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1975-06-17 第75回国会 衆議院 決算委員会 11号 公式Web版

  1. 昭和五十年六月十七日(火曜日)     午前十時二十分開議  出席委員    委員長 井原 岸高君    理事 唐沢俊二郎君 理事 中尾  宏君    理事 森下 元晴君 理事 吉永 治市君    理事 綿貫 民輔君 理事 久保田鶴松君    理事 原   茂君 理事 庄司 幸助君      橋本登美三郎君    三池  信君       安井 吉典君    田代 文久君       坂井 弘一君  出席政府委員         法務大臣官房訟         務部長     貞家 克己君  委員外の出席者         国税庁間税部酒         税課長     高木 壽夫君         会計検査院長  白石 正雄君         会計検査院事務         総局次長    鎌田 英夫君         会計検査院事務         総局事務総長官         房検定参事官  前田 泰男君         会計検査院事務         総局事務総長官         房会計課長   丹下  巧君         会計検査院事務         総局第一局長  高橋 保司君         会計検査院事務         総局第二局長  柴崎 敏郎君         最高裁判所事務         総長      寺田 治郎君         最高裁判所事務         総局経理局長  草場 良八君         最高裁判所事務         総局民事局長  井口 牧郎君         最高裁判所事務         総局刑事局長  千葉 和郎君         日本専売公社総         務理事     佐藤 健司君         日本専売公社理         事       斎藤 慶二君         決算委員会調査         室長      東   哲君     ――――――――――――― 本日の会議に付した案件  昭和四十七年度一般会計歳入歳出決算  昭和四十七年度特別会計歳入歳出決算  昭和四十七年度国税収納金整理資金受払計算書  昭和四十七年度政府関係機関決算書  昭和四十七年度国有財産増減及び現在額総計算  書  昭和四十七年度国有財産無償貸付状況総計算書  (裁判所所管、会計検査院所管)      ――――◇―――――
  2. 井原岸高

    ○井原委員長 これより会議を開きます。  昭和四十七年度決算外二件を一括して議題といたします。  本日は、裁判所所管及び会計検査院所管について審査を行います。  この際、お諮りいたします。  裁判所所管の審査に関し、国会法第七十二条二項の規定による最高裁判所長官の指定する代理者から出席説明する旨の要求がありました場合は、これを承認することとし、その取り扱いは委員長に御一任願いたいと存じますが、これに御異議はございませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 井原岸高

    ○井原委員長 御異議なしと認め、さよう決しました。  それでは、順次概要説明を求めます。  まず、裁判所所管について概要の説明を求めます。寺田最高裁判所事務総長
  4. 寺田治郎

    ○寺田最高裁判所長官代理者 昭和四十七年度の裁判所の決算の概要について説明いたします。  昭和四十七年度裁判所所管の歳出予算額は、七百四億五千七百九十二万円余でありましたが、この予算決定後、さらに三十六億三百七十九万円余増加し、合計七百四十億六千百七十一万円余が昭和四十七年度歳出予算の現額であります。  右増加額は、予算補正追加額三十二億三百五十四万円余、大蔵省所管から移しかえを受けた金額五億七百六十二万円余、予備費使用額千七百七万円余の増加額と、予算補正修正減少額一億二千四百四十五万円余であります。  昭和四十七年度裁判所所管の支出済歳出額は七百二十八億五千七百六万円余でありまして、これと歳出予算現額との差額は十二億四百六十五万円余であります。  この差額のうち、翌年度に繰り越した金額は四億千九百二十万円余でありまして、不用となった金額は七億八千五百四十四万円余であります。  この不用額の内訳は、裁判所職員の俸給手当等の人件費七億二千二百九十一万円余とその他の経費六千二百五十二万円余とであります。  次に、昭和四十七年度裁判所主管の歳入予算額は三億八千八百八十六万円余でありまして、昭和四十七年度の収納済歳入額は五億二千五百三十九万円余であります。  この収納済歳入額は、右の歳入予算額に対し一億三千六百五十三万円余の増加となっております。  この増加額は、庁舎等敷地の交換による交換差金等の収納があったこと、保釈保証金の没取の増加、民事訴訟費用弁償金等の増加及び相続財産で相続人不存在のため国庫帰属となった収入金等の増加が主なものであります。  以上が昭和四十七年度裁判所の決算の概要であります。  よろしく御審議のほどをお願いいたします。
  5. 井原岸高

    ○井原委員長 次に、会計検査院当局から検査の概要説明を求めます。柴崎会計検査院第二局長。
  6. 柴崎敏郎

    ○柴崎会計検査院説明員 検査の結果を御説明申し上げます。  昭和四十七年度裁判所の決算につきまして検査いたしました結果、特に違法または不当と認めた事項はございません。  簡単でございますが、御説明を終わります。
  7. 井原岸高

    ○井原委員長 次に、会計検査院所管について概要の説明を求めます。白石会計検査院長。
  8. 白石正雄

    ○白石会計検査院長 昭和四十七年度会計検査院所管一般会計歳出決算の大要を説明申し上げます。  会計検査院所管の歳出につきましては、当初予算額二十九億六十四万余円に補正予算額一億三千六十八万余円を加えた予算現額三十億三千百三十二万余円に対しまして、支出済歳出額は三十億四百八十八万余円でありますので、その差額二千六百四十三万余円を不用額といたしました。  支出済歳出額のうち主なものは、人件費二十六億一千百三十七万余円、検査旅費一億八千七百六十二万余円、施設整備費五千百五十八万余円となっております。  以上、はなはだ簡単でございますが、会計検査院所管の昭和四十七年度一般会計歳出決算について説明申し上げました。  よろしく御審議のほどお願いいたします。
  9. 井原岸高

    ○井原委員長 次に、会計検査院当局から検査の概要説明を求めます。高橋会計検査院第一局長。
  10. 高橋保司

    ○高橋会計検査院説明員 昭和四十七年度会計検査院の決算につきまして検査いたしました結果、特に違法または不当と認めた事項はございません。
  11. 井原岸高

    ○井原委員長 これにて説明の聴取を終わります。     ―――――――――――――
  12. 井原岸高

    ○井原委員長 これより質疑に入ります。  質疑の申し出がございますので、順次これを許します。原茂君。
  13. 原茂

    ○原(茂)委員 最初に最高裁にお伺いをしたいと思うのですが、国選弁護人の問題についていろいろ問題もありますので、きょうは第一にその点をお伺いをしたいと思います。  被告あるいは被疑者は弁護士を選任することができるわけですが、被疑者について国選弁護人をつけるということがないようですが、その理由はどういう理由でしょうか。
  14. 千葉和郎

    ○千葉最高裁判所長官代理者 憲法の三十七条に国選弁護人に関する規定がございますが、それによりますと刑事被告人について国選弁護人を付するというふうになっております。したがいまして、憲法の要請するところからは被疑者についてはまず外れているということになります。  もう一つは、被疑者の段階といいますのは、嫌疑を受けまして、捜査当局が犯罪事実を犯したのではないかという嫌疑の段階から被疑者ということになりますが、数から申しますと、逮捕されるのは年間十四万人ないし十二万人ほどございます。それに全部国選弁護人を付するということになりますと、財政上あるいは現実の弁護人の数に照らして非常に困難だというようなことがございます。  そういう関係と、それから被告人になりましたならば国選弁護人が広くつけられるということで、立法政策上の問題として刑事被告人に限っている、こういうふうに理解しておりますが、ただ、これは立法問題でございますので、私ども、それ以上はちょっと申し上げかねるのでございます。
  15. 原茂

    ○原(茂)委員 いまの国選弁護人の手当は大体どのくらい出すのですか。
  16. 千葉和郎

    ○千葉最高裁判所長官代理者 昭和五十年の四月に昨年に比較しまして約二〇%上がりましたが、これは一応予算上の手当てをいただきまして、それで現実には、その予算の範囲内で執行できるようにということで一応の基準を最高裁判所の方で定めまして、その基準に照らして実情に合うような基準を各庁で定めております。  最高裁判所の定めました基準によりますと、簡易裁判所では三回の公判に出廷した弁護人に対して一万六千七百円、地方裁判所で二万三千三百円、家庭裁判所で二万二千八百円、高等裁判所、控訴審におきましては二万五千二百円、最高裁判所は、これは二回廷という前提でございますが、二万七千二百円を基準にいたしております。  ただ、これはあくまでも基準でございまして、事件のむずかしさ、あるいは弁護人の訴訟活動が非常に活発である、非常に費用が要したというようなものにつきましては、この基準にのっとらないで、さらに増額支給することが可能でございます。
  17. 原茂

    ○原(茂)委員 その場合には、弁護人の申請に基づいて増額しますか。
  18. 千葉和郎

    ○千葉最高裁判所長官代理者 この報酬の中には、弁護人が実際に要した、たとえば記録の謄写料、あるいは準備のために出かけていって、その費用がかかった、そういうものがございますが、その分につきましては弁護人から申請を受けます。その余の点につきましては、実際に審理をしました裁判所の方で、その事件の難易に応じて、この基準を上回る額を決めることになります。
  19. 原茂

    ○原(茂)委員 いままでの経験と、いまの現状に照らして、この手当というのはおおむね妥当ですか。
  20. 千葉和郎

    ○千葉最高裁判所長官代理者 率直に申しまして、なお十分だとは思っておりませんので、例年増額に努めております。
  21. 原茂

    ○原(茂)委員 近く増額する予定はありますか。
  22. 千葉和郎

    ○千葉最高裁判所長官代理者 一昨年一八%――予算の上ではそうなりますが、実際は、本年度は前年に比較して二〇%増額になっております。それから昨年度一八%増額してもらいました。来年度につきましても増額の要求をしたい、かように思っております。
  23. 原茂

    ○原(茂)委員 これは、弁護士さんの通常の収入から見ると非常に少ないのですよ。来年また二〇%上げたにしても、簡易裁判所で約二万円程度にしかならない。地方裁判所で幾らになりますか、二万七千円ぐらいになりますか。これでもまだまだ、弁護人に対する報酬としては妥当ではないと思うのですが、思い切ってまずこの報酬を引き上げることを考えないと、現在いろいろ起きている問題の解決の一部にならないだろうという感じがするのですが、来年度二〇%以上考慮するつもりはありますか。
  24. 千葉和郎

    ○千葉最高裁判所長官代理者 予算要求の関係ではもう少しよけいにと思っております。ただ、これは全体の予算の枠というようなものもございますので、折衝の経過でまたどうなるかわかりませんが、私どもとしては二〇%以上の増額を考えております。
  25. 原茂

    ○原(茂)委員 去年、おととし、まあ四十七年、四十八年、四十九年でいいのですが、つけようと思う弁護人が、数が足らないその他でつけられなかった、あるいは逆に言うと何名ぐらいに国選弁護人をつけることができたか、その総数だけ、ちょっと言ってください。
  26. 千葉和郎

    ○千葉最高裁判所長官代理者 国選弁護人のついた被告人の数は、昭和四十七年で一万四千八百十六、四十八年で一万二千七百十一でございます。同年中に終局しました被告人の数は、四十七年で――失礼しました。いま申しましたのは簡易裁判所でございますが、四十七年で二万四千六百二十五、そのうち一万四千八百十六がついております。それから四十八年が二万一千九十四名中一万二千七百十一名。  地方裁判所は、五万九千九百七十九名が四十七年に終結しまして、そのうち二万六千五百二十名。四十八年が五万七千九百六十三名中の二万三千九百十九名。一審を合計いたしますと、四十七年は、八万四千六百四名の被告人のうち四万一千三百三十六名がついております。それから四十八年が、七万九千五十七名のうち三万六千六百三十名が、国選弁護人でございます。
  27. 原茂

    ○原(茂)委員 これはなぜ、約半分しか国選弁護人がつかなかったのでしょうか。
  28. 千葉和郎

    ○千葉最高裁判所長官代理者 弁護人は、御承知のように国選弁護人と私選弁護人とございまして、もちろん地裁にしましても簡裁にしましても、弁護人のつかない数が五ないし一〇%程度ございますので、それを除きますと、私選弁護人と国選弁護人の割合は、地方裁判所におきますと、四十八年で、国選弁護人の方が四一%、私選弁護人が五八%、簡裁では六〇・三%が国選弁護人、私選弁護人が三〇%、そういう割合でございます。
  29. 原茂

    ○原(茂)委員 国選弁護人をつけなければいけない状況のときにつけられなかった、弁護士がいないとか数が足らないとかいうようなことはないですか。
  30. 千葉和郎

    ○千葉最高裁判所長官代理者 幸いなことに、そういう状況は全くございません。
  31. 原茂

    ○原(茂)委員 かつて、メーデー事件、東大事件、沖繩の事件、反戦デー事件、こういうときには、逆に弁護士の方からいろいろな理由で辞退をする、いやだ、やれないという事件大分ございましたね。その後そういう問題はありませんか。
  32. 千葉和郎

    ○千葉最高裁判所長官代理者 最近で申しますと、昭和四十四年の十月に東京地域で学生事件がございましたが、そのときに被告人が、せっかくつけた国選弁護人の方針と合わないといいますか、被告の方がいわば勝手なことばかり申しまして、国選弁護人の方が非常に苦労された、それで辞退をしたい、辞任をしたい、こういうことがございましたが、その問題もその後幸いに解決しまして、国選弁護人がつきまして進行しております。
  33. 原茂

    ○原(茂)委員 この国選弁護人が辞退することは自由ですか。
  34. 千葉和郎

    ○千葉最高裁判所長官代理者 国選弁護人は公の立場に立つというような前提からだと思いますが、法規の手続の上では辞任という方法はございません。ただ、正当な理由があれば裁判所の方に申し出まして、裁判所の方で解任をするという手続になります。
  35. 原茂

    ○原(茂)委員 最近そういう例はありますか。
  36. 千葉和郎

    ○千葉最高裁判所長官代理者 最近と申しますか、国選弁護人がついておりまして、途中で私選弁護人を別に被告がつけたというような場合、あるいは国選弁護人病気であるというような場合、あるいは別の公職につかれたというような場合、そういう場合には例が相当ございます。
  37. 原茂

    ○原(茂)委員 弁護人全体の数は、日本で一万人以上いるんでしょうね、たしか。一万人以上いる。この全数もお聞きしたいのだが、この弁護人全体の中で、いわゆる国選弁護人に依頼されているいままでの経験のある数、パーセンテージ、どのくらいになりますか。
  38. 千葉和郎

