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1975-11-13 第76回国会 衆議院 物価問題等に関する特別委員会 5号 公式Web版

  1. 昭和五十年十一月十三日(木曜日)     午前十時三十分開議  出席委員    委員長 横山 利秋君    理事 加藤 六月君 理事 竹内 黎一君    理事 橋口  隆君 理事 松浦 利尚君    理事 山中 吾郎君       愛野興一郎君    三塚  博君       山崎  拓君    加藤 清政君       中村  茂君    和田 貞夫君       野間 友一君    有島 重武君       和田 耕作君  出席国務大臣         国 務 大 臣         (経済企画庁長         官)      福田 赳夫君  出席政府委員         経済企画庁長官         官房参事官   朴木  正君         経済企画庁調整         局長      青木 慎三君         経済企画庁物価         局長      喜多村治雄君         経済企画庁総合         計画局長    小島 英敏君         農林省食品流通         局長      今村 宣夫君         資源エネルギー         庁石油部長   左近友三郎君         運輸省鉄道監督         局民営鉄道部長 高橋 英雄君  委員外の出席者         経済企画庁長官         官房参事官   下山 修二君         大蔵省銀行局総         務課長     清水  汪君         農林省畜産局食         肉鶏卵課長   甕   滋君         物価問題等に関         する特別委員会         調査室長    芦田 茂男君     ――――――――――――― 十一月十二日  インフレ、物価抑制に関する請願(河村勝君紹  介)(第二〇二五号)  公共料金等の値上げ中止に関する請願(枝村要  作君紹介)(第二一〇一号) は本委員会に付託された。     ――――――――――――― 本日の会議に付した案件  物価問題等に関する件      ――――◇―――――
  2. 横山利秋

    ○横山委員長 これより会議を開きます。  物価問題等に関する件について調査を進めます。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。橋口隆君。
  3. 橋口隆

    ○橋口委員 きょうは、先般の物特での経済企画庁長官の所信表明の御演説に対して、若干質疑を申し上げたいと思います。  長官が非常に積極果敢に現在の難局に対処しておられることに対しましては、慎んでこの機会に敬意を表したいと思います。  つきましては、インフレは鎮静したとは言いながらなお非常に波乱含みのような感じでございますので、そのことにつきまして長官の所信を若干伺いたいと思うのでございます。  十月には東京区部の消費者物価指数は前年同月比で一〇・二%ということでございますし、だんだん一けた台に近づいているような印象を与えておりますけれども、しかし、これから幾つもの波乱の要因が含まれておるようでございます。  それで、まずお伺いしたいと思いますのは、今週になりましてから石油関連経営者を呼びまして石油の新価格体系をめぐってここで論戦をいたしました。各党から意見が出ましたが、それにつきましてわが政府当局あるいは業界も新しい価格体系をつくろう、こういうことで、まあ数字は明確ではございませんが、恐らく一〇%内外の値上げが予想されると思いますが、それが日本の物価全体にどういう影響を及ぼすとお考えになりますか。また、それに対して経済企画庁としてはどういうような調整をしたらいいと考えられますか。まずその点をお伺いしたいと思います。
  4. 福田赳夫

    ○福田(赳)国務大臣 わが国の物価は、需給インフレの段階をもう完全に脱したと私は思うのです。ただ、物価は需給だけじゃなく、コストの面もありますので、いまはインフレと言うのは適当ではないと私は思うのでございますけれども、これからの物価上昇というものはコスト要因が支配する態勢にある。しかも、コスト要因も、そう大きな物価上昇につながる要因というものは非常に小さくなってきておる。こういうふうに見ております。そういう中でいわゆる新価格水準という問題があるわけですね。  私が言っておる意味は、とにかく昨年の一月に原油の価格が四倍になった、それに対応して諸製品の価格が自由な市場において改定をされたというふうにとらえておるのです。ただ、そういう改定、対応の作業が全部完了したかというと、残っておるものがある。乗りおくれというか、乗り不足というか、この対応、改定の進行過程に乗りおくれたもの、乗り足りなかったもの、そういうものがある。それらの一番大きなものは公共料金なのです。しかし、民間の製品につきましてもある。その非常に顕著なものが石油だというとらえ方をしているのです。石油の安定供給ということを考えてみるときに、やはり石油企業が健全な姿でなければならぬ。その企業がいま非常に悩んでいる問題は、新価格体系への移行、それに石油価格というものが乗りおくれておる、乗り足りなかったというところに問題がある、こういうふうに考えて、早晩石油業界の製品につきましては価格改定をしなければならぬだろうと考えておるわけですが、この改定を要する要素というのはいろいろあるわけです。乗り不足、そういう側面もあれば、その後に生じたOPECの原油価格の改定という問題などがある。その上にさらに業界としては円為替の下落の要素なんかも言っておりますが、とにかくこの新価格体系への移行に乗り不足であるという問題は、これは解決しなければならぬ問題だ。  その影響いかんというお話でありますが、これは机の上の検討しかできませんけれども、その検討の結果は、仮に石油価格が一割上がったという際におきましては、卸売物価に対する影響は一%程度、消費者物価に対する影響は〇・五%程度、こういうふうに言われておるのですが、いま需給が非常に緩んでおる、そういう際でありますので、実際どのくらいの効果を及ぼすか、こういうことをながめてみますると、そういう理論的な検討数値よりは低いところにくるんじゃないかというような感じがしますが、いま通産省におきまして、どういう措置をしますか検討をしております。その検討の結果を待って対処しなければならぬ、こういう段階でございます。
  5. 橋口隆

    ○橋口委員 ただいまの石油の価格体系の問題は、石油業界自体だけでなくて、非常に関連する業種が多いと思います。そういう意味で通産省だけに任しておかないで、経済企画庁も大局から判断されまして十分指導していただくようにお願いをしたいと思います。  次に、公共料金値上げの問題で、現在国会に酒、たばこ、郵便料金が出ておりますが、これもやむを得ないものと恐らく野党の皆さん方もお考えいただいていると、われわれ思うのでございます。ところが、問題は、そのほかに国鉄がまたこの二十日から三十数%の料金値上げをやります。特急券とかあるいは寝台券、そういうものの値上げをやるようでございまして、また私鉄も三〇%内外の値上げ申請をやっているようでございます。そうなりますと、また影響するところは非常に大きいと思うのでございますが、こういう公共料金についての、特に交通機関関係の交通料金についてはどういうふうにお考えでありますか、これからの課題でございますので、お伺いしたいと思います。
  6. 福田赳夫

    ○福田(赳)国務大臣 先ほど申し上げましたように、原油価格が四倍になったというのに対しまして、公共料金全体といたしましてほとんどまだそれに対する調整が済んでおらぬ、一部のものは済んでおりますけれども、ほとんどが済んでおらぬというのが現況でございます。この公共料金部面における調整、私は、これはことし一部やりますが、来年も一部やる、再来年も一部やる、三年がかりで一回りはしてみたいな、こういうふうに考えておるわけです。いま物価について非常に関心が国民にあるわけですが、この公共料金のそういう問題がなければ物価問題は非常に肩の荷が軽いのですよ。ところが、そういう問題、これはまたほうっておくわけにはいかぬ。しかも需給インフレは本当にとまった、そういうような段階で物価情勢が全体として落ちついてきた、こういうことになりますと、やはりいずれは解決しなければならぬ問題を、多少時間のゆとりも見まして、なだらかにここで解決しておく。そこでその先初めて日本の物価が安定する。それに伴いまして経済活動の方も安定してくる、こういうことになります。ことしは第一年目でありますが、来年、再来年ぐらいかけたら公共料金の新価格体系への移行というものを完了さしていきたい、こういうふうに考えておる。  そういう中で、私鉄の方で現に料金改定の申請が出てきておるわけです。これは運輸省の方でいま検討しておりますが、運輸省の見解をよく聞きまして、妥当な解決を図らなければならぬだろう、こういうふうに考えております。これは慎重に対処しますが、これはすでに申請も出、改定問題が一つのレールに乗っているという問題です。  それから国鉄につきましては、これはまだそういう段階まで来ておらないのです。いま国鉄は非常な事態です。経営上大変な問題がある。その国鉄の経営全体をどういうふうに建て直すか、きわめて重大、困難な問題に当面しているのですが、何とかして早く国鉄再建の長期展望をつくりたいというので、いませっかく努力をしておるわけですが、その長期展望の中の一環としてやはり料金問題が出てくる、そういう国鉄再建長期展望の中でとらえなければならぬ、こういうふうに考えておりますが、これはいますぐの問題じゃない、本年度の問題じゃありません。  その他交通関係、地方のバスだとかそういう問題もありますが、そういう問題につきましては、その都度余り急激でないように、なだらかに運賃改定が行われるようにという配慮で対処していきたい、こういうふうに考えておる次第でございます。
  7. 橋口隆

    ○橋口委員 公共料金の問題は、公共企業体の健全な運営という点からもやむを得ないことと思われますが、国民経済、特に消費者に与える影響は非常に大きいわけでございますから、消費者の保護官庁であります経済企画庁でも十分ひとつ御監督、御指導願いたいと存じます。  そこで、ことしは補正予算案を出さなくちゃならぬような非常に大きな歳入欠陥を生じて、そのために特例法による赤字国債まで発行することになったわけでございますが、その際非常に懸念されますのは、資金が財政面に吸収され過ぎて、民間資金が非常に不足してくる、そうすると、いよいよその民間資金も初めは地方の末端に大体吸収されて、都市銀行は少し手薄になるのではないかと思われます。きのう日銀の総裁にもお伺いしたのでございますが、そうなりますと日銀が買いオペをする、そうなるとどうしてもインフレを醸成しやすくなると思うのですが、その点についてはどういうふうにお考えになられますか。
  8. 福田赳夫

    ○福田(赳)国務大臣 公債が出ること自体、私はすぐそれがインフレにつながっていくというふうには考えません。現実の問題といたしまして、本年度において多額の公債、五兆五千億近くの公債が出るわけですが、公債を発行してこれを何に使うのかというと、公債発行なかりせばできなかった政府の歳出がそれだけ拡大されるのです。ですから、国全体の経済の中で財政の醸し出す需要、つまり政府財貨サービス、こういうふうに言われておりますが、それが他の需要項目、つまり投資でありますとか、あるいは輸出でありますとか、あるいは国民消費でありますとか、それらの全体の総合した中で、財政が好ましい国民経済全体の枠を越さないという限りにおきまして、基本的にインフレを起こす心配はない。いまとにかく、しばしば申し上げているのですが、企業操業率が非常に低い。第四次対策をとりましても、なお稼働率指数で九〇%近くしかいかない、そういう状態でありますので、財政が、公債を出して、そして需要を喚起するというようなことがありましても、これはインフレ化するなんという心配はないのです。  ただ、留意しておかなければならぬ問題は、出した公債が完全に消化される、こういう問題です。公債の消化がもし完全でない、こういうことになれば、それだけ日本銀行の発行する通貨、これが増発をされるということになる。つまり過剰流動性を生み出す、この過剰流動性がまた仮需要を呼び出すということになるとこれは大変ですから、完全消化、これには格段の配慮をしなきゃならぬ。しかし、いまいろいろ資金の需給というようなことも検討し、貯蓄動向というものを検討しておりますが、本年度におきましては、完全消化につきましては、これは達成は確実である、こういうふうに見通しております。
  9. 橋口隆

    ○橋口委員 長官の非常に自信のある経済運営によって、できますならば来年の三月末には一けた台に乗る、その目標をぜひとも達成していただくように今後とも御尽力をお願いしたいと思います。  そこで、この前の所信表明の中にちょっと書いてございますが、十月は一〇・二%の前年同月比でございますが、その中で野菜の高騰による要因が非常に大きい、季節要因を除けば前年同月比で九%、これは三十カ月ぶりに一けたになっておるので、狂乱物価以前の前年同月比と大体同じというような、こういうような話になっております。  そこで、大都市にとりましては野菜というものは要因が非常に大きいと思うのです。それで食品流通局長にちょっとお聞きしたいと思うのですが、野菜生産出荷安定法があって、それで計画生産、計画出荷をやる、こういうふうになっているのに、どうして、たとえばキャベツは三倍とかニンジンは二倍というふうに、こういうような値上がりをするようになるのか。また天候によっては今度はがたがたと暴落していく、でき過ぎると暴落するというような事態なんですが、これを安定させるための法案ができていると思うのですが、どうしてそれがうまく機能しないのか。その辺のことをちょっと伺いたい。
  10. 今村宣夫

    ○今村(宣)政府委員 野菜の価格は四十九年十月以降今年九月ごろまで非常に低迷を続けておったわけでありますが、これはやはり生産が非常に順調でありますと同時に、消費の若干の減退ということもあったわけでございます。しかし、本年八月から九月にかけて非常な干ばつがございまして、これは四十日という連続的な干ばつで、気象庁開設以来の新記録を続けたわけでありますが、そこへもってきて、九月以降断続的な非常な長雨がございました。九月、十月の雨と低温は、下句で雨量が平年の約二倍、日照が平年の二分の一というような状況でございます。したがいまして、野菜の生産におきまして、作付のときに干ばつであり、作付を行った後に長雨というかっこうで、作付がうまくいかなかったということと生育が非常におくれたという要因がございます。私たちは、四月現在で、統計の秋冬作の作付予想が少し減るのではないかということがございましたので、七月の末には農林大臣が関係者を招致いたしまして異例の作付確保の要請をいたしたわけでございます。しかしながら、先ほど申し上げましたように、長い干ばつと九月、十月の雨と低温という気象条件のためになかなか作付が進まず、また生育が伸びないというそういう気象条件に置かれましたために、ことしの野菜の生産はなかなか思ったようにまいらないという状況でございます。  そこで、御指摘のように、価格変動に対処する法律があるにもかかわらずなかなかそういうふうにできないのはなぜかというお話でございますが、野菜は御存じのとおりなかなか貯蔵がきかないわけでございまして、貯蔵のききますタマネギとかバレイショというふうなものは、私たちもできるだけこれを貯蔵して、そういう端境期に対処する措置を講じておるわけでございますが、なかなか貯蔵がきかない、しかも、たとえば一割生産が減りますと価格は三割ないし四割変動するという、そういう特性を持っておるわけでございます。したがいまして、野菜の価格を安定せしめようとすれば、どうしても余りぎみにつくる、余りぎみにつくって農家の所得を片一方補償するという措置を講ぜざるを得ないわけでございますが、絶対的に物が不足をするという状況のもとでは、これは輸入をするわけにもなかなかまいりませんし、貯蔵をするわけにもまいらないということで、本年のような特別な気象条件に置かれました場合においては、なかなか対策を講ずることはむずかしいわけでございます。しかしながら、野菜の変動は消費者にとっても非常に大事な問題でありますし、物価安定にとってもきわめて重要な問題でございますので、私たちといたしましては、できる限りの対策を講ずる必要があると思いまして、現在諸般の、端境期の対策あるいはまた高騰時の実験事業としまして、私たちは天領と言っておりますが、沖繩や鹿児島に特別な野菜産地をつくりまして、そこから野菜を大都市に運び込んでくる、そういう制度の適確な運用、あるいはまたタマネギ等につきましては、アメリカあるいは台湾から所要の輸入をして需給をできるだけ安定させたいと思いまして、現在の段階におきまして、講じ得る措置はすべてこれを講じていくという心構えで対処いたしておるところでございます。
  11. 橋口隆

    ○橋口委員 野菜は天候に支配されやすい、腐りやすいわけですから、貯蔵も輸入もできないということはよくわかる。ところが、東京地方は干ばつであっても、南九州あたりでは非常に雨も降るというように、長い日本列島のことですから、いろいろ変化があると思うのです。  そこで、いまちょっとお話がありましたが、全国的なスケールでこの生産安定法の適用がなされるようにひとつ運用の改善をしていただきたいと思うのです。  それで、いま多少の構想はお漏らしになったようですが、大都市周辺だけでなくて中小都市周辺にもこの制度を適用できないか。それから指定産地というものも、もっと日本列島の末端までこれを指定できないものですか、そういう点をちょっとお聞きしたい。そうすれば、かなり需給はうまくいくんではないかと思われる節があるのです。
  12. 今村宣夫

    ○今村(宣)政府委員 御指摘のような問題がございますので、私たちといたしましては野菜制度研究会を開きまして、現在の野菜制度をどう改善すべきかということを鋭意検討いたしてまいったわけでございます。  そこで、指定消費地につきましては、現在の大都市あるいはその周辺だけではなくて、もう少し、相当規模以上の地方都市及びその周辺の地域まで広げる必要はあるんじゃないか、あるいはまた指定野菜産地につきましても、もう少しこれを見直しまして内容の充実したものにする必要があるのではないか、あるいはまた価格補てん制度につきましても、補償基準額の引き上げその他これの改善を図る必要があるし、それから御指摘のございましたように、全国的な規模で何らかの、生産者団体の系統活動の中での適切な調整機能の発揮に努めるような工夫ができないものであろうかということにつきまして、鋭意検討をいたしてまいったわけでありますが、一応の成案を得ましたので、できる限りこれを早く法制化し、所要の予算につきましてこの確保に努めてまいりたいと思っておる次第でございます。
  13. 橋口隆

    ○橋口委員 いまのような全国的な規模における計画的な生産、出荷、それをぜひとも推進をしていただくようにお願いいたします。流通局長、お忙しいと思いますから、結構です。  長官、いまの野菜の問題ですが、この所信表明にもございますように、野菜さえこういうふうに暴騰、暴落しなければ――まあ暴落はいいかもしれません、これは農家がまた困りますので、適正な値段で安定をすれば、ここにも書いてございますとおりに、日本の物価は非常に、特に大都市では安定してくるのではないかと思いますので、経済企画庁からもひとつ農林省ともよく御相談して、いまのような制度が円滑に運営されるように御推進をいただきたいと思うのでございます。  次に、不況対策についてお伺いしたいと思います。  累次の政府の不況対策によって非常な努力をされておることは国民ひとしく認めるところでございますが、残念ながら、三月ごろ底入れしたと言いながらいまだに失業者は百万人を超える、そして十月の倒産は千三百件を超えているような実情でございますが、依然として非常に不況は深刻だと思います。それならば、これをどうして打開するかと言えば、輸出は低迷し、消費もなかなか思うように伸びない、まあ財布のひもを締めている。百貨店の売上高のごときは、たしか九月は三・七%ぐらいですから、ここ数年来、恐らく戦後でも初めてと言っていいくらいに低いのではないかと思われます。これもなかなか急には動かせない。民間の設備投資も同様だとすれば、結局、政府がお考えになっているように、公共投資による財政投資、それによってこの景気を刺激するというほかにないと思うのでございますが、それがまだなかなか浸透していないようでございます。そういう意味で、大体いつごろからその効果があらわれるとお考えになりますでしょうか。
  14. 福田赳夫

    ○福田(赳)国務大臣 いまの日本の経済は一これはもう世界じゅう総落ち込み、ことしの主要先進諸国の中でプラス成長になる国はないと思うのです。そういう中で、わが日本経済は三月から上昇過程にずっと向かっておって、これはプラス成長になることは間違いない。日本がただ一つのプラス成長でございます。  ただ、そういう中で不況感が日本では非常に強い。現に個々の企業について見ますると、これは大変収益が悪化しておるのですが、その原因は何かと言いますると、私は、いろいろありましょうが、特に二つあるのは、第一は、不況になりますれば諸外国では解雇が行われる。わが国では終身雇用体制というので過剰労働力を企業内に抱えておる、こういうことで、その過剰人員に対する人件費の負担、これが非常に大きくのしかかってくるわけです。それから、諸外国では、過剰設備に対する資金の調達ですね、これは外部資金を調達しないで、自己資本で大体がやっておる、こういう状態であるのに反し、わが国におきましては借り入れ資本である。過剰設備が出てきましても、そういう設備に使った資金、それに対する金利を負担しなければならぬ。この金利負担というものが企業を圧迫する。そこで、マクロでは日本の経済はただ一つの黒字成長国であるにかかわらず、ミクロで見ますると企業が非常に困難な状態にある。そこに根源がある、こういうふうに見ておるのです。  そこで、それをどういうふうに矯正するかというと、どうしても企業の操業率を適正な水準まで持っていかなければならぬ。いま操業率を測定する基準といたしまして、製造業稼働率指数というのがある。これがことしの三月では七七であったものが、生産のなだらかな上昇とともに逐次改善されまして、いま八三というところまで来ておる。これを上げていきたいと思っているのです。それで今度財政を中心とする第四次対策をとりましたが、その結果、年度末、来年の三月の時点ではこれが九〇に近い水準までいくであろうし、持っていきたい。しかし、好ましい水準までまだいかないんです。ですから、企業の負担は逐次は改善はされましょうが、しかし、まだ好ましい状態、適正な収益を得るという状態には達しないのです。そういう状態が実現する時期というのは、来年一年度を必要とする。  好ましい水準というのは、いろいろの見方がありますけれども、企画庁あたりでは九五だろう。九〇近くいってもまだ数ポイント足りぬ、こういう状態ですから、企業から言いますと、まだ窮屈感は年度末になりましても免れない。こういう状態ではありまするけれども、好ましい水準である九五というようなところに向かって日本の経済が動いておるということへの認識ですね、これは下半期におきましては確実にキャッチし得る、こういうふうに私は考えておるんです。  それから、一年、二年で回復する、そういう石油ショックだったという認識を持つと、これは今日の企業の状態というのは非常に苦しみにたえないところであろう。しかし、三年くらいはかかる大打撃であったという認識をとりますると、その回復、健康体に戻るその道を堅実に進んでおる、こういうことが感じられるような状態になるんじゃないか、そういうふうに思っております。
  15. 橋口隆

    ○橋口委員 調整局長にちょっと聞きたいんですが、補正予算案における公共投資の額は幾らぐらいになりますか、道路、港湾、土地基盤整備等。
  16. 青木慎三

    ○青木(慎)政府委員 公共事業関係の補正予算関係でございますが、一般公共事業で、事業規模で申しますと六千二百二十三億、それに災害対策千三百四億を加えますと、事業費ベースで七千五百二十七億でございます。そのうち補正予算で組みました国費は、公共事業で二千八百二十億、災害対策で千十億でございまして、合計いたしますと三千八百三十億になっております。
  17. 橋口隆

