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1975-02-26 第75回国会 衆議院 農林水産委員会 8号 公式Web版

  1. 昭和五十年二月二十六日(水曜日)     午前十時十六分開議  出席委員    委員長 澁谷 直藏君    理事 坂村 吉正君 理事 中川 一郎君    理事 藤本 孝雄君 理事 渡辺美智雄君    理事 井上  泉君 理事 芳賀  貢君    理事 津川 武一君       足立 篤郎君    伊東 正義君       今井  勇君    片岡 清一君       金子 岩三君    吉川 久衛君       熊谷 義雄君    佐々木秀世君       島田 安夫君    白浜 仁吉君       丹羽 兵助君    粟山 ひで君       角屋堅次郎君    柴田 健治君       島田 琢郎君    竹内  猛君      米内山義一郎君    中川利三郎君       瀬野栄次郎君    林  孝矩君       稲富 稜人君  出席国務大臣         農 林 大 臣 安倍晋太郎君  出席政府委員        農林大臣官房長 大河原太一郎君         農林省畜産局長 澤邊  守君         林野庁長官   松形 祐堯君         通商産業省貿易         局長      岸田 文武君  委員外の出席者         農林省農林経済         局統計情報部長 吉岡  裕君         通商産業省貿易         局輸入課長   山本 康二君         農林水産委員会         調査室長    尾崎  毅君     ――――――――――――― 委員の異動 二月二十六日  辞任         補欠選任   足立 篤郎君     瀬戸山三男君   馬場  昇君     石野 久男君   中川利三郎君     林  百郎君 同日  辞任         補欠選任   瀬戸山三男君     足立 篤郎君   石野 久男君     馬場  昇君   林  百郎君     中川利三郎君     ――――――――――――― 本日の会議に付した案件  参考人出頭要求に関する件  畜産物の価格安定等に関する法律の一部を改正  する法律案(内閣提出第二九号)      ――――◇―――――
  2. 澁谷直藏

    ○澁谷委員長 これより会議を開きます。  参考人出席要求に関する件についてお諮りいたします。  すなわち、農業振興地域の整備に関する法律の一部を改正する法律案について、参考人の出席を求め、その意見を聴取することにいたしたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 澁谷直藏

    ○澁谷委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。  なお、参考人の人選、出席日時及びその手続等につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 澁谷直藏

    ○澁谷委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。      ――――◇―――――
  5. 澁谷直藏

    ○澁谷委員長 畜産物の価格安定等に関する法律の一部を改正する法律案を議題といたします。  本案については、去る十八日に提案の趣旨説明を聴取しておりますので、この際、補足説明を聴取いたします。澤邊畜産局長。
  6. 澤邊守

    ○澤邊政府委員 それでは、畜産物の価格安定等に関する法律の一部を改正する法律案の提案理由の補足説明を申し上げます。  この法律案を提案いたしました理由につきましては、すでに提案理由説明におきまして申し述べましたので、この法律案の主要な内容につき、若干補足させていただきます。  第一に、牛肉を指定食肉に追加することであります。  現行の畜産物の価格安定等に関する法律におきましては、指定食肉について安定価格を定め、価格がこの安定価格帯の中で安定するよう、畜産振興事業団が指定食肉の買い入れ、売り渡しを行う価格安定制度を設けており、従来、豚肉のみを指定食肉としてこの制度を運用してまいりました。牛肉につきましては、この指定食肉制度とは別個に、畜産振興事業団に輸入牛肉の買い入れ、売り渡しの業務を行わせ、この輸入量の相当量を畜産振興事業団に取り扱わせることにより、国内の需給及び価格動向を勘案した適切な牛肉の需給調整を図り、牛肉価格の安定を図ってきたところであります。  しかしながら、提案理由説明でも申し上げましたように、長期的に肉用牛経営の安定を図り、牛肉の生産の振興と牛肉消費の安定を期するため、牛肉の価格安定に関する恒久的な制度を確立することとし、牛肉を畜産物の価格安定等に関する法律による指定食肉として追加することといたしたのであります。この場合、対象となる牛肉の規格は農林省令で定めることといたしております。  牛肉を指定食肉に追加することに伴い、農林大臣は、毎年度、牛肉及び肉用牛の生産条件、需給事情その他の経済事情を考慮し、その再生産を確保することを旨として、その安定基準価格及び安定上位価格を定めることとなるのであります。  これらの価格が決定されますと、次のような価格安定操作が畜産振興事業団によって行われることとなるのであります。  すなわち、牛肉の価格が安定基準価格を下って低落した場合には、その価格の回復を図るため、中央卸売市場等において牛肉を安定基準価格で買い入れ、また、牛肉の価格が安定上位価格を超えて騰貴し、または騰貴するおそれがあると認められる場合には、その価格の騰貴を防止するため、その保管する牛肉を中央卸売市場等において売り渡すこととなるのであります。  また、この畜産振興事業団による買い入れ、売り渡し措置に加えて、牛肉の価格が著しく低落し、または低落するおそれがあると認められる場合には、肉用牛の生産者団体は、牛肉の価格を回復しまたは維持することを目的として、牛肉の保管または販売に関する計画を定め、農林大臣の認定を受けてその計画を実施することができ、この保管に要する経費については畜産振興事業団が助成することとなっております。  第二に、畜産振興事業団の保管する牛肉の売り渡しに関する規定の整備であります。  畜産振興事業団の保管する牛肉の売り渡しにつきましては、ただいま申し上げましたとおり、牛肉の価格が安定上位価格を超えて騰貴し、または騰貴するおそれがある場合に、その価格の騰貴を防止するために行うこととなるのでありますが、牛肉につきましては、このほか、通常時においても、農林大臣が牛肉及び肉用牛の生産条件、需給事情その他の経済事情を考慮し、肉用牛の生産及び牛肉の消費の安定を図ることを旨として指示する方針に従って、その保管する牛肉を売り渡すことができることといたしております。これは、通常時において相当量の輸入が必要であり、畜産振興事業団が取り扱う輸入牛肉が相当の部分を占めるという需給事情にあることから、現行法においても設けられている制度でありますが、その取り扱いの対象に今回の改正により畜産振興事業団が買い入れることとなる国産牛肉を加える等所要の規定の整備をいたすものであります。  そのほか、以上の措置に関連して所要の規定の整備をすることといたしており、附則におきまして、この法律の施行期日を公布の日から起算して三十日を超えない範囲内で政令で定める日といたしております。  また、本法の施行の日の属する会計年度の指定食肉たる牛肉の安定価格につきましては、この法律の施行後速やかに定めることといたしておりますとともに、その決定の手続は公布の日から行えることといたしております。  以上をもちまして、畜産物の価格安定等に関する法律の一部を改正する法律案の提案理由の補足説明といたします。
  7. 澁谷直藏

    ○澁谷委員長 これにて補足説明を終わりました。
  8. 澁谷直藏

    ○澁谷委員長 本案に対する質疑の申し出がありますので、順次これを許します。角屋堅次郎君。
  9. 角屋堅次郎

    ○角屋委員 本日から畜産物の価格安定等に関する法律の一部を改正する法律案が審議に入るわけでございますが、私は、日本社会党を代表いたしまして、まず、総括的な御質問を農林大臣を中心に展開いたしたいと考えております。  御承知のとおり、畜産物の価格安定等に関する法律は、昭和三十六年の例の農業基本法を議論しました際に出されてまいりました重要な法案でありました。社会党としてはこれに対して対案を出していろいろな真剣な議論をし、政府提案を一部修正をし、附帯決議を付してこれを処理した経過がございます。今回牛肉を新しく指定食肉の中に加える、牛肉の全体的な安定を図っていくということは、私どもとしても、安倍農林大臣が就任早々手がけられた法案としては一歩前進だというふうに評価をいたしておるわけでございます。したがいまして、私ども党としては、政府提案に対しまして数点の修正の考え方を持っておるわけでありますが、これは今後私を含めて議論の過程でそういう修正の考え方についていろいろ提示しながら議論を進めたい、また、与野党のお互いの真剣な議論を経てよりよき前進を図りたいというふうにも考えておるわけでございます。  最初にお伺いをしたいのでありますが、今回出されております畜産物の価格安定等に関する法律の一部改正で牛肉を加える――従来は豚肉があったわけでございますが、この豚肉に、新しく法律が制定をされますならば、四月の時点に間に合うように牛肉に対する安定価格も決めていかなければならない、さらに別個に加工原料乳生産者補給金等暫定措置法によりまして、加工原料乳の保証価格も畜産振興振議会の議を経て四月からすべり出すように決めていかなければならぬ、こういう段取りになるわけでございます。私どもとしては、やはりこの法案は一歩前進の法案であるから、議論は十分し、与野党の合意が得られるならば、修正をして、より前進をさせて、四月の滑り出しに間に合うように衆参両院を通過させたいものだというふうに基本的には考えておるわけでありますが、冒頭にお伺いしたいのは、いま言った従来からの豚肉あるいは別の法律によります加工原料乳の保証価格等も含めまして、畜産振興審議会の今後の段取りというものをいろいろ御検討中だと思うのでありますけれども、これらの段取りについては大体どういうふうにいま考えておられるかということ、その点を御説明願いたいと思います。
  10. 澤邊守

    ○澤邊政府委員 畜産物の価格安定等に関する法律の改正が成立いたしますれば、われわれといたしましても、四月一日から指定食肉の制度を牛肉について適用してまいりたいという希望を持っておりますので、本改正案の国会におきます審議状況を見て、最終的に審議会の段取りを決めてまいりたいというように思っておりますので、現在明確に日程を決めておりませんけれども、私どもの希望といたしますれば、例年と大体同じように三月中旬ごろに総会を開きまして、あと逐次飼料部会、食肉部会、酪農部会というようにそれぞれの部会を開催していただきまして、その日程といたしましては、例年どおり、特に問題となります食肉部会、酪農部会につきましては下旬ごろに開催をしていただいたらいかがかというような腹案でございますけれども、まだ決定はいたしておりません。
  11. 角屋堅次郎

    ○角屋委員 今回の畜産物の価格安定等に関する法律の一部を改正する法律案の政府提案の内容について、私どもが考えております修正の考え方という具体的な問題については後ほどお伺いをいたしたいと思いますが、まず前段といたしまして、牛肉を中心にして畜産全体の問題についての重点的な項目について、若干お伺いをしてまいりたいと思います。  御承知のとおり、今回指定食肉の中に牛肉を加えることになるわけですが、本来、法制定以来今日まで速やかな機会に牛肉を加えるという意見が積極的に出されておったわけでありますけれども、今回これが法律として修正で入れられるという提案でございますが、牛肉の需給の状況あるいは価格の動向というものをここ数年来見ておりますと、石油パニック以来の異常な物価の高騰あるいは労賃、諸資材の値上がり、特に、非常に大きなウエートを持ちますえさの高騰というふうな関連の問題も当然あるわけでございますけれども、特に四十七年以降異常な状態が続いてきておるというふうに判断をしておるわけでありますが、農林省といたしまして、牛肉の需給の現状というものをどういうふうに見ておるのか。本来、国際的にもそうでありますし、国内的にもそうでありますけれども、牛肉はいわゆる今後の見通しからいきますと、国際的にも不足基調であろう。しかも、需要としては非常に堅調なものを持っておるというふうに見られておるわけでありますが、そういう意味からいきますれば今後ともに生産を増強しなければならぬ、需要も堅調に推移するというふうに考えられるわけでありますけれども、こういった今後の牛肉の需給問題についてどういう考え方で農林大臣としても考えておられるのか、こういった点をまず御説明願いたいと思います。
  12. 安倍晋太郎

    ○安倍国務大臣 ただいま角屋さんから、牛肉の需給の現状と、将来これに対してどういう見通しを持っておるかという御質問でございますが、牛肉の生産は昭和四十二年の約十五万トンを底にいたしまして、乳用雄肉の肉利用の急速な伸展もありまして増加に転じてまいったわけでありますが、四十八年には、和牛の屠殺頭数の大幅減少によりまして、前年をかなり下回り、約二十三万トンとなりました。しかしながら、昨年は後半に入ってからの乳用雄牛を中心とする大幅な出荷増により、約三十万トンと、四十八年を大幅に上回ったわけであります。  このように、昭和四十八年の国内生産は前年に比べてかなり減少したわけでありますが、諸物価の高騰による購売力の減少や輸入量の大幅増加によりまして、昭和四十八年十月をピークとして、一転して急落をいたしました。昨年の五月から七月までの間には、前年十月水準に比べて三割以上値下がりをいたしたわけでございます。このために、昨年の二月末、輸入量の調整措置あるいは生産者団体の自主調整保管措置、小売価格指導、消費促進キャンペーンなど、価格回復のための諸対策を強力に実施をしてまいりました。その効果も出てまいりまして、国内生産は昨年四月以降大幅に増加しておるものの、価格は昨年の五月-七月を底にして次第に回復の兆しを見せてきつつありまして、現在、和牛の去勢上についてはキログラム当たり千五百円、同中については千二百円、乳用雄牛中については千円水準に回復をいたしたわけでございます。  本年の牛肉の需要につきましては、今後のわが国経済の動向が非常に流動的であると思われ、的確な予測は困難でございますが、政府が行った来年度の経済見通しによれば、実質の個人消費支出は前年をやや上回ることになるので、ある程度の需要増加は見通されるわけでございます。  一方、供給面では、現在、畜産振興事業団、さらに全農等の生産者団体が調整保管を行っておる在庫がかなりありまして、また、国内生産量も種々の要因によって変動すると思われるわけでありますが、大幅に生産が伸びました昭和四十九年をさらに上回る生産が予想はされますが、輸入規制措置を継続すれば全体としては前年の供給量を下回るのではないか、こういうふうに考えるわけでございます。  このような需給の見通しから今後の価格は回復を続けていくのではないかと考えるわけでありますが、今後は、長期的に見ても、牛肉は食肉中最も所得弾性値が高く、需要も根強いものがあるために、いままでのような高い伸び率で増加するとは考えられないわけでございますが、引き続き相当な伸びで増加するのではないかと考えております。この結果として、昭和六十年における牛肉需要は昭和四十七年度の約一・七倍、六十二万五千トン程度に達するものというふうに農林省では見通しておるわけであります。  また、生産については、飼料基盤の整備等生産から流通に至る各般の対策を講じまして、その生産の振興に努めることによりまして、昭和六十年度には約五十一万トンと、昭和四十七年度の約一・七五倍程度に達する、こういうふうに農林省としては試算をいたしておるわけであります。
  13. 角屋堅次郎

    ○角屋委員 いま、安倍農林大臣からお話しのありました四十八年の十一月以降の石油ショック等に端を発する諸物価の高騰に伴いまして、牛肉の需要が総体的には急減をする、卸売価格が急落をする、そういった状況もございまして、先ほどの御答弁でもありましたように、四十九年度当初からの牛肉の輸入枠の一部を凍結をする、あるいは生産者団体の調整保管に対する助成を行う、あるいは消費キャンペーンを行う等いろいろなことをやってこられたわけでございますが、ただ、この問題に関連をいたしまして、ガットの関係におきまして、この牛肉輸入枠の一部凍結という問題を速やかに再開をするような強い要請が提訴を通じて出てきておるわけであります。こういった問題に対してはどういう対処の仕方をやっていくのか、こういう点について御答弁を願います。
  14. 澤邊守

    ○澤邊政府委員 昨年の二月に輸入調整措置を行い、四十九年度におきましても、新たな輸入割り当ては一般枠については全く行っていないというようなことに対しまして、オーストラリア、ニュージーランド等対日向けの主要輸出国からかなりの批判が出ておったわけでございますが、昨年の秋、ガットの理事会におきまして、豪州等の提案によりまして、ガット規約二十二条に基づきます協議を日本に対して申し入れてまいりました。これに対しまして、わが国といたしましては、この際わが国の輸入調整をやらざるを得ないような牛肉事情について説明をして相手国の協力を求める必要もあるという判断に立ちまして、これに応ずるということを決めまして、その第一回の会議が、去る二月十七、十八日の二日間にわたりましてジュネーブにおいて行われました。参加国はアメリカ、ニュージーランド、豪州、それと日本という四国間で協議を行ったわけでございます。  その際、われわれといたしましては、最近におきますわが国の牛肉の需給事情、価格の事情等、あるいは今後の見通しにつきましても正確には説明できません点がございますけれども、一応の見通しを述べて、いま直ちに一般枠につきまして輸入再開できる事情ではないけれども、長期的にはわが国は海外からの輸入に依存せざるを得ない事情があるので、できるだけ正常な貿易関係に立ち直れるよう国内対策についてはできるだけ努力しておるところであるというような事情を説明をいたしたわけでございますが、豪州を初め輸出国におきましては、世界的な牛肉の需給が緩和し、価格が低落をしておるという事情がありまして、国内事情としては相当困っておるということがありますので、日本に対しましてできるだけ早急に輸入を再開するようにかなり強い要請が述べられた次第であります。
  15. 角屋堅次郎

    ○角屋委員 畜産物についても、他はものについてもそうでございますけれども、国内産業の現状から見て、国内産業に大きな打撃を与えるという条件下の場合には、外国から入れる輸入のものについての適切な措置を講じていくということはやはり当然のことだと思うわけであります。そういう立場から今後とも対処していただきたいというふうに思います。  先ほど大臣もお触れになりましたが、昭和五十年の一月に、農林省からということで、農政審議会の議論を経て、農産物の需要と生産の長期見通し案というものが提示されておるわけでありまして、その中で、畜産のうちのたとえば牛肉につきましても、需要の見通しあるいは生産の見通し、あるいは飼育頭数というものの昭和四十七年と六十年対比という、需要と生産の長期見通しが出されているわけでございますが、この問題について数点お伺いをいたしたいと思います。  先ほども若干数字を言っておられましたが、肉類関係のところを見てまいりますと、昭和四十七年に対して、昭和六十年の比率は、需要では肉類全体で一四八・七%、そのうち牛肉が一七〇・三%、豚肉が一五一・二%、鶏肉一三七%、その他の肉が一三八・九%ということで、需要の伸びは牛肉が一七〇・三ということでトップと予想しておるわけでございます。それから生産の方は、四十七年に対しましての六十年の比率は、肉類全体で一五八・八%、そのうちで牛肉が一七五・二%、豚肉が一六七・一%、鶏肉が一四二・八%ということで、これまた牛肉が一七五・二%とトップの伸び率を予想しているわけであります。しかし、この牛肉についての需要の一七〇・三%、生産についての一七五・二%の伸びというものを考えてまいりましても、他の豚肉、鶏肉等からすれば相対的に高いわけでございますが、前回の五十七年見通しに比べますと、需要の伸びがかなり低く見積もられているわけでありますが、これはどういう理由でこういう数字になったのかという点についても御説明を願いたいと思います。
  16. 澤邊守

    ○澤邊政府委員 今回の長期見通しの中間報告におきましては、先ほど御指摘のございましたような食肉全体の伸び、あるいはその中におきます牛肉の伸びを想定しておるわけでございますが、御指摘のございましたように、これはさきに発表いたしております五十七年の試案に比べますと、伸び率が消費において特にダウンをいたしております。生産におきましても若干のダウンをしておるということでございますが、この理由につきましては、わが国の食肉の需要は、日本人の体位等から見ましても、かなり高い水準にまで最近急速に伸びてきておるということがございますし、また、特に最近の消費の伸びを見てみますとやや鈍化の傾向が見られておるわけでございます。これは食肉に限らず、牛乳におきましても同じような傾向が見られるわけであります。  さらに、今後六十年を見通します場合には、消費支出の伸びがどの程度かということが一つの前提になるわけでございますが、先般の中間報告におきましては、消費支出の伸びは年率五%という想定をいたしております。これは、五十七年の貝通し試案をつくりましたときには七ないし九%というかなり高い伸び率を想定しておったわけでございますが、最近におきます日本経済の全体の動向から見ますとやはりそれは高過ぎるということで、一応五%という要件を設定したということがございますので、その点からいたしましても、消費支出の伸びの鈍化とともに、畜産物の消費、特に食肉の消費も試案の場合よりは鈍化せざるを得ないのではないかというふうに考えたわけでございます。  さらに、また、御承知のように、四十八年以来の飼料穀物の世界的な需給の逼迫、価格の高騰ということによりましてわが国の畜産も大きな打撃を受けたわけでございますが、この傾向はいまは非常に異常な事態だと思いますけれども、したがって、ある程度は緩和するのではないかという期待は持っておりますけれども、数年前まで長期に続きましたような、世界の飼料穀物を含めました穀物全体が非常に需給が緩和し、だぶついて、価格が安くて、どこからでも幾らでも輸入できたというような事態がまたやってくるということはなかなか期待しがたい、いわば高位不安定で推移するのではないかというような点を考えますと、飼料穀物についてもそのような傾向を想定いたしますと、コストアップの要因になりますので、畜産物の価格も、従来試案において考えておったよりもやはり上がらざるを得ないのではないか、こういうような点からいたしますと、消費につきましても試案よりは伸び率が鈍化するのではないか、こういうようなことを総合的に勘案いたしまして、試案よりは伸び率を低下をさせておるわけでございます。  なお、その中で、御指摘がございましたように、牛肉につきましては、日本人の嗜好性から言いましても、それから所得弾性値から見ましても食肉全体が最近やや鈍化していると申しましたけれども、その中ではなお牛肉が一番高いという点を考えまして、また、さらに、生産面におきましては、飼料高という状況のもとにおきまして、国内の飼料作物を含めました草資源を利用できるというものはやはり牛のような大動物のほかは期待できませんので、国内資源を利用した食肉生産をやるという意味では牛肉というものはそれにふさわしいものであるというような観点の、生産と消費の両面から考えまして、牛肉については鈍化した伸びの中では一番高い伸び率を想定いたし、それに即応した国内生産を図っていくということを努力目標として検討いたしておるわけでございます。
  17. 角屋堅次郎

    ○角屋委員 本委員会でも、あるいはそれぞれの委員会でも議論されておる問題の一つに、三月十七日からジュネーブで開催されます第三回国連海洋法会議の第三会期があります。この問題は深く突っ込んでこの場で議論するつもりはございませんが、大臣も御判断のように、エコノミックゾーン二百海里の設定問題等も含めまして、わが国の国際漁業の舞台では非常に大きな打撃が出てくるんじゃないかということが予測をされておるわけであります。それはそのことだけにとどまらず、魚の関係で、動物性たん白資源の五二%程度を供給しておった、その魚の供給というものが非常に変化をする可能性を持っておる。だとしますと、肉類関係における相対的な増産対策というものを国内政策としては真剣に考えなければならぬという別の課題が控えておるというふうにも思うわけでございます。  六十年度の見通しの中でこの家畜飼養頭羽数を見てまいりますと、本法案の改正と関連いたしますと肉用牛になるわけでございますが、肉用牛の点では、四十七年が百七十七万六千頭で、それから六十年には三百三十万五千頭で、四十七年対して六十年の比率が一八六・一%という形で飼養頭数が出ておるわけでありますけれども、これは先ほど申しました動物性たん白資源の魚からの供給が制約を受けてくるだろう。したがって、逆に、肉用牛あるいは豚、ブロイラー等も含めて、食肉の全体的な供給の増大を図らなければならぬということではもちろんございまするけれども、しかし、肉用牛の飼用頭数の一八六・一%の伸びということは、これは言うべくしてなかなか困難な形ではないかというふうに思うわけでございまして、この達成のためには総合的な施策というものを積極的に講じなければ、ある意味では期待数字に終わるということになりかねないわけであります。  そういう意味で、肉用牛の内容をさらに見てまいりますと、肉専用種については、四十七年の百四十五万三千頭に対して、六十年が二百十万六千頭、乳用種については二十九万五千頭から百十九万九千頭、いわゆる乳用種に相当増大の期待をかけている、約四倍の伸びを期待しておる、こういう中身に肉用牛全体としてはなるわけでありますけれども、いずれにしても、この目的達成のためには総合的な施策というものを積極的に講じなければならぬ。これを達成するために、農林大臣としては一体どういう考え方でこれを達成しようとするのか、これらの問題についてお答えを願いたいと思います。
  18. 安倍晋太郎

    ○安倍国務大臣 いま角屋委員から御指摘がございましたように、ことしの三月十七日から開かれまするジュネーブの国際海洋法会議におきまして、経済水域二百海里が決定されるかどうか、大きな山場にかかっておるわけでございますが、しかし、世界の大勢としてはそういう方向に行かざるを得ない。そうなりますれば、まさに、御指摘がございましたように、わが国の動物性たん白資源というものにつきましては大きな打撃を受けるわけでございます。したがって、それに対処するためにも水産政策をさらに強化することは当然でございますが、同時に、お話しがございましたような畜産資源を増加するということに対しまして強力な施策を加えていかなければならぬのはもちろんのことでございます。それを行っていくためには、確かにお話のような総合的な畜産対策というものを樹立しなければならぬわけでございます。  いま農林省が試算をしております六十年の見通し、これに対する生産目標を達成するためにも強力な施策が必要でございまして、われわれとしても全力を尽くしていきたいと思うわけでございます。特に、肉専用種につきましては、適地における多頭経営の集団的育成による飼養頭数の増加傾向というものを一層助長していくということを中心にいたしまして、山林原野、低位利用資源の活用であるとか、あるいは既耕地、裏作不作付地等における飼料生産の積極的推進、あるいは経営規模拡大のための家畜導入の推進、繁殖から肥育に至る地域的な一貫生産体制の推進、子牛及び枝肉についての価格の安定制度の強化等の施策を一層強力に講ずることによりまして、繁殖、生産の拡大と肥育の推進を図ってまいりたいと思っておるわけでございます。  同時に、また、乳用種の肉利用につきましては、その肥育仕向けの素牛資源が酪農経営に由来するものであることから、酪農の健全な発展を推進をすることが大前提でございますが、そういう中にあって、生産者団体による組織的な保育及び肥育の促進、あるいは子牛及び枝肉価格についての安定対策等の施策を一層講ずることによりまして、目標の達成に努めてまいりたい、こういうふうなたてまえで総合的に強力な政策を推進するということが最も必要であるというふうに考えるわけでございます。
  19. 角屋堅次郎

    ○角屋委員 後の安定価格の議論とも関連するわけでありますけれども、先ほど来の御答弁の中でも出ておりましたが、最近の牛肉の卸売価格の暴落、これは直接的にはどういう原因というふうに集約をして考えておられるか。また、こういった卸売価格の暴落に対してどういう手を対策として講じてきたのか。現実にえさの高騰あるいは卸売価格の暴落というふうなこと等と関連をして、肉牛の飼育をしております生産農民としては非常に打撃を受けてきておるわけでありまして、こういった問題に対して適切な対応策を講じていかなければならぬということにも相なるわけでありますが、こういった問題について総合的にお答えを願いたいと思います。
  20. 澤邊守

    ○澤邊政府委員 四十八年の年末以降四十九年にかけ、さらに四十九年の半ばにかけて、価格が一転して非常に暴落したわけでございますが、その要因はいろいろあるかと思いますけれども、基本的には、オイルショックを契機といたします諸物価の高騰の中で家計支出が非常に圧縮されてきた。いわゆる節約ムードということで一般的にそういう傾向が出たわけでございますが、その中で、何と申しましても食肉、特に牛肉は高級食品だと言うどいかがかと思いますけれども、やはり値が高いということで、食費の中では節約の真っ先に挙げられてきたという傾向が見られまして、現に四十九年の初めから春ごろにかけては、家計支出から見ましても、牛肉の購買量が前年水準より減ってまいっておるわけでございます。その後、やや横ばいから、年末にかけては回復の兆しを見せておりまして、ごく最近の資料で見ますとかなり回復しているというように見られておりますが、一方、業務用につきましては相当な減少をしてきているのではないかというように見ております。  四十七年度、四十八年度、四十九年度と、もちろん輸入も漸次ふえてまいりましたけれども、国内生産と輸入と両方加えてみますと、四十七年、四十八年、四十九年はほぼ横ばい、ラウンドで申し上げて三十五万トン程度で推移をしております。四十九年は先ほども申し上げましたように相当国内生産はふえましたけれども、反面、輸入をかなり調整いたしましたので、供給量としては四十七年、四十八年、四十九年とほぼ横ばいというふうになっておるわけでございます。その前、四十八年までの五年間を見てみますと、数量におきまして十数%ずつ毎年消費量がふえておったわけでございます。需要がふえておった。四十七年から四十八年、四十九年にかけて、供給量イコール需要とみなして、ほぼ横ばいで来ているという点からいたしますと、先ほど申し上げましたような諸物価高騰の中での家計の節約という面と、あるいは業務用の節約と、レストランだとかその他の売れ行きが悪いということが基本的な要因ではないかというふうに思うわけです。  ただ、このような事態は予測不可能であったわけでございますけれども、十分に備えることができなくて、結果的に見て輸入量を本来ならもっと減らしてよかったという点ではわれわれとしても反省すべき点があるというように思っておりますけれども、基本的にはそのように考えておるわけでございます。
  21. 角屋堅次郎

    ○角屋委員 畜産経営の問題を考えます場合に、畜産農家の個別経営あるいはグループによる共同経営的な経営、さらには、いわゆる農外資本によるインテグレーションの畜産部門への進出というような全体的な状況を的確に把握しながら、経営に対する適切な指導を農林省としてはやっていかなければならぬということに相なろうかと思うわけでありまして、昨年あたりの農業白書を見るまでもなく、畜産経営は、牛肉といい、豚肉といい、あるいは鶏肉といい、ブロイラーといい、いわゆる規模拡大というふうな傾向に全体としてはあると思いますけれども、反面、飼育戸数が牛肉の場合減少するとか、あるいは飼養頭数においても増減がそれぞれ振幅としてあるとか、いろいろなことが出ておるわけでありますが、私がここで聞きたいのは、農外資本が畜産部門に進出するというインテグレーションの現状問題ということについて若干お伺いをいたしておきたいと思うわけでございます。  インテグレーションの畜産部門への進出は、一つは契約飼養という形でなされます場合と、あるいはまた直営農場として、直接にみずから経営をするという場合と、二つやり方があると思うのでありますが、このインテグレーションの現状について把握しておるところを御説明願いたいと思うわけでございます。
  22. 澤邊守

    ○澤邊政府委員 インテグレーションのお尋ねでございますが、先ほどの御質問で一つ答弁漏れがございましたので先に補足させていただきますと、経営対策でどのようなことをやっておるかという点につきましては、大臣の先ほどのお答えの中に一部ございましたけれども、輸入の調整措置あるいは生産者団体の調整保管措置、あるいは消費拡大のための安売りキャンペーン、これは若干の助成もいたしまして、小売業者に対する助成もいたして、昨年の夏以来数回にわたってやっておるわけでございます。そのようなことによりまして消費をできるだけ上向きにするということ、それによって価格の回復をはかるということをやる反面、経営が相当打撃を受けております。価格が下がり、しかもえさ価格が非常に高騰しておるということではさみ打ちになったようなかっこうになっておりますので、そのような経営を維持していくために、あるいは負担を軽減するということのために、低利融資を昨年は二回にわたって二種類についてやったわけでございます。一つは夏の初めでございましたか、肥育継続資金の融資というものをやりまして、これは価格が安いために肥育をやめた、あとの子牛を導入しないということがありますと、長期的に見て先が不安になりますので、子牛の導入資金に対する低利融資をやったわけでございます。さらに、年末におきましては、牛肉価格の低落によります負債の増加が見られる肥育経営がかなりございますので、低利資金に借りかえをするために、二百五十億程度の総枠におきまして、五カ年間を融資期間といたします低利融資の道を開いたわけでございます。そのようなことによりまして何とか苦境を切り抜けるように現状はしておるわけでございます。  さて、インテグレーションの現状いかんのお尋ねでございますが、御指摘のように、農外資本が畜産生産分野に進出する形には、いわゆる契約生産と直営農場と二つあるわけでございますが、農林省が四十八年に調査をいたしました契約飼養について見ますと、やはりブロイラーが一番多い。それから肥育豚、採卵鶏がそれに次ぐわけでございますが、圧倒的にブロイラー関係が契約生産では一番進んでおるように思います。肉用牛につきましては、当時ほとんどそういう例がない。全くないかどうかはわかりませんが、ほとんどないということで、実は調査をしておらなかったわけでございますが、われわれが最近耳にするところからいたしましても、肉用牛経営につきましては契約生産は余り進んでおらないというように考えております。  なお、契約生産というか、契約飼養が最近進んだと言いましたけれども、最近、以前に比べますと新しくふえるのがやや鈍化をしてきておるというような傾向が見られます。  なお、直営農場について見ますと、これは四十九年のわれわれの調査でございますが、全体で三百二十一農場ということになっておりまして、これは採卵鶏、養豚、ブロイラーがかなり多い。肉用牛につきましても、われわれの調査では五十三農場ございまして、このタイプのものにつきましても、最近新しく始めるというのは比較的減少してきておるというふうに見ております。  これについて農林省としてはどのように考え、どのような指導をしておるかという点でございますけれども、契約飼養は、御案内のように、企業が自社系列の畜産資材を農家に売る、それと見合って、生産されました畜産物を集荷して販売をするということによりましてシェアを拡大していくというねらいでやっておるわけでございますけれども、農家側から見ますと確かに生産物の販路や販売価格が比較的安定する。たとえて申し上げれば、ブロイラーにつきましては、相当のインテグレーターが自主的に価格安定基金制度のようなものを設けてまるということによりまして、市況が下がっても、契約数については、一定の価格をインテグレーター側がかなり補償してくれるというような面でメリットの面もございますけれども、力関係という点におきましては、経済的な力はインテグレーターと飼養農家ではかなりの格差がございますので、その間に不適正な取引関係というものが入り込む余地があるわけでございますので、そのようなことがなくて公正な契約飼養関係が成立するように指導しておるところでございます。  直営農場につきましては、われわれといたしましては、そういう農外資本が直営農場でブロイラーその他を大規模にやるという形が今後大いに伸びるとまでは見ておらないわけでございますが、当面の問題といたしましては、たとえば養鶏あるいはブロイラーもそれに近い傾向が出ておると思いますけれども、やや生産過剰という傾向がここ数年来出ております。そうしますと、そこに大規模な農外資本による直営農場が新たに出現してくるということになりまして、しかもそれが猛烈なシェア争いをやる、シェアを拡大するために競争するということになりますと、全体の生産を計画化していくことが過剰生産基調のもとにおいては価格の安定をはかるために必要であるというときに、新たな大企業が操業を始めるということは全体の需給バランスを崩すという点でいろいろ問題があると思いますので、その点について特に節度を持った事業をやってもらいたいということで行政指導をいたしておるところでございます。  いずれにいたしましても、そのようなインテグレーターが進出してくるということは、反面、農協等によります生産者の組織が弱いという面がそれらの農外資本の進出を可能にするゆえんでもありますので、農民の自主的な集団なり、農協その他の団体によります共同行為というものをわれわれとしては一層強化するように指導してまいりたいというふうに考えております。
  23. 角屋堅次郎

