運営者 Bitlet 姉妹サービス
使い方 FAQ このサイトについて | login

1977-04-28 第80回国会 衆議院 商工委員会 19号 公式Web版

  1. 昭和五十二年四月二十八日(木曜日)     午前十時五分開議  出席委員    委員長 野呂 恭一君    理事 中島源太郎君 理事 橋口  隆君    理事 武藤 嘉文君 理事 山崎  拓君    理事 上坂  昇君 理事 佐野  進君    理事 松本 忠助君 理事 玉置 一徳君       青木 正久君    鹿野 道彦君       粕谷  茂君    北川 石松君       藏内 修治君    佐々木義武君       田中 正巳君    辻  英雄君       中西 啓介君    中村 弘海君       楢橋  進君    西銘 順治君       葉梨 信行君    萩原 幸雄君       林  義郎君    前田治一郎君       渡部 恒三君    板川 正吾君       岡田 哲児君    加藤 清二君       後藤  茂君    清水  勇君       武部  文君    中村 重光君       渡辺 三郎君    長田 武士君       玉城 栄一君    西中  清君       宮田 早苗君    工藤  晃君       安田 純治君    大成 正雄君       大原 一三君  出席国務大臣         通商産業大臣  田中 龍夫君         国 務 大 臣         (総理府総務長         官)      藤田 正明君  出席政府委員         内閣審議官   大橋 宗夫君         総理府総務副長         官       村田敬次郎君         公正取引委員会         事務局官房審議         官       水口  昭君         通商産業政務次         官       松永  光君         通商産業大臣官         房長      宮本 四郎君         通商産業大臣官         房審議官    栗原 昭平君         通商産業大臣官         房審議官    山口 和男君         中小企業庁長官 岸田 文武君         中小企業庁指導         部長      小松 国男君  委員外の出席者         参  考  人         (新日本製鉄株         式会社副社長) 徳永 久次君         参  考  人         (サントリー株         式会社社長)  佐治 敬三君         参  考  人         (三井物産株式         会社専務取締         役)      町田榮次郎君         参  考  人         (富士写真フイ         ルム株式会社常         務取締役)   國井  眞君         参  考  人         (旭硝子労働組         合中央執行委員         長)      喜多山美雪君         商工委員会調査         室長      藤沼 六郎君     ――――――――――――― 委員の異動 四月二十八日  辞任         補欠選任   藏内 修治君     北川 石松君   島村 宜伸君     葉梨 信行君   西銘 順治君     渡部 恒三君   渡辺 秀央君     中村 弘海君   大成 正雄君     大原 一三君 同日  辞任         補欠選任   北川 石松君     藏内 修治君   中村 弘海君     渡辺 秀央君   葉梨 信行君     島村 宜伸君   渡部 恒三君     西銘 順治君   大原 一三君     大成 正雄君     ――――――――――――― 本日の会議に付した案件  私的独占禁止及び公正取引の確保に関する法  律の一部を改正する法律案(内閣提出第七二  号)  私的独占禁止及び公正取引の確保に関する法  律の一部を改正する法律案(多賀谷真稔君外八  名提出、衆法第二八号)  中小企業の事業活動の機会の確保のための大企  業者の事業活動の調整に関する法律案(内閣提  出第七一号)      ――――◇―――――
  2. 野呂恭一

    ○野呂委員長 これより会議を開きます。  内閣提出、私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律の一部を改正する法律案及び多賀谷真稔君外八名提出、私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律の一部を改正する法律案の両案を一括して議題といたします。  本日は、参考人として、新日本製鉄株式会社副社長徳永久次君、サントリー株式会社社長佐治敬三君、三井物産株式会社専務取締役町田榮次郎君、富士写真フイルム株式会社常務取締役國井眞君、旭硝子労働組合中央執行委員長喜多山美雪君、以上五名の方々に御出席を願っております。  この際、参考人各位に一言ごあいさつ申し上げます。  参考人各位には、御多用中のところ本委員会に御出席をいただきまして、まことにありがとうございます。  ただいま本委員会におきましては、内閣提出及び多賀谷真稔君外八名提出に係る私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律の一部を改正する法律案の二案について審査を行っておりますが、参考人各位におかれましては、両案に対しそれぞれの立場から忌憚のない御意見をお述べいただき、今後の審査の参考にいたしたいと存じます。  なお、議事の順序でございますが、最初に御意見をそれぞれ十分程度に取りまとめてお述べいただき、次に委員の質疑に対してお答えをいただきたいと思います。  なお、念のために申し上げますが、発言の際は委員長の許可を受けることになっております。また、参考人は委員に対して質疑をすることはできないことになっておりますので、あらかじめ御承知おき願います。  それでは、まず、徳永参考人にお願いいたします。
  3. 徳永久次

    ○徳永参考人 ただいま御紹介いただきました徳永でございます。  独禁法の改正につきまして、産業界の痛切な意見、考え方を率直に申し上げたいと存じます。  産業界はこれまで、四十九年五月と五十年二月の二回にわたりまして見解を表明したことがございますが、われわれの主張は今日まで一貫して変わっておりません。  第一に、独禁法改正の論議がいささか社会的にゆがめられた中で進められておると思います。  まず、今回の独禁法改正論議を振り返ってみますと、四十八年末の石油危機以後のいわゆる狂乱物価の中でムード的に盛り上がりを見せたことは否定できないことと思われます。このために独禁法に物価対策としての過大な期待がかけられてしまったわけであります。また、独禁法が大企業批判、商社批判と結びつき、大企業に対する規制強化の観点からも独禁法改正が強く求められるようになりました。  しかし、歴史をひもとき、広い地球上の出来事を見渡しますと、人や民族は時として考えられない間違いを起こし、狂気を発することがあります。オイルショック直後の日本の社会全体もまさにそのような間違い、狂った一時期であったと考えられます。狂乱物価や買い占め、爆弾事件と混乱と不安、動揺のさなかにありました。そのさなかに大企業悪だとか、悪徳商社だとか、企業の原価を公表せよとか、社会経済秩序を破壊する風潮が広く蔓延いたしました。そして不幸にもそのころ、国政の最高責任者である政治も時折よろめき、本来あるべき毅然たる態度を持すべき立場を忘れて、時の流れに巻き込まれ同調するやの言動もありました。独禁法改正案はそのころ、時の狂気そのままを背景に提案され、昭和五十年の第一次政府案もこの流れ、狂気から抜け出してはいなかったと存じます。  その後数年たち、社会全体がようやく平静を取り戻し、虚と実を冷静に見分け得るようになった今日、再び本案のように狂気時代の案に逆戻りした改正案が国会に提案されるという政治のありように常識ある大多数の国民は不可解の念を抱いておると考えます。  ともあれ、独禁法本来の目的は、公正自由な競争を促し、事業者の創意を発揮させることによって消費者の利益の確保と国民経済の健全な発達を図ることにあります。このような独禁法本来の趣旨から離れて、経済の基本法として神聖なるべき独禁法に明白にその枠外のものを持ち込み、自由経済体制とは正反対の統制経済を志向するやの諸点を含む本案は、改正論議当初の混乱、狂気を色濃く残しており、われわれ産業人としてとうてい賛意を表しかねる次第でございます。極言いたしますならば、本案は自由企業体制によって今日の繁栄を見た日本経済を破壊に追い込もうとしているとしか考えられず、また、万一このような独禁法が日本に生まれれば諸外国から嘲笑を買うことを恐れるものであります。  第二に、本案は、大企業は悪なりとのデマにだまされてか、こびてか、寡占企業はその立場を利用して国民経済に有害な行動をするおそれありとの仮説に立ってつくられておると見られます。いわゆる構造規制について言うならば、当委員会での政府答弁では、現在のところ分割の必要は認めぬが弊害予防のために分割規定を設けたというふうに言っていると承知いたしておりますが、およそ法は必要に応じてつくらるべきもので、外国企業にはそのような例があるとか、あるいは狭い視野での空想による仮説に基づいて、その論理だけを追求する一部の学者になぜ追随しなければならないのでしょうか。正しい事実は、日本においては、いわゆる寡占業種企業は、いまの公取委員長が言われるごとく、過去、現在国民経済に有害なことは何もしていないということであります。一度も罪を犯したことのない九業種を持ち出して予防規定を設けたというごときは非情と言うべきでしょうか、あるいは失礼きわまると言うべきでしょうか、あるいは法の暴力と言うべきでしょうか、全く理解できない気持ちでいっぱいでございます。  九業種企業に働く経営者、技術者、一般従業員等関係者は数百万人に及びますけれども、皆はその仕事の国家的、社会的意義を感じ、日夜自己啓発に努めつつ、能力の限りを尽くし、脂汗を流しつつ、良質かつ低廉な商品を、しかも世界のどこよりも国内の需要者、消費者に安く安定的に供給し、さらに海外に輸出して日本のために貴重な外貨をかせぎ、あるいは輸入を減らしておるのであります。この数百万の人々は、そのような成果を現に挙げていることに生きがいを感じ、働く喜びを感じているのが真実であります。  よき政治とは、このような業界、企業、従業員に対し、国民を代表して感謝の気持ちを若干でも何らかの形であらわしてよいのではないでしょうか。しかるに本案のごとく、非情にも九業種は国民に対し悪いことをしそうなやつだとのレッテルを張ろうとしているのはどう理解せよというのでありましょうか。われわれは言語道断としか考えようがない次第でございます。今回の改正案は、対象寡占業種に弊害がなければ問題にされないと言われますけれども、改正案中の定義にある各要件は、どう見てもそれだけでは国民経済上弊害ありとはとうてい断定できないと思います。この点は他の参考人から詳細申し上げるのでお聞きいただきたいと思います。  第三に、本案は経済実体についての把握が余りにも不足しております。法は正義なりとの言葉がありますが、法が正義として受容されるためには、そして経済基本法である独禁法の改正の場合にはなおさらのこと、立案者は、日本の産業経済の実体、そのビヘービアを詳細、正確に調査、把握して所要の法案をつくる責任があると考えます。また、仮に一案を構想した場合にも、その影響、弊害に十分思いをいたして立案すべきものと考えます。いかなる事情、理由によりますか理解しがたいのでございまするが、本案は複雑多岐な産業界、経済界の実情を把握することなく、抽象的、観念的な机上の論理だけを追求して作案されたと思われます。おかしな案ができたのもしごくもっともと言うほかはございません。  幾つかの事例を挙げてみましょう。九業種を当面寡占すなわち悪のおそれありとの指定をしたということの非現実性はただいま申し上げましたので省略いたしまするが、外国では逆のことがあるようにも聞いておりますけれども、日本では寡占すなわち悪ではなく、寡占すなわち猛烈な競争状態にあることは、たとえば自動車産業における日産、トヨタの競争状態をごらんになれば明白であります。本案は、独禁法が本来追求すべきこのような競争状態の存在を何ら顧慮せず、単に利益が多過ぎるという外形標準、それも当局の説明によれば平均利益率の五割増以上をもって多過ぎると認定しようとしていると聞いております。  日本の自動車産業は現在国内よりも輸出のかせぎで多くの利益を上げ、あるいは過去数十年にわたる努力の結果、借金ゼロの経営で他よりすぐれた利益を上げているということは産業人ならだれでも知っていることであります。売上高利益率で二割とか三割とかを上げているというならともかく、わずか数%の利益しか上げ得ないで、資産の食いつぶしをしつつある現況を是正し得ないで苦しんでいる状況の産業界の今日の平均利益率は低いものであります。それの五割アップをもって弊害と言う運用というのはまことに実情無視もはなはだしく、公正妥当な基準からはほど遠いと言えると思います。しかし、この点は実施段階で別な基準がつくられているならまた別だと考えます。  また、政府部内の調査で、大企業種、寡占業種ほど価格は安定し利益率は低いという調査になぜ目をつむり、ひとり合点の寡占悪の規制を設けようとするのでありましょうか。弊社の場合で申し上げれば、役員会でしばしば、オイルショックの経済状況にかんがみ、利益を多くする議論とは逆に、政府の低物価政策にいかに貢献しようか、そのためには資産を処分してでも値上げを極力抑制しようということを議論し、社内総力を挙げての合理化努力、経費節減努力を呼びかけておるというのが真実であります。これが日本における代表的企業のビヘービアであることを御存じいただけないのでしょうか。あまつさえ、このようなまじめな努力をする者をしてばかばかしい思いをさせ、世間からはあたかも非行少年の場合と同じく、要保護、要観察者扱いをさせようとするもので、企業活力をわざとなくすることを企図しようとしているとしか理解しがたいのであります。  また、商社の持ち株規制のおかしさは他の参考人の御意見をお聞きいただきたいと思いまするし、同調値上げに対する報告規定のおかしさにつきましては後ほど詳細に申し述べさせていただきます。  第四に、日本経済の現時点の実体は、むしろ現行独禁法を一時停止しても不況業種の救済に乗り出すべき時期であるくらいでございまして、前述のように、疑義と欠陥の多い本案を論議すべき場合ではないと思います。  私が申し上げるまでもなく、全国津々浦々の経済事情に詳しい先生方は、現在、好況業種は自動車、家電等一部にとどまり、なべて深刻な不況に苦しんでおることは御承知のとおりでございます。そして、その原因と対策は業種により一様ではないことも申すまでもありません。しかし、総じて言えることは、不況業種は、日本産業本来の過当競争体質が不況への対応、回復をおくらせ、その傷を大きくし、いまや金融機関、商社などの支援も限界に近づきつつあることを見落としてはならないと思います。このことは、私も参加いたしましたが、経団連で主要二十二業種につきまして立ち入った経済実体の調査を行い、その結果を三月に「減速経済下の日本産業の針路」として発表いたしましたが、この作業を通じて日本経済が大きな転換期にあることを改めて痛感させられた次第であります。繊維、造船、アルミ、海運、化学肥料、ソーダ、工作機械など多くの業界が内外諸情勢の変化に対し、業界の存亡をかけたと言っても過言でないほどの厳しい対応を迫られております。  一方、国際競争力のある産業についても、自動車、テレビ、鉄鋼、造船などのようなものは輸出増加に対して相手国からの非難が強まっております。しかも、当面する諸困難を乗り越えていくべき企業の体力は、石油危機に引き続く深刻な不況の中で著しく疲弊しております。生き残っていくためには、水平的な企業間の連携強化や、さらには企業の整理統合あるいは垂直的な企業結合などによって思い切った構造改善をしなければならないものが多いと考えられます。その際、いたずらに独禁政策を強化し、業界内の連携強化はいけないとか、あるいは株式保有を大幅に制限し、垂直統合を制約するというようなことをやられると、独禁政策が足かせとなって構造改善が進まないという事態も予想されます。このような状況にありますときに、構造規制が必要だとか価格の同調値上げが問題だとか言われるのは全く不当でもありますし、逆に、その悪影響に対してだれが責任をとっていただけるのでしょうか。  政府は、赤字財政をあえて編成し、大幅な公共投資、減税、さらには公定歩合の引き下げ等、いわゆるマクロの景気浮揚策に真剣でありますが、ミクロ対策について、前述の過当競争による行き過ぎた体質劣化に手を打たなければ企業倒産、雇用解雇がますます大型化する危機をはらんでおると思います。このときに、公取が従来のやり方に固執し、不況カルテル認可も不承不承であったり、小刻みであったり、また、公取は経済界の実態がわからぬし、言い過ぎになるかと思いますが、わかろうとしない面すらあります。しかし、公取委員長を初め各委員のそのような非常識はしませんよという当国会での裏づけができれば経済界としての不安は軽減されるかとも考えます。  独禁法の本家である米国では、御承知のように一九三〇年代に不況対策のためのニューディール政策を決めまして、独禁法を一時停止したのでありますが、日本の現時点は米国のその場合よりもはるかに深刻な事態と考えて、そういう立場での政治の勇断を望みたいとすら考えます。  第五に申し上げたいことは、公正取引委員会のあり方の問題であります。  われわれは、内外諸情勢の変化に対応して新しい日本経済を築き上げ、さらには新たな国際経済秩序の確立にも貢献していく必要があります。その際、自由公正な競争に基づく市場機構の活用が重要であることは言うまでもありません。しかし、それだけですべての問題が解決されるというわけではないことも明白であります。種々の政策が一体となって整合的に展開されて初めて問題の解決が得られるのであります。独禁政策はこのような経済政策全体の中で正しく生かされていく必要があります。  このためには、独禁法の実体規定とともに、それを動かす公正取引委員会のあり方が重要であります。最近の新聞紙上で、自民党政調会で業種対策の重要性が決められたと聞きますが、そのためにはカルテル結成を認めることは不可避となりましょう。しかるに、形式理論で申し上げれば、現行法では、公正取引委員会が内閣から独立して職種を行使し得るために内閣が独禁法の運用について指揮命令はできず、広く産業政策について内閣が責任を負えないという法制上の問題があろうかと思います。  この点をいま少しく具体的に申し上げたいと思います。  そもそも、公取が内閣から独立してその職権を行使し得るというのは、公取が独禁法違反事件について調査、審判等を行うからでありまして、この限りにおきまして内閣から独立するのは結構であろうと思います。ところが、構造規制はいかなる意味におきましても違反事件ではなく、むしろ産業政策の一環という性格のものであり、このような性格のものを内閣から独立した公取が取り扱うのはきわめて不当であると思います。  また、公取の能力を過大視したきらいがあると思います。企業分割には、輸出競争力とか、他の競争回復手段とか従業員への影響とかをあわせ考えるということを法は要請しております。ある産業、ある企業を広く産業政策の見地から総合理解判断し、変動する国際的かかわり合いの中でどう位置づけるかというような高度な総合的な判断は単純な書面資料の収集でできることではありません。内閣や各省が、日本経済と同甘共苦の立場で、内外におけるあらゆる変化と当該産業の対応の事情というものを日常熟知し、しかも数十年にわたる経験の積み重ねで適正妥当な判断が養われるものであります。常日ごろ犯罪を追うことを任務としているもの、すなわち公取事務局はその一点にのみ視点が集中しがちであり、総合的な判断をする立場にないことは周知のとおりであります。  この点、私は、新日鉄合併案件の場合に痛いほど体験させられました。合併の際公取が指摘いたしましたところのわれわれから見ればばかばかしき形式論に妥協しましたのは、当方が、合併が国のためになる、当然すべきだということを考えたからにすぎません。  この点に関連してつけ加えますならば、構造規制のようないかなる意味においても違反事件ではない問題につきましては経済の実体を十分に把握することが大前提であります。したがって、万一経済の実体から構造規制を必要とする立場に立ったとしても、私はその必要は全く存在しないと確信しておりますけれども、構造規制の問題は常時経済実体の把握に努めている主務官庁の所管とし、内閣の責任において処理されるべきものであり、内閣から独立した公取の所管とするのはきわめて不当であると考えます。万一本案の趣旨のような立場に立ったとしましても、問題は、独禁法の改正として取り上げるのは全く見当違いで、独禁法とは独立した別個の立法として考えるべきだと考えます。  以上、今回の改正案につきまして、主として構造規制に焦点を当てて総括的に私の感ずるところを率直に申し上げましたが、次に、価格の同調的引き上げ理由の報告、公表の規制につきまして、その不当なゆえんを指摘してみたいと思います。  そもそも、この価格の同調的引き上げ理由の報告、公表という規制は、昭和五十年六月の第七十五国会において十分審議された上で、五党一致の意見により削除されたはずのものであり、さらにその後昨年当国会に提出された政府案でも同様に削除されておりました。にもかかわらず、今回の政府案で再び取り上げられていることは理解に苦しむところであります。昭和五十年以降、この二年間において特に経済の事情が大きく変化したとは考えられない。また、五十年当時に本規定に関連して議論された問題点が解決されたとも聞いておりません。いまになって何ゆえにこの規制を復活したのでしょうか、その真意をはかりかねておる次第でございます。  かてて加えて、この同調的引き上げ規制が間違いなく実際界にもたらすであろう次のような悪影響と弊害をあわせ考えますと、ますます問題があると言わざるを得ないのでありまして、以下、この規制のもたらす悪影響と弊害につきまして四点ばかり申し上げたいと思います。  まず、第一点は、値上げが同調的になるのは経済の実体から見れば当然のことであり、これを規制するなどということは正常な経済活動をゆがめるものであると思います。鉄鋼、アルミなどのいわゆる素材産業におきましては、各企業で生産する製品の間には品質上の差はほとんどないと言ってよいのであります。そこで、各企業とも価格面で厳しい競争をすることにならざるを得ません。一方、自動車、造船、電機、建設等の需要業界もそれぞれ厳しい競争経済のもとにありまするから、少しでも安い原材料を手に入れようと努力しているのであります。このような状況におきまして、仮に素材産業の中のある一企業だけが値上げを表明しましても需要業界は安いところから買おうとするので、値上げを表明した企業は需要業界からはまともに相手にされないのは当然であります。結局その値上げは実現しません。また、需要業界においても、何も自分のところだけ値上げを認めてあえて不利な価格で購入するなどというばかなことはいたしません。  したがって、結局値上げが実現するのは、素材産業の大部分の企業がコストアップでどうにもならないというようなことで値上げせざるを得ないという状況に追い込まれ、需要業界もこのような事情を理解した上で、さらに需要業界間におきましても、自分のところだけが値上げの受け入れによって競争上不利な立場に立つのではないという見通しがついた場合に限られるのであります。こういった意味で値上げが同時期となるのは当然でございます。  また、仮に、素材産業の各企業が表明する値上げ幅が各企業ごとにまちまちであるとしますと、需要業界の各企業は一番値上げ幅の小さい企業の製品を購入しようとするのは当然のことでありますから、これ以上の値上げ幅を表明した企業は需要業界からは相手にされないことになります。結局のところ、最小の値上げ幅を表明した企業以外の値上げの表明は、それは単なる希望を表明したにすぎませんで、実際に実現できる値上げは、最小限の上げ幅を表明した企業のその幅に収斂してしまうことになります。したがいまして、値上げ幅が各企業ともほぼ等しくなるというのはこれまた当然の帰結でありまして、この意味からも現実の値上げは同調的にならざるを得ないのであります。  さらに、コストの内容の面で、たとえば原材料について見ますれば、石油、石炭、鉄鉱石、非鉄金属などのほとんどの原材料は国際価格があり、また、この国際価格は同時期に変動するので、どの企業に対しても同時期にほぼ同一の価格となるわけであります。さらに、各企業とも絶えざる技術革新を行っているので、その設備構造もほぼ類似のものとなっております。また、労働者の賃金は、周知のとおり、春闘における賃金改定の過程に見られるように、同一水準で同時期に変動いたします。また、企業の借入金にかかわる金利も同様に同一水準で同時期に変動いたします。したがって、その結果、各企業とも必要とする値上げは同一水準、同時期になるのでありまして、結果的にはまさに一物一価とならざるを得ないのであります。  同調的値上げ規制に関して、一部に、各企業とも、値上げの間隔を三カ月以上あければよいとの見解もあるようでありますけれども、以上述べましたようなことにかんがみれば、かような考え方は全く現実離れがしておることは明白であります。  以上述べましたとおり、経済の実態から見れば本来同調的にならざるを得ないにもかかわらず、わざわざそのつど各企業から値上げの理由の報告を求めるなどという必要は全く認めることはできないのであります。  第二点としましては、企業がいかなる収益を上げているか、既存の公開資料で十分調査が可能でありますので、かかる規制は必要がないということであります。  そもそも、何ゆえ価格を引き上げるのかなどということについて説明せよというのは一体いかなる必要によるものか、全く理解に苦しみます。もし仮にこの趣旨が、価格引き上げによって企業がどの程度の収益を上げているのか、あるいは価格の引き上げの結果国際価格などに比べて不当に高い価格となり、また、そのために購入者の利益を不当に害することになっていないのかなどについて調査しようというのであれば、何もわざわざ報告を徴するまでもなく、いまのままでも、企業の財務諸表、有価証券報告書等の分析や商品の国際価格との比較を行うことで十分その目的を達し得るはずであります。合理的な理由、目的がないのにいたずらに報告を求めるということは、結局公取の価格介入行為につながるのできわめて不当と言わざるを得ないのであります。あるいは産業の国家管理の権限を公取に与えようとするのかとすら疑いたくなる次第であります。  第三点は、本規制は企業の最高機密である原価の公表につながる可能性が強く、この原価公表は自由経済体制を根本から否定することになるという点であります。この同調的値上げ規制は、公取が出した改正試案の骨子の中にあった、例の原価の公表命令に対応するものであります。一方、昨今の値上げは、資源エネルギーなどの価格高騰に起因するいわゆるコストプッシュによるものでありますから、これらを考え合わせますと、値上げの理由について質問された場合に、どうしても原価の内容に立ち入って説明しない限り納得してもらえる説明ができないのではないかと恐れるものであります。原材料費が値上がりしたのでとか、あるいは労務費が上がりましたのでとかいった抽象的な説明で公取に果たして満足してもらえるでしょうか。  そもそも原価は、企業にとって、その活動を支える基本的な重要な事項であり、だからこそ各企業ともこれを最高機密としているのであります。これは世界的に見ても異論のないところでございます。したがって、原価のような機密事項につき報告を徴収され公表されることは、企業にとってまさに致命的であると言っても過言ではないと思います。  また、自由経済体制のもとでは、原価公表は消費者及び国民経済に多大の損失を与えることは多々あります。すなわち、自由経済体制下におきましては、企業は他企業の原価を相互に知り得ないがために、最大限の努力をして原価の削減を図り、他企業との熾烈な競争にいどんでいくわけであります。ところが、この原価が公表されたとなりまして、競争当事者間で相互に知り得ないはずの原価が判明してしまうことになれば、互いに相手の手のうちがわかってしまい、業界全体の競争的風土を弱めることになり、それゆえに原価切り下げのための技術革新意欲を失わしめ、結局国民経済に悪影響をもたらすことになってしまいます。  さらに、原価が公表された場合、原価を公表された業界が原価を公表されていない他の業界と取引するということを考えますと、たとえば公表された側の企業が公表されていない側の企業に物を販売しようとします場合に、その原価が判明しているわけでありまするから、公表された側の企業は価格交渉上非常に不利な立場に立たされることとなりまして、自由公正な競争経済秩序を維持できなくなるわけであります。このように、原価公表は自由競争、ひいては自由経済体制そのものを否定することにつながるものであります。  最後に、第四点として指摘いたしたいのは、原価の公表は貿易立国であるわが国の経済を重大な危機に陥れることになるということであります。周知のとおり、わが国は資源、食糧等国民生活に不可欠な物資の大部分を外国からの輸入に頼り、工業製品を外国に輸出するということによって成り立っておる典型的な貿易立国であります。この場合、相手国側の原価を知り得ることができれば貿易を非常に有利に進めることができます。しかし、原価は世界各国企業共通の最大機密事項でありますために、わが国としてもいかなる手段を用いてもとうてい知ることはできないものであります。ところが、わが国企業の原価のみが一方的に公表されてしまうことになりますれば、わが国の貿易面に壊滅的な打撃を与えることとなり、国民経済にきわめて不利益な結果をもたらすことは火を見るよりも明らかであります。すなわち、わが国が輸出する商品の原価を輸入国が知るといたしますると、輸入国はわが国の手のうちを見て不当な買いたたきに走ることになるでありましょうし、また、輸入国自身の原価がわが国の原価と比較して余りに高い場合を考えてみますれば、わが国の旺盛な競争力を警戒する余り、輸入制限、関税引き上げなど、保護貿易政策を強化することとなりましょう。これは昨今の米国や欧州の動向にも見られるように疑う余地がないと思います。  さらに、資源の大部分を海外に依存しているわが国経済にとりまして、長期安定的に安価な原材料を確保することはお国のためにきわめて重要でありますが、この場合に原価が公表され、相手国の知り及ぶところとなりますると、わが国の価格交渉力は著しく制約され、自由な国際取引は大きく阻害され、結局値段の高い資源を購入せざるを得なくなるおそれがあります。このようにわが国が資源問題に大いに悩まされることになるのは明らかでございます。  以上、るる申し上げましたが、同調的値上げ規制を導入することは独禁法の理念である自由競争をかえって阻害することになるばかりか、わが国産業を国際的にきわめて不利な状況に陥れ、ひいては国益に反する事態を招くこととなろうかと思います。かような規制はそもそも経済の実体を無視したものと言わざるを得ないのでありまして、諸外国にもその例が見当たらないかかる制度をここであえて導入する理由は全く存在しないと考えます。いやしくも、真にわが国経済の発展、自由経済体制の維持、消費者の利益その他国民経済の健全化を願う者であれば、絶対にかかる制度の導入は許すべきではないと考えます。  その他にもいろいろ申し上げたいことがございますが、たとえば課徴金に関しては、先日入江参考人も指摘されておりますように、審判等における企業側の正当な防衛に不当な圧力とならないように実行期間を定めていただくとか、あるいは課徴金に最高限度を設けていただきたいと思いまするし、株式保有制限につきましては、その趣旨、目的が理解できないなど、いろいろ申し上げたいのでありまするが、私としましては、これまで申し上げました諸点及び本日御出席の他の参考人が述べられます御意見を十分しんしゃくされまして、本法案が抜本的に修正されることを強く希望するものであります。そのためには、改めて政府に審議会を設け、関係者が集まり、何よりも日本の経済実体の十分な分析を踏まえて、公正取引委員会のあり方を含め、何年もかけて徹底した分析討議を行うべきものであり、また、それだけの値打ちと必要のある問題だと確信するものであります。  ところで、最後に申し上げたいと思いますのは、昨夜七時のNHKテレビあるいは本朝の各紙が書いておりますように、与野党間に話し合いが成立したので今国会で本案は成立するという点についてであります。  本日われわれ参考人が本委員会に呼ばれて本案のおかしさ、ふぐあいさについて述べ、これは独禁法の改悪であり、日本経済に重大な悪影響を及ぼすおそれありという陳述をすることはこれではすべて茶番劇ではないのか、出席することはやめようじゃないかということを他の参考人からも昨夜私は言われたのであります。しかし、私はその人たちの不満は抑えて、ともかく日本のために言うべきことは言いましょうとおなだめして本日あえて出席いたしました。  国会の取り運びにつきましては私は不案内でございまするけれども、本委員会の諸先生方は、党派の違い、主義主張の違いはありましても、それぞれに日本を愛される方々であると存じます。このまま原案どおり――一部の修正があるようにも聞いておりまするけれども、成立することが本当に日本のためになるとお思いでしょうか。われわれがるる申し上げたことに多少の御理解、御同感をいただけましたならば、それぞれに先生方が各党の御首脳間の了解について是正をいただくことはあるいは不可能ではないのではないかと思います。あるいは百歩も千歩も譲りまして、産業界、経済界の危惧の点を委員会論議で政府を相手にして、運用面ではそうならぬということを明確にしていただくことをお願いできないものでしょうか。切に切にこれをお願い申し上げまして、私の意見を終わらせていただきます。  長時間御清聴ありがとうございました。
  4. 野呂恭一

