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1975-12-10 第76回国会 衆議院 決算委員会 5号 公式Web版

  1. 昭和五十年十二月十日(水曜日)    午前十時十六分開議  出席委員    委員長 井原 岸高君    理事 唐沢俊二郎君 理事 中尾  宏君    理事 森下 元晴君 理事 吉永 治市君    理事 綿貫 民輔君 理事 久保田鶴松君    理事 原   茂君 理事 庄司 幸助君       高田 富之君    塚田 庄平君       安井 吉典君    田代 文久君       坂井 弘一君    塚本 三郎君  出席国務大臣         農 林 大 臣 安倍晋太郎君  出席政府委員         農林大臣官房長 森  整治君         農林大臣官房技         術審議官    川田 則雄君         農林省農林経済         局長      吉岡  裕君         農林省農蚕園芸         局長      澤邊  守君         農林省畜産局長 大場 敏彦君         農林省食品流通         局長      今村 宣夫君         食糧庁次長   下浦 静平君         林野庁長官   松形 祐堯君         水産庁長官   内村 良英君  委員外の出席者         公正取引委員会         事務局審査部長 野上 正人君         通商産業省機械         情報産業局産業         機械課長    杉山  弘君         気象庁予報部長         期予報課長   内田 英治君         会計検査院長  佐藤 三郎君         会計検査院検査         官       大村 筆雄君         会計検査院事務         総局第四局長  東島 駿治君         農林漁業金融公         庫総裁     武田 誠三君         決算委員会調査         室長      東   哲君     ――――――――――――― 本日の会議に付した案件  昭和四十八年度一般会計歳入歳出決算  昭和四十八年度特別会計歳入歳出決算  昭和四十八年度国税収納金整理資金受払計算書  昭和四十八年度政府関係機関決算書  昭和四十八年度国有財産増減及び現在額総計算  書  昭和四十八年度国有財産無償貸付状況総計算書  (農林省所管、農林漁業金融公庫)      ――――◇―――――
  2. 井原岸高

    ○井原委員長 これより会議を開きます。  この際、会計検査院長に就任されました佐藤三郎君並びに検査官に就任されました大村筆雄君の両君を御紹介いたします。  佐藤三郎君、どうぞ。
  3. 佐藤三郎

    ○佐藤会計検査院長 このたび会計検査院長を拝命いたしました佐藤でございます。  浅学非才の身でございますけれども、誠心誠意努力をいたすつもりでございますので、何とぞよろしくお願いいたします。(拍手)
  4. 井原岸高

    ○井原委員長 次に、大村筆雄君、どうぞ。
  5. 大村筆雄

    ○大村検査官 このたび検査官を拝命いたしました大村でございます。  現在わが国の置かれておる財政事情等よりいたしまして、会計検査の重要性は、ますます重要性を加えてくるのではないかと存じます。この重要な時期に検査官の重責を拝しまして、その責務の重かつ大なることを痛感しておる次第でございます。今後全力を挙げ、最善を尽くしまして重責を全ういたしたいと存ずる次第でございます。どうぞよろしく御指導、御鞭撻のほどお願い申し上げる次第でございます。(拍手)      ――――◇―――――
  6. 井原岸高

    ○井原委員長 昭和四十八年度決算外二件を一括して議題といたします。  本日は、農林省所管及び農林漁業金融公庫について審査を行います。  まず、農林大臣から概要の説明を求めます。安倍農林大臣。
  7. 安倍晋太郎

    ○安倍国務大臣 農林省所管の昭和四十八年度歳入歳出決算について大要を御説明申し上げます。  まず、一般会計の歳入につきましては、収納済歳入額は一千七十七億六千六百四十三万円余でありまして、その主なものは日本中央競馬会法に基づく納付金であります。  次に、一般会計の歳出につきましては、支出済歳出額は一兆八千九十一億二千九百九十六万円余であります。この経費の主なものは、高能率農業の展開といたしまして四千四百六十五億五千一百二十四万円余、農業生産の再編成といたしまして二千九百八十三億三千九百五十四万円余、高福祉農村の建設といたしまして百二十四億四千七百五十七万円余、農産物の価格の安定と農業所得の確保といたしまして六千三百九十三億八千三百七十六万円余、食品流通加工の近代化と消費者対策の充実といたしまして七百十七億八百七十八万円余、農業技術の開発と普及といたしまして三百八十五億九千七百五十三万円余、農林金融の拡充といたしまして三百七十八億一千六百十七万円余、農業団体の整備強化といたしまして八十五億三百三十九万円余、森林・林業施策の充実といたしまして一千一百三十七億六千三百六十七万円余、水産業の振興といたしまして六百六十六億七千三百六十八万円余、災害対策といたしまして七百三十億一千二百四十一万円余等の諸施策の実施に支出したものであります。  次に、農林省所管の各特別会計の決算につきまして申し上げます。  まず、歳入につきましては、収納済歳入額は、食糧管理特別会計各勘定合計において四兆九千二百十七億六千九百七十八万円余、国有林野事業特別会計各勘定合計において二千八百八十六億八千二百三万円余、農業共済再保険特別会計各勘定合計において四百三十二億七千九百十七万円余、漁船再保険及漁業共済保険特別会計各勘定合計ほか森林保険、自作農創設特別措置、中小漁業融資保証保険、特定土地改良工事の各特別会計の総合計において九百五十億八千七百十三万円余であります。  また、歳出につきましては、支出済歳出額は、食糧管理特別会計各勘定合計において四兆九千百五十七億三千二百九万円余、国有林野事業特別会計各勘定合計において二千四百八十七億四千三百三十六万円余、農業共済再保険特別会計各勘定合計において二百五億六十三万円余、漁船再保険及び漁業共済保険特別会計各勘定合計ほか森林保険、自作農創設特別措置、中小漁業融資保証保険、特定土地改良工事の各特別会計の総合計において七百二十二億九千一百二十四万円余であります。  これらの事業の概要につきましては、お手元にお配りいたしました「昭和四十八年度農林省関係決算概要説明」によって御承知を願いたいと存じます。  これら事業の執行に当たりましては、いやしくも不当な支出や非難されるべきことのないよう、常に経理の適正な運用について、鋭意努力をしてまいりましたが、昭和四十八年度決算検査報告におきまして、なお、不当事項として相当の件数の指摘を受けておりますことは、まことに遺憾に存じております。  今後とも指導監督を一層徹底いたしまして、事業実施の適正化に努める所存であります。  何とぞよろしく御審議のほどをお願いいたします。
  8. 井原岸高

    ○井原委員長 次に、会計検査院当局から検査の概要の説明を求めます。東島会計検査院第四局長。
  9. 東島駿治

    ○東島会計検査院説明員 昭和四十八年度農林省の決算につきまして検査いたしました結果の概要を御説明申し上げます。  検査報告に掲記いたしましたものは、不当事項六十一件、本院の注意により当局において処置を講じたもの二件でございます。  まず、不当事項について御説明申し上げます。  検査報告番号二七号は、東北農政局が施行した能代開拓建設事業第一号導水路隧道第五区工事において、隧道延長五十七メートルの施工が設計と相違し、覆工コンクリートの強度が設計に比べて著しく低くなっていて、工事の目的を達していないと認められるものでございます。  二八号から五八号までの三十一件は、いずれも公共事業関係補助事業に関するもので、コンクリート工事の施工が不良で設計に比べて強度が低くなっていたり、実際の事業費より高額な事業費を要したことにして過大に精算したりなどしていたものでございます。  五九号から八六号までの二十八件は、公共事業関係以外の一般補助関係のもので、事業の実施に当たって、補助事業に対する認識が十分でなかったため、補助事業で導入した施設等が補助目的達成のために役立っていなかったり、工事が設計どおり施工されなかったのに設計どおり施工されたものとして処理したり、実際の事業費より多額な事業費を要したことにして精算したりなどしていたものでございます。  八七号は、都道府県が国からの補助金と自己資金等とによって造成した資金を農業者等に無利子で貸し付けている農業改良資金関係のもので、貸し付けの対象にならないものに貸し付けていたり、借り受け者が事業を実施していなかったり、借り受け者が計画事業費より少額で事業を実施していたりしていて、県の貸付金の運営が適切を欠き、補助の目的に沿わない結果となっていると認められるものでございます。  次に、本院の注意により当局において処置を講じたものについて説明いたします。  その一は、東北ほか二農政局が、昭和四十六年度から施行しております米沢平野農業水利事業水窪ダム工事ほか四工事の燃料費の積算に関するものでございます。すなわち、これらの工事におきましては、工事に使用する掘削機械等の燃料費につきまして軽油引取税が含まれている通常の販売価格によって積算しておりました。しかし、現行の制度では、このような工事において工事現場でもっぱら掘削等に使用する機械の動力源として使用する軽油につきましては、申請により免税証の交付を受ければ課税を免除されることが認められておりますので、このことを考慮して免税価格で積算すべきであると認め、当局の見解をただしましたところ、農林省では、各地方農政局等に通達を発し、免税措置の対象となるものについては、免税価格で積算するように措置を講じたというものでございます。  その二は、食糧庁で麦の輸入に当たって支払っておりますはしけ滞船料に関するものでございます。このはしけ滞船料の支払額は多額に上っておりますが、輸入麦を保管している港のサイロの収容状況を見ますと、水分の含有率などの相違によって定めた一定の区分ごとに麦を別々に収容しておりまして、この麦の保管区分の幅は若干広げても特別の支障はなく、この方法をとれば収容力の不足が相当に解消され、ひいてははしけ滞船料も相当程度低減できたと認められます。  これにつきまして、当局の見解をただしましたところ、食糧庁では各食糧事務所に通達を発し、収容する麦の品位数値の範囲を拡大してサイロを効率的に使用することとするなどの措置を講じたというものでございます。  以上、簡単でございますが、御説明を終わります。
  10. 井原岸高

    ○井原委員長 次に、農林漁業金融公庫当局から資金計画、事業計画等について説明を求めます。武田農林漁業金融公庫総裁。
  11. 武田誠三

    ○武田説明員 昭和四十八年度における農林漁業金融公庫の業務の概要について御説明申し上げます。  四十八年度のわが国農業は、農業生産こそほぼ前年度並みであったものの、資源・エネルギー問題の発生や内外経済の激動によってさまざまな影響を受けました。  まず、農業所得は、米、野菜等の価格上昇等による農業粗収益の伸びが、経営費の伸びを上回ったため、全体では前年度を大幅に上回りましたが、飼料穀物価格高騰の影響を受けた養豚、養鶏部門では、前年度を下回る結果となりました。  また、農業固定資本形成も、名目では前年度を上回ったものの、建築資材等の価格が上昇したため、実質ではほぼ前年度並みにとどまりました。  このような情勢下で、国においては、生産性の高い農業の育成や需要動向に即した農業生産の実現等のための諸施策の充実が積極的に講じられました。  次に、当公庫の融資業務について概要を申し上げますと、こうした国の諸施策の展開に即応して関係各機関との密接な連携のもとに、農林漁業の生産基盤の拡大整備及び経営構造を改善するための融資を一層推進するとともに、多様化する資金需要に対処して、融資条件の改善も含めて融資の円滑化に特に配慮してまいりました。この結果、四十八年度における貸付決定額は三千九億六千五百十万円でありまして、前年度実績と比較して三百六十億七百七十四万円余、一三・六%の増加となりました。  この貸付決定実績の内訳を申し上げますと、次のとおりであります。  農業、林業、漁業等に大別してみますと、一、農業部門二千百四十九億七千万円余、二、林業部門二百七十四億三千二百万円余、三、漁業部門四百六十億三千九百万円余、四、その他部門百二十五億二千三百万円余であり、農業部門が全体の七一・四%を占めております。  また、この貸付実績を主要資金使途別に見ますと、農林漁業経営構造改善関係が全体の三六・一%に相当する千八十六億四千三十三万円余、土地改良など基盤整備関係が四六・三%に相当する千三百九十三億八千十四万円余となっており、この両者が依然として貸し付けの大宗を占めております。  このうち、委託貸し付けによるものが全体の六三・九%に相当する千九百二十三億二百九十一万円余を占め、残りの千八十六億六千二百十九万円余が、公庫の直接貸し付けということになっております。  次に、四十八年度の貸付資金の交付額は、二千八百四十一億五千五百二十四万円余でありまして、これに要した資金は、資金運用部からの借入金二千三百三億円、簡易生命保険及び郵便年金の積立金からの借入金百八十五億円並びに貸付回収金等三百五十三億五千五百二十四万円余をもって充当いたしました。  また、四十五年度から四十七年度までの三カ年で開拓者資金に係る国の債権・債務を引き継ぎましたが、四十八年度において二十一億三千三百九十五万円余の回収及び八千百六十五万円余の滞貸償却があったため、四十八年度末の貸付金残高は三百四十億五千六百十三万円余となり、借入金につきましては、新規に資金運用部から二十二億円を借り入れ、また三十九億千六百八十七万円余を償還したため、年度末残高は三百十五億八千六万円余となりました。  この結果、四十八年度末における総貸付金残高は一兆五千二百九十五億二千七百九十一万円余となりまして、前年度末残高に比べて千八百三十九億四千三十四万円余、一三・七%の増加となっております。  次に、四十八年度の収入支出決算の状況について御説明申し上げます。  四十八年度における収入済額は九百四十二億千五百五十二万円余、支出済額は九百三十四億六千八百八十三万円余でありまして、収入が支出を超過すること七億四千六百六十九万円余となっております。  最後に、四十八年度における当公庫の損益について申し上げますと、本年度におきましては、三十七億千七百六十九万円余の償却前利益を上げましたが、これを全額滞貸償却引当金及び固定資産減価償却引当金に繰り入れましたため、利益金はなく、国庫納付はいたしませんでした。  以上が、昭和四十八年度農林漁業金融公庫の業務の概況であります。  何とぞよろしく御審議のほどをお願いいたします。
  12. 井原岸高

    ○井原委員長 これにて説明の聴取を終わります。     ―――――――――――――
  13. 井原岸高

    ○井原委員長 これより質疑に入ります。  質疑の申し出がございますので、順次これを許します。森下元晴君。
  14. 森下元晴

    ○森下委員 初めに、林野庁長官にお尋ねしたいと思います。  昭和四十八年度の国有林事業特別会計の収支の概況、特に収入の内容についてお尋ねしたいと思います。簡潔で結構ですから、御答弁願います。
  15. 松形祐堯

    ○松形政府委員 お答え申し上げます。  四十八年度の収支結果でございますが、収入といたしまして、収納済みの歳入額が二千三百十二億円でございます。それから支出済みの歳出額が千九百十四億円でございまして、差し引き三百九十八億円という歳計剰余金が出たのでございます。  その歳入の主な内容でございますが、林産物の売り払いが大体九三%を占めておりまして、業務収入と言っておりますが、これが二千百五十六億円でございます。二番目といたしまして、林野の売り払い代、これは自作農創設とかいろいろとございますが、これが三%で六十四億円になっております。雑収入、これは金利等が主体でございますが、六十四億円。さらに、資産勘定等からの受け入れが二十八億円の内容になっておりまして、合計いたしまして二千三百十二億、こういうことになっておるわけでございます。
  16. 森下元晴

    ○森下委員 国有林事業として三百九十八億円の余剰を出しておる。他の食管会計に比べて私は非常にいい成績であると思います。たまたま四十七年から四十八年にかけて木材価格が上がっておりまして、まあそれも原因だと思うのですが、非常に経営意欲を持って国有林事業が取り組まれておった、そういういい意味の結果にもよるであろう、私は、実はこのように思っておるわけなのです。  実はその中で、ただいま収入について詳しく御報告いただきましたけれども、国有林の貸し付けによる収入もあるやに聞いております。  先般、私ども決算委員会が東北地方を調査いたしました。そのときに、御承知の松尾鉱山に参りまして、いろいろ鉱害等の問題を調査したわけでございますけれども、あの土地はかなり国有林の貸付地であって、その一部の代金が回収できておらないというようなことの調査がございました。御承知のように、松尾鉱山は昭和四十七年四月に閉出しております。そういう倒産した関係もございまして、収入がされておらない。その関係を、これも簡明で結構でございますから、どの程度国損になっておるか、また、国損分に対してどういう手だてを打って、それを少なくする処置をしておるか、関係の方がおいでになったら、長官でなくても結構でございますが、お尋ねをいたします。
  17. 松形祐堯

    ○松形政府委員 お答え申し上げます。  ただいま御指摘ございましたように、松尾鉱山は昭和四十六年の四月に会社更生法の適用になりました。そして四十九年の六月に法人登記簿が閉鎖した、実際上の閉鎖になったわけでございます。その間、大正三年から実は貸付が始まっておりまして、昭和四十五年度にはピークで六百三十六ヘクタールの貸付をいたしておったのでございますが、四十七年度までは完納されておりますけれども、四十八年度分につきまして四百一万四千三十円という債務不履行となっております。ところが、これにつきましては、同社の清算が終了いたしましたので、私どもとしては、国の債権の管理等に関する法律というのに基づきます債権管理事務取扱規則というのが大蔵省から出ておりまして、その規定によりまして、債権が消滅したものとして整理をいたしたようなわけでございます。
  18. 森下元晴

    ○森下委員 いま長官の御答弁でよくわかりました。松尾鉱山のように、なかなか原形に復旧できない、もとの山林に返らないようなところに貸し付けた場合には、特別にいわゆる敷金のようなものを取っておる、だから余り損にならないということを聞いて安心したわけでございますけれども、ちょうど私どもが調査に参りまして、そういうことを聞き及んだし、現地で目の当たりに見たわけでございますから、金額は小さいわけでございますけれども、十分そういう御配慮の上で取り扱いされておったと了解をいたしました。  それから、先ほどの説明で黒字分の三百九十八億がどういうふうに使われておるのか。いわゆる特別会計で使われるのか、また一般の林業の振興等に使えるのか、その点につきまして、これも簡単で結構でございますから、お答え願いたいと思います。
  19. 松形祐堯

    ○松形政府委員 現金といたしまして、ただいま御説明申し上げましたような三百九十八億円の剰余金を出しておるわけでございますが、損益計算でいたしますと、黒字といたしまして九百五十九億という損益計算上の黒が出るわけでございます。これを一定の率、と申しましても八割に当たります約七百六十七億につきましては、会計内の将来に備えての保留ということで積み立ていたしておりますが、二割は特別積立金と称しまして、実は森林開発公団等の水源林造林という実に重要な造林をやっておるのでございますが、それに出資するというようなことで、過去においても出しておりますし、現在もこのものを開発公団の水源林造林に充てる、こういうことの手段をとっておるわけでございます。
  20. 森下元晴

    ○森下委員 その他国有林事業特別会計がやっております内容を見た場合に、ただ経済行為だけではなしに、非常に森林の公益的機能、たとえば環境緑化の問題、それから瘠悪保安林の改良問題、それから私有林の治山事業等にまで国有林特別会計でやっておりますけれども、そういうのは別に計算すべきではないかと私は思うのです。それについてどういうふうにお考えになっておるか、これも簡単で結構です。
  21. 松形祐堯

    ○松形政府委員 私どもこういう積立金制度をもちまして、それぞれ一応経理としては、すっきりしているつもりでございますけれども、先生御承知をいただいておりますとおりに、国有林といたしまして、あるいは一般財源をもって充てるべき、たとえば森林の保全のための治山事業だとか、あるいは入り込み者等が大変多くなってまいっておりますので、それの管理、指導とか、あるいは一部公益的な一般交通道的な部分に対する大型な林道の場合に、一部一般会計からいただいてもいいのではないかというような感覚等もございまして、実はこの二年来公益勘定というようなものを設けまして、何とかこれをしたいということでおるわけでございますが、まだ実現に至っておりません。  ただ治山事業等大変大事な事業等につきましては、一般民有林と同様に約三分の二の一般財源の導入を見ておるわけでございまして、今後公益勘定等につきましても、われわれは十分検討して実現をするように努力してまいる所存でございます。
  22. 森下元晴

