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1975-03-14 第75回国会 衆議院 大蔵委員会 17号 公式Web版

  1. 昭和五十年三月十四日(金曜日)     午前十時三十一分開議  出席委員    委員長 上村千一郎君    理事 伊藤宗一郎君 理事 浜田 幸一君    理事 村山 達雄君 理事 山下 元利君    理事 山本 幸雄君 理事 佐藤 観樹君    理事 増本 一彦君       越智 伊平君    大石 千八君       金子 一平君    鴨田 宗一君       瓦   力君    小泉純一郎君       齋藤 邦吉君    塩谷 一夫君       原田  憲君    坊  秀男君       宮崎 茂一君    村岡 兼造君       山中 貞則君    高沢 寅男君       武藤 山治君    村山 喜一君       山中 吾郎君    坂口  力君       広沢 直樹君    内海  清君  出席政府委員         大蔵政務次官  森  美秀君         大蔵大臣官房審         議官      旦  弘昌君         大蔵省主税局長 中橋敬次郎君         国税庁直税部長 横井 正美君  委員外の出席者         大蔵省銀行局保         険部長     徳田 博美君         大蔵委員会調査         室長      末松 経正君     ――――――――――――― 本日の会議に付した案件  参考人出頭要求に関する件  所得税法の一部を改正する法律案(内閣提出第  七号)  法人税法の一部を改正する法律案(内閣提出第  八号)  租税特別措置法の一部を改正する法律案(内閣  提出第二二号)      ――――◇―――――
  2. 上村千一郎

    ○上村委員長 これより会議を開きます。  この際、参考人出席要求に関する件についてお諮りいたします。  国の会計、税制及び金融に関する件、すなわち最近の経済事情について、来る二十日木曜日午前十時三十分、参考人の出席を求め、その意見を聴取することとし、その人選につきましては委員長に御一任願いたいと存じますが、これに御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 上村千一郎

    ○上村委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。      ――――◇―――――
  4. 上村千一郎

    ○上村委員長 次に、所得税法の一部を改正する法律案、法人税法の一部を改正する法律案及び租税特別措置法の一部を改正する法律案の各案を一括して議題とし、質疑を続行いたします。村山喜一君。
  5. 村山喜一

    ○村山(喜)委員 私は、あしたまでが確定申告の日でございますから、現在行われている確定申告を中心にいたしまして若干の質問をいたしてまいりたいと思っております。  まず第一は、妻の座をめぐる問題でございますが、このパートの非課税限度額、これはたしか七十六万円、それから扶養家族の認定限度額は七十万円。青色専従者の四十八年度の実績は一体どういうふうになっているのかということをまずお尋ねいたしたいと思いますが、白色専従の場合には今度三十万が四十万ということになりましたが、これを選択する者は配偶者控除は受けられない、こういうふうになりますと、四十万円の中身は妻の座が二十六万円、それから店員の座が十四万円、こういうふうに分類ができるのではなかろうかと思うのですが、昨年はこれが三十万円でございましたから、いわゆる妻の扶養控除の場合が昨年は二十四万円ですから、そうなると店員の座が六万円だ。今度はその六万円を十四万円に引き上げるわけですから、八万円だけはこれをふやしてあげよう、こういうことになっておると思うのですが、そういうふうに理解しておってよろしいですか。
  6. 中橋敬次郎

    ○中橋政府委員 配偶者控除あるいはその配偶者がみずからの配偶者の行っております事業につきまして専従者となりまして、いわゆる青色専従としての控除を受ける、あるいは白色専従者としての控除を受けるという場合につきまして、ただいま御指摘のようには私どもは考えていないわけでございます。  と申しますのは、これも前々から申し上げておりますように、配偶者控除と申しますのは、家計というものを考えまして、そこにおきますところの所得税のかからない限度というものを一応設定いたします一つの手段といたしまして、基礎控除とともにその構成要素として考えておるわけでございます。  ところで、青色なり白色なりの専従者という場合につきましては、むしろ企業と家計というものとの関連をどういうふうに考えるかという問題でございます。その際に、青色申告者でございますれば、いわば企業と家計というものが分離をいたしておりますから、その橋渡しというものは同種同等の企業において認められるような標準でございますれば給与という形におきましてその企業から家計へ分与される、それを認めるものでございます。それで、白色専従者になりますと、その企業と家計の分離ということが残念ながら私どもの目から見ますればできておりませんから、いわば重複をしておるわけでございます。そこで、白色事業者から見ますればそういう給与というものにつきまして税制上何らのしんしゃくも加えないという立場もあり得ますけれども、そこはある程度の給与に等しいようなものを白色専従者控除としまして、オーバーラップしておる企業と家計というものへの橋渡しを考えておるわけでございます。したがいまして、白色専従者の四十万円というものが、おっしゃいますように配偶者控除の二十六万円とそれから差し引き残額十四万円というふうに分けては考えていないのでございます。
  7. 村山喜一

    ○村山(喜)委員 私は解釈を聞いているのじゃなくて、数字を聞いているのです。数字は、私が言いましたことは間違いないですかということを聞いたのと、それから青色事業の専従者控除、四十八年度の実績は幾らになっておりますかということを聞いているのです。
  8. 中橋敬次郎

    ○中橋政府委員 私が申しましたのは、四十万円という御提案申し上げています数字はそのとおりでございますけれども、それを分離せられたものでございますから、それについては私どもの考えとして御同意できないということを、理由をつけながら申し上げたつもりでございます。  それから申し落としまして失礼いたしましたが、青色専従者の給与につきましては、四十八年分の実績が出ておりますけれども、専従者一人当たりで五十四万円となっております。
  9. 村山喜一

    ○村山(喜)委員 四十七年度の場合に四十五万円でしたね。四十八年度は五十四万円。そこでみなし法人の妻の場合はどういうような取り扱いになりますか。きのうも参考人に御出席をいただいていろいろ御意見をいただいたのですが、これは青色の場合でもあるいはみなし法人の場合でもあらかじめ税務署に届け出て、そして一応の了解を得た上でやるような形をとるわけですか。この場合のいわゆる妻の座というのですか、専従者控除はどういうふうになりますか。
  10. 中橋敬次郎

    ○中橋政府委員 青色申告の専従者の場合もみなし法人の場合も、事前にその給与というものは届け出ていただくことになっておるという点は同じでございます。それからそれによりまして、届け出られました範囲内におきましてみなし法人としてたとえば配偶者に出されておる給与につきましては、青色専従者の給与と同じような取り扱いでございます。
  11. 村山喜一

    ○村山(喜)委員 いつまでに出すのですか。
  12. 中橋敬次郎

    ○中橋政府委員 青色専従者につきましての給与の事前の届け出は、三月十五日まででございます。
  13. 村山喜一

    ○村山(喜)委員 それはみなし法人の場合も同じだ、こういうふうに考えていいですね。
  14. 中橋敬次郎

    ○中橋政府委員 みなし法人の場合にも、専従者についての事前の給与の届け出は同じでございます。
  15. 村山喜一

    ○村山(喜)委員 その場合に、これだけの給与でやりますという事業計画をつくって、これだけの利潤があり、経営者本人にはこれだけの給与、専従者にはこれだけの給与というような形の一つの計画がなければ合理性はないと思うのですが、そういうような事業計画を添えて出すようになっておりますか。
  16. 中橋敬次郎

    ○中橋政府委員 そういう事業専従者の給与というものは、やはり給与という形でございますから、事業経営がどの程度になるかという見通しを、もちろん通常の場合であれば持つわけでございます。そういう計画を持ちながら、一体どの程度の給与を払い得るかということは、利益のいかんにかかわらず決めていただかなければなりませんから、詳細なる事業計画というものは必要ございませんけれども、そういうものを頭に置きながらも、こういう給与にするということでその給与だけについて事前に届け出ていただければよろしいことになっております。
  17. 村山喜一

    ○村山(喜)委員 その場合に、実際の業務としてはそれをチェックすることをどういう程度になされているのですか。普通常識的に見て、この程度のものであれば認められる、こういうような形の中で基準というものをお決めになっておりますか。それとも、大体税務署の方で受け付けていった場合には、そこら辺は税務署長に一任してあるわけですか。
  18. 中橋敬次郎

    ○中橋政府委員 その点に関しましては、青色専従者の給与というものを、制限額を撤廃いたしましたときから同じような考え方でございます。それは、いわば同種同等の企業におきまして支払われるであろうと思われるような給与というものを頭に置くわけでございまするが、判定基準としましては、所得税法の施行令に書いてございますように、労務に従事した期間、労務の性質その提供の程度、それからその事業に従事する他の使用人が支払いを受ける給与の状況、その事業と同種の事業でその規模が類似するものに従事する者が支払いを受ける給与の状況、そういうようなことで、通常の場合にも妥当と認められるような給与水準であれば、それは是認されるものでございます。
  19. 村山喜一

    ○村山(喜)委員 そういたしますと、ことしの所得税源泉徴収を受ける人たちは、給与の年間の上昇率は税収の見積もりの中で一七・一ということで積算をしてございますね。そうするならば、それが一つの基準になるのでしょうが、同種の企業あるいは事業を営む者との比較の上において妥当なものと認められたら、一七・一というのは一つの基準的な数値として、ことし上昇をするであろうということを見込んで申請をしてもよろしいということになりますね。その点はいかがですか。
  20. 中橋敬次郎

    ○中橋政府委員 国税庁からお答えするのがしかるべきだと思いますけれども、当然昨年の給与水準に固執するわけでございません。五十年分として同種同等の、先ほど申しましたような企業において、いわば外部労働に対しましてこういったような給与の上昇が見込まれるというようなことでございますれば、当然認められるはずでございます。そのときに、一七・一というような全国的な一人当たりの雇用者の所得の伸びというのも参考にはなりましょうが、あるいはまたその事業が大中小いろいろの規模のものもございますょうから、必ずしもその一七・一に固執はしないはずでございます。
  21. 村山喜一

    ○村山(喜)委員 そういたしますと、四十八年度の青色専従者控除の実績は出ているわけです。四十九年度は、去年の三月十五日までに大体届けをして、そしてそれに基づいて経営が計画をされているわけですが、そういうふうにして届け出をしたものは、年間の変動というものは認めないことになっておりますから、とするならば、四十九年の三月の十五日に届けをした数字というものは、平均的につかんでいらっしゃると思うのですが、いかがですか。
  22. 中橋敬次郎

    ○中橋政府委員 申しわけございませんが、その報告はまだとっていないそうでございます。
  23. 村山喜一

    ○村山(喜)委員 私が急に国税庁の方を呼び出しましていま来ていただいたわけですが、三月の十五日に届け出をいたしますね。そうすると、年間の変更は原則として認めないことになっていると聞いておりますが、青色事業申告者の場合等の専従控除変更の事情というのは認められますか、いかがですか。
  24. 横井正美

    ○横井政府委員 御指摘のように、届けていただいた給与の額で年間を通していただくというふうにお願いをしてございます。
  25. 村山喜一

    ○村山(喜)委員 そういたしますと、四十七年が四十五万円、四十八年は五十四万円。四十八年は大変景気がよかった年ですから、外部労働の全国的な給与というものは相当上がっておりますから、四十九年度は、三月の十五日で押さえられる時点においては、四十八年度の実績と四十七年度の実績比よりもなお高くなっている。とすれば、少なくとも六十五万円ぐらいにはなっておるのではなかろうかという推測ができるわけですが、そこら辺は皆さん方の方ではまだ統計をとっていらっしゃらないそうでございますが、正確に押さえる必要があると思うので、昨年の三月十五日ですから、一年前の数字ですから、大体そういうようなものは抽出調査あたりでもできる数字ではなかろうか、そういうように思うのですが、全然ございませんか。
  26. 横井正美

    ○横井政府委員 大変申しわけないのでございますが、例年七、八月ごろにその前年の実績をとるということをいたしておりますので、四十九年三月十五日にお届けになりました分につきまして、ことしの七、八月ごろには調査をして集計ということになるようなことでございまして、しばらく時間をかしていただきたいと思います。
  27. 村山喜一

    ○村山(喜)委員 私は、同じ事業をやりながら、青色事業の場合と白色事業の場合とでは、これはやはり企業と家計部門とが切り離されていないという点もありますが、同じ事業をやりながら余りにもそこには開きがあり過ぎるということはよくないと思います。そういう立場から、税務行政を推進していく立場では、青色事業申告者の数をふやすということは当然推進しなければならないわけでございますが、それと白色との比較をする。税法の改正を提案する場合には、腰だめではなくて、やはり一定の比率を考えながら提案するという仕組みがそこになければうそだと私は思うのです。前は五十四万対三十万であった。今度は四十万に上げたんですけれども、上げたことはいいと私は考えるのですが、その場合の青色事業専従者控除の平均は、一年前の話ですから、これぐらいの数字にはなりますよということで、四十万というものを税法改正の中で出してくる、そういう一つの合理性がなければ――ただ腰だめ的に出されたものではないと私は思うのですが、その点は、主税局長、いかがですか。
  28. 中橋敬次郎

    ○中橋政府委員 いまお示しのように、四十八年度の青色の専従者の給与が平均で五十四万円でございまして、その年分におきます白色の控除は二十万円でございましたから、半分よりも下という率でございました。仮に、村山委員が述べられました四十九年の青色の専従者の給与を六十五万円にいたしますと、その年分の白色の専従者の控除は三十万円でございましたから、これも大体半分以下ぐらいになっておるわけでございます。そうしますと、四十万円といいますのは、その程度であるのがいいのかどうかということになりますと一つには、半分程度というのは、申しわけございませんけれども、私どもも腰だめ的に考えざるを得ないのでございますが、果たして内部労働に対する評価を一体どの程度に考えたらいいのかということは、おっしゃるように非常にむずかしいものだと私どもも考えております。  一つには、農家におきますところの労賃が一体どういうような動きをしておるのかということも白色専従者につきましては農業が非常に多いものでございますから参考にはいたしておりますけれども、的確に、一般の給与水準がこの程度であるから、あるいは青色がこの程度であるから、それに比準しての率というのを想定いたしまして決めてきたという今日までの経過ではございません。しかし、おっしゃいますように、そういった一般的な給与水準、青色の専従者の給与、特に農家におきますところの労働報酬、こういうのを考えながら今後も白色専従者給与というものは考えてまいりたいと思っております。
  29. 村山喜一

    ○村山(喜)委員 ちょっと私が比較をする数字を間違えておりましたが、いま中橋主税局長が言われたように実績は五十四万、それに対して四十八年度の白色の控除は二十万です。そうなると、この実績が出るのが非常におくれていく。去年の三月十五日に届け出をさせたものが、まだ、ことしの税法の審議のときにはそういう実態がわからない。これでは、四十万円が適当なものであるかどうかということは、余りにも腰だめ的な数字になり過ぎているんじゃないか、私はそういう気がしてならないのです。  それで、国税庁としては、そういう統計的な数字を夏にならなければとらないようにいま承ったのですが、そういう形で税法を決めていいんだろうか。横井直税部長、あなた方は、課税の的確性を期するということを考えた場合には、もっと早くそういう指標をとって、客観的な裏づけを行いながら課税を行うというのが正しいんじゃないかと思うのですが、そういうものに対してどういうふうにお考えになりますか。
  30. 横井正美

    ○横井政府委員 現行の専従者給与の制度でございますが、三月十五日までに届け出た金額の範囲内で、従事状況から見て適正な金額を実行していただくということになっておるわけでございます。そこで私ども、三月十五日にお届けされたもののほかに、実行がどうなっておるかということをあわせてとりたいということで、翌年の確定申告が出ますのを待ちまして一緒に集計をいたすということにしております。それで翌年の夏ごろということになっておるわけでございます。  したがいまして、届け出だけをとりあえず集計するかどうかという問題があろうかと思いますが、現在までのやり方はそういうふうになっておるということを御了解いただきたいと思います。
  31. 村山喜一

    ○村山(喜)委員 それはわかるのですよ。実態はわかるのだけれども、さらに前進をさせようという気持ちがあるのかないのかということを聞いているのです。
  32. 横井正美

    ○横井政府委員 御指摘の点につきまして、なおさらに前向きで検討いたしたいと思います。
  33. 村山喜一

    ○村山(喜)委員 森政務次官、いま若干の論争をいたしましたが、三十万から四十万に上げる、十万円上げるということはまことに結構だと思うのです。だけれども、なぜそれを上げるのかという裏づけの数字がいかにも客観性がない。説明の材料としては、こういう状態でありますからこれだけ上げました、たとえば昨年、給与所得者は、総理府の家計調査によりますと二四・三%ふえております。そういうようなところから、給与の引き上げ等は青色事業申告者の場合でも白色事業者の場合でもあり得るわけですから、あるいは昨年の三月十五日に届けたのを事情変更で――これは、一年間のなには許さないわけです。そのままですから、そうなればもっと的確な資料を用意して、だから白色の場合はこの程度にするのが妥当だという説明の材料は、大蔵省としては立法府の方に提出をされて、審議の材料に供してもらうことが正しいと私たちは思うのですが、それについての御所見はいかがでございますか。
  34. 森美秀

    ○森(美)政府委員 ただいま御指摘の点につきましては、たとえば七月、八月にならないと出てこないという点についても、いま直税部長が答えましたように、何とか前向きに検討しようという気持ちを持っておりますし、四十万の点についても、今後もう少し明細なるデータのもとにやる必要があると思います。
  35. 村山喜一

    ○村山(喜)委員 こればかりやっておったら時間がありませんから、次に入ります。  中橋主税局長は、行政の継続性というものはお認めになると思いますが、いかがですか。
  36. 中橋敬次郎

    ○中橋政府委員 認めております。
  37. 村山喜一

    ○村山(喜)委員 昨年の三月十五日、私はこの席で、当時主税局長でありました高木さんを相手にして、源泉徴収の問題でいろいろ問題を提起しながら詰めてまいりました。その中で、いろいろ答弁がなされているわけですが、昭和四十五年十二月二十四日の最高裁判決、これはまだよく勉強をしていないからもっと勉強してから答えたいということでございました。もちろん一年の月日がたっているわけでございますから、中橋主税局長は勉強家でもございますので、これについては十分に検討をされたものだと考えておりますが、最高裁の判決に基づいてどういうような措置をとられたのか、お聞かせをいただきたいと思うのであります。  と申しますのは、他の納税者と違いまして、猶予の制度が働かないということは当時認められておりまするし、国と源泉徴収義務者と給与の支払いを受ける者との三者の間にいろいろ問題があって、そして昭和四十年度の改正案の中で何とか詰めるようにしたのだけれども、それをまとめる時間的な余裕がなかった、そういうようなことから、今後直し得るものから漸次直していくという態度で臨んでまいりますということを高木主税局長は私に答弁をされているわけでございます。  その後、今度の税法の改正の中に、所得税法なりあるいは国税通則法の中で改正案文がどうなってきているのだろうかということで見てみますが、その点については何ら出てきていないわけでございました。それがどういうふうに直し得るものを直してこられたのか、これについて主税局長の見解をお伺いします。
  38. 中橋敬次郎

    ○中橋政府委員 そのときの速記録でいろいろ細かい法律論を御論議になりましたことは十分承知をいたしております。それからまた、それについても私なりにいろいろと考えたことも事実でございます。ただ私は、もちろん前局長は直し得るものから直すということでお答えをされましたから、その線は踏襲するものでございまするけれども、その場合に、一体何を直さなければならないのか、どういう点にいままでの法律構成でもって実害があるのかという点をいろいろ考えたわけでございます。  いまも村山委員が御指摘のように、確かに源泉徴収をされる者とする者と国ということにつきましての構成が完全に書いてあるとは私も思いません。しかし、それによりまして一体どういうような不都合が実務的に起こっておるのかということで、むしろ私ども実務家でございまするから真っ先にそれを思ったわけでございまするが、私は、長年の源泉徴収の制度の経過から見まして、それを直ちに直さなければならないというような点の実務上の要請というのを感じなかったわけでございます。したがいまして、今年度の税制改正におきましては、そういう点についての改正は全然御提案を申し上げていない次第でございます。
  39. 村山喜一

    ○村山(喜)委員 直税部長、ことしは源泉徴収を受ける者の確定申告が各地で行われておるようでございますが、その数は幾らになっておりますか。
  40. 横井正美

    ○横井政府委員 全体の還付請求の件数は約三百万件でございます。そのうち、先生の御質問の趣旨はいわゆるサラリーマンの減税闘争、これの関係でないかと思いますが、総評を中心といたしますサラリーマンの減税闘争は、御承知のように四十四年から始まったものでございますが、その後数字が飛躍的に増加してまいりまして、昨年の三月の申告に当たりましては、概数にいたしまして約一万二千五百ぐらいの還付請求が出ておるわけでございます。
  41. 村山喜一

