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1977-03-11 第80回国会 衆議院 本会議 10号 公式Web版

  1. 昭和五十二年三月十一日(金曜日)     ―――――――――――――  議事日程 第七号   昭和五十二年三月十一日     午後一時開議  第一 運輸省設置法の一部を改正する法律案    (内閣提出)     ――――――――――――― ○本日の会議に付した案件  日程第一 運輸省設置法の一部を改正する法律   案(内閣提出)  雇用保険法等の一部を改正する法律案(内閣提   出)の趣旨説明及び質疑     午後一時十四分開議
  2. 保利茂

    ○議長(保利茂君) これより会議を開きます。      ――――◇―――――  日程第一 運輸省設置法の一部を改正する法律案(内閣提出)
  3. 保利茂

    ○議長(保利茂君) 日程第一、運輸省設置法の一部を改正する法律案を議題といたします。  委員長の報告を求めます。内閣委員長正示啓次郎君。     ―――――――――――――  運輸省設置法の一部を改正する法律案及び同報告書     〔本号末尾に掲載〕     ―――――――――――――     〔正示啓次郎君登壇〕
  4. 正示啓次郎

    ○正示啓次郎君 ただいま議題となりました運輸省設置法の一部を改正する法律案につきまして、内閣委員会における審査の経過並びに結果を御報告申し上げます。  本案は、気象衛星による気象等の観測及び気象通信簿に関する業務を行うため、気象庁の付属機関として気象衛星センターを清瀬市に設置するとともに、気象通信所を廃止し、あわせて東京航空管制部の位置を、東久留米市から所沢市に変更しようとするものであります。  本案は、二月八日本委員会に付託、二月十八日政府より提案理由の説明を聴取し、慎重審査を行い、三月三日質疑を終了、三月十日討論に入り、日本社会党を代表して木原委員から賛成の意見が述べられ、採決の結果、全会一致をもって原案のとおり可決すべきものと決しました。  以上、御報告申し上げます。(拍手)     ―――――――――――――
  5. 保利茂

    ○議長(保利茂君) 採決いたします。  本案は委員長報告のとおり決するに御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  6. 保利茂

    ○議長(保利茂君) 御異議なしと認めます。よって、本案は委員長報告のとおり可決いたしました。(拍手)      ――――◇―――――  雇用保険法等の一部を改正する法律案(内閣提出)の趣旨説明
  7. 保利茂

    ○議長(保利茂君) 内閣提出、雇用保険法等の一部を改正する法律案について、趣旨の説明を求めます。労働大臣石田博英君。     〔国務大臣石田博英君登壇〕
  8. 石田博英

    ○国務大臣(石田博英君) 雇用保険法等の一部を改正する法律案につきまして、その趣旨を御説明いたします。  わが国経済は、今後、経済成長率が低下するものと見られており、これに伴って、景気の変動や産業構造の変化等が雇用の面に与える影響がますます大きくなるものと考えられております。  そこで、適切な経済運営によってできる限り経済の安定を図ることとあわせて、経済成長率低下のもとにおける雇用対策の柱として、従来の失業者に対する対策から進んで、積極的に失業の予防を図ることにより、労働者の雇用の安定を確保することが、当面の重要な課題となっております。  政府といたしましては、このような背景のもとに、雇用安定事業の実施及びその財源を確保するための雇用安定資金の設置等について関係審議会に諮り、その答申に基づいて、この法律案を作成し提案した次第であります。  次に、その内容の概要を御説明申し上げます。  第一は、雇用保険法の一部改正であります。  景気の変動、産業構造の変化等により事業活動の縮小等を余儀なくされた場合における失業の予防その他雇用の安定を図るため、雇用保険事業の一環として新たに雇用安定事業を行うこととしております。  その一は、景気の変動その他の経済上の理由により聖業活動の縮小を余儀なくされた場合に、その雇用する労働者を休業させる事業主に対して、休業に必要な助成及び援助を行うこと、その雇用する労働者に職業に関する教育訓練を受けさせる事業主に対して、教育訓練に必要な助成及び援助を行うこと等であります。  その二は、産業構造の変化その他の経済上の理由により事業の転換または事業規模の縮小を余儀なくされた場合に、これに伴い必要となる教育訓練をその雇用する労働者に受けさせる事業主に対して、その教育訓練に必要な助成及び援助を行うこと等であります。  第二は、労働保険の保険料の徴収等に関する法律の一部改正であります。  新たに行うこととしております雇用安定事業に要する経費に充てるため、雇用保険の保険料率のうち事業主のみの負担に係る部分を、千分の〇・五引き上げることとしております。  第三は、労働保険特別会計法の一部改正であります。  雇用安定事業は、景気の変動等による波動性の大きい事業であり、雇用調整給付金を初め、これに要する経費は、不況期には相当多額に支出されますので、平常時において計画的に積み立てておき、必要に応じて集中的に使用することにより、事業を効果的に実施することが必要と考えており、このため、労働保険特別会計の雇用勘定に雇用安定資金を設置することとしております。  なお、この法律案は、昭和五十二年十月一日から施行することとしておりますが、雇用保険の保険料率の引き上げに関する部分は、昭和五十三年四月一日から施行することとしております。  以上が雇用保険法等の一部を改正する法律案の趣旨でございます。(拍手)      ――――◇―――――  雇用保険法等の一部を改正する法律案(内閣提出)の趣旨説明に対する質疑
  9. 保利茂

