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1975-02-19 第75回国会 衆議院 予算委員会 16号 公式Web版

  1. 昭和五十年二月十九日(水曜日)     午前十時二分開議  出席委員    委員長 荒舩清十郎君    理事 小山 長規君 理事 竹下  登君    理事 谷川 和穗君 理事 湊  徹郎君    理事 山村新治郎君 理事 小林  進君    理事 田中 武夫君 理事 林  百郎君    理事 山田 太郎君       植木庚子郎君    大久保武雄君       大野 市郎君    奥野 誠亮君       北澤 直吉君    倉成  正君       黒金 泰美君    櫻内 義雄君       笹山茂太郎君    正示啓次郎君       瀬戸山三男君    田中 龍夫君       谷垣 專一君    塚原 俊郎君       西村 直己君    根本龍太郎君       野田 卯一君    前田 正男君       松浦周太郎君    森山 欽司君       安宅 常彦君    阿部 助哉君       石野 久男君    岡田 春夫君       多賀谷真稔君    楢崎弥之助君       堀  昌雄君    湯山  勇君       田代 文久君    多田 光雄君       中川利三郎君    小川新一郎君       坂口  力君    安里積千代君       和田 耕作君  出席国務大臣         国 務 大 臣         (経済企画庁長         官)      福田 赳夫君         外 務 大 臣 宮澤 喜一君         大 蔵 大 臣 大平 正芳君         文 部 大 臣 永井 道雄君         厚 生 大 臣 田中 正巳君         農 林 大 臣 安倍晋太郎君         通商産業大臣  河本 敏夫君         運 輸 大 臣 木村 睦男君         郵 政 大 臣 村上  勇君         労 働 大 臣 長谷川 峻君         自 治 大 臣         国家公安委員会         委員長         北海道開発庁長         官       福田  一君         国 務 大 臣         (科学技術庁長         官)      佐々木義武君         国 務 大 臣         (環境庁長官) 小沢 辰男君         国 務 大 臣         (国土庁長官) 金丸  信君  出席政府委員         人事院総裁   藤井 貞夫君         人事院事務総局         給与局長    茨木  広君         防衛庁防衛局長 丸山  昂君         防衛施設庁長官 久保 卓也君         防衛施設庁施設         部長      銅崎 富司君         経済企画庁調整         局長      青木 慎三君         経済企画庁国民         生活局長    岩田 幸基君         経済企画庁物価         局長      喜多村治雄君         経済企画庁総合         計画局長    小島 英敏君         経済企画庁調査         局長      宮崎  勇君         科学技術庁原子         力局長     生田 豊朗君         環境庁長官官房         審議官     小幡 八郎君         国土庁計画・調         整局長     下河辺 淳君         外務省アメリカ         局長      山崎 敏夫君         外務省欧亜局長 橘  正忠君         外務省条約局長 松永 信雄君         大蔵大臣官房審         議官      岩瀬 義郎君         大蔵大臣官房審         議官      旦  弘昌君         大蔵省主計局長 竹内 道雄君         文部省初等中等         教育局長    安嶋  彌君         文部省体育局長 諸沢 正道君         文部省管理局長 今村 武俊君         厚生省公衆衛生         局長      佐分利輝彦君         厚生省医務局長 滝沢  正君         厚生省児童家庭         局長      上村  一君         厚生省保険局長 北川 力夫君         厚生省年金局長 曾根田郁夫君        農林大臣官房長 大河原太一郎君         農林省構造改善         局長      大山 一生君         農林省農蚕園芸         局長      松元 威雄君         農林省畜産局長 澤邊  守君         農林省食品流通         局長      森  整治君         食糧庁長官   三善 信二君         水産庁長官   内村 良英君         通商産業省貿易         局長      岸田 文武君         通商産業省立地         公害局長    佐藤淳一郎君         資源エネルギー         庁長官     増田  実君         資源エネルギー         庁長官官房審議         官       井上  力君         中小企業庁長官 齋藤 太一君         海上保安庁長官 寺井 久美君         郵政大臣官房電         気通信監理官  田所 文雄君         労働大臣官房長 青木勇之助君         労働省労政局長 道正 邦彦君         労働省労働基準         局長      東村金之助君         労働省労働基準         局安全衛生部長 中西 正雄君         労働省職業安定         局長      遠藤 政夫君         労働省職業訓練         局長      藤繩 正勝君         建設省住宅局長 山岡 一男君         自治大臣官房審         議官      山下  稔君         自治省行政局長 林  忠雄君         自治省財政局長 松浦  功君         自治省税務局長 首藤  堯君         消防庁長官  佐々木喜久治君  委員外の出席者         日本電信電話公         社総裁     米澤  滋君         日本電信電話公         社建設局長   山口 開生君         予算委員会調査         室長      野路 武敏君     ――――――――――――― 委員の異動 二月十九日  辞任         補欠選任   青柳 盛雄君     多田 光雄君   正木 良明君     小川新一郎君   矢野 絢也君     坂口  力君   安里積千代君     和田 耕作君 同日  辞任         補欠選任   小川新一郎君     正木 良明君   坂口  力君     矢野 絢也君   和田 耕作君     安里積千代君     ―――――――――――――本日の会議に付した案件  昭和五十年度一般会計予算  昭和五十年度特別会計予算  昭和五十年度政府関係機関予算      ――――◇―――――
  2. 荒舩清十郎

    ○荒舩委員長 これより会議を開きます。  昭和五十年度一般会計予算、昭和五十年度特別会計予算及び昭和五十年度政府関係機関予算、以上三案を一括して議題とし、質疑を行います。坂口力君。
  3. 坂口力

    ○坂口委員 まず、大蔵大臣にお聞きをしたいと思うわけでございますが、三木内閣の政策を一言で表現するとすれば一体何になるか。一言で言ったらどういうことでしょう。
  4. 大平正芳

    ○大平国務大臣 私は、その問題に答える適格者であるかどうか存じませんけれども、せっかくの御質問でございます。  内外に対して、対話と協調を旨といたしまして、政策の実体につきましては、清潔でしかも社会的公正が貫かれるようにいたしたいということであろうと存じております。
  5. 坂口力

    ○坂口委員 本年一月二十四日の演説の中で、総理も大蔵大臣も、そして経企庁長官も、社会的公正という先ほど大蔵大臣がおっしゃった言葉を言われました。きょうは新しい角度からこの社会的公正の問題を取り上げてみたいと思うわけであります。  大蔵大臣は、同日の演説の中で、「社会的、経済的に恵まれない人々に対しましては、極力社会保障の充実を図り、相対的に有利な立場にある人々に対しましては、税その他公共的負担の増加に耐えてもらうなど、社会的公正の確保のために、鋭意努力を払ってまいりたいと考えます。」こうおっしゃっているわけでございます。この大蔵大臣がおっしゃった社会的公正、この裏側と申しますか、これは、いままで言われておりましたように、たとえば、肉体的に非常に弱い人々、あるいはまた経済的に非常に弱い立場の人々、こういう人々のほかに、地域的と申しますか、地理的に非常に弱い人々、非常な山間僻地あるいは過疎地等に住んでおみえになる人のことも、この言葉の裏には含まれていたかどうか、その辺のところを、簡単で結構でございますから、ひとつお伺いしたいと思います。
  6. 大平正芳

    ○大平国務大臣 当然のことと思っています。
  7. 坂口力

    ○坂口委員 昨年は、国際連合によりましても世界人口年とされておりました。本年度中には世界人口は四十億の大台に上るでありましょうし、また、日本の人口も一億一千万を恐らく超えていると思うわけであります。昭和百年には日本の人口は一億四千万というピークになると言われておりますし、しかも、六十五歳以上が二千三百万、一六%を占める高齢者社会が訪れようとしておるわけでございます。この人口が、三十七万七千平方キロメートルの狭い日本で生きていきますためには、当然食糧問題、これが将来の大きな問題になることは火を見るよりも明らかであります。  そこで、去る一月二十九日農政審議会の需給部会がまとめられました「農産物の需要と生産の長期見通し」、それから「食糧問題の展望と食糧政策の方向について」、これが発表になりました。これに対する農林大臣のお考え方あるいは取り組み方というものを、まずお伺いしたいと思うわけでありますが、一つ注文をつけておきますのは、一応この長期見通し等も、昭和六十年ということを目安にしてつくられておりますので、昭和六十年を目安にした総合自給率七五%というものに対してどういうお考えか。それからもう一つは、資源と同様に調達コストがもう高くならざるを得ない、こういうことをここで言っておみえになるわけでありますが、このことに触れてひとつお答えをいただきたいと思います。
  8. 安倍晋太郎

    ○安倍国務大臣 最近の国際的な食糧の事情から見まして、今後ともやはり食糧は世界的に不足ということがその基調になると思うわけでございまして、そういう中にあって、わが国におきましてできるだけ自給力を高めていかなければならないというのが農政の基本方針ということで、私たちとしても、長期的な視点に立って総合的な食糧政策を打ち出したい、そういうことで農政審議会にお願いをいたして諮問をいただくことになっておりまして、いまお話がありました中間報告が需給部会から出されたわけでありますが、この三月あるいは四月には、総会の正式な諮問が得られることになっておるわけでございます。  この中間報告におきまして取りまとめられた中で、昭和六十年に食用農産物につきましては七五%の自給率にしていくということが出ておるわけでございます。これは、昭和四十七年には七三%、そして四十八年には少し落ちまして七一%でございますが、これを七五%に上げる。これは、全体的に見まして人口も増加をいたすわけでございますし、その他消費水準も九%ばかり高くなっていく、全体ではやはり農産物に対する需要が二三%程度伸びるであろう、特に自給力を高める意味において、これに対して、生産としては二七%ぐらい高めるということがその基調になっておるわけで、そうした見通しのもとに、これからの農業に関する総合施策、さらにこの裏づけを施策として打ち出していきたいというのが私どもの考え方でございます。  いまお話がございましたように、やはり国内におきまして自給力を高めていく。国内農産物の生産につきまして、これを増産していくにつきましては、これはやはり他産業の価格と比較をいたしましてコスト高にならざるを得ないということは、総合的に考えざるを得ない。これにつきましては、今日の世界情勢、国内において農業を振興しなければならないという意味において、私は、国民的な合意といいますか、国民的なコンセンサスが求められていくものである、こういうふうに考えておるわけでございます。
  9. 坂口力

    ○坂口委員 この人口問題とそれから食糧問題を考えますときに、これは二つの交差点上と申しますか、二つのことを考えますと、この交差点上に農林漁村、とりわけ日本の面積の四一%を占めます過疎地の問題に焦点を当てざるを得ないと私は思うわけでございます。やがて一億四千万になんなんとする日本国民がどこに住みかを求めるかというと、いままで以上に田畑を壊していくのならばいざ知らず、田畑を大事にしていかなければならない、そういうことになりますと、われわれの祖先が選びましたいままでの農林漁村、とりわけ過疎地というものに、もう一度私たちが目を向けざるを得ないのは当然であろうと思うわけです。  国土庁長官にお伺いしたいと思いますが、今後の国土の利用計画というものについて、これもやはり、十年くらいの昭和六十年ということを目安にしました場合に、どういうふうな御計画をお持ちになっているか、ひとつ承っておきたいと思います。
  10. 金丸信

    ○金丸国務大臣 ただいま食糧の問題も出たわけでございますが、限られた国土でございますから、これを有効に利用することは当然でありますし、また過疎地帯の問題につきましても、これは国土庁の所管であるわけでございますが、いわゆる国土庁の誕生したゆえんは、都会も地方も均衡のある地域社会、そして豊かな所得の格差のない地域社会をつくるということが国土庁誕生のゆえんだろうと私は考えておるわけでございます。  そういう意味で、ただいまの農地の問題等につきましても、食糧問題は当然民生の安定の上からも考えなければならぬ重大な問題でありますし、世界的にも食糧は非常に逼迫していることでございますから、この食糧問題と土地利用計画との問題につきましては、農林省とも十分連絡をとりながら、将来の食糧確保という問題に最大の重点を置いてまいりたいと思うわけでございます。  ただ、農地を確保する上におきましては、農地と都会の土地利用というような問題についてはなかなか問題点があるわけでございますが、こういう点も踏まえながら、十分にひとつりっぱな計画を立ててまいりたいわけであります。  ただ、農地の問題につきまして、今後確保する上にはどうしたらいいのだろう。これは私案でございますが、いわゆる薪炭林、これがいま利用されておらないわけでございますから、こういうものはレクリェーション等にも使われることであろうと思うわけでありますが、ひとつ十分な検討をして、農地利用というようなことも考えていかなくちゃならない。しかし、それが環境を破壊したり、公害が出ないことも当然考えなければならぬわけでございますが、そういう意味で、十分調和のとれた土地利用計画を今後、この五十年度に農林省とも連絡をとりながらやってまいりたい、こういうふうに考えております。
  11. 坂口力

    ○坂口委員 農林大臣と国土庁長官に、今後十年間を見通してお答えをいただいたわけでございますけれども、いままでも農業政策等につきましては、政府の政策は非常にネコの目政策だということが言われておりましたけれども、農林大臣の答えにおきましても、はっきりとした政策というものがやはりうかがいにくい。また国土庁長官のほうも、私案としてはお示しになりましたけれども、やはり明確なお考えというのは、国土庁としてはお持ちでないようでございます。特に過疎地域、あるいはまた、もう少し広めて農林漁村に対する施策をどうしていくかという政治的課題に対する認識が薄いと私は断ぜざるを得ないのであります。  いままでの農林漁村切り捨て政策、いわゆる高度経済政策によりまして最も大きな犠牲を受けてまいりましたのは、何と申しましても公害を受けている人々と過疎地に住む人々ではないかと思うわけであります。この農林漁村に生まれかつ育った人々の労働力によって高度経済成長がなし遂げられたと言っても過言でございませんし、国全体といたしまして大きく繁栄を遂げました今日、いまこそ、この農林漁村、とりわけ過疎地に対しましてわれわれは報いなければならないと思うわけであります。そういう意味から、若干具体的な問題につきまして触れさせていただきたいと思います。  私の手元に、無医地区の電話普及率を調べた資料がございます。非常に少ない。一〇%未満のところが二千四十四ヵ所のうち二百四十五地区ございます。これは電電公社のほうにお答えいただきたいと思いますが、いま電話局がありますところから十五キロ離れた地域に新しく電話を引くというふうにもし仮定いたしましたならば、これは大体幾らくらいかかるのか。また、この地区に電話が通ったと仮定いたしますと、普通の加入地域よりも月々どれくらい多く払わなければならないのか。この点ひとつ御説明をいただきたいと思います。
  12. 米澤滋

    ○米澤説明員 お答えいたします。  電電公社といたしまして、公社発足以来二十三年たちまして、当時百四十万でありました電話が、いま約二十倍の約二千八百万になりました。そして自動即時化等も進めてまいりました。  ただいま御質問ございましたのは加入区域の問題なんでございますけれども、この加入区域につきましては、歴史的な経過がありまして、いままで大体一つの電話局からせいぜい二、三キロメーターくらいの半径のところでございました。これではいけないというので、いま第五次五ヵ年計画を進めておりますが、この中で大体五キロまで広げるということで、五ヵ年間に二千億円の金を投じて広げております。  ただいま加入区域の外に対してどうかということでございますが、大体百メートルに対しまして建設費の負担として約七千円、それから、これは住宅と事務と違いますが、月に五十五円くらい付加使用料をいただいておる、こういうことでございます。  今後、この五ヵ年計画、これは昭和五十二年度末に全国的に積滞をなくすことを考えておりますが、いわゆる申し込みの積滞がなくなった時点におきましては、さらにこの加入区域の五キロを広げるようにしたい。そのために技術的にいろいろ新しい方法も考えておりまして、あまり建設費をかけないで、いかにしてこの加入区域の外に電話を普及するかということを今後検討していきたい、こういうふうに思っております。
  13. 坂口力

    ○坂口委員 電話局から半径五キロ離れたところから、百メートルについて七千円とおっしゃいましたが、これは九千円じゃございませんか。――だと思います、私のほうにはそうなっておりますので。そういたしますと、十五キロ離れているところになりますと、この特別な費用だけで九十万要るわけであります、いまお答えになりませんでしたけれども。このほかに、もしも通ったといたしましても、月々の料金といたしまして、百メートルごとに、普通の住宅で三十三円、事務用でありますと五十五円よけいに要るわけであります。  なぜ十五キロをとったかと申しますと、現在全国にあります二千四十四ヵ所の無医地区を平均いたしますと、大体中心地から十五キロくらいなものじゃないかと思うのであります。そういたしますと、現在、無医地区に住んでいる人たち、この人たちが電話を引こうと思いますと少なくとも百万以上の金がかかる、こういうことであります。これは公の公社がおやりになっている仕事として、特に光を当てなければならない地域の人たちに対して、これは非常に不合理だというふうにお思いになりませんか。いかがでしょう。簡単にお願いします。
  14. 米澤滋

    ○米澤説明員 お答えいたします。  確かにおっしゃるように、これは今後改善をいたしたいと思います。したがって、先ほど申し上げましたように、いま電話の積滞が大体百万以上ございますし、また年間の新規需要も二百五、六十万出ておりますが、昭和五十三年以降にさらにこの五キロを広げていく。その広げる方法として、いまいろいろ技術開発を進めておりまして、いかにして安くこれをやるかということでいきたいと思いますが、おっしゃるように、これは今後解決する方向で検討いたしたい、こういうふうに思います。
  15. 坂口力

    ○坂口委員 この電電公社関係のことではもう一つお伺いしなければならないことがございます。それは有線放送との関係でございますが、これもいままで言われてまいったことであります。有線放送と公社の電話の接続の問題でございます。現在、これは都道府県内における一中継以下というのが原則になっているのだと思います。この有線放送というのが、地域共同社会における内部の連絡通信として出発したということは、私もよく存じております。しかしながら、最近におきましては若干拡大はされておりますものの、まだ十分に連続が拡大されていない。  したがいまして、もし私が田舎の方に電話をしようと思いまして電話をしました場合に、これは東京からかけます場合に、有線の局を呼び出しまして、そうすると向こうから、どこからですか、こう言うわけです。それで私が東京からと言うと、これはつながらぬわけです。もしも私が偽って、私の地元の三重県の津市からだということを言いますと、これはつながるわけであります。こういうふうに、技術的には可能だけれども実際問題としてはつながらない。こういったことは、やはり電話等が非常に少なく、いま申しましたとおり、一つ電話を引こうと思うと百万円以上もかかるというような地域のこの有線放送であります。この有線放送といわゆる電電公社の電話というものの接続が、少なくとも同一県内だけは自由にかけられるという形にだけはする任務があると私たちは思うわけであります。この点いかがですか。郵政大臣からひとつお伺いします。
  16. 米澤滋

    ○米澤説明員 郵政大臣が後ほどお答えになりますが、私がその前にお答えいたします。  この有線放送につきましては、結局、放送と電話と共用しているというのが普通の電話と違うところでございまして、もしこれがいわゆる搬送方式となってやった場合には、全国的につなぐことは十分にできると私は思います。  ところで、この有線放送につきましては、これまで法律が二度改正になっておりまして、一般の公衆線につながるが、しかし、一つは技術基準があるということ。これは御承知だと思いますが、この技術基準を満足いたしませんと通話ができない。相手方の電話の方に迷惑がかかるということでございます。したがって技術基準を満足しなければならない。  それからもう一つは、同一県内の問題につきまして、法律改正がたしか四、五年前にありまして、同一県の外でも隣の町まではつながるというふうに少し改良されました。それで、いまお話がございましたように、これはちょっと専門的になるのでございますけれども、われわれといたしまして、交換方式に二つございまして、二線式交換方式というのと四線式交換方式というがございます。したがって、その四線式交換方式ということになればその同一県内はつながる、こういうことでございまして、結局、今後だんだん四線式交換方式に直すことにしてやりたい。二線式交換の場合には、いわゆる通話損失が多いものですから結局うまくいかない、こういうことでございます。詳しくはもう少し数字を申し上げてもいいのですけれども。ですから、方向といたしまして、同一県内は、特にトラフィックの多いところは、直通線を引っ張るとかいうことによって処理するように漸進的に考えていきたい、こういうふうに思います。
  17. 村上勇

    ○村上国務大臣 有線放送といい、あるいはまた電話の積滞解消といい、きわめて経済社会における重大な役割りをいたしております電気通信のために、大いにひとつ今後も積極的に取り組んで、行政の責任者である私といたしましては、電電公社の総裁初め各従業員と相携えて、あくまでもこれらの問題の解決に努力いたしたいと思っております。
  18. 坂口力

    ○坂口委員 もう一言だけ郵政大臣にお聞きしておきたいと思いますが、いまそういうふうな御決意はよくわかるのですが、もう少し具体的に、公衆電気通信法によっていろいろ決められているわけでありますが、いま申しましたようなことを法改正をなさるお気持ちはございませんか。
  19. 村上勇

    ○村上国務大臣 郵政省の中にこれらの調査会ができておりますので、前向きに検討して、慎重にその結論を出したいと思っております。
  20. 坂口力

    ○坂口委員 時間がございませんので先に行きたいと思いますが、電電公社の使命というものは、いまいろいろと議論されましたように、まことに重大なものがございます。昭和四十八年から電信電話拡充第五次五ヵ年計画が実施されております。この計画は、五十二年までに建設投資額で七兆円、年間当たり一兆四千億円、大変な額でございます。これは国民から預かった大切な金でありますし、これが過疎地帯に行われますときには、地域社会にも刺激を与えることになりますし、また地元企業の育成ということにもつながっていくわけでございます。この中に、農村、漁村の普通加入区域拡大工事の費用がどれだけ含まれているかということを見ますと、これは三百二十億というふうに私、承知をいたしておりますが、その中では微々たる量になっております。  私どもは、この事業が正しく遂行されなければなりませんし、どのように遂行されているかということを調べますために、東北や九州など、過疎地帯が多くございます地域の電信電話の拡充がいかに行われているかということを調査いたしました。その中で幾つかの問題点が出てきたわけでございますが、その中で、これはほっておけないというふうに思いましたのは、この工事そのものの中にかなりな手抜き工事が行われているという事実であります。幾つかの下請会社が実態をわれわれに教えてくれたわけであります。その幾人かの人、下請企業から聞きました手抜きの実態というのは、大体かいつまみますと以下のようなことでございます。  一つは、電話線を下にいける、ところどころにマンホールをつくる、そのマンホールをつくりますときに中に鉄筋を入れる、そうしてそこで入れましたよという写真を撮る、写真を撮ると、それをすっと抜き取ってまた次に使う、こういうことをやっておると下請の人たちは言っておるわけであります。あるいはまた、砂を入れるべきところに砂を入れない、したがって道路を舗装しても後でその部分だけがへこんでくる。また写真は一々撮らなければならないのを、その周辺の道具をいろいろ変えることによって、一ヵ所でたくさん写真を撮っておく、中には合成写真をつくったりもする。あるいはまた、一メートルの物差しを八十センチに縮尺したものを持っていて、それでその写真を撮る。そうすると目盛りはちゃんとなっていますから、これで一メートルなら一メートルありますという形になる。あるいはまた昼間の仕事を夜間に申請をして水増しをする。あるいはアスファルトの舗装を薄くする。こういったことをわれわれはやっておりますということを、はっきりこの下請の人たちがおっしゃっているわけです。これはまことに重大なことだというふうに私は思うわけです。大事な公の仕事をどうしてそういうことをなさるのかということを聞きますと、どうしても工事費が安過ぎてそうせざるを得ない、こういうお答えでございます。  そこで、公社の指名業者六十五社あると思いますが、その経営状態、特に一部上場会社の東北関係の三業者、大和電設工業、東北通信建設一それから江渡工業社、この三点について、その経営状態がどうなっているか、もしわかりましたら簡単に御説明いただきたい。
  21. 山口開生

    ○山口説明員 お答えいたします。  ただいまの東北管内におきます電電公社の工事認定業者の決算状況というお話でございましたが、東北の三社の最近の決算状況を見ますと、前期に比べまして大変に決算状況が悪くなってございます。たとえば、東北通建でございますけれども、当期の利益につきましては、前期の二・三%から一・二%に落ち込んでおりまして、大変に苦しい経営状態になってございます。また、他の大和電設、江渡につきましても、同様に経営状態は悪化してございます。
  22. 坂口力

    ○坂口委員 黒字になっているかどうか。どれだけの黒字になっているか。
  23. 山口開生

    ○山口説明員 営業利益で申し上げますと、大和電設で申し上げますと、前期の四十七年の十月から四十八年の九月期をとりますと、三億五千五百万の営業利益がございまして、これが四十八年の十月から四十九年の九月にかけましては、四千百万に落ちてございます。
  24. 坂口力

    ○坂口委員 私の方にも、手元にいま申しました三つの会社の決算書があるわけでございますが、決して落ち込んでいない、これを見ますと。たとえば大和電設にいたしましても、引当金を見ましても、それからまた剰余金を見ましても、四十八年に比べまして四十九年の九月現在でふえております。決して減っておりません。時間がございませんので詳しく言うのはもうやめますが、いま申しました三つともこれは減っていない。いま、いかにも落ち込んでいるような発言をされましたけれども、決して落ち込んでいるわけじゃないわけであります。  そこで、総裁、この公社の下請企業の実情についてどういうふうに認識しておみえになるか、過去二年の間に何件ぐらい倒産が出ているか、簡単にひとつ御答弁願いたい。
  25. 米澤滋

    ○米澤説明員 お答えいたします。  電電公社といたしましては、先ほどお話がございましたように、四十九年度が一兆二千億円、来年度の予算が一兆三千億円、膨大な建設工事をやるわけでございますし、また、これは巨大ないわゆるシステムを形成している。したがって、品質につきましては厳重な管理をしているつもりでございます。  ただいま下請の話がございましたが、基本的にはやはり公社が直接契約するのは契約会社でありますから、一次的にはその契約会社に責任がありますが、下請の管理状態につきましては、たとえば、それを登録させるとか、あるいは、その中で法律違反のようなことがあれば指名を停止するとか、あるいはまた、人身事故等がございますならば、やはり同じような処置をするということでありまして、下請につきまして厳重な管理を進めておるところでございますが、しかし、もしそういうような事実がございますならば、なお調べまして必要な措置をとりたいと思います。
  26. 坂口力

    ○坂口委員 公社の方から資料提出をお願いしましたら、四十八年は十一件、四十九年は九件しかないという御回答でございますが、私ども調べましただけでも、九州関係だけでも十数件になっているわけであります。決してこういう少ない数ではございません。時間がございませんのでくどく聞きませんが、そういう結果になっているわけであります。  ところで、建設省の方お越しになっていますか。――では結構です。  ある下請会社の実情を調査いたしますと、たとえば先ほど申しましたマンホールをつくりますのに、S2型というのがあるわけであります。このマンホールのS2型を、下請の会社に元請から出される値段が五万円になっております。ところが、これは四十九年のものでございますが、四十九年の二月に、こういう機材を扱っている会社から、その元請あるいは下請に出ております額が十三万五千円になっているわけであります。これは一ヵ所だけじゃございません。二、三の会社を調べました。大体十三万五千円でございます。そういたしますと、十三万五千円もするものを下請の会社には五万円でやれということが言われているわけであります。そのほかいろいろのものがございますが、皆大体、二分の一から三分の一あるいは三分の二というような非常に安い値段、そういうふうな値段でやれということを上の方の元請は言っている。  そうして、それだけじゃありませんで、それでやっていけないということを元請の方はよく知っているわけなんです。知っているから、とにかくそういうふうなことを非常に少ない金額でやらすためには、どうしても手抜きをやれということをその元請の方の工事長あたりが指導しておるわけです。先ほど申しましたように、一メートルの物差しを八十センチに縮尺をして持っているのも、これはその工事長が持っていて、おい、これでやれということを言っているわけです。  こういうふうな現実があるということ、これは大変なことだと思うわけです。一体どのようにお考えでございますか、簡単にお願いします。
  27. 米澤滋

    ○米澤説明員 お答えいたします。  時間がないようでございますから簡単にお答えいたしますが、そのような事実があれば厳重な処置をとる、指名停止をするとか、あるいは適当な指導をするとか、厳重な措置をとって処理いたしたいと思います。
  28. 坂口力

    ○坂口委員 先ほどお聞きいたしました大和電設の請負で、その中に石巻舗装先行工事という一つの工事がございますが、それについてどれだけで請負をして、そうして下請の幾つのところに大体どれだけで渡したということはわかりますか。資料は出ますか。出たら早急にお答えください。
  29. 荒舩清十郎

    ○荒舩委員長 わかりますか。-わからなければ、後で調べて出しなさい。わかりますか。
  30. 山口開生

    ○山口説明員 お答えいたします。  いまの石巻舗装先行工事につきましては、契約金額が一千五百三十五万でございます。
  31. 坂口力

    ○坂口委員 それから、下請にいまどれだけ出したかということはわかりますか。
  32. 山口開生

    ○山口説明員 下請の方は、私の方ではまだわかってございません。
  33. 坂口力

    ○坂口委員 この一例ですが、私どもの方で大体試算をしてみますと、元請がやはり二八%から三〇%ぐらいは取っていることになるわけであります。そうして下の方では御承知のようなことが行われている、こういう結果が出ております。これは郵政大臣から最後に一言、こういうことが絶対にないようにひとつ御発言をお願いしたいと思います。  これは、電電公社の職員の人たちがここに監督に行っているわけです。その人たちも、下請の人たちの言葉をかりれば見て見ぬふりをしている、こう言うておるわけですから、こういうことだと業者の人と電電公社の癒着だと言わざるを得ない。いかがですか。
  34. 村上勇

    ○村上国務大臣 お答えいたします。  不正工事があれば、これはもう話が別です。不正工事についての私としてのお答えはできません。そういうことのないように厳重に監督をしていくことが、いわゆる責任者である者の立場であります。将来そういうことがあるとするならば、これは厳重に措置いたさすつもりでございます。
  35. 坂口力

    ○坂口委員 委員長にお願いをいたしますが、いま時間の都合もございまして、電電公社の方からはいろいろ細かな数字等も出ませんでしたが、この実情について、近日中に公社の方から調査の報告を受けたいと思いますが、よろしくお取り計らいをお願いいたします。
  36. 荒舩清十郎

    ○荒舩委員長 坂口君にお聞きいたしますが、下請に出した問題のことですか。――いいですか。これはちょっとむずかしいことだな。  それでは、できるだけ調査をして、予算委員会のやっている間じゆうにひとつ回答をすることでいかがですか、電電公社総裁。
  37. 米澤滋

    ○米澤説明員 お答えいたします。  企業秘密という問題がどういうことか、私、法律をよく知りませんけれども、できるだけやるということで御了解願いたいと思います。
  38. 坂口力

    ○坂口委員 次に話を進めたいと思います。  このように、電信電話の問題一つとりましても、非常に過疎地域に対しましては冷たい形で幾つかの現象があらわれているわけであります。  その次に教育の問題で、これは文部大臣にお伺いをしたいと思いますが、間もなく新学期を迎えて新しい先生方がたくさん赴任されるわけでございますが、昨年の新任の先生はどういう地域の学校に最も多く赴任されておるか、この辺のところ、私が申しておりますのは、たとえば僻地から僻地に何%ぐらい行っておいでになるかとか、そういうふうなことがわかりましたら、わからなかったら概略で結構でございます。
  39. 永井道雄