    ○村山(喜)委員 いま中橋主税局長は、実務の上から見て支障がない、このままでもそういうような必要性がないという話をされたわけです。とするならば、いま国税庁の方からお話がありましたように、一万二千を上回る人たちが、納税者としての地位の立場から確定申告を要求していく。そういうような要請は、いま源泉徴収を受けている人たちが、自分たちはきわめて不都合な納税者としての地位に置かれている、不都合な権利状態に放置をされているという立場からこれに対して確定申告を出すという動きとしてあらわれているのだという客観的な事実を、あなたは実務者ではありませんから、実際の税務をそういうようなふうにして申請を受け付けたりあるいはそれに応対をする場所ではないわけですから、そこは国税庁がやるわけでございますので、政策当局の立場からは必要性がないというように言われているのと、実務を担当している国税庁が現実に直面をしている問題との間には、私は開きがあり過ぎているのじゃないかと思うのですが、そういう点から、いまでもなおあなたは不都合はないというようにお考えになっているのですか。
  42. 中橋敬次郎

    ○中橋政府委員 主税局は税法の企画立案をやる役所でございますけれども、もちろん執行面についてもいろいろな配慮をしなければならないことは申し上げるまでもございません。ただ、私が申し上げておりますのは、ただいま直税部長からお答えをしましたように、現に源泉徴収をされております人が確定申告を出しておるということはよく承知をいたしております。もちろんその中には、今日の税法上確定申告を待って調整をされる、たとえば雑損控除でございまするとか医療費の控除でございまするとか住宅取得控除とかいうようなものについて確定申告をお出しいただいて、それ相応の還付が必要でございますれば還付をするということは、もちろん行われておることも当然だと思っております。あるいはまた、二カ所以上の給与を持っておられる方で確定申告の義務がある方、これも確定申告をしていただかなければなりません。  そこで問題は、そういう法律的な関係を離れまして、一つには、たとえば現在の課税最低限が非常に低いから、自分たちの生計費が高いからというような理由でもって余分の生計費は控除すべきであるというようなお考えで確定申告を出される方、あるいはまた、給与所得者については全然その必要経費が引かれていないからこれをさらに追加的に控除すべきであるというような考えから確定申告をお出しになるのは、私は、実務上そのために非常に人手を割かれるという事実は認めますけれども、それは今日の源泉徴収制度とはやや違った部面における問題の提起でございまして、この点について実務上支障があるということで改正点を考えるというわけにはまいらぬと思っております。
  43. 村山喜一

    ○村山(喜)委員 では、その内容的なものについてさらに詰めてまいりますが、当時、国税通則法の四十六条、事情考慮の原則ですね、この猶予の制度というのは源泉徴収を受ける者には働かないということを私の方で指摘をし、そして当時の審議官が、だれでしたか、この記録を見ればわかりますが、田辺さんですね、それを認めておいでになるわけですが、そのなには現在においてもそのとおり放置されておりますね、その点は確認してよろしゅうございますか。
  44. 中橋敬次郎

    ○中橋政府委員 法律的に申しまして、いま御指摘の国税通則法第四十六条は、源泉徴収をされます納税者には適用はございません。
  45. 村山喜一

    ○村山(喜)委員 では、延納の権利はございますか。この「確定申告の手引き」の中にも書いてあるわけですが、第三期分の二分の一以上を事前に納入した者については、五月三十一日まで延納の手続をすることができる、これは源泉徴収を受ける給与所得者の場合にはございますか。
  46. 中橋敬次郎

    ○中橋政府委員 本来的に、源泉徴収をされまして、年末調整で最終的な調整が行われておる人につきましては、第三期の確定納税額というのは生じませんから、それにつきまして延納ということは起こり得ないわけでございます。
  47. 村山喜一

    ○村山(喜)委員 損益通算の権利はどういうふうになりますか。
  48. 中橋敬次郎

    ○中橋政府委員 損益通算といいますのも、事業所得等について起こるわけでございまして、給与所得について起こり得ないのでございます。
  49. 村山喜一

    ○村山(喜)委員 純損失の繰り越しもこれは認められておりませんね。
  50. 中橋敬次郎

    ○中橋政府委員 事業につきましての純損の繰り越しということでございまするから、給与所得については存在しないわけでございます。
  51. 村山喜一

    ○村山(喜)委員 そこで、次の点をお尋ねしますが、四十五年十二月二十四日の最高裁の判決の判旨の第四項です。「源泉徴収による所得税を税務署長から徴収されまたは期限後に納付した支払者の受給者に対する求償権は、右所得税の本税相当額についてのみ行使することができ、附帯税相当額には及ばない。」また求償に当たっての遅延損害金は、民事法定利率によるべきである。民事法定利率は幾らですか。
  52. 中橋敬次郎

    ○中橋政府委員 年五分でございます。
  53. 村山喜一

    ○村山(喜)委員 そこで、私がお尋ねいたしたいのは、いわゆる源泉徴収を受ける人の場合には、事業所得者に比べて、いま私が申し上げましたようなことについては、税務当局はその給与所得という実態の上から見てそれらは実情にそぐわないという角度からそういうような判断をしておいでになるのだと思うのですが、ところが、給与所得者の場合には、何だ、おれたちには、そういうような同一生計を営む家族が病気をした、けがをした、その場合でも、延納の制度も徴収猶予の制度も講じてくれていないじゃないか。そしてまた今度は、その源泉徴収義務者と給与支払いを受ける者との間は民事契約、民事関係になるわけですから、委任をするという形で契約をしまして、委任後、源泉徴収義務者に書類を出しているわけですね。その契約に基づいていま現実には源泉徴収が行われておる。  そうなりますと、何らかのトラブルが発生をした――これはこれから起こり得る問題ですよ。その源泉徴収義務者と給与を受ける者との間にトラブルが発生した場合に、それが解決するまでの間はおれたちは所得税は払わないぞという形でその給与を受ける者が払うことを拒む、そういう事例が出てきた場合には、源泉徴収義務者と国とは法律的に公法の関係にございますが、その給与を受ける者との間は民事関係ですから、民事の手続によって処理をする、こういうことになるわけですから、その場合に民事法定利息によって五分だ、遅延損害金を請求されても五分にすぎないということから、いま金利は高いわけですから、ほかのところに預けておいて、後で確定申告のときにおれたちはやるんだ、こういうようなことで、その納税について協力しないという態度が出てきたときにはどうされますか。
  54. 中橋敬次郎

    ○中橋政府委員 現行法のもとにおきまして、たとえば給与を受ける人が、おれたちは税金を納めないんだということで、納めないというそういう事態を想定せられることはちょっと私はわからないのでございます。現実の税法のもとにおきましては、給与を支払いますれば、それ相応の源泉徴収税額を徴収してもらわなければなりませんし、給与を受け取る側にすれば、そういう形でもって税金を納めてもらわなければならないというのが今日の所得税法でございます。それを破ってまで自分たちの税金を納めないという事態が起こると  いうことは、私は実は想定できないのでございます。そういう事態について不都合が起こるからと  いうふうにおっしゃいましても、本来、そういうことを予定していない税法でございます。
  55. 村山喜一

    ○村山(喜)委員 そういうようなことを予定していない、源泉徴収を受ける給与所得者の場合は、自分たちの自由意思によって税金を納めなければならないという主体としての動きというものはないわけですね。  それは、源泉徴収義務者は、徴税機関的な地位に立っておりますが、そしてまた、納付しなかった場合には納税者的な地位に立っている。だから、言うならば、公法上の租税法律関係にありますけれども、今度は、その給与を受ける者、これはそういうようなものは予測をしていないから、ただ、所得税法の第五条ですか、これによって、居住者は納税の義務があるんだという一般的な法規の規定にとどまっている。ですから、本来なければ、その居住者である給与の支払いを受ける者が納税者であるべきなのに、その人の権利も義務も税法の中では規定づけられていない、現在の法律はそういう、ふうになっておりますね。  ですから、仮に私が言うような、何らかの問題で源泉徴収義務者と給与の支払いを受ける者との間に問題が出てきた場合には、それは民事上の問題だ、こういうふうになるわけですから、民事上の問題となった場合に、仮に給与の支払いを受ける者が、おれたちはそういうような源泉徴収の方式よりも、納税をしないというのではない、確定申告のときに納めるんだ、それまでは、供託をするなり、いろいろな方法があるだろうと思うのですが、トラブルが発生をするという事態はいまでは予測をしていないと言っても、あり得るかもしれない。その場合は税務当局としてはどういうふうな措置をとるのですか。ちょっとそれを教えてください。
  56. 中橋敬次郎

    ○中橋政府委員 いまのお話も、給与支払いを受ける人が主体的に納税をする道がないとおっしゃっておりますけれども、今日の税法におきましては、その意味におきまして事業所得者であれ給与所得者であれ、納めなければならない税額というのは客観的に税法でもって決まっているわけでございます。申告をして初めてその税金が幾ばくに決まるということは全く手続上の話でございまして、納めなければならない税額というのは税法でもって客観的に決まっております。給与を受ける人が年間を通じまして幾らの給与をもらえば幾らの税額を納めなければならないということは決まっておるわけでございまして、それをどういう手続で納めるかという問題でございます。  主体的に確定申告をする人たちがいわゆる自主申告、自主納税という言葉の誤解から、何か自分でもって自由に操作できる余地があって、給与所得者についてはそういう余地がないというふうにされる見解も間々私は聞くわけでございますけれども、そういうことは現行の税制としてはあり得ないわけでございます。もちろん立法論として、それでは源泉徴収制度をとるのがよろしいのか、全部確定申告に待つのがよろしいのかということはあり得るものと思いますけれども、現行制度のもとにおきましては、給与を一カ所の支払い者からもらっておる人につきましては源泉徴収という手続で、税法上決まった税額を納めていただくということになっておるわけでございます。  ただ一点考えられますことは、給与支払い者が計算間違いをしまして、あるいは税法の誤解から本来取るべきでない金額を過って取ったということが起こり得ると思います。それは法律上はどういうという御論議でございますれば、民事上の争いでもって解決されるべきものだと私は思いますけれども、そこは一体源泉徴収制度を成り立たせている基盤は何かといえば、雇用関係という、一方におきましては非常に冷たい関係でございますけれども、また一方におきましては、長い間お互いに勤めている職場というものを中心にしまして長く給与を払う者とそれを受ける者という間でございますから、おのずとそういう誤りというのは正し得る道というのは十分あると思います。現にいままでそういうことをやってまいりましたから、おっしゃいますように全然いまの制度に反対だから源泉徴収をすべきでない、したがって自分は取られるのがおかしいということで争っても、民事上の争いにもちろんなりませんし、またそういうようなものを予測しまして一体その場合にどうするのだ、だからこそ税法を改めろと言われましても、私はなかなか御同意ができないわけでございます。
  57. 村山喜一

    ○村山(喜)委員 そういうようなことを予想していなくてもいても、現在納税者としての源泉徴収を受けている給与支払いを受けている人、この場合には自分で申告をする自主納税の制度というものかないわけですから――納めないとは言いません。まとめて納めましょうというようなことで源泉徴収義務者との間でいろいろトラブルが起こる。皆さん方は源泉徴収義務者の方とは公法的な関係にありますから、それには納税を要求し、そして支払いをしない場合には三年以下の懲役処分等の処罰ができるわけですが、今度はその問題で支払いを受ける者と源泉徴収義務者との関係は民事関係なんですから、しかもその間のいわゆる遅延損害金というものは法定利率の年五分ということによる、それだけに判決はなっているわけですから、そういう事態が起こった場合に困るのは源泉徴収義務者であって、給与の支払いを受ける者は何らの損害は受けないわけです。そういうような法律の仕組みにいまなっているわけです。  それだけに源泉徴収を受ける給与支払いを受ける人は、納税者としての権利も義務も、きわめてこれは低い地位に置かれている。権利も義務もそういう意味において一般の納税者に比べたら差別的な取り扱いを受けている、そういうふうに言っていいんじゃないですか。あなた方の税法の理論というのは徴税をする側の理論である。納税者が、憲法上の権利と義務、憲法十四条の規定、そういう自由権に基づいて、差別を受けないで申告をし、あるいは源泉徴収を受ける者がそれがいいという選択をするのであるならば本人の自由意思に基づいてそれをやる、そういうような制度、選択制の原理というものを出さなければ、私はこの税法の理論というのがいつまでもいまの状態を続けていくことは間違いだと思っているのです。  それに対して皆さん方のお考えというものは、やはり従来の考え、実務上支障がないからいまのままで、解釈上はいろいろ問題があるけれども、その点は目をつぶってもらいましょう、猶予の原則も働かないような状態に放置しておるけれども、それは泣いてもらいましょうということではおかしいじゃないですか。
  58. 中橋敬次郎

    ○中橋政府委員 いまおっしゃいました、泣いてもらいましょうということは一体どういうことかというのがこの問題の基本だと思います。確定申告をすれば税金が安くなって源泉徴収をされれば高くなるかということは、本来この問題としては何ら考慮するに値しない問題だと思います。自分は確定申告で納めるから源泉徴収をされては困るんだという主張は、現行法のもとにおいては起こってはならないことでございます。  もちろん立法論として先ほどから申し上げておりますように、源泉徴収制度をやめる、あるいはおっしゃいますように選択制にするという道も可能かとは思います。私はむしろ、そういう立法論としましても、源泉徴収制度というのは、やはり徴税という問題を考えれば、昔から言われておりますように、便宜の原則でございますとか、徴税費の安い方を選ぶとかいうようなことを待つまでもなく、一つの考え得るお互いに便宜な方法として考慮に値する問題だと思っておりますけれども、立法論として起こり得る問題とは別に、現行法のもとにおきまして、確定申告を自分はできないんだから、毎月毎月の月給から税金を取られるのは困るということを言われること自体が私はおかしいと思うのであります。
  59. 村山喜一

    ○村山(喜)委員 それは税金を取り立てる方の理論であって、やはり選択制を認るような制度を考えなければおかしい、私はそういう意見なんです。ですから、一体現在の源泉徴収を受けている給与所得者は、では税法上から見て憲法十四条に定める平等の思想というものの上から、これは平等の立場に置かれているんだ、何ら差別はないというふうにお認めになっていらっしゃるわけですか。
  60. 中橋敬次郎

    ○中橋政府委員 源泉徴収制度がそういう観点から違憲であるかというような御議論はありましたけれども、これはもう最高裁の判決においても合憲であるというふうに認められております。
  61. 村山喜一

    ○村山(喜)委員 源泉徴収制度そのものが合憲であるか違憲であるかという争いは別にいたしまして、現実にそういうような不都合な取り扱い、事情考慮の原則というものが働かないというのは、これは差別をされているんだということには皆さんの方ではお考えにならないのですか。国税通則法の四十六条、猶予の制度は給与所得者の場合には働かないで放置しておってよろしいというふうにお考えなんですか。
  62. 中橋敬次郎

    ○中橋政府委員 国税通則法の四十六条を見ますと、この納税の猶予制度というのは、納税者の資金繰りというものを非常に判断いたしまして、その場合に納税を猶予する必要があるかどうかということを考えるわけでございます。そうしますと、今日におきますところの給与所得者がたとえばいま御指摘のように、四十六条に書いてございますようないろいろな事態が起こりましたときの資金繰りというものを考えてみまして、一体どの程度の不都合があるかという判断でございます。今日まで幸いにしまして、納税者についてそういった事態が起こって資金繰り上非常に困ったという例は私は余り聞いたことはございません。  御議論としまして、もちろんここに書いてある納税者は、給与の支払いを受ける源泉徴収をされる納税者は入っていないということでございますから、そういう御議論は成り立ち得るわけでございますけれども、一体、そういう資金繰りという観点から申しまして、事業者たる納税者がそういった場合に際会します場合と、給与支払いを受ける者がそういった場合に際会します場合の資金繰りの事情ということを考えれば、おのずと私は差異があると思っております。それが非常に支障を生ずるということでございますれば、もちろんそういった事例として考えなければなりませんけれども、私は実務の面から見まして、また今日そういった非常に資金繰り上困ったという事態をそんなに必要性を持って考えておりません。
  63. 村山喜一

    ○村山(喜)委員 その資金繰りの上から、給与所得者の場合には病気になっても、けがをしても、家族がそういう状態になっても何とかやり繰りがつくだろう。事業所得者の場合にはそういうふうにいかぬからその点を見ているのだ。給与所得者の場合はやり繰りがつくだろうということでそういうような制度が設けられていないようにいま聞いた。  ところが、交通事故なんかがありますね。実は入院をしましてもこのごろは大変金が要るんです。あるいはこのごろ人工の腎臓などするようなのがございまして、一日入りますともう大変ななにで、一年間入っておりますと八百万円ぐらい入院費用を取られるわけですよ。そういうようなのが仮に出てきた。これは、もうそんなに金を貸してくれるところもなかなかありませんし、実際は困る問題が出る、そういうような場合には、いわゆる猶予の制度というのは給与所得者の場合には働かなくてもいいんだというのでは、これは法のもとの平等という点から言ってもおかしいんじゃないかと私は思っているのです。  だから、そういうようなものについては、いろいろ検討をして直すべきものは直していくと前の高木さんが言われたのは、私はそういうようなところにあるのじゃなかろうかと思うのです。それを、いや、私はそういうような必要性は認めませんというような態度で中橋さんがおられるということは、前の高木さんよりも後退をし、税を取る側の城の中にかたく立てこもって、おまえたちは寄せつけぬぞというような構えのように見受けられてならないのですが、もっとあなたはそういう実情等を調べて、支障があるような事例でも一件でもあれば、法をそういう実情に合わして直していくのは何ら差し支えないことですから、もしあなた方がそういうふうなことをやらないんだったら、国会の方でこれは修正しますよ。与党の人たちだって必要性がある場合には、天下を引っくり返すような法律の修正じゃありませんから、そういうような事情考慮の原則というものは給与所得者の場合でも働かせるというぐらいの修正は、各党一致でできる問題だと私は思うのです。いかがですか。
  64. 中橋敬次郎

    ○中橋政府委員 いまおっしゃいましたような非常に多額の、たとえば医療費がかかるという事例はもちろん考えられないことはございません。今日、一体、どういうような事例でそういう給与所得者が困った事例があるかということについて、今後私ども勉強してみたいと思います。ただ私が申し上げたいのは、事業所得者よりも給与所得者は、そういった場合における資金繰りについても、やはり組織体という中に入っておりますから、一個一個の事業者よりはいろいろな手だてもあるでありましょうということを申し上げたかったのでございます。そういう点も総合的に今後勘案して勉強いたしたいと思っております。
  65. 村山喜一

    ○村山(喜)委員 では、この点は前向きで善処されるようなお話に聞きましたので、今後私たちの方でも皆さん方の態度を見守ってまいりたいと思います。  そこで、次は必要経費の問題です。現在の制度で必要経費というのは、その所得を得るために必要なものが税法上認められた必要経費なんだ、こういう角度でできておりますね。そこで、どういうようなものが必要経費で落とせるのかというのを、私はずっとこうして「確定申告の手引き」を読ましてもらったのです。そうしたらこういうのが出てきました。事業者が商工会議所、それから商工会、商店会というようなものに加入する、その場合の会費なり負担金なり、中には寄付金も入りますが、そういうようなのはいずれも経費で落とせますというふうに書いてありますね。そうなった場合に、それは自分の業務というものを遂行していく上において必要な組織のための経費、これは必要経費なんだ、こういう角度からそれは必要経費として落とせるんだというふうに解釈をしておるわけですが、そのとおりですね。
  66. 中橋敬次郎

    ○中橋政府委員 事業を遂行いたしますために必要な経費は、必要経費として認められます。
  67. 村山喜一

    ○村山(喜)委員 そういたしました場合に、これらのいわゆる商工会なり商工会議所、これは入らなければならないという義務規定の団体ではございませんね。任意のいわゆる加入団体ですね。私は商工会に入るのはいやだからと言って、入らない人はおるわけです。商工会議所にも入らない人もおるわけですね。商店会に入らない人もおるわけです。その場合にはもちろん経費としては会費等は落とせないことは言うまでもありませんが、いずれも任意団体である。法律に基づいてつくられているとはいえ、その入る入らないは個人の任意である、こういうふうに思っておるのですが、そのとおりですか。
  68. 中橋敬次郎

    ○中橋政府委員 商工会議所は自由加入だったと思いますので、任意でございます。
  69. 村山喜一

    ○村山(喜)委員 そこで、私はこれは職業上の団体だと思っているのですが、そういうふうに皆さん方は、これは事業を継続をしていくために必要な団体というふうにごらんになるのですか、それとも商工会議所なりあるいは商工会なり商店会というのは職業上の団体だ、こういうふうにごらんになるのですか、いずれですか。
  70. 中橋敬次郎

