいろいろな問題がありますものですから、いろいろないきさつがあったりいろいろなことがあって、ついそういうことにいたしたのだと思いますけれども、しかしやはりそのあたりの規律の立て方というものはきっちりしていなければいけないわけでございまして、どうも私どもの知らないところで残念ながらそういうことが進行してしまったということでありますから、私どもこれから大いに現場の諸君を督励をして、再びそういう不始末が起こりませんように督励してまいることをお約束いたします。
  370. 河村勝

    ○河村委員 この種の事件というのは決して単発的なものではなくて、そういうものが起こる下地があってできるものだ。だから、きょうは時間がなくなってしまったのでこれ以上お尋ねする余地がありませんが、とにかく速やかに適切な処置をとるように要望して質問を終わります。
  371. 中野四郎

    ○中野委員長 これにて河村君の質疑は終了いたしました。  次に安宅常彦君。
  372. 安宅常彦

    ○安宅委員 私は質問の要旨を出しているのですけれども、農業問題についてわが党の川俣君のところで理事会預かりになったものですから、これをやるわけにいきませんので、残念ながら、まずひとつ、私、ばかの一つ覚えと言われるかもしれませんけれども、これまで数年間、日韓経済協力の汚い仕組みを明らかにするために、輸銀融資の額としては小さい方なんですが、一つのモデルケースとして新韓碍子問題、この徹底調査を続けてまいりました。この問題を最初に取り上げたいと思います。  何と言っても厚いベールに包まれて、積極的に政府は不正を明らかにするどころか、守秘義務とか、悪いことをしているのは大体わかっているんだろうと思うのですけれども、必死になって隠し通そうとする態度をとる中で、二度の参考人の招致を含め、何回も質疑を続けてきたわけであります。しかし今度こそ、いままで私が本委員会に資料や何かをお配りいたしましたが、今度は特に重点的に、幾ら金額がおかしい部分があるかということを中心にしてきょうやりたいと思うのですけれども、いままでの資料は推定が非常に多かったのですけれども、今度はほぼ推定を含まない、そういう形で日商岩井、川崎重工等の常識では考えられない暴利と、それを得るためのからくり、あるいはまた国内碍子メーカーが妨害したいきさつ、特にその行方不明になってしまった金額などを明らかにすることができるようになりました。きょうは、関係当局に一つ一つ確認しながらその徹底調査を今度は要求し、実りある回答を得たいと存じます。そのつもりで答弁を願います。  まず通産省、それから輸銀の総裁。私がいま持っておるのは、この間の参考人を招致したとき確認をいたしましたPRO-M-六九-一三〇三三という輸出承認申請書であります。これは本物であるということをこの間あなたの方で言ったものですからね。この許可証の中で、機械代金はこれには二百八十四万四千九百ドルということが書いてあります。ただし中身を全部付表を見ますと、ここに海上運賃というのが五万七千ドル入っているようであります。したがって、実質機械代は二百七十八万七千九百ドル、こういうことになる。そのことをそのとおりかどうか。  それからちょっとお伺いしますが、この前の国会で、参考人である日商岩井の河原進二氏が公明党の坂井先生の質問に対し、韓国からの代金回収は五十三年四月に終わる、こういう答えをしているのですが、私ども調査したら五十三年の十月二十八日が最終ではないか、こう思うのです。延べ払いの代金の回収予定表どおりお金が入っているのかどうか。まずこの二つをお伺いいたします。  その前に、資料として総理以下各大臣、各委員にもお配りし、傍聴者にもお配りしておるわけですが、そういう意味で、海上運賃というものを分離する意味で実際の機械代金を正確に言いますと、ちょっと数字が違っておりますから。一番上のAというところです。これは上の方の欄は円で換算したものです。当時、三百六十円レート。七億五千五百七十八万千四百八十円、これが正確です。ドルで言いますと二百九万九千三百九十三ドル。金具工場はそのままですから、総計は円で言いますと十億三百六十四万四千円、ドルにして二百七十八万七千九百ドル。したがって、その差額の五万七千ドルは海上運賃、こういうふうに訂正いたします。したがって、この申請書を正当なものかどうか、これを通産省と輸銀の方からお答え願います。  時間の関係で、もしなにだったら輸銀からだけで結構です。
  373. 森山信吾

    ○森山(信)政府委員 前回、十二月十七日の当委員会におきまして先生からお示しのございました輸出承認申請書の写し、私ども持ち帰りまして確認をいたしました。それに記載されております碍子製造プラント二百七十八万七千九百ドルでございます。それからスーパーバイザーフィー、いわゆる技術指導料が十五万四千八百五十ドル、海上運賃が五万七千ドルということが記載されておることを確認いたしました。
  374. 安宅常彦

    ○安宅委員 これは表書きのところをあなたは言っているんですね。そう書いてありますよ。だけれども、機械代というものを私はいまから聞き出そうとしているんです。したがって、ここには技師の派遣料と利子が書いてあるわけですね。ですから、純然たる機械代というのは、全部分類して言えばいいんですが、時間がありませんからちょっと言いたくなかったんですが、それじゃこの申請書の中の費用、全部書いてありますから言います。六十八万八千五百七ドルという数字がこの中にあります。何ページかにありますページ数を言うとめんどうくさいからやめますが、これは金具工場の仕様書であり、十九万八千九百十一ドルという数字があります。小計のところに。これは受電及び変電設備であり、二十九万六千五百十二ドルの記載数字は電気検査試験等の仕様であり、重ねて聞きますが、合計二百八十四万四千九百ドル、つまり海上運賃を加えたものですね、そういう記載してある数字は海上運賃を除いては機械代金の総額に間違いないかどうか。重ねて質問いたします。
  375. 森山信吾

    ○森山(信)政府委員 ただいま先生から御指摘のございました二百八十四万四千九百ドルは、いわゆる碍子製造プラントに要する経費一式というふうに了解いたしております。
  376. 安宅常彦

    ○安宅委員 もう一回。
  377. 森山信吾

    ○森山(信)政府委員 碍子製造プラントに要する経費一式というふうに了解いたしております。
  378. 安宅常彦

    ○安宅委員 私が何回も指摘したことですけれども、日商岩井がこの委員会で主張し、そしてまた参考人に来たときに、どうも数字が違うんだが、あなたの方で裁判所に出した書面、こういうものは信頼できるものかと言ったら、そのとおりであります。こういう話でありましたが、日商岩井が機械代金としてこういうふうに使いましたという合計が二百十一万ドルであります。日本の金にして七億五千九百六十万円。この差は調査したことがありますか。たとえばそれは副資材費だとかいろいろなことに使われておると思いますが、その差をあなた方は調査したことがありますか。
  379. 森山信吾

    ○森山(信)政府委員 先般、十二月十七日に先生からお示しをいただきました資料に基づきまして、私どもが輸出を承認いたしましたときの碍子製造プラント二百七十八万七千九百ドルと日商岩井が裁判所に書面として提出いたしました機械本体の代金二百十一万ドルの差は、調査いたしました結果、たとえば副資材費あるいは韓国技師研修費用あるいは自動車代金、金利その他の費用がそれに、二百十一万ドルにプラスされまして輸出承認申請が行われたということがわかりました。
  380. 安宅常彦

    ○安宅委員 それはこの間も問題にいたしました河原メモというやつに書いてありますよ。だけれども、機械代金として申請したものに自動車代だとか、何か予算が狂うと大変だというのでオーバープライス分だとか、そういうものに流用しても構わないことになっているのですか、どうですか。
  381. 森山信吾

    ○森山(信)政府委員 私どもが輸出承認の申請がございましてこれを審査します場合に、その輸出しようとする貨物が法律上輸出をしてもよろしいものかどうかのチェックをする場合がございますし、あるいは対象地域のチェックをする場合もございます。なお、輸出代金の回収の方法につきましてチェックする場合もございます。  本件は、第三番目に申し上げました輸出代金の回収につきまして審査をするという項目によりまして日商岩井から輸出承認申請が出たものでございます。したがいまして、価格面のチェックはいたしておりませんで、当事者間の契約による……
  382. 安宅常彦

    ○安宅委員 ちょっと待ってください。審査のことを言っているのじゃなくて、その後いろいろ参考人を呼んだり何か、私、五年も続けていますからね、これは。だからその間に調査したかと聞いているのです。申請したときのことを聞いているのじゃないのです。わかりますか。
  383. 森山信吾

    ○森山(信)政府委員 ただいまの先生の御指摘でございますが、私どもは価格面のチェックではなしに、当事者間の輸出契約書に基づきまして、その承認申請と整合性があるということをコンファームいたしまして承認をした次第でございます。
  384. 安宅常彦

    ○安宅委員 承認をしたではなくて、承認を受けるときにそんなことを書いてないのですよ、あなた。いいですか。整合性があるとかないとかいうのは後でわかったこと。その他の費用に使われているということは後でわかったこと、承認の後で。承認したではだめなんです。いいですね。承認のときはこのとおりのものですよ。あなた、判こをついているのじゃないの、あなたの方で、大蔵省も通産省も。その後そのとおり使われていないという事実を私は言っているのですよ。だからどういうものに使われているか。整合性があるなんて、判こを押したときわかるか、そんなことは。その後の話を聞いているのです。はっきりしてください。
  385. 森山信吾

    ○森山(信)政府委員 ただいま御指摘の点につきましては、私ども承認いたしました後、通関が行われたということを日商岩井から提出されました書面によりまして確認いたしております。したがいまして、輸出承認申請書に記載された貨物が輸出されたことはコンファームいたしております。
  386. 安宅常彦