    ○角屋委員 いまのインテグレーションに対する現状と、これからの指導の考え方について畜産局長からお話しがございましたけれども、畜産農家の経営安定と、さらに生産の増強という立場から見て、農外資本のインテグレーションが畜産部門に一いまお話しのように大体年次別に見ますと、昭和四十一年から四十五年の時点が直営農場の場合も契約飼養の場合も非常に伸びて、その後停滞傾向にあるように統計的には出ておるわけでありますけれども、やはり、基本は、農家の個別経営あるいは集団的な経営というものを積極的にサポートしていくということを基本にしながら、しかも契約飼養やあるいは直営農場が、農民との関係において、あるいはみずから農場を経営する上において、公正な形で運営がなされていくのかという面については、十分実態を把握しながら適切な指導をしていく必要がある。いやしくも畜産農家に大きな影響や打撃を与えるということは前提として避けなければならぬことであろうかと思うのでございます。  次に、畜産ではどうしても欠かすことのできない問題はえさの問題であります。これは一般質問の中でも、本委員会でもいろいろ議論がなされてきたところでございますが、いわゆる「農産物の需要と生産の長期見通し」という農林省の出されております構想によりますと、飼料需給の見通しについては、需要量として、四十七年に比し、六十年は一四七・五%、供給量としては、粗飼料の伸びを一九五・七%、濃厚飼料については、国内産はほぼ横ばいで一〇三・七%、輸入は一四九・四%ということで、輸入については、六十年時点では千四百七十七万二千トンというものを期待する。最近のえさ事情の国際的な状況から見て、こういうものがはたして安定的に期待できるのかどうかといった問題にも大きな問題があるわけでありますが、さらに飼料作物の作付面積も、従来の四十七年の七十六万八千ヘクタールから六十年には約二倍の百四十六万九千ヘクタールまで拡大をしようということでございまするけれども、果たしてこれはプランとしては――これはプランでございますけれども、粗飼料についても、濃厚飼料についても、また、飼料作物の作付の約二倍近い拡大につきましても、プランとしてでなくて、十分裏づけられた形でどういうふうに取り組んでいこうというのか、こういった問題について御説明を願いたいと思います。
  24. 安倍晋太郎

    ○安倍国務大臣 今後の畜産を伸ばしていくために飼料問題は非常に重要な部面を占めるわけでございますし、特に、飼料作物等につきましては、自給体制を確立していくということが非常に大事でございます。そういう意味で、粗飼料を中心にその増強に取り組んでまいりたいと考えておるわけであります。  粗飼料につきましては、未利用地の草地開発、水田裏を含む既耕地への飼料作物の導入を積極的に進めるほか、野草資源の活用をはかるため、林地の畜産的利用を推進することを中心として対策を進めてまいりたいと思っておるわけでございます。  また、濃厚飼料につきましては、トウモロコシ、コウリャンがやはりわが国の風土上の制約もございます。また、労働生産性の内外の格差が大きい、あるいは夏作であるというようなこと、さらにまた他作物との競合関係にあるということで、その増加をはかることは困難であると私は考えております。そういう意味におきまして、大部分は輸入に今後とも頼らざるを得ないというふうに考えておるわけでございますが、これからの飼料対策としては、そういう濃厚飼料としてのハンディキャップというものはありますけれども、粗飼料につきましては、今後とも六十年目標に向かいまして総合的な政策を強化いたしまして、ただいま御指摘がありましたような目標を何とか達成するためにひとつ力を尽くしてまいりたい、こういうふうに考えておるわけでございます。
  25. 角屋堅次郎

    ○角屋委員 粗飼料生産については、新年度予算の中でも、安倍農林大臣が目玉の一つとして取り組んで、ある程度の芽が出ておるわけでありますが、畜産振興のためには、えさの海外依存主義から脱却して、できるだけ国内の飼料の拡大をはかるということが前提にならなければ、長期見通しで立てておるような具体的なプランを遂行するということにはなり得ないだろうというふうに思うわけでありまして、この問題については、今後とも積極的に取り組んでもらいたいというふうに考えます。  牛肉の問題で、法案に入ります前に一、二点さらにお伺いをしたいのでありますが、一つは、牛肉の輸入の自由化問題について具体的にこれからどう考えていくのかということです。この牛肉の輸入の自由化問題というのは、前々から関係国から要請があったりして、いろいろと強いプレッシャーを各国の主要関係国を訪問する際にも投げかけられておるわけでありますが、私は、これは今後の牛肉の畜産農家の死命を制する基本的な問題であって、これを許すわけにはまいらないというふうに基本的には考えておるわけでありますけれども、こういった牛肉の輸入の自由化問題ということに対して、基本的に今後どういうふうな考え方で対処しようとするのか、これらの点について農林大臣から見解を伺っておきたいと思います。
  26. 安倍晋太郎

    ○安倍国務大臣 牛肉の自由化問題でございますが、わが国の肉用牛につきましては、従来の飼養形態であります農耕使役型から肉用への転換後まだ日が浅いわけでございまして、そういう点から、飼養規模は零細で、生産性が低く、内外価格差が大きいことから、国際競争力が非常に劣っておるわけであります。そういう点を考えますと、今後牛肉の自由化をした場合には、わが国の肉用牛の経営は壊滅的な打撃を受けるということは明らかでございます。特に、最近軌道に乗っておりまする大衆肉の供給源と目される乳用雄牛の肥育の芽を摘むことになると思うわけでございまして、このために牛肉については従来から輸入割り当て制度を採用しておる点は御存じのとおりであります。今後においてもこの事情に変化がないことは明らかでございますので、いま御指摘がございました御意見と私は全く同じでございまして、自由化をする考えは毛頭ございません。
  27. 角屋堅次郎

    ○角屋委員 個別質問に入ります前にもう一点お伺いをしておきますけれども、えさの問題に関連をいたしまして、現行法律の中では飼料需給安定法が現に動いておるわけでありますけれども、これはこれからの畜産振興をやっていくためには根本的に改正をしていかなければならぬ。えさ問題については、社会党といたしましては、飼料の需給及び価格の安定に関する法律案ということで、飼料の需給及び価格の安定についてほぼ成案を得ておりまして、近くこれは国会にも提示していきたいと思いますが、さらに、草地造成あるいは生産基盤の整備、機械化の問題に対する助成その他を含むもう一本の法律も含めて、えさ二法という形で、えさの国内自給について積極的に拡大をし、また、飼料についての需給の安定をはかるということをやってまいらなければならぬと考えておるわけであります。政府におかれても、現行の飼料需給安定法を含むえさに対する根本的な立法的裏づけというものを積極的に考えるべき段階に来ておるのじゃないかと思うわけでありますが、これらの問題について農林大臣の見解を承っておきたいと思います。
  28. 安倍晋太郎

    ○安倍国務大臣 飼料の安定化というのは、畜産を経営する場合におきまして今後とも非常に大事なことであるわけでございまして、そういう意味において、飼料需給安定法を今後とも活用していくことは当然なことでありまするし、同時に、昨年の暮れの臨時国会において成立をさせていただきました親基金制度というものもございまして、異常な値上がり分についてはこれを補てんするという制度もできたわけでございますので、こうした法律制度等を今後は積極的に活用いたしまして、飼料の価格の安定、畜産農家の経営の安定に努力を続けていきたいと考えておるわけでございまして、現在のところは、せっかく親基金制度もできましたので、全面的にこれらの制度につきまして改革を加えるという考えは持っていないわけでございます。
  29. 角屋堅次郎

    ○角屋委員 いまの農林大臣の答弁はきわめて不満でありますし、飼料の生産、あるいは需給、価格安定という面では積極的に農林省としても取り組まなければならぬ段階に来ておると思うのでありまして、大臣からは当面法の抜本改正等について変える意思がないような御答弁でございましたけれども、これは再考を強く要求しておきたいというふうに思います。  今回の改正の中身について数点お伺いをいたしたいと思うわけでございますが、畜産物の価格安定等に関する法律の一部を改正する法律案の中で、政府から提示しておりますのは、言うまでもなく第二条第三項の「指定食肉」のところで、従来は「豚肉その他政令で定める食肉(牛肉を除く。)」ということになっておった「指定食肉」について牛肉を加えるということに相なっておるわけでございます。この問題は、指定食肉に指定する牛肉は、農林省としては内容的には何を考えておるか。これはこの法律そのものではあらわれなくて、「牛肉」と一般的に書いて、あとそれを受けて「農林省令で定める規格に適合するものをいう。」ということで、省令にそれが具体的にあらわれてくるという形をとっておるわけであります。  牛肉のうちで指定食肉に指定する対象というのは、現在予定としては何を考えておるか、この点をまずお答え願いたいと思います。
  30. 澤邊守

    ○澤邊政府委員 指定食肉の指定の範囲を何にするかという点につきましては、私どもとしては、最終的には畜産振興審議会にお諮りをして十分御意見を聞いた上で決めたいということで、まだ検討中でございますけれども、考え方といたしましては、この制度は、牛肉全体の価格安定を図るには、どの部分の牛肉とどういう規格のものについて直接事業団による需給操作をやれば牛肉全体の価格安定を図れるかという観点から決めるべきものだと思いますが、その際、勘案事項といたしましては、御承知のように牛肉は種類、規格がかなり広範にばらついております。種類も多いし、規格の内容もばらついておるということでございますが、それらの種類別、規格別の構成割合から見まして、そのシェアが相当な割合に達するというようなものを買い入れの対象にしていくということがやはり必要ではないかという点が第一点でございます。  次に、日常の取引なり価格形成におきまして、牛肉全体の指標的な価格になっておるもの、全体をリードするような、他に影響力を持つような牛肉の種類、規格のものを対象にしていくということが必要ではないかという点。それから、また、この制度は再生産の確保とともに消費の安定という点ももう一つのねらいにしておるわけでございますので、そういう点からしますと、いわゆる特殊な高級肉とか、あるいは特殊な低質肉というようなものは除いて、一般性のあるもの、いわゆる大衆肉といいいますか、一般の国民大衆が消費するようなものを対象にしていくという考えをとっていいのではないかという点。もう一点は、豚肉の場合も同様でございますけれども、牛肉の品質の改善あるいは肉牛の改良ということを今後日本の肉牛生産振興のために考えていかなければいけないと思いますが、そういう観点も加味して、そういうことの支障にならないように、品質の向上、改善に役立つような規格の決め方、対象の決め方をしていく必要があるのではないかというふうに考えておるわけでございます。  したがいまして、まだ種々検討しておる段階でございますが、われわれの現段階の腹案といたしましては、和牛の去勢の中と、それから乳牛の雄の去勢の中といったようなものが、先ほど申し上げましたような四つの点から見て対象にするのがいいのではないかというような腹案を持ちながら、なお検討して、最終的には審議会の答申を待って御意見を聞いた上で決めたいと思っております。
  31. 角屋堅次郎

    ○角屋委員 第二条の第三項で「牛肉」を一般的に入れるとして、そして、そのあとに「農林省令で定める規格に適合するものをいう。」と入れる。結局、省令に対象が出てくるわけでありますが、そこで、「農林省令で定める規格に適合するものをいう。」という、この規格の決め方の問題についてもちょっとお伺いをしておきたいと思います。  御承知のとおり、牛・豚枝肉格付規程というものが社団法人日本食肉協議会というところから出されておりまして、これは和牛の去勢であれ、あるいは乳雄であれ、あるいは乳廃牛であれ、それら全体を統一的に段階をつけまして、特選、極上、上、中、並、等外というふうな形でそれぞれランクをつけまして規格を決めておる。従来そういう牛・豚枝肉格付規程というものがあったわけでございます。     〔委員長退席、坂村委員長代理着席〕  本年二月に日本食肉格付協会を設立をいたしておるはずでありますけれども、「農林省令で定める規格に適合するものをいう。」という、この規格は、仮にこの法案が通るとします場合に、四月から発足できるように省令ができなければならぬわけでありますが、その内容は、いま申しました日本食肉協議会でとってきたものを基本として、具体的にどういうふうに省令で決める内容を打ち出すか、その点について、技術的な問題でありますから畜産局長からお答え願いたいと思います。
  32. 澤邊守

    ○澤邊政府委員 御指摘のように、従来は、日本食肉協議会は流通業者を主とした団体でございまして、公益法人でございます。これが規格を決めておりまして、その格付員が各中央卸売市場あるいは地方の市場に配置されておりまして、毎日格づけをやっておるわけでございますが、先ほど言いましたように、日本食肉協議会はその他の事業もやっております。会員の構成からいたしましても流通業者が中心でございまして、生産者団体も一部入っておりますけれども、どうしても流通業者を主とした団体でございますので、規格の設定なり、あるいはそれに基づく格づけというものは、客観的に、中立、公正に行うということがどうしても流通合理化の前提になります。そういう意味から言いまして、先ほど御指摘がございましたように、本年二月に社団法人日本食肉格付協会というものに機関を新たに設置いたしまして、そこが従来日本食肉協議会がやっておりました規格を引き継ぎ、格づけ事業も引き継いでやるということにしたわけでございます。これによりまして、従来以上に中立的に厳正に信用のある格づけができる体制が一歩前進したというように考えております。  食肉格付協会は従来の食肉協議会の規格を引き継ぐわけでございますが、その規格は農林省がこれを認可するというようなことで、国の立場からも十分監督をして、市場の流通の実態に応じた適正な規格を定め、それに基づきまして厳正に格づけをするということを今後とも指導してまいりたいと思っておるわけでございます。  ちなみに、現在格付協会が実施しております格づけの場所は全国四十一ヵ所でございまして、格付員が九十四名。四十八年の日本食肉協議会当時の牛肉の格づけ実績、格づけ率と言いますか、受けた率でございますが、これは二九・五%ということになっております。  今後とも当協会の体制を育成、強化いたしまして、新しい制度を支える厳正な規格格づけが行われるように指導してまいりたいと思います。
  33. 角屋堅次郎

    ○角屋委員 冒頭に私が質問に入るときに申し上げましたように、今回の一部改正の政府提案に対しましてわれわれ社会党の部内でいろいろ真剣な議論をやりまして、畜産物の価格安定等に関する法律に対して社会党が三十六年に対案を出した、その後の状況も踏まえて、大上段に対案を出して大いに議論をするというのも一つの行き方だと思ったわけでありますが、現実に指定食肉の中に牛肉を加えて四月から滑り出すようにしなければならぬというもう一つの価値判断の問題がございまして、したがって、今回は、われわれが修正として考えておりますのは、指定食肉に牛肉を加えるということに大前提を置いた、必要最小限の改正をどうするかということでいろいろ議論をしたわけでございます。  そこで、いまの二条三項の「指定食肉」に「牛肉」が一般的に加わるわけでございますけれども、農林省として畜産振興審議会に出す腹案としては乳廃牛を含んでいない、こういうことに相なりますが、私どもの修正はすでに法制局の手を経て全部終わっておりますけれども、「乳廃牛」が第二条第三項の中ではっきりと含まれるというふうな法律内容にし、しかも、第三条の第四項で安定価格を決める決め方がここに書いてあるわけでありますが、これはいろいろ前提条件はありますけれども、「再生産を確保することを旨とし、」云々ということで書いてあるわけでありますが、ただ、この場合、乳廃牛というのはお乳をしぼる方が本来であって、いわば副産物としてこれを肉に活用するという形になるわけでありますから、第三条第四項のいわゆる生産費調査に基づき、それを基礎にして再生産を確保するような形の価格の決め方というものには、やはり、そのまま直につながらない問題を持っております。したがって、これについては、たとえば乳雄の「中」と乳廃牛の「中」というものの市場における卸売価格の数年来の動向を見ましても、これは非常にニアリーイコールにパラレルに動いておるという相関関係的なものがございます。したがって、生産費調査ということを農林省でやっていくというのにも、これはどういう仕分けをするかにも問題がある。したがって、「乳廃牛」を第二条第三項のところで法律上明書するとなれば、それを受けた第三条第四項の安定価格の決め方というところは、やはり、実態に合わせた形を法文上明らかにしなければならぬ。こういうことで、その点については、いま言ったような他の指定食肉の価格の動向という形にあらわしておりますけれども、それは一定のニアリーイコールのパラレル関係というものを十分しんしゃくをしながら価格を決めるという考え方をとったわけでございます。これはきょうの午後には党の部会関係の了承を得て、各委員にも御検討願うようにいたしたいと思うわけであります。  そこで、第二条第三項、第三条第四項の関係は以上の考え方でさばいておりますけれども、われわれとしては、いわゆる和牛、乳雄、それに加えて三割以上のシェアを持っております乳廃牛というものを本法の中に入れて価格安定を図るようにいたしたい。これは、特に、関係のウエートの非常に高い北海道その他の地域からも強く要請をされておる問題でありますが、乳廃牛を加えるべきではないかという問題に対して、お考えを聞いておきたいと思います。
  34. 澤邊守

    ○澤邊政府委員 乳廃牛を指定食肉の対象として加えるべきであるという御意見は、われわれが検討の過程におきましても生産者の中から一部出てまいっております。先ほどお答えいたしましたように、われわれは、この問題も畜産振興審議会の意見を十分聞いて最終的に決めたいというふうには思っておりますけれども、現段階でわれわれが考えておりますのは、御指摘がございましたように、乳廃牛といいますのは搾乳を終わった廃牛といいますか、いわゆるそういうものでございまして、食肉生産自体を目的としたものでないという意味では副産物的な性格を持っておる。したがいまして、生産費調査自体も独立にはないわけでございますが、そういうような副産物についてまで価格安定の対象にする必要があるかどうかという点につきましては、それ自身を目的として生産をするものではございませんので、いわば、再生産確保という場合は、酪農経営の一環として、酪農経営全体で再生産をいかに確保するかということを考えておけばいいのではないかというふうに考えるわけです。  そういう点では、加工原料乳地帯の酪農経営の再生産を確保するためには、現在加工原料乳の不足払い制度がございまして、生産費を基礎とする方式によりまして保証価格を毎年決めておるわけでございますけれども、その中で、この廃牛というのは、いわゆる乳牛の償却費の中で原生産費調査をいろいろ加工するわけでありますけれども、残存価格を見る中で適正に残存価格を見ておれば、それがすなわち廃牛になるわけでございますから、それをもって酪農の再生産が可能になるわけでございます。もちろん、他の要素もございますけれども。したがって、われわれとしては、現在乳価の算定の中におきまして昨年算定方式を改定いたしました場合に、乳牛の償却費のやり方をかなり改善を加えております。そういう中で乳廃牛の価格も適正に評価をして償却費を出すということを通じて、酪農の再生産を確保できるように考えておるわけでございますので、牛肉の価格で、乳廃牛の価格のみによって酪農の再生産を図るということは必ずしも考える必要はないのではないか、いわば二重計算と言うとあるいは言い過ぎかもしれませんけれども、乳価の方で適正に見ておれば、再生産を確保するためには、廃牛価格において、肉として特段に価格安定制度の対象としなくてもよろしいのではないか、と、そういうような感じを持っておるわけでございます。  それから、さらに、先生の御指摘にございましたように、パラレルに動くという点は御指摘のとおりでございます。したがって、生産費がなくても価格は決められるではないかという御意見かと思いますけれども、われわれといたしましては、パラレルに動くからこそ、乳牛の雄の「中」について価格安定制度の対象にしていけば、乳廃牛につきましても、乳雄の「中」の価格支持を通じまして間接的に価格が支持されるというような効果が期待できるのではないかという点を考えて、現段階では必要がないのではないかというふうに思っておりますけれども、確かに問題点の一つだとは思いますので、審議会の意見も十分聞いた上で、最終的に決定をしたいというのが現段階の考えでございます。
  35. 角屋堅次郎

    ○角屋委員 いまの畜産局長の答弁との関連で、第一点の、「乳廃牛」を第二条第三項に加えるということと、第三条第四項の「安定価格」の決め方についての考え方を言いましたが、これはさらに同僚議員からも議論がなされると思いますので、われわれとしては、こういう考え方を提起しておくということにとどめておきたいと思います。  私どもとしては、第二点の問題として、第三条第四項の安定価格の決め方については、生産費及び所得補償方式に基づいてこの条文を強化する必要があるというのが第二点のわれわれの修正の考え方であります。これは自家労賃の価格についても、他産業の賃金、それと見合う賃金をこの中に法文として明記をする。これは昭和三十六年にわが党の対案を出したときに書かれた考え方でありまして、畜安法の一部改正に当たりまして、農業団体等からも要請文が出ておりますけれども、その要請文の中では、「指定食肉たる牛肉の安定価格は、肉牛資源確保の見地から、所得補償を旨として再生産確保がはかれるよう決定すること。」という強い要請が出ているわけでありますが、そこで、生産費調査という問題について簡潔に少しくお伺いをしておきたいと思います。  これは農林省統計情報部の関係になるわけでありますが、肉牛あるいは乳用雄肥育牛というものの生産費調査がなされておりまして、子牛、育成牛を含めまして肉牛の生産費は、昭和三十四年から三十七年までの百五十戸をスタートとして、四十九年は六百八十五戸、さらに乳雄の肥育牛については遅く、昭和四十八年からスタートして百戸の調査農家という形で今日に来ておるわけでありますが、いわゆる牛肉を指定食肉に加えるという本法の改正に関連をいたしまして、これらの生産費調査を強化しなければならぬということで、和牛について七百戸、子牛について四百五十戸、それから乳用雄肥育牛について七百戸ということで、五十年度からは、いわゆる生産費調査の体制を強化するというふうに聞いておるわけであります。  問題は、たとえば価格決定を畜産振興審議会の議を経て決めます場合に、乳雄の肥育牛については、生産費調査は、四十八年、四十九年の百戸の調査農家に対してしかやられていない。あるいは乳牛についても、肉牛についても、いわゆる統計理論に基づく母集団に対する標本、あるいはそれが一定のバリアンスの範囲内におさまるかどうかというふうな点から見ますと、今度の価格決定というのは、これは達観的な考え方でやろうとしておるのかどうかという問題もあるわけでありまして、まず、統計情報部の方から、今回の牛肉の指定食肉指定に伴います生産費調査の強化の問題について簡潔に説明を願いたいと思います。
  36. 吉岡裕

    ○吉岡説明員 ただいま先生の御質問にございましたように、指定食肉に入るという観点から見ますと、現在まで行っております肥育牛の生産費調査の調査戸数では不十分でございますので、ただいまお話しがありましたような戸数をそれぞれ増加をいたすことにいたしまして、現在予算で御審議を願っておるところでございます。したがいまして、その予算ができ上がりましたならば、出先の調査体制を整備いたしまして、行政価格の算定にたえ得るような生産費調査をいたすということで、現在鋭意努力をしておるところでございますす。
  37. 角屋堅次郎

    ○角屋委員 問題は、生産費調査で常に問題になる一つの点は、「肥育牛生産費調査の主な約束事項」というものの中の飼育労働費で、これは雇用労働費もございますし、家族労働費もあるわけでございますが、この約束からいきますと、資料にいただいておるものでは、雇用労働費は「季節雇、臨時雇は実際の支払い賃金及びまかない費を含めて計上する。」となっており、家族労働費については、「飼育労働時間にその地方の一人前の農業雇用賃金を乗じて計上する。」となっている。以下説明がずっと書かれておりますけれども、農業と他産業との所得均衡という点から見て、賃金評価をどうするかということですね。われわれは、第三条第四項で、生産費及び所得補償方式をとるという前提で、自家労賃の評価というものについて、他産業とのバランスということを法文上明記したいと考えておるわけでありますが、加工原料乳の自家労賃の評価等についても最近は若干改善をされてきておる経緯から見て、この牛肉の生産費調査においても、従来の家族労働費あるいは雇用労働費の評価約束というものは変えるべきではないか、と、こういうふうにも思うわけでありますが、これらの点についてお答えを願いたいと思います。
  38. 吉岡裕

    ○吉岡説明員 家族労働費の評価の問題につきましては、行政価格算定という立場からいろいろな御議論があろうと思いますが、生産費調査の問題といたしましては、おっしゃいますように、最近、農村臨時雇い賃金というものがかなり数が少なくなってまいりまして、一般的な農村にあります雇用賃金として、どのような賃金をもって家族労働を評価するのが最も適当であるかという問題は確かにございます。  私どもも、そのような農村の実態に密着をした生産費調査をする必要があろうということで、現在いろいろな角度から検討をさせていただいておるわけでございますが、できるだけ早い機会に、どのような賃金をもって生産費調査の家族労働を評価するのがいいかという結論を出しまして、近い調査から適用するようにいたしたいということで、現在研究中でございます。
  39. 角屋堅次郎

    ○角屋委員 ことしの牛肉の安定価格を決める場合は、先ほど来私からも触れましたような統計情報部の生産費調査の対象農家戸数というものは少ないし、同時に、乳雄については、四十八年、四十九年というふうな生産費調査の状態でもある。安定価格を決める場合に、ことしの場合はどういう考え方で畜産振興審議会に出そうとしているのか、農林省の考え方について簡潔にお答えを願いたい。
  40. 澤邊守

    ○澤邊政府委員 価格の算定方式をどうするかという問題は一番議論のあるところでございまして、これも最終的に決めるまでにはもちろん畜産振興審議会にお諮りするわけでございますが、十分意見を聞いて最終的に決めたいということで、内部でいろいろ検討しておるわけでございますが、いずれにいたしましても、生産費が算定の一つの要素になるということは、これは間違いございません。したがいまして、ただいま統計情報部の方から説明がございましたような生産費調査のこれまでの実情からいたしますと、やはり、データの面で制約が非常に大きいということは遺憾ながら言わざるを得ないと思います。そういう意味からいたしますと、私どもは、豚肉について価格安定制度を開始いたしましたときもそうでございますけれども、最初から長期的にこういう方式でいくのだということをあらかじめ固定的に考えずに、資料の整備を待ちながら、最終的にといいますか、長期的に一定の方式を固めていくというようなやり方をせざるを得ないのではないかというように現段階では考えております。  そういうことでございますけれども、ただ、この制度が、畜産振興事業団による買い入れ、売り渡しということによりまして価格安定をはかるという仕組みになっておりますので、そういう価格安定制度の本質といいますか、性格から、価格の決め方についても、どのようなやり方でいくべきかということの制約といいますか、そういうものがおのずから出てくるのではないかというふうに私どもは思っておるわけでございます。といいますのは、畜産振興事業団による買い入れ、売り渡しといいますのは、市場ゆおきます自由な流通、自由な価格形成というものを前提にしながら、価格が極端に低落したり、あるいは極端に高騰するのを防止するために、下がったときには、あるいはそのおそれがあるときには買い入れを行う、上位価格を突破し、あるいは突破しそうなときには売り渡しをするということによりまして、変動の幅を一定の幅の中におさめていこうということでございますので、たとえば米におきます食管制度のごとく、全量国が買って自由流通がないというものとは価格安定のやり方が違うわけでございます。そういう意味から言いまして、需給の実勢といいますか、需給均衡価格といいますか、そういうものから著しく乖離した安定価格を定めるということはこの制度を円滑に動かしていくのに問題があるのではないかというようなことを検討しておるわけでございます。  なお、また、牛肉生産につきましては、何といいましてもわが国の場合は歴史が浅いわけでございまして、特に肥育経営につきましては、経営の改善合理化というようなことは今後とも相当努力をしていかなければいけないという牛肉生産の発展段階の現状からいたしますと、その辺も考えながら価格算定方式というものを決めていかなければいけない。さらに、また、この制度は、再生産の確保ということと並んで消費の安定ということももう一つの目的といたしておりますので、安中価格が需給実勢を離れて余り高いところに決まるということになりますと、消費の安定というところで問題がある。  それらのことを総合勘案して、審議会に十分にお諮りした上で今年度の方式を決めてまいりたいというように考えております。
  41. 角屋堅次郎

    ○角屋委員 いま畜産局長から答弁があった点は、私どもが三条四項の「安定価格」に生産費及び所得補償方式をとるという場合に、私ども自身も関連して検討した条項がございます。たとえば第三条第二項で、「安定価格」について、「指定食肉にあっては政令で定める主要な消費地域に所在する中央卸売市場における売買価格について定めるものとする。」とあるが、この「政令で定める主要な消費地域」というのは、現在、東京と大阪という形をとっておるわけですが、この三条二項についても、わが党内の議論の中では、いわゆる主要な消費地だけではなしに、一物一価主義というふうな考え方等も含めて、消費地に加えて生産地というものも含めた卸売市場における売買価格というふうにすべきじゃないかという意見も出ておったわけであります。  また、同時に、いまの第三条第四項に関連をいたしますが、第三十九条の買い入れ問題というところが関連をしてまいりまして、しかも、三十九条の買い入れ問題では、三十九条の二項のところに、「事業団は、中央卸売市場において、指定食肉を買い入れることができる。」となっているが、こういう二項の関係と、第五項においての、「事業団は、指定乳製品又は指定食肉の買入れについては、第一項の規定による生乳生産者団体からの買入れ又は第三項の規定による買入れを優先的に行なうものとする。」という優先買い上げ規定の問題と、こういうようにいろいろと関連して議論する問題があるわけでありますが、もうすでにあと十分くらいに私の予定時間が迫っておりますので、これらの点についてはわが党の同僚議員がそれぞれ討議の中で議論を深めるということにしていただきたいというふうに考えておるわけでございます。  そこで、われわれが第三点の修正として考えましたのは、現行法でいきますと、四十条の二に、「事業団は、政令で定めるところにより、農林大臣の承認を受けて、輸入に係る牛肉を買い入れることができる。」とありますが、この条項を、いわゆる事業団の一元輸入というふうに修正したいということが第三点のわれわれの問題提起であります。     〔坂村委員長代理退席、委員長着席〕  この点については、昭和三十六年以降、この食肉の輸入問題と関連していろいろ議論がなされてきたところであり、また、参議院においては、事業団による一元輸入という与野党満場一致の附帯決議もこの法案が議論された段階においてついた経緯もあり、また、農業関係団体からは、「牛肉輸入は国内の牛肉市況が適正水準に回復し、肉牛経営が安定するまでは、これを抑止するとともに、窓口は事業団に一元化すること。」という強い要請も要請項目の中で出ておるわけでありまして、この点については、農林省としては、政府提案としてはなかなか出しにくい、これは通産省の激しい抵抗を受けなければならぬということであるけれども、こいねがわくは、この委員会で議員修正によって通ればまことに幸いであり、歓迎すべきことであるというのが本心であろうというふうに私は思うのであります。これはやはり、加工原料乳生産者補給金等暫定措置法においては、第四章のところに「指定乳製品等の輸入」ということがございまして、第十四条のところで、指定乳製品等については事業団の一元輸入ということが明定されておるわけでございます。したがって、この牛肉の指定食肉指定という新しい段階を迎えまして、この際、牛肉についても、事業団の一元輸入という、農林省がひそかに期待しております修正を与野党の合意を得てやるべきであるというふうに考えるわけであります。現在は、御承知のとおり、民貿の関係で、最近は一万四千トン定額輸入、その他必要量については事業団が輸入するという現状にあると承知しておるわけでありますが、いわゆる牛肉輸入のこの事業団一元輸入という問題に対しては、私の提案どおり農林大臣も賛成であるという御答弁だと思いますが、その辺のところについて御見解を承りたいと思います。
  42. 安倍晋太郎

    ○安倍国務大臣 牛肉の一元輸入についてのお考え、これはまた一つの御意見であろうと思っておりますが、現在のところ、事業団が一元的に輸入するというふうなことにはなっておらないのは御存じのとおりでございまして、これにつきましては、従来から、輸入割り当て制度のもとで、牛肉の需給動向に即応して輸入量を調整するために、輸入牛肉の大部分を畜産振興事業団が輸入をいたしておるわけであります。今後とも、この方針によりまして価格の安定ははかっていかれるのではないだろうかというふうに考えておるわけであります。しかし、必要があれば、現行の輸入割り当て制度のもとにおきましても事業団に一元的に輸入牛肉を取り扱わせることはできる、こういうふうに考えます。  それと、もう一つは、国際的な原因がございます。御承知のように、ガットの規約上の国家貿易ということに、一元輸入ということになりますとなるわけでございまして、現在のわが国の牛肉の輸入割当停止が、先ほどからいろいろと御指摘がございましたように、大変国際問題化しておりまして、非常な国際的圧力も加わっておるわけでございまして、わが国の輸入制限を強化するおそれがあるということで、はっきり決めるということになりますとさらに国際的な問題にもなりかねないというふうな点を私たちとしては心配をいたしておるわけでございます。
  43. 角屋堅次郎

    ○角屋委員 これはずばり本心を言われた方がいいですよ。私も基本的には賛成である、と、こういうことでずばり言われた方がいいと思うのでありますが、これはいずれ後で同僚議員からの質問の中でも重要なポイントとして議論がなされることと思います。  先ほどちょっと触れました三十九条の関係における第二項の、「事業団は、中央卸売市場において、指定食肉を買い入れることができる。」というのと関連いたしまして、第五項での、先ほど読みました「指定乳製品又は指定食肉の買入れ」という当法律からいけば、指定食肉の買い入れについて優先買い入れということが書かれておるわけでありますが、これの今日までの実態はどういうふうな状態であったか、あるいは今後これらの運営についてはどういう考え方でいくのかという点について御説明を願いたいと思います。  それから、時間の関係がありますからついでにもう一つ伺いますが、四十二条の二が今度削除されまして、四十一条の第二項のところに組み込まれて、ある程度手直しが行われておるわけでありますが、その条文の中で、第四十一条第二項に「農林大臣が指示する」ということが書かれておるわけでありますが、この「指示」では何を内容として考えておるのか、これを明らかにしていただきたい。
  44. 澤邊守

