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1978-02-02 第84回国会 衆議院 予算委員会 5号 公式Web版

  1. 昭和五十三年二月二日(木曜日)     午前十時開議  出席委員    委員長 中野 四郎君   理事 小此木彦三郎君 理事 加藤 六月君    理事 栗原 祐幸君 理事 毛利 松平君    理事 山下 元利君 理事 安宅 常彦君    理事 大出  俊君 理事 近江巳記夫君    理事 竹本 孫一君       井上  裕君    奥野 誠亮君       海部 俊樹君    金子 一平君       川崎 秀二君    笹山茂太郎君       塩崎  潤君    澁谷 直藏君       正示啓次郎君    白浜 仁吉君       田中 龍夫君    田中 正巳君       谷  洋一君    谷川 寛三君       根本龍太郎君    藤田 義光君       坊  秀男君    松澤 雄藏君       松野 頼三君    井上 普方君       石野 久男君    石橋 政嗣君       岡田 利春君    岡田 春夫君       川俣健二郎君    小林  進君       兒玉 末男君    藤田 高敏君       横路 孝弘君    浅井 美幸君       坂井 弘一君    広沢 直樹君       二見 伸明君    矢野 絢也君       大内 啓伍君    塚本 三郎君       寺前  巖君    大原 一三君       小林 正巳君  出席国務大臣         内閣総理大臣  福田 赳夫君         法 務 大 臣 瀬戸山三男君         外 務 大 臣 園田  直君         大 蔵 大 臣 村山 達雄君         文 部 大 臣 砂田 重民君         厚 生 大 臣 小沢 辰男君         農 林 大 臣 中川 一郎君         通商産業大臣  河本 敏夫君         運 輸 大 臣 福永 健司君         郵 政 大 臣 服部 安司君         労 働 大 臣 藤井 勝志君         建 設 大 臣         国土庁長官   櫻内 義雄君         自 治 大 臣         国家公安委員会         委員長         北海道開発庁長         官       加藤 武徳君         国 務 大 臣         (内閣官房長         官)      安倍晋太郎君         国 務 大 臣         (総理府総務長         官)         (沖繩開発庁長         官)     稻村左近四郎君         国 務 大 臣         (行政管理庁長         官)      荒舩清十郎君         国 務 大 臣         (防衛庁長官) 金丸  信君         国 務 大 臣         (経済企画庁長         官)      宮澤 喜一君         国 務 大 臣         (科学技術庁長         官)      熊谷太三郎君         国 務 大 臣         (環境庁長官) 山田 久就君         国 務 大 臣 牛場 信彦君  出席政府委員         内閣審議官   伊豫田敏雄君         内閣法制局長官 真田 秀夫君         行政管理庁行政         管理局長    辻  敬一君         防衛庁長官官房         防衛審議官   上野 隆史君         防衛庁人事教育         局長      渡邊 伊助君         経済企画庁調整         局長      宮崎  勇君         経済企画庁総合         計画局長    喜多村治雄君         国土庁土地局長 山岡 一男君         法務省刑事局長 伊藤 榮樹君         外務省アジア局         長       中江 要介君         外務省経済局長 手島れい志君         外務省条約局長 大森 誠一君         大蔵省主計局長 長岡  實君         大蔵省主税局長 大倉 眞隆君         大蔵省理財局長 田中  敬君         文部省管理局長 三角 哲生君         厚生省環境衛生         局長      山中  和君         厚生省医務局長 佐分利輝彦君         厚生省年金局長 木暮 保成君         農林大臣官房長 松本 作衞君         農林省農林経済         局長      今村 宣夫君         農林省農蚕園芸         局長      野崎 博之君         農林省畜産局長 杉山 克己君         通商産業大臣官         房審議官    山口 和男君         通商産業省通商         政策局次長   花岡 宗助君         工業技術院長  窪田 雅男君         資源エネルギー         庁長官     橋本 利一君         労働省労政局長 北川 俊夫君         労働省職業安定         局長      細野  正君         建設省計画局長 大富  宏君         建設省都市局長 小林 幸雄君         建設省住宅局長 救仁郷 斉君         建設省住宅局参         事官      丸山 良仁君         自治大臣官房長 石見 隆三君         自治省行政局長 近藤 隆之君         自治省財政局長 山本  悟君         自治省税務局長 森岡  敞君  委員外の出席者         予算委員会調査         室長      三樹 秀夫君     ――――――――――――― 委員の異動 二月二日  辞任         補欠選任   足立 篤郎君     井上  裕君   伊東 正義君     谷  洋一君   古井 喜實君     谷川 寛三君   河村  勝君     塚本 三郎君   小林 政子君     不破 哲三君 同日  辞任         補欠選任   井上  裕君     足立 篤郎君   谷  洋一君     伊東 正義君   谷川 寛三君     古井 喜實君   塚本 三郎君     河村  勝君     ――――――――――――― 本日の会議に付した案件  昭和五十三年度一般会計予算  昭和五十三年度特別会計予算  昭和五十三年度政府関係機関予算      ――――◇―――――
  2. 中野四郎

    ○中野委員長 これより会議を開きます。  昭和五十三年度一般会計予算、昭和五十三年度特別会計予算及び昭和五十一二年度政府関係機関予算、以上三件を一括して議題とし、総括質疑を行います。矢野絢也君。
  3. 矢野絢也