    ○森下委員 この林業全般の振興問題については、私はやはり国有林がその推進力になって、牽引車のような働きでこれを推進しなければいけない、このように思っております。それで特別会計というような特別な会計の中でやられるものですから、黒字のときはかなり活発に活動できますけれども、これが恐らく五十年度は赤字に転落しておるだろうと私は思うのです。こういうことになりますと、国有林事業が非常に沈滞してくる。意欲がなくなる。したがって林業全般が非常に意欲も沈滞するし、林業だけではなしに製材から合板、すべて林材関係にわたっての沈滞にまで影響するわけでございます。  そういうことで、いわゆる三K赤字、食管とか国鉄とか健康保険、これは特別会計でありながら膨大な赤字を出しておる。国鉄なんかの内容を見ましても、約七兆円の借金、三兆円の赤字、それでもストが終われば、後は結構ボーナスも出ておるというような、おおような点がございます。これもやはり公共性という面に基づいて、まあまあ何とか通っておるのだろうと思うのですが、私は少し林野行政は遠慮し過ぎておるのじゃないだろうかという感すらするわけなんです。そこで四十八年度のように、黒字の場合には私はいいと思うのですが、これからは慢性的に赤字に転落してくる。そういう中で将来の林政全般を考えました場合に、私は林政に対する一般会計からの繰り入れとか一般の林業行政全般に対する――いわゆる住の問題を担当しておるし、特に最近の環境緑化の問題とか治山治水、非常に公益的に大切な林業全般に関する問題でございますから、この点前向きに他の特別会計のような内容以上に意欲を持って進むべきである、そう赤字を心配する必要もない、私は実はこのように思うわけです。  それで最後に農林大臣に、現在の林業特に林材も含めての不況下の深刻な情勢を考えました場合に、農林行政の中で林業全般に打つべき施策、特に予算がこれから始まるわけでございまして、やはり全般的の流れの中で林業予算に対する何か萎縮したような空気が見られるわけでございます。やはり林業また森林の効用ということを考えました場合に、米の問題とか、また他の衣食住の問題以上に森林政策ということを大切にしなければいけない。またその中で国有林行政の持つ意義というものを農林大臣としてどういう御見解でお進めになるか、そのことをお聞きして私の質問は終わりたいと思います。
  23. 安倍晋太郎

    ○安倍国務大臣 いまいろいろと御指摘がございましたが、まことにそのとおりであると思います。特に林業経営、国有林業の経営に当たりましては、経営の効率化を確保していく、効率性を確保するということが非常に大事ではないかと思うわけで、そのために国有林野事業につきましては、林政審議会の答申を昭和四十七年十二月二十二日に受けております。これは一年有半にわたりまして慎重審議をいたしまして、その結果、国有林野事業のあり方ということについての御答申を得たわけでございますが、この御答申の趣旨に沿いまして、国有林野事業の持つところの公益性の発揮と企業的効率性の確保との調和を図りながら、改善合理化を計画的かつ着実に推進して今日に至っております。  今日の事態は、国有林野事業のみならず、その他の民間事業におきましても相当深刻な不況の影響を受けておるわけでございます。今後とも具体的には公益的な機能を配慮した適正な森林施業の推進を図る一方、公益的事業分野に対するところの一般財源の導入等費用負担の改善を行いまして、企業的効率性を阻害することのないように努めております。また合理的な事業実行形態の選択その他各種事業の改善合理化、要員規模、要員配置の適正化等、事業全般にわたる改善合理化を進めておるわけでございますが、今後ともその推進には全力を尽くして努力をしてまいりたいと考えております。
  24. 森下元晴

    ○森下委員 終わります。
  25. 井原岸高

    ○井原委員長 原茂君。
  26. 原茂

    ○原(茂)委員 最初に、農林漁業金融公庫の武田さんに、先ほどの説明に関してちょっとお伺いしたい。  不勉強でよく知らないのですが、一番最後に――おりますか。――では、後で関係の係員で結構ですから、よこしていただくようにお願いしておきます。  それから、これはどなたが関係するのか知らないが、こういう事例が一つあるので、ささいなような問題ですが、先にお伺いしておきたいと思うのです。  昭和四十年の八月ごろに、これは私の縁戚に当たる人間なんですが、当時まだ存在していたイハラ農薬という薬屋さんがあって、これが例の稲の白穂枯れ病というんですか、これの特効薬みたいなものをつくったといって売り出し、その売り出されたものを試みに農協の指導員などが中心で使ってみようというので、本人立ち会いで使ったときに、風下にいたものですから、そいつをもろにかぶったのです。帰りますると、三時間ぐらい人事不省の状況になりました。自来、いろいろな医者にかかったのですが、まあ手足がちょうど中気の後みたいな状況で、脳みそはわりあいにしっかりしているのですが、足とか手の活動が健康時代の大体二割程度しか動かない。その後ずっと今日に至るまで寝たり起きたりといいますか、頭はしっかりしていますから、元気でいながら手足は不自由で歩くと転ぶというような状況なんです。これは、自民党の代議士の秘書さんなどが当時その農協にいまして、その人も勧めてくれた一人で、いろいろな、それを使ってこうなったんだよという証人はいるのですが、その当時普通の医者にかかっていましたから、イハラ農薬のその薬が悪いためにそうなったんじゃないのかということがはっきりしませんで、そのまま今日に至っております。親戚に弁護士がおるらしく、その弁護士が見舞いに来たときに、これはやはり正式に調査をしてもらって何か補償すべきものは補償させるというようなことをすべきではないかという助言があったのが契機で、私のところへ大分前から、縁戚関係の者ですから言ってまいりました。  で、農林省にもお伺いをして、何とかこういうものをさかのぼって調査をした上で、何か補償するなりわびをするなり、農林省がするのではなくても適切な措置を講じてやることが――もう相当の高齢者でございますので、どうも自分はそうだと思い、周りに証人がいるのに、なおかつ、どこからもあれが悪かったんだ、申しわけないと言ってくれないし、もちろん補償の問題も起きてこない。金がある家ですから、別に金が欲しいわけではない。しかし本人にすると、奥さんがこの間死んだんですが、もうじき行くような状況になるだろう、しかしこの問題だけはけりをつけて、悪いなら悪いということをはっきりした上でないと、どうも死んでも死に切れないというようなことをしつこく言っているのですが、この種の問題に関して何か適切にもっと徹底的な調査を行って――稲の穂が白く枯れるという何枯れ病だか知りませんが、時に四十年の八月、いまイハラ農薬というのはつぶれたか何かしてクミアイ化学何とかという会社に合併されているようですが、それをさかのぼって調査をして、せめて当時の真相がわかって、金の問題じゃありませんが、申しわけなかった、そういう試みの薬を使うときに不注意にも風下にあなたを立ち会わしたことは悪かったというようなことがはっきりしないと、どうしても寝覚めが悪いというのです。この大変気の毒なお年寄りが寝たり起きたりの状況で、それだけを昼夜考えているのを何とかする方法はないだろうかというので、私も悩んでおります。いかがですか。
  27. 澤邊守

    ○澤邊政府委員 農薬の風下におります被害の防止の問題あるいは残留農薬等によります食品に対する安全性の問題等につきましては、農林省としては十分使用基準を設定をいたしまして、被害を予防するように、あるいは農作物に残留しないようにという両面からの指導を強化しておるわけでございますが、ただいま御指摘がございましたイハラ農薬の件につきましては、あるいは当時も調査をしたことがあるかどうか、私、突然の御質問でございますので、現在お答えする準備がございませんが、よく調べまして適切な措置がとられておったかどうか、とられておらないとすれば、今後どのような措置がとられるかについて至急検討いたしたいと思います。
  28. 原茂

    ○原(茂)委員 ぜひひとつまた調べた結果を私までお知らせ願って、私も一緒に本人が満足するよう、金銭的な問題でなく突き詰めてみたいと思いますので、お願いいたしたいと思います。  それから大臣にいろいろお伺いいたします前に、異常気象の問題について、きょうは気象庁からも内田さんにおいでいただいているようですから、少しお伺いしたいのですが、最近の異常気象の状況というのは、相当長い間いろいろな、そう言ってもいいような現象というものがとらえられているようであります。日本においても異常気象はもちろんとらえられていますが、世界的に見ても、この異常気象は非常に顕著な、しかも諸外国においても、そのことを実証するようないろいろなデータが出されて今日に至っております。最近の台風のあるないの問題もそうですか、わが国の場合、あるいは東京を中心に四十四年あたりに、たつまきが頻発したような状況も、やはり都市化の副産物としての異常気象ではないか。きょうの読売もそう言っておりましたが、確かに異常気象というカテゴリーに入るかどうかは別にして、われわれが考えても異常だなと思う状況がいろいろな現象としてあらわれております。  専門家の内田さんに余りよけいなことを言っても仕方がないわけでありますが、私のお伺いしたいのは、たとえばことし、現在の状況が、ずっと今日までの十年来のデータなどにけみしてみて、やはり異常気象の一環と言える節があるのかどうか。来年が一体どんな状況で推移しそうなのかを、いままでのデータからいって、ある程度の推測ができるだろうと思いますので、その異常気象の状況というものを、そう具体的でなくて結構ですから、いま私が二つに分けた現在、来年、一体そういう徴候の一つとして何かがあるのかどうか、予想できるかどうかを先にお答えをいただきたい。
  29. 内田英治

    ○内田説明員 お答え申し上げます。  異常気象と申します目安は、普通約三十年以上に一回起こるような現象を異常と申しているのでございますが、先生がいまお話しになりましたように、非常に身近に三十年以上どころか何百年に一回というような現象も起こっているのは事実でございます。それでこれが去年気象庁から発表しました情報によりましても、非常に大きなスケールと申しますか、たとえば十年単位ぐらいのスケールにおきましても、極地方を中心としたところの寒冷化が一九四〇年ごろから、じわじわと起こっていると去年は発表したんでございますが、結局このようなことは、だんだんと極地方を中心として冷たくなりつつあるというのは事実でございます。これが一つの原因になりまして、中緯度地方にも寒気がときどき厳しく進入してきて、それによってさまざまの異常気象が起こっているわけでございます。  それで、たとえば本年の例をとりましても、ヨーロッパのたとえば西部の方では寒春というようなこともございましたが、ヨーロッパの東部では非常に暖冬であった。この暖冬は大体ヨーロッパ、ここ数年来の傾向でございますが、そういうこともございましたし、それからアメリカ、カナダの方面では六月から八月にかけて干ばつという現象も起きました。昨年には、アメリカ、カナダでは早冷という現象も起きましたが、ことしは干ばつというようなことが起きました。それから五月から七月にかけまして、ソ連のウクライナ地方では高温少雨である、しかも干ばつであるということが厳しくありました。  それからいま先生の申されましたように、日本でも非常にさまざまの小さいスケールあるいは大きなスケール、短期、長期にわたっての異常がございまして、日本付近から韓国にかけまして異常残暑であるということ、あるいは高温少雨であるというような現象が厳しくございました。十一月になりましても、日本では高温多雨というような異常が起こっております。  このようなことが結局非常にそういうような寒冷化、大きなスケールでの寒冷化がもとになって起きているとわれわれ思うわけでございますが、このようなことは、まとめてみますると、非常に変化の幅が大きいということが言えると思います。また、ローカルに、ローカルにと申しますか、地域的には非常にコントラストの強い、対照の非常に強いところの現象が特徴であると言っていいかと思います。  今後の見通しでございますが、このような去年気象庁が発表しました寒冷化ということは非常に大きな傾向でございますので、もう数年から十数年は続くであろうと書いてあるのでございますが、これに伴う変動幅の大きな現象というのは来年も、ことしほどやはり十分考えられるんじゃないだろうか、ことし非常に起きた変動幅の大きいような傾向は、やはり来年も起こるのでないかというふうに見通しを立てております。  以上でございます。
  30. 原茂

    ○原(茂)委員 きょうは異常気象を中心にいろいろなことをお伺いするのが目的ではございませんが、非常に参考になりましたが、食糧庁、きょう次長さんおいでになっていますが、このような気象状況の見通しのもとに、わが国の食糧行政に対するいろいろな政策なり対策なりというようなものをお考えになっているものなのでしょうかどうか、その点。
  31. 下浦静平

    ○下浦政府委員 お答え申し上げます。  私どもの方で取り扱っておりますものは米と麦でございますが、ただいま御指摘のございましたように、穀物の国際情勢というものが一九七二年、昭和四十七年でございますが、三年前からかなり変わってまいりまして、非常に需給基調としましてはタイトであるということに相なってきております。  したがいまして、まずその国際的な穀物でございます麦の関係でございます。これにつきましては、従来一・七カ月分ぐらいの在庫ということで操作をしてまいりましたが、いまのような状況を織り込みまして、四十九年度末からこれを二・三カ月まで持っていこうということでやってまいっております。なおこの麦の在庫月数につきましては、来年度以降私どもといたしましては数カ年のうちに三カ月まで持ってまいる、こういうつもりでおります。  なお外麦関係のことを申し上げましたけれども、内麦につきましてその生産振興を図ってまいるということにつきましては、これはもう当然のことでございまして、この面ではまた別途施策を講じておるということでございます。  それから米につきましてでございますが、米は先生も御承知のように、わが国の需給の基調といたしましては、かなり過剰基調にある、こういうことでございます。しかしながら先ほど申し上げましたような穀物の国際需給基調ということにかんがみまして、私どもといたしましては、これを来年の十二月末でございますが、その際に食管の古米在庫、これを百五十万トンまで持ってまいるということを計画をいたしまして、鋭意やってまいったわけでございます。本年の十月末、これは百十二、三万トンの計画でございましたが、おおむねそのような数字になろうかと思っております。なお五十年産米では三十五万トンの在庫積み増しをやるという計画を持っておりましたので、その数字を足しますれば、おおむね百五十万トンになるということでございます。ただ現実の問題といたしましては、相当限度超過米が発生をいたす見込みでございますので、かなりそれを上回る数字になろうかと思っております。  それから、この夏でございますが、公表いたしました「総合食糧政策の展開」というものの一環といたしまして、米の食管在庫につきましても、これは両三年中に二百万トンまで持ってまいるという計画を持っておるということをつけ加えさせていただきたいと思います。
  32. 原茂

    ○原(茂)委員 ここで、内田さん、どうぞ御用がありましたら結構です。ありがとうございました。  いまお話のありました食糧の備蓄などを中心に大臣にお伺いをしたいのですが、国際的に見ても、この間の会議による食糧備蓄というところへ焦点がしぼられまして、いろいろ日本あるいはその他の各国がこれにどのような対応をするかという問題が課題として、いま論議されているわけです。で、いま国際的な問題をどうこうするということを考えようとは思いませんが、国内の食糧の備蓄、これもいま内田さんのお話にありましたような、あるいは詳細にはもっと勉強してお聞きでございましょうが、来年あたりはいまの異常気象と言われるものの現象がひどく出るか出ないかは別として、やはり何らか稲作その他に影響がないとは言えないおそれが実はあるだろうと思う。  そういうときに、農林省が食糧の備蓄計画というものをお立てになって、何とかこれを推進しようというので来年度から目標を定めて、今度の予算編成の折にもいろいろと努力をされていくだろうと思うのですが、その食糧備蓄の構想と、すでに発表されておりましたその概要、いま大蔵省なりあるいは公正取引委員会などでも新聞などを見ますと、いろいろな問題で農林省の構想に対してチェックを言っているようでありますが、その概況と方針についてひとつ、大臣からちょっと。
  33. 安倍晋太郎

    ○安倍国務大臣 いま御指摘がございましたような最近の世界的な異常気象の状況、あるいはまた世界における人口の増加、あるいはまた生活水準の向上、そういうふうなものから判断をいたしまして、過剰であったところの世界の農産物といいますか、食糧は、これから非常に厳しい情勢に進むのではないかというふうに私は判断をいたしております。そういう中にあって、相当多量な輸入に頼っておるところのわが国の食糧につきまして、これを安定的に確保するということになりますと、いままでのような安易といいますか、そういうやり方ではこれは国民食糧の確保はできないと思うわけでございます。  そういう観点に立って、いま食糧庁次長からも申し上げましたような「総合食糧政策の展開」と称する今後の長期的な視点に立った食糧政策を打ち出したわけでございますが、その一環として食糧の安定輸入の方策、これを進めるとともに、また積極的に備蓄を進めていくということを考えて、これを推進をしたい、こういうふうに考えております。  なお、そのために政府も過去二年間にわたりまして備蓄の推進には努めてきたところでありますが、さらにこれを充実するために、また総合食糧政策の展開という面から、これをやはり本格的に実施に移そうということで、実は来年度の予算を目標といたしまして、現在関係各省庁でいろいろと折衝をしておるわけでございますが、その構想として検討してまいっておるところは次のものであります。  まず、輸入の安定化につきましては、国は農産物輸入の安定化に努めるとともに、民間におけるところの長期輸入契約の促進を図るために、輸入カルテルの要件緩和を初めとして、金融及び税制の面について何らかの優遇措置を講ずることであります。  また第二点に、備蓄対策につきましては、当面大豆につきましては三十万トンを、また飼料穀物、これはトウモロコシまたはコウリャンでございますが、この飼料穀物につきましては五十万トンを、それぞれ五十一年度から五カ年計画で備蓄すること。また備蓄は将来の需給の安定を消費者に約束する制度である趣旨にかんがみまして、備蓄経費の負担につきましては広く国民の理解を求め、特定の財源を調達することの可能性を探ること。  なお米につきましては、いま食糧庁次長が申し上げましたように、今後両三年間に二百万トンの在庫造成を行うということで検討をいたし、また折衝も続けておるわけでございますが、なかなか公正取引委員会あるいは大蔵省と折衝の段階におきましては、新税の創設あるいは輸入カルテルをつくるといった問題につきましては難航をいたしておるといいますか、むつかしい状況にあることは現在の事態でございますが、私たちは世界的なこうした情勢、食糧を取り巻く厳しい情勢を踏まえて、何とかこの長期安定輸入の道を開いていかなければならぬし、あるいはまた備蓄につきましても、何とかその第一歩を来年度から踏み出していきたい、こういうことで今後とも最大の努力を進めてまいりたいと思っております。
  34. 原茂

    ○原(茂)委員 大体概要はわれわれも新聞で知っているとおりのようですが、カルテルの問題もあるでしょう。租税特別措置法の新設などに対しては、これは整理合理化しなければいかぬという点からだとか、いろんな理由があるだろうと思うのです。いまお話しの、来年度から踏み出してみたいというのですが、五カ年で何百億ぐらいの構想で、金額、予算の面ですが、考えておられるのかが一つと、もう一つは、やはり国際商品協定などの再検討というか再交渉といいますか、もう少し原点に返った検討をしないと、高度経済成長時代のあの協定そのままにやるということは、もう国際的にこれは通用しないと思うので、この協定に対してどうお考えになっているかということも、これはいまは非常に問題だろうと思いますから、二国間協定でどうせやるんでしょうから、あるいは多国間協定になるかもしれませんが、その二国間協定の締結の問題はどうするのか、あるいは国際商品協定の問題に対しては、どういうふうにいまの問題に関連して進めようとなさっているのか、これをひとつ三つに分けて……。
  35. 安倍晋太郎