    ○千葉最高裁判所長官代理者 全体では一万三千ぐらいおられますが、しかし、その何%がその国選を辞退されておるかということは、私ども正確にはつかんでおりません。と申しますのは、裁判所で国選弁護人を依頼する場合は、弁護士会の方に国選弁護人のつく請求のある事件だということを連絡いたしまして、弁護士会の方で人選をして通知してくる、その方を選任する、こういうことになりますので、正確にはわかりません。ただ、東京とか大阪とか、その他大都市の場合には、あらかじめ若干の方が辞任を申し出ておられますが、地方の方では順点で、つまり辞退を申し出る方はごく少ない、かように聞いております。
  39. 原茂

    ○原(茂)委員 辞任をした率を聞いているんじゃなくて、いま一万三千人いますね、その中で、国選弁護人としての仕事をやった人たちの数、率はどのくらいになるかはわからないのですか。
  40. 千葉和郎

    ○千葉最高裁判所長官代理者 いま申し上げたのはその趣旨でございますが、大多数の弁護人は順点でお引き受けになっていただいておるわけでございます。
  41. 原茂

    ○原(茂)委員 一万三千の人が大体いままでに国選弁護人の経験を持っている、こう見ていいのですか。それを聞いているのですよ。
  42. 千葉和郎

    ○千葉最高裁判所長官代理者 先ほど申しましたように、最初から公職等におつきになるという弁護人の方は少ないと思いますので、御経験は全部持っておられると私ども思っております。
  43. 原茂

    ○原(茂)委員 そこでまた最初の問題に返るのですが、被疑者の段階で国選弁護人をつける、私はその方が必要があると思うのですよね。被疑者であるときの方が弁護人を必要とする。私選でできる人はいいのですが、なかなかできない。しかし、被疑者の段階でこそ必要なことが多いだろうと私は思うのです。被告になればもちろん必要ですけれども。その被疑者に国選弁護人をつけるということになったときの数はどうですかね、弁護士の数が足らなくなりますかね。いままでの経験で言うと、一万三千の弁護士はほとんど国選弁護人の経験を持っている。要するにその仕事をやった。そうするといっぱいのような感じもするのですがね。まあ確かに新しく立法を必要としますが、被疑者にやはり国選弁護人をつけるとなったら、日本弁護士の数ではおよそ足らないという問題も起きるかどうか。
  44. 千葉和郎

    ○千葉最高裁判所長官代理者 先ほどの数をちょっと訂正いたします。正確には一万五百二十八人だそうでございます。  次の御質問でございますが、大体、日本で四十八年に刑法犯、つまり特別の道路交通法とかそういう軽い罪を除きまして純粋の刑法犯だけを考えますと、百七十二万八千七百二十六件の発生がございます。そのうち検挙件数は百二十二万六千五百四件、検挙人員が九十三万一千三百十六、こういう数になります。先ほど申しましたのは逮捕人員だけで十四万ないし十二万、こう申し上げたのでございますが、被疑者と申しますのは逮捕された者だけには限らないと思いますが、私選弁護人の場合は、逮捕されると否とにかかわらず私選弁護人を選任することが被疑者の段階でも可能でございますが、それを国選の場合まで広げるということになりますと、非常に膨大な数の弁護人を必要とするのではないかというふうに思います。
  45. 原茂

    ○原(茂)委員 そうすると、いままでの逮捕された者の数、国選弁護人をつけたその比率、被疑者の段階で約九十三万、これに対して同じ率で国選弁護人をつけるということになりますと、大体十七、八万ということになるかもしれませんね。その意味でとても数が足らないということになりますか。
  46. 千葉和郎

    ○千葉最高裁判所長官代理者 繰り返すようで恐縮でございますが、そちらの方は立法政策の問題でございますので、最高裁判所の方としてはちょっと申しかねる面がございますが、計算上非常にたくさんの弁護人が必要であろうということははっきり言えるのではないかと思います。
  47. 原茂

    ○原(茂)委員 これはまた法務大臣にお伺いしたりしますが、いずれにしましても国選弁護人を、これは弁護士会通達をして必要に応じて出してもらうという段階になるとすると、国選弁護人裁判所の問の契約事項というようなものはないのですか。
  48. 千葉和郎

    ○千葉最高裁判所長官代理者 契約と申しますか、国選弁護人制度が開始されましたのは二十三年でございますが、昭和二十三年に日本弁護士連合会の方と最高裁判所事務総局の方と協議いたしまして、先ほど申し上げましたような手続で選任の推薦を依頼するというふうに決まりまして、それでその後ずっとそれが続いているということでございます。
  49. 原茂

    ○原(茂)委員 そうすると裁判所と弁護士個人の間に、国選弁護人との間の契約条項というか、何らそういうものはないわけですね。弁護士会に依頼して出してもらうだけですか。
  50. 千葉和郎

    ○千葉最高裁判所長官代理者 その弁護人を推薦してもらうのがただいま申し上げました手続でございまして、その推薦がありますと、実際の事件をやる裁判所の方で、その推薦されてきた弁護人を国選弁護人に選任するわけでございます。その決定がございます。それは非常に裁判に類似した、裁判所からの一方的な行為であるというふうに訴訟法上は言われておりますが、したがって、そこに契約ということは出てこないかっこうになります。
  51. 原茂

    ○原(茂)委員 これも確かに法の不備でしょうね。国選弁護人が、弁護士会側の推薦を受けて、そうして裁判所に出てくる、裁判所は国選弁護人として依頼をする、そこでその事件に取り組んでいくのですが、しかし、そのときに、裁判所と選ばれた国選弁護人との間に契約に類するようなものは何にもないというのは、ずいぶんおかしな話ですね。何かあるんじゃないですか。何にもないんですかね。ただ、いま言ったように、報酬はこのくらい出すよということが、弁護士会と裁判所の方で決まっているかどうか知りませんよ、二万円出すとかなんとか。そうして自分で辞任ということはあり得ない。解任する以外にない。選ばれたら最後、契約らしいものは何にもなくて、そうして法律で一方的に弁護士は責任だけ負わされて、そうして裁判所の言いなり――言いなりというのはどうか知りませんが、私に言わせると、不当に低い報酬でもがまんをしなければならない。いろいろ被告人との間に問題があって、性格上も、あるいは自分の思想上から言ってもどうもやりたくないといったからといって、自分ではやめるわけにいかない。正当な理由のない限り、辞任の申し出をしても解任はしてやらない。一方的に責任だけ負わされているのに、反対給付ではありませんが、それに見合うような契約条項というようなものは何もないというのは、何か片手落ちではないかという感じがするのですが、どうですか。
  52. 千葉和郎

    ○千葉最高裁判所長官代理者 これは訴訟法の問題だと思いますが、従前から国選弁護人の選任については、公法上の一種の一方行為である、こういうふうな考え方で来ておりまして、弁護士法の二十四条にも、弁護士の公共的な立場に立つからだと思いますが、公の機関からの嘱託には正当な理由がなければ断ることはできないというのが弁護士法の中にもございまして、一種公共的な立場に立ってのそういう手続上の決まりであろうと、かように思っております。
  53. 原茂

    ○原(茂)委員 確かに二十四条にそういう規定があるわけですね。「所属弁護士会又は日本弁護士連合会の指定した事項を行うことを辞することができない。」というのですから、一方的にがんじがらめにしていて、なおかつ報酬、手当についても一方的に決めるというようなことを考えますと、気持ちよく弁護ができるかというと、私はやはりもう少し、この被疑者に対する問題は後の問題にしても、現在の国選弁護人に対する手当なり、あるいは辞任の理由が正当である場合には辞任ができるような仕組みをつくってやるなりして、ちょうど私選の弁護人と同じ状態で被告と弁護人の問で意思の疎通が、人間的なつながりができるような状況に持っていってやらないと、私は、弁護人として気持ちよく弁護の仕事ができるかどうかというのは、ちょっと疑問があるのですがね。こういう、われわれ素人が言うといやいやというのですかね、いやいやでもやらなければいけない、いやいややっている、そこにもここにも不満がある、だけれどもやっているんだという状況でやられているから、国選弁護人はおざなりに弁護をするだけだというような、どうも実際になっているんじゃないかという心配があるのですが、この点はどう考えますか。現在でいいんだ、大丈夫そんなことはない、弁護士というのは神様か仏様みたいなものなんで、報酬が少なかろうが、辞任の理由が正当でなければ辞任できないようにしてあろうが、一方的に裁判所が押しつけてあっても、法律で押しつけられていても、ぴしっと人間としては公平な立場で弁護に専念する。私選弁護人と同じように本当に親身になってやれる、こう言い切れるのでしょうか。少しその点、考えなければいけないんじゃないかという感じがするのですが、いかがですか。
  54. 千葉和郎

    ○千葉最高裁判所長官代理者 おっしゃることは本当によくわかります。ただ、国選弁護の伝統的な考えから申しますと、たとえばアメリカでは、弁護士はやはり裁判所の職員の一人であるというような気持ちを持つべきであると言われております。それで、国選弁護人に選任されるということは非常に名誉であるというような考え方もあったわけでございまして、したがいまして、実は戦前は官選弁護人と申しましたが、これは無報酬でやっていただいたわけでございます。その伝統は、結局は、弁護士の職務というものが、公共のために役に立つような気持ちを持つべきであるというような弁護士倫理というようなものがあって、それできているのだと思いますが、しかし、確かに報酬等の面を考えますと、非常に御苦労をおかけするのにふさわしい報酬であるかどうかという点に帰着するのではないかと思いますが、なお十分なものではないというふうに思っております。その点については今後とも努力しなければいけないと思いますが、ただ、おざなりにやっているのではないかという御質問に対しましては、これは弁護士会の名誉のためにも申したいと思いますが、確かに国選弁護の費用は、最後には、負担能力がある場合には被告人の負担になってまいります。そういう点もありますので、弁護士さんは、むだなことは国選の場合には極力避けておやりになると思いますが、しかし、事件の本質を誤るような、そういう訴訟活動をやる方はおられないはずでございますし、私どもも経験上、そういう方に当たったことはございません。それで、報酬にしましても二十万あるいは二十五万というような高額の報酬を支給するような、非常にいい弁護活動をやっていただくような方もおられますので、報酬が安いからおざなりであるということはないというふうに思っております。
  55. 原茂

    ○原(茂)委員 人口の違いももちろんちょっとありますが、アメリカには二十万人以上の弁護士がいるわけですから、当然、被疑者の段階から国選弁護人という制度があるわけです。日本の場合それがないにしても、私がいま申し上げたように、ちょっと日本の場合には、弁護人の方に一方的に何かが押しつけられていて、どうも人間的にしっくりいかないという面があるんじゃないかという、その一部を、いま事務総長からもお話がありましたが、やはりもうちょっと考えてやる必要があるだろう。できることはやっぱり報酬の問題。もう一つは、辞任に対して、いまのように裁判所がよろしいと言わなければやめられない、というには違いないのですが、正当な理由の内訳の中にもうちょっと何か、いままでの経験上からいう弁護士会の意見というものを取り入れて、辞任の理由の幅、それを広げてやる。報酬を上げる、それからいま言った辞任の理由の幅を広げてやるという二つは、最小限度、いまの法律のもとでもやっていかなければいけないんじゃないかと思うのですが、最後に、どうですかね、そういう……。
  56. 千葉和郎

    ○千葉最高裁判所長官代理者 報酬の点は先ほど申し上げましたが、二番目の、辞任の理由でございますが、おっしゃるように、被告人と弁護人との信頼関係というものが本当に壊れてしまったというような場合、こういう場合は、やはりそういう客観的な事実があれば正当の事由の一つに入るのではないかと思います。ただ、気に食わないからやめさしてくれと、そういうことではやはりまずいわけでございまして、やはり信頼関係を損なう客観的な事実があらわれてきたというような場合には正当な事由になると思います。現にそういう事例もないわけではございません。
  57. 原茂

    ○原(茂)委員 次に、実際の事例についてほかの問題でお伺いしたいんですが、この間の和歌山県の中学校の先生の浦武宏さんですかの、収賄に問われて、結局最高裁で、この程度のものは謝礼として認める、収賄にはならぬという判決をお下しになった、その事例はおわかりですか。
  58. 千葉和郎

    ○千葉最高裁判所長官代理者 ただいまのお話は、昭和五十年の四月二十四日に最高裁判所第一小法廷の被告人浦武宏に対する収賄被告事件上告審の判決だと思いますが、この事件は、昭和三十八年から和歌大学教育学部付属中学校教諭をしておった被告人が、四十一年の三月から四十三年の三月にかけて、担当しておったクラスの生徒の両親九名から十二回にわたって、いろいろ指導を受けた謝礼というような趣旨で合計十二万円の贈答用の小切手の供与を受けた、こういう事件起訴されまして、第一審では、その十二回のうちの九回は無罪であって、三回の分だけ有罪になりました。控訴審でそれがそのまま通りまして、最高裁判所に参りまして、その三つの事案についてもいろいろ具体的な事情に照らして、一つは通常の社交的な儀礼の範囲に属するのではないかという疑いがある、もう二つの方は個人的な勉強上の指導をしたということの謝礼の趣旨が大部分ではないか、そういう疑いがあるということでございましたが、そういうことで、もう一度審理をし直すようにということで差し戻しになっております。したがいまして、この事件、まだ確定しておりませんので、私どもちょっと評釈差し控えなければいけない事件だと思います。
  59. 原茂

    ○原(茂)委員 端的に言いますと、この程度の謝礼は賄賂とは言えないという判断で差し戻したということになるでしょう。
  60. 千葉和郎

    ○千葉最高裁判所長官代理者 贈答用小切手を供与し、受け取ったという事実は認められるけれども、要するにその趣旨がどちらの方の趣旨であるかということについて、一審ないし二審の方で認めた、賄賂の性質を帯びたものであると認めるべきか、それとも社交上の贈答の範囲、あるいはたとえば家庭教師をしたときの謝礼の趣旨として認めるべきかということについてもっと調べを尽くさなければいけない、こういうわけでございます。要するに教職の公務員が父兄から何か贈答を受けたという場合に、社交、儀礼上の贈答の範囲であれば、それは賄賂とは認められない。また、全然別の報酬であれば、それは職務に関しませんから賄賂とは言えない。これは学説上、判例上昔から言われているわけでございますが、ただ、学校の教職員の場合には、その公的な面と私的な面が非常に密接に関連している場合がある、区別がしにくいという証拠法上の問題、事実認定上の問題もあるのではないかと思いますが、その辺の事実をもっとしさいに検討してはどうかということでございます。
  61. 原茂