    ○安宅委員 あなたはだめですね。国会でいろいろ討議をしたときに、私は資料を何回も上げていますよ。たとえば一つの例をとりますが、日商岩井は宋栄淳という社長さんに、個人的な謝礼金として十五万ドルやることに約束しています。これは十五万ドルといっても円貨でやる約束をしているのです。ドルではなくて。いいですね。そうすると五千四百万円。それをどこから出したのだ――出すつもりだった謝礼金を約束だけしてくれないのですからね、だから、どこから出したのですかと、送っていると言うものだから聞いてみたら、この機械代金から副資材費や何かのいろいろな項目と一緒に含めて、しかも円で約束したのをドルでやって、個人ではなくて新韓碍子という法人に送った、こういうことを何回も言っているということは、私らの論議を聞いていて、あなた、わからなかったでしょうかね。こういうものが入っていいのですか。謝礼金を五千四百万円も機械代の中に入れておいて、それが整合性のあるものですか。それを聞いているのですよ、ぼくは、たとえば一つの例として。どうなんですかそれは、違法ですか、違法でないですか。時間がないから簡単に、違法性があるかないかだけ。
  387. 森山信吾

    ○森山(信)政府委員 申請されました貨物代金の中に一部たとえば先ほど申し上げました自動車購入代金その他の費用が入っておることは事実でございますが、その部分につきましては輸出されてないというふうに考えます。
  388. 安宅常彦

    ○安宅委員 謝礼金の話をしているのに自動車代の答弁をする人がありますか。委員長、注意してくださいよ。何か逃げよう逃げようと思って、私は謝礼金の質問をしているのに、自動車代とは何ですか。注意してくださいよ。再答弁だ。
  389. 森山信吾

    ○森山(信)政府委員 謝礼金は機械代金の中に入っております。
  390. 安宅常彦

    ○安宅委員 申請書の中に入って、申請を許可するときの金額の中に入っているのか、実際に運用するときの場合として入っていることを認めるのか、どっちですか。前者ですか後者ですか。
  391. 森山信吾

    ○森山(信)政府委員 輸出承認申請の際には、私どもはその内容は判明いたしておりませんので、その中に入っていたものと思われます。
  392. 安宅常彦

    ○安宅委員 だからそれは違法か違法でないかと聞いているのでしょう。入っておりますという答弁はないでしょう。総裁出なさい。
  393. 澄田智

    ○澄田説明員 お答え申し上げます。  私どもの方も、昨年の十二月十七日の集中審議以前にも、すでに日商岩井が裁判所に提出した書類というものを拝見しております。したがって、その当時にさかのぼって突き合わせをいたしておりました。それからまた、この間御指摘がありましたので、それ以後においても調べてみました。その調査した結果、われわれが輸銀で四十四年に輸出承認申請書の写し、あるいは輸出契約書の写し等を借入人である日商岩井から徴して調べた、そうしてそれに記載されたものの中には、いま御指摘のような項目は含まれておりませんでした。したがって、その突き合わせをいたしましたが、どうしてもその点は突き合わせができませんでした。したがって当時は、そういうものはわれわれの申請の際に説明し、あるいは書類で出したものの中にはございませんでした。
  394. 安宅常彦

    ○安宅委員 言いわけはいいです。ちょっと待ってください。  申請するときは入っていない、初めからそんなことはわかっているのだ。実際運用してから入っているじゃありませんか。入っているとあなたは言った。入っていたら違法か違法でないか、ただそれだけ聞いているのですよ。よけいなことを言わないでください。時間食ってかなわない。
  395. 澄田智

    ○澄田説明員 その違法かどうかという点は、これは輸出入銀行の立場でお答えすることではございません。
  396. 安宅常彦

    ○安宅委員 はあ、いい金貸しだな。輸銀は国民の金を融資するのですよ。そういうものが実際に運用されて国会で問題になり、裁判所でも問題になっていることを知っておって、そのことが違法であるかどうかということは輸銀が介入する筋合いのものではない、こんな答弁が輸銀の総裁からあっていいでしょうか。総理どうですか。そんなばかなことがありますか。
  397. 澄田智

    ○澄田説明員 私が先ほど答弁申し上げましたのは、違法かどうかというようなことを決定することは私どもの立場でございませんということを申し上げた次第でございます。
  398. 安宅常彦

    ○安宅委員 金を貸すのは輸銀ですよ。いいですか、総理。貸したものが別な用途に使われておったら、これは注意するなり、直ちに撤回させるなり、あるいはその用途に使われないようにするなり、早く見つかったらそうすること、後で見つかったらしょうがない、それは違法だということで、今度はその仕組みをやった者に対しては、ある罰則なり法律に基づいてやること、それが本当の輸銀総裁としての任務ではないでしょうか。  それでは、だれが決定するのですか、総裁。それは総理大臣ですか、だれが判断するのですか。
  399. 澄田智

    ○澄田説明員 繰り返しで恐縮でございますが、私どもの立場で違法かどうかということを有権的に御答弁申し上げられる立場ではございませんということを申し上げます。
  400. 安宅常彦

    ○安宅委員 それじゃどういう答えができるの。
  401. 澄田智

    ○澄田説明員 私どもはあくまでその当時の申請に基づいて融資をいたしまして、その融資の結果、私どもの融資した内容と、それから実際に使われた内容との関係についてのことでございますれば、これは私どもの方で御答弁申し上げなければならないこと、さよう心得ております。
  402. 安宅常彦

    ○安宅委員 実際使われているから聞いているんじゃないの。家を建てるから安宅常彦君金を貸してくれと言われた、そうしたら全部酒飲んじゃったのを見ていて、あれおかしいな、それだったら金をよこせというのがあたりまえの話じゃないか。それは世間の常識ですよ。どうなんです総理大臣、あなた答えてくださいよ。ああいう輸銀の総裁だったら危なくて金を預けられないじゃないの。大蔵大臣どう思いますか。あなたは監督官庁の一つだから、どうですか。
  403. 村山達雄

    ○村山国務大臣 私も法律家ではございませんが、問題が二つあるのではないかと思うのでございますが、輸銀が実際に貸した金、これが申請どおり貸しているのかどうか、ここが一つ問題点じゃないかと思うのでございます。(安宅委員「それだったら答弁要らない。委員長、答弁要らない」と呼ぶ)
  404. 中野四郎

    ○中野委員長 ちょっと、発言中ですから……。
  405. 村山達雄

    ○村山国務大臣 私はやはり輸銀はできるだけ内容を審査して貸すことは、これは当然だろうと思うのです。しかし、輸銀がその申請した金額をそのまま貸したのか、結局貸した金が貸すに値する金額におさまっているのかどうか、この辺が私はやはり一つの……(安宅委員「そうじゃないんだよ。一つのことを聞いているんですよ。謝礼金が入っているのですか、それはどうなんですかと、簡単な質問だよ。私は法律論を言っているんじゃない」と呼ぶ)ですから申し上げておるのですが、違法かどうかということを有権的に、私も法律家でないからわかりませんが、常識で考えてみますと、それが妥当であるかどうかという判断ですね、違法かどうかという前に。それは貸した金額によるのではなかろうか、それによって、どれぐらい注意しておったのかどうか、だから、その妥当性というか……(安宅委員「何よ、村山さん」と呼ぶ)私にあえて判断を求められましたから、私はそう申し上げているわけでございます。
  406. 安宅常彦

    ○安宅委員 もうこんなことに三十分もかかっちゃったらかなわぬから、つまり申請書の内容と――本委員会や何かで何回も討議して資料を私は出していますから、いいですか、河原さんの判こを押しておりますがと、全部何回も出ておりますから、きょう私は一々言う必要はないと思っている。だから、それを輸銀も知っているはずだ。申請書の内容と使い道は違いますな。違法かどうかは別として、好ましいか好ましくないかは別として、違いますな。これだけ。
  407. 澄田智

    ○澄田説明員 当時にさかのぼって調査いたしましたところ、当時われわれに提出されました輸出承認申請書の中には、その後の裁判所に提出された資料の項目は入っておりませんでした。(安宅委員「はい、わかった。だから、違うということでしょう」と呼ぶ)したがって、その点は違うことになります。
  408. 安宅常彦

    ○安宅委員 体裁飾らないでよ。違うなら違いますと言えばいいんですよ。  今度は、私の調査によれば、その違う金額よりも実際はもっと少ない金額で機械代は賄われているんですよ。これは朝日碍子が川重に見積った碍子工場の分は、以下円単位で申し上げますが、一億九千五百万円。これは技術料は三千万円だとはっきりここでも話は出ておりますから、一億五千万円を一割もうけさせてくれというので、一億六千五百万円にして、三千万円の技術料を含む、それがCに書いてあるやつです。  それから淡路産業が川重に見積もった額、金具工場の分ですが、これは私は証拠があります。八千三百七十六万円です。ただしこれに、この間の参考人が言いました。記憶は余りはっきりしておりませんので、一千万円程度だという記憶があります。だから一千万円を入れました。合計九千三百七十六万円、ようございますか、大変な違いですね。金具工場、二億四千七百八十六万二千五百二十円のところが、九千三百七十六万円ででき上がっているのですよ。  それから、私がこれまで「川重直接製造分」という表現をしておったのですが、これは電気設備等の金額ですけれども、見積もった企業二つに当たってみました。一つは負けた方、それから入札に入った方といろいろ聞いてみました。そうしたら二千九百、端数はついていますが、約三千万円。これは後で、――これを言うと企業が非常にやられるものですから、隠してくれいというので、まだ言わないのです。企業の名前は言いませんよ。だけれども、端数を除いてそれで三千万円、以上の合計三億一千八百七十六万円、これが総計のところに出ている金額であります。ようございますか。これが差額です。プラントそのものは十億ちょっとです。そして機械代と違う金額がこれは七億五千九百六十万円を基礎にして計算して、そうしてこれだけのちょっとわからない金額が出てしまった。それに、日商岩井の主張しているこの機械代というのは二百十一万ドル、七億五千九百六十万円ですね、これと比較をしてください。そうして、参考人として出てきた日商岩井と川重さんの話ではマージンは五、六%だと言っているのですよね。だけれども、私は一〇%にして計算したのです。ここは推定なんです。ここだけは推定。五%か六%しかもうかっていないというそのとおり、答えたとおりここに書けば、まだ余った金が出てくるのですよ。わけのわからない金がふえてくる計算なんですよ。だから、これは特別サービスだな。それで計算した。そうしたらBからC、D、E、F、Gを引くというと、二億九千八十四万円ということになるわけであります。それだけではないのです。後で言いますが、ここの段階でこんな暴利は常識では考えられないことではないでしょうか。総理並びに通産大臣の見解を聞きたい。
  409. 中野四郎