    ○安倍国務大臣 私から基本的な考え方を申し述べて、あと局長から答弁させますが、この安定輸入につきましては、ことしも私はアメリカに参りまして、アメリカのバッツ農務長官との間にことしから両三年間にわたる千四百万トンに上るところの飼料穀物、大豆等につきましての紳士協定というものを結んできたわけでございますが、これについてはアメリカ側もこれを今後とも守ってくれることは私も確信を持っておるわけで、アメリカもはっきり約束をいたしております。  私が判断いたしまするに、こうした日米間の協定を背景にして米ソの間の穀物の相互協定も生まれたのではないかというふうに判断するわけですが、世界はそういう方向に、これからやはり二国間あるいは多国間の協定といいますか、そういう方向に進んでいくのではないかというふうに判断しておるわけでございます。そういう中で、われわれはこの紳士協定に基づいてこの方向をさらに一歩進めなければならぬ。  食管物資である麦につきましては、これは政府が管理をいたしておりますから、政府の管理物資でありますから、アメリカであるとかあるいはカナダであるとか、輸入国との間に政府間の協定というものを結ぶことができるわけでございますが、その他の飼料穀物等につきましては、これはやはり民間の物資であります。したがって自由取引でございまして、なかなか両国間において政府間で協定を結ぶというふうなことはむずかしい面もあるわけでございます。したがって、私たちが考えておるのは、そうした民間物資でありますが、砂糖でやりました、御案内のようなオーストラリアとの間の民間協定を結びまして、これに対して政府が協力した。ああいう形で、やはり民間物資ではありますが、民間同士の長期契約というものを結んでいただき、それに対して政府が税制、金融面についての御協力をする、そういう方向で民間物資につきましては何とか長期契約といいますか、そういう方向に進めていきたい。  そうしてやはり食糧の確保というものを今後長期的な立場で図っていきたいというのが、われわれの打ち出しておる構想でございますが、なかなかこれは民間関係でございますし、あるいはその年その年の需給事情等もありまして、非常に需給が厳しくなれば長期協定という面が、長期契約という面がすぐ浮かび上がってまいりますが、少し需給が緩和いたしますと、またそういう考え方がなくなってしまうということで、非常にこの点についてはむずかしい面もあるわけでございますが、しかし私は、やはり将来にわたる長期的な立場で、わが国の国民食糧を確保するという面からいけば、この構想というものは一歩でも二歩でも何とか前進をさしたい、これが当然じゃないだろうかということで努力を続けていきたいと思っているわけであります。
  36. 今村宣夫

    ○今村(宣)政府委員 ただいま大臣からお話がございましたように、飼料穀物で五十万トン、大豆で三十万トンというふうな備蓄を行います場合のその経費を考えてみますと、飼料穀物五十万トンということで大体五十七億程度でございますし、それから大豆三十万トンということで考えますと、大体八十三億ということに相なっております。
  37. 原茂

    ○原(茂)委員 五年間ということですか。
  38. 今村宣夫

    ○今村(宣)政府委員 さようでございます。五年後に、ただいま申し上げましたように五十万トン備蓄する、それから大豆につきましては三十万トン備蓄するという、その状況のもとにおける経費ということを考えてみますと、いま申し上げたようなことになります。
  39. 原茂

    ○原(茂)委員 そうすると、食糧備蓄で大体百三十億ぐらい、五年後の目標で備蓄する、それだけですか。食糧備蓄の農林省の持っておる計画というのは、それだけで計画を立てていると見ていいのですか。
  40. 今村宣夫

    ○今村(宣)政府委員 食糧備蓄につきましては、ただいま大臣から申し上げましたように、飼料穀物、大豆あるいは米というふうな、そういう穀物の備蓄を考えておるわけでございますが、飼料穀物、大豆につきましては、飼料穀物五十万トン、大豆三十万トンと言いますのは、私たちの考え方としましては大体一カ月分の量でございます。もちろん、民間におきましては通常の在庫を持っておるわけでございまして、これが大体一カ月は通常在庫を持っておる。そこにその通常在庫以外に、政府あるいはまた政府の関係機関、あるいは政府がコントロールし得る機関ということで別に一カ月分を保有するということでございますれば、大体異常気象その他、そういう状況にもたえ得るというふうに考えております。
  41. 原茂

    ○原(茂)委員 そこで、大臣に先にお伺いしますが、大臣、先ほどおっしゃったように、アメリカへ行かれまして、紳士協定といいますか、あれは何と言うのですか、アメリカの農務省のトマソン農務官なんかも盛んに、日本が必要とするすべてが今後供給できるはずだ、こういったことを言っておることをわれわれも知っていますし、大臣も行って、はだで感じてこられたのだろうと思うのですが、かと思うと、CIA、中央情報局などでは、やはりこれは戦略物資扱いをして、恐らくいまのような異常気象の続く状況から言うと、来年、再来年までいま予想できる範囲ではアメリカとアルゼンチンぐらいが豊作だろう、あとはどうもいろいろな理由で危ないぞという見通しが立っておる。したがって、かつて第二次大戦直後にアメリカの大きな力で世界をある程度支配したと同じような、それ以上の力を食糧、穀物を中心にして、いわゆる世界的な、国際的な支配権というようなものがまた再びアメリカに返ってくるというような予想ができるという前提で、このアメリカのCIAの言わんとするところは、穀物あるいは食糧というものが戦略物資だという規定で扱われることを堂々と発言しているわけですね。  それを紳士協定でうまくいくだろう、大丈夫だろうと、表面的にトマソン農務官が言っていることと兼ね合わせて、大臣は楽観的なそういう面だけをお考えになっているように思うのですけれども、私は、やはりある程度戦略物資という規定で国際的に考えられることもやむを得ない、これはもうそのときの国際情勢の推移によっては、かつてもやったように、あの太平洋戦争に突入する前なんかひどかったものですが、これからも必要があれば、やはりナショナルインタレストというたてまえから言うならば、私は、人道主義的に日本はかわいそうだ、日本人は当てにしているのだから自分が困っても全部やってあげようというようなことにはならない。やはり反面、国際的な動きによっては、戦略物資というような考え方が依然として非常に強く食糧を中心に動いてくるだろうというふうに考えるわけです。  そういうような考え方、CIAの考え方などもあわせて考えていきますと、アメリカべったりで、まあまあ大丈夫だ、日本の必要とするすべては供給できるはずだと言っているし、紳士協定で大丈夫なんだろうという考え方は少し甘いんじゃないかという気がするし、甘いどころか、そのことは事実であるかもしれません。やはり有事の際に備えてそのこともあり得る、戦略物資としての扱いからくる外交的ないろいろな措置の一環として、日本への供給量の増減というものが大胆に行われることもあり得る、そのあり得るのに対処することをやっておくことが、私はいわゆる一国を責任を持って運営する、たとえば食糧関係で言うならば大臣の責任ではないかというふうに思いますが、その関連はどうでしょう。
  42. 安倍晋太郎

    ○安倍国務大臣 私は八月にアメリカに参りましたのですが、それは、それ以前にソ連がことしは相当な不作であるという情報をキャッチいたしまして、ソ連等が盛んに金を売っているというふうなこともキャッチいたしまして、これまた一九七二年のようなソ連の不作による大量なソ連からの買い付けが始まる、それで日本がしわ寄せを受けて、飼料穀物等が暴騰いたしまして、日本は非常な畜産危機等に陥ったわけでございますが、こういう二の舞いをやっては困る、何とかこれは避けなければならぬ。それにはまずやはり、日本が大量に輸入しているアメリカとの間に安定輸入の道をここでひとつ確立をしておかなければならぬ、そういう立場で、いわば先手を打たなければならぬという気持ちでアメリカに飛んだわけでございます。  初めに私たちは憂慮しておったわけでございますが、アメリカ側は、まあ非常に売り手市場という状況になったものですから、アメリカがどういう態度に出るかと思って、ちょっと憂慮しておったわけですが、日本に対しては非常に好意的に今回は交渉に応じてくれまして、これは日本が伝統的な輸入国であるということもあると思います。毎年安定的にアメリカから買っておる、また日米の友好関係もあると思いますが、当初の予想以上に千四百万トン、飼料穀物は八百万トン、それから三百万トンの大豆、三百万トンの小麦でありますが、千四百万トンをこれから三年間にわたって輸出を確保するということを約束してくれまして、私は予想以上の成果を上げることができた。  そして紳士協定であるとはいえ、私が参りまして、アメリカの農政の責任者であるバッツ長官との間に取り決めたものであるから、これはもう確実に保証されたものであるというふうに確信もいたしますし、この協定は国務省も含めたアメリカ政府全体の保証であるというふうに理解もいたしておるわけでございますが、それはそれなりに安心はいたしておるわけでございますが、しかし、アメリカの一部の考え方につきましては、いま原委員もおっしゃいますような、いわゆる食糧を戦略的物資として取り扱うという考え方があるというふうにも私は判断せざるを得ないわけであります。  これは言い過ぎかもしれませんが、キッシンジャーの備蓄構想というようなもの、あるいはそういうものとも多少つながっているというふうにも考え、推測せざるを得ないような面もあるわけでございますが、私たちのやりましたこの紳士協定につきましては、そういう戦略的な立場ということでなくて、日米間の友好、親善を推進して、さらに日本が伝統的な食糧輸入国であるという立場を十分把握した上の彼らの態度であったというふうに、まあ以上のように理解をいたしております。  しかしこれは、いまおっしゃるようにアメリカだけに、日本はアメリカから一番大量に輸入しているわけでありますが、今後の国民食糧の確保ということを考えますと、アメリカだけに頼るということは、これは危険な面があるわけでございますから、やはり今後食糧の輸出国、生産国でありますカナダとか、オーストラリアとか、あるいはまた南米等のブラジル、アルゼンチンといったような国々も含めて、そうした輸出国等につきましては、今後やはり日本としても安定輸入の道を開いていくように積極的な努力をしていかなければならない。一国だけに頼るということでは危険でありますから、そういう点では、今後は多国間のそうした輸入体制をつくり上げていくように、われわれとしては努力していかなければならぬことは、これは当然であるというふうに思っております。
  43. 原茂

    ○原(茂)委員 私がいま御質問申し上げた前段は、大臣の楽観説だけで行こうとすれば国際分業論という立場で、後半は食糧の安全保障という立場との兼ね合いになるのですね。大臣おっしゃったように、アメリカ一国じゃ危険だ。そうは言っても危険だ。だからカナダその他をとおっしゃるのですが、国内生産というものにもう一度メスを入れ直してやっていかなければいけないことも、おっしゃらなかったけれども、あるだろうと思うのですね。衰え切ったいまの日本の土地の状況を一体どう活を入れるかというようなことは、根本的に農業政策として考えられていかないと、何でも食糧を外国から輸入輸入と言うたけで――いま大臣そのつもりでおっしゃったのではないと思いますが、ほかの国からもですが、それにも増して大事なのは、やはり国内生産にもう一度スポットを当てて、これに思い切った力を与えていこうという見直しをやらないといけないのじゃないかと思いますが、いまの安全保障あるいは分業論というようなものを考えたときに、あいまいな形でなくはっきりと政府が国際分業も必要だというたてまえをひとつ打ち出し、同時に、食糧の安全保障というたてまえからも、こうあるべきだというあるべき姿というものをここで打ち出して、世界にもそれを知ってもらっていいと思うのです。  これは命の綱でございますから、当然ですから、したがって、そういったものを、ビジョンとは言わないまでも、備蓄政策というものを農林省が考えて打ち出そうとしているのですが、その底にある思想としてはこういうものがあるのだという、はっきりした論理的な裏づけをする必要があるのじゃないか。これは、国民がそのことを知って理解をして、そして国民的な世論の中でやはり進めていくようにしないと、農林省の皆さんがどんなに努力したって、政府のいまの財政事情からいって、こうだああだというようなことで、先ほどの備蓄だけでもわずかな金ですらなかなかに財源難だ、こう言われて、そのためにいろいろな措置を講じなければいけないようなことを考えていることが新聞などでも出ています。  おっしゃるとおり、いろいろな手当てを考えておられる。これも必要だろうけれども、私はそのことが国民の理解するところになっているかどうか。やはりいまの政治というものは、一番大事なのは国民的なコンセンサスがあるかないかということが政治を押し上げる。公害問題で何か住民パワーがあれだけの大きな力を発揮するのと同じように大事ですから、農林大臣は何といっても若くて元気で力のある大臣ですからいいのですが、それでもやはりこれからの政治のあり方として、特に国民全体の食糧あるいは穀物全体の問題は、すでに自給率四・一%に下がっているという現状ははだ寒い感じです。  いまここへ来て入手したのですけれども、新聞なども言っているように、国民の過半数が、割高でもいいから国内生産に力を入れてくれないかという不安を感じているわけですね。半分以上の人が十年後にはとにかく食糧は危険だぞということを感じておりますということを、政府みずから調査で発表しているわけです。これにタイアップして、わが党も備蓄の十年計画を九〇%にするのだというようなことを言って、自給度を高めることを含めた法案の提出の準備というようなことをやっているのですが、これは一政党あるいは与党、野党が考えるというよりは、一番大きな力と指導的な役割りを果たす責任のある政府が、やはり底流としての思想、考え方というものがはっきりと国民の中に知られて、だから国際分業論として、これだけのものはやる必要がある、しかし反面、ある国際的な事情によっては食糧が安全保障あるいは戦略物資扱いをされる危険があるので、国の安全保障というためには、最低限度国内生産を、あるいはアメリカ以外のどこの輸入をといったようなことがそこから出てきて、国民全体に理解をされるようにしておくことが非常に大事な時期だろうと思うのです。  農林省が何かつくってくれました、それが発表された、それがずっと各自治体に伝わっていった、それから農村へ、農協へ、こういったいままでのやり方で、パターンでやっていっていいか。この種の問題というのは、特にいまの財政事情もあるし、いろいろなものとのかかわり合いの中で、備蓄一つとらえてもなかなか困難だ。わずかな金額でも財源的な困難があるというようなときであればあるほど、やはり国民的な理解というものがそこに得られるような、いま農林省が備蓄を考えて、こうだこうだと言ってその現象的なものだけを訴えないで、やはり日本の食糧政策の今後について、いま私が言った二つの立場を明快にしながら、農林省が国の責任で国民への理解を深めていこうというような手だてを講じなければいけない重要な段階ではないかと思いますが、いかがでしょうか。その考えと、その方法をぜひ実行してもらいたいと思いますので、そのことをおやりになれるかどうか、お伺いします。
  44. 安倍晋太郎

    ○安倍国務大臣 私も、いま原委員のおっしゃられた考え方と基本的には全く同じ考え方をもって今日まで努力してまいったわけでございまして、食糧問題は、いまお話しのように、私はまさにいわば安全保障の問題でもあるというふうに考えております。したがって、この問題につきましては、ただ漁業サイドとかあるいは農業サイドから解決をしていく、農林省だけのサイドから解決をしていくという問題ではなくて、やはり広く国民の理解を求めながら、国政の問題としてこれを解決する方向へ進まなければならないという考えでございます。  そういう考え方から、九月にも国民食糧会議というものを開きまして、農政関係者、漁政関係者だけでなくて、広く国民各層の代表者に集まっていただきまして検討をしていただいたわけでございますし、そうした国民各層の衆知を集め、理解を求めるとともに、農林省としても、農政審議会に諮問しておりました昭和六十年を目標といたしまする農産物の生産と需要の長期見通しというものに基づきまして、「総合食糧政策の展開」と称する昭和六十年を目標にいたしました新政策を打ち出したわけでございまして、広く国民の皆さんに理解を求めておるわけでございますが、この新政策の中心は、何と言いましても、いまお話がございましたように国内の自給体制の確立でございます。  何よりもかによりも、農政の最大の中心は何としても国内の自給力を高めていくということではないかと考えておるわけでございまして、そこで自給力を確保していくための基盤整備の拡充を初めとする、もろもろの施策を明らかにいたしておるわけでございますが、しかしどうしても自給ができない農産物があるわけで、トウモロコシ、コウリャンといったような、どうしても自給ができないような農産物につきましては、これはやはり外国に依存せざるを得ないわけでございますから、そうした農産物につきましては外国からの安定輸入を図っていく。同時にまた、備蓄についても積極的にこれを進めていくということでございまして、やはり農政の中心はあくまでも自給力を確保するということでございまして、食糧と言えば農産物だけでなくて、漁業資源も食糧の大きな一環でございますが、この漁業資源につきましても国際的に非常に制約が厳しくなりまして、わが国の沿岸におきましてもソ連漁船等の進出もあって、そういう面でも大変厳しい情勢にあるわけでございますが、そういう中にあって、いかにして漁業資源を確保するかということも、わが国の自給体制を確保する中において、これからの大きな政治的な課題であろうと思うわけであります。  そうした問題を踏まえた上の「総合食糧政策の展開」を打ち出しておるわけでございまして、その食糧政策に基づきまして、来年度の予算から何としてもこの第一歩を踏み出したい、こういうふうなかっこうでいろいろと折衝を続けておるわけでございます。したがって来年度予算編成に当たりましては、先ほどから申し上げましたように、石油の問題等々と並んで食糧問題というものは、まさに国政の重要課題であるというふうな見地から、政府全体としても取り扱っていただきたいと思うし、国民のそういう面での理解と御協力をさらに進めてまいりたいというふうに思っておるわけでございます。
  45. 原茂

    ○原(茂)委員 武田さんがおいでになったので、ちょっとお伺いしたいのですが、説明書の一番最後に、償却前利益金の全額を滞貸償却引当金に充てるという説明が先ほどあったわけですが、滞貸に対する償却していい金額あるいは事情、滞っている期限というものをいろいろ勘案するのでしょうが、あれは限界それからだれが、どの機関で償却してよろしいという規定、けじめ、そういうものがあるのかどうか。
  46. 武田誠三

    ○武田説明員 滞貸償却金あるいは固定資産の償却への繰り入れにつきまして、従来は各金融公庫それぞれの機関におきます現実の貸付金の残高であるとか、持っておりますその年につくりました資産その他に応じまして、それぞれの過去の債務の滞りの状態、将来の危険の度合いというものを見込みまして積立金を財政当局とも協議の上で決定してまいったわけでありますが、ここ二年ほどこの積立金の制度につきまして、もう少しけじめをつける必要があるという話がありまして、最近では貸付金残高の千分の五を基準にいたしまして積立金を積み立てていく、あるいは取り崩していくということにいたしております。
  47. 原茂

    ○原(茂)委員 私のお伺いしているのは、いま教えていただいたのは大体知っていることなんです。大体わかっています。こういう滞貸償却引当金を引き当てるということの限度の設定、それからいま途中でお話のあったように期間がどのくらい滞ったという、どこでけじめがつけられるのか、その規定みたいなものがおありになるのかどうかをちょっと。
  48. 武田誠三

    ○武田説明員 公庫の国庫納付金に関する政令第一条第四項の規定で、貸付金残高に対する繰入額の限度等が決められておりますけれども、四十八年度の決算の際には各年度の繰入限度額が、農林公庫の場合でございますが、貸付金残高から開拓承継で繰り入れましたものの公庫が引き継ぎましたものの残高、それから貸付受入金を引きまして、それの千分の九以内ということに改められました。それから累積限度額は、同じくいまのものの千分の三十六以内ということにいたしまして、四十八年度の決算では適用いたしております。
  49. 原茂