    ○原(茂)委員 その差し戻しをした理由の中には、疑わしきは罰せずという趣旨もあるのですか、根底に。
  62. 千葉和郎

    ○千葉最高裁判所長官代理者 先ほど申し上げましたように、教職員の職務に関した、そして賄賂であるかどうかということは、これはまさに法律上の問題でございます。ただ、事実認定が常に前提になりますので、果たしてその職務に関するか、賄賂であるかということが事実認定上はっきりすれば、それはいずれかに判定できますが、それがなお十分でない、こういうことでありますから、判決文の中では必ずしも、疑わしきは被告人の利益にというふうにはなっておりません。しかし、その辺十分でないんだから、差し戻された方では調べた上で、原則にもとりますればどちらとも――これ以上ちょっとあれなんですが、その辺は原則に基づいて二審の方でお考えになるのではないかと思いますが……。
  63. 原茂

    ○原(茂)委員 私はこの差し戻し判決を見まして、そうでなくたっていま虚礼廃止だ、それ何だということがやかましく言われているときです。間違っても再審の結果が謝礼の範囲ならいいんだというふうに出ることは、実は大変な欠陥になるなという意味でお尋ねしているわけです。たとえば、各省における購買事務をやっている、物を買う職員が、実際に長く取引をしている業者と私的に親しかった。業務上の問題、公式にいろいろ聞いた以外にもうちょっと細かく指導を受けたいというので、その個人と接触し、あるいは個人の家へ行って、もうちょっと知りたい細かい指導を受けた――公務員ですよ。建設業者が建設省のたとえば役人でもいい、受けたときに、金額が一万円以下、小切手で十二回、まあまあこれは本当の謝礼です、とにかくお茶もごちそうになったし、来て指導を受けたんだから謝礼でございますといったようなときとこれと、似たような問題になってくるんじゃないかなという感じがしたのでお伺いしているわけですからね。私がいま言った例とこの問題と、似たような例にお感じになりますか。
  64. 千葉和郎

    ○千葉最高裁判所長官代理者 具体的な問題でございますので、申し上げていいかどうか疑問でございますが、また正確であるかどうかわかりませんが、最高裁の判決でも言っておりますが、「思うに、原判決が指摘する前記学習指導の内容それ自体は、学校教員としての当然の職務に属するものであり、また、教育目的はあらゆる機会にあらゆる場所において実現されなければならないものであって、学校教員地位にある者が児童生徒に対して行う教育指導には、その性質上、必ずしも公私の別を明確一律に弁じがたい微妙なものの存することは否定しがたいし、かつ、学校教員にあっては、その重要な社会的使命を自覚するならば、みだりに父兄等からの度重なる金品の贈与に慣れて廉潔心が鈍麻し、人の師表として世の指弾を浴びることのないよう、厳に自ら慎しむべきであることは、その職業倫理からしても当然であろう。」というふうにわざわざ言っております。  ただ、それにしても、この具体的な事件については、先ほど申し上げましたように、十二回のうちの九つは初めから無罪になっているわけでございます。それから、そのほかの当時の同僚の問題とかいろいろ本件の具体的な事案についてはやはりもう少し検討したらどうか、こういうことでございますので、原委員のおっしゃる例とは違うであろうし、また、わざわざ最高裁の判決で言っている趣旨も原審としては尊重することになるであろう、かように思っております。
  65. 原茂

    ○原(茂)委員 いま教師聖職論すら出ている時代ですからね。確かにこの判決に述べられているように、時と場所を問わず、やはり教師とすれば教えていく、指導するという義務、責任があるわけですからね。私は、いまのような判決が下されますと、差し戻し審の結果いかんによっては大変大きな広範な影響が出てくるであろうということを心配してこの問題でお伺いしたんですが、たとえば、先ほどの例で言う公務員というものが私的に親しかったのでいろいろと指導をした、その謝礼が来たといった場合でも、私は、いやしくも仕事に関係する限り一円といえども謝礼は取ってはいけない。そうでなくて、そういう問題の謝礼でなくて、ほかの問題で盆暮れの贈答だなんだということは、これは日本の場合に人間的にあり得ることで、あってもいいんですが、その問題の指導を受けたからそれに対して小切手一万円だ、五千円だという謝礼が公務員の場合あったら、これはやはりいけないことだと規定しておかないといけないんじゃないかというふうに考えるからお伺いをしたんですが、いずれにしても差し戻しをした結果何が出てくるか、それによって正当な答えが出るだろう、こういう御期待のようですし、それを見ないことには物が言えない、こういう御答弁になるわけですね。  そこで締めくくり的に、違う件でお伺いをしたいと思いますが、この問題の締めくくりに一つだけお伺いしておきたいのは、学校の先生であろうと公務員であろうと、いままで収賄あるいは贈賄というので判決が言い渡されました中に、最高裁がやっているのだから間違いないと思いますが、こういう種類のもの、これに近いものの贈賄、収賄というので判決の下された事件、落着した事件というのがありますか。
  66. 千葉和郎

    ○千葉最高裁判所長官代理者 私ども、全部そういう事件を見ているわけでございませんが、判例として比較的重要なものとして言われている事件の中には、この種の事件は見当たっておりません。
  67. 原茂

    ○原(茂)委員 それでは次の問題に移りますが、これは例の薬事法に関係して、業界の指導に対してそれは違憲であるという判定を下されたのが、これはいつごろでしたか、四月三十日、最高裁における決定を見たわけですが、これに関連いたしまして酒、たばこの問題をちょっとお伺いいたした後に、最高裁の御意見をお聞きしたいと思うのであります。  きょうは国税庁から酒税課長高木さんおいでになっているようですが、お酒にもやはり距離、小売販売の場合には百メートル以上離れていなければいけない、二百メートル、百五十メートルという距離を離して許可をするという規定がある。これは長官通達か何かで出ているようですが、その事実はおありかどうか。と同時に、それの基本的な通達がいつどういう趣旨で出されたかというのと、実際の距離をA、B、C、Dの地域によって百だ二百だという距離が決められているようですから、その距離も一緒にお答えをいただきたい。
  68. 高木壽夫

    ○高木説明員 ただいまのお尋ねでございますが、酒類の販売業を始めたいという方がいらっしゃいます場合におきましては、酒税の保全という考え方を基本といたしまして、酒税法第十条でございますかに基づきまして、税務署長の免許が必要であるということに相なっております。  さらに、どういう場合に免許をするかということにつきましては、つまり具体的な免許基準、運用ということにつきましては、その取り扱いを全国的に統一いたします必要があろうということから、国税庁の長官通達でございますが、酒類販売業免許等取扱要領といったもので定めております。現在動いておりますところのこの要領自体は、昭和三十八年に制定されたものでございます。  この免許基準を大別いたしまして考えてみますと、人的要件でございますとか、あるいはただいまお話しの距離基準でございますとか、あるいはまた需給調整上の要件、こういった三つの柱に区分できるであろうと存じておる次第でございますが、ただいまお尋ねの距離基準ということにつきまして御説明いたしますと、全体を四つに、つまり日本全国を四つの地域に分けておる、こういう考え方に立っております。A、B、C、Dという呼び方をしておりますが、A地域と申しますのは東京都の特別区、それから人口が三十万人以上の市制施行地の市街地、こういうことになっておりますが、端的に常識的に申し上げれば大都市ということかと思います。そういった地域におきましては、距離基準としましては一応百メートルということに要領の上ではなっております。それからB地域と申しますのがA以外の市制施行地の市街地ということでございまして、A地域ほどの大都会ではない中都会といった感じになろうかと思いますが、そうした地帯におきましては、距離の基準としましてはAと同じく百メートルということになっております。それから三つ目がC地域ということでございまして、これは町制施行地の市街地という定め方に相なっておりますが、ここにおきましては距離は百五十メートル。それから四つ目がD地域でございまして、市街地以外の地域、したがいましてこれは人口の非常に少ない地帯ということに相なろうと思いますが、そういった地域におきましては二百メートルという定め方をしております。  ただ、この定め方は、考え方といたしまして一応の目安であるということでございまして、絶対的にそれにしぼられるという考え方には立っておりません。たとえば端的な例で申し上げますと、急速に市街地が開発されたとか、あるいは団地と言われるような形で新しく人口の稠密地域が生まれたといったような場合におきましては、この規定は必ずしも適用しなくてもいい、そういう考え方に立って運用しておるところでございます。
  69. 原茂

    ○原(茂)委員 専売公社の佐藤さんに、たばこについて同じ趣旨でちょっと御説明をいただきたい。
  70. 佐藤健司

    ○佐藤説明員 たばこにつきましては、たばこ専売法の二十九条に「公社又は小売人でなければ、製造たばこを販売してはならない。」という規定がございまして、三十条に「その指定を受けなければならない。」という規定がございます。三十一条に指定の条件が規定されておるわけでございますが、そのそもそもの趣旨と申しますのは、やはりたばこの専売は財政専売でございますので、財政収入というものを確保することが主たる目的でございます。  そういう点からいたしますと、やはりできるだけ経費を節減いたしまして、経費の節減ということにつきましては、たばこにつきましては販売店まで配送することになっておるわけでございまして、そういう点からいたしますと、販売店の数でありますとかあるいはその位置が妥当なところと申しますか、合理的なある程度の数、あるいは合理的な位置というようなところが必要になると思いますが、そういう経費節減という意味が一つございます。  それからもう一つは、財政収入確保と申しましても、やはり消費者の利便というものを考えなければいけないというもう一つの目的を達しなければならぬわけでございますので、そういう点から、この法律の規定に基づきまして、たばこ小売人指定関係規程というものを定めてございます。その中に距離基準といたしまして、繁華街につきましては五十メートルあるいは百メートルというものがございます。それから市街地につきましては百メートル、百五十メートルというような距離基準を設けてございまして、そのほかに準市街地、住宅地あるいは集団部落的なところというふうな区分をいたしまして、最低のところで五十メートル、一番長いところで三百メートルという規定を設けておりますが、ただ、繁華街におきましても、人の交通の非常に激しいところでございますと、二十五メートルぐらいのところに距離を設定をして一つの基準としておるわけでございます。
  71. 原茂

    ○原(茂)委員 斎藤理事に塩の説明……。
  72. 斎藤慶二

    ○斎藤説明員 塩につきましては、結論から申し上げますと距離の制限がございません。たばこ事業が財政収入を確保するということを大変重視しておりますが、塩事業は御承知のとおり公益専売でございまして、消費者にできるだけ安価に塩を供給する、また安定的に供給する、そして費消者の購買利便を図るという観点、及び塩は生活必需品でございます点から、消費者に対する配慮というものが、能率的な実施という面に加えて強く要請されておるわけでございます。  そこで、消費者の塩に対する購買態様というのは、たばこに比べますと大変異なった状態がございまして、これは三つほどございます。まず第一は、居住地の付近で購入するという点でございまして、移動客が大変少ない。それから第二に、購買頻度が少ない、月に一回か二月に一回半、こんな状態でございます。それから第三といたしましては、お店で同じように扱っております一般の調味料と一緒に塩を買う、こういう状態でございまして、そういう点から考えますと、主として居住人口に対する配慮というものを重点的に考える、そういうことによりまして消費者に対する利便が図れるのではないか、このように考えるわけでございます。  そこで、塩小売人の指定基準といたしまして専売法の二十五条にございますのは、販売標準数量というものがございます。したがいまして、標準販売数量の設定に当たりましては、塩がいまのような形で購買されておりますので、居住人口を基準とした販売見込み数量というものを算定する、そういう考え方で、販売標準数量に達するかどうかということを考えて指定するかしないかを考える。それから、もちろん、人的な欠格条件、それから設備が店舗として適当かどうかというような問題もございます。そういうことを考えて指定を行う判断の基準にいたしておりまして、位置が不適当かどうかという文言は法律にもございませんので、したがいまして、距離の制限は塩の場合はないわけでございます。
  73. 原茂

    ○原(茂)委員 そこで、最高裁にお伺いしたいのですが、この問の薬事法に関する判決は、薬を売る店の距離の制限は違憲だ、結論はそういう判決になったと思いますが、そうですが。
  74. 井口牧郎

    ○井口最高裁判所長官代理者 お尋ねのとおりでございます。
  75. 原茂

    ○原(茂)委員 次いで、常識的なお伺いをしたいのですが、いまお聞きになりました酒、たばこ、これに、いま言われたような理由で距離制限が設けられている。塩に対しては設けられていない。しかし違った条件がある。酒、たばこに関しても今回のこの判決の問題と類似していると思いますが、いかがでしょうか。
  76. 井口牧郎

    ○井口最高裁判所長官代理者 委員仰せのように、ある意味では類似点がなくはないと考えております。
  77. 原茂

    ○原(茂)委員 ある意味の類似点というのはどういうところでしょう。
  78. 井口牧郎

    ○井口最高裁判所長官代理者 委員御承知のように、裁判所違憲審査権と申しますのは、具体的な事件に必要な法律判断をする際に、それに関連します法律ないしその他の法令の適用をめぐって行使されるものでございますので、御指摘の薬局事件も、たしか広島県下の薬局の具体的な事件について、先般大法廷が下したわけでございます。  御指摘のたばこ専売あるいは酒類の販売などには、それぞれ専売法あるいは酒税法の該当法条をめぐって同種の訴訟が起こりますれば、当然その問題が問題になり得るわけでございますけれども、私ども事務当局といたしますと、そういう事件が現に最高裁判所には係属していないように承知しておりますけれども、そのあたりの法律問題についてはちょっとお答えをいたしかねますので、どうぞ御了承いただきたいと思います。
  79. 原茂

    ○原(茂)委員 そこで、国税庁の高木さんと専売公社の佐藤さんに。  いまの、最高裁の四月三十日の判決を御存じだと思いますが、それに照らしてみて、やがてこれは問題になる規定だとお考えになりませんか。近い将来、われわれの側からもこの問題をもう少し検討して、距離制限等を撤廃すべきだと考えるのですが、いかがでしょうか。それから、塩の問題で斎藤理事のお話がありましたが、塩の考え方が酒、たばこに入っていっていいんじゃないかという感じがしますので、この二つについて、お二人からお答えをいただきたい。
  80. 高木壽夫