    ○議長(保利茂君) ただいまの趣旨の説明に対して質疑の通告があります。順次これを許します。安居友義君。     〔安島友義君登壇〕
  10. 安島友義

    ○安島友義君 私は、日本社会党を代表して、ただいま議題となりました雇用保険法等の一部を改正する法律案に対し、福田総理、石田労働大臣に質問をいたします。  高度経済成長政策の破綻は、今日、長期的不況、物価高に加えて深刻な雇用不安を招来しています。勤労国民の生活と権利は重大な脅威にさらされております。一体、これからどうなるのだろう、毎日不安と焦燥の中に、一つとして明るい希望が持てないのが今日の偽らざる実態であります。  量的拡大に国民を駆り立てた自民党政府の責任はきわめて重大であります。(拍手)積年の弊は今日多くの構造的矛盾を露呈しております。これまでの誤った経済政策を根本的に改めるとともに、雇用政策は、新たな情勢に即して発想の転換が迫られております。今後いかにして雇用の安定と拡大を達成しようとするのか、まず総理の御見解をお伺いしたいのであります。(拍手)  以下、具体的な問題を指摘し、明確な答弁を求めます。  第一に、安定した雇用の保障の問題であります。  高度経済成長時代の中ではその矛盾が表面化しなかった失業問題、特に中高年齢層の雇用は、いまや重大な社会問題となっております。完全失業者は百万人を超え、潜在失業者を含めれば、実に数百万人の勤労者が職を奪われているのであります。これらは、単に一時しのぎの対症療法では根本的な解決にはならず、積極的な雇用拡大の施策を図る必要があると考えます。  産業が高度に発展し、経済が低成長時代に入った今日において雇用の拡大を実現する方策は、欧米先進諸国並みに労働時間の短縮をすることであります。すなわち、実質賃金を低下させることなく、週四十時間、完全週休二日制の実施こそ日本が国際社会の一員としてまず果たさなければならない方策であると考えます。  この際、政府は、労働基準法の改定等社会的基盤の整備をいまこそ断行すべきと考えますが、どのような御見解でしょうか、お伺いをしたいと思うのであります。(拍手)  第二に、五十二年度予算において、政府は、膨大な国債の発行による景気浮揚を図ろうとしていますが、公共投資の拡大だけでは、これが雇用機会の創出にどれほどの効果が期待できるか、私ははなはだ疑問を抱くものであります。  しかも、雇用とは、今日ただ単に就業させるというだけでは不十分であり、少なくとも家族を含めて、相当な生活水準を維持するに足るものでなければならないのであります。  安定した雇用を保障するものとして、特にわが国経済は、これまでも、今後も、輸出に大きく依存せざるを得ない宿命を持っております。  しかるに、輸出環境はどうでありましょうか。アメリカに対しても、EC諸国に対しても輸出超過が続き、その結果日本製品、いや日本に対する不信、批判はいよいよ厳しいものがございます。イギリスにおける小型乗用車、アメリカにおけるカラーテレビ等、秩序を無視した輸出拡大がすでに重大な問題となっているのであります。  この問題は、ただ単に量の問題ではなく、日本の輸出力の背景にある労働状況の後進性に外国の批判が向けられていることに注目しなければならないのであります。(拍手)  すなわち、産業の二重構造がもたらす低賃金、長時間労働と労働強度の高さといったわが国の実情に加え、特に雇用、労働条件に関するILO条約批准がおくれている等、日本の特異性がわが国に対する不信感を大きく醸成しているのであります。  つまり、こうした基本的問題に取り組むことなく、景気回復をうたい、失業の予防と言われても、それは一時的な線香花火にすぎないのであります。政府はどうお考えでしょうか、明確な答弁を求めます。(拍手)  次に、中高年齢層の雇用対策であります。  一たん失業した中高年齢層の再就職がきわめて困難であることは、いまさら申し上げるまでもありません。中高年齢層は有効求人倍率がわずか〇・一に低迷し、雇用不安はいまや慢性化し、景気の変動により、より深刻な事態が今後ともに予想されるのであります。  考えまするに、政府がこれまでとってきた施策で、中高年齢層の雇用対策として成功したものが果たしてあったでしょうか。月額七千五百円ないし一万円の定年延長奨励金等が何ほどの効果をもたらしたのでありましょうか。また、中高年齢者雇用率制度も全く拘束力がなく、この厳しい経済環境の中で、合理化、人減らしに狂奔している企業に対し、有効な手段とはとうてい考えられません。  この際、雇用率の達成を義務化することが必要と考えますがいかがでしょうか、御見解を伺いたいと考えます。(拍手)  さらに、こうした施策の欠陥は、定年退職後の生活を保障すべき年金制度において、定年制との間に埋めがたいギャップが解消されないため、一層高年齢者にとって苦しいものになっているのであります。  諸外国に比較して、わが国の社会保障制度が立ちおくれている中で、特に年金制度は歴史も浅く、内容的にもきわめて不十分であります。給付水準の低さもさることながら、受給年齢は、厚生年金が六十歳、国民年金で六十五歳であり、通常では定年後直ちに受給できないのが実態であります。  年金制度の充実、改善とともに、定年延長などにより、このギャップを埋めることが緊急に必要になっているのでありますが、政府はどのようにお考えでしょうか、明確な御答弁をお願い申し上げます。(拍手)  次に、有効求人倍率がすべての年齢層にわたってこれほど低下し、一たび失業するや、短期間のうちに再就職することがきわめて困難になっている現在、少なくとも有効求人倍率が一を超えるまでの間、雇用保険の失業給付日数を一律に大幅に延長することが不可欠となっているのであります。  また、かつては九十日までの失業保険給付を受けることのできた出かせぎ労働者は、いまでは五十日分の特例一時金しか受けることができなくなっております。出かせぎ労働者にとっては既得権が剥奪されようとしておるのであります。一時金を五十日分から九十日分に引き上げるか、または、一時命五十日分と一般九十日分の選択権を設けることがぜひとも必要であります。  こうした失業給付の改善に対して、政府はどのようにお考えでしょうか、御見解を伺いたいのであります。(拍手)  最後に、雇用安定資金制度の創設について、わが党の考えを申し述べるとともに、政府の見解をただしたいのであります。  従来の失業対策が、とかく、発生後の対策が主で、後追い的であったことに対し、積極的な雇用機会の創出によって真に失業の発生を事前に防止し得るものであるならば、一定の評価を惜しまないのでありますが、政府提案のままでは、雇用合理化にさらに乱用されるおそれが少なくないと考えます。  すなわち、この資金が雇用の安定に有効に使用されるためには、少なくともその運用において労働者代表の意見が尊重され、民主的運用が制度的に保障されなくてはなりません。  また、実際面において、この資金の活用が効率的であることをチェックする仕組みが必要であり、そのためには、この資金の給付を受ける企業については、経理内容を報告させるなどの方策が必要であると考えます。  冒頭申し上げましたとおり、雇用問題は日本経済の構造的問題に源を発しており、これを離れて根本的な解決はあり程ません。  今日、日本が国際社会の中で生きていくためには、公正労働基準の確立が必須の条件であると考えます。このことからも、労働時間短縮、全国一律最低賃金制等は早急に実現すべき問題であります。  低成長経済が今後のパターンとなる中で、意識の多様化、高年齢高学歴社会の到来など、雇用問題は量と質の両面からその対応策が必要となっております。  これらの問題を踏まえた就業構造を今後どう実現するのか、勤労国民のすべてに安定した雇用をどのようにして保障するのか、国民のすべてが重大な関心を寄せ注目しておりますが、これに対してどうこたえようとしているのか、総理の明確な答弁を要求して、私の質問を終わります。(拍手)     〔内閣総理大臣福田赳夫君登壇〕
  11. 福田赳夫