    ○中橋政府委員 職業上の団体と言われます定義は、私はよくわかりませんけれども、一つの事業をやっておりますにつきまして同業者の団体に加入いたしますとか、あるいは広く業の集まった商工会議所の中に入るということでいろいろな情報を得たりするということは、一つの事業遂行上の必要から出たものと思っております。
  71. 村山喜一

    ○村山(喜)委員 国税庁もそういうような事業遂行に必要な団体である、これは職業的なものではないのだという解釈ですか。その点はどうですか。
  72. 横井正美

    ○横井政府委員 主税局長からお答えしたとおりでございます。
  73. 村山喜一

    ○村山(喜)委員 外国の場合には、職業上の団体の会費というのは必要経費として認められておりますね、アメリカ、西ドイツ、フランス。その点はいかがですか。
  74. 中橋敬次郎

    ○中橋政府委員 アメリカにつきましては職業上の団体の会費は控除を認めるとか、西ドイツにつきましては営利を目的としない職業上の団体の会費は控除を認めるというようなことはございますが、また一方、イギリス等におきましては控除を認めないというところもございます。
  75. 村山喜一

    ○村山(喜)委員 私も国会図書館のレファレンスで資料を取り寄せてみたのですが、いま、認めていないイギリスのことまでお述べになりましたが、フランスも認めるようになっておりますね。あなた方が税調の方にお出しになった資料の中にもそのことが書いてあります。とするならば、それらの国々においては、まあやり方はいろいろありますが、その職業上の団体の会費の中に労働組合の組合費が入っておりますね。いま労働組合というのは、ILO条約の批准をいたしまして、そして国内にありましても一つの法人格をとった団体ができておるわけです。まあ団結をする権利、結社の自由権というものは認めていますが、ILOの場合には団結をせざる自由権とか結社をせざる自由権というのは認めていないわけです。そういう意味から言えば労働組合というのは、いまではもう職業上の団体としての地位を得ているのだ。労働組合があるのが普通なんであって、ないのがおかしいのだという状態がいまの日本の姿である。  そうすると、その商工会に入った会費とか商工会議所の会費、商店会の会費あるいは商店街の振興協同組合の会費、これらは経費として認めながら労働組合費は経費として認めない、その思想は一体どこにあるのですか。どこに差をつけなければならない点があるのですか。
  76. 中橋敬次郎

    ○中橋政府委員 労働組合が一般的になっておるということはおっしゃるとおりでございます。そのときに、労働組合費というものを一体給与所得を得るために必要な経費と見るか見ないかというのは私は非常にむずかしい、ちょうどボーダーラインにあるところだと思っております。労働組合がたとえば労働者の経済上の地位の向上ということを目的にいたしますのであれば、果たして毎月もらっておる月給を得るための経費なのか、その向上のために団結する費用をみんなで分担しておるのかという問題があります。  商店会でございますれば、共通に道路をきれいにしたり明るくしたりというようなのは商売上の話でございますけれども、給与所得を得るために必要な経費ということを厳密に解すれば、たとえば、私はこの点については余り詳しくございませんけれども、クローズドショップ制をとっておれば、これはまさに労働組合費といいますのは給与を得るために必要な経費として十分考えられるわけでございますが、だんだんとオープンショップ制になってまいりましたときに、一体それが給与を得るために必要な経費なのかという点については、非常にボーダーラインにあるものではないかというふうに考えます。  ただ、それではそれを一体個別的に見るかどうかという話になりますと、わが国は概括的な給与所得控除ということをやっておりますので、今日までそういったものが入るか入らないかということを厳密に詰めたことはございません。しかし、いま村山委員からの御質問について考えれば、私はそういうふうに思われます。
  77. 村山喜一

    ○村山(喜)委員 いまクローズドショップ制の問題、オープンショップ制の問題をお取り上げになりましたが、ユニオンショップというのもあるのですね。だから、労働組合というのは政治団体ではございません、経済的な労働者の地位の向上のためにつくられる団体であることは、労働組合法の上に明記されておる。そういう立場から言うならば、組合が団結をし、交渉をし、そして賃金の引き上げ要求をする、そのためにこそ存在をするのが労働組合、経済的な地位の向上のために存在をする。とするならば、これは当然そういうような所得を得るために必要な経費をお互いに分担をしている職業上の必要な組織なんです。  いまボーダーライン層にあるとおっしゃるのだが、その認識は、これについてこれからいろいろな問題を検討しようということなんですか、それともボーダーライン層にあるからこれについてはまだ取り上げないのだということなんですか。これは私は、一事務当局の考えではなくて、政務次官である森さんの方から見解をお伺いした方がいい問題だとも思うし、また大平大蔵大臣が答弁をなさる筋合いのものだとも思うのだが、まあ中橋主税局長は事務的な立場からボーダーラインだという意味の表現を言われたわけですが、森政務次官は、あなたの認識ではどういうふうにお考えになっておいででしょうか。
  78. 森美秀

    ○森(美)政府委員 本問題に関しましては、私といたしますと実は初めて気がついた問題でございます。したがいまして、当然検討をしていかなければならない問題だ、前向きに検討さしてもらいたいと思います。
  79. 村山喜一

    ○村山(喜)委員 外国の事例等を十分お調べをいただきまして、あなたがいまここでこういうふうにいたしますという責任ある答弁ができる立場にないことは私はわかっておりますから、これ以上はお聞きいたしませんが、前向きに検討をしていただくように要請を申し上げておきます。  そこで、これは中橋主税局長にお尋ねいたしますが、いろいろ商店街等が一般住民のサービスのために簡易舗装をやったり街灯をつけたりした場合の負担金は、これは必要経費として落とせるのだということに税法上ではなっておりますね。いかがですか。
  80. 中橋敬次郎

    ○中橋政府委員 税法から申し上げますと、いま御指摘のような例は繰り延べ費用としてある一定の期間かかりまして損金にするというのが通例でございます。
  81. 村山喜一

    ○村山(喜)委員 その場合に、そこに住んでいる商店街の形成者三十戸以上とかなんとかがそこにあるとします。その中には青色事業申告者の場合もあるし白色もあるし、それから商店会には入っていないけれども、そこに住んでいるサラリーマンがおる。その場合のいわゆる経費は、これは青色事業申告者だけが受け持ってつくるものですか、それともそこに住んでいる人たちがつくるべきものですか。
  82. 中橋敬次郎

    ○中橋政府委員 事業者で白色の場合につきまして、そういうものの立証が行われれば標準外経費として認めるようでございます。われわれ給与所得者がその間に介在をいたしておる、われわれも現に前の道路が改修をされるについての分担金を出すという場合は、これは消費生活の処分でございますので、必要経費という問題は起こってまいりません。
  83. 村山喜一

    ○村山(喜)委員 直税部長、白色事業者の場合には、それは経費として落とせますか。
  84. 横井正美

    ○横井政府委員 白色の事業者の方でございましても、事業の収入を得ますために必要な経費であるということでございましたならば、当然に経費になるわけでございます。ただ、御承知のように、特殊な事業者につきまして標準率を適用するというふうな場合がございますが、そういう場合におきましては、主税局長からお答えしたように、標準外経費ということになる場合もございます。
  85. 村山喜一

    ○村山(喜)委員 そういたしますと、その商店街が一つのアーケードをつくったり、あるいは自分の前を簡易舗装したり、あるいは街灯をつけたりするようなものは、経費として落とせるのは事業者である、サラリーマンの場合は経費としては落とすことを認めていないわけですから。したがって、それらの経費は負担をする必要はございませんね。
  86. 中橋敬次郎

    ○中橋政府委員 その負担をするかしないかということは、恐らくその町内会なら町内会における話し合いによりましょうし、またそういう決定が行われましても、自分はそういう商売とは縁がない話で、必要以上に明るくする必要がない、必要以上に舗装をする必要がないということでございますれば、負担をする、しないというのは、その人の判断にまつと思います。
  87. 村山喜一

    ○村山(喜)委員 私は、やはり東京のような大都会の場合にはそういうような権利意識というものがしっかりしておりますから問題はないとしても、田舎の場合の商店街などは、その商店街の方が中心になって寄付を求めるというような形で、自分たちの負担金は経費として税務上落とせます。しかし一般のサラリーマンの場合には寄付という形で御協力をお願いします、こうくれば、そこに住んでいるサラリーマンは、それは商売人のことだからおれたちはかなわぬということで放置できないような事情にあるわけです。同じ町内会であれば何がしかの寄付をしなければならぬ。それは経費として落とせませんね。  だから、そういうような形の中で、そこにも事業をやっている者と一般の給与所得者との場合には開きがある、差別がある、こういうふうに思うのですが、税法の立場からはどうなんですか。
  88. 中橋敬次郎

    ○中橋政府委員 いろいろ給与所得者が得ました収入の中から外に払うお金が多々あると思います。現実にたとえば私どもでもお祭りの寄付をさせられるということはございます。そういうものを一一全部外に出たから給与を得るための必要経費と考えるのは、税法の立場から申し上げますと誤りであると思っております。  一体、必要経費とは何かということは非常にむずかしい問題でございますが、やはり必要経費というのは収入が上がってまいる、その上がることに応じましていろいろ投じなければならない経費、これが必要経費だと思っております。したがいまして、給与所得者につきましていろいろ社内におけるつき合いもございましょう、あるいは町内におけるつき合いもございましょうけれども、それはまさに収入となる給与とは縁のない話でございまして、幾らそれに投じましても会社からくれる月給には変動がないわけでございます。そういうことになれば、これは一体必要経費の範疇に考えられるのかという問題がございます。  しかし、いずれにしましても、そういった問題を一々個別に挙げてもなかなか判断がつきませんから、わが国の税制におきましては多い目に給与所得控除をつけておるということで解決いたしておるわけでございます。
  89. 村山喜一

    ○村山(喜)委員 そういうような事実上の問題があるということを指摘しておきます。  そこで、次に教育費の問題ですが、憲法二十六条によりまして、「すべて國民は、法律の定めるところにより、その能力に應じて、ひとしく教育を受ける権利」を持っておるわけですが、義務教育は無償とする、こういう原則が憲法二十六条によって定められております。民法八百二十条によりますと親の権利と義務が掲げられておりまして、親権者は子供の「教育をする権利を有し、義務を負う」ておるわけです。そこで、この問題を教育基本法の第四条で調べてみると、「九年の普通教育を受けさせる義務を負う。」こういうことで、「国又は地方公共団体の設置する学校における義務教育については、授業料は、これを徴収しない。」だから、授業料の無償というのは、公教育の中における国または地方公共団体が設置する学校については授業料を免除するというのがここに決まっているわけですが、学校教育法の六条で「学校においては、授業料を徴収することができる。」ただし、国または地方公共団体の学校の場合には授業料は徴収することができない、こういうふうに書いてあります。ということは、私立学校の場合には授業料を徴収する規定が学校教育法の六条で明記されている。  そこで、私は、一体この義務教育無償という原則から見て、いま教科書も無償の取り扱いをされておりますが、それはそれを発展さしたものだと思うのです。とするならば、義務教育を受けさせる権利というものは親にあるし、受ける権利は子供にある。そういう立場から見た場合に、親は公立の学校に子供を行かせようが私立の学校に子供を行かせようが――同じ公教育の中で義務教育というものが学校教育法に基づいて公立であろうが私立であろうが行われているわけです、親にはそのどこの学校に行かせるかという選択の権利がある。そこで、国やあるいは公立の学校に行かせる場合もあるでしょうし、私立に行かせる場合もある。その場合に、義務教育無償という原則から考えた場合には、公立の場合には授業料はただなんです。私立の場合には授業料は取りますよ。その場合に、その親の支払う私立の学校の授業料というものは、これは親に選択権があるということを考え、義務教育無償という立場から考えた場合には、これは義務教育という範囲から見る限りにおいては、公立であろうが国立であろうが私立であろうが同じなんだ。とするならば、当然義務教育無償の原則から見て、私立の学校の小中学校の義務教育の期間の授業料というものは親の義務としてそれを行うわけですから、これは他の大学や高等学校の入学金や授業料とは別に特別の配慮をしてしかるべきではないかという考え方を私は持つのですが、それについていままで税務当局はいろいろ議論をしたことがございますか、ございませんか、聞いておきたい。
  90. 中橋敬次郎

    ○中橋政府委員 その問題につきましての是非はおきまして、議論ということでございますれば、いわゆる教育費の問題としてずっとこれまでも議論をしてまいりました。その中で私どもの終始言っておりまするのは、標準的な生計費その中に含まれます標準的な教育費というものは、もちろん課税除外の範囲としましていわゆる課税最低限の中において処置をするということでございまするので、その標準的な教育費というものを超えまして、仮に親の選択とはいえ余分の経費を負担しておるものまで個別に税制上配慮するということはとり得ないということで今日まで参っております。
  91. 村山喜一

    ○村山(喜)委員 一般的な給与所得控除、そういうようなものの中で、教育は家計部門に関するものだからということで経費としては落とせないのだということを決めてある。これは税法上そういうような立場になっていることは私も知っております。  そこで、森政務次官、いま私が言う義務教育無償という立場からするならば、寄付金とかあるいは入学金とかいうようなものは別にいたしまして、授業料というものは国立、公立の場合には無償だというのは決めてある。私立の場合で学校の経営をしなければならないわけですから、それは授業料という形で取らざるを得ない。しかし、国がその分を見てやるということもおかしいですが、親がそういうような学校に入れた場合にはその授業料ぐらいはやはり必要な経費――義務教育ですから必要な経費として控除するという考え方が義務教育無償の原則から言うならば私は正しい方向ではないかと思うのですが、それについてあなたはどういうようなお考えをお持ちですか。
  92. 森美秀

    ○森(美)政府委員 本問題につきましては、一応人的控除の面で、課税最低限で処置をしておる、こう考えております。
  93. 村山喜一

    ○村山(喜)委員 森さんのお立場もつらいところがあるでしょうから、それ以上のことは言えないんだろうということで、先ほど主税局長が耳打ちをしておったようでございますので、追及はいたしませんで、これは保留しておきます。  そこで、最後になりますが、医療費控除の問題でございます。  今度足切り限度額を引き下げて、そうして課税の限度百万円を二百万円に引き上げたわけですが、この中でいま問題になっております歯科医師会の問題でございますが、きょうの朝日や読売に、次のような通達が出ておるというようなことが新聞で明らかになってまいりました。四十八年の八月の二十七日付で、中原会長名で二五%ないし三〇%の差額は実力行使によって取るのだ、そしてそれは脱保険体制を一歩前進させるという意図なんだということが書いてあるというのが記事として出されている。そうなれば、一体いまの医療費控除の問題はどうなるのか。  保険診療を受ける場合に差額徴収という形のものが歯の場合にはあるわけでありますが、そうなった場合に、自由料金がたてまえになっている、領収書をくださいということを言えば一割増しのお金を支払わせられたという例等も出ているようでございます。一体そこら辺に対して国税庁は―歯科医師会がそういうような通達を出してそれが現実に生きている証拠には、あちらこちらでトラブルが起こっているわけですね。ということは、保険診療によらない、自由診療のものが相当このごろあるということを考えた場合に、医者の社会診療報酬に対する非課税措置の問題、それから自由診療によるそういう医師の収益の問題、ここら辺の実態は調査をしているのかどうか。特に通達が出されました四十八年の八月二十七日以降、九月の一日から実施しているようでございますが、そういうような状態にあるということは皆さん方は調査をし、実態を押さえておったものかどうか。その通達の所在が明らかになったというのは厚生省はこのごろになって知ったようなことが新聞に出ているようですが、税務当局はこの事実をどういうように知っておったのか、明らかにしていただきたい。
  94. 横井正美

    ○横井政府委員 お答え申し上げます。  問題が実は二つあるかと思うのでございます。  一つは、治療を受けられた方々の確定申告に当たっての問題でございます。現行の制度におきましては、治療費につきまして医師等の証明書を添付し、あるいは提示をして確定申告をしていただくということになっております。実際の場合におきまして、間々医師の方から証明書が出ないという場合がございます。この場合におきまして、税務の第一線におきましては、治療が行われておるという事実あるいはまた納税者の方の申告されます治療費が相当なものであるという心証、この辺を得まして確実に処理しておる場合もあるようでございます。しかしながら、税法では医師等の領収書を添付するあるいは提示するということになっておりますので、私ども納税者の方に極力領収書をお持ちになるようにお願いをしておるというふうなのが実情でございます。  第二に、歯科医師あるいは医師等の課税でございますが、けさほどの新聞にございますような通達については、私ども実は承知しておらなかったわけでございます。ただ、しかしながら、医師あるいは歯科医師につきましてかなり税務上問題があるというような認識はかねてから持っておるわけでございまして、私ども実は重点業種ということで国税庁から第一線を指導いたしまして、この調査を必要に応じて十分行うように指導しておる、こういうことでございまして、毎年の調査の事績等を見ましても、医師、歯科医師につきましては相当な事績があらわれておるというのが実情でございます。ただいま手元に数字はございませんけれども、そういうふうな体制で重点的な調査をいたしておるわけでございます。
  95. 村山喜一

    ○村山(喜)委員 私は、やはりこの問題は社会保険診療収入について経費制度を設けて二八%しか課税をしないという形になっておるわけでございますが、そういうような意味で、自由診療による分はこれは的確に収入を押さえ、そうしてそれに要した経費を調べ、的確な課税を行わなければならない立場に国税庁はあると思うのです。  それが、四十八年の八月二十七日に出した通達を、いままで新聞に載るまで知らなかったというようなことでは、これはやはり課税当局としては怠慢ではなかったか。それに基づいて九月一日から自由診療の部門がふえて、そしてよけいな収入が徴収されているということが明らかになった以上は、それについて的確な調査をする。ただ重点業種としてそれを指定するというだけではなしに、やるということがこの際必要ではないかと思うのですが、それについてどういうふうな取り組みをなさる決意でございますか。その点を明らかにしていただきたいと思います。
  96. 横井正美

    ○横井政府委員 通達は存じなかったのでございますけれども、医師、歯科医師につきまして、自由診療の場合の問題あるいはまた差額徴収の問題があるということは十分私ども事実認識をいたしておりまして、そのような立場から、先ほど申し上げましたように重点的な調査をこれまでもやってまいったところでございます。  しかしながら、ただいま御指摘をいただきましたように非常に問題が大きいということでございますので、今後とも申告の指導、それから調査、これにつきまして重点的にやってまいりたい、かように考えております。
  97. 村山喜一

    ○村山(喜)委員 もう時間がありませんのでこれでやめますが、最後に、資料の問題でございます。日本のいわゆる課税の最低限度額は世界でも冠たるものだという資料を、主税局が出しました「税制改正のあらまし」の二十三ページで、国際比較したものをわれわれはいただいているわけです。百八十三万円などというのは、世界じゅう探してもどこにもありませんよという資料でございます。ところが、調査をした時点が一体いつの時点のものなのか。日本の場合には昭和五十年、他の国の場合には一九七二年ぐらいの資料を並べて、これで見なさいということでは、どうも客観的な資料として活用ができない。  たとえば「日銀調査月報」の二月号によりますと、フォード大統領が議会の方に要請をしました七五年の税制改正によりますと、低中所得者の税率の引き下げとか基礎控除の引き上げとか、こういうようなものによりまして百六十五億ドルの減税をやろうとしているわけです。そうなってきますと、いまのアメリカの給与所得の中の基礎控除なり扶養控除、こういうようなものが一体どういうふうになっているのかというようなのも調べてみたのですが、どうもそういうようななにで対比をしてみますと、一割以上の減税を所得税の部門については行っているわけですね。あるいはまた七四年分については、個人所得税の納税額の一二%を現金で還付をする、これが百二十億ドルだというようなのも出ておりまするので、どうも客観的な対比の資料として、皆さん方からお示しをいただいたものと、いま現実に実施をされ、あるいはされようとするものとの間には、これは時間的な違いもあるし、調査の時点も違いますから、余り客観性がないのではないだろうかという気がしてなりません。これをアメリカの所得税収入から見た場合には、この減税の額も一割五分くらいになっているようでございまして、そういうようなものから言うならば、どうもそこに出してある数字というものは余り信憑性がないものではないだろうかという気がしてなりません。  そこら辺については、今後御提出をいただきます場合に、十分われわれにもなるほどなあとわかるような資料をお出しいただきたいということを要請申し上げておきますが、その点はいかがでございますか、簡単にお答えをいただいた上で私の質問を終わりたいと思います。
  98. 中橋敬次郎

    ○中橋政府委員 今後とも私どももできる限り一番最新の資料に基づきまして、いろいろな御議論をいただきたいと思っております。  ただ、先ほどおっしゃいました課税最低限の資料も、ことしの二月現在の各国の税法に基づいて算出をいたしております。したがいまして、まだ現在実施されていない改正法案については全然考慮いたしておりませんけれども、現在実施中の税法については一番新しいものをとっておるつもりでございます。
  99. 上村千一郎

