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1976-05-10 第77回国会 衆議院 大蔵委員会 10号 公式Web版

  1. 昭和五十一年五月十日(月曜日)     午前十時三十六分開議  出席委員    委員長 田中 六助君    理事 塩川正十郎君 理事 森  美秀君    理事 山下 元利君 理事 山本 幸雄君    理事 佐藤 観樹君 理事 山田 耻目君    理事 増本 一彦君       金子 一平君    瓦   力君       木野 晴夫君    小泉純一郎君       齋藤 邦吉君    林  大幹君       原田  憲君    坊  秀男君       宮崎 茂一君    毛利 松平君       高沢 寅男君    広瀬 秀吉君       堀  昌雄君    松浦 利尚君       武藤 山治君    村山 喜一君       山中 吾郎君    横路 孝弘君       横山 利秋君    荒木  宏君       小林 政子君    広沢 直樹君       竹本 孫一君  出席国務大臣         大 蔵 大 臣 大平 正芳君  出席政府委員         経済企画庁長官         官房参事官   佐々木孝男君         大蔵政務次官  唐沢俊二郎君         大蔵大臣官房審         議官      佐上 武弘君         大蔵省主計局次         長       高橋  元君         大蔵省主税局長 大倉 眞隆君         大蔵省理財局長 松川 道哉君         大蔵省国際金融         局長      藤岡眞佐夫君  委員外の出席者         厚生大臣官房企         画室長     山口新一郎君         参  考  人         (全国銀行協会         連合会会長)  中村 俊男君         参  考  人         (社団法人公社         債引受協会会         長)      村田 宗忠君         参  考  人         (横浜市立大学         教授)     原  司郎君         参  考  人         (立命館大学教         授)      加藤 睦夫君         参  考  人         (駒澤大学講         師)      坂入長太郎君         大蔵委員会調査         室長      末松 経正君     ――――――――――――― 委員の異動 五月十日  辞任         補欠選任   横路 孝弘君     堀  昌雄君 同日  辞任         補欠選任   堀  昌雄君     横路 孝弘君     ――――――――――――― 本日の会議に付した案件  昭和五十一年度の公債の発行の特例に関する法  律案(内閣提出第一号)      ――――◇―――――
  2. 田中六助

    ○田中委員長 これより会議を開きます。  昭和五十年度の公債の発行の特例に関する法律案を議題とし、質疑を続行いたします。松浦利尚君。
  3. 松浦利尚

    ○松浦(利)委員 御案内のとおりに、五十一年度の予算が土曜日に成立をしたわけでありますが、この予算を編成した事態と今日の経済情勢が若干変わってきておるのではないかというふうに把握をいたします。したがって、今年度の経済見通し等について、若干大蔵大臣の見解を承っておかなければならぬと思いますから、的確にお答えいただきたいと存じます。  第一点は、五十一年度の予算の税収見積もりとの関連でございます。個人所得税の関係と今年度の春闘との関係、この関係から見て、当初の所得税目標はいけるというふうに判断をしておられるのか、それとも雇用者所得の伸びから見て、ことしの春闘相場の妥結額が大手は大体八%前後でありますが、全体を地ならしすれば、極端な言い方をすると五%から六%ぐらいになるのではないかという説すらあるわけであります。そういった面で、個人所得税の目標というものは達成できるのかどうか、その点をまずお聞かせいただきたいと思います。
  4. 大倉眞隆

    ○大倉政府委員 五十一年度の歳入見積もりの中で、給与所得につきましての源泉所得税の見積もりの基礎は、対前年度の伸び率を一三%程度としておりますが、これを分解いたしますと、雇用の伸びが一%、一人当たり雇用者所得の伸びが一一・八%という見積もりをいたしております。この一人当たり雇用者所得一一・八%と申しますのは、いわば一人当たりの総給与でございます。それでただいまおっしゃいました春闘に関連いたしますのは、所定内給与と申しますか、定期給与と申しますか、そういう部分に当たるわけでございます。したがいまして、春闘に絡んで決まってくる定期給与の伸びのほかに定期外、所定外賃金、つまり超勤がふえればそっちがふえるとか、あるいはボーナスが去年とことしでどうなるかというような要素がまだ残されているわけでございます。私ども、企画庁の見方も随時聞いておりますが、企画庁の方では、現在伝えられる春闘ベースを基礎にした場合に、やはり所定外賃金が最近かなりふえつつあるというようなことも入れれば、大体企画庁として見通した程度の一人当たり雇用者所得の伸びは達成できるのではないかというようなことを言っておりますので、その意味では私どもとしても、給与所得にかかわります源泉所得税の税収見積もりをいま直さなくてはならないというふうには考えておりません。
  5. 松浦利尚

    ○松浦(利)委員 所得目標はいけるということでありますが、それでは、法人税の基礎の問題に絡んで、最近の生産回復あるいは卸売物価等の動きを見て五十一年度の政府見通しを変更する必要はないのかどうか、その点をお聞かせいただきたいと思います。
  6. 大倉眞隆

    ○大倉政府委員 全体の経済見通しは当面直すつもりはないというふうに企画庁から私ども聞いております。  法人税収についてのお尋ねでございますが、法人税収の見積もりの基礎は、生産と物価を相乗いたしまして、いわば売り上げの伸びのようなものを見まして、そのほかに所得率による調整を行うわけでございます。ちょっとややこしい話で恐縮でございますけれども、非常に単純化して申し上げますと、五十一年度の税収の基礎になります生産、物価と申しますのは、経済見通しの基礎になりますものよりも若干昔にずれるわけでございます。したがいまして、最近鉱工業生産が月率でかなりの勢いで伸びつつあるわけでございますが、それが五十一年度全体を通じてどうなるかというのはまだ実はよくわからない。仮に五十一年度全体で一%上がるという場合に、それが上期で上がるか下期で上がるかという点もございます。下期で上がりますと五十一年度税収にはほとんど影響をいたしてまいりません。むしろ五十二年度の税収が伸びてくるというずれずれの関係になるわけでございます。  ただ、なるべく御質問の御趣旨に沿うようにお答えいたしますとすれば、経済見通しの鉱工業生産は一一〇・四の伸びを見ておりますが、これを税収ベースに翻訳いたしますと一〇八で見たことになるとか、あるいは物価は卸売が五・六、消費者が八・八と見ておるのを、税収ベースに翻訳してかみ合わせると五になるとかいうような見方をしておりますので、税収ベースの基礎に見た部分が一%上がればそれは約四百億の増収になってまいりますが、五十一年度が経済見通しの方で一%上がるという場合に、税収ベースは必ずしも一%には上がらない。つまり昔の分が入っているという関係にございますので、その点は割り引いて考えてみないといけない、そういう関係になるわけでございます。非常に単純に申しますと、税収ベースというのは五十年度の下半期と五十一年度の上半期とをかみ合わせたようなものでございますから、仮に五十一年度が年度全体で一上がる、上期と下期と同じように上がるという非常に大ざっぱなことで申し上げれば、五十一年度が一上がったときには課税ベースでは〇・五上がるわけで、ただいまの四百億というのは二百億というような推計になる、そういう関係にあるというふうに御理解いただきたいと思います。
  7. 松浦利尚

    ○松浦(利)委員 大蔵大臣にお尋ねをしますが、昭和四十五年を一〇〇といたしまして政府発表の生産回復指数というか操業度、これがいま大体八六近くに上がってきておるわけですね。ですから生産回復のテンポは非常に速いわけですね。この景気の回復状態を大蔵大臣は今日どのように把握しておられますか。当初の見通しよりも速いと見ておられますか、あるいは当初の見通しどおりだというふうに見ておられますか、どっちですか。
  8. 佐上武弘

    ○佐上政府委員 お答え申し上げます。  いまおっしゃいますのは稼働率でございまして、稼働率は先生御指摘のとおり八六程度に戻っております。操業率換算七八でございますから、ピークである四十五年当時の稼働率に比べますとまだ一四%程度落ち込んでいるという状況でございます。しかしながら、御指摘のように一-三月におきまして稼働率もかなり上がってまいりましたし、生産の方もかなり上昇基調にございますけれども、四月から新年度に入りまして何分一カ月でございます。このままの調子で年度間いくということを判断いたしますにはまだいささか時期が早いと存じますので、現在のところ、企画庁と相談いたしまして、こんなテンポでいくか、ひとつ四-六の状況をながめつつ考えたらいいのではないかというふうに考えております。
  9. 松浦利尚

    ○松浦(利)委員 大蔵大臣、これはやはり事務ベースの問題じゃないと思うのです。これからの五十一年度の経済判断としては非常に重要な問題だと思いますから、大臣から的確にお答えいただきたいのですが、少なくとも昭和五十一年度の予算を国会で審議する段階では、生産回復のテンポがこれほど速いとはだれも予想しておらなかったわけですね。ところが実際に、いま審議官が御報告になりましたように八六ぐらいに回復してきておるわけですね。しかも、春闘の賃上げベースというのは、当初の政府の見通しよりも――もちろん、いま御説明がありましたが、所定外所得等を入れればということで、雇用者所得の伸びが大体政府見通しになるというようなお話ですけれども、実質的に企業賃金が政府の見通しよりも低いということになれば、企業の収益の回復テンポというのは非常に速いと私は思うのです。ですから、当初政府が見通しをしておったよりもテンポが速い、収益の回復率も高いということになれば、私はこれからの税収見積もりその他についても大幅な変化が出てくると思うのですよ。その点について、財政を運営する立場で大平大臣はどのように見通しておられるのか、的確にお答えいただきたいと思うのです。
  10. 大平正芳

    ○大平国務大臣 仰せのように、景気回復のテンポは大変速まったじゃないか、だからこれから先、経済は過熱を心配しなければならぬ、物価を警戒しなければならぬのじゃないか、したがってまた財政政策、金融政策についても考えなければならぬ時期が来たのではないか、そういう見方は確かに一部経済研究所、学者等にないわけではございません。しかしながら、一面におきまして、いや、決してそうではないのだ、そんなに経済の回復は順調ではないのである、とりわけ輸出にいたしましても、いまのテンポの輸出伸長が定着化したとは必ずしも言えないではないか、設備投資にいたしましても、政府が見通しておる設備投資需要というものさえ、どう見ても過大ではないかという見方もありまして、なお、景気の回復などということを安易に見られないではないかという慎重な見方も一面においてあるわけでございます。  それでは政府はどう考えるかということでございますが、政府のスタンスは決まっておるわけでございまして、五十一年度の見通しというものを立てて予算も組み、経済政策も運営いたしておるわけで、いまのスタンスを変えるつもりはないわけでございます。すなわち、過熱を心配して経済政策を変えるとかいうようなつもりはございませんで、まずまずいまの足取りは経済の見通しをいま変えなければならぬというようなことにはなっていないじゃないかという状況で事態を見ておるわけでございますので、端的に申しますと、仰せのような御質問に対しまして、まだ決定的に回復のテンポは速まったとかいうようなお答えを申し上げられる段階ではないと私は思っております。
  11. 松浦利尚

    ○松浦(利)委員 そうすると、もう一つ見方を変えますと、御承知のように不況時代に通産が公取の認可をもらって不況カルテルを結び、不況カルテルを解除した後も減産指導という通産省の指導が行われておるわけですね。しかし片一方では、先ほど言いましたように操業率が非常に早く回復してきておる。にもかかわらず四月の卸売物価、特に三月三十一日の時点をとってみましても、一月、二月、三月と約〇・四から三近く卸売物価はずっと一貫して上がってきておるのですね。  ということは、もう一つ見方を変えてお尋ねをしますと、卸売物価が一%上がると、やはりそれは法人税の増収に連動してくると思うのですよ。製品に価格が転嫁されてきている場合もあるし、いずれにしても卸売物価が上がってきておるということと法人税というのは無関係ではない。ですから仮に卸売物価が一%上がった場合、一ポイント上がった場合に法人税収はどれくらい影響を受けるわけですか。
  12. 大倉眞隆

    ○大倉政府委員 業種ごとに問題は非常に違うわけでございますけれども、全体として、非常に大胆に申し上げれば、卸売物価も生産物価に相乗してのいわゆる売り上げの方の一要素でございますから、税収ベースで一ポイント上がれば四百億ぐらい、年度ベースで一%上がってというときは税収ベースには半分ぐらい響いて二百億ぐらいというさっきのお答えと同じようなことになると思います。
  13. 松浦利尚

    ○松浦(利)委員 大臣、これは私の邪推かもしれませんけれども、大蔵省はむしろ卸売物価がある程度上がることを期待しておるのじゃないですか。そういう点はありませんか。
  14. 大平正芳

    ○大平国務大臣 とんでもございませんで、そんなよこしまな考えは持っておりません。
  15. 松浦利尚

    ○松浦(利)委員 いま申し上げましたように、現実に景気の回復テンポが非常に速い。しかも、その速い原因の中に輸出が非常に好況だということがありますね。貿易収支は特に輸出が伸びておるということで、政府の見通しよりもむしろ五十一年度については国際収支というのはもっと改善されるのではないか。そういう見通しについてはどうお考えになりますか。
  16. 藤岡眞佐夫

    ○藤岡政府委員 五十一年度の貿易収支の見通しでございますが、輸出につきましては昨年からずっと不振でございまして、ようやくことしの二月から対前年同月比を上回るような状況になったわけでございます。ただしこの好調がいつまで続くか。先ほど大蔵大臣が申し上げましたように必ずしも安定しているわけではございません。それから、他方輸入につきましては確かにいままで沈滞しておりましたけれども、これから政府見通しのように国内経済が上向いてまいりますと、従来の例から申しましてもかなり輸入はふえていくということでございまして、四十億ドル程度の貿易収支はそう大きな見込み違いではなかろうと、いまの段階では思っている次第でございます。
  17. 松浦利尚

    ○松浦(利)委員 国際金融局長、この政府見通しをつくるときにドルと円との関係はどれくらいに見ておったのですか。
  18. 藤岡眞佐夫

    ○藤岡政府委員 経済見通しをつくります際に、輸出と輸入につきましてはドルでございますので円ドルの換算をせざるを得ないわけでございますが、為替レートの的確な見通しというものはなかなかできませんので、レートの見通しということは特にしていないわけでございます。ただし、この作業をやっております経済企画庁におきましては、大体一ドル三百円というふうな大ざっぱな概数で計算をしたというふうに伺っております。
  19. 松浦利尚

    ○松浦(利)委員 輸出が非常に好調だということは、逆に言うと円高基調ということだと思うのですよ。これは国際金融局長で結構ですが、この予算見積もりをしたときの、経済企画庁でつくったときの三百円ですね、この点は変わらずという見通しを立てていい、変えなくていいというふうに思われますか。
  20. 藤岡眞佐夫

    ○藤岡政府委員 お答え申し上げます。  ちなみにそのころのレートを申し上げますと、昨年末に政府が作業をいたしましたころは、三カ月をとりますと三百三円五十四銭というレートになっております。もう少し前の昨年後半をとりますと三百円七十四銭でございますが、それからことしになりましての一-三月の平均は三百二円三十八銭でございます。これから輸出が好調になりますれば、ほかの方に異動がなければ円高の方に行くのでございますが、輸出のほかにさっき申し上げました輸入の動きもございますし、それから資本取引が非常に大きな変動要因でございますし、それから、御案内のようにいまフロートということで為替レートを運用しておりますので乱高下はございますけれども、その乱高下がひどい場合にはこれを防止するということをやっておりますので、経済見通しに支障が出るようなそう大きな変動はないというふうに考えております。
  21. 松浦利尚

    ○松浦(利)委員 もう一遍お尋ねをしておきますが、私は少なくとも円高に移るというふうに思うのですけれども、仮に円高になった場合、歳入面にどういう影響が出ますか。
  22. 大倉眞隆

    ○大倉政府委員 これは大変むずかしいお尋ねでございまして、非常に抽象的に申し上げますと、円高基調になった場合には輸入品の円建て価格は下がりますので、国内物価に安定的な影響がある。しかし同時に、円建ての輸出以外の外貨建ての輸出につきましては、輸出がいわばしにくくなるという面がございまして、いろいろ複雑な経路を通じて経済全体に影響が出てまいるものですから、円ドル相場が直に歳入にどう響くかというふうにはなかなか申し上げられない。どういう経路でどういう影響があるかということが諸般の情勢で複雑にからみ合ってしまうというふうにしか申し上げられないかと思います。
  23. 松浦利尚

    ○松浦(利)委員 そこで大蔵大臣にお尋ねをしておきますが、いま申し上げましたように、この景気の状況から見て、発表する、しないは別にして、やはり早急に五十一年度の経済の見通しというものをもう一遍洗い直す必要があると思うのですね。そういう点について早急におやりになるお考えはありますか。
  24. 大平正芳

    ○大平国務大臣 五十一年度というのはついせんだって始まったばかりでございまするし、五十一年度の予算も一昨日成立したばかりなんです。したがって、政府の経済の見通しの柱になっておるものが決まったばかりでございまして、しかも年度が始まったばかりでもございますから、この状態は何カ月か内外の経済の推移を見さしていただかないと、この見通しが改定すべきものであるかどうかというようなことについての見当はつきかねると思うのでございます。秋深くなりまして補正の必要が生じたような場合に、経済の見通しも必要な場合に改定をいたしておるというのが例年のやり方でございまして、相当の年度の経過を見ないと、そして、経済の推移を見せていただかないと、改定なんという問題を議論する材料がないと思うのでございまして、いまの段階で改定問題をどうする考えだというようにお尋ねでございましたならば、そういうことは全く考えていないというお答えを申し上げるよりほかにございません。
  25. 松浦利尚

    ○松浦(利)委員 私は財政を運営する場合に、いまが一番大切な時期だと思うのですよ。五十一年度の予算を編成した段階と相当変わってきておりますからね。だから、発表するしないは別ですよ、しかし、早くそれに対応しておかないと、インフレというものの危険性が出てくるのではないか。五十一年度の財政運営いかんによってはまたインフレという問題が起こってくるのではないか。ですから、こういうバックグラウンドの変化というものに適確に対応して五十一年度の財政運営に当たらないと、また同じことの繰り返しを私たちがここで質問しなければならぬ、そういう事態になったら困るので、そういう意味で、何も揚げ足を取るつもりで言っているのじゃないのですよ。  私は、新聞で見た限りですから正確かどうかわかりませんが、昭和五十年度の税収見通しも、補正いたしましたけれども、当初の見積もり以上に五十年度の税収見通しがあるわけでしょう。その点、どうですか。
  26. 大倉眞隆

    ○大倉政府委員 五十年度の補正は例年よりも非常に早い時期の九月に見通しをつくりましたものですから、その当時、非常に大きな不確定要素が三つございまして、第二次補正をしないで済むかどうか非常に心配いたしておりましたが、その一つの法人収益の方はほぼ補正で見たとおりの感じで五十年度は終わっているようでございます。それから、年末のボーナスは期待ほどはございませんでした。それから、三番目の申告所得税はどうなるかということも非常に大きな未確定要因であったわけでございますが、これが、ふたをあけてみましたら、御承知の土地の制度改正がございますものですから、去年じゅうに売れば税が安いということで、いわゆる駆け込み譲渡が非常に多かったということでございます。現在、国税庁の速報で見ます限り、申告所得税では、土地の駆け込み譲渡を主体にいたしまして、補正に比べて約三千億ぐらいの増収になるのではないかと思われます。そのほかの税は、まだあと一月ございますので、場合によりまして千億近く振れると思いますけれども、大ざっぱに申しまして申告所得税以外は、いろいろ出入りはございますけれども、大体補正で見たぐらい、あるいは若干出るかもしれませんが、総合いたしますと結局税収全体としましては補正予算に比べて三千億強の増収になるだろう。その主体は何と申しましても二千数百億はいわゆる土地の駆け込み譲渡によるものである。したがって、経済の実態が土台が上ったというのとはちょっと違う点がございます。
  27. 松浦利尚

    ○松浦(利)委員 四月、五月の当初予定をしておった五十年度の特例債、これは出さないというふうに新聞に出ておりましたが、それは事実ですか。二千二百億。
  28. 松川道哉

    ○松川政府委員 特例債は、あくまでも財政収支が赤字になり、そのカバーのためにやむを得ず出すものでございます。したがいまして、一方で資金の余剰が出るような場合には、ぜひそれに見合う分は発行そのものを差し控えるのが筋であるという考えで参りました。そこで、三月の発行枠を決めます時点は、これは相談をいたすのは二月末の時点でございましたので、その時点で大体歳入をどの程度のアローアンスをもって見積もっておいたらいいだろうか、そして一番大きい見積もりに対応いたしまして、もし特例債の発行を減額するとすればどのぐらいであるかということを頭に置きまして二千億という数字を想定いたしたのでございます。ところが、その後の歳入の状況は、ただいま主税局長から御説明がありましたような状況でございまして、この二千億程度のものをリザーブしておきましたが、これを発行いたさなくても財政上赤字が出る心配がないという見通しがつくに至りましたので、この留保いたしました分は発行いたさない予定をいたしております。
  29. 松浦利尚

    ○松浦(利)委員 五十一年度の特例債についても、先ほど言いましたように、場合によっては、歳入が見積もり以上にあった場合、三兆七千五百億の五十一年度の赤字公債の発行予定額ですけれども、その分は発行しませんか。
  30. 松川道哉

    ○松川政府委員 これは財政法の特例債に限らず国債全体についても同じ考えでございまして、一方で剰余金が出るような場合には利子のつく金を調達するために国債を発行するのはいかがであろうかという考えを私ども原則的に持っております。これは過去におきましても、昭和四十年代を通じまして、補正後の公債発行金収入に対比いたしましても決算額は減少いたしております。これは、それぞれの時点でできるだけ公債の発行を減らしていきたいということでさばいてきておるわけでございます。  ただいまの問題になっております特例債の場合に、四月、五月まで猶予期間を置いてやっておりますゆえんは、特例債であればあるだけその剰余金をなるべく出さないようにという努力を最後の時点まで続けるべきであろう、そういうことで猶予期間をいただいておりますが、これは、申し上げました原則をより厳密に守っていきたいということでございます。その意味で、五十一年度におきましても、ただいま予定しております歳入がそれ以上に上回るとかあるいは予定いたしました歳出の中で不用のものが出るとか、そういうようなことが年度末までに次第に明らかになってまいりまして、それだけ当初予定いたしておりました財政資金需給の関係が、支出が少なくて、または公債金を予定しなくても済むということであれば、当然のことでございまして、この国債の発行を減額する方向で努力してまいりたいと思っております。
  31. 松浦利尚

    ○松浦(利)委員 それでは、大蔵大臣、原則的にお聞きをいたしますが、先ほどから申しましたように、五十一年度の経済見通しが相当大幅に変わるという状況が起きておるのです。しかも、いまお話がありましたように、税収が増加した場合は発行しなくていい、発行いたしません、これは原則で当然のことですという発表もありました。ということになりますと、きのうの討論会でもうちの政審会長が発言をしておりますように、何もいまことさらに急いでこの特例債を発行する必要はないのじゃないですか、予算も通ったわけだし。いま、会期末が迫ったこの段階でなぜ特例債を急いでやらなければならぬかという根拠がない。むしろこの国会が終わった後、経済企画庁等とも十分検討を加えて、しかる後に特例債の議論を国会でやればいいのではないか、いみじくもそういうふうに言っておられる。歳入がふえた場合は発行しなくていい、こういうわけだから。大平大臣、どうですか。――いや、大平大臣でいいですよ。
  32. 松川道哉

    ○松川政府委員 ただいま、発行しなくても済むと申し上げましたのは、あくまでも税収がよけいに上がる限度でございます。このたびの特例債は三兆七千五百億円を予定いたしておりまして、これは当初予定しております税収の二割をはるかに超える金額でございます。そのような大きな税の自然増収ということはなかなか予想しにくい状況でございまして、この特例債を発行しなくて済むと申し上げましたのは、全額を発行しなくても済む、その部分は減額できるということでございまして、特例債そのものに依存するという現在の予想は大体そのとおりに行くのではなかろうか、そこで、計数的に若干部分的な手直しが要るのではないか、その意味で申し上げた次第でございます。
  33. 松浦利尚

    ○松浦(利)委員 私は一つの見方だと思うのですよ。現実に五十年の補正で私たちが認めた枠ですね、何も法案の中には出てきませんけれども、それを四、五月二千二百億発行しなくていいという状態になったわけですね。そうすれば、今度のこの特例債の発行についても、建設国債の市中消化を当面やればいいわけであって、そういう状態でいけば大体今年度の八、九月ごろまでいける、そういう段階になれば日本の景気の回復の状況等も本物かどうか、どういう状態に進むのかということの見通しもほとんど確定すると思うのですよ。ほぼわかってくると思う。ですから、そういうものを具体的に出し合ってこの国会で議論をした方がいいではないか、きのうの討論会で政審会長はそういうふうに提案をしておるわけです。私は、この考え方の方が正しいと思う。現実に変わっておらぬというなら別ですよ。先ほど大平大臣も言われたし、局長もお話しになったように、景気の回復というのはある程度テンポは速まってきておるわけですから、どうしても今国会で上げなければいけないという政治的な理由は何ですか。要するに、予算の約三〇%近くを赤字国債が占めておることを私たちは十分理解しておりますよ。しかし、この赤字国債発行の法案そのものがだめになるというわけじゃないのですから、改めて十分バックグラウンドその他の計算をした上で、見通しを立てた上で、この国会で、赤字国債は本当にどれだけ必要なのかということを議論をしようじゃありませんかということを申し上げておるわけですよ。どうなんですか、大臣は。
  34. 大平正芳

    ○大平国務大臣 ことしどのくらい公債をお願いしなければならぬか、そのうち特例債をどのくらいお願いしなければならぬかという見当は、予算の編成のときに十分吟味いたしまして予算を立てたわけでございまして、仮に予算の執行におきまして若干の変更がございましても、それは先ほど理財局長がお話し申し上げましたようにきわめて部分的な修正にとどまるわけでございまして、予算の基本に狂いはないわけでございます。そこで、私は松浦さんにむしろ反問いたしたいのでございますが、本来、この歳入法案というのは予算成立のときに一緒に成立いたしまして、それだけの政策手段がそろった上で財政当局に財政の運営に万全を期さしめるということが当然の道行きではないでしょうか。予算は成立させる、けれども歳入法案はしばらくお預けにしておくということの方がむしろ変則なんでございまして、むしろそうしなければならぬ理由が、積極的理由が、もし説得力のある理由がありとすれば、それをひとつ教えていただきたいと思うのでございます。  それから八、九月ごろ成立させればいいじゃないかということでございますが、私ども、そのころ臨時国会を持ち、財特法が成立して、支障がないようになるんだという保証を松浦さんがここでしていただきましても、国会がそのとおりになるという保証はどこにもないわけなんでございます。臨時国会はいつごろ開いてくれるのかというようなことは国会運営に係ることでございまして、私どもといたしましては、国会運営に毎日腐心いたしておりますけれども、計画は狂うばかりでございます。したがって、こういう大事な法案はこの国会で成立させておいていただかないと、安心してこれは計画的に財政の運営ができるはずがないんじゃないでしょうか。あなたが私の立場になってもそうだと思うのでございますが、これを何かこう国会で預かっておかなければならぬ理由がどこにあるのか、一遍それを私に教えていただきたいと思う。
  35. 松浦利尚

    ○松浦(利)委員 われわれが仮に大蔵大臣の立場でしたら、こんな赤字公債なんか発行しなくていいような財政運営をやっておる、われわれにやらしてもらえれば。しかし、立場が違うので……。  それで私は、まず原則的なお話から大臣にお尋ねをしたいのですが、大体この財政法の第四条という性質は、ただし書きじゃなくて、その前段にあるわけでしょう。「国の歳出は、公債又は借入金以外の歳入を以て、その財源としなければならない。」ということが原則でしょう。大原則でしょう。そう思いませんか。
  36. 大平正芳

    ○大平国務大臣 仰せのとおりと心得ております。
  37. 松浦利尚

    ○松浦(利)委員 それじゃ、なるたけ特例債を出さないようにするということの方が本当でしょう。そうでしょう。そうすると、仮に特例債を出したとしても、できるだけ発行額を減らそうとするのが、私、立場は違いますけれども、大蔵大臣としての考え方でしょう。そうすると、そういう状況が五十一年度の予算を編成した過程と現状は変わってきておるわけだから、三兆七千五百億円出さなくても済むかもしれぬという状況がいま生まれてきておるわけだから、そういう見通しを立てた上で議論した方がいいというのが当然じゃないですか。どうですか。臨時国会の召集は三木総理が国会の方に提起されればいいことであって、われわれがいろいろここで言うべきことじゃないですから、そうでしょう。
  38. 大平正芳

    ○大平国務大臣 本来特例債というのは財政法にない財政手段でございまして、だから特別な立法を国会にお願いいたしておるわけでございますが、したがってこういう異例な措置はまことに異例な措置でございまして、めったにお願いすべきことでないことは重々承知いたしております。したがってこれにやむなくお願いするといたしましても最小限度にとどめなければならないことも、あなたがおっしゃるとおり心得ておるわけでございます。そういう認識の上に立って五十一年度の予算案が編成されたわけでございまして、そこでぎりぎり詰めたところ、三兆七千五百億円という特例債が必要であると政府が判定してお願いをいたしておるわけでございまして、あなたが言われるような道筋で、そういう認識で考えた発行額なんでございます。なるほどこれから先財政の運営に当たりまして、あるいはこれで若干の発行未済を残してでも財政が運営できる場合があるかもしれません。しれませんが、それはきわめてマイナーな修正にとどまるであろうと私ども考えるわけでございまして、特例債三兆七千五百億円は大部分発行を認めていただかないと財政の運営ができないということは、予算全体をごらんいただければおわかりいただけると思うのでございまして、そういう重要な法律でございますので、予算成立と同時にひとつお認めいただきまして、それで運営をさせていただいて、そうしてぎりぎり運営をやって、できるだけ実行上も配慮いたしまして、三兆七千五百億円で発行しなくても済むような事態になれば、一層そのために努力していくのは政府の当然の責任だと思うのでございますけれども、根っこから三兆七千五百億円の発行自体をホールドしておいて、秋になってでもいいじゃないか、そのころ臨時国会でも開いてひとつやればいいじゃないか、まだ会期が残っておるのに、まあその間決めなくてもいいじゃないかと言われるお気持ちが私には了解いたしかねるのであります(「名答弁」と呼ぶ者あり)
  39. 松浦利尚

    ○松浦(利)委員 どうも、名答弁と言われるのですが、迷っておる答弁だと思うのです。私たちとどうしてもかみ合わないのですね。  そこでもう少し議論を詰めていきますが、このただし書き、四条公債の発行、これも制限されておるわけでしょう、本文に対してただし書きだから。極端に言うと刑訴法四十七条ただし書きと同じ扱いでなければならないはずでしょう。その点はどうですか。
  40. 高橋元

    ○高橋(元)政府委員 財政法四条でただし書きを用いまして公共事業費、出資金、貸付金の財源に充てる場合に限り公債を発行することができると書いてございます。これは、ただし書きにそう書いてございますが、財政運営の方針と申しますか、ポリシーとして、均衡財政が正しいので、均衡財政から踏み出す場合でも建設公債の原則の範囲にとどまるというふうに考える考え方でございますけれども、しかしながら、法律上の解釈といたしましては、ただし書きというのは何々する場合を除くほかというふうに解釈することではないのかというふうに通常言われております。そこで、公共事業費、出資金、貸付金、そういうものの財源に充てるために公債を発行する場合のほかは普通歳入をもって歳出を賄うべきであるというのが法律的な読み方であろうというふうに承知しております。
  41. 松浦利尚

    ○松浦(利)委員 いま言われたように、運営の基本姿勢なんですが、現実にこのただし書きの問題が四十一年以降ずっと続いておるわけです。  それで、これは古本屋から拾ってきた「減債制度に関する資料集」ですが、昭和四十二年九月一日、大蔵省主計局総務課で出した部内扱いの資料なんです。これを見ますと、阿部助哉議員の意見に対して当時の水田大蔵大臣は、建設公債といえども四年、五年に限定をして見直すべきであるという答弁をしておられるのです。それは四十二年七月十八日の衆議院大蔵委員会で、「一つの政策を踏み切るというと、この政策の始末というものは、普通はやはり四、五年を周期として始末されるものという、いろんな従来のあれから見ますというと、踏み切った以上は、やはり四、五年の公債発行というものは考えられると思いますが、それから先は」と、だから一遍検討し直そう、こういうふうに言っておるわけでしょう。ところが現実に四十年以降ずっとこのただし書きというものは出されてきておるわけですよ。明らかにこれは水田大蔵大臣の言ったことと違っておるのです。だから、一遍出したものは惰性としてどんどん進んでいくわけです。そのことを私たちは恐れる。だからこの財政法の原則なんというのは、財政支出の憲法と言われておるものはいつの間にか空文に等しくなってきているのですよ。だから私たちはもっと厳しくしなければいかぬというふうに考えておるのです。  そこで、これはお尋ねをいたしますが、大体大蔵省当局は財政法に対する考え方が非常に軽いですよ。これは部内のあれですから、これを見まして、実は四十一年の九月二十一日、主計、理財両局長がトーキングして、その要旨が出ておるのですが、理財局長は、「財政法第四条二項は立法のミスだ。」といって発言しているのですよ。そしてさらに、これでいくと、減債制度の問題点としての四十一年十月のまとめでいきますと、四条二項、われわれがこの前の赤字国債発行のときに大変議論をしました、この赤字国債発行の問題についての償還計画、もっとぴしゃっとしたものを出しなさい、こういう主張をしたのに対して、これは何と言っておるかというと、四条二項なんというのは「廃止案と存続案とがあるが、もっぱら国会対策上の問題である。」、国会が文句言わなくなれば削除してしまえ、文句言うなら載せておけ、そういう行き方ですよ。こういう考え方でずっと四十一年から公共事業債というものが発行されて、四条国債というのが発行されてきたんです。こんなことを大蔵部内でやっておって、われわれにあなたが言ったようなことで特例債を議論できますか。私は、さっきから言っておるのは、もっとまじめに議論する意味で、背景も変わってきたじゃないか、だから改めて議論し合いましょう、こう言っておるのに、いやそれはどうだこうだ、あなた方自身の方が逆にこれで見るとおかしなことを考えておるでしょう。  これにはこういう資料もありますよ。昭和十年二月七日の第六十七衆議院赤字委員会、大山議員の質問に対して高橋大蔵大臣が何と答えておるか。「責任は全体の国民、現在の国民、将来の国民、総て是は負担すべきものであるから、是程確実なものはないのである。それ故に必ずちゃんと還す目途がないから借りちゃならぬと云う性質のものではない。そう私は心得て居る。」というようなことを言っておることがここに出ておるのですね。それと現実に変わらない。なぜかというと、この四条二項なんというのは、そういうことにならないようにただし書きに対して歯どめをかけた条項に対して、主計と理財の打ち合わせでは、そんなのはミスだ、削除するかどうか、国会対策上の問題だ、こういう動きが四十一年、二年からすでに大蔵省の内部にあって、われわれの方の議論の方が間違っておるということは、私は聞こえませんですね。もっと三木内閣の姿勢をはっきりしてください。だから、場合によっては、総理の出席を求めて、現実にこういうことをやってきたのだから、これはおたくの内部資料だから……。われわれの方がむしろまじめに議論できませんよ。この点をはっきりしていただかなければ、われわれは議論できませんね。
  42. 大平正芳