    ○澤邊政府委員 ただいま御質問がございました第五項に基づきます優先買い入れの規定は、これは豚肉について従来やっておるわけでございますが、豚肉の実績につきましては、さきに、昭和四十一年ですか、買い入れの際には約四〇%がいわゆる産地で買い上げたということがございます。中央市場あるいは地方市場のほかに、産地の食肉センター、屠場等で生産者があらかじめ農林大臣の認可を受けて販売したものあるいは調整保管をしたものにつきましては、事業団が部分肉という形で買い入れをしたというのが、豚肉の場合は約四〇%程度ございました。  牛肉についてはどうかというお尋ねでございますが、牛肉につきましては、豚肉もそうでございますが、われわれといたしましては、原則としては無制限買い入れということを考えております。価格が回復しない限り、冷蔵庫のある限り無制限買い入れを――あるいは財政的な問題も極端になれば出るかと思いますが、原則としては無制限買い入れというふうに考えておりますので、無制限買い入れを続ける限りは、優先とかあるいは後回しとかいうことは事実上は余り出ないのではないかと思います。ただし例外的に、全く倉庫の収容力がなくなるということで、ある程度制限せざるを得ないというようなことになりますれば、もちろん第五項の優先規定を適用いたしまして、市場買い入れの方はある程度制限しても産地買い入れを優先するというようなことをやる場合も万が一の場合はあり得るというふうに考えて、そのような運用を考えていきたいというふうに思っております。  それから、第二点のお尋ねの売り渡し規定につきまして、上位価格を超えあるいは超えるおそれがある場合には、いわゆる義務売り渡しということで事業団は売り渡すものとする、売り渡ししなければならない、こういうことによりまして消費者価格の安定にも役立つわけでございますが、そのほかに、豚肉の場合と違いまして、牛肉の場合には、安定上位価格を超えまたは超えるおそれがなくても事業団は売り渡しすることができる、これは生産条件あるいは需給事情その他の経済事情を考慮いたしまして、肉牛生産の安定と消費の安定を旨として売り渡すことができる、その際農林大臣の指示に従ってやるのだ、と、こういう規定を設けておるわけでございますが、牛肉の場合は豚肉と違いまして、豚肉はいわば自給原則という考えを前提にして制度を仕組んでおるわけでございますが、牛肉の場合は、相当部分は通常の場合は輸入に依存せざるを得ないということを前提にいたしまして――指定食肉制度の考え方は、いわゆる中心価格に市場価格が収敵することを理想的な目標としておるわけであります。これは常時中心価格に固定するということは不可能なことでございますけれども、理想としてはそれを目標にして輸入、売り渡し、買い入れ等を行うわけでございます。いつ見ても中心価格に固定するということは不可能であっても、年間を通じて、平均価格といたしましては少なくとも中心価格に達するような需給調整をやるのが目標だろうと思うわけであります。そういう点からいたしますと、上位価格までいかなくても売り渡しをすることができる相当量輸入肉――場合によっては国内肉の買い上げした保管肉を持っておるわけでございますが、常時輸入肉が相当なシェアを占めるという場合には、上位価格までいかなければ売り渡ししないということになりますと、市場価格は上位価格にへばりつくということになりますので、中心価格に収敵することを旨として、あるいは年間平均価格で中心価格が実現できるようなことを目標に置きまして、上位価格に達しなくても売ることができるというようにする必要があるのではないかというふうに考えた結果でございます。  具体的な指示といたしましては、いまの考え方から申し上げますと、中心価格を上回って上位価格に近づくような場合は販売量をふやすとか、あるいは中心価格を下回って基準価格に接近するような場合には売り渡し数量を減らすとか、あるいは売りどめをするとかいうようなことを、先ほど言いましたような中心価格に収敵することを目標にやりながら、具体的に運用していく。これは実行はなかなかむずかしい面があるいはあろうかと思いますけれども、そういうことを目指した需給調整をやるようなことを指示をしてまいりたいというふうに考えております。
  45. 角屋堅次郎

    ○角屋委員 時間が参りましたので、これで総括的な質問を終わらせていただきたいと思いますが、先ほど来、改正案につきましては、社会党としても三点について一歩前進の立場から問題提起をし、法文については、すでに私の手元で成案を全部法制局で終わっておるわけでありますが、そういう問題も含めて積極的な議論をして、取りまとめをすることを強く要請します。大臣も就任早々でやる気十分でありますけれども、裏づけ足らずというのが現状でございますので、そういう点については畜産振興のためにも積極的に取り組んでもらいたいということを強く要請いたしまして、私の質問を終わらせていただきます。
  46. 坂村吉正

    ○坂村委員長代理 この際、午後一時から再開することとし、暫時休憩いたします。     午後零時八分休憩      ――――◇―――――     午後一時十八分開議
  47. 澁谷直藏

    ○澁谷委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  質疑を続行いたします。島田琢郎君。
  48. 島田琢郎

    ○島田(琢)委員 畜産物価格安定法の一部改正に対する質疑を申し上げたいと思います。  午前中、わが党の畜産対策特別委員長であります角屋委員から総括的にこの法案の中身についてただしながら、社会党としての考え方も明確にいたしたところであります。そこで、私は、通告をいたしております部分がそういう意味で角屋委員との重複がかなりあると思いますので、時間をむだなく使っていくという点から、若干角度を変えた質問になるかもしれません。したがって、用意されている答弁の要旨と全く違った質問が飛び出すかもしれませんが、その点はひとつあらかじめ御理解をいただいておきたいと思います。  何といっても、今日の日本の牛肉にかかわる部分は、この一年半の長い間、大変な社会問題として、一つは生産者の価格大暴落を招き、そしてまた消費者に対しては、生産地の価格とは全くかかわりなく高値を続けてきた。これは今日の物価の面から考えましても、あるいは重要な食糧を確保するという立場から言っても、まさにこれくらい残念なことはなかったと私は思うのであります。  そこで、今度の畜安法の一部改正が出てきたわけですけれども、しかし、この法案の中身を見てまいりますと、私どもが考えていることと大分違った考え方が示されているようでありますので、この機会に、この畜安法の一部改正を手がけるに当たって大事な点をぜひ明確にしなければならぬと思いますのは、今日まで進めてきた牛肉政策の誤っていた点を明らかにしながら、そこを反省の踏み台にして進んでいかないと、これから先も同じような結果を招かないという保証はどこにもないわけです。  したがって、この機会に、大臣から、牛肉に対する政策のどの点が今日の事態を招いた大きな原因になっているのかということと、そしてそこは重要な反省点になると思いますが、そこを踏まえて今後どういうふうにこの政策を進めようとお考えになっているのかという点をまず冒頭にお聞かせをいただいて、そこから議論を進めてまいりたいと思います。
  49. 安倍晋太郎

    ○安倍国務大臣 いまお話しがございましたように、最近における牛肉の価格の低落といったことを反映いたしまして、畜産経営農家が非常な危機に直面していたことは事実でございます。これについては、御案内のように、石油のショックに伴いまして物価が非常に高騰した中にありまして、飼料等も高くなりましたし、また、一面におきましては、経済の非常な変化によりまして畜産物の消費が急速に減退する方向に移っていったというようなことも原因でございますし、同時に、また、四十八年に畜産物の価格が上昇した中にあって、畜産農家が子牛を非常に高い価格で買い入れたというふうなことがその後の消費減退と価格の低落ということに直接的な影響が出てきた、そういうことによって畜産経営に非常に大きな影響が起こり、畜産経営が危機になった、こういうふうに基本的には理解をいたしておるわけであります。
  50. 島田琢郎

    ○島田(琢)委員 いろいろな原因をお示しになったのでありますが、私は、大臣は重大な認識の誤りを一つ持っていらっしゃると思うのです。それは、ただいま、飼料の問題によって価格が暴騰したという説明をされているのでありますが、これは違うわけですね。それなら生産者価格が本当は暴騰しなければならぬはずです。暴騰という言葉が当てはまらぬとしても、生産者価格が上がらなければならぬ。ところが、逆に生産者価格は大暴落をした。これはえさには何のかかわりもない。おっしゃるようにえさが原因だとするならば、高いえさになったんだから、高い生産コストになるから、生産者価格は上がって、それが消費者価格に影響するというんなら、それはおっしゃるとおりだと私は思う。ところが、違うんですね。大暴落をし、片や小売価格は上がった。全くいままで常識で考えられない現象が起こったわけです。ですから、えさが原因だったというおっしゃり方なら、これは大変大きな誤った認識であると私は思うのです。  私はいま幾つか挙げられましたけれども、総需要抑制の問題とか、あるいはそれに伴って消費者の皆さん方の手元がだいぶ不如意になって、さいふのひもがきつくなった。だから、豚肉と牛肉と並べておると、やはり安い方に手を出したということは確かにあったと私は思うのです。ところが、牛肉の場合は、それだけではどうも理解できないものがこの中身にある。そこで、私は、政策上大きな誤りが幾つかあったのではないかと聞いた中で、反省の一つとしてぜひ考えてほしかったのは、輸入と国内産のバランスのとり方です。ここが昨年、一昨年の秋以来の生産者価格大暴落を引き起こした引き金になったという考えを私は一つの判断として持っているのでありますが、この点いかがですか。
  51. 澤邊守

    ○澤邊政府委員 輸入の増大が国内の牛肉価格を下げた要因ではないかという点の御指摘かと思いますが、わが国の牛肉の需給規模を見ますと、昭和四十七年ごろまではきわめてテンポの速い年率をもちましてふえておったわけでございます。一〇数%ぐらいずつ平均で需給規模が拡大をしておったわけでございますが、四十七年以降は、四十八年、四十九年ともちろん輸入も増大をいたしましたけれども、供給量全体を見ますと、おおむね三十五万トンの規模で横ばいをしておるわけでございます。四十九年度当初の計画では十六万トンの輸入を予定したわけでございますが、結果といたしましては、輸入を一部調整をいたしましたのでそこまでは入らなかったわけでございますが、そういう十六万トンの輸入を予定をし、その大部分については実行をされたにもかかわらず、供給量といたしましては、国内の生産による供給量と合わせて四十七年以来変わっていないということは、供給量が過大であったがために価格が暴落したというよりは、時期的な問題はもちろんございますけれども、年間を通じて見れば、やはり需要の減退の方がより大きな要因になっていたのではないか。輸入が、時期的に見まして、需要の減退が始まってから多量に入ってきたということが結果として価格を引き下げる要因の一つになったということをもちろん否定するつもりはございませんけれども、より大きな要因といたしましては、やはり需要の減退ということではないかというふうにわれわれは認識をしておるわけでございます。
  52. 島田琢郎

    ○島田(琢)委員 さすれば、需要の状態というのは、四十六年、四十七年、四十八年、そして四十九年と、この四カ年間の推移をどのように把握しておられますか。
  53. 澤邊守

    ○澤邊政府委員 先般提出しております参考資料をもしお持ちでしたらごらんいただきますとおわかりいただけるかと思いますが、四ページにございますように、四十六年は、供給量を即需要量と見まして、在庫の増減ということもございますけれども、概観いたしまして、生産量と輸入量を合計いたしまして三十一万六千トン、それが四十七年には三十五万二千トンということで、三万六千トンばかりふえておるわけでございますが、四十八年は三十五万四千トン、四十九年は三十四万五千トンということで、先ほど申し上げましたように、四十七年以降はおおむね横ばいの水準で推移をしてきておる。この間、ここにありますように、輸入量は四十八年のピークが十二万七千トン入ったが、四十九年はそれが五万三千トンということで、輸入量は四十八年から四十九年にかけては半減以下の水準に抑えておりますけれども、国内生産は逆に四十八年の二十二万トンから四十九年の二十九万トンにふえたということで、輸入と生産を合計いたしますと、供給量というものは大体横ばいであった、こういうことでございます。
  54. 島田琢郎

    ○島田(琢)委員 局長がいまお示しになったとおりであります。この中では確かにそのとおりです。しかし、この四ページの四十八年度の生産量と輸入量とのバランスを私はちょっと分析をしてみたのですけれども、そこで、私はまずお尋ねをしたいのですけれども、そもそも四十五年、四十六年、四十七年と、二十六トンないし二十九万トン、約三十万トンで国内の生産が推移してきていたのに、四十八年になってなぜ二十二万トンに落ち込んだのか、この辺の数字の把握が正しくないと私は思うのです。牛はいたと思うのです。しかし、外国から安い牛肉が入ってくるに及んで、国内の価格を乱したから、国内で賄いができる数量は当然もっとあったにもかかわらず、それが出せなくなった。産地で滞貨をしたというのが二十二万トンに落ち込んだ大きな原因なんです。  正確に把握をしていただきたいのですが、私は現地を歩いてみても、牛の数はこの四、五年間において、四十八年度でこんなに下がるほど国内の頭数は枯渇していたとは思えないのです。現に、このときを境にして、売れなくて、牛はどんどん滞貨をする。もとの頭数というのはそんなに変わっていないのです。ただ、輸入等の操作の中で、国内で有利に売っていけなくなったから、実は牛舎にあふれちゃった。足りなかったから輸入したのではないのです。輸入したことによって国内の出回りの道をふさいだのです。それが四十八年の現象なんですよ。だから、この表で説明されればそのとおりなんですけれども、現地における実態把握が間違っていたと私は思っているのです。そこがまた前段で申し上げた牛肉産地の大暴落を招いた大きな原因になったんだ。だから、政治的責任は大きい。ここの反省なくして畜安法の改正を幾らやったって、今後同じ問題が起こってくる。これは重大な反省点として大臣はしっかり踏まえていただきたいと思うから、私はこの問題について少し突っ込んだお話しをしたのですが、いかがでしょうか。
  55. 安倍晋太郎

    ○安倍国務大臣 先ほどの飼料と価格の問題ですが、実は、私が言いましたのは、直接飼料と価格の問題ではなくて、畜産農家の経営が非常に逼迫したという原因の中には、やはり、飼料が高くなって、これが経営を圧迫したということがあるということを言ったわけでございます。  それから、いま御指摘になりました問題につきましては、雌牛等の屠殺を、価格がいいものですから農家において少し保留してきたというふうなことがあり、それがその主たる原因ではないかというふうに考えているわけでございますが、しかし、輸入等につきましてはいろいろと問題があることも事実でございますし、御指摘の点については私たちも十分考えなければならぬわけで、そういうふうなことから今回の畜安法の改正をお願いして、指定食肉に指定をして、そして価格の安定を図るということが今後において畜産の経営の安定につながっていくし、また、消費の安定を図っていくということになるのではないか、と、こういうことからお願いをいたしておるわけでございます。
  56. 島田琢郎

    ○島田(琢)委員 いや、大臣は少し飛躍しているのですよ。私はこの法案はだめだと言っているんじゃないのです。党としても、三十六年に対案を出して、牛肉を指定食肉にすべきだという主張を繰り返し今日までやってきた立場から言えば、これをお出しになったことについては、これは前進だと私は受けとめて評価をしているのです。わが党の畜産対策委員長からも、先ほど、この法案に対する構えとしてこれを評価するということを言われたが、これは私も同じであります。ただ、だから法案を出したということは――結果的にはそうなんですけれども、しかし、大事な点をきちっと問題点としてとらえておきませんと、これからこの政策をお進めになる上でまたぞろ同じ結果が生まれては困る。ここ当分の見通し、六十年を見通しました農林省の見通しの中でも、やはり、牛肉は約二割近い輸入をしなければ当面国内の需要を賄えないという見通しを立てておられる。その現実は私も否定しません。確かに、そういう状態がしばらくは続くであろう。これは早急にそういうものを改善してもらいたいという考え方はもちろんありますけれども、きょうはその議論はちょっとおきたいと思うのです。  そういうふうに、外国に何割かを頼らなければならぬという現実がある限り、輸入の適正なとり方というものは、国内における生産に対して及ぼす影響が非常に大きいということを考えますときに、この操作を誤ると大変だ。現に誤ったからこういう結果を招いているんではありませんか。その点は、先ほどから言われているように、総需要抑制の影響を受けて財布のひもがかたくなったのが大きな原因です、と言っても、それだけじゃ私どもはどうも納得できない。そこが明確にしたかった点なんであります。ところが、どうもすれ違いの考え方になっているようであります。しかし、これはしっかり反省していただきたい点であります。  これは推定ですけれども、現に四十九年で三十万トンの国内生産を見込んでいるではありませんか。それじゃ四十八年はなぜ二十二万トンまで生産が落ち込んだのか。ここをひとつ分析してみてほしいと思うのです。
  57. 澤邊守

    ○澤邊政府委員 御承知のように、四十七年の後半から四十八年にかけまして、価格は、卸価格で見まして非常に高騰をしたわけでございます。したがって輸入もふやしたということももちろんございます。しかし、輸入がふえたがために非常に価格が低迷をして、そのために出すのを見合わせたというよりは、私どもの見方といたしましては、やはり、価格は異常にというくらい相当大幅に上がったわけでございます。したがって、繁殖農家等は普通ならば雌牛を屠殺に回すのに、屠殺せずにもう一産子取りをやるというようなこと、あるいは肥育農家におきましても、先がもう少し高くなるんじゃないかということで若干出荷を見合わせるということ、そういうような傾向も一部にはあったと思います。そういう意味から言いますと、四十七年から四十八年にかけて国内生産が減ったということは、輸入量が多くて価格が悪くなったからというよりは、価格は非常によかったというふうに見られますので、必ずしもそうは言えないのじゃないかというふうにわれわれは見ておるわけでございます。  ただ、いずれにいたしましても、いま御指摘がございましたように、従来、牛肉価格の安定につきましては、輸入によって調整をすれば国内価格はかなりの程度安定できるのではないかという前提でやっておったわけでございます。したがって、輸入割り当て制度のもとにおきまして、しかも事業団が大半を取り扱うということによりまして、需給なり価格の動向を見ながら的確に輸入数量なり時期なりを調整していけば輸入量のシェアがかなりあるわけでございますから、国内の価格を全体として安定することができるのではないかという前提でやってきておったわけでございますけれども、御指摘のように四十七年ごろから非常に価格が上がり、また、その後四十八年の終わりから下がる。こういう非常に大きな変動のときには、そのような従来の考えなりあるいは制度では十分に対応できない。そこで、基本的には、輸入量の調整によって国内価格の安定を図っていくということは前提として必要だと思いますけれども、それを補う制度と、それとあわせて、輸入量の調整による価格の安定が十分目的を達しなくて暴騰や暴落をした場合に、事業団の売買操作によって価格の安定を図るという、いわば二段構えのような制度を従来の制度に加えるということによりまして一層国内の牛肉価格の安定が図られるのではないか、と、こういうような考えで今回の改正案を出しておるわけでございます。
  58. 島田琢郎

    ○島田(琢)委員 私の聞かないことまで御親切に言っていただいたのですけれども、それじゃ局長、もう一点私は聞きます。  国内の出回りが四十七年のあの大暴騰を――大暴騰という言葉をいまお使いになったから私も大暴騰と言うのですけれども、大暴騰ではないにしろ、とにかく値段がよかったことは事実です。そうしたらもっと国内に出回らなければいけないはずですね。ところが、この表で見ると、四十五年二十六万トン、四十六年二十七万トン、四十七年は本当は二十八万トンとくれば正常なわけですが、確かに一万トン多かった。そうしたら、いま局長のおっしゃるように、値段が高いんだから、大事な元牛まで、もう一産しぼるやつまでみんな売っちゃったという、頭数で常識的に判断できるような伸び方ではないのですよ。しかも、四十九年になって二十九万トンと回復したわけですね。だから、私の言いたいのは、国内で生産する牛が枯渇しちゃったんだという認識は違うのじゃないか。牛はあるのです。あるんだけれども、前年五万七千トンしか輸入していないのにいきなり十六万トンの輸入発券をし、四万トンたな上げしたとは言うものの、十三万トン近い輸入をやろうとした。そして、やった。これが心理的に大変大きな影響を産地に及ぼしたわけですよ。そこが輸入という問題が非常に大きな影響をもたらす引き金になるということを私は警告している。これは一番大事な点なんですよ。そこは認識が違うのですね。大暴騰したから輸入をして冷やそうとした。そういう考えはあったと思うのです。しかし、それは取り方いかんによっては今日のように大暴落を招くということを当時認識しておかなければならなかったのに、前年に比べて実質七万トンも多い輸入をやった。だから、国内で売ろうと思っても、今度は売れなくなったから大暴落になったんだ。なくなったから、高くてみんな売っちゃったから、元牛も何もいなくなっちゃったから国内の生産、出回りが少なくなったという認識は違うんだ。それが証拠に、四十九年度は持ち直して三十万トン近いものになっているじゃないですか。結果的には、無謀な輸入によって国内の生産者段階に大変な大きな影響を及ぼしたと見るのが至当ではないか。  こんなことにばかり時間をかけておられないのですけれども、この大事な認識を踏まえていただかないと、繰り返すようですけれども、再び今後こういう事態を招きかねない。だから、反省点として大臣もきちっと腹に据えておいていただきたいと言って私の方から問題を提起したのですけれども、認識の違いだということですれ違いになったのでは私も納得できない。
  59. 安倍晋太郎

    ○安倍国務大臣 これは、やはり、いままでのような輸入量の調整だけによって価格の安定を図っていくということはいまおっしゃるような事態にもつながっていくわけでございますから、そこで、今回指定食肉にいたしたわけでございます。  牛の価格が暴騰した、それに伴って輸入を増加した、こういうことがいまおっしゃるように心理的な影響があったということは考えられることだと思うわけでございますが、同時に、また、国内の経済の基調が高度経済成長から低成長へ移る前提として、石油ショック等もあって、消費が落ち込んでしまった、冷えてしまったということもかみ合った結果になったんじゃないか、こういうふうに思うわけです。いろいろの要因がそこにあったんじゃないか、その主たる要因は、消費の伸び悩みというか、これが主力、主因ではないだろうか、こういうふうに考えております。
  60. 島田琢郎

    ○島田(琢)委員 大臣、どうしてもそういうふうに言い張るのでしたら、二ページをごらんください。この飼養頭数の推移を見てまいりますと、一番上ですが、全国トータルで飼養頭数の三十五年から四十九年までのものが出ております。非常にノーマルに推移をしておるのですね。四十五年から見てみましょう。四十五年が百七十九万頭、次が四十六年の百七十六万頭、そして四十七年は少し落ち込んでいるけれども、これまた百七十五万頭、四十八年が百八十万頭、四十九年は百八十七万頭と、ものすごくノーマルに飼養頭数は推移をしておるのです。だから、出回らなかった原因というのは、無謀な輸入が引き金になっての産地に及ぼした心理的あるいは実質的な影響が大変大きかったのではないか。これらの統計数字によってそれは明らかではないか。だから、財布のひもがきつかったからこういう結果になったのだということは、それは一つの原因であることは私は否定はしておりません。確かにそれもあったと思います。しかし、現実にはやはり国内の生産の牛肉を大事にするという考え方がなかったということに帰するのではないか。そこを私は言いたいのです。上がったから輸入して冷やしてやれ、これじゃ産地に大きな影響をもたらすのはあたりまえ、常識の、いわゆるイロハのイの字なんですね。そこの操作を誤ったためにこんな大きな迷惑を産地にかけたんだと私は断ぜざるを得ないのです。  それを言うと、だから今度法案を出したのだと、これは何回もおっしゃるようですが、それは否定しないのだ。ですけれども、大臣、そこはやはり反省点として、政策上のミスでございましたと明確に言わないと、牛肉を生産している農家にしてみれば、首をくくって死んでいる人が現に本当にいるのですからね。私は、いっか畜産局長にこの質問をしたときに資料を差し上げてあります。政府の奨励によって団地をつくって、一生懸命牛肉を生産するために組織までつくってやった根室の肉牛生産組合の肉勘定の一覧表を差し上げたことがあるはずですが、現に、ことし、五十年の三月三十一日現在の見込みでは、大きい農家では二千三百八十二万円の赤字を出すという見込みが立てられている。二十四戸のトータルでも、全体で四千七百七十一万円の赤字が出る。生きるか死ぬかの瀬戸際です。いや、首をくくって死ななければならぬと訴えておるのであります。  私は昨年の農水でもこの問題を提起して局長の見解を承ったことがあるのですが、そのためにいろいろな施策をおやりになった。そのことは決して否定はいたしませんし、おやりいただいたことに対しての評価は持っております。しかし、こういう苦しい実態にあって、一生懸命飼え飼えと奨励されて、飼ってみたら二千万も三千万も赤字を出すような状態にあって、これで農家が悪いんだ、農家の経営のやり方が悪いんだときめつけられたら、それは首をくくって死なざるを得ません。だから、やはり、政府の責任は責任として明確にしてもらわないと困るわけで、この一年半にわたる産地の大変な困難も、私どもはこの国内の景気に左右されておりましたので、原因はそこにあるんだから、私どもに責任はございませんと言うなら、一体だれに頼って牛肉生産を一生懸命やればいいのか、たまったものではないではありませんか。そこを反省点として明確にすべきだと私は思ったのですが、恐らくこれはすれ違いの論議になるでしょうから前へ進みますけれども、そういう姿勢なら、単に法律をつくっただけで牛肉政策は大丈夫だなんて幾ら大臣が胸を張ってくださったって、安心してやっていけません。現に、農民は、農林省のちょうど反対をやっておれば生きていけるけれども、言うとおりやったら死んでしまう。まさに、これがその証拠としてこういう事実になってあらわれているわけです。  そこで、そのために法案をつくったという、この法案の中身に入ってまいりたいと思うのでありますけれども、先ほど角屋委員からかなり細かに法案の問題点を指摘されましたので、繰り返しになります部分は避けて、第一点として、乳廃牛をなぜ入れようとしないのかという点をお尋ねしたいと思うのですけれども、第一、シェアとしては、乳廃の占める全国シェアはどれくらいになっているのですか。
  61. 澤邊守

    ○澤邊政府委員 大体三〇%近くなっておりますが、昨年は三四%でございました。
  62. 島田琢郎

    ○島田(琢)委員 その乳廃の主たる発生地区はどこですか。
  63. 澤邊守

    ○澤邊政府委員 酪農地帯が主でございますので、北海道あるいは東北等、あるいは搾乳牛頭数の多いところにやはり乳廃牛の出荷が多いという傾向は当然見られると思います。
  64. 島田琢郎

    ○島田(琢)委員 それぐらいのことなら私もわかっておるのです。そうではなくて、もう少し細かに言うと、たとえば私のところで、年限が来てしぼるのをやめた牛は、そのうちの大体半分ぐらいは、俗称一腹しぼりと称して内地に移動しているのですよ。私の農場で直ちに肉になっている部分というものは半分しかないのです。あとは種つけをして、妊娠させて内地送りをするのです。府県のこういう近辺で一腹しぼりで一年だけしぼり、終わったら肉をかけて売っていくのです。これは乳廃のはずなんですよ。そうじゃないんですか。  そういう点を全国で分析するとどの辺に集中しているのか。北海道の多いことはわかりますが、あとはどういうふうに分布しているのか、把握されておられたら説明を願いたいのです。
  65. 澤邊守

    ○澤邊政府委員 乳廃の県別の頭数は、現在資料を持ち合わせておりませんので、後ほどまた資料をもってお答えしたいと思います。
  66. 島田琢郎

    ○島田(琢)委員 全体の三分の一を占める、あるいは年によっては三分の一強を占めると言われる乳廃について、先ほどの局長の説明の中で私はちょっと納得ができなかったのですけれども、もともと乳をしぼるための乳牛でありますから、そこで一応の役割りが終わるということは、確かにこれはおっしゃるまでもないのです。ただ、肉資源として見直されてきて以来、この乳廃牛というものは大変貴重なものとなっておるわけですね。それがまたわれわれの酪農経営の中においても大変大きなウエートを最近は占めるに至っているわけです。  昔語りみたいなことを申し上げては恐縮ですけれども、私が三十年前に牛飼いを始めたころは、産まれた牡牛、北海道語で言えばこれはオンタと言うのですけれども、この牡牛のぬれ子は、正直言うてだれも買ってくれませんでした。自分のところで産まれた牛ですから、こつんとやるのはとても忍びない。しかし、だれかに殺してもらって、それも食うというところにいきませんから、裏山に穴を掘って、墓石を建てて供養した。こういう歴史をずっと持っているわけです。ましてや乳廃に至っては、わが家の大黒柱だということで死ぬまで飼ってきた。肉にしたって、それはそんなに高く売れるものでもありませんし、また、当時は、なかなかそんなに売れるような状況になかった。そういう歴史の中でずっと肉資源というものがむだになってきたということを反省して、そして今日は肉資源としての活用が大変なされるようになった。  そういうふうな歴史的なものが一つあるのですけれども、依然として認識の中では乳廃は乳廃というふうな感覚に一般的にはどうも陥りやすい。だから、乳廃の肉は市場に出ても、これは並み以下であるといったような扱いにしかなっておらぬ。ところが、一腹しぼりをやって後に濃厚飼料をかけて、いわゆるパドック飼いをやりますと、肉が、牛によっては満肉かかる。この肉はすばらしいのですよ。これはもう局長もよく御存じのはずなんです。肉にしてみたら、それは神戸牛、松阪牛とまではならぬにしても、部位によっては大変高価な部分に入る肉としてこれが売られていることも事実なんです。  そうすると、それでなくても、全体の消費シェア三〇%を超えているという実態を考えると、この乳廃の問題については、今回の指定食肉の中にきちっと位置づけしなければならないはずのものだし、また、将来の牛肉を考えていった場合に、これを野放しにしておくということは、せっかくつくった法案もざる法になりかねない。しり抜けになる心配がある。何となれば、その点はいわゆる法律の範囲にないわけですから、自由に売られていくわけです。先般この質問をしたときに、いや、雄子牛と乳雄と和牛だけやっておけば、それにつられて値段はある程度支えられるのだというお話しがありましたけれども、私はそうはならぬだろうと思うのです。その部分が非常に自由に売り買いされますし、そこにもつてきて、博労、家畜商の皆さんは、今度はそこへささっていくわけです。和牛や乳雄のような価格で現地で買うことになるかというと、私はむしろ逆になっていくだろうと思うのです。いわゆる買いたたきの材料になるだろうと思うのです。これは必ずそうなりますから、その辺を考えますと、今回乳廃を落としていくということは片手落ちということになるだろうと思う。  さっきの議論のむし返しですけれども、再度局長のお考えを聞かせてください。
  67. 澤邊守

    ○澤邊政府委員 乳廃牛の出荷頭数のお尋ねがございまして、先ほど資料の手持ちがないと言いましたが、調べましたら、四十九年の一月から十二月までの出荷頭数のデータがございますので、お答えしたいと思います。  四十九年の一月から十二月まで、年計で、ラウンドで申しまして三十五万五千頭、そのうち主要な県といたしましては、北海道が四万頭、群馬が二万五千頭、栃木が一万二千頭、それから埼玉、千葉が一万三千頭台、西の方へ参りますと、愛知が二万一千頭、岐阜が一万四千頭ということで、それらの県が一万頭を超える出荷になっております。  次に、お尋ねの乳廃牛を指定食肉の対象に加えるべきだという御意見でございますが、これはけさほど角屋先生の御質問にもございましてお答えしたところでございますが、われわれは最終的にはまだ決めておりませんで、畜産振興審議会の意見も十分伺って決めたいと思っておりますけれども、現在検討中の過程の議論といたしましては、乳廃牛というのは、それ自身を目的として生産をするというよりは、通常の場合は、いろいろ形はございますから違いのある場合ももちろんございますけれども、御指摘のように、一腹しぼりをして後にかなり肥育をして出すというものもござい  ますけれども、一般的に言いますと、搾乳牛をほとんど飼育せずして出すという場合がかなり多いというふうに見ておりますので、いわば副産物的なものであり、それ自身の再生産を目的とするというものとはやや性格が違うのではないかという点を考え、また、そのようなものとして再生産を確保するというのは、むしろ酪農経営全体としての再生産を確保するという対策をもって対応してしかるべきではないか。そうしますと、酪農につきましては、加工原料乳について現在不足払い制度を運用しておるわけでございますが、例年、加工原料乳の保証価格の算定に当たりましては、乳牛の償却費ということで、いわゆる乳廃牛は残存価格として適正に評価して織り込む。これが昨年度からは評価の仕方をかなり改善して織り込むことにいたしておりますので、その中で酪農全体としての再生産を確保する。副産物収入である乳廃牛も含めて、そのような観点から牛乳の価格を決めておるということでありますれば、その上にさらに乳廃牛の牛肉としての価格について改善の対象にしなくても再生産が確保できるのではないか、こういう観点もあり得るということも検討しておるわけでございます。  なお、確かに一〇〇%パラレルに価格が動くかどうかというと、乳牛の雄なりあるいは「去勢の中」なりの規格のものと同じように価格が動くということはなかなかむずかしいかもしれませんけれども、これまでの価格の推移を見ておりますと、乳廃牛の牛肉といいますのは、他の指標的な牛肉の価格におおむね連動しながら価格が動いておるという点から見ますれば、指標的な牛肉について買い入れ対象にしてまいれば、乳廃牛も間接的に支持効果が期待できるのではないか。こういう点を考えて、現段階では事務的には否定的な考えを持っておりますけれども、まだ各種の意見があると思いますので、十分御意見を伺って最終的には決めたいというふうに思っております。
  68. 島田琢郎