    ○上村委員長 増本一彦君。
  100. 増本一彦

    ○増本委員 先ほどからいわゆる勤労者、サラリーマンの確定申告の問題が議論になっておりましたけれども、ちょっと村山委員の御質問に関連して一、二先に伺っておきたいと思うのです。  先ほど村山委員が例を引きましたいわゆる源泉徴収義務者との関係で、徴収をしなかった場合、そのときの税務署長との関係はどうなるのかということをまずはっきりさせておいてください。
  101. 横井正美

    ○横井政府委員 国税庁といたしましては、国会で民主的に定められました法律を執行する、こういう立場にあるわけでございます。そこで、源泉徴収義務者の方が源泉徴収をした、あるいはしなかった、それぞれの場合におきまして、給与の源泉徴収税額を納付されないという場合におきましては、法律に基づきまして徴収をすると同時に、不納付加算税等をいただくというふうなことになるわけでございます。
  102. 増本一彦

    ○増本委員 はっきりしないのですけれども、法律はわかっているのですが、答弁ではっきりさせていただきたいのは、税務署と源泉徴収義務者との関係がどうなるのかということを伺っているのです。
  103. 横井正美

    ○横井政府委員 税務署長は源泉徴収義務者に対しまして納付の告知をいたしまして、適正な源泉徴収税額をいただくということになるわけであります。
  104. 増本一彦

    ○増本委員 そこで、一方で給与所得者の方で、今度は、自分は源泉徴収義務者との関係では徴収がされていないからということで確定申告を出してきた場合のその処理はどうなりますか。税務署の方は源泉徴収義務者から納付をさせる。しかし、片方の給与所得者の方は、いや私の方は払っていないからということで確定申告をする。想定するケースは、村山委員の場合には結局そういうケースであったと思うのですね。そういうケースになった場合に、その確定申告の取り扱いその他はどうなるのか、こういうことであります。
  105. 横井正美

    ○横井政府委員 源泉徴収義務者から税金を納められておるわけでございますから、したがいまして、確定申告に伴います税金は還付をするということになっております。
  106. 増本一彦

    ○増本委員 だから、いわゆる民事的な使用者と雇用者との関係だけが起きるんだ、こういうことになるわけですね。  そこで、先ほどもう一つ問題になったのは組合費の問題で、組合費を経費として認めるかどうかというのはいわばボーダーラインだというお話が一つありましたけれども、私もこれは経費として認めて差し支えないものだという考えを持っているのです。  それはどういうことかと言いますと、一つは、いままでの主税局長のお話を聞いていますと、結局、給与所得者が給与を得るための経費として認められるかどうかという、ここのところが物差しになる。それは使用者と一給与所得者なり被用者との間の雇用関係だけの問題で考えておられるように私は感ずるのですよ。しかし、いまは雇用契約で労働条件をどうするあるいは給与額をどのように決めるという場合には、これは労働組合法やその他労働関係法のたてまえからいきますと、労働者そのものは個人としてはきわめて力が弱いから団体をつくってそこで交渉をして、その団体の力で労使対等の関係に立って一定の基準を決める、それを個々の労働契約の効力として認めていく、こういう立場になるわけですね。そのことを前提にして労働関係法というものはでき上がっているわけです。  そうすると、労働契約関係そのものが予定しているのは、そういう団体交渉等の組織的な交渉や活動を通じて決められていくということが前提になっておりますから、それが労働契約関係だということはもう不文の前提になっていると思うのですね。そうすると、その団体的な労働組合そのものを維持していくための経費としての労働組合費というのは、労働契約関係を決定していくための最も基本的な経費であるし、だから給与所得そのものを得るための必要な経費だというのは理論的にもきわめて筋が通って、ボーダーラインどころか、まさに文字どおりの必要経費ではないかというように考えるのですが、その点はどうなんでしょうか。
  107. 中橋敬次郎

    ○中橋政府委員 雇用者の地位に立ちまして労働を提供すれば、それに対して対価が与えられるというのは当然のことでございます。したがいまして、給与というのは勤めれば与えられるものでございますから、労働組合があってもなくてもそれは適正な報酬というのが与えられてしかるべきであるという意味におきまして、私は必要経費でないだろうという気持ちを非常に強く持つわけでございます。  しかし、おっしゃいますように、労働組合の団結ということがあってその給与水準の上昇ということが図られておるという地位に着目いたしますれば、それが組合なかりせば一体どの程度の給与になって、組合があることによってその上積み分がどの程度になるかというような分別をしなければ、本当に全体の給与を得るために必要な経費ということを判定し得る道はなかなかむずかしいのではないかという気持ちでありますから私はボーダーラインと申し上げたのでございまして、組合があるということあるいはそれが一般的であること、またその団結によって労働者の経済的な地位が上がること、それは毫も否定いたしません。しかし、その与えられる給与というものを得るための必要な経費という観点から申しますと、やはり若干の疑問が存するという意味で申し上げたのでございます。
  108. 増本一彦

    ○増本委員 その若干の疑問とおっしゃる意味が実は私の方がよくわからないのですよ。つまり、確かに雇用契約があれば、それはその労務の対価を払わなくちゃならぬというのはそのとおりですよ。しかし、それぞれ税法で給与というものに着目するときにはきわめて具体的なものでしょう。その人のサラリーが一月十万円なのかどうかという、そこのところに着目するわけでしょう。それはとりもなおさず所得そのもの、だからそういう意味で具体的になるわけでね。あるいは毎年毎年の、あるいは毎月毎月のサラリーが引き上げられる、あるいはアップしてくる、あるいはそれが得られる要素として労働組合が存在する限りは、それに常にその者が参加しているということは否定できない事実だと思うのですよ。  だから、それはボーダーラインだけれども、必要経費となるかどうか若干の疑問があるとおっしゃるけれども、まさにそうじゃなくて、具体的に決められた具体的なサラリーそのものの得られる要素、得るためには労働組合がその労働契約関係そのものの決定に参加をしているわけですから、だからそれは文字どおり必要経費そのものではないかと私は言うんですが、その若干の疑問というところをもう少し詳しくお話しいただけますか。
  109. 中橋敬次郎

    ○中橋政府委員 突然のお話でございましたし、またわが税制におきましてはそれを一々詰める必要はないので、先ほど来私見を交えながらお話を申し上げておりますから若干の疑問と申し上げたのでございますが、基本的に一体必要経費とは何かということになりますれば、これは先ほども村山委員にお答えしましたように、一つにはその収入を上げるためにいろいろ前提となっている必要な経費がございます。それから、そういう収入を上げるにつきまして、およそ収入を増加させるについては経費も増加するというようなものが必要経費として考えられると思います。そういう観点から申し上げれば、被用者として労働を提供する雇用契約ということの存在そのものによって給与というものが払われるものでございますから、それはいささかも労働組合費とは関係がないだろうということをまず第一点考えるわけでございます。  それから、労働組合費を投ずれば給与が上がるかということになりますれば、私はそんなことは直接の結びつきはないと思います。労働組合はいろいろな活動をするわけでございますから、そのための費用を賄うために労働組合に払うわけでございまして、収入を上げるために、給与を上げるために労働組合費を払っておるというようなものでないのでございましょうから、私はそこで必要経費ではないという気持ちを持っておるものでございます。
  110. 増本一彦

    ○増本委員 事業所得者の場合の必要経費だって、その収入を伸ばそうと思って経費をかけたって伸びないときだってあるわけですよ。だから、これは組合費を払うからベースアップができるとかできないというんじゃなくて、その給与所得そのものを得られるための必要な経費かどうかということがいま問題になっているわけでしょう。その結果でそれが必要経費になったりならなかったりという、そういうものとして必要経費の本質が論じられるわけではないですね。だから、そのことを理由にされるというのは私はおかしいと思うのですよ、いまそのことを最後におっしゃったのは。  そうじゃなくて、私が言っているのは、労働契約関係というものは、これは労働組合という団体が参加することによって決められるわけですよ。だって、労働組合法を見ましてもそうでしょう。労働協約で決めた水準に従って個々の個別的な労働契約そのものが決められるんだということになっている。就業規則にしましても、労働組合の意見を聞き、同意条項までとっているところだってあるわけですね。それによって労働契約関係そのものが決まるんだということになっている。ですから、そういうように個々の労働契約関係というものは、すべからく労働組合という団体との交渉の結果によってそれぞれ規定されてくるものなんですよ。やはりその中心が賃金の問題でもあるし、あるいはそのほかの待遇条件の問題でもある。だけれども、この給与所得という問題で考えれば、これはもう賃金そのものずばりですから、そういう形で個々の労働契約関係に決められてくるわけですから、その団体を維持する費用というものは、とりもなおさず給与所得を得るための必要な経費というものに現在はなっている。だから、そこには私はいささかの疑問もないということなんですが、何か御意見があったら申してください。
  111. 中橋敬次郎

    ○中橋政府委員 これは繰り返しになりますが、その意図としまして、おっしゃいますように、労働組合が給与の決定に非常に力があることを前提としながらも、労働組合費を多く払えば払うほど給与が上がるものではないということを思えば、そういう必要経費というものとしてこれを見るのはおかしいのではないかということでございます。意図としまして、収入を多く上げるために投じてまいりますそれが必要経費でございます。したがいまして、それでは労働組合費をどんどんつぎ込めば、それに応じて給与が上がるものでもない、そこに私は非常に疑問を持つものでございます。
  112. 増本一彦

    ○増本委員 あなた、それはおかしいので、たとえば必要経費だって、ほかの事業所得者だって必要以上に――必要以上にというのは、過大経費だということで否認することだってあるわけですよ。だから、その点はみんな同じなんだな。それはそうですよ。全部これはもう経費、これもこれもかかりましたなんということで、それを全部素直に税務実務上は認めないですよね。それはそのとおりですよ。もっとあれでいけば、たとえば私、弁護士をやっておったのですが、弁護士の経費は、弁護士は記帳も余りやっていない人が多いという点もあるのだけれども、国税庁や国税局との間で三〇%というような線を大体決めるとかいうようなぐあいになるわけですね。それ以上になると過大経費かどうかということが常に議論になる。これで私なんかずいぶん頭を悩ましましたけれども、そういう問題があるわけです。  だから、組合費をたくさんつぎ込めばつぎ込むほど賃金が上がるとかいうようなことが問題じゃなくて、労働組合だって何もそんなにたくさん組合員から組合費を取りましょう、それでやりましょうというようなことが問題じゃなくて、いまある労働者自身の中で社会的にコンセンサスが得られる妥当な範囲、大会などでも決められ、あるいは規約でも決められて支出されているそういう労働組合費というものを前提にしての話なんで、そういう労働組合費というものはまさに必要経費として、文字どおり経費性を持ったものだということなんじゃないでしょか。だから、つぎ込めばつぎ込むほど収益が上がるか上がらないか、ここのところが必要経費かどうかの基準だなんというようにお話しになるというのは、これは経費論そのものについてのやはり現在の実際の税務実務上との関係を踏まえた議論ではないというように私は思うのです。
  113. 森美秀

    ○森(美)政府委員 いま労働組合費が経費かどうかという問題をちょっとわきに置いてもらいまして、私も終戦直後に、労働組合ができて、会社の幹部として、こんなものがあったら一体経営はできないじゃないかという悩みもし、苦しみもしたわけでございます。その後三十年たちますと、やはり組合と資本家というものが本当に定着して、お互いにそれがあってこそ企業の発展もあるのだという考えに、三十年間でいまようやく到達したわけでございます。  その意味におきまして、先ほど答弁申し上げましたように、この問題、私初めてこの事態にぶつかっておりますが、真剣に研究をさしていただきたいと思います。
  114. 増本一彦

    ○増本委員 終止符を打つための答弁ですか。この点は研究していただくって、あれかこれかというこのボーダーラインで底上げするのか下にずりおろすのか、両面含めた検討じゃなくて、私は、いま政務次官のおっしゃったように、文字どおりこれは定着している問題だという前提に立って、ひとつ前向きに採用するという立場で検討していただきたいのですよ。  ただあと、組合費としての経費額を、どこが妥当かというここのところの問題というのはあるだろうと思うのですよ。これが過大になるのかならないのか、そのことを局長は心配しているようなんでね。そうじゃないのですか。だって、たくさんつぎ込めば給料が上がるとか上がらないとか言ったのはそういう意味でしょう。局長は労働組合の経験がないからですよ。私は労働者の良識にまかせていいと思う。大体組合費というものは大会決定なんですからね。だからその点を、それじゃもう一度、政務次官にひとつ約束していただく立場で伺いたい。
  115. 森美秀

    ○森(美)政府委員 検討さしてもらいます。
  116. 増本一彦

    ○増本委員 そこで次に、今回の改正で、附則の二条で、改正案が成立したら一月一日にさかのぼって施行される。こういうことになりました。しかし、ひとつ検討していただきたいのは、現に給与所得者については、一月、二月、三月は現行法で徴収されるわけですね。四月以降しか給与所得者の源泉徴収については効果が及ばない。事業所得者については、七月と十一月でしたか、予定納税の関係からもうすぐに減税効果が及んでくるという面がある。給与所得者の方は年末調整か確定申告まで待たなくちゃならないというのは、そういう点でももっとこの点は配慮してあげていいのじゃないか。  事業所得者が予定納税で、そこから減税効果が及んでくるというのであれば、大体同じ時期をにらんで、少なくとも夏の一時金の段階で仮精算のようなことも考えてよろしいのじゃないだろうか。その点は源泉徴収義務者の方であんばいすればいいわけで、そして最終的にちょっと取りそびれたという分は、これは年末調整で全部やるわけですから、そういうことで国庫収入そのものにも影響がない問題ですから、この点はひとつ政府の方で修正するなり何なりして手だてをとった方が、よりベターであるというように私は思いますけれども、どうでしょう。
  117. 中橋敬次郎

    ○中橋政府委員 今回、財源的にも許されましたので、おっしゃるような改正の各種の控除を暦年全体に及ぼすということで考えております。その際、いま御提案のようなことをやるとしますと、いまたまたま増本委員がおっしゃいましたように、仮精算をやるということがどうしても一回必要になるわけでございます。  それをたとえば六月なら六月にやるということは、いわば年末調整的なことを一回そこでやりまして、また年末に年末調整をやるということでございますから、それは一つの御提案とは思いまするけれども、私どもはこの問題につきましては、やはり年末調整をいずれやるわけでございまするので、たとえばお盆の手当を出しますときは、現在は年末調整の形式でございませんで非常にラフなとり方をいたしておりますから、特に詳細なる調整ということはやらないで年末に調整をする。もちろんその間にいろいろ給与も変動いたしますから、そういうものも合わせまして年末一回にやるということで御提案を申し上げておる次第でございます。
  118. 増本一彦

    ○増本委員 先ほど源泉徴収制度についての弊害があるのかないのかという議論がありましたけれども、一月、二月、三月というわずか三カ月の、しかも今度はミニ減税というわけですから、その効果そのものから考えると大きなものとは言えませんけれども、しかし、やはりそれが事業所得者などの確定申告の場合には、あるいは退職所得者も含めまして、予定納税やその他の関係でいけば、一回のチャンスで一定の減税効果が――これも翌年の確定申告で精算するという関係になりますから仮のものであるけれども、減税効果はやはり受けることができる。ところが、たまたま源泉徴収である、しかも源泉徴収の納税者が圧倒的にいま多いというこの段階で、年末調整まで三カ月分にしろお預けだというのは、これもやはり一つの弊害じゃないですか。  したがって、一応六月に仮精算する。これは税務行政上は煩瑣になるわけじゃなくて、源泉徴収義務者には無理を強いることになりますけれども、年末調整や確定申告という問題が起きるから仮精算というぐあいになるわけですが、しかし、そういう形で減税の効果を均てんして納税者全体に及ぼすチャンスをつくるということは、これがきめの細かい一つのやり方ではないかというように私は思うのですよ。考え直していただけませんか。
  119. 中橋敬次郎

    ○中橋政府委員 これは、きめの細かいという配慮に当たることは確かでございますけれども、きめの細かさによりまして一体たとえば六月なら六月に仮決算をやる、それからまた年末に一年間の給与について総決算をやるということに値するかどうかという問題でございます。  御指摘のように、やはり源泉徴収義務者の手続としましても、一回そこで年末の給与についてやるようなことをたとえば六カ月間の給与についてやるわけでございます。それで、六カ月分の給与で暦年前半のものが完全に精算をし得て、あと年末調整においてはほとんど過不足がないというような状況が期待できれば、またそれは一つの意義があるかと思いますが、年間におきましては、ベースアップもございますし、昇給もございますから、やはり年末においての若干の過不足の調整ということは避けがたいと思います。そうしますと、一、二、三カ月分のものも、それの中で過不足として調整をするということで、そんなに早くやらなければならないほどの大きさの金額でない、いわば、おっしゃいますような、そう大した効果がないということでございますので、あえてそれだけの手数を源泉徴収義務者にかけなかったというのでございます。
  120. 増本一彦

    ○増本委員 ここで私が先回りして大したことがないような話をしたのは、私はミニ減税だから大したことはない、こう言っているので、あなたがそれに乗っかるのはいかがと思うのですね。  では、一――三月の源泉徴収のいわば増差額といいますか、この分は幾らになるのですか。
  121. 中橋敬次郎

    ○中橋政府委員 たとえば、夫婦、子供二人で、社会保険料控除後の給与月額が十五万円あるいは二十万円の人について、仮に改正案によります源泉徴収税額を出して現行の税額と比べてみますと、月に六百七十円差が出てくるということになります。
  122. 増本一彦

    ○増本委員 それと、年間のベースアップもあるから、ここで六月に源泉徴収義務者に仮精算のようなことをやらせるのは、効果から見てちょっと酷じゃないか、そういうお話ですけれども、大体六月ぐらいの時点になれば、例年でいけばここで春闘の山場は大体過ぎるでしょうし、それ以降のあれというのは、年次昇給の分が残っているところも若干あるかもしれないけれども、全体としては一応の帰趨はわかっている。だから、ここで仮精算を六月にやれば、年末調整でねじりはち巻きでやるアルバイトの分が、いわば分散されるという点もあるんじゃないですか。だから、ここでその点の配慮も考えれば、決してその面で特別強いものを源泉徴収義務者の側に事務的に強いるということでもないように思いますが、どうなんでしょう。
  123. 中橋敬次郎

    ○中橋政府委員 いま御指摘の、年間給与の変動要素の最後に実は年末のボーナスがございます。この帰趨によりまして、過不足額というのはかなり変動を生ずるわけでございます。それから、金額よりはむしろ一回そういう仮調整をやるということの手間はやっぱり一回は一回でございまして、年末調整と二回やる必要があるのかどうかということになりますと、やはり源泉徴収義務者の手間としては、もう一回そういう仮に一月から六月までの給与総額を出してみまして、それに新しく設ける税額表を適用してみまして、またそれから過去に納めました税額との過不足額を見でみなければならないということでございますので、手間としては金高よりも大きなウエートがかかるというように思っております。
  124. 増本一彦

    ○増本委員 それでは、これは委員長にお願いしますが、ひとつ理事会でも御協議をいただきたいと思います。  次に、老年者控除の適用条件の所得限度が二倍に引き上げられたわけですが、私はこの種のものについては、皆さんも福祉重視ということを言われて、そこからの発想があるのだろうと思いますが、ひとつ税額控除でもっと具体的に減税効果がお年寄りなどにはっきりと波及できるような手だてに変える方がいいのじゃないだろうか。この所得限度額の二〇%なら二〇%、これはは税額控除だということで認めてあげるということの方がより福祉的であると思いますが、そういう制度に改めていく御意思はありませんか。
  125. 中橋敬次郎

    ○中橋政府委員 この種の特別の人的控除につきましては、昭和二十六年に採用しましたときには、おっしゃるような税額控除で発足をいたしました。それからずっと経過をいたしまして、たしか昭和四十二年に現在のような所得控除に直したわけでございますが、それまでに私どもが経験をいたしましたことでは、確かに税額控除というのもこういった人的控除に与える一つの方法とは思っておりますが、どうも理解を十分得がたいという難点を私どもは痛感したわけでございます。  と申しますのは、一般の課税最低限は所得控除でございまして、これまでの収入であれば所得税はかからないということが端的にわかったわけでございますけれども、税額控除になりますと、一たんずっと計算をしてみまして税額を出してみて、そこで初めてこれで税金がかからないとか、追加的納税が幾らであるということがわかるわけでございます。もう少し端的にわかる方法はないのかということも言われたわけでございます。  それからもう一つは、毎年毎年の減税で、たとえば税額控除を何万円というふうに決めておりますと、各種の人的控除の引き上げ等によりまして減税をやってまいりますと、一たん決めました何万円という特別の人的控除の重みというのが、その金額をそのままにしておきましても、ますますいわば相対的に大きくなるわけでございます。したがって、かなり長い間税額控除の金額というのを据え置いてきたわけでございますが、これがまた一般の方々にはなかなかわからなくて、税額控除の金額をそのまま据え置いておるというのは、あたかも特別人的控除について十分の配慮をしていないのではないかという御批判もあったわけでございます。そういうことを考えまして、昭和四十二年から所得控除にしましてわかりやすく、しかも随時これを引き上げるということで配慮をいたすということを今日も考えております。
  126. 増本一彦

