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1975-06-13 第75回国会 衆議院 内閣委員会 23号 公式Web版

  1. 昭和五十年六月十三日(金曜日)     午前十時三十分開議  出席委員    委員長 藤尾 正行君    理事 越智 伊平君 理事 奥田 敬和君    理事 加藤 陽三君 理事 木野 晴夫君    理事 大出  俊君 理事 中路 雅弘君       有田 喜一君    大石 千八君       近藤 鉄雄君    竹中 修一君       中馬 辰猪君    林  大幹君       三塚  博君    吉永 治市君       木原  実君    山本 政弘君       和田 貞夫君    瀬長亀次郎君       鬼木 勝利君    鈴切 康雄君       受田 新吉君  出席国務大臣         国 務 大 臣         (防衛庁長官) 坂田 道太君  出席政府委員         防衛庁参事官  菅沼 照夫君         防衛庁参事官  平井 啓一君         防衛庁参事官  岡太  直君         防衛庁長官官房         長       斎藤 一郎君         防衛庁防衛局長 丸山  昂君         防衛庁人事教育         局長      今泉 正隆君         防衛庁衛生局長 萩島 武夫君         防衛庁経理局長 亘理  彰君         防衛庁装備局長 山口 衛一君         防衛施設庁長官 久保 卓也君         防衛施設庁総務         部長      安斉 正邦君         防衛施設庁施設         部長      銅崎 富司君         防衛施設庁労務         部長      松崎鎮一郎君         科学技術庁原子         力局長     生田 豊朗君         外務省アメリカ         局長      山崎 敏夫君  委員外の出席者         警察庁刑事局国         際刑事課長   金子 仁洋君         労働省職業安定         局失業対策部企         画課長     守屋 孝一君         自治省財政局地         方債課長    小林 悦夫君         内閣委員会調査         室長      本田 敬信君     ――――――――――――― 六月六日  靖国神社の国家管理反対に関する請願(小川省  吾君紹介)(第三四三〇号)  同(大出俊君紹介)(第三四三一号)  同(大柴滋夫君紹介)(第三四三二号)  同(太田一夫君紹介)(第三四三三号)  同(岡田哲児君紹介)(第三四三四号)  傷病恩給の改善に関する請願(田中龍夫君紹介  )(第三四三五号)  同(坊秀男君紹介)(第三四九一号)  同(増岡博之君紹介)(第三四九二号)  同(倉成正君紹介)(第三五五九号)  同外一件(中川一郎君紹介)(第三五六〇号)  同(羽生田進君紹介)(第三五六一号)  憲法問題の審議に関する請願(中川一郎君紹介  )(第三四三六号)  台湾残置私有財産補償に関する請願外四件(倉  成正君紹介)(第三五六二号) 同月十二日  台湾残置私有財産補償に関する請願外五件(床  次徳二君紹介)(第三六〇四号)  同(中尾宏君紹介)(第三六六五号)  傷病恩給の改善に関する請願(羽田孜君紹介)  (第三六三七号)  台湾残置私有財産の補償に関する請願(伊藤宗  一郎君紹介)(第三六六四号)  金鵄勲章制度の復活に関する請願外五件(唐沢  俊二郎君紹介)(第三六六六号) は本委員会に付託された。     ――――――――――――― 本日の会議に付した案件  連合審査会開会に関する件  連合審査会開会申入れに関する件  防衛庁設置法及び自衛隊法の一部を改正する法  律案(内閣提出第一〇号)      ――――◇―――――
  2. 藤尾正行

    ○藤尾委員長 これより会議を開きます。  この際、連合審査会開会に関する件についてお諮りいたします。  本委員会において審査中の科学技術庁設置法の一部を改正する法律案について、去る十一日、科学技術振興対策特別委員会から連合審査会開会の申し入れがありました。つきましては、これを受諾して連合審査会を開会するに御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 藤尾正行

    ○藤尾委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。  なお、連合審査会開会の日時につきましては、科学技術振興対策特別委員長と協議の上決定いたしますから、委員長に御一任願いたいと存じますので、御了承ください。      ――――◇―――――
  4. 藤尾正行

    ○藤尾委員長 次に、連合審査会開会申し入れに関する件についてお諮りいたします。  核兵器の不拡散に関する条約の締結について承認を求めるの件について、外務委員会に対し連合審査会の開会を申し入れたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  5. 藤尾正行

    ○藤尾委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。  なお、連合審査会の開会日時につきましては、外務委員長と協議の上、追って公報をもってお知らせいたします。      ――――◇―――――
  6. 藤尾正行

    ○藤尾委員長 防衛庁設置法及び自衛隊法の一部を改正する法律案を議題といたします。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。木原実君。
  7. 木原実

    ○木原委員 きょうは少し時間をいただきまして、長官と幾つかの問題についてじっくりと論議をしてみたい、こういう気持ちでおります。  ちょっとその前に、一つ二つ具体的な問題がございますので、本論に入る前に、そのことについてお尋ねをしたいと思います。  これは施設庁の長官ですけれども、あなたの方から実は関東地区に所在する米軍施設の返還についての資料をいただいたのですが、この中に、例の埼玉県のOTHの所在する米軍の通信基地、それから千葉県柏市の通信基地についてはリストアップされていないのですが、これらの交渉はどういうことになっておるのですか。
  8. 久保卓也

    ○久保政府委員 柏市につきましては、地元から以前より返還要望がございまして、これについて米側に接触をしております。そして一部道路用地につきましてはすでに返還が実現されておりますが、そのほかについても、学校でありますとか、公園でありますとか、そういう御要望が出ております。ただ、具体的にどういうふうに使いたい、こういう面積でこういう場所であるということの御要請を私の方から柏市の方にお願いしておるわけですが、それがまだ出ておらない。通信所全般の返還については、多分まだいまのところ見込みはないと思いますけれども、地元の方で、一部返還、そして具体的にこういうふうに使いたいということであれば、私どもは見込みがあるというふうに考えております。したがいまして、地元から具体的な計画の提案があれば米側と接触いたします。  それがら所沢の方につきましては、六月二十何日かまでかかってOTHの器材の撤去をいまやっておりますが、これに伴って全部が返還になるのか、一部が返還になるのか、ここのところがよくわかっておりません。しかし具体的に地元の方で、学校とか幼稚園、保育園の用地についての返還要望が出ておりますが、いまの段階では、ちょうど所沢の施設の真ん中辺を御希望になっておりまして、ちょっと跡地の関係がうまくありませんので、もう少し場所を整理するということであれば、地元の御要望に沿って米側と折衝することはもちろんいたしまするし、その可能性はあると思っております。ただ問題は、全面的に返還になるかどうかについてまだ米側が検討中ということで、具体的な見通しを私どもに示しておらないという段階であります。
  9. 木原実

    ○木原委員 これはいずれも基地集約化に伴う流れの一つだと思うのですけれども、それぞれ自治体側、地元としましては、たとえば柏市につきましても、大変都市化の波の進んでおるところでして、以前は大変郊外であったわけですけれども、そこに五十四万坪というものがある。所沢も大体同じようなものですね。立川も同じでした。そういうケースの中で、われわれからすれば全部返してもらいたいというのが筋なんです。都市計画そのものも大変阻害をされている。決定的に阻害をされている。ただ、五十四万坪という大きな敷地の中にごく一握りの施設がある、そういう形なものですから、一つは市民感情から言いましても、それから自治体のあるべき発展の方向というようなことから考えましても、いろいろな阻害条件があるわけです。しかし、そうも言っておれませんので、御存じのようにわれわれとしましては、部分的な返還を求めよう、それについてはできるだけ無理なことではなくて、合理性のあることを求めよう、こういうことでやってきたわけです。したがって、このことにつきましては、いままでのいろいろなあれとは違った形のものだと思います。それだけに、われわれとしましても、何よりも合理性があるということと、それから市民感情その他のことを考慮いたしまして、できるだけ了解の上できちんとした形で返還を求めたい、その日を実現してもらいたい、こういう希望でおるわけです。  ただ、その際いろいろ問題がございまして、お伺いしておきたいのですが、たとえば柏市につきまして、部分的な返還のめどは、長官おっしゃったように、取得後の計画その他というものを具体的に出していけばそれに即応してめどがつく、こういう見通しですか。
  10. 久保卓也

    ○久保政府委員 いま柏と所沢をお挙げになったわけですが、そのほかの関東地域の各施設につきましても、私ども、地元から御要望がありました場合には、特に関東地域の特殊性もありますので、できるだけその御要望の線に沿ってやりたいと考えております。  ただ米側では、ワシントンまで一々行くようでして、簡単にわれわれが希望するように短い期間で返事が来ないのは大変残念なんですが、しかし、全面返還となりますと、特に通信関係は、米側としてはその機能を維持したいという希望が非常に強く、ただ、それにしても、いま持っている施設の土地の全部が必要であるかどうかについてはわれわれも疑問があるので、具体的な計画があれば、まず必ずと言っていいのに近いくらいに私どもは返還が実現できるものと思っております。ただ場所等については、若干また御協議申し上げなければならないかもしれないということであります。
  11. 木原実

    ○木原委員 これはそういうことになりまして、たとえば先般周辺整備法その他ができまして、これは主として自衛隊ですが、基地の存在をする地域の自治体等とも協力関係と言いましょうか、私はああいうやり方には本当は反対なんですけれども、いわば宣撫工作みたいなもので、迷惑料を出して了解を求めるというのはいかがなものかと思うのですが、こういうケースに当たってみまして、突き当たりました問題は、たとえば青写真を出しまして返還を求める、そして一つは返ってくる時期というものが必ずしも予測できないような形。そして返ってくる段階になりますと、自治省からもおいでを願っているのですけれども、返還を求めておきながら、今度は自治体の方がなかなか財政的な裏づけがないわけなんです。そうしますと、自治体は都市化の波が押し寄せているものですから、いろいろ胸算用は持つわけです。学校をつくりたい、施設をつくりたい、公園をつくりたいという、いろいろ絵は描けるのですけれども、裏づけになるものがない。その間に、まあ大変悪いのですけれども、たとえば住宅公団であるとか、自衛隊にしてもそうですけれども、極端に言いますと、やはり国の財政力のあるところがばっと持っていってしまうという、そういうことがあるのですね。こういう返還のケースが各地に出ておるわけです。  自治体の財政状況というのは御存じのとおりですね。そうなりますと、これは将来の問題ですが、周辺整備法等にあらわれましたやり方もさることながらですけれども、やはり自治体の協力に対する姿勢みたいなものですね。従来の周辺整備法とは少しばかり姿勢の違った形で、基地の跡地の利用等についてもやはり協力をしていくような道を立てる、こういう配慮が、いわば政府のセクションの枠の中ではなくて、お互いに自治体を尊重して、自治体と文字どおり協力をする道を――そこまでめんどう見てくれというのはおかしいのですけれども、そういう道を開かないと、いろいろ自治体との冷たい関係というのが続いていく、こういう感じがするのですが、どうでしょう。
  12. 久保卓也

    ○久保政府委員 施設が返還になりますると財産を大蔵省に移管いたしますので、後の処分は大蔵省の方でやることになりますが、その前の段階で、米側が施設をいつごろ返すだろうか、少なくともそう遠くないうちに返しそうだとか、もうすぐこういう時期に返ってきそうであるというような情報を、なるべく私どもは入手しまして、そしてそれを地元の方にお知らせをするということに努めたいと思います。ただ、どうも米側の予算制度の関係とかワシントンでの検討とかがありまして、いま御懸念のように、返還の時期と、それからわれわれが知らされる時期とが非常に短くて、自治体の方でもお困りのような状況がずいぶんあると思うのです。沖繩なんかでもずいぶんこの関係の問題もありまして、その点の自治体に対する手当てをどうするかという問題は、いまの法制ではちょっと解決しないように思うのですが、一つの政治的な問題であるように私ども認識しておる。施設庁の仕事とは限らないかもしれませんが、政府で何らかのことを考慮すべきであろうというふうにも思いますので、もし具体的な御提案でもあれば、政府の中で関係各省と御相談申し上げても結構だと思います。
  13. 木原実

    ○木原委員 自治省来ていますか。お聞きのとおりなんですがね。これは自治省だけの裁断でできるかどうかわからないのですが、具体的なことを申し上げますと、長年かかって町の真ん中になりました基地を返してほしい、自治体ぐるみで当局に陳情をしたりいろいろやりまして、何となく、たとえば柏市の例について見ますと、所沢でもそうですけれども、返還のめどがついてきた。ところが、いまおっしゃったように、それじゃ何をつくるのか青写真を出せ。青写真はいっぱい出せるわけですよね。出すのはいいですけれども、裏づけがないわけなんです。裏づけのないものを出して何だ、こういう問題があるわけですね。大変これは具体的な問題としまして難渋しているわけなんです。そこで、これはひとつお考え方を聞きたいのですが、返ってくる時期というのが、いま長官がおっしゃったように、必ずしも次年度に間に合うような時期じゃない。年度途中で出てきたり、いつ返ってくる状況かは向こう様の事情ですから、どうしようもないという時期に返ってくることがあるわけです。ただ、そのことも含めて、そういう返還をやっぱり受けた場合に、その当該自治体がやりたいさまざまの事業計画等に見合って財政的な裏づけを何かやはり特別な措置でやっていく道というようなものは考えられませんか。
  14. 小林悦夫

    ○小林説明員 私ども個別の問題はよく承知しておらないわけでございますが、必要な公共用地の取得につきましては、公共用地の先行取得等事業債というものがありまして、地方債で従来から措置をさせていただいておるわけでございます。基地の返還に伴うものにつきまして個別によく聞いてみたいと思うわけでございますが、必要なものにつきましては、地方債で措置することを検討させていただきたいと思います。  なお、年度中途等でありましても、それが適切な事業であり、返還の時期等の絡みでやむを得ないものであれば、その段階で検討させていただきたいと考えます。
  15. 木原実

    ○木原委員 まあ返ってくるものですから、われわれは無償で自治体に取得をする道を開きたいという気持ちがあるわけです。しかし御存じのように、返ってまいりましたものは大蔵省の所管に移っていく。大体自治省が行政財産を持たないというのはおかしな話なんです。制度上のいろいろな流れがあるわけですけれども、自治省はいろいろやるわけですけれども、全く力がなくて、この種の問題についても、特に土地の事情がこういう状態なときには、自治省なんかが、それぞれ必要な行政財産については、自治体との関連の中で持つぐらいの気持ちが欲しいわけです。しかし、そんなことをいま言ってもしようがありませんが、これは新しくこれから何年かの間に、相次いでこういう事例がいままで基地を持っていた自治体の中に出てくると思うのです。そういうことを勘案しますと、この機会に、先行取得の何か新例を開くというようなことをぜひ考えてもらいませんと、どうしようもないという状態があるわけです。  先ほど申し上げましたように、その際には、どこも土地が欲しいわけですから、公団であるとか、あるいは防衛庁にしてもそうですけれども、あるいはまた、ほかの国のレベルの中で取得に割り込んでくる、こういうケースがもう目に見えているわけなんです。私がいま問題にしております柏市につきましても、もう幾つかのそういう国のレベルでのアプローチがある。これでは当該自治体にとっては泣いても泣き切れないという事情があるわけです。そういうことですから、いまおっしゃいましたように、地方債の従来の枠の中で処理をされるというほかに、何かやはり特殊な事情に基づいて新例を開く、こういう道を御検討願えないものでしょうかね。
  16. 小林悦夫

    ○小林説明員 市町村がそれぞれの計画に基づく事業計画をつくることはぜひ必要でございまして、また土地の取得も大切なことだと考えます。ただ従来から、用地の取得につきましては、計画にこだわらずに必要であれば許可しておるわけでございまして、このたびのようなケースにつきましても、そういう形で対処させていただきたいと考えます。
  17. 木原実

    ○木原委員 新しい起債の枠を設けるというようなことはできませんか。
  18. 小林悦夫

    ○小林説明員 新しい起債の枠をつくるかどうかは今後検討させていただきたいと思いますが、現在の公共用地先行取得等事業債につきましても、一応枠は設定してございますけれども、なかなか実態がわからぬものですから、実情に応じて相当大幅に許可をしている状況でございまして、その枠の中と申しましょうか、枠の外と申しましょうか、それで対処できるというふうに考えております。
  19. 木原実

    ○木原委員 そうしますと、返還に伴う事業計画、そういうものを持ってやればその枠の中で処理できる道はある、こういうことですね。
  20. 小林悦夫

    ○小林説明員 必要なものにつきましては、そういう形で対処させていただきたいと考えます。
  21. 木原実

    ○木原委員 わかりました。いずれにいたしましても、その辺の見通しがなかなか自治体の中ではつけがたいものですから、さあ返ってきたはいいがどうしたらいいのか、こういうことで、とりあえず調査費でもつけておこうというような段階ですけれども、ぜひひとつそういう実情を考慮に入れて財政的な措置ができるような御協力をお願いしたいと思いますから、よろしく。
  22. 藤尾正行

    ○藤尾委員長 地方債課長、よろしゅうございますな。よろしいですか。よろしくないですか。
  23. 小林悦夫

    ○小林説明員 公平に対処いたしたいと思います。
  24. 藤尾正行

    ○藤尾委員長 よろしいですか。
  25. 木原実

    ○木原委員 結構です。これは大変重要な問題で、基地問題は長い経過があるわけです。それが幾つかの部分で何か合理的な解決を見出そうというようなことですから、そしてその経過の中で一番苦しんできたのは自治体なんですから、その辺は篤と腹の中へ置いていただきたいと思うのです。せっかくそういうケースが出始めている段階ですから、誤りのないような努力をしてもらいたいと思うのです。  なお、大蔵省関係につきましては、別の機会にまた私どもの方からも話をしたいと思いますから、ひとつお願いします。結構です。  それから久保さん、もう一つ所沢の問題ですけれども、おっしゃいましたように、これは器材の撤去等を始めまして、最終的にはまだどうなるかわからないという状態ですか、返還の問題につきましては。
  26. 久保卓也

    ○久保政府委員 所沢の問題につきましては、シュレジンジャーの国防報告に出まして以来、国内でも問題になりまして、外務省及び私どもから米側に協議をしたところが、そのころは、この春ごろでしたけれども、検討しているということでございました。ごく最近も連絡したところが、まだ最終的な方針が決まっておらないという連絡があったのでございます。ただ、現実にOTH関係のアンテナ等は撤去している。たしか二十五日までだったかと思いますが、そういう計画でやっているということと、それから地元から御要望の出ているような施設面積などの提供は可能であろうという印象を私どもは得ているというような段階で、最終的にどうなるかということは、たぶんそう遠くないうちに意見の表示があると思いますけれども、いまのところはわかっておらないということであります。
  27. 木原実

    ○木原委員 それからもう一つ、柏市のことについて念を押すようですけれども、そうしますと、これはこちらから提出をする事業計画に基づいて向こうが検討をして対応してくる、こういう経過がまだ残るわけですね。
  28. 久保卓也

    ○久保政府委員 私どもとしては、米側に要請するときに、全面返還のときはともかくとしまして、部分返還のときには、こういうことでここを使いたいので検討してほしいということを申し上げるわけでございまして、そこで米側としては、通信施設でございますので、アンテナの通信の機能を阻害しない範囲の場所であれば、それは結構でしょうという返事が来るはずであります。
  29. 木原実

    ○木原委員 わかりました。いずれにしましても、かなり長い時間関係方面に御協力をいただいたわけですけれども、関係の自治体としましては、方向のめどはついた、こういうことで、次の段階に仕事ができるように計らってもらいたいと思います。  それでは、基地の関係はこれぐらいにしまして、もう一つ、防衛庁の長官とのお話に入る前にお尋ねしておきたいことがあるのです。これは私は以前もここで何回か取り上げたことがあるのですけれども、成田の開港に伴う空域の問題について聞きたいわけです。  いろいろ地上の関係では、速やかに成田空港を開港せよ、そういうような動きがあるやに伝えられております。しかし私どもは、それに非常に疑念をいまだに持っておるわけです。たくさんの問題が未解決のまま、特に国のレベルの段階で問題が何一つ処理されておらない。騒音の問題についてしかり、アクセスの問題についてしかり、そしてこの空域の問題についてしかりなんです。なかんずくこの段階で、あれだけ空港の開港を来年の三月だとか四月だとかという希望的な観測を空港公団などは言いながら、肝心の空域がまだ決まってない。この空域を決めるのは運輸省であることはもう御存じのとおりですけれども、そのネックの中に、解決をしてもらわなければならない問題の中に、百里基地を中心とする自衛隊の訓練空域その他の問題があるのではないか、私はこう思うわけです。  そこでお尋ねをしておきたいのですけれども、いま運輸省に対して自衛隊側としては、どういう空域の設定ないしは要求をお出しになっているのか、そのことをひとつお示し願いたいと思います。
  30. 菅沼照夫

    ○菅沼政府委員 ただいま先生の御指摘でございますが、私どもの方からいま運輸省の方へ正式な協議案ということで提出しております空域は、百里の東方の太平洋上に設定をお願いしておりますが、E空域とF空域という二つの空域をお願いしております。このE空域につきましては、高度は一万九千フィート以下、F空域につきましては高度制限なしということで、当初この二つの空域を協議しておりますけれども、運輸省の方で、技術的に航空安全という面から検討をいたしておりまして、この協議が調う場合には、恐らくこの空域の状況は多分に変わるという現段階でございます。
  31. 木原実

    ○木原委員 これは長いあれがあるわけですけれども、何かこんなものを私もいただいたんです。E空域とF空域の問題、これは変わっていく可能性があるというわけなんですが、いろいろ問題があるような感じがいたしまして、その問題に入る前にちょっと伺いたいんですけれども、成田空港が完成した暁には、横風用の利用等のことになりますと、百里の基地と横風用の距離というものが非常に接近しているわけですね。ジェットの上昇能力からしますと、大体一分三十秒ぐらいの時間的な距離しかない。そういう状態があるわけですね。ですから、安全の問題からいきまして、しかも国際空港ですから非常に問題が残るわけです。そういうことを考慮に入れて、なおかつこういう空域を設定してもらいたい、こういうことなんですか。
  32. 菅沼照夫

    ○菅沼政府委員 成田空港と百里の基地が、相互に独立して飛行場として両立し得るということにつきましては、成田空港の設置が決定された段階におきましていろいろ確認をされております。さらに、成田空港の開港に当たりましては、成田空港と百里基地の出発、進入経路等について、安全確保の観点から十分に調整をすることといたしておりまして、先ほども申し上げておりますように、運輸省の方で、技術的に安全確保の面から現在検討していただいている、こういう状況でございます。
  33. 木原実

    ○木原委員 百里基地というのはファントムの配備が行われているわけですけれども、次のFX選定その他で配備が恐らくあると思うのですけれども、機能は恐らく低下する見通しはないわけですね。その辺についてはどうですか。     〔委員長退席、木野委員長代理着席〕
  34. 菅沼照夫

    ○菅沼政府委員 現在と比べてと言われるわけでございますか。
  35. 木原実

    ○木原委員 はい、そうです。五年先、十年先というふうに。
  36. 菅沼照夫

    ○菅沼政府委員 それは低下する見込みは現状ではございません。
  37. 木原実

    ○木原委員 これは大変なことだと思うのですよ。成田にしましても、開港当初は百五十便とかなんとか言われておりますように、まあまあ緩やかな回数で開港を始めるだろうと思うのです。しかし、いずれ大変なフル回転をする事情というものは予測できるわけですね。そこへ持ってきて百里の基地も、非常に性能の高い戦闘機その他が配備をされるということになりますと、将来の見通しとしては、競合状態がますます激しくなっていく、このことは当然予想をしておかなくちゃならぬわけですね。そういう予測も含めて、空域の設定については運輸省の方へ要求なさっているんですか。
  38. 菅沼照夫

    ○菅沼政府委員 もちろん、そういうことを考えながら検討しておるわけでございますが、先ほどの百里基地の存在理由というのをもう一度申し上げますと、航空機によりまして、中部日本における防空、領空侵犯対処、それから救難行動等を行うということにございますので、将来も、百里基地というものにつきましては、私どもの方で十分にこれを活用してまいりたいというように考えておるわけでございます。  一方、先生が申しておられますように、航空交通の安全という点から考えますと、確かに将来も、交通の頻繁さといいますか、非常にふえてまいると思いますけれども、御存じのように、ヨーロッパの空を見ましても、空域の隔離という点から言いますと、高度差による隔離、平面による隔離、それから時間差による隔離というような幾つかの要素がございまして、そういうものを考えながらつくっていけば航空管制については心配はないというように考えております。
  39. 木原実

    ○木原委員 これは当初から成田の問題につきまして議論の一つであったわけです。もうずいぶん前になるわけですけれども、たしか運輸大臣が橋本さんの時代だったか大橋さんの時代だったか、同じ問題が運輸委員会で出されまして、そのときの大臣の御答弁は、大丈夫だ、百里の基地の問題は国内問題だ、だから幾らでも調整の道はある、こういう大変楽観的な御発言があったわけですね。まあ国内問題ですから、たとえばアメリカとの関係というのは問題ではないわけですから、調整しようと思えば国内的なレベルで調整ができる。それは確かに筋なんです。そしてそれからずいぶんたちまして、空域をそろそろもう最終決定しなければならぬ段階に来ているわけです。しかし事態は、当時われわれが心配したのに比べて、少しも改善はされていない。しかも将来のことを考えると、いま私が申し上げましたように、大変競合状態が激しくなってくる。そうしますと、いま私は、出されておりますあなたの方の案を見まして、これは一つの運輸省に対する交渉の素材であって、最終的には運輸省が決めるものなんでしょうけれども、話し合いの中でなおやはり検討の余地があって、安全度ということを焦点に置いて変更の余地があるものだ、こういうふうに理解してよろしいですか。
  40. 菅沼照夫

    ○菅沼政府委員 ただいま先生が御指摘の、私どもの方から運輸省へ協議している案につきましても、先ほど申し上げましたように、航空安全という見地から技術的にいろいろ検討いたしておりますので、相当協議が整う段階においては変わってくるのではないかというように考えております。
  41. 木原実

    ○木原委員 先ほどちょっと参事官がおっしゃいましたように、たとえば高度差、それから時間帯その他三カ条ほどありましたね。その基準で設定をしていくというのですけれども、幾つかの担保は取るに違いないと思うのですけれども、時間帯の問題にいたしましても、これは航空機のことですからいろいろある。しかも自衛隊の場合はいいわけです。しかし、スクランブルはしょっちゅうやっている、こういう事情もありますよね。それから高度差にしましても、トンネルの中を抜けていくわけですから、これは進入をしてくるときの高さというのはなかなか一定をしない要因等もあると思うのです。  そういうことを考えますと、これはどうしても競合するから、そういう形で調整をする以外にはない。それは外国でもやっていることだから安全度は高い、こうおっしゃるわけですけれども、しかし言ってみれば、国際空港の鼻っ面に自衛隊のそういう訓練空域がでんとあって、果たしてそれで最終的に安全で大丈夫ですよと胸を張って言われるような状態なのかどうかということについては、私ども素人ですから何とも言えませんけれども、疑問が残るわけですね。だから、それならば思い切って訓練空域については、別途、もう少しまず平面的な分野というものをもっと何か方向をずらしていくとか、もう少しよけて通るような何か案を出せないものですか。
  42. 菅沼照夫

    ○菅沼政府委員 先生御指摘のように、確かにこれからも交通量もふえてまいりますし、いろいろな問題あると思いますけれども、先ほどから申し上げておりますように、純技術的な観点から安全度ということを確認しながら運輸省の方において検討しておりますので、私どもそれの協議に応じまして、航空交通の安全という点についてはまず第一に考えながら空域の設定ということをやらしていただきたいということを考慮しておりますので、いま先生御指摘の御心配はあるいはあるかもしれませんけれども、私どもは、いろいろ検討しまして、そういう純技術的に航空安全を確保できるということで設定をしていただきたいというように考えております。
  43. 木原実

    ○木原委員 御承知のように、雫石の事件がありまして以来、要綱等も出されておりまして、確認をしておきたいことですけれども、民間優先ということは、亡くなりました佐藤総理も、あの事故の後強調されまして、その原則は、どうですか、自衛隊としても尊重していくつもりなんでしょうね。
  44. 菅沼照夫

    ○菅沼政府委員 ただいま御指摘の雫石事件という非常に不幸な事件があったわけでございますが、その後に航空安全緊急対策要綱というのができまして、その趣旨といたしますところは、民間航空の交通の安全ということを考えるということであろうかと思います。その趣旨におきましては、現在も変わっておらないというように考えております。
  45. 木原実

    ○木原委員 これはやはり施設庁長官にも申し上げておきたいと思うのですが、成田空港の開港に伴いまして、訓練空域の設定がいまおっしゃったようにあるわけなんです。そのほかに、アメリカの空の射撃場というのでしょうか、そういうようなものをしきりに設定されているわけなんです。これは空域の問題というのはなかなかややこしゅうございまして、私どもはよくわからないわけでなんですけれども、アメリカが専用的に使っている空域、それからアメリカがいつでもその気になれば使えるように設定しておる空の射撃場ですね、そういうものがあるわけです。その上に百里の基地の必要な訓練空域、こういうのが重なり合って銚子沖の太平洋側面にあるわけですね。そこをいわばかいくぐって幾つかのコースで民間の飛行機が飛ぶ、こういう形になるわけです。いま、運輸省を中心にしまして、それの調整作業をやっているというわけなんですけれども、どう考えましても不安の要素というのは残るわけです。そうかといいまして、雫石の事故がありましたときに、それじゃ自衛隊の飛行機はなるべく海へ行ってやれと、こういうようなことにもなりまして、自衛隊の方はその原則を守ってできるだけ海へ行っているわけですね。今度はその海が問題になってきた、こういう状態なんです。  そこで、特にそういうアメリカの独自に使っておる訓練空域その他、それらの返還の問題についても、これは外務省の分野になるわけですけれども、何かやはりこういう機会に検討してもらいたい、こう思うのですが、どうでしょうか。
  46. 久保卓也

    ○久保政府委員 航空管制あるいは航空機の運用の問題になりますと、施設庁は専門ではございませんので、常に運輸省の助言を得るわけでございます。そこで、現在のところは米軍の海上における射撃場について特に問題が起こっておるようには承知いたしておりません。伊江島で若干民間で問題があるというように言われておりますけれども、それ以外については聞いておりません。  私も防衛局長をやっておりましたから、当時運輸省の技術部、後に管制部の人たち、技術専門家が非常に詳細に検討しておりまして、あの人たちは自信を持って、防衛庁と、それから米軍及び民間航空の調整をやっているというように私どもは見受けられました。したがいまして、どうしても運輸省の方でもし問題があるとするならば、運輸省から私どもの方に御提案があれば、私どもも米側と折衝するにやぶさかでない、こういう態度であります。
  47. 木原実

    ○木原委員 いずれにいたしましても、これはICAOなどが出しておる基準に基づいて安全度の高い空域を設定をしたい、運輸省の方は私のところに来てそういう立場を表明いたしておりましたですけれどもね。いまのような形でいくと、ICAO筋も、成田の空域の設定については大変関心と疑問を持ちながら見ているという話を、われわれもときどき聞くことがあるわけです。したがいまして、決めていく場合には、自衛隊側の事情、主張、そういうものもあるわけですけれども、しかし、いずれにしましても、民間の飛行機の安全を第一に考えるという立場で協力をしていく、こういう方向でこれからの協議に当たってもらいたいと思うのですが、どんなものですか。
  48. 菅沼照夫

    ○菅沼政府委員 訓練空域の設定に当たりましては、自衛隊機の訓練上必要であるということはもちろんでございますけれども、当該空域における航空交通の安全を確保するということが大前提でございまして、先ほど施設庁長官からも御答弁ございましたように、運輸省において技術的な検討をしておりますので、訓練空域の設定に当たって、航空交通の安全を確保するという観点からこれをやっていきたい。もちろん私どもも、運輸省の方に協力申し上げてまいりたいというように考えております。
  49. 木原実

    ○木原委員 防衛庁長官、これは長官にもお願いしておかなければならぬことですが、非常に厄介な問題がたくさんあるわけなんです。担当官はそれぞれ苦労しながらやっていくのですが、なかなか詰めに入れない状態があるのではないかと私は見ているのですけれども、ただその際に、これは長官に御認識をいただきたいと思うのですけれども、仮に成田が開港ということになりますと、国際空港で日本の国際的な表玄関だ、そのいわば入り口に自衛隊の飛行機が飛び交っている、こういう姿になるわけですね。必ずしも外国に例がないわけではありませんけれども、平和憲法を持つ日本としては、必ずしもおもしろい状態ではないわけです。そこへ持ってきまして、どうしても自衛隊側の立場と言いましょうか、要求というものが強くなる要因というのがあるわけです。民間のペースの動きとは別にですね。これは任務から言いましても、現に行っておる行動からいきましても、どうしても自衛隊としましてはそういう立場というものが譲れないという側面があるわけです。  そういう際に、これはやはり最終的にはそのときの長官の決断にかかると思うのですね。決断の際の立場、いま参事官も申しましたけれども、やはり何よりも民間の安全ということが第一だ、その線に沿って自衛隊としても多少のあれは忍んでも協力をする、こういうことでやってもらいたいということが一つと、それから、恐らく意見が合わないと政治折衝みたいなことになる可能性もありますけれども、これだけは、足して二で割るような政治的な折衝はしてもらいたくない。技術的に詰めて詰めて、その法則に従ってベターな安全度の高いものに従う。防衛庁側がどうの、運輸省側がどうのということではなくて、やはりそういう原則的な立場というものをひとつ確認をしてもらいたいと思うのですが、どうですか。
  50. 坂田道太

    ○坂田国務大臣 この航空の安全というのは、一番大事なことだと私は思っております。それから、日本の防衛力を整備する、あるいはそういう実力を持つと申しましても、私は、国民の理解と支持と協力がなければ防衛力にならないという考えを実は持っておるわけでございまして、常にそういう観点から物を処していきたいというわけでございまして、いま参事官から申し上げましたように、科学的に、そして技術的に、合理的に出ました安全度というふうなものをちゃんと踏まえまして、そして民間航空というものに対して、先生御指摘のようなことを尊重しながら対処してまいりたいというふうに考えております。
  51. 木原実

    ○木原委員 防衛局長に最後にこのことについてお聞きしておきたいのですけれども、先ほどもちょっと申し上げましたように、百里の基地の機能というのは、いまのペースでいけば強化されていく方向だと思うのですね。しかし、われわれ、民間の安全を優先をさせる、こういう原則を押し広げていきましたら、あれだけの国際空港がフル回転をするという状態の中だと、どうしても将来にわたって百里の基地との関係が出てきます。出てこなければこれはうそです。だから、やはりそういうことは十分に考慮に置いて、将来あの百里の基地のあり方や――いまの段階で、私は、私どもの端的なことを言えば、成田の開港があるのならば、百里の基地はどこかへ移ってもらいたい。安全ということを考えれば、これが一番正常な主張だと考えているわけです。かつて運輸大臣が、いつでも調整できるのだ、国内問題だ、こうこの席で答弁したそのときのニュアンスはそういうことであったのです。しかし、ここの段階まで来ますと、そうではなくて逆に、成田は開港する、これは将来にわたってフル回転をしていく、そこへもってきて、百里の基地の機能がさらに強化されていくということになりますと、これは大変に矛盾をはらんだままの成田空港の開港にならざるを得ない。来年になるか再来年になるかは別にしましてね。そういうことなのです。だから、この開港という状態を迎えて空域の設定の問題が話し合われているわけですけれども、根本的にはこの百里基地の配備の問題について考慮してもらわなくてはなりませんと私は思うわけですが、御見解をひとつ聞かしてください。
  52. 丸山昂

    ○丸山(昂)政府委員 ただいま長官から申し上げましたように、この自衛の整備という問題は、国民のバックアップということが基本でございますので、国民の利害に反してあり得るということがないという前提でいろいろ考えました場合に、防衛もやはり国民を守る仕事でございますので、できるだけその点については調和点を見出していくということが大事だと思います。一方、基地の問題になりますと、狭い日本の領土で人口稠密なところでございますので、一つの基地を簡単にほかに移すということが、実際はもうほとんど不可能であるというのが現状でございます。わが国の防衛体制の面から考えますと、東京を中心にいたしました空域について、要撃戦闘機を主体として置きます航空機の基地としては、現在のところ百里しかないというのが実情でございます。  御案内のように、沖繩を別にいたしまして、全国を大きく三つに分けた空域に分けておりまして、それぞれに要撃戦闘機の基地を二個空団ずつ持っておるという状況でございまして、中部は、今度法案でお諮りを願っております小牧の部隊を、三空団を三沢の方に移しますので、結局、石川県の小松と茨城県の百里というのが大体この中部区域を守る要撃戦闘機の基地ということになりますので、私ども防空の方の仕事を担当させていただいている者にとりますと、絶対これは確保させていただきたいというのが私どもの立場でございます。  もちろん、これは国民を守るというためのものでございますので、一方、最近の国際空港の巨大化という問題と、地域的に大変近いところにある、そういう問題が根本的にあるわけでございまして、先ほどからお話が出ておりますように、この問題については、できるだけ調和点を見出すために技術的な安全性というのを詰めていくということが当面の問題ではないかというふうに思っておりますし、私どもの方といたしましても、先ほど大臣答弁にございましたように、民間航空の安全性ということは、これはもう大前提でございますので、その趣旨に沿うように御協力を申し上げたいというふうに考えております。  ちょっと横道にそれて恐縮でございますが、ヨーロッパの先進国におきましても、この問題については、主としてイギリス、フランスあるいはイタリアといったようなところで、軍の関係と民間の関係の全体のコントロールといいますか、このために大変膨大な予算をかけまして、安全性の確保に相当力を注いでおる。近代国家として空域を野放しにしておくということは、まことにお恥ずかしい話だと思います。そういった面で、このこと自体は運輸省の所管に属する問題でございますが、私どもといたしましては、十分その点について私らの立場からできるだけの御協力をいたしたいというふうに考えておりますが、同時に、私どもの責務も十分に果たし得るような条件でお願いをいたしたいというふうに考えておるわけでございます。
  53. 木原実

    ○木原委員 事は将来の安全にかかわる問題ですから申し上げておきたいのです。これは、われわれですから政治論になりますけれども、局長がそういうふうにおっしゃるならば、やはり成田というあんなところに国際空港をつくるべきじゃないわけなんですよ。これはどうしても矛盾をはらんだまま、問題を残したままいかなくちゃなりません。ですから現実の問題としましては、最大限の調和を図ってやるということしかないわけです。しかしそれでも安全については限度がある。性能の違う、片方は大きなずうたい、片方は性能の高い小回りのきく飛行機が飛びかっているわけですから、一〇〇%、一二〇%の安全という面から言いますと問題は残るわけです。しかしその枠の中で最大限に安全度を求める道しかないわけですね。だから、われわれの立場から見れば、安全の問題というのは依然として問題を残しながら進まなくちゃならぬ、こういうことなんです。  それだからいまの時点で強調しておかなくちゃならぬことは、それは自衛隊の立場から見れば、任務に忠実であるとすれば、百里の方が先にあったわけですから、あんなところに国際空港を持ってくること自体がこれは大変おかしいことなんです。その辺の政府部内の調整がずさんだったということは、いまさら言ってもしようがないことですけれども、ともかく問題を残しますから最大限の努力をしてもらいたい。それからまた、もう基地をほかに求めることができないなどという発想では、これは問題にはなりませんから、やはり安全を考え、必要に応じて対処していくという柔軟性は、動きの激しい部分ですから持ってもらいたいと思うのですね。  これは最後になりますが、あわせて聞いておきます。参事官、将来管制の一元化というようなことを一部で言われているのですが、自衛隊の方は、安全を確保するために、横田、百里あるいは成田、羽田、関東の一つのエリアの中で、一元化という言葉もあいまいなんですけれども、管制の一元化というようなものについて対応する用意はあるのですか。
  54. 菅沼照夫