    ○高木説明員 距離基準ということにつきましては先ほど申し上げたところでございますが、その際にも若干つけ加えたと思いますけれども、酒の場合につきまして、距離基準という考え方を免許をおろします場合におきまして一つの目安としておることは、確かにそのとおりでございますけれども、ほかにも判断の基準はつくっておるわけでございまして、言うならば幾つかの考え方の中の一つの基準であるという点が第一点でございます。この距離基準というものだけで免許の可否を判断しているわけではないということでございます。それからいま一つは、そういった扱い方をしております距離基準自体が、先ほども触れましたが、実情に応じた弾力的な扱いをしておるということも申し上げたいわけでございます。  そこで、ただいまのお尋ねそのものでございますが、お酒の場合におきまして販売業について免許制度がなぜとられておるのだろうか、とらなければならないのだろうかということを私どもなりに考えてみました場合におきまして、まず一つには、お酒につきまして相当高い率の酒税が含まれておる。これは物によりまして多少の違いはあるわけでございますが、三〇%とか四〇%といったような、小売価格に対する関係を見ましてもそういった程度の高率の酒税が含まれている物資であるということが、どうしても基本にはあると思っております。  それからいま一つには、酒税というものが結局、実質的に国庫に入ってきますその仕組みを考えました場合におきまして、これは先生に申し上げるまでもないところでございますけれども、直接の納税義務者はメーカー、製造者でございます。しかしながら、間接税というようなことからいたしまして、流通段階を経由いたしまして、最終的には消費者に転嫁される、こういう性格のものでございますので、物の流れとは逆に金が流れてくる必要があるわけでございまして、つまりお酒の代金というものが最終的に円滑に製造者に返ってくる、回収されてくるということによって初めて酒税というものが確実に確保される、そういう仕組みであるわけでございます。そういうことでございますので、販売業者というものは、ちょうどその中におきまして酒税の保全、これは法律上の言葉にもなっておるわけでございますけれども、酒税の保全という要請の中できわめて重要な役割りを果たしておる、こういうことが言えると私ども思っております。いまのことを裏側から申し上げてみますと、仮に免許制度がなくなる、廃止されるという場合にどういうことになるであろうかというようなことになろうかと思いますが、過当競争というようなことに相なりまして、そうしますと経営の不安ということを生ずる、それは酒税の滞納ということになってくる、それはつまり酒税の保全には反する、歳入確保には重大な支障が生ずる、こういう論理的なつながりになるだろうと私どもは考えておるわけでございます。  そういったことでございますので、つまり、ほかの物資とは格段に違う点があるのではなかろうか、歳入の確保という、ただいま申し上げましたような点でございますが、そういった立場から、私どもといたしましては、過般最高裁の薬事法関係の判決は拝見いたしておるわけでございますけれども、ただいま申し上げましたようなことから、販売免許の関係のただいまの制度というものは維持してまいる必要があるだろう、このように考えておる次第でございます。
  81. 佐藤健司

    ○佐藤説明員 たばこの専売におきます距離制限の問題でございますが、その前にたばこ専売制度そのものにつきまして、職業選択の自由との関係で前に訴訟がございまして、これは三十九年の最高裁判決で、その専売制度そのものの合憲ということは認められておるわけでございますが、また、この指定制度につきましては、これはたばこ専売法の二十九条でございますが、これにつきましても訴訟がございまして、昭和三十二年の東京高裁の判決によりまして合憲であるという判決が下されておるわけでございますが、ただ、その中におきます、先生仰せになりましたところの距離基準の問題がございますが、これは先ほど申し上げましたように、やはり私どもの専売公社法の中に、健全にしかも能率的に運営しなければいかぬという規定がございます。私どもとしては、専売収入、いわゆる財政収入を確保するということが目的でございますので、できるだけこの経費を節減をしていかなければならない。そういたしますと、やはり販売店のいろいろな管理をする経費でございますとか、お店まで運んでいくという経費が相当高いものにつくわけでございますので、それをできるだけ節減をするというやり方が望ましいわけでございます。ただ、一方、やはり消費者の購入の便というものはどうしても考えなければならない。そういう二つの要請というものをかみ合わせましてやっていくといたしますと、やはりこの距離というものがある程度合理的なものとして基準として決められておらないといけないのじゃないかというふうに私ども考えておるわけでございまして、先般の薬事法のような、一つの乱売、不良医薬品の販売でございますか、そういう事態を防止するためのもの、そういう考え方のものと違った点は、やはり財政収入を確保していかなければならない、しかもそれをできるだけ効率的に確保していくという要請と消費者利便というものとを兼ね合わせていくというところにあろうかと思うわけでございます。  それで、現在、小売人の数というのは約二十四万人おるわけでございますが、全体としては一兆二千億ばかりの販売があるわけでございますが、大体平均いたしますと四十数万円である、しかも月三十万円以下という売り上げのものが全体の半分ちょっとを占めておるという状態の現在配置状況でございます。そういう点御了承願いたいと思います。
  82. 原茂

    ○原(茂)委員 もう一度、お二人に聞きたい。  たとえば、いま生協というのがありますよ。その生協でたくさん員内の人もあるし、員外の人まで非常に利用するようになりましたから、ちょうどデパートに出入りするように、生協における顧客というのが大変多くなってきた。当然、ここでたばこも酒も扱いたい。しかし、隣にたばこ屋がある、五十メートル先にある、酒販売店が五十メートルなり三十メートル先にあるという場合に、そんなに頻繁な、多くの顧客が出入りをする生協においてその免許を取ることがむずかしいということは、矛盾じゃないですか。お二人どうですか。
  83. 高木壽夫

    ○高木説明員 既存のものがあるといたしまして、たとえば三十メートルの距離に、ある新規参入の方が御希望を出される、その方が一般のお店である場合とそれからただいまお話しの生協である場合と、このように考えてみればいいかと思うのでございますけれども、私どもとしましてはその点の扱い方は全く同様でございまして、先ほど申し上げましたように、三十メートルございます場合には、百メートルという基準に照らしました場合には、その観点から見るとなかなか問題があるということで、弾力的な運用をいたしておりますものの、三十メートルというその限りでは大変問題があるということで、その限りでは否定的な扱いをする、その限りにおきましては一般の方であろうと生協の方であろうと扱いは同様である、こういう扱いをしておるということでございます。
  84. 佐藤健司

    ○佐藤説明員 生協の問題でございますが、たばこ販売につきましては、生協の申請状況に対しましては大体八割くらいが指定になっておるという状態でございまして、これはやはり員外利用を認められておりますものとそうでないものとございますけれども、員外利用が認められていないものにつきましては、その生協員の消費量というものを基準にいたしまして、これに対しては緩やかな基準を一つつくってございます。それで、員外利用が認められておるものにつきましては、これは普通販売店ということでやっておりますが、員内利用だけのものにつきましては、距離を考えずに、その中の販売予定高というようなものを基準として見ておりますので、これはわりあいに――八割という指定率でございますが、一般の指定率が約四割ちょっとでございます。そういう点では十分に指定そのものはうまくいっておるのではないかというふうに私どもは考えておるわけでございます。
  85. 原茂

    ○原(茂)委員 もう一度、高木さんにお伺いするのですが、たばこもまだ売れないところが生協でもあるのですね。いまのお話では、相当程度認めることになっている、確かにそのとおりなんですが、まだちょっとあるのです。酒に関してはがんこに、一般の規定に従ってやるのだ、こう言い切っておられるのですが、これはもう少し前向きで考える必要があるのじゃないですか。どうですか。
  86. 高木壽夫

    ○高木説明員 ただいまちょっと数字を持っておりませんので、数字的に御説明いたしかねるのでございますけれども、生協からの御申請が出てきたということにつきましてもかなりの程度免許を出しておるというケースはございますので、先生のおっしゃいますような観点も十分に念頭に置きながら運営されておるというふうに申し上げることができると思っております。
  87. 原茂

    ○原(茂)委員 ぜひそうなっていただかないと、やがてこれと同じような問題が起きますから、かえって混乱をするおそれがある。したがって、できる限り、この距離制限の実際にないと同じような状況で運営をしていただく以外にない。  この問題の最後に、最高裁にもう一度お伺いしたいのですが、四十七年の十一月二十二日に、小売市場の開設許可制は憲法第二十二条に違反しないという判決が出されているのですね。この問題と今回の薬事法に対する違憲判決との関連はどういうふうになっているのでしょうか、お伺いしたい。
  88. 井口牧郎

    ○井口最高裁判所長官代理者 ただいまちょっと詳細を御説明いたします資料を持ち合わせておりませんけれども、四十七年十一月の判決と先ほど御指摘の四月三十日の大法廷判決とでは事案を異にするということで判断が下されたように承知しております。
  89. 原茂

    ○原(茂)委員 資料がなければしょうがない。少しこの問題はひっかかるところがあるのですが、その点は資料がない以上やむを得ませんので、これで終わっておきます。  会計検査院に一つだけお伺いしたいのですが、時間がありませんから簡潔にお答えをいただきたいのです。  「会計検査院は、検査の結果国又は公社の会計事務を処理する職員が故意又は重大な過失により著しく国又は公社に損害を与えたと認めるときは、」本属長官その他監督責任者に対し懲戒処分を要求することができる。この懲戒処分を要求した事例はありますか。その結果がどうであったかが一つ。  それからもう一つは、本属長官等監督責任者はその者に対して弁償命令を発しなければならない。この弁償責任は「国会の議決に基づかなければ減免されない」ことになっているというのですが、実際に、賠償責任を追及しなければいけないと決まって賠償責任が追及されているのに、その人の収入が少ないとかあるいは他の理由によって、結果的には減免したと同じことになっている事例が幾つかあるのではないかと思うのですが、そういう場合、国会の議決を要することになっているが、議決を要しないままに、結果的には減免したと同じような処理がされている事例があるのではないかというふうに思いますが、その二つの問題についてお答えをいただいて、終わりたいと思います。
  90. 前田泰男

    ○前田会計検査院説明員 お答え申し上げます。  いままでこの制度が始まりましてから、先生御指摘の院法三十一条による要求は一件でございます。  それからなお、国会の議決によらなければ減免されない、こういうことになっているわけでございまして、それで事実上取れなくなっておるものがあるのではないかという御質問でございますが、これにつきましては確たる数字を現在持ち合わせておりませんので、御了承願いたいと存じます。
  91. 原茂

    ○原(茂)委員 確たる数字を持っていないからわからないのであって、調べてみるとあるかもしれませんか。全然ないという自信もない。もしそうだったら、たとえばこの問の郵政の問題で質問をしたときから疑いを持ったわけですけれども、その事例をひとつ、後で結構ですからお出しをいただくようにお願いをしておきたい。  終わります。
  92. 井原岸高

    ○井原委員長 庄司幸助君。
  93. 庄司幸助

    ○庄司委員 私は、会計検査院の調査旅費の問題、それから会計検査院で働いている女子職員の問題、こういった点でお伺いしたいと思うのです。  まず最初に、検査院の出張旅費、特に宿泊費ですね、これが非常に少ない。地元の受検官公署が宿泊費を負担していたことが相当大きな問題になった事例があるわけです。  これは一つだけ申し上げておきますが、滋賀県の問題なんです。これは五十年の三月八日付の京都新聞あるいは朝日新聞、毎日新聞に載っておりますけれども、たとえば京都新聞では、「足出す会計調査官の宿泊費 県がシリぬぐい 年間百二十万円を負担 指定旅館規程オーバー分」こういう京都新聞の記事があるわけです。それから毎日新聞も「旅館代は相手持ち 滋賀県担当の会計検査官」、朝日新聞は「会計検査院調査官宿泊費 県が七割まで負担」。  この内容ですが、大体こういう内容なんですね。四十九年の四月七日から十三日まで、検査院の厚生関係の方々五人が検査にいらっしゃった。指定旅館である大津市石山寺辺町の柳屋旅館、宿泊した者が検査院五人と県職員ですね。県職員も泊っております。そのうち会計検査院分は三十四万一千五百五十円になる。ところが調査官が実際支払ったのは九万九千円だという新聞の記事なんですね。差額の二十四万二千五百五十円は県の負担になってしまった。調査官が払った九万九千円というのは、六泊いたしておりますから、六泊掛ける五人で三十で割ると、ちょうど三千三百円、おたくの旅費規程に該当するようなあれですね。このほか県職員の食費や宿泊費、これが三十三万円余出ているということなんです。  そこで、簡単なことからお伺いしておきますが、この新聞記事が事実だとするならば、何か会計検査院が夜も泊りがけで県庁職員を呼んで調査をやっている、そういうことになるわけですが、こういう検査をなすっているのかどうか、この点からひとつ。
  94. 鎌田英夫

    ○鎌田会計検査院説明員 お答え申し上げます。  先生御指摘の検査院の旅費の問題、これについて、具体的にいま滋賀県の問題をおっしゃいましたわけでございます。  検査院の旅費、これは一般の公務員と同じ旅費法に基づく額を等級に従いまして支給しているわけでございまして、先生御指摘のとおり新聞に報道されるような事態を生じましたことは、まことに会計検査院といたしましても残念に、また遺憾に存ずる次第でございます。何ゆえにこういうようなことになったかという点をいろいろ分析調査――これはもうかねがね、検査院の旅費というのは足らないということもございまして鋭意その改善に努力はいたしておるわけでございますけれども、なおその実現を見ない、たまたままたこういう事態を引き起こしたという状況になっております。  ただいま先生が滋賀県のことで申されました金額、金額は多少違います。もう少し払っているというような形ですが、これは大同小異でございますから、あえて申し上げることはございません。ただ、たまたま滋賀県の例だけについて申し上げないで、全般的に……
  95. 庄司幸助

    ○庄司委員 私が伺っているのは、夜も調査なすっているのかということです。
  96. 鎌田英夫

    ○鎌田会計検査院説明員 その点で申し上げますと、補助の検査というもので農林なり建設、そういったものに五人ないし六人、パーティーを組みまして検査に参ります。そういう場合に、毎朝、旅館から各方面に分かれて現場に参るわけでございます。これは一人が何カ所かぐるぐる走り回って検査をして、そして宿に夕方帰ってきます。帰ってきまして昼間指摘した事項を整理するわけでございますが、その際に県の立ち会いの職員、こういう方もおられまして、やはりその点はどうだった、この点はああだという議論をする羽目になると思います。したがいまして、その旅館におきまして夜遅くまで、検査院としても整理いたしますし、その間県の方も来られていろいろ説明を補足される、こういうようなことでございます。また、検査をされて、たとえば指摘された団体がございますと、そこの方が、なお説明が足らないところがあるということで夜遅くまで見える、こういうようなことがございまして、夜遅くまで検査をしているわけではございませんけれども、ちょうどそれと同じような状態になるということがたびたびあるわけでございます。
  97. 庄司幸助