    ○島田(琢)委員 乳廃牛と言われる牛の分布状態というのは、確かに北海道が一割を占めているから、これは大きいですね。しかし、全国的にいまずっと御説明のあったようにいるのですね。北海道の場合は、全国の乳牛の飼養頭数の大体二割以上を超えている。廃用牛は一割しかいない。つまり、私がさっき言った半分はいわゆる一腹しぼりと称して、内地府県で乳をしぼられた後に肉にして売られている。こういうふうに考えますと、私が立って言っていると、おまえは北海道だから乳廃牛をやたら強調するのではないかという認識にあるいはなるかもしれませんが、これはそうじゃないのです。だから、これは全国的な問題だから入れるべきだというのが一つの主張です。  それから、もう一つは、先ほどお話しがあったのですが、いわゆる加工原料乳の乳価の中で、乳牛償却費あるいは残存価格の見方の中でこれが取り上げられているとおっしゃいますが、それなら乳雄子牛だって同じじゃありませんか。片や産まれたばかりの牛ということになりますけれども、これは病気で死なない限りは、用がなくなって後に肉になるという重要な目的を持っていることは明らかです。ただ私が心配するのは、加工原料乳価格の中で見ると言ったって、いままでの実際決められてきた乳価の中で、私どもが考えているような償却費になったり、あるいはこの乳牛の置かれている立場というものを乳価の中で明確に示されるということがいままでないのですよ。そのことは加工原料乳の問題だから、あるとかないとかここで言うのは筋違いかもしれません。しかし、問題は、全体の三割を占めると言われるような大変大きなシェアを持っている肉資源である。ここを法律が網をかけないでおいたらどういうことになるかというのは、連動して価格が上下するというようにいままではなっていたから、これから先もそうなんだということになっても、私はそうはならぬだろうと思うのです。今度は買い上げの対象にもなるのだし、価格を決める種類の中にきちっと雄子牛は入るわけですから、こっちの部分は確かに救われていきますけれども、それだけに現地における家畜商なんかが買うときのいわゆるシェアは縮まりますね。乳廃牛の方になるわけです。そうすると、現地における売買の中でこの部分に対して強い締めつけを行ってこないとなかなか商売は成り立たないというやつが当然出てくるのです。ですから、連動して価格が作用していくという見方をすることは必ずしも適当ではないと私は思うのです。  そういうことと、もう一つは、酪農経営の中に占める乳廃牛の問題というものは大変大きな経営上のシェアを占めています。これが安いか高いかによって、その年の経営に大きな影響をもたらすのですね。それから、適正に牛が更新されていくということの道をこの際やはり開く必要がある。必要以上に乳しぼりをやめて、肉の方が高いから肉の方に売ってしまうというような現象が出ればまた別ですが、そうはならない。この際、乳廃牛というものが酪農経営に及ぼす影響も大きいのだから、そこには法律的にきちっとした位置づけをするべきであって、そこをらち外に置いておくと  いうことはきわめて不親切なやり方だ。だから、単に肉牛経営だけを考えるのではなくて、日本の酪農を含めた畜産経営全体を考えながら、国内にあらゆる肉資源は政府がきちっと管理をするという考え方に立つべきではないですか。  畜産局長のおっしゃっている、乳廃牛を除いたという説明は非常に根拠不足であって、単に連動するからほっておいてもいいのだという考え方ではいけないものがあるのではないかと考えるから私は重ねて申し上げているわけですが、第一、三十六年に畜安法ができたときに、本来指定食肉の中に牛肉を入れるべきだった。そうやっておけば日本の牛肉というものがもっと早く消費の間にも定着をしながら、そして経営の安定もできたと私は思っているくらいですから、そういう意味では、おくればせながら今度せっかくこの法案をつくったという意味から言えば、この際また入れるのじゃなくて、やはり乳廃も入れて法的措置をとられることが、将来に対して、完全に乳廃も含めた肉用資源の把握を政府自体がやるという点から言っても大事なことなんで、私は全部包括して日本の新しい牛肉政策を確立すべきだと思うから、これは積み残さないで、ぜひ完全に積んで走り出してもらいたい。重ねて要求をいたします。
  69. 安倍晋太郎

    ○安倍国務大臣 いまの島田さんの御意見はよくわかるわけでございまして、御意見も聞きながら、畜産審議会で十分検討していただきまして結論を出していただきたいと思うわけでありますが、いまも畜産局長が述べましたように、現在、農林省としては、乳廃牛肉は酪農の副産物だという見地に立っておるわけでありますし、したがって、乳廃牛につきましては酪農経営の一環として考えられるべきであるし、乳価の中にもこういう考え方のもとに算定をされておるというふうな考え方を持っておるわけであります。しかし、畜産審議会において十分意見を尽くしていただきまして、その結果決めたいと思うわけでございます。
  70. 島田琢郎

    ○島田(琢)委員 審議会にかけてから法案を直すなんて、そんなことにならぬでしょう。ここで有さなくちゃ、審議会にかけて意見があれば直すというのは、それはおかしいじゃないですか。
  71. 澤邊守

    ○澤邊政府委員 現在提出しております改正法案におきましては、法律の条文に直ちに指定牛肉の具体的な種類、規格までは書くつもりはございませんので、農林省令で決める。これは豚肉の場合もそのような扱いをしております。省令をもって決めるわけでございますので、畜産審議会の意見も聞いた上で省令を決めていくという手順で考えていって差し支えないものと思っております。
  72. 島田琢郎

    ○島田(琢)委員 十分検討するということのようでありますから、かなり前向きな姿勢と受けとめていいですね。隠れみのじゃないでしょうね。――いいですね。そういう姿勢を示されたんだということで、私は一つの評価をして、前に進みたいと思います。  次に、価格の問題であります。法律によりますと、先ほども角屋委員からお話しがされておりますから繰り返す必要はございませんけれども、価格の決定に当たって、その根拠になる考え方というものは、生産費を償い、所得を補償するという方式を確実に採用するということが必要である。そうでありませんと、大臣の考え一つで決められるというようなことではたまったものじゃありません。ですから、明確に説明のできる価格の決定をすべきだという立場に立って、私は重ねて生所方式を採用すべきだという主張をいたします。ただ生所方式をとる場合に、そのとり方がなかなか問題だ。ここが一つ議論の分かれるところでありますから、その点を明確にいたしませんと、なかなか生所方式だけを主張するということにもならぬと思うのです。  それでは一つお尋ねいたしますけれども、雄子牛に限定して考えてみた場合に、元来牛肉の主たる計算の根拠になるものは何と何と何をとろうとお考えになるか。これは政府側は生所方式とは言っていませんから、政府側の考えている価格算定の根拠になるものはどういうふうなものになっているのか、その点をまずお尋ねいたします。
  73. 澤邊守

    ○澤邊政府委員 価格の算定方式は一番議論の出るところかと思いますが、和牛の去勢牛肉につきましても、あるいは乳牛の去勢牛肉につきましても、生産費調査が従来十分行われておりませんので、データの制約が豚肉なりあるいは乳価の場合に比べまして相当大きいわけでございます。したがいまして、生産費を何らかの方法で算定の一つの要素にするということは当然必要になってくると思いますけれども、そのように生産費調査の結果が十分活用できないという大きな制約がございますので、われわれといたしましては、資料の整備をまって長期的な算定方式を漸次固めていくというようなことを考えざるを得ないのではないかというように思っておるわけでございます。  ただ、そうは言いましても、この事業団によります買い入れ、売り渡し等、需給操作によって市場価格を一定の幅の中におさめていくという、こういう制度の性格から来る算定方式についての、おのずから出てくる方式というものもあり得ると思うわけであります。と申しますのは、この制度はあくまでも自由な市場機構、市場価格の形成ということを前提といたしまして、価格が著しく下がった場合に事業団が買い入れを行うことによって市価がそれ以上に下がることを支える、それから、価格が異常に高騰した場合に、輸入肉なりあるいは国内の買い入れ保管中の牛肉を事業団が売り渡すことによりまして、それ以上価格が高騰しないように抑える、こういうような介入をやることによりまして市場価格が一定の福の中におさまるようにするという制度でございます。したがいまして、米のような場合のように、自由な市場流通というものを否定して、といいますか、それを前提としない価格の算定とは違うわけでございます。原則としてそういうものを前提としない価格の場合とはおのずから算定方式が異なってしかるべきではないかというように考えるわけであります。そうなりますと、市場の実勢価格というものと著しく乖離した安定価格を決めるということはこの制度になじまないというように考えざるを得ないわけであります。     〔委員長退席、渡辺(美)委員長代理着席〕  また別の観点からいたしますと、肉用牛の肥育経営は、わが国におきましては、最近になって非常に進んでまいったといいますか、最近になって本格的な肥育経営が緒についたというような発展段階でございますので、今後相当合理化をするといいますか、生産性の向上を図るという、規模を拡大したり、あるいは技術を改善したりすることによりまして合理化、改善をすべき余地がかなり多く残されているという発展段階にあるわけでございますので、その辺も、あまり高い価格を設定するということは合理化の芽を摘むというような心配もなくはないわけでございます。  さらに、この制度は、再生産の確保を旨として価格を設定して、それによりましてわが国の肉牛生産の振興を図るということが大きな目的でございますけれども、同時に、消費者の消費の安定という点も当然に配慮の重要な事項になるわけでございますので、そういう点からいたしますと、市場価格から余り乖離した著しい価格を決めるというのは問題ではないか。そういう点からいたしますと、われわれの現段階といたしましては、生産費所得補償方式という、米でやっておりますような方式はにわかにとり得ないというように考えております。
  74. 島田琢郎

    ○島田(琢)委員 そうすると、いろいろおっしゃったけれども、しかし、結果的にはそこから逆算した生産者価格ということで決めるのだということ、詰めて言えばそういうことですね。
  75. 澤邊守

    ○澤邊政府委員 需給実勢価格とか需給均衡価格というものを中心にしながら生産費の最近の動向あるいは需給動向とかいうものを考慮して、総合的に判断した上できめるということになろうかと思います。
  76. 島田琢郎

    ○島田(琢)委員 いまのおっしゃり方とこの法律の考え方から言えば、安定価格というものが、非常に大きな、いわゆる生産者価格の持つ根拠になるわけですね。それを決めていく場合の大きな根拠になる。  そこで、これはいろいろ議論をしますと、ここに書いてあるような、三条第四項に基づき、牛肉及び肉用牛について、経済事情や需給事情や、そのほか再生産を確保することを旨として、それらを考慮して決めるというのは、これはまことに抜け穴の多い言い方であって、いかようにもとれるわけですね。これではやはりだめだから、将来を展望した場合に、先ほどもお話しがあったように、昭和六十年には約倍近い一八六%増の三百三十万頭を肉用牛として見込み、この生産体制を確立して、そして諸条件を整備して、できるだけコストを抑えて消費者に供給しなければならぬという、その大事な使命について私どもは否定するものではないが、生産がぐらぐらしておって安定しないということは、直ちにこれは消費者価格にもはね返る。あるいは消費に対する供給も安定しないということになるのだから、どれが先だと言われれば、順序としては、やはり生産をきちっと安定的に確立させること、そしてここからできるだけ安く供給していくという道開きをすることが必要だと私は思うのです。その辺が、いままで牛肉政策ゼロと言われた中で、手をつけていない。ようやく牛肉が見直されるに及んで、産地に対する、あるいは生産者に対するいろいろな手だてを少しいまやってきた。しかし、それだってまだまだ緒についていないばかりか、この大打撃の後、立ち直るのが大変です。まず、この立ち直りを図って、そして安定的に供給できるような体制づくりを産地がつくっていくこと、そこに第一の眼目を置いてこの法律を当面は運用していく。だから、消費者価格を無視するなんてことは私どもは一つも考えていないし、言ってもおりませんが、そこが安定しないことにはいつまでも小売価格が不安定で、消費者にはそっぽを向かれるという結果になるんじゃないか。その辺は、通産省じゃないんだし、経済企画庁じゃないんだから、農林省はどっちの立場に立つんだといって詰められれば、やはり、生産者の立場に立って、生産を安定するということが国民に安定的供給をするということにつながるんだという姿勢がきちっと出されてこないといかぬのではないかと私は思うのです。そうでなかったら、私は経済企画庁を呼んでその話をした方がいいんです。順序としては、確かに「再生産を確保することを旨とし、」が先に言葉として出てきているけれども、ただし、消費者価格を十分考えなければならぬ、それはもうおっしゃるまでもないことで、私もそのとおりだと思っておるのです。しかし、現在の現地における実情を考えれば、これはいま立て直しの方が先なんです。だから、ことしの、五十年に初めてすべり出す牛肉価格決定に当たってのいわゆる関心度が高いし、また、ここで誤ったすべり出しをすれば日本の牛肉政策は確立できないと私は思うのです。  重ねてお尋ねいたしますが、大臣、これはいかがですか。
  77. 安倍晋太郎

    ○安倍国務大臣 確かに、いまお話しがありましたように、今回の安定価格を決めることは、今後の畜産経営に当たりましても非常に重要な意味を持つと思うわけでございます。今回の安定価格を決めるに当たりましては、生産、流通の事情を考慮するとともに、先ほどから御指摘のございましたように、再生産を確保するという立場に立って決めなければならぬわけで、この点につきましても、畜産振興審議会におきましても十分御意見をわれわれとしても聞かせていただきまして決定をしたい、こういうふうに考えておるわけでございます。     〔渡辺(美)委員長代理退席、委員長着席〕  しかし、先ほど局長が説明をいたしましたように、現在、まだ、肉用牛の肥育過程が合理化、規模拡大の過程にあるわけでございますし、市場の価格にも変動が激しいし、あるいは安定価格も、算定するに当たり使用すべき資料が、生産費等は先ほど出ましたが、まだ未整理の点もあるわけでございますので、今後長期にわたって肉用牛経営の動向を大きく左右する安定価格の算定方式を、現在の時点において固定的に決めるということについては問題が多いわけでございます。したがって、本年度におきまして、もちろん慎重に再生産を確保する立場で価格を決めていきますが、今後資料の整備を待って順次検討を加え、改善すべきところは適正な改善を行って安定価格を改めていく必要がある、こういうふうに考えるわけでござ  います。
  78. 島田琢郎

    ○島田(琢)委員 確かに、おっしゃっている点について私はわからないわけじゃありません。それはわからないわけじゃないのですけれども、しかし、さすれば、この安定価格を決めるに当たってて、法第三条の第二項によって、中央卸売市場、つまり東京、大阪の二大市場が一つの価格の発生場所だというふうにいま政令でなっているわけであります。  それらと関連して、その他の市場や産地からの買い入れ価格というものも当然あるわけです。それは買い入れの都度市場間格差の調整を行うということになるのだろうが、そういう場合に、具体的にはどことどこの産地の市場を考えておられるのですか。現在どういう産地問の格差があるのですか。それはどういうふうに調整されようとお考えですか。
  79. 澤邊守

    ○澤邊政府委員 安定価格の設定をいたしますのは、われわれの現在の考えといたしましては、豚肉の場合と同じように、全国の代表的な市場であり、そこで形成されます価格が全国のそれぞれの各地のそれぞれの流通段階の価格形成の指標になるようなものといたしまして、東京芝浦の中央卸売市場食肉市場、それから大阪の食肉の中央卸売市場、ここにおける価格を安定価格として決めたいというように考えております。  東京と大阪の間にも、これまでの実績を見ますと価格に格差がございます。たとえて申し上げますと、四十九年の例で見ますと、和牛の規格「中」のものを例として申し上げますと、東京の価格は、四十九年の推定暫定値でございますが、平均一千百四十六円、それが大阪の場合は一千百十六円、この間に三十円の格差があるわけでございます。これは種々の要因があると思いますが、肉質も、関東と関西では嗜好も違うこともございまして、「中」と申しましても完全に同じではないということもございまして、その程度の格差が四十九年度において発生しておるわけでございます。その他の要因ももちろんございますが、四十八年で見ますとそれが六十四円、その前の年は六十三円という程度の格差が見られるわけであります。東京と横浜で見ますと、その格差が四十九年においては十三円横浜の方が低いとか、四十八年においては二十円低いとかいうような格差が見られます。  これは通常の場合におきます市場の流通の実態がこのような価格形成を行っておるわけでございますので、事業団が買い支えに入る場合に基準になる安定基準価格というものを決める場合に、そのような流通の実態と違うような価格の決め方をするのがいいかどうか。規格は同じように「中」でございますから同じでいいじゃないかという議論と、市場の実態が種々の要因があるとは思うけれども、それだけの格差が平均的に出ているとすれば、それは一応適正な格差と見て安定基準価格に差を設けてしかるべきではないかという議論と、こういう両論があるわけでございまして、われわれどいたしましても、実は、現段階ではこれは決めかねておりまして、この辺も審議会で十分議論を尽くしていただいた上で決めたい、一本にするかあるいは二本にするかを決めたいと思っております。  それから、地方市場も、いまの中央二市場との関係で格差が見られますけれども、これは産地からの輸送距離が違いますから、運賃格差があるというようなことが主要な原因だと思います。  さらに、産地で買い上げをいたします場合には、地方市場以外の食肉センターなり屠場で買い上げをする場合もあり得るわけですが、そういう場合にはさらに運賃の格差が広がる場合もあり得るわけですが、市場間の格差、中央市場と地方市場の間の格差、あるいは産地買い入れと市場買い入れとの買い入れ価格の格差というものは主として運賃差による格差でございますので、農家手取りは同じにするというような考えで適正な価格をきめるべきではないかというように考えております。  それから、買い上げの場所について、産地買い上げはどこでやるのかという御質問でございますが、これは、現在規格取引が行なわれ、格付員が配置されておるという市場が四十一ヵ所ございます。したがいまして、それらの市場なりあるいは食肉センターを中心にして買い上げをする。必要な場合には臨時格付員を必要な場所に派遣して買い上げるという場合もあり得ると思いますが、いずれにいたしましても、産地買い上げをいたします場合は、生産者団体の販売計画あるいは調整保管計画に基づいて、販売するものあるいは調整保管したものを販売する場合ということになりますので、そのような共同出荷がかなり行われるというような場所においてやる必要はあろうかというふうに考えております。
  80. 島田琢郎

    ○島田(琢)委員 安定価格帯を設ける場合の豚肉は、中心価格というのですか、標準価格というのですか、それから上一〇%、下一〇%ですね。牛乳なんかも同じように安定帯というものをつくっているわけですね。牛肉もやはりそういう考え方を政府の案としてはお持ちなんですか。そうすると、その場合には、いま言ったように、本当に一〇%になるのか、あるいはもっと差を縮めるのか、広げるのか、その辺はどう考えているのでしょうか。
  81. 澤邊守

    ○澤邊政府委員 豚肉の場合は、法律に基づいて決めるわけでございませんが、一応中心価格というものをまず決めまして、それから変動率をもって上下に開いて、現在は上下一〇%の幅で安定価格帯を決めておるわけでございますが、牛肉の場合におきましても、年間平均的に実現すべき、言葉をかえて申し上げれば、収敵すべき目標価格として、中心価格というものを、実勢なりあるいは生産費なりをいろいろ織り込みまして決めまして、それから上下に一定の変動率をもって開くこ  とによって上位価格と基準価格を決めるという、豚肉の場合と同じようなやり方をしたいと思いますが、その幅は、豚肉の変動よりは牛肉の場合は変動幅が、これまでの価格の推移を見ましても大きくなっておりますので、豚肉の一〇%よりはもう少し大きくする必要があるのではないかというように考えられますが、これもまだ検討中でございます。
  82. 島田琢郎

    ○島田(琢)委員 つまり、下限価格というのは基準価格で、その上限価格との幅、ここが一つ問題になりますけれども、その場合、生産費調査の結果によって出てきた生産者価格をどのように取り入れようというお考えですか。
  83. 澤邊守

    ○澤邊政府委員 これは、算定方式につきましては、先ほどからお答えいたしておりますようにまだ検討中でございますので、ここでどういうふうに織り込むかということは明確に申しかねるわけでございますが、たとえば豚肉の場合で申し上げれば、過去の直近の五カ年間をとりまして、その実現いたします平均価格に五カ年間という基準年次と最直近の生産費の値上がり率を掛けまして、それに需給調整係数を掛けるとか、その他の若干の操作はございますけれども、そういう方法で生産費を算定の一つの要素にいたしております。そのような方法も検討すべきではないかと思っておりますが、それに決めておるわけではもちろんございません。
  84. 島田琢郎

    ○島田(琢)委員 その場合、生所方式でそこできちっと決めることにどういう不都合があるとお考えですか。
  85. 澤邊守

    ○澤邊政府委員 生産費所得補償方式につきましては、われわれの現在の検討段階でいろいろ問題があるということを先ほど申し上げましたが、たとえば市場の需給実勢価格というものから著しく高いところで安定基準価格というものを決めますと、これは事業団はどんどん買う一方である、倉庫に無限にたまるということになるのではないか。実際に市場価格がその基準価格より上回ることはないというような高い水準に決めますと、買うばかりであって一回も放出する機会がないというようなことにも、極端な場合ですけれども、なりかねないわけでございます。そういうことになりますれば、この制度は破綻を来して成り立たない、この制度ではだめだ、別の制度を考えろ、と、こういう議論にならざるを得ないと思います。  そういう意味で、先ほど来申し上げておりますように、事業団による売買操作による価格安定――その前提といたしまして、自由な流通市場価格の形成ということを前提にしまして、極端な場合に買い入れをしあるいは売り渡しをすることによって価格安定を図るという事業団方式、指定食肉方式というものの性格といいますか、機能から来る限界というものがあるというふうに考えるわけであります。
  86. 島田琢郎

    ○島田(琢)委員 生産費所得補償方式が絶対高いんだという認識の上に立ってお考えになっているから、そうなるんでしょう。そういうデータがあるのですか。それじゃ、一体、末端小売価格は現在でどれぐらいなら国民生活を圧迫しない適正な価格だとお考えですか。
  87. 澤邊守

    ○澤邊政府委員 生産費所得補償方式によります算定が幾らになるかということは、けさほども統計情報部長からもお答えしましたように、現在正確なデータがございませんので、それをストレートに使って算定するということは非常に困難かと思います。特に、乳牛の雄につきましては、いままで公表した生産費調査はございませんし、サンプルも非常に少ないので、いま直ちにそれによって計算するということは非常にむずかしいわけでございますが、一般的に推定をいたしまして、仮に生産費所得補償方式でやる場合には、恐らく現在の需給実勢よりは高いところになるのではないかというふうに考えておるわけでございます。  なお、消費者価格は幾らが適正かという点は、これはそのときどきの経済事情なり消費支出の動向なり等を勘案しなければいけませんし、なお、卸売価格との関係ももちろん考えて、どの水準が適正であるかということを考える必要があると思いますし、さらに、この問題を考えます場合には、わが国の牛肉の供給を海外からの輸入にどの程度依存するか、あるいは国内でどの程度自給を確保していくかという問題にも恐らくつながると思うわけでございますので、現段階におきましては、国内価格と国際価格との間にはかなりの格差があるわけでございますので、当面安い消費者価格をもって牛肉を供給すべきだという議論の立場に立つならば、輸入量をうんとふやして、国内の消費者価格は大いに引き下げるべきだという議論にもなるわけでございます。  われわれといたしましては、長期的な国際的な需給の見通しからしますと、現在の一時的な過剰状態というものはいずれかなりの不足状態になるだろう、それに備えるためには国内生産というものをできるだけ拡大していく必要があるだろう、と、こういう前提に立ちますれば、国際価格よりはわが国の消費者価格はもう少し高いところに消費者もがまんせざるを得ないという面が当然言えるのではないかというふうに考えております。
  88. 島田琢郎

    ○島田(琢)委員 牛乳では、最近の取り方としては、ほぼ生産費所得補償方式を採用するというたてまえに立っておるわけですね。なるほど、いまの安定帯の範囲で抑えていくという場合に、事業団が買い入れはかりふえて売ることができないというふうな状態になる。しかし、それは一応の想定でしょう。局長の頭にある一つの想定にすぎないわけですね。運用の中で必ずそうなるとは限らぬと思うのですよ。ただ、それを裏づける生産費調査のデータがない。こういう不備なところからいま始めていくわけですから、私の言っていることがなかなかよく理解できないかもしれませんけれども、一つの軌道に乗った段階では、むしろ生所方式を採用されていくということの方がより安定的に生産ができるし、そして、また、コストを低めて一般消費者に供給できる。それができないというのは、問題の中にある大事な点を整理しようとされないからなんです。  これは何も牛肉に限ったことではなくて、農畜産物の価格全体について言えると私は思うのです。それがないと、幾ら法律をつくっても生産地は再生産ができなくて、むしろ肉牛農家が減っていってしまうということにつながっていく。そうなれば安定的供給なんかできない。はっきりそうなってくると思う。その議論は、いまデータがない中でやるものだからすれ違いになっちゃうのですがね。ですから、データをどういうふうにつかまえて五十年度滑り出しをし、対処するかということもいま一つの大事な点だろうと思うのですが、それは、われわれの主張は、あくまでも生産費所得補償方式を直ちに採用すべきである、そういう方向で法律は検討すべきであるという主張をするにとどめておかなければなりません。時間の関係で次に進みます。  先ほど角屋委員からお話しのあった点のまた繰り返しで恐縮でありますけれども、前段の冒頭に私が申し上げた輸入操作ということが非常に大事である。これを誤ると大変なことになる。もうすでに体験としてこれは明らかなとおりであります。したがって、このやみくもな――やみくもという言い方が少し厳しいとすれば、輸入の適正さを欠いたこういうやり方を今回法律でやはりきちっと直しておくべきだ。これは何も私だけの主張ではありません。農業団体もそういう主張をやっているわけです。この際、民間貿易と称するシェアはだんだん縮まっているということは統計上示されているようでありますけれども、しかし、それが一割にしろ、五%にしろ、そういう部分をそのままに残しておくということは、法を運用していく場合に大変不都合を生ずるのではないか。民間貿易の部分でもって市場が撹乱されてくるというようなことが起こるのではないか。せっかく法律をつくったのですから、政府はこれを一元的に掌握をするという立場に立つのが法を適正に運用していく場合に正しいやり方だ。こういう主張をもう一度角屋委員とともに私は主張する一人なんです。  大臣は奥歯に物のはさまったような言い方で、どうもいま一つすっきりと気構えのほどをお示しにならなかったのですけれども、しかし、腹の底ではやはり私どもの主張する点については理解をされているのだと思うのです。何も通産省の顔色をうかがうことはないじゃありませんか。農林省の立場に立って、この際思い切って事業団による一元輸入という立場を貫くべきだと思うのです。重ねてお考えをお尋ねいたします。
  89. 安倍晋太郎

    ○安倍国務大臣 島田さんの御意見も一つの御意見であろうと思っておりますが、現在、輸入割当制度のもとにおきまして牛肉の調整を行っておるわけでございますし、いまお話しがございました。ように、その大半が事業団で取り扱っておるということで、今後畜安法に指定食肉を繰り入れた場合におきましても、安定輸入という機能は現在のあり方で果たせるのではないかというふうに私は考えておるわけでございます。また、同時に、必要があれば畜産事業団に一元的に輸入させるという措置もとり得ることになっておるわけでございますから、現在の制度を適正に運用していけば問題はないと私は思うわけでございます。  もう一つ、私は、これを一元化する場合に問題が起こってくるのは外国の反応であろうと思うわけです。御存じのように、現在牛肉の輸入をストップしておるということで、ガット等におきましても相当厳しい非難が日本に対して出ておるわけでございます。これがさらに一元化貿易、国家貿易ということになってきますと、国際的に非常に神経をとがらせるような事態が起こってまいりまして、国際的な圧力もさらに日本に加わってくるということも考えなければならぬ。  そういうふうな二つの理由から、私は、現在の割当制度というものを有効に適正に運営していけば、今後の牛肉の安定輸入、安定価格ということについては確保できる、こういうふうに考えておるわけでございます。
  90. 島田琢郎

    ○島田(琢)委員 大臣、私はむしろ国家間貿易をすべきだと思うのです。第一、いろいろな貿易の実態の中で、いま諸外国から厳しい指摘を受けているのは、何も牛肉を一切輸入しないということを言われているわけじゃないんですからね。問題はむしろ金に任せて買いあさりをしているということです。えさにしたって、穀物にしたって、そこが問題なんです。いま牛肉で起こっている問題は、国内で大変な問題を抱えているから、国内が安定するまで一時ストップするという言い方で、何も国家間貿易にすることについて向こうがいちゃもんをつけてきているわけじゃないわけですね。そういう節度ある輸入をするという場合に、国が責任を持って二国間あるいは多国間で話し合いをするという姿勢があっって、それもけしからぬとガットで言うのであれば、それは筋違いであると思うのです。しかし、そうじゃないと思うのですよ。節度ある輸入をするためには、むしろ一元輸入という方式をとってやるべきで、片や事業団がやるが、片や抜け穴があって勝手なことをやるというようなことが仮に起こったとしたら、そのことの方がむしろ責められるのじゃないか。ですから、この際牛肉に対してはそういう一元輸入方式をとって、いわゆる国家間貿易にすべきだと私は思うのです。  ただ、私は、輸入の問題は、これは長期間安定するまではいま簡単に輸入してもらっては困るという立場に立って言っているのですけれども、しかし、需要と供給という問題を長期的に見た場合に、完全に輸入をストップするというようなことにはなかなかいけないだろうというような情勢の見通しも報告されておりますから、その部分について、この際、法律的にもきちっと責任の所在を明確にしておくことが外国からの信頼を取り戻していくことにもなるのではないか。大臣の考え方と私の考え方とはその点で大きく食い違います。私の申し上げている点について不都合がありますか。
  91. 安倍晋太郎

    ○安倍国務大臣 私は、節度のある輸入ということはもちろん当然のことであろうと思うわけでありまして、そういうたてまえに立って事業団が大半を輸入しておるし、また、割当制度をとっておるということになっておるのであろうと思うわけでございます。今後ともこの節度ある輸入というものは堅持していかなければならぬことは当然であるわけでありますが、同時に、また、暴落であるとか、暴騰であるとか、異常な事態が起ったときは一元的に輸入できるという道も開かれておるわけでございますから、そういう点については私たちは心配をする必要はないのじゃないかと思うわけであります。  また、国家間貿易につきましても、確かにいま島田委員からお話しのありましたような考え方もあると私は思うわけでございますが、現在の時点におきましては、牛肉の輸入をストップしておるということから外国が非常に神経をとがらしており、そしていろいろな圧力が起こっておることも事実でございます。そういうところへ一元輸入ということにきめてしまうということになりますと、さらにこれに対しての無用の反撃といいますか、紛争といいますか、そういうものが起こってくる可能性があるのではないかというふうに私は思うわけでございます。  節度ある輸入ということにつきましては、これは当然のことでございますので、こういう点は、今後の制度の運用においてこの考え方、立場を堅持しながらやっていくということでいいのではないだろうかと私は考えておるわけでございます。
  92. 島田琢郎

    ○島田(琢)委員 時間が参りましたからもうこれでやめますが、まだ三分の二ぐらいしか議論をしないうちに時間が終わってしまったわけです。肝心の一元輸入については、この際腹を決めて、この法律の中で整理をして発足をしていただきたいと私は思います。  それで第一に心配されることは、そういう部分を残しておくことによって、下限価格を下回って国内の生産者価格が暴落をしたときでも輸入をとめることができないというような事態になる。政府の手の及ばぬところを残しておくわけですからら、これじゃせっかくつくった法律が、抜け穴が一ぱいでざる法になっちゃって、何の機能もしないんじゃないか。そこをしっかりと押さえないでこの法律を運用するなんて言ったって運用できない。この際、基準価格を下回ったときには直ちに輸入を差しとめることができるかどうか、その点だけ局長に伺って、私の質問を終わりにいたします。
  93. 澤邊守

    ○澤邊政府委員 安定基準価格を下回る場合、あるいは下回るおそれがある場合に輸入を停止するかどうかという問題でございますが、われわれの現在考えているところは、輸入の割り当てを停止するかどうかという問題と、割り当てに基づいて現実に契約を結んだものが入ってくるのを停止するかどうかという問題と、二つあると思います。  輸入の割り当てにつきましては、新たに割り当てを行うというものについては、そういうときにはなるべく控えることが妥当ではないかと思います。ただ、輸入の割り当てをして入りますまでに数カ月かかる場合が多いので、先の見通しを見ながら割り当てをしていくということでございますから、先の見通しとして価格がかなり回復するということであれば、そういう事態でも割り当てをすることはあり得ると思いますが、原則としては控えるということになろうかと思います。  さらに、すでに輸入計画をしておるものが入ってくる場合にどのようにするかという点については、外国との契約によって入ってくるものをその段階で禁止するということは不可能で、先生のおっしゃっている趣旨を考えますれば、恐らく、民貿で入ってきてしまったものについては事業団が買い入れをしたらどうかという御意見になるのではないかと思うわけでございますが、その点につきましては、豚肉についても、現在、価格安定制度を事業団の買い入れ、売り渡しにおいてやっておるわけでございます。これは現在自由化はしておりますけれども、そういうものを事業団が強制的に買い上げをするというやり方はしておりません。と申しますのは、価格が低落をして基準価格を割るような場合、結局、供給量が多いということであるわけです。輸入と国内生産と両方含めて供給量が多い。そのうちの一部をとにかく価格が回復するように市場から隔離をすることが買い上げの目的だと思うわけであります。その場合、事業団が輸入肉を強制的に買って隔離するかあるいは国内肉を買って隔離するかは、供給量をカットして隔離するということにおいては、どちらでも機能的には同じではないか。したがいまして、すでに契約によって入ってきます民間貿易による輸入量につきましても、これを強制的に買い上げなくても、事業団は国内肉を買い上げて、それによって国内肉は直接的に支持されるわけでございますし、なお隔離も行われるということでございますので、それをもって足るのではないか、こういうように考えておるわけでございます。  その点は豚肉についても同様でございまして、豚肉も、強制的にといいますか、売り渡し義務を課するという強制買い上げのような措置は現在とっておらないわけでございますので、そのような方法でいいのではないかというふうに現段階では考えておるわけでございます。
  94. 島田琢郎

    ○島田(琢)委員 いまちょっと私の質問を勘違いされていたようですから申し上げますが、民間貿易部分で入ってきたやつを事業団が買い入れればいいじゃないかと、私はそんなことは言っていないですよ。あくまで民間貿易一元輸入と言っているわけですから、二元輸入を許して、その部分の補完措置としてそうやれというふうに聞こえたとすれば、そういう趣旨ではない。その点訂正しておきたい。  終わります。
  95. 澁谷直藏