    ○永井国務大臣 昭和四十七年度の統計になりますが、新規採用者で僻地に行きました先生は、僻地に行った先生のうちの一〇・五%でございます。
  40. 坂口力

    ○坂口委員 私どもがいただきました資料を見ましても、かなり都道府県によって事情は違いますが、多いところは八〇%ぐらい、まあ少なくとも五、六〇%の人たちが僻地に行っておられるわけです。そこで、大臣にお伺いいたしますのは、この山間僻地に新任の先生を行かしめることに対する妥当性、教育効果からの意義、こういうことについてどういうふうにお考えになっておるか、お聞きしたい。
  41. 永井道雄

    ○永井国務大臣 私はこの問題について二面あると思っております。非常に経験がありまして、教育の年数が長い方が行くということは、僻地のように非常に状況がむずかしいところでよろしいという、そういう面から申しますと、新規採用の若い方が行かれるのは必ずしも望ましくないということになります。しかし、もう一面ありますのは、僻地の状況というのはなかなかむずかしいですから、理想に燃えた若い先生が行かれるというのが望ましいことがあります。私もそういう先生方を何人か存じておりますが、ですから、新規の若い先生が行かれるのが常に悪いとも必ずしも考えません。  そういう二つの種類の見方、二面からの見方があると思いますので、その二面からの見方というものを踏まえて、都道府県の教育委員会が決めていくということが望ましいと私は考えております。
  42. 坂口力

    ○坂口委員 いま大臣も前半のところでやや認められておりますとおり、機械的に新任の先生だったら全部山間僻地あるいは離れ島、こういった態度というのは、その受ける側の地域社会から見ればまことにこれは不可解な話だと私は思うわけであります。ここで私は大臣にお願いしたいのは、こういう機械的な配置は少なくともしないようにという通達を全国にお出しをいただきたいと思いますが、いかがでございますか。
  43. 永井道雄

    ○永井国務大臣 いまの機械的配置というお言葉の意味がわかりませんので、ちょっと御説明願いたいと思います。
  44. 坂口力

    ○坂口委員 新任の先生であればこれは全部過疎地域あるいは山間僻地にやるという、そういうふうな判で押したような態度はよくない、こういう意味でございます。
  45. 永井道雄

    ○永井国務大臣 ただいまのような、そういう機械的な配置があるといたしますと、これはもちろんよくないことは御同意申し上げます。それについて通達を出して指導するかというお言葉でございますが、これは指導助言ということで、私どもの方、教育委員会にも教育長にも、こういう問題は常に話すようにしてきていますから、そしてまた、先ほど御指摘がございましたように、地方自治体によっては相当数の多いところもございます。こういう点を十分考慮いたしながら今後施策に当たっていきたいと思っております。
  46. 坂口力

    ○坂口委員 このほか、山間僻地の学童の身体異常等の問題もございますが、ここできようはお聞きするのは割愛をさせていただきます。  そのほか、過疎地域におきましては、いわゆる農村貧血という名前で医学的には呼ばれておりますけれども、いろいろのこういう貧血がたくさん出ておりまして、厚生省の方も、これに対しましては研究班をつくって御検討をなすっているわけです。この問題も、時間がありませんので私の方から申しますが、高いところでは八二%に及ぶ非常な貧血を出している。健康が非常に破壊されてきているという事実があると思うわけであります。このような山間僻地におきます医療問題というのは、これは非常に大事な、どうしても優先してやらなければならない施策の一つではないかと私は思うわけであります。  そこで、医療問題に入らせていただくわけでありますが、政府の僻地対策といいますものも、これは三次計画にわたっておりまして、現在も三次計画が行われておりますが、第一次のときには、比較的住民の多い地域の診療所の設置をやっておみえになりますし、それから第二次では、患者の移送車のこと、ここに力点を置いておみえになる。第三次では、親元病院に対する医師の派遣の問題をやっておみえになる。だんだん及び腰の政策になりつつあるというふうに私は言わざるを得ないのであります。  日本公衆衛生学会誌を見ますと、岐阜大学の医学部の衛生教室の方で、僻地に勤務する医師の実態調査をしておみえになりますけれども、将来も続けるというふうに言っておみえになります医師の中で一番問題点というのは、やはり医療水準を何とかして上げたいということであります。もうこれ以上はよう続けない、早く転向したいというふうに思っておみえになります方の一番の望みというのは、収益性が低いということであります。  そこで、政府がいろいろの僻地対策ということをやっておみえになりますのを、私も見せていただいております。その中で医師の研修制度等もやっておみえになりますが、これでいわゆる僻地の医師が確保できるとお考えになるかどうか、厚生大臣からひとつお願いいたします。
  47. 田中正巳

    ○田中国務大臣 僻地の医師の確保はなかなか実はめんどうな問題でございまして、いろいろと今日まで積み上げてまいりまして、今年度から僻地医療対策を実はかなり意欲的にやっているわけでございますが、しかし、ここで、この制度をもって僻地の医師が完全に確保できるというふうなことを断言するのは、私は軽率だと思います。しかし、今度の僻地医療対策は、相当従来のそれとは違った意欲的なものでございますから、かなりの改善を見るであろうというふうに思っております。
  48. 坂口力

    ○坂口委員 一つ私はここで厚生大臣に提案をするわけでありますが、たとえそういうふうにして研修制度をつくって医師を養成いたしましても、僻地にもしもその医師が行ったとしましたときに、僻地の大きさは、大体人口にしまして五百人ぐらいが平均のものでございます。そういたしますと、その中で現在の現物給付、出来高払いで果たしてやっていけるのかどうか、このことがございます。そこで私は、現在のこの制度に対して、地域加算というものをこういう地域については認めないと、どうしてもそこで成り立たないのじゃないか。その辺が非常に政策的に甘いところがあると思いますが、いかがでございますか。
  49. 田中正巳

    ○田中国務大臣 これにつきましては、私も実は先生と同じような考えを従来持っておったわけであります。このような制度である程度僻地に医師が定着できないものかどうかと考えておりますが、これについては、どの程度の場所をグレンツにするか、そしてまた、どの程度のものをやっていいかといったようないろいろの技術上の問題があろうと思われますものですから、したがって私は、五十年度の施策にはこれを反映することができませんでございましたが、これについては、一つの重要な政策示唆と思いますので、今後前向きに検討を重ねていきたいというふうに思っております。私のアイデアと全く同じようなアイデアを先生が持っているということについて、心強く思っております。
  50. 坂口力

    ○坂口委員 もう一つ、いつごろからこれをおやりになるおつもりかということを、この次に答弁をあわせしてもらいたいと思います。  それから、その次の問題といたしましては、国保の財政悪化という問題がございます。これは大蔵大臣にもお聞きしたいと思うわけでございますけれども、五十年度からは一兆円という多額の金を国保の方に出したというふうに大蔵省も言っておみえになるわけでございます。確かに一兆円を超える額が国庫負担として出ているわけであります。ただし、山間僻地におきましては、老齢人口がだんだんとふえてくる、そして老人医療というものがだんだんと大きなウエートを占めてくる。こういう形になってまいりますと、これはどうしましても国保というものはまた赤字になって、ことしもまた四〇%ないし五〇%どうしても保険料をアップせざるを得ないという現状がございます。  厚生大臣は、御就任早々、老人保険の構想を打ち出されたわけでありますが、先日は、新聞を見せていただきますと、大蔵省の方から、定年後五年間は健保を継続させるというような案が出ております。  大蔵大臣に先にお伺いいたしますのは、この間、新聞で見せていただきますと、健保について五年間ぐらい継続してという数字でございますが、その期間は別にいたしまして、継続するということについての大蔵省の御見解、そしてもう少し詳しい試算でもできておりましたら、お示しをいただきたいと思います。
  51. 大平正芳

    ○大平国務大臣 その案は、予算編成の過程におきまして、大蔵省から厚生省に御検討を願った経緯がございます。当時の新聞にも一部報道されておったように思いますけれども、厚生省の方でも、この国保の再建問題というのは、社会保障全体の政策の中で非常に重要な問題としてとらえられて、鋭意いま検討中でございますし、私どもが御検討を煩わした問題につきましても、引き続いて御検討いただいているものと承知いたしております。五年がいいか悪いか、それはまあ絶対的なものではございませんが、一応そういうラインをベースに御検討を願った経緯がございます。
  52. 坂口力

    ○坂口委員 厚生大臣に、この件につきまして厚生省としての御見解をお伺いしたいと思います。それから、先ほどの答弁もあわせてお願いします。
  53. 田中正巳

    ○田中国務大臣 前段の問題については、今後ひとつできるだけ詰めていきたいと思いますが、ただいま、いつこれを実施するかということについて発言をするだけの用意はできておりません。それからいま一つ、いまの問題でございますが、国保の財政は、先生御高承のとおり、非常に悪化をいたしております。これには実はいろいろな原因があるわけでありますが、私いま申し上げません。  そこで、老人医療の問題あるいは退職者医療の問題が、それの打開策の一環として出てくるわけでございますが予算編成時において大蔵省からむそういったようなコメントがございました。しかし、あれについては、まだ掘り下げなければならぬいろいろな問題があると思うのであります。  一つは、組合管掌健康保険についてこれを考えたらどうか、こういうお話でございますが、組合管掌だけについてこれをやるということは、一体いかがであろうか。当該の人が組合管掌に入っているから退職者医療が受けられる、政府管掌であるからだめであるといったようなことについては、社会的公正という見地からいかがであろうかと思われる問題が一つあるわけであります。     〔委員長退席、小山(長)委員長代理着席〕  それから、私どもとしては、基本的に健康保険制度あるいは共済制度に入っている者が定年退職をしたら全部国保に入るということが実は問題だと思いますので、したがって、私がかねがね申しているように、老人医療の給付のあり方について、保険と別建ての制度をとることがよろしいのではないか。その間にあって、退職者医療というものをどういうふうに関連させ位置づけるかということについて考えていった方がよろしいのじゃないかというふうに考えまして、ただいま、これらについて厚生省でいろいろとプロジェクトチームをつくりまして、それの具体案の作成に鋭意努力中でございます。
  54. 坂口力

    ○坂口委員 大蔵大臣と若干意見が違うわけでございますが、そういたしますと、厚生大臣は、定年後の継続についてはこの方針はとらない、こういう御意見でございますか。
  55. 田中正巳

    ○田中国務大臣 とらないというわけではございません。老人医療との関連においてこれを部分的に認めるか、あるいは老人医療としてこれを別建てにしていくのがいいのか、その辺の結節点をどこに求めていいか。それからいま一つは、財政面だけからこういうものを考えるだけでよろしいか。あるいは先生も専門家ですから御存じですが、老人には老人らしい医療の施術の方法もあり、また給付のあり方もあろう。あるいは予防面をどうするかといったようなことまで視野を広げて、老人医療について、あるいは退職者医療について対処するのが正しいだろうと思いますので、そういったようなことについて目下考慮中でございます。明年度の予算編成にこれを間に合わせようということで、いまやっております。
  56. 坂口力

    ○坂口委員 私どもは保険の一本化ということを以前から言ってまいりましたが、その一段階として、大蔵省が打ち出された方法というのは、一つの関心を示すべきことではないかというふうに思っていたわけでございます。いまの厚生大臣のお話は、若干それに匹敵するようでもあるし、ないようでもあるし、ちょっとはっきりしないわけでございますが、いずれにいたしましても、この問題が早期に実現されることを私どもは望んでやまないわけであります。  自治大臣、大変お待たせしたわけでありますが、実は救急医療の問題がございます。  時間の関係上かいつまんで申し上げるわけでございますが、山間僻地、過疎地におきましては、やはり医療が少ない、特に急病になったときにどうにもならない。そういうことが、山間僻地には住みにくいということの条件の一つにも実はなっているわけでございます。そういう意味で、この救急医療というものを私どもは充実をさせていかなければならないというふうに考えております。いままでの救急医療は、御承知のように消防法によっているわけでございますが、この消防法は奨励法にすぎないわけでありまして、現法律では非常に無理もあるように思うわけであります。  そこで、救急医療に対する特別立法を制定した方がいいのではないかということも含めて、ひとつ自治大臣としての現状に対する御見解をお聞きしたいと思います。
  57. 福田一

    ○福田(一)国務大臣 過疎過密の問題で、特にこの過疎対策を重視しなければならないという点では、私は全く坂口さんの御意見に賛成であります。  そうしてその場合に、医療の問題等についても、これはわれわれとしても十分考えていかなければならぬ。これは詳しく言っていればもう際限のな  い問題で、あなたも御存じでありますが、私としても十分に今後検討すべき問題であると思う。実際言うと、過密過疎というのをもう一遍考え直すべきなんです。施設をよくすると、どんどん都会へ入ってくる。そして今度は、ますます過疎地帯がふえるなどという姿がいいか悪いかという面から考えてみても、十分私はいまのお話を考えて、今後の対策を考えていきたいと存じておる次第であります。
  58. 坂口力

    ○坂口委員 これは自治大臣にお聞きすべきか、厚生大臣にお聞きすべきか、中間の問題でもあろうかと思いますが、ことし救急病院に対しまして補助金が出ているわけであります。これを見ますと、この救急病院には、A病院、B病院、C病院というランクづけがございますが、自治体病院のA病院に対しましては、一ヵ所四百五十万ということになっておりますし、たとえば日赤だとか済生会だとかいうような病院に対しましては、一ヵ所五百五十万ということで差がございますが、自治体病院に少ないというのは、これは一体どういうわけでございますか。また私立の病院には国庫補助というのは一切ない。これは一体どういうわけでございますか。
  59. 田中正巳

    ○田中国務大臣 政府委員より答弁いたさせます。
  60. 滝沢正

    ○滝沢政府委員 自治体の救急病院のAというのは、機能と患者数の取り扱いの多いというところで、とりあえず、そこを対象にしたわけでございますが、従来の日赤、済生会と違いますのは、交付税の関係が一部ございますので、その点を考慮した算定によりますので、日赤、済生会等と若干数字の上で違いが出ておるわけでございます。
  61. 坂口力

    ○坂口委員 自治体には交付税があるということを言われるわけでありますが、交付税というのは地方自治体の財源であります。交付税があるから差をつけたということは、これは地方自治体の財政に国が干渉するものではないかと思います。これは当然、自治体病院に対しましても同額出すべきであると思いますが、いかがですか。これは厚生大臣からひとつ。
  62. 滝沢正

    ○滝沢政府委員 交付税が市町村固有の財源であるという見解もございますけれども、一応親元のない日赤、済生会というものと、財政的に見ても、親元としての公共団体との間に現実に交付税という形で積算がなされております以上、もろもろのこのような自治体に対する補助金の中に、交付税を考慮した積算の仕方というものは一般的にございます。先生のおっしゃるような見解もあろうと思いますが、われわれとしては、やはりそのような点も考えますと、ほぼ妥当な考え方ではなかろうかと思っております。  先ほど、お答えを落としました民間病院につきましても、特定な機能のところを補助対象としたいということで検討いたしておりましたが、五十年度にはこれは実現しませんけれども、やはり法人格の民間病院等には、その機能を十分備えて地域に活動しておるならば、将来ともこの点は考慮していきたいというふうに思っております。
  63. 坂口力

    ○坂口委員 これは、厚生大臣おわかりにくい点があるというようなお話がちょっとございますけれども、これはわからないでは済まされないので、前向きに検討するということでひとつ御答弁いただきたいと思います。
  64. 田中正巳

    ○田中国務大臣 予算計上の細かい点でございますので、正直なところ私、ただいま知悉いたしておりません。役所に帰りまして、よく検討いたしたいと思っております。
  65. 坂口力

    ○坂口委員 このように、医療問題を見ましても、真剣な山間僻地、過疎地に対します配慮というよのがないと思うわけであります。本当に過疎地に住む人たちの立場に立って考えた温かさというものが足りない。特に高齢者が六・八八%というふうな、国保に入っている層の人たちにとりましてはことさらであります。  この過疎地や山間僻地でがんばり通してきた現在の高齢者というのは、先ほども話が出ましたとおり、健康的にもいろいろな問題が出てきている。そうして医療の問題でも恵まれない、あるいはまた、そのほかの交通、通信等の環境の問題でも恵まれない、こういう事態が続いてきているわけであります。この高齢者に何とかしてもう少しわれわれは温かい手を差し伸べなければならない。特に過疎地等に住む人々に対してその感を強くするわけでありますけれども、こういう話をいたしますと、恐らく皆さん方は、高齢者の福祉対策の一環としては、全国に十ヵ所に上る年金保養基地を建設することになっております、こういうことを、聞かなくても御答弁になるであろうと思うわけであります。このことを私も頭かち悪いということを言うているわけではございません。しかしながら、その前にまだやらなければならないことがたくさんあるではないかということを言っているわけでございます。  昭和四十九年度に指定されました四ヵ所の保養基地、これは言うまでもなく国民の年金保険料として積み立てられた十一兆円の中から、その一部が財源として出ているものでございます。この四つのうち、特に山間部であり、近くの人々も利用できるであろうと思われる北海道の大沼地区に焦点を当ててみたいと思うわけであります。  約百二十万坪の土地が事業団の手によって入っているわけでありますが、この土地取得の経緯について、まずお伺いをしたいと思います。
  66. 曾根田郁夫

    ○曾根田政府委員 北海道大沼地区の年金保養基地の土地取得の件でございますが、この土地取得につきましては、事業主体である年金福祉事業団が買収することになるわけでありますが、原則として、それ以前に地元で公有化するという原則がございますので、今回は地元の七飯町、森町のそれぞれ土地開発公社で土地を取得いたしまして、それにつきまして年金福祉事業団が昨年の三月に買収した、そういうことでございます。
  67. 坂口力

    ○坂口委員 もう一つ続けてお願いをいたしますが、三井観光開発から公社が買っているわけでありますが、それが一日だけ公社が持っていた。なぜ一日だけここに介在したのかということをお聞きをしたいと思います。
  68. 曾根田郁夫

    ○曾根田政府委員 この基地のうち十七筆、面積にして全体の二〇%弱でございますが、これにつきましては、登記簿上は三井観光開発株式会社から直接事業団が取得した形になっておりますけれども、このことは、実は当該土地が農地でございまして、農地法上、農地転用の当事者に地方土地開発公社がなり得ませんので、形式的にはそのような形をとったのでございますが、実際にはこの土地も、他の用地と同様に開発公社が売買契約をいたしております。すなわち、開発公社が第三者のためにする契約を三井観光開発と締結いたしまして、この結果、第三者である年金福祉事業団にストレートに所有権が会社から移転する、これは形式だけの問題でございまして、実務は全部地元の開発公社にやっていただいたということでございます。
  69. 坂口力

    ○坂口委員 一番最初の説明にもありましたとおり、三井観光開発が所有した土地の推移を見ますと、初め北海道炭?汽船から北海道牧場、そして三井観光にというふうに、この土地は転々としているわけであります。これは言うならば北炭グループ、つまり三井系の企業内での、言葉は悪いですが、たらい回しということも言えると思うわけです。この取得価格の推移をひとつ御説明をいただきたいと思います。
  70. 曾根田郁夫

    ○曾根田政府委員 年金福祉事業団といたしましては、最終的な現在の所有権者である地元の土地開発公社から取得したわけでございまして、しかもその取得価格はおおむね適正な鑑定価格以内のものであり、予算的にも妥当なものでございましたので、事業団としては売買契約を結んだわけでございまして、その土地開発公社が取得するに至るまでのそれ以前の経緯につきましては、私どもは直接承知いたしておりません。
  71. 坂口力

    ○坂口委員 この最後の三井観光が四十五年に取得いたしましたときの額というのは、われわれの調べました範囲内においては、平均いたしまして約七百円であるというふうに思います。  そこのことは後でまた触れるといたしまして、さらにもう一つ伺いますが、この事業団が取得しました用地の概要についてであります。この地目、取得価格、それから面積、それから坪単価、もう一度改めてまとめてお願いをしたいと思います。
  72. 曾根田郁夫

    ○曾根田政府委員 面積は四百三十七万三千百三十二平方メートルでございまして、取得価格は三十五億五百九十三万九千六百二十一円、全体平均いたしまして一平方メートル当たりの価格は八百一円でございます。
  73. 坂口力

    ○坂口委員 先ほども申しましたとおり、取得価格の推移は、三井観光開発KKが四十五年に得ましたのが約七百円、そうして年金福祉事業団の手に渡りましたときには坪平均して二千六百五十一円ということになっているわけです。この間に、そうしますと五、六倍にこの土地はなっているわけであります。またこの中で、先ほど申されましたように、田畑の部分、農地の部分と、それから山林の部分がございますが、分けてみますると、非常に森林部分というものが普通のほかの場所に比べて高くなっている。公社の依頼の評価鑑定人が何人かおありになると思いますが、その評価は大体どれぐらいになっておりますか。
  74. 曾根田郁夫

    ○曾根田政府委員 私どもは、直接の売買契約の当事者である事業団が鑑定人を選んだものでございますので、地元の公社側の鑑定については直接承知いたしておりません。
  75. 坂口力

    ○坂口委員 それじゃちょっとわからぬですね。話が先へ進まない。これは皆さんの方も大体どのくらいであったかということは、これはちゃんとわかっているはずであります。これがわからなくて、じゃ何を一体ここに保養基地をつくるための指導をなすっているのですか。もう一度御答弁願いたい。
  76. 曾根田郁夫

    ○曾根田政府委員 年金福祉事業団の方の鑑定、これは二者にお願いしたのでございますが、日本不動産研究所、これが四十億三千四百万、(坂口委員「坪単価」と呼ぶ)坪単価は、これは後ですぐ申し上げますが、安田信託銀行、これが四十億七千二百四十万六千六百九十六円でございます。
  77. 坂口力

    ○坂口委員 これに対して皆さん方は今回取得しました価格というのは、これは正当な価格であると、こういうふうに御判断になりますか。
  78. 曾根田郁夫

    ○曾根田政府委員 先ほど申し上げましたように、取得価格が約三十五億でございますので、私どもとしては、近傍類似の土地の取引例等から見ましても、妥当なものであるというふうに考えております。
  79. 坂口力

    ○坂口委員 私どもが足を棒にしてこの地域のいろいろの調査をいたしましたが、四十八年の四月、大体事業団がこれを取得されたのと同時期でございます。この時期にこの森町の隣接地で取引されております大体同じような土地、この価格が一件におきましては坪当たり千円、それからもう一つの方は坪当たり九百円、それからもう一つは千百円、大体千円前後の値段になっているわけです。  そういたしますと、先ほど鑑定人の結果は両方とも四十億云々ということを言われましたけれども、坪単価にいたしますと、ちょっと私も計算ができませんが、この年金福祉事業団が買われました二千六百五十一円というのは、われわれがその同時期にその地域において売買されているものと比較いたしますと、二倍半あるいは土地によっては三倍という値段になっておりますが、いかがでございますか。
  80. 曾根田郁夫

    ○曾根田政府委員 私どもが多少の取引例を調べたところによりますと、基地と同じ字の場合でございますが、一平方メートル当たり四十八年の時点で大体千六百円から二千円。千百円というのもございますけれども、大体そのような額でございますので、こういったことから見ましても、決して不当な価格であるとは考えておりません。  なお、この地は近年開発が非常に進んでおりますので、そういう時期的な経過による価格の変動もあるいはあろうかと思いますが、大体そういう数字でございます。
  81. 坂口力

    ○坂口委員 いまお答えになりましたように、あなた方の調査におきましても坪当たり千百円、千六百円というのがあるわけです。われわれの調査でも大体そういうふうな結果が出ているわけであります。  したがって、これは結論的に申しますと、非常に高い土地を買っているというふうに言わざるを得ない。特に農地の分につきましては、この買っておりますのが三千九百七十三円でありますし、山林分につきましては二千九百二十円。この森町の分だけでございますが、こういう数字になっております。これは、その当時の周辺におきます売買の価格に比べますと、非常に高いと言わざるを得ない。この財源は、初めにも申しましたとおり、年金の積立金という国民のかけがえのない財産であります。この中には、二十五万坪からの農地というものも、先ほど申し上げましたとおり、含まれております。いわゆる農業切り捨て政策、これによってどうしても農業ができなくて生計を立てられない、こういう人たちが二束三文という言葉は悪うございますが、非常に安くこの土地を手放して、これをいわゆる不動産が手に入れていったと思うわけであります。その不動産が自分の企業内でたらい回しをしてだんだんとこれを転がして大きくしていく。そうしてそれをまた年金の積立金でありますこのお金で買い上げる、こういう結果になって、行き戻りに国民はひっかかっているわけであります。  しかもこの中に公社を一日だけ入れている。なぜ一日だけこの中に入れているか。この土地は、森町の土地開発公社に昭和四十九年の三月十九日に売買をいたしておりまして、そして今度は年金の福祉事業団の方には、その翌日の三月二十日にまた売買しているわけであります。わずか一日だけ。なぜ一日だけこの公社を入れたかということであります。これは皆さん方の方に聞きましても、恐らく御答弁がないと思いますから、私の方から申し上げるわけでありますが、あたかも公正を装うための擬装ではないかと、私はこう思うわけです。私は、この適正な利潤というのは、五〇%もあれば最良ではないかと思うわけであります。それが五〇〇%にもなってはね返ってきているということは、これは土地投機の対象とした山師的な行為じゃないか。国の機関がその片棒を担いでいるということにつきましては、これは国損もはなはだしいと私は思う。  私は、こういうふうな事業団ができるというそのことについて、根本的に反対しているわけじゃない。もちろん、初め申しましたとおり、それまでになさねばならないことがある。順序も間違っているということは申しました。しかし、よしこれをつくることを認めたといたしましても、これはやはりせっかくの国民の保養地をつくるわけであります。やはり国民的合意の得られる形でなければならないと私は思うわけであります。それが、一部の土地業者に多額のもうけをせしめられるような形でなされていることは、私はまことに重大だと思います。厚生大臣、一言これに対する御発言をお願いをしたいと思います。
  82. 田中正巳

    ○田中国務大臣 お尋ねの土地の保養基地につきましては、私の選挙区の中にあるものであります。したがいまして、私はこれの誘致方について、当時非常に一生懸命運動をいたしたことは事実であります。しかし、その後、土地の売買ということになりましたときに、私、後日、厚生大臣になるとは思ってはおりませんけれども、この点については、李下に冠を正さずということで、一切これには関係いたさなかったものでございますから、したがいまして、私、この点については珍しく知悉をいたしておらないわけでございまして、したがって、私としては珍しく明確な答弁ができなかったわけでございます。しかし、私の選挙区内部でございますから、したがって、お話ししていることについての比較検討等が、どうもよくわかるようなわからないような気がするわけでありまして、あの地区は非常に土地のバラエティーが多いところでありまして、火山灰地等の場所についての比較をいたしますと、全く比較考量のできないものがあるのではなかろうかと思いますが、少なくとも今日まで、私の管内であの土地が非常に高い買い物でありたということについてのうわさを、実は聞いたことはございません。したがいまして、調査の仕方等について、いろいろと乖離があるのだろうと思いますが、なお今後、これについてはひとつ十分調べてみたいと私は思っております。
  83. 坂口力

    ○坂口委員 私の方もわかったようなわからぬような話でございますけれども、大臣の選挙区であるとはゆめゆめ存じませんでした。恐らくこれは、森町の役場の人たちもかなり努力をなすったのでありましょうし、また、町民の中にも、このことに対して、完成に大きな期待を持っている人たちも、恐らくあるのであろうと思います。そのことについては私もわかるわけでありますが、しかし大臣、私は静かに考えていただきたいと思う。それは、そこに住む農村の人々にとって、二十五万坪もあるこの田畑というのは、これはできることならば、ここで生活のできる体制というものをその人たちはしいてもらいたかったに違いない。ところが、国の政策でどうしても農業というものがやっていけない状態になった。仕方なくその土地を売った。そして、売ったその土地に次善の策として何かができないであろうか、こういう期待にほかならないと思うのです。そういう意味からいきますと、私は、この保養基地の問題というのは、まことに重要な意味を含んでいるというふうに思います。  先ほど、この価格については妥当であるかのような意見が出ましたけれども、これは私は納得できない。その周囲のいろいろ私たちが調べました結果と比べますと、先ほど申しましたとおり、いろいろ資料がございますが、時間がございませんからそう多く申し上げられませんけれども、しかし非常にこの土地というのは高い。少なくとも二、三倍の額はしているわけであります。このことについては私は重大な責任を感じてもらわなければならぬ。責任を感じるだけではこれは済まぬというふうに思うわけです。非常に大事な国民から預かっている積立金というものを、十一兆円もあるからということで、こういうふうなことでむやみやたらに使われてはたまらぬわけであります。もう少し謙虚に受けとめて、こういうふうな国民的なものをつくるということになれば、業者の人たちにもそれだけの良心を持ってこれに対処をしてもらわなければいけない。それを説得するのがあなた方の役目じゃございませんか。そうでしょう。それについて、鑑定人に頼んだのは何ぼかわからぬというような答弁では、これは私どもとしては納得しかねます。また厚生大臣も、自分の選挙区でありながら、わかったようなわからぬような話をなさる。これは大臣としても私は重大な責任があると思うわけであります。  きょう私は、そういう意味で、地理的に非常に弱い立場にある人々、この人たちを地理的弱者という言葉のもとにいろいろの角度から取り上げて、そして各大臣の意見を伺ったわけであります。こういうふうな議論の中で、三木内閣が掲げておみえになります社会的公正、これは総理大臣も、大平大蔵大臣も経企庁長官も、演説の中で社会的公正ということをおっしゃいましたが、しかし、いろいろの角度から煮詰めてまいりますと、この社会的公正というのが名ばかりで、先ほどの保養基地の問題じゃございませんが、擬装であって、これが真実は決してそうではないと私は断ぜざるを得ないわけであります。  教育の問題についてもしかりであります。教育と言えば、学校の先生が新任と言えば、もう判で押したように山間僻地にその先生たちがやってくる。あるいは医療問題にいたしましても、その人たちが本当に健康を害して弱っているのにもかかわらず、その問題がいつの間にか捨てられて、その医療体制というものがいつでも確立されない。また、電話の問題にいたしましても、これは一ヵ所に百万円も出さなければならないということになれば、なかなかどうして引けない。しかも、それをいつまでたってもきちっと整理しようとしない。まことになわ張りと硬直した考え方の中でしかこの問題をとらえておみえにならないと私は言わざるを得ないわけであります。  そういう意味で私は、福田副総理に全体を通じて最後にお聞きをしたいわけでございますが、このように社会的公正ということを非常に厳しく言っておみえになりながら、その実、内容の一つ一つに突っ込んで話を進めていきますと、一向に社会的公正でない。ないだけならともかくも、その方向に向けていこうという努力すら認めがたいと言わなければならぬ。たとえばある地域地域においていろいろの工事が行われておりますが、その工事の一つを見ましても、その山間僻地の問題は手抜きをしほうだいしている。これは政府が本当に山間僻地に対しては温かい手を差し伸べますぞという姿勢がない。そのことが、電電公社にも飛び火をし、そうして元請の業者にも飛び火をして、私はそういうことが行われるのであろうと思うわけです。あるいはまた、いま取り上げましたこの保養基地の問題にいたしましても、これはもう少し安く、そうして合意を得られるような形で手に入るはずであります。その近辺に国有地もずっとたくさんあるわけであります。ところが、あえてこの土地が選ばれて、なおかつ、その土地が、その当時の隣接の土地に比べて二倍も三倍も高いというこの実情、こういう中で今後政治が進んでいったとしたならば、私は国民の合意は得られないと思うのです。  それで、社会的公正を達成するためには、その前に、税金でありますとか、あるいはこの社会保険料が、全国民に対しておおむね公正なやり方で配分されているという国民的な評価がまず先行しなければならないと思うのです。これなくして社会的公正の施策というものは講じられないであろうと思うわけです。特に、最後の厚生年金事業団のこの問題にからめて、ひとつ副総理から御答弁をいただきたいと思います。
  84. 福田赳夫