    ○橋口委員 国費で三千八百億、事業費で七千五百億、これで下期六%、これだけじゃもちろんございませんが、それが主導力になって下半期の日本経済を六%程度引き上げるということは、ちょっと常識的にむずかしいのではないか、われわれもこういう気がするのでございますが、その点を長官からちょっとお伺いしたいと思うのです。
  18. 福田赳夫

    ○福田(赴)国務大臣 下期実質年率六%といいますと、これはちょっとずいぶん急激な上昇だ、こういうふうにお感じになると思います。ところが、これはもう年率の話なんですね。これ、下半期の実質で言いますると、その半分なんですよ。六・二という年率は、三・一ということなんです。上半期で経済はどのくらいの推移を示したかというと、〇・九%の上昇なんです。まあなだらかだ、なだらかだと言うが、とにかく〇・九のプラス成長なんです。それが今度、その上半期に比べまして下半期におきましては三・一%上昇するということなんでありますから、これはただいま申し上げましたような財政の支出もあります、それから同時に、住宅なんかでは、それが民間の資金と相協力しまして住宅建設が行われる、そういうような効果、そういうのを加えますと、一兆六千億になります。一兆六千億というと、大体これは公共投資でありますから、これは波及倍率というものも考えられるわけです。これは非常に大きく見る人もあります。三倍だとか四倍という説もありますけれども、私どもは、これは大体二倍ぐらいだろう。そうすると三兆円を超える波及効果ということになる。それが年度間にどのくらい、来年の三月の時点ではどのくらいできるだろうかというと、これは大体六掛け、半分よりはいくだろう。そうすると一兆八千億円です。一兆八千億円ということは、これは二・四%の成長に相当するわけです。もし、上半期において〇・九%でありました日本の経済、これは何にもしないでほうっておいたら大体〇・七%ぐらい下半期になりはしないか。しかし、それに二・二%の対策効果というものが加わるわけですから、これは三・一というようなことになるので、大体いま補正予算の編成、それから決定がおくれたというようなことで多少のおくれはありまするけれども、もうそういうものは全部決定されましたからね。それから金利の引き下げ、これも決まった。総合しますと、かなり押し上げる。上半期に比べまして三・一の成長、これは実現はできる、こういうふうに見ております。
  19. 橋口隆

    ○橋口委員 まあ公共投資の金額は少ないけれども、需要創出効果は非常に大きい、これは綿密な計算をなされているので、それが着実に実行されますように切にお願いをする次第でございます。  ただ問題は、公共事業、住宅、そういうものが中心になりますが、その場合、たとえば道路、港湾、新幹線、そういうものが主体になる。それから土地改良事業、そういうものも含まってくると思います。そうしますと、そういう関連事業に対してはかなり大きな効果はあると思います。公共事業に関連の深い関連産業には非常にいい効果があると思うのですが、余り公共事業と関係のない産業というものにはその効果が及ばないうらみがあると思うのですね。一方、個人消費は伸びない。そうすると、ことに困るのは中小企業ではないかと思うのですが、それに対してどういうような対策を講ずることになりますか。
  20. 福田赳夫

    ○福田(赳)国務大臣 今度の対策の効果は地域的にも、あるいはいま中小企業というお話がございましたが、業種別にもこれが均分にして波及効果を生ずるようにという配慮をしておるのですが、特に中小企業につきましては、波及効果が多いということにつきまして特に配慮をいたしておるわけです。  それで今度の対策の中心をなすものは、何といっても住宅でありますが、住宅と言えば、木材もあるいはセメントもあるいはいろいろな需要を喚起しますが、住宅の建設ができますればさらに電気器具だとかいろいろな施設を調えなければならぬ。そういうようなことで、とにかく住宅というものはかなり均分して諸資材に波及効果を及ぼすのじゃなかろうか、そういうふうに考えておるわけであります。しかし、住宅というのは都市に集中しがちだというので、地方の農業基盤でありますとか地方の道路でありますとか、そういうものにつきましても特段の配意をする。  それから新幹線、高速道路というお話ですが、これは大体地方の方に波及効果があるわけでありまして、東北新幹線のごときは、今度の対策をしなければ一万二千人の失業者を出すだろう、こういうふうにまで言われておったのですが、そういうことを考えますと、地域的配分ということ、これも大体適正にいくんじゃあるまいか、かように考えております。
  21. 橋口隆

    ○橋口委員 それに関連しまして、いま、ことしは一応年率二・二%でございますか、それくらいの成長率、明年度は五・二%と、こういうふうにして、再来年度は大体六%以上の経済成長率というようなお考えのようでございますが、それから後、五十一年度からそれを含んで五カ年計画が策定されつつあるわけでございますね。これについてはほかの委員会でも論議があったようでございますけれども、長官の御発言としては、固定した目標は今度は立てないでおいて弾力的に運用したい、そういうふうに私どもは新聞で拝見しているのですが、この中期計画に対する長官の御意見というのをちょっと簡単にお聞かせいただきたいと思うのです。
  22. 福田赳夫

    ○福田(赳)国務大臣 基本的に申し上げますと、まず成長の高さですね、これは高度成長期の一〇%を超えるというこれをかなり低目に抑えていきたい。その低目に抑えるという趣旨は、しばしば申し上げているから重ねては申し上げません。  それから、成長政策の内容、これを大きく転回したいと思うのですが、いままでは何といっても成長中心の政策です。経済が成長、発展するといえばそれの成果がある、その成果をどこに投入するか、重点を次の成長へ、どんどん工場をつくるというような成長中心の配分をしたわけです。そうでなくて、今度は成長の成果をより生活中心という方向へ持っていきたい、こういうふうに考えておるわけでありまして、国民経済全体の中における生活関連の投資というものが産業投資にかわって大きく伸びるような体制、そういうふうに誘導いたしたいということでございます。  いま経済審議会の方でそういう中長期の問題につきまして検討中でありまして、まだこの結論が出ません。予算の編成の前提条件というようなこともありますので、大体十二月中には素案といいますか、概略案といいますか、そういうものを作成してみたい、かように考えております。
  23. 橋口隆

    ○橋口委員 新経済五カ年計画、これにはわれわれも非常に期待をしておりますが、残念ながら、いままでの中期計画というのはいつも見通しが非常に大きくずれてまいるようでございます。また、これが財政その他の経済を引っ張っていくような強い力というのを持っていないと思うのですね。それはどこに原因があるかと言えば、私はやはり長期財政計画というものの裏づけがないせいじゃないかと思うのです。そういう意味で、この新五カ年計画に対応した、また、現在のようにこういう財政ピンチに来ているわけなんですが、そういう財政というものもこの経済計画に合わせた長期の計画のもとに相互補完的にやはり運営されていくべきじゃないかと思うのです。そして、できますならば、よその国のまねをするわけじゃございませんが、西独における景気安定資金ですか、そういうようなもので景気調節をするような構想が必要じゃないかと思うのでございますが、それに対して長官はどういうふうにお考えでございますか。
  24. 福田赳夫

    ○福田(赳)国務大臣 私もそのように思いますね。  中長期計画を立てる場合に財政が非常に大きな役割りを演ずる。これからの経済は成長中心から生活中心だというふうに申し上げたわけですが、そういうことを実現するためには、どうしても財政の役割りというものに大きく期待するほかはないのです。財政の役割りはこれから非常に大きくなってくる、こういうふうに思うわけです。財政が資源配分に非常に有効な立場にあるわけですから、自然そうならざるを得ない。そうしますと、中長期計画を立てるという際に、財政の方も中長期の見通しを持つべきである、こういうふうに考えますが、ただ、この財政の方は、租税政策をどうするか、公債政策をどうするかというようなことがありまして、具体的にいわゆる計画と言えるところまでこれを進めていくということはむずかしいと思うのです。しかし、財政がどういう任務を持つべきか、働きをどういうふうにするかということにつきましては、いわゆる展望という程度のものはぜひ持たなければならぬだろう、こういうふうに考えまして、せっかく作業を進めているわけであります。  それから、そういう中で、財政にいたしましてもあるいはそのもとになる経済にいたしましても、これから世界情勢が非常に不安定要因が多いのです。そういうことを考えると、一応路線を敷きましても、その路線というものは固定的なものであるよりは多少幅を持たせた方がいいというふうな考え方です。固定的な、たとえば何年度何%成長なんというと、それにこだわり過ぎまして、適正な政策の執行を誤るようなことにもなりかねない。ですから、何%ないし何%だというくらいの弾力性を持たすべきだ、計画自体にそうすべきだと考えると同時に、また政策自体が弾力的に推進し運営できる政策手段というものを持たなければならぬ、私はそういうふうに考えておるのです。  そういうことで、いろいろな経済の仕組み、特に財政の仕組みの中では機動的に財政が運営できるような、あるいは税制においても、あるいは関税の制度の上におきましても、あるいは景気調整のための手段、景気調整資金なんというようなことも言われますが、そういうことも考えるべきだというふうに考えておるのです。これから経済を運営していくには硬直した姿勢じゃやっていけないのです。やはり機動的に、活発に、変に応じ機に臨んで政策を転回できるような装備というものはぜひ持たなければならぬだろう、こういうふうに考えるのです。  ただ、景気調整資金につきましては、いま景気調整資金をどうつくるのかというと、これはやはり財源にそれだけの余裕を見出しましてそれをプールするということになりましょう。赤字公債、特例公債を出しているという段階ではちょっとむずかしいのですが、しかし、これはもう赤字公債、特例公債をそう長く出すわけにいかぬ。それが打ち切られた、もう出す必要はないという段階になりますれば、やはりそういう景気調整資金というようなものも持っておいた方がいいんじゃないか。そういう機動的な対処の経済施策、政策手段というものにつきましては総合的にひとつ考えてみたい、かように考えております。
  25. 橋口隆

    ○橋口委員 いまのお話の中で、景気調整資金、景気安定基金でございますが、これは数年前にも税収が非常に多かった場合に考えられた構想なんですが、そのときに実現しておけば非常によかったろうと思うのですね。ところが、いま不況という時代になって、こういう構想はなかなか実現しにくいと思いますが、それに対する将来の準備という意味で私申し上げたので、御検討をお願いしたいと思うのです。  そこで、中長期の経済計画の中でお考えいただきたいと思いますのは、産業間の格差是正も当然でございますが、地域格差の是正というものを政策の中に織り込んでいただきたいと思うのです。これはあるいは全国総合開発計画、三全総の中でも最も必要だと思いますが、中長期の経済計画の中でもぜひ取り上げていただきたいと思いますのは、地域格差の拡大が日本列島の中では非常に大きいのでございます。我田引水のようで大変恐縮でございますけれども、きのうの新聞にその統計が出ておりますので申し上げておきたいのですが、一人当たりの所得でございますが、東京は百四十一万円、ところが、私の郷里の鹿児島県は、これが五十八万円でございます。長官の御郷里の群馬県は八十四万円。群馬県は東京に近いものですから、四十八年度は非常に躍進をしまして、十八番から十三番まで競り上がっていったわけです。ところが、私の郷里の鹿児島県というのは、戦後終始一貫、沖繩が復帰した当時一、二年は別にしまして、残念ながら最低の四十七番目なんでございます。  そこで、いろいろと志布志湾開発の構想あるいは大隅開発計画などというのを立てて推進しておるわけなんですが、やはりこれは国としても考えていただかなければならない大きな問題があろうと思う。というのは、今度の補正予算による先ほどの公共投資の場合でも、高速道路とか新幹線というような巨大プロジェクトには取り組んでおりますが、末端におけるいわゆる農業基盤の改善事業費とかあるいは地方道の整備というような、そういう末端も潤うような施策が必要じゃないかと思うのです。  そういう意味で、長官がこういう地域格差についてはどういうお考えを持っておいでになるか、それから今後の中長期の経済計画の中にもそれを織り込んでいただけるかどうか、その辺の所信をお伺いしたいと思います。
  26. 福田赳夫

    ○福田(赴)国務大臣 これからこの中長期計画を立てるわけですが、その中においてこの地域格差の問題、当然これは重要視しなければならぬことはもちろんです。  なお、これと並行いたしまして、国土の総合開発計画、これの新しい計画を立てるわけですが、その中におきましては、これは具体的に地域開発につながっていくわけでありますので、その際に地域格差の解消ということにつきましては特に配慮をしてまいりたい、かように考えます。
  27. 橋口隆

    ○橋口委員 大臣もお急ぎだと思いますので、これで質問を打ち切りたいと思いますが、日本経済が一番の危機に直面して、しかも長官の力でだんだんと好転しつつある状況で、国民は、お世辞ではございませんが、福田長官に非常に期待をかけていると思います。そういう意味で、今後とも特に経済企画庁の長官としての機能、調整能力、それから副総理としてコントロールしていただきたい。と申しますのは、通産省、農林省、建設省各省は、大蔵省もそうですか、おのおのセクショナリズムに走りがちであって、総合的な観点からの調整機能というものが十分でない。だから、経済企画庁は昔から色男金と力はなかりけりというその標本にされているようですが、長官がおいでになってから、金は別にして力のある官庁になったと思います。だから、そういう意味で大いに期待しておりますので、長官の今後の一層の御健闘をお祈り申し上げまして、私の質問を終わりたいと思います。
  28. 横山利秋

    ○横山委員長 午後零時三十分から再開することとし、暫時休憩いたします。     午前十一時二十四分休憩      ――――◇―――――     午後零時三十二分開議
  29. 横山利秋

    ○横山委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  質疑を続行いたします。加藤清政君。
  30. 加藤清政

    ○加藤(清政)委員 経済企画庁長官の福田副総理に御質問したいと思います。  総理府統計局十月三十一日発表の、十月の東京都区部の消費者物価指数は、総合指数で一七七・六となり、前月に比較して一・七%とかなりの上昇を示しております。対前年同月比で一〇・二%上昇しておりますが、十月には物価の対前年比が一けたになり物価は鎮静すると思っておりましたのが、国民は何か裏切られたというような感を抱いたわけであります。経企庁は、九月二十六日に九月の物価指数を発表したときに、十月には一けたになると発言しておりましたので、何かそのことが裏切られたという感を持ったのであります。  この大幅な上昇は、九月の異常高温と十月の雨続きという異常気象続きで野菜が不作、高値となったと政府は説明しておりますけれども、今年度末に対前年同月比の上昇率を一けたにとどめるためには、十月までにすでに六・七%が上昇しておりますので、十一月以降三月までの五カ月間の上昇率を三・二%以内に抑えなければ公約が達成できないということになるわけであります。福田副総理は、来年三月末には物価の上昇率を必ず一けたにし、来年度中の早い時期に預金金利並みにするとたびたび発言しておりますが、この公約が完全に実現できるかどうか、副総理の見通しをお尋ねしたいと思います。
  31. 福田赳夫

    ○福田(赳)国務大臣 お話しのとおり、十月の東京区部の消費者物価は、前年同月に比べまして一〇・二%の上昇ということになっておるのですが、これは御指摘のように、季節的要因といいますか、特に野菜が暴騰いたしたわけです。野菜が四三%上がる、こういうような状態でありましたので、その影響を受けてそういうことになっておりますが、これは御指摘のように、非常に予想外の結果です。でありまするが、季節的要因を除いてみますと、ちょうど九%ということになるわけであります。この一〇・二というのは、私どもの予想したよりはずいぶん高い水準でございますが、これは季節的要因ですから、野菜が出回って値が下がるということが当然期待されるわけであります。したがいまして、年度末九・九%目標ということには何の影響もない、そういうことです。これが、季節商品以外の物に影響されて消費者物価が上がったということになると容易ならざることでありますが、しかし、季節的要因でありますので、これはまた天候の関係、需給の関係、そういうことで下がることは当然期待されるわけでありまして、九・九%目標にはいささかも影響するところはない、私どもはこういうふうに考えております。  それから、来年度のことにつきましては、しばしば私は、なるべく来年度の早い時期に定期預金金利の水準以下に下げたい、こういうことを申しております。ところが、定期預金金利が今月の四日に一%引き下げになったわけです。そうすると、当時私が申し上げた八%水準の預金金利が一%下がって七%水準になっているのです。さて、そういうことになった場合に、来年度七%以下に物価を抑え得るかというと、私はなかなかこれは自信が持てないのです。七%台ということか、こういうふうに思いますが、具体的に何%目標ということにつきましては、五十一年度経済見通しをいずれ年末までにはつくらなければなりませんけれども、その際決めますが、預金金利よりも消費者物価の上昇が高いという状態、これは一刻も早く解消しなければなりません。そう考えておりますが、来年度の段階で新しく決められた低い水準まで持っていけるかというと、ちょっとまだ自信の持ちかねる点がある、こういう段階でございます。
  32. 加藤清政

    ○加藤(清政)委員 次に、現在の経済政策の課題は、この不況をどう克服するか、景気はいつごろ回復するであろうかということであろうと思いますが、福田副総理はさきに、今日の日本の経済情勢についてということで、昭和四十八年秋の石油ショックによりわが国経済は大変な事態に陥り、これを収拾するためには三カ年を要すると考えるという発言をしておるわけでありますが、景気の着実な回復と、他面、物価の安定という二つの相反した政策を調和させていくことは容易でないと思いますが、副総理のこのことについての御見解と、一体景気はいつごろ回復すると考えておられるか、その見通しについて副総理の見解を伺いたいと思います。
  33. 福田赳夫

    ○福田(赳)国務大臣 あの石油ショックによる影響、これは非常に甚大なものがあるわけでありまして、そう簡単には直し得ない、三カ年の調整過程を必要とするということは、しばしば申し上げておるところでございますが、その調整過程の中で、初年度である四十九年度の課題は、何といっても燃え盛るインフレの火の手を消すことである。いわゆる狂乱と言われたあの状態は、需給インフレですね。つまり仮需要が発生して、土地でも資材でも買っておけば先が高くなる、こういうので、用もないのに人々が土地や物を買いあさる、こういう状態でありましたが、その状態は私は完全に克服し得た、こういうふうに考えております。ですから、もうインフレという状態じゃなくて、物価上昇というような状態はなお続いておるわけですが、これはもうコストインフレ、そういうふうに言っていいんじゃないか。コストが物価引き上げの要因になっておる今日になってきておる。  そういう中で、コスト要因とすると賃金の問題があります、公共料金の問題があります、あるいは輸入価格の問題があります。そういういろいろな要素を考えてみるときに、賃金はとにかくなだらかな解決、そういうところにきて大変私はよかった、こういうふうに思います。  それから海外要因も、昨年のあの急上昇、そういう事態は脱却いたしまして、OPECの原油価格の引き上げというような事態はありますが、しかし、上昇率の勢いというものは非常になだらかになってきておるわけであります。  公共料金につきましては、これは改定を要するものがたくさんあるのです。ありますけれども、細かいものは別といたしまして、大きなものは酒、たばこ、郵便料金というものにしぼっておる。  そういうふうなことでございまして、これから先、とにかく一つ一つの物資の需給、そういうものをよく見詰め、需給の均衡が破れないように、また経済全体といたしましても、いま非常に需給の緩和の状態でありますが、この状態はまだ続くものと思っております。  そういう中において、物価の方はまあ鎮静基調が定着していく過程にある。他方、景気は一体どうだ、こう言いますと、これは世界じゅうがいま不況。先ほども橋口さんに申し上げたのですが、プラス成長になる国はないのです。わが国だけがプラス成長なんです。そういう状態であるにかかわらず、いま企業は不況をかこっておる。それはわけがあるわけですね。つまり金利負担、人件費負担――まだわが国経済は上昇過程にはあるものの、まだ過剰設備、過剰人員を相当抱えておる。そうすると、その過剰人員に対する人件費負担、過剰設備に対する金利負担、これが企業の経理を非常に大きく圧迫するわけですよ。そういうことで不況現象ということになっておるのですが、その状態をどういうふうに解決するかという問題なんです。  結局、企業操業度を上げて過剰人員が、あるいは過剰設備がないような状態に持っていかなければならぬ。それにはどうするかというと、これは最終需要を喚起するほかない。最終需要といえば、四つの大きな項目があります。国民消費、設備投資、輸出、それから政府の財貨サービス、そういうことですが、この際とすると、財政は非常に困難な状態にありますが、財政に景気刺激、つまり需要喚起の任務を担当させるほかはない、こういうふうに考えまして第四次不況対策というものをとったわけですが、これで景気は着実な回復過程に入っていく、こういうふうに私は思います。  そして、企業の操業度、これは製造業稼働率指数でいうと九〇に接近する、こういうふうに思うわけです。ですから、望ましい稼働率は九五というふうに言われておりますが、そこにはまだいかないのです。いかないのですが、まああと一年たてばその辺にいくだろうなという実感を企業に持っていただけるような状態に下半期においてはなっていくだろう、こういうふうに確信をいたしております。
  34. 加藤清政

    ○加藤(清政)委員 次に、政府は財政欠陥の補てん策として、補正予算では建設国債一兆千九百億円、赤字国債二兆二千九百億円の国債発行をしようとしておるわけですが、このような巨額の国債の発行には厳格な歯どめ策を実施しなければ、インフレを誘発する大変な危険性があると考えられるのですが、ちなみに国債依存度が本年は二六・三%、そして昭和十四年の戦時国債華やかなりしころの最高時に二八・八%ということで、第二の大量国債の増発ということになるわけです。  そこで、この大量国債の増発は財政の硬直化を招き、そしてインフレを誘発するおそれがあるということで、今度の国会では大変この問題が大きな問題になろうと思うわけでありますけれども、聞くところによると、おそらくきょう福田副総理は、三木さんの外遊に伴って臨時総理大臣、副総理、大蔵大臣、経企庁長官という四つの肩書きを持った名実ともの実力者と言われておるわけですが、副総理のこれに対する見解と、またその対策についてどう考えるか、明快な御答弁をひとついただきたいと思います。
  35. 福田赳夫