    ○菅沼政府委員 管制の問題でございますが、現在防衛庁と運輸省がやっておるわけでございます。いま先生申されました管制の一元化ということにつきましては、技術的な問題もいろいろあろうかと思いますので、直ちにできるかどうか私ちょっと申し上げにくいのですけれども、運輸省からそういう話が出れば、検討はしてまいりたいというように考えております。  なお、先ほど防衛局長からお話ございましたように、ヨーロッパの先進諸国におきましては、相当膨大な予算をかけて、軍用機と民間機両者をコントロールするということでいろいろ組織もできておりますし、そういう施設もできておるようでございますので、そういう点についても、将来の研究課題として当然運輸省と十分に協議しながらやっていきたい、こういうふうに考えております。
  55. 木原実

    ○木原委員 防衛庁側から見まして、管制の一元化を考える場合に障害になる問題はどういう問題なんですか。技術的な問題があるとおっしゃいましたけれども。
  56. 菅沼照夫

    ○菅沼政府委員 ただいま申し上げました中で、いろいろ管制のメソッドとか手続と申しますか、そういうものは運輸省と共通でございますけれども、たとえば任務の面からいきましても、わが方は当然防空任務というものを負っておるわけでございまして、その中には秘密の分野ももちろんあるわけでございますので、そういう面から、運輸省と直ちに一元化と申しますか、一体化と申しますか、そういうことでできないというような面もございますけれども、一元化という言葉の内容にもよりますけれども、将来いろいろと検討してまいりたいと思っております。
  57. 木原実

    ○木原委員 これは私どもも素人ですからよくわかりませんけれども、要はやはり最高限度の安全度というものを追求していきたいというのが私どもの立場です。ですから、技術的に可能性のあるものなら、これは制度上の問題もあるでしょうし、私たちの立場から言えば、大体自衛隊が民間の中に割り込んでいくのはけしからぬという議論も成り立つわけですし、いろんな考えが出てくると思うのですが、ただ安全性にはかえられません。諸外国でやっているシステムの問題の話もございましたし、それには膨大な予算云々のこともございましたけれども、これまた国としては金にはかえられませんですよね。いままでだって相当無理をして成田の空港をつくってきているわけですから。だから、もしさらにベターな安全を確保する道というものが技術的に可能だという一つの方向が出れば、自衛隊としても協力をしていく、こういうことですか。
  58. 菅沼照夫

    ○菅沼政府委員 先生おっしゃるとおりでございまして、協力してまいるということでございます。
  59. 木原実

    ○木原委員 それではこの話はこの程度で終わりますが、先ほど来申し上げましたように、いずれにいたしましても早晩開港の問題が出てくる。この安全の問題については、私どもから言わすと、なお疑念を残しながら開港に至るであろうという考え方を持っております。ただその中で、ともかく最高度の安全の道について自衛隊の側も譲れるところは最大限に譲ってもらいたい、こういう要望を申し上げまして、この部分についての質問を打ち切ります。  それでは、少しばかり問題を変えまして、主として坂田防衛庁長官にお伺いをいたしたいのです。  衆参両院の予算委員会、それから当委員会におきましても、すでにたくさんのことが論議をされております。かなり激しい国際的な変動もありますし、改めて自衛隊のあり方、日本の防衛のあり方、こういったようなものが問われておる時期に際会している、こういう考えを私たちも抱くものなんです。そこで、長官は長年、私どものイメージからいたしますと、教育分野、文教のベテランとして文部大臣も経験をされた。こういう方がこういう時期に長官に就任になっていらっしゃるということで、いろいろ見解をお伺いしておきたいことがあるわけですが、最初に、そういう経歴をお持ちの長官として、特に自衛隊の隊員に対する教育と申しましょうか、そういう面について何かの抱負なり考え方なり、こういうことをやっていきたいというお考え方があるならば示してもらいたいと思いますが、いかがでしょう。
  60. 坂田道太

    ○坂田国務大臣 まず自衛隊は、御承知のとおりに、わが国の平和と独立を守る、国の安全を保つ、そういう任務を持っておるわけでございます。そしてその負託を国民から受けておる、そういう実力の組織であるというふうに承知いたしております。こういう自衛隊をしてその任務を完全に遂行させますためには、やはり自衛隊員の教育と申しますか、訓練と申しますか、そういうことが非常に大事である。というのは、いかに近代的な飛行機、船、戦車あるいは砲というものを十分装備いたしましても、しょせんそれを動かすのは自衛隊員であるわけであります。したがいまして、その自衛隊員の資質が十分でなければ、能力が十分でなければ、あるいは訓練が十分でなければその防衛力は効力を発し得ない。そういうわけでございまして、やはり隊員の教育、訓練には十分力を入れるべきであるというふうに私は思います。しかし、御案内のとおりに、戦争前の憲法の天皇主権のもとにおける軍隊と、今日の憲法の民主主義下における自衛隊、つまり自衛のために必要な限度における自衛隊のあり方は違ってきておる、変化してきておる。そのことをまずもって十分に体得させる。これは、幹部から末端の曹、士に至る人たちまで、民主主義の理念が徹底されなければならない、こういうことでございます。  私は、自衛官と会いますときに常に申し上げますのは、よき自衛官であると同時に、常識を持った、あるいは国際的広い視野を持った自衛官であってほしい、あるいはよき国民であってほしい、そういうことを念願いたしておるわけでございまして、やはり民主主義社会における構成員としての自覚が非常に大事である。その上で民主国家の防衛に当たっておるのだというふうに考えてもらいたいと思っておるわけでございます。  したがいまして、項目的に申し上げてみますと、まず、自衛官としての使命感を徹底させる、あるいはいま申し上げました健全な常識、広い視野を持つということについて教育を行って、そして旺盛な精神力の確立を図る。二つ目には、装備も日進月歩いたしますので、その高度の装備を駆使できるところの能力を培う必要がございますから、今日の科学技術の教育を推進してまいりたいと思っております。それから、こういう実力部隊でございますし、命令によって動くのでございますから、やはり統率力ある幹部の養成が非常に大事だと考えております。それからもう一つ、精神も健全でなければなりませんが、同時に体力も十分訓練、鍛練されまして、そうしてたとえば平時においては災害出動その他に対しても、その任務に耐えられるような体力を持ってもらいたいし、あるいはまた有事の際におきましても、その任務に耐え得る鍛えられた自衛官を養成してまいりたい、こういうふうに考えているわけでございます。
  61. 木原実

    ○木原委員 自衛隊の隊員に対する教育についていまお伺いをしましたけれども、もう少ししぼりまして、重点的にこれをやる、こういう方向でいくのだ、こういうお考えはどうですか。いまの自衛隊に何が欠けているかですね。
  62. 坂田道太

    ○坂田国務大臣 教育というのは、先生御案内のとおりに一番時間のかかることでございます。もう一つは、教育、訓練の理念というものがはっきりしなければいけないと思っておるわけでございますが、今日、国会等におきましてもシビリアンコントロールということがよく言われておりますけれども、先ほど冒頭に申し上げましたように、旧憲法の天皇主権のもとにおける軍隊と主権在民のもとにおける実力部隊とは違う。つまりポピュラーコントロールと申しますか、主権在民で選挙によって選ばれた国会によって実力部隊がコントロールされる。たとえば防衛出動につきましても、国会の承認を得て出動するというたてまえでございますね。そういうことが本当にわかるためにはかなり時間がかかると私は思いますけれども、この理念は非常に大事なことだと思うわけでございます。  御承知のとおり、三十六年に「自衛官の心がまえ」というものが出ております。われわれといたしましては、これを一つの目標といたしまして、あるいは基準といたしまして教育、訓練に当たっておるわけでございます。しかし私は、先ほど申しましたように、もう少し時間をかけて一つの憲法理念をしっかり身につけるということ。それから、国民から遊離した存在ではない、一般社会の人たちとともに歩む自衛隊員であるということが一番基本的なことだと思います。私も、防衛庁長官になりましてからまだ日が浅うございますので、実はこういうふうに御質問がございますならばお答えは申しますが、部隊におきましてどういう教育、訓練が実際に行われておるかということについてはまだ十分はだ身で感じておりません。いずれ国会等が終わりましたら、ひとつ十分地方の部隊等も見回りまして、指揮官なり幹部なり、あるいはそうでない一般の曹、士の方々の考え方もいろいろ聞いてみたいと思います。  ただ、最近発表されました陸上自衛隊の意識調査を見たわけでございますが、人おのおのこれに対する見方は違うと思いますけれども、私は一応健全に育成されつつあるという気がいたします。それは、非常に事変わった組織体、実力部隊じゃない、一般の国民の層で持っておるような意識を持った青年たちである、こういうふうに感じました。一面においては、かつての軍隊経験のある方から見ると、サラリーマン化したとか、あれでいいのかという批判もあるようでございますけれども、むしろそうでないところ、一般の国民と遊離してない、同意識を持った存在として育ち得るということについて、私は実は、いまの段階では健全に育ちつつある、そういうふうに認識をいたしておる次第でございます。
  63. 木原実

    ○木原委員 かつて中曽根氏が長官であったときに、いやいまの自衛隊はいわば新しい技術者集団だよと、この席でわれわれにおっしゃったことがあります。それから防衛大学の猪木校長は、たしか就任をなさったときに、いや防衛大学へ来てみると意外に普通の大学と変わらない、しかも非常に技術的な側面を備えた普通大学だ、こういう印象を持った。当時、新聞の報道等にもそういう話が見えておりました。また、戦争中の経験を経た、戦前のたとえば陸士出身の人たちは、自衛隊の中では大体もうあと何年かで任務を去る。ランクの高い人たちも恐らくあともう四、五年で大体いなくなる。そうしますと、それにかわって、いま事実上の中堅幹部は防大出身の人たちだということですけれども、あと何年かすれば、ほとんど全部そういう戦後派によって自衛隊が運営をされる、こういう時期を迎えようとしておるわけですね。その側面に、中曽根さんの言葉を借りれば、いや自衛隊というのは技術者集団だ。これは恐らく印象だと思いますけれども、こうおっしゃる見方がある。これはやはり一つの転機だという感じがするわけですね。いろいろなことがわれわれの耳に入ってきます。  つまり、われわれの年代からすれば、戦前の教育を受けた人たちの気持ちというのはある程度わかるわけです。それからまた、これらの人たちは戦前の教育を受けて戦場に赴いたと同時に、敗戦というかつてなかった国民的経験を職業軍人として受けた人たちですね。それだけに、それぞれの体験の中にいろいろな屈折したものがあって、それもまたわれわれは同世代としてわかるわけです。ただ、新しい自衛隊が出発をして以来の人たちが、今度は全面的に自衛隊の中堅であり統率者である、こういう時代を迎えようということになりますと、世代の違いとか、われわれがわからないとかということではなくて、やはり一つの転機だと思うのです。しかもそれは、中曽根さんの言葉によると、いや技術者集団だ、つまり愛国心だとかなんだとかイデオロギーみたいなものはないんだ、こういうふうにおっしゃりたかったと思うのです。しかし、その辺にやはり、自衛隊のこれからのあり方を考えていく場合には、大変な問題が残されているのではないのか、こういうふうに考えるわけです。  長官のいままでのお話を伺っておりますと、長官の御良識に基づいて、いわば市民の中に、国民の中に溶け込める自衛隊員、まあヨーロッパ風の言葉で言えば、市民主義の上に立った自衛隊であってほしい、こういうことなんですね。しかし、そのために自衛隊としては何が果たしてやられているだろうか。教育の分野だけではありません。猪木さんがお書きになった本を読みますと、イギリスへ行ったら、国防省に勤務をしておる将官以下全部背広だった。部隊を統率するときにはもちろん制服を着ている、しかしいわば事務に従っているときは背広で出勤していた、こういう話がありましたですがね。これは形の上のことですけれども、どうですか、防衛庁に勤務をなさる統幕の将官以下、全部背広で出勤さしたらどうですか。
  64. 坂田道太

    ○坂田国務大臣 私は非常に柔軟な気持ちを持った男でございますので考えるのでございますが、私も防衛大学にこの前、卒業式に参りました。その印象は、一言にして申しますと、頼もしいという感じを実は持ったのでございます。という意味は、やはり私が文部大臣をいたしておりまして大学等に行った、そういう雰囲気とはやや異なっておるということを意味するかとも思いますが、いま、中曽根長官が自衛官は技術集団だとおっしゃったという。私は必ずしもそういうふうには見ないわけでございまして、ただ防衛大学は、御案内のように、どちらかというと理科系統の技術を特に重視をいたしまして、身につけるような教育を一面においてはやっておる。そういう面から見ると、そういうような見方にも見えますけれども、私はそうは見ない。そうしてまた、そういう技術集団みたいな形になってはいけないんだという反省がやはりあったと思いますが、その点はもう少しよく聞いてみたいと思っておりますけれども、猪木校長の見識からだと私は思いますけれども、昨年度から文科系統をも採用するということで、昨年、ことしというふうに募集をし、そうして採用をしておるということでございます。しかも、いわばこの倍率といいますか、受験倍率というのは、非常に志願者が多いということなんでございます。私は単なる技術集団に陥ってはいけないというふうに思っておるんです。やはり幅の広い視野を持った自衛官、あるいは指揮官、あるいは同時に、一般的な国民に通用するような常識を備えた自衛官になってほしいというふうな私の考え方なんでございます。  防衛庁の中において制服を着ておる者もございます。しかし、それを全部背広を着せたらどうかというせっかくの先生の御提案でございますけれども、私は冒頭に申し上げましたように、余りそういうことにこだわらないんで、やはり中身が大切だというふうに思います。しかし、イギリスにおきまして、国防省において、市民の社会におるときは背広を着てそうして執務をする、あるいは国防省に市民の方が訪ねてこられるときには背広でもって応待をする、そういう感じはまことにイギリス風ないい面を持っておるなというふうには思うわけでございます。私はそれをまた一色にこうでなければならないというふうな、そういう統制的なことは余り好きじゃございませんで、むしろ本人たちの自由に任せておるわけでございますが、今後もそういうふうにしたいと思っております。ある場合はユニフォームを着てやる場合もございましょうし、中には背広を着ている者もあるわけでございまして、余りそういうことにはこだわっておりません。
  65. 木原実

    ○木原委員 有田先生もいらっしゃいますけれども、歴代の長官の中には、なぜ自衛隊員は制服を着て出勤しないんだ、こうおっしゃった方もいるそうですから、これはなかなかデリケートな問題ですが、私が申し上げたいことは、どうしてもわれわれの国の伝統から言いまして、制服の問題にこだわりませんけれども、集団の立場というものを強化するために、長官のお考えとは逆に、市民社会に閉じこもるよりも、市民社会とは異なった形をつくりたがるわけなんです。そのことによって内部の団結を強化しようという方向に走りがちなんです。だからますます自衛隊が、長官のお考え方とは別に、非市民社会的な、遊離をした、孤立をした形に傾いていく傾向というものは避けられないと思うのです。それだけに、閉鎖的な集団になってはいけないというのは私は賛成です。  ですから、この点については、背広の問題はともかくとしまして、やはり十分にこれからの運用の中で考えていかなければならぬことだと思うのですが、それとうらはらな関係で技術者集団という言葉を中曽根さんがお使いになったのですけれども、これはわれわれも小さな経験があるわけですけれども、軍人と申し上げていいと思うのですが、軍人というのは、最終的には武器に対する信仰です。戦場において最後に頼りになるものは何だといえば、結局武器ですね。そうしますと、恐らく熱心な自衛隊員で、そうして自分の任務に忠実であろうとすればするほど、いわば武器あるいは武器の体系に対する一つの信頼感、信仰と申しましょうか、そういうものをやはり追い求めていくことになると思うのです。ですから、われわれの世代が何かイデオロギー的に、たとえばアメリカに自衛隊はつき過ぎるというふうに考えがちなんですけれども、そうでなくて、武器を仲立ちにして、何といいましても自衛隊の生い立ちから言って、武器の系統というのはやはりアメリカのシステムというものが中心にあるわけですから、そういう形でのいわば技術的な立場に立った側面、つまり、そうなりますと、長官のおっしゃるような広い視野の上に立った判断でたとえば武器を選ぶというんではなくて、ひたすらにより精強なもの、オリンピックじゃないけれども、より強く、より高いものを求めていく、こういうことになるわけですね。そうしますと、そこからまた国民との遊離というものが出てくると思うのです。  ですから、技術者集団だということは、中曽根さんがおっしゃったニュアンスというものは私は理解できると思うのですが、それではいけないと思うのですね。だから、そのままにしておけば、熱心であればあるほど、より強度な、より高い武器を求めていく、こういうことにならないように、私はやはりおっしゃるような、広い視野を持った、総合的な判断力のある、その中でやはりあるべき姿というものを選択をしながら進んでいく、こういう方向で教育の焦点を置いてもらいたいというのが、問題を出しましたこの結論なんですが、どうですか。
  66. 坂田道太

    ○坂田国務大臣 少し違うのですね。というのは、私はやはり、一面においては広い視野を持ち、それから健全なる国民の常識を備えた自衛官であってほしいと思いますけれども、しかし、この日進月歩をいたしまする兵器の進みぐあいということを考えましたら、やはり兵器に対して追求をするという側面はなければならないと私は思うので、自衛官が優秀な装備を持ちたいということは、これは尊重しなければならないというふうに思います。  ただ、私の考え方の基本になりますことは、先生御案内と思いますけれども、私、九州熊本でございますが、西南戦争というのがございました。これは西郷さんのいわゆる武士階級の武力集団と、当時できたばかりのいわば官軍と称した、その当時の農民の方々に若干の訓練をして、そうして統率をして立ち向かったわけでございますが、世間では、これはとてもあんなにわかづくりの軍隊で勝利を占めることはできないだろうと言われた。ところがそうでなくて、西郷さんはこれに負けてしまったということ。しかも、今度はアメリカが建国いたしましたときも、いわばイギリスの正規軍、非常に教育訓練を受けた軍隊であった正規軍、それに対してアメリカ独立の際に戦った主体は、銃を持って一人一人が独立をしようという気概に燃えた農民から出たそういう人たちであった。これが今日アメリカ憲法修正第二条に実は残っておるということを私は聞いておるわけでございますが、やはりベトナムの教訓といたしましては、国民一人一人がわが国の安全と独立は守るのだ、おれたちの自由とおれたちの安全、生命、財産とはおれたちがみんなで守るのだという、こういうことがなければ、いかにりっぱな装備を持ってもだめだということを私は教訓といたしておるのでございまして、その意味合いにおきまして、やはり精神力というか、あるいは教育訓練というか、あるいは国民の中に溶け込んだ中における精強なる自衛隊ということが私は日本の安全を守ってくれるものであるというふうに確信をいたしておりますし、同時に、戦後の自衛隊は、まさにそのような方向に向かって育成されつつある。まだ不十分ではございますけれども、そういう方向に向かっておるということは、短い期間でございますけれども、私は感じ取ることができる次第でございます。
  67. 木原実

    ○木原委員 長官のおっしゃることは、私はよく理解できます。そこで、それにはやはり自衛隊存在の根本が問われなくてはならぬ。ある意味では自衛隊は不幸な生い立ちの上に成り立ってきたと思うのです。私はやはり、長官がそういうふうにお考えになっていらっしゃるとすれば、私も同じ時点から出発をしまして、どうしても自衛隊の――これはわれわれと長官との、御存じのとおり立場が違う問題の根本に触れる問題です。何も私は、長官にりっぱな教育をやっておいてもらって、われわれが政府になって私が防衛庁長官になったときに困らないようにやっておいてくれなんという気持ちはないのですけれども、一番の問題は、長官がおっしゃったような立場から出発をしまして、それでは自衛隊の教育のむずかしさの根幹にあるものは何だといいますと、やっぱり問題は二つあると思うのですよ。一つはどうしても憲法上の問題があります。それからいま一つの問題はやはりアメリカとの関係です。安保の問題についてわれわれはここで論議はいたしませんけれども、どうしましてもその存在の中の矛盾ですね。  御存じのように、自衛隊は第九条の憲法上の解釈に基づいて存在をしておるわけですね。この解釈の幅については申しませんけれども、しかし突き当たるのは、われわれはあの憲法によって国会も成立をしておりますし、国民の合意といえばやはり憲法ですね。ただ憲法の中で御存じのように、たとえば戦力はこれを持たない、しかし自衛権は存在をするのだ、この解釈の幅の中だけで自衛隊は存在をしているわけですね。しかし、戦力はこれを持たないということについては、これは読み違いのないような、きわめてやさしい、そうして単純明快な憲法上の文章になっているわけですね。だから従来も国会で、もうしばしばこの戦力とは何ぞやというようなことが論議をされてきた。ある意味では、その分野は避けて通っている、ごまかして通っている側面があると思うのです。ですから、本来の長官がおっしゃるような立場で、将来にわたって自衛隊を存続をさせ、それから国民の中に位置づけをしていこうということになれば、どうしてもやはり憲法上の解釈の問題ではなくて、明記というものが必要になってくるのじゃないか。  したがって、あの憲法は軍隊の存在というものは予想しておりませんから、御承知のとおり、軍事力の行使その他の問題については、何の規定もないわけですね。そういうことを考えますと、私はやはり、この問題をいままでの惰性の上だけでやっておいて、ある意味では解釈という――解釈というのは、二様にも三様にも解釈できるわけでありますから、そのあいまいさを残したまま、その上に自衛隊を存続させておいたのでは、いつまでたってもこの問題は、問題を後に後に残すだけになってくる。かつてやはり中曽根さんが、七〇年代の半ばごろには何らかの形で自衛隊の存在について憲法上の意思表示という言葉を使いましたが、を求めなければならない時期はやってくるでしょう、こういう意味のことをおっしゃったのです。それがどういう方法であるかについては、当時の議論の中で詰めはいたしませんでしたけれども、次第に、自衛隊が装備の面で持っておる武器、兵器、そういうようなものが、いわゆる戦力でないという従来の解釈を上回るような精強なものを持ってきているわけですね。だから、技術的な話がさっきも出ましたけれども、自衛隊が保持しておるそういういわば武力、それから憲法上の制約の問題というものがどうしても接点に来ているわけですね。それを恐らく中曽根さんは、たしか七〇年ごろだったかと思いますけれども、七〇年代半ばごろには、いずれは憲法上の国民の意思表示という言葉だったと思いますけれども、そういう言葉で、つまり解釈を一歩進めていきたいという意味の発言をなさったことがあるのです。私はやはり、いつもこの憲法上の問題は、繰り返し行われてきて、そして結果的には合意や詰めの行われないまま、もうすでに二十年たっているわけですけれども、この問題が依然として残っているというふうに考えるわけですが、どうですか。
  68. 坂田道太

    ○坂田国務大臣 先生の御議論それ自体は、私もわからぬわけではございませんけれども、しかし、この憲法のもとにおきまして、この自衛隊法というものが国会の御承認を受けて、そして発足をいたしておるわけです。しかも、それに対する国民の、いいか悪いか、あった方がいいかどうかということについては、大体その七三%は必要である。これは総理府の統計だったと思いますけれども、これが出ておるわけなんで、私は、現在の憲法のもとにおいて、しかも自衛隊法が国会の御承認を得て発足をしておるということは、やはりその限りにおいては定着をしてきているというふうに思うわけです。しかし、定着をしておるからといって、二七%は、自衛隊は要らないのだ、あるいはおかしいのだ、あるいはいろいろ憲法上疑義があるのだということを国民が持っておられるということも、これは私どもはちゃんと忘れてはならないことなのです。それからまた、この国会におきましてもやはり、自衛隊について、それは違憲であるという御議論の政党がいらっしゃるということも踏まえながら、しかし私といたしましては、この七三%は、自衛隊は必要であるということの上に立って、自衛のために必要な限度における自衛隊の存在というものは認知されつつあるというふうに思うわけでございます。この点はいずれ決着をつけなければならない問題だと思いますけれども、それはやはり時間がかかると思います。しかし、そういう七三%の国民がこれを支持しておるというたてまえのもと、それからまた、自衛権ということまであの憲法は否定をしておらないという現憲法の精神を踏まえましてこの運用を図っていかなければならない。  したがって、自衛隊の持つ武器等につきましても、それにはおのずと限度がある。あるいは自衛隊の行動する範囲というものもおのずと限度がある。そういうことをわきまえないで、そしていかにも旧憲法でできたことは当然なければならないのだというようなことだけでわれわれ自衛隊が動くということはいけないことであって、先ほど申しますように、あくまでもポピュラーコントロール、真の意味におけるシビリアンコントロールのもとにおいて自衛隊というものは運用をされるべきであるというふうに私は思うわけでございます。そういうわけでございまして、この問題は漸次定着をしていくというふうに私は考えておるわけでございます。
  69. 木原実

    ○木原委員 誤解のないように申し上げておきますけれども、私どもも、そういう形でいま存在しておる自衛隊を否定をしておるわけではありません。否定をしていないからこうやって議論をしているわけですけれども、そういうことではなくて、私が申し上げたかったのは、つまり、たとえば自衛隊の装備の面から見ましても、四次防が来年度は終わりますけれども、いずれにしましても精強の度を加えてきている。だからいままでのいわゆる憲法上の戦力の限界をやはり越えつつあるのじゃないか。しかし、この戦力とは何ぞやということについても、実際はあいまいな側面が多いわけですね。私はやはり、現在の第九条が存在をしておるということは、それ自体が一つの歯どめになっている、このことはやはり認めたいと思うのです。われわれが、自衛隊に反対だ、非武装中立なんだ、こう言っているのは、やはり政治的な効果と言えば、ある意味ではセーブをする、ブレーキをかけている政治的効果はあるというふうには考えることがあるわけです。しかしその限度を越える状態というのがもう来ているのじゃないのか。たびたび議論にもなりました。だから、われわれは専守防衛でいくのだ、しかし、純軍事科学的に見て、専守防衛というようなことが成り立つのだろうかという疑問もあるわけですね。政治的には言葉としてそういうものが成り立ちますし、その言葉に基づいて一定の限度を設けることはできるでしょう。しかし、いざ戦闘状態というような場合に、専守防衛というのは、一つの戦術としてはあっても、しかしながら、純軍事科学的に見てそんなものは成り立つのだろうかと言えば、そんなものは成り立ちっこないよ、こういう議論の余地は少なくとも残している。それよりも何よりも、やはり装備が大変日進月歩で強化をされていく。そうしますと、やはりいままでの戦力概念を越えていくことになる。     〔木野委員長代理退席、委員長着席〕 そうなりますと、これはもうやはり憲法上の解釈の歯どめを越えていかなければならない時期にすでに到達しているのじゃないのか。だから、そのこと自体が自衛隊内部の憲法上の解釈と矛盾として出てきているのじゃないのか、こういうふうに考えるわけなのです。だからいつまでもいままでの解釈どおりではいかない。それは国民の意識の問題よりも、自衛隊の存在の中から出てくる、いわば武力の強化の中から出てくる、つまり技術的に憲法解釈上の壁に突き当たっているのじゃないのか、こういう感じがするわけですが、どうですか。
  70. 坂田道太

    ○坂田国務大臣 いまの憲法のもとにおいてどの程度までが自衛のために必要な限度かということは、国会で非常に議論もされたように、そういう疑問点と言いますかが若干残るということは、私もわかるわけでございます。しかし、私どもといたしまして、ただいま考えておりますような四次防程度のものは、これはやはり自衛の範囲内だというふうに承知をいたしておるわけでございまして、これは他国に脅威を与えるようなものでもございませんし、そして、自衛のために専守防衛というたてまえからするならば、この程度は備えておかなければならない量ではなかろうかというふうに思います。でございますから、この自衛のための限界あるいは範囲というようなことについても、やはりこういうような国会の場において、たとえば自衛隊は要らないというようなお考えの立場であってもこの議論はやっていただきたい。そしてわれわれに、そこは行き過ぎだよというところがあれば、私たちが本当にそうだと思えば、それに耳を傾けるということがあってしかるべきだというふうに思うわけでございまして、私どもはまだ四次防程度の防衛力整備計画というものは、国会の御承認も得ておることでございますし、憲法を逸脱しておるものだというふうには考えないわけでございます。
  71. 木原実

    ○木原委員 きょうは余り大きな声をたてないでじっくりと話をしてみたいと思うのですけれども、たとえば戦力の問題につきましても、われわれ政治家としてもまことに恥ずかしい過程を経ているわけですよ。たとえば、ある時期には戦車と呼べないから特車と呼んでみたり、ある時期には足が長いというので足を切ってみたり、ある意味ではこれはごまかしです。その上に、自衛隊はそれにもかかわらず必要に基づいて――武器なんというものは、政治の論理でなくて技術の論理で、あるいは相手方との相関関係の中で成長していくものでしょう。われわれが政治の舞台で一つの歯どめを置いて、憲法解釈というものを置いて論議をすれば、兵器の技術の論理についていけないわけですね。しようがないから戦車を特車と呼んでみたり、それからファントムの足を切ってみたりすることですね。しかし、たとえばいまの自衛隊の人たちが、自分の任務に即して精強な部隊として成長していきたい、こういう希望を持つ。勉強をされる。いま、たとえば制限をされた局地的な核によらない戦争があり得るということが、たとえばベトナム戦争なんかでも言われました。自衛隊はともかく限定された侵略に対応するんだ、こういうことになっております。しかしながら、そういう際でもどういう際でも、もし戦争状態というようなことになった場合に、核の存在というものを抜きにして局地戦争なんというものも成立しないんじゃないかと思うのですね。ベトナムでは確かに核は使用されませんでした。しかし、あの背景の中には、世界的な核戦略というものがでんと後ろにあった。その中での局地戦争であったわけですね。日本の場合にどういう形で不幸な事態が訪れるか予測できませんけれども、しかし、戦争状態というものをやはり念頭に置いてもし研究していくとするならば、核の存在を抜きにしてはいかなる局地戦争というものもあり得ないのではないかというようなことも、私なんかは考えるわけですね。  そうなりますと、そのことも含めまして、自衛隊が精強な部隊として成長していこうとすればするほど、やはりそういう方向に向かって、つまり兵器の論理によって歩いて行かざるを得ないのではないか。そうなりますと、どうしてもまたもう一遍戦力論争をやって――これは憲法解釈の枠内です。二十年前は戦車は特車であった。この間はファントムは足を切った。今度は何を切って、たとえば新しい五次防段階の中で何を入れるのかという問題にもなるわけです。その矛盾については、いままでのパターンでないものをきちんとやる。そうでないと、いま以上の物は持たない、こうでないと、お互い本音とたてまえのごまかしの議論を国会の中でやり続けてきたわけです。私もその一員として、省みてやっぱり恥ずかしいと思うのです。それならばやはりどこかですっきりしませんと、先ほど長官がおっしゃいましたような使命感などというものは、自衛隊員の中に生まれてきませんよ。そういう一番根本の矛盾を放置しておいて、幾ら教育をやっても、まじめな隊員であればあるほど壁にぶつかるということを私は恐れるのですけれども、どうですか。
  72. 坂田道太

    ○坂田国務大臣 先生のおっしゃる、兵器の非常な進歩、そしてそれは技術それ自体の持つメカニズムによってどんどんエスカレートしていく、これは私は当然なことだと思います。当然なことでございますけれども、しかしそこに日本の自衛のために必要なる限度という憲法というものが厳然としてあるわけです。これはどんなことがあろうとも、この憲法解釈以上に出ることはあってはならないことなんです。防衛庁長官としては、やはり自衛隊の諸君にその点を十分周知徹底すべきだというふうに思っておるわけです。しかし自衛隊の人たちが、いい兵器を持ちたい、あるいはそういうものがあったらもうちょっと破壊力が大きいというふうに思われることも、私は当然のことだと思いますが、そういうことについては、やはり国会のコントロールというものを受けなければならない。われわれ国民がこの憲法を持っている以上は、やはりその制約以上に出るべきものではない。しかもわが三木内閣としましては非核政策をとっておるわけでございます。核を持ち込む、いかに核が必要だ、兵器の進歩においてそういう戦争はないんだということで核を持とうといたしましても、そういうものを持つことは許されないのだということを周知徹底させるべきだ、それが私の防衛庁長官としての任務であるというふうに私は思うわけでございます。  核もこういうふうに非常に発展をしてまいりましたけれども、そしてまた、世界のいわば戦争抑止力として核が力の均衡によって生まれてきておる、あるいはそのために政治の段階でデタント政策がとられておるということも、これは歴史的事実だと私は思います。しかし、その歴史的事実を踏まえまして、戦後一回もまだ、幾多の戦争はございましたけれども、核は使われておらないわけです。非常に理性的国民であるならば、あるいは為政者であるならば、もはやこの恐るべき核の使用ということは、第一撃でたとえば一億の人を殺戮することが可能であっても、また第二撃で何千万というような人が殺戮をされるということを覚悟しなければならない。そういうようなことは大変なことだ。大体デモクラシーの方の国においては、国民が主権者でございますから、そういうことはあってはならないということであって、理性ある国家間において核防条約というようなものも結ばれたというのは、やはりそういうところからきた、人間の持つ一面の理性というものが働きかけてきておるということかと私は思うので、そういうふうにわれわれは、いかにこの兵器それ自体の持つ独自のメカニズムはあっても、そしてあくまでもそれを追求していきたいというエネルギーは存在しても、それは人間の力によってある程度抑制しチェックするというところにこそ、私は日本の置かれた防衛のむずかしさがあるし、専守防衛に徹したわが国としてのむずかしさがある。これなくしては、日本の国民の一人一人の生命と財産とを守ることができないのだ、こういうことに立ちます以上、私といたしましては、いま自衛隊に対して二七%の人は反対であっても、その反対の人たちの意味を考えながら、なおかつ七三%の自衛隊は必要であるという立場に立って、憲法あるいは自衛隊法の定めるところに従って運用を図っていかなければならぬ、そういう非常にむずかしい任務を防衛庁長官としては与えられておるわけなんでございまして、これに対しまして皆様方の御注意なり御指導なりを賜りたいと思いますし、また私といたしましては、日本のむずかしい防衛というものを国民の一人一人にひとつわかってもらいたい、かように考えまして、あの「防衛を考える会」なども発足させたわけでございます。
  73. 木原実

    ○木原委員 それにもかかわらず、国際的には依然として核の競争が行われておる。それから私は不思議に思うのですけれども、たとえば、それにもかかわらずある種の核兵器体系は、三次防から四次防にかけましても進んでいる。端的に言えば、ナイキにしてもホークにしても、ある種のロケットにしても、なるほど通常兵器として改造して装備されているものが核弾頭でないことは明瞭ですね。しかしながら、それらは核兵器の体系の中に入っておるものであることは間違いないわけですよね。いまたばこに火をつけましたけれども、たばこは火をつけなくてもたばこであることは間違いないわけです。いままで戦力論争を繰り返しながら、ある意味ではごまかしの戦力論争をやってきたと私は思うのですけれども、そういう論争をやりながら、いつの間にか核兵器体系は――これは通信電子兵器にわたる分野はみな連動すると思うのですけれども、大変広い分野にわたって、核兵器体系はいつの間にか自衛隊の中に装備されている。いまは政策的に非核三原則を強調されておるし、われわれも合意しておるところですけれども、しかしながら、いつでもライターで火をつければたばこは吸えるという状態になっていることも事実ですね。過去において議論が繰り返されてきたことなんですが、私どもは憲法の解釈の限度を設けながらいろいろと論議をするわけですけれども、やはりメカニズムの論理に従って、そういう形で現に自衛隊の装備は歩いてきたのじゃないか。これは四次防以降の装備計画についてもやはり同じような形で進んでいくのじゃないか。そうすれば、これまた憲法解釈上の壁にぶつかって、新しい解釈が出てくる。こういうことになれば、この矛盾はごまかしの形のままでどこまでも続いていくんじゃないか、こういう心配があるから私はここで問題を出しているのですが、どうですか。
  74. 坂田道太

    ○坂田国務大臣 私はそこがちょっと違うのでございまして、あくまでも専守防衛に徹する、そのために必要な日本の国を守るための兵器が選択されなければならない。それはアメリカにしても、フランスにしても、イタリアにしても、イギリスにしても、同じ飛行機でも、やはり自分の国を守るために必要な兵器を選択していると思うのでございます。そういうわけで、日本といたしましても、憲法制約下にあって攻勢作戦をやらない、防勢作戦に徹する、専守防衛の立場からする兵器体系、しかも非常に精度の高い兵器体系が将来は組織されなければならない、装置されなければいけないと私は考えておるわけで、そのための科学技術はどんどん開発されるべきだというふうに思っておるわけでございます。
  75. 木原実

    ○木原委員 長官はそうおっしゃいますけれども、そうであればあるほど、戦力と言いましょうか、兵器の進んでいく方向は突き当たるところへ突き当たっていくわけですね。ですから、政策的あるいは政治的に非核三原則というものがあっても、いつでもマッチをつければたばこになり得るような体系は、通信情報関係にいたしましても、それからナイキだとかホークだとかいう分野にいたしましても整えられておるという姿を、私どもいま現実に見ておるわけです。  それではお伺いしますけれども、四次防以降の装備のことについて、いま何かお考えをお持ちですか。
  76. 丸山昂

    ○丸山(昂)政府委員 まだ作業中でございますので、非常に流動的でございますし、現在確定的にこうだということを申し上げる段階にはないわけでございますけれども、一応、在来の経緯からポスト四次防期間中に整備をすることが当然予想されるというものにつきまして申し上げますと、まず現在の要撃戦闘機のF104が次期防の期間中に用途廃止になってまいります。したがいまして、部隊の数も減ってくるということが予想されるわけでございます。これはそれぞれの航空機の耐用命数から必然的に起こってくる現象でございます。そこで、このF104にかわる次期の要撃戦闘機を次の四次防の期間中に整備をしなければならない。いわゆるFXでございますが、これが予想されます。  それから同様の問題として、現在、対潜哨戒機のP2Jというのがございますが、これもやはりポスト四次防期間中に用途廃止になってまいりますので、これにかわるものとして、PXLと称しておりますが、次期対潜哨戒機がございます。これにつきましては、現在のところ、国産にするのかあるいは外国機の導入にするのかということについて、関係省庁間で検討をいたしておるわけでございますが、いずれの結論が出るにいたしましても次期防で整備をお願いいたさなければならない、こういう状況下にございます。  あとは四次防のときに研究開発をすることになっておりました早期警戒機、これはAEWと申しておりますけれども、わが国の現在の防空警戒管制システムは、御案内のように端末がレーダーによってカバーされておるわけでございますが、水平線見越しの能力がございませんので、最近のように航空機の速力が速くなってまいりますと、領空侵犯がありました場合に、領空に入ってくる前に要撃をするということは不可能な状態になります。つまり早い機会にこういう侵入機の様相をキャッチして、こちらが要撃の体制に早く入らなければならない、こういう早期警戒性能が現在の日本の防空システムに欠けておる一番大きな点でございますが、この穴を埋めるために早期警戒機を次期防で整備しなければならないということでございまして、代表的なものはいま申し上げましたようなもの――これはまだ最終的に御決定をいただかなければならない問題でございますけれども、私ども現在の段階で予想されているものということで申し上げればそういうところでございます。
  77. 木原実