    ○福田(赳)国務大臣 この世の中は自由社会でございますから、ほうっておきますれば、どうしても強い人あるいは知恵のある人、こういう人が先へ出ます。弱い力の人あるいは知恵の乏しい人はおくれてしまう、そういうことでありますので、それをほうっておきますと、非常に社会にでこぼこができるのです。そこで、この自由な社会に政治の力というものが割って入って、弱きを助け強きを抑えるというような考え方をとらなければならぬ。私は、社会的公正というのはそういうところに根本的な意味がある、こういうふうに思うのです。これからの三木内閣の政治姿勢としては、そういう意味において社会的公正という太い線を押し通していきたい、こういうふうに思いますが、何せその社会的公正を乱す大きな要素がある。それは何だと言えば、これはインフレです。このインフレ社会というものは、そういう意味から言いまして、これはまさに社会の敵である。そこで、とにかく一生懸命インフレをおさめようという努力をしておるわけでありますが、また、そのインフレを克服しただけではこの公正問題は解決されません。  そこで、お話のように国が介入ということでありまするから、広く国民から財政の財源を調達するその調達の仕方、あるいは調達した財源を配分するその配分の仕方、あるいは同様なことが、財政ほどではございませんけれども、金融の面でも起こってまいります。その金融政策のやり方、あるいは独占禁止法問題にあらわれるように、金だとか、あるいは、そういう面には直接の関係はありませんけれども、国家権力自体が直接に自由社会に介入する、こういう問題もある。あらゆる角度からひとつ社会的な公正という太い線を出していきたいと思うのですが、しかし、これだけでこぼこのできた社会ですから、そう簡単にはいきません。しかし、これから一生懸命その問題に取り組むということをはっきり申し上げます。
  85. 坂口力

    ○坂口委員 総論としては副総理のおっしゃるとおりで、私も同じなんですけれども、各論の問題に個々に入っていくと、三木内閣とわれわれの考えていることとは全くベクトル、方向が違うということを私は申し上げておるわけです。総論的なことを話しておりますと同じわけでございます。  そういうような意味で、私は、いまこの保養基地の問題等はそれを象徴するかのごとき出来事であるというふうに思うわけです。これは厚生大臣は、自分の選挙区であるけれども十分に知らぬとお答えになりましたけれども、知らぬでは済まされない問題でありますので、今後こういうことがないように、またこのことに対しては、もう一度はっきりと調査をし直すということをお約束になりますか。
  86. 田中正巳

    ○田中国務大臣 そういう事情ですから、したがって特段と調査をいたしたいと思います。恐縮でございますが、そちらの近傍地の調査等についても私にひとつお知らせくだされば、私の管内でございますからよくわかりますので、ひとつお互いにすり合わせをいたしたいというふうに思います。
  87. 小山長規

    ○小山(長)委員長代理 もう時間が来ましたよ。
  88. 坂口力

    ○坂口委員 私どものほうにも、資料を提供してくれた人の秘密の問題もありますので、私がここで一存に答えるわけにもまいりません。しかしながら、厚生大臣としての立場からは、どうしてもはっきりとこういう問題はけじめをつけてもらわなければなりません。今後のこともございます。決して国民の税金がむだ遣いにならぬということを私は確約してもらいたいと思うわけでございます。  時間が参りましたので、終わります。
  89. 小山長規

    ○小山(長)委員長代理 これにて坂口君の質疑は終了いたしました。  次に、林百郎君。
  90. 林百郎

    ○林(百)委員 私は、国政の重要な部分でありながら、いま非常に財政的な危機に陥っております地方財政の問題について、三木内閣の政治姿勢、具体的な施策を問い合わせてみたい、こう思うわけであります。三木総理も、地方自治に対しては、自主的で責任ある地方行政が実現されるよう、国と地方との関係を初め、地方行政のあり方について全面的に見直す必要があると考えております、こう言っております。これが何を意味しているか、具体的なものはありませんからわかりませんですが、きょうは、全面的に見直すとすれば、だれでも当然手をつけなければならない問題を二、三お聞きしていきたいと思います。  その一つは超過負担の解消の問題であります。言うまでもなく、超過負担は、過去の超過負担が解消されなくてそのまま積み越されておるものと、今後超過負担を生じないような、そのときそのとき手を打たなければならない二つの問題があると思います。いま福田さんがおいでになりませんので、まず直接の責任を負っておられる――もちろん超過負担は、建設、文教あるいは厚生等の面からも是正されなければ、これは自治省だけで解決できる問題じゃありません。しかし、地方自治体の窓口でもあり、直接責任を負っておる自治大臣に、過去の積み残しの超過負担をどうしていくか、それから今後生じないような措置はどうするか、これをまず二つに分けて、どういうお考えを持っているかお聞きしたいと思うのです。
  91. 福田一

    ○福田(一)国務大臣 お答えをいたします。  過去の問題につきましては、これはもうすでに申請が出て、それに決定を下しておりますので、これを手直しすることは困難であると考えております。  将来の問題につきましては、これは極力超過負担の解消に努めなければならない、かように考えております。
  92. 林百郎

    ○林(百)委員 過去のものについては申請が出ないからと言って、あることはお認めになるのですか。あることは認めるが、しかし申請が出ないからやらない、こうおっしゃるのですか。
  93. 福田一

    ○福田(一)国務大臣 一度申請が出て、それに対して一つの決定を下しております。したがいまして、その書類等ももう残っておらないものもあるし、なかなかそれを調べることが困難である。また一度決定をしたものをいまここでやり直してやるということはわれわれとしてはむずかしい、かように考えておるわけです。
  94. 林百郎

    ○林(百)委員 たとえば一例を申しますと、四十六年度の超過負担について四十七年度に調査をして、国費ベースで五百六億あるということを自治省自体も認めざるを得なかった。これを四十八、四十九年で解消しようと措置をされた。そうすると四十六年、四十七年のものはどうなるのですか。  それから、あなたの言う申請が出なかったというのは、何法に基づくどういう申請が出なかったというのですか。その二つを答えてください。
  95. 福田一

    ○福田(一)国務大臣 私は申請が出なかったと申しておるのではありません。申請を出して、まあこのくらいの超過負担になるであろうというのを一々毎年やっておりますから、それに基づいて決定を下しております。だから、二度そういうような行政的な決定をすることは困難である、いまそれは必ずしも適当でない、こういう考え方であります。  それから、いまあなたが前段に御質問になった四十七年の問題ですか、これについては政府委員の方から答弁させます。
  96. 林百郎

    ○林(百)委員 ちょっと、政府委員の答弁の前に、副総理が来ましたから……。  福田さんの留守に問題を提起したのですが、三木総理が、地方自治の問題については全面的に見直す、こう言われておるわけですね。これは内容のない言葉だけですから、内容が何を意味するか、ほんとうに見直すつもりがあるのかどうかということをただしていかなければならないと思うのです。そこで、いま地方自治体が直面しておる問題の一つは、財政的な非常な困難さがあるわけですね。これはあなたもおわかりだと思います、大蔵大臣もやっておられましたから。それで、この超過負担の問題についていま自治大臣に聞いていたのは、過去の積み残しがあるのですよ。解消されない部分がそのままになっているわけですね。それと、今後こういうものを生じないようにしてやらないと、地方自治体は超過負担のために大変な財政的な重荷をしょっていることになるわけです。これを解決してやらなくて、全面的に見直すというような言葉だけでは、これは通らないわけですね。まあ、あなたは副総理格と言われておりますから、三木内閣の政治姿勢として、この超過負担の問題、過去の累積されている問題、今後生じない措置をなるべく具体的にお答え願いたいと思います。
  97. 福田赳夫

    ○福田(赳)国務大臣 超過負担問題につきましては、林さんなんかの話を承っておりまして、根本的な一つ違いがあるのじゃないかと思うのです。たとえば学校の校舎を建てる、こういう際に標準的な学校ということを政府の方では考えておるわけなんです。それが、標準的な学校の規格を超えましてりっぱなものをつくって、そしてその結果足が出た、超過負担出せ、こういうような話を聞くことが非常に多いわけですが、政府の方ではそうは考えておらないのです。この標準的な規格に基づいて建てられたその場合の差額、それにつきましてはこれを補てんいたしましょう、こういうので、御承知のとおり、計画を立てまして、そして七科目でございましたか、それらにつきましては精細に調査をいたしましてその補てんをいたす。ことに非常にむずかしい問題がありましたのは昨年四十八年です。これは物価が毎月毎月上がる、最後の段階では狂乱状態になる、そうすると大変資材や土地が値上がりをする、それに対して対応しなければならぬというので、何回かこの基準価格を変えましてそれに対応し、そして大体私が大蔵大臣当時、その数科目のものにつきましては超過負担問題は解決をした、こういうふうな私は認識を持っておるのでありますが、これは今後といえども、私が述べたような意味における超過負担の問題は、起こりますれば、それは政府において責任をもって解決をすべきである、かように考えます。
  98. 林百郎

    ○林(百)委員 福田さんよくおわかりになっておらないんじゃないかと思うのです、大蔵大臣をやられて超過負担の解消をなるべく値切る方の側にばかりお立ちになっていたから。実際超過負担があって困難をしておる自治体の立場にお立ちになっておらないから、何か超過負担が出ているのは、自治体がデラックスな、ぜいたくなことをやるのだ、それが主な要因だというようなことをあなたおっしゃっていますが、しかし自治省の調査によって、国費ベースで超過負担が毎年毎年出ているんですよ。しかもそれが解決されないで積み残されているのですよ。地方財政法からいっても、あるいは児童福祉法からいっても、当然国が見なければならないのを積み残しておいて、そのままでいいかどうかということを聞いているのです。  たとえば四十六年の超過負担を四十七年に調査したんですよ。それで四十八年と四十九年には超過負担が生じないような手を打った、こうおっしゃるんですよ。ところが、四十八年にあなた調べてみたら超過負担が出て、四十九年の補正予算で単価アップしたでしょう。ちゃんと出ているんですよ。手を打ったと言うけれども、それでもまだ出ているんですよ。ましてや四十六年、四十七年については、四十六年を対象にして四十七年で調べた、その結果を四十八年、四十九年で手を打ったと称しているわけです。それでもまだ出ています。四十六年、四十七年はどうなるんですか。積み残しがあるんですよ。ましてや全然調査をしておらない。昭和四十三年、四十四年、四十五年、四十七年は調査してないんですよ。調査すれば必ず出てくるんですよ、超過負担が。ところがこういう調査もしていない年もあるわけなんです。そういう意味で積み残しの超過負担がある。これを自治体にそのまま押しつけておけば、これは借金財政に自治体がなるのはあたりまえなんですよ。だから、地方財政を見直すと言うなら、地方自治体を見直すと言うなら、まず、いま地方自治体が直面しておる一番困難な問題であるこの超過負担の問題に手をつけなければ、口で地方自治体を見直すと言っても何もしないということになるのじゃないか。これをもう一度答弁願いたいのですよ。
  99. 福田赳夫

    ○福田(赳)国務大臣 私の大蔵大臣時代の記憶では、これは大体調査もいたし、それから調査の結果超過負担の事実があるというのに対しましては、何回も政府の方の基準の改定を行いまして、そしてこれが解消は、まあ細かいことを言えば多少のことはありましょうが、大体においてこれを解消した、こういうふうに私は考えております。  しかし、超過負担という問題は、国がこの基準を定めて、そしてその基準以内でやったという場合におきましてまだ超過負担が出たというようなケース、これはもうなくすようにしなければならぬ、今後はそういうことに全力を尽くさなければならない、こういうふうに考えております。
  100. 林百郎

    ○林(百)委員 自治大臣、福田さんもそう言っているんですよ。もしそういうものがあるとすれば、これを解消するために全力を尽くさなければならないと言っているのです。積み残しがあることは、あなた、わかっているはずでしょう。わからなかったら、あなた自治大臣の資格ないですよ。  それじゃ四十六年、四十七年はどうなさったのですか。四十六年の実情を四十七年に調べて、四十八年、四十九年には超過負担が生じないような手を打った。そうとすれば、調査の対象になった四十六年、それから調査した四十七年の超過負担はどうなるのですか。ましてや調査をしておらない四十三年、四十四年、四十五年、四十七年の超過負担をどうするのですか。ここを聞いているんですよ。――事務官じゃなくて、あなた自治大臣でしょう。あなた、答弁しなさいな。地方自治体にとっては最も重要な問題ですよ。いや、財政局長の前にまず大臣、政治問題として答えてください。
  101. 福田一

    ○福田(一)国務大臣 その問題は、先ほどお答えしたように、すでに決定が済んでおりますから、これから見直しすることはしない方針である、先ほど申し上げたとおりでございます。しかし、いまあなたが言われた問題については、事務当局から答弁させます。
  102. 林百郎

    ○林(百)委員 そうすると、超過負担が残っておっても、もう過去のものになったからそれは解決しない、こういうことですか。はっきり言ってください。それならそれで、また私、論理を進めていきますよ。
  103. 福田一

    ○福田(一)国務大臣 おっしゃるとおりであります。
  104. 林百郎

    ○林(百)委員 三木内閣の姿勢はそういう姿勢だということを自治体にはっきり知らせます、過去にあっても、もう過ぎてしまったのだからその超過負担はそのままにしていきますと。  それじゃいいです、松浦君、答えなさい。
  105. 松浦功

    ○松浦政府委員 物の単価は時々刻々動いておりますので、先生おっしゃられるように、常にその時点の単価にコンパクトにするということはなかなかむずかしいかと思います。しかし、経済の動向にできるだけ沿う形で単価を設定していくことが当然だと、私どもとしては思っております。  ただいま御質問いただきました過去の問題につきましては、大臣がお答えしたとおりでございますが、やや補足をいたしますならば、補助金の交付申請がそれぞれの団体から出て、それに対して国が補助決定をいたしたものでございます。したがって、その問題について、過去にさかのぼって超過負担が幾らあったという形で補助金を追給する、そういう御要望であろうかと思いますが、それについては私どもとしては考えておりません。ただ将来に向かって、いま申し上げましたような精神で、常に実質的な単価と補助単価とが合致するように努力をしていくということを考えておるわけでございます。
  106. 林百郎

    ○林(百)委員 補助金を申請したけれども、出たのが超過負担なんです。それを超過負担と言うんですよ、松浦君。それが積み残されているんだ。積み残されたのは、大臣、あなたの言うように、それは過去のものだからもうそれはそれでいいんだ、こういう形でいけば自治体は、それが積もり積もって、地方債やいろいろの借金財政に追い込まれざるを得ないわけなんです。だから、そういうものがあれば、過去にさかのぼっても調べてみて、その年に超過負担が生じたとすれば、それを解決していくというのが地方財政を守る道になるんじゃないですか。申請が出た、申請が出たと言いますけれども、この申請の出し方は、大臣は御存じですか、事務的なことだからどうか知りません。ちゃんとこう申請しろよ、上の方からこう言って、そうしてやってくるんですよ。しかもそれは平均ですから、それぞれの地域に格差が出てくるわけです。そういうところから超過負担が出てくるわけです。だから調べた年は毎年超過負担が出ているんですよ。たとえば、昭和四十二年度に四十一年度を調べてみたら四百十一億の超過負担が出ている。四十三年度に四十二年度のを調べてみたら二百三十億円の超過負担が出ている。これは自治省の発表ですよ。政府の発表ですよ。四十七年度に四十六年度を調べてみたら五百六億出ていた。四十八年度のを福田さんはお調べになったと言いますが、これは幾らの数字と記憶なさっているか。われわれの推定では、七百億と言われているんですがね。申請どおりやったとしても、調べてみれば出ているんですよ。そういうのが過去に積もり積もっているわけなんです。自治省の発表しただけでも、四十一年から四十八年で約千八百億あるんですよ。これを何も解決していかなくていいかどうかということなんです。大臣、答弁してください。
  107. 福田一

    ○福田(一)国務大臣 いま事務から御報告をいたしましたが、補助申請という申請が出て、それに対して一度決定を与えて、そうして、物価とか経済の変動とかというものは常時行われているので、それを全部が全部もう一遍やり直しするというわけにはいかない。でありますからして、これについてそういうような赤字が出て、そこで自治体が非常に困っておるというような面が――いま言った原因で出る出ないは別にして、非常に赤字があるというような場合においては、地方交付税の問題とか、あるいは特交の問題とかというので、ある程度これを処理することができる。そういうやり方でやらなければ、それはいまからでも、私たちは最善を尽くして超過負担をなくしようと思いますけれども、たとえば非常に物価が上がるときにもまた出てきます。今度物価が下がったときには、返してくれという問題も出てくるかもしれない。だから一応申請が出れば……(「下がるかな」と呼ぶ者あり)いや、たとえばの例を申し上げたわけです。だから、そういう場合には、一応決定をいたしますれば、これはそこでできるだけ差をなくするように努めるということは、私は自治省としての務めであると思っておりますけれども、すでに、これだけ足りないからこういう分は見てもらいたいということで出したものは、一度決定したのを過去に全部さかのぼって、あの時点ではどうであったかこうであったかということを一々調べていってやるということは、非常に困難であります。であるからこそ、そういう問題も含めて、やはり特交とかなんとかというような問題でいろいろめんどうを見ていく、こういう態度をとっておるのであります。
  108. 林百郎

    ○林(百)委員 自治大臣は事情をよく知っておらないようですね。いいですか、自治省で四十一年度の超過負担は四十二年に調べてみたら四百十一億あったと認めているんですよ。もう自治省から計数が出ているわけです。四十三年度に四十二年度のを調べてみたら二百三十億あった、四十七年度に四十六年度のを調べてみたら五百六億あった。自治省がちゃんと数字をこういうように出しているんですよ。これだけの超過負担がありました、だからことしはこうしましょうということをやっていますよ。しかし、自治省が調査した結果が出ているこの超過負担について、何の手も打ってないわけなんですよ。これは手を打つべきではないか。  ことにこの数字も、私は内輪に自治省のいわゆる国費ベース、あるときには文教施設をはずしてみたり、あるときは公営住宅をはずしてみたり、あるときは事務費をはずしてみたりして、いろいろやっているんですよ。昭和四十五年度の超過負担を、全国都道府県知事会議では二千億以上と言っています。全国市長会では、この五年間で一兆円の超過負担だと言っています。そういう数字はいろいろあるでしょうけれども、自治省は少なくとも、この年にはこれだけ超過負担があったという数字を出しているんだから、これに対して自治省が責任をもって処理するようなことをしてやらなければ一自治体の財政というものは困難に追いやられる一方じゃありませんか。過去のものでわからないからめんどうなんですじゃないですよ。あなたの方から出ているこの数字をこのままにしておいていいかどうかということなんです。そこを聞いているんです。私の方の党はちゃんとそれについて政策を出しておりますから、何ならそれじゃ政策を提案しましょうか。もし三木内閣でできないなら、できる方法を教えてあげますよ。それはそうしてやらなければ、自治体はもう財政が窮迫する一方です。妙なところでここが財政硬直の原因だというようなことを盛んに松浦君あたりがPRしていますけれども、こういう問題を解決しておかなくて、いや人件費だとかなんとか、そんなようなところへ目をそらさせてはだめです。本当に地方財政を見直す、三木内閣がそう言うなら、まず自治省で調べたこの計数をはっきり解決する道を求めるべきです。どうですか。  私は決して無理を言っているつもりはないですよ。全国都道府県知事会議も全国市長会も言っている。いや、政治姿勢の問題だから……。何で答えないんですか。私は自治大臣に答弁を求めているんですよ、委員長。答えないということはないでしょう。政治的な問題なんですよ。計数のいろいろなことを松浦君に聞いているんじゃない。私はあなたに答弁を求めませんよ。
  109. 小山長規

    ○小山(長)委員長代理 財政局長からまず説明してください。
  110. 林百郎

    ○林(百)委員 政治的な判断ですよ。福田さんだって言っているんですよ。具体的なことは言いませんが、そういう超過負担が生じたことに対しては、全力を尽くして何とか善処はしなければいけないと思いますと言っているんですよ。それで私は、担当大臣である自治大臣に具体的な問題を聞いているわけです。
  111. 福田一

    ○福田(一)国務大臣 まず事務から説明をいたさせます。
  112. 林百郎

    ○林(百)委員 何を説明させるんですか。
  113. 松浦功

    ○松浦政府委員 私ども自治省としては、非常に超過負担の問題を心配いたしまして、大蔵省にも理解を得て、明年も調査をするつもりでございます。そういう姿勢をとるゆえんは、将来に向かって超過負担を出したくないという基本的な考え方でございます。それぞれ大臣からお答えがございましたように、事務手続が一切終了しておるものについて、過去にさかのぼってどうこうするという考え方は、現在のところないわけでございます。
  114. 林百郎

    ○林(百)委員 将来生じないような措置をとるのはあたりまえですよ。自治省の調査でも、過去にこういうように計数が出ているんだから、これをこのまま放置しておいて自治体に泣き寝入りさしてはいかぬじゃないか、いま地方自治体の財政が未曾有の危機に瀕しているんだから、これを何とか解決する処置をすべきではないか、これを聞いているんですよ。将来生じないようにするのはあたりまえなんで、将来とも超過負担が生ずるようなことを許しておこうというようなことを、あなた方も言いっこないですからね。これは政治姿勢としてどう考えますか。考えだけでもいいですよ、あなた、言ってください。
  115. 福田一

    ○福田(一)国務大臣 いま、将来に対してはわれわれは極力それが出ないようにすると言いますけれども、将来に対しても出ないとは言えないのですよ、この問題は。だれがやっても、物価の問題、予算を決定したとき、あるいはそれを交付したときの関係で、渡したときとの時間の差というものから見れば、これはある程度どうしても起こり得るものと考えておかなければならない。私は経済運営の問題から言えばそう考えております。  そこで、あなたは過去の問題についてのことを言われるのですけれども、過去の問題を取り上げていま処理しようとしても、たとえば、東京での物価がどうであったか、沖繩の物価がどうであったか、あるいはというようにいろいろなあれが出てきて……(林(百)委員「自治省が出しているんじゃないですか」と呼ぶ)いやいや、自治省が出しても、その公平な配分ができるかどうかという問題も考えなければいけない。私は、そういう問題も含めて、これは地方自治体が非常に財政的に困っておるというのであれば、いわゆる別途の方法、たとえば特交などである程度いままでも処理をしてきておると思う。だから、そういう意味で処理をするということであって、いまここで出たものを全部集めるとかなんとかいっても、非常にむずかしい問題である。そして行政行為をもう一遍やり直すということは、私は必ずしもこれからの行政をやっていく上でも適当でないと思います。したがって、将来に向かって極力それが出ないように努力をするということはお約束をいたしますが、過去の問題について、ここでどうするということについては、いまお約束はできません。
  116. 林百郎

    ○林(百)委員 そうすると、福田さんこうなんですか。もう超過負担を生ずるのはあたりまえだ、物価がこういう騰貴をし、インフレが進行する経済情勢のもとでは、超過負担が生ずるのはあたりまえですと、これは認めるのですか、あなた。さっきそう言っているでしょう。将来の問題でも超過負担が生じないとは言えません、こういう情勢では生じますと言っている。それでは三木内閣は、超過負担が生ずるのはあたりまえだと、こういう立場をとっているんですね。はっきりしなさいな。重大な問題ですよ。
  117. 福田一

    ○福田(一)国務大臣 私としては、先ほど来申し上げたところで、これ以上申し上げるつもりはございません。
  118. 林百郎

    ○林(百)委員 それでは大臣、それぞれ四十二年度、四十三年度、四十六年度の超過負担を調査して自治省で発表して、そしてそれに基づいて翌年はどういう措置をするということを決めておりますよ。これはあなた、どこがどうかめんどうだと言うけれども、この計数、たとえば四十二年に調査した四十一年度のは四百十一億、四十二年度のを四十三年に調査したら二百三十億、これは全国のを調べたトータルでしょう。それを、超過負担が出ているのだから、それを解消するために特別な措置をしてやる、特例の交付金で見てやるとか、そういうことは何も計数上めんどうなことではないわけでしょう。全国的なトータルというのは、各府県の超過負担を合併したものなんですから。どうなんですか。
  119. 福田一

    ○福田(一)国務大臣 私としては、いままで申し上げたたとおりでございます。
  120. 林百郎

    ○林(百)委員 じゃあ論議が進みませんから、私の方から提案をします。こういう方法をお考えになったらどうですか。とにかく過去の超過負担をそのまま、自治省の調査によっても数字が出ているわけですから、これが適正か、あるいは過小に評価されているかは問題があるにしてもこの超過負担の調査の委員会を設けて、少なくても過去五年ぐらいの超過負担、行政的な幅でも五年というものがありますから、五年を三年間ぐらいでこれを解消するための特例交付金でこれを埋めてやる。ずっとさかのぼれとは私は言いませんわ。五年間ぐらいのものは、犠牲になっている六団体も入れて、あるいは自治省、文部省あるいは建設省、厚生省を入れていいでしょう。あるいは学識経験者も入れて調査委員会をつくって調査をして、ああ、いままでこれだけの負担をかけていたんだな、これはこのまま捨ておいてはいけない、これはひとつ一定の期間に解消しよう、そのための特例交付金を見てやろう、こういう構想はどうですか。お考えになりませんか。何かあなた、にやにやして首ばかり回していますけれども、もっと真剣に考えてくださいよ、自治大臣。この問題は、地方自治にとっては本当に生きるか死ぬかの問題なんですよ。この私の構想についてどうお考えになりますか。
  121. 福田一

    ○福田(一)国務大臣 御案内のように、六団体で超過負担の問題で一つのあれをつくっておりますが、私は、こういうところへ自治省も参加して、そして今後この超過負担が極力出ないように努力するということについては賛成でございます。
  122. 林百郎

    ○林(百)委員 私は問題を二つに分けて考えているので、過去に生じて、それが大きな地方自治体の財政の負担になっているものの解決の方法として、少なくとも五年ぐらいはさかのぼって調査をして、そして生じたものを三年間ぐらいで解消してやるための特例交付金を出すべきではないか。あるいは、そういう過去の累積の超過負担があるとするならば、とりあえずことしは三千億なら三千億の特例交付金で過去の超過負担解消の一つの埋め合わせにする、そういうような構想は考えられませんか。そしてこのことは地方自治体で、田無でも国立でも八王子でも、この私の提案をみんな満場一致で議決しているんですよ。地方自治体はみんなそういうことを望んでいるんですよ。それをお考えになる意思はありませんか。地方議会でも地方自治体でも、ぜひそうしてもらいたいと望んでいる。それから第十六次の地方制度調査会でも、超過負担が生じないような万全な措置をされたい、こう言っているわけです。  だから、自治大臣として、それはあなたも大蔵省とも交渉しなければならないでしょう。それから単価については、建設省や、あるいは文教施設について文部大臣とも交渉しなければならない。それはあなたの立場は私はわからないわけじゃないですよ。しかし、いま地方自治体がしょっているこの困難な財政的な問題を解決するために、少なくとも自治大臣としてはこう考えています、しかしこういうところに問題がありますので、なかなか思うようにいきませんと言うならまだわかりますよ。あなたが一番この問題について冷淡なような顔をしているから――まあ顔つきのことは言いませんけれども、冷淡のような答弁をされているから、それでは地方自治体はあなたを信頼しないじゃないか、こう思うんですよ。どうですか。顔では判断しませんがね。答弁の内容で……。
  123. 福田一

    ○福田(一)国務大臣 私はやはり、行政行為のやったことを過去にさかのぼっていろいろ見直すという、これは一つの例にもなってくると思いますがね。実際問題として、これくらいのことであるから、ひとつぜひこれだけをしてもらいたいと言って、地方自治体がそのときに申請してきたときには、それは自治体の意見だったわけですね。そのとおりにこちらは出しておるわけなんです。それをまた、やってみたら足りなかったからその分は出してくれ、こういうことになっているわけなんです、実際問題は。そうでしょう。申請するときには、足りないと思うけれどもこれだけで結構である、こう言って出しているわけじゃない、そのときにはやはり、これで十分間に合わせますからひとつこの仕事を認めてもらいたい、こう言って出てくるから、ああ、それならば結構ですと言って認めておるわけなんです。だから、それをもう一度見直すということは、これは非常に困難である。しかし私は、そういう見直しとかなんとかは別問題にしても、将来の問題にわたっては、これはおっしゃる気持ちは非常によくわかるわけです。極力その差を少なくする。たとえば申請を出すときに、その誤差がないように極力われわれも協力をしていくということについては、これは私はあなたのおっしゃることにも賛成しますけれども、過去には、これで十分できます、だから補助金を出してくれ、これだけのことをやってくれということを言って各地方自治体から出してこられた。そしてそれを、それならば結構であると言って認めておるのに、もう一遍これを見直すということは、われわれとしては困難だと思っております。
  124. 林百郎

    ○林(百)委員 申請したときこういう額にしたということは、補助単価を政府が決めるわけでしょう。しかもその補助単価を決めるときは、たとえばことしの補助単価は、昨年の十二月あたりの経済指数を根拠にして決めておるわけなんですよ。ところが、今日のようにこういうギャロップの状態で、駆け足でインフレが進行する、物価が上がっていくという状態では、おまえは三月に申請したんだから九月になって赤字が出たってしょうがないなんということは、全く国の責任を逃れておることじゃないですか。国の政策によってインフレが加速度的に進行し、外国に例を見ないような物価の上昇をしているときに、おまえは最初に申請した額だけもらっているんだから文句を言わなんでもいいだろうなんて言えますか。だから先ほど福田さんが、私も四十八年度に調べてみました、こう言っているんですよ。そして、十分か不十分かは別として、四十九年度に手を打った。やはり物価が高騰するときには一応見直してみるわけなんですよ。だから、あなたみたいに、四月に申請したからいいということは通らないのじゃないですか。  建設大臣にお聞きしますがね。建設大臣いませんか。――それでは、ことしの補助単価はいつを基準にして決められていますか。――建設大臣を至急呼んでください。呼んであるはずですよ。
  125. 小山長規