    ○中野委員長 森山局長。
  410. 安宅常彦

    ○安宅委員 総理並びに通産大臣であります。
  411. 中野四郎

    ○中野委員長 まあ指名しましたから一応……。
  412. 森山信吾

    ○森山(信)政府委員 ただいま先生から御指摘のございました数字、私どもなりに調査いたしてみました。川重のコストは約百八十万ドルと川重は言っておりますが、コンファームする方法はございませんでした。
  413. 河本敏夫

    ○河本国務大臣 数字のことを初めて聞きますので、にわかに判断できません。そこで、局長から答弁をさせます。
  414. 安宅常彦

    ○安宅委員 それでは、いまの人、局長ですから、いいでしょう。  川重から聞いたら百八十万ドルと言ったというのですね。そうしますと、金具工場以外にもやったものがあって、たとえば川重直接の製造分だとか、それから朝日碍子が川重に見積もった額だとか、そういうものを含めてのことなんでしょうかね。百八十万ドルというのは合わないのですけれども、どこに合わせたらそうなるのですか、ちょっと聞きたいのですがな。金具工場だけだったら大体六十八万八千ドルですな。百八十万ドルというのは、これはどこから出てきたのですか。内容を説明してください。
  415. 森山信吾

    ○森山(信)政府委員 碍子工場と金具工場と両方合わせまして、川重のコストが百八十万ドルであったということは聞いておりますが、その詳細につきましては把握をいたしかねております。
  416. 安宅常彦

    ○安宅委員 碍子工場と金具工場を合わせて百八十万ドルだったら、これはますますいけないじゃないですか、ねえ、通産大臣。そうなりますな。碍子工場はどれぐらいになりますかな、申請した金額で言うと、二百九万九千三百九十三ドルだ。そして金具工場は六十八万八千五百七ドルだ。そうしたら百八十万ドルしかかからないというのでは、あとはどこへいった。雲散霧消したみたいなものじゃないですか。そういう調査じゃいけません。まあとにかく行方不明金、あなたの答弁でまたふえたのだから、結構な話といえば――結構ではありませんが、後へ続けます。そういう……(発言する者あり)これしかないのです。あなた。全部調べたのです。  数字わからないと通産大臣おっしゃいますが、常識では考えられない。私の数字が正確だと私は確信を持っているのですがね。それはあなたの数字はでたらめかもしれないからと言うのだけれども、たとえば朝日碍子が川重に見積もった額なんかは三千万の技術料とそれから一億九千五百万ですか、これははっきり答えているのです。ちょっと百万円ぐらい、一割足したとか足さないとかということについては、まだ意見の一致は見ておりませんけれども、中尾さんという専務から私、後で聞いていますからね。それからすべて、淡路産業が川重に見積もった額、これも聞いているのです。初めはそのとおりですと言ったのですが、後、川重から圧力が来たらしくて、私の方で書いた見積もり書にはありませんと逃げています。ところが参考人で出てきたときには、社長さんについてきた課長が技術料を一千万もらったというのですからね。だから、これはもう白状したと同じなんですよ。そういうことから言って、一千万の技術料をもらったということは、それくらいの仕事をした、たとえば朝日碍子の場合は三千万ですからね、金額が合うでしょう、そういうことを言ったら、大体そうかもしれませんが記憶にございません、こう、いまのところ逃げているわけです。そういう意味で言うならば、はっきり申して、あと川重直接の分というのは、これは大体のところ言いますと、日新電機などから聞いております。もっと言うならば。それは確認済みであります。ですから結局、マージンを入れて二億九千八十四万円。  それに、今度、裁判所の資料ばかりでなくて、こっちでいろいろやった結果のいままで出してきた資料、たくさんあるのですが、その未精算分がございまして、どこに使ったか、つまり謝礼金なども含まっている、自動車代も含まっているいわゆる負勘定というやつ、これはまだ未精算の分が十四万七千あるのですね。いや違います。円では、ここに書いてある、五千二百九十二万円、未精算分。それから個人への謝礼金というのは渡していないのですよね。それは使ったと向こうで言っているのですから、その分どこへいったかわからない、これが五千四百万円、これを足しますと三億九千七百七十六万円がどこへいったかわからない。  ところが、まだあるのです。そのほかに何があるかというと、私、初め余り関心はなかったのですけれども、つまり支払い保証書を向こうで韓国外換銀行から取るためにと称して、銀行に金を送りますという確認書を取ったりして、宋さんという社長さんの口座に全部払い込みますという文書三通もあります。あなた方には一通だけ、一番最後の方につづられているはずですが、それは絶対まだ送ってない、口座に送金された形跡がない、これははっきりしているのです。これが十八万ドルですから円にして六千四百八十万円。それから、そういうことを立てかえてありますよなんて言いながら金を貸して、そして金利を取っているのですな。その分の契約より少しよけいに取った分、それが八百十九万七千八百七十一円、合計、私の計算で言いますと、総行方不明金が四億七千七十五万七千八百七十一円、申請書で言う機械代のプラントの総金額の約半分であります。  こういうことがあっていいのでしょうか。違うという疑念を持たれるのだったら、何回も何回もいままで調査をすると言ったのですから調査して、そのとおりでありますとか違いますとかという返事をしなくてはならない時期に来ている。総理大臣も、たとえば大出さんがやったあの地下鉄のときですね、日本政府の面目にかけて、名誉のためにこれは調査します。こういう答弁をしています。私のときも、大出さんのときだけ言ったから、総理からもらってないかなと思ったら、ちゃんと同じことを言っています。日本の名誉のためだけ抜けておりましたけれども、ちゃんと言っているのです。総理が調査すると言ったら、みんなが総理の意を体して調査するのが当然ではないでしょうか。わからないと言っているのです。これでいいのでしょうか。大至急調査をしてその結果を私に報告する、これを約束していただけませんか。
  417. 福田赳夫

    ○福田内閣総理大臣 国会の御要請でありますから、これはもうできる限りの調査をいたします。しかし、調査をいたしましてもわからない問題はわかりませんから、その点は御承知願います。
  418. 安宅常彦

    ○安宅委員 幸い、これは謝礼金の問題で、一審、二審と裁判が続きまして、両方で準備書面なり、いろいろと書類を出していますから、調べてみますと食い違いが全部わかるのです。いいですね。十八万ドルというのは送ったのか送らないのか。送ったという手紙だけ行っているのですね、一番最後に英文のがあるでしょう。それはなぜ送ったかというと、新韓碍子というのは資金的に少し担保力が薄いというのでなかなかLGが出なかったのです。そのときに、それではというので日商岩井が日商アメリカンコーポレーションから金を送ってやって、そして宋さんの口座に入れておく、そうしておけば担保力があるということになるのじゃないかという話し合いになって、そうして出すことになった。日商岩井の河原さんは、そういうことはわが社の任務ではないと断ったというのが第一審の証言ですよ。第二審になったら、さっきの謝礼金と同じで、副資材費などの負勘定に含めて送ってありますという書類を今度は第二審に出しているのです。まるっきり違うのです。しかも、LGを取るためにそういう手だてをするということになっておりながら、LGを取られた後なんですよ、送ったという手紙を出しているのは。ところが現実に口座に入ってこないのですよ。こういうインチキな、それこそきたない、真っ黒い金だと思われる。これは地下鉄だって同じですよ。そういう一番重大な疑いをこの十八万ドルに私は持つようになりましたが、そういうことがはっきりわかるのです。資料はあなたの方に相当出しているのです。それでわからないものはわからないかもしれないけれども、大部分わかるのです。総理。いいですか。裁判の資料だったら私、弁護士からもらってきますからね、総裁。それから、私がここで逃げるあなた方を追っかけていろいろ発言したり資料を出したりしたものを全部あわせれば、大体わかるのです。  どうかひとつそういう意味で、幸い裁判所の記録がございますから、それは正しいと参考人の河原君はこの間言っていたのですから、それをもとにしてもいいです。わからないものは仕方がありません。大体わかるような仕掛けになっておるのですから、どうかひとつ大至急お調べ願えませんか。
  419. 福田赳夫

    ○福田内閣総理大臣 国会の御要請のある問題につきましては、政府はできる限りの調査をいたします。しかし、たとえば公判中で資料を差し出しにくいとような案件は間々ありますから、調査のできないものはあることをひとつ篤とお含みおき願います。
  420. 安宅常彦

    ○安宅委員 だから、私がそういうのは手に入れているから、私はお貸ししますと言っているのであります。いいですな、総裁。ようございますな。――わからないかな、私の質問。  総理が言っている、裁判所から引き出しにくいものは、いま係争中のものは引き出しにくいと言ったから、それは両方の分ちゃんと準備書面から、裁判用語はむずかしくてわからないのがあるけれども、準備書面とかいろいろなものがありますが、それはほとんど全部持っていますから、お貸ししますから調べてください、こういう意味であります。いいですか。
  421. 澄田智