    ○増本委員 よりよい制度を私たちみんなで考えて、本当にストレートに福祉が税制の面にも及んでいくという、このことはやはり積極的に追及していく必要があるだろうと思うのです。  それでは次の、医療費控除の足切り限度が定額で五万円になりましたけれども、私たちは前から足切り限度は廃止すべきだということを申し上げているわけですよ。しかし、依然としていまでも――この十万円が五万円になったということは一つの前進ですけれども、もう全部こういうものを廃止して、小額でも認めていくというふうにしてあげることがよりよいことではないかと思うのですが、そういうお考えはないのですか。
  127. 中橋敬次郎

    ○中橋政府委員 その点に関しましては、課税最低限との関連がございます。たとえば現在の寄付金控除というのは、一万円という非常に低い足切り限度でございますけれども、寄付金というのは、本来、いわば課税最低限の基盤となります標準的な生計費という問題のときには一応考慮外に置かれておりますから、特定の寄付金についてインセンティブをつけるということになりますれば、こういった低い足切り限度でも妥当であるというふうに思いますけれども、かなりの金額が家計費の中に入っておるそういう医療費につきましては、課税最低限の中で賄われる医疲費と、それからそれを上回りますところの所得減殺要因としての医療費控除というようなことを考えますと、ある程度の足切り限度というのはやはり設定せざるを得ないわけでございます。その足切り限度というのが一体適当かどうかというのは、五%というものと、それから現在の標準的な家計の中に入っています医療費というものが、一体どういうような状況であるのかというようなことから比較、決定をしなければならない問題でございます。  私どもが五万円ということを考えましたのは、家計費の中にいわゆる医療費として支出をせられておりますものが、これは実は薬局で買います薬も含めまして、四十八年には三万七千円くらいでございますから、五十年になりますればこれは五万円くらいになりましょうけれども、本来医療費控除としてカバーしなければならないものであれば、もっと少ない金額でも家計費の中に入っておるものとしては考えられるわけでございます。そういうようなものを勘案いたしまして、五万円とという足切りを設けたわけでございます。
  128. 増本一彦

    ○増本委員 この種の問題になりますと、みんな人的控除でカバーしている分があるということをおっしゃるのですが、人的控除でカバーしている分というのは、考えられるものは何と何なのですか。さっき政務次官は教育費のことを言いましたね。ほかに何があるのですか。
  129. 中橋敬次郎

    ○中橋政府委員 それは、家計調査におきますところの消費支出については、最近におきますところの家計のレベルを反映いたしまして、実はこれを見てみますと、私どもとしても雑費の部面が非常に多くなったなという感じを持つほど、貯蓄を除きまして、あらゆる費目が入っております。
  130. 増本一彦

    ○増本委員 ですから、その中で考えられる費目をちょっと言うてみてください。全部そういうものが込みで入れられちゃって、ここまでは全部それで見ていますからと言うと、どうも超過していくんじゃないですか、一つ二十六万円だもの。四人家族、標準世帯でいったって百四万円でしょう。だから、火の車だという実感から見ると、何でもそういうものは込みで入っていますという御答弁では、だれも納得できないと思うのです。
  131. 中橋敬次郎

    ○中橋政府委員 現在の家計調査の中に入っています費目は、食料費、住居費、光熱費、被服費、雑費などでございます。入っていませんのは、むしろ貯蓄でございます。  それで、私どもが課税最低限を考えます場合には、こういった家計調査をもとにいたしまして―私は、先ほど申しましたように、今日の家計調査は、たとえば所得稼得者が一・五人でございますとか、その費目につきましても多額の雑費を含んでおるということから、完全にカバーしなければならないとも思っておりません。しかし、最近の課税最低限と家計調査の関係から申しますれば、かなりこれをカバーいたしておると思っております。
  132. 増本一彦

    ○増本委員 人的控除の額を決めるときに、いままで当委員会などでも議論になってきている医療費の問題とか教育費の問題とか、その他いろいろ挙げられてきましたけれども、そういうものは全部人的控除で考慮しているというお話も出てくるわけですが、それでは、そういうものを金額としてどの程度見込んで人的控除の額を決めていらっしゃるのですか。
  133. 中橋敬次郎

    ○中橋政府委員 これは前回もお答えしましたけれども、たとえば先ほど申しました家計調査におきましては、教育費は年間約四万円ぐらい見込んでおりますとか、住居費としましては年間約五万円ぐらい見込んでおるとか、いろいろあるわけでございます。そういう個別の費目を賄うために課税最低限を積み上げてはおりませんで、私どもといたしますれば、こういう家計調査によりますところの消費支出というものを全体的にとらえてみまして、それでもって課税最低限を考え、また、その課税最低限をどういうような控除でもって組み立てていけばいいかということで従来やってまいりました。
  134. 増本一彦

    ○増本委員 そこで一番中心になるのは、いわば生きていくための最低限の食料費ですよね。それから住居費でしょう。必要な被服費もあるでしょう。それから教育費もあるでしょう。そういうものを積算しただけで人的控除で賄い切れているのか。だから、賄えない分についてだけ一応医療費控除というものを見ているんだということになるんだろうと思うのですけれども、本来のこういう制度のたてまえ、特に医療費なんかの場合ですと、健康を害するからお医者さんなどに診てもらう、病気を治す、そういう意味では、食料費や住居費などと同じように、生存を維持するための最低のというか、最も緊急にして必要な維持費といいますか経費といいますか、そういうものであるわけですね。これに足切り限度を設けるということが私には本当に納得できないのです。理解できない。足切り限度を設ける理由はほかにあるんじゃないかと思うのですよ。たとえば、あんまり少額のものもいろいろ出てくると、税務の執行上からどうも煩瑣になってぐあいが悪い、だから一定の額でとめているんだという、本当の理由はそっちの方にあるんじゃないかと思うのですが、その点はどうなんですか。
  135. 中橋敬次郎

    ○中橋政府委員 もちろん、そういった配慮も必要でありましょう。しかし、先ほど来申しておりますように、たとえば家計調査におきますところの保険医療費というのは四万円ぐらい出しておりまするから、それを五十年分であれば五万円程度になるだろうということで、標準的な家計の中における医療費を頭に置きまして、それは標準的な家計を頭に置いた課税最低限で賄ってもらうのがしかるべきではないかという考えでございます。
  136. 増本一彦

    ○増本委員 それならば、来年度以降の税制の中でも人的控除はもっと大幅に引き上げられますか。これは政務次官、どうですか。
  137. 森美秀

    ○森(美)政府委員 当然物価に応じまして考えなければいけない点は、考える必要があると思っております。
  138. 増本一彦

    ○増本委員 私が言っているのは、物価が上がれば物価の分だけという意味じゃないのですよ。足切り限度というものが医療費なんかについて残されている、それはその分については人的控除で見ているからだ、こう言うわけですね。先ほどお話にもありましたように、医療費そのものが、薬価にしましてもあるいはそのほかの面でも、非常に高くなってきているという事実は間違いありませんよね。だから、そういう面での負担を考えますと、結局、人的控除で賄っているんだという線を貫かれるんだったら、当然人的控除の面をもっとそういう意味でも考慮していく、単に物価調整的に上げていくということにとどまらずやる必要があるんじゃないか。  もう一つ言いますと、たとえば標準世帯、四人家族で百八十三万円ということをおっしゃるわけですけれども、結局、人的控除の分というのは百四万円で、あとはいわゆる社会保険料や給与所得控除などのいわば経費ですよね。その経費が四三%くらいを占めて、それで結局百八十三万円というこれになるわけですよ。だから問題は、この百四万円の人的控除をもっと引き上げてあげて、そしてそういう面で生計費の中の全体の必要な支出を賄える余地をふやしていくということが、いまの税制のたてまえからいけば必要なのではないかというように思うので、そういう意味で伺うのですが、政務次官どうですか。
  139. 中橋敬次郎

    ○中橋政府委員 いま百八十三万円という、夫婦子供二人の課税最低限につきまして、給与所得控除があるので実質は百四万円であるというお話がございましたけれども、私どもはそう考えておりません。毎々申し上げておりますように、給与所得控除というのはいわゆる必要経費というものをはるかに超えた高いものでございます。そうしますと、一体それは何かということになります。それは給与収入としてほとんど消費支出に充てられ得るものでございますので、やはり百八十三万円ということでございますれば、そこから給与所得控除を引いたところを消費支出の対象としてお考えになるのは合わないのではないかというふうに考えております。
  140. 増本一彦

    ○増本委員 必要経費以上のものがあるとおっしゃるんでしたら――ちょっと時間のことを気にしているんですけれども、議論が横にいっちゃうのですが、それだったら青天井にしちゃったということがおかしくなるんじゃないですか。一〇%でずっとそのままいくというのも、高額所得者でもそれに応じて経費が必要だからというところから出てきているでしょう。だから、そういう高額所得者だったら、ほかの経費的な要素以外のものまで持っていると言うのであれば、高額所得者に対して適正にそれに応じた課税をしていくというたてまえからすれば、当然その面からもう一度天井をつくるということが逆に理論的には成り立ってくるんじゃないですか。
  141. 中橋敬次郎

    ○中橋政府委員 この点に関しましては昨日も広瀬委員にお答えしたところでございます。私は当時もちろん立案の中に入っておりませんけれども、給与所得控除の昨年におきます大幅な引き上げというのは、必要経費の点もございましたでしょうが、やはり勤労性の所得というものについて相当の配慮をしたというふうに理解もしましたし、今日もそういった気持ちを持っております。  したがいまして、そういう観点から申し上げれば、単に高額所得者についてそれ相応の必要経費があるからというだけであれだけの大幅な給与所得控除を上げたということでございませんで、やはり私が申し上げる勤労性の所得というものについての配慮も兼ねて昨年の給与所得控除の改正が行われたというふうに私は理解もし、今日そういう感じでもございます。
  142. 増本一彦

    ○増本委員 それならば、事業所得者なんかの場合にはどうなるのですか。事業所得者の場合で見れば、それは事業所得に必要な経費は別にしまして、あと頼るところは人的控除だけですよね。まあ専従者控除なんかありますけれども、しかし基本的には人的控除だけでしょう。だから、そういう所得税の納税者全体を見渡せば、これはあなたのお話でいけば、給与所得者控除の面でも賄える面があるというので、いままで医療費控除についても人的控除で少額については見てきたというのがエスカレートして、給与所得控除の面でも考慮をされているのだというところへエスカレートしたわけだけれども、では、事業所得者の場合にはどうなるのですか。やはり人的控除でその点を見ているのだという、これが最もファンダメンタルな中心の問題になるわけでしょう。だから、これを引き上げることによって、そういう少額の医療費についてもカバーするのだったらカバーするにふさわしいだけの引き上げというものを、来年度の税制の中でやはり考慮していくというのは当然じゃないですか。だからそういう意味を含めて伺っているのです、いかがでしょう。
  143. 中橋敬次郎

    ○中橋政府委員 私は、いま言いました医療費控除の対象となっておる医療費が給与所得控除で賄えると言ったのではございません。私は、家計調査の中に占める医療費というものを考えまして、そうしてまた、そういう家計調査をもとにしまして考えた課税最低限という中にかなりの医療費というものが入っておりますから、一般的にはそれで賄ってもらう、それを超える異常な医療費につきましては、所得減殺要因として所得税法上配慮をするということを申し上げたのでございます。
  144. 増本一彦

    ○増本委員 では、足切り限度はあくまでも維持されるのですか。これは撤廃してください。いかがですか。そのことだけ聞きますが、政務次官どうですか。
  145. 森美秀

    ○森(美)政府委員 昨年の附帯決議にもございましたように、足切り限度についてはいろいろ配慮しようということでございまして、十万円を五万円にしたという段階でございます。今後につきましては、やはり課税最低限の点で配慮していきたい、こう考えております。
  146. 増本一彦

    ○増本委員 あまり納得のいく答弁ではございません。また機会を見てやらせていただきます。  最後に、先ほどもちょっと村山委員から触れましたけれども、事業主報酬制度の問題について伺いたい。  先ほどのお話は専従者の話でしたけれども、いわばあるじの問題ですね、十二月三十一日までに翌年分についての給与の届け出をしなくちゃならない。これを、青の専従者でも三月十五日までということになっていますから、同じ時期までにするということが、私はこの事業主報酬制度の適用を求める業者の人たちの要求や意向に沿うのじゃないかというふうに思うのです。  といいますのは、なるほど青色申告者ですから記帳はやっています。しかし、この一年の商売の総決算というのはやはり確定申告を目指して、そこでいろいろ帳簿上もきっちり検討をして、そうしてこの状態でいけば翌年分についてはこの程度の給与、報酬をとってもよさそうだという、そこで初めてはっきりとした目安が立つのですね。だから、そういうたてまえがあるから、先行していた青色の専従者の給与については三月十五日ということで、一応実態に合わせた制度というものを法律でつくったわけですよ。ところが、事業主については租税特別措置で一応本筋から見ればわきへどけて、十二月三十一日というところにしちゃっているわけですね。これはいわば暦年終了時で翌年という理屈があると思いますけれども、これはへ理屈だと思うのですね。だって、確定申告する時期が三月十五日まで、その前の一カ月間ということになっているわけですから、それまでのところで実際に決算がされる、そして見込みも立つ。具体的に計算の上で見込みを立たせるという実態を踏まえれば、暦年終了時で翌年の事業主報酬を届けろという理屈じゃなくて、それはもうすでに青色専従者で考慮をしているわけだから、そこまで三カ月半ずらすということにした方が私は実態に合うと思うのです。その点は検討されるでしょうか。いかがでしょうか。
  147. 中橋敬次郎

    ○中橋政府委員 確かにいまのみなし法人制度といいますのは、過渡的ないわば試行期間でございます。ですからそういう点についてもなおいろいろ検討しなければならないと思っておりますが、基本的な考え方としましては、青色専従者と白色専従者について申し上げましたと同じように、青色専従者の給与につきましては、私は一つだけのフィクションで終わっておると思いますが、白色専従者につきましては、二つのフィクションを重ねておるというふうに申し上げましたと同じように、みなし法人制度のもとにおきますところのおやじさんの報酬というのはやはり二つのフィクションを重ねておると思っております。  したがいまして、かなり厳格に行わないといけませんということは、いわば個人の場合でございますれば、おやじさんの所得の中に包含されるものを、おやじさんの報酬というものとみなし法人の利潤というものに一応分けるわけでございますから、これはある程度早い段階に決めていただかないと、利益を予測しながら左右されるということがあってはならないと思っております。したがいまして、それが一体暦年の終わりでないといかぬのか、あるいはもう少し年に入ってからがいいのかということは、今後の研究課題だと思っております。
  148. 増本一彦

    ○増本委員 途中のお話の中でちょっと気になるところがあったのですけれども、最後に検討されるということですから、次に移ります。  そこで、二つのフィクションと言われた白の場合なんですが、今度の場合に白の専従者控除が四十万円になったわけですけれども、おやじさんの事業主報酬というものを、限度を決めてもいいですからひとつ認めていくという方向を検討する余地はありませんか。といいますのは、青であろうと、白であろうと、こういう事業をやっている人たちは、自分で計算もし、記帳もし、商売を具体的につかんでいくというそのことが、何といったって税金の申告の場合でも、商売そのものを近代的にやっていく上でも非常に大事なことだと思うのです。  皆さんの方は、白色というとどんぶり勘定でやっていて、原始伝票だってあるかないかわからぬ、だからどうしても標準率か何かでやらなければおさまりがつかないような、そういう状態になって、それをそのまま放置してきているところがあるのですね。だから、青色の慫慂をいろいろやってらっしゃるようですけれども、しかし白であってもやはり記帳させていくということから見ますと、いままでの記帳義務というものが、国税通則法その他で問題になったときにも、どちらかというと国民の側からの印象では、重税と結びつくといいますか、そういう印象をぬぐいがたかった。いま青の慫慂についてもそういう意見もあるやに聞いておりますけれども、しかし、そういう議論はさておいて、やはり本当に記帳とか計算の意欲や意識を生み出していくということで考えていくと、そのまず前段階として、一定のたとえば六十万とか百万という限度の範囲内では、おやじさんは給料を取っていいですよ、しかしそれに見合う店と台所との関係の必要な記帳はちゃんとするようにしなさいというようなところで結びつけていくということが、実は自主計算そのものを業者の人たちに促進させていく意欲を起こさせるし、そういいう流れにもなっていくし、しかもそれでいて、いまこの勤労性所得とそれ以外の所得とが競合しているということは理論的にいろいろ言われて、それは全体として共通の認識にもなってきているにもかかわらず、そのことが税制に反映されていないという面を一歩でも改善して実態に合わせていくということにもつながるというように私は考えるのです。そういう面での検討をひとつお願いしたいのですが、いかがでしょうか。
  149. 中橋敬次郎

    ○中橋政府委員 みなし法人制度のもとにおきましては、私は、言われますような家計と企業の分離というのは、一応青色でございますから、一つの道はついておると思っております。ただ、そこで法人という擬制を行い、しかも企業主の労働に対する報酬というものを何らかの擬制を加えて算定をいたさなければならないわけでございますけれども、それを役所の方で、たとえばこれまでの金額であれば認めるということで評価をするということは、なかなかむずかしいのじゃないかと思います。  それはむしろ、そういうせっかく分離しました企業と家計でございますから、その企業におきましての企業主への労働の対価というのは幾ばくかということをまず評価をしていただく、しかもそれは余り利益に左右されないものとして評価をしておいていただくということが基本にあるのではないかと思っております。
  150. 増本一彦

    ○増本委員 そこへ局長が行く前提として、やはり白の実態を見てみますと、埋めなくちゃならない距離があるわけですよ。そこで、店と台所を分離していく上で、そこの橋渡しをどういうようにしてつけていくのかということで、それをやっていくためには、まず白ですから、給与そのものは利益いかんにかかわらないといったって、実際には利益があってこそ給与もその中で払われるという面もあるわけですから、そこのところは純経済学的に割り切るのでなくても、たとえば専従者控除の場合に、局長が言うように一つの擬制ということで三十万を四十万に上げるにしろ専従者控除という一つのものをつくったわけですから、その考えをおやじさんの方に及ぼして、一定の柱なり限度というものを決めて、決めたところでそれを裏づける記帳や計算もさせるようにして、そういう環境というものを税制の上でつくり上げて誘導していくということが、実は中小零細企業の政策としても必要なんじゃないかという意味で私はお話ししているんですよ。だから、その点をひとつ考慮していただきたいということなんですが……。
  151. 中橋敬次郎

    ○中橋政府委員 私が先ほどお答えしましたのは、実は青色におきますみなし法人についてお答えしましたので、ちょっと御質問の趣旨をはき違えておりました。  白色につきまして今日ございますような白色専従者への控除と同じようなものを、たとえば白色の事業主報酬ということで一つの控除というようなことが考えられないかという御趣旨と思いますが、それにつきましては、やはり青色におきましてそういうみなし法人制度がとれたということは、企業と家計が分離しておる、それでいわば法人の制度というものに類推をかりまして今日のようなみなし法人制度というのができ上がったと思っております。したがって、白色のままでそこに法人的な要素を入れるということは、実はなかなかむずかしい問題がまたあると思っております。  ただ今日、先ほど来増本委員が御指摘のように、税金の問題を離れましても、企業家として記帳の必要性というのは重々皆さん感じておられると思います。しかもそれについて、私どももあの昔のころに比べればはるかに簡便な帳簿でもって青色ということができるというふうにも考えておりますので、できますればそういう方法を講じていただいて、企業と家計の分離、しかもその企業におきますところの企業主あるいは家族専従者への労働の評価というのをぜひやっていただきたいと思っております。
  152. 増本一彦