    ○大平国務大臣 野党第一党の社会党のお立場から提示された御議論として私は傾聴いたしたわけでございますが、確かに財政の規模が年々歳々拡大に拡大を続けてまいった、それが少しイージーに過ぎておるのではないかということは、松浦さんの御指摘を待つまでもなく、私自身も痛切に感じておるところでございます。人間というものは安易に流れやすい性格を持っておるわけでございまして、政府は、そういう点はやはりあなたがおっしゃるように戒めてかからなければならぬことだと思うのでございます。  まず、松浦さんの御議論を受けとめてわれわれが考えなければならぬことは、第一に、今日の歳出規模全体が一体大きいか小さいかということがまず第一に問題になることだと思うのでございまして、これが適正だとすれば、それを税金で賄うか公債で賄うかということが次の問題になると思うのでございます。私ども、いま御審議いただいておる予算の規模は、経済を維持し、雇用を安定させていく上において、今日これだけの財政の規模を中央、地方を通じて維持することは必要であるという認識を持ちまして編成いたしました予算でございます。これについては、社会党さんの方のお立場ではいろんな評価があり得る、御批判があろうと思いますけれども、私の方の言い分をお聞き取りいただきますならば、その規模はそういうように考えたわけでございます。それはお認めいただくと仮にした場合に、それを公債ではいけないというのであれば、やはり原則として税収でこれを調達するということで公債を避けることが本来の道行きであろうと思うのでございますが、経済が非常に疲労いたしておる、危機にあえいでおるというときでございますので、私がたびたび本委員会で申し上げておるように、いまは増税すべきときではございません。したがって、減税も御遠慮いただきますけれども、増税はいたしませんということでこの際切り抜けさせていただきたいという原則を立てさせていただいたわけでございます。これについてもいろいろの御議論はあろうと思いますけれども、そうだとすれば、その不足分はどうしても過渡的に公債に依存せざるを得ない、そういう結論になってこざるを得ないわけでございます。  しかし、松浦さんが御指摘のように、公債に依存する、とりわけそのうちで四条公債に依存して、なお足らない部分を特例公債に仰ぐなんということは異例中の異例でございますので、こんなことをいつまでもやるつもりはございません。政府は、五十年代前半には何としても特例債から脱却した財政を取り戻さなければならぬと考えております。そのためにはこういう道行きでいかなければならぬ筋道であろう、したがって、そういうことを道標にして財政運営に当たりたいと思いますというようなことで一つの試算を国会に提出いたしまして、御審議を仰いでおりますことも御案内のとおりでございます。そういう吟味を遂げた上で今度の特例債の法案も考えたわけでございまして、確かに一つ一つの節目節目にあなたが提起されたような問題点はあると思うのでございまして、提起された問題につきましては、政府が重々戒めなければならぬ問題がたくさん込められておると私は思うのでございますけれども、ことしの予算と特例法案につきましては、政府としていま私が申し上げたような筋道で考えておるのであるということにつきましては、いろいろな御批判がありましょうけれども、政府の立場は御理解をいただきたいと思います。
  43. 松浦利尚

    ○松浦(利)委員 大平大蔵大臣の言われていることを私は決して否定はいたしません。まじめに言っておられることもよくわかります。しかしこれは大蔵省の部内資料です。大蔵省の部内資料に現実にこういうことが書いてあるのです。主計局長と理財局長、両局長のトーキングの要旨とか、あるいは主計局の国会対策上の配慮で、これは国会対策上の問題だということが現実に書いてある。これは大蔵省の部内資料ですから、これが大蔵省の伝統だと見ても間違いないのです。しかもこれは前文に、部内用に作成したんだから取り扱いには厳重に注意してくれということまで書いてある。これが大蔵省内部の問題だというふうに理解をすると、大平大蔵大臣の考え方と違うところに事務当局はあるかもしれない。この問題が解決しなければわれわれの方は前にいかないですよ、ただし書きの四条公債についてすらこういう考え方だから。この点をはっきりしてください。
  44. 大平正芳

    ○大平国務大臣 大蔵省の中でいろいろな議論があって、それがたまたま松浦さんの目にとまって、大蔵省ではそういう議論が行われているんじゃないか、大蔵省はそういう考え方をしておるんじゃないかというようなことでございますが、大蔵省を代表いたしまして大蔵大臣が国会に責任を持っておるわけでございます。大蔵省の局長であろうと課長であろうと、それは大臣を補佐する任務はあるわけでございますけれども、国会に対して責任を持っておるのは大蔵大臣なんでございますから、国会はそういう局長とか課長を相手にされないで、大臣を相手にひとつ堂々と議論を御展開いただきたいと思います。もっとも大臣も生身でございますから、一人しかいませんから知識の限界もございますが、それを補佐するのは各政府委員以下役人がおりますけれども、これは私を通じて、私の国会に対する政治責任を通じてやっておることでございますから、たまたま大蔵省なら大蔵省の役人が部内でどういう議論をしたというようなことで、大蔵省の意見全体がこうであるという評価をいただくことはいささか道筋が違うのじゃないかと思いますので、もし問題がございますなら私に御提起をいただき、大蔵省の考えはどうだということをお尋ねいただいて、私から答えを聞いて、それがいいか悪いかということをひとつ改めて御議論を賜るようにお願いしたいものと思います。
  45. 松浦利尚

    ○松浦(利)委員 いま大臣中心と言われたけれども、率直に言って、現実に局長もここで政府委員として私の質問に対して御答弁なさっておるのです。だから、実際考え方として、阿部助哉委員が四十二年に質問をした四条公債についても、すでにずっと連続して毎年毎年逆にその規模はふくらんできておるわけでしょう、この法案の審議に入ってまた具体的に指摘をいたしますけれども。しかし問題は、こういう大蔵当局の考え方というのが底流にあって、いつの間にか――大臣はずっと大蔵大臣じゃございませんから、今度は総理になるかもしれぬでしょう。だからそういうことを考えていくと、やはり一貫して大蔵官僚というのが、大蔵の局長というのがずっとあれしておられるわけです。だからこの「減債制度に関する資料集」というのが部内限りとしてあるわけです。厳然としてあるわけです。これはいまも生きておるわけです。  これは委員長そうでしょう。この問題が解決しない限り、まじめに議論しようとしたって、特例債は今度限り今度限りと言うけれども、議論をすべき財政法そのものがゆがめられてしまったんでは、われわれは後代の世代に対して責任が持てませんよ。この問題についてはっきりしてください。私は質問者としてこれをはっきりしていただきたい。それがはっきりしたら質問いたします。
  46. 高橋元

    ○高橋(元)政府委員 お許しをいただいて、その部分につきまして御説明申し上げますと、減債制度をどうするかという形での議論が当時省内で行われておりました。そこで、減債制度の基礎になっておりますところの財政法四条二項、これは「公債を発行し又は借入金をなす場合においては、その償還の計画を国会に提出しなければならない。」その規定につきまして、その実質をどういう制度づけで担保していくかという議論であったわけでございます。  その議論の過程の中で、一部にといいますか、その問答の中に、四条二項という規定はなくても、実際上一般会計から償還財源を繰り入れるということでいいではないか、「償還の計画を国会に提出しなければならない。」という規定は削除してもいいのではないかという議論があったようでございます。しかしその点につきましては、四十一年十二月二十六日に財政制度審議会から報告をもらいまして、その規定は存置する。「この規定が公債の発行時にその公債の償還財源調達に関する具体的な計画を示すことを要求していると解することは困難であって、実質的には公債の年度別償還予定額を示すもので足りると解すべきである。」という形で、さらに「また、単に公債の満期時の償還予定額を示すだけではさしたる意味がないので、この規定を削除してはどうかという考え方もあるが、他面、予定償還期限を明らかにし、また年賦償還、満期償還の別を明らかにすることは、公債発行に関する審議の参考となる点もあり、この際しいてこの規定を削除するまでの必要はないと考える。」という報告をいただいておりまして、この点で、いま松浦委員から御指摘のあった、四条二項をどう解釈するか、これを削除したらどうかという意見については最終的に決着を見ておるわけでございます。
  47. 松浦利尚

    ○松浦(利)委員 だから大蔵の方は、残すか残さぬかは国会対策上の問題だ。これは国会対策上の問題だというふうにお互いに言い合っているのでしょう。こうやって書いてあるじゃないですか。だからこそ国会対策上の問題だと言っているわけだ。――いやもういいですよ。だからはっきりしてください。これを生かすのですか殺すのですか。
  48. 高橋元

    ○高橋(元)政府委員 ただいまも申し上げましたように、四条二項の取り扱いの問題でございますが、四条一項本文及びただし書き、先ほど松浦委員から御指摘がありましたその規定につきまして、これを削除してしまえというようなことを議論しておるのではないわけでございます。
  49. 大平正芳

    ○大平国務大臣 四条二項の問題のようでございますが、これは審議会の議論の中にそういう議論も一部にあったようでございますけれども、いろいろな審議の結果存置することになったという経過を示したまででございまして、大蔵省がそういう思想で固まっておる。固まっておるなら国会に提案して削除をお願いするはずでございますけれども、そんなことをしていないので、ちゃんとこの規定は存置されておるわけでございますし、そういう方式に従って予算も提案されておるわけでございますので、ひとつその点は御理解をいただきたいと思います。
  50. 松浦利尚

    ○松浦(利)委員 要するに、財政法の問題をいま言われたのは、なぜ残っておるかということで言いますれば、国会対策上、野党がやかましいから残しておいた方がいいということの、これが実証なんですよ。本当は削除したいのだけれども、削除すると国会が、野党がうるさいから、国会対策上残しておけ。だから、削除するか残すかは国会対策上の問題だと事務当局自身が認めておるわけですよ。そんなに安易に財政法というものを運営する側の大蔵省が考えておったのでは、われわれの方は困る、議論ができないじゃないか、こういうふうに申し上げておるのです。だからその点について明確にしてください、こういうふうに言っておるのです。
  51. 高橋元

    ○高橋(元)政府委員 先ほど申し上げましたように、四十一年の暮れに財政制度審議会で四条二項の取り扱いについての意見をまとめていただきまして、その中ではこの規定を存置するということでございます。それから、それに基づいて四十二年度にいまの国債整理基金特別会計法の改正に基づきます減債制度というのが確立されました。したがって、四条二項を存置し、かつ減債制度を充実するということが四十二年度以来確立しておるわけでございまして、その制度を確立していくための審議会が二年にわたって審議しておったのでございますが、その審議の経過で一部の委員からいろいろな御意見もあったとは思いますけれども、大蔵省としての最終的な態度は、ただいま申し上げましたように、法案を提出して、四条二項の精神に従って、その償還財源を確保するための国債整理基金特別会計法の改正を行うということで明らかになっておると思っております。
  52. 田中六助

    ○田中委員長 どうですか、いまの答弁。
  53. 松浦利尚

    ○松浦(利)委員 まだ言いましょうか、この中の。この中にいろいろ大変なことが書いてあるのですよ。私は不規則発言で言いますけれども。
  54. 田中六助

    ○田中委員長 松浦利尚君、質問……。
  55. 松浦利尚

    ○松浦(利)委員 大体、この財政法というのは前段がこの精神でしょう。ただし書きというのは、これはあくまでもただし書きなんですよ。このただし書き自身が今日はもう大っぴらにやられておるわけでしょう。本委員会で議論されて、五年後に見直す、こう水田大蔵大臣の答弁があったにかかわらず、ずっと縮小せずにかえってふくらみっぱなしでしょう。そして、新たに昨年の臨時国会から特例債というものを出してきた、四十年度もありましたけれども。だから、これは異例の異例なんですよ。しかも、大蔵省が――後からまたこれが解決したら議論しますが、ケースI、ケースIIでいきますと、特例債を四年間続ける、あるいは三年間続ける、こういう形になっているでしょう。その段階になったときにはまた続けていくということになるわけですから。それはどこへ来ておるかというと、こういう問題を安易にしてきたところに問題があると私は見ておるわけです。これで三度目ですから。四十年に一遍歳入欠陥のための赤字特例債を出して、去年の臨時国会、そして今度でしょう。そうすると、来年も再来年も続くでしょう。そうすると、ケースI、ケースIIで仮に返さない事態が来た、税収もない。そうするとまた特例債でしょう。さっきから言うように、昭和十年の古い話で恐縮だけれども、これに書いてあったのを見たから言うのであって、もう最後になって、要するに「責任は全体の国民、現在の国民、将来の国民、総て是は負担すべきものであるから、是程確実なものはないのである。それ故に必ずちゃんと還す目途がないから借りちゃならぬと云う性質のものではない。そう私は心得て居る。」というふうに高橋大臣は言っておるわけですよ、これは昭和十年に。確かにそういうことのないようにわれわれは財政法というものをつくったはずなんですよ。戦前のような事態にならないために戦後財政法というものをぴちっとわれわれは決めた。ところが、それがいつの間にかなし崩しになって、ただし書きがそのまま恒久的になって、そしてまた特例債がいままさにそういう状態になろうとしておるから、その背景には財政法に対する大蔵省当局の安易な考え方がある。その証拠がこれだ。現実にこれは生きておるのです。だから私はこの点をはっきりしてください、そう言っておるのですよ。このことは大切なことですよ。この点が解決しなければ後の質問はできませんよ。
  56. 田中六助

    ○田中委員長 松浦利尚君に申し上げますが、問題の重要性は十分わかっております。ただその指摘しておる冊子というのは、部内の問題で、それはフリートーキングという形でやられておると思うのです。あなたのおっしゃったように、トーキングですね。したがって、いろいろな意見が出たと思うのです。しかしその意見の結果、高橋次長が言っているように、一つのこういう法律にきちんと意見が出るまでは、それはいろいろな意見が出たでしょう、しかし、出た法律は現状のような法律になっておるわけでございますので、その答弁でいいんじゃないでしょうか。
  57. 松浦利尚

    ○松浦(利)委員 そう言われるけれども、この一定率の繰り入れの一・六%についても書いてあるのですよ。国会でうるさいから、この一六の出所についてはこういうふうに答えなさいということまで書いてあるのです。これに。あなたは見ておられぬからそう言うのですよ。あの一・六%の問題を国会で議論をしたときに、この中には何て書いてあるか。一・六%をつじつまを合わせるためにこういうふうにしなさい、本当は計算したらとうなるけれども、国会の答弁上はこうしなさいということまでこれは指示しておるのですよ。そして現実に一・六%と決まっておるのですよ。本当は一・六七%なんです。そういう問題を見たら、これは本当にいままでの国会は何を議論したかということになるのです。これまた逆に言うと。
  58. 田中六助

    ○田中委員長 もう一度政府、最初から答弁してください。
  59. 高橋元

    ○高橋(元)政府委員 昭和四十年度の補正予算で公債を発行するようになりました。そのときの重要な問題は、減債財源をどういうふうにしていくか、これは当時の臨時国会での御議論の経過を踏まえて、減債制度の確立のために四十年、四十一年と二年間財政制度審議会でいろいろな御議論をいただいたわけでございます。その結果が非常に長かったのでございますが、その過程でいろいろな考え方の整理がありまして、その結果、先ほども申し上げたことでございますが、財政法の四条の二項についてこの規定は存置をいたします。もう一つ、減債制度につきましては、国債整理基金特別会計法による毎年度一・六%の定率繰り入れと予算繰り入れ、それから剰余金の二分の一繰り入れ、この三本の柱をもって対処をいたします。そのために法案を出します。それで御審議をいただきまして、四十二年度以来現在の減債制度で進んできておるということでございます。  いろいろ松浦委員から御指摘になったような内部での意見、それから審議会での意見というものもあったわけでございますが、最終的には、ただいま私が申し上げましたように、現行の財政法第四条第二項及び国債整理基金特別会計法の各条項、その規定によってわれわれは臨んできたわけでございますし、今後ともその規定を守ってまいるという考えであります。
  60. 松浦利尚

    ○松浦(利)委員 いや、だから、この中に書いてある阿部助哉委員の質問に対して水田大蔵大臣が四条公債についてもこうすると言ったけれども、あなた方やらなかったじゃないですか。やらなかったじゃないですか、国会で大臣が答弁しているのに、ずっと毎年ふくらんできておるのです。四条のただし書きでも。これはどうするのですか。このまま生かすのですか、どうするのですか。
  61. 高橋元

    ○高橋(元)政府委員 財政法の四条の一項のただし書きによります建設公債を四十一年の補正で出しまして以来、この建設公債の依存度を減少していき、それによって財政政策の適切を期する必要があるという認識がわれわれとしても、また私どもがいろいろ御意見をお伺いしております財政制度審議会としても非常に強くございまして、その結果、四十二年の十二月二十五日に財政制度審議会の報告が出まして、   公債政策を弾力的に行なうためには、現在の公債依存度を極力引き下げていかなければならないが、このことは、健全にして弾力性に富む財政にとって不可欠の前提である。   依って公債依存度は、ここ数年の間に五%以下に引き下げることを目標とすべきであるが、さし当たり相当な自然増収が見込まれる四三年度においては、公債依存度の引き下げを予算編成上の最重点とし、これを一〇%程度とするよう発行額を大幅に減額する必要がある。 こういう答申をいただいて、四十一年度の当初予算では一六・二%に達しておった公債依存度を一〇九、続いて四十四年度に七・二、四十五年度に五四、四十六年度に四・五と、そこまで下げてきたわけでございます。したがいまして、いまおっしゃいましたような意味で、安易に建設公債に依存するというような考え方を持っておったわけではございませんので、逐年、建設公債の対象となります公共事業費その他の施策は広げてまいりますけれども、一方でその他の一般歳出の規模の抑制を極力図りまして財政の体質の改善に努めてまいったわけでございます。四十六年度の補正以降、ドルショックその他経済情勢の意外な予想外の変動がございましたので、公債依存度はまた再び一〇%を超えたわけでございますが、その後四十六、四十七、四十八、四十九と、五十年度の当初に至るまで毎年毎年公共事業費の伸び額よりも公債の発行額の伸び額が下回っております。そういう意味で公債依存度は継続的に引き下げの方向に向かってまいったということでございます。(松浦(利)委員「説明はわかりましたよ」と呼ぶ)
  62. 大平正芳

    ○大平国務大臣 財政法四条二項の問題につきましては、現行制度を大蔵省といたしましては堅持いたしまして真剣な財政運営に当たる所存、決意でございます。部内にいろいろな議論がございましたけれども、そういったことにとらわれないで、現行の制度を真剣に堅持いたしまして財政運営に当たるという決意でございますことを御了承いただきたいと思います。  それから第二の公債依存度、これは四条公債でございましても見直すことによって漸減を図ってまいるべきであるという水田蔵相の阿部さんに対するお返事に対しまして、政府が公債依存率五%というものを目標にいたしまして努力をいたしておりました当時、ドルショックその他、国内外の経済の激変がございまして、それに対応し切れず、また石油ショックを契機といたしまして大きな変動に逢着いたしまして、今日のような事態を招いておりますことは大変残念でございますけれども、しかし公債は、特例債はもとよりでございますけれども、四条債も安易にこれに依存すべきでないことは松浦委員仰せのとおりでございます。これを漸減し、健全な財政の軌道に乗せなければならぬことは当然のわれわれの厳粛な責任でございますので、それを基本といたしまして漸次、特例債の減額に努めている。五十年代前半にはこれから完全に脱却することをまずなし遂げ、そしてその後、財政を健全な軌道に乗せるべく最大限の努力をしてまいる決意でございますので、その点につきましてもあわせて御理解を賜り、御鞭撻をいただければ幸せと存じます。
  63. 松浦利尚

    ○松浦(利)委員 いまの大臣の御答弁で了解をいたしますが、問題は、これは四十一年度の減債制度に関する資料集ですから、もう廃棄処分、もうなかったことにしていい、新たないまの大臣の発言で出発するということの確認を大臣、してよろしいですね。これはもう廃棄だということで大蔵省内部は統一をしてください。これが一つです。  それから、もう一点非常に心配するのは、言葉だけでは――大臣の誠意は私は認めますよ、まじめな方ですから、その点私は決して否定はしませんが、やはり歯どめとして、ただし書きの建設公債がこういう事態になってきたわけだから、赤字特例債についての歯どめ、五十年代前半には、もう発行しないようにするというふうに確約なさいましたが、それのあかしというわけじゃありませんが、保証として、これに対する償還計画、十年後に現金で一括償還とかなんとかじゃなくて、具体的にその点についてこういうふうにしたい、確かに経済の変動その他があってわからない面もあるでしょうけれども、こういうふうにするのだという歯どめですね、そういうものについて本委員会に提出していただけますか、この二つについてお伺いします。
  64. 大平正芳

    ○大平国務大臣 前段の減債制度の問題につきましては、すでにいろいろな議論が経過的にございましたけれども、現行制度に結晶いたしまして定立いたしておりますので、大蔵省といたしましてはこの現行制度を厳守いたしまして、減債制度に忠実に財政運営に当たることをお約束いたします。  それから第二の点でございますが、償還計画の問題でございます。この問題は、かつてこの委員会におきましても御議論をお願いいたしておりましたのに答えての私が申し上げたことでございますが、十年債の発行でございますので、十年たつと一括して償還するという計画、これは文字どおりそういう計画でいたしておりまするので、予算書にはそういう一括して返還する計画で提案いたしておりますことは御案内のとおりでございます。松浦さんのおっしゃる償還計画というのは、それはわかるけれども、その六十年以降償還する場合の財源を、特例債を脱却いたしました年度以降年次別にどのように国債整理基金特別会計に減債基金として積んでいくもくろみを持っておるかというお尋ねだと思うのでございます。  償還計画という言葉が二つの意味がございまして、前者の方は形式的な意味で六十年に一括して支払いますので、償還いたしますので、そういう償還計画は予算書に書いてありますということのお答えでございますが、後段の方の償還財源をどのように積み立ててまいりますかということを、その財源計画というようなものを本委員会に出せといういまお求めでございます。いままで本委員会に私どもがお約束申し上げておりますのは、五十年代前半までには何とかこの特例債から脱却することはいたしたい、そのための一つの試算としてこういうもくろみを持っておるという意味で財政収支試算を御検討いただいておる、それを中心にいたしまして歳出とか歳入につきまして御議論いただいた経緯がございます。  ところが、松浦さんのいまの御提案は、さらに今度はそれを踏まえて脱却がいよいよできた暁におきまして、それから以後償還する年までの年次的な償還財源計画というものでございますので、それは当然それ以後の五十代後半における財政計画というものが作案されなければ御要求に応ずるわけにはまいらぬわけでございますので、これは大変重大な資料の御要求であるわけでございます。  たびたび国会でも申し上げておりますとおり、内外の経済的要件、条件は大変流動的でございまして、一両年の展望さえなかなか立ちにくい状況でございますが、五年先、六年先以降の経済情勢を見通して、しかも財政計画を立ててまいりますなんという芸当はとてもいま政府にできることではございません。しかし、あなたが言われるように、これは何としてもやらなければならぬことであることは仰せのとおりだと思うのでございます。  したがって、今日政府で言えますことは、特例債から脱却できました年以降、六十年度に第一回の償還が始まるというときまでの間にそれだけの必要にして十分な財源はどうしても調達せざるを得ない、しかも借りかえによらないで償還せざるを得ないのでございます。それはどんなことがあっても財政計画に乗せなければならぬわけでございまして、しかも法律上の義務でございますので、これは乗せざるを得ないわけでございまして、政府としてはそうせざるを得ないのでございますということだけはいま申し上げられますけれども、五十六年度はどれだけ積みます。五十七年度はどれだけ積みますということをいま数字的にお約束するということは、とてもいまの政府の能力ではできることではございませんで、まず前段の特例債からの脱却を確実にやってまいるということにいま全力を挙げさしていただいて、後半にはそれだけの財源は政府の責任において必ず積みまして、償還に支障のないように借りかえ財源によらずにやりますという約束は私はいたしますので、それでひとつ御了承賜る以外にいま道がないのではないかと考えております。
  65. 松浦利尚

    ○松浦(利)委員 それじゃもう一つの歯どめをお願いしたいのです。それは、今度特例債を発行する場合、いま償還ですから、償還はこうする、しかし問題は、五十年代前半で発行しないで済むようにしたい、こういう御希望を言われたわけですが、私たちが心配するのは、これがまた恒久的なものになってしまったら大変ですから、この赤字特例債の問題については、アメリカのように入札制度にするとか発行する条件を悪くすることによって金利負担が高まるとかなんとか、そういうことによって歯どめをかける、そういうことについて大蔵省で早急に検討してそういう歯どめでもかける、もう五十五年度以降はだめだぞ、発行しないと約束するのですから。仮にそういう場合はこういう厳しい発行条件にするというようなことについて歯どめをかけるというお約束できますか。
  66. 大平正芳

    ○大平国務大臣 これは消化をする国民のせいではないわけでございまして、これは政府がこの公債政策、公債管理を適正にやることでございます。したがって、まず御理解いただきたいのは、去年も特例債に対する法律をお願いいたしたわけでございます。ことしもお願いをいたすわけでございますが、これの趣旨は、年度ごとに目的と金額を明示いたしまして、国会の厳重な御審査を願うということにいたしておるわけでございまして、財政法の特例、別の立法にして、しかもそれを当分の間なんという抜け道でなくて、毎年、毎年五十年度は五十年度、五十一年度は五十一年度というような立法の仕方をいたしまして、国会でこのように汗をかいて説明をして真剣な御論議を通じて御理解いただくということが第一の歯どめであると私は心得ておるわけでございまして、まず今後どうしても必要とするという年度につきましては、この方針を貫いてまいることをまずお約束いたしたいと思います。大蔵省としては当分の間必要とする期間はお願いしたいなんていうことで国会に包括して御承認をいただくようなことではなくて、仮にこれがだんだん少額になりましても、年々歳々国会の御論議を通じて厳正な監視のもとにやってまいるということでまいりたいと思います。これを御消化いただく国民側には、特例債であろうと四条債であろうと公債に変わりはございませんで、特例債は条件が悪いなんということで政府としては条件を区別するということは忍びないところであると思っております。
  67. 松浦利尚

    ○松浦(利)委員 なぜそういうことを言うかと言いますと、昭和四十年度の赤字公債、それから五十年度の赤字公債は、当初の予算、歳入欠陥を補うための赤字公債だったのです。だから、これは財政法第四条の問題からいって法律的な解釈からいってもある意味で認められる内容かもしれない。当初予定したものが入ってこないからやむを得ず赤字国債を特例債という法律で出す。ところが昭和五十一年度以降から変わるでしょう。これは山中委員が指摘したかもしれませんが、この公債発行の特例措置についての報告、財政制度審議会は、適正な財政の水準を維持し、国民生活並びに国民経済の安定を図っていくためには特例公債発行もよろしいということになったわけです。いままでは金があったけれども入ってこないから埋めるために発行する。ところがこの五十一年度以降、また後から大蔵省のケースI、ケースIIの中期財政計画について質問をいたしますけれども、内容的に変わってきておるでしょう。財政法第四条の前段は要するに「国の歳出は、公債又は借入金以外の歳入を以て、その財源としなければならない。」明文で明確に書いてありますね、ところが今度はもう始めから財政水準を維持するために、だから大平さんが大蔵大臣でなくなって五十六年ごろ、国民の要望が非常にあった、財政水準を維持するためには国民のこうこうで生活、経済の安定を図っていくためにという、この財政制度審議会の答申を受けて、今年度の法律の一条にそういうふうにちゃんと書いてあるんです。財政制度審議会という議を経てやったからこれは正当な行為であるというふうに言われるかもしれないけれども、形が変わった。逆に言うと、ただし書きにある建設公債と同じように、恒久的に歯どめなく発行させるという、そういう道を大平大蔵大臣が歴史的にいま切り開こうとしているのです。  だからそういった意味では、あなたは五十五年度までには必ず特例債に依存しなくていいということで言っておられるけれども、しかも十年間たったら現金で一括返還すると、こう言っておられるけれども、場合によっては、そういう事態が生まれなかったときにはこの法律が根拠になって、この財政制度審議会の答申が一つの根になって、始めから財政の中に特例債の枠を組み込んでしまう、これは大変なことなんですよ。性格が全く変わってきたんです。この五十一年度の性格は四十年度、五十年度の性格と違うんです。だからさっきから言うように、歯どめが必要だと言っている。それもいま言ったように口頭だけで――大平大臣さっきから言うようにまじめな人だから、私は決して言われることを否定はしないけれども、あなたが永久に大蔵大臣ではないはずなんです。変わるんです。変わってきたときに、このことが契機となって、あのときにやったじゃないか、適正な財政規模を持たなければ国民の生活を維持できないからと言われたときに、また発行していくという形になるわけですね。  だからこの五十一年度の公債の発行の特例に関する法律については、いままでと違ってきておるんだから、何らかの歯どめをしなければならぬ。歯どめをするためには、みんな買うのは国民だから、こう言うけれども、政府がこれを出すときには大変な犠牲を払わなければ出せませんぞというような、発行に対する厳しい条件を出すのですよ。買う側にとってはプラスになる、それはいろいろな考え方があると思うのです。発行する金利をぐっと高くするとか、政府の金利負担を高くすればそれだけ財政が硬直するから、そんなものをむやみやたらに出せないという、一つの歯どめになるわけでしょう。だから、そういう意味の何らかの歯どめをいまかけておかなければ歴史的な誤りを犯すんじゃないかということを申し上げておるのです。そうでしょう。だから性格が四十年度、五十年度と変わってきたことだけは大平大臣お認めになるでしょう。
  68. 大平正芳

    ○大平国務大臣 したがって五十一年度の公債の発行の特例に関する法律と言っているわけでございます。五十一年度という年度を限っておるわけでございます。明年度以降のことは書いてないはずでございまして、毎年毎年御審議をいただくということで、この特例債がいかに少額になりましても、毎年毎年御審議をいただくということを最大の歯どめにいたしたいということで臨みたいと思っておるのでございます。これは発行いたしますと市場における国債でございまして、特例債であろうと四条債であろうと、別にその点の差はないわけでございますので、国民の側は別にその点に差等は設けるつもりはございませんで、政府は、発行する側といたしましては、仰せのとおり非常に厳しい姿勢で臨んでおるわけでございます。また償還につきましても、前々から申し上げているとおり、借りかえによってこの償還財源をつくるようなことは絶対にいたさないということを法律にもうたうということにことしからはいたしたわけでございます。
  69. 田中六助

    ○田中委員長 堀昌雄委員より関連質疑の申し出がありますのでこれを許します。堀委員。
  70. 堀昌雄

    ○堀委員 さっきからずっと話を聞いておりまして、幾つか非常に基本的な問題で私どもの考えと政府の考えに相違のある点がありますから、少し明らかにしておきたいのですけれども、そもそも、財政法第四条第二項というのは何のために置かれておる条項か、まず最初にその認識を伺いたいのです。
  71. 高橋元

    ○高橋(元)政府委員 財政法第四条第二項、この規定は、公債を発行いたします際に、その償還について将来の財政を拘束するわけでございますから、償還年度がいつであるか、そのときの金額は幾らであるかということを明らかにするための規定でございます。
  72. 堀昌雄

    ○堀委員 だから、それは何のために置かれているのかと聞いているのです。
  73. 高橋元

    ○高橋(元)政府委員 四条二項の規定の趣旨は、先ほども申し上げました四十一年度の財政制度審議会の報告の際までに十分部内も審議会も詰めて確定をしたわけでございますが、この償還の計画を国会に提出する規定を設けましたことの解釈といたしましては、この規定が公債の発行時にその公債の償還財源調達に関する具体的な計画を示すことを要求していると解することは困難で、実質的には公債の年度別償還額を、つまり満期公債であれば満期時の償還予定額を示すもので足りると解すべきである。単に公債の満期時の償還予定額を示すだけではさしたる意味がないから規定を削除したらどうか、先ほどのお話もあったことでございますが、これはそういう考え方もあるけれども、他面、予定償還年限を明らかにし、年賦償還、満期償還の別を明らかにすることは、公債発行に関する審議の参考となる点があり、この際この規定を存置するということに決まっておるわけでございます。したがって、ただいま申し上げましたのが財政法第四条第二項の規定の立法の趣旨及び解釈でございます。
  74. 堀昌雄

    ○堀委員 大平さん、私はいまの答弁を聞いておりまして、ここにいまの大蔵省の事務当局の姿勢というものが非常にはっきりしていると思うのです。大体財政法第四条第二項が設けられておる趣旨は、本来財政法四条で書いておるように、ただし書きをつけてこれを発行することについての制限をまずして、その次に二項でもう一つ制限をしているわけなんですよ。償還計画をきちんと出せということは、安易には出せないから、そのために償還計画も出しなさい、そうしてその出すときの枠組みというのは、公共事業のような、要するに物との引き当てになるものに限るんだ、財政法の基本趣旨というものは、出さないんだ、公債を出さないで均衡財政でやるというのが財政法四条の本旨ですよ。その本旨にまず第一段目の例外規定をかけて公共事業に限定をして、それでもなおかつ、公共事業については幾らでもいくから、もう一つ償還計画をきちんとしなさいという、二段構えで歯どめをかけた、これを財政法四条のただし書き及び第二項の解釈というか、趣旨と理解するのが相当であるにもかかわらず、いまの高橋主計局次長の答弁は技術論じゃないですか。要するに、どうせ返せるんだから書かなくてもいいんじゃないか、審議の参考にするために、冗談じゃないですよ。政府みずからが、みずからを拘束するために、財政法という法律によって規定をしておるのじゃないですか。その解釈しないところに、現在のこれまでの四条国債がどんどんふえてきた、赤字国債がこういうふうなかっこうで安易に出るということになる、こう解釈するのが相当でしょう。憲法が規定をし、財政法四条が規定をしておるところのこの基本が押さえられていないところに、いまの私どもの問題がある。それを、やや技術論として償還計画という一つの具体的な問題として提起をしているだけのことであって、その本旨がはっきりしないものだから、さっきから話が空回りしておるようなかっこうになるのですよ。だから、そこのところをきちんとしてもらいたい。第二項というのは歯どめの一つの例なんですよ。その解釈するのが私は相当だ、こう思っていますが、大臣どうですか。
  75. 大平正芳

    ○大平国務大臣 財政法は本来、堀委員のおっしゃるように、公債の発行は望ましいものではない、出すにいたしましても、一定の条件のもとでせいぜい建設公債しか考えちゃならぬという原則をうたったものと思うのでございまして、財政法全体がその重みをもって、公債発行に歯どめになっておると思うのでございます。  四条二項というものが、さらに歯どめを加えたかどうか。あなたは、それは歯どめの趣旨でうたったものだという御解釈でございますが、われわれの事務当局は、歯どめは別なところにあるので、別な技術的な理由からこの規定は置いてあるものであるという解釈をいたしておるようでございます。その事務当局の解釈も成り立たないわけではないと思いますけれども、本来財政法の趣旨全体から一つ一つの条項は読み取らなければなりませんので、御理解のような御趣旨は、十分財政当局としては尊重してかからなければならない御言説だと考えます。
  76. 堀昌雄