    ○澄田説明員 私どもの方の立場についてお答えさせていただきますが、私どもは銀行の、金融機関の立場でございますので、私どもに融資の申請のあった書類及び実際にその金がどういうふうに使われたかということについて、わかる限り従来も調査いたしましたが、残念ながら、古いことでもございますし不明のところもございます。しかし、今後も調査をいたします。
  422. 安宅常彦

    ○安宅委員 私が総括的に言うならば、こういうことなんですね。調べれば調べるほど、輸銀から融資を受ける、そのとき頭金がある。大体一割。それは日商岩井が立てかえてあげます。それから建設資金の四十五万ドルも貸してあげます。日商岩井は新韓碍子にそう言ったのです。そして利息を取っていますよね。契約は六%という契約なのです。そして裏利で一〇%取っているのですよ。それもはっきり何回も言っているのです。そのほかに、さっき言った十八万ドルのこともある。それから謝礼金もある。こういう金はどこから出たかというと、自分の金で日商岩井が特別に別な金で出したのじゃないのですね。この機械代の中で操作している。これが私ははっきりしたのです。そうでなければ、機械代に合わせて送りましたなんて言わないものね。特別な、日商岩井が別に持っている金は出していないです。しかも、やり方は、外為法に違反しないために、非居住者と非居住者の契約のごとく見せかけて、そして、アメリカの在外法人である日商アメリカンコーポレーション、そこから送るのです。コーポレーションから送れませんな、貸借契約で宋栄淳という人と契約したのですから。宋栄淳がアメリカにいたことにして、アメリカから頭金を送ったことにしているのです。宋さんが知らない間に。皆手続をやってくれたから、知らなかったのかもしれませんがね。そういうのは外為法違反になるのではありませんか、どうですか、立証されれば。
  423. 西山敬次郎

    ○西山政府委員 輸出代金の回収につきましては……(安宅委員「回収ではありません」と呼ぶ)代金の内容につきまして、外国為替管理令違反の事例がありましたら、それに徴しまして相当の処分をいたしたいと思っております。
  424. 安宅常彦

    ○安宅委員 時間がありませんから、これは、ありましたらというのでは困るから、こういうことだと、後からあなたの方に行きますからね。いいですか。そうします。  だから、結局すべてがここに書いてある二百九十九万九千七百五十ドル、その金額の中からすべて金を浮かせて、利息を取って裏で四%よけい取って、そうして担保の分なんというのはゼスチュアだけですね。それはゼスチュアになってもいいのですよ。向こうの韓一銀行の口座に送りましたということを言う。外換銀行に知らせておく。正式な文書ですから、金はいつかは来るかもしれないのですからね、取りっぱぐれはないのですから。そういう仕掛けではないかということをずっと調べてきたら、大体そのようなのであります。この金は使われていない。これは後で証人喚問を――参考人はだめなんです。存じませんと、ロッキードで皆覚えちゃって。本当の証人でなければだめなんです。こういうものは。私はそれを要求いたしますが、言うなれば、こういう粗利にして五割に及ぶところの金を浮かすことができたということは、あくどい総合商社の商法、これを私は皆さんにはっきりこの際言わなければならない。そういう幾百万という――幾百万にはならないかもしれない。たくさんの商社が、輸銀あるいは海外経済協力基金、いろいろなところから金を借りておりますね。こういうやり方をしておったら、この場合は半分ですが、金額は小さいですよ。地下鉄なんといったら比べものになりませんよ。半分ずつごまかしたら――まさか半分とは言わないから、二割五分ずつごまかしても、海外経済協力基金と輸銀と、それに協調融資で出した銀行の分と、そしてその金がどこに吹っ飛んだか見たら、二割五分どこかへ吹っ飛んでいっただけでも、膨大な金額になる。ある学者から聞いてみたら、いままでずっと日韓条約以来、有償、無償から全部計算して、商業借款まで計算したら、これは三兆を超すのではないかと彼は言っています。こういうような恐ろしいことが、いまはどうだかわからないけれども、過去において行われた。これは総理、はっきり肝に銘じていただきたいんですね。こういうものは隠さないで、ぜひひとつきちっとしていただきたい。  特に、私は国税庁長官に聞きたいのですが、この間、私の質問に対して、三萎商事の田部さん、さすが度胸があるんですね、悪いことしたのは別として。いや、私の方は――あのとき後進国という表現をしたかもしれませんね。そういう国と取引するときには、いやでも使わなければならない、金を出さざるを得ないときがございます。それは国税庁から後から追加課税をされる覚悟でやりました、そうしなければ入札に勝てなかったのです。こういうことをここで言いました。では、その金はだれにやったのだ、それだけは言いません。これは参考人だから、宣誓しているわけじゃないから、それ以上、大出さんは突っ込まなかったし、私らも言えなかった。そういうことを今度は国税庁は盛んに調査し、重課税をかけたとかなんとかというのが新聞に出るようになる。新聞の方に発表したのか、取材の力が新聞社にあるからだかもしれない。こっちはないからだからかもしれませんが、国会には守秘義務だと言って、報告しない。調査したかしないかも言わない。今度はどうですか。この問題でこれだけ私に言われて、もし本当だとするなら大変だというので、調査をいたしますか、国税庁長官。
  425. 磯邊律男

    ○磯邊政府委員 先生御承知のように、私たちの法人税の調査といいますのは、一定の期間内における総益金と総損金、その差をもって正しい申告がなされたかどうかということを調査するわけでございまして、一期間に膨大な取引のあるような場合には、個々の取引について一つ一つチェックするということは通常やってないわけであります。
  426. 安宅常彦

    ○安宅委員 時間の関係がございましてね。ちょっと待ってください。この事件に関して、国会で私、責任を持って申し上げているのですから、調査をいたしますかと聞いている。一般論を聞いているのではありません。
  427. 磯邊律男

    ○磯邊政府委員 この問題に関しましては、かねがね先生の御指摘がありましたので、私たちの税務調査でも特に注意して見たわけでありますけれども、ただいまのところ、私の税務調査上で非違というものは発見されてないわけであります。  では、これからどうするかということでありますけれども、御承知のようにすでに五年を過ぎ去っておりますので、国税の調査権限としてはもう及ばないという段階になっております。
  428. 安宅常彦

    ○安宅委員 この時効というのは、まだ金が全部返ってこないのです。さっき答弁がありませんでしたな、私が質問したけれども。五十三年の十月二十八日が終わりじゃありませんかと言ったら答弁なかったのですが、まだ解決してないのでございますよ、国税庁長官。いいですか、そういう意味で聞きますから、それもついでに答えてください。
  429. 磯邊律男

    ○磯邊政府委員 御承知と思いますけれども、いまそれは資金の回収の問題でありまして、国税庁の方としてそれを売り上げに計上した時期というのは、もうすでに五年を超えておりますので、いまその取引についての調査をする権限はないということを申し上げたわけでございます。
  430. 安宅常彦

    ○安宅委員 権限はあるけれども、調査した結果、時効になったのだったらだめだということじゃないんですか。もう時効がわかっているから調査しないということですか。
  431. 澄田智

    ○澄田説明員 本件の延べ払い輸出に対する元利の韓国側からの回収期間でございますが、これは、最終が五十三年の十月二十八日でございます。
  432. 安宅常彦

    ○安宅委員 はい、ありがとう。  それでは、この問題はもうこれぐらい言えばだれだってわかると思いますから……。  このプラントが輸出されるまでの間のいろんないきさつがございましてね、その中に陳情書があるのです。電磁器協会副委員長川本藤太郎さんという人から、通商産業省繊維雑貨局雑貨第二課長荒川英という人なんですが、この人に要望書が来ているのです。おもしろいのですよね。通産省に資料要求すると、差出人は書くけれども、受取人の方は消してよこすのですよ、コピーをとるときに紙張ったか何かして。今度会社側の方に、頼みますよと言うと、それは先生、私ら、これがわかったら商売できなくなって、役所からにらまれたら大変ですからと言って、今度は差出人の方を消して、受取人の方を書いてくるから、二つ合わせるとわかるのです。ばかみたいなことが行われている。  この中の四十四年の四月十六日に出したこの要望書にはいろいろなことが書いてありますが、要すれば、ここは非常に重要なところがあるのです。この新韓碍子のプラントというのは余り金がかかり過ぎるのではないかということが前提でずっと文句がありまして、「わが国において、月産百トン程度の生産設備の碍子工場を建設するとした場合に要する機械設備の資金所要額を積算しますと大体三十万ドル程度になります。従って、伝えられている如き三百万ドルの借款は非常に過大であると思います。」決めかねているときの要望書、商売人が書いてきた要望書がある。  これはあなたの方から出た資料ですから、間違いありません。絶対間違いありません。出した日が書いてあります。私の方に、資料を要求したら出てきた書類ですからね。貸す人は、はて、書類さえ整っていれば私ら貸しました、みんなそういう答弁よ。商売人が陳情を出してきて、三百万ドルのプラントは大き過ぎる、非常に過大だ、なぜそんな三百万ドルも貸すのかよ、反対だという意味を非常に遠回しに書いて、要望書を出していますね。  その当時、もうわかったからおれは知らないと言われるかもしれないけれども、そういうことを見過ごしているところに重大な問題がある。なぜ見過ごしたかということなんですよ。その中で、この間言ったように、名前が出ていますから、余り名前は出したくありませんが、田舎のへぼ代議士ではだめだ、それが邪魔しているから口を封じてくれということを言われて、そうしたら、口を封じるのはいいけれども、どうしたらいいでしょう、それは大したことはない、田舎のへぼ代議士が、今度は大物を使う、それで、一遍出しましたが、名前を言いませんが、ある大物の政治家の名前を出した。ただし、それは、指を丸めて、これがかかるぞと言われた、そういう話まで出てくる背景はここにあると私は思うのですね。なぜこういうところは見抜けなかったのでしょうかね、通産省。
  433. 藤原一郎