    ○福田(赳)国務大臣 国債がとにかく五兆五千億も一年間に発行される、これは容易ならざる事態だと思います。まさに財政非常の事態であるというふうに考えるわけでございます。しかし、いま経済が、需給が非常に緩和して、設備に余裕がある。また、いわゆるデフレギャップの状態にある。そのデフレギャップの克服ということが当面の景気対策として非常に重大な折である。そういう際に、先ほど申し上げましたが、財政がそのギャップを埋める、つまり最終需要を喚起する、そういう役割りを負わなければならぬ、そういう状態であるときに公債が発行される。公債が発行されるということは、公債を発行しないのに比べまして非常に政府の財貨サービス需要というものが多くなるわけですが、多くなりましても、とにかく年率下半期実質で六%成長だ。上半期に比べると三一%成長。そして、企業操業度を稼働率指数で見ると九〇になるかという、それに接近するという程度の状態だというのですから、公債を発行して物の需要を喚起いたしましても、これは直ちにインフレにつながっていくという危険性は私はない、こういうふうに思っています。  ただ、非常に私どもも気を使っておりますのは、発行されたその公債が完全消化される、こういうことが前提にならなければならぬということなんです。完全消化しなければ、それは結局日本銀行の札を刷るということになるわけなんです。そういうことになれば、過剰流動性を醸し出す、こういうことになる。過剰流動性が出るということになれば、過剰流動性というのは何をするか。これがまた思惑需要でありますとか仮需要を発生する。そして物の需給の均衡を失なわせるということになれば、これはまさしくインフレということになる。完全消化というのがもう絶対条件であり、これをするということが最大の決め手、歯どめということになるのでありまして、この完全消化につきましては全力を尽くしてそれを実現いたしたい、かように考えております。
  36. 加藤清政

    ○加藤(清政)委員 それと関連しましてお尋ねしますが、政府は二月十四日に第一次不況対策を実施して以来、三月二十四日に第二次不況対策、六月十六日に第三次不況対策、そして九月十七日には第四次不況対策を実施したわけですが、この第四次不況対策の事業規模は約一兆五千億円、金融政策としては、窓口規制の事実上の撤廃、四回にわたる公定歩合の引き下げ、預金金利の引き下げがなされたわけですが、これによって金利低下の経済効果だとか、あるいは国債発行に伴う通貨供給量の増大の効果だとか、また心理的効果によって景気は刺激され、それが企業の価格転嫁を可能にする条件がここで整うということになろうと思いますが、これによってインフレ再燃の恐れが大変心配されるわけですが、これに対して副総理の見解を伺いたいと思います。
  37. 福田赳夫

    ○福田(赳)国務大臣 ただいま加藤さんからお話しのいろいろな施策は、いずれも最終需要を刺激するということにつながっていくわけなんです。最終需要を刺激いたしましても、いま需給が非常に緩和いたしておりまして、そして設備過剰、それから人員過剰というような状態になっておるわけですが、最終需要を刺激いたしまして、そういうギャップを埋めようといたしましても、そう短期間には埋まらぬというような状態でありますので、財政支出を拡大しあるいは金利を下げあるいは金融の量的面において緩和というか、資金供給を拡大するという政策をとりましても、これが直ちにインフレにつながっていくのだというふうには考えません。むしろ皆さんから、不況がこの程度のことで回復できるのかということを言われるくらいでありまして、これが度を過ぎてインフレを醸成するのだということは、私どもは心配はない、そういうふうに考えております。
  38. 加藤清政

    ○加藤(清政)委員 時間がございませんので、なるべく御答弁は簡単にお願いしたいと思います。  次に、私鉄運賃の値上げと国鉄料金の値上げについてお尋ねしたいと思います。  まず私鉄運賃の値上げについてお尋ねいたしますが、福田副総理は、六月二十六日のこの物価対策特別委員会のときに、私の質問に対して、私鉄運賃の値上げを軽々に認可するという考えは全然持っておりませんという明快な答弁があったわけです。ところが、先般の予算委員会では、私鉄運賃の値上げはやむを得ないという発言をしておられますが、わずか四カ月の短期間において見解の相違があったわけでありますけれども、これについて福田副総理のお考えをお尋ねしたいと思います。  なお、国鉄の運賃については、国鉄は九月十六日に各種料金の平均三二%の値上げを運輸大臣に申請し、そして運輸大臣は昨日これを許可しましたが、これによってグリーン料金は九二%、新幹線は二四%と大幅な値上げをしたわけですが、国鉄料金は、私鉄運賃と違って、運輸大臣の認可事項であって、国会の議決は必要ないことになっております。そして国鉄料金は消費者物価指数の調査対象品目に入っていないために、これを幾ら上げても物価一けたの公約には影響ないという仕組みになっておるわけであります。しかし、国民、特に勤労者に及ぼす影響というものは大変大きいと思いますが、このような公共料金を値上げすることに対する物価の最高責任者である副総理の御見解をお願いしたいと思います。
  39. 福田赳夫

    ○福田(赳)国務大臣 公共料金に対する基本的な考え方につきましては、先ほど橋口委員にもお答えしたとおりでありまして、原油価格四倍引き上げというのに対する諸価格の調整、これは公共料金におきましてはほとんどまだできておらぬ。そういうので、逐次なだらかに、これを三年ぐらいかけて一回りするように改定をしていかなければならぬだろう、こういうふうに考えておるわけです。  そういう中で、特に私鉄運賃につきましては、この六月当委員会で加藤さんの御質問に私は非常に慎重な態度を示したわけです。そういうこともあって、当時私鉄運賃の値上げがささやかれておったのですが、これも延び延びになってきたわけです。先般私鉄から改定の申請がありまして、ただいま運輸審議会においてこれを審議しておる、こういう段階になっておるわけです。運輸省がそれを受けまして、また御相談があろうと思うのですが、まだ相談を受ける段階まで来ていないのです。その後六月以降物価の情勢を見ておりますと、鎮静化の動きがさらに顕著に固まってきておるわけであります。そういう情勢を踏まえまして、運輸省から私鉄運賃について意見が述べられる、そういう際におきましてどういうふうに対処するか、運輸省がどういう案を持って来るかにもよりますが、物価の情勢等今後のこともありますので、慎重に踏まえて考えます。  そこで、その実施時期、それからそれを実施するタイミング、その点につきましては、特に深甚な配慮をいたしまして、最終的な態度を決めたい、こういうふうに考えております。  それから国鉄につきましては、これは大問題がありますのは、国鉄の経営全体としてこれは再建しなければならない。特にその中で大きな問題は、財政再建の角度の問題です。いまこれは政府におきまして長期的にどういうふうに国鉄を安定させるかということにつきまして検討中でございます。その検討の中の重要な一環として運賃問題が出てくる。この運賃問題をどういうふうにさばくかということは、これは重要な課題になってくるわけでございますが、いま総合政策をあれやこれやと作案をしておる、総合的長期計画を検討中である、こういう段階でありますので、いまその一環である運賃をどうするかということについて申し上げられない段階でございますが、これにつきましても、私といたしましては、国鉄運賃改定問題、これは解決しなければならぬ。これは当然そういうふうにしなければならぬと考えてはおるものの、その実施の幅とかタイミングだとかいうものにつきましては慎重な配慮をしなければならぬだろう、かように考えております。
  40. 加藤清政

    ○加藤(清政)委員 副総理に対しての質問はこれをもって終わりますが、政府は十一月七日に第八回消費者保護会議を開催しておりますが、政府としては消費者保護にどのような姿勢で取り組まれておるのか、また、この会議では具体的にどのようなことを検討されておられるのか、その点をお尋ねしたいと思います。  さらに、消費者保護には、大企業の寡占価格や違法カルテルをやめさせることによって公正かつ自由な競争を促進することが必要であると副総理は言われておりますが、そのためには独禁法の改正が急務であろう、そのように思いますが、福田副総理は一昨日の商工委員会で、次の通常国会には政府として提出すると明言されておるわけですが、なぜこのたびの臨時国会には出されなかったのか、副総理として、これまでの経過と名実ともに実力者と言われる副総理のこれに対しての忌憚のない御答弁をお願いしたいと思います。
  41. 福田赳夫

    ○福田(赳)国務大臣 今国会に独占禁止法の改正案を提案いたさない理由は二つあるわけです。  一つは、これは本国会が臨時国会であって、その臨時国会のねらうところは不況打開、こういうことにあるわけです。そこで、不況打開にかかわる諸問題に全精力を傾倒する、こういうたてまえでありますので、経済基本法の一つであるとも言われる独占禁止法、その提案並びに御審議は本臨時国会にはなじまない、こういうことが一つ。  それからもう一つは、前の通常国会で参議院段階で審議も行われないまま廃案となった衆議院送付案ですね、これにつきまして、率直に申し上げまして、自由民主党の中でなお意見の調整を要する問題がある、こういうことなんであります。いまその調整を急いでおるわけでございますが、何とかして調整を早く終了いたしまして、次の通常国会にはこれを提案をしたい、こういうふうに考えております。
  42. 加藤清政

    ○加藤(清政)委員 先ほど消費者保護会議を開催しておることについて政府としての消費者保護に対する取り組み、姿勢について御質問いたしましたが、その点ひとつどなたか御回答願います。
  43. 下山修二

    ○下山説明員 御説明申し上げます。  十一月七日に消費者保護会議が開かれました。内容といたしましては、消費者保護基本法に基づきまして、消費者の危害の防止あるいは計量の適正化、それから規格の適正化、表示の適正化、公正、自由な取引の確保等、個別に申し上げますと約三百七十項目にわたりまして、当面――といいますのは、この決定以後五十一年度末までにおける施策を決定したわけでございます。  その中身を若干御説明申し上げますと、最近の省資源というふうな観点に立ちまして、消費者の利益の実現を図るためには、いろいろのエネルギー効率のよいような製品をつくってもらうことであるとか、あるいは過度のモデルチェンジあるいは過剰包装を慎むことであるとか、あるいは消費者がこの機械を買った場合にはどのようなエネルギーの消費が行われるのかというふうなことについての考え方のもとに、先ほど申し上げました相当の項目を掲げたわけでございます。  二番目には、そのような観点とも関係するわけでございますが、これからの低成長の時代におきまして、いろいろの競争の環境が変わってくるという立場に立ちましての項目の決定がございます。  これを二、三類型別に申し上げますと、一つは公正、自由な競争の確保ということでございまして、自由な競争の条件をつくるということで、特に公正取引委員会を中心にして施策を展開するということがございます。  三番目には、景表法に基づくいろいろの規制を強化するわけでございますが、不当な景品あるいは不当な誇大広告というようなものから消費者を守るような施策を今後は一層進めなければならぬというようなことでございます。  これらは経済企画庁を初め各省庁に関係することでございますので、各省庁の合意を得て、これから当面一年間はこの決定に基づいて施策を進行していくということを内容としているものでございます。
  44. 加藤清政

    ○加藤(清政)委員 私の持ち時間があと十五分しかありませんので、続いて御質問したいと思いますが、副総理にこの一点だけお願いをしたいと思うのですが、先ほど独禁法について副総理から臨時国会になかなか出せないその理由についてお話がございましたが、しかし、前国会において五党一致で独禁法が衆議院において通過したのでありまして、今回は独禁法に国民が大きな期待を持っておったわけですけれども、まだ今国会は日がありますし、名実ともに実力者と言われる副総理が党内の問題あるいはいろいろの困難を克服して独禁法を提案していただくようにぜひお願いしたい、そのように思います。
  45. 福田赳夫

    ○福田(赳)国務大臣 先ほど申し上げましたように、この臨時国会は独禁法改正のような基本的な問題の討議の場としてはなじまない、事実そういうことになっているのじゃないかと思うのです。財政関係の法案自体を見ましても、会期を延長しないとむずかしいのじゃないかなんというような見方がいまあるくらいなことでありまして、そういう際にこういう基本的な法案を処理するということは、これは妥当じゃないのじゃないか、そういうふうに思います。  それから、先国会で参議院で審議もされないままに流れた、こういう背景には、一応自民党で、合意は見たというものの、またきめ細かな調整というものがなかったということも原因ではないか、そういうふうに私は思うので、そういう経過になっておりますので、この際調整を進めて、そうして通常国会にこれを提案するということの方が妥当である、こういう考え方でございまして、通常国会に提案できるような調整につきましては、私どもといたしましても大いに努力をしなければならぬ、さように考えております。
  46. 加藤清政

    ○加藤(清政)委員 それでは、農林省にお尋ねしたいと思うのですが、前国会の物価対策特別委員会で食肉の問題が大変問題になりまして、かつて大宮の食肉市場と飼育農家を委員会で視察いたしましたが、その後、農林大臣を委員会に呼んでこの肉の問題について討議をするということになっておりましたが、国会の都合で委員会が流会になって、肉の問題は何かしり切れトンボになったような感じであるわけです。  そこで、肉の問題について重ねて御質問したいと思うのですが、相変わらず高値を続けております豚肉の卸売価格についてお尋ねいたします。  この問題に対しましては、六月にも私は質問をいたしましたが、豚肉の卸売価格はその後も現在に至るまで高値を続けております。東京都の中央卸売市場食肉市場では七月、八月と九月初旬までは八百円台で、その後は七百円台で推移しておりますが、豚肉の卸売価格は、畜産物の価格安定等に関する法律によって生産者と消費者をともに保護するための安定価格帯が設定されておりますが、その安定上位価格、本年度は六百八十円ですが、これを百円近くも上回っている価格で豚肉の卸売価格は推移しております。本年度に入ってからも、この法律で決められました安定価格帯内に豚肉の卸売価格がとどまったのはわずか半月ほどであって、それも新しい安定価格帯を決めた四月の初めだけであったわけなんです。つまり、法律で安定価格帯を決めてあるのに、消費者保護は全くされてないと言わざるを得ないわけでありまして、安定価格帯の意味がないと考えられますが、この安定価格帯についての政府の見解についてまず第一にお尋ねしたいと思います。  それから、農林省統計情報部の九月一日公表の供給予想というのでしょうか、専門語では供給予察になっておりますが、供給予察によりますと、豚肉の供給予想は相変わらず対前年比で八〇%前後と大幅な減少であります。  政府は、この豚肉の高値に対しまして、輸入豚肉の関税の減免措置を六月十九日に発令しまして、その後その措置を十一月末まで延長しましたが、豚肉の卸売価格は安定価格帯を大幅に上回って高値の連日であるわけであります。つまり、輸入関税の減免措置は何の効果も示していないと言わざるを得ないわけです。  また、当然のことでありますが、卸売価格が高騰すれば小売価格も上がります。消費者は非常に苦しんでおるわけですが、政府はこれに対してどのような対策を持っておられるか、お尋ねしたいと思います。  時間があと七分でありますので、ずっと続けて御質問します。  次に、豚肉を主要原料としておりますハム、ソーセージの価格であります。豚肉の卸売価格の上昇によりまして、伊藤ハム、プリマハム、日本ハムなどの食肉加工大手メーカーは十一月に入ってから相次いで製品価格の値上げを発表しております。これらの食肉加工メーカーは、七月に農林省の行政指導によりまして平均七%の値上げを消費者や食肉小売店の反対を押し切って値上げしたばかりであります。わずか四カ月後にまた平均八%の値上げをしようとしております。これらのメーカーの値上げに対して、政府は一体どう対応するつもりなのか、その点をお尋ねしたいと思います。  続いて牛肉に関してでありますが、牛肉は本年五月から豚肉と同様に畜産物の価格安定等に関する法律の指定食肉に追加されておりまして、安定価格帯が設定されました。本年度は去勢和牛の中規格は安定基準価格千百四十三円、安定上位価格が千五百十八円でありまして、その他の去勢牛の同じく中規格は安定基準価格は九百三十円、安定上位価格は千二百三十六円と決められております。ところが、東京都中央卸売市場食肉市場では、八月五日に千二百三十九円と安定上位価格を超えて以来、卸売価格は連日上昇しております。それでも九月までは何とか千三百円台で推移しておりましたが、十月に入ってから千四百円台と高騰しております。去勢和牛も同様に安定価格帯を上回っております。卸売価格が上昇すれば小売価格も従って上昇いたします。先ほど申し上げましたように、豚肉も非常に高く、牛肉も高くなっておりますが、物価高に悩んでいる消費者はますます苦しめられております。しかもこれからは牛肉の需要期に入るわけであります。年末、年始には需要が大変拡大されると思いますが、これに対して政府の見解と対策をお尋ねしたいと思います。  続いてなおお尋ねしますが、安定価格帯とは、そもそも卸売価格をその中で推移させ、かつ中心価格付近で維持させることが望ましいことは言うまでもありませんが、現時点では政府は何ら効果的な政策を実施しておりません。牛肉が高値を続けている現時点では、畜産振興事業団の機能を有効に作用させて、輸入牛肉を大量に放出するなどの効果的な手を打つべきであると考えますが、この点についてお尋ねしたいと思います。  なお、民間貿易の輸入牛肉には関税のほかに調整金が積み立てられておりますが、十月からはこの調整金が大幅に引き上げられております。たとえば、現在高値を続けております去勢牛に相当するチルドビーフのフルセットではキロ当たり五十円であったものが、一挙に三百十円に引き上げられております。また、冷凍のブリスケットではこれまでキロ当たり十円でありましたものが、二百九十円とはね上がっております。つまり、六倍から三十倍という大幅なアップであります。これではせっかく安く輸入された輸入牛肉も国内の卸売価格を引き下げることはできないと考えます。これについて農林省の指導と見解をお尋ねしたいと思います。  最後に、畜産振興事業団は輸入牛肉の大部分の量を取り扱っておりますが、この取り扱い方にも大きな問題があります。これは事業団が従来は買い入れ価格に手数料だけを加えて随意契約で売り渡していたものを、市場での競り売りや需要者団体に入札で売り渡す制度に変えたことであります。これによって事業団は膨大な利益を得ております。私の調査によりますと、九月十一日の入札では、事業団は輸入商社からチルドビーフ千五百トンをキロ当たり七百円から九百円で買い入れたということであります。ところが、売り渡し価格は千八百三円から千八百八十円でありまして、実に一キロで千円以上の利益を生んでおります。千五百トンですから、一日で十五億円の差益があったわけであります。これでは幾ら安い牛肉を輸入しても消費者は安く買うことはできませんし、国内相場を冷やして需要を豊かにするということはできないわけであります。いたずらに国の外郭団体であるこの食肉事業団がもうけるというような結果になるわけであります。これに対して政府はどう考えておられるか、お伺いしたいと思います。安い肉を求めている国民の期待を裏切るという結果になりますので、この点について明確にひとつ御答弁をお願いしたいと思います。  最後に、価格安定と消費者保護の立場に立って行政を進めている農林省として、これらの実態をどう見るか、また外郭団体に対してのチェックをどうするか、その点についてもあわせて御答弁をお願いしたいと思います。  以上、盛りだくさんになりましたが、時間がすでに経過しておりますので、総合的にひとつ御答弁を願いたいと思います。
  47. 甕滋