    ○堀委員 いま大臣は、事務当局は歯どめは別のところにある、こうおっしゃいましたね。事務当局はどうもそう考えておるらしい。事務当局、一体歯どめが別なところにあるというその歯どめがありますか。私はこの前から予算委員会で、金利の自由化問題を何回か言ってきていますね。要するに、さっき松浦議員が言いましたように、国債というものをいま御用金申しつけで出しているのだから、実際には歯どめはないのですよ。各国の国債をごらんなさい。こんなかっこうで出している国がどこにありますか。これがいまの大蔵省当局の考え方、御用金申しつけ。さっき大蔵大臣が、国債の発行は国民には関係ありません。国の問題です。――冗談じゃないですよ。国債というのは国民の問題なんですよ。たまたま国がそれを発行するだけであって、すべての国民の負担において国債というのは償還されるのじゃないですか。国民の問題なんですよ。そこが完全に欠落をしている。戦前と同じように、御用金申しつけで決めただけぽんと出して、おまえら受けろ、これで歯どめがかかりますか。  いまアメリカで入札制度になっておる。景気がだんだん回復してきて、御承知のように金利も上がってきておる。FRBのバーンズは、ともかくこれからは通貨量を減らさなければいかぬ。通貨の発行量を減らすということになれば、クラウディングアウトは当然起ってくるわけでしょう。そうすればアメリカでの国債発行は非常に困難になってくる。発行が困難になるような条件があって初めて、ではその財源はどこへ求めるか、増税しかないじゃないですか、それでは増税をしようというようなシステムができない限り、国債発行に歯どめはないのですよ。そのところが完全に欠落をして、安易な形で御用金申しつけでシンジケートに幾らぶつける、こうやる。このやり方で何の歯どめがあるのですか。  だから、私どもはせめて赤字国債についても償還計画を出しなさいというのは、第二項があるから、そういう例の歯どめでもひとつ考えようか、こうなっているのですけれども、基本的にはしかしこの歯どめというのは、国債発行を入札制度でやればいいのですよ。そうすれば、市中の金利がどんどん高くなってくる。資金需要があるということは景気が上昇しているということですよ。景気が上昇しているなら、必然的に税収がふえなければいかぬ。ところが、日本ではなぜ法人税がこんなに落ち込んで国債をこんなにたくさん出さなければいけないのですか。アメリカと西ドイツの例を、この間賃金問題委員会が、日経連の桜田さんのところで出しているわけですよ。よそは、ともかくこの不況期の中で法人の企業収益というのは幾らも減っていないのです。日本だけが一〇〇から三〇まで減ったということを日銀統計で出しているわけですよ。一体それは何ですか、なぜこんなになるのですかということを私は桜田さん、土光さんに言ったわけですよ。そのもとは借入金の金融費用じゃないのですか、金融費用が非常に多い。西ドイツと比べて、付加価値の中に占めるところの費用は、要するに賃金というのは西ドイツと日本で一五%違うのですよ。西ドイツが六〇、日本が四五ぐらいだ。減価償却はほとんど同じ。利益もほとんど同じ。違うところはどこかと言えば、金融費用が日本は二〇%近くあって向こうが五%。ここじゃないのですかという話をしました。そうしたら桜田さんはこう答えました、アメリカでは金融費用の負担が売り上げの三%を超えているのは不良企業です。アメリカではそう言っていますと。私は日清紡の財務書類を調べてみて、あの日清紡は売り上げに対してともかく金融費用は三%以下ですよ。もし日本の企業が日清紡と同じように自分の企業の能力で、自己資本も考えながら自分たちの経営をやっていっておるならば、利益が一〇〇から三〇に落ちたりすることはないのですよ。だから、よそは確かにあのショックの後では国債をたくさん発行せざるを得なかったが、いまみんな戻っているじゃないですか。負担率が急激に返っている。日本だけが返らないというのは、そういう構造上の問題がある。借り入れするのは自由だ、そうして、借り入れをした上で、今度はインフレをやって、そうしてその債務者利得を全部流していく。企業がまずやって、今度は国がやる番になるのじゃないですか。  だから、私たちがこの問題を安易に通さないと言っていることは、あなたもいま言っておるように、これが通らないという問題になってくるならば、それだけあなた方は真剣に考えなければいけない。きのう竹本さんが言ったように、真剣さが足りないということの裏に何があるかと言えば、国債が出せなくなったときに財政の枠を維持しようとするならば、増税をどうしてもやらなければいかぬ。一体取れるところはどこかということを真剣に考えるべきです。それはやはり債務者利得によって過大な利益を得たものから取るというのは当然じゃないですか。インフレによって得するのは国民じゃないのです。企業が得しているのですよ。それを正さなければいかぬ。次は、安易にどんどん金を借りてやっているような日本の企業の構造を変えなければいかぬ。そういう基本的な問題をトータルとして考えながら問題を考えないで、技術論だけであなた方がいま国債論を考えておるというところにいまの国債の最も大きな問題点がある。  だから、私は通さない、通したくないと言っているのです。しかし、通したくないと言ったからといって、国会というところは暴力でどうかすることのできるところじゃないから、慎重に審議をしましょう、ルールを守ってやりましょう、こういう提案をしているわけです。それがこういう基本問題をあなた方が下の方に覆い隠しておいて、これまでやってきたことはすべて善である――西洋にこういう言葉があるじゃないですか。すべては疑い得るという言葉があるじゃないですか。これは大事な言葉です。いまあなた方がやっておるこのことは、一体これでいいのかということを一遍全部もとへ返って考える必要があるのじゃないですか。外国でやっておることと日本でやっておることを比べてみて、どこがこう違うのだろうかということが、もっと原点に返って検討されなければならないのじゃないでしょうか。にもかかわらず、あなた方は、私がずいぶん昔から言っている、この間の予算委員会でも言ったでしょう。佐藤総理が就任されて、四十年の特例債のときに、ともかく金利の自由化をやらない限り問題は解決しないということを言って、あれから十年たっても何もやらない。何もやらないことによって得をしたのは企業ですよ。低金利によって得をしたのは企業。国民は損をしたのですよ。その上今度はインフレーションで企業は得して、国民はまた損をする。国債の発行は御用金申しつけでどんと出す。何ら金利に作用しないで出す。これほど安易な国債発行が世界じゅうにありますか。私が安易だというのは、そういうことを含めて、全部が制度として安易だというのです。だから、構造上の問題として、システムとして、安易に出せない仕組みをあなた方がひとつこの会期中に出してくれるならば、私どもはこの国債問題についてはまた別の態度で対応したい、こう思うことをちょっと申し上げておきたいと思います。答弁いただきます。政治的な問題だから、まず大臣の答弁。
  77. 大平正芳

    ○大平国務大臣 財政、経済政策全体に対する取り組み方はもちろんでございますけれども、また経済の構造上の諸問題についての正確な掌握の上に立って公債問題を考えなければならぬという御指摘、公債問題を技術論の観点からでなくてもっと政治的にも経済的にも社会的にも広い視野で、深い根拠で、また長い沿革の中で取り上げて真剣に取り組まなければならないじゃないかという御指摘はまことにとうとい御指摘でございまして、頂門の一針といたしまして財政当局として十分心得なければならぬことと思います。きょう並みいる局長諸君もよくお聞き取りいただいたことと思うのでございます。  したがって、私どもこの公債政策につきまして単に技術的な観点からその場しのぎで済むものとは考えていないわけでございまして、ただ一つ御理解いただきたいのは、今日あるがままの財政、あるがままの経済というものは堀先生の御指摘のようないろいろな問題を抱えております。そういう点につきまして、今日ただいま明快な回答が得られないで、若干の時間をちょうだいしながらその解決を図るために一歩一歩進んでいかなければならないという過程において、ことし五十一年度にわが財政は何をなすべきであるか、どこまでなし得るかという問題として、われわれは御提案申し上げている案件の御審議をいただいておるわけでございまして、いろいろ御不満の点が多々あると思うのでございますけれども、このわれわれの御提案申し上げておることが、今日の事態の改善に一歩でも前向きの改善になることを私ども努力しているつもりでございます。いろいろな御批判として十分拝聴いたしますけれども、そういう意味で、今後の御審議を通じてもまたわれわれの運営自体を通じましても、いろいろ御注意、御鞭撻をお願いいたしたいと思います。
  78. 堀昌雄

    ○堀委員 いや、私はいまここで政府に何か訓辞をたれたなんというつもりじゃ全然ないのです。要するに問題提起をして、あなた方がこれに真剣にこたえてくれることを私は期待しているわけです。よろしゅうございますか。  例の中期債の問題も、また皆さんがやられるでしょうが、なぜ中期債なんという問題を私が出しているかと言えば、要するに本来は国債というのは個人が持つのが原則なんじゃないのか、個人が持ちさえすればインフレの問題は回避されるのだから。どうしてこれをたくさん個人に持たせるのがいいかという問題が一つありますよ。あなた方は、郵便貯金というのはよそに例がないんだ、こういう言い方をしています。私もそれはそうだと思いますよ、国債との関係で。しかし、この郵便貯金にもっとフェーバーを与えさえすれば――いまフェーバーがかなりありますね。だから私は去年の予算委員会で、国民に向かってともかく定額貯金の有効性を訴えて何とか国民の資金がここへ集まるようにしたい。そうすれば、私が言ったように少なくとも郵便貯金というのは二七%の伸びで伸びている。この原資に、いまの二七%仮にことしも伸びるということになるならば、今年度は六兆五千億円ぐらいの収入になる。それをあなたの方は財投では五兆一千億しか見てない。毎年ここへ一兆なり一兆五千億なりこれがふえてくるならば、ここで国債を持つということは国民の貯蓄で国債を持つことになるのだから、できるだけそういう方向でやりなさいと、私は幾つか問題を提起をしながら、現在のそういうシステムの中身を変えるための努力をここで提案しているけれども、あなた方はどれ一つ具体的に取り上げようとしないじゃないですか。  国会の場というのは何ですか。私はこの間も「ファイナンス」に書いたけれども、佐藤総理は建設的な意見なら野党の堀昌雄君の意見でも取り上げましたと言っているのを私は「ファイナンス」に書いておきましたよ。それだけの政治家としての決断がなければ私は政治家と言えないと思うのです。私が言っていることが間違っているのなら取り入れる必要はないでしょう。私はこの国債問題について余り間違ったことは言ってないつもりだ。国債の発行の仕方を変えろということを前から言っておる。国債の発行の仕方を、いまの御用金申しつけではだめだということについては、民間の金融機関の関係者もみんな言っていることですよ。それをかたくなにやっているのは大蔵省じゃないんですか。だから私はこの際、この会期中に少なくとも皆さんがいまのそういう構造上の問題についての答えを一つでも出しなさい、これを求めているわけですよ。国会の場というのは、物を言ったらそれでおしまいじゃないんですよ。お互いが論議をしながらその中でいい意見は取り入れて、それでシステムがだんだん変わっていったときに初めて本当の歯どめができるんじゃないですか。だから、私どもが償還計画と言うのは一つの技術論としての歯どめ論の一つなんですよ。しかし本当の歯どめ論はそういうものではなくて、いまの構造上の問題の中で歯どめをどういうふうにしていくかということが大事だから、それを十年にわたって私はここで言ってきて、何一つ実現しないということで一体民主主義の政治と言えますか。あなたは、歯どめはここへ毎年法律を出すことだ。毎年出したって、われわれがここで論議をしたことが生きないのなら意味はないんじゃないですか。毎年出したというのは形式じゃないですか。そういう形式だけになるものなら、われわれはできるだけ通さないということで歯どめをかけるしかないんじゃないかということになってくるのですよ。  だから、私どもが言っていることは、反対だ、通したくないというのは何か。あなた方の答えがないから通したくない、答えがあれば、それが前向きにいって構造上の歯どめになるということについて野党のわれわれが確信が持てるならば、なぜわれわれが長時間をかけてこんなことをいつまでもやっていなければならないのか。そうじゃないんですよ。だからきょうは、特にこの問題について大蔵省全体としての発想を変えてほしい。技術論では解決しないんですよ。構造上の問題として受けとめて、日本の金融構造全体の中で国債をいかにすべきかということを、もう一遍原点に返って、徹夜でもいいから検討してください。その結果を当委員会に出してください。  終わります。
  79. 松浦利尚

    ○松浦(利)委員 いまわが党の堀政審会長が御説明になりました資料、それは資料というよりも大蔵省のこれからの考え方だと思うのですが、それを本委員会にぜひ出していただきたい。いまの堀委員の質問に対しての問題点は、さらにそれが出た段階で議論をさしていただきたいと思いますから、また先ほどの質疑に戻します。それはいいですか。
  80. 大平正芳

    ○大平国務大臣 精いっぱい努力いたしまして、御提示して御審議を求めるようにいたします。
  81. 松浦利尚

    ○松浦(利)委員 いま掘政審会長が意見を申し上げましたが、先ほど単年度、単年度出せばいいというふうに大臣は言われたのですけれども、五十一年度それから四十年度の特例債というのは歳入欠陥を補うためのものだったのです。だから、不況を埋めるための特例債だった。ところが今年度はそうじゃないんですよ。初めから財政運営に必要だから国債を発行するんです。だから毎年毎年発行する特例債だけれども、法律の名前は同じだけれども、内容的には全然違っておるのです。逆に言うと、財政法第四条で決めておる、あの四条本文について歯どめがなくなってきておる。景気が悪くなったら歳入欠陥の特例債を出せばいい。そうするとまた逆に言うと、景気を浮揚するためにも特例債を発行していい。財政法四条の歯どめなんというのはもうなくなってしまう。ただ、単年度、単年度法律を出すからいいというものではなくて、そういうふうに性格が変わってくることによって財政法四条の精神が完全にゆがめられておるじゃないか。だから私は、先ほど言ったように、歳入欠陥を埋めたという四十年度と五十年度とこれは違いますよ、法律的な内容は。現実にそういう法律を出しておるじゃないですか。そのことを私はさっきから大臣どうなんですか、どうなんなんですかと質問しましたけれども、いやそれはここで出しておりますからようございますようございますという御返事だったんですね。こういう安易なことが――いま堀委員が指摘したように何か安易に流れておる。下手をすると赤字国債を発行することによって、景気、不景気の調整にまで使われてしまうという、そういうものに歯どめがなくなる。だから、いま堀政審会長が指摘したように、その資料がこの段階で出てきたら――大蔵省はこうだ、国債の運用については四条ただし書きの建設債をも含めて赤字公債についてはこういうふうに考えていくんだということをびしっと資料として出してもらいたい。それは、本委員会が採決される前に、だから本委員会が開かれておる間に持ってきていただかぬとこれは議論できませんですから、その点は委員長、御配慮いただいてよろしいですか。
  82. 田中六助

    ○田中委員長 十分理事会で検討して結論を出したいと思います。
  83. 松浦利尚

    ○松浦(利)委員 委員長、いますぐ理事会を開いて検討しておいてくれませんか、それは大切なことですから。
  84. 大平正芳

    ○大平国務大臣 いま堀委員の御要求、重ねて松浦委員から御要求ございました資料は、金利の問題、国債政策の問題、大変重大な問題でございまして、これについて、どこまで資料がまとまりますか、精いっぱいやってみまして、この御審議が進んでおる間に、大蔵省としてまとめられるだけはまとめて提出することにいたします。
  85. 松浦利尚

    ○松浦(利)委員 それじゃ続けますが、大蔵省の方からケースIとケースIIというのが出されております。だからこの問題についてさらに具体的にお聞かせいただきたいと思うのですが、その中で一つだけ、この財政収支試算の中のケースIとIIとありますが、大蔵省はどちらにウエートを置いて考えておられるのですか。
  86. 高橋元

    ○高橋(元)政府委員 提出した資料の中にもございますように、ケースI及びケースIIはいずれも一月二十三日に閣議了解になりました五十年代前期経済計画概案、これを下敷きに照らしまして、それを一般会計の姿に翻訳をしたものでございます。基本的な経済のフレームは、それから財政の五十五年度の姿というものは変わっておりません。  その中でケースIは、ほぼ五十五年度の概案の想定しておりますフレームワークに向かって等しい速度でと申しますか、おおむね均等に一般会計が推移する、税収が推移するというふうに考えました場合、それからケースのIIは、五十四年度に特例公債をゼロとするというような想定を置きまして、五十四年度以前の税収の増加テンポを速めた場合でございます。  いずれの場合が望ましいケースかということでございますが、特例公債から速やかに脱却をいたしたいということで終始大蔵大臣からも御答弁申し上げております。そういうことからケースIIをお出ししておるわけでございますが、いずれにしても税収を五十四年までに増加テンポを速めて、特例公債を収縮を図ることができるかどうかということになりますと、今後の景気の動向等を勘案しながら適切な財政運営を行っていくということに尽きるわけでございますから、いずれのケースが望ましいケースかということにつきまして、現在五十四年度、五十三年度、そういった将来の経済財政状況なり財政状態のいかんによって決まってくるものでありますので、そのケースのどちらが大蔵省の意思をあらわしておるかということでは何とも申し上げられないということでございます。
  87. 松浦利尚

    ○松浦(利)委員 結局、私の質問に対してはどっちも考えておらぬと、こういうことなんですがね。大体ここに二つの物を出されてきて、一体、どちらの方にウエートをかけて大蔵省がおるのかどうかというのは、私は少なくとも大平大蔵大臣の説からすると、早く赤字特例債に依存することを脱却したいと言うんだから、当然これから出されてきたケースから見れば、ケースIIの方で大蔵省は考えておるという答弁が出てくると思ったんですよ。ところがケースI、IIどちらでも適当にやってください。これじゃ全く適当な試算で、全く無責任ですよ。われわれがまじめに議論しようとするときに、そんないいかげんなこと答弁されたら、こっちの方は審議しようにも審議できないじゃないですか。だからいまの答弁も正確にいずれを選ぶのか、両方選ぶならどういうわけで両方にするのか、その意味を含めて、私の質問がまた参考人が済んだ後になるでしょうから、その冒頭出してください。それで私の質問を続けたいと思います。
  88. 田中六助

    ○田中委員長 午後一時より再開することとし、この際、休憩いたします。     午後零時四十八分休憩      ――――◇―――――     午後一時六分開議
  89. 田中六助

    ○田中委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  昭和五十一年度の公債の発行の特例に関する法律案を議題といたします。  ただいまより、本案について参考人から意見を聴取することにいたします。  本日御出席いただきました参考人は、全国銀行協会連合会会長中村俊男君、社団法人公社債引受協会会長村田宗忠君、横浜市立大学教授原司郎君、立命館大学教授加藤睦夫君、駒澤大学講師坂入長太郎君の各位であります。  この際、参考人各位に一言申し上げます。  参考人各位には、御多用中のところ御出席いただきまして、まことにありがとうございます。本委員会におきましては、目下昭和五十一年度の公債の発行の特例に関する法律案を審査いたしておりますが、本法律案について参考人各位のそれぞれのお立場から忌憚のない御意見をお述べいただきますようお願い申し上げます。  なお、御意見は十分程度にお取りまとめいただき、その後委員からの質疑にお答え願うことといたしたいと存じます。何とぞよろしくお願い申し上げます。  それでは、まず最初に、中村参考人からお願い申し上げます。
  90. 中村俊男

    ○中村参考人 ただいま委員長から御指名いただきました全国銀行協会連合会の中村でございます。  本日は財政特例法案に関しまして私どもの意見を述べるようにとの御趣旨でお呼び出しをいただいたわけでございますが、特例国債を含む国債問題一般について私の意見あるいは希望を概括的に申し述べさしていただきます。  御高承のとおり、わが国の経済は、四十八年石油ショックを契機といたしまして、長期にわたる不況に見舞われたわけでありますが、適切な財政金融政策がとられ、また輸出が好転いたしました結果、このところ景況に明るさが出てきております。しかしながら個人消費や企業の設備投資につきましてはいまだに動意が見られず、また企業収益の回復もこれまでのところ、はかばかしくございませんので、景気が今後一本調子に上昇していくかどうかは、政策運営のいかんにかかるところが大きいものと考えられます。現在国民がひとしく期待しておりますことは、ようやく底離れしつつあるこの景気が、物価の急上昇を伴うことなく順調な回復軌道に乗ることであります。  こうした観点からいたしますと、五十一年度予算につきましては、これを一音で申せば、限られた財源のもとで、財政の効率化に配慮しつつ、景気浮揚の面にも相当の努力を傾けられた予算であると評価するものであります。  本予算案では、七兆二千七百五十億円の国債発行を予定し、うち三兆七千五百億円は特例国債となることを避けられないとのことでございますが、これは長期にわたる経済の停滞の結果、歳入が大幅に減少したためであり、まことにやむを得ないものと考える次第でございます。  私どもといたしましても、経済の安定と国民福祉の充実という見地から、こうした財政の運営に御協力申し上げるにやぶさかでなく、国債の引き受けにも努力してまいる所存でございます。  しかしながら、特例国債の発行につきましては、国民経済的な観点から申しまして二、三考慮すべき問題がございます。  その第一はインフレーションとの関係でございます。  そもそも国債の発行がインフレにつながるかどうかは、それが建設国債であれ特例国債であれ、それほどの相違はございません。それよりも、国債発行による財政支出の増加と、それがもたらすマネーサプライの増加、さらには、それらの波及効果としての総需要の増大といったものの程度にかかっているわけでございます。現在の情勢から判断いたしますと、わが国経済は、底離れしたといってもいまだに巨額の需給ギャップを抱えておりますので、需給逼迫によるインフレの心配は、当面はまずないものと考えております。しかしながら、わが国の国債発行は、御案内のとおり、そのほとんど全部を銀行が引き受けておりますので、理屈の上では、銀行が引き受けた分はほぼ同額だけ、銀行による対政府信用供与となり、マネーサプライの増加をもたらすという懸念は残るのでございます。そうした意味では、政策御当局の今後のかじ取りが非常に重要になると推察いたします。  第二の点は、国債の増発が金融市場に及ぼす影響でございます。  国債が発行されました場合、確かにその時点では、民間の金融機関に同額の資金不足が生ずるわけでありますが、国債発行のかわり金はいずれは財政支出として市中に支払われるのでありますから、その間のタイムラグを除きますと、国債の発行は、金融市場にとって一応は中立的であると申し上げてよいかと存じます。  そうは申しましても、月平均にいたしまして六千億円にも上る国債が発行されるということは、月々の市場の繁閑を増幅させるおそれが大きいのでございます。私ども引き受け側といたしましては、市場の繁閑に応じた計画的消化が望ましく、こうした見地からいたしますと、財政特例法案の早期成立が望まれる次第でございます。  第三は、国債発行によって民間金融に支障が生じないかという、いわゆるクラウディングアウトの問題でございます。  幸いにして、これまでのところではクラウディングアウトは表面化しておりませんが、これは、不況のために民間の資金需要が鎮静しているところが大きいと考えられるのでございます。現在の景気の一般的な見通しによれば、この下期には企業の資金需要が本格化してまいる可能性があるようでございますので、そうした意味では、民間の資金需要が大量の国債発行によってクラウドアウトされる懸念も、全くないわけではございません。  しかしながら、景気が回復し、企業の資金需要が台頭してまいるような場合には、当然に税収も増大することが予想されますので、そのような場合には、適時適切に国債の減額が行われ、民間の資金需要がクラウドアウトされることのないような政策的配慮を強く希望する次第でございます。  さて、以上申し述べましたように、今年度の特例国債の発行につきましては、経済金融との関係から見まして全く問題がないというわけではございませんが、政策運営よろしきを得れば、いずれも解決可能と思われますので、景気浮揚という観点からいたしますと、特例国債の発行は必要やむを得ないものと考えております。ただ、財政法第四条のたてまえは決して軽視すべきものではございませんので、特例国債はあくまで緊急避難的なものと考え、こうしたことが惰性に流れることのないことを希望して、今年度の国債についてもお引き受けしてまいりたいと考えております。  その意味では、特例国債が昨年度に引き続き今年度も先生方の厳しい御審議を経ておりますことは、この精神に基づくものと敬意を表する次第でございます。  最後に、私ども国債の最大の引き受け機関といたしまして、国民経済並びに銀行経営の立場から、国債の大量発行に関し、この席をかりましてお願いしておきたいことがございます。  それは、国債の発行に当たってはぜひとも市場原理を尊重していただきたいということでございます。特例国債を含みます大量の国債発行が続きますと、国債保有を魅力あるものとして消化層の多様化を図る必要がございます。また、インフレとの関係から見ましても、常に国債発行の歯どめという点にも十分留意してまいらねばなりません。さらには、国債を引き受ける金融機関といたしましては、国債を現実に役立つ支払い準備として活用するために、そしてまた、一般に国債の保有を一層促進するためにも、国債の流通市場の整備が必要でございます。こうしたもろもろの条件を全うするには、国債がプライスメカニズムにのっとって発行されることが基本的に重要な課題であると存じます。  なお、特例国債の償還につきましては、建設国債とは別途処理されるように聞いておりますが、ぜひともそのようにお願いいたしたいと存じます。  これをもちまして、私の陳述を終わらせていただきます。ありがとうございました。(拍手)
  91. 田中六助

    ○田中委員長 次に、村田参考人にお願いいたします。     〔委員長退席、森(美)委員長代理着席〕
  92. 村田宗忠

    ○村田参考人 私、公社債引受協会の村田でございます。  委員の諸先生におかれましては、平素何かと証券市場に関しまして御関心と御配慮を賜わりまして、この席をかりまして厚く御礼申し上げます。  本日は、昭和五十一年度の公債の発行の特例に関する法律案につきまして、意見を述べよとのことでございますので、多少中村さんのお話と重複するかもしれませんけれども、証券界の立場からいささかの所見を述べまして、御参考に供したい、かように存じます。  その前に、まず現下の経済情勢でございますが、私から申し上げるまでもなく、対米輸出を中心とします海外需要の拡大に支えられまして、経済実態も、いっときほどの極端な失速状態からは、ようやく立ち直りつつあるかのごとくでございます。しかしながら、何と申しましても景気回復が本格的なものになりますためには、率直に申し上げましていま一つということでございましょうし、それだけに一般的に申しまして財政面からの景気てこ入れ策に依然として期待がかけられているように存じております。そうした意味で五十一年度予算と一体となりますところの特例国債法案に基づきます国債発行の見通しというものが明らかとなりまして、それを通じて先行きに対する一般の不安感がぬぐい去られるということが大切であろうか、かように存じます。  さらにつけ加えますならば、景気浮揚の効果というものをなるべく早期に確かなものにしますためには、予算もその執行面におきまして、いわゆる前倒しぎみ、前寄りに運営されることが望まれているようでございますが、これは実は、金融市場にもそのまま当てはまるかと存じます。すなわち、金融市場での資金調達に際しましての政府、民間の競合を避けますためには、民間ベースの資金需要の回復が見込まれますところの、これは多分今年の後半になるものと存じますけれども、その年度後半をなるべく避けまして、国債を初めといたしますところの公共債の大量発行自体も同じように前寄りに、前倒しに運用されることが望まれるわけでございます。  いずれにいたしましても、本年度予算におきます特例国債を含む国債の大量発行には、まことにやむを得ないものがあり、私ども証券界といたしましても、その消化には全面的に御協力を申し上げる所存で考えておる次第でございます。  時間もございませんことでございますから、さっそく私どもが担当しておりますところの国債の個人消化という側面にしぼりまして実情を申し上げまして、委員各位の御参考に供したい、かように存じます。  私は、この前の国会、昨年の暮れでございますが、この席におきまして同じようなことを申し上げたかと存じますけれども、やはり何と申しましても、第一は、銀行外消化としての国債の個人消化、マネーサプライにつながりやすいところの銀行消化以外の消化といたしまして国債の個人消化というものがこれまでとは比較にならないほどその重要性を増してきておるということでございまして、この個人消化を推進する必要があるということが第一でございます。  第二は、その推進のためには、国債といえどもその発行条件を市場実勢に合わせた適正なものとする、そういった慣行をつくり上げていっていただくということが必要であろうか、このように存じます。  そして第三には、個人を初めとしますところの国債保有層を広げてまいりますために、国債自体の魅力づくりと申しますか、その商品性を多様化してまいることが必要であろうと存じますが、大体以上の三点でございます。  そこで最近の国債消化の実情を申し上げさせていただきます。  私どもは、昭和四十一年以来、国債消化のために地道な努力を積み重ねて今日までまいったわけでございます。国債の大量発行を迎えまして、投資層の拡大にさらに一層努力を傾注してまいっておるわけでございます。まだ数字が大きいとは申せませんけれども、昨年の年度初めには月間百五十億円程度でございました。昨年の年末のボーナス時期でも、十二月に三百四十億円でございました国債の個人消化というものも、本年に入りましてからだんだんとその成果が上がってまいりまして、この三月には五百七億円、四月には五百五十億円、そして五月ただいま現在では、月間七百億円を超すというような個人消化が期待されるということになっておりまして、そういうふうにしり上がりにふえてまいっております。ようやく国債の大量発行に対応しますところの個人消化の基盤づくりがどうやら多少その緒につきつつある、このように感じておる次第でございます。これはもちろんこれを可能としますような金融環境がつくられてきておるということでございましょうが、昨年十一月でございましたが、一連の公社債条件改定に際しまして、国債の条件の改定幅が小幅にとどめられたということがあずかって大いに力になったものと、このように存じております。  このことが年初来の金利低下によります市場実勢との乖離幅の縮小ということにつながってまいったものと言えると思います。と同時に、国債の積極的なPRと申しますか、政策御当局をも含めました関係者の努力の中で国債のイメージというものがようやく国民全体の中に浸透し始めてきた、かようにも言えようかと存ずるのでございます。  私どもはこうした方向に沿いましてさらに歩を進めまして、国民金融資産の中核として国債を育てていかなければならぬと、かように存じておりますし、また、現下の国債の売れ行き好転を単なる金融の一時的なあやに終わらせてはならない、このように考えておりまして、今後はこれまで以上に投資家の立場に立って、発行者である政策御当局もいろいろと御考慮をお願い申し上げたい、かように存じておる次第でございます。  その内容は、先ほども申し上げました三つの点に尽きるわけでございますが、これを国債の安定消化のための基本的な前提として改めてしっかり踏まえていく必要があろうかと、このように存じております。  最後に、国債と公社債市場全体との関連で一、二付言させていただきたいと存じます。  その一つは、国債の流通市場という問題でございます。私どもは一国の公社債市場の中核を占めるものは国債であるべきである、このようにかねてから存じておりまして、主張もしてまいっております。事実昨年の十一月に国債流通市場整備策のワンステップを踏み出しまして、国債の流通高は最近では月間二千二百億円強と、それ以前の二倍程度の規模にはなってまいっております。しかし、現状ではまだその規模、内容におきまして十分な流通市場が形成されていると、こうは申せないと存じておりますが、いまも申し上げましたようなテンポで個人消化が今後もずっと拡大していくということに相なりますと、その換金の場といたしましての流通市場の一層の整備拡充ということが、いまやきわめて重要なことになっておるように申し上げられようかと思うのでございます。  加えまして、昨年来の国債を初めとする公共債の大幅増発によりまして、金融機関をも含めた市中の滞留残高は累積しつつございまして、この面からの流動化要請に対処できるように体制を整えてまいる必要も生じてまいっております。私どもは当面する最も重要な課題の一つといたしまして、これに取り組んでまいりたいと、かように存じております。御了承を賜りたいと存じますし、また同時によろしく御支援のほどをお願い申し上げたいと存じます。  公社債市場全般との関連で申し上げたいことのいま一つは、国債と民間債との競合、いわゆるクラウディングアウトの問題でございます。幸いにいたしまして今日までのところは、民間資金需要の沈滞から、この種の問題はまだ現在では起こっておりません。しかしながら本年度も下期に入ってまいりますと、民間資金需要が回復してまいるといたしますならば、クラウディングアウトが現実化する可能性がないとこうも申し切れないかと存じます。このような事態に対処するためにも、冒頭に申し上げましたように、今年度における国債を初めとする公共債の発行がなるべく前寄りに上期へ繰り上げぎみに行われることが私どもといたしましては望まれるわけでございます。この点を含めクラウディングアウトといったようなことに万々ならないように私どもももちろん努力をいたしますけれども、政策当局におかれましても今後万全の御配慮をお願い申し上げておきたいと、かように存ずる次第でございます。  以上種々申し述べましたが、委員の諸先生におかれましては、今後におきまして引き続き格段の御高配を賜りますよう切にお願い申し上げる次第でございます。  簡単ではございますが、私の陳述を終わらせていただきたいと思います。  ありがとうございました。(拍手)
  93. 森美秀

    ○森(美)委員長代理 次に、原参考人にお願いいたします。
  94. 原司郎

    ○原参考人 横浜市立大学の原でございます。  本日は、財政特例法につきましてご意見を述べろということでございますので、突然の御指名で、まだ十分私自身の考え方がまとまっていないのですけれども、現在までのところの私の感じております問題点を指摘してその責めを果たしたいと思います。  言うまでもなく、財政特例法は予算案と一体で考えるべきものであって、引き離してとらえることができないと言うことができます。  私ども、五十年度以降の財政の状態を見ておりますと、明らかにそこに従来のものと変わった大きな変化を認めるわけでございます。特に、五十一年度におきましては、歳入欠陥が非常に顕著に生じておるわけでありますが、それは単に一般会計だけではございませんで、財政投融資計画におきましても、原資の伸びが著しく落ちてくる、こういうような形が出てまいりまして、政保債の発行の増額に頼るというふうな形に変わってきておるわけでございます。また、地方財政計画におきましても、地方債の発行量が急激な伸びを示しておるということは御承知のとおりでございまして、地方、国、財政投融資、すべてを通じて、いまや従来に増した借金経営、借金財政というふうなものが顕著になってきておるわけでございます。  こうした財政支出の不足分、つまり赤字を、単に現在の不況から生じた一時的、循環的な要因であるというふうにとらえるのか、あるいはわが国の経済が高成長から低成長ないし減速成長に移っていく構造変化に伴う構造的な要因であるととらえるのかということによって、見方がいろいろ異なってくるかと思います。  私は、その二つがまさにこの時点において重なり合ったのではないかというふうにとらえるわけでございます。したがって、もしその財政赤字の要因の中に循環的な要因があるとすれば、それは、その場合でも、これまでの財政の仕組みでいいかどうかという問題は残るかと思いますが、一応赤字国債の発行というふうな借金の形での財政の運営ということが、その場限りの調整政策として考えられるということがありますけれども、もっと長期的に見て、構造的な要因であるとすれば、単に財政収入の不足を生じたときは公債を増発すればよろしいということになるのかどうかという点が、どうも問題点として残るように思うわけでございます。  政府の中期財政計画も出されておりまして、いずれはこの財政収入の不足は補っていけるという形になっておるようでございますけれども、果たして今後の財政運営がそういう形で行くのかどうか。今後一層赤字国債の累積というふうな形になるし、それは単に一般会計だけでなくて、財政投融資あるいは地方財政等にまで及んで考えてみますと、まさに、国債を抱いた経済でなくて公債に抱かれた経済ということを申された方のその言葉どおりの事態がわれわれの前にあらわれてきておるのではないか。そういった意味で、こうした機会に、むしろこれまでの財政の仕組みをもう一度洗い直して、そしてもし財政支出の内容について改めるべきものがあれば内容を再検討するとか、あるいは税制体系の再検討とかいうふうな、これまでの高度成長下の財政の仕組みそのものを再検討するよい機会ではなかったのか。何か赤字公債の発行に万能主義的な能力を求めておるような、そういう疑問を感ずる次第でございます。  そうした一つの基本的な観点に立ちながら、以下、私が専門としております金融論の立場から、いろいろ国債増発に関する問題点を指摘してみたいと思います。  第一は、国債の増発とマネーサプライの関係でございます。国債の増発といいますか、国債の発行に伴ってマネーストックがどう変化するかということにつきましては、そのメカニズムについていろいろな説明の仕方があります。どういう説明の仕方をしても、個人ないしは資金運用部の消化によらない場合は通貨の増発につながる、こういうことについては大体多くの見方が一致しておるように思います。  いま仮にこの場合の貨幣の範囲をM2、すなわち通貨と準通貨まで含めまして考えてみますと、すでに昨年の後半から貨幣の増加率が上昇しておりまして、しかもその主たる要因が対政府信用の著しい増加によっておるということは統計上明らかでございます。一般的には、対政府信用が非常に増大することによって通貨が増発いたしましても、その場合には対民間信用のそれだけの圧縮があるから全体としてはバランスするはずである、こういう考え方が一般的でありますけれども、しかし、財政支出によって通貨の流入を受ける企業というものが限られておるし、そのバランスする過程においては、企業の金融機関からの借り入れは必ずしも減少するとは言えないわけでありまして、常にマネーサプライの伸びという危険性が伴っておるわけでございます。この点につきましては、たとえば個人消化の増大であるとか、あるいは企業側の自己金融力の上昇というふうなことがあれば、そうした事態は防げるのではないかということでございますけれども、わが国の金融構造の実態からして、そうした点に活路を求めることは余りに楽観的ではないだろうかというふうに考えるわけでございまして、やはり国債が大量に増発されればインフレーションの危険性というものが非常に大きいということ、その点についての環境整備がまだ十分に行われていないというふうに考えるわけでございます。  それから第二番目の問題点は金利政策との関係でございます。わが国はこれまで金利の硬直性ということが非常に大きな問題として指摘され、また政策的にもいろいろな措置がとられてきたわけでございます。しかし、基本的には高度成長期におきましては、いわゆる企業の設備投資に対する人為的な低金利政策というものがずっと採用されてきまして、特に、わが国のような間接金融優位の金融構造のもとでは、預金金利を低位に固定化するということがそうした低金利政策の基盤をなしてきたということでございます。  昨年来の動きを見ておりますと、今度は公定歩合の引き下げに連動させまして預金金利を引き下げるという措置をとられまして、こうした一連の金利引き下げの政策というものの背後には、やはり国債発行を可能ならしめる環境整備というそういう考え方があったのではないだろうか。ということになりますと、いわゆる高度成長期の設備投資のための低金利政策から国債発行のための低金利政策への転換、人為的な低金利政策であることには変わりないのではないか、こういう危惧を抱くわけでございます。  私は、昨年の預金金利の引き下げについてもかなり批判的な立場に立ったわけでございます。それは当時の預金サービスに対する需給関係からいって、預金金利が引き下げられなければならないような条件には必ずしもなかったのではないか。にもかかわらず預金金利を低位に引き下げていくということの中には、わが国のこれまでずっと高度成長以来続いてきた金融構造というものの根本的な特質がやはりそのまま残されておるということを感ぜざるを得ないわけでございます。  こうした観点からしますと、今後もやはり人為的な低金利政策が続けられていくということが非常に危惧されるわけでございます。先ほど来、金利機能の活用ということがしばしば主張されてきたわけでございますけれども、やはり長期に国債が集積していく場合に、もし金利機能の活用ということで金利水準が上昇するということになれば、財政負担が非常に大きくなるわけでございます。特にわが国の場合のように国債の消化が多く金融機関に依存しておる場合には、その金融機関の抱く国債の残高が非常に上昇する。したがって、民間の資金需要が増大したときに国債を売却することが行われるとすれば、利回りが上昇する、そうなると、日本銀行による買いオペ政策というものが登場する、こういうふうな形になるのではないだろうか。そうなると、やはり金融緩和を持続的に維持していく、そして低金利政策というものを続けていくということになるのではないか。  その場合に問題は二つ出てくるわけでございまして、一つは、そのような環境のもとで国債の消化をできるだけ円滑にしていく、こういうことのために金融制度の再編成という問題が出てくるわけでございます。たとえば中小金融機関の貯蓄銀行化という問題については、すでにしばしば多くの人々の口にのっておるわけでございますけれども、中小金融機関が、単なる準備資産としてではなくて、収益資産として国債を保有するということになれば、それは中小金融機関の相当な経営の効率化が迫られることになるわけでございますし、同時に、中小企業専門金融機関としての専門性への圧迫ということで、中小企業金融が果たしてどういう形で維持されていくのかという問題が出てくるのではないか。  それからもう一つは、低金利政策のもとで預金金利を低位に固定化する、こういうことになりますと、一般の零細な預金者は、一方では金融資産の目減りという問題に依然として影響を受けるということになるし、他方において、国債発行下におけるインフレによってその影響を受けるという二重の影響をこうむるということになるのではないだろうかという問題点がやはり出てくるように思うわけでございます。  それから第三番目は、先ほど来、前の参考人の方のお話の中にもございましたが、公共部門と民間部門の資金需要の調整、いわゆるクラウディングアウトの問題でございます。これについては、やはり金利機能の活用という形での調整が最も望ましいわけでございます。そうした観点からすれば、現在のような国債の発行機構あるいは流通市場が未整備のままで国債発行をどんどん大量にふやしていくということは、どうも後と先が逆になっておるのではないかというような問題点を感ずるわけでございます。  なお、先ほどちょっと預金金利について申し述べましたけれども、預金金利については決して自由化が望ましいということを申し上げておるわけではございませんで、特に小口零細な預金につきましては、その預金金利は、先ほどの国債等の公社債の金利とは別な形で規制を必要とするのではないかというふうに考えておるわけでございます。  なおいろいろ申し述べなければいけない論点があるかと思いますけれども、時間が来ましたので終わらしていただきます。(拍手)
  95. 森美秀