    ○増本委員 しかし、青は青として、白の申告所得者というのも非常に多いわけですから、その中には、間口一間でやっている八百屋さんもいれば魚屋さんもいるし、そういう人たちが簡易帳簿で、局長の言われることは私もよくわかりますけれども、それで青にということであっても、なかなか記帳補助者その他、地方へ行けば行くほど決してそれを賄うだけの環境というものも整備されていませんよ。ですから、やはりそこへ持っていく一つの橋渡しというものを税制の中で誘導していくというのは非常に大事だし、しかもそういう業者の人たち自身も、自家労賃を一定限度にしろ経費として認めてほしいという要求は前からずっと続いてあるわけですよ。それをいまの税制の中で調和させて、しかも経営の近代化を図るような誘導もしながらその要求を認めてあげていくということは、私は十分検討に値することではないかというように思うわけです。  その点をぜひ税務当局の方の立場でも前向きに検討していただくことをお願いしまして、本会議があるようですから、私は終わります。
  153. 上村千一郎

    ○上村委員長 本会議散会後再開することとし、この際、暫時休憩いたします。     午後一時二十一分休憩      ――――◇―――――     午後四時六分開議
  154. 上村千一郎

    ○上村委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  質疑を続行いたします。高沢寅男君。
  155. 高沢寅男

    ○高沢委員 私はきょうは、本年の一月に東京都の新財源構想研究会が発表しました、大都市税制の不公平是正というあの第四次報告、これに沿っての質問が一つと、もう一つは、生命保険の運営に関連する質問、こういう二つでもってお願いをいたしたいと思います。  最初に、新財源構想研究会の方からお願いをいたします。  この報告の中で、東京証券取引所の第一部に上場されている六十社の大企業、もっともそのうちで七社が赤字であったので実際は五十三社ということになりますが、その五十三社について各企業の有価証券報告書、それから東京都が入手した各企業の税務申告書、こういうふうなものを合わせて税負担の実態の分析をしております。その結論として、これらの五十三社は、政府が発表された実効税率よりもその実質の税負担率は一〇%以上も低い、こういうふうな結論になっているわけであります。  この結論の中身については順次お尋ねをいたしたいと思いますが、初めに、そういう結論が新財源構想研究会の報告で出ているということについて、これは大蔵省としてはどういうふうにお考えになりますか。
  156. 中橋敬次郎

    ○中橋政府委員 東京都新財源構想研究会でそういう研究がなされたことは承知をいたしております。ただ、いまおっしゃいましたように、五十三社につきましてそういう調査をやられ、しかも法人税、あるいは法人住民税、事業税、三つにつきまして御指摘のように一〇%程度の実効負担の率の差があるということを言っておられますけれども、私どももその一つの研究を勉強しました結果必ずしも私どもと同じ見解ではないというふうに思っております。
  157. 高沢寅男

    ○高沢委員 法人企業の実効税率をどういうふうに見るかということについては、実は昨年も東京都の当局と大蔵省の間で論争があったわけであります。東京都の方では、法人の申告所得に法人事業税を加算して、それからさらに租税特別措置法の適用所得、さらにまた法人税法によって税の減免措置を適用されている所得、こういうふうな所得を加えたものに対して実質の税の負担はどのくらいの率になるか、どういうパーセントになるか、こういう出し方をしているわけであります。私は、こういうふうな計算の仕方で税負担のパーセントを出すというやり方が、いま大蔵省がとっておられる方式よりもより正確に税負担のパーセントが出るものじゃないか、こういうふうに考えますが、いかがでしょうか。
  158. 中橋敬次郎

    ○中橋政府委員 まず最初に、そういう方式自体を問題にいたします前に、先ほどおっしゃいましたたとえば六十社というようなサンプルの数は一体統計的にいかがかという点がございます。たとえば同じ東京都新財源構想研究会におきまして、かつて百六十四社について同じような調査をやられたことがございます。そういう百六十四社についてやられた数字を見てみますと、ただいま高沢委員が御指摘のように、法人関係の三税で一〇%程度の差があると言われておりましたのが、実は七%程度の差になっておるわけでございます。  これはやはりいろいろこういう数字を扱います場合には、サンプリングの方法といたしましてなるべくは数多いものがよろしゅうございましょうし、適切なるサンプルをとることが必要だろうと思っておりますけれども、いろいろな御関係で、とりあえずの調査として五十三社ということでおやりになりましたものですからそういうような数字が出たと思いますが、しかし、すでに百社違えば三%違う。三%といいますと、実は一〇%違うと言っておるうちの三分の一でございますから、私はかなり大きな差であるというふうに思っております。  それから、そういうサンプリングの方法をおきまして、次には、いま御指摘のように事業税あるいは法人住民税を入れるべきではないかとおっしゃっておられます。確かに法人関係を見ますときには三税を見るのが至当であると思っておりますが、現在の法人事業税の方は、当期におきましては前期の所得に対する法人事業税を損金に落とします関係上、私どもとしてはなかなか的確なる数字をつかんでやるということはむずかしゅうございます。恐らくこの東京都新財源構想研究会の研究におきましても、同じ所得であるならばというような仮定のもとに事業税を算出されておるのではないかと思いますけれども、そういうような条件が必要になるということが次の問題として出てまいると思っております。  それから、第三番目の問題点といたしましては、これも昨年の同じ研究につきまして私どもの方といろいろ間接、直接議論があったわけでございまするが、いわゆる特別措置としていかなるものをとるかという範囲の問題がございます。私どもは常に、引当金といいますものはそういう負債性、評価性のものでございまするから、特別措置として見るのはいかがなものであろうかという立場に立っております。今回の同研究会の調査によりましても、同じくそういったものは入れておられるようでございます。  それから、同じような問題といたしまして、現在の法人税の仕組みと申しますか、法人企業の利益に対する法人税の課税と、その利益の中から払われます配当を受け取りました側の法人なり個人の課税に当たりまして、これをどういうふうに調整するかという税制上の問題がございます。これは、私どもとしますれば、不完全でございますけれども調整措置を講ずる必要があるという立場に立っておりまするので、いわゆる法人の配当の益金不算入制度というのはそういう基本的な仕組みに由来したものでございまするので、これをいわゆる特別措置の中に組み入れるのはいかがかなという感じを持っております。  それからさらに、圧縮記帳という制度がございまして、いろいろ国なり地方公共団体が別種の政策目的から、企業が得ますたとえば固定資産の取得についての圧縮記帳という措置を講じてございますけれども、これもそのときにはなるほど圧縮記帳という制度をとりますけれども、次期以降におきましては償却の制限という形を通じまして、いわば税金の取り戻しが行われるわけでございます。  同じように、特別償却につきましても、機械、装置の償却というのは取得価額が一定でございまするから、それを第一年目、第二年目、第三年目に大きく償却をいたしますれば、後からは償却がそれだけできなくなるということで税金の取り戻しが行われるわけでございまするから、そういうものもぽかんと特別償却をやったときにそのままいわゆる特別措置としまして実効負担を考えます場合に考えても、それは少しく当を失するのではないかという感じを持っております。  そういった、この方式につきまして私どももいろいろ疑問を持っておりましたし、また東京都におきましても昨年よりはことし出された研究はわれわれの気持ちにもかなり沿ってきていただいておるという気持ちは持つのでございまするけれども、御指摘のような差というのは出ておるのは事実でございます。
  159. 高沢寅男

    ○高沢委員 いま局長から、大蔵省当局として東京都の計算方式と東京都のような計算方式をとらないいろいろな理由の御説明があったわけですが、私はその一、二の例として、たとえばその中の租税特別措置法に規定する特別償却、この問題でお尋ねしたいと思いますが、大蔵省の方では過去に計上した特別償却のその後の年度における払い戻しの問題ですね、これは当然計算をすべきであるのに東京都の方のあれではそれが入っていないというふうなことを去年もたしか指摘をされていたわけであります。しかし、昭和三十五年度の税制調査会の答申は、その問題にも触れて述べておられたわけでありますが、こういうふうな表現になっているわけです。  特別償却制度は減価償却とは違った産業助成的な性格を持つものであり、税制との関連において見ると、その期に納めるべき法人税額を特定の固定資産の現得に当たって無利子で借り入れるという性格を持つものである。この特別償却の性格と今日の会社が重んずる当期業績主義を考え合わせると、複雑な取り戻し計算の必要はないのではないか。  三十五年の税制調査会の答申の中でもこういう触れ方をしているわけであります。そうであるとすれば、いま局長が、この問題があるから東京都の新財源構想研究会の計算方式はとらぬ、こう言われたわけですが、その新財源構想研究会の計算方式もこういう点から見れば十分根拠があるのではないか、こういうふうに考えるわけですが、いかがでしょうか。
  160. 中橋敬次郎

    ○中橋政府委員 特別償却制度の企業に対するメリットは何かということを申せば、いま御指摘のように償却を早くすることによりまして、その早くすることによって法人税をむしろ初めの時期に納めることが少ないということによります金利メリットでございます。したがいまして、そういう複雑な計算をする必要がないといういまの御指摘もございましたけれども、私は企業に対する特別償却のメリットといたしますれば、早く償却をすることによるいわば法人税の納税額の初期の部分を少なくすることによる金利メリットだけが特別償却のメリットと思っておりますから、やはりこういう実効負担率を考えます場合には、厳密にはそういう計算をしてみなければならないというふうに思います。
  161. 高沢寅男

    ○高沢委員 法人税法に規定されている貸倒引当金あるいは退職給与引当金、この問題でありますが、大蔵省は企業会計上引き当てを認められている制度であって、これらは租税特別措置という性格のものではない、こういうふうに言っておられるわけであります。  だが、これも昭和三十五年の税制調査会の答申では、退職給与引当金は、会計理論では債務性のきわめて強い負債性の引当金であるが、しかし現実には企業にとっては自己資本と同様に働き、その利益に貢献するところはきわめて大きい。こういうふうな見方をしております。貸倒引当金についても、三十五年の税制調査会答申はその利益留保金である性格を指摘して、前期の積立金は必ず次の期の益金に繰り入れる。実際の貸し倒れという事態が出れば別でありますが、そうでない限りは次の期の益金に繰り入れるという方式をとれば、これは利益留保の性格はある程度防ぐことができるだろうというふうな言い方もしているわけであります。  こういうふうな面から見ると、これらの引当金の性格というものは、ただ会計整理の性格を超えて、そういう企業にとっての特別な意味をやはり持っておる、租税特別措置の意味を持っているということになるのではないかと思います。しかもこれらの引当金の利用状況を見ると、これは大企業になるほど利用率は非常に高いということになっているわけであります。こういうふうな観点に立って、東京都の新財源構想研究会は、法人税法に適用される各種の引当金も実質上の租税特別措置として計算をする、こういう立場をとっているわけですが、これはその立場がそうした十分な根拠があるということになるのじゃないでしょうか。
  162. 中橋敬次郎

    ○中橋政府委員 引当金の性格そのものは、やはり負債性であれ評価性であれ、いつかの時期においてその所得にチャージをしなければなりませんから、それぞれの事業年度においての形成はあるものと思っております。しかし質的にはそういうものでございますけれども、量的にやはり引き当ては適正な引き当てでなければならないという原則は、もちろん当てはまるわけでございます。したがって、いまいろいろ御指摘のございましたように、貸倒引当金であれ退職給与引当金であれ、そういう条件を満たさないいわば過大引き当てであれば、その分については当然利益の留保ということになるわけでございます。  いま御引用の貸倒引当金につきましても、そのときの制度というものはいわば累積制度というものがございまして、そういう制度はいま御指摘のような観点から今日の制度にたしかその後で改変されたのではないかと思いますが、毎年毎年積み立て、またそれを戻入するということになっています。問題は、果たして実際の債権の償却の率とそれからそういうふうに毎年積み崩しする貸倒引当金の率が実績から見ましてどの程度乖離があるのかという点こそ、私どもは問題にしなければならないと思っております。現に、金融機関につきましての貸倒引当金については、そういうような観点からかなり問題にしまして、最近ここ三年間に三分の二にカットしてまいりました。今後とももちろんそういう意味で実績に合うような引き当てはやらなければなりませんけれども、引当金そのものを全体的にそういう理由でいわゆる特別償却の中に入れるということは、私は問題違いであろうと思います。
  163. 高沢寅男

    ○高沢委員 昨年の十一月の税制調査会に、大蔵省から法人所得の計算方法の国際比較という資料が提出をされております。この比較の一欄表ですね、これで見てもわが国の租税特別措置の適用の仕方と諸外国の、特に欧米の同じ資本主義の国の特別措置の適用の仕方の間には、やはり非常な差があるというふうに考えられると思うのです。  たとえば法人の受取配当益金不算入ですが、西ドイツやフランスの場合には、これは益金に算入するということになっておるわけであります。あるいはまた貸倒引当金、いまお話しをした問題ですが、イギリス、西ドイツ、フランス、こういう場合にはそれぞれの個別の債権でそれが実際に貸し倒れになったかどうかという具体的な判定をした上で引当金を認める、こういうふうなことになっております。あるいは退職給与の引当金、これについてもアメリカ、カナダ、イギリス、これは会計法上は引当金の計上が行われておりますが、税制上の軽減措置は認められていないというふうなことになっております。  そういうふうに、欧米各国は日本と同じ制度で適用の仕方が違う。しかし、これらの問題は、日本の場合には皆いずれも税制の優遇措置としても適用が認められておる。こういうふうなことになりますと、これは租税特別措置法の中であるか外であるかは別として、こうした優遇措置というものが日本の場合には諸外国よりもいわばすべてが至れり尽くせりに適用されているというふうに見ていいのじゃないかと思うわけです。  そういうふうな適用の仕方、制度のやり方の違いというものが前提にあるのに、その点は別にして、大蔵省は昨年の税制改正によって住民税の税率の引き上げ、法人税の税率の引き上げがあったので、今度は法人税の実効税率はわが国も四九・四七%になって国際水準に達したというふうに言っておられるわけでありますが、その前提条件の違いがあるということは、これは認められるのじゃないですか。その前提条件の違いがあれば、実効税率のパーセントとしては国際並みになったとは言ってもその中身はやはり違う、こういうことになるのじゃないでしょうか。
  164. 中橋敬次郎

    ○中橋政府委員 いま御指摘の問題も、私は分けて考えなければならないと思います。私どもが言っております狭義の租税特別措置、これは欧米諸国の税制と比較をいたしましても確かにわが国は非常にきめ細かい特別措置をやっておりますからその点に関しましてわが国の税制が特別の扱いをしておるということはそのとおりでございます。したがいまして、もちろんその効果は法人の実効税負担にあらわれております。  その次に、私どもがいわゆる特別措置に入れません引当金の問題でございますけれども、引当金につきましては、私はそんなに見方は違っていないと思います。もちろんその量的な判断といたしまして、たとえばアメリカにおきましては金融機関の貸倒引当金は一九八二年から〇・六%にしようというようなことでやっておりまして、それはたとえば七六年から一・二%に下げまして八二年から〇・六%に下げるというふうに、ある高さから漸次下げるような長期的な計画をもってやっておることは事実でございます。あるいはほかの国におきましても、実績と乖離しないようにそういった配慮が行われておることは、量的な問題として私が先ほど申し上げたとおりでございます。  それから三番目に、いわゆる配当に対する課税の問題でございます。これはいまおっしゃいましたように、わが国のいわゆる法人が受け取ります配当益金不算入というものが非常に特異な制度というふうに御指摘になりましたけれども、私は実はそういうようには思っておりません。確かに今日のそういった制度につきまして、アメリカは実はわが国の今日の制度とも違いましてそういう調整を不要とする国でございますし、ドイツもまた配当軽課税率は持っておりますけれども、受取側におきますところの調整は必要ないという立場でございます。ただドイツは、現在そういうものを基本的に改めまして完全に調整をするという改正案を国会に提出して審議中でございます。それからイギリスにおきましても、長い間完全にそれを調整しなければならないという立場をとっておりました。これは一九六五年に全然調整をする必要がないということに改めたわけでございますけれども、また最近になりましてもとに戻りまして、調整をするというような方式に戻ったようでございます。フランスは、大体二分の一は調整をするという現行の制度を持っております。  そういうふうに、大部分の国というのは、法人企業におきます利益に対して、法人の段階でかけました法人税なるものを受け取りの段階で調整をするというようなふうに流れてきております。もちろん、それでありますから日本がそういうように流れるのが適当かどうかということは、私はこの際そういうことで申し上げておるのじゃございませんけれども、今日のわが国のそういった税制はシャウプ勧告以来、概括的に個人においては調整をします、法人においては完全に調整をしますという制度をとりながら、昭和三十六年から配当軽課というドイツ流の仕組みも取り入れたものでございまするから、それを配当控除あるいは法人の益金不算入の制限という形で調整をしております。したがいまして、その問題は、わが国だけが特に配当の受け取り側におきますところの不算入なり完全調整という制度をとっておるわけではございませんで、むしろわが国はその中間にある。ヨーロッパの国は大部分はそれを完全に調整、完全ないしは二分の一は調整しようというような立場にあるということで御理解を願いたいのでございます。
  165. 佐藤観樹

    ○佐藤(観)委員 ちょっと委員長、関連。  いままで局長の答弁の中で、私は二点ちょっと疑問に思うところがあるのです。  一つは引当金の問題ですが、これは私も今度退職給与引当金で少し詳しくお伺いをしたいと思うのですが、若干は局長も指摘をされておりましたが、要するにこれが特別措置になるかならないかは量の問題だ、現実との乖離の問題だと、負債性の強いものでありますから、いずれかの機会にはこれは引き出すわけでありますから、確かにそういった意味では会計学上は問題はないわけだけれども、しかし、現実にほとんど倒れることのない会社が莫大な退職給与引当金をつけていたり、あるいはいつも指摘されるような銀行の貸倒引当金が、ほぼ現実の百倍近いものが積み立てられているということになりますと、これは特別措置になってくると思うのですね。会計学上は問題がなくても、現実の措置として特別措置であると私は思うのです。  そこで、先ほどの局長の表現ですと、これは量の問題だ、現実からの乖離には気をつけなければいかぬと言っていらっしゃいました。私は、量の問題は、表現として確かに局長の言われるようなんだけれども、現実として一体どのくらいそれを認めるかという問題があると思うのですね。その点について、ひとつどういうふうに考えていらっしゃるかが一点。  それから少しく前の質問でありますが、特別償却の問題です。これは私は、特別償却をすれば、企業側にとって単に利息だけの問題じゃないと思うのです。たとえば非常に今期はもうかった、ところが特別償却が認められて、話を簡単にして、機械の償却のうちの、たとえば四分の一を当初落としていい、損金にしていいということになりますと、これは利益からぼとんと落ちてしまうわけでありますから、そうなってきますと、益金というものがきわめて圧縮した形になるわけですね。それに対して法人税がかかるということになりますから、そういった意味で私は、特別償却というのは、やはり特別措置として非常に働いてくる、単にその間の利息だけの問題ではない、こう考えるわけです。  この二点についてもう少し詳しくお伺いをしたいと思います。
  166. 中橋敬次郎

    ○中橋政府委員 私は、引当金につきまして、量の問題はございますけれども、質的にはやはりある期においてそれをチャージさせなければならないということを申し上げました。たとえば退職給与引当金でおよそ倒れることのない会社であるからというふうに言っておられますけれども、会社の従業員の退職金と申しますのは、毎期毎期、毎月毎月勤めておるからそれに対応いたしまして退職金がふえていくというのが労働協約その他で認められておるものでございまするから、当期六カ月なり一年間従業員が勤めますれば、やはりその人がやめたときにはその勤めたことに対応しまして退職給与金をそれだけふやして払わなければならないわけでございます。それを一体いつの期にチャージさせたらいいかという問題でございますけれども、やはり退職金というものが、毎期毎期そういうふうに勤務するということによって支払わなければならないという債務が生ずるわけでございます。やめたら必ず払わなければならない、条件つきとは申せ、ほとんど確定債務に近いものでございまするから、それを勤務した月の勤務した事業年度にチャージをさせるのが一番いいのではないかということでやっておるわけでございます。  しかも、もちろん、本来でございますれば完全にその期にふえた部分として引き当てなければならないというものでございましょうけれども、それはかつていろいろ議論をしました末に、そんなに一遍に全員がやめることはないのではないか、ある程度積み立てた以後におきまして退職をするから、それまでにいろいろ運用をしまして、その分もふえてまいりましょうから、一〇〇%積むことを認める必要はないのではないかということで累積額の二分の一という限度を設けておりますから、私はその点に関してはほとんど問題がないのではないかというふうに思っております。  それから、御指摘の金融機関の貸倒引当金でございます。おっしゃるように、過去におきましての実際の貸し倒れ償却率というものと今日積ませております率というのには相当の乖離がございます。これは私どももできるだけそういう実態に近づけながら、ただ現実に毎期毎期起こっておれば、ある程度のアローアンスは設ける必要はあろうと思いますけれども、先ほどアメリカの例で申しましたように、ある程度の期間を区切りながらでも漸次これを下げていくという必要は十分認めておるわけでございます。  それから、特別償却でございますけれども、仮に利益が非常に上がりまして特別償却をする余裕ができたというときには、もちろん企業はそれに対応して償却額をふやすわけでございますが、いつでもふやせるというものではございませんで、特別償却は、やはり新しい機械を取得しましたらたとえばその次期でございますとか、そのときにできなければ三年間ぐらいは償却不足額について償却をできるというふうに条件をつけてございます。ですから、そういうある一定の期間内にやる必要がまずあるわけでございます。  それから、それをある時期にもうけが多いからどかんとやれることによって税金が安くなるという点、それは一つには、たとえば二段税率をとっておりますれば、その部分が低い税率適用になってしまうというというところであるかもしれませんけれども、これも私どもは資本金が一億円超の会社でございますれば、一本税率を適用することにいたしておりますから、その点についてのいわゆる弾性値についての影響というのはないものと思っております。  そういたしますと、償却をやりましてその部分だけが、たとえばそれがなかりせば一〇〇という利益がございますと、四〇法人税を納めなければなりません。しかし特別償却をやりましてそれが八〇になると、二〇の部分については、確かにその二〇に対する四〇%はその期に納めなくてもよろしいということでございますけれども、いずれその二〇に対応いたしますものは翌期以降の償却額が少なくなるということで、その二〇に対する四〇%ならば八という部分はやがて取り返してくるわけです。そうしますと、第一年目に二〇の四〇、八というものは安くなったことと、後でそれを取り返されるという次期についてのその八についての金利部分だけが安くなるわけでございますから、それだけのメリットしかないという意味で、特別償却についてはそういう厳密な計算が必要ではないかということを申し上げたわけであります。
  167. 高沢寅男