    ○木原委員 四次防以降の問題としましては、空の話が出ましたけれども、重点的に志向していきたいという方向は、そうすると、空の廃止にかわる充足部分、あるいはまた空の力の充足ということになりますか。
  78. 丸山昂

    ○丸山(昂)政府委員 御案内のように四次防が、海につきましては海上保護、対潜関係の能力、空につきましては防空能力の向上、それから陸上部隊については機動力と火力の増強ということを重視をいたしまして整備をするということになったわけでございますけれども、御案内のような状況でございまして、大体大まかに申しまして、空と陸につきましては大体計画に近く達成されるのではないかと思っておりますが、海が大幅に未達成が出る見通しが出ております。明年度の予算もまだ残しておりますので、確定的なことは申し上げにくいわけでございますけれども、大体そういうことを申し上げざるを得ないような状況下にあるわけでございます。  したがいまして、非常に大まかに申し上げますと、次期防においては、やはり四次防の海のおくれというものを取り戻す必要がまず第一番にあるのではないかというふうに考えておりますが、全般の形としては、これはよく長官が申されておるわけでございますが、全体の規模は小さくても、小ぢんまりとして完結したものにしていきたいということでございます。したがいまして、従来比較的重点の置かれておりました正面の装備にあわせまして、むしろこれからはいわゆる抗たん性、縦深性と申しますか、一回の戦闘なり襲撃で機能を失ってしまうようなものでは困る、十分縦深性、抗たん性を持たせるようなことにしなければいけない。あわせて、後方支援能力という目に立たないところでございますが、こういうところに力を注ぎまして、したがって、全体的に予算の枠がございますから、あれもこれもというわけにはまいらない。そうすると、全体の規模としては比較的小ぢんまりした規模になるであろうが、しかし小ぢんまりとしていながら十分機能し得る、働き得る防衛力ということにしていくというような方向をたどるように思っておるわけでございます。
  79. 木原実

    ○木原委員 FXについては、何か調査団を派遣する段階ですけれども、局長のお話ですと、小ぢまりとして完結性があって、つまり精度の高い、機能の高い形で集中していきたい、こういうふうにお聞きしたわけですけれども、FXにつきましては幾つかの機種が挙げられたり何かいたしております。F14に集約をされていくような考え方に私ども聞かれたわけですけれども、どちらにしろ、費用の面も出てくるでしょうし、いろいろな状況も出てくる、こういうふうに思うわけなんです。そうしますと、幾つかPXLやAEWの問題も出ました。これは四次防の段階でもいろいろ議論のあった機種の問題です。引き続いてそういうものの装備を充実していきたいということで、アウトラインは少しはわかったような気がするわけですが、FXにつきましてはどうですか。いまのようなお考えに基づいてやっていく場合に、費用の問題その他もありますけれども、どれぐらいの速度でどれぐらいの機数を持ちたいというふうにお考えなんですか。
  80. 丸山昂

    ○丸山(昂)政府委員 これはちょっといまここではっきり申し上げるわけにまいらぬと思います。と申しますのは、この防空の、御案内のように対空火器であるとか、あるいは誘導弾であるとか、いろいろなものを総合的に考えまして、そこで速力の問題、それから対空火器の問題、運動性能の問題、あるいは全天候性の問題、こういったものを総合的に判断をしなければならないだろうと思います。今回派遣をいたしまして七月二十一日に帰ってくることになっておりますけれども、現在行っておりますのは、これはこの前も予算委員会で申し上げましたように、資料収集で参っておりますので、これが帰りましてから、そういう資料をもとにいたしまして、それぞれの航空機の特徴がございますので、ある面で運動性能にすぐれておるものは速力が遅いとか、あるいは重量、ペイロードの大きいものとか、それからFCSが非常にすぐれておるとか、いろいろ全部を兼ね備えたというものはございませんので、そういうものをいろいろ資料を全部集めまして、そこで日本の防空体系というものを、どういう形でポスト四次防を仕上げていくかという基本的な考え方に基づきまして、これをできるだけ技術的な面でORにかけまして、いろいろ検討を専門家の中でしてもらいまして、その結果どの航空機が一番よろしいかというような選定の手順を踏んでまいるというふうに考えておるわけでございます。
  81. 木原実

    ○木原委員 AEWについてはどうですか。
  82. 丸山昂

    ○丸山(昂)政府委員 昨年の十二月に、御案内のように、国防会議の事務局の専門家会議の答申で、PXLとAEWにつきまして総理に対する御答申をいただいたわけでございますが、その中でAEWにつきましては、国産にするのか外国機導入にするのかという検討の結果、当面わが国の場合に哨戒地点というものを考えました場合に、とりあえずは三地点程度ということになります。そうしますと、一地点に交代その他のシフトを考えまして、大体五機配備ということになりますと、どう考えましても十五機以上の必要性はない。それを国内開発ということになりますと、防衛庁においてそれだけの需要しかない。しかも御案内のように、武器輸出ということはできませんので、結局、採算上の問題がございまして、結論的には国内開発は望ましくないという答申案が出ております。したがいまして、私どもとしては、外国機の導入の線で検討をしなければならないというふうに考えておりますが、これも先ほど申し上げましたように、ポスト四次防の問題になりますので、来年度以降どういうことになりますか、それまでにまたいろいろ勉強させていただきたいと思っております。
  83. 木原実

    ○木原委員 対潜哨戒機につきましては、外国から入れるのか国産にするのか御検討中だということですが、これはやはり相当増強するつもりですか。
  84. 丸山昂

    ○丸山(昂)政府委員 これも航空機の性能がだんだんアップになってまいりますので、増強という御趣旨が、数においてふやすのかどうかということになりますと、必ずしもそういうことにはならないというふうに思います。趣旨的に現在P2Jよりはかなり高い要求性能を、ただいま国内開発にいたしましても考えておりますので、その点で、在来の機数同程度のものは必ずしも必要ではないというふうに考えております。
  85. 木原実

    ○木原委員 いずれにいたしましても、四次防以降のことにつきましては、私も、いろいろな意味で日本の防衛政策全体が何か問われているような時期だけに、関心を持たざるを得ないわけなんです。  そこで、これは従来もそうなんですけれども、もちろんいままで三次防、四次防必ずしも国会の承認事項でも議決事項でもありません。しかし、われわれとしては無視できないことですから、その都度いろいろ論議をいたしました。ただ、これまた長年審議に当たってまいりまして疑問に思うわけなんです。いまおっしゃいましたように、そういう機種を装備をしたい、こういうことなんです。ところが、その裏づけになる、なぜそれが必要なのか、どういう情勢であるからこれだけのものが必要なのか、こういうことについては必ずしも論議の対象になりにくいわけなんです。これは一にかかって、先ほど来、国会のシビリアンコントロールの問題を含めて、その機能は大事なんだと長官もおっしゃるわけですけれども、しかし、われわれ国会に対しては、なぜそれだけの飛行機が、それだけの機種が必要なのか。つまり戦略的な見通しといいましょうか、あるいは戦術的な考慮といいましょうか、それについては必ずしも論理が実らない。というのは、防衛庁の側からそれについてはお出しにならないわけなんです。しかも、これからのことを考えますと、一つの機種についても膨大な予算ですね。価格の問題にいたしましても、従来とはけた違いの費用をかけるわけですね。イデオロギーの問題じゃなくて、納税者の側からしましても、何だこれだけあれば住宅問題が一遍に解決するじゃないかという政策選択上の問題だって、しょっちゅう出るわけですね。だから、いろいろのお考えがあるし、長期の戦略見通しその他についても十分検討されて、そういう状況の中で最小限度これだけのものが必要なんだ、恐らくそういう判断でお出しになると思うのです。しからば、その状況というのはどういう判断なんだということについては、断片的にしかこの論議の中でしか出てこない。だから、なるほどそういうことか、それならばやはりこれだけのものが必要だわいと、われわれにしましてもなかなか納得しにくい側面があるわけなんです。  だから、恐らくこれから先、予算の措置をめぐり、あるいはまた四次防以降の装備の問題をめぐって、国会でも論議が行われると思うのですけれども、私は、防衛庁の中で作業いたしております長期の戦略見積もりその他について、すぐ出せる状況にあるのかどうかということをいまここで追及しようとは思いませんけれども、やはり国民に理解を求められるような的確な状況判断、それに基づいて艦はこれだけ、飛行機はこれだけ、そういうふうに問題を出してもらいたいと思うのです。その判断の上に立って、予算その他の見合いの中で、適切であるかどうかというふうにわれわれが議論をし、判断をしていかなければならないのですが、出されてきたときには、結局、FXについてはF15よりもF14の方がいいと思いました、少し値段も安いし性能はかくかくでございます、といったような形でしか出されない。ですから、われわれのこれからの審議に御協力を願うという意味で、なまのものを出せとは、従来の議論からいいまして私は要求しませんけれども、しかし、われわれの防衛上直面をしておる状況が的確に判断のできるような考え方なり、防衛庁自身の御判断なり、そういうものを出していくという方向について、何か前向きの御返事をいただきたいと思うのですが、長官いかがですか。
  86. 坂田道太

    ○坂田国務大臣 実は私、防衛庁長官になりまして、いま先生が御指摘になりましたようなことを私自身も考えたわけでございまして、いままでの四次防計画までにはそれなりの理由があったと思います。しかし、これからポスト四次防というものを考えて、そして国会の御承認を得るということになるとするならば、もう少しその辺を詰めた議論はできないものだろうか。それでなければ、いかに国民のコンセンサスが得られるといってもなかなか得られないよ、ということで、私は、ポスト四次防をつくるに当たりましての心構えといたしまして、実は思っておるわけでございます。  したがいまして、そういう意味で、これはこの間の大出議員の御質問にも答えたわけでございますが、「防衛を考える会」というものを発足させましたが、平均的な国民がどういうふうに日本の防衛というものを考えておるのだろうか、そしてどのところまでならば現在の憲法のもとにおいて納得がいくだろうかという一つのめどを得たいというようなこともございまして、実は「防衛を考える会」を発足させたわけなんです。同時に、事務当局にいたしましても、そういう「防衛を考える会」のいろいろの御意見を踏んまえながら、そしてまた四次防それ自身についても、先生の御指摘のような点を考えて一遍見直してみる。一体、いままで来たような形でいいのかどうなのか。反省すべきところはないのか。ちょっと言葉は過ぎるかもしれませんけれども、欠陥がなかったのかどうなのかというようなことも一遍考えてみて、そして、そういう反省すべきところ、あるいは、いまとなっては欠陥と思われるようなところがあったとするならば、そういうことはやはり率直にこれを認めて、その事実認識の上に立って、これから先つくり上げるところのポスト四次防計画の中にそれを生かしていったらどうなんだ、こういう私の基本的な考えなんです。  ただ、私といたしましては、正面装備というものは従来装備をしてきた、そしてまたそれは経済成長のもとにおいて当然のことであったと思うけれども、しかし、これからは経済が昔のように著しい発展というわけにいかないという状況、つまり安定経済下の方向をとるということは皆わかっておることなんで、そういう一つの転換期にもある。そういう中において、日本の防衛に必要な、つまり自衛のために必要な限度におけるポスト四次防いかんという命題を出しまして、そして鋭意検討をしておるということでございます。  しかし、私の常識的な、白紙で臨みました私といたしましての感想から申しますと、主たる装備も大切であるが、同時に、支援体制というか、あるいは抗たん性というか、縦深性というか、そういった面にもう少し力を入れなければ、いかに正面装備がちゃんと備わっておっても、果たして有事の際それは力となり得るのかどうなのか。優秀な飛行機を買い込んで備えても、国民の税金をかけて買った高い飛行機それ自身が、そういう抗たん性というものがなければ、第一撃でやられたらもう後はだめになってしまったわ、全然機能しないのだ、そういうことじゃだめなんで、ランチャーというのですか、私は言葉は余り知らないのでございまするが、そういうものとか、あるいはレーダーシステムであるとか、あるいは遮蔽。第一撃を受けたときには、これぐらいまではやられるけれどもこれ以上は大丈夫なんだ、第二撃に対してはちゃんとこれだけの抗たん性があるのだ、そういうような部面もいまごろから少し考えていく必要があるのじゃないか。むしろそういうところに、これからは安定経済へ向かう世の中の変化に対応して日本のポスト四次防を考えてみたらどうだろうか。これは素人の私が言うわけでございますが、しかし一回はそういうような観点でもものを見てみてください。そうしていままでたどってきた第一次防、第二次防、三次防、四次防、それなりの理屈があるし、意味があったかと思うけれども、しかし、この辺で総ざらいそういうものを反省をし、そして反省すべきところがあったなら、率直にそれを認めて、その事実認識の上に立ってあのポスト四次防を考えていこうじゃないか、こういう姿勢をいま実は示したばかりのところでございます。
  87. 木原実

    ○木原委員 おっしゃることはよくわかります。いままでは、ともかくGNPを超える高度成長を逃げてきたのが、防衛庁の自衛隊の装備の側面であったと思うのです。大変なカーブで高度成長を遂げてきた。したがって、たとえば武力なんというものは、状況によってふえることもあるし、減ることもあってしかるべきものなんですね。その議論を出すと、従来は、いやわれわれは裸で出発をしたのだ、蓄積が大事なんだと言われた。おっしゃるように、正面の装備をまず必要とするのだ、こういう理屈でずっと成長を続けてきたと思うのですね。確かに、新しく財政上の制約も、従来にない制約になってくる。しかし、その反面、また情勢もいろいろと変わってきている。さまざまな問題が出てきているわけですね。そうなりますと、四次防以降のことを考える段階で、四次防の積み残しがもちろん出ているわけですけれども、いままでの段階で一つの蓄積は終わった、こういうふうな解釈はできる状態なんですかどうですか。つまり、われわれは裸で出発したのだからまだまだ足りないものがいっぱいあるのだ、だから予算もそれだけふえるのはやむを得ない、こういう解釈であったのですが、これからはある意味ではセレクトをしてやっていく段階に入っていくのだ、こういうふうに考えていいのですか。どうですか、局長。
  88. 丸山昂

    ○丸山(昂)政府委員 繰り返して申しておりますように、防衛力というものはあくまでも相対的な評価をなさるべき性格のものでございますので、要するに一つの客観的な数量的に明示できる尺度があって、そこに至っておるか至っておらないかという評価はなかなかむずかしい。実にむずかしい作業でございます。それで、もしわが国をめぐる周辺の情勢というものが、過去一次防からずっと整備してまいりましたときのような情勢で今後も推移するということを前提にして考えました場合に、それでは、ある程度の限界といいますか、ある程度の整備の目標といいますか、こういったものが考え得るのではないかという発想のもとに、御案内のように、一応正式の文書ということにはなっておりませんけれども、いわゆる平和時の防衛力というものを一度かつて作業をいたしまして、御説明をしたことがあるわけでございます。そのときは陸が十八万の五方面隊十三個師団、それから海が四ないし五個の護衛隊群、それを全部近代化いたしますと二十五万トンないし二十八万トン、それから航空機につきましては八百機、こういう数字を一応お示しをしてあるわけでございます。そういった点で、私どもといたしましては、現在われわれの一応の目標としては、これも一つのガイドラインになるのではないかという考え方がございます。  そこで、先生の御質問の、要するにもうある程度充足されておるのかどうかというようなことを大まかに申し上げますと、中身は別といたしまして、量的に申し上げますと、陸と空につきましては量的にはやや近いところへ来ている。ただし海につきましては、現状は一個護衛隊群の近代化が完成。これは三次防で完成をいたしました。四次防におきましては、実はその次の近代化を考えておったわけでございますが、大体半分程度ということになっておりまして、トン数で言いまして、現在の保有が約十六万トンを超す程度でございます。したがいまして、この辺の問題については、まだまだ充足という点から言うとほど遠い状況であるというふうに申し上げざるを得ないと思います。
  89. 木原実

    ○木原委員 それはわかりました。ただ私が申し上げたいのは、そのことを含めまして、従来は、先ほど申し上げましたように、一定のところまで蓄積をしたい、こういう論理が表明されていたと思うのです。しかし、局長おっしゃいましたように、確かに海はまだ目標に達成していない面がたくさんある、しかし陸の十八万はほぼ目標に近い、空についても機種を変える、こういうような状況だというお話であったわけですね。そうしますと、四次防以降の装備を考えていく場合は、足りないところの充足ということと、セレクトの部分ですね、プラスをしていく部分。これは、基盤はここまでできたけれども、いろいろな情勢を見合って、これとこれとこれが必要になってくるのだという判断ですか。ちょっと言葉があいまいですけれども。
  90. 丸山昂

    ○丸山(昂)政府委員 長期の防衛力整備をやります場合には、御案内のように、情勢が緊迫したから急に一朝一夕にして装備を調達してできるという性格のものではございません。したがいまして、長期整備については、長期的にどういう情勢の見通しになるかということが基盤になって整備をいたしていくわけでございますけれども、短期的に、たとえば弾薬の備蓄、あるいは燃料の備蓄、こういったものにつきましては、そういう情勢に合わせてやはり柔軟に対処するという体制を持っていかなければならないと思いますし、それから、これも御案内のように、現在は定数どおり充足しておりませんで、それぞれ充足率というのを設けまして、その下でやっておるわけでございますが、これも情勢いかんによっては、定数一ぱいまでにお認めを願うということをせざるを得ないと思います。あと問題は、そういう情勢に対処して運用面でどうするか。結局、部隊の作戦構想といいますか、こういったことになるかと思いますけれども、防衛力整備計画の方につきましては、ただいま申し上げましたようなことでございます。
  91. 木原実

    ○木原委員 そこで、長官に伺っておきたいのですけれども、先般来長官が、アメリカの国防長官と今秋にも話し合いをしたい、こういうお話をめぐって、この委員会でも参議院でもいろいろと問題がおありのようなんです。ベトナム以後の情勢につきましては、いろいろな分野で論議をされました。そういうことをめぐりまして、そういう時期に防衛分担についてお話し合いをなさる。その機会に出るかどうかは別にいたしまして、ポストベトナムの情勢等をめぐって、アメリカの側から日本の自衛隊の強化といいましょうか、そういうものについてもし要請があるというような場合については、防衛分担の考え方の上に立って何か強化をしていかなければならないというような状況というものは、いまあるのですか、ないのですか。
  92. 坂田道太

    ○坂田国務大臣 実はこの問題は、おたくの上田議員の質問に答えましてお答えしたわけです。しかも、それは四月二日だったと思うのでございますが、サイゴンの陥落が四月三十日でございまして、私はそういうポストベトナムの情勢の変化によって急に思いついたというものではないんです。  ただ私、就任しまして全く白紙の状況で防衛庁に参りまして、日米安保条約はある、しかしその作戦上の運用面について、何らお互い話し合うオーソライズされた機関がないというのは一体どうなんだろうと論理的に考えたわけなんです。確かに基地については、これは幕僚間にもございますし、しかもこれはシビリアンとして認めた形として残っておりますけれども、しかし、その運用について何らかやはりなければいかぬのじゃないだろうかということは、実はかねがね思っておったわけです。それが一つ。それからもう一つは、防衛庁長官になって、安保条約を結んでおる締約国のアメリカの国防の直接の当事者であるシュレジンジャー、この人とやはり会わなければいかぬのじゃないか、これも素朴に考えたのです。そこで、あのときにその素朴に考えておった二つのことを申し上げて、お答えをいたしたわけなんです。  それがそもそもの起こりなんで、私といたしましては、あくまでも防衛の責任者同士が日米安保条約というものを結んだ以上は会わなければならぬ。もうちょっと申し上げますと、常時会う必要があるんだ、しかつめらしい形で会うんじゃなくて、常時情報の交換や何か、あるいはこちらで困っておることは向こうにも言う、向こうの言葉をこっちに言うというようなことがなければ、安保条約はあってもそれは正しく有効に機能しないのじゃないか。そしてまた、そういうことがないことそれ自身が、締約国である日本として、アメリカに対する信頼といいますか、クレジビリティーを高めるゆえんじゃないじゃないかという、全く素直な気持ちの表明です。そういたしまして、話し合いを積み重ねるうちにおいて、問題になっておるようないわば防衛分担というようなことも話し合うでございましょう。しかしそれは、いまのところ海域分担というようなことまで考えているわけではございませんということなんです。そしてまた、私の方には、あなた方はよく御承知だろうと思うけれども、こういう憲法がございます、あるいはわが三木内閣としては非核政策というものをとっております、それは国際的にアメリカさんが結んでおるNATO諸国とはおのずと違うんです、そういうことも世界の人々にわかってもらわなければならないんだ、当事者であるあなたにもわかってもらわなければならないんだ。確かにシュレジンジャー長官の国防白書が毎年出されておる。あるいはブラウン参謀総長の報告書が出ておる。それについて、北東地域においてどうアメリカは考えておるんだ、あるいは日本というものをどういうふうに考えておるんだ、あるいは朝鮮半島についてはどう思っておるんだということは、文書としてはわれわれは承知をしておる。しかしながら、日本に対してあなた方は一体どういうことを期待しておるかということも、それは海とか空とか対潜能力とかというような指摘はございますけれども、しかし、それは一体どうなのかという話し合いは行われておらない。制服同士では話し合いが行われておる。そういうことはシビリアンコントロールの立場からおかしいじゃないか。むしろわれわれが認知した形において行われるべきじゃないか。憲法の制約のもとにおいて行われるべきじゃないか。いわんや日米安保条約というものを結んでいる以上は、その運用面について常時話し合い、何かその中で、こういうものはお互い合意をいたしましょうということがあるとするならば、それは認める方向に努力をするという気持ちを私は端的に申し上げたわけなんでございます。
  93. 木原実

    ○木原委員 まあ長官そうおっしゃるわけですけれども、あたかも真空の状態の中で会われるわけじゃないですから、いろいろと情勢が動いておる中でお会いになるわけですから、何を話をするんだ、どうするんだという疑問が出るのは当然だと私は思うのです。ちょうどアメリカ自身も、ベトナム以後の問題を抱えて、アジアにおける戦略体制といいましょうか、それについてもいろいろと変換を目指している時期ですね。わが自衛隊におきましても、一つの行政ペースとしてのいろいろなことを持っておりますけれども、やはり情勢に対応しているんだ。その中でたとえば四次防以降の問題等ももうそろそろ日程に上りかかっている。日本の防衛体制、防衛政策全体はそういう中でどうなるんだということをわれわれが真剣に考えなくてはならぬところへ来ているのです。そういう状況の中で、日米安保条約の問題を一つのたてまえにしてお会いになるわけですから、いろいろな話が出てしかるべきだと思うのです。  その中で、私がきょうお伺いしたかったのは、私ども自身が、これからの日本の防衛体制、防衛政策を考えていく場合、それからまた、まさに検討の段階に入っておる四次防以降の装備のあり方等について考えていかなくてはならないその際に、これはもう情勢抜きには考えられない状態ではないのかという問題を持つわけです。ですから、お伺いしたかったのは、いろいろお話が出る中で、まあ従来もあったわけですけれども、アメリカさんの方から、ともかく大変だ、日本はもっと協力しなさい、装備等についても、あるいは自衛隊の強化等についても、いままでのままではしようがないじゃないかという、やはり四次防以降に影響するような話が出た場合に、それは一体どうなさいますかと、こういうことなんです。
  94. 坂田道太

    ○坂田国務大臣 その先生の御指摘の前段だけをお答えしたわけなんで、やはり私といたしましても、ポストベトナムの情勢あるいは朝鮮半島の軍事的な判断というものは、しばしば委員会あるいは予算総会等で申し述べましたとおりで、一応現在、米、ソ、中、日、ともに朝鮮半島に事態の変更があるということを望まないという立場で、まあ軍事的対立はあるけれども、しかし一応戦争状態が起こるというふうには思わない、という認識のもとにいま私どもは立っておるわけです。そしてまた、先ほど御指摘になりましたように、ポスト四次防を考えておるわけでございますが、そういうわけで、恐らく向こうといたしましては、対日期待というものも、その中において申し出てくるだろうと思うのです。その際、私はやはり、できることとできないことがあるということをはっきり申し上げておきたい。ただ、向こうはこうあるであろうという想像だけで、われわれは判断すべきものじゃない。直接やはり責任者同士が会って、本当に向こうはこういうことについて日本に期待しているんだ、それは十分考えます、しかしこの点はいまのところはだめですよ、しかもこれは国民感情でこうですよとか、あるいは日本のずっとやってまいりました防衛整備計画からそこはいけませんよとか、まあフランクに私は言ってみたいと思うのです。アメリカ人というのは、その点わりあいフランクに物を言う。東洋人はどちらかというと、相手の心をあんまり推しはかり過ぎまして、言うべきことも言わなかったり、あるいは憶測して誤解したままで自分だけわかって過ごすというような欠点もあるわけでございますが、われわれはこの立場においては避けて通ることができないわけでございますから、私はこの点は、向こうが率直に言うならこっちも率直に言え、そういうことを突き合わせながら何回も何回も会っておる以上、私は、日本というものが防衛についてどう考えておるか、国民感情はどうなんだ、国会においてはどうなんだというようなこともちゃんとわかってくれるというふうに思っておるわけでございます。また、わかってもらわなければならないと思っておるわけで、そのためには、とにかく責任者同士が会うことが必要だというふうに思っておるわけでございます。
  95. 木原実

    ○木原委員 もう時間が経過しましたので終わりますけれども、安保条約に基づいての共同作戦等の問題については、過去においても何回か問題になったことがあります。最後に伺っておきたいのですが、協力できる面とできない面があると言われるが、協力できる面というのは具体的にどういうことですか。その点、最後にお伺いしておきます。
  96. 丸山昂

    ○丸山(昂)政府委員 結局、基本的に安保の五条が発動されまして日米が共同して対処するということになりました場合には、昨日の法制局長官の答弁にもありましたように、日本はあくまでも個別的自衛権に基づいて行動をいたすわけでございまして、そういう面でその個別的自衛権の範囲を逸脱するような行動は、われわれとしてはできない。したがってそこで、日米が共同というようなことをもしアメリカが考えておるなら、それはできないということであろうと思います。  個々具体的なケースでどうなるかという点については、非常に千変万化でございますから、必ずしも仮定の問題を申し上げてというわけにいきませんが、その大綱としては、いま申し上げましたような範囲で行動するということでございます。
  97. 木原実

    ○木原委員 これで終わりますけれども、この問題につきましては、予算委員会等でも大分御苦心をなさったようですし、私の同僚議員の大出委員も、何か大分けしからぬという意向を持っておりますから、別の機会に話が出るかと思います。  ただ、私は最後に申し上げたいわけですけれども、いずれにいたしましても、ある意味では日本の防衛政策もただならぬところへ来つつあるような感じがいたします。一つは情勢の問題がありますし、一つはいままでの防衛庁が追求してまいりました一本やりのやり方についても、一つの限界、新しい制約が加わってくる問題が出てきている。そういうことを含めて、防衛政策全体についてかなり深い検討をわれわれもやらなくちゃならぬところへ来ております。それだけに、外交的な折衝の問題を含め、自衛隊のあり方の問題も含めまして、これからも詰めた論議をやりたいと思っておりますが、なかんずくむずかしいのは、安保を仲立ちにしたアメリカとの関係だと思うのです。個別的自衛権の範囲内で、こういう局長の御答弁もございましたが、それだけにひとつ長官には慎重な対処の仕方をしてもらいたいと思うわけです。これからまた機会を得まして、いろいろな分野について論議をしたいと思いますので、きょうはこれで終わります。どうもありがとうございました。
  98. 藤尾正行

    ○藤尾委員長 本会議散会後、委員会を再開することとし、この際、暫時休憩いたします。     午後一時十四分休憩      ――――◇―――――     午後二時三十二分開議
  99. 藤尾正行

    ○藤尾委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  防衛庁設置法及び自衛隊法の一部を改正する法律案を議題とし、質疑を続行いたします。瀬長亀次郎君。
  100. 瀬長亀次郎

    ○瀬長委員 最初に私、ベトナム後の日米共同作戦体制の強化されている中での、とりわけ沖繩と韓国の問題、さらに自衛隊などの問題について防衛庁長官にお伺いいたします。  最初に、これは長官でなくてもよろしゅうございますが、最近の沖繩の現地の新聞に、この前、台湾からF4Cが嘉手納に移駐して、嘉手納の第十八戦術戦闘航空団はいわゆるF4C型が二個中隊になった。ところで、このF4C型はアメリカ本国に帰って、タイのウドン基地からF4D型が嘉手納に移駐し、嘉手納基地における第十八戦術戦闘航空団の主力機は、いままでのF4C型からF4D型にかわっていく。さらにタイの基地から戦闘爆撃機だけではなくて、輸送機その他戦車なども嘉手納基地に移駐させるといったことが報道されておりますが、これが事実であるかどうか、この点を明らかにしてほしいと思います。
  101. 丸山昂

    ○丸山(昂)政府委員 私どもの得ております情報によりますと、御案内のように、パリ和平協定の前に、アメリカからベトナム政府に対する無償軍事援助でF5を約百機援助するということで、当時、台湾、韓国からとりあえず必要数を集めまして供与して、その空白を埋めるために第十八戦術戦闘団からF4Cのニスコードロンを派遣をしておったということでございまして、その後、台湾空軍の欠略しておりましたF5Eを戻しまして、その間にフィリピンのクラーク基地からF4Dがやはりいまの十八戦術戦闘団と並行して派遣をされておった。一時期、それぞれF4Cが十八機、F4Dが十八機という時代があったようでございます。その後、逐次フィリピンへも戻しまして、要するにF5が欠略しておった分をそれでカバーしておったわけですが、F5が戻されることに伴って、逐次フィリピン――フィリピンと申しますのは、フィリピンにありますアメリカの軍でございますが、それに戻され、したがって嘉手納の方にもF4Cが戻されてきておるということで、先ごろ一部発表にもなりましたように、最後にF4Cの十八機が予定どおり全部嘉手納に帰ってきた、こういうことでございまして、その中身が、いま先生のおっしゃったような、F4CのかわりにF4Dになるという話につきましては、私どもまだ聞いておりません。
  102. 瀬長亀次郎

    ○瀬長委員 何でも防衛庁からの報道として、事実F4DがF4Cにかわって嘉手納における主力戦闘爆撃機になるといったようなことが防衛庁筋から出ておるのですが、それは明らかじゃないのですか。
  103. 丸山昂

    ○丸山(昂)政府委員 私どもはその話は承っておりません。F4CがF4Dにかわるという話は聞いておりません。
  104. 瀬長亀次郎

    ○瀬長委員 F4C型と同じF4D型では、性能はどういうふうに違っておるか、ちょっと説明してください。
  105. 丸山昂

    ○丸山(昂)政府委員 これも私ども専門家でございませんので、正確ではないかと思いますが、まず機体とエンジンは変わっておりません。それからF4Dの方がF4Cに比べまして対地攻撃能力が向上されておる。これは中身は、搭載武器発射用のコンピューターと照準装置が加えられて、また機上レーダーに対地測距能力が加えられ航法装置が更新される、こういうことで総合的に対地攻撃能力が向上しておる、こういうことでございます。それから搭載武器につきましては、種類、数ともに、F4CとF4Dは同じであるということでございます。  大体、主だったところは、いま申し上げましたように、対地攻撃能力で照準装置とか測距能力が高まったとか、こういう点のようでございます。
  106. 瀬長亀次郎

    ○瀬長委員 将来、いま申し上げましたような、F4CにかわってF4Dが嘉手納における主力戦闘爆撃機になるといった予想はできますか。
  107. 丸山昂

    ○丸山(昂)政府委員 これはちょっと私ども、F4CがF4Dにかわるかどうかということについては、まだはっきりした判断をするような材料を持っておりません。
  108. 瀬長亀次郎

    ○瀬長委員 それでは大臣にお聞きしたいと思いますが、ベトナム後の日米共同作戦体制の侵略的強化に関係して、ストロングポイント沖繩といったようなことが言われておりますが、どういうふうに使われておるか、この点を明らかにしてほしいと思いますが、たとえば、ことしの二月、シュレジンジャー国防長官は初めてストロングポイントという表現を用いて米アジア戦略を説明しておるのです。  第一に、ストロングポイントというのは、どのような軍事的概念かという問題なんですね。それで、一般的には防衛拠点とも、あるいはたとえば二月十二日に新聞に発表されたのを見ても、そう書かれておるし、拠点とも記されている。なお、いわゆる新聞報道をよく見ると、これによって米国はアジア地域の防衛について拠点主義をとることを明らかにしたものと受け取っているなど言われておりますが、これは単なる軍事用語ではなくて、アメリカの、とりわけ、後で申し上げますが、ベトナム以後におけるアジア戦略と結びついた用語として受けとめなくちゃいけないんじゃないかと思って、いまストロングポイント沖繩とか言われておりますが、この意味はどういう意味か。長官どういうふうに解釈されておるか。それからひとつ……。
  109. 丸山昂

    ○丸山(昂)政府委員 ストロングポイントという言葉は、ことしのシュレジンジャーの報告の中に初めて出てきている言葉のようでございまして、はっきりした軍事的な用語とまで、まだ定着しているものではないというふうに考えます。  このストロングポイントが使われておりますのは、アメリカが全世界に展開しておりますいわゆる前進拠点といいますか、前進基地をその重要度によって評価をした場合に、一様に前進基地を考えるのではなくて、その中で、当面の国際情勢下において重点的に戦略上も配慮しなければならない地域の中心地ということで、前進拠点というようなことにも訳されるようでございますし、必ずしも最前線に展開されているということではなくて、そのための支援補給上の重要地点というようなものも、ストロングポイントという用語を使っておるようでございます。同じ場所を指すのに、あるときにはストロングポイントと言い、あるときには外されているというようなことでございまして、全般的に一つの一貫した考え方で全部を使っているというふうにはちょっと考えられないわけでございまして、私どもがその文章を読みました限りにおいて、現在受け取っておる感じと申しますか、それはいま申し上げましたような中身でございます。
  110. 瀬長亀次郎

    ○瀬長委員 いままで沖繩の基地は、キーストーンとかいう言葉とか、かなめの基地とか言われておりましたが、二月以降のシュレジンジャー国防長官の、いわゆるベトナム後、特にそういった方向で言葉遣いが非常に違ってきておる。  第二番目に、そうであるならば、ストロングポイントはいわゆる東アジアではどこどこを指しているのかという問題が起こると思います。国防報告では韓国、沖繩、フィリピンの三つを指しているように見えるが、読みようによっては韓国だけを指しているようなまた言葉遣いもある。いずれにいたしましても、東北アジアにおけるわれわれの主要拠点は依然韓国であり、その後方支援軍、これはバックアップフォースというのですか、後方支援軍と呼んでいいかどうか私はわかりませんが、そういうバックアップフォースが近くの沖繩に駐留しているといったような言い方とか、アメリカの地上、海上、戦術空軍兵力は沖繩及びフィリピンのストロングポイントから広範囲に力を発揮することができるという表現も使っております。そういう意味で、いわゆる東アジアにおけるストロングポイントというふうなものは、韓国、沖繩、フィリピン、そういった三カ所を特にとらえて、どこが一体ストロングポイントなのか。三カ所ともストロングポイントであるのか。あるいは申し上げましたように、とりわけ韓国の問題を重視して、韓国がストロングポイントであり、フィリピンと沖繩は東北アジアにおけるわれわれの重要拠点。以前は韓国であって、その後方基地、いわゆる彼らの言うバックアップフォースということになるのかどちらであるか。そこら辺をちょっと解明してほしいと思います。
  111. 丸山昂

    ○丸山(昂)政府委員 先ほどもお答え申しましたように、ストロングポイントの用法が場所によって違っておりまして、いま先生御指摘になりましたように、韓国をストロングポイントと言っておる場合には、沖繩はそのためのバックアップの態勢下にある。それからまた一方沖繩、フィリピンをそれぞれストロングポイントであるという指摘をしておりまして、ストロングポイントという言葉の意味は、そういう用法でございますので、必ずしも一定した同一の用語の指定をしていないのじゃないかという感じがいたしますが、非常に常識的に判断をいたしました場合には、韓国を重視し、そのためのバックアップの態勢下にあるのが沖繩であるという言い方をしておると思います。  それからアジア全般として、東アジア、東北アジア全般として見た場合に、韓国、沖繩、それからフィリピンというのがアメリカとしては重視すべき前進拠点である、前進基地であるというふうな判断をあらわしておるのじゃないかというふうに思います。
  112. 瀬長亀次郎

    ○瀬長委員 ところで、私、用語の問題を単に用語の問題として聞いておるのじゃなくて、後でいわゆる防衛分担の問題とも関連するものですから、それをはっきりさしておきたい。  シュレジンジャーは最後に、アメリカの地上、海上、戦術空軍兵力は沖繩及びフィリピンのストロングポイントから広範囲に力を発揮することができると、これも明確に言っておるのですね。だから、そこら辺から言います後方支援軍、バックアップフォース、この問題と、ストロングポイントという問題は、アメリカのアジア戦略、とりわけベトナム後におけるアジア戦略として、沖繩と韓国を非常に重視し、フィリピンもまたストロングポイントの中に入れておる。アメリカの地上、海上、戦術空軍兵力、これが沖繩とフィリピンのストロングポイントからいつでも広範囲にいわゆるその軍事力を発揮することができるといったような規定からすると、このストロングポイントの問題は、適切に時々変わる情勢を説明しておるのではなくて、ベトナム後における沖繩の基地と、さらに韓国、さらにフィリピン、この基地の重要性を指摘し、韓国はとりわけそういった基地である。それに対して、沖繩とフィリピンからいわゆるバックアップフォースというものが本当にストロングポイントという形で出動する。広範囲に力を発揮するというわけなんですから、そういうふうに理解していいのか。そこら辺をはっきりさしてください。
  113. 丸山昂

    ○丸山(昂)政府委員 私の記憶に間違いなければ、このストロングポイントは、ことしのシュレジンジャーの年次報告の中に使われておる言葉でございますので、アメリカがこのポストベトナムの情勢をその時点ではっきり見通しておったということであれば、ポストベトナムの情勢に合わせてということが言えると思いますが、時期的に考えて、やはりそれ以前の情勢下において判断したことではないかとまず思います。  それから、そういうストロングポイントという言葉で表現いたします中身につきましては、先ほど申し上げましたように、余りはっきりいたさないわけでございますけれども、いずれにいたしましても、韓国、沖繩、フィリピンというのが極東におけるアメリカの軍備配置体制の中で重要な意味を持っているということを強調しておる点においては、間違いないことではないかというふうに判断いたします。
  114. 瀬長亀次郎

    ○瀬長委員 シュレジンジャーは、サイゴン陥落後の五月一日に、もうこれより強めた言葉で言っておりますが、これは後にしまして、それでは、それと関連して、横須賀、横田の基地を擁する日本本土あるいは南関東がストロングポイントとされていないのはなぜか。そこら辺はどういうことになりますか。いわゆる沖繩は別として、本土に基地がありますね。そうして横須賀にもある。横田にもある。その他本土に基地がある。これは一体ストロングポイントとされていないのかいるのか。そこら辺を解明してください。
  115. 丸山昂