    ○庄司委員 これは検査院長、会計検査院職員は大変な激務じゃないですか。六泊ですよ。約一週間出張して、夜の夜中まで仕事をしなくちゃならない。これは大変な激務ですよ。しかも出張旅費、後で申し上げますが非常に少ない。こんなことでいいんですか。しかも、世間の誤解はここから生ずるのです。これは後で申し上げてもいいのですが、旅館代歩不当に高い支払いがされております。決して一泊二食つきの食事だけではないような支払いの内容を私お見受けするのですが、これは非常に世間の誤解を受けるわけです。会計検査院の検査の厳正の問題が問われるわけです。毎晩、夜遅くまでこうやって県庁の役人を引っ張り出して、あるいは団体を引っ張り出して、あるいは押しかけるという表現もありましたが、押しかけられたり、こういう検査をやっていいんですかね。大体、公務員の執務時間、これは税務署の調査にしてもあるいは検察庁の調査にしたって、大体執務時間の範囲内、朝の九時から夕方の五時ごろまでで打ち切るというのが常識なんですね。会計検査院だけがこういう状態になっているというのは、どういうふうに院長お考えになりますか。
  98. 鎌田英夫

    ○鎌田会計検査院説明員 私、先ほどいろいろ申し上げましたけれども、これは決して検査院の職員がどうしてもやるということではございません。ただ、検査院の職員も非常に仕事に熱意を持ちまして、えてしてそういう形になってしまう、こういうことでございます。  私どもといたしましても、相手もたとえば五時、五時半で仕事が終わる、そういう場合にオーバータイムまでさせて仕事をしてはいかぬ、こういうことは常々職員指導しているわけでございますけれども、やはり現場に行って仕事をしてみると、仕事の切れ目というのがなかなかむずかしい。こちらがこれで済んだと思いましても、やはりいろいろな意見を言われた相手方になってみると、この辺の説明が足らなかった、あなたはこれを誤解しているのではないかというようなことで、旅館の方にやってきて、補足して説明をどうしても聞いてくれ、こういうことになるのでございまして、夜の夜中までやるというようなことは現在ではやっておりません。多少夜が遅くなるという程度のことだと存じますが、決して職員がそういうことをいやいやながらやっているというのじゃなくて、そういう羽目に陥っているということで、それは職員が仕事に熱意の余りやっているんだ、こういうふうに私どもは了承しているわけでございます。
  99. 庄司幸助

    ○庄司委員 これは職員の自発性でやっているんだ、これは確認しておきます。あなたの方の組合がそういうことをおっしゃっているかどうか、これは後で突き合わせます。  それじゃ、もう一つ事例を挙げます。これも昨年の六月十七日から二十二日まで、建設省福島工事事務所に一週間、五人の方がいらっしゃった。これは工事事務所の帳面を見ますと、十六日の夜、前の晩からいらしたようです。飯坂町西滝ノ町二十五番地のますや。これは飯坂温泉のことですね。工事事務所がこういう支払いをやっております。十二コ六万一千四百十五円、それから同じく十九日の夜十八コ十万二百十三円、同じますやさんです。二十日の夜、福島市土湯温泉町向滝、これも温泉です。十六コ九万六十八円。二十一日の夜、会津若松市東山町大字湯本字寺屋敷四十三番地特 千代滝、これも温泉です、東山温泉。十六コ九万七千四百十七円。こういうように、検査に当たって何か温泉ばかり泊まり歩いておる。こういう中で福島工事事務所の、私がつかんでいる資料があるのですよ。会計検査院がごまかされているという資料。  建設省がこうやって何で一体、温泉にわざわざあなた方を招待して、十二コだの十八コだの十六コだのと勘定を払っているか。もちろん、このうちのある部分はあなた方お支払いになったろうと思うのですよ。何で温泉に泊まるのか。あなた方かねがね、共済寮とかあるいは協定旅館、こういうところに泊まれと指導しているのでしょう。温泉で、何で夜まで建設省の役人を呼んで調査しなくちゃならないのか。これは事務次長、あなた、さっきいろいろ強弁なさいましたけれども、この問題というのは、私は会計検査院職員に非常に気の毒なんですが、持ちつ持たれつで、検査に手心を加えてもらいたい、お手やわらかにという気持ちは、受検者側に当然あるのですよ。これは否定できないのです。そういう誘惑に乗るようないまの旅費の状況、ここのところを直さないと、検査院の職員を一人一人責めてみても、これはしようがない話なんです。まさにあなた方の責任だと私は思うのですよ。こういうことで、滋賀県の問題では新聞に書き立てられる、こういう問題もあるとすれば、会計検査院に対する疑惑が高まってくる。士気に影響するでしょう。そうしたら、会計検査院職員は、胸を張って堂々と厳正な調査をやることが鈍ってくることだって考えられるのですね。私は、前にも一遍指摘したことはあるのですが、これはもうあなた方をただ叱責するだけではなくて、国民の立場に立って、本当に国民の血税の行方を検査していただきたいという一心から申し上げているわけです。これはおたくの職員だって同じような気持ちだろうと思うのです。  その点、こういう事例もあるわけですから、この調査官の旅費、特に宿泊費の問題について実態と合うようにどういうふうに改善されているのか、この辺ひとつお聞かせ願いたいと思うのです。これはひとつ、いまの問題では院長からも決意のほどを述べてもらいたいと思います。
  100. 鎌田英夫

    ○鎌田会計検査院説明員 ただいま先生から、福島県の福島工事事務所というものについて御指摘を受けました。ただいま突然伺いまして、私ども、その事実存じませんで、まことに申しわけございません。それにつきましてごうごうと御説明申し上げることができないわけでございます。これは帰りまして十分調査してみたいと思います。  ただ、温泉地ばかりというお言葉もあるわけでございますが、私ども、全国を補助金の検査などで参りますと、やはり温泉地のそばに現場があるということも間々あるわけでございまして、たとえば福島県とか福井県とか、そういうようなところに温泉地が非常に多いわけでございまして、われわれの指定旅館も温泉の中に設定する、こういうこともあるわけでございますが、先ほどのお話の、これが指定旅館であるかどうか、なお調査してみたいと思います。  それから、先生いろいろ御鞭撻いただいているわけでございますが、確かに会計検査院の職員が胸を張って心配なく、その重責である検査というものを遂行できる、こういう態度でありたいことは、もう院長以下、常に考えておるわけでございます。  現在の旅費定額が、昭和四十八年の四月から改正になりまして二年をけみしまして、その問石油ショックその他で非常な宿賃の暴騰がございました。われわれといたしましても非常に宿泊に困る、といって、金が足らないから検査をやめる、こういうわけにもならず、やはり支給されたものの中で検査をしなければならない、これが現況であったわけでございます。たまたまことしの、五十年の三月ごろ旅費法の改正があって、日当、宿泊につきまして大体四割アップの線で増額になる。もちろん、この増額になりました額を見ましても、なお現在の旅館の宿賃というものに、間に合うところもありますけれども、しかし間に合わないところもあるかと存じます。われわれといたしましては、そういう意味で、なるべく指定旅館に協定料金というものを設けまして、この範囲でお願いする、この範囲でやってくれる意思があるかということを聞きまして、重要なお仕事であるから協力しましょうと、こう申し出てくれたところと契約しているわけでございます。まあこの最高が、甲地で六千三百円、これを限度、それから乙地につきましては五千七百円、これ以上かかるという宿屋とは契約しないという方法でやってきたわけでございます。そうして、現在全国で四百十店の指定旅館を設けているわけでございます。  しかしながら、なかなかこの協定料金というのも、実際実行の面になりますと、先ほど先生御指摘のようにいろいろな問題が起こってきまして、実行されないというようなことが起こるわけでございます。出張しました者が宿に請求書を出してくれと言いましても、あなたたちの分だけ分離して出すわけにいかないと、こういうようなことも言われたりしまして、やむなく相手官庁の方に払ってきたりすることがこういう事態を招いていると思いますが、まあ、こういうことは非常に情けないと申しますか、いけないことでございまして、この増額につきましては一日も早く実現してほしい。と同時に、検査院独自の旅費というものも何かあり得るのじゃないかということを現在検討しておるわけでございます。なお、四十九年度からは特殊勤務手当という形で、わずかではございますけれども、検査に参りますと一日四百円と、きわめて少ないわけでございますけれども、ほかに例を見ない、そういう検査特別手当というものも実現しております。これも四百円では非常に少ないわけでございまして、増額をお願いしたいと考えておるわけでございますが、そのほか何らか、職員が胸を張って堂々と検査できる、そういうことがあり得るのじゃないかということをいま鋭意、官房として検討しているわけでございます。
  101. 白石正雄

    ○白石会計検査院長 ただいま御指摘のような事態が発生いたしましたことにつきましては、まことに私、遺憾に存じております。かねがね職員に対しましては、綱紀粛正の線につきまして注意を喚起いたしておるところでございますが、かような事態が発生いたしましたことにつきましてはおわびを申し上げます。  ただ、当局といたしましては、ただいま次長からるる申し上げましたように、旅費額が実情に合しないというような点もあろうかと思いまして、この増額につきましては、関係当局に絶えず密接な連絡をとりましてお願いをいたしておる次第でございまして、現在、旅費法の定額改正につきましては国会において御審議中でございまするが、一刻も早くその実現を見るように念願いたしておる次第でございます。
  102. 庄司幸助

    ○庄司委員 次長さん、先ほど挙げた事例の温泉の旅館ですね、私は大体は、向こうの人間ですからわかりますが、これは全部一流の旅館です。決しておたくの旅費規程で、あるいは協定料金で泊まれるような旅館ではございません。このますやにしろ、向滝にしろ、千代滝にしろ、これは有名な旅館です。その点で、あなたもいろいろおっしゃったけれども、問題は、こういう誘惑があるということなんです。受検官公署では手ぐすね引いて待ち構えているのですよ。いや、検査院が来るのは、これはだれしも好みません。折あらばとにかく接待にいろいろ気を配って、そしてお手やわらかにと、これは受検者側から言えば当然発動する心理状況なんですね。それで、たまたまおたくの旅費規程が非常に貧弱で、そういう誘惑に乗らざるを得ないような状況にしておくのは、これは職員の責任じゃなくて、厳重に注意するなんておっしゃっていましたが、あなたの方のこういう仕掛けが悪いんだということですよ、私が申し上げたいのは。何も裁判官並みに国家公務員から外してしまえなどとはいまは私は言いませんけれども、会計検査院は内閣から独立した機関でしょう。これは何遍も強調されておる点です。独立性を保つためにはやはりこういう仕掛けを直さないと保てないのです、これは。だから、その点でもっと――私は前にも院長に申し上げたことがあるわけです。院長がやはり腰を強くして予算の請求をやったらどうだ、こういうことを再々申し上げたわけですが、これはぜひ仕掛けを直すために努力していただきたい。職員だけ責められたんではかないません。  それからもう一つは、相手の受検官公署とこういう関係があるならば、一体、国民の血税が地建やあるいはその他の県庁あたりで、こういうふうに会計検査に要する費用として、食糧費であるとか需用費などという名目で出されていく、これは非常に国の予算のむだ遣いじゃないですか。そう思いませんか。
  103. 白石正雄

    ○白石会計検査院長 ただいま御指摘のように、旅費の定額ではとうてい泊まれないような豪華な宿舎に宿泊しておるというような御指摘につきましては、まことに遺憾に存じておる次第でございまして、旅費の定額の範囲内で宿泊できるような施設に泊まるよう、指導を重ねて強化いたしたいと考える次第でございます。  ただ、それにいたしましても、最近の物価の騰貴にかんがみまして、旅費の定額が少ないということにつきましては、私どももかねがね関係当局にお願いいたしまして、旅費定額の増額について努力をいたしておる次第でございますが、やはり一般公務員といたしまして、検査院のみ特別の旅費の定額を設けるというわけにもなかなか問題であろうということで、現在は一般公務員法の適用によりまして、一般公務員と同一の旅費定額の支給になっておるわけでございますが、しかしながら、検査院といたしまして、厳正公平な態度を堅持して、しかも長期の出張に耐えるというためには、特別の考慮もあってしかるべきではないかという考え方もいたしておる次第でございますので、そういうような点は今後とも努力いたしたい、かように存ずる次第でございます。
  104. 庄司幸助

    ○庄司委員 それで今度、若干細かい問題になりますが、ことし旅費法の改正がある、これは国会にかかっているわけですが、何かその法律が通るまでは、いわゆる旅館と協定を結ばれて、現在の旅費規程による宿泊費、その差額は自己負担ですね、一時立てかえをしておけというような指導があるやに聞いておりますが、これはそのとおりですか。
  105. 鎌田英夫

    ○鎌田会計検査院説明員 今年度旅費法の改正があるということで、いま御審議中ということでございますが、実は、私どもが先ほど申し上げました協定旅館の料金というものを決めましたのは、四十八年の三月から四月にかけてでございますけれども、この当時、現行の旅費法に基づきます宿泊料というものが、六等級以下の職務にある者は、甲地方は三千七百円、乙地方について三千三百円というような定額でございまして、したがいまして、当時、二年前に協定旅館の料金を改定するときには、最高三千七百円で応じてくれる旅館と協定する、こういう取り決めで二年けみしたわけでございます。その間物価の暴騰がございまして、なかなかむずかしくなってきたわけでございますが、たまたまことしの二月になりまして、先ほど先生御指摘の新聞記事のような事態が発生いたしまして、いろいろ調査いたしましたけれども、なるほど旅館というものは相当上がっておりまして、とても最高三千七百円というようなものではないというわけでございますので、一方で旅費法の改正があると四割アップになるという見込みもございまして、これも私どもの観測誤りと申しますか、四月早々には可決成立して適用になるというふうに考えたわけでございますが、それに見合うということで今年度から協定料金を上げるということで、三月から四月にかけまして、やはり四百十店の旅館と協定料金の更改契約をいたしました。そのとき、金額といたしましては甲地方については六千三百円、乙地方については五千七百円、この範囲内において二食一泊ということで応じてくれるところを選択する、こういう方針で選択して四百十店と契約したわけでございます。  検査院の検査というものは、四月から一斉に出ます。したがいまして、四月、五月と旅費法の改正がないものでございますので、旧定額によりまして出張したわけでございますが、その改正によりましてこれがどういうふうに、差額がさかのぼって支給されるというようなことも当時の状況としては考えておったわけでございますが、非常に定額として少ない額で旅行してもらうので非常に苦しいであろうが、ひとつできるだけ公的な旅館に泊まるようにして、公的な旅館になりますとかなり旧定額でも賄えるというようなところがありますので、多少検査というものは犠牲になっても仕方がないから定額で泊まれるところを選択してできるだけ協力してほしい、こういうことで来たわけでございますが、いまだに新しい旅費法の改正ができてないということで、非常にその点は職員に無理を強いた形になりまして、官房といたしましても困惑している次第でございます。
  106. 庄司幸助