    ○野呂委員長 参考人の皆さんにお願い申し上げます。  最初に申し上げましたとおり、議事の進行上御意見の御開陳は十分程度に取りまとめていただくよう、御協力のほどをお願い申し上げておきます。  次に、佐治参考人にお願いいたします。
  5. 佐治敬三

    ○佐治参考人 佐治敬三でございます。  本日は、市場占拠率が高いということで問題になっております、いわゆる九業種を代表する立場から、主として構造規制に対する基本的な態度を申し述べたいと存じます。公正取引委員会試案という形で、構造規制による企業分割という措置が提起されましたのはたしかいまから三年ばかり前のことかと存じます。企業にとりましていわば死刑の判決にも等しい企業分割案が突如として提起されましたことは、私ども企業、経営者にとっても、また、その企業に働く従業員にとりましても、まさに晴天のへきれきとも申すべきショックでございました。  現在、私ども九業種は、シェアの基準におきましていわゆる独占状態に該当することになっております。しかしながら、私ども九社は、独占状態という言葉から連想されるような、競争も革新努力も払わず、ぬくぬくとして楽な商売をしておるわけでは決してございません。それどころか、それぞれがきわめて熾烈な企業間の競争、さらには輸入品、外国企業をも含めた厳しい国際競争にさらされておるのでございます。そうした中で、私どもはそれぞれ業界のトップ企業として、常に品質の向上改善、新製品、新市場、新技術の開発等等、広い意味でのイノベーションに努め、それを実現するための大胆な設備投資を展開してまいりました。たとえば写真業界における超高感度カラーフィルム、あるいはアルミかん、あるいは時計業界におけるデジタル式腕時計、さらにつけ加えますならば、国際水準を抜く高品質のウイスキーでありますとか高濃度ビールなどの新技術の開発や新しい資源の組み合わせによって消費者の新しい好みや選好にこたえようとした例は少なくありません。  また、私どもは価格においても良好な成果を上げてまいりました。昭和四十五年を一〇〇といたしました消費者物価は昭和五十年には一七二となっておりますが、たとえば富士フイルムの商品価格は、昭和四十五年を一〇〇として、昭和五十年において一二〇、麒麟麦酒は同じく一二九、服部時計店は一四三、またサントリーウイスキーは一一六と、いずれも消費者物価の上昇率を大幅に下回っておるのでございます。こうした市場での革新と競争とを通じて品質、価格両面にわたる好ましい成果をもたらしてきたものと私どもは確信をいたしておるのでありますが、私どもはまた消費者の利益、ひいては国民経済に少なからぬ貢献をなし得たと誇りをすら抱いておるのでございます。  私どもは、これまで果たしてきたイノベーション努力とその成果こそ独占禁止法本来の目的に沿ったものであり、正当な評価をいただけるものと信じてまいりました。とりわけ私ども九社は、その生い立ちからいたしまして、わが国に存在しなかった全く新しい事業分野のパイオニアとして、市場をつくり出すために歯を食いしばる努力を人知れず積み重ねてまいったのでございます。言うならば、私どもはシェア一〇〇%から出発した企業であると申し上げていいのではなかろうかと思います。しかも、その間、外国製品との競合、たとえばフィルムにおけるコダック、ウイスキーで申しますならばスコッチといった世界のトップ商品を迎え撃ち、また、相次ぐ業界への新規参入者との苛烈な競争を通じて成長を遂げ、今日では多くの企業が輸出競争力を身につけるまでに至ったのであります。  私どもは、企業努力によって常によりよいものをより安く提供し、それにより消費者、需要者の支持を受け、逐次規模を拡大し、スケールメリットの発揮によりましてさらに消費者、需要者の利益に貢献しつつ成長してまいりました。今日の市場における私どもの地位は消費者、需要者の御支持の反映であると申し上げても過言ではないと存じます。私ども九社はそうした意味で独禁法上の優等生であると確信をしてまいったのでございます。  しかるに、今回の改正案では一転してシェア大なるのゆえをもって、あたかも国民の敵とも見られかねない扱いを、しかも私どもがよりどころとしてまいりました独禁法によってなされるということはまさに晴天のへきれきであり、かつ無念至極と言わざるを得ません。  私は、自由経済こそあらゆる点において最もすぐれた経済体制であり、国民経済にとって最良の成果を導くものと信じております。独禁法はそうした自由企業体制を構成する私ども企業の公正にして自由な競争を実現し促進するためのルールであり、その意味を込めて経済憲法と呼ばれるものだと認識いたしております。  しかしながら、今回の改正案はそうした独禁法本来の自由かつ公正な競争の促進という目的を阻害するのではないかと危惧せざるを得ないのであります。特にその分割規定は、法に定められたシェア基準を超える企業をして、供給を抑え、シェアを意識的に低下させるといった競争制限的行為に追いやり、あるいはこれら企業に革新のための経営努力を放棄せしめる懸念も生じているのでございます。  また、イノベーション努力の結果としてシェアを拡大してきた企業、これまでは競争政策上の優等生とされてきた企業が、そのさまざまな努力の過程を無視され、現在シェアが大きいという理由のみによってにわかに犯罪容疑者扱いされるということになれば、産業界全般が自由かつ公正な競争という行動指針を見失い、自信を喪失し、その革新意欲を萎縮せしめられ、不安と混乱に陥ることもあながち予想されないところではないと存じます。そうした形で日本経済の持つすぐれた活力やダイナミズムが衰弱していくようなことになれば、現実に企業分割が発動されなくても、独禁法は、それが究極的に意図する国民生活の向上や福祉の実現を妨げるものとなるのではないかと危ぶむものでございます。  ところで、御承知のとおり、現在の日本経済は厳しくかつ長期にわたる不況にあえいでおりますが、こうした高度成長から低成長への移行の過程の中で、いま新しい産業構造の姿が悩みつつ探られておるのでございます。また、さらに経済全体の減速とは別に、産業、業種によりましては、国際競争力の低下や需要の減退など、内外の急激な環境変化によってドラスティックな対応を迫られているものも少なくありません。わが国産業はいま大きな転換期を迎えようとしているのであります。  このような状況を考えますとき、新しい経済的諸条件に適応する産業構造への転換を促し、国民経済の健全な発展を促進すべき独占禁止法に求められるのは経済政策全般との十分な整合性でなければなりません。  申すまでもなく、今日問題となっております企業分割は、当の企業あるいは産業にとりましてはもちろんのこと、今後のわが国の産業構造の方向に多大の影響をもたらすきわめて重大な措置であります。したがいまして、企業分割を命ずる規範そのものは経済運営の政策理念によって一貫されるべきでありますし、また、その発動に当たりましても、国の経済政策、産業政策との十分な調整が必要であると考えます。  現在の経済社会は激しい変化の波に揺れ動いております。所得水準の向上、高学歴化、ニューファミリーと呼ばれる戦後世代の台頭などもあり、消費者は時にドラスティックに価格に敏感な反応を示すかと思いますと、一方、また、かつての物中心、物自体の物理的効用の大小という選好尺度から、いわゆる物離れと言われるごとく、物に付随する精神的な価値、生活にもたらされる潤いを追い求める傾向が顕著であるなど、複雑多岐にわたる行動を示しております。私どもは、そうした消費者からの情報を市場を通じて把握し、その要望にこたえなければならないのでございます。私どもは、そうした市場に示される消費者の選好に満幅の信頼を置いているのでございます。絶え間ない品質の向上、数え切れない新商品の開発、さまざまなニーズにこたえる商品特性の多様化などはそのあらわれであります。そのような企業の行動こそいわゆる企業者機能と呼ばれるものであろうと思います。  言うまでもなく独占禁止法は本来競争促進法でありますから、その改正に当たってもかかる企業者機能を鈍らせるものであってはなりません。事業者の創意工夫の意欲を殺し、企業活動にみずからの手でブレーキをかけさせ、企業家精神を萎縮せしめるがごとき結果を招くならば、それは直ちに消費者の不利益につながり、国民経済にもたらすべき果実を貧しく味気ないものにしてしまうに違いないと存じます。  以上の観点を総合して、今回の改正案、特に構造規制の問題点を次に申し述べます。  独占が諸悪の根源であるというのは幻にすぎないと考えます。構造規制が導入されるとしても、シェアは単に一つの目安にしかすぎないはずであります。シニアの高さのゆえにその企業を保護観察下に置くなどということはとうていがえんじがたいところであります。  第二に、新規参入を著しく困難にする事情を構造要件として挙げておられるようでございますけれども、そうするためには、構造すなわち市場占拠率と新規参入を著しく困難にする事情との間の因果関係を明確に立証しなければならないと考えます。ノーハウでありますとか、あるいは技術の蓄積、設備投資、技術特性に基づく新規参入を著しく困難にする事情は、企業そのものの条件やその商品特性に基づくものであって、決して当該企業の競争抑制行為によるものとは言えないわけであります。  第三に、構造要件に伴う、あるいは構造要件によってもたらされる弊害として挙げられております価格の硬直性、過大利潤あるいは過大販売費、一般管理費についても、それらが寡占企業の寡占に基づく支配力の行使、乱用によってもたらされたものとは限らないと考えます。価格の硬直性、過大利潤あるいは過大販売費、一般管理費を弊害とするためには、同様に、それらの企業と弊害との因果関係が明白にならなければ、それを理由とする企業分割、構造規制は成り立たないはずであります。  第四に、そもそも寡占の弊害は有効競争が行われていないということに求められるべきであろうと思います。新製品の提供が活発に行われている場合、同種商品間の価格が多様である場合、営業活動の自由が流通系列化等によって妨げられていない場合、輸入を通じて海外の事業者との競争が確保されている場合、あるいは品質の改良、技術開発の積極的促進、商品特性の多様化など市場経済の動態的効率を高める企業間競争、すなわち広義のイノベーションがその業界に認められる限り、その状態は当然独占状態とは断じ得ないと考えられるのであります。  最後に一言つけ加えさせていただきたいのは、企業分割に関しましては、先ほども申し上げましたとおり、産業政策との整合性という観点から、分割措置の発動に際し、主務大臣との審判前の協議、審決前の同意がぜひとも必要と考えます。  以上、要するに、企業分割は、寡占的市場構造に基づいて行使される企業の競争抑圧的行為が具体的弊害を生んだ場合にのみ限定さるべきであろうと考えるのであります。  英国には構造規制があると言われておりますが、その構造規制は、独占的状態に加えまして、公共の利益に反すると認定された場合にのみ企業分割を命ずることができるという趣旨になっているように伺っております。したがって、企業分割は外形的条件によって発動されるべきではなく、公共の利益、消費者の利益に明らかに反する場合に限られるべきであろうと存じます。  かかる意味からすれば、現行法のきめ細かい運用によって独占の弊害のかなりの部分を予防し、あるいは規制措置のかなりの部分を補完し得るのではないかと思われます。  時間の関係がございますので、政府案につきましては特に構造規制問題に重点を置きまして意見を述べさせていただきました。  御清聴ありがとうございました。
  6. 野呂恭一

    ○野呂委員長 次に、町田参考人にお願いいたします。
  7. 町田榮次郎

    ○町田参考人 町田榮次郎でございます。  貿易業界を代表いたしまして、株式保有制限に関する意見を述べさせていただきたいと思います。  株式保有の総量を規制しようということが独禁政策上どういう意味合いを持つのかということに対して疑問を禁じ得ないものでございますが、まず、特定かつ一定量以上の過度の株式を保有することによって事業支配力を高める、そしてそれが競争を制限するおそれがあるという論点に立つならば、金融会社と同じように、一定の株式比率に基づきましてこれを制限するということで足りるのであって、総量規制という必要はないのではないかというふうに考えられるものでございます。そして、その場合においては、現行の独禁法十条によってこれを規制することができると存ずるものでございます。  また、株式持ち合いによる企業集団の構成と株式所有による系列化の促進によって競争を制限するおそれがあるという論点がございますが、現実の経済界の実態と申しますのは、企業集団と申しましても、統一した意思を持った企業集団というものはございませんで、各集団内の企業がそれぞれの経営主体によって運営されておる実情でございます。また、その中に介在する商社は、株の保有率という観点からいたしますと総じて一、二%の株式保有でございますし、また、それらの集団内の商い高という観点からいたしますとたかだか三〇%、したがって七〇%のものは集団以外の方がお取り扱いになっているという実情でございまして、この辺も考え方において観念がやや先に立っておるのではなかろうか、実態をあらわしているのではないのではなかろうか、こういうぐあいに懸念いたします。  また、今日先進各国の例に徴してみましても、株式保有の制限をする規定を持っておる国がいろいろございますが、いずれも総量規制というものはございませんで、この点は米国、西独、イギリスその他EC各国の法令を調べてみましても、特に株式保有によって事業の過度の支配力があったという弊害規制になっているように承知いたしております。独禁法の世界的権威でもあられますハーバード大学のドナルド・ターナー先生の御見解をただしたところでも、独禁政策と株式の総量規制という間には十二分に首肯できるような関連が見出せないといったような見解を聞いております。  総じまして総合商社は、戦後に限ってみましても、貿易立国の国策に沿ってわが国経済力の発展に寄与し、また、経済環境の変転に即応しまして行動の自己規制を行って、経済、社会の均衡的発展に参加し、寄与しておるものと信じております。  株式保有の動機というものは、いろいろ調べてみますれば、資源の確保あるいは新技術の導入による新規分野の開拓あるいは流通の近代化、中小企業の育成強化その他資産の効率的運用、資本自由化の対応等、その所有の動機はまことに多岐にわたっておりまして、しかも企業の経営上無条件、無制限に大きな株を持つということは当然また企業経営の面からも許されないことでございまして、われわれはそういう観点で経営を行っておるものでございますので、自由濶達な企業創意を信頼していただきまして、万一弊害が生じた場合にこれを規制するという基本的な運用をお願いしたいと思っております。  また、具体的な改正案を拝見いたしましたところ、法律施行日の保有額が昭和五十一年十二月末日の保有額を超える場合は、その差額を一年以内に処分することを義務づけられるわけでございますが、その場合には相当数の株式が一年という短期間に市場に放出されるおそれがございまして、これが株式市場にどういう影響を及ぼすのか、この辺の配慮もきわめて重要なことかと存じます。  それから、われわれは幾つかの関係会社を持っておりますが、本来関係会社というのは親会社と運命共同体でございまして、株式保有に基づいての親会社の経営管理は当然のことでございます。証券取引所法に基づく関係会社の株式保有につきましては、そういう観点から別枠の規制をせられるのが妥当ではなかろうかと存じます。  また、経営支配という観点から申し上げるならば、先ほどもちょっと触れましたように、五%以下の株式保有は経営支配とは言われないというのが今日世の常識かと存じます。したがって、規制の問題というのは五%以上の保有率に関する株式の規制であるのが妥当ではなかろうか、かように存ずるものでございます。  さらに、基準額を超えて株式を持っておる場合に、その株式の中には上場株式と非上場株式がございますが、上場株式については株式市場がございますので、法律が施行された場合にわれわれはそれでもって売ることによって処分ができるわけでございますが、非上場株式につきましては、現実問題として市場がございません。したがいまして、法によってこれを処分するような事態に立ち至っても、現実にはいかにこれを処分するかという非常な困難をいまから予想するわけでございます。これについては、処分の可能になるような何分の施策というものを伴っていただくことが必要ではなかろうかと存ずる次第でございます。  それから、さらに、株式所有には資産運用上の株式と長期投資を目的とする株式とがございます。一方、基準額の算定は資本金とか純資産とか、いわば固定した部分に対しての基準となっておりまして、ややその間に一貫性を欠いているうらみがあるのではなかろうかと存じます。したがいまして、規制対象株式を投資有価証券というぐあいにしていただく場合には、これの見合いの基準額を純資産とすることはよく了解できると思いますが、あるいはまた流動資産としての株式もこの長期投資有価証券と一緒にして規制しようというお考えであるならば、その基準額は総資産というものを基準として、そこに規制の方途を考えるのがこれまた妥当なことではなかろうかと存じます。  以上申し上げましたが、株式の保有というものは、貿易商社におきましてもその他の事業会社におきましても無制限に保有するということは企業経営上当然できませんし、また、そういうような観点で自制し、経営をやっておりますので、企業の善意とその創意工夫というものを御信頼いただきまして、弾力性ある実行可能なる御規制をいただきまして、大きな混乱を生ずることを防いでいただきますよう重ねてお願い申し上げまして、私の所見の開陳を終わります。  ありがとうございました。
  8. 野呂恭一