    ○内閣総理大臣(福田赳夫君) お答えいたします。  低成長下において雇用政策をどういうふうにとり行っていくか、その基本的な考え方いかんということでございますが、申し上げるまでもございませんけれども、わが国がこれから歩む道は狭くかつ厳しいです。何といたしましても、資源有限時代である。その資源有限時代におきまして、わが国として最も大事な問題は、資源を安定的に確保する、この一点にある、こういうふうに思うのであります。そういうことを考えますと、わが国のこれからの経済政策、これはその成長をある程度低目にとるということが肝要である、こういうふうに考えるのであります。  しかし、低目と申しましても、余りこれが低くなりますると、資源有限時代という考え方にはいいかもしらぬ、しかしながら、日本社会の、日本経済の活力が失われる、特に雇用問題に重要な支障があるということでございます。でありますので、日本社会の活力、雇用問題というような立場からいたしますると、経済の成長は高い方がいい。その高い方への要請とまた低い方への要請と、その接点をどこに求めるかということが非常に大事な問題と考えるのでありまするけれども、私は、その両面の要請のその接点は大体六%成長という程度ではなかろうか、さように考えておるのであります。そういうことになりますると、従来の高い成長に比べますると、かなり低い成長になりますので、そこで雇用問題等が重大な問題になってくるわけでありまするけれども、六%成長の程度でありますれば、まずまず、いろいろの工夫をこらしむれば、雇用政策については支障はない、さように考えております。そういう六%成長の中で、第三次雇用対策基本計画、この線に沿いまして雇用政策を進めていくというのが基本的な考え方でございます。  当面の問題といたしまして、安島さんは、公共事業だけで景気が振興できるか、雇用の需要に応ぜられるかというようなお尋ねでございまするけれども、景気を浮揚するといいますると、即効薬があるのは、これは公共事業以外にはありません。これは大方の見るところではなかろうか、こういうふうに思うわけでございます。公共事業の景気への影響、これはかなり甚大でございまするけれども、しかし同時に、即効的に雇用を創出するという上においてかなりの効果がある、かように考えておるのであります。  安島さんは、いまわが国は無秩序な海外輸出をしておる、その背景には労働条件の後進性というものがあるのじゃないかというお話でございますが、わが国の労働条件の現況は、諸外国に比べましてそう悪い方とは思いません。しかし、これは労使の間におきましていろいろ相談をされまして、これがさらにさらに改善されるということは好ましいことである、かように考えております。  ILO条約の批准につきましても、これも悪い方ではないのです。しかし、さらにさらに一層努力をする方針でございます。  それから、年金制度を充実し、その支給開始年齢の引き下げをというお話でございますが、支給開始年齢は国際的に見てむしろ早いグループに入っておるのであります。これをさらに引き下げるということは、当面はむずかしかろう、こういうふうに考えております。  定年延長の促進により年金と結びつけよというお話でございまするけれども、厚生年金の支給開始年齢である六十歳まで定年を延長する、これは私は妥当であると思います。そういうふうな指導をしてまいりたいというふうに考えております。  労働時間の短縮につきましては、これは労使双方の相談の問題でございます。そのような相談が行われことるを期待しております。  全国一律最低賃金制の確立の問題、これは目下中央最低賃金審議会において審議中でございますので、その結果を待って判断をいたしたい、かように考えております。  自余の問題は、労働大臣からお答えを申し上げます。(拍手)     〔国務大臣石田博英君登壇〕
  12. 石田博英