    ○原(茂)委員 ありがとうございました。私、これ私なりに調べて内容をまたお聞きすることがあったら教えていただきます。  そこで大臣に続いてお尋ねしますが、農林省がいまの食糧の状況を中心にして、政府の何かPR機関があるとみえて週刊誌に出したり、まあ国鉄なんかひどかったですが、一般新聞にも一面でずっと書いたりして、いろいろ宣伝していますね。週刊誌にもちょいちょい出ていますが、ああいうような方法、農林省で食糧事情の真相と、それから今後の方針というようなものを、ああいうものを使って国民にPRするということはできないものですか。
  50. 安倍晋太郎

    ○安倍国務大臣 農林省の許された予算の中で現在の食糧問題の厳しさというものをPR等もいたしておりますし、また特に米の消費拡大等につきましても、食糧庁にあるそうした広報関係予算を使って鋭意やっておるわけでございますが、これは私は今後国民的理解を深めるには非常に必要なことであると思いますので、今後来年度予算等におきましては、そうした面についても力を注いでまいりたい、こういうふうに思っておるわけであります。
  51. 原茂

    ○原(茂)委員 結構です。私は国際分業と安全保障というようなこと、それまで国民の理解を得ることができるようにすべきではないかということをさっきから言っているのですが、それをひとつお忘れなく、できるならそういうことのPRをし、国民的な理解を得るような努力をする。  それで細かいことを二、三お伺いしますが、一つは食糧備蓄公団の構想があったと聞いていますが、これはどうなったのでしょうか。そういう構想はいまだにあるのでしょうか。
  52. 今村宣夫

    ○今村(宣)政府委員 備蓄公団という構想ではございませんで、大臣が申し上げましたように、本格的な備蓄に一歩を踏み出すということから考えますと、やはりえさなどにつきましては、たとえば食管特別会計ということで国がコントロールし得る状況に置いておく。あるいはまた大豆などにつきましては、たとえばいま糖価安定事業団がございますけれども、そういう公法人が特別に一カ月分を保有するというふうな形で、通常の会社が持っておりますランニングストックのほかに一カ月分程度を国の機関あるいはそれに準ずべき機関において備蓄をしておくことが適当ではないかという考え方でございます。別にそのもののために公団をつくるというようなことは考えておりません。
  53. 原茂

    ○原(茂)委員 もう一つ、国民食糧会議で川野東大名誉教授が提言した食糧備蓄債券という構想はどうなんですか、あるのですか。
  54. 今村宣夫

    ○今村(宣)政府委員 食糧会議で川野委員から備蓄債券を発行してはどうかというお話がございました。私たちはそれも一つの考え方であると思いますけれども、備蓄というものは、いまおっしゃられましたように国民の一番大事な食生活の保険であるという考え方に基づきまして、よって広く国民の理解を得ると同時に、その負担につきましてもそういうふうなかっこうでみんなが負担をするのだという形が適当ではないかというふうに考えてきたわけでございます。  したがいまして、それについての特定財源問題ということにつきましても、いろいろ検討を続けてまいったわけでございますけれども、いろいろ税制の新税の創設あるいは来年度の税制に対する大蔵省の方針等もありますし、なお検討を要すべき問題があると思っておりますが、基本的な考え方としましては、備蓄は国民の保険でありますから、広く国民の理解のもとにそういう財源措置によって処理をするのが最も適当なことではないかという考え方に立っておる次第でございます。
  55. 原茂

    ○原(茂)委員 次に、ついでにもう一つ。備蓄農産物引取税という考えをずっと基本に持っておりましたね。あれは今後どうなるのですか。
  56. 今村宣夫

    ○今村(宣)政府委員 いま申し上げましたような趣旨で広く国民にそういう備蓄につきましての負担をしていただくということからいきますと、その負担の方法はいろいろございますが、その一つの方法として備蓄につきましてのそういう税制、早く言いますと新税の創設という問題がございます。ところが、これにつきまして、私たちなりの考え方に基づきまして、いろいろ大蔵当局とも話し合いをいたしたわけでございますが、大蔵省としましては、一つは来年度におきまして新たな税制を起こすつもりは現在のところございません。  それからもう一つは、そういう税制を起こしましたときに、税体系の問題といたしまして、やはり負担能力をどこに求めるかという問題がございます。そうしますと、そういう流通税なり、あるいは付加価値税ということを考えました場合に、やはり国民生活の基本であります食糧について、そういう税負担を求めるということが、税体系として適当であるかどうかという基本的な問題が一つございます。それから第二は、しからばそれを目的税のような形で仕組むという方法もございますが、目的税としてこれを仕組むこともまたいろいろ問題がございます。したがいまして、来年度そういう新税を起こさないけれども、なお農林省とよく話し合って、今後の財源問題につきましては税を含めて十分検討をしていきたいということに相なっておるのが現状でございます。
  57. 原茂

    ○原(茂)委員 わかりました。とにかくなかなか困難な壁があるようですが、大臣、しっかりがんばって、備蓄計画だけは推進しないといけないのではないかと思いますので、応援しますから、ひとつがんばっていただきたいと思います。  それから次の問題に移りますが、小さい問題を先にお伺いします。  来年から学校給食に御飯を週一回か二回ぐらいということで、これはだんだん実ってきたようですね。パンと比べると何といっても全体的な栄養価が低い、低いのはおかずでとる、こうなるわけですから、そうすると施設の問題もあります。これは助成もやるのでしょう。しかし現実の問題として、おかずで栄養価をとろうとすると、非常にパンの給食より高くなる。これはまた父兄の負担になっては困るわけですから、やはり給食用の米に関しては特別の安い価格で売るというようなことを考えてやらないと、せっかくああやって御飯をということになっても、あれが行き渡るわけにいかないのじゃないかという感じがしますし、この景気、経済の状況の中で父兄に新たな負担をしょわせることはやはり避けなければいけませんから、したがって農林省としても特別に配慮をして、米飯給食の場合には、やはりおかずで栄養価をとる分、全体とは言わないまでも相当程度米の価格を安く供給するということを考える必要があると思いますが、いかがですか。
  58. 安倍晋太郎

    ○安倍国務大臣 先日も、学校給食は文部省の主管でございますから、特に文部大臣に私からお願いをいたしたわけでありますが、その際文部大臣からも、学校給食用の米については、農林省としても価格について特段の配慮をしてほしいという御要請もあったわけであります。協力もしてほしいということであります。確かにおっしゃるように米を学校給食するということになりますと、パン食とは違って、予算の面においてもいろいろと経費がかかるわけでございますから、そういう中で少なくとも米については一般の価格よりは安く給食に充てるということは、今後米の消費拡大、給食を拡大する上においても大事なことでありますので、これは何としても特別な価格で学校給食用の米を支給できるようにやっていきたい、こういうふうに考えておるわけであります。
  59. 原茂

    ○原(茂)委員 それから次に、養蚕農家の問題でちょっと……。  私、長野県ですから一番心配で仕方がないのですが、だんだん減っていってしまいまして、来年もっと減るだろうと思いますし、その率なんかここで言っても仕方がないので、皆さんの方が専門家でよく知っているのですから、あえて申し上げませんが、これは限界をどこに求めているのか。もうなくなっていくなら、なくなっても仕方がないのだというのでほうっておくのか、やはり農林省としての限界がここにあって、そこまでは何としてもやらせるとか、あるいはこういう手当てをするんだというような方針がありますかどうか。
  60. 澤邊守

    ○澤邊政府委員 養蚕につきましては、本年は生糸の生産量で見まして約一割くらい減っておるわけでございます。これは気象条件等もございましたけれども、やはり労力問題が一つの大きなネックになっているということと、御承知のように生糸あるいはそれにかわる加工品である絹撚糸、織物等の輸入問題に対しまして先行きの不安ということもございまして、本年の一割の減産になったという点がございます。  私どもといたしましては、養蚕というのは非常に長い伝統のある民族産業でございますし、繊維原料として国内で唯一のものでもございますので、われわれといたしましては、今後これを維持あるいは拡大をしていくということにつきましては、農林省なりに努力をしてまいりたいというように思っております。そういう点で、生産体制とあわせまして価格、輸入対策等につきまして現在検討いたしておるわけでございます。
  61. 原茂

    ○原(茂)委員 その問題は、別個にこれだけ取り上げるときをまたほしいと思いますが、とにかく非常に複雑な関連する問題がありますけれども、いまのままでじんぜん日を送ると本当に壊滅的な状況になりますので、十分な手当てをするように、合理的な考え方を進めていただくようにお願いをしたいと思うのです。  そこで林野の問題に入りたいと思いますが、最初に大臣にお伺いしたいのですが、長官にも後で同じ問題でお伺いします。  今回、八日間にわたるスト権ストと言われるものが行われました。総理の声明などもそうですか、至るところで林野を含めた今後の経営形態の移行なり、あるいは変更なりというようなことが活字になって出ているし、電波にも乗っているわけですが、一体この林野の行政に関して政府当局としては、特に大臣としては、経営形態の移管、特に民営を含んでいるだろうと思いますが、そういうことをお考えになっているのかどうか。やがて相当の期間をかけてこの問題の論議はされるわけですから、後に問題が尾を引いていくだろうと思いますので、にわかには答えられないかもしれませんが、できるだけ簡明直截に、一体あの声明その他に出ている経営形態の変更を前提とするような変更とは一体何を考えているのかということを、考えていないならいないで結構ですが、ずばりお答えいただきたい。  それから長官には、私がいま端的に言ったような状態で、わが国のきれいな水、緑、国土保全、自然保護というようなことを林野庁としては非常に重要な責務としてやらざるを得ない。やっておりますし、それが大きなテーマにもなっている林野庁の仕事であると考えますが、もしいまの林野行政というものの一部分なり相当部分なり、ある部分が、いまよりも民営に移管されるというようなことがあったら、大事な、そうでなくても荒廃を続けているわが国の国土は――生物が生きる条件というのは自然を破壊するという条件と一致するわけですから、人間が生きていくために自然というものは破壊されるのが前提だと言っていいほど、とにかく自然破壊はこれからも急速に進んでいく。  これをいかに防ぐか、いかに国土の保全をするか、緑を守るか、きれいな水、空気を守っていくかが林野庁に課せられた大きな仕事だと思うので、そういう中で、言われているスト権問題を中心に民営への移管ということがにおわされたり出されておりますが、それでいま言った大目的が果たして十全にやっていけるとお思いになるかどうかは、長官がその次にお答えをいただきたい。
  62. 安倍晋太郎

    ○安倍国務大臣 国有林野事業の経営形態につきましては、農林省としては昭和四十七年の林政審議会の答申の線に従いまして、現行の特別会計方式を基本にその欠点を是正するという方向によることが適当であると考えておるわけであります。今回の政府の基本方針によりまして、政府全体として三公社五現業等の経営のあり方等につきまして検討されることになったのは御承知のとおりでございますが、これからの検討の中にあって、先ほど申し上げましたような農林省としての意見を述べながら、妥当な方向で政府の結論が出されるように対処してまいりたいというのが私の基本的な考え方であります。
  63. 松形祐堯

    ○松形政府委員 お答え申し上げます。  ただいま御指摘ございましたように、国有林約八百万ヘクタール弱でございますけれども、その中に三百五十万ヘクタール程度の保安林が入っておりますし、また日本の脊梁地帯を管理いたしております関係から、国立公園、国定公園、非常に重要な森林地帯も二百万ヘクタールも含まれている、こういうことでございまして、特に緑の価値観の変化に伴います、それに対する要請というものはきわめて強いわけでございます。  したがって、そういう要請にこたえるということが大事でありますと同時に、木材供給機能というものも大事でございます。これらの調和において私どもは運営しているところでございますが、ただいま大臣からお答え申し上げましたように、林政審議会、これは四十七年の十二月に出ておりまして、その中で現在の特別会計方式を改善しながらということでございますので、そのような意思を持ちながら私どもは今後も経営してまいる、こういう姿勢でございます。
  64. 原茂

    ○原(茂)委員 がんばっていただきます。  それから、これは長官にお伺いするのですが、三月二十一日をもって世界林業の日というのを国際農業何とか会議から大臣あてに、何か林野庁も入ってくれないかという要請があったはずなんですね。もう四年目、四回ぐらい勧誘があるのですが、これに加入するつもりかどうか。
  65. 松形祐堯

    ○松形政府委員 お答え申し上げます。  御指摘のとおりに欧州農業連盟という自主的な団体がございまして、実は一九七一年から、そのような三月二十一日を世界的に決めまして緑化運動をやろう、こういうことで呼びかけがございました。国際的な緑化行事というようなことでの呼びかけがあったわけでございます。  私ども三月二十一日ということは、実は日本列島で申し上げますと九州、四国とか、あるいは中国地方はやや緑になっておるわけでございますけれども、近畿、中部地方から北におきましては、まだ緑が出ていないというような時期でもございます。と同時に一方では御承知のような両陛下お出ましの植樹祭もございますし、各県あるいは各町村ごとにそれぞれの地域で四月から五月にかけまして植樹祭行事をやっておりますと同時に、御承知のような緑の羽根の運動あるいは緑化週間、学校植林コンクールとかそれぞれいろいろな行事をやっておりまして、あえて三月二十一日に統一してやるということは必要ないのじゃないか。私どもといたしましては日本独自のそのような盛大ないろいろな行事を行っておりますので、今後はさらにこれを充実して、国民の方々にも緑化思想を啓蒙していただくという努力を続けてまいりたい、そのような旨を添えまして御返事を申し上げた次第でございます。
  66. 原茂

    ○原(茂)委員 にわかにこれに参加するということはちょっと考える、こういう答えですね。
  67. 松形祐堯

    ○松形政府委員 はい。
  68. 原茂

    ○原(茂)委員 でしょうね。私のところも三月二十一日では青い芽も何も出てこないのですよ。どうするのかなと思って関心を持ったのでお伺いした。結構です。  次に、無振動のチェーンソーを使っていただくようになって、これは長い間待望のことなんですが、完全かどうかまだ行って見ないからわかりませんけれども、相当改良したり開発して使って、一台平均八十万円するのですかね、何か長野県でも相当の場所に使ったようです。まだ全部というわけにはいかないのですが、新しい予算をつくるいまの段階で、今後この無振動のチェーンソー、玉切り何とかと言うのだそうですか、あるいは二百万円ぐらいする定置式の物もありますね、こういうものを、全体として白ろう病対策という意味では急いでやらなければいけませんが、どの程度次に予算化をされて要求をして、何%ぐらいこれにかえていこうとするのか、それだけお聞きしたい。
  69. 松形祐堯

    ○松形政府委員 昭和三十年代から国有林あるいは民有林を通じまして、これは世界的傾向でございますけれども、チェーンソーを使ってまいりました。その累積と申しますか、そういうことがございまして、白ろう病が次第に出てきているという現実を踏まえまして、この改良に努力してまいったわけでございます。昨年来、私どもいろいろ開発をしてまいりましたのが、チェーンソーではロータリーエンジンつきのチェーンソーを開発いたしております。現在四十九年度で林野庁の国有林の方で百五十台ほど購入いたしまして、四つの営林局で現在これを実験中でございまして、実験しながらいま改良を続けております。できるだけ早く、今年度中にもそれを買い入れて、少なくとも五十二年度までには国有林については、そういうことに切りかえてまいるということをいたしております。  なお民有林でございますが、大変たくさんなチェーンソーが使用されておりまして、このまま使うことの是非等の問題も労働省等の関係もございまして、私どもこれを何とかしたいということで、実は来年度予算でございますけれども、林業の総合改善資金という無利子の制度を立てたいということで実は要求をいたしておりますが、その中身といたしましてチェーンソーの買いかえ費用というのが大きな柱になっております。  こういうことをまず来年度はぜひ確保したいということと、御承知のように林業構造改善事業というのをこの数年来行っておるわけでございますが、この中ではそのようなチェーンソーのただいま御指摘ございました玉切り装置というのがございます。こういうものが買えることになって、その場合も私どもは機種選定をいたしておりまして、非常に振動の少ない機種を公表いたしております。これは労働省と相談いたしながら公表いたしておるわけでございますが、そういうものでないと補助対象にしない、こういう指導をいたしておるわけでありまして、構造改善事業としましては数十億というような事業になる関係もございまして、その中で機械にどの部分がどの程度ということは現在手元に資料を持っておりませんけれども、少なくとも振動数の少ない、公表されたものに今後は切りかえていく、しかもそれは早急にやるのだというような心構えで私どもは対処しているところでございます。
  70. 原茂

    ○原(茂)委員 それから前にもお聞きしたニホンカモシカの問題です。自然を守る会からずいぶん怒られているのですけれども、捕獲をするということは、目的があって、殺せというわけじゃないですから。しかし現実のいまの被害を考えるとゆゆしき問題です。この間飯田で、五頭捕獲許可通知が来たようですが、県内の動物園にこれを引き取ってもらう。五頭じゃどうしようもないわけですね。地元の二十七頭という要求に対して五頭ですが、これは長野県ばかりじゃありません。全国的な問題で、いま大騒ぎになっています。青森にしたって岐阜にしたって大変な問題なわけです。  したがって何とかこれを処置するために、前から言っておりますように、たとえばですが、長野県で言うとある特定の、やはり国有林がいいだろうと思うのですが、開発しない国有林、下草もずっと生えっ放しにしておくという国有林のある地域を設定して、そこへ捕獲したものは入れるというようなことをしないと、これは問題の解決にならないと思うので、ぜひそれをやってもらいたいと言って、検討するというお答えもいただいたわけですが、その後どうなっているか、これは大至急やるべきだと思うのですが、見通しをお聞きしたい。
  71. 松形祐堯

    ○松形政府委員 お答え申し上げます。  長野県で五頭、岐阜県で五頭、これはいろいろ生態がわかってない面が大変多うございますので、とりあえず試験的に許可をする、その許可に当たりまして文化庁、環境庁、林野庁、三省において協議いたしまして御指摘のような結論に達したわけでございます。長野県の場合、五頭についてはとりあえずそのような動物園に入れる、そして岐阜県につきましては、国有林内の適当なところに入れたらどうだろう、おっしゃるようなさくを設けましてそういう実験をしたい、しかし各県五頭ぐらいでいいのかどうかという問題もございます。今後の問題といたしまして、それは検討させていただきたいと思います。岐阜県の方式が果たしてうまくいくのかどうか、それらも含めて検討させていただきたいと思います。
  72. 原茂

    ○原(茂)委員 大事なところは、いまとった五頭はみんな無理をして動物園へ引き取ってもらうのですよね。試みにやったものを検討した結果でやるというのですが、その答えが出るまでに、もうどうせ捕獲してどこかへ隔離しなきゃいけない状況になるのだろうという前提で、ある種の国有林のどこかを調査して、そこへ解放する。自然動物園といいますか、捕獲隔離園だか何だか知りませんが、そういうようなことを検討してもらいたいということを強く言っておいたのですが、この見通しはどうですか。
  73. 松形祐堯

    ○松形政府委員 いまの岐阜県の場合は、小坂営林署というところに十三ヘクタールぐらいの雑木林が残っておりまして、そこを何とかしたいということで御相談申し上げておりますが、さくの建設につきましては相当な金がかかるというようなこと等もございまして、県あるいは町村のいろいろな御判断等もございますので、長野県につきましても、そのようなことについて私の方でも御相談申し上げてみたいと思っております。
  74. 原茂