    ○野呂委員長 次に、國井参考人にお願いいたします。
  9. 國井眞

    ○國井参考人 國井眞でございます。  私は、今回提案されております独禁法改正案につきまして、その影響を受ける企業の立場から意見を申し述べたいと存じます。  日本の企業は、乏しい国産資源の中において海外から原材料を輸入し、製品として輸出し、激しい国際競争に打ち勝ち、これによって国民経済の発展に寄与するという役割りを担っております。これによりましてこそ豊かな国民生活が確保されるものでありまして、これが日本経済を支えてまいりました姿でございます。そして、今後とも支えていかなければならない企業のバイタリティーをしっかりと維持していかなければならないものと感ずる次第でございます。  しかるに、今回の独禁法の改正案のうち、特に構造規制の問題、いわゆる会社の分割規定は企業に不安と混乱を与え、ひいては企業の自己努力や創意の発揮までも損うことになるおそれが濃厚でございます。企業の活力を失い、国民経済の発展を阻害するおそれを持っておる本法について私どもは重大な危惧の念を抱くわけでございます。  すなわち、構造規制という政策の導入によりまして角をためて牛を殺すということのないよう、日本経済の実情を十分に検討し、競争ないし寡占の実態をよく分析し、経済の実情に合うような十分な配慮が必要であると考えます。  よって、政府案につきまして、特に重大な関心を持つ項目につきまして重点的にかつ具体的率直に意見を述べさせていただきたいと存じます。  今回の改正案中、特に構造規制の問題については以下述べますような問題が多々あると考える次第でございます。  第一に寡占の弊害は存在しないということでございます。現在公取が寡占業種として掲げております九業種について見ますならば、過去、現在にわたりまして寡占の弊害が存在しておらず、今後においても寡占の弊害が生ずるとは考えられない次第でございます。したがって、寡占業種の構造規制をする必要はないと私は信ずるのであります。  五十二年三月二日の読売新聞紙上に載っております通産省調べ、いわゆる「寡占の進行と物価動向に関する分析調査概要」というものによれば、寡占度が高い業種ほど価格の上昇率が低いという結果が出ておるのでございます。これをさらに具体的に私どもの関連いたします写真フィルム業界について述べますと、日銀の卸売物価指数によって見ました場合、四十五年を一〇〇とするのに対する五十一年十二月の総平均は約七割の上昇ということであるにかかわらず、写真フィルムは三・三%の下落をしておるのでございます。また、同じように総理府統計局の消費者物価指数におきまして、五十一年十二月の全国総合が約二倍の値上がりを示しておるにかかわらず、私どものカラーフィルム標準品におきましては、増量の価格引き下げ効果を勘案いたしますと一四・六%の上昇にとどまっておる。まさにこれこそ寡占下における競争の激しさを物語るものであり、また、われわれの合理化の努力、消費者への奉仕の結果を物語るものであろうと思います。  この間、当業界におきましても、オイルショック等に引き続きます諸般の原材料その他経費の上昇があったわけでありますから、これを勘案に入れますならば、価格の上昇がかくのごとく僅少であるのは私どもの、先ほど佐治参考人も触れましたような同時多層塗布技術の開発向上あるいは無接触乾燥技術の開発その他もろもろの品質性能向上の改善努力、その他コストの低下あるいは増量によるサービス向上という、一連の寡占下における競争の結果であることを物語るものでございます。  次に、第二の問題といたしまして、改正案の「独占的状態」の定義、すなわち構造規制の考え方に基本的に私どもは疑問があるのでございます。  まず、第一に、この構造規制を受ける企業の立場から申しますならば、独禁法の違法行為を行なった場合に不利益を強いられることは、これは甘受しなければならないと存じますが、しかしながら、何ら違法行為がないにかかわらず、営々として築き上げた企業努力による成果を、一定の市場構造要件及び不明確な弊害要件に当てはまるということをもちまして不利益を受忍すべきであるという論理には多大の疑問を抱くのでございます。特に、企業の分割という、企業にとりまして死刑にも比すべき処分を受けるには、少なくともこれにより得られる公共の利益と企業の受ける不利益との間に厳格な比較考量がなされ、かつ厳正な要件が規定されていなければならないと感ずるのであります。  そこで、構造規制の考え方の基礎になっております改正案中の「独占的状態」について、さらに具体的に疑問点を申し述べたいと存じます。  まず、改正案第二条第七項二号の新規参入の困難性という問題についてでございますが、構造規制の要件として新規参入の困難性を掲げておるわけでございますが、一般的に高度の技術が必要な産業、技術革新の激しい産業及び大規模装置産業にありましては、経済法則として新規参入が困難であります。これを私どもの写真フィルム製造業界について見ますと、先ほどの同時多層塗布技術あるいは無接触乾燥技術等の高度の技術が必要でございます。さらに巨額の設備投資あるいは多数の人材、その他適格な立地条件が確保されなければとうてい参入ができないものでございます。特に、コダックが世界市場の過半を押さえており、しかも技術的にも主要な技術を特許独占しておりますために、われわれかねがねこの業界に努力を注いでまいりました者たちも、コダックの特許を避けますために多額の研究開発費を支出いたしまして独自の技術の開発に日夜苦労をしておる実情でございます。  このように新規参入が困難であるからといって、これが寡占特有の現象でもなければ、既存メーカーが新規参入障壁を設けたものとも言えないのであります。したがって、新規参入が困難ということと競争が抑制されて寡占の弊害を生ずるという問題とは全く別個の問題であろうと考えます。  また、改正案におきましては、市場における弊害を判定する指標といたしまして、価格硬直性と高い利益率あるいは過大な販売費、一般管理費の支出が挙げられておりますが、これらは市場における寡占の弊害を認定する指標または基準として適切なものであるとは思えないのでございます。  たとえば第一に価格について見ますと、需給の変動と価格の上昇または低下は相互に複雑に関連し合っておるものでございまして、さらに価格にはこれ以外の形成要因があるのでございます。表面的な価格の上方弾力性または価格の下方硬直性をもって直ちに寡占の弊害と見ることはできません。特に、消費財につきましては、需給の変動、コストの変動は価格を動かす一要因にすぎない。むしろ品質、サービス、流通経路、商品特性等のファクターがより強く働く場合があるのでございます。  たとえば商品の品質性能が著しく向上しているにかかわらず価格を据え置いている場合、また、外国品との競争上価格の上昇要因があっても価格を据え置いている場合、競争的代替品の価格が変動した場合、流通経路の変革による場合等、市場の需給以外の要因によっても価格が変動する場合があり、これらの要因が相殺し、または加速し合い、そういうことによって価格が形成される場合が多いのでございまして、寡占と価格とはその因果関係が明白ではない。このような基準をかかる基準としてとることは適当であるとは考えられません。  また、利益率、販売費及び一般管理費を標準と比較することにつきまして、標準と比較して利益が多額であるからといって、これが寡占によって生じた利益とは即断できないのであります。たとえば写真フィルム業界はコダックに拮抗するために国際競争力を得るため、国際的水準の財務体質となる必要があり、このため増資、転換社債の発行あるいは内部留保の充実ということによりまして借入金の金利負担の軽減を図っております。このような寡占とは全く関係のない経営努力の成果をもって寡占の弊害と推定することは理論的根拠を欠いており、理解に苦しむところであります。  また、各種の事業を兼営する企業のある特定事業が市場構造上寡占であるために、その弊害を認定する基準として、企業全体の利益率、販売費及び一般管理費とそれらの標準とを比較することは不合理ではないでしょうか。  また、企業の利益は一般に公正妥当と認められる企業会計原則によって算定されますが、これには会計処理方法に幾つかの基準があるため、同じ額の利益を出しているからといって、その利益が同質のものとは限りません。たとえば製造原価の計算をいたします際に、原材料の払い出し価格の算定についても一般に認められている方法が数種あるのでございます。企業の採用した評価方法によりまして利益が異なってきます。また、固定資産の償却方法につきましても各種あり、また、研究開発費等の繰り延べ資産についても、処理いかんによって利益が異なるのであります。この方法が異なる限り、単純にこれを比較して構造規制の基準とすることは理論的根拠を欠いておるものではないでしょうか。  また、企業によりまして、親会社が製造を担当し、その販売部門を子会社に任せている例が数多くあるわけでございます。この場合、製造販売を同一会社で行っている企業の販売費、一般管理費は販売部門を子会社に持っておる企業より多くなるのが当然であります。しかしながら、単純に販売費、一般管理費を比較することは理論的根拠を欠くものじゃないでしょうか。  また、標準的利益率につきまして、標準というものをどう考えるのか、単に平均的なものを標準とすることは矛盾であります。仮に標準的利益率の算定方法に業種別の平均をとるといたしましても、業種の区分の大小によりまして、またこれは相当の相違を生ずるのでございます。ことに、写真フィルム業界のように国際競争の激しい業界にありましては、標準的利益率は海外競争メーカーとの比較において設定されるべきであります。もしそうでないならば、国際的に低利益率にもかかわらず、国内の標準と比較をして高いという理由によってかかる規制が行われるならば、これは全く不合理であり、とうてい国際競争にたえ得るものとは思えないのでございます。  以上述べましたように、企業全体の利益率、販売費、一般管理費を理論的に算定困難な標準または単純な平均と比較したからといって、その結果は直ちに寡占の弊害と言えるものではありません。このような理論的に問題の多い基準をもって企業の生命を制する企業分割要件とすることは不合理ではないでしょうか。  問題点の第三は、構造規制の要件や配慮規定が不明確でございます。企業に大きな不安を与え、企業の活力が失われることがまことに懸念されるのでございます。むしろ経済の健全な発展を阻害することが多いのではないでしまうか。  第一に、企業分割をするために営業の一部を、たとえば工場等を譲渡いたします場合、譲り受け会社は、当然、営業権等を含めてすべての資産を時価で譲り受けなければなりませんが、その競争相手の譲り渡し会社は、時価より低い帳簿価額で、資産に多額の含みを持っており、新しく発生する競争会社に対してきわめて有利な立場に立つのが通常でございます。このように、一部の営業を譲渡したからといって、そこに有効な競争が従前に比してさらに促進されるということには限らないのでございます。また、企業分割により経営効率が低下することは当然でありまして、このことは国民経済上大きな損失であります。  むしろ、構造規制の導入が日本経済の健全な発展を阻害する要因となるおそれがあると思うのでございます。それは、企業分割の措置の要件及び配慮規定が不明確かつ具体性を欠如しており、公取委の恣意的な判断に任せられていることによるものでございます。新聞紙上によれば、公取委員長は、この構造規制が導入されましても当面実際に適用され分割される企業はなく、これにより企業が行動を抑制し、寡占の弊害が防止されるという考え方を明らかにしておりますが、しかしながら、企業経営者はこの構造規制自体に強い不安を抱き、シェアの拡大、設備投資、研究投資等の競争力の強化につながるような措置をとらなくなり、企業としての活力を失うことが強く懸念されます。  また、このような不安を抱いているものは単に経営者だけではございません。従業員の多くが自分が働いている企業が果たしてどうなるかと先行きに不安を抱き、また、会社の方針に従ってシェアを拡大し、研究を進め、競争力を強化するということにちゅうちょするおそれが強いのでございます。  問題点の第四は、他の法律との整合性の問題でございますが、商法との関係におきましては、株主総会において否決できるという強制力のない審決に対する問題点があり、また、反対株主が株式の買い取り請求権を行使しました場合に企業の経営に重大な影響を与えるわけでございますが、この場合は一体どうなるのでございましょうか。  また、税法との関係においては、収用等の場合、資産の譲渡益に対する課税特例措置が認められておるにもかかわらず、競争秩序の回復という公共の利益のために、資産の譲渡が強制される営業の一部譲渡の場合に課税の特例措置が適用されないのは不合理ではないでしょうか。  また、従業員が営業の譲渡に伴う移籍に反対した場合、譲渡企業は余剰人員を抱えることになり、また、譲り受け企業は事業の円滑な運営ができなくなり、このため審決は事実上実施できないという問題点があると考えます。したがって、他の法律と無理なく整合するようさらに十分な検討と配慮をすべきであろうと考えます。  問題点の第五は、独占的状態を認定するための調査により、企業が著しい不利益をこうむるおそれがあることでございます。  独占的状態を事件として調査をするため、営業所等に立ち入り調査して、製造原価や採算内容、販売費及び一般管理費など企業秘密にわたる経理内容までも提出が強制された場合に、これは違法行為を行っていない企業にとって、調査を受けたというだけで社会から非難を受け、企業イメージに致命的な損害を受けるおそれがあるのでございます。  最後に、産業構造を決定することは、国家の産業政策という見地から、内閣の責任において行われるべきであります。したがって、公取委員会という行政委員会が独禁政策という立場から産業の構造的な問題に関与することは根本的に問題があると考えるのでございます。いわゆる構造規制の導入に際しましては、経済の実態から見た必要性、他の法体系並びに国の産業政策との整合性等、広範な見地からの十分な調査と検討を加えられるべきであります。  しかるに、われわれ企業の経営に携わる者あるいは企業全体の立場から見まして、その必要性、規制の効果、産業に与える影響等、るる述べましたように、いずれをとってみましても規制導入には賛成しがたく思うのでございます。むしろ、このような構造規制は企業の活力を損なうなどの弊害を惹起することが懸念されるので、このような国の産業政策に関係する重大な法改正におきましては、拙速主義は厳に戒め、あらゆる見地、立場からさらに十分な調査と検討を加えられ、慎重な審議を尽くされまして、的確な判断、結論を出していただきたいと考えます。  以上、御清聴ありがとうございました。
  10. 野呂恭一

    ○野呂委員長 次に、喜多山参考人にお願いいたします。
  11. 喜多山美雪

    ○喜多山参考人 ただいま御紹介にあずかりました旭硝子労働組合中央執行委員長の喜多山美雪でございます。  最初に、旭硝子労働組合の概要について簡単に申し述べます。  旭硝子労働組合は、旭硝子に働く社員が全工場及び本社、支店、研究所を通じて組織し、横浜の鶴見に本部を置く単一組織の労働組合でございます。昭和二十二年に労働組合を結成しまして以来本年で三十年を迎え、組合員数につきましては、現在約八千九百名でございます。管理職を除く全社員で組織しておりますので、組合員には、製造部門を担当する作業職のほか、事務・技術職、研究職、販売担当者など、旭硝子の全職種の労働者が含まれております。  私たち旭硝子労働組合は、これまで労使関係については、労使対等の原則、労使相互不介入の原則、労使問題自主解決の原則、労使相互理解の原則という四つの原則に基づいて労使間の問題解決を図ってきましたが、特に旭硝子は、板ガラス、自動車用加工ガラス、テレビ用バルブ、またソーダ灰など、国民生活に密接な関係のある素材を製造販売しておりますので、製品の安定供給責任に対する役割りを自覚し、会社と利害の対立する問題についても十分な話し合いを通じて円滑に処理してきております。したがって、われわれ働く者としましても、これまで日本経済の発展と国民生活の向上にいろいろな面で寄与してきたと考えております。  さて、ただいま取り上げられております独占禁止法の改正問題について、旭硝子労働組合としての意見を申し述べます。  まず、最初に、私ども旭硝子労働組合としても、企業は公正な競争のもとに良質な製品を適正な価格で安定的に供給し、消費者の利益に役立つとともに、国民経済の発展に寄与すべきであるという考え方についてはもちろん賛成でございます。  ところで、企業がこのような社会的責任を長期的に果たしていくためには、新技術の開発とか生産性の向上、さらには厳格な品質管理などが必要ですが、これらはいずれも従業員の努力に負うところが大きいわけでございます。現に、私たち組合員は、板ガラスの生産のため、日曜日も正月も休むことなく昼夜連続の三交代作業に従事し、少しでもよい製品を市場に出すべく努力しております。  また、板ガラス業界はこの十年間世界的な規模での激しい競争に突入しましたので、国際価格での供給を可能にするため、あらゆる分野で雇用の安定を前提とした省力化が推進され、私たち働く者も生産性の向上に協力してきました。板ガラス業界のこの十年間は生産性向上の歴史であったと言っても過言ではありません。一例を挙げますと、かつては三交代一組九名で運転しておりましたガラスの溶解工程を、現在ではコンピューターを導入しまして一直二名で運転しております。  したがって、現在の板ガラス産業での労働生産性について、私たちは世界でもトップクラスの水準にあると自負しておりますが、これほどまでに生産性の向上に労働組合が真剣に取り組んでいる理由は、第一に、できるだけ安定した価格で製品を供給するためには労働組合としましても可能な協力はしなければいけないという自覚であり、第二には、企業内労働組合として旭硝子に生活の基盤を置き、雇用の安定と労働条件の向上を図っていくためには、協力すべき面は協力し、配分については堂々と獲得していくという考え方によるものであります。  この生産性向上に対する労働組合としての取り組み方については、当初組合内部にもいろいろ意見がありました。したがって、職場討議や支部委員会などいろいろ組合の機関で十分時間をかけ、大いに議論をした結果、技術革新がこれほど激しい時代にいたずらに観念的な合理化反対を唱えているだけでは労働条件の改善や雇用の確保が図れない、やはり、労働組合としても時代に即応した生産性の向上施策については協力し、そのかわり会社に対しては雇用の確保を確約させるという取り組み方が長期的に見て雇用の安定と労働条件の向上を可能にする道であるということに意思統一をされ、これが私たち労働組合の基本方針となったものであります。  したがって、旭硝子がこれまで幾多の環境の変化を経験しながら安定した経営を可能にし、また雇用の確保を図ってきたのは、私たち労働者が時代の変化に柔軟に対応しながら日夜労働生産性の向上に協力してきた成果であると確信しております。  このような実績から、独占禁止法改正案の企業分割に対して、労働組合としては次に述べるような問題がありますので基本的に反対の立場をとらざるを得ません。  すなわち、第一に、これまで述べましたように、なぜ労働組合が生産性の向上に協力を惜しまないかということは、労働者の雇用を守り、労働条件の向上につながるという労働運動の考え方に基づいているからであります。その結果企業が規模的に大きくなったということで分割の対象になるということになるならば、労働者の勤労意欲を著しく喪失するおそれがあります。  なお、私たちは早くから労使協議制を活用し、経営方針全般について会社に対し労働組合としての意見を反映させてきており、企業の社会的責任についても労働組合としてチェックする機能を果たし得ると考えております。  第二に、企業分割は雇用の安定に対して大変大きな影響を与えるおそれがあります。すなわち、旭硝子は板ガラスのほか自動車用加工ガラス、テレビのブラウン管用ガラス、セラミックス、化学品関係など多くの事業を手がけており、工場だけでも全国に九工場ありますが、長い間には一方の事業が縮小され、反面新しい事業が発展するということが生じます。このような場合、現在のような企業規模であれば縮小される部門から拡張される工場への転勤を行うことによって雇用を確保することができますが、企業を分割するようなことになるとこのような雇用の調整ができにくくなり、雇用不安を招くおそれがあります。  現実に旭硝子ではこの十年間に北九州工場から関西とか、関西から関東などへ延べ千二百名ぐらい作業職の転勤が行われ、それによって雇用調整が図られております。特に、最近の生々しい経験を述べますと、オイルショック直後操業率の大幅な低下により千名近い余剰人員が生じましたが、労働組合は会社と協議を行い、比較的忙しい工場への転勤とか研究所への長期応援出張、あるいは販売関係への応援等、あらゆる方法を用いて余剰人員の吸収を行い、雇用を確保しました。最近は労働組合として雇用の安定が大きな課題になっている折から、企業の分割によって規模を狭めることはそれだけ人員対策をやりにくくすることになるわけで、労働組合としてこの点を重視せざるを得ないわけであります。このように労働組合と労働者の涙ぐましい努力によって雇用が確保されているという現実をよく御理解いただきたいと思います。  第三に、職業選択の自由との関連で問題があると考えます。すなわち職業の選択はわが国では具体的にはどの企業に就職するかという問題であり、労働者はみずからの人生の生活を託せる企業を選択して生活設計をしております。このような働く者の意思を無視して一方的に他の企業に転籍させることは職業選択の自由との関連で大いに問題があります。  第四には、企業分割が下請企業に与える影響であります。現在私たちの組合員とほぼ同じくらいの協力会社従業員が旭硝子に関係しております。したがって、旭硝子の企業分割が行われた場合、その経営基盤から見て私たち以上の影響がその従業員に生ずることが懸念されます。  さらに、今回提出されている政府案を見ても次のような問題点があります。すなわち、改正案第八条の四では、公正取引委員会は企業分割の措置を命ずるに当たって、「当該事業者に雇用されている者の生活の安定について配慮しなければならない。」と規定されているが、具体的にどういう配慮がなされるのか不明確であり、このままでは不安を感じざるを得ません。  特に、分割された企業に残る労働者も、営業の一部譲渡を受けた会社に転籍する労働者も、雇用の安定及び労働条件の維持向上について大きな影響を受け、最悪の場合は業績不振による人員整理というようなことも想定されますが、このような場合の労働者の保護について明文化する必要があり、また、かかる結果を生じさせた場合、その責任の所在がどこにあるのか明らかにされていないのは問題であると考えます。  また、働く者にとってきわめて重大な問題であるにもかかわらず、労働組合の意見を聞くことが明文化されてございません。現代のように労働組合が社会的に認められている状態にあるときに、労働関係に重大な影響を与える問題を取り扱う場合に当該労働組合の意見を求めるという明文を掲げることは当然であると考えておりますが、原案では労働組合という文字さえ見当たらず、このように労働組合の立場が理解されていないことについて遺憾に思っております。  特に、株主の利益は経済的金銭的な問題ですが、労働者の問題は家族を含めて直接生活にかかわる重大な問題であります。このような実態の中で、株主は株主総会でみずからの意思を表明し、態度を示すことができますが、労働組合にはみずからの意思で生活への影響を防ぐ道が用意されていないことはまことに片手落ちであると考えます。  したがって、企業分割のような重大な問題については労働組合の同意を得る必要があるということを明文化する必要があると考えております。  以上申し述べた理由により、独禁法改正案に企業分割の規定を導入することに対しては反対であります。  何とぞ慎重な御審議をお願いする次第でございます。  以上でございます。
  12. 野呂恭一