    ○小山(長)委員長代理 建設大臣の要求はありません。
  126. 林百郎

    ○林(百)委員 では、至急呼んでください。
  127. 小山長規

    ○小山(長)委員長代理 建設大臣の都合を聞きます。
  128. 福田一

    ○福田(一)国務大臣 この超過負担の問題というのはいろいろのことがあるわけです。これが起きた一つの大きな原因は、いまあなたが言われたように、確かに申請を出したときのことでありますけれども、たとえば学校を二つつくるか三つつくるかというのは、それぞれの地方自治体あるいは府県において、これはどうしても三つつくってもらいたい。国の予算でなかなかそこまでめんどう見れない場合でも、よけいつくるような申請が出てくるということになりまして、そこいらにもひとつ――実際は成長しつつある国の経済あるいは地方自治体、これに対するわれわれの行政態度といいますか、補助態度といいますか、そういうこともありまして、もうとにかく地方自治体では、それは三つは無理だと言っても、建設省はぜひ四つつくるようにしてくれということで、こう言ってくると、どうしてもそこに、金はそれだけはなかなか出せないしという面も一つはあるんです。そういうことも加わってこの超過負担の問題はいままで出てきておると思うのであります。  ところが、今日においては、もうそういう事態もほとんど解消して、学校でも何でもすべて大体できてきておりますから、今後の問題については、そういうことなしに、建設省においても厚生省においても、できるだけ実態に合わせるという努力をすることができるようになったと私は思っております。これは私は、日本の経済がそこまで伸びてきたおかげだと思っておるのであります。しかし、いまこれを過去の問題にまでさかのぼって処理することはわれわれとしては困難だ、こう考えておるわけであります。御了承願いたいと思います。
  129. 小山長規

    ○小山(長)委員長代理 林君に申し上げますが、建設大臣は建設委員会に出席中でございますので……。
  130. 林百郎

    ○林(百)委員 それでは、事務当局でいいですから。建設単価の問題について聞きたいと思うのです。わかる人をだれか呼んでください。  建設大臣がいないので、文部大臣と厚生大臣にお聞きしますが、ことしの建設単価、これはいつを基準にしてお決めになって――それは昨年の十二月の補正予算で改定していますが、その改定後に比べて何%アップしていますか。
  131. 永井道雄

    ○永井国務大臣 単価でございますが、これは先ほどから話が出ておりますように、一昨年以来の物価の異常な高騰がありましたから、昨年の六月、七月の間に大蔵省、文部省、自治省協力いたしまして、昭和四十八年度国庫補助事業についての建物単価の実態調査をいたしました。そしてこの結果に基づいてアップになったわけですが、二一・六%増。いま私は例を小中学校の鉄筋の校舎にとったわけでございますが、そうなっております。
  132. 林百郎

    ○林(百)委員 そうしますと、鉄筋でなくて、文教の平均は、昨年の十二月の改定後に対して幾らアップしていますか。
  133. 永井道雄

    ○永井国務大臣 それは政府委員からお答えいたします。
  134. 今村武俊

    ○今村(武)政府委員 公立文教施設の平均については、いま資料がございません。鉄筋、鉄骨、木造についてそれぞれ資料がございますが、小中学校校舎……(林(百)委員「去年の暮れの改定後と比較して」と呼ぶ)はい。去年の補正予算後に比べますと、小中学校の鉄筋で、去年の補正のときは七万五千円でございまして、昭和五十年度の当初の予算単価が八万一千四百円でございますから、その比率は八・五%の増でございます。
  135. 林百郎

    ○林(百)委員 文部大臣、よく聞いておいてください。八・五ですよ。  保育所はどうですか。
  136. 田中正巳

    ○田中国務大臣 物によって違いますが、典型的なもの、これは八・四%程度というふうに承っております。
  137. 林百郎

    ○林(百)委員 文部大臣、二一・六というのは鉄筋で特殊な例かもしれませんが、平均すれば八・六なんですよ。
  138. 永井道雄

    ○永井国務大臣 私が申し上げました数字は四十九年度内の数字でございますから、そこに違いがあった。それをちょっとつけ加えさせていただきます。
  139. 林百郎

    ○林(百)委員 昨年の暮れに単価改定をしていますから、それに比べて幾らか。文教が八・六、保育所が八・四。建設大臣がいないから残念ですが、公営住宅は八・九%ですよ。ところが、政府の経済見通しは、ことしの三月、年度末までは一五%ぐらいに抑えておきたい、来年度の年度末までには一けたにしたい。なるかならないかは別ですよ。そうしますと、八・六%アップでは、これは初めから超過負担が出る単価ではないですか。こういうものを決めておくのだから、超過負担が出るのは初めからわかっておるのですよ。  建設でだれか呼んでくれましたか。
  140. 小山長規

    ○小山(長)委員長代理 建設大臣は要求がありませんから。いま都合を聞いております。
  141. 福田赳夫

    ○福田(赳)国務大臣 私はいま、単価の詳しいことは存じませんけれども、八・六の上昇を見ておると言うのですが、政府の経済見通しでは卸売物価の指数は七・七の上昇、こういうふうに見ておるわけです。建築の中で一番大きな要素は、何といっても鉄材ですね。これなんかは、一昨年の十一月ごろ、あの狂乱の時期には一トン十一万円から十二万円しておったわけです。それが今日は五万円がらみ、こういうことになっておるわけでありまして、建築関係の資材なんかはいつときに比べるとかなり下落をしている。いま申し上げました卸売物価指数というのは、建築以外のものも含めての総合でございますが、それが七・七、こう、いう状況でありますので、大観いたしまして、八・一の上昇というふうに見ておりますのは、かなりゆとりのある見方をしているんじゃないか、私はそういうふうな感じがします。
  142. 林百郎

    ○林(百)委員 その七・幾らというのは卸売物価でしょう。消費者物価がどうなるかもわかりませんし、平均してどうなるかもわかりません。それはあなたの見通し、希望ですわね。しかし、いまの実情から言ってそこにおさまるかどうかは問題なんですよ。  それで、聞きますが、これはいつを基準にして八・六、八・四にされたのか、文部省と厚生省にお聞きしたいのです。
  143. 今村武俊

    ○今村(武)政府委員 前年度の補正予算に対する五十年度の単価のアップ率八・五%の算定に当たりましては、過去三カ年間における当初単価構成比、その上昇率の三カ年間の平均をとったわけでございます。
  144. 上村一

    ○上村政府委員 保育所につきましても、文教と同じように、四十四-四十七年における平均建築単価の上昇率に準じて見込みを立てた、こういうふうに扱っております。
  145. 林百郎

    ○林(百)委員 これは全国市長会の調査によりますと、校舎の一平米当たり八万幾らですね。これではできない。実施単価は九万だ。だからどうしても単価差として一万のものが出てくる。公営住宅は七万六千幾らに決まりましたが、これも実施単価が七万幾ら、本年度の補助決定単価が六万四千円で、これも五千五百三十六円の超過負担が出る、こういう指数を全国市長会では出しております。  そこで、自治大臣にお聞きしますが、あなたは将来生じないような措置だけはする、こう言いましたね。それは具体的にどういうようにおやりになるつもりなんですか。たとえば、五十年度に超過負担を生じさせない、それは具体的にはどうなさるつもりですか。
  146. 福田一

    ○福田(一)国務大臣 先ほども申し上げたつもりでございますが、極力それが出ないように努力をいたしますということを申し上げたわけであります。そこが非常に問題が分かれるところだと思うのですが、いま言ったように、これは経済の見通し等についても、あなた方から言われれば、もっと上がるだろうと見通されるかもしれない。そうなれば、もう当然今年度の予算の内容についても考え直さなければならぬじゃないかという問題も出てくるでしょう。それはまたそれの一つの問題としても、実際にやってみた場合に、果たしてそうなるかどうかということについては、われわれとしては、極力いろいろの調査だとか勉強をしたり、あるいは世界の経済情勢を考えたり、いろんなことを勘案して、やはり卸売物価は七・幾つになるであろうという推定――これは推定なんですよ。努力目標であって確定ではないのですね。だから私は、やはり今後学校とか保育所とか、そういうものを建てるというような場合において、絶対に超過負担が出ない、ちゃんとやれるということをお約束はできない。しかし極力それがないように努力をいたしますということを申し上げておる。それには、地方団体の皆さんの御意見もひとつ十分聞かせていただいて、そしてそれをもとにして、たとえば厚生省や建設省とも話をし、また大蔵省にも要望して、そしてその実現をしたい、こういうことを申し上げておるわけであります。
  147. 林百郎

    ○林(百)委員 そんな抽象論を聞いているんじゃなくて、いまわれわれが審議しているこの五十年度予算の中で、地方自治体の超過負担が出たら、それを解消するとか、出ないようにするとか、そういう具体的な措置を本年度はどうするつもりですかと聞いているのですよ。そんな一般論を聞いているわけじゃない。
  148. 福田一

    ○福田(一)国務大臣 本年度分についてわれわれとしては努力をいたします、こういうことを申し上げておるのです。それがうまくいかなかったときどうするかということは、これからまた勉強させていただきたいと思います。
  149. 林百郎

    ○林(百)委員 どういう努力をなさるのですか。たとえばもし物価が政府の見通しょりも上がったという場合には、スライドして単価アップする、五十年度の年度内にそういう措置をなさる考えはあるのですか。
  150. 福田一

    ○福田(一)国務大臣 そういうことになると、これは大蔵大臣がどういうふうに財政を運営していくかという問題であって、私だけでお答えすることはできないと思います。
  151. 林百郎

    ○林(百)委員 大蔵大臣の考えだそうですが、大蔵大臣、どうですか。五十年度中に、いろいろ調べてみたら物価の見通しが政府の見通しと違ってきた、したがって当初決めた単価では超過負担が生ずることは明らかだ、そういう場合には、物価の値上がりとスライドして超過負担を生じないような措置をする、こういう処置をしなければ超過負担が出てしまって、過去はもう片づけないと言うから、来年にいけば片づけられなくなってしまうんだから、どうしても今年度内に片づけていかなければいかぬわけでしょう。大蔵大臣、どうなんですか。
  152. 大平正芳

    ○大平国務大臣 御案内のように、ことしの予算におきまして、事業費にいたしまして二千八百四十八億、国費にいたしまして千八百五十九億の、四十九年度の実態調査をもとにいたしました超過負担の解消の計画を立てておるわけでございまして、私どもは、この計画によりまして、ことしの事業が御不満なく実行できることを期待いたしております。  もう一つ、いままで、林さんも御承知のように、四十二年度に実態調査をしたものをそれ以後の年度で実行してまいり、四十七年度に実態調査したものを四十八、九でやり、四十九年度の調査によるものを四十九年度の補正予算から五十年度にかけて解消の措置を講じておるわけでございます。五十年度におきましても、われわれは実態調査をやるつもりでおるわけでございます。それだけをいまの段階ではお答えできると思います。
  153. 林百郎

    ○林(百)委員 大平さん、五十年度に調査をして超過負担が出ているということはわかっても、いままでの自治省のやり方は、いわゆる皆さんのやり方は、それを材料にして五十一年度には生じないような措置をしている。五十年度に出ていることがわかっていても、それは見過ごされていってしまうわけですよ。だからそれではだめだ。さっきの自治大臣の御答弁をあなた聞いておられたように、そうなってみんな見過ごされてしまうんだから、過去の行政措置については見直しはいたしませんと言っているんだから、そうなれば、五十年度中に調べて、五十年度中に超過負担が生じているならば、その年に処理するきりしょうがないわけですよ。だから、もし政府の経済見通しやいろいろなものが政府の言うとおりにならなくて、超過負担が明らかに出るというような場合はそうしますかと聞いている。現に建設省の直営の道路だとか港湾の方はやっているんですよ。産業基盤整備の方には、超過負担が出ないようなそういう措置をやっていながら、文教だとか福祉だとか、あるいは住宅だとか、そういう生活基盤の方には超過負担が出てもやむを得ないような措置をやっていくということは、地方財政を産業基盤の方へ導入するためのてこに使っていることになってしまうんですよ、大蔵大臣。だから、五十年度に出ているということがわかったら、五十年度中に処置していかなければしょうがないのですよ。それはどうお考えになるのですか。
  154. 大平正芳

    ○大平国務大臣 四十八年度までは、前年度に実態調査をいたしましたことをベースにいたしまして、翌年度からその解消措置を予算化してまいったわけでございます。ところが御案内のように、今年度の補正予算で、事業費千二百五億、国費にいたしまして六百三十九億、今年度の実態調査いたしましたことによる超過負担の解消額を補正予算で実行いたしたわけでございます。あなたの質問は、それでは五十年度でこういう事態が生じて、五十年度の補正予算を考えるかということだろうと思うのでございますが、私といたしましては、いま五十年度の本予算の御審議をいただいて、これを早く成立させていただきたいと願っておるわけでございまして、これによりまして、今年度補正予算を考えることなく、中央、地方を通じて円滑に財政の運営をやらしていただきたいと念願いたしておりますので、ただいま補正予算については全然考えておりません。
  155. 林百郎

    ○林(百)委員 そうすると、五十年度に仮に超過負担が出たとしても――私は、いつも政府の経済見通しが食い違っているから、ことしが政府の経済見通しのとおりにいくとは考えられないんですよ。だから私は、仮定とは言いますけれども、相当現実性のあるものですよ。五十年度に超過負担が生ずるようなことがあれば、五十年度にそれを直ちに手を打つ。これは、あなたがいま大蔵大臣として当初予算についてそういう熱意を持っていることはわかるけれども、もしそういう事態が生じた場合には、そういうことを考えられるかどうか、こういうことを聞いているのですよ。
  156. 大平正芳

    ○大平国務大臣 そのために政府といたしましては、経済の運営について真剣に努力をいたしておるわけでございまして、あなたが言われるような事態が起こらないようにやってまいらなければいかぬと考えております。
  157. 林百郎

    ○林(百)委員 自治大臣どう考えますか。五十年度のものは五十年度に処置しなければ、あなたの言うとおりになると、翌年にいくと、もうそのまま捨ておかれちゃうんですね。
  158. 福田一

    ○福田(一)国務大臣 私は閣僚の一員ですから、大蔵大臣のおっしゃったことに、それ以上申し上げることは差し控えます。  しかし、自治省と大蔵省の立場はいささか違う面もありますから、私としては、そういう場合においては、また考慮をさしていただかなければならない、こう考えております。いまのところでは、いま出しておる予算で十分に処置ができるという信念に基づいて、私も閣議で判を押しておるのですから、いま違った意見を申し上げるというわけにはいきません。
  159. 林百郎

    ○林(百)委員 若干ニュアンスが違って、自治大臣の方は何とかしなければならないという意図がほの見えてはいますが、具体的な措置は何にも見えてない。要するに、いま地方自治体が非常に困っている超過負担について、三木内閣は、結局真剣に考えていないということがはっきりしましたよ。もうこれ以上、あなた方とこの問題を幾ら論議していても限りがない。――何か文部大臣あるのですか。
  160. 永井道雄

    ○永井国務大臣 ただいまの超過負担の問題、大変重要なことでありまして、林先生がおっしゃいましたのは、時系列、つまり時間的に物価高騰の見通しというものと積算基準が違っている場合の質問でございます。  これはこれとして一つの問題ですが、もう一つは、先ほどから建築単価の話が出ましたが、それはまた地域によって価格が違うというような問題がございますから、時系列とは一応別個といたしまして、われわれが、これまでもやってきておりますし、やろうとしていることを申し上げておきたいと思います。  それは要するに、配分に当たって、平均単価というものがございますけれども、しかしながら、全国の事情をよく考慮いたしまして、上下の格差をつけて配分するということでございます。特に具体的に申し上げますと、先ほど御指摘がございましたように、地域によって高額の契約単価になっている場合があります。そうすると、その高額の契約単価というものをいろいろな角度から分析しなければなりませんが、そういう分析の方法というものも、特にいま学校の建設が重要でございますから、いろいろ検討いたしております。少なくも三点、その分析の角度があると思いますが、一つは、予算単価の積算に織り込んでいない部門というものが含まれているときにどうするか、もう一つは、標準的なものより進んだものが織り込まれているときにどうするか、さらにまた、たとえば配電設備などが行われる場合に、新規の建物と既設の建物にかかわる部門が含まれている場合どうするか、こういうふうなものを一つ一つ検討いたしまして、そうして、建築単価というものは基準でございますけれども、配分に当たっては上下の格差というものをつけて、そして現実の状況を考慮して、地方自治体においてでき得る限りスムーズに学校がつくられていくように、かように考えている次第でございますので、御了承願います。
  161. 大平正芳

    ○大平国務大臣 超過負担の解消について三木内閣は大変冷淡で、やる気持ちもないという、非常に断定的な評価をいただいたのでございますけれども、先ほど私が申し上げましたように、四十二年以来何回かにわたりまして実態調査をいたしました結果は、翌年度からその解消措置を講ずることにいたしておりましたのを、四十九年度から、当年度から始めることにいたしましたのは三木内閣であるということだけは、ひとつ間違いなく御記憶をいただきたいと思います。
  162. 林百郎

    ○林(百)委員 大平さん、四十八年度の調査に基づいて四十九年度の手を打ったんですよ。四十九年度はまだ決算がありませんから、私の言うように、年度の途中でもスライド制で調査すれば手を打ったことになりますが、四十九年度特別の手を打ったわけじゃないのですよ。ただ、前の年に調べたのを翌年にやった。年度間が短くなったというだけで、本質は変わっていないのですよ。(大平国務大臣「前進している……」と呼ぶ)前進だなんて、二年が一年になったと言えば、そうかもしれません。  次の問題に移ります。  その次に、やはり地方財政を大きく圧迫している一つとして、租税特別措置によって、当然地方自治体が取り得る地方税あるいは所得税あるいは事業税等が取れないという問題、それから租税特別措置によって法人税が減縮されますから、いろいろの引当金だとか準備金だとか損金で落とされてしまいますからね。そのために三二%の交付税が減らされるという問題があるわけです。  これは政府も出しておりますので、自治省に聞きますが、最近五ヵ年間で、この租税特別措置によって、そのはね返りによって――租税特別措置がないとすれば地方自治体の財政に繰り込まれるべき金額はどういうようになっておりますか。四十五年から四十九年までの数字を出していただきたい。
  163. 首藤堯

    ○首藤政府委員 ただいま御指摘をいただきました、租税特別措置に関連をいたします地方税の減収関係でございますが、ただいま五年分全部をちょっと持ってまいっておりませんが、昭和四十九年度の例で申し上げますと、国税の減収に伴いまして地方税に影響が出ておりますのが約千四百億、それから国税三税の三二%ということで地方交付税を仮に計算をいたしますと千五百九十億余り、こういう数字に相なります。合計して二千九百億ほどに相なります。
  164. 林百郎

    ○林(百)委員 私の方が自治省へ問い合わせて――あなたは、私の方へ言う数字がここでどうして言えないのですか。私の方が自治省へ問い合わせた数字だと、租税特別措置によってはね返ってくる地方自治体の減免の額は、四十五年に二千六百八十億円、四十六年に三千十億円、四十七年に三千二百十九億円、四十八年に三千二百四十二億円、四十九年に三千四百九十四億円、合わせて一兆五千六百四十五億円という数字が出ている。四十九年度の数字ばかり出して、自治省は四十九年度の数字が出されるなら、当然その前のすでに決算されている四十五、四十六、四十七、四十八と出せるはずでしょう。なぜここで出さないのですか。数字が大きくなるからと遠慮しているのですか。自治省がそういう態度では、地方自治体の財政なんか守れませんよ。五年間のを出してください。
  165. 首藤堯

    ○首藤政府委員 ただいま御指摘をいただきましたように、五年間の数字はもちろんあるわけでございますが、ただいまここに持ってまいっておりませんので、四十九年度の分をお答えを申し上げたわけでございます。
  166. 林百郎

    ○林(百)委員 これは、自治省にも大蔵省にも私は言っておいたのですよ。租税特別措置のはね返りによって地方自治体が――もしこの措置がない場合は地方自治体の財政はどういうようになるかと、そういう数字をちゃんと五年間にわたって出してきなさいと。そうして、私の方はちゃんと問い合わせて、私の方が数字を持っているのに、あなたの方がきょうここで言えないというのはおかしいのです。  それではお尋ねしますが、これは大蔵省でいいのですが、租税特別措置が講じられた結果、いわゆる欠損法人として、法人税も出さなければ、あるいは地方税としての法人割りも出さなければ、あるいは事業税も出さない、この法人が十億円以上の法人の何%、一億円以上の法人の何%ですか。これは大蔵省わかるでしょう。大蔵省わからなかったら、自治省。
  167. 旦弘昌

    ○旦政府委員 ただいま資料を調査いたしまして、御回答いたしたいと思います。
  168. 林百郎

    ○林(百)委員 委員長、これは困るのですよ。私の方はきのうちゃんと言ってあるのですよ。それでは、私はこの質問の時間はもらいますよ。私の方だってわかっているのですよ、いいですか。一億円以上の……
  169. 小山長規

    ○小山(長)委員長代理 ちょっと旦審議官、いつまでにその資料を出せるの。
  170. 旦弘昌

    ○旦政府委員 すぐに出せます。
  171. 小山長規

    ○小山(長)委員長代理 数分以内にか――それでは数分以内に出させます。
  172. 林百郎

    ○林(百)委員 私の質問が終わるまでに出なければ留保しておきますから、また理事会で相談してください、これは大事なことですから。  私の方の調査した数字がありますから、念のために言います。  資本金一億円以上の法人は、全国で十万九千四百六十あります。そのうち欠損法人となっているのは三万五千四百六十四で三二・四%です。一億から十億以上の会社数は二千九百二十三で、そのうち欠損法人となっているのは五百六十六で一九・三六%、十億以上の会社は千三十五会社で、そのうち欠損法人が百四十九なんです。これは一四・六%ですね。大蔵大臣、聞いておいていただきたい。大体資本金十億以上というのが、常識から考えて、これがどうですか、税金は住民均等割りの三千円か四千円で済ましているのですよ、資本金十億以上の会社が。そういうことが社会的公正上考えられますか。これはみんな租税特別措置で、たとえば退職引当金とか、中には、人がやめた場合の退職引当金として、五割もごっそり落としてあるとか、あるいは貸し倒れ準備金だとか、いろいろある、あなたの方が専門だがね。いろいろな形で落としてしまうのですよ。実際は所得があり、利益が上がるのに、租税特別措置によって欠損法人になって、そしていまも言うように、五年間で、私の方の計算、これはおそらく大蔵省も持っておると思いますが、約一兆近くの自治体への財政的な負担を、減収をかけている。いま私の申しましたのは、これは大阪府だけです。これは大阪府の方に私が問い合わせた数字ですから、大阪府だけでこうなんですから、全国で言えばもっと大きな数字になるわけです。  たとえば、例を挙げて言いますと、どう考えても、これが三千円か四千円の住民均等割りでいいと考えられないようなのは、資本金四百三十三億の川崎重工、資本金三百八十億のいすゞ自動車、資本金二十億の出光石油化学、資本金四十億の日本アンモニア株式会社、まあそれは会社によっていろいろ事情があると思いますが、こういう会社が、大蔵大臣、住民税の三千円か四千円でいいことになっておるのです。それは租税特別措置によって、みんな損金を落とすことができるからなんです。だからこういう国策によって、もし租税特別措置によってそういうことをおやりになるとするならば、これによってこうむる自治体の損害を、政策的に埋めてやるのが当然じゃないですか。これは大蔵大臣どうお考えになりますか、自治大臣どうお考えになりますか。それもやらなくて、社会的不公正を是正するなんて口で言ったって、信ずることはできません。少なくとも、自治体の立場に立ったって、これは言えないことですよ。どうお考えになります。大蔵大臣どうですか。
  173. 大平正芳

    ○大平国務大臣 租税特別措置法は、御案内のように、貯蓄の奨励でございますとか、環境の改善とか、地域開発とか、資源開発とか、技術の振興でございますとか、いわばもろもろの政策的目的のために、税が持っておりますところの抑止的な機能あるいは誘導的な機能を活用するという制度でございまして、これは以前からずっとあるわけでございます。  で、この制度、税は、そういう政策的な機能を税に付加すべきであるかないかという、確かに立法政策上の問題は私はあろうかと思いますけれども、わが国におきまして、戦後の復興に当たりましてこういった制度がとられて今日まで続いておるわけでございます。しかしこれがもう政策的な機能が退化してまいりまして、慢性化する、あるいは既得権化するというようなことになりますと、これは許せませんので、これは漸次改廃していかなければならぬわけでございまして、林先生も御承知のように、毎年毎年これは見直しをやりまして、逐次改廃をいたしておりますことは御案内のとおりでございます。そういったことを一応前提といたしまして、いまの地方交付税制度ができておると、私は思っておるわけでございまして、そういうことを抜きにして、純粋に地方交付税制度ができた、したがって、何か地方におきまして三税の収入に影響があるというようなことが起こったならば、直ちに地方にこれを補てんしなければならないというように、私は必ずしも考えるべきじゃないじゃないか。しかしそれは程度の問題でございまして、いかにもこれは地方にとりまして看過できない、黙視することができないという程度のものでございますならば、当然これはあなたのおっしゃるようなことを考えなければいかぬと思いますけれども、今日までの経過を私ずっと見てみまして、またこの租税特別措置法による減収額の推移を見てみますと、あなたがおっしゃるように、直ちにこれでもって対地方補てん措置を講ずる必要があるかということに対して、私は消極的に考えております。
  174. 林百郎

    ○林(百)委員 あなたは自治体の実情がおわかりにならないかもしれませんが、資本金何百億とか何十億というような企業がその自治体にありますれば、そこから公害も生じますし、そこで働いている人の住宅も考えなければならないし、そこの取りつけ道路もやらなければならないし、自治体は大変な負担になるのですよ。いま私も例を挙げましたね、そんな資本金十億だとか何百億というような企業が、そういう莫大な負担を地方自治体にかけていながら、それが租税特別措置によって、三千円か四千円の住民均等割りだけで済ましているなんということは、全くこれは社会的不公正じゃないですか。だから、あなたが国策で大企業をそういうように守っていきたいとお考えになるならば、そういう国策をおとりになるならば、少なくとも地方自治体への法人住民税だとかあるいは事業税だとか、あるいは所得税だとか、こういうものに対しては遮断をするように、現にいまだってあるでしょう。地方税法の七十四条の十四項にあるわけでしょう。     〔小山(長)委員長代理退席、委員長着席〕 配当割りやあるいは剰余金の分配については、これを所得の中に繰り入れるという制度もあるのですから、それをもっと拡大をして、そういう地上自治体に大きな負担をかけている大企業が、租税特別措置によっていろいろの損金を落とすことができることによって、そこの法人住民税も払わない、事業税も払わない、均等割りの三千円か四千円で済ましているというようなことを是正される、遮断していく、そういうことを積極的にお考えになりませんか。  それで、先ほど私が大阪の例を挙げましたが、これは全国の例で言いますと、十億以上の大法人の二二%が、欠損法人として住民均等割りだけで済ましている。一億以上の法人の三〇%が欠損法人で三千円か四千円しか払っていないのですよ。だから、あなたが国の方でそうお考えになるならば、地方自治体の方へその財政的なしわ寄せが行かないような措置を講ぜられる、これは大事じゃないですか。  たとえば、こういう例もあるのです。国策として所得税を大幅に――われわれから見れば大幅と思いませんけれども、ある程度課税最低限を引き上げた場合に、それによって地方財政に影響を及ぼすという場合には、特例交付金を出すというような措置をしたことが前にあるわけですよ。だから、国策でそういうことをなさるならば、その国策によってむしろ迷惑をこうむっている自治体に対しては、国の方が遮断の措置をとる、あるいは特例交付金を出すとか、こういうことをお考えになれませんか。そうでなければ、これを大蔵大臣は御存じかどうか知りませんけれども、いま地方自治体の実情から申しますと、これはだれでも知っていることなんですが、たとえば学校でいまプレハブの教室が四千百二十一もあるのですよ。前年に比べて七百五十七教室もふえている。ここは、夏は暑くて蒸しぶろみたいなんです。冬はストーブだけあるけれども、危なかったり予算がないということで、重油をたかないという学校があるのですよ。これは私の身内が行っているからわかる。職員室だけには重油をたいている、ストーブが入っている。こういうところで、幼い子供がもう責め苦の状態に陥っているわけです。小学校の危険校舎の率は三一・五%、校舎の腐食比率は三五・七%です。保育所へはなかなか入れないものですから、私立の保育所に一人子供を出せば、いま二万かかるのですよ。二人の子供を出して共かせぎすれば、四万もかかるのですよ。夫婦共かせぎしても、奥さんのかせいでいる金は、子供の保育所の費用にかかっちゃうのですよ。公営住宅に至っては、横浜の洋光台の公団住宅の分譲が実に千四百倍なんですよ。  地方自治体がこう苦しんでいるときに、何百万という資本を持って、そこで企業をやっている者が、租税特別措置があるからといって、三千円か四千円の地方税だけでまけておくということが、社会的不公正とお考えになりませんか、あなた。  これを直せないようだったら、社会的不公正を直すなんてことは、私は言えないと思うのですよ。どうお考えになりますか。自治大臣、どうですか。地方税法の七十二条の十四をもう少し拡大したら  いいじゃないですか。あるいは前に所得税の最低限を引き上げたときに、特例交付金を出した例もあるのですから、あなたもう少し積極的な態度をとらなかったらだめですよ。大蔵大臣は値切ることばかり考えているんだから、あなたが積極的にやらなければだめですよ。
  175. 福田一

    ○福田(一)国務大臣 私としては、特別措置の特例は、これは必要なものももちろんありますけれども、御趣旨のような意味で、是正すべきものがあれば、是正することに努力することは当然のことだと思っております。
  176. 林百郎

    ○林(百)委員 抽象的な答弁ですが、もう少し厳密に検討されて、このために地方自治体に財政的な不当な圧迫が来るというような場合には、それを遮断するとかあるいは特例交付金で見てやるとか、こういった措置をもっと具体的にあなたからぜひ検討してもらいたいと思うのです。  福田さんどうですか、あなたは副総理として。私はいま三木内閣の地方自治体に対する政治姿勢を問うているわけです。どう考えても、いまの地方自治体の財政的な危機に対して、三木内閣の姿勢は、私は全く冷淡であると言わざるを得ないわけですが、少なくともいま言った、租税特別措置によって地方自治体が不当な財政的なしわ寄せを受ける場合には、それを遮断するような措置、現に一部あるのですよ、地方税法七十二条の十四でやっているわけですから。それを検討するというような考えをお持ちになりませんか。
  177. 福田赳夫