    ○矢野委員 私は、公明党・国民会議を代表いたしまして、総理並びに関係大臣に、外交、内政問題について御質問をいたします。  最初に、ロッキード事件に関連する問題でございますが、いわゆる灰色高官問題につきまして、一月三十日、大久保証言がございました。国民の本件究明の要求がますます高まっておるわけでございまして、真相究明は国会の重大な責任であると思います。しかし、いわゆるこの灰色と言われておる人々は、新聞報道を見ますと、寝耳に水だ、やみから鉄砲を撃たれた感じだ、検察庁が私についての資料を出してもらいたい、裁判で私を証人に呼んでもらってほしい、はっきりしゃべらしてもらいたい、こういった意味の発言をしておられるわけでありまして、要するに、全面的にこれを否定しておられます。  いわゆるこの灰色問題につきまして、今日までの経過を見ておりますと、何となくすっきりしない印象、何となくもやもやとした印象がある。これは、五十一年の十一月二日、ロッキード特別委員会へ政府の報告が出ました、その報告に基づきまして、これらの人々が灰色であるという認定を国会でしておるわけでございますけれども、なぜ灰色なのかというこの背景についての具体的説明が政府からはなされていない。つまり、灰色高官に対するいろいろな計画、金を贈ったのか贈らないのか、そのような計画段階から実行段階に至るまでの全資料というものが公開されない、そして認定として、この人が灰色だというものだけがある。たとえば、昨日も法務大臣が御答弁なさいましたけれども、時効であったり、金銭授受があったけれども職務権限がなかったということなんだ、こういう意味の御答弁をなさっておりますが、これはきわめて抽象的ということなんですよね。しかも、灰色と言われておる方々は、絶対にそんな事実はないと否定しておる。そして、そういう人々には、シロかクロかという裁判を受ける機会も、このままいけば恐らくないということになるでしょう。ですから、真相究明、これは国民の要望です。また、国会の責任です。認定としての灰色ということではなくして、なぜ灰色なんだ、その認定をした根拠はこれこれしかじか、かくかくなんだと、その計画段階、実行段階、これについてのすべての資料をお出しなさることがこの問題についての決着をつける一番の近道であろう、私はこう思うのです。そういう灰色と言われておる人々は、そういう事実がない、終始一貫そう言っておる。その人々の主張が正しいのか、間違っておるのか、これはその全資料を国会にお出しなさることによって、この国会で、正しいか、間違っているかを検証することができるのではないか、確かめることができるのではないか、こう私たちは思うわけであります。ですから、逆にまた、そんなことはないという御意見があろうかもわかりませんが、そういった灰色と言われるような事実がもしないというのであれば、そういう資料が出されることによって、灰色と言われておる人々が具体的な問題について反論をする、焦点を決めてみずからの弁明をするという機会も与えられることになりますね。これは、人権を守る、名誉を守るという点からも、ただ認定としての灰色だけで、なぜ灰色なんだという説明、しかも、客観的な、計画段階から実行段階に至るこの事実関係の調査――恐らく検察庁の諸君は一生懸命がんばって、それなりに自信のある調査をなさった、そこで政府として、灰色という認定のできるような資料をお出しになった。私は、その検察庁の諸君の御苦労には敬意を表したいと思いますけれども、事ここに至りましたら、なぜ灰色なんだという具体的な全資料をお出しなさることが真相究明のためにも必要でありますし、もしそれが事実でないとするならば、本人の人権や名誉を守るためにも必要なことではないか、こう思うわけでありますけれども、総理のお考えを聞きたいと思います。
  4. 瀬戸山三男

    ○瀬戸山国務大臣 まず私からお答えをしておきたいと思います。  矢野さんのおっしゃる気持ちは、私もよくわかるような気がいたします。いたしますが、灰色という言葉が使われておりますけれども、これこれがいわゆる世間で言われておる灰色高官でございますということを、法務省なりあるいは政府が決めたことではないのでございまして、御承知のとおりに以前の国会で、ロッキード事件に関係して、かくかくの事情にある者は政治的あるいは道義的責任を問われる立場にある、こういう者はどういうふうになっておるか、かくかくの事情に該当する者は政治的責任、道義的責任を問う必要があるから、そういう者はどういうふうになっておるか、こういうことが国会の方で要請され、政府といいますか法務省としては、おっしゃるような関係になっておるのはかくかくでございますと、これを御報告をして、それで、国会においてそれを国民といいますか世間に発表された、かような事態になっておるわけでございます。  おっしゃるとおりに、先般のロッキード裁判で大久保証人が証言をした、こういう事態になっておるわけでございますが、おっしゃる気持ちはよくわかるのですけれども、国政調査権にできるだけの御協力を申し上げること当然でありますが、司法の事の性質上、憲法なり刑事訴訟法等の法令から、これを全部、いま直ちに公にするということが必ずしも簡単ではない、こういう立場にあるわけでございまして、その点は御理解をいただきたいと思うわけでございます。
  5. 福田赳夫

    ○福田内閣総理大臣 本件についての矢野さんの御見解、私はよく理解できます。そこで、このいわゆる灰色という問題は、これは事実を解明する必要があるのです。真実はただ一つしかないのですから、その一つを解明する必要があると思うのです。そうしないと国民もしっくりしない、また、この事件に灰色という責任を問われている諸君もすっきりしない、そういう問題があると思うのです。  それで、そのすっきりさせる場というのは、私は一つは公判だと思うのです。ただ、四人の方は、公判で責任を問われておるという立場にないものですから、その機会がない。ただ二人の人が責任を問われておる、それに関連いたしまして、若干の背景というような関係において事態の解明があるいは進むかもしらぬけれども、本質的に公判の場では解明の場、こういうことは言いにくいと思うのです。そうすると、これは国会ということになるわけですが、私は政府といたしまして、国会はこの問題にとにかく見通し、決着をつける、こういう大きな責任を負う立場にある、こういうふうに思いますが、それに対しまして政府はできる限りの御協力をすべき立場にある、そのように考えます。  ただ、いま法務大臣からもお話がありましたが、公判が係属中である。その公判係属中ということに伴うところの制約がおのずからあると私は思うのです。しかし、その制約の範囲内におきまして、できる限りの解明への御協力、これは政府としてはいたさなければならないし、また、いたすべきものである、また、いたす、こういう見解でございます。
  6. 矢野絢也