    ○野呂委員長 以上で参考人の意見の開陳は終わりました。     ―――――――――――――
  13. 野呂恭一

    ○野呂委員長 これより参考人に対する質疑を行います。  なお、委員におかれては、質疑の際、まず参考人の氏名をお示し願います。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。山崎拓君。
  14. 山崎拓

    ○山崎(拓)委員 まず、本日御出席をいただきました参考人の各位に、貴重な御意見をお聞かせいただきましてまことにありがとうございました。最初にお札を申し上げます。  各参考人に伺ってまいりたいと思いますが、まず、佐治参考人にお伺いをいたしたいと思います。  参考人の御発言の中に、今回のいわゆる企業分割規定がシェアの大なるゆえをもってその構造要件としておる、したがってあたかも自分たちが国民の敵とも見られかねない扱いをなされておるというお話がございました。この点に関連いたしまして、今回の独占禁止法改正の審議に当たって、いわゆる九業種のうちの一つにウイスキー、サントリー株式会社が挙げられたわけでございますが、ために何らかの社会的反響を受けたというふうに受けとめておられるかどうか、それがまず第一点でございます。  それから、さらに御発言の中で、シェア基準を超える企業をして、供給を抑えシェアを意識的に低下させるといった競争制限的行為に追いやり、あるいは企業の技術革新のための経営努力を放棄せしめる懸念を生ずるという御発言があったわけでございますが、いわゆる独禁法の改正というものが企業生産を萎縮せしめるんだというふうにお考えなのかどうか、その点についてまず伺いたいと思います。
  15. 佐治敬三

    ○佐治参考人 御質問の点に関しまして私の考えを申し述べさせていただきます。  最初に、私どもが指定を受けたということについてでございますが、新聞に報ぜられるところによりますと、現在九業種を御指定になっておりますのは暫定的な基準によるということでありまして、必ずしも今後この基準が国としての政策として定着いたすものではないようであります。そういった段階で、暫定的ではありましても九業種に的をしぼって業種を御発表になりましたことに関しましては、私どもとしては非常に納得のいきかねる感じを持っておるのでございます。しかも、この九業種は、その後の御発言によりますと必ずしも分割の対象にするわけではないのだということでございまして、私どもその御発言に全く当惑をいたしております。私ども九業種必ずしもすべてがそうではございませんけれども、いわゆる消費財産業が幾つかございます。そうした場合に、私どもが最も大切にいたしておりますのは、消費者の皆様方がわれわれの企業というものをどういうぐあいにお考えいただいておるかということで、商品の品質についてももちろん私どもは最大限の努力をいたしておりますけれども、同時に、また、その企業が消費者の皆様方からどこまで御信頼をちょうだいしておるかということが商売の上できわめて大きな影響があると考えております。いわゆる企業イメージと申します言葉で一括表現されておるのがその内容ではないかと思うのであります。そういった場合に、ただいまの九業種は罪人なんだ、保護観察下に置かなければならない罪人なんだというような――私は詳しいことはよく存じませんけれども、保護観察下に置かれるべき範疇での存在はどういうものであるのか、かつては悪名高い治安維持法によって、これこれの思想を抱きそうなやつはこれを保護観察下に置くのだというような悪法があったように伺っておりますが、これはやや比較が正しくないかもわかりませんけれども、それに類した御指定ではなかったかと思って私はまことに遺憾に存じておる次第でございます。  第二点のシェア自粛がどういう影響を及ぼすかということでありますが、すでに指定業種の中ではシェアの自粛をしておられる業界もあるやに伺っております。そういった業界にどういうことが起こるかと申しますと、下位企業の経営努力に対して必ずしもプラスの影響を及ぼしていない。一説によりますと、トップ企業がシェアを自粛すれば下位企業がその間に伸びることができるのだからいいことじゃないかという説がありますが、それはシェアに関する限りはいいことかもわかりませんけれども、その場合に下位企業がどういう形で伸びていくかといいますと、従来以上の経営努力を積み重ねることによって上位企業に挑戦をして、その自由なる競争の成果としてシェアを上げていくということでは決してないのでありまして、おこぼれをちょうだいするという言葉は正しくないかもわかりませんけれども、そういった感じのシェアの分配にとどまるのであります。このシェア自粛が産業全体、業界全体の活力を高めるというようなことはもう全く考えられない。逆に、いま申し上げましたように、ぬくぬくとしてシェアをちょうだいするというような気持ちに走らざるを得ないのが現状ではなかろうか、このように考えております。
  16. 山崎拓

    ○山崎(拓)委員 次に、佐治参考人と徳永参考人にまとめてお伺いをいたしますが、それは、先般公取が発表いたしましたいわゆる一定の事業分野のガイドラインの問題でございますが、この問題は後で質問されます林義郎議員が非常に専門的にお調べでございまして、なおかつ御質問があろうかと思いますから、ごく簡潔で結構ですからお答えをいただきたいと思うのです。  今回一定の事業分野の範疇にウイスキーが入っておるわけでございますが、いわゆるその他の酒とかビールとか蒸留酒との競争関係があるわけでありますが、この点、有効競争が働いていないというふうにお考えなのか、このガイドラインについてどうお考えになるかという点を伺いたいと思います。  特にそういうふうに申し上げますのは、サントリーの方はかつてビール業界に新規参入されまして、ビール業界の方が最近ウイスキー業界に新規参入しておるという状況でございますので、この範疇について伺っておきたい。  同様に徳永参考人にお伺いしたいわけでございますが、ブリキの解釈でございますけれども、最近ではティンフリースチールあるいはアルミ等の代替競争品が出現している。これは通産の資料でも取り上げられておるわけでございますが、ブリキという現在の一定の商品の解釈でいいのかどうかということと、果たして独占的の状態に対応する構造的要件二社七五%ということに該当しておるのかどうかという点について御両所から伺っておきたいと思います。
  17. 佐治敬三

    ○佐治参考人 事業分野のガイドラインについて、私どもウイスキーがそのガイドラインに該当して一つの事業分野と考えられましたことについて大変大きな疑問を感じております。  ウイスキーと申しますのは大変多岐にわたっておりまして、現在市販いたされております一番安いウイスキーはトリスウイスキーあるいはオーシャンウイスキー、ニッカウイスキーといった二級ウイスキーでございます。最も高いのはスコッチウイスキーの中のバランタインの三十年もののウイスキーで、これは一本七万円であります。こういう非常に多岐にわたった業界でありまして、確かにウイスキー業界相互に競争があるわけでございますけれども、それじゃトリスウイスキーは、あるいはオーシャンウイスキー、ニッカウイスキーはバランタインと競争しておるかというと、これは常識的にお考えいただければ、決して競合はしていないということになろうかと思います。  かえってトリスウイスキーが実際に競合をいたしておりますのは、先ほど御質問をちょうだいいたしました山崎議員のお言葉にございました蒸留酒、すなわちしょうちゅうのたぐいでございます。あるいはまた私どもの洋酒業界という範疇でくくりましても、ジンでありますとか、ウォツカでありますとか、そういったものがむしろトリスウイスキーとは競合いたしておる。高級品になりますと、これはたとえばサントリーのスペシャルリザーブというウイスキーがございます。一本三千円でありますが、この商品は明らかにスコッチウイスキーの中のスタンダードブランドと称せられておる商品、すなわちジョニーウォーカーの赤ラベルでありますとか、ホワイトホースでありますとか、あるいはブラック・アンド・ホワイトでありますとか、そういった商品と競合をいたしておる。ウイスキーの内部でのクラス間の競合もございますけれども、ウイスキーに関しましては、いま申し上げたスコッチとの競合というのは他の業界には見られない一つの特徴ではなかろうかと考えられるわけであります。  そういった観点から競合、代替という面で見るならば、少なくとも輸入洋酒との競合並びにしょうちゅうとの競合、代替といったものをお考えいただきまして、事業分野としてはさらに広く、いわゆるディスティルドスピリッツといいますか、蒸留された酒類といいますか、そういった酒類を事業分野としてお考えいただくのが当然ではないかと思うのであります。  ウイスキーに関しましてさらにもう一言つけ加えさせていただきますならば、スコットランドのウイスキーの業界というのは、現在その三分の二をディスティラーズカンパニーという統合会社が支配をいたしておりまして、このディスティラーズカンパニーの中に、ジョニーウォーカー、ブラック・アンド・ホワイト、ホワイトホース等等、日本に入っておりますところの、皆様方も恐らく御存じいただいておる大部分の有名商品がその子会社としてその傘下にございまして、この業界の中で、イギリス本国はもとより世界じゅうの市場できわめて強力な地歩を占めております。そういった強力な業界の攻撃を受けておるという観点から考えましても、国内における市場占拠率を御勘案になる場合の事業分野としてはぜひとも輸入酒をお考えいただきたいと思います。  さらに、しょうちゅうをお考えいただきたいと申し上げております理由は、ウイスキーというのはイギリスにおきましてもそのようでございますけれども、いわゆるブレンド産業というものでありまして、イギリスにおきましてはジョニーウォーカーというのはもともとブレンド屋という商売から始めた会社でございまして、すべての原料を自社で製造いたしておるわけではございませんで、原酒のかなりの部分を自社以外から買い受け、あるいはまたウイスキーの一部分あるいはかなりの部分を社外から買い付けまして、それをブレンドして自社の名称、ジョニーウォーカーという名前で販売をいたしておるブレンディング会社でございます。そういった観点から言いますと、ウイスキー産業とはブレンド産業であり、したがいまして、その製造のために必要な設備というのは、最低限のことを考えますと、すべての原料、材料を社外から購入いたしまして製造をすることが可能な商品でありまして、日本の酒税法もそのことを禁止いたしてはおりません。  そういったことから考えますと、蒸留器を現に有しておられるしょうちゅう会社というものはすべていつでもこの業界に参入のできる企業である。したがって、事業分野のただし書き括弧内の文章をそのままに読ましていただきますならばしょうちゅうもまた当然ウイスキーと同じ事業分野のものであるとして、これを一括したディスティルドスピリッツを事業分野としてお考えいただくのが正しいのではないかと私どもは考えております。
  18. 徳永久次

    ○徳永参考人 ただいまお尋ねのございましたブリキについてでございますが、日本のブリキが興りましたのは、最初は導入技術でございますが、いまは技術の輸出も日本からもいたしております。しかし、同時に、先ほど御指摘がございましたティンフリースチールといいますか、これはクロムメッキでございますが、この技術は日本で開発いたしました。私の会社とそれから東洋鋼鈑がほとんど同じ時期に開発し、外国にも技術輸出をいたしております。  それから、ブリキ業界全体で考えますと、御案内のように、先般合併のときにも問題になったわけでありますけれども、これはブリキを一品種で見るということは非常におかしな議論だという認識を私どもは根本に持っております。といいますのは、ブリキは言うなれば薄板の次の加工品にすぎない。すずメッキをすればブリキになり、クロムメッキをすればティンフリーになり、亜鉛メッキをすれば亜鉛鉄板になるというようなものでございまして、ブリキだけ取り出す議論というもの、それがいわゆる構造規制の対象というふうに考えるといかにもへんてこな現象が起こることではないのかと思います。  しかし、ブリキを一つの商品としてお考えになろうとしておりますけれども、それではそのブリキの業界の中は現実はどうかと申しますると、先般の合併のときに問題になりましたように、大抵の大企業が、先ほど申し上げましたように薄板の次の加工品にすぎないものですから、次の人が次次にやってきておるわけであります。最初私の会社と東洋製罐であったものが日本鋼管もやっておりますし、川崎製鉄も始めておりますし、だれでもできるということでございまして、新規参入が盛んに行われて、公正な競争が行われておるという意味におきまして――また、代替品がティンフリーのようなものにできますし、食かんの分野にはアルミかんが進出しておるというようなことでございまして――ブリキの場合には、雑かんといいますか、油を入れたりというようないろいろなこともございますけれども、食かんに限っておりませんけれども、食かんの分野にアルミが進出することも御承知のとおりであります。  私どもあれこれ考えまして、基本的にブリキを問題にする感覚がどうもわからぬという感じも基本に持ちながら、仮にブリキということを考えましても、競争品種を当然に考えるべきでありましょうし、また、新規参入が盛んに行われたという実績そのものを当然に考慮すべきであろうと思いまするし、私ども、競争は自由に行われ、また競合品種が次々に進出しておるというような意味で、最後にお尋ねのございましたシェアそのものをそれほど意識していないといいますか、どうやっていいブリキをつくるのか、どうやって安いブリキをつくるのか、また、その代替としての用途に応じていいものをどうやってつくるのか、その成果がブリキの技術をいまや外国にも技術輸出するようになり、あるいはティンフリーを開発し、このティンフリーの技術もまた外国に輸出するようになっておる。製品のみならず技術輸出もやっておるということになった。これこそまさしく公正競争の姿といいますか、そう御理解いただきたいと思う次第でございます。
  19. 山崎拓

    ○山崎(拓)委員 最後に喜多山参考人に伺って林議員にバトンタッチいたします。  まず、第一点は、経営協議会というものがあるということでお話がございましたが、従業員サイドの意見がこの経営協議会を通じて会社の経営に十分反映されておるかどうかということが第一点。それから、たとえば今回旭硝子が構造要件を備えておる業種として、会社として指定されておりますが、いわゆるこの法案に書いてあるような弊害が発生しないように経営協議会を通じまして労組側の意見を十分反映させ、かつチェックできるかということが第二点。それから、ただいまお話の中にありましたように、この配慮規定の中で、「雇用されている者の生活の安定」という言葉があるけれども労働組合という言葉がないということでございましたが、企業分割に当たり、労働組合の意見を聞くかあるいは同意が必要であるというようにお考えかどうか、それが第三点。そして、第四点といたしまして、同意の条件は何かということ。  時間がございませんので、簡潔にお答えいただければ幸いでございます。
  20. 喜多山美雪

    ○喜多山参考人 それでは、第一点の経営協議会の内容につきまして御説明申し上げます。  経営協議会は四月と十一月の年二回開催されます。会社側委員は社長、専務、常務、部長、それから各事業所長の四十三名が会社側委員、組合側委員も四十三名出席しております。  なお、この経営協議会におきましては、会社の経理内容、それから販売政策はもちろん、会社の経営方針全般にわたりまして二日間にわたって説明を受けております。したがって、その会社の方針、経理内容の中で組合的に問題ありという場合におきましては、組合として当然御意見を申し上げ、その意見は当然ながら重要視し、会社の方としては意見を聞き入れて、それを運用するというふうになっております。  それから、弊害が起きた場合にそれが経営協議会で反映できるか否かということでございますが、現在まで私どもが経営協議会を通しまして会社側の説明を受けている限りにおきましては、寡占の弊害があったというふうに聞いておりません。また、そのような場合があった場合におきましては、当然労働組合としてチェックしていくつもりでございます。  ちなみに、これは別問題でございますけれども、政府の方から先般水銀転換の問題がございましたが、この問題につきましても、労働組合として、経営協議会の場におきまして、五十三年三月に全面転換せよ、国の行政指導に従って企業も社会的責任を果たせということを申し上げました。当然ながら、この問題につきましては、五十三年三月に全面転換を実施すべく、残されている問題につきまして現在鋭意努力しております。  それから、企業分割に当たっての労働組合の意見を聞くのか、同意が必要かということでございますが、先ほど申し上げましたように、企業分割の導入については基本的には反対でございます。しかしながら、どうしても導入せざるを得ないということでございましたらば労働組合の同意を必要とするというふうにお答え申し上げます。  最終的にこの企業分割に当たりまして、組合員の雇用と労働条件が将来的に保証されるということが確約されるならば、その時点におきまして、本問題につきましてはまた組合として前向きに取り組んでいきたい、かように考えております。
  21. 野呂恭一

    ○野呂委員長 林義郎君。
  22. 林義郎

    ○林(義)委員 参考人各位にはきょうはわざわざお越しいただきまして、貴重な御意見をいただきまして、心から御礼を申し上げます。  独禁法というのは経済憲法と言われておりますとおり、お話も大変に哲学的な話からいろいろと御意見がありまして、私も非常に注意深くお話を聞いておりました。  私は、まず委員長にお尋ねをしたいのですが、本日の委員会の日程についてであります。  きょうは参考人に来ていただいてこれだけ貴重な御意見を聞きました。参考人を呼んで聞くということは、当然、これを委員会の審議に反映させるということだろうと思うのであります。ところが、新聞を読みますと、何か、きょうにはもう話し合いがまとまったから修正可決をするのだというようなことが出ておりますが、きょうの委員会の御予定はどういうことになっておるのでございましょうか。参考人がお帰りになっていただいてそれからすぐにというような話では、いかにも参考人に対する礼を失することになると私は思いますけれども、委員長の御見解を賜りたい。
  23. 野呂恭一

    ○野呂委員長 お答えいたします。  委員会の運営は、慣例によりまして、理事会を開いて協議の上進めてまいっておりますことは林委員御承知のとおりであります。  したがって、本日は参考人に対する意見聴取の日程どおり進めておりますので、御了承願います。
  24. 林義郎

    ○林(義)委員 そういたしますと、もう一つくどく申し上げますが、けさ理事会をお開きになったのだろうと思うのでありますが、けさの理事会では、きょうは参考人を呼んで、その後のことについては改めて理事会で御相談をされるということでございますか。
  25. 野呂恭一

    ○野呂委員長 そうでございます。
  26. 林義郎

    ○林(義)委員 先ほどの私の趣旨に照らしまして、十分に理事会に反映されるよう委員長にお願いしておきます。  時間が余りございませんので、本当は一人一人お尋ねをしたらいいのですが、私はまとめて御質問を申し上げたいと思います。  まず、徳永参考人にお願いをしたいのでございますが、いろいろと基本的な議論がございますが、御発言の中で利潤率のお話がございました。利潤率につきましては、政府の方では自己資本利益率をもって充てようというのを政令で考えている。条文的に申しますと、「第二条第六項の次に次の二項を加える。」というところで、その三号に、「当該事業者の属する政令で定める業種における標準的な政令で定める種類の利益率を著しく超える率の利益」と書いてあります。ここでの「当該事業者の属する政令で定める業種」というのは一般製造業というような形になっておりますし、それから「政令で定める種類の利益率」というのは自己資本利益率ということになっておる。これはこの前の国会でこの「独占的状態」が議論されたときにそうなっておったわけでありますが、これといまの徳永参考人の御意見は売上高利益率を使った方がいいのだというようなお話がございましたが、この辺について何か御意見があれば聞かせていただきたい。     〔委員長退席、中島(源)委員長代理着     席〕  第二点は、これも新日鉄の副社長でございますから関連ということでお尋ねをいたしますが、ブリキというのが九業種の中に挙がっております。ブリキにつきまして、売上高利益率なり自己資本利益率などというものがブリキだけを取り離して果たして算定可能であるかどうかということを徳永参考人にお尋ねいたしたいと思います。  それから、佐治参考人にお尋ねいたしますが、イノベーションの問題があるというふうなお話でございまして、私もこれは大変やっていかなければならないことだと思いますが、実は、独禁法の中には、特許法、実用新案法、著作権法その他に基づいてする行為については独占禁止法の規定を適用しないということが書いてあります。そして、今回の「独占的状態」につきましてもそういったものについては行わないという話でございますが、実は、イノベーションというのはもう少しお話は広いようでございますが、佐治参考人が考えておられますところのイノベーションというのは単に特許権に基づいてするところの行為なのか。あるいはお話がありましたのは、流通経路別であるとか、ブレンドの方法であるとかいろいろなものがありますから、そういったものは特許権であるとか実用新案法には基づかない行為だろうと思いますが、そういった点をもう少し具体的に、何か例を挙げて御説明いただけないだろうかということでございます。  それから、國井参考人にお尋ねいたしますが、一般管理費及び販売費というものについて御説明がいろいろありました。フイルム業界を見ますと、日本では富士写真フィルム及びサクラの小西六でありますが、いずれもフイルムと同時に写真機も製造販売をしておられると思います。そうした場合に、一般管理費なり販売費というものが、フィルムに充てられたものとそれから写真機に充てられたものとはおのずから違うんだろうと思いますが、その辺の区別というものが会社として――または調査してやったならば一体調べられるだろうかどうだろうか、こういった点をお尋ねをいたします。  それから、喜多山参考人でございますが、労働組合の同意を受けることを明確化するというふうなお話でございました。実は、この辺もこの前国会で私はいろいろ議論をしたわけでございますが、法律論だけで申しますと、同意ではなくて、労働者の状態を「配慮しなければならない。」という規定がある。配慮した結果、営業の一部譲渡を一方的に政府が命ずるという規定になっておるわけです。決して労働組合との同意ということではないわけですね。  そういたしますと、日本の企業の中では終身雇用制というものが大体貫徹しておりまして、先ほど、生産性向上は労使一体となって協議会をつくってやるというふうな話でありますけれども、そういった命令がもし出たときには、その労働者の諸君は、たとえば旭硝子で申しますと、ガラス業界ですから、あと残っておりますのは日本板硝子であり、セントラル硝子だと思うのですが、新会社をつくってそこでやるというのは企業規模からしてとてもできない話だろうと思うのです。そうしますと、その二社の方に行ってくれというということにしかならないだろうと思うのですが、会社のいろいろなこういったことを、独占状態をやっておるからという理由で労働者の諸君が引き受けられるだろうかどうだろうか、現実問題としてそういったことが一体やれるものだろうかどうだろうか、この辺につきましてそれぞれ御答弁をいただきたいと思います。  私の与えられた時間が三十分まででございますので、恐縮でございますが、御答弁はできるだけ簡潔にお願いをしていただきたいと思います。
  27. 中島源太郎

    ○中島(源)委員長代理 参考人に申し上げます。  林委員の持ち時間は十二時三十分まででございますので、まことに失礼でございますが、簡潔にお答えをいただきたいと思います。
  28. 徳永久次