    ○甕説明員 お答え申し上げます。  豚肉についてと牛肉についてと二つの分野にわたる御質問でございますので、順次御説明を申し上げます。  まず豚肉についての安定価格制度でございますが、これは昭和三十六年から今日までやっておりまして、御案内のとおり、豚肉の価格を一定の安定価格帯の中に安定をさせまして、食肉生産の安定と消費の安定に資する、こういうことで運用をしてまいったわけでございます。  輸入豚肉につきましては、国産の豚肉の補完という観点から、上限価格を上回るような際に輸入を促進して需給の安定を図るという役割りがございまして、関税減免措置ということを今日までやってございます。そういう運用を今日までやってまいりまして、一時的な上昇、低落というような経験をいたしておるわけでございますが、全体として見ますと豚肉生産はその間に飛躍的に増大をいたしました。それに伴って豚肉が国民の食生活に深く定着するに至っておるという点から考えまして、豚肉の生産者のみならず消費者のために今後とも安定価格制度の適切な運用をしてまいりたいと考えておるわけでございます。  それから、ただいま触れました減免につきまして効果が薄いのではないかという御指摘がございました。御指摘のとおり、六月十九日から今日まで減免を続けておりますが、かなりの期間にわたって相当量の豚肉の輸入が行われたわけでございますけれども、国際的な肉豚出荷の減少と豚肉価格の上昇という事態がございまして、残念ながら今回の場合国内価格への影響がいつもよりは薄かったのではないか、こういう結果でございます。  なお、豚肉の価格につきましては、七月が卸値としては最高値を記録いたしまして、その後八月以降は高いながらもやや鎮静というかっこうをとってございまして、小売価格につきましてはこの二、三カ月百グラム当たり百七十円程度ないしは弱含みということで推移をしております実態でございます。  ハム、ソーセージの値上げにつきましては、この初夏以降豚肉価格が高水準に推移をした。それから先ほど触れましたように、豚肉生産の国際的な減少傾向というものがありまして、海外の豚価も従来になく高い。こういうことで、原料豚肉の高騰ということを理由といたしまして各メーカーの方から、その全製品にわたりまして大幅な値上げをしたい、こういう意向の打診があったわけでございます。豚肉の減免の趣旨からいたしまして、農林省といたしましても各メーカーに対しまして減免期間中の価格の抑制ということを指導してまいったわけでございますので、そういったメーカー側の意向に対しましては極力値上げをやめるよう要請を続けておりました。しかし、主原料コストの状況等からいたしまして、かなりの高騰ということは事実でございますので、ある程度の値上げはやむを得ないという考え方に立って指導を行ったわけでございます。しかし、国民の食生活に与える影響が非常に大きいということにかんがみまして、プレスハムでございますとかソーセージ等の大衆製品の値上げは中止すること、それから豚肉のみを原料とする高級単味品についてしぼる、しかしその上げ幅も極力抑える、こういうような要請を行ったわけでございます。各社もこれらの要請を受け入れまして、去る七月一日に限定的な範囲でそういう値上げを行ったわけでございますが、今回につきましても、同様の事情で非常にしぼった値上げということに踏みとどまらせた、こういう経過でございます。  次に、牛肉でございますが、牛肉価格も御指摘のとおり、本年五月の牛肉価格安定制度発足以来、安定価格帯の中心水準をやや上回る状況で推移しておりましたところが、八月から安定上位価格を超え、今日に至りましても依然として高水準にあるということでございます。このような牛肉価格の動向に対処しましてその価格の安定を図るために、本年六月から、昨年来事業団等で調整保管をしておりました牛肉を逐次放出いたしますとともに、昨年二月以来停止をしておりました牛肉の輸入割り当てを再開いたしまして、六月に一万トン、八月に二万トン、それによって一応十二月までの需給の不足分について手当てを行ったつもりでございます。さらに年末年始対策に万全を期するために、先ごろ二万トンの輸入割り当てを行ったところでございます。  以上の結果、年末までの半年間に約五万トンという追加の供給が行われることになるのでございますが、これは昭和四十八年を除きまして過去に例を見ない大量の供給でございます。四十八年は、御承知のとおり、非常な大量な輸入が行われましてその後に大幅な暴落があった、こういう年でございますが、過去に例を見ない大量の供給でございます。特に今後年末にかけましては三万トン近い供給を行うことが可能な体制を整えておるところでございます。  その際、事業団が中心になって輸入を行いまして売り渡しをしていくという仕組みになっておりますが、その牛肉の調整金の話がございました。事業団の牛肉の売り渡しにつきましては、法律に基づきまして中央卸売市場におきます売り渡しが原則でございますが、そのほか指名競争入札でございますとか、従来の経緯によりまして例外的な措置としての随意契約というものもあわせて行っておるわけでございます。牛肉価格安定制度が発足いたしまして、その売り渡しにつきましては事業団の輸入牛肉は価格安定、需給操作のためにこれを放出するという位置づけになりました関係から、売り方につきましても、需給実勢を反映した公正な売り方ということが原則に相なりますので、市場における売り方あるいは指名競争入札というものも導入いたしましてその売り渡しを行っておるわけでございます。たまたま現在原産地の方が異常な牛肉価格の低落を見ております反面、国内においてはこれが高いということで、従来よりも大きな差額というものが発生していることは事実でございますけれども、その後、原産地におきましても国際価格が回復してきておるという事情がございますし、また国内におきましても、先ほど申し上げましたように、価格の安定を図っていく、こういうことでございますので、その調整金等につきましては、これ以上大きくなるということではなくて、傾向といたしましては当然縮小してまいるものと見ておる次第でございます。  なお、それに触れましてチルド牛肉の御指摘がございましたが、事業団がチルド牛肉をインポーターと需要者相互の見積もり合わせの方式でやりまして一回買い入れたことがございます。そのときの売り渡しについては、先ほど申し上げましたように、輸出国の実勢価格が低落しておった反面、国内におきましては、長期間にわたるチルドの輸入が停止をしておったという状況のもとでございまして、先物でございます関係での先高の思惑というものが相当働いたことば否定できないと考えておるわけでございます。  今後のチルド牛肉の取り扱いにつきましては、本来チルド牛肉が生鮮商品という特性がございますので、事業団自体が直接現物を取り扱うということがなかなか困難な面がございます。そこで、前回の経験も踏まえまして適切な方法で今後やっていきたいということで検討しておりますが、現在のところ、従来やっておりましたいわゆる瞬間タッチの方法で扱うことが適当ではないか、こういう考え方で今後の輸入につきましてはそのように処理したいと考えておる次第でございます。  なお、消費者保護という観点から農林省も各種の指導を行うべきであるという御指摘が最後にございましたが、その点につきましては、私ども安定価格制度というものが、生産者のためだけではなくて、価格の安定を通じて消費者のためにこれを運用するということは当然であると考えておりまして、残念ながら現在のところ上限を豚肉、牛肉ともに超えているという事態は大変遺憾でございますけれども、長期的には国内の生産、経営を安定させるという対策、それから当面の問題としては輸入による調整ということを主体といたしまして、これを安定価格帯の中におさめるよう最善の努力を払いたいと考えております。  特に年末にかけましての物価対策という観点からの御心配があろうかと存じますが、その点につきましては、輸入牛肉について、本来事業団が、先ほど申し上げましたように、需給実勢価格でこれを取り扱うということには違いございませんけれども、上限価格を上回っている場合におきましては上限価格どまりということで、それから品質格差でございますとか、物価その他の経済事情でございますとかいうものを参酌をして予定価格を決め、運用するということができますので、時価よりも安い価格で直接消費者につながる流通ルートに輸入牛肉を流すということも検討をしておりまして、相当大量な供給を行いたいというふうに考え、消費者対策という点におきましても万全を期してまいりたいと考えておる次第でございます。  以上です。
  48. 加藤清政

    ○加藤(清政)委員 質問を終わります。
  49. 横山利秋

    ○横山委員長 次に、松浦利尚君。
  50. 松浦利尚

    ○松浦(利)委員 関連質問ですから、加藤委員の質問に関連して若干質問さしていただきます。  その一つは、御案内のとおりに、六カ国首脳会談に三木総理以下大蔵大臣、外務大臣が御出席なさる後を受けられるわけでありますが、実は財政主導型の浮揚政策をこれからもとっていくということになれば、どうしても今度の補正予算と関連をさせて来年度の予算がどうなるかということがやはり大きな焦点になってきておると思うのです。  そこで、副総理にお尋ねいたしますが、大蔵大臣は年度内編成は可能だと言うのですが、第四次不況対策の効果がどれくらいあらわれるのかということがまだはっきり出ない段階で、来年度予算編成は年度内間違いなく編成終わるのかどうか、その点をひとつまずお聞かせいただきたいと思うのです。
  51. 福田赳夫

    ○福田(赳)国務大臣 通常国会は十二月に召集され、恐らく一月の下旬早々には実質審議が再開されるのじゃないか、そういう日程を考えますと、これはどうしても年内編成ということをいたしたい、こういう気持ちになるわけですが、まあ松浦さんがおっしゃる景気の情勢の見きわめてすね。これも非常に重大な問題ですから、十二月予算編成という際にそういう来年の見通しを立てるいろんな条件がそろうかどうか、これはなかなかデリケートな問題になってくるだろうと、こういうふうに思います。しかし、とにかく国会の審議、これは非常に重大ですから、これに支障があってはならない、そういうことから一応は年内予算編成ということをたてまえにして作業を進めておかなければなりませんけれども、最終的にどうするか、これはまた、この臨時国会が会期が延長になってどういうふうになるかということもまた関係がないわけではないのでございます。  そういうことで、最終的に年内編成になるかならないか、そういうようなことはこれからの国会の推移また経済情勢の動きなんかを見きわめた上で決めなければならぬと、こういうふうに思いますが、一応年内編成ということで作業は進めたいと、かように考えております。
  52. 松浦利尚

    ○松浦(利)委員 そこで、臨時総理になられる方にお尋ねするのですが、来年度も予算編成は赤字公債抜きでは編成できないということだけは、私ははっきりしておると思うのです。当初予算から赤字公債発行ということにならざるを得ない。そうしますと、今年度は、御承知のように、歳入欠陥を補うという意味で赤字公債発行ということで特例法が出されておるわけですが、来年度からはもう当初予算から特例債によらざるを得ない。赤字公債によらざるを得ない。ですから、同じ赤字公債でも性格が違ってくると思うんですね。入ってくるものが幾らかわからない、だから歳出の方から検討して歳入とのアンバランスを赤字公債で埋めるという、そういうことが可能になってくるわけですよ、当初から赤字公債ですから。となってきますと、歳出増の要求というのは非常に多数であり、また種類も多うございますから、場合によると赤字公債というものが相当大規模になることも私は予想しておかなければならぬと思うのです。副総理としては来年度の赤字公債発行額というのは大体どれくらいだと、どれくらいが好ましいというふうに思っておられるのですか、その点をひとつはっきりしていただきたいと思います。
  53. 福田赳夫

    ○福田(赳)国務大臣 来年の予算で特例公債なしにこれをやっていくというのは、私はこれはまあ不可能である、こういうふうに思います。しからば、その特例公債の額は一体どういう程度か、こういうことになりますが、これは先ほど松浦さんがおっしゃいましたが、さて来年の景気は一体どういうふうになるかということが、その特例公債の額を決める大きな要素になると思うのです。つまり、経済が自立反転というような体制に移っていくかいかないか、財政のてこ入れをそう多額に期待せぬでも、経済が正常運転の状態になるかどうか、こういうことだろうと思うのです。まあ私は、とにかく来年もまた財政に景気の支えということを相当期待しなければならぬ、そういうような状態かと思いますが、その程度が一体どの辺までなるか、これはいまこの段階で見きわめるわけにはいきません。いきませんけれども、結論的に申し上げられることは、来年そう増税というようなわけにいかぬでしょう。そうなりますと、どうしても特例公債というものをかなりの額を出さなければならぬだろう、かように考えます。
  54. 松浦利尚

    ○松浦(利)委員 私が非常に心配しますのは、来年度の予算編成に当たって、歳出から議論が始まって、そしてそれを歳入に合わすために、つじつまを合わすために公債ということになってきますと、逆に言いますと、歯どめがなくなるわけですよ。ですから、予算編成する責任者として、大体来年度の公債はこれくらいに抑えなければいかぬという歯どめの限界というものは、私は予算編成段階では明らかにしておく必要があると思うのです。そうしなければ、極端に言えば、不要不急のものまで歳出増要求が出まして、その分だけは赤字公債で埋め合わしていく、そういう事態になりかねないという危険があります。  私は赤字公債をインフレにしないための歯どめとしては、完全市中消化ということを言われたこと、そのことはそのとおりだと思うのです。逆に言うと、今度は予算編成上における赤字公債の限度額の歯どめというのは、私は政策的に頭からぴしっと決めておかなければ、それは十兆でも十五兆でもいいということにならないわけですね。ですから、そういった意味では、限界はこの辺だという一つの限界というのは私はあってしかるべきじゃないかと思う。七兆というふうな話もちらほら聞いております。ですから、この際副総理としては、依存率がどうのこうのということは申し上げませんが、大体来年度はこの限界に抑えたい、経済担当大臣としては、この限界が来年度の赤字公債の限度額だ、市中消化の限界だという一つの数字というものは私はお持ちだろうと思うのです。その点をひとつお聞かせいただきたい、こういう意味です。
  55. 福田赳夫

    ○福田(赳)国務大臣 よく御趣旨はわかりますが、またしかし、そのお尋ねに対して的確なお答えをまだし得る段階でないということも御理解願えると思うのです。要するに、来年輸出が一体どうなるか、設備投資がどうなるだろうか、個人消費がどうなるだろうか、そういうことを踏まえて、仮に五%成長だ、六%成長だ、それを実現するためには財政はいかなる役割りを演じなければならぬか、こういうふうに考えるわけです。  そこで、これは来年度の適正成長率を幾らにするか、これも決めてかからなければなりませんけれども、その際に、財政にどのような役割りをひとつ担わせなければならぬかということで、その財政の規模は決めたいと思うのです。ですから、途方もない大きな財政の枠ということは考えられませんけれども、景気というものについて、その支えをなす役割りというものはかなり財政に期待しなければならぬだろう、こういうふうないま感じがいたしておるところであります。そこからその議論は始まるわけなんですよ。  総需要の中で、財政にいかなる任務を担当させるか、財政はいま非常に危機の状態です。しかし、経済もまた大変なことなんで、また来年度経済が再び逆転して落ち込みだなんというようなことですと、これはまあ大変な事態になりますからね。ですから、経済を正常な姿において運転をするというためには、多少財政の方へ犠牲がかかっても、これは私はしようがないと思うのです、経済あっての財政ですから。  そういうことでありますので、途方もないことにはなりませんけれども、ある程度これは財政の方に犠牲を負担してもらわなければならぬだろう、こういうふうに思っております。
  56. 松浦利尚

    ○松浦(利)委員 ここで具体的な数字はいまなかなかむずかしいと思うのですが、そうしますと、いまちょっとここで日銀の統計月報を調べていただいたのですが、マネーサプライの対前年度比の膨張が八月が一二・八、九月が一二・二ですね。それから、これから三兆四千億近くの赤字公債が市中消化で出回りますね。そうしますと、最終的に一六%近く対前年度比で通貨が膨張するのじゃないか。それにかてて加えて、来年度どれくらいの幅になるかわかりませんが、いま言ったように、ある意味で財政負担を増大させるといいますか、ある程度景気浮揚のための財政負担というものを考慮するということになりますと、税収が来年度もそう大きな伸びを急激に期待することはできませんから、結果的にさらに通貨の膨張という方向を維持するのじゃないか。下手をすると対前年度比で一八%近くの通貨の膨張というようなことになるのではないか。そうすると、御承知のように、きのう本会議でもちょっと御質問いたしましたが、正確には聞き取りができなかったのですが、要するに、六カ月のタイムラグを置いて通貨の膨張が必ず物価にはね返ってきておるという、そういう経過がありますね。それとの見合いで、一体この赤字公債というものが、完全市中消化すれば大丈夫だということだけで、物価に影響なしということをいまから断言できるのか。ですから、確かに来年の三月三十一日では、政府の見通しどおり一けた台に乗ることは可能であっても、先般副総理が、来年度の物価は七%台、そしていま加藤委員の質問にも七%台、こういうふうに断言をされたのでありますが、このことは非常にむずかしい状態。逆に言うと、二けた台にまた乗っていくのではないかという危険もあるんではないかという気がするのですが、その点についての大臣の御答弁、簡単で結構ですから、お聞かせいただきたいと思います。
  57. 福田赳夫

    ○福田(赳)国務大臣 マネーサプライといいあるいは日本銀行の兌換券といい、これがまた前年度比二〇%を超えるというようなことになったら、これは非常に危険な信号だ、こういうふうに思います。まあことしの通貨の状態を見てみると、財政が非常な散布超過なんです。これは大蔵省の計算見通しですが、恐らく一兆六千億円ぐらいになるのじゃないでしょうか、財政の方で。  そこで、民間の資金自体が一体どうなるかということが問題なんですが、それはまあ何といっても主力は、貯蓄が一体どういうふうに集まるか。その集まった貯蓄で、一つは企業への貸し出しをやらなければならない、それから公債の消化をしなければならぬ、地方債もこれをまた消化しなければならぬ、それからその他政府機関なんかの借り入れ、これも消化しなければならぬ。そこで、その民間の貯蓄を中心とする資金がそれらの資金需要を賄い得るかということになりますれば、私、まあ大方の見当としては、賄い切ってなお余りがある、こういうふうな見当をつけておるのです。  ですから、政府の資金散布超過が一兆六千億になるけれども、この一兆六千億円というものはかなり民間自体の資金需給においてこれを消し得るであろう、こういうふうに考えておるわけであります。  しかし、景気が回復軌道に入るのですから、したがって、まあ一兆何千億という日本銀行兌換券がふえ、したがってマネーサプライがふえましても、これはそのふえる程度が経済、景気の回復に伴いまして適当な水準である、こういうことにおいては別に心配はないのです。経済活動が、いま私どもは下半期の経済成長は名目で一〇%というふうに見ておるわけですが、まあ成長過程ですから、それをやや上回る資金注入がありましても、これが資金のバランスを失するということにはつながっていかない、こういうふうには思いまするけれども、二〇%なんということはわれわれは考えておりません。
  58. 松浦利尚

    ○松浦(利)委員 私もその二〇%という極端なことは申し上げませんけれども、やはり一七、八%のところにいくんではないかという気がします。しかし、これは私は関連質問ですからこれ以上申し上げません。  そこで、予算編成上、そういう状況ですから、当然歳出についても相当大幅な見直しというものが行われておると思うのです。これは大蔵省事務当局が作業に入っているそうなんですが、三年一巡方式、公共料金の三年一巡というお話を先ほど加藤委員にも言われたんですが、来年度の予算編成過程で、国鉄運賃、電信電話料金、あるいは公立学校入学金、塩あるいは麦価、こういった一連の公共料金の値上げが行われるという気がするんです。財政が非常に厳しいから、それだけに受益者負担というものが非常に厳しくなってくる。そういう意味では、三年一巡方式ではありませんが、あらゆる公共料金が来年度一斉に上がる、上げざるを得ないという条件が生まれてくるんではないか。と同時に、各種保険料のアップというものも、何か大蔵省当局ではすでに検討に入っているという報道もちょっと拝見したんですが、副総理としては、来年度の予算編成過程でこうした一連のものについて、物価に影響を与えるものもたくさんあるわけですが、やはり三年一巡として、すべて来年度では上げざるを得ないんだというふうにお考えの上予算編成に入っておられるのか、その点をひとつお聞かせいただきたいと思うのです。
  59. 福田赳夫

    ○福田(赳)国務大臣 三年一巡と申し上げましたのは、ことしからなんですね、ことし、五十年度。これは御承知のとおりの引き上げを行うわけですが、それから五十一年度、それから五十二年度、これで三年になるんですが、三年ぐらいの間を目途といたしまして公共料金を大体始末といいますか、一回りするようにいたしたい、こういうふうに考えておるのでありまして、いま松浦さんのおっしゃるようなことだと二年一巡ということになるので、二年一巡というのは私は妥当じゃない、こういうふうに考えております。
  60. 松浦利尚

    ○松浦(利)委員 それでは、いま言われたことを理解すれば、私が申し上げた中でも来年度は値上げを見送るという部分もあるんだというふうに理解してもよろしいわけですね。
  61. 福田赳夫

    ○福田(赳)国務大臣 どういうふうに措置しますか、とにかく結果においては三年一巡という程度で措置することが妥当であるというのが私の見解なんですが、まあいろいろなものがありますが、それを種目別に割りましてするのか、あるいは種目は取り上げる、その中でまた率を割ってするというような方式を考えるか、いろいろ考え方はあろうと思いますが、その物価に与える影響、それは三年一巡というような考え方でやっていったらどうだろうということを考えておるんです。
  62. 松浦利尚

    ○松浦(利)委員 最後になりますが、何といってもいま予算単年度主義になっておるわけですね。それはそれなりの一つの考え方だと思うのですが、それとは別に、やはり中期的な財政計画というものをぴしっとさせて、三年なり五年の中期的な財政計画というものを国民の前にいま示すことが必要じゃないか、そういうお考え方は副総理としてお持ちになったことはございませんか。
  63. 福田赳夫

    ○福田(赳)国務大臣 財政のもとになる経済計画にいたしましても、これは国際情勢がかなり変動するという中での計画でありますので、相当ゆとりがあるというか幅のあるものを考えなければならぬだろうとさえ考えておるのです。そういう中で、財政を、初年度には幾らの公債に、次年度には幾らの公債、またスケール全体はこうだということは、これはなかなか一本にはしがたいと思うのですが、私は少なくとも、いまお話しのように、考え方の基本としては長期的な展望を持って財政も運営しなければならぬ、こういうふうに考えます。計画というと、金の何百万円まで示してということになりますが、そういうことは非常にむずかしい。しかし、骨組みというか考え方、いわゆる展望につきましては、これを持っていかなければならぬだろう、こういうふうに考えております。
  64. 松浦利尚

    ○松浦(利)委員 先ほど廊下で副総理にお尋ねをしましたが、三木総理不在のときには、臨時総理だそうでありますが、総理大権である解散権もそのまま持っておられることになるのだそうでありますが、それは間違いありませんか。
  65. 福田赳夫

    ○福田(赳)国務大臣 政治問題として、解散はいたしません。
  66. 松浦利尚

    ○松浦(利)委員 解散権をお持ちなら、三人の閣僚が国外でありますから、福田臨時総理の手元で解散をなさる歴史的なことを一遍やってみられたらどうかと思うのですが。
  67. 福田赳夫

    ○福田(赳)国務大臣 きわめて貴重な御意見として拝聴いたします。
  68. 松浦利尚

    ○松浦(利)委員 終わります。
  69. 横山利秋

    ○横山委員長 次に、和田貞夫君。
  70. 和田貞夫

    ○和田(貞)委員 長官、専門家の皆さんが、物価をだんだんと上がる率を少なくしていって年度末には一けただということを言われると、国民の皆さんは何だか錯覚を覚えて、物価が下がっていく、こういうように率直に思っておられるのですね。ところが、よくよく考えてみたら、二けたで一〇・一%も二けたなら、九・九も一けただ。そう差違がないわけなんです。一〇・一%、二けたでしょう。九・九%、一けたでしょう。そこらがどうも、国民の身に当たる感触として期待をかけておるにもかかわらず、やはり上がっていく。これは全体として消費者物価が下がる傾向にあるのだということをいかに言われても、やはり米が上がる、たばこが上がる、酒が上がる、国鉄の料金が上がる。この間も松浦委員が言われたけれども、松浦委員のくにへ帰ろうと思ったら、飛行機に乗る方が安い。まだ国鉄の運賃が改定されていないのに、料金改定をされることによって飛行機で帰る方が安くつく。こういうような部分的な面も出ておるくらい、政府の言っておられる物価の鎮静策というのと国民が受ける感触というものは非常に大きな隔たりがあると私は思う。率直に申し上げて、国民の皆さん方が政府のやっておる物価対策として、なるほどということを身に直接感ずるのは、年に一回か二回やられるフードウイークですか、あれしかないんですよ。実際にきのうよりもきょうから一週間この値段が五%下がっておる。あれは年じゅうやられたらどうですか。一週間ぐらいに区切らぬと、あれを年じゅうやられたら、なるほど政府は物価対策について取り組んでくれているという感触を受けることができるのですが、どうですか。
  71. 福田赳夫