    ○藤原政府委員 お答え申し上げます。  碍子プラントのコストにつきましては……
  434. 安宅常彦

    ○安宅委員 なぜ見抜けなかったかと聞いているの。
  435. 藤原一郎

    ○藤原政府委員 碍子プラントのコストにつきましては、いろいろスペックとか付帯設備によりましていろいろな規模のものがございますので、それを見ないとわからないということでございます。
  436. 安宅常彦

    ○安宅委員 困るんですよ。そういうときは、許可しない段階で申請書が出ているんでしょう。そのスペックは見れるんでしょう。見なければわからないとここで答弁すると、なるほどと皆さんは思うかもしれないけれども、通産省には許可申請書が出ているのでしょう。だから、わかるじゃありませんかと聞いているのに。もういいわ、そんなことばかり言って。後でぴりっとやるから。  それで、こういうこともあるんですね。ここに名刺があります。これは、当時の韓国の使節団の計画部長鄭在徳という人、それから通商産業事務官近藤憲平という人、いろいろありますが、この人は会議にまじっていないのですが、土谷直敏という重工業品輸出課長が入っておりまして、宋という社長と日商岩井の河原という次長が、四十四年の五月二十九日に午前十時から通産省の会議室を借りて会議をしています。これは土谷課長が言い出しっぺで、河原進二に対して、つまり日本の許可を何とか与えようとして、いま一生懸命、課長としてがんばっているのだが、日本の業界に対する面があるので、韓国大使館の人も一緒に宋さんと一度確認したいので会議を開きたいという申し入れがあって、それに基づいて会議を開かれて、土谷さんという課長さんは郷という人と宋社長に対して、本件は、日韓両政府の合意事項で、輸銀の経済協力の資金で行われるプラントであるが、大分許可がおくれ恐縮だ。新韓碍子は向こう三年間高圧及び低圧碍子は生産しないということを、大使館が認めた外交文書に物を残したいので協力してほしいと言われて、今度は別紙のように韓国政府から、そういうものはつくりません、日本の企業には影響ございません。前に出しておるんです。同じ文章を。それでも欲しいというものですから、今度韓国の経済企画院からもらって、そして出したといういきさつがあるのですね。こういうことがあった。ところが、そういうことは記憶にありませんとか、そんな妨害をした覚えはありませんとか、いろいろいままでも証人が言っていましたが、朝日碍子という碍子がある。これは技術部門を担当した会社です。そこの専務の中尾竹次郎という人が、その当時宋栄淳社長に出した手紙が最近発見された。まあ時間がありませんから全部読みませんけれども、非常に重要なところは、「東京で川重の小林さんに会って来ました。通産省重工業局の課長が更てつになって、悪いことに此の課長が雑貨局の課長から転任して来たそうで、日碍の福田専務とも今迄色々話し合ひのあった人だそうですから、何かと悪い話許り耳に入れて居るとか申して居られました。」小林さんがね。「それ等について反バクの打合せも十分して参りましたし、川重としても許可の促進について最善を尽して居られる様ですから、どうか安心して戴いてもよい」ということを手紙に書いているのであります。この手紙は四十三年の十二月四日付ですから、許可になったのは次の年の八月一日であります。このさっき言った許可証は。そういう必死の努力をしても半年以上かかっているんですね。こういうところに、さっき言ったこれが出てくるわけであります。指を丸めた話が。これは重要なことだ。ここも私は、まあ証拠もないのにそれ以上言うことが、これははばかりがあろうと思っていまだ言ってませんから、相当の証拠もありますから、後で委員長に証人喚問を申請したいと思っているところであります。  それから、さっき言った十八万ドルの問題について、私申し上げましょう。これは皆さんの資料の中にございますが、これのうちの一枚だけ皆さんに行っているはずです。翻訳した文と原文とありますが、これはすべて韓一銀行に口座を設けますという通知書です。日にちは違います。しかもそれは、担保が足りないから向こうのLG、支払い保証書を取るためのものですからということを書いてあります。すべて。ところが、さっき言ったようないきさつです。ところが、この問題で言うならば、裁判の記録を見ますと、第一審のときは断った、第二審のときは、送ったことは送ったんだ、オーバープライスの中に入れて送った、副資材費の中に入れて送ったという、今度第二審ではそういう準備書面を出してきているんですね。まるきり違うんですね。だから、大変大きな、日商岩井はそんな資料なんかないと思って適当に答えておったところが、出てきたものだからあわてふためいているのじゃないか、私はそう思うのです。こういうことをやられているのですが、これはどうでしょうか。在外法人といえども、日商アメリカ・コーポレーションやあるいは日商岩井の本社や、あるいはいま韓一銀行は日本にもございますし、強制権でなくともいろいろ調査していただきたいというふうなことをやるかやらぬかは別として、通産省、調べる気はありませんか。できないところはできないけれども、本当はそういうことできるんじゃないでしょうかね。時効になっているなんて国税庁は言うと悪いから、あなたの方、時効も何も関係ないところから聞きます。
  437. 西山敬次郎

    ○西山政府委員 御指摘の事実につきましては、早速調査いたします。
  438. 安宅常彦

    ○安宅委員 それで、このことは非常におかしいのです。いままでのは契約があるのです。頭金の分も、建設資金の四十五万ドル貸したというものも契約書があるのです。これはないのです。そうして送金するということを――日商岩井が実際に融資を受けたときの代行業者として権限を持ってほとんど保留させて金を持っているのですから。しかし、新韓碍子に送るときはアメリカからドルで送るわけですね。ですから、日商はアメリカの支社でも何でもありません。独立した在外法人であります。ですから、金の流れというものを帳簿上でも、現実的に現金でもこれは始末をつけなければなりません。決済をしなければなりませんね。それは当然だと思いますが、そのときのやり方をどうしたかということを通産大臣、調べるわけにいきませんか。
  439. 西山敬次郎

    ○西山政府委員 ただいまの、日商岩井がニューヨーク支店に対して送金があった事実については、われわれとしては承知いたしておりません。調査しました結果によりましても、その事実は認めておりません。
  440. 安宅常彦

    ○安宅委員 十八万ドルの分についてでありますか。頭金や何かの動きなんかは調査したことがあるのですか、四十五万ドルの分の。
  441. 西山敬次郎

    ○西山政府委員 いまのところ、調査した結果は承知しておりませんが、なお引き続いて調査いたします。
  442. 安宅常彦

    ○安宅委員 これは、荷受け代金の証明書というのは出るのですね。そうして、日本の外為銀行がオーケーというので金を貸すのですね。そういうものが伝票があるかないかくらい、内緒に調べてもらえば調べられるのですね。ある程度私は調べていますよ。だからそうおっしゃらないで、そういうことは伝票を出しているか出していないか。それから、いま日商岩井支店と言いましたけれども、支店じゃないです。あれは。独立した在外法人でございますから、そんな外為法との関係、帳簿上の決済の関係、どうなったくらいはあなたの方で調べることができるのではないでしょうかね。しかも輸銀の金でございますから、会計検査院なんかはどうもさっぱりわからないと言う。輸銀を調べる権限があるのじゃないですか。それを通じて商社だってある程度調べられるのじゃないですか。会計検査院どうですか。
  443. 佐藤三郎

    ○佐藤会計検査院長 会計検査院法によりますと、輸銀の融資先につきましては検査の権限はございません。しかしながら、輸銀を通じて調べるという方法はあろうかと思います。(安宅委員「輸銀を調べる権利はあるでしょう」と呼ぶ)輸銀は調べる権利はもちろんございます。
  444. 安宅常彦

    ○安宅委員 調べてください。いいですか、院長。
  445. 佐藤三郎

    ○佐藤会計検査院長 それはもちろん調べます。
  446. 安宅常彦

    ○安宅委員 それでは、また奇怪なことにこういうのがあるのですね。さっき河原メモというのがあって、ということを言いましたね。これは輸銀の総裁、ちょっとおいでになって見ていただけませんか。委員長、許可していただけませんか、輸銀の総裁が来てもらうことについて。――これ、私らはいわゆる河原メモと言っているのですが、これにはあなたに言ったように、副資材費やその他はこういうふうに化けているわけよね。それが違法かどうか私聞いたのだけれども、そのほかに立てかえに伴う費用というのがあるでしょう。三十八万四千ドルだ。ただし十八万ドルは未実施と書いてあるのだよ。いいですな、四十三年の十月だよ。ところが、裁判所に出したのは、これは日を分けてちゃんと送っていると書いてあるのですよね。――ああ、これは謝礼金だな。裁判所の書面を見るとわかるのですが、後であなたに見せに行きますから……。  だから、これが未実施と書いてあって、裁判所の書面ではその前に送ったと書いてあって、そして宗さんという社長の口座に入ってないのですがね。奇々怪々な金なんです。この十八万ドルというのは。徹底的にこれを洗えば、やはり黒い世界にうごめく何らかが、ドブネズミみたいなものがひっかかってくるのじゃないかと思って私がんばりますが、請う御期待というところでひとつ……。  大体以上で、私は調査を要求して、必ず回答する、その期限をまだ切っていませんから、いままで調査をいたしますと言ったお方は、少なくとも一カ月ぐらいの間に調査を完了することができないでしょうか。それ以上かかるものは、めどとしてこれぐらいの期間が欲しいということをそれぞれお答え願えませんか。
  447. 西山敬次郎