    ○徳永参考人 ただいまのお尋ねは、自己資本比率、利益率といいますか、そういうことで、ブリキのようなものをどう計算ができるのかというお話でございますが、私も直接経理は担当しておりませんけれども、どうやって計算するのか、会社の企業経理担当者も全く当惑すると思います。原価計算を品種別につくる作業もやっていないわけじゃございませんが、しかし、それはきわめて仮説の多い、仮定の非常に多い作業でなされるものでございます。ことに、自己資本に対する利益率、自己資本をブリキにどう割り掛けるのかなんということは仮説の仮説の積み重ねでしか出しようのないことだろうと思います。それよりも何よりも、いま鉄鋼界は、自己資本利益率にしましても、売り上げ利益率にしましても、大変な利幅の薄い業界であることは御承知のとおりでございます。  なお、私が売上高利益率と申し上げましたものは、自己資本というのは、仕事のスケールと自己資本との関係は必ずしも相関していないという関係がございますので、消費者の立場から考えまして、どれだけもうけておるかもうけていないかという場合には、売上高に対して幾らもうけておるかもうけていないかということの方がわかりやすいのじゃなかろうかというようなことで先ほど申し上げたわけでございます。
  29. 佐治敬三

    ○佐治参考人 御質問の御趣旨は、イノベーションにはいろいろな種類のイノベーションがあるんじゃないかということと、それから特許その他は法令上除外といいますか、例外として取り扱う、独占の場合の例外として取り扱うということについての考えと、こういうぐあいなふうに考えております。  イノベーションに関しましては、いわゆる新しい技術の創成と申しますか、そういったものももちろん大変大きな分野を占めておると思いますけれども、同時に、また、最近の消費者の消費者行動が、いわゆる価値観の多様化という言葉に表現されておりますとおりきわめて複雑多岐にわたっておりまして、そうした方々の従来なかった新しいニーズにこたえるということもまた企業にとりましての大変大きなイノベーションでございます。  たとえばウイスキーで申しますと、最近発売をいたしました二級ウイスキー及び一級ウイスキーにおけるジャンボボトルなどは、消費者の現在の節約ムードと申しますか、そういったものに対するニーズを埋めるためのものでございます。あるいはまたワインを小さな、ハンディなボトルに入れまして発売をいたしておりますデリカタイプというものも、これまたワインが特にニューファミリーの御家庭の中に大きなニーズを持っておるということにこたえようとする意味での新製品でありまして、そういったものも広く技術革新と並んでやはりイノベーションとお考えをいただかなければならぬのではないかというぐあいに考えるのであります。  それから、特許、実用新案あるいは著作権等と並んで大変重要になってまいっておりますのはいわゆるノーハウであります。これは必ずしもすべてが特許によって保護されるというわけにはいかない場合がある。このノーハウをどうして特許と並んで御勘案をいただけなかったのか、大変理解に苦しむところでございますが、私どものウイスキーに関しましては、このノーハウに相当いたしますのがブレンド技術であります。ブレンディングというのは、いろいろな原酒をまぜ合わせましてサントリーオールドならオールドという商品をつくり上げていくという技術で、イギリスでもそれぞれの会社がそれぞれに養成をいたしてまいりましたチーフブレンダーというのがおりまして、そのチーフブレンダーは大抵の場合社長よりも月給が高いということでございます。サントリーにおきましては私自身が父から引き継ぎましてこのブレンダーの仕事を勤めておりまして、私一人がサントリーウイスキーの全品質に対して責任を持つ立場にございます。したがいまして、もしサントリーを分割しようという場合には私の体を二つに裂いていただく以外には方法がなかろうかというぐあいに考えるのでございます。
  30. 國井眞

    ○國井参考人 先ほどの御質問でございますが、写真業界においてフィルムとそれから写真機と両方やっておるが、その間で一般管理費と販売費を明確に区分することができるかという御質問と思います。  御承知のように、私ども一社全体としましてフィルムもやり写真機もやっており、この場合に必要とされます一般管理費あるいは販売費というものはそれぞれ共通のものも多々含んでおります。それから、中には特有のものもある。こういう状況のもとで営業をし、事業を行っておるのが実情でございます。したがって、お話しのようにこれを明確に区分することができるかと申されますと、本当に仮定の仮定を立ててやれば別といたしまして、正しい姿で、その真実の割り振りは一体どうだというものはほとんど不可能であるというふうに考えております。
  31. 喜多山美雪

    ○喜多山参考人 企業分割されまして競争会社へ転属する組合員がいるかいないかという問題かと思いますけれども、組合員は一生を託せる企業としまして旭社を選択しております。したがって、現在旭社の社員として、また組合員として誇りを持って仕事をしております。先ほど申し上げましたように、約千二百名からの組合員がみずからの郷里を離れて関東なり関西の方面に転勤をしているという実態から見ましても、旭社の中で自分の生涯を全うしたいという気持ちから旭社で働いているわけでございます。したがって、競争会社である企業の方に転属して働くというような組合員がいるというふうに私は現在とらえておりません。
  32. 中島源太郎

    ○中島(源)委員長代理 佐野進君。
  33. 佐野進

    ○佐野(進)委員 私は、いままで参考人各位の御意見を聞いていながら強く感じたことは、今度の改正案に対してちょっと神経過敏におなりになり過ぎているのではないかというような印象を実は強くいたしておるわけであります。きょうは、われわれ理事会といたしましても、主として関係業界の皆さん方に来ていただいて真の声を聞く必要があるではないかという配慮に基づきまして、ほとんど反対の立場に立たれている方々を想定いたして御出席を願っておるわけでございますから、必然的にそうなることはやむを得ないと思うのでございますが、私どもがこの法律を審議するに際して、政府提出の法案の提案説明中においても、「今後の我が国経済の一層の発展を図るためには、情勢の変化に適応し、国民の理解の得られるルールを確立して、公正かつ自由な競争を促進し、自由経済に新しい活力を与えることが必要となったのであります。」と言われております。こういう背景のもとにこの法案が出されておるのだと言って政府は提案しております。  私どもは、この提案が不満だということで、五党修正案をそのまま現在の野党四党で提案をして、対案として出しておりますが、その中でも、「私どもは、今日の経済不況や今後の低成長経済下において、企業の市場制限的行為の増大が予想されることにかんがみ、公正かつ自由な競争を促進することが必要不可欠な要請であると考えております。」というように書いておるわけでございまして、私どもが独占禁止法の改正案を審議する立場は、まさにこれからの日本経済の状況に即応した形の中で、自由かつ公正なる競争を図るために何が必要であるか、その必要な条件は一体どう確保したらいいのかというような角度から審議をいたしておるわけでございます。  そういう意味合いにおきまして、ただいままでの参考人各位の御説明を聞いておりますと、言葉が適切かどうかわかりませんが、何か、非常に被害妄想におかかりになっておられるのじゃないかというような気がするわけでございまして、まず、その点について御質問をしてみたいと思いますが、これは特に関係のある徳永参考人、佐治参考人、さらに國井参考人にお聞きしてみたいと思います。  企業分割の問題でございますが、この問題につきましては、本法律案の改正における最大の問題であることは皆さん方も言われておるところであります。ただ、私どもは、これが不満であるということで、四十五条の二項の追加規定を削除すべきであるのではないかという主張をいたしておるわけでございますが、それに対して公正取引委員長は、この企業分割は構造規制ではない、活力、競争力を重視し、運用には柔軟姿勢を持ち、秘密には過剰介入はしない、さらにはまた、企業分割規定が発動されるためには弊害発生が条件である、抵触業種はいまはないと、このように名言をし、かつ、この委員会のわれわれの質疑に対しましてもそれと同趣旨の答弁を繰り返しておるわけであります。  そういうような条件の中でいままで審議を続けておるわけでありますが、徳永参考人は先ほど来非常に強い立場に立たれた反対の意見を申し述べられておるのでございまして、慎重かつ具体的現状に照らし合わせて審議をしてくれという御要望でございます。私どもも賛成であります。しかし、この問題は三年ほど前にすでに問題として提起せられ、私どもは二年前、いや、政府草案ができる時期からいたしますれば二年半にわたって慎重の上にも慎重な審議を重ね、政府案を含めますと、公取試案から発生いたしましてもうこれが五回目、正確には四回目という形になるわけでございますけれども、それぞれの段階を経て慎重の上にも慎重な配慮を重ね、しかも、不満足であるけれどもこの程度のことは先ほど申し上げた目標に合致したものとしてやむを得ないのではないかという判断に立っておるわけであります。  徳永参考人の御見解は、私どもにとっていささか感情的とも思われるような見解が先ほどあったわけでございますので、その点について、時間がございませんから簡単に御所見を述べていただきたいと思います。
  34. 徳永久次

    ○徳永参考人 公取試案が出ましてから数年たったことは私どもも十分承知いたしております。しかし、この案については、日本の産業経済の実体をどこでだれがどの程度調べたのかということについては、私どもはそれは非常になされていないということを申し上げたいわけであります。最初に試案が出ましたときからも、実態を踏まえないで、言うなれば低成長になったら競争がなくなるであろうとか、それから寡占の弊害が起こるであろうというような仮説に基づいてつくられておる。それを私ども日本の産業界は非常に不満とするわけでございます。  先ほど幾つかの例を申し上げましたけれども、たとえば寡占になって、日本の産業が自動車のようにますます厳しい競争をやっておるというのが現実の姿でございます。佐治さんその他から申し上げましたように、寡占と指定されているような業種というのは、いわば日本の模範的な企業ではないのかという気すらいたしておるわけでございます。それが悪いことをしそうだという扱いは、それだけの裏づけがどこにおありなんでしょうかということが私どもの非常に不満とするところでございます。
  35. 佐野進

    ○佐野(進)委員 いまここで議論しようとは思いませんから私は御意見として承っておくわけでございますが、私どもの考え方から申し述べますならば、このような問題がどこから出てきたか全然わからないという御判断は、徳永さんともあろうお方の御見解としてはちょっと伺えないような気がするわけです。少なくとも数年にわたってわが国の知能を集めた形の中で、各省庁政府の各機関が真剣にこの問題を討議し、通産当局といえども反対の見解はあるとしても、その形の中において積極的に対応してこられたことは事実であり、今日の段階の中においては、この法案を出すことについて賛成する立場に立っておるわけであります。閣法として提案をされておるわけであります。したがって、あなたもそれぞれの関係については熟知せられておられると思うのでございますが、いまのように突然としてとか、あるいは背景も何もなくというようなことではない。当時の日本経済の状況、今日の経済の実体に合わせて出されておるものだと思うわけであります。  そこで、佐治参考人と國井参考人にお尋ねをいたしますが、それでは先ほど来皆さん方がおっしゃられたことをすべてないものとして、前提条件、いわゆる手続、取り扱い、協議だとか意見だとか、そういうものを全然なくした場合、裸にした状況の中でこの法律が通った場合、これは非常に大きな枠があるわけですから、これではこの法律は、法律として条項はできても発効できないのではないかと私どもは思っておるのです。しかし、それはそうであっても、その思うことは別にして、裸になった場合、たとえばサントリーの会社ではどの程度の企業分割を、いわゆる営業の一部譲渡を行わなければならない実態であるか、富士写真フイルムはどの程度の実態であるのか、この際すべての前提を離れて、現実の姿としてお述べをいただきたい。簡単で結構です。
  36. 佐治敬三

    ○佐治参考人 ちょっと御質問の御趣旨がよくわかりませんが、すべての条件をゼロにするというのは、事前協議あるいは同意といった面でございましょうか。
  37. 佐野進

    ○佐野(進)委員 企業の独占状態という定義とか、その他いろいろなことはなくて、ただ営業権の一部譲渡をこの状況になったらやるんだぞといわれる状態の中で、もしおたくの会社にそれを当てはめられた場合どの程度――公正取引委員長は直ちにそれが発生する抵触業種はいまはない、しかし、ガイドラインでは九業種だと、このように言われておるわけですが、サントリーの場合はどの程度になるのか……。
  38. 佐治敬三

    ○佐治参考人 市場占拠率だけを前提にしてというお話でごさいましょうか。――市場占拠率だけから見ますと、しかし、これは先ほど来申し上げておりますとおり、事業分野というものをどう考えるかということによって大きく変わってまいりますので、事業分野を私どもがお願い申し上げておりますしょうちゅうを含めた蒸留酒全般を分母といたします限り、サントリーも分割の対象にはなりません。
  39. 國井眞

    ○國井参考人 ただいまの御質問の趣旨が、一定の構造要件としてのシェアの点で、いわゆる形の上だけでかかるのかどうかという御質問でございますれば、私ども、写真フィルムというものをとりましたときに、まさに言われておる一社で五〇以上、二社で七五というものに相当することは間違いございません。しかし、巷間言われておりますような、たとえば個人用のフィルムというものは何%であるかというようなことは、公取が言っておりますガイドラインの写真フィルムという範疇とははるかに狭いものでございまして、これが非常に混同されて議論をされておるという状況はございます。しかしながら、構造的なシェアということで分割の対象になるということはるる述べましたようにまことに反対であるということと、それから、公取の委員長が、まずさしあたり該当するものはないんだとおっしゃっておりますが、さしあたりないという言葉を使っておられますだけで、永久に絶対にないということは申しておられません。  大変失礼な申し条かもしれませんが、現在の公取委員長が永久におやりになるわけでもございませんし、法律は、できますと形の上できちっと決まったものを運用していくわけでございますから、どういうふうな運用をされるか、これはもう私ども非常な危惧を持つのは当然であろうかと考えます。
  40. 佐野進

    ○佐野(進)委員 私も、いまの國井参考人のお答えとそれから佐治参考人のお答えで、特に國井参考人のお答えが適切な表現ではないかと思うわけであります。この法律がいま通ったという段階の中において当該する危惧はないとしても、将来その危惧が現実のものとしてあらわれてくる可能性があるという点を大変心配しているんじゃないかなというようなことを私どもは審議をする経過の中で感じておったわけであります。  そこで、そういうような感じを持って、皆さん方もこの法律についてはその成立に非常に心配をいたしておるわけでございますが、しかし、ここでまたもう一つ問題点になることは、経済の、公正にして自由なる企業活動を行わせるためにこの法律が現状においても必要だということで私どもは審議しているわけですが、皆さん方はそうではなくて、この法律が通ると、その行為を阻害する要件として働くのだというぐあいに御判断なされておるようでございますけれども、そういたしますと、こういうような独禁法の改正問題を引き起こした当時の社会環境におけるところの当時の企業家としての皆さんの責任と、そして、低成長下における今日なおかつ引き続きこの問題が重大なる政治の課題として俎上に上って論議されていることに対して、企業の経営者として何らかお感じになることがございませんか。  これは反省というと言葉は強いと思うのでございますが、先ほどアメリカのお話もございましたけれども、それぞれの国のそれぞれの状態に適応して独禁政策というものが強化されつつある現状の中で、わが国も必然的にそれと合致する意味において強化すべき条件にあると言われておるわけでございますが、その強化すべき条件をつくり出すために果たしてきた企業家の責任ということについてどうお感じになられるか、これは徳永さんで結構でございますがお伺いいたしたい。
  41. 徳永久次

    ○徳永参考人 先ほど私の冒頭の意見陳述で申し上げましたけれども、私の新日鉄株式会社は、オイルショック直後今日まで、またそれ以前からでもありましたけれども、どうやって国の政策に協力するかということを一生懸命考えてきたつもりでございまして、オイルショック直後の混乱の原因の種をまいた覚えは身にないつもりでございます。そういうことをぜひ御理解いただきたいということと、それから、繰り返すようでございますけれども、日本の産業の実体というのはむしろ過当競争が実態でございまして、そのゆえにこそ先ほど申し上げましたようにいろいろな問題がいま起こっておるわけでございます。より多くもうけるカルテルもできたこともございません。また、寡占になったから寡占になった地位を利用して消費者の利益を害するようなことをした企業は存在しないというのが日本の現実じゃないのかと思います。存在しないのにかかわらず存在するかのごとき仮説を立てる人がある。外国の本にはそういうことは書いてございます。また、外国ではそういう事例がございます。アメリカの独禁法はそういうことから生まれました。  しかし、日本には日本の風土があるといいますか、実体が根本的に違うんだということ、そこの御認識が十分にいっていない。そこのギャップであろうとも思いますし、先ほど申し上げましたことが感情的と申されますのは、ほかの方にお聞きになればわかりますけれども、みんなそれなりに日本の経済のために努力してきた、むしろ模範生と思っておるものをつかまえておまえは悪いことをする、そうだからな、というような扱いというのはいかがなものでしょうかということをみんなひとしく感じておるということでございます。
  42. 佐野進

    ○佐野(進)委員 悪いことをするという認識、先ほど、冒頭、そういう認識が非常に強かったものだから、私は特に政府提案とわれわれの共同提案の内容の一部をお読みして御参考に供したわけです。悪いことをするというような感じではなくて、日本経済をどうやって発展させていくのかというところに、お互いにこうやって真剣に何年もかかって討議していることがあると思うのです。  むしろ、参考人各位の方で、この審議をしていること自体が何か悪いことのようなお受けとめ方をされているような気が私の方はするのですね。これは議論するつもりはございませんよ。しかし、あなた方も、少なくともこういう国会の場所において、あるいは政府や各機関の中において審議をしなければならないという状況の中に置いた原因の一つに、当時の、そして今日においてもなお企業活動家として反省を――反省と言うとちょっと言葉が過ぎるかと思いましたけれども、何か考えることがないかと申し上げたのですが、そうするとあなたの御答弁では全然考えることはないと受けとめてよろしいわけですね。
  43. 徳永久次

    ○徳永参考人 産業界も広うございますから、オイルショック直後に幾つかの過ちを犯した者がいないとは申し上げません。しかし、それが全般として言えることであるのでしょうか、例外と原則なんでしょうかということと、このいま論じられております発想というのが、先ほど申し上げましたように、オイルショック直後の混乱、不安、動揺の中に生まれた一つの考え方ということで、日本の産業実体、経済実体、日本の繁栄のもとはどこであったかというような姿というものを冷静に踏まえたらこんな意見は出てこないんじゃないだろうかというのが私ども産業人の感じであるわけでございます。
  44. 佐野進

    ○佐野(進)委員 一部の企業家の思い上がった独善的な考え方が一種の経済的な危機を招く条件になるということも、これはいずれの国においても同様だと思うのです。  佐治参考人にお尋ねいたしますが、きょうもいまここで参考人の意見陳述を聞きながら、あなたのところの製品を愛用をしているグループが大変多いので、体を大変こわしている――いや、こわすということじゃなくて大変飲ましていただいているという話で、きょう参考人としてお呼びしてお話を聞く形の中で実は親しみを持ちながら――これは酒の方にですよ。そして御質問を続けておるわけでございますけれども、サントリーがその歴史的な経過の中で大変御苦労なさって今日国民の相当大きなシェアを占める愛用の酒になっていることは事実でございますけれども、その中で、あなたの見解というものはいまの徳永参考人の見解とは立場におけるニュアンスが若干違うわけでございますけれども、私の質問した件について、社会的な責任という形については企業家としてどう御判断なされているか。この審議をしているという形の中において、その御判断をお示しいただきたい。
  45. 佐治敬三

    ○佐治参考人 大変御愛飲をちょうだいいたしておりますことをありがたく思うわけでございますが、企業としての責任については、これは非常に広い範囲に及ぶと思います。企業が大きくなればなるほど、その影響するところといいますか、影響力といいますか、そういったものも大きいことは否めない事実でございますので、そういった意味で、私ども、社内におきましても、社会的な責任を十二分に自覚するような経営努力を常に続けてまいっておるつもりでございます。  先ほどの、オイルショック以後における私どもの企業ビヘービアと申しますか、それに関しましても、先ほどもちょっと御説明申し上げましたとおり、ウイスキー類の値上がり幅は、四十五年を基準としてわずかに一六%にしかすぎない。この一事によりましても私どもの意のあるところをおくみ取り願えるのではなかろうかというぐあいに考えております。  全般としての御立論に関しましては、確かに、不況あるいは低成長下にありましても、自由、公正な競争をさらに促進するということはぜひとも必要であり、それによって今後の困難な先行きが予想される日本経済が本当に活力のある発展を遂げ得るのではなかろうかと私は考えておりますが、ただ、その対策として企業分割をお取り上げになったということにつきましては、こういう言葉はどうかと思いますけれども、私ども九業種は一種のスケープゴートに擬せられておるという感じをどうしても否めないのであります。  先ほども徳永参考人から御意見がございましたけれども、また、私も意見陳述の中で申し上げさせていただいたわけでありますが、九業種それぞれがそれぞれに社会的な責任を自覚しながら消費者の皆様方の御支持、御理解を得るという形で、それを一つの私どもにとりましての目標、指標といたしまして創業以来努力をしてまいったものばかりでございまして、そういったものがこの自由社会の中で生き延び、発展をしてきたということは、その業界あるいは日本の企業全体、企業社会全体を見ましても、自由競争の精神といいますか、そういったものがいかに厳しくわれわれを律しておるかということの証左にも相なろうかというぐあいに考えております。  以上のとおりでございます。
  46. 佐野進

    ○佐野(進)委員 それでは、町田参考人にお尋ねをしたいと思うのでございますが、また先ほどと同じような質問になるのですが、この法律案が最初に公取試案、政府素案として討議された際、いわゆる商社論というものがわが国の経済を取り巻く情勢の中で大変重要な問題として論議されておったことは御承知のとおりでございます。その中からこの原案が出てきておるわけでありますが、たとえばおたくの会社の場合、先ほど来株式保有制限の問題についてお述べになっておられましたのでお尋ねしたいと思うのでございますが、この法律が通過いたしましたと仮定いたします。そういたしますと、どの程度この持ち株制度に該当するようにおなりになる状況であるか、そして、そのことの持つ影響をどう御判断なされておられるか、この二点についてこの際お伺いいたしたい。
  47. 町田榮次郎

    ○町田参考人 御質問についてお答えいたします。  除外規定の中身がはっきりいたしませんので非常に大ざっぱなお話になって恐縮ですが、私の方の例によりますと、この法律が施行されますと基準額を大方約五百六十億くらい超過するかと思います。そしてこれは非常に弾力的に配慮されまして、十年間にこれを解消しろという御指示でございますので、それは十年間にできるだけ市場を混乱させずに、また、御相手先の会社にも御迷惑をかけない形でどうやってこれを処分していくかという配慮をしなければならないかと思います。  ただ、先ほど来申し上げておりますように、その中には非上場株という項目もございます。それから、いわゆる一種の駆け込み防止という御配慮から、恐らく、五十一年度末の保有高とこの法施行日の間の保有高の差額というものは、これは一年間で処分をしなければならない。これが現実にどのくらいの数字になるかということは、施行日が明らかになりませんのでまだ数字はわかりませんが、これがまた相当額になるのではないかと思います。しかも、これを一年間で今度はやらなければならないということになりますと、この面から出るものについて、われわれも実行する場合に相当配慮はいたしますが、しかし、限られておりますのでその点非常に心配しておる、こういうことでございます。
  48. 佐野進