    ○矢野委員 私は、政治家である以上は、法的に問われなくても、政治的、道義的責任があるという意味において、この灰色問題というものは軽視してはならない問題だと思うのですね。そして、今回の場合も、検察庁がそれなりの自信のある調査に基づいて、いま大臣がおっしゃったような、これこれ、しかじか、かくかくの事情という、きわめて抽象的でありますけれども、そういうことで資料をお出しなさった。灰色云々というのは政府の責任ではないのだ、マスコミや国会が勝手に灰色と名づけたのだと言いたいばかりのお話でありますけれども、それはさておきまして、今回について、私は、それなりの自信のある調査と裏づけでその資料をお出しなさったのであろうと思いたいわけでありますけれども、総理、この背景の説明なしに、これこれ、しかじかの具体的な場所、時間、相手という説明なしに、結論としての灰色だというものが政府なり国会によって行われる、これは、いまの日本の政治状況におきましては私は懸念はないと思いますけれども、将来万が一、きわめて強権的な政権あるいはまた独裁的な政権が誕生して、そして事情、背景抜きの結論としての、認定としての灰色、こういうやり方がもし前例化するならば、はっきり言いまして、これはちょっと問題だろうと思うのですよ。私は、今回のケースがそうだとは絶対思っておるわけではありません。私は、それなりの自信のあるお立場でなさったのだろうと思いたいわけでございますけれども、そういう前例にしないためにも、今回は、認定としての灰色ということじゃなしに、その背景についての、なるほどこれはそうだ、灰色と言われてもしようがないという客観的背景――また、そうすれば本人たちも、これはこのように言われているけれども、私はこうじゃないという言い方もできるでしょう。それなしになさっていることについて、私は冒頭に、すっきりしない点を感じるということを申し上げているわけです。  協力をするという総理のお話でございますから、この問題はロッキード特別委員会において引き続き議論をしていかなくてはならぬと思いますが、私の申し上げたい真意はそういうところにあるのです。政治家としての責任はあくまでも追及されなければなりません。しかし、この追及は感情的な、ヒステリックなものであってはならぬ。厳粛な事実に基づいた問題の詰めでなくてはならぬ。そういうふうになされていないということを私は申し上げているわけです。認定だけであって背景がない。このことは総理としても十分留意されて、協力するというお言葉でございますから協力してもらいたいし、また、この問題の追及は国会の責任であります。国民の強い要望でありますがゆえに、私どもはそういう立場でこの問題についての追及を行っていくことを申し上げておきたいと思います。  次に、日中問題ということになるわけでございますが、福田総理は、政権担当以来、日中平和友好条約の早期締結を表明し続けてこられまして、今回の所信表明は、交渉の機は熟しつつあると判断するとしか述べておられない。率直に申し上げると失望したわけでございます。もう少しこの具体的な展望なり段取り、手順についての御見解があろうか、こう思っておったわけでございます。このくだりは福田さん御自身が筆を加えられたと聞いておりますが、交渉の機は熟しておるということは、締結の機はまだ熟しておらないのだ、交渉と締結は別なんだ、つまり、とりあえずまず交渉なんだという程度の意味なのか、いや、交渉を再開すれば電光石火締結に持っていく決断と見通しを持って交渉の機は熟しておる、こういうふうに理解すべきなのかを伺いたいと思います。
  7. 福田赳夫

    ○福田内閣総理大臣 私は、日中平和友好条約の問題につきましては、これは真剣に取り組んできておるつもりでございます。  日中共同声明が発出されましてからもう五年になるのです。そして田中内閣、三木内閣と四年間経過し、それからさらに一年間私になってから経過しておる、こういうことでございますが、とにかく、それだけ日中平和友好条約につきましては、前々から非常に積極的な立場をとっておった田中、三木内閣の四年間、前進がなかったわけなんです。それを受けて私の一年間、どういうふうにするか苦慮してきたわけでございますが、私は、この一年間に、この施政方針演説でも申し上げましたが、交渉の機は熟した、こういうふうに判断できるようになったことを喜んでおります。  ただ、矢野さんが、交渉の機は熟したとこう言うが、ひっくり返すと、これは締結の機は熟さないのじゃないか、こういうふうにもとれるがというようなお話でございますが、私は、そういう裏返しのことを言っておるわけじゃないのです。私は、いま交渉の手順、段取りを非常に慎重に考えている。なぜ慎重に考えているかと言いますれば、いやしくも交渉を始める以上、締結が順調にいくようにということを考えておればこそ交渉の手順、段取りを慎重に考えておるわけでありまして、私は施政方針演説では、交渉の機は熟しておる、こう言っておりますが、締結のことについては触れておりませんけれども、交渉の機が熟しておるということ自身は、間接的ではありますけれども締結の環境も熟しつつあるということにつながっていく、こういうふうに御理解願いたい、かように存じます。
  8. 矢野絢也

    ○矢野委員 交渉の機は熟しつつあるというのは締結の環境も整いつつあるという御判断である、これはいままでの、所信表明でのわけのわからないお話よりはかなり前進した御見解であると思います。  ただ、双方の満足し得る状況で締結したい、これは当然のことだと思いますけれども、当然そこに、いわゆる反覇権条項という問題の扱い、これが恐らく交渉の焦点として折衝されておるのだろうと思います。この辺について、双方満足できる状況とおっしゃっておるのですから、まず、日本側として満足できる状況というのはどういうものなのか、それを御説明願いたいと思います。
  9. 福田赳夫

    ○福田内閣総理大臣 隣国中国との間に平和友好条約ができる、これはわが国としては非常に大きな外交課題です。この課題が、日本国民から、いい条約ができたな、これで日中間の長きにわたる関係は安定するなといって祝福されるような形であることが望ましい、私はこういうふうに考えております。  わが国は、しばしば私が申し上げておりまするように、全方位平和外交ですよ。どこの国とも仲よくしていく。どこの国を敵視するというような、そういう考え方はとりません。どこの国とも仲よくしていく、平和友好でありたいという考え方でありますから、その考え方に立ってこの条約を進めれば、まあまあわが国の立場というものは貫き通し得たものである、こういうふうに私は考えます。
  10. 矢野絢也

    ○矢野委員 どこの国とも仲よくしたい、これはあたりまえのことでありますけれども、この反覇権条項の質問に対してそういう表現を使われるということになりますと、この反覇権条項というのは第三国に対するものではないんだということを、どういう形になりますか、たとえば条約本文の中でコミュニケの反覇権条項の前に、これは第三国に対するものではないということを入れたいという意味なのか、あるいは日本国政府として、こういう条約で反覇権条項というのがありますけれども第三国に対するものじゃないということを、一方的に見解を明らかにするというようなことなのか。いずれにしても全方位型で気を使ってやっていくんだ、あたりまえのことだけれども、日中条約になりますと、それがあたりまえでなくなってくる、これはおわかりのとおりですね。どういうことになるんでしょうか、その辺の扱いは。
  11. 福田赳夫