    ○丸山(昂)政府委員 少なくとも、いまのシュレジンジャー報告の中には、この本土の基地についてはそういう意味での指摘はなかったように覚えております。それで、いまの沖繩、韓国、フィリピンをそれぞれストロングポイントと考えておるのは、先ほど御説明申し上げましたように、軍備配置の中の前進拠点、つまり第一線配備に近いところで重要な意味を持っておるところというような意味でいまの三カ所を――これは同時に三カ所を挙げておりませんけれども、韓国の場合には沖繩はバックアップフォースであるという言い方をしておるようでございますが、いずれにいたしましても、第一線、前線に配置されておる拠点であるというようなことでいま三カ所が挙げられておるというふうに考えます。
  116. 瀬長亀次郎

    ○瀬長委員 これではっきりしましたが、いわゆる沖繩を除く本土の基地、これと比較して沖繩基地というのは、アメリカは復帰前は大体キーポイントとかと言っていたが、とりわけ今度は韓国と関連させてストロングポイントとして使っております。  次に、それと関連しますが、シュレジンジャーはこれも言っていますね、在沖米軍をバックアップフォースと規定すると。このバックアップフォースとは一体何であるのか。ここら辺をはっきりさせる必要があるのではないか。  たとえばマヤゲス号事件があった。これに見るように、東アジアの各地に即時、直接軍事介入する第三海兵師団がバックアップフォースというのは、非常に理解しがたいのですね。われわれ知っております。即時、直接行ったのですから。これを防衛庁はどういうふうに見ておるのか。いわゆるバックアップフォースというこの用語の意味だけではなくて、そのバックアップフォースと言われている在沖繩米軍の性格、機能、これをどう見ておるのか。私が先ほど、横須賀、横田、日本本土などのあれと比較して質問しましたのは、そういう点を明らかにしてもらうためにやったわけなんで、いわゆるアメリカの言うバックアップフォースというのは何であるのかという問題なんです。
  117. 丸山昂

    ○丸山(昂)政府委員 このバックアップフォースも、実は不明にいたしまして、それだけの意味について定着した定義があるかどうかについては、私よく存じておりませんが、先ほどのバックアップフォースとして使われておる文脈は、韓国をストロングポイントとした場合のバックアップフォースという言い方であったように覚えております。その場合は、御案内のように、韓国に在韓の米軍が展開をしておるわけでございまして、まあ平時において一応朝鮮半島のバランスはこれで保たれておるわけでございますが、一朝有事の際におきます場合に、いまの在韓米軍のいわゆるバックアップ、名前のとおりバックアップフォースとして活動するという役割りをアメリカとしては考えておるというようなことではないかと推察をいたします。
  118. 瀬長亀次郎

    ○瀬長委員 マヤゲス号事件の話をしましたが、あのときは、まあ事前であれ事後であれ、これはいずれにしてもいいのです。しかし、即時、直接カンボジア領空を侵犯した事実はもう間違いない。バックアップフォースというのがそういう理解であるとすれば、沖繩の米軍は有事の場合には沖繩から出動するというふうな意味のバックアップフォースというふうに理解していいのかどうか。ここら辺を明らかにしてください。
  119. 丸山昂

    ○丸山(昂)政府委員 これはまあアメリカの方の考え方でございますから、いまお挙げになりましたシュレジンジャーの報告とか、そういうものを総合して私どもが推測をする範囲以上出ないわけでございますが、先ほど申し上げましたように、韓国に対するバックアップフォースであるということからいたしますと、一朝有事の場合におきましては、在韓米軍に対する支援をやるという任務といいますか、そういう役割りは当然果たすというようなことになるのではないかと思います。
  120. 瀬長亀次郎

    ○瀬長委員 この点について防衛庁長官はどうお考えになるか。韓国条項、六九年の日米共同声明の。あれは後でお聞きしますが、この場合、そこまで来ていますね。アメリカもシュレジンジャー報告でちゃんと言っている。そうなりますと、このバックアップフォースという彼らが規定する沖繩の基地にある米軍、これが直接韓国支援部隊として規定されている場合に、沖繩から、有事の際――いわゆる有事の際と言われておりますが、韓国に出動するという可能性は否定できないと思いますが、大臣、そこら辺はどうですか。
  121. 坂田道太

    ○坂田国務大臣 可能性は否定できないと思います。そしてとにかくそういう場合があるとするならば、それは事前協議の対象になるということかと思います。――いまのをちょっと防衛局長から補足させます。
  122. 丸山昂

    ○丸山(昂)政府委員 ただいま大臣がおっしゃいました中で、いわゆる直接戦闘行動に出る場合には事前協議の対象になるということでございます。
  123. 瀬長亀次郎

    ○瀬長委員 シュレジンジャー報告は、これは二月に発表したものですが、今度はサイゴンが陥落して、いわゆるアメリカの侵略軍、植民政策は破綻する。いわゆるベトナム人民の完全勝利に終わったその翌日、五月一日にワシントンで急遽記者会見をやっております。     〔委員長退席、木野委員長代理着席〕 その中で、韓国、日本を中核とするベトナム以後の米アジア戦略の構想を明らかにしたのですが、その中で長官は、「ベトナム撤収以後の前線防衛地域は引き続き西欧と韓国、それに間接的に日本である」と言明しております。第一に、こういう言い方は初めてでありますが、前線あるいは前方防衛地域とは一体何であるのかという問題がそこから出てくるわけなんです。これはとりわけ、いま申し上げましたように、サィゴン陥落のすぐ翌日、急遽ワシントンでシュレジンジャー国防長官は記者会見をやって、記者会見の中で明らかにしたものです。だからこの問題は非常に重要視しなければならないのじゃないか。いわゆる前線あるいは前方防衛地域とは一体どういうものであるか。  これはこう理解していいのかどうか。これは後で答弁してもらいたいのですが、はっきり言いますと、新聞に、読売のワシントン特派員のものでありますが、「「前方防衛地域」は米戦略の上では①戦術核兵器が配備されている②通常兵力が存在する③戦略核兵器のカサの下にある――という防衛に関する三つの条件」、これが不可分の一つとして結びつけられて「三つの条件を備えている地域を指すものとされている。」というふうに論評している。こういうふうに理解していいのか。これは五月一日のシュレジンジャー国防長官の、最近では一番新しい、いわゆるベトナム後の日本、韓国、これを指しているということで、これを最初に御答弁をお願いしたいと思うのです。
  124. 丸山昂

    ○丸山(昂)政府委員 ヨーロッパと、それから北東アジアにおきます韓国、日本というものを特に挙げておりますのは、先ほどからたびたび引用申し上げておりますシュレジンジャーの本会計年度におきます国防年次報告の中にもやはり挙げておるわけでございまして、そのNATOと、それから北東アジア、そこにおきます韓国、日本という表現をいたしております。インドシナ紛争の直後に記者会見を開きまして、そのときの言葉の中にそういうのが出てまいっておるということは、これも私の推測でございますが、要するにアメリカの防衛に対するコミットメントに対する信頼性が揺らいでいる、そういう客観情勢を踏まえまして、特にアメリカとして重視しておるNATOと、それから北東アジアにおきます日本、韓国、こういうところには防衛のコミットメントは必ず果たすのだということを特に強調したものではないかというふうに考えます。
  125. 瀬長亀次郎

    ○瀬長委員 特に私が申し上げますのは、前線防衛地域、エリア、地域、こうしているのですね。ベトナム後、韓国、日本、そのいわゆる前線あるいは前方防衛地域という表現をなぜ使っておるのか、これが問題だと思うのです。これはいわゆる防衛分担の問題に非常に関連してきます。その点をもっと明らかにしてもらって、いま申し上げましたような前線防衛地域、エリアと特に入れて、その前線防衛地域というのは三つの条件を果たす地域であるというふうな解説まで加わっているが、こういうふうな理解でいいのかどうか。この点を明らかにしてほしいというわけなんです。
  126. 丸山昂

    ○丸山(昂)政府委員 前線防衛地域という言葉、これも特別の定義があって使っておるのではないと思いますが、そこで、そこのコメントで三つの条件を具備するところだということなのでございますが、これは私らの考えでは、ヨーロッパの場合にはすでに戦術核を配備しているということを明らかにしておりますので、そこの戦術核を置いてあること。それから二番目の条件は何でございましたですか。
  127. 瀬長亀次郎

    ○瀬長委員 二番目の条件、これは「通常兵力が存在する」、三番目は「戦略核兵器のカサの下にある」、この三つの条件。
  128. 丸山昂

    ○丸山(昂)政府委員 そういうことで考えますと、ヨーロッパはそうであると思います。それから韓国につきましては、いまのうち戦術核が置いてあるかどうかという点には、公表されておりませんので、何ともコメントできませんが、後の二つについては条件がある。それから日本の場合には、御案内のように戦術核を置いてございませんので、後の二つの条件はあるというふうに解釈してよろしいのじゃないかと思います。
  129. 瀬長亀次郎

    ○瀬長委員 日本も、そういったシュレジンジャーの言っている言葉の前線防衛地域に、まず七十点ぐらい合格しているというふうなことになるのですね。七十点か八十点か、それは別として、私、そのもとで一番危険性を感じておるのは、安保条約というものが、どんなに日本の安全ではなくてアメリカの安全のためにあるかといったことが、ひしひしとこれからくるから、そういう用語上の問題ではなくて、アメリカの国防長官自身が、日本はこういうふうに指定すると、もう指定しておるのです。在日米駐留軍の任務と機能はこういうものであると、国防長官の規定をただ単に一般的に受けとめられておるとは私は思っておりません。防衛庁長官もそうは受け取っていないと思います。  それでは、引き続き関連性がありますので進みますが、この中で「間接的に日本」というのはどういう意味か。たとえば、もう一ぺん読みますと、このシュレジンジャー報告は「ベトナム撤収以後の前線防衛地域は引き続き西欧と韓国、それに間接的に日本である」という表現が使われておる。その「間接的」というのはどういう意味か。
  130. 丸山昂

    ○丸山(昂)政府委員 要するに韓国の安全が保たれることが間接的に日本の安全を保つゆえんになるという解釈だと思います。
  131. 瀬長亀次郎

    ○瀬長委員 いわゆる「間接的」というのは、日本がアメリカの言う前線防衛地域に入っているということであるわけなんですね、いまの御答弁は。はっきり言えば、国防長官の言っている前線防衛地域に日本が入っているというふうに理解していいということになるのですね。
  132. 丸山昂

    ○丸山(昂)政府委員 繰り返して申し上げますように、定義がはっきりいたしませんので、その前線防衛地域というのは何を意味しているかわかりませんが、いまのお話の中では、前線防衛地域としては韓国を挙げておるようでございまして、そして間接的に日本の安全にも寄与する、こういうふうに言っておるように私は了解いたしております。
  133. 瀬長亀次郎

    ○瀬長委員 そうしますと、戦略上の問題で、沖繩にいる米駐留軍は大体どういう位置づけを担っておるのか、この点を端的に明らかにしてもらいたいと思うのです。
  134. 丸山昂

    ○丸山(昂)政府委員 要するに、安保条約の第六条にございますように、日本の安全並びに極東の平和と安全に寄与するということで沖繩におるというふうに理解をいたしております。
  135. 瀬長亀次郎

    ○瀬長委員 そうしますと、初めに申し上げましたストロングポイントとの関係、これはどういうふうになりますか。いわゆる前線防衛地域、エリア、その中には三つの条件がある、そのストロングポイントというふうなこととの関連性はどう理解すればいいか。
  136. 丸山昂

    ○丸山(昂)政府委員 最初にお答え申し上げましたように、ストロングポイントというのは、アメリカが世界に展開しております数多くの前進基地の中で、特に重視すべき場所としてストロングポイントというものを挙げておりますので、沖繩をその一例として列挙しておりますけれども、これは数多くの前進基地の中で一番重要な部類の一つであるということを言っておるのだと思います。
  137. 瀬長亀次郎

    ○瀬長委員 私が申し上げましたのは、ストロングポイントの中にはフィリピンが入っておるということです。だが、この前線防衛地域の中にはフィリピンは入ってないのです。その関係はどうなっておるのかという問題が当然出てくるわけなんです。ストロングポイントは沖繩、韓国あるいはフィリピン。フィリピンはその中でも重視してストロングポイントと言い、さらにバックアップフォースというふうな言葉遣いをしておる。沖繩もそうだが、前線防衛地域、エリアという言葉になるとフィリピンははずれております。なぜフィリピンがストロングポイントになっているかということに対する疑問がそこから出てき、いわゆる前線防衛地域なるものの戦略的な構想というのは、国防長官はそこに置いて使っておるという理解が成り立つのではないかということでいまフィリピンのことを言っておりますが、これを明らかにしてください。フィリピンは入ってないのです。
  138. 丸山昂

    ○丸山(昂)政府委員 そこまで細かく分析をしておりませんので、シュレジンジャーの年次報告と、それからベトナム直後におきます記者会見のときの発言で、細かく配慮しながら区別をして発言をされておったのかどうかにつきましては、私もよくわかりませんが、先ほど申し上げましたように、ベトナム直後の記者会見において、シュレジンジャーがいま申しましたような発言をいたしました真意は、やはりアメリカのコミットメントに対する信頼性の確保ということにあったんではないかと思うのでございまして、特に重視しておりますNATO諸国、それから北東アジアの中におきます日本と韓国、こういったところを意識して発言をしたのではないかというふうに推測をいたします。
  139. 瀬長亀次郎

    ○瀬長委員 いま防衛局長が、国防長官の発表を余り研究してないと言われましたが、これは防衛庁としては怠慢ではないかと思うのですよ。日本は少なくとも日米安保条約に基づいて米軍に基地、区域、施設を提供しておる。そうすると、米軍がどのような行動をするか、どういう機能を持っておるか、いざという場合どういうふうにするかという問題については――国防長官というのは、国防関係ではアメリカ、ワシントン政府を代表する。この人が言っているのですね。これはここで詳しくは説明できませんが、こう区別しているのですよ。フィリピンについては、右の韓国、日本のくだりに、「間接的に日本」と言ってすぐ続けて、「われわれはフィリピンに対してコミットメントを持っており」云々と述べ、表現上非常にはっきり区別している。いわゆる前線防衛地域からはずして、ただ単にフィリピンについては、そういう同盟関係、条約関係の約束というふうなものを表現して、非常に区別しているのですね。そうなりますと、このストロングポイントの問題と前線防衛地域としての沖繩、日本、「間接的」にとあろうが、非常にこれがベトナム後、重視されておる。その意味で、基地の再編等さらに強化が行われて、いつどのような事態でも対応できる体制が着々と、とりわけ沖繩基地において進められているというふうなこと、これが現実なんですが、このシュレジンジャー報告の中で明らかになっておる。ですから、このフィリピン問題との関連で聞いているのはその意味なんです。これは本当に防衛庁、知らないのですか。はっきり区別しているのですよ。
  140. 丸山昂

    ○丸山(昂)政府委員 ですから、私、申し上げますように、そのアメリカにとっての防衛のコミットメントの重要性を特に感じたところについて触れたのではないかと思います。先ほどからお話し申し上げておりますように、ストロングポイントというのは、ことしの年次報告に出ている表現でございまして、これは外務省からお答えをした方が適切ではないかと思いますが、ベトナム直後の情勢において、フィリピンに対するアメリカの評価が多少変わっておるんではないかというふうに考えるわけでございます。
  141. 瀬長亀次郎

    ○瀬長委員 いままでのことでも明らかになりましたが、とりわけ沖繩基地が韓国との関連で、新聞報道を見ますと、いわゆる空対地の爆撃能力がすぐれておるF4Dが配置されるんではないかということとも関連して、これは皆さん認めておりませんが、いずれにいたしましても、初めて五月一日の記者会見で前線防衛地域なるものがはっきり打ち出され、その条件として三つの条件がはっきりしている。これについては、「戦術核兵器が配備されている」。これは局長は否定しましたが、「通常兵力が存在する」「戦略核兵器のカサの下にある」、この二つは合格である。ところが、戦術核兵器が配備されているかどうかという問題は、すでにいろいろな問題で討論され、国民は戦術核がないというふうには信じていないほど、沖繩の問題だけを考えても疑惑は高まっておる。その中で、前線防衛地域の中に日本が含まれ、さらに沖繩は、特にそういうストロングポイントとの関連性においても、いつでも有事の際韓国に出動する場合には直接沖繩から飛び立っていくということについては、これは事前協議制になるということでありましたが、長官にお伺いしたいのですが、そういう場合に事前協議制に乗せる、アメリカがこれは有事の際だということで沖繩の米軍を、海兵隊であれ、あるいは嘉手納にいる核部隊であれ、出動させる、あるいは沖繩から直接爆撃をするという場合の事前協議があった場合に、ノーと答えるのかどうか。沖繩は日本本土ですから、これは明らかにしてください。
  142. 坂田道太

    ○坂田国務大臣 これはまさに外務大臣がお答えになるべき課題だと思います。
  143. 瀬長亀次郎

    ○瀬長委員 これは分担防衛の問題とも関連しますが、防衛庁長官はそれに対しては全然意見は持っていないというふうに理解していいですか。
  144. 坂田道太

    ○坂田国務大臣 これは政府としてやはり一貫した態度をとるだろうと思うのでございますが、その際、外務大臣が決められる問題だと思います。その場合、恐らく閣議にお諮りになるということはあろうかと思います。
  145. 瀬長亀次郎

    ○瀬長委員 これは韓国の問題と関連しますので申し上げますが、九日の衆議院予算委員会で三木総理は、韓国と朝鮮半島の平和と安全は日本の安全に重要なかかわりがある、これは共同声明の韓国条項、韓国の安全は日本の安全にとって重要であるといった問題を再確認されたあとで、さらに質問の中でいわゆる日米事前協議制の問題になって、米側の求めで朝鮮半島への直接発進もあり縛ることを示唆した答弁をされております。いわゆるノーと言うのではなく、そのときにその事態によって考えるという、あり得ることをちゃんと示唆するような答弁をされております。  私は、あとで外務省が来たときに、ベトナム後において海兵隊その他の犯罪事実がまた起こっていることについて申し上げますが、沖繩における安保条約に基づく区域、施設の提供によって、海兵隊と嘉手納空軍を中心とした沖繩在日米軍がどんなに犯罪的な軍隊であるかということはどんどん明らかになりつつある。こういう中で、特に駐留軍と関連の深い防衛庁長官、これは新聞によると、やがてアメリカの国防長官ともお会いになるようでありますが、そういった発進もあり得るということを三木さんは示唆されましたが、長官もそういうふうにお考えかどうか。その点を明らかにしてください。
  146. 坂田道太

    ○坂田国務大臣 これは総理並びに外務大臣がお答えになるべきことかと思います。
  147. 瀬長亀次郎

    ○瀬長委員 それでは長官に、防衛分担の問題について説明して、御答弁願いたいと思います。  四月二日の参議院予算委員会で、防衛庁の公式見解として「わが国周辺海域の防衛の構想を立てる上で、米海軍第七艦隊による全般的制海を」――制海権ですね。「制海を前提として日米間の作戦協力のための何らかの分担取り決めが必要であると防衛庁が考えておることは、御指摘のとおりでございます。」こう言われており、防衛庁は、このため三幕を含めて、「わが国周辺海域の防衛に関する日米協力について検討を進めてきた一方、日米の防衛の責任者がこの問題を含めて話し合う必要があると考えて」いると言明した。  さらに一方、ブラウン米統合参謀本部議長は、去る二月米下院軍事委員会に提出した報告書で、日本の防衛分担について「空及び海からの侵攻から防衛するのに適当な軍事力を維持し、またアメリカの対潜水艦戦力を補充する対潜能力を発揮させるのを力づけることにある」。次に、「日本が自国並びに隣接地域の防衛に適当な戦力を維持することにより、平和と安全へのわれわれと共通する利害関係を築き上げるよう同国を力づけることは、」――「同国」というのは日本、これを力づけることは「わが国にとって利益である」、これは五月二十八日の新聞にも載っております。こういうように強調しております。  そこで質問でございますが、ブラウンの言う日本の隣接区域、これは海だけとは言っておりません。隣接区域とはどこか。六九年共同声明の、さっき申し上げましたいわゆる韓国条項から見て、韓、台を含むのは当然と思われるのであるが、防衛庁長官はそう理解しておるかどうかですね。いわゆる日本の隣接区域とは一体どこを言っているのか、どういう区域か、これを明らかにしてもらいたいと思います。
  148. 丸山昂

    ○丸山(昂)政府委員 これは外務省からお答えいただいたら適切じゃないかと思います。私ども外務省から受けている報告によりますと、周辺海域のことを指しておるそうでございます。
  149. 瀬長亀次郎

    ○瀬長委員 外務省来ているのですか。――ではこれは後で外務省から聞くことにして、防衛庁長官、いまの分担問題についてのお話があったのを前提として、私は長官に答えてもらおうということでこの隣接区域を提起したわけで、これは外務省に関係あるかもしれませんが、防衛庁長官に関係がありますから、ちょっと答えてください。
  150. 坂田道太

    ○坂田国務大臣 隣接区域がどこかごこかということにつきましては、やはり外務省当局から御答弁を願いたいと思うのです。ただ、私が四月二日の参議院予算総会において申し上げましたことについては、私、御答弁申し上げたいと思います。  それはもういまお読みいただきましたような意味でございまして、安保条約がある以上は、やはり有事の際における作戦共同というもの、つまりそういう対処の仕方等について話し合う必要があるのではないかということをお答えをいたしたわけで、そのためにシュレジンジャーさんお招きをしてお会いをして、日米安保条約の防衛責任者同士がいろいろ話し合うということはきわめて必要なことなんだ。あるいは情報の交換もございましょうし、あるいは基地についてはすでにオーソライズされたものがあるけれども、この有事の際における共同対処ということにつきまして、大綱といいますか、そういうものも何もない、こういうことで果たしていいだろうかどうだろうかということからいたしまして、やはりそういう際にシュレジンジャーともお会いをいたしいろいろ話し合ってみたい、こういうことが、この前、四月二日に上田議員にお答えをいたしました趣旨なのでございます。
  151. 瀬長亀次郎

    ○瀬長委員 長官は、いわゆる周辺海域ということですが、日本が、自国並びに隣接地域の防衛、安保条約に基づいてそういう方向で現時点で出されているという問題から出るのは、この隣接区域という問題を長官はいわゆる海域と考えられても、アメリカ自体が隣接区域ということを押しつけてきた場合にはどういうふうになるのか。これは当然のことながら、隣接区域というのは、韓国条項にもあるとおり、結局、韓国というふうな隣接する区域になってくると思う。海だけではない、海域だけではないということに解釈されるのであります。これでは海上ばかりのように聞こえ、矛盾が出るわけなんです。いわゆる海上だけ、周辺。これははっきり日本並びに隣接区域と言っているとすれば、この点については、明らかに防衛分担の問題もそこから割り出されてくるということでありますので、これはもう一遍長官にはっきりしたお答えをしてほしいと思います。
  152. 丸山昂

    ○丸山(昂)政府委員 先ほども申し上げましたように、隣接区域という訳語は、もとはコンティニュアスエリアという言葉だったと思いますが、これは日本の周辺海域ということでございまして、陸地は入らないという連絡をいただいておりますので、その前提で御論議をいただきたいと思います。
  153. 瀬長亀次郎

    ○瀬長委員 最後に長官にお伺いしたいのですが、坂田長官は、前述のように、四月一日、二日両日の参議院予算委員会での言明に続いて、最近では先日の内閣委員会で、いわゆる防衛分担取り決めを近く行いたいと言明している。これが最近突然、十一日の参議院予算委員会で、三木首相が協定としないということの言明があった。そうなりますと、坂田長官のいままでの国会言明と違う点があります。この点をどう理解すればいいか、はっきりお答え願いたいと思います。
  154. 坂田道太

    ○坂田国務大臣 私が、四月二日、上田哲君の質問に答えて申しましたのは、「わが国周辺海域の防衛の構想を立てる上で、米海軍第七艦隊による全般的制海を前提として日米間の作戦協力のための何らかの分担取り決めが必要であると防衛庁が考えておることは、御指摘のとおりでございます。防衛庁は、このため各幕を含めてわが国周辺海域の防衛に関する日米協力について検討を進めてきた一方、日米の防衛の責任者がこの問題を含めて話し合う必要があると考えております。国会終了後二、三カ月以内に手続を踏んで、シュレジンジャー米国防長官を日本にお招きし、この会談の中でこれらの点について話し合いを煮詰めて参りたいと思っております。そしてでき得れば、将来取り決めの形に至りたいと考えております。」こういうふうに申し上げておるわけでございます。  したがいまして、ここで申し上げておりますように、まず第一にシュレジンジャーさんとお会いすることでございまして、そしてまた、お会いするにつきましては、うちの方で、一体その防衛分担というのはどういう内容を含むものであるかということを、ただいま検討をさせておるわけでございます。で、その中には海域分担というものは入らないのだということは、一貫して私が申し上げておることでございます。  それならば、一体その内容はどうなのかということでございますが、いままだこれは、外務省あたりとすり合わせをしなくちゃなりませんけれども、たとえば憲法の制約の範囲内において作戦調整機構のあり方、あるいはまたアメリカに対する支援期待の内容、そういうような内容を持った話し合いを煮詰めていって、できればそういうようなことで何らか合意に達することができるならば――これはしかしまた相手のあることでございますから、こういうような気持ちを持っておりましても、なかなか向こうは向こうの言い分がございましょうし、われわれの方は憲法上の制約がありますから、できることとできないことがあるだろうと思うのでございます。そういうようなこともひっくるめまして話し合いを煮詰めてまいりたいということで、一つも変わってはおらない。  それから、きのう三木総理がお答えになりました、協定は結ばないのだということにつきましては、これはまたその内容は、いま申し上げましたことでいま検討しておりますが、その形式上の問題については、これはいろいろあるだろうと思います。協定の形もありましょうし、あるいは取り決めの形もございましょうし、あるいは合意の形もございましょうし、単なるお互いの政治家同士で確認し合うということもございましょうし、そういうような形式等についてはいろいろこれから議論をする、検討をするということで一貫しておるわけです。ただし、協定のようなものはつくらないのだということだけは三木総理大臣がはっきり御言明になった、これもまたそのとおりかと思っておるわけでございます。
  155. 瀬長亀次郎

    ○瀬長委員 協定は結ばないでも、取り決めをしたり合意したりするものは、日米間のは、協定であれ取り決めであれ、たとえば合同委員会で合意したこの合意議事録、これが超憲法的な法的な拘束力として国民を縛りつけてきたということは変わりないと思うのです。この点を国民は非常に不安に思っております。協定を結ばぬと言った、しかしある一定の合意あるいは協議、協定というようなものはあり得るとただいま説明でありますが、この点について、今度国防長官とお会いになるときに、この人が言っておる言葉なんだから、「日本が自国ならびに隣接地域の防衛に適当な戦力を維持することにより」云々というこの「隣接地域」、これは、いま防衛庁長官が言われたような海域だけではない、やはり韓国その他も含まれているということは明らかであると私は思いますが、この点を、お会いになったときに、もしそういう海域だけではなくて隣接地域、韓国も含むということになるとすればどうなさるか。この点だけは明らかにしてください。
  156. 坂田道太

    ○坂田国務大臣 その点は入らないわけでございます。
  157. 瀬長亀次郎

    ○瀬長委員 入らないと言うのだが、日本政府として、防衛庁長官として、向こうは入るんだと言った場合、いやこれは入らぬ、拒否するという方向で話し合いを進めるというふうに理解していいのですか。
  158. 坂田道太

    ○坂田国務大臣 私どもの国におきましては憲法上の制約がございますから、それに基づいて私は話し合いを進めてまいりたいというふうに思っております。
  159. 瀬長亀次郎

    ○瀬長委員 憲法上の制約というのはどういう制約であるか、明らかじゃないのですが、どういう憲法に基づいてそれを拒否するのか、はっきりさしてください。
  160. 丸山昂

    ○丸山(昂)政府委員 いまお話しのように、もし韓国が入るといたしまして、そこの防衛のために日本から自衛隊を派遣するというようなことになりますと、海外派遣、海外派兵という問題になるわけでございまして、それは当然憲法によって禁じられておるわけでございますから、そういうことはできない、こういうことでございます。
  161. 瀬長亀次郎

    ○瀬長委員 その意味で、いわゆる韓国も含むとなれば堂々と拒否するというふうに見ていいわけですね。これははっきりさしてください。
  162. 坂田道太

    ○坂田国務大臣 そのとおりでございます。
  163. 木野晴夫

    ○木野委員長代理 関連して中路君。
  164. 中路雅弘

    ○中路委員 いま坂田長官が総理との発言の関係でされた問題で一問お聞きしたいのですが、この委員会でも、しばしばシュレジンジャー国防長官と会って、先ほどお話ししたように、防衛の分担についてできれば何らかの取り決めをしたいということを発言されたわけですね。総理の発言は、いま瀬長委員からお話しのように、公式の取り決めをする考えはないのだということを発言されているわけです。瀬長委員が質問しましたように、坂田長官が取り決めの形にしたいといままでおっしゃったことをこの総理の発言は一応否定されたというふうに私たちも考えているのですが、きょうのいまの御答弁ですと、協定のようなものは結ばないんだ、しかし、そのほかに取り決めの形や合意の形や、あるいはお互いに確認し合うというようなこともあるというお話なんですが、そうしますと、総理が言っています協定を結ばないんだということは、私たちはいままでは、長官の何らかの取り決めをしたいというようなことを一応否定されたと思っていたのですが、やはり何らかの取り決めの確認、合意、こういうものは考えたいわけですか。
  165. 坂田道太

    ○坂田国務大臣 確かに協定というものははっきり否定されたと思いますけれども、私が申し上げまして、話し合いを進めていく。そして、先方のこともございましょうし、こちらの事情もございますけれども、でき得れば私が何らかの合意を得たい、そういうことでいく方針については、御議論のないものだというふうに了解をいたしております。これは、四月二日の上田議員に対する私のお答えの後におきまして、総理も、それを進めるということについては異論はないというような意味のことを申しておられます。もちろんその場合に、憲法上の制約というものは十分注意しろということが一つ。いま一つは、こういうような政府間同士における何らかの研究というものはやっておるかもしれないけれども、そういうようなことについても、文民統制という原則は決して逸脱はしてはならない、こういうようなことでございまして、私がシュレジンジャー長官とお会いをして、こういうような問題についていろいろ話し合いをするということ、そしてまた、もしでき得べくんば何らかの合意というようなことができるというようなこと、それに対して私が努力をしておるということは、御了解されたものというふうに私は心得ておる次第でございます。
  166. 中路雅弘

    ○中路委員 公式には協定の形はしないんだ、しかし何らかの合意や確認はあるんだということになれば、その合意、確認が表に出ないということならば、事実上の秘密協定みたいになるんじゃないですか。そういうことも考えられてないのですか。
  167. 坂田道太

    ○坂田国務大臣 だから、そういうようなことはまだこれからのことでございまして、どういうような内容を話したらいいのか、あるいはどういうようなものならば合意ができるのか、できないのか、その辺をいま事務当局に検討させ、かつ今度は、内閣全体としまして外務当局ともすり合わせをしなければなりませんので、その方針等については、十分また皆様方の御議論に私は答えて、明らかになりました段階においてお答えを申し上げたいというふうに思うわけでございます。私の方針だけはいま申し上げたわけでございまして、四月二日、上田議員にお答えいたしましたときと変わっておらないということでございます。
  168. 中路雅弘

    ○中路委員 念を押しますけれども、合意とか確認がされた場合、それはこういう合意があった、確認があった、それは協定でなくてもはっきりと公表されるわけですか。最後にそれをもう一問。
  169. 坂田道太

    ○坂田国務大臣 まだこれは内容がはっきりいたしませんので、何とも申し上げようがございませんけれども、私としては、できるだけひとつ公表できるようなものにしたいというふうに思っておるわけでございます。
  170. 瀬長亀次郎

    ○瀬長委員 いまの問題と関連して、外務省関係は後にいたしまして、駐留軍労働者の労働基本権について防衛庁にお尋ねします。現在の駐留軍労働者への攻撃の特徴点を明らかにする中で、駐留軍労働者の労働者としての基本権をどう守っていくのかということを問題点として明らかにしたいと思います。  いま駐留軍労働者は、沖繩だけではなくて全国的に解雇の問題が出ております。その攻撃の特徴を大体三つぐらいに集約できるのではないか。たとえば、一つば関東計画による横田への集中、これは空軍ですね。さらに相模原補給廠の補給修理部門のベトナム作業の整理・陸軍、佐世保の艦船修理部門の縮小・海軍など、基地の再編統合に基づく大量の人員整理。これは言うまでもなく沖繩の主として陸軍を含みます。これが攻撃の特徴の一つであります。もう一つは、アメリカの海外軍事費削減に伴う基地維持経費節減を目的とする手当の削減、退職金の切り下げや勤務時間の変更、時短を名目に賃下げを図る、定年制の切り下げ・六十二歳から五十八歳へ、パートタイム制への切りかえなど労働条件の切り下げ、これが二番目の特徴であります。三番目に年次休暇、有給休暇であります。年次有給休暇の制限、労働基準法、労働安全衛生法などを無視した作業計画の押しつけなどの労働強化。大体こういったような三つの、いま沖繩を含めて約三万おりますが、この労働者に対する攻撃の特徴があらわれておりますが、これは、もとをただせばその特徴は、基地労働者の雇用主は日本であります。この雇用主は日本の国である。日本政府であるが、作業管理権は契約上米軍が持っている。この矛盾から、こういった労働基本権、持っていると言われながら労働法がいわゆる基地内にほとんど及ばないということで、いま申し上げました特徴があらわれてきておる。  それを前提にいたしまして次の質問をいたしますが、第一に、米軍基地の再編強化に基づく一方的な大量首切り、これは雇用責任者である政府はどんな有効な手を打っているかという問題であります。すでに、沖繩では五官人の首を切るということを、先月の二十六日、デービッドという司令官が知事に会って報告しております。これについて、たとえば離職者対策センターに登録されている離職者、これは軍離職者の九〇%が登録されておるが「そのうち自分で再就職をしたのは、再就職した者のうち四〇%にすぎない。これは全駐労の執行部の話であります。さらに朝霞、ジョンソン両基地では、昨年、四百四十四人が職安に登録したが、就労できた者はわずかに二百十四人で半分以下。これは埼玉県職安課の調べである。沖繩では、解雇された後就職できた者は、四十七年わずかに一六・八%、四十八年、これも二二・二%にすぎない、こういった状況だ。  こういうアメリカの大量首切り、沖繩だけではなくて全国的にそういう米軍基地の再編強化、いまさっきお話ししました、あのベトナム後における日本の基地の強化に伴って大量首切りがこのように行われつつあるが、政府はいわゆる雇用者である。どういう有効な手だてをしているか、これをまずお答え願いたいと思います。
  171. 久保卓也

    ○久保政府委員 防衛施設庁関係で申し上げますが、駐留軍の従業員の解雇者がたくさん出る理由は、いまお話の中で二つであります。労務者を攻撃しているわけじゃありませんで、一つには基地が整理統合されているということであります。基地強化とおっしゃいましたが、基地が強化されると従業員が必要になるかもしれませんが、基地が御要望に応じてだんだんと整理されていく、その過程において整理従業員が出ておるという問題が一つ。それからもう一つは、われわれとしても非常に困るわけでありますが、米軍が経費の節減を求められている。それがもろに駐留軍施設及び駐留軍の雇用数にかかわっておる。この二つが大きな柱であると考えております。  そこで、私どもとしましては、いろいろな対策を考えるわけでありますが、まず基地の整理はある経度やむを得ないといたしましても、整理従業員の数をできるだけ少なくしてほしい。これは米側から従業員の解雇の予告が出る場合に、それが大幅なものである場合に、その都度米側に要請しておるわけであります。それから、その数を少なくする要望と同時に、これの配置転換、米軍の施設の中で他の部門に配置できないかどうか、そういうことについて再検討をお願いする。あるいは経費の面でやむを得ない場合に、パートタイムというのは、われわれとしても、労働条件の切り下げであり好まないところではあるけれども、フルで雇用する余裕がない場合に、やむを得ずわれわれの了承した範囲内においてパートに切りかえるということも了承する場合がございます。その場合でも、なるべくパートの時間を多くするとか、あるいは一定期間後にはパートタイムをフルに切りかえていく、もとの状況に戻していく。これは特にいわゆるIHA諸機関関係の従業員について多いわけでありますが、そういうふうなことを現に御承知のようにやっております。  そこで、その他の問題といたしましては、今回この五十年度の予算、これは四十八年度、四十九年度と最近退職者の数が非常にふえたものでありまするから、予算の上で手当てをしているわけでありますが、それの基本といたしましては、駐留軍関係離職者等臨時措置法、これがまず一本ございます。それにさらに昨年の四月には、中央駐留軍関係離職者等対策協議会、ここで総理府を中心に関係各省庁が協議をしておるわけであります。この中で、先ほどの臨時措置法関係の予算の中では、特別給付金の増額、これは従来は数年置きに金額の引き上げをやっておりましたが、ここのところ四十八、四十九、五十と毎年金額の増額を行っております。それから、在職中の職業訓練、これも種目とか町間数とか、そういうことの手当てを考えておりますし、さらにことしの新しい予算措置としましては、一定の資格以上の者についての受講者の奨励手当を支給しておるというようなこと。それから、先ほどちょっとお話も出ましたが、離職者の対策センターについての補助金の問題、こういった問題を一応私どもとしては予算の中で措置をいたしております。しかしながら、最近も組合の関係の方々からの陳情も受けましたけれども、これで十分であると私ども考えておりません。  そこで、五十一年度の問題としましては、従来のペースに乗ってある程度の予算をふやすというようなことではなくて、何か抜本的な予算措置を講じていくということを考えねばならないのじゃないか。その場合に、私どもも考えますけれども、組合の方々もひとつ知恵を出していただきたいということで、これは共同戦線で持ってまいるというふうにしております。しかしながら、それは五十一年度の問題でありますから、ことしも多くの解雇者が予測をされるという状況において、五十年度の予算はすでに決まっておるからしようがないのじゃないかということでも済まないような感じが私もいたします。  そこで、内閣もしくは総理府の方に御協議申し上げ、あるいは労働省とも提携をしまして、今年度でも何か措置ができないか。これは知恵をしぼり、かつまた予算の問題とすれば大蔵省とも相談しなければならないわけでありますが、まだ協議を進めておりませんので、ここで具体的な内容を申し上げたり見込みを申し上げる段階には至っておりませんが、気持ちとしてはそういう気持ちでおります。
  172. 瀬長亀次郎

    ○瀬長委員 米軍の駐留軍労働者の首切りについてですが、大体来年は何名ぐらい解雇するという予想がつくのか、そこら辺をはっきりさせていただきたい。
  173. 松崎鎮一郎

    ○松崎政府委員 軍隊の特性からなかなか長期見込みが立たないわけでありますが、五十年度予算を組みます際に、財政当局といろいろ関係者に打ち合わせました結果、約全国で五千人弱と推定して関係予算は組んでございます。
  174. 瀬長亀次郎

    ○瀬長委員 五千人のうち沖繩と本土が大体どのくらいの比率になっているか、これを答えてください。
  175. 松崎鎮一郎

    ○松崎政府委員 沖繩の関係は、比較的割合としては多くなるんじゃないかというふうに予想されておりまして、大体、半々くらいの計算になっておるようです。
  176. 瀬長亀次郎