    ○高沢委員 もう一つ私は、この新財源構想研究会がこういうふうな調査をしているのに対して、見解をお尋ねします。  今度は資本金百億円以上の二十五社をとって、その昭和四十七年の、それが租税特別措置やその他の措置によって税負担を軽減されているその税額はどれだけかという計算をしているわけであります。先ほど申しました法人税法の中で受けておる法人税のそういう軽減措置、これによって六百十三億円、それから法人住民税、法人事業税の関係の方で二百六十八億、合わせて八百八十一億円の税額が資本金百億円以上の二十五社で軽減されている、こういうふうな計算の結果を出しているわけであります。これを昭和四十七年の全法人の、そしてその中の資本金百億円以上の全体のものに当てはめて、これは引き伸ばしの計算ですけれども、それをしてみると、軽減の税額が四千四百億円以上になる、それから全法人に適用すればこれは一兆円以上になる、こういうふうな計算をしているわけであります。こういう措置によってどんなに法人関係の税負担が軽減されているかということを数字で示しておる、こういうことであります。  ところが、昨年大蔵省がこの大蔵委員会に昭和四十七年度の資本階級別の法人税の負担割合、こういう試算を出されたわけですが、それによると、四十七年同じ年をとって、実効税率が五〇%ということで計算をして、資本金百億円以上の大企業の軽減税額は五百六十一億円である。それから、全法人にこれを引き伸ばしてみても千五百四十七億円である、こういうふうな試算を大蔵省は去年出されているわけです。そうすると、この数字と新財源構想研究会の数字の間には非常に大きな違いがある、こういうことになると私は思うのです。  そこで、どちらが正しいか、これは当然議論があるところであります。大蔵省の方は先ほど来局長が言われている理由で、それは自分の方の立場が正しい、こういうふうな立場でやっておられるわけですが、私はこの場合、この決着をつけるには一度大蔵省当局も東京都の新財源構想研究会がやっている計算、それが正しいかどうかの評価は別にして、同じ計算の土台の上に立って、そして法人税法の中にある租税の軽減措置やあるいは租税特別措置、これらの軽減措置全体をいわば実質上の租税特別措置と見る見方に立って、同じ手法で一回計算をされてみたらどうか。もちろんその場合には、東京都の当局より大蔵省の方がこれらの各企業法人の税に関するより多くの、そしてより正確な資料を当然持っておられるわけですから、そのより多くの、より正確な資料を土台にして、そして前提は東京都の新財源構想研究会と同じ前提に立って、それで計算をしてみる。その結果、新財源構想研究会の数字がこう出ておる、しかし大蔵省がやってみたらこう出たということで突き合わせをしてみる。私は、そこでこの税負担というものの見方の本当の姿というものが出てくるのじゃないのか、こういうふうな感じがするわけなんです。  先ほどの東京都の新財源構想研究会の試算の仕方も、局長は、百六十四社でとったら政府の発表した実効税率と実質の税率の税負担の食い違いが七%ぐらいだった、それから六十社でとったら一〇%を出た、だからそういうふうなサンプルの数のとり方とかいうふうなものによって非常な違いが出るじゃないかということを指摘されたわけですが、そうであるとすればなおさら、大蔵省当局はその点では十分なそういう資料のとり方ができる立場にあるわけですから、そういう立場に立って、東京都の新財源構想研究会と同じ前提に立って一度はじいてみる、試算をしてみるということをやって、それでさあ、どっちだという、こういう比較の資料をひとつこの委員会に出していただく、あるいは天下に公表していただくということになれば、この議論の前進のために非常に前向きに役立つんじゃないか、こういうふうに私は考えるわけですが、局長、やっていただけますか。
  168. 中橋敬次郎

    ○中橋政府委員 まず第一の問題として、提起いたしましたサンプリングでございますけれども、もちろんサンプリングの数が少ないとか不適当であるというのは、できるだけ多くのサンプリングなり適切なるサンプリングをやればその部分は捨象できると思います。しかし、私どもは、それ以外の問題点についてもるる提起をいたしましたように、この方式の考え方について基本的に同意しがたいのでございます。それを先ほど来いろいろ申し上げましたが、そういう違いのあるものについて私どもが同意しがたい方式のものを集計いたしまして、そうしてそのものが幾らでありますということを申し上げても、私の方としては意味がないと思っています。  むしろ、私どもは、やはり例年御批判を仰いでおりますように、租税特別措置としてたとえば資本金百億円以上の会社について一体どういうような効果を及ぼしておるか、資本金一億円から百億円未満の会社についてどういう効果が果たされておるか、こういう点についての御批判を仰ぐことについていささかもちゅうちょを感じませんけれども、そういうものの違いを前提としながら、私どもがそれを算定するということはちょっといたしかねるわけでございます。
  169. 高沢寅男

    ○高沢委員 そういうふうな租税特別措置法の中で規定されている狭義のものと、それからそうでなくて、法人税法その他で規定されているものでいわば広義の租税特別措置、私たちはそれは租税特別措置としての役割りを果たしておるというふうに見る、大蔵省はそうは見ない。これは一つの評価の違いです。ですから、私はその評価の違いは現実にあっていいと思うし、どちらの見方が妥当であるかということは、これはある程度平行線であっても、それはそれで今後も議論をしていけばいいと思います。しかし、そういう一方の側の評価に立つものがそれを証明しようとしていろいろな試算を出したいと思うけれども、そのための十分なデータは持っていない。一方の側は十分なデータを持っているわけですね。そうすると、十分なデータを使えない東京都の新財源構想研究会とそれが十分にできる大蔵省の立場、この論争で、おまえさんの方はそれだけの数しかやってないじゃないか、だからおまえさんの方の計算は信頼できないというようなことでは、これは公正な議論じゃないと私は思うのです。  ですから、これを租税特別措置と見るかどうかという、そういうふうな違いは違いとしてはっきり前提に置いていいと私は言うのです。しかし、もしこれを租税特別措置と見るとすれば、それならばその前提で計算すればどうなるかということを、大蔵省が十分使うことのできるデータでもってやってみたらどうか。つまり、新財源構想研究会と同じ前提に立って、そしてより正確なデータで計算をしてみたらどうだ。そうしてその出た結果というものが、新財源構想研究会の出した結果とまたこれだけの違いがありますということも当然出てくるわけですから、これは計算の問題として一度やってみたらどうかということを私は言っているわけです。
  170. 中橋敬次郎

    ○中橋政府委員 東京都の新財源構想研究会の研究によりましても、たとえば法人税だけの差異をとってみましても、二十五社については約七%、あるいは百六十四社については約四%弱というような数字が出ているわけでございます。それに対応しまして私どもは、これはもう前に御批判を仰いでおりますが、たとえば昭和四十七年度につきましては〇・九%という違いが出ておるわけでございまするから、そういう点から言いますれば、東京都の新財源構想研究会というものもそれぞれの費目につきまして資料をお持ちなわけでございますので、そういった比較というのは研究会においても十分お出しになれるはずでございます。一体何のためにそういうものを出すのかという点になりますれば、やはり私どもは、法人税につきまして毎年度御批判を仰いでおりますような資本金階級別の比較というので間に合わしていただきたいのでございます。
  171. 高沢寅男

    ○高沢委員 そうすると、私がさっきからお聞きしている、そういう東京都のような一つの前提に立った計算をやる考えはないということですか。そういう試算をして、そしてその結果がこうだということを出してみようというお答えはないわけですが、それはやってみたらどうなんですか。
  172. 中橋敬次郎

    ○中橋政府委員 それは東京都新財源構想研究会で、御自分の方式でおやりになれば十分できることでございます。私どもはその挙げておられる費目の中で、たとえば受取配当というのを入れるのはおかしいでしょうとか、あるいは特別償却というのについてはこういう問題がありましょうとか、引当金についてもこうです、あるいは圧縮記帳についてこれを入れられるのはどうですかということを言っておりますから、むしろそういうものを除外されてお出しになれば、われわれとほとんど同じような計算ができるわけでございます。
  173. 高沢寅男

    ○高沢委員 つまり、それを除外しないのが構想研究会の考えなんであって、そこで、除外しないで計算すればこうなるというのが彼らの一生懸命計算しているところなんですよ。  それなら私、逆に言いますよ。六十社ではこうだった、百六十四社ならこうだとさっき言われましたが、それなら上場会社の有価証券報告書、これは確かに東京都の当局も資料を手に入れることができますが、しかし、各企業の税務申告書というようなことになると、なかなか東京都では大蔵省のように、自分たちのそういう計算上にこれは必要だ、これは必要だという企業のものを全部集めるということはできないわけですよ。それならば、その新財源構想研究会の立場に立った計算がより正確にできるように、その立場から、こういう企業の税務申告書が欲しい、こういう企業の税務に関するデータが欲しいということで行ったら、大蔵省の方は――最後に発表するときには、企業の固有名詞はもちろん出るわけじゃありません。それは、どういう業種の会社が何社であって、資本金で言えば幾ら以上の会社が何社、こういうことで発表するわけですから、新財源構想研究会でそういうデータを大蔵省の方に行って正確な計算のためにお願いをする、こう言ったら出しますか、ひとつはっきりしてもらいたい。(「守秘義務か」と呼ぶ者あり)
  174. 中橋敬次郎

    ○中橋政府委員 その問題は、個別の会社の申告書を一々とる必要はございません。したがいまして、守秘義務とも全然関係なくて、毎年、国税庁におきまして「法人企業の実態」というのをつくっております。これはかなり詳細なサンプリングを行いまして、しかも大きな方の会社につきましては悉皆調査をやりまして、相当詳細な資本金階層別あるいは費目別に、手元に持っておりますのは四十七年度でございますけれども、百六十六ページに及びます浩瀚なるものを公刊しております。したがいまして、これを駆使されれば十分にできるわけでございます。
  175. 高沢寅男

    ○高沢委員 それは、私はそういう作業をされた人からお聞きしたわけですが、やはりそれでは計算上なかなか十分手の届かぬところがある、こういうふうな話でもあったわけで、それでいまのようなことをお聞きしているわけですが、とにかく実際の作業をしている当事者が、この「法人企業の実態」は十分に分析しながら、なおそのほかにこういうデータが欲しいということがあったら、大蔵省の方では、これはひとつ協力をしてやるということでお願いをしたいと思います。(「返事を聞いておいた方がいいよ」と呼ぶ者あり)  やってくれますか。いまうなずいたから、ここら辺でよかろうと思ったのですが……。
  176. 中橋敬次郎

    ○中橋政府委員 もちろんその内容によりますけれども、そういう研究のために全体的なもので私どもがお出しできるものは十分出します。
  177. 高沢寅男

    ○高沢委員 わかりました。  それから、いまのことに関係いたしまして昨年の七月十六日の「エコノミスト」で、高木さんと木村禧八郎さんの対談が行われております。この対談の中で高木さんは、こういうふうな言い方をされているわけです。ざっと早口で読みますと、  資本階級別だけで負担論をやっているのはちょっと危険なのですよ。資本階級別でみることも非常に重要ですが、同時に業種別にこういうことを分類してみる、あるいは所得階層別に分類してみることもまた本当はやらなければいけない。つまり同じ五〇〇万円の資本金の法人でもどうだこうだという議論があるわけだし、一〇〇〇億円同士でもどうだこうだという議論がある。おっしゃるように課税は公平でなければいけないのですから、いろんな角度からみて公平になっているかどうかをいろいろテストしてみる。それだけではやはりいかんので、こんどは一年間の所得が一〇〇〇万円しかないところと何百億円とあるとこと、所得の大きさにおいてどんなふうになっているかをみたり、業種によってどんなふうになっているかをみたりして、なるほどそういわれてみると現行制度にはこういう欠陥があるということを探し出してそれを是正していく作業は、もっともっとやらなければならない。こういうふうな言い方をされております。  この中で、業種別に見ることが非常に大事だ、こういう指摘もされておりますが、そこで新財源構想研究会は、いわばその高木さんの立場に立って、業種別な分析もしているわけですね。業種別に分析すると非常にまたアンバランスがあるということを指摘をしているわけです。たとえば建設とか機械とかあるいは銀行、証券、こういうふうな業種になりますと、法人三税の負担率は四〇%を超えておる。こういうふうなものがある反面、航空、海運、損保のようなものになりますと、この三税の負担率は一〇%台というふうなことで、四〇%と一〇%では非常に大きなアンバランスがあります。  それからこの第四次報告の中では、昭和四十五、六、七年の国税庁が出されたいまの「法人企業の実態」から、資本金十億円以上の企業について十二業種の税負担率を分析しておりますが、これで見ても非常に大きなアンバランスがあります。そしてその四十五、六、七年という年によって、またかなりアンバランスの出方の違いもある、こういうふうなことになっております。  結局、このアンバランスがなぜ生まれるかと考えてみれば、その税のいろいろな負担軽減措置の利用の仕方が業種によって差がある、そのことがそういう税負担のパーセントの差、アンバランスになって出てきているということであるわけです。そうすると、これは逆に考えれば、やはりそうした税の軽減措置の諸制度の利用の仕方でそれだけの差が出るということは、やはり租税特別措置という狭義のものだけではなくて、先ほど来私の言っている広い意味のものも含めて、その利用の仕方、適用の仕方によってこれだけの税負担率のアンバランスが出る、税負担率を左右するということになると思うわけですから、そうすると、やはりそれを含めた形の税負担率の計算をされることが必要じゃないか。こういうことは、いまのこの業種別の分析からいってもまた言えるんじゃないかと考えるわけですが、くどいようですが、その点の見解をお聞きしたいと思います。
  178. 中橋敬次郎

    ○中橋政府委員 確かにいま御指摘のように、資本金階級別は必ずしも全般を示すものじゃございません。いま御引用になりましたように、私も、できますれば所得階級別にもいろいろ勉強してみたいのでございますけれども、残念ながらまだ、私が先ほど申しました「法人企業の実態」でも、所得階級別には調査できないようなものでございます。業種別にはそれぞれデータを持っておりまするから、業種別にとることは可能でございます。したがいまして、業種別としていわゆる租税特別措置あるいはおっしゃいますような広義のそういったものについての効果がどのようになっておるかということについても、これはわれわれとしても十分勉強しなければならないと思っております。  ただ、その際に、やはり租税特別措置はかなり政策効果をねらっておりますから、もちろん一つの業種について非常にメリットが大きいという場合もこれはもう当然予想されるところでございます。あるいはまた、全般的に利用できるようなものもございますし、引当金に至りますれば、なおさらそういうふうに全体の企業が利用し得るものが多いと思いますけれども、いずれにしましても、業種別にもそういうことを見てみながら、常々反省をしなければならないことは御指摘のとおりでございます。
  179. 高沢寅男

    ○高沢委員 昨年の大蔵委員会、三月でしたけれども、当時も、いま言った東京都と大蔵省の間の論争がありまして、それに関連して私も若干お尋ねしたわけです。そのとき、当時の主税局長の高木さんがこういうふうなことを約束されているわけです。東京都と大蔵省との計算の食い違いの一つの原因が、法人税の税額を見るのに納付税額で見る見方とそれから算出税額で見る見方の違いがあります、こういうことを言われておったわけですね。そこで、そういう食い違った前提で違う違うと議論していたんでは意味がないので、それじゃこれはやはりひとつ前提を統一する必要があるんじゃないかということで、国税庁で出されるいまの「法人企業の実態」ですね、これなども今度は算出税額を基礎に集計するように努力します、そういうことをやりますということを高木さんは言われたわけです。それが一つですね。  それからもう一つは、租税特別措置は、これはとにかく特別な恩恵的な奨励措置という性格を持つわけでありますし、そのあり方については国民の非常な批判もあるわけであります。そういうことから、個別の法人は別として、法人関係でこの特別措置によっていわばどういうふうなメリットを受けているか、その政策効果がどういうふうに税にあらわれてきているかというふうなことは、これは業種別に、あるいは資本階級別にその適用の実態を公表するように努力するということも高木さんは去年のこの委員会で約束をされているわけですが、いまの「法人企業の実態」の計算の基礎をその算出税額にするという問題、それから、いまの租税特別措置の適用の実態を業種別にあるいは資本階級別にその効果を公表していくという、この二つの点はどういうふうに準備を進められておるか、いつごろそれを実行されるということになるか、それをお尋ねしたいと思います。
  180. 中橋敬次郎

    ○中橋政府委員 確かに、いまおっしゃっています実際の負担というものを見ます場合には、算出税額を基礎にしていただきませんと、法人税から法人が納めます所得税というものがございますので、おっしゃるように算出税額でやっていただく案でございます。それで四十七年分から算出税額につきましても、先ほど申しましたように、資本金の階級別にあるいは業種別にどういうふうになっておるのかというのを「法人企業の実態」で示すようにいたしております。  それから、各種のそういう特別措置につきまして、一体どういうふうに業種別に利用されておるのかというようなものにつきましても、両院の予算委員会に提出いたしております。  ただ、おっしゃいますように、実は私ども一番的確なる数的なものがなかなか得がたいので悩んでおりますのは、最後に言われました効果の測定でございます。たとえば特別措置なかりせば一体どういうふうな状態になっておって、これあるがためにどういうふうなメリットが出たかということにつきまして、数字でもって的確に示せるものを、実は私どももそういうことを担当いたしておる所管官庁にはしばしば要求するわけでございます。  ただ、そういうことをお互いに努力しながらもそういう制度なかりせば企業のビヘービアがどういうふうになったであろうか、これあるがためにこういうことになってこういうメリットがあったということの数字の証明というのは、なかなかとりがたい。したがいまして、そういう点についての的確な資料というのはまだないことは残念でございますけれども、できるだけそういうものも今後努力をして得なければならないという気持ちは十分持っております。
  181. 高沢寅男

    ○高沢委員 この問題の結びとして、地方財政のいま非常に問題になっている危機の問題ですね、やはりこれはいま論じた租税特別措置の問題なんかと非常に密接な関係があるということで、最後にそのことをまたわれわれの主張として申し上げたいと思うわけです。  いま地方財政の危機が、やれ人件費であるとかやれ福祉の先取りであるとかいうふうな議論も出ていますが、これは全くわれわれの立場では違うわけであって、これは政府のインフレ政策によるあるいは超過負担の非常に大きなものを自治体に負担させる、そういうことからくる支出の激増と一方では総需要抑制という政策からくる税収の減収、こういうふうなはさみ打ちで、いま地方財政の物すごい危機が来ておるということじゃないかと思いますし、さらにはまた、先ほど来論じている租税特別措置によっていろいろな法人関係が税の軽減措置を受けたそのはね返りが、今度はまた地方自治体の税収を減少さしておるというようなことであって、東京都の場合にはそういう影響で大体一千億の減収になっておる、こういうふうなことも言われるわけであります。これは東京都だけでなくて、すべて大都市の地区においては皆同じ影響を受けておるということになるわけであって、そうであるからこそ、知事会もこういうふうな租税特別措置の地方税への影響を遮断してもらいたいということをかねてから要求しておるということがあるわけです。したがって、こういう観点から地方財政の立て直しということを進めるには、税源配分のいろいろな組み直し、見直しは私は必要だと思いますが、同時に、この法人関係では租税特別措置を整理していくということがまた非常に重要な前提だ、こういうふうに考えるわけであります。これはもともと私たちが基本政策として主張してきたことであるわけですが、このことについては、局長にお尋ねしてもそうでありますという答えはなかなか出ないと思いますので、これはわれわれの主張として申し上げておきたい、こう思います。  それから次に、私は若干この法人税の関係で生命保険に関してお尋ねをしたいと思います。  徳田部長さんにお尋ねをしたいわけですが、生命保険の場合も、預貯金と同じようにインフレによる目減りという問題がいま非常に大きな問題である、こういうふうに私は考えるわけです。この目減りに対する対策として、昨年の三月の段階で、大蔵省は当時の安井部長の名前で各社に対して、四十八年度決算に基づく契約者の配当率を、通常配当それから特別配当、臨時配当というような配当の措置をとって、それで契約者に対する配当額を増額する措置をとるように、こういう連絡をされたわけですが、これは昨年実行された実績はどんな姿になっておるか、まずお尋ねしたいと思います。
  182. 徳田博美