    ○福田内閣総理大臣 反覇権という思想ですね、これにつきましては、私は、日本国民何人も異議はないと思うのです。大国の支配に反対する、こういうことですね、これは私は、どなたも反対はないと思うのです。私は、このことはもう平和友好の共同声明、これで決まっているのですから、覇権条項、覇権という考え方自身についていまこれを問題にするということは妥当でない、こういうふうに考えています。ただ、それを条約上どういうふうに表現するか、こういうことになりますと、これはまさに条約交渉の問題でもありますので、私がこの席で、どういうふうな表現で、どういうふうにするのだというところまでは申し上げない方が、交渉の円滑進行というたてまえから見まして妥当じゃないかと思いますが、とにかく日中共同声明、あれでもう事は決まっているのですから、その決まっていることにつきましては、考え方として何ら異存を差しはさむ余地はない、これははっきり申し上げてよいと思います。
  12. 矢野絢也

    ○矢野委員 日中共同声明の精神というものを条約本文に盛り込んで云々という御質問をすると総理もお答えにくいというような顔つきをなさっておるから、この問題は余韻を残してやめておいてもいいと思うのですよ。ただ、総理の気持ちをつだけ聞きたいのですよ。  条約を締結するに当たって、これはいろいろな論者があるわけでして、たとえば中国以外の国についての配慮をしなければならぬぞ、たとえばソ連について、たとえば台湾について、たとえばアメリカについてとか、まあ配慮をしなければならぬという議論をなす方もいらっしゃるわけであります。客観的な配慮をしなければならぬ事情があるいはあるのかもわかりません。しかし、総理の気持ちとして、もはや日中条約について考えているのは中国との交渉のみであって、後ろ向きのいろんな条件、もちろん配慮しなくてはならぬ条件があるかもわからないけれども、気持ちとしては、もう配慮をしないで前向きに真っすぐ行くんだ、前を向いたり後を向いたりしない、条約締結、相手の出方もあるでしょう、こちらの言い分もあるでしょう、その交渉に向かって全力投球でやって、きょろきょろしない、特に後ろの状況について、状況は状況として認識していながらも、そのことをブレーキとする気持ちはない、こういうふうに理解してよろしゅうございますか。
  13. 福田赳夫

    ○福田内閣総理大臣 日中交渉をやる場合に他の国のことを顧慮するか、こういうようなお話でございますが、これは先ほどから申し上げておりまするとおり、どこの国もわが国は敵視する、こういうような考え方はとりたくありません。どこの国とも善隣友好でありたい、この基本原則は、これは日中条約締結につきましても厳守してまいりたい。矢野さんの頭の中には恐らく、あるいはソビエトのことを心配して日中条約を手間取っているのじゃないかというようなお考えがありとすれば、私はこれは、日中は日中である、日ソは日ソである、この考え方でやっていきたい。日ソと平和条約を締結するという話もしております。しかし、その場合におきましても、日ソと平和条約を結びましても、それによって他の国を敵視するとか、あるいはどこの国とは特別にどうだとか、そういうような考え方をその条約によって推し進めるということは断じていたしません。
  14. 矢野絢也

    ○矢野委員 断じていたしませんという言葉で一応納得したいと思いますけれども、総理は、真剣に検討しているのだからもう少し待ってほしい、こういうお気持ちでいろいろ言葉を濁される面もあるのだろう、これは外交交渉の機微にも関することでもあるということで、私も理解できないではない。しかし、本当にやっているんだけれども大事な場面だから少し言えないということなのか、何にもやってないから言えないのかという違いがあるわけでございまして、要するに、この事態が進行しているのか否か、私たちにははっきりわからない。総理として、この問題はもうすでに決断をしておるのだ、外交交渉でこれは機微であるから明白にしがたいけれども、実は実現を目指して着々といろんな手を打ってやっておるのだ、このように理解してよろしゅうございますか。
  15. 福田赳夫

    ○福田内閣総理大臣 私は、日中平和友好条約は、双方が満足し得る状態においてなるべく速やかにこれを締結したいというために努力をしておるということを、累次申し上げてきておるわけです。私が何か偽りを申し上げておるというような、そういうことではございません。これはそのとおりに御理解願いたいのですよ。  それで、いろいろと、あれやこれやと苦心をいたしておるのですよ。しかし、私が一言しゃべったこと、それがもう多くの場合においてこれはいろいろな理解ということになりまして、そうして必ずしも条約交渉の成功という上にいい影響があったとは私は思わない。いろんな解釈が出てきまして、そうしてその一つ一つが交渉に悪い影響を持ったという面も多々あるのですよ。そういうことを考えまして、まあとにかく交渉再開の機が熟してきた、交渉が再開すれば、瞬時というわけにはこれはいかないけれども、しかし締結への道は開かれるのだ、こういう大事な段階でありますので、大事であればあるほど私は貝にならざるを得ない、こういうような状態であります。まあひとつ御理解のほどをお願いを……(矢野委員「口に言えなくても、それにふさわしい、評価できる努力なり事実はあるとおっしゃるのですか」と呼ぶ)これはいろいろのことがあります。
  16. 矢野絢也