    ○瀬長委員 次に、いま解雇された労働者の実際の生活は、大変な生活をしているのですね。私は、横須賀にも行き、沖繩にもこの前行きましたが、これは一例ですが、Aという人にしましょう。建設会社にあっせんされて就職をした。週に二日、長いとき三日仕事をした。そのために就職促進手当を打ち切られて、失業しているときより収入が減ってしまって非常に困っているという問題とか、さらに、修理工であった人は仕事に困って、嘉手納基地に行って、パートではなくて普通の労務者として雇われて、そのときにいわゆる天井張りしている。それで、天井張りしていたために、慣れていないので落ちて、即死ではないが翌日死んでいる。駐留軍労働者の解雇された後の生活が実に不安で、家族を養わなければいけないから、危険ではあっても慣れない仕事をやらざるを得なくなって命を捨てるという実例を、私、相当知っております。  こういった問題を考えるにつけても、現実に九月には、たとえば沖繩だけでも五百人、これは四百八十七人とかはっきり言っておりましたが、これだけ首切りが宣告されており、しかも復帰後解雇された者のうちで、平均仕事にありついたのはまず二五%足らずであるという実情。こういったような状態の中で、いわゆる離職者の問題については、これは政府として腰を据えて対策を講じないと、アメリカは一方的に首切るだけである。労働組合はあり、団結権、団交権もあるとはいっても罷業権ももちろんない。一遍条件を示されたら最後どうにもならない。どうにもなっている場合もありますが、全体として普通の企業に働く労働者と比べて、労働基本権はほとんど無視されている状態である。  そういうことでありますから、とりわけ沖繩の失業者は全国一なんです。これは失業率が五・二%ですから、全国平均の二・一%ですか、その倍、二万一千を超している。二万一千といいますと、あと百万しかいませんからね、全国で二百万以上の完全失業者がおるということになる。これは主として基地労働者、駐留軍労働者の解雇から来ている。もう復帰して三年、この三カ年で一万二、三千解雇されているということからも、沖繩の失業問題の中心的な課題は、結局、基地労働者の解雇と、それに対する離職者の救済の問題に集中すると同時に、国全体としての失業問題の対策の中でどう位置づけていくかという問題があると思いますが、このような離職者に対する問題について、何か基本的に施設庁としてどう考えているということがあれば説明してください。
  177. 久保卓也

    ○久保政府委員 沖繩の解雇者の失業者の中で、駐留軍従業員の方の数が多いということでありますが、いま聞きますと、いま沖繩で二万名というお話でありますが、六千九百が駐留軍従業員としての解雇者だそうであります。そしてまた、たしか一般の失業者の方に比べて、解雇後の国からの保険その他の手当てが、駐留軍の場合は手厚く保護されていると思うのですが、したがって、沖繩の失業者全般の問題としては確かに大きな問題であるし、これは一に県あるいは市町村に依存するだけではなくて、国として、政府として全体として取り組むべきであるというふうに考えます。  しかし、その中で駐留軍の関係者でありますから、その中での対策としましては、私ども先ほど申し上げたようなところでありますし、先ほどちょっと申し忘れたところでは、解雇後の見通しを得るために、できるだけ事前の解雇見込みというものを米側から早目にとることに努力しておりまするし、それから予告期間は九十日というものをとっておりまして、ここ二、三年ばかりの間に急速にこの点は改善されておるはずであります。そういうようなことでもろもろの手当てを尽くしつつも、なおかつそれでは不十分であるということは、私どもも十分認識しておりますので、どういう手が打ち得るか、いままで以上に質的に違ったことで何かやれないかということを検討したいというふうに考えております。
  178. 瀬長亀次郎

    ○瀬長委員 いまの話では、現実に解雇された労働者は実に非人間的な生活に追い込まれているにかかわらず、一応やってはいるが、さらにどう根本的にするかということはこれから検討中だ。私はそれでは遅いと思うんですね。検討している間にどんどん首切られた労働者は仕事がなくなる、人間らしい生活がだんだんできなくなっていくという実情でありますが、この問題についてお聞きしたいのは、これは昭和四十六年五月だったと思います。例の中高年齢者等の雇用の促進に関する特別措置法附則第二条によって、いわゆる緊急失業対策法、これはこの特別法の「施行の日前二月間に十日以上失業対策事業に使用されたもの及び労働省令で定めるこれに準ずる失業者についてのみ、その効力を有するものとする。」こういったことをされているために、これを改めて、新規の者に対する失業対策を打ち切ってしまったわけであるが、沖繩を初め全国的にも深刻な事態に失業問題が直面している現在、この枠をはずして、現在失業している労働者が失対事業につけるように何らかの方策を立てられないものかどうか。この点についてお答え願いたいと思います。
  179. 守屋孝一

    ○守屋説明員 先生まさに御指摘のとおり、現在の失業対策事業といいますものは昭和二十四年にできまして、その後幾多の変遷の中で昭和四十六年に御指摘の法律ができたわけでございます。その制定の際に、今後の失業対策の基本的なあり方として、いままでは臨時的といいますか、一時的にそういう就労の場をつくる、そうして就労事業を起こす中で失業者を吸収するという方式をとっていたわけでございますが、これを改めまして、今後はそういう失業者の方々には手当を支給して、そうして濃密な就職指導なり、あるいは職場適応訓練とか職業訓練というものを行いまして、より一層就職を促進するというような方式に制度自体を改めたわけでございます。これは先生御承知のように、国会におきましても非常に長時間にわたる御審議がございまして、そういう中で、今日に至るまでの経緯を見ましても、現在の失対事業の窓口を再び開くということは非常にむずかしいのじゃないかというように、私、考えております。  と申しますのは、その失対事業を検討いたしましたときに、これは今後の失業対策の基本的なあり方としてそういう手当を支給する、そしていろんな濃密な職業指導、職業訓練をやって就職を促進するのだということを基本にしたということでございます。したがいまして、一時的な景気の変動あるいは地域的な実情によりまして、この流入の窓口を再び開くということは非常にむずかしい問題であろうか。むしろ現在の駐留軍離職者臨時措置法に基づきまして、これらの援護措置をより有効に適切に活用してまいるという方向ではないかというように、私、考えております。
  180. 瀬長亀次郎

    ○瀬長委員 四十六年から始まったこの離職者対策だけでは現時点どうにもならぬ。むしろその枠を取っ払って、失業している労働者にそういう恩典を与えろ、そういう要求がだんだん強くなりつつあるわけなんです。いまの離職者の生活状況を本当につぶさに見れば、たとえば、国は雇用するが解雇された後の実態はつかんでない、ほとんど県の委託事務になっておるということでも明らかなように、この点については、どうしてもこの附則第二条の規定を取っ払ってもらわなければいけないということが、現実の失業者の要求の中からきわめて強く出ておる。この問題については、もちろん法律の改正も含まれるでありましょうが、何らかの対策を立てて、失業事業につけるような方向を拡大していく必要があるのじゃないかと思うのです。労働省の方でむずかしいということになれば、これは一体どうすればいいのか、この点、明らかにしてください。検討する余地なしということですか。
  181. 守屋孝一

    ○守屋説明員 実はちょうど本年度が失業対策事業そのものを五年ごとに制度検討するという時期に当たっております。先生のいま御指摘の点は、恐らく現在、失業対策事業の制度検討の時期でもあるし、この点も含めて検討したらどうかという御指摘かと存じます。  私どもも、当然、現在の失業対策事業、これについての将来方向について検討はしてまいりますが、しかし、その検討に当たりましては、過去経緯なり、また、いままでの長い沿革ということを無視することは非常にむずかしゅうございます。先ほども申し上げましたように、この失対の流入ストップの規定といいますものは、その経緯から見まして、いわゆる一時的な景気あるいは地域的な事情によってこれを改正するというのではなくて、いわゆる失業対策の基本的な方針といたしまして、中高法の制定、あるいは炭鉱離職者臨時措置法、あるいは駐留軍離職者臨時措置法にも見られますように、手帳制度というのが今後の対策の根幹になるということでございます。したがいまして、対策自体が要らないということを申し上げておるのではなくて、対策の手段面での基本的なあり方というものをそのように変えたわけでございますので、いままでの臨時的な就労の場をつくるという方式から、手当を支給して安定した一般雇用の場へ一日も早くついていただけるように就職を促進するという方式をとっていく。しかもそれは、従来からの対策経験にかんがみまして、そういう立法措置を確立したわけでございます。私ども、現在の失業対策事業というのは、四十六年の際、いままでの過去経緯も踏まえまして、これを部分的に残したということでございますので、これを再び制度的に開くということは非常にむずかしいということを申し上げているわけであります。
  182. 瀬長亀次郎

    ○瀬長委員 この点については、さらに後で追及することにいたしまして、次に特定地域開発就労事業、これは沖繩を初め特に失業者の多い市町村にありますが、この特定地域開発就労事業を拡大して、事業主体の地方自治体に負担がかからないよう、すべて国の責任でやるようにすべきではないかという声が全般的に起こっておると私、見ております。現在は国の補助が三分の二、自治体が三分の一になっております。これをできるだけ全額国で負担するという方向、もしそれがすぐできないにしても、いわゆる超過負担をかけないような方向で推進していかなければ、この特定地域開発就労事業ということが進まないような状態になっておる。  これは田川市の問題でございますが、たとえば四千六百円の単価でありますから、これが三分の二であるので三千二百円しか国から補助がない。しかし実際は七千二百円の単価がかかったということで、四千六百円からすると、差し引き二千六百円の負担増ということになっており、これは田川市だけではなくて、全国的にいま申し上げました特定地域開発就労事業の問題は前進していない点があります。その点について、地方自治体に負担がかからないように国で全額負担する方向、もし全額負担できなければ、いま申し上げました超過負担をせめて国が補助していく、増額していくという方向がとれないかどうか。この問題についてお答え願いたいと思います。
  183. 守屋孝一

    ○守屋説明員 いまの特開事業の御指摘は、多分九州の田川地区を中心にしてのお話かと存じます。そもそも失業者を吸収するための就労事業を起こします場合、それをすべて国が行うのか、あるいはどのように分担するかという問題になりますと、これは地方自治法でも明らかなように、国の分担と、また市町村、いわゆる地方公共団体との間で、ともに失業対策を進めていくということもございますので、すべてが国の負担ということにはなかなかまいらぬ問題があるというように、私、考えております。  いま先生御指摘の超過負担問題でございますが、四千六百円と先生おっしゃいましたのは、これは実は四十九年度の単価でございまして、現時点におきましては五千八吾円で実施しております。もちろん、現在、田川地区におきましては、その実施する事業の選定等いろいろ問題もございまして、間々超過負担を生じやすい実情になっておるということは、私どもも十分承知しております。この問題につきましては、市町村に対して国が補助するという形でこの仕事を進めております関係上、市町村財政がこの問題で悪化するということは、われわれ労働省にとりましても非常に大きな問題でございまして、過去におきましても、単価の引き上げという点につきまして、われわれはより適正な単価になるように努力してまいったつもりでございますが、今後ともにこの努力は続けてまいりたいというふうに考えております。     〔木野委員長代理退席、委員長着席〕 個々の事業について単価を幾らでも上げればいいというものではちょっとございませんで、あくまでもこれは就労の場をつくるというのが前提でございますから、そういう意味合いにおきまして、より適正な単価になるように今後ともに努力していきたいというように考えております。
  184. 瀬長亀次郎

    ○瀬長委員 いま地方自治体の財政が非常に困窮しているということは事実でございます。この点について、制度上これは三分の二国庫補助でありますから、この田川市の問題を取り上げたのは、ただ一例こういった例がある、そういう場合にはこれだけいわゆる超過負担をしたという指摘なんです。これがせめて超過負担を軽くするような方向での努力くらいは労働省やってもらわなければいけないと思うのですが、いかがですか。
  185. 守屋孝一

    ○守屋説明員 この超過負担が起こる原因につきましては、これは一言で言えないいろいろ複雑な理由もございます。私どもといたしましては、極力超過負担が起きないような事業をやってもらいたいということを申し上げておるわけでございます。もちろん私どものやっております事業につきましては、一人当たり今年度で五千八百円という単価でやっておりますので、公共事業と同じように考えられて、それでりっぱな橋梁をつくるとか、あるいはすばらしい道路をつくるということになってまいりますと、どうしてもこれは超過負担というものが出ざるを得ない。そこで、地域開発にも貢献し、また失業者の就労の場に役立つというような観点から、今後ともにこの事業の選定には十分意を用いてまいりたい。そうして極力、これは結局単価をいかに適正にするかというのがすべてのポイントになりますので、そういう面からも努力してまいりたいというふうに考えております。
  186. 瀬長亀次郎

    ○瀬長委員 いまの労働省の考え方自体の中に、反自治体、反労働者的な考え方があるということを知りました。適正単価、適正単価と言って、そこで枠をはめていく。いま申し上げましたように、適正単価であっても、いざ事業を執行する場合にどんどん物価が上がってくる、そういうことで当然超過負担がかかってくることが予想されるし、事実あるのです。これに対して、何ら親心的な答弁ではなくて、適正単価の枠でやれといったような姿勢は、これはちょっと受け取れない。この点に対しての追及は後に回します。  次に、基地労働者の労働災害問題について触れます。  これは神奈川県渉外部の調べでありますが、労働条件の切り下げ、労働強化によって基地労働者の労働災害が非常に増大しておる。労働災害による死傷者、これは昨年四月からことしの三月までに八十四名。うち死亡者が三名出ておる。一カ月以上の治療を要する者がそのうち十四名。さらに、横須賀や厚木など神奈川県内の米軍基地労働者約八千九百人、これは三月末現在でありますが、そのうち百人につき一人が労働災害に遭っている。  実例を申し上げますと、厚木基地で昨年十二月、猛毒の四アルキル鉛中毒で日本人労働者二人が死傷しております。基地内立ち入りが制限されているため、事故の責任が明確にされず、死亡した労働者の遺族に対していまだに公務災害上の補償金が支払われていないという実情である。この問題について、地位協定十六条は日本国の法令を尊重する義務をうたっているのであるから、政府は、日本人の生命と安全を守るため、随時労働基準監督官が基地内に立ち入り調査ができるよう米側に要求する必要がある。たとえ基地内の管理権がアメリカに握られていても、こういった日本国民の健康、安全を守るための日本の労働法に基づく基地内立ち入り、これがどうしても必要になってきているのではないかと思うのです。これは施設庁でしょうか。
  187. 松崎鎮一郎

    ○松崎政府委員 お答えいたします。  先ほど統計的な数字を申されましたが、私どもが把握しております労働災害の発生状況の要点を申し上げますと、これは全国でございますが、四十六年度死亡三人、四十七年度死亡六人、四十八年度死亡二人、四十九年度死亡四人ということで、そのほかに、たとえば休業が四日以上とか、そういう者の合計を見ますと、四十六年度二百三十七、四十七年度二百九十二、四十八年度二百二十五、四十九年度百六十六でございまして、別にそう特別な変化があるというふうには考えておりませんし、全体的には下がってきているように思っております。  それから、個別に申されました厚木の関係でありますが、厚木の事故と申しますのは、昨年の十二月、小柴貯油施設の従業員の岡崎さんという方が、厚木基地に出張して燃料タンクの清掃を行ったが、その後気分が悪くなりまして入院されました。初めはそれほどひどい問題ではないというふうに現地では考えておったようでございますが、二十日ばかりたちまして、その後容体が変化されまして、二十七日にお亡くなりになったというふうに私どもは承知しております。  これにつきましては、初めはそうひどい事故ではないのだろうという想定で進めておりましたが、どうも途中で容体がお変わりになった関係もございまして、直ちに米軍側へ安全対策の強化ということを防衛施設庁としても申し入れますとともに、権限のある調査官という意味で、厚木の労働基準監督署から二十七日に基地の立入調査が行われております。この立入調査が十分行われないのではないかという御質問が先ほどあったようでございますが、この立ち入りの問題につきましては、労務関係の契約とか協約とかが日米間でできておりますが、その中に規定がございまして、さらに、特に事故の問題については緊急を要するものでございますから、改めて四十八年でございましたか、日曜日とか、あるいはアメリカの休みの日とか、そういうときでもすぐ連絡がとれるようにということを、私どもの方でアメリカ側と打ち合わせまして、一々各基地に連絡将校をはっきりさせる。だれに連絡するかということですね。それで、そういう事故が起きましたときの連絡は迅速にとれるようになっております。たとえば、最近、横田等で死亡事故が起きておりますが、その場合の労働基準監督署の立ち入りは翌日直ちに行っておりますし、警察はその日のうちに立ち入っております。
  188. 瀬長亀次郎

    ○瀬長委員 次に、年次有給休暇の問題について説明してもらいたいのでありますが、年次有給休暇について、いま米軍政府はどのような措置をとっておるか、説明してもらいたいと思います。
  189. 松崎鎮一郎

    ○松崎政府委員 年次休暇の問題につきましては、アメリカ側と現在年次休暇に関する協定の改正方を協議中でございます。それで、最近の最高裁の判決によりまして、年次休暇をとります場合に、従業員から申請があり、これに対して、管理者側として時期変更権を行使しない限りは、いわゆる承認というような行為は要らないというような趣旨の判決がございましたので、そのように改正するように協議中でございます。現行の契協約はいわば公務員方式といいますか、私ども公務員は現在でも承認が要るわけでございますが、それと同じように管理者の承認を得て休むという仕組みになっておりますが、承認という行為は要らないじゃないかということをいまアメリカ側と話しておりまして、そのことについてはほぼ了解を得つつございます。  ただ問題は、日数の計算の仕方につきまして日米間に解釈の相違がございまして、まだ妥結に至っていないのは大変遺憾でございますが、これについては、できるだけ早く問題を解決するように見直しの上努力中でございます。
  190. 瀬長亀次郎

    ○瀬長委員 とりわけ沖繩でいま五百人解雇されるということと関連して、年次有給休暇の問題で、たとえば半年しか勤めていない人は十日間しかもらえないというふうな解釈で、どんどん首を切られていく。これはどうしても改めて、旧来やっていたような方向で、二十日間もらえるような努力を政府の方でやってもらわなければいかぬじゃないかといったことが、ほとんどの駐留軍労働者の意見になっておるわけなんです。これに対する努力と見通しはどういうものであるか、はっきりさせてもらいたいと思います。
  191. 松崎鎮一郎

    ○松崎政府委員 先ほどお答えしましたとおり、日数の計算の仕方につきまして、アメリカ側は満一年について二十日間というようなことでございますので、それをいわば月割りといいますか、一カ月当たり十二分の二十日の休暇権があるという考え方をとっております。それで、いまおっしゃいましたように、たとえば半年たちますと十日間というような計算が生まれてくるわけでございますが、私どもはいま、それをそういう計算でなくて、少なくとも国内の基準法とかそういうものと合わせたとり方ができるようにということを協議中でございまして、なかなか実はその話がつきませんので、私自身、今度は各軍の参謀長クラスのところに行ってお話をしようと考えている段階でございます。
  192. 瀬長亀次郎

    ○瀬長委員 アメリカ局長がお見えになったので、防衛庁長官に聞きましたものと関連して外務省の見解をお聞きしたいのは、ブラウン米統合参謀本部議長が去る二月に米下院軍事委員会に提出をした報告書、この中で、「日本が自国並びに隣接地域の防衛に適当な戦力を維持することにより、平和と安全へのわれわれと共通する利害関係を築き上げるよう同国を力づけることは、わが国にとって利益である」ということを言っておりますが、この場合に、これは防衛庁長官に聞いたわけですが、いわゆる海域の問題との関係で、隣接地域というのは韓国あるいは台湾を含むのかどうか、これを明らかにしてほしいのです。
  193. 山崎敏夫

    ○山崎(敏)政府委員 このブラウン統幕議長の報告はわれわれも読みましたが、いま仰せられましたことにつきましては、英語の原文では「コンティニュアスエリアズ」というふうに書かれております。これはもともとアメリカ側の日本に対するいわば希望を述べたものでございまして、われわれとしてはそういうものとして受け取っておるわけでございますが、この中で書いております「ジャパニーズホームランド・アンド・コンティニュアスエリアズ」という意味がどういう意味であるかということは、われわれも注目いたしましたが、この意味は、私たちの解しますところでは隣接海域と訳すべきものだと思います。地域ではなくて海域と訳すべきものだと思います。  そう考えましたのは、一つは、これは御存じかと思いますが、領海及び接続水域に関する条約というのがございます。この条約のタイトルに「コンベンション・オン・ザ・テリトリアルシー・アンド・ザ・コンティニュアスゾーン」というのがございます。この接続水域というのは、領海に続いて一定の区域に限ってその国が一種の管轄権を行使できる地域でございますが、関税の取り締まりとか、そういうふうなことでございますけれども、そういうふうな意味でこれは隣接海域と訳すべきではないかと思います。  なお、この点につきましては、われわれもさらに、在京の米大使館の人とたまたま会う機会がありましたので、われわれはそういうふうに解しておるがどうだと言ったら、彼らの方でも、それは当然そう解すべきものであろうということを言っておりましたことを申し添えます。
  194. 瀬長亀次郎

    ○瀬長委員 これはアメリカ側も、いわゆる海域であって地域ではないといったような解釈ではよろしいということを言っておるわけですか。
  195. 山崎敏夫

    ○山崎(敏)政府委員 別にこれは向こう側とわれわれと取り決めた文書ではございません。単にブラウン統幕議長が一つの報告書の中で使っておる言葉でございまして、それについて私ども余り責任は持てませんけれども、英語の解釈としては、これは隣接海域と訳すべきであろうとわれわれは考え、そして念のために大使館におる人たちにも、あなた方の英語の読み方としてはどうだということを聞いてみましたところ、その人たちも、それは当然隣接海域と訳すのが素直な訳であろうということを言っておりました。その傍証としても、先ほど申し上げたように、領海及び接続水域に関する条約の表現があるということを申し上げた次第でございます。
  196. 瀬長亀次郎

    ○瀬長委員 次に、防衛庁にお聞きしたいのですが、沖繩の海洋博は来月の十九日が開会式であるわけですが、そこに自衛隊の音楽隊を派遣するということがうわさされており、もうすでに新聞にも発表されております。この期間中の各国ナショナルデーの音楽演奏は自衛隊の音楽隊が持つことになりそうだというようなことが報道されておりますが、ことさらに、自衛隊に対する県民の感情を逆なでするような、自衛隊の音楽隊が今度派遣されるということについては、いま県民は非常に反対の感情を持っておりますが、この報道は事実であるか。あるいはまた派遣するつもりであるかどうか。この点を明らかにしてほしいと思います。
  197. 丸山昂

    ○丸山(昂)政府委員 沖繩の国際海洋博覧会の開会式等に自衛隊の音楽隊を派遣いたしまして演奏協力をするということにつきましては、財団法人沖繩国際海洋博覧会協会から非公式に打診がございまして、ただいま事務レベルで検討中であるということでございます。  どういう内容であるかと申しますと、開会式と閉会式の式典におきます演奏、参加各国のナショナルデーにおきます国歌なり音楽を演奏するということでございまして、陸上自衛隊の中央音楽隊、海上、航空各自衛隊の音楽隊で、ナショナルデーには大体二十回ぐらいを予定されておるようでございます。最初に申し上げましたように、ただいま事務レベルで検討中であるということでございます。
  198. 瀬長亀次郎

    ○瀬長委員 後で私は、海兵隊その他沖繩の基地におる駐留軍の本当に暴虐きわまる振る舞いについて外務省にお聞きするわけですが、そういった状況の中で、何がゆえに自衛隊の音楽隊まであの海洋博に派遣しなければならぬか、これは沖繩県民は非常に理解に苦しんでおるのです。これについて、そういったような状況の中で、さらに自衛隊の音楽隊まで派遣して演奏させることが国策として本当に正しい方向であるのかどうか、これはよほど考えてもらわぬといかぬと思いますが、長官、いかがですか。
  199. 坂田道太

    ○坂田国務大臣 いま防衛局長がお答え申し上げましたとおりに、沖繩国際海洋博覧会の開会式等の式典に自衛隊音楽隊の演奏協力について、財団法人沖繩国際海洋博覧会協会から非公式に打診があったわけなんですね。御承知のとおりに、オリンピック大会が開かれましたときにも、自衛隊に音楽隊の要請があって、たしか中央音楽隊が行っておるわけなんですね。沖繩からぜひ来てくれと言われた場合に、私どもとしましては、こちらで支障がなければむしろ御協力を申し上げる、それは海洋博覧会が非常にうまくいくということにつながるだろうというふうに素直に思うわけなんでございます。
  200. 瀬長亀次郎

    ○瀬長委員 時間がございませんので、これについて議論をいたすのをやめますが、ただ、これだけは申しておきます。沖繩の米軍の暴虐について次々話しますが、沖繩の状態は大変な状態になっておる。これは配慮の上、トラブルメーカーみたいなことにならぬように――自衛隊の音楽隊が沖繩に入る場合には、必ず何らかの形の反対闘争が巻き起こることはもう火を見るより明らかであります。この点を考慮されて、自衛隊の音楽隊は海洋博に派遣しないよう私は強く要望して、この点は終わります。  次に、これは防衛庁長官が言ったことを繰り返して申し上げますが、VFWの問題であります。沖繩の牧港補給基地との関係で、アメリカ退役在郷軍人クラブ、これをVFWと言っておりますが、四十九年五月十六日の内閣委員会で、当時の山中防衛庁長官が、このVFWの措置についてはどうも日本政府にミスがあった、だから日本政府として責任をもってこの問題を解決したいとはっきり言っております。もう一年以上たちますが、これは解決のめどさえついていない。地主たちが米国土地損害補償請求審査委員会にかけたら却下された。これは政府の示唆に基づいてやったら、われわれ審査委員の権限ではありませんと言って却下された。地代が三カ年間で約四千万円くらいになっておるそうでありますが、この地代の補償、さらにVFWの事務所の即時撤去を要求しております。これは当時の山中防衛庁長官が、政府の責任としてやるのだということをここではっきり証言しています。現在の防衛庁長官も、その約束どおりこの問題については責任をもってやられる意思があるかどうか、これだけ承っておきたいと思います。
  201. 久保卓也

    ○久保政府委員 お話しのように、当委員会におきまして山中元大臣が、従来の経緯にかんがみて非常に責任を感じる、誠意をもって処理してまいりたいというふうにお話しになったわけであります。その際、山中元大臣のお話では、訴願の当事者にでもなってというお言葉もあったようですが、現実には、いまお話しのように、米国土地損害賠償審査委員会に当事者の地主側から申請をされまして、この五月に管轄権がないということで却下されたわけであります。この間、外務省の方は米国政府側に、そしてまた施設庁はVFWあるいは地主側と接触をしながら、この審査委員会におきまして適切な判決が出ることを期待したわけでありますが、私どもの期待に反してこういう結果になったということであります。  今後の問題といたしましては、この問題の処理についてさらに米政府側に強く働きかけるという問題もあります。それからこの審査委員会について、さらに本国に上訴をする余地もあるそうでありますが、この点についての現実性の有無――これは地主さんの御希望もありましょうし、そういった問題も考えられます。そういうようなものができない場合に請求権事案になり得るのか得ないのか。これは御承知のように、昨年の五月でありますか、安里議員に対する総理の答弁書の中で、本件については、米政府と地主、あるいは少なくともVFWと地主の間の問題であるという基本的な姿勢が示されておりまするので、直ちに請求権事案になり得るのかどうか、これはいまの総理の回答書と少し違ってまいりますので、検討しなければなりませんが、そういうことの関連も改めて検討する必要もありましょう。いずれにしましても、地主方と協議をし、どういうことが可能であるかということを、いまの審査委員会における却下を踏まえて検討してみたい、かように考えております。
  202. 坂田道太

    ○坂田国務大臣 ただいま久保施設庁長官から申し上げましたとおり、この問題につきましては、前長官でありました山中長官も、責任を持ってこの解決に当たるということを申しておりますので、私も引き続き誠意をもって解決に努力をいたしたいと考えております。
  203. 瀬長亀次郎

    ○瀬長委員 この問題は、戦後処理の問題、放棄請求権の問題とも関連するのじゃないかと思いますが、五月十五日の返還時点ではA表に入っているということであったが、九月になってから防衛施設庁が、これははずされたんだということを四カ月後に言った。それから地主は初めて知って大騒ぎをしたという経過があります。その点を当時の山中長官は率直に認めた上で、この件はやはり政府の責任でやらなくちゃいかぬということを言われたし、あの点は非常にきつい言葉も言われました。もし地主が承知するのであれば、なに自衛隊の力をもって物理的につぶすこともできる、というふうなことも言っている。これははっきり会議録に残っております。  これはともかくとして、現在まで三カ年間、このVFW、これはいま、スロットマシン、あるいは飲食店、遊技場を中心として、いままで麻薬の巣窟にもなっていたのではないかといううわさすら出ているところであり、地代も払わないで三カ年間営業しているという状態である。こういう状態であるから、山中前長官と同じような姿勢で坂田防衛庁長官が引き続き誠意をもってやられるという御答弁ですから、その方向でぜひ早急に解決してもらいたい。しかも三カ年になるということを要望して次に移ります。  次は、これはアメリカ局長が来ておられるので特に外務省にお尋ねしますが、この件は警察庁もお見えになっているそうでありますので、警察庁にもお尋ねしたいと思います。  実は六月十一日夕刻、この前、二少女の暴行傷害事件を起こしたその金武村、そのまた海兵隊なんです。これが「金武村の米海兵隊キャンプ・ハンセン基地前で十一日夜、路上に車座になって酒を飲んでいた米兵十数人が通りかかったタクシーに空きびんや石を投げ、窓ガラスを割るなどの乱暴をはたらき、タクシー運転手など日本人数十人がこれに抗議して米兵らと集団で対立するという事件が起きました。」そこで、タクシーの後ろ側のガラス窓を全部めちゃめちゃに壊されたというふうなことで、この前二少女の暴行事件があって、自民党に属する議員すら含めて米海兵隊の撤去を要求したそのさなかに、またこういうふうなことが出て、住民が全部集まりまして、そして抗議する中で、いま申し上げました海兵隊員は、とうとう基地内に逃げてしまったものだからどうにもならぬ、こういうことが起こっておるんですが、現地の新聞は、きのうの夕刊は二つとも一面トップ記事で、また起こったというふうな――もちろん暴動寸前とかいうふうな言葉遣いはないにしても、非常に住民との対立感情が生まれ、ちょっと触れると発火するというところまで来ておる。しかも、同じ海兵隊がそのキャンプ・ハンセンの前で車座になって酒を飲んでいるものだから、路上ですからね、車はどうしてもよけて通らぬといかぬ。よけて通ろうとしたらビールびんやその他で窓ガラスをぶち割る。こういった中でこういうことが起こっておるんですね。  私、お聞きしたいのは、海兵隊司令官の告示の問題がありましたね。あの二少女暴行事件が起きたときに、原文を山崎局長に示しまして、これはおかしいじゃないか、というよりはむしろ逆じゃないか、アメリカの司令官はむしろわれわれの自由を束縛するということから始まって一日本人の基本的人権の問題にさえも触れていないということを言ったときに、そういった点の軍紀の問題について再度申し入れをするということを言われましたね。この申し入れをされたのかどうか、これをまず明らかにしてほしいと思います。
  204. 山崎敏夫

    ○山崎(敏)政府委員 お示しいただきましたビラに関しましては、私も早速読みまして、これはアメリカ側としても非常に反省が足りない、ことに沖繩の方々の人権に対する尊重という気持ちがにじみ出ていない文書であるというふうに感じましたので、その後早速アメリカ大使館のシュースミス公使に対して私の意を伝えまして、こういうことでは幾ら口で軍紀粛正と言っておっても末端まで徹底していないと思わざるを得ないということを強く申し入れました。シュースミス公使も、まあアメリカ側としてはもちろんいろいろ弁護はいたしておりましたけれども、確かに少し反省の足りない点があるということは認めまして、現地の海兵隊司令官に対しそれを伝えて、さらにそういう軍紀の粛正を図るとともに、沖繩の方々の人権を尊重し規律正しく行動するように伝えるということを約束した次第でございます。
  205. 瀬長亀次郎

    ○瀬長委員 これはいつですか。
  206. 山崎敏夫

    ○山崎(敏)政府委員 いまちょっと日を忘れましたが、私は土曜日、シュースミスを呼んで話したわけでございます。これはこの問題が非常に問題になりました直後でございました。日はいまちょっと失念いたしましたが、調べた上でお答え申し上げます。
  207. 瀬長亀次郎

    ○瀬長委員 私がその日にちを聞きますのは理由があるんですよ。あなたが言ったことはまあまあ認めます。言ったにかかわらずこの司令官は全軍に何も言ってない。その証拠が十一日のこの運転手集団襲撃事件になってあらわれている。問題はここにあるんです。あなたが、外務省が大使館を通じて言われたことについて疑義は持たないでおきましょう。まあ日にちもいいです。ところで、言ったにかかわらずこのような行いが――もう全段抜きですよ、向こうの新聞は両方とも。しかもラジオは放送する。それはそうなりますよ。この前起こったそのキャンプ・ハンセン、しかも十数名がこういった事態を起こすということになりますと、これはもう、県民は立ち上がって基地撤去を要求しろということをアメリカ自体が示していることになりますよ。  この問題は、いわゆる布告との関係があって、外務省がどういうことを強く申し出ようが、海兵隊、いわゆる在沖繩米軍は聞こうともしない、ますます犯罪は起こる一方だということを現実の姿で示している。きょう内閣委員会があって質問の時間があるというのに、まさか私はこんなことを質問するつもりじゃなかったのですよ。ところが、現地から電話があって、また新聞が来ているということで、最初にこれを取り上げざるを得ないほど、もう沖繩の米軍はオオカミとなっている、これが現地の受け取り方なんです。この点について、警察庁はいまの事件を御承知か、ちょっと……。
  208. 金子仁洋

    ○金子説明員 警察庁には、沖繩県警察から現時点における報告が入っております。それによりますと、事件は六月十一日午後九時三十分ごろ、沖繩県国頭郡金武村字金武六三一六番先路上で発生いたしておるのであります。  事件の内容は、地元タクシー運転手の宜野座新助さん、三十三歳が、タクシーを運転して通行中、幅員約七メートルの道路上でありますが、いっぱいに広がって数十名の黒人がウイスキー様の飲み物を立ち飲みをしておりました。それを発見し、警笛を鳴らしましたところ、黒人は道路の両側によけたそうでありますが、宜野座さんが徐行しながら通り過ぎようとした際、タクシーの左右両側のドアを数名の黒人からけられたという内容でございます。  そこで同人は警察官に通報しょうと思い、約一キロメートル手前にある石川警察署金武幹部派出所に行こうとしてUターンをいたしました。再び先ほどの場所に差しかかったところ、今度は黒人から石やガラスびん等を投げられたためタクシーの後部ガラス一枚が割れたということでございます。  そこで同人は、非常用の合図として使われているタクシーのキャップライトという防犯灯がございますが、それを点滅させながらこの場から離れるとともに、同僚のタクシー運転手に警察への通報を依頼しているのであります。  また、これを見たタクシーの運転手、付近の住民が、約四十名ほどでありますが、現場に駆けつけた。それで黒人のグループはその場から逃げ出したのでありますが、付近の在沖米海兵隊キャンプ・ハンセン第二ゲート近くの国道三百二十九号線路上で、先ほどの約十名の黒人とタクシー運転手と約四十名が対峙して、数分間にわたりまして双方とも石を投げ合い、黒人グループが基地内へ逃げ込んだというのであります。またこの投石により、タクシー運転手一名が右ほおに一センチの傷を生じ、タクシー二台が屋根とドア等を破損したという被害が生じております。
  209. 瀬長亀次郎

    ○瀬長委員 以上、警察庁でも認めておられますが、問題は、私、局長にもう一遍聞きたいのは、何遍言ってもアメリカは起こすのですね。一体全体外務省は、これをどうすればいいと思っているのか。対米折衝、この点を明らかにしてください。
  210. 山崎敏夫

    ○山崎(敏)政府委員 先ほどの、私がシュースミスに申し上げました日は五月二十四日でございます。今回の事件に関しましてはいま警察庁の方から御報告があったようでございますが、全面的な事実関係はまだ判明していないということでございますので、この点につきましては、その事実関係の究明を待ちまして、その状況に応じて、われわれとしても米側に申し入れる所存でございます。  ただ、こういう事件が後を絶たないということは、われわれとしても非常に遺憾に存じます。われわれといたしましては、先日来の一連の事件に関して、何回かにわたってアメリカ側に申し入れをしておるわけでございます。これは御承知のどおり合同委員会でもいたしましたが、さらに異例なことではございますが、五月十三日には外務大臣がホッドソン米国大使に対して、金武村の少女暴行事件に関して、軍紀粛正、再発防止方を特に申し入れられたわけでございます。さらに、これはちょっと日を正確に覚えておりませんが、ホッドソン大使が井出官房長官にあいさつに参りましたときに、同大使の方から井出官房長官に対して、最近そういう一連の事件が起こっておることは非常に遺憾であって、自分も全力を尽くして在日米軍の軍紀粛正方について伝えておる次第であるということを言っておった由であります。  そういう意味で、米国側としても、最高レベルにおいてこの問題をきわめて重視しておりまして、できるだけの措置をとっておるわけでございます。それにもかかわらずこういう事件がまた発生いたしましたことは、われわれとしても非常に残念に存じます。それぞれの事件について、その結果の判明を待って、必要に応じてアメリカ側に対してさらに強く申し入れてまいりたいと存じます。
  211. 藤尾正行

    ○藤尾委員長 ちょっと委員長からアメリカ局長に申し上げますが、この問題と関連をする前回の金武村におきます二少女の暴行事件につきましては、委員長から内閣総理大臣にあてて抗議を申し入れまして、内閣総理大臣から外務大臣並びに外務省に適当な措置をとって報告をせいということを命令をしたはずだと私は聞いております。そうですね。その事実に間違いありませんな。
  212. 山崎敏夫

    ○山崎(敏)政府委員 藤尾委員長からの申し入れがありまして、それを受けて、私も直接総理大臣に呼ばれまして、この点についてはアメリカ側に強く申し入れるようにというふうに御指示を受けまして、われわれもそういう措置をとった次第でございます。
  213. 藤尾正行

    ○藤尾委員長 にもかかわらず、あなた方が強い措置をおとりになって、そうしてそれが一向に何の効果も上げ得ない、またそれに対して上げられるような措置がとれないということになりますと、当委員会といたしましても、また日本の国家の権威から考えましても、これは捨ておけない問題になる、私はさように思いますが、アメリカ局長は、今後この種の問題についてどのような措置をおとりになるつもりですか。これはケース・バイ・ケースに、起こった事件に対して抗議をする、また抗議をいたしました、また抗議をいたしましたで済みますか。これは済みませんよ。あなた方にその力がないと言われるなら、それじゃ私がやりましょう、国会の名において。どうされます。内閣総理大臣の名においてやったことが効果が上がらぬということになったら、一体どういうことになりますか。性根を据えてお答えください。
  214. 山崎敏夫