    ○徳田説明員 お答えいたします。  四十八年度決算に基づきます契約者配当は、全部で五千二百十三億でございまして、四十七年度の二九%増でございます。このうち、通常の配当額は四千七百四億円でございまして、前年度に対して二二%の増でございます。それから、これは四十七年以降株式によるキャピタイゲイン等を原資といたしまして、十年以上継続している契約に対して特別配当が実施されているわけでございますが、これが大幅に増額いたしまして三百五十四億円でございまして、前年度に対して八九%の増加となっております。このほか、当時は物価狂乱等の特別な経済情勢を背景といたしまして臨時配当を実施いたしまして、これが百六十五億円、このようになっております。
  183. 高沢寅男

    ○高沢委員 昨年の措置をいわばさらに前へ進めるものとして、今度はことしの問題でありますけれども、この四月一日以降に昭和二十年代に加入した長期の生命保険契約が満期になる、そういうものに対して契約高に特別な上積みをして、そして大体一・四倍から二倍ぐらいの金額を支払う、こういうふうな方針を大蔵省それから生保の業界できめられた、こういうことであります。これはこれからの実施になるわけですが、具体的な実施のプランをどのようにお考えになっているか。  それから、その措置をやる中で、目減りに対する補償というものがいわば一〇〇%目減りを補償することができるのかどうか、こういうふうな措置をとってなおかつその目減りを補償し切れない部分があるのかどうか。  それから、それに関連しまして、先般の衆議院の予算委員会の集中審議の際に生保協会の会長さんから、二十年代の加入のものに対して二倍までという措置をさらに進めた措置も検討しておるというふうなお答えもあったわけですが、さらに進めた二倍以上の措置というものは一体どんなことを考えておられるのか。  これらの点、少し幾つか込みになりましたけれども、御説明を願いたいと思います。
  184. 徳田博美

    ○徳田説明員 お答えいたします。  先生御指摘のとおり、昨年末の保険審議会の中間報告におきまして、昭和二十年代の生命保険契約につきましては、終戦直後のインフレと、それから最近のインフレと二回の大きなインフレを経験しているので、これに対して何らかの措置をとるべきではないか、こういう中間報告がございまして、これに基づきまして、保険会社に対して行政当局としてもいろいろ指導しておるところでございます。  目下、具体案については検討中でございますが、その方向について申し上げますと、まず二十年代の契約につきましては、満期のとき及び万一の事故がありましたときには、支払う金額を大幅に増額する、こういうことを考えているわけでございます。  先ほど先生御指摘のとおり、衆議院の予算委員会におきましての生命保険協会長の発言もございますので、さらにこの方向について検討を進めているわけでございますが、いま大体具体化する方向にあります案としましては、二十一年度の契約につきましては二・二倍、それから二十二年の契約につきましては二・一倍、以下順次逓減して、二十八、九年の契約に対しては一・四倍、このような金額を支払いたいというように考えております。  それから、それにさらに加えまして、これは全体の契約に占める比率はかなり低いと思いますけれども、二十年代におきまして、一時払いの契約があるわけでございますが、これにつきましては、さらにいま申し上げました率を引き上げまして、大体二十年代の初めのものにつきましては三倍程度の金額を払いたい、このように考えております。  なお、従来、このような満期における配当につきましては、実際に満期になってみませんと、幾ら契約者が金をもらえるかわからないわけでございますけれども、これでは将来の計画も立ちかねますので、またかつ、今後生命保険会社の経理いかんによりましては、このような配当の率を下げるということも考えられますので、この際、二十年代の契約者全員に対しまして保険会社の方から通知を出しまして、そしてたとえば、あなたの契約金額は、保険金額は十万円でございますが、満期の場合あるいは万一の場合には二十万円をお支払いします、というような約束をさせまして金額を額定させる、このようなことを考えております。  そこで、先ほど先生御指摘の、これが二十年代の契約の目減りに対してどの程度のものであろうかという御質問でございますが、これは御承知のとおり、保険契約と申しますのは、契約をいたしましたときに保険料全額を支払うわけではございませんで、それは何年かに分けて、大体三十年、三十五年ぐらいに分けて長いものは支払われるわけでございます。したがいまして、二十年代の初期に払いました保険料につきましては、消費者物価指数によれば、それが八分の一あるいは七分の一に目減りしているわけでございますけれども、同じ契約でも、つい先月払ったような保険料につきましてはほとんど目減りがないわけでございます。したがいまして、これをいわば加重平均いたしますと、たとえば二十二年の契約につきましては物価指数にしますと二・八倍、二十三年で二・六倍ぐらいでございます。  一方、このような時点の契約に対しまして二・二倍あるいは二・一倍あるいは二倍、そのような金額を払うわけでございまして、大体、これは八割ぐらいに相当するわけでございます。これだけの金額を通常の配当のほかに、さらに上乗せして払うわけでございますので、その意味でもかなりの補償と申しますか、契約者に報いる措置になっているのではないか、このように考えられるわけでございます。
  185. 高沢寅男

    ○高沢委員 いろいろ工夫し、また非常な努力をされているということはわかるわけですが、しかし、この措置でも、その目減り分の一〇〇%の補償にはやはりなっていない、こういうことですね。そうすると、大体、七割から八割ぐらいまでは目減り分の補償ができておるが、なお二、三割というものは手が届かぬ、こういうふうに考えていいわけですか。
  186. 徳田博美

    ○徳田説明員 お答えいたします。  契約者の支払いました保険料自体については御指摘のとおりでございます。しかし、このほかに毎年配当もかなりの額、普通配当も行っているわけでございまして、それもあわせ勘案すれば、かなりの金額が実際には契約者の手元に還元されているわけでございます。  それから、これは一般金融機関と異なりまして、このような特別な措置を講ずるわけでございますけれども、実は保険会社の資産運用につきまして、このようないわばインフレの目減り対策になるようなあるいはインフレヘッジになるような資産というものは、余り大きな額ではございません。たとえば土地で申しますと、総資産の三%でございますし、株式でございますと一九%程度でございますので、このような資産をもとにいたしましてこのような措置をするということは、金融機関としてはかなりの努力ではないか、このように考えます。
  187. 高沢寅男

    ○高沢委員 二十年代契約のものに対してそういう措置をとられることはわかりましたが、あとこれはまだこれから先の問題になりますが、たとえば昭和三十年代に契約されたもの、これも多かれ少なかれやはりそういう目減りというのは受けているわけですから、これについては、まあ概略でしょうけれども、どういうことをお考えですか。
  188. 徳田博美

    ○徳田説明員 お答えいたします。  昭和三十年代の契約者に対しましては、これは二十八、九年に入られた方と三十年に入られた方とで非常に大きな差がつくということは問題でございますので、二十八、九年の契約者に対してとっております措置、それをさらになだらかに線を引いたような形で、三十年代の契約者に対してもそのような特別な配当の増額を行いたい、このように考えております。
  189. 高沢寅男

    ○高沢委員 そういうふうな配当の増額をされるとすると、今度は保険会社の内部の経理の問題としては、私は、いわゆる八十六条積立金の取り崩しという問題が当然出てくると思うのですね。  その問題は、今度は、保険会社のキャピタルゲインというものを原資にする対策ということになってくれば、手持ちの株式の売却という問題が出てくる。これを各生命保険会社がたとえばある時期に一斉にそういうことをやったということになると、会社売りの株式の供給というものが一時に非常にふえて、証券市場に対する影響というものも非常に出てくるということになると思うので、この辺はどういうふうにうまくそういうマイナスの影響を起こさぬようにやっていくお考えか、お聞きしたいと思います。
  190. 徳田博美

    ○徳田説明員 お答えいたします。  確かに現在、保険業法上は、株式の売却益は八十六条の準備金に繰り入れるたてまえになっているわけでございますが、しかし、これは大蔵大臣の認可を得れば、別途配当その他に使うことができることになっているわけでございます。  そこで、今回の措置でございますが、先ほど申し上げましたように、各契約者に対しまして手紙で確約をいたすことになりますので、これは保険契約に基づく一つの債務を負ったことになります。したがいまして、現在考えております経理措置といたしましては、大蔵大臣の認可によりまして、株式の売却益を直接責任準備金に繰り入れたい、このように考えております。責任準備金に繰り入れておきまして、配当が必要になった時期に今度は配当の準備金に繰り入れましてそこから支出するという措置をとりたい、このように考えております。  ただし、しかしながら、これは先生御指摘のように、一時にこのような株式の売却が起きますと証券市場に対して非常な問題がございますし、また、キャピタルゲインを得るというたてまえからは、これまた株式市場の動向を勘案しながら逐次売っていくことが必要になると考えられるわけでございます。したがいまして、この積み立ては、五年あるいはそれ以上のかなり長期にわたって売却を行いまして、先生御指摘のような株式市場に対する影響ということを十分に配慮しながら売却を行っていく、このように保険会社を指導してまいりたいと考えております。
  191. 高沢寅男

    ○高沢委員 そのいまの証券市場への売却の問題は、もう過去においても、昨年なりあるいは一昨年なりこういうタイミングの中でもやっておられると思いますが、そういう過去の実績は、いま部長の言われたように、格別証券市場に大きな波風を起こすことなしに進行しているというふうに考えていいのですか。
  192. 徳田博美

    ○徳田説明員 御指摘のとおりと考えます。
  193. 高沢寅男

    ○高沢委員 二十年代契約なりあるいは三十年代契約のものについての措置の御説明はいま聞いたわけですが、今後の問題として、これからもこのインフレという問題は私たちは非常に警戒しなければならぬと考えるわけですが、そうすると、生命保険の新しい商品を開発をされるのに、そういうインフレに対する適応性のある商品が必要になるのではないか。たとえば、消費者物価が上がる  その上がるパーセントにスライドして保険金額が自動的にふえていく保険契約というものが開発されるというふうに聞いているわけですが、その見通し、またその新しい契約商品の仕組みというものはどういうものをお考えですか。
  194. 徳田博美

    ○徳田説明員 先生御指摘の物価スライド保険あるいは物価指数保険につきましては、これも昨年末の保険審議会の中間報告にも載っておりまして、その方向で検討しているわけでございます。仕組みといたしましては保険金額が前年の物価指数の上昇にスライドして上昇していくということを考えておりまして、したがいまして、保険料もこれに準じて上昇するわけでございます。ただ、これは物価指数の上昇の幅にもよりますが、ある程度の範囲内であればこれは配当の範囲内で賄うことができる、このような仕組みで考えたいと思っております。  この実施の時期でございますが、これは来年度に入り早々にも実施したいと思っておりまして、遅くも五月中には発足する方向でいま準備を急がせているところでございます。
  195. 高沢寅男

    ○高沢委員 来年度早々五月というのは、つまりことしの五月ですか。
  196. 徳田博美

    ○徳田説明員 そのとおりでございます。
  197. 高沢寅男

    ○高沢委員 それから、これもインフレに対する目減りを防ぐためのものとして、いわゆる掛け捨て保険というものが開発をされているわけですが、これはしかし事情を聞いてみると、必ずしも契約が伸びているというふうには見られない。そのことは結局、外務員の人たちが掛け捨て保険というものを積極的に勧めるというふうなことがない、そういうものをやりたいという人があれば一応店舗にはそういうものも備えてありますというふうな状態であるようですが、これは大蔵省としては、そうした掛け捨て保険というものを全体の保険契約の総数の中でどのくらいのところまで持っていこうという、そういう指導方針があると思いますが、どの程度のところを考えておられますか。
  198. 徳田博美

    ○徳田説明員 先生御指摘のとおり、確かに最近定期保険、掛け捨ての保険は定期保険と申しますが、この伸びは昨年は必ずしも大幅ではございませんでして、この点につきましては、先ほど申し上げました保険審議会の中間報告におきましても、さらにこの普及を促進するようにと提言されているところでございます。この点につきましては、いま保険部におきましても毎月その実績を各社からとりまして、その普及について促進をしているところでございます。  ただ、先生御指摘の大体どの程度のめどになるであろうかということでございますが、これは各国の国民性によってもかなり違うと思うのでございまして、アメリカでは現在新契約に占めます定期保険の比率が五五%程度でございますが、西ドイツでは一五%程度でございます。日本の場合には、これは一般の消費者の選択によるわけでございますけれども、やはり全くの掛け捨てということについては、一部何かつまらないのではないかという感じをお持ちの方もあるようでございまして、現実にたとえば火災保険、これは本来掛け捨てでございますけれども、これにつきましてもある程度掛け金が戻ってくるようなシステムがかなり普及している、こういう状態でございます。  かたがた、本来、消費者にとってどのような形の生命保険が一番望ましいであろうかということでございますが、確かに先生御指摘のとおり、インフレに対処するという意味では定期保険というのは非常に意味があるわけでございますけれども、他面、現在の生命保険の中の養老保険、つまり貯蓄部分の多い保険につきまして、実は一体どのような保険が消費者にとって一番有利であろうかということでいろいろ利回りを算定してみたわけでございますけれども、最近の調査によりますと、生命保険の養老保険のうちのいわゆる掛け捨てに相当する分を除きました残りの貯蓄部分の利回りは、二十四年ごろから継続したものとして仮定いたしますと、九%をかなり上回る計算があるわけでございます。これはほかの貯蓄手段に比較しましてもかなり有利な利回りでございまして、これはこれなりに消費者に十分な御理解を得て選択をしていただくのが筋ではなかろうか、このように考えております。  その意味では、現在、定期保険と養老保険を合わせましたいわゆる大型保障つきの養老保険というものはかなり普及しているわけでございまして、これと定期保険を合わせますと、大体六割が現在の新規契約に占める比率でございまして、純粋の養老保険は一〇%以下となっております。したがいまして、このような定期保険つきの養老保険についても消費者に対していろいろ御説明申し上げまして、その上でどれがよいかを消費者に選択していただく、このような方向で指導してまいりたいと思います。
  199. 高沢寅男

    ○高沢委員 そうするとやはり日本人の国民性といいますか、好みとして、貯蓄性のものとセットになったものがいいということが実態としてもあるというお考えなわけですね。ただ、その貯蓄性のものが、今度はインフレが進むと目減りだ、こうなるわけで、そこが大変矛盾するところであるわけですから、もちろん自分の好みで貯蓄性のものとセットになった定期性の保険を選ぶという人は、それはそれでいいわけですが、同時に、インフレのあれを考えて、そういう貯蓄性の部分はそれは何か別な方法で貯蓄の手段を考える、保険ではもっぱら何か事故のあったときの保障の面だけで定期性保険をやりたいという考えの人も当然あるわけですから、そういう人にはこういうものがあるんだということは十分周知できるような措置はぜひひとつ指導していただきたい、こう思います。  最後に、生命保険会社の運営の公共性というものになりますけれども、今日、生命保険というものの保険の契約数から言えば、国民の人口の中で、実際はしていない人もあるかもしれませんが、それは統計的にならしてみれば、ほとんど全国民が保険の対象になっておるというふうに見ていいと思います。そうすると、これは現実に非常に公共的な性格のものにもなっておる。とすれば、この保険の積立金の運用をどうすべきかというふうなことがいろいろ議論としては出てきますが、きょうはそちらの議論は一応おいて、保険会社の運営の問題として、現実はこれは大部分が相互会社で、その相互会社では社員総会というわけにならぬから、総代会で運営されている。その総代の選び方が、これが一般の庶民から見れば大変納得のできない面が出てきておる、こういうことだと思うわけです。  そこで、総代の選び方について、何か大蔵省でも工夫をされて、あるいはまた保険審議会の方でも十分御審議をされて、そして一般の大衆から見てこれが自分たちの代表として十分理解でき、納得できる構成になるような選び方をひとつ工夫していただきたい。その面でもし必要とあれば保険業法の改正もやっていただきたい、こう思います。たとえば総代にわれもわれもと保険契約者の中からなりたいという人を募集して、いわば名のりを上げる人があればそれを大いに受け付けて、そして各県なら県の単位の中で、その中からたとえば抽せんで選ぶというようなやり方もあると思いますし、あるいは総代の構成の中で一定の比率は学識経験者というものが入るような、そういうやり方もあっていいんじゃないかと私は思いますが、そういうふうな総代の構成の仕方及びその運営の仕方というもので、ひとつ改善の措置を考えていただきたいと思いますが、いかがでしょう。
  200. 徳田博美

    ○徳田説明員 先生御指摘のとおり、確かに生命保険会社は相互会社が現在十六社ありますが、その業務シェアは九五%以上でございまして、相互会社の運営いかんが生命保険業界のあり方に非常に大きな影響を及ぼすわけでございます。この問題につきましては、実は昭和四十年の保険審議会におきまして改善策について答申がございまして、その際、社員総代選考委員会を設置するとかあるいは評議員会を設けるとか、このような提言がなされまして、そのような方向で現在行われているわけでございますけれども、なおかつ現在の総代会の運営について非常にいろいろと御批判があることはまさに御指摘のとおりかと思います。この点につきましては、社員の意思をいかに適正に運営に反映させるかということにつきまして、保険審議会でいま御審議を願っているわけでございます。先般も実は参考人といたしまして消費者代表の方、それから労働組合の代表の方等をお招きいたしまして御意見を伺ったわけでございますが、その際のいろいろな御意見にも先生御指摘のとおり総代の構成について年齢別あるいは地域別にもっと改善すべきではないかといういろいろな御批判が出たわけでございます。今後はこれに基づきまして審議会におきまして審議が進められることになると思われますが、近いうちにこの答申が予想されますので、その答申が出ました暁には、ただいまの先生の御意見も十分に踏まえた上で積極的に改善策を実施していきたい、このように考えております。
  201. 高沢寅男

    ○高沢委員 これで終わりです。最後に、労働組合などがやっておる共済活動ですね。この共済活動をやっている人たちの中で、いわば生命保険との競合関係ということがありますから、そういう面で何か自分たちの活動が抑えられ、規制されるのじゃないかという心配が前からあったということで、その人たちもいつもそのことを私たちにも言ってくるわけですが、最近その代表の人たちが徳田部長にお会いしたときに、大蔵省としてはそういう共済活動を規制したりあるいはそのよしあしをどうこうと論じたりする考えはないし、またそういう権限もないということを部長が言明されたということで、大変その言明を評価しているわけです。この委員会のこの機会に部長の方から同じ趣旨の見解の表明をいただいて、そういう関係の人たちにも安心して自分たちの共済活動でやれるという条件をつくりたいと思いますが、部長の見解をお願いいたします。
  202. 徳田博美

    ○徳田説明員 お答えいたします。  ただいまのような御懸念が生じました契機の一つは、実は保険審議会の第三十四回総会に提出した資料に「保険審議会審議事項」というのがございまして、その中に「保険と共済との関係」という項目が挙がっておるわけでございます。これにつきましてそのような御懸念が生じたかと思いますが、この項目の趣旨は、多様化しております共済の現況等から見て、民間保険事業及び大蔵省の保険行政の改善にとって参考となる点があればこれを取り上げていく、こういう趣旨でございまして、労働者共済への監督規制のあり方について審議することは、大蔵省設置法上も保険審議会の権限には属していないわけでございます。この点につきましては、ただいま先生の御指摘のとおり、十二月十八日の保険審議会の生命保険部会の席上におきまして私が申し上げたわけでございますけれども、さらにことしに入りまして二月二十四日に同じく保険審議会の生命保険部会の席上におきまして、佃部会長も同じ趣旨の御発言をされております。また損害保険部会長の澤田さんも全く同じ御意見である、このように承っております。
  203. 高沢寅男

    ○高沢委員 わかりました。  そうすると、森次官、そういう立場で間違いないということでよろしいですね。
  204. 森美秀

    ○森(美)政府委員 そのとおりでございます。
  205. 高沢寅男

    ○高沢委員 ありがとうございました。  以上で私の質問を終わります。
  206. 上村千一郎

    ○上村委員長 次回は、来る十八日火曜日、午前十時理事会、十時三十分委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。     午後五時三十五分散会