    ○矢野委員 この問題はこの程度にしておきますが、いずれにしても、日中平和友好条約、速やかに締結をさるべく最善最大の努力をされることを強く要望しておきたいと思います。  次に行きます。  政府は、先日、財政収支試算というものを国会に提出されたわけであります。この五十三年度予算を見ましても、国債発行が十兆九千八百五十億円、一般会計歳出に占める国債の依存度が三二%、五十四年の五月度の税収、これを見込んでやっておるわけですけれども、それを除けば実質国債依存度は三七%強、五十三年度末の国債発行残高四十三兆三千九百六十億、予算規模の一・三倍、まことにもって膨大な国債、しかもこの傾向が続くのではないか、こういう見通しですね。  そこで、財政収支試算というものを国会に出した、これはあたりまえのことですけれども、この財政収支試算、いまのような国債の事情を考えましたら、国会審議の上で当然これは重要な資料であります。しかし、この資料を私、分析いたしまして、まず、この五十一年二月の第一次財政収支試算、これも間違いでございましたという結果でした。第二次試算、五十二年の三月。これも現実と遊離して、国家財政運営の羅針盤というような役割りは果たし得なかった。だから第三次というようなことでこれが出てきた。大変失礼な言い方になりますけれども、経済論理も財政の論理も初めから無視した単なる数字合わせに過ぎないのじゃないかという気がするのです。理由は後でいろいろ申し上げたいと思います。  とにかく、この試算を見ますと、このままの状況を続けると、特例公債依存型の、Aというのですか、それでは、五十七年の国債残高が百二十二兆九千億になる、これじゃ破産ですよ。おどかしみたいなものです。歳出削減型でいくと福祉は縮んでしまいます。ベースアップもストップです。そんなことはできもしない、だから結局は増税以外に道はないのだ。増税依存型でいくと十兆三千三百億ぐらい増税しなくてはならぬ、小さく見ても約五兆円増税しなくてはならぬ、こういう資料ですね、これは見ましたが。要するに、さあ大変だ大変だということで、来年度からの増税の布石のための一大キャンペーン、そして本当のねらいは、五十三年度予算について野党側が足並みをそろえて減税を要求しておる、この減税なんてとんでもないことだ、むちゃなお話、減税お断りの一大プロパガンダ、キャンペーンのこれは材料みたいなものだ。  私、そんな憎まれ口ききますけれども、大蔵省当局が財政のやりくりにずいぶん苦労しておられるということは承知しております。また事実、苦労しなければやっていけないような厳しい状況であるということも存じておるつもりです。ですから、国会としても、日本財政の健全な立て直しのために、それぞれ立場は違いますけれども努力をし、貢献をしていかなくてはならぬ、この気持ちは十分持っておるのです。そういう前提でまず私、御質問したいと思うのですけれども、矛盾が多過ぎるわけですね。いろいろありますけれども、一つ申し上げると、まず大蔵大臣に伺わなくてはならぬし、総理もよくこれをお聞きいただきたいのです。国債依存型、国債発行を大量に行ってやっていくというこの国債依存型Aのケースというのは、簡単に言えば拡張型の財政である。拡大拡張型である。それから抑制型、歳出を大幅に抑制する、切り詰めるというこのBのケースは、簡単に言えば財政抑制型の予算であるということになりますね。ところが、いずれのケースも成長率は名目で一二%、実質は六%、こういう想定をしてこのプランができておる。この予算規模で申し上げますと、平均伸び率、この拡張型の場合は毎年平均一五・九%の予算の伸び率です。一五・九%。削減型の場合は一〇・一%の毎年平均の伸び率。四十七年から五十二年度までの予算の規模の毎年の平均伸び率は一六・二でしたか。いずれにしても、Aというのは拡張型一五・九%、Bというのは抑制型予算規模一〇・一%。こういうふうに予算の性格、基本的に違うわけでありますけれども、すべてのケースが名目一二%、実質六%の成長、こういうことになっておるわけです。普通これは常識で考えましたら、しかも政府の答弁を伺っておりますと、一般論として、今日の経済状況にあっては、財政を拡張型にすれば成長率は高まるのです。抑制型にすれば成長率は低まるのです。だからこそ、ことしは大型拡張予算をお組みになったんでしょう。しかるにこの試算では、財政運営の抑制、拡大、このような違うパターンを描きながらも成長率は一定だ。経済学的に考えて、私も経済学の出身ですけれども、これは合格点をあげられないのじゃないですかね。大臣、その辺についてどうですか。
  17. 村山達雄

    ○村山国務大臣 今度の中期試算というのは、御案内のように、この前の五十年から五十五年までの中期経済計画のフォローアップとして試算をしていただいたわけでございまして、五十五年度まで出していただきましたが、引き続き五十七年度まで出しているわけでございます。そこで、当然前提となります名目成長あるいは各需要項目の伸びは、もちろん年々のものを示しているわけではございませんで、中期的な一定の条件で示しておることは御承知のとおりでございます。それに対しましてどの型があるかということで財政的に一応アプローチしたのがこれでございまして、目的とするところは、財政がどれくらいの困難さにあるかということを常識的に知ってもらいたいということが、この念願であるわけでございます。  矢野先生おっしゃったように、それぞれの型をとることによってそれはまるで違ってくるのではないかというお話でございますが、私はそれはそうだろうと思うのでございます。多少相殺される部面があります。確かに物が伸びれば物価も上がり、それからあれもしますから、当然増が逆にふえていくとか、相殺される問題はありますが、細かい議論をすれば、私は先生のおっしゃるとおりだろうと思うのです。しかし、問題はそこにあるのでなくて、どれくらいの苦しさにあるか。むしろ、この前のような形で出しますと非常に議論が混迷いたすものでございますから、財政というものがどれだけのいま現状にあるかということを示すのが目的でございましたので、バリエーションはつくらなかった、こういうことでございます。
  18. 矢野絢也

    ○矢野委員 まさに語るに落ちていらっしゃるという感じでございまして、困難さを示す、国会議員の連中は財政問題はわかっておらぬので、困難だということをよく教育する資料。冗談じゃありませんですよ。いま大蔵省として必要なのは、困難さを示す資料よりも、財政をどのようにして再建するかという、そのための具体的な資料じゃありませんか。困難さなんか別に示してもらわぬでもようわかっております。  しかも、困難さを示すことに目的を持った資料だとおっしゃいますけれども、その困難さの度合いを示す計算、この計算の方程式が初めから間違っているということを私は言っているのですよ。困難さについて私は議論をするつもりはない。困難なことはよくわかっておる。しかし、これからの日本経済あるいは日本財政の立て直しのためには、もっと科学的な、合理的な財政再建計画というものがなくちゃならぬ。こんなでたらめなことで議論ができるかということを私は申し上げておるのですよ。  もっと申し上げてみましょう。あなた、中期的に一二%だとおっしゃっていますけれども、これは五十四年、五十五年は一二・五%、五十六年、五十七年は一一・五%、こういうように具体的に各年度ごとの成長率をまず前提にしておられることは、よろしゅうございますね。そうしてこのA、つまり拡大型のAですね、財政拡大型、予算規模が大きく拡大して一二%になるんだ。これは恐らく民間自律回復力は弱いと見ておる。財政規模抑制型、つまりB、これは財政規模は小さくても同じ一二%になるというのは、民間自律回復力が強いという前提に立っておる。そういうものは同じく一二%にはなりません。こんなばかな前提はありませんよ。予算拡大型でやった場合には民間自律回復力は弱いという前提、予算削減型では民間自律回復力が強いという前提、それがなければ同じ一二%にはならない。これはまるで、いままでの政府の論理から逆転しているじゃありませんか。これは大臣、どうですか。こんなばかな試算、検討せいと言ったってできないじゃありませんか。
  19. 村山達雄