    ○福田(赳)国務大臣 租税特別措置につきましては、これは国の税制として必要がなくなるというものにつきましては、これはだんだんだんだん整理していくべきものである、そういうふうに考えており、ことに世界情勢、国内の経済の様相が今後一変してきますから、それに照らし合わせて、根本的な整理が必要である、こういうふうに考えますが、それに応じて地方の方に大きな影響が来る、こういうふうに考えております。それが第一点です。  それから、そういう中央の税制の改正に至るまでの間において、地方については特例措置を認めないという考え方を打ち出すかどうかという問題、これは税制の意図する問題一つ一つについて、みんな趣旨が違うわけでありますから、ケース・バイ・ケースで判断すべき問題である、こういうふうに私は考えます。
  178. 林百郎

    ○林(百)委員 そういう方向で、ケース・バイ・ケースで考えて、その租税特別措置によって地方自治体の財政にはなはだしい影響を及ぼすような場合には、それを遮断するような方向を検討なさるというお気持ちはあるのですか。検討する必要はないというのですか。
  179. 福田赳夫

    ○福田(赳)国務大臣 これは、なかなかここでお答えするのはむずかしい問題で、検討するあるいは検討しないということは申し上げませんけれども、私が申し上げましたような、そういうケース・バイ・ケースで検討すべき問題である、こういう見解を申し上げておるわけであります。
  180. 林百郎

    ○林(百)委員 副総理ですからね。一般質問で総理大臣がいませんから、三木内閣の自治体に対する政治姿勢を、あなたが代表して言われるわけなんですから、そういう、何かわかったようなわからないような、前向きで取り組むのか取り組まないのかわからないような、明らかに社会的な不公正で、子供二人保育所にやるのに四万円もかかって、そういう人が勤労所得税を出しておるのに、大企業がわずか均等割りの三千円か四千円でいいというような形は、地方自治体の財政から遮断させるような、欠損法人として、引当金を損金として落としていくとか、あるいはそういう欠損法人にするようないろいろな租税特別措置を遮断していくような方法を、前向きに検討するかどうかということについて、これに取り組まないということになれば、社会的不公正を是正するということにならぬじゃないですか、少なくとも地方自治体に関しては。だから、それを少なくとも前向きに検討するくらいのことを言えなかったら、これはもうあなた方が、地方自治体の財政を真剣に考えるとか、あるいは社会的不公正を是正するとは、私たちは評価できないわけなんですよ。それでいいというならいいですよ、あなたそう思うなら、そのとおりですと頭を下げているから。じゃそういうことでいいですか。
  181. 福田赳夫

    ○福田(赳)国務大臣 特別措置は、特別措置を設けました理由があるわけなんです。その理由に照らして、地方税の方は適用しない、こういうところまで踏み切りができるかできないか、国税だけにとどめておくということにすることが妥当であるか、こういう判断をしてみて、そして国税だけで特別措置を設けた趣旨は貫徹されるであろうというようなものにつきましては、遮断をする、こういうことを考え得る問題である、こういうことでございますので、なおそういうケースがあるかどうかということは、関係各省で調べてみる、こういうことで結構だと思います。
  182. 林百郎

    ○林(百)委員 そうすると、福田さんの答弁は、そういう問題について各省でさらに検討していく、それで、これは国税の範囲内でとどめておくべきものであって、これを地方税にまでしわ寄せされるのは遮断すべきものだというように判断されれば、遮断していく方向を考える、そのための検討をするということですか。それしか出ないなら、それでいいです。
  183. 大平正芳

    ○大平国務大臣 地方に欠損法人があって悪乗りという御指摘でございますけれども、そういう事情は、地方の税収、地方の財政需要の算定の上で十分考えて、地方税の交付金が算定されておるというようなことは、もうことさら私が申し上げなくても、林さんよく御承知のことと思います。
  184. 林百郎

    ○林(百)委員 そういう仕組みの中で、いま地方自治体が一歩一歩財政的な困難に陥っているのであるから、それを是正する方法を考えるべきである、交付税の制度があるのはわかっていますよ。そういう現存制度の中で、一歩一歩地方自治体の財政が困難に陥っていますから、それを改善する方向として、こういうことを考えるべきだと言っているわけです。それはいいです。  最後に、自治大臣にお聞きしますが……(「住宅局長を呼んでいるのにどうするんだ」と呼ぶ者あり)  それじゃ住宅局長、ことしの住宅建設の単価は、昨年の補正予算で直しましたね、単価アップしましたね。それはわかっているでしょう、十二月の補正予算です。それと比較して何%アップさしたか。
  185. 山岡一男

    ○山岡政府委員 昨年の途中で一六・七%の単価アップをやっております。ただし、これは補正ではなくて、戸数の取り崩しということでやっております。それから、五十年度の見込みといたしましては、過去三ヵ年間の平均単価アップといいますか、物騰率を見込みまして、八・九三%上積みいたしております。
  186. 林百郎

    ○林(百)委員 要するに、八%前後アップさしたということですね。  さて、時間がありませんので、最後にお聞きします。  自治大臣、五十年の一月二十日に、自治省行政局の公務員部給与課長から「昭和四十九年ラスパイレス指数の算定結果について」云々という指示が出ているわけです、これはもう御存じだと思いますが。この中に、要するに、ラスパイレス指数の高い団体については「総点検のうえ、給与水準等の是正について抜本的な対策を講じうるよう積極的な検討を行なうことが極めて緊要であると考えます。」と、こういう指示なんですよ。ラスパイレス指数の論議をしていけば、これは必ずしも正確な国家公務員と地方公務員の比較ではありませんし、また、国家公務員の方には職員住宅もありますし、地方公務員の方にはないというような問題がありますし、また地域差の問題もいろいろあるわけですよね。だから必ずしも機械的にこういかぬわけです。それから、いままでの地方財政計画の中における人件費を点検して見ましても、そんなに大きなアップはないわけです。むしろ四十七年まではずっと下がってきているわけですね、投資的経費に比較して。そういう中でこういうものが出されて、これがもう連日連日PRされて新聞に出ているという状態なんですね。自治大臣にお聞きしたいことは、この通達というのは、これは何か法律的な根拠に基づく拘束力を持ったものなのか、自治省として、参考までに自治体にこういうことを考慮しろというものなんですか。どういうものなんですか。
  187. 林忠雄

    ○林政府委員 数字は、四十八年度は指定統計に基づき、四十九年度は指定統計に基づかない、予算に基づく調査でございます。これは参考のためでございます。
  188. 林百郎

    ○林(百)委員 自治大臣も、これは参考としてこういうものを出したというように聞いていいですね。自治大臣、これ、お見せしましょうか。わかっていますね。
  189. 福田一

    ○福田(一)国務大臣 そういう通達を出した意味は、やはりこの人件費の問題についても、自治体としては十分注意をして運営を図っていかなければならないんだ、自治行政をやる上に。行財政を運営していく場合には注意をしてやってもらいたいという意味を含めて、注意を促したという意味であります。
  190. 林百郎

    ○林(百)委員 参考としてそういう注意を促したということで、これが法律的に自治体を拘束するとか、この注意に従わなかったからおまえのところの起債は認めないとか、あるいはおまえのところの交付税係数はこうするとか、そういう財政的な報復措置が裏づけにされているということはもちろんないでしょうね。
  191. 福田一

    ○福田(一)国務大臣 われわれとしては、そういう注意を促した、というところに重点を置いているわけでございます。
  192. 林百郎

    ○林(百)委員 では委員長、時間が参りましたので、これで終わります。
  193. 荒舩清十郎

    ○荒舩委員長 ちょっと待ってください。先ほどの答弁を求められている大蔵省の旦審議官、答弁を。(林(百)委員「委員長が許してくださるというなら……」と呼ぶ)
  194. 旦弘昌

    ○旦政府委員 大変遅くなりまして恐縮でございますが、四十八年度の数字で申しますと、全国でございますが、法人数が百八万五千四百七十一でございまして、そのうち欠損法人が三十四万八千八百九十九、割合から申しますと三二・一%でございます。  このうち、十億円以上の法人が千六百六十一ございまして、うち欠損会社が三百九、割合は一八・六でございます。一億円超のものは六千六百二十二、うち千七百六十四が欠損でございまして、一七・七でございます。以下、五千万円以上、一万一千八百七十七のうち三千三百七十が欠損、二八・三%。一千万円以上が十一万三千九百四十三、うち三万一千二百六十五、二七・四%。五百万円以上が……(林(百)委員「そこら辺でいいです」と呼ぶ)という数字でございます。
  195. 林百郎

    ○林(百)委員 念のために聞いておきますが、十億円以上は幾らですか。
  196. 旦弘昌

    ○旦政府委員 十億円以上が全体で千六百六十一、うち三百九でございます。(林(百)委員「何%です」と呼ぶ)一八・六でございます。
  197. 林百郎

    ○林(百)委員 それじゃ、私これで終わりますが、大蔵大臣、そういうわけで、資本金十億以上の会社の約一八%ですか、それが欠損法人になっている。しかし、その欠損法人というのは、租税特別措置によって引当金や準備金、いろいろ所得を落としているわけです。そのために地方税の方が均等割りの三千円か四千円しか取れないことになるわけですね、これは。欠損法人だから法人税も取っていないわけです。だから、そういうことはひとつ今後前向きに、そういう国策のために地方自治体へ犠牲を及ぼすようなことについては、それを遮断するような措置を、先ほど福田さんも答弁なさっておりますので、大蔵大臣も前向きにぜひ考慮されたい、これを強く要望しておきます。それが三木内閣が不公正を是正するかどうかの一つの試金石ですからね。これをおやりになるかどうかということが。それを強くあなたに要望いたしておきます。  答弁があったら答弁してもらいます。私の質問はこれで終わります。
  198. 荒舩清十郎

    ○荒舩委員長 これにて林君の質疑は終了いたしました。  午後二時より再開することとし、暫時休憩いたします。     午後一時十一分休憩      ――――◇―――――     午後二時二十二分開議
  199. 荒舩清十郎

    ○荒舩委員長 休憩前に引き続き、会議を開きます。  質疑を続行いたします。和田耕作君。
  200. 和田耕作

    ○和田(耕)委員 きょうの質問の一番の骨子は、政府は、静かな控え目な成長に入っていきたい、昭和五十年はそのための一つの経過的な年になるという御認識を出しているわけでございますけれども、政府のいろいろな決定になっている御方針あるいは予算委員会の答弁などを聞きましても、どのような準備、基本的な条件を整えれば、緩やかな安定成長の新しい時代に移行することができるかという問題について、確たる姿勢がないような感じがして仕方がないわけであります。したがって、昭和五十年の実質の経済成長四.三%という数字も、何だか、そうあってほしいという願望というふうな感じしか受け取れない、そういう感じがするわけでございます。     〔委員長退席、湊委員長代理着席〕  御承知のように、この二十年間にわたって、特に最近十年間の超高度の経済成長というものは、やはり国民の中にそれらしい精神的な状況、事業への姿勢あるいは労働運動への姿勢というものを生んできたわけでございますけれども、もうこれからはそういう状態ではなくて、いまの静かな控え目な成長、つまり緩やかな安定成長の状態に入るわけでございまして、それにはそれなりの姿勢が必要だというふうに思うわけでございます。  時間がありませんから申し上げてまいりますけれども、私の考えでは、まず四月の春闘の場で、賃金ベースアップという問題について、ある一つの基準のようなものがつくられていく必要がある。  もう一つの問題は、日本は貿易立国と言われているように、貿易は日本の生命線、しかも重要な物資は外国から輸入するという場合に、いままでのように国際価格が上がれば仕方ないんだというような態度では、静かな控え目な成長というものは期しがたいわけでございまして、重要な国際の輸入品等についても、できるだけ情報を収集し、そしてそれに対して国内のいろいろな経済機関を総動員して対策を練っていく。これは輸出の場合にも、性質は違いますけれども、同じような問題があると思うのですが、こういう問題についての政府の姿勢も明らかになっていない。  もう一つの問題は、高度経済成長の時代でありますと、原資が大きく膨張するわけでございますから、いろいろの社会各階層間のトラブルも大きくなる。原資の分け合いということで、けんかしながらも解決をしていく、また現にしてきたわけでございます。しかし低成長あるいは成長ストップというようような状態が予想される今後の状態では、そのような解決の仕方ではなかなか解決できない。したがって、そこに先進諸国の多くに見られるような、労使関係の一定のルールの確立という問題が準備されていかなければならない。他にいろいろの問題がありますけれども、そういう問題は現在のインフレを克服するということと並んで、しかも安定成長の場合の不可欠の条件だと思うわけでございます。  きょうは、そういう問題を、逐次骨子について御質問してまいるわけでございますけれども、まず福田副総理から、控え目な経済成長、緩やかな安定成長と言いかえてもいいと私は思うのですけれども、それを果たすための基本的な条件というものをどういうふうにお考えになっておられるのか。無論、総需要抑制等の問題については、もう十分御意見を承っておりますけれども、それを前提としながら、どういうふうな問題を特に重視して考えていかなければならないのか、こういうことについての御所見を承りたいと思います。
  201. 福田赳夫

    ○福田(赳)国務大臣 これからいよいよわが国の社会経済は様相が一変いたしまして、静かな控え目な成長路線へ乗せなければならぬ、こういうことになりますが、その基本的な基礎づくりは何だというと、やはり国民全体が、世の中が変わってきたんだ、いままでの惰性でいくことは許されないんだ、国も地方公共団体も、企業も家庭も、一度新しいこれからの進み方を決めてかからなければならない、こういう認識ですね。もう夢よもう一度という考え方の清算、これから始められなければならぬと思うのです。  そういう中で、政府として一番大事な問題は、やはりそれを具体的に、どういうふうな姿にこの国がなっていくんだろうという展望を、国民にお示しすることである。そういうふうに考えまして、五十一年度を第一年度とする長期計画を策定する、こういうことを考えておりますが、その長期計画は、いままでの高度成長と違いまして、成長の速度は非常にダウンします。しかしそればかりじゃないのです。その経済社会の運営の基本におきまして、大きな変化が来るわけでありまして、一つは、やはり省資源、省エネルギーという考え方を浸透させなければならぬ。もう一つは、いま和田さんが御指摘になりましたけれども、低成長になりますと、どうしても国民の中での分け合いの問題、この問題に目を大きく見開かなければならぬ、こういう問題が起こる。そこで、産業優先というか、成長の成果を次の成長につぎ込む、その資力をつぎ込むという考え方を転換いたしまして、生活並びにその周辺につぎ込む、その多くをつぎ込むという考え方をとらなければならぬし、また、いわゆる社会的公正という角度の問題に大きく目をみはらなければならない。その辺を踏まえまして、これからの国土づくり、国の経済社会の運営をどうするかということを詰めてまいりたい、こういうように考えます。
  202. 和田耕作

    ○和田(耕)委員 大蔵大臣にお伺いしたいのですけれども、四月から始まる春闘の問題ですが、いま政府も一生懸命やっていると言う、あるいは物価が三月期前半に比べて一五%を確保するということで、何だかうまくいきそうだというような期待もあちこちにあるのではないかと思いますけれども、私は決してそうとは思わない。つまり先ほど申し上げたとおり、二十年間にわたる高度経済成長というのは、それに見合ったビヘービアを国民の各層がしっかりと身につけているという状態を思い出さなければならないと思います。一つのいい例が、この前の田中内閣が出たときは昭和四十七年、あのときは、あの年の一月から卸売り物価がずっと漸騰を始めた。つまり高度経済成長に対して、手綱を締めなければならないという警戒信号が、半年前から出ておった。田中総理は十分そのことを御承知だと思います。しかしながら、二十年間に培われた、積極的な政策をやった方が全部成功するというような経済的なビヘービアというのは、田中総理の体内に充満をしている。これは単に田中総理だけじゃなくて、現におられる多くの閣僚の皆さん方も、あるいは野党も組合員の人たちでも、あれに対していろいろな立場からの非難はありましたけれども、やはり「日本列島改造論」もいいところがあるのだというムードがあったことも確かなのです。そういうことで、経済成長で国民それぞれが身につけたムードを、田中さんがそれを集中的に表現して、つまり時期でない「日本列島改造論」をぶち上げていく。これが現在の物価狂乱の一つの下地をつくったということは否定できない。これが田中総理の悲劇と言えば悲劇になるわけですけれども、これと同じ誤りを日本の労働組合が犯さないとは、だれも断言できないと私は思います。確かに日本の労働組合の諸君の中に、たとえば同盟なんかでは、もうそういう時期ではないという引き締め、反省のムードは確かに出ております。しかし、それが出ていないところももっと大きな分野であるわけです。またいまの組合の幹部は、高度経済成長のもとで大幅賃上げを進めていくということで、それを最もうまくやった者が組合の代表の幹部になっているということを思い出しますと、そしてまた一五%にすると言っても、現に相当大きな物価高が進行しておるという状態がありますから、この春闘でうまくいまの変化した状態に適応できるような行動はなかなかできないのじゃないか、つまりそれが普通じゃないか、そういうふうなことを強く感ずるわけでございます。そういうことで、人間というのはわりあい知恵のないもので、わかっておるけれどもなかなかそれができないというのが普通の状態でございますから、あながち労働組合を責めるわけにはいかない。強く壁に突き当たるということで反省をするということにならなければいいと思いますけれども、そういうことも十分考えておかなければならない問題だと思います。  そこで、大蔵大臣にお伺いしたいのですけれども、この五十年度の予算編成で大変御苦労なさったことはよくわかりますが、仮に三〇%以上、四万円以上の賃上げあるいはそれに近いものが春闘の苦しい中で出てくるということになれば、いろいろ経済的な問題についての影響もさることながら、五十一年度の予算編成という問題を考えた場合に、どういうふうな困難な状態が出てくるのか、これをひとつ大づかみで結構ですけれども、できるだけ具体的に御答弁をいただければありがたいと思います。
  203. 大平正芳

    ○大平国務大臣 ことしの予算を編成してみまして一番苦心をいたしました点は、何と申しましても大幅な人件費のアップでございまして、約三〇%程度の人件費の増高をのみ込まなければならぬということでございます。そのことは、ひとり人件費というタイトルを持った経費だけではないのでありまして、米価を初めといたしまして、その他の物の値段、財政にかかわりのある物の値段あるいはサービスの料金にいたしましても、去年の春闘を契機とするところの賃上げというものの結果もたらされた物価高、料金高というものの圧迫が最大の圧力でありましたことは、申すまでもないわけでございます。しかし幸いにいたしまして、本年度はこれでともかく予算が組めたわけでございまして、こいねがわくは、このせっかくできました予算が、近く成立を見まして完全に実行できることを私は期待いたしておるわけでございますが、われわれが見積もりました歳入の見積もりというようなものが、果たしてこのとおり期待できるかどうか。これがことしの春闘を中心といたしまするものにかかわりを持ってくることは御案内のとおりでございますし、歳出面に再び大きな影響を及ぼすことになることは歴然たるものでございますが、同時に、そういう大きなベアを強いられまして、各企業が軒並みに支払い能力を超えるというような状態になってまいりましたときに、国が期待する財政収入がそれで確保できるかというと、これは三歳の童児でも理解ができる。財政編成が困難であろうと思うのでございまして、これまでのような、成長そして自然増収というパターンにおいて問題が処理できておりました時代とは打って変わりまして、非常に厳しい条件のもとでやってまいっておるわけでございまして、わずかの賃金、料金の値上げといいましても、その処理は非常な困難を伴うということを十分覚悟してかからなければならない段階であろうと考えております。
  204. 和田耕作

    ○和田(耕)委員 福田副総理、五十年度の見通しとして四.三%の実質的な経済成長、そして物価は一けた、九・九%の消費者物価のアップを見込まれるという数字があるわけですけれども、いまの九.九%の消費者物価にするためには、福田さんもよく、今度はコストプッシュの状態になっているから、賃上げはもろに響いてくるんだというお説をお述べになっておりますけれども、九・九%の、つまり一けたの消費者物価を実現するためには、賃金のアップをどの程度に考えたらいいのかという問題も、多分政府としては試算をしておると思うのですけれども、その試算なしに九・九%といったところで、これは架空の一つの期待にしかすぎないということになるわけです。そしてまた、最近、生産性本部の賃金問題の委員会、その専門家の金子美雄君が、一五%の物価高だからそれに対して二、三%の定昇分を加えた一七、それに五十年度の物価高約一〇%と見て、その半分を加えるということで、二二%という試算を出しておるわけですね。これについて日経連その他から強い批判があって、金子さんはその賃金問題の委員会の委員長をやめなければならなかった。本人は否定しております。否定しておりますけれども、日経連を中心とした財界筋から非常に強い抵抗があったこと、これは事実だと思います。また、いろいろなところからも出ておるさなかに、一昨日、経済企画庁の試算として、ある数字が出ておるわけでございますけれども、そういうような状態になってきておるのに対して、政府は、来年の消費者物価は九・九%という数字をすでに出しておられる。  そこで、何か政府としても九・九%をなすためにこうあってほしいという数字があるはずだと思うのです。そしてそういうものはもうあけすけに国民に訴えていく時期に来ていると私は思うのですけれども、そういう問題はいかがでしょう。経済企画庁として、この程度の賃金のアップでなければ安定成長というものはできないんだというものがあるかないか。あるいはあっても、ここでお話しできるかできぬか。当然国民にそういう姿勢を示して――それはいろいろ反論もあるでしょう。あるでしょうけれども、率直に訴えていくということがなければいけない時期に来ていると私は思うので、御質問申し上げたいと思うのです。
  205. 福田赳夫

    ○福田(赳)国務大臣 私はもう常々申し上げておるわけですが、政府は賃金決定そのものには介入しない、これはあくまでも労使の良識ある合意にまつ、こういう態度をとっておるわけでありまして、この態度は私は変えようという考えはありません。ただ、だからといって、賃金問題、これに対して拱手傍観をしておるという態度ではないのです。私どもがとっております経済政策は春闘目当ての政策であるというような見方をする人がありますが、私どもはそうではないのです。国の経済が早くインフレから脱却する、そして経済が安定軌道に乗る、これをひたすら念願してやっておるのですが、ただその過程におきまして、賃金と物価の関係というものが非常に重大な関係にある。その点は強調せざるを得ない。賃金と物価の関係、これは賃金がいかなる水準できまればこれは妥当なものであるか、こういうことになれば、これは第一に労働力の需給の問題があります。それから物価水準がどうなるかという問題がある。またさらに、各企業の存立に対して賃金の決定がどういう影響を及ぼすか、こういう問題がある。それらの要素から賃金決定はなされるわけですが、高度成長時代の賃金決定、その結果と今日のあるべき賃金決定というもの、これを比べてみれば、これはどうしても基本的な差が出てきておる。その線を踏まえまして、賃金決定のいろいろな要素を考えますれば、これはおのずから妥当な賃金というものが出てくるであろう、こういうふうに考えておるわけであります。企画庁で経済見通しをつくっております。そして五十年度の経済成長率が四・三%である、こういうことを申し上げ、またその国民所得の計算、そういう過程におきまして、賃金を一体どういうふうに見るか、これはその中に当然賃金的要素を織り込んで計算せざるを得ないわけでありますけるけれども、この計算は、あるべき賃金そのものを指さしておるわけではないのであります。これは計量計算上の一人当たりの賃金は、一体どういうふうな前提でこの計画はつくっておるか、こういう仮定の、いわば学問的な意味とも言いますそういう数字でございますが、それは一七・一%というのが出ておりますが、これが直ちにいま当面しておる賃金決定そのものに結びつくという性格のものではないのですが、非常に大事な賃金問題、これがどういうふうにきまるかによって、これからの日本の経済は右するか左するか、大変な分かれ道に当面するわけでございます。神様にお祈りするような気持ちで、この賃金が妥当に解決されることを期待しておるわけでございます。
  206. 和田耕作

    ○和田(耕)委員 経済企画庁の、最近、日本経済新聞があれはスクープしたというふうに言われておりますけれども、いま福田経済企画庁長官も、一七・一%という数字は一つの研究の結果だということの御答弁がございました。これは昭和五十年の一月二十四日の閣議決定になっております「昭和五十年度の経済見通しと経済運営の基本的態度」という政府の基本方針を明らかにしたものがありますけれども、この中の雇用者の所得という項目の中に、四十九年に比べて五十年は一八・四%のアップになるという数字がございますね。つまり雇用者所得というのは、これはほとんど九九%以上は賃金ということになるわけでございますが、それに現場でいろいろ支給される被服等が加わったものだと言われておるのですけれども、この一八・四%の賃金のアップを、もうすでに閣議決定の政府の経済見通しでお認めになっておられる。雇用者総数が少しふえておりますから、一・一%の増になっておりますから、この増を差し引いて考えましても、やはり一七・一%という数字が、この政府の発表しているものでも出てくるわけですね。したがって、政府が一連の安定成長への移行の展望に立って、この春闘に対して大体一七%前後の期待を持っておると、そういうふうに承知してよろしゅうございますか。
  207. 福田赳夫

    ○福田(赳)国務大臣 それはいささか違うのです。先ほど申し上げました一七・一というのは、まさにいまお話しの国民経済計算上の一人当たりの雇用者所得でございます。そこで、雇用者所得と、いま問題になっておる春闘の賃金、これはどういう関係にあるか。いま問題になっておる賃金というのは、雇用者所得の中のごく一部のあれです。ごくでもないですが、半分ぐらいに相当するものです。つまり基本的な賃金ベースでありますから。なお詳しく申し上げますると、雇用者所得は、その中には賃金、俸給がある、それから役員の給料、手当、それから社会保険の負担、そういうものが入っておるわけです。そこで、いま春闘の対象になる賃金というのは、いま賃金、俸給と申し上げましたが、その賃金、俸給の中の賃金なんです。その俸給を除外した賃金。これはさらに定期給与と特別給与に分かれるわけでありまして、ボーナス、これは特別給与でありまして、定期的に支払われる賃金があるわけであります。その定期給与は、さらに超過勤務手当が入っております。それを除外して考える。そして残ったものが、これがいま給与のベースとして春闘における賃金交渉の対象となるのですから、いま経済見通しに出てくる雇用者所得、その大体半分くらいが所定内給与といいますか、交渉の対象になる賃金ということになるのでありまして、毎年毎年の増加率から言いますると、この一七・一という雇用者所得の伸びが、決定されるところの賃金ベースの上昇率と等しいものであるかというと、これはそうじゃないのです。これはそれより上になる場合もあるし、下になる場合もある。確かに一つの傾向判断の数字ということは言えるかと思いまするけれども、直ちに問題になる賃金に結びつくものではない、こういうことであります。
  208. 和田耕作

    ○和田(耕)委員 大臣は、余りこういう細かい数字は御存じないと思いますので、事務当局の方に、その点を念を押したいと思うのですけれども、この雇用者所得というのは、いま大臣がおっしゃるように、ベースアップの対象になる賃金はこの半分くらいだという御説明ですけれども、それはそのように了解してよろしゅうございますか。
  209. 青木慎三

    ○青木(慎)政府委員 そのとおりでございます。それで御参考のためにちょっと比率を申し上げますと、雇用者所得のうち、賃金、俸給部分と申しますのが八二%でございます、その他の一八%は、先ほど御説明申し上げましたように、役員給料、退職金あるいは社会保険の雇用主負担というような費目になるわけでございます。この八二%の賃金、俸給のうち、定期給与は七三%、特別給与が二七%でございます。その定期給与の中で所定内給与と所定外給与、すなわち所定外のほうは超勤手当のようなものでございますが、所定内給与は九〇%でございます。それを全部掛け合わせますと、約五〇%ということに相なります。
  210. 和田耕作

    ○和田(耕)委員 それでは、先ほど大臣のおっしゃられた一七・一%という数字は、これは先ほど私御質問申し上げたとおり、消費者物価を九.九まで抑えたいという、この数字と見合ったものなんでしょうか、いかがでしょう。
  211. 福田赳夫

    ○福田(赳)国務大臣 まさにそのとおりで、これは見合っているのです。ですから、一七・一がもっと下がるということになれば九・九がもっと下がる、そういう関係であります。
  212. 和田耕作

    ○和田(耕)委員 それでは、一七・一ということが見合った数字だということになると、この経済見通しの雇用者所得の一八・四%という数字は、これはどういうことになるのでしょう。
  213. 福田赳夫

    ○福田(赳)国務大臣 一八・四%が、これは雇用者所得なんです。この総体の伸びであります。ところが雇用者自体が一・一%ふえますものですから、それを除しますと、一人当たりの賃金、雇用者所得水準は一七・一になる、こういうことであります。
  214. 和田耕作

    ○和田(耕)委員 それと、私が申し上げたいまのベースアップの目安になる一七・一、これは偶然に一致するわけですけれども、しかし、いまの大臣の御答弁によると、これは賃金だけじゃなくて、賃金は半分くらいだという御答弁なので、その間の関係はどうなるかということなんです。
  215. 福田赳夫

    ○福田(赳)国務大臣 いま当面問題になる春闘は、ベースになる賃金、それも超過勤務なんか除いた俸給基準をきめるわけですね。その基準のほかにいろいろな要素が加わって、経済見通しの中の雇用者所得、こういうことになってきますので、雇用者所得がイコール賃金水準、こういうことじゃないのです。いままでの実績を見ましても、実際に決まった賃金水準、しかも物価が割合に安定しておったそういう時期における状態を見ましても、経済見通しにおける雇用者所得、それが、実際の決定になった妥当と思われる賃金水準ですね、その賃金水準の上になることもあるし下になることもある、そういう状況であったわけでありまして、必ずしも見合ってはおりませんけれども、一つの傾向判断として、九・九という消費者物価水準、それに見合うところの雇用者所得水準はとにかく一七・一である、こういうことは経済見通しで明白になっておるわけです。ですから、一七・一という数字が、これが下になるということになりますれば九・九というものはおのずからまた下になって、非常に物価政策上は思わしい形が出てくる、こういうことになるわけであります。
  216. 和田耕作

    ○和田(耕)委員 それでは、つまり春闘でこうあってほしいという数字は、一七・一%だというふうに考えてよろしゅうございますね。
  217. 福田赳夫

    ○福田(赳)国務大臣 そうじやないのです。賃金と、現実にいま問題になっておる春闘の賃金ベース、これはどこまでも、超勤だ、ボーナスだ何だ、そういうものは除外した裸の賃金の基準なんですよ。雇用者所得水準の方はそうじやなくて、まあ超勤も入ります、ボーナスも入ります、役員の賞与も入ります、みんなそういうものをひっくるめての一人当たりの賃金というか所得水準が一体どうなるか、こういうことでありますので、イコールじゃないのです。しかし傾向判断といたしましては、はっきり私どもが言えますことは、この雇用者所得が一七・一%より下がりますれば、物価の方はまたそれに準じて下がってくる、こういうことでございます。
  218. 和田耕作

    ○和田(耕)委員 いまの問題に関連して、金子君は、つまり今度の春闘で、一五%上がっておるから、この一五%を下がるということは、労働者の実質賃金を維持するためにはいけないことなんですね。それに対して定期昇給分二%を加えた一七%、これを基本にして、そうして五十年度の物価アップの約一〇%の半分を加えるという考え方を出しているわけです。つまり、物価にスライドするという考え方が基本にあるわけですけれども、この考え方について、副総理はどのようなお考えを持っているでしょう。
  219. 福田赳夫