    ○山崎(敏)政府委員 御趣旨をよく体しまして、大臣にも報告の上、われわれとしてもさらに対策について検討いたしたいと思います。
  215. 藤尾正行

    ○藤尾委員長 直ちに私並びに瀬長委員に報告をいたさせますから、この件につきましては、一応委員長にもその責任をお預けをいただきたい、そう思います。
  216. 瀬長亀次郎

    ○瀬長委員 委員長のいまの御発言、了とします。  次に、同じ事件がまた起こっていることについて申し上げますが、海兵隊MPの日本人報道記者の基地内連行事件の問題について、この前、決算委員会でも質問をしましたが、これは琉球新報の高嶺朝一記者でありますが、その琉球新報を代表して編集局長がアメリカ大使館のコバヤシ一等書記官を訪ねていった。一等書記官の答えは、事件中であるので正確な発言はできないがという前提をしながらも、どういうことを言ったかというと、憲兵のやったことは沖繩県民に被害を与えちゃいけないということで実はその行いをやったんだということを言い、少しの反省も示さないどころか、基地内に連行したこと自体を合法化するようなことでやっております。現実に私は高嶺朝一記者に会いました。  アメリカ人報道人と日本人報道人の二人であります。アメリカ人報道人は空手六段で、高さが六尺豊かもあるものだから、この人にはMPは何にもしなかったそうです。やればどうなるかわかりますから。高嶺君について、催涙ピストルをこの目のところへ向けてしゅうしゅうやって、両眼が見えなくなった途端にジープに乗せていった。そして、私その件でシルベスター総領事にも会いましたが、そのシルベスター総領事すら、両方悪いのだというような見解をとっておる。しかもこれは暴行されておる。にもかかわらず、いわゆる地位協定十七条十項の(b)、それによると米軍軍事警察の権力の及ぶ範囲を決めているが、この点については山崎アメリカ局長も、これはアメリカの協定違反であるという点を私にも言われました。正しい解釈に立っておると思いますが、いま聞きたいのは、もう大使館自体が、総領事自体が態度を非常に硬化させているというよりは、むしろその行為、アメリカの憲兵がやったことが正しい。このアメリカの憲兵は海兵隊の憲兵で、一般の海兵隊員よりは法律もようわかっておるわけなんです。これに対しアメリカ大使館のコバヤシ一等書記官は、むしろ憲兵のやった連行事件は正しいのであって、あなた方はおかしいじゃないかといったようなことをぬけぬけ言っておる。  こういったような姿勢が新聞に発表される。発表されるものだから、海兵隊ますますおかしいかっこうになって、沖繩に住む日本人を何とも考えてない、虫けらにも考えてないというふうな、これは一連のつながりがあるのですが、あれは深田参事官でしたか、決算委員会で、この件については大使館に強く申し入れをする、照会をするということを言っておりますが、この点について山崎局長の答弁をお願いしたいのです。これはいま申し上げましたこの海兵隊の集団暴行事件と関係があります。はっきりさせてください。
  217. 山崎敏夫

    ○山崎(敏)政府委員 まず、シルベスター総領事と瀬長委員とお会いになられましたときの発言ぶりにつきましては、私たちも現在アメリカ大使館に、どういう発言をしたのかということを照会いたしておりますが、その点についてはまだ回答を受け取っておりません。  他方、コバヤシ書記官が六月三日に琉球新報の編集局長と会ったときの話に関しましては、琉球新報に載っております記事につきまして、われわれとしても、こういうことを言ったかどうかということを照会いたしました。この点については、大使館のコバヤシ書記官は、この問題の法律的な問題は現在検討中であるということを述べただけであって、そのような発言はしていないというふうなことを言っております。  それから、ただ申し上げたいのは、これ以前に、この事件が起こりました直後に、私自身が、五月の二十七日でございますけれども、アメリカ大使館のシュースミス公使に対して注意喚起をいたしておる次第でございます。ただ、この事件は現在まだ警察当局において捜査中でございまして、しかもかなり複雑な事件でございます。最初の段階で、アメリカ憲兵が米軍関係者を基地内から追跡して、基地の外で逮捕して取り調べておったという一つの段階と、さらに、アメリカ憲兵とこの琉球新報の記者とアメリカ人の記者との間で一つのもみ合いがあったということ。それからさらにその第三段階として、このアメリカの憲兵が二名の民間人を憲兵の詰め所に連行して、これをとめ置いたという段階がございます。  私としましては、少なくともその最後の段階については地位協定上問題があるのではないか、これは地位協定の逸脱ではないかというふうに感じまして、先ほど申し上げましたとおり、五月二十七日にシュースミス公使について注意を喚起したわけでございます。この点に対して、シュースミス公使としても、このような事件が発生したこと自体は非常に残念に思うということを述べますとともに、日本政府としてこの問題に重大な関心を持っておられることは十分理解できるので、さらに自分の方としても事実を解明して連絡するということでございまして、アメリカ側としても、現在鋭意事実を究明しておるようでございます。警察の方の捜査の状況ともにらみ合わせまして、今後さらに必要に応じてアメリカ側に対して申し入れをしていきたいと思っております。
  218. 瀬長亀次郎

    ○瀬長委員 私が申し上げましたのは、あなたが公使に話をされたことは聞きました。その後に起こったのがアメリカ大使館のコバヤシ一等書記官の発言なんですよ。その発言に対して、決算委員会でたしか深田参事官が約束したのですよ。大使館に行って真相を確かめた上で、それが事実であれば善処すると約束したが、どうなっておるかと聞いているのですよ。
  219. 山崎敏夫

    ○山崎(敏)政府委員 いま御説明申し上げましたように、私がシュースミス公使に申し入れをいたしましたのは五月の二十七日でございまして、その後コバヤシ書記官が流球新報の編集局長と会ったのは六月の三日でございます。したがいまして、コバヤシ書記官は、この問題に関する日本政府の重大な関心、日本政府のみならず日本国民の重大な関心ということは、十分承知しておるわけでございまして、そのような不用意な、また誤った発言をするはずは私はないと思います。  その点については、そういう報道もありましたので、われわれとしても、非常に意外に思って確かめたわけでございますが、大使館としては、何らアメリカ側ば悪いことはないのだ、法律的にも全部正しいのだというふうな、そういう断定的な発言はしていないということを申しておるわけでございます。したがいまして、この問題に関しましては、そのコバヤシ書記官よりも上におりますシュースミス公使に対して、私も一つの申し入れをしておるわけでございますが、さらに、実が明らかになりました段階において、われわれとしてば適当な措置をとりたいと考えておる次第でございます。
  220. 瀬長亀次郎

    ○瀬長委員 この問題といい、裁判権放棄の問題についてといい、外務省がアメリカに対してやっておること、これは本当に約束どおりやっているかどうかということは、どんどん疑問がでてくるわけなんです。私は、いま申し上げましたのは、直接その編集局長からも聞いております。うそをつくはずはありません。さらに記事として載っております。これは編集局長ですからね。しかも社を代表している。これはとんでもないことだ。アメリカ局長すら、これは地位協定に違反するということまで言っておる。こういうことであったその中で、一等書記官ともあろうものが、これを否定するようなことを言っておる。これについては、これは信頼していいのかどうかわからぬですが、このMPによる日本人新聞記者基地内連行事件で、連行しちゃいかぬということはあなたも認めておる。この事件は一日も早く解決しないと、後から後へ解決しないうちに次にまた起こる。これは非常にはっきりしている。しっかりしてもらわぬといかぬと思いますね。  それで、時間の関係がありますから、一言ここで言ってもらいたいことは、以前と同じように、この連行事件はやはり地位協定に違反するというふうに、いまでもお考えかどうかをはっきりしてください。
  221. 山崎敏夫

    ○山崎(敏)政府委員 先ほども申し上げましたように、この事件はいろいろな面を持っておるわけでございまして、その全貌はわれわれとしてはまだ承知しておらないわけでございます。ただ、先ほどから申し上げましたように、その最終の段階である、二人の民間人をMPがその詰め所に連れていったという点は、われわれとしては、地位協定の規定の逸脱ではないかというふうにいまでも考えております。しかし、この点は法律問題を含んだ問題でございますから、さらに警察庁及び法務省とも相談した上で、事実関係の究明と相まって、われわれとしては適当な措置をとりたいと考えておる次第でございます。
  222. 瀬長亀次郎

    ○瀬長委員 時間がもうわずかしかありませんので、私、裁判権放棄の問題について、この前、委員長にも了解を得て要求したことがありますが、これがいままで届いていない。すなわち、第一次裁判権は日本側にあったというこの主張と、その逆のアメリカ側の主張、これを併記して分科委員会に出した。分科委員会は合同委員会に出した。この合同委員会の記録ですね。これを出してほしいと言ったときに、全貌は出せぬかもしれないが、その要点メモはアメリカと相談して出せると思うと言われた。それがいまだに出ておりません。  さらに、裁判権放棄に関連するその主人公である山城安次君、これのいわゆる個人の尊重、基本的人権の問題についても質問は留保しました。いまだにこの要求も出せないということになっておるので、この点についてはどうにも進めようがないわけなんだが、これはどういうことになっていますか、はっきりさしてください。
  223. 山崎敏夫

    ○山崎(敏)政府委員 その前半の部分についてお答え申し上げますが、この前も申し上げましたように、日米合同委員会の関連の文書は、従来からアメリカ側との約束によりまして公表しないことになっておりますが、その要点につきまして、ことに日米の双方の主張の要点については、取りまとめてお出しできると思うということを私は申し上げたわけでございます。現在その問題について、法務省においてアメリカ側と協議しておられると承知しております。  後半の部分については……。
  224. 瀬長亀次郎

    ○瀬長委員 後半はいいです。  このように、前の内閣委員会で約束したことがいまだにメモすら出せないということになりますと、この両方の主張が、たとえ要点でもいいのですが、はっきりわかると、この裁判権放棄のいきさつが全部わかってくると思うのです。だから、それで結局アメリカは出し渋るのじゃないかと思いますが、これは再び、次の内閣委員会までには、その両方の主張を併記した記録の要点を出すことを約束できますか。委員長に約束してください。
  225. 藤尾正行

    ○藤尾委員長 では、委員長から申し上げますが、実は一昨日でございましたか、法務省並びに外務省の係官が私のところに来られまして、瀬長委員御要望の資料提供について、相手方の責任者が旅行をしておりましたので、御返答がおくれております、しかしながら来週の内閣委員会開催までには必ずお出しをいたしますから、ということで帰りました。私はできるだけ早く出せと言って命令をいたしまして、それは了承して帰ったはずでございますから、恐らく私は、火曜日の理事会までにその資料は出てまいる、かように考えております。
  226. 瀬長亀次郎

    ○瀬長委員 その点はそういうふうに了解しまして、最後に原子力船「むつ」の問題について質問しますが、その前に私、防衛庁長官に対する質問から現在の犯罪事実に至る全経過を見る場合に、ベトナム後における沖繩の基地の機能、これは防衛施設庁長官がどう言われようが、非常に再編強化されつつあり、しかも韓国との関係で実にストロングポイントと言い、あるいは前進地域と言われ、いろいろな言葉遣いをされて、いわゆるキーストーンから次第次第に表現も戦略的な意味を含めての表現がされており、その中でのまた米軍の本当の野獣に等しい蛮行が次々に行われてきておるということから、沖繩県民の中に、安保条約廃棄にまでは踏み切らぬにしても、米軍撤退、基地撤去、この声が起こりつつあるということだけ明らかにしておきます。これは本当にいま適切な措置をとらないと、返還前に例のコザ事件というのが起こりましたのを御承知でしょう。コザの通りでアメリカの車が全部集めて焼かれた事件。こういうふうな事件は不幸な事件です。起こってはならない事件であるが、実にそういう事態に次第次第に近づきつつあるというのが現状だ。しかもいままで答弁では、もう打ったという打った手がほとんど何の効果も発揮しないどころか、むしろ逆に残虐な行為が積み重ねられてくるというふうな事態を私は指摘して、政府が本当に腰のすわった対策を講じないととんでもないことが起こるぞ、これは沖繩県民の責任でないというふうに私は考えております。日本国民の責任でもないと考えておりますが、そのことを強く申し上げおきます。  次に、いわゆる欠陥原子力船「むつ」とよう言われておりますが、この「むつ」の寄港地、これを沖繩の一番最南端に西表というところがありますが、そこに何か持ってくるといったような新聞記事が載っておりますが、そういうふうな計画があるかどうか、これが一つ。計画はないが、現地から、西表開発に関係をして何とか持ってきたらどうかというふうなことがあったのか。もう一つ、秘密に何らかの調査団を使って、そういう器港地に適しているかどうかを科学技術庁あたりで調査しているのかどうか。この三つ、簡潔でよろしゅうございますから、御答弁をお願いします。
  227. 生田豊朗

    ○生田政府委員 ただいまの御質問でございますが、科学技術庁といたしまして、考えたこともございませんし、計画をつくったこともございませんし、地元からそういうお話を伺ったこともございません。
  228. 瀬長亀次郎

    ○瀬長委員 これで時間ですから終わります。
  229. 藤尾正行

    ○藤尾委員長 午後七時三十分より委員会を再開することとし、この際、暫時休憩いたします。     午後五時三十三分休憩      ――――◇―――――     午後七時四十一分開議
  230. 藤尾正行

    ○藤尾委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  防衛庁設置法及び自衛隊法の一部を改正する法律案を議題とし、質疑を続行いたします。和田貞夫君。
  231. 和田貞夫

    ○和田(貞)委員 私、全く素人でございますので、ひとつ懇切に教えていただきたいと思うのですが、第三航空団を三沢基地へ移転計画を立てられた。その三沢に移す計画というのはどういう理由なのか、まずお聞かせ願いたいと思います。
  232. 丸山昂

    ○丸山(昂)政府委員 御案内のように、現在の第三航空団が小牧におるわけでございますけれども、小牧の周辺の都市化に伴いまして、大変訓練環境が悪くなっておるということでございます。航空機の故障その他に際しまして、できるだけ海に待避をして落ちるというような指導をいたしておるわけでありますけれども、必ずしもそういう状態にならないということでございまして、この都市化が一つ大きな問題でございます。  それから訓練環境といたしましては、遠州灘のところにK空域という訓練空域がございまして、これは非常に狭い空域でございまして、訓練をするには適当でございません。あそこの、IRANと言いまして、ある一定の時間たちますとあそこへ持ってまいりまして、三菱重工その他の工場がございまして、そこで修理をして、試験飛行をしてまたこちらが受け取る、こういうことをやっておりますが、その程度にしか使えないところでございます。それから一方、北の方へ参りますと、日本海の方に大きな訓練空域がございます。しかしながら、これまでに至りますために、回廊という、空の中に廊下みたいな、道がつけられておりまして、高度、幅その他厳しい制限がございますが、これを通って訓練空域に行くということでございまして、片道二十七、八分かかるということで、往復で一時間近くの時間を費やす。したがって、肝心の空域に参りましてから訓練飛行をするという時間が局限されるというような、要するに訓練環境がよくない、こういう状況でございます。  一方、三沢に参りますと、三沢は東側の太平洋岸にも大きな空域がございます。それから西の方にも日本海側に大きな訓練空域がございまして、これは回廊も非常に短いということで、十分思い切った訓練ができます。それから射爆場も三沢のところにございますので、そういう状態におきましても非常によろしいということでございます。  それからもう一つは、これは結果的にそういうことになるわけでございますが、今度三沢に参りますと、現在八一空というのがございますが、これと一緒になりまして、二個飛行隊の、FSと言いますが、地上支援用の戦闘機部隊がちょうど同じ86Fを使っておる部隊でございますが、これと合わせまして一飛行隊ができます。そういたしますと、北部の方面に千歳と三沢という二個飛行隊ができます。それから中部が百里と小松、これにそれぞれ要撃の飛行団ができるわけでございます。それから御案内のように九州には築城と新田原というところでございます。それから沖繩が南西航空混成団ということでございまして、防空体制の上からも一応均衡のとれた形になるということでございます。  以上でございます。
  233. 和田貞夫

    ○和田(貞)委員 住民の意思というものは全然勘案されなかったのですか。
  234. 丸山昂

    ○丸山(昂)政府委員 小牧の方につきましては、かねがね地元の方々からの御要望がずっと出ておりまして、それから私どもの方としては、いま申し上げましたような訓練環境その他勘案をいたしまして、小牧をどこかへ移転するという基本方針はかなり前から決めておって、いろいろ検討いたしておった、こういうところでございます。それから三沢の方につきましては、これは施設参事官から御説明申し上げますが、地元については御意向をできるだけ尊重するような方途をとってまいっております。
  235. 平井啓一

    ○平井政府委員 三沢の地元との関係に関しまして補足して御答弁申し上げます。  本法案を当委員会で御審議いただくことと並行いたしまして、かねてから、そういう方向で進みたいということで地元の方にも、そういった趣旨のことで申し入れをさしていただいて、御協力をいただくようにただいま折衝を続けているところでございまして、先般も、仙台防衛施設局から青森県知事、三沢の市長にも文書を差し上げて、こういうことで法案通過の暁には第三航空団の移駐を図りたい、ひとつ御協力をいただきたいということで、さらに、それに関します三沢の市長からのいろいろの御疑問の点と申しますか、いろいろ回答を求められて、それにつきましても、昨日、三沢の市長のところへ仙台局長が参りまして、いろいろ御説明等をいたしまして、逐次御理解を得るようにただいま努力をしているところでございます。
  236. 和田貞夫

    ○和田(貞)委員 防衛局長は、先ほどの質問で私が不足の質問をいたしました後に、住民の意見ということでここで取り上げているんですが、やはり防衛庁なり自衛隊が先行した考え方で移駐していくへ移転計画を立てるということが、私は一目瞭然にわかったと思うのです。防衛庁長官の場合は、これはよしあしは別といたしまして、自衛隊のあり方、防衛のあり方というのは国民の合意が必要だということは繰り返して言っておられる。しかし、あなたらたちの方はそうじゃなくて、住民の声よりも自衛隊優先という考え方で移転計画を立てるということは、私は全くけしからぬ話だと思うのです。しかも、確かに小牧の周辺の自治体なりあるいは住民がこぞってこの空港基地について反対しておるということ、基地だけじゃなくて、周囲の状況から見て、飛行機が飛んでもらったら困るという、ちょうど大阪の伊丹空港の周辺の住民と同じようなウエートで考えておられる。片方では財界等はそうじゃなくて、軍事的な飛行場はできるだけ排除して、中部の日本の玄関として民間航空機専用の飛行場として残したい、こういう考え方にあるわけなんですが、自治体なりの住民というのはそういう考え方じゃないわけです。  しかもこの三沢の方は、いま説得中であると言われるが、あなたの方がこの計画を立てる前に、三沢の地域の住民の方々が反対をしておられるのですから、その反対の声というものをまず聞いた上で、説得し納得させることができたならば初めて移転計画を立てる、こういう姿勢があってしかるべきだと私は思うのです。法案は審議されておりますが、説得活動もなされておるといういまの報告がありましたけれども、三沢の地域の住民の方々は、法案を提案してもらってもいい、こっちに来てもらってもいいと言っておられるのですか。
  237. 平井啓一

    ○平井政府委員 法案を提案してもらってもいいとか、そういう直接的なお話を別にしたわけではございませんが、昨年来、第三航空団を三沢の方に移すという計画で進めることになるであろうというような段階で、地元の方とも、必ずしも公式ではございませんが、非公式にいろいろお話をさせていただいた経過もございます。  それから三沢に関しましては、それ以外にも、米軍の飛行場としてのいろいろな問題もございまして、地元の方と、それらの問題もあわせて、いろいろと話し合いをさせていただいている段階で、三沢の地元が、あの飛行場の運営に関して、受け入れる立場でどういうふうな問題点を持っていられるか、どういうふうに考えていられるかということは、少なくともわれわれの立場なりには一応理解しておるつもりでございます。  そういったいろいろな問題点に関しまして、今後地元とよくお話し合いをさせていただきながら、たとえば三空団を入れた場合の運航の形態だとか、あるいは周辺の対策についてどういう考慮をすべきであるとか、その他、部隊の移駐に伴いますいろいろな問題点と申しますか、問題の所在につきましても、われわれなりに認識しているという立場で、この三空団の移転に関する法案を提案させていただくことに伴うところの地元との話し合いというものも、十分理解をしていただく期待を持てるのではなかろうか、またそういうことで、受け入れていただくに伴う地元の要望なりにこたえていく段取りというものもわれわれとしても進めることができるであろう、そういった考えを前提といたしまして、この問題を進めている次第でございます。
  238. 和田貞夫

    ○和田(貞)委員 小牧の場合に、その三空団が移転すれば、完全に民間機専用の飛行場になり切ってしまうわけですか。
  239. 平井啓一

    ○平井政府委員 ちょっと防衛局長いま席を外しましたが、第三航空団が移転しました後、御承知と思いますが、あそこには第五術科学校というものもございます。また航空自衛隊の輸送航空団の使用する飛行場としても、ちょうど日本列島の中間にもございますので、昨年あたりから、いろいろ小牧周辺の地元の方たちともお話しております段階におきましても、先ほど防衛局長から御答弁申し上げましたように、戦闘機部隊の基地としての運用につきましては、訓練環境等におきましても、あるいは配備のバランスという点におきましても、一つの小牧の問題点というものを解決しなければならぬという立場ではあったわけでございます。  輸送機に関しまして、小牧の飛行場を現在も中継的な飛行場として使っておりますが、あそこを輸送機の飛行場としては使いたい、そういう考えは持っております。したがって、戦闘機部隊は三沢に移駐することになりましても、後、第五術科学校が残ることと、輸送航空団の輸送機の何機かはあそこで整備等をしながら輸送航空団の任務につく、そういう計画を今後持ちたい、そういうふうに考えております。
  240. 和田貞夫

    ○和田(貞)委員 それだけではなくて、三空団が移転をいたしましても、なお全く小牧の上空には戦闘機が飛ばないということにならない。兵器産業の三菱重工の戦闘機の試験飛行が相変わらずなされる。そうすると、この小牧の地域の住民の意見が取り上げられておるということにもならないし、いまだに三沢の周辺の住民もやはり反対をしておる。こういうことになりましたら、この計画というものは、全く住民の意思というものを考えないで、全く防衛庁の構想のもとに考えられた移転計画であるというように言わざるを得ないわけです。  そこで、防衛庁長官にお尋ねしたいのですが、先ほども申し上げましたように、あなたが繰り返して、自衛隊のあり方についても、防衛の構想についても国民の合意というものが必要であるということを言っておられる。これもいま申し上げましたように、今次のこの移転計画というものは、もちろんこの三沢の地域の住民の御意思にも反することになるし、小牧の地域の住民の御意思にもそぐわない計画である、そういうようなことでいいとお思いになりますか。
  241. 坂田道太

    ○坂田国務大臣 私、就任に際しましても申し上げたことでございますが、やはり日本の防衛を考える上におきまして、国民の理解と支持と協力というものがなければ、真の意味における防衛を達成することはできない、そういうふうな気持ちから、特にこの基地周辺における住民の方々との話し合いというものについては最大限努力をすべきである、摩擦のないように努めなければならないというふうに考えまして、そういう方針のもとにいろいろ話を進めておるわけでございまして、小牧にいたしましても、三沢にいたしましても、われわれの方の意見も申し上げます。また同時に、その地域住民の方々の御意見も承りながら、その中でできるだけひとつ合意に達していただきますようにお願いを申し上げたいと思っております。
  242. 和田貞夫

    ○和田(貞)委員 小牧の場合は、単に住民の組織だけではなくて、御案内のとおり自治体挙げての撤去の運動です。そういうことを踏まえて、三沢の地域の住民なりあるいは小牧の地域の住民が納得することができるまで、仮にこの法案が通過したといたしましても、具体的な移転計画の実施はやらない、こういう考え方に立ってもらえますか。
  243. 坂田道太

    ○坂田国務大臣 私といたしましては、できるだけひとつ説得して、そしてわが方の希望もかなえていただきたい、しかしその間十分お話し合いはいたしたい、かように考えておる次第でございます。
  244. 和田貞夫

    ○和田(貞)委員 そうすると、あなたの考え方というのは、国民の協力とか国民の支持とかいうのは、ただ一方的に話さえすればいいということですか。住民の皆さんに納得してもらって初めて協力というものは得られるんじゃないですか。支持も得られるんじゃないですか。だから、移転計画の案としての法案が通過したとしても、具体的に移転計画を実施するまでには、もちろんいま言われたような説得活動もしてもらわなければならないけれども、少なくとも住民のサイドで納得ができるというところまで実施計画をおくらす、実施計画を具体化しない、そういうお約束はこの機会に得られないですか。
  245. 坂田道太

    ○坂田国務大臣 私はやはり了解を得て移転をいたしたいというふうに思います。
  246. 和田貞夫

    ○和田(貞)委員 それでは、住民の了解を得るまで、ひとつこの実施計画は、たとえこの法律が改正されても、できるだけの努力をしてもらって、実施計画をおくらすということにしてもらいたいということを申し添えておきたいと思うのです。  そこで、その次に教えてもらいたいのですが、数多くの在外公館がございますが、防衛駐在官を派遣しておる国と派遣しておらない国とがあると思うのですが、防衛駐在官を派遣しておる国というのはどことどこですか。
  247. 今泉正隆

    ○今泉政府委員 現在、防衛駐在官が置かれております国は十四カ国でありまして、十四カ国に二十三人が派遣されておりまして、国は、アメリカ六人、ソ連三人、韓国二人、タイ国二人、それから英国、フランス、西ドイツ、トルコ、インド、南ベトナム、インドネシア、ビルマ、ベルギー、中国にそれぞれ一人であります。
  248. 和田貞夫

    ○和田(貞)委員 防衛駐在官を派遣しておる国で、在日のそれぞれの国の公館に駐在武官が派遣されておる国と派遣されておらない国はどこですか。
  249. 丸山昂

    ○丸山(昂)政府委員 いま比較してみませんとわかりませんが、ちょっと資料が古くて恐縮でございますが、昨年の末現在で、日本に派遣されてきております国は二十四カ国、四十八名でございます。それでいまの御質問の、日本へ派遣しておりまして当方で派遣しておりません国でございますが、まずアルゼンチン。それからオーストラリアは本年度の御予算でお認めをいただいておりますので、これはございます。それからブラジル、チリ、イスラエル、メキシコ、フィリピン、シンガポール、スイスというところでございます。
  250. 和田貞夫

    ○和田(貞)委員 南ベトナム、カンボジア、ラオスには派遣しておらなかったのですか。
  251. 丸山昂

    ○丸山(昂)政府委員 南ベトナム、カンボジアには派遣をしておりました。それからラオスはタイの駐在官が兼務をいたしております。
  252. 和田貞夫

    ○和田(貞)委員 南ベトナム、カンボジアの政変で、新しい政権における在外公館ができれば、それにやはり駐在武官を派遣する、こういう考え方はいまなお継続されるのですか。
  253. 丸山昂

    ○丸山(昂)政府委員 身分は外務事務官でございまして、外務事務官兼自衛官となっておりまして、各国駐在の大使の指揮を受けております。総合的には外務大臣の指揮下に入るわけでございまして、そういう意味で、駐在官を置くかどうかという最終的な御判断は外務省の方になるわけでございます。
  254. 和田貞夫

    ○和田(貞)委員 海外の在外公館に駐在武官を全く派遣しておらない国は一体どれくらいありますか。
  255. 丸山昂

    ○丸山(昂)政府委員 日本からでございますか。
  256. 和田貞夫

    ○和田(貞)委員 日本を除く各国で、それぞれの国の在外公館を持っておるところに全く駐在武官を派遣しておらない国というのは、一体どれくらいありますか。
  257. 丸山昂

    ○丸山(昂)政府委員 申しわけございませんが、そういう調査をしたことはございませんので、調べませんとよくわかりません。
  258. 和田貞夫

    ○和田(貞)委員 全く駐在武官を派遣しておらない国は五十六カ国ある。それ以外になお、駐在武官を派遣しておるかしておらないかということが不明な国もかなりある。日本が十四カ国に二十三人の駐在武官――防衛駐在官とは言っておりますが、正式に軍隊としての組織のある国と同じように、日本の場合防衛駐在官を派遣しておるというのは、いま答弁で、外務省が外務大臣の判断で派遣するかしないかということを決めるのだ、こういうように言っておりますが、これはそのとおりなんですか。
  259. 丸山昂

    ○丸山(昂)政府委員 御案内のように、各省それぞれ駐在官を出しておるわけでございます。各省からの要求に基づきまして外務省で最終的な御決定をいただく。そのうちの防衛関係については、防衛庁から要求を外務省に出しまして、予算の最終段階で外務省並びに大蔵省との協議に基づいて御決定をいただく、こういう手順を踏んでおるわけでございます。
  260. 和田貞夫

    ○和田(貞)委員 少なくともあなたの方の所管の衣がえして外務事務官になっておる。これは各省から派遣している者も同じことだという、そういう形式的なことじゃなくて、あなたの方の所管の制服の自衛隊の幹部を派遣しておるのですから、それだけ人が余っておるのですか。それだけ口街宣が余っておるのですか。
  261. 丸山昂

    ○丸山(昂)政府委員 これは増員の枠内においてやっておるわけでございまして、人間が余っておるということではございません。これは増員要求の中で御処理を願っておるわけでございます。
  262. 和田貞夫

    ○和田(貞)委員 外務省の方からの要請があれば、少なくともあなたの方は、やはり今度の場合でも増員計画を立てておられるし、もちろん陸の場合はございませんが、欠員を生じておる。あなたの方の立場から言うならば人手不足でしょう。そのために募集しておるのでしょう。外務省が言われるままに派遣しておるのですか。そうじゃないでしょう。やはりあなたの方で、形式的な外務省からの要請があるとしても、言われるままに派遣するのじゃなくて、この国に派遣すればあなたの方なりにその実績と効果があるという国に、派遣しておるのじゃないですか。
  263. 丸山昂

    ○丸山(昂)政府委員 先ほども申し上げましたように、外務省から要請でなくて、私どもの方から要望を出すわけでございます。それは、いまおっしゃっているとおりに、私どもの方でそこへ駐在官を置くことによって軍事情勢に関する情報がより多くこちらとしてわかる、そういうことを期待して要請しておるわけでございます。しかし必ずしもうちの要請がそのとおり受け入れられるということではございません。最終的には外務省が判断するということになっておるわけでございます。
  264. 和田貞夫

    ○和田(貞)委員 そうなってまいりますと、あなたの方が要望を出すわけなんですが、入れられるか入れられないかは別として。そこでお尋ねしたいのですが、一体この防衛駐在官というのは、どういう任務を与えて、主たる目的はどういう目的で要望され派遣しておるのか、お答え願いたい。
  265. 丸山昂

    ○丸山(昂)政府委員 これは身分を移しますと、今度は外務省の方でございまして、外務省では外務職員の公の名称に関する省令というので、防衛駐在官、これは「在外公館に勤務し、主として防衛に関する事務に従事する職員が用いる公の名称」ということになっております。具体的な職務に関しての指示、命、指揮は大使がおやりになるわけでございます。
  266. 和田貞夫

    ○和田(貞)委員 具体的な指示は大使が行う、これも形式的なことですね。あなたの方が、どこどこの国の在外公館に派遣したいということを要望するわけでしょう。そうすると、何の目的でどういう任務を負わせて派遣したいという、そういうところがなければ、どこどこへ行きたいというような要望を出すのもおかしいじゃないですか。だから、形式的にもちろん大公使の指揮下に入るけれども、あなたの方がこの国とこの国とは派遣したいという限りにおいては、やはり任務を負わせて、主たる目的というものを持たせて要望し派遣しておるということになるわけですが、それを聞かしてもらいたいのです。
  267. 丸山昂

    ○丸山(昂)政府委員 これは外務省との間において厳に戒められておるわけでございまして、私どもの方はどこに駐在官を欲しいという要望は出します。そのときには、どういう理由でどの大使館を要望するかということは外務省に説明をいたします。しかしながら、一たび外務省に派遣されましてからは、当方で直接その駐在官をコントロールすることは両省間の覚書によってやらないということになっておりますので、私どもが直接任務を付与したりすることはございません。
  268. 和田貞夫

    ○和田(貞)委員 任務なしに行かしておるのですか。
  269. 丸山昂

    ○丸山(昂)政府委員 任務は外務省で与えるわけでございます。
  270. 和田貞夫

    ○和田(貞)委員 外務省で任務を与えるのであれば、あなたの方が別に要望する必要はないじゃないですか。なぜその制服の自衛官を、少ない中で、増員もあなたの方が要望しておるにもかかわらず。もう一度お尋ねしたいのですが、自衛官は余っておるのですか。少ない中でもやはり派遣したいというあなたの方の要望があるわけでしょう。ただ、行かしたら後は外務省の限りにおいて何に使ってくれてもいいんだ、極端に言えば皿洗いでもいいんだというようなことで派遣しておるのですか。そうじゃないでしょう。少なくとも防衛庁として要望し、防衛庁の要員として外務省の方にとられるという形になるのですが、あなたの方の強い要望で派遣しておる以上は、やはりあなたの方の防衛庁としてのメリットがなければ、派遣する要望というのは不必要じゃないですか。
  271. 丸山昂

    ○丸山(昂)政府委員 もちろん当方でメリットがありますのでお願いをするわけでございます。防衛駐在官を送りますゆえんは、防衛駐在官でなければわからない、つまり軍事関係の情報、情勢判断、こういったものをわれわれとしては期待して派遣をするわけでございまして、この成果は、外務省の本省にそれぞれの大使館から参りました中から、私どもの方に外務省から御連絡をいただく、こういうことになっておるわけでございます。
  272. 和田貞夫

    ○和田(貞)委員 これは、国際間の取り決めというか、慣習というか、制服であろうが私服であろうが、少なくとも軍事的な任務を持つアタッシェについては、主要な任務は適法な手段によってその接受国の軍事情勢を視察して本国に報告するという、こういう任務を持たせておるわけでしょう。国際間の慣習になっておるのでしょう。それをあなたはなぜ言えないのですか。
  273. 丸山昂

    ○丸山(昂)政府委員 私どもの方でございませんので、それは申し上げられないということでございます。外務省が軍事情勢、防衛に関する事務を担当させるということでお使いをいただくので、私どもの方から人を差し向けているということでございます。
  274. 和田貞夫

    ○和田(貞)委員 在外公館に派遣されておる防衛駐在官が、それじゃいままで外務省が任務を与えて、その結果あなたの方に、いまだかつてそれぞれの駐在官の報告がなかったのですか。
  275. 丸山昂

    ○丸山(昂)政府委員 これはもう当然外務省にお願いしてございますので、それぞれの駐在官から出ます情報は外務省へ報告をされまして、その中から私どもの方に御連絡をいただいておる、こういう状況でございます。
  276. 和田貞夫

    ○和田(貞)委員 だから、それは形式的であって、あなたの方がそれぞれの国の軍事情勢を知りたいために、これは要望して派遣しておるのでしょう。そこで、そのようなことは、これは国際的には慣習にはなっておるけれども、日本国の憲法の範囲内での日本の自衛隊の任務というのは、各国の軍隊組織の任務と大方似通っておっても、やはりたてまえとしては、私は全く同じではないというように見なければならない。にもかかわらず、そのような軍事的な任務を持たして在外公館に駐在官を派遣するというようなことは必要なのですか。どうですか。
  277. 丸山昂

    ○丸山(昂)政府委員 世界の軍事情勢を知る上におきましては、大変に参考になることでございますし、私どもとしては大変必要なことだと存じております。
  278. 和田貞夫

    ○和田(貞)委員 少なくとも軍事面の情報をお互いに取り合いをするということでありますから、それぞれの国の平和を望んでおる国民にとっては、そのようなやり方というものは、いかに慣習上あろうといえども、平和という立場に立った場合に、好ましいことであるか、好ましくないことであるか。どうですか。
  279. 丸山昂

    ○丸山(昂)政府委員 現状において、いまおっしゃるように、いわゆる軍事情報探知ということばかりではございませんで、現に私どもの方には、南米の諸国などから、ぜひ駐在官を送れという要望が出てきております。これは両国の親善関係その他に寄与するところ大変大きなものがございます。また、それぞれの国柄によりまして、駐在官でなければ接触できないというようなところもございますし、必ずしも軍事情報だけをとるということではございませんが、まあ主たる目的は、私ども駐在官に期待しておるのは軍事情報で、情勢判断のための情報なり資料なりを私どもが入手できるようなことを期待をいたしておるわけでございます。
  280. 和田貞夫

    ○和田(貞)委員 南ベトナムやカンボジアが派遣を要望し派遣をしておった、それにはそれなりに日本の自衛隊として必要性というのがあったのですか。
  281. 丸山昂

    ○丸山(昂)政府委員 やはり現にいろいろ紛争の起きておるところでもございますし、この地域についての情報、情勢判断ということは、われわれにとっても、この国の安全と直接的に結びつく問題ではございませんが、世界の軍事情勢を判断する上においては大変重要な要素でございますし、それからまた、現実にこういう紛争が起きておりますということを目の当たりにいろいろ見聞することは、私どもの方にとって、いろいろの場合にどう対処するかという生きた戦訓もあるわけでございまして、こういう意味では、大変いままでも有意義であったというふうに感じております。
  282. 和田貞夫

    ○和田(貞)委員 世界の各国に多くある在外公館の中で、わずか十四カ国にしか派遣しておらないのですよ。そういう中でベトナムなりあるいはカンボジアに派遣をしておった。そういうことは、日本の自衛隊として、防衛庁として、どういうメリットがあったのですか。
  283. 丸山昂

    ○丸山(昂)政府委員 それでございますから、ただいま現にその紛争が起きておりますところでありますだけに、いろいろ現実の問題としてわれわれの参考になるようなものが多かった、こういうことでございます。
  284. 和田貞夫

    ○和田(貞)委員 そうすると、これから紛争のある国には必ず派遣するのですか。
  285. 丸山昂

    ○丸山(昂)政府委員 まあ紛争がありましたときには、要すればそういう実態というものはやはり知りたい、参考にいたしたいということが専門家の意向だと思いますが、必ずしも現実はそういうわけにはまいらぬだろうと思います。
  286. 坂田道太

    ○坂田国務大臣 こういうふうに御理解いただいた方がいいのではないかと思うのです。今日、外交というものをやっていく場合において、経済的な知識を持たなければ、単にいままでの外交ではやれないという世の中に変わってきたということが一つ習えるかと思います。いま一つは、やはりこういう核戦略というような、近代兵器を駆使して軍事的対立があったり、あるいは紛争が起こったりする、そういうような場合において、外交官が軍事的知識を持っていろいろ接しなければならないという必要性が、外務省自体にも起こってきたというふうに私は思うのです。それが一つであります。それからもう一つは、この平和を維持するという意味においては、相手の国を十分に知る、お互い誤解をしないで知るということが非常に大切だという意味から申しまして、いろいろの側面からその国の実態というものを知る上において、私は必要なことかと思います。そういう意味合いにおいて、やはり駐在官の活動というものは、日本の安全にとっても必要であるというふうに考えるわけでございます。
  287. 和田貞夫

    ○和田(貞)委員 長官のいまお答えになったようなことであれば、私は、少なくともすべての国に派遣しておるということであれば、この話はわかるわけであります。その中でわずか十四カ国。しかもその十四カ国の中で、ラオスは兼務だとはいいながら、インドシナ半島の三国にあえて派遣をしておったというところに、私は長くは語りませんが、やはり国民の、なぜそういうところにわざわざ派遣しておったのかという、一抹の疑惑というのがあってしかるべきだと思う。
  288. 坂田道太