    ○村山国務大臣 その点につきましては、景気に一番影響のあるものは言うまでもなく公共投資でございます。公共投資は全部を通じまして一貫した伸び率でやっているわけでございまして、問題は、特例公債をいかにしてゼロにするかというところに重点があるわけでございます。私は、そのいかんによりまして、長期的に見た場合、五十七年度で見た場合に、先生がおっしゃるほどには変わってこないのじゃないか、その意味で公共投資は一定にしているわけでございますので、その辺もひとつおくみ取りいただきたいと思うのであります。
  20. 矢野絢也

    ○矢野委員 確かに公共投資部門は一定の増率、一三%ですか、で伸ばしていらっしゃることは認めますよ。しかし、振替支出、福祉部門、これは拡大型では平均伸び率一五・七%で計算していらっしゃる。削減型ではわずか三・五%で計算していらっしゃる。しかもベースアップはございませんという前提に立っておる。だからこそ、おっしゃるように公共事業は一定の比率で伸びておっても、予算規模は、拡大型では一五・九%も伸びるけれども削減型では一〇・一%しか伸びぬという結果になっているんですよ。総理、この試算をどうしても私たちに押しつけるというのであれば、今度の予算の性格づけを徹底的に考え直さなければいかぬということになってくるのですね。そうでしょう、総理。財政拡大型にいたしました、乗数効果その他いろいろな波及効果がございまして、てこ入れが効きまして設備投資も伸びます。住宅も消費も雇用もふえます。ですから成長率も実質七%になるんですとおっしゃっているわけですね。ところが、いま申し上げたとおり、予算拡大型の場合は、一二%にするためには民間自律反発力は弱しという前提、予算削減型にした場合には、一二%にするためには民間反発力は強いという前提。何もことし大型予算を組まなくてもいいということになるのです。この試算の論理が正しいなら。大蔵大臣、そうでしょう。  しかも、なお念のために申し上げますと、私、A案とB案のことを申し上げておりますけれども、これはすべてに当てはまるのです。あとのC型は増税依存型というもの。歳出圧縮型がDですね。それから、歳出を大幅削減して一方増税に頼るというE案。税収を無理やりにふやす、あるいは歳出を削減するというのは、いずれにしても拡大的効果ではないのですよ。経済に対して抑制的効果に働くことは間違いない、このことは御理解いただける。ですから、このAからEまでに当てはまる論理、つまり成長率を一定に前提にしておいて一二%、財政規模を適当に変えてと。私はむしろ正解は、財政規模が変われば当然成長率も変わる。成長率が変われば、成長率に対する弾性値一・二、自然税収を計算している、この税収も変わってくるのです。財政規模が変われば成長率も変わる。GNPも変わってきます。そして、この計算では、税金のふえ方をGNPを基準にして、弾性値一・二で計算していらっしゃいますよ。このGNPも変わるじゃありませんか。このGNP名目一二%という、五十七年までの保証は一体どこにあるのですか。  これは宮澤さんに伺うのですけれども、あなたのところでおつくりになった、この試算の前提になっているプラン、こういうふうに財政のビヘービア、運営姿勢がAからEまで変わっているわけです。いずれも同じような結果になると経企庁お考えになられますか。
  21. 宮澤喜一

    ○宮澤国務大臣 財政の方の作業は大蔵省でされましたので、作業の経緯は私はつぶさには存じません。しかし、先ほど、厳密に申せば矢野委員の言っておられますことのとおりだと思いますと大蔵大臣言われましたが、ことにケースA、Bというのは相当極端なケースでございますので、大蔵大臣の言われるとおり、矢野委員の御指摘のとおりではないかと私も思います。
  22. 村山達雄

    ○村山国務大臣 いまおっしゃった中でA、B、これは恐らく極端な形を想定しているわけでございまして、一つは、Aの場合は、全部いままでのように特例公債でやるとどういうことになりますか、こういう従来のパターンはなかなかこれからとれないという極端な場合を考えているわけなんです。それからまたB型は、歳出を一切伸ばさない、五十三年でもってずっと据え置きにします。これはいずれも極端な場合でございまして、ただ、これは極端な場合にはどうなるかということでございますので、それはただ型を示しただけでございます。ですから、その場合GNPがどうなるかというのは実はわれわれは実益的な議論はないのだろう。ただ財政は、こういうことをやっていくとこうなりますよという大づかみの姿を見ていただくためでございます。したがって、問題は、先生の議論から言いますと、C、D、E、実際にはそこのバリエーションがどうなるかということではないかと思うのでございます。これはいずれも同じ成長を前提にしておりますが、結論から申しますと、C型でいった場合には予算規模が年率五十分の五十七で一四%、それからケースDで言いますと一三・四%、それからケースEはかなりきついやつでございますから、試算として出ます年率は約一一%でございます。  それぞれのものについて、そのときには、確かに単年度で申しますと先生のおっしゃるようにいろいろな問題がはね返ると思うのです。しかし、これは、先ほども申しましたように、中期の財政試算を出しておりますので、ですから傾向が大体これでおわかりいただけるということで御論議いただきたい、その方がむしろ論点が非常に簡明になるとわれわれは思ってお出ししたわけでございます。
  23. 矢野絢也