    ○森(美)委員長代理 次に、加藤参考人にお願いいたします。
  96. 加藤睦夫

    ○加藤参考人 私がいま御紹介にあずかりました立命館大学で財政学をやっております加藤でございます。  時間もございませんので、初めからひとつ私の感じております問題点のような形でもって何点かにわたりまして意見を申し上げたいと思うわけであります。  最初に取り上げてみたいと思いますのは、御承知のような七兆に及ぶ国債、これは特例公債、その半分ということでもちろんあるわけですけれども、大量国債をやむを得ざるに至らしめた前提というようなものにつきまして意見を申し上げたいと思うわけであります。  私は、先ほどの原参考人の御意見とかかわって言いますと、今日の不況は決して循環的なものが基本にあるのではなくて、その最も重要な部分は構造的な変化にあるということであります。そのことを財政収支のところにかかわらして申し上げますと、これをまず第一に税制の面で申しますと、日本のいわゆる高度成長の過程で役割りを演じてきました税制というものが、高成長から低成長に移る経済の客観的な変化の中で、いままでの税制そのままですと、財政上の要請にこたえることができないような税制に変わっているのではないかということであります。これはいろいろな点で申し上げることができるわけですが、何よりもまず現行の税制が次の点で問題を持っていることに注目しなければならないというふうに考えるわけです。  その第一は、税制全体を通じまして、端的には特別措置などであらわすことができますような特例措置が非常に多いわけであります。これは十数年の高成長の過程ですと、いろいろな、それにどういう意味を付するかは別として、一定の役割りを演じてきたことは間違いないわけです。ところが今日では、これがやはり当然上がるべき税収減の重要な要因になっておるということであります。この場合特別措置といいますのは、私が申し上げますのは、決していわゆる狭義の制度上の特別措置だけではなくて、むしろ経済的な実質的な意味での特別措置で、いわば広義の特別措置といっていいものを申し上げているわけですが、さらにこの問題だけではなくて、もう一つは個人税の課税におきましても非常に問題が多過ぎるということであります。特にこれは高度成長過程の中で資本を集めるという、とりわけそういう面から税制上の保護策が何といってもかなり大幅に行われてきたということがいえると思うわけであります。普通はこの二点を言うわけですが、私はもう一つ、これは実は本税の基本構造の中に入っている問題の一つでありますけれども、その意味では、またこれは次に申し上げます問題だけではなくて、やや広範なものを含むわけですが、象徴的な意味で申しますと償却制度であります。  これは御承知のように、この二十年間の変化でいいますと、私ちょっと正確な年次を申し上げる用意がないのですけれども、大体昭和二十七、八年、それから三十年前半、それから四十年前後の三段階くらいで、二〇%からそれ以上に及ぶ償却の短縮が行われて、簡単に計算いたしましても、その以前と比べますと、七〇%を上回るような償却のスピードアップが行われておるということであります。これは世上特別措置というようなことで言われておりませんで、普通償却でありますけれども、私がここで特にこのことを申しますのは、償却を例に引きましたが、あれこれの特別措置だけじゃなくて全体的な検討がいま必要なときに来ている。それでなければ低成長に応じた税制というものはできないのだ。つまり低成長に応じまして必要な税収を上げるという機能を今日の税制は果たすことができなくなっているんじゃないかということであります。  他方で支出の問題も若干抜きにするわけにはいかないわけですが、これは一言で言いまして、財政活動を通じましてこの十数年間の高成長を支えてきたさまざまの支出というものが、同じような形でもって今後それが必要かどうかということをこの際徹底的に検討すべき時期に来ているんじゃないかということであります。  実は私がこういうような前提で申しましたことが、赤字国債を発行するに当たりましてどのように考えておるかということを問題の焦点にまず挙げたいわけです。  そこで五十一年度の予算をまず税制の方で見ますと、たとえばこの中に租税特別措置等の百五十億円の増などありますが、これはもちろん初年度でありますけれども、しかし全体的に見ますと、むしろ臨時税が一千億ぐらい減になっておるというようなことがあります。また、百五十億円という規模がどのようなものかということは、私がこの席上もう申し上げる必要がないぐらい明白であろうと思うわけでありますが、要するにいま迫られております。私が簡単に申しましたような内容を含んだ税制の再検討と本当に取り組むおつもりなのかということが五十一年度予算では非常に疑問に感ぜざるを得ぬわけで、これは世上言いますところの新税を創設するための一種のテクニックと言われても、返す言葉がないような面を持っているんじゃないかと考えざるを得ないわけであります。  ところが他面で言いますと、この間に一兆円の源泉所得税の増収がありました。これは法改正しないいわゆる広義の自然増収の一部になるわけでありますが、これはもちろん個々の納税者の税負担が変わらずに税が自然にふえたということではなくて、この計算になりますと約二五%の税負担の実質増になっているということであります。したがって、これは一方で税制の基本的な問題をどれだけ過大に扱っているかどうかを非常に疑問に感じます反面で、非常に安易な実質増税の手段に訴えておられるということが言えるかと思うのです。  他方不況対策の面でいきますと、高度成長過程の支出のやり方、特に公共事業費などを中心にしました支出のやり方というものを、いま新しい段階でどれだけ本気で考えておられるのか、これもちょっと非常に疑問に思わざるを得ぬわけであります。象徴的な点を申しますと、それは公共事業の増額でありますけれども、私が中身を拝見いたします限りでは、いわゆる大型プロジェクトということでありますが、大規模事業中央集中の傾向がかなり強い。これは少なくも、外見を見ますと、一体高度成長というものをどれだけ反省されまして、公共事業という具体的な支出の面までその反省を実らしておられるかということについて非常な疑問を感ぜざるを得ないわけであります。  したがって、このような前提の問題でありますけれども、五十一年度予算全体ということでありますが、これらの問題が明確にされないと私は思わざるを得ぬわけですけれども、明確にされないままで、しかも新しい段階での全面的な御検討というものが、私の見ます限りでは十分にされないような状態の中で、特例公債を含めまして御承知のように七兆という何と言いましても大量国債の発行になるということは、非常に問題を含むんじゃないかということであります。  このことは、中期財政計画で大蔵省がお示しになりました計画によりましても、税収はかなり顕著な増を見込まざるを得ないということになっているわけであります。それは言うまでもなく、一つは新税に頼るか、一つは既存の税制を変えていくかあるいは改良していくかということ以外にないわけでありますけれども、この点につきまして五十一年度予算ではどういう方向なのか明らかでない。このような大量の赤字国債を発行するときにその点が明らかでないということは、これは国民が非常に納得しかねるものを持っているのじゃないかということを申し上げたいわけであります。  時間も来ましたのであれですが、最後に、財政と金融のかかわるようなところで申し上げますと、従来、公債の歯どめにつきましては、市中消化と建設国債の二本でやってきたわけでありますけれども、現状を見ますと、市中消化の歯どめというのはどう考えたらいいか。これはもう非常にあいまいなものになっている。大量国債を発行する必要上から言いますと低金利政策が必要になるということは財政上も明らかでありますけれども、逆に言いますと、大量国債であるからこそ低利発行はむずかしくなる。その両者がうまくいくわけはないわけで、その結果は、ちょっと論理を飛躍させて申しますと、やはり中央銀行の信用膨張に頼らざるを得ないということは明らかであろうかと思うのですが、そういうふうに考えますと、それらの条件全体、金融政策まで含めましたその点につきまして、ちょっと私など見ますと、平凡に言いますとやや安易な面がどうしてもうかがわれる。  そのことだけではないかとも思うのですが、御承知のように流動性が前年比二〇%に近づく。これは狂乱物価時の増加率にほとんど匹敵する。他方では需給ギャップということがありますので、同じように考えることはもちろんできませんけれども、輸出による外貨の流入、また一方で新価格体系などと言われますところの価格、卸売物価の上昇、それから公共料金の問題が控えておる。他方ではまたもう一つ、公共事業を中心とした実需が、全体的に見ますと私はその影響は限られておると思うのですけれども、限られたところではかなり鋭く出てくる可能性も持っておるという状態の中で、七兆に及ぶあるいは特例債で言いますと三兆に及ぶ大量国債の発行につきまして、全体的な体制が非常に弱いのじゃないかというように感ぜざるを得ないということを最後に申し上げまして、私の意見を終わります。
  97. 森美秀

    ○森(美)委員長代理 次に、坂入参考人にお願いいたします。
  98. 坂入長太郎

    ○坂入参考人 坂入でございます。  昭和五十一年度の公債の発行の特例に関する法律案につきまして若干の意見を申し述べます。  御承知のごとく、戦後日本の経済は、戦前の重商主義的な富国強兵政策のスローガンにかえまして、平和福祉国家を目標とします経済成長、言いかえれば強兵を削除した経済大国を政策目標に設定したわけでございます。しかし政府は、福祉よりも産業優遇的な政策を基軸といたしましてパイを大きくすることから出発し、福祉極大化への財政配分は事後の問題といたしまして、日本銀行及び銀行の擬制的な信用膨張の拡大を通じまして成長通貨の散布を先行せしめ、貯蓄と投資の事後的な均衡を図り、大企業、寡占企業の資本蓄積を税制面から補強をし、高蓄積、高投資機能を助成し、大企業主導の経済成長を定着せしめました。財政は自然増収をてこといたしまして規模を拡大し、経済成長と財政規模との両立的な拡大政策をとってきたわけでございます。  このような成長政策というものは、三十年代におきましても、成長政策批判あるいは成長政策に対しますところの疑問が提出されたわけでございますが、大多数の人々の容認するところでもあったわけでございます。しかし、このような成長政策は、三十九年から四十年の不況に突入いたしました。この不況は、資本主義的な信用膨張に基づくところの過剰生産恐慌的な性格を持つものでございました。この不況によりまして、政府は当初高い成長率を見込んでおりましたけれども、実質的な成長率が低下をいたしました。成長率が低下をすれば、税収は成長率に依存をして見積もっていたわけでございますから、当然税収不足をもたらしました。そして、三十九年度は御承知のように国家財政の粉飾決算で処理をいたしました。  しかし、四十年度の進行過程に税収不足、いわゆる歳入欠陥が明白になりまして、補正予算において大幅な減税と赤字公債政策によりまして景気政策をとるに至ったわけでございます。この四十年度の公債発行は歳入補てんのための公債でございますから、赤字公債であることは言うまでもございません。  四十一年以後は財政法四条によりますところの建設公債の発行を恒常化しまして、この側面から成長支持政策をとり、日本経済は四十四、五年に明治以来の悲願でありました経済大国となったわけでございます。  ところが、四十六年から七年の国際通貨体制の崩壊を契機といたしまして異常な過剰流動性インフレが起こってまいりました。このとき政府のとりました財政経済政策は、調整インフレを基調とし大量の建設国債を発行する、また減税等の有効需要政策をとりまして、財政規模を拡大する景気政策をとったわけでございます。この結果、物価上昇、所得分配の不均衡を激化せしめました。この段階にいわゆる調整インフレ政策をとるよりも、建設国債の不発行を中心とするところの総需要抑制政策をとり、円の自主的な切り上げを行い、成長政策に歯どめをかけ、経済、物価の安定政策をとるべきであったと思います。それにもかかわらず、逆の政策をとったことは、政府政策の失敗であったと思うわけでございます。この経済政策は、その後に展開されました四十八年十月以降のオイルショック以後の日本の経済と財政の持ちますところの高度成長政策的な構造の欠陥を露呈せしめる大きな要因を形づくったわけでございます。  スタグフレーションのもとにおきますところの日本の経済は、高度成長から一転して低成長に転落したわけでございます。要するにデフレギャップの幅を拡大せしめ、そしてその長期化とともに高度成長を継承して編成されました財政構造は、租税収入がGNPに依存をしているのでございますから歳入不足を招き、深刻な財政危機に直面したわけでございます。その対応策は、有効需要と物価安定という二つの政策目標との絡み合いから、五十年度の予算はその進行過程において歳入欠陥が明らかとなり、財源調達を赤字国債に依存せざるを得なかったわけでございます。  私は現在の混合経済体制のもとにおきまして、公債政策の持ちます景気調整的な機能を否定する立場をとっておりません。けれども、いま申し上げましたように、財政構造に建設公債をビルトインし、それによって過度の信用膨張によるところのインフレ成長政策、またその延長としての赤字国債の発行には若干の疑問を持つものであります。  当面の五十一年度の予算におきましては、建設国債と赤字国債で歳入予算の約三〇%を歳入財源として当初から編成しております。当初より赤字国債の発行を予定したことについて、この大蔵委員会におきましてもその是非が論じられているわけでございます。一般に赤字国債というものは歳入不足の穴埋めであるので非生産的なインフレ的な予算と理解をされておるわけでございます。これに対して、建設国債は物を生産するから生産的な、いわゆる建設的な国債であると言われております。確かに赤字国債は一般歳入補てんのために発行されますので非生産的な国債の性格を持つように思われるのでございます。しかし、その歳入は一般会計から支出をされまして、この支出を通じて国民に財貨サービスを提供するのでございますから、有用な経費調達手段であると見ております。しかし問題は、赤字国債の発行について、いままでのわれわれの経験的な側面から見てまいりますと、どうしても安易になされ、放漫な膨張予算を組みやすいというような意味合いで麻薬の役割りを果たし、また経済をインフレによって破壊せしめる危険な財政手段である、このような指摘がなされるわけでございます。  五十一年度の予算におきましては政府は当初から赤字国債を組んでおりますが、この場合において、できるだけ、いま申しましたような国債発行の批判を回避するために、財政支出を資金の効率性という立場から洗い直す事前的な措置をとるということ、また不公正税制を公正税制に改革をする、このような措置をとるということ、さらに発行されました後におきまして公社債市場の機能を活用するとか、及び償還財源の計画を明確にするという、このような事前、事後の措置につきまして十分予算に反映をしていないという点が非常に問題であると思います。このような事前、事後の措置をとりました上、なおかつ歳入欠陥、いわゆる赤字が出るので、その補てんを赤字国債で賄わなければならないという財政姿勢が五十一年度の予算においては欠けていたように思うわけでございます。  といいますことは、中期財政見通しにおきましては、このような点に触れないで、スタグフレーションの長期化に対しまして歳出を所与といたしますれば、歳入不足を赤字国債で賄えば、財政の節度をなくしてインフレーションになる危険があるという警告を計数的に並べているだけがございまして、そこでは不況の長期化に対応する財政の対応の仕方についての構図が明確にあらわれていない点が指摘されるわけでございます。これに対しまして、中期経済計画におきましては、日本の経済は低成長に移行するということを予測しているのでございますから、財政構造もこのような低成長に対応するような仕組みをとらなければならないと思うわけでございます。しかし現実におきましては、このような財政措置をあいまいにいたしまして大量の赤字国債を計上し、国会に提出し、さらに次年度以降にも赤字国債の計上が予測されるところに問題があるわけでございます。  国債発行と景気調整との関連で見てまいりますと、本来ならば景気が回復すれば国債依存率を引き下げあるいは不発行の措置をとる、また不況期には発行をするという、このような機能がいわゆる景気調整機能でございますけれども、いまの日本の財政構造におきましては、このような公債の景気調整的な機能が欠けておりまして、建設国債の発行を四十年代におきまして恒常化し、成長支持政策をとりつつある政府の政策態度には若干の疑問を持っております。言いかえれば、フィスカルポリシーの形骸化でありまして、それはインフレ政策以外の何物でもないということでございます。そこで、この際、経済の実態に即しまして適切にフィスカルポリシーを活用すべきでございまして、いたずらに国債発行を通じて財政規模を拡大せしめるというような政策をとるべきではないと思うわけでございます。  私はこの機会に、フィスカルポリシーにおきまして最も重要な財政原則というものは均衡予算の思想であるということを申し上げたいと思います。フィスカルポリシーによりましては、一般に均衡予算の原則が放棄されたと思われているわけでございます。いわゆる伝統的な財政原則でございます均衡予算と、それから機動的な予算原則との調和というものが国債増発、インフレ回避策として重要であるということを指摘したいわけでございます。  第一に、均衡予算は歳出、歳入に見合う予算構造でございますが、この原則はインフレに対して最大な防御になるということ、それから第二には、均衡財政は政府の財政活動にコストの基準を提供するというような意味合いで重要でございます。特に均衡予算の機能というものは、財政膨張と浪費の危険にさらされている支出の決定に対して、租税との対比によりまして、コストの考え方を財政に導入し、支出の効率性の価値判断の基準となるわけでございます。このような意味におきまして、フィスカルポリシーの財政運営に均衡予算の原則を取り入れ、財政規模を洗い直すチェック機能を持たせる上から国債の歯どめとしても非常に重要であると思うわけでございます。  五十一年度の国債特例法案は、このような意味合いにおきまして安易な成長支持的な財政政策の結果と見るわけでございまして、赤字国債の発行の事前事後の財政措置が不十分であった。したがって各党の批判もこの点に集中しているといたしますれば、これを契機に低成長のもとにおける財政構造のあり方を検討し、安易に赤字国債に依存すべきではないという財政運営の態度を厳しい経済の現実に対応させるべきであると思うわけでございます。  しかし、五十一年度予算における赤字国債の事前事後の十分な措置に欠けているとは言え、すでに予算は成立しているのでございますから、歳入、歳出の一体化の原則によりまして、論議を尽くして決着をつけるべきであると考えるわけでございます。そして今後の経済の運営におきましては、経済の実態に即応するような形で運営をすると同時に、景気が回復し、さらに過熱をするような場合におきましては中立的な財政政策をとり、そして国民の福祉を少しでもインフレから守るような運営をすることが望ましいと思うわけでございます。  以上で私の公述を終わらせていただきます。
  99. 森美秀

    ○森(美)委員長代理 以上で参考人からの御意見の開陳は一応終わりました。
  100. 森美秀

    ○森(美)委員長代理 これより参考人に対する質疑に入ります。村山喜一君。
  101. 村山喜一

    ○村山(喜)委員 参考人の方々にはどうも御苦労さまでございます。  私は主として中村参考人、それから村田参考人、それに原参考人、この三方にお尋ねをしてまいりたいと考えております。  そこで、まず中村参考人にお尋ねいたしたいのですが、五十一年度予算の二九・九%、七兆二千七百五十億を特例債まで含めまして公債収入によらなければならない、こういう異常な状態が出てまいりました。その中で四十九年度、五十年度、これの発行の消化状況を見てまいりますると、シンジケート団の引き受けが、全国銀行の場合のシェアを見てまいりますると、七二%から七四・五%というふうに五十年度の場合にはふえてまいっております。で、五十一年度の四月期におきます発行がもうすでになされたわけでございますが、五千二十億でございますか、このシェアはどういう割合になっているのか、従来のままそういうような比率で引き受けになっていらっしゃるのかどうかということをまず第一にお尋ねをいたしたいと思います。  それから第二は、五十年の十二月末の新規国債の保有状況については、それぞれ資料がございまして出てまいっておりまするが、この中で市中金融機関が保有しておりますものが四兆七百六億円、三一・一%という形になっておるようでございます。そこで、一年経過をいたしますると買いオペの対象等であるいは日銀の適格債でございますから国債を引き取ってもらう、こういうような形の中で、新規の分は持つといたしましても、既発債についてはできるだけこれを持たないようにしようという考え方でこれからやっていかれるのであろうか。この点について、これは日銀のオペレーション政策との関係もございますが、全銀協の会長とされてはどういうような考え方でこの問題をこれから処理をされようとするのだろうかということをお尋ねしたいと思うのです。  というのは、公社債の滞留状態というのが約六十兆ある、こういうふうに言われておりますが、昨年一年間の公社債市場における売買の実績は五十四兆程度、こういうふうにも数字を承っておりますが、国債のいわゆるそういうような金融資産としての魅力というものがどういう程度のものとして皆様方では評価されているのか、こういうことなんです。後からまたクラウディングアウトの問題等も質問申し上げたいと思うのですが、この点については村田参考人の方からもお聞かせをいただきたいのです。というのは、やはりいまの発行条件といいますかこれでまいりますると、新発債の場合には表面金利は八%でございますが発行価格を九十八円七十五銭ということに抑えてありますから、新発債の応募者利回りというのは八・二二七%ということになっております。それに大蔵省の方から一株について五十五銭の手数料を払う。そのうちの五銭の方は証券界の方にいくわけでございますが、銀行の方としては五十銭はシンジケート団の一員として加わった場合には受けられるわけですね。そういう点からまいりますると、あながちそう資産として持っておっても損になるものではないのじゃないか。しかし、そういうようなものを持っておると、資金のポジションの上からいってどうも民間の資金需要が多いときなどは困るので、できるだけ国債は一年過ぎたら日銀の方にお返しをしよう、こういうような態度で全国銀行協会の方はお考えになっているのか。このあたりについての態度をお聞かせをいただきたいと思うのです。  村田参考人には、これは日本銀行調査局の調査月報の四月号に載っておりますが、この三月末の十九回債、五十二年の八月の償還予定になります国債でございますが、これは利回りが八・六八%という形で、価格が九十七円三十銭という形で取引がされているようでございます。もちろん取引の量によって手数料も違うわけでございますが、いまのこの金利体系の上から見まして国債の価格というものは妥当なものである、昨年の十一月発行条件の改定等がなされたので、市場の実勢価格に合った適切なものであるというふうにお考えになっていらっしゃるかどうか、この発行条件が変わらなければ公社債の引受協会としては個人販売を中心にしてこれからどんどんやっていけるのだ、こういうふうに自信を持ってお答えがいただけるかどうか、この点をお聞かせを願いたいと思うわけでございます。  そこで、先ほどからいろいろ話をお伺いをいたしてみますと、そういうような市場原理を貫くプライスメカニズムにのっとって価格形成がなされなければならない、こういうことを言われておりまするので、いまの価格の設定方式というのは従来よりするとずいぶん弾力的にはなってきたとは思っておりますが、果たしてこれで十分であるとお考えになるかどうか、この点についてお答えをいただきたいのでございます。  それから原参考人には、いわゆる今日の財政不況というものが構造的なものであるという考え方は私たちもそのとおりだと考えておりますが、金利機能というものを考えていった場合に、市場の実勢金利に合わせて発行条件等を決める、こういうようなことで発行の数量を規制をする、調整することができるというふうにお考えであるのかどうか、この点をお答えをいただきたいのでございます。
  102. 中村俊男

    ○中村参考人 まず最初の全国銀行の国債の引き受けのシェアの問題でございますが、すでに御承知のとおり、国債の引き受けシ団の中におきます引き受けのシェアにつきまして、都市銀行並びに長期信用銀行のシェアが少しきついのではないか、ことに大量の国債が発行されますのでひとつシ団の中で少しそういう銀行の立場も考えてほしい、少し調整してほしい、ということは、そのシェアを少し下げてほしいということで、その他の地方銀行さん、相互銀行、信用金庫あるいは農中関係さん等にもいろいろやってまいったのでありまするが、それぞれやはりいろいろな御事情があり、顕著な例といたしましては、地方銀行さんの方は地方債の方を相当今度もまた引き受けねばならぬのだからというようなことで、なかなかに正直なところ調整がつきませんでした。しかし、まことに微調整ではありまするけれども、私どものシェアが六五%くらいに今年度から下がるのではないかというふうに記憶いたしております。それでも私どもなかなかつらいのでありまするけれども、まあしかしこういうことでございまするから、こういう時世でもございまして、ことに今度の予算の中でやっぱり不況対策の面というもの、福祉国家の充実という面もなお続けていかなければならないということに相なりますと、やはり何といっても財政というか公共事業というものが動き出すということが一番手っ取り早いのでございます。すぐに仕事がそこで動くということでありますので、それに必要な資金にどうしても歳入として充てられるものが相当あるわけでございますから、これはどうしても御協力して、何とか経済を安定成長に持っていくこの過渡期を大きな信用秩序の混乱なくひとつうまく移行させていきたいというような気持ちが相当強いのでございます。  それから国債の利回りの問題、いま手数料その他を含めてのお話もございましたが、八・二二七というのはおっしゃるとおりでございまするが、率直に申しますと、これは各銀行いろいろとそれぞれの銀行の資金コストというものは違うのがあたりまえでございまして、しかし、全国銀行の平均では八・五ぐらいになってやしないかというふうに記憶いたしております。そういたしますと、多少これは逆になるということにもなるのでございます。しかし、これも最初に申しましたようなことで、多少のことはやはり負担できる限りにおいて私ども負担してまいらなければならないというような気持ちで、ことに最初申しました不況対策というような点から、やはり十分御協力を申し上げていきたいというような気持ちでおるわけでございます。だからして、迷惑なんじゃないか、しかも一年たてばこれを日本銀行の方に持っていってしまうことを期待し、あるいは、そうではないかというような御質問でございます。しかし、日本銀行は、いまわれわれ市場に対して、信用供与というものは貸し出し、日本銀行のわれわれに対する貸し出し、それから国債のオペ、それから手形のオペ、こういう方法でいま市場への資金の供給と申しますか調節をしているわけでございますが、貸し出しの方はわずか全体の一割ぐらいになって非常にウエートが減っておりまして、あとは国債と手形のオペということになっておりますが、日本銀行さんの御方針は、承りますと全体の通貨の調節の手段としてこれをやっておるのであって、私ども、ことに全国銀行の金繰りであるとか国債をどうするとかいうようなことではなく、そういう見地からオペをやっておいでになるというふうに承っており、私どももそうではないかと思っておりますので、私の方から何とかしてくれと仮に申しましても、やはり通貨調節の面からそれはだめだとかいうようなお考えがあるというふうに私は当然考えておるのでございまして、私の方から困るから何とかしてくれと言うことは、これは話の筋としても通るものでもございませんし、そういう気持ちはないということを申し上げさしていただきます。
  103. 村田宗忠

    ○村田参考人 ただいま御質問の、金融資産としてどのように評価されるかということは、私どもの方にも御質問があったのかと存じますけれども、銀行さんとしての評価と個人の保有者としての評価とは若干評価の立場が違うのではないかと存じます。先生、欲を言えば限りのないことでございますけれども、従来から比較をいたしますと、何と申しましても、先ほども申し上げましたように、昨年の十一月でございましたか、一連の金利の引き下げの場合に、比較的国債の利下げというものが小幅にとどめられまして、それがその後の金融情勢の緩和というふうなこととも相絡みまして、まあまあというところに来つつあるのが現状ではないか、かように存じますが、しかし、本当に国債というものを国民の財産形成の中心として位置せしめるというのには、まだまだこれから私どもの努力も要りますし、また政策当局におかれましても御配意をいただきたい、このように存じております。  ちょうどいま日銀の調査月報によりまして御指摘の国債の既発債の価格、利回りでございますが、三月期は若干軟化をいたしておりますけれども、大体三月で、先生のお話、利回りで八・六八%ということでございますけれども、大体平均いたしますと、最近の国債の既発債利回りといたしましては八・五七を中心にいたしまして前後に振れているというのが実情であろうかと思います。そういたしますと、大体乖離幅といたしまして〇・三%を中心といたしておるということでございまして、これはもちろんもっと縮まった方がいいには違いないのでございますけれども、従来から考えますと、ずいぶんその辺には改善の跡が顕著であり、それがまた現在の、まあまだこれからでございますけれども、個人消化を比較的活発にしてきているということであろうか、このように存じます。     〔森(美)委員長代理退席、委員長着席〕  御質問の最後の、発行条件は大分弾力化はしてきたけれども、これでいいか、どう思うかという御質問でございます。これにつきましても、ただいまのことでお答えになっているかと思うのでございますけれども、やはり状況によりましてタイトになってきますとなかなか厳しい場合もあるかと存じますので、そういうふうなときに機動的に弾力的に条件の改定というものが絶えずスムーズに実施されるということがきわめて望ましいことである、このように存じております。  以上をもってお答えにさせていただきます。
  104. 原司郎

    ○原参考人 ただいまの御質問の趣旨をちょっと取り違えているかと思いますけれども、金利機能につきましては、先ほど来の公述でも述べましたように、金利機能の発揮によって資金を配分していくというのは望ましいというふうに理論的に考えておるわけでございます。ただその場合に、わが国の金融市場の構造から言って、果たして金利機能が発揮できるようなそういう市場であるのかどうか。まず第一に債券の流通を促すようなそういう市場がないわけでありますので、先ほど来のように、どうしても公社債の消化は金融機関の消化に偏る。それから金融機関間におきましても、大規模金融機関と中小規模金融機関とが同じような性質のサービスで競争場裏にある、こういうふうな不完全な金融市場の中で金利機能を発揮するということが一体どういうふうな結果を招くのかということについて十分に配慮しないで、いたずらに金利機能だけ言うということはどうも問題があるように思うわけです。御指摘の国債の消化が非常に金融機関に偏っておるという現在の、一部の人々によって御用金調達機構というような言葉で言われるようなそういう機構になっておるのは、結局そうした市場の実勢金利というものが働くような日本の金融構造ができ上がっていないというところに問題があるわけであって、どうも金融構造を抜いて金利だけ考えるということについては、私は疑問があるわけです。  それで問題の御指摘は、そういうもし条件をつくって市場の実勢金利で発行すれば国債の発行数量は非常に規制を受けて、現在の財政不況といいますか、財政の危機をますます激しくするのじゃないか、そういう御質問なんでしょうか。ちょっと御質問の最後の趣旨がよくわからなかったのですが……。
  105. 村山喜一

    ○村山(喜)委員 金利機能の発揮ができたら、国債の発行が量的に調整の歯どめがかかるかということについてお尋ねをしたわけです。
  106. 原司郎

    ○原参考人 私は、先ほどのような条件を前提としておけば、金利機能の活用によって数量的な歯どめはつけられると考えております。
  107. 村山喜一

    ○村山(喜)委員 時間の関係がございますので、できるだけ簡潔に御答弁をお願いしたいと思いますが、まず中村参考人にお尋ねいたします。  中期割引債の発行の問題でございます。先ほどお話をいただいた中で、消化をする国民の層というものが多様化している、だからそういうようなものを考えていかなければならないんじゃないだろうかという話をされました。国債が十年ものという一応一つの種類しか発売されていない。それで、これは村田参考人にもまた御意見を伺いたいのですが、割引債だと、いまのワリチョーあたりの実勢価格の上から見ましても、一二%の税金を払いましても利回り計算をすると六・五%ぐらいになる、こういうような一年ものでもそういうような形になっているようでございますが、やはりこの際、長信銀行の場合等は金融債とかそういうものを発行して資金調達をやらなければならぬという立場から反対の意見があったやに聞くわけであります。しかし、そういう金融債あたりに一つのフェーバーを与えておるのに、国債の場合にもそういうものを与えてなぜ悪いんだろうかということを私は考えざるを得ないと思うのですが、まあ十年ものだということになるとなかなか個人が手を出しにくいというようなことから、五年ものであれば、これは資産の選好性というものによっても違うでありましょうが、そういう形で個人が消化できる体制が非常に整いやすいのではないだろうか。  この問題を考えてみますと、法人の場合には、税法の上からあるいは経理の上から、一年ものは持てるとしても、そういう中期ものについてはなかなか持ちにくいという点もありましょうが、国民がそういう国債を資産として保有をするということが望ましいという姿をこれから描くとするならば、そういうものを国債の場合にも当てはめてやるというのが正しいんじゃなかろうかというふうに考えているわけですが、中期割引債の問題についてはどういうふうなお考え方であるのか、この点についてお二人からお伺いをいたしたいのです。
  108. 中村俊男

    ○中村参考人 いま先生から中期国債をどう思うかというお話でございます。非常に多額の国債が出る、それを金融機関が引き受けるということは、これはどうしてもマネーサプライの増加につながり、直ちにインフレにつながるという経済の客観情勢でもございませんけれども、これは非常に潜在的にインフレの要素をつくっていくということからいたしましても、先ほどお話も出ましたように、やはり同じ市中消化でも、個人であるとか機関投資家であるとかあるいは郵貯の金であるとかという方へこれを回していく。それが引き受けてくだされば、これはいま申しましたような潜在インフレの要素はなくなるわけでございますので、こういう方面に、ことに個人の方に受け入れやすいような形の国債を研究するということはまことに重要なことであり、また今後もこれを研究していかなければならない問題だと思います。  ただいまの中期国債の先生のお話はまことにごもっともでございます。しかし、昨年の十二月に、まあそう申してはまことに恐縮でございますが、突如として御当局の方からその案が出てまいったのでございまして、実は私どもも金融機関の間の問題として、それぞれいろいろな意見を持っておりますので、これをひとつ調整しなければならない。それには正直なところ、ちょっと時間が余りに差し迫っておったというところが、これが先生、率直なところでございます。その後も私どもシ団の中に委員会を設けまして、引き続いてそれを中心に検討いたしております。一般の構想としてはやはり先生のおっしゃることも本当にごもっともなことだと思いますが、いろいろな御意見を取りまぜてただいま研究いたしておりますので、ひとつしばらく御猶予を願いたいと思います。
  109. 村田宗忠