    ○佐野(進)委員 時間がなくなりつつありますので、最後に喜多山参考人にお尋ねをしたいと思うわけです。  労働組合の立場から先ほど来意見をいろいろ申し述べておられるわけですが、私どもも労働者の権利を守ることは何ら――何らどころか、それは大変大切なことだと思っておるわけでございます。ただ、あなたの御見解を先ほど来お聞きをしておりますと、企業分割というものが、この法律が通ると旭硝子の場合はまさに直ちに適用され、その適用される段階の中でどうするのかというような御心配がおありになるようでありますが、先ほど来の國井参考人や佐治参考人のお話の状況も、旭硝子も恐らく同じような条件であろうかと思うわけであります。  したがって、私がここであなたに質問したいことは、企業分割の問題はその見解としてお聞きいたしておきますが、この改正案全体に対しましては、その問題を除外しては恐らく賛成だろうと私は思うのでございますが、その点はいかがでございましょうか。
  49. 喜多山美雪

    ○喜多山参考人 きのう参考資料をいただきまして読まさせていただいたわけでございますが、組合といたしまして一番問題になりますのはやはり企業分割の問題でありまして、その他の項につきましては若干問題のある項はあろうかと思いますけれども、企業が非常に行儀が悪くなった、そのために法的に規制をするようなことも考えなくちゃいかぬというようなことについてはある意味においてはまた理解できるところもございますので、組合としては、将来的に労働者の雇用なり労働条件なりをどのように考えていくかということにつきましては、企業分割の項が一番重要でございますので、その件について御意見を申し上げた次第でございます。
  50. 佐野進

    ○佐野(進)委員 先ほど来各参考人に対して質問をしてまいりましたが、冒頭に申し上げましたとおり、私どもは、この法律を審議する際、政府案と野党共同提出案の二つの審議がありました。その中における目標につきましては先ほど私の方から具体的に述べたわけでありますが、皆さんは、何か、野党は敵で与党は味方であるというふうにお考えなのではないか。先ほどのように、われわれはいいんであるけれども公取にこういう権力を与えたんじゃ大変なことだ、実体のないところ――これは少し言い過ぎかどうかわかりませんが、そうでなく、お互いに議論しながら、大企業は大企業としての責任を果たす中で、日本経済の発展、国民生活の向上のためにその役割りを果たされ、労働者は労働者としてまたその立場に立ってそれぞれの役割りを果たしつつ日本経済の発展のために役立ってきたと思うのであります。そして、低成長下に入りつつある今日の日本経済の中で、お互いにそれぞれの持ち分というか持つ力を出し合いながら、お互いにまたそれぞれの秩序を守りながら経済の発展のために努力をするということは絶対不可欠の要件であると思うわけです。  私が先ほど来質問申し上げたのはそういう意味でございますので、この法案の審議については、先ほども御心配の話がございましたけれども、われわれはこれから理事会を開いて法案の取り扱いをいたしますので、皆様の御意見は御意見として十分参考にさせていただきますが、同時に、また、皆さん方もそれぞれ視野を広げた形の中で対応していただくことを、これまた要望いたしまして私の質問を終わります。  御苦労さまでした。
  51. 中島源太郎

    ○中島(源)委員長代理 板川正吾君。
  52. 板川正吾

    ○板川委員 参考人にお伺いをいたします。  時間が三十分ですから、どうぞがまんをしていただきたいと思います。  まず、徳永さんに伺いますが、徳永参考人がるる反対意見を開陳されましたが、その意見の中から私が感ずることは、結局財界なり産業界というのが殿様で、中小企業は家来で、国民は百姓か町民で、今日の生活ができることは殿様のおかげではないか、感謝こそすれ文句を言う筋合いはないじゃないか、と、こんなふうに実は私には受け取れておるのであります。このいわば古い思想というものが独禁法を理解しない根底にあるものじゃないだろうかということが、失礼ですが私には感じられました。  そこで、お伺いをいたしますが、これは経済のことじゃないのですが、独裁政治というものに対して徳永さんはどういうような考え方を持っておられますか。独裁政治というものをいまの社会で果たしていいとお思いになるでしょうか、それとも好ましくないと思うでしょうか。
  53. 徳永久次

    ○徳永参考人 最初にお話がございました私の説明の仕方について、大企業だけが云々というようなことでございますが、私どもの事業につきましても、いわゆる協力会社と申しまして、私どもの直接の雇用者とほぼ同数の方々に一緒に働いてもらって一緒に成果を上げておる会社があるということでございまして、それらの方々は言うなれば中小企業であろうかと思います。中小企業を助けること――助けると言うと変でございますが、資本力とか技術力では親元でありますわれわれの方がすぐれた人材を持っておると言うことができますし、信用力ではそう言うことができますし、そして一緒に成果を上げることしか考えたことはございませんので、大企業がよければ中小企業なんかどうでもいいというようなことは考えたこともございませんが、そういう印象を与えたとすればはなはだ私の不徳のいたすところとして御理解いただきたいと思います。  なお、最後に、独裁をどう思うかというお話でございますが、私ども直接住んだことはございませんけれども、いろいろな形で、商売、仕事の関係で触れる面がございますが、独裁国家というのは、言うなれば、あれで能率が上がるはずがない、したがって結果として国民が本当に幸せになるはずがないなというのが素朴な印象であることを申し上げておきます。
  54. 板川正吾

    ○板川委員 独裁者が独裁的な地位を占めるまでは、やはり非常に優秀な頭脳を持っており、また、それに実力と決断力を持っておる。そして幾多の競争なり闘いなりに勝ち抜いて覇権を握るわけですね。この覇権を握った者が、おれはいままで粒々辛苦して闘って勝ち抜いて今日の地位を仕上げたんだ、なぜこれが悪いんだという論理、これが実は独裁者の論理なんですよ。独裁というのは、無能な者が独裁的地位を占めるのじゃないのです。それぞれ優秀で、行動力、決断力があって、競争に打ちかってこそ独裁的地位を占めるのでありますね。しかし、そういう者でも、独裁政治体制というものを長い間とるとやはり政治形態としてはまずいということから、新しい憲法で、御承知のように主権在民の民主主義国というふうになったのだろうと思うのです。  回りくどいのですが、独占禁止法という法律も経済の独裁者をある程度チェックしようという精神で生まれていることを理解してもらいたいと思うのですね。先ほど徳永参考人は、公取は経済を知らない、また知ろうとしないとおっしゃいますが、財界、産業界の皆さんも独禁法の立法の趣旨なり精神なりというものを余りにも理解しないし、理解しようとしない。ここに問題があるのだろうと私は思うのですね。たとえばエッソとモービルですか、こういうアメリカ系の会社では、社員の一人一人に独占禁止法を守りなさい、もし上司が独占禁止法に違反する命令を下したならばそれに従わなくてよろしいということを言って、社員に全部誓約をさせて入社させるということまでやって独禁法を守ろうとしている。ところが、日本の財界、産業界は、独禁法なんというあんなばかな法律があるものか、あんなものは守る必要はない、また知る必要はない、われわれは好きな自由な行動をやっていけばいいんだとお考えになっているような感じがいたしますが、この点はどうお考えですか。
  55. 徳永久次

    ○徳永参考人 いまの先生のお話は大変な誤解でございまして、私ども、独禁法と言われておりますが、中身は公正競争確保法だと思います。そういう意味で日本経済の繁栄のある力をなした法律であり、経済の基本法として大事な法律であるということは私ども重々承知もいたしておりますし、私どもの役員会でも、いささかも誤解を受けることのないようにということはしばしば議論されておりますし、また、きょう供にも連れてきておりますが、アメリカでの独禁法を留学して勉強してきた優秀なスタッフもそろえておるわけでございまして、独禁法の精神は十分理解しておるつもりでございます。
  56. 板川正吾

    ○板川委員 かつて公取事務局長をやっておりました坂根氏がおたくに顧問として入社しておるのですから、いま少し独禁法というものを理解してもらいたいと思います。  そこで、先ほどの意見の中で、独禁法を一時停止をして不況対策をしたらどうか、アメリカでもニューディール政策のときにそうやったじゃないかとおっしゃいましたが、アメリカでどういう結果が出たかおわかりですか。確かに、三三年に、ルーズベルト時代にこの独禁法の施行停止を一時いたしましたけれども、結局、経済が硬直化していかぬ、活力を失うということで、三五年にはまたそれをすぐやめたのですね。こういう結果も見ないで、アメリカが不況対策上独禁法を一時一九三三年にやめたから今度やめろでは、独禁法を一時停止して、不況対策をどうするのですか。全部カルテルを公認して、企業が自由な協定価格をどんどんつくってやるという、こういうような気持ちなんですか。この点はどうお考えになるのですか。
  57. 徳永久次

    ○徳永参考人 あそこで申し上げました趣旨のものは、いまの不況というものをどう御理解いただきますかによりますけれども、確かに構造的な問題を抱えた不況もございます。しかし、あの中で申し上げましたように、日本の過当競争体質がまざまざと出てまいりまして、そのために回復がどうにもつかないというケースがたくさんの産業にございます。私どもの関連しておりまする平電炉業界は数カ月かかりましてやっと答案が出てまいりましたが、その答案の骨子というのは、一部過剰設備の廃棄であり、一部合併等の集約であり、一部カルテルによる対策の必要性であるというようなことになっておるわけでありますが、これは業種業種によって違うと思います。  しかし、いまのようなマクロの景気対策だけでは赤字でどうにもならなくなっておる業界、しかも過当競争で困っておる業界について、個別の適切な処方せんをつくりましてそれを救うということが大事で、その方便の中には必ずカルテルを認めるということも出てまいるでありましょう。しかも、数量カルテルのみならず価格カルテルも必要であるというようなことが出てまいると思います。これは先ほど申し上げました平電炉業界に現実はそういう答案が出まして、いま政府が一生懸命答案の線に沿った基礎づくりをやっておりますけれども、事態は深刻でございまして、ぼろぼろとつぶれつつあるというような状況でございます。  そういう実態を考えて、日本経済が再浮揚するためには、オーバーに聞こえたかもしれませんが、独禁法を全部やめということを申し上げておるわけではございませんで、特定業種についてはそれぞれに必要な委員会等を設けて、適切な案をつくって、その適切な案についての実施に関する限りは一時独禁法を停止するくらいの気持ちでやらないと日本の経済はうまく再循環の過程に入らないんじゃないだろうかということをやや誇張して申し上げました。しかし、実態はそういうことであろうと考える次第でございます。
  58. 板川正吾

    ○板川委員 確かに、平電炉も非常に不況が続いております。繊維も、これまた非常な不況ですね。その不況の産業は、御承知のように独禁法二十四条には不況カルテルを認める制度がございます。ですから、独禁法を一時停止しなくても、独禁法の運用で、申請をし、それが実情が妥当だと見れば公取は許可するはずであります。だから、別にこれは独禁法を一時停止しなくたって、独禁法二十四条の不況カルテルの申請をして許可をもらえばいいんじゃないですか。  ただ、そういう不況だからといってあらゆる産業に無条件にカルテルを認めるということになれば、それは結局は消費者にしわ寄せになる。これは独禁法の目的に反しますよ。ですから、それは、独禁法を一時停止しなくても、独禁法の適用でできるんじゃないでしょうか。それを独禁法を一時適用停止して不況対策をしろ、アメリカでもやってきたじゃないかという論理は、いまの経済秩序というものに対して、産業界の代表としてはどうもちょっと理解が少ないじゃないかという感じが私はしますが、いかがですか。
  59. 徳永久次

    ○徳永参考人 私ども産業界におりまして、それぞれの産業はみんな苦しんでおると思いますが、しかし、私が申し上げましたような面に対する政府の出方、対策のとり方が遅過ぎるという感じを持っておるわけであります。平電炉業界も本当に行き詰まりかけて、やっと腰が上がってああいう審議会ができて答申が出たけれども、それに対応する手を打つまで業界がもたなくてぼろぼろとつぶれつつある業界、というのが現状であります。  それから、不況カルテルは認めるようになっておるからいいじゃないかというお話でございますけれども、不況カルテルだけで解決がつく業界もあると思いますが、解決がつかない業界がたくさんあると思います。いまの平電炉業界はすでにカルテルは認められております。カルテルは認められても値は下がっておるというのが過当競争の実態でございます。これはカルテルだけでは救われない、もっと直接的な、先ほど申し上げましたような総合的な対策がなければ救われないということを証明しておるのであります。ほかにたとえばアルミからアルミの二次産業も関係いたしておりますけれども、ほとんど同じような実態を示しております。  なお、繊維は先生方十分御存じだと思いますけれども、業種によって対策は違うだろうと思いますが、ほかのものと総合しながら対策が充実し、その一部としてのカルテルを認めるという体制、それはいままでのような三月しか認めぬとか一月しか認めぬというような小刻みではとうてい救われないと思います。  そういう面で、適切な立ち直りの総合的な設計を描いた、その一環としてカルテルの規定が運用されるということでなければうまくいかないだろうと思います。
  60. 板川正吾

    ○板川委員 確かに、この不況問題はカルテルをやってもなおかつだめだという場合もあるでしょう。しかし、それは独禁法を一時停止しろとか独禁法なんかやめてしまえという論理じゃないのですね。それはいわば独禁法の分野じゃないです。だから、それは、産業政策上通産省なりがどういうふうにそれをまた指導するかということになるんじゃないでしょうか。ただ、カルテルなんかがだれでも自由にできるようにしろ、そのために独禁法を一時停止しろという論理はおかしいし、平電炉のごとくカルテルを結んでもなおかつ値が下がっておるというようなところはどうにもならないということをもって独禁法を一時停止しろという根拠にはならないんじゃないでしょうか。それは産業政策上の問題であろうと思います。  次に入りますが、同調的値上げ問題について力を込めて説明がございました。同調的値上げは当然である、一物一価の原則ではないかということが結局主張の根本だったろうと思うのですが、確かに、一物一価の法則は経済の一つの法則であるかもしれません。御承知のような、経済が完全に自由競争が確保されておれば、競争状態にあれば一物一価の原則になるという経済の法則を言っておるのでありますが、しかしこれは一つの法則でありまして、すべてに適用されるものじゃないだろうと私は思うのですね。  この一物一価の法則、原則を主張できるのは、大企業は主張できましょう。先ほどるる説明されたような趣旨においてそれはありましょう。しかし、中企業、小企業の分野では実際一物一価なんというわけにはいかない。あくまでもこの一物一価の原則を通そうとすればカルテルを結んでいくほかはないということになるんじゃないでしょうか。少数な寡占企業の場合には、何も協定を結ばなくても一物一価の論理が通用いたします。しかし、多数の企業の場合には一物一価の原則は必ずしも通りません。こういうことになるんじゃないですか。  ですから、この一物一価の論理というのは大企業に都合のいい論理であって、これは流通社会にすべて通る原理ではないと私は思いますが、いかがですか。
  61. 徳永久次

    ○徳永参考人 大企業とか中小企業とかと関係なく、私が申し上げましたのは、商売の現実として同時にしか物の値段は決まらないものですよということを申し上げましたわけでございまして、それは世界じゅうあたりまえのこととして、世界のどこにも通用しておることでございます。それはあたりまえのこと、それをなぜ報告せにゃいかぬのかという、そこからわからないわけでございます。あたりまえのことがわからないということがわからないという言い方になりますけれども、先ほどるる申し上げましたから繰り返すのは省略いたしますけれども、われわれの品物の買い手も厳しい競争にさらされた産業人でございます。  それは現にいまわれわれの値上げ問題――われわれもまた昨日値上げを発表いたしておりまするけれども、一月ぐらい前に川鉄さんが値上げしておられますけれども、値上げはこれは表明されただけでございます。きのう各社の数字がほぼそろい、しかし、まだNKさんが値段をお出しになっていないということで、そういうものがそろいまして買い手がどう納得するか、どれを選ぶかということになりますわけで、そのときには一緒になる。値上げの発表後値が通るとお思いになったら大間違いで、値が決まるときには同じものしか決まらないのですよ、同じものは同じ時期にしか決まらぬのですよということを申し上げておりますわけです。そこの経済の現実というものをごらんになったら、あんな規定がどうして出るのかと思うわけです。  しかし、商品、サービスには森羅万象たくさんあるわけでございますから、聞かなければわからぬというものもあるのかもしれませんが、わかり切ったものにも報告させられるというようになっておるといいますか、除外を法規上は置いていない形になっておりますから、何であんな法律ができるんだろうかという不思議な感じをすら私どもは持っておるということでございます。
  62. 板川正吾

    ○板川委員 一物一価の法則というものは、御承知のように、完全競争の市場では全く同質の商品に対して異なる二以上の価格が存在しない。なぜなら、異なる二以上の価格があるならば、完全競争の状態にある限り、需要あるいは供給はそれぞれ有利な方に集中するからであると言われておるのでありますが、こういう市場もあるでしょう。しかし、これがすべての原則ではないということを実は私は言いたかったわけであります。  たとえば石油なんかは、同じ商品であっても必ずしも値段が一致はしていないわけでありますから、そういう意味で鉄の場合にはそういう主張が言われるとしても、それは要するに寡占体制の企業のみに言える言葉じゃないだろうかという感じがいたします。これはまたのことにいたしますが、いまお話がありましたように、値上げの理由を届け出することが自由主義経済の根幹を揺るがすような重要な問題だとおっしゃられますが、御承知のように、電力、ガス、私鉄等あらゆる企業でも、料金なり運賃なりを値上げしようというときには値上げの理由を公表しておりますね。その公表は企業の絶対秘密的なものまでは必ずしもやっていないでしょう。ただし、これこれの原材料が上がったために、あるいは人件費が上がったためにこれだけの運賃が必要だということでやるんじゃないでしょうか。  だから、寡占企業が同調的値上げをした場合には値上げの理由を報告をすることがなぜそれほど自由主義経済の根幹を揺るがすような大問題なんでしょうか。われわれ国民にはわかりませんが、この点はどうお考えですか。
  63. 徳永久次

    ○徳永参考人 電力、ガスというのは、御案内のように、特別法による地域独占という権限を与えられ、その反対責任という形で原価を認可制にかけるというような仕組みになっておるわけであります。われわれの主要産業は、鉄鋼以下日本では大抵の産業というのは自由企業体制で、各社猛烈な競争をいたしておるわけであります。  先ほどるる申し上げましたが、競争しておる業界の中のあそこが原価幾らであるということがわかるということが需要業界とどういう関係に立つでしょうかという問題と、それから先ほども申し上げました輸出、輸入に及ぼす影響ですが、日本の鉄の値段が現実には競争力を持って輸出されておりますけれども、その原価はこうなんだということが出ました場合に、相手がびっくりしてそれじゃ輸入制限をやろうかというようなことになるという危険も出てまいるわけであります。鉄鋼業だけで百億ドル以上輸出でかせいでおりますけれども、こんな変なことになったらどういうことになるのでしょうか。  これはあるいは逆に、われわれが原料を買います際に、相手国からおまえのところは原価幾らで幾らもうかっておるからもっと上げたらいいじゃないかとかいうふうなかっこうの資料を与えるということになるわけでありまして、企業秘密の基本というのは、原価を秘密にしながら、わからないがゆえに自分のところだけどこにも負けぬようにということでみんなが知恵を出し合って競争し合っておる経済、それが自由企業経済だと思います。
  64. 板川正吾

    ○板川委員 時間があと二分しかありませんから、佐治参考人に一言お伺いします。  これは町田参考人にも共通しているのですが、トップの企業になるまで、今日に至るまでは、非常な工夫をして、それから競争に勝ち抜いて努力をして今日トップ企業にのし上がったんだということは、サントリーの場合にはまさにそうでありましょう。町田参考人の場合には別ですが、佐治参考人の場合にはそうでありましょう。われわれは今日に至るまでの過去のそういう努力なり工夫なりを評価しないということじゃないのですよ。しかし、トップの座に安定をして――いまは安定していないからトップの座にいてもまだ常に競争が行われておるのでしょうが、しかし、やがてその競争業者を打ち負かして、トップの座に安定して長期に覇権が続くようになりますと独占の弊害が出るのじゃないでしょうか。  独占の弊害が出た場合には、これこれの条件――九つの要件がありますね。御承知のように一社五〇%、二社七五%、五百億、以下九つの要件に当たりますと分割規定が発動いたしますよというのですね。この九つの要件を満たして当面分割の対象になる企業は一社もないということをしばしば公取も言明しておるのです。それは過去の努力を評価しないとか、これは死刑の宣告だとか、国民の敵というレッテルだとか、保護観察下に置かれるものだとか――保護観察はどうか知りませんが、国民の敵だとかいうふうに思っているとお考えになるのは思い過ごしじゃないでしょうか、ただし、こういう市場支配力を持った企業は、長期にその体制が続けば悪いことをというか、要するに自主的な競争をなくするようなこともあり得る、そういう可能性も持つとして独禁法がこれを要注意とすることなんですね。ですから、自粛をすれば分割規定の適用を受けることなんかないのじゃないでしょうか。どうも余りにも過剰な被害妄想に取りつかれているのじゃないだろうかと思うのです。これはやがて事実が証明するでしょう。数年間たって分割規定の対象になるかどうかお考えになってもらって、自粛さえすればそれはあり得ないと私は思います。  ただし、自粛をしないで、こんな独禁法なんか知らぬということで、宣伝費を幾らでも使い、あるいは独占利潤を価格に還元しないで、規定されておるような状態を長く続ければ分割の対象になるでしょう。しかし、そういう非常識なことをしない限りそういう心配はないと私は思いますが、この点についてどうお考えですか。時間がございませんので一言だけで結構です。
  65. 佐治敬三

    ○佐治参考人 トップ企業に至るまでの努力を評価していただくというお話でございますので大変ありがたく存じておりますが、私どもは、その個個の企業の努力というよりも、個々の企業が寄って立つ精神的基盤と申しますか、自由主義経済の根幹である自由公正なる競争を私どもは促進し、その基盤の上に今日を築いてきたという、その精神的基盤である自由競争、公正なる競争の概念そのものがいま寡占の場合に問われることになるということを心配いたしておるわけでございます。  それから、先ほど来私の参考意見の中にも申し述べさせていただいたわけでございますけれども、構造規制がもし導入されるならば、あくまでも寡占企業の行為そのものが弊害を生んだ場合に限るべきであると思います。弊害そのものは、ここに述べられておる二つの弊害があるわけです。新規参入の困難ということと、それから価格の下方硬直性、上方弾力性、また利潤率、過剰な利潤、過剰なる宣伝広告、一般管理費、そういったものも確かにある意味では弊害かと思いますけれども、その弊害自身が寡占という状態の上にあぐらをかくことによって生じた弊害であるかないかによって寡占企業を分割するかしないかを考えるべきである。少し議論がおかしくなるかもわかりませんけれども、そういった弊害は必ずしも寡占企業でなくとも起こる場合がある。そういった場合には、実は、現在の公正取引法によっては処断の対象になっていないと私は思うわけであります。  したがいまして、たとえば極端な場合でございますけれども、四百九十九億円の業界規模であり、市場占拠率が一社四九%、二社七四%というような業界で、しかもなおかつこうした弊害があるという場合に何らの手がつけられないという状態にあることも法としての一つの不備ではなかろうかと思いますが、私どもは、こうした弊害以外にも、先ほど来お話をちょうだいしております自由公正な競争に基づくいわゆるイノベーションのある限りはそれを寡占の弊害と認めていただかないように、それを弊害と認めていただかなければ、恐らくは、少なくともここ十年やそこらの間に日本に寡占の弊害が起こる業界は皆無であるというぐあいに私は感ずるわけでございます。
  66. 板川正吾