    ○矢野委員 傾向を見てくれというお話ですけれども、その傾向を見るためのこの資料の計算の方程式、発想というのが、基本的に経済学なり財政学の論理に合っておらぬということを申し上げておるわけです。そういうことについて全然お答えがないんです。全くやっつけ仕事と言ったら大蔵省に怒られるかもしれませんけれども、民間の会社でこんな収支計画を立ててやってごらんなさい。一年もたたずにつぶれてしまいます。必ず一二%もうかりますという前提でやっていると同じことじゃないか。もっと厳密な言い方をしますと、いろいろなパターン、これ共通していることは、財政の姿勢、これはいろいろ変化しているわけです。財政の姿勢の変化に応じて、とにかく結論として一二%にうまくなるように、民間自律回復力を適当にそのパターンごとに決めているということになるのです。A型の場合は、財政規模大きいから少なく決めました。B型の場合は、財政規模小さいから民間自律回復力は大きく見ました。同じように、C、D、Eも抑制型ですから適当に決めておる。善意に、好意的な立場で申し上げれば、せめてそういう計算をなさるなら、それぞれのパターンにおける民間自律回復力が大きい場合、中ぐらいの場合あるいは小の場合、これぐらいの想定を置いて試算をなさるのがまじめな姿勢だと思うのですよ。しかも、そのような民間自律回復力の前提を大中小に分けることによって、逆にGNPが変わってくるのです。当然それによって税収入も変わってくるのです。変わってくるのですよ。そうでしょう、大蔵大臣。その論理をなぜ踏まないで、頭から一二%という数字を置いて、あと数字合わせをするのだという論理的な矛盾を私は申し上げておる。しかも、財政主導型の景気の局面と、民間自律回復力の強い景気の局面では、税制の弾性値が変わってくるのですよ。そうでしょう、大臣。GNPは確かに四十九年からことしまでずっと名目的にもふえてきている。GNPはたとえふえても、経済の局面が、民間の力じゃない、財政主導で引っ張り上げておるから、税収が少なくて困っておるのじゃありませんか、あなた。そうでしょう。その財政主導であるか、民間主導であるかという分析を抜きにして、頭から一二%を決めておいて、税収入の自然増収の弾性値は一・二でございます。こんなもの、これは経済学の初歩にもなっていませんわ。その見通しを、大局につかんでくれと言ったって、これはつかみようがないから私は申し上げているのです。これは大臣、出し直しなさい。
  24. 村山達雄

    ○村山国務大臣 御承知のように、経済の見通しというものが一年先でも非常にむずかしいわけのことは、もう御承知のとおりでございます。したがいまして、ここでは一つの経済についての中期的な見通ししか出せないということは御理解いただけると思うのでございます。おっしゃるところは、いまの比較的税をよけい負担を求める場合と、歳出の節減を多くした場合とそうでない場合とのバリエーション、これを正確に出した方がより検討しやすいという御議論は、私も賛成でございます。  しかし、何しろ冒頭に出すということで、ここまでのすり合わせをやるのでも、本当に言いますとわれわれの方はやっているわけでございますので、それでなおかつ、私はこの収支試算で十分とは申し上げませんが、およその財政がどういう形にあり、それからどういうものを選択すべきであるかという議論の種としては私はいけると思うのでございます。おっしゃるようにいろんなバリエーションを出しなさいといっても、私は、長期的には、あるいは傾向としては変わってこないと思います。それで、仮に民間需要が上がった場合などを考えましても、その場合には当然のことでございますけれども、物価とか、あるいは人件費の上昇がありまして当然増の方が出てまいりますから、(矢野委員「もう結構です。全然私の答弁になっていない」と呼ぶ)そこは相殺されるところもあるというところを御理解いただきまして、これでひとつぜひ御論議賜りたいということでございます。
  25. 中野四郎

    ○中野委員長 矢野さんに申し上げますが、後刻このいまの御要求の点について、各党の理事と御相談を申し上げますので、一応ひとつ次の質問をお進め願いたいと思います。(発言する者あり)――長岡主計局長。
  26. 長岡實

    ○長岡政府委員 お答え申し上げます。  財政の将来の姿のあり方によって将来の経済成長の形が変わってくるというのは、矢野委員御指摘のとおりでございます。矢野委員の御指摘にお答えできるような資料と申しますのは、いわゆる財政計画でございます。私どもがいまお出し申し上げておりますのは財政収支の試算でございまして、そういう意味におきまして、その計算の根拠になる数字は経済企画庁の方の数字を論拠といたしまして計算をいたしましたけれども、それ以外の各ケースというのは財政の立場から計算をさせていただいた。したがって、毎回国会において財政計画をなぜ出さないのかという御指摘があることは私ども十分承知いたしておりますけれども、それは私ども、いま勉強中でございまして、各国とも、計画を出すまでには大体数年間を要しております。(発言する者あり)
  27. 矢野絢也

    ○矢野委員 委員長、一言。  私の申し上げたいことは、勉強するとおっしゃっているんだけれども、勉強するまでは待ってましょうか、総理。こっちの方がどうやらよく勉強しているようだ。政府の方はまだ勉強足らぬみたいですから、じっくり勉強してください。勉強する間、予算委員会を休憩して待ってますから。  ただ、私が申し上げていることは、この表がでたらめであるということ、その背景には野党側が要求しておる一兆円減税その他、減税というものがいかにむちゃであり、いかに根拠のないものであるかということを、この資料によってあなた方は論証なさろうとしているのでしょう。だから、大蔵大臣は先ほども、財政がいかに困難であるかということを示す資料としてお出ししたのです。理論的裏づけ、客観的見通しよりも、いかに財政が厳しいかということを見てもらいたいために出したのですとおっしゃっているのです。つまり、いかに野党側の一兆円減税の要求がむちゃであるかということをわからせるための教育資料としてお出しになったのですよ。しかし、その資料がでたらめじゃ、わかりようがないのです。しかも勉強中だとおっしゃっているでしょう。これは勉強してもらわなければいかぬ。私、これから五十三年度予算の問題、具体的に御質問したいのですけれども、とにかく、財政が拡大型になれば民間自律回復力は弱い、財政が削減型になれば民間自律回復力が強い、こういう前提に立った試算表を出されて、これをそのままのめと言われて、それと別の論理によりて成り立っているこの予算を審議せいと言ったって、できないじゃありませんか。総理は、ことし大型予算にした、財政拡大型にした、民間自律回復力を期待し、景気をよくするための五十三年度予算、背水の陣をしいた、前代未聞の異例中の異例の予算だなんて大みえを切っている。その論理と逆のものが財政見通しで出ている。この問題に決着をつけなければ話が進まないじゃありませんか。
  28. 村山達雄