    ○村田参考人 先生に大変ありがたい質問をしていただきました。実は、私どもかねがね、小量発行の時代ならともかくといたしまして、六兆、七兆という大量の国債を消化しなければならない。しかも、なるべくマネーサプライに直につながらないような形で個人に消化したいということに相なりますれば、従来の小量発行時代の商品形態一本の、これまでと同じようなやり方で、それだけで今後の大量発行に対処してまいるということは、どだいそのこと自体無理であろう、このように考えておりました。ちょうど中村参考人から御説明がございましたように、ただいまシ団の内部で小委員会を持ちまして研究をいたしておりますけれども、私は、率直に申しますならば、もちろん研究も必要でございますし、利害の調整ということも必要でございますけれども、これは急いでやらなければならないことではないか、このように存じております。  先ほど先生の御質問の中で、ちょっと長期信用銀行さんの金融債との関連についてお触れございましたけれども、私はその面との競合関係は余り生じない、そう心配することはない、このように存じております。  そういったふうなことでございます。
  110. 村山喜一

    ○村山(喜)委員 この点については、大量発行、それをどう消化をしていくかという問題並びに国民の資産形成、そして先ほどからお話が出ておりますように、マネーサプライの増加が懸念をされる、そのような状況下にございますので、七兆二千七百五十億もことし消化をするとするならば、その消化する条件を整えておかないと、問題はインフレになる可能性を含んでいるわけでございますから、研究という段階ではないだろうと考えておりますので、ある程度の結論をお出しをいただいた方がいいのではないかと考えておりますので申し上げておきます。  そこで、時間も余りございませんが、マネーサプライのM2の問題でございますが、 いろいろ先ほどからクラウディングアウトの問題が下期には懸念があるというような話をされるので、私も実は設備投資の計画等を調べてみました。どうも、調べてみますと、五十一年度の計画は昨年度に比べまして一一・九%増の七兆余りの設備投資が計画をされておるようでございますが、この大部分は電力と鉄鋼ですね。これで五二・八%という内容であるようです。そこで、どういうふうにして資金調達をやるのだろうかということで調べてみますと、減価償却などを非常にたくさん織り込んで、五十一年は収益が好転をすることを期待をし、なお鉄鋼の値上げとか電力の値上げによってそういうような収益の向上を図りながら自己資金の充実を図っていく、したがって、そういうようなのができるから、外部から借り入れる借入金は少な目に見積もっていくということで、内容を調べてみると、どうも外部の方から資金調達をする額は、設備投資は一一・九%ふえるけれども外部の資金調達というのはかえって二千億ぐらいは少な目に計画を立てておりますね。そういうようなのから見てまいりますると、どうも下期においてはクラウディングアウトのそういう状態が懸念をされるとおっしゃるけれども、それがわからない。景気はよくなって幾らか資金の需要が出てくるだろうとは思うのですが、三月末の全国銀行の主要勘定速報なんかを見てみますと、大分都市銀行を中心にしてどんどん預金はふえてきている。しかもそれは法人預金がふえてきて、法人の手持ちの流動性というものも一・二五カ月分ぐらいになってるのじゃなかろうかというのもちらほら見るわけでございます。そういうような状態の中で、どうも国債を大量に発行するから資金が窮屈になって民間の資金需要にこたえることができない、こういう学説が横行をしておるようでございますが、しかしいままでも、ことしの初めごろから大量発行をやってきたわけです。ところが大量発行をやってきましても、そこには別にショートしていない。それはやはり日銀の成長通貨を国債の買いオペによって提供をするという手段をとってきたわけですが、そういうような、いわゆる政策をやることによってそれは切り抜けてきているのではないだろうか、そういうふうに考えるのです。したがいまして、資金のそういうような面におけるショートが、下期においても起こる可能性があると言われる根拠をお示しをいただきたいのであります。  で、問題は、財政支出というものが国債の大量発行によってなされてくる、これもやはり通貨供給がふえてくる一つのルートですね。それからもう一つは、輸出等による外貨資金の流入という、そちらの方からのはね返りがあるわけです。  それと、この際中村参考人にお聞きをいたしたいのは、銀行による貸し出し、これによって信用創造機能というものを銀行は持っているわけですから、その面からどういうふうにそのマネーサプライの増加を抑えていくのかということが出されなければ、ただ資金がそういうふうにしてクラウディングアウトになるからというような問題だけでなしに、マネーサプライM2の管理というものをどういうふうにこれからやっていくのかということが一番大事な問題点ではなかろうかと私は考えますので、これに対する全銀協の会長としてのお考えがもしあるならばお聞かせをいただきたいのでございます。
  111. 中村俊男

    ○中村参考人 簡単にお答えいたしましょう。  さっきの私の公述の中にも、本年度の後半にクラウディングアウトを民間資金が受けることについての懸念の公述をいたしました。しかし、これはそういうことがないようにというような、非常に根拠があって、必ずあるから――たとえあってもそのときには租税収入その他で歳入が上がるだろうから、そういうときはひとつ公債の発行の減額をしていきたい、ぜひお願いをしたいというような意味合いで申しましたのでございます。  率直に申しまして、これは今後の景気の見通しに一にかかってくるわけでございます。私は、先ほどは公述では懸念を強く申しましたのでありまして、どうも景気は底離れしたとは申せ、何と申しましても上場会社三社に一社はまだ赤である、実質的には二社に一社が赤でもあるかもしれないというようなこと。したがいまして、雇用の安定というような面からも、いわゆるサラリーマンも自己防衛になかなか強くなっておるというような点から、私自身、これは個人的な見解でございまするが、景気はそうむやみに浮揚はしてまいらないじゃないか。ましてや、先生のおっしゃいますように、設備投資がどんどん出てくるということにはただいまのところはならないんでないかなという気持ちがいたしております。  したがいまして、私が申しました下期のクラウディングアウトというのは一つの懸念として申し上げたのでありまして、学説とまで強くおっしゃるほどにみんなが認めていることではないのではないか、率直に申してそういうことでございます。  それからM2の問題でございますが、これも先生のおっしゃるとおりでございまして、信用創造機関といたしましての金融機関は貸し出しをするか、有価証券を持つか、国債を含めて、それをいたしますれば、これは信用創造でM2がふえるわけでございます。     〔委員長退席、森(美)委員長代理着席〕 ただ、それがすぐにインフレ現象につながるかどうかは、先ほど申しましたようなことで、これは環境の相違によることであります。しかしM2がふえるということは過剰流動性の問題につながるわけでありまするが、この日本のいま置かれた経済環境その他、今後のあれから見て、M2は前年比どのくらいが一体適当なのかということはまことにむずかしい問題でございます。もちろんアメリカではM2をフェデラル・リザーブ・バンクが目安として公表いたしておりまして、それに基づいていろいろな金融、通貨政策をとっておりますが、まだ日本ではそれまでに至っておりません。しかし日本銀行さんといたしましては、公表はもちろんなされませんでしょうが、金融政策のかじ取りとしてM2の前年比幾らというようなことは、心づもりとしてはずいぶんお持ちではないかと思います。ですから、どうしても七兆幾らの国債を出さなければならない、また、御指摘のように貿易収支もまことによろしゅうございますから、それによってM2がふえる。この二つの要素で相当ふえるということになりますと、これはやはり金融機関の貸し出しを抑制していくということに調整の手段がなると思います。
  112. 村山喜一

    ○村山(喜)委員 最後に、三点ほどお尋ねをしておきたいと思います。  第一点は、地方銀行の資金ポジションが三月期においては悪化したという内容の記事も出ておりますが、先ほどからおっしゃるように、地銀六十三行、この中で国債のみならず地方債まで抱えなければならない。ことしは地方債計画というのが、中村参考人御承知のように、四兆八千十億ということで、この大部分は五八・二%が縁故債と、こういう姿でございます。そうなると、これは財政計画上の数字でございますから、実際はそれよりも一兆ぐらい多い、こういうような形でいつもはみ出るわけでございますから、そういうふうになってくると、地銀の協会の方で試算したのを見てみますると、どうやらことしは公共債総額二兆七千億ぐらいを負担しなければならないのではないだろうか。それは預金増加額の約五〇%程度になるのではないだろうかというようなことから、まさに資金ポジションが三月期においても悪化しておりますが、どうもここら辺から地方縁故債について市場で処分をいたしますと、実際問題としては売却損を出すという形が出ておるわけでございます。したがって、日銀のオペレーションの対象として、全部が全部というわけにはいかぬだろうが、ある特別なものについては適格担保としてその格づけをしてもらいたい、こういう要請等も出ておるようでございました。これについて、これは公社債ですから村田参考人の方に関係がありますが、そういうような考え方をどういうふうにお考えになっているかということについて承りたいんです。  それからもう一つは、銀行の不良貸し付けの問題でございます。このごろ新聞にも大分大きく出てまいりまして、貸し倒れになる分については、さすがに銀行だと思うだけに、その回収不能というのは余りないようでございますが、しかし後ろ向き融資をしなければどうにもならないというようなものが相当あるようでございます。  そこで、五十年度の上期に都銀十三行で十四億円しか償却をなさっておいでにならないようでございますが、どうもこれじゃ償却が不十分じゃないだろうか。実態は、もう銀行のそういうような不良貸し付けの内容というものは大分深刻なものがあるのじゃなかろうかというふうに私たちは考えておるわけですが、そういう心配はないのかどうか。十分な償却ができているとお考えになっているのか、この点についてお答えをいただきたい。  最後には、都市銀行を中心にいたしまして、全銀協の方では週休二日制という問題と取り組んでいただいて、ヨーロッパの方にも調査団を派遣をされて、そのレポートも出たようでございます。そこで、週休二日制というのは今後の雇用とかいろいろ日本の安定成長の上からも考えなければならない問題でもございますし、そうなってくると、この問題については前向きで対処したいという考え方を中村参考人は前からお持ちだというふうにお伺いをしておりますので、どういうふうに計画的にお進めをなさろうとしているのか、この点についてもお答えをいただけましたらと思うのでございます。
  113. 中村俊男

    ○中村参考人 まず最初の地方公共債の引き受けによる地銀のポジション悪化、これに対して、いわゆる格づけその他により、また日本銀行等のオペの対象、そういう問題、御指摘の点は、まことに地方銀行さんとしては深刻な問題でございます。御承知のように、一般会計で公共事業費その他の予算がたとえ取れましても、地方公共団体と一緒にやるという公共事業が非常に多いことは、ここで私が申し上げるまでもございませんので、そういう点で地方公共団体の財政が調わぬことにはなかなか中央だけでも思うようなことができない、こういう意味からして地方に地場を置きます銀行といたしましては、これはまことに深刻な問題でございます。  しかし、格づけ等につきましては、もちろん慎重に検討しなければなりませんが、地方公共団体と一口に申しましても非常な差異がございまして、この格づけというのはまことにむずかしい。また仮にいたしましても、それからいろいろな余弊が出てくるおそれもありますので、これは新聞紙上だけのことでありますが、中央でそういうものをあれして、格の高い中央の一つの機関がそういうものを出して、それでもって地方へあれする。こうすると、地方交付金とどうなるんだという問題もありましょうけれども、なかなか地方公共団体の格づけをするということはむずかしい問題であろうかと思います。しかし、これも一応は検討しなければならない問題だろうと思います。これは何とかしないといけないのじゃないかということを、私は同業の者といたしましても十分お察ししております。また、私どもも地方の都市には支店を持っておりまして、シンジケート団を組み、その他で御協力は申し上げております。  それから不良貸し付けの問題、これは率直に申しましてこういう状態でございますから、御想像のとおり私どもの貸し付け、資産内容というものは悪化いたしております。しかし、これはやむを得ないことでありまして、先ほど申しましたように、何とか従来の循環的な不況でない構造的な不況を切り抜けて安定成長に持っていこうというときでございますので、大きな信用秩序の問題が起きないように、私どもは縁の下の力持ちになってこれを何とかやっていきたい。しかし、私どもの力だけでできるものではございません。各企業が相当自己努力を傾注していただかなければならないわけでありますけれども、その間におきまして、御指摘のとおり、不良貸し付け、資産内容の悪化ということは避けられないのでございます。それにもかかわらず、償却が少ないではないかというお話でございますが、償却をいたしますのには、従来の御当局のいろいろ方針もありまして、また税務当局の御方針もありまして、私の方でもいたしたい面もあっても、担保があればいいじゃないかとか、そういうようないろいろな従来の御方針があるのであります。それもごもっともなんであります。しかし、こういう事態になりますと、私どもの方も手厚く事前にある程度償却もいたしたいという気持ちは持っておるのでありますが、この点はよく御当局とも御折衝申し上げて決めていかなければなりませんが、その間において、やはり貸倒準備金の十分な積み増し、それから資本金の充実というようなことを私どもは努力いたしてまいらなければなりません。     〔森(美)委員長代理退席、委員長着席〕 もちろん、不良貸し付けがふえたと申しましても、各金融機関が支えていけるものであるならば信用問題は起きないのでございますから、その点は先生も十分御了承願いたいと思います。  それから週休二日制の問題、これは私どもも先生御指摘のように前向きに十分考えております。組合からも毎回強い要望が出ております。しかし、金融機関は御承知のように、経済活動それから預金者の大衆の皆様方の日常の生活に相当影響を与えるものでございまして、いよいよ金融機関も週休二日制をやるな、なるほどなあという程度のまずコンセンサスが得られませんと、これはやはり社会的責任の問題に非常に発展してまいりますので、実は銀行協会でも海外に出張して報告を求めてまいりましたが、民、官、金融機関というふうに分けますと、アメリカとかイギリスなどではやはり民、官、金融機関、金融機関が最後に週休二日制を実施しているというような、何もそれにならうこともございませんが、しかしこれもやはりみんなの納得が最後に得られて、そして金融機関もやむを得ないんだということになって、法律の改正を行って行われるべきじゃないかと思っております。もっぱらやはりこれはコンセンサスの問題だと思って、これについては努力いたしますけれども、そう先走ってどんどんやるということはなかなか慎重に対処していかなければならないと思っております。
  114. 村田宗忠

    ○村田参考人 ただいまの地方債の問題でございますけれども、これは私どもといたしましてもかなり頭の痛い問題でございます。日本の実情といたしまして、地方地方の地縁的なもの、これはある程度やむを得ないことでございますから、地方銀行さん、特に公金銀行さんを中心といたしますところの私募といいますか縁故債というものは、これはあってしかるべきだろうと思いますけれども、先生御指摘のように、ややいろいろ配慮を要する点が多いのではあるまいか、かように存じます。  実情を申し上げますと、地方の縁故債につきましてはかなり流動化は行われておりますが、最近では多少流動化を前提とした、もうすでに発行のときから流動化を前提とした引き受けが行われるということもあるのではないかと思うのでございますが、そうなりますと、性格的には非常に公募債に近いものに事実上はなってくるという一面もあろうかと存じます。  格づけの話がございましたけれども、むしろその面から申しますと、地方公募債でございますね、公募債の方にむしろ問題があって、いまただいま公募団体は二十二でございますか、これが比較的低位に固定した条件で、しかも画一をいたしておりまして、財政状況にいたしましても、われわれの方から言いますれば売れやすい、売れにくい、いろいろ差がございますけれども、それがすべて一本の条件的枠組みの中に置かれているということでございまして、この辺につきましては今後検討を加えましてそれぞれの状況に応じた、もう少し画一性を弾力化していかなければいかぬのじゃないかな、このように痛切に感じております。
  115. 村山喜一

    ○村山(喜)委員 終わります。
  116. 田中六助

    ○田中委員長 増本一彦君。
  117. 増本一彦

    ○増本委員 きょうは皆さん大変御苦労さまです。  先に加藤先生からお伺いをしたいと思います。  先ほど先生の御意見ですと、いままでの高度成長型の税制あるいは金融あるいは財政の仕組みではだめだと、これを変えていく必要があるというお話がありました。まことにそのとおりであると思います。  そこで、幾つか先生が問題点を指摘されましたけれども、特にその中で、税制全体の見直しとして、経済的な機能の面でも、実質的な租税特別措置あるいは大企業、大資産家に対する特権的な減免税というのでしょうか、これまでの高度成長を支えてきたそういう税制の仕組みを改定すべし、こういう御意見、それからさらに高度成長の資本調達を促進するための、特に個人所得税の課税の仕組みというものも改定する必要があるのではないか、こういうような御趣旨のお話がありました。そこで、この点についてどういうように改定をしていったらよいのか、先生自身の御試案というものがありましたらまずそれを御披露いただければというように思います。
  118. 加藤睦夫

    ○加藤参考人 改定の具体的な考え方があれば示してくれということのように承ったわけですが、項目としては先ほど言いましたように大体三つの、いままで二つのグループで言われていた点が多いのですが、ただ私は、改定の具体的な作業のことについて意見を申し上げる前に、もっと政治的な前提みたいなことを踏まえていいものが生まれているのじゃないかということを申し上げたいわけです。  つまり高度成長の過程ですと、これはよく言われておりますように、税制で全体の収入がかなりのスピードでふえますので、一方ではその税制を政策的にかなりフルに使いながらもなおかつ他方で税負担の増を一定のところで調整できてきただろうと思うのです。だからそういう過程の中では、つまり自分のところに税負担が非常にふえますとこれは問題ですけれども、税制全体として国民的な規模でそれを考えるというようなことが実際上非常にむずかしいような関係が続いてきたと思うのですが、実はいわばこの財政危機ですね、これは、幸か不幸かその点につきましては、つまり片方で税負担の不公正がありますと他方でだれかがかぶらなければならぬということが非常にぎりぎりのところで出てくるような状態になってきたのが現在だと思うのです。そういう中でやはり国民の全体的な関心が、自分のところだけの税の問題だけでなくて全体の税制を見渡して税制を問題にしなければこれはとても危ないといいましょうか、そういうふうな条件が非常に生まれてきているということを私は実は具体的な手だての一番前提に置いて考えたいと思うのです。  その点では、これは最近三、四年の間に納税者の心構えが非常に変わってきて、これはむしろ前向きに、税制の全面的なそういう公正税制というのですかに接近するのに非常に有利な条件が生まれてきているのじゃないかというふうなことを申し上げまして、あとその技術的な問題から言いますと、私、特にここで申し上げるようなものを持ち合わせているわけではございませんが、ただ一つ言えますことは、一つは企業中心の特別措置もまず手がけなければならぬことでありますけれども、やはりこの際は個人税、つまり所得税、法人税全体を貫く問題を取り上げなければならぬじゃないかということと、それからそのベースとしては本税の検討のところまでいきませんと、これは新しい段階の税制を新税なしにやれるというふうに私は思っているわけですが、これはちょっと計算はまたそれぞれ非常にむずかしいわけですけれども、そういうようなことを考えているわけでございます。
  119. 増本一彦

    ○増本委員 たとえば企業のこれまでの実効税負担の割合を見てみますと、特に私たちこれまでにも指摘してきたわけですが、資本金百億円以上の企業の場合の法人税の負担率が三五、六%、それ以下の特に中小企業になるほど逆に多くなるという逆累進が生まれていますね。これがすべて準備金あるいは引当金その他特別償却等も含めた租税特別措置に重大な原因があるということは、もうこれまでの国会内外の質疑を通じても明らかな事実だと思うわけですが、これがたとえばこれからの赤字国債等々の大量発行のもとでこういう税制がそのまま維持されていくということになれば、今度は逆に償還の面で負担割合が、いわば借金返しの負担割合がむしろ弱いものに重くかかり大きいものに小さくかかっていくという、そういう面での不平等、不公正というものがやはりずっと拡大をされていくということになるわけですね。ですからここの面での改定をするということが、実は税収を引き上げる、確保することによって赤字国債の発行を圧縮しあるいは抑えるという手だてとともに、そういう側面からも非常に重要だというように思うのですが、その点で先生の方では、これからの特に政府自身が出しています中期財政見通し等々で赤字国債を昭和五十年代の前半期に脱却をしていこうという一応の見通しを立てて公表していますけれども、そういうものとの関連で、あるべき税制あるいはあるべき国民の負担割合というような点から見てどういうようになければならないのか。特に前期経済計画の概案を見ますと、租税負担率あるいは社会保険等含めて三ポイント程度負担割合を引き上げるということまで政府の計画に含まれておりますけれども、そういう問題を含めて、今日、先生のお持ちになっておられるお考えがありましたら、その点も御披瀝をお願いしたいと思います。
  120. 加藤睦夫

    ○加藤参考人 いまお尋ねの件でございますが、私がきょうこの席上で特に申し上げたいことは、いまの税収増は、大蔵省の計算ですと三ポイント上げないと計画が立たないということが出ているわけですけれども、世上伝えられるところによりますと、新税の方向が、これは付加価値税ということでありますけれども、実は付加価値税そのものについての問題点はまた別におきまして、やはり第一に取り上げなければならないのは現行税制の改定といいますか、民主化というか、つまり一言で言いますと、高度成長のときに採用してきた税制を余りいじらないで基本で続けようというところに事態認識の非常な甘さといいますか、逆に言いますと、税制という具体的な場面で、高度成長からいわゆる低成長のところをどう考えておるかということが非常に不明確じゃないかということを申し上げたいわけです。だから新税というものは、どのような税であるにしろ、その第一課題として取り組むことを妨げる、逆に言いますと、むしろ新税をやるには、いままでの税の負担の非常なアンバランスなり不公正なところは一定限で修正しておきませんと、新しい税ということは国民がとても受け付けないからやるのだというようなことではなくて、第一課題がそこにあるということ、だからこれなしに新税を考えることは、これはもう将来を非常に誤るものだということを申し上げたいわけでございます。  そういうことでございますが、よろしゅうございましょうか。
  121. 増本一彦

    ○増本委員 それでは続いて中村参考人にお伺いをしたいのですが、村田参考人も含めまして、いわば財界の中枢にいらっしゃる代表のお二人から、こういう大量の国債発行のもとでは非常にクラウディングアウトの懸念を表明されましたし、あるいはまたマネーサプライが増加してインフレの懸念もそれなりにお持ちのような御意見が表明されました。このことは私は非常に重要なことだと思います。つまり財界の中心のそれぞれの方が、マネーサプライあるいはクラウディングアウト等私たちが懸念しておるのと同じ問題をこの場で直接表明されたという意味で、非常に重要な問題だというように思うのです。  そこで、特に私はお伺いしたい点は、確かに非常に構造的な不況が進行してきたわけですから、これからの脱却が直ちに今年度予算で、今年度の後半期にはすべて順調にいくなどというような、そういう性質のものではありませんし、ましてやこういう構造的な不況を脱却する具体的な手だても、実は多くの面で問題があるというように私たちは考えていますから。しかしそういう中で、単に国債だけでなくて、先ほどからもお話がありましたように地方債も大量に発行される。いわば国債を抱きかかえた予算であると同時に、地方債によって抱え込まれた地方財政計画というような、今年度そういう状態になっている。そうしますと、いわば大きな都市銀行は大企業相手ですからあれですけれども、特に地方銀行等に行きますと、国債もそれなりの一%ぐらいのベースで抱えた上にかなりな量の地方債も引き受けなければならない。それに加えて国民の金融に対する要求も、住宅ローンやあるいは中小企業等も非常に切実なものがあるわけですね。ですからそういう意味で、金融機関の規模によってますますそのきしみが非常にシャープに出てくるのじゃないかということを懸念するわけです。その点について具体的に銀行協会長さんとしてどういうような手だてをおとりになりながら、全体としてこのきしみをなくすために努力をされるか、その辺の方向と御所見を伺っておきたいというように思います。
  122. 中村俊男

    ○中村参考人 大変大きな御質問になりまして、どういうふうにお答えしていいかあれですが、いま御指摘のように、私どもの俗に言う大きな金融機関が、地方銀行その他に比べて国債関係においてきしみが少ないというような前提でお話しかと思いますが、そういうことではないので、私どもは私どもなりにやはり相当大きなシェアを持っておりまして、地方銀行さん、いまわずか何%になりますか、見ればわかりますが詳しくは申しません、しかし相当な、半分近いものを私どもはやっておるわけでございますから、きしみの点で私どもがずっと楽だとおっしゃられるのは、私非常に不本意と申し上げて、ひとつお許しを願いたいのであります。  それから、私ども大企業とおっしゃいますけれども、確かに私どもの取引先には大企業がある。しかし中小企業金融を無視しているわけでもございませんし、大企業の融資というものはそれに関連する中小企業にもずいぶん役立っておりますし、中小企業の融資でも三十数%の全体の貸し出しのシェアということになっておりますし、住宅ローン、消費者金融にも努めております。私どもなりに、取引先についてやはり同じような機会を持って融資に応ずるというたてまえをとっておりますので、そういう意味で、日本経済を支えるのにも、俗に言う大企業も支えておりますし中小企業も支えておる、それから一般の方々もそれなりの努力をもって支えておるわけで、私どもは確かにそのほかの金融機関に比べれば大企業に取引先が範疇として多いということは否定できないのでありますけれども、それがゆえになおさら、国債というものを抱える点においては、やはりきしみの点ではほかの金融機関にも劣らないと、実際経営いたしておりますと大変苦心の要るところなので、ひとつおくみ取り願いたいのでございます。
  123. 増本一彦

    ○増本委員 では、もう一つお伺いしますが、考慮すべき点の第一として、インフレの懸念を一つは表明されましたけれども、これからの景気の見通し、それにこういう国債の発行、もちろん財政支出の面でかわり金になって、タイムラグ等々もありますけれども、しかしそれにもかかわらず毎月平均すると六千億からの国債発行ということになるわけですね。それに地方債もあるし、ですから、そういうもの全部合わせますと、九千億くらいのところが毎月出てくる状況の中で、しかも景気の動きもあって、民間のいろいろな資金需要もふえてくるだろう。こういう見通しになりますと、一応マネーサプライの増加によるインフレ懸念を表明されるその裏づけとして、今後マネーサプライの前年対比の増加率が大体どのくらいにまでいくというようにお考えになっていらっしゃるのか。ちなみにことしの三月が一五・七%くらいでしたね。それがどういうぐあいにいくのか、またそれ以外にどういう裏づけなり懸念の根拠をお持ちになってこういう考慮すべき点として三点をお述べになられたのか。その辺少し具体的にお聞かせをいただきたいと思います。
  124. 中村俊男

    ○中村参考人 大学の先生と違いまして私全くの実務家でございまして、マネーサプライが今後どういうことになるかというようなことにつきましては、とてもお答えする資格が正直ございません。しかしいまのような大量の国債が出て、そしてマネーサプライがふえていく。いま一五%ということでございましたが、五十二年度は一七%ぐらいになるだろうということを私は学者の先生方から聞かされております。なるほどそうなんだろうと思います。  しかし、このマネーサプライが何%になれば、はなはだしくインフレの危険が出るのかどうかということは、私の感じから申しますと、四十六年、四十七年のころには二〇%を超えた時代がございます。しかしこれはあのときにはそういう情勢のもとで、簡単に申しますと、世界的に第一次産品の、つまり農産物の天候の不良から来る値上がり、四十八年に入りまして不幸なことに化学工場が数カ所において爆発をして、そうして品不足が出てくる、そういう物不足のところへ突如として石油ショックという大きな問題が出てきて、そして土地改革の問題も出て、そういうような経済環境にあおられてそのマネーサプライがぐうっと流れ出した、流れ出したために大変な狂乱物価というインフレが起きたわけでございます。  したがいまして、今度ももちろんM2がふえることによって私は先ほどからも潜在的な危険を感ずるということでありまして、これに経済環境が火をつけるかつけないかということも、実際問題としてインフレが起きる起きないはその影響が多いと思います。しかし、ただいまのところは設備投資もなかなか出ないし、個人消費もなかなか生活防衛で手がたいし、世界的にも需給ギャップから来る、もちろん市況商品は少し値上がりはいたしておりますけれども、そういう環境でありますと、実際問題としてこれがインフレにつながる懸念はいまのところは余りないのではないか。しかし潜在論としてそういうことは十分考えていかなければならない。何か起きたらば、それに対しては前回の経験を十分に徴して十分な対策をとっていかなければならないのじゃないか、そういうふうに考えております。
  125. 増本一彦

    ○増本委員 あと五分あるようですから、その点についてあと加藤先生と原先生に。  いま全銀会長に質問した点と同じなんですが、要するにさっき加藤先生は、これからの流動性の動向あるいは輸出による外貨の流入増ですね、それから公共料金の値上げあるいは財政支出、特に大型プロジェクトを中心にした公共事業に対する実需の効果等から見て、これがこれからの経済、特に金融面にあらわれる非常に危険な影響について言及をされましたけれども、その点についてそれぞれの先生方のひとつ御意見を伺って私の質問を終わりたいと思います。  じゃ加藤先生から。
  126. 加藤睦夫

    ○加藤参考人 私が先ほどの公述で申し上げましたことは、五十一年度の予算とかかわりまして、幾つかの点が、実はそれは私は根底ではつながっているものがあるような感じがしているわけです。つまり、一つは大量国債から来るM2の増大、ただこの場合ちょっと注意しなければならぬのは、国債といいますと、大蔵省証券のことを忘れがちになるわけですが、今年度はちょっとどういう形になっているか私もまだよく調べてないのですけれども、昨年度の例の財政危機が云々されました後の状態でいきますと、あれは額はちょっと幾らになりましたですか、とにかく兆円規模の大蔵省証券が先に発行されて、先に発行されますと、これは言うまでもなく市中消化じゃなくて、日銀のストレートの引き受けということで短期債になっておるわけで、ですから、通常国債が、長期国債が発行される前に短期国債で二兆円くらいの規模に昨年度なったと思うのですけれども、先に発行されて、それで実際上長期国債はある一面をとりますと、短期国債で増発されたM2ですね、それを長期国債で吸収する。ですから、そこだけ見ますと、国債によって過剰流動性を吸収するというような現象が昨年度はかなりはっきり出ていたと思うのです。ですから、長期国債が発行段階より前にその問題が先行して出てくるわけで、ことしの一-三月から最近までの国債による影響が短期国債とどう絡んでいるかということは、実は資料の持ち合わせがないわけで、古いことを申し上げたわけですけれども、要するにそういうやや複雑な内容を持ちながらも国債発行による流動性の増大ということが一つある。  それからもう一つは、国債発行というのは、特に建設国債とのかかわりになりますけれども、公共投資の実需的な面の動きがことしの予算の特徴なわけですから、それでそれは実は全体から見ますと、私ちょっと計算したあれですと、それでも約五千億くらい昨年度より増になる。しかもそれが一般的に増になるのじゃなくて、実は地方財政などになりますと、どちらかといいますと、小規模事業は昨年度よりかなり減ってくる。もっとも減ってくるから、したがって二千億の臨時市町村道云々というやつが起債でもってやれということで出ているわけですけれども、しかしこれは地方団体がなかなか乗らない点がありまして、借金までしてやる気持ちはないということがありますわけで、要するにかなり集中的に中央、しかも大規模事業、大規模事業もまだ実際の金はそうどんどん出ているというわけじゃなくて、むしろこれからの問題が多いのですけれども、しかしすでにやることが決まってきますと、それについてかかわって企業側のいろいろなあれが動いてきますから、実際上の予算の金額で見るよりはなかなか影響が大きいと思うのです。だから、つまり実需とそれを見通したあれが出てくるということ、もう一つは公共料金の問題なんです。公共料金が実は民間のいわゆる新価格体系と称するものでありますけれども、これはどこまでそういう意味での価格体系になるかどうかということにつきましては、問題があろうかと思うのですけれども、私らの考えでいきますと、ちょうど税でもって特別措置その他がある、これが価格のコストの計算の上にも響いてきて、そういうものに押し上げられて卸売価格の上昇ということがありますので、それは財政の動きと決して無縁ではないのじゃないかと思うのです。  だから簡単に言いましても大体その三点ぐらい生み出すような五十一年度予算というものがあるということの中で、国債発行というものを考える必要があるということで、実はどういう条件の中でインフレということが顕在してくるかということについては、なかなかそう簡単に言えない点があるわけですけれども、一般的に言って警戒すべき面を備えているのが五十一年度予算じゃないか。だから、その中での七兆円国債の発行ということについては、それらがそういう中で発行されてひどいことにならぬのだという、もっと責任ある予算ないし特例法案を通じましての説明がなされないといかぬのではないかということを申し上げたわけです。
  127. 原司郎

    ○原参考人 ただいま加藤先生のお話にちょっとつけ加えまして、私なりの、先ほどもちょっと申し述べたことでありますけれども、もう一度簡単に申し述べさしていただきます。  先ほども述べましたように、国債がこれだけ大量に発行されるわけですから、当然M2の増加というのはあるわけで、それが財政部門の支出を通じてそれと最も密接に関連した企業の手元流動性を高めるというような効果を持ってくるだろうということが考えられます。その場合に、景気がある程度回復してきまして、民間の資金需要が出てきたら国債を減額するとか、あるいはもしそういうふうな資金需要が民間から出てこなければ国債をそのまま出していって、その通貨の増加量をある程度のスピードで抑えていくということであれば問題はないのかと思いますけれども、なかなかそう簡単に調整はうまくいかないだろう。  そのいかない一つの大きな理由として、私は、先ほどから述べております低金利政策、国債発行のための条件づくりとしての低金利政策の持続ということを挙げたわけでありまして、そうなると金融緩和政策というものを続けなければならない、その局面における金融機関の行動というものについて、やはり私どもは四十七年ごろの事情を思い出さざるを得ないわけでありまして、そういった点について大きな危惧を持っておるということでございます。果たしてマネーサプライがどの程度の増加率になるのかというようなことについては、そういうような銀行行動とも関連してくるわけでありますし、どうも余りそういう予想を立てるということに興味がないものですから、その点はお許しいただきたいと思います。
  128. 増本一彦

    ○増本委員 終わります。
  129. 田中六助

    ○田中委員長 広沢直樹君。
  130. 広沢直樹

    ○広沢委員 各参考人には長時間大変御苦労さまでございます。  私は二十五分間という限られた時間でありますので、最初に皆さん方からいろいろ御意見をお承りしておりますので、二、三の点についてお尋ねをしたいと思います。  最初に、中村参考人にお伺いしたいと思うわけでありますが、御承知のように四十年以降今年まで、ずっと国債が発行されてくるようになっておりますが、特に今年は御承知のように大量の赤字国債を発行しなければならぬ。そして、その残高も物すごくふえてきておるということは御承知のとおりであります。したがいまして、先ほどのクラウディングアウトの問題がありますけれども、やはりいままでは政府の説明も、あるいは日銀の説明も、発行されたのをシ団が引き受け、それを一年後の買いオペの条件ができた段階で日銀が買いオペをしていく。実態を見ますと、四十九年度まではそのシ団で受けたというか、市中金融機関で引き受けた大半が日銀の買いオペの対象として実際には買いオペになっている、こういう実態ですね。  そういう形がずっと続いていきますが、今後はこれはちょっとむずかしい。日銀の買いオペの対象に一年後はなるとしても、いまのような八割、九割が日銀に寄せられるという結果になるかどうか、問題があろうかと思うのです。したがって、ほとんどというか、大部分が市中金融機関に滞留するということになる、持たなければならない。当然のことだと思うのですけれどもね。そうなりますと、インフレとの問題も先ほどからいろいろ御意見がございましたけれども、これまでは成長通貨の範囲内、いわゆる通貨の調節の手段でやってきたから心配はないのだという説明で来ているわけです。しかし、これからはそうはいかない。先ほども中村参考人は将来そういう懸念がある、いますぐどうこうということじゃない、私もそうだと思いますけれども、国債が借りかえ、借りかえでだんだん残高が大きくなっていくということになりますと、必然的に通貨を膨張させていく要因をつくっていることは間違いありません。  そこで、一応これまでは発行規模も少なかった。また、市中消化として市中銀行がほとんどそれを引き受けてもそれほど問題はなかった。しかし、ここで急にこういうふうに大量の国債を出さなければならないし、今後も続くということは、中期展望を見てもそういう見通しが立っているわけですね。そうなりますと、先ほど申し上げたように、企業金融を圧迫するかっこうにはなってくる。当座はならないにしても、残高がどんどんふえ、滞留がふえていきますと、これは常識的に考えてもそのシェアをはみ出していくことになりますから、なってくるのではなかろうか。その点をどういうふうに考えておられるのか。ことし急に、これが発行されたからといって、いまの限度では金融情勢から考えて圧迫はしないというふうな先ほどからのお話のようでありますけれども、これは景気回復を目指してあらゆる手段をとっているし、またそういう時期が必ず、今年後半かには来るわけでありますから、それから、国債もそれではどんどん小さくなるかと言えば、そうじゃなくて、いまの中期展望から見ますと、またこれも大きくなるという、いつかは先ほど心配されていた状態が出てこないとも限らない。そういう関係で、やはり企業金融をある程度圧迫するのじゃないかという懸念は、どうしてもぬぐい去れないわけです。それにどう対応されようとしているのか。
  131. 中村俊男