    ○福田(赳)国務大臣 フードウイークというものは、商売をしておる皆さんの御協力も得て、安売りというか、そういうことをしておるわけですが、これを年がら年じゅうしたんじゃ商売相立たず、こういうことになりまして、そっちの方でまた問題が出てくるわけですが、いま何としても物価は上がらざるを得ないのです。上げないことにするためには、早く公共料金を一回りさせてしまわなければいかぬという問題もあります。それから賃金問題もさらにさらになだらかなものにしなければならぬという問題がありますが、とにかくコスト上昇という際でありますので、コスト要因をつぶしていかなければ、なかなかこの問題は国民の期待するようなわけにいかないのです。急にそういうことをするわけにいかぬです。そこで、順を追ってやっておる。こういうことで、来年あたりの段階じゃ、消費者物価の上昇を何とかして十一月四日以前の物価水準、七、八%というか、そういうところに持っていく、それからその翌年度においてはさらにそれを推し進める。そして公共料金が一回りすればかなり楽になってくる、こういうふうに私は思うのですが、まあ辛抱強くやっていかなければならぬわけですね。国民にもさような御理解を得たい、こういうふうに思います。
  72. 和田貞夫

    ○和田(貞)委員 やはり物価にもよりけりですがね。バーやクラブのツケ代が上がったり料亭のツケ代が上がるということは国民の生活には直接関係がないわけですが、やはり公共料金というのはどの家庭においても直接関係する問題であって、たとえば国鉄にいたしましても、国鉄の運賃はまだですが、私鉄の運賃がもうすでに俎上に上っておる。きょうから公聴会が始まっている。その公聴会を一つとってみても、大阪と東京だけということであれば、これは私鉄の大手十四社ですから、まあ全国的にということでなくても、名古屋あるいは九州にはやはり大手があるわけですね。そこの西鉄を利用している住民なりあるいは名鉄を利用している住民が、大阪の公聴会へ行くなり東京の公聴会へ行くなりしないと、自分の意見を述べることができぬ、こういう公聴会についてもまことに形式的なやり方ですね。そういうような公聴会じゃなくて、やはり公聴会である以上は、具体に十四社がそれぞれ利用なさっておられる沿線の利用者を対象にして、個々の沿線で各社がやっていく、各社にやらしていく、こういうことでなければ、実の入った住民のコンセンサスというものはその公聴会の中でできないんじゃないか、こういうふうに思うんです。公聴会の持っていき方についても、これは運輸省のことですが、そういうやり方を運輸省がやっているわけですが、そういうような公聴会のやり方というのは、二年一巡にしろ、三年一巡にしろ、そういう公共料金あるいは公益的な事業の料金を上げていくということについて、ただやったらいいんだ、公聴会をやったんだという既成事実をつくり上げるためにやっているというような運輸省のやり方、そういうやり方について経済担当の長官としては好ましいと思われますか、どうですか。
  73. 福田赳夫

    ○福田(赳)国務大臣 私は運輸審議会の公聴会というのがどういう仕組みになっておるかよく存じませんが、なんでしょうか、やはり沿線の人ばかりの意見を聞いて決めるというわけにいかないんじゃないでしょうか。やはり学識経験者とか、広く日本経済の中における賃金のあり方というようなことについてちゃんと考えてくれる人の意見ということでないと、沿線の非常に生の利用者の意見に偏る、こういうことになるんじゃないかというふうに思います。やはり日本経済全体がこういう状態である。そういう中で利用者負担である私鉄の運賃をどうするかというような、かなり幅の広い見地からの意見が非常に貴重なものであろう、こういうふうに思います。
  74. 和田貞夫

    ○和田(貞)委員 長官、いま言われたのは、ちょっと誤解されておると思うのですが、審議会じゃないのですよ。審議会というのは、専門的な方の意見で適正な料金を決めていくということについてはそのとおりですが、公聴会なんです。直接利用されておる消費者の意見を聞くというたてまえで公聴会を計画しておるのです。それで、その公聴会を東京と大阪二カ所でやるというようなことで、果たして実際にそれぞれ沿線の利用している住民の方が――住民を対象にして公聴会をやられているのです。その公聴会を東京と大阪で二回やって、さも公聴会をやりましたというようなやり方についてどうかと、こういうことです。
  75. 高橋英雄

    ○高橋(英)政府委員 公聴会は運輸審議会が行っておるものでございまして、したがいまして、私、先生の御質問に責任を持ってお答えする資格はないのでございますけれども、恐らく運輸審議会といたしましては、先生おっしゃるように、広く利用者の御意見を伺うということが理想的であろうと思います。と申しましても、利用者の方全部の御意見を承るというわけには実際問題としてはまいらないので、利用者の代表の方の御意見を承るということにしておるわけでございますが、そういう意味では、東京と大阪で開催をすれば、ほぼ利用者の代表の方の御意見を承るということの意義は達成されるのではなかろうかというふうに判断されて、運輸審議会としては東京と大阪で開催をしておるということではなかろうかと思います。
  76. 和田貞夫

    ○和田(貞)委員 だから、そういうようなやり方が、利用者を対象にした公聴会をやったんだという実績づくりのために、形だけの公聴会をやったという非常に形式的なことだけしか残らぬわけですね。そういうようなやり方が好ましいかどうかということを私はお尋ねしておるわけなんです。
  77. 高橋英雄

    ○高橋(英)政府委員 理想的には先生おっしゃるようなことかと思いますけれども、現実の問題として、東京、大阪等で公聴会を開けば、大方の利用者の御意見は伺えるというふうな判断で現在そのようにやっているのではないか、かように考えております。
  78. 和田貞夫

    ○和田(貞)委員 形式的なことを言いなさんなよ、あなた。実際に値上げをされて困るのは通勤者なんですよ。そうでしょう。その通勤者が、東京と大阪二カ所でやることによって大方の意見を聞かれるようなことになる、そういう物の発想に問題がある。そんなものはあなた、毎日通勤なさっている方が、自分の沿線でやられて初めて、それじゃ行こうかということになるけれども、東京と大阪でやられて、わざわざ九州かいわいから大阪へやってきたり、名古屋から東京へやってきたりできますか。ただ形式的に終わってしまうというだけのことじゃないですか。そういうことが好ましいか好ましくないかということを私は尋ねておるわけです。それで大方の利用者の意見を聞いたということになるんだという考え方をお持ちであるのであれば、値上げをするという前提のもとに、ただ形式的に公聴会をやったということにすぎないじゃないですか。そこを言うておるわけです。だから、やり方が悪ければやり方を変えていくというような前向きの姿勢を持ってこそ、初めて住民から納得され、国民から納得をされた改定ということに持っていくということができるんじゃないですか。そうでしょう。それを言うているのですよ。そういう考え方を持っておるから、副総理、これはだめなんで、私鉄の運賃改定についても不満だけが残っていく。役所のサイドだけで押し通してしまうということになるわけなんです。そういう考え方について私は好ましくない、副総理も好ましいというようにお考えではないと思うのですよ。そうであれば、そういうような持っていき方について変えてもらわないといかぬ。そういう努力をやはり経済担当、物価担当の長官として意見を内閣に反映してほしいと思うのですが、どうですか。
  79. 福田赳夫

    ○福田(赳)国務大臣 実のある公聴会でなければならぬと思います。実のある公聴会にするために努力をするように、これは直接の所管大臣である運輸大臣に対しまして私から申し入れておきます。
  80. 和田貞夫

    ○和田(貞)委員 ひとつできるならば、私は無理なことを言うて十四社の沿線でやれ――やれたらこれにこしたことはないけれども、やはり名古屋の方にも九州の方にも、別段あなた、新幹線に乗ってやってこれなくとも、それぞれの近くで公聴会を、その二カ所ということに限らないで三カ所も四カ所もやっていく、そして国民の皆さん、消費者の皆さんの意見を十分聞くという、同じ形式的にやるにしたとしても、そういうようなことを考えた上で事を運んでもらわぬと、これは納得できませんよ。そんな公聴会だから、行ってもしようがないわということに結果的にはなってしまうわけです。これは運輸審議会の方に行政官庁として、あるいはきょう物特でそういう意見があったということをひとつ反映してほしい、こういうふうに思います。  そこで、私鉄についてですが、これは副総理もひとつ聞いてほしいと思いますが、ただ値上げの申請があった――国鉄の場合は、運賃というのはこれは距離制で、北海道であろうが、九州、四国であろうが、距離制によるところの運賃ですから、全国同じウエートで改定されていくということですが、私鉄の場合は、そうじゃないわけですね。歴史の古い在来線もあれば、最近新設された路線もあるし、あるいは地域によりまして、駅と駅との間の区間がきわめて近距離の路線もあれば長距離の路線もあるというようなこととか、あるいは過疎地域を走っている路線、過密地域を走っている路線、それぞれ多岐多様に私はわたっていると思うのです。そういうようなものを、国鉄というような全国一律に経営しているものと違って、私鉄がそれぞれ申請してきた内容を、ただ申請してきたからということで、吟味をしないで現行の料金よりも何%上げるというような持っていき方、あるいはその諮問の仕方、あるいはあなたの方の範疇ではありませんが、審議会の答申の仕方、これも私どうかと思うわけなんです。そのような点についてどうお考えですか。
  81. 高橋英雄

    ○高橋(英)政府委員 従来から私鉄の運賃改定に際しましては、必ずしも一律にはやっておりませんで、各社別にそれぞれ企業収支の内容を十分に検討すると同時に、また、各社別にそれぞれ運賃制度が若干ずつ異なっておりますので、それらの異なった点に着目して、各社別にそれぞれに応じた運賃改定をやっておりますし、現在は、今回の申請につきましては、運輸審議会に諮問中で検討中でございますけれども、やはり考え方としては、同じような考え方で運賃改定が行われるのではないか、かように考えております。
  82. 和田貞夫

    ○和田(貞)委員 これは交通機関を利用なさっている国民の方が、国鉄を利用できる地域の方は国鉄を利用されるけれども、全く国鉄がない、私鉄だけに頼らざるを得ないというようなところ、国鉄の恩恵を受けようと思っても受けられない地域の国民がおられるのです。さらに、鉄軌道の交通機関を利用しようと思いましても、たとえば沖繩県のように、走っておらぬ、バスしかないわけですよ。そうすると、鉄軌道の交通機関よりもバスによるところの交通機関の方が運賃が比較的格高です。国鉄よりも私鉄の方が格高だ、あるいは古い路線よりも新しい路線の私鉄を利用するところが格高だということで、これはちょうど教育の問題で、国公立の大学と私立の大学、あるいは局等学校でも、国公立の高等学校と私立の高等学校、同じように税金を払っておりながら地域によってそういう安い教育を受けることができないという父兄負担の格差というのがありますね。この交通機関についてもやはり同じことなんです。この交通機関というのは、これはもう一日として欠かすことができない毎日の問題です。通勤や通学、毎日の問題です。あるいは買い物ということで毎日の問題ですから、そのようなことを考えましたら、これはいま過疎の地域については、その過疎の交通機関の運賃を、政策的に政策運賃として押えるという意味じゃなくて、過疎の路線を廃止されればその地域の交通機関がなくなってしまうからということで、そういう意味での財政措置、助成というものをやっておられますね。いま申し上げましたようなことで、運賃というものはやはり毎日のことですから、日常生活に欠かすことができないわけですから、したがって、これはやはり限界があると私は思う。ただ採算ベースで、企業の方が申請をしてくるから、企業内の経理状況、決算を見てみたらこれはやむを得ないと思うから、値上げやむを得ないだろうというようなことじゃなくて、やはり政策的に、国民が平等に交通機関の恩恵を受けられるように、そのために国鉄、私鉄、バス、そういうような点を見きわめて、政策運賃の導入というものが、バスを含めて私鉄企業に対して必要じゃないかというように私は思うわけなんですが、これはひとつどうですか。運輸省の方でそういうようなことをお考えになっておられるのであれば、お答え願いたいと思いますし、ないということであれば、今後の問題として、これは物価対策として副総理にぜひともこの機会においてこの考え方についてお聞かせ願いたい。     〔委員長退席、松浦(利)委員長代理着席〕
  83. 福田赳夫

    ○福田(赳)国務大臣 運賃は、これは会社当局から申請があります。その申請があったものを運輸審議会に付議して、そしてその意見も聞いて運輸大臣がこれを決める、こういう慎重な手続になっておるわけでございますが、運輸大臣が最終的に決めるに当たりましては、物価対策閣僚協議会に付議いたしまして、そして最後の政府の決定をする、こういうきわめて慎重な手続をとっておるのですよ。したがって、その間、私鉄当局の申請をうのみにするわけじゃないのです。これはいまおっしゃられるようないろいろな角度を考えまして、どの線が適当であるか、あるいは場合によったら拒否するのが適当であるかどうかまで含めまして検討するわけです。結果といたしましては、一律に何割なんということではなくて、運輸省当局におきましては、それは一般の運賃はどういうふうにするのがいいか、それも各路線について、さらに突っ込んでは、どことどこの間はどのくらいの運賃、また、学生割引はどうだとか通勤の料金はどうということまで事細かに検討をして、最後の結論を下すわけでありまして、会社の経営というだけじゃない、経済、社会、そういう中で適正なものは何か、こういうことを見出すということで決めておりまするから、その辺は御注意のとおりにやります。
  84. 和田貞夫

    ○和田(貞)委員 なるほど閣議で最終的には決められるのですが、私は繰り返しますが、国鉄を利用しようと思いましても――何といいましても交通機関で国鉄が国営ですから運賃が格安なんです。     〔松浦(利)委員長代理退席、委員長着席〕 その格安の国鉄を利用して日常生活に役立たせようと思っても、路線がないところは利用できないでしょう。私鉄しかなくて、国鉄の路線がないところは、格高の運賃の私鉄を利用して通勤をせざるを得ない、通学をせざるを得ない、こういうことですね。あるいは私鉄といえども、バスよりも鉄軌道の方が運賃が格安なんです。それを利用しようと思いましても、沖繩のどこへ行っても軌道がないのだから、バスしか交通機関がないのですから、利用しようと思っても利用できないわけです。そこに国民の交通機関を利用して生活をなさっておられる中で不平等があるでしょう。だから、そういうところに運賃を決めるのには、なるほどいろいろと慎重に審議してもらうのもいいのだけれども、やはり国民が平等に毎日の生活に供するための通勤費なりあるいは子供の通学費というものは大体どのくらいなのかという、余りアンバランスがあればどうかと思うので、そのアンバランスをできるだけ少なくしていくような、そういう姿のもとに、私企業といえども私学に対するところの助成と同じように、政策運賃を導入するために何らかの手段というものを講じる必要があるのじゃないかということを私は言っているのですが、そういう考え方は運輸省はないですか。
  85. 高橋英雄

    ○高橋(英)政府委員 大変貴重な御意見だと思いますけれども、現在の時点では、先生おっしゃるようなところまで私どもとしては検討はいたしておりませんですが、交通機関というものはやはり住民の生活に欠くことのできないものであるから、どこの地域においても運賃というのは同じような額で負担されるというふうなたてまえでおっしゃっておられるのではなかろうかと思いますけれども、現在の時点で、先生おっしゃるように、バスの運賃は確かに鉄道よりは高くなっておりまして、バスしかないところではやはり高い運賃を負担せざるを得ない。私鉄しかないところでは、利用者は場合によっては国鉄より高い運賃を負担しなければならないというふうな実情にございますけれども、この点については、一般論としてどの程度が妥当であるかというふうな検討は実は運輸省としてはいたしておりませんけれども、個々の交通機関の運賃を決める場合に、利用者の利用を容易ならしめないような高い運賃にならないようにというふうな配慮は一般的にやっております。  また、先ほど先生のおっしゃいましたように、鉄道でございますと、中小の地方の私鉄の場合には、利用者が少ないために鉄道の方も赤字であり、それを全部運賃負担にしようと思いますと相当高額な運賃になるということで、利用者の利用が阻害されるというふうな場合につきましては、その路線を維持するために、欠損補助というふうな制度がありまして、私鉄に助成するというふうなこともやっている次第でございます。
  86. 和田貞夫

    ○和田(貞)委員 最後の方、何ですか。
  87. 高橋英雄

    ○高橋(英)政府委員 欠損補助という制度で、中小私鉄に対して補助をしております。  私、バスのことはよく存じませんけれども、バスにつきましても、地方のバス路線を維持するために、特に過疎的な路線につきましては運行補助ということをやって路線の維持を図っておる、こういう次第でございます。
  88. 和田貞夫

    ○和田(貞)委員 それは過疎だけなんですね。
  89. 高橋英雄

    ○高橋(英)政府委員 結果としては大体過疎的な地域になっておりますけれども、必ずしも地域が過疎であるかどうかということで判断をしておるわけではございません。
  90. 和田貞夫

    ○和田(貞)委員 大体、運賃を考えられるのに、日常の通勤費用は生計費の何%ぐらいが妥当だと考えておられますか。
  91. 高橋英雄

    ○高橋(英)政府委員 実は余りその辺については勉強いたしておりませんので、正直申し上げまして、ちょっとお答えができない次第でございます。
  92. 和田貞夫

    ○和田(貞)委員 国家公務員の場合は、北海道から沖繩まで同一賃金ですよ。地域的な賃金格差というのはないのですよ。同じ収入なんです。そして、それぞれ支出面で生計費に占めるウエートが高いところと低いところとができてくるということになるわけです。これは好ましくないと思いますよ。そういうところから考えても、過疎過密ということだけでなくて、国鉄、私鉄、それにバス、それだけしか利用できないことによって、受ける恩恵がアンバランスがあるという点は、やっぱり政策運賃の導入を考える必要が私はあると思う。ここらあたりで考えてもらわないと、これは三年に一回か二年に一回か知らぬけれども、くるくると回っていって運賃をどんどん上昇していったら、これは限界がありますよ。企業だって、企業に対していかに合理化を押しつけても、これも限界があります。バスだって、ツーマンカーがワンマンカーになって走っておるけれども、半人で走れというわけにいかない。三人で三台動かせというわけにいかぬ。限界がある。合理化にも限界がある。国民が負担する運賃にも限界がある。  そこで、ただ企業の内容なり決算の状況なり、そういうことだけで、運賃の改定はやむを得ないとか運賃の申請は妥当であるとかどうであるとかというようなことは、いかに慎重に考えられても、そこまでやっぱり気を配ってもらって、運賃というものをこの機会にひとつ見直す必要がありはしないかと思う。やり方は私はいろいろとあると思いますが、そういうように考えてもらいたいと私は希望するわけなんですが、検討に値する意見だというように受けとめてよろしいですかどうですか。
  93. 福田赳夫

    ○福田(赳)国務大臣 和田さんのおっしゃる御趣旨はよくわかりますが、これは全国一律の運賃というのは、私鉄やバスの場合にはなかなかむずかしいのじゃないでしょうかね。これはプール計算でもしなければなかなかできない。しかし、国政全体として、運賃に限らず格差の解消ということについては気を使わなければならぬ、そういうフレームの中で運賃についても配慮をしなければならぬけれども、おっしゃられる筋を極端に通すというか、一本調子で通すということになると、これはもう一律運賃制になりますね、国鉄のごとく全国一律だと。これはいまの私鉄の経営形態、現状から見てなかなかむずかしいんじゃないかと思いますが、とにかく運賃政策を行うに当たって、なるべく格差という問題にも意を用いなければならぬということは私も同感でございます。
  94. 和田貞夫

    ○和田(貞)委員 一つは鉄軌道の場合、国鉄にしても私鉄にしても、特に過疎の地域じゃなくて、逆に過密化した都市に新しい団地が造成されるということになりますと、これはどうしても交通機関が必要になってくるわけですね。そうすると新しく路線をつくらなければいかぬ、用地買収から始まって駅舎の建築にまで至らなければいかぬ。それが一切合財住民の負担、受益者負担だということで運賃に転嫁していくということになれば、これはもう大変なことになるのですよ。新しい団地に新しい家賃で入って、新しい交通機関を利用するために高額な運賃を支払わなくちゃならぬ、そうして都心部に通勤する、大変なことになるのですね。ここらの点を考えれば、少なくとも鉄道の敷地というものは道路に値するものだと私は思うのですよ。国鉄であろうが私鉄であろうが、道路に値するものだと思う。これは国道という国の所有する道路というようなみなし方をして運賃には転嫁しない、そのかわりに、それなりの財政措置を加えるというようなことも一つの方法として、少しでも政策運賃を導入していくという、こういうことにも通ずるんじゃないかと私は思うのです。  たとえば私の地域で、千里のニュータウンというのと泉北のニュータウンというのと二つできているわけです。いずれも山であったのを切り開いたところですから、鉄道をつけたわけですね。片方は泉北鉄道、片方は北大阪鉄道、そして阪急電鉄に運営は任しておる、片方は南海電鉄に運営を任しておるということで、会社はあるけれども、運営は相互乗り入れの私鉄に任せきり、しかし運賃は両建てだということなんです。そうすると、一番卑近な例で、同じ団地の中で住んでおる人が、ある学校の給食婦として働きに行っておる。自分の住まいから――具体的に申し上げますと、泉北のニュータウンに住んでおる人が自分の家から泉ケ丘という駅へ行くわけです。そこへ行くまでのバス賃が何と片道八十円です。それから新しい鉄道に乗って次の駅まで乗っていく、その電車賃が六十円。そこの駅を降りて学校までまたバスに乗っていく、これも八十円ですよ。合わせて片道二百二十円、往復四百四十円なんです。往復四百四十円で同じ団地の中の学校の給食婦として勤めなさっている方がある。この例を見てみまして、一カ月の家賃なり一カ月の運賃にどれだけかかるのですか。そう遠くではないのですよ。同じ団地の交通機関を利用するだけで――谷間があるから歩いていけないのです。団地の住区が飛んでいますから、どうしても電車とバスとに乗っていかなければいかぬ。一つの団地の中なんですよ。それで片道二百二十円、往復四百四十円。定期を買っても一万円超えるんですよ。自分の住んでおる同じ団地の中で通勤をするために、一カ月定期を買っても定期券が一万円以上する。そういうような問題が出てくるわけなんです。  そういうところに問題があるから、単に過疎に対するところの財政措置じゃなくて、やはり過密の中でもこういう卑近な例があるということを考えていただきながら、先ほどの意見を繰り返しますが、やはり運賃の申請があっても、ただ企業の経理の内容ということによって値上げを認めるというんではなくて、それはむちゃじゃないか、これ以上上げられない、これ以上国民の皆さんに迷惑をかけるということであれば、それなりの措置というものを考えて、政策運賃というものをここらあたりで何とか考えないと、二年ごとか三年ごとか一年ごとかわからないけれども、私鉄の場合、去年やってまたことしですわね。たまったものじゃないですよ。そういうようなことについて前向きになって考えられるかどうかということを、もう一度ひとつお答え願いたい。
  95. 高橋英雄