    ○国務大臣(石田博英君) 私に対する御質問は、主として中高年齢層の雇用対策に集中されておったものと承知しております。  社会福祉の最大の前提は雇用の確保である、雇用の確保なくして一切の福祉はない、そういう基本的観念に立ってこの問題に対処し、しかも、現況においては中高年齢層にそれが集中されておる、そういう事実認識も安島さんと同一でございます。  ただ、定年延長とか、あるいは雇用率制度というものをもっと強制力を持たせろ、あるいは場合によっては法制化すべきではないか、こういう御意見でございますが、わが国の長く続いてまいりました五十五歳定年制は、日本人の平均寿命が四十数歳の時代にでき上がったものでありまして、今日妥当なものとは考えません。しかしながら、これは長年にわたる人事管理体系、それから賃金原資の配分の問題とも関連をいたします。また、業種によって比較的老齢層でも適当なものもあれば、そうでないものもある。したがって、これを一律に法制化するのは適当でないと考えております。また、事実、いま総理からお答えがありましたように、厚生年金の開始年齢が六十歳、その六十歳とつなぎ合わせるべく、当面六十歳定年制の普及に向かって全力を上げてまいりたいと思っておる次第でございます。事実、現況におきまして大体三二、三%の企業が六十歳定年制に改めつつあるわけであります。  それから雇用率制度、中高年齢者雇用促進法によりまして六%というものが決められてございます。これは奨励金その他の給付金の処置をとることによって漸次効果を上げておりますので、先ほどの定年延長の問題とも絡んで、法制化あるいは強制力を持たせるよりは、企業の現実を踏まえながら、同時に、経営者、使用者の社会的な責任の自覚を待って前進せしめてまいりたいと思っておる次第でございます。  それから、雇用保険の給付を延長しろということでございます。また同時に、季節労働に対する給付の延長の問題もお出しになりました。  先般行われました雇用保険法の改正は、この給付と負担とのできるだけのアンバランスの是正ということをねらって行われたものでございます。季節労働に対しましては、納付金が七十八億円程度に対しまして、給付金はおおよそ千三百億円に上っておるわけでありまして、五十日を給付し、そのかわり給付を受けながら別に働いてもいいということにいたしましたのは、それ自体季節的な条件に対する特例措置であると考えておる次第でございます。また、一般的な雇用の給付は、いままで保険に加入しておった時間的長さによって給付期間を決めておりましたものを、雇用機会の乏しくなります中高年齢層、年齢別に給付期間を延長するという処置をとりまして、御指摘の中高年齢層の雇用促進に資しておるつもりでございます。  国際的な水準におけるわが国の労働条件の位置というものについて、あるいは全国一律の最低賃金制あるいは労働基準法の改正等の問題についてでありますが、大部分は総理が御答弁になりましたので省略をいたしますが、労働基準法は、制定以来長い年月日がたっておるわけでありますので、いま研究会を設けて全体としての検討を行いつつあるところでございます。(拍手)     ―――――――――――――
  13. 保利茂