    ○原(茂)委員 ぜひお願いします。  それから最後に、林業全体の問題です。ことし初めに出された林業白書なども読ませていただきましたが、現在少なくとも三五・九%程度の自給率しかない。食糧四一%、それよりもまた悪いという状況まで木材の自給率というものがずっと悪化してきているのですが、輸入から見ても、総輸入量のおととしが七%、去年、その一年もっと向こうからですか、九%ぐらいになってしまう。で、輸入に輸入にと頼っていくようないまの傾向、これは早くどこかで歯どめをかけて自給率の向上というものを考えていかなければならぬ大問題だろう。先ほど言った国土の保全という点から言っても非常に重要な仕事になるだろうというふうに考えますので、細かくはお伺いいたしませんが、今後のいわゆる林業そのものの、強いて言うなら再生というものが具体的な課題として討議をされなければいけない時代に来ていると思いますが、どういう方法で林業再生というものを考えていこうとするのか。輸入に頼る率、国内における自給率というようなものとの兼ね合いで、林野庁長官としてどうお考えになるかをお伺いします。  ついでに大臣に最後にお伺いしたいのですが、少なくともわが国の林業のあり方を考えたときに、食糧と並んで国土全体を考えたときに、相当大きな政治的な力を集中しなければいけないときが来たと思いますが、思い切って食糧と並んで林業そのものにスポットを当てた考え方でおやりいただけるかどうかを、その決意のほどを最後にお伺いいたしたい、こう思います。
  75. 松形祐堯

    ○松形政府委員 お答え申し上げます。  ただいま御指摘ございましたように、日本の木材消費量というものは、日本の人口を約一億一千万といたしますと大体一億一千万立方程度でございまして、一人が一立方ずつ消費しているということで次第に伸びてまいっておりますが、この一、二年の不況で多少停滞しておりますけれども、基調としてはそういう増加傾向にあるというのは事実でございます。ところが、戦後植林いたしましたものが、まだどうしても四十年くらいかかるという経緯から見ますと、林業の特質から申しまして、自給率を現在の三五%から直ちに上げるというわけには、なかなかまいらないという実態がございます。  しかし先ほどお答え申し上げましたように、森林が持っております木材供給機能、公益的機能、これを両立しながら日本の林政というものを推進すべきことは当然でございまして、その中での自給率向上の努力を当然すべきだ、このように考えておりまして、特に造林の推進のためには切るということが前提でございますので、林道の整備、これらを含めた基盤整備あるいは構造の改善、あるいは木材生産、それに消費流通の改善、それぞれ私どもは改善をし、これを推進することによりまして、林業の発達と同時に、これの担い手としての労務の確保あるいはそれの福祉の向上ということが大事であろうと思っておるのでございます。  さらに、御指摘のございましたような外材が大部分でございますので、安定した秩序ある輸入を確立するということに私ども国際協力事業団等を通じまして努力いたしておるわけでございます。この秩序ある外材の輸入があって初めて国内林業が安定する、こういう感覚で今後も積極的に進めてまいる所存でございます。
  76. 安倍晋太郎

    ○安倍国務大臣 いまも林野庁長官が申し上げましたように、林業を考えるとき、やはり長期的な視点に立ってこれを考えなければならぬことは当然のことでございます。われわれとしても長期目標を策定いたしまして、その方向に従って林業の振興を図ってきておるわけでございますが、いま申し上げましたように、その中にあって最も重要なことは、食糧と同じように林業の自給率を高めるための基盤整備を初めとする諸施策を強力に推進するということであろうと思います。したがって、そういう方向に向かって相当予算措置等も必要でございますが、食糧問題と並んで重要な資源の課題でございますので、力を尽くしてまいりたいと思います。
  77. 原茂

    ○原(茂)委員 最後にお願いしておきますが、長官がおっしゃったようなことだと思いますけれども、どうかひとつその面に合わせていまの木材消費に関することを林野庁、関係ないと言わないで、任せておかないで、消費に関してもやはり指導的な役割りを、近代的に、科学的なこういう使い方をすべきではないか、そうすれば節約ができるといったような消費面に対する、やはり専門家なんですから、考え方なども指導的な役割りを果たすという立場で考えたり、国民的なPRをするということを、ぜひひとつあわせておやりいただくようにお願いをしておきたいと思います。その決意だけ。それで終わります。
  78. 松形祐堯

    ○松形政府委員 お答え申し上げます。  少なくとも需給安定ということ、住宅産業の振興とかいろいろ絡むわけでございますが、特に木材は住宅が主力でございます。したがって、その住宅の動向が景気の動向にも関係するというようなこと等がございます。現在私どもといたしましては、そのような振興対策をとりながら、あわせて在来工法による住宅が大変複雑な部材等を使っておりますので、これの仕組みにつきましての予算も持っておりまして、今後それらの仕組みの改善あるいは流通の改善、これは林野庁の仕事でございますので、積極的に取り組んでいくつもりでございます。
  79. 原茂

    ○原(茂)委員 ありがとうございました。終わります。
  80. 井原岸高

    ○井原委員長 この際、暫時休憩いたします。     午後零時二十一分休憩      ――――◇―――――     午後一時四分開議
  81. 井原岸高

    ○井原委員長 休憩前に引き続き、会議を開きます。  質疑を続行いたします。庄司幸助君。
  82. 庄司幸助

    ○庄司委員 きょうは農機具の問題でお伺いいたしますけれども、これは大臣も御存じのとおり、いま農村で非常に機械化貧乏という言葉が大分前からはやっております。機械を購入して、その借金を払うために出かせぎによけい行く、それがたんぼの土を荒らしていく、こういった悪循環があるので大変な状況なんですが、それにつけても、農機具の価格の問題やあるいは構造上の欠陥問題ですね、これは非常に農民を悩ましておる問題なんです。  その点で、ひとつ確認の意味で伺っておきますが、これは十一月十三日の農林水産委員会でわが党の中川委員から質問があって、来年六月までは値上げさせないということで大臣から御答弁があったと思いますが、そのとおりでございますか。
  83. 安倍晋太郎

    ○安倍国務大臣 農水委で先日答弁いたしましたとおりでございまして、これは外国製品ではなく、国産の農機具については六月まで値上げをさせない、そういう方向で指導をいたしておるわけであります。
  84. 庄司幸助

    ○庄司委員 ところが、大臣の価格据え置きという方針に対して、新しい機種だと称して実質値上げの意向がメーカーにあると言われておるわけです。  これは十二月三日の日本経済新聞の記事ですが、「来年六月まで価格を据え置く」、農業機械メーカーと全農との間で合意はしたのだが、「今後発売される新機種については、メーカー主導の価格設定で“実質値上げ”を図る構えである。」それで、たとえば久保田鉄工の社長さんはこういうことを言っています。「新機種についてはそれぞれ改めて価格交渉を行うことになるだろう」と、こうやって「今後は新機種による“実質値上げ”に作戦変更しようとしている。」と書かれております。それから「来年初めからの新機種としては、久保田鉄工、井関農機、佐藤造機が先発のヤンマー農機を追い一条刈りの小型コンバイン発売の構えをみせているほか、逆にヤンマーなどは久保田が先行した低馬力トラクターの発売を検討しているといわれている。また田植え機、バインダーなどの新製品も予定されており、モデルチェンジも含めるとかなりの新機種が出てくる模様。」だ、これは日経新聞です。  それからもう一つは、これは久保田鉄工の言い分ですが、「新機種のなかでウエイトの高いのは安全措置の追加である。追加分については全農と価格検討の余地があると思う」と述べて、安全装置の追加を理由にして値上げする模様だと、これは安全装置の追加です。それから井関農機も「新機種はこれまでコストや製品評価が決まっていないものであり、どのような価格にするかを交渉するのは当然だ」、こういった動向がやはりあるわけです。  その点で、まずひとつ伺っておきますが、安全面での改良ですね、これはもともと危険なものを発売したメーカーに責任があるわけですから、これは当然メーカー負担として、安全面での改良を理由にした値上げはさせるべきではないと思うのですが、その辺いかがでしょうか。
  85. 澤邊守

    ○澤邊政府委員 国産農業機械の価格につきましては据え置きにしたということを大臣がお答えいたしましたが、新型の農業機械につきましては、これは全く新しい型式を製造、販売するものということがございますし、それから従来の型式をベースとして性能アップ、馬力アップした、そういうものがいろいろあるわけでございますが、御指摘の安全装置を加えたというものについては、全農としては価格を織り込まないようにということで個々の原価をチェックをして、価格を抑制するようにして決めております。
  86. 庄司幸助

    ○庄司委員 農林省はどうなのですか、指導の面で。
  87. 澤邊守

    ○澤邊政府委員 農林省もそのような方向で指導いたしまして、全農が個々のメーカーと交渉いたしまして、そのような趣旨で決めておるわけでございます。
  88. 庄司幸助

    ○庄司委員 それでは、いまのは安全面での対策ですから、いわゆるモデルチェンジあるいは新機種、これについてはどうなさるのか。  これは一つ事例があるのです。宮城県内で、井関のHD二〇〇〇という型のコンバインがあるのですが、これは昭和四十八年から四十九年にかけて、わずかばかりのいわゆる改良をやった。ほとんど同じだと言われています。これがたった一年間で六八%の値上げをやっているのですね。値段を申し上げますけれども、これは四条刈りのコンバインですが、四十八年に百七十万円で売ったものが、四十九年には全く同じもので、これは吉田農協というところですが、二百八十七万円で売っているのです。これは六八%も値上げしたわけです。これは名前だけ二〇〇〇とかいろいろ取りかえて、全く同じものを六八%も値上げしている。こんなことでは農民は浮かばれないわけです。これは、大臣もNHKの「くらしのけいざい」で宮城県の色麻村の農機具問題のあれ、ごらんになったかもしれませんがね。  そういう点で、モデルチェンジあるいは新機種、これについてどのような指導をなさるのか、これをひとつ伺っておきます。
  89. 澤邊守

    ○澤邊政府委員 全く新しい型式にモデルチェンジしたものにつきましては、私どもといたしましては全農を指導いたしまして、全農といたしましては個別に原価計算の資料の提出を求めまして、それを基本としながら、農業機械全般を通じて最近の実勢価格が非常に弱含みである、そういう点も十分考慮し、また安全対策、安全装置を新たに加えたものは、先ほど申し上げましたように積算から除外していく、しかも従来から流通しております銘柄、型式の価格に比較して実質的に割高にならないようにということで個々にチェックをして価格を取り決めておるわけでございます。
  90. 庄司幸助

    ○庄司委員 それで、農林省、ことしいわゆるモデルチェンジをやろうとしているメーカーが相当あるわけです。来年六月までは一般的には据え置く、こう言われていますが、モデルチェンジをやって値段を変更しよう――変更というのは値上げのことですが、こういった動向があるわけですが、その内容をつかんでいらっしゃるかどうかという問題なのです。その辺ひとつ、つかんでいらっしゃるかどうか、これ御答弁願います。
  91. 澤邊守

    ○澤邊政府委員 モデルチェンジしたものにつきましては、性能が向上しておるとかいうようなことになりますれば、当然在来の銘柄、型式のものより値上げをするということは、これはやむを得ないというように思っておりますが、先ほど申し上げましたような考えで、実質的に性能がよくなった分は別といたしまして、同じようなものであるならば、同じような価格で割高にならぬようにという趣旨で全農を指導しておりまして、全農はその原則に立って、個々の農業機械につきまして、個別の農機具、農業機械メーカーごとに交渉いたしまして価格を設定をいたしておりますので、また、非常に割高になるということになりますれば、在来のものが圧倒的多数を占めるわけでございますから、そういう高いものは実需者側としても、それはなかなか買わないというようなことがございますので、私どもといたしましては、大勢としてはそういう原則で価格が設定されたものというふうに見ております。
  92. 庄司幸助

    ○庄司委員 ですから私は、現在進行中のモデルチェンジですね、どういう機種について、どのメーカーが、どういうモデルチェンジをやろうとしているのか、これを農林省がつかんでいらっしゃるかどうか、それを伺っているのです。
  93. 澤邊守

    ○澤邊政府委員 全部が全部掌握しておるわけでございませんけれども、主要なものについては、全農を通じて報告を求めておりますので、つかんでおります。
  94. 庄司幸助

    ○庄司委員 では、それをひとつ資料としてちょうだいしたいのですが、出していただけますか。
  95. 澤邊守

    ○澤邊政府委員 検討いたしまして、提出できるようにいたしたいと思います。
  96. 庄司幸助

    ○庄司委員 なぜ私こういうことを申し上げるかというと、過去の例をいろいろとってみますと、農民のサイドから見て特に必要でもないモデルチェンジの例が多いのですね。これは後で具体的な事例も申し上げますけれども、やはりメーカーの勝手なモデルチェンジ、これを認めたまま価格だけ慎重にやってみても、何にもならないんじゃないか。従来の安い型のものがなくなったり、あるいは買いにくかったり部品が足りないなどで、結局モデルチェンジで高くなったものを買わされることにもなる。  それは一つ事例を申し上げますけれども、これは何か協会の方で出していらっしゃるパンフレットから拾ったのですが、たとえば昭和四十八年、井関の自動脱穀機でD五〇〇Sというのがあったのです。これは定価表を見ますと七万七千円だったのです。それが、七五年、つまりことしになりますと、D五一〇Sという名前に変わって、農民に聞きますと、品物はほとんど同じだ、色が若干塗り変わっている。これが十四万四千円、八割八分高くなっていますね。それから、同じくD五〇〇Hというのがあります。これが、四十八年、七万九千円。これが五十年になりますと、D五一〇Hという名前に変わりまして十五万五千円、九六%アップです。それから、D六〇〇S、これは八万二千円だったものが、D六一〇Sという名前に変わって、十五万円、八三%の値上げです。それから、D六〇〇H、八万四千円から、D六一〇Hという名前に変わって、十六万一千円、九一%のアップです。あと七〇〇とかいろいろあります。いずれも膨大な値上げをやっているのですね。  こうやって、いままで高いものをつかまされたり、あるいは欠点の多い機械を農民は買わされてきた。その点、やはり農林省がよく調査を事前にやって、そういうものについて農民に事前に通報するなり、あるいはメーカーに警告するなり、全農に対してもやはり指導を強める、こういうことが必要なんじゃないかと思うのです。そういう点で、モデルチェンジを具体的にひとつ調査していただいて、不必要なモデルチェンジによる価格アップ、これはやめさせるように厳重に指導してもらいたいと思うのですが、その点いかがでしょうか。
  97. 澤邊守

    ○澤邊政府委員 これは農業機械の機種によりまして、ある程度完成の段階に達したもの、あるいは現在開発途上であるというようなものによりまして事情は違うわけでございますが、各メーカーそれぞれ性能、構造を競い合っておるわけでございますので、モデルチェンジを必要以上にすることによって価格をつり上げるということは、もちろん好ましくないわけでございますが、極端に抑制するというようなことにつきましては問題があるのではないかというように思うわけでございますが、実情を調べまして、そのような極端な値上げのためのモデルチェンジをやるということのないように、これは所管の通産省ともよく御相談をしながら指導してまいりたいと思います。
  98. 庄司幸助

    ○庄司委員 これは急ぐのです。いまメーカーがどんどん農村に天幕を張ったり何かして販売合戦をやっているのです。そういう中で、私の聞いた話だと、あるメーカーのセールス、これがしきりと、いずれモデルチェンジをやって値段が高くなるから、いまのうちに買っておけとか、こういう宣伝をどんどんやっておるのです。私は過日、農林大臣が来年六月まで値段を据え置く、こうおっしゃったので、すぐ農民のところへ宣伝カーに乗って報告に行きました。あわてて買う必要はないよ、よく選んで買いなさいと。そうしたら、そのそばにあった久保田かどこかの、天幕を張って旗を立てて農機具を並べてばんばん宣伝をやっている連中が、私の演説が聞こえないようにボリュームをがんと上げて今度は音楽を流し始めた。こういうけしからぬことをやっているのです。(「けしからぬ」と呼ぶ者あり)けしからぬでしょう。  それから、もう一つやはり問題なのは、モデルチェンジ、モデルチェンジと言っているけれども、モデルチェンジするためには当然メーカーが確信を持つまで自分のところでテストをやって、それでこの機械に確信を持って売り出すならまだしも、農民にそれをちゃんと金を取って試験させておる。農民をテストパイロットにしているような事例があるのです。だから、そういう問題がありますので、メーカーが新機種と称して欠陥農機を売りつけることを平気でやっているわけですよ。  それで、欠陥農機の具体的な事例を私がひとつお話し申し上げますから、よく聞いていていただきたいと思うのです。  これは具体的に起こった事例ですが、福島県の河沼郡湯川村というところがあって、そこに勝常農協というのがあるのです。これは三百二十戸です。この勝常農協だけで、ことしの夏、井関のHD一〇〇〇A、これを十三台買ったのです。会津地方の稲刈りは九月の二十日ごろから約一カ月ぐらい行われたわけですが、このHD一〇〇〇Aについてトラブルが続出したのです。ちなみに申し上げますが、この運転をやった方々は、いずれもコンバイン運転の経験者であって、いわゆるかあちゃんとかおばあちゃんじゃなかったのです。この欠陥が実は二十二点にわたって農協関係で指摘されたわけです。この二十二点というのは、こういうことになるのです。  これは井関が出しておるカタログです。「HD一〇〇〇 ヰセキコンバイン太郎は上扱ぎです。」テレビでもこれは大分やっています。この中で、仕様書を見ますと、作業能率が十アール当たり四十分から六十分とか、いろいろ出ています。  この欠陥二十二項目、みんな挙げている時間がありませんけれども、たとえば「刈り取り先端が鈍型で刈り取り稲の分草不良。」あるいは二番目は「刈り取り先端が土にめり込んで刈り刃上下の油圧調整が容易でない。」とか「刈り刃が高刈りとなる。」とか、あるいは「引き起こし性能不良、刈り取った稲が不ぞろいのため、手で入れ込んでやらなければならない。」この「手で入れ込んでやらなければならない。」という部分は、これは危険だから手を近づけるなと書いてある場所なんです。  それから「先端の深さの調節に忙しい。」あるいは「倒伏稲の刈り取り性能不良。」これにはちゃんと倒伏稲にも十分効き目があると書いてあるのです。それから「わら切り刃、特に第一、第二のこき刃に無理がある。わら切り刃が変形し、こき刃が曲がり折れる。」これは、大臣のところに、いま写真をおあげしていますが、こういう状況なんです。中にはドラムから外れて抜けているものがある。ドラムが引っ込んじゃっている、こういうものもあるのです。  それから「稲の送り込み、こき胴入り口のもたつき、倒伏稲の刈り取りはほとんど不能。」これの効能書きを見ますと「定評のあるヰセキ独自の穀稈引起し装置 により、倒れた稲も地面スレスレに一株づつていねいに起され刈取ロスは殆んどありません。」とちゃんと書いてあるのです。それから「わら送りチェーン及びカッターにわらが詰まる。カッターがとまり、気づくのがおそいとベルトが焼きつく。」ベルトが折損しているのが大分あるのです。  それから「良質もみの飛散が多い。」「走行キャタピラーが広過ぎる。次の稲を踏んでしまう。」「天上カバーの取り外しが不便。」「燃料が高くつく。」これはガソリンを使っているのです。いままでは灯油だったのです。ですから、一リットル当たり六十四円から百円になってしまったのです。あるいは「走行サイドクラッチで急激に方向が変わり危険。」「刈り取り能率が低い。」「ベルトに負荷がかかり過ぎ、ベルトが切れやすい。」あるいは「引き起こしチェーンのゆるみ、修正用チェーン引きがない。」「マフラーの位置が悪く、わらに引火する危険がある。」現に燃えた人があるのですね。ちょうど背中の方にポリタンクのガソリンタンクがあるのです。農民は、これに燃え移ったら、おれはカチカチ山のタヌキだな、こう言っていますよ。  そういう点、これは後でも申し上げますが、一つは、これは誇大宣伝の疑いが濃厚なんですが、こういう状況があるんですね。  それで、少し大臣にもこの農民の現状を聞いてもらいたいんです、時間をとって。これを使った、非常に経験豊かな、機械をうんと大事にして、機械にわらくず一本つけないで、土間に置かないで、ちゃんと板敷きの上に上げておくような、機械を大事にする農民、この人の日記があるんですよ。  これは九月十九日から十月十二日までついております。その中で、この機械を買ったばかりにどんなに苦労したか、この実情がるる述べられております。そういう結果、農民が再々井関やあるいは経済連に交渉を持ったわけです。最初は、運転技術が未熟だったろうからとか、機械には当たり外れがあるとか、あるいはおれが調べた範囲では九九%大丈夫だったなどとほらを吹いていた井関の営業所長が、二回目の会談では全面的に非を認めて、そして部品交換で間に合うならそれもいたします、それから、それでもお気に召さなかったら全面交換いたします、こういう約束も話し合いの席上なされたわけです。  その点で私は一つ伺いたいのは、きのうこれは農林省にも通産省にも大至急調査してくれ、このHD一〇〇〇Aの問題ですね、これは欠陥商品だという点で調査をお願いしておいたのですが、いままでの時点でおわかりになった点、それを農林省、通産省、ひとつ御答弁をお願いしたいと思うのです。
  99. 澤邊守