    ○西山政府委員 一カ月をめどに調査いたしますが、必ずしも全部が判明するとは限りませんので、その点は御了承願いたいと思います。
  448. 安宅常彦

    ○安宅委員 それから、調査しますと言った人、あとおりませんか。
  449. 澄田智

    ○澄田説明員 私どもの方は金融機関という立場で、調査のやり方において限定がございます。しかし、従来も調査をしてまいりました。今後もまた続けて調査するということは先ほど答弁いたしました。そういうようなことで、はっきり期限を申し上げるのはむずかしいわけでございますが、可及的早く一応調査をいたしたいと思っております。期限を申し上げることはお許し願いたいと思います。
  450. 安宅常彦

    ○安宅委員 できるだけ早くなんて、あなた、四年もたっているんだから、それを考えてやってくださいよ。  それから、最後に大蔵大臣に伺いますが、あなたの方は、こういうときには国際金融局が所管なのか、銀行局に特金課があって、そこが輸銀や海外経済協力基金などを監督する場所だというのですが、何か質問要旨を出すと、あっちへ行ったりこっちへ行ったりするんです。私は特金課長というのは大変好きなものだから、それは国際金融局のはずだと言うと、国際金融局はふくれて、私じゃない、私じゃないとがんばっている。どっちが管轄なんですか、これは。
  451. 村山達雄

    ○村山国務大臣 外為法に関しましては、これは言うまでもなく国金局でございます。しかし、輸銀そのものの監督権ということになりますと、これは銀行局でございます。(安宅委員「両方とも銀行局ですか」と呼ぶ)外為法になりますと、国際金融局長の方の所管でございます。(安宅委員「間違いありませんか」と呼ぶ)外為法の方ですよ。
  452. 旦弘昌

    ○旦政府委員 本件は輸出に伴います支払いの問題でございますので、外為管理法は大蔵大臣と通産大臣の共管になっておりまして、そのうち本件の支払いに関しましては輸出に関連いたしますので、リベートその他の支払いの点に関しましては通産省所管の貿易関係貿易外省令のカバーするところでございまして、私ども大蔵省の所管ではございません。
  453. 安宅常彦

    ○安宅委員 違うじゃないか、あなた。いいですか。輸出の申請書を出すときには、この申請書ごらんなさい。この許可証を。大きな判こが二つ押されているのですよ。そして大蔵省の判こは大きいぞ。関係ないということはないでしょう。
  454. 旦弘昌

    ○旦政府委員 ただいま御指摘のございましたのは、輸出承認書におきます大蔵大臣の同意という個所の御指摘だろうと思います。それはおっしゃるとおりでございまして、輸出の承認自体は通産大臣がされるわけでありますが、その際、大蔵大臣の同意を求めるということで、その同意の欄に所管局長の判こがあるわけでございます。
  455. 安宅常彦

    ○安宅委員 管轄外だけれども、同意するときには盲判を押すわけですか。
  456. 旦弘昌

    ○旦政府委員 大蔵大臣のその際に同意をいたしますのは、その支払いが本件に関しましては延べ払いでございますので、その資金の回収等が確保できるかどうかという観点から検討いたすわけでございます。
  457. 安宅常彦

    ○安宅委員 それを調べるところがあるはずですから、管轄がないというのはおかしいのじゃありませんか。盲判になるのじゃないですか、管轄でなかったのだったら。
  458. 旦弘昌

    ○旦政府委員 先ほど申し上げましたのは、本件に関しますリベート等の支払いにつきましては、その管轄は通産大臣であるということを申し上げた次第でございます。
  459. 安宅常彦

    ○安宅委員 それでは新韓碍子はこれで最後に……。  これらを立証するためにどうしても必要な人、日商岩井の副社長の海部八郎君、同じく日商岩井の米国会社の機械担当副社長の河原進二君、それから川崎重工社長の梅田善司君、元通産省重工業品輸出課長の土谷直敏君、この四人をぜひそういうことをただすために――ほとんど答えられないのですからね。参考人だと、このごろロッキードで覚えちゃって、存じませんと言うと何とかなると思っているんですよ。だから証人でなければだめです。証人で申請いたしますから、ぜひひとつ委員長は私の提案を承認していただきますようお願いいたします。
  460. 中野四郎

    ○中野委員長 後ほど理事会に諮りましてお決めするようにいたします。
  461. 安宅常彦

    ○安宅委員 総理、それで今度朝鮮の問題に入ります。  先ほど二見さんから大変いい意見が出ておりました。私拝聴して、敬意を表します。  朝鮮民主主義人民共和国を余り長いからといって総理ごきげん斜めのようですけれども、私この前のときも、「お断りいたしますが、総理、大変長い名前でとこの間おっしゃったのですが、その場合は朝鮮で結構ですから。北だけは入れないでください。南へ行ったときはあるいは北と言うかもしれない」とこの議事録の印刷になっていますが、「南と言ったとき」を「南へ行ったとき」と、私は東北だから発音が悪いもので速記者が間違ったと思うのです。南というふうに特定したときは北、北と言ったときは南と言うことはあるけれども、朝鮮民主主義人民共和国が余り長いというのだったら朝鮮で結構ではないでしょうか、教えるわけじゃございませんが、とここで言っているのです。無理なさらないで今度朝鮮でも結構ですから、どうかひとつ正確な答弁をお願いしたいのです。  朝鮮民主主義人民共和国は、韓国と同じ朝鮮半島の中にあって、世界の中で最も近い国の一つです。社会主義の国が皆いやだというのだったら、モンゴルだってソビエトだってキューバだってあるいは中国だって、みんな国交を持っているじゃありませんか。なぜあそこだけ――どこの国とも仲よくしていかなければならない。心のつながりが必要だ。心のつながりが一番必要だといったら国交の樹立だと私は思いますがね。きょう園田外務大臣が答弁したのは、原稿を一生懸命注意して読んでおりました。だれが書いてくれたか知りませんがね。そういうのではなくて、もっと勇気のある発言が欲しいと思うのです。北と南両方とも承認しているのは四十数カ国です。北だけを承認しているのが九十五カ国あるのです。九十五カ国のうち半分は両方承認しているのです。だからそんなに、さっき言ったように、ソビエトは韓国をやっていないではないか、中国も韓国を承認していないじゃないか、そして日本とアメリカは朝鮮を承認していないじゃないかなんて言っているけれども、どこが承認しようがしまいが、こういうのは日本の自主独立の路線というのがあると思うのです。そういう国といろんな商売や、漁業協定などでは大変今度大きな問題になってくる。私どもが去年、自由民主党の久野忠治先生を団長として朝鮮を訪問いたしました。それで民間協定を結ぶといったって、政府の相当の影響力のある民間の協定でなければ責任が負えない、こういうことは当然でしょうね。したがって、それをうんと要求されましたけれども、何とかして来年の、もうことしのですね、六月三十日までの暫定措置に調印してまいりました。これが切れますと、いま日本海側の漁民――大体軍事警戒線を向こうが設けているものですから、これは私らは気持ちはわかるけれども、認めるわけにはまいらないと言ってきたのですけれども、とにかく残りの百五十海里ですね、いままでの漁獲量の七〇%ぐらいから八〇%ぐらいしかとれませんけれども、それでも喜んで、入漁料も無料だし、条件もつきませんから、ただ小さな船だけ来てください、大資本は困ると言っていましたが、そういうことをやっととってきたのが、そのまま投げておくと期限切れになってしまいますよ。大変困るのですが、ぜひひとつ、積み重ねてとおっしゃったのですが、福田内閣になってから朝鮮の関係で積み重ねというのはないのですよ。いままで積み重ねたのはあるけれども、そこでストップしているのだな。どうですか、総理、そのことについてもう少し――何かそういうことをちょっと言っただけで韓国がぎゃあぎゃあ言うのは知っていますよ。だけれども、日本は、隣のつき合いは、体制の違いがあってもとさっきおっしゃいましたね。そういう精神で今度は、人事交流とか、経済とか、文化とか園田さんおっしゃったけれども、漁業協定という具体的な生身の問題が入っているのですから、そういうことも考えて、総理がおっしゃらなかったらぜひあなたにお伺いしたいのですが、それを発展させるために努力するぐらいのことはここで答弁できないでしょうか。いままでの積み重ねを発展させるために努力する……。
  462. 園田直

    ○園田国務大臣 朝鮮民主主義人民共和国の承認問題については、安宅委員がおっしゃったとおりの理由でわが国は現在のところはまだ進んでないわけであります。しかし、相互理解を深めるために、人的、物的あるいは貿易、文化、こういうものの交流を図る、事あるごとにその事々を検討していく所存でございますから、いまの漁業協定につきましては、わが国益もあることであれば前向きに検討する所存でございます。
  463. 安宅常彦

    ○安宅委員 漁業協定の問題が答弁にございましたので農林大臣に伺いますが、あなたの前任者である鈴木善幸さんが大臣のときに、ちょうど私ども帰ってまいりまして、十月の十七日の本委員会における質疑の中で、鈴木国務大臣は、たとえば、いろいろありますが、「一定の水域においてわが国の漁業の継続が図られたことは大きな成果であった」あるいは軍事警戒線は遺憾だけれども、その水域で「漁業者の負担増となる入漁料が徴収されないことは、わが国漁業者にとってまことに喜ばしいことである」とか、あるいはいろいろな水産技術の資料の交流などを行えるようになった、それが共同の合意書に書いてあることは「有意義であると考えており、政府としてもこれについて側面的協力を惜しむものではございません。」とか、あるいは民間漁業交渉につき指導要請が日朝漁業協議会からあり、「技術的面でのアドバイス等を行ってきたところでありますが、今後も同協議会からの援助要請があれば、可能な範囲で援助する考えでございます。」とか、あるいは「朝鮮民主主義人民共和国以外の水域で民間漁業協定締結交渉が行われる場合において、政府職員に民間交渉の支援に当たらせることについて政府部内で検討してまいりたいと考えております。」とか、そういうことについて、政府保証の問題について言うならば、交渉の過程でその具体的内容が、民間漁業協定を結ぶ場合の内容が明らかになった時点において、政府が責任を持つかどうかということを判断させていただきますという慎重な答弁ですが、そのことは政府声明でも出さない限り――これはやはりどこの国だって、中国だってどこだって同じことで、政府が声明を出すだけじゃありませんよ、政府が、たとえば貿易だったら恵比寿の事務所みたいな、そういうところがあったからこそ中国との漁業協定は国交回復前にでき上がるのが非常にたやすかったのですが、そういうことをやれるようないろんな手段を講じようではないか、ただし、いまの時点では判断できない、そのとき判断しましょうという、なかなかいい答弁をしているのでありますが、どうか中川さん、これを確認して、それを発展させるということについて御努力を賜りたいと思いますが、御答弁を願いたいと思います。
  464. 中川一郎