    ○澁谷委員長 津川武一君。
  96. 津川武一

    ○津川委員 大臣にお尋ねしますが、日本人の食事をどうするかという問題であります。農林省の食料需給表で見ますと、肉類の摂取量は、一人一年当たり、アメリカで百十五キロ、西ドイツで八十八キロ、フランスで九十五キロ、アルゼンチンで百二十二キロ、日本が二十一キロ。これで日本人の体格がいいかどうかという問題です。私たち日本人には独自な生活様式もあるし、体格もありますので、いま直ちにこれを五倍、六倍にふやせとは言いませんけれども、もう少し肉類を食べることが必要だ、積極的に肉類の消費をふやすべきだと思うのですが、この点、大臣はどう考えているか。これが一つ。  二つ目には、食料需給表で見ますと、魚介類は、日本人は一年に一人当たり三十四キロですが、アメリカ人が六・五キロ、西ドイツが七・三キロで、日本人の三十四キロに比べて余りにも少ない。二けたのものは、フランスでやっと十六キロです。このたん白質源である魚に国際法会議で赤信号が出てきている。今度の皆さんの長期見通しの中では魚は減らないというふうにありますけれども、この点、先はかなり考えていかなければならない。そうなった場合に日本人のたん白質源をどうするか。いよいよもって動物性たん白質、肉類に頼っていかなければならない。したがって、国政上の重大なるかなめとして考えていかなければならぬのは、この肉類を国民のために確保することだと思うのです。  この二点をからめて大臣の所信を伺わせていただきたいと思います。
  97. 安倍晋太郎

    ○安倍国務大臣 たん白質の摂取につきましては、外国人と日本人とでは体位が違いますし、今日まで民族として生存をしてきた背景もまた異っておるわけでございます。日本の場合には、肉類等の摂取量は非常に低いわけでございますが、動物性たん白というのは魚介類等で補っておるわけでございますし、その他主食の問題につきましても、植物性たん白質については米においても相当高いわけでございますから、そういう点から見まして、今日、日本人の体位から見て、これからさらにヨーロッパ並みに肉を摂取しなければならないという方向でこれからの食生活を考えなければならないというふうには私は考えておらないわけでございます。  しかし、今後日本人としての食生活のパターンがどうあるべきかということにつきましては、われわれとしてもひとつ研究をしてまいりたい、こういうふうには思っております。
  98. 津川武一

    ○津川委員 たとえばアルゼンチンあたりに比べて六分の一、アメリカ人に比べても五分の一、これが肉類の食べ方です。それをわれわれは魚で補っておる。この魚に赤信号が見え始めた。とすれば、私は、何もアメリカ人並みに肉を食えと言っているんじゃなくして、肉を確保することがあなたのかなり大きな任務じゃないか、と、こう聞いておるわけなんですが、いかがでございますか。
  99. 安倍晋太郎

    ○安倍国務大臣 もちろん、これからのわが国の国民の消費水準の上昇は、六十年に対するわれわれの試算におきましても、九%程度上昇するというふうに見ておるわけでございます。そういう点から見ましても、今後とも、肉の摂取量を消費生活の上昇に合わせてふやしていく。それは今後の海洋法等との関連におきましても、非常に厳しい魚における問題が出てくるわけでございますから、そういう点は配慮しなければならぬわけでございますが、われわれの考えとしては、相当な水準に達しておる。そして、今後、消費生活の上昇に応じて畜産物の消費もふえていくであろうし、それは確保していかなければならぬ、こういうふうに思うわけでございます。
  100. 津川武一

    ○津川委員 その次に、この必要な肉類の中において、牛肉がどんな役割りを占めておるかということをひとつお伺いしてみたいと思います。  農業基本法で畜産の選択的拡大を打ち出してやってきました。そこで、豚ですが、昭和三十五年に百九十二万頭が、四十九年に八百二万頭で、四・二倍にふえております。乳牛は、三十五年が八十二万頭、四十九年が百七十五万頭。それから卵をとる鶏が、三十五年が五千四百六十二万羽、四十年が一億六千五十万羽、これは二・九倍です。農業基本法による畜産の選択的拡大がこんな形で進んだ。ところが、肉牛は、昭和三十五年が二百三十四万頭で、四十九年が百九十万頭と、二〇%減った。この減った原因に対して、農林大臣はどんなふうに考えていますか。
  101. 澤邊守

    ○澤邊政府委員 わが国の肉牛の飼養頭数が伸び悩んでいる、あるいは減少してきたという点につきまして、原因は何だという御質問でございますけれども、これは一言で申し上げれば、肉牛の収益性が非常に低いということに尽きるかと思います。  その原因は何かということになりますと、種々ございますけれども、わが国の場合、肉牛経営というものは、これまで農耕用の使役牛を中心にした飼養形態が大部分であった。それが、三十年代の半ば以降、耕運機が畜力に交代をするということに伴いまして、肉牛といいますか、和牛と言った方がいいかと思いますが、和牛の飼養頭数がだんだん減ってきた。それにかわるべきものといたしまして、肉生産を目的といたしました肉牛経営というものが徐々に出てまいっておりますけれども、歴史が浅いし、技術が十分ない、あるいは飼養規模が小さい。特に、肉牛経営の場合におきましては、生産におきましても、肥育におきましても、かなり粗飼料を使わなければいけない。ところが、粗飼料基盤が、土地の取得難その他もございまして、なかなか思うままに任せない、進まないというような点がございまして、使役用の和牛の経営が縮少し、それをカバーして肉牛経営が伸びるというところまではいっておらない。その結果といたしまして、飼養頭数が減ってまいったということでございます。  したがいまして、和牛の頭数が特に減り方が大きい。その中で、最近は、先ほど来種々御質問も出ております乳牛の雄の肥育というのが数年来相当進んでまいりまして、一昨年などはほとんど九〇%近く利用されておるというようなところまで進んでまいりました。その、肉専用種というよりは、肉専用目的ではありますけれども、乳牛を肉用に使っていくという形が最近非常に伸びてわる。昨年の価格の暴落によりまして若干利用率は低下いたしましたけれども、価格安定制度等によりまして価格が安定してまいりますれば、これはさらに利用率を昔に戻す。一昨年までに戻すということは可能だと思います。そういう形での飼養頭数の増加は今後期待できる。  特に、酪農政策全体の問題になりますけれども、牛乳につきましても、従来ほどではないけれども、生産を伸ばしていくということのために酪農の搾乳牛の頭数をふやしていく。そこから必然的に乳牛の雄が生まれて肥育に回されるということになりますれば、将来は、これまでの漸減傾向をとどめて上向きにできるのではないかというふうに思います。そのための対策はもちろん従来以上に強化してまいらなければいけないというふうに考えております。
  102. 津川武一

    ○津川委員 一昔前は牛は役牛だったが、しかし、いまは機械化されて少なくなった。これはわかる。と同時に、局長が言ったように肉用の牛も減ってきている。ところが、局長、はしなくもいいことを言ってくれたのは、減った理由は収益性が低いからだという。とすれば、収益を上げることは、そこにあなたの農政を持っていくとふえていくわけです。  それに対してあなたたちのやってきていることはこういうことなんですよ。畜産振興審議会の懇談会が出した四十九年八月十二日の畜産局の牛肉の価格安定策に対して、こうなんです。本来、牛肉については内外ともに需要は逼迫するものと見込まれていることに加えて、わが国の場合、今後国内生産の増大を図ったとしても、国内生産のみによっては必ずしも増大する需要に対応し得ないことから、牛肉の価格の安定を図るためには、基本的には、輸入量の調整、適正な輸入割り当て枠の決定と事業団による適正な買い入れ、売り渡し、こういうものによって対処することが必要だと言っているのです。肉牛の収益性を上げるということを言わない。やはり輸入に頼る。こういう形が脈々と出てきている。だから、現に、六十年のときに、豚肉は一〇〇%、ブロイラーも一〇〇%、牛肉は八一%という自給率を考えている。ここのところは、いろいろな国際的なことはやはりあるだろうけれども、きょう、あすに急にふやすわけにいかないことはわれわれだってわかっている。そこのところを、豚肉並みに、ブロイラー並みに、卵並みに一〇〇%にするという計画をお立てにならない。原因はきわめてはっきりしている。収益性が低いということです。この点で、牛肉の自給率をふやしていくということを安倍さんももう少し考えていいのではないかと思いますが、いかがでございますか。
  103. 安倍晋太郎

    ○安倍国務大臣 確かに、わが国における牛肉の生産をふやしていくということは、これは大事な政策の一つでございますし、今後ともそういう見地に立って、六十年見通しのもとに、飼料の基盤の充実を初めといたしまして、さらにまた今回も価格安定制度等をつくることにいたしたわけでございますが、しかし、やはり、この牛肉の資源というものは、世界的に少し足らないといいますか、そういう状況に進んでいくのではないかと思うし、そういう中にあって八〇%以上の自給率を持つということのためには、今後まだまだ相当の努力をしなければならぬわけでございまして、私たちとしても、試算を立てた以上は、その目標を達成するために全力を挙げていきますが、これからの飼料基盤の整備等をとってみましても、まだまだなかなか困難な問題があるのではないか、と、こういうふうに思うわけでございます。
  104. 津川武一

    ○津川委員 困難なことは私もわかりますよ。だけれども、初めからあきらめてこういうものをお出しにならないで、もう少し前向きでおやりになる必要がある。農政審議会もまだ結論が出るには早いから、この点を農林大臣にもう一つ再考を促して、やっていただきたいと思う次第でございます。  この点で言うならば、豚と鶏は、えさは、濃厚飼料を買ってくればいいの。輸入すればいいの。あるの。そうして狭い地域でできる。だから、一〇〇%。牛の場合は粗飼料が要る。草地が要るわけ。したがって、草地の拡大ということに決定的に重点を置くという形に農政を考えるときに、もう少し肉牛の生産がふえるのじゃないかと私は思うのです。だから、輸入というものは、初めから輸入に頼るのだという考え方を少し変えていただいて、ここのところにおやりになったらいかがでございますか。
  105. 安倍晋太郎

    ○安倍国務大臣 私たちは、まさに津川さんが御指摘のように、粗飼料の増産対策が農政の今後の最大の柱の一つであるというふうに考えまして、五十年度予算におきましても、粗飼料緊急生産対策費を計上いたしたわけでございますし、基盤整備を含めて、あるいは裏作の活用等も含めて、飼料の自給体制を確立していくことに全力を注いでおるわけでございます。
  106. 津川武一

    ○津川委員 もう一つは、先ほど大臣も言われたように、国際的に牛肉の消費はふえるのです。しかも、国際的に供給が不足するのです。現在、一九七〇年で言うと、世界の牛肉の生産が三千九百九十七万トンで、消費が三千九百七十二万トンで、ここで差し引き二十五万トン余って、どうやらとんとんだ。一九八〇年に、FAOが予想しているところと言えば、生産が五千百七十一万トンで、消費が五千三百三十六万トンで、ここに百六十五万トンの不足が出てくるのです。だから、どこへ行っても、国際間に牛肉の輸入を無理にしなくても摩擦は起きないのです。だから、この点は遠慮なしに考えていただいていいことだと思うのです。この点が一つ。     〔委員長退席、中川(一)委員長代理着席〕  第二の問題は、価格、値段、消費者にどう届けるかということ。先ほど局長はやたらに消費者のことを心配してくれた。これは正しいが、国産の牛肉の枝肉と輸入の枝肉を比較してみると、昭和四十五年には国産のものがキロ六百十七円で、輸入物が四百五十円だが、すぐに間もなくこれは逆転しました。そして、四十八年になったら、十二月に、国産品が九百五十円で、輸入物が千三十七円。四十九年七月に至うては、国産品が七百七十七円、輸入物が千二百三十七円、こういう形になってきている。消費者に安いものを届けて、生産者の生産意欲をふやしていく、まさにこれこそ農政の基本、言葉は悪く言うと一挙両得、ここにこそ国政の基本があるわけなんです。したがって、重ねて私は申し上げますが、こういう事実を踏まえて、農林大臣に牛肉に対する考え方を、押し問答はしないから、もう少し積極的に考えていただかなければならないのじゃないか、これを強く申し上げ、要求していきます。  そこで、今度は実際の問題ですが、肉牛の生産農家が何を一番求めているかというと、いまの生産者には安く、消費者には高い。ここで牛肉の消費がとまっておる。この状態を打開するためには、何としても問題が解決されるまでは牛肉の輸入を一時ストップする。私も、いま直ちには日本人の消費する全量を日本の農民がつくっていけないから輸入は必要だと思っているけれども、いまの状態はあのとおり余っているから、この問題が解決されるまで少なくとも輸入をストップしなければならないのじゃないかと思う。農民は非常に心配しています。何か、アメリカの農商務省の次官補が来て、四十億ドルの輸入を五十億ドルにふやせというふうに安倍さんに言ったとか、ガットでどうだとか言って、どうやらこの状態が解決しないうちに輸入に踏み切るのじゃないか。局長は輸入してもためておけばいい、市場からとればいいと言っているけれども、それはうそ。あるとやっぱり価格を圧迫してくる。農民の問題は解決されない。ここに問題があるのです。この点農林大臣は英断をもっておやりにならなければいかぬと思いますが、いかがでございますか。
  107. 安倍晋太郎

    ○安倍国務大臣 私も、今日の畜産経営の実態から見まして、今回価格安定制度をつくるわけでございますが、畜産経営がこれによって安定をするまでの間は、一般枠につきましては、まあ外国等からいろいろと問題が提起はされておりますが、輸入を再開する考えは持っておりません。
  108. 津川武一

    ○津川委員 安心しました。  それで、今度は法案の具体的な内容に入っていきますけれども、私たちの修正案がきょう法制局からできましたと言ってきましたので、この次の質問においてはこの修正案に沿って大臣の所信をお伺いしたいと思います。そこで、いま提案されている改正案に対して、私たちも積極的に通過させるように進めてみたいと思っておりますが、根本の問題はやはり先ほどの粗飼料です。豚と鶏は濃厚飼料で、買ってくれば、輸入すれば、ある。肉牛の場合は、輸入してきた分ではいけない。どうしても草地が必要だ。粗飼料が問題になってくるわけ。粗飼料の拡大のために全力で皆さんもおやりになったけれども、そこで、今度は沖繩の問題なんです。  沖繩では長いこと、三百年以来サツマイモをえさにして牛を育ててきたのです。このサツマイモは、鹿児島、宮崎においても牛のえさであったのです。それを皆さんが、えさの穀物、飼料穀物を輸入物一辺倒に頼ってこれにお世話しないために、価格補償をしないために、沖繩でも、鹿児島でも、えさとしてのサツマイモはほとんど植えつけなくなってしまった。これは非常に大事な資源なので、これを幾らかでも育てていかなければならぬ。こんなお気持ちは農林省は持っているのか。大臣、そんなことを考えているのか。私は、これはぜひやってあげた方がよろしいのではないかと思うので、このことをお尋ねする次第でございます。
  109. 澤邊守

    ○澤邊政府委員 飼料としてのカンショの利用につきましては、従来から、肉用牛と養豚用を対象として行われておりましたが、最近全国的には作付面積が減少の傾向をたどっているという点につきましては、御指摘のとおりでございます。したがって、飼料向けに使われる量も減ってまいっておるわけでございます。飼料としてのカンショは、トウモロコシと比較してみますと、単位面積当たりの養分の生産量はすぐれておりますけれども、御承知のように、利用するのに手間がかかるとか、あるいは貯蔵性なり輸送性において劣るということが言われておりますし、さらに、牧草その他の飼料作物と比較いたしますと、単位面積当たりの養分生産量において劣るというようなことが言えるほか、機械化がカンショ作というのは飼料作物などに比べてむずかしいとか、したがって、労働生産性を図るのがなかなか困難であるというような問題がございますが、このようなことのほかに、価格問題といたしまして、加工用あるいは生食用のカンショの価格と飼料用に使い得る場合の価格を、他の飼料との関係での価格を比較してみますと、生食用なりアルコール原料として使う方がどうしてもやはり有利な販売ができるというような点があって、飼料向けのカンショ生産というものはだんだん減ってきておるというように見ておるわけでございます。  しかし、カンショは台風災害に強いということでございますので、沖繩その他九州地域においては防災作物として有利な面は否定できませんし、地域によっては他の飼料作物に比べて有利だという場合もあるので、地域の特性なり、あるいは家畜の種類等を勘案いたしまして、県において飼料作物として認定して推奨するということでございますれば、現在畜産局でやっております飼料作物の飼料作物生産振興奨励補助金を出しておりますけれども、この対象に加えることをやってまいりたいというふうに思っております。  ただ、昨年はそのような措置をとっておるわけでございますけれども、四十九年度は一件もいまのところ出てきておらない。来年はさしあたり鹿児島がこれを飼料作物として取り上げるということを考えておるようでございますので、国としても奨励金を交付するということによって奨励はしてまいりたいというふうに考えております。
  110. 津川武一

    ○津川委員 大臣、あなたの部下の局長たちばすぐれたところをたくさん持っていると聞いているけれども、いまの答弁みたいにまことに冷たいのです。沖繩の農民がやりたいと言ってやってきたのだ。やりたいと言う。それをいろいろなイチャモンをつけて、文句をつけて応じようとしないのです。しかも、県が申請してくればこちらの方は応ずると言う。やはり、温かい心持ちを持っていて、鹿児島県や沖繩県に大臣の方からどうだやってみようじゃないかという誘いがなければならぬのに、農林省に来るとかちんと締め出されてしまっている。ぼくはこの間あなたにえさの穀物として大豆を言ったら、あなたたちは三十万トンやると言うが、足りない。トウモロコシをおやりなさい。今度改めてさらにえさ用の穀物としてサツマイモの提言なんです。鹿児島県と宮崎県と沖繩県に御相談してみませんか。いかがですか、農林大臣。
  111. 安倍晋太郎

    ○安倍国務大臣 沖繩につきましては、復帰後日が浅くて、沖繩の農業が本土の農業に比べまして非常におくれておるといいますか、特に、生産基盤等につきましては非常におくれておることにつきましては、私たちとしても、沖繩の今後の農業振興というたてまえから特別な措置を講じておるわけでございます。  沖繩はやはり亜熱帯でございますから、亜熱帯に適した作目、農作物というものを奨励し、そしてここでつぐっていくということが当然であろうということで、そういう面におきまして、あるいはパイナップルであるとか、サトウキビであるとか、そういう作目については助成融資等の措置をとっておるわけでありますが、カンショの話につきましては、いまお聞きしたのが初めてです。沖繩とはいろいろな面で密接に連絡をとってもおりますし、鹿児島県とももちろん連絡をとっておりますが、そういうふうにカンショをつくりたいというふうなお話しは農林省としては聞いていないということでございます。したがって、現地の農民の方々がこれに対して非常に熱意を燃やしておられる、また、今後とも農作物の一つとして非常に適性であるというふうなことになれば、われわれとしてもこれに対して協力することにはやぶさかではありませんが、現在のところは何にもそういう御要望を聞いていないということでございます。
  112. 津川武一

    ○津川委員 パイナップルのことは後刻また機会を改めて、沖繩農業全体の中でお尋ねしてみたいと思います。  その次は、沖繩のことでもう一つ言うと、太陽エネルギーに非常に恵まれて、本土の土地に比べて青草の育ちがいい。たとえばネピアグラスで言うと、本土では反収十トン、沖繩二十五トン。こういう点で、沖繩に対しては、いま大臣が言っている草地の造成、粗飼料の増産のために特別検討してみる必要があると思うのですが、いかがでございますか。
  113. 安倍晋太郎

    ○安倍国務大臣 沖繩の持っておる特性からして、草資源を沖繩においてっくることが有利であるというふうに判断されれば、これに対して積極的に施策を講ずることは当然のことじゃないだろうか、こういうふうに私は思います。
  114. 津川武一

    ○津川委員 そこで、その沖繩で肉牛をやるのに、一つ非常に大きなギャップがあるのです。西表島でたくさんつくっておるのですが、それを売るために神戸の市場に生体で持って来なければならない。この運搬賃が一頭三万円。これでは沖繩はなかなか容易じゃないのです。ぼくらは育てたい、農林大臣は援助したい、そこで持ってくるのに三万円。それで、この間沖繩県では一頭に二万四千円、八割の補助金を出すことにしたのです。価格形成について、いろいろな輸送事情だとか市場の事情を皆さんも話しているのですが、これに県庁が八割援助したので、国も幾らか手助けしてあげればあの有利な条件が生かされると思うのですが、いかがでございますか。
  115. 澤邊守

    ○澤邊政府委員 沖繩は、ただいまお話しがございましたように豊富な草資源があります。ネピアグラスのお話しが出ましたけれどもへそのとおりで、非常に好適な牧草だと思いますので奨励すべきものだと思っておりますけれども、そういう自然条件を生かして肉牛生産をやるには非常に有望な地域だと考えておりますが、現在、御指摘のように、沖繩から出荷するものは関西市場まで生体で輸送しており、輸送費が非常にかかる点が一つのハンディキャップになっておるということで、県が一部助成をしておるということはわれわれも承知をしておるわけでございますけれども、これは先のことを考えますと、生体で長距離輸送するということは、輸送費の面からも目減りの面からも必ずしも適当ではないのではないか、将来は産地において屠殺、解体をしまして、チルドビーフという形で本土に輸送するというようなことを考えた方がむしろ有利ではないかというふうにわれわれは見ているわけです。そのためには、近代的な屠場施設なり処理施設等を設置する必要があると思いますので、今後の課題としてわれわれは検討してまいりたいと思っております。
  116. 津川武一

    ○津川委員 局長の答弁どおりで、皆さんもそれを求めているのです。現地で枝肉にするということを、ですね。ところが、それには時間がかかる。それまではやはり持ってこなければならない。そういう応答があなた方すぐれた農林省の役人にはない。そこでびしんとやるものだから、もうそれで一遍で吹っ飛んで、話が続かなくなっちゃう。ここだから、国会だから続くけれども、ね。そういう点で、現地で処理していく方針を打ち立てるまでの間は、大臣、幾らか手を引いてあげなければいかぬと思うのですが、いかがでございますか。
  117. 安倍晋太郎

    ○安倍国務大臣 これは現地の実情も十分お聞きしまして、いまの処理施設等につきましては積極的に対処していきたい、こういうふうに思います。
  118. 津川武一

    ○津川委員 南の方にかなり行きましたので、今度は北の方に飛んで、東北地方の国有林野を畜産のためにどう使うかということでございます。  四十九年十二月六日に青森県肉牛生産農民危機突破大会というのが開かれまして、そのときに決議した要望書で、「1、国有林野の貸付料については、近傍類似の時価を基準とすることなく、畜産経営の収益性に基づき大巾な軽減を実現する措置を速かに講ずること。2、混牧林形態による活用を積極的かつ大巾にすすめるよう措置するとともにこれが使用料は無償とすること。3、国有林野活用等による草地造成事業の画期的な拡充をはかるとともに補助および融資条件の改善をはかること。」ということをお願いしているわけですが、この三つの現地の農民の声に対していかがされますか。農林大臣でも、林野庁長官でも、どちらでも結構です。
  119. 松形祐堯

    ○松形政府委員 お答え申し上げます。  ただいまの貸付料でございます。あるいはもう先生御承知ではないかと思うのでございますけれども、国有林の場合は近傍類似地の四%ということでございます。ただ、草地造成の場合は三%ということになっておりますが、共同利用の場合はそれを一・五%、こういうふうにしておるのでございます。  また、貸付料が地価等の関係で上がる場合がございますが、しかし、その場合も、一般の貸し付けは一年に上げる分は三割、草地の場合においては一割を限度とするということにいたしておりますし、また、林間放牧等の場合は使用料として二%、共同利用一%、こういうことになっておるわけでございます。  ただ、その実態といたしまして、青森地方の場合、私、ちょっと計算いたしてみますと、ヘクタール三千円から六千円平均になっておりまして、十アール当たりにしますと三百円から六百円ということで、必ずしもその地価から見て高いというふうには私どもとっておりませんけれども、特に、むつ小川原とかいうような地帯でございますと、急激に地価が上がって、そのために近傍類似地からこれを類推した場合ちょっと問題があるというようなことがございます。したがいまして、そういう場合には、私ども、例外措置といたしまして、現地が林野庁長官の承認を得まして別な方法でやるというような方法もとっておりますし、たとえば標準小作料相当額を、県とか市町村あるいは農業委員会というような方々とも十分相談して、これをケース・バイ・ケースで処理したという場合もございます。そういう処置もとってまいりたいと思うのでございます。  なお、いま混牧林のお話しがございましたが、実は、混牧林といたしましては、共用林野ということで昔から共同で利用いたしておりますものが現在全国に三万二千六百ヘクタールございますし、そして、なお、林間放牧といたしまして、私どもが使用料をいただいてやっておるものが七千ヘクタールございますので、約四万ヘクタールくらいが混牧林的な放牧という形態で使われておるというようなことでございます。  なお、活用法以来、あるいはそれ以前の次官通達等でやっております草地造成等を含めましたところの、主として畜産用地といたしましては、大体二万三千ヘクタールを活用いたしておるわけでございます。  そのような地元の要請に対しましては、ケース・バイ・ケースで、あるいは畜産振興という面からも、今後とも十分私ども配慮してまいりたい、かように考えておるところでございます。
  120. 津川武一

    ○津川委員 草地共同利用は、それは賃貸ししている。個人のときはなぜそれをおやりにならないの。     〔中川(一)委員長代理退席、渡辺(美)委員長代理着席〕
  121. 松形祐堯

    ○松形政府委員 お答え申し上げます。  個人の場合も、農業構造改善事業とか、そういうことで大分ございました。しかし、そのような場合は、大体成功したら売り渡しという形態をとっておりまして、共同利用の場合は、活用法の決議等もございますが、草地につきまして貸付というようなことで現在処理いたしておるところでございます。
  122. 津川武一

    ○津川委員 草地利用の場合、国有林野の活用の法律第三条で、農業を営む個人にもおやりにならなければならない。第三条の一項の何番目ですか、個人のところになぜいかないのかということ。皆さん、農業構造改善事業として売り渡すときは個人にやっておりますけれども、草地利用のときに、やはり法のたてまえどおり個人に使わせるのがたてまえだと思いますが、いかがですか。
  123. 松形祐堯

    ○松形政府委員 お答え申し上げます。  法律にございますように、個人でもいいわけでございます。ただ、個人の場合は、本人の買いたいという希望が多いということが一つの、先ほど申し上げたような結果でございます。
  124. 津川武一

    ○津川委員 農林大臣、草地利用の場合、一ヘクタール三千円から五千円、六千円で、十アール三百円から五百円ですよ。安いものになる。だからこれは使える。だけれども、国有林野は独立採算制。そこで、こういう形でやるのに、庁内にかなり抵抗がある。実質上は行われない。ここに問題があるのです。高いものじゃない。だけれども、国有林野の苦しい財政の中から、ここに相当抵抗があるわけだ。そこで、これを使うならば、共同の草地利用にしていても、林間放牧にしてもいける。したがって、この点、農林省が今度自給率を向上させていく、草地を拡大していくということになってくると、何らかの形で農民に補助を――林野庁の独立採算。赤だということになると、ずいぶんしかられるのですよ。これを援助しなければ国有林野の活用が本当にならないと思うのですが、この点、やはり大臣に答弁してもらわなければならぬと思います。
  125. 安倍晋太郎

    ○安倍国務大臣 国有林を活用して、その中にあって草資源等を有効に利用していく、そして畜産の生産を高めていくということは私は賛成でございますし、いま、国有林野の中におきましても、林間放牧につきましては十カ所ばかり実験をいたしておるわけでございます。活用化法もありまして、構造改善事業等もできるようになっておるわけでございますが、林野庁とも十分に相談をいたしまして、国有林野につきまして、草資源が今後とも積極的に活用していくという方向で努力をしていきたい、こういうふうに思います。
  126. 津川武一

    ○津川委員 大臣は、法律をつくったときは張り切ってつくった。だけれども、実際には運用されていないというのを、きのうははしなくもこぼした発言がありましたけれども、そこで、利用する農民も得になるように、林野庁もこれがあったために財政がよくなったようにするとすれば、これは林野庁長官の肩ではとても重い。そこで、いま農林大臣から話してみると言ったけれども、やはり、格別な対策が必要だと私は思うので、この点は答弁をもらわないで、この間からの答弁で農林大臣もやらなければならないと言っているから、その点をひとつ要求しておきます。  そこで、指定食肉ですが、農林省令で定める規格、これは先ほどいろいろな問題になっていましたから聞きませんけれども、豚肉で言うと「並」、これは今度の場合は何を考えておられるか、まず明らかにしていただきます。
  127. 澤邊守

    ○澤邊政府委員 畜産振興審議会の意見を聞いて最終的には決めたいということで検討を進めておるところでございますが、現段階といたしましては、和牛の「去勢の中」、乳牛の「去勢の中」を指定食肉として、省令によって指定してみてはどうかということで検討いたしております。
  128. 津川武一

    ○津川委員 そこで、先ほど島田委員からもいろいろとたくさんの問題が出たわけですが、乳廃牛の適用ということも出ましたけれども、豚肉の場合、「並」でやったらどのくらい政府が買い上げたかというのです。昭和三十六年に全生産量の〇・五%、三十七年に一・四%、四十年に〇・二%、四十一年に五・九%、四十二年に三・一%、四十三年以降から買ったことがない。これは「中」にして、そして、その価格が安過ぎるから、生産と生活ができる価格が補償されていないことが一つ。「中」にするから「並」の肉が下がっちゃう。そこでまた「中」が引っ張られる。こういう形なので、これは「並」をぜひひとつ基準にしてやるべきだと思うのですが、いかがでございますか。
  129. 澤邊守

    ○澤邊政府委員 豚肉の場合は、規格の「上」のものを買い入れ対象にいたしておるわけでございます。「中」以下も買い入れ対象に加えるべきだという意見も一部にはございますけれども、この制度発足以来「上」のみを買い入れ対象といたしておるわけでございます。「上」の出荷比率は大体四〇%ないし五〇%というのが最近の傾向になっております。  なぜ「中」を買わないかという点につきましては、これは牛肉の場合も同じように考えるべき一つの要素だと思いますけれども、飼養技術を改良し、肉質の改善を図っていくということのためにはそういう努力を農家側にもしていただきたいということからいたしますと、やはり政府機関が介入して、価格支持の対象にするものについては努力をして、いい肉質のものを生産したものだけを買い上げ対象としていくということが改良上好ましいのではないかという根強い意見があるわけで、それにのっとって「上」のみを対象にしておる。もちろん、「中」も、先ほど来御議論がございますように、「上」の価格を支持することによりまして、間接効果としては「中」以下のその他の規格のものも支持されるという効果も期待できるので、先ほど言いましたような改良的な観点から「上」に限定をしておるわけではございます。
  130. 津川武一

    ○津川委員 そうすると、牛肉での買い入れはどういうことになるのですか。
  131. 澤邊守

    ○澤邊政府委員 牛肉につきましては、先ほど申しましたように、和牛の「去勢の中」と乳牛の「去勢の中」と、この場合は「中」を対象にしたいと考えておるわけでございます。その線で検討しておるわけでございますが、これは対象にいたします規格を何に求めるかということは、やはり、出荷総数の中におきますシェアがかなりの割合に達するということ、それから、全規格のものについて指標的な性格を持っておる規格のものを選ぶべきだということ、それからまた、特別に高級なものだとか、特別に品質の悪いものとか、そういう特殊なものは除いて一般的なもの、また、大衆が一般的に消費するもの、そういうものを対象に加えるのが適当ではないかというような諸点を総合的に考えまして、現在のところは「中」を対象に検討を進めておるところでございます。
  132. 津川武一

    ○津川委員 この点は、後刻われわれが修正案に沿って質問するときにもう一回やります。時間がなくなりますので、この次の質問のときに譲って、次に進んでまいります。  そこで、この指定食肉の場合に、外国の牛、たとえば青森県の下北あたりに入っているヘレフォード、これはやはり対象にしなければいけないと思うのですが、いかがでございますか。
  133. 澤邊守

    ○澤邊政府委員 この線につきまして、これらもほかの問題とあわせて審議会によく御相談をして、御意見を聞いた上で最終的には決めたいということで、内部の検討は進めておるわけでございますが、外国牛は最近かなり入りましたけれども、現在、総出荷頭数のうちで〇・五%ぐらいの比率のほかは占めておりません。それで、これにつきましては、価格算定の場合に生産費というのは一つの要素になるということは申し上げておるところでございますけれども、生産費調査が全くございませんし、また、市場におきます外国種の肉の評価もまだ定まっておらない。新しいもので、しかも少数でございますので定まっておらない。価格につきましても、果たして幾らが実現したかということもわれわれはいま急遽調べておるところでございますけれども、まだ正確にデータがないというような点、あるいはまた、わが国に最近入ったものでございますので、飼養管理技術と言いますか、肥育技術と言いますか、そういう点につきましても今後かなり改良を加えていくべき面が残されておるというような点を考えますと、いま直ちに指定食肉の対象にするのはいかがかという感じは持っております。しかし、これはだんだんふえてまいりますれば、いずれ対象に加える時期は来ようかと思いますけれども、制度発足の当初から直ちにやるのは時期尚早ではないかというような感じをもって現在検討いたしております。
  134. 津川武一

    ○津川委員 ちょっと話をさきに戻すが、大臣、今度法律ができると、牛肉の安定基準価格が初めて決まるわけです。そこで、ここで決まると、これがやはり一つのスタートラインになっていくので、先ほどからの議論にも明らかになっているように、これは非常に大事だと思うのです。そこで、どんなことがあっても肉牛を育てる農民の生産と生活がこれでやっていける、農民が肉牛をどんどん育てていけるという形の価格を決めなければ、これは非常に大きな障害になると思うのですが、大臣、この点は必ずやっていただかなければならぬことなんですが、決意のほどを伺わせてもらいます。
  135. 安倍晋太郎

    ○安倍国務大臣 今回の安定価格を決定するに当たりましては、もちろん、生産、需要の状況を十分把握することに努めて、再生産が確保できるということを前提として決めていかなければならぬと思うわけでございますが、先ほどから答弁もありましたように、生産費等の調査がまだ未整備な点もあるわけでございます。そういうことで、今回についてはもちろんそういう未整備な点も十分踏まえて慎重に決めていくわけですが、しかし、これは固定的なものではなくて、算定価格等についても今後改善を加えながら、この安定価格制度が適正に運用されるという方向で改むべきところは改めていかなければならぬ、こういうふうに思うわけであります。
  136. 津川武一