    ○澤邊政府委員 きのう初めてただいま御指摘のような事故につきまして承知をいたしましたので、早速きのうの夕方から井関の関係者を呼んで調査をいたしておるところでございます。  二十二項目全体について私どもの方はまだ把握しておりませんけれども、主要な故障につきまして、網目が詰まるとか、あるいはこき刃が切損するとかいうようなこと、それからカッターが稼働が悪いというようなことにつきまして事情を聴取しておるわけでございますが、井関側はまだ機械そのものの欠陥であるということを全面的には申しておりませんけれども、私どもといたしましては、それが型式そのものによる機械の欠陥なのか、あるいはたまたま当該機械の部品が不良であったとかいうことのための欠陥であるのか、あるいは使用上のいろいろな注意事項等が必ずしも十分守られなかったのであるかどうかということについては、今後客観的に調査を進めまして、その結論を得て、適切な措置を通産省とも御相談をしながらとっていきたいというふうに考えております。現段階では、まだそれ以上の結論を得るには至っておりません。
  100. 杉山弘

    ○杉山説明員 井関のHD一〇〇〇の問題につきましては、昨日先生の方から御指摘がございまして、私ども早速調査に取りかかっております。  私ども現在の段階で把握いたしております情報では、農民の方々と現地でのこの問題の解決につきまして、井関本社が直接にタッチをしておらなかった。先ほど先生御指摘の勝常農協を中心といたしまして話し合いをされてきたというところに若干問題を複雑にしている面があるのではないかと思います。早速井関に対しまして指示をいたしまして、現地に本社から直接職員が出向いて調査をするということで、本日の午後にも東京を立っているはずでございます。私どもは井関に対しまして、本社の責任においてこの問題を十分解決をするようにということをとりあえず指示をいたしております。  二十二項目の欠陥につきましては、昨日御指摘をいただきましたので、農林省からいま御答弁がございましたように、私どもの方でも、そのそれぞれにつきまして客観的にその原因が何であるかということを十分把握をいたしました上で適切な措置をとらせていただきたい、こう考えております。
  101. 庄司幸助

    ○庄司委員 何か、井関の専務さんをお呼びになったそうですね。それで、うちの方へ御連絡があったお話を聞くと、いまのお話とあわせて、説明書をよく読まないから、そういう不徹底な面が出てくるんじゃないかとか、あるいは会津の特殊条件があるとか、そういうお話をなすっていたという話をちょっと聞いたんですが、そういうお話をなすっていますか。
  102. 杉山弘

    ○杉山説明員 井関の説明といたしましては、いま先生がおっしゃったような、取り扱いの方法が従来の型式のものと異なった取り扱いをしていただかなければならないところを、会社側の方でも販売に当たって、その点ユーザーである農民の方々への周知の措置に欠けるところがあったということが原因ではないかということを申しておりますが、これは私どもの方でそういうことを確認したわけではございませんので、いまの段階であえて申し上げなかったわけであります。
  103. 庄司幸助

    ○庄司委員 これはぜひ農林省も通産省も現地へ行ってもらいたいと思うのです。というのは、これは勝常農協だけで十三台です。隣の笈川農協というのがあるんですが、これが十二台入って、湯川村だけで合計二十五台、それから会津地区全体で二百台入っている。それから富山だって、あるいは新潟だって、私の方の宮城県だって、秋田、山形、全国でいったら相当の台数が出回っているものだと思うのですよ。一体何台ぐらい出回っているか調べたことがありますか。
  104. 杉山弘

    ○杉山説明員 御指摘を受けるまでは、私どもうかつにもそういう事実を存じませんでしたので、いまの段階で、全国で何台出回っているかという数字については調査をいたしておりません。早速調査をいたします。
  105. 庄司幸助

    ○庄司委員 これは一台百二十七万円なんです。この低生産者米価の中で百二十七万円の機械を買わされて使えない、そういうのが湯川村だけで二十五台ある。会津で二百台ある。全国何台になるかわかりません。これは農民にとっては大損害です。これは大臣よく聞いてもらいたいんです。何台出回っているのか、それは早速調べて、大臣、これはすぐ手を打ってもらいたいと思うのですが、調査も含めて、いかがでしょうか大臣。
  106. 安倍晋太郎

    ○安倍国務大臣 いまお話しのように、その機械が欠陥機械であるということならば、これは大変なことだと思います。昨日お聞きしたばかりでございまして、いまの御質問に基づいて、いろいろの点については早速調査をいたさせます。
  107. 庄司幸助

    ○庄司委員 これは一番はっきりしているのが勝常農協ですから、ひとつ勝常農協へ行ってもらいたいと思うのです。局長どうですか。
  108. 澤邊守

    ○澤邊政府委員 現地調査もやりたいと思います。
  109. 庄司幸助

    ○庄司委員 これはまだ課長さんが確認してない問題ですね、いろいろ私聞きましたけれども、どうもそういう話がやられているんだと。  それで、この日記を若干紹介しますけれども、九月十九日に試運転やったというのです。これはメーカーのセールスマンが二人来ているんです。ところが故障が起きた。もうその日ですよ。次の日、このセールスの人を訪問して、もう引き取ってくれとこう言ったら、支社長のところへ行ってくれ、おれたちじゃ話がつかな。支社長のところへ行った。そうしたら、一応支社長の立場もあるので、もう少し使ってみてくれというので、またセールスの二人が来て試運転をやったのです。これが二十日。  それから二十一日、カッターの詰まり、脱穀部の絡まりが多い。刈り取るにカッターの詰まり多く、ベルトの緩み、もみ飛散多く、ときどき異状となりて能率不良と書いています。今度は二十六日、カッターが故障しています。二十八日は、この人はたまりかねて手で刈っています。それから三十日、またカッターが故障しています。そして、わら切り刃が曲がった。これを直した。あるいはこき歯の曲がりを直す。カッターの詰まり、もみ送り不良修正、その他点検、もみ飛散多し。十月一日、カッターまた詰まる。それから十月五日には、脱穀胴に絡まりが生じた。それから十月六日、今度はカッターが詰まったり、ベルトが切損したり、湿田で稲が汚れて困るというのです。  それから十月七日には、致命的な故障をしているのですね。ベルトの交換やら、あるいは異常金属音が発生して、点検してみたら、わら切り刃が折れ曲がって、こき歯がこれに当たって曲がったとか、ドラムまで変形している。こうやって全然刈り取りができないで中止した。こんなのしょっちゅうなんです。そして八日には、またセールスマンを呼んでいろいろやった。それで、十月十一日あたりはもう手刈りです。十二日も手刈りです。何のために機械を買ったんだかわからない。こういう状況なんですね。  だから、これはもう明らかに欠陥商品なんですよ。だから現地の農家の人が言っているのです。おれたちはメーカーの新型機械のテストパイロットにさせられているんだ。テストパイロットなら金がもらえる。ところが、おれたちは百二十七万払わされてテストパイロットをやっているんだ、まるでモルモットじゃないか、こういう状況なんです。それをこのメーカーは、説明書の読み方が足りないとか、こんなうそをついたってだめなんです。これは明らかに欠陥機械ですから、本当なら売りに出してはならないものなんです。それを売って、百二十七万も金をもらっている。だから農民は、これを返させてくれと言ったのですよ。そうしたらメーカーの方は、それでは引き取りましょう、こう言っているのです、そのかわり使用料を機械代の三〇%を払ってくれと。使い物にならない機械を押しつけておいて、それがわかったから三割よこせとは、何ですかこれは。大臣、けしからぬと思いませんか。
  110. 安倍晋太郎

    ○安倍国務大臣 いまお話しされたような事態につきまして、その因果関係がどうであるかという点は、やはり農林省あるいは通産省としても、もう少し調査しなければはっきりしないわけでありますから、早速調査をいたしまして、その点について明らかにしたい、こういうふうに考えます。
  111. 庄司幸助

    ○庄司委員 通産省はどうですか。
  112. 杉山弘

    ○杉山説明員 先生御指摘のありました新しい事実を初めといたしまして、私ども井関の新型コンバインの問題につきましては、農林省からもお答えがございましたように早速現地調査に職員を派遣いたしまして、その上で適切な処置を講じたい、かように考えております。
  113. 庄司幸助

    ○庄司委員 農林省も通産省もひとつ現地へ行ってもらうことですね。うなずいておられますから、それでいいんですね。その上で、買い戻しに当たって、こういう欠陥機種ですから、これは農民に売った値段で引き取るのが私は当然だと思うのです。まあ御調査もなさるのでしょうから、ひとつぜひ農民の意見も聞いて対処していただきたいと思います。  こういう、事実上いま申し上げたように農民に金を払わせて試験させているという実態があるのです。これがモデルチェンジの一つの実態なんです。私は全部かどうかそこまでは言い切れる自信はありませんけれども、いわゆる井関などという日本の農機具のしにせがこういうことをやっているのですから、他のメーカーだって、やっぱりあり得るだろうと思うのです。  その点で私申し上げたいのは、農機具について大臣は、ことしの通常国会の際、中川委員に対して、安全性の面では調査点検するという意味のことをおっしゃっていますが、安全性も確かに大事なんです、それはそれで早く進めてもらいたいのですが、やはり機械が本当にカタログどおりの性能を持っているかどうかですね。これを調査して農林省が合格、不合格を、こういったカタログがありますから、それを検定して出してやるのが農民に対する親切ではないか。それさえできないのでは、農林省も通産省も何だか農機具メーカーの片棒を担いでいるんじゃないか――これは私が言っているんじゃなくて、農民が言っているんですからね。――こういうことを言われるかもしれないのです。  だからその辺を、いわゆるカタログどおりの性能を持っているのか持っていないのか、それから耐久力についても十分試験した上で農民に売らせるというのが私は筋合いじゃないかと思うのです。それは全農さんでおやりになることだろうと、あるいはあなた方おっしゃるかもしれません。しかし、やはり機械をつくっているところ、特にこれは通産省の責任になると思いますけれども、いわゆるカタログと実際の性能が一致しているかどうか、これを明確に確認して、その上で売り出させる。これが非常に大事だと思うのですが、その辺農林大臣からどういう態度をとられるのかひとつ伺いたい。
  114. 安倍晋太郎

    ○安倍国務大臣 農業機械の今日の農業生産あるいは農業経営における役割りというのは非常に大きくなってきておるわけでありますから、そういう点におきまして機械の耐久性だとか安全性につきましては、特に農林省としても大重点を置いて考えておるわけでありまして、従来からも農業機械の開発、改良につきましては性能あるいは耐久性、安全性の確保が不十分な機械が出回らないように農業機械化促進法に基づきまして、御存じのように型式検査を実施いたしておりまして、農業機械の性能、耐久性、安全性の確保に努めてきておるわけであります。  いまいろいろ御指摘ございましたが、今後とも重要性をさらに認識をいたしまして、欠陥機械というようなものが、あるいは安全性に欠ける機械が出回らないように一層指導を強めていかなければならない、こういうふうに考えて、その体制をいま整備しつつある段階でございます。
  115. 庄司幸助

    ○庄司委員 私は、これはやはり農林省予算の執行が効果的に行われているかどうかという一つの問題点を含んでいると思うのです。これは決算委員会の席上ですから……。あなたの方で、何か農業機械化関係の予算をこう執行したという長い決算概要の説明がございます。四十八年について、あなた方の配った、ミニ版じゃなくて厚い方のを見ると、安全性の問題は書いてありますけれども、型式検査、構造上の欠陥を探すような検査、こういうものについては触れられていないような私の記憶なんです、さっきざっと見たのですが。だから、こういう点で細切れ予算をつけていったって、百年河清を待つようなことが起こりやしないか。せっかく国民の税金を使ってやったことが中途半端で終わっている。これでは何にもならないと思うのです。  その辺、大臣からいま一般的、抽象的な御答弁、決意のほどだけはあった。安倍農林大臣はいいかげんな答弁などはなさらないだろうと思いますけれども、いま農民が置かれている機械との関係、農民は本当に機械に対して怨嗟の声を上げておるのです。農村に入ってごらんなさい。部品が足りないのです。稲刈りなんというのは、せいぜい十日か二週間です。それで、せっかく買った機械を部品が来なくて遊ばしてしまった。田植えも同じなんです。そういう恨みつらみが、野に山に満ちているわけです。だから、部品の問題も当然ですが、この欠陥機械を農民に売らせないという一つの義務づけを全機種にわたってやってもらわなければならないと思うのです。そうなると、場合によっては、法改正なり、あるいはおたくの方の政令の改正なりをやる必要が出てくると思うのですが、いまのは、その辺まで含めての大臣の御答弁ですか。
  116. 安倍晋太郎

    ○安倍国務大臣 私は、農業機械の重要性というものは十分認識しておるつもりでありますし、特に農業の生産あるいは農家の経営という面から、非常に機械化が進んでおりますので、農業機械の役割りというものは非常にウエートが高くなっておる。ですから、農機具の価格についても、これが据え置きということについては特に力を注いで行政指導してまいりました。先ほどからお答えをいたしましたように、全農を通じまして、少なくとも来年六月までは据え置きということでやってまいっておるわけでございます。  同時に、これは価格の問題だけではなくて、性能につきましても、いまいろいろとお話がありましたその点は、調査をしなければなりませんが、しかし、性能において欠陥があるとか、あるいはまた安全性に欠けるところがあるということ、これを何としても防いでいくためには、農林省としてもできるだけのことはしなければならぬ、こういうことで事務当局にも指示をいたしまして、これに伴う予算措置その他検査体制の充実といったような面にも力を注いできておるわけでございます。  ただ、型式検査はしているのですが、全体的に一つ一つの製品を農林省が行政ベースの中で調べるということは、なかなか困難があるのじゃないかとも思うわけでございます。ですから、そういう点は、一つはやはりメーカーの良識の問題でもあると思うが、先ほどから庄司さんの御指摘になっておるように、初めから何か農民をモデルにして欠陥機械というものを売り出す、何か試験をやらせるというようなことまでメーカーがやるというふうには私は考えないわけでございます。これは徹底的に調査する必要があると思いますが、そういう面はメーカーの良識の問題ではあると思います。メーカー等に対する指導等につきましては、これはやはり積極的に進めていかなければならない。しかし、これを最終的に法律改正までやって確保するということにつきましては、研究はしてみますが、私は、今日の段階ではなかなか困難じゃないだろうかというふうに思うわけであります。
  117. 庄司幸助

    ○庄司委員 これはいますぐとは申しません、研究もしなければならないでしょうから、ひとつ研究していただいて、ぜひ実効ある措置をとってもらいたいのです。事務当局を督励していろいろやっているとおっしゃっておりますけれども、実際効果がないということは、農民の間に入ってごらんになれば、すぐわかるのです。  たとえば、名前は挙げませんけれども、Tさんという人なんか、百二十七万円で買って九反しか使えなかったというのです。七五%で下取りだとすると、九反で三十三万七千五百円払わなければいけない。反当たり三万七千四百円この人は払う勘定になるのです。請負耕作に出したって反当一万五百円だというのです。こんなむだなことを農民にさしておいたら、いま低生産者米価だし、すべての農産物が引き合わない。日本の農民は滅んでしまうのじゃないですか。  大臣、今度の総合計画で自給率を上げる、穀物は下がりますけれども、そうおっしゃっておるが、こういうことをやっていたのじゃ、肝心の日本の農業を担う農民が滅びていったのじゃ何もならないのじゃないかと思うのです。中には、そういう農民が早く農村から出てきて、低賃金の労働者になってくれればいいと思って待っておるような農業基本法の精神でやっているような方もいらっしゃるだろうとは思います。こんなことでは、日本の農業を本当に立て直していくわけにはいかないだろうと思うのです。  この問題はこれくらいにしておきますが、この間私の方であなたに指摘したコンバインについて言うと、四十年から四十六年までは十三万八千三百七十台が未検査または不合格品で出荷している。バインダーについては四十年から四十四年の間に五十六万二千八百六十三台、田植え機について言うならば、同じ年度で八十二万六千九百四十八台が未検査または不合格品で出ていっておるわけです。これをチェックする何物もないのです。だから、このチェックをやらないと、農民が欠陥農機具をつかまされて、いたずらに高い金だけ払って借金がますますかさむ、出かせぎがますますふえていく。そしてあなた方は堆肥を入れる有機農業なんかを勧めておりますけれども、こうなったら堆肥なんかつくる暇がないでしょう。  だから、この辺はやはりチェックしていただきたいのです。これは大体いつごろまでにチェックできるようになりますか。
  118. 澤邊守

    ○澤邊政府委員 農業機械化促進法に基づきまして農業機械化研究所が実施しております農業機械の検査は、いわゆる依頼検査ということで、強制検査にはなっておらないわけでございます。機械化研究所で検査の結果、合格したものはそういう表示をすることによりまして信用がつく、そういうものを信用して買っていただくことによって、不良な欠陥農業機械を買うことがないようにというようなたてまえでやっておるわけでございます。  機械化研究所の検査体制も整備してまいっておりますが、今後さらに整備を進めまして、受験率をできるだけ高めていく。依頼検査のもとでございますけれども、受験率を高めていくことによりまして、合格したものが出回る、それを信用して買っていただければ、まず間違いない、そういう方向にまず努力してまいりたい。また、検査をして合格だというものが出回ります場合、型式検査をいたしました場合と同じものが出回っておるかどうかというようなチェックをやはりやらなければいけないわけでございます。現在もやっておりますけれども、これらにつきましてもさらに強化をして、アフターケアをしっかりやるというようなことについては、今後一層の努力をしてまいりたいというふうに考えております。
  119. 庄司幸助

    ○庄司委員 だから私は、千八百以上の機種について各社がいろいろつくっているわけですから、部品まで含めたら相当膨大な数量だろうと思うのです。それで、機械化研究所で一度に全部検査するわけにはまいらないだろうということは私もわかるのです。その点である線を引いて、五万、十万ならある程度あきらめもつく場合もありますから、たとえば三十万以上の機械については必ずこの機械化研究所で検定を受けさせるというような義務づけ、二十万なら二十万でもいいのです。そういうことを具体的に考える必要があると思うのですが、大臣、どうですか。
  120. 澤邊守