    ○板川委員 終わりますが、四百九十九億の場合、あるいは五〇%じゃなくて四九%の場合そういう議論もございます。ですから、イギリスでは二五%以上市場支配力を持つものと規定したり、西ドイツでは三分の一と規定しておりますから、五百億で不十分なら将来は三百億にするとか、あるいは五〇%を三三%にするとか、こういう方法だってありますけれども、五〇%に線を引いて四九%をどうするのだとか、そこに不合理があるからおかしいというのは基本的な争いじゃないでしょう。もし必要があれば、私どもも公取も、その線は今度は次の機会に基準を下げることも可能であります。  昼食時間までおくらせまして大変遅くまで恐縮でありますが、以上をもって私の質問を終わります。
  67. 中島源太郎

    ○中島(源)委員長代理 午後二時二十分から委員会を再開することとし、この際、暫時休憩いたします。     午後一時三十八分休憩      ――――◇―――――     午後二時二十二分開議
  68. 武藤嘉文

    ○武藤(嘉)委員長代理 休憩前に引き続き会議を開きます。  参考人に対する質疑を続行いたします。西中清君。
  69. 西中清

    ○西中委員 長時間御苦労さんでございます。  最初に、徳永参考人にお伺いをいたしたいわけでございますが、私は、この四月十二日だったと思いますが、読売新聞に掲載されました山中先生、板川先生、正田先生、そして徳永参考人の四人の方の対談を拝見いたしたわけでございますが、この中で、徳永参考人は、「われわれからみると、政治家は少し不まじめではないか。法律は必要があって作るものである。」といったようなことを述べておられました。先ほどのお話は政治家は少しふまじめであるというところまではおっしゃらなかったわけでございますけれども、若干そういったようなニュアンスを感ずるようなお話もあったような気がいたしておりますが、この御意見は私たちとしては少々残念でございます。  本来、私たちは大企業を悪だというように考えておるわけではありません。自由企業体制を尊重するという立場で私どもは貫いてきておるわけでございます。しかるに先ほど来徳永参考人から、狂気の時代へ逆戻りするとか、今回の独禁法の改正は良識ある国民は不可解と思っているとか、そのほか企業の努力に感謝の意を表してもいいのではないかとか――一面部分的にはそういったことも言えるかもしれませんけれども、こういったことをおっしゃられますと、私たちとしても、ある面で言えば私たちの態度についてなお一層考えなければならないということもあるわけでございますけれども、いずれにしても若干私たちとしては疑義を持っておる次第でございます。  そこで、質問をいたしますけれども、徳永参考人は、いわゆる独禁法の改正問題が、あたかもあの狂乱物価のときを契機として出てきた問題であるというような意味のとらえ方をしてお話をしておられたようでございますが、これは果たしてそうなのかどうなのかという点について私は疑問を持っておるわけでございます。確かに、あの狂乱物価の際、あのときを契機として独禁法の問題が大きく世論の中心、話題の中心となったことは事実でございますが、しかしながら、この独禁法の改正問題はあのときから問題になったわけではなくて、少なくとも昭和四十年代に入ってから独占禁止法の強化、改正というものは非常に根強い動きとして起こってきておるものではないかと私は思っております。  たとえて言いますと、昭和四十五年の七月二十八日に、独占禁止懇話会の「管理価格問題についての中間的とりまとめ」といったものがございましたけれども、その中で、企業の分割等は現行独占禁止法では行うことができないが、独占禁止政策の枠内に属し、立法論として考えられるもの、といったように報告が出ておるわけでございます。これは昭和四十五年でございますから狂乱物価以前だと思います。しかも、このメンバーの中には斎藤英四郎さんがおられる。おたくの社長さんではないかと思いますけれども、それから鈴木治雄さんといった産業界の代表者も入っておられるわけですね。ですから、急激に狂乱物価のときからこの問題が出てきたということよりも、それ以前からかなりの論議があって、また改正の動きがあったと私は認識をしておるわけでございます。  この独禁懇の取りまとめというものは、公取独自の立場でというよりも、新経済社会発展計画あるいは経済白書、国民生活白書などを背景に置いてなされておることは言うまでもございません。ですから、私は、先ほどからの徳永参考人の御認識については妥当ではないというように考えておるわけでございますけれども、その点はいかがでございましょうか。
  70. 徳永久次

    ○徳永参考人 独禁懇のリポートは私は詳細に存じておりませんが、ただ、私の会社の社長である斎藤氏も委員会のメンバーで――これは懇談会ですからフリートーキングのような会でございますけれども、それから、あるいは関西電力の上野氏なんかも委員のように聞いておりますが、そこでわれわれはときたま雑談的に様子を聞いておるわけでありますけれども、学者の方々と話が全然合わないということを申しております。これは結局、こんなことをオーバーに言うとまたしかられますけれども、日本の学者は外国の本はよく勉強なさいますが、しかし、日本の経済実体がどうであるかというようなことは勉強なさっておらない。  それで、私が最初のところで申し上げましたように、外国の本とか外国の事例とかをベースにした、仮定に立った論理の展開という立場での議論、主張、問題点の指摘というものが非常に多うございますが、どこの国でも国さまざまでございまして、日本の風土というのは非常に違っております。その違っておるところをよく調べて、その実情に合うような議論をしてもらわないと、経済の大事な法律であります独占禁止法を議論なさるときに間違いが起こりますので、私は、ここへ二十六日に参考人としておいでいただきました正田さんなんかとはいつも議論になるというか、けんかになるといいますか、私どもは、日本の学者はどうして仮定の議論で外国の例からの論理だけを追求なさるのか、現実をどうして勉強していただけないだろうかという感じをしているのでございます。  したがいまして、そういう方々の物の考え方なり意見なりというものが前からあることは知っておりますが、しかし、私が申し上げたいと思いましたのは、今度も申しましたように、日本では大企業あるいは寡占企業が悪いことをするのだという前提に立たなければああいうものはできないだろうと思うのであります。そういうことがいままでないという歴然たる証明があって、なお、するかもしれないという、そういう法律はいかがなものでしょうかということであって、もう少し本当に実態をお調べいただいたらむしろ逆の答えが出るのじゃなかろうかという感じのことを申し上げたわけでございます。
  71. 西中清

    ○西中委員 重ねて徳永参考人にお伺いします。  よその国と事情は違うのだということはわからないではありませんが、ただ、昭和四十年代に入りましてから世界各国が独占禁止政策の強化を行っております。詳しい点を述べることはできませんけれども、西ドイツは一九七三年、イギリスは一九七三年、アメリカが一九七四年、カナダが一九七五年、フランスが一九七三年、オーストラリアが一九七三年というように、要するに独占禁止法の強化というものは世界各国の趨勢であることはこれを見てもよくわかると思うのですね。日本でも独禁法の強化が叫ばれて、また、国会でこうして論議の対象となってからもかなりの日にちがたっておるわけでございまして、むしろ今日こうして迎えました改正については、これはある面で言えばそう早いとは言えない、遅きに失しているのではないかということも私は考えておるわけでございますが、いずれにしましても、こういう問題についてどうお考えになっておるのかお伺いをいたしたいと思います。
  72. 徳永久次

    ○徳永参考人 日本の独禁法というのはアメリカのディレクティブをもとにして、それを数年かかって勉強してつくり上げ、それからまたさらに一、二度の改正があったということでございますけれども、それは日本の実態に合わすごとくなされたということであったと思います。相対的に考えましたら、むしろ日本の独禁法というものは非常によくできている法律だと言えるのじゃないかと私は思います。  アメリカの独禁法というのは一つの積み上げ的な法律になっておりますけれども、日本のものはある意味で論理的、体系的にできておるといいますか、公正競争確保重点ということではりっぱな法律だと私は思っております。ただ、日本の経済実体に合わないところが全然ないわけではないということが、これまたそういう意味の勉強が要るのではなかろうかと思いますけれども、それを観念でやらないで、日本の産業一つ一つが含んでおる問題を分析し、調査して、そういうものの積み上げでどういう対策が要るのかというふうにつくられるのがいい法律ができる手順ではないのかという感じが私らはいたしております。     〔武藤(嘉)委員長代理退席、中島(源)委     員長代理着席〕  私も役人時代にずいぶん法律もつくったことがございますけれども、そういうように実態と遊離してつくったらきっと間違いが起こるという感じがするものですから、そういう意味で、日本で何かおつくりになり、改正をなさるときには、そういう産業の本当の実態を調べてから、あるいはビヘービアを調べてから、あるいは問題点を調べてから、それから出てくる答えというものでないと身に合わないということになり、弊害が起こる危険があるということになるんじゃなかろうかと考えるわけでございます。
  73. 西中清

    ○西中委員 重ねてお伺いします。  独禁法の母国とも言えるアメリカにおきまして、厳しい経済事情から一九三〇年代には独禁法を一時停止したほどであるというような例をお引きになりました。したがって、現在日本においても独禁法を一時停止すべきであるくらいなお考えのように伺ったわけでございますが、本当にこの問題をそういうようにお考えになっておるのかどうなのか、もう一度確認をしたいし、同時に、また、先ほど参考人が挙げられました事例は、一九三三年の産業復興法で一時カルテルを認めたことがありましたけれども、恐らくそれを指して言っておられるのじゃないかと思います。違っておればおっしゃっていただきたいと思いますが、しかし、この法律は一九三五年に最高裁判所で違憲であるとの判決を受けて効力を失っております。  こういうことについてどのようなお考えか、お伺いしたいと思います。
  74. 徳永久次

    ○徳永参考人 いま、独禁法を一時停止しなさいとか、表現をオーバーにして申しておるわけでございますが、いまの産業界の実態は、そういう産業をどうやって救うのかという、救うという対策の方が切実な問題なんですよ。そのためには独禁法だけではカバーできない、独禁法のカルテル規定を含め、また、カルテルも極端に言ったら強制カルテルも要るかもしれない、あるいは設備集約、廃棄が要るかもしれない、国家援助が要るかもしれないというように業種業態が違うのですけれども、本当にそういうように過当競争の結果困っている業界がざらざらあるわけですから、そういうものを特定して、特定したものには特別の適切な対策を生み出すための委員会等も設けまして、その対策に沿った政策は何でもできるというような仕掛けがこの際望まれる時代で、それが当面重要な問題ではないのでしょうか。  それは非常に大ざっぱに言いますれば、独禁法をきつくするより緩くするという方向にある業種については――これは全業種と言っているわけではございませんが、ある業種についてはそうなるでしょう、そして、そっちの方が大事な時期なくらいにいま大変な時代と思いますが、ということを申し上げておるわけでございます。
  75. 西中清

    ○西中委員 私はいま徳永参考人にいろいろお伺いして申し上げましたけれども、結局のところは企業がこうした経済不況の中にあって、先ほどから皆さん方からかなり強気のお話がございましたが、それはむしろ独禁法を軽視していこうというような雰囲気すら感ずるわけですが、これは私の感じですから、間違っておれば御容赦いただきたいと思います。  これもまたアメリカの例になりますけれども、一九三八年の四月二十九日に、時のルーズベルト大統領がいわゆる独占教書というものを議会に送っておることも御承知かと思いますが、これはニューディール政策初期の独禁法を結局軽視したという風潮の中から、それを心配した大統領がいわゆる教訓を述べておるという内容であろうかと思います。この教書の中にはたくさんの主張があるわけでございますけれども、その一部を読んでみますと、たとえば、「もしあなたが私の言う個人の指導力を信用するならば、あなたはよく管理された小企業の力が合理的な利潤を生むということを知るに違いない。この機会の喪失が少数の支配的企業に産業支配の集中をもたらすことをわれわれは認めなければならない。われわれの現在の受難の原因は、多くの産業分野、特に経済力集中が最も明らかな基礎的製造業において価格競争がなくなっていることである。」と言い、また、別の項で、「反トラスト法違反にかかわる大部分の苦情は事業者からのものである。最も独占的な事業者は、自分以外のすべての独占を認めない。われわれはこれを人間性のあらわれであるとして笑うことはできるが、各企業集団が各自の利潤を確保するための独占的支配の効果が国民全体の購買力を減小するという事実を笑うことはできない。」と言っています。これは何も皆さん方の企業がそうだという意味で言っているわけではなくて、少なくとも大統領が寡占、独占状態の中でこうした教書を出した意味というものについて、非常にくどいようでございまして僭越でございますけれども、もう一度お考えをいただきたいという意味においていま述べたわけでございます。  そこで、時間の関係もございますから二、三具体的な問題について移っていきたいと思いますが、徳永参考人、佐治参考人、國井参考人に御答弁をお願いしたいと思います。  独占的状態あるいは同調的値上げの報告対象として一応シェアというものが示されておるわけでございますけれども、これは全くの一つの目安ではなかろうかと私は認識をしております。このシェアがどうであるかとかこうであるかとか、これが灰色であるとかなんとかということとは何の関係もないと私は思っておりますが、先ほどからの論議の中では、このシェアの問題だけを取り出していろいろ言われておりました。そして、被害者的な立場でいろいろとお述べになっておったようでございますが、これは少し神経質というか、オーバーではないかというような承り方を私はしておったわけでございます。  独占的状態を一つ例に挙げてみましても、たとえば西ドイツでは一社三分の一、三社二分の一、五社三分の二、イギリスでは一社四分の一というような形でございます。しかし、今度の改正案のシェアの基準というものは、御承知のとおり一社二分の一、三社四分の三でかなり緩いといいますか、他の国と比較しましてそう厳しいものとは言えないのじゃないかと思います。したがって、この基準を置いたことについて、先ほどからの論議でいろいろとおっしゃっておりましたけれども、そう目に角を立てるものではないのじゃないかというように私は思っておりますけれども、いかがでございましょうか。
  76. 徳永久次

    ○徳永参考人 しばしば申し上げておるのでございますけれども、日本の産業は日本なりのビヘービアを持っておるという現実から見まして、外国がこういうことをやったから日本にも要るんだという発想はいかがなものでございましょうかという意味で、むしろわれわれは納得がいかないという感じのことを申し上げておるわけでございます。外国の事例あるいは学者の論理というものは日本の現実とそぐわないという感じ、そういうことでいま申し上げておるわけでございます。
  77. 佐治敬三

    ○佐治参考人 私の参考意見でも申し述べたわけでございますけれども、独占は決して即、悪ではないという信念を持っております。少なくとも現在までに日本に独占の弊害というものは、皆無ではないかもわかりませんけれども、きわめて少なかったに違いないと思うわけであります。しかし、独禁法を法律として解釈いたします以上は、やはり、法文に出ております市場占拠率というものが法律適用の対象になるわけでございます。あるいはまた、その独占状態であるという認定の基礎条件というものも法律適用の場合の厳密な規範になるわけでございます。そういった意味から、独占状態の御認定には市場占拠率のみならず、あるいは市場占拠率とともに法文にうたわれております弊害、つまり、新規参入の困難あるいは価格の下方硬直性、上方弾力性といいますか、それからそれに伴う過大な一般管理費、販売費あるいは過大なる利益率、そういったもの以外にもっと広く、その寡占状態によって公共の利益が損なわれているかどうかということを判断の基準にお加えを願いたい、かように申し上げているわけでございます。
  78. 國井眞

    ○國井参考人 午前の意見でも申し上げましたけれども、発想の仕方といたしまして、まず出発点としてシェアが高いということを第一段に取り上げておられるが、こういったことが独禁法改正案で言っております寡占の弊害というものを果たして導くものになるのであろうかということを考えましたときに、私どもの身の回りのいままでの経験というものから見て、高いシェアを占めておるものが言っておられるような弊害を一向に生じておらないし、今後も恐らく生じないのではなかろうかということから、そういう考え方自体に問題があるのじゃなかろうか、むしろ逆に社会に非常に貢献するための競争あるいは合理化、技術改善というものが他の場合よりももっと激しく行われ、効果を上げているのではなかろうかという、私はこういう考え方でございます。
  79. 西中清

    ○西中委員 先ほども申しましたけれども、私もシェアの大きい企業は悪だという立場に立っておるわけではありませんが、ただ、大きな経済力をてことして会社の利益を図るという場合に力を乱用し、また、それでそれができ得るという可能性が客観的に言ってやはり強いと見るのがまず常識だろうと思います。  先ほどからの御意見を伺っておりますと、今後ともそういうことはあり得ないという確信であるようでございますけれども、従来国会で問題になりましたところのいわゆる売り惜しみ、買い占め、それから環境破壊といった問題を考えましても、これは独禁法の問題とは若干別でございます。別ではございますけれども、企業によってそういったいろいろの経過があったことは否定できない事実でございます。  結局、私の言いたいことは大企業の社会的責任ということでございます。そういう面からいきましても、ある一定の枠を決めることぐらいはそう妥当性を欠いたものとは私には思えないのですけれども、非常にくどいようでございますが、先ほどの御三方に御答弁をいただきたいと思います。
  80. 徳永久次

    ○徳永参考人 具体例で申し上げた方がわかりやすいと思いますが、アメリカの鉄の会社では、企業を伸ばすためにもうかりそうな他部門をぱっと買収してでも発展を図るというようなことをやります。私の会社が合併しまして、本社機能といいますか、それにある程度ダブつきができるといいますか、そのエネルギーをどうやって作業の発展に結びつけようかということで考えました対策というのは、これは日本はアメリカとは全然逆でございまして、日本ではよそ様のおやりになっていることをしてはしかられるといいますか、よそ様のおやりになっていない仕事でこれだけの多角的な多面的な人材を持っておる企業のエネルギーを動員して、そしてどうして世の中の需要に対応していったらいいだろうかというようなことで目標を設定いたしまして、具体的に着手しましたことで申し上げれば海洋開発で、これは外国にありました。しかし、日本にはありませんでした。  日本でそのための専用船をつくり、沖繩の海洋開発工事、インドネシアの海洋開発工事、あるいはパイプラインの工事等でいまは中近東まで船団を出しておりますけれども、そういうことをやったり、あるいは社会開発事業ということで、社会の求めるものは何であろうかということで、あるいは新聞でお目にとまっているかもしれませんが、溶鉱炉の技術で都市ごみその他を焼却してあげたらいままでの焼却よりもっといいものができそうだなということで、数千万円かけて、すでに二、三年になりますが、ほぼ目途を得まして、いま東京都でぜひそれを使わせろということで共同研究に入っております。実施規模に近いものの試験プラントをつくるというようなことをやっております。  あるいは、新都市開発のための新しい交通システムに対応するものを開発するとか、いわゆる無人運転のいろいろなものでございますが、そういう形あるいは鉄の技術そのものを世界に売るとかという形で、私どもは中心はそれをいまエンジニアリング本部でやっておりますが、すでに数千名の陣容を擁し、売り上げも数千億になるくらいにまで成長してまいりましたけれども、それがわれわれの指向しておる姿でございまして、アメリカの鉄屋は別のスタイルであります。先ほど申し上げたような、あの部門はもうかりそうだといったらすぐ買収するというのがアメリカのスタイルでございます。その辺が日本の企業のビヘービアは違うのだということの一例の意味で具体的に申し上げたわけでございます。  それから、いま公害の問題がございましたけれども、公害の問題は、水俣その他不幸な事態というものを確かに起こしましたが、しかし、考えてみますと、これは世界じゅうが知らなかったことです。産業からの廃棄物というもので、それが健康に害があるというもので、これはニクソンのときの経済白書にもちょうど環境白書の中に出ておりますけれども、アメリカでも知らなかった。それで言っておりますことは、水や空気がこんなに壊れやすいものとは知らなかった、しかしアメリカは幸いにして国土も広く、その約四割を公共用地で持っておるので、その適正配置、住宅と産業工場とを分離するとかあるいは技術開発とかで今後はうまく対処していこうということを言っております。  日本も、御案内のように、いわゆる環境国会以後産業界は金に糸目をかけずにやっておりまして、あらかた完了と申しますか、鉄鋼業界だけでこの数年の間に一兆円以上の投資をいたしました。これは世界で、日本以外で一番進んでおると思われるアメリカに比べまして倍ないし三倍ぐらいのものであろうと思います。いま世界に比べてごらんになりましたら、おとといですか、フィリピンのマルコスさんも、何だ、東京の空はずいぶんきれいじゃないかとおっしゃり、この前のアメリカの大統領もそうおっしゃったというぐあいになっておる。これは非常に結構なことだと思っておるわけでございますが、これは意識してわかり切ってそういうことをしたというふうに御理解いただかないで、その必要性がわかったら本当に金を惜しまずにやるというのが日本の大企業のビヘービアだということを御理解いただきたいと思います。  大企業はそういうことで、人に恨まれることは会社の仕事の信用にかかわりますし、そこが外人にはなかなかわからないところですが、日本ではちっとも犯人が出ないというか、犯罪者が出ないといいますか、規則ができて罰則適用を受けるまで出ないと言いますが、日本の場合にはそうなることがこわい。その辺が大企業のビヘービアであるということも御理解いただきたいと思います。
  81. 西中清

    ○西中委員 あとのお二人の方にお伺いしたいのですけれども、時間が参りましたので失礼をさせてもらいます。  最後に、町田参考人に伺いますが、株式保有の問題ですが、この問題については当商工委員会でも資料が示されておりまして、その内容を知っておるわけでございますけれども、昭和四十年代に入ってから非常にこの保有が増加しておるという実情について、どういう原因なのか、御説明を承りたいと思います。  それから、喜多山参考人にお伺いしたいのですが、先ほど企業分割について、労働意欲、雇用の安定、職業の選択という面で分割については反対だという御表明でございましたが、おっしゃる意味はわかりましたけれども、もちろんこれは弊害が出なければ対象にはならないわけでございますから、弊害があった場合、要するに公共の利益に非常に反する事態になってもなおかつ反対という立場をおとりになるのかどうなのか。  それから、徳永参考人にお伺いしたいのですが、先ほど同調値上げの問題に関連して、一物一価ということから価格は同調的になるのは当然だというような意味のお話がございましたが、その一方では、企業の原価は秘密であり、不可侵であるとおっしゃっております。もしそうだとするならば、皆同じ価格だということになってくれば原価は秘密ということはなくなってくる。要するにみんな一物一価で同じものだということになれば、それは当然秘密でなくなるはずですね。ですから、おっしゃっている意味が、片方では一物一価で同調的になるのは当然だとおっしゃり、ただし原価の方は不可侵だということは、結局これはどういうことかというと、消費者なり国民が受け取る方の感覚から申しますと、原価は秘密だ、みんなそれぞればらばらであかすことができないのだ、企業の秘密なんだ、しかし価格は同じだということになろうかと思います。ですから、国民は、一体原価はどうなっているのかという疑問をどうしても持つことになるのではないかと思うのですが、こういう点についてどういう御見解か、お伺いしたい。  以上、三点で終わりたいと思います。
  82. 町田榮次郎