    ○村山国務大臣 かねがね私の方からも申し上げておきましたのは、財政計画を出せというお話がございましたが、それは毎年の経済の状況がわからない限り、また、そのときにおける国際的な経済状況がわからない限りできませんので、財政計画はお出しすることはできませんということはかねがね申し上げたとおりでございました。したがって、試算を出す、試算にとどめざるを得ないということは何遍も申し上げておるのでございます。そこで、その試算の根拠は、いまの経企庁の方の暫定試算と整合性を持ちながらやっていったところでございます。  問題は、A、Bの話は……(矢野委員「A、BからEまで私は申し上げている」と呼ぶ)だからA、Bの話は、これは、歳出の伸びをゼロにするとか、特例公債で全部やるというようなことは考えられないで、極端な形として御参考に示しているのでございます。  問題は、先ほど申しましたようにCからEまでの問題でございます。その三つの問題に関しましては、先ほども申しましたように、景気に最も関係の深い公共投資につきましては、これは長期見通しとの関係におきまして試算は同じだ、こう仮定しているわけでございます。そしてあとのところが、先ほど申しましたように、数字で申しましてもそれほど年率において違っていない。物は、程度問題でございます。だから、もう一遍申し上げます。物は、程度問題でございまして、先ほど申しましたCの場合は年率一四、それからDの場合は三・四、Eの場合は一一でございます。ですから、それだけの規模でどれくらい響くかということは、まあ皆さん、経済学もおできの方ですから、ひとつ頭で読み取ってやっていただきたいということ……(「ばかなことを言うものじゃない」と呼ぶ者あり)いや、私は、経済の問題、財政の問題というものは、数学できちっと出すというよりも、傾向値それから程度の問題でございますから、ぜひひとつ手がかりとして御論議をいただきたい。これ以上まいりますと、先ほど主計局長が言いましたように試算ではなくて、何といいますか、もう計画的な問題の前提になってしまうということだろうと思うのでございます。その辺をひとつ御理解いただいて、何とぞこれをもとにして御論議いただき、さらに議論の深まる中でこの点の資料要求等がございますれば、できるものは、国会のことでございますから、われわれもできるだけ応じてまいりたいと思うのでございます。
  29. 矢野絢也

    ○矢野委員 これをまず撤回をしていただきまして新しく出し直してくださることを御要求いたします。
  30. 中野四郎

    ○中野委員長 各党の理事、ちょっとお集まりください。――各党の理事、恐縮でございますが、ちょっとお集まりください。――村山大蔵大臣。
  31. 村山達雄

    ○村山国務大臣 先ほどから矢野先生からいろいろな御指摘がございましたので、政府といたしましても、御趣旨に沿ったできる限りの資料を追加して出さしていただきます。
  32. 矢野絢也

    ○矢野委員 追加という御答弁は納得できません。  先ほどから申し上げているとおり、財政の規模によって民間のエネルギーも違ってくる、したがって成長率も違ってくる、したがって、自然増収に対する弾性値も変わってくる、税収入も変わってくる、この試算に対する、これを支えている論理そのものが間違っておるということを指摘しておるわけでありまして、しかも、その論理がイコールこの五十三年度予算の一番の焦点になっておる問題なんです。先ほどから御答弁をあれこれおっしゃっておりますけれども、大蔵省の、こんないいかげんな姿勢で五十三年度予算もつくったのかいなと疑いたくなるくらいの非論理的な無責任な御答弁であるわけです。しかも、このC、D、Eについては、これはまた別なんだとおっしゃいますけれども、それは同じ発想があるんですよ。だから私、あえて譲った形で申し上げれば、せめて、それぞれのパターンにおける民間自律回復力についての評価を大中小くらいに分けて、この財政規模を、こういうテクニックを行使する財政の場合はこういう民間需要が出てくるでしょう、それに対してこういうGNPになるでしょう、せめてそれくらいのモデルを区分して考えた上でということを、私はあえて譲って申し上げているわけですよ。しかも、この問題については後ほど大変な議論になるわけでありますけれども、一二%を支える論理として、公共事業を一定のパーセンテージで伸ばせば何とかなるのだという発想、私たちはそうじゃないと言っているのですよ。つまり、いま貯蓄が多い。なぜか、福祉がお粗末だから貯蓄に回っちゃうわけです。将来の不安があるから。したがって、振替所得を削るということが景気の足をものすごく引っ張っている。まさに、これからの論点はそこになるわけでしょう。それについても、それを前提にしてその案をのめと言われても、われわれはのめない。  もう一つは、地方財政が大変なピンチになっておる。これは地方財政と連結決算の形で出してもらわなければ、本当の財政再建の資料にもならないわけなのですよ。  こういう議論に至らないところで、もうとにかく大蔵大臣の答弁がむちゃくちゃになっておるというわけですから、これは追加などということでは、私は納得できません。撤回をしていただいて出し直してもらいたい。(発言する者あり)
  33. 中野四郎

    ○中野委員長 この際、近江君より関連質疑の申し出があります。矢野君の持ち時間の範囲内でこれを許します。近江君。
  34. 近江巳記夫

    ○近江委員 いま矢野委員よりも重ねて話があったわけでございます。きわめて重大な問題でございますし、いま出ております資料を撤回をして、そうして再提出を求めております。したがって、これを政府におかれましてはっきりとした答弁がない限りは、このまま審議を続行するということは私は不可能のように思います。この点はひとつ委員長におかれましても、よくお考えいただきたいと思うのです。政府としては答弁していただけますか。いかがですか。撤回されて再提出なさいますか。
  35. 村山達雄

    ○村山国務大臣 財政計画を早く示せ、こういう当委員会の御要求がありまして、われわれの方は、財政計画はとてもできるわけではございません、試算をお示しいたします。こういうことで、当委員会の御要請に基づいてこの一日に出したわけでございます。  おっしゃるところは、この収支試算ではよくわからない点がある、いろいろな条件変化を十分織り込むべきである、こういうことでございます。われわれは、これでも何とか御論議いただけるのじゃないかと思っておりますけれども、矢野委員のそういうことでございますので、矢野委員の御趣旨を十分くんで、そして御趣旨の点ができるだけわかるように、御趣旨の方からいってわかるように、できるだけの資料を準備して出すことをお約束申し上げます。ですから、あわせ読んでいただきたい、かようなことでございます。
  36. 中野四郎

    ○中野委員長 午後一時より再開することとし、この際、休憩をいたします。     午前十一時二十七分休憩      ――――◇―――――     〔休憩後は会議を開くに至らなかった〕