    ○庄司委員 実は、きょう、参議院の内閣委員会で恐らく旅費法の改正が通るだろうと言われているんです。衆議院では四月一日から施行するということで通ったわけですね。ところが、参議院の段階になるとどうも雲行きが怪しくなって、四月一日に遡及しないということになると、きょうはもう六月の十七日ですか、約二カ月半分の出張旅費ですね、この差額、これは自己負担になっちゃうんですか。それとも、おたくの方で何らかの方法を考えて、職員に迷惑をかけないようになさるのですか。その辺はどうなりますか。
  107. 鎌田英夫

    ○鎌田会計検査院説明員 遡及しない場合に差額が出ない、こういう事態でございますが、四月から検査に行っておりまして、これは私どもも非常に宿泊の実態というものを心配いたしまして、出張者が帰ってまいりますといろいろ実情を聞いているわけでございます。やはり出張する者も事態を認識いたしまして、できるだけ公的な施設に泊まるという方向、方針をとりまして、検査を済まして帰ってきているわけでございますが、実際問題といたしまして赤字になっているかどうかというのは、これは現在調査といいますか、どの程度実態としてそういうことになっているかということを、まだ把握しておりません。したがいまして、この辺が私どもとして非常に苦しいわけでございますけれども、定額しか出ないものを実際に赤字が出た、その場合にどう補てんするかということになろうかと思いますけれども、その辺はまだ私どもといたしましても、厳正であるべき会計検査院がみずから法を破るわけにもまいりませんし、まず、実際に赤字がどのくらい出ているかということを把握するのが先決問題であろうかと考えている状況でございます。
  108. 庄司幸助

    ○庄司委員 これはちょっと困った問題ですね。おたくの方で把握もしていない。しかし現実に職員は、差額分はもう出して立てかえている。しかも法を破るわけにはいかないから出しようがないという御答弁ですね。職員に無理な負担をかけて平然として、法を守るから仕方がないんだ、こういうことになりますね。一方では、さっき私指摘したように、これはあるいは法律違反には抵触しないかもしれませんが、ああいう、いわゆる世間からなれ合いと見られるような、旅館での調査をなすっている。しかも費用は向こうで払ってもらっている。片っ方では法を守らなくちゃならない。片っ方では違法すれすれのことをやらざるを得ない。こういう自己矛盾に陥っているだろうと思うのですね。この分がもし職員の自弁だということになれば、また同じような仕掛けが再生産されるわけですね。向こうは手ぐすね引いて待っているんですから、とにかくどっかへ御招待したいと。これは過去の事例、何ぼでもあるんですから。その辺、困った困ったで済まないだろうと私は思うのです。相当思い切った交渉を内閣にやって突破しなければ、これはどうしても片づかない問題だろうと思うのです。  しかも、旅費法の四十六条二項の規定がありますね。「各庁の長は、旅行者がこの法律又は旅費に関する他の法律の規定による旅費により旅行することが当該旅行における特別の事情により又は当該旅行の性質上困難である場合には、大蔵大臣に協議して定める旅費を支給することができる。」こういう旅費法の規定があるんです。この辺も活用する。これは会計検査院当局が大蔵省とがっちり交渉すれば突破できる、一つの法律があるわけです。あるいは院の独立性の問題ですね、これを国会なりで率直に訴えて、国会の議決にして、会計検査院の独立性を保っていくような旅費規程、あるいは特別の旅費法の四十六条の二項を活用するなり、こういうことを国会と一緒に手を携えて、会計検査院の本当に厳正な調査、これをやはりやっていく必要があるだろうと私は思うのです。  その点、私は次長さんの判断だけではなかなか大変だろうと思います。院長さん、大変だろうと思いますけれども、これは院長さんの御決意のほどをひとつお伺いしたいのです。
  109. 白石正雄

    ○白石会計検査院長 ただいまるる次長から御説明いたしましたような事情で、当局といたしましてはまことに困惑しておる状態でございます。これをいかにして打開するかということにつきましては、いろいろ御示唆もございましたので、そういう点も考慮いたしまして、極力努力いたしたいと考える次第でございます。
  110. 庄司幸助

    ○庄司委員 それから、あなたの方では、共済寮に泊まるようにという指導もなすっていらっしゃるようですね。共済の寮は、私も前にときどき泊まったことがありますけれども、一週間のような長丁場で、あそこへ泊まって、本当に心血を注いで調査する、で、決まりきった定食みたいな朝飯、晩飯、これでやったんではなかなかやはり大変だろうと思うのですよ。だから、その点でもやはり旅費は妥当なものにして、誘惑に乗ることのないような旅費に何らかの方法で上げていく、これがやはり大事だと思うのです。  それからもう一つは、協定料金ですね、今度お組みになったもの。これは前には六等級を基準にしておつくりになったようですが、今度は五等級が基準になっている。放費法が改正になったとしても、もう六等級以下の人は赤字になるわけですが、五等級を基準になすったというのはどういうことなんですか。
  111. 鎌田英夫

    ○鎌田会計検査院説明員 前は六等級以下という定額を基準にしたわけでございますが、このたび五等級以上の三等級から五等級、これが一つのランクでございますけれども、これを基準にして、六等級以下というものをしなかったということでございますが、これはやはり現在宿泊費の実態というものが、旅費法が改正になってもなお、六等級以下の乙地四千七百円、甲地五千二百円というのではむずかしい地域もある、こういう情勢でございましたので、五等級以上というランクに一つ格上げをして、甲地六千三百円、乙地五千七百円という額にしたわけでございます。  したがいまして、いま先生の御指摘の、それじゃ六等級の行った者は絶対赤字間違いないじゃないか、こういうことでございますけれども、六等級以下の者も、全部が全部一等地に、検査院の協定の旅館の最高のものへ泊まるわけのものでもございません。やはり公的な機関、そういったものに泊まれば、なお四千七百円、五千七百円という新しい定額でも賄えるわけでございますし、また検査の執行の実態と申しますか、五等級以上が検査院の調査官でございますが、六等級以下の者が検査に行っているその割合というものはきわめて少のうございます。一〇〇%のうち、六等級以下の職務の者が検査に行っている実績というものはほぼ五%程度ということでございまして、したがいまして、六等級の者が一緒に地方へ参りまして高い旅館に泊まらなくちゃいけない場合でも、主任官以下の者が一つのグループとして相互に援助すると申しますか、プールした金で行けば、さしあたってこの急場はしのげるんじゃないかというようなことで、そういうふうにしたわけでございます。
  112. 庄司幸助

    ○庄司委員 それは遁辞というものですよ。大体、五等級だって足りないんですよ。足りない者同士が補い合うなんて、そんなばかな話ないでしょう。やはり六等級の人だって、一緒に行けば、調査が長引いて夜までかかる。県庁の人も来ている、役所の人も来ている。一緒に仕事するわけでしょう。六等級だからといって、おまえさん、共済の寮へ行って、離れて泊まれというわけじゃないでしょう。だから、そういう矛盾が非常に多いのです。その点で私はこの問題、ひとつ責任を持って解決してもらわないと、やはり会計検査院の現状は変わらないだろう、こういうふうになるわけです。  この問題だけで時間をとってもおられませんので次に移りますけれども、一つだけ聞いておきたいのです。福島県の事例を申し上げましたが、ああいう支出を会計検査院が調査にお使いになる、建設省なら建設省で。こういうことは、むだ遣いということで検査の対象にはならないのですか。その辺どうなんです。
  113. 鎌田英夫

    ○鎌田会計検査院説明員 先生御指摘の福島県の例というものを、私全く現在のところ存じておりませんので、その実態は調べまして、調べた上でまた申し上げるべきかと思いますが、ただ、一般論といたしまして、相手官庁が理由のない支出をすれば、これはやはり当然検査の対象になる、こういうふうに考えております。
  114. 庄司幸助

    ○庄司委員 次に、ことしは国際婦人年でございますので、検査院長が国際婦人年に対してどういう心構えを持っておられるか、この辺で検査院の婦人職員の問題をお伺いしたいのです。  会計検査院では、婦人職員が大幅に減っておられるそうです。昭和四十九年三月から五十年四月にかけて婦人の退職者が三十名、この間の婦人採用が六名だ、そのうち五十年四月一日の採用は二名だけだ、そういう減ってきている問題ですが、これはどういうわけなのか、簡単にひとつ。
  115. 白石正雄

    ○白石会計検査院長 御承知のように検査院の職員の数が僅少である、調査対象に対しまして少ないということにつきましては再三御指摘を受けておる次第でございまして、この点につきまして私ども努力をいたしておるわけでございますが、本年度予算におきましてわずか四名程度の増員が認められた程度でございまして、なお不十分な点は御案内のとおりでございます。したがいまして、私どもといたしましては、現有勢力を最も効率的に使うという見地から、一般事務職員から調査官への転用というようなことを図っておりまして、調査官の人員の増加を図っておるわけでございます。  女子職員につきましては、やはり検査が長期多忙な出張であるというような点で必ずしも調査官には適当でないというようなことから、一般事務職員の減少に伴いまして、女子職員の減少がおのずから結果的にさように相なっておるという次第でございまして、検査院全体の職員を最も効率的に使うという見地から現在のような状況に相なっておる次第でございます。
  116. 庄司幸助

    ○庄司委員 確かに長期出張でつらいだろうとは思うのです。しかし、会計検査ですね、これは男性だけで女性は認められないというのでは、国際婦人年の趣旨から言ったって、男女差別の撤廃の問題から言ったって、私は非常におかしいのじゃないかと思うのです。なぜ女子職員が調査官になれないのか、そういういたわりの気持ちだけでなれないのか、あるいは、私は思うのですが、やはりそういう点での男女格差といいますか差別といいますか、そういうものが、能率という名前でやはり根底にあるのじゃないか、こう思うのです。現におたくの官房係長の中に婦人の方もいらっしゃるわけでしょう。こういう方は調査官になっていらっしゃらない。大体おたくでは、係長になれば調査官になるわけですが、なぜこういう差別をつけられるのか。やはり男女格差の解消という点からいっても、ことしの国際婦人年にちなんでも、しかもILOの勧告もあるわけです。この辺はぜひ私は、院長さんや次長さん、勇断をもって、女子職員もやはり堂々と男性と肩を組んで調査にも当たる、こういう体制に持っていくべきじゃないか。ただ単に能率能率と言いますけれども、能率は、場合によっては婦人の方がいい場合もあるのです。男性以上の場合もあるのです。特に飲み食いなんという点では御婦人は非常に潔癖ですから。そういう点で婦人の職員の調査官への任用、これは具体的にひとつ考えてもらいたいと思うのですが、その点いかがでしょうか。
  117. 白石正雄

    ○白石会計検査院長 ただいま申し上げましたような考え方で従来はやっておりまして、やはり女性は肉体的その他の条件上調査官としての採用は必ずしも適当でないだろうという見地から、内部事務の処理の担当に従事させまして、そうして係長、主任等におきましても昇任上は差別のないような取り扱いをやってきたわけでございます。しかしながら、御指摘の点もございますので、将来につきましては篤とそのような点も考慮いたしまして、希望者があれば調査官の採用というようなことにつきましても検討してみたいと考える次第でございます。
  118. 庄司幸助

    ○庄司委員 おたくの婦人係長の中に、主任研修評価試験、これで男女を通してトップに行った人もいるわけですね。こういう人は調査官にすべきだと私は思うのですよ。その辺、どうですか。
  119. 鎌田英夫

    ○鎌田会計検査院説明員 お答え申し上げます。  過去において、主任の評価試験において非常に好成績をおさめた女性がございます。その女性は現在、法規課の係長で、非常にむずかしい仕事を男性に伍してやっております。
  120. 庄司幸助

    ○庄司委員 最後に私が申し上げたいのは、婦人の職員いらっしゃるけれども、婦人なるがゆえにお茶くみをもっぱらさせられるような状況では私は困ると思うのです。やはり、さっきの答弁の趣旨から言って、本当に男女平等の立場に立った婦人の使い道をひとつ考えてもらいたい。これはひとつ要望しておきます。  そして、きょうはもう時間がなくてやれませんが、福島工事事務所でアスファルト試験の抜き取り検査をやった際のデータも持っております。これはいずれ建設省の場面でやりたいと思っておりますが、やはり科学的ないろいろな検査の需要がふえていると思うのです、前にも申し上げましたが。これはもう原子力の問題からいろいろあります。その点での科学的な技術者技術職員、これもふやしていただかないと、分析化研のような問題も起きますから、この点は強く要望だけして、私の質問を終わりたいと思います。
  121. 井原岸高

    ○井原委員長 坂井弘一君。
  122. 坂井弘一

    ○坂井委員 憲法第三十二条におきまして「何人も、裁判所において裁判を受ける権利を奪はれない。」という、憲法上の基本的人権を守るという立場から、裁判所所管に係ります、特に長期裁判の問題につきまして質問をいたしたいと思います。  申すまでもなく、裁判が非常に長期にわたるということは、これはきわめて重要な意味を持っておりますし、同時に、そのことは裁判の拒否につながるのではないかとさえも言われております。  そこで私、特にそうした基本的人権という立場から非常に大きな問題を持つと思われますことは、国を相手取りますところの特に財産権に対する裁判でありますが、近時、いわゆる物価の高騰等によりまして貨幣価値というものが非常に大きく変化を来してきておりまして、そうした財産権に関する裁判が非常に長期に及ぶということになりますと、実質的なその判決そのものの効果と申しますか、判決そのものが空虚になってしまうのではないか、こういうことが実情からして起こってくるわけであります。  したがって、そうした考え方を踏まえながらお尋ねをいたしたいわけでありますが、現在、最高裁判所に係属中の事案で一審から二十年以上経過しているもの、それからもう一つは、最近三カ年間で最高裁判所で結審をしたもので二十年以上経過したものがどれぐらいありますか、御明示をいただきたいと思います。
  123. 井口牧郎

    ○井口最高裁判所長官代理者 お答え申し上げます。  国を相手方といたします事件に限定してお答えいたしますが、現に、訴えを受理いたしましてから二十年を超えてなお係属中の事件が四件ございます。それから二十年を超えてすでに判決の済みました事件が二件、かように相なっております。
  124. 坂井弘一

    ○坂井委員 わかりました。国を相手取るものにつきましては四件と二件、合わせて六件。  なお、念のためにお伺いいたしますが、国以外のものではいかがでございましょうか。何件ございますか。同じ質問です。
  125. 井口牧郎

    ○井口最高裁判所長官代理者 いわゆる私人間の通常の民事訴訟事件では、同様に、現に係属中のものだけでございますが、合計六件あるようでございます。
  126. 坂井弘一