    ○中川国務大臣 昨年の鈴木前農林大臣の国会答弁もすみずみから読ましていただきましたが、私もその趣旨全く同感でございますので、そのように取り進めてまいりたい、こう思う次第でございます。
  465. 安宅常彦

    ○安宅委員 それでは、郵政省に伺いたいのですけれども、最近東京国税局管内で、郵便貯金の架空名義で通帳を、定額貯金の証書も含めて約百通をつくって六千万円も郵便貯金をしていた事実があって、郵政省もこれをほぼ認めたようだということを情報として新聞なんかを通じて私聞いているのでありますが、この会社は中小企業だという話ですけれども、何という会社なんですか。
  466. 服部安司

    ○服部国務大臣 お答えいたします。  最近の新聞報道によれば、ただいま御指摘の東京国税局が脱税容疑で告発いたしました。当省は連絡を受けておりませんが、これまでに税務当局から調査依頼を受けたものの中で、新聞報道に該当するのではないかと思われる事実がございます。ただし、まことに悪いのですが、預金者の住所氏名は、具体的内容についてはちょっと秘密に属することでございますので、お答えは控えさしていただきたいと思うので、御了承願いたいと思います。
  467. 安宅常彦

    ○安宅委員 こういうたぐいの事件というのは、たとえば、資料要求もしていませんから、言うのはぐあいが悪いのですけれども、過去一年くらいでどれくらい件数が摘発されているでしょうか。――わかりませんか。わからなかったら、後で結構です。
  468. 服部安司

    ○服部国務大臣 お答えいたします。  件数で二万五千件、それから金額で約三百九十五億前後です。
  469. 安宅常彦

    ○安宅委員 これは非常に重要だと思いますね。ときどき私らも、郵便貯金というのは庶民の貯金であるというので、課税にわたらないようなそういう制度になっているし、いろいろ利用しているのですけれども、どうしても郵便貯金がふえたりすると、金は使うくせに大蔵省は反対する。大蔵大臣、郵便貯金を集めたものを財政投融資なんかでみんな使うくせに。しかし、大きな銀行に行ったって金も貸してくれない庶民というのは、郵便局が唯一の頼りですよ。そういうところにこういう連中が紛れ込んで脱税を図るなんということは許されないと私は思うのです。それを取り締まるところの、排除するところの対策というのはどういうことがあるのでございましょうか、大臣。
  470. 服部安司

    ○服部国務大臣 お答えいたします。  御承知のとおりに、郵便貯金は預入も引き出しも全国どの郵便局でも取り扱うわけでございまするから、正直言って窓口でチェックはなかなかむずかしゅうございまするが、しかし、貯金局の原本で絶えず専門の職員が名寄せをいたしまして、そこで発見をいたしますると、即座に所轄取扱郵便局を通じて限度額以上のいわゆる解約をしていただけるように現在やっているわけであります。  ちょっと私は、先ほど資料を十二分にあれする時間も、待たすと時間もないので悪いと思って駆け込んで答弁いたしましたが、先ほど申し上げたのは、いわゆる限度額超過の方々の間違いであったことを訂正いたしておきます。超過で私の方で発見いたしました、解除をお願いした分であるということを訂正いたします。
  471. 安宅常彦

    ○安宅委員 これだって、言うなれば大分違うんじゃなくて、大体似たようなものじゃないでしょうか。ただ、いまの最高限度額三百万円というのはいつからそうなったんだっけね、大臣。
  472. 服部安司

    ○服部国務大臣 昭和四十八年度からでございます。
  473. 安宅常彦

    ○安宅委員 これはやはり限度額に対する大臣の見解といいますか、考えておられることがあったらおっしゃっていただけませんか。
  474. 服部安司

    ○服部国務大臣 正直申し上げまして、三百万円では少額過ぎると思うのです。五年前からそのまま据え置きになっておりますので、ただいま五百万円に限度額を上げていただくべく、関係方面に折衝を続けている次第であります。
  475. 安宅常彦

    ○安宅委員 ただ非常に重要なことは、庶民の貯金だということで、郵政省は多ければ多いほどいいという気持ちだけではいけないと思うのです。そしてもう一つは、脱税というか、コンピューターで貯金局で皆わかるといったって、にせの名前つければわからないのだから、だからそういうことの排除をすることを、対策をきちっと立てない限り、あそこにお座りになっている大蔵省はじろりと目を光らせているんじゃないかと思うのです。だから、そういうことを含めて、あなたは監督をもっと厳重にすべきだなと私は思うのです。その具体的に排除する対策というのは、ここで時間がありませんから後でよく聞きます。機構を全部、私も郵便局の出身ですからぜひ教えていただきたいのですが、このことで佐藤さんという奨励課長が、脱税容疑について国税局なんか発見しなくとも郵政省自身の検査機能で発見できただろうなんということを言っているそうですか、この発言を大臣は承認しますか。
  476. 服部安司

    ○服部国務大臣 預入限度額のチェックにつきましては、郵便貯金としてお預かりする際に預入額または現在額が三百万円を超える場合は、当然超過額で先ほど申し上げたとおりにチェックしてあれするわけであります。私は全機能を挙げて、こういった問題を排除することが、国民に一番親しんでいただいている、信頼を受けている郵便貯金のいわゆる信頼を得るために最善の努力を払って、国営企業でありまするから、そういった間違ったことは断じて許されないということはもう常常いろいろな会合にも幹部職員を通じて厳重に指示をいたしております。したがってわれわれも、やはりこの庶民の預金が大きく国家財投等の原資になるというわけでありまするから、いろいろと御注意、御指摘の分も十二分に踏まえながら、ひとつ郵便貯金のあり方というものを認識しながらその実を上げていきたい、かように考えているところでございます。
  477. 安宅常彦

    ○安宅委員 佐藤さんという奨励課長が、国税庁なんかで発見されなくたってうちの方で発見されたであろうなんていう負け惜しみみたいなことを言っているのは承認するかって、私質問したの。それはもういいです。
  478. 服部安司

    ○服部国務大臣 これは大事ですから……。私は、佐藤課長がどの場所、どういったところで言ったものか余りつまびらかじゃないのでありまするが、十二分に御発言の趣旨をわきまえて、先ほどお答え申し上げたような次第です。と申しますのは、わが方にも監察制度があり、また窓口では、先ほど申し上げたとおりに、絶えず十二分に権威を保つようにという指示をいたしておりまするから、必ず期待にこたえるように、何十万件ですから、中には一つ二つの問題があろうかと思いまするが、今後は十二分にそういうことのないようにしたいという意欲に燃えているということで御理解を願いたいと思います。
  479. 安宅常彦

    ○安宅委員 いろいろ郵便貯金というのは、大蔵省から目をつけられてみたり、郵便局で働く人は必死になってやる。郵政省が割り当て、目標をつくるのですよ。そのノルマを達成するために私らなんかひどい苦労をしたものです。私らは東大を出た人と違うの。そして簡易保険だって同じこと。親類を回って、学校の先生を回って、あと足りなくなっちゃって、グラフはさっぱり上らないで、泣き面かいたりした経験を私ら持っています。しかし、今日こういう状況の中で、いま減税したら皆消費に回ってしまう、ビール一本飲めば吹っ飛んでいくじゃないかなんて総理大臣言うけれども、庶民というのはそういう気持ちでいないの。やはり貯金する金もないというのが状況でしょう。そういうところにこういう連中がもぐり込んできて脱税の巣になるなんということは、私は耐えられないのですけれども、そういう状態というもの、成績を上げるための、あるいは募集の真相というか、一つ二つ例を挙げてみたいと思うのです。  とにかく簡易保険なんか言いますと、郵政省から四十本も最優秀賞なんていう賞をいっぱいもらった男が、地位を保持するために部落じゅう自転車営業で、福田赳夫だの園田直だの書いて、皆全部加入したことにしてやっていてばれたり、いろんな事故があるのですよ。それから貯金だって、あんな小さな田舎に何千万円なんという目標が来ると、郵便局はそれだけに集中してしまうのですね。てんやわんやですよ。そういうことを考えたことがあるのかどうか。そういう働いている労働者がどういう立場で苦労しているか。その金は郵政省では使えないでしょう、悲しいことに、村山さんに全部取られてしまって。私はそういうことなんかも一生懸命になって、いい方法がないかと思って考えているのですけれども、そういう労働者に余り――経済状況なんかを勘案してやっているのでしょうけれども、どこでも成績を上げたいものですから、いろんな標語をつくったりなんかしてみんな無理やり働かされて、少し前の話ですが、秋田県で、昼保険募集に行ったら、保険に入る人がいないでしょう、働きに行って。そうですね、昼は。だから夜行ってこいと局長に言われたので、夜山の中の家に行ったら、がけから落っこちゃって死んだなんという、そういう哀れな話まであるのですね。そういうことを私は考えてもらいたいのです。これは名前を出さないつもりですけれども、ある県のある郵便局で電話が――電電公社総裁おいでになっていますな。電話が地域集団電話、昔農集といいました、地域集団電話から一般の加入電話に移行する、そういうときに、これは電話債券の不足分を買わなければなりません。設備料の不足分を払わなければなりません。その自動改式のサービス開始は五十二年の七月十五日ぐらいだったと思います。ところが、その前年の十一月、なかなか頭のいい郵便局長がおりまして、部落の人はよくわからない。電電公社というのは大変だ、電柱は立てなければならないし、機械なんてすばらしいのが来るのだ、だから電話をつけてくれといばったってだめだ、金はちゃんと見せて、お願いいたしますといわないと電話はつかないぞ。それで今度は部落の会長はびっくりこいて、それは大変だというので、どれぐらい取られるのか聞いて、説明会に来てもらいたい。それは電電公社は説明に行っていますね。郵便局も一緒に行っていますね。この局長、頭いいものですから、十二月、一月、二月の三回に分けて、皆さんお互い苦しいだろうから分納してもらえないか、それならいいだろう、それを郵便局で預かっておく、こういう寸法です。そのころはそういうところの部落は出かせぎでほとんどお父ちゃんがいないのです。母ちゃんは困り果てて東京に電話したり、北海道に電話したり、大阪に電話したり、どうすんべ、父ちゃん。大変なことですよ。それも恩着せて分納させる。なるほど、二月に納めれば成績ぐんと上がるのですね。そういうことをやった人がいるのです。そして今度は特別加入区域がある。それは百メーターにつき九千円ですが、地集の場合には七千円になる。五キロも離れていたら大変な金です。だからそれは納められないだろうから、農協かどこからか私が借りて、そして村議会に諮って利子補給をしてやる。なかなか偉い局長です。それで三年間で返せと言うのです。それはずっと月賦で返すのは全部郵便局でいただく、こういう寸法です。これは大変な成績が上がりますね。こういうことをやる。  電電公社に聞きますが、たとえば七月にサービス開始するのに前の年の十二月に金を取るなどということが指導として行われていないと思いますが、委託局というのはどういう監督権があって、どういう指導の権限が電電公社にあるのか、それをお聞きしたい。
  480. 服部安司