    ○高橋(英)政府委員 大手の民鉄は、先生おっしゃるような大都市の過密地域におきまして、通勤、通学輸送等を担当しておるわけでございます。その役割りは大変重要であるということで、政府としてもいろいろと大都市の民鉄に対しては助成の措置を講じております。  二、三例を申し上げますと、一つは開銀の長期、低利の融資でございまして、輸送力の増強工事とかあるいは安全対策の工事というふうな場合には、そういった工事を積極的に推進するために、開発銀行からの長期、低利の融資をあっせんしておるというふうなことでございます。  それから二番目には、これは昭和四十七年度からスタートした制度でございますが、鉄建公団方式といっておりまして、大都市におきまして民鉄が都心に乗り入れる工事を行うとか、あるいは先ほど先生も御指摘のようなニュータウンができて、ニュータウンに連絡する鉄道を新しくつくるとか、そういったような工事につきましては、私鉄にかわりまして鉄道建設公団がその工事をやる。そして完成した後に、その鉄道を将来経営をいたします私鉄に対して長期、低利で譲渡をいたします。そしてその譲渡の際には、五%を上回る利子分につきましては、国と地方で折半をして利子補給をするというふうな措置をとっております。  それからまた、先ほど先生御指摘になりました泉北ニュータウン鉄道のような公営あるいは準公営のニュータウン鉄道につきましては、工事経費の三六%について国と地方が折半をして、四年に分割をして補助をするというふうな制度もとっております。  また、税制上につきましては、固定資産税の減免等、税の軽減を図るような措置も講じておるようなわけでございます。  そういうことで運輸省としては、必ずしも、過密地域の交通を負担しております民鉄につきまして、全く利用者負担だけに任しておるということではございません。ただ、運輸省といたしましては、鉄道の経営特に私鉄の経営につきましては、本来的に事業者の経営努力とそして利用者の運賃負担によって維持されるべきであるというふうな考え方を持っておりますけれども、大都市におきましては鉄道の建設に非常に膨大な資金がかかりますので、その資金調達あるいはそれにかかわります資本費の増高というふうなことを配慮いたしまして、そういった鉄道の整備に当たっては、ただいま申し上げましたような補助制度というものをとっておる次第でございます。  いま先生御指摘のような、鉄道の用地については道路並みに扱っていくという御意見でございますが、民鉄の経営の悪化が現在よりもさらに深刻化して、しかも輸送原価というものが一層鉄道の利用を著しく困難にするような状態、水準にまで達するというふうな場合になれば当然検討されるべきではなかろうか、かように考えますけれども、現時点におきましては、問題もあるかと思いますけれども、まだそのような段階ではないというふうに私どもとしては判断をしている次第でございます。
  96. 和田貞夫

    ○和田(貞)委員 時間がありませんのでなんですが、いま直ちにはできなくても、やはり考える時期が来ていると私は思いますので、ひとつ検討をしてもらいたいと思うのです。  時間がもう参りましたのでなんですが、私鉄の問題はまた改めてゆっくりさせてもらいたいと思いますが、この間、石連の会長さんの言い分をお聞きしておりましたら、四期連続赤字だとか三期連続赤字だとか、こう言われるし、通産省の方も同じように言うておるのですが、これは個々の会社の決算書を十分に見きわめて石連と同じように三期連続赤字であるとか四期連続赤字であるというふうに言っておられるのですか。
  97. 左近友三郎

    ○左近政府委員 私の方は各会社の決算報告書を審査しておりますが、たとえば四十八年の下期あるいは四十九年の上期でありますと、まだ会社によっては赤字でない会社もございまして、結局各会社の決算報告書の赤字なり黒字を総計いたしますと、四十八年度下期から赤字になってきた、こういう事実でございます。
  98. 和田貞夫

    ○和田(貞)委員 私は少なくとも、通産省の方から出ている資料によりましても、何か石連の言い分を受け売りしているように、四十八年の下期から連続三期赤字だとか四期赤字だとか、そういうばかな資料を出したり、ばかなことを言いなさんな。こんりんざいきょう限りそういう言い方はひとつやめてほしい。だから、おかしいじゃないかということで疑心暗鬼の目で通産省は見られるのですよ。石連はそう言おうが、通産省はそういうことを言うべきじゃないですよ。しかも資料はトータルしただけだ。出すなら出すで各社の資料を出してきなさいよ。なるほど連続赤字のところもありますが、黒字のところだってあるじゃないですか。しかも利益配当しておるじゃないですか。中には二〇%も利益配当しているところもあるじゃないですか。一〇%、一二%、配当しているところの方が多いじゃないですか。三十七社の中で、赤字だ赤字だと言うけれども、利益配当をしておる会社と利益配当してない会社とどっちが多いですか。
  99. 左近友三郎

    ○左近政府委員 四十九年の下期に至りましては、現在配当しておる会社はごく少数でございます。
  100. 和田貞夫

    ○和田(貞)委員 だから、やはり正確に――私、きょう時間ありませんのでまたあらためてこの石油問題をしますが、それじゃひとつ三十七社の各社別の四十八年下期から四期にわたるところの、赤字か黒字か、決算額、それから利益配当をしておるところとしておらないところ、しておるところは利益は何%配当しておるかという資料を提出してもらうように、ひとつ委員長、御処理を願いたいと思うのです。  そういうことで、私はまた改めてやりたいと思いますが、そういうような中から、この間からも言われているように、少なくとも消費者にはなはだ迷惑をかけるようなそういう灯油値上げだけは、いま諮問なさっておられるわけでありますが、やはり高度の政治判断で――まあ諮問されたからしょうがないけれども、答申が出てこようが、やはり政治的な面で、行政的な面で、灯油については需要期が過ぎるまで少なくとも値上げをしないという行政措置を講ずる必要がある。また強く要望したいと思うのです。その点十分論議になりませんでしたのでなんでございますが、ひとつ強く要望いたしましておきます。  いまの資料はいただきたいと思うのですが、委員長、どうですか。
  101. 横山利秋

    ○横山委員長 資料は提出できますか。
  102. 左近友三郎

    ○左近政府委員 各社が営業報告書で公表しておる数字がございますので、それをとりまとめて、四十八年下期からの数字をお出ししたいと思います。
  103. 和田貞夫

    ○和田(貞)委員 改めてまた質問さしていただくことにして、きょうはこの辺で終わらしていただきたいと思います。
  104. 横山利秋

    ○横山委員長 野間友一君。
  105. 野間友一

    ○野間委員 私鉄運賃の問題について若干の質疑を行いたいと思います。時間が限られておりますので、簡潔に答弁願いたいと思います。  まず最初に長官にお伺いしたいわけですが、経済白書の冒頭に「公表に当たって」という一筆を書いておられます。これは八月八日付であります。これによりますと、何よりも重要なことは物価の安定を定着させることである、今回の不況はインフレが招いたものであり、したがって物価安定がなければ回復することができない点に留意しなければならない。八月時点でもやはり物価問題については、どうしてもとにかく安定させなければならないということを強調しておられます。これはまさにこの意味で私も同感であります。ところが、その後、たとえば本会議とか予算委員会等におきまして長官の発言等を聞いておりますと、事もなげに適時適切に価格の改定を行っていくというようなことを言うわけですね。これは八月時点で言われた物価安定ということとの間に矛盾があるんじゃないかというふうに思うわけです。先ほどの論議の中で、私鉄運賃についても、六月時点ではこれについて否定的な答弁を述べられたが、いまの時点になりますと、石油を理由にして云々という答弁が返ってくるということは、私は非常に遺憾に思うのです。ですから、その点について長官はどのように考えておられるのか。私は矛盾があるというように思いますが、いかがですか。
  106. 福田赳夫

    ○福田(赳)国務大臣 過去の経済状況を見てみましても、結局経済政策のかじのとり方の上で一番大事な点、見詰めておかなければならぬ点、これは物価と国際収支です。非常に好景気の際には物価が上がり国際収支が悪化する、そこで引き締め政策をとる、こういうことになるわけです。それがとられますと、国際収支は改善され物価は落ちつく。そこで引き締め政策が解除されてまた成長過程に突入するということで、一、二年の不況、二、三年の好況という状態が繰り返されてまいってきておるわけですが、やはり物価、国際収支、これが悪くなるということは次の引き締め政策を必要とする、こういうことになるので、不況というものは、結局、物価が上がり国際収支が悪化すると当然の代価として償わなければならぬ、こういう関係にあると思うのです。ですから、今回大変なことになった、それは、あの一昨年の狂乱物価、これがまた国際収支が一年間で百三十億ドルの赤字を出すという驚くべき危機です、これの代償として当然われわれが経験しなければならぬ、そういう立場にあったわけです。  そこで、物価を抑える、国際収支を改善するというので、総需要抑制政策をとったわけですが、総需要抑制政策の効果があらわれまして、とにかくインフレという状態ではなくなってしまった、いまは根強いコスト上昇という問題だけが残っておる、こういう状態であります。  ですから、このコストが物価を引き上げるという状態を早く何とか改善をいたしていかなければならない、そういう立場に置かれておるわけですが、しかし、その間、コストというと海外要因なんかがありますが、これはわれわれはどうしようもないのです。ないのですが、われわれが一番問題としなければならぬ問題は、賃金の問題とそれから公共料金の問題、そういう問題はなだらかにやっていかなければならぬだろうと思うのです。急にブレーキをかけるという――ことに賃金のごときは、政府が介入するという立場にはないわけですから、これは労使の理解と協力にまつほかはない。しかし、その理解と協力といえども、そう急にというわけにはいかぬだろう。切にその協力を期待するわけですが、これもなだらかに進行するはかなかろう。それから公共料金、これも、インフレの最盛期というか、そういう際にこれを引き上げるというようなことは慎まなければならぬわけですが、また慎んでまいったわけでありますが、しかし、さらばといって、この公共料金をそう長期にわたって据え置くということもまた、財政上の見地あるいは企業運営上の見地から妥当ではない。したがって、これもまたなだらかな解決ということを考えなければならない。私はいま、三カ年ぐらいの日時をかけて公共料金の問題を解決したい、こういうふうに思っております。  ある時点で考えたことがずっと硬直的にそのままというような姿勢でいく、これはもちろん私は妥当ではないと思うのです。その時点、時点に応じて妥当な施策をとっていく。ですから、六月の段階で私鉄運賃を抑えるという姿勢をとった、これはその当時はとるべきものである、こういうふうに考えましたが、しかし、物価の安定、そういう基調がその後相当進んできております。そういう際になるとまた格別の配慮も可能になってきた、かように考えております。
  107. 野間友一

    ○野間委員 いまの答弁を何度も聞き飽きるほど聞いておるのですけれども、これは政治姿勢の問題なんですね。特に経済企画庁の長官とすれば、これは長官が言わなくても、通産省とか農林省とかあるいは運輸省、私鉄でもそうですけれども、上げようとかかっておる。だから、経済企画庁はいかにこれを抑えていくかということで、本当にここに集中しなければならぬ。これは政治姿勢としてそうだと思うのですね。ところが、もういつでも、予算委員会でもあるいは当委員会においても、長官はすぐに原油の価格を持ち出される、四倍になったと。それでまた新しい言葉をつくられて、新価格水準というような言葉をよく使われるわけですけれども、それで積み残しのものは三年間に一巡さすんだということをしょっちゅう言われるわけですね。私は、そういう発想というか、そういう姿勢というものはやはり改められるべきじゃないかというふうに思われて仕方がないわけです。これは運輸省や通産省はいろいろ言いますけれども、それについてどのようにこれをチェックして国民の暮らしを守っていくかという観点から発言をされるのが至当じゃないか、こう思われて仕方がないわけです。  先ほど、六月から時勢が変わった、推移したというお話もありましたけれども、いま申し上げたこの白書は八月八日付の長官の文章です。これにも物価安定が非常に重要だということまで書かれておる。しかも物価安定ということについても、考えてみますと、四十七年を基準にして、ちょうどことしの五月時点で数字を若干拾ってみますと、日本が五二・九%の上昇、これに比べてアメリカは二七、西ドイツが三一というような数字になるわけですね。したがって異常に高い。長官はよく、一けた台云々、もう間近だ、こういうように言われます。しかし、考えてみますと、四十七年からずっと五二%以上も物価が上昇しておるというのもこれまた事実ですね。狂乱物価と言われるころに比べると、その伸び率は鈍化しておるということについては私もそれを認めるのにやぶさかでないわけですけれども、少なくとも一けた台に抑えるとしても、三月末かあるいはそれ以前か云々、これはともかくとして、九・九%になりましても、これは累計すればずいぶん物価は上がっているということになりますし、また一〇%の上昇率が続くということ自体も異常だろうと思う。ですから、狂乱物価、それを基準にして考えられると、確かに長官が言われることも一理あると私は思うのですけれども、いまなおやはり国民はこの物価上昇の中で苦しんでおるということの方が痛烈なわけですね。しかも、いまの労働者の実質賃金は昨年に比べて低下しておる、これも事実でありますし、特に社会的弱者と言われます母子家庭とか体の不自由な方々あるいは低所得、生活保護世帯ですね、こういう人たちがこの中で一番もろに被害を受ける、こういうことですね。したがって、公共料金を考える場合にも、それは長官は考えておるというように言われるのはわかりますけれども、一つ一つ本当に掘り下げて考えて、いままではどうであって、いまはどうであるかということについて、抑える方向でどうしたら抑えられるか、どうしたら国民の暮らしを守ることができるかという観点からひとつ。いままでの政治姿勢というか発想を事もなげに言われることは、私はどうもひっかかってしようがないわけです。いかがですか。
  108. 福田赳夫

    ○福田(赳)国務大臣 いま景気が悪い、そこで景気第一主義だ、また、福田さんは一けた目標なんというのはもう旗をおろせ、そして景気政策にもっぱら取り組めなんと言う人がずいぶんおりますよ。そういう中で野間さんが、物価を重視せい、こういうことを言われることは、これは私は非常に心強く思います。  景気政策――私は経済企画庁長官ばかりじゃないのです、国務大臣でもあるわけですから、国政全般に目を通しますよ。そういう立場から言いますと、物価を抑えるというだけのことを考えていいのか。物価は何も構わぬということになれば、物価なんか鎮静さすのはわけはない。これは幾ら不況になってもいいというなら、これは朝飯前と言うと言葉が過ぎるかもしれませんけれども、物価は本当に鎮静してしまいますよ。しかし、それで一体国政が動くかというと、そんなわけじゃない。やはり物価と国際収支、それから適当な経済活動、これは常に考えておかなければならぬ。そういうことで物価一本やりで考えるというわけにはいかないので、経済の各側面を総合的に見ておかなければならぬ。  しかし、非常に大事なことは、物価を片時も忘れてはならぬということだと思います。その点は忘れませんから、御安心願いたいと思います。
  109. 野間友一

    ○野間委員 いま極端な答弁がありましたけれども、しかし、むしろ逆に多少誇張して言いますと、長官が言われるのは、ポストの赤いのも原油が上がったせいだというふうに聞こえて仕方がないわけです。その点についての政治姿勢を私最初にただしたわけですけれども、特にいまの公共料金、先ほどから私鉄運賃がずいぶん問題になっておりますけれども、これについてきょうの昼間、ちょっとテレビのニュースを見ておりますと、十二月中にこの認可をする方針だということが報道されておりましたけれども、そういう方向で進めておられるのかどうか、長官、いかがですか。
  110. 福田赳夫

    ○福田(赳)国務大臣 運輸省の方から、私鉄各社から運賃改定の申請があった、そして運輸審議会にいま付議しておるというその話は聞いておりまするけれども、まだ運輸省から企画庁に対しまして協議はありません。協議がありますれば企画庁としての方針を決めます。そして運輸省と違うところがあるという点もあるいは出てくるかもしれませんが、まあできるだけ調整をとった上、物価対策閣僚協議会にこれを付議する、そういう手続をとりまして、最終的な政府の方針を決める、こういうことになりますが、年内にそういうことになりますか、あるいは年初になりますか、しかし、早晩これは決着をつけなければならぬ問題であるという認識でございます。
  111. 野間友一

    ○野間委員 私鉄問題で兼業の問題に少し入りたいと思いますけれども、これが非常に問題になると思うのです。  物価安定政策会議の提言を見ましても、原価決定に当たって兼業部門をどのように評価するかということの問題点の指摘があります。新規参入の規制等々を、――これも含めた規制です、規制を受けている企業が、開発利益を内部化した場合を含め獲得した免許の上に、兼業部門の市場で他の専業の企業と比べて競争上有利な条件を享受する場合、これがあれば原価を決める際に考慮すべきである、こういう提言があるわけですね。これは私はもっともなことだと思うのです。免許を持って線路を敷いてそれに関連していろいろと兼業していく。免許事業を持っておる者と持ってない者、この場合には当然に有利な条件がある。  ところが、私鉄運賃を決める場合に、この運賃計算をする場合に、どうしてもこういうものを十分取り入れていかなければならぬと思いますし、また物価安定政策会議の中でもこういう旨の記述もあるわけですけれども、これらの点について長官はいかがお考えでしょう。
  112. 福田赳夫

    ○福田(赳)国務大臣 私鉄は土地の開発、住宅の建設などいろいろな兼業をしておりますが、私鉄の行う軌道営業以外の兼業部門の負担を運賃に転嫁する、こういうことにつきましては、厳にそういうことのないように峻別いたしまして適正な運賃を決めたい、こういう方針でございます。
  113. 野間友一

    ○野間委員 ちょっといま聞き漏らしたのですけれども、兼業部門でもうけておる、免許事業が一つの競争の有利な条件としてもうけておるという場合に、兼業部門のその利益というものも運賃計算する場合の一つの条件として考慮しろということですけれども、それに対するお答えでしたか。
  114. 高橋英雄

    ○高橋(英)政府委員 物価安定政策会議の提言の中でいま先生おっしゃったような意見があったことは私ども存じております。ただ、実際問題としまして、鉄道事業者がその沿線に土地の開発を行っておることは事実でございますけれども、最近の新しい線の建設等におきましては、ほとんどの場合があらかじめ都市交通審議会、これは現在運輸政策審議会に吸収されておりますけれども、この都交審が、大都市交通の整備についてはどういう路線を設けるべきかというふうなことについて相当前広に検討をし、そして答申を出しておるわけでございます。その間に新しき路線ができることについては大体世間には周知されておるわけでございまして、特に私鉄事業者が市場において他の同事業者よりも有利な地位を占めるという点については、なかなか確認がむずかしいというふうなこともございまして、従来そういうふうな点について特に配慮はいたしておりませんけれども、この点については今後もなかなかむずかしい問題である、かように考えております。
  115. 野間友一

    ○野間委員 実際その関連についてのいままでの調査がないわけですよ。やっとこの間、私たち主張して、その中で土地の保有面積等々について少し調査をした結果発表しただけで、これらの関連については運輸省はいままで全然やってないということだろうと思うのです。これはやはり至急やって、その上で本当に兼業部門をどうするか、この運賃計算――特に国民の足ですから、この観点からこの点についての本当にまじめな早急な検討がなければこれは困るわけなんで、この点についての検討を早期にやるということを要望して、次に進みたいと思います。  「大手民鉄の素顔」というパンフレットがございます。これは御存じですね。これによりますと、四十九年度の実績として差し引き不足は六百十三億という記述があります。この中には配当金とか法人税、役員賞与等々も入っておると思うわけですけれども、そうだとすれば、差し引き不足六百十三億というのが即赤字ということにはならない、こう思うわけですけれども、いかがですか。
  116. 高橋英雄

    ○高橋(英)政府委員 六百十三億円につきましては、「大手民鉄の素顔」にも収入不足というふうな表現をいたしておりますのは、先生おっしゃったように、その中に配当所要額あるいは法人税等も負担するという過程でこれだけ収入が足りないというふうなことになっておりますので、あえて赤字とは言っておらない次第でございます。
  117. 野間友一

    ○野間委員 この六百十三億がいわゆる即赤字ではないということですね。
  118. 高橋英雄

    ○高橋(英)政府委員 いわゆる企業会計上の用語の使い方としての赤字というものではない、こう申し上げておる次第でございます。
  119. 野間友一

    ○野間委員 ところが、パンフレットを見ますと、いかにもこれが赤字のように読めるわけです。これは誇大広告ですね。たとえば「経営が赤字だというが、一体どうなっているのか。営業報告書等では黒字のところもあるではないか。」こういう設問があります。これに対する答弁というか解説として差し引き不足が六百十三億、こうなっていますね。これを見ると、もうだれが考えても、これが赤字だというふうにとらざるを得ない。またそういうふうにとれるように表現が書いてある。これは先ほど公聴会の問題もありましたけれども、民鉄協会は大体けしからぬと思うのです。こういう表現は、いまの会計上の赤字とは違う概念ですから、不足というのは。ところが、これによりますと、さも赤字のようなそういう印象を受ける。よく読んでみると中には、たとえば法人税あるいは配当云々、これも入っているような記述もありますけれども、誇大広告じゃありませんか。こういうものについて運輸省はこれを正しく国民に知らす、これはずいぶんあちこちに出しておりますから、やはり正確に国民に実態を知らすというような努力をしてしかるべきだと思うのですけれども、そういう努力はしておるのですか、あるいはするのですか、これでいいと思うのですか。
  120. 高橋英雄