    ○坂田国務大臣 私は、いまの駐在のアタッシェというのは非常に少ないわけでございまして、でき得べくんばもう少したくさん各国に出したいわけです。これはそうしないと、専守防衛の立場において平和を維持していくということは非常に困難だと思うので、私がよく申しますウサギの耳というのはやはり必要だと思っているわけです。そういう情報をいろいろの側面から見るということ、そして相手の国を誤解しないというような点においても、私は言えるのじゃないかと思うのです。したがいまして、たとえばベトナム問題につきましても、あの民族自決というような、そういうようなことについてわれわれが十分把握をしておったかどうかということについて、私は多少不足しておったのじゃなかろうかという気さえするわけなんでございまして、こういうようなことを考えますと、むしろ充実していくべきではないだろうかというふうに考えるわけなんでございます。でありますから、経済が許し、そしてまた外務省の方で、そういうようなことが外交的に考えても相互によろしいということであれば、やはりこういう個所はどんどんふやしていただきたい、かように考えておる次第でございます。そうしてそのことは同時に、日本の安全というものについてもかかわりを持ってくるというふうに思うわけでございます。
  289. 和田貞夫

    ○和田(貞)委員 私は、少ない派遣駐在の中からインドシナ半島の三国にあえて派遣しておったというところに、納得することができないわけなんですから、長官が、先ほども申し上げましたように、防衛構想のあり方なりあるいは自衛隊のあり方というものについては、やはり国民的合意というものが必要だということをおっしゃっておるわけなのですが、これは私一人だけの考え方ではなくて、多くの国民の中にはやはりそういう考え方を持っておると私は思います。  しかし、これは時間の関係もありますのでその程度にしておいて、坂田長官が、いま申し上げましたような構想のもとに、「防衛を考える会」というのを発足なさった。すでに何回となくこの会合をなさっておられる。そしてつい最近にはその結論をまとめてあなたの方に答申なさろうとしておる。あなたがそういう発想のもとに「防衛を考える会」を発足させたわけでありますが、ここで改めてもう一度、その目的というものは那辺にあったのかということをお聞かせ願いたい。
  290. 坂田道太

    ○坂田国務大臣 私たちの国の防衛というものを考える場合は、どうしても国民の理解と協力がなければ成り立たないのでございます。したがいまして、防衛問題につきまして国民のコンセンサスを得る必要があると思います。防衛政策の決定に察しまして、いままではどうかと言いますと、ただ防衛庁だけで考えて、これを最善なりとして、そしてそれをいろいろの手続を経て国防会議にかける、あるいは国会に提出して御審議を煩わすという、そういう一つの方法があったかと思います。それも一つの方法だと思うのでございますけれども、しかし、私はやはり、もう少し防衛問題というものが国会においても十分論議をされ、あるいは国防会議においてもいろいろ実質的な審議を重ね、あるいはまた、いま私が考えておりますような「防衛を考える会」というようなものを構成いたして、そうして適当な方々を選んで、そして言うならば国民の広い視野から防御というものはどういうふうに受け取られておるだろうか、そしてどういうあり方が好ましいかという、そういうことを参考にしながら、私たちの防衛の基本にかかわるような問題の参考にしていく。自分たちはこれは最善なりと考えておっても、やはりそうでない、こういうような注意が必要だ、初めて聞いてみればなるほどと思われるようなことも幾つもあろうかと思うわけでございまして、そういうような柔軟な態度こそがこれから先の議会制民主主義のこの世の中においては必要なことではなかろうか。たとえば自衛隊については七三%の支持があるということはわかっておりますが、一方において二七%の反対の意見もある。これをただ七三%の支持があるからというふうにして勝手にやるということではいけないのであって、やはり二七%の人が反対しておるのはどういう意味で反対をしておるか、どういう意味で憲法違反なのかというようなことをやはりわれわれは承知の上で防御計画を立てていく、防備構想を固めていくということが必要ではないだろうか、こういう意味合いにおきまして、私、就任いたしましてから「防御を考える会」というものを発足いたしまして、今度で五回でございましたか、あと一回残っておりますけれども、回を重ねてまいったような次第でございます。  私は、この前、大出議員の質問にも答えたわけでございますが、できるならばその報告書というのも、従来のように、こういう意見でございましたという報告書でなくて、十一人のメンバーの人人が、自分はこういうふうに考える、あるいはこういうような意見を持っておる、あるいはこういうような批判を持っておるということをおのおのの人に記述していただいて、そしてそれが公開できるような形にしてほしい。そしてその十一人のお話を承ると大方こういうような議論でございましたというような報告にしてもらいたいということをお願いをし、またかつ大体了解を得ておるということでございまして、これでもって、私はかなり、国民的視野に立っていかに防衛というものが考えられておるかということを知ることができるのじゃなかろうかというふうに思っておる次第でございます。
  291. 和田貞夫

    ○和田(貞)委員 七三%、二七%というものはどこから出してこられたかわかりませんが、少なくとも、いろいろな問題はあろうとしても、やはり憲法が土台にならなくてはならぬ。下級裁判所とはいえ、自衛隊は違憲であるという、こういう判決を出しておるところもあるわけですから、事態はまだ国民の全体の問題として、自衛隊は合憲である、こういう考え方に立っておらない。そのことを抜きにして国民の合意、国民の協力、国民の支持というようなことを考えられるところに、私はやはり一つの問題があるのではないか。それがために、やはり政府与党の自民党が党の方針として、だからこそ憲法を改正するんだ、憲法を改めるんだ、自衛隊を公然として認知さしたいんだ、そういう考え方に立っておられるんじゃないか。しかしながら、いまの内閣は、いまの三木内閣の手によって憲法は改正しないんだ、こういうように言っておられるわけなんですが、そこらあたりの問題の解明というものはまだ国民合意の上に立っておらない。  そういう中で、「考える会」の構成メンバーというものをあなたの方の考え方で依頼をするというようなことで、各界各層の意見というのは反映されて、そこから出てくる答申の結論というものは、これは国民の合意であるというように考えられるのは少し早計過ぎるのじゃないか、こういうように思うのですが、どうですか。
  292. 坂田道太

    ○坂田国務大臣 午前中にも私、御答弁を申し上げたわけでございますけれども、天皇主権のもとにおける軍隊というものと、それから今日の新憲法下における自衛隊の存在というものは、やはり考え方としては違うわけでございます。それを踏まえまして、この憲法の制約のもとにおいて自衛隊法というものができ上がっておる。しかもそれはいわば国会の承認を得ておるわけでございます。その承認を得ております自衛隊に対して、いろいろございますけれども、とにかくこれは総理府の統計でございますけれども、七五%あったこともございます。しかし大体七三%くらいに落ちついておるようでございまして、これはやはり、国民の中において大体自衛隊というものが定着をしてきた、こういうふうに見なければならないというふうに思います。しかし、さりとて先生がおっしゃるように、一方に違憲の問題があるということも私は承知をいたしておりますし、反対の二七%の国民の中には、自衛隊は違憲であるということがあることは、これは紛れもない事実だと私は思っております。現にこの国会におきましても、そういうふうに考えておられる政党というものもかなりあるわけでございます。しかし、その中においてもなおかつ、日本の国の防御、安全保障、つまり国民の一人一人の生命、財産をどうやって守るかということについては、たとえば自衛隊そのものに対して意見というものは持っておられましても、あるいは反対をしておられる党においても、国民の一人一人の安全ということについて疑いを持っておられる方々はないと思います。それをどういうふうに実現するか、安全を確保するかという方法論において違っておるというふうに思うのであります。  したがいまして、こういうような国民の安全にかかわる問題、あるいは私の言葉から申し上げまするならば、生存と自由というものを確保するために、やはりこの国会において論議が闘わされるということ、それ自身が非常に意義のあることであるというふうに私は思っております。これをいわば国民の一人一人というものは、テレビを通じ、新聞を通じ、ラジオを通じて聞いておると思います。そうしてやはり国民のコンセンサスというものが得られていく、こういうふうに思うわけです。なるほど私の選びました十一人の方々、たとえば前の朝日新聞の「天声人語」を書いておられた荒垣秀雄さんであるとか、NHKの平沢和重さんであるとか、米国大使をしておられました牛場さんであるとか、あるいは野村総合研究所長の佐伯さんであるとか、あるいは国会の参議院の事務総長をされました河野さんであるとか、あるいはまた法制局におられました荒井さんであるとか、あるいは経済のベテランでございます金森さんであるとか、あるいは角田さんであるような方々。角田さんなんかは、日本だけではなくて海外にも駐在をして、外国の事情もよく知っておられるような、いわば国民的視野に立って物事を考えることのできる人なんです。私はそう信じておるわけです。そういう人たちの御意見というものを聞いて、そして防衛についてのいろいろの施策を深めていくということが必要である。しかし、その十一人の選び方そのものが間違っているじゃないかという御議論のあることも、私は承知をいたしております。しかし私は、さらにいろいろな御意見を承りながら、これだけを唯一のものとして考えるわけじゃないので、皆さんみたいな、せっかく御質問をいただいておられる方々が、どういう理由で反対なのか、あるいは賛成なのかということをよく聞きまして、そして最終的な判断を下していきたい。そういう態度そのものは、先生ひとつお認めいただけるのじゃなかろうかというふうに思うので、少なくとも従来やりましたやり方よりも一歩前進じゃないかというふうに、私は自画自賛しているわけなのでございます。
  293. 和田貞夫

    ○和田(貞)委員 やはり土台になるのは憲法であって、私たちは憲法を土台にして、この自衛隊というのが憲法違反である、こういうところから出発しているわけですね。その点は、当初の自衛隊の前身である警察予備隊が発足した当時に、国会の論議で当時の吉田総理が、警察予備隊は軍隊じゃないと言われた。しかし私たちの方は、これはオタマジャクシだからやがてはカエルになるのである、こういう論議がかなり激しく論ぜられた。ところが、既成事実が積み重ねられていって、いまでは、自衛隊という言葉は使っておるけれども、やはり防衛庁長官自身も、これは各国並みの軍隊であるという考え方に立っておられるのじゃないか。少なくとも制服を着ておる自衛隊の隊員、自衛官というのは、軍隊であるという考え方には上から下まで全部なっておるのじゃないか。それはこの既成事実を積み重ねてきた結果であって、そういう中で、どこからの調査かわかりませんが、七五%あるとか、七三%あるとか、国民の中にすでに自衛隊というのは定着しておるのだという。そういうようなことは、毎年毎年この国会において、その予算についても、あるいはその防衛力の整備計画の積み重ねについても、憲法に違反しておるという立場に立つ私たちは反対をする、そうじゃないという考え方に立つ与党の方は賛成するというところで積み重ねていったわけなんですね。  私は、その点がすっきりしないと、国会の中でも、あるいはあなたが構想されておるこの諮問機関、私的諮問機関であろうが公的諮問機関であろうが、それが前向きの考え方であるというように私たちは受けとめることができない。その点の解明がなされて、自衛隊が憲法に違反をしておらない合憲的な存在である、そういうところの国民の合意がまずとられてこそ、初めて憲法論議というのは、あなたの構想されておるような考え方というのは、国会の中でも、あるいは国民の中でも生きてくるのじゃないか、こういうように思うのですが、それが憲法に違反するという立場に立つ者と一緒にやって、国民の合意として、何とか防衛問題について、自衛隊のあり方について論議をする場をつくれとか、あるいはつくるべきであるとか言ったところで、私たちはそれに応ずるわけにはいかない。そうすると、私たちの立場に立つならば、あなたの構想の「考える会」というのは、積み重ねてまいった今日現存する自衛隊の存在を国民の合意であるということにしてしまう。全く隠れみのに「考える会」というものが存在されておるというように私たちは受け取るわけなんです。そういう点についてどうですか。
  294. 坂田道太

    ○坂田国務大臣 ちょっと私、理解に苦しむわけなんでございますが、現在の憲法のもとにおいて自衛隊は存在をしておる、しかも自衛隊法というものはすでに国会の御承認を受けておるわけですから。そして発足をしておるわけです。これは違憲じゃないわけです。しかも憲法の中において、自衛のための自衛力ということまで、皆さん方も御否定にはなっておらないというふうに私は思いますよ。そういう意味合いにおきまして、この憲法に基づいて、しかも国会で御承認を受けたこの自衛隊法によってやっておる。したがって私は、国民の中においても七三%の賛成があるということが、結局定着しつつあるということじゃないだろうかと思うのです。さらにこういうような論議を重ねていけば、なおパーセンテージは高まっていくのではなかろうかという期待さえ私は考えておるわけでございます。むしろ防衛というものを考えないようなことではいけないのだという議論がやがて出てくるというふうに私は思うのでございまして、それに耳を傾けないということこそおかしな話じゃなかろうかというふうに思うのです。  二七%の人たちはそう考えておっても、七三%の人が自衛隊は一応よろしいのだというふうに考えておるということを考えて、二七%反対される方々が防衛論議をやっていただかなければならない。しかし、その二七%の人たちであっても、無視してはいけないのだ。その人たちがなぜ反対をしておられるのか。それにはもう少し耳を傾けて防衛庁長官としては防衛を考えていかなければいけない。いままでのような従来の防衛庁だけでもう当たりまえだよ、もうこれは定着してしまったのだよ、こういうようなことであってはいけないのであって、さらにさらにこの防衛論議が高まり、そして本当にこの自衛隊は必要なんだと、心底からそれに協力できるような体制ということがわれわれとしては望ましいわけでございます。  しかし、そうじゃなくて、これだけはっきりしておるような問題、たとえばヨーロッパ諸国においては、スウェーデンにいたしましても、八〇%以上、九〇%近く自国の防衛について考えない人はいない。なのに日本ではなぜなかなか定着しないのだろうかということを考えますと、やはり有識者と言われるような、ただいま申し上げました人たちが一体どういうふうに――違憲も承知の人たちばかりでございます。にもかかわらず、果たしてこういう人たちも、あなたのおっしゃるように、自衛隊は要らぬのだ、こういうふうに考えておられるだろうか。あるいは無防備でもよろしいと考えておられるだろうか。そういうものを素直に私は聞きたいということで、これを発足させたわけでございまして、私は貴重な参考になるというふうに考えます。そういうことを踏まえてでなければ、日本の防備におけるところのコンセンサスを得ることはできないのだ。時間はかかるかもしれませんけれども、そういうことを積み重ねていくことが必要であるというふうに私は思うのであります。
  295. 和田貞夫

    ○和田(貞)委員 そうすると、政府でありますから、こういうことを尋ねるのはどうかと思いますが、やはり政府与党の自民党が憲法を改めるというのは、これはほかにもありますが、やはり第九条の、戦力を持たない、戦争放棄というこの条項を、公然と、憲法に認められた自衛隊に認知をするために憲法改正というのを考えておられるのじゃないですか。
  296. 坂田道太

    ○坂田国務大臣 自民党は非常に幅の広い政党でございますから、いろいろな意見を持った方々がおられるわけです。いまの私が申し上げましたような、こういうことではやっていけないのだ、もう少し憲法改正をこことこことをやった方がベターであるという考えを持っておられる方があってもいいというふうに私は思うわけなんです。しかし、私は現実論者でございますから、やはり防衛庁長官になりました以上は、現憲法のもとに、そして非核政策のもとにやらなければならない立場でございまして、そのために私は、現憲法を守るように、そしてそのもとにおいて一体どれだけ日本の安全と独立とを守り得るかということに苦心をしておるということでございます。
  297. 和田貞夫

    ○和田(貞)委員 それでは、現憲法のもとにどの程度までの自衛隊というのは合憲だ、それ以上はみ出たらやはり憲法改正をしないとだめだ限界というのは、どういうように考えていますか。
  298. 坂田道太

    ○坂田国務大臣 この辺になりますとなかなかむずかしくなると思いますけれども、やはり他国に脅威を与えないような限度というようなものも一つの限度かと思います。あるいは専守防衛でございまして、攻勢作戦というものはとらないというのも限度かと思います。あるいは、いまわれわれが考えております四次防の達成、四次防計画というものは、これはまた国会の御承認を得たわけでございまして、もちろん憲法の範囲内であるというふうに思っておるわけでございます。やはり日本の国情に応じた、あるいはひどく、著しく民生を圧迫しない範囲内において防衛力を高めていくという必要があるかと思います。これは一面、基本的に申しますと、相手のあることでございますから、一概には申し上げられないと思いますけれども、しかしおのずとそこには限界というものはあるのではないかというふうに思います。
  299. 和田貞夫

    ○和田(貞)委員 他国に脅威を与えない、あるいは日本の国内の情勢、あるいは自衛隊の制服組から言わすならば、いわゆる周辺のそれぞれの国の軍事能力に対応した能力というようなことも考えておられることだと思うし、あるいは国際情勢の変化によっても考えておられると思いますが、ただ、そういう中で現行憲法のもとで自衛隊を考えるときに、何を一番主眼に置いて考えられますか。
  300. 坂田道太

    ○坂田国務大臣 そこで、またこういうふうに申し上げておるわけです。世界の情勢は、軍事情勢から申し上げて、非常に核の攻撃というものがあるわけです。しかしながら、わが旧は非核政策をとっておりますから、核を持てないことば申すまでもないことであります。しかし核の攻撃がないとは言えないわけです。この核の攻撃に対してはどうしても日本は無力でございます。ことに日本列島というものは核に弱い国である。それは非常に縦深性が少ないというような点もございましょう。とにかく都市があるところに集中されて人口が過密になっておるということでございまして、よその大きい国に比べますと核に対しては非常に弱い国である。したがいまして、核は持たないわけでございますから、やはり必然の結果として安保条約というものが不可欠なものになるということが言えるかと思います。しかし、それじゃ通常兵力によって相当大規模な攻撃に対してたえられるかといいますと、先ほども申しましたような戦略から申しまして、それにもたえられる、小規模程度のいわゆる侵略ということに対しては十分の備えがなければならないというのが私の考え方でございます。それは一朝一夕にしてできることではないので、平時から十分考えて防衛力を高めていかなければならない、こういう考え方です。  その日本を防衛する三つのこと、一つは国民の一人一人がそれにとにかく抵抗する意思を持つということ、第二は自衛のために必要なる限度における防衛力を高めていくということ、三つ目に日米安保条約によって核抑止力をきかせてもらうということ、この三つががっちり組んで初めて日本の防衛、安全というものが保たれる、こういうふうに私は考えておるわけでございまして、この一つを欠いても日本の安全というものはあり得ないというのが、私の防衛を考える基本でございます。
  301. 和田貞夫

    ○和田(貞)委員 そうすると私は、これをお聞きしたいのです。専守防衛という言葉がありますが、大臣も言われておったようですけれども、間口の大きな国で奥行きが全くないというような島国ですね、そういう日本列島で、専守防御、攻めてくるまで待っている、攻めはしない。書架では専守防衛という言葉が使われても、現実にそういうようなことはあり得ますか。
  302. 坂田道太

    ○坂田国務大臣 これはやはり、あり得ますかあり得ませんかとおっしゃいましても、わが国の憲法のたてまえ上そうせざるを得ないわけです。そうして日本の国を守らなければならぬ責任があるからこそわれわれが苦労しておるということなんでございます。もちろん核に対しましては非常に弱いということは言えるかと思いますけれども、何と申しましても四囲が海であるということ。今日のような近代的な輸送が発達をした時代におきましても、なおかっこれは一つの侵しがたい防壁になっておるということは、私は言えるというふうに思います。大陸続きにおって、そこで自分の国の独立を守るということ、これはなかなか大変なことです。これは朝鮮半島の歴史をごらんいただけばわかります。あるいはベトナムの千年の歴史を考えていただけばわかります。ヨーロッパのあの大陸を考えていただけばわかります。しかも日本と同じような島国でございますイギリスが、今日なおかつ自国の安全を保ったというのは、やはりあそこにドーバー海峡があって大陸続きでなかったというところにあったというふうに思います。  今日の核の世の中にありましても、先ほどからお話がございますように、第一撃をやれば必ず第二撃によって何千万という者を犠牲にしなければならない、そういうことを承知した国同士がこの核の均衡をやっておるわけでございますから、よほどの決心がつかない限り、安易に核を使うということはできない。極端な物の言い方をするならば、それによっていわばデタントというものが生まれてきておるわけなんです。そうしてまたわれわれはそれを続けていかなければならないわけでございます。したがって今度は、核は膨大な破壊力は持っておるけれども、しかしそれは使えない、そしてまた通常兵力というものが物を言う時代になってきておるという現実もあるわけなんでございます。  私は、その意味において、日本の列島というものは核の攻撃に対しては非常に弱いけれども、しかしながら、通常兵力における攻撃あるいは補給その他を考えますと、やはり日本列島は島国であるということは非常に日本の安全を守る上においての防壁になっておるということは、昔もいまも変わりがないというふうに思うわけでございます。
  303. 和田貞夫

    ○和田(貞)委員 攻撃があったらとか侵略があったらばという、あなたの方はそう言わないと増員もできないし、自衛隊の存在価値がなくなるわけですから、これは当然の言い分であろうと思いますが、しからば、資源もない島国に有象無象と人間ばかりがおるというような日本列島に、何を目的に侵略をしてきたり、何を目的に攻撃してきたりするとお考えになっているのですか。
  304. 坂田道太

    ○坂田国務大臣 これは相手国があるわけでございますから、いついかなるときに来ないとも限らないわけでございます。しかし私は、何もすぐ戦争が起こるとかなんとかいうような認識を持ってはおりませんし、むしろそういうような戦争が起こらないこと、つまり平和が続くということを念願いたしておるわけでございます。そうして、日本の国を侵略をしようとするならば相当の反撃を食らうぞ、それを覚悟しなければ日本は攻められないんだ、こういうことが抑止力となって日本を安全に保てるというふうに思うのです。その意味合いにおいて、私が申し上げました三原則というものがあればかなりの防衛力になるというふうに思うわけでございます。  しかし、三木総理も言っておられまするように、単に防衛力、軍事力ということだけで日本の安全というものはあり得ないのであって、今日の世の中には有事に至らしめない最大の努力をすることが必要なんだということを申しておりますが、そのとおりなんです。私はそういう意味合いにおきまして、やはりまず外交、そしてまた経済あるいはまた日本の民生の安定ということが、結局は日本の安全保障というものに結びついていくというふうに考えるわけでございます。しかし、どういうときにどういう侵略が行われないとも限らないわけでございまして、それをはねつけるだけの最小限度の自衛力というものはやはり持っておく方がよろしいというのがわれわれの判断でございます。
  305. 和田貞夫

    ○和田(貞)委員 私がお聞きしたいのは、日本列島という、御案内のとおり、面積にしてもわずかな島に有象無象と人間が住んでおる、資源がない、そういうところに何を目的に侵略なり攻撃を加えてこようとする国があるというようにお考えになっておられるかということです。
  306. 坂田道太

    ○坂田国務大臣 資源のないことをえらいみすぼらしいことのようにおっしゃいますが、日本の国に資源のないことは、それは確かにわれわれの運命なんです。そしてこの日本列島が狭い国土であるということもわが国の宿命でございます。それからこの狭い国土で、資源のない国で、そして一億の人口を養っていかなければならないということもわれわれの宿命なんでございます。この一億の人たちをどうやって生活程度の高い国民にしていくか、生活を向上していくか、福祉政策をやるか、文教をやるか、それにはやはり経済力、そして結局平和外交を三十年やってきた、そのためにいろいろなものが輸入をされる、その資源でもって加工をする、そして経済力を培養してきた、だから福祉政策をどんどんやれるようなことになった、こういうことでございまして、この日本の経済力あるいは技術力というものについては、かなり各国がこれを魅力ある国だというふうに考えておるのであって、日本は大した国じゃないななどとは決して考えていないわけでございます。この国をどちらの陣営に引き入れるかということは、これは国際情勢を変革させるものだというふうに私は思うわけです。  そういう意味合いにおいて、しかし私どもは、あくまでも平和外交を維持することによって、乏しい資源の国でございますから、よそからいろいろな資源を入れまして、そしてわれわれの頭脳、それから技術、勤勉、そういうことによって高度の経済成長を遂げてきたわけです。今後もそういうことを続けながら国民の生活の安定、福祉政策を充実していかなければならぬ、平和な社会を築いていかなければならない、これがわれわれ政治家の務めだというふうに思います。その世界の国々から魅力ある国とされておるこのわが国土あるいは国民、そしてこの平和なる社会というものを崩されないようにするにはどうするかということで、先ほどの私の防衛についての三原則が生まれておるわけでございまして、よその国も非常に魅力のある国だというふうに評価をしておる。評価をしないのは、日本人の一部において、そういうことを言っている人たちが非常に多いけれども、外国に行きますと、日本というのは相当な国だというふうに私は評価をしておるというふうに思っておる次第でございます。
  307. 和田貞夫

    ○和田(貞)委員 長官が言葉の中に触れられましたように、日本という国をどちら側の陣営にくみさすことがという考え方というのは、主としてやはり二つの両陣営にある。そうなってまいりますと、やはり日本という国は資源もない。これはものすごく資源もないということは、これは事実は事実として言うておるわけですから、別に恥ずかしい思いをして言うているのじゃない。そうすると、日本の国を侵略し、日本の国に攻撃を加えてくるというようなことが仮にあったとすれば、これは軍事戦略上の目的以外に、日本が欲しいとか、日本の列島というものが必要であるという考え方には立たないと思うのですね。それがやはり一番の問題だと思う。やはり日本の国が軍事戦略上必要であるという考え方にほかならない。そうすると、あなたが三ついま言われましたけれども、日米安全保障条約というものも必要であるというが、その日米安全保障条約というものは、かえって存在することによって日本に攻撃を加えるという、こういう戦略上の立場というものを持たす結果になるんじゃないですか。むしろ安保条約というものはない方が、日本の国民を守る、日本の国を守る、こういうことになるんじゃないかというように私たちは思っておるわけです。
  308. 坂田道太

    ○坂田国務大臣 私はそういう考え方があるということは承知をいたしております。この国会においても、そういうような政党があるわけですから。そしてまた国民の中においても、かなりそういうような論議をなさる人もあると思うのです。しかし、私どもといたしましては、そうじゃないという立場に立ってお話を申し上げているわけでございます。どうも見るところは、やはり私どもの言っておる方が、七三%が自衛隊を認めておるところを見ますと、何らの防衛力、自衛力も持たないで、無防備論で、ただ平和を唱えておればいいというようなことで日本の安全が保てるだろうかということについては、少数意見だというふうに私は考えておるわけでございます。これは考えの違うところでございますが、われわれはそういう考え方をしておる。  それからまた、やはり私は、単に経済的な力を持った国であるから魅力があるということじゃなくて、日本がどちらの陣営に立つかということが、軍事的に見ましても、かなりなウエートの変更ということになると思うのでございます。軍事的な側面から見ましても、やはり大事なところだというふうに私は思います。
  309. 和田貞夫

    ○和田(貞)委員 安保体制を堅持するという考え方、そういうかさの中に自衛隊をくみするという考え方、国民を守る、あるいは日本の国土を守るということは言われておりますが、結果的に日本の国民を守るというんじゃなくて、日本の現政治体制、日本の社会体制、これを守るために自衛隊の存在価値があるというように考えておられるんじゃないか、こういうふうに私は思うわけなんですが、どうですか。
  310. 坂田道太

    ○坂田国務大臣 私はやはり日本の国民の一人一人の生命、財産、あるいは自由、生存、そういうものを守る、そういう立場であります。その安全を守るという立場でございます。
  311. 和田貞夫

    ○和田(貞)委員 私たちは、そのためにはこの安全保障条約というものはむしろ邪魔になる、安保体制下であればこそかえって日本の安全というのは守れない、こういう考え方に立っておる。これは並行するわけですが、時間があと二分しかありませんので、後の質問者も参っておりますし、もう一点お聞きしたいことがあったわけでございますが、この辺で終わって後の質問者に譲りたいと思います。  ただ、私が言いたいのは、先ほども触れましたように、やはりあなたはあなたなりに国民の合意、国民の支持、国民の協力というものがあって自衛隊の存在価値もある、あるいはこの防衛の構想もそうあるべきである、こういうように言われる以上は、少なくともそういう中であっても、冒頭申し上げましたように、基地の移転等についても、あるいは基地から米軍の撤去を求める声、そういうようなことについても耳を傾けて、できるだけ日本の国内に外国の基地を持たさない、あるいは自衛隊自身も優先的に基地を持っていくというような考え方じゃなくて、国民の意見というもの、国民の声というものに十分耳を傾ける姿勢であってほしいということを申し添えまして、質問を終わりたいと思います。
  312. 藤尾正行

    ○藤尾委員長 山本政弘君。
  313. 山本政弘

    ○山本(政)委員 私は内閣委員会は初めてでして、防衛問題については余り知りませんので、きょうはひとつ教えていただきたいと思いますが、六月五日の「朝雲」という新聞に「防衛庁は今秋をメドに新防衛白書を作成する方向で準備に着手することとなり、官房総務課胸手で資料蒐集をはじめた。担当は水間防衛審議官」である、こういうことが出ておりました。防衛白書は、私が申し上げる必要もないと思いますけれども、中曽根長官当時、昭和四十五年の十月ですか、「日本の防衛」として刊行して、その後第二回の刊行が江崎長官の当時企図されましたけれども、これが流れて現在に至ったというわけで、今回改めて作成されるわけでありますが、防衛白書ができた当時、中曽根白書と言ったらかえっていいかもわかりませんけれども、その当時の防衛事務次官の小幡久男氏がこういうことを言っているわけです。「やはり最初の白書というところに意義がある。これまで国会などで個々の問題は取り上げられているが、日本の防衛のあり方、全体的なデッサンを政府が責任を持って出そうというわけだ。必ずしも掘り下げたものではないが、こういう情勢の中で、こんな姿で防衛をやっているということを総論として紹介して国民に考えてもらう」ここに白書の意味がある、こういうふうにおっしゃっておるわけです。  その当時を思い合わせますと、たしか私の記憶に間違いなければ、それの前後だと思いますが、四次防の概要がまとまって五兆八千億円、そういうことがあったわけで、そういうこともあるいは一つの契機になったのかもわからない、こう思うのですけれども、それじゃ一体、いま改めて新防衛白書をおつくりになるという、そういう意図といいますか、ねらいというものが一体どこにおありになるのか、お伺いしたいわけです。
  314. 坂田道太

    ○坂田国務大臣 今日、「防衛を考える会」をやりましたときに、私第一回に出てみました。     〔委員長退席、木野委員長代理着席〕 そうしますと、いろいろの議員さんの発言があったわけでございますが、その中に、なるほど防衛庁では日本のために防衛は必要であるということはおっしゃる、しかし何のために必要なのか、そしてどういう内容を持ったものであるかというようなことが率直に言ってわからないんだ。それで何とはなしに、国民は確かに防衛は必要だというふうには考えておるようだけれども、まだまだそれは坂田さん、コンセンサスは得られておりませんよ、こういうような御注意もございました。  私、つらつら思いまするのに、確かに、日本の防衛を考えるというような、その材料といいますか、そういうものをわれわれみずからが提供していないんじゃないかということである。そういうようなことを考えますときに、私、白紙の立場で防衛庁に入ったわけでございますが、そしていろいろ聞きますと、いま御指摘のありましたように、中曽根長官のときに防衛白書が出た。そして中曽根長官は、毎年これを出していきたい、そうして国民のコンセンサスを得る一つの材料にしたいんだ、こういうようなおつもりであった、ということでございました。なぜそれからやっていないんだ。いろいろ事情がございまして、というようなことでございましたけれども、私はやはり、中曽根長官が企図せられましたように、いま現在置かれておる立場で結構であって、あるいは不十分なところがあれば、その翌年またどんどんそれを整備していけばいいのであって、とにかく現在置かれておる日本の状況、そして防衛庁はどうしようとしておるのか。たとえば四次防にしましてもどうなっておるか、あるいはポスト四次防はどういう考え方でやっていこうとするのか、その辺のこと。あるいは憲法違反という問題もあるけれども、その点は一体どうなんだ。あるいは、これはむやみに防衛力を高めて、そしてさなきだに日本が軍国主義になるんじゃないかと恐れている国々もある、たとえば東南アジアの諸国に行けばそういうふうにある。そういう人たちに対しても、やはり何かここで、日本の防衛というものはこういうものであって、そして特殊の憲法があって、そして専守防衛の憲法に基づいておる、そして非核政策なんだ。したがってこれは本当に自衛のためのみの防衛力であって、他国を侵略しようというようなことはみじんも考えていないんだ。いわんや他国に脅威を与えるようなものではないんだ。しかし、たてまえはそうであっても、やはりこの防衛力がむやみに高いものになるならば、それはいついかなるときにまた脅威になるかもしれないというようなこともあるので、そういう意味合いから言いますと、わが国民の中におけるコンセンサスを得るばかりでなく、諸外国に対しても、やはりはっきりした日本の防衛のあり方というものを明示して、そしてできれば毎年これを続けていくということが必要じゃないか。そのための資料等も、あらゆる努力を払って国民の前に明らかにできる資料は載せて、そしていろいろ賛成、反対あろうとも、そういう方々にもこれを見ていただいて、日本の防衛のあり方について考えていただく、こういう一つのきっかけのために、私はぜひともひとつ防衛白書をつくらなきゃならないというふうに決心をいたした次第でございます。
  315. 山本政弘

    ○山本(政)委員 お言葉を返すようですけれども、私の立場じゃなくて、政府の立場として何のために必要かと言えば、これは長官のおっしゃった国を守るために必要なんですね。どういう内容かと言えば、専守防衛に十分なだけだということで、私は、白書の本質的なことを言えば、その点は、いわゆる中曽根白書と、やがてできるであろう坂田白書とは違わないのだと思うのですね。だから、白書を今度改めておつくりになるという意味というものは一体どこにあるのか。五十二年度に、恐らくという言葉を使った方がいいだろうと思うのですけれども、第五次防衛計画ができるかもわからない。そして、先ほど申し上げた新聞によれば、国際、国内情勢の変化が見られるという状況の中で、この際、国民に広く日本の防衛の実際を知ってもらおうと判断をした、だから新白書の作成に取りかかるのだ、こういうふうに書いてあるので、私は二つの理由があるのじゃないだろうか、こういうふうに実は勘ぐるわけですけれども、この点いかがでしょうか。
  316. 坂田道太

    ○坂田国務大臣 やはり私は、間接的には、ポスト四次防というものの考え方も、この中に織り込まれていくというふうに思いますし、そのことはやはり、国民の方々に知っていただく意味において、いいことじゃないだろうかというふうに思っております。それからまた、先生方が防衛問題を考えていただく資料といたしましても、非常にいいことじゃないだろうか。実はそう思っておるわけでございまして、防衛庁はちっとも資料を出さぬ出さぬとおっしゃいますけれども、ひとつできるだけ精査いたしまして、エッセンスを提供して、そして皆さん方に日本の防衛を考えていただくという、そのよすがにしたいというふうに思っております。
  317. 山本政弘

    ○山本(政)委員 私は白書を拝見させていただきましたけれども、私の知識は余りありませんからよくわかりませんけれども、英国の場合の白書なんていうものは、そういうものを見ますと、かなり巨額の金を使っておる、そういうことについて、なぜそれだけたくさんな金を軍事費に使うのか、そういうことを国民に理解をしてもらうということに重点を置いているのじゃないだろうか。率直に申し上げますと、この白書というのはむしろPR臭い、実は私はこういうふうに思えてならぬわけです。だからそういう点では、外国の白書というのは、きわめて率直に真実を訴えているということがあるだろうと思うのですね。その点で、いま申し上げたように、この白書には多少そういうあれもあるし、それから、事実そういう指摘もあったように私は思うのですけれども、今回、今秋をめどにされておるという白書は、一体そういう点についてどういうふうにお考えになっておるのか。
  318. 坂田道太

    ○坂田国務大臣 私としましては少し率直に出したい。私ももう二十九年国会議員をやっておりますから、従来各省で出しておりますいろいろな白書がございますが、そういうものについても私なりの意見を持っておるわけでございまして、外国等の白書等と比べますと、何か出したくないものを隠してというか、あるいは非常に体裁よくやっていて、非常に厚みはありますけれども、何か理念というか、フィロソフィーが出ておらない。それから、資料としてもなかなか使えないというようなのが多いように、私は平議員でおりますときに、そういうふうな感じも実は持っておるわけなんで、そういう意味から、やはり出すからには読んでいただく、そしてやはりわかりやすい説明でなければいけないのじゃないかというふうにも思いますし、しかしながら、中に言っておることは、政府の姿勢といいますか、理念といいますか、そういうものは明確でなければならぬ。少なくとも国民の側から見てその意図がはっきりしなければいけない、そういうふうに思います。それから、率直に自分のところを反省するところは、多少思い切ってあっていいのじゃないかというふうにさえ思うのです。  それからまた、最初でございますから、余り完璧完璧と言いますと、ついおっくうになってしまって、ことしはやめた、それでは来年からにするかとか、そうすると、それがまた何かの事情でできなかったということになりかねませんから、私は、まずひとつこの秋をめどに、あるいは場合によっては来年の三月ぐらいまでになるかもしれませんけれども、とにかくことし一ぱい一つの防衛白書というものをつくってみたい。そうしてページ数は少なくとも中身のあるユニークなものをつくってみたい。しかも場合によっては、これは英語ででも翻訳して外国にでも見ていただくことのできるようなものにもしたいというふうに思います。日本がどういうふうな防衛計画を持っておるのだということは、アメリカにしましても、あるいはその他の国々にいたしましても、非常に興味を持っておるだろうと思うのです。いわんや東南アジアの国々は、かつて侵略を受けた国々につきましては、日本の防衛力の漸増ということについてやはり非常に関心を持っておると思うのです。そういうような方々にもやはり読んでいただく、あるいは読むにたえるものでなければならない。そういうふうに私は非常に理想ばかり追ってますが、果たして現実にできるかどうかわかりませんが、しかし、最善の努力をしてひとつそういうふうな防衛白書をつくってみたいという考え方を持っておることだけはひとつ御了解を賜りたいと思います。
  319. 山本政弘

    ○山本(政)委員 くどいようですけれども、それじゃ、大変たくさんなお金をなぜ軍事費に使うかというような意味についても、真実を訴えてくださるということを期待していいですね。もうイエス、ノーで結構です。
  320. 坂田道太

    ○坂田国務大臣 どういう表現になりますか知りませんけれども、われわれはやはり、日本の国の安全と独立というものを守るためには、この程度のお金はかけてもしかるべきじゃないだろうかというふうなことは、恐らくにじみ出てくるだろうと思います。
  321. 山本政弘