    ○町田参考人 昭和四十年代に入ってから企業の株式保有が非常にふえたこと対する御説明を申し上げさせていただきます。  経済自由化の最終段階として、四十年代に入りまして資本の自由化というものがはっきり制度化されました。したがいまして、当時各企業は、企業防衛という意味合いも兼ねまして安定株主工作を一斉に推進してまいりました。それがまず一つの大きな動機であったかと思います。  また、四十年代初期はまだ高度成長が非常な勢いで進んでおりまして、経済全体が拡大しておりました。したがいまして、総合商社にとりましても、商域の拡大に関連する新産業の導入あるいは流通近代化等々の動因から株式の保有がふえた、こういうぐあいに了承しております。  以上でございます。
  83. 喜多山美雪

    ○喜多山参考人 お答えします。  弊害があった場合の取り扱いでございますが、今日まで、私たちは、経営協議会におきましてかような弊害がないように取り組んできております。したがって、今後とも経営協議会の場におきまして、経営政策につきましては十分チェックしていくつもりでございます。  ただ、弊害があった場合ということでございますから、労働組合その他におきまして、企業分割する場合におきましては当然ながら労働組合の同意を得てほしいということでございます。このことは当該労働組合労働者の労働条件並びに雇用が将来的に安定的に確保されているかどうかということを労働組合としてはチェックをしたいということでございます。
  84. 徳永久次

    ○徳永参考人 原価を公表するとかしないとか、原価を調べるとか調べないとかいうことをなさらなくても、日本の鉄の値段なら鉄の値段について、ここにいらっしゃいます方々の産品がよそより安いとか高いとかいうことは担当官庁ならすぐわかることでございます。  それから、どの程度もうけておるかもうけていないかは考課表でちゃんと出ておることでございます。そういうことでおかしなことをしているかしていないかということは当然にわかるのじゃないでしょうかということを一つ申し上げたいと思います。  それから、いま一つ、一物一価だから同調値上げという言い方もできますが、先ほど来るる申し上げましたように、買い手も産業人で厳しい競争にさらされております。売り手の方もそういう状況にございます。その際に、売り手がほとんど全部が同じくらいに原料が上がり、賃金も上がって、このままだったら赤字になって大変だから値上げさせてくださいという値段がそろわない限り、買い手はどこかが先に言ったからじゃおまえのところから高く買ってやろうかと、そんなばかなことをするはずがないじゃございませんかということを申し上げておりますわけで、それでみんなの値上げがそろって、そのうちの低そうなものをそろえてみまして、じゃ幾らずつぐらいで買ってやらなければしようがないなということで、それは自分も買うと同時にほかの同業者はそれより安くは買わないという前提で見定めがつくといいますか、それで値が決まることになりますので、これは値が決まるときには一緒でしか決まりませんよということは同調でございますということに――これは品物の性質が同じような品物であるということも由来しますけれども、現実の商売から見たら、まさしく売り手も買い手も厳しい産業人であるということでそうなってしまうのですよ、これは必ず同調ということになるのですよ、それ以外のありようはないのですよということを御理解いただきたいわけで、それ以外のありようがないものについてうんともうけておるとか、もうけておらぬとか、原価を調べるとかという形は、これは独禁法のらち外で、むしろ産業の国家管理ということにつながるようなことではないでしょうか。世の中は品物が多いですから当然そうなるような――別に考えるということじゃないとおかしくないでしょうかということを申し上げておるわけでございます。
  85. 西中清

    ○西中委員 終わります。
  86. 中島源太郎

    ○中島(源)委員長代理 玉置一徳君。
  87. 玉置一徳

    ○玉置委員 参考人にお伺いを申し上げたいと思います。  本日は昼飯もえらく遅くなりましたのにお気張りいただいており、おまけにきのうのテレビですか、それによるとあたかも物事が済んでしまったような感じを与えまして、参考人にはまことに非礼なことだったと思いますが、いきさつは政審会長会談の話でありまして、運営はすべて理事会でやりますので、せっかくの御意見は附帯決議その他いろいろな場面で十分反映させることもございますのでひとつお許しをいただきたいと思います。  そこで、きょうお述べいただきました数々の意見を拝聴いたしましたら、すべて皆さん方は構造政策に不満をお漏らしになっております。私も、独禁法の問題が一番初めに出ましたときが狂乱物価の後を受けてでありまして、非常に社会が騒然としていたときで、その憤激がそのまま独禁法にかたまってきたような感じがいたします。不況のどん底の今日と若干趣を異にしておることも御存じのとおりであります。  そこで、構造政策でございますが、御承知のとおり資本主義も欄熟し、しかも海外の関税障壁を取っ払ってまるっきり裸になって世界の市場で競争されておるわけでありますから、勢いそれは巨大にならざるを得ないわけであります。いわば、悪い言葉で言えば寡占体制という形ができておるわけであります。どの業界も、基礎産業におきましては、すべて六社もしくは八社というものが大体を占めておるのですが、寡占価格を形成されないようにするにはこういう分割以外に方法があるかどうか、あるいは外国の例としてはどういうような形をとっておるか、海外にも詳しい方々ばかりでありますから、こういう問題についてひとつ御所見をお伺いしたいと思います。     〔中島(源)委員長代理退席、委員長着     席〕  ちょっと質問の趣旨がわかりにくかったかと思いますのでもう一度詳しく申しますと、皆さんのお話は、構造規制というものは産業政策であるから、独禁政策ではなくて構造政策として、何か違う観点でどうしても物をやらなければならないのじゃないかということも考えられる一つの大きな考え方だと思います。私も非常に心配しておりますのは、この不況産業、不況業種がたくさんある中でどうして日本の将来のために企業を安定させていくか、雇用を確保していくかということに全力を集中してもなお日にちが足らないというのが今日の状況であります。  こういう中でこうした形のものを持っていくことにつきましては皆さんからの御意見も聞くべきところがあるのではないかと思うのですが、しからば構造政策というものが必要なのか、必要とあらば、果たしてどこでどのような形をとっていけばいいか、こういう点につきましてまず徳永参考人並びに佐治参考人から御意見を伺ってみたいと思います。
  88. 徳永久次

    ○徳永参考人 私が先ほどから申し上げております感じは、日本では寡占企業を国家的な監視をするとか、そういう形は要らないはずだと申し上げておりますが、しかし、世の中にある意味のその種の風潮があることは事実でございます。そうしますと、それの適当な形というものは、私の意見といいますか、いろいろな人にもちょっと聞いてみましたが、それはそれの方が常識的だなと言われたのでございますが、それは単独法でもつくりまして、ある種の特定業種につきまして行政官庁が常時状況把握をする。これはふだんからいろいろしておるわけですけれども、そういう意味の調査を常にしておって見守っておるのだというような形と、それから第二段階に、もし必要なら、権力的な分割とかなんとか妙なことではなしに、ちょっとこの辺に問題がありはしませんかどうですかというようなことを、いわば勧告とでも申しますか、そういうような形で一緒に議論してみるとか、それはそういうものに審議会を置いてもよろしいかと思いますけれども、そういう形のものぐらいがほどほどで必要ではないのかと思うのです。  それにしましても、これの判断というのはきわめて総合的なものでございます。内外の経済事情の変化、その産業のいま置かれております状況、問題点とかいろいろなものを多角的に総合的に非常に高度な判断の要る仕事でございますが、これはやはりどうしてもふだんからそういうことを心がけており対処しておるいわゆる主務官庁でなければ本当の適正な判断はできないのではなかろうかと、私はそういう気がいたします。  日本の現状に対しましてはその程度のもので必要かつ十分ではなかろうか、本案のように悪いことをするものだと――もちろんいままではないけれども、悪いことをするものだ、その条件はこういうことだよ、そうなったら分割してしまうのだぞというように、そこまで立ち入った実体的必要性の証明がないのにそういうものをつくろうというのは行き過ぎではないんでしょうかという感じでございます。
  89. 佐治敬三

    ○佐治参考人 寡占を日本で何らかの監視下に置き、あるいはそれに対する対策を講じる必要はいまのところはないということは先ほども申し上げたとおりでございます。むしろ、寡占企業はそれぞれ独占禁止法上の優等生であるというぐあいに考えております。  先ほどお話がございました同調値上げ、管理価格というのがよくわからないのですけれども、いわゆる同調値上げということになりますれば、同調値上げそのものは現在の独禁法でも禁止されているのではないかと思います。また、大きな力の乱用に関しましても、それが自己の優越的な地位を利用した不公正な取引というような場合にも、極端な場合は、現在の独禁法に言ういわゆる行為規制によって企業の営業の一部譲渡を命ずるということすらできるような法律になっておるわけでございます。  私が申し上げたいのは、企業が大きいから、あるいは市場占拠率が高いからという理由だけで、その力を乱用した結果生じた弊害であるとは言えないような弊害要件によって企業が分割されかねないという現在の法案に疑問を抱いておるわけであります。
  90. 玉置一徳

    ○玉置委員 そこで、業種の指定でございますが、この間これのガイドラインが出ました。これはただ審議の資料として、一応のガイドラインとして、事務当局の試案として出たわけでありますが、ああいうものが公取委員会で制定され、公取委員会が自由に改廃できる。なるほど意見を聞くということにはなっておりますが、そこにかなりの不安を皆さんに持たせておるように聞くのですが、これをどうしたら皆さんが御安心をされるかということと、しかも、この法律を守っていこうじゃないか、育てていこうじゃないかという気持ちでなく、この法律そのものを避けていこう、逃げていこうという形では、せっかくつくっておる法律の立法者の趣旨に合わないんじゃないかと私は思います。  そういう観点から、皆さんは、こういう業種指定の商品ごとの分類、分割等々のことに皆さんの意見をどこかで反映させたいというような御希望があるかどうか、あるいはどうしたら皆さんの側から見て一番的確なものができるか、これについて御意見があれば、どなたからでも結構ですから一つ二つ御意見を賜りたいと思います。
  91. 徳永久次

    ○徳永参考人 前にどなたかの御質問にお答え申し上げましたが、鉄の場合で考えますと、ブリキが九業種の中に入っておるわけでございますが、ブリキというのは、これは鉄を大きく分けまして板類、それから板類をまた二つに分ければ薄板類と厚板類ぐらいに分けられるわけでございます。あとは形鋼類になるわけでございますけれども、その薄板のその先の加工製品にすぎないわけでございます。すずをつければブリキになり、クロムをつければステンレススチールになり、あるいは亜鉛をメッキしますれば亜鉛鉄板になるというようなことになってまいりますので、その辺でブリキだけを取り出すという感覚、しかもそのための利益はどうだとか、それからもうけ過ぎであるとかないとか、そんな計算は本当に――まあつくれと言えばやむを得ずしかつくれないということでございまして、その点はわれわれのようなもとからつながっておる品物について、ああいう物の見方がいいのか悪いのか、そこに問題があると私は思います。  画一に法律をおつくりになっても、どうやって適用なさるつもりなのかわれわれも対応するのに困るという、そういう問題をはらんでおると思いますので、これはよほど慎重にやっていただかなければならないと思いますが、では、それはどうしたらいいのかということでございますけれども、やはり、産業官庁ともよく相談なさり、われわれの話をよくお聞きになり、ただ統計で分類したらこうなっておるからこうだというようなことでおやりになったら動きがつかなくなる問題をはらんでおるということを念のために申し添えさせていただきたいと思います。
  92. 玉置一徳

    ○玉置委員 同調的値上げですが、御承知のとおり、皆さんのおっしゃるとおりでありまして、私も質問をしておったのですが、ほとんど素材が海外から同じような値段で来ております。少量じゃなしに大量に入るわけでありますから、いわば国際的な生産カルテルのような形でいま入らざるを得ないわけであります。こういう中で労働賃金もベースアップがほぼ同じであり、電力代金も同じだというようなことになりますと、しかも大きな設備になりますとこのごろほとんど近代化されておりまして、これにも特殊な特別なというようなものは余り見当たりませんが、この中で、同調的値上げという条項について皆さんはどのようにお考えになっておりますか、どうしてほしいと思われますか。
  93. 徳永久次

    ○徳永参考人 午前中も意見申しましたので、そこのところは詳しく申し上げたつもりでございますけれども、事実上同調しかあり得ない品物について本当に報告をおとりになるつもりなんでしょうか。それが不思議でしょうがない、ならざるを得ないことがわかり切っておるじゃありませんかということが言いたいし、それから、もうけておるかもうけていないか、財務諸表をごらんになれば御案内のように鉄は非常に低い利益でがまんしておりますし、また、では日本の消費者に害になっておるかといえば、外国のどこよりも安く供給いたしておりますし、それでなお立ち入って調べなければならぬということは、それこそ原価を調べるとかいうようなことになりまして、自由経済の基本を害し、それによって鉄を国家管理するとおっしゃるなら別ですけれども、それだったら日本の鉄は伸びないと思います。  この自由競争でやっておって何にも弊害も起こしていない。起こしていないところは財務諸表を見てもわかるし値段を見てもわかるしということで、しかも取引の実態として同調にならざるを得ない。午前中も例を挙げましたけれども、川鉄さんがいま値上げされても需要家は相手にしておりません。いま日本鋼管はまだ出していないようでございますが、私どもや住金、川鉄がきのう発表いたしました。日本鋼管の値もそのうち出るでしょう。それからでなければ需要業界は相手にいたしません。また、相手にして、決めるときにはどこの品物も同じ値でしか買ってくれないというのが実態でございます。決まるときは一緒、値段も一緒ということにならざるを得ないわけでございます。  その中にやみで値引きするということも絶無ではございません。しかし、大体もう同じ値でしか決まらない。それでなければ買い手もたまらないわけです。自動車屋さんも競争しておるわけですから、自分はどこと同じならがまんするがということで、高いのを買うというのはがまんするわけがございません。そういうことになって、決まるときは一緒、ほぼ同じということは、これすなわち同調ということでございまして、商売の実際からそうなるより仕方がないものが、同調はけしからぬかもしれぬからとにかく調べるよというのはどうしてもわれわれ理解がいかない。  だから、そういう明白にならざるを得ないような物質につきましてはまさかお調べになるつもりはないのでしょうけれども、それは例外だということを条文ではっきりすれば一番結構でございますし、そうでない場合におきましても、そんなわかり切ったものは報告徴収はしませんよということでもはっきりしてもらわないと、あの条文だけからはどうなるかわからぬというような形というのは非常に実情無視のおかしな法律じゃないでしょうかということを申し上げたいわけなんです。
  94. 玉置一徳

    ○玉置委員 最後に、喜多山委員長にお伺いしたいと思います。  私もこの間質問をしておったのですが、御承知のとおり、そこに分割の命令を出すときには雇用されている者について十分に配意しなければならないということになっておるのですが、これは過般の安宅の伊藤忠への合併でもよくわかりますように、労働組合の諸君の、そこに働く人々の合意というものを取りつけたそういう案でないと事実上やってみたところでなかなかできやせぬじゃないか、できぬ場合はどうするのだ、「配慮」というのは一体どこでするのだ、審決前にするのか、審決を下してからするのか、審判中にするのかということも質問をしておったのですが、一体どこでどのようにその配慮をしてもらいたいのかということを御意見を聞かせていただきたいのと、それからもう一つ、どういうような附帯決議なり条文の改正なりを望まれるのかということ、これについての御意見を拝聴いたしまして、私の時間の制限がございますので、せっかく来ていただきました参考人にまことに申しわけありませんけれども失礼をさせていただきたいと思います。
  95. 喜多山美雪

    ○喜多山参考人 企業分割が当然問題にされますときには、審決のおりた後で幾ら意見を聞いてもらっても、やはり労働組合の意見というものはそれが尊重されないかと思います。したがって、その過程の中で十分労働組合の意見を聞き、その同意をもって実施をしていただきたい、かように考えております。  それから、条件の要請でございますけれども、当然ながら、労働組合というものが戦後三十有余年経まして社会的にも現在認められた組織でございますので、したがいまして、法文関係で見ますと「従業員」ということになっておりますけれども、国民的にとらえましても、社会的にとらえましても、現在労働組合として少なからず責任を持って労働運動をしているからにおきましては、法文上において労働組合という名称を使ってもしかるべきだというふうに私どもはとらえております。  以上でございます。
  96. 玉置一徳

    ○玉置委員 終わります。
  97. 野呂恭一

    ○野呂委員長 以上で参考人に対する質疑は終了いたしました。  参考人各位には、長時間にわたり貴重な御意見をお述べいただき、まことにありがとうございました。委員会を代表して厚く御礼を申し上げます。  参考人各位には御退席いただいて結構でございます。ありがとうございました。  この際、暫時休憩いたします。     午後三時二十七分休憩      ――――◇―――――     午後六時二十九分開議
  98. 野呂恭一

    ○野呂委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  内閣提出、中小企業の事業活動の機会の確保のための大企業者の事業活動の調整に関する法律案を議題といたします。  質疑の申し出がありませんので、本案に対する質疑は終了いたしました。     ―――――――――――――
  99. 野呂恭一

    ○野呂委員長 本案に対し、橋口隆君外五名より、自由民主党、日本社会党、公明党・国民会議、民社党、日本共産党・革新共同及び新自由クラブ六派共同提案に係る修正案が提出されております。  この際、修正案について提出者より趣旨の説明を求めます。橋口隆君。     ―――――――――――――  中小企業の事業活動の機会の確保のための大企業者の事業活動の調整に関する法律案に対する修正案     〔本号末尾に掲載〕     ―――――――――――――
  100. 橋口隆

    ○橋口委員 ただいま提出いたしました修正案につきまして、提案者を代表し、私から趣旨を御説明申し上げます。  修正案及びその要旨は、お手元に配付いたしましたとおりであります。  修正の第一点は、第一条中「大規模な事業の開始又は事業の大規模な拡大」を「中小企業者の経営者の安定に悪影響を及ぼすおそれのある事業の開始又は拡大」に改めるとともに、第三条以下における「大規模な」の字句を全部削除すること。  第二点は、第五条中「自ら調査することが困難であるもの」に限定した字句を削除すること。  第三点は、審議会の名称を「中小企業分野等調整審議会」に改めること。  第四点は、調整勧告を受けた大企業者が、勧告に従わなかった旨を公表されてもなお従わなかった場合、主務大臣が命令を発動できるという「調整命令」の条項を新設し、これに伴い、調整勧告その他について条文を整理するとともに、命令違反に対する罰則を設けること。  以上でありまして、命令、罰則の規定を設けて大企業の進出に対する調整措置の実効を担保するのが主な趣旨であります。  この修正の必要性につきましては、審議の過程で十分論議されたところでございますので、説明は省略させていただきます。  何とぞ委員各位の御賛同をお願い申し上げます。(拍手)
  101. 野呂恭一

    ○野呂委員長 以上で修正案の趣旨の説明は終わりました。     ―――――――――――――
  102. 野呂恭一

    ○野呂委員長 これより本案並びにこれに対する修正案について討論に入るのでありますが、討論の申し出がありませんので、直ちに採決に入ります。  まず、橋口隆君外五名提出の修正案について採決いたします。  本修正案に賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕
  103. 野呂恭一

    ○野呂委員長 起立総員。よって、本修正案は可決いたしました。  次に、ただいま議決いたしました修正部分を除いて原案について採決いたします。  修正部分を除く原案に賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕
  104. 野呂恭一

    ○野呂委員長 起立総員。よって、本案は、橋口隆君外五名提出の修正案のとおり修正議決すべきものと決しました。     ―――――――――――――
  105. 野呂恭一

    ○野呂委員長 次に、本法律案に対し、橋口隆君外五名より、自由民主党、日本社会党、公明党・国民会議、民社党、日本共産党・革新共同及び新自由クラブ六派共同提案に係る附帯決議を付すべしとの動議が提出されております。  まず、提出者より趣旨の説明を求めます。上坂昇君。
  106. 上坂昇

    ○上坂委員 ただいま提案いたしました附帯決議案につきまして、提案者を代表して、私からその趣旨を御説明申し上げます。  まず、案文を朗読いたします。     中小企業の事業活動の機会の確保のための大企業者の事業活動の調整に関する法律案に対する附帯決議(案)   わが国経済の低成長期において中小企業の果たすべき役割が極めて大きいことにかんがみ、中小企業の経営の安定を図るため、政府は本法施行にあたり、次の諸点につき適切な措置を講ずべきである。  一、本法の規定により大企業の進出に関する調整措置を講ずるにあたつては、関係都道府県知事の意見を十分反映させるよう努めること。  二、中小企業が高度化、近代化を積極的に進め得るよう助成措置の強化を図るとともに、消費者利益の増進に寄与するための企業努力について指導すること。  三、調整勧告及び調整命令の実効を期するため、勧告及び命令の際には、他の大企業者及び関連事業者等にも周知徹底するよう努めること。  四、中小建設業の受注の拡大を図るため、ジヨイント方式の活用を図るとともに、建設業法の許可を必要としない事業者が行う軽微な工事については、小規模企業者の受注の確保について特に配慮すること。  五、銀行系のクレジツト・カード会社の割賦購入あつせん事業への進出については本法の趣旨に則り適切な措置を講ずること。  六、小売業における大企業の進出の実態に対応して、大規模小売店舗法等による調整のあり方について早急に基本的な検討を進めること。  七、小売商業調整特別措置法の改正等の措置を速やかに講ずること。 以上であります。  本決議案の内容につきましては、法案審議の過程及び案文等により、各位におかれましては十分御理解願えることと思いますので、個別の御説明は省略させていただきます。  何とぞ、委員各位の御賛同をお願いいたします。(拍手)
  107. 野呂恭一

    ○野呂委員長 以上で趣旨の説明は終わりました。  採決いたします。  本動議に賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕
  108. 野呂恭一

    ○野呂委員長 起立総員。よって、本動議のとおり附帯決議を付することに決しました。  この際、附帯決議について、政府から発言を求められておりますので、これを許します。田中通商産業大臣。
  109. 田中龍夫

    ○田中国務大臣 ただいま議決をいただきました附帯決議につきましては、その趣旨を尊重いたしまして対処いたしてまいりたいと存じます。  よろしくお願いいたします。     ―――――――――――――
  110. 野呂恭一

    ○野呂委員長 お諮りいたします。  本案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  111. 野呂恭一

    ○野呂委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。     ―――――――――――――     〔報告書は附録に掲載〕     ―――――――――――――
  112. 野呂恭一

    ○野呂委員長 次回は、来る五月十日火曜日、午前十時理事会、午前十時三十分から委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。     午後六時三十八分散会