    ○高橋(英)政府委員 お手元の「大手民鉄の素顔」の資料におきましても、これは民鉄協会がつくったわけでございますが、できるだけそういったような誤解を生じないように努力をしておる跡は見られますけれども、なおそういうふうな誤解が生ずるようでございましたら、私どもとしては必ずしもそれは適当でない、今後もそういう点については十分気をつけなければならぬと思いますし、また私どもとしてはそういうふうな誤解を受けないような説明なりなんなりを今後ともしたいと思っております。
  121. 野間友一

    ○野間委員 結局、赤字で困るから運賃値上げしてくれという都合のよいような記述になっておるわけですよ。けしからぬと思うのです。ぜひこれについての訂正なり、適正な行政指導をするべきであるということを要求したいと思うのです。  それから、そうしますと、この六百十三億の中で、先ほどの配当金とか賞与、法人税、こういうものを引きますと、会計学的に考えた赤字というのは、一体幾らになりますか。
  122. 高橋英雄

    ○高橋(英)政府委員 いわゆる利息等まで含めました経常収支の結果がどうかというのが、いわゆる赤字か黒字かということに常識的にはなるかと思いますが、その数字では、約四百八十二億円の赤字というのが、今回の運賃改定の申請に当たりまして大手の十四社が添付しました四十九年度の収支実績の合計でございます。
  123. 野間友一

    ○野間委員 そうですね。つまり、いままで運賃の値上げをしてくれという申請を出した際には、こういう「差引不足」というのじゃなくて、これは赤字としていままでずっと表現してきたわけですね。これはわが党の三浦議員も運輸の中でかなり詰めて、その結果若干の手直しをしてきたという経過があるわけですけれども、それでもなおかっこういう事態。しかも、いま聞きますと、四百八十二億というお話でありました。ところが、これは六百十三億。これがいかにも赤字のような体裁をつくっているということなんです。この四百八十二億が果たして相当であるのかどうかということについては、私は疑惑を持っております。  それから、それはそれとして次に進みますけれども、この赤字の概念について、これは民鉄だけじゃなしに、運輸省自身も民鉄と同じような理解というか、そういうふうな考え方というか、表現をしてきたと思うのです。たとえばこの議事録によりましても、これはことしの六月二十日の運輸ですけれども、いろいろありますが、「事業報酬と税金を支出に掲げ、収入との差というものがありましたときに、それを私どもはこうやって赤字と言っておりますけれども、」こういう表現があります。これは後藤さんですね。つまり、このパンフレットでは「差引不足」という表現をしておりますけれども、これを含めて運輸省自身も赤字という表現をしておったわけですね。これは先ほどの答弁からも矛盾するわけですけれども、これは訂正すべきであると思いますけれども、いかがですか。
  124. 高橋英雄

    ○高橋(英)政府委員 その点はおっしゃるとおりであろうと思います。私どもは今後はそういう誤解を招くような表現をとらないように努力するつもりでございます。
  125. 野間友一

    ○野間委員 それから、算定基準について少しお聞きしたいと思いますけれども、これは御承知のように、電気、ガスあるいは船舶、バス、こういうものについては料金、運賃の算定の基準があります。ところが、電車にはない。これが大問題になっておりますね。そこで、一つの混乱の問題の事例として、いわゆる固定資産比率の問題がありますね。これは営業外費用の金利を案分する基礎となる大変重要な問題であります。不動産部門の金利負担率は、前回のときの申請では十四社平均で二五・二%、今回は四〇・一%となっておりますね。これは計算しますと、そうなります。同時に、鉄軌道部門を見てみますと、前回は四二・六%、今回は三三・二%、このように変わっております。この事実はどうなのかということと、なぜ変わったのか、お答え願います。
  126. 高橋英雄

    ○高橋(英)政府委員 先生、ただいまおっしゃった数字、特にパーセントにつきまして若干の違いがございますけれども、今回の運賃改定申請に添付されました四十九年度の各社の収支実績では、鉄軌道部門の利息の負担の割合は三三・七%ぐらいだったかと思います。いずれにしましても、前回の場合よりはパーセントは低くなっておるというのは事実でございます。これは基本的に固定資産比率で営業外支出のうちの利息を負担するという方式については変わっておりません。ただ、その場合に、不動産部門の固定資産の中には商品、土地、建物も固定資産とみなして計算するという方式をとっておるんですが、その商品、土地、建物の資産額を計算する場合に、従来は売買差額方式と申しますか、期首の簿価からその期間中の売り上げ分を引きまして、それに期間中に新しく取得した分を加えるという方式をとっておりましたが、今回の私鉄各社の計算におきましては、期末の簿価で資産額を計算するというふうな方法をとっておりまして、当然に今回の方式の方が不動産部門の資産額は増加するという結果になりますので、その分だけ不動産部門の利息の負担がふえて、それに応じて鉄軌道部門の利息負担額が少なくなった、こういうことかと思います。
  127. 野間友一

    ○野間委員 そのとおりだと思うのです。ですから、そういうふうに若干の手直しをするだけで、その金利負担の割合が鉄軌道部門において前回四二・六%が今回は三三・七%というふうにいま言われましたけれども、私の計算では三三・二%になりますけれども、多少の誤差はあるとしても、これだけやはり違いがあるわけですね。変えたこと自体は、これも運輸委員会において三浦さん等がかなり指摘しておるわけですけれども、私は一定の前進であろうと思うのです。  ただ、問題は、さらにその中にもあると思うのですね。たとえば先ほどの論議の中でも出ておりました鉄軌道部門においては開銀融資、これが使われる。ところが、それ以外の分については市中銀行の利用ですね。そうすると、金利の利率が違うわけですね。ですから、こういう点も考慮して、金利差を考えてさらにこれを徹底させれば、まだまだ私は変わってくるのじゃないか、こう思うわけです。これについて、そういう問題意識を持っておるかどうか、あるいはそういう検討をしておるのかどうか、お答え願います。
  128. 高橋英雄

    ○高橋(英)政府委員 先生おっしゃったような問題意識は、私どもも十分認識いたしております。したがいまして、現在運輸審議会にこの問題については諮問中でございまして、私どもも鋭意検討しておるわけでございますが、その検討の中で、そういう固定資産比率で分けたことが鉄軌道部門に利息を過分に負担させているおそれはないかどうかという点も、いろいろな方法でチェックをしようと、こういうように考えておる次第でございます。
  129. 野間友一

    ○野間委員 これはぜひやるべきであると思います。  それで、問題は、先ほどの利息の案分の点ですけれども、これは算定基準そのものがないからこういうことになるんです。これは運輸省が行政指導してこのようにさしたのか、あるいは民鉄が自発的にこういうのをやってきたのか、その点についてのお答えと、それから、今回出してきたこの案分比例、これを使って前回、つまり去年の申請、このときに計算をし直してみると一体どうなるのか。これはある人が若干の試算をして、これで鉄軌道部門で黒字が出るというのも、この計算をやりますと出てくるということもあるそうですけれども、この点について、それじゃ、いま首をかしげたけれども、四十九年度、いまのような方法で計算したことがあるのかないのか、あるとしたら、その答弁と、ないとすれば、それを計算して直ちに本委員会にひとつ出していただきたい、こう思いますが、いかがですか。
  130. 高橋英雄

    ○高橋(英)政府委員 最初の御質問でございますが、これはあくまで私鉄事業者が申請に際しまして、従来の利息負担の計算方式等に対します世論の批判等も勘案して、このような方式を自発的にとってきたということでございます。  それから、次の御質問でございますが、今回のような固定資産比率の方式、これで計算したら前回の分がどうなるかという点については、まだ計算はいたしておりません。また、四十九年度の実績について、従来の方式で計算した場合とどう違うかという点についても、まだ計算はいたしておりません。ただ、これにつきましては、また新しく各社から資料などを取って計算をいたさなければなりませんので、若干の猶予をいただきたい、かように思います。
  131. 野間友一

    ○野間委員 若干の猶予というのは、大体どれくらいになりますか。
  132. 高橋英雄

    ○高橋(英)政府委員 はっきりと何日ということをなかなか申し上げにくいんでございますけれども、一週間か十日ぐらいはいただきたいと思います。
  133. 野間友一

    ○野間委員 今国会は二十四日までしかないのです。それで、この運賃値上げについては、いま運審でやっておりますけれども、きょうのテレビでも、ことしいっぱい云々というようなことも、これは真偽のほどは別としても、報道されるというように切迫しております。これはぜひいまの答弁を守っていただきたい、こう思います。  長官、あなたは副総理、国務大臣という答弁もありましたけれども、バスとか電気とかガスとか、そういうものについては算定基準があるんですね。それに従って吟味するわけですね。ところが、電車の場合にはないわけです。したがって、いまお聞きのとおり、ちょっとさじかげんするだけで大きな結果の差異が出てくるということになるわけです。これも一つの基準をぜひつくれということも委員会でもかなり論議になっておりますけれども、これをやらなければ、一体吟味する基礎がないのですね。基準が果たして妥当かどうかということと、その基準に照らして申請の中身がどうかということ、これが本当に突き詰めて論議するということができないわけですね。これはやはり同じ公共料金ですから、それらと同じように基準をつくるべきだ、こう思うのですが、いかがでしょう。
  134. 福田赳夫

    ○福田(赳)国務大臣 私もその辺のところをよく承知しませんが、検討してもらいます。
  135. 野間友一

    ○野間委員 これは参議院の予算委員会で運輸大臣が、鉄道法等の改正のときに検討するというようなことを述べておるわけですけれども、しかし、それは法律の改正ということでなくたって、これは法律のことじゃありませんから、基準はやろうと思えばすぐできるのです。これはいま副総理が検討するというふうに言われましたので、運輸省もぜひその線でひとつ至急に国民の立場に立ったものをつくるべきである、こういうことを要求しますけれども、いかがですか。
  136. 高橋英雄

    ○高橋(英)政府委員 私鉄の運賃改定の査定基準ということでございますが、運賃改定を行う場合に、その査定に当たっての基本的な考えといいますか、そういう点については、従来からあるいは公表されておると思いますけれども、非常に抽象的なものでございまして、これについては従来から変わっておらないと思いますけれども、さらにそれを具体的に適用する場合の細かい査定基準ということになりますと、おっしゃるように、ぴしっとしたものというものは従来からできておりませんが、これはやはり査定基準の細かい尺度というものは、運賃改定のつどそのつど、やはり経済情勢なりなんなりいろんなことを総合的に考えて、基準というものを考えていくというのが従来の方式でございまして、やはり今回の運賃改定申請についてはどう査定するかというふうな点については、具体的な基準は目下慎重に検討しておるわけでございまして、それで、私どもとしましては、運賃改定について結論を得た段階では、今回の改定についてはこういう査定基準でやったということを公表するよういま検討しておるところでございます。
  137. 野間友一

    ○野間委員 もう時間がありませんので、あとまた運輸委員会の方に引き継ぎたいと思いますけれども、このように一、二少し考えただけでもかなりな問題がすぐ出てくるんですね。私たちは、金利払いの鉄道部門への配分を、鉄道部門として実際に借り入れた額とすることとか、あるいは減価償却方法を、税法とは別に、この運賃算定基準としては定額をとって、耐用年数も実態に合うようにというようなことも年来ずっと主張しておりますし、あるいは退職給与引当金なども鉄軌道部門が実際に支払った額のみを計上すること、こういう点についてもすでに主張しておるわけです。  ちなみに、この減価償却の問題について、これは私がいつも利用しております南海電車ですけれども、ここで過去六年間の有価証券報告書、これを分析して、電車とバスに分けまして、その減価償却を実際の耐用年数に合わせて、そうしてまた定額法で計算してみたのです。これは、私は素人ですが、和歌山大学の専門的な森川先生という方がおられますけれども、そこのゼミで実際全部分析して試算しておるのです。その結果、水増し分がこれだけで七十億というふうに試算したら出てくるわけです。こういう点も含めまして、もっともっとこれを厳密に検討して、これは国民の公共の足ですから、少しでも国民に負担をかけない、そういう点での検討、あるいは基準を考える場合でもこれが必要だと思うわけです。  もう時間がありませんので、これで終わりますけれども、また、各運賃の値上げのときには、これによって輸送増強を強化するとかあるいはいろいろな福祉施設をつくるとか、いろいろ言います。しかし、私、これについての実態も若干持っておりますけれども、これも非常に不十分です。ともかくこの値上げとは別にして、本当にこれらの乗客の安全とか利便、特に体の不自由な人とか目の悪い人、こういう方々に対する適切な施策、これをぜひ運輸行政としてもやはりやらすべきであるというふうに思うわけです。これについての答弁を求めて、さらにこの公共料金について、とりわけ私鉄運賃については、先ほどから出しましたようないろいろな問題があります。これらが全部明らかになるまではひとつ凍結をして、申請についての結論を出すなということを最後に要求したいと思います。これについて運輸省と長官の答弁を聞いて、終わりたいと思います。
  138. 高橋英雄

    ○高橋(英)政府委員 査定基準を目下検討しておる段階でございますけれども、先生の御意見等も参考に慎重にやっていきたいと思っております。  それから、私鉄事業者の鉄道事業運営におきまするいろいろなサービスの問題、特に身障者等に対するいろいろな設備の設置等の問題につきましては、私どもも日ごろから事業者に対して指導を行っておりまして、今後ともできるだけそういった面についても促進がされるように努力してまいりたい、かように存じます。
  139. 福田赳夫

    ○福田(赳)国務大臣 ただいま民営鉄道部長が申し上げておりましたように、万遺憾なきを期す、こういうふうに言っておりますので、そのように私どもも努力いたします。
  140. 野間友一

    ○野間委員 終わります。
  141. 横山利秋

    ○横山委員長 有島重武君。
  142. 有島重武

    ○有島委員 来年度の消費者物価の見通しにつきましては、先ほどからたびたびお話が出ておって、大体七%ないし七%以下を目標となさるというふうに承っておりますけれども、もう一遍確認さしていただきたいと思います。
  143. 福田赳夫

    ○福田(赳)国務大臣 まあ七%ないし八%というところじゃないかと思うのですが、まだ五十一年度の経済見通しも決まらない段階でありますので、具体的に何%くらいということはまだ申し上げられないのです。いまこの段階では七%と八%の間くらいのところを目標にしたいなと私は念願をいたしておる、こういうことでございます。
  144. 有島重武

    ○有島委員 四十八年、九年はいわゆる石油危機、それから狂乱物価、それ以後の日本経済の失調状態と申しますか、そういうような状態を克服するのには、副総理は、大体三年間かかるのだ、これをたびたびおっしゃいますけれども、三年かけた後には、どのような状態をもって一応の安定になった状態と想定していらっしゃるのか。それはどのようなところを目安にしていまの経済失調状態をおさめていくというふうにお考えになっているのか。
  145. 福田赳夫

    ○福田(赳)国務大臣 物価が、まずこれは預金金利といいますか水準、その辺に向かって着実に安定しつつあるという状態、それからもう一つは企業活動、企業の操業率が適正な水準に達する、そういうことですね。これはいま操業度といってもばらつきがずいぶんあります。総平均しての話ですが、稼働率指数、これからいうと九五、その辺まで到達をする、そういう状態。物価が安定、企業活動が適正水準に達する、こういう状態。また一方において国際収支、これは堅調を持続しなければならぬことはもちろんであります。
  146. 有島重武

    ○有島委員 新価格体系というようなことを言われる。これは、ここに向かって値上げをしなければならぬという業種がメジロ押しにあるんじゃないかと思うのです。ここの部分だけはいま以下に押えるという業種もある、それで上げなければならない業種もある、こういうふうになるのじゃないか、私どもは新価格体系なんというと、そんなふうに受け取りたいのだけれども、実際は全部が値上がりをしてしまう。そしてその値上がりの幅がやや違ってくるというようなことになってしまうのじゃないか。その辺のことはどのように考えていらっしゃるのか。いまよりも価格がダウンすべき可能性の業種はなおあるというふうにお考えになっていらっしゃるのかどうか。その点はいかがですか。
  147. 福田赳夫

    ○福田(赳)国務大臣 価格水準に非常に大きな影響がありますのは、卸売物価です。卸売物価は、いま需給の関係で非常に低位になっておると思うのです。いまこの時点では前年同月比で〇・八ぐらいです。もうほとんど横ばいということになってきておるわけであります。しかし、たとえば石油のごとく、原油の価格が上がった、それに調整がとれておらない、こういうものもあるわけであります。そういうものは価格調整が今後行われるだろう、こういうふうに思うのです。そういうことを考えますと、卸売物価はいまこの時点では〇・八%ではございますけれども、本年度先々を考えますと多少上がっていく傾向があるんじゃないか、そういうふうに思います。  そういう中で消費者物価は一体どうなるか、こういうことでございますが、これは卸売物価の直接の影響を受けるわけではございませんけれども、少し時間のラグを置きましてある程度の影響を受ける。それからまた、消費者物価につきましては、人件費、これがかなりの影響を持つだろうと思うのです。しかし、私は、消費者物価につきましては、そういう中ではありますけれども、大体年度末、来年の三月の時点におきましては一けたということはぜひ実現いたしたいし、また実現できるだろうという展望を持ち、一番大事なことは、やはり一つ一つの生活物資の需給、これが均衡がとれておることである、こういうふうに思いまして、その一つ一つの物資の需給に意を用いる、また一つ一つの物資の価格、これが適正に動いていくようにということで、ひとつ監視の目を光らせていこう、こういうふうに考えております。
  148. 有島重武

    ○有島委員 私が伺ったのは、新しい価格体系というようなもの、これは固定的なことがいつまで続くのかわかりませんけれども、そういった言葉がある。いまのお話ですと、卸売物価はいまのところやや鎮静しておりますけれども、これは将来もう少し上がるであろう、下げられないであろう。そうなってくると、全体にどうしても押し上げられる。新価格体系とはいっても、それはすべて消費者物価の値上がりということの中においてまた新しい価格体系のようなものができてくる、そういうようなお考えなんですね。
  149. 福田赳夫

    ○福田(赳)国務大臣 価格体系というよりはむしろ水準と言った方がいいと思うのです。つまり、原油の値段が四倍になった。それに応じまして、あらゆる商品がそれに順応して新しい価格水準に移ったということでありまして、大方移ったと思うのですが、例外がある。例外の一番大きなものは公共料金、それから特殊な事情で水準に乗りおくれたというものあるいは乗り足りないというものがある。その顕著な例が石油である、こうふうに考えております。
  150. 有島重武

    ○有島委員 そういたしますと、石油危機以来、いろいろ価格の変動はあった。だけれども、それでもって押えられてきている、あるいは自主的に押えられた、あるいはほかの事情によって価格を上げていないものがある、そういうものをだんだん上げていって、それで一つの価格水準にまで持ってくるというようなことの意味しかないのですけれども、新価格体系ということの意味ですね。それを本当のところを教えていただきたい。
  151. 福田赳夫

    ○福田(赳)国務大臣 私の理解では、今日のこの時点はもう大体新価格水準に来ておると思っておるのです。その中で、公共料金やあるいは石油など特殊なものがまだその対応ができておらぬと言うのですが、この今日の水準は、公共料金の調整をしましても石油価格の調整をしましても、この水準を動かす、こういうことじゃないのです。もう新しい水準というものができ上がっている。これからの物価政策は今日のこの水準を踏まえて考えていけばいい問題で、さらに新々価格水準というものを模索しておる、こういうわけじゃないのです。
  152. 有島重武

    ○有島委員 ちょっと具体論に入りますけれども、消費者麦価が値上げされる方針である。その理由を見ますと、消費者米価の方が一九%値上げされた結果として麦価の方が米価の半分になった、だからバランスをとりたい。こういう非常に波及効果がある麦価――これは米価も非常な波及効果がありますけれども、麦価も国民の家庭生活に非常に影響が強いものでございます。しかも、これは輸入価格が一トン当たり二万円くらい値下がりしている。こういった麦価のようなもの、この値上げについては一体どうお考えになりますか。
  153. 福田赳夫

    ○福田(赳)国務大臣 麦価はいっとき大変輸入価格が高かったのです。それが最近は安くなってきておる。そういう状態ではございまするけれども、いまの麦の売り渡し価格を見ますと、これは原価よりはかなり安いのです。したがって、国庫においてかなりの補給をいたしまして安売りをしておる、こういう現状でございます。そういう状態は財政上の見地から見ても何とかやめなければならぬ。同時に、農政上の見地から見まして、わが国は米があり余るほどできる、その米の方は高い、麦の方は割り安だ、こういうことになりますとどうも妥当でない、こういう見解も出てくるわけであります。そういうことを背景としまして、この夏の米価審議会では、米価を上げるということはやむを得ないが、麦価もまた上げて赤字を解消し、財政の負担を少なくし、また米の消費を刺激するというようにしたらどうだろうという意見が非常に強かったのです。しかし、食べ物の中心である米と麦、その両方を値上げするということになると国民に与える心理的影響はいかがなものであろうということを考えまして、政府といたしましては、米の売り渡し価格は引き上げるが麦は当分ひとつ据え置きにいたしましょう、こういうことにいたしたのです。  それで、財政上の見地あるいは農政上の見地を考えますと、いずれ麦価の改定というか引き上げをしなければならぬ、そういうふうに考えておるのですが、その時期、幅というものは、諸物価の動きをじっと見て、そして物価政策に影響のないような程度のものにしたい、こういうのが今日の考え方でございます。
  154. 有島重武