    ○津川委員 消費者にとって、いま牛肉について何が一番大事かというと、消費者もこんな行程を見せられているわけですから、農民がいま喜んで肉牛を生産してくれるという安定した体制でないと、実際生産が減ってきているから、そこのところに消費者の一番大きな関心もあるわけです。したがって、今度の安定基準価格は、そういう点で農民が喜んで肉牛生産に参加していけるという意欲を燃やすだけの価格決定でなければならぬ。これが絶対条件だと思うのです。この点、大臣、いかがでございますか。
  137. 安倍晋太郎

    ○安倍国務大臣 今回の価格制度をこの牛肉について行うということは、生産農家の経営の安定ということはもちろんでございますが、同時に、安定価格帯を決めることによって、消費者につきましても、安定した価格で消費者が牛肉を買い入れることができるというふうな一面の理由もあるわけでございまして、生産者、消費者ともにこの安定価格制度を取り入れることによって、今後安心していけるというふうに思うのであります。
  138. 津川武一

    ○津川委員 大臣、それは理屈だ。理屈だから文句ない。だがね、消費者が一番求めているのは、肉牛生産の安定と、そして流通にお金がかからないこと。そのことによって問題が解決されるので、こういう立場から一番最初の安定基準価格を決めるべきだということを再度主張して、次の問題に移ります。  そこで、先ほどのヘレフォードだが、これは青森県でどういう形でやったかというと、これは山地の放牧の適応性に富んでいる、粗飼料の利用性が高い、肥育効率がよろしい、耐寒性で飼いやすい、集団管理に適しておとなしい、世界でも最も多く飼育されている、こういうキャッチフレーズで入れたわけ。もう一つのキャッチフレーズは、国民の高度経済成長で、もう煮て食うなどという牛肉の時代じゃなくなる、すき焼きでなくなって、ビフテキになる、焼いて食べるんだということ、そういう形でビフテキをつくるんだからということで、それでヘレフォードを入れたわけです。入ったのです。非常によく入りました。皆さんが応援した結果もある。四十三年には達成率が一一五%、四十四年が一〇四%、四十五年一二七%、四十六年九八%、四十七年一九二%、四十八年九八%、非常によく達成しまして、下北半島で和牛が、普通のものが四十八年で言えば三千九百頭、そしてヘレフォードが二千頭というかっこうで、かなり定着して、あそこに何千というものがいるわけ。これを局長に言わせると、五%だからその対象に考えないなどということになるわけ。どうやら、心証としては考えないらしい。畜産審議会に諮ると言っているけれども、そうらしい。  ところで、これを育てるか育たないかは、この対象から外されると、対象の肉が安定されるけれども、その周りは値が下がってくることは目に見えているのだ。豚でわかるでしょう。したがって、この対象を決めるときも、かなり育てるという積極的な立場から対象を考えなければならないと思うが、いかがでございますか。価格についてもそんなに――ことしの二月八日付で言うと、「中」の格づけで、ヘレフォードが千二十円、和牛が千二百二十九円、「並」で、ヘレフオードが九百四十五円、和牛で千七十円と言っている。余りかけ離れが出ていないので、そこいらあたりの配慮は、そのまま和牛のものとしなくてもいい。実際上の流通過程の中におる差額というものを考慮に入れつつ、ぜひともこれは対象にすべきだと私は思うのですが、大臣、いかがでございますか。
  139. 澤邊守

    ○澤邊政府委員 外国種の導入は約〇・五%、約一万頭全国的に入っているわけでございますが、先ほど出荷頭数が〇・五%と申し上げましたが、これは誤りでございまして、訂正をさせていただきます。飼養頭数が〇・五%というふうに御理解いただきたいと思います。  これは放牧性に適しているとか、あるいは飼料の利用度が高いとか、あるいは増体量が大きいとかいう特色もございますが、反面、肉質におきましては、わが国の伝統的な和牛に比べると劣っておるという点で、価格は、和牛よりは、同じ「中」でもややといいますか、ある程度下目になっております。     〔渡辺(美)委員長代理退席、委員長着席〕  御参考のためにごく最近ので申し上げてみますと、和牛の「中」は、キログラム当たり東京市場におきまして千二百七十七円、そのときに外国種は、これはアバディーン・アンガス、ヘレフォード、シャロレーと全部を平均しておるのでございますが、九百八十三円、それに対しまして乳牛の雄の肥育肉は九百六十五円ということで、和牛よりはむしろ乳牛の去勢の肥育牛肉に近い価格が最近形成をされておるようでございます。  これにつきまして、われわれといたしましても、これを導入しておりますのは、草資源の豊富な東北とか北海道地域におきまして、先ほど言いましたような和牛にかわる特色を発揮しながら、コストを安く生産が行えるという点に着目してやっておるわけでございますので、将来ともこれは奨励をしていきたい。経過的にはいろいろ問題はございますけれども、奨励をしていきたいという気持ちを持っておりますので、今後ずっと対象から除外するのだというようなつもりは毛頭ございません。ただ、先ほど言いましたような問題点がございますので、いま直ちにはちょっと早いのではないかという感じを持っておるということを申し上げたわけでございまして、これがだんだんふえてまいりますし、あるいはまた生産費調査もきちっと出て、あるいは飼養管理技術も固まってきて、これならいけるというようなことになりますれば、われわれとしては当然対象に加えてやっていくべきものだと思っております。  先ほどからやや消極的なごとを申し上げておりますけれども、時期の問題だけで、それを最初からやるか途中からやるか、一定の条件が整備されてからやるかどうかという点の違いかと思いますが、慎重に検討したいと思います。
  140. 津川武一

    ○津川委員 大臣、あれが局長の答弁。地域で非常に適しているということを覚えている。したがって、外せば減る。入れるとふえていく。局長は、最初畜産審議会に前向きにかけると言い、次は、いまは時期尚早だと言った。こういう二つの答弁を言っているわけなんだけれども、大臣、本当にこれは畜産審議会に前向きでかけて育てていかなければ農林行政ではないので、大臣の気持ちをひとつ伺わせていただきます。
  141. 安倍晋太郎

    ○安倍国務大臣 ただいま局長が答弁をいたしましたように、問題点はあると思いますが、しかし、今後生産を奨励していかなければならない面もあるわけでございますから、これは慎重に検討いたしまして、畜産審議会の意見も求めた上で結論を出していきたいと思います。
  142. 津川武一

    ○津川委員 終わります。
  143. 澁谷直藏

    ○澁谷委員長 瀬野栄次郎君。
  144. 瀬野栄次郎

    ○瀬野委員 畜産物の価格安定等に関する法律の一部を改正する法律案について、農林大臣並びに農林省、通産省当局に質問をいたします。  本法については、いずれ本法の審議の過程で与野党合意の上で一部修正をして、四月一日から指定食肉として制度化し、発足をぜひやっていただくようにしたい、かように実は冒頭申し上げる次第でございます。  そこで、まず、最初に農林大臣にお伺いいたしますが、今回の改正により、かねてわれわれが要求しておりましたように、牛肉が豚内と同様に指定食肉に追加され、事業団の売買操作を通じてその価格安定措置が講じられようとすることはまことに結構なことで、肉用牛経営の安定的発展のために一歩前進とわれわれも評価いたしておるところでございます。  さて、農業基本法制定以来、畜産業は農業のいわゆるビッグスリーと言われ、三つの柱の一つとして選択的拡大をやってきたわけでありますが、これが今日このような大変な危機に遭遇しておることは御承知のとおりであります。そういった中で、わが国農政の中心課題となっているものは食糧自給率の維持向上を図るということで、これが問題となって、いま国会でも論議されておりますが、畜産業も、御存じのように、その基盤である飼料対策というものが広大な面積を要するということになるわけでございまして、今後畜産推進の上ではこれらが大きな重要な問題となってくることは言を待ちません。また、一方、肉用牛の経営について見れば、一昨年は諸物価の高騰によりまして牛肉消費が大幅な後退をしたことは御承知のとおりであります。  これらは今後わが国の経済の動向に大変大きな影響を与えるということで、われわれもいろいろ心配をいたしておるところでございますが、このような状況の中で今後肉用牛経営をどう考えているのか。その育成基本方針というものについて農林大臣にまず最初に見解を承って、質問に入りたい、かように思います。
  145. 安倍晋太郎

    ○安倍国務大臣 瀬野さんから、肉用牛の今後の育成方針はどうかというお尋ねでございますが、今後畜産経営の育成指導をするに当たりましては、まず、第一に、最近における飼料穀物の国際的な需給事情にかんがみまして、肉用牛については、既耕地裏作、不作付期における飼料生産、さらに山林原野等、低位利用資源の活用等を積極的に推進いたしまして、飼料の自給力を高めていくことに努力をしてまいりたいと思います。  次に、畜産物の安定供給のためには、その生産性の向上を図りつつ、所得規模をも増大をしてく必要があると考えておりまして、このために、飼料生産基盤や経営技術条件の整備を進めまして、逐次その拡大を図るなど、現実的な配慮のもとにその規模の拡大を推進していきたいと思っております。  また、従来、肉用牛飼養は、肥育素牛の供給とその肥育が地域的にも経営的にも分離して営まれていたのが一般的でございますが、また、肥育素牛の需給関係が不安定でございましたために、今後これに対処するために、牛肉価格安定制度や肉用牛価格安定基金等によりまして小牛の価格安定に務めるとともに、特に、肉専用種につきましては、繁殖と肥育をあわせて行う一貫経営や、あるいはまた地域的一貫生産体制を指導するなどによりまして、肉用牛経営の安定と発展を図ってまいりたいと考えております。
  146. 瀬野栄次郎

    ○瀬野委員 そこで、農政審議会の需給部会が一月末に示した「農産物の需要と生産の長期見通し(案)」によれば、昭和六十年を目標としましもて試算をいたしておるわけでございます。牛肉においては生産量が五十万八千トンで、一七五・二%、飼養頭数が三百三十万五千頭で、一八六・一%、豚肉についても、需要量が百三十三万五千トン、生産量が百三十二万五千トン、飼養頭数が千百七十九万頭と、こういうふうになっております。これらのパーセンテージを見ますと、確かに、豚肉、鶏肉に比して牛肉の場合は一七五・二%で、高める方針であるということはうかがい知れるわけでございます。ところが、果たしてこれで十分できるかどうか。いま大臣からいろいろ方針を述べられましたが、過去三、四回やってきておりますけれども、いままで目標を達成したためしは一度もないわけです。この目標でも達成されるかどうかということが大変心配になるわけでございますが、当局は、また農林大臣は、十分達成するという自信がおありなのか、その点お伺いしておきます。
  147. 安倍晋太郎

    ○安倍国務大臣 六十年の見通しにつきましては、中間報告におきまして農林省としての試算を出しておるわけでありますが、この見通しにおきまして、牛肉については、昭和六十年度におきまして、その需要量は六十二万五千トン程度と、食肉中最も高い伸びを示すものと見通されておるわけでございますが、これは、今後ともいままでのような高い伸びで需要が伸びるとは考えられませんが、今後やはり相当伸びていくというふうに考えてああいう数字を出しておるわけでございます。  これに対応する生産につきましては、五十万八千トン程度を目標といたしておるわけでございまして、これは今日までの畜産の、特に肉牛についての趨勢値を基準にいたしまして、今後の経済変動あるいは生活水準の伸びといったようなものも考えましてこの試算を出したわけでございますが、私たちとしては、今後飼料基盤の整備を行う、あるいは価格の安定制度を確立をしていくといったいろいろの施策を打ち立て、これを強力に実施していくことによって、六十年見通しを実現をすることは不可能ではない、必ずこれはできるものである、そういうふうな判断に立っておるわけであります。
  148. 瀬野栄次郎

    ○瀬野委員 私は、この目標を達成するためには、しっかりした価格安定を図らなければ絵にかいたもちになるというふうに指摘をしたいわけでございます。  そこで、この目標達成のためには飼料基盤というものが重要なポイントになってまいりますけれども、粗飼料の生産拡大に重点を置かれておりますが、これと今後の肉用牛の経営の育成というものとの関係でどういうふうに見通しを立てて進めていかれようとするのか、その点も明らかにしていただきたいと思う。
  149. 安倍晋太郎

    ○安倍国務大臣 この長期見通しの方向に即して肉用牛の生産の拡大を図っていくためには、いま御指摘がございましたように、この粗飼料の確保を図ることがきわめて重要でございますので、土地改良長期計画に基づく計画的な草地開発の推進、既耕地における飼料作物の作付促進及び野草資源の活用について積極的に取り組んでいくとともに、各種生産性向上の施策などの一層の充実を図ってまいりたいと思うわけであります。  五十年度におきましても、御承知のように、農用地開発公団による畜産基地建設事業を拡充するなど、農地開発事業の推進に努めることとしておるわけであります。また、既耕地における飼料作物生産の増強につきましては、従来の飼料作物生産振興対策に加えて、新たに緊急粗飼料増産総合対策と、水田裏における飼料作物生産集団育成事業を実施しておるわけであります。  このほか、肉用牛につきましては、野草資源の活用を図ることが重要であることから、林地の畜産的利用を積極的に進めるために、新たに農林地畜産利用等調査を現在実施中でございます。
  150. 瀬野栄次郎

    ○瀬野委員 農林大臣は十分承知かと思いますけれども、冒頭に、質問の一つの締めくくりという意味であえて申し上げておきますけれども、日本における肉用牛経営等の概況を見てみますと、飼養戸数は、昭和三十五年が二百三万一千戸あったものが、昭和四十年に百四十三万五千戸。それで年々減りまして、昭和四十八年が五十八万八千戸戸、四十九年は五十二万五千戸というように激減をいたしております。また、飼養頭数にしても、昭和三十五年に二百三十四万頭あったものが、四十年が百八十八万六千頭、そして四十五年以降ずっと減りまして、四十八年が百七十九万二千頭、四十九年に若干上がって百八十六万九千頭、七万七千頭の増というようなことで、これまたずいぶん激減をしてきた推移があるわけでございます。  こういったことから見まして、農林省が試算した五十七年度の食糧自給の試算から見ますと、ただいまのこの表では、豚肉、鶏肉に比して若干パーセントは多いとはいうものの、五十七年の試算に比べればかなりのダウンをしている。当局はいろいろ理由をおっしゃっているんだけれども、私をして言わしむれば、畜産に対する考え方というものが、海外依存に持っていくという考えがもともと根底にあるのではないかということが感じられるのです。そうして国内の食糧自給率を上げようとすれば、膨大な飼料を使う畜産の飼料を減らすことによって食糧自給率は数字的に上がってくるということで、巧妙にこういった操作がなされているというように私は見ているのであります。  そこで、五十七年度試算から見ると、今回はこれを低く抑えてあるというように判断されるのですが、それに対する見解はどういうようにお持ちであるか、あえてお聞きをしておきたいと思うのです。
  151. 安倍晋太郎

    ○安倍国務大臣 肉牛が昭和三十年代から今日に至るまで減ってきたということにつきましては、一つは、三十年代から四十年に至るまでの間に、わが国の役牛が農業の近代化に伴いまして飼養されなくなったということがやはり大きな原因でもあるわけでございますし、また、畜産農家戸数が減ったということにつきましては、飼育の単位が多頭飼育にだんだん移ってきたというふうなこともあるわけであります。同時に、また、農家の収益性にも問題があることも否定できないわけでございますが、私たちは、今後とも世界的に牛肉の生産が十分期待することができないというふうな中にあって、わが国の牛肉生産を高めていかなければならぬ。そのために、いまさつき申し上げましたような万般の対策を今後とも講じていこうというわけでありますが、六十年見通しが非常に低い見通しに抑えておるのではないかというお話しでありますが、しかし、これは、今日のわが国の生活水準、牛肉に対する需要から見まわして、わが国の今日の生活水準は西洋的な水準に近い水準に達してきておる。ですから、今後の畜産物に対する需要の伸びというものはそう急激に伸びていくわけではない。そういう段階において、わが国のこれからの畜産の伸びも、やはり、安定成長という路線をとっていくことが需要に対応した生産のあり方であるというふうに考えまして、そういう立場から六十年における試算をはじき出しておるわけでございます。  しかし、それにいたしましても、六十年目標を達成をするためには、今後とも相当政策を強化していかなければこの六十年見通しを達成するということもなかなかむずかしいというふうに考えておるわけであります。
  152. 瀬野栄次郎

    ○瀬野委員 以下、法案の部分的な問題に入ってまいりたいと思います。  まずお伺いしたいことは指定食肉の問題でありますけれども、今回の法案提出に当たりまして、牛肉価格の安定方策として、指定食肉方式のほか、基金方式とか不足払い方式等があるわけですが、こういった中で政府は各種制度の検討をされてきたわけでありますけれども、指定食肉方式をどうして採用されたか、その理由をまずお答えをいただきたいと思います。
  153. 澤邊守

    ○澤邊政府委員 価格安定を図りますためには、事業団買い入れ方式以外の方法も抽象的には考え得るわけでございまして、われわれも、今回の法案を提出する前に、どのような価格安定制度がいいかについて種々内部で研究、討議をしたわけでございます。その際問題になりましたところの、考え得る案といたしましては、二つありまして、現在提出しております畜産振興事業団による売買操作の方式と、それからもう一つは不足払いの方式があるわけでございます。一種の不足払いの変形のようなもので、民間の自主的に積み立て補てんを行う基金制度のようなものもございますけれども、大きく分ければその二つじゃないかというふうに思うわけでございますが、不足払い制度をとらずに指定食肉制度をとった理由の一番大きなものは、われわれといたしましては、牛肉について自由化すべきではない、自由化を誘発するような制度を設けるべきではないという点が一番大きなポイントでございました。  豪州その他輸出国も、日本に対して輸出を増大するために、かねてから、日本は自由化をして不足払いをやることによって生産者の所得を支持すればいいではないかというような言い方をしてわが国に数回迫ってきておる事実は御承知のとおりかと思います。したがいまして、不足払いをやりますれば、いままでの経過から言いますと当然に自由化論議を誘発するという点を非常に心配しておるわけです。この点につきましては、大臣から他の委員の御質問にお答えいたしましたように、日本の肉牛経営の現状からいたしまして、自由化をすることは絶対避けるべきであるという方針をとっておりますので、そのような自由化を誘発するような制度はとるべきでないということが基本でございます。  その他不足払いにつきましては、牛肉の流通段階が、御承知のように、農家の生産段階から中央卸売市場までの段階に家畜商の手を何段階も経るような形態がまだ相当残されております。したがいまして、市場価格を基準にいたしまして不足払いをするといたしまして、だれに不足払いをするのか――家畜商に不足払いをするというケースがかなり出てくる。その場合、二段階、三段階を経て出荷してきたものが市場段階で不足払いを仮りにするといたしまして、生産者までその不足払いの補てん金が確実に手渡されるかどうかという保証を持ち得ないというような点、また、技術的な問題でございますけれども、不足払いを実施いたしますためには、牛乳の場合あるいは大豆の場合と同じように一元集荷機構がどうしても必要になると思います。少なくとも県単位における一元集荷、全国的な一元集荷が一番望ましいわけでございますが、そういう一元的な集荷機構が生産者団体を中心にして成り立っておるということが前提とならないと、技術的な問題として、金を交付するというのは非常に困難でございます。そういう点で、豚肉以上に、牛肉につきましては、農協等の生産者団体によります一元集荷機構というものは現在できておりませんで、十分に支配力を持っておらないというような点、これらの諸点を考えまして、畜産振興事業団による豚肉と同様の売買を通ずる価格安定制度が適当であるというように判断したわけでございます。  ちなみに、自由化との関係を申し上げれば、畜産事業団によります買い入れ、売り渡し制度をやりながら自由化をするということは制度的に矛盾をするわけで、これは両立し得ないという点からいたしましても、畜産振興事業団による価格安定制度というものは自由化との関連を断ち切ることができるのではないかという点も考慮いたしまして、指定食肉制度をとることにしたわけでございます。
  154. 瀬野栄次郎

    ○瀬野委員 後々いろいろ関係が出てくるわけですけれども、順次お伺いしてまいりますが、牛肉の広域流通ということが大変重要な問題であります。  その点でちょっとお伺いしておきますが、この牛肉の広域流通ということと指定食肉制度がどう機能するかということを私は伺いたいわけですが、私のところでは、御存じのように、北海道に次ぐ、第二の北海道という阿蘇地帯があります。これは熊本、大分、宮崎県にまたがった広大な草地があるわけですが、ここで大規模の畜産経営をしている人もたくさんあるわけです。そこで、たとえば熊本から東京へ生きた牛を運ぶということになりますと、一割ないし三割目方が落ちるわけです。空間的にもロスが大変あるわけでございます。大型トラックで運んでも七頭ぐらいしか運べない。現在熊本では消費は限られておりますから、大阪、東京へ運んでつぶしているわけでございますが、目減りで損をするということになるわけでございます。牛肉は、いわゆる地域格差があってはならぬと私は思うわけです。生産するための飼料はみんなどこでも同じであります。一キロの肉をとるのに七キロ食べさせるということが普通常識的に言われておりますが、そういったことから考えてみますと、どこで牛を屠殺しても、いわゆる一物一価で、どこででもこれは出せるというようにすべきではないか、と、かように私は思うわけです。熊本でつぶした肉を大阪、東京へ出荷できるということが望ましいのじゃないか、これが当然ではないか、こういうふうに思うのですが、その点は本案審議に当たってあえてお伺いしておきますが、当局はどういうふうに検討しておられますか。
  155. 澤邊守

    ○澤邊政府委員 牛肉の広域流通の問題でございますが、ただいま例として御指摘になりましたところの、九州地区から大阪なり関東まで運ぶということは、従来は生体の形で輸送して、消費地の中央市場で屠場も併設されておりますから、市場内の屠場において屠殺、解体をして枝肉として販売をするという形態が多かったわけでございますが、やはり、御指摘のような目減りの問題もあり、その間に病気になるということもございますし、輸送費がかかるという問題もございますので、流通の合理化という面からいたしますと、産地において屠殺、解体をして、冷蔵肉として消費地市場に持ってくるという形態が望ましいということで、われわれはそのような方向にかねてから指導しているわけでございますが、そのためには、産地にりっぱな近代的な屠殺、解体施設ができるということが必要でございますので、地方事情の整備を進めるとか、施設を整備し、あるいは市場化するとか、それで公正な取引をやるとかいうことも含めまして、さらに市場内の屠場を、通称食肉センターと言っておりますけれども、規模を大きくして、近代的な能率的な屠殺、解体ができ、しかも冷蔵庫も付設いたしまして、出荷の調整もある程度できるというような施設を設置することに対しまして助成をしてきたわけでございますが、五十年度から新たに食肉総合流通体系の整備ということで、従来の食肉センターをさらに大型にし、しかも、単に枝肉にするだけではなしに、部分肉にまでして消費地の中央市場に出荷をするというようなことを奨励するために、計画的に助成をする予算をお願いしておるわけでございます。  そのような形で流通の近代化に資していきたいというふうに思っているわけでございますが、中央市場の主要なところにつきましては、現在すでにかなり枝肉出荷がふえております。産地で屠殺をして、枝肉という形で出荷されるものがふえてきております。従来は、生体で消費地へ持ってまいりまして、そこで屠殺、解体をして、いわゆる温屠体取引をする、屠殺した直後の温かい枝肉を販売するというような習慣があったわけですが、現在は、冷屠体取引と言いまして、生体で持ってきて消費地でつぶしたものでも、一日冷蔵庫に入れておいて、冷却したところで、品質が的確に判断できますので、それから売る、つまり、冷屠体にした上で競りを行うというようにだんだん変わってきております。したがいまして、産地で屠殺、解体したものが不利な取り扱いを受けるということがほとんどなくなりつつありますので、そのような方向で産地に施設を整備するということに従来以上に力を尽くしていきたいと思っております。
  156. 瀬野栄次郎

    ○瀬野委員 現在、牛肉の規格については、日本食肉格付協会が、和牛、乳雄及び乳廃牛等を区別せずに、一元化された六段階で規格を設定しておるわけですが、農林省は、この規格に基づき、事業団の買い入れ対象として、去勢和牛の中規格並びに乳用肥育雄の中規格を考えておられますが、この二つに限定した理由といいますか、根拠をまずお示しいただきたい。
  157. 澤邊守

    ○澤邊政府委員 事業団の買い入れによりまして市場価格を支持するわけでございますが、その場合、牛肉全体の価格を安定させるという目的に役立つためには、どのような種類の牛肉のどの規格の部分をやれば十分であるかという観点から指定の範囲を決めるべきだと思っておるわけでございますが、そういう観点からして、考慮すべき事項といたしましては、出荷される、上場される牛肉の中でかなりのシェアを占める牛肉の種類、規格を対象とすべきではないかということ、しかも、単にシェアが大きいというだけではなくして、他の牛肉、牛肉全体の指標的な役割りを持っておる牛肉の種類、規格を指定すべきではないかということ、第三点といたしましては、特殊な高級肉だとか、あるいは特殊な雑肉といいますか、低級肉というようなものは買い入れの対象にするのは必ずしも必要ではない、やはり、一番普遍的といいますか、一般大衆が利用する標準的な食肉を対象にすればいいのではないかという点、それからもう一点、第四点といたしましては、肉牛経営はまだおくれた面がございまして、今後改良すべき余地がかなり残っておりますし、肉質におきましても、今後さらに改良しなければならないという余地がかなり残っておりますので、そういう改良の芽を摘むような規格を対象にいたしまして買い入れをすべきではないということ、こういうことでありまして、これは豚肉の場合も同じでございますが、豚肉については「上」でやっておりますけれども、中肉をやらないというのは、努力をして良質の上肉をつくってもらいたい、生産者にそれだけの努力をお願いをしたいという考えがございまして、中肉は外しておるというのもそれが一つの理由になっております。牛肉についても同じような考慮があってしかるべきではないかというように考えます。  それらの四点ばかりを総合勘案いたしまして、現段階といたしましては、和牛の「去勢の中」と乳牛の「去勢の中」を対象にしてはいかがかということでわれわれは検討しておりますけれども、最終的には振興審議会の御意見も伺った上で決めて、省令を定めたいというふうに考えております。
  158. 瀬野栄次郎

    ○瀬野委員 審議会の意見を聞いていろいろ定めるということですが、限定したということについて、これはいろいろ見方はありますけれども、どうして二つに分けたかということです。結局、牛肉は一本ではないかと言いたいわけですね。価格差が消費者にあらわれないというところが問題になるわけでございますが、たとえば百グラム九十五円で売っていたとすると、高くて百三十円であるのに、小売りで二百円になる。こういうふうになった場合に、消費者はそういったことはわからないわけですね。肉は一本ですからね。二つに分けるということは、どこかで化けるといいまずか、消費者に対してごまかしが行われるというようなことにもなってくると思うのですが、これについては後でいろいろと関連して質問することにしておりますけれども、その点は農林省はどういうふうに検討しておりますか。
  159. 澤邊守

    ○澤邊政府委員 畜産振興事業団の売買操作によって価格安定を図りますのは、直接的には卸売価格でございます。中央卸売市場その他において形成されます枝肉の卸売価格を安定させる。もちろん、それを通じて小売価格の安定にも役立たせたということでございますけれども、ただいま御指摘のありました末端の小売におきます精肉の販売の形は、いろいろな肉をまぜておるという実態が現在はあると思います。したがいまして、消費者保護といいますか、わかりやすくたるためには小売の規格を定めるということが一つの懸案になっております。ただ、これは技術的になかなかむずかしい点もありますほか、果たしてつくって守られるか、守られるのを監視できるかというような技術的な問題がございます。そのような問題が小売段階でありまして、これは今後の検討事項だと思っておりますが、今回の安定制度におきましては小売段階まで直接やるわけではございませんで、中央市場におきます卸売価格は、現在食肉格付協会が行っております六段階の格づけによりまして取引が行われておりますので、卸売段階におきましてははっきりと規格を明示して取引が行われておりますので、混乱するようなことはないと思います。
  160. 瀬野栄次郎

    ○瀬野委員 では、このような格づけで牛肉価格全体の安定が図られるというふうに考えておられるのですか。
  161. 澤邊守

    ○澤邊政府委員 先ほど申し上げましたような四つの観点を総合勘案いたしまして、現在のところは、和牛の「去勢の中」と乳牛の「去勢の中」というものを対象にしておりますが、これは全体の牛肉の中で二〇%ないし二五%のシェアを占めるというふうに考えております。  先ほど来種々御意見がありますように、乳廃牛について、あるいは乳牛の雌について、あるいは外国種について対象に加えるべきだとか、あるいは同じ和牛、乳牛の「去勢の中」であっても、「中」だけではなしに「上」をも含めろとか、あるいは「並」を含めろとか、種々の御意見がございますけれども、標準的な二つの種類「中」について価格を安定させるならば、間接的な効果といたしまして、他の種類、規格の牛肉の価格もかなりの程度安定できるのではないかと考えておるわけであります。
  162. 瀬野栄次郎

    ○瀬野委員 これに関連してつけ加えてお尋ねしておきますけれども、岩手県に日本短角種がおりますが、これは指定食肉に入るのかどうかということと、それから輸入品種のヘレフォード、これは外されるような話も聞いておるわけですけれども、これも指定食肉に入るのかどうかということをお伺いすると同時に、いずれにしてもこういったいろいろな品種があるわけでございますけれどども、具体的にはどの程度指定になるのか、品種はどういうものが考えられておるのか。また、やり方は省政令でやれるのではないかと思いますけれども、その点について、要点のみで結構ですから、簡潔にお答えいただきたい。
  163. 澤邊守

    ○澤邊政府委員 先ほど申しましたように、和牛の「去勢の中」と、乳牛の「去勢の中」というのを一応いま想定をして検討しているわけでございますが、和牛といいますのは、いわゆる黒毛和種黒牛というものと、赤毛和種、赤牛、これは熊本に多いわけでございますが、これらはいずれも和牛に入りますので、その「中」の規格のものは当然対象にする。  それから、御指摘のございました東北地方の北部に多い短角牛、これは和牛の中に入りますので「中」は対象にしたいと考えております。  なお、中国地方の一部に無角牛というのもございますが、これも和牛の中に広く含めておりますので、これも対象にしていって差し支えないと思  いますし、これまでの価格の動きを見ましても、大体和牛の標準的な動きをしておりますので、対象にすべきではないかというふうに考えております。  外国種につきましては、ヘレフォード、アバディーン・アンガス、シャロレーというのが現在主として入っているわけでございますが、これらにつきましては、なお市場における価格の評価が定まっておらないこと、生産費調査がないこと、価格自体が幾らかということのデータが十分に整備されてないというようなこと、あるいは飼養管理技術につきまして、今後なお改良すべき点が非常に残されておるというような諸点がございますので、いま直ちに指定食肉として対象に加えるのは時期尚早ではないかという意見が現在のところ強いわけでございますが、この点はなお慎重に検討いたしまして、最終的には審議会の御意見も十分伺った上で決めたい。決める形式といたしましては、現在提出をしております改正法案におきましては省令によって指定をする。したがいまして、法律改正を要せずして、必要になれば後から追加してやるという余地も残しながら検討してまいりたいと思います。
  164. 瀬野栄次郎

    ○瀬野委員 日本食肉格付協会は民間ベースでありますが、国みずからがこれに取り組んで行うべきであると私は思うのですけれども、その点はどういうふうに検討されましたか。
  165. 澤邊守

    ○澤邊政府委員 今日、国自身が直接やるというのももちろん一つの方法かと思いますが、これは三十六年か三十七年からだったかと思いますが、日本食肉協議会が――これは民法に基づきます公益法人でございますが、これが規格を定め、それを農林大臣が認可いたしまして――これは法律に基づく認可ではございませんけれども、事実上指導、認可をいたしまして、公正な規格を定め、協会の格付員が主要な中央地方市場に、あるいはさらに市場外の食肉センター等に配置されまして格づけをやってきておりまして、格付率、受検率も順次非常にふえてまいりまして、牛肉につきましては現在二九%ぐらいになっております。しかしながら、日本食肉協議会は、生産者団体も一部入っておりますが、どちらかと言えば、主として流通関係の業者の総合団体でございますので、格づけは中立の、第三者的な機関によって公正にやるべきであるということから、先般、二月の初めでございますが、組織がえをいたしまして、日本食肉協議会から分離して、新たに日本食肉格付協会というものをつくりまして、これは生産者団体、県、それから畜産振興事業団も出資という形で参加をしまして、より中立的な第三者的な協会をつくりまして、それに規格なり格付員を全部移しがえをいたしましたので、従来以上に公正、厳正な格づけができる体制ができましたので、これに対してさらに格付員の増員等も将来にわたっては考えまして、一層体制を整備して適確な格叩けをやるようにしたいと思います。
  166. 瀬野栄次郎

    ○瀬野委員 政府が提出されましたこの資料によりますと、種類別、規格のシェアが、過去六年の分が出ておりますが、成牛で全国屠殺頭数を見ますと、乳廃牛の四十九年度のシェアが三六・七%、これが一番多いわけです。さらには、中央市場及び指定市場計を見ましても、去勢和牛の場合は、「中」規格が五〇・九%で半分以上でありますが、乳用肥育雄牛の「中」規格を見ますと、三九・四%、「並」は五二・五%、いわゆる「並」が相当多い。半分以上であるわけです。  そこで、結局、「中」規格に限定されますと、特に乳雄の場合は、「並」が五二・五%もありますから、めんどうを見ないとこれは相当買いたたかれるということで、ぜひこれも入れるべきであるというふうに私は思うわけですが、この点についてはどう検討しておられますか。
  167. 澤邊守