    ○中村参考人 御指摘の点、まことにごもっともでございます。私どももその点は十分懸念いたしておりまして、そういう状態になったとき一体どうすればいいのか、ならないようにせねばならぬというふうに考える以外にないのでありますが、どうしてもある程度国債を出さなければならないと申しますれば、先ほど申しましたように、私ども信用創造機関である金融機関が持たないでいいように、やはり個人の消化を努める、機関投資家の消化を努める、資金運用部でもっと持っていただく、それから、原先生もおっしゃいますように、やはりプライスメカニズムで歯どめをかけていく、それから財政といえども支出について十分洗い直していただく、いろいろな手を講じて、それは何とか処置していかねばならない問題でございます。いまのような状態では、これをこのままでいまのようなやり方を続けていけば、これはやりおおせないという懸念が明らかに出てまいりますので、いま申しまたような手、支出を抑える、その他インフレを起こさない消化方法を考える。それは金利の問題もございましょう。もっと魅力のある金利条件にしなければということは、これは財政の負担にもなりますことゆえ、またそれはその点でも歯どめがかかるのではないかというようなことを考える以外に、ちょっとお答えのしようがございません。ただいまの状態でいけば大変なことになってしまうことは、これは事実上パンクしてしまう、できないことになってしまうという懸念がございます。
  132. 広沢直樹

    ○広沢委員 確かに将来に対する心配は共通でございます。御承知のように、大蔵省がせんだって出しました中期財政展望、これも五十五年には国債残高が五十兆ぐらいになる。その前に財政審の試案みたいな考え方がちょっと出ておりましたが、これは場合によっては六十兆になるのではないか。非常に残高がふえていく、こういうことになりますね。そうなりますと、やはりこの中には景気が非常によくなる場合あるいは悪くなる場合という循環があると思いますけれども、少なくともそういう場合にはいま懸念したことが起こり得るのじゃないか。やはりいまの財政洗い直しとかそういうことは当然のことだと思いますけれども、いまの中期展望を見ますと、来年あるいは再来年も赤字国債に頼らなければならないというような状況にあるという一応の見通しになっているわけですね。それで決して国債のいまの一般会計に占める依存度というものが小さくなるということは、ここ当分考えられないという状況が出ておるわけです。そうしますといま言ったような問題は、当然一年たってほとんど日銀が引き受ける、これは後に問題がありますけれども、そういうことじゃなくて、いまの市中機関にこれからずっと滞留されていくんだということは当然のことのように考えられるわけですが、そうなりますとやはりこういう状況が出てくる。  そこで、いまおっしゃっておられたように個人消化、あるいはそういう市場の自主性に任して動くような体制にしなければならぬ、こういうことなんです。ところが、昨年、前全銀協会長がいらっしゃったときに、魅力ある国債化ということを端的にお伺いすると、いまの国債は魅力がないんだと率直に答えていらした。そこで、この国債発行の次元から個人消化の問題とかあるいは公社債市場の育成の問題とかということは、ここ十年来ずっと言われてきたことなんです。ところが、今日こういう事態を迎えて、同じようにそのことを言わなければならない。現実には、去年の暮れのあの大量の赤字国債の発行、そしてまた本年当初の発行にしましても、いま申し上げているようになかなか縮めることはできないわけですから、そこにやはりいま言うような、個人消化を図る、図るとは言いながら、旧来のパターン、小規模で発行してきたときのままのパターンでいま引き受けをしなければならない、処理しなければならない、こういうことになっておるわけですね。急がれることはわかるのですが、そこでこれは村田参考人の分野にもかかわりますので一言お伺いしておきたいのですが、前回のときにも村田参考人は、国民の財産形式の中心的対象にまで高めていかなければならぬ、こういうふうにおっしゃいましたし、公社債市場の中核的役割り、こういうふうなことをおっしゃっていらっしゃる。その目標はそのとおりわかるわけでありますが、具体的に、先ほども参考意見の中で述べておられましたが、特にここのところをこうしてほしいという、当然これから個人消化、そういった面の分野は直接担当していらっしゃる村田参考人の分野になろうと思いますので、何か御意見があったらそこでひとつ聞かしていただきたいということ。  それから、時間の関係もありますので重ねて中村参考人にお伺いしておきたいのは、先ほども参考人の御意見の中にありましたように、国債発行はまず銀行が引き受けて、国債かわり金として国に吸い上げ、そして財政支出として出す。それがまた回って預金として戻ってくるというような形で、いまの引き受けのあり方、これは中立的な働きである、こういうような御意見だったのですが、全体としてはそういうことは言えると思うのですが、それぞれの銀行の業態的に見ますと、やはり資金が偏在するんじゃないか。まあ出ていったとおり、そのとおりもとのさやにおさまるとは限っておりませんから、そういうような資金偏在の問題をどうするか。特に最近は住宅ローンだとかあるいは大衆金融、消費者ローンだとかそういった要望も強いわけですね。そうなりますと、これは理論では、先ほど言ったように中立的な働きをして余り影響ないみたいに言いますが、実務的に考えるとやはりそこにいろいろな問題が出てまいります。現に庶民がそういうことでお金を借りに行っても、いま資金が詰まっておるとかなんとかいうことで断わられる例も多いようですが、こういう資金偏在の問題はどう考えて対応されるか、そして願わくはいま申し上げた、せっかくこれから育成しようとしている住宅ローンだとか大衆金融あるいは中小企業金融、こういったものに圧迫のないような具体的な対策を講じてほしい、その点についてどう考えているか、簡単にお答えいただきたいと思います。
  133. 村田宗忠

    ○村田参考人 先生の御質問は、個人消化をふやしていくためにどういうふうなことを希望するか、どういうふうなことが考えられるかという御質問だったと思います。これはあり過ぎまして、一々並べたら大変なことになりますけれども、特にしぼって申し上げますならば、冒頭の陳述でも申し上げましたように、一つは市場実勢というものを――大分改善されてまいっておりますけれども、なお一歩というところもございますし、市場実勢というものをなるべく発行条件の方にフィードバックしていくという勇気のある御措置を当局の方にお考えいただかなければならぬだろうということが一つでございます。  それからもう一つは、先ほども申し上げましたように、これだけの大量発行を個人消化してまいるということになりますと、商品形態が余りに過去の一本きりで事を済ますというわけにはなかなかまいらない、やはり新しい投資層というものを広げていくような商品性の多様化ということが必要になるし、そしてまた国債というものに対する魅力を現実につけていくということが必要であろうかと思います。現在多少個人消化が伸びてまいってきておりますのも、手前みそで申してはまことに申しわけないのですけれども、われわれの非常な努力もございますが、それは投資家の側においても同様であろうと存じますけれども、これだけの大量の国債が発行されるのであり、個人消化が進められていくのであるから、それには発行当局におかれましても今後いろいろな魅力というもの、いろいろな優遇策なり何なりつけ加えられていくのであろう、逐次実施されていくであろうという期待感があったと私は思いますし、われわれもその期待と信頼に基づいて進めてまいっているということでございますので、こういったふうなものを逐次日の目を見せてやっていただきたい、このように存じます。つづめて申しますればそんなふうなことかと存じます。
  134. 中村俊男

    ○中村参考人 非常に大きな問題でございますから、要点だけで、説明不足かもしれませんが、お答えさしていただきます。  私どものいわゆる資金偏在の問題、これは金融界といたしまして相当大きな問題でございますが、一口に申しますと、はしょって申しますと、戦前のように日本の経済が必ずしも民間主導型でない経済の時代には、民間における資金の偏在という問題は、そう極端に出てまいらなかったのであります。というのは、私どもはしょっちゅう外部負債を抱えておる、それ以外の金融機関は外部負債を抱えておらないという問題は戦前はなかったのであります。私どもも、俗に言う外部負債、日銀からの借り入れ、コールマネーを取るというようなことは必ずしも健全経営でないんだということを経営の基本にしておりましたし、またそれもできたわけであります。ところが戦後、こういうような情勢で経済成長を図らなければならない、資金不足のもとに図らなければならない。しかも、設備投資中心の民間経済の活動によって日本の経済が動き出してまいりますと、民間の金融機関の中にどうしても、手元に資金が余る銀行があれば必ず資金が足りない銀行が出てくるのであります。これは避けられないのであります。大きな貿易の収支の黒字でも出て、民間にどんどんお金が入ってくればそういうことはなくなりますけれども、これはどうしても避けられない状態であります。これは簡単に申せば、日本に金融機関が一つしがなかったということを御想像になりますと、一緒になってうまくなってしまう、つまり差し引きなくなるわけであります。たくさんの金融機関がそれぞれの取引先を持ち、その取引先が経済活動をしていることになると、どうしても私どもが俗に言うマネーポジション、ほかにはローンポジションという金融機関が出てくるのであります。これが偏在であります。ですから、私どもは今後多量の国債を、シェアで五〇%近いものを引き受けていくということになりますと、御指摘のとおり、その資金偏在の問題はなかなか解決するどころではないというような状態もあり得るわけであります。どうするんだとおっしゃいますと、まことに頭の痛い問題でありますが、これはやはり金融御当局のいろいろな指導、政策のやり方にもよりますが、私どもといたしましては、ローンポジションの銀行からマネーを取って――そうしてこれは、それじゃ偏在の解決にならないじゃないかとおっしゃいましょうけれども、しかし、ローンポジションの金融機関からマネーを取って、そしてその金利というものを金融当局の指導によって、これは余り高くいたしますとローンポジションの金融機関は楽な資金運用ができて貸し出しに回さぬという妙なことも起きかねない。私は決して非難しているわけじゃございませんが、そういうことのないような金融御当局のいろいろな御指導もあるかと思いますが、そういうようなことで私どもは何とかこれを乗り切っていく、これ以外にないと思うのでございます。  はなはだ要点だけでございますが……。
  135. 広沢直樹

    ○広沢委員 まだいろいろお伺いしたいんですが、時間の関係でまた次回に機会をつくってお伺いしたいと思います。  最後に、坂入参考人に二、三点お伺いしたいと思いますが、坂入参考人は、参考意見の中で政府のこれまでの財政政策のあり方を批判されておられました。私も、これまでの政府のとられた財政政策、これに今日的な、結果から見まして大きな欠陥があったということを言わざるを得ないと思います。  そこで、国債発行が今日これだけ大きくなってきておりますが、景気調整的な機能を財政が持っている。当然な話ですが、それを裏づけしているのがいわゆる国債、国債を抱いた財政になっているわけですから。ところが、その国債も建設国債とそれから赤字国債、一応借金には違いありませんが、縦分けされているわけです。そこで、これまでの御意見の中にもありましたように、建設国債が目いっぱい発行されて、実際に景気調整的な機能を果たす役割りを国債が引き受けているとするならば、赤字国債が今日はそういうような状況の役割りになってきているのではないか。ところが、赤字国債は御承知のように財政法でも禁止された、できない形になっていて、それは特例中の特例といいますか、そういう形なのが今日はもうそうじゃない。景気調整の機能の中に入ってしまっているのじゃないか、この点についてどういうふうにお考えになっておられるのか。  それからもう一つは、赤字国債発行のときに事前事後の対策を講じていけば、その上で歳入欠陥がある場合はやむを得ないというような御意見のように聞き取れたわけでありますけれども、これは結果論から言うと、財政の欠陥というのは何かの処置はしなければならぬということは当然のことなんですね。しかし、それ以前に具体的にやらなければいけないことということを御指摘なさっておったのですが、より具体的にひとつ御説明をいただきたいと思います。
  136. 坂入長太郎

    ○坂入参考人 ただいまの御質問の第一点は、現在の国債を抱いている財政が景気調整的な機能を持っているというような御質問と思います。  私は、先ほど申し上げましたように、国債を発行することによって景気調整的な機能を満たしていくということは認める立場でございます。ということは、たとえば四十年の国債発行を見てまいりましても、それ以前には日本では、景気の変動がございましたけれども国債発行に依存するような政策をとっておりません。たまたま三十九年から四十年における異常な資本主義的な恐慌と言われるような意味合いの不況が来まして税収が極端に落ちたときに初めて国債が、赤字国債あるいはそれ以後建設国債が発行されましたときに、それをてことして、落ち込んでおりますところの不況を上昇させる機能を発揮した。この意味においては公債の景気調整機能というのは認めるわけでございます。  しかしながら、四十一年以降におきますところの日本の国債政策を見てまいりますと、たとえば社会資本の不足というような問題、いろいろなそういう問題と絡み合いまして建設国債を発行する、そうしてこの建設国債が、その後毎年毎年、若干の変動によって依存率が低くなりましたけれども、財政の中に一定の建設国債を組み入れて、そうして逆に景気を押し上げていく、いわゆる高度成長政策的な仕組みをとっておったわけでございます。特に最近の場合におきましては、御指摘のように公共事業費を拡大するという形において建設国債を目分量にとるということによって、この面におけるところの調整機能というものは、すでに機能的には出てこないということでございます。したがって、今回のような不況におきまして、やむを得ず赤字国債によって景気を刺激しようとするわけでありますが、これは本来的な意味合いにおけるところの建設公債の持つ景気調整機能とは違いまして、一般的な経費の支出、いわゆる経常的な支出に充てるものであって、これがなければ当然財貨サービスの供給ができない、こういうような意味合いにおいては、景気調整的な役割りとしては、建設公債とは若干性格が異なると思うわけでございます。  要するに、いまのような状態を続けていきますと、せっかくフィスカルポリシーの持つケインズ的ないわゆる景気調整機能というものが失われ、そうして長期停滞において公債発行の持続というハンセン的ないわゆる財政で経済を指導していくような状態、このような状態を続けていきますと、いずれにしても、先ほどからの論議のように、このことによって財政危機というようなものがより深化をされてくる、いわゆる景気調整的な機能というものが形骸化されていく、こういうような感じを持つわけでございます。  それから、第二点の問題といたしまして、赤字国債を発行する場合において、私が先ほど安易な赤字国債を発行するのではなくして、事前事後の措置を十分考えた上で発行すべきであるということを申し上げたわけでございます。  事前的な措置といたしましては、国家の財政は、個人の家計の財政あるいは企業の財政と違うわけでございますけれども、しかし、そこには一つの共通した原則というものがあるわけでございまして、家計におきましても企業におきましても、お金の支出という問題につきましては、それぞれその支出を通じて最大の満足を得るようなお金の使い方をしていく、いわゆる支出の効率性というものを基準にして個人、家計及び企業は日常の消費活動をしていると思います。国家の場合におきまして、たとえば今回の異常な歳入欠陥におきましての問題点として、一部の人たちがおっしゃっておりますように、国家の場合においてはこのような異常な歳入不足の場合においては、国家はたとえむだなお金であっても削るべきではないのだ、これはいわゆるケインズもそういうことを言っておりますけれども、削るべきではないのだということで、かえって削らないでふやす方がよろしいということを言っておるわけであります。しかしそうでなくして、国家の場合におきましても国民の税金を消費をしたりあるいは国民からお金を借りて消費をしていくわけでございまして、公債の場合は世代間に負担が継続するわけでございます。そこで、このような場合においても国家としてもやはりむだなお金をある程度節約をしていく、その場合において支出の基準とする目安を、支出の効率性の立場からいわゆる基準を設けて財政の支出構造というものを洗っていかなければいけないということを申し上げているわけでございます。  それと同時に、たとえば不公正税制の問題がございます。現在不公正税制の問題は個人の消費における不公正の問題及び企業間における不公正の問題があるわけでございまして、これをおしなべて不公正税制というわけでございますが、結局公債発行によって、公債のお金を将来返還をする場合においては、国は打ち出の小づちを持つわけではございませんから、国民の所得余剰の中から償還財源というものを調達していかなければならないわけでございます。そういうような意味合いを含めまして不公正の税制を直して適正な税制、公正な税制にするような努力をすべきであるという、これは事前の問題でございます。  事後の問題といたしましては、たとえば先ほど問題になりましたように、長期国債のほかに中期あるいは短期の国債を発行するような市場を整備をしていくということ、言いかえれば公社債市場が現在機能をしておりませんので、この機能をするようにするためには金利の改定をするといいますか、金利の自由化を公社債市場からしていく、こういうような措置をとらなければいけないわけでございます。特に公社債市場の金利の弾力性ということになりますと、その後の第二段としましては少なくとも金融の全面的な自由化ということになるわけでございまして、この場合におきましては現在の金融機構、金融構造というものとは別のいわゆる金融機構、金融構造というものが生まれてくるわけでございますので、このようないわゆる将来的な展望に立つところの事後におけるいわゆる市場の整備というものを不十分にして、ただ単に公債を発行して、そして金融機関に御用金的な割り当て制度をとるというようなことは問題を一時延ばすだけであって根本的な解決にはならない、こういうようなことを申し上げたわけでございます。  お答えになっているかどうかわかりませんが、御了承ください。
  137. 広沢直樹

    ○広沢委員 ありがとうございました。  時間ですので終わります。
  138. 田中六助

    ○田中委員長 竹本孫一君。
  139. 竹本孫一

    ○竹本委員 参考人には本当に長時間御苦労さまでございます。  きょうは参考人の各位から明快な御答弁をいろいろいただいた関係で非常に参考になりまして、お礼を申し上げたいと思います。  私は、重複を避けまして、二、三の点を御質問いたします。  中村参考人にまずお伺いいたしたいのですが、一つは民主主義社会というものは個人のイニシアを尊重する、自由を尊重する、そこに非常に特色があるわけでございますけれども、同時にそれは個人の責任というものをやはり厳しく追及しなければならぬ。私はだから民主主義社会には民主主義らしき新しいモラル、新しい倫理というものがなければならぬ、当然のことでございますけれども、そう思います。そういう立場で最近の政治等を考えてみますと、どうも責任を自覚しているという姿勢が足らないという点を私は非常に遺憾に思うのです。大体において日本の政治、言葉でごまかすことが多いのですね。  そういう意味でまず第一にお伺いしたいことは、たとえばいまの二九・九%国債に依存する。経済大国と言ってあれほどいばっておった日本が三分の一は赤字、要するに公債、借金によらなければならぬ。借金大国に転落をしたわけですね、一方から言えば、少なくとも財政に関する限り。けれども、その財政のあり方についても、その経済についてもあるいは最近における政治についても反省がない、あるいは責任感に立った厳しい反省や告白はない、それを私は非常に問題にするのですね。資本主義の問題もいろいろ議論が出るし、先ほど来からも議論がありましたけれども、石油ショックに責任を転嫁して、戦後の最近における経済混乱、二年続いた不景気というものもだれの責任か余りわからぬようになってしまっておる。たとえば三木内閣も、最初は三木さんが案外正直に、政府としては経済運営の責任を痛感するというようなことを施政方針演説でも述べようとされたことがあるのですね。ところがいつの間にか、だれか悪知恵をつけたものだから、そんなことを言ったら国会大変だということでごまかしてしまって、石油ショックに責任を転嫁した、こういうことになっておるのです。私は、天皇陛下がアメリカに行ってお使いになった言葉でディプロアという言葉がありますが、そしてこれがアメリカ人に非常に感動を与えたということも聞いておるわけですけれども、やはり政治にはあるいは経済運営の責任者にはそのディプロアがなければだめだと思うのですね。  ところが、いま申しましたように、最近の経済運営あるいは財政運営についても一体だれがどこまでそういう責任のある姿勢を示したかというと、ほとんどない。そういう意味で私は、同じような石油ショックを受けあるいは同じような経済的な体制の中にありながらも、日本は二九・九%だというのだけれども、それではアメリカはどうかというと、今度は一〇・九ぐらいでしょう、イギリスだって一六・幾らだ。そういうことになると、日本はもう飛躍的に公債依存率が大きい。とにかく三分の一が赤字ということは、私に言わせますと財政運営から言えば大失敗である、重大な責任を感ずべきであるというけれども、一向感じた様子は見えない。それを私がいま問題にしておるわけですが、しかし同様のことは、日本の政治をやっておる者は政治家として、また経済運営に当たっておられる方々はその経済運営のリーダーとして責任があると思うのですね。そういう点について特に経済界に大きなインフルエンスを持っておられる銀行としてはどういう点を反省しておられるのかおられないのか、その辺について率直なお考えをまず伺いたいと思います。
  140. 中村俊男

    ○中村参考人 まことに意外な御質問で当惑いたしております。ただいま竹本先生から、わが国は経済大国になったのだ、それにもかかわらずえらい借金国になるじゃないか、その点のモラルはどうなんだというようなお話がございました。私はかねがね、経済大国経済大国ということで日本はいい気になっておったら大変なんだぞ、私の考えによりますと日本は経済大国ではないのだ、日本は高度の重化学工業国ではあるけれども、決して経済大国ではないのだ。それじゃ経済大国というのはどういうんだ。ほどほどの領土、国の広さを持ち、したがって、その中にほどほどの資源を持ち、しかもそれを支えるだけの人口を持っている。この三つを備えている国が経済大国でありまして、そういう意味では、皆さん、世界にすでに経済大国と定義できる国はあるわけであります。また潜在的にも経済大国となる国はあるわけであります。そういう意味で、わが国は御承知のように国は狭いし資源はないし、あるのは労働力というか、国民の数だけであります。だから、日本が経済大国だと思っていい気になっておる、そのためにモラルが落ちるということは、これは大変なことなんでありまして、日本は資源がない、国は狭い、あるのは勤勉な労働力であります。これを生かしていく以外に日本のいわゆる経済のモラルを支えるところはないのでありまして、そういう意味で、経済大国ということで酔っておっては大変なんだ。現に石油ショックによって一挙に四倍の値上げをされた。これはわが国がこうむるべき――わが国だけが被害をこうむっておるわけではありませんけれども、しかしこれに対してどうにも処置ができない。ひととき前であれば、時勢が違っておれば、あるいは戦争問題も起きたぐらいな問題でありまするが、この問題は結局石油ショックでこうなったというけれども、石油の問題は、何倍にされようがどうしてもわが国はこれを使っていかなければならないのならば、極端なことを言えば、三度のものを二度に減してもこれに耐えていかなければならないのであります。この問題は政府が悪いんでもない、企業が悪いんでもない、日本国民が悪いんでも何でもないのでありまして、これは石油を使わないのならいいが、使うのならば年に二百億ドルの外貨というものを払えるだけの、つまりわが国は重化学工業国でありますからその特色を生かして、そうしていかなければならない。輸入しないで済むのは勤勉なる労働力でありますからして、この労働力の効果を上げて、そしてわが国は生きていかざるを得ないのであります。それは石油一つをとった例でありまするが、私は、財界モラルとしてはやはり日本には勤勉なる労働力に頼る以外にないのだよということを十分自覚して、その点にモラルの基礎を置くべきではないかと思います。  まことに妙なことを申しましたけれども、ひとつ意のあるところをおくみ取り願います。
  141. 竹本孫一

    ○竹本委員 妙なことではないのですね。きわめて正しい常識的な御答弁だと思うのです。ところが政治の中にあるいはいろいろの姿勢の中に生かされていない。ただいま、第一に経済大国ではないという御発言がありました。私もそう思います。  それから石油ショックの問題も、これを受けとめる受けとめ方がぼくはなってない、こう思うのですね。先ほど中村参考人は、たしかこのままでは財政にしても何にしてもやり切れないのではないかという心配を、やりおおせないという言葉で表現をされましたけれども、私もやりおおせないと思うのです。ということは、産業構造にしてもあるいは行政機構にしても、いま非常に強く指摘されました労働の問題も、私は、労働の生産性の問題にしてもあるいは労働力の再配置の問題にしても、こういう情勢の中では従来のままでは許されない、抜本的な再検討が要ると思うのですね。そういう意味においてそういうことを指摘しないのが間違っておるということを私は言ったわけであります。  少し唐突であったかもしれませんけれども、そういう意味で、というのはすべてが物事を本質的に見ないところに問題があるということを言うためでありますが、たとえば財政特例法でも、これも財政の一年なら一年だけ特例というのならまだわかりますよ。しかしこれから何年続くか、後でちょっと申しますけれども、わけがわからない。特例措置だと言うけれども、一体赤字を一年か二年で解決できるかというと、全然見通しはありませんでしょう。しかも毎年一年ずつの特別の法律をつくって財政法の例外措置を講じているわけですね。それが何年間も続かないように努力しますという決意の表明と言えば、それはそれなりに一つの意味がありますけれども、実際は一年で解決しない。実際は例外的なものであるかあるいは恒常的なものであるか、それが問題なんですよ。そういう問題についても、財政特例法を今年限りでお願いするというような形でこの法案が出されている。そういう受けとめ方が間違っておるじゃないかということを私は言うんです。そういう意味で、もっと根本的にあるいは本質的に問題を掘り下げなければならぬという点を私は指摘している、こういうことでございますから御理解をいただきたい。  次に、第二の問題はM2の問題についてお話がありました。きょうはクラウディングアウトの問題その他あるいはインフレの問題については、先ほど来各参考人の皆さんから相当明快にお話がありましたので、私は繰り返しません。ただ、第二に私が伺いたいことは、M2の問題について、中村参考人は、日銀は何か一つの目標を持っておられるはずだ、当然そうだと思うんだがというようなお話がありました。それで参考人にお伺いしたいんですけれども、先ほども御指摘がありましたように、アメリカではバーンズさんがM1については今度は七%ですか、2については一〇%ということで、こういうふうにやるんだと先日発表いたしましたね。そこで私が言いたいことは、問題を根本的に考えるということの第一の問題は、いままでの日本の経済、あるいはもっと言うなら日本の資本主義経済というものを、どういうふうに一つの計画的なあるいは全体的な整合性のあるような姿勢にあるいは構造に切りかえていくかという問題だと思うのです。そこで、日本の企業というものは、もう各位御存じのように、大体税務署がいま問題にしているのは百三十万ぐらいあるんですね。そのほかに法人になっていない中小企業は四百万ありますから、常に五百万の経営主体が企業経営の自由という名において勝手に走っておる。その意味で、あるところには重複投資もあるし、あるときには過剰生産もあるし、あるときには物不足も出てくる。一種の無政府状態みたような形が出てきておる、こう思うのです。そういう意味で、これからの日本の経済の姿勢を変えるということの大きなねらいは、権力的拘束経済に持っていくこともなくて、個人の自由と意思を生かしながら、あるいは企業の自由も尊重しながら全体としては一つの方向を持つ、整合性を持つ、そういう社会にどうして切りかえていくかという問題なんですね。そういう意味から言えば、金融の果たしている役割りというものは想像以上に大きい、また日銀の果たしている機能と役割りは特に大きい。特に、そういう意味から申しますと、通貨数量説がいいか悪いか、これこそ学者の議論をまたなければなりませんけれども、全体としてみれば、通貨の供給量というものは、常に物価の動きあるいは経済全体の動きに非常に重大な、密接な関連を持っておる。だから、日本の今日の経済を何とか一つの方向づけをしよう、計画性を持たせようというならば、やはり金融、特に通貨の供給力にも一つの目標、ガイドラインを持つのが当然だと思うのです。そういう意味から言えば、私は、バーンズではないが、やはりアメリカもやっているように、ことしの経済情勢はこういうふうに抑えていきたい、物価を上げずインフレをやらないためにはこの程度の通貨供給にしたいんだというガイドラインぐらいは当然持つべきだと思うんですね。現にアメリカは持っている。日本では、一部にはそんなことはできないんだという議論もお役所の中にもある。学者の中にもある。実際家の中には特に多いんだが、私は、アメリカがやっておるし、たまたまいま中村参考人は、日銀は表に出さぬけれども、公表しないけれども持っておるんではないかと言われたからお伺いするわけですけれども、私は持つのが当然であるし、できればそれは発表して、日本経済には一つの方向性というものを与えるべきである、こう思いますが改めてお伺いいたしたい。
  142. 中村俊男

    ○中村参考人 こういう自由主義経済のもとに各企業、各事業者が自由に独自の発想を持って経済活動を営んでいくということ、それが一番効率的であり、ひいては国家経済のためになるんだ、まことにさようでございます。私ももちろん、もうそういうことについては真っ先に立って、というのも語弊がありますが、やはりそれが一番経済効率を上げるものだと思いまするが、全体的の問題としては竹本先生御指摘のとおりであります。いかなる経済の繁栄を願うにいたしましても、インフレという問題は絶対に起こしてはいけない。私は国家というものは余り干渉すべきでないという考えを持っております。余り国家が世話をやき出す、干渉し出すと切りがなくなってしまってにっちもさっちもいかなくなるという考えを持っております。まことに抽象的なことを申して恐縮でありますが、しかし国家として絶対に起こさせてはいけない問題の一つがインフレ問題でございます。インフレを起こさせないということは、国が防衛力を持ち、警察力を持って社会秩序を保つ、そういうことに匹敵すべき――やはり経済秩序を保つということの意味においてインフレは絶対起こさせないというのは国家が絶対にやるべきことでございます。  それに関連いたしまして、やはり通貨の問題が起きてくるわけでありますから、私は通貨御当局はそういうことについて十分お考えをお持ちであるべきだと思っております。しかし、具体的にM2が一体どういうことがいいのか、それを公表してやるべきだという先生の御意見、ごもっともな面もございまするけれども、わが国のインフレの歴史、終戦後あのひどい物資不足によるインフレをドッジ博士が見えて急に抑え込んだわけであります。それ以来もちろんこれだけの経済成長をしておりまするから物価が上がってまいりましたけれども、先刻のいわゆる狂乱物価のインフレというものはもう二度と起こさせるべきではない。しかしそのときのM2が二六とか七とかいっております。しかし、まさかそれまでに当局もM2を考えてはおいでにならないと思います。これは、私はとても実務家として金融政策全般のことについてとやかく申し上げる知識を持っておりませんが、これもやはり試行錯誤的な長い経験を積んだ上でM2の数字も実際問題として金融政策を担当される方はだんだん編み出していかれて、あるいは自信を持って発表されるようなこともできるのかもしれませんが、私はその辺のところはよくわかりません。
  143. 竹本孫一

    ○竹本委員 おわかりいただいておると思いますけれども、私どもは全部官僚が干渉してやれとかいうようなことは言っておりませんし考えておりません。しかし、個人のインセンティブを大いに動かし、生かしながら同時に全体としての総合性と方向性は持たせるべきだという立場なんですね。かつてイギリスのロイド・ジョージがパンフレットを書きまして、オーガナイズド・プロスペリティという本を書いたことがある。組織化された繁栄。ただやたら走って、一遍ちょっと繁栄したり経済大国になってみたりするけれども、後はまたどか貧でどうにもならないということでなくて、やはり計画化され、組織化された繁栄ということでなければならぬと思うのですね。そういう意味から言いますと、これは中村参考人に全部責任があるというわけではありませんが、この日本の狂乱物価のときなんかは、いまおっしゃったように日本銀行券が二七・何%ふえたでしょう。私はあのときに実はこの予算委員会で何回も日銀総裁にも警告をしている。大体日本では一八%ぐらいが、これもいまの試行錯誤的な感覚ですけれども、科学的にどういう根拠があるかむずかしいのだけれども、まあ一八%前後が精いっぱいだ、それを超えた通貨の供給は日本にはインフレを来すといって私はここで何度も指摘をしております。ところがそれが二〇%を超す、さらに二五%から二七%を超してああいう形になって、今度は逆に金融引き締めというので七%か八%まで落として、最近十何%というところまで返ってきた。M2についても同じで、いまは一五・七とかなんとかということですけれども、これが一七がいいのか幾らがいいか、これは議論がありますけれども、一時は二八%まで行ったことも事実なんですね。そういう無計画にがむしゃらに走るというところに、自由の創意を生かすということのプラスと欠点とがあると思うのです。それをどこかでチェックしなければならぬということになれば、やはり金融面、特に通貨の供給量の面でチェックするのがきわめて有効な政策である、私はかように思うから、この計画化の問題の一つの指標にしてこれを取り上げる、こういうことを申し上げておる。  そこで、時間がなくなりますからあれですけれども、もう一ついまの問題に関連して、公債の償還計画というものがきょうは余り議論にならなかったように思うのですけれども、償還計画が大事だと思うのです。  まず第一に公債が幾らまで出せるか。先ほども申しましたように、一年の例外措置として財政特例法で公債を出すことにするんだけれども、実際は何年間公債を出さなければならぬかということは大変な問題です。大蔵省の試算によれば五十五年に五十一兆円になるとかなんとかいうことを言っていますけれども、あれなんか科学的に検討してみれば穴だらけですね。第一、経済の成長率をどういうふうに見るか、次には税の収入が二四・三%も五十二年、五十三年とふえるというのだけれども、どこからそんな根拠が出てくるのか。もちろんあれは試算ですからそれでいいとして、しかし実際はそんなに税収が一遍にふえるということは、増税をやるにしても後の景気に影響もあるでしょうからそう簡単に言えない。でありますから結論として、五十一兆円ぐらいまで行くんだけれども後は公債に依存しない正常な体制に返りたいと言っているんだけれども、それは願望であり、お念仏であって、どこにも科学的な根拠は、ほとんどないのですよ。そういう意味で私はやはり償還計画というものをもうちょっと真剣に議論しなければいけないではないか、こう思うのです。  ところが、償還計画を立てる――大蔵省はまあ財政収支試算とかなんとかいうようなことで一つの紙切れを出しておるのだけれども、これに必要な重大な問題は、経済の全体の整合性や計画性というものがないのに財政の計画だけがどうして成り立つかという問題、それからもう一つは、財政の計画化をする、そして科学的な見通しがつくような姿勢をつくるということになれば、単なる思いつきや行政指導ではできない。もう少し国家的な規模において与野党通じて論議も尽くし、またできれば、ドイツなんかはやっていますように、財政法なら財政法というもので法的な基礎づけまでするというくらいにがっちりした骨組みを考えないと、ただ計画が、償還計画と言ったって計画の「け」の字も載ってない。そして五十兆円と言ってみても、それがとまるという保証は一つもない。後に償還するというその償還の計画は、いま言ったように願いとして返します。借りかえはやりませんと書いてあるだけで、あと何もないのです。そういう意味で私は、財政の計画化というものがなければ償還計画は立たないが、その財政の計画化には経済の全体としての見通しのつくそういう意味の計画性というものが必要ではないか、さらに、それにはそれができるような裏づけ、基礎づけがなければ、お念仏を唱えてもだめだ、こう思うのですけれども、感じはいかがですか、中村参考人。
  144. 中村俊男

    ○中村参考人 まことにどうもむずかしい御質問で、感じを申せとおっしゃいますから感じを申さしていただきますが、どうも感じを申しますのにも、私ども昨今、何とかしてわが国経済この過渡期を――まだまだ石油ショック以後物価の調整も全部ついておりませんし、まだまだコストプッシュで値を上げにやならないものもある、それも済んでおりませんし、そういう状態でございまして、いま私個人といたしましては、まあひとつこの一年間を何とかこれ以上妙なことにならぬように、底離れを景気はしたといいながらも、先ほど申しますように、はだで感じております景気はそれどころじゃない。こういう時代、期間が余り長く続きますと、実際問題としてやはり倒産問題が出ております。先月の倒産も千幾らでしたか、千四、五百だと思いますが、三月の倒産としてはこれは前例のない高い数字でありまして、やはりこの期間が長くなればどうもそういう問題も起きてまいりますので、それを何とか、私はこの一年間を切り抜ければ何とかいくのじゃないかというところがいっぱいでございまして、竹本先生、まことに申しわけありませんが、そういう昨今の状態では、とても私の見通しの感じなど出ないというのが率直なところでございます。お許し願います。
  145. 竹本孫一