    ○福田(赳)国務大臣 金子さんのお考えは、物価にスライドというふうにいまお話しでありまするし、また新聞にも書いてありますが、私は、物価スライドじゃないと思うのです。もっと物価スライドに大きなものをプラスアルファしている、こういうふうなとらえ方をしているのです。つまりあの考え方は、過去の物価騰貴、それを全部償う、その上さらに将来の物価騰貴の半分を先取りしょう、こういう考え方で、私は、基本的にこの考え方は欠陥があると思いますのは、先ほど申し上げましたように、これは、賃金が妥当に決められる、その妥当に決められる要素、方式というものは、一つは労働の需給という問題があると思うのですよ。この問題を一つも考えてない。それからもう一つは、これはとらえておりますが、物価の問題です。もう一つの問題は、企業の存立は一体どうなるのか、そういう問題ですが、この企業の経営状態という問題は、何らここの考え方には反映されていない。非常に独善的なとらえ方をしているのじゃないか、そういうふうに思えてならない、こういうことであります。
  220. 和田耕作

    ○和田(耕)委員 金子君の考え方は、消費者物価スライドによる実質賃金の確保ということが彼の立論の根拠になっておることは、この報告書にもそれははっきり書いてあるのです。つまり、私がここで問題にしたいのは、今後の安定成長を目指す場合には、賃上げ等の問題についてのはっきりしたルールのようなものが敷かれなければならない。その場合に、物価が上がった分だけは少なくとも賃金を上げていかなければ、労働者の実質的な生活は確保できないということになるわけですね。それを、金子君のあの報告は、ここに報告書があるのですけれども、基本にしておる考え方になるわけです。それに対して、定期昇給分だけは基本としてやっていかなければならないという考え方を彼は中心に出している。五十年度の物価のアップの半分を先取りするということは、確かに問題はあると思いますけれども、その先取りの問題は別として、物価が上がっただけ、それに対しての定期昇給分を加えたものがベースアップの基本にならなければならないという考え方は、これは妥当な考え方だと思うのですけれども、これはいかがでしょう。
  221. 福田赳夫

    ○福田(赳)国務大臣 賃金は、先ほど申し上げましたように労働需給の状態、物価の状態、企業経理の状態、こういう三つの角度をよくとらえて決定されれば、合理的妥当な賃金決定、こういうふうになると思うのです。それで、そのうち物価だけを取り上げるということは非常に危険だ、私はこういうふうに思います。企業経理の状態、これは生産性の向上ということになってあらわれてくるわけですが、いままでの経済の動きをずっと見ておりますと、やはり生産性の向上と賃金の上昇とが見合って動いておる、そういう状態下においては物価は安定しておる、そういうふうに見受けるわけでありまして、この生産性の向上、つまり企業経理の状態との吻合ということが非常に重要な要素じゃないかと思うのです。  まあしかし、今日当面する春闘の問題というのは、それだけでは解決されない。と申しますのは、この一年間に、とにかく静まってきたとは言いますけれども、混乱以前に比べれば異常な物価上昇、つまり一五%近くの消費者物価の上昇というものがあるのですから、この要素を度外視して決めるということはできない。そこで、春闘における賃金決定のルールというのは、なかなか一概に割り切れないものがあるのです、平時じゃないものですから。しかし、労働需給の状態から見ても、物価がこういうふうに鎮静化の傾向をたどってきておるという動きを見ましても、もう高度成長じゃないのですから、生産性がそうは上がりません。したがって経理内容もそう思わしくはありません。そういう状態下において、大体望ましい賃金水準はどうであろうかというような点は、言わず語らず出てくるのじゃないでしょうか。そういう妥当な結論が、労使の話し合いで出てこないはずはない。これを誤ると、これは日本経済の問題であることはもちろんだけれども、職場自体の問題でもあるわけです。そういうことを本当に真剣に労使が話し合いますれば、必ず妥当な結論が出てくるであろう、出ないはずはない、私はこういうふうな感じがしてならないのです。
  222. 和田耕作

    ○和田(耕)委員 いま賃金水準の問題を議論しておりますのは、生産性向上の問題あるいは景気、企業によっての好況、不況等の問題は一応別の問題として、議論をしておるわけです。無論、企業によっては、もっともっとたくさん払えるところもあるし、また企業によっては平均よりもずっと低いものもある。あるけれども、たとえば組合の賃上げの指導の仕方は、いろいろな好況、不況の各組合を、おまえさんところは好況だから何ぼ、おまえさんところは不況だから何ぼというような指導の仕方じゃないわけです。やはり、物価がこれだけ上がっている、そうするとこれに対して生活を改善するためのこれぐらいのプラスは必要だ、こういうことでもって、好況、不況にかかわらず、一つの標準を決めて賃上げの指導をしているわけです。  そういうふうな状況から見て、いまの三〇%といっても、それ以上のものもあればそれ以下のものもあるということは当然のことですけれども、やはりこの段階になりますと、物価が上がってくるということは半分以上政府の責任だ。政府の責任でないものもあるが、政府の責任であるわけです。最近の問題でも、半分以上は政府の責任でこういうふうになったということに対して、これは否定できない面が非常に多いと私は思うのですけれども、そういうことで、政府も、物価の問題あるいは賃金の問題等に対して強い関心を持つならば、物価が上がればそれだけ賃金は、最低においても当然上がってくるのだ、そういうふうなシステムをつくった方が、政府も物価の問題についてもっと真剣になるということもあるわけです。  そして労働者としても、もうけるからよけい取れる、もうけないからよけい取れないということが一般的になると、大変物価が上がるという状態のもとで、これは社会的な不公正の問題が出てくるわけです。普通の状態であれば、もうけるときもあれば損するときもあるということで、ちょっと長い目で見れば相殺されてくるのですけれども、最近の状態から見れば、特に大企業、中企業というふうな関係から見れば、ある一つのコンスタントな問題が出てくるわけです。そうすると、ある一定の水準というものを見て、そして余り不公平な、もうけるところは何ぼでも出す、もうけないところは出せないということがないようにすることが、これは政府の今後の安定成長を期する場合にも、重要な一つの要素になると思うのです。  そういうふうな意味で、つまり、今後の賃金問題を考える場合に、物価が上がっただけは最低、賃金は上がっていくのが当然であるという考え方を持つことが、私は社会的な不公正の問題からいっても正しいのではないかと思う。それに対して政府は、払えないところに対しては、別途の方法でできるだけの努力をして、払えるような援助をしてあげるというようなこともあるでしょうし、とにもかくにも、消費者物価へのスライドによる実質賃金の確保というこの姿勢は、政府としてもこれを達成するためにできるだけの努力をしていく、そうでないと、今後の安定成長を維持していくのは非常に困難になってくる、こういうふうに私は思うわけです。そういう意味で、金子君の提案というものは、私は非常に重要な意味を持っている提案じゃないかと思うのです。いかがでしょうか。
  223. 福田赳夫

    ○福田(赳)国務大臣 私は、金子さんの考え方は一面的な見方である。先ほど申し上げておるとおり、妥当な賃金は、その時点における労働力の需給の問題、これを考えないわけにはいかぬのです。それからもう一つは、企業経理といいますか、生産性、これを度外視して考えるわけにはいかぬ。ただ単に物価だけで賃金が決まるということになると、これは非常に非論理的な結果が出てくるんじゃないか。たとえば非常な不況時でありまして、それでGNPもマイナスになります、企業も赤字になりますというとき、物価が上がりました、だから賃金だけは上がりますというわけにいかぬでしょう。私は、物価だけにこの賃金問題がかかっているんだという考え方、これは妥当ではない、こういうふうに考えます。
  224. 和田耕作

    ○和田(耕)委員 無論、私も物価だけで賃金を決めるということは適当でないと思いますけれども、たとえば、最近イギリスの労働党が社会契約という考え方を出してきた。この社会契約という考え方は、スタグフレーション下の労使関係、賃金問題を考えるのに、一つの重要な先進国における手法になっている、こう言われている。この社会契約の考え方は、物価に対する賃金のスライドという考え方が基本になっているわけです。これでもって、賃上げの問題を労働者に対しても反省を求めていくということになっている。つまり、金子君の考え方も、この考え方に似通った考え方を出しておるわけです。つまり、そうでないと、個別個別の問題をいろいろ例に挙げますと、これは一つの政策の基準にはなかなかならないわけです。個別個別のいろんな差別というのは、それ相当に対処していくことは当然考えなければいかぬですけれども、一国の労働者の賃金を一つのどういうふうな方式で上げていくかということになれば、これは物価水準と言っても、これも平均されたものですから、平均された物価というものを基準にして、そして賃上げの場合も、これ以下になってはいけないという一般的な指針というものは持ってしかるべきだと私は思うのです。そういうふうな意味で申し上げているわけです。これを基準にしたからといって、払えない企業がこれだけ払わなければならぬということを言っているわけじゃないんです。全体の、日本なら日本の賃上げの総トータルしたものの平均が、こういうふうなものを基準にしたものになるような経済指導が必要じゃないのかということを言っているわけです。そういう意味で申し上げているのですけれども、そういう意味でも、ぐあいが悪いとおっしゃるんですか。
  225. 福田赳夫

    ○福田(赳)国務大臣 賃金と物価が密接不可分の関係にある、そういう角度においてこの賃金、物価問題をとらえていく、そういう思想は私は大賛成です。これこそが、いま論ぜられなければならぬ問題であるというくらいに考えておるわけであります。ただ、物価へのスライド制というのを導入するか、こういうところに抵抗を感ずるのです。  一体、わが国の経済体質、二重構造とも言われるような、中小企業が非常に多い。働く人から言えば、四分の三は中小企業勤労者である。いま総評で三〇%賃上げだ、同盟でも二七%なんて言いますけれども、中小企業の多くの中には、それは一体どういう話なんだろう、どこの国の話なんだろうというくらいな感じを持っている人が非常に多いんじゃないかと思うのです。そういうことを考えまするときに、政府が一律の考え方を打ち出すということは、私は非常に危険だろうと思うのです。それも私が、政府は賃金決定に介入しない、またガイドラインは示さないと言っておる一つの根拠なんでありますが、私は、賃金と物価が相関不可分の関係にあるということにつきましては、深くこれをかみしめていかなければならぬ、こういうふうに思いますけれども、スライド制までいくか、こういうことになりますと、はなはだ強い抵抗を感ずる、こういうふうに思います。
  226. 和田耕作

    ○和田(耕)委員 しかし、副総理、先ほどからの議論のように、政府ははっきりと、来年の物価は一けたに抑えたい、九・九%に抑えたい、そのために全力を注いでやりたい、この方針を持っているわけでしょう。これをやるために、たとえば一七・一%という一つのリードが出てくる。これもお出しになっているわけですね。つまり、この一七・一というものが一五%よりも下回るとぐあいが悪いということがあるわけです。そうでしょう。だから、ガイドラインとして出すことは、それは適当でなくても、国の、国民経済の立場から見て、来年は九・九%に抑えたいという一つの立場から見て、賃金はこの程度が望ましいという考え方は当然政府は持っておられる。それを持っていなければ、九・九なんというものは架空になってしまう。その一七・一%というものは、つまり政府が努力されておるこの三月期の一五%という物価のアップ、これよりも下回ると、これはぐあいが悪いとお思いになりませんか。下回ってもいいというようにお考えになりますか。
  227. 福田赳夫

    ○福田(赳)国務大臣 その辺になりますと、私から言いにくいのです。つまり、私は、賃金決定には介入しない、こういうふうに申し上げておるわけですね。さあ、一五%以下の方がいいのだというようなことを言いますと、一つの考え方を政府が示したことになる、こういうので、そういう具体的なことには介入いたしません。ただ、こういうことは言えるのです。雇用者所得が一七・一よりも低くなるということになれば、九・九%という消費者物価、これはさらに低くなる、さらに好ましい状態になるということは、はっきり申し上げられます。
  228. 和田耕作

    ○和田(耕)委員 先ほど最初の問題だった、経済企画庁がやっている試算の内容を一昨日の日経がスクープした、あの数字は、やはり望ましい一つの賃金ベースアップについての政府の試算じゃないですか。
  229. 福田赳夫

    ○福田(赳)国務大臣 あの数字は、実は政府の中の参考資料としてつくったのです。率直に言いますと、ことしの賃金状態は一体どうなるか、これは私ども非常に関心があるわけです。そこで、仮に一〇%と決まったら物価はどうなるだろう、二〇%となったらどうなるだろう、その辺をつぶさに検討しておいてもらいたい、それに従いまして、事務当局が計量計算をしてみた、それが調査の過程で新聞に載っておる、こういうことで、発表する意図じゃ実はなかったのです。われわれ、とにかくことしの経済運営をどうするかということを考える、その場合に賃金が一体どうなるのであろうか。これは浮動でございます。ですから、一〇%賃金アップの際は、十五%賃金アップの際は、二〇%賃金アップの際は一体どういうふうになるだろう、こういう計算をしてみた、それがたまたま新聞に掲載になっておる、こういうので、これでガイドラインを示して、そして民間に期待する、そういう性格の数字じゃありません。
  230. 和田耕作

    ○和田(耕)委員 それにしても、一けたにすると、九・九にするためには一七%くらいの賃上げだというような相関関係は、あれで見ると読み取れると思うのですけれども、これはそういうものとして理解してよろしゅうございますね。
  231. 福田赳夫

    ○福田(赳)国務大臣 国の成長とか経済全体が賃金決定いかんによって深い関係、影響を持つということはこの計表でわりあいに明快になる、こういうふうに見ておるのです。たとえば一〇%の雇用者所得の上昇、雇用者所得です、賃金じゃないのです。雇用者所得が一〇%上がったという際には、消費者物価の年間上昇率は六・六でおさまる。それから一五%でという場合におきましては九%でおさまる。それから二〇%になると一一・四、これは九・九をかなりこえる、こういう状態になるわけです。同時に経済全局に賃金決定は大きな影響を及ぼすわけですが、経済の成長、これは一〇%成長ですと、かなり高い成長になるのです。五%成長。それから一五%アップだという際には、四・五%成長。それから二〇%成長という場合には、政府見通しを引っ込みまして四%成長、こういうふうになる。ですから、いろいろ事情があって、そういうふうになるかならぬかわかりませんけれども、この一七・一という雇用者所得、それよりも低い水準で賃金が決定されるということになれば、経済の先は非常に明るい局面を迎えるであろう、こういう結論になります。
  232. 和田耕作

    ○和田(耕)委員 その問題についての政府の考え方は、大体ガイドラインとしては言えない。しかし理論的ないろいろな推計から見れば、九・九のときは一七・一%だというふうに理解してよろしゅうございますね。
  233. 福田赳夫

    ○福田(赳)国務大臣 そうじゃないのです。私どもは賃金を指しておるわけじゃないのです、雇用者所得というのは、賃金、これは裸の給与ですね、それに超過勤務手当だとか、ボーナスだとか、役員賞与だとか、いろいろな尾ひれがつきまして、雇用者所得ということになるので、当面しておる春闘の対象になるこの賃金ペース、それと雇用者所得はイコールじゃないのです。しかし、それの前後をずっとこうやっていくと、一つの傾向判断の資料にはなるということで、一〇%雇用者所得が上がった場合にはどうなる、あるいは一五%アップの場合にはどうなる、あるいは一七.一%アップの場合にはどうなるとか、あるいは二〇%アップの場合にはどうなるとか、いろいろ私どもは研究をいたしまして、今後の経済運営に備えておる、こういうことであります。
  234. 和田耕作

    ○和田(耕)委員 賃金は雇用者所得の中の半分くらいだということでしたね。そうすると、半分ということになると、えらい少ないものになります。雇用者所得の半分が賃金だということになると。
  235. 福田赳夫

    ○福田(赳)国務大臣 雇用者所得というのは、裸の基本賃金ですね、それにボーナスがまずつきます、それから超過勤務手当がつきます、それから保険負担だとかそういうものもつく。そういうようなことで、倍ぐらいな規模に雇用者所得の方がなるのですが、傾向としてはその倍になる。そのスケールの雇用者所得が去年に比べて幾らふえるか、五十年度は一七・一と、こう言っているのですが、その倍になるものが一七・一になるのだから、半分の基準になる賃金が大体どのくらいになるだろうという、その傾向判断の資料にはなる、こういうことであります。
  236. 和田耕作

    ○和田(耕)委員 大体わかりました。  それで、先ほど申し上げたとおり、政府として、春闘に対して期待する額というのは、労働大臣の方は、これは政府に余り言ってくれるなということを言っているようですけれども、その意味もわかりますけれども、こういう段階になると、やはり政府としての期待しておるものを、私は明らかにしていくことが大事だと思うのですけれども、この問題についてはいかがでしょう。率はあれとして……。
  237. 長谷川峻

    ○長谷川国務大臣 副総理と先生との応答の中にありますように、政府は賃金交渉には介入しない、ただしかし、先ほどから先生おっしゃるように、いままでの惰性での賃金闘争が行われます。そこで昨年の八月からいままでの高度経済成長一〇%以上を続けたものが、ことしからマイナス成長になる。そうすれば、その企業に働いている人々は実態的にわかるわけです。ですから、私は惰性というものをここで変えて、ものをひとつ正しく見て、お互いの仲間から職場を離れる者を出さないようにしようじゃないか、そうしていまの職場を確保させながら、そうしてお互いの生活を充実させる、そこには心の転換もあるでしょう、あるいは消費者諸君の賢い選択もあるだろう、こういうふうなことを申し上げておりまして、そのときそのときの雇用率、有効求人倍率、そういうものなどを、労使あるいは国民全体にデータとしてお出しいたしまして、よき判断の材料にして御判断を願いたい、こう思っておるわけであります。
  238. 和田耕作

    ○和田(耕)委員 この問題は、時間の関係がありますから、この程度で切り上げておきますけれども、もう一つの問題は、これは前の田中さんのときも、そのことをずっと政府は言ってきたのですけれども、国際価格が上がるからしょうがないのだというような状態がいまだに続いておりはしないかと思うのですが、この問題について、私、前国会からいろいろ御質問をしたりしておるのですが、重要な輸入品、たとえば石油の問題でも、もっと政府が石油という問題についてこの重要性を見て、そうして石油をめぐる政治、経済上の現地の情報をしっかりキャッチしておれば、そうして政府はこれは大変だと思いながら、石油が日本に流れ込んでおるという状態を正しくキャッチしておれば、あれほどの騒ぎにはならなかった、こういうふうに思うのですね。そういう一つの経験から見て、これは単に石油だけじゃないので、食料品とかその他の重要輸入品にも起こり得ることであって、これは政府として重要な輸入品について正確な情報を、しかもいろいろな各役所から出てくる、あるいは出先の商社から出てくる、あるいはジェトロから出てくる、あるいはその他の機関から出てくる情報を、しっかり総合的にキャッチして、これを分析する、そうしてそれに対する必要な対策を講ずるという機関がないと、今後の安定成長はあなた任せになる可能性を持っているというふうに私は思うのですけれども、これはたしかこの前の国会で、大平大臣にもお伺いしたことなんですけれども、これについて、今後安定成長をしっかりと軌道に乗せるためには、ぜひともこの問題について政府部内に、いま申し上げたような問題を見守る政府機関が、私、必要だと思うのです。イギリスなんかでは貿易省というようなものがありますけれども、そういう省をつくるなんということになると大変なことですから、やはり何かもっと定期的な組織にして、そういうふうなものを見守っていくものを設置する。物価安定閣僚会議というものがいまあるのですけれども、いま物価狂乱の名残があるから、そういうものがあるとしても、今後安定成長に入っていけば、ぜひともこれを統一的に把握する必要がある、こういうふうに思うのですけれども、この点について、通産大臣の御所見をお伺いしたい。
  239. 河本敏夫

    ○河本国務大臣 確かに御指摘のように、第四次中東戦争直後のいわゆる狂乱物価、これには情報不足に基づく理由が相当あったと思います。したがいまして、わが国のように重要資源を全部外国に依存しておるという国にとりましては、正確なる情報をしかも素早くキャッチするということが、経済運営上何よりも大切であることは当然でございます。  そこで、いま通産省では、いろいろ通商政策局あるいはまた貿易局等を中心といたしまして、情報をキャッチしておりますが、その方法は、主としてジェトロ、現在、重立った国に全部ございますがその情報網、それから外務省の公館等を通ずる情報、これを中心に情報を集めておるわけでありますが、しかし、おっしゃるように、決して私は十分ではないと思います。必要な情報が素早く集まっておるとは思いませんので、その面ではさらに強化する必要があるということを痛感しております。
  240. 和田耕作

    ○和田(耕)委員 これはこの前の石油の場合に出てきた一つの現象ですけれども、いま世界に網を張っているのは大商社であるわけです。この大商社は、大きな買い手として、やはり資源の市場では大きな力を持っているわけですね。何ぼ売り手市場だといっても、大量に買い付ける機関というのは非常に強い立場を持つわけですから、そういうふうな商社の情報にほとんど寄りかかってしまう。これが一つの重要な教訓だと思うのですね。そういうことをしないで、いま私が申し上げたような、ある新しい統括できる、そして対処できる機関が設けられれば、商社の持っている情報なんかを自由に駆使して、必要があれば商社員なんかもその中のメンバーに入れて、機動的に対処するということができると思うのですね。ジェトロでもそうです。そしてまた、外務省の機関もありますけれども、これは定評があるように、非常に役に立たないということもこれは事実だと思うのですね。これは福田副総理を中心にした、安定成長に移行するための不可欠の一つの問題として、ぜひともお考えいただきたいと思うのです。ひとつ副総理のこの問題についての御所見をお伺いしたい。
  241. 福田赳夫

    ○福田(赳)国務大臣 これからの経済運営をしていく上で、非常に不安定要素があるわけですが、一つは、賃金がどうなるかという問題もありますが、そういう国内的な要因のほかに、海外要因というものがある。海外がこうなってきたんだからやむを得ない、というようなことでやっていっちゃいかぬと思うのです。第二次石油ショックだというような非常の事態でありますると、これは格別と思いますけれども、少しぐらいな経済変動が海外でありましても、それを乗り越えて、わが国の経済の安定的な発展を期さなければならぬ、こういうふうに考えます。  そういう角度から、御所見はまことに私はごもっともなことだと思いますが、私どもも、それをどういうふうに実現するか、衆知をしぼってみたい、かように存じます。
  242. 和田耕作

    ○和田(耕)委員 これは外国だけのことじゃないのでございまして、いまの買い付け、買う側の商社は、現地の市場でも非常に力を持っているわけで、こういうものがないと、大商社が現地で値段を逆につり上げるということもあるわけです。これは現にあったわけです。そういうような問題で、外国の価格が上がったんだからしょうがないということでは、これは国民に対する責任は果たされないわけであって、この問題については、ぜひともひとつ新しい機関を設置して、機動的に情報の点検と対策の樹立についてお考えを持っていただきたいと思います。  そして、その次の問題は、同じくこの経済の安定成長の問題で、今後、非常に重要になってくるのは、先ほども申し上げたとおり、この経済成長が続いている間は、ほっておいたっていいのです。これはけんかしたって解決していくのですけれども、この低成長の状態では、社会各層の利害の衝突というのがますますひどくなってくるということになるわけです。特に、労使の問題については、これが大きな問題になってくるという予想が立つわけであります。  最近、物価の問題をうまく処理しているのは、みなこういう機関があるのです。ドイツにもある、そして北欧諸国にもある。イギリスはいま社会契約的なものが最近出てきたということであって、この経営参加の問題を、これは自由に民間のいろいろな協議あるいは参加の形でほうっておかないで、どうしても法律的な一つの規制を持つ法的な措置が必要だ。ドイツでは、一九五〇年に例の経営協議並びに共同決定に対する法律があるし、またごく最近でも、ブラント政権からシュミットさんの政権に移った場合にも、そういう法律を強化する法律が出てきている。西ドイツの物価の安定というのは、この問題が非常に大きく寄与している。つまり、労働者が自分の責任として物価の問題を考えてくる、自分の責任として企業の経営を考えてくるということに連なるわけですから、この問題はぜひとも法的な措置を、すぐしろというわけじゃない、これは国内のいろいろな労使関係や歴史から見て、いろいろな問題がありますから、法的な措置を講ずることがいいか悪いかということを検討する審議会を至急に設けていただきたい。これはぜひとも必要な制度だと私は思うのですけれども、労働大臣、いかがでしょう。
  243. 長谷川峻

    ○長谷川国務大臣 私は、日本の労働組合と企業、企業別労働組合でもありまして、よく協議会制度の話が出ますから、外国人などにも申し上げるのですが、日本の場合には、各企業にほとんど企業協議会があります。これは御承知のように、百人以上の民間事業所では六三%が労使の協議会制度があります。千人以上の事業所では九〇%、そのほかにまた産業レベルの労使協議会、これは繊維産業初めあります。  そこで、いまおっしゃった経営参加の問題でありますけれども、これは中山さんがおやりになっている社会経済国民会議、これには組合の諸君も入っておりますが、その中間報告を見ましても、法制化の選択は慎重な検討を要する。そこで、現状では、労使の協約による自主的参加の上に考えるべきだというふうなこともございますし、さらにまた、「将来の展望としては「労働組合の推薦による監査役への労働者代表の参加」が一つの方向である。」――これはドイツがやっておるものでございます。  そういうことで、だんだん考える大事な検討事項だと思っておりますけれども、いますぐに審議会等々というところまではまだ参っていないところを御報告申し上げます。
  244. 和田耕作

    ○和田(耕)委員 いまの社会経済国民会議のこの提案は、私もよく拝聴いたしましたが、この前文でずっと説明しているところを見ると、労働者の経営参加という問題は非常に重要である、ぜひともこの問題は考えなければならないということをずっと述べてきて、最後のところで、いま言ったように、この重要な検討の問題であるけれども、現状では云々というふうに書いてあるわけですね。そういうことを見ても、確かにいまの一つの労使対決という考えを持っている組合にとっては、これは余り歓迎しないものであるかもわかりません。しかし、その中にも、そういう人ばかりじゃないのであって、政府がこういう問題がいいか悪いかの検討をするわけですから、しかも、国民会議のこの報告書を見ても、そういうふうな、いま申し上げたような趣旨をずっと述べてきているわけですから、これはやはり公的な機関として審議会を設けて、これをひとつ日程に上せていく時期ではないんでしょうか。これをしっかりやらないと、日本の経済の緩やかな安定成長という問題が、ここから崩れてくるということになりはしないでしょうか。たとえば今度の場合の春闘の模様によって、いまの福田さんがおっしゃるような方針が、がたがたになるおそれだってあるわけです。そういうことですから、この問題については、労働省としては公式に日程に乗せる必要があるのではないか、経営参加、協議というものを何らかの法的な措置を講ずる必要がありはしないか、こういうふうに思うんですけれども、重ねて御所見をお伺いしたい。
  245. 長谷川峻

    ○長谷川国務大臣 いまから先も、労使のコンセンサスは非常に大事なことでありまして、実はけさも総理、副総理初め皆さんお出かけいただきまして、経営者あるいは組合の大幹部の諸君と懇談したわけであります。そういうところに、私はやはり正常な労使慣行というのをつくっていきたい。おっしゃるように、いま先生がおっしゃった経営参加の問題に、仮に参加すると、とりこになるからいやだというふうなお考えの方々もあるようでございます。そんなことも含みながら、将来の問題として検討に値するものだ、私はこういうふうに内心考えております。
  246. 和田耕作

    ○和田(耕)委員 次に、いまの現下の問題について一つだけお伺いしたいのは、この臨時国会で成立しました雇用保険法の適用の問題についてでございます。これは、特に繊維産業あるいは電機産業等からの強い要望もあるわけでございますけれども、実際この一月から適用されておる三月までの雇用保険法の問題いまの、大企業は三分の一、中小企業は四分の一の一時帰休という問題は、いかにもこれはきつ過ぎる、これでやると、やりたいところもほとんど十分の一ぐらいしか網にかからないという問題が出てきて、非常に困っておる状況があると思います。時間がないので、その実情については申し上げることができませんけれども、職業安定審議会でも、実情から見ると非常に厳し過ぎるという答申が出ているわけですけれども、この問題について、何らか緩和して、実際に法の趣旨が適用できるような方向で実施するように、労働省としてはお考えになるお気持ちがあるかないか。あるかないかよりも、ぜひともやっていただきたいと思うんですけれども、いかがでしょうか。
  247. 長谷川峻

    ○長谷川国務大臣 諸先生方の御声援によりまして、この雇用調整給付金が非常に役に立っていることは御承知のとおり。しかも中小企業の方は事業主などが非常に多うございます。ただ、しかし厳し過ぎるというお話などもありましたので、本年四月以降の実施基準を省令で定めるに当たりまして、一月以降実施している実績を勘案の上に、この制度に沿うようにやってまいりたい、こう思っております。
  248. 和田耕作

    ○和田(耕)委員 いまちょっと、よそからのあれがありまして……。やってくれますね。(長谷川国務大臣「はい」と呼ぶ)  それと同時に、いまの一-三月の特例の措置があるわけですけれども、これで見ると、たとえば二月に申し込んだというケースは四月を越えるわけですね。三月に申し込んだやつは五月になるという問題がありますけれども、四月になればいままでの特例はやめて、もとの本当のあれに戻るのだということですが、これじゃ余りひど過ぎることだと思うのですけれども、この問題、いかがでしょう。
  249. 遠藤政夫

    ○遠藤(政)政府委員 雇用調整給付金制度の実施基準につきましては、ただいま大臣からお答えございましたように、四月一日以降本法の施行に際しまして、この基準を定めるに当たりましては、中央職業安定審議会の労、使、公益、三者一致した御意見もございます。一-三月の実績を十分勘案いたしました上で、実情に沿うように、法律の趣旨が生かされるように定めていきたい、かように考えております。  それから、ただいまお尋ねのございました一―三月の暫定措置で実施いたしております分が、来年度、新年度の四月以降に引き続き実施されます。これは六ヵ月という期間が予定されておりますので、当然一月から実施しました分は、期間的には六月まで余裕があるわけでございます。その際に、暫定措置で従来やっておりましたものが、四月からはその暫定措置分が切られるのか、こういう御趣旨かと思いますが、これは経過的に、そういうものは認めるという考え方で実施いたしております。
  250. 和田耕作

    ○和田(耕)委員 先ほどの問題で、つまり大企業三分の一、中小企業四分の一というのは、いかにも厳し過ぎる。これを大企業は四分の一ぐらいにして、中小企業は五分の一、六分の一というふうに考え方を改めることも御検討いただけますか。
  251. 遠藤政夫

    ○遠藤(政)政府委員 大企業、中小企業それぞれで、どの程度の休業規模を基準にして適用を認めるかということにつきましては、いま申し上げましたように、一-三月の実績を十分見きわめました上で、各種の御要望にもこたえ得るように、十分検討してまいりたいと思っております。
  252. 和田耕作