    ○坂井委員 そういたしますと、国を相手取るものが六件、私人間が六件、合わせて十二件、こういうことになろうかと思います。  たとえば、きわめて常識的にお尋ねをしたいわけでありますが、このように二十年以上もかかっておるというようなことは、私、前段申し上げました考え方を踏まえながらのお尋ねでございますが、これほど長期にわたるということは、ちょっと常識的には考えられない。一体なぜこんなに長い期間を要するのであろうかという、実は素朴な疑問がございます。そうした考え方というものは、最初に申しましたとおり、このような長期に及ぶということになりますと、裁判の拒否につながるのではないかということ。特に国を相手取った裁判、これが長期に及びますと、ある意味では私権の抹殺にも等しいというようなことに相なるのではなかろうか。特に財産権に関する問題となりますと、これは、その間非常に大きな物価の変動があった、貨幣価値が低下したというようなことになりますと、実質的な損害というものも受けることになりかねないというような、やはり現実の問題としてこれに目を向けた場合、このように非常に長期にわたるという裁判はきわめて好ましくないことではなかろうか、私はこのように考えるわけでございますが、最高裁判所におきましては、いま申しました私の考え方に対しまして、御見解をここでお述べいただきたいと思います。
  127. 井口牧郎

    ○井口最高裁判所長官代理者 坂井先生御指摘のとおりでございまして、裁判が長期化いたしますにつきましてはいろいろ理由がございます。その理由につきましては、またお尋ねがございますればお答え申し上げますが、その理由のいかんを問わず、受理から二十年もかかってなお事件が係属しておるという事態は決して好ましくない、私どもも全く同感でございます。
  128. 坂井弘一

    ○坂井委員 私は立法府の立場でございますので、司法の内容につきまして介入しようとするものでは決してございません。ただしかし、その限界におきまして、この長期裁判の原因というものが那辺にあるのかということにつきましては、これはやはり明らかにしていく必要があるのではないか。  そうした観点に立ちましてさらにお尋ねをいたしたいと思いますが、私人間裁判の係争につきましてはあえて論及することは避けますが、国を相手取っておりますところの先ほどお示しいただきました六件につきまして、一審より今日までの各級裁判所における係属期間は一体どうなっておりますか、御説明をいただきたいと思います。
  129. 井口牧郎

    ○井口最高裁判所長官代理者 お答え申し上げます。  現に係属中の事件について、これは個々に申し上げた方がよろしいかと思いますが、便宜順番に申しますと、最初の事件が一審十六年九月、二審二年ゼロ月、それから最高裁に係属しまして現在まで三年七月でございます。次の事件が一審係属期間が十六年十月、二審七年一月、最高裁係属期間が現在まで二年七月でございます。第三番目の事件が一審十七年八月、二審七年四月、最高裁同じく一年四月。四番目の事件が一審二十一年五月、二審三年一月、最高裁係属九月。  それから、すでに判決になりましたものについて申しますと、最初の事件が一審八年五月、二審六年九月、最高裁六年四月。二番目の事件が一審七年十月、二審六年ゼロ月、最高裁五年十一月、これは正確に申しますと合計二十年をちょっと切れるようでございます。  以上でございます。
  130. 坂井弘一

    ○坂井委員 ただいま六件につきまして、それぞれ一審、控訴審、上告審の期間につきまして御説明をいただきました。特に一審におきまして平均しますと、この六件について見ますと十三年四カ月ということになろうかと思います。特に一審でこれほど長い期間を要しておるというところにも非常に大きな問題があろうかと私は思うのですが、こういう事態につきまして最高裁ではどうお考えになっていらっしゃるのか、なおひとつ率直に御見解としてお示しをいただきたいということが一点。  それから、これらは国を相手取るところの裁判でございますから、言うなれば国は非常に大きな力を持っております。その組織あるいは資金あるいは情報収集力、これは他のいかなる私人にもない、言うなれば絶対的な力であろうと思います。こうした国を相手取るところの裁判が十年ないし二十年にも及ぶというようなこと、これは強いて言うならば、ある意味では国が絶大な権力というようなものを背景として裁判の引き延ばしをやっているのではないかというような、そういう心配と申しますか、国を相手取って裁判をする人から見ればそのように感ずることも、これはあえて否定することができないのではないか。特に第一審におきますこれほど長期の裁判、つまり平均いたしまして十三年四カ月もかかっておるということは、このような私人に対しまして裁判をやめなさいというにも等しいことではなかろうか、それにつながるのではないか、実はこういう心配をいたすわけであります。したがって、そのような点を踏まえられまして、ひとつ率直に御所見としてお伺いをしておきたいと思います。
  131. 井口牧郎

    ○井口最高裁判所長官代理者 まず、このように長期の事件、これは実を申しますと、ただいま申しましたように、非常に多数の事件のうちのごく例外のものでございます。ごく例外にありますにしても、それでよろしいということになるわけではございませんで、私どもとしては非常に頭を痛めておるわけでございます。  ところで、国を相手といたします事件の色分けと申しますか、それをちょっと御説明申し上げませんと御理解がいかないのではないかと思いますが、実はこの六件の中で大半を占める四件は、いわゆる農地買収に関連する事件でございます。  昭和二十年代の前半に、国を相手とする農地買収に絡む事件が非常に多数係属いたしました。それぞれに処理がなされたわけでございますけれども、一般的に申しまして、ただいま御説明申し上げております、御指摘の事件の大半は、これは大変表現がよろしゅうございませんけれども、訴えを提起いたしました原告側が訴訟の進行について必ずしも十分な熱意を示しておられないというふうに、記録上見受けられるわけでございます。裁判所はもちろん当事者の言いなりになって訴訟を進行するわけではございませんけれども、原告なら原告、これに代理人がついておられるわけでございますが、しょせん、原告の側で十分に熱意を持って訴訟の進行に意を用いていただけません場合に、その訴訟が明白に成り立たないものである場合はともかくとして、そうでない場合には、事実上、裁判所がどんどん引っ張って訴訟を速やかに進行させるということには大変な困難が伴うものであるということを、まず御理解をお願いしたいと思うわけでございます。  それで、先ほど先生からのお尋ねでございますが、一方当事者である国の方が引き延ばしを図っているのではないかということでございますけれども、ただいま申しましたように、主としては、記録で見ます限り、原告側の方で十分な熱意を示さないで期日の延期ないし変更が繰り返されておるというのが、大半の事件の実情のようでございます。  なお、先ほども申しましたように、一時に多数の農地事件が裁判所に係属しましたが、その中でも特に、ここで問題になっております事件の大半は大阪の事件でございますけれども、具体的な、とは差し控えますが、ごく少数の弁護士さんが大変に多数の農地事件を代理されて提起されたということが昭和二十年代にございまして、原告の熱意云々ということ以外に、弁護士さんの手不足のために、多数の事件が同時に進行するという関係上、期日が十分に入らなかったというような悪条件も重なっているように見受けられるわけでございます。  いずれにいたしましても、私ども、訴訟全体としてこのような長期化の傾向を示さないように、種々の施策を事務当局限りでいたしておるわけでございますけれども、ただいま申しましたような悪条件が重なりまして、例外的にもこういう長い事件が残っておりますことは大変に遺憾なことでございまして、なお十分これに対する対策も検討してみたい、かように考えております。
  132. 坂井弘一

    ○坂井委員 実は、そうした余りにも長期に及ぶという裁判につきましては、一体その原因が那辺にあるのかという解明、究明というものがなお真剣になされなければならないのではなかろうかというような――実は私は、いまお示しいただきましたあの六つの事案の中から具体的な事実、実態として、いろいろと本人にもその内容等について伺いました。そういうことから、私自身の感じとして実は申し上げているわけであります。つまり、この原因の究明、これをはっきりしなければならぬのではないか。単に口先、とは申しませんが、長期裁判を解消しなさいということを幾ら大きく叫んでみましても、それではやはり、この長期裁判の解消にはさほどの効果をあらわさないのではなかろうか。つまり、何回か申しますが、原因を明確にいたしまして、その原因を排除しなければ長期裁判の解消にはならない、このように思うわけであります。いませっかく、長期裁判がこのようにあることにつきましては遺憾であるというお答えでございます。これの解消のために手を尽くしたいという旨の御答弁でございますが、具体的にどのような方法をもって長期裁判の解消に当たられんとしておるのか、もしそうした具体的なものをお持ちでございましたらば、この際お示しをいただきたいと思います。
  133. 井口牧郎

    ○井口最高裁判所長官代理者 あらかじめお断り申し上げなければならないのでございますけれども、私ども事務当局といたしまして具体的な、この事件のこの部分の進行の仕方がこうまずいではないかという形で、ここをこうしたらいいだろうとか、あるいはこうしなさいというふうに、きわめて個別的に意思表示をいたしますことは、やはり個々の裁判所裁判権の独立との関係で非常に微妙なものがあるわけでございます。  さようなわけで、先ほど私が申しました点も多少隔靴掻痒の感があるとお感じになりましたかもわかりませんけれども、私どもはやはり問題を一般的な問題として取り上げまして、第一には、やはり訴訟関係人の十分な協力を得るような努力というものが必要なわけでございまして、これはすでに昭和三十年代の初めごろから第一審強化方策協議会というものがある程度公的に認められまして、各裁判所ごとに弁護士会検察庁と十分な意見の交換をしながらお互いに訴訟の迅速な進行協力するという施策を、それぞれに出していただいておるわけでございます。それから裁判所側でももちろん、当事者の協力のほかに、裁判官訴訟指揮が適切であるかどうか、あるいは事件に対する労力の配分がいいかどうかというような一般的な問題もございます。こういった点につきましては、日ごろ裁判官の会同等を通じましてお互いに意見も交換いたしますし、そういう場では一般論として事務当局としての意見を述べ、そして個々の事件に対処するに際してはそれぞれの裁判体がそういった趣旨を生かしながらこれに当たっていただく、かようにいたしておるわけでございます。  なお、最近は非常に当事者の数の多い、いわゆる集団的な訴訟なども多く係属してまいりまして、これがともすると長期化するおそれもなきにしもあらずでございますので、そういった事件に対処するにはどうしたらいいかというような一般的な問題についても、やはり会同等を通じてお互いに意見の交換をする、かようなことをいたしておるわけでございます。  以上でございます。
  134. 坂井弘一

    ○坂井委員 いまお示しをいただいております六件につきまして、それぞれ、私このように記録を手にいたしました。内容等ずっと見てみましたが、確かに農地に関するものが四件あるようでございます。そのほかに一つ、先ほどお答えもいただきましたが、第一審で一番長く期間のかかっておりますものが、二十一年五カ月かかっております。それが昭和四十九年、第一千百七十二号、仲裁裁定実行請求事件。この例を見ますと、これが提訴されたのが二十五年三月二十四日、内容は、国鉄労組が、仲裁裁定の出ました四十五億円の完全支払いを求めた訴えでございます。ところが今日、二十五年たちましたが、いまだにこの結論を見出すことができない。見ますと、つまり国の財政措置の問題、この辺に問題があるということになっておりますが、そういうことだと言ってしまえばもうそれまでの話だろうと思います。ただ、冒頭申し上げましたように、これほど長期に及びますと、つまり貨幣価値というものが大きく変化をしております。特に問題はこの差額の三億余万円についてでございますが、実質内容というものは、二十五年間にも及んでいるわけでありますから非常に大きく変わった。国が被告の場合には、私は、実は率直にそのような感じがするのですが、引き延ばしを意図的にしているとは言いたくありませんが、結果から見れば、自分の都合によって引き延ばしてしまっておるのではないかというような、実はそのような懸念を持つわけであります。  問題は、こうした事実関係の複雑さというものではなくて、むしろ国の立場に対する裁判所の、いわゆる三権分立によりますところの司法権の独自性の問題、問題の判断能力の問題、この辺にあるのではないかというような感じを実は深くするわけでありますが、その点について率直にひとつお答えをいただきたいと思います。
  135. 井口牧郎

    ○井口最高裁判所長官代理者 大変むずかしいお尋ねでございますが、一般論といたしまして、私どもが自分のただいまおります立場を離れて率直に見ました場合に、各裁判所のしております裁判の結果を拝見いたしまして、国であるがゆえに何らかの配慮をするというようなことがむしろきわめて少ないということを、私は実感をもって感じておるわけでございます。  したがいまして、この国鉄仲裁裁定事件についてさようなことがあるのではないかというお尋ねにつきましては、私、これもまた記録で調べました限度でございますけれども、実は大変遺憾なことに、一審で約十三年間、期日が指定されないままに推移しておるわけでございます。これが長期化の一番大部分を占めておるわけでございますが、その期日指定がなされなかった正確な原因は、記録上からは遺憾ながら承知することができませんけれども、およそ裁判をいたします裁判官の常識といたしまして、被告が引き延ばしをはかるために原告の方で進行を強く希望するのに、期日を指定しないということは常識上考えられないことでございまして、この間、この仲裁裁定のあり方などが年々変わってきたようでございますが、その辺と原告である国鉄労組のお考えがどう変わったのか、これは全くわかりませんけれども、恐らく原告の方で期日の指定を求めて速やかにこの事件進行を図るということがされなかった結果、かような遺憾な結果が生じたもの、かように推測せざるを得ないわけでございます。
  136. 坂井弘一