    ○議長(保利茂君) 草川昭三君。     〔草川昭三君登壇〕
  14. 草川昭三

    ○草川昭三君 私は、公明党・国民会議を代表して、ただいま趣旨説明のありました雇用保険法等の一部を改正する法律案の内容について若干の質問を行うものであります。(拍手)  景気の長期低迷で、企業はいわゆる過剰雇用を理由に減量経営への転換を強め、雇用不安を恒常化しております。完全失業者は五十年以来百万人を上下しており、特に中高年齢、身体障害者、寡婦及びいわゆる季節的労働者の働く機会は一層狭められ、弱い立場の人々へのしわ寄せが顕著になっております。  失業はそれ自体重大な社会問題であり、健全な身体と能力のある多くの人たちを仕事につけられないことは、勤労者から生きがいを奪うばかりではなく、社会にとっても非常な損害であります。政府は、今後の経済情勢の推移に応ずる雇用政策の主要な柱として、失業を予防し、また雇用の安定を図るということで雇用安定資金を設けるということでありますが、これは一時のびほう策にはなり得ても、基本的な雇用の保障を確立するものとは言いがたいのではないでしょうか。  いま最も肝要なことは、勤労者にひとしく雇用を確保し、一方、失業者に対してその生活を保障することであります。また、再雇用のための教育訓練の整備などとあわせ、総合的、体系的に施策を整備をすることがきわめて緊要であります。そのため、現行制度の抜本的な見直しが必要と思うのであります。  社会保障制度審議会等の政府の諮問に対する答申にも、雇用政策を国の根本的課題として総合的施策の樹立、あるいは根本的対策の至急策定等が指摘をされておるところであります。したがって、政府は、まずこれらの雇用に対する政策を明確にすべきであると思うわけであります。(拍手)  質問の第二点は、今日の雇用問題はきわめて深刻な状況にありますが、私は、本法案に示されるような現行の三事業に雇用安定資金を加えて四事業に広げる程度の措置では、問題解決の決め手とならないと思うのであります。労働大臣は、過日の社会労働委員会における所信表明の中で、インフレなき完全雇用を達成するために、失業の事前防止対策として雇用安定資金制度を創設すると述べられて一おります。しかし、この発想の中には、もはや高度成長政策の時代が過ぎた以上は、企業の減量経営に協力すべきではないかとする考え方が基本にあり、それは結局、労働者に犠牲を強いるものになることを私どもは強く危惧するものであります。この際、雇用安定資金制度の具体的な運用をまず明確にされたいと思うのであります。  第三点は、雇用保険法の運用上の問題についてでございますが、今日すでに保険給付も切れ、なお再雇用の機会が見出せないところの失業者がたくさんおるわけであります。しかも、戦後最大の不況と言われる状況の中で、法で定められた全国延長給付がいまだ行われておりません。私はここが問題だと思うのであります。これではまさに絵にかいたもちにすぎないのではないでしょうか。給付の延長はどのような場合を想定して制度化したというのでありましょうか。これをまずお伺いしたいと思うわけであります。(拍手)  また、特に北海道、東北地域などでは冷害で農作による収益はなく、一方、農機具や肥料代の返済に迫られ、また出かせぎに行きたくとも働くところが全くない方々が非常に多いわけであります。先ほど大臣は、給付と負担の差があるから考えよという御答弁がございましたが、働くところが全くない労働者に対する施策は一体どうあるべきなのでありましょうか。(拍手)したがって、失業給付の所定給付日数の改善こそが私はどうしても必要だと思うのでありますけれども、もしその必要がないと言われるのであるならば、そのような人たちは一体どうして暮らしていけばいいのか、御見解を賜りたいと思うのであります。(拍手)  第四点のお尋ねは、本法案において、事業主にかかわる保険料率の引き上げが当初千分の一であったものが千分の〇・五に改められたことは、経営側の圧力によるものかどうか、これはまあ別といたしまして、これでは満足な措置も行えないのではないかと思うわけであります。もし企業の負担を問題にするならば、中小、下請企業についてはその保険料金の負担に多少の考慮を加える、こういうことが必要であると考える次第であります。  問題は、この安定資金制度が企業の減量経営に利用されて解雇促進につながらないようにする具体的な歯どめが見当たらないということであります。具体策があれば御答弁をお願いしたいと思う次第であります。  なお、失業の予防を確立するということであれば、未組織の労働者、中小零細企業の労働者や中高年齢層の人々を含めてまず解雇制限を提案すべきであると考えるのでありますが、あわせて御答弁をお願い申し上げたいと思う次第であります。  第五点は、現在、大企業においては、関連企業への出向、転籍、新規採用の手控え、不採算部門の切り捨てで下請や中高年齢労働者へのしわ寄せはきわめて厳しいものがあります。また、繊維、精糖、化学などの業種では、企業の再編整備の動きが相次いでおります。これらの産業の構造的な変化に対して、そこに働いてきた勤労者の雇用の安定を図るには、政府の予定するところのこの事業転換訓練だけでは、私は先行き生活の見通しも立たないと考えますけれども、それで十分だといえるか、御所見を賜りたいと思う次第であります。  第六は、雇用保険の付帯事業として新たに柱を立てた雇用安定事業は、従来の三艦業の中の雇用改善事業の雇用調整給付金と能力開発事業の事業転換訓練を再編拡大したものとなっておりますけれども、その景気変動等雇用調整事業において、国際経済事情の急激な変化、これがあったわけでございますけれども、これをあえて除いたことによって、雇用調整給付金の乱用がかえって助長されるのではないでしょうか。同時に、事業転換雇用調整事業についても同様のおそれなしとしないのであります。もし、乱用の防止等があれば、具体的にお示し願いたいと思う次第であります。また、乱用にならないとしても、いわば構造的な失業問題に対して、雇用安定資金制度をもって十分対処できるとは考えられないのでありますけれども、見解を賜りたいと思う次第であります。(拍手)  第七点は、雇用調整給付金についてでございますが、雇用調整給付金によるところの失業予防の効果がいままでどれだけあったのか、国民は知らされていないのであります。もし顕著な成果があったとすれば、その事実について明らかにしていただきたいと思う次第であります。  第八は、現行の雇用保険制度においても、不時の出費に備えて予備費が計上されておることは、御存じのとおりであります。しかし、この予備費の上に、さらに雇用安定資金を設ける特段の理由があるのでありましょうか。私は、この制度が、ともすれば企業の安易な再編合理化の助長に利用されるのではないかという憂慮をするものであります。  なお、仮に本制度が必要であるとするならば、少なくともこの資金制度の民主的な運営管理について、働く勤労者の権利を保障するためにも、労使、特に中小企業の実態に即した適確な措置をすることができるよう制度として確立する必要があると私は思うのでございますが、お考えを承りたいのであります。(拍手)  最後に、政府が従来言ってきました、日本は先進国の中で最も失業率は低いと、先ほども総理からお答えがございました。しかし、日本独特の雇用構造があるがゆえの数字でございまして、下請、一人親方、あるいはパートタイム、あるいは家内労働など、失業が潜在化しておる現状に目をつぶることになるのではないでしょうか。現在、潜在失業者を含め約三百五十万の失業者があると言われている実態に即した雇用政策の樹立のためには、正しく雇用、失業状態を把握し、勤労者に生活の向上を保障するに足る雇用についての責任を政府が国民の前に明らかにする必要があると思う次第であります。政府の具体的な政策を承りたいのであります。  以上の項目について誠意ある御答弁をお願いして、私の質問を終わりたいと思います。(拍手)     〔内閣総理大臣福田赳夫君登壇〕
  15. 福田赳夫