    ○澤邊政府委員 シェアの大きいものを買い入れの対象にすべく検討しておるということは申し上げましたけれども、その点では確かに御指摘のように、和牛につきましては「中」が五一%ということで、四十九年度におきましては最大のシェアを持っているということでございますが、乳用肥育雄牛につきましては三九・四%ということで、「並」の方が五二%と大きいではないかという御指摘かとも思いますが、四十八年をごらんいただきますと、逆転をしておりまして、その前の年も逆転をしておるということで、必ずしもいつも「並」が多いというわけではございません。  四十九年になぜこんなに「中」の比率が減ったかという点につきましてはいろいろ検討しておるわけでございますがやはり、価格が暴落をするときはどうしても肉質が落ちるということでございます。えさが高くなったこともございますし、価格が低落しますと、どうしても農家における肥育意欲が低下をいたしますので、えさを十分やらないとか、飼養管理が粗暴になるというようなことがございまして、肉質が低下したというような点が主としてその原因ではないかというように考えております。  四十五年からずっとならしてみますと、どちらかと言えば「中」の方がやや多いということでございますし、さらに、乳用肥育雄牛の肥育というのはここ数年来急速に伸びたものでございまして、肥育の方法、技術等についてまだ相当改善すべき点がございますので、先ほど言いました肉質の改良の支障にならぬように指定食肉を決めるというような観点も含めますと、やはり「中」の方がいいのではないかというように判断をしておるわけでございます。
  168. 瀬野栄次郎

    ○瀬野委員 そこで、乳廃牛が三六・七%のシェアを占めておりますが、全国の屠殺頭数を見ましても、乳廃牛というのは「並」と「等外」が一番多いわけです。安くなったときには必ずこれは買いたたかれる。物が悪い物はまた特に安くたたかれるということになる傾向があるわけです。  そこで、今後日本の酪農というものがだんだん進んでいくということになりますと、ますます乳廃牛というのは多くなってまいります。そうなりますと、やはり価格が下がっていく。「下」の方、いわゆる「並」以下は大変買いたたかれて、畜産農家も打撃を受けるということになる。この点は十分ひとつ慎重に検討してもらいたい、かように私は思うわけです。  そこで、この乳廃牛というのは何を基準にして決めたかということを、素朴な質問ですけれども、私はあえてお聞きしたいのです。
  169. 澤邊守

    ○澤邊政府委員 乳廃牛という言葉は的確かどうかわかりませんけれども、これは酪農経営の副産物として、それ自身の生産を目的として生産される肉牛ということで、そのような言葉を使っておるわけでございます。  御承知のように、酪農の場合、搾乳がもちろん主目的でございますので、搾乳牛の耐用年数が終わりますと廃用するわけでございますが、一般には、搾乳をやめればすぐにそのまま肉として出荷をするので、当然、肉質としては余りよくはないという場合が多いわけでございます。もちろん、例外的には、濃厚飼料を給与いたしまして、一定期間肥育をした上で出荷するというものもございますけれども、やはり、主目的はあくまでも搾乳でございますので、そのまま出荷すると、肥育するといたしましても、一般の肥育専用の肉用牛に比べると肥育の飼養期間は非常に短いというような点が一般に見られるわけでございまして、そういう意味で副産物的なものだということで、搾乳牛として廃用したものが出荷されるという意味で、乳廃牛ということを俗に言っておるわけでございます。
  170. 瀬野栄次郎

    ○瀬野委員 農林大臣、大事なところだからあなたにお聞きするので、ここのところはよく聞いておいてくださいよ。こういったところを認識から本当に変えなければならぬと思いますので、こういった質問をしておるわけです。  局長は、酪農は乳が主体であるから、母体は副産物だというような意味のことをおっしゃっておりますけれども、乳廃牛というふうに言うから実は卸業者から買いたたかれるのだというふうに私は言いたいわけです。生産者の立場になってみれば、こんなことは言ってもらいたくない、と、私はこう叫びたいのです。  そこで、ヨーロッパなんかでは、乳・肉兼用に改良してどんどんやっているわけです。日本はずいぶんおくれておりますので、こういったことも今後農林省としても十分検討してください。若手職員も、意欲を燃やしておる職員もおるわけですから、どうか検討してください。そして、日本においてもこういったことを導入するのか、指導するのか、どうするのかということを検討してもらいたい。これは一つの問題であります。  これはきょう議論すると時間がかかりますので、問題を提起しておくという程度にとどめますが、本法提案に当たって申し上げたいことは、和牛も、乳雄も、乳廃牛も、すべて牛肉なんですね。消費者が買うときには、これは乳廃牛の「中」ですとか、これはいわゆる乳雄の「中」ですとか、あるいはこれは去勢和牛の「中」ですとか、そういう印は何も書いてないわけです。そういったことから見ると、これはまことにおかしな話であります。要するに、すべて牛肉は一本なんですね。だから、規格は一本化したらどうかというふうにも考えるわけですけれども、その点は、農林省では、大臣を初めどういうふうに検討して本法提案になったのか。全国畜産農家のために、本法審議に当たって明快にお答えをいただきたい。
  171. 澤邊守

    ○澤邊政府委員 現在、日本食肉格付協会が格づけする場合の規格は、実は、全牛肉を通じて一本で決めておるわけでございます。一本でございますけれども、実際の取引慣行、市場におきます評価は、和牛の場合と乳牛の場合、それから乳牛であっても雌の場合と雄の場合、和牛も雌の場合、雄の場合というふうに違うわけでございます。そういう規格は一本であるけれども評価が違うという慣行的な事実を無視するわけにはいきません。その間に価格差があるわけでございますので、われわれといたしましては、その慣行という事実の上にたって指定食肉も決めていっていいのではないかというふうに考えておるわけであります。
  172. 瀬野栄次郎

    ○瀬野委員 局長、あなたも十分承知だと思うけれども、乳廃牛といっても、市場で取り扱われるときには、結局これは乳雄として取り扱われるという結果になっているわけですね。いろいろと局長はおっしゃるけれども、まことにおかしいことになるわけですけれども、その辺はどうですか。市場で扱うときにはそういうふうになっておりますがね。
  173. 澤邊守

    ○澤邊政府委員 乳廃牛と言いますのは、通称慣行的に使っておる言葉だということを申し上げましたけれども、市場におきましては、やはり、格づけをしましたものを、さらに現物を買参人が見た上で競りに参加をして値をつけるわけでございます。それで、現在、東京の食肉中央市場その他で毎日の成立いたしました価格を発表いたしておるわけでございますが、その場合には、いわゆる乳廃牛というものは乳雄の中に入れておるわけでございます。乳雌と言いますのは、乳廃牛のほかに種雌といったようなものも実は入るわけでございます。それの廃用牛というものも入るわけでございまして、必ずしも、われわれがここで申し上げておる搾乳を終わった乳廃牛だけではございませんし、さらに、その中には、乳牛の雌を肥育したもの、乳雄と同じように、子供が生まれたものを肉用に肥育したものも含まれておるわけでございます。これが肥育が行われておりますのは、御承知のように、酪農の場合、搾乳業の後継牛は経営の中で育成をするわけでございますが、経営規模を同じ規模で継続するためには、二頭に一頭は雌が生まれるわけでございますけれども、その雌を全部後継牛として育成する必要は必ずしもない。規模を拡大する場合は必要でございますけれども、規模が大体横ばいでいく場合にはそこまで必要がないために、雌についても肥育に回すという場合があるわけでございます。そういうものも全部突っ込みで乳雌の価格ということで現在発表されております。その点、確かに問題と言えば問題があるかと思いますけれども、現在まではそのようなことになっておるわけであります。
  174. 瀬野栄次郎

    ○瀬野委員 局長も、この点問題と言えば問題と言うが、問題なんです。  それで、大臣にこの問題の締めくくりでお尋ねしますが、乳廃牛ということで言われるものだから買いたたかれる。その基準が、乳廃牛というのはどこで乳廃牛という区別があるのかというと、これはなかなかむずかしい問題だけれども、こういったことに対しては実に私は憤りを感ずるわけです。欧州なんかではもう普通どおり扱っておりまして、日本なんかでも区別するのはおかしいじゃないかとわれわれは思うわけです。こういったことを言うからますます業者に取り入れられて、生産者は損するばかりである。飼養でずいぶん高くなって生産に苦労しているのに、こういったことでさらに損をするということで、いわゆる生産者はもうトリプルパンチを受ける。  そこで、牛肉は一本化すべきだということをいま申し上げてまいりましたが、実際に小売りの段階では差別はないわけですね。乳廃とか乳雄ということで区別して売っておるわけではございません。そこで、さらに十分大臣も知っておいてもらいたいのですが、神戸牛だとか近江牛だとかいろいろ言われますけれども、あんなにたくさんの牛がそこで生産されるわけではないのです。熊本や東北あるいは沖繩から来た牛がその地で数ヵ月肥育されて、これが近江牛あるいは神戸牛というふうに言われてきているわけです。牛肉規格の幅というものは一本でよいと私は思うわけです。そういったことによって生産者に対しても大変損をさせる問題があるわけですけれども、これについては農林省は十分検討してこられたと思うし、局長もいまいろいろ答弁しておられたが、大臣としても、これについては、審議会の答申を得て、今後さらに十分検討していかれるわけですが、心にとどめて検討してもらいたい。大臣の所見を承っておきたい。
  175. 安倍晋太郎

    ○安倍国務大臣 私も、先ほどからお話しがございました乳廃牛というのは余りいい言葉ではないと思います。小売りの段階で区別がない。消費者の対応によりましていろいろと小売り業者が規格を決めておるわけでありますが、これは卸の規格がそのまま反映していないという問題はあると思うわけで、外国なんかの例を聞いてみますと、卸の段階の規格というものがそのまま消費の段階にも反映されているということになって、それで適正な価格形成ができるということにもなるわけでありましょうが、わが国の場合はそういう点で問題があることは事実ではないだろうかと思います。  ですから、そういう点については、先ほども局長からも答弁がありましたように、われわれとしても、生産から卸、小売りの段階におきましてもある程度の統一的な形がとられていくということが好ましい形ではないだろうかと思いますし、そうすることが消費者にもこたえることになっていくわけでありますし、また、生産の意欲というものを向上させるゆえんにもなっていくであろう、そういうふうに思うわけであります。
  176. 瀬野栄次郎

    ○瀬野委員 これは局長にお伺いしますが、規格の問題でお伺いしたい。  現在は肉質中心でやっておりますけれども、私は形が問題だと思うわけです。御承知のように、解体するときに胴割りを五と六で脊椎で切っております。霜降り、別に言う「サシ」というのが出るのですが、この出方が違うので、いまは五と六の間で切っているわけですけれども、大きさが全然違うということが言われています。脂肪が大きく出て赤身が少ない。これが上質という考えでいまはやっておりますけれども、消費者の嗜好というものが赤身を好むというふうな嗜好にだんだん移ってきつつあることは御承知のとおりです。  そこで、若干関連してお聞きするわけですが、問題はこの胴割りの問題で、十ないし十一ぐらいでこれを胴割りすれば本当は一番いいのだということがよく言われております。ちょうど四等分に切れると赤身が出てくるということになるわけですが、その点は本法提案に当たっていろいろ検計されたと思うのですが、この機会にお伺いして溶きますが、どういうふうに見解をお持でありますか。
  177. 澤邊守

    ○澤邊政府委員 枝肉のカットの仕方の問題についての御質問でございますが、これはそれぞれの都市、市場におきます習慣によりまして、実は必ずしも統一をされておりません。部分肉規格というものを日本食肉格付協会もつくっておりますけれども、これの普及度は必ずしも余り進んでおらない。今後の流通改善、流通近代化のためには、部分肉の規格を信用のあるいいものに直して、それが実際に行われるということを通じて公正な取引が行われるように指導してまいりたいと思います。  現在のところは枝肉の格づけがだんだん進んできたという段階にとどまっておりますので、今後の問題としては、部分肉の規格をもう一回見直して適正なものをつくり、それに基づく格付率が上がるというようなことが進んでくる必要があると思います。  これは長い間の習慣がございますので、東京と大阪の場合はカットの仕方が違うという徴妙な差がございまして、これはこうすればいいんだということで一気に直るというものでもなかなかございませんけれども、やはり、先ほどお話しのございましたような牛肉の広域的な流通、しかも、屠殺、解体したものの枝肉なり、あるいはさらに進んでは部分肉の全国的な流通ということになりますと、全国統一の部分肉の規格が設定されるということが望ましいわけでございますので、畜産振興事業団がもし買い入れでもしますれば、それを売り渡す場合には、同じ規格のものを枝肉として買い入れて、それを同じ規格でカットして全国に流すことになりますので、通常におきます部分肉のカットの仕方、整形の仕方等につきましても統一できるように持っていく必要があるというふうに考えております。
  178. 瀬野栄次郎

    ○瀬野委員 時間の関係がありますのではしょって要点をぽっぽっと聞いてまいりますので、ひとつ簡潔にお答えいただきたい。  枝肉の問題が出ましたので、これまたこの機会にお伺いしておきたいのですが、枝肉の歩どまりですけれども、これは御承知のように生体重と屠体重とあるわけです。これが規格に入っていないわけですけれども、オランダとかベルギーあたりでは五八%ぐらいで抑えておるようです。日本は現在規定はないので、五〇%そこそこということが言われておるのですけれども、地域によっていろいろ格差はあるにしても、日本でもこれを入れるということが当然じゃないかと言われておるのですが、その点はどうですか。
  179. 澤邊守

    ○澤邊政府委員 生体から枝肉への歩どまりでございますが、日本の場合は約七割でございます。これは厳密に言いますならば、個体ごとに全部違うわけでございますので、標準的に言われますのは七割ということになっております。現在の規格の中にはその歩どまりまでは入っておりません。歩どまりは量に関連するわけでございますので、肉の質だけを規格の中身としておるということでございます。
  180. 瀬野栄次郎

    ○瀬野委員 さらに、この規格の適用で温屠体と冷屠体の二つがあるわけですけれども、先ほど局長からもこのことについて若干触れられましたが、どちらでやるのかということを念を押しておきたいわけであります。  現在はほとんど温屠体でやっているのじゃないかと思うのですが、実際には、冷屠体、すなわち一昼夜冷やすということでやるのが当然であると私は申し上げるわけです。水引き制度で三百キログラムの五%となると、仮にそういう計算をしますと十五キログラム引かれてしまう。そうすると、キログラム千五百円ということになりますと一万五千円ぐらいの損になるというようなことで、これもいろいろ問題があるわけです。生産者に対する立場から、当然これは冷屠体でいくべきであると思うのですが、その点明快にお答えいただきたい。
  181. 澤邊守

    ○澤邊政府委員 非常に御専門的な御質問でございますけれども、われわれは、かねてから、牛肉につきましては、従来の温屠体取引から冷屠体取引に移行すべきであると考えておりまして、それが産地で屠殺、解体をして枝肉を出荷するということにも役立ちますし、さらに、枝肉の格づけが温屠体よりは冷屠体の方がやりやすい、品質を見やすいという面がございます。  御指摘がございました水引率はいろいろ問題になりますので、冷屠体になってから――温屠体取引の場合に水引率というのが問題になるわけでございますので、冷屠体になってから、一日冷蔵庫の中に入れて冷却してから品質を的確に判断して売買を行うと水引き率の問題も出ないわけでございますので、そのような形での取引が好ましいということで、それを促進するために、消費地の中央市場におきます冷蔵庫を拡充したり、それに対しまして援助するというようなことをやって、物的に必要な施設の整備を進めているわけでございますが、ただ、現状におきましては、全部が全部冷屠体取引になっておらないわけでございますので、冷屠体取引を促進することは、それはそれとして進めながら、現実に買い入れをする場合には、温屠体しかできないところ、そういう習慣よりほかはないところにつきまして、一気に、この際冷屠体でなければ事業団は買わないということにするのもいかがかという気がしますので、温屠体のものも含めて買い入れはしたいというふうに考えておりますが、一般論といたしまして、冷屠体取引が一層普及するように指導なり援助をしていきたいと考えております。
  182. 瀬野栄次郎

    ○瀬野委員 これも農林大臣によく承知しておっていただきたいことですが、先ほどの胴割りの問題ですけれども、五ないし六にカットしますと、冷屠体としてはなかなかやりにくい、無理をするわけでございます。そこで、十ないし十一でやると枝肉の値が上がる。いわゆる目に見えないところで生産者が損をしないことになる。これが五、六でやられますと、どうしても生産者の損になる。こういうことでございますから、生産者擁護のためにもこういったことを十分検討していただきたい。すなわち、結論として言えば、十ないし十一で胴割りをして、冷屠体で、しかも広域流通にすれば一番よいというふうに私は言いたいのであります。そういったことを十分検討してもらいたい。  さらに、これに関連して格付料のことでちょっとお伺いしておきますけれども、現在格付料は生産者だけが取られておりまして、流通業者の方からは取っていないが、これに対してはどういう考えでございますか。
  183. 澤邊守

    ○澤邊政府委員 これは委託販売をする場合が多いわけでございますが、販売の前に格づけを行うわけでございますので、やはり、出荷者が自分の販売をする商品の格づけはみずからやって、みずからやらない場合にはみずから受けて出荷をするというのが普通の場合でございますので、そのようなルールで現在は出荷者が負担をしておるということでございます。
  184. 瀬野栄次郎

    ○瀬野委員 時間が迫ってまいりましたので次の問題に入りますが、牛肉の安定価格の問題で、これについては農林大臣が毎年度畜産振興審議会の意見を聞いて定めるということになっておるわけですけれども、今後、畜産の目標に向かって、先ほど冒頭申されたような決意をもって進もうとすれば、生産費及び所得補償方式によって今後やらなければ畜産の振興はなかなかできないというふうにかねがね私は主張しておるわけですけれども、その点について政府のお考えをさらにお聞きしたいと思います。
  185. 安倍晋太郎

    ○安倍国務大臣 農産物についてはそれぞれ商品の特性というものがございますし、あるいはまた、生産、流通の事情も違うわけでございます。牛肉の場合においてもそういうことが言えるわけでございまして、そういうふうな観点からいたしましても、今日、牛肉につきまして生産費所得補償方式を採用するということはいかがかと私は考えておるわけでございまして、やはり、牛肉の持つ特性、あるいはまた生産、流通の事情というものを十分考えながら再生産を図っていくという見地に立って安定価格が決められるのが筋ではないだろうか、こういうふうに考えておるわけでございます。したがって、生産費所得補償方式を採用するという考え方は持っておらないわけでございます。
  186. 瀬野栄次郎

    ○瀬野委員 そうしますと、大臣、結局、政府としては常識のおもむくところ生産費方式をとるというようなことになるのじゃないかと思えてしようがありませんが、そういったことでは結局生産さえ償えばいいということになるわけで、農家は意欲が起きない、こういうふうに私は言いたいのであります。再度見解をお聞きしたい。
  187. 安倍晋太郎

    ○安倍国務大臣 今度の価格を決めるに当たりましては、生産費の調査等もまだ十分でないわけでございます。しかし、再生産というものはやはり確保するという形において決めなければなりませんので、これは十分慎重に決定をしていく、さらに、また、畜産振興審議会の意見等も十分配慮して決めていくということであるわけでございまして、私たちとしてはそういう立場でこの安定価格を決めて、そして、今後とも肉牛の経営が安定をしていくという道をこの価格によって切り開いていきたい、こういうふうに考えるわけでございます。
  188. 瀬野栄次郎

    ○瀬野委員 次に、牛肉の買い入れ方法についてお伺いしますけれども、肉用牛の流通について見ますると、現在、系統農協を通すものが約三割、残り七割程度が家畜商等の手にゆだねられているということで、本制度の円満な円滑な運営を行うためには、やはり系統利用率をさらに高める必要があるということでございます。すなわち農協の扱いを高めていかなければならぬ、そうしないと調整保管がなかなかうまくいかない、これはもう当然のことです。スムーズにやるためには系統農協の扱いを高めていく、そして市場の価格を見て農協がいろいろと操作をする、こういうふうにすることが必要であります。そのためには、農協そのものの体質その他も検討しなければならぬ問題もありますけれども、こういったことについてはどういうふうに農林省はお考えであるか、ひとつ簡潔にお答えいただきたい。
  189. 澤邊守

    ○澤邊政府委員 現在牛肉ないし肉牛の市場への系統出荷の割合を見ますと、全国的にはまだ集計しておりませんけれども、主要な市場で見ますと漸次ふえてまいっております。東京市場におきまして四十八年度で約四〇%、それから大阪も四二%、神戸が一九%。それから地方市場でございますが、宇都宮は八五とか、群馬の七七というのがございます。反面、広島の二%とか福岡の一四%とか、これはいずれも中央市場でございますけれども、かなりのばらつきがございますが、傾向といたしましては、従来はほとんどが家畜商の出荷が多かったわけでございますけれども、漸次生産者団体、系統の出荷がふえてまいっておるわけでございます。これは今回の価格安定制度と関係がなくても系統の出荷をふやしていくということは、流通の近代化といいますか、改善を図るために好ましいことであり、農家のためにも結構なことだと思いますので、そのような方向で進めたいと思いますが、この制度を運用するに際しましても、先ほど先生が御指摘になりましたように、この制度は、畜産振興事業団が安定基準価格を下り、また下るおそれがあるときには買い入れをするわけでございますが、いきなり買い入れする場合もございますけれども、できますれば、その前に生産者団体が産地におきまして調整保管あるいは共同販売を行い、その計画を政府が認定いたしまして、調整保管したものにつきましては、調整保管の経費に対してかなり手厚い助成をする。これは畜安法に基づいて助成ができることになっておりまして、それをいたしまして、自主的に市場から隔離するということをやって、なおそれでも有利に販売できない、いつまで保管しても商業べースでは有利に販売できないという場合に事業団がそれを買い入れるというようなこともやりたいというふうに思っています。  また、産地買い入れを優先的に扱うという規定が設けてあるわけでございますけれども、これは無制限買い入れを原則として考えたいと思っておりますけれども、何らかの理由によりまして買い入れを制限せざるを得ないという場合には生産者団体の系統出荷のものを優先的に扱う、それが生産農家のために有利であろうという判断でそのような規定を設けているわけでございますが、そのためにも、生産者団体によります、系統によります出荷比率が高まることが望ましいわけでございますので、御指摘のとおり、系統出荷の割合を今後高めていくということがこの制度運用のためにも必要なことだと考えます。
  190. 瀬野栄次郎

    ○瀬野委員 はしょってお尋ねしますけれども、事業団が指定牛肉を買い入れるに当たっては、今後規格が大変問題でありますが、格付員が、先ほど局長がおっしゃったように、九十四人ですか、全国四十八カ所におるが、この人員で足りるかどうか。そしてまた、この格付員の格づけというものが、人間の目でありますから、上、中、下と格づけをする場合に、米の場合の等級を見るのとずいぶん違いまして、地域によっていろいろ問題があるのじゃないかと思いますけれども、厳格にこれをやってもらわなければいかぬ。そのためにはやはり質の向上も図ってもらいたいし、人員もふやしてもらいたいし、格付員の教育もしていただきたいと思うのですが、その点は、本法施行に当たっては将来どういうふうに考えておられるのか、簡潔にお答えいただきたい。
  191. 澤邊守

    ○澤邊政府委員 牛肉の取引の合理化を図りますためには的確な格づけが行われるということが要求されるわけでございますが、的確なということは、厳正中立な、偏らない格づけが行われる必要がある。そういう意味から、先ほどもお答えいたしましたように、従来日本食肉協議会が格づけの主体になっておりましたのを、独立させまして、日本食肉格付協会というものを新たにつくったわけでございまして、中立性を一層高めて、公正な格づけができるような体制を整備したわけでございますが、御指摘のように、中立性ばかりではなくて、格づけの能力自体が高まらなければ的確な格づけができないわけでございますので、新しい協会に衣がえをいたしました機会に、今後国の援助も強化をいたしまして、格づけ技術の向上につきましては特段な努力をする。これが的確な買い入れ制度を運用する前提になると思いますので、そういうようにしたいと思っております。
  192. 瀬野栄次郎

    ○瀬野委員 きょうは通産省も来ていただいておりますので、重大な問題に入りたいと思いますが、牛肉の輸入方針と輸入方法の問題です。  時間の関係で詳しくは申しませんが、事業団と民貿と二元的輸入方式をとっておりますけれども、その二元方式を踏襲するという理由をまず最初にお答えいただきたい。
  193. 澤邊守

    ○澤邊政府委員 これまでも、輸入量の調整によりまして国内価格の安定を図るということで運用してまいったわけでございますが、経済変動、それに伴います需給の変動、予測せざる事態が最近発生して、従来の輸入調整だけでは国内価格の安定を十分に図るのには不備であるということで買い入れ制度を設けることにしたわけでございますが、買い入れ制度ができましても、輸入の調整によりまして国内価格を安定させるということにはもちろん従来以上に努力をしなければいけないというように考えます。そのために、これまでも輸入割り当て制度を設けまして、その中でさらに事業団の取り扱う分野を漸次高めてまいって、現段階ではその大半を事業団が取り扱うということになっておるわけでございますが、この体制は今後も続けてまいりたいというように考えます。  ただ、これを全面的に事業団による一元輸入にすべきであるというような御意見があるわけでございますけれども、この点につきましては、必要な場合には現在の法律のもとにおきましても一時的に事業団が全面的に輸入をするということも可能でございますので、そのように運用すれば足るというふうに考えます。対外的な関係から申し上げれば、国家貿易ということになりますので、輸出国等から、わが国が輸入制限を強化するのではないかというような神経をとがらせるという問題もございまして、昨年の二月に輸入調整、輸入停止措置をとりまして、輸出国は日本に対する非難、批判をかなり高めておる。こういうときにそのようなことをやるのは対外関係から言って好ましくないのではないかというようなことを考えまして、現在の制度を続けてまいりたいというふうに考えている次第であります。
  194. 瀬野栄次郎

    ○瀬野委員 農林大臣、この点で大臣に伺っておきますが、細々とは申しませんけれども、牛肉の輸入については、一元方式でなければ、幾ら法律をつくって輸入を規制しても、民貿の方で輸入をしますと結局ざる法になる、そうしたらこの意味はないじゃないかということでいま私尋ねているわけです。  そこで、四十九年はいわゆる凍結をしておりますが、資料を見ましても、四十六年から四十八年まで民貿は一万四千トンでずっと固定してきております。これが過去四十六年には事業団の輸入が二万二千トンでしたから、そういう場合は一万四千トンでも事業団の輸入がかなり多いからということも言えますけれども、今度は、牛肉がどうしても足らないということで、将来若干安定輸入をせねばならないという場合も起きるだろうと思いますが、その場合に、二万トン入れるという場合に、このように民貿が一万四千トンで固定してくるということになりますと、事業団の輸入が少なくて、民貿の方が多くなる。そういうようなことになったのでは大変な問題でもありますし、将来こういったことがいろいろと問題を起こす要因になってきますので、これは一元化すべきであると思うわけです。国内だけならば価格はもちろん下がらぬわけですけれども、生産者も助かるわけですが、絶対量が足りないということで輸入しますと、民貿によって下がっていくということはどうしても当然の原理でございますが、この辺についての農林省のお考えはどうなんですか。
  195. 安倍晋太郎

    ○安倍国務大臣 これは局長が答えたことに重復するわけでありますが、現在も割り当て制度をとっておりますし、その中で大半がやはり事業団が輸入しておるというのが現状でもございます。さらに、また、価格が著しく低落した場合には事業団において一元的に輸入できるという、いわば歯どめ的な措置も講ずることができるわけでございますから、私は、今回価格安定制度をとっていただくということで、今日までの割り当て制度を続けていくことによりまして牛肉価格の安定を図っていくことはできるのじゃないかというふうに思うわけでございます。  同時に、私たちが心配いたしますのは、先ほど局長も答弁をいたしましたように、現在牛肉の輸入をストップいたしておりますが、これに対して輸出国から非常に厳しい圧力が加わっておるわけでございます。ガット等におきましてそういう論議が盛んになされておるわけでございますが、ここでまた一元化輸入ということを打ち出しますれぱ、さらに無用の反発が起こって国際問題を起こしかねないということも配慮していかなければならぬ。そういう二つの面において、今日の制度を続けていくことによっても価格の安定、輸入の安定ということが十分できる、私たちとしてはこういうふうに考えておるわけでございます。
  196. 瀬野栄次郎

    ○瀬野委員 いまの一元輸入の問題について生産者が苦労しておることは通産省もよく御存じだと思いますが、これが大きな問題で、本法施行に当たっては、団体もまたわれわれもぜひ一元輸入にすべきだという考えを持っておるわけです。その点について大臣からいまいろいろ答弁がありましたけれども、通産省の考えはどうですか。述べてください。
  197. 山本康二

    ○山本説明員 通産省といたしましても、ただいまの農林大臣の御答弁と全く同じ見解でございます。
  198. 瀬野栄次郎

    ○瀬野委員 実は、この問題は、われわれも一元化すべきだということで厳しく申し上げているわけですけれども、当局も通産省との関係で一挙には参らぬというようなこともいろいろとあろうかと思うのですが、私もいろいろ考えておるんですけれども、一つの案として、この輸入方式を固定枠と変動枠というふうな二つにして、固定枠については民貿と事業団と一定の割合でやる、どうしても安定輸入しなければならぬ場合に、いまにわかに民間貿易を全部事業団にということに参らぬということであれば、一定割合でやる、また、変動枠については事業団で一元化してやる、と、こういうふうなことなんかも考えられるんじゃないかと思うのです。一元輸入を言いながらこういったことを言うこと自体もずいぶん私は気がとがめるんですけれども、畜産農家を守るためにはやはりこういったこともいろいろ申し上げておかねばならぬと思って、勇気をふるって私は申し上げたわけですが、こうなりますと、会計法上の問題がいろいろあると思うのです。日本に持ってくるとなかなか問題だから、本当はオーストラリアとか現地でストックして、そして必要に応じて日本に持ってこよう、将来不足の場合には若干の安定輸入をすることもあり得るので、そういうふうなことにしなければならぬじゃないか、そうするといいんじゃないか、こういうふうに思うのですけれども、会計法上との問題でいろいろ懸念されるところがありますので十分検討もしてもらわなければならぬと思います。これは別途また次の機会に詳しくいろいろと質問したいと思いますけれども、それについて農林大臣のお考えをさらにお聞きしておきます。
  199. 澤邊守

    ○澤邊政府委員 輸入の割り当てのやり方につきまして、基礎枠といいますか、あるいは変動枠というようなことを御提案になったわけでございますが、輸入の公表の仕方、割り当ての仕方によりまして、従来のように上期、下期の二回に分けて半期ずつ一遍にやってしまうというようなやり方で果たしていいかどうかという点については、御指摘の点も含めて十分慎重に検討いたしたいと思っております。     〔委員長退席、坂村委員長代理着席〕
  200. 瀬野栄次郎

    ○瀬野委員 あと時間がわずかになりましたので、最後にお伺いいたします。牛肉の売り渡し価格及び売り渡し方法の問題でございますが、畜産振興事業団が買い入れて保管する国内産の牛肉及び輸入牛肉をどのような価格で売り渡すかということは、安定価格の算定方式とともに、この制度運営の最も基本的な事項になっているわけです。それで、農林大臣の指示に基づく売り渡しと義務売り渡しと二つあるわけですが、二段階制を設けた理由は何かということが一つと、それから、特に農林大臣の指示に基づく売り渡しを行う場合の価格要件は何ら明示されておりませんけれども、国内市場価格が安定帯価格の中心価格以下の場合においても売り渡すことがあるのかどうか。豚肉の場合は上下一〇%ずつでありますが、今回の牛肉の場合は上下一五%というような話も聞いておりますけれども、その辺はどうか。  さらに私はこの機会に結論的に申し上げたいことは、牛肉の「上」の方の幅を広くしてもらいたい。すなわち、「中の上」の方を「上」に入れる。消費者も脂肪をだんだんきらってきて、先ほど申しましたように赤身中心に移りつつあります。しかし、現在では脂肪交雑で規格判断しているが、これにとらわれずにやってもらいたい。すなわち、脂肪交雑の三は「上」にする。そうすると、熊本県など赤牛の産地は、脂肪交雑が赤牛の場合二ぐらいだから、「中の上」を「上」に入れると赤牛も「上」に入ってくることになる。そうしないと、黒牛は得して赤牛は損するというようなことになるわけです。こういったことを踏まえて、発想を新たにして脂肪交雑二も「上」に入れる、こういうふうにぜひしてもらいたい。このことを、時間がないのでまとめて申しましたが、局長なり大臣からぜひお答えいただきたい。そうしないと、農家は、こういうふうな規格では肥育しても損だということで、意欲も起きてきません。「中」の牛をつくって甘んじているのは、農家にしてももちろん惰農であるから、こういうようにならぬように農家にも私は激励をしたい。  そういった意味で、その三点について最後に明解なるお答えをいただきたい、かように思います
  201. 澤邊守