    ○坂井委員 まさにお答えのとおりと思いますが、つまり一審におきまして余りにも長期に及んだ、社会通念上これほど長期な時日を果たして要したのかどうかということにつきまして、私はこれに対する非常に大きな疑問を持つわけでありますが、あえてこの問題につきましては、いまお答えもございましたので、それ以上のことにつきましてはお尋ねを差し控えたいと思いますが、ただ、六件ございます。もう一度整理いたしますと、最初にお答えいただいたのは昭和四十七年、第二十五号、自作農創設特別措置法による買収処分無効確認請求事件、これが提訴されたのが昭和二十八年二月十九日、現在なお係属中。二つ目には昭和四十八年、第十九号、農地買収処分不服事件、これが昭和二十三年十一月二十六日に起こりまして、現在係属中。三番目が昭和四十九年、第二十六号、買収決定取消請求事件、これが昭和二十四年二月四日、係属中であります。四番目が昭和四十九年、第一千百七十二号、いま申し上げております仲裁裁定実行請求事件、これはなお係属中。以上四件、係属中でありまして、次に昭和四十二年、第八十一号、宅地買収不服事件、これが上告審の判決昭和四十八年九月二十八日。六番目が昭和四十三年、第六十五号、不動産差押処分取消請求事件、これが上告審の判決昭和四十九年三月五日。以上、こうした事件六件でありまして、いずれも二十年以上ということであります。  この中で実はこういうことを言ってきておるのです。原告の素朴な声でありますので、一応御参考までにお聞きください。  その人はまず、国には組織があり、中小企業の一社ぐらいの力などではどうにもなりません。二つ目、お役人は転勤があるので、いいところまで煮詰まっていっても、その人が転勤して後任者が来ると振り出しに戻り、のらりくちりされて、そのうちにまた転勤になってしまいます。三つ目、何年たっても同じことの繰り返しで、こちらの息が続きません。そのうちうまくやられてしまいます。四つ目、弁護士さんも信用できません。法廷では争っているように素人には見えますが、裏で取引をしたり引き延ばしの相談をしています。何人弁護士を取りかえたかわかりません。以上、要約いたしました。  つまり、これら六件の長期化の原因がいま言ったようなところにも、ある意味では原因があるのではないか。必ずしも私は、これらが全部当たっている、すべてに通ずることだとは申しません。しかし、少なくともそのようなことが長期化の一因になっているのではないか、これはもう素朴なこの私人の、一中小企業のあるじでありますが、声として、私はやはり耳を傾けなければならないのではなかろうか、実はそんな感じがしてなりません。これはまことに例外中の例外であると実は思いたいわけでありますけれども、しかし、必ずしもそうではないんではなかろうかというようなちまたの声等もあるようであります。その辺を踏まえまして、いま挙げたようなところにいささかでも原因がありとするならば、それらに対してもこれは排除する努力をしなければならないと思いますが、率直に私申し上げました。御所見をいただければと思います。
  137. 井口牧郎

    ○井口最高裁判所長官代理者 ただいまの御指摘の点、謹んで承りました。  二、三私の考えを申し上げたいと思いますが、御指摘の転勤云々といいますのは、恐らく、相手方である国の方の担当者の転勤による交代ということであろうかと思いますが、転勤によって事務引き継ぎに多少とも時間がかかるために訴訟の進行が多少は阻害されるということは、私もあろうかと思いますけれども、その辺は裁判長の訴訟指揮によって十分対応していかなければならない、かように考えております。  なお、訴訟代理人である弁護士さんの点でございます。これも多少余談になって恐縮でございますが、私どもの実務経験からいたしましても、比較的簡単な軽微な事件の場合に、大変失礼な言い分になりますけれども、弁護士さんのために訴訟が延び、本人がそれと別な考えを持っておるということがある程度うかがわれます場合には、多少とも弁護士さんの代理活動を飛び越えて、本人から直接事情を聞くというようなこともやらないわけではございません。しかし、ただいま御指摘になっておりますような、いずれにしてもかなり争点の込み入ったむずかしい事件につきまして、代理人を飛び越えて本人といわば直取引をするということは、私どもの裁判所の慣行といいますか常識としてやはり差し控えるべきものということになります関係上、やはりできる限り御本人の意向は踏まえながらも当の代理人を相手に訴訟の進行を図っていく、こういうふうにならざるを得ない面もありますことをどうぞ御了承をいただきたい。  私の申し上げたいことは以上でございます。
  138. 坂井弘一

    ○坂井委員 よくわかります。非常に複雑な裁判であればあるほどに時日を要する、そのことにつきましてこれを認めるにやぶさかでは実はございません。ただしかし、かといって、また裏返しに言えば、だからこそ裁判にかかるのでありまして、冒頭お答えいただきましたように、こうした長期にわたること自体は決して好ましいことでもない、きわめて遺憾なことであると思いますし、同時にそのことは、繰り返し申し上げますが、いわゆる私権の抹殺にも等しいようなことになりかねない。いわゆる裁判の拒否につながる非常に重要な意味を持っておるということでございまして、特に基本的人権を擁護するという立場に最高裁は立たれまして、裁判の迅速化についてなお一層の努力をお願いいたしたいと思うわけであります。  最後に、もう一問だけお尋ねしておきたいと思いますが、全般的な裁判の平均審理期間、つまり過去三年間の既裁事件の平均審理期間、これはどうなっておりますか。
  139. 井口牧郎

    ○井口最高裁判所長官代理者 お答えいたします。  地方裁判所における第一審訴訟、これが何と申しましても最も重要な位置を占めておりますので、これに限定して申し上げたいと思いますが、既裁事件の平均審理期間は、昭和四十六年十四・九月、四十七年十五・九月、四十八年十七・四月。四十九年度の分は、ちょっとまだ数字が出ておりませんのでお許しいただきたい。  以上のようなことでございます。
  140. 坂井弘一

    ○坂井委員 同じく高裁、最高裁についてもお示しいただきたいと思います。
  141. 井口牧郎

    ○井口最高裁判所長官代理者 高等裁判所におきます三年間の既裁事件の平均審理期間は、四十六年十七・八月、四十七年十八・八月、四十八年十九・七月でございます。  次に、最高裁判所での既裁事件の平均審理期間、四十六年九・一月、四十七年九・三月、四十八年十二・五月、以上でございます。
  142. 坂井弘一

    ○坂井委員 地裁、高裁、最高裁、つまり一審、控訴、上告、いずれにおきましても、昭和四十六年から四十七年さらに四十八年にかけまして、年々審理期間が長期にわたっておる。こういう数字の上での実態をお示しいただいたわけでございますが、長期化しておるということにつきましては事実のようであります。したがって、そういう点につきましても十分御検討を加えられまして、でき得る限りこうした長期化を防ぐという方向にひとつ努力をいただきたい。つまりそのことは、一方から申しますと、やはり司法権の権限独立の問題ということを十二分に踏まえていただければ、あるいはなお、こうした審理期間の長期化を防ぐ一つの具体的なものが出てくるのではないか。  たとえて言いますと、国を相手取る場合ということをあえて最初から申し上げております。つまり、国の財政的な措置の問題等を先ほど一例として申し上げました。確かにそのような問題もあることは、これは認めます。しかしながら、また一方においては司法権の独立という問題があるわけでありますので、裁判が長期に及ぶこと自体は、結果的には国を相手取る原告につきましては、特にこうした財産権等のことについては実質的に損害を受けるということになりかねぬわけでありますので、そういう点を踏まえながら、まず民衆のために、力関係から言えば力のない側に立たれて、早期に裁判の結論を見出すということにつきまして一層の御努力をお願いしたいということを御要望申し上げまして、裁判所に対する質問を終わらしていただきたいと思います。  なお、会計検査院御出席いただいておりますので、少しばかりお尋ねいたしたいと思いますが、四十九年度におきまして会計検査院が、海外の検査を行われたようであります。特に海外移住事業団につきまして、私はさきの決算委員会におきまして、そのあり方等につきまして外務省所管でもって質問をいたしました。その際、特に海外移住事業団のあり方につきまして現地調査をする必要があるのではないかということを御指摘申し上げました経緯がございます。その際白石院長の御答弁もあったわけでございますが、四十九年度、昨年海外の検査を行われたようでございますので、その結果につきましてあらまし御報告をいただきたいと思います。
  143. 高橋保司

    ○高橋会計検査院説明員 昨年の海外移住援護事業の検査の結果の概略を御説明申し上げます。  昨年は、南米に対する海外移住事業の第三回目の検査でございまして、第一回目は三十八年、第二回目は三十九年、三回目は去年の六月九日から七月十五日の三十五日間を要しまして、二人の職員を派遣いたしまして検査を実施いたしました。  検査の個所は海外移住事業団、そのほか在外公館その他ございますけれども、海外移住事業団の在外支部五カ所でありまして、リオデジャネイロ、サンパウロ、アスンシオン、ブエノスアイレス、サンタクルス、この五カ所でございます。  検査に当たりまして一応の方針を立ててまいりましたのですが、それを並べさせていただきますと、営農指導関係の経費が適正に使われておるかどうか。それから、営農改善対策用の機械の購入が適正であり、また、それが適切に使われておるかどうか。それから、教育施設等の建設、土木工事の費用が適切に使われておるかどうか。それから、入植地造成工事をやっておるわけでございますが、その造成工事が適切か。それから、売り払いが順調に進んでおるかどうか。第五番目に、入植者に対していろいろ貸し付け事業をやっておるわけですが、その融資事業が、つまり貸し付けが適切か、回収が順調にいっているかどうか。それから最後に、融投資会社というのがございますが、これは二つございまして、日本イタプア製油投資株式会社、それからイタプア製油商工株式会社、この二つがございますが、この会社の経理状況がどうかということで検査をしてまいりました。  それから、特に先生、昨年でしたか御指摘がございました不良ロッテの問題でございますが、不良ロッテの実情と発生原因、これからの対策というようなことにも着目いたしまして検査をいたしました。  それで、一般的な検査の概況でございますが、三十八年に初めて参りまして、補助金などが目的どおり使われていないとか、あるいは収入金額が決算の上に適切に反映されずにそれが別途経理で使われておるとかというようなことを指摘いたしまして、三十七年度の決算検査報告に掲上したわけでありますが、あるいはそういうこともありました関係か、経理検査の面では特に改めて指摘するような事態はあらわれておりません。  最後に、不良ロッテでございますが、これは昨年、先生御指摘のとおり大変大量の不良ロッテがあるわけでございまして、七千三百ヘクタールぐらいでありますか、相当大量の不良ロッテがあるわけであります。これの発生というようなことを考えてみますと、実は南米で土地を取得するに当たりまして、一括広大なところを取得するという関係もございまして、その中にはどうしても傾斜地であるとか低湿地であるとかいうものが必然含まれてくるわけでありますが、こういうところを含んだロッテにつきましては当然売れ残るというようなこともございまして、先ほど挙げましたような大量の不良ロッテが発生しておるというような事態を確認してまいりました。これにつきましては、今後事業団では低価格で放牧地などに売却するというような計画も立てておることでございますので、今後これらの処置につきましての推移を見守っていきたい、こういうことで検査を終わったわけでございます。  大変簡単でございますが、概略以上でございます。
  144. 坂井弘一

    ○坂井委員 本日、時間がございませんので、特にこの移住行政のあり方、それにかかわりますところの海外移住事業団のあり方等につきまして、私は改めて議論をしたいと思っております。  ただ、私かねがね御指摘申し上げましたように、今日、一口に言いまして、わが国の移住行政というものはまことに名のみでありまして、その実態は無に等しい、このような認識を実は私は持っております。つまり裏返しに言いますと、口減らし政策、かつての棄民政策の延長の何ものでもないのではないか、私はそのような、非常に大きな危惧を抱いておるものでございまして、その具体的な事例といたしまして、さきの委員会におきまして、不良ロッテ等の問題あるいはこの海外移住事業団のあり方等について具体的な位置、部分について御指摘を申し上げ、御質問をしたわけでありました。その後、ただいま御説明のありましたように、海外移住事業団の海外における投融資勘定でありますとか、あるいはまた入植地勘定等につきましても会計監査をされた、特に問題はなしという、いま御答弁でございました。  実は現地からはいろいろな声がございまして、とりわけ、同じく前の委員会におきまして私指摘いたしたわけでございますが、今日なお移住基本法が制定されておりません。確かに移住に対します質的な変化が起こってきたことは事実でございますが、しかし残念ながら、今日移住に対しますところのわが国の基本的な方向というものが、あるいは政策と申しますか、そうしたものがなおないというのが現状であろうと思います。そういう中で、やはり移住者が海外におきましてどのような実態であるかということにつきましては、さらにつぶさにその追跡調査をして、そして今後のわが国の移住行政のあり方、これは私は大いに軌道修正をしなければならない、このように思っておりますが、その非常に大きな一つの目安として、会計検査院の今回の海外におきますところの検査というものは大事な意味を持っておる、このように理解をいたしておりますので、ここでなおひとつお願いをいたしたいと思いますことは、この調査によりまして、いま、あらましの御説明をいただきましたが、さらにひとつ詳しくその内容等につきまして当委員会に御提出をいただきたいと思いますが、いかがでございましょう。
  145. 高橋保司

    ○高橋会計検査院説明員 先生の御要望にどの程度こたえ得るかどうか疑問でありますが、内部で一応検討の上、お出しできるものはなるべく多く当委員会にお出ししたい、こういうふうに思います。
  146. 坂井弘一

    ○坂井委員 時間が参っておりますのでこれで終わりますが、なお一言、意見として申し上げておきたいと思います。  わが国が外国の政府あるいは外国の法人に対しまして投融資を行っておる。そうしたものの検査ということになりますと、これは投融資をした団体につきましては検査の対象になり得る。したがって検査はしておるようでございます。その融資をした先につきましては、これは外国の権限等との関係等もこれあり、なかなかこの調査はスムーズにはいかないというのが現状であろうと思います。したがって、そうしたことにつきましても、今回の調査等におきまして具体的に検査をする場合に、どこにどういう隘路があったか、あるいはまた、各方面の協力等を得たと思いますが、その協力の中で何を教訓としたか、今後大いに参考とし得るものがあったかというような、そうした内容等につきましても、次の機会にひとつお示しをいただきたいと思っております。  同時にまた、海外経済協力のあり方、これは対韓国に対します経済援助等、過ぐる国会におきましてきわめて重要な問題の提起がされ、論議されておりますことは、つとに御承知のとおりでありますが、そうしたいわゆる直接借款を初め一般案件等につきまして、基金、輸銀等の金がいかに投融資され、それらがどういうふうに流れ、どういう実態にあるのかというようなこと等につきましても、きわめて巨額な金でございますので、そうした経済協力のあり方等につきましても今後大いに検討を重ね、あるべき経済協力の姿というものを描いていかなければならない。そのためには、やはり会計検査院の検査能力、検査権限、そうした問題が非常に大きな意味合いを持とうかと私は思っております。したがって、そうした点等につきましても――きょう、非常に残念ながら時間がございません。触れるわけにはまいりません。いずれ機会を改めましてお伺いいたしたいということを申し上げまして、質問を終わりたいと思います。
  147. 井原岸高

    ○井原委員長 この際、委員長から一言申し上げます。  会計検査院の検査機能の充実については、昭和四十五年度決算に対する本院の議決で指摘があり、検査院当局においても増員等の措置を講じておられますが、最近における国の財政規模の膨張や行政内容の多様化等に伴って、検査実施の上でも、科学技術等に関し相当高度の専門的知識を必要とするところが多くなってきていると認められますので、検査院はかかる点にも留意をして、なお一層検査機能の充実に努められたいのであります。
  148. 白石正雄

    ○白石会計検査院長 ただいま御要望の点につきましては、検査院といたしまして極力努力してまいりたいと考えております。
  149. 井原岸高

    ○井原委員長 次回は公報をもってお知らせすることとし、本日はこれにて散会をいたします。     午後一時三十五分散会