    ○有島委員 これは余り時間がなくてちょっと詰め切れない話なので、感じというような問題で終わりそうな心配があるのですけれども、先ほどの、卸売物価は今後も上がるだろうということなんです。きのうなんかも経団連の方から伺うと、石油製品から鉄、アルミそれから合成ゴム、紙パルプ、セメント、ガラス、こういったものがいまやっと確保されているのは、大体大企業の犠牲の上に成り立っておるんだ、これをどうにかしなければならぬということを言っておる。それで副総理も、この前の予算委員会でありましたか、すきあらば値上げをしようと業界がねらっておる、それさえうまく抑えればいいんだというようなことを言われておりました。これはいま確かに仕事がなくてみんな非常に困っているとは言うけれども、原料価格はわりあいと下がっているというところがたくさんあります。私の感じですと、いまここでもってもう少しがまんをしてしまって、原料価格はいまこうやって抑えられるだけ抑えている、そっちの方に合わせて、それで一けた台一けた台とおっしゃるけれども、その九・九%なんというところまで何も押し上げることはないではないかという、逆な言い方ができるのじゃないだろうか。九・九%で抑えますというふうにおっしゃるけれども、実は私、特に中小零細企業のところあるいは中堅企業のところを見たり話を聞いたりいたしておりますが、いろいろなことで確かにこれは一けた台でおさめられるのは当然であろうというような感じも非常に受けるわけです。そうなりますと、何でまた九・九%まで上げちゃうのだろうか、ことしはもっと低く抑えようとすればそれもできるのじゃないだろうかというような感じを私は受けるわけです。さっき副総理が、物価だけ下げるならわけはないなんということをおっしゃったけれども、そうでなく、ほかの操業率を上げていくという問題ですね、これも絡めていけば、操業率が低下していることによるコストアップもカバーできる余地がある、そんなふうな印象を私は持つわけです。私と同じような印象を持っている、中堅というか零細なところから聞きますけれども、企業者もずいぶんいるわけです。そういうことについて率直に福田副総理はどう思っていらっしゃるか、お聞きしたい。
  155. 福田赳夫

    ○福田(赳)国務大臣 いまコスト問題が物価を押し上げておる、こういう認識でございますが、その中で一番大きな要素は、やはり何といっても賃金ですね。賃金がこの春闘で一三%上昇しておるわけですが、これが消費者物価にはもろに響いてくるわけです。そういうこと。それからもう一つは、公共料金を改定しなければならぬ。これは抑えておくわけにももういかない、こういうような段階。これも相当響く問題です。そういうことを考えると、これはそう簡単に一けたにするというわけにもいかない状態ですが、何とか努力をいたしまして一けたにする、それが精いっぱいだ、こういうので、そういう特殊な事情がなければいまごろはもう一けた台なんということは問題にならない、こういうような状態であると私は思います。賃金だってそう急にブレーキというわけにはいかぬでしょう、それから公共料金だっていまほうっておくというわけにもいかぬ。そういうことを考えますと、やはりこれは一けたぎりぎりにするのが精いっぱいだというふうに思うのですが、とにかく、しかし、一けたと言ってもなるべく低い方がいいのですから、それに向かって努力をいたします。
  156. 有島重武

    ○有島委員 ちょっとそれは議論が尽くせませんけれども、先に行きます。  不況時には、私なんか身近に接触している業者なりお店のようなものは、これはもうしようがないから貯金をおろそうということでもって、いまがまんしているのが現状であります。ですから、経営内容が悪い、だから資産を取り崩すといいますかで処理している。これは大企業においてもそうであろうし、私鉄においてもそういうことはあって当然なんじゃないか。私鉄のお話がいま各委員からありました。私も私鉄の問題でもって準備いたしましたが、ちょっと重複することはもう全部カットいたしまして、原則的に、この私鉄各社の値上げの要因が、不動産部門の不振ということと関連してやはり考えられておる。こういった場合に、その値上げということは確かに必要だということは言ってきますけれども、もう一つ押し返して、資産の取り崩しによって処理するということはさらに考えられないか、こういった点はどういうふうにお考えになりますか。
  157. 福田赳夫

    ○福田(赳)国務大臣 まだ運輸当局から、運輸当局が私鉄からの申請を検討したその結果を聞いておりませんけれども、概して私が外部から見るところによりますると、これはかなり兼営部門、一番大きなのはやはり土地、住宅の開発ですね、その部門での資産を取りつぶして配当を維持してきた、こういうふうに言われておる。私はそのとおりではないかと、こういうふうに思いますが、それも限度にきた。そこで運賃の改定をしなければならぬ、こういうことのようです。ようですが、しかし、先ほどからも御議論がありましたように、これは精細に検討しなければならぬ。特に大事なことは、その兼営部門の負担を運賃に転嫁する、こういうようなことがあってはならぬ、こういうふうに思いまして、運輸省当局におきましてもその方向でいまいろいろ調査をしておる、そういう段階でございます。まだ申請が出たという段階でありまして、運輸省としてまだ協議を受けておりません。そういう段階でありますので、その程度のお答えでひとつお許し願いたいと思います。
  158. 有島重武

    ○有島委員 原則的に一番最初の話に戻りますけれども、この不況を乗り切っていく、あるいはインフレと不況とのダブルパンチであるこの経済危機を乗り切っていくという過程におきまして、それを乗り切ってみたらば、昔どおりの姿であったというわけにはいかないでありましょう。それで、その間に、ある場合にはぜい肉を取って、それでもう少し身動きのいいような形に体質改善をそれぞれにしていくということが前提となるんじゃないんでしょうか。日本経済それぞれの企業の体質もやはり変わっていかなきゃならないということが含まれているんじゃないかと私は思うんだけれども、副総理はどんなふうに考えていらっしゃいましょうか。
  159. 福田赳夫

    ○福田(赳)国務大臣 わが国の社会経済を取り巻く環境が革命的な大変化をしたわけです。それはもう企業ばかりじゃないんで、政府、地方公共団体、家庭に至るまでこれに順応した新しい体制がなければならぬ、こういうふうに思います。
  160. 有島重武

    ○有島委員 運輸省の方に伺いますけれども、連続三期鉄道部門で赤字を出して、それで総資本の利益率がほかに比べて非常に低いのだと、こう言っている京成電鉄ですね。これの投資有価証券の取得額は大体四十八億である、こう言われておりますけれども、これはどのくらいな含み資産があるのかということですね。そういうことを考えたことがありますか、おわかりになっているか。
  161. 高橋英雄

    ○高橋(英)政府委員 御質問の趣旨が十分に理解できないので恐縮でございますけれども、京成電鉄が投資有価証券をどのくらい持っておるかという数字につきましては、私ども調べたところでは、四十九年度の末で投資有価証券は約七十七億円ぐらい保有しておるというふうに調べておりますけれども、それが何といいますか含み資産としてどうかという点になりますと、一体この七十七億円、これは取得したときの価格でございますが、これが恐らく、いまたとえば売るとしたらどのくらいに売れるかという意味で御質問があったのかと思いますけれども、その辺については私ども存じてない状況でございます。
  162. 有島重武

    ○有島委員 これを見ますと、株式の部分だけでもって四十八億円になっています。この部分だけを九月の時価でもって計算いたしますと、これだけでも四十一億円ほどの含み資産があるということになります。ですから、倍とはいかないけれども、倍近い含み資産というものを持っているわけですね。それは大体の見当としてそういった見当であるということは了解なさいますか。
  163. 高橋英雄

    ○高橋(英)政府委員 検討したことがございませんので、はっきりとその辺については御返事がしかねる次第でございます。
  164. 有島重武

    ○有島委員 これで終わりますけれども、副総理に、いまのこういったことがあるわけです。だから、私鉄の問題にいたしましても、先ほどの同僚委員のお話にもいろいろあったけれども、まだまだ本当に考える余地がある。そういったことを見過ごしてしまうと、いわゆる新価格体系と言われているものは、本当に国民生活からみると、ただ圧迫を加えるものであるというふうにしか受け取れないような側面が非常に出てくる、これは危険なことであろうと思います。ですから、一つの非常に狭い側面だけを申し上げましたけれども、特に私鉄運賃のことについても本気で取り組んで、それで検討をし直してもらいたいと思います。
  165. 福田赳夫

    ○福田(赳)国務大臣 私鉄運賃改定の問題は非常に重要な問題でありますので、運輸省においても慎重に総合的に検討してもらいますし、私どもの企画庁でもこれに全面的に協力をしたいと、かように考えます。
  166. 有島重武

    ○有島委員 終わります。
  167. 横山利秋

    ○横山委員長 和田耕作君。
  168. 和田耕作

    ○和田(耕)委員 副総理は、この四時半には総理との打ち合わせのために退席をされるそうでございまして、本当にごく短い時間しかないのでございますけれども、平素、私、考えておる二つの問題について副総理の御所信をお聞きいたしたいと思います。  第一は、一昨日でございましたか、日本の経済学者としては最高の一人と思われる人、これは政府のいろんな仕事にも指導的な役割りを演じておる人なんですけれども、その人と会って、いかがでしょう、いまのこの景気回復、第一次、第二次、第三次、第四次とやっておりますけれども、いかにも景気回復が遅々とした感じがする、先生は、端的に言って、どこに一番問題があると思いますかということを、私、御質問申し上げたわけです。ところが、その先生もすかさず、それはつまり対策が効果を生んでいないのです、こう言うんですね。一次、二次の対策がいまごろになって効果を出してきている。まあ遅いということですね。そういうことを申されておったんですけれども、そのことで私はっと感じたことは、この二月、三月、六月そして九月と不況対策をやっておりますけれども、たとえば公共事業の繰り上げ、住宅建設の繰り上げあるいは窓口規制の撤廃、金利等の問題をやっておりますけれども、確かに政府は一生懸命福田さんが指導してやっておられるのですが、実際に公共事業に着手をする、住宅を建設するというここのところまでその政策が迅速に通っていっているのかという問題がありはしないかと思うのですね。この点いかがでしょう。  副総理は、この三月を底として操業率、つまり稼働率は三月の七三に対して九月は八三%、そして来年の三月には九〇%まで持っていきたいし、いけると思うという趣旨なんですけれども、これはよくわかるのですけれども、いま私申し上げているとおり、せっかく政府が腹を決めてやった手が、たとえば地方自治体を通じてあるいはいろんな実施機関を通じてやっていく過程で、果たしてその計画が実行されているかどうか、こういう問題がありはしないかと思うのですけれども、いかがでしょうか。
  169. 福田赳夫

    ○福田(赳)国務大臣 確かにそういう問題があったと思うのです。特に国の直轄の仕事ですね、これはもう目標の上半期における契約率七〇%、それを達成いたしまして余りあり、こういうような状態なんです。ところが、地方への補助事業、これがそういう水準に達しない。まあ地方自治体で、地方財政も大変落ち込んで、さてそれがどうなるかという危惧があったんだろう、こういうふうに思いますが、しかし、今度第四次対策並びにそれと関連しての補正予算でそれらの対策もできましたので、地方の方も自信を持って仕事をやり得る、こういうことと思いますが、いままで確かに地方に関連する事業にかなりのおくれがあったということは、これは事実のようでございます。
  170. 和田耕作

    ○和田(耕)委員 これは今後もいろいろ手を尽くされておりますし、この補正予算とかあるいは交付金等を通じて努力はされておると思いますけれども、これは副総理としてぜひとも――緊急を要することですから、その効果が上がるか上がらぬかということが。したがって、不況対策を打ち出した場合には、その不況対策の効果がどのように上がっておるか、隘路がどこにあるのか、停滞しておるとすればどういう点に停滞があるのかということを、特別に、私、監査する必要があると思うのですね。それがとまっているところがあればその隘路を打開していかないと、せっかくいいことをやりましても、結局その不況を回復する目的が達成できない。  私は、副総理がこの委員会の当初申されましたこういう方針は、副総理もそう思っておられると思うのですね。企業の操業度を示す一つの指標である稼働率も、先ほど言ったことなんですけれども、副総理、この稼働率が八月は八三・四%ということですけれども、九月が果たしてこのように上がっておるかどうかという問題。一つ疑問だと思いますのは、たとえば総理府がこの間発表したあの失業者の統計を見ますと、九月は八月に比べて約五万人増加しているのです。九十九万人の失業者が出てきている。つまり稼働率が順調に伸びておればこういう事態はなかったはずだと私は思うのですね。そういうことがあるので、この九月の稼働率というものがどういう状況になるか、何か目安のようなものはお調べになっておられますか。
  171. 福田赳夫

    ○福田(赳)国務大臣 経済諸指標が、ことしは八月、やはり夏枯れで落ちておるわけなんです。ですから、この八月ある一カ月をとりまして、そこで傾向判断というわけにはいかないのです。ですから、八月諸指標がおっこっておりますけれども、継続的な傾向としてどうかというと、まあ生産は伸びているという状態ですから、私は、稼働率も傾向としてはずっと伸びていって、そしていまの政策を、和田さんのおっしゃるように、着実に実行するということになれば、まあ九〇までいくかどうかわかりませんが、これに近いところまではいく、こういうふうに思っております。
  172. 和田耕作

    ○和田(耕)委員 きょうの各紙の朝刊の経済面に大きく報道されておりますけれども、通産省の資料で、産業構造審議会に出した審議会が審議した資料なんですが、民間設備投資の問題についての報告なんですけれども、経済の一番底だと言われる二月の予想に比べて八・四%も減っている、設備投資の実際の状態が。つまり、この設備投資の計画が非常にうまく進んでいないというわけですね。また四十九年度に比べても実際に三・八%減じているという報告があるわけです。そしてその報告の中をよく読んでおりますと、こういうように書いておりますね。「鉄鋼、電力などはおおむね着実な投資がみられるものの、石油精製、石油化学、セメント、小売りなどを中心に生産能力の増加に結びつく工事の中止または繰り延べが目立っ」ている、こういう記事がその説明の内容として載っているのです。  つまりこれは、私、大事な問題として申し上げたいことは、せっかくお金を借りられるように金利も安くするようにという、窓口の規制も緩めるようにという配慮はしているようですけれども、実際に、特に小売、小さいところになりますと、金を借りようと思ってもなかなか借りられないんじゃないか。  まあいろんな理由がありますけれども、一番大きな理由の一つとして、土地の担保力の低下という問題がありはしないかと私は思うのです。これは昨日も日銀総裁に申し上げたのですけれども、これも一週間ほど前に私、経験したことですが、ある信用金庫に私の知っている人を連れていって、そして融資のお願いをしたことがあるのですが、この土地に対する担保力の評価については非常に厳しいし、少なくなっていますね。いままで第二抵当あたりまで平気で許したものを、第二抵当というようなことではもうほとんどとらないというような判断もしている。つまり、こういうことが特に小さな担保力の少ない小売その他の中小企業にとっては、借りようと思っても借りられない。現に私のいま住まっているところにもあるのです。店舖の拡張をしている、盛んにやったのがとまってしまった。どうしたのだ、金がない、こういう話がある。つまり、副総理にぜひとも御点検をお願いしたいことは、土地の担保力という問題が、意外に日本の景気回復という民間の設備投資というものに対するネックになっておりはしないかという問題をぜひとも検討していただきたいと私は思うのです。  この点大蔵省は、土地を担保にしたそういう金融のいままでの概況のようなものをお調べになったことがあるのでしょうか。
  173. 清水汪

    ○清水説明員 土地を担保にして行われております金融が金融全体の中でどれくらいあるかという点につきましては、ただいま手元に正確な資料は持ってまいりませんでしたけれども、それから、大体普通に集計されております統計は土地だけというふうな集計が実は余り行われておりませんで、たとえば工場財団とかいうような形で担保の実は設定が行われているというケースがかなりあったりいたします。したがいまして、統計の上では土地を含めた不動産というようなものとしての統計が通常はアベーラブルなものでございますが、そういたしましても、そういったものを担保にいたして行われております貸し出しというものは、全体の中では、たしか私の記憶では、たとえば普通銀行におきましてはそう高い比率ではございません。一割とかせいぜい二割ぐらい、長期信用銀行とか信託銀行のようなもともと長期の設備金融を行うような金融機関におきましては、そのウエートはその倍くらいに高くなっておったかと思います。  一般的にはそういうことかと思いますが、御指摘の最近の傾向はどうかという点でございますが、確かに土地の評価額というものが、かつてのような次から次へと評価がふえていくというような情勢ではいまやなくなっておりますので、その面が、たとえば金融機関の側から物を見る場合に、影響がないとは思いません。しかしながら、ただ全体としてもいまのような割合でしかないわけでございますし、やはり金融機関が貸し出しを決定する場合の考え方といたしまして、ことに長期の設備投資資金ということになりますと、単にその物的担保性ということよりは、むしろその事業採算によって収益の中から、つまり減価償却の中から元本が返せるか、それから採算の収支の中から金利が払ってもらえるかというようなところ、結局、事業の先行き見通しというものの方がより大きなポイントになろうかと思います。  そういう目から見ますと、やはり最近のような設備、いわゆる稼働率あるいはつまり供給余力がかなりまだ高い状態、それから企業自身の経営体力の方がいわばかなり弱っている、こういうような状態、そして経済全体に対してそれぞれどういう先行き見通しを持つか、こういうようなことを総合的に判断いたしますと、企業家の方でも設備投資意欲というものは、現段階ではただいまの産構審のケースにあるような状態にどうしてもならざるを得ないのじゃないか。これはやはり金を貸さないからというよりは、もう一つそういう全体的な状況から来ている面があるのじゃないかというふうに思います。
  174. 和田耕作

    ○和田(耕)委員 きのうも日銀総裁もいろいろ話をされておったのですけれども、先ほどから問題になっております今年度の発行する膨大な公債の消化は案外うまくいくのじゃないか、今年度に限っては大体うまく消化されるのじゃないかというお話をされておりました。副総理が先ほど申しておったことと同じようなことを話しておられました。つまり、このように銀行の操業率がまだ十分でない、そしてまた、一般の銀行は資金が、だぶついているというわけじゃないのですけれども、十分余裕がある、この余裕がある資金というのは、いまのように借りたい人がいっぱいおるけれどもなかなか借りられない、担保がないということと関係がありはしないか。つまり、いま政府が国債を出すということは、あるいは地方債が出るということは、そのすき間に乗じてその余っている金で買ってもらうということで、これはかなりできると思いますけれども、それが少し景気がよくなってきて立ち直り始めると、民間のいろんな、特に小規模の人たちの資金需要が充足されないといったような問題が出てきやしないか。こういう問題を副総理はどういうふうにお考えか。いま年末金融の問題がもうすでに出ておるのですけれども、年末金融について、公的な資金もどんどん入っていく、あるいは担保もわりあいないものがあったりあるいは少ないものがあったりということはありますけれども、そういう問題とすぐ競合する問題になりやしないかという感じがするのですね。国債あるいは公債がずっと入り込んでいくと、あと金が一時的になくなってくる。民間の人が景気がよくなったから何とかやろうと思っても金がないというふうな問題が年末年始を通じて出てきやしないか、こういうように思うのですけれども、いかがでしょうか。
  175. 福田赳夫

    ○福田(赳)国務大臣 中小企業の金繰りについては相当注意しているのですが、非常に改善されてきておる、こういうふうに見ております。たとえば、中小企業金融公庫で調査をやっておりますが、一月に資金繰りが窮屈だという答えをしたのが五一%です。それが十月になりますと三四%。それだけ減ってきておるわけです。ところが、おおむね好調であるというふうに答えておるのが、一月は四三%でありましたものが、十月になりますと六八%に改善されておる。中小企業金融というのは、ほかの調査等を見ましてもかなり行き届いてきた、こういうふうに見ております。  しかし、企業によりましては担保の問題なんかある。その担保不足を補ってやらなければならぬ。そこで、今度第四次対策といたしましては、金融保証協会の保証限度を一億円に引き上げる、こういうようなことをするとか、あるいは金融機関に対する大蔵省の指導としても、健全な企業であり、とにかくもう一年待てば操業度も上がってくるのだ、そういう際には、これはいまは非常に苦しい状態ではあるが、そのうちにちゃんと姿勢が立ち直るのだというものに対しては、つなぎ的意味もあるわけでありますから、土地の評価、そういうものにつきましては、これはいままでと違った考え方でやってもらいたい、こういうようなことを指導しておるのです。  先ほど相互銀行協会へ行っても、いま金融機関というものは、経済全体としては上昇過程にある、そのつなぎをどうするかということが問題なんで、心してやってもらいたいということをお願いしてまいりましたが、かなり行き届いた金融行政をやっておる、そういうふうな気持ちでございます。  なお、年末等は資金が非常に繁忙期です。その際に公債も第一回が出るわけですから、それが民間資金を圧迫しないように、これは日本銀行のオペレーション等を通じまして万全を期してまいります。
  176. 和田耕作

    ○和田(耕)委員 ぜひその問題をひとつ強く御配慮をお願いしたいと思います。何しろこの十数年間の高度経済成長の時代の土地の値上がりというのはすさまじいものです。この前も、昭和十一年に比べて地価は八千倍、いろいろな所得は三千倍、いろいろな小売物価等は千倍前後という数字があったのですけれども、高度経済成長をずっと支えてきた金融――一般の庶民や中小企業は、恐らく土地の信用でお金を借りて動かしておったというふうにも見られるところが非常に多いのですね。つまりこのような形の高度経済成長下の状態が急速にストップして、そして土地の値下がりはそう目立ってはないのですけれども、実際の販売をするときにはいろいろな公式の調査以上に減価しているということで、ますます銀行筋の担保力としての評価が下がってくる。このことが意外に大きく、商店なんかを含めて中小零細企業の経営の困難さということにつながっているのじゃないか。いまの通産省の発表しているこの数字も、一番最後に、小売などを中心とするという言葉があるのですけれども、意外にそういう問題があると思いますので、いま保証協会の問題が出ましたけれども、これは過渡的に、土地の担保を経由した金融というものにかわるような、あるいはカバーするようなものを考えてあげないと、せりかくのいろいろな施策が下の方まで通っていかないというふうに思うのです。  そういうことで、この土地の担保力という問題と、そしてせっかくの政府の施策を地方自治体等の中でストップさせておる、とまらせておるいろいろな要素を、私は至急に点検する必要があると思うのです。これは経済企画庁がこういうことをする一番大事な役所だと思うのです。かつて物価の狂乱になりかけたときに、物価Gメンというのがあったのですが、この景気を回復する監視役のGメンみたいなものを――やはり要所要所を点検しないと思わぬネックがあちらこちらにできているということがあると思いますので、ぜひともその点を御配慮願いたいと思います。  きょうは、時間もありませんので、これで私の質問を終わります。
  177. 横山利秋

    ○横山委員長 次回は公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。     午後四時三十三分散会