    ○竹本委員 いまおっしゃるように、経済界は視界ゼロなんですね。そうすると、視界ゼロの中で償還計画を立てるということは非常に困難だということにならざるを得ない。しかし、償還計画を持たない公債発行というのは最も危険だということにならざるを得ない。ここに重大な問題があるということを私は指摘するにとどめておきます。  時間がなくなりましたから、最後に例の銀行法の改正の問題を一口だけ伺いたいのですが、これはいま金融制度調査会でやっておりますし、どういうところまで進んだか事情を私もつまびらかにしておりませんので、ただ銀行協会としてのお立場なりお考えを伺いたいのです。  それは銀行に対するいろいろな批判が出ておる。その中には無理解、認識不足に基づく批判もあります。それから中には当たっているところもたくさんある。いずれにしても銀行のあり方というものが、いま申しました経済のいわゆる高度成長後の問題にしても、あるいはまた今度は新しく国債増発に伴う銀行の協力の問題にしてもいろいろと問題が出てまいります。そういう中にあって、銀行という一番――先ほど週休二日制の問題についてもお考えを承りましたけれども、非常に社会的に地位が高いというか重要なポジションを占めておられる銀行として、先ほど来私が申しますように、経済の全体の姿勢を変えなければならぬ、そういうときにそのリーダーにもなってもらわなければならぬでしょう。また、いまいろいろ批判があるものに対してこたえてもらわなければならぬでしょう。そういうことから考えて、金融制度調査会で何をやられるかは一応別にして、銀行協会自体が新しい社会の要請、時代のニーズというものを先取りしていただいて、銀行の姿勢というものはこういうふうにありたいのだ、こういうふうにわれわれは新しい時代の転換に取り組もうとしておるのだということをもうちょっと積極的にかつ具体的に示されるべきではないかと、こういうふうにぼくは思うのですけれども、その点についてのお考えを承って終わりにいたします。
  146. 中村俊男

    ○中村参考人 銀行法の改正の問題は、ただいま御高示のとおり金融制度調査会におきまして論議をされておるわけでございまして、これには学識経験者初め、私もその委員の一人といたしまして参加いたしておるわけでございます。先ごろ一通りいままでの論議の中間報告というものが発表になりまして、もちろんこれからまだ年月をかけて十分に討議をいたすべきものと思います。  竹本先生御指摘のとおり金融機関というものが決して経済の指導をするとかそういうような、うぬぼれたと申しますか、そういう気持ちはございません。が、しかし、やはり経済の順調な発展ということについて金融制度、金融組織、信用組織というものが非常に大事であるということは私どもも自覚をいたしております。そういう意味で、何せ戦後、極端に言えば三十年間非常な高度成長時代に資金不足の時代にずっとやってまいりましたこの金融の運営の問題、それがいま全く構造的な情勢を経て今後安定成長という時代に入っていくわけでありますからして、それにいかに金融組織というものが根底になって、またそれを支えていくと申しますか、基礎になっていくかということについては、私どももこの銀行法改正のときにはそういう問題を十分考慮に入れて御討議願わなければならないと思います。しかし、やはり私個人といたしましては、何と申しましても金融機関というものは健全経営でなければならない。これは何とおっしゃられても、やはり数多い方々から信用されて預金を受け入れておるのでありますからして、われわれとしてはまずもって健全経営に、経営基盤というものについてはこれはしっかりやっていかなければならない。同時に、資金の面においてはやはりこれは効率的に、しかも機会均等の資金配分ができるようにこれも努力していかなければならない。その根底の上で、やはり金融機関といえども数多いものでありますから、適度の競争というものもなくてはならない。しかし、それによって必要なサービスというものも上げていかなければならないし、取引先の皆様方のニーズにこたえてもいかなければならない。それはせいぜい私どもとしても今後努力いたさねばならないと思っております。  しかし先ごろ出ました金融制度調査会の中間報告というものは、私はこれは今後の銀行法改正の方向としてはまことに時宜を得たものであるというふうに私自身感じております。何せ中間報告でありますから、まだまだこれからいろいろと論議を尽くして、大事な問題でありますだけに、余り短兵急に物事を考えない方がいいのではないかというふうに考えております。
  147. 竹本孫一

    ○竹本委員 終わります。
  148. 田中六助

    ○田中委員長 これにて参考人に対する質疑は終了いたしました。  参考人各位には御多用のところ御出席の上、貴重な御意見をお述べいただきまして、まことにありがとうございました。厚く御礼申し上げます。     〔委員長退席、森(美)委員長代理着席〕     〔森(美)委員長代理退席、委員長着席〕
  149. 田中六助

    ○田中委員長 引き続き質疑を続行いたします。松浦利尚君。
  150. 松浦利尚

    ○松浦(利)委員 午前中に質問をした内容で、再開冒頭に御返事するという、ケースI、ケースII、いずれを選ぶか、それをお答えいただきます。
  151. 大平正芳

    ○大平国務大臣 財政収支試算は、昭和五十年代前期経済計画概案に基づきまして幾つかの仮定を置いて行いました試算であり、今後の財政運営の一つの手がかりとするという性格のものであります。すなわち、計画概案が目標としておりまする五十五年度の社会福祉の水準及び五十五年度までの公共投資の水準等を達成するために必要な一般会計の歳出に、同じく計画概案の目標としておりまする五十五年度の租税等の水準に対応した一般会計の歳入の姿を対置したものでありまして、五十五年度までの間の年度途中の税収の推移についての前提の置き方によってケースI及びケースIIの二つの場合を設定したものであります。  このように、計画概案の目標といたしておりまする財政需要にこたえていくために必要な歳入の推移を二つの場合につき示しているわけでございますが、そのうちいずれの場合を選択すべきかは、今後の経済動向の推移、具体的な財政需要の動向及び国民の税負担に対する理解のいかん等によるものでありまして、手続といたしましては、たとえば税制調査会等の意見を聞く必要があると考えております。  要するに、本試算は、これら各般の状況を勘案しながら、適宜適切な財政運営を行っていくための一つの手がかりとする性格のものでありまして、現段階でケースIあるいはケースIIのどちらがより望ましいかということを直ちに申し上げられる性質のものではないと存じます。  いずれにいたしましても、財政当局といたしましては、このような特例公債に依存する財政は臨時異例のものであると考えております。五十年代前半には特例公債に依存しない財政に復帰するため、特段の努力を傾注する所存でございます。
  152. 松浦利尚

    ○松浦(利)委員 大蔵大臣が後段で言われた、この特例債に依存をしない財政に移行するということになれば、このケースI、ケースIIでいけば、当然、常識的に言うなら、ケースIIが当面の目標として選択されるべきだというふうに私は理解をするんですがね。ケースIよりもケースIIの方が早く特例債に依存しない財政に移行するわけですから、午前中から大臣がお答えになっておることを想定すると、確かに、これは一つの試算ではある、いろいろな背景は違っておるけれども、これから予測できないけれども、しかし、希望としてはケースIIで行きたいというふうに思われるのは当然じゃないですか。二つのものが出されておるから私はあえて質問しているのです。一つならこんな質問は出ないはずですね。
  153. 大平正芳

    ○大平国務大臣 いま申し上げましたとおり、そのいずれを選択すべきかは、今後の経済動向の推移、それから財政需要の動向、税の負担に対する国民の理解等がかかわってまいるわけでございますので、今後の展開にまたなければならぬということでございまして、そういうことを先ほど申し上げたつもりでございます。  しかし、おまえはどちらを希望するかということを単純明快に申せというのでございましたならば、なるべく早いことを希望することは当然でございます。
  154. 松浦利尚

    ○松浦(利)委員 そうすると、大蔵大臣としては、希望としてはやはりケースIIを選択したい、それは変わるかもしれぬけれども、現状としてはやはりケースIIで行きたいということを言っておられるわけでしょう。それでいいんですね。
  155. 大平正芳

    ○大平国務大臣 経済動向がそのように推移し、国民の税に対する理解も進みまして、なるべく早くそういう事態が招来されることを望むわけでございますので、五十四年にそういう事態が生まれることを希望することは当然のことであると思います。
  156. 松浦利尚

    ○松浦(利)委員 何か言質をとられたら困るというので警戒的に言っておられると思うのですけれども、いまケースI、ケースIIで出されて、午前中にそういう答弁をなさったけれども、場合によってはこれと違う状態になるかもしれないですね。あるいは五十年代後半になるかもしれないんですよ。いまは前半と盛んに言っておられるけれども、場合によっては後半になるかもしれない。そうすると、ケースIであろうとケースIIであろうと、予測されない事態が起こってきたときには変わるわけでしょう。  だから、政治家大平大蔵大臣としては、要するに早く健全財政に移りたいんだから、ケースIIで当面は行きたい、二つのものを出しておるんだけれども、できるだけケースIIで行きたいというふうにとるのは、これは当然でしょう。――それでいいでしょう。もうそういうふうに端的に言っていただければいいのです。
  157. 大平正芳

    ○大平国務大臣 端的に申しますと、それは仰せのとおりです。
  158. 松浦利尚

    ○松浦(利)委員 それでケースI、ケースIIについて、この伸びですね、この伸びを計算して――恐らく事務当局は、前もってお話ししてありますから計算しておられると思うのでありますが、ケースIIの場合のこの税収の各年度別の伸び率ですね。この伸び率は、計算をされたら何%になりましたか。歳入税収の対前年度伸び率は何%ずつになっておりますか、それをおっしゃってください。
  159. 大倉眞隆

    ○大倉政府委員 主計局から御説明申し上げましたような前提を置いてございますので、年度平均伸び率はケースIでもケースIIでも同じでございます。二〇・九でございますが、年度割りにいたしました場合には、ただいまのお尋ねのケースIIで申し上げますと、五十二年度、三年度、四年度、五年度と順次対前年所要伸び率は二六・四、二六・四、二一・一、一三・九ということになります。
  160. 松浦利尚

    ○松浦(利)委員 その伸び率というのは非常に高い伸び率だというふうには思われませんか。これをつくられたときに、対前年度比が二六・四とかいうような伸び率というのは非常に高いと……。五十一年度で一六・九でしょう。それが一体税収見込みとして高いと思われますか、低いと思われますか、あたりまえだと思いますか。
  161. 大倉眞隆

    ○大倉政府委員 多少繰り返しになると思いますので恐縮でございますが、この試算は五十五年度の姿をまず先にかきまして、それを年割りに機械的に直してきておりますから、したがって、先ほど私がたしか使いました言葉で、期待伸び率でございます。こういう伸び率があるであろうということは、まさしくおっしゃいますように相当無理がかかると思います。  それで、弾性値計算で申し上げますと、ケースIIの場合は、GNPを一五、一五、一二、一二と置いておりますから、五十二年度、五十三年度、五十四年度だけは一・七六、そのかわり五十五年度には一・一六でいいというやや不自然な形をとるわけでございます。
  162. 松浦利尚

    ○松浦(利)委員 そうしますと、高度経済成長と言われた昭和四十年から四十八年、そのときの租税弾性値は幾らでしたか。
  163. 大倉眞隆

    ○大倉政府委員 四十年から四十九年の平均は一・三五でございます。
  164. 松浦利尚

    ○松浦(利)委員 大蔵大臣にお尋ねをいたしますが、高度経済成長時代の租税弾性値が一・三五ですよ。これからは高度経済成長が望めませんね。安定成長の時代に移りますね。しかも今年度の租税弾性値はたしか一・一くらいじゃありませんか。そうですね。幾らですかね。
  165. 大倉眞隆

    ○大倉政府委員 弾性値としましては一・〇二で推計いたします。
  166. 松浦利尚

    ○松浦(利)委員 一・〇二ですね。そうしますと、高度経済成長のときに一・三五であったものが、これから安定成長しか望めない段階に移って一・七六ということは、これはもう想像を絶する。よほど税収が伸びなければだめだ。よほどの税収の伸びがなければ、景気が高度経済成長にならなければだめだ。こういうことで、実質的にはこれは不可能でしょう。大蔵大臣、数字的にどう思われますか。――大蔵大臣にお聞きしているのです。午前中は大臣に聞いてくれと言われたのですがね。
  167. 大倉眞隆

    ○大倉政府委員 技術的な面もございますので、私から……。  平均的に弾性値が五十二年度以降五十五年度まで各年を平均して一・七六になるであろうという予測は私としては持てません。その意味では、いわば自然増収ではカバーし切れないということを当然に物語っておると思います。
  168. 松浦利尚

    ○松浦(利)委員 そうすると、自然増収が望めないということになれば、当然新税ということになりますね。そうすると、新しい税ということになれば、一体いま政府が考えておるのは、この計画を少なくとも出されたのですから、税調に云々とかなんとかじゃなくて、これを出されたときに、少なくとも数字合わせなさったということではないと思うのです。確かに粗い感じで、国民が理解してくれるかどうかは別として、これだけのものが必要だ、これだけの税収の伸びが必要だ。しかし、それはいま言われたように、そういう自然増収の伸びはもうとうてい望めないということになれば、新しい税というものをお考えになったはずだ。その新しい税制というものは、どういうものを導入したいというふうに御検討なさったのですか。
  169. 大倉眞隆

    ○大倉政府委員 先ほど申し上げましたように、五十二年度以降各年度平均してここで想定されているような弾性値で税収が入ってくるということは、現在のシステムからは予測はできない、したがって、何らかの意味で新たな税収を生ずるようなことをお願いしなくてはならないであろうということがこの試算からは出てまいります。  しからば、いつ、いかなる時期に、どういう税目でやるかということをこれから税制調査会に御相談をするというのが現状でございまして、まず、時期の点につきましては、それは経済がどの程度回復するかということとあわせて考えていかないといけない、経済が増税にたえるだけに体力が回復してきたかどうかということを考えながらやらなければいかぬだろうということが一つ。もう一つは、いかなる税目によるかということは、これはたびたび申し上げますが、所得課税によるのか資産課税によるのか、あるいは消費課税によるのかそれは、いまたとえば主税局長がこれしかないと言って決めてかかっていいような性質の問題ではないと私考えておりますから、それらすべてをもう一度全部洗い直してみて、どこに求めるか、あるいは組み合わせをどうするかということをこれから税制調査会に御審議をお願いしたい、それが現段階でございます。
  170. 松浦利尚

    ○松浦(利)委員 それでは大臣に、午前中に戻りますが、大臣は、五十年代前半に赤字国債に依存をしない健全財政に移りたいというふうに言われ、しかも、これは予算委員会に出された資料ですよ。これは大蔵委員会じゃないのです。あの五十一年度の予算を審議した中にこれが資料として出されておって、しかも、要するに、これはただ単なる数字合わせで、願望であって、どうなるかわかりません、極端な言い方をすると、あなた方が言うからこういうのを出しておいて、こうなるのです。これは私たちに白紙のものを与えられたと全く同じですね。逆に言うと、けさ言っておられた五十年代前半に云々というのも、これも願望であって、具体性を持たない。少なくともケースI、ケースIIという、これは将来見直して変わってくるものであるということは私は理解をするけれども、しかし、それ自体も、もう今日では、いやこれは希望的なもので、どういう税収、新税を構想しておるかということも白紙、何も白紙、しかもこれはむずかしい、自然増収は望めないということはわかったけれども、それじゃ、具体的に五十年代前半には健全財政に移行するという方針は、大臣の言う口約束だけであって、事務当局には何にも具体性はないわけですね。もう全く白紙ですね。何にもないですね。言葉だけですね、あるのは。そういうふうに理解していいですか。そうならそう言ってください。何にもない、要するにこれはただ単なる願望だ、数字を詰められても困る、この数字に合わせるための新税も考えておらぬというなら、そういうふうに言ってください。  これは、要するにただ単なる差し上げた参考資料にもならない、紙くずにはなるけれども、ただ単なる、予算を通すために、出せ出せと予算委員の諸君が言ったからあわてて出しておきましたというものですと、そういうふうに理解をせよというのと同じことを言っておられると私は思うのですよ、数字はあるけれども。それならそれでいいですから、はっきり言っていただきたいと思います。少なくともケースI、ケースIIというのは予算委員会に出されて、五十一年度予算を通すときに、途中で見直さなければならぬことはあるかもしれぬけれども、当面こういうふうにしていきたいということであの予算案は通ったはずです。その資料としてこれは出されたはずです。いまにして思えばこれはそんなものじゃない、そうであるならひとつ大臣から的確にお答えいただきたいと思う。それならそれで私たちとりようがありますから。
  171. 大平正芳

    ○大平国務大臣 すでに政府で概定いたしておりまする公共投資計画にいたしましても、振替支出のもくろみにいたしましても、すでに政府といたしましては経済計画概案でこういう規模でやってまいろうということがほぼ固まっておるものでございます。そういうことをこの五十年代前半に実行してまいる。その他の歳出につきましては、私どもが一応の想定をしてみたわけでございますが、国債費につきましては後から具体的に計算上出てくるわけでございますが、公共投資とか振替支出につきましては、もうすでにわれわれに与えられた数字があるわけでございます。それをファイナンスするために、それからもう一つは、五十年代の前半に特例債から少なくとも脱却をしなければならぬということを目標にして、少なくともそうしないと健全な財政運営にならないじゃないかということがございますので、そういう目標を設定いたしまして試算をいたしたものでございますが、そういたしますと税収はこうなる、税外収入はこういう見当になるということになるわけでございますが、松浦さんは税収をとらえて、これはえらいことになるじゃないか、恐らくちょっと理解しにくい租税弾性値を適用しないとこういう数字は出ないことになるじゃないかという御指摘でございますが、私どもこういう試算をつくることによって、そこに問題が出てくる、その問題が出てきたものをどのようにこなしてまいるかはこれからの課題なんでございまして、紙切れに全く無意味な数字を並べてゲームをやっておるわけでは決してないのでございまして、これをこういう試算をいたしまして、そこにいろいろ問題が発掘されて、それをどのように解決してまいるか真剣に考えて、こういう目標を何とかして達成する道をひとつ発見していこうということで、難き道でございますけれども歩み始めておるところでございます。  それじゃどういう具体的な方法によるかということをいまの段階でお聞き取りいただくとなると、まだそういういろいろな手順を踏んでいかなければなりませんし、いろいろな検討をやってまいらなければいけませんので、それは時間をかしていただいて、手順を踏んだ後でお聞き取りをいただかなければならぬわけでございますけれども、そういうものとして私どもはこの試算の中に問題を掘り出し、それを一つ一つ解決しながら目標達成のために最善の努力をしてみようとせっかく考えておるわけでございますので、十分厳しい御批判もちょうだいいたしたいと思いますけれども、いまの段階でこれはだめじゃないかというようなことはおっしゃらないように、ひとつ建設的な御指導を願いたいものと思います。
  172. 松浦利尚

    ○松浦(利)委員 建設的な意見を言うつもりでいるけれども、先ほど事務当局からもお話がありましたように、非常に無理な数字が並べてあるのですよ。無理だということは事務当局の方ではもうわかっておられるのですよ。それではその無理を克服するためにはどういうことをしなければならぬかということは、すでに議論されておるはずだと思うのですよ。それが何も出てこないでしょう。しかも大蔵大臣のお話によりますと、五十二年度は付加価値税を導入しないという大前提がありますね。これは新聞その他で発表しておられるのですから間違いありませんでしょう。五十二年度は採用しない、それはどうですか、もう発表しておられるのですから。
  173. 大平正芳

    ○大平国務大臣 私が付加価値税について申し上げたことは、これは税制自体からは、税調の御審議も経なければなりませんし、いろいろな手順を踏んでやってまいらなければいかぬことで、まだ政府が勝手にどうするこうすると言える段階ではございませんということです。ただ政治家の一人として私がいま考えておりますことは、これは政治的な非常に重要な問題である。だから社会党さんを初め各野党の御協力も、円滑にやってまいる上においては必要である。いまそういう状態になっておるとは思わないわけなのでございまして、これはなかなか容易ならぬ問題であるということを申し上げたわけなのでございます。私がこれをやるとかやらぬとかいうようなことをいま申し上げることは、いかにも乱暴なわけでございます。いろいろな御質問がございましたので、そういう感想を申し上げたにすぎないことを御了承いただきたいと思います。
  174. 松浦利尚

    ○松浦(利)委員 やはり政策なるがゆえに大蔵大臣の発言というのは重要なんですよ。付加価値税を五十二年度採用しないという大平大臣の方針というのはすでにもう報道されておるわけですよ。これも大蔵大臣個人としての判断を言っておられるのですか、そうじゃないでしょう。私が的確にお尋ねしたいのは、五十二年度付加価値税導入について、しないという方針がこの前新聞にもう何遍も出ましたからね。それは選挙前にしないということですか。だからあの点は正確にしてもらわなければいかぬのです。私たちが知る限りでは、五十二年度は付加価値税の導入は時期尚早でいたしません、そういうことではっきり聞いておるのです。それがまた変わったわけですね。それは否定されるわけですね。
  175. 大平正芳

    ○大平国務大臣 私はそう所見を変えておるわけでは決してございませんで、ただいままで付加価値税について税制調査会に検討を求めたことはないのです。そういうことは本委員会で申し上げたわけでございます。  五十二年度の税制改正についてどういう検討を税制調査会に求めるかということにつきましては、大蔵省はまだ決めていないわけでございますし、部内でも相談をいたしていないわけでございますが、この問題はなかなか政治的なむずかしいイシューであるということで、事務的に税収が必要だからこれをそれでは取り上げろというように簡単に取り上げられるような問題でなくて重大な政治問題だと心得ておるという評価は、たびたび私の表現の中からおくみ取りいただいたと私も思うのであります。  いままでもうこの問題はずいぶん世上でも問題になり、国会でも問題になって、野党の皆さんがおっしゃるようなことで、自民党はいつもこれを考えておるのじゃないかということをずいぶん昔から言ってきたわけでございますが、自民党はいままでやったことがないのです。やっていないことも事実なのでございまして、この問題について非常に慎重に対処してきたことは松浦さんも御承知のとおりでございます。現在もこの問題に対して非常に慎重であるということでございます。五十二年度以降どのように対処するかについては、党においても政府においてもまだ本格的に決めていない。しかし、非常に政治問題だから、これを本当に実行してまいる上においては、各方面の協力がないとこれはなかなかむずかしい問題だと私は思うということは申しましたよ。しかし、五十二年度の税制改正について、この問題を税制調査会に御検討を煩わすべく用意しておるとか用意していないとか、そういうことを申し上げた覚えはありません。
  176. 松浦利尚

    ○松浦(利)委員 率直に申し上げまして、ケースIIならIIの伸び率あるいは租税弾性値、そういうものから見たら相当多額の税収が見込まれる新税というものを考える以外に道はないわけです。昭和五十一年度の個人消費は大体九十六兆と経企庁の方では試算されていますね。そうすると、これを非常に粗く計算して、一律にしてみて仮に付加価値税を一〇%にしたら、たちどころに九兆六千億という税収が入ってくるでしょう。九十六兆という個人消費全部ではありませんけれども、仮に粗く考えて九兆六千億というものが一〇%の付加価値税で入ってくるということになってくれば、一応このケースIの試算というものはつじつまが合ってくるわけです。ということになれば、言葉をかえて、それでは付加価値税以外に多額の税収が見込める税収というのがありますか。今度は逆に、事務当局教えてください。具体的に言ってどういう税収がありますか。付加価値税以外に多額の税収が見込める税収というのはどういうのがあるのですか。
  177. 大倉眞隆

    ○大倉政府委員 個人消費総額に税率を掛ければ一応の大ざっぱな推計ができるであろうということは私もお答え申し上げておりますが、ただその場合には、生活必需的なものの免税でございますとか、いろいろございますから、マイナスアルファが非常に大きいわけで、したがって付加価値税と言われておりますような一般基準税の何らかのタイプのものを導入すればいきなり数兆円出てくるかというと、それは必ずしもそう断定はできないわけでございます。同時に、そういうものを導入します……(松浦(利)委員「粗っぽく言っているのですから」と呼ぶ)ですから、ちょっと申しわけないのですが、粗過ぎてとてもそうはならないのではないかと思います。同時に一般消費税というものを考えるといたしますれば、これは当然の検討課題であるということは私も申し上げておりますけれども、いまの個別消費税をどの程度残すのかとか、全部やめるのかとか、あるいは外形標準の議論が出ている事業税をどうするのだとかいうことを一緒に議論いたしませんと、いままである税の上にいきなりすぽっと一つ積むというほど簡単なものではないというふうに私は考えております。  しかし、ほかにまたどういうものがあるかと申せば、それは先ほど来申し上げておりますように、所得課税である程度の税収を期待することは不可能ではございませんでしょう。法人税というものに今後どの程度負担の増加を求める余地があるのかということももちろん検討課題でございます。同時に、所得税は減税をがまんしていただくのみならず、場合によっては増税をしなければならぬかもしれぬということも検討課題でございます。  くどくて恐縮でございますが、所得税増税はできない、法人税も増税すべきでない、消費税しかないというふうに私どもが割り切ったということはないわけでございます。新聞のことをたびたびおっしゃいますけれども、たとえば付加価値税導入に踏み切ったという記事がまず出てしまって、その後で……(松浦(利)委員「そんなことを聞いておるんじゃないですよ」と呼ぶ)ですから、いま何を具体的にやっておるかというお話でございますけれども、それはあらゆる可能性を検討しなくてはならないし、検討をこれからいたすわけでございますから、どれか特定のものを決めているわけではございません。
  178. 松浦利尚

    ○松浦(利)委員 そんなもっともらしく持って回ったようなことを言ってもらっちゃ困るのですよ。何かもったいぶったような言い方をしてこれだけ答弁を逃げたってしょうがないでしょう。この資料が出ているでしょう。資料のつじつまを合わすために、あなた方が答えないから逆に私が聞いているわけですよ。仮に付加価値税を導入しないとすればどんなのがあるのか、どうなるのかということを聞いておるだけなんでしょう。しかも、粗っぽく付加価値税を一割掛けたらどうなるかと言っておるんで、それはあくまでも粗い数字なんだから。そんなのはむちゃですよとかなんとかかんとかと言わなくたって、むちゃなことはわかった上で言っているのです。私の言うのがむちゃならこの方がよっぽどむちゃですよ。つまらぬことを言ってもらっちゃ困るよ。
  179. 大倉眞隆

    ○大倉政府委員 先ほどお答えいたしたつもりでございますが、一般消費税のほかに新たな増収を求めるとすれば何があるかと申せば、検討の対象としては個人所得税がございます。個人所得税はいま六兆円あるわけでございますから、仮に一割増収を図ればそれは六千億出てまいります。法人税は四兆円あるわけでございますから、一割増収を図れば四千億ございます。その意味ですべてが検討課題でございます。
  180. 松浦利尚

    ○松浦(利)委員 これからは大臣答えてください。もう局長クラスはいいですよ。あなたは午前中は大臣だと言ったんだから、局長はもうお引き取りいただいてもいいよ。野党の質問だからといって余りなめてかかってきたら君たちあれだぜ。私はいま非常に不愉快な思いですね。  しかし、これだけは言えると思うのですね。いずれにしても新税を導入せざるを得ない。いろいろな意味で、あらゆる角度から五十二年度以降も付加価値税等も審議の対象になる。採用するかしないかは別として、当然付加価値税の導入についても考えざるを得ない。減税もできない。だから税負担が非常に過重に国民の側に回る。それだけははっきりしたと思うのです。  それじゃ歳出の面について、公共投資の年率の伸びは対前年度どれくらいになっていきますか。
  181. 高橋元

    ○高橋(元)政府委員 公共投資でございますが、対前年の伸び率は各年二八・七でございます。ケースI、ケースII同じでございます。
  182. 松浦利尚

    ○松浦(利)委員 五十一年度の経済見通しのフレームで経済成長率は幾らですか。
  183. 高橋元

    ○高橋(元)政府委員 GNPの伸び率は、五十-五十五の平均伸率にいたしまして一三・四でございます。
  184. 松浦利尚

    ○松浦(利)委員 公共事業の伸びとGNPの伸びとを比べた場合にどういうことになりますか。GNPの平均伸び率が一三%でしょう。そうすると公共事業の伸びは……。
  185. 高橋元

    ○高橋(元)政府委員 私、先ほどちょっと間違えまして申しわけございませんでした。公共投資の伸びは五十一年が一〇・九でございますから、五十-五十五の平均で申し上げますと一五・五でございます。GNPは先ほど申し上げましたとおり五十-五十五の平均で一三・四、さようになっております。
  186. 松浦利尚

    ○松浦(利)委員 そうするとこのケースI、ケースII、これは同じでありますが、ケースIの公共事業の各年度の伸び率は幾らになりますか。
  187. 高橋元

    ○高橋(元)政府委員 公共投資はケースI、IIとも五十一年度が一〇・九、五十二から五十五までの四カ年度は各年一六・七%の伸び率でございます。もう一度申し上げますと、五十一年度が一〇・九、五十二、五十三、五十四、五十五と四カ年が二八・七、それで五十-五十五の平均が一五・五でございます。
  188. 松浦利尚

    ○松浦(利)委員 公共投資というのは経済成長の見通しに比べて非常に高く見てあるわけですね。  それじゃ振替支出の方はどうなっていますか。
  189. 高橋元

    ○高橋(元)政府委員 振替支出は五十-五十五の平均伸率で一六・〇でございます。各年度で申し上げますと、五十一年度はこれは実績でございますが、二二・五、それから五十二年度、五十三年度が同じ率で一六・一%、五十四、五十五年度がそれぞれ一二・八、平均いたしまして五十-五十五で一六・〇でございます。
  190. 松浦利尚

    ○松浦(利)委員 公共投資の方は、このケースIの歳出内容でいけば五十一年度よりも非常に高くずっと見てあるわけですね。そうすると振替支出の方は、逆に言うと五十四年度以降ずっと落ち込んでいきますね。  御承知のように、公共事業関係の五カ年計画というのはいろんな意味でたくさんあるわけですね。道路とか港湾とか住宅とか空港とかね。ところが、社会保障関係の長期計画なんというのは私たち見たことないのですよ。いままでも社労委員会等で何遍も議論をされてきた社会保障関係の長期計画というのを、一体政府はやる気があるのかないのかですね。しかもこれで見れば、五十四年度、五十五年度あたりは一二・八とGNPの伸び以下に見ておるわけですね。これでは低成長下の福祉行政ということを想定して組まれておるというふうにしか私には想像できない。  厚生省の方は室長さんが来ておられるはずですが、社会保障の長期計画というのは国会で何遍も議論をされていますね。なぜできないのですか。つくる気持ちがあるのかどうか、その点をこの際ひとつはっきりさせていただきたい。そしていつできるのか。
  191. 山口新一郎

    ○山口説明員 お答え申し上げます。  社会保障の長期計画の問題でございますが、この問題につきましては、四十八年に策定されました経済社会基本計画の中でこの社会保障の計画を策定するということがうたわれたわけでございます。それを受けまして四十八年の五月に、厚生大臣の私的な諮問機関でございますが、社会保障長期計画懇談会というものを設けまして、この懇談会で具体的な検討を進めてまいったわけでございますが、御案内のような経済情勢の変化がございまして、もとの経済計画の方を策定し直すという状況に立ち至りました。そのためにこの懇談会の検討も一応中止いたしまして、今回策定が予定されております新しい経済社会計画に対応いたしまして社会保障の計画も検討を進めてまいるということで、現在鋭意作業をしている段階でございます。
  192. 松浦利尚

    ○松浦(利)委員 社会保障の長期計画というのは、昭和四十八年に新経済社会発展計画のもとで諮問をなさって以来全然姿を見せずに今日まだ議論を続けておる。片っ方では公共事業関係は長期五カ年計画というのがあらゆるパートで行われておる。この計画で見れば、五十年代前半についてもGNPの伸びとほぼ同じ、平均一五・五%という公共投資の伸びを見込んでおる。ところが、振替支出の方は年々低下をしている。このケースIとII、特にこのIIなどはどういうことをわれわれに教えているかと言えば、これは大臣御答弁いただきたいのですが、この際特例債によらざる健全財政に移行するためには、昭和五十二年度から新たな新税構想というものをどうしても採用せざるを得ない。もちろん減税もむずかしい。そして歳出の面については、公共事業については一五・五%という、GNPの伸びでやはり政府としては歳出の中に見込んでいきたい。しかし、振替支出、福祉関係を含めた社会保障関係予算については、この際低成長下における福祉見直し、ここに「成長率低下のもとでの福祉充実と負担」というのが経済審議会総合部会の企画委員会第二研究グループから出されておるわけでありますが、そういう方向に従って国民の負担を増大するが予算の中に占める歳出は低下をしていく、そういうふうにわれわれに与えられたこの資料は教えてくれておる。内容そのものは先ほどから局長さんあたりからもいろいろと御答弁がありましたが、精査はしておらぬけれども、大枠として私が申し上げたことを意味しておる。そうしなければ五十年代前半までに特例債によらざる健全財政ということはむずかしいのだということを私たちにこれは教えておるのだ、そのことを理解をしてくれ、こういう資料だ。大臣、よろしいですか、大臣に聞いているのですよ。
  193. 大平正芳

    ○大平国務大臣 公共投資は五十年から五十五年にかけて平均伸率一五・五%、五十五年度の歳出中の構成比、これが一九%になります。振替支出は平均伸率が一六%、それから歳出中に占める率は二三・七%ということになるわけでございまして、これが、先ほど私も御説明申し上げたように、政府がいまほぼ固めつつあるところの公共投資と振替支出に対するこの五年間の歳出の規模でございます。それをともかく充足させる必要が歳入にありとすれば、仰せのように相当税収にロードがかかってくるということは松浦さん御指摘のとおりでございます。振替所得にせよ、公共投資にいたしましても、予算全体のバランスから申しまして、また減速経済のもとにおける歳出といたしましては、最大限の配慮を政府としては加えてあるつもりでございまするので、それを充足させるということができれば、それは私は一応評価されてしかるべきことじゃないかと思うのでございます。しかし、それを文字どおり充足させていこうとすれば税収におきまして相当ロードがかかってくるということはまさにあなたの言われるとおりだと思うのでございます。  そこで、第一は、経済がその間にわれわれが予想いたしておりまする六%程度の成長でいくのか、もう少し成長が期待できるのか、それは一つ税収に影響してまいりますことは御説明申し上げるまでもないことだと思うのでございます。したがって、新税を選択しなければならぬかどうか、選択しなければならぬとしてもどの程度新税に期待しなければならぬかということは、一つには経済のこれからの推移にかかってくると思いますし、また一つには、先ほど主税局長からも御説明申し上げましたように、ほかの税目に対しましてどのように期待するかというようなことを国民の税に対する理解からわれわれが考えていかなければならぬ課題であろうと思うのでございます。したがって、すべてが新税の選択にかかっておると、いまいちずに決めてしまうことも、この段階では私はやや無理でないかとそう考えております。
  194. 松浦利尚

    ○松浦(利)委員 この問題についてまだ議論をしたいのですが、これは単なる試算であって、議論をすればするほど私自身も何か質問をしておる側の方がおかしいのじゃないかという矛盾を感じます。結局、ただ単に資料として出したものであって、本当に五十五年度までに特例債に依存せざる健全財政に移行できるのかどうかということについては、願望であって、疑問が残る、その背景にある数字的なものはもう全くない、要するにこれからの景気の動向なりあるいは新税等についてもこれから議論をするということしかはっきりしないので、率直に言いましてまじめに議論する気持ちにならないのですよ。  私は午前中から一生懸命過ちを繰り返さないためにまじめに議論をしてきたつもりなんです。予算委員会に出されておった資料等についても当然ある程度のものはここで国民の前に明らかにして、大丈夫なんだ、本当に特例債に依存せざるようになるのだ、五十年代前半までは国民の皆さんがまんしてくれ、しかしこれからは五十年代後半は絶対大丈夫だ、そのかわりこういうふうにこういうふうになるからひとつ協力をしてくれ、この資料を大臣と議論をしてみて、そういう言葉が返ってくると私は思ったのです。それも返ってこない。ただ経済の動向がわからない、わからない。確かにわからない状況であることだけは私も認めます。しかし、わからぬ中でも少なくともこういうものを出したのだから、これを出すからには背景というものがあってしかるべきだ。しかも西ドイツのようにこういう中期財政計画などというのは見直せばいい。改めて来年の国会に、これはこうだったからこういう点だった、この点は間違いでしたといってこんなものは修正をすればいい。それすらもやろうとしない。私はここでまじめに議論すればするほど自分がみじめになるのです。率直に申し上げまして、何のためにおれはここで一生懸命こんなことを言わなければいかぬのかという気になりますよ。いまの大臣の御答弁でも、それは大臣はまじめに言っておられるのだろうと思いますが、それだけしか答えることのできない状況だということがわかりますね。非常に私は残念ですね。しかもきょうの昼のニュースでは、三木総理は新聞記者会見して、会期末までにこれを上げてくれ。何にも国民には知らさずに、何にもわからずに、将来のことはどうなるのかということの背景も国民の前に示さずに、ただ通してくれ通してくれ、それで国民が納得すると考えているところに三木内閣の政治感覚のずれがあると私は思います。私は非常に矛盾を感じます。この問題についてはもうこれ以上議論してもむだです。むだな議論は時間の浪費ですからやめます。  そこで、財政硬直化の問題についてお聞かせをいただきたいと思うのですが、建設国債も含めて、昭和六十年、昭和六十一年に現金で償還をするもので、一般会計で負担をしなければならぬ部分はどれぐらいになりますか。
  195. 松川道哉