    ○山本(政)委員 何でそんなことを申し上げますかというと、私、これを読んで大変不満を感じたのですけれども、軍事問題というものを、いま長官もおっしゃいましたけれども、非常にページ数に制限があるかもわからぬというお話がありました。特に軍事問題というような問題を狭いスペースで説明するということは大変むずかしい問題だと思うのですね。それにしても、中曽根白書を見ますと、これはなるほど、現代社会における防衛の意義とか日本の防衛のあり方などなどが書かれております。たとえば、自衛隊の人員の総数が幾らだとか、あるいは護衛艦のトン数が幾らだとか、あるいは隻数が幾らだとかという数字もここにあるわけです。私はそれは一体どんな役に立つのだろう。実は飛行機がこれだけあって、艦船がこれだけあってというようなことだけが書かれてあって――特に後半はそうでございます。かなり予備知識がないとそういうものもそしゃくできない、こう思うのですけれども。現実に、斜め読みでございますけれども、読んでみてから、これは一体どんな意味を持っているのだろうか、そういう数字の羅列がですね。そんな感じがしてならないのですよ。少なくとも白書というのは数字を並べるだけのものじゃないはずだ。たとえば自衛隊がいま持っておる最大の悩みは一体何だろうかということは、私はやはり率直に書かれるべきだろうと思うのですね。  これまでの軍隊というものは、仮想敵国というのがまず考えられております。しかしながら、政府がいまおっしゃっているのは、仮想敵国というのはないのだ、こういうふうにおっしゃっているような気がしてならないのです。これは時間があればまた後でお伺いしたいと思いますが、そういうことになってくると、先ほど長官がお話しになりましたように、第一が一人一人の士気だ、そして第二が防衛力だ、第三が安保だ、こうおっしゃったと思うのですけれども、そういう自衛隊の士気をどうして高揚していくかというのは、私自身大変興味が深いのですよ。ところが現実には、「朝雲」のところにも書かれているように、「私のように沖繩県出身の自衛官は、地元に帰ると少なからず自衛官であることに抵抗のようなものを感じさせられるふん囲気に出あう。友人にさえ自分の職業を偽って話すことがある。」こういうふうに書くような場合も出てくるだろうと思うのですけれども、そういう意味では、私は自衛隊員自身に聞いてみたいと思います。それで、そういう悩みを告白をして、そして国民に判断を問うといいますか、そういうものが白書にあっていいのじゃないかという気がするわけですね。  これは中曽根白書にはないわけです。ですから、そういう点について、今回の白書が一体どういうふうに考えられるといいますか。あるいはそのような点を一体どう考えておられるか。そして白書に対して、一体、そういうような考え方といいますか、問題を長官の方で国民に訴えるお気持ちがあるのかどうか、その点も実はお伺いいたしたいわけです。まずその点をお伺いします。
  322. 坂田道太

    ○坂田国務大臣 非常にいい御意見だと私は思うのでございますが、そこまでここに書けるかどうか、これはちょっとここでお約束は申し上げかねるわけでございます。しかし、恐らく「防衛を考える会」の最終のレポートには、あるいはそれに類したことが出てくるのじゃないかというような気持ちもいたしております。やはりその側面からの問いかけというものも大事だというふうに思うので、たとえば自衛隊の意識調査なんかも、場合によってはあの中に入れてみたいというふうに思います。そして、それは国民の方々からどういうふうな反応が返ってくるか。  と申しますのは、端的に申し上げますと、よき自衛官、精強なる自衛官であると同時に、常識を備えた一国民であってほしい、そしてまた広い視野を持った国民であってほしいという気持ちをいつも私は自衛官の諸君に申しておるわけでございます。この自衛隊の意識調査、これは陸上自衛隊でございましたけれども、これを読みますると、たとえば自分の職業に対して生きがいを感ずるというのがもう八〇%に及ぶような状況でございます。ただ、御承知のように、幹部それから曹、士――士だけはたしか五一%だったのです。非常に低かったわけでございます。しかしながら、曹、幹部になりまして、つまりそれを職業とする自衛官になりますと、これはもう八〇%から九〇%ということでございまして、今日の自由社会の中において、これだけ自分の選んだ職業に対して生きがいを感じておるというのはかなり高いと見なければならぬ、こういうふうに思います。そしてまたその中で、厳しく感ずるかということに対しまして、ちょっと厳しくないというか、厳しさがないのだ、厳しさをもうちょっと欲しいのだというかなりなデータが出ております。しかし、同時にまた今度は、公務についてはそういうふうに厳しさを求め、あるいは鍛えられることを望んでおるのですけれども、一たん公務外のいわば自由な、プライベートな生活というものに対しては、やはり一般の社会と同じように非常に自由を求めておる。昔のような、あの隊舎を出ていくときの手数がうるさいとかなんとかいうようなこと、そういうプライバシーに関するもの、それは非常に高いのです。  これはある見方からするなら、いかにも矛盾したように見えますけれども、私の目から見ると、これは今日の青年の意識を代表しておるものである。私は文部大臣をやりまして、学生運動を経験いたしました。そういうような観点から見ますると、まことに一般社会と同質の意識を持った青年たちである、こういうふうに見たわけでございます。したがいまして、この見方に対しまして、旧軍人の方であるとか、非常に昔の古い方々でございますると、何だ、自衛隊はサラリーマン化してしまったじゃないか、こういう御議論がありますし、もう少し厳しくしなければだめじゃないかとかいうようなおしかりも、一面に受けております。また受け入れられる点もあろうかと思います。しかし、私はそうじゃなくて、この実力集団たる自衛隊というものが、全くわれわれの住んでおる世の中の人たちとは異質な意識を持った集団になったら、これははなはだ危険であるというふうに思っておる人間でございまして、むしろこの憲法下におけるところの自衛隊員のあるべき姿から言うならば、一応健全な姿で成長しておるなあという、実はほっとした気持ちを持ったわけなんで、こういうようなデータなんかも、やはりあれに載っけまして、そして国民の一般の方々の両方からの御意見を承りたい、こういうような気持ちも実は持っておるわけでございます。
  323. 山本政弘

    ○山本(政)委員 先ほど長官おっしゃいましたけれども、私は、白書であるというからには、やはり白書の持つ意味というものは、国民に読んでもらうということだと思うのですね。そういう目的を持っているはずだと思うのですけれども、もし持っておらなかったら白書を出すという意味はないと思うのです。だから、国民が白書を読もうとしたときに、一体何に興味を持っておるのだろう、そういうことが一番大きな問題になってくる。そしてそれは、一体何のために自衛隊が必要か、そういう説明だろうと思うのですね。  私どもよく聞くのですけれども、専守防衛とかあるいは国内の治安維持とかいうようなことは、先ほどの和田委員の質問でもお伺いいたしましたけれども、これはいやというほど実は聞いているわけなんです。私どもも申し上げたかもわかりませんけれども。だけれども、それじゃ一体国民が納得しているかといえば、納得していない。先ほどもお話がありましたように、長官の御答弁にありましたように、七三%しか賛成をしていない。二三%は反対をしている。しかもこの白書を見ますと、戦争がなくならないと思う人は六二%。だけれども、自衛のために武力を行使することの是非について一体どうかということになりますと、これは反対をする人が四〇%。かなり比率が高いわけですね。だから、少なくとも国民がかなりな数は納得をしていない、私はこう思うわけです。だから、漠然と防衛が必要だとか、あるいは専守防衛だとかという言い方だけでは、国民はどれだけ納得しているかというと、納得をしない。つまり、国民の方から言わせれば、どれだけ効率のいい防衛力を持っているかという判断が、私はできかねていると思うのです。そうすると、これだけ金を使っているけれどもこれでしかできないのだという判断をして、初めて国民は自衛隊そのものをはかりにかけることができるのじゃないだろうか、そんな感じがするわけです。もちろん私は長官と立場を異にして、非武装中立の立場にあるものです。だけれども、国民が判断する素材といいますか、実際にやっていることは、私は新しい白書では明らかにしていただきたいと思うのです。この点についての長官のお考えをお聞かせいただきたいと思います。
  324. 坂田道太

    ○坂田国務大臣 先生非常によく考えていただいておるのですが、まだ私自身白書を出してみたいといま思っておるところでございまして、いろいろ御注意を受けて、これからひとつ構想をまとめたいと実は思っておるわけでございます。したがいまして、ここでしかと、かくかくいたしますというふうには、まだ申し上げられないわけなんでございます。しかし、やはりできますならば、国民のいろいろ疑問に思っておられることに対して回答を与えるような、あるいはこういう選択をするならば納得ができる、これはちょっと納得ができない、そういう選択のできるかできないかというような、判断の基礎になる材料をわりあいに公平に提供するというようなことがいいのじゃないかというふうに思っています。  ただ、いまわれわれ防衛庁としては、たとえばこういう考え方で四次防は考えてまいりました、これからポスト四次防については、いままでの経済成長が安定経済に移ります、したがいましてこういうようなやり方で鋭意やりたいと思いますというようなことで、多少国民の方々に選択といいますか、そういうものを持たせることのできるような、あるいはそこまでいきませんでも、防衛について考えようという意欲を持っていただくような、そういう材料を出してみたい。そしてそれは、やはりデータはきちんとしたデータであって、客観的なデータであって、われわれが加工した、あるいはゆがめたそういうものであってはいけないのだ、こういうような基本的なことをいろいろいま考えておるわけで、いま先生にここではっきり、こうでございますと本当に自信をもって申し上げる案はまだないのです。あなた一応あれば言ってください。
  325. 斎藤一郎

    ○斎藤(一)政府委員 全くいま長官からお答えがあったとおりでございまして、かねがね、先生から御質問があったような問題点について、十分国民が客観的に物を見、判断し、そして防衛について考える、あるいは、一体いまの防衛庁あるいは自衛隊がどういう現状にあって、またどういう考え方で防衛の業務をしておるかということをおわかりいただけるような資料、何かただ年鑑みたいな、あるいはまた何か暦みたいなものでなくて、そういった大臣が先ほどお答えしたようなものをと思っておりますが、先ほどお話があったように、先般私のところにそういうスタッフを置いて、いま資料集めをしているわけで、先生の御意見などをいただいて、十分御納得いただけるような――考えると、いまもお話を伺えば伺うほどまたむずかしい、そういう感じがしておるわけでございますが、そういうことでございます。
  326. 坂田道太

    ○坂田国務大臣 たとえば事務的に申し上げますと、一つは国際情勢の考察、これは国際情勢を現時点で一体どう見るか、あるいは長期的にどう見るか、あるいは朝鮮半島をどう見るか、アジアの将来をどう考えるかということが一つ盛られるかと思います。あるいは二つといたしましては、わが国の防衛のあり方、これがさまざまあると思いますが、そのあり方についての、場合によってはいろいろな意見も考えてもいいのじゃないかと思います。あるいは自衛隊の現状というものを客観的なデータに基づいて御報告を申し上げるというようなことをいま考えておりますが、これは全く事務的なものでございまして、先生に御答弁申し上げるようなしろものではございません。
  327. 山本政弘

    ○山本(政)委員 官房長は答えなくてもいいんです。官房長が答えると矛先が鈍るから。長官にお答えいただきたいのです。  私が申し上げているのはこういうことなんで、これを見ますと、税金と軍事費との比較をやったり、あるいは国民総生産と軍事費との比較をやっておる。こんなことはぼくはナンセンスだと思うのです。と申しますのは、国民が知りたがっておることは、たとえばの話ですが、六月一日にFXの調査団が出ましたね。そして機種を選定するのだ、こういうことなんです。そうすると、国民は率直に言って、四次防が物価上昇の関係で未達成だとかどうだとかいうことについて余り知らないと思うのです。だけれども、なぜこの時代に、FXなんかを  これは恐らく購入するであろうけれども、調査に行くのだろうかということが、端的に言って一番国民が知りたがっていることなんです。何のためにということがすぐ疑問になってくるわけですね。そういうことに白書が率直に答えなければならぬだろうと思うのです。と申しますのは、先ほど申し上げたように、国民が一番知りたがっておること、そして国民が読みたいと思っておることを白書が出す義務があるだろうと私は思う。とすると、そういうものに対して答えるというのが白書が持っている性格じゃないかと私は思うのです。そうでないと、さき申し上げたように、自衛隊について抽象的な言葉だけで、国内の治安維持だとかなんとか百万遍言われたって、何の目安もないわけですから、これははかりにかけることができないんですよ。非常に抽象的な、国内の治安維持だとか国を守るとかいうことだけですと、何をもってはかりにかけるかというと、そういうことでしかないのじゃないですか。     〔木野委員長代理退席、委員長着席〕  私は繰り返し申し上げますけれども、私は長官と立場を異にしているが、そういうことに単刀直截に白書で答える、そういう義務があるのではないか、実はそういうことから私は申し上げておるわけであります。
  328. 坂田道太

    ○坂田国務大臣 国民の知りたがっておることを防衛白書で出すということは必要なことだとは思います。しかし、何でもかんでもこれにというわけにもまいりませんし、そこにはやはり取捨選択しなければならないと思いますし、それから諸外国のGNPのパーセンテージなんか、これはデータを出した方がいいと思っております。そういうようなデータも知りたがっておる人もいっぱいいると思うわけでございまして、そういうことも偏見なく出した方がいいのではないかと私は思う。  とにかく、そういう防衛を考える材料を提供する、一番知りたがっているようなことを防衛白書で明らかにするということ。そして第一回のものは、それを十分に満たされなかったにいたしましても、その次からまた、いろいろな意見を聞きながらこれを是正していくというふうにして、これを積み重ねていくことによって、日本の防衛白書はなかなか権威のあるものだというふうに国内の人たちからも思われ、あるいは国外の人たちからも信頼を持たれるような、そういう白書にしてみたい。アメリカのシュレジンジャーの報告なんかを見ましても、世界各国の人たちがあれを読んで、アメリカは何を考えておるのだということなんで、これはアメリカとは全然違いますけれども、しかし同時に、特殊の憲法を持っておりまする日本の自衛隊というものがどういうものであるかということを、やはり知ってもらうということは非常に必要なことである。  いわんや国民の中におきましても、まだ、今日の憲法下における自衛隊というものだけじゃなくて、昔の軍隊のイメージを持った人たちも非常に多いわけでございまして、ともいたしますると、そのイメージに返ろう返ろうとする人たちもおるということも、これもまた現実なんです。しかし、私といたしましては、先ほど冒頭に申し上げましたように、天皇主権の軍隊と、主権在民の今日の新憲法のもとにおける自衛隊、自衛のために必要な最小限度の自衛隊というものの性格というものは明らかに違っておるわけなんで、この明らかに違った新憲法のもとにおける自衛隊というもののあり方を定着させるということは、私は防衛庁長官としてのまずもっての任務でなきゃならないというふうに思っておるわけでございます。
  329. 山本政弘

    ○山本(政)委員 こういうことをお伺いするのは大変お気の毒かもわかりませんけれども、私が、GNPと国防費とか、あるいは税金と国防費というものを並べて出すことは、大して意味がないということをなぜ申し上げるか。長官は、いまの中国の国防費が世界で何番目ぐらいだとお感じになっていますか。
  330. 亘理彰

    ○亘理政府委員 共産圏諸国の国防費は非常に資料によってまちまちでございます。一つの例として、イギリスの国際戦略研究所の「ミリタリーバランス」の新しいのによりまして申し上げますと、非常に幅を持って書いてありまして、ほとんど意味をなさないような数字のようでもありますが、これは七四年度でございますが、四十億ドルないし百二十億ドルということで、この表では、アメリカ、ソ連に次いで三番目ということになっております。
  331. 山本政弘

    ○山本(政)委員 私もここに資料を持っていないことはないのです。これは中曽根白書です。これによりますと、いまおっしゃったように世界で三番目なんですよ。だけれども国民一人当たりの国防費は三千二百四十円なんです。アメリカやソ連に比べてはるかに低いのです。アメリカは十四万一千四百八十円、ソビエトは五万九千四十円ですから、格段に低いということです。そして日本もまた、この数字によれば下から数えた方が早いくらいな低さになっているのです。だから私は申し上げるのです。つまりこの国防白書がPRだと言ったのはそういう意味であって、国防費がたくさんだからといって、国民一人当たりの国防費に割ってみるとそんなに大したことはないのです。しかし一体国民というのは、それじゃ現実にどれくらいといって、五兆八千億といったら大変なお金と思うのですよ。だからぼくが意味がないと言っているのは、そういう意味で意味がないと申し上げているのです。だから、くどいようですけれども、先ほど申し上げたように、私ばやはり、自衛隊というものをはかりにかけることのできる、そういう素材というものを出してほしい。これはまあ強くそういうことをお願いしまして、時間があれですから次の問題に移らしていただきます。  先ほど和田委員から、「国防を考える会」ですか、この話がありました。このことについて長官は、そういう「考える会」の防衛問題に対する一つの結論めいたものが出たとするならば、それを大幅に白書にお取り入れになる考えがおありになるのだろうかどうか。その点いかがですか。
  332. 坂田道太

    ○坂田国務大臣 これはこれからの課題でございますけれども、やはり十一人の方々がそれぞれの広い視野を持った方である、そうしてまたかなり専門的な方でもある、そういう両面を持った人たち、そういう人たちの御意見、そしてその報告の仕方も、いままでは抽象的に、それを全部捨象してしまいまして、そうして防衛庁の事務当局でこういうような結論だというような、あるいは全体の傾向はこうです、あるいは何項目かにして、こうです、こういうようなやり方でまとめたと思うのでございますけれども、そうじゃなくて、荒垣さんはこういうふうに考えておる、それから金森さんはこういうふうに考えておる、角田さんはこういうふうに考えておる、こういう十一人の人がそれぞれの立場で自分で考えられたことは、これを読む人から言うならば、やはりいろいろな受け取り方ができるのじゃなかろうかというふうに思います。これはそれぞれ受け取り方はまた違ってくると思いますけれども、それにいたしましても、一つの人格を持った人がこういうふうに言っているというのと、抽象化されて、ただこれを概念的にまとめたのとでは違うというふうに私、思いますので、あえて実は一人一人の御意見、それはもう簡単な感想だけでもよろしゅうございます、場合によっては五枚、十枚でもよろしゅうございますというふうに申し上げておるわけです。もちろんそれだけではなくて、これをこういうふうにまとめてみましたというものはあってしかるべきだと思いますけれども、とにかく十一人の一人一人の御意見というものはやはり出した方が、読む方から言うならば、日本の防衛を考える上において非常に参考になるのじゃないだろうか。そうして、そういうような参考を踏まえまして、私といたしましては、ポスト四次防を考える、そういうようなことにも資したいし、あるいは、これから防衛白書をつくる場合におきましても、やはりそういうような十一人の方々の御意見等も頭に置きながら防衛白書をつくってみたい、かように考えておる次第でございます。
  333. 山本政弘

    ○山本(政)委員 三日でございましたか、大出委員の「考える会」の質問に長官がお答えになって、そのときに、その言葉どおり申し上げますと「防衛問題については、こういうような国民的コンセンサスが得られておらない現状においては、やはり国民的視野に立つ諮問委員会みたいなところで御議論を賜るということは非常に結構なことではないだろうか、というふうな判断を私はいたしたわけでございまして、」こうおっしゃっている。そうするとこの諮問委員会は、長官のおっしゃるように、個々の意見だけでも結構なんだということにはならないのじゃないでしょうか。つまり諮問委員会みたいなところで御議論を賜るということは非常に結構だということは、要するにそこで議論をした防衛問題について国民的なコンセンサスを得たい、こういうお考えじゃないのでしょうか。
  334. 坂田道太

    ○坂田国務大臣 あのときに先生いらっしゃいましたでしょうか。
  335. 山本政弘

    ○山本(政)委員 いや、私、速記録をちゃんと書いてきたのです。
  336. 坂田道太

    ○坂田国務大臣 それじゃそのどこかに書いてあると思いますけれども、最初そういうようなことを申し述べ、そして私の考え方といたしまして、一人一人の意見を出していただくということがどこか速記に書いてあると思います。それまで承知しておっしゃっておられるのですね。
  337. 山本政弘

    ○山本(政)委員 そうです。
  338. 坂田道太

    ○坂田国務大臣 そういうわけでございまして、大出さんおっしゃいましたように、何かそれでもうまとまったのだ、その意思でもって全体がこう決まってしまったのだから、それでもって「防衛を考える会」でこう決まったのだからこうする、直ちに直結する、そういう考え方はないということははっきり申し上げておるつもりでございます。
  339. 山本政弘

    ○山本(政)委員 ただ、長官重ねておっしゃっておるのですよ。これは別な言葉で、国民的コンセンサスを求め、あるいは国民の御意見を聞くために諮問委員会を設けまして、そういうような議論をしていただくことが、防衛責任者――今度は、防衛責任者といたしましては非常にありがたいことである、こうおっしゃっておるのです。私がいま申し上げたいのは、そういうことについて、一歩譲りましょう、各人の意見を尊重するというお考えはおありなんですか。
  340. 坂田道太

    ○坂田国務大臣 いまおっしゃったのがよくわかりません。各十一人の方がそれぞれ意見を述べられますですね。やはりこれを一つの意見として、お一人お一人の意見として、この方がこういうようなことをおっしゃったということを踏まえて、やはり私としてはそれを参考にしていきたいというふうに思っております。
  341. 山本政弘

    ○山本(政)委員 そうすると、それを踏まえて防衛構想というのが出てくるわけですね。そうすると、それは長官の言葉に従えば、国民的なコンセンサスを得るということでありますから、これは白書にも出ますか。要するに白書に載せるというお考えはおありになりますか。
  342. 坂田道太

    ○坂田国務大臣 ちょっと私、御質問の意味がよくわかりませんが、この考え方をされた方々のものを防衛白書に載せるかとおっしゃるのですか。それはまだいま考えておりませんが、それを先生は出した方がいいとお考えでしょうか。その辺はまだ決めておりません。
  343. 山本政弘

    ○山本(政)委員 つまり長官が言うのは、要するに防衛問題に対する一つのアプローチの仕方だと私は思うとおっしゃっておられるのですよ。そうしたら、国民が知りたがっていることなんだから、当然それは載せるべきじゃないでしょうか。あなたのおっしゃるように、国民的なコンセンサスがそのことによって得られるというふうに長官がお考えになっているとするならば、そして冒頭に申し上げましたように、国民が読みたがっているものは何かということになるならば、そういうものが当然入るべきではないだろうか、私はそう思いますが、いかがでございましょう。
  344. 坂田道太

    ○坂田国務大臣 これはまだはっきり決めておるわけでございませんけれども、そういうものを含めて今後ひとつ検討してみたいと思うのです。ただ、私が申し上げますのは、「防衛を考える会」が唯一の国民的コンセンサスを求める機関であるというふうには私は思っていないわけでございます。そのところはひとつ御了承賜りたいと思うのです。
  345. 山本政弘

    ○山本(政)委員 その唯一というのはどういう意味なんです。唯一というのは、ただ一つだということはわかりますが、そのほかにも、要するに国民的なコンセンサスが得られる場所がおありになるというふうにお考えになっているのでしょうか。
  346. 坂田道太

    ○坂田国務大臣 私はやはり国会のまず御論議ですね。これもやはり、先ほど申しますように、賛成、反対はありましても、いろいろの貴重な御意見がございます。これはやはり国民的コンセンサスを得る一つの場であるというふうに思っておるわけであります。
  347. 山本政弘

    ○山本(政)委員 それではおしまいの方の議論にちょっと入らしていただきたいと思いますが、四次防の概要がまとまったときに、こういうふうなことが実は言われておるわけです。「防衛力整備の前提として防衛計画では初めての「情勢分析」を明らかにした」、そしてそこの中で「全面戦争や全面戦争に発展する恐れのある大規模な武力紛争の生起の公算はない」、こう言っている。また「限定的軍事衝突または間接侵略的事態が生ずる可能性は、常に存在している」、こう言っている。「とくに中共の核装備の進展、米国のアジア戦略の転換、ソ連海軍の拡充などは、今後のアジア情勢に微妙な影響を及ぼすと考える」ということで、「この前提に立って日本の防衛力はまだ十分でない」ということで、四次防では海、空の充実といいますか、そういうふうな方向へ向かっていったんではないだろうか。  そこで、その当時の新聞の社説を読みますと、「軍事大国の危険をはらむ四次防」ではないかといった批判もあったと思いますが、いまの段階で、長官はデタントというお言葉を先ほどお使いになっておりましたけれども、一体緊張は激化の方向に向かっておるのか、あるいはつまりデタントの方向に向かっておるのか、どういうふうにお考えでございましょうか。
  348. 坂田道太

    ○坂田国務大臣 これは私の乏しい知識によりますと、やはり大きい流れとしましてはデタントが基調であるというふうに思っておるわけでございます。これは、ソ連のフルシチョフが出てきた、そして一方アメリカにケネディが出てきた、そしてお互い冷戦構造であったのが、とにかくイデオロギーは違っても共存できる部面があるのだ、そのことによって、それは同時にアメリカの利益にもつながり、国益にもつながるし、それからソ連の利益にもつながるのだ、こういう考え方が出てきたというふうに思います。それから御承知のようにアルジェリアを収拾しましたドゴールが東方に向かいまして、いまはまだ脅威がある、しかしいずれ東方諸国にも希望が持てるのだ、こういうことであのデタントというものを始めた。そしてまた、あのブラントが西独におきまして東独との条約を締結をしたというわけで、六〇年代からずっと、少なくとも米ソ、それからヨーロッパ、西欧というところは、一応デタントの流れが出てきた。しかし、中東、アジア、それから朝鮮半島というところにおいては、必ずしもヨーロッパ諸国あるいは米ソ間におけるようなデタントじゃないのであって、いわゆる軍事力の均衡というものが破れるならばやはり多少緊張が出てくる。現に中東戦争が起こっておりますし、朝鮮におきましても武力衝突ばありますし、あるいは三十年戦争でありますベトナム戦争が起こっておるわけです。  しかし、いま朝鮮半島について申し上げれば、中ソは言うならばいま対立関係にある。かつての一枚岩のような状況にはない。その中において北朝鮮は両方を志向しているわけなんで、私の見るところでは、等距離外交じゃなかろうかということだし、その中ソ、それにアメリカも、この朝鮮半島に現状変更が起こるということ、あるいは何か武力衝突が起こるということは三者とも望んでいない。いわんや日本も望んでいない、平和を志向している。言うならば、若干の危険性は残るけれども、やはり一応は基調はデタントなんだというのが、私は日本周辺をめぐる情勢だというふうに把握をいたしております。
  349. 山本政弘

    ○山本(政)委員 中東の方は、長官のお考えとは別に、デタントの方向に向かっているのじゃないかと私は思う。イスラエルが撤退をしていくというようなことから考えればですね。東南アジアは一応決着がついたという言葉が妥当かどうかわかりませんが、少なくとも鎮静化の方向に向かっているのじゃないか。その点から一般的には、朝鮮がホットではないけれども少しばかりウォームになりかけているというお話もありますけれども、しかし全般的に見たら、アジアも含めてデタントの方向に向かっているんじゃないだろうかと私は考えるわけですが、その点いかがでしょうか。
  350. 坂田道太

    ○坂田国務大臣 私も大体先生と同じような認識でございます。
  351. 山本政弘

    ○山本(政)委員 先ほど三つのことを申し上げましたけれども、そういうところから考えますと、かなり情勢が変わってきているわけですね。しかもこの白書をつくった当時と今日とでは、一番大きな点は中国との問題だろうと思うのです。そのときに四次防が必要だったということであるとするならば、そういう条件がだんだんなくなってきた今日においては、四次防は本当に必要なのかどうだろうか。私はもっと突っ込んでお伺いしたいことは、四次防の後に一体五次防があるのだろうかどうだろうかということです。  私は冒頭にお伺いしたのは、意識してお伺いしたのですけれども、五次防も考えられ得るんですねというお話をしましたら、長官はうなずかれておりました。そこで、改めてお伺いするわけでありますけれども、五次防を本当にお考えになっているのか。アジアの情勢すらデタントの方向に向かっているときに、そういうお考えをお持ちになるのかどうか。そのことが国民の一番知りたがっている問題ではないだろうかと私は思うのです。これは白書とは関係ございません。その点についてどうお考えになっているのか聞かせていただきたい。
  352. 坂田道太

    ○坂田国務大臣 ここで申し上げましたように、四次防そのものが未達成な部分が非常に残っておるわけでございまして、たとえば艦につきましてはかなりおくれておるわけでございます。したがいまして、大まかに――これは大まかにということを前提でひとつお聞き取りを願いたいと思いますけれども、大まかに申しますならば、これからは量から質なんだ、こういうことです。四次防当時は、意識的か無意識的か知りませんけれども、ある特定の国は恐らく仮想はしていなかったかもしれないが、かなりな緊張を前提としておったかもしれません。その辺、もうちょっと分析してみないとわかりませんけれども、ポスト四次防は、基調はそういうようなデタントの中にあっても、多少隠されたデインジャラスな要素、あるいは不安定な、不確定な危険な要素が残っておる限り、特定の脅威を直接感じておるわけじゃないんだけれども、日本として、やはりこの程度のものは、平時からちゃんと防衛力としてしっかり身につけておかなければいけないんだ、その程度のものに私はしたい。これならば国民のコンセンサスを得られるんじゃなかろうか。しかし、そんなことだって不必要なんだ、言うならばちょうど保険と同じなんで、おれは健康なんだへ保険料を納める必要ないよ、そりゃあおまえらみたいにしょっちゅう病気している者はいいでしょう、こういう議論がかつてはございました。しかし、健康であると思っておった人でも、たまに病気になって保険のありがたさを知った暁においては、やはり保険料を積んでいった。そういう意味から言いましても、社会保障か防衛費かということではございますけれども、大体GNPの一%程度ということで、平時からもし万一の場合に対して備えをしておくということは、国民の方々が納得のできることではなかろうか、こういうふうにいま私は考えておるわけでございます。
  353. 山本政弘

    ○山本(政)委員 重ねてお伺いいたしますが、四次防の概要をまとめたときの根底にあったものは、要するに、全面戦争の危機はないけれども、限定的な軍事衝突あるいは間接侵略の事態が生ずる可能性が常に存在しておるとおっしゃっていたわけですね。そして中共の核装備とか、その他米国のアジアの戦略の転換とかいうことがあった。だから、ここまでの状況で四次防というものは必要であった、こうなったわけでしょう。ところが、おっしゃるようにそういう緊張が緩和されるからここまで来たわけですよ。そうすると、これに比例して情勢が違ってきたのだから、四次防というものはここまで何もする必要はないわけです。長官はいみじくも未達成だと言われたけれども、未達成のままで終わったって情勢に対応できるのではないだろうかというのが私の論旨なんです。それはいかがでしょう。
  354. 坂田道太

    ○坂田国務大臣 この辺はもう少し精査してみないと、ここでいまはっきりお答えはできません。いまちょうど、ポスト四次防につきまして、そういう議論を含めまして検討をしておる段階でございます。しかしこれは、先生の御意見でございますから、貴重な御意見として承っておきたいと思います。
  355. 山本政弘

    ○山本(政)委員 四次防というのは、さっき言ったようにここまで下がってきた。目いっぱいやったらここまでですね。そうすると五次防というものは少なくとも必要でないはずだと私は思うのですよ。長官のおっしゃるように、四次防で質を充実させるということだったら、五次防は必要じゃないんじゃございませんか。
  356. 坂田道太

    ○坂田国務大臣 先ほど防衛局長がちょっと御説明申し上げましたように、海につきましては二十五、六万トンということに対して、現在十五、六万トンということでございますね。そういたしますと、ちょっとそう簡単にも言えないのじゃないかと思います。
  357. 山本政弘

    ○山本(政)委員 では、一歩譲りまして、四次防の質的な増強というものは、仮にここまではいいとする。そうしたら五次防は少なくとも必要じゃないんじゃないでしょうか。大変くどいようですけれども、そうなってきたら五次防は必要じゃないでしょう。私はきょうはその点をはっきりお伺いしたいのです。
  358. 坂田道太

    ○坂田国務大臣 私はあえてポスト四次防と言っているわけで、五次防と言っておらないわけです。でございますから、ポスト四次防についてどうするかということは、せっかくいま検討しておるということでございますので、もう少し時間をかけさせていただきたい。これはどうしたって来年の八月でなければ、ちょっと先生に御納得のいくように御説明ができないわけです。
  359. 山本政弘

    ○山本(政)委員 ポスト四次防というのは、兵器の改廃があるだろうと私は思うのですよ。それでとどめていいんではないだろうかというのが私の申し上げたい点なんです。だから五次防は何も必要じゃないんじゃないか。長官のおっしゃるようにデタントの方向に向かっておるならば、少なくとも五次防というものは策定をする必要すらないんじゃないかということを私は申し上げたいのです。それをなぜ、要するにポスト四次防ということで、まだわからないんだというふうにお答えになるんだろうか、私はその意味が解せないのです。
  360. 坂田道太

    ○坂田国務大臣 これまた私も解せないですね。未達成、これだけ残っておって、なぜそれでいいとおっしゃるのかということが、私はどうしてもわからないわけでございます。
  361. 山本政弘

    ○山本(政)委員 そうじゃないのです。未達成なところは、一歩譲って達成をして、結果そこで十分じゃないかと言うのですよ。私は、未達成だからけしからぬと言っていることでもないんだし、一歩譲っているのですよ、議論として。どうぞという言い方は、私の立場から言い過ぎになるかもわかりません。四次防が達成をした暁に、それで十分じゃないだろうか、五次防は不必要じゃございませんか、こう私申し上げているのですよ。
  362. 坂田道太

    ○坂田国務大臣 だから、その点につきましては来年の八月まで考えさせていただきます、こういうことでございます。
  363. 山本政弘

    ○山本(政)委員 それじゃすれ違いになりそうですから、もう時間も十分しかありませんので、お伺いしたいのですけれども、いみじくも長官は、特定のある国とかというようなことで、不確定な要素ではあるけれども、デンジャラスな事態があった、こうおっしゃった。私はこの白書を見て、そして一九七四年版の「日本の安全保障」を見てみたのですよ。そうしたら、ここには中国の分析がほとんどないのです。しかしソビエトの分析は大変にあるわけです。たとえば極東ソ連の現状を紹介している中では、極東ソ連の風向、それから晴天日数、あるいは霧日数、気温図、平均気温、降水量、つまりそういう気象データが出ているのですね。見てみると、中国は何もないのですよ。そうすると、デンジャラスな要素というのはソビエトなんですか。これには要するに、いま申し上げたようにいろいろな危険の要素が書いてある。しかし、四年たったこの「日本の安全保障」には、かなりなページ数を割いてソビエトのことが書いてあるのですね。そうすると、デンジャラスな要素というのはソビエトなんですか。ぼくはちょっと思い出したから御質問するわけですけれども、ソビエトのことがこれだけあるのですよ。
  364. 坂田道太

    ○坂田国務大臣 私はその資料はよく知りません。読んだこともないのです。
  365. 山本政弘

    ○山本(政)委員 長官は、少なくもデンジャラスな要素がある国ですが――ちゃんといま私、書いたのですが、ある国ですがデンジャラスな要素がある、こういうふうにおっしゃったと思うのですよ。私、ちゃんと書きとめたんです。
  366. 坂田道太

    ○坂田国務大臣 そのデンジャラスなという意味は、日本に対する脅威としてのデンジャラスということで申し上げたのじゃございませんよ、先ほど申し上げましたその私の分析は。そういうふうに書き改めておいていただきたい。それは朝鮮半島においていまデタントですね。そしてそれには、中国、ソ連、それから米、日本も、朝鮮半島で事が起こるということはあってはならない、そういうふうに見ている。つまり抑制的である。ある特定の国がやれやれというようなことはない。むしろやるなよという国がある中において、軍事的対立はあるけれども、そして現実には衝突はあるけれども、しかし一応はデタントの状況です、こういうことを申し上げたわけです。ただし、これが何らかの変化においてここに事が起こるということはあり得る、デンジャラスな様相はあり得るということを言ったのでございます。
  367. 山本政弘

    ○山本(政)委員 そうしたら、なおさらおかしいじゃございませんか。たとえば中ソのところにデンジャラスな要素があった、こうおっしゃっておるのですよ。たとえば先ほど中ソと、こうおつしゃいました。それから朝鮮半島とおっしゃいました。
  368. 坂田道太

    ○坂田国務大臣 ちょっと違いますから……。中ソは対立をしているということを申し上げました。対立と直しておいていただきたい。
  369. 山本政弘

    ○山本(政)委員 ですから、そうすれば日本に仮想敵国がないということで、要するに日本とよその国には対立がない、そして対立はよその国同士だということになれば、いま何も関係ないわけですよ。関係がなければ、四次防を満たしただけで五次防をやる必要がないじゃないですか。
  370. 坂田道太

    ○坂田国務大臣 いまはないということです。あすはわからないわけです。だから問題なんです。
  371. 山本政弘

    ○山本(政)委員 傾向としては、趨勢としてはそういう方向に向かうということを、要するに長官はおっしゃった。そして、いまはないけれども、この次は、あすの朝はわからぬということになったら、いまの長官のおっしゃり方からするならば、五次防、六次防、七次防とやらなければならないことになるじゃありませんか。
  372. 坂田道太

    ○坂田国務大臣 私はそういうことを申し上げておりません。どこかの脅威があるから日本の防衛力をここまで持っていかなければならないという考え方じゃないのです、私はどだい。しかし、われわれの日本の国の安全を考えていく場合においては、常にこの周囲におけるデンジャラスな事態が生起しないように臨まなければならぬ、そのための外交努力をしなければならぬというのが、また日本の安全につながっていくのだ。しかしながら、いつ、十年先あるいは五十年先かもしれないけれども、日本の国を侵略をしてくる国があった場合においては、そのために今日からやはりこれだけのものをつくって、防衛力を備えておかなければならないというのが私の考え方なんです。
  373. 山本政弘

    ○山本(政)委員 あと二分ですから……。しかし私は、長官のその最後のところになってくるとどうもわからないので、前半は大変わかりやすい長官だと思ったのですけれども、後半になると少しばかり難解になってきているのですよ。つまり十年先あるか、あしたあるかわからぬ。少なくともぼくはあしたはないと思うのですよ。あしたはないでしょう。要するに趨勢としてはそういうものはないのですよ。なければ、仮に議論として一歩譲っても、四次防の質的な増強だけで十分じゃないか。  と申しますのは、要するに、防衛力整備の上限というのを一体どこにするかというのは、大変な問題なんでしょう。そして国民は、それこそ知りたがっている問題なんですよ。でき得ればこれは私は白書に書いてもらいたい問題なんですよ。そうして「考える会」は、四次防達成程度だ、こう言っているじゃありませんか。そうして長官の言葉に従えば、国民的コンセンサスを得るためには、そういう意見も十分に考えていきたい、こう言っているわけですよ。なぜ私申し上げるかというと、「朝雲」にこう書いているのですよ。「ポスト四次防がらみの各種問題もかかえ、さらに長官の諮問機関の防衛を考える会の結論を参考にするなどを考慮した」から、こう書いているのですよ。そうしたら私は、上限を四次防としてはっきりお答えになったって、一向差し支えない感じがするのですけれども、もう時間がないですから……。
  374. 坂田道太

    ○坂田国務大臣 「防衛を考える会」で出たやつを私は無視するという考えはないので、なるたけそれは貴重な御意見として尊重したいということは変わらないわけでございます。そういうわけで、これから「防衛を考える会」の各委員の方々の御発言等も十分読んだ上で、先生の御指摘になりましたことも十分きょうはお聞きしましたので、それからまた後、今度は速記録をよく読みまして、ひとつ来年の八月までに固めていきたい。  非常に先生の御指摘というのは興味がございまして、こういうことがあるから、私はもう、ぜひとも防衛論議をしていただきたい、かように考えておるのです。本当にきょうはありがとうございました。
  375. 山本政弘

    ○山本(政)委員 それでは終わります。
  376. 藤尾正行

    ○藤尾委員長 次回は、来る十七日火曜日、午前十時理事会、十時三十分より委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。     午後十時三十一分散会