    ○澤邊政府委員 強制検査を一定のものについてやれ、こういう御趣旨かと思います。一つの考え方ではあろうと思いますけれども、私どもといたしましては農業機械について他の機械、農業用だけではなしに一般の製品についての検査ということとの兼ね合い等もございまして、いま直ちに強制検査に踏み切るという点については、なお検討すべき問題があるのではないかと思いますので、先ほど申しましたように、まず受検率をできるだけ高め、そのためには検査の体制を整備していくということによりまして、合格表示をした機械が多数出回るというように持っていくことが先決ではないかというふうに考えております。
  121. 庄司幸助

    ○庄司委員 大臣、どうですか。私が申し上げた方向について、二十万なら二十万、三十万なら三十万、これ以上のものはやはり検査を受けさせる、こういう方向ですね、これはひとつ確認してもらいたいと思うのですが、農林省の今後の方向としてどうでしょうか。
  122. 安倍晋太郎

    ○安倍国務大臣 私も農業機械の検査のあり方につきましては、もっとこれを充実すべきであるということをしょっちゅう言っておるわけでございますし、とにかく任意の検査でございますし型式検査でございますので、先ほどからお話がございましたような未検査品等が自由に出回っておる、あるいは不合格品といったようなものでも出回っておるということになるわけでありますが、そういう点に対しては、先ほど局長が言いましたように受検率というものを高めていく。同時にまた、積極的なPRといいますか、広報等によりまして、未検査品だとか不合格品だとかいうものを農家が買わない、やはり検査を受け合格をした、そういう製品を買っていただくというふうな指導といいますか、そういうものも今後積極的にやらなければならぬということも言っておるわけでございます。  同時に、いまお話しのような、ある程度の価格以上の農業機械については、これを強制検査といいますか、そういう方向で検査をしていくということは、これは確かに私は一つの考え方であると思いますし、私自身も実はそういう面で研究させたこともあるわけでございますが、まだその点については結論を得ていない段階でございますが、とにかく指導体制といいますか検査体制というものは充実していかなければならぬことは事実でございます。  今回、米が非常な豊作であった、反収が史上最高であったということもいろいろな原因があるわけですが、やはり田植え機等が非常に普及をしておるということが、今回の収量が史上最高であったという原因の一つにもなっておるわけでございます。先ほどからお話しのように欠陥機械ばかりのようなお話ですが、そういうことじゃなくて、大半の農業機械というものが農業の生産性を高める、生産を増強するという中において大きな役割りを今日まで果たしてきたことは事実でございます。一部にはそういういまお話しのような点もあったと思うわけです。それにしても、今後とも農業機械の役割りというものは非常に大きくなりますから、そういうことがかりそめにもないように全力を尽くして、これからまだまだ工夫をしなければならぬ面はずいぶんあるというふうに思っておりますので、そういう点では、これから研究をしながら検査体制の整備強化に努めてまいりたい、こういうように思っております。
  123. 庄司幸助

    ○庄司委員 大臣の答弁を聞くと非常に抽象的で、やるのかやらないのかさっぱりわからないのです。何かお話を聞くと、未検査品あるいは不合格品を買った農民が悪いんだというような判断になってしまいますよ。だって未検査品や不合格品、これは自由だから売りなさいと現実に売らしているのでしょう。売らしておいて、あとはつかんだやつが悪いのだ、こんな話は私は通らないと思うのです。それで対策となれば、ああいうふうに抽象的で、あの世に行くまで待っていなければならないような状況がありますから。  そこで最後に伺いたいのは、一つは部品の問題なんです。部品の問題でいろんな苦情が大分農林省にきていることは御存じだろうと思うのです。部品がないために田植え期を失した、あるいは稲刈り期を失した、こういう問題が絶えずあるわけです。私も宮城県の方から大分いろんな具体的な事例をちょうだいしております。これについては、ひとつ今後農林省なりあるいは通産省なりで、そういう訴えがあったら直ちにメーカーに急送させるという体制をとっていただきたい。この点が一つ。  それからもう一つは、これは誇大宣伝じゃないか。たとえばこれに書いてあります仕様書、作業能率は十アール当たり四十分から六十分だ。これが実際見ますと、刈り取り期間全期間を通じて九反しか刈ってない、こういうスピードなんですね。   〔委員長退席、森下委員長代理着席〕 これは明らかに誇大広告だ。こういうものはやはり取り締まっていただきたいと思うのです。あるいはこれは公取の問題だとおっしゃるかもしれません。だから私は検査体制をよくやって、こういう誇大カタログを出さないような仕掛けが必要左んだと思うのですが、これはこれで誇大広告であるという点で、ひとつ公取とでも連絡をとられて、これは通産でも農林でもどっちでもいいですが、こんなカタログはやめさせてもらいたい。この内部にも誇大宣伝はいろいろありますよ。この刈り取りの部分の問題でもあるし、わら処理の問題でもあれば走行部の問題でもあります。  部品の問題と誇大宣伝の問題、この二点を質問して終わりたいと思うのです。
  124. 澤邊守

    ○澤邊政府委員 部品の供給体制が円滑にいかないと、農作業の場合非常に期間が限られますので、円滑な農作業に支障を来たすということは御指摘のとおりでございますので、現在メーカーの部品センターがブロックごとに置かれておりまして、そこから商協の場合は代理店、販売店、農協の場合は経済連、農協ということで供給されることになっております。  それからまた、使用中止したものにつきましても、法定耐用年数の間は部品をつくるようにというようなことは、通産省等を通じていろいろ御指導を願っておるわけでございますので、われわれといたしましても、ただいまのような点については全く同感でございますので、実際にそのサービスセンターに行ったところがないというようなことが今後ないように、メーカーから円滑に供給されるようにメーカー及び販売業者を十分指導してまいりたいと思います。  それから、もう一点の誇大宣伝の点でございますが、いまの具体的なコンバインの話でございますので、先ほど来お答えしておりますように現地調査もいたしまして、事実を確認いたしまして適切な措置をとりたいと思います。
  125. 安倍晋太郎

    ○安倍国務大臣 私は、先ほど庄司さんがおっしゃるように、何も検査体制につきまして逃げておるわけではないわけでして、いまは任意検査でございますが、これをやはり法律でも改正をして強制的な検査にでもできるということならば大変いいことだし、実は安全性の問題も含めてそういう点についても検討いたしたわけですが、これはやはりいまの任意体制を強制検査に切りかえる、自動車のような強制体制に切りかえるということになりますと、予算におきましても人員につきましても、いまの機械化研究所のような人員ではとうていこれは賄い切れない。  いまの農業機械が全国膨大な数に上っておるわけですから、それを一々一つ一つ検査をするというような体制は、なかなかこれは農林省の今日の情勢ではとり切れないということでございますので、それでやはりいまの任意検査の中において、その検査体制をとにかくできるだけ充実をしていくというふうなことで、先ほどから局長が言いましたような受検数を上げていくとか、あるいはまたもっと農家に対しても広報、指導等もいたして、やはり型式検査でパスをした機械を買っていただくような、そういう指導をするのはいいことじゃないかと思うわけで、そういう点もやっていく。それに対しても、やはり機械化研究所の人員等増加しなければなりませんし、任意検査の充実をするにしても予算の増加等も行わなければならぬわけですが、こういう点は着実に今後力を注いで伸ばしていきたい。そして検査体制を少しでも前進させていくために努力をしたいと、やっておるわけでございますが、さらにこれは積極的に努力をしたい、こういうふうに考えておるわけであります。そういうことを言ったわけであります。
  126. 庄司幸助

    ○庄司委員 一分だけ、いま大臣から御答弁があったので、また言いたくなったのです。  それで、自動車の場合はちゃんと車検があるのですね。それから事前の検査もあるのです。これは、自動車は人命上の問題、相当関係あるという観点もあるんだろうと思いますけれども、自走の農業機械、こういうもので死んでいる人、けがしている人、これはおたくの統計見たって相当ふえていますね、そうでしょう。そうしたら、やはり農機具についても、こういった検査を完全にやらないと、農民のけが人、死人が出る。だから、これはさっき申し上げたのは、いわゆる欠陥の問題だけですが、そういう問題もあるのです。  ですから、私は、農林省の予算がやはり小刻みに農業機械化研究所ですか、こういうものに、いまおっしゃるお話聞くと、なかなか予算も十分つけにくい、ふやしてはいくけれども、十分それに対応するような予算はむずかしいと、これじゃやはり予算執行のむだ――むだと言い切ってしまうと語弊がありますけれども、予算が有効な働きをしない、だから思い切って一点に投入するような方策、これを考えていかないと、私はやはり決算委員会の性格上、指摘せざるを得なくなるわけです。だから、そういう予算執行のむだを省くという観点から言っても、また農民の立場を守っていくという意味から言っても、私はやはり抜本的な対策をひとつぜひ講じていただきたい。このことを要望だけして私の質問を終わらせていただきます。
  127. 森下元晴

    ○森下委員長代理 坂井弘一君。
  128. 坂井弘一

    ○坂井委員 本日通告いたしました問題に入ります前に、一つお尋ねをしておきたいと思いますが、領海の問題であります。  けさの新聞報道によりますと、政府はいよいよ領海十二海里、これに踏み切るという方針を固めたということが報道されているわけでございますが、昨日も九段会館におきまして、漁業危機突破全国漁民大会がございました。その際も領海十二海里即時宣言せよ、非常に強い要請がなされたわけであります。特に安倍農林大臣、関係の深い大臣でございますので、この際、領海十二海里につきまして、大臣のひとつ率直なる御見解をまず承っておきたいと思います。
  129. 安倍晋太郎

    ○安倍国務大臣 領海十二海里の問題でございますが、私は農林大臣といたしまして、わが国の沿岸漁民を守らなければならない、こういう立場に立っておるわけでございます。そういう立場に立ちますれば、現在の領海三海里では十分ではない。というのは、よく御承知のとおり、数年来ソ連の漁船団が、わが国の太平洋岸に南下をしてまいりまして、わが国の沿岸の大事な漁場に対して大きな被害を与えておるわけでございます。そうして、その漁場の大半は十二海里以内にある、三海里の外十二海里以内、そういうところに集中しておる。こういうことから、ソ連もすでに十二海里の領海でございますので、わが国としても沿岸の漁民を守る意味におきまして、これはどうしても十二海里にしなければならぬ。  同時にまた、遠洋漁業という面から今日まで三海里説を主張してまいったわけでございますが、しかし遠洋漁業の面においても、経済水域二百海里というふうな海洋法上の問題が出てまいっております。世界の大勢になりつつあるというようなことから、もうすでに遠洋漁業政策の上からも三海里を主張する意味というものはなくなってきている。  そういう点から、漁業の面からいけば十二海里になるのが当然のことであるし、どうしてもしなければならぬということで、かねがねそういう点を主張してまいったわけでございますが、御存じのように、これはなかなか農林省だけの判断で十二海里を実現することができないわけでございまして、政府間におきまして、十二海里に関連をする問題を抱えた外務省であるとかあるいはまた運輸省、そういう関係省庁等もあるわけでございますので、その関係省庁の調整を図りながら私たちの主張を述べてきておるわけでございますが、最近に至りまして関係省庁間で、これはやはりソ連の漁船団の最近の被害が出ておるという状況から見て切迫をしておるというふうな点、さらにまた国際的にももう踏み切る時期になりつつあるという点で、内閣の官房副長官を中心にして調整を図って急いできておりました。  そういう中にあって、関係省庁間においてももはや時期が熟したというふうな判断が出つつあるように私は承っておるわけでございます。したがって、昨日の漁民大会におきまして外務大臣が漁民の代表にお答えをいたしましたような線で私どももこれが実現をされれば大変結構なことである。外務大臣がそういうふうに申し述べたとするならば、私はともども政府間の結論を早く出して、非常に心配をしておられる漁民の皆さんが安心をしていただきたい、こういうふうに考えておるわけであります。
  130. 坂井弘一

    ○坂井委員 確かに昨日宮澤外務大臣が全漁連の代表に対しまして、まだ政府内において確定したわけではないと言われた。しかしながら、いま安倍農林大臣おっしゃるとおりでございまして、近年ソ連漁船による日本近海の操業に伴いますトラブルというのは絶え間がない。日ソ漁業操業協定はこれを何とか防ごうというわけで、これを骨子にしまして締結されたわけでございますけれども、なお九日に至るまでに、すでに三十三件というトラブルが起こっておる。そういう現状を踏まえつつ、かつ一九五八年第一次海洋法会議以来ずっと趨勢を見てまいりますと、明春第三次になるわけでございますが、すでに世界の大勢は十二海里ということに踏み切りつつある、大臣のお説のとおりでございまして、御見解のとおり私もそう思います。  そういう情勢を踏まえて、そして今日早急に十二海里説を宣言をし、かつ国内関係法を整備をして立法化を急がなければならぬという趣旨でもって宮澤外務大臣は昨日答えられたということでございますので、その時期等につきましても、すでに宣言の時期は一月の半ば、その後国内法等の整備を進めまして、通常国会ということになりますと、五月をめどにして立法化をしたいということになるのではないか。つまり、そこまで外務大臣が答えられておる。  また一方防衛庁におきましても、言われるところの非核三原則に関係いたします国際海峡の通過、通行問題あるいは経済水域二百海里の問題とも非常に密接につながるということでもって非常に難航していたわけでございますけれども、しかし十二海里、このことについてはすでに大筋としてこれを支持するというような見解がすでに述べられているわけでありまして、特に安倍農林大臣、沿岸漁業を振興し、かつ今日の非常に切迫いたしております漁業の危機を打開し、かつまたわが国国民のたん白資源の確保ということを、非常に大事な問題でございますし、考えた場合には、むしろ積極的に、この際政府内でそのような意向が固まりつつある段階でございますので、強力に十二海里の宣言が早期になされるよう、かつ立法化がそれに伴って速やかになされるように御努力をされてしかるべきではないか、こう私考えましたものですから、あえて大臣の御見解をお尋ねしたわけであります。  なお一段とそういう方向で、宮澤外務大臣の答えられた方向ということになりますと、一月中ごろの宣言、五月の立法ということになろうと思うのですが、大体そういう方向で今後進めていかれる御予定なのかどうかというところをもう一つお聞きしておきたいと思います。
  131. 安倍晋太郎

    ○安倍国務大臣 私も積極的に十二海里を実現をしたいという方向で今日まで努力を続けておるわけでありますし、今後とも全力投球したいと思っておるわけでございます。いま御指摘のような線に沿って政府間の意見をまとめるべく力を尽くしたいと考えております。
  132. 坂井弘一

    ○坂井委員 わかりました。  では、きょう申し出ております問題につきましてお尋ねをしてまいりたいと思いますが、農業近代化資金についてでございます。  申し上げるまでもなく、この農業近代化資金につきましては、農業の経営の改善、農家の経済の安定あるいは農業生産の近代化、生産性の向上等々を目的といたしまして三十六年に創設されまして今日に至っておる制度でございますが、この農業近代化資金の融資の実際の運用に際しましていろいろ問題があるようでございます。  具体的な問題に入ります前に、あらかじめお伺いしたいと思いますが、四十七年以後五十年度に至る各年度別の融資枠、どのくらいの融資枠を持ってこられたのか、同時に融資枠に対する実績といたしまして、その件数及び金額、これを四十七年から五十年度まで、それぞれ数字だけで結構でございます。お答えいただきたいと思います。
  133. 吉岡裕

    ○吉岡(裕)政府委員 お答え申し上げます。  昭和四十七年度でございますが、融資枠は三千億、融資実績が千四百三十九億七千七百万円ということで、約四八%の消化率ということになっております。四十八年度でございますが、同じく融資枠三千億、融資実績は二千百十二億三千六百万円ということで、七〇・四%。それから四十九年度でございますが、これは融資枠三千億に対しまして二千七百五十八億八千五百万円ということで、九二%の消化率ということになっております。  なお件数を申し上げますと、四十七年度は二十二万一千五百四十五件、四十八年度が二十三万七千七百三十一件、四十九年度が二十六万七千六百二十四件、これが全体の件数でございます。
  134. 坂井弘一

    ○坂井委員 四十七年度から四十九年度までの融資枠はずっと三千億でございますね。三千億の融資枠に対しまして実績は、いまのお答えを見ますと、四十七年度が四八%、四十八年度になりますと、これが七〇%になり、四十九年度になりますと、さらに上がりまして九二%、だんだんと上がってきたということですね。四十七年度の四八%というのはずいぶん低いわけです。これはいかなる理由でしょう。
  135. 吉岡裕

    ○吉岡(裕)政府委員 実は近代化資金の融資枠は四十三年度一千億でございましたが、その後の融資状況、需要状況等に対応いたしますために、四十四年度に実は三倍の三千億という融資枠が設けられたわけでございます。その後、その融資枠のもとで四十五年度は消化率が四五・一%、四十六年度が四五・八%、それから先ほど申し上げましたように四十七年度が約四八%ということで推移をしてきたわけでございますが、このように四十七年度が融資率としてその後に比べまして低かったという理由は、先ほど申し上げましたような融資枠の拡大に需要が十分追随をしなかったということで、このような結果になっておるわけでございます。ただ、先ほど申し上げましたように四十八年度には七〇%強、四十九年度には九二%強というように順調に上がってまいっておるわけでございます。
  136. 坂井弘一

    ○坂井委員 さて、お答えいただけなかったのですが、五十年度の融資枠につきましては、たしか四千五百億に増額したと思います。   〔森下委員長代理退席、委員長着席〕 五十年度は、これは融資枠が消化できるほどになりますか。見込みはどうですか。ということをお聞きしたいのは、つまり三十六年度の三百億からスタートいたしまして、四十三年度には一千億、四十四年度に三千億になったはずですね。四十四年度から三千億になりながら、四十七年度の実績ではわずかに四八%にしかならない。これがまた五十年度には四千五百億、現在の三千億から千五百億上積みをする。四十九年度の実績で見ると九二%まで来ているわけでございますが、さて、五十年度の融資枠四千五百億に対しまして、実績はそれに見合うほど伸びるのかどうなのかという点が、従来の経緯を追ってまいりますと、いささか危惧されるわけでございます。実績としての見込みはいかがでしょうか。大体枠を消化できる、こういう予想でしょうか。
  137. 吉岡裕

    ○吉岡(裕)政府委員 先ほど御説明申し上げましたように、三千億のほぼ九〇%以上のものを四十九年度で消化をいたしております。したがいまして、今年度は農業近代化資金の資金需要を相当大幅に拡大することが適当であろうということで五割増の四千五百億という融資枠を設けたわけでございます。したがいまして私どもとしては、この融資枠で今年の需要に対しましては十分に対応できるというふうに思っておりますが、ただいま年度途中でございまして、なお今後半期近い期間が残っておりますので的確なことを申し上げる段階には立ち至っておらないわけでございます。一方、非常に不況が深刻であるというふうなこともありまして、節約ムード等もかなり浸透しておるという点から見ますと、農機具の消費需要というものがどうであろうかという面もございますが、同時に一方、最近相当農業に対する農家の熱意というものも上がっており、米価の上昇等もあったということで農機具に対する需要というものも強まってきておるのではないかという見方もございます。  したがいまして、そういう双方の見方がいろいろあるわけでございますが、私どもが今日の時点に立ちまして一応推測をしてみますと、少なくとも七割以上の消化率というものは今年度も達成されるのではなかろうかというふうに、これは仮の推測でございますが、今日のところ推測しておるわけでございます。
  138. 坂井弘一