    ○松川政府委員 予算書に添付してございます資料で、六十年度の償還計画に載っておりますものが五兆九千八百七十六億円余、約六兆でございます。この内訳を申し上げますと、三兆六千六百八十六億円余が財政法第四条第一項ただし書きの規定により発行されたもの及びその借りかえのために発行されたものでございます。差額の二兆三千百八十九億円が昭和五十年度の公債の発行の特例による法律で発行されるものでございます。これは、先刻御説明申し上げました二千億円余の調整がまだできておりませんので、それは御了承いただきたいと思います。  そこで、この財政法第四条の方が、御案内のとおり毎年積んでまいります百分の一・六に見合うものは現金償還し、それ以外のものは借りかえによるという仮定を置きますと、この三兆六千六百八十六億円のうち現金の償還を要するものは六千百十四億円余になると思います。したがいまして、先ほどの五十年度の公債の特例法により発行されますものと合わせまして、二兆九千三百四億円余が現金償還を要する金額になってくる。  さらに、六十一年でございますが、これは財政法第二十八条資料では、合計七兆七千四百二十九億円余が償還時限が参るという数字になっております。そのうち第四条第一項の規定によりますものが三兆九千四百五十五億円余でございます。それから特例法による分が三兆七千九百七十四億円余でございます。ちょっとお断りしておきますが、これらはいずれも額面で申し上げておりますので、収入金ベースと若干異なります。これも先ほどと同じように、財政法四条一項の方で出しますものはその六分の一が現金償還される、余りは借りかえであるという前提を置きますと、現金償還されるべき金額は六千五百七十五億円余に相なります。これと特例法によります分を合わせますと、四兆四千五百五十億円余が現金償還を要する金額と相なります。
  196. 松浦利尚

    ○松浦(利)委員 同時に、六十年、六十一年の国債残高はどれぐらいになりますか。
  197. 松川道哉

    ○松川政府委員 ただいまの御質問の六十年度、六十一年度末の国債残高ということになりますと、これからその年次に至るまでに発行されます国債が残高の中に含まれてまいります。そういうことになりますと、その前段といたしまして、どれだけの国債がこれから出るかというのが入ってまいりますので、現在の段階では推算いたしかねております。
  198. 松浦利尚

    ○松浦(利)委員 このケースIで見ておる五十五年度まで発行されたものとして、六十年、六十一年はどういうことになりますか。
  199. 高橋元

    ○高橋(元)政府委員 ケースIでは五十一兆四千億、ケースIIで四十八兆二千億、これが五十五年度末の国債残高でございます。
  200. 松浦利尚

    ○松浦(利)委員 失礼しました。質問がちょっとあれしておりました。  そうしますと、昭和六十年、六十一年近くになりますと、これは一般会計に対する大変な負担ということになりますね。そうすると、これだけの国債を現金で償還できる一般会計の予算規模というのは、現在の状況から見てどれぐらいなら可能ですか。これだけのものを現金償還しなければならぬ昭和六十年度、六十一年度の予算規模というのは、どれぐらいの規模になっていますか。
  201. 高橋元

    ○高橋(元)政府委員 余り正確なお答えにならないかもしれませんが、私どもが持っております五十五年度の数字で国債費の大きさを申し上げますと、ケースIで四兆四千二百、これが一般会計のそこで想定しております四十三兆一千という規模に対しまして一〇・二%、それからケースIIの場合は四十二兆八千九百億という予算規模でございますが、これに対して国債費が四兆一千六百億でございますから、これが約九・七%でございます。  六十年までの間にどういうふうに国債がこれに積み上がるかということはちょっと予想できないのですが、六十年になりますと特例債の現金償還という要素が加わりますので、一般会計から単年度で繰り入れるとすれば、それよりは大きな公債費のウエートになろうかと思いますが、ちょっといまそれを推算しておりません。
  202. 松浦利尚

    ○松浦(利)委員 推算の資料を出してみてください。このケースI、ケースIIだって推算なんだから、この推算を出してください。あしたのこの委員会に出していただけばいいです。
  203. 高橋元

    ○高橋(元)政府委員 計算の問題と申しますよりは、全体の六十年度の予算規模、そのもとになります経済の規模というものをどれぐらいに置くか、五十五年から六十年までどのような国債発行が行われるか、そういうことが私どもとしてはよるべきものを持っておりませんものですから、したがって、六十年度単年度でどういうふうな国債償還になるかという仰せでございますけれども、そういう資料はちょっと私どもは技術的にむずかしいのではないかと考えております。
  204. 松浦利尚

    ○松浦(利)委員 技術的にむずかしいと言いますが、私はさっきから五十五年度ということに限定しましたね。だから五十五年度のものを六十年度に引き伸ばしてもらえばいいです。もう少し具体的に数字を言うと、この昭和五十年代前期経済計画概案を十年間に引き伸ばしてみてください。これはあくまでも試算なんだから、いろいろなバックグラウンドの変化があるけれども、いずれにしても、十年間でこの数字は変わらないということを前提にして出してみてください。そうすれば出るはずです。
  205. 高橋元

    ○高橋(元)政府委員 五十年代前期の概案と申しますのは、中にございますますように、計画期間の前半は過渡的な問題がありますので、やや高目の成長率でいく、計画期間の後半になりますと、それよりも成長率が下がって、全体として実質で六%台ということに規定されておりまして、五十五年の趨勢をそのまま単純に延長するとしましても、私ども中の年次割りを持っておりませんものでございますから、その全体のフレームワークを六十年まで引っ張っていく、プロジェクトするという作業が非常にテクニカルにむずかしいかというふうに思っております。
  206. 松浦利尚

    ○松浦(利)委員 何でむずかしいんですか。ここに出ておるフレームワークは五十一年度から五十五年度までの年率平均伸び率を全部出しているんですよ。それを十年間で出したらどうかと言うんです。この率で。五年間でやっておるものを十年間に引き延ばしてみたらどうか、それは平均伸び率はこの五十年代前期経済計画概案でよろしい、これで十年間に引き延ばしてやってみてください、そう言っておるんですよ。それはできませんか。そんなの、やろうと思えばできるじゃないですか。
  207. 高橋元

    ○高橋(元)政府委員 経済企画庁の計画当局ともよく打ち合わせをしてみたいと思います。
  208. 松浦利尚

    ○松浦(利)委員 経済企画庁と相談をしてみたいということだけれども、経済企画庁と相談してみたいだけで、出してくれるのですか、出してくれないのですか。相談してみたいだけですか。出そうと思えば、こんなのすぐ出るんですよ。
  209. 佐々木孝男

    ○佐々木(孝)政府委員 いま経済企画庁では五十五年までの数字を検討しておりまして、近く経済審議会から御答申をいただくと思います。いま、その数字を十年間に延ばしてはいかがということで、それは計算上はできるわけでございますけれども、ただ、われわれがいままで作業しました結果から申しますと、この五年、その次の五年と、やはりいろいろ変わってくるんじゃないか、したがいまして、単純延長いたしました場合には、いろいろミスリーディングに陥ることがあるんじゃなかろうかということだけ申し上げたいと思います。
  210. 松浦利尚

    ○松浦(利)委員 いいですか。これだっていいかげんなものなんですよ。これだって、さっきから言うように、いいかげんなものですよ。経済情勢がどうなるかわからぬと言う。これを根拠にしてやったらこれが出たんですよ。だから、これを十年に引き延ばすだけの話ですよ。十年に引き延ばしてやれば、これを十年だと大蔵省が理解すれば、これを根拠にして大蔵省で試算をしてこれが出たわけだから、十年間の計算をしようと思えば出るんですよ。やろうと思えばできるんです。これでやれる、これを根拠に、やろうと思えば。それをあなた方が意識的にできない、できないと言う理由がわからないね、こっちは。まあやれなければやれないでいいですよ。
  211. 高橋元

    ○高橋(元)政府委員 一例を申し上げますと、その計画概案、つまり中期財政収支試算のもとになっております経済のフレームワークでは、過渡期を過ぎましたら特例公債からできるだけ早期に脱却をして建設公債原則に戻るという想定を置きまして、そのほか財政支出の充実を図りますために税負担率を計画期間中に三ポイント程度引き上げるというようなことにしております。それに基づいて一般会計の歳入歳出の推計をしておりますので、したがいまして、五十五年の姿を六十年まで持っていけば財政のフレームがどうなるかということは、ちょっと私は単純にその五年間をあと五年後ろへ持っていけばいいというふうには、問題が多いんではないかと考えておりますが……。
  212. 松浦利尚

    ○松浦(利)委員 あなた方、出されたものに対して非常に警戒心を持つからいろいろな理屈をつけるんだけれども、あくまでもこれは数字なんですよ。しかし、現状としてどうなっていくかということを把握するためには、六十年度、六十一年度というのは十年先のことだから、それは経済情勢の変動もいろいろあるでしょう。あるけれども、しかしいずれにしても、先ほど言ったように多額の現金償還をしなければならぬ時期に来るわけですね。その中で、一体予算規模というのはどういうふうになっているのか、その中に占める公債費の割合はどういうふうに変化をしていくのか、それを一応現状というものをそのまま肯定して、このI、IIで御承知のように特例債に移行しないと言うんだから、五十四年、五十五年でなくなるわけだから、それ以降は赤字特例債によらざるということになるんですよ。そしてその後は、この経済成長その他を全部使ってみて、六十年、六十一年のある仮定の姿というものを出してみたらどうかという提案をしておるんだけれども、あなた方はそれはどうだこうだ、どうだこうだと言って--それは私、言っている方もそんなに正確なものを要求しておるんじゃないのです。それも出さないと言うんだから、これはもう……。  いいですか。大体、昭和五十一年度の償還経費に対する利払いを加えた国債費が一兆六千六百四十七億円、五十年度の当初予算に比べて六〇・二%と、こう膨張しているわけでしょう。ここもさらに膨張しているんです。なぜ膨張しているかと言うと、特例債に移行していくわけだから、やはりどんなに早くたって五十四年、遅ければ五十五年。しかし、まあ大臣はケースIIの方を願望しておられますから、ケースIIで仮にいったとしましても、そうすると安定成長期に入りますでしょう。そういうことを考慮してみますと、昭和六十年、六十一年には相当多額のしわ寄せというものを後世代の国民にさせるわけですよ。われわれの方は先取りをして恩典に浴するが、十年先の国民はツケだけ回ってくるわけでしょう、言葉をかえて言えば。四条公債については固定資本というものがある程度残っていくかもしれないけれども。だから、そういうものをやはり親切にここに出していただいて、それで、これは全くの仮定の粗っぽい試算だけれども、およそこういうふうになっていくんじゃないだろうかというようなことぐらいは議論をさせてもらわないと、ただこの法案を通してくれ、通してくれ――これは御承知のように簡単な、これだけの法案でしょうが、この意味する内容というのは非常に重大な影響を国民に与えるんですよ。だから、そういった資料をある程度出してもらった上で私たちは議論をさせていただければさせていただきたいというふうに思うんですね。私の言っていることが間違っておるなら、間違っておるからそんなの出さぬと言えばいいですよ。
  213. 大平正芳

    ○大平国務大臣 つまり、国債費の比重というかウエートがどういう状況になるかという点、六十年とか六十一年になった場合にどうなるであろうかという点の見当をおつけになられたいということのように、御質問を承っておりながら私は承ったわけでございますが、そうだといたしますと、公共投資がどうだとか振替支出がどうだとかということよりは、むしろ一般会計の歳出規模は六十年度どのぐらいになるだろうか、六十一年度どのぐらいになるだろうかということを、五十一年度が二十四兆三千億でございますから、そして五十五年度は四十二兆八千九百億という一応の数字が出ておりますから、これを一応の仮定を置いて計算をしてみまして、六十年とか六十一年はこの程度のものになるとすれば、その際の国債費というものはどういう見当になるだろうかというような一応の見当をおつけいただくような資料をつくってみたいと思います。  公共投資とか振替支出を一定の比率で大蔵省が気軽につくっておりますと、大蔵省はこういう数字をつくったことがあるというようなことで、その他の厚生省とかあるいは経済企画庁あるいは建設省等との関連で悶着を起こしてはなりませんので、予算規模全体と国債費の比重というようなところでどういう資料ができますか、一遍つくらしてもらいたいと考えますが、いかがでございましょうか。
  214. 松浦利尚

    ○松浦(利)委員 それで結構です。そういう資料でも出していただいておよその私たちの理解度を高めておかないと、ただ法律だけが通って、赤字特例債だけは出したという形だけ残ってしまって、後世代の人たちに大変な迷惑をかけたんでは、これは私は問題が残ると思いますからね。  それで、私ばかりここで質問しておってもあれでしょうから、午前中にお願いをした、三木内閣としてあるいは大平大蔵大臣として公債に対する考え方、これの資料をまず出していただくということと、それからいま大臣が言われた資料をここに御提出いただくという、この二つの資料が出た段階で私の質問をまた時間を少しでもいただいてさせていただく、そういう意味で、質問を保留して、まだ大分持ってきたのですけれども、きょうはあとお一人質問なさるそうですから、私の質問は一応その資料が出るまで保留させていただきます。
  215. 田中六助

    ○田中委員長 はい、わかりました。  速記をちょっととめてください。     〔速記中止〕
  216. 田中六助

    ○田中委員長 速記を続けてください。  広沢直樹君。
  217. 広沢直樹

    ○広沢委員 けさからずっとこの論議が続いておりますが、公明党を代表して、私はいまからこの特例法案について質問をいたしたいと思います。  まず、今日わが国の経済は不況そして物価高、いわゆるトリレンマの中で財政的に大きな欠陥が生じてきたわけでありますが、これはいまだかつてない財政危機に直面している、こういう認識であります。これを当面する財政の危機であるとするならば、私は、今後、今日の特例債を出してまで財政を補てんしなければならない、いわゆる赤字国債を大量に出していかなければならない、こういう財政状況になったということは、将来にわたる財政危機、こういうこともひとつ十二分に考えていかなければならない段階にあろうかと思います。特に五十年度の補正において、一挙に一般会計に占める依存率が二六・三%に上がる、五十一年度は当初から依存率が二九・九%、そしてさらに五十二年、五十三年とこれが続いていく、こういう状況から見まして、これは大変な状況である。このまま進んでいくならば、やはり経済の危機あるいは国民生活の圧迫、こういう道に進んでいくし、過去に経験があったあのインフレ、そういうような憂えまで出てきているわけであります。  そこで私は、当面する問題もさることながら、将来の問題も含めてきょうは質問をしてまいりたいと思っております。  まず、五十一年度の財政審の答申、これを受けられて、大蔵大臣がどういうふうにこれを受けとめておられるのか、確認を最初にしておきたいと思うわけであります。  それは、まず第一に「五十一年度の経済は、五十年度の多額の租税収入の落込みの回復を期待できる情勢にはないものと考えられ、また、大幅な歳出の削減や一般的増税を行うことも適切な時期ではないと考えられる。」確かに結果的に言いますとこういうことも言えるかと思います。しからば、どういう時期にこういういわゆる大きな改正、抜本的な改正、こういうものをおやりになるのか。現状は確かに不況からの脱出という状況にありますから、いまの財政審の答申にありますように、一挙に歳出削減をしたりあるいは一般的増税ができないということは、これは私もわかるわけであります。ただし、だからといって即、これは公債、いわゆる赤字国債に頼ればいいというものではない。いままでも論議がありましたように、いわゆる不公平あるいは不公正を是正する意味からも、これまでの財政あるいは税制、これを洗い直すことは当然のことでありますし、旧来の税制あるいは財政の構造に手をつけるというか、その具体的な見通しのないままに公債に依存するということであれば、これは、当面する問題だけにとらわれて将来の大勢の明確な見通しを誤るということは問題であろうと思います。     〔委員長退席、森(美)委員長代理着席〕  それからその次に、答申の中で、「公債の借換えは、公債管理政策の機動的運営の必要から、国債整理基金特別会計法第五条の規定により政府に授権されているところである。」これもそのとおりであります。しかし、「特例公債についても上記の規定が適用されるところであり、したがって、借換えを行うか否かは、現行法制上は政府の判断に委ねられている問題である。事柄の性格上、必要かつ妥当なものとして法律をもってその運営を政府に授権されている事項について、その一部を法律をもってあえて制約する必然性はないものと考えられる。」しかし、過般、この問題については、当然はっきりとその線を引くべきであるということから、答申の後にもありますように、一応今度の公債の特例に関する法律については、法的に借りかえをしないということを明記されております。それならば、この特例公債については、やはり今後とも借りかえをしない。本来ならば、この財政審の答申にありますように、政府にゆだねられた授権である、こういうことでありますけれども、しかしながら政府は、五十年度特別公債の場合もまた今回の場合にも、法律にありますように、借りかえはしない、十年後現金償還をする、こう言っておるわけでありますが、いわゆる特例公債、これについては、すべて政府に授権されているこの方針、それを、いまとられている方針どおりいくのかどうかという問題であります。  さらに「最近の財政、経済の動きを見るに、これに対応していくためには、財政制度上いくつかの検討を要する問題がある」したがって「財政の健全性あるいは財政の節度を守るという基本原則をふまえつつ、こうした角度からの検討を当審議会として今後行っていく必要を感ずるところであり、政府としても、この問題の検討に積極的に取り組むべき時期にある」という指摘があります。  いま申し上げました要点、これは全部ではありませんけれども、いま言った点について、どういうふうな受けとめ方をされ、今後その問題に対してどう対応されようとしておるのか、まず大蔵大臣にお伺いしておきたいと思います。
  218. 大平正芳

    ○大平国務大臣 財政制度審議会から御指摘のように、五十一年の一月十九日に御報告をいただいたわけでございます。それで、これによりますと、いまの経済の判断といたしまして、「大幅な歳出の削減や一般的増税を行うことも適切な時期ではないと考えられる。」「多額の租税収入の落込みの回復を期待できる情勢にはない」こういう認識でございまして、これはたびたび政府が申し上げたとおりでございます。御案内のように、今度の不況は大変彫りの深い不況でございますし、時期も大変長い不況でございまして、この回復が容易でないと政府は考えておるわけでございまして、単年度あるいは一、二年で回復ができるというようには考えていないわけでございますので、五十一年度の経済は「大幅な歳出の削減や一般的増税」が期待できる状況でないというこの御報告の認識は、政府もそう考えておるわけでございます。したがって、五十一年度は「適正な財政の水準を維持し、国民生活並びに国民経済の安定をはかっていくためには、特例公債の発行に依存せざるを得ない」ということでございまして、そのことをこの審議会もお認めいただいておるものと思うのでございます。  しかしながら、私どもそれだからといって、これをこの状態で、相当長く続くであろう、したがって、当面やむを得ないのであるというようなことで、漫然努力を怠ってはならないことは申すまでもないことでございまして、まずそれだからこそ、いま広沢委員も御指摘のように、財政運営の健全性を困難な中でも確保することを基本に考えて、公債依存から脱却の日を早めるということのために、周到な準備を進めてまいらなければならぬと考えておるわけでございます。そのためにいろいろ政府も、見当をつけていくために試算を提示申し上げて、いろいろ御審議をいただいておるわけでございます。したがって、財政制度審議会の御報告の認識は、私どもとは同じ認識でございますが、この御報告をちょうだいしておるからその上にあぐらをかこうなどということは、政府は毛頭考えていないわけでございまして、一日も早く脱却せにゃならぬ、財政の健全性を一日も早く回復せにゃならぬということのために鋭意努力せにゃならぬと考えておりますことは、申すまでもないことでございます。
  219. 広沢直樹

    ○広沢委員 決意のほどは再々伺っているわけでありますが、これからまた具体的な内容について、その決意をどう具体的に考え、またあらわそうとしていくかということについて伺ってまいりますが、それの前に、先ほど申し上げましたこの答申のあと二つの点、この問題についてお答えいただきたいと思います。
  220. 高橋元

    ○高橋(元)政府委員 特例公債でございますが、本年度お願いいたします特例公債の発行に関する法律につきましては、先ほど先生から御指摘のありましたように、財政制度審議会の御報告の趣旨に従いまして、政策的な判断として借りかえをしないという第五条を入れたわけでございます。五十二年度以降どういうふうに財政が展開していきますか、いまのところまだ明らかでございませんけれども、特例公債につきましては、昨年度申し上げておりますように、五十年度のものは全額現金償還をいたします。こういうお約束をいたしました。五十一年度はそのことを法律に書いたわけでございます。今後、特例公債発行の時点で判断していくべきことだというふうに考えておりますが、国民負担の状況なり公社債市場の状況なり、将来の財政見通しなり、そういうものを全部勘案いたしまして、本年度の財政審の御報告にあるような線でもう一度立法いたすかどうか、将来の問題として、今後の問題として検討を真剣に進めたいというふうに考えております。  それからもう一点、財政法の改正でございますが、先ほど御指摘の財政制度審議会の報告の中にあります。財政法の改正について検討の時期に来たのではないかという御報告、これは非常に抽象的でございますが、私ども平素財政の事柄に携わっておりますので、たとえば単年度の財政バランスというような現行の制度のもとで財政の運営がうまくいくかどうか、それよりももう少し長い中長期の視野を入れて財政というものを構造的にも計画的にも改善をしていくことはできないかというような点は、問題として考えておるわけでございます。  たとえば財政制度審議会で、四十八、九年でございますか、財政計画について御検討いただきました際にも、長期財政見通しは毎年度の予算編成に長期的視点を導入し、財政運営を改善するための手法として注目すべきものである。わが国の財政運営の現状から見て、基本的にはその必要性が認められるという意見が非常に多かったわけでございますけれども、ただそういう観点から財政法を直ちに改正するということになりますと、御案内のとおり、現行の単年度主義、単年度原則というものを基礎にして成り立っております財政法の仕組み全体に非常に大きな影響が参るわけでございます。  それからまた、具体的に財政計画という手法そのものを取り入れることについて考えてみましても、たとえばよく言われております。計画に盛り込まれた経費がいわゆる既得権化してしまうという問題をどう考えるのか、長期の資源配分の計画という意味で財政計画というものはできても、たとえば単年度単年度のフィスカルポリシーと申しますか、景気調整という観点から、かえって伸縮性が失われるのではないかというようなこととか、現在各種の法律に基づきまして、先ほど来御指摘がございますように、各種の長期計画、公共投資の長期計画というのがございますが、そういうものの立案ないし決定の権限を持っておる当局との調整ないしは法体系間の調整という問題もございます。そういう事柄を私ども逐次勉強は進めておりますし、検討もこれからしていきたいと思っておりますが、将来のといいますか、これは御答申をいただいて、これから財政制度審議会でそういう景気調整機能を発揮すること、資源配分機能をさらに長期的に見通すこと、そのために現在の財政法の枠をどういうふうに根本的に考えていくのか、時間をいただいて十分勉強したいという所存でございます。
  221. 広沢直樹

    ○広沢委員 そこで大蔵大臣、いま当局からお答えいただいたように、この公債の借りかえの問題は、これは法律が、特例債ですから、単年度単年度の法律で出されてきているわけですが、しかしこれはここに指摘されておりますように「政府の判断に委ねられている問題である。」ということで、五十年度も特例債については借りかえはしない、そしてまた五十一年度の法律も借りかえをしないということを今度は法律的に明記してきた。これは大蔵大臣、まあ後から触れます償還計画の問題の中で、再々このことを強調されているわけですね。いま一応試算として出された中期財政展望も五十二年、五十三年、少なくともそれをもとに考えるならば赤字国債は出さざるを得ないという展望を持っていらっしゃる。そのようにこの中期財政展望で受け取れるわけでありますが、その場合もそうなのか。あるいは政府の判断ということでありますから、特例公債の場合は借りかえをしません、はっきりそういう感覚で運営されるのか。この点は大臣のいままでの強調された点でありますから、大臣からひとつお答えいただきたい。
  222. 大平正芳

    ○大平国務大臣 五十一年度の特例債の発行に関する法律には、そのことを、政府の決意をうたったわけでございますが、政府といたしましては、特例債に関しては今後もそういう方針でまいるべきであると考えております。朝令暮改をすることは考えておりません。
  223. 広沢直樹

    ○広沢委員 わかりました。借りかえの問題につきましては、後ほどまた具体的にお伺いする面がありますので、そのときにまたお伺いいたします。  そこで、いまもう一つの点、これからの財政制度上検討を要する云々とございます。それについてお答えがありましたけれども、私は、国債の問題につきましては、これはいまの財政法が政府の運用によって大きく変えられてきた、こういうふうに指摘せざるを得ません。  というのは、四十年度の国債発行につきましては、財政法第四条のただし書きによるいわゆる建設国債として発行できる、そういう状況ではあったけれども、しかしながら、これは歳入不足が明らかになったその時点でのいわゆる歳入を補てんするという意味で出すわけでありますから、特例公債ということでいくんだということで法律をお出しになったわけですね。したがって、その背景にはあくまでも歳入を補てんしていくということを年度途中で明確にしていくならば、これは建設国債といえどもあるいは赤字国債といえども、いずれも借金ですから赤字には違いありませんけれども、そういう運用上においてはっきりとした一つの線が示されておったように思うわけであります。それから四十一年度以降は、これは建設国債として財政の中に国債をビルトインしたわけでありますけれども、この運用に当たっては、国債の一般会計に占める割合、すなわち依存率というのは一応五%以内にとどめたい、それを一つの目標にして、安易に発行しないというガイドラインを設けられた。これは四十二年の財政審の答申にもありましたし、また当時の大蔵大臣はそれをお約束なさったわけであります。これもやはり建設国債といえども借金であるから、したがって、一般財源の中に占める割合というものには一応の線を引いておかなければ財政の節度がなくなってしまう、こういう考えからこのことを明確にしたわけですね。したがって、昨年特例公債を審議した折に私はこの問題で大蔵大臣にお話ししました。大蔵大臣も一応五%以内ということは認められたわけであります。現状すぐなるとは言いませんけれども、またいまの状況ではなるべきものでもありませんけれども、その点ではそのことを認められました。  しかし、そういうことから四十五年、それから四十六年、これは再三答弁がありましたけれども、確かに依存率というのは五%ないし五%を割って四・五%、こういうふうになったことは事実です。しかし、四十六年の不況といったものを背景として、あるいは高度経済成長の中で社会資本の充実だとか、いろいろな要因が、財政需要というものが高まってきたことは事実でありましょうけれども、今度は積極的にこれは予算枠を広げると同時に、その中に依存率がうんと上がってきました。一挙に一六%ですか、そこまでに、四倍ぐらいに上がったわけです。以後、実際に当初の運営においては、建設国債といえどもやはりこれは借金であるから、その運用に当たっては、財政が景気調整機能を持っているというならば、これは景気のいいときは当然国債を減らし、景気の悪いときにはやはりそれを補う意味で、ある程度その建設国債、いわゆる財政法で認められた範囲内において調整することはわれわれも認めますけれども、そういう運用をしないで、四十七年以降というのはもう目いっぱい公共事業の対象経費として国債に依存すると、こういう形をとったわけです。  したがって、今日になってまいりますと、景気が非常に落ち込んだ、財政に歳入不足が生じたといった場合には、これはもう赤字国債、いわゆる財政法で決められていない、認められていない赤字国債に頼らなければならない、景気調整上はどうしてもそういうことをやらざるを得ないという形に変わってきた。ですから、特に昨年までのように年度途中でそういう歳入欠陥が明らかになってきたから、これを補う意味でやむを得ないというようなことではなくて、ことしは、いままでにも指摘申し上げましたように当初からこれを組んでしまうということは、すでに財政法の基本的な運営の仕方がだんだんゆがめられてきた、なし崩しに形骸化されてきた、こういった点が指摘されなければならないと思うのです。この点をどういうふうに考えていらっしゃるのか。まず大蔵大臣に所見を伺いたいわけであります。
  224. 大平正芳

    ○大平国務大臣 公債管理のプリンシプルはできるだけ、特例債はもとよりでございますけれども、建設公債といえども節度ある発行でなければならないし、大体公債依存率が五%程度で切り盛りされることが望ましい状態でないかということを、当時政府も国会に対して申し上げておったわけでございますし、私もまた、そういうことが財政運営の正常な姿としてわれわれが追及していく道標でなければならないという意味のことを広沢委員にお答えいたしましたことは記憶に新たなところでございます。  ところが、実際の公債管理の実績を回顧いたしますと、いまるる解明がございましたように、大きくその線から外れまして、ついに土俵を割って特例債を出さざるを得ないようになり、しかも特例債の金額は三兆七千億を超えるというような状況に立ち至っておりますことは御指摘のとおりでございまして、事ここに至りましたことはなぜかという御質問でございますが、これは責任を他に転嫁するつもりは毛頭ないわけでございますけれども、今度、ドルショックで国際通貨制度が動揺をいたしまして、また資源経済が紊乱してまいり、資源ナショナリズムが台頭してまいりました当時から世界経済が非常な混乱を見てまいりまして、わが国はその動揺の中で非常な衝撃を受けてまいりましたことは御案内のとおりでございまして、非常に振幅の激しい衝撃を受けて、これに対する対応に腐心してまいりましたわけでございまして、そのために財政が経済の動揺を受けて所期すべき歳入が得られなかったばかりでなく、経済の動揺を財政の立場からこれを防いでまいらなければならぬという役割りも重なりまして非常に不如意な状態に相なりましたことは、御説明申し上げるまでもなく経過が物語っておると思うのでございます。だからといって、こういう客観情勢にございましたのでやむを得ませんでしたということでもって御報告しようとしておるわけでは決してないのでございますが、この過程を通じて私が痛感いたしますことは、私どもは、そういう状態における財政の規模の策定、そしてその中で公債政策というものに対する考え方が相当イージーな気持ちに流れ過ぎておったのではないかということを、いま反省いたすわけでございます。経済も財政も決して甘いものではないわけでございまして、危機が去ればその次に順調な春がくるということで、そこでまた歳入が確保されるから、当面この状態で冬をしのげばよろしいというようなことではないということを、この数年来の経験はわれわれに深刻に教えておると思うのでございます。われわれは冬の間に十分の用意をして、経済が回復したときにその成果を十分くみ取るだけの用意をいたしておかなければならぬことも、また当然の教訓だったと思うのでございます。したがってそういう教訓を体して、この危機の打開に当たらなければならぬわけでございます。  そこで、私ども特例債をお願いいたしながら、今年度の予算の策定に当たりましては、予算の規模、内容にわたりまして、それなりに注意をいたしたつもりでございます。努力がなお十分ではございませんけれども、財政の硬直化を避けることについては相当神経質に気を使ってまいりましたつもりでございます。まだ努力は足りませんけれども、なお一層努力をしてまいりまして、この危機脱出の暁を早め、脱出した暁において財政の体質が健全に回復されるという状態を保障しなければならない、そう考えておるわけであります。
  225. 広沢直樹

    ○広沢委員 まあ反省も含めておっしゃっておられますが、やはり反省のないとこには新しい改革もございません。そこで、あえてこの問題を申し上げたのですけれども、一番肝心なことは、大蔵大臣、財政法に基づいて、いわゆる財政の憲法ですから、これに基づいて運用していかなければなりません。ですから、財政法にないことを、まあいたし方がないとして、これからずっと続けていかなければならぬということは、これは大変な問題だと思うのです。じゃあ財政法がいま現状に合わないのか、そのやり方が誤ったために、いまの財政法を踏み破らなければならない、あるいはゆがめなければならない、こういうことになったのか、この点の重大な反省がなかりせば、これは新しい次の問題も解決するわけがないと思うのですよ。これはいたし方がない――確かに結果から見れば、これは何とかしなければならぬということは、政府のみならず、だれしも考えられなければならない問題であります。  しかしながら、いままでの政府の財政をもとにした財政運営のあり方が、私がいま言うようにだんだんだんだんと現状に妥協したやり方というふうになってきたんじゃないか。確かに四十年以降に建設国債として発行された、小規模でした、そして、それはそれなりの論理がありそしてまた目的があって、社会資本の充実あるいは福祉の充実、そういった財政需要が非常に大きい、そういう立場から同じ赤字国債には違いないけれども、当局は当局なりに建設国債、財政法のただし書きでそれを認めて、そういうことも一応は財政上では認めたという形になっているわけであります。  しかしながら、やはり先ほど申し上げましたように、私は、財政が景気的ないわゆる調整機能を持っている、金融だけじゃなくて財政、金融両方が景気に対する調整機能を果たさなければ、今日の経済、景気に対する対応というものは十分でないことはわかっています。したがって、当然そういう意味で公共投資に建設国債、いわゆる国債を振り向けるというならば、この建設国債についても景気のいいとき、税収がうんと上がっているときにはこれを縮めていく。ところがその当時は減税の要求があったとか、あるいはまた福祉充実の要求があった、四十八年は福祉元年だというふうに政府もおしゃっておられた。しかしそれはいまも三木さんが総理になられたときにいみじくもおっしゃったように、今日の政治の中で問題なのは何なのかと言えば、余りにも社会的不公平が拡大している、その社会的不公平を正すことが今日政治の最大の課題であるということをおっしゃった。じゃそれはどういう形でそういうふうになってきたのかというと、ここに財政あるいは税制の構造が今日の産業優先的な立場であったから、それにあまたの、あと時間がある限りいろんな点で指摘いたしますけれども、財政、税制上の問題でそういう仕組みがあったからだ。じゃそれを直していくことによって財源、そこの所得にせよあるいはストックにせよ、それを是正していくことによって財源を見出していく、いわゆる財政あるいは税制の構造の改革に着手しなければならなかった。しかし、言葉だけは財政硬直化だの財政危機だのと言われながら、いたずらにいまこういう形でどんどんふやしてきたということ。ですから、こういう景気の変動に対して、当然一応財政法に認められたいわゆる国債、この問題である程度調整をしなければならない。これは財政法では認められておりますから、私は当然だと思いますよ。しかしながら、いまこういう状況になれば、財政法に認められないという、赤字国債を出してはならないというこの財政法――財政法ができたのは、先刻も、その基本的な背景といのものが――なぜ厳しくここまでいわゆる国債問題について規定されているかというのは、過去に苦い経験があったからだということを踏まえてできたものですから、それは財政的には窮屈かもしれない、運営においては。しかし、それを守っていくことがわが国の財政の健全性を確立していくということである、ということであったからそうしたわけでありましょう。  そういうようなことから考えてみますと、いまこうなった問題というものは大変な問題である。したがって、今度の特例法の第一条にも書いてありますように、五十一年度の税収の動向あるいは同年度の財政運営に必要な財源を確保しければならぬというようにその趣旨を明確にうたわなければならないようになった。また五十年度のときの特例債の場合は、税収あるいは印紙収入あるいは専売納付金ですか、こういう減収を補う、これは年度途中でどうしようもないから、この場合は赤字国債に頼らざるを得ない。これもやはり、われわれはこれに対して、いろいろな対応の策があって、赤字国債に頼らなくてもいけるのではないかという提案はその当時申し上げておるわけでありますが、今回の場合は、これはもう政策運営上この赤字国債というものを運営せざるを得なくなったということです。ですから、いろいろな要因はあったでしょうけれども、この財政法のたてまえから言うと、財政法を形骸化してしまったことになる。  そこで、私はこれから具体的な本論に入ってお伺いしていきたいところでありますけれども、一応理事会の約束は七時まで、残余の質問については明日と、こういうことになっておりますので、明日また具体的にお伺いいたしたいと思います。
  226. 森美秀

    ○森(美)委員長代理 次回は、明十一日火曜日、午前十時理事会、十時三十分委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。     午後七時五分散会