    ○服部国務大臣 お答えいたします。(安宅委員「時間がありませんから、権限があるのかどうか。あなた、わかりますか」と呼ぶ)よくわかるのです。  総裁を御指名ですが、実はただいま御指摘の問題は、先般先生が廊下で私に御指示があったので、早速呼んで調査を命じて内容を把握できたので、私からお答えする方が適当だと考えますので、御理解を願います。  これは多分山形県……(安宅委員「それは言わないことにしたんだ」と呼ぶ)わかりました。では、某局で御指摘のとおりでありますが、私の調査では、かなり厳重に、こわい先生でありますから、厳重に私はあらゆる角度から調査いたしました、万々間違いがあってはならないので。そこで調査をいたしましたところ、この農集電話並びに地区外、地域外特別地域の電話の一般加入電話にやりかえる点について確かに電電公社から説明に行っております。  ここで御理解いただきたいのは、べらぼうな、いわゆる貯金の成績を上げるためにやったものでないということは、最後から申しますと、何と二百三十九万円だけ預かったわけであります。と申しますのは……(安宅委員「あとはいいです。時間がないです。本当に困りますよ、それを聞いているのではないんだもの、委託局の権限を聞いているのだから」と呼ぶ)ちょっと聞いてください、聞いてもらわないとわかりませんので。  そこで、この局長はそういった地域の方々に便利を供するために、いわゆる長期にわたって……(発言する者あり)個人で払われた方がうんと電話が改良されるという真心を込めての措置でありましたので、どうぞこの点御理解を願っておきたいと存じます。
  481. 安宅常彦

    ○安宅委員 あとはいいです。  これは電電公社、どうですか、委託局に対する電電公社側の指導の権限というのはあるのですか。たとえば電話がサービス開始されたとき、料金を納める期日が早いとか遅いとか、あるいはいろいろな特別加入区域を、ここの局長さんは余り遠いところは余り高過ぎるから、近いところをプールして納めようじゃないかなんということまで画策した人ですが、そういうことについて電電公社はそれはいけませんというようなことを言い得る権限というのはあるのでしょうか。また常に調べておかなければならないと私は思うのですが、どうなんでしょうか。――総裁でなくてもいいです。専門の局長が出てこいよ。
  482. 西井昭

    ○西井説明員 委託局に対します公社の監督権限はどうかという御質問でございますが、先ほどからお話のございますように、そういう委託局を改式をいたしましたり、あるいは加入区域を拡大いたしましたり、またその地域集団電話を一般加入電話にかえる、こういったような問題は公社が直接行うことにいたしておりまして、その他の日常の電話交換でございます……(安宅委員「いや、私は料金を納めるときの話をしておりますから、時間はあと三分しかないのだから」と呼ぶ)料金を納めますときには、説明会は先ほどから申しましたようにかなり前にいたしておりますが、実際にいただきます料金は開通の前にいただくことにいたしております。
  483. 安宅常彦

    ○安宅委員 半年前によこせなんとは絶対言わない制度になっているのですか。
  484. 西井昭

    ○西井説明員 そのとおりでございます。
  485. 安宅常彦

    ○安宅委員 それからぜひ聞きたいのは、電電公社は地集から一般電話にかわるときには一つのボックス全部だ、そうでなければだめだという指導をしているのはどういうわけですか。いままで半分くらいで切って半分残ったところはたくさんあると思うのですが、なぜそういうことをするのですか。
  486. 西井昭

    ○西井説明員 地域集団電話と申しますのは一つの線に五加入以上の方が御加入になっておられまして、そしてその中で一部の方が一般加入電話を御希望になりまして、御加入の中の一部の方が一般加入になりますと、残りの加入数が非常に少なくなりまして、設備的に非常に不経済になるものでございますので、極力全部一般加入電話になっていただくようにお願いしておるところでございます。
  487. 安宅常彦

    ○安宅委員 さっきの水田利用再編計画みたいなもので、これは一つの制裁なんですね。それはいけないですよ。そうしたら電話をとるために何万、何十万と特別加入区域――農集電話というものは加入区域だけでなくて皆ずっと一緒になっていますから、それを一緒にやらなければ、つけてやらないということを指導しているのですよ。文書を見せますか、あとで、時間がないから。そんなことをしたら村長が、一緒にやらないと普通加入区域の人まで迷惑がかかるから、何十万かかろうとおまえは金を納めろと言うのですよ。そんな指導をして、それでも電電公社は電話をつけることを販売なんて言っている。電話の販売、何が販売です。そういうことをやってはいけないと思うのですが、それを今度その局長はそこを利用して、部落会長を皆集めて、自分は、私が言ったんじゃない、部落会長あるいは村長が言ったんだ。村長はそんな郵便貯金を利用してやろうなんという発想をやるわけがないですよ。それを、私は言わないと一生懸命弁解していますが、こういう定額貯金の申込書をちゃんと名前まで書いてみんな配っているのですよ。そして、これはお願いでありましてと、農林大臣、それと同じことで、皆そう言うけれども、お願いじゃないです。「納入期日は下記のとおりですから遅れないよう厳守してください。」何でお願いですか。これは完全なペナルティーだ。こういうことをやる原因をつくるのですよ、電電公社は。いいですか。ですから、郵政省もこの問題について、そういう涙ぐましいというか、権力をもって貯金を強要する者も含めて必死になって郵便貯金というものが動いているんだということを大臣よく知っていただきたい。労働者という立場とか利用者という立場とか、あるいは管理者はどういう態度をとらなければならないとかかんとが非常に重要なことですから、私はあなたにこのことを厳重に監視して、以後こういう局長が出ないようにしていただきたい。  部落共同体というものが崩れていないところはいいところがあるのですよね。ある農家の若い衆たちが来て、郵便局長からこういうことを言われた、おれは反対だなと言われたから、じゃあ私に資料をくれと言ってこれを見たら、職権乱用で詐欺にまで匹敵するんじゃないかな、首だなと言ったら、首ですか安宅さん、と言うのですね。うん、そうよと言ったら、困ったなと言う。なぜ困ったと言ったら、実は局長は、おれのいとこなんだなんて言っているのですよね。部落というそういう中でこのペナルティーを押しつけられると、部落会長の言うこと、村長の言うこと何でも聞かなければならないという風習があるんです。おれは社会党支持だから水田利用再編計画反対だ、ああ、あれ社会党だからだと。安宅反対だ、ああ、あれ昔からつむじ曲がりでなんということで村八分にするんですね。そうでしょう。前の農林大臣は、農林省の職員に、あなた方は、田をつくっている人は出してくださいというお願いまでしていると言っていましたよ。だからそういう人は、今度、何だ給料取りは両方から収入が入るじゃないか、おれたちに田をよこして、農協に預ければいいじゃないか、月給取っているくせに生意気だなんと言って村八分にしてしまう。そういう中でやるのをあなたは連帯と協調なんと言われては、福田さん困るのです。だからそういうことが郵便貯金にも行われるおそれが十分に素地があるということ、わかったでしょう。どうかひとつそういうことは厳重に注意していただきたい。あなたの決意を最後に述べていただきたい。それで終わります。
  488. 服部安司

    ○服部国務大臣 これからの私の仕事を進める上において大変参考になるお話を賜ってありがとうございました。局長も職員もわが方の方々は大変りっぱな方々ばかりで、一生懸命やっていてくれることは十二分に承知いたしているはずでございます。しかし決して無理を強いるようなことのないように今後指導してまいりたいと考えておりますので、この点御理解を願いたいと存じます。
  489. 中野四郎

    ○中野委員長 これにて安宅君の質疑は終了いたしました。  次回は、明八日午前十時より開会することとし、本日は、これにて散会いたします。    午後七時五十四分散会