    ○内閣総理大臣(福田赳夫君) お答えいたします。  現在の深刻な失業状態に対しまして、雇用安定資金では対処し切れないのではないか、現に出ておる失業者に対して一体どういうふうな対策を講ずるか、こういうようなお話でございますが、この対策は、これはもうもろもろの技術的な対策はありまするけれども、基本を言うと、景気を安定的に定着させる、これ以外にはありません。  いま、日本の経済は、昨年上半年の好調から横ばいの状態になってきている。それに伴いまして、雇用問題も深刻な状態になってきておるわけでありますが、どうしてもここで景気を上向きに転じなければならぬ、そのためにはてこ入れをしなければならぬというふうに考えておりまして、いま、五十一年度予算の補正につきまして御決議をいただきましたし、また五十二年度予算につきまして目下御審議を願っておる、この予算案がこの問題の解決のためにかなり有効に働く、かように考えておる次第でございます。  なおまた、昭和五十二年度予算が成立した暁におきましては、けさの政府の会合において決定したのですが、公共事業の契約を上期に集中する、こういう考え方で進みたい、準備をしたい、こういうふうに考えておりまするし、また、民間の住宅につきましても、予定しておるもののうち約半分ぐらい、九万戸を四月中に募集に着手をする、こういうこともいたしたい。また、かたがた日本銀行におきましては公定歩合の引き下げを検討し、恐らく、私は、きょうその結論が出るんじゃないかというふうに思いまするけれども、そういう諸施策を行っておりますのは、何とかして景気にてこ入れをいたし、これが向上をいたしまして雇用問題の根本的な問題を解決したいというふうに考えるからであります。  しかし、もし失業が出るというようなことになりますれば、雇用保険制度を活用する、あるいは雇用対策法に基づく職業転換対策を講ずる、こういうような諸措置をもって対処いたしたい、かように考えております。  なおまた、草川さんからは、先ほど安島さんから御質問がありました安定成長下での雇用対策の基本的な考え方はどうか、こういうことでございますが、これは、先ほどお答えいたしたとおりでございまするけれども、資源有限化でかなり成長をこれから落とさなければならぬ、落とさなければなりませんけれども、しかし、雇用問題を考えるときにはそう落とすわけにはいかないのです。やはり、雇用問題を解決するに足る高さの成長を持たさなければならぬ。私は、今後十年間を展望いたしまして、その高さは六%ぐらいというふうに考えておるのでありまするが、その辺をにらんで、それが安定的に動いていくような経済政策をとっていくこと、これがこの雇用対策のかなめにならなければならぬだろう、こういうふうに考えておるわけであります。そういう中において、雇用対策基本計画に示されたような具体的な施策を進めていく、これが雇用対策としては万全の構えではあるまいか、さように考えておる次第でございます。     〔国務大臣石田博英君登壇〕
  16. 石田博英

    ○国務大臣(石田博英君) 御質問の中で流れております一貫した御心配は、この制度で一体十分だと考えるのか、これで十分現在の雇用情勢に対処できるのかという点にあろうかと思います。方向それ自体に対する御疑問ではないように思うのでありますが、この雇用安定資金の運用は、さっき安島さんの御質問にお答えするのが漏れておりましたが、この運営は、やはり労使の意見を十分聞きながら、中央職業安定審議会で相談をして、効果あるように運営をしてまいりたいと思っておる次第でございます。  それから、保険料率を千分の一にするつもりでおったのが千分の〇・五にして、それで十分かという御質問でございますが、むろん多いにこしたことはございませんけれども、〇・五に半減をいたしましたのは、主として中小企業の負担力を考えたからでございます。  そこで、それでは事業規模によって保険料率を違えたらどうか。これは、しかし、他の社会保険との関連もございますので、そういう措置は、保険の全体系に影響を及ぼしてまいりますから、むしろ規模別によって給付の額を変えることによって、つまり中小企業を優遇するということによって、これを対処してまいりたいと思っておる次第でございます。  それから、この制度が逆に乱用されて、企業の減量、縮小、そういうようなものを手伝う結果にならないか。私は、むしろ、これから、やはり憂慮すべきものは、構造上の変化によりまする雇用の転換にどう対処するかということであろうかと思うのでありまして、しかも、休業とかあるいはそれを前提とした教育訓練というのは、労使の話し合いによって行うことを基本にいたしておりますので、乱用されたり、あるいはこれがむしろ事業の縮小に利用されたりすることは、まずないものと考えております。  雇用調整給付金が現実に失業の防止にどれだけ役立ったか、これはなかなかつかみにくい数字でございますが、雇用調整給付金を給付してまいりました実情から考えまして、三十万ないし五十万程度の失業の防止には役立ったと思います。  わが国の失業率の現状を踏まえて潜在失業者の数の御指摘がございました。わが国の失業率というものが諸外国に比べて現在なお低い水準にあるのは、主として企業別労働組合と終身雇用制度というものが背景にあるからであろうと思います。もし潜在的失業という言葉が使えるならば、そういう制度の中で各企業が過剰な人員を抱え込んでおる、それが潜在的な失業というふうに考えられるかと思います。これはどれくらいの数になるか、これもなかなかつかみにくい数字でございますが、やはり景気の回復がおくれますと、そういう制度に支えられ切れなくなる場合も想定されますので、景気の回復が一日も早く実現をいたしまして、安定的な雇用が増進することを私どもは期待をいたしておる次第でございます。  なお、季節労働の問題、それから雇用安定給付金の期間延長の問題が出ましたが、これは前に安島さんにお答えをしたとおりでございますので、重複は避けます。(拍手)     ―――――――――――――
  17. 保利茂