    ○和田(耕)委員 これは去年の初めごろから非常に困った産業、たとえば繊維、電機等になると、この一年間のうちにもうさんざん手を打った後なんです。人を減らしているし、それから操短もずっと続けておるという状態が続いておるわけですから、その上なおこの事業所で四分の一、三分の一というものを適用すると、非常に困った問題になっておるのですね。実際に申し込んだものの十分の一ぐらいしか認められていないという業界もあるようですから、ぜひともこの問題はひとつお考えいただきたいと思います。また、これを計算する細かいいろんな問題はありますけれども、これはまたいろいろ御相談に参りたいと思いますけれども、これは現在の就労あるいは産業の不安な状態のもとで、雇用保険法が大きな役割りを演じておるということは、これはだれしも認めておることであって、私どもこれを通すために一生懸命になった者にとっては、非常にうれしいものだと思っておるのです。それだけに、これが実際適用してみて、いろんな問題が出てきているわけでございますので、いま言ったような問題を中心にして、ぜひとも検討して、この法の趣旨が適用できるように、ひとつ善処をいただきたいと思います。  それから、福田企画庁長官、先ほど賃金と物価の、日経に出たあの記事ですね。日経に出たあれはスクープされたそうですけれども、あの記事はああして中身のところを――あれは全貌じゃないと思うのですが、大体中身の一番の骨子のところが発表されたと思うのですけれども、あの資料を資料として出していただけますか。
  253. 福田赳夫

    ○福田(赳)国務大臣 それは、委員会に配付せいというのですか、あなたのお手元へという……。
  254. 和田耕作

    ○和田(耕)委員 委員会に出していただければありがたいと思います。
  255. 福田赳夫

    ○福田(赳)国務大臣 あれは実は部内の参考資料だ、こういうことでつくったんです。私どもとすると、さて先々の経済がどうなるかということを注目しなければならぬ、それには賃金が非常に大きな影響がありますので、それが一〇%で決まったらどうなる、二〇%で決まったらどうなるという机上演習をしておったわけなんですが、たってそれを出せ、こう言うならば、配付いたすことにいたします。
  256. 和田耕作

    ○和田(耕)委員 これは、つまり日本でこういう問題を考える最高の頭脳の人たちの考えたことであって、非常に参考になると思うのです。ひとつぜひとも御提出をお願いしたいと思います。  以上で、きょういろいろ御質問しようと思った項目を終わるわけでございますけれども、最初に申し上げたとおり、これから高度経済成長であれば、ほったらかしておいても、いろんな重要問題は解決されていく、解決されてきたわけですけれども、今後はそうはいきません。ぜひともそういう意味で、自由民主党はできるだけ自由にというお考えがあると思いますけれども、これからの非常な条件のもとでがんじがらめになっている日本の経済を、安定的に成長させていくわけですから、やはり国内的にも国外的にも、それらしい処置をとる必要があるわけです。そういうふうな意味で、先ほど賃金の問題については、物価との不可欠な関係を考えていただくような一つの方針、物価スライドと言って悪ければ、物価というものと賃金というものは、物価をこういうふうに上げたのは政府の責任が相当あるわけですから、やはり政府としても、物価が上がった分だけはどうしても賃金として払っていかなければ、社会的な不公正を解決するわけにはいかないわけですから、何かそういうふうな問題を考えていただくことと、そして国際物価の問題については、これは私は本当にできるだけ早く、効果のある情報を集中的にキャッチして、そしてその情報に対して機動的に対処できるようなものを考えていただきたい。  そして最後に、いまの労使協議、労働者の経営参加という問題、これは労働大臣、いろいろな意見がありましても、そういう意見を含めて、政府として公式の審議会を設けて、労使がつまりもっと責任のある立場で、企業の問題でも、あるいは産業の問題でも、対処していく必要がある。日本は企業別組合ですから、企業の中ではいろいろやっておっても、大部分の企業は大体うまくあれしている。しかし産業別になりますと、この問題ができてないから、先ほど福田さんがおっしゃったように、非常にうまくいっている企業とまずい企業との問題がある。こういう問題が互いに調整されないでそのままやられるということがありますから、どうしても産業別あるいは全国の労使の協議の問題は、何らかの法的な措置を講じて、そして社会的な不公正がないようにやっていく必要がある。特に今後は失業問題が出てくればなおさらです。これはひとつ、ぜひともそういうふうな意味で、経営参加の問題の法制化についての審議会の設置を要望したいと思います。  雇用保険法の問題については、これは一つはお金の枠があるものだと思いますので、大蔵大臣も、この問題はぜひともひとつ弾力的に、法の趣旨に沿うような運用ができるように、お金の枠等についでも、大きな目で見ていただきたいと思います。  以上でもって、私の質問を終わります。
  257. 湊徹郎

    ○湊委員長代理 これにて和田君の質疑は終了いたしました。  次に、石野久男君。
  258. 石野久男

    ○石野委員 自治大臣、通産大臣にお伺いしますが、四日市の大協石油タンクの災害、事故についてでございますけれども、この事故につきましては、あらかじめ自治省または通産省などが予測していた事故であろうかどうか、そういう点について、まず最初にお伺いしたいと思います。
  259. 福田一

    ○福田(一)国務大臣 この問題は国民が非常な関心を持っておる問題でございますので、いささか詳しく御説明をさせていただきたいと思います。  石油タンクは危険物を貯蔵する施設でありますので、消防法令において、その位置、材質それから板の厚さ、それから風に対する耐風、それから圧力に対する耐圧等の構造または通気管とか注入口、配管、弁それからポンプ設置、消火設備等の設備または防油堤の構造など、タンク自体に対する規制並びに貯蔵、取り扱いの方法に対する規制を加え、その保安の確保を図ってきたのでありますが、しかし万一石油タンクについて火災が発生した場合には、その被害が拡大しないように万全の措置を講ずる必要があるので、タンクに固定消火設備を設置させるとともに、化学消防車、スクアート車、あわ消火剤、あわ放射砲等を配備する等、消防体制の整備を実は図っておりました。  なお今回の事故については、その出火に何らかの特別の原因があったと思われるので、早急に原因を究明して、今後かかる事故が起こらないよう措置を講じてまいりたいと思っておるのでありますが、ただいま御質問のあったように、予測しておったかどうかということになりますと、予測ということはないが、石油化学というのは、御案内のように、海外から施設を輸入し、いわゆる技術を輸入しておりますので、日本にそれだけの詳しい技術者あるいは構造を知悉し、またそれに対する万全の措置がとれておるかどうかということになると、やはり一抹の不安がないわけではございません。いわゆる装置産業の持っておる一つの問題点があるということは、私も理解をいたしております。
  260. 河本敏夫

    ○河本国務大臣 いま自治大臣がいろいろお述べになりましたが、やはり平素から、できるだけ企業として万全の措置を講ずるように、いろいろ指導をいたしておりますが、今回の事故はまことに遺憾であったと思います。いま名古屋通産局に対策本部を設けまして、いろいろその対策にかかりますと同時に、事故の原因等を究明しておるところでございます。
  261. 石野久男

    ○石野委員 外来技術である、そのために万全の措置もしておったけれども、こうした装置産業には遺憾な点があった、こういうことでございますが、予測しない事故のための対策ということはきわめて重大だと思うのです。そういうことのために政府はどのように考えておられるのか、この点について、自治大臣並びに企画庁長官の御所見を承りたい。
  262. 福田一

    ○福田(一)国務大臣 原因、それから対策でございますが、ちょっと詳しく申し上げますと、この間、十六日の午後三時五分に、四日市の大協石油四日市製油所で発生しました灯油タンクの火災は、四日市市及び周辺の消防機関並びにコンビナート地帯の企業の自衛消防隊等が共同いたしまして、鎮火に努めました。容量二万二千キロリットルあったこのタンクは、一万一千七百キロリットルくらいしか入っておりませんでしたが、幸いにいたしまして、ほかのタンクに引火することのないように措置することができましたけれども、ただ、消火の場合にあわ消火剤を入れるために、そのあわ消火剤を入れるポンプの足場を組むというようなことについていささか手間取ったような事態がありますので、今後はぜひこういうことがないようにしなければならないと私は考えております。  なお、先ほど申し上げましたように、非常な危険物でございますので、これの事故が発生しないように、極力今後も調査をし、さらにまた検討をいたしてまいりまして、発生防止の徹底を期したい、かように考えておるところでございます。
  263. 福田赳夫

    ○福田(赳)国務大臣 わが国の経済が非常に発展した、しかも国土が狭い、そういうことで、産業基地、これが地域住民との間に非常に摩擦を起こしたりあるいは不安を与えたり、そういう事態が非常に多いわけでございます。私は、やはり外国のエネルギーに依存し過ぎる、この体制から早く抜け出なければならぬ、こういうふうに考えまして、代替エネルギー、そういうものの開発等もしなければならぬとは考えますけれども、しばしば申し上げておりますように、五十一年度から新しい長期計画を立てる、そういう際には、地域住民に不安を与えないように、また環境を保全するようにということをずいぶん重く考えまして、それらの問題に対処しなければならぬだろう、こういうふうに考えまして、ぜひそういうふうな方向で、これからの産業基地問題を誘導したい、かように考えております。
  264. 石野久男

    ○石野委員 私は、きょうは代替エネルギーの問題もさることながら、こういう事故が、予測しない状態のもとに起きているということが非常に問題だ、こう思うのです。そういう立場から、特に午起製油所の郡司所長は、タンクに備えつけてあった六基の発泡装置が作動しなかったという形跡があるというふうに語っておって、その後こうした危険性は、タンクを装置しておれば不可抗力的に発生することもあり、予防のすべがないと語っているのですね。こういうようなことでありますと、コンビナート周辺地区の住民にとっては、これはどこにも頼るこころがない、安定感が持てない。そういうようなことを施設者が言ったり、しかもまた、いろいろ施設を施してあるものが作動しない、こういうふうなことでは、これは一たん事故のあったときの対策が全然とられないんじゃないか、こういうふうに思うので、政府はこの問題についてどういうふうに処置されるか、あるいは対策をとられるか、これがここできわめて重要だと思うのです。  それからもう一つは、岩野四日市市長は、今後災害、事故を起こすような企業は四日市から撤退してもらうというふうに記者に語っているのです。こういう問題について、監督官庁としての自治省なりあるいは政府としては、どういうふうにこの市長の話を受けとめておるか、これについてひとつ御所見を承りたい。
  265. 福田一

    ○福田(一)国務大臣 タンクに据えつけてあった消火装置が動かなかったということが、一部に言われておるのでありますが、確かに私は、そういう面において点検が十分であったどうかということについては、今後われわれとして調査を十分にして、そうしてタンクに取りつけてある安全装置が動かぬというようなことでは、本当にお説のとおりだと思うのでありまして、非常に心配であります。  なお、住民の立場、あるいはまた市長の立場でいろいろの御発言もありますが、私たちとしては、極力原因の究明をいたし、そして事故が起きたときの対策を考えていかなければならないと思うので、私は、今度の事故で幸いにして隣のタンクに引火しなかったのは、三十数台の消防が集まりまして、化学消防だけでも十九台ばかり、その他の消防は水でもって両側のタンクを冷すという方に一生懸命努力をした結果、どうやら大事に至らなかったのだと思っておるのでありますが、こういうようなことでございますので、いろいろ今後とも対策を立てねばなりませんが、われわれがさしあたりいまやっておりますことは、地域防災計画の中に、まず石油コンビナート地帯防災計画をつくるということ。それから県相互間、市町村相互間及び企業相互間の応援体制の確立を図る。いざというときにどうするかということをやる。それから地方公共団体、企業、海上保安官署、港湾管理者等の広域的応援体制の確立を図るということ。それからさらに、避難、警戒体制及び情報連絡体制の確立を図る。これが案外水島の場合などにはいろいろ言われておりますので、こういう点も十分考えねばならない。また地方公共団体における防災資機材の整備を促進する。それから企業における自衛消防力の強化を図る。今度でもあわ消火をやれる消防車が非常に十分でなかったように思いますが、企業の分は作動しましたけれども、これで十分であったかどうかという問題が考えられます。それから保安管理体制の強化を図る。同時にまた保安点検、先ほど言うように、作動しないのじゃ何にもならないのですから、保安点検の強化を図る。こういうようなことをやると同時に、四十九年の五月には、学識経験者から成る防災診断委員会をつくって、そうして地方公共団体が石油コンビナートについて総合的な防災対策を立てるために必要な、石油コンビナート防災診断の基準、どういうことを調べていくかというような基準をつくれということを言って、いまその案を立てさせておる段階でございます。こういうようなこと等もあわせて実行いたしまして、現在あるこのコンビナート等が住民に危惧の感を与えないように、全力を傾けてまいらねばならない、かように考えております。
  266. 石野久男

    ○石野委員 コンビナートの火災が、普通の火事と異なり、予想もつかない惨事につながる、延焼を食いとめたのがせめてもの救いだ、これが四日市中消防署長の大倉さんが語った言葉なんです。私は延焼を免れたということだけは非常によかったと思うのです。しかし、もしこれが風向きが違うと、どういうふうになっておったろうか。これはただ延焼が起きなかっただけではなしに、今度は一般の住民にあの煙の被害が出てくるだろう、そういうようなものをいろいろ考えますと、ここでは幸いに海の方に向いておった風で救われたということもありますけれども、もっともっと考えなければならぬ問題が一つあると思う。  そういう点から、いま自治大臣から、企業防災消火車とかいろいろなことを言っておられますが、とにかくあの実態を見ると、自治体が消防に当たるについての限界が示されておると思うのですね。これはもうとてもじゃない、ようやく延焼を食いとめたのがせめてもの救いだというのが実情なんです。こういうことではまずいので、国がコンビナート地区におけるところの災害を防止するためには、もっと基本的に考える問題があるのじゃないだろうか。そういう点で、私は、やはり立地条件の問題が一つあるのじゃないかというふうに思うのです。住宅地域と密接したところに、こういう大規模な産業基地というものがあるということについて、これはもう大変な問題が今後出てくるだろうというふうに私は考える。だから、そういう点で、私は産業コンビナートの立地の条件について、もっと国が見直しをしなくちゃならぬじゃないだろうか、そういう観点から対策を立てられてしかるべきじゃないかということが一つ。  それから、これはたまたま住民の避難ということが起きないで済んだのですけれども、こういう問題が、もし密集地帯へ被害が来るということなら、たとえば煙が来るだけでも大変だと思います。そういうことになれば、やはり地域の住民の避難訓練というものなんかは、コンビナート地区では必ずやらなければならぬ問題ではなかろうか、こういうふうに私は思うのです。そういう点について、政府はどういうふうに考えておるか、この際所見を聞かしてください。
  267. 福田一

    ○福田(一)国務大臣 お説ごもっともでございまして、既設のコンビナートについては、災害が起きた場合を考えての避難訓練等は、当然考えなければなりません。  それからもう一つは、非常に施設と住宅が密着しておるような地帯はどういうふうに処理するかということも、今後考えていかなければならないと思います。施設自体を動かすのがいいのか、住宅を動かすのがいいのかという問題も、あわせて検討しなければなりませんが、そういうことも含めて、何としても、こういう災害が起きて住民に危惧の念を与えないようなことをすると同時に、やはり府県等にもう少し消防の予算をつけて、そして現実にコンビナートのあるような大きいところでは、もう少し消防力を強化したらいいじゃないかという気がするのです。こういう点もあわせて考えてまいりたいと存じます。
  268. 福田赳夫

    ○福田(赳)国務大臣 ただいま自治大臣から、今日のすでにあるコンビナートにつきましての見解が述べられましたが、将来のものにつきましては、漠然たる想定なんかのあるものもあります。ありますけれども、そういうものを白紙で、これは人命の安全または環境の保全ということを念頭に置きまして、そして国土利用計画を策定いたしますので、そういう考え方で、産業基地問題はこの利用計画の中に織り込んでまいりたい、かように考えます。
  269. 石野久男

    ○石野委員 自治大臣が、地方自治体に消防力を強化させる必要があると、こういうことは、そのとおりだと思うのです。ただ、その場合に、企業集団、いわゆるコンビナートを形成している企業の責任というものは非常に大きいと思うのです。いたずらにこれが国民の税金で消防力を強化するということだけであるというと、非常に問題が残ると私は思うのです。その際、やはりこうしたコンビナートにおきましては、そういうところでは、企業が自衛消防力を持つだけでなく、そういう問題に対して責任の分担なり経費の分担というものを当然考えなければならぬじゃないだろうか。やはり消防力強化の問題について、国、自治体、それから企業、そういうものの責任の分担を明確にする必要があるし、政府はそれに対して正しい見解を示す必要があると私は思うのですが、そういう点についてはいかがですか。
  270. 福田一

    ○福田(一)国務大臣 お説ごもっともだと、私考えておるわけでございます。
  271. 石野久男

    ○石野委員 石油の問題では、たとえば水島のような事故があり、あるいはまた今度の四日市の問題があり、かてて加えて、各地の石油基地は、タンクが不均等に沈下していくというような状態で、今後問題が数多くあると思うのです。  しかし、私が最も恐れるのは原子力の問題なんです。原子力については万全を期しておって、まあめったにそんなことはないということになってはいるけれども、この原子力の暴走があり、そして放射性物質が飛散するという状態について、そういうようなときに、果たして防災の体制を政府はどのように組んでおられるのか、この際、自治省からひとつその考え方を聞かしていただき、また、科学技術庁はそれに対してどういうふうに対応しているのか、その点についてお聞かせを願いたい。
  272. 福田一

    ○福田(一)国務大臣 原子炉事故の問題は、これはもう放射能汚染ということが出てまいりますから、非常に重要な問題でありまして、科学技術庁の防災業務計画の中の地域防災計画の作成の基準というのに基づきまして、都道府県及び市町村の地域防災計画をやります場合、事故に関する情報の収集伝達、放射性物質による汚染状況の調査、住民の避難及び立ち入り制限、汚染飲食物の摂取制限、その他災害応急対策に必要な事項に関して、放射能災害防除計画を、実はこういう項目についていずれも定めておるところでございますが、万一事故が発生いたしましたときには、地方公共団体及び関係機関が、この災害防除計画に基づいて、総合的かつ効果的に放射能災害防除活動を実施することとしておりますし、それについては、国としての責任も十分考えておるところでございます。幸いにして、いままでのところは本体の事故というものよりは、これを覆う、事故が外部に漏れないようにやっておる部分がかなりいろいろ問題を起こしておるというのが現実であります。しかし、そういうことで安心しておれるわけではございませんから、この問題はわれわれとしても十分に監視をし、検討を続けてまいりたい、かように考えております。
  273. 石野久男

    ○石野委員 いま、地域防災計画の中で、いろいろそういうことが計画されておるということでありますが、じゃ、そういうことについて実際に地域で指導したり、あるいはまた、事故が発生したときに対応するだけの体制が具体的にできておりますか、どうなんですか。
  274. 福田一

    ○福田(一)国務大臣 私は、事故の内容等々にもよると思いますが、現実のいま起きておりますような事故であれば、何とか防ぎ得ておると思いますが、いま非常に御心配の、大きな事故が起きたときの対策ができておるかということになれば、今後そういうことも想定しながら、対策を考えておかなければいかぬ、かように思っております。
  275. 石野久男

    ○石野委員 そういう対策はまだできていないでしょう、現在。
  276. 福田一

    ○福田(一)国務大臣 現在のところ、われわれとしては、そこまでの大きな事故は大体起きないという想定のもとに、対策を立てておるわけであります。これはもう技術の問題でございますから、これも先ほど申し上げたように、ある程度海外から入れた技術でありますから、本来われわれが開発した技術でないところにいささか弱味がありますが、海外におきまして、もしそういうようなことで非常に危険があるというような場合には、運転をとめて整備をするというようなこともいたしております。したがって、日本におきましても、同じような機械を使っておる、発電機を使っておる場合には、やはり同じような処置をとっておるわけでございまして、これによって大きな事故が起きることは防ぎ得ると考えておるわけでございます。
  277. 石野久男

    ○石野委員 問題は、事業所の中で起きた小さなものなら、私は大したことは言わないのですよ。いま私の聞いているのは、事業所の外、発電所の外へ、一般大衆に対して事故が拡大したときに、放射性物質が地域にものすごく拡散する段階での対策がいまないというわけですから、それじゃまずいじゃないか。事実上ないんだから、それに対して、こんなことじゃだめだから、やはりもっと政府がそういう問題についての対策を立てるということを考えてもらわなければいけないのですよ。
  278. 福田一

    ○福田(一)国務大臣 そのような問題につきまして、私がこういうように言うのは、実は福井県で、御案内のように原子力発電が多うございますから、私は非常に関心を持っておりますので、かわってお答えをしておるようなわけなんでございますけれども、しかしいままでのところ、そのようなことは起きないということでございまして、また諸外国においても、そういう火災事故が起きた例はございません。われわれは常に海外の技術の進み方、あるいはこれに対する対応策というものを研究しながら、防災の対策も考えていかなければならないと思いますが、現段階においては、私は、外に漏れるというようなところまでの災害が起きるということは、これだけの防災施設が発電所の中にできておれば、大体防ぎ得るものである、かように考えておるわけでございます。
  279. 石野久男

    ○石野委員 防ぎ得るものであるという考え方、をもし私たちが認めることができるなら、こういう問題は提起していないのですよ。事故はないだろうと思っているのが、出てくるわけです。だから、それに対する対応策を持たないということではまずいから、これはつくるということをやらないと、そんな事故は起きないだろうというようなことだったら、何も安心する余地はどこにもないのだから、それじゃだめなんで、やはり政府としては、このことに対して具体的に計画を立て、そういう準備をするという必要がある。
  280. 佐々木義武

    ○佐々木国務大臣 自治大臣からお答えしたとおりでございまして、私から付加することもございませんが、御承知のように、第三者あるいは環境に汚染を及ぼすような事故というものは起こり得ないというふうに炉ができております。しかし、お話のような点があればと思いまして、原子炉設置者に対する準備をどうさすべきか、それから自治体等に対してどういう措置をとらすべきか、問題は二つあると思います。  そこで、原子炉設置者に対しましては、保安規定をつくらせまして、そして非常時の要員を確保しろ。それから放射線の防護機材だとかあるいは測定機材等の各種機材を準備しなさい、あるいはそういう場合にはどこそこにどういうふうに連絡すべきだといったような規定をきめまして、その準備を怠りないようにしております。  それから、それを受ける自治体の方はどうかと申しますと、ただいま自治大臣からお話がございましたように、地域防災計画というものの中に、原子力災害に対する防災計画をつくりまして、呼応してこれに対処するように準備してございます。
  281. 石野久男

    ○石野委員 いろいろ法に基づいて準備しているということは、ぼくもよく知っているんであります。知っているけれども、それではだめなんで、とにかく起こり得ないんだということが前提になっているんだから、だめだというんですよ。起こり得ないような事故が起きているんだから、それではだめなんだからということで、私は質問しているんだが、自治大臣も科学技術庁長官も、起こり得ないということを前提にして物を言っている、食い違っているのですよ。こんなことじゃ話にならぬのだよ。私は副総理がおったら副総理に所見を聞こうと思ったのですが、委員長、やはり総理あたりにこの問題ははっきり意見を聞かなくちゃいけないですよ。もし放射能についての事故が起きたら、これは油や何かの問題じゃないということを前提として、私は話を聞いているわけですからね。いまのところ、それに対する対策はないわけなんだから、やはり科学技術庁長官は、事故が起こらないということを前提にするということでは、だめですよ。
  282. 佐々木義武

    ○佐々木国務大臣 私が先ほど申しましたのは、同じことを言っているのでありまして、事故は起こらないように、大事故が起こらないように炉の構成その他ができておりますけれども、しかしもし百分の一に一回とかいったようなことで、仮にあり得るとすれば――商業炉では第三者に事故を起こしたことは、世界じゆうでいまだかつてありません。ですけれども、あらゆる想定をいたしまして、そしてその場合でも、それでは対策なしやといいますと、そうじゃなしに、その場合も考慮いたしまして、原子炉の設置者に対しては、これこれのことをしなさい、それから自治体の方はこうしなさいというふうに、体制を整えてございます、というふうに御説明申し上げたのでございます。
  283. 石野久男

    ○石野委員 私は時間がないのだけれども、この答弁では、私は納得しないですよ。とにかく炉は事故を起こさないということを前提として、いろいろな対策を立てているというわけですから。この問題については、私はやはり総理にどうしても答弁をもらいたいのですよ。こんな体制では、放射能に対する防護対策としては十分じゃない。だから委員長、これは自治大臣ではだめだ。科学技術庁……
  284. 湊徹郎

    ○湊委員長代理 それでは、石野君に申し上げます。ただいまの件に関しては、理事会で取り扱いを相談したいと思います。  岡田春夫君から、関連質疑の申し入れがあります。石野君の持ち時間の範囲内で、これを許します。岡田春夫君。
  285. 岡田春夫

    ○岡田(春)委員 時間が非常に制約されておりまして、大体後一時間足らずでございますから、若干お伺いをいたしてまいりますが、簡単明瞭にお答えをいただきたいと思います。  副総理にお伺いしたいのでございますが、副総理がまだお見えになりませんので、まず外務大臣からお伺いをいたしてまいります。  この間来、新聞の報道によりますと、ソ連の大使から、日ソ友好親善条約あるいは善隣協力条約ですか、こういう条約について、三木総理その他に何か提案があったという話を聞いております。これに対して、日本の政府としての公式な見解をまだわれわれ伺っておらないわけでございますので、こういう点について、どのような政府の態度をおとりになるのか、この点をまず外務大臣にお伺いをいたしたいと思います。
  286. 宮澤喜一

    ○宮澤国務大臣 在京のソ連大使が、あちこち歴訪されまして説明をしておられることは、一応概略的には、御指摘のように、日ソ間で友好善隣条約を結ぶことが両国のためであるということのようでございます。それに対しまして、政府といたしましては、日ソ間には、御承知のように領土問題が未解決でございますから、平和条約の形でこの問題を片づけるというのがまず第一にいたすべきことであって、それに先立って友好善隣条約というようなものを結ぶような余地はないとわが政府としては考える、というのが政府の立場でございます。
  287. 岡田春夫

    ○岡田(春)委員 といたしますと、平和条約で領土問題を解決することがすべての先決要件である。いまのソ連側の提案などはその後で検討すべきことであって、現在は領土問題を解決することがすべての先決問題であるというように理解してもよろしゅうございますか。
  288. 宮澤喜一

    ○宮澤国務大臣 政府としては、さように考えております。
  289. 岡田春夫

    ○岡田(春)委員 実は、ある相当正確なところからの話でございますが、ソ連側から、北方領土の返還問題について、領土の潜在主権を認めるということで条約の妥結をしてはどうかという意向があるようであります。これは沖繩問題で潜在主権という点が出てきているわけですが、外務省としては、北方領土の問題について、潜在主権についてたとえば提案があった場合に、これについてはどのようなお立場をおとりになりますか。
  290. 宮澤喜一

    ○宮澤国務大臣 もし提案がございましたときには、具体的な提案について考えるべきであると思いますけれども、北方領土につきましては、わが国は、かつて他国の領土であったことがない島々でございますし、一八五五年の条約でも、そのことは平和裏に確認されておりますので、わが国は、はっきり主権を持っている、そこにあるものは潜在主権ではないというふうに考えております。
  291. 岡田春夫

    ○岡田(春)委員 ということになりますと、たとえば潜在主権というようなことで譲歩をしてくれというようなことは認められない、これが政府の態度である、こういうように理解してもよろしゅうございますか。
  292. 宮澤喜一

    ○宮澤国務大臣 具体的な提案が全くない現在におきましては、そう申し上げることが最も正確であろう、そう思います。
  293. 岡田春夫

    ○岡田(春)委員 もう少しこういう問題についてお伺いをしてまいりたいのですが、ちょっと重要な問題がいま太平洋の沿岸地帯において起こっておりますから、この点にしぼって、ひとつきょうは時間の許す限りやってまいりたいと思います。と申しますのは、昨年の十月以降今日まで、北海道、東北、関東の太平洋上において、最も多いときは一万トン級以上の母船十数隻に率いられて、百隻以上のソ連の大漁船団が出没いたしまして、日本の沿岸漁民に多大の被害を与えていることは、もう御存じのとおりです。しかも、今度の漁船団は、いままでと比べましてかつてない大きな規模である。しかもサイドトロールという新鋭船を含めております。しかも昨年の春までは、大体領海十二海里以遠のところで操業いたしておりますけれども、ことしの場合においては五海里付近まで入ってきております。しかもサイレンを鳴らしながら、トロール船が日本漁船を追い回して、追い出して操業するというような事態も起こっております。そういうことのために、日本の漁民の損害は、漁具、漁網だけでも、過去六年間の約十倍の被害が出ております。二億数千万、しかもこれは漁具、漁網だけでありまして、それ以外に漁獲の減少あるいは休漁といいますか、漁に出ないという、こういう点を含めると、少なくとも十五億円を下らない。北海道だけでも漁業関係者六万人の生活の危機がいま迫っているという状態であります。また、このソ連漁船団には、伝えられるところによりますと、軍事関係船が参加をしているというような話も聞いております。あるいは遠巻きに警備上の軍事関係船がいるというような話も聞いておるわけです。こういうことになってまいりますと、問題はきわめて重大でございますので、まずこういう実情について、農林大臣あるいは防衛当局、こちらの方で、軍事関係船の問題などについても、ひとつ御答弁をいただきたいと思います。
  294. 安倍晋太郎

    ○安倍国務大臣 昨年から現在に至りまして、大規模なソ連の漁船団が北海道の沖にあらわれまして、そしてわが国の沿岸漁民の皆さんが長い間にわたりまして育てあげられました漁場を、公海中とはいえ、無謀にも荒らし回って大変な被害、いま岡田委員の御指摘がありましたように、数億に上る被害を与えておることは事実でございまして、われわれとしては、この事態を深刻に受けとめておるわけでございます。もし、数年来の被害というものについて正確にお答えをいたすということになれば、政府委員からお答えをいたさせます。ただし、軍事的な問題がそれにからまっているかどうかは、私たちの方は承知しておりません。
  295. 丸山昂

    ○丸山(昂)政府委員 お答え申し上げます。  結論的に申し上げますと、いま岡田議員の御指摘になりましたソ連の漁業船団の中に軍事関係のものが入っておるのかどうかという点については、私ども確認しておりませんので、はっきり申し上げられないと思います。ただ、これはジェーン年鑑でありますけれども、これによりますと、インテリジェンスコレクターという情報収集船でございますが、これが約五十三隻ございまして、この中に、かつてはインテリジェンストローラーという名前で、トロール船とそっくり同じ外観の船がございまして、一見いたしますとトロール船のようでございますけれども、実際は軍事的な情報を収集している。特にELINT関係、電子情報関係の収集を行っているものがあるというふうな記載がございますが、これに該当しておるものが今回の漁業船団の中にあるかどうかという点については、私どもまだ確認いたしておらないという状況でございます。
  296. 岡田春夫