    ○澤邊政府委員 あるいは落としがありますれば、後でまた補足したいと思いますが、二点についてお尋ねだったかと思います。  一つは売り渡し方法、売り渡し価格の問題でございますが、これは四十一条の一項と二項、二つの規定を設けておりますが、一項は、豚肉の場合と同じように、「安定上位価格を超えて騰貴し又は騰貴するおそれがあると認められる場合は、」畜産振興事業団は「中央卸売市場において、売り渡すものとする。」ということで、「ものとする。」ということは、われわれは義務売り渡しと言っておるわけでございまして、事業団は、安定上位価格を超えるのを抑えるためには、持っている場合にはそれを売らなければいけない、こういうふうに解釈をしておるわけでございます。  ところが、第二項におきましては、豚肉の場合は適用いたしませんが、牛肉の需給の特殊性からいたしまして新しく設けた規定でございます。これは事業団が「保管する牛肉を、指定食肉たる牛肉の生産条件及び需給事情その他の経済事情を考慮し、当該家畜の生産及び当該牛肉の消費の安定を図ることを旨として農林大臣が指示する方針に従って、」「中央卸売市場において売り渡すことができる。」ということで、これは「できる」という権能を与えているというふうに解釈をしておるわけでございますが、このような規定が豚肉にはなくて牛肉にはなぜ必要であるかという点でございますけれども、これは要するに、上位価格までいかなくても途中の価格で売り渡すことができるということでございますが、そのような規定が必要になるゆえんのものは、牛肉の場合は豚肉と違いまして、原則として国内自給で――豚肉は例外的に一部輸入品は入ってまいりますけれども、国内競争力から言いましても、自由化はしておりますけれども、ほぼ完全自給に近い線にまで国内供給が確保できるということを前提にいたしておるわけでございますが、牛肉の場合は、消費の伸びに対して、国内生産、供給の伸びは全部賄っていくというほど期待できがたいところがありますので、特別な場合は別ですけれども、通常の場合はかなりの部分を輸入に依存せざるを得ないというふうに考えるわけであります。そういたしますと、安定制度は、上位価格と基準価格の間のいわば中心価格に市場の価格を収歛させる、あるいは少なくとも年間を通じて中心価格に平均価格がいくようにするというのが理想的な目標だと思いますので、そういう点からいたしますと、上位価格にいかなければ、突破しなければ売り渡せないということになりますと、市場価格がいつも上位価格にいかなければ売り渡せない、しかも国内だけでは不足であるということになりますと、おもむくところ上位価格にしょっちゅう市場価格はへばりつくということになります。そうすると、せっかく価格安定帯を設けたという趣旨にも合わないことになりますので、輸入肉について、上位価格までいかなくても売り渡すことができるということにしたい。その場合、例外的に買って保管しております国内肉についても同様である、分ける必要はないというふうに思いますので、そのような規定を設けたわけであります。農林大臣の指示といたしましては、やはり、中心価格より高いときには売る量をふやす、下回る場合には売り渡し量を減らす、あるいは余り基準価格に接近するような場合には売りどめをするというような方針で、中心価格にできるだけ収歛できるように売り渡しを実行していく、こういう考えでございます。  次に、もう一点のお尋ねでございます「中」の規格を「上」に上げるべきではないかという点は、御指摘の点は確かに議論としてはあると思います。といいますのは、われわれの年齢層以上ぐらいになりますと、霜降りの牛肉がおいしいということで非常に評価が高いわけでございます。業務用などはそれが非常に高いということでございますが、最近の若者は、私どもの子供を見ておりましてもそうでございますけれども、案外赤肉を好む。小売屋さんも言いますけれども、最近はやはり年齢層によって食肉の評価が変わっておる。霜降りを必ずしも珍重がらない、こういう傾向が出ております。したがいまして、世代がかわりましてそういう傾向がだんだん多くふえてまいりますれば、おのずから規格というものは変えていかざるを得ないだろうというふうに思っております。ただ、現状におきましては、過渡期でございますけれども、なおやはり一般的には従来のように脂肪交雑の多い霜降り肉の評価が高いというのが現実でありますので、いきなりいまの段階において「中」のものを「上」に全部上げてしまうというのは、時期はまだ早いのじゃないか、しかしいずれそういうことを検討すべき時期が来るのではないかというふうに考えております。
  202. 瀬野栄次郎

    ○瀬野委員 時間も参りましたので、以上で終わります。
  203. 坂村吉正

    ○坂村委員長代理 稲富稜人君。大変お待たせをいたしました。
  204. 稲富稜人

    ○稲富委員 実は、もうこんなに時間を経過されましてやりたくないのですけれども、やらぬわけにもいかないし、しかも、私のお尋ねしたいと思っておることは、すでに先刻からもずいぶんお尋ねになっております。ただ、答弁に対して、私の考え方に沿わない点がたくさんありますので、そういう点から重複をするかもわかりませんが、要点だけ簡略に質問をいたします。それで、大臣から答弁を願いたいと思うのでございます。いささか時間を待たされてしゃくにさわっておりますので、お気に召さぬ点があるかわからぬと思いますけれども、その点はお許しを願いたいと思うのでございます。  最初に申し上げたいことは、政府が今回提出されております畜産物の価格安定等に関する法律の一部を改正する法律案の提案理由の説明の中に、「近年、牛肉需要は、着実に伸展してきたのに対し、国内生産は、これに十分には対応し得ず、」と述べておられます。この説明文は大臣みずからがお書きになったんではなかろうとは思うのでございますけれども、この草案はだれがお書きになったかわからないが、一体、そういうような状態になした理由の原因はどこにあるかということをまず十分考えなければできないと思いますが、その点をどう理解されておるのか、大臣に承りたい。  さらに、それがために「輸入量は年々増加してきたところであります。」と、これもぬけぬけと主張しておられます。ここで私が承りたいことは、このようなことになしたのは一体だれの責任だと政府は思われておりますか、その点を承りたいと思うのであります。
  205. 安倍晋太郎

    ○安倍国務大臣 経済の高度成長におきまして、四十八年までは五年間に需要の伸びが一〇%以上という急激な伸びが行われまして、これに対して生産が対応できなかったということが大きな原因であるわけでございますが、最近における問題としては、安定成長に移る時点におきまして、経済の混乱の中にあってインフレ等が起こりまして、そういう中で需要が急激に冷えてきたということも、これまた混乱をした大きな原因ではないか、こういうふうに思うわけでございます。
  206. 稲富稜人

    ○稲富委員 大臣は、最近の日本の農政が後退し、あるいは農地の問題でも畜産の問題でもこういう状態になってぐると、高度経済成長政策のためにやむを得なかったんだということを言われます。もちろん、それは原因はそこにあったと思うのでございますけれども、過去数年間における政府の行政を見ると、一方では国内牛肉資源の維持拡大を図る施策を講ずると称しながら、それでいかなる具体的な肉牛増産対策を行ってこられたか。これはみずから反省しながら、どういうことをおやりになったかということを承りたいと思う。やることが足らなかったら足らなかったとあっさりおっしゃればいいんです。その点を反省されておるかどうか、やられたかどうか、どんなことをやられたか、この際承りたいと思います。
  207. 安倍晋太郎

    ○安倍国務大臣 先ほど申し上げましたように、高度成長で畜産物の消費が非常に伸びた、それに対して生産が対応できなかったという点はやはりあるわけでございまして、そういう点について、生産対策につきましても反省すべき点は率直に反省をしていかなければならぬ、私はそういうふうに思っております。そういう中から、これからの需給の見通しに基づいた長期的な視点に立った生産目標を立てて、今後は方向を誤らないで国民の期待にこたえていかなければならぬ、こういうこうに考えます。
  208. 稲富稜人

    ○稲富委員 そういうふうにやらなかったことは率直に認めて、将来どうするかということをこの際明らかにして、次の時代を築く方法をとるべきだと私は思うのです。  それで、日本の国内牛肉がそういうような施策が本当にやられていない。そうして一方においては無定見とも思われる牛肉の輸入割り当て、すなわち四十六年には三万六千トン、四十七年には七万一千五百トン、四十八年には十六万トンを行い、このことがせっかく成長途上にあった国内の肉用牛経営を未曽有の危機に追い込んでいった、こういうふうに言っても私は決して過言ではないと思うのでございまして、政府の政策に一貫性が全くなくて、生産農民の牛肉業者に対する信頼というものが全くなくなっているという、この事実は政府はこの際十分反省していかなければいけないと思うのでございます。もちろん、国内牛の十分な発展ができなかったことに対しては、いま大臣も反省の上に立ってやるとおっしゃったのだが、輸入に対しましても、こういうような無定見な輸入をやってきたということに対してもやはり反省の必要があるのではないかと私たちは考えますが、これに対して政府はいかなる考え方を持っていらっしゃるか、この点も承りたいと思うのでございます。
  209. 安倍晋太郎

    ○安倍国務大臣 私は、反省すべき点はもちろん反省しなければならぬと思うわけですが、輸入が四十八年に非常に増大したということは、わが国の生産が停滞をした中にあって価格が非常に急騰したということで輸入を増量した。これが、経済が順調に高度成長が行われておる、そして需要が予想どおり伸びるということであればあれまでの混乱というものは起こらなかったと思うわけでございますが、経済の変化が急激に起こって需要が急速に冷えたということが畜産農家の大きな混乱にも結びついたと思うわけでもあるわけでございます。しかし、そういう点については、見通し等の問題についても、これは今後の問題がありますから検討し、反省すべき点はやはり反省をしていくことが当然だと思います。
  210. 稲富稜人

    ○稲富委員 無定見な輸入の問題につきましては、後ほどまた申し上げたいと思うのでございますが、この点、政府は、去る一月末に農政審議会需給部会の中間報告として、「農産物の需要と生産の長期見通し」を発表されておる中で、国内の牛肉生産を、昭和六十年には、四十七年の比率として一七五%増の五十一万トンとしておられます。これは需要量六十二万五千トンに対する自給率八一%ということになるのでございますが、どのような方策でこの目標を達成しようとするのであるか、その具体的な施策について、特に、本法に基づく価格の安定措置及び飼料基盤の整備等と関連して、その考え方をこの際明らかに承りたいと思うのでございます。
  211. 安倍晋太郎

    ○安倍国務大臣 確かに、牛肉需要は、国際的にも長期的に見て不足傾向にあるところから、やはり国内における生産体制を極力整備していかなければならぬことは当然であろうと思うわけでありまして、いまお話しのように、六十年度におきましては、肉専用種につきましては二百十万六千頭、乳用種につきましては百十九万九千頭という飼養を見込んでおるわけでございますが、この長期見通しを達成するためには、肉用種につきましては、適地における多頭経営の集団的規制による飼養頭数の増加傾向を一層助長するということを中心にいたしまして、山林、原野、低利用資源の活用であるとか、あるいは既耕地、裏作不作付地等における飼料生産の積極的な推進、経営規模拡大のための家畜導入、さらにまた繁殖から肥育に至る地域的な一貫生産体制の推進、子牛及び枝肉についての価格安定等の対策を一層強力に講ずることにおいて、繁殖生産の拡大と肥育の推進を図るということであろうと思います。  また、乳用種の肉利用については、その肥育仕向けの素牛資源が酪農経営に由来するものであることは御承知のとおりでございますが、そういう意味から、酪農の健全な発展を推進するとともに、生産者団体による組織的な保育及び肥育の促進、子牛及び枝肉価格についての価格安定等の施策を一層強力に講ずることにより、目標の達成に努めてまいりたいと思います。  いずれにいたしましても、生産体制、価格体制ともに総合的な対策を強力に推進していくのでなければ六十年目標というものは達成できない、こういうふうに考えております。
  212. 稲富稜人

    ○稲富委員 それでは、次に、事業団の買い入れ対象となる牛肉の規格について承りたいと思います。  今回事業団の買い入れ対象となる牛肉の規格は、和牛去勢の中規格とそれから乳用の中規格に予定されているというように承っておりますが、この予定されている規格のみを対象とすることによって全部の牛肉価格の安定を図れるという自信が果たしておありになるのであるかどうか、この点を承りたいと思うのであります。  なぜかというと、すなわち、去勢和牛については、中規格まで買い上げれば約七〇%の肉がカバーされると思われますが、乳用については、中規格までの買い上げでは約四〇%程度しかカバーされない、と、かように思われるのであります。従来、牛肉価格の下落時期には、規格の下のものほど下落率が高いのが実情であり、今回の処置ではこの下物の価格安定措置が不十分ではないかという点も考えられますので、そういう点からこの点の見解を承りたいと思います。
  213. 澤邊守

    ○澤邊政府委員 買い入れ対象といたします指定牛肉の対象でございますが、現在なお検討中でございますけれども、現段階といたしましては、和牛「去勢の中」と乳牛「去勢の中」を対象としてはいかがかということで検討をいたしておりますが、最終的には審議会の御意見も聞いた上で省令をもって決定をいたしたいというふうに考えておるわけでございます。  そこで、対象を決める場合の考え方といたしましては、やはり、全体の牛肉の価格安定ができるということが御指摘のとおり必要だと思います。その場合、全体の牛肉の中でのシェアが相当部分に達するということが必要だと思いますし、それから、また、価格が他の牛肉の指標となるような牛肉の規格のものについて対象とする必要があるだろうということ、それから、特殊な高級なものあるいは低質なもの等につきましては対象からはずしていいのではないかということ、さらに、牛肉経営が今後なお改善すべき余地を非常に多く持っておりますので、そのような改善意欲を損なうような規格を対象とするというようなことは改良上必ずしも好ましくないのではないかというようなこと、このような四点ばかりが勘案事項ということで、現在総合的に検討しておるわけでございますが、そういう点からいたしますと、確かに、和牛の「去勢の中」と乳牛の「去勢の中」は、合計のシェアは二〇ないし二五%ぐらいになっております。これは今後改良が進みますればもう少し高まることはもちろん期待できますけれども、現状においてはその程度になっている、四分の一で全体の牛肉の価格の安定ができるか、こういう御趣旨でお尋ねいただいておるわけでございますが、これまでの価格の動きからしますと、非常に暴落したときは確かに一部のものはたたかれるということはございますけれども、非常に暴落するまでほうっておくわけはないので、途中のところで買い支えをするということでありますれば、二〇数%のものを直接の買い入れ対象とすることによって、他の牛肉につきましても間接の支持効果があらわれるというふうにわれわれは考えておるわけでございます。  それから、もう一つ、ほかのものを外しております理由といたしましては、一つは、雌牛につきましても対象に加えろという議論がございます。これは和牛の雌牛でございます。よく俗に言う理想肥育といったような、神戸ビーフだとか松阪ビーフといったような特殊なものでございますが、そういう超高級のものは別にいたしましても、やはり、雌牛は繁殖に使って子とりに精を出してもらうというのが今後の牛肉生産の拡大を図るためにも望ましいことでございますので、それらは除外していいのではないかということ。それから、乳廃牛につきましては、先ほど来いろいろお答えしておりますように、副産物であり、また、乳価の中で、償却費というものの中で適正に生産費の中に織り込んでおるということからいたしますれば、必ずしもやらなくていいのではないかというふうに考えておるわけでございます。なお、今後慎重に検討はいたしたいと思っております。
  214. 稲富稜人

    ○稲富委員 いろいろと質問しておりますとまた長くなりますので、簡単にやりたいと思いますが、ただ、いまお話しがありました乳廃牛の問題でございますが、これは先刻も大臣から答弁があったのでございますが、御承知のとおり、乳廃牛の供給量は三五%ぐらいを占めておるんだと私たちは考えております。そういう点から申し上げましても、これを指定食肉に追加すべきことは当然じゃないかと私は思うのです。これをさっきは追加しないなんていうことを大臣は言われておるのでございますが、こういうようなものは当然指定食肉に追加して、食肉対策というものの一環として考えるべきじゃないかと私は考えておりますが、どうでございますか。
  215. 安倍晋太郎

    ○安倍国務大臣 乳廃牛につきましては、確かにお話しのような御意見もあると思うわけでございますが、現在われわれが考えておりますのは、乳廃牛肉というのは酪農経営におけるいわば副産物という立場にあるわけでございますし、また、乳廃牛の問題については、酪農経営の一環としてこれを処理しなければならぬ。乳価の決定の際においても、そういう意味では乳廃牛につきまして考慮を加えておる。こういうことから、今回の改正案におきまして指定食肉に加えることは妥当ではないというふうな考え方を持っておるわけでございますが、畜産審議会の御意向等も十分考慮いたしまして決めていかなければならない問題である、そういうふうに考えるわけであります。
  216. 稲富稜人

    ○稲富委員 この点はぜひ再検討を願って考えてもらいたいということを重ねて私は申し上げておきたいと思うのでございます。  次に、牛肉の安定価格の算定方式についてお尋ねいたします。これも先刻すでにお話しがあったのでありますが、事は重大な問題でございますので、私も重ねてこの問題についてお尋ねしたいと思うのでございます。現在指定食肉となっている養豚の価格算定は需給実勢方式がとられておりますが、このことは従来から生産費所得補償方式に改めるように強く各方面から要請されていることは大臣も十分御承知であると思うのでございます。ところが、牛肉の安定価格算定に当たって政府は生産費方式を考えられておるようでございますが、この方式をとる限り、価格安定は図られるとしても、肉用牛の生産の振興には効果は見られないのではないかと私は思います。なぜならば、現在の肉用牛の飼養形態というものは依然として零細な形態をたどっておるのであります。今後飛躍的な規模拡大が望めない以上は、肉用牛資源の維持、拡大はどうしても生産費所得補償方式を採用することが非常に必要であると思います。  そういう観点から、農産物の価格対策をとるというような意味からも、生産費所得補償方式を採用することが資源の維持、拡大につながるものであるということを考えますので、先刻の大臣の答弁は私は非常に不満でございますので、これに対しても将来十分考えてもらいたいという意味から、いま一度大臣の答弁をお願いしたいと思うのでございます。
  217. 安倍晋太郎

    ○安倍国務大臣 牛肉の安定価格につきまして、現在、学識経験者の意見を聞いて、その算定方式につきまして検討を進めておるところでございます。いずれにいたしましても、一たん生産が縮小すると、これが回復ということはきわめて困難であるという大動物としての特性があるわけでござ  いますし、現在の生産条件や価格等の需給事情、その他の経済事情を十分に考慮して、再生産の確保が十分図られるように、これは畜産審議会の意見ももちろん聞きまして決定をしたいと思ってお  るわけでございます。  いま、生産費所得補償方式をとれという御意見もございましたが、牛肉につきましては、肉用牛の肥育経営がまだ合理化、規模拡大の過程にあるというふうな現状にもあるわけでありますし、また、市場価格の変動も著しいというふうな点もあるわけでございます。さらに、また、生産費などの資料もまだ十分整理されていないというふうなこともあるわけでございますし、生産費所得補償方式を牛肉価格に適用するということは、いま申し上げたような理由とともに、米、麦とはやはり違った意味があるのじゃないかというふうに私は思っておるわけで、これはちょっとなじまないのじゃないかと私は考えておるわけでございます。     〔坂村委員長代理退席、委員長着席〕  いずれにしても、算定方式を現時点において固定的に決めるということは、先ほどお話しをいたしましたように生産費の整理等が行われていないということもありますから問題が多いわけでございます。本年度どういう形でいかなる算定方式を採用するかということはいま検討しておるわけでございますが、今後の資料の整備等を待って、これは固定的な算定方式ということでなくて――ことしどういう形の算定方式が決まるにしても、これは固定的に考えないで、今後とも十分改善すべきところは改善しながら適正な算定方式を決めていく、私たちはそういうふうな態度でもって対処していきたい、こういうふうに思っておるわけでございます。
  218. 稲富稜人

    ○稲富委員 審議会、審議会と、何でもすぐ審議会に責任を持っていかれるのですが、これは行政があっての農林省だから、農林省がもっと強い腰をもって審議会に諮問をするという形で、まず、農林省の腹を決めることが必要だと思うのです。しかも、米とか何かと一緒にこれを考えよというのではないので、御承知のとおり、ほとんど肉用牛経営と同様な形の酪農については、すでに、加工原料乳の保証価格の算定は生産費補償方式が採用されている。こういうような点から申し上げましても、牛肉価格の算定にも生産費補償方式をとるということはそう間違ったことではないんじゃないかと私は思いますので、こういう点も参考にして検討を願いたいということを私は申し上げておきたいと思うのでございます。  次に、牛肉の輸入方針について承りたいと思いますが、肉用牛経営を今日これまでの窮地に追い込んだのは、先刻私が申し上げましたように、これは全く政府の無見識な牛肉輸入の増大が原因しておるのである。農林大臣は、それは無見識ではなかったのだ、いろいろな事情上やむを得なかったのだとおっしゃいますが、しかし、最近における世界的な牛肉需要は緩和しており、わが国が四十九年以降輸入割り当てをしていないことについては、オーストラリアとかニュージーランド等からすでに強い非難が寄せられて、その解禁を迫られていると言われております。牛肉の輸入問題がこれほど大きな問題として取り上げられた背景には、わが国が今日まで安易な輸入政策をとり続けてきたということがある。決して安易ではなかったとおっしゃいますけれども、私は、そのそしりは免れることはできないと思います。このことが、輸入国に対して、日本は牛肉輸入を無限に行うといった期待を余りに持たせ過ぎておったのではないか。このことは、わが国の国内では肉用牛経営農家の生産意欲を減退させながら、広くは日本の通商政策の汚点として指摘されなければならないわけで、こういうようなことは実に嘆かわしいことだと私は思うのであります。  この牛肉輸入に対して、政府はどのような態度で将来臨もうとするのであるか、この際明確にしておいていただきたいと思うのであります。
  219. 安倍晋太郎

    ○安倍国務大臣 今後の牛肉の輸入に対してどういう方針でやっていくかというお尋ねでございますが、今回の法律改正は、わが国の牛肉需給の現状から見まして、常に相当量の輸入に依存せざるを得ないという事情を前提といたしまして、畜産事業団によるところの牛肉の買い入れ、売り渡し並びに国内の需給及び価格動向を勘案した適切な輸入数量の決定によって供給量の調整を行い、価格の安定を図ることといたしておるわけでございまして、したがって、国内の牛肉価格が安定基準価格及び安定上位価格の価格帯におさまるように、国内の需給動向を十分に勘案して輸入量を決めていき、その大部分を事業団に取り扱わせることによって適切な輸入の実施を行っていくということが基本的な輸入に対する考え方でございます。
  220. 稲富稜人

    ○稲富委員 牛肉の輸入については、昭和四十一年の畜安法の改正によって事業団と民貿とで二元的に行われておりますが、私たちは、四十一年の法律改正の当時より、牛肉輸入は事業団に一元化すべきであるということを強く要望してまいったのでございますが、今回の改正に際しましては、何か、依然として二元的方式を続けようとされているように思ったのでございますが、これを一元化する考えはございますか。
  221. 安倍晋太郎

    ○安倍国務大臣 輸入を一元化しろということにつきまして、いままでの質疑の過程におきましても、各野党からほとんどそういう意見が出されておりますし、また、修正をすべきであるという提案もなされておりまして、これは一つの考え方であろうと思うわけでございますが、現在われわれが考えておる方向としては、現在でも大半が事業団によって輸入をされておるということでありますし、また、必要に応じてということで、もし価格が非常に低落をするというふうな事態があれば、これに対しては事業団によって一元的に輸入できるという歯どめの措置の道も開かれておるというふうなこともございますので、現在の段階におきましては、われわれとしては、今日の体制を続けることによっても安定輸入はできるというふうに考えるわけでございます。  また、同時に、御承知のように、現在牛肉の輸入をストップしておりまして、これに対する輸出国等の動きが非常に激しくて、ガット等においても大変なクレームをつけておるわけでございます。そういう際にまた一元化ということを打ち出すことによって、さらに輸出国等を非常に刺激するということで、ガット等の紛争の種にもなりかねないということも配慮せざるを得ないというふうに思うわけでございます。
  222. 稲富稜人

    ○稲富委員 その点、大臣の答弁がどうもはっきりしないのですよ。一元化するようなことであるかのごとくも聞かれるが、また、二元化もやむを得ないのじゃないかというような御答弁のようにも聞かれるので、この点はどちらなんですか。実際は事業団が一元化した実績をたくさんとっておるからこのままでいい、しかしながら、そう決めてしまったらいろいろな国際的な問題が起こるから二元化もやむを得ないのだ、と、こういうことなんですか。その点、どうも大臣の答弁がはっきりしていないので、重ねて承りたいと思う。
  223. 安倍晋太郎

    ○安倍国務大臣 私は、割り当て制度を今後とも続けることによって――しかし、その割り当て制度の中において事業団が大半買うわけでございますから、現行制度を続けることによっても十分安定輸入の道は図り得る、と、こういうふうに言っておるわけでございます。ただ、非常に窮迫した事態においては一元的な輸入の道も切り開かれておるということもあわせて申し上げたわけでございます。
  224. 稲富稜人

    ○稲富委員 その点がはっきりしませんで、一方においては牛肉の価格安定制度をとりながら、一方においては商社の輸入牛肉を野放しにするというようなことになりますと、せっかくの法律運用の効果が半減されるおそれがあるということも考えるわけなんで、大体は一元化しておるけれども、二元化も場合によってはやむを得ないのだというようなあいまいなことではなくして、やはり、方針をはっきりする必要があるのじゃないかと思うのです。  現に、御承知のとおり、自由品目であります生糸さえも、四十六年の暮れには、国会で、国内価格の低落時に日本蚕糸事業団の一元輸入ができるというような改正さえしたわけでありますから、そういう点から申し上げましても、非自由品目でございます牛肉なんかを一元化する処置をとるということは、何も国際的に遠慮する必要はないと私は思うのでございますが、大臣の先刻からの御答弁を聞いておりますと、一元化をやるがごとく、やらざるがごとく、どうもはっきりいたしません。このことを余り聞いておりますと、これで時間が費えますので、これに対しては一元化するということで検討してもらいたいということを特に申し上げておきたいと思うのでございます。  次に、本事業と肉用牛価格安定事業との関係について承りますが、昭和四十二年に、肉用牛の繁殖育成農家の経営安定を図るための肉用牛価格安定事業が行われ、また、四十七年には、乳用雄子牛の肥育向けの向上を図るための乳用雄肥育素牛安定事業がそれぞれ開始されました。ところが実施されておるにもかかわらず、従来から、本事業については価格補てんの基準が子牛の生産費を大幅に下回る価格に定められていることから、せっかく制度があっても補てんを受ける機会が全くないというような関係であるのであります。これに対しましては、今回の牛肉の指定食肉としての価格安定が図られるときでございますから、この機会にこの制度を抜本的に改善して、その整備拡充を図るということが必要ではないか、と、かように考えますが、これに対してはいかなる考えを持っていらっしゃるか、承りたい。
  225. 澤邊守

    ○澤邊政府委員 子牛の価格の安定制度におきましては、御指摘のように各県で現在行われておりまして、和牛の子牛につきましては二十八県、乳牛の雄の子牛につきましては二十六県で現在行われておりまして、平均価格といたしまして、補てん基準価格が、和牛の場合は十九万五千円、乳牛の雄の子牛につきましては七万九千円ということで現在やっておるわけでございます。  牛肉の価格安定制度ができますことによりまして、子牛の価格安定制度との関連をどう考えるかということでございますが、子牛の価格と技肉の価格はパラレルに、大体同じような傾向はたどっておりますものの、やはり、豚肉と子豚の場合と同じように、素畜の場合はどうしても価格変動が大きいわけでございます。したがいまして、牛肉価格の安定制度ができたからといって、子牛価格の安定制度が余り必要性がなくなるということはないと私は思います。  ただ、牛肉価格の安定制度ができますれば、安定上位価格を決めまして、これ以上は政府が責任をもって上げないように努力するということになりますと、四十八年の秋ごろ行われましたように、非常に高い子牛価格で導入して肥育を始めるということは防げるのではないかというふうに思うわけでございます。といいますのは、高い素牛を入れまして、子牛を入れまして肥育をやっても、安定上位価格が牛肉にできた場合はこの辺で抑えられてしまうという上限が決まりますので、これではもうからないということで高い子牛を導入しなくなるという意味では、子牛価格の変動幅が大きいのを狭める効果は、牛肉の価格安定制度をつくることによって出てくるのではないかというように考えております。  しかしながら、やはり、両者それぞれ機能を別にいたしますので、並行して制度を充実していく必要があるというように考えております。
  226. 稲富稜人

    ○稲富委員 もう時間がありませんので、最後に一つ素朴な質問をいたします。  御承知のとおり、最近の牛肉の事情を見ますと、農家の売る牛の価格というものはえさ代にも不足するというように安値である。それにもかかわらず消費者の求める小売価格は一向に安くならないというのが現状でございます。その理由は一体どこにあるのであるか、なぜそれが安くならないのか、どういうような事情であるのか、承りたいと思うのであります。
  227. 澤邊守

    ○澤邊政府委員 現在、乳雄の例で言いますと、価格はキログラム当たりおおむね千百円弱、ちょっと下回ったところで最近推移しております。昨年の七、八月ごろは、七百二、三十円とか七百四、五十円というところが二、三カ月たしか続いたと思います。それから見ますと価格はかなり回復しているということも言えなくはないわけです。しかし、現実に乳雄の肥育経営農家は楽かと言えば、とんでもない話で、やはり非常に赤字でございます。これは、先ほども申し上げましたように、いま出しているのは四十八年の秋ごろの鳥も高いときのもので、言葉がいいかどうかわかりませんが、当時気違い相場というような言葉すらあったくらいで、その非常に高い子牛を入れておる。したがって、子牛価格が普通の場合でも五〇%ぐらい生産費の中でウエートを占めるわけでございますが、それがべらぼうに高いものを入れておる。それから、また、えさの価格も御承知のように上がっておるという意味で、コストが非常に高くかかっておる。したがって、去年の七、八月ごろの価格よりもかなり回復したといいながら、それ以上にコストは当時のものよりも高くついて旧いるという関係がございますために、価格がかなり回復したにかかわらず、肥育農家は出荷のたびごとにかなりまだ赤字を出している。これはピークは過ぎたと思います。昨年の終りごろで大体赤字のピークは過ぎたと思います。これからはだんだん赤字の額は減ってくる。というのは、いま出てくるものの子牛を買った当時の価格よりだんだん安いものがこれから出てくるということになりますので、そういう傾向があると思います。そういう意味におきまして、現在の価格は常識的に言えばそう悪くはないにかかわらず、現実に経営が悪いという関係になっておると思います。  それから、小売価格との関係でございますが、卸価格が昨年の初め以来三割程度急落をしたにかかわらず、小売価格がほぼ横ばい、あるいは時には微増したということで、かなり世論の批判も受けたわけでございますが、実は、先ほど申しましたように、乳雄の価格で言いまして、七百二、三十円あるいは七百四、五十円から、現在千百円まで卸価格は上がったにかかわらず、小売価格はほとんど上がっておりません。ここ一、二カ月微増しましたけれども、上がっておらない。そういう意味で、小売価格は上がるときも下がるときも、卸価格よりは、タイムラ鋼がもちろんありますほかに、比較的に上がり方、下がり方が少ない。ある意味では安定的である。卸価格は相当振れが大きいが、小売価格は安定的である。これが連動しないのは望ましくないという議論もありますけれども、しかし、消費の安定ということから言いますと、長期的にはやはり卸価格に連動すべきだと思いますけれども、短期的には余り極端に連動するのは必ずしもよくないという見解もあるわけでございまして、その辺はやはりほどほどでなければいけないという感じを持っております。  いずれにしましても、現在の卸価格から小売価格までいくまでの流通機構は、特に、牛肉についは豚肉以上におくれております。これは連動するしないということにかかわらず、合理化してマージンを圧縮するということが今後進めるべき重要な課題であるというふうには考えております。
  228. 稲富稜人

    ○稲富委員 ただいまの畜産局長の話を聞いておると、牛を飼っている農家が悪いから高いというような話なんで、しかも、農家が損しているのは農家が悪いというような話なんだ。畜産局長がそういうような考え方では畜産農民は浮かばれませんよ。そういう引き合わないような生産をしたのは、一体だれが指導したのですか。いかにも政府には責任がなくて、そういうような高い牛を生産して安く売っている農民に罪があるような、責任があるような話だが、そういうようなことでは、畜産局長として畜産行政をつかさどる資格はないと私は思う。なぜにそれじゃそういうように安く肉を生産者が手離さなくちゃいけないのかという、この点を十分あなたは考えて、生産農民のことを考えなくちゃいけないのですよ。この点に対しては、あなたのいまの答弁は私はどうも不満でならないのですよ。そういうような考え方では生産農民は浮かばれませんよ。特に、今日の生産者の価格が安くて消費者価格が高いというところに流通機構の問題というものが非常にあると私は思う。従来から流通機構の改正ということを非常に言われるけれども、なぜ流通機構の改正ができないのであるか。私は、この間、肉の一番のもとである神戸に行って肉屋で調べてきたが、どういうような形をとって肉が消費者のところに渡っているというと、まず、生産者から全農か農協かに渡ります。そうすると、この全農、農協から中央畜産とかというところに渡る。中央畜産から買参協同組合に渡る。買参協同組合から小売り業者に渡る。その小売り業者から消費者に渡る。その間に五段階ぐらい渡っているのですよ。しかも、その通過するごとに一割ないし一割二分の手数料というものが全部取られている。こういうような過程をとって消費者の手元に牛肉が来ているのですよ。これはやはり流通機構の問題も十分考えなければならぬ。ただこういうような状態で置かれて、農民が、自分たちの売った値段は安いにもかかわらず消費者価格が高いじゃないかということで、引き合わないと思うのは当たりまえなんですよ。こういう点についても十分考えて、生産農民ができるだけ高く牛を手放すことができるようにしてやること、そして消費者ができるだけ安く牛肉が買えるようにしてやること、これが畜産行政に携わる者の大きな任務だと私は思う。いかにも自分は知らぬのであって、関係している人間が悪いのだというような考え方では畜産行政は務まらないと私は思うが、これに対して大臣はどうお考えになるのですか、承りたい。
  229. 安倍晋太郎

    ○安倍国務大臣 いま御指摘がございましたように、われわれとしては、生産農家が今後とも安定をし、肉牛の生産が安定して成長していくというための施策を今後とも強力に行っていかなければならないことは当然であるわけでございます。今日までの問題につきましても、対処していかなければならぬ面はやはり対処していくわけで、畜産農家の非常な赤字に対しましても、いわゆる債務についても整理するための融資等も措置も行っておるわけでございますが、しかし、今日の状態から見ますと、これだけでもって今後に対して明るい望みが持てるわけでも決してない。こういうことは十分認識をしてこれに対処していくことは当然であろうと思うし、そういう面からも今回価格の安定制度をお願いいたしておるわけでございます。  また、同時に、牛肉につきましては、流通問題というのが年来からの問題でございまして、この流通問題にメスを入れて、そしてこれを改革していくということは今日まで努力は重ねられてきておるわけでございますが、なかなかその道が開かれていないということも、率直に言えばそのとおりではないかと私は思うわけでございます。私も、農林大臣になりましてから、この流通問題につきましても何とかできるだけ改善を試みなければならぬ、特に、このインフレの中における物価安定ということから見ましても、流通問題に大きなウエートがあるということで、流通の合理化等につきましてもいろいろと努力もいたしておりますし、また、牛肉等につきましても、直販体制といいますか、そういうものも進めておりまして、この三月にもフードウイークというふうな試みもいたしておるわけでありますし、あるいはまた、東京都内におきましても消費キャンペーン等をやりまして、この流通段階をある程度省略いたした安い肉が消費者に対して相当出ておるわけでございますけれども、これはなかなか一挙には改革ができないとは思うわけでございます。しかし、今後とも改革については大いに努力をしていきまして、生産者の価格が安定していき、そして、生産者の価格が消費価格になるべく結びついていくという方向へがんばってみなければならぬ、こういうふうに私は思うわけであります。
  230. 稲富稜人

    ○稲富委員 いろいろ申し上げたいことはありますけれども、大臣の率直な答弁に免じまして、本日は、私の質問はこれで終わります。
  231. 澁谷直藏

    ○澁谷委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。     午後六時二十六分散会