    ○坂井委員 私は枠がどんどんふやされるというのは非常に結構だと思います。問題はこの制度融資でございますが、果たして公正に、適正に、効率的に運用されているかどうかというところが、まさに問題だということで申し上げたいわけでございます。  その前に、実はいま実績としてお示しいただきましたが、そのうち農機具に限ってお答えいただきたいと思います。これも一応数字として、まずお示しをいただきたいと思いますが四十七、四十八、四十九年度、それぞれの実績の中で農機具はいかほどの比率を占めますか、金額とパーセントだけお答えいただきたいと思います。
  139. 吉岡裕

    ○吉岡(裕)政府委員 四十七年度でございますが、農機具に融資をされました件数が十三万八千八百七十七件、このうち融資金額といたしましては四百八十三億六千二百万円、それから四十八年度件数が十五万七千五十一件、金額が六百七十二億三千二百万円、四十九年度が件数で十八万一千八百六件、金額が千百三十五億七千万円ということになっておりまして、このパーセンテージをちょっとまだ出しておりませんが、四十九年度について見ますと、全体の融資実績のうちの約四〇%でございます。
  140. 坂井弘一

    ○坂井委員 なるほど四十九年度だけ見ますと実績に対しまして融資金額が大体四〇%ですね、農機具に関しまして。件数にいたしますと、約七二%になっていますね。そうなると思います。  そこで、この農業近代化資金の融資機関、これはどこですか。
  141. 吉岡裕

    ○吉岡(裕)政府委員 近代化資金の融資ソースといたしましては、これは先ほど先生からお話がございましたように、農業系統機関の資金を活用するという趣旨でできておりますために、やはり農協の融資が非常に大きいわけでございますが、全体の融資機関で申し上げますと、総合農協が五千百二十九機関、専門農協が千八百、合計六千九百二十九の単協段階の協同組合がございます。それから連合会の段階にまいりますと、信農連が四十七、共済連十八、それから全国段階といたしまして、農林中金が一、そのほかにいわゆる銀行、相互銀行、信用金庫等の一般金融機関がございまして、これが百三十四ございます。合計いたしまして七千百二十九の機関が、これは四十八年度末の数字でございますが、融資機関として融資をいたしております。
  142. 坂井弘一

    ○坂井委員 そうしますと、四十八年度の実績で申しましょう。四十八年度の実績からいたしまして、いまお答えのございました各融資機関の融資比率、つまり農協、信農連、共済連、農林中央金庫、市中銀行、この五つ、それぞれの四十八年度の融資比率はどうなりますか。
  143. 吉岡裕

    ○吉岡(裕)政府委員 先ほど申し上げました単協段階が全体で七四%の融資率、シェアでございますが、残りの分につきましては信農連が二二・七%、それから農林中金が二・四%、銀行等の一般金融機関が〇・九%、約一%ということでございます。
  144. 坂井弘一

    ○坂井委員 わかりました。では、この資金を活用いたしまして、それぞれの融資機関を通じて農業機械を農家が購入するわけでございますが、その場合、流通といたしまして二つあると思います。一つは生産メーカー、つまり久保田、あるいはヤンマー、井関、佐藤、三菱重工等々のいわゆる農機具の製造メーカーが、系列の販売会社を通じまして、さらに個人売店を経由いたしまして農家に渡る、こういうルート。それからいま一つは、そうした製造メーカーから全農、それから各農協、単位農協を経由いたしまして農家、つまり前者は業者ルートでありますし、後者は系統ルート、こういう二つの販売ルートになろうと思いますが、そういうことに相なりますか。
  145. 澤邊守

    ○澤邊政府委員 大体そういう大きなルート、ただいま御指摘のように二つの大きな流通ルートで農業機械の販売が行われておると思います。
  146. 坂井弘一

    ○坂井委員 私がきょう問題として指摘いたしたいと思いますのは、いわゆる全農、農協を経由いたします系列ルートの農機具の販売のあり方、販売に関する近代化資金の貸し付けのあり方であります。その前に、きょうは公正取引委員会に御出席をいただいておりますので、一般論としてお伺いしておきたいと思います。  いわゆる私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律第二条の七項により、不公正なる取引方法がここに指定されているわけでございますが、公正取引委員会から、第二条の七項による不公正なる取引方法というのは、どういうことが不公正になるのか御説明いただきたい。
  147. 野上正人

    ○野上説明員 第二条の七項におきまして一応の枠が決まっております。それに基づきまして不公正な取引方法として公正取引委員会が指定したものを一般指定といって、これは各業界について適用されるものでございます。それから特定な不公正な取引方法としまして業界ごとに指定するものと二つございまして、一般指定を申し上げますと、排他約款とか不利な条件での取引とか不当廉売とか、十二の類型を掲げております。
  148. 坂井弘一

    ○坂井委員 それでは公正取引委員会に、重ねて一般論としてこれまたお伺いしておきますが、たとえば制度融資、この融資をするに当たりまして特定の銘柄あるいは購入先を指定して融資をする。逆に言いますと、この指定以外の銘柄あるいは販売店から購入しようとした場合には融資しない、こういうことでありますならば、それはまさに独禁法第二条七項に基づきまして独禁法第十九条に違反するということに相なりますか。
  149. 野上正人

    ○野上説明員 具体的に事実を見なければはっきりした御答弁はできかねますが、場合によりましては不利な条件での取引とか拘束約款とか排他約款というものに該当するおそれがあるというふうに思います。
  150. 坂井弘一

    ○坂井委員 それでは一般論の枠から少し員体的に、たとえば、私がいま申し上げようとしているのは、この農業近代化資金を使って農機具を購入する場合に、農業者、つまり農家が近代化資金を借りたいという申請をいたします。そうした場合、いわゆる融資に至るまでの条件が当然にございますが、それは別といたしまして、その場合には当然借りられる、こういうことに相なっておるはずでございます。したがって、その場合においては特定の銘柄、販売店からの購入だけに限定するということであっては相ならぬ。逆に言いますと、それは農家の全く自由な意思で自分が希望するところの農機具を購入する、そのために農業近代化資金を借りたい、これは借りられるはずだと思うのですが、もし自分が希望するところの農機具を購入しようとしても、この農業近代化資金は貸しませんということになりますと、これは明らかに独禁法第十九条に違反すると思いますが、いかがでしょうか。
  151. 野上正人

    ○野上説明員 その点につきましては昨日夕刊に出ていたと思いますが、島根県の斐川町農協、それから平田市農協につきまして、違反の疑いありとして審査を始めております。
  152. 坂井弘一

    ○坂井委員 では、その問題は後ほどお尋ねすることにいたします。なお新しい幾つかの具体的な問題を私はここで指摘をいたしたいと思います。  その前に、農林省にお伺いをいたしたいと思いますが、つまり、いま私が申し上げておりますような農業近代化資金、これは農家、農業者のために国が制定いたしましたいわゆる制度融資でございます。当然利子補給等も国、県においてなされておるわけであります。ところが、実際に農協が融資するに当たりまして特定の銘柄あるいは販売店を指定して、指定した以外のところの購入に対しましてはこの近代化資金を貸さない、そういう差別的な扱いをしておるということがございます。貸し出しを制限しているというような例もあります。そういう実態につきましては農林省はすでに承知をしておる、こう私は思っております。果たして農林省はそのような実態につきまして御存じなのかどうか。御存じならば具体的にどのような措置をおとりになってこられたか、あわせてお伺いをいたしたいと思います。
  153. 吉岡裕

    ○吉岡(裕)政府委員 先ほど先生からも申されましたように、昭和三十六年度からこの近代化資金が発足をいたしておるわけでございますが、その発足の当初からただいま先生がおっしゃいましたようなことが近代化資金の融資方法としてあってはならないということで、通達を累次にわたって出してまいりまして、今日の通達においても、そのようなことが特に注意をしてあるわけでございます。したがいまして私どもとしては、かねがねそういう指導をいたしてまいっておるつもりでありますが、具体的な事例が具体的にありました際には、そのようなことがないように、なお今後とも指導を強化してまいりたいというふうに考えております。
  154. 坂井弘一

    ○坂井委員 具体的にありますればという御答弁ではなかろうと私は思ってお尋ねしておるわけです。農林省はすでに御存じであろう。だから知っておるなら知っておる、それはどこどこでこうだった、それに対してはこのような行政指導なり処置を講じましたという御答弁を実はちょうだいしたかったのであります。御存じございませんか。
  155. 吉岡裕

    ○吉岡(裕)政府委員 私どもとしては、特に具体的なケースについてただいま承知をいたしておりませんが、昨日の新聞等で公正取引委員会の方で調査に入られたというふうな報道もいたしておりまして、今後そのような事例の収集には努めてまいりたいと思います。
  156. 坂井弘一

    ○坂井委員 きのう公取がホクレン、これはいまのようなこの種の不公正な取引の被疑でもって調査に入ったということでありますが、その前に、たとえば島根県平田市農協、ここでやはり同じような近代化資金の融資をめぐりまして、いわゆる系統メーカーの農機具に限るという制限をして、この近代化資金の融資を行ったということですでに問題になった、その問題になりましたのが、ことしの二月二十二日であります。その後この件につきましては、すでに農林省は御存じであったと思うのですが、その時点での報告は受けておられませんか。
  157. 吉岡裕

    ○吉岡(裕)政府委員 私どもの本省まで届いていないのかもわかりませんが、私どものところには来ておりません。
  158. 坂井弘一

    ○坂井委員 それでは、福井県でも同じような事例がございました。そのことについては御存じないでしょうか。
  159. 吉岡裕

    ○吉岡(裕)政府委員 同様でございます。
  160. 坂井弘一

    ○坂井委員 では具体的に申しましょう。  まず福井県であります。こういうものがあります。これは各農家の住所、氏名がありまして、知事に対する要請がまずなされておる。それから四月の十六日には北陸農政局長に対して陳情をいたしております。これは読んだ方がわかりがよろしいかと思いますから、ざっと読みます。  「農業近代化資金は農家のために国で制定された融資制度であって、私達はこの制度のもとで銘柄および購入先を自由に選定しながら低廉で且つ長期の資金により農業機械を購入することが出来るものと承知しております。 しかし乍ら事実はこれに反し我々が融資を申請するにあたつて農協の窓口は農協の資金を貸すのだから枠が余れば貸すとか、又私達が商業者から購入せんとする場合は何かにつけて差別取扱いをされて居ります。 今や農業機械の高度利用により農家経済を支えているのが現状であり、従ってこれが投資額もかなり増大しつゝあるので機械購入に際しては機種及び購入先などはそれぞれの立場により慎重を期して居るので、速かにこの融資制度が正常な運用になります様格別のご配慮をお願いいたします。」  こういうことであります。これが福井県知事に対して「農業近代化資金についてのお願い」として出されておる。さらに先ほど申しましたように、四月十六日には北陸農政局長に同じく陣情がなされておる。このことについて農林省は報告をお受けになっていらっしゃらないということでしょうか。
  161. 吉岡裕

    ○吉岡(裕)政府委員 そのようなことが事実でありますとすれば、私どものところにはまだ届いておりません。
  162. 坂井弘一

    ○坂井委員 事実であるかどうかについて御調査していただきたいと思いますが、いかがでしょう。
  163. 吉岡裕

    ○吉岡(裕)政府委員 早速調査をいたしたいと思います。
  164. 坂井弘一

    ○坂井委員 愛媛県の宇和町の農協がこういうビラを配布しております。「農機具の購入は農協の近代化資金で」「只今…農機具推進中!!」ここで「農協から購入された農機具に限ります。」こういうようにはっきりしている。それしか貸しませんというのです。農業近代化資金は「農協から購入された農機具に限ります。」つまり農協の系列メーカーの農機具に限る、それ以外のあなたが選んでくるところの農機具には近代化資金は貸しませんとはっきりしているのです。これはどうお考えになりますか。
  165. 吉岡裕

    ○吉岡(裕)政府委員 いま先生がおっしゃいましたような条件を強くつけて、農民に対してそのような接触といいますか、指導をしておるとしますならば、これは先ほどから申し上げましたように、農協として適当な近代化資金の運用の態度ではないというふうに考えます。これは当然是正されなければならない問題であるというふうに思います。
  166. 坂井弘一

    ○坂井委員 当然そうだろうと思うのです。当然そうでなければならぬ。ただこういう例が、いま幾つか申しましたが、つまり島根県あるいはほかには石川県、福岡県等々、申してまいりますと全国的になってまいります。幾つかの事例として、いま申し上げたわけであります。  すでに四十八年の五月十二日付で農林事務次官通達として「農業近代化資金融通措置要綱」に近代化資金融資機関に対する留意点、これを示して通達をお出しになっていらっしゃる。このことは、いま私が指摘いたしておりますようなことが、かりそめにも行われるとするならば、これはまさに本来的なこの農業近代化資金の趣旨、目的から外れて、つまり農業の近代化あるいは農家経済の安定、さらには生産性の向上によります、わが国の食糧資源の確保等々に資する目的をもってとしたこの近代化資金の目的から大変外れまして、そこに選別融資がなされる、差別的な取り扱いが行われる、そのことによって農家の間で非常に大きな不公正、不公平というものが生じるということになってまいりますと、何のために一体この近代化資金が創設されたのかという目的自体が非常に歪曲され、失われてしまう。そういう心配から、つとに農林省としては、このようなことのないようにとして指導もされてきたはずであります。  ただいま申しました四十八年五月十二日事務次官通達の中で、特にこういう点については、この近代化資金の融資機関に対して留意してくださいよ、こうお述べになった部分がございますが、改めてひとつ御説明をいただきたいと思います。
  167. 吉岡裕

    ○吉岡(裕)政府委員 ただいま先生が御指摘になりました次官通達は「農業近代化資金融通措置要綱」という名の次官通達でございます。この中にただいま問題になっております件につきまして、このような注意をいたしております。  「農業協同組合が農業者等に近代化資金を貸し付ける場合には、当該農業協同組合の行なっている各種事業の利用実績等に拘でいして農業者等の近代化資金利用のみちがとざされることのないよう留意するとともに、農業者等の利用しようとする施設等の取得先による差別をすることによって借入者の真に希望する銘柄、種別の施設等の取得が困難となることのないようにすることとする。」こういうふうな注意をいたしております。
  168. 坂井弘一

    ○坂井委員 まさにいまの通達からいたしますと、私が具体的に申し上げました事例は完全にそれに背いているということになろうかと思いますが、いかがでしょう。
  169. 吉岡裕

    ○吉岡(裕)政府委員 御指摘のように、この通達の趣旨に反しておるというふうに考えますので、この点はきわめて遺憾でございまして、今後こういうことがないように趣旨の徹底に努め、指導を強めてまいりたいというふうに思います。
  170. 坂井弘一

    ○坂井委員 それでは公正取引委員会に返りましてお尋ねをいたしたいと思いますが、昨日島根県の斐川町農協それから平田市の農協に対しまして調査が行われました。この調査の目的として、被疑事実の概要及び関係法令について御説明をいただきたいと思います。
  171. 野上正人

    ○野上説明員 被疑事実は斐川町農協及び平田市農協は、それぞれ組合員に対しまして、農業近代化資金の貸し付けに当たり、自己が販売する農機具等を購入することを条件としている疑いがある。それは十九条に違反する……。
  172. 坂井弘一

    ○坂井委員 わかりました。  そういたしますと、私がいま新たに具体的な事実として申しました福井県の先ほどの例あるいは愛媛県の宇和町農協の例、これにつきましては明らかに独禁法の第十九条に違反すると私は思います。公正取引委員会の御見解並びに御方針を承りたいと思います。
  173. 野上正人

    ○野上説明員 違反する疑いがございます。それで、そういう事実につきましては予備的にそういう事実を調査いたしまして、違反する疑いがあるかどうかを再度確かめまして検討いたしたいと思います。
  174. 坂井弘一

    ○坂井委員 従来、公正取引委員会の調査活動につきましては非常に慎重を期さなければならないと思いますし、相当な時日を要する、大変腐心されながら調査をされておる。被疑事実としてこの調査に踏み切られるまでには大変困難な事前の検討なり事前調査というものが行われました上で、いよいよ本格的な調査ということに相なるわけでございますので、その辺を私は配慮しないわけでは決してございません。  ただ、農林大臣もよくお聞きいただきたいと思いますが、いま申しましたのは全く一つ、二つの事例でございまして、これらがまさに全国的に非常に広範囲に、かつまたきわめてオープンに行われておる。不公正の是正なり経済運営が公正に行われるためには、何としても独禁法を強化して、やはり公正なルールの中でということが強調されている現在におきまして、きわめて遺憾なことには、農協商法がまさに治外法権的なとまで言いたい、この種のようなやり方がまかり通っておる。しかも、きわめてオープンだと申しましたのは、いま申しましたように、こういうことでもってPRに盛んに努めておる。これは公正取引委員会さんも調査をされる場合には、幾らでも手に入ることでありますし、また一方におきましては、農家からこのような訴えが次から次から起こされておる、紛れもない事実であります。  私は少なくとも、これは疑わしいとかなんとかという問題でもってここに提起したのではない。こういうことが行われておる。行われておって、そのことにさらに目をつぶらなければならないという苦しい実態があるということ、しかし、そういう中でもなおかつがまんができないからというようなことで農家が立ち上がっておるということ、こういう実情については、ひとつよく御理解をしていただきたい、こう思うわけであります。  いずれにいたしましても、最近、金融をめぐりましてなかなか思うに任せない、それだけの資金量が確保できないということでもって、農協が独自の資金と申しますか、それでもって運用するのだから、そんなにほかまで回すだけの余力はないのだというようなことを理由づけにしているようであります。それはそれなりにわからぬではありません。ありませんが、少なくとも、この制度につきましては国が創設した制度でありまして、しかもこれに対しましては利子補給等、万全のやはりそれなりの援助というものを国が手厚くやっているわけであります。したがって、そういう制度融資の運用に際しましては厳正、公平であらねばならないことは理の当然であります。そういう中で、いまのようなことが公然と行われているということを看過するわけにはいかない。  したがって公正取引委員会におかれましても、昨日の斐川のあの調査ということに相なったのだろうと思います。事実はそういう一地方の問題ではなくして、私が申しましたように、全国的な広がりがあるというところにひとつ刮目をいただきまして、そしてこの調査につきましては、厳重に、厳正に公正取引委員会として進めていただきたいということを私、強く要請したいと思いますが、公正取引委員会の御見解をいただきたい。あわせて、最後に農林大臣から、この問題につきまして、大臣としての御見解を承って、質問を終わりたいと思います。
  175. 野上正人

    ○野上説明員 被疑事件につきましては厳正な態度をもって臨んでおりますし、今後も臨みたいと思います。
  176. 安倍晋太郎

    ○安倍国務大臣 農業近代化資金につきましては、その原資が農協系統の資金であるといっても、いまお話がございましたように、国が利子補給をいたしておる、助成をいたしておるわけでございます。したがって、この近代化資金の運用につきましては、あくまでも厳正、公平でなければならないわけでございます。そうした見地に立って、農林省といたしましても次官通達を出しまして、その公正を期しておるわけでございますが、いま御指摘のようないろいろな問題が起こり、この資金の貸し付け等において不公正といいますか、差別扱いをしておるという点が随所に見られるということはきわめて遺憾でございます。したがって今後とも農林省としては、この点はさらに厳重に指導をいたしまして、こうしたような事態が今後起こらないように、ひとつ努力をしてまいりたい、こういうふうに考えております。
  177. 坂井弘一

    ○坂井委員 終わります。
  178. 井原岸高

    ○井原委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。     午後三時七分散会