    ○議長(保利茂君) 小宮武喜君。     〔小宮武喜君登壇〕
  18. 小宮武喜

    ○小宮武喜君 私は、民社党を代表して、ただいま議題となっております雇用保険法等の一部を改正する法律案について、総理並びに労働大臣に質問をいたします。  わが国の雇用情勢は依然として厳しい状況にあり、企業の求人は依然としてその増勢を見せず、昭和四十九年に一を割っていた有効求人倍率は、二年半たった今日でも〇・五ないし六と低迷をし続けて、二人に一人の就職しかできないような状態が続いております。  また、五十年度に百万人を超えた失業者の数は、その後も一向に減少せず、完全失業者百万人時代は常態化してきたと言っても差し支えありません。  このような深刻な雇用情勢は、わが国経済が本格的な低成長経済に突入し、従来のように経済成長に伴う企業の事業規模の拡大による雇用の増大はほとんど期待できないような情勢になっております。  今日、わが国は、本格的な低成長経済を迎え、経済、政治、社会のあらゆる画での発想の転換が求められておりますように、雇用政策においても同様であります。従来の経済成長の後追い的、事後救済的な雇用政策では、もはや完全雇用の実現は不可能であると信じております。  今後の低成長経済のもとで、完全雇用を確保し、労働者の雇用の安定とその生活を保障するためには、労働者の失業防止を基本目標としなければなりません。そのためには、経済構造の変化に基づく長期的な雇用動向を的確に把握し、新しい職場の創造、職業訓練による衰退産業から成長産業へのスムーズな職業の転換、失業者に対する十分な生活保障と再就職の場の確保など、積極的かつ総合的な雇用保障政策を推進する必要があるのであります。  この観点から、政府にまず第一に要望したいことは、このような総合的雇用保障政策を積極的に推進するための行政上の体制を整備することであります。このためには、諸外国で採用されている制度は一通り整えられてはいるものの、一つ一つの制度が不十分でいわばミニチュアであり、しかも各制度が官僚のなわ張りのためにばらばらに分断され、運用されている今日の雇用行政を体系立て、一元化する必要があるのであります。  そこで、総理にお伺いいたしますが、総理は、今日の雇用問題の深刻さの原因をどこにあると考えられているのか。また、雇用行政の一元化について、今後具体的にどのように進めていくつもりか、お伺いいたします。  次は、今回制度化されることになっております雇用安定資金の問題についてであります。  わが党は、今日の雇用状況のもとで労働者の失業を防止し、雇用の安定を図るためには、この制度は一歩前進したものとして評価しているものであります。しかしながら、われわれがさきに述べたように、雇用政策は国の根本的課題として大局的見地から総合的、体系的に立てられるべきものであります。したがって、雇用安定事業を雇用保険の一事業として行うことには、その規模等から考えておのずと限界があるのではないかと疑問を持つものであります。その規模を拡大しようとすれば事業主の負担増となり、雇用政策の効果は減殺されることにもなりかねないのであります。  そのため、将来は、雇用に対する国の責任を明確にし、国が一般会計にまる予算を大幅に投入し、その事業規模を拡大することによって、不況時における予防や企業助成だけではなく、産業構造の変化に伴って発生する失業を未然に防止することに努めなければなりません。不幸にして失業者が出た場合は、生活保障と職業訓練、再就職の援助等を一体的に行う制度として、本制度を拡充発展させる必要があると考えます。現在、雇用対策法に基づいて行われている職業転換給付金制度は、将来、本制度に統合すべきであると考えますが、労働大臣はどのようにお考えか、お伺いいたします。  次に、雇用安定資金の運用の問題について二、三点御質問いたします。  第一は、先ほどからも話がありましたが、労働四団体あるいは中央職業安達審議会の答申でも指摘しているように、資金の運用に当たっては当事者である労使双方の意見を十分反映させるべきであります。そのため、中央職業安定審議会の中に、公労使同数の委員から成る専門部会を設け、資金の運用基準の大綱はもちろんのこと、業種指定の基準、方法、各種給付金の具体的な内容、その相互のバランス等についても、同部会に定期的に報告し、その問題点を明確にするような措置を講ずべきであると考えますが、大臣の見解はいかがでしょうか。  第二は、資金の中小企業の適用に関する問題についてであります。  この事業により援助助成の対象となる教育訓練については、法定職業訓練に重点を置いているようでありますが、中小企業に働く労働者にとって、法定職業訓練のみに限定された場合、その効果は限定されてしまうのであります。したがって、中小企業については、法定職業訓練に限定せず、この制度の恩典が受けられるような弾力的な運用が望まれますが、大臣の御所見をお伺いします。  また、この資金の財源確保のために、保険料率の事業主負担を〇・五%引き上げることとなっておりますけれども、特に中小企業では大部分が教育訓練を行うなどの体制にはありません。しかも、今日の不況で経営不振に陥っている中小企業者にとっては、過大な費用負担のみを強いられることになります。  雇用、失業問題は、国の経済政策に起因するところ大であります。したがって、国もその責任を負うべきであり、費用の一部は国も負担するなどの援護策を講ずる必要があると思われますが、大臣の御所見をお伺いしたい。  第三は、雇用調整給付金支給の場合も問題となりました、業種指定申請の時期と指定されるまでの間のタイムラグの問題についてであります。  労働省は、不況業種の労働者の迅速な救済を図るため、雇用調整給付金支給の経験にかんがみ、このタイムラグの問題について今後どのように改善していくつもりか、御見解を承りたいと思います。  最後に、今日のみならず今後のわが国の最大の課題は、中高年齢者の雇用問題であります。特に、六十歳定年制の問題について、総理並びに労働大臣にお伺いします。  わが国が急速に高齢化社会を迎え、定年延長が高齢者の雇用の安定と福祉の面から社会的性格を強めていることは周知の事実であります。五十五歳定年は、平均寿命が七十歳を超えておる今日においては、過去の遺物であると言っても差し支えないと思います。にもかかわらず、五十五歳定年制がいまだに一般的であるという今日の状態は、まさに時代おくれの制度であると言わざるを得ません。労働四団体が共通して要求しているように、定年を少なくとも六十歳まで延長することは、もはや今日では国民の合意であり、政府はその実現のための具体的な政策の断行が強く望まれていると思うのであります。  したがって、政府は、六十歳定年制の実現を図るために今後格段の努力をする必要があると思うが、総理並びに労働大臣の見解をお伺いして、私の質問を終わります。(拍手)     〔内閣総理大臣福田赳夫君登壇〕
  19. 福田赳夫