    ○岡田(春)委員 そういうトロール船という名目の軍用船がいるということなら、これは非常に重要なんで、特にそれがELINT関係の問題であるということになりますと、問題はますます重要なんでございますが、ひとつこれは防衛当局でもお調べをいただきたい。私はこういうことを根拠なしに申し上げているのではなくて、ある海上保安庁の職員が、公用ではなくて私用の席で、フェリーの上から、あれは確かに軍用船であるということを確認したという事実も、私知っておるのであります。そういう事実などもございますので、いまのところ未確認でございますならば、防衛庁としてもひとつ鋭意お調べをいただきたいと思います。  続いて入りますが、そういう状態でございますので、関係漁民は生活の危機に非常に追い込められている。それだけに漁民たちは非常に激高しております。たとえば北海道の噴火湾の付近の漁民の場合には、去る十五日には、ソ連の操業海域に対して、もうわれわれも出動するというので、百四十そうが強行出漁をいたしました。そしてそのうち七十隻がソ連のトロール船を包囲するという事件が起こっております。しかも、昨日私の方に入りました情報によると、最近ソ連のトロール船は日高の沿岸方面に集結いたしておりますので、日高の関係の漁民が各地域とも大挙して強行出漁をやる、こういう準備をいま進めております。こういうふうになってまいりますと、国際紛争の起こる危険性が非常に大きいと言わなければならぬと思うのであります。特に去る十五日の、百四十隻が強行出漁して七十隻がソ連のトロール船を包囲するというような事態の場合について、海上保安庁はその現状をお調べになっておられるかどうか、保安庁長官、見えていると思いますが、お答えをいただきたい。
  297. 寺井久美

    ○寺井政府委員 ただいま先生御指摘の、ソ連漁船を日本漁船が取り囲んだという事件でございますが、二月十六日の朝でございますが、ソ連のトロール船、これは何と発音しますか、TAISHETという約三千トンの船でございますが、これの回りに漁船が続々と集まりまして、旋回などの行動を示しました。午前九時半ごろ、日本の漁船は約六十隻に達しております。このT号は九時五十五分揚網を終了いたしまして、日本漁船群を割るようにして走航を開始しております。そこで日本漁船も徐々に解散を始めて十時ごろにはほとんど帰港したという状態でございます。  本件の警戒には、海上保安庁の「てしお」「あぶくま」が専従いたしておりまして、「てしお」はT号に対して、状況を説明して、現場を離れるよう指導説得をいたしますとともに、日本漁船に対して、ソ連漁船の進路を妨害しないなど、危険防止のための指導をいたしました。幸い事故がなく、両者が別れたというふうに了解いたしております。
  298. 岡田春夫

    ○岡田(春)委員 実は相当緊迫した事態が、こういう形でいま起こりつつあるわけです。     〔湊委員長代理退席、委員長着席〕 そうすると、いまソ連のトロール船の動きを見ると、大体、日高を中心とする北海道に集結しつつある。問題は、この場合に、海上保安庁の監視船は、集結している北海道の地帯にどれだけ配置をされているのか、こういう点をまず伺いたいと思います。
  299. 寺井久美

    ○寺井政府委員 北海道を二分いたしまして、日高沖の方に三隻常時おるように配船いたしております。それから釧路寄りの方に常時一隻。これは三隻、一隻常時でございますので、交代の船がおります。北海道庁の監視船とも協力いたしまして、私どもの方では三隻、一隻を常時配置をいたしております。
  300. 岡田春夫

    ○岡田(春)委員 場所は若干違いますけれども、数字は、大体私の調べておるのと合います。北海道の太平洋沿岸には常時四隻、これが監視をしておるというのですが、私はこれでは問題にならないと思う。この間のこの委員会で、島本虎三君の質問に答えて、伊達火力の際に、北海道電力のボイラーを海上輸送するときに、海上保安庁は北海道電力から依頼されて、北海道、東北の二つの管区から十九隻の船を動員して、本来公害の被害者である漁民、これに対して、大資本の側に立って、このような十九隻を動員して圧力を加えた。このような事態に対しては、積極的に十九隻も大動員する。ところが、ソ連の漁船団に対しては、釧路から日高、室蘭、函館の近くまで全部で四隻しか配置をしておらない。これでは、この広い海に四隻ぐらいおったって、わかりようがないじゃありませんか。現地の漁民たちは笑っています。どうやら海上保安庁の船がこわいらしいね、こう言っています。私は、こういうことでは、海上保安庁の仕事というものは十分果たせることにはならないと思う。増員しなければならぬと思います。木村運輸大臣、これをどう思いますか。
  301. 木村睦男

    ○木村国務大臣 伊達の火力発電所の事件の場合には、もちろん領海内のことでもございますし、厳寒で、非常に寒いときでございましたので、多数反対して出てきております漁船の人、あるいは機材を運ぶ方に事故があってはいけないということで、相当警戒をいたしたわけでございます。ソ連のいまの場合には、公海上のことでございますので、実はどういうふうに動くかということを監視をいたしますということと、それから写真等を、航空機も含めて写しまして、わが国の漁民の漁具等の損害等の証拠固めのための写真を撮るとか、あるいはわが国の漁民の漁具等に故障を起こさないようにということで、遠くから、こちらの巡視船の上から、ロシア語のテープで放送するとかという程度で、直接どうこういうことができないことでございますので、監視をしておるという状態であります。しかし、なお、事態によりましては、他の管区の方から応援隊を出すことは可能でございます。
  302. 岡田春夫

    ○岡田(春)委員 私はその御答弁では全然納得ができません。事態はきわめて緊迫をしております。これは政府として、この事態に対してどうするのだ、今後どういうような解決方策を考えるのだということをやはり具体的に考えませんと話になりません。先ほどから述べているような緊迫事態でございますので、これに対する対応策を副総理からひとつ、政府としてはどうするのだ、この点をお答えをいただいておきたいと思います。
  303. 福田赳夫

    ○福田(赳)国務大臣 北海道を初めとし、だんだん南下して、関東全域までソ連船が遊よくしている、これは非常に憂慮すべき事態だ、こういうふうに考えております。これに対しましては、かねてから外務省で抗議はしておるわけでございまするが、今回のこの状態は、従来の状態と非常に違っておる。この状態を踏まえて、厳重にソビエト政府に談判をすべきである、こういうふうに考えます。
  304. 岡田春夫

    ○岡田(春)委員 どうですか、事態は非常に緊急事態になっているし、漁民の生活の危機も非常に深刻です。私は農林大臣に伺っておきたいのだが、とりあえず北海道へ、現場に農林大臣が行かれて、現地調査する必要があると私は思う。至急ひとつ行っていただく御決心がおありなのかどうなのか、この点を伺いたいと思います。
  305. 安倍晋太郎

    ○安倍国務大臣 北海道の緊迫した事態に対しまして、農林省といたしましては、実は十八日に漁政部長を派遣したわけでございます。しかし、いまの御意見もありますし、私もやはりみずから北海道に参りまして、現地の実情をつぶさに視察し、また漁民の皆さんの御要望等も聞いてまいりたいと思いますので、今週中にでも、行けたらぜひとも行きたいと思っております。
  306. 岡田春夫

    ○岡田(春)委員 それでは、今週中に行っていただくことを、お約束はできますね。
  307. 安倍晋太郎

    ○安倍国務大臣 国会の都合もございますが、大体いま私の考えでは、土曜日なら行けるのではないかというふうに判断しておりますので、ぜひとも行きたいと思っております。
  308. 荒舩清十郎

    ○荒舩委員長 ちょっとお待ちください。皆さんが、野党の皆さんがいいと言えば、あしたにでも行ってきてもらって結構ですよ。
  309. 岡田春夫

    ○岡田(春)委員 それは理事会で御相談ください。
  310. 荒舩清十郎

    ○荒舩委員長 理事会をやっているほどのことじゃない、緊迫しているのでしょう。緊迫した事態に対処しなければならない。あなた方が承知してくれれば、あしたにでも行きたまえ。どうですか。
  311. 岡田春夫

    ○岡田(春)委員 それでは、委員長のせっかくのお取り計らいですから、明日でも出発できるように、委員長からもお進めをいただきたいし、農林大臣もひとつお考えをいただきたいと思います。いかがですか。
  312. 荒舩清十郎

    ○荒舩委員長 野党の皆さんがいいと言えば即決ですよ。すぐあしたにでも行ってもらいますよ。  よろしゅうございますか。どうですか。
  313. 小林進

    ○小林(進)委員 委員長、議事進行。  いまの御答弁は二十一日ですか。二十一日は、これは御承知のとおり、いまのところ、議運は済んだはずでございまして、おそらく本会議が開かれるはずでございます。農林大臣が、本会議の行事をおいて、北海道へ行かれることに対しては、この予算委員会の理事だけでも判断できる問題ではございません。国会全般の問題でございますので、どうも委員長のそういうお取り計らいはありがたいですけれども、われわれは国会全般を考えて、それをちょうだいするわけにはいきません。次のまた理事会において、慎重御審議の上にお決めを願いたいと思います。
  314. 荒舩清十郎

    ○荒舩委員長 ただいまの小林君の議事進行、まことに機宜に適した議事進行でありますので、さよう取り計らいます。
  315. 岡田春夫

    ○岡田(春)委員 委員長、余り時間をつぶさないでください、私、質問ができなくなるから。  私は、農林大臣も行くくらいならば、運輸省の海上保安庁長官は当然行くべきだと思うのです。船に乗って現場を見たらどうですか。長官、そういうお考えありますか。
  316. 寺井久美

    ○寺井政府委員 農林大臣がいらっしゃるのであれば、お供させていただきますが、私どもの方は、組織といたしまして、毎日現状を把握いたしております。私自身が見なくても、わかるはずになっております。
  317. 岡田春夫

    ○岡田(春)委員 しかし、いまのあなたの答弁を聞いておりますと、行きますが、私行かなくてもいいですという、どっちなんですか。行くというのですか。
  318. 寺井久美

    ○寺井政府委員 では、お供させていただきます。
  319. 岡田春夫

    ○岡田(春)委員 そこで、次の問題に入りますけれども、政府は昨年の四月、ソ連の漁船団の問題で、過去三年間の漁具等の被害一億四百万円の賠償をソ連に請求している。これに対して回答がありましたか。あるいはまた、ことしの二月六日に、モスクワの日本大使に対して、悪質なソ連の船名を具体的に指摘して抗議をするとともに、具体的な措置をとってもらいたいということを訓令している。これに対する回答がありましたか。これは大臣おわかりにならなければ、欧亜局長でも結構です。
  320. 橘正忠

    ○橘政府委員 昨年、いま御指摘の四月のみならず、約六回、ソ連側に申し入れてございます。それから、ことしも一月に大臣が行かれましたときにも申し入れ、二月にも二回申し入れてございますが、ただいま御指摘の損害の点につきましては、ソ連側から特に何らの反応もまだ出ておりません。ことしの二月の際には、ソ連側において、昨年の十二月十六日に、ソ連が、日本の漁船と競合するような水域での操業については慎重に操業せよという指令を出した、その指令をさらに末端まで徹底するという回答を得ております。
  321. 岡田春夫

    ○岡田(春)委員 被害については回答がないのです。ところが、日本政府の要求しているのは、漁民の被害の漁具類ですね、これに対する被害、損害の賠償、補償、これであって、それ以外に実際に問題になりますのは、トロール船が入ることによって、魚がなくなってしまう、漁獲量の大減少と休漁、漁を休むことによって起こる損害というのは非常に大きい。この損害をソ連側に請求する法的な根拠がありますか、どうですか。あるいは、そういうことを請求した実例がいままでありますか、どうですか。
  322. 橘正忠

    ○橘政府委員 この問題は、そもそも公海上の問題でございますが、ほかの例については、私ちょっと存じませんが、今回のケースにつきましても、損害となりますと、具体的にどういう証拠で、どういう加害者があるかといったようなはっきりしたものというものが、まず第一の問題になろうかと思いますので、ソ連側においても、その点についてはまだ何も回答が来ておらない、こちらから一方的に申し入れてあるという状況にとどまっております。
  323. 岡田春夫

    ○岡田(春)委員 答弁がちょっとすれ違っていますけれども、私は、日本が請求する権利があるのかということを伺っているのです。だけれども、これは後でまたやりましょう。  そこで、日ソ間で第二回目のこういう問題に関する専門家会議が、去年の十一月行われた。大体三月ないし四月には協定が成立するだろうと言われている。ところが、この合意の中の第四項は、協定書が締結される以前においても、事故が起こった場合には、迅速な処理のために相互に話し合うということになっております。そこで、そういうことがあるんですから、これは農林省を中心として積極的な努力をしなければならぬ。私が聞いているところでは、水産庁の長官は、二十二日か三日にソ連に出発するはずになっているが、こういう交渉をすることになっているはずだが、ほんとうに出発して、向こうで話し合うのですか、どうなんですか。
  324. 内村良英

    ○内村政府委員 かねて北洋漁業全般の問題につきまして、ソ連のイシコフ漁業大臣といろいろ話し合いをしたいと思いまして、一月に向こうに行きたいということを申し入れたわけでございます。そのときは、イシコフ漁業大臣が中南米に出かけるので、二月にしてくれということを言ってまいりましたので、具体的に国会の主要な方々にもお話しいたしまして、二十二日に行きたいということで申し入れたわけでございます。それに対してけさ電報が参りまして、二月中はイシコフ漁業大臣の都合が悪いので、三月の前半にしてくれという電報を、きょう受け取ったところでございます。
  325. 岡田春夫

    ○岡田(春)委員 それでは、行かないのですか。
  326. 内村良英

    ○内村政府委員 私はぜひ行きたいと思っております。
  327. 岡田春夫

    ○岡田(春)委員 行きたいと思っておられるそうですが、これはぜひ行ってもらいたい。向こうへ行って交渉してもらいたい。こういう抗議もしてもらわないと困る。これは農林大臣は所管大臣ですから、ぜひ行けるように、ひとつ御尽力をいただけますか、どうですか。
  328. 安倍晋太郎

    ○安倍国務大臣 ただいま水産庁長官が申し述べましたように、ぜひとも水産庁長官をソ連に派遣いたしまして、このソ連の南下船団の問題につきましても、具体的に話をさせる決意であります。
  329. 岡田春夫

    ○岡田(春)委員 三月になって、私は行けないんじゃないかと思うのです。というのは、これは副総理、お聞きいただきたいのだが、イシコフ漁業大臣が三月四日ごろには日本に来るのです。そして、これはサケ・マスの交渉を始めるのです。むしろその前に、水産庁長官は行くべきだと思うのですが、イシコフ漁業大臣が来たら、政府はこれについて責任持って――農林大臣だけではなくて、責任を持ってこういう問題についてはっきり言う必要があると私は思うのです。さっき福田副総理は、これは重大な問題だから徹底的にやるというお話ですが、私もそれはぜひやってもらいたいと思う。これは個人の見解ですが、今日のソ連の漁獲の方法というのは、日本の大資本漁業と同じような性格で、別な言葉で言うならば、帝国主義的な略奪漁法だと思う。これは笑い事でない。隣の国の人民をいじめるようなやり方は、マルクス・レーニン主義ではないですよ。こういう点ははっきりお話しになって、警告すべきだと思う。真の意味の善隣関係というのは、そういう言うべきことを言うことだと思う。そういう点、副総理、ひとつイシコフ漁業大臣にお会いになって、はっきり言っていただけるかどうか。
  330. 安倍晋太郎

    ○安倍国務大臣 三月の初めには、ソ連の漁業代表が来るわけでございますが、イシコフ漁業相は来ないというふうに聞いております。
  331. 福田赳夫

    ○福田(赳)国務大臣 イシコフ漁業相が来る来ないにかかわらず、日本政府として、ソビエト政府に対し、この事態については、両国の友好関係ということまで言及しまして厳重に抗議をすべきである、こういうふうに考えております。
  332. 岡田春夫

    ○岡田(春)委員 実は先ほど欧亜局長からの御答弁が非常にあいまいだった問題は、漁業被害の問題、あるいは出漁ができないということに基づく被害の問題は、実は日本側から提出する法的根拠は非常に弱い。なぜならば、領海上の問題ならばこれは問題ありませんけれども、問題は公海上の問題であります。公海上の問題である限りにおいて、それを言いましても、向こうは相手にしないわけであります。  ここで問題になるのは、日本が領海三海里説をとっているからこういうことになるので、せめて領海を十二海里にしておるならば、この点についての被害の関係を非常に少なくすることができるはずなんだ。  そこで、安倍農林大臣は、十三日の農林水産委員会で、領海を十二海里にするように積極的に努力する、こういうお話でございました。しかし努力されても、船が帰っちゃった後で努力されてもしょうがないのであります。早くやってもらわないと困るわけです。それはいつごろおやりになるのですか。これは外務省との関係があって、外務省に遠慮をされて、なかなか決められないのですか。どうなんですか。ひとつまず農林大臣からお答えをいただきたい。
  333. 安倍晋太郎

    ○安倍国務大臣 私は今日の段階におきましては、わが国の沿岸漁業の利益を守るという立場におきましても、やはり十二海里に領海を設定すべきである、こういう考えを持っておるわけでございますが、この点につきましては、いま御指摘がございましたように、わが国の防衛上の問題あるいはまた海運上の問題、その他いろいろと問題があるわけでございまして、関係省庁とも詰めなければならぬと思いますし、同時にまた、御存じのような経済水域二百海里の設定の国際会議がジュネーブで開かれるわけでありまして、この会議においてわが国がいかに対処していくかという問題ともからんでおるわけでございますから、関係省庁と折衝を詰めながら、このジュネーブ会議の情勢を判断して決めたいと思うわけでございます。
  334. 岡田春夫

    ○岡田(春)委員 防衛上の問題とおっしゃるけれども、たとえば領海十二海里にすれば、津軽、宗谷、この海峡はすべて領海になります。領海になるなら、防衛上むしろいいんじゃありませんか。アメリカの原子力潜水艦もソ連の原子力潜水艦も、領海内でありますから、自由通航はできないのであります。政府がかねてから言っている非核三原則どおりになるじゃないですか。防衛上何も問題ないはずだと思うが、どうですか、これは。  しかも、そればかりじゃありません。時間がないので、はしょってやりますが、いまや外務省が固執している――あえて固執していると申し上げますが、三海里説、これは国際的には少数説ですね。  ここに外務省の出した本がございます。「国連第三回海洋法会議」の中でも、はっきり書いてあります。三海里説は、国際的には二十三ヵ国、十二海里説は五十三ヵ国。もう十二海里で国際的なコンセンサスはできているのです。外務大臣、この際ひとつ十二海里の踏み切りをやったらどうですか。国際的コンセンサスを得るために、だから海洋法会議まで待ちますなどと言っている暇はないと思う。もはや国際的コンセンサスはでき上がっている。ここで近々中に、ひとつ領海十二海里というものを宣言されたらどうですか。外務大臣の御決心を伺いたい。
  335. 宮澤喜一

    ○宮澤国務大臣 その前に、先ほどの副総理の御答弁にちょっとつけ足して申し上げますが、この問題は、実は私が訪ソいたしましたときに、グロムイコ外相との間で、やはり一つの問題になりまして、先ほど岡田委員が御指摘の専門家会議によって取り決めを結ぼうということに対しまして、ソ連側は、ひとつ前向きに対処しようということでございました。それで、水産庁長官にそれをお託ししてと考えていたわけでございますが、先ほどのようなことでございますから、この取り決めをやはり早くするということが大事なことであろうと私ども考えております。  それから、ただいまの領海のことでございますが、確かに、三海里をとっております国の数はだんだん少なくなっておりますが、実は海洋法会議におけるこの領海の問題というのが、経済水域であるとか、あるいは海峡の無害航行であるとか、ということと非常に複雑に関係をいたしておりますので、ただいま言われますように、現に起こっております事態は、十二海里にいたしますと緩和されることは確かでございますけれども、今度は経済水域等になりますと、遠洋漁業との関係、その他資源との関係がございまして、まことに申しにくいことなんでございますが、非常に大きなわが国の将来から考えますと、やはり海洋法会議で一括していろいろな問題を解決いたしました方が、どうも国益にかなうのではないかという観点がございますので、先ほど農林大臣の言われましたように、政府としては考えておるわけでございます。
  336. 岡田春夫

    ○岡田(春)委員 私の見解は、海洋法会議を通して議決をされると、経済水域問題その他と非常にからまりが出てくる、むしろ逆に、海洋法会議の始まる前に十二海里を提案することによって、新たな問題を解決するめどが出てくると思う。  こういう方法は、大臣もすでに御存じのように、これはフランスもカナダも単独で宣言をしている。カナダの場合は、特に海洋国、漁業国と言われている国として、もう先にやっている。しかも、実は私調べてみましたら、世界で漁業資源を最もとっている国、ベストシックスと言いましょうか、その中で十二海里をとっていないのは日本だけなんです。これでは、私は話にならぬと思う。やはりここで思い切って先にやることの方が、海洋法会議も新たな展開を導くことができるし、日本の国益に沿うことになると思う。こういう点は御検討をいただきたいと思います。
  337. 宮澤喜一

    ○宮澤国務大臣 そのような見方も確かに一つあるかと存じます。総合的に考えますと、先ほども自由航行の問題が出ておりましたが、わが国の海運が、あちらこちらの海峡を、十二海里になりました場合に、自由航行ができるかできないかという、もう一つ、御承知のような問題も持っておる点もございますので、その辺もよく勘案いたしたいと思います。
  338. 岡田春夫

    ○岡田(春)委員 それは私も研究しておりますが、ほかの国は全部十二海里になっているのですから、日本がやったからといって、それによって、通さないなんという問題は起こってこないと思います。  そこで、外務省が大変慎重ですので、むしろ農林大臣――農林大臣はすぐ十二海里でいきたいのだけれども、外務省がなかなか慎重である、まあ防衛庁も慎重なのかもしれませんが、むしろ農林大臣みずからのイニシアチブによって、この道を打開したらどうですか。方法はありますよ。あなたの所管でやれますよ。どういう方法があるか。漁業専管水域の十二海里を明らかにすることです。漁業専管水域というのは国内措置をやればいいのです。そしてこれを宣言すればいいのです。これはあなたの所管でやれるじゃありませんか。しかも日本は、一九六〇年の第二回ジュネーブ海洋法会議で、十二海里の海洋専管水域を含めた決議案に対して、賛成投票をしているのです。日本は賛成だと言っているのです。しかもそればかりではありません。アメリカは一九六六年に漁業専管水域の宣言を行っております。また、アメリカだけではありません。アメリカ、イギリス、イタリア、ノルウェー、スウェーデン、デンマーク、オーストラリア、ニュージーランド、それ以外、いわゆる水産国と言われる国々全部で三十三ヵ国が、漁業水域の専管宣言を行っている。ここまできたら、あなたひとつ思い切ってやったらどうですか。国際的なコンセンサスはできています。外務省に相談しなくても、あなたの方でやれますよ。ひとつここで思い切っておやりになったらどうですか。国内においての法律的な措置をとれば、そしてそれによって宣言すれば、漁業専管水域は確立されるわけであります。アメリカと同じような措置ができるわけであります。農林大臣、おやりになったらどうですか。
  339. 安倍晋太郎

    ○安倍国務大臣 私は、領海十二海里というのは時期の問題であろうと思います。ジュネーブの海洋法の会議におきまして、諸外国の情勢等にも十分配慮しながら、これを決めていかなければならぬわけでございますが、この専管十二海里につきましても、やはり海洋法会議との関連も出てくるとは思うわけでございますが、しかしいまの御意見、まことに貴重な御意見でございますので、ひとつ検討いたします。
  340. 岡田春夫

    ○岡田(春)委員 前向きにやりますか。――実はこういうことなんです。あなたも御研究されておられると思うけれども、漁業専管水域をやったのは三十三ヵ国ですが、第二回のジュネーブにおける海洋法会議が済んだ後、これがずっとふえてきておるのです。これは十二海里になるんだという情勢をみんな見ているからです。海洋会議と関係するといえばするけれども、国内法の手続ですから、あなたは国際的にいろいろなことを心配する必要はないんですよ。国内法の法律をつくればいいのです。そして宣言すればいいのです。そういうことをひとつ前向きに検討していただけますか。
  341. 安倍晋太郎

    ○安倍国務大臣 十分にひとつ検討いたします。
  342. 岡田春夫

    ○岡田(春)委員 先ほど、外務省からは、はっきりした御答弁が必ずしもないのですが、公海上の漁業ということで、ソ連に対して請求するということは、漁獲問題については法的根拠は非常に弱いのです、公海上の問題であるから。それから、ましてをや、日本の漁民の休漁なんということは、請求したって、これは問題にならないですよ。  そこで私伺いたいのは、ところが実際には、そういう被害が起こっているわけですね。この漁民の被害に対して、だれがどういう形で補償するのですか。漁民には、こういう形で、実際に補償してやらなければならない被害が起こっている。ところが公海上の漁業であるために、ソ連に言ったって、これは話しにならないのです。だれがこれを補償するのですか、農林大臣。
  343. 安倍晋太郎

    ○安倍国務大臣 今日まで損害の補償につきましては、しばしばソ連にも請求をいたしておるわけでございますが、これに対しては何ら返答はないわけでございますけれども、しかしこれから開かれる専門家会議におきましても、当然この問題は取り上げて主張し、そして損害賠償が行われるように努力をしなければならぬと思いますし、私の聞いた範囲におきましては、ソ連とその他の国との協定におきましても、損害賠償を支払うというような項目が協定の中へ盛り込まれておるということを聞いておるわけでございます。私はそうした損害賠償の請求はあくまでもやらなければならぬと思うわけでございますが、しかし、今日のわが国の沿岸漁民が長い間にわたって育て上げた漁場が破壊をされ、あるいは網であるとかあるいは漁具等の損害が非常に大きいわけでございますので、こういう問題に対しましては、これはそのまま放置するわけにはいかないのではないか、やはり国としても、これに対する何らかの救済措置というものは考えなければならない、こういうふうに考えておるわけでございます。
  344. 岡田春夫

    ○岡田(春)委員 もう一度申し上げますが、あなた後でちょっと言われたけれども、漁具とか漁網とか、こういうものを壊した、これは確かに補償の対象になりますよ。ところが、そういうことなしに、公海上の海で魚をソ連がとったということを補償してくれと言ったって、それは法的根拠ないですよ、あなた。そうでしょう。公海自由の原則じゃありませんか。漁業自由の原則じゃありませんか。日本だって公海へ行って魚をとっているのに、それを補償してくれなんて言われると迷惑でしょう。それと同じですよ。ただ、あなたのおっしゃるように、協定があれば別ですよ。協定ができていない現在をどうするんだという問題ですよ。さかのぼって協定の実施なんということはありません。これはどうするんだという問題です。  特に、私ここで申し上げますが、もう時間がありませんから基本的な見解として、日本の漁業政策というのは一つ問題がある。なぜかというと、本来日本の法権の及び得ない公海に対して、その公海上の漁業に対して、漁業法その他によって漁区の制限などを行っている。これを大臣の認可とか府県知事の認可などというようなことで制限をして、これによって日本の漁民に対しては大変厳しい漁獲規制を行っている。ところが、法権のないところでやっているんですよ。これはある意味では、しかし、漁業資源を守るという意味で、漁業の安定を図るという意味で、そういう目的はわからないわけではないけれども、しかしその逆に、こういう場合はどうなのか。そういう法的な漁業規制のもとにある漁民にとって、その規制の海域の中で何らかの事態が起こって、漁業が大減少してとれなくなった。その場合の責任は一体だれが負うのですか。これは行政指導をした日本政府が負うべきはあたりまえじゃありませんか。規制したんだもの。その責任は日本の政府が負うべきですよ。それは補償してやれないんだなんて言ったら、漁民だけが一切の犠牲を負わなければならないことになるのですか。私はこれはおかしいと思う。公海という、本来公権の及ばないところで規制をしておいて、何かの事情で魚はなくなった。魚はないから、おまえ漁民たち、がまんしなさいというのは、余りに政府としては、これは許すわけにいかない。まさに悪政だと思う。やはり魚族の保護をやるというならば、同時に、減った場合には被害を守ってあげます、こういうことが同時についてこなければならぬと思う。法律的な措置がないなら、法律的な措置をやったらいいじゃありませんか。つくったらいいじゃないですか、法律的な措置を。こういう点についても、もう一点だけ御見解を伺って、次の問題に入りたいと思うが、農林大臣から見解を伺います。
  345. 安倍晋太郎

    ○安倍国務大臣 わが国の漁業政策といたしましては、沿岸だけではなくて、遠洋、沖合い等におきましても、やはり資源保護という立場に立ちまして、いろいろの規制等を行っておるのは御承知のとおりでございますが、この事態につきましては、今日の問題についましては、確かに漁民が非常に大きな損害を受けておることは事実でございますから、これに対しては、やはり何らかの救済措置というものは当然考えなければならない、こういうふうに思っておるわけでございます。
  346. 岡田春夫

    ○岡田(春)委員 大臣、それでは、救済という名目は私は好きではない。これは補償だと思う。しかし金は出してあげる。そういうために、何らかの救済のための金を出しましょう、そういう努力をしようという大臣のお考えですか。
  347. 安倍晋太郎

    ○安倍国務大臣 私は、ぜひともそういう何らかの救済措置をとりたいということで、今後とも、政府部内においてもこれを詰めてまいりたいと思います。
  348. 岡田春夫

    ○岡田(春)委員 金の問題になったら大蔵大臣だ。大蔵大臣大平さん、金を出してあげなければだめですよ。金になったら、安倍さんの方は金がないんだから、大蔵大臣がつくってあげなければだめですよ。つくっていただけますね。
  349. 大平正芳

    ○大平国務大臣 農林省の方から御要求があったら、よく検討します。
  350. 岡田春夫

    ○岡田(春)委員 木で鼻をくくったようなことをおっしゃらないで、検討しますだけではなくて、やはりつくってもらわないと、先ほど申し上げたようなこういう緊急事態で、漁民が本当に苦しい状態になっているのですから、前向きでひとつ解決していただけますか。この点だけ伺っておきたい。
  351. 大平正芳

    ○大平国務大臣 政治はもう答弁や言葉でございませんで、私が検討すると申し上げておるわけでございますので、御信頼をいただきたいと思います。
  352. 岡田春夫

    ○岡田(春)委員 実はこの後、防衛問題がまだちょっとあったのですけれども、ちょうど二十二分ばかりになりますので、大体私も漁業問題だけで終わりますが、事態はこういう非常に緊迫した事態でございますので、きょうは三木総理がいらっしゃらないから、副総理に重ねて要望しておきますが、これぐらいの緊急事態であり、そして漁民がもう実は生活できなくなっているのですから、これはいま大平大蔵大臣も前向きでやりましょうという話だったので、ひとつ閣内でもこれを取りまとめをいただきまして、解決のできるように、副総理にもお願いをいたしておきます。ひとつそれについての御見解を伺って、終わりたいと思います。
  353. 福田赳夫

    ○福田(赳)国務大臣 この問題は対外的の問題もあるし、国内措置の問題もありますが、いずれの問題も善処いたします。
  354. 岡田春夫

    ○岡田(春)委員 これで終わります。
  355. 荒舩清十郎

    ○荒舩委員長 岡田春夫君の質疑は終了いたしまして、続いて石野君の質疑も終了いたしました。  次回は明二十日午前十時より開会することといたしまして、本日は、これにて散会いたします。     午後五時二十三分散会