    ○内閣総理大臣(福田赳夫君) 今日の失業問題の根本的な原因は一体どこにあるのか、また失業、雇用の問題についての政府の体制、これを一元化すべきではないか、こういうようなお尋ねでございますが、今日の失業問題が深刻になりつつあるというその根本的な原因は、これは何と言っても、世界というものが変わってきた。つまり、資源有限時代という時代を迎えまして、そう過去のような華々しい経済成長ができなくなってきた、そこに根本的な原因があると思うのです。特に、当面といたしましては、そういう中において特に景気が停滞的な状態に陥っておる。そこで、今日この時点において失業問題というのは特に重要性を増してきておる、こういうふうに見ておるのであります。  したがいまして、政府のこれらの問題に取り組む一元的機構というようなお話でございますが、そういう側面から考えますと、この失業問題あるいは雇用問題というのは非常に広範な問題になってきているのです。国の経済政策の全局面がこの失業問題に深いかかわりを持っており、その経済政策全体としての運営いかんが失業、雇用の問題を左右するという立場にあることを考えまするときに、経済政策全体が就業、失業、そういう問題をにらみまして有機的に機能し得るような体制を整備するということが大事な問題である、こういうふうなとらえ方をいたしておるのであります。こういう考え方によりまして、従来からも努力しておりまするけれども、雇用をにらんでの一元的行政の運営という点につきましては、今後とも努力をいたしてまいりたい、かように考えております。  また、六十歳定年制を実現せよ、また場合によってはその法制化をどうだ、こういうようなお話でございます。  私は、六十歳定年制、この問題につきましては、これは賛成でございます。ただこの問題は、賃金等の問題ともかかわりを持ちながら、今日の状態が多年のいきさつを経まして今日に至っておるわけでございますので、これを一挙に法制化するという考え方はいかがであろうか。やはりこの問題は、六十歳定年制をにらみながら、労使の間で相協調し、そして自主的にこれを解決していくということであろうかと思うのでありますが、政府はその方向で雇用行政に臨んでいきたい、かように考えております。(拍手)     〔国務大臣石田博英君登壇〕
  20. 石田博英

    ○国務大臣(石田博英君) 雇用安定のための行政制度を一元化したらどうかという御意見でございます。  実は、私も久しぶりで労働省へ行って、雇用政策の上に設けられている制度、給付金の種類の多いのに驚いて、まだ全部を暗記し切れないでいるような状態でございます。これを整理統合しなければならぬという点については全く同感でございますが、ただ、雇用安定資金は使用者に給付する金でございますので、これはやはり使用者の負担によって賄う。そして、目的はやはり失業の防止、それから転換への対応ということが目的であります。一方、職業転換給付金、これは一般会計で賄っているものでありますが、これは構造的な失業、発生した失業に対する対策でございますので、これを直ちに一本にするということには問題点があろうかと思いますが、雇用対策に対する制度、給付金の簡素化、それから運用の一元化というようなものについては十分考えたいと思います。  それから、この資金の運用に当たって、労、使、公益、三者構成による新しい機関あるいは専門部会というものを設けたらどうか、これは全く賛成でございますが、このつくり方につきまして関係者の間にいろいろな意見がありまして、まだまとまっておりませんので、その中央職業安定審議会の方々の御意見のまとまりを見ながら、御趣旨のような線に沿って運営ができるようにいたしたいと思っておる次第でございます。  それから、この安定事業の対象となるのは法定職業訓練に限る、中小企業ではそれはなかなかできないではないか、こういうお話でございますが、そういうことのないように、中小企業の職業訓練に当たっては、これはそういう法定職業訓練に限らずに行えるようにいたしたいと思っておる次第であります。  それから、保険料率の値上げの問題について、中小企業の負担増に対応するために差をつけたらどうか。先ほどもお答え申し上げましたように、この保険料率に差をつけますということは、社会保険全体の体系に影響を及ぼしますので、規模別に給付に差をつけて対応をしてまいりたいと思っております。  それから、業種の指定、これは申請時期と決定時期との間に時間のずれが出てくるじゃないか。これはもう、時間のずれが出ないように敏速に運営をいたしたい、こう思っておる次第でございます。  それから、六十歳定年制につきましては、先ほどからたびたびお答えを申し上げておるとおりでありまして、わが国の社会が高年齢層が多くなってきたということだけでなくて、とにかく平均瀞命が四十三歳ぐらいのときにできた制度が、七十何歳になって同じように続いているということは不合理であることは、これは言うをまちません。さしあたって六十歳、つまり厚生年金の支給開始年齢とつなげるように、六十歳定年制を目指していま鋭意努力中でございまして、現在大体三二%くらいの事業場は六十歳定年制に変わりつつございます。変わっております。  しかし、これを法制化いたします場合は、この仕事の種類、それから人事管理の長い間の体系、それから賃金原資の配分、これはいろいろまちまちでございます。また、各企業それぞれの工夫をいたしております。たとえば、同じ仕事の中で老齢者でも十分やれる仕事と、そうでないものとを分けまして、そして老齢者の人は老齢者のために分けられた別会社へ移すようなことを考えているところもございますし、いままで単能工であった人を、商年齢になっても仕事ができるような職種の訓練を、つまり多能工に訓練をし直すというようなことをやっておるところもございます。あるいはまた、一〇〇%出資の別会社をこしらえまして、そこで高年齢者に働いてもらうという制度をとっておるところもございます。  したがって、これを一律に法制化するというよりは、使用者の社会的責任を十分に自覚をしていただき、そして各種の奨励措置を加えながら、現実に六十歳定年になるような行政指導を図っていくのが現状で適当であろうと考えておる次第でございます。(拍手)
  21. 保利茂

    ○議長(保利茂君) これにて質疑は終了いたしました。      ――――◇―――――
  22. 保利茂

    ○議長(保利茂君) 本日は、これにて散会いたします。     午後二時二十九分散会      ――――◇―――――  出席国務大臣         内閣総理大臣  福田 赳夫君         運 輸 大 臣 田村  元君         労 働 大 臣 石田 博英君      ――――◇―――――